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1954-07-07 第19回国会 参議院 労働委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年七月七日(水曜日)    午前十一時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君    委員            阿具根 登君            吉田 法晴君            赤松 常子君            田畑 金光君            石川 清一君            市川 房枝君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    経済審議庁調整    部長      松雄 金蔵君    通商産業政務次    官       古池 信三君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労働基準    局長      亀井  光君    労働省職業安定    局長      江下  孝君    日本国有鉄道副    総裁      天坊 裕彦君    日本国有鉄道職    員局長     井上 正忠君   参考人    国鉄労働組合書    記長      横山 利秋君   —————————————   本日の会議に付した事件労働情勢一般に関する調査の件  (石炭造船繊維、その他の不況  産業中心とした失業対策一般に関  する件)  (日本国有鉄道における労働問題に  関する件)  (日雇労務者夏季手当に関する  件) ○議員派遣要求に関する件   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会開会いたします。  本日の会議に付しまする事件は、労働情勢一般に関する調査のうち、石炭造船繊維その他の不況産業中心とした失業対策一般に関する件、日本国有鉄道における労働問題に関する件、日雇労務者夏季手当に関する件、議員派遣要求に関する件でございます。  各委員の御都合もおありと思いますので、本日委員会が閉じまする間においてお考え置き頂きたいのでございますが、それは議員派遣のことでございます。お手許に事務当局において一応出向先等について研究をいたしました結果、案を呈示してございます。この案につきまして御検討を頂きまして、後刻決定をいたしたいと存じます。ちよつと速記をやめて。    午後零時二分速記中止    ——————————    午後零時二十六分速記開始
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    ——————————    午後二時十四分開会
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 休憩前に続き会議を開きます。  石炭造船繊維その他の不況産業中心とじた失業対策一般に関する件を議題にいたします。先ず労働省当局から説明を伺いたいと存じます。
  5. 安井謙

    説明員安井謙君) 最近における雇用状況の全般について概括的に御説明申上げます。  政府は前国会におきまして、失業情勢をほぼ保合楽観しておつたのでありませんが、失業者の発生がまあ最近の状況ではやや増長傾向を示しておるようでございまして、二十九年度における失業情勢を見ますと、必ずしもこれを楽観し得るというような、手放し楽観し得るというふうな状況にもなかろうかと存ずる次第でございます。  で、御存じの通り予算編成に当りましてもそういつた情勢を予測しまして、窮屈な国家財政にもかかわらず、失業保険におきましては二割増、それから失業対策事業費としましては人員においても五%、費用におきましては一割増といつたようなものを計上したことは御承知通りでございます。本年度に入りましてからの傾向につきましては、雇用失業状況は必ずしも楽観を許さん状態にあるとも言えるのでありまして、これは併し二十九年度緊縮予算の執行による影響というよりも、全体の金融引締め、或いはこれを契機としました企業部門合理化というようなものによる影響の現われであろうかと存じておる次第であります。で、政府緊縮財政政策影響はむしろ今後に現われることであろうと思いますので、最近の状況といたしましては、必ずしもまだ昨年のピークであつた六十万人といつたようなものは、完全失業者の側から見ても現われていない次第でございます。失業情勢の推移には併し深甚な考慮を払つております。  労働調査或いは職業安定所の窓口に現われました求人求職状況を簡単に御説明申上げますと、完全失業者の数は今年の一月が三十九万人、二月が四十三万人、三月が五十九万人、四月が五十一万人、平均四十八万人といつたような状況を呈しておりまして、これは昨年の一月が四十六万、二月が五十一万、三月六十一万、四月が五十三万、平均五十二万人という点から見ますと、ややまだ低位にあると言い得ると思います。  職業安定所求人求職状況を申上げますと、求職者のほうは一月が百十六万四千人、延にいたしまして……、二月が百十九万三千人、三月が百二十万八千人、四月が百十四万六千人、五月が百十一万七千人、平均百十六万五千人という求職者でございます。これも昨年の平均百六万三千人に比べればやや増えておる状況でございます。同時に求人数のほうから申上げましても、これは一月の五十四万一千人、二月の五十六万八千人、三月の五十四万二千人、四月の四十二万二千人、五月の三十三万二千人、平均四十八万一千人ということになつております。昨年の平均四十四万からはやはり同じく上廻つている次第でございます。こういつたような観点から、まあ雇用状況については只今のところまだ保合というような状況にあろうかと存じます。  失業保険の動向はやや増加を示しております。一月四十一万八千人、二月四十二万六千人、三月四十四万七千人、四月四十四万五千人、五月四十四万人、前年度に比しまして約十万弱の増加を見ておる次第でございます。平均にしまして、本年度が四十三万五千に対しまして、昨年度が三十五万一千というような形になつて現われております。  そこで政府といたしましては、本年度下半期は上半期より雇用情勢下降傾向を迫ることを当初から予測しております。今後失業情勢がやや深刻化する面も出て来ると思うのでありますが、併しこれに対するまだ的確なる見通しというものは立つてない状況にございます。  大体におきまして以上が最近の雇用面に現われました状況でございますが、御承知通り労働対策の問題はただ労働対策そのものとして見て行きましてもこれは片付かないのでございます。まあ政府といたしましては、もつと別に長期自立経済計画或いは広い意味国際収支の改善或いは国内産業の合理的な振興、或いは又外国からの資金援助といつたような長期計画或いは応急の具体計画を今日早急樹立をいたしておるような次第でございます。そういつた面からにらみ合せまして、今後とも労働対策は樹立して行きたいと考えておる次第でございます。
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そのほかに資料として石炭鉱業繊維産業造船業等に対する資料が提出されておりますが、これの説明はございませんか
  7. 田村文吉

    田村文吉君 必要に応じてやつたらどうでしよう。
  8. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでよろしうございますか……。只今通産省からは、大臣は先ほどお話申上げた通り出席できないとの通知でございまして、古池政務次官川上鉱山局長佐橋炭政課長杉村繊政課長がお見えになつております。それから経済審議庁のほうは松尾調整部長見えております。大蔵省当局はまだ連絡中でございます。  以上御報告申上げておきます。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 昨日私質問しておつたのですが、次官の御説明只今お聞きいたしましても、労働省のその政策が如何にも行き当りばつたりである。いわゆる先ほども言われたように保合だと思つてつたのが非常に殖えて来た。こういうことを言つておられるが、その当時各委員からもかくなることを相当深刻に追及されておる。それにもかかわらずいろいろな資料を示されて、そうして失業者はこれより殖えないのだということを盛んに言つておられたわけなんです。而も話の内容ではちつとも深刻な状況を言つておられずに、やはり非常に楽観的なことを御説明になつておると私は思うのです。それではそういう行き当りばつたりでなくて、はつきりした対策があるはずである。その問題を一つどういう対策があるのか、それをお聞きしたい。これは詳細に私はあと質問いたしますが、成るべく質問せんでもいいような御説明を願います。  それから求職の問題をここに資料として頂いておりますが、現在の失業状態は御承知のように石炭鉄綱駐留軍関係、そういう大きなところは殆んど整理をやつておる、合理化をやつておる。そうすればこれだけの求職はどこに求められておるか。どういうところで求職ができておるか。求職は殖えておると次官は喜んでおられる、楽観をしておられる。その求職はどこに行つておるのか、こういう点を私は考えて見た場合に、極めて大きな問題がここに残されておる、私はこう思うのです。それでこの求職のはけ口はどこに、百十一万からの人たちが主に入つておるのか、そういう点を一つ説明願いたいと思います。
  10. 安井謙

    説明員安井謙君) 政府は初めからこの雇用問題につきまして手放し楽観をいたしておる次第じやないのでございまして、その都度申上げております通り相当慎重な考慮はいたしております。併しそのために将来収拾すべからざる混乱に陥るようなことはないということを見通しを立てておる次第でございます。十分に考慮を払いつつ予算編成その他についても配慮をして参つたつもりでございます。特にまあ石炭造船部門のこの時期的な問題、或いは繊維産業方面におきましては相当合理化と申しますか、緊縮財政影響金融方面金融逼迫影響が現われておることは事実でございます。  それから求職者の数につきましても、これはまあどういつた方面かといつたようなお尋ねでございますが、これは必ずしも大工業、大企業に対する求職或いは求人が殖えておるとは言い切れませんので、或いは中小企業或いは家内工業といつた方面は相当さばかれておるというふうに考えておる次第であります。  なお一般のそれぞれの個々の部門の問題につきましては、関係各省からも参つておりますし、或いは又当局からもそれぞれの質問に対して御答弁申上げたいと思つております。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと阿具根さん、今ですね、通産省経済審議庁からおいで願つているのは、やはり産業政策といいますか、経済政策と申しますか、そちらのほうのやはり考え方労働省説明と併せて一応伺つたほうが、質疑をいたすのに便宜かと私考えますので、さようにいたしたいと思いますが、如何ですか。
  12. 田村文吉

    田村文吉君 賛成ですが、それで今度の主要問題、大きな問題は、いわゆるデフレーシヨンというものが起つて来ておるので、経審にしましても通産省にしましても、この問題をどういうふうにして解決するのか、これは非常に大きな問題なんです。ひとりこれは労働省だけの問題ではなくて、一番最後にしわ寄せされて来た場合に労働省としてどうするのか、こういう問題をあとで私質問したいのですが、今日は幸い通産省調整部長がお見えになつているそうですから、一つこの見通しを、決して御休裁でただ目先のことだけでなくて、どういうふうにしてこれは救済さるべきか、物価についてはどういうふうな見通しを持つているのか、そういう点について一つ所信を明らかにして行きたい、こう思うのです
  13. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今田村委員から特に御発言がございましたが、今日の失業対策は総合的な観点から調査をしようということになつておりまして、通産省経済審議庁並び大蔵当局からもおいでを願う予定を立てておるわけてありまして、各所管大臣が御出席のないことは甚だ遺憾でありますけれども、一応それぞれの立場で一つ説明を願いたいと思います。特にデフレ政策と、只今問題になつております失業問題との関連、これはもう明白なことでありますので、言うまでもなくデフレによつて失業者が激増し、且つ将来非常に激増する傾向にあるということは否定できないので、そういうことを前提にしてこの雇用問題をどういう工合産業政策経済政策の中で解決するかということについて御所信を承わりたいと思うわけであります。  放置するのか、或いは何らかの形で救済措置をとるのか、吸収するのか、而もその方法につきましては、先ほど私どもが伺つているところによりますと、大蔵省当局デフレ政策堅持という考え方通産省当局デフレ手直し調整政策と一口に言いますと、この間に若干意見食い違いが起きておるようであります。従つてこの点はどういう工合にせられようとしておられるのか。更に吉田首相経済目立のための長期産業計画ということについて、所管省に命ぜられた中に私ども伺つておりますが、その長期産業計画というものの実態はどういうものであるか、特に自立経済計画から考えまして、そういうものは軍需中心で行かれるのか、民需中心で行かれるのか、その辺の見通し等一つ説明願つて只今田村委員最後に結論的におつしやつた点についての考え方を述べて頂きたい、こういうふうに考えます。
  14. 古池信三

    説明員(古池信三君) 只今委員長から包括的に御質疑がございましたのでありますが、昨年の秋以来政府がとつて参つておりまするデフレ経済政策というものは、そのよつて来たる原因等については今更ここに申上げる必要はないと存じますが、特に昨年度我が国国際収支状況から見まするならば、非常に憂うべき現象を呈しておるようなわけてあります。従つてどうしても本当日本経済を建て直して行く、そして一日も早く経済自立を確保いたしまして、国際収支バランスをとつて、当然我が国として最も重大なる要請であるところの輸出振興を図つて行く、その目的を到達する大きな手段としましては、この際好むと好まざるとにかかわらず、程度の問題はありましようが、デフレ政策をとらざるを得ない、そういうことになつて参つたものと私は承知しておるのであります。ただ現在のデフレ政策は、御承知のように金融面におきまして金融の引締めという手段を主としてとつておることも御案内の通りでございます。これによつていろいろの方面影響も来たしておるのでありまするが、併し大局から考えてみまするならば、どうしてもこの際こういう政治的な一つの手術と申しますか、手当はやはり否定できないことである、かように考えております。ただこの将来について必ずしも私は非常に大きな楽観をするわけではございませんけれども只今までの現実の問題としましては、我が国物価も昨年に比べまして若干下廻るような傾向になつておりますし、又輸出の面もこれによつて若干ながら上向いておるように承知しておるのであります。丁度今日その苦しいところに入つたという段階であろうと思つております。  只今委員長が指摘されましたように、大蔵省通産省との間に意見の齟齬がありはせんかというお尋ねでありますが、これは表面に出まする責任者の言葉の表現の中には、多少の齟齬あるやに受取れるような点が新聞紙上等においても仮に見受けられるといたしましても、私は政府として当然、これは一体になつて一つ政策を統一的に進むべきものでございますから、そこに食い違いがあつてはなりませんし、又現にあるべきもの噂はないと考えております。大蔵大臣が、或いは大蔵省がこのデフレ経済政策を飽くまで推進すべきである、こう考えておられることも事実でありましようし、又私どものほうにおいて、進める過程において、具体的の場合に相応して、若しそこに不釣合の問題が起るというような場合には、これに適当なる措置を講じて行くということは、これはもう申すまでもなく必要なことでございまするので、そういう意味において通産大臣も談話をされたものと私は承知しております。全く大蔵大臣と異つたような、デフレ政策を大幅に緩和するというような意向はないものと私は考えておるのであります。併しいずれにしましても、デフレ政策というものは、我我としましてはそんなにいつまでも長くやるべきものではなく、適当な時期が参りまするならば、そこにそのときの事情に即応いたしまして、又適切なる経済政策をとつて行くということは、これはもう当然考うべきものであろうと思います。  然らばその時期がいつ頃来るかという問題でありますが、これは生きた経済問題でございまするので、ここに私がいつ頃ということを明確に予測することは困難と思いますが、政府も、又民間の業界の方々労働者方々、皆この趣旨を汲んで頂きまして、一致協力して助けて頂きますならば、成るべくデフレによる影響もでき得る限り最小限度に食いとめまして、そして更に拡大生産を図り、輸出振興して、堅実なる国際収支均衡をとり得る状態が速かに来ることを念願いたしておるような次第でございます。  お答えに足りないところがあるかも知れませんが一応先ほどの包括的な御質問に対して私からお答えを申上げた次第でございます。
  15. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に松尾調整部長から願います。
  16. 松雄金蔵

    説明員松雄金蔵君) 只今通産政務次官からお話のございましたそれに若干数字を入れまして、補足的な説明をいたすことに相成ると思いますが、先ほど通産政務次官からお話がありましたように、今の、いわゆる引締め政策と言われておりますものは、国際収支バランスをとることがやはり終局目標であろうと思います。この点はいわゆる引締め政策によつて輸出伸びて、輸入が成るべく自然の姿で縮小するというような形でバランスするのが理想的であるわけです。そういう意味輸出を伸ばすためには、国内物価はでき得るだけ国際価格に近いところに安定をすることが望ましいわけでありまするし、又輸入が自然の形で成るべく縮小するということを望みますためには、原材料その他の輸入輸出方面に使われることは別でございますが、国内消費の面にそれが多く使われるということが抑制されればいい。こういう理窟になるわけであります。こういう点から見て参りますると、国際収支の面は御承知のように、最近の情勢では輸出は大体一億ドル、毎月一億ドルを超えるような状況になつて参りまして、輸入のほうはそれに対してかなりの程度落ちて参つております。従いまして国際収支の月々のバランスは、本年の一、二、三月に比べまして、かなり本年度に入りまして落ちて参りまして、御承知のように四月には国際収支赤字は九百万ドル程度に圧縮されたのであります。二十九年の一月には八千七百万ドル、二月には五千万ドルという支払超過でございましたものが、四月に九百万ドル、五月にはやや殖えましたけれども千七百万ドル、六月には僅かではございますが、若干の黒字に転じております。こういう国際収支数字を見て参りまして、これが本当意味輸出実力による伸びであるのか、或いは御承知のようなポンド協定日英協定の結果の現われでありますとか、或いはその他の、本当日本輸出実力による原因以外の伸びが或る程度現われて来ておるのかというような点は、かなり判断としてはむずかしいと思うのでありますが、先ず先ず輸出の点は若干伸びる力を加えて来たものだというふうに一応想定していいのではないかと思います。  併し輸入の点も、従来の輸入の実績に比べましては、例えば二十九年の一月が二億二千八百万ドルという大幅な輸入でございましたけれども、最近は大体一億七、八千万ドルくらいのところまで落ちて参つております。この原因は、直接には御承知輸入金融の引締めが響いて来たのでありましようし、又国内生産状況その他も反映しておると思いますが、又一面にはポンド・ユーザンスの利用というような点も入つて来ておるだろうと思います。従いまして最近の輸入状況を以て将来を直ちに楽観することは必ずしも許されないのではないかと思いますけれども、全体としては先ほど申しましたように国際収支バランスは徐々に最近の傾向としては当面よくなりつつあるということは、この点が引締め政策終局目標ということになりますれば、こういう輸出入のベースが将来ともだんだんと強化されて行きますならば、現在とられております政策はその点ではだんだんと成功を収めておるというふうに言えるのではないかと思います。併しこの点は将来の判断はなかなかむずかしいと思われますし、特に特需の最近の減少傾向はかなり大幅になつておることは御承知通りであります。本年度、二十九年度国際収支見通しといたしましては、年度間一億ドル以内の赤字にとどめることを一応の目安にいたしておりますけれども、このうちには御承知のように約七千万ドルほどの二十八年度、昨年度緊急食糧輸入のズレが入つて来ておりますから、二十九年度だけを裸にして考えてみますれば、二十九年鹿の赤字予定というものはそれほど大きな赤字ではないはずであります。併しそう言いますと、二十九年度だけの彩では大体均衡に近いような状態になるかと申しますと、併しこれもやはり特需に対して七億ドル以上の期待を含んでのバランスでございますから、ここで特需減少して参りますと、この赤字の幅はそれだけ増加する危険があるわけであります。特需減少を埋めるだけ輸出の伸張がもつともつと伸びますれば、そのバランスはとれるわけでございますが、現状ではそれらの点の見通しはかなりむずかしいようであります。  最近の物価状況は先ほど政務次官からお話がございましたように、生産財卸売物価については昨年の二月のピークに比べますと約六%程度落ちております。年度間におきまして時点差で約一割くらいの物価低落を一応期待と申しますか、予想しておるということから申しますと、現在すでに六%程度物価低落はかなり目標に近い数字のようにも一応思われるかも知れませんけれども、これも本当意味のロストの低下その他による物価下落で、こういう下落傾向で安定するかどうかという点は、これもかなり判断の問題がむずかしいのでありましようし、又小売物価なり消費者物価の点は、御承知のように現在頭打ち或いはやや低落程度でございまして、これが循環的に物価低落を導いて行くほど現在の状況では期待できないような状態でございます。  国際物価との比較を申しますと、この程度日本国内物価国際物価に追付いたというような水準に達したということは勿論現状では言いにくいのでございます。併しこの程度輸出伸びが次第に地固めをして参りますならば、これは一つ目安としては成功に近いところに行くのではないかと思いますが、先ほど申しましたような輸出見通しにつきましては、かなり判断のむずかしい点があろうと思うのであります。  生産の点は、生産そのものが落ちて、或いは雇用そのものが落ちるということがこの政策目標でないことは申すまでもないのでありますけれども、先ほど申しましたように、輸出伸び輸入がセーブされるという意味では或る程度鉱工業生産指数低落も止むを得ないというようなことを目指さなければならないと思います。併し二十八年度と二十九年度比較をいたしてみますと、私どもの一応の想定では年度間平均では鉱工業生産指数はほほ同じ水準であるということを一応想定いたしております。最近の鉱工業生産指数実勢は大体一六四乃至五くらいのところに現在来ております。昨年度年度間平均鉱工業生産指数は最近の新らしい指数で大体一六二くらいになるはずであります。そういたしますと、現在の生産実勢下半期でどういうふうな姿をとるかということで、本年度鉱工業生産指数の動静がわかることになるのでありますが、現在の見通しではやはり下半期においてかなり生産のダウンが起るのではないか、現在大体頭打ち或いはやや低下傾向を見せておることは御承知通りであります。全体といたしまして当初に申上げましたように、生産低下或いは物価低下雇用低下ということそれ自体が決して政策目標ではないのでありますけれども、貿易の収支バランスの点で現在の傾向本当実力であるという判断の付くような日本経済実勢期待して、その辺が一つの何と申しますか、政策の狙いであろう、こういうふうに考えておるような次第でございます。  一応私の説明を終ります、
  17. 田村文吉

