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国務大臣(
小坂善太郎君) いろいろ御
意見もございますが、これは
立場の
相違で、非常に御非難がましい御
意見承わ
つたのでありますが、私としては非常な
国家財政緊縮の折であり、で昨年度に比べて三百億円も
予算を圧縮する際で本あり、にもかかわらず、今申上げたような
項目におきましては、特に
労働関係の
予算というものは非常に勉強しておるということは多少は汲んで頂きたいのであります。(「自画自讃だ」と呼ぶ者あり)それでそういうことを申上げた次第でありますが、まあお聞取り願いたい。私のほうといたしましては、できるだけ
予算の許す限りにおいては、この
緊縮予算ということになればどこへ
しわが寄るかといえば、大体どなたでも見当がつくものでありまするから、
労働関係のものにおいては特に留意、配慮するようにいたした次第であります。
さて、
只今の御質問でありますが、これはしばく申上げておることで或いは御理解頂いておつたと思うのでありますが、なお
説明を補足させて頂きますると、いわゆる
雇用労働者の
賃金というものは、税法上御
承知のように
農業と
自家営業の分は別にな
つておるので上あります。いわゆる
賃金や取得する
労働者、それを
統計上
雇用賃金の
割合として、従来からずつとそういう
集計方法を用いておるのでありまして、これが全体として三六%
程度で、三六%
程度のものが四九・六という約半数の
国民所得を得る。そういう
関係が、これはどこかにひずみを持
つて来るということを申しておるのであります。その他は勿論
中小企業或いは
農業による
所得の
関係が四〇%前後のものがあるのであります。戦前の
構成で見ますと、この
雇用労働者の
賃金の
取得割合というものは三九%なのであります。一〇%から余計にな
つておるのであります。それだけ部分的に
所得が殖えるということなのです。結局
農業労働者の
所得なり或いは
中小企業労働者の
所得なり、
中小企業自家業者の
所得というものにひずみが行くか、或いは
法人所得なり
法人賃貸料所得というものにひずみが行くので、
国民全体の
経済構成から行くと、歴史的に
一つの形があるので、これを一方だけ伸ばしてみても、結局
日本経済全体の
構成の
基準が破れるということになる、こういうことを申しておるのであります。ですから何もこういう
統計が出たからとい
つて、
現状において十全であるということを決して言
つておるのじやなくて、これをもつと伸ばすためには
日本経済全体を伸ばさなければならん。
日本の
賃金が低いということはその
通りでありましよう。併し
日本の
国民所得が低いということも又その
通り、やはり
日本経済全体の
拡大があ
つて初めてその中の
構成員である
国民の一人々々の分の
所得が殖えるのであるから、この際は
労使協力して、できる限り
産業の平和を保ちながら
年産性を
向上して、
日本の
国際競争場裡における
競争能力を育成して行かなければならん、こういう
考え方であるのであります。
なお
数字を申上げますと、これは二十八年の九月の
労働力調査でございますが、
就業者総数は三千九百五十八万人でございます。そのうち
農林業が一千七百四十二万人、非
農林業が二千二百十五万人、そこで今お話し申上げておる
雇用者というのがそのうちの千四百十四万人、そういうことになるのであります。この中には未
組織のものも、あり組繊されておるものもあると、こういう
関係なのでございまして、この
統計の
調査は、内閣の総
別府統計局或いは
労働省の
統計調査部、そういうものを動員してや
つておるわけでございます。私としましてはできるだけこういうものに実は金を注ぎ込んで、
統計というものを完備したいと思のでございます。これは現実にある数なのでございますから、決して
社会的な感覚によ
つて左右さるべきものじやないので、
社会観の
相違によ
つて基礎政策がいろいろ、言われますが、その
政策の
基礎となる
数字といろものは、
一つ客観的な
妥当性のあるものを作りたいという
考え方なのであります。そこで
労働省の
予算でもこの
統計調査の面では特に力を入れてもらもように配慮いたした次第でございまするが、いわゆる今申上げた
標準賃金という
言葉は、そういう
賃金のあり場所をもつと
統計的に
一貫性のあるものにしたい、こういうことなのであります。今いわゆる
ベース・
アップという
言葉が盛んにはや
つておるのでありまするが、この
賃金の
ベースと言いましても、これはいろいろあるわけなんです。今言うまでもないことでありますが、いろいろな
業種によ
つても違う、同じ
業種でも
経験によ
つて違うし、或いは
学歴によ
つても格差があるわけなのであります。そこでそれぞれのものがどういう
状態に置かれておるかということを
調査する、こういう
考え、そこでその
経済法則から、
賃金の
一つの
相場、
基準というものが、この
賃金を取
つてお
つて日本の
経済がどういう
状態にな
つておるか、そういうことを知れば、
日本の
経済を
拡大し、
日本を
自立させるためにはどういう努力をしなければならんかという健全なる世の良識が、
賃金の
相場というものについても、これだけの
相場なんだから余り
力関係でや
つても駄目だというので、いわゆる合理的な
賃金の問題の
解決という方向を指向するのではなかろうか、こういうことを期待しておるわけなのであります。
なお、この
賃金のあり場所はいろいろ
企業によ
つて差別があるのでありまするが、今お話の、それでほ最低
賃金のようなものを保障するのかというお話ですが、これは今の
企業形態からい
つて私は無理だと思うのです。やはりいわゆる
中小企業を国家資金によ
つてや
つて行くというならばそういことはできるでありましようけれども、やはりそこにできるだけ
中小企業を成り立たせるような、繁栄させ得るような
財政金融方策が望ましいのでありますが、さりとてこれを法的にすつかり国営
中小企業のようなものを作るという
考え方は私どもは持
つておりませんので、これもやはりそこの
相場というものを見出して行く。併しその
相場が出た結果、余りひどいじやないかという世論によ
つて動くということはあるかも知れません。あるかも知れませんが、それを
政府はどういうふうに引張
つて行く、こういうふうな
考えは私どもは持
つていないのであります。