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1954-12-06 第20回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月六日(月曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 關内正一君    理事 關谷 勝利君 理事 山崎 岩男君    理事 鈴木仙八君       高橋圓三郎君    徳安 實藏君       西村 英一君    臼井 莊一君       吉田  安君    青野 武一君       楯 兼次郎君    正木  清君       中居英太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         補償課長)   財満  功君         農 林 技 官         (水産庁生産部         海洋第二課長) 増田 正一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         連輸事務官         (自動車局長) 真田  登君         海上保安監         (晦上保安月警         備救難部長)  砂本 周一君         専  門  員 堤  正威君         専  門  員 志謙 一之君     ————————————— 十二月三日  委員高橋圓三郎辞任につき、その補欠として  岡田五郎君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員森清君、田中幾三郎君及び館俊三辞任に  つき、その補欠として岸信介君、吉川兼光君及  び黒田嘉男君が議長指名委員に選任された。同日  委員岸信介辞任につき、その補欠として森清  君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員岡田五郎君、木村俊夫君及び石山權作君辞  任につき、その補欠として船田中君、高橋圓三  郎君及び山口丈太郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員船田中辞任につき、その補欠として岡田  五郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月四日  海難防止対策に関する請願山下憲江紹介)  (第二五号)  我孫子、大宮線等鉄道路線敷設変更に関する  請願編永健司君外五名紹介)(第二六号)  国鉄借地料金調査に関する請願園田直君紹  介)(第六〇号) 同月五日  国鉄吉備線を福山市まで延長の請願高橋禎一  君紹介)(第一五五号)  一荒線敷設請願田子一民紹介)(第一五  六号)  野岩線会津滝原、今市間に鉄道敷設請願(菅  家喜六紹介)(第一五七号)  根占港修築に関する請願永田良吉紹介)(  第一五八号)  国鉄古江線高須、大泊間に鉄道敷設請願(永  田良吉紹介)(第一五九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  船舶の安全航行に関する件  道路運送事業に関する件  鉄道新線建設に関する件  木船災害復旧資金融資等に関する件     —————————————
  2. 關内正一

    關内委員長 これより会議を開きます。  青野委員より昭和二十七年十二月十二日長崎県対馬沖における第二十海幸丸米船LSTとの衝突事件につき質疑通告がありますので、これを許します。青野武一君。
  3. 青野武一

    青野委員 御質問する前にちよつと……。海上保安庁警備救難部長、それから調達庁の方、あるいは水産庁次長が御出席になつておりますか。——それでは時間の関係もございますので、要点だけ御質問を申し上げたいと思います。  私の質問する趣旨は、日本漁船と韓国の政府、それから中共の政府日本漁船、とりわけアメリカ側日本海上関係に、かなり複雑な問題が終戦後ございます。ところが今回の事件のように、力関係アメリカ側のなすがままに泣寝入りをする事件が全国にたくさん例がございますので、特に私は海上保安庁なり調達庁水産庁関係者にお尋ねを申し上げるのですが、今委員長から開会にあたつて申されましたように、問題の起つたのはおととしの暮れです。昭和二十七年の十二月十二日、さばのきんちやく網の第五光洋丸と第六光洋丸の各船は、双方六十五名の乗組員を擁していたのでありますが、この二つ光洋丸指導船、第二十七海幸丸対馬の付近で、約三千八百トンぐらいのアメリカ軍用船に後から追突を受けて、大きな損害を受けている。追突を受けたために海水が浸入して、水圧のために三名の諸君は遂に気の毒にも死んだのです。ところが一年有半たつております今日、たびたび要求をし、調達庁を通じて書類を提出しておりますが、この五名の乗組員に対してはいまだ一銭の弔慰金米国側からは支給していないということであります。二十三名の中学生が相模湖で避難を受けた。あるいは十五号台風で、北海道の函館で洞爺丸その他五隻の船が転覆したために、千五百名からの避難者ができて、全国的にセンセーシヨンを巻き起しましたが、これらの気の毒な遭難者に対して、はたして慰金は幾らが適当であるかといつたようなことが、まだ未解決のままに海難審判庁の最終的な判決を待つているのが今日の状態である。ところが日本漁船アメリカ政府の間に引起されたこういつたような椿事は、やみからやみに葬られて、力の強いものが結局無理押しをして、この問題を解決して行くような例が過去において間々行われました。こういう点について海上保安庁なり調達庁なり水産庁方面に入つた情報は、その後どうなつているか。私は一応詳細な質問をいたします前に、大ざつぱに事件の概要を発表いたしまして、こういう問題はどの程度に進行しているのか。三十八年度一年間に受けた追突事件損害によつて、一年間の漁獲高に大きな打撃を受けているのは、アメリカによつてはほとんど問題にされておらない。書類に不備があるからといつてこれを相手にしない。それから三百十余万円の修繕賃は、二割五分程度は認めるかもわからないけれども、三百十余万円に相当する船の修繕賃は出すことができない。そういつたような点は、どういう理由アメリカ側がそういう意見の発表をしているのか。事件解決のかぎはアメリカ側の誠意によると思います。これは小さい問題ではなく、アメリカ日本漁船の問題で将来も行われると思う。今までもそういうことが少からず例があつたと私は推定しておりますが、こういう点について大体この問題はどの程度に進展しているかということを、まず一応御説明願いたいと思います。
  4. 關内正一

    關内委員長 速記をやめて。     〔速記中止
  5. 關内正一

    關内委員長 速記を始めて。高橋委員より道路運送事業に関し質疑通告がありますので、これを許します。高橋圓三郎君。
  6. 高橋圓三郎

    高橋(圓)委員 私はこの際道路運送法津別につきまして、石井運輸大臣原則的な御方針、御意見を伺つておきたいと存じます。実は現在あるバス営業認可関連しまして、運輸大臣に対して訴願が提起されているのであります。これは固有名詞を使つて申し上げる必要はないと思いますが、原則的な御意見伺いたいと思います。そのことにつきまして、本来三箇月以内に訴願裁決が行わるべきものが、すでに一年九箇月くらいになつている。その実情は、運輸省がこの問題について裁決をいわば故意に延ばしておられる。故意というのは、別に悪意というのではありませんが、裁決運輸省の立場上非常にやりにくいというような事情から、延びているやに聞いているのであります。最近に至りまして、この問題を運輸審議会大臣から諮問せられて、その結果運輸省では、バス事業認可というものは、その認可を受けた業者バス事業経営し得るということの抽象的な能力を付与するにとどまるのであつて、実際にそれが行われるかどうかということとは別個の問題である、こういうふうな解釈がとられた。従つて抽象的な認可という事柄は、業務が円滑に行われるか行われないかとは別個の問題である。具体的に言えば、そのバス運行すべき道路に関して、その認可を受けた業者道路使用権を持つておるかおらないか、あるいは所有権を持つておるかおらないかというような事、柄とは、別の問題である。たとえばこの問題の場合は、駐留軍演習地の内部にある林道を通過することになるのでありますが、その駐留軍演習地の中でありますから、原則としてバス事業あるいはバス運行はできないのであります。しかしながらそういうことは問題じやないのだ。バス事業経営能力を与えるという抽象的なものであつて道路が使えない。従つて運行は禁止されたという事実があるのでありますけれども、そういうこととは関係なくて、事業認可というものは抽象的に残つてさしつかえない、こういう解釈をとつておられるようなのであります。しかしながら道路運送法には、認可を与えるについては、その業務が円滑に、完全に行われるという条件が列記してあつて、その条件が満たされるということで初めて認可が行わるべきはずになつておると思います。従つて明らかにこの道路運送法内容と撞着する、違反しておる、かようにも考えられるのであります。この点について私はこういうことがもし裁判官が裁判の場合にこういう解釈をするということであれば、あるいは純粋な法律論として極端に言えば三百代言的な議論としては成り立つかもしれませんが、現に運送事業行政を預かつておる運輸省当局がかような見解をもしとられましたならば、今後の行政の上に大きな支障が起るのではなかろうか、かように考えるのであります。従来もさような方針で一体裏業認可等を取扱つて来られたのでありますか、どうでありますか。道路使用権があるかないか、所有権を持つておるかどうかということとは関係なしに、業者に抽象的に観念的にバス事業の運営を許可するというようなことを、一体実際にやつておられたのかどうか。今後もまたそういう方針でおやりになるのかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  7. 石井光次郎

    石井国務大臣 バス通行許可する場合におきまして、その許可を受けたバス業者道路使用権を持つという解釈になるか、そこを私自身よく存じませんが、使用権というようなものよりも、許可を受ければバスを連行させるという利益を得るというくらいのものじやないか、こういうふうに思つておるわけでございます。それでバス事業許可をする場合におきましては、今お話のありましたように、許可さえすれば、あとは合理的にそれがよければ許可する、実際上に道路が使えようが、使えまいがかまわないというようなことでやつてはならぬと私どもは思うております。バス通行許可するということは、バス通行させる、実際上に通行できなければならないのでありますから、使えないものに許すというようなことがあつてはならないと思います。
  8. 高橋圓三郎

    高橋(圓)委員 そういたしますと、この現在の訴願になつております認可は、明らかに駐留軍演習地内でありまして、そうして現実バス通行その他のことが禁止せられておる区域であります。そうして実際の事例といたしましてもその区域内の、現実にまだ政府との契約もなくて、ただ占領軍占領以来のそのままの形で接収せられておる土地や山林等所有者でありながら、自分所有地山林でたき木を伐採したためにつかまえられて裁判に付せられて、非国民呼ばわりをされたような農民もあります。また馬の飼育をするために馬を放つたとか、そういうことのために処罰を受けたという者もあるのであります。その他いろいろの事例もたくさんあるのであります。現地で始終そういう問題が起つておる。そういう場所に運輸省が、道路の正当な使用権道路を使用し得るという合法的な根形のない業者許可をせられたというのでありまして、私はここでこの許可の当否を私自身当局と論争しようという考えは毛頭ありませんが、そういう条件のもとに、しかもそれは一般の通路ではないのであつて、森林の伐採のために農林省がつくつた林道であります。つい近年にできた材木を運ぶための林道であります。そこを使うということで実際の権利も何もないものに許可された、そういう事実があるのであります。私はこのことについて当局と論争はいたしませんが、三箇月の期限のものが一年九箇月にもなつてようやく運輸審議会諮問を経て、運輸大臣が近いうちに決裁をなさる時期が来ておると思います。このことは運輸省の将来のこういう行政を取扱いになる上におきましても、重大な根本の方針関係することでもありますし、また関係者の公正な判断によつて、公正なる決裁大臣がお与えになる上からいたしましても、ただ運輸当局または運輸審議会諮問の答申というようなものでなく、どうか運輸大臣としてはたとえば政府法制当局であるとか、あるいはこの問題に面接関係ある調達庁農林省等意見ども十分ごしんしやくになつて、ことに法律解釈については私どもは先刻のような三百代言的解釈で実際の行政をつかさどられる運輸省は、将来仕事ができないと私は考える、それらにつきましても、権威ある、責任ある機関法律解釈をも御参酌なさいまして、どうか公明な御裁決お願いいたしたいと思います。私はそれについて運輸大臣の御裁決内容にわたつて、注文をつけるというようなことは決して申し上げませんが、どうかひとつ大臣の御責任において誤りのない公正な、だれもが納得するような御裁決を与えていただきたい、こういうことを、これは個々の問題についてではなくて、一般的にそういうふうな方針をもつてぜひとも公明な御裁決を与えられたい。こういうことをこの機会にお願いを申し上げておく次第であります。なおこれについて当局で御意見がございますれば、承つておきたいと思います。
  9. 石井光次郎