    田村文吉君 質問を始めてよろしうございますか。
  18. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) どうぞ。
  19. 田村文吉

    田村文吉君 今行われておりますデフレーシヨンの問題でありますが、これは国の一番大きな消費者である国家がその財政を緊縮することによつてデフレーシヨンの一助となすということは、私どもは極めて穏健な尤もな考えと思うのですが、たまたま金融の異常な引締めをやられたために今日の経済界の極端な恐慌に近いような不況状態を起したわけなのでありますが、私はこういうことをなさる前には必ず成る対策というものをお立てになつて、そうしてお進みになるべきじやないかと思うのであります。  例えば今御説明になりました輸出対策であります。これは物価平均して二割或いは三割国際物価に比べて国内物価が高いというならば、それに対応して輸出のできるような方法が一方に見付けておかれないで、ただ金融が引締められたということでは非常に困難を来たす、こういうふうになるのじ中ないか。又現在各業界におきまして、実は今御説明でわかつたのでありまするが、鉱工業生産指数が昨年は約一六二であつたものが今年は一六四であります。大体大した変りはないが、下期に来て若干の減少があつて、年間に行つたら或いは昨年と同様くらいに行くのじやないか、こういうようなことで、私は非常に詳細な松尾調整部長さんの御説明を了承したのでありますが、この数字が示しておるごとく、今日のような非常に金を締められて来た場合には、鉱工業生産指数の一六四とか一六二とかいうものが多過ぎる。実はかような場合には当然一五〇か一五五くらいまでは引下げられて然るべきものである。ところがそれを阻んでいるものは何かというと、独占禁止法というような法律が今でも残つておりまして、そうして業界は或る程度まで二重設備をしまして、そうして生産が過剰になつて来た。こういうことは或る程度まで調整をして行かなければならんのでありますが、これを妨げているものは独占禁止法なんです。こういう非常に厄介なものがありますために、品物が余つても、値が下つて来れば生産費を切下げるために、いやいやながら生産増加して競争力に堪えるようなことを中らざるを得ない、こういうところに日本産業の大きな欠陥が出て来ているわけなんです。で申すまでもなく日本経済というものは非常に底の浅い経済でありまして、ちよつと景気がよいとすぐ増資をいたします。するとすぐ品物が余る、すぐオーバー・プロダクシヨンで物の値が下つて来る。こういうようなことで非常に危険な状況にあるところへ持つて来て、レギユレーテイング・バルブになつておりました独占禁止法の操作で、余つた場合は或る程度までこれにカルテルの力によつてコントロールして行く、そうして下げるときに一つの落下傘の役目をして行く。無論独禁法が全然ない場合でもアウト・サイダーというものがございまするから、決しで物価というものはそう独占価格というものにはなり得ないのでありまするが、それをしも今日は禁止している。これを許可を得ようとするには半年も一年もかかる。こういうようなことでは今日の状況には間に合わない。こういうような問題が一つ大きな障害になつている。  又税の問題にいたしましても、実際今日の中小企業者だけでない。あらゆる産業をやつている人でも、或いは又資本の蓄積をやつている人でも、今日は税というものが非常に高い。これは比較して申上げるまでもないのでありますが、戦争前に比べると物価が三百六十倍とすれば、所得税とか法人税とかいうものは約二千倍近いものになつている。こういうような非常に高い税金を今日は払わされている。  又これは労働関係の法律でありまするが、同僚諸君の中には或いは反対のことをお考えになる方もあるかも知れませんが、今日のような日本経済の再建の場合に、一方においては五千円、六千円の金がもらえるかもらえないかといつて非常に悲惨な生活をしなければならない人があるかと思うと、一方には二万円、三万円という所得があつて、而もなお労働争議を起して賃金の増額を要求している。こういうようなことで労働法に乗じまして、そのために非常に国内状況は不公平だ。こういうようにまだ数え立てるといろいろございますが、そういうものに手を書けないで、ただ一面金融の引締めだけで似て直せばいいというようなことをおやりになつていらつしやつたところに私は非常な間違いが起つて来ているし、これがなかなか困難な問題であるのではないかと思うのでありまするが、成るほど今のお話のように物価は一時中りました。ひどいものになりまするというと四割も五割も下つたものもございまするが、まだなかなか末端の小売価格まではその影響は大きく来ておりません。下りましたが、この下落について、今のお話では年間一割というお話があつたのであります。これは私は十九国会の初めに伺いましたところでは、大体年間に五分か六分の値下げをするということを考えておられたようでありますが、今一割という数字を伺つて、或いはそういうことをお考えになつていらつしやつたのかということを初めて知つたわけであります。いずれにいたしましても、物によりましては三割も四割も下つたものもありまするが、さつき御説明があつたように生産費が実際に切詰められてそうなつたのではないのでありまして、もう金融の関係上止むを得ず投売りをせざるを得ないというのが今日のいわゆる物価が下つたとい形になつているのであります。これで以て日本経済物価低落というものが果して望み得るかどうか、こういうような点になりますると非常に疑いなきを得ない。いわんや今の輸出状況がたとえ僅かでも六月は黒字になつたとおつしやるのですが、これは特需関係を見込んでの上であります。それにいたしましても若干の黒字が出るようになつたと言えば幾らか明るいような気がいたさんではありませんが、これも決して国内に高く売つて国外に安く売つたといういわゆるダンピングではないのでありますが、如何せん投売りをせざるを得ないような状況で海外に輸出をする。こういうようなことのために非常に輸出が思つたよりは出た。こういうことなのだろうと私は思つておりまするので、そういうような問題が未だに解決されないで参りまするということは、ただ徒らに金融を引締めて行けば、まだまだもつと深刻な状況が出て、今まではいわゆる商社の問題だけで済んだ、或いは石炭であるとか或いは造船業とか、繊維産業とかいうような特殊のもので済んだのが、今日は日本のあらゆる産業がここへ来て脅威を受けて、半恐慌状態のようになるのじやないかということを非常に心配する。  その結果はどうなるかというと、今でさえ失業者方々が多くて困つていられる際に、なおより以上の失業者を出さなければならない。こういうことになりますので、非常に私はその点について憂慮に堪えませんので、今日は両大臣にお見え頂いてよくその辺のところの御真意を質したいと考えたのでありますが、無論そういう点についての十分の御配慮はあることとは考えております。又今日御出席にならんでもそれぞれ次官の皆様方から私の微意のあるところをお伝え願えると考えるのでございますが、そこで私は当面さしかかつた問題として、この間新聞に、吉田総理は計画経済ということは仰せにならないが、或る程度まで経済の計画性を持たせるということについて再検討をすべきではないかというようなお話があつたかのように聞いておるのでありますが、そういう点について経審のほうでは何か新機軸としてお考えになるべき時期が来ているのじやないか、又それについても総理からそういう旨に従つて問題をお進めになつておるかどうか、その問題が一つ。  もう一つはこれは松尾調整部長さんに伺いたいのですが、今の自由党内閣としては外資の導入について非常に熱心である、私どもは外資の導入必ずしも悪いと言わないけれども日本のいわゆる本当自立経済という点から考えると、必ずしも外資の導入によつて日本自立経済を立てるというようなことは余りに安易な考え方ではないか、むしろこれがためにインフレーシヨンを巻起すような虞れが却つてありはせんか、そういうような点を実は心配しておるのでありますが、これは吉田総理が非常に熱心にお考えになつておるので、経審部長さんとしてこういうものに対しての御見解を御発表になることが或いは困難であるか知りませんが、その点について私は疑いを持つておりまするので、そういう点について若しお考え等が明らかにして頂ければ結構だと思うのであります。  最後にさつき申上げました労働関係の問題でありますが、私はどう考えても、一方で三万円も四万円も所得がある人があり、一方には四千円、五千円でやつて行かなければならない悲惨な人があるというこの有様を考えて実に国の憂いはここにあるということを潔く感じまするが故に、実は昨日来の近江絹糸の問題等につきましても、余りこういう問題に強く……、ただただ過去の惰性で労働運動々々々々で進められて行くということについて著しい不満を感じておることを申上げたのはその意味なのであります。今日本の立ち、日本民族の立つている足もとは非常に危い、いわゆる砂の上に立つているような危険な状況下にあるのであるまするので、私は失業問題が最も大きな問題としてそのよつて来たるゆえんをはつきりと承わつてみたい、こう考えておつたわけであります。通産政務次官及び松尾調整部長から御見解をお聞かせ頂ければ結構だと思います。  なお更に私はこの機会に物価を上げないという問題として、電気料金の値上問題について、大体新聞では値上をされないように決定したかのように聞いておるのでありまするが、この問題につきまして附加えて政務次官から御答弁を願えれば仕合せだと思います。
  20. 古池信三

    説明員(古池信三君) 只今田村委員から非常に蘊蓄の多い御高説を拝聴いたしまして、非常に私どもとして有難く傾聴いたした次第であります。御指摘のごとく、現在の日本国内的に見まして極めて経済の底が浅く、特に資本の蓄積等は極めて微々たるものである。のみならず対外関係のいわゆる経済交流の面から見ましても、戦前に比べますと非常に不自由な状況になつておるのでありまして、経済界における一つ事件、問題が直ちに広汎なる影響国内に捲起して来るというような次第でありまして、この点は非常に我我も心配をいたしておる次第であります。先ほど独禁法の問題にお触れになりましたが、これも独禁法を全面的に改正をするということは実際問題としてなかなか困難性が多いだろうと思うのでありますが、昨年皆様の御賛同を得まして、若干これを緩和したことは御案内の通りであります。又その地中小企業安定法でありますとか或いは輸出入取引法等の改正によりまして、独禁法の例外的緩和の規定を入れたことも、只今田村委員お話になりました御趣旨に若干ずつ近付きつつあるものとお考え願いたいと思うのであります。  それからデフレによる失業問題につきましては、これは一経済の問題、産業政策にとどまらず、国内の大きな問題の一つでございまするので、勿論政府部内、関係各省が挙つてこの問題につきましては統一的に協力した態勢をとつてその解決に努むべきものであろうと私は考えております。  最後の電気料金の問題についてお話がございましたが、電気事業を直接監督いたしておりまする当省といたしましては、本年一月に電気料金改訂の申請が会社から出ましたので、この申請書に基いて詳細なる検討を現在まで加えて来たのであります。その内容につきましては、全国平均いたしまして一割四分四厘程度の値上となる申請案が出されたのでありますが、何とかしてこういう時勢でもありまするので、この値上を避けるように努めたいと考えて、その内容の中で他の方法で、例えば税の軽減でありますとか、金利の軽減であるとか、そういうような点においてでき得るだけの処置を講じて、而もなお値上を要するようなものがあるかどうかという点にまで研究を進めてみたのであります。その結果事務的に考えまするならば、若干電気事業の収入の増加を図つて行かないと、折角現在やりかけております電源開発の将来に極めて憂うべき状態を引き起すであろうということが予想され、種々これに伴いまして悪い影響も起つて来るような虞れがあるように考えられるのであります。併しながら一面又現政府がとつておりまするこのデフレ経済政策の面から見ますると、政府の認可にかかる料金を引上げるということは実質的はもとより、心理的な影響も決して軽視できないのでございますので、この辺の点を如何にすべきかというので非常に大臣その他関係者が頭を悩ましているのが現状でございます。昨日の閣議の席におきましてもこの問題を通産大臣から提案をいたして協議があつたように聞いておるのであります。勿論閣議の内容の詳細に亘りましては我我はこれを承知いたしませんが、大体新聞に掲載されたようなことは事実であろうと信ぜられるのでありまして、この電気事業の、特に日本として今後基幹産業として、又国民経済上の必須事業といたしましても、これをここでつぶすようなことは、これは大いに考えなければならん問題だ。併し一面電気料金の値上ということが又国民経済上大きな影響をもたらすとすれば、そこに何らかの、電気料金の値上によらずして、而も電源開発その他事業の運営を筋道を通して進めて行けるような方法はないか。端的に申せば、更に税の軽減であるとか或いは財政資金の金融面における援助であるとか、そういう方法によつてカバーできないかどうかということを更に検討しようということに現在なつておるように承知しております。従つてまだ最終的に料金の値上申請は認可しないという確定的な段階にまでは至つておりませんけれども只今申上げましたような意味合いにおきまして、十分慎重なる検討を加えて行こうという段階に現在あるものと私は承知しておりますので、そのままを申上げたような次第であります。
  21. 松雄金蔵

    説明員松雄金蔵君) 只今田村先生のお話で、経済自立計画というようなものについて何か経済審議庁としてやつておるかという御質問であると思います。その点は、総理からの指示がどうこうという点は私も余り正確な表現で、正確なことを必ずしもお聞きいたしておりませんが、いずれにいたしましても経済審議庁といたしましては、従来こういう問題に絶えず触れて参つております。最近の状況につきましてもこういう問題を担当しておるわけであります。  昨年いわゆる俗に、俗称岡野構想というようなものの議論を内部的にやつたこともございます。又最近の状況におきまして、必ずしも計画というようなものであるかどうか、これは現在の経済組織なり経済状況でそういう言葉を使うことが必ずしも穏当ではないと思いますけれども、かなり政策面を織込んだような見通しと申しますか、そういうものは当然私ども内部で、現在では一応フリー・トーキングの段階でございますが、やつておるわけでございます。併しその内容はまだここで具体的に申上げるような段階には至つておりませんけれども、まあ一応問題だというようなことを簡単に申上げますれば、要するに国際収支バランスということが一応経済自立ということの目標であるということにいたしますと、どういう形で経済自立が、国際収支バランスがとれるかということが要するに議論の焦点になるというふうに御了承願つたらよろしいのではないかと思います。これは勿論申上げるまでもないことでございますが、要するに日本の最近に言われておりますように、輸出二十億ドル目標というようなことが一般に論議せられておると思います。最近の状況はいろいろ申上げましたけれども、二十九年度の一応の輸出目標といいますか、見通しといたしましては、当初十三億七千五百万ドルという輸出目標見通しを持つてつたのでございますが、外貨予算編成のときにはこれから約一億ドルくらい内輪に、かために見て外貨予算編成が現在行われております。最近の実勢から申しますと、多分この中間、或いは若干上廻るくらいのところで本年度輸出が達成せられるのではないかと思いますが、仮に国際収支バランスをとろうといたしますと、輸出年度二十億ドルというようなことが一応の目標にならなければ現在の経済規模或いは何年かあと経済規模から申しまして、国際収支バランスはむずかしいわけであります。その差がここに数億ドル、或いはそれ以上あるわけでございますから、その差をどういう方法でどういう政策で埋めるようなことに想定するかという点が、自立計画といいますか、自立見通しの一番の難点であるわけであります。この点をただエイドなり、或いは特需なり、そういうものに期待して、いわゆる下駄ばきの自立構想というのでは、本当自立構想にならないわけでありますけれども、併し、さればといつていきなりそういう理想的な自立構想に辿りつけるかという点が現状ではなかなか判断なり想定のむずかしい点であろうかと思います。特に申上げるまでもないことかと思いますが、現在そういう形の問題からフリー・トーキングしておるというような段階でございますので、これは申上げるまでもなく、当初申上げましたように特に計画というような形で論議しておるわけではないかということを御了承願いたいと思います。  それから第三の外資導入についてのお話がございましたが、これは私から申上げるような立場でもございませんが、恐らく田村先生のお言葉の意味は、現在の状況で外資を導入をして、それで一応まあ当面それでやれるということだけではいかんのではないかという点が先ずお考えの中におありになるのだろうと思います。確かに外資導入といいましても、或いは借款といいましても、これは只でもらうものではありませんし、終局的には、当面は外資なり或いは借款で国際収支バランスにできるだけ寄与するにいたしましても、究局的には日本経済の、国際収支バランスをして、いずれはこれを返す、或いは払えるというようなことが基本的な根本的な考え方にならなければならないことは申すまでもないのであります。又一応外資なり借款で日本が或る程度の外貨を取得をいたしまして、従いましてそれだけの輸入力を殖やし、又それに見合うだけの物資が入つて来ると、その金を、これに見合う金を使つても、物と金が見合つている限りはいわゆるインフレ効果にはならないではないかということに対して、併し、その円資金を使う使い方が、いわゆる迂回的な生産面に投じられれば投じられるほどそこに若干インフレ的な働きをするのではないかという点も恐らく田村先生の御意見の中に含んでおつたのではないかと思います。これらの点は、私どももそういう点について問題があることは、私どもも議論の中にはあるのでございますけれども、現在論議せられております外資導入とか或いは借款というような現実の問題としてそういうことに触れるほどの重大な問題であるかどうか、この辺は私どもまだ十分な判断がつかないようなわけであります。  なおもう一つ付加えて補足説明を申上げさせて頂きたいと思いますことは、先ほど物価見通しにつきまして、先に政府年度で本年五%の物価のダウンを予想しておつたと言つてつたけれども、今私が御説明をいたしました中に一割と言つたというようなお話がございましたが、これは数字の点でございますので、一応補足的に御説明をさして頂きたいと思います。  それは要するに物価比較をいたしますときに、二十八年度間平均と二十九年度間平均をとつてみますと一応五%程度のダウンがある。私ども見通しは、勿論物価見通しはむずかしいわけでありますから、正確なことにはならないのでございますけれども、一応卸売物価指数について年度間平均同士の比較で、卸売物価指数六・五%、小売指数三・六%くらい落ちるのではないか。従つて年度間平均では五%くらいの低下を予想した。併し二十八年度末、つまり二十九年の三月と三十年の三月、二十九年度末の時点の差で比較したしますと、やはり時点差では一割程度物価低落期待していいのではないかというようなふうに一応の予想を持つておるわけであります。いわゆる五%乃至一割とまあよく言われますのはそういう意味であると御了承願いたいと思います。
  22. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  23. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  失業問題に対する案件を一時中断いたしまして、日本国有鉄道における労働問題に関する件を議題に供します。時間がありませんので問題の要点を衝いてお話を頂きたいと存じます。  先ず最初に国鉄の当局側に、続きまして参考人といたしまして、国鉄の労組側から発言を頂きたいと思います。
  24. 井上正忠

