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1954-12-04 第20回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月四日(土曜日)    午後二時七分開議  出席委員    委員長 上塚  司君    理事 富田 健治君 理事 福田 篤泰君    理事 大橋 忠一君 理事 並木 芳雄君    理事 穗積 七郎君       中山 マサ君    北 れい吉君       須磨彌吉郎君    上林與市郎君       細迫 兼光君    河野  密君       西尾 末廣君  出席国務大臣         国 務 大 臣 福永 健司君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村獺 忠夫君     ————————————— 十二月一日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として吉  田賢一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員吉田賢一辞任につき、その補欠として中  村高一君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員中村高一君辞任につき、その補欠として西  尾末廣君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員岡田勢一君辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員に選任された。 同日  理事今村忠助君の補欠として大橋忠一君が理事  に当選した。 同日  並木芳雄君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選     —————————————
  2. 上塚司

    上塚委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。理事今村忠助君が都合により理事辞任を申し出られましたので、これを許可いたしたいと存じますが、御異議ぎざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上塚司

    上塚委員長 御異議がなければさように決定いたします。  なお理事並木芳雄君が去る九月二十二日委員辞任せられ、再び当委員に選任せられましたが、ただいまの今村君の辞任と合せ、理事が二名欠員となりましたので、この際その補欠選任を行いたいと存じます。これにつきましては、前例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 上塚司

    上塚委員長 御異議がなければさように決定いたしまして、大橋忠一君、並木芳雄君をそれぞれ理事指名いたします。     —————————————
  5. 上塚司

    上塚委員長 この際委員長より御報告申し上げます。去る一日の当委員会決定に基き、吉田首相出席につきまして、さつそく緒方総理福永官房長官をたずね、首相出席方を強く要求いたしましたが、首相種々予定により時間的にむずかしいとのことでありましたので、委員長より、なお重ねて当委員会出席されるよう努められたい旨要望いたして参つたのであります。  以上一言御報告申し上げます。委員各位の御了承を求める次第であります。
  6. 並木芳雄

    並木委員 ただいま委員長は、吉田首相出席に対して、緒方福永両氏に強く要望したけれども種々予定があつて時間的にどうしても都合がつかない、こういう答弁つたとの報告であります。しかし時間的に都合がつかないといいますけれども、私たち委員は夜おそくでも時間の都合をつけるのでありますから、どういうふうな日程によつて時間が一ぱいで出て来られないのか、それを委員長は確かめたのですか。もし確かめてなければこの際福永官房長官に伺いたい。
  7. 福永健司

    福永国務大臣 先刻委員長報告のごとく、当委員会の御決定に基きまして、委員長から私どもの方へ、吉田総理を当委員会出席せしむべき旨の御要求を承つたのでございます。御承知のごとく、この臨時国会は会期も短かいことでもございますし、また開会当日から今日までは御承知のような非常に毎日忙しい日が続いて参つてつたわけでございます。実は本日も予算委員会の方へ出席することを私ども期待もいたしましたし、本人もそのつもりで昨日おつたわけでありますが、今日は健康を害して休んでおりますわけでございます。医者診断によりますと、今明日くらいはぜひ休ましてくれ、こういうことでございます。明日は日曜でございますが、参議院の方では予算審議をやられるようでございます。従つて総理が病気でどうしても出席ができないというならば各閣僚に出て来るように、こういうお話でございます。さような場合は、明後日はぜひ一日参議院予算委員会出席するように、とこういうような御要求もいただいておるわけでございます。ただいま並木さんから夜でもというお話もございましたが、厳密な意味で夜中にでも、わずかな時間でもないかとおつしやられれば、その瞬間までもないとは申し上げられませんが、何分にも毎日激務を続けておりますし、御承知通り高齢でもございますので、やはりある程度の健康保持考えて行かなければならぬわけでございます。何とぞかような点につきましては良識的に御了承賜わりたいと存ずる次第でございます。
  8. 並木芳雄

