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1954-04-24 第19回国会 参議院 予算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十四日(土曜日)    午前十時二十一分開会   ―――――――――――――   委員の異動 四月二十三日委員山下義信君、瀧井治 三郎君、西川彌平治君及び石坂豊一君 辞任につき、その補欠として、松永義 雄君、関根久藏君、白井勇君及び上原 正吉君を議長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            小野 義夫君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            上原 正吉君            鹿島守之助君            小林 英三君            白井  勇君            白波瀬米吉君            関根 久藏君            高橋  衛君            堂本 邦彦君            横山 フク君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            岸  良一君            高木 正夫君            村上 義一君            江田 三郎君            佐多 忠隆君            三橋八次郎君            湯山  勇君            相馬 助治君            曾祢  益君            松永 義雄君            武藤 常介君            千田  正君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    文 部 大 臣 大達 茂雄君    農 林 大 臣 保利  茂君    通商産業大臣  愛知 揆一君    国 務 大 臣 安藤 正純君   政府委員    保安庁経理局長 石原 周夫君    経済審議庁総務    部長      西原 直廉君    外務政務次官  小滝  彬君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    食糧庁長官   前谷 重夫君    水産庁長官   清井  正君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十九年度特別会計予算補正  (特第1号)(内閣提出、衆議院送  付)   ―――――――――――――
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  昨日に引続き質疑を行います。
  3. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 実は昨日の質疑は、外務大臣が途中で本会議が始まりましたために、できなかつたわけでありますが、まだお見えになりませんようですから、大蔵大臣のほうに質問をしたいと思います。  大蔵大臣にお聞きしたいことは、私この予算書を見せられて非常に奇怪な感じがすると申しますのは、特別会計をお作りになつて三十六億の歳入で、それに資金運用部から来ます利子収入利殖金収入というものがあるのですが、歳出のほうでは援助資金支出というだけであつて、大体三十六億の、木村さんなり江田さんの御質問によりましてこの三十六億の破産がいろいろと質疑の対象になつたのとありますが、いずれも先ず考えられますことは、内容が原則的なものであつて、的確にどうしようという政府の意図がきまつていない。大蔵大臣から原則を伺うし、愛知通産大臣から、大体こういうふうな傾向で使いたいと思う、而もそれは政府としてまだ確定したところではない、こういうふうなまるで何と申しますか、三十六億やるから条約の精神に従つて使おうじやないかという、向うから他動的にもらつたような形、本来から言えば、無論アメリカとの使用についての御相談はあることにはなつておりますが、本来日本経済にとつて必要であるとおつしやる以上は、先ず自分たちとして、政府としてはこういうところに日本産業復興と結付けてそれで資金的なものが必要だ、資金需要として必要だ、そのうちで、無論両方が相談し合うことですから、こちらの言う通りになるということは考えられないにしても、そういう土台に基いた交渉の結果三十六億が出て来た。そうすればこれとこれに使うのだ、こういうことが明らかになつて予算書に出て来るはずである。よく問題があるのでありますが、予算に経費を盛られたときに、こういう歳入歳出があるということが考えられながらも、それが予算として現われて来る場合には、確かにそうあるのだという確定的な政府方針がきまらなければ、予算に出て来ないはずである。然るに今度予算に出て来たのは、何も内容はきまつていないが、条約によつて三十六億を受ける。如何にも何といいますか、要らないものが来たか、或いはやるから使え、こう言われたからという形で出て来た形、これがよく言われる自主性のない、何といいますか、外交の現れであると、こういうふうに考えざるを得ない。私は何も日本が他国と交渉するときに、日本の一方的な主張がそのまま通るという考え方はございませんが、交渉に入る前に自分のほうは日本経済復興にはこれだけこれは資金需要の面から足りないのだ、だからこれを幾らよこせ、併しそれが交渉の結果三分の一になるかも知りませんが、なつた場合にはつきり現れる問題である。大蔵省的な従来の予算の見解から言えば、これは実は予算書ではないのです、率直に言つて大蔵省は、我々が今年度はこういうことが必要ですよ、こういうときに、それは数字が確定いたしませんから予算になりません、こういうのが従来大蔵省的な国会に対する答弁である。これは露骨に言うと、尤もらしい説明をすることで、木村君なり江田君の話に一応おつしやるけれども、皆何だか予算書になつていない。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は、予算書が出て来て、承認しなさい、まるで三十六億の白紙委任状をよこしなさい、こうおつしやるのと同じです。こんなものを一体今出す必要がないので、歳入はまあ大体確定したのですが、歳出が、はつきり資金運用がきまらなければ、これは私はそれから国会にお出しになつても一向差支えないのじやないか、こういうふうな気がいたします。先ずそれについて大蔵大臣の御答弁をお願いいたします。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは御承知のごとくに、いわゆる経済的掛冠に関する協定の中の二条に「日本国政府は、アメリカ合衆国政府日本国政府に対して行う贈与から生ずる円価額を積み立てる特別の勘定を設けるものとする。」、こういうのがありまして、特別会計を作ることが協定で約束されているのであります。そこで今まだ五十万ドルについても、現実来ておる金はございません。きまりますと、百八十億日本銀行特別勘定に入つたら、その入れたときにそのうち三十六億円だけいわゆる贈与しよう、それはこの協約文言で言えば、工業力その他一般的経済力の増強ということであるが、事の起りから見て、又現実の問題から考えると、防衛産業又はそのほかのものと、お話のごとくに、実はこれは大蔵省予算ですから、細かく従来の予算ができておることは御指摘の通りでありますが、これは実はMSA協定国会承認と机待つて、どうしてもこれの承認を得ておかなければ完璧にならんので、これを出した次第でございまするけれども、私どもとしては、これは過日からたびたび申すごとくに、まだ各省間で打合せをしているというのが正直な私どもの段階の説明でありまして、従つて主としてこういう方面に、使いたいという考えについては、これは事の性買上通商産業省関係に重きを置かれることは当然であると思いますけれども、その配分方については、いわゆる枠のきめ方はまだきまつておりません。きまりました上で初めて向うと協議する。併しこれはそのほかにも域外買付等がございますが、併し今の百四十四億の分は、主として域外買付等に使われると思われまするので、従つて域外買付に入用なものは、言いますると、やはり主として武器関係のものが多うございますから、やはり何としてもこの関係の三十六億はそれを中心としたものに使われることは間違いございませんが、併し私どもとしては、折角文言もこうなつておりまするし、できまするならばもう少し基礎的な産業方面に使わしてもらいたい。この点が実は内輪でもその三十億は余り金額が多くないことは過日説明通りで、民間資金を合せまして六、七十億の計画が恐らくそれぞれの兵器産業についてもできておるんじやないかと思いますが、その点がまだ多少意見食い違い等もありまして、今各省間で調整をしておりまするから、まとまり次第、先方のほうと協議をいたしたい、かように考えておる次第で、この点は仰せのごとくに従来の予算書とは違いまするが、併しこの協定そのものについて、これをどうしても承認して預かんというと協定そのもの承認したことにならんものですから、一応予算書として三十六億の細かい、明細の使途出しておりませんが、まあ開発銀行への政府が貸出すものとして御審議をお願い申上げておる、こういう次第でございます。
  5. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 いや、私経済的措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定という案文は持つてつてつておるのです。それから一昨日から大蔵大臣愛知通産大臣の各委員に対する御説明も私も聞きたいと思うところだから、何らか出て来るだろうと思つて十分頭へ入つておりますから、そこの繰返しは要らないので、それ以上のことをおつしやつて頂ければいい。併し率直に申しますと、この協定そのものがただここへ出ているだけなんです。協定だけでたくさんだと私は思う。協定によつて金が入つて来て使途がきまつてそれを国会にこういうふうに使いますよ、こういうのでたくさんじやないかというふうな気がしますが、気がしますよりそれでたくさんだ。で、予算は今国会おかけになる必要はない。きまつてからおかけなつたらいい。そういうふうに考えますが、どつかそれに対して支障外務省大蔵省ありますか、ありませんか。どういう理由で支障があるか。こういうふうに考えます。これは条約文だけでちやんとこんなものならわかるのです。これは予算書要らないのです。条約文だけでたくさんだ、私はそう思う。ちやんときまつてからお出しなつたらわかる。この協定について議会が承認する以上は、こういうものでない違つた内容のものが予算書として実際に現実になつて政府方針がおきまりになつたときに出て来て、国会に対してどうだとおつしやるのが本当じやないかと思いますが、その点もう一度お聞きします。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもとしては、只今申上げたような協定趣旨もございまするが、同町に又これはいつ受けられるか、まだ金額の点ははつきりいたしておりませんけれども、その受入れたときに予算書をお出しすると、又国会等の問題が当然起つて参りまするので、私どもはよく申しまする通り、いわゆる普通の一般会計等に対する補正予算をお出ししない考えでおりますので、従つてこれのみで国会召集というようなことをせずに、折角国会のあるときでもあり、又これを御承認つて置くということは、協定趣旨にも副うゆえんであるから、この際是非ということでお出ししておる次第でございます。
  7. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 若しもそういう意味でしたら、お出しになる前に内容がきまつていなきやいけない。又日本国政府態度としては、先ほど言つたような、こういう条約交渉に入る以上は、基本的な日本政府の案があつて、それを基にして話が進んでそうして決着のところ三十六億なら三十六億になる、これが本当態度。そこがおかしなことには、もらつてからさあこれから考えるんだと言われるなら、私は去年から何のために政府は御交渉なすつていたのか、大蔵省にしても外務省にしたつて条約作られるときに自主的なお考え一つもないのだ、こういうふうに考える。だから内容について、実際予算書として審議しろつて、どこを審議するのですか。大蔵大臣と私と位置を変えて率直に申せば、これ審議して下さいとおつしやるのは図々しさも図々しいが、実際私は一体通産大臣だとか大蔵大臣というものは図々しいもんだ、国会はもう全く空つぽで白紙委任状出して判こ押しなさいとおつしやるのと同じですよ、これは。こういうことは、それだけならまだ、それも我慢ができませんが、こういうものが出て来る裏には、やはり日本政府の実質的な経済復興計画がない。だから本来言えば、これだけの日本経済復興するのにこれだけの資金が足らない、而もこういう方面が足りないというふうな基本的な考えがあつて交渉なすつて、そうしてここまで行つたんだ、これで初めて私はMSAを受けるか受けないかという判断が出て来るのだ、こういうふうに考えます。どうも順序を余りになめた順序をなさらんほうがいい。余りに易きにおつきになり過ぎる。だから昨日からの質問に対して、MSA日本経済復興と結付いてどうなるのか、どういう方面考えられるか、最も日本経済と結付く方面ドル収入になるところの域外買付についちや内容はちつともわからない。域外買付の分はこれからですと面相とも言つておられる。愛知君は今度国内の防衛生産についても自分としてはこう考えると、通産大臣らしいのか個人なのかちよつとよくわからんですが、一応通産省として言われた。愛知君は経済審議庁長官なんです。これは日本経済を預かつておる、全体としての、その人が政府を代表して話ができるものがない。私は率直に言えば、その点が決まらないと、お聞きしたいことはたくさんあるんですが、もつと細かいことを幾らでも私は聞く準備はあるんですが、率直に言うと、その点がきまらなければお聞きしたつてしようがないような気がする。そういう点について特にまあこれは関係各省外務省から全部あるのですが、どういうつもりでお考えになつて、これは時間というものがすべてを支配するので誠に困るのですが、これはまだ序の品で時間が切れちやつたのです。あなた方は時間待ちだけで何とか責任をごまかして行く、実にけしからんと私は思う。何事が起つてもいい加減にがたがた答弁していりやいつの間にか時間が終る、それで内閣責任を果したような顔される、こういう無責任なやり方はありませんよ、率直に言えば。細かいことはたくさんございますが、その基本的なものについて再度各省大臣からお聞きします。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 協約に基く受入れ態勢を整えておく、こういうことでございまして、これが主であります。従つて、前の見返資金の場合にも、そういつた過去に実例もございまするし、この予算をお願いしておる趣旨でございます。なお細かいこと、事務的には主計局長から必要があれば御答弁をいたすことにいたします。
  9. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう一点。事務的には行きません。そんな阿呆な事務はないのですから。もう町間が終りましたから私申上げますが、その見返資金のときは、日本独立国じやなかつた。これだけははつきりなさつたほうがいい。吉田内閣というのは、どうも独立国政府でないような、占領下のときから同じ悪い習慣を持つて来ておられる。これが政治の根本において私どもは不満なんだ。私は何も外国と友好関係を結んで交渉するときに百パーセント通るなんと考え田舎者でもございません。それはお互いの交渉の間で両方利害得失を合わせたもので考えるということはわかりますが、今大蔵大臣がたまたまちよつと本音を吐かれると、もう見返資金が出て来る。これは吉田内閣の頭の中には、どつか占領下からずつとアメリカさんの言うことは、もうそれだけで通るのだという考え方が根差しておるのが知らずに答弁すると。ボンと出て来るのですよ。だからその点はやはり独立国なつたという認識にお立ちになつて、こういう予算は二度とお出しにならんで、今後独立国ですから、ちやんと自分たちで対等の立場で交渉して、そして向うの言い分を聞かなければならん分は聞く、そして今後はこういう予算書をお出しにならんということをお約束願いたいと思うのですが、如何でしようか。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) よく承わります。
  11. 堀木鎌三