    石井国務大臣 訴願が出まして、今お話のように相当時がよけいたつておるというようなことでございますが、私どもといたしまして、この問題を取上げまして三箇月くらいでやるべきものが延びておるというのは、一つ訴願の追申と申しますか、訴願に対してまたことしの春ごろに訴願の本文に追申が出たというようなこと等で、一つには中断されておることもあると思うのであります。いずれにいたしましても、時をかけておりますのは、非常に慎重にいろいろな状況を考えてきめなければ、今お話のようにりくつ上こうだというようなことだけで、ぽんと片づけてしまうというようなことがあつてはならないというようなことで、当事者が慎重にやつてつたということもあると思うのであります。今運輸省内だけの機関決定でなく、運輸省決定する場合において、もつと広く意見等も聞いて、そうして公正なる決定をしろというお言葉は、私も賛成であります。関係の向きとも必要だと私ども考えますことについては、必ず相談をいたしまして最後の決定をいたしたいと思います。
  10. 高橋圓三郎

    高橋(圓)委員 石井大臣から、十分慎重を期し、また関係方面意見も徴して公正な裁決をするつもりである、かような御答弁をいただきまして非常に満足いたします。ただ御承知の通りに途中で中断されたことがありましたにしても、とにかく非常に長い期間、放任ではないかもしれませんが、延び延びになつて来ております。他にも影響のある問題でありまして、手数も大してかかる事柄ではございませんので、どうか大臣におかれましても迅速にお取込びを願いまして、一日も早く公正なる御裁決お願いを申し上げておきます。
  11. 楯兼次郎

    楯委員 関連質問……。今自動車の問題が出ましたので関連をいたしまして、二、三お聞きしたいと思います。  今高橋委員から二年になんなんとする月日がたつても新路線の問題が解決しない、こういうことをおつしやいましたが、私ども地元においても、そういう事例をたくさん見ておるわけであります。長いのになりますとすでに三年も一向に許可の段階まで来ない。特に私どもが痛感をいたしておりますのは、会社競合をした場合、あるいは国鉄民間会社競合をした場合に、こうした事例がきわめて多いのであります。私どもはしろうとでありますから、いろいろわれわれで答えられない事態もあると思いますけれども、常識的に考えてこのくらいはいいであろうというような路線についても、なかなか諾否がきまらない。従つて自動車局長にここでお伺いをいたしたいのは、私はこまかい問題は別といたしまして、基本方針として新路線についてはどのような考え方で取扱つておられるか、こういうことをまず第一にお伺いをしたいと思います。
  12. 真田登

    真田説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。免許事案が非常に長引いておるというお話でございましたが、確かに相当期間はつきりした処分が決定しないでおりますものもございます。われわれといたしましては常にできるだけ早く処理したいという考えにはかわりないのでありますが、いろいろの理由で延びておるものがございます。それで新路線について今後どういうふうにやつて行くつもりであるかというお話でございましたが、御質問内容についてどういう点をお答えしたらよろしいか、ちよつと問題が非常に漠然といたしておりますが、長引いておりますような路線と申しますのは、大体は二つ経営体競合する、あるいは一つ経営体がやつておりますところへ新しい事業者が新規の出願をする、こういつた事案の場合が大体長引いておるわけでありますが、最近バス路線も非常によく発達して参りまして、新しい採算のとれる新路線というものが非常に減つて参りましたために、どうしても一つ会社が他の会社の方に入つて行くとか、もし新しい採算のとれそうな路線ということになりますと、二つ会社申請して来るというような事案が非常に多いのであります。もつとも国鉄の新線の場合には、必ずしも採算ということでなしに、公共性ということを非常に重点を置いて申請して来る場合があるわけでございますが、そうした場合に、いずれに免許いたしますかという問題は、まず第一には道路運送法免許基準によつて、その地方の需要の関係がどうとか、申請者の資格その他がどうであろうかというふうな問題について検討いたしますが、ではいずれの事業者にやらせるかといつたふうな場合には、やはりある程度企業安定性と申しますか、その企業が安心して事業行つて行つてサービスを改善して行けるような、ある程度の収益も上げ得るということも一つの要請でありまして、そういう意味からできるだけは現在の事業者の力を伸ばして、その地方の開拓に寄与させるというふうに考えておるわけでありますが、も上その事業者サービスその他が決してよろしくないというふうな場合には、新しい事業者にその地区をやらせるということもございます。従いまして個々事案についてこれをきめて行く場合が非常に多くなつて参ります。ただ原則としては事業者が安心してその事業改善発達に努力できるような、ある程度の保証は考えてやらなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
  13. 楯兼次郎

    楯委員 今局長の言われましたような点については、われわれも十分考えております。私が聞いておりまのは、もう少し問題が切迫した事態を聞いておるわけでありまして、局長基本方針についてわれわれも同感であります。  次にお伺いしたいのは、競合した場合に、それぞれの手続あるいは諮問というような問題が起つて来ると思いますが、それを順当に進めて行つたならば大体どのくらいかかるか、一年半あるいは長いのになりますと三年間もすつたもんだで放置されておる。こういうことは私非常に心外にたえない点であります。いろいろ困難な事態が横たわつているのではございましようが、それ相当手続をふみ、機関を経て行つたならば、私はそのような期間は必要ではないと考えるのでありますが、競合をしたような場合に、順当に手続を進めて行つたならば——許可になるならないは別といたしまして、どのくらいの期間がたつたならば結論が出るかという点をお聞きしたいのであります。
  14. 真田登

    真田説明員 個々事案によつてある程度相違がございますし、また競合と申しましても、非常に軽微事案と、お互いがこここそは自分のところの生命線だというふうなことで争つております場合と、相当相違がございます。軽微事案でございますと、局から軽微として上げて参りまして、これには調査書の詳しいものがついて来ますこともあり、また簡単な調書だけの場合もございますが、やはり一応運輸審議会にこれを軽微として扱つてよろしいかどうかという諮問をいたしまして、処理をするわけでございます。非常に簡単な場合には一月くらいで軽微事案で片づくことがございますが、重要な路線競合といつた場合には、まず申請書が出て参りましてから、局で関係事業者意見を聞く、あるいは事山についてのいろいろの質問をいたしまして、これを聴聞と申しておりますが、その聴聞を経ましてから道路管理者にその道路通行できるかどうかという照会をいたします。道路管理者の方で、この照会に対してすぐ返事をくれますとよろしいのですが、なかなか返事の来ないことがありまして、遅延しております事案のうちには、道路管理者意見が未着のために、非常に長引いておるものもございます。こうした場合には、われわれの方でもできるだけ督促いたしまして最後的にはある一定の期間を区切りまして、これに対して御返事がないときには、さしつかえないものと考えて、事案を進めたいと思うというような返事まで出すという事例もございます。そうして道路管理者意見、それから現実聴聞いたしました結果、及び局の者が出向いて調査いたしました結果を総合いたしまして、われわれの手元へ調査書としてまわつて来るわけでございますが、この調査書ができて来るまでに、そうした競合事案については、ある程度現地で何とか円満な解決がないものかということで、この間において相当期間をとることがございます。それからこの調査書が出て参りますと、運輸審議会諮問いたすわけでございます。迷輸審議会諮問いたしますと、運輸審議会諮問を受けたということを公示いたしまして、それから三週間の間に公聴会申請があるかないか、こういつたことを確かめまして、公聴会申請が出て参りますと、今度は運輸審議会において公聴会の日取りをいつにするか、そういつた手続を経まして公聴会をやりますが、この公聴会が済みましてからも、その公聴会あと審議報告書というものが出るわけでございます。もちろんこれは委員が直接聴会をやつた場合はそういうものは出ませんが、審理官地方に出向いて審議いたしました場合には、審議報告書が出て、この審議報告書を発表いたしまして、関係事業者がこの審議報告書誤りがあれ、ば訂正を申し出る。その訂正を待つてから、今度は審議会において審議する。戦後の行政民主化ということで、そういつた手続が非常に煩雑になりまして、そのためにこれがすらすらと運ばず、審議会の方で公聴会事案がさほどたまつておらなくても、半年くらいはかかる事案は非常に多いのでございます。お話のございましたように三年と申しますような事案は、おそらく申請が出て参りますまでの地元方々陳情その他の期間相当入れておられるのではないかとも思うのでありますが、最近もある国鉄路線について、やはり二、三年という話がございましたが、実際に申請の出て来ましたのは半年くらい前なんですが、三年も前から陳情しているのにというおしかりを受けたこともございます。そういつたことで、現地での御希望と実際に手続をとられてからの期間とは相当の開きもございますので、一概にも言えないわけでございまして、非常にうまく行きまして半年くらいはかかるというふうにお答え願いたいと思うのでございます。
  15. 楯兼次郎

