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1954-03-25 第19回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十五日(木曜日)    午前十時三十三分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    主査      森 八三一君    副主査            中川 幸平君    委員            青木 一男君            小野 義夫君            鹿島守之助君            小林 政夫君            西岡 ハル君            高木 正夫君            中田 吉雄君            曾祢  益君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    保安庁次長   増原 恵吉君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 石原 周夫君    保安庁装備局長 久保 亀夫君    大蔵大臣官房会    計課長     木村 秀弘君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    国税庁次長   大槻 義公君    運輸政務次官  西村 英一君    運輸大臣官房長 山内 公猷君    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省船員局長 武田  元君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省自動車局    長       中村  豊君    運輸省航空局長 荒木茂久二君    海上保安庁次長 島居辰次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   説明員    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    大蔵省主計局主    計官      大庭 金平君    大蔵省主税局調    査課長     庭山慶一郎君    国税庁調査査察    部長      忠  佐市君   参考人    日本開発銀行総    裁       小林  中君    日本開発銀行審    査部長     竹俣 高敏君    保安庁第二幕僚    監部第二幕僚副    長       長沢  浩君    日本銀行理事  舟山 正吉君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    主査(森八三一君) 昨日に続きまして只今より会議を開きます。  昨日の申合せに基きまして、本日の最初の審査運輸省所管関係であります。只今運輸省関係から出席されておりまするのは、運輸大臣並びに山内官房長植田鉄監局長武田船員局長間嶋観光部長北村中央気象台総務部長並びに参考人として小林開銀総裁竹俣審査部長であります。御質問のございまするかたは順次御発言を頂きます。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ず運輸大臣に……。どうぞおかけになつて、私もかけて質問しますから、おかけになつて答弁なさつて結構です。  これまで運輸省関係検察庁から取調を受け、今勾留されている者或いは又これらの取調を受けた者は何人くらいで、それの官名、官職ですね、どれくらいの数に上つておるか、これをお伺いしたい。
  4. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 元の官房長壷井、それからその秘書星野、それから海運局調整部長国安、同じく監督課長土屋監督課係長高梨、それだけであります。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に重要なポストにある官房長とか、調整部長、そういう人たち検察庁に呼ばれ、又書類も相当たくさん押収されているようですが、それでこの海運行政支障はないのでございますか。
  6. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 海運行政に必ずしも支障なしとは言えないのでございますが、どうにもこうにも動けんという程度ではございませんので、みんなで力を合せて今本来の仕事を遂行するために努力を一層しておるわけであります。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 運輸大臣の部下、特に重要なポストにある人が引張られ、それから今の御答弁では海運行政に必ずしも支障がないとは言えないと言われておりますし、又私の知つている範囲ではまだまだ、検察庁の取調べは受けないけれども海運関係相当汚職の問題で疑いのある人があるやに聞いておるのです。殊に海運関係においては腐敗の極に達しておる。一人々々調べれば皆そういう疑いがあるのだと言われておる。そういうことについて運輸大臣は、今日までこういう問題が起つておるのにそれについて十分お調べになり、或いは又責任感じておられるのかどうか、この点御質問いたしたいと思います。
  8. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この問題につきましては、私誠に責任の重大を感じておるわけでございます。で、今お話海運局内殆ど問題ばかりだということでございまするが、私どもといたしましては、できるだけの手当てをして仕事をやつて行かなければなりませんし、又問題があつて急に支障を起すようなことがあつてはならないと考えますので、それぞれ取り調という程度のことではございませんが、いろいろ果してそういう心配はないかということを調べてやらしておるのでございまするが、私どもの今知つておる範囲においては、そういう海運局内がことごとく問題だというようなふうに思つてはいないのでございます。仕事ちやんとやつて行く上におきまして、その人たちの、今連れて行かれておる人たち仕事あとの者でそれぞれ分担をさせまして、それで仕事に差支えのないように一層の努力をさしておるわけでございます。そういう状態で、それ以上のことは私どもの力では調べることができないし、又そういう方法もとつていないのであります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 問題がこれほど大きく深刻になつているわけで、これは海外にも伝わるのですけれども、非常に日本の信用にも関することなんですが、やはりその一番根本になつて問題の焦点になつて行くところは運輸省であるわけなんです。現に運輸省関係の人が検察庁の、取調を受けている。私は運輸大臣はこの際よほどの決意をされなければならないと思う。今のお話なんか甘いと思うのです。業界のほうの意見をお聞きになつてもわかると思います。私はここでは今申上げませんが、運輸省海運関係においては検察庁から調べられてからどうこうというのでは、これは運輸省自体つて威信に関するのであつて調べられる前にですよ、調べを受ける前に運輸省自体としてそれを処理すべきだと思うのです。そうすると、世間の疑惑も起らんし、問題がこんな大きくならんで済んでいるのであつて検察庁に引張られるような事態に持つて行くことは私は決して好ましいことではないと思うのです。その前になぜ善処かできなかつたか。まだ重要ポストにいる人で、これは海送業者のほうに聞けば、これはもう常識になつているようなことがあるのです。私は徒らに混乱させるといけませんから、又個人の一身上のことでありますから軽々に誰々とは申しません。申しませんが、これはやはり運輸大臣が自発的にそういうことをお調べになつて、そうして清潔にすべきであると思うのです。そうでなければ、運輸行政というものはそういう疑いのある人にやらせたんではいつまでたつて清潔にならないと思うのです、この際運輸大臣は、海運政策についてもそうでありますが、運輸行政を担当する人についてもここで徹底的に清潔にするということをやられるのが責任を果す一つではないかと思うのです。運輸大臣御自身についてもいろいろ言われております、世間では……。又衆議院では問題になり、それから例えば山下汽船云々と出ておりますが、これは私は新聞で見たり、或いは聞いたりしている程度で、私は必らずしもそれが正しいとは思つておらないわけです。運輸大臣個人については、私はどうこうということについては私は確信もございませんし、軽々にそういう説を私は信ずるわけには行かないけれども、併し運輸大臣大臣としての運輸行政をやられる立場においての責任はまだ尽しておられないと思うのです。海運政策についてはあとで御質問申しますが、その前に先ずその運輸省海運監督機構を動かす人についてまだ十分に我々納得行かないんです。このままで仮に又、これは永久に運輸大臣大臣をやられるわけではないんですけれども、ほかの人が大臣になつても私は人事機構がそうでは絶えないと思うのです。そういう意味検察庁から調べられてからではなく、自発的に運輸省においてそういう措置をおとりになられるお考えはないか、その点をお伺いしたいのです。
  10. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただそういうふうな方針海運行政と申しますか、運輸行政全般の粛清を図るということは当然のこととして木村さんの御意見と私は同じでございます。ただいつそれをやるかという問題でございまして、私どもは一体どの程度のことであり、又一体調べなくちやならん責任を持つているじやないかということでございまするが、一応私ども何らかの方法本人たちにいろいろ聞いてみるような場合も今まであつたんでございまするが、それらについての答えを得だけでは、どうもすぐにいろいろやりにくい問題もございまして、もう少し時を経て、そして成るべくそれは早い機会運輸行政の面の人事の刷新というようなことをやらなくちやならんということは、私は当然私の責任だと思つております。あなたのお話の趣旨はよくわかるのであります。私もそういう心持を持つておるのでございます。これは暫らくお任せを願いたいと思うわけでございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は今度の疑獄汚職の問題で一番責任を感ぜられるべきは運輸大臣であると思うのです。直接に運輸行政支障を来たしておりませんが、この経済的或いは道徳的或いは政治的影響というものは非常に大きいと思うのです。それは直接の運輸行政担当大臣としては、どうしてもこの責任をお感じにならなければならんはずだと思うのです。で、私はそういうことが事態をすつきりさして行く途であると思うのです。ですから運輸大臣の進退については我々はどうこい言うべきではありません。ありませんが、その責任の重大さが私はどうしても運輸大臣に具体的にはあるのであるということを私は思うのです。従つてこれまでの運輸大臣の御答弁を伺つておりますと、本当に責任感じておられるかどうか、私はその責任感じ方、真剣さについてどうも疑問がまだあるんでありますが、併しこれは又他の機会に私は運輸大臣総括質問のときでも又お伺いしたいことがあるんでありますが、十分この点お考えを願つておきたいと思うのです。  それから次にお伺いしたいことは海運政策についてですが、これはもう根本的にここで考え直さ人ければならない段階に来ていると思いますし、又運輸大臣も丁度小林開銀総裁がお見えになつておりますので、いい機会と思うのですが、新聞の伝うるところでも、二十二日に運輸大臣小林開銀総裁と懇談されて、海運政策根本の問題についてお話があつたというように報ぜられておるのであります。そこで運輸大臣はこの際海輸政策を、特に又計画造船を中心としてどういうふうにこれを持つて行こうとしておられるかですね、その基本の考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは先日の予算委員会において木村さんから預けられておる問題でございますが、私ども今まで第九次造船まで運輸省がやつて来ました。造船やり方等は御承知通りで今更申上げません。日本海運政策としてこれからの世界の情勢に対処してどうやつて行くか、今まで通りにやはり船を造つて行くかというのが先ず第一の問題であると思うのでありますが、これは私どもは船は造るべしという意見でございます。ただ予算関係その他におきまして、私どもが昨年申しておつたよりに、四カ年聞に外航船の百二十万トンを造りたいということが第二年目の来年度予算において少し崩れた形で、今のところでは二十万トンを切る計画造船資金しか考えられない状態でございまするが、これは四年間でやるのが五年になりましても、六年になりましても、是非その線までは持つて行きたい、こういうふうに思つているわけであります。そういたしましたら、来年の造船、いわゆる第十次造船はどうするかという問題がここに出て来るわけでございますが、第九次造船の行き方は、前期後期多少の差はありましたが、開銀運輸省との話合で船を造つたというのが最後の段階でございますが、第十次造船には一体どうしたらいいか。私どもは昨年予算をこしらえて考えておつた時分においては、第九次にやりました、九次の前期より後期に多少の変更をしましたが、更にもつと皆さん誰が見てもこれよりほか方法がなかつたろうという、一番いい方法のところに更に持つて行くということにはどうしたらいいかというようなこと等を多々考えておつたのでございしますか、さて本年に入りまして、予算が議会に提出される頃に、いわゆる造船疑獄というものが起りましたためにいろいろな空気が変つて来た。それから予算に非常な緊縮方針をとり、市中銀行その他がすべての事業に対する投資の考え方というものに非常に制約を受けるような状態になつて来たということ等のために、大分昨年の私ども考えておつた状態よりは計画造船が非常に困難な情勢になつて来ておるわけでございます。私ども政府資金を以らまして七割、市中の金で三割というものを以て、これで一つ造船はやつて行く。その方法等はいろいろ変つてもその方針でございましたが、市中銀行が昨年の暮頃には担保力をもう少し増すようにしてくれ。それから自分たち融資率をできるだけ下げてくれんか。金も苦しくなつて来たというようなこと等の申入があつたのでありますが、最近において銀行関係の人の集まりを願いますると、市中銀行のほうでは来年度の資金が非常な欠乏だという大きな前提の下に、できればもう一つ今年は船を造ることのほうに金を出すことを勘弁してもらいたいというのか、一応銀行業者の誰でもの考え方ですというようなこと等の話も出ておるわけであります。この前の造船と非常に様子の違うことは、この前の造船まではその金額の多少についての意見はありましても、市中銀行も揃つて造船に賛成をし、それから造船業者は勿論でありまするが、海運業者も一緒に殆んど皆さんが揃つて造船方向に向いておつたわけでございます。ところがこの頃になりますると、造船業者並びに造船業従業員は是非早く多く造つてもらわなければたまらんという声を挙げておるのでありまするが、市中銀行は今申すような次第で二の足を踏み、それから海運業者も急ぐことはないではないか。船は造らなければならない、併し航路によつて必要なところもあるのであるが、もう少し財界の動きも、いろいろこれ緊縮予算緊縮金融というような問題があるから考えたいというような、少しこれは私はいわゆる造船疑獄のためにおじ気を感じておるという形じやないかと思うのでありますが、そういう情勢でございます。で、昨年の九次の後期造船をきめました時分開銀総裁話合つたことでありまするが、どうしても担保力の点から考えましても、二十九年までは何とかなると思うが、三十年になると大分それが困難な状態になるのじやないか。で、いつかは困つて来るという状態であり、たた膏薬張りでやつて行くということではいけないのだから、この際造船者も、それから海運業者整理統合の線に進んで行くということがどうしてもこの際必要じやないかという話合をいたしまして、業者にそれぞれその話をいたしまして、年内に諸君のほうでどういうふうなことが考えられるか一つ考えて来いということを要望をいたしましたのでございましたが、年内に断片的にはなかなか自分たちの力ではふん切りが付かないというような意味のことはありましたが、正式の答えのないうちに本年になりました。本年になりますると、造船疑獄でごたごたいたしておりまして、この間私のほうから、向うから一向第九次の造船の際なんかは、予算衆議院にかかりますと、造船のことを頻りにこの計画造船について各方面から話があつたのでありますが、今度はなかなかその話が出て参りませんので、この間から各方面の人に、新聞で御覧のように集まつもらつたわけであります。そういたしまして、今のような話をただこれは聞きおく程度で皆聞いて、そこで結論をどう出すということには至つてないのであります。そういうことで来まして、整理統合という線はなかなか進め得ない状態でございます。ただ各ニューヨーク航路でありますとか、パキスタン航路であるとか、非常にむずかしいごたごたしているところがあるのでありますが、これは海運合理化のための会ができまして、船主又は船舶会長老たちが集まりまして、無駄な競争を省いて利益を先ず上げなくちやならないという線でいろいろ話が進んで、多少の効果がだんだん現われて来かかつたと見えるのはニューヨーク航路でございまして、最近一ドルくらいな値上りが考えられるような状態になつて来たのは、日本人同士の間に話がだんだんと付いて来たわけでございます。こういうようなことで、各航路別に、個々の場合においていろいろ話合を進めて行つているのが現状でございまして、抜本的に、それではオペレーターを幾つにまとめるというような線までは、どうしても話が進み得ないのが今の現状でございます。そういう情勢下において十次造船というものが、ここで予算通りますると、かからなくちやならない問題として残されているわけでございますが、それに対しましては、今申したような各方面意見を聞き、更に又開銀総裁ともこの間話合つたのでございまするが、これはどうしても前提として、それがすぐできるかできんかは別問題として、何とかその整理統合の線をもう少し強く打出すべきじやないか、整理統合の線を打出すには何か政府がこれに対する、整理統合すればこれだけのことをしてやるという何かがなければ、整理統合と言うだけでは、口だけではできない、それはもう今度の予算措置としてはどうもできないが、根本的に考えて、三十年度からはそれじやこういうふうな方法で行こうという線だけでも出す必要かあるんじやなかろうかというような話等開銀総裁等からもありました。これは私は日本海運国策という大きな線から、又こういうふうな時節柄でございまするから、内閣として一つこの線を……、もう予算も出しております。今造船方向まではきまつておりまするが、更にこの際に慎重を期して経済閣僚の間に話合をし、そして又各方面の人と話合をして、そしてここに十次造船をこの線で行く、どういう方法で行くということを出すべきだと、こういうふうに実は思つておるのであります。私必ずしも案がないわけではありませんが、それは各方面意見も聞きつ放しの状態であり、これも経済閣僚の間に話をいろいろいたしまして、そしてはつきり線を打出して、皆と又御相談をしたい、これにつきまして木村さんには強い何か御意見をお持ちということを承わつております。今日聞かして頂きますれば、そういうことの進行の上に私は非常ないい参考といたしたいと、こういうふうに思つております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 丁度小林開銀総裁がおいでになつておりますので、お忙しいところ非常に御迷惑でございますが、非常に重大な問題でございますから……。又本年度の一兆円予算に関達して政府が投融資を非常に減らしております。特に開銀立場はそういう意味でも非常に重要になつております。又造船融資についても開銀の比重は非常に大きいのでございまして、今後海運がどうなるかということは、開銀経理或いは又これも国民の税金がこの損のために犠牲になるのではないかというような心配もあるわけです。従いまして小林総裁の、まあ十次造船の問題も具体的になつておりますので、それに関連して今後のいわゆる計画造船というものをどうやつて行くか、その他計画造船にとらわれずに、一体今後の、これまでの開銀融資を守るために、国民に損をかけないためにもどういう方法でやつてつたらいいかという御意見がございましたら、お伺いいたします。
  14. 小林中

    参考人小林中君) 木村さんの只今の御質問は誠に御尤もな御質問でございます。実は先般運輸大臣とも第十次造船の問題につきまして相当時間懇談をいたしたのでありますが、これは私の私見と或いはなるかも存じませんが、私どもから見ますると、御承知通り日本海運界も最近は非常に不振な状態になつておりますので、一体政府造船五カ年計画というものか果して日本の現在の経済にマッチして行くか行かんかということを一応基本的に政府が再検討すべきだと私は考えるのであります。五カ年計画を樹立いたしました当時と現在とは、日本の貿易、日本国内経済事情等も相当違つておりますので、これは改めて政府自体が再検討をいたすべきではないかと思います。併しその結論とか、そういう問題は私どもはとやこう言うべき筋ではないが、一応はそういうことをいたすべきだと考えております、そうして若しその上に日本は今後造船を依然として継続すべきだというふうな結論に達しました場合には、どうしても現在の海運界状態において、政府資金並びに市中資金が無条件に使われるということは私は考えにくいと思うのでありまして、これを整理統合して、より以上合理的な経理に持つて行く。現在の日本船舶界情勢から見ますと、日本船舶業をお互いが競り合いまして、そうして運賃の引下げとか、そういうことで業界の成績を悪くしている面が多々あるというような感じかいたします。又余りに濫立しておるということが経営上非常に無駄が多いのではないかという感じがいたしますので、そういうことは是非してもらいたいというような希望を持つておりますし、又運輸大臣に対しましても、そういうふうな希望を開陳しておるわけであります。従つてこの海運界整理統合合理化ということは、過去における開銀融資を確保し擁護するという上からも、これは是非それをやるべきだと強く主張しておるのでありまして、この主張は私は今更主張しておるのではないのでありまして、第九次造船の当時から、一体政府海運政策というものは、これはここに運輸大臣もおられるのでありますが、膏薬貼りの政策ではないか、いま少しこの問題を掘下げて、本当に国家として三年なり五年なり見通しを持つて、そこに確固たる海運政策というものを樹立すべきではないか、その政策に基いて我々或いは市中銀行金融という角度から、これに対してどう考えるかというような立場を我々はとらなければならんのじやないか、こういうふりなことを主張して参つておるのであります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 小林総裁の御意見は、今承わりまして私も実は全く同感であり、私はまあ素人ですが、小林総裁実業人として経験のある人ですから、全くその計画造船については経済情勢変化等について無理になつて来ておる、根本的に再検討すべきである、それから業者が無用の競争をやつて運賃を引下げる、こういうことは前に石井運輸大臣にもそういうことを指摘し、又開銀あたりでも利子補給について金利負担の研究なんかも相当よく調査されております。それでその海運界の不況の原因はどこにあるかということも非常によくお調べになつておるものを私は資料として拝見しておるのです。開銀考えは払は誤まつていないと思うのです。ところが運輸大臣が前の御答弁では、計画造船は続けてやつて行くのである、そういうお話で、第九次のときにも開銀総裁お話がそうあつたとすれば、十分にこれは傾聴されて九次のときにそういう方策を私はやるべきであつたと思うのです。それがここまでずるずるとなつて来たことは、やはりリベートその他そういう従来の行きがかりがあるので、思い切つた政策がとれなかつたのではないか、そういう疑念を深く抱くのですが、そこで運輸大臣只今具体的に案もないわけではないかということを言われましたが、整理統合をやり、ここで根本的な計画の立直しをやるということになると、これは非情にここに画期的な政策を樹立することになると思う。そうしますると、一体どういうことになるか、銀行方面でけ第十次は見送つてもいいじやないか、はつきりした政策が立つまで十次は見送ると、それで金を貸さない、ところが造船会社のほうは船台を遊ばしたのでは失業者が出る、関連産業のほうも潰れる、非常に悪い影響が出るから、そこで運輸大臣も船はやはり造らなければならん、こういう御意見です。で、私も船はまだまだ日本としては足りないと思うのです。今後日中貿易或いは日ソ貿易など盛んになれば今の船ではまだまだそれは足りません。造つておくべきだと思いますけれども、そうすると、船を造ろうと思つて市中銀行が今度は金を貸さないということになると、一体どういうふうにこれを切抜けて行くか、相当徹底した対策を立てなければならないと思うのです、で、その御決意ですね、私はあとで私の案を申上げまして御検討して頂きたいと思うのですけれども、併しそれは非常な決意がなければこれはできないと思うのです。整理統合もやるということを言われましたが、その整理統合には相当の決意がなければこれはできないので、その御決意のほどを先ず伺つておきたいと思うのです。
  16. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 開銀総裁から今整理総合について強い発言があり、本村さんも御賛成、私ども整理統合問題は去年小林君らと話合つたときから、そういう方向を見て、まあさつき申しましたような手順で来ておつたわけなんであります、非常にまどろこしくて何もできてないのじやないかと言われれば、誠にそういう状態になつておるわけであります。本年に入りましてから、まるでそういう線が動かなかつたというわけではなく、さつきも言うたように、個々の線についての整理と申しますか、海運業者が先ず利益の上るような方向に進まなければ、無駄な競争をして無駄な損失をさせることをやめさせるというのが、今までどうにか関係の集まりの人たち努力でだんだんと効果が現われて来て、一部分だけ申上げたのでありますが、整理統合を今断固としてやるという問題は、これは私は口には非常に立派であり、言うて立派であり、そうして、そうすれば如何にもここに抜本的の何かが現われて来るように思いますが、実際問題になりますると、なかなかこれは困難な問題があると思うのであります。行政を掌つておりまする私ども運輸省立場といたしましては、まあ実際に即しながら根本方針に近づけて行くということを実際行政としてやらなければ無理じやないかということを考えております。如何にもそうするとまどろこしい、ごまかし的な考え方のように聞えるかもわかりませんが、私ども整理統合の線を強く出すことは賛成であります。これに私どもの見方としまして、どうしてもほかの方面のいろいろな整理統合の場合と同じように、これは直接的に効果の上がるのは、金融方面でうんと力を入れて整理統合をしなければ、もう金も貸さないぞ、整理統合すればそこに金も貸すぞというような線が出て来なければならんと私は思うのであります。で、そうなりますると、金融業者のほうになりますると、まあ憎まれ役には成るべく廻りたくないという心持が皆にあるのでございます。そういたしますると、政府がこれに口火を付けなくちやならないし、又そういうふうに指導して行くという又責任もあるわけでございます。で、政府がそれじやどうしたらいいかという実際問題になりますと、ただ整理統合せよ、今仮にこれだけのオペレーターの問題といたしまして、たくさんの、十幾つかあるのを四つとか、五つとか仮に一緒になれという、なれというだけではどうにもならないのでありまして、それには整理統合をしないようなところには、或いは船を造らせないとかいうような問題とも方法としちや考えられるのであります。又政府の援助をしないというのも一つの消極的な制裁でありまするし、一方において政府のほうで、これこれのことで統合したならば、将来は今のような海運界で無謀な競争もしないで、なお且つやつて行く上において損があるなら、それだけの分は政府がどんな形かで見てやるというようなこと等が何かはつきりしなければ、ここで私は整理統合を強行するようなことはなかなか困難だと思う。それが私のさつき申しました閣僚の懇談会に、経済閣僚の間で話をもう一遍根本的にしたいというのは、そこにどういうふうな線を打出すかということを相談をしたい。整理統合は何としてもしたい。するにはどうしたらよいかというようなことを今考えておるわけでございます。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私整理統合を必要と言いましたが、ただ徒らに整理統合をしたつて意味はないんで、何を目的として整理統合をするかということをきめなければならないと思う。結局日本海運界の外国との競争力が強まるという形において整理統合をしなければならないと思うのです。それが行詰りの原因であつたのですから、今まで計画造船でなぜ船価が高かつたかということを深刻に考えてみる必要がある、計画造船と言いますが、一時外国からの注文も相当あつたはずです。タンカーでもその他でも外国の発注があつたのです。ところが計画造船をやると高い船価になる。外国の注文を受けると安いのです。丁度今の輸出の二重価格のようなもので、国内で売ると高いから輸出を渋るという形になつて来ている。だから計画造船の癌は船価が高い。それで外国の発注を受けると安い。だからどうしても外国の発注を断わつて計画造船計画造船と言う。そこで外囲の発注を受けるよりも儲かるから、こういう疑獄を起してまでも取ろうと。そこにこういう疑獄汚職の起る原因が出て来たのではないかと思うのです。それでどうしても今度の海運界の建直し、整理統合をするにしても、先ず第一の目標は外国との競争をするにしても、船価の安い優秀な船を造るということが先ず第一ではないかと思う。そうすれば外国からも発注が来ると思うのです。外国から発注を受けたのか一時あつたわけですから、現に……。そこまで優秀な安い船を造るということを目標にして進む。それからもう一つは、市中銀行がなかなか金を貸さない状態にあるのです。市中銀行が金を貸さなくなると、これは開発銀行が主として金を貸して出してやらざるを得ない状態に追込まれる。そこまでの決意を持たなければならないと思うのです。船をどいしても造るというのなら、市中銀行が貸さないというのならば、これは第二に考えておかなければならないのではないかと思うのです。市中銀行が貸さないから、船が造れない。そうすると造船は失業者か出る。関連産業は潰れる。従つて開発銀行だけの資金でも最後にはやらなければならないという決意が第二だと思う。第三には、一番疑獄汚職の摘発が海運界或いは労働組合のほうからですね、いろいろ検察フアッシヨとか、何とか言つて批判が行われる。そうして疑獄汚職を徹底的にこれを突くようにさせないと、臭いものに蓋をさせるというようなことの起るのは計画造船が駄目になる、船を造らなくなれば失業者が出る、十三万五千の海運労働者が失業するじやないか、六十五の関連産業が潰れるのじやないか、経済界に重大影響を及ぼすから、余り摘発をやるべきじやないという意見が出ている。ですから第三には造船労働者が失業しないということと、関連産業が潰れない、こういう一つ考えを持つてこの計画を立てなければならんのではないか、そうすれば汚職は汚職、海運政策海運政策として矛盾なくそこにやり得ると思う。じやどうしたらいいか。私はストック・ボートをお作りになつたらいいと思うのです。これは海外でも、外国でも例があると思います。不況のときにストック・ボートを作る、これはアメリカの例なんか、戦時中政府が船を作つて、そうして海運会社へ貸す、そういう方法ですね。併し今度の日本の場合においては、工場と、それから労働者を主体に置いて、私は経営者のほうはここで失業してもらう必要があると思う。経営者はここで反省してもらう必要がありますよ。これまで朝鮮戦争で非常に儲けて来ておつて、配当もたくさんし、そうして重役報酬などもたくさんとつて、そうしてここまで来たのでありますから、労働者を失業させることはできないし、関連産業を潰すこともできない。そこで労働者を失業させず、関連産業を潰さないで、工場を動かすためには、私は工場単位、造船所単位に政府資金を以て政府がストック・ボートをお作りになる。そうして資材は幾らである、労働賃金は幾らである、そういり見積りを出さす、そうすると、こういう際には私は相当皆真剣になつて、これはいい船を安く造る努力をすると思うのです。丁度不景気になるときに、大工がお客さんから注文がないから、自分で大工が家を立てて人に売るそれは非常に努力していい資材を使い、そして努力していい家を作つて売る。こういうことを大工さんがやりますが、私はこのストック・ボートの考え方は、これは今始まつたことでなくて、昔からあるのでありますから、この際このストック・ボートをお造りになる。これは政府が持つ。それで安くこれを、いい船を造つてこれを安く貸す。安く貸すのです。そうすれば運賃か安くなるのです。外国との競争力が付いて来る。そうして工場単位に競争させる。それで、それじやという工場にはこれは発注できないでしよう。そこで皆一生懸命になつて成るべく安く、そうしていい船を造るという設計を見て、そこにこの発注をさせて政府がこれを持つ。政府が持つても、決してこれは損がないと思う。船は御承知のように国際的商品ですから、ドルを持つているのと同じようなものです。いつでも、いい船で安いのならどこへだつてこれは売れますよ。国が持てばいい。国か持つて決して損じやないのです。而も今後物価は政府が下げる下げると言いますけれども、どうしたつて私は物価は上ると思います。三百六十円のレートが維持困難になつて、或いは平価切下ということになるかも知れません。そのときは政府は得しますよ。三百六十円で船を造つておいて政府が非常に儲かる。従つて政府がストック・ボートを造つて、決して損をしないですよ、政府は……。而も優秀な船を安く持てる。而も今私が申上げたような造り方をして、一応重役諸君はここで失業してもらう。労働者諸君が失業する代りに、重役諸君に二、三年ここで休んで頂く。そうすれは間接経費が非常に安くなる。中川とか、長谷川の料亭でどんちやん騒ぎする費用もなくなるのです。それから営業費なんかもこれは非常に私は節約できる。もう海運界は非常事態ですよ。非常事態にこのくらいな政策をやらなければ、これは私は突破できないと思う。これは非常な決意が要ると思うのです。簡単にこれはなかなか……、それは経営者方面からも意見が出るでしようけれども、どうしても船を造らなきやならん。又船を造ることは必要だと思います。それには国も損しない、労働者も失業させない、関連産業も潰さない、そうして海外との競争力を付ける、こういう見地から、どうしても私はこのストック・ボートを造るというような方式しか私はないのじやないかと思います。いろいろ私もそれは、例えば運賃プールの問題、会社法に許されている運賃プールの問題ですね。それいうことも考え、或いは又前の公方式或いは国営方式、いろいろ考えてみたのですが、国営方式ではこの海外との外国の同盟に入れないというような問題も起り、これは困難でしよう、実際問題として……。それで国営方式は実際においてはとれないのです。それから前の公団方式もいろいろ功罪があるわけです。いろいろ考えて見て、今の日本のこの資本主義の経済の下で、そうして考え得る限りの公共性のあるやり方としては、このストック・ボートを造る、この方式が一番いいのじやないか。すると、こういう方式ですと、今度は、汚職とか、疑獄なりが起つた関係が、非常に今度はすつきりして、国民もすつきりして来るのじやないかと思うのです。こういう考え方を私はしてみたのでありますが、これは一つ運輸大臣に検討してもらいたいと思うのですが、それについての御意見を……。
  18. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 御意見承わりまして、私どももまあどうしても市中の金が出ないとすれば、一方船をこしらえなくちやならないということであれば、どういうふうにしてやつて行くかということ等も考えておかなくちやならないという頭でおりました。ただ、今の場合すぐそこまで行くか、もう一つほかに途はないかというようなことも、いろいろあれやこれやと考えている最中でありまして、又一つの強い御意見としてこういうふうな見方も勿論一つの案でございます各方両についての御覧もいろいろ承わりまして、これは一つ問題といたしまして、十分私どもの研究の対象にして行きたいと思います。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 開銀総裁の御意見……。
  20. 小林中

    参考人小林中君) 只今の問題ですか。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなんです。
  22. 小林中