    堀木鎌三君 もう時間がないそうですから、それじやこれで終ります。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今堀木さんが、この予算使途がわからないで、こういう補正案を出すということについて御質問がありましたが、私も実は先日来の同僚議員質問を聞いておりますと、それに対する政府側答弁を断片的に聞いておりますと、若し政府考えておるような方面に使うとなると、それもはつきりしておりませんが、いろいろな疑問が出て来ます。例えば一体日本防衛産業を今後どういうふうにやつて行こうとしておるか、この資金を仮に兵器産業育成のほうに融資或いは投資して行く、兵器産業を育成して行つた場合、この岡吉田総理質問したところが、日本特需から脱却して行くのだ、自立経済をやる場合に、特需から脱却して行くのだ。ところがこれを融合して兵器産業をだんだん育成して行くと、これは特需から脱却できない。MSAの関連で、域外買付と言いますが、域外買付つて特需なんです。それじや逆なんですよ。特需としての兵器産業を育成するようにこれを使おうとしておる。ところが一方では自立経済のために特需から脱却して行くのだ。何のためにこの賞金を使うのか。その点矛盾していると思うのですよ。そういう点とか、或いはこれを贈与されるなら、この処分について日本政府が自由なはずでありますけれども、それについて処分はつきりしていない。自由にできない。アメリカ側と話をしなければできない。それじやこれは贈与をさせられたのです。そうしてアメリカ質問を間かなければ使途はつきりしない。それも兵器産業のほうに、而も又アメリカ側では企業別個々企業使途を指定するかも知れない。併しそんなことは大蔵大臣はないと言いますけれども、いやあるかも知れないから、これは今後の折衝で日本政府のほうにおいて、こういう方面に使うということを案をきめて、我々に説明して、それでアメリカ側交渉して、容れられなかつたらこの贈与をもらわないのかどうか。そういう方面に使うことができないときまつたならば断るのかどうか、その点伺いたいと思います。
  13. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 過日の総理に代つての、たしか愛知通産大臣答弁であつたと思いますが、特需がなくともだんだん自立経済をやつて行きたい、こういう意味答弁であつたので、特需を全部やめてしまうという意味答弁でなかつたということは、これは御承知通りでございます。従いまして今の分が、域外買付けになる分は、それは仰せ通りいわゆる特需なんでありますが、これは今の日本の状況におきましては、やはりそれの収入増加が相当国際貸借に役立つこともこれ又事実でありまして、望ましいことであると思います。但しできるだけそういうものを避けて行きたい、そういうもの以外のもので、いわゆる普通の貿易関係によつて日本の収支の均衡を得たい、こういうふうにあらゆる政策がそつちへ方向を向けておるのでございますけれども、現在のところでは、まだ特需は相当大きな役目をすることは、これは木村さん御承知通りであります。ところで今のお話で、それならアメリカのほうと話をし合つたときに、個々のものについての話も出るんじやないか、それは私どももそういうことを期待しておりません。又向うのほうも従来そういう話はございません。若し個々のものについて、個々のいわゆる具体的な解釈についてかれこれ言いますならば、或いは軍事顧問団等もそういうことについての意見も出るように思われるのでありますが、軍事顧問団は一切この点には関与しないということがはつきりしておるのでございまして、今までの過去の打合せも、これをどういうものに使うかということは双方が合意する。併しそれは枠をおよそきめる、こういう枠をきめるということなのでありまして、さようなどの会社にどう貸出すかと、こういつたことでは、これは日本としては全然貸出の自主性を失うので、これは最初から開発銀行にその枠の中で自主的にやらせるということは、先方にも話しており、又この予算書の建前も、御承知のごとくにそういうふうになつておるのでございますから、私どもはこの点は仰ら懸念は要しない、こういうふうに考えておる次第であります。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 白紙委任状的にこの予算を認めるといろいろな疑惑が持たれるのです。どういうところへ貸すかわからないのです。そこで又造船疑獄みたいなことがあつたのですが、昨日小林さんも、この使途についてはやはり相当監督はつきりしないと又疑惑が持たれる、そういうケースがあるやに聞いておるのです。従つてこれは白紙委任状的に我々は認めることはできないのです。具体的にどこに貸すかをはつきりしないで貸したら、これに承認を与えたら、あとでどういう所へ貸すかわからないわけです。先ず私が伺いたいのは、ジェットエンジン試作ですね、これには融資するのですかしないのですか。
  15. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 昨日もちよつとその点に触れたのでありますが、例えばジエツト・エンジン関係などが政府部内で未決定になつておる一番大きな問題の一つでございます。現在全然決定しておりません。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが大切なんですよ。それは貸すのか貸さんのかはつきりここで言つてくれなければ、我々はこれを認めるわけに行きません。昨日愛知通産大臣は、民間会社ジェットエンジン試作会社があると言われたが、その会社はどういう会社ですか。
  17. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 御承知のように民間関係の四社で共同出資いたしまして、資本金八千万円のジェットエンジン会社があるわけであります。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それをもう少し、四社はどこと、どこと、どこで、それで役員はどういう人であるか、そうしてそれは今試作をやつておるのかどうか、どういうことを目的としてその会目礼を設立されたのか、これを伺いたい。
  19. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今役員の名簿は持つておりませんが、ございましたらあとでお答えいたします。その四社と言いますのは新三菱重工業、富士精密工業、石川島重工業及び富士重工業の四社でありまして日本ジェットエンジン株式会社という共同出資による会社を作つております。その目的ジェットエンジン研究試作ということを目的といたしております。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 試作だけですか、生産はやらないのですか。そうしてそれは今そういう設備を持つておるのですか。
  21. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 政府委員からお答えいたします。
  22. 記内角一

    政府委員記内角一君) お答えいたします。今試作会社として事業をいたしておりまして、製作はいたしておりません。それから設備といたしましては、関係会社の工場を借用して使用いたしております。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その役員はわかりませんか。
  24. 記内角一

    政府委員記内角一君) 社長植村甲午郎氏でございます。爾余の役員は私ちよつと……。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 副社長は誰ですか。
  26. 記内角一

