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1954-03-18 第19回国会 参議院 労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)    午後二時十四分開会   —————————————   委員の異動 三月十七日委員吉田法晴辞任につ き、その補欠として菊川孝夫君を議長 において指名した。 本日委員大山郁夫辞任につき、その 補欠として堀眞琴君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田畑 金光君    委員            榊原  亨君            吉野 信次君            阿具根 登君            菊川 孝夫君            赤松 常子君            寺本 広作君            堀  眞琴君            市川 房枝君   政府委員    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君   参考人    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    東京鉄道管理局    長       津田 弘孝君    国鉄労働組合中    央闘争委員   矢上 正直君    国鉄労働組合東    京地方本部書記    長       瀬谷 英行君    元国鉄職員局長 吾孫子 豊君   本日の会議に付した事件労働情勢一般に関する調査の件  (日本国有鉄道における労働問題に  関する件)
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から会議を開きます。速記をとめて。    午後二時十五分速記中止   —————————————    午後二時三十八分速記開始
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記起して下さい。  本日の会議に付する事件は、労働情勢一般に関する調査といたしまして、日本国有鉄道における労働問題に関する件でございます。九日の当労働委員会におきましては、去る一月二十二日及び二十三日に行われました国鉄労組幹部処分に関し、公共企業体等労働関係法運営立場から、経営者側労働者側双方から一名乃至二名ずつ参考人として出席を願い、事情を聴取することに決定をいたし、その人選委員長に一任せられました。よつて委員長手許において人選の結果、次の通り決定をいたし、本日御出席を願つておるわけでございます。日本国有鉄道総裁長崎惣之助君、国鉄労働組合中央闘争委員矢上正直君、東京鉄道管理局長津田弘孝君、東京地方本部書記長瀬谷英行君。  参考人方々委員長から一言御挨拶を申上げます。本日は御多用中にもかかわらず御出席を頂きましてお礼を申上げます。参考人の方の御発言の時間は、お一人大体二十分程度お願いをいたします。  なお日本国有鉄道は、先ほど申上げました通り、昨年末の国鉄労使紛争に関し、一月二十二日及び二十三日の両日に亘つて公共企業体等労働関係法第十七条第一項及び第十八条により、従業員のうちから責任者を挙げて解雇を行われましたことについて、それぞれその所管の範囲において解雇理由、その経過並びにこれに対する所信等についてお話を承わりたいと思うわけであります。一応御発言を頂きましたあと委員諸君から御質疑があろうかと思いますので、お答えを頂きたいと存じます。  発言順序は、長崎惣之助君、矢上正直君、津田弘孝君、瀬谷英行君の順序お願いを申上げます。
  4. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私大変定刻に遅れて参りまして、その点申訳なく存じますが、実はそういうことは理由にならないかも知れませんが、衆議院におきまして運輸委員会がございまして、二時頃まで審議が続けられたものでございますので、遅刻をいたしまして誠に申訳ない次第であります。  只今委員長お話によりまして当時のことを申上げますが、私非常に遺憾に存じておる次第でございますが、不幸にして昨年末におきまして、誠に国民皆様に申訳ない御迷惑をかけた事態を引起しまして、その結果といたしまして、私ども我々だけで日本国有鉄道運営しておるわけではございませんので、やはり組合諸君と共に協力して、初めて日本国有鉄道が円満に運行ができる次第でございますが、遺憾ながらああいう事態を引起したのでございます。これにつきましては数次に亘りましていわゆる公労法違反になるようなことをせんでくれんかということを申入れたのでございますが、それが聞き入れられませんでああいう事態を引起したわけでございます。その結果といたしまして、これが法律の禁止するところの争議行為であるということに相成りましたので、これは国民皆様に対しまする関係から申しましても、又部内の規律の維持というようなことから申しましても、正常なる業務運営を阻害するような行為若しくはこれをあおり、そそのかすというような行為のあつた者に対しましては、やはりそれぞれの観点からこれを明確な責任を糾して行かなければならんというふうに考えまして、処分行なつたような次第でございます。  非常に概括的でございまして、なお詳細につきましては当時の職員局長、現在の厚生局長吾孫子君から説明させたいと思いますが、よろしうございましようか。
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 有難うございました。ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、吾孫子厚生局長発言総裁補足説明として伺いますか、或いは一応参考人発言を全部頂きましてから、あと委員諸君の御質疑の場合に補足的な説明を伺いますか、どういうふうにいたしますか。
  6. 赤松常子

    赤松常子君 私誠に知らないわけでございますが、吾孫子さんの位置はどういう方でいらつしやいますか、現在の……。
  7. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今厚生局長、当時は職員局長だそうでございます。
  8. 赤松常子

    赤松常子君 こういう事務の責任者でいらつしやつた方でございますか。
  9. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうです。
  10. 井上清一

    井上清一君 吾孫子局長から補足的にお話を承わつたほうがいいのじやないかと思いますが、私は皆さんも又同様であればさようにお取計らい願いたいと思います。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) よろしうございますか。……それでは吾孫子厚生局長
  12. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 只今極く概括的には総裁から申上げた通りの事実でございましたので、一月の二十二日及び二十三日に亘りまして処分が行われたわけでございますが、御承知のごとく公共企業体等労働関係法の第十七条は、労働組合及び公共企業体職員に対して同盟罷業とか怠業とか、ここに例示されておりますような手段を含みあらゆる意味においての業務の正常なる運営を阻害する一切の行為をすることができないし、又そのような禁止された行為を共謀したりそそのかしたり、若しくはあおつてはならないという定めがあるわけでございますが、丁度昨年の暮の賃金問題をめぐります紛争に際しまして、十一月の下旬頃から全国各地に亘りまして運転保安規整運動或いは荷物愛護運動などと称するいわゆる遵法闘争ということが行われました。更に十二月上旬に入りましてからいわゆる休暇闘争というものが行われました。この休暇闘争に関連いたしまして、御承知のごときピケ・ラインが厳重に張られまして、全国各地の多数の業務機関において正常な業務運営が阻害された。その結果多数の列車が運転休止になりましたり或いは非常な遅延を来たすというような事態が発生いたしたのでございます。これらの事実は、いずれも只今総裁が申上げましたような公共企業体等労働関係法第十七条で禁止された行為であるということは明白でございますので、そういうことが行われました場合にこれを全然不問に付すというようなことは、いやしくも法律規定が真正面から蹂躙されておるものをそのままに放つておくというわけには行かないという見解の下に、十分各地で行われました事情を精査いたしまして、如何なる角度から見ても明白に違法な行為が行われたということが覆い得ない、争い得ない明確な行為者に対して、その責任者と目される方々のうち中闘の四名の方を含めて十八名、同法の第十八条によつて解雇処分に付した、こういう事情でございます。  なお細かく申上げますと、各地においてそれぞれ先ほど申上げましたような運転保安規整運動とか荷物愛護運動とか、いろいろな名目はございましたが、それらの戦術によつて発生いたしました結果は、詳しい資料も持つて来ておりますけれども、余り長いおしやべりをしても恐縮でございますから、又何かお尋ねがございました際に補足させて頂くことにいたしまして、この程度総裁の御説明を補足させて頂きたいと思います。
  13. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは矢上正直君。
  14. 矢上正直

    参考人矢上正直君) 一月の二十二日と二十三日に亘りまして十八名の職員解雇されました。これは解雇理由書にも明らかになつておりますが、裁定完全実施のために遵法運動を行い、更に三割の休暇を一斉に取らしめた、こういうことであります。ここで委員会の各位に国鉄労働組合として是非一つ冒頭お願いを申上げておきたいことがあるわけでございますが、今日国鉄労働組合が、一般に好んで争いを起すのではないかという印象を与えているのではないかと思うわけです。併しながらこのことは全然間違つておりまして、二十三年の十二月の公労法制定以来、裁定は四度蹂躙をされております。そのことが今日公労法におきまして国鉄労使間の平和的な慣行を樹立することのできなかつた事実を私ははつきり示していると思います。  只今から闘争の若干の経過と、それから当時組合がどういうことを考えたかということと、それから先般行われました首切りが法上如何に不当であり、更に具体的にその問題が如何に大きな矛盾を持つているか、こういう点を申上げたいと思います。  昨年度の賃金問題は、三月十八日に当局申入書を提出して、そうして十月の十三日に一万五千三百七十円の仲裁委員会裁定が提示されたわけであります。十月十三日以降裁定完全実施につきまして当局と誠意を以て団体交渉を重ねましたが、当局予算上支出ができない、こういうことで荏苒時を費しまして、遂に妥結をするに至らなかつたわけであります。十一月の七日に参議院運輸委員会におきまして、政府昭和二十八年十月十三日日本国有鉄道及びその職員になされた仲裁裁定を尊重し、これを早急に実施するよう努力することを要望する、こういう決議がなされました。私どもはその前々日の十一月五日に、全国企画部長を招きまして年末闘争の方針と戦術を具体的に決定をしております。丁度その時期に参議院運輸委員会裁定を尊重する要望決議がなされた。こういうことによりまして、私ども国会に対する信頼を深くし、且つ国会良識に敬意を払つて慎重に事をかまえたわけであります。併しながら十七国会仲裁裁定を全然審議せずして十一月七日に閉会をいたしました。この間私どもがいろいろの情報を総合いたしまして、裁定がどういうふうに取扱われそうにあるか、こういう問題について慎重に分析をいたしました。併しながら政府としては十一月の二十日に、遂に閣僚懇談会におきまして裁定実施は明年一月から、こういうことを決定し、十一月二十一日、翌日に、前日の決定を正式に閣議で決定をいたしました。このような動きの中で秘密指令の第五号というものを国鉄労働組合中央闘争委員会が発しました。これは二十五日から二十九日までに実施されたわけであります。大体の内容を申上げますとこういうことであります。  遵法闘争によりましていろいろな問題が発生をする。だから国鉄労働組合があたかも仕事をサボリ或いは法を無視してやつている。そのために汽車が遅れ或いは荷物の積み残しがある。こういうふうに一般には印象を与えるかも知れませんけれども、私どもの行いました遵法闘争というものは、例えば荷物車に積む荷物、これらについては内部の規定がございますし、一般の考えられるように簡単に荷物を積込んで、全部積めばいい、こういうことではございません。従つてこの規定に従いまして私どもは作業をし、行動したわけであります。十一月の二十八日或いは三十日、丁度国会公聴会が開催されまして、そうして殆どの公述人方々が、仲裁裁定を完全に実施をして、労使間の紛争をなくすべきである、こういう意見を公述されておつたわけであります。一方において政府は、裁定実施する気配は毛頭ない、而も公正な世論と思われる公聴会におきましては、裁定完全実施の声が非常に強い。こういう状態の中で私どもは三割休暇闘争指令を二十八日に落したわけであります。  当時の国鉄の経理の内容につきましては、私どもは明確にその数字を握つておりませんが、今日三月の決算の時期に入りまして、当局がとつている予算上の措置からして、十二分に当時においても裁定実施ができたのではないかと、こういうふうに考えるわけであります。八月より裁定完全実施しますと百八億が必要でありますが、一月より実施しましたために四十一億で済んでおります。従つて不足の額というものは六十七億であります。当時増収見込というものは大体十五億乃至二十億、こういうふうに言われておりました。更にこれは今日に至つてわかつたのですが、年度末に五千名の退職者を募集しました。このために一人百万円として大体五十億の金が現在あるわけであります。従つてこういう実情は当時自分たち説明を受けませんでしたし、知らなかつたわけですが、今日考えて見れば、すでに裁定が出たときに裁定実施に必要なる資金はあつたのだと、私どもはこういうふうに考えるわけであります。こういうことで十一月の二十八日に三割休暇闘争指令を落したわけでありますが、そのときに国鉄労働組合は慎重に考えまして、第一には自分たち行為によつて少くとも大衆に迷惑をかける、いわゆる公共福祉を阻害をしてはならない、こういうことであります。又一方には非常に押迫つた年末の生活の苦しみに喘いでいる国鉄労働組合員の苦しい生活の実態がございました。又私ども労働運動をやり、組織をする者として一番考えますのは、今日裁定がたびたび蹂躙をされる、このことによつて少しも紛争が根本的に解決をし得ない。こういうことでは蹂躙されたままの裁定をそのままにしておく、こういう慣行を作ることは、私どもはそれは将来の国鉄のために決してあつてはならないことである。こういうふうに意を決しまして、先ほど申しました指令を落したわけであります。  ここで問題になつて参りますのは、三割休暇というものはどういうふうにして内容をつけて落すか、こういうことでありますが、これは秘密指令の第六号で落しております。十二月一日より三日間であります。これは全職員……、とにかく地方本部に一カ所という職場或いはニカ所、或いは三カ所、こういうふうに二十七の地方本部にそれぞれ個所を指定しまして、そうしてその地方本部のうち指定された個所の何カ所という中で、職場組合員の三分の一が休暇を請求する、こういう指令であります。結果としてはこの指令によりまして少し問題が発生いたしました。併しながら私どもは今考えてみますと、当時にも考えましたが、いま少しく国鉄当局が現在押しつぶされようとしているこの組合の決意、組合の気持、こういうものをよく知つて、そうして三割休暇闘争に対する周到なる計画を立てたならば、問題はもつと少くなつてつたのではないか、こういうふうに考えるわけです。併しながらその方向とは逆に、組合団結を切崩そうとし、或いは裁定実施政府に任せ切りにし、或いは責任者処分をするという脅しの言明の連発に終つた当局の態度が、私どもは一層問題を多く残したというように考えるわけであります。而も一方におきましては、表面上は一万三千四百円、これから一万五千三百七十円、こういうふうにベースが切替りますから、一千九百七十円のベース・アップ、こういうふうに考えられ勝ちでありますが、併し実際に昨年七月からの昇給又は特に本年一月の昇給資金ベースの枠内となる、こういうことによりまして、実質的には手取り増は五百三十円ぐらい、こういうことでありました。こういうことも年末の組合闘争に非常に大きな力となつたといいますか、非常に国鉄労働組合が不利な立場に置かれておつた、こういう事情でありますが、こういうことで闘い終つたのでございましたが、併しながら結局ベース改訂は一月から、こういうことで十二月八日に闘争を終結をして、そうして当局紛争妥結の握手をしたのであります。ところが先ほどから申上げましたように一月の二十二日、二十三日に亘つて解雇通告が十八名になされました。私はこれから少しばかり解雇やり方についての不当性について述べてみたいと思うのです。  現在解雇された者につきましてはそれぞれの地方裁判所に争を起しております。特に本労働委員会お願いを申上げたいことは、現に国鉄労働組合処分反対のために闘いを起しておるこの事実に着目を願いまして、立法府としての権威或いは良識、こういうものによりまして、公労法下における国鉄労組が常に平和的関係を保つことによつて公共福祉を守るべき任務を果し得るために、今回の処分の当、不当について十分な御審議お願いしたいと思うわけであります。  最後に私が申上げたいことは、只今申上げました十八名に対する解雇は不当である、こういうことで組合員闘いは高まつております。この闘いに更に拍車をかけたものは、国鉄を取り巻く不正事件の続発であります。  以下処分につきまして若干申述べますが、第一に解雇理由書、お手許にお配りしてあります解雇理由書、この中で組織責任を追及されて解雇通告を受けておりますものの主たる解雇理由、こういうものは、昨年末の闘争において国鉄労働組合の各機関指令により公労法第十七条第一項に違反の事実があつたからと、こういうことになつております。而も一方においては下部地方本部東京或いは新潟大阪広島の、下部責任者責任が同じ組織責任として追及されておる。こういう点は、国鉄労働組合団結権なり或いは国鉄労働組合中央指令を出した場合には、中闘指令を出した場合には下部はこれに従うことだけしかできない。それ以外の行動組合組織上できない、こういうことになつておりますが、こういうふうに一方においては中央本部の役員を組織上の責任者として解雇する、今度は下部を狙いうちにとにかくそれぞれ再び組織上の責任をとらしめる、こういうことは私たちは不当である、こういうふうに主張するわけであります。  それから二番目には、組合本部の三役、委員長、副委員長書記長、それに企画部長、この四名が本部では責任者として解雇通告を受けておりますが、中央闘争委員会の中で、三十五名中央闘争委員がおりますが、この四名を責任者である、こういうふうに認定をした理由は、自分たちにはわからないわけであります。  次には先ほど申しました東京なり新潟なり大阪なり、或いは広島なり、こういう地方本部委員長或いは副委員長書記長、こういうような者を解雇する、こういうことにされておりますけれども東京においては委員長が一名解雇である。新潟では副委員長書記長解雇されておる。大阪におきましては委員長と副委員長とやられている。それから広島におきましては委員長、副委員長企画部長である。こういうふうに解雇の仕方が必ずしも組合組織を認め、その上に立つて解雇通告行なつた、処分をした、こういうことにはなつておりません。悪く組合が考えますと、あの男をこの際処分をしておいたほうが将来よろしい、こういうことで十八条の発動によつて狙いうち的解雇がされておる。こういうふうに私どもは感ずるのであります。  それからその次には、仮に現在争いを起しておりますから、年末の行動公労法第十七条違反であつたかどうかは将来確定することになるわけですが、仮にそういう問題が、十七条違反らしきものが起つた、こういう場合において、直ちにそれが十七条違反であるということを国鉄当局認定をする、而も十八条で以て解雇する、こういうことが一方的に当局に任せられて、なお国鉄労使の間に平和というものがあり得るか、紛争というものが永久的にそこから出発をして行くのではないか、こういうことを考えるわけです。更に日本国有鉄道法の第三十一条には懲戒規定がございますが、この懲戒を行う場合においても、組合当局との間に懲戒の基準に関する協約というものを結んでおるわけであります。それよりもなお問題の大きい公労法十七条違反として十八条を発動する場合において、一方的に当局認定解雇をする、こういうことが公労法立法の精神からして、或いは現実問題として、労使の間を平和に保つ目的からして、これはこういうことではいけないと、私どもはこの不当をつきたいと思うわけです。  更に次には、国鉄労働組合というものは、現在公労法スト権を奪われております。一般には労使立場は対等である、こういうふうに言われておりますが、決して対等ではない。こういうことがあらゆる機会に証明されておるわけであります。こういう中におきまして自分たち一つの頼りとしている仲裁委員会裁定公労法三十五条の権威というものが全く失墜をしてしまう。その場合に、労働法としての公労法が十七条をそのままに受取つて、而も先ほど申上げましたように、当局の一方的な措置によつてその解釈の問題が確定をし、更に十八条で解雇をする、こういうことはまさしく不当に過ぎる。私どもは十七条につきましてはどういう考え方を持つているかと申上げますと、昨年の一斎賜暇をやりまして三名の処分を受けました。その前にも二十六年に一斎賜暇をやつております。それから本年に入りましてからも三割休暇或いは五割休暇、こういうものを行いました。更に又年末の闘争におきましても、国鉄だけでなく、ほかのたくさんの組合も何割休暇というものをやつております。そうやつておりながら、国鉄がその後切られた理由となつているのは、昨年の一斎賜暇と今年の遵法闘争と三割賜暇だ。従つて公労法の十七条というものは、これは任意解釈をするべきであるという過去の事実、或いは今回の取扱いが私はあると思うのです。特に三十五条が非常に不当に蹂躙をされて、仲裁裁定が認められないで、労働者が非常に不利な立場に立つ場合における十七条の解釈、こういうものは任意立場に立つて解釈をする場合、昨年末の行動のごときを処分をする、こういうことは全く不当である、こういうふうに思うわけであります。  以上大体処分やり方についての不当或いは手続の不当性、或いは先ほどから、最初から申上げました闘争経過について御報告を申上げたわけであります。
  15. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 有難うございました。次に津田弘孝君にお願いいたします。
  16. 津田弘孝