    参考人小林中君) 私ども一つの最後の方法としては、ストック・ボートを国が造るというふうな考え方もいい考え方一つだというふうには考えております。併しながら、できれば現在の海運界整理統合ができて来て、それが誰から見てもすつきりした形になつて、その経営内容が現在より以上に堅実に力強いものになつて行くということができれば、それも一つ方法ではないかというふりに考えますが、木村さんのお考えは、私どもとしてみましても非常な御高見だと考えまして、今後海運に対して、私どもがいろいろ研する上においては大いに参考として十分考えてみたいと思うのであります。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に開銀総裁にお伺いいたしたいのですが、開発銀行融資根本方針は、やはり一応独立採算にあると思うのですが、それで日本開発銀行業務方法晋の第三条を見ましても、やはりこの債務の履行が確実である、これは言うまでもないことです、そういうことを建前にしていると思うのてす。ところがこの造船については、又外航船舶建造資金融資の取扱方針について別に又取扱方針が定めてございます。併しこの取扱方針の基本もやはり全体の融資方針と基本は私は違わないと思うのです、併し実際に造船に対する融資を我々見ますと、どうもこれは又見解の違いにもなるかも知れませんし、又私も海運界の実情というものを素人で知らない点もあるかも知れませんが、併し素人なりにどうしても割切れない点があるのです。それは今度資料を、要求したのですが、船会社が開銀融資を申込むときにはいわゆるエステイメート、見積書を出すわけですね。見積書と実際と非常に違つているわけです。見積書では相当収益がある償還能力もあるということになつてるわけです。その見積書が事実ならば勿論開発銀行が貸して不安もないし、国民に損を与えないということになるのですが、このエスティメートが非常に実際と違う、従つて何か我々見ると極端な表現になるのですがね、虚偽の申請をしてそして融資をして、あと国民に損をかけるということになるのじやないかと思うのです。その点開銀でも十分見積書を検討されるのだと思うのですけれども、どうしても私はこの点割切れないのです。開銀総裁はこの点どういうふうに……。
  24. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御質問でありますが、各船会社から収支の見積書、予想書はとつておりますが、併しその予想書をそのまま開銀は鵜呑みにしておるわけではありません。その予想書の内容を検討しまして、実際の現在の運賃がどうなつておるということと照し合せまして、訂正することは開銀自体として訂正をいたしまして、その結果そういうような審査の資料となりまして、審査結論が出て参るような仕組にはなつておるわけであります。従つて運送会社の予想書と言いますか、そういうものをそのままに決して開銀は無批判に使つておるわけではない、そういう実際の点は、幸いに審査部長がおりますので、審査部長からお聞きを願いたいと思います。
  25. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 先ず会社が目論見書を出します。それを勿論見るのでございますが、会社によりまして非常に甘い見積書をお出しになるところもあれば、或る程度お固くお出しになるところもございます。従つて会社の出したものをそのままでやれば極めて不公平にもなりまするし、今木村さんの御指摘になりましたように、騙されるというようなことに或いは結果においてなるかもわかりませんので、これは私どもが会社の従来の実績といつたようなものをむしろ基盤にいたしまして一応の批判をいたします。それによりますと、大体において個々の会社において若干の差異はございますが、会社のお出しになりましたものより、当然銀行等が見るのでございますから或る程度辛くなつて出ております。併し造船融資をいたしますのは必ずしも見積書だけで出すのではございませんので、どういう基準で融資をしておるかというようなことを一応お聞取り願いますれば、或る程度おわかり頂けるのじやないかと思うのでございますが、先ずこれを申上げますると、当然一つの企業でございますから、経営者の項目を先ず考えなければならない、これは当然のことだと思います。次に、その海運会社を今後国家的な、国民経済的な見地から行つて育成して行つたらいいかどうかということ、これは何も海運会社だけに限りませんが、あらゆる事業についてその事業の素質がいいかどうかということを当然考えたいと思います。それからそういう見込問題でなしに、現在どういうふうにその会社の状態がなつておるか、これは単に見込みというか、主観の相違ということは許されない。現実の問題、現況がどうかということ。それからそれと同じような範疇でございますが、銀行でございますから経理的に見る、即ちその会社の財政状態がどうなつておるか、これは企業の財政状態というのは、いわば一つの企業の体力に当るようなものでありますから、非常に頭がいいと言つても、体が悪けれは学業を中途で中絶しなければならないというようなことになります。極めて現実的な問題として財政状態の如何ということ。それから最後に、一種の結論的なことになりますが、その会社の金融をやるのでありますから、償還力ということが最後の或る意味での締括りになるかと思います。それで経営者をどういうふうにみるかということは、特に海運会社について申しますならば、その海運会社が海運について経営者の経験の長さ、深さ、或いはその才腕、それから経営陣は勿論一人じやございませんでしようから、その重役陣がうまくまとまつておられるかどうか、或いは業界における評判というものも当然あります。そういつたようなものが当然我々の耳に入りまするし、更に金融取引でありまするから、金融機関におけるところの評判というものもあるわけでございます。こういつたようなことで、外部からではございますが、各船会社についての経営陣の或る程度の評判というようなことで一応判定するわけであります。  次に、先ほど申しました事業の素質と申しましたが、これも海運会社がさまざまございまして、ライナー会社、或いはトランパー会社、オーナー会社、タンカー会社がございますので、それぞれに合わせてその育成価値と言いますか、事業の素質を判断いたします。例えば定期船会社、ライナー会社については最も大きなものは国際信用力、いわばのれんでございます。体力が極端に言えば悪くても、現在の経営者そのものはそれほど第一流ではなくても、従来売込んだ国際信用力というか、そういうものがないと、これは国際企業でございますから、そういつた点を相当重く見ます。これは他の事業でもそういつた点が強くなるわけでございます。先ほど木村委員の御質問がございましたエステイメートの問題も勿論大切でございますが、これがなければ今後の伸びといつたようなものが出て来ないのであります。従つてほかの産業に比べまして、こういつたようなことが、のれんといつたようなことが特に大きく出て来るのだといつたようなことを申上げなければならない。それから当然育成価値の一つには相当うまく稼ぐ会社であるかどうかといつたようなことも、ライナー会社のほかに、トランパー会社或いはオーナー会社についてそれぞれ細かく考えまして、育成価値というような観点から一応の評定をいたします。  第三審目に、現況如何、これは評価の如何ということでなしに、現実を如何につかまえるかということでございますが、結局その会社がどれだけのトン数を持つておるか、とにかく相当いいところでも僅かの船しか持つておらんでは話にならない。特に国際企業であれば、日本国民経済のいわばチヤンピオンとして出て行かなければならんわけでございますから、そういつた現実が余りにも微々たるものであれは、やはり問題になりにくいということになります。ただ併しそれは量だけの問題じやなくて、如何にいい船を持つておるか、いわば船腹価値といつたような問題も当然考えなければならない。  それからその次に、財政状態考えるのでございますが、この財政状態も大きく言えば二つの見方がある。即ち財政規模の大きさの大きいものは大変強いのでございますが、そういう量的な問題と、それからその財政の中のバランスのとり方如何、質的な問題でございます。こういうような点から検討いたしまして、できる限りこれを数字で弾き出そうということを私どもは工夫をいたしまして、それから最後の償還能力の問題、これは実は九次船におきましては、特に真つ先に取上げましたのは担保力の有無ということでございます。先ほどお言葉にもありましたように、船は世界商品であるというような意味で、又船舶金融というものは昔から何十年来担保金融的なものである、そういう性格の強いものであると言われておりましたので、担保力の有無ということを先ず真つ先に考えます。九次船の前期後期におきまして担保力を切つて出した会社は一つもございません。それから勿論担保力だけで償還力を見るわけではございません。  次に、支払能力の有無ということを見ます。個々に関しまして、先ほど御質問のエスティメートの問題が出て来るのでざいます。最初のお出しになつた、例えば一例を申上げますれば、償却前でこれこれの利益が出て来る。それによつて利息を払つてなお且つ償還に或る程度廻るというようなエステイメートを出しておられますが、我々が弾きますると、どうも利息は一応入れて頂けるが、償還のほうにはどうも不十分である、或いは中には切れるものもできて来るというような結果が出ております。それによつて結局今申上げました五つの項目、経営者、事業の素質、現況、財政状態、償還能力といつたようなものの五つを総合いたしまして、会社のいわば一種のランク付けと言いますか、大体まあAクラスBクラスといつたようなランク付けをいたしまして、その上のほうから結局九次船において決定をみたということなんでございますが、ただこれは何と言いますか、銀行的な見方でございまして、開発銀行融資をいたします場合に、開発銀行と言わなくてもいいのですが、いわゆる銀行か金を貸します場合に、最も金貸しらしい金貸し根性だけで貸しますならば、極端なお話を申上げれば、船会社に金を貸さないで、例えば三越あたりに船を造らせて、そのために貸したほうがよいというような結論が出ないでもない。或いは船会社だけで言うならば、従来の実績、蓄積度その他から考えて会社に金を貸したよろしい、例えば飯野海運会社が最もよろしいというような結論が出てしまうのでございますが、これは余り金貸しの金貸し根性に過ぎるのであつて、もう少し海運界の実情といつたようなものをよく調べて、結局金貸し的な根性だけでなしに、もつと広い意味での国民経済的な見地に立たなければならない。私どものみならず、当然運輸行政からの要請もそういつたところに入て来るかと思いまするが、我々はそう考えまして、開発銀行融資いたします造船融資世間の物笑いにならんように十分そういつたところも研究いたしまして、従いまして先ほど、お話が戻るようでございますが、国際信用であるとか、或いは定期船会社のほうにどちらかと言えばウエートを置いて行きたいというようなことにもなります。  更に、我々の判断は金融だけであつてはいかんということは今申上げたのですが、もつと具体的に申上げますならば、造船合理化審議会でこういつた方針でやるようにというようなお話もございまして、その中で最も著るしいものの一つといたしましては、造船所の事情といつたようなこともできれば合せ考えようというようなこともございまするので、そういつたようなことも、当然一応考えております。従いまして当時において日本海運政策というものが三十万総トン造るのである、而も造船合理化審議会でおきめになられたような基準というものを前提にいたしますならば、今回きまりましたきまり方というものは、実に動きのとれないと言いますか、きちつとしたものであるというふうに私は自信を持つて申上げることができると思います。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。大分時間を私ばかりで恐縮ですが、次にちよつとお伺いしておきたいのは、四十隻の買船の問題ですが、あれ三党協定で利子補給することになつてつたので、補正については通つたのですが、その点含まれておりませんが、併しこの買船の資料を私頂きましたが、これは開発銀行で十九社二十五隻について肩代りをしておることは、これは不当ではないかと思うのです。肩代りされたところもあるし、肩代りされないところもある、三十九隻ですね。この関係はどうなるのか、今後或るところは肩代りし、或るところは肩代りしない。又この買船の利子補給前提とするということも私はどうしてもこれはおかしいと思う。外航船舶建造融資利子補給とこれは違うと思うのです、買船は……。これは景気のいいときにみんな思惑で買つたものなのですから、そういうものについて救済措置をするというのはどうも私は銀行の焦付を開銀に転嫁してしまう、そういうことになるのじやないかと思うのです。この船自体について私は専門じやありませんからわかりませんが、じやこの船を若しか焦付になつたときに開銀が売つてこれを損しないものかどうか、そういうことを思うのですが、先ず運輸大臣のほうから、今後の買船に対する措置、中にはもう大分破産宣告を受けて問題になつたものもある。これは前にも質問しましたが、その間の事情をもう少し具体的に御説明を頂きたい。これは運輸大臣から御答弁頂いたあとで、又開銀総裁のほうから……。
  27. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私から御答弁ということでありますが、事実をよく承知いたしておりませんので、海運局長から……。
  28. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 私から当時の実情を申上げたいと思いますが。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この資料を頂きましたから、資料について……。
  30. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) これはお話通り開発銀行で肩代りされましたのは十九社二十五隻でございます。なぜ二十五隻だけ肩代りしたかと申しますと、あれは昭和二十五年の暮でございましたか、例のあのトルーマン大統領の非常事態宣言をきつかけといたしまして、世界的に非常に船腹が不足だ。特に日本を中心として非常な船腹不足状態を現出いたしまして、輸入物資の輸送に非常に困つた。そこで急速に船腹拡充をしなければならんというので、新造船計画を拡張いたしますると同時に、今まで殆んど禁止的措置をとつておりました買船を緩和いたしまして、むしろ奨励的に入れたというので、併しその場合でも無制限に入れるというのじやなしに、一応二十万、運輸省としては二十万重量トンでございましたか、それを目標にして入れようというので許可したのがこの二十五隻です。これに対して市中銀行も買船については相当懸念を持つておりましたが、政府のそういう奨励的意味を以てその融資に協力したのです。従いまして、この二十五隻に対する買船の市中融資については、市中銀行の負担を相当緩和する必要があるというので、その後におきまして、その買船の金額の一割というものを開発銀行に肩代りして頂いた。それが十億でございまして、その後四億余り返しておりまして、現在の開銀融資残が六億八百万円、こういうことになつております。従つてその後におきましては開発銀行の肩代りというとは一切行われておりません。それから日本銀行で例の別口外貨貸の適用になつておりますもの、これが先日も御説明申上げましたように十四社十六隻、これは別の意味で別口外貨貸の適用がありまして、これはたしか三年賦償還とか、そういうような年賦償還で借入れたものでございまして、従いまして、そういうものにつきましては、何と言いますか、外貨で金利を支払ようになつている。それと、相当その外貨の流出が、一方において当時日銀の手持外貨というものは非常に豊富であつた従つてむしろこれを別口外貨を返して、国内金融をしたほうが外貨の流出というものは防げるのじやないかというふうな見地から、十六隻が対象になつたのです。これは日銀でそれを対象にされる場合でも、まあ日銀で貸出して貸倒れのないような、まあ買船をした船主の中でも信用状態の良好なもの、こういうものを対象にされたわけです。従つてこのときに申込んだ船主で相当漏れたものがある。それが一部、只今質問のありました外国商社と現在いろいろ問題を越しておるものもその中に含まれております大体以上であります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この別口外貨の借入の期間は、ポンド地域は一カ年、ドル地域も一カ年、オープン・アカウント地域が一カ年乃至三カ年になつておりますが、これはもう返済になつておるのですか。
  32. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) この別口外貨貸しの適用がありました当時から非常に市況が悪くなりまして、ちよつとここで、どれだけ返済いたしましたかはつきりいたしませんか、殆んどまあそのしまま残つておるのじやないか。但しこの借入期間は一年ということになつておりますが、実際上は三カ年くらいを一年ごとに区切つて延長するというふうな当初からの話合で借りておるわけです。従いまして、すでに期限が来たものも更に一年延長を願つておるというふうな状態に現在なつております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この開銀に肩代りされた分についての回収、或いは今後の何というのですか、損を与えたか、与えないかという見通しはどうなんですか。
  34. 小林中

    参考人小林中君) 只今局長から御説明申したことで、肩代りの事情は大体御了承願えると思いますが、先ほど言いましたように、開銀が買船を肩代りしたのは第一次買船でありまして、その当時政府が積極的に指導して買船をした。その買船の資金は殆んど全部が市中銀行融資をしたというふうな事情にありまして、まあ木村さんも御承知のことと思いますが、開発銀行一つの業務として、肩代りということが一つの目的としてありますので、こういうものは一応肩代りの対象として見ていいんだろうというふうな建前で肩代りをいたしたわけであります。従いまして、その後業者が自由に買船をいたしたものは肩代りの対象にはいたしておりませんが、但しこの肩代りをいたした際も、私どもは無条件に肩代りをしたわけではありません。その船を所有している会社の内容を調べまして、そうして返済能力がありと考えまして肩代りをいたしたのであります。従つてその船を対象としては、或いは返済に多少危惧の念が生ずるような現存の状態になつておるものもあるかも知れませんが、会社全体といたしまして見ました場合には、返済能力あるものと私ども考えております。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 開銀の肩代り業務の対象として、つまりきまるものがあるかどうか、私はやはり疑問があると思うのですけれども、それでは時間がございませんから、そのままにしまして、その次に開発銀行外航船舶建造融資利子負担について猶予分というのがあるのですね。この猶予分は、これは政府利子補給をしないために船会社には二分五厘で貸しておる。そうなると何ですか、猶予しておる分がだんだん大きくなるのじやないかと思うのです。このままで行くと際限がなくなつて来て、この問題は一体どう処理されるのか、開銀ではどうお考えになつておるかということが一つと、それから開銀がこの前金利を下げるときには、これは大蔵省から業務命令があつて下げられたのか、或いは開発銀行か自発的に下げられたのか、この二点を伺います。
  36. 小林中

    参考人小林中君) 只今の第一の御質問でありますが、これは御承知通り、三分五厘以外の利子は政府で補給をするという法律案が通りましたときに、開発銀行に対する利子の補給は五分ということを基準にして七分五厘の利子補給をするという話があつたのであります。その当時開発銀行船舶融資は七分五厘であつたのでありまして、政府に対して七分五厘から三分五厘を引いたその利子の補給をすべきだということを私ども政府に再三強力に主張して参りたのであります。ところが今回の二十九年度予算になりますと、その補給金もなくなつたというふうな次第でありまして、開発銀行としては当然金融機関の建前から、利子は全部頂戴すべきだという建前を今までとつてつたのでありますが、一方に補給金がなくなつたので、政府もこの間は何とか適当の処置をして欲しいというふうな希望もありましたので、開発銀行といたしましては、三分五厘と約定金利の差を一応猶予をするという考え方を今は考えておるのでありますが、その猶予の仕方は現在目下政府と折衝中でありまして、開発銀行はできるだけ早くこれを回収をしたいというふうな考え方で、その猶予の方法と申しましようか、どの程度まで猶予するかというようなことは今協議しております。まだ最後の決定には至つおりません。但し開発銀行考え方は、一年一年猶予をして、そのときの海運界情勢によつて、取れるものはどしどし取つて行くというような気持で私ども考えておるのであります。それから開銀が七分五厘を六分五厘に下げましたときには大蔵省の業務命令によつて下げたのではないのでありまして、電力と海運という二つの融資の対象に対しまして、これは開発銀行と大蔵当局とが相談の上に、電力のほうは日本の基礎産業であり、そうして海運のほうは日本の国策的に考えて、これに何とか仰せの通り海外競争力を付けて行きたいというふうな考え方からいたしまして六分五厘ということに考えたのでありますが、併し六分五厘という考え方は、私どもは諸外国の国家機関というふうな金融機関のあり方を見まして、その国の国債発行額と言いますか、いわゆる手取の利廻りを多少それを上廻るところが最低の国家金融機関としては利率だというふうに考えまして、六分5厘というふうに私どもは主張して参つたのであります。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その利子補給のときに三分五厘に下げたんですが、そのときはこれは開発銀行が自発的に考えたんですか。
  38. 小林中

    参考人小林中君) これは開発銀行は決して自発的に下げたものではありません。法律によりまして業者負担の一分五厘契約金利との差額は政府が補給金を以て支払うという法律でありますから、従つて開発銀行は七分五厘というものをその間に主張して参つたのであります。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのときにそういう法律が通つたから、開発銀行は大蔵省の業務命令を待たずに下げられたんですか、その法律を御覧になつて、それで下げたんですか。
  40. 小林中

    参考人小林中君) それは法律案が通りまして、大蔵省からそういうふうな話が開発銀行に参つたと私は記憶しております。併し業務命令というふうな形では参つてはおらないと思います。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点はくどいようなんですが、開発銀行政府関係機関ですから、下げるときには当然大蔵省から業務命令というものがなければならんと思うのです。それに基いてやらなければならんので、この金利の上げ下げが、政府機関である場合には、それは勝手に、勝手と言つては変ですけれどもそういう業務命令がないので、裁量でやることになると、これは私は非常に重大な問題だと思うのです。そういう意味でお伺いしているわけです。
  42. 小林中

    参考人小林中君) 融資の利率等は開発銀行が自発的に改訂ができるということになつておりますので、大蔵省からの通牒は、こういう法律が出たからこういう法律に基いて開発銀行考えてもらいたいという書面は参つておるそうであります。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあ今後私は大きく問題として取上げなければならないと思うのです。それは開発銀行のあれはやはり国家資金でありますから、その金利の上下というものは、又その収支は財政関係に重大な影響があるわけです、それは簡単ではありませんでしようけれども、開発銀行の任意によつて金利は上げ下げする、それによつて開発銀行の損益に影響があるということになると、それはやはり国会において一応は監視のできる形にしなければならないと思うのです。従つてこれは大蔵当局からもこの点お伺いしたいのですが、それはあとに廻します。  最後に一つ伺いたいのは、昨日会計検査院から開発銀行経理の調査の結果を伺つたのです。一部新聞にも出ていましたから御存じだと思うのですが、あの中で三件が不適当な融資である、二件が目的外に使われた、それからあと七件が必要より多く貸してあるというような報告がありまして、その中で特に津上製作所の問題を伺つたのでありますが、津上製作所というのは世間を騒しました会社でありますが、千五百万円貸す予定であつたところが、必要設備資金が六百万円であつた。それであるのに千五百円貸すことになり、すでに千百万円だけは実際に融資したが、残りの四百万円は未融資に終つた。これは不当融資ではないかと思うのですか、そういう点について……。それから国策パルプについても審査部のほうでは不適格と決定したのが、上の幹部のほうで適格として融資した、そういう点は我々どうも開発銀行融資の仕方に割切れない点がありますので、この際総裁からこういう点についてはつきりお伺いしておきたいと思います。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと関連して……。それに関連しまして福永官房長官の関係をしておられる片倉製糸に対しても、自働操糸機を買うということで設備資金としてたくさん出されたが、それが繭の購繭資金等にかなり廻つているということが業界で、私も蚕糸業には若干関係を持つておるのですが、そういう噂もありますし、これはまあ小林総裁のほうに関係ないと思うのですが、スタンプ手形で購繭資金に肩代りして、それはスタンプ手形の割当は、生糸を海外に輸出するという、そういうこととの関連だが、実際は国内にたくさん流してある。そのスタンプ手形に比例しての輸出がされていない。そのことは別ですが、そういうことも業界でもありますし、それも併せて一つ答え願いたい。
  45. 小林中

    参考人小林中君) 只今の津上製作所の融資の問題は、設備資金が六百万円でありますところを千五百万円融資を決定したということは、実は私は木村さんから今御指摘になられて初めてお伺いしたので、その当時の融資のことは、御承知の開発銀行の今の運営は、営業部で申込を受付けまして、一応営業部で調査をいたしまして、その調査の結果を役員会にかけまして、そうして役員会は営業部の報告を聞きまして、それがいわゆる国の基本計画に副つているかいないか、或いは会社の内容が融資の対象としてほぼいいものであるかないか、これは結論的には決定はいたさないのでございますが、大体の見当を付けましてそれを審査部に廻しまして、審査部が念入りに審査をいたしまして、その審査報告を役員会に審査部から出しまして、そこでその審査報告に基きまして融資の決定をいたす、こういうことに全部がなつておるのでありまして、津上製作所の場合も、私は審査部から役員会に報告をいたされました。その審査の内容は今覚えておりませんので、これも審査部長からその当時の状況をかいつまんで御説明申上げたいと思います。それから国策パルプの場合におきましては、審査部が融資を渋つていたというような事実は、私どもは現在まで承知しておらないのでありまして、これも審査部長から審査の内容に対しまして御説明申上げたいと思います。今の片倉製糸の問題は、これは国策パルプの場合でも同じでありますが、単に片倉製糸だけに資金を出したのではないのでありまして、同じ目的に対して他の製糸会社にも資金を出しておるのでありますが、その資金が目的の事業の設備に使われずに、ほかのほうにその資金が使われたということは私はないと思いますし、開発銀行としては資金の用途もことごとく監督をして出しておるのでありまして、さようなことはないと思いますが、これも総務部の次長も参つておるのでありますから、或いは審査部長からか、総務部の次長からか御返答を申上げたいと思います。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと関連して……。木村委員は非常に遠慮されて、審査部で審査した結果上のほうへ行くということであつたが、世上では小林さんが、水野さんですか、話をしてきめられた、こういう巷間の風説も出ている。我々その辺の銀行業務にうとい者の耳にもはつておるわけでありますから、その辺の這般の消息について誤解のないように、一つその誤解を解いて頂くような御説明を願います。
  47. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 三会社につきまして、私ども最も簡単かと思うほうからお話を申上げますが、実は新聞に出ておりましたのは国策パルプ、津上製作所でございますので、それは一応念のために見て参つたのでございますけれども、片倉製糸のことはこれは初めて伺いますので、十分な準備はございませんけれども、これはたしか農林省からの農林政策の一つたと思いますが、生糸を手で製造いたしませんで、機械製糸、特に自働操糸機でやるということ、これは非常に国策的でもあるし、今後生糸を輸出する何かの手助けにもなるであろう、従つて開発銀行として取上げて然るべきものであろうというお話、我々も尤もだと思つてそういう会社を調べたのでありますが、御承知のように片倉製糸は日本においてそういう製糸業界で、いわばズバ抜けております。従いまして、その会社に先ずそういう新らしい方法を設置するということは、先ほど申上げました育成価値といつたような点から、或いは償還力を確保するといつた点から先ず万全であるというふうに考えられますし、更に片倉製糸が行なつておりました自働操糸機の方法は片倉製糸自身が御発明になつたものでありまして、従いまして、それを工業化しようということについて、私どもとしては殆んど問題なく結構なことであろうと考えまして融資をしたように記憶しております。而もその金がほかに使われたということは別の言葉で言えば、我々のところにお持ちになりまして、こういう計画だという計画ができ上つていないということになるかと思いますが、恐らくそれはでき上つているはずであります。従つてそういうふうなお疑いは一応お解き頂けるのではないかと思います。  次に津上製作所につきましては、これは御承知の精密機械工業界のいわばナンバー・ワンで、一番でございますが、当時これは昭和二十七年の日付になつておりますが、二十七年の暮でございまして、輸入機械代四千六百万円ほどの予算を持つておられます。そのうちの一部、開発銀行に対しては二千七百万円ほど貸して欲しいというお申出であつたのでございますが、それがどういう機械で、それがどういうふうに使われるのであろうかということを考えました。そういたしますると、当時なかなか機械の輸出といつたようなもの、特に精密機械の輸出ということができなかつたのでございますが、この会社の造つております捻子の自動盤、捻子切自動盤でございます、これはアメリカにおいて極めて好評でございまして、その年数を忘れましたが、何かアメリカにおけるそういう工作機械の展覧会みたいなものがあつたときに出品して、そのときに評判を得てそれがどんどんアメリカに売れるようになつているということで、それをバツク・アップいたしますために、それを造るための工作機械をアメリカから入れる、先ほどから言いましたように四千何百万円の予算のうち二千七百万円申込んで来られた、それを又いろいろな点から搾りまして、ちよつと数字を忘れましたが、千何百万円かをその当時承諾したわけであります。併し一挙にそれだけの金が要るはずもないということで、手附金から出して行こうというときに金を出したのでございますが、たまたま非常にまずいことで不渡手形を出してしまつた、これは私どもに言わせるとちよつと不思議なのでございまして、この会社の財政状態調べて参りますると、負債の率とか、資産の率とかいつたものがかなり良好でございますから、普通に切廻しておるならば、そういつたまずさが出て来なかつたんだろうと思いますが、恐らく会社御当局の、特に金融というか、金繰りを御担当になつていたかたが何か手違いをされたといつたようなことから、そういう不渡手形を出されたのではないかと私は思つております。従いまして不渡手形を出さなければならないほど会社内容が腐つておるというふうには現在でも考えておりませんし、仮に財政的な、経理的な面が仮にそうであつたとしましても、この会社の先ほど言いました捻子切自動盤或いは精密測定器具、化学用のポンプ、例えば、ギア・ポンプといつたようなもの、これは恐らく機械工業界にお聞きになれば直ぐわかりますように、相当高いものであります。最高レベルだと言つて差支えないと思います。従いまして開発銀行といたしましては、輸出振興のための基礎を作る設備であるということで援助をいたしました。ただ只今御質疑がありましたように、たまたまそのときにおいて金繰りをやつていらつしやるかたのまずさから不渡を出した、従つてその出しました金がほかの取引銀行で、これはもう金融機関の間の特異的な問題もございますが、一応ほかの銀行が手形か何か落すのに使うために補助的に落してしまつたということのまずさを感じ……。私どもは法律的にそういうことはできませんけれども、これは銀行界の道義的な問題でございますので、その交渉を今続けておるわけでございます。これが津上製作所に関する問題。  それから最後の国策パルプの問題、実は私率直に申上げまして新聞を見て驚いたのでございますが、これも大分古い話で二十七年の二月でございます。国策パルプからのお申出は旭川の工場に自家発電四千五百万キロワツトの火力発電を作るのだということの申出でございます。これは大体三億円ぐらいの予算がかかるのでございますが、そのうちの三分の一、一億円見当を融資せんかという会社からのお申出がございまして、私どもとしてはこれを調べまして、御承知のように当時はパルプ業界がどちらかと申しますと、よくなかつたのでございます。それで会社の申出は、実はざつくばらんに申上げますと、そいつを不況を乗切るために積極的に増産をして行きたい、そのためには電力が不足するので、そいつを認めて欲しいというお申出があつたので、金融機関としては考えたけれども、そういう積極策に簡単に同調するわけに行かない、これは増産のためにこの電力を必要とするということであれは必ずしも賛成できない、果して真意はどうであろうかということを私考えましたので、私これは戦前からよく親しくもしておりますので、副社長の水野成夫氏を訪ねまして、どうもこういうお申出は甚だ開発銀行としてもお手伝いも筋が通らないと思うがという質問をしたのであります。恐らくその質問をした経過ですから、いわば木村さんの疑念をお持ちになられるのは審査部内における判定の経過をお取上げになつておるのではないかと思います。それでそのときには水野さんは、やはりそういう細かいことを御存じありませんので、事務当局何を言うかと、そうおつしやいませんが、そういつたような感じで、いや、自分が小林総裁のほうに電話をかけるというような言い方をされたんであります。勿論それでは私どもは腑に落ちませんので、甚だ、そういう言い方は甚だけしからんと思いましたから、これは或いは否定になるのではないかというような気持を私は一時持ちましたが、よくよくそれを調べてみますと、その旭川工場で従来火力発露の自家発を持つておりまする火力は七千五百キロ、而もそれの年間の稼働率は七六・五%という稼働率でございまして、これは玄人のかたならばどなたでもおわかりであろうと思います。火力発電は大体六〇%前後の一年間を通じて稼働になるというのが普通かと思います。従いまして七〇%以上である場合には相当過負荷であるということが言えると思います。従いまして、それを補うのではないだろうかというようなことを、細かくもらつております資料で先ずこれを考え、次に渇水期の場合にはどうなるかと申しますと、勿論その自家発だけで工場運転しているわけではございませんので、買電もございますので、普通の場合には九千五百九十七キロ、これは計算上出て来るのであります。一万キロ近い電力か必要であります。ところがこれが渇水期になりますると、一万八百二十キロワットというようなことが出て参ります。それは渇水期になりますと、割当電力が減つて参ります。そこでここで九千五百九十七キロと七千五百キロでは、その間に二千キロの差がありまするし、結局差引三千三百キロ必要であるという計算が一応出て参りますのに対して、会社の申出が四千五百キロであるから、これはまだ遠いのではないかというふうに考えて参りますると、先ほどちよつと申上げました増産合理化計画をやる、仕事の機械化をする。例えば材木の皮をとる機械、これは材木を人れてごろごろやつて皮を機械的にとるといつたような方法、いわゆる人力でとるよりも、そういうことをやることによつてコストを引下げる方法をとりつつあつた、それらの馬力が三千馬力以上かかる、これを電力に直しますと千八百キロほどになります。従いまして三千三百キロの不足と、千八百キロとを足しますと五千何百キロになるのでございますが、それに対して四千五百キロほどの余熱利用の自家発をやるということであるならば、最初私が極めて荒つぼく考えましたように、会社が増産態勢を整えるためにこれだけ電力の不足だというふうに必ずしもならないのではないかということに気が付いて、向うの会社当局の技術陣と話合をいたしまして、結局会社もそういうことであるのだ、副社長はそういうことを知らんもんだから、そういうような失礼なことを或いは申上げたかも知らんというような話でございました。従いまして約三億の予算のうちを一億足しまして、不況期にありましたところの国策パルプの電力事情を安定ならしめる、それで合理的な、手作業的なものを省くということに使われているということでございますので、当然これは開発銀行として援助して然るべきものだ、而も紙パルプ関係では国策パルプだけではございませんで、何社かに同じようなアイデアで以て融資をいたしております。従いまして或いは水野さんがああいつたかたでございまするから、おれは事務当局の判定なんか得ないで、むしろ小林総裁からじかに借りたというようなことを或いは言われたかも知れん、これは憶測でございますが、そういつたようなことが或いは木村委員のお耳に入つたのではないか、これはまあ臆測でございますから、或いは違つているかも知れません。そのように私は実は感じた次第でございます。従いまして審査当局のきめたものを、開発銀行の重役陣か、総裁がまげて融資をしたということは毛頭ないと、私からはつきり申上げておきます。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 津上製作所については、これは会計検査院が報告をされたので初めて知つたのです。
  49. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 併しそういうことはあり得ませんな。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 併し開発銀行から……。会計検査院は我々に報告したわけです。それまでは我々は知らなかつたわけです。
  51. 中川幸平