    並木委員 今明日は健康を害してだめであるけれども、ということですが、あさつてなら大丈夫そうですが。
  9. 福永健司

    福永国務大臣 からだのことでございますので、医者意見を尊重いたさなければならぬと思うわけでございますが、医者が出しております診断書によりますと、一応今明日というように書いてありますから、明後日は国会へ出ることを私ども期待いたしております。なお先ほど申し上げましたように、参議院予算委員会で、明日は総理出席がなくても始めるが、明後日はぜひとも総理出席を得て予算案審議進捗をはかりたい、こういうように強く要望されておりまして、私どもといたしましては、明後日はぜひとも総理出席をしてもらわなければならぬ、こういうように考えておるわけでございます。
  10. 並木芳雄

    並木委員 そういうことですと、ほかの委員の方とも相談してみなければいけませんけれども、今の官房長官答弁を聞いてもわかります通り首相外務委員会を重く見ていないということになるわけです。予算委員会なら予算委員会があるからどうだ、まるで外務委員会はつけ足しのように扱つている節がございます。それは委員長にも責任の一端があると思います。もつと委員長自分行つて——きのう、おとといと首相国会へ来ておるのですから、官房長官緒方総理などを煩わさず、国会の堂々たる委員長だから自分で行つてじか談判して来るべきはずだつたと思います。その点にも手ぬかりがあつたと思います。官房長官も真剣になつて首相にそれを言つたかどうかすこぶる疑問です。今国会は法案が一つ出ているだけで問題はありませんが、もしこのまま続いたとすれば、間もなく始まるであろう通常国会ではいろいろの条約や何かが出て来る。われわれが、吉田首相が出て来ざる限り政府提案のものの審議に応じないというのはあたりまえです。われわれが持つている審議権を放棄しているのでも何でもないので、吉田首相外遊して来たから、まずその意向を尋ねてみなければ、ほかの外交問題について外務委員としてやはり適当な質問もできないわけなのです。そういうことが十分伝わつているかどうか非常に疑問なのです。それとも吉田首相はもう投げて、きようあしたにでも辞職をするというのならば話はわかりますけれども、そういう点実際にどの程度までやつてくれたのですか。これは委員長及び官房長官からもう一度答弁をいただきたい。
  11. 福永健司

    福永国務大臣 ただいま並木さんのお話の中に、予算委員会ならば総理が出ることを私どもがもつともと感じ、当委員会はそれと同じようには感じないのではないかというような印象を受けるお言葉がございましたが、その点は私の言葉が足りなかつたかとも存じますが、先刻並木さんの御質問は、どういつたような日程ないし公務があるかというような御質問でございましたので、他にはこういう次第でございますという意味お答えを申し上げましたわけで、そのことを申し上げましたので、それがあるから当委員会はぐあいが悪いというような意味で申し上げたわけではございません。ではございますが、御承知通り、今次国会に提出いたしております政府提出案件のうちで、慣例的に見まして、予算案といものはできるだけ何もかも急——ぐわけでございますけれども、今度の補正予算案の性質にもかんがみまして、これは審議進捗をはからなければならぬ案件でございます。このことはほかの法律案についても同様言えるわけでございますが、長年の習慣で、予算委員会には、案が出て審議をされるその初めに総理大臣が出て御質問を受けることになつておりますので、実は前々から予算委員会の方は両院ともに何日と何日というように要求をされておつたことでございます。政府自体予算委員会のみを重く見、他の委員会はさほどでないと考えているようなことは毛頭ございません。ただ、先ほども申しましたように、従来からの慣例等もございまして、こういうことにつきまして、前々から両院予算委員会から出席等について打合せ等もございまして、従いまして、一応従来の慣例等も尊重いたしまして、そういう点から日程等もつくられておりますことについては御了承をいただきたいと存じます。
  12. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 今の日本外交岡崎君がやつておりますけれども一般印象——われわれも同様の印象を持つておるのでありますが、事実はこれは吉田外交であつて岡崎君はただその補助者にすぎないというような感じを持っておるのであります。従いまして今度の吉田外遊のような場合においては、その立たれるときにも、当然この外務委員会に出て、当時国会閉会中でありましたから、それを通して国民に呼びかけられるということを期待いたしておつたが、遂にそれもできなかつたのであります。予算委員会以外の普通の委員会に出たら、どこでもここでもひつぱられるというような懸念があるかもしれませんが、そうではありません。実は私は日本外交が事実上吉田外交であるという事実にかんがみまして、この外務委員会総理との関係は特殊なものである、従つてぜひ吉田総理に来て説明をしていただきたいと思つてつたのでありますが、過去二箇年の間私はこの委員会におるが、一度もここに顔を出されたことがないのでありまして、私はまことに遺憾に思つておるのであります。こういう点について総理大臣はどういうふうにお考えでありましようか、官房長官の御意見を伺いたいと思います。
  13. 福永健司