    説明員井上正忠君) 今回の問題につきまして概略を御説明申上げたいと思います。  問題は国鉄の組合が先般五月の中旬の上ノ山の大会で委員長、副委員長、書記長その他の役員の選出の大会があつたのでありますが、その選出が、昨年の暮の仲裁裁定をめぐる紛争で、公労法の十七条、十八条によりまして馘首されました人たちがこの三役並びにその他の重要な役員に選挙されたわけであります。でそれに伴つて我々としまして、国鉄の労働組合が公労法上の保護を受けない組合であるということを一応考えまして、その後の団体交渉その他につきまして拒否をしておるという争いであります。  御承知のように昨年の十二月仲裁裁定の裁定に伴いまして、昨年十二月の上旬から下旬にかけまして数回に亘つて国民の皆様方に非常に御迷惑をかけた、国鉄の始つて以来非常に大きな争議事件があつたわけであります。この件に関しましてはこの委員会でも先般我々御説明申上げたところであるのでありますが、それによりまして、今年の一月の二十三日でありますが、そのときの国労の本部の委員長の柴谷君、副委員長の土門君、書記長の横山君、それから企画部長の岩井君、なお地方におきまして東京、広島、大阪、新潟、非常に闘争の激しかつた、結果におきまして争議の結果が非常に大きく出ましたところの責任の方々を公労法の十七条、十八条によりまして解雇の申渡しをしたわけであります。合計十八名であります。そのうち中央の関係が四名、地方の関係が十四名であります。  それで実は私たちとしましては、昨年同様なケースがありまして、そのときにやはり中央の本部の三役が公労法の十七条、十八条によりまして罷免されたのでありますが、そのときには組合の中で委員長の臨時代理が置かれまして、なおこの三役は組合の内外とも表面に立たれないで、結局臨時代理が前後の始末をしたという昨年はいきさつを持つております。で、その点につきまして、我々としましては、この組合を代表する三役以下の役員が十七条、十八条で処分されましたので、恐らく明年と同じような処置をとられるものと、こういうふうに期待いたしておつたのであります。なお昨年の例もございますので、丁度年度末の手当の折でもございましたし、そういうことで団体交渉は一応三役がない状態のままに、我々としましては年度手当の問題を団体交渉を続けて参つたわけであります。  ところが組合のほうにおいてはその直後に鎌倉で中央大会をおやりになり、同時に四月には鳥取でやはり中央委員会をやられたわけであります。その時分においては恐らく私たちは想像いたしまするに、昨年と同じような処置をとる、或いはもう五月に大会が開かれるので、五月の大会には恐らく昨年と同じように三役を新らしく替えて来られるものと、こういうふうに期待いたしておつたのであります。同時にその前後におきまして、一年間の組合並びに当局の交渉委員会並びに交渉委員の指名手続が労働省で行われるわけであります。これは二月に労働省が選定することになつておりますが、遅れまして、三月に労働省が二十九年度の両者の交渉委員を指名するということになつておるわけであります。恐らく労働省も私はそういうお気持であつたと思うのでありますが、当面の労働問題を放置するわけに行きませんので、一応交渉委員会の選定を組合側のほうからもお求めになり、我々も交渉委員会の選定に当局意見を出したわけであります。  で、当時三月には機関車組合、御承知のように国鉄には一般の国労組合と機関車組合と二つございますが、本年は機関車組合に単位をとる問題で相当いろいろないきさつがあつたのでありますが、従来は組合は二つありながら単位は一つしがなかつたのであります。それを今年の三月には単位が二つできたというようないきさつもありまして、今年の四月からは機関車組合は名実共に組合であると同時に単位を持つたわけであります。そういういきさつもあつたわけであります。諸般の状況でいろいろな問題を私たちは三役なきままで一応処理して行く、それが五月の大会で改善されるべきと期待して参つたわけでございます。そういう期待を持ちまして我々四月中は見て参つたのでありますが、大会の五月の十五日の直前になりまして、もう少しはつきり申しますと四月の末から五月の初めにかけまして、どうもこの馘首されました三役の居坐りの気配が我々に感じられるようになつたわけであります。例えて申しますと、委員長を替えたらあと委員長と書記長は替えなくてもいいかというようないろいろな個人的な話まで出て参りました。でこれは我我が想像いたしておりました三月、四月の状態とは、組合の中で私は相当いろいろな点で情勢が変化して参つたものと、こういうふうに考えております。  上ノ山の大会が五月の十五日から四、五日あつたわけであります。この大会に三役がそのまま再選されるようであつてはこれは容易ならんことではないか。特に大きな企業日本の国の最大の組合でもありますし、その点で両者の間に法律上の疑義があつてもならないというような我々善意の気持もございましたので、新聞で御承知のように副総裁が上ノ山の大会に出掛けます前に、当時の柴谷前委員長と、それから土門前副委員長とこの二人を呼びまして、この点についての一応組合のお気持を尋ねられたのがいわゆる新聞に天坊声明として現われておる事件でございます。我々もこの大会は非常に注目して見て参りまして、特に四日目か五日目にきまりました人事関係については非常に注目しておつたのでありますが、遺憾にして大会では公労法上かく首された三役をそのまま殆んど対抗馬といいますか、(笑声)対立候補の状態も強く出ずに、前委員長の柴谷君が新しい委員長になり、土門君が副委員長になり、横山君が書記になり、なお罷免されました岩井君が企画部長になつて、いわゆる再選の形で出て参つたわけであります。  そこでいろいろ私たち内部で新しく、あえてこの処置をとられました国鉄の労働組合に対して、我々どういう労使関係を保つべきかということについては部内で非常にいろいろ議論したわけであります。同時に労働省その他の方面にも我々の意見なり気持なりをただ連絡して参つたのでありますが、どう考えましても公労法の第四条第三項では、組合の職員でない者が組合の役員或いは組合員になることも禁止されておりますし、公労法自身が労働組合法の例外な規定でありますし、なお私たちはこの第四条の規定というものは強行法規として解すべきじやないかということもございます。  又翻つていろいろな労働政策から見ましても、この大きな国鉄の組織とそれから三十数万の国鉄の労働組合との間にルールを外していろいろな労使関係を築いていいか、ルールを無視して円満な交渉が行われるかというような点についていろいろそれぞれの見地に立脚いたしまして議論いたしたのでありますが、円満な労使関係をこの形では続けるわけにいかんという結論になりまして、五月二十七日に副総裁以下我々が新らしくでき上りました労働会館に出向きまして、国鉄の労働組合の新らしい役員の方々に対して組合が違法な状態なつた以上は、我々としてはこれから正規な労使関係を続けて行くわけに参らないのだ。又団体交渉その他の日常の問題についても交渉には応ぜられないのだという申入れをいたしますと同時に、直ちに総裁の名前を以ちまして全職員に、事態はこうなつた、一つ善良な良識を持つて国鉄の輸送に御協力願いたいということを全従業員に伝えたのであります。爾来組合では昨年から今年にかけましての馘首者、昨年の三名と今年の十八名と二十一名の馘首の撤回、それから今度の問題の団体交渉を開け、それから六月に入りましてすぐ問題になりました夏季手当の一カ月分を支給しろ、この三つの問題で六月の上旬から闘争を開始いたしまして、上旬、中旬、下旬と第一次闘争、第二次闘争、第三次闘争、この闘争を計画されたわけてあります。これは皆様御承知通りであります。  で、特に当面夏季手当の問題につきまして全官公或いは電通、専売等の各単産の闘争が漸く熾烈になつて参りました。私たちとしては、先ほど申しましたように機関車組合の関係がございますので、機労とは団交いたしておりましたが、国労とは遺憾ながら団交もできない。国労としては早く合法的な姿に戻つてくれ、いつでも団交に応ずるがという言い方をしながら上旬を見送つたのでありますが、そこへ仲裁委員会のほうで、これは国労のほうから不当労働行為で六月の上旬に仲裁委に申請をされましたが、それに基いて仲裁委では、取りあえず夏季手当の問題について国労と当局話合つてみたらどうか但しこの夏季手当の問題については団体交渉でない話合いをしてみたらどうだ、それからこの話合いにはいわゆる渦中の一二役を入れないで話合いをしろと、こういう仲裁勧告が出たわけであります。これが六月の十二日と記憶いたしております。  で、当事者の回答を翌十三日の日曜日に求められまして、私たちは全面受諾の回答を日曜日でありましたが、いたしたのでありますが、組合は、十三日の回答が一日遅れまして十四日に回答をいたした。その回答の内容は、話合いはいたしましようと、こういう回答でありまして、調停の条件になつておりました渦中の人物を除くという問題につきましてはあえて触れられなかつたというふうに私たちは見ておるのであります。  で、そういうことで当面夏季手当は、公務員につきましては六月の十五日の支給でありますが、十四日に組合が回答されまして、十四、十五、十六と三日間、この仲裁の勧告案の字句の解釈で両者の関係がもみまして、結局話合いに至らず、漸く十七日になりまして、お互いが小委員会を設けて話合いをしようということになりまして、十七、十八、十九と三回の話合いをいたしたのであります。我々のほうとしましては〇・七五の支給案を出し、組合は一カ月分の支給を要求せられ、だんだん話の途中に〇・七五プラス・アルフアーというところまで組合は譲歩世られて来たのでありますが、我々としましては遺憾ながら本年のいろいろな状況から見まして〇・七五の線を守るわけにいかんということで、三回の話合いを持ちましたが、十九日に不幸にして話合いが決裂になりまして、二十一日以降夏季手当〇・七五を我々の当局側の責任において支給をした結果に相成つたわけであります。  その後第三次闘争が六月の二十四、五、六とございまして、若干の予想外の障害もあつたのでありましたが、まあ大した障害なしに済みましたのでありますが、一方国労としましては仲裁委に出しておられまして、仲裁委の話合いがそういうふうに不調に終つたということで、今度は東京地方裁判所に団体交渉を行えという仮処分申請を出された模様であります。その結果、裁判所が我々を先月から今月にかけて両三回同時に呼ばれまして、いろいろな和解案を出しておられるというのが現状でありまして、未だにその和解案につきまして当局側の主張と組合側の主張とが調わず、本日四時から第四回目の和解のために我々参るということになつております。  これが大体の今までの経過と御説明であります。
  25. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは横山書記長にお願いいたします。
  26. 横山利秋

    参考人(横山利秋君) 書記長の横山でございます。非常にお忙しいところ時間をお割き下さいましたことに対して、国鉄労働者を代表いたしまして厚くお礼を申上げます。  只今当局側から御説明になりました事実関係につきましては、そんなに違つたことはございませんから、成るべく時間を短縮する意味におきまして、事実関係に伴う見解の相違を主として申上げたいと思います。  今回の問題の根本原因は、何といつても四回に亘る私どもの賃金裁定が一回も完全に実行されなかつたというところに根本の起因をなしておりますし、第二番目には昨年と本年とに亘り合計二十一名という大量の幹部の解雇措置ということが国鉄労働者に与えた非常な憤激の的になつているのが根本の理由でございます。かてて加えて定員法以来御存じのように国鉄は約十万人ぐらいの人員の整理が行われておりますし、その労働強化と他に比較してやはり賃金が低い、こういう点が欝積しておつたわけであります。  直接の原因といたしましては、昨年本参議院におきましても運輸委員会において本年はとにかく裁定の完全実施をするべきだというふうな決議をなされました。我々としても仏の顔も三度と申しますけれども、今年こそは必ずや裁定が実施できるであろうと思つてつたわけでありますが、御存じのようにそれが七月以降となりまして、かてて加えて年末手当は他の現業公社に比較いたしまして国鉄が一番少い。こういうふうな実情に結果としてなつたわけであります。そういう悪い結果である上に加うるに十八名という解雇通知であります。この十八名というのはその量においても又質においても到底国鉄労働者としては認めるわけには参りません。一月以降その撤回のためにいろいろ努力をいたしました。併し努力をする一方、私どもとしては国鉄労働者の日常の労働条件を守るために当局側と団体交渉を続けて参つたわけであります。その交渉は只今員局長がおつしやるように尋常普通に続けられました。三役がいないままにとおつしやるのですけれども、これは柴谷さんが委員長であり且つ交渉委員長として調印もいたしましたし、その調印した協約は実行されて参りまして、何ら日常変るところがなかつたわけであります。ところが五月の中旬に全国大会を開くということになりました途端に、只今説明のように三役は留任してはいかん、こういう勧告がございました。  お考えになつてもわかりますように労働組合のその性格なり或いは人事について使用者側が容啄をするということはこれは不当労働行為として戒められているところであります。それをあえておやりになつたわけでありまして、私どもはまあ法律的立場ということは一応さておいても、組合の問題は組合がきめるべきである、こういう観点でその申入れをお断りをいたしたわけであります。  全国大会は、又その過程に開かれました中央委員会は満場一致、一人の反対もなく、解雇の通告を受け、これに対して反対の闘いをしている柴谷さん初め四人の者の再選を認めたわけであります。  本日私は時間もございませんので、法律的な問題の解釈を余りいたすことはどうかと思いますが、素朴に言つて一番労働者として大事なことは給料を値上げしてもらうことと首を切られたくない、これが労働運動の一番基礎の問題だと思うのであります。その基礎の問題で闘つた組合役員、私もその該当者でありまするから、いささかこういうことを申上げることほどうかと思いますけれども、併しその先頭に立つてつた人が首を切られた、解雇の通告を受けた、だからすぐにお前は戦列から出ろ、こういうことでは労働者として一体何を目標にしてどういう信念で闘うのか、当局と交渉するのか、何かと言えば、一生懸命にやつた、首切られた、それは戦列から直ぐ外さなければいかんということでは、労働者が労働組合に信頼をし、そうして当局と交渉をするということに非常な障害を受けるわけであります。従いまして国鉄の三十六万の労働者がこの解雇を不当と認める限りにおいて、又労働組合の本来の気持において三役の再選をするということは、素朴であり、且つ又労働運動の一番基礎的な問題として御理解をお願いしたいと思うのであります。  併しこれに対して当局側は五月二十七日に団体交渉をしないという通告をし、六月一日には総裁が全職員に対して訓示を発表し、六月四日には組合活動の自由の制限をする四つのことを通告をして参りました。それは組合費の一括徴収をしない。そういう協定があつたけれどももうしないのだ。或いは又組合運動に組休制度というものがありますが、それもやめるのだ、それから専従者の給料の予納制度がありますが、それもやめるのだ、こういうふうに組合活動の自由を制限する措置をして来られましたので、我々としては六月一日に仲裁申請をいたしました。申請は、この団体交渉を拒否すること、これが不当労働行為だというのであります。言うまでもなく団体交渉は我々の解釈するところを以てするならば憲法に基くところでありまして、仮に百歩を譲つても法外組合だから団体交渉権がない、こういう点は私どもとしては考えられないところでありまして、今日まで労働法の学者もそういうことはないと解釈をしておられると聞いているわけであります。併しこの間団体交渉しない、それから話合いすらしない、とにかく当局側としてはまあ何と申しますか、組合活動の制限をして、組合に対して俗な言葉で申しますと喧嘩を売るという恰好になつて参りましたので、勢いそれに対する防禦の措置をとらなければなりませんので、仲裁委員会夏季手当についての緊急な斡旋をお願いしたのもこの趣旨であります。七月の昇給についても又緊急な斡旋をお願いしたのもその趣旨であります。  今回の問題の特色は先ほど申しましたように、とにかく労働紛争というものについては何ぼお互いが実力行使をしたり喧嘩をしておつてもどつかでやはり窓口を開いて交渉に応ずる、最後の話合い、妥結に応ずるという形があつて紛争は解決するものと常識上考えられるところでありますが、今回ばかりはとにかく先手を打つて当局側が組合活動の自由を制限するいろいろの措置をとられる。それに対して我々がまあ防禦的な形において闘いを余儀なくされる、こういうところに根本の問題があると考えられるのであります。私どもは仮処分にも申請をいたしまして、只今お話がありましたように二つの案が提示されました。  我々としては、新聞で御存じかと思いますが、第二案というもの、これについては非常に痛いところがあるのでありますが、今日根本的な解決をすることが必要であつても、これだけ境目が大きいのではこれは望めない。従つて先ず第一に暫定的な解決をすることが至当であろうと考えまして、痛いところがあるのでありますが、第二案を了承いたしたのであります。併し当局側は先般のときでは第一案、我々としては到底問題にならない第一案すらも条件を付けなければいやだ、まあ基本的には第一案でも問題だというふうな観点をとつておられるので、裁判長の非常な御熱意にもかかわらず、和解という問題は困難な情勢になつて来ているのであります。  この際労働省のお方もお見えになりますので、一言これに対する又余分な紛争が殖えて参りましたことに触れざるを得ないのでありますが、七月二日に労働基準法の三十六条の締結の事業場の通達が出ました。今まで超過勤務につきましては鉄道管理局で交渉し結んでおつたわけでありますが、この紛争の最中に労働省がその協定の締結権を現場に下す。つまり当初のお話では管区だけに下すという措置をなされようとしたわけであります。そこで我々は労働省お話合いをいたしまして、ここにいらつしやる安井さんもいろいろお考えの末、慎重にそれじや一つ考慮しようというお約束を願い、大臣にもそういうお約束を願つて七月一日は延期するというお話であつたわけであります。ところが延期はたつた一日でありまして、七月二日に機関区とほか六つ、合わせて七つの事業場が三十六条協定、超過勤務の協定の指定現場にされました。その結果どういうことが起るかと申しますと、改めて超過勤務の協定を各事業場ごとにし直さなければならんことになつて参りますし、それは今まで一所でやつてつた紛争を全国各地に及ぼすものでありますし、組合費の問題にいたしましても、或いはいろいろな問題にいたしましても、この紛争の過程に非常に、折角とにかく紛争を成るべく少くしたいと思つておりますのが、拡大をする結果になつたわけでありまして、組合としてもそれによつて組合運動が低下するのを避けるためにやはり対抗手段をとらざるを得ん、こういう状況になつて参りました。  その三十六条の協定と関連をいたします問題に超過勤務の問題がございます。この十日乃至十四日頃から新聞に発表をされておりますように夏の臨時列車が出ることになつております。国民大衆の要望によつて又国鉄の経営上にもよつて臨時列車を夏に出すということは必要なことだと私ども思うのであります。従つてどももいろいろな紛争はともあれ、その臨時列車を動かすために超過勤務をすることは必然的なことでありますから、その超過勤務に応じ得る態勢にするためには基準法三十六条の協定をしようではないか、こういうふうに申入れましたところ、これを一蹴し、とにかく国鉄労働組合とは協定をしない。こうして鉄道学校の生徒やいろいろな人を使つてこの臨時列車を動かす。極めて私は危険なものと思わざるを得ませんし、これは是非とも思い直しをされるべきところではないかと思うのであります。  結論として、過程に申上げましたように、好んで私どもはこの紛争を続けようといたしておるわけじやありません。いわば今回は俗に言う売られた喧嘩でありまして、組合の団結を守るための、組合の組織を守るための止むを得ない恰好での闘いになつておるところを十分一つ御記憶を願いたいと思いますし、第二番目には、いつもの紛争と違つて交渉しようにもしようがない。話合いをしようにもしようがない。とにかく一方的に双方が実力行使を対抗上する。その源は当局措置に対する止むを得ざる手段としての我々の闘争指令、こういうふうになつておることも御理解を願いたいと思うのであります。我々としてはこの際どういうふうに話をつけるにいたしましても、とにかく話合わなくてはなりません。団体交渉してこそ、そこで話合つてこそ解決のめども見えて来ようかと思うのであります。団体交渉の再開こそが今日一番大事なことであると思います。団体交渉はしない、調停委員会はまだ今委員がきまりませんので調停機能を発揮いたしません。仲裁も仮処分も今日すぐ出るとは思われない状況で極めて残念なことであります。従つて労働者が自分たちの利益と団結を守るためには、こういう機能が全部停止をされますれば、必然的に力で、団結で、行動で自分たちの地位なり生活を守り、団結を守るということになるのは止むを得ざるところでありまして、この点につきまして是非諸先生方の御理解ある態度を以ちまして、団体交渉の一刻も早く再開されるようにお願いをいたしたいと思うわけであります。  簡単でございますが……。
  27. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 時間が大変迫つておりますので、十分に御質疑を申上げる時間がございません。御退席になる時間が迫つております。それで一点だけ天坊副総裁がお見えになつておりますからお尋ねをしたい。今労組側のこの問題に対するいわゆる経過の報告でなくて、今後のあり方について所信が述べられております。国鉄当局のほうからは経過の報告だけであつたと思います。従つて天坊副総裁といたしまして、これだけ大きな問題になつております事件について、このままで行けば平行線でいつまでも事態の解決ができないと思うのでありますが、何らか解決をするためのお考えというものをお持ちになつておるかどうか。若しお持ちになつておるといたしますならば、それについてお差支えのない程度一つお話を願いたい、こう考えます。
  28. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 時間もございませんので簡単でございますが、只今委員長がおつしやいました点に関しまして若干私の考えておりますところを申上げたいと思います。  只今横山君からお話がございました中で、非常に端的に、法律問題は別個として、労働者としては素朴な観点から賃上げの問題と首切りの問題が一番重要なことだという言い方をされたので、私はそのおつしやり方についてその通りだろうと思うのもあります。特に首切りという問題は重要な問題でありまして、そのためにいろいろ法律的なルールがありますか否かにかかわらず、一つの首を切られてはいけないという制限があるわけでありまして、おのずからそこに限界というようなものもあり得るわけなんであります。これは私は一番素朴な考え方であろうと思うわけでありまして、従いましていろいろな理由にかかわらず首を切られた人が切られない人と同じだという恰好になつては、私は一番もとの問題で、労働運動と言いますか、労使間の関係というものは、それが切つても切らなくても同じだという恰好であつては根本的な問題になるのではないかというふうに考えるわけであります。従つてその首切つたこと自体に対する問題は、先ほどお話は出ませんでしたが、組合側としてもこれは無効であるという意味で、それは法律問題として法廷で闘わされておるのでありまして、そうした法廷の手続によつてその問題は解決を見なければなりませんし、見らるべきものであろうというふうに考えております。  従いまして私ども、法律問題いろいろございますが、先ず第一にその首を切られたという、公労法によつて首を切つたと、そういう罷免をされた人がなつてはいけないというふうに書いてある問題についてはつきりさせなければ、今後の労使関係はうまく行かないという、その基本の問題を第一に捉ええおるのでありまして、決して、私ども団体交渉を拒否するということは二の次でありまして、そのもとの筋をはつきりさせなければいけないというふうに考えておるわけであります。而もその公労法に禁じられておることをあえて強引に上ノ山の大会でおきめになつたということは、そもそも労働組合というものが職員の給与、福祉、そういう問題を先ず第一義として闘つて行くべき性格のものが、ただ解雇された人間に対する闘争のための闘争、気持は私はいろいろわからんでは勿論ないのでありますけれども、その闘争のための闘争を第一義としたというような姿が一番やはりこのもとでありまして、その点を一つ、組合の執行部を選出したもとの職員全体が良識を以てこれを考え直してもらいたいというのが私どもの根本的な立場なのであります。現実に各地におきましていろいろと反省の声もあるわけでありまして、私どもといたしまして、そうした問題が、これは先ほど横山君が当局から仕掛けた、売られた喧嘩だというふうに言われたのでありますが、その闘争のための闘争の態勢を強化されたという点が、私どもから言えば喧嘩を売られたという恰好になつておるのでありまして、それに対しての私どもは何らかの対抗策と言いますか、何らかの措置ができないのであります。そうした恰好のままで、而もそれに対して責任者というものがない、認められないという立場をとります以上は、話合いをいたしましても、団体交渉をいたしましても、それによつて守らるべき相互の責任をどういうふうに考えて行くか、そういうことが全然きまらないままにただ意見の交換をするということは、徒らに次の刺激を大きくするだけではないかというふうに考えておるわけであります。  幸いに仲裁委員会でも問題をお取上げになりまして、何らかの打開点を発見される御努力があつたのでありますが、その仲裁のほうの御努力の途中で裁判所の問題が出たと、裁判所もいろいろ御審理になつておりまして、私どももできるだけ誠意を以て裁判所の和解の案に副いたいというふうに努力をいたしておるわけてあります。裁判所の以後の成行がどうなりますか、或いは又それに引続いて仲裁のほうもまだお答えが出ておりませんので何らかのお答えが出して頂けるものと考えております。  当面の臨時列車の問題でございますが、先ほどお話がございましたが、これは各局で、地方の管理局で計画いたしますものと、本庁の私どもが各局間に跨がつて長距離に動きます列車と両方あつて、相当大幅にこの夏季に対する汽車を動かしたり、増発したりというふうに考えておりますが、大体本庁で取上げて計画いたしております分については無理に超勤をお願いしなくてもできる見通しも立つております。各局においてもそれぞれできる範囲においてやつて参りたいということにいたしておりますので、そう大きな支障もないと考えております。特に最近はデフレ影響と申しますか、貨物輸送が非常に激減いたしておりますので、そういう列車が大分休んでおります。そうした点も考えますと、まあまあそう御無理を願わなくてもできるのじやないか。而も緊急に処理すべき、話合いをすべき大急ぎの問題というものもさほど今ないように考えております。その間に何らかの措置をとつて頂けるものと考えておるような次第であります。
  29. 吉田法晴