    参考人津田弘孝君) 私、現在東京鉄道管理局長をしております津田でございます。この争議の起りました当時並びに処分の行われましたときには私は現職にございませんでした。その当事の講習等によりまして簡単に経過お話申上げたいと思つております。  三十八年度賃金改訂並びに年末手当問題に関しまして、東鉄関係で起りました争議の状況を先ず申上げたいと思います。国鉄労組機関車労組とに分けて申上げたいと思います。  先ず国鉄労組関係におきましては、九つの段階に分けて行われたのでありますが、その第一は、遵法闘争段階でございまして、この点運転保安規整運動とか或いは荷物愛護とか、こういつたようないわゆる遵法闘争という形式において行われたのでございます。行われました時期は昨年の十一月の二十五日から二十九日にかけましての五日間でありまして、実施されました場所は、新鶴見操車場大宮の駅、田端の駅、拝島の駅でございます。それから二番目の段階といたしまして三割休暇闘争が行われたのであります。実施の期間は十二月一日から三日でございまして、実施個所は、東京機関区と田端機関区と拝島の駅、この三カ所でございました。第三段階の十割休暇闘争の行われましたのは、実施の時期は十二月の八日一日でございまして、行われた場所大宮客貨車区並びに新鶴見貨車区でございます。  次に、機関車労組関係につきまして申上げます。これも三つの段階に分れているのでございます。先ず第一段階遵法闘争は、十一月の二十六日から十一月三十日にかけて行われたのであります。その次には二割休暇闘争が行われた。時期は十二月の一日から三日でありまして、実施されました場所は、新鶴見機関区と飯田町の機関区でございました。第三段階におきましては、五割休暇闘争が行われました。時期は十二月八日一日でございまして、場所は品川の機関区でございました。この闘争が行われましたときの状況につきましては、先ほど当時の職員局長吾孫子君から申上げました通りでございまして、数百名、数千名のピケット・ラインが、張られまして、正常なる業務につかんとする職員の出勤が妨げられた。又旅客、貨物列車が何十本と取消しを受ける。又数十時間の運転の遅延を生ずるというような、業務の正常なる運営を阻害する行為各地に行われたような次第でございます。その結果、関係者の処分が一月の二十三日、二十三日に亘つて行われたのでございますが、この処分につきましては、ひとり東京鉄道局だけでなしに、全国的な問題でもございましたし、本庁と十分打合せをいたしまして、その結果、先ほどお話がありましたように、公労法の十七条違反ということで十八条によりまして処分をいたしましたような次第でございます。  なお冒頭申上げましたように、当時私は現在の地位にございませんでしたので、当時の状況等につきまして更に詳細な御質問等がございます場合には、当時の東京鉄道局の次長をしておりました山田明吉君並びに総務部長をしておりました星野守之助君が参つておりますから、必要によりましてお聞き質しを願いたい、かように存ずる次第でございます。
  17. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に瀬谷英行君にお願いいたします。
  18. 瀬谷英行

    参考人瀬谷英行君) 瀬谷であります。私は国鉄労働組合東地方本部書記長をやつております。許された時間の範囲内で諸先生方に概括的な話を理解して頂くために要訳をして申上げたいと思つております。  先ず最初に、国鉄労働組合東地方本部立場、どういう地位にあるかということ、次に公企労法の目的或いは精神に対して私どもはどういうふうに考えておつたかということ、特に年末以来の闘争によつてどもの執行委員長歌崎氏が解雇通知を受けましたが、歌崎氏と共に東京地方本部管内において新橋支部の闘争委員並びに東京地方本部における一闘争委員が同様な処分を受けております。で、この処分に対しては非常な不満を持つておりますが、その処分理由に対する私どもの反論、並びに考え方についてかいつまんで申上げたいと思つております。  東京地方本部国鉄労働組合下部機関でありまして、私ども組合本部指令を実践をするところの責任と義務を当然持つております。私ども本部の運動方針に従いましてその指令を忠実に実行するように努めて参りました。この指令を実行するに当つて我々がどういうふうに考えたか、仲裁裁定をめぐる賃金問題に対する私どもの考え方については矢上中央闘争委員から説明がございましたので、私からはあえて重複して申上げることを避けたいと思います。併しながら我々は全組合員が一致協力をして団結を守り、上部機関の統制に従つて行動をして参つたつもりでございます。特に昨年末以来の行動は、全組合員の総意に裏付けられた行動であると考えまして、自信を持つてどもはその任に当つて来たわけでございます。公企労法の目的から申上げるならば、企業の正常な運営を最大限に確保して、公共福祉を増進、擁護することが目的であり、且つそのために経済的な紛争をできるだけ防止をして、主張の不一致を友好的に調整するための最大限の努力を尽すことになつております。我々は友好的に主張の不一致を調整するための最大限の努力をして来たと今以て確信をしております。特に裁定問題がいよいよ国会に上程される前におきまして、国会の諸先生方にも条理尽していろいろとお願いもして参りました。又不測の事態を惹起をしないようなあらゆる努力をして参つたつもりでございます。併しながらいよいよ筆鋒をいたしまして、本部から秘密闘争指令が我々に下りて参りましたので、私どもはこれを実行することが当面の問題を解決するためには最大の問題であり、最も効果のあることと考えまして、本部指令に基いてあえて行動に突入をしたわけであります。その結果本年に入りまして解雇問題が発生をしたわけでありますが、その解雇理由を見てみますと、二つの問題にほぼ集約をされるかと思います。  その一つは、今まですでに吾孫子局長並びに東鉄局長からもお話がありましたが、遵法闘争をやつて来た、これがいけないということ、それから昨年十二月賜暇闘争行なつた、これもいけない。こういうことをやつて一般大衆に迷惑をかけたではないかということが主たる理由になつておるかと考えられます。そこで私どもはこの二つの問題を考えました場合に、果して我々がやつたことがいけないのか、当局処分が行き過ぎであるかということを俎上に上げて検討をしてみますと、私どもは明らかに当局行なつ処分のほうが行き過ぎであり不当であるというふうに確信をいたしております。  遵法闘争或いは賜暇戦術等について事細かに申上げますと非常に専門的にもなりますし、又法廷において争う問題もたくさんありますので、それらのことを逐一申上げることは今回省略いたしまして、極く代表的な問題をわかりやすく申述べてみたいと考えております。  衆議院におきましても、先頃大阪において調査をしたということを聞いておりますが、遵法闘争について一つ申上げますならば、大阪における月光号の事件がございます。この件についてもすでに調査の結果、明らかに当局側の報君が誇大であり、不当であつたということが言われておりますが、この内容は、結局根本的な考え方としては、規程通りに仕事をやつていたのでは仕事がさばけない。当局が当然措置をすべきことをやらない。それは職員のサービス労働によつてつていた、こういうような事情があつたわけであります。そこでそのサービス労働というものを一時中断をする、そういう考え方が遵法闘争の根幹争になろうかと思います。その具体例として月光号の問題が挙がつたのでありますが、これはわかりやすく申上げますならば、荷物を正規に積載をするということだけであります。荷物を粗末に扱わず、荷物を正規に積載をし、車の安全を確保すると同時に、荷物を輸送するに際しても不安のないようにしよう、そういうことであります。それが今まで行われて来たかどうかということでありますが、これは職員側の故意によるものではなくて、輸送事情の逼迫により、輸送力の不足によつて荷物車に非常に多くの何物を無理矢理に積込むというふうな状況にありました。特に大阪の場合においても、天井につかえるほど荷物を積込んでおつたということが伝えられております。そのことは東京においても具体的に指摘できることでありまして、例えば上野から出ますところの急行列車、北陸号或いは鳥海号或いは北斗号といつたような急行列車の小荷物車を覗いて頂けばわかるのでありますが、全く荷物をすし詰めにしている。載せられるだけ載せて、そうして運んでいる。そのために中に働いている荷扱い手は足の踏み場もない、荷物の上を踏んで歩かなければならない、天井につかえるようなところを這つて歩かなければならない、こういう極端な状況にありました。それだけの過重な労働に従つてつたわけであります。それを私どもは積載の高さもほぼ標準通りに行う、又荷物をふんつけて歩かなくてもよろしいように、中央に通路を設け、ほぼ常識的な状態において荷物を積載した車を出そう、こういうことをやるというのが遵法闘争一つの具体的な方法であります。これを常日頃行なつておつたらどうなるかといいますと、滞貨が山積いたしまして、どうにも仕事がさばけないような状態になつてしまう。で、止むを得ず無理をして荷物を積載して来た、止むを得ずオーバー・ワークを覚悟して職員が忍んで来たというのが今までの現況であり、且つ今日においてもその状況は改められておりません。そういうことを遵法闘争として一時的に我々が行なつたということであります。このことは当局に対しまして今後の輸送力増強等についての反省を求めるというようなことも併せて行われているわけであります。  次に賜暇戦術でありますが、この賜暇戦術に当つても私どもは細心の注意を払いまして、運転事故或いは障害事故等を起してはならないということと、できる限り旅客の足を確保しなければならない、こういう考え方に立つたわけであります。若し私どもが十七条違反というふうに指摘されておりますように、ストライキをやるという考え方でありましたならば、こういうような賜暇戦術を行い細心の注意を払う必要はないわけであります。ストライキをやるという考え方に立つならば、これは列車も電車も電車も全部とめてしまえば、これはストライキになつてしまうわけであります。併しそういうことを私どもは考えたわけではありません。重要列車を確保し、通勤者の足を奪わない、このことは当時賜暇戦術実施するに当つて歌崎委員長の談話として新聞紙にも発表したことでありますが、多少の不便をおかけをしたということもあるかも知れませんが、併しながら原則的にはそういう方針を貫いたつもりであります。少くとも東京駅から出る、東京機関区の問題でありますが、列車について実害を利用者に与えないという考え方に立つて、飽くまでもこの三割休暇闘争実施をしたというふうに今以て確信をしております。併しながら、それが誇大に報道をされた、例えばつばめが三十何分遅延をしたということがでかでかと新聞には報道されました。そういうことが一般的に与える影響としては非常に大きかつたのでありますが、これは私どもの推察するところによりますと、こういうような誇大な報道をするということが一体どこに理由があるのかということについても若干疑念を持たざるを得なかつたわけであります。又当時の状況としては、組合側が当局側の提案に対して或る程度の歩み寄りの態勢をも示しておりました。で最後的には八日に妥結をしたのでありますが、若し八日に妥結をしたような内容がもつと早く当局側から発表されておりましたならば、あえてこの休暇闘争に突入する必要もなかつたのではないかというふうに考えられております。それを殊更に誘発をするような態度を見せた。而もそれを大きく報道をしたということは、後に若干発表をされましたが、運賃値上げの口実を組合側に転嫁をしようとするところの意図があつたのではないか。当然これは運賃値上げの実施当局側が行うことでありますが、あたかも運賃値上げは、こういつたような騒ぎを起したから止むを得なかつたのだというような印象を天下に与えようとするような下心があつたのではないかというふうにすら推察をされるわけであります。  そういうようなことを考えますと、そういう諸般の問題に基いて行われた処分に対する不当性、忿懣というものは、今日に至つてもまだ我々には消えないわけであります。要するにこれらの遵法闘争にいたしましても、賜暇戦術にいたしましても、私どもの考えております根本的な問題は、単に当面の労使間の紛争を解決をするための手段であるというだけではないわけであります。考え方としては少い定員で、足りない人間で過重労働をさせないための反省を当局に求めるということと、輸送力が不足なままずるずると無理な輸送をやつてつたという、こういう実情を少しでも匡正をさせるというところにも狙いがあつたわけであります。従つて我々のとつた行動がいろいろと御批判もあつたかとは存じますが、これをかいつまんで申上げるならば、要するにこれは道路をよくするための道普請と同様なのが昨年以来の私ども行動である、このように確信をしております。  道路をよくするための道普請を行つて、そのために多少の廻り道をしなければならんという事態はあつたかも知れない。併し私どもの考え方としては、公共企業体等労働関係法の第一条にある目的を完全に行うことと、鉄道が国民のための国鉄としての正しいあり方を示すためには、こういうようなこともあえて行わなければならないという考え方に立つて実施をして来たことであり、これについて我々はやましい気持を何ら差挾んではおらないわけであります。  そういうような点を十分に御理解あらんことを重ねてこの席を借りてお願いをする次第でございます。
  19. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 一応参考人の各位の説明は終りました。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  20. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 参考人諸君の意見が正に対立いたしておりますので、両者に対しまして二、三御質問を申上げたいと思います。  先ず第一に長崎さんが今御発言になりましたように、公労法の第十七条違反として十八条によつて処分したとおつしやいましたが、十八名の解雇者のそれぞれの該当事項は皆違うと思うのでありますが、十七条を読んでみましても「業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」と、それからその次に「共謀」、それから「そそのかし」、「あおる」、こういうふうにあるわけでありますが、ところがこの解雇通告書、参考資料として我々のところへ今日組合から出された解雇通告書の写しを見ましても、何ら具体的にお前はいついつかやつたのは共謀であつたか或いは教唆、扇動に該当するものか、それとも直接の業務の正常な運営を阻害するということは明らかにされていないで、一概に十七冬違反だと、こう言つておるのでありすすが、このそれぞれ役職等を考えましたときに、これは一体どれに該当するのか、この点についてはつきりとお伺いをいたしたいと思います。十七条第一項全部に該当する、共謀にも該当し、そそのかし、あおるにも該当する、正常な業務運営を阻害する行為、この行為には、例えば柴谷君ごときは直接その行為ということにはならんではないか、柴谷君ならば共謀になるか或いは扇動になるか、どちらかによつて処分をされた、こういうことになつておらなければならないと思うが、通告には十七条一項違反といつて付けてあるが、一体法律によつて処罰を受けたりいろいろの処分を受ける場合には、事実の上に立つていつ幾日こういう行為をやつた、而も又共謀をした場合には共同謀議というので松川事件や或いは三鷹事件のごときはやかましく言つてこれは共同謀議が成り立つか成り立たんかといつて論議されておるが、この十七条を適用する場合においてその点十分調査しなければならないと思うが、この点について一つお伺いいたしたいと思います。
  21. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 当時の職員局長であります吾孫子君から。
  22. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 今お尋ねのありました点について当局側の見解を申上げたいと思います。  この十七条の規定いたしておりますことは、これは公共企業体職員すべてに対してここに例示されておるようなことを含んで正常な業務運営を阻害するような一切の行為をしてはならないということをきめておるわけでございまして、正常な業務運営が阻害されたということははつきりいたしておりまするし、又それらの行為に参加したということも処分をされた諸君ははつきりいたしておるのでございます。従いまして解雇理由書に書いてありますることは、これはそれらの諸君が十七条違反に該当する行為をしたということが明らかな証左を示すという考え方で、解雇理由書には簡単に書いてあるわけでございますが、勿論それぞれ具体的な事実ははつきりいたしておるわけでございまして、現在これらの処分者の諸君についての紛争組合側から訴訟が提起されて裁判にもかかつているわけでございますが、今御指摘になりましたような細かい具体的な事実というようなことについては当然裁判所においても申述べられることになるはずでございます。ただ考え方といたしまして、公共企業体職員である者は正常な業務を阻害するような行為をしてはならないと、そういう行為をやつたと、そういう行為に参加したという事実があれば、それだけで本来から申上げればその責任は免れないのでありますから、それからの多勢の人たちが今回のこの争議行為には参加しておつたので、それらの諸君のうちで特に証拠のはつきりしておりますもの、そういうものを処分の対象にし、又はつきりした事実を解雇理由にした、こういうわけでございます。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 具体的にまあ一々というようなのもなかなか時間が食いますから、それでは第一の柴谷要君についてだけちよつと、具体的に伺わんとわからんのですが、それでは柴谷要君の解雇通告をする場合には、お前のは共同謀議に相当するといつてやられたのか、或いは扇動罪、扇動、これに該当するといつて首を切られたか、そういつた具体的なものは通告をせずにすべて十七条違反と、こういつた漠然とおやりになつたものであるか、この点を簡単に御答弁願いたい。  それから各人に対しましてもそれぞれそういつたように十七条違反だということだけを言つたのであつて、お前のやつは「そそのかし」、扇動罪、扇動という条項に該当する、君のは「運営を阻害する一切の行為」、こういうところへ該当するのだ、こういうことは通告されてあるのかどうか、そういうことを伺いたい。
  24. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 今柴谷さんのことが例に出ましたので、柴谷さんについて申上げますが、先ほども申上げましたように、昨年の十一月下旬の遵法闘争を初めとし、十二月上旬、中旬の休暇闘争、これらの闘争というものは申上げるまでもなく、国鉄労働組合闘争指令に基いて行われておるわけでございます。それらのすべての闘争指令というものは国労闘争委員長である柴谷要氏の名前において指令が発せられておるのでありまして、昨年の暮以来起つたこれらの事態に柴谷さんが関与していないとは、如何なる角度からも申されないことではないかと考える次第でございまして、組合組織上においても最高の責任者として十一月下旬以来のすべての行動が柴谷さんの名において出された指令に基いて多くのことが起つておる。従つて公労法十七条違反行為に最も重大な責任ある立場において関与しておられる柴谷さんに責任をとつて頂いたと、こういうことでございます。  それでなお柴谷さんの場合には全体の委員長でございますので、若し何でございましたら具体的に問題になつております国鉄のどなたかの例を述べさして頂くということにして頂いてもよろしいかと存じます。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 そのお答え聞く前にちよつと関連して御質問申上げたいと思うのですが、簡単ですから総裁にお答え願いたいと思います。  十七条の一項に該当すると、こういうことで馘首を申渡しておられますが、これには、正常な業務運営を阻害したと、こういうことになつておると思います。とすれば、組合只今の話を聞いておれば、正常な運営でなくて、法に違反したことを今までサービス労働としてやつていた。それでそれを守るための闘争をやつたのだ。いわゆるサービス労働を取つただけだとするならば、正常なる運営というのは、そういうサービス労働まで含めた、或いは鉄道法ですか、この法に違反したような行動まで含めたものが、正常なる運営と、こういうように言つておられるのか。或いは現在やつておられる、これは闘争前にやつておられるのがどんな無理があつたとしても、それが正常なる運営であつたと、こう言われるのか、それを一つお尋ねしたい、正常なる運営の見解ですね。
  26. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 我々がやつております業務は非常に繁閑がございます。これは組合と我々との見解の相違になるかも知れませんが、いわゆる正常なる運営というのは、通常の状態における仕事のやり方ということでございまして、三百六十五日そういう無理な業務が運行されておるとは私考えておりません。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 吾孫子さんで結構ですが、それでは正常なる運営というのを法的に解釈して、法で取上げてやつておられるとするならば、正常なる運営というのは、ただ国鉄当局の判断によつて正常なる運営、こう決定されておるのか、或いはやはり組合とも話合つた上で正常なる運営をやつておられるのかどうか。いわゆる法をとつて、正常なる運営を阻害したとするならば、正常なる運営というものは法ではつきりとかくあるべきである、こういうことが言われておる。片一方だけ今までの惰性にのつて、或いは常識論で正常なる運営とみなす。今度はこれを阻害するもののみを十七条によつて処断したと、こういうことになりますが、その点もう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  28. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 只今のお尋ねに私のほうの見解を述べさして頂、きたいと思うのでございますが、業務の正常な運営と申しますのは、これは国鉄は規則に定められた業務組織を持つておる。又業務遂行のためにそれぞれ必要な諸規定もございまするし、又業務運営して参りますためには、必要の場合にその都度業務命令も出しておるのでございます。その正規の業務運営に関する規定に従い、又業務命令に従つて業務を遂行するのが正常なる業務運営であるのでございまして、たまたま先ほど組合側の参考人の意見としても述べられておりましたから、その例をとつて申上げたいと思うのでございますが、この規定を守つて、そして例えば荷物を粗末にしないように規則を守つて愛護運動をやつたんだというような御説明がございましたのですが、業務上の規定というものを単に一方的に解釈して、或る一部分のみを強調して法を守つたのだという見方をされるところに問題があるものでございまして、非常に常識的なような言い方をして恐縮でございますが、鉄道の仕事というものは、御承知のごとく安全ということと、迅速ということと、それから正確ということが、これは昔から非常に何と申しますか、鉄道の業務運営のいわばバツクボーンのようなふうに考えられて来ておるのでありますが、そのうちの迅速であるとか正確であるとかいうことを無視して、実質的に安全ということだけを取上げて、その角度から規定を守つたんだというような名自によつて、実際には列車の運行を乱す、列車を遅延させるというようなことが行われるのがいわゆる遵法闘争でございまして、そのような行為は正常なる業務運営の仕方ではないというふうに私どもは考えておるような次第でございます。
  29. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私は今の吾孫子さんの御発言ではつきりいたしましたように、この法律はとにかくといたしましても、法律上の処分をするのでありますから、一般法でございましたら罰金であるとか、或いは懲役ということになる。だから飽くまでも事実を、いつ幾日にこういうことをやつたのはいかん、この条項に該当する、こういうふうにしなければならんのであります。十案にもいろいろの条項はあるわけです。従つてこれを漠然として十七条一項の違反だということにしてやられることは問題があるのじやないか。併しこれで論議しておつても長くなるし、質問いたしておるのでありますから、次に進みますが、公労法の第一条の目的にも、明らかに何回も繰返して、三回繰返して示されておりますように、友好的、平和的調整を図る、これが第一の眼目、そういう手段でやらなければならない。従つてこれは関係当事者は、飽くまでも友好的に調整するためには、最大限の努力を払わなければならないと思うのでありますが、そこで不幸にも紛争が起りまして、その当事者はやはり国鉄総裁組合でありまして、言えば遺憾ながらその喧嘩の相手になつてしまつたその一方がこの解雇の強権を発動する場合に当つては、極力その濫用は避けなければならないということはお認めになるだろうと思うのであります。特に又公共企業体等労働関係法によつて仲裁委員会であるとか或いは調停委員会というような制度もございますが、これは調停や仲裁を出した場合にだけかかるのだというのでなしに、これらはその平和的、友好的に調整するために、常にやはり機会あるごとに相談をし或いは意見も聞くというような余裕は持たなければならないと思うのであります。ただ調停委員会に行つたときだけ、調停が申請されたときだけ、仲裁の申請がされたときだけがこれを利用するのでなしに、常にやはり連絡をとるし、報告もいたし、且つ又は相談もする、これだけの努力は続けて行かなければならないと思うのですが、特にこういう解雇というところの強権の発動をする場合におきましては、私はそれだけの手順が必要だと思う。  そこで今度の誇大報道ということについて瀬谷君も言つておられましたけれども、最近の新聞の誇大報道については、あなたがたも常に言われておるのでありまして、疑獄事件、汚職問題につきましては、あれは誇大報道でえらい迷惑をこうむつておる。鉄道会館の問題にいたしましても、或いは最近の陸運関係の汚職の問題にいたしましても、誇大報道だと言つておるのでありますが、あの十二月の紛争についても相当誇大報道である。それであわててしまつて、十七条違反だと言つて総裁独断でやつてしまうということは、私は考えなければならない問題だと思うのでありますが、そこでお尋ねしたいのは、事実調査を十分おやりになつて、どの条項に該当するかというようにちやんとしたかどうか、それから当事者に対しまして弁明の、いや、そう言われるけれども、それはあなたのほうの総裁認定の誤りであるというような弁明の機会も与える必要があると思うのですが、そういう機会を与えておるかどうか、というのは、これは別に法律上にはきまつておりません。きまつておりませんが、第一条の目的から考えて、そのようなことはやらなければならんので、国家公務員法では、違反として処罰された場合でも公開の法廷、法廷ではありません、公開の場において事実審査はやれるのであります。で、そのような機会を与えるというような方法もあり得るわけでありますが、そこでお尋ねしたいのは、調停委員会仲裁委員会等の意見も十分お聞きになつたのか。それからそういう事実調査或いは弁明の機会等をお与えになつたものであるかどうか、そうして止むを得んと、これだけのどうしてもやらなければならんという結論を得て、この処分を御通告になつたのであるかどうか、この点について一つ御答弁をお願いしたい。
  30. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 只今お話のございました友好的、平和的に問題を解決するように最大限の努力をすべきであるということはお言葉の通りでございまして、私どももそういうふうに常常考えております。昨年幕の闘争の際にも十七条違反というようなことになつて処分もしなければならないというようなことになつては困るから、そういうことにならないように気を付けて頂きたいということは再三再四或いは書面により或いは公開の文書を以て組合側との間で話合いをいたして来ておるのであります。それにもかかわらず、真正面から法律蹂躙されたというので、止むを得ず処分を、責任を明らかにしなければならなくなつたというのがいきさつでございますが、只今お尋ねのございましたそういう事実調査というようなことにつきましては、これは勿論解雇処分というような処分は重大な問題でございますから、十分念を入れまして、実際の事情調査については関係の各管理局の責任者との間でこれ又何回も確めておりまする次第でございます。  それでただ最後の、当事者に弁明の機会を与えたかというお尋ねでございますが、この点は実は公労法十八条によつて解雇処分をいたします場合は、私どもの考え方としては、これをいわゆる懲戒処分というふうには考えておりません。日本国有鉄道法に基く懲戒規定がございます。御存じであると思いますが、その中に免職とか停職とか減俸とか、いろいろあるのでございますが、そういう懲戒の手続をとります場合には、現在組合との間に労働協約ができておりまして、その労働協約に基いて弁明の機会も与えるようにいたしておりまするし、弁護も開くようにいたしているのであります。併しながら公労法十八条による処分は、これはいわゆる懲戒というものとは性質が異るものであるというふうに考えている次第でございます。公労法十八条にございますように、十七条に該当するような、違反するような行為が行われた場合には、この法律によつて有する一切の権利を失うというふうに条文にも明記してございますので、いわゆる懲戒の場合のように労働協約の必要はない、そういう考え方に立ちまして、無論解雇通告をいたします際には、これこれの理由によつてやめて頂くのであるということはそれぞれ御本人にお話はしてございますけれども、いわゆる弁明とか弁護とか、一般懲戒の場合にとるような手続はとつておりません。  それから申し忘れましたが、調停委員会仲裁委員会の点児を十分に聞いたかというお話でございますが、この点は一応連絡もしてはございますが、問題の性質上詳しく券にいろいろ意見を伺うというような機会はございません。又調停委員、仲裁委員のお立場としても、この問題について積極的に何か御意見を頂くというようなことはなかつたように記憶しております。
  31. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 結局御説明では、事実調査はおやりになつたが、その事実調査もただ管理局の局長或いは総務部長等の立場にあられる方の報告、それに基いておやりになつただけである。而もそれは別に公開もされておらないようでありますから、結局は一方的な処置である。従つてあなたのお考えでは、第一条には友好的で平和的に調停しなければならん、これはお認めになつていると思う。今度は処分をやるときには一方的にそうしてやつてしまつてもいい、やるべきものだ、こういうふうにお考えになつているように思います。今のお話では。そこで私、お伺いいたしたいのでありますが、そういうことがこの法律の建前であるとするならば、将来これをまああなた方のような良識ある厚生局長がおられる場合には、一応そう無茶な濫用はないと思います。拡大された濫用はないと思いますが、これは引つかけようと思つたら、立法当時にもあなたも当事者として随分参画されたのでありますが、この十七条につきましては濫用しようと思つたら幾らでも濫用できる。あなたのような解釈で行かれるのだつたら、一方的に処分をすぐやつてしまう、何ら弁明の機会を与えない。あとは文句があつたら法廷へ行けというのだが、法廷というのはなかなか最後の決定はできないのであつて、あなたも御承知のように、昭和電工事件もあれだけ世間の耳目を聳動させた事件でもすでに五年になつてもまだ白黒がつかんような問題、労働問題というものは早く解決するというために調停委員会仲裁委員会というものを設けて、できるだけ法廷闘争というものは避けたいというのが労働法の建前だと思う。そこでこれでやつてしまつて悪ければ法廷に行けというのだが、第一審で有利な判決が仮に被解雇者に出ましたとしても、あなたのほうではすぐ控訴をする。又これで高等裁判所から最高裁まで行くと、もう五年や七年はかかつちまつて、情勢はくるつと変つてしまう。従つて悪用しようと思つたらこの十七条と十八条は幾らでもできる。ちよつとしたことでも正常な業務運営の阻害だ、而もそれについては弁明、調査は秘密である。仲裁委員会も調停委員会もちよつと報告した程度だというのであつたならば、一方的に幾らでも組合弾圧の方途も講ずればできると思う。今の幹部はそういうような悪意はお持ちになつているとは私は思いたくないのでありますが、第一条の平和的、友好的に調整しなければならんということは、何らその場合にのみは適用されないことになつてしまうのではないか、こういうふうに思うのですが、この点あなた方は第一条との関係をどういうふうに考えて行こうとされるか、この点重大な点だと思いますのでもう一遍これは総裁から御答弁願いたいと思います。
  32. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私法律論的ないろいろな問題は申上げませんが、私の気持を申上げます。  仰せの通りあれは先にも申上げましたが、我々だけでは日本国有鉄道運営できないのであります。どうしても友好的な協力的な体制というものを組合側と常に保持するように努力しなくちや円満なる運営を期することは絶対にできないと考えております。今回の処分の際に当りましても、でき得る限り何とかしてこの範囲というものを縮めて行きたい、処分者を少くして行きたいというような気持は私は十分に持つてつたつもりでございます。その数その他についてはいろいろ御批判があるかも存じませんが、私の気持としましては、いわゆる友好的な関係、協力体制的な関係保持ということには飽くまで努力して行きたい。立法論的に申上げますならばいろいろ又御議論があると思います。私も何とかしてもつと円満な方向に持つて行けないものであろうかということを常に考えておる次第でございます。  御承知のように今回内閣の中に臨時公共企業体合理化審議会というのができました。私もその委員の一人になつておる次第でございまして、第一回が一昨日、十六日に開かれたのでございますが、これらを通じましてますますいい方向に持つて行きたいというふうに考え、これの審議会の審議については私ども日本国有鉄道が恐らく一番問題になるのじやないかと思つておりますので、これには全力を挙げて、如何なることがありましても万障を繰合せまして毎回出て、日本国有鉄道の将来を立派なものにして、何とかして国民皆さんの御期待に副いたいというふうな心持でおる次第でございます。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほど吾孫子局長からお聞きしたお答えの問題は迅速、正確、安全だと、こういうことを言われて、常識論で或いは正常な運営だということを言われたが、これに対して組合の考え方をお聞きしたいと思います。私がお聞きしたいというのは、正常なる運営があつたとするならば、これが迅速、正確、安全を目途としておつたとするならば、組合はそれを否定されたのであるかどうか。それともその迅速、正確、安全を守るためにやられたのであるかどうか、それをお聞きしたいと思いますことと、今の菊川委員の御質問に関連いたしまして御質問申上げますが、協約の中に懲戒規定があるということを先ほどお聞きしたと思うのですが、この懲戒規定の中には、恐らく法に違反した場合には云々だ、或いはこうした場合には云々だというようなことがあるのではないか。これは私の協約に対する常識論でありますが、そういう条項があるかどうか、一つお知らせ願いたいと、かように存じます。
  34. 矢上正直