    楯委員 これは運輸省自動車局に申し上げるのは当を得ておらないかもわかりませんけれども、ただいまの局長の御答弁の中にありますように、所定書類がそろつてからというが、この所定書類がそろうという点について、私短かい経験でありますが、いろいろの疑義が出て参ります。地方陸運局においては、ことさらにこの書類の整備について、いろいろな理由はあると思いますが、整備を遅らしておる。そういうような点がありまして、ひがんで考えますと、ある特定の業者に対しまして、より以上の利便をはかつておると申しますか、片方を抑圧しておるような形跡があるわけでございます。これは私が違つた見方をしておる、こういうふうにおつしやられればそれまででありますが、公平な立場に立つて考えてみました場合に、どうもそういう感じがしておるわけです。こういうような点については、ひとつ自動車局から適当な指示を与えるなり、あるいは警告を発するなり、適宜な手段によつて、ひとつそういうことのないようにやつていただきたい、こう考えます。  それからいろいろな申請であるとか、あるいは公聴会であるとか、いろいろな機関を経て許可をされるのであると思いますけれども、最終的には該当路線の利用者の意向によつて決定をされなくてはならない、こういうふうに考えておつたのでありますが、この点について局長はどう考えるか、お聞きしたいと思います。といいますのは、非常に長く申請いたしておりまして競合しておる、なかなか許可が来ない、地元の住民はどういうことを言つおるかといいますと、われわれはもう利用できるのに、許可制があるためになかなか許可にならない、結局住民の利益のために存在する陸運局なり自動車局というような行政官庁は、地元の住民から見た場合、かえつてこれは何もならない、自分たちの利用を遷延するための不利益の存在にしかなり得ない、こういうようなことを盛んに言つておるわけであります。考えてみますと、なるほどその通りである。こういうふうに考えておりますので、そういうことのないようにしてもらいたい。どの会社なりあるいは国鉄路線許可になりましても、それはいろいろな理由があるで、ございましようから、私はかれこれ言いませんけれども、すみやかに書類を整備して、それぞれの機関にかけて仕事を進めていただくということと、最終的には、地元の利用者の意向によつてその会社決定をされなくてはならないのではないか、こう考えておるわけであります。これは私一人のみでなく、だれしもそういうふうに考えておるわけでありましようから、ひとつそのような考え方で将来やつてつていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、一体最終的にはどういう点を一番重く見て決定をされるか、私は沿線の当該路線の住民、利用者の意向によつてその会社が選択されなくてはならない、こう考えますが、局長としてはどういうふうに考えられるか、この点をお答え願いたい。
  16. 真田登

    真田説明員 バス路線を免許するときには、最終的にはどういう点に重点を置くかということでありますが、われわれの仕事をして参り事ます上においても、最終的には利用者の利益が第一であることは間違いございません。われわれもまず公共の利益ということを第一に置いてやるわけでございますが、ただ利用者は、交通機関は多いほどよい、運賃は安いほどよいという方に傾きやすいものですから、その間の利用者の希望と、実際にその交通機関を担当して行く事業者事業の成否ということとを、よくにらみ合せてきめて行きたい、こういうふうに思つております。
  17. 楯兼次郎

    楯委員 最初から少し前提の条件が違つたようなことで質疑応答をいたしておるわけでありますが、私の申し上げておりますのは、同資格といいますか、今局長が心配しておられる能力を持つておる会社競合した場合、こういう前提に立つて私は質問をいたしておりますから、結論としては、やはり利用者が一番望む会社許可を与えることが当然であろう、こういうふうに申しておるわけです。だからその点をひとつ誤りのないようにお願いをしたいと思います。これは関連質問でありますので、私はこの程度でやめておきます。     —————————————
  18. 財満功

    財満説明員 青野委員の第二十七海幸丸の件につきまして御説明申し上げます。  調達庁がこの種の海上事故を処理し得ます範囲と申しますと、行政協定十八条に定められました日本国において駐留軍の行為によつて損害を受けたものという前提がございます。従いまして日本領海外に生じましたこの種の海上事故に関しましては、これを外交交渉として外務省で扱つていただくということになつております。但し窓口といたしてわれわれの方を経由しておりますのは、事が駐留軍関係の事故でございますし、それから補償の場合の基準が、あるいは調達庁でやつておりますものを準用した方が都合がいいという場合が多いので、窓口として経由しておるわけでございます。一般的な御質問に対しまして以上の通りお答えいたします。
  19. 青野武一

    青野委員 ただいまの御答弁調達庁の大体の方針はわかりましたが、この件についてはすでに一件書類が提出をせられておるということを承知しておりますが、書類を提出しておるということは御承認になられますか。
  20. 財満功

    財満説明員 本日までに取調べましたところ、私どもの手元に申請書類は届いておりませんので、外務省の方にその調査方を依頼申し上げたのでございますが、当時、と申しますのは本年の三月末まではこの窓口が県庁でございましたので、県の方へ問合せをする必要があるかと考えております。
  21. 青野武一

    青野委員 これは写しでございますが、「昭和二十九年六月五日福岡県戸畑市中原西町四丁目三ノ九和田福太郎、調達庁長官福島慎太郎殿、米船運航株式会社の運航に係る米船による損害の賠償請求に関する件」といつてタイプで二枚打つたものが、直接東京の調達庁においでになつてすでに提出されたということを聞いておりますが、いかがでしようか。
  22. 財満功

    財満説明員 今直接に本庁へお持ちくだすつたというふうにお伺いしたのでございますけれども、直接に本庁で受理するというふうなことがございませんので、おそらくそれは原局でさしもどしになりましたか、あるいは東京の調達局の方で審議をいたしておりますことか、どちらかではないかと存じます。それにいたしましても、十二月もすでは六日になつておりますので、その件に関しましては至急取調べまして、申達方をはかるようにいたしたいと存じます。
  23. 青野武一

    青野委員 私が御質問する要点は、強大な力を持つておるアメリカ政府と、一日本漁船アメリカの軍用船によつて横書を受けて、日本乗組員追突を受けたために三名も死亡している。一年以上経過して一銭の弔慰金も出す意思がないことが大体明瞭になつている。人道の国、民主主義の国アメリカが、平気でやみからやみにそういう問題を処理して行くということが往往にして行われて、それがあたりまえであるという考え方なんです。国会の問題になつたビキニ環礁の原水爆の実験によつて、二十三名の第五福竜丸の諸君が放射能の灰をかぶつて、そうして当時一番元気であつたはずの久保山さんがなくなつた。こういう点については私はたまたま世界一周をして国会の調査報告に参りましたときに、五月三日、アメリカの国務省において、経済調整局長官ボールドウインという人にダレスの代理として、私は正式に一時間面会して抗議を申し込んだ。そうすると大体その当時の考え方は、アメリカ政府としては五十万か百万か余分にやれば、日本国民は何も言わないのじやないか。できるだけ弔慰金を余分に出しますから、ひとつそれでごかんべんを願いたいというようなことを言つておりましたから、私はアメリカの国務省の代表者に対して日本の国民を代表して、幸いアメリカにやつて来たから私は注文をつけたい。とにかく水爆実験をやめてくれ。日本にものすごい風が吹いておるときに、雨雲の中に放射能をつつ込んで、名古屋とか静岡とか、あるいは雪の降つておる新潟県あたりでは、小さい子供には直接生命に影響するような放射能、特にストロンチウムといつたような物質を降らして、その被害によつて、不幸にして日本人が死んだ場合には、十万か五十万か百万か余分にやつたらそれで片づくといつたような考え方は、日本国民を犬かねこのように考えておる証拠である。だから原水爆実験をやるなら、サンフランシスコの沖合いかニューヨークの郊外でやつたらどうだ。被害をアメリカ人にかぶせることは日本人は関係はないけれども日本人に前後三回も原爆を落し、水爆の実験をやつて迷惑をかけておる。そういこうとを国際連合の管理をしておるところの太平洋のまん中へ出て来てやることが、すでに間違いである。同時に中共貿易を制限をしておる。小笠原と沖縄をかつてにポツダム宣言の精神を蹂躪して、軍事基地にとつてつて、軍政のもとに日本人に非常な苦しみを与えておるといつたようなことは、これはアメリカのとるべき方針ではないはずだ。こういうことを強く主張して、私は一時間にまたがつて国務省の代表者と論戦をして帰つた。そのため二週間にわたつてスパイ網につきまとわれて、はしの上げおろしから、朝目がさめて晩寝るまで、ずいぶんと不自由をさせられたのでありますが、こういう問題を私がもどつて来て知つてやみからやみに葬られておる問題は相当にある。終戦後九年間、軍用トラックで、あるいは埼玉県金子村のようなところで、ちぎつて投げるような綿雪の降つているときに、十三名の乗組員が全滅いたしました。高圧線にひつかかつて、B29が五十トンの爆弾と十トンの重量のものを積んで朝鮮に爆撃に行く途中で、ああいう事故が起り、三十数軒の家が焼かれておる。そして日本人が三名ガソリンと一緒に焼き殺されておる。ところが十数年前、茶わん一個は当時何ぼで買つたとか、この牛小屋は何ぼで建てておる。二十年前に建てた値段をつけさせておいて、日本政府はそういう要求をしておる。私は現地に行つて、そういうばかなことはない、今の物価で今の標準で牛小屋を建てたら何ぼ、茶わん一個は何ぼという計算をして堂々と出せ。すべてアメリカのやり方というものは、日本占領してからいまだに、日本の国民は権力で押えつけたらそれで言うことを聞くのだという考え方を持つておる。しかも標式燈をつけて、航海燈をつけて、漁船が数多く仕事をしておる、漁獲をやつておる最中であるから、三千トン四千トンの船はそういうところは通つてはなりませんという外務省からアメリカの国務省に向つて公文の通牒が行つておるのに、三千八百トンの軍用船が、標識燈、航海燈をつけて、だれが見てもわかる。それをうしろからつつかけて人間を殺して、三百数十万円の船の修繕賃の二五%を支払おう。二十八年度一年間それがための打激を受けたのが数千万円、そういうものをまるつきり払わぬのじやありませんけれども、それを向うさんがかつてに迷惑をかけておいて、二割五分でよかろう、あるいはそういう物件の流れたことは認めない、そういつたようにここにその写しがあります。そういつたことが平気で行われて、日本政府、あるいは水産庁調達庁は指をくわえて、日本国民が不利益をこうむつているのを黙つて見ておるのか。そういう点については、どこの官庁かが中心になつて、漁民諸君の利益を代表して、そうして政府政府、外務省と国務省とで交渉した結果、損害を受けた金額だけは当然アメリカ政府に支払わせるべきだと私は思う。こういうものが常に国会で国会議員の口を通じて問題にされなければ、アメリカが反省をしないということは、私はあたりまえのことではないと思う。われわれがやかましく言えば、そのときは幾らかでも出す。ここにも書いてあります。これを取扱つておりますのは、横浜の米船運航株式会社、責任者は海務部長の新井哲夫、社長は井上という人であります。この人が被害を受けた共和水産株式会社から依頼を受けておる小林という弁護人にあてて、こういうことを書いておる。これは念のために聞いておいてください。昭和二十九年十一月五日、ごく最近なんです。この米船巡航株式会社が米国の意向を代表して、こういう文書をやつております。「第二十七海幸丸損害賠償の件について。右解決方については貴方よりしばしば御催促あり、弊方もMSTSに対し促進するよう要望し、MSTSもまたワシントンに連絡して解決促進に努めておりましたところ、このほど米国政府の本件に対する最終的意見が、MSTSを通じ弊方に通達せらるるとともに、貴方の回答を求めるよう指示されました。米国政府の最終的意見の要旨は左記の通りであります。」これが大事なんです。共和水産株式会社に対する賠償金、修理費が二百三十八万五千八百六十円、滞船料が六十一万六千百円、弔慰金が十三万五千円、合計三百十三万六千九百六十八円でありますが、その合計した金額の二八%の七十八万円は出してもいい。その他弔慰金でも、三名死んでおるが十三万円、一人十万円にもならぬ。ビキニ環礁で死んだ第五福竜丸の船員は四百万円とか五百万円とか言つている。もく星号で死んだ諸君は葬式料と香典、それと遭難費を入れて百三十万円であつた日本漁船に乗り組んでおる諸君は三人で十三万円であたりまえだという、これが総額なんです。ところがその滞船料と弔慰金と修理費の合計したものの二前五分しか出さないといつている。ちよいと気のきいたシエパードをたたき殺してみななさい。あやまつて殺したつて十万円くらいふつかけられる。少くとも日本の漁民が三人死んでいる。こういうことが公文書として当然なるかのごとく、米船運航株式会社の手を通じてやられておる。そうして力のない小さい水産会社は、指をくわえて泣寝入りしなければならない。もう一つあります。この責任者の和田栄太郎に対する賠償金が、けがをした治療費として四千五円、それから船の器共で、あつちこつちいろいろなもので流れたものが四万四千七百六十五円、そのうち三万三千九百十五十円、いわゆる流れて消失をした船具の七〇%は弁償しよう、あとの一三〇%はお前たちがかつてにしろ。自分たちがうしろから四千トンくらいの船でつつかけて日本漁船に迷惑をかけて、そうして総額の二五%しか払わない。流れた船具その他いろいろな器具は七〇%、七割しか払わない、こういうことがあたりまえと思いますか。うしろからつつかけているのですよ。前から衝突したのなら理由もありましよう。日本漁船があるいは悪かつたという理由もありましようが、うしろからつつかけている。航海燈をつけ、標識燈をつけているのに、何のためにうしろからつつかけるのです。気違いでもなかつたら、あたりままえの船長ならつつかけるはずもない。そうしてあやまちを犯して日本人に迷惑をかけておいて、二割五分しか払わない。流れた物品は七〇%しか払わない。こういうことを指をくわえて見ておるから、軍用トラックでひかれた者は何万とあつたけれども、一銭も金をもらつていない。B29が墜落して、そうして一番最初厚生省の規定によると六万五千しか金をもらつていない。もく星号で死んだ諸君は百三十万円、そういうふうに黙つて国民が何も言わずにしんぼうしている間は、いつもこの手で総司令部のあるときはみなやられておる。だからこれが国会の問題にならざるを得なくなつて来る。アメリカ国務当局の反省を促すために、日本の漁民の利益をあくまで守つてやるために、こういう点についてあなた方は政府を代表してこういう気の毒な人たちのために、どういうような具体的な方法をお立てになつて解決をしようとお考えになつておるか、それをお尋ねするのが私の質問の大体の骨子になつております。  なお今申し上げましたものの最後に、こういうことが書いてある。「以上米国政府意見に貴方が同意せらるるならば本件の示談解決は成立いたしますが、その場合でも御回答が本件発生後満二箇年に当る十二月十一日」ちようど二十七年の十二月十二日に事件が起つたのですから、満二箇年に当る今年の「十二月十一日までにワシントンに到着することが必要である旨申し添えられました。なおキヤツチクレームについては、請求額を立証すべき書類が不備であるとの理由で取上げられぬとのことであります。右の次第でありますので、早期解決のにめにワシントンの最終的意見に御同意なされるかどうか、とりあえず右御通知申し上げるとともに貴意をお伺い申し上げます。」こう書いてある。自分たちが人に迷惑をかけておいて、一年以上もひつぱりまわつて、そうして満二箇年に当る今年の十二月十一日限り、ワシントンに書類が到着しなければ相手にしないぞ、こう書いてある。こういう書類をワシントン政府から米船運航株式会社にあてて、そうしてその交渉をしておる。十二月十一日を経過したらもう相手にしないのだ、こういう一方的なことがいつも行われておるのです。いかなる犠牲を払つて日本漁民の諸君のために、韓国との問題はもとより、中国との問題はもとより、外国と日本漁船間に起る問題は常に国会で取上げて、国会が責任をもつて政府を督励して、有効適切にこれら漁民諸君の利益を守つてやらなければ、一体だれが守つてやるのだ。いつも泣寝入をしなければならない。私自身も終戦後九年間に相当数のそういう実例にぶつかつておりますので、御決意のほどを私は承りたい。私はこの事件関係する弁護士には会つたことはありませんが、会社が私の住居の約一里ばかりのところにありまするので、私が直接調べに行つてこの内容を知つたわけでございます。そういうことでこの点についてはかなり興味をもつて解決のために努力してやりたいと思いますが、こういうような打撃を受けたために、今のところでは従業員に給料を払うことも非常に困難を感じて、もう今年の年の瀬が越せるか越せぬかわからぬという。そういう弱点をねらつて、手取りで百五、六十万円、損害額総計は常識的に考えて三千五百万円、それを百六十万円で解決するなら、年末にお前も金がいろうからやるのだ、しかも十二月の十一日までにワシントンに書類が到着するような交渉をしなければ、もう相手にしないのだぞといつたような、まるで斬られ与三郎がけつをまくつて弱い諸君を脅迫するようなやり方が平然と行われている。これに対してあなた方はどうお考えになるか、私は御所信のほどを承つておきたいと思います。
  24. 財満功