    吉田法晴君 時間がありませんからゆつくり聞いている暇がないので、一遍に聞いてしまいますけれども、主として当局側にお尋ねいたしますが、お尋ねをいたします中心は、解雇問題から発しました今度の一連の措置について一方的に法の解釈をし、それから自分の持つておる考えを飽くまで貫かねばおかんというのではなくて、もう少し反省をして団体交渉を始めたらどうか、こういう点に尽きるのでありますが、当委員会は解雇問題についても労使双方の意見も聞きました。それから労働法学者を呼んで聞いたこともあるわけなんであります。その模様等は恐らくお聞き及びてあろうと思うのでありますが、公労法の一方的な解釈によつて、まあ国有鉄道法にもよつたわけでありますが、解雇することについては、その全部の妥当性を認めるわけにはいかん。或いは恩給をもやらんというような点についてはこれはとんでもないことだ、まあ要約いたしますとこういう問題でございました。こういう意見でございました。で、その後役員について、これはまあ法の解釈も関連はいたしておりますけれども、先ほど横山書記長も言われたように、組合の人事に介入をせられようとした形になつてつたことはこれはまあ否定することができないと思います。それから協約の問題も、すでに結ばれておりました協約の一部、それも例えば組合費の徴収、或いは専従職員といつたような、当局の都合の悪いと言いますか、当局にとつては都合のいいというか知りませんが、一部分だけ効力を認めないでほかはやつておる、こういうような態度も、これは第三者から見ておつて妥当であるとは考えられませんし、或いは根本には組合というものをどういうものとして考えるか、或いは組合の代表意思はどういうものを通じて表示せられるか云々ということに関連すると思いますが、その理論は抜きにいたします。いたしますが、とにかく一方的な解釈で来られたということだけは問題がないじやないか。  それから或いは協約、交渉の単位にいたしましても、組合と交渉をし、そうして協約をして行くというならば、従来の実績というものはこれはそれで差支えなかつたのでありますが、それを急に現場に下そうと、それで、これはこの問題が起りましても、門司の鉄道局等においては、元の鉄道局と協約が結ばれたというような事態も聞いておりますが、それについても再開をしない。或いは夏季増進を目前に控えて交渉を再開しようじやないかと言つても今のような御理論で、これは私どもから言わせれば、これは公社側のルールではございましようけれども、一方的な見解だけで再開しない。その結果は相当無理が生ずるように聞いております。内容の点まではここであれしませんが要しまするにいろいろ解雇問題についても、或いは組合の代表権その他についても問題がある。そういう問題がある際に、自分のルールだけを押通そうとして、そうして当面の交渉にも協約にも応じない。こういう点は、これは何としても第三者から見ておりまして納得の行かん点だが、地裁の和解勧告案もあるし、これはいろいろ双方にとつて言い分がございましよう、ございましようが、組合にいたしましても、一部の点については譲歩しても交渉を早く始めたい、こういうのだから、この点はこれは当局としても或る程度に議論をおいて交渉に入られることが妥当ではないかと考えられるのですが、これらの点について重点的でいいのでありますが、再考の御意思はないのか。今承わつておりますと、依然として役員の代表権云々ということで交渉にも入らんということでありますが、重ねて一つ御答弁をお願いしたいと思います。
  30. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) いろいろ私どもの労使関係の問題につきまして御配慮を頂きました点は感謝申上げます。私どもも決して現在の状態がこのまま長く続いていいとは考えておりません。何とか一日も早く解決いたしたいという、そういう気持になつておるわけであります。ただ何といたしましても、先ほど申上げましたように、一つの大きな筋と申しますか、ルールをはつきりさせるということが私ども第一だと考えておりますので、その問題に対して、若し先ほどのように組合の執行部というようなものが首を切られてもその通りだというような言い方をされて、これに対して私どもとしてはそれに対抗する措置がないのであります。そのルールを何とかはつきりさして頂きたいということが根本であります。仲裁その他外側にもいろいろ関係の機関がございますので、若し緊急な、どうしても話合いをすべきような問題がございましたら、仲裁、調停或いは労働省筆の御配慮もございますので、お話合い等はいたす方法は私はないことはないというふうに考えております。いま暫らく私どもいろいろ考えもいたしますが、現場の良識その他によつて根本的に一つの大きな筋がはつきりするということにしたいというように考えております。
  31. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 時間が参りましたので、国鉄の問題は、あと労働省にお残り願つておりますから、労働省との間の質疑を続行することにいたしまして、一応当局並びに組合の方は御退席を願いたいと思います。有難うございました。   —————————————
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは先ほどの問題に移りまして、失業問題に対する質疑を続行いたします。
  33. 田村文吉

    田村文吉君 次官ちよつとお伺いしたいのですが、今のように失業者が殖えて来る、この傾向がもつと強くなつて行くと、その根本の問題については、実は通産省とか経審等の問題になるが、しわ寄せば結局労働者に来る。こういうことになつておりますが、私常日頃考えておることなんですが、職業安定法によつて、お役所だけが職業の紹介をおやりになつておる。そこでこれはこれでいいのですが、何とか、私は昔の悪い弊害に陥ることは困るのだが、営利的でもかまわないから、やはり世話をする昔のやつぱり個人的な職業紹介というようなものも、こうなつて来るというとやはり置いたほうがいいのじやないかというように考えるのですが、これを一つお伺いしたい。  もう一つは、今営利的に人夫の供給事業というものはやつちやならんことになつておる。こういう問題も、やはりこういう場合はそれを許してやつたら……、昔のことが自然なんで、アメリカさんがおいでになつていろいろ窮屈なことにしてしまわれたことは……、まあ決して私は労働省に悪口言おうとは思わない、思わないが、一生懸命でおやりになつているだろうけれども、どうもお役所の仕事というものと民間の人の仕事というものはそこに多少の違いがある。そこでお役所の仕事はお役所の仕事でお残しなさい、これはよろしいが、民間にもそういうものを認めて上げるということが、この際少しでも失業者を減らすということにならないか。こういうことを私は考えているのですが、この点について一つどうお考えですか。これはまあ法律の改正になる問題になるのでありますが、これは私はひとり政府の御当局だけじやない。これはまあここに御列席の社会党の諸君の御意向も実は聞きたいのですが、どうもこういうことをやつて、ただ政府ばかり攻めてみたところで失業者の数は減らない、就職率は悪いのです、親切は通らない。そこで或る程度の取締の機関はこれは当然必要だと思うのだが、もう少しこれは官もおやりになる、民もやるというようなことをやつたほうがいいのじやないか、こういうことを考えるのですが、この点については私は政府の御所信もさることながら、社会党の諸君がどう考えているか、そこを聞きたいのです。
  34. 安井謙

    説明員安井謙君) 田村さんのお話誠に御尤もなことであろうと思いますし、特にこういつたような時代においては、能率を上げるということから民間にあずけるということは一つの非常に大きな役割を果すと思うのであります。国際労働条約の関係などもありまして、にわかに特殊のもの以外にはこれを民間に任せるわけにも行かないというのが、従来の人夫供給に伴う弊害といつたようなものも考え併せまして、これをすぐ実現に移すということは困難かと思いますが、その内容につきましては、御説は非常に御尤もと存じますので、いろいろと今後も研究は重ねて行きたいと思います。条約関係のことは所管局長から説明いたさせます。
  35. 江下孝

    説明員(江下孝君) 政務次官が御答弁申上げました通り、現在の日本の職業紹介の関係は、国がみずからの機関を設置してやるということを建前といたしております。これは従来の国際的な面から、大体各国の情勢を聞いてみますと、当初においては民営ということで職業紹介事業が始まつた。それがだんだん社会が進歩して参りますと、どうしてもやはり国家的な組織でこれをやるということのほうが適当であるということになりまして、国際条約といたしましてもその線で一応国が国の機関を持つてやるという建前になつておるわけでございます。ただ国がやると申しましても、現実にお役所でございますから能力的にできない特殊な部門の職業紹介面がございますが、これにつきましては民営の営利、又は営利ならざる職業紹介所を認めて行こうという方針で我が国もやつているわけでございます。現在相当その例外的に措置されましたものについての許可の申請等相当多数出ておりますが、それについてはそうやかましいことを申上げませんで、大体基準に合つているものなら許可をする、こういう方針で進んでいるわけであります。
  36. 田村文吉

    田村文吉君 問題はいろいろ国際条約関係も今度できて来て、そういうふうに御窮屈にもおなりになつたのですが、一体官は官でおやりになつて、民は民でやるということ自体が、幾らかこういう世相の悪いような時代にはそれが必要なんじやないか、非常にベターじやないか、こういうことを考えるのですが、ただ法律的にはできないのだから、遺憾ながらできませんということでなしに、もつと一歩そこを突込んでやれるようなことがいいと思うのか、そのほうが悪い、やはり今国際的に条約にきめてあるように国家だけが行うということがいいのだ、かりそめにも営利的にこれを募集するというようなことは絶対にいけないのだ、こういうふうにお考えになりますかどう  この間もラヂオで、私は新宿の失業者方々の叫び声を聞いておつてつくづく感じたのでありますが、ここに見えておられるかも知れませんが、そういう点も私は考えてみると、やはり昔のそういうものが一面にあつて、何とかして救済して行くということが非常な失業者を救済する一つの方法でなかつたか。ただ昔のような監獄部屋があつたり、そういうような点については厳重に取締りをしなければなりません。なりませんが、私は一つの例ですが、家に病人があつて、昔なら看護婦協会というのがございまして看護婦がみな、いたのです。ところが今看護婦協会というものは私どもの田舎の町には一つもない。安定所へお願いしたところが、折角ですけれどもあなたのところへ上げる看護婦さんおりません。こういうので一遍に断わられた。看護婦さんを得ること自体が非常に困難であります。適当な人がおりません、こういうのです。というようなことで、私はこういう点が非常に、例えば看護婦を元やつてつた人で、今はその看護婦が本職ではないけれども、そういうふうな看護婦の心得のある人が求められて来て手伝いをするというようなことがない、急に熱を出した、何とかしなければならんというような場合には必要なんです。そういうことも一々お役所にお願いに行かなければ工合が悪い、こういうことになつておるのじやないか、とう私は思うので、私はこれは一例を申上げたのもありますが、或いは家庭生活、それから職業の上から考えて行つても、もうちよつとこういうものについてゆとりのある方法を考える必要があるのじやないか、こういうふうに思うのですが、どうもやつていらつしやる御本人が大変うまくやつているつもりなんだからとおつしやれば議論はないのですけれども、うまくやつていらつしやるだろうが、それ以上にうまくやれるように民間のほうも一つ許してやるということを根本的に考えてみる時節が来たのじやないか、こう思うのですが。
  37. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の質問に答えられます前に、田村先生の質問も御尤でございますが、私どもそういう民間で職業紹介をやつたら云々、これは従来日本の場合に民間の職業紹介について弊害があつた。或いは人身売買と言いますか、これに似た職業紹介の仕方があつたという点に、戦後国が職業紹介をやるという、徹底的にやる、なお民間がやるとしても民主的な労働組合を組織するというか、そういう民主的な組織によつてのみやり得る、こういうことになりました原因だと承知をしておるのであります。  なお最近この職業安定法を潜つて実は昔のようなやり方が復括しているのではないかと承知をするのであります。例えば農村でも十六才未満の者を使う、或いは何と申しますか、貞操を売りますような環境に働く者についても、東北その他農村に、寒村に参りまして千円、二千円の手数料を取つて、事実ピンはねをやつて、人を貞操を売るような場所に提供している、こういう事態も新聞紙上その他で伺つておるのでありますが、そういたしますと、にわかに民間でやることもいいじやないかということは言いにくいのじやないか。もつと日本が民主化いたしまして、民主主義が徹底をして、そういう心配がなくなつた場合には、或いはもう少し具体的な方法を考えて、どういう資格の者をどういうルートでやらせるということもこれは考え得るかと思うのでありますが、今の経済社会状態、そういうものの中では、元のままの民間職業紹介を認めますならば、先ほど申しましたような、或いは人身売買、或いは貞操の売買をも仲介するようなことになるのではないか、こういうまあ心配を持つておるのであります。  安井政務次官大変田村委員の御意見御尤もだというお言葉でありますが、方針について若干疑問を持つのです。今のこの農村、或いは中産階級の没落という事態の中で職業紹介の持つております実態と、これも又元に戻る逆コースの危険性のある中で、どういう工合にしようとなさるかについて、重ねてでありますけれども、明確に一つ御答弁を願つておきたいと思います。
  38. 安井謙

    説明員安井謙君) 吉田委員のおつしやるような弊害を伴うものとか、人道上許されがたいようなものについて、それならばそれを復活しようとして研究する意思は毛頭ないのであります。ただ一般に言われておりまする職業斡旋の機関、或いはその中でも特に看護婦とか或いはその他のような特殊のものにつきましては、これは私田村委員のおつしやるような点、民間でやつた場合の能率といつたような点から、この弊害を除去していい方法があれば、これは十分研究をしてみる必要があろうと考えております。  ただ先ほども申上げましたように、国際条約の関係、或いは従来こういう弊害といつたようなものから、直ちにこれをどうする、或いは全面的にこれを認めるというふうな工合には行くまいと考えております。
  39. 田畑金光

    ○田畑金光君 私一つ今日の本論である石炭造船問題について質問し、それから失業対策の問題についてもう少し根本的な問題の点を二、三お尋ねしたいと考えるわけであります。政務次官どうされたのですか、古池通産政務次官は……
  40. 田村文吉