    参考人矢上正直君) 第一の問題でありますが、先ほど元の職員局長吾孫子さんは、安全、正確、迅速、こういうのが運営のバツクボーンである、こういうふうにおつしやいましたけれども、私どももそれを否定をしていろいろな行動をしたわけではございません。ただ安全が第一である場合と、正確が第一である場合と、鉄道の行なつておる業務なり作業の内容によつて違うと思うのです。というのは、例えば操車場で連結手が車両の入替をやつている。その場合に勿論正確も大切であります。而も安全も大切であります。この場合に私どもは正確のほうを特に重点を置いて考えている。なぜかというと、たとえ迅速であつても、列車の顛覆なり或いは衝突なり、こういう事故が起る場合は正確でない場合に一番起る。こういうことはしばしば国鉄当局が強調されまして、すべての作業を行う場合に正確にそれを行なつて而も迅速に行う、こういう建前から、の内部では年数回かのそういう正確に行うための作業の協議会、こういうふうなものもあるわけです。例えば例をとつてみますと、或る操車場で列車の入替をする、こういう場合に現在通常行なつておりますのは、非常に人手が足りないために、結局内部の規定の原則に違反をする。例えば車がまだ坂を押してそして十分規定上の第一のポイントというものを通過しないそのうちに次の車をどんどん流して行く、こういうことによつてしばしば列車がこわれ、或いはそういうことによつて荷物がこわれるわけです。その点をなくするために、内部の規定の原則はとにかく、そういうことをしてはいけない、こういうことになつておるわけです。  先般私どもは弁護士と一緒に、昨年の問題で大宮操車場に参りましたが、はつきりこの車は突き放しをしてはいけない、もうもう牛が鳴いている貨車、これが作業を迅速にやるためにどんどん突き放しをされて来ておる。こういう危険な状態が国鉄の作業であります。従つて私は一例を挙げて申上げましたが、作業の中で安全を第一に考えるべきものと正確を考えるべきものと、或いは迅速を第一にすべきものと、いろいろ作業の内容によつてつている。その作業の内容によつてつている。その作業の内容によつて一番これを正確に或いは安全に、迅速にやらなければこれはうまく作業が行かない。こういう場合にその一番モットーとすべきことを私ども遵法運動行なつた、こういうことであります。  その次の問題ですが、今協約を持つて来ておりませんが、国鉄法三十一条には先ほど説明されましたように、こういう場合には免職にする或いは停職にする、こういう条項があるわけです。従つてそれに値するような職員個人の罪といいますか、或いは行いといいますか、そういうものがあつた場合には、それのどの条項に該当させるか、こういうことで実際には弁護の機会を設ける、こういうようなことのために協約を締結しておるわけです。従つて私は先ほど申上げましたのも、吾孫子さんは、それは懲戒というものと十七条とは違うのだ、こういうふうに言われましたが、私どもは少くとも個人のそういう悪い行いを処罰をする、こういうものと、友好的であり且つ平和的でなければならない労働問題を処理する場合のその免職という十八条の発動、こういうものは、私は懲戒ではないという軽い一片の言葉によつて規則の運用といいますか、法律の運用を誤るべきではない、このように考えておるわけであります。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 総裁にお尋ねいたしますが、今正常なる運営、この問題が非常な原因をなしていると思う。これで発端になつておると思うのですが、この問題だけでも双方の意見を聞けば、双方ともこれが正常なる運営だということを言つておられる。この問題が発展して馘首が出ておるが、只今お聞きいたしますると、協約の中に懲戒規定もあつて、そういう処分の方法も双方話合うようになつておる。先ほど菊川委員の質問に対して総裁は、自分たちだけではやつて行けない、何とかして組合と協力してそしてやつて行きたいという心が精一ぱいだ、こういうことを言われた。そうするならば今の問題を振り返つて見て、こういう協約もあるのになぜそのほうでこれは話合うことができなかつたか。話合うこともせずに、ただ意見の対立しておる正常なる運営阻害という面においてそうして十八条を適用して馘首を申渡されたのか。言われておることとなされたこととは違うのではないか。本当に今おつしやつておられるような紛争を避けたい、そして公益のために労使双方で仲よくやつて行きたいというお気持があるならば、そういう協約を使われたほうがよかつたのではないか、こういうふうに考えますが、その点総裁はどういうふうにお考えでしようか。
  36. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 今回の場合はいわゆる公労法第十七条に違反しているかしていないかという問題でございまして、従いまして私どもは十七条に反いておる争議行為として禁止されておることをやつているということでございますから、当然十八条が発動される結果になるのでございます。
  37. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 長崎総裁に私関連してちよつと御質問したいと思うのですが、国鉄に長年勤めておられた十八名の人を馘首されるわけですから、先ほど長崎総裁が言われた通りに慎重を期せられたと私は信用したいわけであります。その慎重を期せられるとするならば、今度のこの馘首について各個人に亘つて当局側が不当であると認定をするための慎重な具体的な態度というものが私はあつたと思うのです。どうもあなたの御意見と吾孫子厚生局長と……、私伺つておりますと、丁度吉田首相と、ほかの大臣と同じような恰好で、長崎総裁はどうも具体的に突込んだところまで御承知ないように私は思うのでありますが、あなたが全責任を以て十八名の、いわゆる国鉄全体の重要な問題として処理される場合には、もつと具体的な内容まで突込んで責任を以て御処理になつたと私は信用したいわけです。従つてこの処分をされる場合に、国鉄としては何らかの一つの処理機関というものを作つてそうして調査をせられたのか。或いは日常の事務運営の機構そのままの中で一応問題を積上げて来てあなたが決裁をせられたのか。その辺の扱い方について一つもう少し詳しくお開きをしたいと思うのです。
  38. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) もとより事は非常に重要な問題でございます。解雇ということは、これは非常に重要な問題でございますから、数次に亘りまして当時の職員局長でありました吾孫子君が中心となりまして、現地の管理局長或いは総務部長にも数回来てもらいまして、いろいろと行動内容につきましても詳細な説明を聞いたのでございます。決して普通のいわゆる日常の事務の扱い方でやつたのではございません。
  39. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますとその会議にはあなたは常時御出席になつておりますか。
  40. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私はできるだけ出席するようにいたしておりました。併し重要な機会につきましては私は常に出ておつた次第であります。
  41. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今長崎総裁並びに国鉄の中闘委員をやつておられる矢上君の御説明で、正常な運営に関する問題について、一方は正場常な運営を阻害した、他方は正常な運営をできるだけ阻害しないようにした、こういうお話なんでありまするが、私はそれに関連してこういうことをお尋ねしたいのです。公労法仲裁裁定に関する規定というものは最終的な決定としてこれは尊重しなければならん。こういうことになつておると思う。但しそれが予算上質金上の点で問題のある場合にはこれは別ですが、それが十六条のほうに譲られておるわけですが、併し仲裁裁定そのものは最終的な決定として国鉄当局者もそれから又組合側も尊重しなければならん。こういうことになつておるわけです。ところが私ども聞いておりまするところによりますると、仲裁裁定は今矢上君が証言をしておるのでありますが、仲裁裁定は当時においても十分実施が可能であつた。そして具体的な数字を挙げて説明されておるわけです。而もこれまでしばしば仲裁裁定というものは当局者といいますか、或いは政府といつたほうが適当かも知れませんが、これを蹂躙しておるということもこれ又私ども知つておることなんです。そうしますと最終的な決定として尊重しなければならない三十五条の規定も十六条にかからしめるという理由で以てこれを尊重するということをやらない。そうして十七条によつて正常な業務を阻害したという理由で以て首を切られた。そうすると一三十五条の仲裁裁定法律の精神と、それから十七条によつてあなたが首を切られたというこの解釈の仕方、そこに私はかなり大きなギャツプがあるのじやないか、このように考えるわけです。大体その十七条によつて首を切られる場合に、あなたはどういう根拠に基いて正常なる運営を阻害したという工合に認定されたか、それから又三十五条の精神を尊重する立場において果して当時裁定実施が可能であつたかどうかというようなことについてお伺いしたいと思います。
  42. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 第一の予算の問題でございますが、当時は補正予算が成立いたしておりません。従いましてこれは到底仲裁裁定の実行は不可能であつた次第であります。私どもといたしましても、お説の通り両当事者とも仲裁裁定には服従しなければならないのでありますから、でき得る限りそういう方向に私は努力をいたしたつもりであります。補正予算編成の際に当りましても、仲裁裁定完全実施のラインに行きたいということでいろいろと大蔵省なり運輸大臣なりに申上げたのでございますが、この努力が足りなかつたのでございましよう。遺憾ながら完全なる実施を見られなかつたということであります。  正常なる運営を阻害したかどうかという問題は、これは意見の相違でございまして、私は組合側としては正常なる運営を阻害しておらんということは、これは恐らく当然な主張であろうと思いますが、私どもとしましては当時の実績から見まして、正常なる運営は阻害されておる。現に多数の貨物列車或いは旅客列車等にも障害を与えておりますし、現実にこれらの列車の運転を妨害したという事実もございます。
  43. 堀眞琴