    財満説明員 ただいまお伺いいたしますと、私が先ほどお答えいたしました一般的な問題である前に、本件は米船運航株式会社の船によつて傷つけられた、非常に特殊なケースであるというふうなお話がございましたので、その点についてちよつとお答え申し上げておきます。  米船運航株式会社と申しますのは日本国の法人でございまして、米合衆国と契約を結んで用船の役務を提供しておる会社であると存じます。その場合には、その会社漁船に与えた損害に関しましては、契約書の中に米国がこれを負担するというふうに書いてあるだろうと考えます。従いまして米船運航としましては、漁船の補償をいたしまして、折返し契約に基いて米国から補償をもらうということになるので、おそらく事前に米国の方へ補償額を伺つたものだ考えられます。その限りにおきましては、本件は不幸にも日本政府がこの問題に介入しておらなかつたものと考えます。次に十八条関係、いわゆる民事特別法関係のこの種の事故に関しましては、日本国の法令に従つて審査し、解決するということでございますので、その限りにおいては、日本国内に生じた事故に関しましては、今のような御心配は割合に薄いのだというふうに考えます。なおこれが完全に外交交渉に移りました場合口の処理の方針につきましては、残念でございますが、私どもの方で責任あるお答えがいたしかねますので、お許しを得ますならば、後ほどこれを外務省の方へ伝えたいというふうに考えます。
  25. 青野武一

    青野委員 ただいま調達庁の方から補償課長が御答弁になりましたが、これについて海上保安庁なり水産庁なりの方の御見解を承つておきたいと思います。
  26. 砂本周一

    ○砂本説明員 海上保安庁といたしましては、この事故の連絡を受けますと、ただちに巡視船が出動いたしましてその救助に当つております。この事件についてはすでに詳細御存じのようでありますから、その当時の模様をここで重ねて申し上げることを省略いたしますが、私の方といたしましては、海上におけるこういつた衝突事件あるいは海難事件に関しましては、まず人名の救助、できれば船体の救助に全力を尽しますとともに、それが海難関係あるいはまた刑事関係にも関係いたしますので、同時にその当時の模様につきましては詳細調査するのが普通でございます。しかしその後の処理につきましては、海難関係、衝突関係につきましては、海難審判庁がその当時の模様によつて裁決をいたしますし、その他の措置につきましては、それぞれその機関があるようでございますので、今お話の処理の問題につきましては、私の方といたしましては何ら申し上げることはございません。開くところによりますと、海難関係の試査につきましては、当然門司の海難審判庁で取上げられるわけでございまして、すでにその裁決をされておるように承つております。以上でございます。
  27. 増田正一

    ○増田説明員 本件につきましては、実は水産庁として直接連絡を受けておりませんので、遺憾ながら承知しておりませんでした。ただ問題は漁船でありますし、また漁民の被害でありますので、水産庁といたしましてはできるだけ、実相を承知いたしまして、関係の官庁と連絡して、事件が至急円満に解決するように努力を払いたいと思つております。
  28. 青野武一

    青野委員 私はもう少し具体的にお話をしてもらいたいと思いますので、御存じであろうと思いますが、念のためにもう一度申し上げます。大体二十七年の十二月十二日午後八時ごろ、第二十七海幸丸が長崎県対馬の比田勝港を去る東方約十一マイルの地点で、他の数隻の漁船とともに漁撈に従事しておりました際に、夜八時十分ごろ相手会社の船舶でLST二百八十一号、これは軍用船ですが、今申しましたように後方より激突し、私方の第二十七海幸丸は大損害を受けました。それは四千トン近い船に持つてつて二千トンくらいの指導船がやられるのですから、相当の打撃を受けたことは事実であります。まさに沈没せんとする直前、指導しておりました第五光洋丸、それから第六光洋丸に危うく救助されましたが、不幸にも乗組員三名の犠牲者があつた。この乗組員の犠牲者というものは、一年も二年もほつておくことは、できない問題なんですが、そういうように不幸にも乗組員五名の犠牲者がありました。翌十三日午前七時対馬の比田勝港に曳船してただちに上架をしましたが、そのために修繕費その他の損害は左記の通りとして書いてありますが、そのときに漁撈上の、いわゆる魚をとる目的のために一切の準備をしておつただけでも四百万円近く追う。それはその晩だけでもそれだけ違う。それから二、三日計算をして、大体低かの船のとつておりました標準をとりましても六百七十万円程度つているが、そういうものは一切認めない。修繕賃も四百何十万円もかけたものを二五%しか認めない。よその船をうしろからつつかけて損害をかけて、そして日本の造船所で修理させて、何のためにアメリカに気がねをして七割五分まけなければならないか。つつかけられて損害を受けたものが、資力のいなものが、四百何十万円の修練賃を出して、その修繕賃の七割、五分に相当するものをアメリカのために、いわゆる自分が借金をして立てかえなければならぬというようなりくつは成り立たぬ。結局アメリカ側の言うているのは百万円そこそこでしよう。それが実際は四千二百万円の損害を受けている事件なんです。これを政府が援助してやらなければ、国会で問題にしなければ、結局アメリカの思うつぼに持つて行かれるというおそれがあり、それが先例になつて、弱い水産会社とか漁船主とかが常にこの手でやられるといおそれがありますから、私も努力します。これはこの問題だけではなく、日本漁船が外国との関係で、いつもこういうことをやられるということは見るに忍びませんから、私も米船巡航株式会社を相手にとつて交渉もしますし、その不当を糾弾して、円満に事態解決するために努力しますが、水産庁にいたしましても、調達庁にいたしましても、あるいは海上保安庁にいたしましても、それぞれ所管がありまして直接関係がなくても、日本の漁民の利益を守り抜くという意味からいつても、私はこの解決のために全力を尽して努力してくれるのが当然だと思います。私は大体事件の概要をお尋ねしたわけでございますが、最後に皆さん方もそれぞれの立場に立つて御努力していただき、善処方を要望いたしまして、一応この問題については質問を終ります。     —————————————
  29. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 この機会に真田自動車局長に一言お尋ね申したいと思います。ただいま地方自治体の併合がどん、どん行われているわけでございます。都市を中心として十数箇町村が合併いたしまして、そして瀕死の重傷になつておるような自治体経済の建直しをやつておることは、皆さん御承知の通りであります。そこで、町村合併の際にいろいろな条件が持ち出されておるようでございますが、何せただいまの町村合併は、かつて前例のないよな大きな仕組みでございまして、一つの市を中心として十数箇村がこれに併合をしておるというような状態であります。そうすると、今までの農村地帯が市部と密接な関係を持つて来なければならない。たとえば市役所等に出頭するにいたしましても、どうしても交通機関の整備が必要になつて来る。そこで市と町村との合併の条件としまして、市営の自動車というものが取上げられておる例を、私は各所に知つておるのでございます。そういうような合併を条件として、市営、バス運行について請願がたくさん立てられていると思うのでございますが、ただいま局長さんの方で、そういう案件で取扱われておりますものはどのくらいの件数でございますか。おわかりだつたらお知らせ願いたいと思います。
  30. 真田登