    田村文吉君 御発言中でありますが、政務次官のお見えにならない間ちよつと五分か十分……。
  41. 田畑金光

    ○田畑金光君 それでは質問を継続します。失業対策の問題についてお尋ねしたいわけでありますが、労働省提出の先ほど説明されました資料を見ますると、先般昭和二十八年度の労働白書等にも示めされてありまするが、労働力の面における就業者の数も四千万に達しておるとか、或いは名目賃金も実質賃金もそれぞれ向上しておるとか、或いは雇用量も前年よりも上昇しておるとか、非常に楽観的な資料になつておるわけであります。昨日配られました最近における雇用失業情勢等を見ましても、偶然かどうか知りませんが、この統計の示す限りにおきましては、現在の状況はさほど悲観すべき事態でないように見受けるわけであります。ただ併し失業保険の動向を見まするならば、離職者の受付件数にいたしましても、受給の実人員にいたしましても、一例を本年五月にとりますると、受給実人員は四十四万名に上つておる。昨年の同月は三十四万三千名であつて、すでに失業保険の受給者が十万名殖えているという状況にあるわけであります。恐らく失業保険の受給者が殖えて来るということは、更に今後の夏場を目の前にいたしますならば、一層増大する状況にあろうと思われます。殊に又我々考えなければなりませんことは、金融引締めの本格的な不況がこの七、八月に現われるだろうということであります。同時に又先般来政府デフレ予算を更に実行予算の節約として百九十九億の節約を図つておるわけであります。財政投資の面を見ましても、本年度の二千八百五億を、更にこれを切詰めようとする状況にあるわけでありまして、割合にこういうふうな財政面から、金融面から今後の生産活動というものを見ましたときに、大きな縮小段階に入つて来るだろうと思うわけであります。  ところが本年どの失業対策予算というものは、昨年度の百九十四億七千万に対しまして二百五億、約十億の増でありまして、予算面からいうと五%の増であります。又失業者数に対しましても、政府のとられている予算措置というものは、昭和二十八年度の前半の実績の五%増であつて、一日平均十六万三千名の雇用量を維持する計画に立つておるわけであります。ところが先ほど指摘いたしましたように、今日の失業保険の受給人員というものは、本年四月現在四十四万名でありまするが、昨年の同月に比較しますると約三〇%殖えているわけであります。こう見て参りまするならば、一体この夏の今後の不況の深刻な見通しに対処いたしまして、政府は、労働省は、本年度の二百五億の予算措置で以て賄つて行けるかどうか、この点に関しまして先ず第一点政府の方針を伺つておきたいと思います。  それから、項目的に申上げまするが、第二に私がお尋ねしたいことは、この間私六月二十七日付の朝日新聞で拝見したわけでありますが、今回政府失業対策に関しまして帰休制度を取入れよう、こういうことを構想されて、事務局等にもこの研究をなされていると承わつております。たまたま本月三日の同じく朝日新聞によりますると、日経連等におきまして失業対策につきまして一つの方針を打立てておりまするが、その中にも同じく帰休制の採用、こういうようなことを謳つておるわけであります。この帰休制を実施することによつて、例えば造船関係におきましても、石炭関係におきましても、現在は金融面から或いは販路の遍塞の面から、操業短縮するなり或いは又一時会社を休止するなり、閉山するなり、こういうような措置をとつても、なお秋ごろになれば再開の見込があるようなところには、帰休制によつて当面の危機を切抜けて行こう、こういうようなことを労働省としては構想しておられるようでありますが、この点に関しまして、一体どのような構想の下に今後これを運営されようとするのか、我々といたしましては、現実眼の前に多数の失業者を見ておる。その上に更に基礎産業において二割乃至三割の操業短縮をしなければならんという経済情勢に対処いたしまして、この制度を活用することによつて、どの程度これらの問題の克服ができるのか。この点につきまして当局の方針を承わつておきたいと考えるわけであります。  第三点といたしまして私がお尋ねいたしたいのは、本日も、近く世界銀行から各種の調査団が来るので、政府といたしましても、統一ある受入体制を樹立するための経済閣僚懇談会が開催されると聞いておるわけであります。外資導入につきまして、或いは借款につきまして、どんな計画の下に、又どんな部面に重点を置いて外資を導入されるのか、我々は不明でありまするが、ただ日経連等の失業対策の面を見ますならば、その中に今問題となつておる防衛道路等のような面にアメリカの資金的援助が来るか、こういうようなものも失業対策の見地から進めて行こうというような構想も出ておるわけであります。現在の政府のとつておる経済政策等というものは、日経連や経団連の考え方というものが強くその基本を流れておるのだということが事実としますならば、当然日経連等で考えられておるような意見というものが政府の今後とろうとする考え方だと見ざるを得ないのでありますが、今後の失業対策事業面等におきまして、政府にはこういうような防衛道路等の面に失業者を吸収しようとするような対策があるのかどうか、或いは又同時に現在失業対策事業の末端の状況を見てみますならば、道路の改修とか、或いは農道の建設とか、或いは公共団体の運動場の建設とか、こういうような面にこの数年来携わつて参つておるわけであります。併しすでに地方等におきましては失業者は現実に存在する。併しますます失業者は殖えて行く状況にある。併しやる事業等において、地方の市町村においては事業そのものが非常に狭められて来ておる状況になつて来ておるわけであります。こういうような場合に、例えば住宅建設のような面に、失業対策事業をもう少し積極的な生産面と申しますか、或いは国民全体の保健厚生施設の向上のような面に失業対策事業を転換して行くような構想等も、この段階においてはとられて然るべきだと私は考えるわけでありまするが、この点に関しまして、政府は従前通りの因習に基いて処理されて行こうとするお考えであるかどうか、これが私のお問いする第三点であります。  最後に、私は第四点といたしましてお尋ねいたしまするが、昨日も安井政務次官から失業対策事業、日雇労務者の賃金等につきまして、或いは夏季手当等の問題につきましてお答えがあつたわけであります。成るほど日雇労務者は日々雇い入れられる者、飽くまでも臨時的の性格のものであります。同時に又臨時失業対策事業法に基きまして、法的にも臨時的な性格を持つておることは我々としても了承するのでございます。併しながら数年前の失業者と現在失業対策事業で働いておる失業者というものを見ましたときに、殆んど同じ人がたが失業対策事業に携わつておる、こういうことであります。即ち臨時的な性格の失業対策事業というものは、国の全体的な生産というものが上向かないために、拡大しないために、殆んど失業対策事業に従事する者は、この数年来同じ顔触れであり、同じ人がたである、こういうようなことに事実上なつておるわけであります。従いまして現在失業対策事業に携わつておる人がたは唯一、失業対策事業の収入によつて自己と家族と生活の維持を図つて行かなくちやならん、こういうことになつて参ろうと思うわけであります。そういたしますならば、現在の失業対策事業の予算というものが、市中の労働市場における賃金よりも一〇%乃至一五%低きに抑えられておる。こういうようなことを私たち考えて見ましたときに、事実上失業対策事業で働いて生活を維持するということは困難になろうと考えるわけであります。そこで私といたしましては、失業対策事業そのものの振り向ける面を更に公共的な或いは国の経済生産的な部面に振り向けて、同時に又その賃金等も一般市場の労働者と同じような賃金水準に復することが、失業対策事業そのものをして、単なる恩恵的な或いは救済的なものからして、もう少し建設的な国家の活動に寄与させるゆえんだと、こう私は見るわけであります。こういうような点に関しまして労働省当局といたしましては、どういうお考えを持つておられるか。  以上四点について私は政府失業対策の御所信を明確に承わつておきたいと思います。
  42. 井上清一

    井上清一君 関連して質問を。今田畑さんから第二点として、一時帰休制度の問題につきまして御質問がございました。先般来実は私どもこの問題につきましていろいろ検討を加え、且つ又自由党の政調会ともいろいろ打合して、何らか成案を得たいと思つてこの間から検討を加えております。田畑さんから御質問のありました機会に併せて一つ質問を申上げて、これに対する御意見を承わりたいと、かように考えるわけでございます。  昨年の十月、秋以来実施されましたデフレ政策金融引締め政策の滲透によりまして、各種の企業が大変いろいろな影響を受け、失業者が漸増をしておる。殊に我が国の基幹産業でありまするところの只今田畑さんの御指摘になりました造船業、又石炭鉱業におきましての深刻なる影響ということにつきましては、私が今更ここで申上げますまでもございません。更に近く私どもも予想されますものは、企業整備によります一時大量の失業者の発生、又それをめぐりましての労使の紛争ということも私は避けがたいことではないかと、さように考えるわけでありまして、こういう際において現在の失業保険を活用いたしまして雇用の安定を図り、失業の解決に資するというために一時帰休制度というものをとることは非常にいいことじやないかと、かように考えておるわけであります。いわば現役の労働者の諸君の中から予備の労働者の諸君に出てもらう、それを余り長い期間じやなしに、適当な間隔をおいて入れ代つてもらつて、お互いにこうした不況時における危機を乗切つて行くということのために帰休制度ということを私は考えたほうがいいのじやないかと、かように考えておるわけであります。  これはただ無条件にやるわけには行かないのであつて、いろいろな条件に適合したものに、こういう制度を考えて行きたい、かように思うわけであります。経営の不振或いは操業短縮によりますところの企業整備の避けがたい産業であることは第一に必要であります。それから又今申上げましたような企業整備によつて一時に多量の解雇者を生じ、これによりますところの労使の紛争の激化が予想され、国民経済に相当の支障をもたらすような産業でなければならないことも一つの条件であると思います。それから一時帰休制慶を実施することによりまして、企業の円滑なる運営が保持され、一時帰休者を再吸収できる見込のある確実な産業でなければならないと私は思います。又一時帰休制度を実施いたそうといたしますような産業は、一時帰休に関しますところの労働協約を締結するということも必要ではないか。又事業者は一時帰休者に対しまして失業保険の給付対象となります期間、手当その他の給付を行うことはできないというふうなことも必要であると思うのであります。又失業保険料は完全に納付されていなければならないということも一つの条件として考えなければならんと思うのであります。又これを実施する場合におきまして、更に操業短縮に伴いますところの一時帰休制度を実施いたします産業は、取りあえず先ほど申上げました基幹産業であります石炭鉱業並びに船舶製造及び船舶に関します修理業に限つたらどうか。又一時帰休いたします労働者は再雇用することを約しまして、一時離職の取扱をいたし、そうして失業保険の対象とする。それから一時帰休は本年度限りとし、一回限りとし、一事業所当り原則として帰休率は、一時帰休者と失業保険の被保険者との関係でありますが、大体二割ぐらいまでにとどめておいたらどうか。又帰休期間は大体三カ月とし、帰休終了後においては六カ月間以上は再雇用をしなければならないというふうにきめたらどうか。又一時帰休者の失業保険の取扱につきましては、離職の事由は事業主の都合によつて、再雇用を約することによつて解雇をするのでなければならんと思いますし、又保険給付につきましては、失業の認定回数を月二回とし、その他の一般保険の取扱と同様とする。又一時帰休制度を実施しようとする事業主は一時帰休実施計画というものを都道府県知事なり或いは労働大臣に提出して、承認を受けるということが必要だと思いますし、又右の承認は、一都道府県内に事業所を有する事業主については都道府県知事に、二つ以上の都道府県に跨ります事業所を持つております事業主につきましては労働大臣が行うようにするというふうにやつて、この制度を混乱させないように一つつたらどうか、こういうふうな案を私どもとしても考えておるわけであります。  これにつきましてはまだ自由党としてもがつちりと固つた案にはなつておりませんが、大要こういうふうな点を考えて、今度のこの不況時に対しまするところの失業対策の一助にいたしたい、このように考えておるわけでありますが、これについてのまだ労働省側のしつかりした打合せができておりませんが、これについての労働省の御意見を田畑さんの御質問に関連しまして一つお尋ねいたしたいと思います。
  43. 安井謙

    説明員安井謙君) いろいろ各箇条に亘りましての具体的の問題につきましては、或いは担当局長のほうから御説明申上げようかと思います。総括的に御答弁申上げます。  大体失業対策費の予算でございますが、これは御承知のように一割増計上いたしておりまして、最近までの実績に徴しまして、人数その他から申しましても稼働日数二十一日を確保いたしましても、決して今のところ予算は超過するというようなことはなかろうというふうに考えております。  それから失業保険のほうでございますが、これはかなり人数も殖えて参つておることは事実でございます。これに対しましても多少一部には任意包括制度の適用なんかによりまして特に殖えた面もないではないのであります。こういつた面を若干整理をいたすような予定もありまして、これも目下のところ予算の上からは大体措置できるものと思います。更に失業保険につきましては予算上若し若干不足のような場合は特別の措置もないわけではないというふうに考えられております。  それからお尋ねの一時帰休制度につきましては、これは先ほど井上委員からも詳細に亘つて御希望なり御示唆がございました。全く大体仰せの通りのような構想で検討いたしたいと考えておる次第でありますが、差当つては今次の金業整備によつて非常な打撃をこうむる石炭鉱業、それから船舶、この二部門に適用いたしてみたいというふうな考えで検討いたしております。具体的な内容、その他につきましては当局でもいろいろ研究しておりますが、先ほどの井上委員お話のような点は特に取入れなければいかんのじやないかと考えておるような次第であります。  一般対策の問題でございますが、これは先ほども私申上げましたように国際的な問題或いは国内産業政策金融政策面から来る面が非常に多いのでありますから、何と申しましても日本国際収支を改善するということが第一義でございます。相当程度日本経済合理化が要請されておることは御承知通りであります。そのために相当突進んだ一種の緊縮政策というものをとらざるを得ないわけであります。  一方国際的な援助或いは借款といつた面からの全般的な経済のてこ入れというようなことも考えられておろうかと思います。これは必要に応じまして関係省からお聞き取り願いたいと存ずる次第であります。  労働省としましては、差当りこの個個の対策は結局労働問題の限界に限られるわけでございますが、先般できました労働金庫の更に拡充、活用といつたことは当面の問題であろうと考えております。更に今不況の非常に多い石炭部門等につきましても、相当この産業等の関係の調整もなされつつあるように承わつておりますし、又更に国鉄その他においても大体炭価協定もできて参つております。そして若干建直しの兆しが見えて来るのではなかろうかと考えておる次第であります。  それからその他一般の問題につきましては、職安の機動力を活用し、更に先ほどの田村委員の御質問のような問題につきましても今後十分なる検討を加えて行きたいと考えております。  最後の日雇の関係でございますが、失業者の層が非常に恒久的になつておるという点、これも田畑委員の御指摘の通りでございます。これにはいろいろ原因があろうかと存じまして、果してこういう制度のままで置いておくことがいいかどうかということには多少の疑問もあるので、いろいろの角度から検討しておるのでありますが、何分日雇労務者の中には或いは御老人或いは子供を抱えておられる御婦人というような方もある。こういう方が日常きまつて毎日御勤務なさるよりは、或いは日雇というようなほうがいいというような環境に置かれていらつしやる方もあるように存じております。併しこれは成るべく解消して、而もお話のような、建設的な方面へどんどん活用して行つて、更に一般勤労者と同じようなレベルに持つて行くということは常々労働省では心掛けておりまして、最近地方でのいろいろ失業対策も従来は草むしりの程度、道路清掃の程度でありましたが、最近は簡易鋪装とか道路の改修といつたような相当高度の技術的な方面へも活用されておることは御存じの通りであろうと思います。  単価の問題でありますが、これも若干一般の勤労者の水準より低いということは申訳ないと存じますが、何分仕事のあり方がこういつた特殊のものでございますので、或る程度止むを得ないのじやないかと思つております。併しこれも今日昨年の九月及び今年の一月の物価指数に比例して単価は値上りをいたしておる次第で、これは著しい懸隔のできることのないように心掛けておる次第でございます。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちよつと関連上て質問をいたしますが、只今政務次官並びに井上委員から帰休制度の問題を投げかけられたわけでありますが、私どもが考えます場合には、一応これは紡績会社であつたと思いますが、これは数年前にやられたことはありますが、それは成功されたと聞いております。併し今の実情から考えた場合に、これは合理化政府あと押しをして今度はやるのだ、そういうようにしか我々は考えられない。それよりも先ず考えるべきことは、それでは炭鉱と造船の問題を取上げて帰休制度を言われたのでありますが、炭鉱は現在非常な苦境に陥つて相当な失業者を出しておるが、それでは将来についてどういうお考えがあるからこういう帰休制度を持出されたのか、いわゆる失業者という問題を考える前に、失業しない方策が政府ではあるはずだ。燃料対策等もにらみ合せた上でこういうことであるというならば、どういう対策があるのか、その根本の問題をお聞きしたい、かように思います  それから日雇労働者の問題でありますが、一割を取つたから心配は要らないのだ、又その他にも何とかするというような、非常に楽観的なことを政務次官はここで言われる。併し先ほどの話にもあつたように、現在でさえも非常な何か規格を設けられて、そうして閉め出しにどんどんかかつておられる。失業者は殖えて来る。これだけの予算の枠の中では必ず又そういう手で閉め出しを持つて来られる。今でさえも非常なそういうアブレを出すような制度をとられておる。こういう姿が現実であります。これに対して政務次官は如何にも楽観的に二十一日は大丈夫だ、或いは将来一般労働者と同じようにしたい、こういうお考えであるようでありますが、私たちの考えでは、いつも言つておりますように非常にそれは楽観過ぎる、こういう考えを持つておるわけです。実際の実情は、それでは東京以外の各府県て何日労働をやつておるか、どれだけの仕事をして、幾らの給料をもらつておるか、こういうことを考えます場合に昨日の吉田委員の発言にもありましたようにそういう悲惨な問題がたくさん起きておる。これに対する考え方をお述べ願いたいと思います。  それから発言しましたついでに、もう一つ質問申上げたいと思いますのは、私がたまたま帰りました場合に、こういう事態が起きておる。非常に炭鉱が不況になつて、持つてつた貯炭を全部売つた場合に、労災保険の支払いがてきていなかつたために労働基準監督署がこれを差押えておる。そのために労働者は賃金ももらえなかつた石炭がやつと売れたと思つたところが、それは監督署で差押えてしまつて、そうして賃金はもらえなかつた。こういう現実が起きておるわけであります。この点につきましては監督署の言い分にも一応わかるところもあります。それも御披露申上げておきますと、たくさんの人から金を借りておる。基準監督署が押えなかつたならば、その他の関係の人が直ちに押えて行つて、どうしても労働者には金は渡らないつどうせ渡らない金であつたならば、政府のほうで押えたのだ、こういうことであります。そうするならば、それではその押えた金の中から労働者の賃金を支払うのかどうかという質問に対しましては答えがない。これに対しましてどういうふうにお考えになつておるか。現地ではこういう差押えは今後は考えますということは言つております。併し親心があつて差押えたとするならば、その働く労働者に対する賃金は支払うべきが当然であり、そうしてその分だけがいわゆる保険料の未払になつて来る、こういうことを考えておるのですが、これに対して局長はどういうようにお考えになつておるか、以上三点をお尋ねいたします。
  45. 江下孝