    堀眞琴君 今の問題に関連してですが、正常なる運営を阻害したという点についてお伺いしたいのです。国鉄労働組合としては賃金の要求を昨年の春以来出し、そうして仲裁裁定が下つた。これを国鉄労働組合としては飽くまでも尊重するという建前をとつている。ところがその仲裁裁定に対して当局のほうでは、これを飽くまでも努力したと今言われておりますが、併し努力が、努力したとは言つても、実際においては何ら努力しなかつたと同じ結果になつていると思う。仲裁裁定を尊重しなかつたという結果になつて来ていると思うのです。従つて労働組合としてはストライキは禁止されている。併し業務に支障を来たさない範囲において何らかの行為をとるということは当然予想されたと思うのです。そのことに関して総裁としては事前にそれらを防止するための交渉を当然組合側に対してなさるべきだと思う。それをなされたのかどうか、そういう点についてもう一遍お伺いしたいと思います。
  44. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 仲裁裁定は完全に実施はできなかつたのでありますが、それは時期の問題だけでございまして、金額の点につきましては仲裁裁定裁定通りに私どもも賛成いたしておりまするが、ただ現在の財政状況としては直ちに実施はできないということを組合側にも言つておるのでございます。金額は裁定の額通りにやつている次第でございます。  それからいろいろな事態が予想されたのじやないか、それも無論考えているのでありまして、その間数次に亘つて団体交渉も持つたのでございますから、先ほど吾孫子君から申しましたように、しばしば十七条に違反するようなことになつては困る、そういうことをしないようにしてくれという御注意なり申入れなりは十分にやつたつもりでございます。
  45. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連して長崎総裁にお尋ねいたしますが、この公労法の制定されたいきさつを考えてみますると、公社職員が今まで持つておりました争議権を剥奪されて、団結権団体交渉権のみに組合運動が拘束されて参つた従つて国家はその補充として、或いは或る意見においてはそれを補充するという考え方からして第三十五条の仲裁裁定の問題が出て参つたと思います。この点は総裁も御了解願えると、こう思うわけであります。従いまして公社における労使の公平な原則、法益均衡の原則、こういう建前からいたしますならば、仲裁裁定というものが忠実に実行される、この前提がなければならないと考えております。然るに先ほど矢上中間委員説明にもあつたように、過去四回仲裁裁定はなされたけれども、これが未だ一度も完全に実行されたことはない。而もそれが十六条の予算上質金上の面からそういう制約があつたかというと、必ずしもそうでもない只今国鉄総裁の御説明によりますると、今回は裁定通り実施したとおつしやるが、期間の問題等においてもすでに大きな隔りがある、こういうことは御承知のことだと考えております。而も又当然実施すべき仲裁裁定であるにかかわらず、無用な摩擦を毎年繰返さなければ実行されない、或いは労働組合諸君が必要以上のエネルギーを消耗しなければ現政府の下においてはそれが実行されない。ここに私は大きな責任上の問題が出て来ると考えるわけであります。こういう点から見ましたときに一体非がどこにあるか、どこに責任があるか、誰がこの紛争を捲き起したか、こういうことを考えたときに、おのずから労働組合の相手方にあるということは明確に出て来ようと考えるわけであります。そういうような観点から考えて参りましたときに、総裁先ほど国鉄運営においては国民立場を尊重する、国民皆様方に迷惑をかけて申訳ない、国民経済に影響を持つ国鉄運営については慎重石上に慎重を期して経営に当つて行くというような趣旨の御発言がありましたが、そういうような考え方を申しますならば、国鉄の平和ということを考えたとき、労使関係の平和という問題が確立されなければこれはできぬと思うのであります。そういうような観点から見たとき、先ほどから論議されておりまするように、少くとも第十七条の争議行為の禁止並びに十八条、十七条違反の場合の罰則規定というものは、それらの前提行為が当然に行われたことを前提として、少くとも政府国鉄当局裁定完全実施する、尊重する、みずから法律を守る、こういう観念が相手方に、労働組合にも世間にも一般的な常識論として持たれる段階においては十七条、十八条を文字通り解釈されても、これは公平の原則を失しないかも知れない。併し今までの事例からいつた場合に、而も又長崎総裁のように、そういう思いやりのある総裁の態度からして、今回のような十八名の解雇に対して一遍の申開きする、釈明する機会さえも与えず、或いは具体的な事実を公開の席上において或いは公明なる方法によつて調査するという手続をとることなくして、国鉄法三十一条に基いて労働協約の中には解雇の場合において一つの手続が規定されておる、そういうような手続が明確に規定されておるにかかわらず、単に十七条、十八条の場合は労働協約の場合とは異るんだ、こういう考え方で処理するということが、一体それによつて国鉄の平和は維持されるか、それによつて国鉄国民に負う、国民経済に対する、或いは国民生活に対する使命は全うできるのか、それが長崎総裁の心境に合致するのか、この点を先ほどからお聞きしておるので、改めて御答弁をお願いしようと思います。
  46. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 御説誠に御尤もでございまして、私も共感を感ずるところが非常に多いのでございます。ただ現行の法律がああいうふうになつておりまするので、これは何とかして改正その他の機会がございました場合においてはもつと円滑な運営ができるようにして頂きたい。これは私の希望でございます。無論法律改正は私の単なる希望でございまして、私にできることではないのであります。恐らく労働組合諸君にしても同じだと思いますが、私どもももつと何かこう円滑な運用ができるようにして頂きたいものだ、どうもお話通り三十五条ですか、裁定が当事者を絶対に拘束するんだと書いてあつて、すぐ但書があつて、十六条の場合はこの限りにあらずというようなことでありましては、非常に遺憾なのでございますが、一方又翻つて考えてみますというと、国の一般財政或いは国鉄の財政というようなものを考えずにということにも行かないのでありまして、そこらの調節が非常にむずかしいのだろうと思いますが、何とかして一歩でも二歩でも、何と申しますか、言葉は非常に悪いのでありますが、私ども組合諸君との握手といいますか、協力態勢と申したほうがいいんでありますか、そういう方向に私は進みたいという強い希望を持つておるわけでございます。
  47. 田畑金光

    ○田畑金光君 総裁に重ねてお尋ねいたしまするが、先ほどの他の質問者に対する答弁の中で、総裁は今回の解雇についてはまだ相当多数あつたけれども、自分としてもいろいろ組合立場を考えて、できるだけこれを圧縮したんだ、狭めたんだという趣旨の答弁があつたと記憶しております。そういたしますと、この解雇の問題というものは法律の改正を待たなければできないのか、それとも総裁や公社当局の裁量によつて措置によつて解決ができるのか、こういうことになつて参りますならば、総裁自身がみずからの思いやりによつて相当の人員を圧縮したのだ、こういうようなれば、当然に公社当局自体の自由裁量によつて、或いは行政措置によつてこの問題に対する適切なる解決ができるはずです。殊に私たちの言いたいことは、成るほどこの公共企業体等労働関係法自体も、第十七条、第十八条の解釈については問題はあるかも知れんけれども日本国有鉄道法の三十一条に基く公社の内部における労働協約において懲戒の場合は云々するという手続が残されている、或いは又公労法の第八条を見ましても、団体交渉の対象として、労働協約の対象として懲戒の基準に関する事項等々が明確に示されているわけであります。こういうことを考えたとき、私たちの言わんとすることは、公社自身が自主的な判断によつて、この問題に取組むだけの熱意があるならば、何も好き好んでこのような紛争を捲き起す必要がない。総裁にお尋ねしたいことは、過去四回もこのようなことが続けられている。而も昨年在名の解雇者を出した。今年は十八名の解雇者を出した。恐らく国鉄の従来の経過から見ても、これらの規定の存続する限り今後ともあり得ることであり、今後とも予測されることである。毎年々々こういう紛争を続けて国民に迷惑をかけるのか。或いは総裁の言う国定経済に対する国鉄の使命に大きな杜絶を来すのか、これを認めるのか、これを如何にして国鉄当局はみずからの判断によつてこれを処理するだけの力がないのか、これを私はお尋ねしたいのであつて、一体国鉄総裁としては将来この問題とどう取組んで行こうとするのか、今後も又予想されるであろう公労法に対して、或いは仲裁裁定に対してどういう処置をして行こうとする御方針なのか、そして私のお尋ねする第一の点は、このことに関連して公社当局みずからの判断によつて、十七条、十八条の運用についてはもう少し納得の行けるものが出て来ると思うのだが、こう点について再考慮の余地があるかどうか、この点についてお尋ねいたします。
  48. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) この組合とちよつと申したらいいのですか、そういう関係についての心がまえにつきましては、先ほど来私繰返して申上げますように、一歩でも三歩でも何とか平和的な方向に行きたい、協力態勢に持つて行きたいということを希望しているのでございます。これにについては将来に亘りまして、法律上の改正を要するものもでございましようし、いろいろなことがございましようが、でき得る限りそういう方向に持て行きたい、なかなか法律改正と申しましてもそう簡単ではございませんので、何かの方法で一つこういう事態を繰返すということのないようにしたいものだということは強く私は希望もし、そういう方向に努力をしたいと考えておりますが、なお先ほどちよつと私の申上げたことが悪かつたかも知れませんが、この昨年来の事態につきまして、責任の所在を明確にしなければならんということは、これはもう起つた事態それ自体がはつきりいたしておりますので、そういうはつきりしたものについては何とかせざるを得ない。極めて遺憾でありますが、そういうことになつたのでありまするが、その事態の認識、はつきりした程度というものを極力明確にして、その結果がああいうふうになつたということであります。
  49. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 先ほどからお伺いしておりまして、はつきりしたというのは、それは経営者側立場に立たれる人から見るとはつきりしている。ところがそれでは一方的で、当事者である組合側のほうでははつきりしていない。それをはつきりさせるためには、第三者を入れて十分調査会或いは査問会等を開く等の処置を講じたり、或いは仲裁委員会の意の意見を聞いたり、調停委員会の意見を聞いたりするようなこともされていないということは、これははつきりしている。とにかく一方的にはつきりしたと断定されたということだけははつきりしたと思うのですが、そこで懲戒の問題ですが、例えば具体的な例を挙げて児ますと、泥棒をやる、悪い例かも知れませんが、荷物の抜取りその他を仮にやつたとすれば懲戒処分にかかるわけであります。そういう場合には恐らく三十一条によつて、そういう疑いをかけられたというようなときに懲戒処分になりそうになつた場合には弁明の機会も与えられる。ところが公労法によるところの処分ということについては弁明の機会もなければ、一方的な調査だけで一刀両断にやられてしまう。こういう開きがある。又刑法上からいいますならば、荷物の抜取りその他の問題であつたならば、一般法で処分される場合にははつきりと懲役なり罰金なり、科料なりの刑法上の犯罪になるわけであります。そういうやつは解雇されるにいたしましても、弁明その他の機会は与えられてやられる。ところが公労法によるところの処分については刑法上の処分が全然ないわけであります。そういうのは刀両断にやつてしまうというところに、これはえらい開きが出て来るだろうと思うのでありますが、これらの点についてあなたが考えるということは、法律上何らかの処置を、法律改正その他の方法によつて合理化して行きたいという点、そういう点についてもあなたはお考えになつているかどうか、この点をはつきりして頂きたい。
  50. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 公労法の所管大臣は労働大臣でありまするので、私が申上げるのは非常に僣越だと思います。潜越だと思いますが、菊川さんの仰せのような点も考えるべきものではないかと、私は私の個人的な考え方として持つております。
  51. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうであつたならば、それくらいな御意見を持つているならば、第一条の目的、精神から考えて、平和的に調整するというのだから、私の考えとしてはもつと打つ手が幾らでもあり得た、ああいう一方的な処断ということについては……、これは意見になりますから次の問題に入りまして、この昨年末の紛争に当つてとられた職員行動というのは、労働組合としての行動であつたということはお認めになるかどうか。労働組合として行動した、労働運動としてやつた、そうするならば組合の規約の定めるところに従つて責任が追及されなければならないものであります。行過ぎその他の行為があつた場合には、これは統制上の問題だ、組合指令を出したけれども、それ以上に行過ぎたことが末端において行われたと仮にしたならば統制上の責任であつて先ほどからも吾孫子さんの言われましたように、柴谷要君が統制上の責任を持つているわけでありますから、そこに責任の帰着を考えなければならん、こういうふうに思うのでありますが、この解雇者の名前を見て見ますと各地方本部指令して、各地方本部ともそれぞれ行動をやつておるにもかかわらず、特定の地方本部だけの責任者或いは現場の責任者等が処分を受けているとするならば、組合行動を認めたようでもあつて争議行為の禁止の条項によつてやられたようでもあれば、又国有鉄道法の三十一条の懲戒処分的な色彩も持たれているようであります。それならば、お前のほうはそんな指令を出し、そうして而も下部に行過ぎがあつた、これは君のほうの責任じやないかといつて本部を追及すべきが建前だと思うのでありますが、これは下部のほうに行つてやられたのは、懲戒処分的な行為として考えなければならんのじやないか、そこが終始一貫されておらないように思うのでありますが、この点の解釈を承わりたいと思います。
  52. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 先ほど公労法十七条に対する解釈に関する私どもの見解を申上げたのですが、この十七条の禁止というのは先ほど申上げましたように労働組合に対してもこういうことを禁止しておりますが、同時に公共企業体職員である者すべてに対して禁止しておるわけでございます。それでまあ例を引いて申しますと、先ほどお話の出ました柴谷委員長に対して責任を問うておりますのは、これは労働組合責任者として責任をとつておるわけでございますが、地方末端の処分者の中には、組合組織上の責任者という立場責任を追及しておるものもございまするし、職員としての責任を追及しておるというのもございます。又その両方合わせて責任を追及しておるという考え方のものもございますので、これは東鉄管内においても起つた事例でございますから、例を引いて申上げたいと思うのでございますが、例えばこの争議行為に関連しまして、鉄道線路の上に横たわり寝ておつて列車の進行を妨害する、或いは又機関車に乗り込んで行つて、乗務員を実力を以て降すとか、或いは機関重のハンドルをどつかへ持つてつてしまうとか、こういうような具体的な行為の場合には、これは考え方としましては、無論それは組合の役員である場合は同時に組合の役員としての責任もあるものと考えますが、むしろそういう場合には職員個人の責任も併せて問われておるのである。こういうふうにお考え願つて結構だと思います。
  53. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の吾孫子さんのお話で、具体的に例を挙げて、そういう事実があつたかどうか知りませんが、仮にそういう事実があつたとすれば、これは争議行為じやないと思う。これは公務執行妨害罪なりその他の罪が構成されると思うのであります。仮にあつたとすれば、あつたかないかは知りませんが、これは公務執行妨害なり、これは争議行為ではないと私は思います。又そういうことになりましたならば、今度は、ちよつと例を挙げて恐縮でございまするが、飽くまでも十七条、十八条は争議行為としてこれを見た場合に適用されるのでありまして、職員の正常な業務運営にいたしましても、個人でこの争議行為なんということはあり得ないのであります。個人が争議行為をやつたということは我々もまだ聞いてないのでありまして、争議行為というのは、飽くまで労働組合運動としてやられるものであつて、個人で争議行為というものはあり得ない。従つて十七条、十八条を適用する場合には、組合行動として責任を追及するということになつたならば、やはり指令を出した者から順次責任を追及されなければならんのに、本部の三役と企画部長、それから中間委員を飛んでしまつて下部へ行つてしまつたということは、ちよつと筋が一貫しないと思う。例えばそういうふうにして広く発展して、正常な業務運営を阻害した者は全部争議行為だと、仮にあなたがこれを拡大解釈をされるならば、去年の六月に行われました参議院の選挙の際にたくさんの違反者が出まして、局長、部長級でどんどん引つ張られてしまつて、もう一カ月も局長の椅子を離れている。或いは一週間も部長の責任業務を執行することができないというようなことが起きた場合があります。国鉄部内において起きたわけです。我々は新聞、で承知した範囲でありますが、こういうようなものも正常な業務運営を確かに阻害したということになる。あなたのような拡大解釈をするならば、局長、部長おらなければ大変なものであります。これがいろいろの局長の代行をさせるような問題が起きた場合に一番大変で、局長も部長も課長も引つ張られてしまつておる。責任者もなくなつておるという事態が起きても、そういうようなのは当然十七条、十八条を適用するわけに行かない。これはどうも組合争議行為というものは、組合運動として行う場合でなければならん、そうすれば組合指令系統を伝わつて責任を追及するというふうに行くのが正しいと思うのですが、あなたのほうでは職員としてもいかん、個人で争議行為を一人が仮にやつたとしても十七条、十八条を適用する場合が起り得るのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  54. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これは長崎総裁にちよつと御注意を申上げておきます。本日の委員会では参考人として四名の方においで願つておるということを決定しているわけであります。実は私は吾孫子厚生局長発言されることを拒否をするわけでも何でもありませんけれども、若し正式に申しますれば、主として発言をされるならば、参考人としての私はやはり委員会決定をしなけれ、はならない。それは形式上のことでございますけれども、今菊川君が御質問されているところを委員長として聞いておりますというと、これは国鉄の今日の紛争の問題もそうでありますし、将来に亘つてもこれはやはり一つ国鉄労使間の問題としては重要な私は方針だと思いますね。物の考え方の基本をなすものである。こういうものは是非長崎総裁みずからお答えを願いたい。これは権威のためにも私はお願いをしたいと思います。
  55. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 只今菊川委員から述べられました件は、多分に法律解釈の問題になると思います。従いましてやはり公労法の一できました当時からずつと手掛けて参りました吾孫子君にお答えを願つたほうがよろしいかと、正確を期する意味でそのほうをお願いしたいと存じますが如何でございましようか。
  56. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 責任者に私は……。
  57. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私も委員長のおつしやる通り、やはり正確を期するというよりも、これは本当の労働運動の常識だと思うんです。こういう点についてえらいこの法律解釈というよりも常識上の問題だと思います。従つて総裁労働組合ができてから再び国鉄の幹部になられたので、若干その面において労働運動にずれがおありになるのじやないかと思うのでありますが、こんなのは本当に常識問題だと思いますけれども労働組合運動と真剣に取組んで行く場合に、これは法律上の問題というよりも常識上の問題と考えるのでありますけれども、今日は総裁にお聞きする意味において極めて常識上大きな問題についてお尋ねしておりますが、一つ総裁こういうりふうな解釈を御答弁を願いたいと思います。
  58. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 今承わりますと常識問題だとおつしやいますけれども、これはやはり公労法解釈の問題になると思います。これはやはり労働省関係の労政局長がここに見えておられるそうでありますから、労政局長からお答え願つたほうがいいと思います。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 総裁はこういうような解釈を、まあよくお考えになつて、最後の判定を下される場合に、とにかく最終的決定をする場合には、あなたの責任においておやりになつたわけでありますから、これはまあ総裁から御答弁願いたいと思うのでありますが、止むを得ずそういうふうに言われるんだつた吾孫子局長でも結構だと思います。
  60. 榊原亨

    ○榊原亨君 おかしい、これは参考人から意見を今お聞きになつているのでありますから、総裁がお答えになることができなければ、これはどうも私は知りませんとか、わかりませんとかいうことであつて、労政局長に意見を聞けということはこの際問題にならんと思う。お答えになることができなければできないでいいわけで、労政局長に聞くという必要はないと思う。
  61. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 労政局長に聞く必要はない。それじやもう少しわかりやすく総裁に聞いて行きます。
  62. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと待つて下さい。そこでこれはやはり重要な一つの方針なんですからね、お打合せ願つても結構ですし、何でも結構ですが、とにかく何らかの御発言をなさることが私は妥当だろうと思うのです。もう少し、意味がよくわからなければ菊川君が再質問すると、こう言つておられるのですが……。
  63. 榊原亨