    真田説明員 ただいまわかりかねますが、後ほど調べてお答えいたします。
  31. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 私は市部と町村との合併の条件となつて参ります自動車運行につきまして、この際政府に思い切つて善処してもらわなければならぬと思うのであります。ただいまのところ、市部を中心として民間の、バス会社があります。そしてその運行をやつておる。ところがその世帯では、とうてい併合すべき新しい市部に運行をさせることができないような世帯であるにかかわらず、今まで持つている権利を振りまわしまして、市が市営バス運行しようとしても、なかなか承知しない。そこに非常にデリケートな問題を起しているのであります。それは御承知の通りであります。今までのところ、政府は民営圧迫というような声に脅かされておりまして、市が市営バス運行しようというような考えを持つていても、なかなかそれに認可を与えることができないように私は見るのでございますが、それであつては、せつかく今政府があげて市町村の合併をやつておるのに、この国家の大目的に沿わない欠陥があると考えるのであります。私はいたずらに民間のバス会社を排撃するわけではない。ただ、今までどうやらこうやら経営しておる会社でありましても、今度新しく市部に編入された土地全体に向つてバスを進行する点については、資本の関係からいつて、あるいは人員等の関係、いろいろな関係からいつて、なかなかできないように見受けられるところがたくさんある。にもかかわらず、それが今までの権利を振りまわしまして、新しい市の市営バスに反対している向きが往々にしてあるわけです。そこに政府としては、どうも民営圧迫のようなことはやりたくない。なるべくならば今までの民間会社にやらせてやらなければなるまいというような親心を示されておるわけでございまして、その結果として、新しい市がいまだに市営バス運行することができないという苦情を、往々にして聞いておるのであります。そこで政府は、この際そういう点に対しても、どういう程度のものに対して、新市部に対する巡行をそのまま一つ会社に認めるか、どういう程度のものに対して、断固として市営ばスを新しくやつてもらわなければならぬかということに対して、腹をきめられておるかどうか。もしどういう程度のものかということの腹をおきめでありましたならば、この際お漏らしをいただきたいと思います。
  32. 真田登

    真田説明員 ただいまのお話でございますが、具体的にいろいろとその土地土地によりまして事情が違つておりますので、ただいまのところでどういう程度のものならば市営を認めるという標準といつたようなものはつくつておりません。具体的に経営者の能力と申しますか。事業計画を遂行して参りまする力あるいは路線の状況、そういうものをあわせ考えまして適格者をきめて参りたい、こういうふうに考えております。
  33. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 今度の地方の自治体の併合問題は、終戦以来のいろいろな困難な状況よつて、国のいろいろな仕事におきましても困難が伴いましたが、その困難のしわ寄せが地方の自治体に来ておりますることは御承知の通りであります。たとえば六・三制の実施のごときでありましても、日本の国力に対しましては無理な注文をつけられておる。その無理な注文を今日までやつて来た。その十年この方のしわ寄せが、自治体の財政状態を破綻の状態に陥れておるやむを得ないところで、ここでもつて合併問題を取上げて推進しておる状態は、賢明なる自動車局長様は百も二百も御承知の通りであります。そういうところから生れて参りますところの新しい市部でございますので、いろいろな点において合併の条件に交通上の問題が取上げられておりますることは事実なのでございますので、この点については十分に御研究くださいまして、どうぞひとつ合併して新しいところの市部をつくり上げて、地方の自治体を救済するという眼目に目ざめられまして、適切なる御処置のほどをお願い申し上げたいと思います。     —————————————
  34. 關内正一

    關内委員長 関谷君。
  35. 關谷勝利

    ○關谷委員 大蔵省が見えておりますが、参議院の予算委員会でお忙しいと思いますので、その方を先に御質問申し上げたいと思います。  災害立法がたくさんできまして、これが救済に各党もいろいろ全力を上げておる状態でありますが、その災害立法の中に、漁船に対しましては、今度の災害を受けたものに対して融資をする、そうして利子補給並びに損失補償をする、こういうことになつておるのであります。それと同じような状態にあつて、しかも零細な企業である機帆船がこれから除かれておる。その金高にしましても全国で相当大きい損害を受けておりますが、それに対して大体一億、二、三千万程度の融資があれば事足りるのではなかろうか。こういうような状態であるにもかかわらず、この機帆船を除外せられておるということで、全国の各地から非常にやかましく言つて来ておりますが、いつのときにおきましても漁船関係、農林関係におきましては非常に声が高くなりますが、機帆船の関係につきましては、全国の業者がそれぞれ自分が乗り込んでおつて巡行しておるというふうな零細な企業でありますために、そういうふうな声を伝える伝達の機関が乏しいために、いつも忘れられておるような状態でありますので、これはまことに遺憾であると考えております。この際機帆船の災害を受けたその補害総額が、大体二億三千万程度あります。その中で自己資金でやり得る比較的大型の船を持つておりまするものは大体何とかなるのではなかろうか、こういうふうに考えておるのでありますが、小さな二十四、五トン程度のものが非常に被害を受けておるということであります。これらはようやく船をつくるだけで、その船にかじりついて食つておる、借金も払つておらぬということで、どうにもならぬことになつておるのであります。これらの救済に対しまして、大蔵省で融資する意思があるのかないのか。また融資しないというならばどのような理由でしないのか。今度の災害あたりで受けておる窮状を私たちよく知つておりますために、漁船にするのなら、同じような状態のものであるので当然にすべきものである、こう考えておるのでりますが、この点についての御答弁いたいと思います。
  36. 原純夫

    ○原政府委員 ただいまのお尋ねは、漁船と同様に機帆船ついても災害があつた場合の損失補償、利子補給の立法措置を講ずる意思があるかないかというお尋ねだと思います。これに対しましては、遺憾ながら結論的には私どもはその提案をする意思はございません。理由を申しますと、困る場合に金を借りるということは、どの場合でも非常にむずかしい。そしてまず問題は借りられるか、借りられないかということでございます。私の結論は、それは借りられるか借りられぬかが問題であつて、さらに国の財政から損失補償を受ける、利子を補給してもらうというのは、よほどの場合でなければいかぬ。機帆船まではとても及ぼせないということであります。砕いて言いますと、政府が損失補償をし、利子補給をするということは、国民全部に補償をしてもらうこと、国民全部から自分の払う利息の一部を払つてもらうということであります。これは、そういうことがふんだんにできること、そのこと自体は悪いことだとは言えませんが、おのずからバランスの問題であつて、そういうことはとても広範囲にはできない。ごくよたよたしおるもの、小さいものは別として、まずく通常は、私人に国が補慣をするということはきわめて例外でございます。まず原則としてはないということでございます。農林漁業者に対してああいう法律を御提案申し上げておりますのも、実はそういう意味で相当いろいろ問題がございますが、そのために非常に小さくしぼりております。ただいま御言及のありました漁船の場合におきましては、五トン未満の小さな船の場合に限るということにいたしております。機帆船はそういうものはほとんどないと言つてよろしいと思います。なお業態は、やはり原始産業というものは先ほど申しました大分よたよたしているといいますか、非常におぼつかないような状態に現実にあるわけでありますから、大体この辺を中心にしてやつて参るというふうな考え方でやつておる次第でございます。  なお今回の国会では、新聞等でもよくごらんの通り、災害関係の特例法をやる動きが各般において強いようでございますが、これら全般について、われわれ率直に申して非常に快からず思つております。やめていただきたいというふうに思つております。と申しますのは、もちろん災害があつた場合に、国民各層のめんどうを見るということは必要でありますが、これは現在の法律においても、相当親切にめんどうを見るような制度がかなりにできております。そして一方本年の災害は戦後最低の年であります。昨年は実に戦後最高の年であつたわけでありますが、その昨年においてもわれわれ率直に申せば、各般の災害立法はきわめて大きな誤りを犯しておると思つております。従いましてこの戦後最低の年に、その誤りをなおかつ繰返すというようなことは困るということで、反対をしておるわけでございます。たとえばこれは所管外でありますが、土木関係の災害復旧の法案というのが、実は今議員提案になつておりますけれども、これは昨年のたとえば和歌山県のような例にとりますと、被害総額が百三十億円前後に査定されておりますが、これに対して現行法では実に百二十四億円は国が持つ、県は六億円持てばよろしい、その六億円も三、四年かかるわけでありますから、年に平均すれば一億四、五千万でよろしい、そうしてそれも起債のめんどうを見よう、起債の元利償還にあたつてはその必要額を標準財政需要額に算入して、それが税収その他の歳入で足らない場合は交付税のめんどうを見るように努力しよう、こういうようにはなはだ至れり尽せりになつております。和歌山県の財政は災害前で六、七十億の大きさを持つております。秋収も十億を越す税収を持つておるので、その程度の負担は決してできないことはない。むしろ現行法が相当甘いために災害便乗という声が、年中と言つては何でありますが、ごく頻繁に新聞紙上でも指摘されるというような状況でありますのに、特例法はどういうことを要求するかといえば、百三十億円のうち国が百二十四億円持つのでは足らぬ、実に百二十八億円以上持て、自分のところは一億六、七千万しか持たないというのが特例法であります。これを四年で復旧するとしますと、年々四千万しか持たぬというのであります。こういう六、七十億の財政規模を持つておるものが、何十年に一回の災害にあつて、そうして国に百二十数億の出費をしてもらう。その場合に六、七十億の財政の中から、実にこの一億数千万というものも出ない、四千万でなければいかぬということであります。これは負担論としてまるつきり聞違つておるとわれわれは思います。—————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————————     ————————————— 本件につきましてもそういうものの一連のものとして考えておるわけでありますが、なお一本件だけの理由としては、先ほど申しましたような理由をもつてこれは反対であります。もちろんその金を借りられるように骨を折るということについては、できるだけの努力を惜しむものではございません。たとばいろいろな金融機関がある。特に政府関係では中小企業金融公庫というものがございます。これは所管が通産省の機関になつておるという不便はありますけれども、所管のいかんを問わず、機帆船もやはり中小企業であるわけでありますから、そういうものに現に資金が参つておると承知いたしております。これをこういう際には特に活発にやつてもらうということについて、われわれは努力する気持はございます。ただそれをたびたび申し上げるように国民に補償してほしい、利息を払つてほしいということまでは、言うていただきたくないという考えであります。
  37. 關内正一