    説明員(江下孝君) 先ほどの田畑委員の御質問に対します政務次官の御答弁を補足しますと同時に、阿具根委員の御質問お答えいたします。  予算が足りるかという問題でございますが、実は本年度未だ始まりまして三カ月でございます。そこで私どもも今この予算が多いか少いかという議論をするのはまだ時期が早いのじやないかと思つております。ただ失業情勢が相当深刻になる虞れがあるということは、これは私もそうであろうと思います。先ほどお手許に差上げてあります最近における雇用失業情勢の中に非常に楽観的なことが比較見えておるようだというお話でございましたが、一番後のところに実は今後の失業情勢楽観を許さない情勢にあるものと考えるということを今回はちやんと書いてあるわけでございまして、決して手放しで私は楽観は実はしておるわけではございません。  そこで失対事業と失業保険の金でございますが、前も申上げます通り失業対策事業費につきましては、前年度吸収人員の五%増、予算の一割増、百十億ございます。この使い方といたしましては、できるだけ年度当初におきまして、まだデフレの効果が出ない、失業保険でつなげる間は節約いたしまして、下期に重点的にこれを運用して行くということで現在やつておりますが、デフレの効果がむしろ早く来たきらいはございますが、この当初の方針を未だ曲げるというところまでは私ども必要ない。そこで現在のところといたしましては、この予算を効率的に運用しまして、下期も凌いで参りたいというふうに考えておるのであります。  失業保険の問題でございますが、これは御承知通り義務費でございますので、当然必要なものは出さなければならないわけでございます。予算的にも相当人員が殖えておりますので、今後は相当窮屈になる見込でございますけれども、これに対しましては予備費も計上いたしておりますし、且つ一時借入金等の制度もございますし、積立金は二百億以上ございますので、保険金の支給ということには絶対に支障は来さないつもりでおるわけでございます。  それから帰休制の問題でございますが、先ほど政務次官から、答弁いたしましたことに尽きておるわけでございまして、私どもとしましては、これが現在のデフレ下で困つている重要産業でございまして、将来再建の見込があるというものについては考慮する必要があるのじやないかということで、目下検討をいたしておるわけでございます。そこで、産業の再建計画が十分でない場合にこれを適用することは意味ないではないかというお話、これは非常に御尤もだと思います。私どもとしましては必ず再雇用の見込のある事業についてこれを考えて行く。そこでそれではどういうふうにそれを実施して行きますかと申上げますと、これは産業関係の省と話合いをいたしまして、そして現実に再雇用が確実であるというものについて、この産業の実態に応じてこれを運営して行く。只今造船問題がございますが、造船問題にいたしましても、十次造船が始まるまでに相当船台が空くということがございますが、仮にこれを放置いたしておきますと、十月着工といたしましても、三ヵ月はこれは無駄になるわけでございます。そこで仮にこの帰休制度を適用いたすといたしましても、その三ヵ月が済みますれば、改めて再雇用されて、又一定の期間は雇用できる、こういう面でこれは相当労働者の利益にもなり、首切り闘争その他の破壊的な問題も出ない、併せて事業主の経営にも資する、こういうことにまあなるわけでございます。  ただ先ほど申上げましたように、その根本的に、それでは事業をつぶさないようにというお話でございますが、石炭につきましては、これは通産省とも絶えず協議いたしまして、重油規制等につきましての問題も相談をいたしておりますが、これ又通産省方面からも御意見をお聞き願いたいというふうに考えております。  それから田畑委員の御質問の、現在失業対策の事業が非常に程度が低いものになつておるという点でございますが、売れも私は或る程度賛成でございます。それで今後の行き方といたしましては、現在失業対策事業に就労いたしております者の三、四割が女性でございます。ここに相当大きな問題がある。それから年齢的にも相当高年齢者が入つておる。これらの人々を抱えております以上、なかなか配置転換ということが困難なわけでございます。そこで今のように軽きは草むしりから重きは道路工事までというふうに亘つた非常に広い範囲の事業を、一本のそういう対象がこみで入つておるものに実施させるということは相当困難な面が出て参るわけであります。そこで事業の性格を今後できるだけすつきりしたものに持つてつて、高度なものについては、今後公共事業的なものに推進を図つて行くということはとくと研究をして参りたいというふうに考えております。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の局長の答弁の中に、首切り反対闘争のごとき破壊的云云というのがありますが、一つお取消しを願いたいと思う。先ほど国鉄問題について、労働組合の重要な任務として、その生活を守る、賃金問題或いは地位を確保するという問題は、組合のこれは基本的な任務だというお話もございました。これは恐らく聞いておられて、労働省関係としても御異議がなかつたろうと思います。首切り反対闘争が破壊的闘争だ、或いは運動だというがごとき、これは失言だと思うのですが、不用意にしても出るということについては容赦できません。お取消しを願いたいと思う。
  47. 江下孝

    説明員(江下孝君) 私は、首切り反対闘争が破壊的であるというようなふうには申上げなかつたつもりでございますが、ただ首切り反対闘争等によつて相当無用な問題が起きる、無用の摩擦を生ずることをできるだけ避けるためにこういう問題を考えて行く、そういう趣旨で申上げたつもりでございますので、若しそう申上げたとすれば取消します。
  48. 亀井光

    説明員(亀井光君) 阿具根委員の御質問の第三の点でございますが、労災保険の保険料の滞納について、滞納処分をした場合、それが換価されて保険料に充当されるわけであります。その場合に賃金にその分を優先的に支払いができないという御趣旨の質問だと思います。労災補償保険法によりますと、滞納処分は国税の滞納処分の例によつて行うのです。先取特権の順位としまして、法律の規定で明らかに市町村の徴収金につき、一般の民法上の債権に優先するのです。従つて労災保険の潤滑な運営という見地から言えば、いやしくもその労災保険料の額の限度内において換価処分された場合、保険料に充当するのが当然であります。但し保険料に充当する額を超えて差押えをし、それが換価された場合には、その超えた金額を賃金の債権のほうに充当される、そういう場合もあろうと思います。法律の建前はそういう建前でございますが、現実にそういう事態がある、而もその賃金の不払が非常な額になり労働者の生活に非常な影響を与えておるというふうな実態がございますれば、これは具体的な問題として我我として考慮しなければならん。法律の建前は先ほど申上げますように、賃金債権に優先するのでございますが、併しそういう労働者の生活不安除去という目的も、もう一つの面として考えなければならん点もございます。具体的な問題として調査をいたし、適当な措置をとりたいと、かように考えております。
  49. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほどの私の質問の第一点は、今後の予測される失業者の増大に対処して、政府年度当初予算の運営については、弾力性を持つた構想で今後おやりになる肚がまえがあるかどうか、こういう点をお尋ねいたしたわけであります。これに対しまして次官並びに局長からは、既定予算の範囲内において賄つて行くような努力を払うという御答弁でありますが、御承知のように実行予算で百九十九億圧縮されておるわけであります。これは当然に、例えば繊維消費税が握りつぶしに会つたとか、或いは又地方税法の修正等の関係から予算圧縮をせざるを得なかつた点は了解できますけれども半面今後の予算実行においては、当然今後のとられる経済施策の結果出て来るところの失業者救済措置失業対策費等については当然積極的な措置がとられて然るべきだと考えるわけであります。この点に関しましては、殖やすかどうかということは押し問答になりますので、それを数字について私はお尋ねしたいと思いますが、例えば昭和二十九年一月以降の月間平均就労日数というものが、大体平均二十一日になつておるわけであります。そこで労働省といたしましては今後の就労日数は月平均どの程度を確保しなければならん、どういうような方針で行かれようとするつもりか、この点について具体的数字の面においてお示し願いたい、これが第一点。  第二点の帰休制の構想につきましては、初めて次官並びに局長からこの委員会において承わつたわけであります。私はこの点に関しましては、要望でありますが、そういう重大な失業対策についての具体的措置をとろうとするならば、どうして政府或いは労働省は自発的にこの失業対策に当面してこういう措置をとりたいのだ、こういうような私たちは少くともこの委員会において労働省みずからが説明をされて、そして委員会の協力の下にこういうような新しい制度をとれるとか、或いは運営するとか、こういうような措置がとられて然るべきだと思います。そういうような点について質問しなければ答弁しないような心がまえでは非常に心細いのでありまして、今後もう少し民主的にお互いに話合い、或いは訴えるところは訴える、こういうことで処理されることを希望いたします。  そこでこの帰休制の実施でありますが、一応局長の御説明によりまして、大よその構想は把握できましたけれども、一体いつ頃から実施しようという予定なのか、造船に例をとりましても、現実に苦しいのであります。炭鉱にとりましても、今が最も苦しい時期であります。この時期を外してはこういう制度を、私はいいとか悪いとかまだ申しませんが、折角政府の狙われておる目標が時期を失するということになりますが、一体この制度の実施についてはいつ頃を予測されておるのか、これが第二点。  第三点といたしまして、先ほどの安井次官の御答弁の中に、労働金庫を通じて生活融資の面等で考慮をして行こう、こういう御答弁があつたわけであります。非常に私心強くお聞きいたしました。と申しますのは、第十九国会におきましても、この委員会におきまして、石炭産業における労働問題に関する件の調査案件の節、五月十八日の委員会でありまするが、労働大臣といたしましては、石炭不況対策について三つの対策を構想されたわけであります。その第一は、石炭需要面の拡大、即ち重油の規制による石炭消費面の或いは販路面の拡大、これが一つ、第二は、石炭関係の事業金融をどう円滑に進めるかという点が第二点、第三点は、政府資金を労働金庫に預託することによつて労働者の生活安定を図るべきであるということが第三点、この三つが当面石炭産業不況克服策としてとらるべき手段である、方法である、こういうふうに御説明があつたわけであります。第一点の石炭生産面の販路の維持、拡大、重油の制限、消費規制措置は、当然通産省との問題になつて参りまするので、この点は後ほど通産当局に私お尋ねする予定でありまするので触れませんが、労働金庫を通ずる労働者の生活金融面の配慮をする点であります。先ほど安井次官の御答弁で、私非常に心強く思つておるのでありまするが、この点は去る国会の委員会においても幾たびか政府側から説明がなされ、私たちも必ず労働省当局大蔵省と話合いの上に、労働金庫に預託されることが近きうちに実施されるものと期待して今日まで参つたわけであります。ところがその後聞いてみますると、杳としてその話は具体的に進捗しておりません。ところが本日又安井政務次官から、労働金庫を通じ生活融資を考慮するというお答えでありまして、非常にまあ力強くは考えましたけれども、いつの日にこれが実現されるものか、私非常に不安を持つものであります。と申しますのは、最近各県の労働部等が、議会等において失業対策問題について労働部はどう対処するかという質問を受けると、必ず労働金庫を通じ生活資金の融資を図りますと、恒例のごとく答弁しておるけれども、それでは一つ労働金庫に県の余裕金を預託してもらいましようと、こうなつて来ると、財政逼迫の折柄なかなか思うように参りませんと、こういうことで、肝心の金庫を強化し、金庫の活動のエネルギーを与えることはさつぱりお預けにしておいて、委員会とか、或いは県会とか、こういうときになつて参りますると、労働金庫を通じて生活融資を考えて行こうと、こういうような御答弁であるわけでありまして、誠に遺憾でありまするが、安井政務次官、折角労働金庫の強化のためには、金庫法の制定等に際しましても、我々この点は心から敬意を表しております。一つ今この炭鉱或いは造船、その他の基礎産業等非常に苦しい状況に当面いたしておりまするが、労働金庫に対する政府預託はいつ頃実現されるものか、労働省といたしましてはどの程度の額を今出資をしておられるのか、そのような交渉の段階等について御説明をお願いしたいと思います。
  50. 安井謙

    説明員安井謙君) 先ほどの就労日数のお話でございますが、これは初め申上げましたように、大体二十一日を確保するようにいたしたいと存じております。  それから一時帰休制のような重要な問題をなぜ早く問われる前に委員会説明しないかというお叱りであつたのでありますが、実は私どもこれはホツト・ニユースだと思いまして、答弁資料の中にちやんと用意をして来ておつたのであります。追い追い実は御相談を申上げるつもりでおつたのでありまするが、たまたま党の政調のほうでも同様の計画で研究はいたしております。それのほうとも相待つて、そのほうの質問も出たのと、まあ田畑さんの非常に記憶力のよい、新聞の極く一部に曾つて極く小さく出ておつたのを先に発言があつたような次第で、御了承願います。  それから労金のほうですが、これは打明けて申上げますと、この三月、四月頃に、でき得れば事業者金融とでも名の付くような性格に一部でもなるまいかということを、実は大蔵省とも折衝いたしてみたのであります。これは法の建前上どうしても非常に困難だということであり、それじや改めて大蔵省なりを通じて地方の公共団体に流す、或いは地方公共団体を又更に特に督励いたしまして、その預託をさせるということを改めて目下急いでおる次第でありまして、大蔵省とも最近折衝をしておるような事情でございます。金額はちよつと目標が、只今申上げまして、又あれは嘘をついたというようなことになつても困りますが、まあ三億乃至五億ぐらいのものを目標に差当つてはやりたいというふうに考えておる次第であります。
  51. 阿具根登

    ○阿具根登君 安井政務次官は何でも帰休制度を鬼の首を取つておられるかのごとく言うておられるけれども、これは自由党的な考え方であつて、私たちはこれには賛成できない。なぜかなれば、つぶれる炭鉱はつぶれて行く、併しいい炭鉱は暫らく休めと、こういうようなまるで策も何もないやり方なんです。それで私は、先ほど質問いたしましたように、基本的な問題をどう考えておるかという問題を質問いたしたわけであります。それに対する一つ説明を願いたいというのと、通産省見えておりますから、この石炭問題についてどういう考えを持つておられるか、日本石炭国内炭をどれだけ使うお考えであるか、それによつて私は判明して来ると思うのですが、もう相当な計画も立てておると思います。重油の問題に絡んで通産省の見解をお尋ねいたします。
  52. 安井謙

    説明員安井謙君) まあ一時帰休の問題につきましていろいろ御見解はあろうかと思いますが、放つて置けば、例えば特殊企業部門にいたしましても、相当しつかりした企業でも非常な打撃をこうむる。それだけでも少しでも助かるということは一歩前進であろうというふうに我々は考えて、今具体案を早急作成するように進めておる次第であります。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは通産省のほうは炭政課長でもいいのですが、政務次官お話を聞いておれば、政府の立てた政策のためにたくさんの失業者を出しておいて、そうして中小企業をつぶしてしまつておいて、その中から助けられるやつを一、二拾えばいいじやないかというような、そういう無責任なことでは私は承認できない。根本的な対策をなぜ考えんかということなんです。たくさんの失業者を出しておいて、中小企業を崩壊させてしまつておいて、その中から有望なやつだけ帰休制度で助けてやる、非常にいいことじやないかと、こういうような虫のいいことでは助からないと、こう言うのですつその点についてどういうふうにお考えになりますか。
  54. 安井謙

    説明員安井謙君) それは何もこれだけが全部の対策というわけではないのでありまして、いろいろ今の労金その他の問題或いは職業斡旋の問題、基本的に言いまして日本経済実力自体を養うことによつて大きく経済を伸ばして行くというふうな考え方もございます。  それから今通産当局からお話があろうと思いますが、個々の企業部門において合理的な調整、石炭需要の調整の問題というようなことも併せてやつておるような次第でございまして、特にそういつた重要部門にそういつた政策を考えることは、これは私ども一応一歩前進じやなかろうかと思つておる次第であります。
  55. 古池信三

    説明員(古池信三君) 只今お尋ねの炭鉱の問題は全くこれは私も非常に重大な問題だと考えております。特に炭鉱の中でも中小炭鉱につきましては、これは労働問題と同時に各企業者の問題も併せて考えなければならん問題でありまして、まあはつきり簡明に申せば、やはりその根本的な対策を考えて行く、石炭の需要供給の関係を調整して行く、そこに最後の狙いがあるだろうと思うのであります。ただそれまでの間、或いは又そういう時期を促進する方法としては、只今つておりますような油を抑えまして、できるだけ早急に石炭の需要を喚起して行く、こういうような方法も一つの大きな狙いを持つておるわけであります。それから又こういう個々具体的の問題に処するために、特に最近本省といたしましては、石炭についてのいわゆる玄人である局長を九州に出しまして、現地の事情もつぶさに見ながら、その経験に基いた対策を立てさせるようにこういうような配慮をしておるわけであります。なお金融その他の問題も、これはできるだけの考慮を払いたいと思つておりますけれども、こういう引締めの時代でありますものですから、なかなか思うようには行かんと存じます。併しこれらの問題については今後できる限りの通産省としての手は打つて参りたいと思つておるわけでありますが、本日は炭政課長も参つておりまするし、又重油の使用抑制の問題につきましては、鉱山局長も参つておりまするので、詳しい点はそれぞれの局課長からお答え申上げたいと思います。
  56. 吉田法晴

    吉田法晴君 議事進行について……。今次官から部分的な答弁がございましたが、これは阿具根君の質問に当面答えられているのだからいいのですが、通産大臣或いは経審長官を兼ねておられます愛知さんから総合対策を当委員会に発表をする、こういう約束が十九国会中にございました。ところが十九国会中にはその御発表がなかつたわけです。そこで今日失業対策ということではございますが、先ほど田村委員質問されたようないわゆるデフレ政策といいますか、これに関連いたしまして全般的な経済政策について、石炭問題も含み、造船問題も含んで、ここで事態を明らかにしようというのが今日の委員会なんです。そこでまだたくさん問題は残つておるのですが、時間がございませんから質問の出ました点だけ御答弁を頂きますが、約束は一つ別の機会でも果してもらいたい、かように思うわけです。恐らくその中での小出しの答弁をしておられるのだと思うのですけれども、小出しの答弁の問題の点だけは今日明らかにして、全般的に明らかにいたします点は、これは他日の機会に譲るほかはなかろう、かように考えまするので、その点は委員長一つ適当にお取計らいを願いたいと思います。
  57. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は時間が大分進みましたので、いつまでもやつておるわけに行かないと思います。そこで私は今吉田君も指摘せられました失業問題の基本になる点を二、三お尋ねをして、而もこれは恐らく今日御答弁は満足に頂けないと思いますので、いずれ当委員会は又成るべく早い機会に失業問題だけでこれは相当細かい委員会を開かなければならんと思つております。そのときまでには是非とも一つ資料を整えて政策を立てて答弁に立つて頂くようにしたいと私は希望するわけです。特に又吉田君が指摘されたように、石炭の問題でももう十九国会中にこれは愛知大臣も極めて真剣にお答えになつたのであります。そうして問題を預けてあるわけです。その預けてある問題について、閉会後に若しなることがあれば、そのときに責を果したいという工合に約束れさておるわけです。それで今日はよんどころない事情だと私は思つて了承をしておりますが、おいでにならないわけです。これは是非とも一つ通産省として責任を果して頂きたい、こういう工合思つております。  そこでこれは労働省にも通産省にも経済審議庁にも、全部一諸にしてお聞きしたいと思いますが、今吉田内閣の行なつておるこのデフレ政策というものはどこの谷間まで落ちて行くか、落して行くかということについては、いずれ目標があろうと思いますが、或る点まで落ちて行つてそうしてそこから自立経済というものの見通しが立つて再び伸びて来る、こういう構想であることはお述べになつたのでありますが、その場合に或る点まで落して行く場合においては失業者というものは必ず出るのだ、こういう考えでやつておられるのか、或いは失業者が出るでなし出ないでなしという御答弁のような恰好に出ておりますが、先ずこの点をはつきりしない限りにおいては、失業対策というものの根本的な政策は私は立たないと思う。従つてこの点についてはつきり一つ御言明を願いたい。これは意識的に失業者がとにかく気の毒だけれども出るのだ、出すのだ、こういうお考えであるのか、それとデフレ政策との関連というものは非常に重要な問題である、この点を一つはつきり言明を願いたい、こう思います。
  58. 安井謙

    説明員安井謙君) デフレ政策をいつまで続けて、そうしてどうやつて自立経済を確立させて行くのか、その間一体失業者を出すのを少くしてやるのか、それに対するもつと適切な対策をとるのかというお尋ねでございますが、私ども或る事情において企業整備その他で若干の失業者が出ることは事実であろうと存じまするので、この失業者をあらゆる機関に吸収をして行く、或いは又配置転換をして行く、最大の努力をしてこの失業者の数を最小限度に縮めて行きたいということで、今までもお答えいたしておりますような方策をとつておる次第でございます。
  59. 吉田法晴