    ○中川幸平君 運輸省関係を済ましてくれよ、議題外のことに亘らないで……。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから今答弁がありましたから、答弁に対して間違つているからそれを念を押しているわけでしよう。それはもう会計検査院がこれは警告を発したというのです、これは不当であつたわけですな、会計検査院の……。
  53. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 私の承知いたしておりまする限りは、会計検査院から質問書が来た、それに対して開発銀行としてはこれこれこうであつをいうことで御回答を申上げて、それで了承されているはずでございますから、会計検査院が議会でそういうふうにおつしやられること自身にも私どもとしては非常に腑に落ちないものがございまするし、まあ水野副社長が開銀総裁にじかに話をしてきまつたというようなことは根も葉もないことでございまするから、若しそういうことを会計検査院がおつしやつたとすれば、これは私一遍伺つてみたいとさえ思つているくらいでございます。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国策パルプのことについては会計検査院の報告ではないんです。私が人手したことです。それはですよ、あなたはここでそういう御答弁をなされなければならんでしようが、開発銀行にはその当時の調査報告書があるはずです。
  55. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) ございます。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですからそれがあなたがそういうことを言われるのならば、若しお差支えなければそれを見せて下さい。
  57. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 銀行にお見え下さればいつでもお見せいたします。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それがはつきりすれば疑念を解くでしよう。併し津上製作所も速記を見ればわかるのです。あなたが今ここでそうでないと言われても、会計検査院がそう言われたから私は質問しているのであつて、根拠のないことで質問しているのじやないのです。これは速記を調べてから、あなたも速記をお調べになつて抗議を申込むのならば申込むがいいでしよう。
  59. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それに関連してお伺いしますが、津上製作所は優秀なメーカーであるというようないろいろな話があるのですが、お宅のほうでお出しになつて直ちに不渡手形を出すというようなことはやはり我々としては、例えばあすこの会社の重要な地位を占めている人は岸信介さん、参議院にもいる、そういうことがやはり我々としては……、福永さんは御存じのように全国でも有数な選挙資金を使つて選挙の責任者ももう自殺までした。数百万ではない、もう一千万以上選挙資金が流されておるということは周知の事実だ。そういうことと関連のある有力なまあ重要な地位についておられるような人が顧問になつたり、重役になつたりすると、そういう融資がされるのではないかというようなことを思われても仕方がないようなことになつたりするので、まあ御答弁は求めませんが、一つそういう点は十分審査して頂きたいと思います。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実はそういう衆議院の人、参議院の議員の人が重役なり或いは顧問になつたので、それで今までの、これは危険だというので、融資を変えたというので金繰りが非常に窮屈になつたと見ておるのです。ですからもつとそれを事情をよくお調べになつて見て下さい。我々もこれについてはいろいろ聞いているわけです。そんな簡単なものじやないのです。不渡を出すということは今あなたが言われたようにそんな簡単なものじやないのですが、もつと事情をよく調べて、開銀が回収不能にならないように、国民の税金ですから、その点さえはつきりすればいいのです。我々はただ興味を持つてこういうことを伺つているのじやないのです。国民の税金であるから間違いないようにと、そういう意味質問しているのであつて、若しそれが間違いなければそれでいいのです。そういう点で御質問しているのですから、その点は履き違えないで下さい。何かただ徒らに質問をして時間をあれして……、そんなものじやないのです。国民の税金です。殊にこういう汚職が起つているから、実際こういうときに戒心しなければいけないのであつて、いい機会なんです。こういう機会でないとなかなかこういうことが問題にできないのです。その点は十分誤解のないように理解されて今後聞違いないように善処して頂きたい。こういうことを申しておきます。
  61. 小林中

    参考人小林中君) 只今木村さんからの御発言は誠に御尤もだと存じまして、津上製作所その他に対しても、私どもの研究の足らんところは十分これからは研究いたしたいと思います。そうして債権保全には全力を尽したいと考えております。又今後もお説の通り、そういう意味開銀融資ということは十分に調査の上でやつて参りたいと考えております。
  62. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 小林総裁に、この政治と財界との関連について少し希望なり、お伺いなりいたしたいと思います。私は今のように選挙のたびたびあるときに、財界があれほど政治に容喙すると言つては何ですが、そういうことは一つ身を滅ぼすものじやないかということを一つ考えるわけなんで、小林総裁経済界に重要な地位を占めておられますので、希望なり、意見なり申上げて心境を承わりたいのですが、今は亡くなりましたイギリスのラスキーがデモクラシー・イン・クライシス、危機におけるデモクラシーという、その本に政治家、ステイツマンと実業家との限界の問題を取扱つて、私非常に参考になると思うのですが、実業家というものは何と言つてもその株券を買つた株主に対して堅実な経営をしてできるだけ配当をする。これがもう何と言つても身に付いた習性だと言うのです。ところが政治家というものは保守であろうが、革新であろうが、全体の国民を幸福にする、すべてですね、そういうことをやるもので、必ずそういう場合にアームストロングとか、ビッカースとかいうような有名な軍需会社等の成功した人が内閣に入つた際、公私を混同して必ず政治家としては失敗しておる。限界を守らんといけないということを言つているのですが、最近の経団連等の立場を見ますると、まあ政治家が再三選挙がありまして、金が要るというようなことがあつて、実は財界の扶養家族ようなことに政治がなつている。私はこれは非常に日本の将来について憂慮すべき問題ではないかというふうに考えるわけなんで、そして又実業界業界におきましても、むしろ国家の補助金等をとつて、そしてそういうことで安易な経営をやる。企業経営の合理化はできない。私証券会社十数社に行きまして造船会社の交際費を全部調べて見ました。例えば問題になつている飯野海運なんかは一億円の交際費を使つております。これはもうあちこちに隠して隠し切れないはつきりして出た交際費だけで一億なんです。そして日立と播磨造船でリベート二億、三億の金が、一年間に四億幾らの利子補給を受けて、殆んど大半というものがそんなところにロスになつたりして政治との結付きがあるというようなことで……、又或る調査では、大蔵省の調査では、法人は八百億くらいな交際費を使つておるだろう、又遊興飲食税から逆算しましても千五百億くらいないわゆる遊興というものがなされて厖大な富のロスがあるわけなんで、そういうものがすつかり企業経営の合理化等に流れて行かんと、とてもこの国際競争に耐えられない。そういうことが財界が政治家を支配して、補助金等をとることによつて安易な経営をやるというようなことになつて、政治と経済との混同、経済の政治支配というようなことが私今日のこの汚職を起した大きな元ではないかと思うので、そこに一線をはつきり画しておくことが必要ではないかと思うのですが、そういうことについて特にこの造船疑獄をめぐつて何か財界としても考えてみるべきではないかと思うのですが、そういうことについてどういう考えをお持ちですか。
  63. 小林中

    参考人小林中君) 只今の御意見は誠に御尤もな点が多々あると考えられます。私どもは従来事業家というものは一体政府に頼るということは考えるべきではないのだ。併しながら日本においては御承知通り大戦争当時から、あの当時におきましては、むしろサーベルに頼つて事業を経営していたというふうな傾向がありました。事業そのものを真剣に経営をするよりはむしろサーベルに頼るほうが安易だ、そうして効果的だというふうな風潮が大分あつたのでありまして、それが終戦後におきましてもそういう風潮が消え去らないで、ややもすれば事業家が政府に頼りまして、その事業の経営をして行こうというふうな気持のあることは私どもは非常に困つたことだと年来考えておるのでありまして、事業家は政府とか或いは政党とかというものから全然離れた、事業家として毅然として立つて、そうして主張すべき点は堂々と主張すべきだ、こういうふうに私ども考えておりますし、機会がある場合にはそういうことも言つてもおりますのですが、今後とも日本の実業家というものは、そういう方向により以上強く進んで参るべきだと思いますし、又参ることを私どもは衷心から希望をいたしておるのであります。
  64. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後にちよつと……、開発銀行に猶予期問というものがありますか。それは具体的に申上げますと、船会社が返済できないときに期間を猶予してやる。市中銀行なんかには内々に、表面にはなくてもある。開銀にはそういうのがございますか。
  65. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 一般に融資いたします場合、私どもは設備資金を大抵融資いたします。従いまして原則としてその設備ができ上つて、その部分についての収益が上るようになつてから金をとろうというような方法、これは長期金融のいわば常道でございますので、そういう方法をとつております。即ち半年、一年といつたような猶予期間をおくことがございます。それから先ほどの津上製作所の件でございますが、担保をとつてございまするが、機械工場の担保と申しますのは相当立派な工作機械を並べてございます。従いまして担保力という点から申しますれば、国民の血税に一文も損害をかけないということは断言できると思います。念のため申上げておきます。
  66. 高木正夫

    ○高木正夫君 運輸大臣に一言だけお尋ねを申上げたいと思うのですが、それには石油問題、石油の税金の問題とそれから量の問題についてでありますが、これは直接の御担当じやないかも知れませんが、輸送界に及ぼす影響が非常に重大だと思いますので、一応お尋ね申上げたいと思うのです。この前に運輸委員会で、我が国の陸上輸送におきまして鉄道軌道と、それからそのほかの道路運送と申しますか、そういう運送について重点を置いてやるかという御質問を申上げたところが、運輸大臣に大いにこれから道路運送には力を入れて行くのだというお答えを頂きまして、誠に意を強うしたわけでございますが、然るに今回自動車に関する税金、自動車税も上げますし、それから物品税も上げるし、特に最も多く費用のかかるところのガソリン税を約一割、八分ぐらい上げることに法律はなつているわけでございます。而も外貨予算、その関係におきましてこれを大分規制をしている。まあ通産大臣は二十七年度ぐらいというようなことを言われておりましたが、運輸委員会で担当者に聞きますと、二十八年度ぐらいのことを言われておりまするが、いずれにしましても、それを規制するということらしい様相を呈している。そうしますと、ガソリンの値段というものがおのずから上つて来る。統制をやるか。行政措置でやられるかどうか知りませんが、そういうことだけではガソリンの値段というものを抑制することはできない。実際上の実情からいたしまして……。そうすると、自動車の数が今度外国車は殆んど入りませんが、それでなくても自動車の数が殖えて行くし、現在の自動車の数も相当たくさんある。これを殖やすことを抑制するということも私はできないだろうと思いますが、自然自動車が殖えるということ、そうしてガソリンがだんだん減つて来る、そうなると上下で必ずガソリンが上つて来る。そうすると、このしわ寄せがどこに行くかということを考えなければならんと思いますが、トラック業者のごときは認可料金で運賃が抑えられている。そうすると、トラック業者は今度は恐らく音を上げてしまう。現在もうすでに不渡りがたくさん出ている。殆んど倒産に近いものが相当たくさんある。これは自動車局長もよく御認識頂いていると思うのです。とても大変な問題なんです。そうかと言つて今度認可料金を上げるということになりますと、それが一般大衆に非常に大きな負担をかけることになる。今日国有鉄道の運賃を一割上げるということになりますると、これは社会の大問題になると思うのですが、ところが鉄道よりも多くの貨物を運んでいる、丁度二倍半ぐらいの貨物を運んでいる、その運賃が一割も二割も上る。恐らく二割以上上るであろう、実績においては……。そうなつて来ると、これは国民全体に及ぼす影響というのは非常に大きい。現政府は低物価政策を唱えておられるようですが、まるで逆な方向に行くのじやないか。如何に金融引締め、財政面で引締めてもそういう一方において物価が上るようなことは、これは国策から考えても矛盾だと思います。だからこの際はどうしても最も重大な影響がある石油類、これは私は輸送界のことだけを申上げましたが、そのほかの労力資源として各工場に使われることも考えまして、これはとるべき策じやないというふうに私は考えるのであります。少くとも相当数量だけは入れて行かんと、政府の国策にも反するというようにも考えるのでありまして、これは運輸大臣にお尋ねするのはどうかと思いまするが、自動車その他の輸送の関係におきまして、主管大臣としてのやはりお立場もあろうと思いますので、一応参考までに御意見を承わつておきたいと思います。閣内で如何に努力を願つているかということだけで結構であります。
  67. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 外貨が非常に窮屈になつて来たのは御承知通りでございまして、それから関連いたしまして、日本経済全般の上から緊縮方針をとるということになつておりますものでありまするから、どうしても各輸入品につきまして制限をしなければ、このまま野方図にやつておいてはどうにもならんというような立場にありますので、石油にいたしましても放りぱなしで、丁度今まで自動車が増し、その他のものが増して、石油の輸入が増して来ている場合におきまして、相当大きな量を入れなくらやならんことになるのでございます。これではとても外貨予算というものがとれないものでございまするから、何とか制限をしなくちやならない。その一部分がやはり石油にも及んで来るわけでございます。二十八年度に実際上使われまする量よりは多少増す案にはなつておるのでございます。まだ通産省と運輸省との輸入の数量につきましての見方が少し違つております。これらにつきまして昨日の経済閣僚の懇談会では、ただ説明をお互いにし合つただけでございまして、これから幹事会を開き、実際上の必要量から述べ合い、全体的に見まして、この月内には必らずきめたいという状態でございまするが、まだ石油がどこまで制限されるかということはきまらないのでございますが、自然のままに伸びるだけ伸ばすという形を、いずれにしてもとれないのであります。とれないとすると、どういうことをしなくちやならんか、極端に進んで行きますと、又配給統制みたいなことまで考えてみなくちやならないようなことも、或る時期には来るかもわからない。只今のところ来年度においては私どもはそういうことは考える必要はない。そのほかの方法でやり得る。行政措置でできるだけ無駄な消費をしないようにいろいろ指導すべきじやないかということ等の話合をだんだんいたしておるわけであります。税のほうは誠に昨年上つて又上るのでございまして、私どもはこれは何とかして、それほどまで持つて行かんようにしてもらいたいと思うて、いろいろ何度も何度も話合をいたしたのでございますが、どうしてもそういうわけに行かないという方向に進みまして、漸くにいたしまして原案よりは幾らか下げてもらつたということ以上にはできないで、甚だ残念でございましたが、まあそういう経過でございました。石油の問題はなおこれからいろいろ折衝いたしますが、全体の計画範囲において許されるだけの量を成るべく多く確保したい、こういうように思います。
  68. 高木正夫

    ○高木正夫君 これは政府根本政策にも触れて来る問題でもありますので、運輸大臣にお尋ねしてもどうかと思いますが、ただ若しそういうことで自動車税なり、それから又ガソリン税がそういうように増徴されて行くということになつて業者が立ち行かんような場合には、運輸省としては認可料金を改訂する御意思がありますか、どうですか、参考に承わつておきたいと思います。
  69. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今すぐに運賃のほうへ、この石油がこれだけ上つたということ等で、或いは税金が上つたという点で、すぐに料金を上げるということは只今のところは考えておりません。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……。今のガソリン税のことですが、運輸省はどいう根拠で大蔵省と折衝されたのか、それを伺いたいのです。今度の税率引上によりますと、各業界が発表した需要見込量から行くと、税収は三百億超えるんですよ、今度引上げますと……。ところが予には二百三十七億なんです。ですからそれは非常な自然増収が出て来るんです、あれから行きますと……。それなら上げる必要はないんです。財源を確保するといつても、二百三十七億確保するためにはそんなに税率を上げる必要はないんで、非常な自然増収になる、三百億超えるんですよ。ですからそういう財源確保のためにガソリン税を上げるというならばですよ、そんなに上げる必要はないのですよ。ですからどういう根拠で、今運輸大臣お話を聞きますと、ガソリン税を余り上げたくないという見地から折衝されておるように言われますが、それならば計数を示して大蔵省とも折衝すれば……、こんなに上げたんでは自然増収が非常に多くて、必要以上に税金を取るということになるんです。この点どういうふうになつておりますか。
  71. 中村豊

    政府委員(中村豊君) ガソリン税の税収の見込みについての御質問でございますが、これは大蔵省の大体の見込みは、本年度の実績というものを基礎にして算定しておるわけでございますので、お話のごとく来年度がそれ以上の消費量になれば当然実収は上るわけでございます。そういう点はまだペンディングになつておるのでございまして、法律上は道路整備に充てる費用はガソリン税で以て上つた額そのものということになつておりますから、額が違つて参りますれば当然純正予算その他で追加されるものと、かように思つております。差当りは今年度の実績を基礎にして算定したんだと思います。
  72. 高木正夫

    ○高木正夫君 二十八年度の実績ということになると、大体私の調査したところによると、二百十八万八千キロリツターぐらいになるわけです。そうすると、計算してみると現行の一キロ一万一千円でやつてみると政府の道路整備費に充てるところの二百三十七億六千七百万円ですか、その数字に殆んど、僅か一億違いくらいのところでマッチするわけです。何にも税金を上げる必要はそこにないと思うのです。何を業者を苦しめて税金をそこまで上げなくちやならんかという問題が起つて来る。本年の実績で以て、現行の税率で以て丁度政府予算にマッチするわけなんです。それ以上に何故税金を上げなければならんかという問題が起つて来る。
  73. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 先ほど申しましたように、本年度の実績を基礎にして、大蔵省としては税収見込を立てておるわけでございます。その点について我々も争つたわけでありますが、一応堅いところを押えてそれだけ見込む、二十九年度の石油は先ほどお話もありましたように、まだ閣僚審議会でもきまつてないわけなのでございますので、特に当時税収見込をされた頃には全然予測も付かなかつたからということで、そういうことになつておるわけでございますが、当然実収が上つてくれば法律によつてこれは追加されるべきものと私は思つております。
  74. 高木正夫

    ○高木正夫君 中村さんね。今の話十分呑み込んで頂いていないらしい。本年の実績によつても税金は今のままで据置いて、丁度政府の道路整備に要する三百三十七億というものが出て来る。だから税金を上げる必要がないじやないかと私は言うのです。
  75. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 額についてはそういうふうに問題はございますが、税金を上げなくて済むのじやないかという問題よりも、税金を上げるべきでないということは十分交渉したのではありますけれども、とにかく道路整備にできるだけの財源を獲得したい。国家財政の現状から、できるだけ何か税収を上げて道路整備の財源を殖やしたいという非常に強い希望がありまして、これは閣内のみならず、政党関係もいろいろ非常に強い御意向があつて、大蔵省としては運輸省の意向にもかかわらず、ああいうふうな案を出しているわけでございますので、それについては我々としては、できるだけ上つた税金というものは全部道路整備に充当して、一日も早く道路の整備改良、充実を図つてもらいたい。そうなればそれが自動車関係に直接還元して来るのであるという意味で了解しているわけでございます。
  76. 高木正夫

    ○高木正夫君 自動車がだんだん殖えて参りまして、国産なんかも随分殖えて参つておりますから、ガソリンの量はこのままで行けば殖えるにきまつております。本年度の実績で押えても、これは何遍も繰返すようですが、現在の収入で、道路整備に充てる二百三十七億予算に計上されているものが、それが賄い得るわけです、丁度……。ところで大蔵大臣は補正予算はもう絶対今年はやらんというのです。だからどんどんその収入が殖えて参つて税収入が非常に殖えて来る、その植えただけ道路整備に全部充てて行くということであればこれは納得する。業者が何と言おうと、これは道路を整備する、舗装道路には約五割、建設省では八割くらいロスが省けるというのです。そういう大局的な見地から立てば、道路に全部廻してもらえばそれは私は我慢しようもあると思う。それでも今日は税金が上つたら、それこそ業者は音をあげる。これはあなた方が一番よくわかつていると思う。もう今日トラック業者は利益が少ない。非常に経営に喘いでいるわけです。而も補正予算を組まないというと、それはどこに持つて行くのか、こういう矛盾した問題が起つて来るわけなんです。だから私はどうしてもこのガソリン税というものはこのままで据置いてもらうよりほか方法がないんじやないか。それで又立派に予算も通つて行くんです。
  77. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 先ほどの数字の問題についてもう一言御説明申上げておきますと、たしか大蔵省が一キロリッター三万三千円という新らしい税額で税収見込を組んだときの二十八年度のガソリン消費量は百八十五万キロリッターくらいだつたと思うのです。それを税収見込として組むのは去年の七、八月頃からのことでございますので、当時としてはそのくらいで収まる。とてもこれだけの二百万も越すようなガソリン消費量にならないだろうということであつたと思うのです。それが税の最初でございます。従いましてそれが今年は二百万を越す、来年度は二百三、四十万も要るのだということを今交渉しているわけでございますので、そういうことにきまれば、これは税収見込というものは狂つて来るわけでございますから、その上では我々としては追加予算、補正予算でございますか、そういう時期には是非要求しなければいかんと思つているわけでございます。
  78. 高木正夫

    ○高木正夫君 補正予算は大蔵大臣は今年はやらんというのです。それから又需要量に対しましても百八十五万キロリッター、こういつてつたのが、この間私がお尋ねすると、大蔵省のほうでは二百万も上つて来ている、さつぱり方針がない。実に杜撰な査定だと私は思う。一つよろしくお願い申上げます。あなたのほうを責めてもいかんので、大蔵省のほうの問題だと思いますが。
  79. 森八三一

    主査(森八三一君) この運輸省関係についてはいろいろ御質疑もたくさんおありになると思いますが、すでに時間も十三時でありますし……。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いや、それは駄目です。まだやつていない。隣りの分科会なんかは農林関係を全然やらずに今日に持越してやつていますよ。私はあえて引張るようなことはしませんから、ここで打切るということは駄目です。
  81. 森八三一

    主査(森八三一君) 午後の日程もありますけれども運輸省関係の質疑につきまして、更に継続いたしまするか、この程度で打切りますか、御意見を伺いたいと思うのですが、継続してやるといたしますれば、もう時間が時間ですから一応休憩すべきである、こう思いますが……。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  82. 森八三一

    主査(森八三一君) 速記を始めて。それでは午前中の審査は一応これで休憩にいたしまして午後は二時から再開いたします。只今お話関係者は御出席をお願いいたします。暫時休憩いたします。    午後零時五十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十五分開会
  83. 森八三一