    ○榊原亨君 だんだん時間が迫りますから、成るべく議論に亘ることは付いて、端的に御質問なさり、わからんところはわからんとはつきりされて、早くこれをやつて行くように一つお願いしたいと思います。
  64. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 例えば地方本部とか支部とかの役員やら組合員は、本部指令に服する組織上の義務があることくらいは総裁も御承知になつていると思います。若しもそれに服さないということになつたならば統制違反ということになりまして、まあ最悪の場合には除名処分を受けなければならん。仮に除名処分を受けたということになりますと、今まで組合費も納めまして、そうしてその法人がいろいろの財産も相当持つております。それらについての権利を一切喪失してしまうことになるわけです、除名されるということになりますと。従いまして統制には服さなければならん。併しながらその発した指令に対してちよつとひどいことを言つて来たというような場合には、中央委員会とか大会というのがありまして、その際にはこれは代議員、中央委員会と、上に行きまして、お前はひどいことをやつた、これは駄目だぞということでリコールの方法もあるわけであります。こういうような組織になつているわけであります。併しそれが開かれない間は、すべてこの指令が出て来たらこれに従わなければならんことになつているわけです。従つて争議行為というものは組合運動としてやられる。そうして上から指令と言つたらおわかりにくいから、命令が来た、これに服さないということになれば首にされるということになるわけです、組合運動上から……。そういうことになると、これはまあ少々無理だと思いながらもやはりやつて行かなければならん。そうするとその責任ということになつたら、その指令を出した根本が責任をとらなければならん。こういうことになるのは常識だと思うのですが、そういう場合にあなたのほうでこれは十七条違反であつたと断定した、それらの断定は、具体的にはどうだこうだと言つてもお答えにならん。十七条違反というのでは不満だと思います。まあ時間がたちますから次に移りたいと思うのですが、それで十七条違反行為があつたとするならば、早く言うならば共謀、扇動、そそのかし、或いは統制上の権利で以て指令を出したから柴谷君の責任を追及する、それで終らなければならん。本部の役員というのは、まあそれが支部の下部のほうにいつてつたということについて責任を追及されるということは、争議行為としての責任追及の方法では私はないと思う。それは業務上の、今吾孫子さんは具体的な例を挙げられましたけれども、そういう行為があつたとしたら、別途の角度からやられるのが正しいんじやないか、私はあつたかなかつたかは別にこれを調べてみなければなりませんが、別途の方法で処分をしなければならん。この公労法によつて責任を追及するということはあり得ないと思いますが、この点についてはつきりと一つ答弁を願いたいと思います。
  65. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私は菊川君の御意見は菊川君の御意見として拝聴いたしますが、私どもといたしましては、やはりそういう正常の業務を阻害した争議行為というふうに考えて処分した次第であります。
  66. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 非常に総裁は一方的に公労法解釈をしておられるということだけは、これは当委員会としてもこれらの重要な点について非常に独断的と申しますか、と言つては言葉が行過ぎるかも知れませんが、非常に一方的な解釈をしておられるということだけは、今日の参考人で御証言になつたことではつきりして来たと思いますので、この点だけは委員会としても重要な問題だと思います。将来の公労法の取扱、運営上からいつても、十分調査し対策を立てなければならん問題であるということだけ委員長においてもよく一つ御確認を願いたいと思います。  次に一つ角度を変えて、もうあとがありますから、少し二、三点お尋ねして他の委員諸君にお譲りしたいと思いますが、昨年のあの紛争が起る以前にも、鉄道会館の問題、それからその他の今新聞に載つている陸運汚職等の問題、こういう問題、或いは今度は裁定実施されない、而も決算委員会等で調査してみますと、日通或いは交通公社等が国鉄に納付すべき納付金で未払になつている分が交通公社だけでも十億くらいあつて、そのうち不正なものが七億くらいある、幹部の不正が一億くらいあるとか、猪股某に一千万円浮貸をしておるというようなまあ新聞記事や、或いは決算委員会会の調査等でいろいろ報道をされたわけであります。真相については我々も詳しいことは知らんのでありますが、そういうような問題が一方にありながら、今度は裁定実施については原資がないというような態度で臨んで来た、こんなことに対して組合員たる職員にどういう影響を与えたかということは、号取高責任者としての総裁としても十分にお考えにならなければならん問題でなかろうかと私は思います。これらについてその当時あの紛争がすでに激化したということについても非常に悪影響を及ぼしているんじやないかという、こういうふうに憂えるのでありますが、その点について総裁はどういうふうにお考えになつておるか。又瀬谷君からも、これらについては職員の間にも、裁定が一方において実施されていない、ところが国会においていろいろ問題になつておるような事件があるとするならば、そういう金があるならば裁定実施してもよかろうじやないかという意見も相当根深く組合の中には瀰漫しておつたんじやないかと思いますが、その当時の状態を、今それが国を挙げての大たんじやないかと思いますが、その当問題になつておりますので、一つ御証言を願いたいと思います。
  67. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 日通或いは交通公社との関係においてあと払いが滞つたという事実はその通りございます。これは私よく当時のことをつまびらかにいたしませんが、聞くところによりますと、占領治下におきまして、日本交通公社は、従来収入の大宗をなしておりましたところの手数料というものを全然日本国有鉄道からもらえなくなつた、これは占領治下の考え方の一つの政策とでも申しますか、そういうような手数料というようなものは、これはお客さんから取るべきものであつて日本国有鉄道がそういうものを支払う必要はないんだという見解であつたようでございます。従いまして収入の大宗である手数料を全然もらえなくなつたので、ここに従業員の仕事の問題、失業の問題が勃然として湧いて来たように聞いております。何とかしてこの従業員を、而も菊川委員承知のように、交通公社の職員というものは、特殊な観光の仕事或いは外客誘致の仕事というふうなことに従事しておりまするので、これを失うことは大変なことになるというので、いろいろな仕事に手を出しまして、その従業員を何とかして保持して行きたいという考え方であつたように聞いております。ところが遺憾ながらそのやりました仕事がうまく行かない、殆んど大部分は失敗に帰したというようなことでございます。そこでこの失敗をそのままに放置しておきますと、従業員だけの問題でなくて、交通公社自体の存立が危くなるというようなことからいたしまして、いろいろの施策を講じ、手数料もだんだん又逆戻りになつてやれるように変つてつた、その間何とかして遅れておりますものを取り立てたい、元も子もなくしては大変だというのが国鉄の考え方でございまして、いろいろやつたようでございます。私が就任いたしましてからも、その点について厳重な警告を出しまして、これの償還計画を立てさせました結果、たしか去年の十月頃からは元の原契約の通りに復しまして、今日では契約通りに履行をいたしておりまま。  日本通運におきましても、やはり日本通運の解体というようなことがアメリカ占領下において提唱されまして、これが大変なことになるというような関係、それからもう一つは、これはよく皆さん承知だと思いますが、昨今におきましては貨物の運賃というものは、現払でなくて、とかく手形決済というようなことに実情はなつているのでございます。而もその手形決済が、サービスの競争みたいなことになりまして、四十日手形が六十日になり、六十日が九十日になるというようなことで、貨物の面におきましては実は現払がなかなかむずかしいので言います。がこれも日本通運に厳重に話しまして、たしか今日では恐らく九〇%以上契約通り払われているはずでございます。  詳細は若し必要があれば……。
  68. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 長崎総裁、ここは運輸委員会じやないので、そういう内容のことを細かくおつしやる必要はないわけです。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 激化させた、これが罪常な不満をもたらして激化させたのではないかと思うのですが、あなたはどうお考えかという点です。
  70. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) その内容も実は御承知なしにかき立てられるので、非常に迷惑して話をしているのでありますが、現実はそういうことでございますから、私はそんな激化させたとかというようなことはないのじやないかと思つております。
  71. 瀬谷英行

    参考人瀬谷英行君) 国鉄職員の八十年に亘る伝統から、その職員の気風とか傾向というものは、いい悪いは別といたしまして、上司の命令には忠実に従つて行くというような傾向が培われて来ております。いい悪いは別といたしまして、そういう傾向が多分にあるということは否定できないと思います。従いましてこの国鉄従業員が、我々の待遇問題について考える場合に、もうこれ以上財布を逆さにしても出すものはないのだ、この通り全くどうにもならないのだということを理解ができましたならば、それ以上あえて無理によこせとか要求するとか、こういうことはない、こういうふうに私は考えます。併しながら今日におきましては新聞もありラジオもあり、且つ又いろいろな組合の情報活動もありますので、先ほど来集上中闘委員から申上げましたように、職員全般に滲み亘つていることはあるではないか、昨年の年末の場合においても、結局は出せるものがあつたではないか、こういう考え方が出て来るわけでありまして、で一方におきましては汚職とか疑獄とかということが流行している際に、我々だけが少い人間で安い給料で我慢をしなければならないという理窟はないだろう。こういう気持が湧き出て来ることは止むを得ないことだというふうに私も考えております。  そこで結局そういう気持がどういうふうに反映をして来たかと言いますと、私ども委員会なり或いは大会においてもこういうような状態でおとなしくしておつたのでは切りがない、手ぬるくやつてつたのでは駄目ではないか、こういう意見が擡頭して参りました。結局私どもの昨年末以来の行動は、全組合員の総意の裏付のある行動であると、先ほども私も申上げましたように、その通り職員全般の空気というものがこういうことはいかんということになつたわけであります。公労法というものは、一つの競技で例えて見ますと、労使双方が守るべきルールであると思います。ルールというものは双方が守つてこそルールの意味があるのでありまして、片つ方がルールを守らない以上は、そのルールというものは全く宙に浮いたものになつてしまつて、ルールなしの喧嘩になつてしまうということは、これは必然的の結果であると思います。昨年末の結果においては相手方が完全にルールを放棄したではないかというような忿懣と、それまでの国鉄の内情或いは現在の社会的ないろいろな傾向等をまぜ合わして、結局職員の忿懣というものが最後的な行動においては全く一糸乱れない態勢になつて現われたというふうに私は申上げてよいのではないかと思つております。
  72. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に昨年末の仲裁裁定実施に伴う紛争につきましては、専売公社においても或いは電電公社においても、その他の現業官庁におきましても同様の紛争が起り、或いは遵法闘争賜暇闘争等のいわゆる運動が行われたことは、長崎総裁もお認めになることだと思います。で、これらの各公社なり或いは現業官庁の幹部も、国会のそれぞれの委員会へ出まして証言したところによりますると、いずれもその他の公社、現業官庁の最高幹部の責任者諸君が、仲裁裁定が完全に実施されてこそ十七条、十八条は厳粛にやはり適用すべきである。併し仲裁裁定実施されないために起るであろうところの多少のトラブルということについては、やはり大目に見なければならない。これは労働行政を担当する者のやはり現在の情勢下における態度でなければならんということをきつぱりと言い切つておるのであります。専売公社総裁以下各人ともそういう態度で臨んでおつたのでありまして、結果におきましても、やはり他の公社、現業官庁におきましては、昨年の紛争がぴつたりととまつてうまく行つておるのでありますが、ひとり国鉄だけは十八名の犠牲者が出た、こういうことにつきましては、総裁としてはこれはよそとの関連はおれは考える必要はないのだ、おれらだけだということになると、この十七条、十八条の適用についても、あなたがただけはちよつとよそとは外れた適用方法を考えておる。解釈についてもちよつとよそとは違つた解釈をあなたがただけは少くともお持ちになつているのじやないか。現われた現象だけをとらえてみますならば、はつきり言えると思うのであります。これらのよそとの関連というようなものは全然考えないのか、わしらだけの独断の考えでいいんだ、こういうつもりでおやりになつたものか、この点を一つお伺いをしたいと思います。
  73. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) よそのことははつきりはわかりませんが、私の関知しております限りにおきましては、闘争指令の形式或いはその指令の実行の方法とでも申しますか、そういうものも随分違つております。又その指令従つてやられましたことの結果が、非常に私は相違があると思います。そこでそういうような観点から考えますると、誠に遺憾でございますが、私どものところとしてはああいうような処分も止むを得なかつたというように私は考えております。
  74. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、そういつたつておるというのはあなたの解釈ですけれども、我々から見るならば別にそう大して違つておらん。ただ併しやられた機関が、仕事が違うのでありますから、社会的影響その他はこれは違うことは止むを得ないと思うが、規制されておる法律は一緒だと思う。だけれども現われた結果だけで以て違つた処分をされるということについては、これは当委員会としては統一あるやつぱり運用をされなければならんというので、ここにも問題点が一つある。併しこれは意見の相違でありますから、今日は質問だけにとめておきたいと思いますが、ここは重要な点だと思います。  次に仲裁委員会がこの公労法の第五条によつて組合のために正当な活動をしたものとして、この十八名のうちの何名かについて全部或いは又は一部について馘首をやつたことはこれは不利益な取扱いだとして取消を命じた場合、取消を仮に命じたというような場合も起り得ると思うのですが、組合のほうからまだそこに提訴されていないその他のことはありますけれども、そうした場合にはあなたのほうはどういうふうな措置をするか、当然取消されるものだと思いますが、従う用意はございますか。
  75. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 菊川さんの只今の御質問は、そういう事態が起つたならばという前提と申しますか仮定に立つての御質問だと思います。それに対して私はお答えできません。
  76. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 併し第三十六条には「仲裁委員会労働組合法第七条違反行為があると決定したときは、その公共企業体等に対しその行為の取消を指示し又は命ずることができる。」と、こういう仲裁委員会の指示というものがあるわけです。その指示が出たときには仮定の問題だと、指示が出るか出んかわからんということは、これはもう出ることはあり得ると思うのですが、そういうときには仮定の問題として言えぬ、出てからのことだというのか、こういう場合には勿論問題なくこの点には服するとか…、この点だけははつきりしておると思うのです。
  77. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  79. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 公労法七条とか、五条は削除されているらしいのですが、従つて正当な……、今の意見は大分十七条と十八条の解釈が違つてつたのですが、正当な組合活動であつた先ほども申上げましたように上から指令が来たのだ、それに従つてただ指令を取次いだだけだ、中央本部として取次いだだけだというなら、正当な組合活動だとしてこれは不利益な取扱いを受ける必要はないというような決定もこれは、当然あり得るわけです。その点について三十六条の決定があつたときにでも、仮定の問題だといつてあなたのほうは全然それに従わないか、或いは従うか従わないか、そのときになつてみなければわからん、こういう態度で臨むのか、これははつきりしていると思う。
  80. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 今のお話争議権がある場合のことを言つておられるのじやないかと思います。無論不当労働行為その他がありまして、私どものところに不当労働行為があるということになりますれば、これは取消、又は命令が来るだろうと思います。その場合にその命令に抗するということは法律の建前から私はできないと思います。
  81. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは最後に、まあ私ばかり聞いておつてもいかんので、又最近馘首撤回の問題で以て紛争を起しているけれども一つここで第一条の精神に鑑みまして、労使双方が友好的に調整するために、まあ公労法にいうところの仲裁委員会ではなしに、今の参考人の意見を聞きましても、当局側の参考人はこれは十七条違反として処分する、まあ価値がある、価値があると言つては語弊があるけれども、まあ処分しなければならんと言うし、一方受けたほうはそんな処分を受けるおれは覚えはない、これはいろいろ憲法論からずつと発展して行つて、又、常識上から考えても、世界の慣行から考えても、これは余り一方的過ぎるといつて不満を持つているわけです。そこで又紛争が、新たな紛争が起きているわけです。従いましてこれは公労法仲裁委員会というのではなしに、こういつた場合に、亡くなられました末弘博士がよく言われたのでありますが、最後にはやはり新たに一つ仲裁ということを誰か第三者、これは意見が対立ばかりしていて、それならばあなたのほうは不満があれば裁判所に行けというのがあなたがたの今の態度です。併しそれでは先ほど言いましたように昭電事件は五年もかかつている、裁判所へ行つたら五年ぐらい引張られてしまう。とてもそれでは、労働法というのは、末弘さんがよく言われましたが、労働問題というのは少々両方に無理があつても早く解決してしまつて、そして産業平和を維持するようにしなければならん。そのために場合によつては別な仲裁人という名前にしてもいいと思うのですが、それもこれは一方的でもいけないと思うから、団体交渉を開いて、そうしてそれではこの人ならば信頼できる、この人が白と出そうが黒と出そうが、十八人全部これは取消せという結論を出すとも、又十八人全部これは呑んでしまえという結論を出そうとも、この人ならば一つ組合も任そう、あなた方も任そうというような一つの構想を、一遍仲裁人くらいを設けて、そしてこの人たちを裁いてもらつたほうがいいのじやないか。今のままでは意見が対立ばかりして、それではあなたのほうは裁判へ行け、それでは行こうと言つて組合諸君もそれでは止むを得ず乗り出すということでは、とても長くかかつて紛争は長引くばかりである。従つてそういうことも一つ今のこれは法律にはございませんが、併し一条の精神からいつて、そういうことをやつてもあえて私はよその公社の問題等から考えても、又政府もそんなことについてやるなと言つても来ないと思うが、そういうようにしてはつきりした今の紛争解決の途を見出す。そうしないと意見の対立のままで行つて、裁判所へ行けというので行つたんでは長く紛争は続きますので、そういう新たな一つの平和的解決の転回方法というものを考えてみる必要があるのではないか、かように考えるのでありますがこれらについて総裁はどうお考えになつておりますか。又矢上君もそういうような構想ですが、これは一つの思い付きですが、これは私はそういうふうにでもして早く解決しなければいけないと思うが、これらについて御意見があつたら、意見はない、又相談してでないと返答できないというのか、それらをお答え願いたい。
  82. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 只今の御意見とくと私は考えてみたいと思います。お話通り紛争と申しますか、もやもやした空気というようなものは成るべく早い時期に私は一掃するのがこれは結構なことだと思いますので、十分私は研究して考えてみたいと思います。
  83. 堀眞琴

    堀眞琴君 菊川君の質問に若干関連するのでございますが、只今手許解雇理由というのが配布されておるのでございますが、これを見ますると大体三通りになつておるようでございますが、解雇理由は、本部役員に対しましては、お前たち指令に関して責任者であるからお前たち解雇する、本部役員に対してはそのような理由になつております。それから新潟東京とか広島とか大阪とかいういわゆる地方に対しましては、ピケットラインを張つたとか、その他の争議行為に関する指令というものはこれらの各機関がこれを発したものである、従つてその責任者を首切るのだ、こういうことになつております。  それから新橋の木田君などに対する解雇理由書の中には、お前たちはこうした中において他の職員に積極的に働きかけ云々と、それで解雇理由になつている。ところが先ほど菊川君が申しましたように労働組合指令というものは中闘の責任者がこれを発して、そして各地方にそれが下され、更に地方から各支部或いはその他の職場のほうへ下されて行くということになつておりまして、そうしますと実際の指令を発したものは結局国鉄労働組合の中間本部であると、その責任者である委員長である、こういうことになつて来るのではないかと思う。ところがこれを見まするというと、各地本のそれぞれの責任者がその責任において指令を発した、こういう工合になつておるのでありますが、この点に関して総裁はどのようにお考えになつていられるか。この解雇理由通りであるのか、それとも菊川君が先に申上げたような闘争本部において指令した、その指令従つて各地本なり或いはその他の支部等が動いた、このように認められるのか、その点をお尋ねしたい。
  84. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) お答えいたします。解雇理由にある通りに私は考えております。
  85. 堀眞琴

    堀眞琴君 今の点に関しまして国鉄の中闘としての矢上君の意見をお尋ねしたいと思います。
  86. 矢上正直

    参考人矢上正直君) 私は先ほども申上げましたけれども、とにかく組織責任の追及を、解雇理由に明らかにありますように、本部の四名に対しても組合、各機関の発した指令、こういうことになつております。中央闘争委員会責任者処分されて、而も各機関こういうことになりますと、機関というのは通常の場合は大概中央委員会ですけれども、通常の場合には本部地方本部、こういうものしかありません。従つて柴谷委員長本部の発した中間指令責任を負い、更に新潟東京その他の地方本部が発した指令にも責任を負わしめられておる。こういうふうに解雇理由ではなつておるはずです。で今度は下部において若干の行過ぎがあつたものを何々という以外の場合、例えば東京における地本部委員長大阪における委員長、副委員長、或いは新潟における剛委員長書記長、或いは広島における委員長、副委員長企画部長、こういうものが全部又下部機関指令を発した責任、こういう同じ文章に理由がなつておるわけです。こういうことは私ども本部に或いは地本部に三重の責任を負わしめて解雇しておる、こういうことを言い、主張し、そうして更に先ほども申上げましたように、責任者という場合に、とにかく本部々々で責任がとられる。更に又十名なら十名の闘争委員、の中で、組合の規約から申しますると必ずしも委員長や書紀長らが責任を重く背負つており発言権が大きい、こういうことでなく、やはり十名のうちの一名相当の力しかない、こういう関係に規約上あるわけであります。こういう点についてやはり責任の追及は狙いうち的であり、而も今申しましたように、本部に各機関が発した指令並びに行動に対する責任を負わしめながら、且つ下部ににおいても同じ文章において組織上の責任者だと、こういうことを言つておる。組織を認めるならば、やはり組織としては一番権威のある中央闘争委員会組織責任を追及するのが当然である。私どもはこういうふうに考えております。
  87. 寺本廣作

    ○寺本広作君 今丁度質問されていることは、中央から出した指令に従つた下部組織責任者責任を追及するということは不当じやないかという点に質問があるようなんであります。これに関連して国鉄労組の内部の規約なり扱いなりがとうなつておるかお尋ねしてみたいと、こう思うのです。矢上さんに一つ。  具体問題としてお話しすれば、あなたの号にいろいろ御意見があるだろうと思います。この間の休暇闘争指令が合法であつたとか違法であつたとかいうようなことについては、組合としても国鉄当事者としてもいろいろ意見があるだろうと思いますから、その問題を離れて問題を抽象化してお尋ねしてみたいと思います。  本部から争議の際に違法な指令が出た、公労法の真正面の規定からいつて適法でない、合法でない、違法な指令本部から出たという場合に、地本なりその下部組織はその違法な指令に従う義務があるのかないのか、それに対しては地本なり下部組織の独自の判断で、違法な指令の場合には従われぬかどうか、その点一つお伺いしておきたい。
  88. 矢上正直