    吉田法晴君 今若干の失業者は出るだろう、ところが配置転換等によつて解決して行きたい。或いは先ほど帰休制度のことを言われましたが、今日答弁の中で、従来言われておつた労金への生活費の預託等を除けば、今日出て来た方針としては、正直に言つて労働省から出されたものは帰休制度という点だけなんです。ところが委員長が尋ねておるのは、これ冒頭に田村委員質問に答えて経審から、今の物価或いは輸出或いは国際収支、或いは生産、そういうものの中から、電気料金の話も出ましたが、一応上面を撫でたような説明はございましたけれども、どうするのだ、或いはどうなるのだというような点については殆んど数字らしい数字は出ておりません。その点を委員長が答弁を求めたと思うのですが、すぐにも出ますまい。或いは私ども質疑をして行かなければ、今のように労働者にだけ犠牲を背負わせて物価を下げる、或いは合理化を進める方法しかないと思う。まあ最近においては麦価その他農民をも犠牲にするという点も出て参ります。それからデフレ政策の中で中小企業の倒産、これは商業部門に始つておりますけれども、倒産等も続いておりますが、それでは今どのくらい中小企業が倒れるのか、或いは失業者がどのくらい出るのか、こういう点についてはこれは数字等は全然出ておらん。従つて対策も明らかになつておりません。そこでこれは別の機会に一つゆつくり時間をかけてやりたいと思うのですが、そこで今日は今まで言われた点についてのもう少し明らかにすべき点等だけを質疑をいたして、今日この問題は終りたいと私は実はこういうように思うのです。
  60. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それで私は次回の委員会までに是非とも資料の提出を願わなければならないので、その資料の提出を願うためにも質問をいたしておるのです。そこで今申上げましたように安井政務次官に御答弁を願つたので、これは成るべく他の産業に吸収するように努力するという点は又あと質問いたしますが、とにかく失業者というものがデフレ政策の犠牲によつて出る、出ても止むを得ない、そういうお考えであるかどうかということだけを、これは失業対策を立てる基本になると思いますからはつきりと伺つておきたい。これは労働省でなくても、或る意味においては通産省なり或いは経済審議庁の問題なんですから、その点をはつきりお答えを願いたい。
  61. 古池信三

    説明員(古池信三君) 先ほど私からも申上げましたが、デフレ政策を一体いつまで続けて行くのかという問題になつて来ると思います。現在までのところでは、昨年秋以来の金融引締めによるデフレ政策というものは相当にその効果が早く来ておるように思うのであります。これを例えば今年一ぱい続けるか、或いは来年度の中ほどまで続けて打切るか、この辺の点は私は今後のやはり動きによるものであろう、今はつきりその見通上ということは困難てあろうと思うのであります。そこで最悪の場合これによつて企業の規模が縮小される部面が現われて来ればそこに失業する人も出て来る虞れがある。併し我々としてはできるだけそういうことのないように、又万一そういうことがあつた場合には他の方面に吸収をしてもらうように考慮する、こういうことが私ども正直な話だと思います。従つてこれが対策につきましては、むしろこれは私の省というよりも政府全体として考えなければならない問題であつて、関係の各省において打合会なり何なり集りを持つて、そしてそれぞれの省の立場から智恵を出し合つて、最もいい対策を講じて行くべきである、かように考えております。
  62. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今一問一答でちよつとお願いしたいと思いますから、対策のことは又あとで聞くことにいたします。  経済審議庁のほうもお答え願いたいのですが、問題はこの段階へ来れば言葉でいろいろ濁しても現実起きて来る問題は正直に起きて来るわけです。従つてデフレ政策は強行する、失業者は出るだろう、併し成るべく最小限に食いとめて行きたい、こうおつしやるけれども、これは小笠原大蔵大臣が言つておられるように、古池さんはデフレ政策の緩和論者か知りませんけれども、成るべく早く打切りたいということをおつしやつておるが、大蔵大臣は非常に厳格に、この間銀行大会でもおつしやつておる通り、来年度も緩めないというようにはつきり言つておられるのですけれども、その辺は大蔵大臣に出てもらいたいわけですが、そういう意味一つ率直にお答えを願いたいと思うわけです。松尾調整部長から……。
  63. 松雄金蔵

    説明員松雄金蔵君) 只今デフレ政策といいますか、現在の政策の進め方の時期、程度というような問題は私からここで確定的なことを申上げることも実はできないと思いますが、大体の考え方なり何なりとしては、表現にはいろいろあると思いますが、今通産政務次官からお話のあつた通りではないかと思います。私どもの立場から従来こういう政策がとられた場合に生産なり或いは物価なり、或いは雇用面にどういう影響が出て来るであろうかということは数字でいろいろいじつてはみますけれども、これは何と申しますか、経済が何ら人為的な政策なしに、自然の姿で上つたり下つたりする場合ですと或る程度見通し数字上立て得るわけでありますが、現在のような政策がとられておる際の見通しというものは非常にむずかしく、特に雇用面等についての計数の見通しは殆んど不可能に近いほどむずかしいのではないかと思います。一応私どもは二十九年度におきましては現在のような情勢で特に下半期に若干の雇用減が出るだろうという程度数字は若干推計をいたしてはみましたけれども、これはただ雇用面でそれだけの雇用減が生ずるであろうということでありまして、これが現実に失業者の面にどれだけに現われて来るかといつたような点につきましては計数上はつきりした見通しをまだ立て得ないような状態にあるわけであります。計数上の問題は先ほど一応まあ私ども見通しを申上げましたけれども、これは経済が生きものであるだけにここで確定的な御説明なり何なりできないかと思います。
  64. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 実は外貨というもの、国際収支の問題とか生産指数の問題とか、そういう問題については、或いはデフレ政策の規模とかいうようなことについては、全部計数が出て、そのあおりを食つて出る雇用問題については全然計数の作業がてきないということは、これはちよつと私ども理論的に理解できないと思います。従つてこの際若干そういうマイナスの計数を発表するために社会的に悪い影響が来るというようなことが理由で躊躇せられるならば、これは甚だとらざるところであつて、現実には数字が出ようが出まいが、現地では非常な混乱が起き、そうして私どもとしては非常に下半期のことは心配しておるわけです。どういう不測の事態が起きるかもわからないというようなことが九州の炭鉱地帯にはあるということが言われておるわけです。従つてそういう意味からするならば、却つて若干皆が心配するにしても或る程度の計数というものは発表して、そうして安心をさせるということのほうが私は必要じやないか、こういう工合に考えております。政府のほうも今までのデータというものは、過去の実績については極めて詳しいデータをお出しになるけれども一つ政策を実行する場合の政策に対する計数というものは非常に杜撰なものでお出しにならない、これが私はやはり今の政治を非常に貧困ならしめておる一つ原因であろうと思います。無責任とも言えるわけです。従つてそういう点は今日は議論はしませんが、そういう考えを持つてこの次の委員会に臨みたいと考えておりますから、そういう準備を可能な限り一つおやりを願いたい、こういうわけです。
  65. 吉田法晴

    吉田法晴君 実はいつまで今のデフレ政策、これは金融面でのデフレ政策、財政ではむしろインフレ、或いは再軍備というものが行われておると思うのですが、そういうことはやめにして、デフレ政策がいつまで続くかということに関連して、新聞では、昨日の産経であつたかと思うのですが、経済審議庁で検討をしておるということで、三十年度一ぱい継続すれば大体国際収支均衡は得るのじやなかろうか。従つて三十一年度には国際均衡の線に戻れるのではなかろうかという意向が出て来る。これはどこに根拠があるのか、ああいじつたりこういじつたりということになるのかも知れません、先ほどの御説明によると…。併し少くともデフレ政策をやり、その結果が或いは商業部面から生産部面にも幾らか及んで来る或いは中小企業が倒れる。商業部面もそうだろう、中小企業は現に倒れている。そうすると、この政策をいつまでも続けるならば、どの程度の犠牲が出るだろう、どういう影響が出るだろうということを計算に入れないで政策を立てるという無謀なことはない。出たとこ勝負でやることは問題です。経済審議庁は、少くとも不確定な要素はあるかも知れませんが、五%、一〇%、それも年間を通じて五%でも年度比較すれば一〇%程度物価を下げたい、物価を下げたいというのは、物価の下がる要素はどこにあるか。これはコストにもありましよう、或いは購買力等にもあるかも知れません、計算をすると一〇%目標というものが付いたそれなりその中の要素で産業部門でどの程度いわゆる影響が出るかということは一応推算が出るわけです。だからいつまで続けるか、そうしてその影響はどう出るかということを一つ出してもらいたい。  それからもう一つ雇用の問題についてどれだけの影響があるかということについても、これはわかりませんという話ですが、これも新聞ですけれども、これはピークが八月頃だと想定をして、新聞記事の中に、休日の増加だとか、労働時間の短縮とか、その点は先ほど自由党が言われた一つの方向といいますか、そういうものが出ている。ところがその中で、石炭で二万人、紡績で一万五千人、それから鉄鋼業で一万、それから造船で臨時工その他があるから臨時工その他の整理で、今の造船計画があるのですが、これも一万幾らというのですが、合計しますと、ここで石炭、紡績、鉄鋼、造船だけを挙げて六万の失業が出る可能性がある、こういう数字も出ている。これは確定的に六万を下らないか或いは六万を超すかということになると、これは今後の問題ですから、或いは百人や千人の違いはあるかも知れません。併しどの程度の人数の雇用減が出るかということは出るはずです。恐らく試算か何か知りませんけれども、出していると思う。ですから一応今の政策を続けて行くならばどういう影響が出て来るだろう、それをどこでどういう工合にするか、これは通産省の考えられる調整とかいろいろなことがありますけれども、そうすればどうするのか。実行予算の点でも、実行予算でもいろいろな問題がある。失業対策費をどうするかという問題もある。現に実行予算なら実行予算を立てるならば、或いは補正予算を組むのか組まんのか、こういう問題もありますし、今後どうするのかという方針は現実には差当りのところはあるのですから、それを一つ考えて、総合対策を持つて一つ出してもらいたい、こういうことです。
  66. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこまでだんだんやつて行こうと思うのですが、それは要するにデフレ政策を強行すれば失業者は出るということについては、言葉のニユーアンスがありますが、そこて出るということならば、今吉田君の言われたように、それではデフレ政策を転換する時期の見通しはいつか、国際収支バランスのとれる時期はいつかということ、それまでの間の雇用量の減少状況というのはどういう工合になるか、要するにデフレ政策影響、これを一つ研究してもらいた  それから第二には、今デフレ政策によつて若干失業者が出るものは他の部面に吸収するということを安井政務次官が言われた。それから古池政務次官も言われましたが、これは私は美辞麗句だと思うのです。デフレ政策を強行して行けば全部、連鎖反応じやないけれども国内のあらゆる産業影響して来る。そうすると一体そういうようなデフレ政策で出た失業者を吸収し得る職場というものは一体どこにあるのか、これを一つ明示願いたい。その吸収するやり方の一つとして、井上君の提案された帰休制度があるというのはわかりますが、それは消極的な方法で、こんなことを広汎にやるわけには行かんでしようから、そのほか積極的な方法というのはどこにあるのか。帰農の方法はあるが、農村がそれだけ吸収するかどうかわかりません。その点で吸収し得る方法というものを一遍研究を是非とも願いたい。そこまでは先ほど質問が済みましたから大体いいわけてす。それから帰休制度の問題でも、六ヵ月たつて雇用の義務を課するのだ、こういうお話がありましたが、全従業員の二割という構想を持つておいでになるのですけれども、これはやはり六カ月で再雇用の義務付をしたわけですが、実際に企業が完全に再雇用できなかつたときには、従業員で二割をたらい廻しにするお考えです
  67. 井上清一

    井上清一君 そうです。
  68. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると、これは説明をされた井上委員質問したわけではありませんが、大体そういうふうだということはわかりました。そこで問題は、そういうことをいつまでも繰返しておるということはできないでしようから、これは通商産業大臣として、御呈示を願いたいことは、デフレ政策を一日も早く安定政策に転換しなければなりませんが、その構想ですね、その構想というものを一つ明らかにして頂きたい。この場合には先ほど古池さんが言われたことには、失業問題については政府一体となつて対処しなければならん、こういう方針を述べられたわけです。そんなことはもうデフレ政策を計画し、実行されるとき言われなければならんことで、今言われるということは大変時期が遅いわけです。今から言うならば、火事が燃え盛つているのを、これから井戸を作つて水を汲み出そうということであり、泥棒を見て繩をなうどころじやない。井戸を掘るということは大変なことだろうと思うのですが、要するにデフレ政策を早く転換するためには、産業政策としてどういうことを考えなければならんか。総合的に政府一体となつてやろうという産業政策というものはどういう工合に考えたらいいか。これは勿論産業規模の問題もありましようし、国際バランスの問題も全部引つくるめて関係して来ることでしようね。これを一つ考えて頂きたい、こういうことです。これは大変古池さんに失礼なことを申上げましたが、今伺つていて直感したのです。この段階に来れば、絶対的な政策がなければならん。これから政府一体となつて対処する方針であるとおつしやいますが、その方針の具体的な内容はどうかということをこの辺で御発表になるときだと思う。そうして国民に対して一応安心をさせる、こういう工合に考えます。  それから労働省に伺いたいのですが、失業保険並びに失業対策費、こういうもの全般について質疑は終つておりますから、結論だけお尋ねしますが、二十九年度にはこの問題について絶対に補正予算の必要がないと、こういう工合にお考えになりますか。事態の進展如何により補正予算の必要が出て来る、こういうふうにお認めになるか、この点を、大変質問が簡単でお答えにくいかも知れませんが、見通し一つ……。
  69. 古池信三

    説明員(古池信三君) 先ほど私の口からああいうことを申上げたので、委員長が取られたような御解釈になつたと思うのですが、私が先ほど申したのは、これはむしろ経済審議庁が或いは労働省説明員から話されたらもつとはつきりわかつたかと思うのでありますが、失業対策本当に具体的な対策については、今まで主として労働省がやつてつたのですが、もつと各省が本当に具体的に連絡協議会を作つて、そしてやるべきではないかという点のことを申上げたんでありまして、経済政策の問題とちよつと違うわけであります。
  70. 安井謙

    説明員安井謙君) 最後お尋ね失業対策費と失業保険費は、一体今年の予算で絶対補正予算を組まないでいいかどうかというお尋ねでありますが、かねがね先ほどからも吉田委員のお叱りをこうむつておるので、大体経済の計画性が足らん、政府は無為無能であるというお話でありますが、これには多少政府考え方、私ども考え方では、経済は生き物でございますので、これにいろんな計画やそういつた政策上の対策を作ることは無論必要でございますが、将来の見通し等について二プラス二、四であるという形のものができにくいという観点をかなりとつておるのでございまして、そういうような意味から……。併しお尋ねのような実際問題に対する必要なものについては極力対策を練つて行きたいと考えておりますが、十分御希望に副えるような数字、或いはデータが出にくいかとも存じておる次第であります。  そこで失業見通しでございますが、これも今日までの見方では、非常に昨年暮あたりからとつて来ましたデフレ政策によつて、如何にも急激に失業者が厖大に殖えるというふうに一部では言われておりますが、実際出て来ました結果は、必ずしもそういうふうにも現われておりません。そこでまあ今のところ我々はどうにかこの予算内でやり繰りをしてやつて行こうというふうに最大の努力をいたす次第でございまして、それから先の問題になりますと、もう少し時期を見てからでないとお答えもできにくかろうと思つている次第であります。
  71. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そのことは、これはデフレ政策の全体の見通しがなければ、勿論策定できないでしようけれども、絶対自信があるというところまでは労働省としてもここで断言しかねる問題があるということはお認め願えますか。
  72. 安井謙

    説明員安井謙君) これは経済は生き物でございますから、今我々が確定的なことを言い切ることは困難であろうかと思つております。
  73. 松雄金蔵

    説明員松雄金蔵君) 先ほど私当初の御説明のときに、国際収支見通しでありますとか、物価見通しでありますとか、そういう見通しについて、如何にも確定的なようにお耳に入りましたような意味で、数字を申上げたかも知れませんですけれども、実は一番最初にお断わりいたしましたような意味で、見通しそのものが非常にむずかしいものでありまして、特に物価というようなものになりますと、この数字を五%乃至一割というような数字見通し的なものだといつて、従来私どものほうで若干の作業もし、申上げておりますけれども、この数字も実はそういう物価見通し数字を、まあ仮に見通しといつても、そういう数字を言うことが、非常に何といいますか、誤解、或いは思わざることを起すのではないかというようなことを懸念しながら、それでも何かなければというような意味程度数字しか私どもも申上げられないようなことであります。(「そんなようなことじやない、施政方針演説に入つているじやないか」と呼ぶ者あり)そういうような意味見通しでございますので、只今いろいろお話のございました数字等も、勿論できるだけ努力はいたしますけれども、そう確定的な、或いは比較的確実な見通しということもできにくいのではないかという点も御了承願いたいと思います。
  74. 吉田法晴

    吉田法晴君 安井政務次官の答弁に関連して委員長が確かめられたところ、実行予算百九十九億の節約を図つた。これは説明を聞かんのですけれども、それに近い実行予算が作られたでしよう。それに関連上て、それではなぜ実行予算を作つたのか。これは予算委員会との関連、国会の無視等は問いません。ここでは場所が違いますから言いませんが、収入減もありましよう、最初の予算を作つたときの。併しなお例えば災害対策費、これは関西の今度の水害もありますし、従来の災害もありますから、災害対策費の補正が必要であることは認めます。併しそれに関連して言われておるのは、失業対策費についても補正予算の必要があるのではなかろうかということを言われておる。これはあなたたちは知らんけれども、輿論でも言われておる。そうすると、今取上げておるこのデフレ政策の犠牲、そのしわ寄せに対する対策というものは、それでは、通産次官もおられるけれども労働政務次官としては補正の要求というか、そういう要請はないのだ、こういうことにも関連して、実は委員長質問したのであろうと思います。その辺はどうなんです
  75. 安井謙

    説明員安井謙君) これはどの程度に進んで参りますか、それが結果として失業という形に現われて来ますか、なかなか面倒な問題でございますので、非常に慎重な考慮をしながら見ておる次第であります。今直ちに補正予算をここで組むという、少くとも大蔵当局に対して直ちに要求をしようというつもりは今のところない次第であります。
  76. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 先ほど古池次官にも私いろいろ注文をつけながら御準備を願うようにしたときに、政府として一体となつて対処したいというのは失業対策のことであつて産業政策のことを私に言つたのではないというお話でございましたが、私とちよつと受取り方が違うので、私自身としては失業対策を今やる場合には、デフレ政策という一つのはつきりした政策の下で起きるんだから、従つて失業対策というものを立てるためには産業政策というもの、経済政策というもの、これを政府一体となつて立てて頂かなければ失業対策は立たない、こういう私は考え方を持つているのですから、その点を一つ誤解のないように願いたいと思います。
  77. 古池信三