    政府委員記内角一君) 副社長の制度はなかつたのじやないかと思つておりますが、まだ今のところ的確にわかりません。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんなとぼけるのじやないですよ、前通産次官の玉置君ですよ。それで三十六億を予定して、そうしてそのうち十億の出資を希望しているやに伝えられているのです。従つて苦しこれは今愛知通産大臣はこの点が一番重要だと言つています。ジエツト・エンジン試作に対して融資するのが出資しないのかわかりませんが、若し出資するとすると、大蔵大臣が先ほど言われましたように、これはコンマーシアル・ベースで貸すのだ、そういうことと違つて来ると思うのです、ジエツト・エンジン試作がコンマーシアル・ベースに乗つてないのですから。そうするとどうしても出資という形になり融資でなくなるのです。その点は大蔵大臣の言われた原則と又反して来るわけです。従つてこういうものには原則から言えば貸せないわけなんです。貸せないわけだのに、愛知通産大臣は、貸すか貸さないかを研究中である、そこでいろいろ疑惑が持たれるわけです。そういうことが言われているのです。大体このジェット試作して、日本で今後作つて行くのかどうか。今日本ジェットを作つて一体どうなるのか、何の役に立つか、アメリカ側では日本が今ジェットを作つても技術的にこれは役に立たん、アメリカは反対していると言われているのです。ところが日本政府のほうはジエット試作にこの金を使わせようか使わせまいかと考えている、米決定のままこの国会を、或いは品が悪いかも知れませんが、ごまかして通してしまつて、未決定で行つて、そうしてあとで貸すようなことになるから、私はこの使途はつきりしなければいけないと言うのです。それで一体ジェット試作というものをまつて、今後日本ジェットを作るのか作らないのか。そうしてそれがどれだけ役に立つのか。従つて日本防衛生産というものの基本的な考え方というものは、ここできまらなければ、どういう方面防衛産業に融資していいかということがきまらないわけなんですよ。一つの例ですが、ジエットのことを私は質問しているのですが、将来ジェットを作るのかどうか。
  28. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ず根本的な考え方を御説明いたしたいと思います。これはひとり三十六億円の使途の問題だけではございませんで、私ども考え方としては昨日申上げました通りでありまして、外国からの発注が確実と見通されるものと、それから保安庁関係では昭和三十八年度におきましては、例えば空包関係で一億円の発注を国内でいたしておりますが、二十九年度におきましてはこの関係が更に殖えるわけでありますが、保安庁の関係において国内で発注の確実であるもの、これをこなし得る設備日本で作りたい、これがいわゆる防衛生産に対する考え方の基本でございます。私どもはそれ以上に大きな経済単位のものを現在考えているわけではないのであります。  そこでそこから出発いたしますと、昨日も申上げました通り、例えば砲弾、弾薬の関係で申しますと、昭和二十七年の四月から三十八年の六月までで約七十興百万ドルの受注を受けて、これは注文通り完成しておる。それだけの設備があるわけであります。それで若しそういう範囲のものでありますれば、外国からの発注は新たなる設備資金をせずしてこなし得るわけであります。それから火薬の関係においては、若干の設備資金の増加が必要である。それから船の関係におきましては、ヂーゼル・エンジンでありますとがその他の特殊のものにおきまして若干の設備資金は必要であると思いますが、これはそう多額のものではない。概して言えば、艦船関係は外国からの発注或いは保安庁関係の発注は大体こなせるであろう。こういうふうにだんだん勘定して参つてみますと、いわゆる弾薬以外の武器の関係において相当の設備が必要であるかと思つております。それからそのほかは作品申上げました航空機の関係でありますが、これは原則的に保安庁が日本国内で発注しようとする練習機関係を主に考えております。そういう関係を全部合わせてみまして、大体の見当といたしましては、この三十六億円というものが他に予想される市中金融と合せて考えれば、そういうものに充当する計画というものと比べてみますと、私の試算では三十六億までは要らないと思います。そういう関係だけでは。  そこで只今お尋ねのジエツト・エンジンの問題があるわけでありますが、これは必ずしも保安庁の関係或いは将来の軍備上の関係という問題だけではなくて、世界の航空の現状から申しまして、民間の航空ということを考えても、この際ジェットについての研究試作を始めたほうがいいのではないかという考え方が私はあると思うのであります。それで大蔵大臣から継々御説明がありましたように、原則として、この三十六億円は開発銀行を通じた融資という形にしたい、私どももそれは同意見であります。併しながら同時に場令によりますれば、出資というような形も考え得るのではなかろうか、協定上から言えば、これを否定すべき理由はないわけでございますから、そういうことも現在研究の対象としては考えておるわけであります。そういうことを併せて政府方針はまだきまつておりませんということを率直に申上げておるような次第でございます。  それからついでに申上げておきますが、先ほど日本ジェットエンジン株式会社の副社長が玉置君であるというお話がございましたが、これは私ども全然そういうことは承知いたしておりませんので、万々一そういう事情があれば又御報告いたしますが、只今のところは全然存じませんから、さよう御了承を願いたいと思います。
  29. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはおかしいですよ。今政府でこれを貸す場合に、ジェット試作についてこれを貸すか貸さんかということが、政府のこれをきめるについての一番重要なポイントである。而も又これを融資でなく出資というものを考えて行くということは、ジエツト・エンジン試作についてそれが問題になつておるわけです。若し融資をするとすれば、その対象となる会社もわからんというのは少しおかしいと思うのです。そういう疑惑が持たれるから、どこに融資するかということをはつきりきめてからこの予算出しても速くないのです。先ほど堀木君も言われましたが、開発銀行を通じて直接にやるとなると、そこがあいまいになつてしまう。政府開発銀行出資という形をとる。開発銀行はコンマーシアル・ベースで貸すと言いますけれども、これは造船融資の問題もあるのですが、補助的に安い金利でジエツト・エンジン試作はコンマーシアル・ベースに乗りません面はその他の産業の金利で埋める、こういう形がとられる。従つてこれは大蔵省側と意見が対立しておる。大蔵大臣はコンマーシアル・ベースということを言われておる。従つて開発銀行から貸すときもコンマーシアル・ベースでなければならんということだと思うのです。ところが愛知通産大臣は、今出資という形も考える、そうしてそれはジエツト・エンジン試作にこれを使うと言う。そこのところはどうなんですか。意見が対立しているように思うのですが。
  30. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私どもは、初めから申上げておりますように、政府部内でまだ意見の一致を見ておりませんという点は、大蔵大臣からも私からも前提として申上げておるのです。それがいいか悪いかは御批判の問題でありますから、それについては申上げませんが、決定されていないということを率直に申上げておるのであります。私どもは原則的に開発銀行を通じたコンマーシアル・ベースでやるべきものであるというふうに考えております。  それからジェットエンジンのことを非常に重大問題のように言われますが、私の申上げましたことが多少誤つてとられておるような感じがするのでありまして、その他の問題につきましてもこういうものをこれだけにやろうということをはつきりきめたものではございませんで、例えば一つの問題として、大きな問題としてはこういうものも現在研究の対象として意見がきまつておりませんということの例として、ジェットエンジンのことを申上げたのでありまして、これが最大の、唯一の問題であるというわけではありません。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣はどうですか。
  32. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この点は先ほども私からも申上げ、又通産大臣からも申上げました通り、私どもとしてはまだ協議中でありますが、私ども考え方は、先ほどから私がしばしば申上げております通り、これは開発銀行を通じて採算のとれる仕事をする、それから試験的とか或いは採算のとれないような事業の出資というようなことについてに避けたい、こう利も考えておるのでありまして、なお開発銀行が出すものの個々の問題につきましては、これは一般に開発銀行を通して出す融資と同じように、これは開発銀行をして自主的にやらせたい、こう考えておる次第でございます。なおこの点につきましていろいろ政府部内の意見の調整をこれから始めまして、最後の結論に入りたいと考えております。
  33. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは我々にとつて非常に迷惑です。それは先ほど愛知通産大臣は、ジェットエンジン試作については、これは一つの例で馬鹿に重大のように考えておられますが、三十六億のうち十億の出資という希望があるのですよ。ですからこの通り出資するか融資するかわかりませんが、それほど大きな問題じやありませんよ、この三十六億というのは……。
  34. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは期待しておる向きは十億という数字かも知れませんが、実は三十六億円という話が伝わりますといろいろの関係から私のところにも出して欲しいという計画を希望的にされておるところもあると思います。そういうものを合計いたしますと相当な額になると思うわけであります。私が先ほど申上げましたように、私ども考えておりますいわゆる防衛生産計画というものは、世間の一部で考えておられるものよりは私はずつと遙かに小規模のものであるということを確信いたしております。  それからなお、只今調べが参りましたからついでに申上げますが、ジエツト・エンジン会社社長植村甲午郎氏、常務多田力三氏、取締役新山春雄氏、中川岩太郎氏、以上でございまして、副社長、専務等の制度はございません。
  35. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのジエツトに貸すか貸さんかということを研究中であるということであつて、それがわからんということでは、我々は只今審議するのに非常に困るのじやないのですか。そこが原則の問題になるのですよ。大蔵大臣はコンマーシアル・ベースに乗らなければ貸さないとはつきり言われる。ジェット試作はコンマシアル・ベースに乗りつこない。更にもう新聞にはいろいろ伝えられております。例えば一般兵器には四、五億、これは通産省案として四、五億貸すやに言われておる。航空機関係は三十億から三十二億くらい考えておる。それから艦艇用のガスタービンの試作には六億から七億、それから火薬については一億から一億、各関連産業については七億から八億、合計で四十八億乃至五十四億くらいになります。そこでこれが超過する場合何とか調整しなければならんというふうに言われておるのであります。従つて新聞その他においてはこういうことが伝えられておつて国会においては何らその間の事情が説明されておらない。参考としても説明されておらない。それでこれからアメリカ側とこれを折衝するというのですけれども、我々に、この予算を審議させる我我に対して参考案でもいいから一応ここに出して、そうして実はこういうふうになつておるのだというぐらいのことは説明して然るべきです。我々のほうからこうやつて材料を出し質問しなければ、知らないでおれば白紙委任でやつてしまう大蔵大臣はコンマーシアル・ベースを原則としてやる、通産大臣のほうでは出資という形で補助的な出資をするというようなことを言つておる。こういうのですと、どちらにしたらいいか、我々は仮に大蔵大臣の原則が正しいと判断した場合、あと政府側意見が調整されてこれが出資のほうにするということに取入れられたりすると、それに反するわけです。ですから我々がこの予算使途について正しいか正しくないか判断する基礎さえない、まだ一致していないというのですから。それならば政府部内の意見が一致してそうしてから、まだアメリカ側との交渉はつきり済まないでも、政府のほうの案がはつきりして資金計画ができて、その裏付けとしてそういう参考案でもいいからそれと同時に出してもいいと思う。そんなに急ぐ必要はないじやないか。この補正についてはまだすぐに金は出すわけではありませんから、なぜそんなに急ぐか疑問を持つ。さつき申上げましたようにジエツト・エンジン会社はこの出資を期待してこういうものを作つておる。そうなるとこれはそういう利権的にこれは使われる。ジエツト・エンジン試作は何に役立つかというと、御承知のように、私は専門家ではありませんから、専門家から聞いた話でありますが、地上推力千キログラムのジエツト・エンジンを作るには、日本の今の技術では一年半かかつて試作を完了する程度です。とここが今世界の常識では実用のジェットエンジンの地上推力は二、三千キログラムのものの試作が一年半かかつておる。この頃は最新式のソム・ジェットができております。ラム・ジェット日本においては技術的には夢のようなもので非常に進んでおる。そういうものについて三十六億のうちから幾らこれに出資するか知りませんが、一体何の役に立つか。アメリカ側では日本ジェットエンジンが必要ならば貸与してやると言つておると聞いております。日本はそういうものは作らなくてもいいじやないかと言つておる。そんなところに三十六億を使うのは無駄になつてしまう。ただ利権的にそういう会社を潤すに過ぎない。そんなことになつたのでは何のために贈与を受けるのか意味がない。その点はつきりして頂かなければ、これは引込められたらどうですか。それでもう少し待つてはつきりとわかるようになつてからでも何ら支障がないじやないんですか。どうしても条約上、MSA協定を批准する場合にこれを、この予算を通しておかなければ困るのですか。どうしてもその間の理解が私は行かないのです。
  36. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは協定に伴う受入れの会計でありまして、先ほどあなたがよく御承知の第二条に基いてどうしてもやらなければならんものであります。なお今私が申した中に、私が運用の件について、もういわゆる採算のとれるコンマーシアル・ベースに基いて開銀を通じて貸出しをせしめると、こういうことであると申したのでありますが、併しその使用、法律には運用又は使用とありまして、使用というものは、成るべく、私どもの心持を率直に言えば、極めて少額にしたいと忠つておりますが、併しこの使用については、これは又いろいろ相談をしなければなりません。私が申しておるのは、運用の点は、先ほど通産大臣お話を伺つても全然同様の考え方お話をされておるのであります。今の運用という点については、金額は極めて少額にとどめたいと私は思つておりますが、(「大蔵大臣おかしい」と呼ぶ者あり)使用の件についての話合いとしてはまだできておりませんから、最終の決定はここで申上げるわけには行まきせん。
  37. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 木村さんも御承知のように条約論には輿論もございますしするけれども予算とか或いは国民の権利義務に関するような条約上の規定というものは条約即国内法というわけに参りませんので、こうした国内措置というものは、先ほど大蔵大臣も指摘しておりまする通り、この協定を批准いたしますのには、国内的措置はとることが必要であるということが私どもの見解であります。    〔江田三郎君発言の許可を求む〕
  38. 青木一男

    委員長青木一男君) 江田君、何ですか。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 議事進行、今の大蔵大臣答弁は昨日の答弁と違つて来ている。(「違つて来ている」と呼ぶ者あり)大蔵大臣が今まで言つてつたのは、採算のとれる商業ベースで貸すんだということで、我々は昨日の審議を通してはこれは投融資と書いてあるけれども、これは貸すんだというように大蔵大臣説明を受取つているのです。これは私の誤解じやないのです。議事録を調べてもはつきりそうなつておる。ところが通産大臣のほうはこれはジエット・エンジン試作に貸すことがあるかもわからんということになると、採算のとれる商業ベースということとははつきり違うわけです。それがどちらになるかわからんのに、それをこのままで審議をしろつたつてちよつとこれは無理だと思う。こういうことが協定に伴う必要条件だというならば、それならもうはつきりとどちらにするかということを私は根本だけはきめてから出して来られなければこれは審議のしようがないと思う。委員長ちよつと理事会でも開いてこれをどうするかはつきり協議して下さい。このままやれというのは無理です。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間をとるばかりではつきりしない、政府のほうは。
  41. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私が申しておるのは、私どもとしてはまだ最終の決定をしていないということを繰返して申しております。併しこれを貸出すときには、開発銀行を通じて採算のとれるものに貸出す、こういうことを申しておる点は何ら少しも変らないのです。併しながら注文では使用ということもあるから、使用する場合については、これは又相談をすると、こう言つておるのでありまして、これは法文についての説明を加えただけであります。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 答弁になりません。委員長
  43. 青木一男

    委員長青木一男君) 江田君、何ですか。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 今の議事進行についてですよ、その続きですよ。(「質問できない」と呼ぶ者あり)
  45. 江田三郎

    江田三郎君 あなたのほうは採算のとれる商業ベースということを言つておるのに、片方のほうはジェットエンジン試作に貸すかもわからんということを言つておる。ジェットエンジン試作に貸すということは、誰がどう考えつてこれは採算のとれる商業ベースじやない。二人の責任者が二人とも違つたことを言つて、それを審議しろというのはこれはできんじやないですか。委員長どうですか。
  46. 青木一男

    委員長青木一男君) 委員長はさように考えません。
  47. 江田三郎

    江田三郎君 考えないと言つても、どうして……。
  48. 青木一男

    委員長青木一男君) 委員長は、或いは不満足かも知れませんが、今の政府答弁を基礎として御審議を願いたいと思います。  木村君時間が大分たつておるのですから。
  49. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは簡単に済むのでありますが政府のほうの答弁があいまいであるために徒らに時間を潰して非常に私も残念です。時間が少ししかないのですから、その点はつきりして頂きたいと思う。私はどうもここで使途はつきり政府がきめないで、あいまいのままこれを通そうとする意図がどうも私にはぼんやりながらわかつて来たような気がする。やはりその一番の基本の問題は、このジェットエンジン試作に対してこれを貸すか貸さないかという問題、そうしてそれの受入れ態勢として、これまで日本ジェツト・エンジン会社というものができた。そうしてこれが三十六億から多く期待しておつたが、大蔵省方針はコマーシアル・ベースでなければ貸さない、そこで非常に問題が起つて、これをどうしようかということに今悩んでいる、そういう事情にあるのではないかということがわかつて来たのです。ですからこれは何か我々に疑惑を持たせるのです。もつとはつきりしてもらわなければ、貸さないなら貸さない、貸すなら貸す、それで貸すについては原則を、前に大蔵大臣が言われた原理は撤回する、コマーシアル・ベースに乗らないものも貸すことがあるかも知れない、こう言うならはつきりわかるのです。ところが非常にそこがあいまい模糊であるから、どうも裏面に利権運動があつて日本ジェットエンジンという会社を作つて三十六億当てにしておる、貸してもらわなければ困ることになる、こういうのでそこできめられいないのじやないか。丁度前の大型警備船の残遺について、それで日立造船にこれを融資するか、或いは三菱造船に融資するか、そういうところでなかなか運動があるので、二十八年度の百二十四億の国庫債務負担行為のあれはなかなかきまらなかつた。着工できなかつたということみたいに、なかなかそいつをきめられないのじやないか、そう思うわけです。ですからそれは政府はその点ははつきりさせたほうがいいと思う。で、その点をはつきりして、はつきりきめてからこれをお出しになるべきであつた。但し、これはアメリカとの交渉の結果は、それが容れられるか容れられないのかわからんという説明ならわかるのですが、政府部内で意見がまちまちでわからないのに、我々にこれを審議して態度をきめろと言つたつて無理じやないか。こんなむちや予算出し方はないわけです。  併しもう時間がありませんから、あと二つ簡単にお伺いしたいのです。これは私は外務大臣に要求しておつたが、どなたでもいいのです。大蔵大臣でも小満外務次官でも結構ですから、事実がわかればいいのです。この前に対日援助資金アメリカから援助を受けましたが、これは政府独立国としてこういうのは只でもらうものではない、返すと言つたのです。対日援助資金、こういうものは独立国として慈善的にもらうものではない、返す、返すと言つたのは、これは取極めができたのではなくて、日本政府が債務と心得るということで、これを返すということになつたと言うのですが、併しこれはすでに平和条約を結ぶときに債務として確認されたのではないのですか。それであるのに、これまで確認されておるにもかかわらず、債務と心得ると一方的にそういうことを言つているのではないか。
  50. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君、簡単に趣旨を述べて下さい。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は、それと、簡単にしても趣旨がわからないと困りますから……。
  52. 青木一男