    参考人矢上正直君) まあ例の問題ですから、違法な指令があつた場合ということで申上げますが、御存じのように特に昨年の年末の闘争の方針というものは、第三十三回の飛弾の高山における中央委員会決定をしましたこの決定というものが非常に抽象的な決定でありまして、実力を以て闘う、こういうことの決定であります。その決定の方針の中である、枠内である、こういう判断の下に中央闘争委員会指令をしたわけです。これが仮に違法でありましても、違法な指令は受付けない、こういう規約上の規定は全然ないわけです。そこで私はもう一つ申上げたいのは、三十三回の中央委員会決定した方針に基いて中央闘争委員会指令をした、その内容についてはこれは組合運動として行過ぎではなかつた、規約上当然の指令として来た。こういうことが次の中央、委員会で確認をされて、処分をされた者は、組合指令従つて処分をされたものである、こういうことの取扱いをする、こういうふうにあとで確認をされておりますから、たとえ違法な指令であつてもこれは従うべき義務を持つておる。而も今回の場合にはなおそれが後日におきまして、年末の闘争に対する、闘争の具体的の行動は行き過ぎであつた、こういうような決議もされておりませんし、全然認められておる。こういうふうになつておるわけです。
  89. 堀眞琴

    堀眞琴君 先ほど総裁のお答えでは、この解雇理由書に書いてある通りだ、こういうお話でありますが、併し只今矢上闘争委員が申しておりまするように、闘争指令というものは本部の中間委員会においてこれを検討してそし出すので、それで各地本にそれが流れて、地本からそれぞれ支部なりその他に流れて行く、こういう形になつておるわけです。若しそうではなくて、東京なら東京新潟なら新潟の地本が勝手に闘争指令を出して、そしてそれぞれの争議行為をやつたと、こうするならば、これは恐らくその地本が本部に対して責任を追及されることになるだろうと思います。それが本当の組合のあり方だと思う。あなたのお話で伺いますと、どうやらそうではなくて、各地本がそれぞれの機関においてこれを決定してストをやらしたのだ、ピケツトラインを張らしたのだ、こういう解釈のようでありますが、これは意見として申上げるのではなくして、もう一度御一考を煩わしたいと思います。国鉄労働組合としては、中間においてこれを決定してやらしておるであつて、決して東京新潟が勝手にこれをやつたことはないということ。  それからもう一つお尋ねしたいのは、東京とか新潟とか大阪とか広島とかいう組合は、御承知のように強い組合だと言われております。そういう組合のほうに大体解雇者が集中されており、ほかの地方本部には殆んどこれが行つていないというような事実も、私は何かそこに政治的な含みがあるのじやないかという疑念を抱かされる、その点について御説明を願いたい。
  90. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 先ほど来私繰返して申上げておるように、決して私は事を好んで政治的にどうこうというような考え方で解雇処分に臨んだわけではございません。地方々々の事情なり結果なり、或いは指令なりの出し方、指令の実行方法、或いはその結果等を見まして解雇処分をいたしたのでございます。
  91. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 関連して。今の寺本君の質問に対して矢上君の答弁で、ちよつと明確でなかつた点があるので、私も経験者としてもう一遍重ねてお尋ねしたいと思いますが、違法な指令に対しましては、これは私は下部組織として堂々とこれについては反駁して来いということは、我々は言つてつたが、今回は違法とは考えなかつた、今度の指令については……。例えば機関車を転覆せい、或いは線路を外してしまえというような指令が出た場合は、堂々とこんなものは駄目だと言つても、これは処分の対象にならん、或いは一つ局長をぶん殴つて袋叩きにしてしまえ、こういう指令は違法であるというので返上をしたつて何ら私は差支えないのだから、そういうときには常々と言つて来いということを我々は育つてつたので、現在においてもそういうふうな違法な指令に対しては私は反駁できる、こういう自由があると、こう考えているので、今回のことは違法でない、違法と考えてない。もう大丈夫だろう、本部責任をとると言つて来たので大丈夫だと、こういうことでやつたと、私はこういうふうに思つておりますから、その点について……。
  92. 寺本廣作

    ○寺本広作君 実は先ほど私がお尋ねしたことは矢上さんはお答えしておらん。私は違法な指令に従うか従わんかということは、下部で判断するのかどうか、規約上判断する余地があるかどうかということをお尋ねした。矢上さんは高山の大会で実力を以て闘うということがきまつてつたと、それで指令が来た。だから高山の決定の範囲だと思つてその指令に従つたことは事後承認を経ている。従つて自分たちは違法でなかつたと思つたという具体問題でお答えになつた。私は具体問題を離れて抽象的に、その国鉄の規約の上、それから今までの闘争の実際の慣例からいつて、違法な指令が出た場合にそれに従わなければならんのかどうか。自分で独自の判断をするのかどうかということを伺つたけれども、それにはお答えがなく、今度の具体問題でお答えがあつた。違法であるかどうかということは、これは事前に何か決定があつたかどうか、事後で何か承認があつたかどうかというようなことできめるのでなくて、違法であつたかどうかということは客観的にきまる法律判断です。それは今菊川さんが言われた通りだとすれば、その点は非常に明らかです。本部から指令が出ても、客観的にそれが違法であるという法律判断はやはり末端ですべきものだという菊川さんの言われる通りであれば、そういう解釈矢上さんからでなく、菊川さんから出ていれば、私はその通りであれば了承いたします。
  93. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それははつきりしているので、これは私は経験者として、大会でちやんとしてあるので、これは今でも運用をされていると思う。この点瀬谷君は下部指令を受ける立場にあるので、例えば局長を袋叩きにしてしまえとかいうような指令は返上してしまえ、そう言う自由はあなたはお持ちになつていると思う。
  94. 寺本廣作

    ○寺本広作君 違法であるかどうかについて私は具体問題に触れたくないと思つてつたのですが、今菊川さんから、列車を顛覆しろとか、それから局長を殴れとかいう刑法上の違法の問題だけが持ち出されて、問題が非常に不在んで来たと思うのです。公労法で禁止されている罷業、怠業というようなことも違法の範囲に入るのではないが、こう思いますので、問題が非常に不在んでいると思いますので、その点だけ補足さして頂きたい。
  95. 瀬谷英行

    参考人瀬谷英行君) 私は東京地方本部として本部指令を受けた立場にございました。そこで今回の指令について果して違法であつたかどうかというようなことが問題になつておるようでありますけれども、問題はこの違法であるかどうかの認定の問題だと思います。私どもは、今菊川さんからお話がありましたけれども、こういう問題はやはり常識で判断するほかにないと思います。我々の規約には、違法な指令が出た場合はどうしろこうしろ、そういうような一つの仮定の問題までは我々の規約には出ておりません。ただ指令は、これは忠実に守らなければならぬということになつておるだけであります。従つて具体的な問題として、その指令が違法であるかどうかというようなことは、これは客観的に判断をする以外にないと思います。現在の問題といたしましても、保安隊が軍隊であるかどうかという問題にしても、やはりかなり見解の相違が出て来ておるような問題でありまして、公労法解釈につきましても、私どものと当局側との間に解釈上の相違が出て来るというのは、これは止むを得ないと思います。この相違が出て来た場合にどちらが正しいかという判断を下す機関としては、現在の公労法としては仲裁委員会しかないと思つております。その仲裁委員会決定をしたという判断に我々は従つた当局は蹴つたというところにこの問題の発端があつたというふうに考えております。私どもは飽くまで今回の本部から出されたところの指令は、これは違法ではない。こういうふうな解釈を下したわけであります。  労働組合というものは有機的な連帯組織でありまして、組合本部或いは地方本部との間に観念の上に大きな相違があるわけではございませんから、当然こういう問題は別に問題なく我々の間においては処理をされて来たというのが今までの慣例であります。
  96. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今の問題は私速記録をよく読んでみなければわかりませんけれども、非常に微妙な問題でして、でき得れば後日若し速記録を見まして問題があればはつきりしておきたいと思います。  僕は委員長として、ここで将来問題が残りますので、所信を表明さして頂きたいと思いますことは、只今の健全なる労働組合運動というものは、飽くまでも基本的な活動精神というものは、合法の枠内でやるということが基本的な精神なんです。従つてそういう精神の下で組まれる闘争方針、闘争の具体的な途というものは、これは飽くまで私は下部機関組織のルールに従つて服して行くべきものである。そういうやはり矢上君の言われた、ちよつと極端な表現をされたけれども、こういうふうに理解してよいのではないか、そういうふうに私は考える。この点私はあとで問題になるといけませんので申上げておきます。
  97. 田畑金光

    ○田畑金光君 総裁一つお尋ねしたいと思うのですが、先ほど瀬谷君の答弁の中に、昨年末の闘争においてルールを守らなかつたということが一つ、第二は、国鉄の経理内容において支払う能力があるかないかという問題に関連して、国鉄を中心とする社会的な指弾を受けおるいろいろの汚職的な問題が昨年の闘争の中には非常に影響したというような趣旨の発言があつたわけであります。先ほどのルールという問題、即ち裁定を常に今日まで蹂躙して来た、このことについては公労法の不備について総裁も法の改正について希望を持つておる。こういうような御趣旨の発言がありましたので、この点は了解いたしましたが、第二の問題が、国鉄の経営の問題或いは経理の問題、こういうような問題について世上とかくの疑惑の眼を持つて見られておる。殊に過去の十六国会における国鉄会館問題を中心とした或いは運輸委員会とか或いは法務委員会、こういうような委員会における論議を中心として、今非常な名前を売り出した、新聞の伝えるところによると有田二郎代議士のごときは更にこれのもみ消し事件で相当額の金をもらつたのだという収賄の追起訴をされるというような新聞報道が伝わつておるわけであります。  そこで私のお尋ねしたいのは、公労法の第一条の目的によりますと、「国家の経済と国民福祉に対する公共企業体及び国の経営する企業の重要性にかんがみ、」云々、こういうような公労法の大きな目的が示されておりまするが、少くとも労働運動というものの一つの道義或いは倫理というものが強く貫いております。同時に又労使関係の中にも道義とか倫理とかいうものは強く貫いておると考えております。一体昨年の十六国会から今日に至るまで現に日本交通公社の会長が逮捕されておる。国鉄弘済会の理事長が逮捕されておる。交通協力会とかいう機関の会長もこれ又逮捕されておることが新聞に出ておりまするが、誠に国鉄を中心とする今日の経営というものは国民に疑惑を持たしめておるのが真相であります。こういうことを見たときに、先ほど瀬谷君の言葉にあります通り、こういうことが昨年の年末闘争にも精神的に相当な影響があつた。一体総裁としては、それが国鉄の真相であるかどうかということは、今後の司直の手に待たねばならんが、これほど国民に迷惑を及ぼし、国民道徳に非常なる悪影響をもたらしておるこの問題について一体どうお考えになつておるのか、これが国鉄の労働関係に対して何ら影響もないという信念を持つておられるのか、先ず第一点この点について総裁の所信を承わりたいと思います。
  98. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 只今の御質問に対してお答え申上げます。  昨年の夏以来いろいろな面から国会内にありましても、或いは大分新聞雑誌等においても、いろいろな批判が国有鉄道をめぐりまして起されましたことは、私は極めて遺憾に存じます。併しながらその審査の結果、今回起つておりまする問題につきましては、これは仰せの通り司直の手によつて判明いたすと思いますが、それ以外の問題についてお答えできますれば、全くこれは我々の或る意味では手抜かり、手落ちということがあつたことは御指摘の通りでございます。従いまして当院の決算委員会或いは衆議院の決算委員会というようなところか害いろいろ意見が出ておりますので、それらの御意見に従いまして、私どもの手抜かりであつた点については改善を加えて参つております。早速民衆駅等に関する運営委員会を作りまして、この方面のエキスパートを置きまして、いろいろやつております。又大阪東京等は非常に国鉄はたくさんの財産を他人に貸しておりますので、それの評価委員会というものも作りまして、民間の専門家を依頼してやつて行くつもりであります。  その他これを申しますと、要するに非常に戦争中、戦後を通じまして鉄道が荒廃したので、御覧の通りローカル線等におきましてはまだ非常なサービスが悪い。そのサービスの改善に専念しておつた関係もあり、そういう財産を他人に使わせるについては手が抜けておつたということは事実でございます。これを漸次改善いたしまして、一日も早くその信任を取返して、又国鉄組合諸君にも十分にこれをわかつて順いて、そして協力の態勢に持つて行きたいというように私は考えております。
  99. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は先ほど運輸委員会並びに法務委員会発言いたしましたが、法務委員会は取消して、決算委員会つたと、こう思いますので、その点訂正しておきますが、只今総裁の答弁を承わりますと、総裁も今日までの国鉄を中心とする諸般の経営について、非は非と認めて、これが改善策を講じておる。更に国鉄労働組合とも相提携して、国鉄全体の向上を図つて行こうとする御説明がありましたので、私もこの点は了承いたします。  そこで私総裁にこの際もう一歩お尋ねいたしたいことは、御承知通り国鉄を中心とした今日までの経営とか、或いは国鉄の外郭団体の内容というものが、非常に国民に迷惑をかけておる。或いは道義の点からいつても非常に国民道徳の点からマイナス面を残して来ておる、こういうようなことが、やはり国鉄労使関係における昨年末における大きな一つ紛争の原因になつたということは、これは総裁自身もお認めになるだろうと私は考えておるわけであります。率直に申しますならば、総裁自身もこれは責任を私はとるべき問題じやなかろうかとも考えておるわけであります。国鉄会館の社長をやつておられた加賀山さんが辞退された、これは形式的に辞任されたのか、或いは合日なお蔭において影響力と指導力を持つておられるのか、その辺は我々つまびらかにしておりませが、とにかく加賀山氏が責任をとつたということが、やはり国鉄会難問題を中心とする国鉄全体にこれは関連する問題だと考えております。そこで私は総裁自身も先ほど発言もありましたように、国鉄の今日までの経営についていろいろ自己反省される点がありますならば、同様に私はそういうことが昨年末の組合運動に対する大きな影響があつたとするならば、会社当局としても国鉄労組に対する態度においても十分に自己反省さるべき点があつても然るべきじやないか。殊に私は先ほど来問題になつておりました公労法の十七条、十八条の運用の問題、或いは国有鉄道法三十一条に基く運用の問題、こういうようなことを総合的に判断したとき、私は国鉄総裁としていま一歩国鉄全体の視野から只今起きておる国鉄労働組合との紛争については善処をされて然るべきであると考えまするが、この点について再度総裁の所信を承わつておきたいと思います。
  100. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 再々申上げまするように、私としましては労働組合との間の関係を円満にいたしまして、でき得るだけ一歩でも二歩でも前進した方向に行きたい、そうして協力的な方向に向つて行く。同時に国鉄の経営の成果と申しますか、非常に遅々たるものでございますけれども、成るべく早い時期に智さんから非常に喜ばれるよ、うな国鉄にしたいという念願で一ぱいでございます。
  101. 赤松常子

    赤松常子君 最後に一つ、ちよつと時間が迫つておりますので……、私先ほど瀬谷さんの御説明を伺いましてちよつと驚いたのでございますが、遵法闘争をなさいまして、その内容荷物の愛護運動という姿で現われ、そういうことをなさつて荷物を傷付けないように守つておいでになつたということを伺つて、その半面普段は今お話のように荷物の上を歩いて、又天井すれずれに積み上げてあるものですから、従業員が非常に御苦労なすつていらつしやるということを伺つて、私案は驚いたのでございますが、私ども国民立場から言うならば、荷物を、貨物を大事に送つて頂く、扱つて頂くということこそが念願なんでございますのに、普段はそれを行われなかつたということの反証になるように思うのでございます。遵法闘争を行いなさらないときは、いつも荷物がそういうふうに粗末に扱われておるのかということになるわけでございまして、非常に私そこに疑問を感ずるのでございまして、国鉄当局からそういう点をはつきりお伺いしたいと思うのでございます。遵法闘争しなければ、普段は常にめちやくちやに扱われているか、国民の大事な財貨がそういう扱われ方をしてそれでよろしいのでございましようかということをお伺いします。
  102. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 先ほども申上げましたように荷物につきましてもやはり時期的ないろいろな繁閑がございます。非常に繁忙なときには瀬谷君が申上げたような事態があろうかとも存じますが、決して私ども荷物を粗末には扱つておるつもりはございません。又そういうために日本の大事な資材資源というものを愛護して行く、守つて行く、それを完全に輸送するということは我々の職責でございますので、でき得る限りその方向に持つて行きたいということを先ほど来申上げておるわけであります。どうも御覧の通り旅客列車でございまして、地方等へ参りますと非常に悪い車を使つて、これで人間を乗せるのかというくらいひどい車もございますが、これらも漸次改定して参りたい。ここ二、三年の間には成るほど少しは変つたなと言われるようにしたいと考えております。
  103. 阿具根登

    ○阿具根登君 少し時間もたつたようですから、一、二具体的な例でお聞きしたいと思うのですが、ここに資料をもらつております。全部読んでおりませんが、例えば新潟の問題を考えてみますと、これは総裁にお尋ねいたしますが、相田君とか大滝君ですか、この両氏が理由になつている一の問題につきましては、十七条の一のどれに該当いたしますか、お尋ねいたしたいと思います。扇動したのかあおつたのか、その点を一つお聞きしたいと思います。  それから組合側にお尋ねします。この二の項に車掌の乗務を阻止した、又或いは列車運転を中止するに至らしめた事実として、線路上に多数の組合員が集団して遮断した、こういうことを言われておりますが、そういう事実がありますかどうか、組合ではどういうようにこれは考えておられるか、これを両者にお伺いいたします。
  104. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) お答え申上げます。私どもの見解といたしましては、相田君は組織上の責任者でございます。大滝君は組織上並びに正常な業務運営を阻害する事実を発生さしたという両方でございます。
  105. 矢上正直

    参考人矢上正直君) 私はもう少し正確にお答えをいたしたいと思います。実はあつたかなかつたかと言えば、まああつたというお答えのほうが正確なんです。ところがこの間にはいろいろな事情がございました。というのは、実は列車が三本ほど関係をしておりますが、朝の九時頃に発電をするこれは磐越線の列車なんです。これは大体普段は車掌が乗つております。乗つておりますが、車掌省略ができる区間に国鉄では設定されておるわけです。ところが現在ではその貨物車に封印をしないでそうして途中で荷物を下す、こういうような編成になつて列車が運行されておるために、現在では常に車掌を責任を持たしめるために乗せておる。ところがたまたま三割休暇のときに人間が足らないということで当局側は車に車掌を乗せないで、封印をしないで、どこで泥棒が入るか或いはどういう荷物が下されるかわからないようなことの起るような状態で車掌を乗せないで発車をさせようとしたわけです。そこで組合側としては、そいつはいけないということで、たまたまおりましたピケ隊が線路の中に坐り込んでしまつた、こういうことになつておるわけです。  それからもう一つ十三時頃に発車をする汽車が二つ同じ荷物列車にこういうことが起つております。あとの三本の問題はどういうことかと申上げますと、これは列車に運転の車掌を乗せないで出発をさせる、こういうことをやろうとした。運転の車掌は列車の防護、運転その他あらゆる任務があるわけですから、乗るようになつております。ところがこれを乗せないで運転車掌なしで発車をせしめようとしたというのがあとの三本であります。この三つの列車の前に立ち塞がつて出発を妨害する、こういう事実が発生をしたわけです。ここでこれは事実が発生したということだけではなく、これは当然中開指令には線路の中に入れとは書いてございませんし、そういう連絡が直ちに当局のほうに、新潟の局から本庁に連絡があつたわけです。ところが本庁としてはそういうことでは困るということで私のほうに申入れがありまして、その申入れに対して組合側も、まあそういうことまでは指令をしてないんだからということで、私のほうは、新潟地方本部を通じてそれを停止さしたわけてす。その停止させるときに新潟の地方の本部の相田君或いは大滝君は現地に行つて、非常に怒つた組合員の前で、こうでもしなければめちやくちやな列車を発車させるではないかということを言つて逆に暴行を加えられそうになるような形で、相田君、大滝君は坐り込をみをしておる者を解散をさしたわけです。その手配をやつて、そういうことの起らないようにということを確認をしてから、そうして本庁とそれから組合との間に、この問題は当局の申入れによつて本部が処置をしたんだ、原状に回復をしたから、この問題について後日にいろいろな処分或いは責任の追求、こういうことはしない、こういうことを約束しようじやないか、こういうことも当局から申入れがあつた際にも組合側が確認をし、或いはその後においてもいろいろな話合いをこの問題についてはしておるわけですから、ですから単に列車の前に立ち塞がつた、或いは車掌を乗せないとか乗せるとか、こういうようなことをやつた、こういう事実だけじやなく、事実は動いておるのですから、動く中で本部が如何に処置をしたが、責任を持つて処置をしたか、こういうこと、或いはその処置をする条件といいますか、非常に悪い表現ですが、そういうことをする本部の努力、統制に対して当局は今後の処置の問題について責任を追及しない、こういうことが中央闘争委員会の組井君とそれから本庁の労働課の補佐の山口さんとの間になされておるわけであります。こういう事情であります。
  106. 阿具根登