    福永国務大臣 大橋先生外交のことにつきましては、その方の御出身でもあり、非常に御造詣が深いわけでございまして、そういう点から、岡崎外務大臣補助者であつて云々というように、これは大橋先生なりのお考えでおつしやるのだとは思いますが、確かに総理大臣外交官出身でもあり、外交問題に深い関心を持つておることはこれは事実でございますが、さりと申しまして、岡崎外務大臣が単に補助者で、大臣ではあるが一々総理大臣に聞かなければ何もわからないというほどのことではないのであります。確かに総理大臣外交についていろいろ考えておりますが、岡崎外務大臣もともに心得えておると思うわけでございます。従つてこの点につきましては現外務大臣につきましても何とぞ御信頼をいただきたいと存ずるわけでございます。要点として申されます当委員会総理大臣があまり出席しておらぬということでのおしかりは、事実過去におきましても、いろいろ錯綜いたしまして意のごとく当委員会へまかり出ることができなくていたということはその通りでございますので、この点は遺憾に存ずるわけでございますが、何分にも総理大臣はあつちこつちからいろいろ出席等の御要求もございますし、また総理大臣外交問題に重大関心を持つて、できるならば当委員会にも出ることがよろしいことであることは、私どもも何ら異議はないわけでございます。そういう考え方から過去においても当委員会の幾たびかの御要求も承つて善処努力をいたして参つたのでありますが、なかなかそのときどきの事情によりまして、必ずしも意のごとく出席等が……(「善処しておらぬじやないか」と呼ぶ者あり)事実問題としてできなかつたことは遺憾に存じておるわけでございます。決して当委員会総理大臣が軽視していることではないわけでございます。この点については御了承いただきたいと思います。
  14. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 外国の外務委員会、ことにアメリカの上院の外務委員会のごときは、その外交問題に関してはほとんど国務省と同等、あるいはそれ以上の権威を持つておりますが、同じこの制度をとつておる日本外務委員会というものは、まるで魂の抜けたようなものでありまして、そこにおける発言なんかもきわめて軽く扱われておるのであります。これは私は、日本外交国民に浸透させ、また海外にこれを宣伝する上において、まことに遺憾なことだと思うのであります。かくのごとくなつたゆえんのものは、実質的の外務大臣である吉田総理が、この外務委員会を軽視してひとつも顔を出さない、そうしてその補助者であると万人が認め、外交の大本を決定する権限がほとんどないとさえ思われておる岡崎外務大臣にだけまかせておられるということのために、魂の抜けたようなものになつておると思うのであります。そこで今度外遊して帰られたのを機会にして、しばらくでもいいのですから、予算委員会に優先をして御出席になつて、そうしてこの外務委員会というものの存在を明らかにして、その機能を発揮させられんことを希望するのでありますが、いま一応この趣旨をお伝えになつて御尽力になることができるかどうか、お伺いしたいと思います。
  15. 福永健司