    關内委員長 ただいまの原政府委員の発言中、不穏当な箇所があると存じますので、速記録より削除することにいたします。
  38. 關谷勝利

    ○關谷委員 ただいま原次長からいろいろお話がありましたが、漁船の場合におきましては五トン未満の零細なものに対して融資をし、よたよたしたものに対して救済するということでありますが、大体漁船の五トン未満というのと、それから機帆船関係で二十トン未満というものは、相匹敵したものであるというのが昔からの観念である。そうすると漁船の五トン未満というものに対しては利子補給、融資その他をやるというのなら、二十トン未満に制限をしてやる場合には、それは当然やるべきものである、こういうふうに思うのでありますが、この点についてはどういうふうにお考えになつておられるか。
  39. 原純夫

    ○原政府委員 実はこの利子補給制度も、昨年の大災害に際して非常に多く出ましたもので、その前はきわめて例外的な場合のほかはなかつたのであります。昨年は御記憶の通り非常にたくさんの議員立法が出まして、その闘われわれはそれを阻止するのに非常に懸命になりましたが、途中で局長が国会でつるし上げにあう、その後世論においてはわれわれの方が正しいという判断を受けたにかかわらずつるし上げにあうというようなことで、実際非常なる乱戦みたいな国会でありました。そのために一々全部まで手がまわらないということで、資金融逝関係の法律は、ほとんどわれわれは意見を申し込まれておいれする時間がなかつたというようなことであります。その他営農資金のみならず、各般の補助金もかなり問題になつたのでありますが、申し上げたいのは、要するにこういう資金融通関係の法律もきわめて問題が多い。従つて改善することはもちろんでありますが、かなりに用心して参らなければならないということは、範囲を広げたくないということです。それはいろいろそういうようにごらんになれば機帆船といわず、中小業にあつてもわれわれはこういうものである、漁船五トンでわれわれの資産ではこれに当るというような御議論がいろいろ出るかと思いますけれども、そういう拾い方をいたしたくないということでございます。特に昨年の大災害の年においても、機帆船関係は立法がなかつたことであり、三年ばかり前にはありましたけれども、先ほど来申しましたようなことで、ぜひこれは広げたくないというふうな気持もあり、金の融資についてできるだけのめんどうをみるというようなことが、せいぜいのところじやなかろうかと考える次第であります。
  40. 關谷勝利

    ○關谷委員 金を借りるのにせいぜい努力をするというのでありますが、利子補給はともかく、損失補償でもなければ、出先の金融機関というふうなものはとうていこういうふうな面に金を出そうとはしない。いつも出し渋りがちなのであります。そのためにデラ台風のとき、ジエーン台風のときにもああいうふうな特別立法ができたのであります。昨年の多いときになかつたと言いますが、今年の十五号台風あたりの際におきましては、これはことしが最低の年であるとはいうけれども、これは関西のある部分、瀬戸内海沿岸、豊後水道の沿岸というようなところは、非常に大きな災害を受けておる。そうして部分的に大きな打撃を受けておつて、そこらはどうにもならぬということで、そういうふうな場合に、大きい力でこれを救済してやるというのが私は建前でなかろうかと思うのでありますが、ことしは最低である最低であるというが、部分的には非常に大きな打撃を受けておるところがあるので、この点は先ほど言うたように、五トンと二十トンが匹敵するということになれば、二十トン以下のもので数が非常にその部分的なものが多いというふうなことであるなら、ことさら私は救済すべきものである、こういうふうに考えるのでありますが、それに対してどういうふうに考えておられるか。なお金を貸すことに対して努力をするというふうなことであるならば、それに対して何か融資のわくというふうなものでも設けられることはどうか、この二点についてお伺いをしておきたいと思います。
  41. 原純夫

    ○原政府委員 部分的にという、部分のはかり方は非常にむずかしいわけでありますが、たとえば県別の災害、被害の報告額を見ましても、戦後各年の被害額の多かつた県のリストを並べてみまして、本年は最低であります。一番大きいところも最低であります。それから第二のわくの問題でありますが、これはわくをどうするということをここで即答することはできません。銀行局その他関係のところもありまするから、十分打合せて善処したいと思いますけれども、わくを設けようというところまでここではつきり申し上げるわけには参りません。
  42. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 原政府委員から、今度の災害に対しまするところの議員立法の点についての反省を求められるお言葉があつたわけでありますが、それについて私は東北地区、ことに北海道、青森県という重天な災害を受けた地帯の選出の議員でございますので、一言私はお話申し上げたいと思うのであります。どうぞ一言聞いていただきたいと思います。昨年いかにも、南畿地方から九州地帯における災害の際には、十九件かの法律が出たと思います。しかも大蔵省とは何らの話合いもせずして、財政的な裏づけがなくしてこの法律をこしらえたということに対するところの、反省の点は、私ども実はいろいろな点から反省をして来たのであります。しかしながら法律ができて、そのために九州から南畿地帯におけるところの災害復旧というものは、非常な速度で進捗して参つております。これはいなめない事実でございます。東北地帯における今度の災害というようなものは、これは私の記憶するところ昭和二十二年にキヤスリン台風というのがありまして、そのキヤスリン台風でもつて東北地帯も相当いためつけられました。北海道も相当いためつけられました。その当時私は衆議院におきまして、災害地対策特別委員長という要職を汚しまして、この災害の救済のためにいろいろ仕事をして参つたものであります。その後今度の十五号台風まで、幸いにして東北地帯におきましてはこれという大きな災害を受けずして参つたのであります。しかしながら東北地帯は、消極的な災害と申しましようか、原政府委員もよく御承知の通り、冷害凶作の災害は受けて参つておりますが、今度の十五号台風のような形に現われた手痛いところの災害を受けることがなかつたのであります。私は九州並びに四国地帯にいろいろ国政調査のために出向いて参りましたが、その道路のりつぱなこと、港湾がりつぱに築造されており、河川もりつぱに改修されおりまして、われわれ東北、北海道に見るような原始河川というものはないような状態に、なつておる。そこでこういうような整備ができ上つておるということは、一体どういうわけであるかということを私は聞いてみましたところが、それは災害復旧でもつてこれがやれたんだというような話を聞きまして、東北地帯もこれはどうも災害を受けた方がよい。災害を受ければこのように原始河川もりつぱになるし、河川も改修されるし、港湾の築造等もでき上るのだが、東北は残念ながら冷害凶作の災害は受けておるが、形に現われた大災害を受けるというようなことがない。それで輿論の背景がないために、こういう災害復旧の事業が行われていない。これはたまには東北地帯も災害を受けた方がよいなあと心の中では考えたものなんです。ところが今度の十五号台風によつて、震天動地のあのような大災害が巻き起つたわけなのであります。私はその考え方について情なく考えた。いかにも災害というものは恐ろしいものだ、災害がない方がよい、冷害凶作のために農民は困る。しかしながらとの災害というものは実に恐ろしいものだということを考えたわけでございますが、あたかも本委員会におきましては、洞爺丸遭難調査団を派遣しまして、私もその一員となつて函館に出向いて、洞爺丸の遭難の実情調査に当つたわけなのであります。北海道、東北の地帯は非常に大きな災害であるにかかわらず、洞爺丸その他の連絡船五そうのあの覆没のために、遂に輿論というものはあのクローズ・アツブされた大きな問題に消されてしまいまして、ほんとうの災害が伝わつていない、これはまことに残念なんです。  そこで原次長さんの言われる通りに、議員立法は財政的な裏づけなくしてああいうふうに乱暴につくられた。これに対しては反省してもらわなければならぬ、これはいかにもごもつともな筋はあるのですが、私は今の原政府委員のお言葉はまことに残念に考えます。それは何だ、もはやでき上つてしまつた九州、南畿地帯は、それはりつぱに災害の復旧ができ上つた。ところがそのために十五号台風による災害を受けた東北地帯というようなものは、その反省のために犠性になるというのであるならば、これはいつまでたつても東北地方は救われません。正直者がばかをみるということはおそらくこのことなんですね。九州や南畿地帯は十九件も二十件も法律をこしらえて、それであなた方が反対をしても、大きな力でもつてなし遂げて来たのであります。ところが今度は今の政府委員お話のように、犠性にされるということになるのであれば、さなきだに声をあげることのまことに少いわれわれ東北民族というものは、これはいつの日救われるのでございましよう。その点ひとつお考えいただかなければならぬ。そこで私は政務調査会やあるいは総務会等において、その反省を加えました結果、今度の災害復旧の法案を六件にしぼつたのです。十九件も二十件も出したところでどうするか。大蔵省泣かせの仕事だ、これは大いに反省しなければならぬということで考えて、初めは十一件を取上げてみたんですけれども、それでもまだひどいというので、ほんとうにぎりぎり一ぱいこれだけは、農民やその他の災害を受けた人々を救済するためには出さなければならぬというので、六件の災害復旧に関する法案を上程しまして、本院におきましてもこれを審議をし、すでに参議院に送つたものもある次第なのであります。なるほど今度の東北地帯の災害、これは十五号台風は必ずしも東北地帯だけではありません。私は十五号台風ちようど九州の宮崎市において受けたのであります。そうして別府においてあの洞爺丸遭難の状態を聞いたのでありまして、南九州から四国を経まして日本海に突き抜けて、青森から北海道をなめ尽したといつた次第でありまして、北海道、東北ばかりのことではありませんけれども、まず東北地帯としては前古未曽有の大災害であつた。その前古未曽有の大災害が、去年の九州、南畿地帯の災害の法律案の上程のしぶりによつて政府当局が恐れをなして、そうして東北地帯に対する救済の手を捨てるということになつたならば、これは南部地方の気候温暖にして地味肥沃、人間はふところ手でも暮せるというようなところに厚くして、雪のために埋もれて、寒さのためにふるえている北海道や東北地帯を犠牲にすることになるのであります。私はそれを少し御反省を願いたい。われわれも十分考えて六件にしぼつたのですから、何とかしてそういうお考えを払拭されまして、われわれも去年同様にひとつお座敷の手を延べていただかなければならぬと思うのです。
  43. 原純夫