    ○阿具根登君 意外なことをお聞きしたように感ずるのですが、先ず総裁は、新潟鉄道管理局の一、二項につきましては、はつきりと国鉄組合機関指令によるものでありますと認めておられるわけですね。一、二項については機関指令によつてつたのである、そうすれば先ほど菊川委員の質問のように、上級機関指令によつてつたものであるならば、下級のこの人たらを処罰するという理由はないようになつて来ると私は思う。はつきりとここで認めておられる。それを教唆、扇動ということを御返事になつたと思うのですけれども、非常に当つておらない。  それから只今組合の方からお聞きいたしますと、車掌を乗せないで発車をされるという現実があつた。これは正常な運転でありますか、正常なる運営であるか、この点をお聞きいたします。正、常な運営でなかつたために首を切るということを言われる総裁が、車掌を乗せなくて、それが正常な運営でなかつたらば、発車するということが許されるかどうか、ちよつとお尋ねしたいのですが…。
  107. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) お答え申上げます。車掌の乗務省略ということは運転規程の中にございます。従いましてこれは違法でも何でもございません。なお先ほど矢上君からいろいろ申上げたように思いますが、私はここで論争するつもりはございませんが、私どもはそういう取引めいたことをやつた覚えはございません。
  108. 井上清一

    井上清一君 ちよつと長崎さんに伺いたいと思いますが、本日の委員会におきましていろいろ問題になつおりまするのは、昨年の暮における国鉄労働組合闘争国鉄の正常な運営を阻害するというようなことに関連いたしまして、当局とされまして公労法第十七条並びに十八条の違反であるというような見解で以て今度は処置をされた。先ほど菊川委員の御質問に対しまして国鉄総裁の御回答は、菊川委員が若し労使双方とも納得する人が間に入つて、そうしてこの問題に対して何か裁断を下した場合に、国鉄総裁もこれに従う意思があるかどうかというような御質問があつて、そのときの国鉄総裁のお答えが、これは将来の立法論として或いは研究したいというようなことで御返事になつたのか、或いは又現実のこの問題として、そうした場合に一つ十分考慮するというふうなふうにおつしやつたのか、私どうもその点がはつきりしなかつたので、一つもう一遍承わりたいと思うのです。私は現在の公労法の建前から行つて、若しそうした第三者が入つて調停をいたしまして、その裁断に従うというようなことが現在の公労法からいつておかしいのじやないか、将来の立法論としては別ですけれども、そうした点について、もつとはつきりした総裁の御意見を私は伺つておきたい。
  109. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) お答え申上げます。私は将来の問題としてそういうようなことも考えてみたいものだと、何とかして……、先ほどから繰返し繰返し申上げますように、一歩でも協力の方向に行きたいという念願で一ぱいでございますから、そういうことも考えて……、現在はすでに組合側におきまして法廷にこれを持出しておるのでございます。
  110. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこが違うので、勿論これは仮定の問題であるかも知れませんけれども、今こういうふうに又馘首反対の紛争が起きている。併しそれではだんだん雪だるまのように紛争は長く続くのだ。だから早く解決をするような方法を講じなければならないのじやないか。その一つの構想としてこういう行き方もある、特に亡くなられた末弘博士はよくそういう案をお出しになつた、で今まで解決して来た。だから長崎総裁はそういうふうなことについて考えるつもりはないか、こういうふうにお尋ねいたしましたところ、それはとくと一つ考えてみたい、こういうお話つた。で、それは公労法違反になるかどうかというような、今の建前からおかしいじやないかという井上君の笠間に対して、長崎総裁はちよつと逃げを張られたようでありますが、この公労法解釈は、非常に余裕を持たしておる、ということは、先ほども申上げましたように電電公社或いは専売公社等の幹部が国会においても堂々とそういう争議行為裁定実施と、これは二つの柱で、切離すことはできないものだ、従つて一方で十分その柱が打ち立てられない場合にはそれは又幅を持つた解釈をすべきだということであるのに、又、一条には友好的に関係を調整するのだということだし、一旦白紙に返えされて、一方組合が裁判所に訴えているやつを取下げる、或いは仮にこの人なら一つ任そうというふうに話がついたとするならば、告訴をしておつたやつを取下げる。それからあなたのほうも全部取消すという結論が出たら、それに従つてつて行くという方法もあるのじやないかということを私は申上げた。そうしたらとくと考慮してみると言う。これは公労法違反にならないと思うのですが、重ねてはつきりお伺いしておきたい。
  111. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 成るほど私はとくと考えてみるということは申上げました。併しながら今日の段階におきましては、組合側はすでにそれを法廷に持出しております。それがどういうふうになるかということも考えなければなりませんので、「とくと」と申上げましたことは、将来の問題としては考えてみようというわけであります。
  112. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほどの質問の続きですが、公労法との関係もございますので、私たちは真剣に御質問を申上げておるつもりでございます。ところが聞きますと、どちらかが故意に嘘を教えておるような感じがするわけです。例えば正常運転の場合におきましても、それでは組合の方にお尋ねいたしますが、通常それには車掌の方が乗つておられていたのか、或いは乗つておられなかつたのか、正常という言葉であるなら、は通常乗つておる、その場合に乗つておられないならば、これは正常と私は言えないのではないかと思う。ところがああいう御回答があつた。それから最後の問題でありますが、誰ですか、細井さんですか、細井さんと山田さんという方は、これは組合、会社、双方のどういう地位にある方であるか、又総裁からお開きいたしますと、そういうやみ取引はいたしません、こういうようなことを言われましたが、今まで組合運動のやり方を見ておりますと、殆んど最終に至りましては、お互いに双方で今までのことは言わずに、これで解決いたしましよう、或いはお互いにその責任をとらずに、そうしてこういう解決で明朗に行きましよう、こういうことが殆んどきまつておる。やみ取引でも何でもないと私は思う。それで責任のある人と責任のある人とが話したのであるか、或いは総裁の言われるごとくに、全然そういうことがないのを架空で組合は私たちにおつしやつておるのか、はつきりお聞きいたしたいと思う。私たちは非常な関心を持つてこの問題をお聞きしておるのでありますから、片一方では名前まで挙げて、そうしてこの人とこの人とはこの問題を解決するためには一切責任を問いませんと言つて約束してあると言い、片一方ではそういうやみ取引はやつておらない、こういうことを言われたのでは非常に困る、一つはつきりと仰せ願いたいと思います。
  113. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連いたしますが、長崎総裁に重ねてお尋ねいたしますが先ほど菊川君の質問に対する総裁の答弁は、今後の公労法の運用についてそういうふうにありたい、こういう趣旨ではなかつたのであります。速記録を見れば明らかでありますが、総裁は現実に国鉄におけるこの労使紛争解雇問題を通じて更に深刻化する見通しもある、この問題について末弘博士等の御意見もあるが、例えば第三者或いは仲裁委員会にこれをかけて、そうしてその裁定にお互いが服するという、こういう形で無用な摩擦を、又無用な闘争によつて国民全体にそれぞれ影響を与えるようなことはやめたらどうか、こういう趣旨の菊川君の質問に対して、総裁は十分に考慮しよう、こういうような答弁をなされたと私は見ております。又その答弁に立つて、私は先ほどのいわゆる国鉄の汚職問題等についてもそういう観点から総裁の心境を叩いたわけであります。ところが先ほど井上君からの、公労法の現在の精神から云々すると、将来はあり得るかも知れんが、現在のこの公労法からいうとおかしいじやないか、どうも私は井上君の御意見自身がおかしいので、又そのような発言によつてすぐぐらつく長崎総裁の態度が非常に不可解なことで、私はやはり国有鉄道の総裁ともあろう長崎さんはもう少しはつきりして、自分の信念を以てこの問題をやり遂げてもらいたい。徒らに周囲の者の声によつて自分の信念、心境を曲げるようなことであつては、又今後の国鉄運営において大綱を失つて、小さなことで目標を失う、こういうように私は危険を感じますので、総裁は、改めてお尋ねいたしまするが、菊川君の最初の質問に対する御答弁が飽くまでも総裁の信念であると私たちは思いまするが、いま一度総裁の御答弁を煩わしたいと思います。
  114. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私大変に口不調法でございまして、又言葉も甚だ明瞭を欠くと言われておりまするので、お聞き取りにくい点が多々あるかと存じます。  先ほど菊川さんにも申上げましたように、現に組合はこの問題を法廷に持ち出しております。従いましてこれを軽々に云々するというわけに参りませんので、私の心持といたしましては、菊川さんのお説も一つの考え方である。であるからそういうことができるならばそんなことも将来の問題として考えてみたい、かように思つておるのであります。重ねて申上げますが、決して私は事を好んでそうして組合と対立するというふうな考えはございません。その点はよろしく御了承を願いたいと存じます。
  115. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  116. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  元国鉄職員局長吾孫子君の発言につきましては、参考人としてその意見を聴取したことに、又聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認め、さように決定いたします。
  118. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 闘争の過程において、何か当局側の関係者等の間で処分の問題について連絡のあつたというようなお話が出たわけでございますが、その点につきましては、少くとも当局側の責任の地位にある者ではございません。山口課長補佐というのが当時労働課におりましたが、これは処、分問題についてどうこうというようなことを発言できる立場の人間でもございませんし、又そういうような重大な問題の場合に、責任者である職員局長の私に何も連絡なしにそういうようなことを言うはずもない。そんなことはなかつたというふうに聞いておる次第でございます。又そういうようなこともあり得ないというふうに考えております。  それから車掌の乗務の省略ということは、これは状況によりまして、安全である、差支えないと認められる場合にはそれぞれ業務機関の所属長が承認するという場合は状況によつてあることでございまして、すでに先日の、只今問題になつております場合については、新津の駅の構内の状況が、先ほど矢上君も申されましたように、線路の上に機関車を、列車を取り巻いて、非常に混乱した状態であつたということでもございますし、新潟の管理局の報告によりますと、乗務員はその次の駅から乗車せしめるという手配で、そこの発車のところだけは乗務員を乗せないで出させようとしておつたということでございます。
  119. 矢上正直

    参考人矢上正直君) 御質問の第一点の車掌の問題ですが、これは私どもが省略をするとかしないとかという権利は勿論ございません。併しながら先ほど申上げましたように、荷物の積降しをする貨車の車掌を乗せないで、そのまま発車させて、途中においてどういうことが起るかもこれはわからない、こういう事態が予想される場合、或いは運転をする車掌、車の入れ換え、列車の防護をする車掌、これを全然乗せないで出発をさして運転をしてよろしいのだ、こういうことについては当局と私どもの考え方は勿論違うわけなんですが、重ねて当局が言つておりますように、正常な業務運営、大衆に対する奉仕、安全なる輸送、こういうことからすれば、私どもは当然車掌を乗せしめて発車させる、こういうことを考えたわけであります。  それから次の問題につきましては、私は側人の問題でありますから、これはそのときの状態がそういう緊迫した中であり、且つそうしてもやはり中間指令による統一ある行動下部にさせる、むちやくちやなことはさせない、こういう中鬪にも責任があり、そういうことをやはりやつてもらいたくない、こういう考え方が当局にもあつた。特に名前が出ましたから止むを得ませんが、山口という補佐の方は、これは国鉄における交渉委員の方であります。且つ本部と本庁との間におけるあらゆる労働問題につきましては、私は先ほども申上げました、中央闘争委員の細井君とはこれは絶えずいろいろな打合せをし、お互いの代表者的な立場にある方であります。あえて今日そういう事態においてはまあそういうことを言つておき、今日責任上の問題とか、いろいろな問題から意見を左右されるとすれば、これは当局に全く道義がなかつた当局の道義を信頼した自分たちが軽はずみであつた、こういうふうに考える以外にないわけです。
  120. 阿具根登

    ○阿具根登君 組合の意見を聞きますと、山口という方は当局側の交渉委員であつた、こういうことですが、これが本当であつたとするならば、局長が知らなかつたから、山口がそういうことを答えたのは不時だ、こういうようなことはあり得ないと思うのです。而も現実をやはりここで考えてみまするならば、汽車の発車間際にそういう非常に混乱状態に陥つておるとするならば、一々局長のところに尋ねて来るような人では交渉委員は私はつとまらないと思う。恐らく局側の立場として、そういう責任においてそういう話をされたのではないか。こういう問題を私は捏造して、人の名前まで挙げて言うような人はおらないと思う。仮に前局長が言われるように、おれが知らなかつたのにこれをやつた、こういうならば、これに対する処分はどういうふうに考えられておるか、山口という人に対する責任はどういうふうに考えておられるか。或いは又先ほどの正常なる運営の問題につきましても、当初から正常な運営というのが問題になつておりましたが、私たちが受ける感じは、何か正常なる運営は公社側が一方的に正常なる運営決定されて、それ以外のものは全然受付けない、こういうような感じが浮ぶのですが、これは局側としてどういうふうにお考えになつているか。いわゆる正常という言葉であるならば、組合が言つておるような普通車掌が乗つておるならば乗つておるのが正常ではなかろうか、こういうふうに感ずるのが常識じやないでしようか、この二点を伺いたい。
  121. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 先ずお答えする順序はちよつと逆になりますけれども、正常な運営云々の問題でございます。国鉄業務というのは、最前も申上げましたように、業務に関する業務規程がございます。その規程の解釈、運用というものは、これ又それぞれの部署において権限を定められた者がその権限に従つて解釈をし、それに基いて運用もするし、指示もするというのが正常な状態でございます。それを労働組合組合立場からそれぞれの所属の権限のある機関の者の意思を問わないで、或いはこれを黙殺して一方的に解釈をして、こうすることが規程の精神であるのだというようなことを牽強付会的な解釈を下して、それに一般職員を従わせようとするような行動は、これは正常なる業務運営の状態ではない、さように私どもは考えております。  それから次に山口補佐のことでございますが、これは確かに交渉委員でございます。交渉委員ではございますが、併しながら課長補佐という者の交渉委員としてのなし得る行動の範囲と申しますか、そういうものは、これはいわば不文律によりましておのずから限度が明らかになつておるのでありまして、今お話の出ましたような重大な問題について一補佐が処分をするとかしないとかと言うようなことはあり得ないことでございます。又山口本人もさような約束をするというようなことはしておらないと、こう申しておりますので、そういうことはあり得ないことだというふうに私は考えております。
  122. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にこのピケットライン等によりということで、ピケットを非常に重大視しておられるようでありますが、このピケツトの張られる理由は、一つは勿論これはまあ一般論から行きまして、争議破りを防ぐということが一つと、もう一つ争議を擾乱するために外部からいろいろのまあ侵入して来る者をここで防ぐと、この二つの意義を持つているものでありますが、特に国鉄の諸機関等のごときは、外部の人が余り無断に入つて来ると危険である。それから職場が荒されるというようなことから、或いはピケットラインがほうぼうで張られたということによつてえらい大した事故も起らなかつたという一つの私は大きな効果があつた。こういうふうに思うのですが、そこで最後にお尋ねしたいのでありますが、あなたも十二月の四日にいよいよ解決したときに、新聞談話でも愉快に笑つて写真入りで載つてつたのでありますが、その際その当時のあなたの談話も、組合ともこれで片が付いた、まあ大したこともなくて済んだ、まあ御同慶の至りだ、えらいことにもならずに済んで御同慶の至りだということで話合つて、非常に友好的に話が付いたとしてよその公社も責任者処分が出ないというようなことで、これがずつと日がたつてから十八名を解雇するというようなことは、今の山口君の問題とも絡み合わして、何だか一遍油断させて置いて、そうしてここに時日がたつてから首を切るというような、而もそのやり方公労法の第一条の精神から見て、友好的に何でもしなければならないという点があるにもかかわらず、今日のあなたの御発言によりますと、どう見ても一方的に運営できるものだと解釈して而も一方的にやつてしまつた。何ら他のことを考慮することなしに独断的に、独断的にと言うと言葉が過ぎるかも知れませんが、一方的な解釈でやつてしまつたということははつきりしていると思うのでありますが、あなたも職員局長として、或いはその以前から公労法と取組んで来られたのでありますが、公労法の立法の精神というものはそういつたも一のであつたかどうかという点については再考をせられなければならないのじやないかと思いますが、その点について一つお伺いしたいと思いますが、山口君と細井君との話合いの問題等々と関連して一つお答え願いたい。
  123. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 只今お話の、最初に先ずピケットのお話が出ましたのでありますが、このピケツトがあつたということが、而も厳重なピケットのあつたということが、ほかの専売公社や電電公社で行われた、題目は同じ休暇闘争ということでありますが、そこが本質的な一つの違いであると私どもは見ているのでございます。つまり二割休暇とか三割休暇という題目は、これは確かによそも同じような題目であつたと思うのでありますが、それを厳重なピケツトによつて出勤を阻止する、つまり休暇を要求するというのじやなくて、三割なら三割、五割なら、五割の従業員を出勤できないようにせよ、そういう出勤阻止の闘争指令であり、又そういう実行方法であつたというところが、これは一つよそに比較して非常に違つている点であるというふうに私どもは見ている次第でございます。  それからその闘争が終りましたときに、私がまあまあ大したこともなくて非常に御同慶であつたということを申したということが、これが実はしばしば、本日この席では初めて菊川さんからお話が出たのですが、ほうぼうでそういうことをしばしば引合いに出されているのでございますが、この点は当時の私の気持を率直に申述べたわけでありますが、説明いたしますというと、いろいろ複雑な気持がその中にはあつたのでございます。今度の年末の闘争に際して私が一番心配しておりましたことは、この国鉄労使間の当事者間の紛争に第三者的な力が加わつて来るということが一番私としては心配であつたのでございます。実際問題としまして、かなり国鉄各地方におきましてはピケツトの状況も相当派手でございましたし、それがまあ厳重でもあつたというようなこと、又このピケツトに随伴して、場所によりましては多少暴力行為に亘るようなにおいのするような事態も起りかけておつた。そういう状況にありましたために、私どもが当時心配しておりましたのは、何か警察権というようなものが発動されるようなことにもなりはしないかという事態が非常に憂慮されるような状態であつたのでございますが、まあまあこの争議行為に関連して検束者を出すとか、司法権の発動を見るというようなことがなくて済んでよかつた、そういう気持も私はまあまあよかつたと言つたことの中にはそういう気持もあつたようなわけでございます。  ただ公労法の立法の精神から考えてお前はどう思うかというお尋ねでございますが、立法上の問題について何か意見を申上げるような柄でもございませんので、その点は御遠慮申上げたいと思いますが、公労法仲裁裁定というような制度によつて紛争を起すことなく、事態を円満に収めようと期待されて作られた法律であると我々は考えておるのでありますが、その仲裁裁定が出ることによつて、問題が終止符を打たれずに、却つてそこがスタートとなつて、毎年混乱を繰返すというこの状態は、本当に何とか考えなければいけない問題であるというふうに考えておる次第でございます。
  124. 堀眞琴