    福永国務大臣 当外務委員会権威をもとより認識いたしておるものでございます。別段当委員会が軽く扱われているとは存じませんが、ただ、ただいま予算委員会に優先して総理を当委員会出席せしめよというお話でございますが、御趣旨のほどはよく伺いまして本人にも伝えたいと思いますが、先刻も並木さんにお答いたしましたごとく、予算審議の従来の国会における取扱い、慣例等にもよりまして、予算委員会をさておいてということはなかなか容易でないのではないかと考えます。但しただいまのお話趣旨につきましてはよく伺いましたので、この上とも努力はいたしてみたいと存ずる次第でございます。先ほども申し上げましたようなことで、すでに残る日数もあまり多くないし、また予算を早く上げるということにつきまして、両院とも相当に重大関心を持つておられるのでありまして……(「きように出席してないじやないか」と呼ぶ者あり)きよう出られないのは先刻申し上げた通りでございます。
  16. 穗積七郎

    穗積委員 福永さんにちよつとお尋ねいたします。当委員会ではそういう問答はいたしておりませんが、新聞の伝うるところによりますと、政府は野党が出します不信任案が通過いたしました場合に、必ずしもやめるとは限らない、むしろ解散をもつてあとの政局の収拾に当るつもりであるということが報道されておりますが、それは事実でございましようか。
  17. 福永健司

    福永国務大臣 不信任案が出るであろうということは、いろいろとの報道によつて伝わつておるところでございますが、政府といたしましては、現実にまだ出ているものでもない、いわんや不信任案が可決されるというところに至つておりませんから、これに対していかがするかという閣議等の正式の協議等は一切いたしておりません。従つて新聞報道が伝わつておりますが、私ども記者会見においてその種質問が出ますと、それは現実事態が起つてからでないと一切申し上げられないのである、こう答えております。そうすると、今度どうということでなくて、原則的にこういう事態にどうするかというようなことでの質問で、そういう言葉が入らなくて記事に出ておりますから、あるいは若干誤解を生ずるかと思いますが、どういうように考えるかというような場合におきまして、まあ普通ならどうだろうというようなことが、今度の場合どうということでなくて話が出るようなことが往々にして記事に出ておるような場合があるわけであります。今度の場合の現実の問題につきましては、これからそういう事態が起つたときに、政府といたしましては閣議その他の手続をとりまして最終的に決定するわけでございます。ただ党といたしましては、予想し得べき事態に対していろいろ協議等をいたす、これは党としては当然であろうと思うわけであります。こういうようなことがどう伝わるかは別といたしまして、政府が正式に見解を表明するには、今申し上げました手続を了した上でないといけない、こう思つております。私ども申しましたことがいろいろ伝わつておりますが、すべてただいま申し上げましたようなことを前提として言つておるわけでございまして、さような条件を無視して、今度はこうだというようなことは一切語つてない次第でございます。
  18. 穗積七郎

    穗積委員 そういたしますと、今まで総理またはあなたの答弁あるいは談話としてありました、不信任案が提出されたならばこれをまつ正面から受けて立つ、それがもし通過した場合には解散をもつて臨む方針だ、少くとも現在はそうだというような趣旨のお言葉があつたと思いますが、これはどうでございますか。
  19. 福永健司

    福永国務大臣 受けてたつという言葉は、受けてどうするとまで言つておりませんから、そういう事態になれば受けざるを得ないわけでございますから、この言葉は、私別段どうということはないと思います。そういうことでございます。ただそういう場合には解散である云々ということは、これから先ほど申し上げましたような手続を終えまして正式に決定するのでなければ申し上げられないわけでございます。ただ私どもが、たとえばラジオの討論会等でも申しましたわけでございます。個人的に、しからばどう思うかというようなことを言われた場合に、たとえば一般論であるならば、国民の審判をまつということ、これが普通の考え方とも思います。但し現実のこのたびの場合においてどうするかということは別ございます。こういうことなのでございます。
  20. 穗積七郎

    穗積委員 その問題はこれ以上いたしませんが、そういたしますと、解散の場合もあり得る、すなわち政権をあと続いて担当する決意を具体化する場合もあり得る。あるいは辞職する場合もあり得る。いわばパーセンテージはどういたしましても、政権を継続担当する場合もあり得ることとして理解してよろしゆうございますか。
  21. 福永健司