    委員長青木一男君) 時間が来ておりますから……。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと対日援助は只もらう……独立国としてもらうべきではないと…つてつてMSA援助はこれはどうして只もらうのか、MSA援助に限つて只もらうのか。それはもらわさせられるのじやないのですか。それを通じて日本が再軍備させられるのじやないですか。それだからもらわさせられるので、もらうのではない。この間の矛盾をどうお考えですか。対日援助のほうは只もらわない、返す、MSA援助のほうはもらつてしまう、この点がはつきりしないのです。この二点ですね。これを一つはつきりさせて頂きたい。
  54. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) イロア・ガリオア等の対日いわゆる援助資金については、これ議察しばく債務と心得ると言つておりますが、その債務というものは、金額或いは支払条件、各種のことがきまらなければならないので、そういう場合には国会に出すので、まだ債務と心得ておるだけで金額その他何もきまつたものでないことは、すでに繰返し説明しておるので御承知通りであります。なお今度のMSA関係のものは、MSA関係でもうこれに加盟しておる、今まで援助を受けた国はたくさんあるのでありまして、それと同様なことにとどまる。金額は非常に差があるのであつて、何もこれが再軍備を約束するとか、或いは又これがどれだけの拘束を受けるとか、約束に基いた以外には何ら権利義務等を伴つておりませんことを申上げておきます。
  55. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 外務省はどうなんですか。
  56. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) この平和条約にありまするのは、これまでの既存の債務というものを確認した趣旨でありまして、今のイロアのいわゆる債務と心得るという問題のいわゆる債務とは全然違つた規定であります。
  57. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは……。
  58. 青木一男

    委員長青木一男君) 大分時間が過ぎておりますから……。
  59. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと確認したいのです。この国の予算が出されておりますが、二十七年度のこれを大蔵大臣お読みになつて下さい。国の予算の百六十八頁です。対日援助を規定しておるところがあるのです。「対日援助費は総額約二十億弗余に達し、わが国の経済の安定及び復興に顕著な貢献をなした。この対日援助費の性格は当初明確でなかつたが、平和条約交渉過程においてわが国の債務として確認された。」と、従つてこれを返済しなければならないというふうに、我々に配付されておるこれにはつきりと書いてあるのです。ですから、我々はこれを非常にこれまで参考として信用して読んで来ておるのです。若しそうでないなら、これは直さなければ私はおかしいと思うのです。これを直すのか。これが正しくて今の政府答弁が間違つておるのか。これは一つはつきりさして頂きたいと思うのです。  それからもう時間がありませんから、これで終りますが、愛知通産大臣、今後日本防衛生産に関連して、日本の保安隊に供給する兵器の生産を育成すると言われましたが、日本の今の実情では、兵器生産の育成をして行く場合に、企業単位としては日本の保安隊の需要を対象としただけでは成立たないのです。どうしてもいわゆる域外買付、兵器の輸出というものを前提としなければ企業単位として成立ちません。そうすると、どうしても特需依存の経済というものを続けて行かざるを得ないのです。そこで、兵器生産の育成ということは、即特需依存になる。日本経済の目立というものと矛盾するのですよ。
  60. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君、時間が過ぎております。
  61. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この点をさつきから伺つておるのであつて、この点一つはつきりとして瓜きたい。吟岡がありませんから、この金融財政事情のこれを愛知さんお読みになつて、この経団連の千賀君がその事情をよく書いております。現在でさえもすでに日本の保安隊の需要としては、日本の兵器生産設備は過剰なんです。これをもつと育成して行つたなら、特需依存になるよりほかに途はない。過剰になつてしまうのです。ところが過剰になるものには貸さないと言つておるのです。そういうところは、非常に私は矛盾しておると思う。時間がありませんからその点一つ詳細……、私は又再質問もできませんから、たびたび委員長から注意されておりますので、再質問する必要のないように十分御説明願いたいと思うのです。
  62. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 対日援助費に関する答弁は、政府が申すことが正しいのであります。お手許に行つておる国の予算ですか、それに関するものは、それは最初に断り書が書いてあるように、大蔵省の者が個人的に書いたものである、こういうのでありまして、何ら私どもは、それについてはたびたび御答弁を申上げておる通りでありまして、すべて政府が申すのが正しいのであります。(木村禧八郎君「当てにならんですからね、大蔵大臣は」と述ぶ)
  63. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私が先ほどお答えいたしましたところにも、只今のお尋ねに触れておる点が多々あると思うのであります。私は、今お引きになりました千賀君の意見というもの、或いは千賀君が属しておりまする経団連の防衛生藤委員会意見というようなものも、常に十分研究いたしております。私の意見といたしましては、先ほども申しましたつもりでございますが、取りあえず現在のところにおいては、保安隊が発注することが確実であるものと、それから現に、例えば今年の六月まで七千五百万ドルと伝えられておりますし、それからその後におきましても大体その程度の規模ではなかろうかと思いますが、発注が確実に予想されておるものであつて、而もこれを日本設備力と睨み合せまして、着実な程度にしか設備は殖やさない。いわんや過剰設備は殖やさないようにいたしたいと考えております。そこで、先ほども申しましたのでありますが、例えば銃砲弾のごときは、御指摘の通り、現在でも設備はどちらかと言えば余つております。ただ7・7ミリの銃弾については設備ちよつと足りないとうような問題もございますが、概して申せば、銃弾の関係では設備はすでに十分である。それから船の関係もそうでありますし、火薬の関係で申しますと、無煙火薬の一部と、それから砲弾装置、信管組立といつたようなものを除きましては、火薬につきましても大体現在の設備で十分であろうと考えております。そこで将来特需依存になつてしまうのではないかというお尋ねでございますが、私は必ずしもそう考えないのでありまして、見方から申せば、或る一部の人は、むしろそうなるから将来の東南アジアの他の軍縮というようなものも考え経済単位を拡げて、そうしてこれを受入れるようにしたいという考え方の基礎付けにさような理論を立てる人もあるのでありますが、私はそういうことは現在考え出るべきではないと思うのであります。この間も申上げましたが、例えば全体の設備資金計画から申しましても、このいわゆる防衛生産に対する設備資金の額というものは極めて僅かであるし、それから私は、その優か以上に超えてはならないと、経済のいわゆる平和的な自立計画が最優先のものであつて、このいわゆる防衛生産というものについては、できるだけ小規模に、而も漕実な程度にとどめておきたいというのが私の考え方でございます。
  64. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつとお諮りをいたします。質問順序は、理事会の打合せに基いて許可しておりましたが、大蔵大臣が余儀なき他の委員会の要求によりまして出席したい由でございます。それで将来先例にしないという条件で本日に限り順序を変更することを委員長にお任せ頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  65. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。
  66. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 只今御提案になつておるものは、経済援助資金特別会計ということになつております。大蔵大臣の提案の理由の説明によりますと、これは相互防衛援助協定、農産物購入に関する協定経済的措置に関する協定、この三協定に関連をされた資金であると、而も直接には経済的措置に関する協定第二条から出て来た特別会計であるというお話でございます。そうしますと、これらの協定においては佃ら経済援助なるものはないのです。経済援助なるものはない。にもかかわらず、経済援助資金特別会計という名前にお出しになつておるのはどういう意味なのか。ここで何で経済援助資金という名前を付けられたのか、その点から先ずご説明を願いたい。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それはその協約の明文にある文句をそのままとつた次第であります。
  68. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 協約の明文というのはどれですか。どこにも経済援助なる文句はないと思います。
  69. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ここに「アメリカ合衆国政府が、日本国の工業生産及び潜在的経済力の発展を援助する目的で、」云々とありまして、「この協定に基いて利用する用意を有することを考慮し、」云々とありますので、経済的措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定、そこでこの経済という文字を取入れたのであります。
  70. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 だからMSA関連協定にいう経済援助なるものは特定な意味があることは大臣よく御承知通りだと思います。そういう経済援助は何らなされておらないというのが、この関連援助協定の特色なんです。そうして更に言えば、政府は初めこのMSA協定を結ばれる場合には、経済援助があるのだ、経済援助を希果しているのだ、こういうことを繰返し言われて、私たちがそういうものは現在の段階においてはすでに考え得ない、又あり得ないのだということを育つたにかかわらず、いや何かあり得るから、少くともそれを得ることを希呈するからと言つて通して来られた。ところがいよいよ締結せられた協定には、明らかに経済援助なるものはない。而も今年度、五四年度のアメリカ予算においてないことは、その当時からはつきりいたしておつたのでありますが、五五年度についてもそれがないことが明瞭になつている。そういうふうに経済援助なる込のはないということが明瞭になつておるにかかわらず、これをルーズに「経済援助」とお使いになつているのは非常に困ると思うのです。この点は政府がたびたび努力をされたことは大蔵大臣よく御承知だと思う。非常にそういう意味での経済援助を政府は希望されたにかかわらず、去年の七月三十一日に一九五三ー四年度は軍事援助に限定して、経済援助はないのだということをアメリカ側はつきり君明をいたしておる。これはMSA協定の第五次交渉。更にそれに引続いて八月十九日には、日本側の経済的諸要請に対して、米国側はこれらすべてを削除するように提案をしている。これは第七次交渉。更に八月二十一日第八次交渉では、経済的要請を重ねて日本政府は要望をされておる。それにもかかわらずこれは容れられないで、経済援助は望めないということが明瞭になつたので、九月四日に外務大臣は、これは少くとも今年度は望めないということをはつきりされた。そういういきさつがあつて経済援助なるものは考えられない。これはもう政府としてははつきりした点であると思うのです。で、成るほど政府は更にその後も経済援助に関していろいろ何とかこういう名目を立てたいといつて御努力なさつたようですが、それができなかつた。それができないのならばはつきりとその通りに正直に経済的措置に関する特別会計成り何なりとしてお出しになればいいはずのものを、できもしなかつたものをただ未練がましく濃くない措置としてだけは経済的援助というようなことをお掲げになる必要は毛頭ないのじやないか。何故にそういう偽りのある看板をかけておられるか。その点を御説明
  71. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもは先ほどもちよつと申した通りに、やはりこの第一条のうちにも「日本国の工業の援助のため、及び日本国経済力の増強に資する他の目的のため、」というのがございますので、やはり広い意味での経済力のこれは勿論増強に役立つことでございますから、その文字を取つたのでありまして、別に看板に偽りがあるというような意味で、偽りの看板を上げるような考えは毛頭持つておりません。やはり経済力のこれは増強に関するものだと考えております。
  72. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それはほかの協定との関連、ほかの関連において出された特別会計の名前ならば、そういう一般的な意味でならばそれで結構なんです。併し提案の理由にもはつきりしておられるように、これは相互防衛援助協定に関連した三協定に直接関連して出したものだと言われるので、それならばやはり経済援助なるものは明確にした特殊な意味があるのだから、それをお出しになる必要があると思う。それでなければ経済援助を諾えないことになつておる。例えば外務省からお出しなつMSAの解説によれば、このMSA援助には軍事援助と経済技術援助がある、で、ここでいう経済技術援助は更に相互跡術金融、防衛支持援助、経済技術援助、技術援助その他に分けられる。そうしておのおのについてその詳しい説明がしてあります。そういう限定的な意味を持つたものが経済援助、そうして政府はこういう意味での経済援助にしたい、或いはそこへの誘い水になるようにとして、この農産物の購入に関する協定についても、或いは経済措置に関する協定についても、いろいろ努力をなされた。それは同じ説明書の中に明瞭に誰つております。農産物の購入がMSA経済援助になるようにしたいという希望であつた日本は、今、経済自立の基礎を確立するために、例えば電源開発の資金など、外からの援助を必要としているので、できることならここで経済援助を得たい。そうすればこれが一つの呼び水となつて、今後一層大きな経済援助の道が開けるかも知れないという肚だつたのである。併し、これは期待通りにはゆかなかつたと、こういうふうにちやんとその交渉の過程をはつきりしている。更に又、今問題になつている余剰農産物の購入に関する協定に関連をしても「これに対し、日本側は協定の形をとることとし、それも余剰農産物の購入に関する協定と円の使用に関する協定の二本にする考えであつた。これには大いに含みがあつたのである。特に円の使用に関する協定を一本に切り離し、条文作成などにも努力を払つて経済援助協定のような形をとろうとした。これは前にも述べた通り、これがきつかけとなつて、将来経済援助が入りやすいよう、せめてその受入れの便宜なようにという配置をしたからである。」、それにもかかわらずこれはできなかつた。そういういきさつを持つた名前なんです。それならばアメリカとの関係において経済援助協定なるものを謳えなかつたのであるから、それを正直に国内においてもそういう希望はされたが達成されなかつた名目を使一うべきではないのじやないか。国外に対してはそれはごまかせなかつた。だが国内に対してだけはごまかして経済援助協定という言葉で特別資金を作つておくというに至つては、国民を愚弄するも甚だしいと思うのです。その点をどういうふうにお考えになりますか。
  73. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもは、経済援助という意味は広い意味にも、幾らか狭い意味、特に後進国に対する援助のような非常に狭い意味があると思います。併しこの点を私広く解すれば、それでよいと考えておるのでございます。
  74. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いや、MSA援助の関連の問題のときには、広いとか狭いとかいう問題はないのです。非常に限定的な意味はつきりしているのです。而もそれをはつきり政府は御存じなかつたはずはないし、それを十分知つておられだからこそ、今申上げたようないろいろな交渉をして、併し再三アメリカからそれに対して経済援助なる名前を付けることは相成らんといつて削除させられた文句であるはずです。それをアメリカとの協定についてはそれができなかつたのに、日本特別会計の名前だけそれを作られるというのでは、ただ単にこれは広義の意味だからとか、狭義の意味だからという、そういうごまかしでは通せない、もつと厳粛な問題だと思う。それをどういうふうに……。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 交渉過程につきましては、私はよく承知しておりません。これを経済援助と言うこにおいて、私は何ら差支えないと考えております。
  76. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちつとも答弁になつておらない。特にこの対外域外買付に充てる四十万ドル、アメリカ側日本での海外買付に充てる四十万ドルは、勿論日本に関与される一千万ドルすら経済援助という観念ではいけないと主張している。そして経済援助なる文句はすべて削除されたはずであります。それをそういういきさつがあるにかかわらず、何にも差支えがないというようなことでは、余りにも看板に偽りがあるし、余りにもごまかしをしらじらしく平気で、国明は意味なもんだから、こういうことは何でも通るのだというふうにお考えになつておれば、国民を愚弄するも甚だしいと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになるか。
  77. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私が承知しておるところでは、軍事援助というのは武器等の援助を指すのであつて、今度のごとくに一千万ドルというものを金でくれるという場合は、これは私は資金援助である。金でくれるというのは、小々代金を三十六億円、一千万ドル相当、これは資金援助即ち経済援助であると考えて何ら差支えないと思う。
  78. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それはMSAの中にある経済技術援助というのは、さつき言つたように州立防御金融、防衛支持援助、経済技術援助、そういうものに分けられている。そして州立防衛金融というのは、イギリスの航空機生産、フランスの火砲、弾薬、自動兵器などに対する援助であつて、防御支持援助はそのように特定の軍需生産と結付いた援助でなくて、全般的に防衛力増強のためにその国の予算が不均衡に陥らんように考慮した援助、経済技術援助や或いはポイント・フオア計画による援助という技術援助は、いずれも後進地の産業振興或いは開発に対する援助である。そういうのが限られた技術援助、限定された技術援助で、そういう経済技術援助でどこの国に幾ら幾らだということもMSAの補償支出承認法によつてちやんと数学的にきまつている。そういうものの中に入つておる援助ではなくして、それ以外の五百五十条ですか、その過剰農産物の援助なんです。その過剰農産物の援助については経済援助なる名前を付けてはいけないということをはつきり言われているのです。で、今、言われるのは、過剰農産物による援助なんです。それはMSAにいう経済援助じや絶対にない。そういう名前を付けてはいかんということは言われている。それをただ、一般にどうも経済的な効果をもたらす援助だからというようなことで経済援助というふうにお付けになるのはどうも了解しかねる。而もこういういきさつがなかつたならば、知らずにお付けになつたのならばまだ許すべき点があると思う。こういうMSAにいう経済援助なるものははつ選り知つておられる。併しそれを何とか誘い水に使おうとして努力されて、それが成立たなかつた経緯もはつきりしている。それでそういう経緯があつたから、少くとも国民くらいにはその名前を付けて、これであたかも経済援助がとれたのだというようなことで、極言すれば国民を瞞すという政治的意図以外の何ものでもないということを言われても弁解の余地はないんじやないか。
  79. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは私は率直に言うと、そういういきさつを詳しくは私自身は承知しておりませんでした。併し私は今のような一千万ドル相当三十六憾円というものを、この日本経済状況からしてやるのだから、これは経済援助と言つて何ら差支えないという考え方で、この予算の提出をしておる次第なんです。従つてこれは責任は私は持ちますが、過去のいきさつについては、そういうこまかいことは率直に申上げてよく知りません。
  80. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 では非常に答弁に対して意に満たないものがあるし、何ら答弁になつてない。それは国民をごまかす、愚弄する以外の何ものでもないということだけを申上げて私の質問を終ります。
  81. 湯山勇

    ○湯山勇君 時間が大変少いようでございますから、端的にお伺いいたします。  私はこの予算日本に対するアメリカの内政干渉になるというような虞れが多分にあるということが心配でございますので、以下お尋ねいたしたいと思います。  その第一は、三十六億円の使途が只今までのところ明確にされておりません。その点の追及がしたいのですけれども、これはもう大体お答えがわかつておりますから、角度を慶えまして、この予算書に示された承句についてお尋ねいたします。予算書には工業力の強化という、言葉が使つてございますが、工業力というのは一体どういうことか御説明願いたいと思います。
  82. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 工業力というのは、いわゆる製造工場等のその製造工場の力、つまり生産力もありまするが、又その質の改善も含まれております。
  83. 湯山勇

    ○湯山勇君 それはどこからとられた言葉でございますか。
  84. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは先ほど申した通り、「日本国の工業の援助のため、及び日本国経済力の増強に資する他の目的のため」と、こういうふうに協定にありまするので、そこで工業の援助のため、つまり工業力というふうに使つたのであります。
  85. 湯山勇

    ○湯山勇君 協定には工業力という言葉はございません。実は私は非常にこの言葉が気になりまして、いろいろ調べてみたわけです。一昨日は国会の図書館全部調べましたがありません。昨日は調査立法考査局の係りの人に調べてもらいましたけれども、あらゆる文献を調べてそういうものはない。大蔵省のほうへも聞き合したけれども、それについては明確なお答えがなかつたそうです、で、商業力だとか、水産業力だとか、農業力だとかいうものはないので、言われない言葉なので、工業力という言葉の定義がはつきりしなければこの審議もできないと思うので、定義をはつきりして頂きたい。
  86. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は私はこれは見ませんでしたが工業力のという文句は全然使つておりません。「工業の助成」と言つておるのでありましてただあなたがあるように言われたから、ちよつと思い付いたまま工業力なら工業力でなければならん。工業力ならそうでなければならん。「工業の助成」と書いてあります。
  87. 湯山勇

    ○湯山勇君 工業力ですよ。
  88. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実は責任は私は持ちますが、この細かいところまで一々実は検討しておりません、正直に申上げますと……併し工業力ということについて是非説明が要るということでございますれば、只今申上げた通り工業の生産力の増加及び工業の質的改善というものを工業力であろうと……、併しこれはこの出ておる文字を弁護するという意味で申上げるわけじやございません。
  89. 湯山勇

    ○湯山勇君 非常にあいまいなので、特に私が心配するのは、大蔵大臣はもうこういことに麻押しておると思うのです。例えば防衛力の増強だとか、戦力なき軍隊だとか、何へもかにへも強とか力とかいう言葉を付ける。これは麻押しておるからこういうことになるので、工業力という言葉は河もない。小笠原新語です。新らしい言葉を作つて、そしてその内容はつきりしないで勝手に使つている。こういうところに非常に問題がありますので、私はこれは村当正大な問題だと思うのです。単に字句の問題ではないと思うのです。その点については一応そういう警告を発しておきます。  次にお尋ね申上げたいことは、これを大蔵大臣は基礎的な長期的な、或いは主として兵器のほうに使うというような御答弁がありましたが、而もその使途は米国と協議して決定する、こういうことをおつしやいましたが、そういう基礎的な而も長期に亘るようなものについてアメリカ側と協議してやるということは、結局アメリカ側の内政干渉ということになるのではないか、この点について御見解を伺いたいと思います。
  90. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもは相互で合意する条件でありまするから、少しも内政干渉とは考えておりません。向うからの贈与を受けた金をどういうふうにどういうものに使うかということの枠をきめることなんで、その枠をきめることについて双方が合意するのでありまするから、こちらが合意しなければそれはできる問題じやございませんので何ら内政干渉とは考えておりません。
  91. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、先ほど木村委員のおつしやつたように、合意が成立しなかつた場合にはこれは使わないと、こう確認してよろしいのでございますか。受入をしない……。
  92. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 受入のほうはこれは日本政府は特別勘定で受入れますが、受入れた金についての使用方について合意ができなければ、これは金を全然使うことはできません。これは法文の解釈はそうですが、併し双方これは大体法文の解釈でやるのでなくて、現実協定を遂げてから起つておる問題でありますから、さような問題は、できない場合にはどうだというような、そういう想像的なことをかれこれ議論をする必要は私はないと思います。
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 それは逆なんです。大臣がおつしやるのは、それは合意するから心配はないとおつしやる。介意するからこういう場合もあるじやないかと言うと、それは心配しなくてもいい、非常におつしやることが、こちらから貰いたいことを大臣からおつしやつたような恰好になつておる。  次に、時間がありませんから次のことをお聞きしますが、兵器産業、つまり防衛産業のほうに向けるというようなお話通産大臣がおつしやつておりますが、本来兵器産業というものが不安定であるということは、大東亜戦争中に航空機をいろいろな種類のを作りましたけれども、例えば連山というような重爆撃機が幾つできましたか、一つか二つ作つて結局飛ばないでしまつたようなこともあります。そういうことから考えましても、結局大蔵大臣の言われる長期に亘る計画ということと兵器産業へ振向けるということとは、只今ジェットエンジンとのことと関連いたしましても相矛盾すると思うのですが、これについては両大臣はどうお考えになつているか、承わりたいと思います。
  94. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私どもはたびたび申す通り、融資の対象としては兵器産業やその関連、産業、或いはその基礎産業等を置いておるのでありますが、それにいたしましても、例えば兵器産業にいたしましても、これは融資する場合、決して将来日本の国内で使わないような、過剰設備に陥るというものには出さない考えでありまするし、国内でそれだけの需要がある、或いは将来発注が確実である、こういうもの以外に決して出さないという考えを打つておりますので、今御懸念のような点はないと思います。
  95. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今大蔵大臣からお答えの通りでございますし、先ほど木村委員のお尋ねに詳細お答えいたしました通りでありまして、私の率直な気持を申上げますると、いわゆる防衛産業というものに対して、いい意味でも悪い意味でもというと言い過ぎであるかも知れませんが、非常にこれを過剰に問題にし過ぎておられるのじやないかと思うのでありまして、現在の政府の立場は、只今大蔵大臣が言われました通りで、極めて着実に、成る人の見方から言えば極めて小規模に発足をしており、そして又それを維持して行くという程度でございますから、法律案等におきましても、現に国会で御審議を願つておりますが、航空機事業法の一部改正というようなものは、政府の許可権、認可権を強くいたしまして、濫立や過大なものができないように仰えて行こう、こういうふうな考えでおるわけでございます。
  96. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は長期という期間がいつまでになるかということもお聞きしたいのですが、それは別といたしまして、木村保安庁長官は、兵器の進歩等の関係もあつて、特にそういうことが重要な理由になつて防衛計画さえ立たない、日本の防衛計画さえ立たない状態において防衛産業の長期計画が立つか立たないか、これは非常に問題だと思いますので、重ねてお尋ねいたします。今の防衛計画との関連においてこれをどうお使いになろうとしておるか。
  97. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私の今まで申上げた通りでありまして、御承知のように防衛計画については、三十九年度の分が二十九年度の予算との関連において政府計画説明されておるわけであります。それの裏打ちの程度のものとして防衛産業計画があるわけであります。あたかも防御計画において長期計画が御説明するだけのものが政府にないのと同様でありまして、長期の防衛生産計画というものは只今持つておりません。
  98. 青木一男

    委員長青木一男君) 大蔵大臣はよろしうございますか。
  99. 湯山勇

    ○湯山勇君 局長は残つて頂けますか。大蔵省政府委員のかたは……。
  100. 青木一男

    委員長青木一男君) 政務次官がおりますから………。
  101. 湯山勇

    ○湯山勇君 ああそうですが、結構でございます。それじや通産大臣にお尋ねいたしますが、今のように大蔵大臣の御説明によりますと、電源開発とか、そういうことも考慮に入れておる。そういうことでありますと、前から問題になりました例の原子炉でございます。これが一応実験的な段階を経て軌道に乗つた場合には、この方面へもこういうようなものが廻る、融資される、或いは投資される。そういうこともあり得ると、今あるとかないとかいうことじやなく、そういう可能性があるかどうか。或いは可能性でなくて、どう言いますか。非常に漠然としたそういうこともあつてもいいのだといつたような意味のことが言えるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  102. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 現在の三十六億円については全然考えておりません。このことは御承知通りと思います。それから将来同様な性格の金ができました場合にどうかというお尋ねでございますが、これは希望になりまして、仮定の下における希望でございますから、さようお聞取りを願いたいと思いますが、私は平和的な利用で以て国民経済に非常な効果があるような町きがあるとすれば、その方面への融資、その他の利用方法というものは考えたいものであるという希望を持つております。
  103. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで問題は非常に重要になつて来ると思うのですが、これは当然MSA、つまり軍事援助に伴う援助。以つて、それが原子炉の平和的利用ということになるにしても、それへ使われるということになれば、これは非常に問題が大きくなりますので、この際はつきり原子力憲章なり、原子力関係法を整備しておくという必要があると思うのですが、前々からこれについてはいろいろ御検討になつておりますし、最近又或る委員会を作られて検討されておるようですが、これの検討の現段階並びにどういうふうに一体やつて行こうとしておられるか、これらについて御説明頂きたいと思います。
  104. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 原子炉をめぐる問題につきましては、当委員会におきましても、いろいろ論議が闘わされたわけでございますが、その後政府としていたしましたことをこの際御報告申上げたいと思います。将来原子力をどういう向きに利用するか、又原子力法、原子力懸賞といつたようなものを作るかどうか。或いは又アメリカ等において行われておりますような原子力委員会というようなものを作る必要があるかどうかというような基本的な問題につきましては、その問題が只今も御指摘の通り極めて重大でございまするので、政府といたしましては、官民の衆知を集めてこれが検討を行うことが先ず第一に必要であると考えておるわけでございます。従いまして、政府の先ず諮問機関といたしまして、原子力の平和的利用審議会とでも申しまするような名称の組織を作りまして、関係各省や学界等の協力を求めまして研究を進めて行こうということを考えておるわけでございます。実は学界その他におきましても、こういうふうな問題の収上げ方響について、どういうふうに政府に協力して行くべきかというような基本的体制について、まだはつきりした結論が出なかつたというような関係もございますもで、この組織や人的構成について閣議決定をするにはまただ至つておりませんが、骨子はすでに作りまして関係方面と連絡いたしておりますが、できるだけ速かな機会にこういうふうな組織ができることとなるはずでございます。只今お話がございましたように、原子力憲章というようなものを作るかどうか、或いは又平和的利用という問題についての研究をいたしまする場合に、その研究の公開というような問題をどういうふうに扱うかというような点、これらの点を全部すべて議題に供しまして、外国の例或いは日本の国情等を参酌いたしまして、一つ向うべき途というものを発見することに努めたいと存じております。それからなお申添えておきますが、昭和二十九年度予算の原子炉関係予算でございますが、これにつきましては、通産省の工業技術院のほうにこの大部分の予算が配付をされましたので、通産省といたしましても独自の立場から通産省としての諮問機関を作りまして、そこで十分各方面意見を取りまとめて頂くことにいたしておりますが、同時に今申しました政府全体としての諮問機関が成立いたしました場合に、その通産省としての結論と申しますか、研究はこの全体の諮問機関に更に付議いたして、十分に二段構えで慎重な検討をいたして頂きたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  105. 湯山勇

    ○湯山勇君 只今までの過程はよくわかりました。そこでそのようにして原子力憲章軍なり、或いは関係法なりの整備ができた場合には、これは当然国会に出されると思いますが、今国会に御提案になる御予定かどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  106. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほど申しましたように極めて重大な問題でもございますし、又学界その他の方面についても、その取上げ方自体についても非常に慎重にやりたいという空気がございますので、勿論法律案或いは予算案というようなものになりまする場合は、一応国会の御審議を経るわけでございますが、今日の私の見通しといたしましては、この国会には到底提案はむつかしいと考えております。
  107. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではできました場合には、こういう重要なものでございますから、当然臨時国会を開いて御提案になるというようなのが至当であると思うのですが、如何でございましようか。これは副総理がお見えになつたら副総理にお尋ねしたいと思つたのですが、一応通産大臣としての御見解を伺いたいと思います。
  108. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は実はそこまでまだ検討いたしておりませんでしたので、率直に申上げるわけでありますが、只今申しました政府の諮問機関ができまして、やはりこの研究に数カ月は少くとも籍すに時日の余裕を以てして項かなければならんのではなかろうかと思いますので、次の通常国会あたりが丁度その結論を付して御審議を願えるのに適当な時期ではなかろうか、今の私の私見としてはさように考えております。
  109. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは次の通常国会までは、現在予算化されておるものの支出はなさらないというように考えてもいいのでございますか。
  110. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この点は二十九年度本子算案の審議のときに申上げましたように、十分慎重に各方面意見を伺つて成案を得た場合に予算の執行をするつもりでございます。従つて次の通常国会は本年の十三月上旬に召集されるわけでございますから、時間的にはその前に陶付されるものもございましようし、或いはそのとき以後になるものもあろうかと思いますが、ともかく慎重にいたしたいと思いますが、次のこのいろいろのこれからできるでありましようところの委員会の結論が出ないうちは、この予算に関する限りにおいて結論が出ないうちは配当はいたしませんが、予算についてより早く結論が出ることを予想されております。
  111. 湯山勇

    ○湯山勇君 時間が参りましたのですが、文部大臣に簡単にお尋ねいたしたいと思いますが、この援助資金はアジアの他の国々の例を見ますと、どの国もみんな、政府から出ました資料で見ましても教育に使われておるのでございます、ただ単に兵器生産とか、工業だけでなくて……。で、又使途は十分きまつていないということですが、文部大臣は今回の三十六億の工業力強化、これは広い意味で言えば理科教育の振興に使つてもいいし、産業教育に使うことも又工業力の強化ということになると思いますが、これをそういう方面に使うように御要求になる御意思がおありになるかどうか承わりたいと思います。
  112. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 実は私詳細この予算について、工業力の強化と言いますか、ということについての内容承知いたしておりません。今後これが教育関係の研究その他に支出すべきものであれば、又文部省としてさような点で教育の上にも有効な経費が頂けるものならお願いしたいと思いますけれども、今のところその辺ははつきりいたしません。
  113. 湯山勇

    ○湯山勇君 工業力というのは非常に広い意味大蔵大臣言つておられますから、是非そういうふうにして頂いて、昨日御説明がありましたように、人件費、何がなくても足りない人件費を余さして、それでこの技術的な或いは科学的な設備をするというようなことのないようにお願い申上げたい。  それから最後に、文部省では二十九年度の新一年生の教科書について、二月の八日に通牒を出しておられますが、この通牒を見ますと、「新たに入学する児童に対する国語及算数の教科用図書の給与は予算関係昭和二十九年度分については中止することになりました」とはつきり書いてあるのですが、これはいつそういうふうになりましたのですか。
  114. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 御承知通り、新学年初めに教科書を渡すのでありますから、どうしても三月或いは二月時分からその手配をしておかなければなりませんので、すでに成立予算におきましてもその経費が計上されておりませんし、又それに関係する法律案も提案してありません。政府考え方としては、二十九年度の教科書の交付を中止しなければならんという立場でありますので、現場に混乱が起りませんように、二月にさような通牒を出したのであります。その通牒には、予算関係上中止することになりましたというような書き方がしてあつたようでありますが、これは中正するということになりましたと言い切つたことは或いは不適当であつたかも存じませんが、ただ文部省の事務的な連絡で現場に混乱が起らないように、予算の上でそうなつておるからということを通牒した、そういうふうに存じております。
  115. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは甚だ国会軽視であると思います。農林省あたりの通牒を見ますと、現在こういうふうになる予定だからということが皆付いております。またあの法律が通つていない今日只今においても、まだ通つていないのになりましたと、而も三月八日に断定したことはこれは国会無視も甚だしい。大臣も国会の人ですから、大臣自身お腹がお立ちになると思うのです。こういうことは非常に重要な問題ですから、殊に文部省のかたがたの常識を疑われると掃います。農林省の人は非常に慎重であります。これはこうだから、こうなる予定だからこうしてもらいたいとお願いの形で言つている。文部省はこうなつたからこうせよ、これは非常にけしからんと思いますので、御留意を願いたいと思います。以上で終ります。
  116. 千田正

    ○千田正君 今朝からすでに各委員、殊に堀木君或いは木村君等から、今度提出された補正予算に対する内容を衝いておるのでありますが、ほかからもらうところの、いわゆる言換えれば、乞食が袋を作るのに縞の財布にするか、欝金の財布にするかというのをここで論議するのは、私はむしろ政府はつきりしない以上、持つて来るのはどうかと思うので、こういうふうに議論をいつまでも繰返すのは愚の骨頂だと思うのです。そこで私はこれとは角度を変えまして、この問題が起きる前に日本の旧民として考えておかなければならないところの、この原子爆弾の被害に対する損害の査定さえも今日に一なつておらない、私はこういう問題を先ず第一に考えなければならないのじやないか。そこで主管大臣であるところの農林大臣にお伺いいたしますが、最近更に漁民の空気が不穏当な方向へ走りつつあるということであります。「かつお」、「まぐろ」の漁業が、申すまでもなくこのビキニ問題以来魚価が非常に下つて来た、同時に乗組員に対するところのいわゆる給与というものは殆んどない。その家族はまさに生活の困窮の極度に煙して不安の状況に入つて来ておる。それに対して一体補償費をどういうふうにするか、仮にアメリカ側が補償するならば、その補償に対する、たとえまだ額が決定しておらないとしても、取りあえずの生活の補償なり、給与の補償なりというものに対しての国内における前渡し分というようなものを考えておるのかどうか。もう一つは、この漁業家がそういう問題。非常に融資の面に困窮を来たしております。一昨日入つて来た船などは、帆柱においても一万カウントを数えるほどのいわゆる放射能があつた。「まぐろ」は廃棄される、毎日のように続いておる。この状況においてはとても今後漁業というものは、殊に「かつお」、「まぐろ」の漁業はやつて行けない。一体政府はどうしてるのだ、こういう声が非常に強いのであります。概算して今までの損害は、只今ここに論議されておるところの三十六億、これに匹敵するだけの約三十億と称せられるところの、間接直接の被害を総合して三十億以上になるという声が高いのでありますが、農林当局といたしましては、この問題について一体どの程度までこの漁民の苦難に対して方法を考えておるか、どういう方針において、仮に補償の前渡しなり或いは融資の面なり、そういう方面においてどういうふうに考えておるか、この点を先ず第一に農林大臣からお伺いしたいと思います。
  117. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 直接の被害に対しまして補償をいたさなければならんことは当然のことでございます。ただこうむりましたところの広般なる間接被害の問題につきましては、第一どういうふうな算定調査をするかということにも非常に困難があるわけでございますけれども、併しながら補償を要求すべきことにおきましては、いたす書のはもういたすつもりでございますから、只今国として取扱うべき措置につきまして研究いたしておるところでございます。なお漁業操業上非常に困難を来たして来るというようなことにつきましては、金融措置で各県においても心配をしたおりますけれども、農林省といたしましても、この融資その他の方法につきましては、県側とも協力いたしまして、できるだけの措置は講じて参りたいという考えであります。
  118. 湯山勇

    ○湯山勇君 議事進行。実は政府の内部においては、今の問題は大体検討されておると聞いておりますしいたしますので、若し公式の見解表明がむずかしいようでしたら、委員長において速記を止められてでも、大体もう少し具体的に農林大臣から御説明になるようにして頂きたいと思うのですが、それについて委員長のほうから一つ農林大臣にお諮り頂きたいと思います。
  119. 青木一男

    委員長青木一男君) 政府にお伺いしますが、速記を止める必要がございますか。
  120. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 今申上げた程度以上にはございません。
  121. 青木一男

    委員長青木一男君) ではこのまま進行いたします。
  122. 千田正

    ○千田正君 どうも政府答弁は研究調査中ばかりで、只今農林大臣は各県の県当局に対して融資の途を講ずるよう指示しておるということでありまするが、もう一つ私は真剣に取上げてもらいたいというのは、これはこれからもどんどん起きて来る。それでありますから、はつきりしたいわゆるこうしたことに対処する方針をきめなければ私は次々と又起つて来る。今のような状況で一体研究中、調査中である、これだけでは私は納得できないと思うのでありまして、もう少ししつかりした方針がありませんか。ここで表明できるような方針が、具体的に……。
  123. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 直接被害として目せられる分につきましては大体の調査を終つております。併しながら先ほどもお話のように、次々に現われて来ておるわけであります。それも直接被害を受けて帰つて来ておるものも御承知のようにあるわけであります。それらは順次追加をして補償要求すべきものを、各省打合会で、安藤国務相中心の打合会で相談をいたしまして、外交手続に移しておるわけであります。間接被害、これがなかなか仰せ通りまあ魚価の低落、それから来る問屋、小売の被害ということは、これは調査にかなり面倒なことであることはもう十田さんも御承知通りであります。この点は十分慎重に調査をいたしたいと思います。
  124. 千田正

    ○千田正君 在荷としておるというと、苦しくなるとやはり背に腹は代えられないということで、仮に今指定されておるところの陸揚げ港は五港でありますが、どうもあそこへ行くと厳重な検査を受ける、これではとてもやつて行けないというような不幸な事態が起きて来て、このままいわゆる生の魚にして売るのは危険であるという場合には、或いは加工しても、とにかく生活維持のためにはこれを販売しなければならないというふうな事態は、私は必ずしも生じないということは断言できないと思います。最近五港以外に、いわゆる指定された五港以外に陸揚げしているということは全然ありませんかということも一応伺つておきたい。
  125. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 指定五港以外に水揚げをしているということは私は全然報告を受けておりませんから、さようなことは今日まであり得ないと確信をいたしておりますけれども、併しながら極めて重要なことでございますから、十分今後も注意をいたして参るつもりであります。
  126. 千田正

    ○千田正君 この前の予算の審議の際に、農林大臣にお伺いしましたいわゆる今度の補正予算に出て来ておる根本でありますところの小麦の輸送船が、九十九里の沿岸で坐礁したそのときの損害は、農林大臣のおつしやる通り保険等に付けてあるから、積荷に対するところの損害はない、これは食管会計からの考え方で無論そうであるのでありますが、先般千葉県沿岸を調査した際に、この沿岸の漁民からの陳情があつたのであります。それはこの坐礁によつて流れた小麦が海底に沈んで、潮流と共に相当の幅のところにこの小麦か流れているために網も引けないし、魚群も寄つて来ない、この損害は相当多額に上つておるので、農林当局にこれは何とかしてもらいたい、こういう陳情を受けて来ておりますが、この問題はどういうふうにお考えになつておられますか、その点も伺つておきたいと思います。
  127. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 千葉県の白浜押合五百メートルくらいの大変いい漁場であるそうでございますが、そこでお話のパナマの輸送船が小麦を一ぱい積んで坐礁顛覆をしたために、積んでおつた小夜が大量に流失をし、併せてその重油が流失いたしましたために、海草類や或いは貝類が非常に被害を受けた、早速その重油の流失を防ぐような緊急措置をとるように、そうして又流失の小麦はできるだけ早く陸へ上げて、そうして飼料になるものは飼料にするなり、ともかく漁民に非常な不測な迷惑をかけたわけだから、そういう措置をとつておりますが、併しだんだん重油のほうの関係は収まつておるようでございますけれども、小麦の流失から来ている被害は何さま大量のものでございますから、現に排除作業を続けて行なつておると思いますが、農林省としましては、附近漁民の関係からいたしまして、又漁場が非常にいい漁場でございますから、できるだけ速かに今年度の予算内において漁場復興と申しますか、復旧措置を講ずるように水性庁とやつております。これは督励をいたして又やらせるようにいたして参りたいと思います。
  128. 千田正

    ○千田正君 時間もないようでございますので、最後に、これは通産省関係なり、大蔵省関係の大臣かいずれか代つて答弁頂きたいと思います。先ほど同僚木村委員質問のうちに、ジェットエンジン会社の重役の問題について質問されておりましたが、玉置前通産次官は、三十六億から十億のいわゆる融資をするという一つの内約の下にジェットエンジン会社の副社長に就任するということになつてつたそうでありますが、それが事実かどうか、この点を一点質しておきたいと思います。
  129. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 只今の御質問の件に対しましては、大蔵当局としては何ら承知いたしておりません。
  130. 千田正

    ○千田正君 これは委員長から特に私から責問があつたということを通産大臣に申入れましてお答え頂きたいと思います。後日で結構であります。
  131. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連質問ございますか。
  132. 小林武治

    小林武治君 只今千田さんから原爆被害の質問がありましたが、これに関連して一つつておきたいと思いますが、この被害の問題は、安藤国務大臣が主官に当つておるそうでありまするが、この被害を受けた第五福岡丸のその後の処置を如何なされたかということをお伺いしたい。
  133. 安藤正純

    国務大臣(安藤正純君) 被害を受けた福岡丸は買上げることに決定いたしており、その払下の問題も交渉して殆んど決定に近くなつておる次第であります。
  134. 小林武治

    小林武治君 打上は結構でございますが、もう相当期間も過ぎておりますし、焼津の現世におきましては、船がそのまま繋留されておるということは漁業その他に非常に支障を来たしておるし、又焼津の市民といたしましてもいろいろな問題を起しおるのでありまして、折角買上げられたならば、これを適当の場所に曳航するなり、解体するなり、その処置をしなければ非常な迷惑をこうむつておるのでありまして、現在のように、いわば荏苒として協議を続けられておるということはいろいろな支障を来たす元でありまして、その点いつ頃までにこれら解体或いは曳航その他の処齪をされるかということを佃つておきたいのであります。
  135. 安藤正純

    国務大臣(安藤正純君) それは協議中というよりは、協議は前から盛んにしておりまして、今実行に移つておるのです。ただ船をどこにどうするかという問題は、買上が決定しており、従つてその船の処置についても、これもまだ最後の結論にはなつておりませんが、そういう問題について折衝中なんです。現に最近静岡県の知事に来てもらいまして、そういう話をしました。これは地方の関係等もありますので、いろいろそういうことで心配しておりますが、恐らく数月間に決定すると思います。大体のことを申上げておきますと、先ず暫らくの間現場或いはその附近に繋留をしておく、ということは、そういう又一方に必要もあるのでそういたします。併しそれがずつといつまでもそうしておくというのではなくて、あとの処置は学者の研究とか、そういつたような面をいろいろ参酌しまして、最後の処置をきめる、今は暫定処置として現場に暫らく繁いでおく、こういうようなふうに、恐らくこれはまあ、そう決定しちやつたのじやありませんが、そう行くだろうと思いまして、そのことは数日間にきまると思います。
  136. 小林武治

    小林武治君 現在の繋留場所は焼津の港の中でありまし、魚市場等にも近接した位置にある。従つていろいろの点において支障を来たしておるのでありまして、漁業関係者はもとより、焼津の市民も、折角政府がお買上げ下さるのであるからして、政府において速かに処置をして頂きたい、こういうことを希望しておるのでありまして、むずかしい問題とは思いまするが、どうぞ一つできるだけ早く、どこかにお持ち去り願いたいということが偽わらざる希望であるのでありまして、その点篤と一つお取計らいをお願いしておきます。
  137. 森八三一

    ○森八三一君 私は主として農林大臣にお伺いをいたしたいのだございますが、只今の原子兵器の実験に関連する質疑に関連いたしまして、安藤国務相にお伺いをいたしたいのでございますが、農林大臣から御答弁がありましたように、この被害に関する調査は、直援の被害と間接の被害とありますので非常に困難であることはよく了承できますが、そのうちの直接の被害については、これは次から次に起きて来るものを言つておりおますると非常に時間がかかると思いますが、現実に起きておる、既肌発生のものについては、これはそう長い時間をかけんでも調査の完了すべき筋合のものと思うのであります。でありまするから、少くとも第五隔尚丸の関係についての直接被害というものは、もう担当大臣として御処置をやつてつて頂く安藤国務大臣のところでは、おわかりになつておるはずと思うのでございますが、おわかりになつておりますれば、お伺いをいたしたいと思います。
  138. 安藤正純

    国務大臣(安藤正純君) 直接損害は大体きめてあります。それでまあ、つまり船の処置、買上、それから漁具の損害、それから船の上に積んであつたものの損害、それから患者の治療費、患者の今後における生活保障費並びにできれば慰藉料までも計算してありまして、すでにそのことは、こちらのことはきまつておりまして、而もそれはすでにアメリカ側交渉中であります。併しこれは最後までの賠償ではないので、例えば治療のごときもだんだんやつて行くのですし、長くなれば長くなるほどいろいろ賠償が殖えるというわけになりますから、まあつまり言うと、中間的の処置としての補償はすでにアメリカ側と折衝中であります。
  139. 森八三一

    ○森八三一君 この委員会ではありませんが、他の委員会で、こういう問題について一体その調査の結果判明した被害に対しては、被害者に対して日本政府責任で補償を与える、それを他日日本政府からアメリカ政府に補償を求めるという筋合をとられるということではないかという質問をいたしましたときに、小瀧外務政務次官は、その通りであります。日本国民である被害者に対する補償については、日本政府の背任でこれをとり行なつて、その行なつたものの補償を日本政府アメリカ政府に求めて行くという建前をとるのだということをはつきり言われております。そこで今お話のように、直接の被害については、医療費等については次から次へと進んで行くのでありますので、確定はできませんが、既往のものについては、一応算定が付いたということでありますれば、先刻千田委員からもお話がありましたように、直接の被害者はその日の生活にも非常に難儀をしておるような状態に置かれておりますから、これは日本政府責任で速かにその処置をとられなければならんと思うのです。それが今以てとられておらないということはおかしいのではないか、私はそのときにも、どうも日本政府は直接に補償をするんじやなくて、アメリカのほうと協議をして、アメリカのほうで、これだけは補償してやると言えば、それでとどまつてしまうのではないか、向う様の甘いなり次第になるのではないか、それでは日本の国民はたまつたものではないということを申上げた。小瀧政務次官は、そうではありませんと答弁されておるのです。でありますから、今主管大臣である国務大臣安藤さんからお答えのように、日本政府責任において調査する真後の被害額というものはさまつておるから、それは難儀しておる連中のために一刻も早く処置されるべきである、されたものをアメリカのほうへ折衝なさることは、政府責任でおやりになる、私そのとき申上げたが、その日本政府が補償したものが仮に百である。折衝した結果、アメリカから九十よりもらえなかつた場合、又十の分だけ返還を求めるかと言うと、そうではありません。日本政府の補償でやるから、それは出しつ放しで、十の分は日本政府の負担として措置をとるという誠意ある御答弁であつた。だからこれはどうなるのですか、お伺いします。
  140. 安藤正純

    国務大臣(安藤正純君) 只今アメリカのほうへ折衝しておる、而も見込みはそう長くかかるまいと、こういう考えであります。でありますが、若しアメリカ側で長くかかるということになれば、今あなたのおつしやつたように、小瀧君が言われたように、日本政府で先に支払つてやろう、こういう考えも持つております。今の見通しではそう長くかかるまい、こういうふうに考えておる次第でございます。いずれにしても非常にその点は心配しておるのですから、政府といたしましても、成るべくお説のような遺憾のない処置を急速にとりたいと思つております。
  141. 森八三一

    ○森八三一君 どうも話が食い違つておるのです。というのは、被害君の国民に対する補償については日本政府責任においてやるというのですから、アメリカのほうへ折衝をして、額がきまらなければやれないというのではなくて、調査の結果が出て来れば、そこで直ぐやつて頂いて、その跡始末は、これはどういう時間がかかりますか、これは別の問題ですが、そう時間はかからんから、折衝して結論を得た上でとおつしやるのは、建前とは違つて来ますので……。時間がありませんから、この問題はこれ以上質問を続けると、本論のほうの質問がなくなりますので、もうしませんが、やはり小瀧政務次官の答弁されております通りに、筋を通してはつきりして頂きたいという希望を申上げておきます。折衝をしてからでないといかんなんということでは話が違うので、調査の結果数字がつかめたら速かにやる、その結論を政府政府との間で折衝して頂くという順序で御進行頂きますように、希望を申上げておきます。  今度の協定に基きまして、五十万トンの小麦が入つて来るのでありますが、昨日の質疑応答を通じまして、その五十万トンの分は、二十九年度に例をとりますると、百九十六万三千トンの輸入計画の内枠であるというように承わつておるのであります。ところが協定の三条によりますると、「この協定従つて取得されるべき商品の購入及び利用は、アメリカ合衆国又は他の友好国の通常の市場取引を排除し、又はこれに代替してはならないものと了解される。」ということが明確に規定されておるのであります。たまたま昭和二十八年度は冷害、風水害等異常の災害の年でありましたから、国民食糧を充足するために思わざる多量のものを輸入しなければならなかつた。そのあとを受けた昭和二十九年度もやはり数量的には同様の関係に置かれると思いますので、この百九十六万三十トンの中へ五十万トンが入つて来るということは、この条約の三条に基く趣旨に結果的には副い得ると思いますが、三十年度になりまして、国内生産というものが順調になつて来た場合には一体どうなるのか、その見通しをお伺いいたしたいのであります。
  142. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 昨日もその点につきまして御質問、御意見がございましたけれども、大体の趨勢からいたしますれば、今後自給態勢をとつて食糧政策を推進して行く方向は、どうしても食生活改善、麦食普及という大きな線に副うて進めて行かなければならん。併しながら、そうは言つてもまあ今年度は大体外地小麦百九十六、七万トンがあればいい、来年は一体どうなるだろうか、これはもう米のでき方にもよつて参ると思いますけれども、現在の国民的食糧運動の方向は麦或いは小麦、粉食、麦食の方向を強く打出して、政府としてもそれに主力を注いでおるわけでございますから、まだ麦の消費が固定的に大体年間どのくらいあればいいか、大まかなことは申上げられましても、固定的にきめてかかるのは少し早計ではないか、今年度の分につきましては、あの第三条に抵触するようなことのない次第でございますから問題はないのでありますけれども、後年度、三十年度以降アメリカの余剰農産物処理によつて入れて来る。そうすると、その入れる限度というものはおのずから麦消費の伸び方をどう見るか又どう持つて行くかということで一つの制約を受けて参ることは当然だと考えておりますから、従つて後年度の計画を立てまするにつきましては、十分麦消費の伸び方をどういうふうにつかんで参るか慎重な検討を要すると考えておるわけであります。大体どのくらいに大まかに見られるかということが御趣意であろうかと存じますけれども、これはどうも私もここでその予想をいたしますことは少し軽率じやないかと思いますので御遠慮いたしたい。
  143. 森八三一

    ○森八三一君 かねがね政府方針として国内の食料自給態勢を確立するのだ、そのことは特に最近の国際収支の現況に鑑みましても、急速に実現をしなければならんという原則に立つて万般の施策を進めるということを言われておりまするし、我々もそのことは万難を排して実現を期さなければならん重要な問題であると思考いたしておるのであります。そこでこの協定が結ばれて来る。而もその協定の三条に基いて、その五十万トン相当量というものは別の枠で輸入をしなければならんというようなことになつて参りますると、一方には国内で自給度を高めて行くために増産を奨励し推進して行かなければならんと言いましても、具体的にその増産意欲を減退せしめるようなことが起きて来る危険があるのではないかということを非常に強く考えさせられるのであります。そのことは今大臣のお話のように、今後日本国民の食生活の内容を改善して行つて、麦の消費量を殖やして行くのだということによつて成る一部はカバーせられて行くと思いますが、その場合に更に一つお伺いいたしたいことは、今度輸入される小麦はアメリカ産の小麦であります。従来求めておりました小麦はカナダ、濠州その他の国があるのでありますが、我々が聞いておるところによりますると、アメリカ産の小麦と他の産地の小麦とではその品質において非常な差異がある、優秀なパン等を作りまするためにはアメリカ産の小麦では十分ではないということを聞かされておるのであります。そういたしますると、結局極端に申しますると、国民の需要の面から考えると非常に好ましい姿のものは量的に減つて来て、品質の悪い余り歓迎しないものが余計入つて来るということになるのじやないかという心配を抱くのでありますが、そういう関係は一体どういうふうになつて行くのか。
  144. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) その点は私ども少し専門的になりますので、私自身ではちよつと判断に困りますけれども、食糧庁といたしましては、その点につきましては十分注意をいたし、過ちのないようにやつておると申しております。御懸念のような、つまり悪いものをたくさん背負い込むというような結果には陥らないと点は信じておりますけれども、なお食糧庁、長官から御説明申上げたほうがよろしいと思います。
  145. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、御指摘のように、小麦につきましてはハード系とソフト系がございまして、アメリカのものは大体ソフト系でございますが、この需要はパンの場合に起きましてはハード系を或る程度必要とするわけでありまして、このハード系はカナダのものとアルゼンチンのものと合せまして、同時にアメリカのソフト系と全体を合せまして需要計画を立てておりますので、品質的に不必要なものを買うということにはなつておらないわけであります。
  146. 森八三一

    ○森八三一君 その点が今の五百万トンというものが今度の協定に基いて一応優先的に考えられなければならん数字になる、こうなつて来ると、一方では国内自給度の向上という面で増産が推進されて行く、これは国策として当然進められて行かなければならん筋合のものと思うのです。そうすると、必然的に余計なものを購入するわけには参りませんので、他の産地のものにおのずからが圧迫が行くのじやないか、そうすると、今食糧庁長官お話のように、過去においてはその種類別に均衡のとれた輸入をやつておる、今後もそういうふうに考えて行きたいとおつしやいましてもそういう結果にはならんのではないかというように思われる、そこに消費面から非常な問題が巻き起るのじやないかと思うのでございますが、その点は一体量的にどういうふうになつて行くのか。
  147. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 本年度の小麦の輸入計画といたしまして、百九十六万トンの計画を立てております。その際におきましても、ハード系とソフト系を考慮いたしまして、大体ハード系は五十万トンから七十万トン程度というふうに考えておるわけでございまして、この点につきましてはアルゼンチンの小麦はセミハードでございまして、ハード系に代用いたし得るわけでございますが、他の国の輸入に対して障害を与えるということにはならないと思つております。
  148. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いいたしたいのは価格の問題でございますが、二十九年度の予算説明書に出ておりますのは、小麦の輸入価格が八十四ドルという平均で示されておるのであります。今度のこの協定に基いて入つて参ります小麦は、一体どういうような価格で入つて来るのかということをお伺いしたい。
  149. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) これは例の商品金融会社でございますか、CCCの払下売出価格によつて買付けることになつておりますから、FOBで払下売出価格が大体六十八ドル、現在はそのくらいで買えるというように思います。
  150. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、CIF価格にしてどういう計算になりますか、これは専門的になりますので、食糧庁長官からお答えを頂きたいと思いますが、その場合に現在の国際市場における我々が一応優秀なと考えておりまするカナダの小麦等にいたしましても、七十二、三ドル見当ではないかというように想像いたしておるのでございますが、そういうものとの関連がどうなるかも併せてお伺いをいたします。
  151. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 価格の点でございますが、現在のCCCの価格はカナダの輸出価格と見合せまして売出しをいたしておりまするが、ほぼカナダの輸出価格と同様になつております。現在の市況におき釈しては、幾分カナダのほうが高くなつております。只今大臣から御説明申上げましたFOBは大体運賃が八ドル乃至十ドル、これはフレートのほか保険金その他が入りますが、これは市況によつて多少変動いたしますが、大体そういうふうな形で加算されましたものがCIF価格になる、こういうように思います。
  152. 青木一男

    委員長青木一男君) 先ほど千田君の質疑に対しまして通産省の岩武官房長から答弁があります。
  153. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) ジェットエンジン試作の問題につきましては、先ほど御答弁いたしたと存じまするが、昨年度におきまして、一トン・スラストの試作を完成いたしました。今年度におきましてニトン半スラストの試作をするというような計画になつておりますが、御承知のようにこの会社はこういう関係エンジン・メーカーの共同出資になつております。二トン半ということになりますと、相当経費、資金も要しますので、これをMSA資金関係特別会計資金に仰ぎたいという希望は会社から出ておるわけであります。それをどういうふうに扱いますか、通産省におきましても目下検討中でございます。金額の総額といたしましては、会社からは十億となつておりますが、果してそれだけの額を出し得るかどうか。それからもう一つは、試作段階でありまするので、通常の融資ベースでできるかどうかということもございまするので、今その具体的な方法につきまして検討中の段階でございます。役員等につきましては、先ほど大臣から御答弁した通りでございます。
  154. 千田正

    ○千田正君 私の聞きたいのは、前王賢通産次官ジェットエンジン会社の重役になる。その内容としては三十六億の金の中から十億円会社に融資を仰ぎたい。その一つのそういう町における融資を受ける前提として制社長というような面に内定しておる。こういう我々は噂さを聞いておるのでありまして、その点は通産省としましては、人事に対しては全然干渉しておらん、考えておらん。仮にこういう金が、いわゆる国の金が動くという場合においても、全然それはそういう画においてはタッチしておらん、人事面には関係しないのだ、こういう考え方でございますか、その点をはつきりして頂きたい。
  155. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 私の承知しておりますところでは、人事につきましては全然関与いたしておりません。実は今お話のようなことも私は初めてお伺いしたようなことでございます。我々のほうでは玉置前次官がそのほうに行かれるとか、内定しておるとかいうことは承知しておりませんし、又そういうことはないものと確信しております。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと関連ですから……。
  157. 青木一男

    委員長青木一男君) では簡単に……。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今のお話では、日本ジェットエンジン研究試作というだけで生産はやらないのですか、生産をやるような予定になつておるような……会社目的は研究、試作するとある、その点はどうなんですか。それと、先ほど十億を会社のほうから希望があつたという話があつたわけです。それを前提として、これは通産省のほうで三十六億のうち十億を同社に出資することを希望した、こういう見方もあるのですよ、通産省のほうから希望したというその点。それと、それを前提に玉置さんが副社長に就任することが予定されておつたのです。こういういきさつを聞いているんですがその点……。
  159. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 初めのお尋ねの十億円出資云々とございまするが、これは事柄の性質上単純な融資で行けるかどうかということは、これは大いに研究問題でございます。出費も当初この問題が起ります前にそういうことで研究した時期もございます。又その後一応考えてみたわけでございまするけれども出資ということを現在も固執しておるわけではございません。一方法かとは存じておりまするが、金額の問題もございまするし、それからもう一つ特別会計の運用の建前もございまするので、現在は出資という考えにこだわつておるわけではございません。それからもう一つは、人事と出資関係、これは全然別でございます。先ほどお答えいたしました通り、人事につきましては何ら会社に対して干渉、慫慂等は考えておりませんし、又私の前任者からの引継もそういうことは全然ございません。会社のほうの自主的な発意に待つておるということでございます。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 生産を聞いたのです。
  161. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 生産のほうでございますが、これはこの会社の発足の当初から試作ということ、つまり日本の技術でできるかどうかということの、まあ研究の成果としての試作までが一応の段階と考えております。ただ将来の問題になりまして、仮に先ほど申上げましたような二トン半程度のスラストを持つておりまする、エンジンが、製作しまして、それが使用に堪え得るというふうなことになりました暁に、一体どうなるかということでございましようが、これは現在まだそういうことは余り検討している段階になつていないように思います。勿論会社のほうとしましては、それが完成し、使えるようになりますれば引続き生産ということは考えるかと思いまするが、その辺は出資会社との関係もございまするし、将来のジェットエンジン生産態勢を仮にできるとしまして、そのときどう持つて行くかということになりまするので、まだ目下のところではそれを云々する時期ではないように考えております。
  162. 青木一男

    委員長青木一男君) 二時まで休憩いたします。    午後一時一分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十五分開会
  163. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を再開いたします。  質疑はこれを以て終了いたしました。二十六日午後一時より直ちに討論に入ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十六分散会