    主査(森八三一君) 休憩前に引続きまして会議を再開いたします。  午前中の運輸省予算に関する質疑の継続でございます。只今運輸省関係から出席されておりまするのは、運輸大臣海運局長、航空局長であります。質疑のお方は順次御発言を頂きます。
  84. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 こういうことはどうも質問しにくいのですが、運輸大臣の一身上のことについて中曽根君がああいう御発言をしまして、政治家としては、運輸大臣としては極めて重大な致命的とも言つてもいい問題だと思うのですが、どうして党はああいう立場をとつたか、そのときになぜ中曽根君の発言が真実でないという点について斗われなんだかという点について運輸大臣の心境をお伺いしたいと思います。
  85. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 中曽根君の発言に対しましては、私誠に無念の極みでございまして、その点を発言を求めまして、絶対にそういうことはないということを言うたのであります。その心境は一つ変つておりません。これに対しまして、党のほうから懲罰の動議が提出されておるということを了承しておつて、党が善処してくれることを期待しておつたわけでございます。一昨日でありましたか、これが党のほうで取下げるということにきまつたということでございます。私としては甚だ遺憾なことでありまするが、党においてきめました方針に私としてはそのまま了承をいたしたわけでございます。  附加えて申上げますが、そのことは懲罰は中曽根発言そのものに対する懲罰でありまして、私ども身上に対する、それが引下つたからといつて、私がそれを是認したものではないことは勿論のことでありまして、私の心持といたしましては絶対に申上げました中曽根発言のときの取消と同じ状態でございます。いずれいろいろな方面で取調べが済みますれば、私の身上がどんなにそういう問題に全然引つかかりがないということをはつきりされることを期待いたしております。
  86. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 運輸省がまあ最近、満身創痍の状態、誰か言つていましたが海行かば造船疑獄、地下行かば地下鉄疑獄、空行かば日航疑獄、陸行かは外郭団体、殆んどすべての疑獄というものが運輸省に集中しているわけなんです。私案は運輸省について自動車の免許について一年半運輸省と接触しまして、これは起るべくして起きたということを考えているわけなんです。幸い私は宴会を一遍もやらず、賄賂も贈らず、一年六カ月の苦闘の末、免許路線について大体まあ七分通りの目的を達したわけなんです。その際私が知りましたのは、極めて石井大臣に対しては失礼ですが、気の弱い、この良心的なと言いますか、そういう立場では運輸省は私は手に負えないものになつているということをは思つているわけなんです。  これは運輸省大臣に次ぐ重要な地位の人のところに、造船利子補給が通つたあとに私は自動車の免許の問題で行つてつたんです。その際に今問題を起したようなこういう海運業者利子補給の恩典にあずかる諸君が牛島次官のところに来て、私が行つて話をしておるのを軽くあしらつて、そしてさあどうぞと言つて海運業者利子補給法案が通つたお礼に来て、そこで私がここで言うことを憚かるようなことを、今晩手はあかないでしようかというようなことをそのときに言つて、私は忍びがたいのを忍んで、必ずこれは問題を起すということを見ておつたんです。そういう利子補給の恩典にあずかる諸君に対しては長時間を与えて、そして我々に対しては軽くあしらつておる。更に私は或る人の応援演説に海運局があるところに行きました。そしてかなりの旅館に泊つて、今県庁の役人なんかが宴会に来るかという質問をいたしましたところが、いや県庁はさつぱり来ないが、海運局は大変なお客さんですということを、どこの海運局とは申しませんが、昨年の夏です。もうそういうふうな状態で、私はまあ気が弱いと言つては大変失礼ですか、そういう石井大臣では手に負えない。これはよほどな勇断を以て外郭団体の整理から一切やられんと、私はとても石井さんが満身創痍になられてもこれは手に負えないものだ。運輸大臣とされて、この問題についてどういうふうに疑惑を解いて国鉄としての使命を果されるようにされるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  87. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 運輸省の上に黒雲が渦巻いておるような状態でありますことは、誠に仰せの通りで非常に残念の極みでございます。いろいろな問題か次から次にと起つております。これに対しまして私の持つておりまする今の心持は、これ一つ一つ取上げまして、そうしてきれいな形のところへ持つて行くということが何をおいても一番大事な問題だ、まあそういうふうに思うております。省内の粛正も当然やらなければなりません。外郭団体につきましても改つた形に持つて行くようにこの際思い切つたいろいろな、人の問題等についても考慮しなければならないということを痛切に感じております。そういうことをやつて行くことが私の今の重大なる責任だと考えております。
  88. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はこれは別な機会予算委員会分科会でなしに総理等に聞いてみたいと思うのですが、三権分立の、立法、司法、行政の三つのけじめがつかないところが一つの大きな造船疑獄の起きた根本ではないかと思つているわけなんです。一旦国会できまつた問題が石井大臣を長とする行政府にその割当を任されておるのに、それに対して、その出身の曾つて大臣であるとか、或いは他の省の大臣であるとか、政党であるとかいうような立法関係がそれに圧力を加えて、そうしてその割当の決定まで長いこと期間がかかつて、そうしてその間に何とかして割込みたいというようなことで、まあ実弾が撃たれるというようなことになつて、立法と司法と行政のこの三権分立のけじめがつかないというようなことが私は大きな原因で、それを石井大臣が党内のいろんな関係もあると思うが、はねつけて、そうして行政府の長官として勇断を以てこの純粋な技術的立場から決定したものをやられなかつたというところに、いろんな党人なり、業界なりが介在して問題が起きたではないか、私はこういうふうに見ておるのですが、その点が私は石井さんの性格の弱さといいますか、躊躇逡巡されるというか、党内の立場といいますか、そういうもののために決断を以てやられなかつたというところに、私は問題が伏在しているのではないかというふうに見るのですが如何ですか。
  89. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それはあなたの一つのこうもあろうかという御観察だと思いますが、それは私の言つた方法とは大分違いがあります。今度の第九次の造船に当りましては、先頃も委員会で申上げましたように、なかなかいろいろ問題が起る虞れがあるぞという注意も受けておりましたし、私はこの第九次の造船というものについてはもう誰が見ても、もう批評はいろいろな立場からできるでありましようが、先ずこれならば誰が見ても一応納得ができるという線をどうしても出さなくちやならない。それにはいろいろなことを聞いておつてはとてもできるわけのものじやないはずのものでございます。私のほうとしては航路関係その他いろいろな点から、事務的にいろいろだんだん積上げて、それから開発銀行は開発銀行としての立場において、そういう担保力その他経済、経営の面から積上げて行つて、そうしてこれの資料を持ち寄つて話合いの結果でき上つたものでありまして、私は党の圧力或いは人の圧力か介在するというようなことはなかつたということを確信いたしておるものでございます。
  90. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は石井大臣の言にもかかわらず、それならばお伺いしますが、第十六国会における造船のこの十三億という当初の予算が一体誰によつて組まれたか、私は石井大臣以外の人で計画されて、そうして岡田君のところに持込まれている、こういう、ふうに見ているわけですか、それについて如何ですか。
  91. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 十三億というのはどれでしようか。最初の予算ですか。
  92. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 十三億という、十算が組まれて、予算に計上されて、そうしてそれが百六十七億に修正せられ、当初に組まれて出たやつが修正された過程というようなものに石井大臣は余り関係していなかつたようですが……。
  93. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 第一回目のは勿論私らのほうで組んだに違いないのでございます。それから三党協定によつて話のできておるものは、三党協定の線に副つて我々のほうの自由党において組んだものであります。
  94. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 造船予算が最初に十三億に組まれた経緯、並びにそれが百六十七億に修正されて、一体どういう人かその折衝に当つて、ああいうものを育て上げたか、そういうことをはつきりしてもらえれば、石井大臣が、恐縮ですが、つんぼ桟敷におられたということ、だから私も実際百万円もらわれたというのはびつくりしたのですが、行くはずがない。実際この造船予算を組む実権というものは遥か別なところにあると私は、誠に恐縮ですが、見ているのです。あんたは事務的にあの予算を組む際に、改進党と自由党、その他の人と折衝したはずです。どういう人とやりましたか、その関係をはつきり伺いたい。
  95. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 当初の十三億の利子補給予算ですが、これは二十八年の法律第一号によりまして、船舶建造融資利子補給法というのが成立いたしました。これは私ども運輸省が大蔵省と折衝の結果、市中の一般金利と七分五厘の差額、約三分八厘を補給するというものでございまして、その適用船舶は二十八年度の建造計画中の残つてつた五万トンと、それから九次の前期五万トン、合せて十万トンですが、これの分であつたかと存じます。或いは多少間違いがあるとも思いますが、これが今後におきまして、只今大臣からお話がありましたように、三党協定で市中融資に対して六分の利子補給をする、開銀金利は三分五厘になるように一分五厘の利子補給をするということに相成つたのでございますが。この間において私がどういうところに折衝したかということでございますが、これは衆議院予算総会でございましたか、私がいろいろな動きをし、或いは運輸委員会でチャンスを狙つてつた、こういうことをしやべつてつてけしからんじやないかという御質疑があつたようでございますが、実は私ども市中融資に対して三分八厘の利子補給をするという助成制度を考えましたのは、昭和二十七年の上期における海運事業を標準にして考えたのです。ところが二十七年の下期になりますと海運事業が更に非常に悪くなつた。その当時におきましてすでにその三分八厘程度利子補給では追いつかない、こういうふうに考えられたのでございますが、すでに大蔵省との間にそういう話ができておりましたので、ともかくそういう案で進もうということに相成つたのであります。従いまして二十八年度予算が流れまして、更にその二十八年度予算が六月でしたかの国会に再提出されたのですが、私どもは、若し最初に組まれた、二十八年度予算が当初政府の立てた原案を更に政府側で変更をされるならば、そのときに一つども考えを織込んでもらいたいというので大蔵省にも折衝をしておつたわけであります。そういう意味において私はチャンスを狙つてつたということを申上げたのでございまして、大蔵省の事務当局にはすでに決定した三分八厘の利子補給では足りない。少くとも市中金利は五分、開銀のほうもできれば三分五厘、或いは止むを得なければ五分程度というふうなところまで持つて行かないと、日本海運というものは成立たないということを大蔵省のほうに、まあ何というか、出かけて、大蔵省の中堅課長、或いは局長の方々にも二回か或いは三回にもなりますか、次官室或いは大蔵大臣官邸にお集りを願つて説明したことがございます。これは政府部内の折衝です。  それから党のほうへどういうふうにしたかと申しますと、これはですね、私どもは自由党の政調会或いは改進党の政調会から運輸省考えはどうか、こういう御質問があつて一つ運輸省の考を党のほうへ出て来て説明するように、こういうふうな御要求がございまして、我々は資料を持つて御説明に出かけたというのが経過でございまして、特に上から政治的な我々役人が動きをするというふうな行動をした覚えはないと私は考えております。
  96. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は海運局長や石井大臣が特別やられたとは、私の少い接触から見ても思つていない。むしろあなたはそういうふうな十三億から百六十七億に修正して、こういうふうにすれればどうなるかという計数上の作業をやられたくらいだと私は思つているのです。俣野氏が逮捕されたことか大きな意味を持つておるのは、山下汽船や、名村にしても、割当ての面で金品を贈つているのですから、それがわかつても政治献金であるというようなこと、職務に関するものでないというので、斡旋収賄罪がないから、今の刑法上の何は成立たない。併しこの俣野のは十三億から百六十七億に増額修正され、国会の議決に関する問題ですから、これに参加して、そうして金品の授受があれば、この立法の成立過程に関係しておるわけですから、俣野の逮捕がセンセーシヨンを起す、こういうのがまあそこにあるわけなんです。そこで私はやつぱり裏面でも聞いておりますが、私の聞いた限りでは、この十三億というものが最初に組まれたのは、俣野と佐藤幹事長と池田あたりの人かこの案を組んで、そうして造船工業会、船主協会等に働きかけて、野党の冷飯で長く野党疲れかしておる改進党に集中的に働きかけて、そうして百六十七億にさせている。こういうことをいろいろあちこちで探つてみて知つているのです。それから私先般国会図書館にある全部の新聞を検討いたしまして、十三億から百六十七億に修正される当時の造船利子補給予算折衝に当つた人が全部はつきりわかつたわけなんです。これは新聞にはつきり出て、誰と誰と誰が造船利子補給のこの修正案に参加したか、ところがその際の政治献金と殆んど一致している。これはもう法案成立に関する、職務に関する重大な問題になるのです。そこで私は先にも言いましたように、石井さんか余りこれに関係なさ過ぎる。そんなものを容喙させずに、行政府の長官として、他のものの意見は無関係で聞いておられれば、これはこうでもなかつた。何といつてもあのときの予算折衝をしたのは、参議院に出て説明もいたしましたし、自由党では水田三喜男君、改進党では有田喜一氏と、河本敏夫氏こういう人が前面に出て予算の折衝をやつて百六十七億にきめておる。そしてその背後にはあなたが言われるように、政調会の池田、そのそばには西村直己、小峰、倉石、小沢というようなのがいる。改進党では有田喜一のそばに、荒木、川崎、床次、三浦というような関係がずつと積上つて、この修正案というものはできている。そして私が丁度七月三十一日の予算の採決が済んで、神戸に行きましたところが、神戸新聞にはこの予算の中心であつた河本氏は、非常に財政的によくなつて、三光汽船は党内で比重が甚だ高まつた。彼は芦田直系たがそのために戸田氏の資金綱もできているというようなことがはつきり書かれている、そういうふうにして積上つてできている、こういう点で折衝過程で増額修正されるときに、石油大臣が余り関係されていなかつたと、私はそういうところにやはりこの立法と司法行政とのけじめのつかないところに問題が起きているのではないかというふうに考えるわけなんです。如何でしよう。
  97. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 三党協定によつて方針がきまつたのでありますが、それは三党の協定のいわゆる立法部の人たちの間で話を進められたわけでございます。そしてそれに政府としても、賛成することになつて、それが議会を通つたわけであります。それから先のことは、私どもはこれをきらんと利子補給なりを問違いなくやるというのが、私どものほうの仕事になるわけでございますが、この立法の途中において、立法部にあります途中におきまして、三党協定によつて変更されたというとまでは、これは立法部がやつたことでございまして、それを私どもとしては、さつき岡田君が言いましたように、取りあえずあれは出しておつたが、もう少し何とかなれば結構だという、気持かあつたものでありますから、この線が出まして、三党協定、それから議会のほうの了承を得ますれば、私ども賛成だということで、やつたわけでございまして、これは必ずしも、三権のけじめがつかんというほどの問題ではないように思いますが、如何でしようか。私はそう思うわけです。
  98. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はやはり石井さんおやめになつたほうがいいと思います。とてもあなたの手に負えないと思います。運輸省というところは、それは……。それならはつきり申上げますが、私はバス問題で一年六カ月運輸省に日参したんです。宴会を一遍もやらずに、金品の授受をやらずに、正攻法一本で一年六カ月かかつて精根尽きたわけですが、その際にやはり行政府の長官として、石井さんよりもつと力を持つているものが外におる。これは具体的に名は挙げませんが、そういうことか私はこの人は必ず造船疑獄に対しても捜査線上に浮んで来ると睨んでいるのです。それほど力を持つておる。そういう人がおつて、その人が自由党内において、なかなか一大臣以上の力をもつていて、石井大臣遠慮されなければならんと思う。そこらにこういう問題の起きるやはりまあ党内のいろいろな複雑な事情があると思いますが、そういうことが私は起きておる因だと思う、如何でしよう。体験に鑑み……。
  99. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) あなたは自身お当りになつた問題についておつしやるのですが、お当りになつた問題につていは、少くももつと早くきまつてもいい線が、初めから出ておつたのであります。ただ私どもは地方のいろいろな問題の場合に、これは又あなたがたから言われると、右顧左眄するからだとお叱りを受けるかわかりませんが、なるべく円満な解決ができるものなら解決したほうかよろしい。喧嘩をして解決をするような形になれば、同じところでそれ一本にそれを許可する許可せんというようなことは、中央で紙の上に判をつけばいいだけのことでありますが、地方で実際に仕事をする人たちの間に、円満なる解決のほうか、まあ円満完全とまでは行かんでも、まあまあ仕方がないという、了承する程度に行けば、これから先、年中顔を合せる上においてもいやな思をせずにすむじやないかということが、私は地方のそういう問題のときには、いつでもそう考えておる。政治だけでなく、経済の問題でも相互の理解ということが一番いいということを言うわけであります。これは非常にはつきりものをきめて行くべきだということを、非常に強く考えられる方からすると、如何にも優柔不断でありましよう。併しそれは暫くの間のことで、大変な大きな損害ということにならないような問題でありますので、成るべく了解を得てということで、まああの問題とか何とかいう抽象的なことを言つてはおかしいのですが、あの現実に向われました問題としては、非常に早くきめていい問題がそういう了解をできるだけこれは……。そのほうがきまつてからでも都合がよいというふうに私は思つたわけでございます。
  100. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 運輸省のことをやれば、何日やつてもきりがないほど資料を持つておりますが、外郭団体を根本的に整理をする。これがやはり運輸省と運輸官僚と業界とを繋ぐポンプのような役割を果しているのですか、これがいわゆるいろいろ問題を起こすのですが、これを一つもう整理してはどうですか。
  101. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 外郭団体といいましてもさまざまいろいろ、広い、たくさんあるようでございます。その中に整理し得るものもあるかもわかりません。私はまだ一々詳しく聞いておりません。たくさんあることだけ了承しておるのでありますが、いろいろな問題を起したものもたくさんあるのでございます。そういうところの廓清もやらなければならんことは当然であります。又外郭団体で整理していいというようなもの等があれは、成るべく整理をするということには私は賛成でございます。その心持でいろいろ研究してみます。
  102. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 造船工業会と船主協会というものがこの度の問題を起した因ですが、これも殆んど国の利子補給をした利子でリベートが出ている団体です。その補給した利子で、それに応じてこの造船工業会とか船主協会は、みな献金する、受けた利子補給は大抵そうなんです。そうしてそういうものが高級官僚諸君が出張したりすると、そういうところから出してやるとかいろいろしてそういうものが結局政界にまかれ、運輸省内はまかれして、そうして善良な役人の諸君が遂に失敗するということになる因なんです。こういうものを根本的に整理されることについて、特に御意見を伺いたい。
  103. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 具体的な名を挙げられましたが、造船工業会、船主協会、これは本来の仕事は御承知のように同業者の集りであつて、そうして同業者仕事をうまく運んで行くということのためであります。うまく運んで行くというのに間違つた方向に行つているのではないか。又こういうものがあるからこそ、いろいろな問題を起すのではないかということでありますが、これは行き方の問題ではないかと思います。各方面仕事にそれぞれ携わつておる、造船海運関係に限らず、日本のすべての商工業において同じ種類の人たちの集りがあつて、そうしてお互いの経営の合理化その他の問題を研究したり、或いは相互援助して、そうして日本造船なら造船工業の力の値打ちを上げて行くというもの等につきましては、これはどの方面にも団体があることは、私はこれは必要じやないかと思いますが、外郭団体というものは、ほかにもいろいろ海運関係だけでなく、陸運関係にもどつさりありますので、中に重複的な気持がするものもあるように思いますので、そういうふうなものの整理の意味で私は申上げるので、そういうものは廓清をすべきだ、そうしてこういうふうなものが本来の使命によつて動くというふうに持つて行くべきではないかというふうに思うのですか、なお一つこれは研究をいたします。
  104. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は各省ごとの何百という外郭団体を今調査している。その外郭団体で共通したことは、国から補助金を受けるとか、委託費を受けるとか、財政上の融資を受けるとかという恩恵のある団体だけで、もうそれ以外の団体は全然ない。或いは国から補助金を受けるため、そういうふうに、全然そういうふうなことで、全部国家予算一兆億近い予算の中で、三千億補助金がある。それをめぐつて各省に全部外郭団体ができている。その出先が県にあつて、その補助金の千分の六とかを、まず県の団体にリベートし、そうして県の団体から中央にその半額ぐらいを贈るということになつて、それが必ずその団体は年度末になれば高級官僚の諸君には洋服の生地を年末に届けたり、出張するときには旅費が足らんと言えばそこで出したり、麻雀がやりたいと言えばちやんと料亭に準備したり、これこそ業界と、官界と、政界とをつなぐ腐敗の大きなルートなんです。私はこういうものを粛正しなければ、如何なる人が、運輸省なんかへ行つても疵がついてしまう。こういうふうに考えて、私は外郭団体全般の整理の問題として私もつと本格的に大蔵大臣、副総理にも突込んで……、これなしには清潔にならんと私は思う。これは必ず官僚諸君に飲ましたり、抱かしたり、食わしたり、いろいろなことをやるので、そうしてこういうことになつて、これは日本の今の状態というものは、丁度中国の蒋介石がああいうふうになつた前夜、或いはキリノ政権が腐敗で遂にマグサィサイ大統領に席を譲らなければたらない状態と私は同じであると思う。それは殆んど外郭団体を通じて、業界と、政界と、官界とをつなぎ、そのルートでやられておる。私はこのことを是非、こういうことについて御認識なしに何とかしてよくしてと言つたつて、とても私はできつこないと思う。一つこの問題は、こういう大きな問題を起された罪滅しの意味においても、是非本格的に取上げて頂きたいと思います。これは始末に負えない団体である。これが運輸省出身の諸君が、立候補すれば、こういう団体がみな票を割当てて、その金が出て行く。そうして運輸省出身或いは農林省の出身が地方から国会に出て、参議院から出張すれば、国会で出張旅費をたくさんもらつてつても、ちやんと外郭団体が接待して、みやげを出して、宿代もちやんと払つて帰してしまう。これも私は県会議長をやつて、外郭団体数種に関係して、この状態はよく知つているのです。幸い私はそういう汚辱に染まりませんでしたが、そういう状態でこれは本当に国を滅すのは外郭団体を通じてです。これは石井大臣余り関心がないようですが、最非一つ検討して頂きたい。
  105. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) さつき申上げましたが、よく研究いたします。
  106. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと申上げますが、さつき申上げましたよりに、午前中にも飯野海運は一億の交際費を持つている。岡田さんのところの調査部ですかにお願いしたら、二千万円という交際費を出しましたが、あれは全然真実と違うのです、それは成るほど交際費と書いてあるのは二千万円たが、ところがずつと貸借対照表を見て、増資目論見書を組んでおいて一億あるのです。それから日立と播磨でリベートが二億ある。而も造船工業会、船主協会というものは六千三百万も、こういうものを利子からリベートして持つて来ている。造船工業会にしても殆んど四千万円のリベートを吸い上げて来て、そういうものが交際費一億、リベートされたのが二億、それから造船工業会で四千万円、こういうような莫大な金が出て行くのですから、これでは船か粗末になるはずですし、政界や官界が大変なことになるわけなんです。余り御承知ないよりで、御答弁は求めませんが、そういうことなんで調べて貰つたらこれだけあつて運輸省たけでもう何百とある。これが全部そういう医家資金をめぐつての大きなロスになるのです。これではコスト引下げもできませんし、政界や官界の粛正も私はできないと思う、これについては明日ですか予算使用の適正化の問題でやりますから譲ることにいたします。  それから一つお伺いしたい点は、交通公社の手数料を三分から五分に引上げたのは、高田寛氏か参議院に出る、それでは今度立候補する人に大変だというので、今度出る人か五分にしてやるからやめなさいと言つて、たまたま財政難でもあるし、高田氏は立候補を思いとどまつたのであります、ということが言われているのですが、それについて……。
  107. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 三分から五分に上つたのは、戦前の手数料のところに帰したようなことしか私は存じません。高田君との関係承知いたしておりません、あとで鉄道関係から……。
  108. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは私かなり詳しく調べているのです。それでは又あとに譲りまして、日航に対しまして、政府が出資して、昨年ですかアメリカから飛行機を買つたのですが、航空機を……。それについていろいろ取沙汰されているのですか、その関係についてお伺いしたい。そういうことかあつたかなかつたか。それは新らしいものを買わずに、伊藤忠ですか、あれが斡旋して、新品品なら百二十五万ドルくらいで買えるのを、伊藤忠を通じて買つて、それでそれを、三菱で修理さして、二千万ドル、二億数十万も高く買つて、古いのを買つたということが言われているのですが、又本年度も今度も十億の出資をすることになつているのですが、その関係はどうですか。
  109. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 日航がアメリカ行きの飛行機に使つておりまする三台のうち、一台が中古、二台が新品でありますが、その一台の中古を買い、二台の新品を買いましたのがどれでも今の値段より少し高いはずたと思います。それは当り前に注文をいたしますと二年くらいの間がなければ入手できないのです。それで何か早く世界の航空路の中へ顔を突込んでおかないと、いつまでもだんだん遅れて行くだけであるし、又すくすく外国の飛行機にばかりお客を取られて、丁度船の場合と同じごとでありますが、外貨もロスになるというようなことで、昨年日航ができ、そしてアメリカとの間の航空を先ず始めるにつきましては、どうしても何かそこにあるものを早くつかまえなければ、今申すように少くも二年のときを要するというので、一台は売ることのできる、売るという品物がありました。これを買いまして改善をしたということ、それから二台はよその会社が注文をしておりましたのを譲つてもらいまして、これを日本に向くようにしたというようなことのために、向うが使おうと思つているのを譲つてもらつただけに、それだけのものが割高に計算をされておるというふうに了承しておりしまして、その間にほかのほうの、外国に売られた飛行機の様子を見ますと、必ずしも日本の飛行機がめちやちやにただ金を出しつ放しだという状態ではないと私どもは承わつておるのでございます。詳しくは航空局長から申上げましよう。
  110. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その占いやつは百二十五万ドルですか。とかいうことですな。そういうことをはつきりして……。
  111. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 百二十五万ドルという数字はどこから出たか、その数字は存じません。
  112. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうですが。幾らでしたか。
  113. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 百六十万ドルだと記憶しております。
  114. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 誰の斡旋で入つたのですか。
  115. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 伊藤忠さんのです。
  116. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 伊藤忠……。三菱で修理したらば幾らかかりましたか。
  117. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 三菱では機体は修理いたしておりません。その事実はございません。
  118. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 どこで。
  119. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) アライング・タイガース工場とスリツクの工場で修理改造をいたしました。
  120. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 百六十万ドルで買われて修理が幾らかかりましたか。
  121. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 修理は三十八ドルぐらいだと記憶しております。
  122. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大体三百万ドルになつているでしよう。新らしいのは幾らで買いましたか。
  123. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この新品は現存は百四十万ドル近くだと思います。
  124. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうでしよう。
  125. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 併しながら今大臣から申上げましたように、その同様な品物がUATに売られたのは、その直後に売られましたのは百八十万ドルでフランスのUATが買つて来た明瞭なる事実がございますので、我々はその値段は不当とは考えておりません。
  126. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そんなことを言つたつて、そのほうも使用して何年経つているか、同じコンデイシヨンであるかどうか、そういうことは問題なんです。私はこれを誰が伊藤忠にし、誰がさしがねをしたかということをよく知つているのだ。とにかくこれをやつたために、新品が買えるのを、二億七千万円ぐらいも損をして古いのを買つているわけなんです。有力な政界の人が口添えをして……。これも又石井さんの監督不行届だと、これははつきりしているのです。政界の大物が関係している、伊藤忠の背後には……。併しこれは言いませんが、ここでは公表を憚りますので……。そういうことになつて、とにかく殆んど四十万ドルも高いわけなんです。来年度ですか、又十億ですか出資するのですから、もうあつたことは仕様がないですか、今度は一つ入手できないというようなことにかこつけないようにしてもらいたいと思うのです。
  127. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今、お話がございましたけれども、フランスのUATが買いましたものは、日航が買つて来たものと全然同じ品物でございます。その点はつきり申上げておきます。
  128. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この航空機の何はアメリカだけしか買えんわけですか。イギリスも随分発達しているようですが、あれは駄目なんですか。その関係私はまだよく知らないのですが。
  129. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) イギリスからも買えるはずだと思います。現にこの次はイギリスのコメットを予約いたしております。
  130. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあそういうことが、いろいろ、フランスに渡されたのと同じだとか、いろいろ言われましたが、とにかく百六十万ドルぐらいで新らしいのが買えるのを、古いのをそれくらいで買つて四十万ドルも、一億五千万ぐらいも修理費をかけてやられるところにいろいろ問題があり、これはわが党では決算委員会で本格的にこの問題を取上げることにいたしていますから私は申上げませんが、そういうことがあるのです。特に航空機は危険の問題もありますので、是非慎重なる仕入れを希望しておきます。
  131. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 中古、中古と今言われましたけれども、中古というと非常に工合が悪いのでございまして、これは中古というカテゴリーには入らないかと思いますが、一機だけでございます。二機は全然新品でございます。一機は二千時間を飛んだところで最もコンデシヨンのいいところでございまして、中古と一概に言われますが、その点を明瞭にしておきます。
  132. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そう言われれば……、買つて、四十万ドルですよ、三百六十倍してみなさい、それは幾らになりますか。それだけの修理費が直ちに要るようなものを新品に近いとは如何に航空知識のない私の前でも言えないと思う。それはもういいです。  次に自動車局長に少しお伺いしておきたい。私昨年自動車の問題で運輸大臣、自動車局長に説得いたしまして、非常に良心的にやつて頂いたことはよくわかるのですか、もう少し大体自動車局だけでなしに、許可、免許、認可というようなものを迅速に、若しそういう運輸審議会なり自動車局の人員が足らんのであつた一つ殖やして、何とか免許、許可、認可というものを、てきぱきやつて頂けないものか。そういうことが長いから、背に腹は替えられずというようなことで造船の割当でもいろいろな問題が起きる因だと思うのですか、もう少しその点迅速に手続かできぬものですか。
  133. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 非常に案件の処理が遅れていることは申訳ないと思つておりますが、たびたびの法律改正でいろいろと手続が複雑になりまして、まあ民主主義でございますから、いろいろと手続きを複雑にするほうがいいというように私たちも一種の勘違いをした点もあるでしようけれども、地方に道路運送審議会というものを置いて、それに諮問をして、いろいろとその答申をお待ちして、その結果を更に本省における運輸審議会に諮問してその答申をお待ちするというふうな手続をしたわけであります。その都度公聴会をやるとかというようなこともありますので、そういうことから非常に案件の処理が遅れて来たのであります。そこでそれではいけない、どうしてもポイントだけは慎重な手続をする必要はあるけれども、途中の経由はできるだけ簡単にしようと思いまして、地方における道路運送審議会は昨年の法律改正で以てこれを廃止しました。従つてそれに附随する公聴会もやめたわけでございまして、専ら本省の運輸審議会一本ということに諮問の手続はいたしましたので、それ以後はそのような関係による遅れば殆んどなくなつて来たと思うのでございます。併しそういう態勢にしましても、なおどうしても遅れるということがとかくありがちでございますので、これは私たちも絶えず反省をして、できるだけ案件の処理を急がすようにして、おるわけでございます。今後もできるだけ努力をいたしたいと思います。
  134. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういう御配慮はわかるのですが、書類が出て、何日経つても何の通知もなければ、もう免許されたものというふうな何ができないものですか。改正は……。
  135. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 行政手続の簡素化の案としてよくそういうた考え方が出るのでございまするけれども、免許を受けたいと思うものは一日でも早いほうが望ましいと思うのでありまするけれども、交通事業というものは、これはまあ釈迦に説法でございましようか、相当公益性の強いものでございまするので、従つて免許、許可制度の下においてあるのでありまするので、既存の事案者に対する影響とか、既存事業者努力、熱意、立場というものもこれは十分検討してやる必要があると思うのであります。そうしてその相互を勘案して、どういう結論が妥当であるかを見るのでございますので、そういう点を十分に検討している途中に、一月なり二月なり時日が経つてしまつたから、直ぐ免許があつたものとみなされるということでは、これは既存の事業者が営々として努力している場合には非常に気の毒なことになると思うので、一概にそういう簡単な処理方法も無理じやないかと思うのでございます。この機会に重ねて申上げたいことは、既存の事業者をただ援護する一辺倒ではございませんけれども、その努力なり熱意なりということも十分調査して、そうしてそれが十分に責任を尽し、努力しておれば、まあそれはその立場を助長してやつていいじやないかという配慮があるものでございますから、彼此勘案することに非常に時間もかけ、又頭を使うということのために遅れるという結果になるわけでございます。
  136. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私の受けた感じでも、やはりややこの既存業者擁護の線が……まあ営々として地盤を開拓した言われたのですが、併し是非考えて頂かなくてはならん最近の新たな情勢は、御承知のように吉田内閣におかれても、町村合併を大規模に促進する施策をとつておられるわけです。九千七百ある町村を三年間に三分の一にする、鳥取県なんかに例をとつてみますると、もう三十ぐらいのところを、五つか六つにする、それが急速に政府の予定以上に進んでいる。これで非常に交通の潜在需要が顕在化して、役場から役場まで数里、五里も六里もある。そういうことを一つ業者にばかり委しておきますならば、これは結局できないので、税金を払いに行つたり役場に行つたりするのが距離が遠くて、成るほど役場の費用から見ると節約はできるけれども国民経済から見ると時間がかかるので、長い時間働けるのに空費する、こういうことから見ますと、この町村合併の進捗状況というものは、これまでの線よりももう少し交通需要がずつとこれまでの自然増加よりも遥かに殖えるのじやないか、こういうことを考えるのですが、そういうことについては特に町村合併促進法には運輸省のほうも自動車両でも協力されるような態勢になつているのですか、そういう事情を勘案して免許してもらうことが必要ではないかと思うのですが如何でしよう。
  137. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 只今お示しのごとく町村合併による新らしい交通情勢の発生と申しますか、交通量の発生といいますか、交通情勢の変化ということは確かにあると思うのでございます。私たちもその点は十分考えておりまして、まあ既存事業者擁護ではございませんけれども、既存事業者に対しては絶えず努力反省を促して、そういう交通事情の変化に対応するように、絶えず輸送の供給を提供するようにということを促しております。又そういうことが十分でない場合に、新らしい事業を試みようとする人がある場合には、それは当然認められるというふうに考えております。
  138. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 あちこち町村合併の調書、数カ町村が合併して市になつたりしました調書を見ますると、市営バスをやるということが町村合併の大きな条件になつているのが随分全国的にもあるのですが、その際に免許の基準はそういうのを、町村合併促進協議会の決議に基いてそういうことをやつているのですが、それに重きを置かれますか。或いは民間業者の、そこに路線の拡張というようなことか中心になりますか、その点……。
  139. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 町村の合併の際に市営バスを動かすということが一つの条件になつたり、市長さんの公約になつたりしているということをよく聞いて、又そういう注文を持ち込まれるのでありまするけれども、それはまあ率直に申しますれば一方的なお話のように考えるのでありますが、でありますからその事情は勿論諒としまして研究し取上げはいたしまするけれども、そのほかに道路運送法に基く免許基準というふうなもので照らし合わして考えるということにならざるを得ないので、選挙の公約、又は町村合併の条件のみで、問題をそれだけできめてしまうということは無理であろうと思います。
  140. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 只今の話ですけれども、もとより協定というものがあつても、併し運輸省としては別の面から考慮して、特別の取扱いをしない、こういうお話でございますか。
  141. 中村豊

    政府委員(中村豊君) それは一つの要素として、事情として勿論取上げるのでございますけれども、それのみで解決するということは無理じやないかと思うのでございます。
  142. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 成るほど町村合併促進法には運輸省関係としては、道路運送事業法なんかの特例法はないのですが、併し趣旨は運輸省としてもおわかりの通り、町村合併を促進するということは国の方針として内閣総理大臣もこの点については特に言明をされているわけですから、協力するというのならよくわかりますけれども、併し特例か設けられていないのだから、特殊の考慮はできないと、こうおつしやるのだつたら、私はちよつと異議がある。若しそういうことならば、やはり町村合併法の中で、最近又町村合併の改正法律案が出るかも知れない。そういうことならそういう面から言つて、やはり町村合併促進法の中に自動車運送についてもやはり特例を設けるという規定を設けなければならん、こういうことになるんです。成るほど法律の建前から言えば特別の取扱いをするという必要はないかも知れない。併し善処するとか十分町村合併の計画従つて考慮したいという御言明なら、それはよくわかる。その点飽くまでも町村合併促進法にない、一方道路運送事業法というような法律があるから考慮できない。こうおつしやるんだつたら、我々としましては町村合併が国の方針である以上、町村合併促進法を改正しても、そういうことがスムーズに行くようにしなければならん、こう思う。お考えをお聞きしたい。
  143. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 町村合併によつて新らしい交通需要が生じまして、今の市役所へ行く用件が非常に殖えて来るというようなことで、新らしいバスの必要が起つて来ることは当然考えられることでございます。私たちも予想しておるのでございます。そこでその場合にそれで直ちにその場合そこに市営がなかつた場合に、直ちに市営バスを認めるかどうかという問題になりますると、これは道路運送法の関係でございますので、その法律の運用として十分検討するわけでございますが、必ずしも直ちにそれが市営を認めるということに行くには、少しその間に飛躍があるではないか。従いまして従来ある事業者、これば市営でありますこともありますし、民営であることもありましようが、そういう事業者の提供するバス・サービスがどういう状態になつておるか、又どういう計画でそれに応ずるかどうかということを十分考え合せた上でやりたい、こう申上げたんでありまして、新らしい情勢の発生ということは勿論十分考慮の中へ入れて行きたいと思つております。
  144. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今の自動車のことで、今度外貨の割当の点で大分自動車が減るようなお話なんですが、運輸省としてどの程度御要求になつてどの程度に決定を見たか、その点一つ自動車の外貨割当について……。
  145. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ちよつとまだはつきりいたしてないんでございますが、自動車の輸入を二十八年度は六千台ほど新規に輸入いたしたのでございます。私どものほうとしては非常に外貨が苦しくなつておりますけれども、まあ昨年度より五割ぐらい減るところまでは仕方がないんじやないか、その点ぐらいでどうであろうかということで、全体の計画を二十九年度において自動車状況の困る数字を挙げまして、それに見返りまする日本の国産品或いは日本の工場で組立てをやる外国の品物、それから外国の駐留軍の連中からの払い下げ、それと輸入というような線で出しておるんであります。通産省のほうも数字を出しておりますが、私のほうと少し見合いがぴつたりまだいたしません。昨日の外貨審議会でたた両方の一応の説明だけいたしまして、この二、三日うちに幹事会をやりまして、細かく実際上の打合せをいたして、それから審議会できめることになつておりますので、まだはつきりきまつておりません。
  146. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、大体六千台の半分ということを、まあ要求といいますか、割当を希望している、こう考えてよろしいんですか。
  147. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私どものほうとしては今一応四千台ぐらいというのか数字的に出ておるんであります。これはなかなか反対が多うございまして、家際上通産省の数字とも非常に大きな開きがあつたと思います。それでまだ何とも申上げられない。一番強い意見ではもう全然やめたらどうだという意見も出ておるくらいでございまするから、どういうところに落ちつくかまだはつきりいたしません。
  148. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 四千台輸入するとして外貨はどの程度くらい見積つておられますか。
  149. 中村豊

    政府委員(中村豊君) 輸入計画は完成車のほかに組立事、部品もありますけれども、完成車を四千台とすると約一台当りを千五百ドルぐらいに見ますと、幾らになりますか、六百万ドルぐらい……。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ではもう一度申上げます。二つの点についてお伺いしたいのです。第一はモーター・ボート競走の制度を廃止した理由です、それから第二は、航空保安協力業務に必要な経費として一億五千二百余万円を計上しておりますが、これは説明によると、日米行政協定に基いて、駐留軍の使用する飛行場及び航空保安施設を維持運営するための費用であるということであります。それからもう一つは、マーカス島測候所維持、運営に必要な経費として、六千八百二十二万円計上されています。これはアメリカ政府の要請によつて、このマーカス島における気象観測所を中央気象台が維持運営するために必要な経費なのであつて、そうしますと、航空保安協力業務に必要な経費と、マーカス島測候所維持運営費と両方合せまして、大体二億ちよつとになるわけです。ところがこれに見合う収入として、航空保安業務費の駐留軍関係及びマーカス島観測業務費の米国政府負担金において二千百二万円増額になつている、こういう数字になつている。この説明だけでは日本側のほうが非常に持ち出しになつているように見えるわけです。それで当然アメリカ側が要請して、マーカス島における気象観測所というのを維持運営させるのであるから、これは防衛支出金の中から全部支払われるのじやないかと思うのです。それから日米行政協定のほうも、私は駐留軍の使用する飛行場の維持運営であるから、これはやはりアメリカ側が負担するのじやないかと思うのです。その点どういう関係になつていますか。
  151. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 御質問のございましたモーター・ボート競走の関係につきましては、後ほど船舶局長よりお答え申上げますが、私から只今質問のうち、航空保安協力業務の関係と、マーカス島の関係について御答弁いたします。これは両方とも全額ドル収入がございます。それでただこれにも書いてございますように、航空保安協力業務の関係は、駐留軍の関係でございますので、これは行政協定に基きまして契約いたしまして、こちらから人を出し、役務を提供し、アメリカ側から全額のドル収入を取るわけでございます。  マーカス島のほうは、これは行政協定の問題ではございません。これはマーカス等の測候所で観測をやつて欲しいということのアメリカ政府のほうからの申出がございまして、これは両国政府の一般的な契約といたしまして、やはり全額ドル収入の下に日本側が引受けておる次第でございます。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。わかりましたが、それではここの収入の増加というのは、昨年度よりこれだけ増加したのであつて、そのほかにこれに見合う収入があるわけですね。
  153. 辻章男