    ○原政府委員 災害復旧で各種の河川等がりつぱになるという点については、非常に深い点にお触れになつたと思います。われわれもその点は非常にけつこうなようではあるが、非常に大きな問題だと実は思つております。つまり今の法律が甘過ぎる点があるのです。いわゆる超過工事につきまして、前は普通の自然の堤であつたのに、災害でくずれると、それをりつぱなコンクリートの土手にする費用まで、非常に高い——補償の三分の二とか、少し大きくなると四分の三とか、さらに大きくなると全額国が持つ。去年の特別立法ではごく低いところで全額国が持つ。全額国が持つてコンクリート堤がずつと並ぶなら、こんなうまい話はないから、災害がなかつたところでもあつたというような便乗が起るのです。それはそれでいいのです。しかしながらそれで非常に多額の、毎年五百億を越えるような費用が災害復旧費として、苦しい国家財政の中から出ている。そういうのはいいのですが、その中におのずから緩急順序があるわけです。その金を集約して、たとえば利根川なり、筑後川なりという川の一番の要所に持つてつて、でんとした堤防をつくるということであれば、何十年に一回の雨が来ても、守りを全うして、何十万町歩という田畑を救える。ところが災害復旧の制度、法律にはかなり甘い点があるものですから、こく片いなかの、切れても被害が大してない。大した面積には及ばぬというところまで、そういう災害があれば、りつぱに国の補助があるというので—一それは決して悪いのではないのですけれども、全体の国民の税金を使う使い方としては、優先先後の順があるということで、われわれ関係者は、これは各省の人々も含めてでありますが、非常に大きな問題としている点であります。その点を御指摘いただいたわけですが、われわれも全然同感あるわけであります。  ところで東北地方の十五号による各種土木災害の復旧に関してでありますが、結論を申しますと、もうそのためにも特別立法はおやめになつた方が、東北のためには得だということでございます。何となれば、私手元に持つております十月十五日現在の県別の被害報告額の一覧表によりますと、上から順序がついておりますが、一番から二十七番まで県名がありまして、そのうち一番は山口県、二番は宮崎県、以下愛媛県、和歌山県、高知県、徳島県、静岡県、広場県というようにずつと西の方でございます。東北にはどういうのがあるかといいますと、二十七番まであつて、青森県が一番下の二十七番目で七億円の被害額です。それから秋田県が二十六番で、一つおいて二十四番に福島県の七億六千万円という報告になつております。高位の方の県は上から七十三億、六十四億、五十四億というような被害額であります。こういう年にまた高率の補助の法律をつくられますと、被害の高い県によりよけい行くということになります。そして国の財源に余裕があれば幾らでもふやせるわけです。御承知の通り補正予算が参議院を通ろうとしておりますが、あれに三、五、二という御要望がなかなかつらいというのでわれわれが四苦八苦して、第一次案が二割だつたのを非常な努力をもつてやつと二割五分まで持つて来たわけです。それで特例法をつくられますと、あの額をふやさなければ地方の持分が減るのですから、それだけやる事業が減るのです。そして特例法を通されますと、やる分が二割に減るのであります。そうすると、東北地方は特例法でそもそもあまり得をしない上に、全体としてよけい西の方に持つて行かれてしまうということになりますから、特例法のない場合に比べてはつきり御損になるということでございます。そういう地域的な損得の問題を除きましても、特例法はもう本質的にあの内容は間違つておると思いますので、実は私この一日以来、ほんとうに率直に申していやになるほど各党の間をまわりました。各党の皆さんは、それぞれあれはいかぬ法律だということは個人的にはおわかりになつておるが、党で動くということになりますと、何かああいうものをノーと言い切れないのだという話があつた——委員長、これはいけませんでしたら、速記は削除していただきたいと思いますが……。
  44. 關内正一

    關内委員長 原政府委員に注意しますが、なるべく刺激するような言動を避けてください。
  45. 原純夫

    ○原政府委員 そういうようなことです。少し言い過ぎがありましたら取消していただきたいと思いますが、先生のおつしやる災害復旧が過剰なものでないか。——超過工事の点ですが、こういう点はわれわれも十分御指摘の点について研究して参りたいが、その上特別立法をという御結論には至られないようにお願いしたいということを申し上げます。     —————————————
  46. 關谷勝利

    ○關谷委員 私自動車局長にいろいろお尋ねをしてみたいと思うことがたくさんあるのですが、午後はこの部屋はほかの委員会が使うそうでありますので、項目だけをお尋ねしておいて、何かまた書面で御答弁を願つてもけつこうであります。  最近の運輸関係の新聞を見ておりますと、たくさん問題があるようでございます。あれを見ておりますと、自動車行政というものは乱脈をきわめておるのではないかというふうな感じさえ受けるのであります。第一にお尋ねをしておきたいのは、先般この委員会で配付をせられました福岡県におきまする免許の関係、あれをよく読んでみますと、自動車運送協議会の議論を尊重しなければならぬというのに、全然これが無視されておるということになつておるようであります。これも一方的にああいうふうな意見書が出ておりますので、これに対してどういうふうな経過をたどつてどうなつておるのか。中には文書偽造も出ておるとさえいわれておるようなことも聞いておるのであります。また将来自動車運送協議会というものをどのように尊重するのか、その面から見て福岡県のあの免許に対してはどういうふうな意見を持つておるのか、こういうふうなことについてきようは御答弁を願う時間がないようでありますので、この会期中に書面でけつこうでありますから御回答願いたい。  なお東京においても名儀貸しの整理というようなことをやつておられるようでありますが、これがどの程度どういうふうにはかどつておるのか。聞くところによると、名儀貸しをやつております人の大部分が外車を持つて、それで営業しておるのが非常に多い。ところが一方国産車の方では運賃の値下げを申請しておる。そうしないことには外単の方だけがみな運賃をかせいで、国産車の方が非常に不利な目にあつて、いわゆる運賃の配分というようなところ、で非常に無理が出ておるということが一般にいわれておりますし、利用者といたしましては、この運賃値下げということをみな歓迎をして要望しておるにもかかわらず、これがいつまでも放任せられておるというようなことが言われておるのでありますが、この運賃値下げの関係、それから名儀貸し整理の状態がどういうふうになつておるか、これも書面でけつこうであります。  それからこれは書面ではなかなか答弁できないと思うのでありますが、全自協のようないわゆる民間出身者が団体の長を兼ねておるところに対しては、非常に運輸当局の風当りが強い。そうして今そのためにもめておる。何でも官界をしりぞいた人がすでに候補者に上つて、その運動のためにもめておるというふうなことさえいわれて、もつぱらうわさされておるような状態でありますが、これがどういうふうなことになつておるか。これはあまりそういうふうなことは答弁しにくければまた口頭でもけつこうでありますが、あのもめに対しましてはどういうような考え方を持つておるのか。一本化というような方法も、官庁方面が協力すればできるのじやないかというふうな見方があるといいますが、それに対してどういうふうな意見を持つておられるか、その点もひとつ御回答を土願いたい。  なおまたこの自動車損害の賠償責任保険法でありますか、これがどういうふうになつておるのか。これは業界あたりでは従来の営業者にやらせて、それを監督する機関程度をつくつてやることが手取り早い、そういうふうなことにすればすぐ実現のできるものを、何でもこれを運輸省出身の者が集まつて厖大な機構をつくつて、しかもこれは非常利事業というふうな名目のもとに、いろいろな方法を考えておる。そうして一方でまじめにやつてもうけた者は損をするところに行かなければならぬということになつて、それが自然自動車の所有主の方にかかつて来るというようなことから、これが行き詰まつておるようなうわさがもつぱら飛んでおりますので、これがどういうふうになつておるか、その経過をひとつお知らせ願いたい。  なおまたこの外車の輸入問題についても、いろいろ対立をしてもめておるというふうなことでありますが、これは国産車が今余つておるような状態でありますし、さらに値段も下つておるというような状態でありますので、ドルの節約等からいつて、これ以上外車を制限すべきだというような声が高い。しかしこれに対して運輸当局が反対しておるというようなことも聞いておるのでありますが、外車輸入の問題はどうなつておるか。これの経過及び将来どういうふうにするつもりであるかということを伺いたい。数が大分ありますので、書面で御答弁願いたいと思います。
  47. 關内正一

    關内委員長 關谷委員からのただいまの質問は、よく調査の上書面で御答弁を願つておきます。
  48. 徳安實藏

    徳安委員 自動車局長バスの問題でちよつと伺います。簡潔に問いますから簡潔にお答え願いたいと思います。独占になつている路線に対する監督は、一体どういうぐあいになさつておるか。ときには監督員を出されて、取締りになり、サービスの悪い者い対しては警告でも発しておるか。それを聞かない者に対しては営業停止をされたか。その例があるなら伺いたいと思います。
  49. 真田登

    真田説明員 バス事業の監督につきましては、道路運送法にも実地に監査する規定もありますし、実際にいろいろとサービスの至らない点、事業経営止まずいというような点がありましたときは、陸運局長から、それをどういうふうに改善したかということについての返事を、いついつまでに出して来いということにして回答を求め、警告を出すわけであります。なおそうした改善命令に従わない場合口に、事業停止、休止、その他命じたこともありますが、バスについては今ちよつと記憶がありません。トラック事業なんかにはかなりあります。
  50. 徳安實藏

    徳安委員 もちろんトラック事業も大事でありますけれども、毎日々々民衆相手のバス関係は、非常に国民の大きな関心があると思います。ずいぶんサービスが悪くても、陸運事務所や局に行つても、別に警告をしたような形跡はありませんし、またそれがために営業停止になつたことも聞かないわけです。人手が足らないからただ聞き流しにするのだという程度に終つておるのではないかと考えるが、最近そうした警告をされておるものがありますか。
  51. 真田登