    堀眞琴君 ピケツトのことでちよつと私気が付いたことで申上げたいのですが、あなたのお話によりますと、ほかではピケツトを張つておらなかつたというようなお話なんですが、例えば電通の中央電報局、それから私思い付いただけ申上げますが、或いは又八王子の郵便局というようなところでは三割減或いは五割減の闘争を監視するため、赤い鉢巻きしてそれぞれの職場に一種のピケットラインを張つてつたということを私は見ておる。あなたは国鉄だけがピケットラインを張つた、その点が違うのだというお話でありますが、そのほかにも調べればそういう例はたくさんあると思います。国鉄或いは郵政、電通等、職場がそれぞれ違いますが、私は田町のあそこの東京機関区或いは田端機関区、その他ピケツトラインを視察に行つて参りましたが、成るほどおつしやる通りピケツトラインを張つて、なかなか外から入ることができないようにしてあつたことは事実であります。併しそれは職場関係でありまして、東京の中央電報局のようにそれぞれの職場がみな違うようなところではやはり職場でピケツトラインを、張つてつたということが私は言えると思う。従つて国鉄だけが特別にピケットを張つたのだということにはならないのじやないかという工合に考えます。  それからもう一つ、これは長崎総裁の所感を伺いたいのですが、労働組合というものに対してあなたはどのようなお考えを持つておるかということです。正常な業務を阻害してはならんというので一切の賜暇闘争も或いは又遵法闘争等もやれない。而も公労法規定した仲裁裁定等は完全な形では曾つて一度も実施されたことがないというようなことで、一体労働組合というものはどうしたらいいのかということで私は悩んでいると思います。今日も、恐らく労働組合としてもピケツト・ラインなんかを張つたりすることは望ましいとは思つていないと思う。できるだけ正常な業務をやりながら、そうして労働者としての生活が保障されるということが一番望ましいと考えているのだろうと思いますが、一体国鉄当局者として、総裁労働組合をどのように考えるかということが一つ。  先ほど瀬谷君が、国鉄は八十年の伝統を持つておる。そうして国鉄職員は上司に対しては服従これ努めて来たというお話がありました。昔現業委員会がありました。当時私も見たことがあるのですが、現業委員会で少し何か強い意見を吐く、そうすると国鉄当局では当時現業……、現業員というのはあれは雇員、傭人連中でやつてつたのですね。少し強い悪鬼を吐くと判任官にしたり或いはやめさしたりするというようなことを私は見て来たのです。一体国鉄国鉄労働組合との協力なしには正常な運営はできないということはあなたも先ほどお話になつておる。国鉄労働組合の今日の憤激或いはその不満というものに対してどのようなお考えを持つておられるか。今後とも組合に対してどういう態度を以て進まれようとしておるかということについて最後にお伺いしたいと思います。
  125. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 労働組合というものは、私は今日の経済体制においては極めて重要な地位と性格を担つておると思います。組合諸君がどういうことを考えておられるかということにつきましては、只今の御意見と同じようなことを私は考えておるのでありまして、恐らく正常にして而も円満な業務運営をやりまして、これによつて収益を増加し、或いは経費を低減し、組合員各位の福祉の増進、将来の生活保障というような見地から組合運動を考えておると私は解釈しておる次第であります。  実は私は頭が古いのでありまして、本質的に労働組合というもののあり方ということについては或いは間違つた考えを持つておるかも知れません。この点については将来ともいろいろ勉強し、又組合諸君の御意見等もともとと聞きまして、組合員各位の、今も申上げましたように、福祉の増進或いは老後の保障というようなものについてあらゆる努力をして行きたい。然らずんば、日本の国鉄は線路や車両だけでは絶対に動かせません。これを運営するところの人手が要るのでございます。この人たちとの協調なくしては絶対に動かんということは深く私は認めておる次第でございまするので、今日のような姿で、毎年々々何だか知らんが、もやもやしたような状態を繰返すということについては改善を図つて参りたい。先ほども申上げましたように、今回公共企業体合理化審議会というものができましたので、その点について、その問題をとくと研究して頂いて、円満なる運営を期することができるようにして参りたいと思います。
  126. 堀眞琴

    堀眞琴君 只今総裁お話の中にありました公共企業体の合理化審議会ですか、合理化審議会なんというと、ちよつと私の癇にさわつて来るのですが、どういう意味で合理化を進めようとされるのか、大きな問題をそれに含んでおると思います。ともすると合理化というとすぐ首切りになつて来ることは、これは今までの外国の例で見ましても、又日本の例によりましても明らかなところなんでありますが、私はそういうような意味での審議会であつたならば、却つて国鉄の発達を阻害するものではないか。むしろ国鉄当局としては、組合が今回止むを得ずして行なつたところの闘争に対してもつと同情的な眼を以て見るのが私は当然じやないか、中間の矢上君或いは瀬谷君等の陳述を聞きましても、私どもとしては組合側には遺憾な点もあつたとは思います。併し同情すべき点がより多くあつたと思う。例えば新潟の場合、元の職員局長は車掌を乗せなくてもいいのだと、こういうお話でありますが、併し国鉄に少しでも籍を置いた者は、車掌を乗せずに発車させるということは、決して正常な業務運営であるとは私考えないわけです。そういう観点から申しましても、もつと労働組合に対して当局者としての温情を示して、そうして今回の問題についてもその態度で臨まれるのが至当ではないか、そのことが延いては将来とも国鉄労働組合をして当局者と協力して業務を円満に行わせる一つの原因になる、このように考える。是非とも御考慮を願いたい、その点についての所感を最後に承わつて置きたいと思います。
  127. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私は実は合理化審議会に列なつておるのでありますが、あの審議会は、決して何と申しますか、行政整理のように人を減らすということだけを狙つておるものではないと私は考えております。結局一番根本の問題でございまするのは、経営の自主化とでも申しましようか、ひとり立ちして行くという点に主眼を置かなくてはならんと思うのであります。先ほど来長時間に亘つて皆さんの御意見を拝聴したわけでありますが、私の今までの考え方では、団体交渉をいたしましても、全然予算その他に縛られておりまして、自主性が私のほうにないのでございます。これが一番困る点でございますので、そういう点等もよく御理解を頂いて、私は組合の発達のためにも日本国有鉄道の経営のあり方というものがどうあるべきかということをとくと私は御理解を願いたいというふうに考えておる次第でございます。繰返して何遍も申上げましたが、組合諸君なしに日本国有鉄道運営は絶対にできません。
  128. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 関連して。今まで組合に対する長崎さんの御発言は相当我々も共感のおける発言というふうに受取れます。にもかかわらず十八名の馘首という現実は現われている。これは最後にお尋ねいたしますが、一体のこの馘首というものは何を狙つているんだ、法律的にこうきめてあるから止むを得ずやつたのか、それとも何かを狙つて、目的があつておやりになつたのか、止むを得ずこれはもう十七条にあるから仕方がないなというところでおやりになつたのか、これで以て何かを狙つて、目的があつたのか、ということは、こういうふうに十八名したら皆びつくりして震え上つてこれからやらんだろう、こういうふうな狙いがあつたのか、それともそういうふうなまあ、十七条に連反するような連中をどんどんどんどん排除して行くと、あとに残つた者はそんなことをやらん者ばかりが残つて行く、こういうつもりでおやりになつたのか、これは一体どこを狙つたのか。あなたの言われるのじや、もう止むを得ず十七条違反があつたので仕方なしにやつた、こういうふうにも取れるし、何か目的があつておやりになつたのか、結局何かそういうふうにしたらまああとは収まつてしまうだろうと思つたら逆でありまして、又今度も闘争が起つているようでありますが、従つてこれはだんだんと殖えて行くばかり、なかなかそんな首切り、僅かの整理くらいでそう日本の労働運動というものはすぐに収まつてしまうものでない。やはり裁定実施、こういうルールを守つて行くか、それとも話合いで解決するというだんだんと慣行を打立てて行くか、それでなければちよつと弾圧を下したら、これでちよつとびつくりしてやらんだろうと思つておやりになつたか、これはちよつとわからんですが、狙いが、それはどこを狙つておやりになつたのかはつきりつここで最後に……。今のあなたの堀君の質問に対する御答弁からするならば、そんなことは恐らくおやりにならん、よそもやつていないのですから、ピケツトを張つておるからということは向うから言われましたが、ピケットを若しもあのとき張つておらなければ、職場が混乱して収まりがつかん結果になると思う。むしろピケットは、私はいろいろの面からここではつきり一向うことは避けますけれだも、私はこれは単に出勤者の阻止ばかりで効果があつたの荷ない。いろいろな面から職場は守られて来た、私はこう思う。だからして解いたからしてすぐに何ら問題はなかつた。こういうふうなところは、ピケツトはそういう意味においてよかつたと思うのでありますが、そういうふうにしてピヶツトだけを理由にして首切つた、よそもやつていないのでありますから、それともむしろ政府のほうからやれと言われて強要されてやつたものであるか、ここのところがはつきりしないから、率直に一つお答えを願いたい。
  129. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 当時違法の行為をしないようにしてくれという再三の申入れ、御注意等に対しましてこれを敢然敢行した、違法の行為をやつたからにはその責任を恐らく自分は負うつもりであつたろうと思います。従いましてこの違法行為というものは認めることができませんので、止むを得ず責任を明らかにしたというのが今度の処分の全貌でございます。
  130. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうだとするならば、これはあなたのほうでは違法だというのでそういうふうな解釈を下しておられる。権威ある機関がこれは違法でなかつたという結論が出ると、どこかは知りませんけれども、これについては十分考慮をされて再考される余地を持つたものである。ただこの判定は、飽くまでも国鉄当局が違法と認めると判定しただけである、こういうふうに解釈してよろしうございますね。あれはまだどこでも違法であつたかどうかという結論は出ていないのですから、違法であつたという判定をどこかが下したのですか、あなたのほうだけで惣したのですか、その解釈について……。
  131. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) これは当時の、あれは何国会でありましたか、の国会の席上で、私は閣僚のうちでもそういう行為は違法であるというように申した人がいるのじやないか、非常に不明瞭でございますけれども、調べて申しますけれども、そういう定義を下したように私は記憶をしております。
  132. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちよつとはつきりしないのですが、国会できまつたというのですか、違法という解釈は、今日お聞きしても当事者の一方は違法だと言つておるし、一方は違法だとは、青い切れない、いろいろな問題を含んでおる、社会的に考えて……。又国際的な労働慣行から考えて、違法とは断定し切れんというふうな解釈を持つておる。又合法だと信じておる人がある。今日の新聞でも当事の一方は合法すれすれの線だ、こういうふうに確信しておる。あなたのほうでは違法だと言つておるのですが、而もこれはどこでもまだ違法ということについての結論は出ていないのです、あなたのほうでは確信しておるかも知れませんけれども……。どこかで、世論で、将来決定されるにいたしましても、いろいろの方法はあると思いますけれども、その決定があつた場合には撤回される、こういうふうに解釈してよろしいですか。これは止むを得ずやつたのですから、これは好んでやつたのじやないのですから、今のあなたのお話通りにそういうふうに解釈してよろしうございますか。今のところは信じておるけれども、あなたの信念が覆えるような結論が出る、例えば国際労働会議において、ILOの会議において、国際的な舞台において取上げられることも考えられる、いろいろな場合が考えられる。そういう場合には又十分考慮される、撤回されることもある、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  133. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 私は、只今におきましてはあれは違法であつたと確信しておる次第でございます。
  134. 堀眞琴

    堀眞琴君 私は先ほど組合と協力してやつて頂きたい、今の問題になつておる点についても円満に解決すように努力してもらいたい、こういうふうに申上げ、総裁はそれは賛成だという御意見のように私は伺つた。私が具体的にそれを言わなかつたがためにこういうような問題が起つて来たと思うのです。私は十八名の馘首は必ずしも、一方では不当だ、一方では不当ではない、こういう見解で両々対立しておるわけです。それに対して当局としては今度これを慎重に考慮されて、十八名の者は、成るほど責任を追及されるのは中央の闘争本部かも知れません。その点もう一度考慮されて、そうして職場や或いは地方本部等におけるところの、戦盲者の問題については十分考慮されることが私はあなたの今後の態度、として適当なのではないかという意味を含めて私は申上げた。ところがあなたはそうでなくして、今後は組合と協力してやつて行くというお答えをされておるようですが、私の望むことは、今後そういう態度をとることは勿論必要ですが、現実に起つておる問題について円満に解決するように努力する、そのことは具体的にはこの十八名の馘首者についてあなたのほうでは違法だ違法だと頑張るのじやなくて、いろいろの事情……、私は解雇理由先ほど申上げたのですが、解雇理由を見ましても、責任の追及が極めて不明瞭だと私はそう思う。そういう意味においてこれらのものを再検討される必要があるのじやないか、そのことについて御考慮を煩わしたいということを申上げた。その点についてもう一度確認したいと思いますから、御返事を願いたいと思います。
  135. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 事ここに至りますまでには、私は十分に慎垂な態度で事を研究もし、調査もし、或いは話も聞き、いろいろな結果として今日十八名の人を解雇するの止むなき状態になつたという次第でございまして、今日更にこれを考え直すというようなことは目下のところ考えておりません。
  136. 阿具根登

    ○阿具根登君 簡単に最後に御質問申上げたいと思いますが、さつきの問題を又蒸し返すようですが、吾孫子前局長のお話を聞いていると、だんだんと変つて来る。例えば山口という人の名前が出て来ると、あれは責任も何もない地位の人だと、こういうことである。ところが組合のほうから聞くと交渉委員である。局の地位とか何とかでなくて、組合当局との間において交渉委員であるというならば、これは相当な地位にある人である。それがわかつて来れば、いやそれが言うはずがないのだ、私が知らんのを言うはずがない、こういうように変つて来る。その次の答弁では言つておらないということを言つております。次々に答えが変化して行く、私はどうも腑に落ちないところがある。例えばそういう火急な場合に交渉委員の方がこういう処置をとられることは私はままあることだと思う。そういう火急な場合に人を罰するとか罰しないとか、そういう問題でなくて、これを如何にして早く正常に返すかという問題がその人の責任だと私は思う。ところがそういう権限もない、こういうことになつて来れば、交渉委員であろうと何であろうと、課長補佐に言つてもわからない、課長に言つてもわからない。局長の言つたことも、今度総裁のところに行つた場合には、局長はそういうことをやる権限はない。こういうことになれば、組合は誰を相手に交渉するのか、それに対してどういうふうに吾孫子前高州長は思つておられるのか。又組合は恐らく嘘をここで言われたとは思はないし、その当時のことを考えれば、そういう条件の下にピケを散らせてある、かように思うわけですが、それに対して組合はどう思つておられるか。  それから申し遅れましたが、吾孫子前局長に私は今初めてその両者の話を聞いて御質問申上げたわけでありますが、そういうことは言つていないと言つているということを明言されている以上、この問題がすでに両者の間で紛議になつているかどうか、この点もお尋ねいたします。
  137. 吾孫子豊

    参考人吾孫子豊君) 出品補佐が交渉委員であるということは申上げた通りでございますが、これは労使町でいろいろ団体交渉等をやります場合に、組合のほうもいろいろ組織がございますことは御存じの通りでございまして、我々のほうにもおのずと分担というものははつきりいたしております。いわば労使慣行とでも申しましようか、そういうような処分をどうするかという問題を課長補佐の立場にある交渉委員が言うというようなことは、労働慣行の上からいつてもあり得ないことでございます。ただ新潟で起つているような事態に対して速かに正常な状態に戻す、こういうことは当然課長補佐の交渉委員である山口補佐が、私どもの意を受けてそういう申入れを組合側に対して伝達したわけであります。私が御説明を申上げております過程において、いろいろ言い方が変りました点は恐縮でございますが、実はこの委員会に本人が来ておることを最初知りませんでおりまして、あとで気が付きまして本人にも確かめたというようなことから、多少旨い方が変つた点もあるのでございますが、誤長補佐の立場にある者が処分問題について云々するということは、私ども労使慣行としてそういうようなことはないということは、これは組合のほうでも理解頂けることではなかろうかと私は考えております。
  138. 矢上正直

    参考人矢上正直君) 先ほど申上げましたように、新潟で起りました問題は非常に偶発的な大衆の力によつて坐り込んだ、こういうような事実であることは、先ほど申上げましたが、私どももその偶発した事実を中止させる場合に、取引をして中止をさせたとは考えたくはないのです。中間の責任で勿論やるのはやつて中止をさせたわけです。ところがたまたま偶発した問題というか、或いは統制上の若干の失態というか、そういうことで突然起つた問題でありますから、その勢いを持続させない、長くこういうことをやらせない、こういうために中間も相当の努力をしたわけです。従つてその場合に、私も本人ではないのですが、やはりお互いに、たとえ局長さんが課長補佐にはそういう権限はないと言われても、とにかく一番真先に立つている戦闘要員の方が二人、組合当局におりまして、そうして突発的な問題についてやはり事態を収拾をして、それにはお互いに自分の権利を越えるようなことも、事態の収拾のためには言う場合もある。そのことについてお互いに道義を守つて行くのが私は労使関係ではないか、こういうふうに思うわけです。ですからいわば突発的に起つた統制上の若干の失態でもあり過ちでもあるわけです。それですからそれを直ちに中闘の責任で直さしめた。これによつてやはり直したのだからもうさせない、実を申しますとそれから新潟においては三割休暇を三日間やらなかつたわけです。そのくらいにとにかく地方本部というものを統制に従わしめるために中闘は努力をしてやつた従つてそれは本部の統制上の失態であり、或いは地方本部の中の参加した大衆の過ちによつてそういうことが一時起つたのだから、これは元通り原状回復をしたから、何とかこの問題については責任を問う、かようなことのないように一つお願いをしたい、こういうのはやはり責任を持つて原状に回復せしめた中闘が当然私は言つていると思うし、又そのことについてそういう努力をする、こういうような恰好で言わなければ、そういう紳士的な話合いがあの最中に私はできなかつたであろう、こういうように思うわけです。
  139. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今のことは私も聞いておつてあれなんですが、要するに言つた言わないという問題ですね。これは通俗的な言葉で言えば水掛論になるわけですけれども、併し僕は非常に微妙だと思うのです。而もこの場合、こういう事態が起きて来た根本は何かといいますと、総裁によくお聞きを願いたいと思うのですが、やはりこういう大きな決定をするときに直接の該当者である相手側の弁疏なり弁明を一回も聞いていないということにこういう問題が出て来ると思うのであります。従つてやはり今後の問題としては、菊川君も幾たびも言われましたけれども、聞くべきところは聞いて、そうして責任を持つて断罪をする、こういう恰好でなければ事態は円満にならないと思うのであります。特に当局側として、一旦決定されたことを今ここで幾ら追及があつたつてこれを快く退けられるものではないと思う。合理性があつてもそうだと思うのでありますが、そういう重要なる決定であればあるほどやはり相手側の弁疏、弁明を聞くということがデモクラシーの原則でなければならないと思う。そういう点では今日の当局側の御発言には私は相当欠けるところがあるような気がする。特に正党な業務運営ということをしばしば言われましたけれども国鉄のための正常な業務運営じやなくて、国民のための、公共事業としての正常な運営でなければならんと思う。長崎総裁労使協力論を非常に言われましたけれども、その精神たるや実に結構ですけれども、その裏付がちつともないところにこういう事態が起きて来たと思うのであります。  特に私は先ほど聞いておつて奇怪に感じておりますことは、安全と迅速と確実、これが国鉄業務運営のモットーだとおつしやつた。これはいずれも相衝突するものではなくて、重り合つて業務運営を進めて行くものであります。その場合に新潟の問題においては非常に偶発的な事件、車掌を乗せないという非常に稀に起ることを正当化されている。正常なる業務運営というために正当化されておる。而も車掌を乗せないということは、これは不安全なことになんです。東京のほうの問題はどうかというと、荷物を積み込むことを余計するほうのことは、これは非常に極く稀なことだとおつしやる。稀なことを合理付けられようとしておられますけれども、これはやはり不安全、不確実なことなんです。全く相反する二つのことが出た場合に、どちらも同じように合理付けをしておられるところが、私ども第三者として聞いておりまして非常に奇怪に感ずるところなんです。これは国民のための事業の正常なる運営でなくて、国鉄の今の当局側のための正常なる運営のようにしかどうも取れない。そういう点から考えて、僕はまあ個人的に発言を申上げておるわけですが、もう少し静かに一つ長崎総裁のヒューマニズムの上に立つて御考慮頂く点があるような気が私はしますがね、これは甚だ僣越です。委員長としてではございません、個人として申上げるわけですが、この点について御所信を承わつておきたいと思います。
  140. 長崎惣之助

    参考人長崎惣之助君) 将来の取扱いの問題といたしましては、只今の御意思のあるところをとくと十分に私は研究もし、又この法律等に関連して参ると思うのでございますが、そういう点についてはこの法律を扱つておる主管大臣等にもともとと私は只今お話、今日ここに行われました論議の経過というようなものについても私からも申上げるつもりでございます。で、なんとかして改善の方向に持つて行きたいということは先ほど来繰返して申上げた通りでありまして、ただ一番根本は、これはもう今日は遅いから申上げないのですが、やはり国鉄財政の健全化ということが根本の問題じやないかと私は思つておるのであります。どうしたつてやはり従業員各位の福祉の増進或いは給与の改善というようなことになりますと、そこにやはり財政問題が起つて来るわけでございます。いずれ何らかの機会をつかまえまして、皆さんにもお聞きを願いたいと私は考える次第でございます。
  141. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 参考人方々委員会を代表して御挨拶申上げます。  長時間に亘りまして国鉄の労働問題の調査について御協力を頂きました点を厚くお礼申上げます。  本日はこれで散会いたします。    午後七時三分散会