    政府委員(辻章男君) さようでございます。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。
  155. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 私からモーター・ボート競走の納付金の廃止の点についてお答え申上げます。これは当初売上金額の七五%を勝舟券を買つたものに返し、あと残りの二五%のうち三%を国庫納付金、それから一七%を施行者、五%を競走会、こういうふうになつてつたのですが、地方制度審議会のたしか財政部会だと思いますが、競輪、ボート・レース、モーター・ボート等の国庫納付金を廃止するということで、而もそれを地方交付金として地方の財政に寄与するということで、これが一括して補助金等に関する法律で廃止になりますために、当然国庫納付金の百分の三も廃止になつたわけでございます。
  156. 森八三一

    主査(森八三一君) この際お諮りします。運輸省関係につきましてはまだ御質問あろうと思いますが、時間も相当経過いたしておりまするし、この分科会に付託されておりまする案件も相当残つておりますので、運輸省関係審査につきましてはこの程度で打切りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 森八三一

    主査(森八三一君) 御異議ないと認めますので、運輸省関係はこれを以ちまして一応終了いたします。  それでは引続きまして、日程の順序に従いまして保安庁関係審査をお願いいたします。予定の時間からは大分経過いたしておりますので、十分御発言を願い、審査の詳細を究めて頂かなければなりませんが、要点を捉えて御質問願いますようにお願いいたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  158. 森八三一

    主査(森八三一君) 速記始めて、  それでは只今から保安庁関係の審議を開始いたします。只今保安庁関係で出席をされておりまするのは、増原次長、上村官房長、加藤人事局長、石原経理局長、久保装備局長、更に参考人として長沢第二幕僚副長であります。木村長官はおつつけおいでになるのでありますが、只今申上げましたような御出席がありますので、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  159. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 参考人として長沢第二幕僚副長がお見えになつております。から、先にお伺いいたしたいのですが、二十九年度の保安庁予算のうち海上自衛隊関係につきましては、昭和二十八年度において建造に着手した警備船等十六隻九千百二十トンが昭和二十九年度に竣工乃至完成するという前提で、而もその乗員等々の経費が計上されておるわけです。そのほかにアメリカ側から供与を受ける駆逐艦等十七隻二万七千二百五十トン分の乗員を計上されておりますが、そこで警傭船等十六隻が二十八年度に建造に着手するということになつておるわけですが、これは建造に着手しているのかどうか、この点お伺いします。
  160. 長沢浩

    参考人(長沢浩君) お答えいたします。まだ建造に着手しておらないと思つております。
  161. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 警備計画のほうから言いまして、これは予算と警備計画とは表裏一体であることは勿論であります。二十八年度に建造に着手するという前提になつております。而も二十八年度の予算では百三十四億の国庫債務負担行為に計上されているのです。当然二十八年度においてこれは着工しなければ、我々の解釈では着工しなければ国庫債務負担行為として二十八年度の予算に百二十四億計上されておるのですが、二十八年度においてこれは潜工しなければ二十九年度にこの支払い行為をすることは私はできないという解釈なんです。ですから二十八年度に建造に着手するという前提になつておりますので、それが着工しませんと、これは財政上で又問題になる、この警備計画には私は支障が来るのではないか。その関係はどういうふうに御覧になつておりますか、それを御説明頂きたい。
  162. 長沢浩

    参考人(長沢浩君) これは大体私どもの完成期日のその点の問題は、びつたり何月何日ということはなかなか困難であるという予想の下に警備計画を立案いたしました。この多少の遷延ということは、これによつて大なる支障を及ぼすとは考えておりません。
  163. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 我々いろいろなことを開くのですが、この警備船の発注については、前に保安庁長官にもこれはお伺いしたのですが、着工が遅れたのは設計技術上から設計が遅れているのだ、そういう御説明です。慎承な上にも慎重を、期しておるので遅れている。そういう御説明ですが、我々が聞くところでは、それは設計技術が遅れている、設計が遅れているという以外に、どこの船会社に発注したらいいか。船会社のほうでいろいろ運動がある。そうしてその一環として、もう新聞にも出ております日立造船が我々同僚の西郷君に対して金を贈つて、それが献金になつたやに新聞に伝わつて、おります。これは新聞でありますから、今後検察庁の調査によつて明らかになつて来ると思いますから、私がそれが事実であるということは申上げられんわけです。併し新聞にそういうことが出ておるわけです。そうしますと私非常に不明朗な感じを持つのです。純然たる設計を慎重に期するというだけで遅れているのではなくて、それも多少あるかも知れませんが、二十八年度予算にすでに百二十四億国庫債務負担行為として計上されておるのです。そうして年度内に、これがもう年度内といつても三月一ぱいですが、発注されないということは、我々どうしても割切れない。何のために国庫債務負担行為として計上されておるのか。計上するときには、当然設計ということは明らかになつていなければならんはずであります。そういうことについて、これが遅れるということになると、これは今多少の装備のズレというものはありましようが、併しこういうことでいつまでも発注が行われないとなると、これは私は警備を担当する責任者として、非常に支障を生じて来ると思うのですが、その点については、どういうふうにお考えでございましようか。
  164. 長沢浩

    参考人(長沢浩君) 只今答えいたしました通り、どの程度遅れるかということは、私まだ承知しておりません。それでもともと長い間こういう種類の船の建造というものはやめられておりましたので、それでこれを造るときには、幾多の予想しない困難が起きるということを考えておりますので、立派な船を造つてもらうためには、さつき申上げました通り、一、二カ月のズレというものが、非常な警備計画支障を及ぼすとは考えておらない次第であります。
  165. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは一、二カ月のことで済めば結構です。一、二カ月までならばそうですけれども、大体の二十八年度の予算は、昨年八月通つているわけです。百二十四億ですね。国庫債務負担行為として通つているのですから、昨年八月から、九月、十月、十一月、十二月、一月、二月、三月、と七カ月経つてまだ発注されていない。これは疑惑を持つのは当然じやありませんか、普通……。そういうことで私は警備計画支障がないというのは、私は受取れないのです。七カ月もずれているのです。それで警備担当者として御意見を伺いたいのですが、今回この保安庁法が改正されまして、文民の制限が撤廃されまして、制服の人も保安庁内に入ることかできるように、そういう制度ができているのです。これについては世上いろいろ議論があるわけです。こういう改正が、前のように軍人が政治に関与し、或いは政治に干渉して行く方向に、又一歩ここで踏み出すのではないか。そういうことについて世間ではいろいろ心配があるわけです。文民の制限撤廃については……。ところが他方において船会社の運動なんかによつて、仮にその警備計画が、警備船の建造が遅れて支障か生ずる、或いは又今後のまあ建造でありまするから、そういうことがあるかないかわかりませんか、建造疑獄、前のシーメンス事件というような事件があるとすれば、これは私は士気に相当悪い影響が来ると思うのです。汚職によつて造られた船に乗つて、そうして国を守るときに身を投げ出して守るというのでは、割切れないと思うのです。こういう気持に私なるのも無理からん点があると思うのです。従つてそういう問題が起ると、どうしてもやはり制服の人がこれは放つておけない。若し警備というものに本当に責任をお感じになるならば放つておけない。やはり我々が警備計画その他を推進しなければ任務は全うされないというようなことになつて、そうして文民制限の撤廃なり、そうして制服の人が積極的にそういう政治に関与して行く。こういう気持になつて来られて、そうして文民制限の撤廃が行われたのではないか、私はまあそう解釈します。で、それで制服の方々の気持はどういうお気持であるか。この文民制限の撤廃について、又さつき申上げたようにこれか昔のように軍人が政治に関与する第一歩を踏み出すのではないかという危惧もあるのです。従つてその点について制服の方のお立場としての御意見を伺いたいのです。
  166. 長沢浩

    参考人(長沢浩君) 私は今回の制限撤廃に関する諸般の事情については存じておりません。併し苦しそういうふうになつた場合にどうなるのかという御質問、これは私は今勤めておりまする体験に基きまして、長官というものがちやんと総括的にすべてのことを統督並びに指揮を持つておられまするので、若し仮にそういうふうになつた場合どうかという非常な慮れは抱いているつもりはないわけでございます。
  167. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度長官も交民制限の撤廃の適用を受けるのです。副長宮も……。でこれはやはり制服のほうの方々からそういう強い要望が出たのではないのですか。それは全然制服の方方の要望に基かないで、この文民制限の撤廃というものが行われたのですか。これは制服の方々はどういうふうに思うか。全然制服の方々は知らないうちに……、そういう御要望は全然なかつたわけなんですね。
  168. 長沢浩

    参考人(長沢浩君) それはこの改正に至りますいろいろな経緯を存じないと申上げたのでありまして、私は元軍人でございますので、その制限にかかる者であると思いますが、私としましては例えば一般的に、もう昔の軍隊というもの、或いは軍人という者のすべての地位も何も失つた現在としまして、普通の人にないところの制限を受けるというその点に関しては差別がないほうがいいという、こういうふうな個人的な考えは持つております。併しそれが実際に入つて参るかどうかという問題は別でございます。
  169. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは保安庁長官でも増原次長でも結構なんですが、警備船はいつ頃発注されるのですか。この予算によりますと二十八年度の予算説明書に発注することになつておるのです。それで積算ができておるのです。従つていつ頃できるかによつて予算変つて来るわけです。その見通しどうなつておりますか伺いたいと思います。
  170. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答え申上げます。先ずそのお答えをいたす前に私一言申上げます。今木村委員から如何にもこの船について疑惑があるがごとき御発言がありまするが、私の部下において、さようなこの船に関する問題についてないことを私は確信しております。日立造船の問題が今出ましたが、日立造船と何らの関係ありません。はつきり申上げます。  そこでこの船の発注の遅れておるという点は、今長沢参考人から申上げた通り、いろいろのそのいきさつがあるのです。それはこの前も申上げたように、この船は普通の船とは全然異にする特殊船であります。戦後初めて造るものであります。そこでこの船を如何なる形式において注文するか、随意契約にすべきか、或いは一般競争入札にするか。これは会計法上から言えば一般入札の形態で行くのでしようが、特殊船を造る以上は、一般入札にこれはしていいか悪いかという問題もあると思います。随意契約にすればどの会社にこれを発注するかという場合は大きな問題があります。船会社は御承知通りおのおのその規模、資産、信用程度を異にしております。同じレベルのものではないのであります。殊に造船設備能力、それから昔艦艇を造つた経験があるか否か、戦後においてどれだけの成績を挙げているかどうか、或いはやるべき設備の用意はどうであるか、或いは又艦艇を造る経験のある技術者の数がどうである、いろいろのことから検討して見ると、各船会社においてみな違つている。それで随意契約にしてどの会社に発注すべきかということについては非常にここに問題がある。勿論当局者としては、この点を十分に検討して進めて参つたのであります。それと並行して、いわゆる船の設計、これを進めて参つたのであります。ところが御承知通り、普通の船の設計とは違つて、戦後初めて作る特殊船であるからなかなか容易ではない、これは御参考の何はお見せいたします。是非御覧願います。しばしば設計を頼んで、ここもいかん、ここもいかんと変えております。これは丹念にやつている。そこで漸く最近になつて設計の概案が立つたわけであります。それで概案が立たない前に、これは適当な船会社があれば、これに発注すればできるのじやないかという議論が立つのでありますが、概案も立たん先にこれは概算払いで注文していいかという問題が起つて来る。我々としては少くとも設計の概案ができてからこれは発注すべきであるという確信の下にこれを進めて参つた。そこで非常に、この船のいわゆる注文することが遅れたという事情はそこに潜んでいるのであります。そのほかには何ら他意はありません。  そこで、その後一体いつ発注するかということ、実はこの前も私は申上げたように、ここで発注すべき船会社を選ぶということは大きな問題である。私は個人としては随意契約のほうがいいんじやないかと考えております。いい会社を選定してやる。併しこれにも各船会社の、今申上げましたように皆規模なり設備なりが違つている。これはなかなかむずかしい、一般指名競争入札にしていいのではないか……これも又指名競争入札でどの会社に指名して入札させるか、ここに大きな問題がある。それらの点について我々は今折角考慮している。我々としては、戦後初めて造る船でつまらんものを造つては申訳ない、将来に対しての我々としては一つのモデル・シップを造りたいのだから、多少のことは遅れてもこれはいたし方がないのじやないかという気持で折角やつているわけです。そこでいつ頃になるかということになりますと、折角概案ができたのでございますから、早急にこれに基いて設計原案を作つて決定いたしたいと考えております。注文すれば今でもできるじやないか、或いはできるかもわかりませんが、併しそれは私は早計だと思うのです。ここ一カ月ほどの間に十分検討してやりたいと考えている次第であります。
  171. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると年度内に、二十八年度内には困難ですか。
  172. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はできんと思つております。無理だと思います。率直に申上げます。そういうことをしては申訳ないと私は思います。
  173. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 お話はわかる。併し我々予算を審議している建前から行きまして、二十八年度の予算においても、国庫債務負担行為として或いは二十八年度中に契約をしなければならんことなんです。そういう建前です。国庫債務負担行為は。それが本年度内に発注できないとなると、これは又予算の建前が変つて来るのですよ。我々の立場から言うとそこに又あとで問題が起るのです。じや国庫債務負担行為はどうなるのか。今後はやはりそういうことになると、国庫債務負担行為が濫用されて行く虞れがある。これは又大蔵省のほうに私は質問しなければなりません。併し常識から行きまして、じや百二十四億というものを何で積算したか。確かに設計の大切なこと、それから非常に慎重にしなければならないこと、それから保安庁長官の言われるお気持はよくわかります。そうなければならないと思うのです。併し予算を積算するとき我々は何を基にして積算するか、設計なくして私は積算できるはずがない。そう思われるので、予算を組むときに必ずあつたに違いない。ところが設計がむずかしいというお話でありましたけれども、当然そういうことは予算を組むときに検討されているはずではないか。その常識から行きまして、我々予算を審議するときに当然そうなければならないと思うのです。それが八月に予算が通つてしまつてから七カ月、もうその設計々々でずつとなつて、それ以外にどういう注文の方式をとるか、どういう会社に選定したらいいかということについてもいろいろお考えのようですが、私は保安庁長官及び部下の人が疑いがあると言つているのではないけれども保安庁長官がほかのいろんなそういう競争関係から制約されているんじやないか。ですから決定がなかなかしにくいのだ、そういう点を伺つているわけです。決定しにくいについては、おれのほうも造らせろ、あちらのほうも造らせろ、それには又いろいろ運動が……それ部安庁長官の関知されないことでしよう、関知されないところで、いろいろ政党関係でいろいろ運動があつて、おれのほうによこせ、殊に海運界は今不況ですから、そういうことで汚職とか疑獄とか、そういうことが又起こると私はいけないと思うのです。そういう意味で、それが今度そういうことが又明るみに出る、そういうことが又あなたの言われる士気というものに相当影響を及ぼして来ると私は思うのです。
  174. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御心配誠に御尤もです。私も士気に影響するようなことをやつては申訳ない。そこではつきり申上げますが、船会社から直接私に注文或いは申入れということはありません。これは申上げておきます。いろいろ噂されているようでありまするが、その点については御心配はありません。それで船会社或いは政党関係その他からのいろいろな要請によつて発注が遅れているという事実もありません。今申上げた通りの事情で、私の下において研究しているわけであります。遅れたことについては、私は責任をとります。これはいたし方がない、国家のために私はやつているんだから……。この年度内に契約しろと言つてもそれはできんことはありません。恐らく急いでやることでしよう、併しそんなことは私は申訳ないと思うのです。
  175. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その積算の基礎はどうですか。
  176. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 先ほどの御質問にお答えいたします。二十八年度の予算の積算の基礎というお話でございましたが、これは一昨年の秋に、比較的短期間の間に方針がきまりまして、この建造船舶の予算の積算につきましては、勿論設計図が詳細のものがあるわけではございません。主として戦争前の当時の軍艦の建造の費用、それからそれと商船のトン当りの建造費の比率とか、それからその後の造船費の値上がりの倍率とか、それから最近では海上保安庁で造りましたこれは小型の船ですが、については海上保安庁で造りました船の単価を斟酌する。そういつたような、決して十二分とは勿論言えませんが、当時、持ち得るデータで、甲警備船につきましては、これは一例を申上げますと、トン当り百五十万ということで積算いたしたわけであります。当時、勿論詳細なる設計があつたわけではなかつたわけです。そういうことで積偉いたしまして、その予算通りましたのは八月でございます。その間に二幕はその大きな計画に基いて各艦船の船舶の詳細な性能要求、或いは砲何門とか、その他いろいろな点、装備量とか、或いは排水トン数とか、そういつた使用性能の検討を只今いたしております。  それで、ここで少し詳細に経過を申上げたほうが御理解頂けるかと思いますので、日付を付けて申上げたいと思いますが、先ず二十八年、昨年の八月に只今申上げました性能要求案が出ておりまして、それを局長会議で審議いたしております。それから十月の二十九日にこの二幕の性能要求案を中心にしまして、長官の方針として基本設計を行う上での基本的方針、つまり搭載物とか、速度とか、そういつたものの基本的な方針を、これも局長会議できめまして、これを長官の決裁を受けまして、十一月七日に長官から技術研究所長へ基本計画概案を作れという通達を出しております。勿論技術研究所といたしましても、手を拱いて待つておるわけでありませんので、非公式にいろいろ基本的方針を頭において検討は進めておつたことは事実であります。これに基きまして、十二月の十五日に甲型警備船の基本計画概案が出て参りました。ここに一例を持つて参りましたが、この甲型警備船の約五つほどあるわけであります。例えば排水量とか、或いは水などが何日持つとか、いろいろ案がありますが、それについて五つほどありますが、これはそのうちの一つであります。それからついでに申上げておきますが、ここに出るまでに相当細かい図、それから計算、こういつたものは技術研究所のほうで持つておりますから、別の機会に御覧願えれば結構かと思います。  これが一つでありまして、それから十一月二十三日に乙型警備船の同様なもの、それから十二月二十六日に丙型警備船、掃海船、それから一月に入りまして、二十二日に補給工作船、これが出て参りまして、これが一応内局のほうで眼を通しまして二幕へ渡しました。二幕ももう一度この案に対して警備計画上一体どの案で行くか、更には或いは砲を搭載する位置とか、その他いろいろな問題につきまして、勿論実用者側としていろいろ更に意見がありまして、その意見のはねつ返りに相当時間を食つております。現に甲型、乙型の計画概案に対して一時に二幕からはねつ返りと申しますか、研究所に移しましたのが二月二十日でありました。二十六日に補給工作船、中型掃海船に対してそのはねつ返りをやつております。それに対しまして、研究所から更にもう一度はねつ返りまして、漸く最近極く一部を除きまして二幕と研究所の間、これは内局か中に立つてでありますが、大体結論を得まして、近く長官の決裁を、勿論その場合に変更はあることも予想されますが、とにかく一応事務当局の基本計画概案に対する二幕とそれから研究所の間の意見がまとまりまして、最後に決裁を頂こう、こういう段階に実はなつておるわけであります。それから予算の積算につきまして、当初はそういうことでありました。そしてどうしても仮に随意契約をいたすとすると、これは概算契約ということになりますが、大体この概案を中心といたしまして概算契約はできるという見込を立てておりまして、並行いたしまして、原価計算と言いますか、予定価格の策定という、この作業を並行的にいたしておるわけであります。
  177. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、只今の御説明で大体経過はわかりましたか、この非常に設計がいろいろ状況によつて変化しておりますが、これはそういう設計の結果でき上るものによつて予算が組まれるのか、予算のほうから制約を受けるのですか、それは相互関係があると思うんですが、予算に押えられてこれだけの性能が必要であるというのにそれができない、併し理想的に言えばこれだけのものを作らなければならん、そういう関係はどうなつておりますか。
  178. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) その点は確かにあると存じます。現に概算契約のもう一つ基礎になるような概算と言いますか、大体どれくらいかかるだろうということは勿論事務上必要でありますから、概算をやつておりますが、現在のところ若干のでこぼこはございます。一応予算は各船種によつてトン当りを弾き出してありますから、若干のでこぼこはございますが、少くともあの範囲内で行けるという見込は大体において立つております。勿論これは概算契約を集計いたすわけでありますが、大体その見込は立つていると申上げていいと思います。
  179. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうことになりますと、これはやはり実質はこの軍艦建造というものを標準にされて作つているのであつて、軍艦建設費と大体同じぐらいの建設費に当ると思いますが、そうですか。
  180. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) その点は言葉が適当でなかつたかも知れませんが、砲を積む、或いは速度、例えば甲型警備船におきまして、千四百トン乃至千六百トンで三十ノット、そうして重量装備を計算に入れますと、大体その性能は昔のその程度の駆逐艦に近くなつて参る、同じとは申しませんが、ですから一応予算をはじくためにそういつたものを参考にいたしたわけでございます。
  181. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点はそれで結構です。
  182. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連して……。木村長官はそう言われますが、実際にすでに部分品を作つているという説が大分あるんですがね。そうしてこれからまあ書類を、設計ができていろいろやられるであろうが、併しその結果は、三菱造船とか、新三菱・石川島とかというようなのはもう今から大抵そこに行くというようなことが言われ、すでに部分品をあちこちで……、例えば舞鶴の飯野海運の俣野氏の所なんかは造つているというのですがね。これは余り長官がのほほんとしておられるから、これはもうやはり西郷君がこれに関連して問題があつたことは偽りのないところなんです。我々がいろいろ得た情報では、やはりこれに池田氏とその他二、三の自由党の有力幹部が大体内定しているんです。去年の秋に木村さんも言われたように、そうして又去年の秋私の知つた人も、今日実は舞鶴の飯野のあそこに発注してもらうことにきまつたんだ、こう言つて、これは造船労組の関係で私は若干知つているんですが、そういうこともあつて、先に申しましたように或いは随契にされるか、競争入札にされるか知れんが、結局は二菱とか三井、新三菱、石川島というようなところに甲乙両方の大体大きなものが行つちやうんじやないか、一応そういう形式はとられるが、すでに……という話もあるんですが、重ねてお伺いしておきたい。
  183. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようなことについてあらかじめ指示したような事実は、私は私の下僚においてもないと確信しております。これは恐らく新三菱あたりでは有力な会社であるから、或いは自分の会社のほうに向いて発注あるべきであろうというようなことを予想して、或いはやつておるかも知れません。併しお前のほうに向いて注文するからという、あらかじめ内示というようなことは絶対にないと私は考えております。飯野、舞鶴の……。
  184. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 舞鶴の海軍工廠の……。
  185. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 若しもそういうことを言う人があれば、誰がそういうことを言つたかということを一つお示し下さい。その人を呼んで聞いて下されば、誰が内示をしたかということを言えば、明瞭になろうと思います。
  186. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ私はくどいようですが、三井、新三菱、石川島というようなのに大抵まあ行くと思うのです。それは偶然の一致と善意に理解しておきましよう、善意に。偶然の一致でしよう。将来そういう設計ができて……。
  187. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まあ我々の知つておる範囲において、又設備能力の点において相当な会社であることは私は認めます。或いは我々研究の結果そう行くかもわかりません。併し今申上げましたように、それらの会社に内示をして、お前のほうへ注文をやるからということはいずれの方面からもないと私は確信いたします。
  188. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それからそれらの問題は別にして、再軍備に我が党は反対の立場ですが、実際軍艦を作るとすれば、御承知のように呉の海軍工廠は、池田さんがアメリカのナシヨナル・バルク・キヤリア・コーポレーシヨンに昭和二十六年に海軍工廠を売つちやつているのです。全くこれは国有財産を売払つて、而もナシヨナル・バルク・キャリア・コーポレーシヨンは世界最大の四万トンクラスのタンカーを四はいも一ぺんに作つている。而もその一部を今度問題を起した播磨造船に貸しておる。而もその賃貸料も延滞している。私は調査しているのですが、延滞しているのです。そういうものをやはり国に返してもらつて、そうしていろいろな、私大蔵省でその買戻しの契約書類を写して来ていますが、かなり建艦能力も進んでおりますし、四万トンクラスのタンカーを四はいも同時に作つている。そんな世界でも有数なものである、その辺にもこれは非常にいろいろな問題があつたのです。大体この造船割当に人つて来るのはアメリカの総司令部の海運課長の何とか、名前は知つていますが、それがこの造船会社の割当に入り込んで、三千万もその船会社から取つているのです。これはもう海運局長もよく知つているのです。そういうことが未払いになつて、そういう人の斡旋もあり、この国有財産である呉の海軍工廠が一営利会社のナシヨナル・バルク・キャリア・コーポレーシヨンに、これは国有財産法によつても非常に問題があるのです、そういう巨大なドックを一部を播磨造船に貸して、それで賃貸料をとつておるというような、まあ昭和二十六年ですから、まだ占領下のいろいろ特権も絡んでそういうことになつているので、私は本当にやるのなら、理想的なものを作るのなら、スキャンダルも起らんでしようしするから、考えて見られるべきではないかと思うのですが、これは如何ですか。
  189. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御説の通り旧海軍工廠は十分設備は立派なんだ、これ一つでも残つておれば、そういうものを利用してモデル・シップを作るということは非常によかつたかと思いますが、まあ今から考えて見ると、それを国で残しておいて、果してそれを今まで持ちこたえて来れたかどうかということも、これは一つの疑問だろうと思うのです。そういう厖大なものを、これは私はわかりません。併し将来の問題として旧海軍工廠のようなところで作つたらどうかということも一つ考え方でしようが、私は個人意見としてはやはり国でそういうものを特に持つよりか、民間の会社に互いに競争させて立派な船を作らせるという方式のほうがいいんじやないかと考えております。結論は出ておりません。現段階においては、我々のほうで特に昔の工廠的なものを持とうということは何にもきまつておりません。
  190. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にお伺いしたいことは、この二十九年度の予算で一番重要な点は保安庁費なんです。この保安庁費が、我々はつきり事実を知りたいことは、これを平年度化した場合に幾らになるかということなんです。それでこれについては資料も頂いておりますが、先ず長官にお伺いいたしたいことは概括的なことです。詳しいことは担当のかたから伺います。大体この三十年度には大まかどのくらいに保安庁費はなる見込みであるか。長官のお話では、二十九年度の警備計画と睨み合せて三十年度の警備計画を立てて行くと、そうして二十九年度は七百八十八億、大体それがどのくらいになるはずであるか、陸海空合せて。これは今度のこの予算を知る上にも、又今後の予算考える上にも一番重要な点であろうと思うのです。
  191. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実は率直に言うと、三十年度の大体のめどだけで、まだ我々としては具体的にどうあるべきかということについて協議がまとまつていないのです。いろいろ情勢の変化もあるでしよう。これは単純なめどだけで以て、そのめどもまだ我々のほうで一試案という程度に過ぎないのです。従つて金額の点についても確定しことは今計算していないような事情です。これは本当の話です。
  192. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは角度を変えて、大体防衛費はめどとして国民所得の何%、或いは歳出の何%であるとか、そういうことを何かめどの研究はされておらないのですか。
  193. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そのめども、これはいろいろ見方もあるでしよう過去例もいろいろあるのでありまするが、将来国民所得の何%ということにしていいのであるか、予算の何%でいいのであるか、これも立て方の如何によつて非常に違つて来るだろうと思うのです。考え方としてそれがどこまでだというはつきりした線は、私はこれはまあ立つと言えば立ちますが、これも情勢如何によつて変つて来るんじやないか、私はこう考えております。併しそれも切りのあることですからして、むやみにできんことは尤も至極なことであります。申すまでもないことで、国民所得のテンパーセントなんということも言えるわけじやありませんし、日本情勢から言つてそれにはおのずから限度がありますから、はつきりしたどこまで持つて行こうというようなことは今考えておりません。
  194. 森八三一

    主査(森八三一君) その前に、参考人の長沢君がお忙しいところを来てもらつたのですが、なお長沢君に御質問の点があれば残つて頂かなくてはなりませんが、参考人にもう御希望なければ……。
  195. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そのかた作戦のことは、戦略問題をやれますか、そういうことができれば何ですが……。その際に、やはり防衛ではその問題を保安庁でも研究しておられると思うのですが、MSA並びに防衛両法案の審議のときにはその問題を伺いたいと思うのですが、そういう日本を取りまく諸情勢の中での防衛のための戦略問題を特に御研究されておるかたは、技術的な問題で、どなたですか。
  196. 森八三一