    福永国務大臣 それも、どういう場合もあり得る、どういう場合もあり得るということを申しますと、またこれが非常にいろいろに響いて伝わるわけでございます。ただいまといたしましては、正式にそういうことをきめておりませんので、何とも申し上げられないと申すよりいたし方ないのであります。ただこれまた今度の場合どうということでなくて、一般論といたしますと、そういう可能性がないとは言えないと存じます。
  22. 穗積七郎

    穗積委員 それでは続いてもう一ぺん念のためにお尋ねしておきますが、もし不信任案が出ない場合、延期された場台、あるいはまた万が一否決された場合、その場合でもやはり今度の臨時国会最終日ごろまでに政府は去就を決定するというお答えなのか、そういう出ない場合、否決された場合には政権を継続して担当するというおつもりであるのか、ない場合のことをちよつと念のためにお尋ねしておきます。
  23. 福永健司

    福永国務大臣 巷間伝うるところでは、こういう事態可能性は少いように実は私どもつておるのでございます。従つてそういうような事態にはどうするかというようなことは、先ほど申し上げましたこと以上に協議をいたしておりません。従つて、ただいまのところ、そういう意味ではちよつとお答えできないと存じます。
  24. 穗積七郎

    穗積委員 いずれにいたしましても、私は現実の問題として不信任案が出ない、または否決された場合には、政権を担当する意思がおありになるだろうと思う。それから不信任案が上程されて可決された場合においても、解散をもつて信を国民に問うという、すなわち政権担当を継続する場合もあり得ると思うのです。今のお言葉によれば、そういうことは一切ないという答えはないわけですから、言いかえれば、そういう場合もあり得ると思うのですが、そのときに政府は一体何をもつて信をお問いになるのか。そうなりますと、現今の場合におきましては、特に十九国会後の国際情勢変化並び吉田総理が今度外遊して帰られまして、諸国の日本吉田政府に対する態度、交渉の結果、これらを総合いたしまして、今後の具体的な外交施策というものが決定されると思うのです。その説明がなくて政権を担当する場合もあり得る。すわなち、総辞職のみには限つていないというような言葉は、はなはだ無責任言葉だと思うのです。今申しましたように、十九国会後の、特にジユネーヴ会談後の国際情勢変化、今度の外遊によります具体的な交渉の結果、それらを一切綜合的に整理されて政府の新しい外交方針というものが打出されなければ、何をもつて一体信を問われるのか。吉田内閣の今までの外交というのは、かすかにアメリカの強要する再軍備を漸進的にやりながら、経済援助を確保して行くという、何といいますか再軍備態勢内におけるかすかな、消極的なレジスタンスをやつて来られたのが、十九国会通りましたMSA交渉伴つて、遂にこの抵抗線は完全に破られて、アメリカ要求通りの再軍備計画予算の上でも実行する結果になり、条約上もそのことをはつきり義務を負うことになつたので、そこで吉田外交としては一つの大きな転機にかかつておるわけです。だから、そういう変化があり、しかも国際情勢変化、この間の外遊の結果等を見て、ここでそれらとつじつまを合せた一つの綜合的な外交方針というものが明らかにならなければ、何をもつて一体信を天下に問われるつもりなのか。この目標がないと思うのです。そういう意味から行きますならば、この間本会議において御説明になりましたようなこと、これではとうていその後の外交方針の具体的なものにはならぬと思うのであります。そういう意味で、ぜひ外務委員会会に出て来られて——これは要求するのじやなくて、政府側から出て来て説明する責任義務があると私は思うのです。そういう認識については、福永官房長官はどういうふうにお考えになつておられるか、その基本的なお気持を一ぺん伺つておきたいと思うのです。
  25. 福永健司