    説明員(古池信三君) 只今の点は全く私も同感です。これは一通産省じやなく、各省全般に関係したことであつて、総合的な内閣としての政策を立てて進んで行かなければならない大きな問題です。それはお説の通りだと思います。
  78. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで、今日大臣おいでになつておりませんので、政府としての御確約を願うのにはちよつと無理かと思うのですが、この委員会は、もうすでに十九国会の半ば以後から、そういう考え方失業問題を扱つて来ておるわけですから、従つて次の委員会は、これは皆さんにお諮りしなければなりませんが、恐らくどんなに遅れてもこの問題を放置するわけに行きませんから、私としては八月の上旬には、少くとも遅れても開きたいと思うのです。従つてそれまでに焦眉の問題として御準備を一つお願いしたい、こういうことです。恐らく完璧を期するわけには行かないかも知れませんが、次善の策でも御提出を願い、御説明を頂きたい。そうしてこの委員会を通じて国民に一つ安心のできるように配慮を願いたい、そういうことです。  それから最後に、私は経済審議庁お尋ねしますが、大蔵省金融引締めを中心にしてデフレ政策を強行しておられる。これは私の意見でなくて、経済界でもよく認めておる。その場合に、経済審議庁大蔵省とどういう御関係に、この問題についてあられるかということは私よく存じません。存じませんが、日本経済運営の行政の参謀本部でありまするから、金融政策によつて産業が非常に混乱するということになれば、経済審議庁としては恐らく大蔵省と相当な交渉をせられて、その危機の回避に努力せられるだろう、こういう見通しの下に私は質問をするわけです。私が非常に今心配しておりますことは、この間東京で西村金融が不渡りを出して混乱しておりますが、西村金融などは、保全経済会があの問題を起した当時でも、大蔵省においては、非常に堅実な金融業であるというので太鼓判を捺されておつたことがあると思います。それですら金融的にはああいうパニツクの状態に入つておる。従つて私はこのままデフレ政策が進めば十大銀行は知りません。十大銀行は知りませんが、日本の数ある地方銀行の中には相当不良な貸出しをもつておる銀行があるはずであります。従つてそういうところにどつか一行に取付騒ぎのようなことが起きて、そこから不測の経済混乱を連鎖して行くというようなことがないとは断一斉できない。私はこれは流言飛語を由すわけではありません。そういう心配を深刻にしておるわけです。従つてそういう事態が起きた場合は勿論でしようが、起きる虞れのある寸前に至つても、なお且つ経済審議庁としては大蔵省がやつておる、小笠原大蔵大臣が堅持しておるこのデフレ政策というものを飽くまでも強行するか、そういう事態になつても強行するか、こういうことについて、どういうお考えでありましようか。そういう事態が来れば、大蔵省に離して善処の交渉をせられるか。私は非常に上ずつたことを申上げるようだけれども、どうもそういう心配をするわけです。
  79. 井上清一

    井上清一君 部長に聞いても無理だろう、その質問は。
  80. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) だけれども、出て来ないのだからしようがない。そういうことも一つ問題の中の一つとして研究しておいて下さい。恐らくそういうことについて、労働委員会としては次回には相当突込んだ失業対策の腰間をしたい。特に今田村委員も退席されるときには、失業問題については放置できないということを私に耳打ちして行かれたくらいですから、この委員会が、本当は通商産業委員会でおやりになることでしようけれども失業問題として非常に熱心に関心を持つておるということを一つ御理解頂いて善処して頂きたい、こう思います。
  81. 吉田法晴

    吉田法晴君 一つ、要望とそれから質問だけをいたしたいと思います。  要望は、この次に失業対策について総合的に立てて頂く際に、これは労働省の問題ですけれどもへ駐留軍労務者の失業問題というものは、これは身近に感じて、かねて自分自身で組合自身が職業補導をやつておるような実態であります。極く最近のニユースでは、北海道駐留のアメリカ軍隊が空軍を除いて殆んど引揚げる、こういうまあニユースが伝わつておりますので、恐らく対策はお立てになつておるかと思いますが、この点も併せて一つつて来て頂くようにお願いしておきます。  それからもう一つ答弁の中で心配になりました点がありますから、簡単に質問をいたしておきますが、一つ失業対策、これは失業対策費の増額について予算の増額を要求するかどうかということも関連をいたしますが、老人、婦人、婦人は特に三〇%、四〇%あるから、建設的な事業に一般振向ける以外に婦人老人は困難だ云々というお話です。この生活問題について恐らく無視はされておらんと思うのでありますが、先ほどの答弁の中から、或いは老人、婦人というのは失業対策の中から或いは整理をするといつたような意向であるのじやなかろうか、こういう心配をいたします。そこで昨日私こういつた弱い、失業対策に従事しております者の生活の窮状については訴えたわけであります。恐らくそういう気持はなかろうと思いますが、この点についても一つ明らかにしてもらいたいと思います。  それから帰休制度について井上委員からお話があつて政府としても考えている、研究中だ、こういうお話がありましたが、それは政府としておやりになるのかどうか。若し政府としておやりになるというならば、これは今の或いは石炭或いは造船、或いは繊維等の実態から、こういうものができたかと思うのですけれども、これも若し労働者にだけその犠牲を負わせて、三ヵ月郷里に帰すんだ、こういうことになれば、これは何も政策じやない。政府がおやりになるというならば、その帰つておる間、帰休させておる間の生活を政府で保障する。失業保険は当り前なんです。失業保険でなくて、別に政府が生活をみておやりになる、こういうこともお含みになつておるのかどうか。政府がおやりになるとするならば、その政府の責任の構想を、一つ構想だけ承わつておきたい。
  82. 安井謙

    説明員安井謙君) 日雇が恒常的なものになつておる原因に、女子老年の人があるから、こういう人を整理してしまうのじやないかという御懸念のようでございますが、そういつたようには考えておらん次第でございます。でき得る限り可能な範囲で建設的な方面へ振り向けて行つて一般勤労者の働けるようになつて頂きたいという希望であります。  帰休者については、これは今の更にそれ以上の生活補給まで考えておるのかどうかということでありますが、まだ成案はございませんが、そこまでは考えておらん次第でございます。
  83. 吉田法晴

    吉田法晴君 責任のない政策なんというものは、失業者全般について、デフレ政策の結果失業者が出る、併しあと知らんというのと同じことで、そういう政策を若し政府がお考えになるこするならば、これは我々として賛成をするわけには行きません。  もう質問を終りますが、なお最後に先ほど国鉄の問題について労使双方から実情なり或いは所見が述べられましたが、その中で労働者に関係のあります問題でございますし、委員長から労働省についてはあと質疑をするからと、こういうことでございましたから、一点だけ伺いたいのですけれども、私どもは今度のやり方について国鉄当局が一方的に法の解釈をやりながら不当労働行為をやつておると、こういう解釈を持つておるのですが、その中で交渉単位或いは協約を締結いたしまする単位の問題、これは労働組合というものを認め、労働組合と使用者とが団体交渉をやる、対等の立場で団体交渉をやる、そうすると、その団体交渉の結果を協約にまとめるというやり方は、これは労働組合法なり或いは労働関係調整法が考えておる基本精神、たとえ公企労法になりましようとも、その原則に変りはないと思うのでありますが、ところがその交渉単位と申しますか、或いは協約、協定の単位について、六月の末これを従来の局単位から現場に下す、こういうこれは国鉄が先か労働省が先か知りませんがそういう方針が伝えられました際に、労働組合からも労働省に陳情をしたそうであります。それから左右社会党の代議士或いは粟山委員長安井政務次官或いは基準局長等に会つて、その点について、これは公式でありますか非公式でありますか、申出がなされた。そうしてそういう一方的な或いは不合理な交渉単位の変更については、これは慎重に取扱う、七月一日からというのは強行はしない、八月一日からに、いや八月一日からということについては延期を上て再検討を行う、一方的には実施しないという善処の回答がなされたという話でございますが、この点について労働省の反省があるのかどうか。実際には七月一日が一日延びて二日から実施をしろということでありますが、また現に七単位ですか、七ヵ所について云云で、あと調査中ということでありますが、調査中なら全部調査して終つて、これはそれぞれ相談の上、或いは一方的な法の解釈でなしに実施されるならとにかくでありますけれども、一方的にそういう申合せと言いますか、或いは了解があるにかかわらず、このようなことがあるということについては、何としても私は了承することができませんから一つ釈明を願いたい。
  84. 安井謙

    説明員安井謙君) 非常に技術的な面もありますから、基準局長からもお答えしたいと思いますが、私どもいろいろな陳情を伺つておりましても、全体の問題としてこの単位制度を成るべく下ろして行くという方針には、国鉄労組にもむしろ賛成であるというふうに伺つております。ただやり方或いは技術的な面で多少御意見食い違いがあつたかと思いますが、その点につきまして労働基準局長のほうから一つ……。
  85. 亀井光

    説明員(亀井光君) この問題は御承知のように、従来基準法施行当初から、管理局単位におきまして三六協定、その他の協定がなされております。当時管理局単位で事業単位としてこれを認めて参りましたことは、労使の話合いによりましてこの問題がまとまつたわけでございまして、法律的に見ますといろいろ問題がございましたのでございますが、一応労使の話合いが付いたということで、便法的に従来認めて参つて来たのでございます。ところが昭和二十七年の十月頃機関車労働組合のほうから従来の管理局単位の事業単位というものは実情に合わないのじやないか、機関区につきましてはそれぞれ独立の単位を持つておるので、これをその他の事業単位に指定して頂きたいという趣旨の陳情が参り、要請が参つてつたわけであります。そこで我々としましては、これらのものについていろいろ実態の調査をして参つたのでございまして、その結果、その地位的な問題或いは人事、経理等の面から見まして或る程度の独立性があるというふうに認められまするので、今回機関区と同様に、すでに我々が調査をいたしました電車区その他七区につきまして事業場単位として認めることといたしたのであります。時期の問題につきましてお話がございましたがこれは只今申上げましたように、できるだけ早く労使協定を結びたいという希望の所もございますために、そういう条件をできるだけ早く充たしてやるという趣旨もございまして、かねての懸案でございましただけに、我々として実態調査を済み、自信がつきましたものから先ず始めたいというふうに考えて、七月二日にこの指定の通牒を出した次第でございます。
  86. 吉田法晴

    吉田法晴君 この交渉単位の問題については、国労一本のときには問題はなかつた。それから機関車労組ができて、これは局長は賀来労政局長のときでありますが、大臣が誰だつたか、吉武さんだつたか、これは知らないが、問題が起つていろいろ機関車労組からも話があり、或いは国労からもこういう問題について話があつた、こういう事態は知つております。ところがそういう際には過去においては極めて慎重てあつた。そしてその間に労働省が強力に介入をして、そして一方の意見を取上げて片方の意見を無視する、こういう態度はなかつた。極めて慎重であつたことを私ども記憶をいたしております。ところが今も話がございましたが、事業単位を局にするということについては、これは労使双方の話合いでそうなつたんだからということで、その点は了承するのです。それは労働基準法なり或いは三十六条の精神から言つてもそうだろうと思う。ところが今度はそうでなくて、一話合いはつかない。そして解雇問題から労使対立をして来た。その中で三十六条協定は結ばない。それから結ぶ単位はどうだ、こういう労使双方の争いの中にある状態の中で、労働省が或いは一つの組合の意見に引摺られ、或いは労使双方の意見が対立しておる中で使用者側だけの意見従つて単位をきめる、こういうことをなされるならば、これは明らかに労働省が中立性を失つて、資本家側の不当労働行為なり或いは法規解釈に味方をして、不当に労使関係に介入するという結果になる。これはもう意図はどうであろうとも、結果から見ればそう言われるということは、これは局長といえども恐らく否定はなさらないと思う。そういう状態の中で、或いは議員も話に入る、或いは陳情もなされた、陳情と言うが、これはそういう問題についての反対の意思表示であつたと思うのですが、そういう状態であるならば、これは七月二日から強行されるというのは不当だということは、これは当然だと思う。七ヵ所或いは八ヵ所ですかだけを先にきめちやつてあとはまあ調査をして済み次第、こういう態度はこれは極めて不公平だと言わなければなりませんが、実施を延期する、或いは円満な話合いの中で協約の問題も、或いは事業単位の問題も解決せられるということにお任せになるのが当然だと思うのですが、どうですか。
  87. 亀井光

    説明員(亀井光君) そういう御意見も実はお聞きしたのでございまするが、併し管理局単位で従来参りました点につきましても、先ほど申しましたように便宜的な点があり、基本的に労働基準法の適用の問題からしますといろいろ疑義があつたわけでございまして、この機会に実態を調査しましたものをできるだけ早く現実の基準法の施行の姿に面して往くというのが、行政の当局としまして当然考えられるところでございまして、従つて従来調査を済ませました七つにつきまして今回の措置とつたわけでありまして、これにつきましては争議に介入するというお話もございましたが、我々はすべて技術的に事務的にこの判断をいたしたのでありまして、そういう考慮は全然払つてないことを御了承頂きたいと思います。
  88. 吉田法晴

    吉田法晴君 了承できませんね。基準法の労使対等に労働条件をきめる、或いは協約は労使双方協議をして団体交渉をやつて協定をする、これはお認めになるだろうと思う。それはお認めになりませんか。疑義があつたと言われるけれども、併し局単位云々という点は基準法なり或いは労働関係法の精神に従つて話合いで局単位にした。それには疑問の余地はありませんが、疑義があつたという点がおかしいのであります。飽くまで労使紛争の中に介入して経営者側の意向に従い、或いは都合に従うという態度は飽くまでもとろうとされるのですか
  89. 亀井光

    説明員(亀井光君) 基準法の適用につきまして、例えば労働時間の監督或いは割増し賃金の支払の監督或いは有給休暇の監督というふうな場合に、管理局単位にしてでございますから、本来ならばその事業場に参りまして調査をする。即ち管理局に行つて監督調査ができる建前ではございまするが、管理局には各現業機関の賃金台帳もございませんし、それらの証拠について取調べをいたしまする書類が整備されていないのでありまして、現実には各区の現場にそれぞれ置かれておるわけでありまして、そういう点の労働準準法上の適用について技術的にいろいろ問題があつたわけであります。従つてそういう問題を今回は実態を調査しまして、独立性があるものから、先ずその本来の姿に戻して行きたいという趣旨で指定をしたわけでございまして、飽くまでも争覇に介入するということは全然ありません。
  90. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで問題は各職場まで交渉単位を下すということについては、国労のほうも機関車労組のほうも大体原則的には反対ではないということをあなた言われているのですが、それが事実とすれば、これは全部一遍にやることが一番理想的だつたのですけれども労働省の見解でやられてしまつた。私どもちよつと心外に思つたわけなんですが、やられてしまつた従つてあとつているものは調査並びにそれらの指定というものを急速に、たとえ国労がどう考えるか知りませんが、常識的に言つているのですが、急速にやられるのが一番望ましいと思うのですがね。そういうことについては労働省はどういうふうに考えておられますか。今のやつをやはりいつまでに、例えば七月一ぱいなら七月一ぱいにできるのか、見通しはどうなんですか。
  91. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつと関連してだから国労側に今の中り方について異議があることはこれは間違いない。そこで一遍にやるか、まあ下に下すということは、これはお話を聞いていると、監督のほうの都合だけれども、それを百歩譲つて、下すということに基本的に同意するとしても、一部分だけやつてあとは放つておく、こういうやり方は不公正だということは、これは誰が見ても明らかです。それでやるなら全部一緒にやる。今異議もあるのだし、待つて全部済むまで実施を延期する、こういうことにこれはすべきだと思うのですが、どうですか。特に局長は、これは栗山委員長個人かも知れませんが、或いは国鉄等にお話の際には、基準局長として八月実施延期を了承されたとさえ言われておる。
  92. 安井謙

    説明員安井謙君) いろいろ労働省の問題にもなりますので……。実は私も陳情を受けた一人でございまするが、先ほど局長が申上げましたように、国鉄労組自体もこの下へ下げるという方針はむしろ希望するところであるが、時期とか方法について十分の考慮をして頂きたい。初め機関車だけをやられるのでは大変困るというお話が非常に強く我々には響いておりましたので、その間幸いにして七ヵ所の調査もでき上つたものでございますから、これは七ヵ所を事務的に出したということと、更に事務上非常に支障があるとか、或いは組合員の意思が別個であれば、これは管理局単位にも又運営することもできる途も残つておりますけれども、非常にそういつた組合の御不満があるかも知れませんが、御意向も反映して事務的に作つたものであるということを御了承願いたいと思います。
  93. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 局長、私が言つた点はどうですか。
  94. 亀井光

    説明員(亀井光君) これは先ほども申上げましたように、取りあえず七つの区につきまして実態調査をして、我我の確信の得たところで指定したわけでございます。将来何日までとかいうふうなことをここで私確約を申上げることはできませんが、極力この問題の実態調査をしたいというふうに考えておるのであります。又一方この一つの区だけを一つにまとめていいのか、或いは二つの区を一つにまとめるのがいいのかという労使の話合いの上で、そういう線が出れば、我々としても検討しなければなりませんし、我々として全部のものにつきまして、更に検討を加えたいという気持は持つておるわけでございます。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 実際問題としてどうですか。先ほど夏季増送について協定をした云々という、これはしなければならんと、こういう労組側の話もあつたのですが、結果からですけれども、一部指定を上て、あと調査するけれども、そうすると、車掌区だとか、何かそういうところはいい、電気その他はどうして悪いのか、これは当然起ります。例えば夏季の増送云々について協定をしなければならんとして一部分だけ協定をしたつて、実際に動きはしません。全般についてこれは協定をしなければならんでしよう。だから私は今のようなやり方では介入をすると、これは誰でもそうとうことは認めざるを得ないだろうと思うのです。そこで実施を、全部なら全部が済んで、これは調査なり或いは話合いなり済んで協定をする、こういうふうに一つ取運んでもらいたいと思います。これならできるでしよう。
  96. 亀井光

    説明員(亀井光君) 誤解があるといけませんので、もう一度御説明いたしたいと思いますが、一応事業単位として区に下しましたが、実際の労使協定の締結の仕方としましては、区ごとに結ぶ方式もございましよう。或いは上部の労働組合にこれを委任をいたしまして、従来通り管理局単位で結ぶことも方式としてできるわけでございまして、従つて現在この区に下されたか下されなかつたかということによりまして、協定ができるかできんかという問題ではないのでございまして、区に下されましようが、従来のままでございましようが、協定を結ぶことにつきましては何ら法律的に支障はないわけであります。
  97. 吉田法晴

    吉田法晴君 局で協定ができるのなら下す必要はない。局にやらしておけばいい。それから七つと言われるけれども、初めは機関区の、而も機関車なら機関車労組からやらせようとするような指定の仕方をやられることは間違いない。これはあと文句が出たから、いやそうじやないのだからと言つて六つが指定されたのですから、その点はこの現状の中で争議に不当に介入しないという態勢を整えるためには、局なら局でやらせる、或いは局なり、今言われるように各作業場なら作業場というあれがあるなら、併立して一緒にやれるように一つやらしてもらいた
  98. 亀井光

    説明員(亀井光君) 現在のこの区で指定しました以上、先ほど申上げましたように、区自体で協定を結ぶこともできますし、或いはそれを上部の団体即ち国労の地方本部というようなものに委任してもてきるわけでございまして、その点はそれぞれ便宜上の問題でございますので、我々としてはその取扱を認めてもらいたい、かように思つておるのであります。従つて三六協定、その他労使間の協定がこれによつて妨げられるということはないのでありまして、ただほかの区につきましては我々まだ実態調査をいたしておりませんので、我々が直ちにこの単位で協定を結べるかどうかということについては自信がございません。この問題につきましては、先ほどの委員長の御質問お答えいたしましたように、できるだけ早く調査して、確信の得た処置をとりたいと思います
  99. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  100. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十四分散会