    主査(森八三一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  197. 森八三一

    主査(森八三一君) それでは速記をつけて下さい。  それでは参考人の長沢さん御苦労さんでございました。  更に、御質疑のあるかたは質疑を継続して頂きます。
  198. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の点保安庁長官、一番我々も又予算委員としてその点明らかにする義務があるのですし、一般国民も一審この点を聞きたいところなんです。今のお話ですと非常に頼りない話であつて、防衛費が国民所得の何パーセントになるかもわからん、予算の何パーセントになるかもわからんでは、一体何をメドにして防衛ということを考えるのか、防衛々々と言つたつて経済的裏付けがなくてはできないのですから、それで経済的裏付けをやる場合に、国民生活なんかどうなつてもいいということなら幾らでもできるでしよう。併しそこには限界があることで、その点を明らかにすることは保安庁長官としての任務ですよ。それを明らかにしないで、私は細かい数字を聞いておるのではないのです。こういうことは研究してなければならないのです。研究ができてなければならんはずです。およその見当は今後の日本経済と睨み合せつつ防衛をあなたはお考えにならなければならないのですから、大体肚づもりで七百八十八億が三十年度に一千億とか二千億になるのか、いやそうではないと、大体これから二百億くらい殖える程度とか、何かメドを応つけて、それから私は細かいことを聞いて行きたいと思います。我々しろうとで検対した範囲内では、どうしても平年度化の数字や何かを見ますと、補正が出るか、或いは三十年度の予算が相当ふくらむか、私はどちらかになると思うのです。そういう意味で補正の問題もからんで来ると思うのです。それは大蔵大臣を組まん組まんと言つていますけれども、それはやはり警備計画から行きまして、又そういうものと予算の盛り方からして見て、補正の問題がいろいろ出て来るわけですよ。それではそれから聞いて行きます。補正は絶対に組まれないかどうか。その点を先ず……。
  199. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 絶対に組まんつもりでおります。
  200. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、大体三十年度は大よそ、わからんというのではあれですけれども、それでは二十九年度……。
  201. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 二十九年度には補正は組まんつもりです。
  202. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十年度は相当それがふくらむ……。
  203. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 少しふくらむと思います。
  204. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 少しぐらいですか。
  205. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まあどのくらいになるか、これは我々のほうだけでちよつと言えないから……。
  206. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 でも長官は少くとも三十年度の、長期の警備計画は困難である。併し少くとも三十年度の警備計画のメドは考えながら二十九年度の警備計画考える。それはやはり予算との関連なしに警備計画考えられるはずはない。それは恐らく数字がおありでしよう。隠しておられるのじやないですか。それが今後の日本経済の自立計画とか何か、つまりインフレを防止するとか言いますけれども、それが柱になるのですよ。
  207. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それはあなたのなにはよくわかります。併し我々はもうでき得る限りの限度において、成るたけ財政を圧縮しない何でやつて行きたい、こういうことで研究しておるわけです。
  208. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは長官からは、幾ら押し問答しても時間ばかり経つのでお聞きしませんが、大体過去の例を見ますと、これは必要によつて、軍事費というものは国際情勢によつてどんどん国民生活を考えないで増加させられる傾向にあるのです。歴史が示しているのですから……。だから心配なんです。いつも大概そうなるのです。軍事費というものは国民生活とのバランスを考えてやるやると言つていますけれども、必要になるとどうしても国民生活を無視して殖えて行くのか軍事費の特徴なんですよ。ですから国会がやかましく言つたりなんかするのです。それだから一応大体のメドを示して、この程度たからそう心配しないでいいということを示さなければ、それはときによつてどうにもなるというのでは、どうしても頼りないわけです。だから警備計画をはつきり出して、長期警備計画を出して国民に……、割切つた気持でこの負担の問題を考えなければならないのです。私は初めて長官が日本の防衛の問題を考え、防衛計画考えたり、それから防衛予算考えるときに、こんなにぼんやりした考えでいられることを心外に思うのです。こんな頼りない長官でどうするのか、私はこれではお任せしておけないと思うのですよ。もう少し、そこのところは一番予算の芯じやありませんか。それがわからないというのでは……。それではじやあ具体的に私は計数的に伺つて行きます。我々頂きました昭和二十九年度予算案に基く増勢完了後における陸上自衛隊及び海上自衛隊平年維持費調、これによつてつて行きたいのです。  これは空のほうは含まれておらないのですけれども、今度の二十九年度の予算を基礎にしましてこれを比べて参りますると、二十九年度は自衛隊は約四百億ですね。陸上自衛隊……。それに対してここで平年度として出された四百三十七億円はこの四百億に見合うものとして比較していいのかどうか。
  209. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 只今のお尋ねは、今日お手許に差上げました二十九年度予算案に基く増勢完了後における陸上自衛隊及び海上自衛隊平年維持費調というのと、二十九年度保安庁予算案概要といのと、この両方を比較してお尋ねだと思うのです。只今お尋ねの点は第一のほうの調べにおきましては、平年維持費四百三十七億円とありますが、それが第二の表のほうにおきます陸上自衛隊のどの金額に該当するのか、それは現態勢維持分というところに運営費三百五十億というのがございますね、その内訳の通常維持費三百二十六億、それに特別退官退職手当二十四億が加わつておりまするが、この通常維持費三百二十六億に、来年度、三十年は満期終了の者がない見込みでありますので、三百二十六億がこの四百三十七億に見合う、こういうふうになつております。
  210. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、二十九年度予算の陸上自衛隊保安庁の項ですね、項目にある四百億は平年度化するとどういうふうになるのですか。
  211. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 四百億の中には、そにある二十九年度保安庁予算概要で御覧になりますように、特別退官退職手当、二十九年度におきまして七万、これか満期になりますので、それに対しまして特別退官退職手当、それはそういうような特別の満期終了者がありますとき出るので、これは平年計算をいたしますときには一応落して計算すべきものと考えております。  それから施設整備費のほうでありまするが、これも施設をいたしまして、これが一応一段落をいたしますれば、これはいわば年々限りのものでございまするので、これも平年の維持という点から申しますると、除外をいたして考えることに相成つております。大体今のようなものを差引きまして、今申上げました三百二十六億という金が出るわけであります。
  212. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この現態勢分の四百二十七億と、それから三百二十六億ですか、これを比較した場合に約百億ですね。
  213. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) そういうわけです。
  214. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 約百億違うわけですね。それだけが平年度化した場合に殖えると見たのでは、これは正確じやないのですか。
  215. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 今おつしやいます三百二十六億と四百二十七億との差が今申上げたような平年維持費として殖える、こういうことでございます。
  216. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。それからそれは直接こういうふうに比較しては又誤りになるかどうかわかりませんが、そうしますと、陸上自衛隊二十九年度のこの予算に組込まれておる保安庁費の項において、陸上自衛隊四百億と組んであるが、これを平年度化すると、これよりも百億殖えるというふうになると、そうすると五百億になるという……。
  217. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 私の申上げようがちよつと誤解を招いたかと思います。それは三百二十六億が四百三十七億に殖えるのではございませんで、この三十年度の現態勢組持分というような表を作つてみると、三百二十六億が四百三十七億に殖えるということを申上げましたが、その根本になりますものは当然増勢分の五十億ですね。今木村委員が御指摘になりました運営費四百億、その系統が今申上げた四百三十七億になるというふうに御覧願つて結構でございます。ただ三百二十六億に対応するんだということを申上げましたのは、四百億の中には今申上げました特別なる退官退職手当でありますとか、或いは運営費、五十億の中にそういうものが二十二億ございまして、これは一回限りのものでございますから、そういうものが入つておるということを申上げましたので、規模から申しますれば、四百億がそういうふうに四百三十七億になる、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  218. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次に海上自衛隊につきまして、この資料によりますと、平年維持費は九十五億ですね。それは二十九年度予算保安庁の項においては八十五億ですね。これが九十五億に平年度化すればなる、こう見ていいですか。
  219. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 今申上げたと同じ意味でよろしゆうございます。
  220. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこの空の分を見ると、空の分は予算君の項の項目では四十五億になつておりますがね、それは平年度化するとどのくらいになるか、これはまあ非常にむずかしいでしようが、大ざつはにこの予算規模を見る場合にはやはり知りたいわけですよ。大体どのくらい見ておいたらいいのか、平年度化した場合は……。
  221. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) この航空自衛隊の平年度化につきましては、この前機会にも申上げておきましたように、これはどういうような用規模練習隊を作つて行くのか、練習隊というものは当然六カ月たてば或るコースを卒業しその次のコースに入る、その次はどうするのだということがございますが、そういうような前提を離れまして、陸乃至海のようにこれを平年度化した場合はどうかということは申上げにくいということを申上げたのであります。只今のお尋ねの点で、若干その内容から申上げて参りますと、四十五億のうち初年度費二十六億、維持費十八億八千万円と申しますのは、昨日説明申上げたように、人員を八カ月分見ておりしまして、そのための経費が人件費九億一千万円、食糧費一億三千万円、合計十億四千万、人件費と食糧費で……。これは八カ月でありますから、従つてこれを平年化いたしますと、これは十五億くらいに相成ります。従いまして、この人件費及び食糧費のほうで、この維持費十八億がどう伸びるか、今申上げたように練習隊かどうなるとか、或いはそれ以外の規模がどうなるかということは暫らく抜きにしまして、その人間を本当に機械的にフラツトにのぼして行くということにし、みますと、人件費、食糧費において今申上げた十五億程度の金額が出るということが一つと、もう一つは器材費が七億五千万円、維持費の一つであります。この七億五千万はいろいろな型の飛行機のいろいろな機関で見ておりますので、これは最初申上げたように、どういうよりな飛ばし方をするということにもよるので、これはちよつと八分の十二してみるとか、或いは四分の十二にしてみるというような大ざつばな計算に適さんわけでありますが、人件費及び食糧費のほうは、比較的計算に適するので、その分だけ申上げますと、そういうことになります。
  222. 森八三一

    主査(森八三一君) 木下長官が五時ちよつと過ぎから渉外の関係でのつぴきならん御用で退席されますので、木村長官に対する質疑をお願いいたします。
  223. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 自衛力を認めるという立場からしても、この先般の水爆の被害というものを考えて見ますと、如何に威カが大だかということが如実に教訓されるわけですが、我々はもうああいう爆水以前に、そういう問題考慮なしにこの自衛の問題を取上げてもナンセンスだという考えを持つてつたのですが、そういうことが今政府のとつておられる防御計画というものに新たなる反省の材料を与えるものではないか。そういう近代全体兵器とか言われている原爆や水爆を考えない、何らの内心、苦悶なしに今のような安全保障の形をとつて行かれるのはナンセンスじやないかと思うのですが、そういうことについてどうお考えですか。    〔主査退席、副主査着席〕
  224. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今中田委員のおつしやることは、恐らくあれくらい効果の偉大な水爆か実現した以上は、もう自衛力なんというものは必要はないんじやないかという意味の御議論じやないかと私は受取ります、そうであると、私はそうじやないということを申上げます、勿論この水爆というものの偉大さ我々は認めざるを得ない又将来かようなものを使われるようなことがあつてはならないと考えております。不幸にして使われるということになると、私はもういわゆる第三次場戦争に入つたときであつて、これは人類のまさに滅亡に瀕するときである。併しこれを別問題上して、水爆ができたからというので、各国が自衛力を放棄して何とかなるというようなことは考えられ大いので、この間も申上げました通り、イギリスあたりでは二日に新聞に、予算案可決のときにチャーチル首相が言つているように、やはりイギリスとしても、国内平和と秩序、外国からの侵略を阻止するために我々としては軍備を持たなきやならんということを言つておるようであります。日本もまさにその通りで、水爆かできたからといつて不当な外国からの侵略がないとは限らない、我々としては独立国家として立つて行く以上は、それ相当のやはり自衛力は持たなければならないという私は気持に変りはないので、あります。
  225. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあこの問題はいろいる見解の相違にもなるかと思うのですが、併しこれはいろいろ我々に対しては言われんかも知れませんけれども、アメリカが極東戦略をどういう考えを持つているかということはすでに熟知しておられる。最近のアメリカのやはり封じ込政策から、ロール・バツク政策、更に周辺作戦というようなことで、大体アメリカ本土にどんどんやつてあとは原爆の前進基地でやるような作戦の一環を担つ行くという点は、くれぐれもこれは危険です。この点では今日は時間がありませんから、一つ誰か係のかたに、研究をされた人に来てもらつて、そこでやりたいと思います。  それと、もう一つは保安隊の幹部の人の生活と下の人の生活とに非常に問題があつて、例えばその点はクライスラー、リンカーンというような最高級の車を三、四千万も出して買われて、そうして東京から久里浜間を通つたりしておられるというようなことが、汗みどろになつて訓練をしている職員に非常に大きな心理的な悪影響を及ぼしているというようなことが言われるのですが、昨年クライスラーとか、リンカーンというのは最高級でしようが、そういうものを二、三十台も買われて、それが又いろいろ何か訓練に来ているアメリカの兵隊の持つているもの、これもいろいろ噂があるのですが、この機会にもう一点一つはつきりしておきたい。その士気に及ぼす影響、いろいろな問題についてそういうことはないのですか、東京から久里浜等にしよつちゆう通つて殆んど……。
  226. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その点私からお答えしましよう。東京から久里浜にどんな自動車か知りませんが、通勤に使つてつたという事実は開きました。併しすぐやめております。さようなことがあつてはならんので、御承知通り、この点は上の者が贅沢をしておるのでは下の者にしめしがつきませんから、その点はもうはつきりやめております。この点は極く極端な例であると考えております。併し御承知通り大体の保安隊員の生活というものは、私が全国をずつと視察して廻つたときには、相当満足してみんなやつてくれているようであります。これらの点については十分将来注意し、上の者と下の者との生活が余りとび離れているということは、お説の通りであると考えます。将来とも私十分注意して行きたいと考えております。
  227. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 購入状況はどうですか、三、四千万、四、五千万、……クライスラー、リンカーンというのはなかなかないのですよ。どういう手順で入つておりますか。
  228. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 車の種類を正確に承知をいたしておりませんが、二十七年度に若干の車の勝人をいたしておりますのですが、大体その基準は各省を通じてきめておりまする車の一定の基準がございまして、その基準ではじかれました台数を調達したのであります。車の入手の経路ということになりますと、輸入車でありますれば、或いは新らしいものでありますれば新しいもの、古いものでありますれば中古、リンカーンは買つておらんそうであります。
  229. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 今の件について少し詳しく申上げます。二十七年度に今お話の約二十台ちよつとだと思いますが、三千八百万円、リンカーンはたしか中古だと記憶しておりましたが、ちよつと今表を持つておりませんから、あとは百五、六十万、それで大体三千八百万円で二十数台ですから、単価としては決して高いものではない、一台当り百数十万円、全体の配車としては他の官庁等の配布に比べて決してこれは多いものではない。むしろ少いものじやないかというくらいに考えて頂いていいのじやないかと思います。質、量とも他の官庁よりもうんと少くていいということは、これは又全然別な角度でしようが、一般常識から見て良質たものであつたとは考えておりません。
  230. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは保安隊の指導に来ている顧問団の人のを買つたんですか、どうですか、
  231. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 昨年買いましたものは保安隊用でありまして……。
  232. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 保安隊の顧問団として来ている人がクライスラーとかリンカーンとか自分で持つているでしよう。そういうのをよく斡旋か何かしているのですが、自己用のやつを……。
  233. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) これはそういうふうな種類のものはなかつたように記憶しております。
  234. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 内々あるのですよ。まあ調べて見て下さい。
  235. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 保安長官にちよつと最後に何つておきますが、先ほど財政規模を考える場合、いろいろお尋ねしたのですが、わかりませんから、こういう店一つつておきたいのですが、三十年度の防衛拡充計画の規模は、二十九年度に行なつたのと大体同じくらいの規模で拡充されるのですか。
  236. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは今年は制服以外に平服のものがありました。三十年度にはそれはなくなるだろうと思います。
  237. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 平服を制服に変えるわけですな。
  238. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いや平服の増加はなかろうと考えております。
  239. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 平服の増加はない。制服だけですね。その増加割合が二十九年度に殖えたのと大体同じくらいの規模で考えられるのですか。
  240. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 大体今くらいと考えております。
  241. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから空と海はどんようですか。
  242. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 海のほうは御承知通りアメリカからもらう船を我々予想しとおりまするが、これは先ず八千六百くらい、概算ですね。空のほうは約六千くらいじやないか思います。
  243. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その六千くらいというのは……。
  244. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 三十年度ですね。
  245. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十年に保有勢力が、保有機数が六千という意味ですか。
  246. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いやいや人員……。
  247. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 人員六千……、そうですか。艦艇というのは八千六百……。
  248. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 八千六百と見ているのですが、人員です。
  249. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 人員ですか、八千六百……。
  250. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 八千六百人であります。
  251. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。
  252. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そうすると、大体二十九年度末或いは三十年度当初とかいうものの保有実勢力というものは計算できるわけですね。例ば二十九年なら二十九年、アメリカから貸与になるものがあるでしよ、それから新造計画で二十八年度分が二十九年度にでき上ることになる。これから二十九年度で新進計画かあるでしよう。そうすると人体まあ三十年四月一日なら四月一日に保有している現勢力しいうものはわかるわけでしよう。
  253. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) わかりますね。
  254. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そういうものを一連の表に出して頂くとわかりますね。艦艇なら艦艇、飛行機なら飛行機、人員なら人員……。
  255. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 艦艇幾ら…。
  256. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それら人員幾ら……。その上にメドと称するものですね、三十年度の……。二十九年度の終りにこれだけの現勢力ある。これに足りない分はこれこれである。それが大体メドじやないかと思う。そのメドも多少のところは明かて頂けるのじやないですか。二十九年度末のものは計算できるでしよ、できるはずです。予算をとつているのだから……。
  257. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それなら大体の予算規模がわかるはずじやないですか。
  258. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 二十九年度は三十年の三月三十一日現在において大体のやつはわかる。二十九年度でできる、或いはアメリカからどれだけのものを借りる予定か、これは現実に入つてみなければわからないが、それはわかるですな。
  259. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 陸と海については、先はど差上げたもので正確に三十年度というわけでございませんけれども、年に計算をいたしますとどうなるかということを申上げた。空のほうは先ほど申し上げたように年度末のものは別に資料に差上げておりますが、それの単純な平年計算ということは、練習隊の計画とか、そういうものが出て参りますので簡単に計算はできない。それから人件費は先ほど申上げたよりに月割で延せばこうなるということを申上げたわけです。
  260. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ですから、これまで伺つたあれによつて、平年度化したものプラス三十年度の拡充計画、これを加えれば出るわけですね。ですから大体それを加えると約一千億になります。一千億ちよつと超えると思う。超えるでしよう。
  261. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) ちよつと超えるかもわからない。
  262. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体大ざつぱに言つてそういうところでしような。
  263. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私これで……。
  264. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう長官は結構です。  次に、一つ二つお伺いしたいのは、初度装備費というのが入つておりませんね。装備費関係は今後どうなるのですかということをお伺いしたい。いわゆる初度装備費か入つていないのですね。この予算関係は今後どうなるかということが一つ。  それからもう一つはこの間石原局長も御答弁になりましたが、これはどうしても私はどうもそういう関係ででも補正を組まないで済むのかどうか疑問に思うです。アメリカ側のほうで貸与を受けるはずになつている艦艇がその予定通りに貸与を受けられない場合ですよ、こちらで作らなければならんというときにはどうなるかということ、それが一つ。  それから北海道、苫小牧、千歳、仙台、岐阜、あれは向うに引渡すことになつておるのを引渡さないというので、これも新らしい計画が出て来ると思う。これは予算の中で操作して賄うことになるのですか。それを今後どういうことで賄うか。これが擬問なんです。それか一つ。  それから火薬関係、火薬関係もこれもついでに伺つておきたい。  その四つから言つてどうりしても僕はこれ以外に又予定せざる支出が嵩んで来るのではないか。それかやはり補正として出て来るか。三十年に出て来るか。殊に伺いたいのは初度装備費ですよ。これは全部アメリカからずつと貸してくれればいいけれども、たんだんと日本側で作つて行かなければならないということですね。部分的にはこつちで作つているものがあるのでしよう。ですから初度装備費というものをどういうふうに見ているのか。二十九年度が全然ないのですか、この点を一つお伺いしたい。
  265. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 第一の初度装備費の点でありまするが、木村委員御指摘のように二十九年度におきましては八十五億ほどのレプレース・ストックを流用いたしまして、計上いたしてございません。従いまして、明年度におきまして新規の増加をいたします場合には、これは本年度のよりにレプレース・ストックを以て充当することはございません。従つて当然その分は増になります。それは三十度の……。
  266. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと待つて下さい。それはレプレース・ストック八十五億の程度で済むのかどうか。今度八十五億のレプレース・ストックになりましたが、今度は初度装備費を見込なときにその程度で済むか。これもやはり相当……。
  267. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) その点は今年度は多少部隊の編成を改正いたしております点もございますので、そういうような問題を見ませんで、フラットに見ますれば、大体従来から申上げているところの数字並びに初度装備費におきまして三十万見当になるかと思つております。従いましてそういうよりなものか来年度に新規に増加いたしました場合に要るだろうということに相成つております。  それから第二の船の点でありまするが、船は折角今折衝中でございまするが、若し万一これに対しまして我々の期待のように進捗せざる場合にはどうするかということでございまするが、これはどの程度の食違いが出て参るかということになるわけでありまするが、我々といたしましては、予算の拘束の下に警備計画を立てておりますので、これらの予算範囲内において処理をいたす。若しどうしても向うのくれるものが非常に少いということでありますれば、これは二十九年度といたしましてはそれを以て我慢をいたすよりほかないと思います。  それから施設の点でございまするか、御指摘のように北海道、仙台等におきまして、相当の施設が米側から還りません場合におきましてはどうするかというお尋ねでございますが、これはいろいろ部隊の配置の関係もございまして、今申しましたような地区におきまして、施設を予定の配置替を考えておりますが、或いは一部分できないということになると、その部分を現在ありまするキヤンプの中にできるだけ我慢をして、これはなかなかむずかしいのでありますが、ただその数字は、木村委員承知のようにすでに十一万収容する施設を持つております。従いましてその何%という程度のものでございますれば、これは相当過密と申しまするか、収容の濃度が非常に濃いと思います。それから施設は必ずしもよくない所もございますが、施設に若干余裕のある所もございます。そういうよりな所もございまするので、全体としてこれを動員いたしますことを考えますれば、現存の施設の範囲内におきまして、おつしやるような食違いか万一出て参りました場合におきましても処理が可能でありまして、このため特に補正予算を組まなければならんということには相成らないと思います。
  268. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、二十九年度はそうやつて処理できるでしよう、一応……。併しながら三十年度にはやはりそれでは済まなくなると思うのです。その点どうですか。
  269. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) その点はアメリカ側が我々が期待しているものだけの施設をこちらのほうに割いてくれないというのは時間的な問題であるのか、或いは時間的でなくて相当久しきに亘つて困るということなのか、それにもよると思います。時間的な問題でございますれば、暫く我慢していればいいじやないかということになりますし、それが相当な量におきましてやはり恒久的に困るのだということになれば、これは三十年度において何かの手当をしなければならんということに相成ると思います。  それから最後のお尋ねの火薬庫の点でございますが、これはこの間の機会にもお話申上げておきました通り、二十八年度の施設におきまして手当をいたしておりまして、大体三万六千トン程度の弾楽庫の手当を今いたしております。個所数にいたしまして七カ所ほどでありまして、このうち一部まだ現地との、地地との折衝がついていないのでございますが、それだけの用意がございますので、弾薬の関係で、今木村委員のおつしやいましたように向う側の弾薬が相当量こちら側に比較的短い期間に渡るということがございましても、これを以て収容し得ると考えております。
  270. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この点も二十八年度に手当をしておられたと言いますけれども、その後二十九年度予算を組まれるときには、一応向うの収用した、使つていたものを返してもらう、そういうことになつていたのじやないですか。それがもう二十八年度に手当をされていたというとこれはおかしいので、その点も一応二十九年度の予算措置はできるだろうが、三十年度に行つて又その点も新らしい支出増になるのじやないかと、こう思うのですが、そういうことはどうです。
  271. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 弾薬庫につきましては、先ほど御指摘のあつた営舎のように、我々のほうは米軍の接収解除を期待しているのであります。従いまして二十九年度でですね、向うのほうの接収解除を予定して予算を組んだ、従つてその解除がなければ三十年度に繰り越して来るかというお話でございますが、つまり二十八年度で予定いたしましたもので一応二十九年度の増員の関係、或いは二十九年度で若干手当をすることになる、而もこの間木村委員の御指摘になりました向うが相当まとめて渡すというお話がございましたが、その系統の分は二十八年度のほうで手当をいたしておりますので、そのためにアメリカ側が接収解除ということをしなくても、御指摘のような問題は起らないと思います。
  272. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体そうしますと、やはり二十九年度の経費は千億を超える、どの程度超えるかが問題なんですね。今のお話ですと、千億を相当超えると思いますがね。相当というのは程度の問題ですが、まあ大体まあ大まかなことはわかりました。
  273. 中川幸平

    ○副主査(中川幸平君) なお質疑があると思いますけれども、日程の都合もありますから、保安庁予算審査はこの程度にして、次に移つて頂きたいと思います。  それでは日程によりまして、大蔵省関係予算審査に移ります。只今日本銀行理事舟山さんがおいでになつておりますから。
  274. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いろいろお尋ねしたいこともあるのですが、最近総裁の名前であちこちに寄付することが非常に多い、まあ銀行でしようが。あたかも個人のポケットマネーみたいに……。これは当然そいうことを全く廃止するというわけにも行かんでしうが、かなりあちこらに出されている。これは一応大きな門戸を構えておられるわけですから、そういうこともあると思うのですがね。最近はキリスト教大学だとか何とか、あたかも個人のポケットマネーみたいに出される。これは非常に問題じやないかと思います。一体どれくらいそういうのがあるのか、今後一つそういうことはできるだけやはり銀行がみずから垂範してもらわなければいかんのだというような意見がありましたので、まだいろいろありますが、答弁は時間がありませんからその点だけ一つ……。
  275. 舟山正吉

    参考人(舟山正吉君) 日本銀行の名において出します寄附金の件でございますが、日本銀行が認められました予算に寄贈費という一項目がございまして、二十八年度上期、下期、それぞれ二千七百万円認められておる次第でございます。これはまあ日本銀行が法人として業務を執行いたします上において、いわゆる社会的な付き合いと申しますか、若干の寄附をしなければならんという場合のために入れておかれた費目と承知いたしておるのでありますが、これは上期に例をとつて見ますと、主な寄附相手先は、公共団体とか、或いは経済団体、或いは教育文化学術関係の団体とか、新聞通信の関係等、恒例的な寄附の相手先でございます。なお二十八年度上期には、西日本及び和歌山の水害に対しまして義捐金のお付き合いをしておるのでございます。これらは日本銀行として何も積極的に寄附をするつもりはないのでございまして、市中金融機関その他の議がまとまりまして、公共性のものであるというので相手先、或いは事業に対しまして日本銀行市中金融機関にお付き合いをするという程度で寄附をしとおるような次第でございます。
  276. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今御説明がありましたが、日本銀行市中銀行のお付き合いをするというお話ですが、そうでなくて、財界あたりでは逆に日本銀行が或る程度出して、右へならえして、その寄附をいろいろ割当ではないでしようけれども、させられる。これは前に一万田さんの子供さんが通つておられる学校に寄附されるので、日本銀行から寄附して、あとそれに応じて来られて非常に迷惑したというようなことも聞いております。そういうふうなことがときどき聞かれるわけですね。これは一万田日本銀行総裁であるということから、やはりこの寄附に応じなければ貸出しを受ける場合その他に不便があるたろうというので、進まないながらも寄附に応じるということになるので、これは舟山さんよく御存じではないかと思うのです。その間の消息は。財界ではしよつちゆうそういうことが評判になつておるんですよ。余りに日銭総裁はワンマン的地位を利用して、これは濫用になると思う。こういうことはよくないと思うのです。その点についてやはり相当自粛されるべきではないかと、こう思うのですが、その点、
  277. 舟山正吉

    参考人(舟山正吉君) まあ最近は時節柄いろいろの資金の源を寄附に仰ごうとするような傾向が非常に多いのでございまして、日本銀行に対しましてもいろいろな申込がございますが、先ほども申しましたように、公共的性格を有する団体なり事業なりに限るような方針をとつておるのでありまして、これは気ままに或る特定の団体に寄附をいたそうといたしましても、或いはこれが先例になるとか、或いは横の均衡があるとかいうようなことで、決して恣意的な寄附はおのずからできないようになつておると思うのであります。先ほども申しましたように、市中金融機関においても大体これについて来るというのでなければ、無理にこれを寄附さすことは困難であると考えておるのでありまして、御指摘のような無理のある場合はないのじやないかと考えております。
  278. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは少しも反省される必要はないというお話ですと、これは私は違うと思います。それは相当そういう批判があるのです。これは本来は日銀総裁に御出席願うとよかつたんですが、舟山さんに言うよりは、日銀総裁個人として自粛される必要がある点があるのです。この点はお帰りになりましたら、予算委員会でこういう話があつたということは私はお伝え願いたいと思うのです。相当そういうふうに日銀から言われたものですから、断わるわけに行かないという、これはその気持はよくわかると思います。そういう日銀の地位を利用して、これは日銀が寄附をするだけならいいんですが、勧誘するわけです。そういう点ですよ。  それからもう一つ伺いたいことは、日銀の今の納付金のやり方は、利益金からいろいろの税金を引いたり、その他償却をせられたり、必要経費を引いたりして、その残りを納付金にするわけです。日銀のこの必要経費というものの使い方、必要経費の計上の仕方、これについてはいろいろの批判があるわけです。ですからこういう納付金制度ですと、どうしても必要経費を引いた残りを納付するという形になる。一応大体こういうふうに予算を立てられますけれども、いろいろ弊害があると思います。例えば新らしく建物を建てなくてもいいのに建てておる、或いは又一般よりも著しくかけ離れた立派な寮などを建てる、それは日銀の地位を利用してそういうことになる。私はそれは従業員の厚生施設としていい寮に入ることを決して反対するものではありません。私は京都に行つて見たんですが、素晴しい立派なものです。近所が驚いているんです。それが日本銭行の独身寮です。それは大したもんです。そういう寮は建ててもいいんです。いいんですけれども、如何に何といつても日銀が利益が自由にあるからといつて、そんなに一般と比へて著しく立派なものを建てるということは私はどうかと思うんです。そういうところに必要経費を引く場合のいろいろ問題がある。前にもこれは指摘した。これは大蔵大臣もよくその点は、これはやはり納付金に関係して来る。そこで私はこれはやはり発行税制度にして見てはどうかと思うのですが、どうでしよう。納付金制度と発行税制度と実際はどちらがいいのか、私はそういう納付金制度ですと必要経費が無駄に使われるから発行税というものを考えて見たんですけれども、この点について大蔵大臣及び舟山理事に伺つて見たいんですが、大蔵大臣如何ですか、
  279. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 一遍十分これは考えて見たいと思いますが、例えば元やつてつたものを納付税に変えた時分のいきさつ等もあり、今お話のように、実は寮は非常に立派な寮だということは私もよそからちよつと耳にしたこともある。そういうようなこともあつて、多少それは納付金制度から起つているものかどうか、その点はわかりませんが、よくもう一遍長所短所を研究して見て、又どうせこれはあなた方と御相談する機会もありますから、これは一遍検討したいと思います。
  280. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちよつと関連して……。実はこれは名前は言いませんが、私は社会党の左派ですが、相当知名な士です。大体造船の汚職を見ても、非常に公私のけじめがついていない、一万田総裁が自分のポケット・マネーみたいに、当然納付金になるべきものがどんどんあつちこつちに寄附されておるか、これは厳重に予算委員会でも取上げてもらいたいといつて、いろいろ木村さんが先に言われたようた資料を持つておいでになつて、これは某新聞社から、論説委員の主幹です。その人から、こういうことが一般として響いて、例えば中曽根君の例を引いて、自分のポケット・マネーをやるように、原子力研究をやるといつて、学界を刺激するのに出してやるんだというような、こういう全然公私のけじめのつかないようなことがこういいことになつているんです。キリスト教の大学で、自分の息子さんの行つている学校に寄附する、そうして木村さんは京都の寮のことを言いましたが、東京の寮を見たつて、これは普通の三倍以上もかけて坪数の単価できているんです。東京にあるんです。そうして最近は又大蔵省でもそういうものを建てたということで、私のほうの政策審議会のほうに、予算の執行の中心である大蔵省にも一つ是非厳重に取上げてもらいたいというふうなことを言う者もありますし、是非これは一万田総裁一つ、当事者でJなあなたには非常に恐縮ですが、これは知名な新聞社の論説委員の方が、持にこの問題一つ中央銀行のやはり日銀ぐらいが率先して示してもらわなければけじめがつかないというので、大変恐縮ですが、是非お伝え願いたいと思うわけであります。
  281. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 大蔵省ではさようなものは作つたことは全然ありません。それは何かの間違いです。私が会計課長に聞いたら、全然そういうことはありません。一般公務員宿舎が誤まり伝えられておるのであります。大蔵省はあなたも知つておられるが、恐らくそういうことはけちな所で、そういうようなことは私は考えても見ません。
  282. 舟山正吉