    真田説明員 どこどこに警告したという名前は覚えておりませんが、そういつた警告を出した覚えはございます。それからお話のように、サービスの悪いところであつて一向に改めないようなことがありましたら、御注意願えれば非常に仕合せでありまするし、われわれの方でもよく注意して参りたいと思います。
  52. 徳安實藏

    徳安委員 すでに免許されておるものは一つの既得権でありますから、尊重することは必要でありますけれども、国が別にその営業に対して、営業を保障しておるわけでもなければ、損をしたからといつて国の方で金を出してやるわけでもありませんから、その線に対しては採算が合う、やり得るという投資家があつてやるものに対しましては、そうしやくし定規に厳格一方でおやりにならなくても、ある程度輿論の背景があつて、ぜひ出してほしいというものはおやりになつた方がよいのではないか。既得業者を保護するのあまり、新しくできるもの等に対してあまり厳格な制約を加えることはよくないと考えるのです。この点について局長の御見解を伺いたいと思います。
  53. 真田登

    真田説明員 バス事業だけでなしに、自動車事業全体を見ましても、特に最近は通運事業なんかにおきましては、そういう希望があるが、やつてみたところうまく行かないで、国鉄へ一ぱい滞納をしておるというような事業者もかなりございまして、バス事業ならいいが、普通の事業はいけないというわけにも行きませんし、やはり全体として事業が健全に行くというある程度の見通しをつけてから、事業の免許をやつて参りたい、そういうふうに考えております。
  54. 徳安實藏

    徳安委員 今通運事業の話が出ましたが、通運事業としても、国鉄という輸送連関が全然ないならば、許免制度を別に置く必要はないと思うのです。ただ、あの国鉄が最大限の輸送力を発揮しなければいけないというところに、ある程度の免許を認めなければならないと考えます。バスのごときは、片つぱしからそんなめちやくちやな許可願いをするものもなかろうと思いますから、しやくし定規で乗客とかなんとかいうものがある点まで達していなければ絶対にしないのだということでなくて、ある程度の寛容な気持で、申請があつた考えてやるべきではないか、かように考えるのでありますが、これは適当なときに数字を持つて来て質問したいと思います。  そこで私はもう一つつておきたいと思いますのは、運転すべからざるところに平気で運転しておるというような場合において、そういう会社に対してはただその線だけをやめろという命令だけでありますか。そういうことを平気で長くやつているようなときには、その会社に対して営業停止をするとかなんとか、大きな非常手段をお考えになりますか、伺いたいと思います。
  55. 真田登

    真田説明員 一般的には、現実に逆転してならない場所について休止を命ずる、あるいはその部分の廃止を命ずるというような処分でやつて参ります。ただ情状によつて、あるいはもつと重い処分をすることもないとは限りませんが、現在のところでは、その該当部分を切り捨てるというふうにするなり、あるいは休止させるなりということにしております。
  56. 徳安實藏

    徳安委員 私はどうもちよつとおかしいと思います。許可のないところを運転しておる、だからそれをただやめさせればいいというならば、みんな許可のないところをどんどんやつておいて、見つけられたらやめればよいのですから、そんな軽い処置ではいけないのじやないか。全然免許のない線をどん、どんやるような会社は、それこそほかの線まで営業停止をしていいのではないか。かりにそんな考え方であるならば、今後どの会社でも、免許も何もなくてもどんどんやりますよ。免許がなくても、見つけられたらその線だけやめればよいのだというような考え方では、少し甘過ぎはしないかと思いますが、いかがですか。
  57. 真田登

    真田説明員 全然事業をやつていない人たちの場合は、今お話の通りでございます。ただ現在事業をやつていてたとえばここ二、三町行けば学校まで行ける、免許申請を出しておいたが、なかなかおりなかつたというので、学校までの学生の便宜をはかつた、そういうようなときには、できるだけ正式の手続をしろということを勧告すべきであるわけなんですが、そういうことではなしに、ほんとうに悪質な場合には、事業者に対して相当警告を出しまして、そのあとで、その事業者が悪質な場合には、お話のような措置をとることもあり得るわけでございます。しかし今までには、そういう措置をとつたことはないということを申し上ぎておるわけであります。
  58. 徳安實藏

    徳安委員 それからこういう点はいかがですか。かりにある一つ事業会社がある。しかしそこには幾つもの線がある。その線の中の一本だけ新しい会社を入れることにおいて、非常にサービスの悪い会社サービスがよくなるというような見込みがつきます場合には、その間に乗客等には多少数字的に好ましくない点がありましようとも、やはりサービスをよくするために、その地方民の要望があるならば、一線くらいは新しい会社に許してやるくらいの考え方が私は正しいと思いますが、そういう点について御意見伺いたい。  次に先ほど山崎先生からお話がございましたが、新しい市の合併をした場所に対するバスの運転、これは市営で要望しておるところもあれば、また新しい会社がそこに出たいという希望もあります。そういつた場合に、既存業者があるからといつて市の方を押える、あるいはまた新しく出たいというものを押えるという行き方は、私はよくないと考えるのであります。同時にまた一面から申しますと、先ほどちよつとお話が出ましたように、鉄通や運輸省におつて長い間関係して来られた方々が、そういう会社に御関係になつておるものは案外スムーズに行つておるが、そうでないものはスムーズに行つていないというような例もあり、しかも既存業者の多くは、やはりそうしたことが世間にとかく非難の材料になつておるのであります。この点につきまして局長に、私はいずれ適当な機会に数字を持つて参りまして事実をはつきり申し上げて、その御責任をはつきりしていただきたいと思つておりますけれども、きようは突然だつたものですからそういうものを持つて来ておりません。ただ概念的に伺うのでありますが、以上申し上げた二つだけを簡単に御説明願いたいと思います。
  59. 真田登

    真田説明員 新しい事業者をそこに注入した場合に、サービスが非常によくなるというお話でございますが、競争いたしますれば互いにサービスがよくなることは事実でございます。先ほども申し上げましたように、事業の受持ちといいますか、自分はここを担当している、ここの交通をうまくやつて行きたい、そうして地方の便宜もはかつて行きたいという誠意を持つております場合には、ある程度の保護と申しますか、育成についても考えておりますわけで、その事業者サービスが悪くてどうしても改善の見込みがない場合には、新しい事業者を注入してサービスの改善をはかることもございます。それから市町村合併の結果、合併された村の人たちが新しい市の市役所に参りますために、交通の利便がいるということはよくわかるのでございまして、それについて申請がかなり出ているようでございます。お話がございましたように既存の事業者があるからどうとかいうことでなしに、その新しい申請者能力があるかどうか、また路線関係からどの事業者にやらせるのが一番便利かどうか、そういつたことを具体的に調べまして、その適格者にやらして参りたいと思つております。
  60. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 この際細田説明員にきわめて簡単にお尋ね申し上げます。今月の二日か三日に運輸審議会が開かれたはずでございます。その際鉄道敷設法の別表改正の問題について十九回国会中に、十八線のうち十三線を追加して、残つたものは五線保留されておるわけでありますが、そのほかに地方的な要望によりまして、二、三保留の五線に加えてもらいたいという意見が圧倒的であるように私は思つておるのであります。そういう点について運輸省においてはどういう結果を生み出されましたか、ちよつと承つておきたい。
  61. 細田吉藏

    ○細田説明員 鉄道敷設法の別表に予定線を追加いたします件につきましては、鉄道建設審議会で十八線の調査路線を選んだのでございまして当時御報告を申し上げたと思います。その十八線につきまして調査いたしました結果、十五線につきましては昨年敷設法の別表改正をいたしました。残り五線をいかがいたすかということは、保留になつておるわけでございます。なおこの保留五線のほかにも、幾多の線が敷設法の別表に追加の御希望がございます。これらにつきましては、実は本日一時半から建設審議会の本会議が開かれることになつておりまして、先日の小委員会の結果は種々検討を要する点があるので、この点については保留五線並びにその他のさらに追加すべきものについて、早急に具体的な調査をして引続いて建設審議会において十分検討いたそう、かようなことに相なつておるわけでございまして、本日の会議でもおそらくさような結論になるのではなかろうか、かように考えております。
  62. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 もう一点お尋ね申し上げます。終戦前までに工事にかかつておりましたところの鉄道の路線でございますが、私どもの計算によりますと、大体三十線くらいあつたはずだと思うのでございます。それが終戦前まで工事を続けておりましたのが、戦争のために犠牲となりまして工事を中止しておる路線でございます。そのうちただいま工事にかかつております三十線の中に編入されて、工事にかかつておるものがあると思うのでございますが、残つた路線は何線くらいかおわかりでしようか。
  63. 細田吉藏

    ○細田説明員 帝国議会時代に一度予算計上いたされましたものを、私どもの方では建設未成線と称しておるのでございます。これが全部工事にかかつておるわけではございませんが、一応予算が議会の承認がございましてかかりましたもの、こういう意味でございます。この線は、一、二線は食い違つておるかもしれませんけれども、四十六線ございます。そのうち昭和二十七年度以降工事をいたしまして、現在までやることになつております三十線のうちにありますものが、二十三線ございます。従いまして差引残りの二十三線はいわゆる、建設未成線でございまして、工事に着手することになつておらない線でございます。
  64. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 残りの二十三線は、ただいま工事にかかつておりますものが竣工するまでは、これを取上げて工事にかかるという御方針がないのかどうか。この点を伺いたい。
  65. 細田吉藏

    ○細田説明員 その点につきましては本日の建設審議会で最終的な決定をいたしますので、内容につきましてはちよつとはつきり申し上げかねるのでございますが、ただいままで数回建設審議会の小委員会で御議論になりました点をお伝えいたしますと、現在三十線中七線ができ上つておりまして、二十三線今残つておるわけでございますが、二十三線が全部終りますのには、あとおそいものがございますので七年くらいかかるものもございます。従つてこれが全部終るまでかからないというようなことにはなつておらないのでございまして、七年は最長でございまして、すぐできるものもあるわけでございます。そういつた点、あるいは予算の全体の規模の点をにらみ合せて追加をして行こうというお考え方が、大勢を支配しておるように存じます。なおその点につきましては本日最終的な建設審議会がありまして、御議論を願うことになつておりますので、最終的なことは申し上げかねますが、大勢としてはそういつたことになつております。
  66. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どうか政府といたしましては、残りの未成線二十三線につきましても、あとまで見送るというようなことはとうていできる仕事ではありませんので、そのうちで最も経済的に効果を上げ得る路線につきましては、もうすぐにでも工事にかかれるといつた手段を講じていただくように私の方から申し上げておきます。
  67. 關内正一

    關内委員長 約束の時間が経過いいたしましたから、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十四分散会