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1954-02-01 第19回国会 参議院 労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月一日(月曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————   委員の異動 一月二十九日委員上條愛一君辞任につ き、その補欠として小林亦治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            田中 啓一君            宮澤 喜一君            阿具根 登君            吉田 法晴君            寺本 広作君            市川 房枝君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君    労働省労働基準    局長      亀井  光君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会運営に関する件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (労働情勢一般に関する政府の施政  方針に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会開会いたします。  委員長から、一月の二十六日、火曜日に委員長及び理事打合会を開きまして、当委員会運営について一応の申合せをいたしましたので、これを御報告を申上げると共に御了承を頂きたいと、こう考えるわけであります。当日相談をいたしました件は大体六項目に分れておりまして、只今手許すへ別紙を以てお示しをいたした通りであります。第一は、けい肺法案及び労働基準法の一部案に関しまして二月上旬より審議を初め、先ず労働省初め参考人等説明意見を求めることとする。  第二は、労働情勢一般に関する調査案件として左の諸事項を取上げる。イ、英連邦関係労務者の労働問題に関する件、ロ、富士モーター軍令解雇事件及び特需工場における人事条項に関する件、ハ、特需企業業務転換に関する件、二、国際労働協約批准促進に関する件、ホ、八幡製鉄等における職安法違反問題に関する件、へ、労働省予算に関する件、ト、労働金庫に対する年末融資の実況と貸付状況及び組織変更状況、チ、日雇労務者待遇改善に関する件、リ、標準賃金に関する件、又、労基法等規則改正に関する件、ル、その他労働三法の施行に関する件等であります。  それから三が、国際労働条約等の承認を求める件については、外務委員会と連合して審査することにする、従いましてこの条約案国会へ付託されました場合には、外務委員会連合委員会一の要請をするということであります。  四が、二月、三月及び四月中に各日それぞれ三回、都内近郊中心しみ労働官署及び事業所工場業種別規模別労働事情調査するということであります。そこに提示いたしました四つの問題は、これは一応の試案に過ぎないわけであります。  五が、委員会開会期日に関する件について協議をいたしました。原則として毎週火曜日に一回定例的に開こう、そうして法律案並び調査案件審議状況を見まして、更に一回、或いは更に附加えることがあるかも知れませんが、そういう工合に進める、こういうことでございました。  六が、二月一日、月曜日午後一時より委員会を開き、労働大臣出席を求めて労政一般に関する所信について説明を求める、こういう点を申合せたわけであります。  只今報告を申上げました委員長及び理事打合会申合せ事項に従いまして当委員会を遅滞してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ではさようにいたします。  それからけい肺法案及び労働基準法改正案の審査の大体予定でございますが、これは一応三つの順序に従つてつて行きたいと思います。一つは、吉田委員提案理由説明が、ございましたが、それに対して更に事務当局から補足説明を願い、逐条説明を願うということにいたしたいと思います。第二には、けい肺症及びその対策に関する実情につきまして、けい肺症医灘的研究についての説明、それからけい肺とはどういうものであるか、発生の原因、医学上の研究成果等問題点について研究をいたしたいというわけであります。それからロとしましては、我が国における罹患の状況と、研府のこれに対する対策の現在の状況、ハは各企業におけるけい肺に対する協定等に基く対策の現況、こういうものを調査いたしたいということであります。法制上の問題につきましては、三番として一般的な質疑公聴会逐条審議、こういうものを行いまして、順次審議を進めて参りたい、こういう工合考えております。御了承お願いいたします。  それからこのけい肺法案につきまして参考人の御出席を求めて意見を伺うことになりますが、これらの参考人につきましては、理事諸君と打合せをいたしまして、人選その他をいたしたいと思いますので、これも御一任を頂きたい、よろしうございますか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ではさよういたします。  それからもら一つお諮りを申上げたいことは、二月四日、木曜日でございますが、千葉県へ出向きまして、千葉県の労働関係官署、それから川崎製鉄千葉工場、それから潜水病の療治施設というようなものを一応調査をいたしたい、従いまして出発は、午前十時半までに出まして、帰りは六時の予定でございます。後ほど事務局のほううら出欠につきましてお尋ねをいたしますので、成るべく多数の御参加をお願い申上げます。   —————————————
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) この際、労働大臣労働行政一般に対する一所信説明を求めたいと存じます。
  6. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この機会におきまして労使行政について私の所信一端を申述べたいと思います。  我が国経済が現在一つの転機に直画いたしておりますことは、皆さんよく御承知通りであります。  昨昭和二十八年の我が国国際収支は、特需等の臨時、収入が減少していないにもかかわらず、輸出の不振編入の増大のために、なお全体として二億ドルに上る赤字を示し、他方我が国物価の趨勢を見ますると、世界各国物価が次第に下りつつあるのに反し、漸騰を続けておるのでありまして、現状のままこれを野放しに放置いたしますれば、恐らく我が国経済の破綻を来たし、真の自立達成は到底望み得ないこととなると考えるのであります。政府はこのような現状に対処して、現在までのインフレ的な経済の様相を是正し、健全な国際収支の上に立つた経済規模拡大と、国民生活向上のための基盤を確立すべく各般の施策を講ずる決意であります。  今回提出いたしました昭和二十九年度の予算の編成に当りましては、あらゆる困難を克服して、一兆円の枠を堅持いたしましたのもその一つの現われにほかならないのであります。私は常々申上げておりまするように、労働問題は単に労使間の問題としてでなく、広く国民経済全体との関連においてこれを取上げ、国民経済的視野に立つて適正に処理されなければならないと考えるのであります。このような見地に立つて我が国労使関係現状を顧みるとき、この際是非とも解決を必要とする重要な問題が存するのでありまして、その解決に当つては、徒らに従来からの惰性に流れることなく、新らしい角度から合理的に事態を処理しなければならないと信ずるのであります。今後我が国経済自立を達成し、産業の興隆を図るためには、労使関係の安定を期することが肝要であります。  然るに労使関係中心的課題である賃金の問題をとつて見ますると、従来ややもすれば年中行事的に各自賃金の引上げを指すいわゆるペース・アツプ闘争が繰返され、これがやがては物価上昇を引き起し、再びベースアップを余儀なくされておるといつた、いわゆる貸金と物価の悪循環が招来されて来ておるということであります。ちなみに我が国経済における賃金地位を見ると、昭和二十八年度におきまして、賃金所得国民所得の総額に対して四九・六%の比率を占め、現状のままではこれ以上の賃金上昇は望めないというような極限にまで達した観があり、諸外国に比べても相当高い実情にあるのであります。従つて今後の賃金については、従来のような惰性的な名目的ベースアップを排し、労使協力して労働生産性を高め、経済規模拡大し、それによつて実質賃金向上を図るという方向に進まなければならないと信ずるのであります。  このように労使関係を合理的に調整するためには、労使双方我が国経済の実積と世論に対する良識を持つて事態を処理することが必要でありまして、私は一方において経営者が資産再評価等の断行によつて企業経営の刷新と合理化近代化に努めると共に、労働者諸君が一部組合指導者の政治的に偏向した指導方針を批判し、建設的立場から経済再建協力されることを強く期待するものであります。  労働省といたしましては、今後更に統計調査機能を強化し、我が国労働経済実情に関する諸資料を積極的に公表し、労使協力に資したいと考えるのでありまして、私は最近標準賃金という言葉使つたのでありますが、これは今後の賃金のあり方についての以上のような考え方に基いて賃金実態についての各種統計資料整備し公表するということにほかならないのであります。御承知のように、労働省におきましては現在すでに毎月勤労統計を作成して、賃金等に関する実態調査を行なつておりますが、今回これが欠点を補い、産業別地域別規模別男女別等のほか、職種別年齢別経験年数別勤続年数別学歴別等を織込んだ賃金実態、いわば賃金相場を正確、詳細に把握して、労使関係者はもとより、国民一般に公表したいと考えておるのであります。これによりまして合理的な質金相場経済法則上から見た一つ賀金相場というもの、これをよく勘案することによつて賃金をめぐる労使間の紛争の平和的、合理的解決のための最も客観的且つ現実的な基礎資料整備されると共に、先ほども申述べた国民経済賃金との関係について有力な示唆が得られることになろうかと存ずるのであります。私は、この資料を基として、いわゆる官僚的な賃金統制々行うという考えは全然持つておりません。ただ賃金のありのままの姿を調査し公表することによつて労使当事者及び労働委員会等関係者がこれを一活用、尊重されることを期待し、従来のごとく質金ベース力関係によつてとめどもなく動く弊を排したいと考えておるのであります。  なお、公共企業体等労働関係法改正に関する問題につきましては、御承知のごとく、この法律占領下に制定せられた立法でありまして、我が国実情に副わない点が多々ありますことは、各方面からしばく指摘されておるところであります。私は労働省事務当局をしてこれらの意見を伺いつつ、仲裁制度合理的改善を図るために、目下公労法改正について慎重に研究いたさせておる次第でございますが、公労法そのものについても問題がありまするが、公企体そのものについても種々意見があるのでありまして、この改正案を今国会に提出するかどうかというようなことについて、又改正法案如何ように扱うかということにつきましては、今後更に諸般の事情を勘案の上考慮いたしたい考えであります。  労使協力の実を挙げ、経済の伸張を期するためには、先ずその裏付けとして労働者福祉労働生産性向上を図ることが肝要であることは申すまでもありません。私は本年も労働省各局行政の重点をこの面に置きまして、更に格段の努力をいたす所存でありまするが、この際特に申上げておきたいことは、昭和二十九年度におきまして、失業者福祉増進とその就職の促進を図るために、既設の各種福祉施設整備拡充に加えまして、失業保険積立金四億円の活用によりまして、職業補導簡易癖泊等福利施設新設を図ることといたしたのであります。  又労働者災害補償保険特別会計におきましては、既存の設備の整備に加え、十一億円の予算を以て労災病院新設を行うほか、職業病等研究中心とする労働衛生研究所新設する予定であります。  更に労働者住宅につきましては、産業労働者住宅資金融通法に基きまして、一般融資住宅のほか、昭和二十九年度には三十七億円、一万戸分を別枠として確保しておる次第であります。これを本年度の失業保険施設の新営費一億四千万円、労災病院施設新営費四億四千万円、労働者住宅資金二十億円に比較いたしまするときには、財政上多くの困難な事情が存するにもかかわらず、労働者福祉増進を図るためには相当思い切つた予算措置を講じたこの政府熱意一端を御了解願いたいと存ずるのであります。  婦人少年福祉地位向上につきましても、私は婦人少年局啓豪調査活動を更に活発化してこれに対処する所存でありまして、川崎、八幡に「働く婦人の家」を現在建設中でありますが、明年度はかかる局地的な施策ではなく、全国的に婦人少年局行政を積極的に協力援助する画期的制度といたしまして、婦人少年室協働員を八百八十名新たに置くことにいたし、婦人少年問題に理解と熱意を持つ民間有識者を委嘱すべく目下人選中であります。  なお、労働者福祉対策に関する重要事項審議するため、労使、公益その他各方面関係者を以て構成する労働者福祉対策協議会を近く労働省に設置する予定であることを申添えておきます。  次に、雇用及び失業状況につきましては、昨年は完全失業者数は、三月六十一万、八月四十三万、十一月一千七万のごとく、むしろ減少の傾向を辿つておるのでありまするが、明年度の超均衡予算実施に伴い、必ずしも楽観を許さない事情にありまするので、公共職業安定所機能を一層強化して、これぶ能率的運営を図る共に、失業対策事業及び失業保険制度の円滑た揮用により、失業者生活労定を期することが極めて緊要であると考えまして、失業対策事業費として百十一億円を計上いたしました。これは昨年度における同経費が補正予算を加えまして百億八千万円であるのに比べまして相当の増額となつておるのでありまして、その効率的運用を図る所存であります。又失業保険給付金につきましても、昨年の一割増を見込んで予算を編成し、万遺憾なきを期しておる次第であります。最後に、労働基準法関係規則改正について申上げます。労働基準法については、我が国事情に合わたいから改正すべきであるという意見が各方面にあるのでありまするが、労働基準法施行につきましては、労働省令として厖大な関係規則がありまして、これが煩雑に過ぎるため、関係者に迷惑を与えておるという声が多いのであります。従つて労働省といたしましては、これらの諸規則を全面的に再検討いたしまして、法律に根拠の薄弱であると認められる規定はこれを廃止すると共に、許可、認可等の手続を初め、我が国経済社会実情に副わない点は努めてこれを簡素化整理し、特に中小企業等につきましては積極的に負担の軽減を図る方針の下に目下準備中でありまして、近く逐次その改正実施いたしたい所存であります。但し、労働者の生命に直接の危害を及ぼし、或いは国際的水準を下廻るごとき改正はいたさない考えであります。  以上、労働行政の全般に関しまして私の所信を率直に申述べたのでありまするが、意の存するところを御了察の上、御協力を賜わらんことをお願いする次第であります。
  7. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今大臣説明について御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 田畑金光

    田畑金光君 大臣に二、三お尋ねいたしたいと思うのですが、只今の御説明で、今年度の労働大臣のとろうとする方針の外貌について把握できたわけでありますが、全般的に判断いたしましたときに、今年度の均衡予算実施、或いは金融の引締め、財政投資の削減、こういろような経済全体の動きから判断いたしましたときに、当然出て来る問題というものは、こういう緊縮予算実施に伴うてどういうところに一番犠牲がしわ寄ぜされて来るか、こういう問題になつて来ようと思うわけであります。従つて、例えば社会保障制度をどの程度維持或いは強化して行こうとするのか。殊に雇用量の問題とか、失業対策の問題とか、或いは国民生活に直接影響する食糧増産の問題とか、こういうような点を見て参りましたときに、現在の予算の中から見ましたときに非常に微々たるものである。殊に只今労働大臣説明された内容から見ましたときに、最も大事な労働行政の積極的な面において、我々としてはこれぞといつて期待できるものはないということを感ずるわけであります。例えば今のお話の中で、現在の労働者所得というものが国民所得の、中で四九%余を占める、こういうようなことがあるわけであります。私は、一体どういう基礎資料に基いてこういう統計が出て来たかということを先ず第一に疑問に思うわけでありますが、少くとも今日の人口構成を見ました場合に、或いは国民所得を見ました場合に、労働者としての賃金所得というものが、農村においてのいわゆる潜在失業者という者が、その所得算定等においては、農業所得というよりもむしろこれは質金労働者としての所得として見られていると思うわけであります。都会における労働者のみならず、工場、鉱山における労働苦からでなく、農村における潜在失業者等も、いわゆるその所得というものは多く労働所得として算定されておる。そういうような基礎資料からこういう数字が出て来ているのであつて、私は直ちにこれを以て現在の労働者賃金水準が満足すべき状態にある、生活水準が満足すべき状態にあるということにはならんと思うのです。  それからもう一つ、それに関連して問題にたつて来るのは、例えば今丁度アメリカランドル委員会少数勧告案等を見ましても、日本賃金水準等が非常に低い、そこで日本から来る商品については、アメリカ産業を保護するための保護政策をとらなくちやならん、こういうことが言われておる。アメリカ労働者賃金の十分の一以下である。ドイツの労働者賃金の二分の一以下である。イタリーの労働者賃金よりも日本労働者賃金が低い。こういうこを見ていつたときに、果して労働者賃金というものが満足すべき状態にあるのかどうか、これが第二の問題として出て来ようと思います。  第三の問題として、私先ほどの標準賃金の御説明を聞いて感じたことは、一体この標準賃金というのは、単たる相場労働省が集計して国民に示し、労使に示すというただそれだけの役割なのか、或いは勿論法的拘束力はないかも知らんが、政府はあらゆる行政指導等措置によつて、この標準賃金というものにすべての産業賃金水準というものをしわ寄せしようという意図であるのか、そうたつて来ますると、当然賃金統制という問題が出て来まするし、こういうような点についてほどう考えているのか。又もう一つ出て来るのは、中小企業労働賃金等においては非常に較差が甚だしいのだが、こういう中小企業労働者については、そういう標準賃金が支払おれ得るように政府は何らかの中小企業対策を持つてこれを推進しようとする意図があるのか、こういうよう点について承わりたい。
  9. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いろいろ御意見もございますが、これは立場相違で、非常に御非難がましい御意見承わつたのでありますが、私としては非常な国家財政緊縮の折であり、で昨年度に比べて三百億円も予算を圧縮する際で本あり、にもかかわらず、今申上げたような項目におきましては、特に労働関係予算というものは非常に勉強しておるということは多少は汲んで頂きたいのであります。(「自画自讃だ」と呼ぶ者あり)それでそういうことを申上げた次第でありますが、まあお聞取り願いたい。私のほうといたしましては、できるだけ予算の許す限りにおいては、この緊縮予算ということになればどこへしわが寄るかといえば、大体どなたでも見当がつくものでありまするから、労働関係のものにおいては特に留意、配慮するようにいたした次第であります。  さて、只今の御質問でありますが、これはしばく申上げておることで或いは御理解頂いておつたと思うのでありますが、なお説明を補足させて頂きますると、いわゆる雇用労働者賃金というものは、税法上御承知のように農業自家営業の分は別になつておるので上あります。いわゆる賃金や取得する労働者、それを統計雇用賃金割合として、従来からずつとそういう集計方法を用いておるのでありまして、これが全体として三六%程度で、三六%程度のものが四九・六という約半数の国民所得を得る。そういう関係が、これはどこかにひずみを持つて来るということを申しておるのであります。その他は勿論中小企業或いは農業による所得関係が四〇%前後のものがあるのであります。戦前の構成で見ますと、この雇用労働者賃金取得割合というものは三九%なのであります。一〇%から余計になつておるのであります。それだけ部分的に所得が殖えるということなのです。結局農業労働者所得なり或いは中小企業労働者所得なり、中小企業自家業者所得というものにひずみが行くか、或いは法人所得なり法人賃貸料所得というものにひずみが行くので、国民全体の経済構成から行くと、歴史的に一つの形があるので、これを一方だけ伸ばしてみても、結局日本経済全体の構成基準が破れるということになる、こういうことを申しておるのであります。ですから何もこういう統計が出たからといつて現状において十全であるということを決して言つておるのじやなくて、これをもつと伸ばすためには日本経済全体を伸ばさなければならん。日本賃金が低いということはその通りでありましよう。併し日本国民所得が低いということも又その通り、やはり日本経済全体の拡大があつて初めてその中の構成員である国民の一人々々の分の所得が殖えるのであるから、この際は労使協力して、できる限り産業の平和を保ちながら年産性向上して、日本国際競争場裡における競争能力を育成して行かなければならん、こういう考え方であるのであります。  なお数字を申上げますと、これは二十八年の九月の労働力調査でございますが、就業者総数は三千九百五十八万人でございます。そのうち農林業が一千七百四十二万人、非農林業が二千二百十五万人、そこで今お話し申上げておる雇用者というのがそのうちの千四百十四万人、そういうことになるのであります。この中には未組織のものも、あり組繊されておるものもあると、こういう関係なのでございまして、この統計調査は、内閣の総別府統計局或いは労働省統計調査部、そういうものを動員してやつておるわけでございます。私としましてはできるだけこういうものに実は金を注ぎ込んで、統計というものを完備したいと思のでございます。これは現実にある数なのでございますから、決して社会的な感覚によつて左右さるべきものじやないので、社会観相違によつて基礎政策がいろいろ、言われますが、その政策基礎となる数字といろものは、一つ客観的な妥当性のあるものを作りたいという考え方なのであります。そこで労働省予算でもこの統計調査の面では特に力を入れてもらもように配慮いたした次第でございまするが、いわゆる今申上げた標準賃金という言葉は、そういう賃金のあり場所をもつと統計的に一貫性のあるものにしたい、こういうことなのであります。今いわゆるベースアップという言葉が盛んにはやつておるのでありまするが、この賃金ベースと言いましても、これはいろいろあるわけなんです。今言うまでもないことでありますが、いろいろな業種によつても違う、同じ業種でも経験によつて違うし、或いは学歴によつても格差があるわけなのであります。そこでそれぞれのものがどういう状態に置かれておるかということを調査する、こういう考え、そこでその経済法則から、賃金一つ相場基準というものが、この賃金を取つてつて日本経済がどういう状態になつておるか、そういうことを知れば、日本経済拡大し、日本自立させるためにはどういう努力をしなければならんかという健全なる世の良識が、賃金相場というものについても、これだけの相場なんだから余り力関係でやつても駄目だというので、いわゆる合理的な賃金の問題の解決という方向を指向するのではなかろうか、こういうことを期待しておるわけなのであります。  なお、この賃金のあり場所はいろいろ企業によつて差別があるのでありまするが、今お話の、それでほ最低賃金のようなものを保障するのかというお話ですが、これは今の企業形態からいつて私は無理だと思うのです。やはりいわゆる中小企業を国家資金によつてつて行くというならばそういことはできるでありましようけれども、やはりそこにできるだけ中小企業を成り立たせるような、繁栄させ得るような財政金融方策が望ましいのでありますが、さりとてこれを法的にすつかり国営中小企業のようなものを作るという考え方は私どもは持つておりませんので、これもやはりそこの相場というものを見出して行く。併しその相場が出た結果、余りひどいじやないかという世論によつて動くということはあるかも知れません。あるかも知れませんが、それを政府はどういうふうに引張つて行く、こういうふうな考えは私どもは持つていないのであります。
  10. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつ速記をやめて。    〔速記中止〕
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。時間的に余裕がないので、安井政務次官にちよつと一言だけ私具体的なこで御質問申上げておきたいのですが、それは北海道の労災病院のことでございますが、実はこの前委員会でいろいろと労働省側の御意見を承わつたときには、予算措置は美唄のほうを中心にして行なつて、石見沢のほうは労働省としては格別面倒は見ないと、こういう表現の下に我々は了承しておつたのですが、過日労働週報に載つたところによりますと、美唄に対して一億三千六百万、岩見沢に対して一億一千四百万の予算措置を講ずるというようなことが出ておつたそうでが、これは約束違うのですけれども、その実情一つ説明願いたいと思います。
  12. 安井謙

    政府委員(安井謙君) けい肺病院の北海道のお尋ねでございますが、けい肺病院北海道につきましては、二十八年度の方針としまして、岩見沢、美唄と両方に設置をするというふうに方針が決定いたした次第で、予算関係が二十八年度におきましては美唄のほうへ廻しまして、二十九年度から岩見沢と両者でこれを配分してやつて行く、こういうふうな方針で進んでおるのであります。(一おかしいな」と呼ぶ者あり)
  13. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると私が今申上げた数字は間違いないですね、予算措置としては……。
  14. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 予算措置数字は幾らでございましたか。委員長栗山良夫君)美唄一億三千六百万、岩見沢一億一千四百万。
  15. 亀井光

    政府委員(亀井光君) その額はまだ全然決定されておりません。予算総額としまして、先ほど大臣から御説明がございましたように、既設の病院の整備費と新設の病院の設置費と合せまして十一億という枠はございます。その門訳につきましては大蔵省と今折衝を事務的にいたしておるわけであります。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 折衝しておる数字がそれじやないのですか。
  17. 亀井光

    政府委員(亀井光君) いや、それじやありません。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君 今安井政務次官からお話がございましたが、この委員会で請願の採択、これはまあ一昨年から話合いが、ございまして、労災病院を美唄に作るということはこれは妥当であろうということで採択をされ、そのときには岩見沢の話はなかつた。これは請願を採択するときには労働省の話を聞いてもなかつた。それで去年再度採択するときに問題になりましたが、そのときに岩見沢の問題が出て来た。併し請願としてはこの美唄のほうを採択したわけです。そこで労働省としても岩見沢の問題を別にお考えになるならとにかく、二つに分けてお使いになる、こういう説明は趣旨が通らんと思う、労災病院は美唄に作る、それから岩見沢のほうは別に考えるというなら別問題です。先ほどの御説明はそういう点で一つのものを二つに分ける、こういうお話では、今までのいきさつなり、それから労働省としてもこれは筋の通らんお話だと思うのです。
  19. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 今吉田委員から御指摘の通り、それは言葉が大変足りませんので、美唄に作ると、それから岩見沢も別個の方針として考えるという線で進みまして、二十八年度は美唄に予算を廻しておる。二十九年度の十一億の中からは今度は岩見沢の分も別個に考えたいということで今折衝中であるということでありますので、言葉が足りません点は訂正をいたします。
  20. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その折衝中はよろしいですが、折衝中の場合に、美唄と岩見沢との予算の比率ほどの程度考えられておられますか。
  21. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 先般の労働委員会でも申上げましたように、美唄は総合的な労災病院として我々は設置したい。岩見沢はけい肺を主体とする病院として設置したいということであります。而も美唄は本年度予算から今着工の準備を進めている次第であります。従つて二十九年度の予算の枠におきましても、そういうところから来る額の相違というものは当然組んであります。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 労働週報か何かに一億三千万とか一億一千万とか出ておつたというのは、やはり労働省から出ていると思うのですが、大体言われることとやつておられることは、当時私たちもが心配していたように、美唄岩見沢で予算の枠の奪い合いつこで、変でこな問題が起つて来るという考えを持つのですが、それはどういうふうた比率でいるのか。それがなかつたら大蔵省と折衝ができないと思うのです。美唄に対してどういうふうに考えられているか、岩見沢に対してどのくらい考えているか、お聞きしたい。
  23. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 今折衝している経過を申上げますと、ブロックの病院につきましては、当初我々十五億ほどの予算があれば相当守備した施設、二十八年度から始めましたものもできるのではなかろうかというところで、その目標で実は折衝して参つたのであります。それが十一億になりましたために、おのずから我々が考えておりました理想と、実行の場合におきましては多少の隔りが出ている。一応ブロックの病院につきましては八千万円から一億というものを予定し、従来のいわゆる分院程度のものにつきましては四千万円から六千万円というふうな線で今折衝いたしております。
  24. 田村文吉

    ○田村文吉君 甚だつかぬ話ですが、その当時の請願の内容を私は十分に把握していないのですが、恐れ入りますが、請願の趣旨と、それに対する意見書が付いているはずですが、それに対してどういう意見書が付いていたか、おわかりでしようか。
  25. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 請願採択のときですか。
  26. 田村文吉

    ○田村文吉君 そうです。何だか余りはつきりしないで御採択になつたような記憶があるのですが、果してそういうふうにはつきりと美唄ということを御明示になつていたかどうか。ちよつと国会の意思としてはどうであつたかということを、ちよつと記憶がはつきりしていないのですが、念のために一つお伺いいたしたいと思います。
  27. 田畑金光

    田畑金光君 関連しますが、労災病院の点で、あれはどうなつているのですか。平のほうに労災病院を持つて来るということがきまつておりましたが、今どの程度考えておられるのですか。この間実は労働次官が平に、あの辺においでになつたときは、もうすでに数字も発表なされていたように私新聞で見たのですが、或いはちよつと私の記憶違いかも知れませんが、どうなつているのか、一つこの際御説明頂きたいと思います。
  28. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 平の労災病院につきましては、本年度約三千万円で今着用工の準備をいたしております。地質が悪いために、それに相当の準備の期間が要るのではないだろうかと思いますが、恐らく年度内には着工できるかと思います。来年度予算におきましては、先はど申しましたブロック病院と地域病院と申しますか、分院の予算の枠の問題で大蔵省と今折衝いたしております。
  29. 田畑金光

    田畑金光君 そうしますと本年度、二十八年度は三十万円で基礎工事をやつている、現に進めておりますが、昭和二十九年度はブロック病院としての取扱いを受けるのか、或いは地域分院としての取扱いを受けるのか、どうなつているのか一つ
  30. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 形式から申しますと、仙台にございますのが東北のブロック病院と我々は解しております。ただこの問題は単にブロック病院だから、或いは分院だからということでベッド数がきまつて行くのではなくして、その利用度によりましてベッド数がきまつて行くのでございますから、平の地区の多数の労働者実態を見ますならば、或いは仙台と同じ数になりますか、これは今後の研究問題として研究して行きたいと思います。
  31. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。只今田村委員から御指摘のありました請願書の意見書でございますが、「北海道美唄市に労災病院設置の請願」、こういう表題でございまして、この意見書の末尾のほうに書かれている点を読み上げますと次のようでございます。「なお第十五回国会において、本請願と同一の願意を有する請願を既に採択したので今回もこれを採択したが、北海道において美唄市以外に、岩見沢市外二都市の競願するところとなつたので、内閣は設置部市選定について公平を期せられたい。ここに国会法第八十一条により別冊を送付する。」そういうことです。
  33. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の問題は、公平に善処せられたいというようなことを先国会政府に申達しておるのだから、政府はそれによつてこういう処置をとつたということなら、美唄に第一、二十八年度においてやるということになつたならば、これはもうこれで私は請願の趣旨は達したものとして、僕らの意見もその通り通つたものと見ていいのじやないか。そう議論をしてやらなければならんほどのこともない。必ず僕らはこの決議をしてこの通りにしなければならんと言われるなら、もう少し慎重にこれは研究をしたいので、する必要があるので、僕らはいろいろ研究した結果は、こういう請願が妥当なりと認めるということで政府に申達したのであるから、その通り趣旨に従つて政府がその措置をとつた。こういうことなんだから、別に余りやかましく言わないでもいいのではないか……。
  34. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) もう一遍重ねて労働省側の見解を質しておきたいと思うのですが、岩見沢と美唄のいわゆるけい肺を含めての労災病院としての施設を完備するまでの構想、内容的にそれをどういうふうに今考えておられるか。この前我々が了解したときと変りたのか同じなのか、その点をやはりはつきりしておかないと問題が進みませんから御説明を願います。
  35. 亀井光

    政府委員(亀井光君) 美唄は先はど申しましたように総合的な労災病院で、石見沢は先はど申しましたようにけい肺を主体としての労災病院であります。従つて内科を主体とするけい肺病院という規模の相違になつて来ると思います。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 一口追加しておきますが、けい肺を主体とするということは、北海道は御承知通りけい肺患者は約三十名ですが、九州には数百名のけい肺患者がおります。実際国がそういう病院を作るたらば、どちらを最初作らなければいかんということは、これは当然なことなんです。ここで言う必要もないくらいはつきりしておることです。それを作るということになつたその間のことを考えるならば、いわゆる何が公平かということは、岩見沢も美唄も同じようにやるのだという、こういうことではなくて、非常にそこに大きな含みがあつた、こう私は考えておいて頂きたいと思うのです。それからついでですが、基準局長さんにお尋ねいたしますが、あの当時の九州のけい肺病院についても相当ここで問題が闘わされたと思うのですが、今度又二十九年度で岩見沢のほうに四十万円から六千万円の金を出されるということになるならば、九州にもそれに相応した計画を立てておると思いますので、その点を一つここで明らかにしておいて頂きたいと思います。
  37. 安井謙

    政府委員(安井謙君) いろいろけい肺病院について熱心なる御質疑なり御要望があるようでありますが、労働省としましても、各方面の御要求がありますので、けい肺病院の施設には非常に力を入れてやつております。今年度までの実績は六億六千万円くらいしか予算がなかつたものを、来年度十一億というものを総額において取つた。この努力は一つお認めを頂きたい。と同時に各地から、殊にこれは地元から熱心な御要望のあつたことも事実であります。この問の事情を勘案いたしまして、只今お話のような点について、極力副えるように努力をいたしたいと思つております。  それから北海道が三十名くらいしかけい肺がいないじやないかというお話でございましたが、そんなことはないのでございまして、やはり各地に比べまして相当数、表に出ておりますのでも重症患者につきましての八十八名が出ているようなわけでありまして、決して北海道にけい肺病院が要らないという事情にはなつておらないと私は信じております。
  38. 田村文吉

    ○田村文吉君 若しそういうお話であると私はちよつと一、二言いたいと思うのですが、一体両者の収りがつかないならば、片方は総合病院とし、片方はけい肺病院にする、こういう形になると、当然九州は設くべきものを設けないで、北海道に作るということが理窟に合わない。そういう金があるならば、緊縮予算の場合だから削るべきだ。作るなら両方作るとか何とかすべきものであつて、そういう点について甚だ私はちよつと納得しかねる点があるのですが、何が故に今の岩見沢にお作りになつたのか。
  39. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 議事進行について申上げますが、整理しないとあとで問題になりますから、私申上げますが、田中、阿具根両君から御議論もございましたが、こういうように御了解願いたいと思います。  只今、労働基準局長説明を求めた通りでありまして、当時は同じ性格の病院を美唄と岩見沢にこしらえろという含みであの請願が通つたのではなかつたかと思うのでありまして、要するに限られた費用で二つの病院を若し置くような場合には、一方のほうは完全な総合労災病院を作り、一方のほうはけい肺を主体としたけい肺病院にする。同じ労災病院という看板を掲げますけれども、内容はそういうことであるというような労働省側の説明があつたので我々は了承した。従つて田中、阿具根委員の御議論は、現実がそういうことであるというふうに御了承願つておきたい。  それから今の田村委員のほうからお話のありました点は、予算削減という重要な政策遂行の中で、今日置かれている状況で岩見沢にそういう金を出すのかいいかどうかということの問題になり、別個の問題と思いますので、これもやはり労働省側の意見を伺つておきたいと思います。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して……。こういうことだと思うのですが、労災病院を全国的に幾つか作るという場合に、北海道にこれは全国的な振合から幾つか作らなければならない。これに関連してどこに作るかということが問題になつた。それが美唄に作るということになつた。ところがたまたま労災病院の北海道設置に関連をして、美唄のほかに岩見沢等からも誘致の運動があつたので、現実に岩見沢に作りたいという意図は、あとからであるが、猛烈にあるということは私どもも知つております。併し新しく労災病院なら労災病院をどこに作るかということは考えなければならないし、岩見沢の運動を実際に緩和するということが政治的な考慮で、けい肺病院を作るということになつたのだが、併しそれも今田村さんの言われるようにけい肺病院を全国的に作るというなら、どことどこに作らなければならないという観点から作らるべきでありて、私もこの請願書を見て、願意おおむね妥当だから云々という、その点はわかりますが、「美唄市以外に、岩見沢市外二都市の競願するところとなつたので、内閣は設置都市選定につて公平を期せられたい。」こういう私どもの、まあここは文句が入つているのですが、ここはまあ委員会の空気を考えて、或いは委員部か何かで書いてくれたと思のだが、この辺にも問題があると思う。それからその取上げ方等も、労働省としては問題がある。よく言われるように請願をやれば、遅れてもとにかく運動をやりさえすれば考鷹されると、こういうことになるなら、これはやはり問題だと思う。そこでそれを先ほど井政務次官の答弁から、私どもこういうふうに聞いたのですが、飽くまで事務的にけい肺病院についても、けい肺病院はどことどこに作られなければならんと、こういうことで考えなければならんと思う。こういうことを田村さんは言われたと思うんです。その点についてはこれからの運用にも関連をいたしますが、今までやられたことについて安井政務次官のさつき訂正されたようなあれがないようにそれが運動しさえすればとにかく幾らでも考えられるのだ、こういうことがないように御運用を願いたいということで私の意見を申上げておきます。
  41. 田村文吉

    ○田村文吉君 私は単なる運用の問題でないんです。この問題は政府当局として、何が故に岩見沢にけい肺病院を作らなければならんのか、ほかの所はなくても、そこだけどうして作らなければならんのか、これをはつきりしておいてもらいたい。
  42. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 労災病院関係についてお尋ねでございますが、けい肺関係は非常に最近重要な問題になつておりまして、当委員会にも法案が出ているような事情もありますし、労働省としても非常に重要な関心を持つてこれの対策を練つているところでございます。そこで昨年度におきましても特にけい肺を専門にした施設がどうしても要るのじやないかというようなことから、実は昨年度から岡山に中国を代表して一つ作つたわけであります。それから本年度は、先ほど申上げましたように、予算の重点配置を認められましたものでございまするから、これは特に一つけい肺のほうも是非重点的に施設をやりたいと考えまして、今方針の具体的な折衝を進めている次第でありまして、労働省考え方としましては、北海道に代表的に一カ所、九州地方に一カ所、いずれも代表的なものをけい肺病院として作りたい、こういうことで進めておる次第でございます。
  43. 田村文吉

    ○田村文吉君 それは労働省予算に出ておるのですか。
  44. 安井謙

    政府委員(安井謙君) 予算に出ております。
  45. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後二時五十四分散会