    参考人(舟山正吉君) 寄贈費につきましては、その使い方は枠を与えられまして、日本銀行のまあ良識において使うように任されておるのでございますが、私ここ一、二年ばかりの実績を見まするに、不当な寄贈はしておらんと思つておりますが、なお、将来の問題といたしましては御趣旨を体しまして、慎重に扱いたいと思います。それから経費の使い方につきましては、これは大蔵省の十分なる査定も受けておるのでありますけれども世間に対して余り目立つというような建物を建て、るということは、これは自粛すべきであると私も考えます。来年度につきましては支店その他の営繕も中止しよう、時節柄これを差控えようといつたような決定もいたしておるような次第でございます。なお、御指摘のありました納付金制度なるが故にこういうようなことになつておるのか、従つて発行税のほうがいいのかどうかというようなことにつきましては、十分研究する必要がある問題だと私は思いますが、私からはこの際意見を申上げかねます。
  283. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは舟山さんは大蔵省から行かれているんですから、そういう点については私個人が言うのではなく、世間でそういう批判があるんです。日本銀行は中立的な立場でなければ、本当の、教育立法じやないのですけれども日本銀行こそは本当に中立的でなければならないのです。従つてこの寄附その他がそういうものが偏しては非常にまずいと思うのです。そういう批判が非常にあるのです。ですからそういうことを念頭に置かれまして特にあなたは大蔵省から行つておられるのですからそういう点に気を付けられるようにされたいと思うのです。これは希望です。それから日銀総裁にも是非こういう意見が今日あつたということはお伝え願いしたいと思うのです。言にくいかも知れませんが、併し日銀総裁自身にこれは耳に入れなければいけないことなんですから、そういうこともお伝え願いたい。
  284. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは大蔵大臣にお聞きするまでに、或いは印刷、又大蔵省の関係であります造幣、こういう関係のかたに念を押してから聞くのが当然なんですけれども、大蔵大臣も声をいためております。早くお帰りのようですから端に申上げますけれども、昨年の現業の仲裁定が本年の一月から実施されることになりました、同時に一般職の公務員のベース・アップも本年の一月から実施されておる。そこで切替て見ると、現業は皆そうでありますけれども、特にまあ大蔵省関係から言いますと、印刷造幣におきましては一般公務員よりも低くなつておる。これはこれらの五現業が一般職から外れました以前におきましては、現業は一般職の公務員の中で、特別俸給表によつて現業であるというので高い号俸をもらつていたわけであります。でありますから一般職の公務員よりも高い号俸をもらつていたということにはそれだけの理由があつたと、こう考えるので、本年の一月の切替後においてもやはり一般職の公務員よりも低くなつてはならない、何ら事情の変更というものがないのでありますから、低くなつてはならないという原則が先ず第一に確認されなければならない、ところが実際に切替えて見ますというと、一般職の国家公務員よりも低くなつたという結果がある。このことは大蔵大臣はお認めになるかどうか、もう簡単にお答え頂けば結構です。
  285. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは松浦さんも御承知のように政府としては仲裁裁定を尊重しまして、それに基いて国会の議決を経ましたような次第であり、政府はその仲裁裁定について一月から実施することについても、その中身について左右したわけではございません。従つてまあ国会の議決が正当な効力を発生したものをそのまま実施したのでありますが、お話のようなことは河野委員から印刷局の表をもらいまして、それでそういう事実があると言われましたので、私調べて見たところが、多少そういう事実もあるように見たのです。けれども一方から見まして、去年以前には一般公務員よりも多小有利に取扱われておつたということも考えますと、多少極く僅かですが、又それを一般公務員よりも低いものを上げるということはどうも私ども考えにくい、とにかくこの仲裁裁定に基いたものをそのまま実は国会の議決で効力を生じさせた次第なんだから、却つてそれが公労法の精神に副うものじやあるまいかというような考え方でやつた次第でありますが、細かいことは担当の次長から申上げることにいたしたいと思います。
  286. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その点は或いは一方から考え人事院の勧告が高くて、それから仲裁裁定が低く出たということもあるかも知れないと思います。併し切替が八月に切替えられれば、こういうアンバランスは起らなかつた、一月になつたから公務員よりも下廻つたということが考えられるのですが、この点はどういうふうに……。大蔵大臣でなくてもよろしいのです。
  287. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申上げますが、只今大臣から申されました通りに、一月からこの仲裁裁定はそのまま実行いたし、人事院の勧告につきましては、御承知のように地域給の改訂等も織込んで中だるみ是正というようなことでやりましたことは松澤委員承知通りであります。まあ問題は裁定という制度、勧告という制度でそれぞれ根拠が違つておりますものですから、その結果が少し差が出たということでございますが、今重ねてのお尋ねは八月から実施した場合はどうだつたかという点でございますが、これは場合によりましたらばはつきりした資料で申上げればいいと思いますが、私どもの手許にあります資料で一応申上げますと、二十七年十一月一日即ち一月からのベースアップ前のベースでございますが、そのベースとこの仲裁裁定及び人事院勧告ベース、これとの比較を取つて見ますと、造幣印刷はおのおのその引上率が十三・六%と十四三%となつております。これに対しまして国家公務員は十四・九%ということになつているのであります。従いましてその上がる率は大して開きがないのでございまして、只今大臣のお答えになりました通りでございます。なお松澤委員よく御承知かと存じますが、造幣印刷につきましては、かねてから頭打と言つておりますが、これを更にむずかしく申しますと、不合理是正というようなことをやつておりますが、そういうことを部内においてやつておられるのであります。この不合理是正を行なつた後のベースで申しますと、極めて一般の公務員との差が僅少になつておりまして、大体只今大臣も申されました通りに悪い悪いと言われますが、殆ど大したことはないのじやないかというふうに考えております。御趣旨のように現業をできるだけよくというようなこともあるのでありますが、これらの点につきましてはそれぞれ作業の必要に応じまして超過勤務等も支給されていることは御承知通りでございまして、私どもとしては今日仲裁裁定制度、人事院勧告制度を前提にいたしましての議論といたしましては余り大きな差異はないのじやないかというふうに考えております。なお蛇足かとも存じますが、万一そういう制度の結果を一々気にいたしまして是正をするということになりますと、先ほど申されましたよりに、以前はいま少しよかつたというようなときにはどうすればいいのか将来になりますと、又そういうような事態にも必ずしもならないということもないのじやないか、ここのところは国家公務員と公共企業体等労働関係法の適用者との間には制度が違います結果多少の違いが出て来るということは、これは制度の結果としてむしろ合理的ではないかというふうに考えている次第でございます。
  288. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それではお伺いしますけれども、以前現業が特別俸給表で支給されていた、これには理由があると思うのですが、そのまま一般職から離れましてこういう特別号俸の高い給与を支給していたのを現在は殆んどすれすれになつた。逆に低くなつておるわけですが、こういう実情がそれでそのまま合理的であると、或いは妥当であると、こういうふうにお考えになりますか。
  289. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 今日の公共企業体等労働関係法、或いは人事院の勧告制度の下におきましては私どもとしては一応妥当であるという見解を持つております。
  290. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 関連して……。何か我々の承わるところによると、給与法を適用して逆算して見ると三百円ぐらい低いということを大蔵省の給与課長もお認めになつておるということなんですが、その点はどうですか。今やはり改訂して三百円ぐらい実際低いと、それは大蔵省の給与課長も認めておられて、何とかせねばいけんじやないかという御意見やに承わつておるのですが……。
  291. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、そういうことは一度も考えておりませんし、先ほども申上げましたようにその差は三百円にはなつておりません。詳しく申上げますと造幣で僅か百九十円ぐらい、印刷では八十円内外というような極めて低い差になつておると思います。
  292. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 あなたのところの印刷の関係の人がはつきりとやはり五百円くらいの開きがある、或いは五百円乃至三百円、そういう開きがあるということを言つているのです。これは速記録がありますからわかります。あなたのほうの計算では八十円、相当大きな開きがあるように思うのですが、どちらが本当なのですか。
  293. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 印刷、造幣から申上げたのは或いはベースの開きということで申上げたと思うのでありますが、私先ほどこの不合理是正をやつておりまする関係等を併せ考慮いたしました場合の差額はということを特に申上げたのでありまするが、そういうふうな計算をしまするというと、今申上げたような百九十円乃至八十円内外ということに相成るのであります。或いはその比較のやり方が少し違つてつたかと思います。
  294. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 べースで言えばやつぱり三百円乃五五百円開きかあるということをお認めになりますか。
  295. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 印刷造幣からどういう資料が出ておりますか、私ども確かめていないのでごいますが、只今主計局次長から大体造幣で百九十円、印刷で八十円内外と申しました数字はこれはベースの中の俸給についてのことでございまして、これにあと俸給がそれだけ足りなければそれ相応して勤務地手当も若干足りないわけであります。そうした要素を入れますと造幣で二百円、印刷で百円、それくらいのベースの差は出て参ろうかと思います。
  296. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 じや、お伺いしますけれども、特に生産奨励費とか、或いは又勤勉手当はあるでしようけれども、そのほか何らか特別手当一般公務員以外の特別の手当が考えられているかどうか。
  297. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お尋ねの御趣旨はいわゆる現業に特殊の業績賞与というふうなものを考えておるかという御趣旨かと拝聴いたしたのでありますが、この点につきましては実は昨年の年末に出しました手当におきまして、一般公務員と、これらの現業関係では一応〇・二五の開きがございます。その開きをどうするかということで国会でも非常に御熱心に御審議を頂いたのでありますが、これを一応私どもは業績賞与で賄うということを申上げまして予算が成立いたしたことを記憶いたしておるのであります。大体〇・二五に相当する業績賞与を印刷造幣につきましても出すことにいたしております。なおそれ以上にいろいろ考うベき点があるのじやないかというふうな御趣旨かとも拝聴できるのでありますが、この点につきましてはそれぞれの企業における業績を見なければならんのでありますが、少くとも今日まで私ども承知しておりまする印刷、造幣の業績ではそれ以上の業績賞与を出す事態にはないというふうに承知をいたしておるのであります。
  298. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 結局において、何らかの措置で従来一般職の公務員よりも高かつた現業の、その当時は公務員ですが、その当時もらつていたものを、これは既得権と言つても差支えないと思うのですが、これをカバーする方法があれば、これは別途そういうことを考えてもらつたらいいと思うのですが、現在の業績ではそういうものは出せないということになると、結局今までは一般職の国家公務員よりも高かつたものが低くなるということをこれから後も継続して認めて行かなければならないということになるので、それでは現業というものを離しただけの何らの意味をなさないということになるのじやないかと、こう思うのです。何か考慮されるかどうかということですね。
  299. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、やはりベースという問題と業績賞与という問題は、私は別であるというふうに考えますので、どこまでも最初の問題に戻りしまして、ベースをどうするかという問題になりますると、結局一般公務員は人事院勧告、或いは今後機構は改変されることも考慮されいているようでございますが、とにかく別の勧告というふうなものによつてベースがきまつて参ります。それと国会の最終的な決議を受けるのであります。一方五現業のほうは公共企業体等労働関係法に基く調停なり仲裁裁定ということに相成つて参りますので、この異なつたプロセデュア、手続によりましてきまりますものが、場合によつて食い違いを起すということはこれは何とも止むを得ないのじやないか。若しこれを強いて統一しようといたしますれば、それらの制度を変えなければならんということに相成ろうかと存ずるのであります。ただ一般公務員と五現業との聞のベースの問題はそういうことでございますが、そのほかに何か給与全体としての問題の中に別のものか入り込む余地があるのじやないかということになりますと、御指摘の通りに業績賞与ということが考えられるのであります。或いは又私ども予算では弾力条項というふうなもので超過勤務手当というふうなものを出す途もあるのでありますし、これはベースとは別の問題でございますが、ポケットに入る給料或いはその他のみいりという意味におきましてまあカバーする余地があるというふうなことは言えるかと思うのでありますが、ただ業績賞与につきましてはこれは非常にむずかしい問題がございまして、二十八年度は先ほど申しましたように一応一律に〇・二五分を出したのでありますが、本来はこれは厳格な一種の基準と申しますか、ノルマのようなものを定めましてそれに照らして業績賞与を出して行く、それによつて個々の企業体の業績なり或いは経営なりが、それをそのまま反映するような賞与制度ができるということに相成ろうかと思うのであります。これは全然ベースとは別の問題でございますが、将来そういう業績賞与を一層精緻な合理的な制度にして行くということは研究の余地はあろうかと考えておる次第であります。
  300. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まあベースとして低いということは、これはまあ低いから、けないという理由かあれば、又新らしい仲裁裁定を要求するということ、これは理屈の上からそうなるわけです。この点についてはこれは将来当然考えられなければならないと思うのです。併し業績賞与というようなことをむずかしく考えれば、今次長がおつしやるように非常にむずかしく計算しなければならない。併しまあ今までの考え方は、〇・二五の場合もそうですし、簡単に、まあそいつをうめるために業績賞与というような恰好でうめておるわけですが、むずかしく考えればそれは幾らでもむずかしく考えられます。併し実際において、低いものを何かの形でうめるということになれば、先ほどお話になりましたような超過勤務手当であるとか、或いは業績賞与であるとかといつたようなもので手取りを多くするということも考えられる。で今まで高かつたということの理由があるならば、その理由が変更されない限りやはりいろいろの名目そいつをカバーするということを考えて行かなければならないと、こう思うのです。そこで大蔵大臣も非常に急いでいらつしやるし、お疲れになつていらつしやるようですか、いろいろこれはもう根本的に議論をすればもう少し私のほうとしても申上げなければならないのですがここで一つ大蔵大臣親心で、従来もうちよつと高かつたのだ、今は逆に低くなつておる、それを何とか善処するというそういうお考えを聞かして頂けば非常に幸いだと思います。
  301. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) まあ私もこれは率直なことを申上げますと、ベースとしては全然考える余地はないと思いますが、その業績賞与等の問題については何かなし得るかということについて、少し考えさせてもらいたいと思います。
  302. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 大蔵大臣は前に衆議院でも考えさせて頂きますということをおつしやつていますが、それから大分日がたつておるからもう考えがまとまつているのじやないかと思つて実はお伺いしたのですが、それじや今のところはまだ何も考えていないのですか。いつ頃になつてから善処するということの具体的な御意見が発表できますか、それをお伺いしたいと思います。
  303. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) まあこの前のときは善処すると言つて御実行申上げた古い例はありますが、この問題は実は私は最近に知つたのでして、河野密君から書類をもらいまして検討してもらつた結果、まあこういうことがあるということを知つて、いろいろ研究をその後やつて見ましたが、それは最初申上げたように、どうも裁定に基いて、国会の御承認を得てやつた次第だから、この点はどうも余地はないように思う。けれどもまあいわゆる超勤手当等で何か少し工夫もつくまいかというので、まあこの二十九年度の予算の実行上一つ考えて見ますと、こう思つておるのでございます。
  304. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いや、私はもうこうなつたら新らしい仲裁裁定と言つても問題になりませんし、そうかといつてあなたがた自身で余分にベース・アツプするというともできませんし、だからこれは実際上の問題として御考慮願えれば結構だと思うのです。その点一つ考え願えますか。
  305. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 二十九年度の予算を実行する上において一つ考えさして頂きたいと思つております。
  306. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 明日補正予算の採決と、この分科会の報告があるのですが、明日小笠原大臣は出られますか、出られれば……。
  307. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) どうしても出るつもりでおります。
  308. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ではちよつと質問して、簡単ですが、最近十七国会等から予算執行の不当不正支出に対する、特に参議院の予算委員会等でやかましくなりましてから、各地で随分公共事業の査定がやかましくなつたし、うまみがなくなつたということか言われている。ところがただ二つ問題があつて、今度は会計検査院と、一番やはり本元である大蔵省がやはり率先して考えて頂かなくてはならん問題がある。それは各地によりまして必ず会計検査院が来ますと、県の一番いい旅館をちやんときめて、実に歓待これ努めるという点で、会計検査院にそのほうが集中しているんです。各地でこれはもうそうです。そこでそういうことのないようにできるような、誘惑に十分堪え得るような待遇措置を会計検査院等には特にして頂くことが必要じやないかと思うんですか、ところが予算の編成期になりますと、大変言いにくいんですが、各省が大蔵省を御接待申上げまして予算の寛大な査定等をお願いするというのは、もう実にあるんです。これはもう各省の外廓団体もやれば、農林省とかその他各省が競つてやるわけなんです。それからまあ酒なんかのないときでも、四谷の大蔵省界隈の、あの辺の料理屋に行けば、なかなかほかでは得られないようなものが、そこのマダムは自慢で、うちには大蔵省の人が来て頂けるからこんなのがあるんですよというようなことで、これはもうあるんです。実際私具体的な例を挙げませんが、一つやはりそういう陋習は断つて、やはり是非大蔵省が、庁舎なんかの悪いのなんかにおられる点は私敬服するんですが、やはり汚職を徹底的にやらんと私大変なことになると思いますので、会計検査院と大蔵省が特にその点で一つ模範的な行動をとつて頂くことが必要ではないかと思うんです。
  309. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私が知つておるところでは、私は呼ばれたことはありませんが、とても忙しくて、この予算編成期は、そんな呼ばれておるようなひまを持つた人はないんじやないかと実は思つていますが、併しまあそういうことが万一にもあつてはいけませんので、十分注意することにいたします。  なお会計検査院のことは、これは御承知のように触れてはいかんことになつてつて予算でも会計検査院は、若し査定を違えたときには会計検査院の申出て来る予算と、政府の査定した予算と二つなければいかんということになつておるのでございまして、これは私のほうから、どうこう言いませんが、ただ佐藤院長は懇意な人ですから、一遍よく話をしておきます。
  310. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点で以て、余りもう言いませんが、そう言われますが、内閣の総理官邸の下の辺の千代田倶楽部というようなものは一体どこでできたか、ということは私は言いませんが、やつぱりなかなか意味は深長なんです。まあ一つ、多くは言いませんが、是非率先してやつて頂きたいといいう点。  もう一つ私非常に残念に思いますことは、この補助金等の打切りで、地方公共団体の受ける予算は補助金がかなり打切つてある、ところか政府の各省の外郭団体に出る予算のほうは余り切つてないということ、これは私外郭団体の予算を検討して見て、実にこれには予想外の感を持つたんです。而もその外郭団体には、例えば参議院の議長をしておられた、今外務委員長の佐藤さんの関係しておられるようなもの、たくさんそういう国会の相当な地位の人の占めておる外郭四体の補助金の査定というものは実に寛大なんです。一般の公共団体に出る査定に対しては大鉈を振われているが、私先日来から外郭団体の予算を出してみてもらつてびつくりしているんです。その点が非常に、私一つ、今後そこに問題があると思うのです。運輸省なんかに対する外郭団体のほうに対する締め方が非常に足らんと思う。一般の公共団体に出る補助金はかなり大鉈が振われているか、国会の代議士や参議院の知名の士の会長をしたり副会長をしたりしている団体に対する査定が寛大である。これは今度の補助金の査定を見て共通した私は問題だと思うので、一ついろいろむずかしい点はあると思うのですが、御検討して頂きたいと思う。
  311. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今お話のうちに、千代田倶楽部云々というふうなお話がございましたが、これは主計局は全然関係ございませんからその点ははつきり申上けます。又主計局のものが予算期に御馳走になつて予算にいろいろ……という話でございすが、私どもは御馳走になつて予算を甘くするようなことは絶対いたしておりません。この点もはつきりとこの際申上げておきます。  なお補助金整理に当りまして公共団体の分を非常に荒く切つておるが、外郭団体の分には余り手をつけてないではないかという御趣旨のように拝聴いたしたのであります。相当外郭団体の整理もいたしまして、一例を挙げますと、大蔵省関係ては証券民主化連盟というふうなものがあつたのであります。これは先般の査定におきまして漸減をいたしておるのであります。その他税務関係或いは貯蓄奨励関係等におきましても、団体の補助につきましては相当の斧鉞を加えております。お話にございました運輸省の観光関係等の補助も前年に比べますと相当減つております。なお御要求がございますれば外郭団体の補助の前年度と本年度との比較の一覧表お手許にお届けいたしたいと思います。
  312. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私は千代田倶楽部が主計局のお抱えだとは言わなかつた。(笑声)併しこれか大蔵省のあなたがたの大先輩の誰の関係であるかということは、これは私なんかもあそこに行つたことがありますが、あそこで誇らしそうに言うということもちやんと知つている。私はあなたがたがあそこに行つて、あなたがたのお抱えだ、主計局のお抱えだということは言いませんよ。併しそれがあなたかたの大先輩の紐がついてないという保証は誰もできない。
  313. 中川幸平

    ○副主査(中川幸平君) 大臣はちよつと御加減が悪いので……。
  314. 高木正夫

    ○高木正夫君 私は五分か十分で、大変遅くなつて恐縮ですか、簡単に趣旨だけをお尋ねしたいと思います。  今回政府のほうでは自動車に関する税金をあれやこれやと皆上げられるわけですね。自動車税、その中で一番ひどいのはガソリン税だと思うのですが、従来よりも一割八分くらいの計算になると思いますが、つまり一キロ一万一千円の分が一万三千円になる。そうしますと、そうでなくても最近非常に重税で困つている車を利用する人たちが非常に困るわけなんですが、私は根本的問題があると思いますが、それはさておきまして、相当きつい重税になると思うのですが、あれを少し緩和するようなお考えがないかどうか、ちよつとお聞きしておきたいと思います。
  315. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 実は今仰せになつたのは地方税でございまして、そして管轄で申しますと、自治庁と、それから自動車をお扱いしておる関係運輸省でございまして、私の直接の関係ではございませんが、閣議の席上これはちよつと議論になりしたので、私は記憶しているままを申上げますと最近非常にガソリン車が、特にトラック等が大型のものになつて参りまして、従つて普の前の型と大変型が違つて来た、そういうようないろいろの関係を、道路の破損等を織込んで、この程度は止むを得んというようなことで、閣議の席上でも運輸大臣と自治庁との間に相当議論が出ましたが、最後にそれではということできまつたのが実は今の数字なんでございます。細かい根拠等は、課税をする自治庁のほうと、それから自動車行政をやつておる運輸大臣のほうとから、いずれ又機会がありましたら御答弁ができようかと思つております。
  316. 高木正夫

    ○高木正夫君 そうではないのです。自動車税は、これは地方税になつておりますが、ガソリン税はそうではないわけです。私の主としてお尋ね重点を置きたいのはガソリン税のほうの問題なんです。
  317. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) ガソリン税お話のごとくでございますが、最近の主として道路の関係その他から今度ガソリンを一つの地方々おける道路面積に対して割当てるとか、或いは又そのうちの相当部分を道路のために割当てるというような問題等もございまして、実情から昔のほかの物の物価の関係でその程度に上げてよかろうということで実は上げたようた次第でございまして、この点は実は閣議でもガソリン税は高いではないかという議論は一つも出なかつたような次第でございました。
  318. 高木正夫

    ○高木正夫君 ガソリン税の税収入が道路の特別措置……道路の整備に関する法律ですね、それは道路に充てるということは承知いたしております。それで本年度の予算が二百三十七億幾らということも承知しておるわけなんですが、そうしますると、本年度の、つまり二十八年度の実績から考えまして、丁度そのくらいの税収入になるわけですが、そうすれば、今の一万一千円でもそういう数字になりますので、それ以上げる必要はないのじやないかということになるわけです。それを一割八分もなんで上げんならんか。若し一割八分も上げて税収入が多くなつたら、それを道路に全部持つて行くのかということになりますが、これは大蔵大臣はかねて補正予算を組まないということをはつきり言明されておる。そうすると、上つた金はどこへ持つて行くのか、こういうことになるわけですね。又上るようにせんでも、現行の税率で以て道路の整備に十分充てられるわけです。そこに矛盾があると私は考えるわけです。
  319. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは細かいことは政府委員のほうから御説明申上げます。
  320. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関達して数字的にちよつと……ガソリン税の、これは推定ですが、一―三月分の需要が五十五万七千キロと見られておる。それから四―十二月分は二百五十七万七千二百キロ、これは業界の推定を元にしておる。ガソリン税は御承知のように三カ月徴収が猶予される。ですから、その関係も考慮して計算しますと約三百億を超える。そうしますと二百三十七億を予定されておりますから、六十三億というものが余ると、こういう計算になる。そうすると歳入超過になる。そんなら税率を上げんでもいいのじやないか、こういうことが問題の焦点になると思いますが……。
  321. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) ちよつと数字のことでございますが、御説明申上げますと、二十九年度のガソリンの消費量と申しますか、揮発油税の課税の対象になりまするものは大体現在の見通しでは百九十万キロリッターくらいに考えておりますので、大体この程度で現行法で行きますと二百六億くらい、改正いたしまして三十一億ほどの増税になりますので、二百三十七億くらいになる予定でございます。
  322. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、ガソリンの供給量と言いますか、それをつまり輸入外貨の問題で、それを幾らか削減する、そういう御方針になることになるのでしようか。
  323. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) ガソリンの輸入ですか。
  324. 高木正夫

    ○高木正夫君 輸入です。
  325. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは現在の状況ではまだ最後の数字を決定いたしておりません。それが大体昨年の例によつて見ますと、一億七千万ドルくらいたしか輸入しなければならんようになるかと、一切の油、石油類でなるのでありますが、そういうふうにも輸入し得る実情にちよつとございませんので、従つてどの程度に輸入するかということはこの三十一日に最後の決定をするということになつておりまして、御承知の大体輸入しますものを、この外貨予算では本年は二十一億四千万ドルばかりと考えていたしまする関係上、尤も金の動きとしては二十億ドル考えておるのでありますが、そういつた関係上まだどうもはつきりと出しておりません。どの程度になるかということは三十一日でないと御答弁ができかねます。
  326. 高木正夫

    ○高木正夫君 そこで私は十分に御考慮を願いたいと思いますのは、この輸入量、供給量についていろいろ大蔵省のあなたの下僚のかたにも伺い、運輸大臣にもいろいろ聞いて見ますが、皆まちまちなんです。それはまだきまらんからまちまちでしようが、いずれにしても輸入外貨の問題で大分削減されるということは、本年の実績ぐらいだと言われる人もありますし、そうでない人もあるのですが、そうしますととにかく本年度ぐらい入ればまだいいのですが、若し入らないとなると、運賃の上なり税金のほうが一割八分も上り、そうして量が減つて来ますと多少規制でもされるか、これは行政整理でやるということもありますが、それはいずれにしてもガソリンが上るということになるのです。これはもうすでにこの二カ月、規制をされるかも知れないというので三千六百円くらいのものが上つているわけなんです。これは今でも気息奄々で不渡手形を出したり、倒産が甚だしい中小企業者は非常に困る状態になるのです。ところが一方においては運賃は簡単に値上げできない。認可料金になつておる。それで業者を倒すかということになるわけですが、これも簡単にそういうわけに行かん、結局認可料金を上げなければならん、こういうことになつて来ます。そうするとどのくらい上げたらいいかというと、殆んど少くとも一割五分くらいから二割くらいになるのじやないか。今国有鉄道の運賃を上げるということになると、これは一割上げるということになつても大騒動になると思うのです。ところが、国有鉄動よりもたくさんのトラックが走つている。これの運賃が上るということはこれはもつと重大な問題なんです。例えば鉄道で運び荷物の二倍半というものは各種の車で運んでいるわけなんですこれが料金が上つて参りますと、それこそ国民大衆に非常な負担をかけることになると思うのです。そこが十分に一つ考え願いたいと思うわけで、まあ鉄道であればすぐ話はわかるわけなんですが、トラックとか、タクシーとかいうものは細かい問題ですから、十分な議論を国会でもいたしましたし、従つてこういう陸上の輸送に対しては、運輸大臣はともかくとして、甚だ露骨なことを申上げますが、どうも政府の御当局が昔から甚だ関心は薄いと思う。これは日本国民経済に寄与する点から言つたら、今日発達したところの鉄道と陸上交通全般と、どちらにウェイトを置くべきかという問題が起つて来る思うので、そこまで話が飛んでもどうかと思いますが、現実に差迫つて非常に困る問題ではないかと、こう思いますので、そこの点は十分に一つ考え置きを願いたいと思います。それだけ申上げておきたいと思います。
  327. 小林中

    小林君 いろいろ大蔵大臣にありますが、私は大蔵委員だから大蔵委員会で話すとして、大蔵大臣はお疲れのようだから、この委員会で問題にしたことだけを締めくくりの意味で話しますが、法務大臣によくお話はしておいたのですが、類似金融機関の問題については一応今度措置がとられるが、類似保険の問題について相当危なつかしい事例がかなり起つておるように思います。まあ大蔵大臣、聞いておいてもらえばいいのです。銀行局長にはよく話してありますが、大蔵委員会で問題は各協同組へ――農業協同組合、或いは漁業協同組合の共済事業については、或る程度掛金の運用とか或いは医療、災害等に対する積立というような問題ついて措置がとられることになるが、中小企業等協同組合、これは御承知のごとく通産省の所管、それから消費生活協同組合、これは厚生省所管、このほうについてはただ一条項によつて、共済事業をやる、こういう建前で、その資金、集めた掛金の運用、或いは医療、災害等に対してどうするかという、保険業に対する監督規定のようなものは十分行われておらん、で至急に各省と相談の上善処するということを銀行局長は言つておるのです。大蔵大臣もお含みの上、至急に善処をしてもらいだいのです。そういう協同組合法等の法的、多少のひつかかりがあつてつておるのはまだいいのですが。全然法的根拠がなくして任意団体的なもので類似保険をかなり行つておる。これについては保険業法違反の疑いもあるし、そういうものについて又保全経済会の二の舞を演じないように、最近は特にとういつた類似金融機関が資金収集に苦労して金詰りを来たして、むしろそつちのほうで自転車操業的な資金を集めるべく骨を折つておるやに思われるふしもあるので、十分御注意の上法務当局とも打合して善処されたい。特に相当自由党の有力者でその主宰をしておる人もありますから、お含みの上御善処願いたい。
  328. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 承知いたしました。
  329. 高木正夫

    ○高木正夫君 もう一つ別の問題で極く簡単に、私は思い付きの話なんですが、エキスだけを申上げますと、銀行とか又官庁、大蔵省は非常に節約されておるようですが、銀行だとか官庁、大会社は大きなビルを盛んに作つておるようですが、この金を中小企業に廻せば相当に生産のほうに行くんじやないか。これは一つ思い切つてここ一、二年とめてしまうというようなことはできないものですか、お考えはどうですか。
  330. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 大体この銀行のビルについては一昨年あたりから相当話がありまして、この頃銀行が店舗を改築するとか、或いは新築するとかいつた場合においては、資本金、そのいろいろな割合、一定比率以上出てはいけない、こういう内規を作りましてやつております。従つて古い分には相当あると思いますが、新らしいそういうものは昨今銀行関係においては余り行われておらんと私信じております。だからそういう御方針はよくわかりまするし、私どももかねてどうも余りビルディングなどできることよりももつと活きた実質的な産業活動を身近に行なつて参りたいと、こう考えておりますので、この御意見はなお今後とも徹底するようにいたしたいと考えております。ただここで禁止するかどうか、まあ銀行は殆んど事実は禁止したと同じような状態に相成つておりますが、一般のビルについてはどう考えておるかということになると、これは他省との関係がありますから、今後更に相談して見たいと忠つております。    〔副主査退席、主査着席〕
  331. 森八三一

    主査(森八三一君) それではお諮りいたします。大蔵大臣、御健康を害せられておりますので…、
  332. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 予算の使用の適正化に対する、一つ明日頃でも、要綱だけでも結構でございますから……。
  333. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 実は今、日の次官会議であれを取りまとめて明日の閣議に出したいと思つております。ちよつと一、二まだ事務的に折衝することがありますので要綱を明日差上げます。それでその要綱について御説明申上げたい、かように考えております。明日要綱はお配りいたします。
  334. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは資料を要求してあるのですが、まだ出て来ないのですが、これはこの委員会は今日最後の委員会ですが、昨日要求したあれですが、一つ純計を、特別会計と一般会計の純計ですが、
  335. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ず純計のことにつきましてのお尋ねでございますが、純計は予算説明の中に載つけておりますものですからそれで御説明いたしたいと思つております。  予算の説明の四十六頁、これはまあ私のほうの通常純計と申しますと、一般会計、特別会計の歳入歳出で申しておるのでありますが、これを御覧頂きますと、一番左の欄が昭和二十九年度の予算につきまして純計をとつた分であります。真ん中が二十八年度の予算でありまして、それとの比較の増減をつけておるわけでありますが、先ず歳入につきましては、一般会計予算総額九千九百九十五億八千八百二十七万四千円、特別会計予算総額二兆六千九百四十三億五千八十八万円、特別会計の数は三十二であります。これに対して前年度は三十三でございました。こういたしまして、それのまあ単純に合計額をとりまして、このうち一般会計と特別会計におきまして重復する額を出しますとそれが五千四百二十八億五百円十六万二千円、こういうことになります。そこで差引額が二兆一千五百十一億三千三百六十九万二千円、こういうふうになります。なおこのうちから国債整理基金特別会計における借換償還額を控除いたしまして百五十二億五千三十万七千円、その結果歳入の純計額はここにございますように、二兆一千三百五十八億八十三百三十八万五千円、こういうことになつておるのであります。これを前年度に比較いたしますると、七百三十七億六千八百八十六万五千円の増加に相成つております。  歳出につきましても大体同じようなやり方を以ちまして、先ず単純に合計をとり、重複額を差引き、国債整理基金の分を控除いたしまして本年度の純計が二兆五百三十億三千四十二万二千円、前年度額に比較いたしますると四百九十億千五百六万八千円の増加ということに相成つておるのであります。  なお詳細につきましては他の政府委員より御説明いたします。
  336. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで私が、要求いたしましたのは、この重複の勘定を引く場合にどういうものが重複勘定になるが、これはもう時間がありませんから今度やはりこの重複勘定五千四百二十八億、それから歳出についての重複勘定がありますが、これを資料にしてもらえませんか。相当たくさんあると思うのですよ、重複勘定が。これを今後やはり見る場合一つのあれになつて自分一人で計算できるように一つモデル・ケースを、それを一応示してもらいたい。  それから政府が財政規模を縮小する縮小すると言つていますが、これは純計で見なければならないのではないのですが、正しくは。そこにいろいろ議論はあるでしようけれども、純計で見るとこういうふうに今お話のように歳入、歳出ですか歳入ですか、歳入は七百二十七億でしよう、歳出が四百九十億、前年度に比べて非常に増加しておる。そうすると、どういうことになるのですか、純計でいうと、一般会計だけでいうと減つている、この関係はどういうふうに。
  337. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、この特別会司は御承知のようにいろいろの経費が、性質の会計が入つておりますことは御承知通りであります。そこでその性質によりまして、例えば先ほど問題になりました印刷、造幣ごときはこれはまさに企業体でございまして、まあいわばコマーシャル・ベースと言いますか、通常の経済的な取引関係的なものが相当多いわけでございます。こういうものがいわゆる財政資金としての国民経済への影響という問題から申しますると、一般会計の歳出とは相当これは違つたものであり、又歳入につきましてもいわゆる事業収入でございますので、その点は相当建つておるかと思うのであります。私どもは一兆円予算というふうなことを申します場合にはこの一般会計の歳出を先ず申しておることはもとよりでございますが、その一般会計からまあいわゆる財政投融資の財源を出しております分等につきましては、これは非常に重要な要素として考えております。御承知のように本年度は相当これにつきましては削減をいたし、おるのでありますが、財政投融資というものは今日の国民経済から申しまして非常に重要な歳出であるということはこれは否定できないことかと思うのであります。併し先ほど申しました中にはこの産業投資特別会計の分だけか入つておりますが、その他の政府閥係機関はこれは入つておりませんから、或る意味におきましては純計だけでも全体のあれが正しくは現わされていないという点もあろうかと存じます。でなおこの中には入つておりませんが、地方財政は、まあ一部はこの中に入つておるわけでございますが、全体として地方で税を取りましてそれで以て賄つて行くとか、或いは地方で起債をしてそれで事業を賄つて、行くといふうなものは、これはむしろ特別会計よりは一層国の一般会計に近い性質の支出かと存じます。歳入にいたしましてもそういうふうに考えられるのでございます。この点につきましてはむしろ国の中央財政及び地方財政を併せて考えなければならないというふうな議論もあろうかと思うのであります。従いまして純計だけでももとより全体をカバーするわけには参りませんし、又純計の中には多少違つた性質の経費が入つておりまするので、これらのものは同じようには論じられないとは思うのであります。それらの点非常に複雑でございますが、要は先ほど申した財政投融資、一般会計財政投融資或いは地方財政というふうなものを併せて国民経済との関係と、そのほかにもとより特別会計等のことも考えまして、総合的に考えなければならないのじやないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  338. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは今のは非常に苦しい答弁ですが、総合的に考えれば考えるほど純計でやるべきで、これも又地方財政も加わるわけでしよう、そうすればますます又財政規模は殖えちやうでしよう。ですから一兆円予算を一兆円一兆円と馬鹿に捉われて何でもかでも一兆円という形を整えて縮小しているかのごとく見せるためにいろいろの作業をやつているのだが、純計をやつて見ればちやんとしつぽが出て来るでし上う。あなたはほかの特別会計は一般会計と違うと言われるが、二十八年度だつて違うのですよ。二十ヒ年度だつて逢うのですよ。そういうことにおいては同じですよ。前にドツジさんの来たときにもこのインフレ抑制の場合にやはり全体の予算を総合的に考えて行かなければならないと言つておるでしよう。ですから地方会計も特別会計も一般会計もそういう前提で見て、そうしてこの財政規模がふくらんでいるか、減つているか、これを見なければいげないと思うのです。一兆円に捉われて余り無理されてはどうかと思いますが、これは意見ですから言いませんが、特に私は一般会計に余り捉われて財政法に違反して、我々の見方から言えばとにかく大蔵省の皆さんが非常に智慧を絞つて、如何に財政法に違反しないようにいろいろ特製法を設けておりますけれども、併し精神から言えば明らかにこれは違反ですよ。これは私はやはり財政法の趣旨をよく守らなければいかんと思うのですよ。それは随分屁理屈をつけておりますよ。中には見解の相違の点もあります。併し中には例えば事故繰越なんか、あれなんか実際無理ですよ。本当の事故繰越じやありませんよ。それを法律さえ出せば、それで法律を作るのだからいいというのですが、これは大蔵大臣と議論してもしようがないが、やはり皆さんが、この大蔵省のバツクボーンである皆さんが本当に財政法を守つてくれなければ困るのですよ。そういう意味で余り一兆円予算に捉われたら困るし、屁理屈をつけたり、特例法で法律を出すのだからいいというのじや、これは何のために財政法を作つた意味がないですよ。今後のこともありますので、この点はやはり正示さん真剣に、意見の分れる点もあるけれども、明らかに承服できないのがあるのですよ。これは今後気を付けてもらいたいと思うのです。
  339. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちよつと一言……。只今木村委員の御指摘になりました財政法四十二条の特例でございます。実は今日朝から大蔵委員会で膏を絞られましてくたくたになつておるのですが、これまあいろいろ議論をいたしまして痛くもない腹、ということでもないかと思うのでありますが、まあとにかくお前たちはこれは一兆予算のからくりの手段であろうということを言われるのでありますが、併しこの点につきましてはまあ私は二つのことをはつきり申上げられると思うのでありますが、即ち一つは安全保障諸費にいたしても、又連合円財産補償費にいたまても人体この相手が外国でございますものですから簡単な手続がとれないというところに悩みがございまして、これが国内の一般の地法公共団体とか、或いは民間との間の関係でございます皆もう契約かできるのでありますところがまあ我々も非常にその点は微力でございますが、何とかしてできるだけ安く又経済的にやつて行きたいという欲が強いものでございますから粘る、粘りますと向うもなかなか折れないということでどうも、大体実質的な話はついておりましてもいわゆる財政法、会計法上の契約に至らない、そこでどうしましても事故繰越等四十二条に持つて行かれないという点に悩みがございます。その点で今日も大蔵委員会でも申上げたのですが、一つ一つこの案件を申上げまして、これはもうこの点で話はついております、この点でまだ話がついておりませんということを申上げるとだんだん御了解が頂けるように思うのでありますが、まあ私どもは実質的な意味におきまして四十二条の、只今木村委員のおつしやいましたように財政法というものをゆるがせにするつもりはもとよりございません。これはむしろ大蔵省がよつて立つところの法規なんでございまするからこれを守り抜かなければならんことは仰せの通り考えておるのでありまして、その守り抜か合はればならん法律の精神から見まして私どもは一応お許しを願えるのじやないかというふうに考えておるのであります。  それからまあ一兆予算、たまたまこういうときこういうものを出したものでございますから非常にそういうふうに疑ぐられる点もあるのでありますが、安全保障諸費のごときは、これはその成立の経緯から見ましても私は度とこういうものをやはり予算に組むことは避けるべきであるというふうにむしろ考えるのでありまして、併しながら昭和二十七年度にすでに予算に計上せられ、その後幾多の施設にだんだんと移し替え、或いは使用されて参つたのでありますが、今や大部分が実質的に今申上げたように話がつき、あとは工事を完了して、その検収を行うということが手続的に残るのでありますから、そこで何とかしてそういう間一種の何と言いますか、予備費的に計上するということを避けて行くということはこれは木村委員御指摘の通りに財政法、会計法の精神副うゆえんではないか、そういう意味から行きましてここで繰越になるものを不用にして、もり一度あれを予算に計上するというようなことはこれば却つてあとあとのためにも非常によろしくないのではないか、そこでこの際におきましては一度限りでございますから一つ繰越をお認め願つて、将来こういうような予算の計上の仕方を避けて行くべきではないかというような真摯な気持を持つております。  今日品もその点いろいろ御説明申上げたのでありますが、なかなかまだ御承認を頂けないので、大体私どもはそういり気持を持つて今回の法律案を御提出申上げておるような次第でございます。この点議論を申上げると長くなつて恐縮ですが、一応私どもの気持だけを申上げる次第であります。
  340. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それが正示さん、あなたの今の説明と反対の結果になるのですよ大体私は今建設委員をやつておりますが、安全保障諸費は一応まあ九十億余しておるんですかな、八十億になるか、その点は。それで二十八年度限りで終るということになるんで。そういうように組むと又向うから予算があるというので第十次ですか、十回日の要求が又あるやに聞いておるんですよ。ですからもう予算がないのだ、二十八年度で終ると言つたじやないか、それでそんな予算がないのだと言つて突張るよりないのです。それを又事故繰越をやるから九十億余つておるじやないかというので要求されるのです、あなたの言つたのは逆であつて、そういう予備費的なものかあるかと思われちやうんですよ。そういうことでやはり向うとの折衝をすべきですよ。財政法の精神から言えばいけないのだと。二十八年度限りになつて、のできた契約でそれをもうあれは過年度の支払になることもいろいろ問題でしうけれども、それはまあいいとしてともかく九十億の契約が済んでそれで余つた分についてだね、そういうふりに処理しなければいけないと思うのですよ。それでまあどうせですね、事務当局側は間違つていましたということを言うわけには行かないわけですよ。立場上ですよ。ですからこれは私は警告よりしようがない。併しこれは余り今度の場合については財政法違反の私は五つか六つか挙げましたが、あの中の二、三について議論の分れるところもあるかも知れません。例えばガソリン税の問題なんかは意見の相違、併し今の特例措置、これについてはこれは少くとも私は参議院としてはああいうことをさせるべきではないと思うのです。どうしてもあれは一般会計に組込ませてやらせなければ、これは参議院として権威にかかわると思いますよ。
  341. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) もう一つ只今お話のうち今日計画がはつきり確定しない分がたしか四十数億くらいございまして、まあ大体これも確定いたしておるのでありますが、なお今後折衝を要するというようなものがあることは事実でありますが、そのほかに百四、五十億というものはこれは支出未済としてやはり繰越を要するのであります。これは全部契約は完了いたしておるのでありますが、年度内に工事が完了しない、即ち支出が終らないという関係で繰越をどうしても必要といたす。そこで先ほども申上げましたようにその後のほうの分と、先に申上げた四十数億と併せて考えますると、まあ最初に申上げましたように、実質的には大体この計画も完了しておるんでありますが、多少折衝が残つておる。そこで厳重に申上げますと、百四、五十億のものだけを繰越してあとは不用にするということでなければならんとおつしやるのは、その御趣旨はよくわかるのでありますが、そうしますともう一度お話のようにそれを繰越しなければ向うは要求を引つこめるのだというお話は、これは事実と実は想像いたしておるのでありまして、まあ今日まで建設省或いは運輸省その他とも力を合せ、外務省とも力を合せまして非常に向うの要求を抑えておるのであります、このことはよく木村委員も御承知通りであります。そうしましてなお今残つたのが、そういう四十数億のものがあるわけであります。これは引続きまして私どもとしては極力向うの要求に対しまして、やはり国内で官庁営繕、その他は思い切つて公共事業を削減をいたしておるのでありますから、そういう趣旨で将来とも折衝を続け、できる限り圧縮を図つて参りたいといふうに考えるのでありますが、併しそれを今日それでは思い切つて削減してしまえばもう向うの要求をそれで抑えられるかと申しますと、そこのところは実はまだそれだけの見込の立つところに至つていないのであります。従いましてこのところで一度是非一回限り繰越を認めて頂き、なお繰越されたものを全部使うという趣旨ではないのでありまして、その使用に当りましては極力圧縮を図つて参りたい、こういう気持で実はおりますので、成るほど一般的な原則から申しますと、確かにこれは例外であり、異例でございますが、そういう気持で考えておりますことだけを御了承願いたいと思います。
  342. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう議論になりますから余り長くやりませんが、向うと折衝する場合のあれがあるのですよ、削らないからいけないのですよ、削つておけばそれが成功しないか知れませんが、一つの大きなバツクアツプになるんですよ、そういうことを、やはり財政法を楯にとらなければ駄目ですよ。財政を崩すから国会に叱られます、そんなことをしたら大変ですと、こうやらないからいけないので、特例措置で賄えるでしようということになるから私はいけないと思うのです。今も異例と言われましたが、やはり原則を楯にとつて私はしなければならないと思います。これは見解の桁違になりますからそれでやめます。  次にこれはもう細かくなりますから、時間もありませんから資料として出して頂いてもいいのですが、これは約束をしてあるわけですよ。内閣官房の経費について詳細なるものを出せと、この間総理に総質問をやつて内閣官房の交際費が殖えているじやないか、営繕費も殖えている、あそこのみが他省と此べて一々殖えておる、どうしたのか、こういう質問をしまして、総理はね、自分の生活には干渉されないとかそんなことで逃げちやつたんです。これは私的なことではない、公のことですから明細書を、これを明らかにするというお約束をした。これは最後の締めくくりでありましたから明細なるものを出して頂かないと、非常に我々ルーズに使つておるやに聞くのです。交町費がなぜ殖えた、今までより特に渉外関係が殖えた、それなら外務省関係にある、渉外関係なら何千万というわけで(「外務省は三億幾らです」と呼ぶ者あり)その渉外関係が五百万円前年度上り殖えておる、庁費が相当殖えておる、ですからそういう点は一つ詳細に、国民に耐乏生活を要求する際ですから、私はやかましく言うのです。
  343. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) かねて木村委員からご要求がありましたので、内閣官房会計課長のほうに連絡いたしましたが、なお出ませんようですから更に督促いたしまして至急にいたします。
  344. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと総理の総括質問があさつてなんですが、それまでに成るべく明細に、そう厖大なるものではないですからね、官房の交際費、それから庁費、営繕費、これは詳細に一つ出して頂きたい。
  345. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 余り遅くなつて恐縮で、すが、二十九年度予算は一兆円予算と呼んで非常に苦心をして作られているのですが、二十八年度の予算で二十九年度に繰越されるものが千四百億くらいあるじやないか、それから二十九年度予算で三十年度に繰越されるものが九百億くらいで、差引でやはり五百億程度の二十八年度のこの財政インフレが九年度にしわが寄るじやないか。そこでまあ更に食糧証券の二百億ですか増発、それから前年度剰余金が幾らですか、四、五億あるでしようが、そういうものをしますと二十九年度予算の超均衡予算もやはり相当こういうものが影響されるのです。或いは外貨収支の赤であるとか自然増収というような面、或いは金融締等だけでは、その前年度のしわ寄せが、インフレのしわ寄せが実際吸収できないで、そこで実行予算でも組んで、そうして事業費とか補助費とか数百億やつぱし切らんと財政インフレに対処できんじやないかというような意見もあるのですが、そういう心配はないのですか。一体どれくらい二十八年度のが、二十九年度に繰越され、二十九年度のが三十年度に繰越されて、そういう関係がどうなるか一つ……。
  346. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。中田委員から千四百億というお話でございますが、私どもはそう大きなものではないのじやないか、併しこれはまだ無論年度末に至りませんとわかりませんのでございますが、繰越額をそう大きくは見ておりません。ただ相当額の繰越があることは、これは事実であります。そこで三十年度への繰越との差額が結局一兆予算、九千九百九十五億予算にプラスされてそれだけのものが撒布されるのではないかという御趣旨のように伺つたのでありますが、この点につきましては、恐らく大臣或いは主計局長あたりからすでに予算委員会でも申上げたと思うのでございます。先般三派修正の際におきまして、予算費からすでに五十億というのを削減されておるのであります。でそれに対応いたしまして、二十九年度予算の実行上、一般の物件費、或いは施設費その他におきまして、極力節約を図つて参るということを言つておりますのでありますが、この点は私どもとしましても、今日の大切なこの経済段階に処して参りますためには、としてもその点に一層の努力を払つて、参らなければならんというふうに考えております。又すでに政府が大旗を掲げております、いわゆる低物価政策、これはまあ年度末において一割くらい、年度を通じて五%くらいのものをどうしても下げたいという意図なんでございますから、そういう点から申しましても、一般の庁費なり、或いは施説費等におきまして、やはり相当価格の面におきましても、又数量の面におきましても、ありようの余地かあるように思うのであります。これはまあいわゆる実行上の節約で以てそういうことをやつて参りたいという気持を持つておるのでありますが、もとより今日まだ国会において予算案は御審議中でざざいますから、私どもとしてどれだけのものを節約によつて減額して行くかというふうなことを申上げる段階ではないと思うのでありますが、心がまえといたしましては、一兆予算、或いは九千九百九十五億の一般会計予算が国会の議決を経たならば、それをすべて支出して行くんだというふうな考え方ではなくて、低物価政策に寄与して行くというふうな意味におきましても一層この調弁価格、調弁数量等におきましても努力工夫をいたしまして、全体としての財政資金の撒布の量を圧縮して行くように努力をいたさなければならんという考えを持つておるのでございます。従いまして、只今御指摘になりました繰越額がそれだけプラスされるではないかというお話に対しましては、むしろ私どもは積極的に引締めて行くような面もございまするので、それだけのものがそのままプラスされるというふうには実は考えておらないのでありまして、今後なお私どもとして大いに努力の余地あると、このように考えておる次第でございます。
  347. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私今資料を宿舎に置いて来ましたんですが、いろいろの計算でやつぱり二十八年度のものが二十九年度にしわ寄せされる分が少くとも千四百億くらいある。それから二十九年度のが三十年度に大体九百億くらいではないか、これまでの大体の財政の収支状況を見てもらえばわかるのですが、一つ明日その資料をお見せ願いたいと思うのであります。
  348. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 明日ということはちよつとお約束できかねるのでありますが、できるだけわかつたものは急いでお出ししたいと思います。
  349. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私のような素人でもかなり持つておるのですから、どうも併し信憑性の問題でいささか私も何ですから……、やはり五百億くらいはいろいろ差引しても二十九年度の一兆円予算にプラスされるのじやないか。
  350. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) その点は先ほどのことを繰返すようでございますが、大体私どもは今度保安庁なんかの経費もこの間たしか十二月末日までの資料をお出ししたと思いますが、相当末契約分が減つておるのでありまして、そういう点から申しましても、七、八百億くらいじやないかと見ておるのですが、或いはもう少し殖えることもあろうかと思いますが、中田委員のおつしやる千四百億ではちよつと二倍になりますので、そんなに大きくはならないというふうに実は見ております。ただ資料として差上げておりませんので、余りこれは強くは申せませんが、そんなに大きくならないということだけは申上げられると思います。
  351. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一つ、これは地方公共団体のも、これは私の言つたのは別ですが、ただ自治省との関係で随分繰越すこと知つているのです。併し地方公共団体の財政を担当して見て、小さい県でも数億越すのですから、いろいろな関係から……、一つ月曜日頃までに何とか……。  それとも、一つは、今度予算のうちで、補助金、委託費というようなずつと仕分け表のこんなやつがございますが、あれは一体いつ頃できるのですか。
  352. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは補助金等の調という分だろうと思いますか、予算ができましてから調製をいたしますので六月くらいになるのじやないかと思います。
  353. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 もう一つ資料ですが、先に言われました各省の外郭団体に対する補助金の……、やつぱり知名の士が会長なり副会長になつているのは軽減率が少い。これは何と言つてもその昨年比との関係を作つて見せてもらいたい、一覧できるように……。
  354. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほどお出しするように申したのですが、実は今大庭主計官に聞きますと、なかなか内容が把握されてないようでありますが、できるだけ調査をいたしまして、主なものでも比較してお出しいたしたい。
  355. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これで終りですが、最後に一つ伺いたいのは、国庫債務負担行為の問題、例の二十八年度の百二十四億、先ほど保安庁に聞きましたが、どうも年度内の発注は困難である。どうしてもまだ一月あとくらいかかる。年度を越えるわけですが、国庫債務負担行為は二十八年度の分を越えるのですね。ところが二十九年度予算には国庫債務負担行為が前提となつて保安庁の資料によると、海上自衛隊については二十八年度において建造に着手した警備船等十六隻九千百二十トンか昭和二十九年度において完成されると、こういう前提の下になつて組まれているのです。その場合に二十八年度にこれが契約ができないということになると、前提が崩れるでしよう。それで保安庁のほうではこれは全然新らしい予算が可決されれば新らしく契約行為、支払行為と両方そこで認められるのだからいいじやないか、こういう説明なんです。併しそれは私は筋が通らんと思うのです。予算の説明の仕方がまだそうですよ。そうなつています。国庫債務負担行為によつて二十九年度に百二十四億の支払ができる。それでなければ国庫債務負担行為というものは非常に弊害が出て来るのじやないかと思うのですが、この関係をどういうふうに考えられますか。
  356. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御指摘の通り国庫債務負担行為として国会の議決を得ました分につきまして、その議決を得ました趣旨に従つて年度内に契約をいたすことが本筋であることは御指摘の通りであります。ただ保安庁につきましては御承知のようないろいろな事情で遅れておりまして、これは議決を求めた趣旨から申しますとまさに非常に遺憾の点でございますが、ただ法令的に申上げますと、結局国庫債務負担行為は二十八年度のうちにはこれを締結しないで、只今木村委員のおつしやられましたように止むを得ざる措置でございますが、二十九年度において支出権を認められた範囲で契約をし、なお支出をして行くという措置をとらざるを得ないのでございますが、これはそういう場合にはやはり的確な計画をきめることによりまして、不必要な国庫債務負担行為であるならば、これは国会に議決を求むべきではないというふうに考えます。従つてまだ保案庁の経費はいろいろ不慣れな点等もございまして、いろいろそうい遺憾な点があるのでありますが、将来これらは是非とも正して行くべきである、こういうふうに私ども考えております。
  357. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは解釈の仕方によると、これが二十八年度に半分契約して、それであと契約未済だ、そういう場合には予算配賦が未済の分にはできないわけでしよう、契約未済のときには。ですから極端に言うと二十八年度中全部契約できなかつたらそれか全部それに基く支出行為というのはないわけでしよう。ですから予算の我々への説明の仕方は、これは書き直さなければいかんですよ。こんな説明の仕方をしたのでは正しくないです。皆、予算説明書でもこれでも、国庫債務負担行為に基いて支出行為ができるという説明の仕方になつているのです。これは間違いです。それならそれではつきり直さなければならんと思います。
  358. 大庭金平

    説明員(大庭金平君) 木村さんのおつしやるお言葉は、一部分実質的なことはあると思います。ただ予算編成当時におきましては、二十八年度における百二十四億の債務負担行為の計画で、大体二十八年度でやるんであろうという見込で、十一、十一月頃の編成になつております経過上それに基いた予算編成がされておるわけでありまして、国庫債務負担行為についても申上げますと、十分木村先生も御存じだと思いますけれども、三つの場合があるわけです。一つは歳出予算に基く権能と、それから法律上、又は条約に基く機能と、別途に国会の議決を経た範囲内におきまする権能と、この三つのものが債務負担行為のうちにあるわけでございますが、国会の議決を経た予算歳出の範囲内においては、これは無、条件に債務負担ができる。形式的に申しますれば、二十八年度で保安庁におきます百二十四億の予算化した債務負担行為を持つておりましたのを、それが執行されなかつたといたしまして、今度その権能は、二十九年度においては歳出予算における債務負担行為に形を変えて出て来ておるわけでございます。ですから、ずつと二十八年度できなかつた契約が、今度は歳出予算に基く契約として、有効に契約ができるということになりますわけでありますが、ただこの予算の、木村さんのお手許に差上げておる、申上げた説明の書き方は、おつしやれれは成るほど現在になればそういうことで、この書き方はもう少し考慮しなければならないということに、現在なればなると思いますが、予算編成の当時の考え方としては現在そういうに、そこに申上げておりますような考え方でやつておるようなわけでございます。
  359. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実はもう三月も過ぎてしまつたでしよう、そこで年度内に発注できたいことは、はつきりした話ですから、これは非常に私は、確かにいいことじやないと思うのですよ、この点は。ですから、やはり今後説明の仕方を変えなければおかしいと思いますから、適当な形で直すべきだと思います。筋が通らんですからその点一つ御注意をして頂きたいと思います。
  360. 大庭金平

    説明員(大庭金平君) 只今の御意見は、保案庁のほうにもよく打合せいたしまして善処いたします。
  361. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういうような御説明ならば、そういうふうすれば了承できます。今までの説明の仕方で、それで了解しろと言われても無理ですから、やはり筋を通るように、そういうふうにされたいと思います。
  362. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私実は今日は交際費、租税特別措置法ですが、交際費課税の問題、その問題をやうと思つて大分実は自分でも証券会社に行つたりして、交際費にどれくらい使われておるか、八百億とも伝えられておるが実際はどうかと思つて実は調べて見たんです。証券会社十社ぐらい随分親切に見せてもらつて……、ところが私びつくりしましたけれども、これは大きな百貨店とか銀行等は殆んど軒並みに一億以上の交際費を使つているのですが、今日は質問はしませんから……、もうできて来るはずですから、大蔵主税局でも一つ特別措置法の中の何条ですか、四条ですか、あれに出されたものは、どういう理由でああいうような計算の基礎をなされたのか、課税標準、それで十五億ぐらいですから、交際費課税といものは。ですから名前、業種別に、例えば百貨店なら百貨店で、AならA、資本金が幾ら、売上げが幾ら、利益金幾ら、交際費幾らというような業種別に一つ銀行とか、倉庫業とかいろいろありますから一つ一覧表を、会社の機密に関することですから名前は要りませんが、一つ何とかできないでしようか、その点を一つ……。
  363. 庭山慶一郎

    説明員庭山慶一郎君) 具体的に今度の交際費の標準をきめます場合に、いろいろこう各業種別数件ずつ当りまして、実は調査して行くわけでございますけれども、仰せられるように、やはりいろいろ具体的に個々の会社の名前等を挙げますことは、弊害もあると思いますから、それで何か適当な資料として、最もわかりやすいものを作りまして、差上げたいと思います。
  364. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私はあれを見て、こんなことではとても資本蓄積はできない、もう一億円ぐらいざらなんです。私も証券会社十社ぐらいに行つて、増資目論見書とかいろいろ見せてもらつて、実際戸別に当つて見たのです。それは造船会社などは驚くべきものです。そのほかの堅実だと称せられるとこるでも、これは営業の拡張等にもからむと思うのですか、とにかく一千億ぐらいは行つているのじやないかと思われるので、そういう推計もありましたら、全体を何とか統計的にすれば出せると思うのですが、それと、もう一つは、私は今日は査寮費の問題に関して、大法人の脱税について、まあ実は前閣僚か二人関係した査察部長が転任したというようなケースを持つているのですそれからもう一つは、大阪の或る会社で、これも今衆議院の大蔵委員で、名前は挙げませんが、委員長をしている人が、そこの社長が何か物品税か法人税の脱税でぶち込まれているやつを、飛行機に乗つて、その飛行機に乗つた日もわかつている、そうしてそれをもらい下げしたりして、殆んどまあ十分の一以下にされた具体的な例を詳しく知つているので、一つそういう大法人の問題になつたケースを一覧表みたいにして一つ出してもらいたいのですかね。例えば私の持つている一つのケースは、まあFという会社です。これは大新聞にも出たが、池田さんが大蔵大臣のとき、二十二億の法人税と物品税の脱税で、もう新聞にもセンセーシヨナルな記ますが出て、それがまあ十億以下にやられて、そこでたくさんの人がやめたり、いろいろな問題があつたのです。これはもう会社内部の争いから、内部から資料が出て実はかなり詳しく、名前を挙げることは憚りますが、そういうのがあつて、今度もやはり自然増収を見込まないということになると、大法人だけが……、源泉徴収の部門はどんどん規定の通りとられ、そういう部門ばかりか恩典に浴するようなことになつたりしないかということもありますので、一つ何とかそういう問題の起きた……、会計検査院の報告にもありますが、もう少し詳しく、或いは質問ができたらするかも知れませんし、若し許して頂けるならば委員会へ一つ準備して来てもらいたい。
  365. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) 査察事件につきましては、一応調査の結果、告発の必要があるものと、告発の必要がないものを分けまして、検察庁に送ることになつておりますのですが、結局事件が一応済みますまではとにかく、と申しますのは告発されてから検察庁で起訴されて有罪の判決がありますまでは、一応は最近の刑事訴訟法の考え方によりまして、白である、こういう態度で臨むのか国民一つ考え方だと思います。それで最近は従前と違いまして、査察に着手いたしました場合、或いは告発をいたしました場合、従来それを公表しておつた時代もございましたのですけれども、いろいろ又考慮する点がございまして、それを差控えているわけでございます。ですから事件を一覧表にするについてちよつと憚る点があるかと思うのですか、その点はちよつと御考慮願いまして、或いは具体的にごの会社の調査、査察について委員会で説明をせよと、こういうお話でございますれば、私どもの知つておリます分は詳しく申上げられますし、それからそれ以前にいろいろ担当者が変つおりますのでいろいろ書類を調べまして可能な限度委員会の席上で申上げさして頂きたいと思います。個別になりますとどうもこれはやはり秘密を守る義務というようなことで、納税者に対する、一応の政府に対する信頼感というものもございますので、委員会という恰好になりますと、どうしても国会御審議の必要に応じまして相当のところを、或る限界はあろうと思いまするが、相当のところを申上げたいと思いますので、そういう形でお取上げ頂きますと大変に有難いと思いと敬す。
  366. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは、元高橋さんが国税庁の長官をやつてつたときですかね、一つは大阪のです。これはもう中央では法人税乃至地方の、あれ何ですか……税金取るの、国税局、そこでですね、大阪で大きな法人税、物品税の脱税があつたというので相当張切つてつているところが、そうして又あれは何かその問題で検察庁にやられて、それを衆議院の大蔵委員会の委員長、今は大蔵ではない、ほかの委員会の委員です。委員の名は言いません。その人か飛行機に乗つてつて、そうしてもらい下げをやつている。そうしてもう十分の一くらいになつて、而も今でもまだ払つていないというケース。もう一つは二十二億というやつが、これは閣僚が二人関係している。前閣僚です。そうしてそれがまあ十億以下になつたケースで、査察部長も代り、いろいろそれに関係した人か相当やめて、やめたときには数百万の家を建てたりして、そういう具体的なケースが詳細を極めた数十頁はつきり書いて、そうしてその会合は神楽坂のどことどこでやられたというようなこともはつきりわかつているのです。ですから名前を私は挙げたくないのですが、とかくすれば小さい法人、個人だけにやられたというようなことが考えられるのじやないかというようこともありま
  367. 忠佐市

    説明員(忠佐市君) ちよつと時間が長くなりまして恐縮でございますが、前におつしやいました事件大体見当がつきます。具体的に御指摘がありますれば数字を挙げまして御説明を申上げることができると思いますので、この点につきましては私が直接担当いたしておりまして、これは最も適切な処置をしておるものと信じております。  それから前の事件は私の前事件のような気がいたしますので、若し御指摘のようなことがありまして見苦しいというような問題がございますれば、これから私どもの手で相当調べさして見たい、こういうような考え方をしております。
  368. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 やめます。
  369. 森八三一

    主査(森八三一君) 先刻古田総務課長の発言を許しましたが、庭山調査課長の誤りでありましたので訂正をいたしておきます。  ほかに御発言ございませんか……、他に御発言がございませんければこれを以て本分科会に付託されました各所管の審査を終了いたします。  なお委員会における本分科会の審査の経過の報告につきましては主査に一任をお願いいたしたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  370. 森八三一

    主査(森八三一君) 御異議がないようでありますので、さよう決定いたします。  これを以て散会いたします。    午後七時三十四分散会