    福永国務大臣 政府の諸施策については国会及び国民皆さんから常に御批判を仰いでおるのでございます。従つてただいま例をあげてのお話国民に何をもつて信を問われるか、こういうお話ではございますが、たとえば選挙というような場合には、これはもうお答え申し上げる必要がない、それぞれ頭を下げて国民の信を問うわけではございますが、但し選挙というようなことを通じなくても、私が今申し上げましたように、国会及び国民皆さんから常に御批判はいただいておるのであり、しばしば政府はその所信を明らかにしており、また実際の施策において国民皆さんから見ていただいておるわけでございます。そういう意味で、私どもはまた同時に当委員会でいろいろ政府所信その他について申し上げるということはもとより望ましいことでございます。せいぜいそういうことには努めなければならぬと存じておる次第でございます。
  26. 穗積七郎

    穗積委員 そうおつしやいますが、実は吉田外交の場合におきましては、すべてが国会または国民の前に簡明率直に提示されておるわけではなくて、隠蔽秘密になつている点も相当あるわけでございます。ですからわれわれは委員会を通じてそのことを明らかにするのがわれわれの責任でもあると考えておるわけなのです。  そこでこれ以上問答をしても何ですから続いてお尋ねいたしますが、当委員会がかたい決意をもつて今度外遊からお帰りになつた後の吉田総理自身にここへ来てもらいたいと申したのは、先ほどのお言葉によりますと外務大臣もいるのですから云々ということでしたが、今度の外遊は外相を帯同されての外遊ではなくて——部では確かに御一緒になつたようですが、全日程におきましては総理みずから乗り出されてみずから話され、みずから交渉して来られたわけなので、われわれのお聞きしたいというのは——今まで政府がきめて参り、また選挙に掲げたスローガンについての説明を伺うということであるならば、岡崎外務大臣からも伺うことができるでしようが、今度われわれが伺いたいのは、外遊によりまして具体的に一体どういう交渉が行われ、その後総理外交に対する御心境はどうであるかということから、この質疑は代理を許さないという強い要望をもつて、われわれは実は委員長を通じて交渉したのですが、その趣旨があなたに伝わつてつたでしようか、どうでしようか。われわれの要望がそうであるということの御理解が行つておりますかどうかお尋ねしたい。
  27. 福永健司

    福永国務大臣 ぜひ総理大臣自身に出て来て当委員会でいろいろ説明等をし、ないしは御質問に応ずるようにという御趣旨お話は拝承いたしておるわけでございます。ではございますが、先ほどお話の確かに吉田総理自身参つておりましたことではございますが、ついて参りました者の主力はやはり外務関係の者でございました。あながち岡崎外務大臣は何も知らぬというほどのことではないということを御了承いただきたいと思います。
  28. 穗積七郎

    穗積委員 委員会の要望は——代表ではできない、吉田総理みずからのお答えをいただきたい、御方針説明していただきたいという委員会の要望は、もつともの要望であるとお考えになりますか、どうですか。
  29. 福永健司

    福永国務大臣 常識的に考えまして、総理大臣都合つくならばそれも非常によろしい、私ども望ましいと存ずる次第でございますが、現実は御承知のようなことでございますので、これもあわせ御考慮をいただきたいと存じます。
  30. 穗積七郎

    穗積委員 それではわれわれの要望をもつともとお考えになつて、それでなおかつ出られないというのは、先ほどからの御説明によりますと、一つは病気、一つは時間がないということです。御病状についてお尋ねいたしますが、病名は何で、病状はどういうぐあいであるか御説明していただきたいと思います。次には今度の会期中の御日程を日々にわけて、何時から何時までどういう御予定であるのか、官房長官承知だと思うので、あるいはあなたのお手元でおつくりになるかもしれませんが、それを説明していただきたい。時間がないという理由がちよつとわからない。まず御病名、御病状から説明していただきたい。
  31. 福永健司

    福永国務大臣 病気のことは私は医者でございませんのであまり詳細にはわかりませんが、医者の提出いたしました診断書によりまして承知をいたしておりますところでは、急性咽喉カタル及び神経痛と伺つております。
  32. 上塚司

    上塚委員長 この際お諮りいたしますが、ただいま二時四十分より本会議が開催せられる予定の旨通報がありましたが、この際漸時休憩いたしたいと思いますが、御異議がありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 上塚司

    上塚委員長 それで暫時休憩いたします。    午後二時四十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた