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1954-04-23 第19回国会 参議院 予算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十三日(金曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            小野 義夫君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            鹿島守之助君            西川彌平治君            白波瀬米吉君            高橋  衛君            中川 浩平君            横山 フク君            吉田 萬次君            岸  良一君            江田 三郎君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            藤原 道子君            三橋八次郎君            湯山  勇君            相馬 助治君            千田  正君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    文 部 大 臣 大達 茂雄君    農 林 大 臣 保利  茂君    通商産業大臣  愛知 揆一君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    保安庁経理局長 石原 周夫君    経済審議政務次    官       深水 六郎君    経済審議庁総務    部長      西原 直廉君    経済審議庁調整    部長      松尾 金蔵君    外務政務次官  小滝  彬君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    食糧庁長官   前谷 重夫君    通商産業大臣官    房長      岩武 昭彦君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十九年度特別会計予算補正  (特第1号)(内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより会議を開きます。
  3. 小林武治

    小林武治君 私はこの際二、三事務的のことを政府に何つておきたいのでありまするが、この只今議題になつております特別会計でありますが、私はかような少額のものをあえて特別会計にする必要はないではないか、かように考えるのでありまするが、若し併しこの援助がなお今後も数年継続されるとするならば意味があると思うのでありますが、その辺の見通しを一つお伺いしたいのであります。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 数年と言い得るかどうか存じませんが、明年は少くとも期待し得ると存じます。なお私どもは一応数年期待し得るのではないかと思つておりますが、明年の分は期待できると存じております。
  5. 小林武治

    小林武治君 この援助資金の使用の対象でありますが、これにつきましては昨日まだ政府部内において議がまとまらない、こういうのでありますが、これを使用するにつきましては、又これは汚職その他の原因にもなり得る、従つてこれの融資等につきましては、或る程度期間と申しまするか、協議を経る必要があると思うのでありまするが、これらにつきまして何らかの形をとるつもりがあるかどうか一つておきたいと思います。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この点は実はまだ政府としては考えておりませんが、昨日も申上げました通りに、両方で合意しまして一応枠をきめます。枠をきめますと、それを開発銀行を通して出すことになりますが、開発銀行コマーシャルベースでこれを出すことになりまするので、個々会社に対する貸出そのもの向うが自主的に、開発銀行が自主的に判断をする、こういうことになるのであります。御懸念のような点については、これは開発銀行に対する監督の上から私ども十分注意いたしたいと存じます。
  7. 小林武治

    小林武治君 開発銀行の自主的の操作に任すと、私はそれだけで済むかどうか疑問に思うのでありまして、恐らく政府において貸出先等についても指示をされるんではないかと思うのでありますが、その点は如何でございましようか。
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは只今申上げた通り枠きちつときめます。例えば防衛産業のどれについて幾らということはきめますが、個々会社についての指示はいたさないことに相成つておりまするけれども、併し貸出した先についての監督は、これは特別会計の金を出すことでありまするので、会計検査院等もやりましようし、なお私どものほうでも開発銀行に対する監督の上には円滑を期したいと考えております。
  9. 小林武治

    小林武治君 大達大臣は昨日この融資コマーシャルベースでやる、こう言われておるのでありますが、果して利率期間等はどういうふうな見当を付けておられるかお聞きしておきたい。
  10. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大体この予算に見てありますのは五分五哩で半カ年間、それが三十六億に対する分の金利でありまして、二十九年度は初年度でありますので三千三百万の収入を見ておるのでありますが、但し利率等の問題はまたこれも最後的の決定をいたしておりません。従いましてれこれにつきましてもよく関係各省協議をいたしました上で最後的の決定をいたしたいと存じております。予算はそういうふうに見て計算をいたしております。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連で……。今大蔵大臣は大体アメリカ側との話合で枠をきめてれその枠内において開銀を通じて実施せしめるという話ですが、一説には、アメリカ側個々企業についてもこの枠個々についての指定があるやに聞いておるのです。併しこちら側で大体の枠をきめてアメリカ側合意しようと思つても、アメリカ側において例えばジェット・エンジンの試作についてはこういう会社にやらせる、それから弾丸についてはこういう会社に、それから迫撃砲についてはこういうふうに、大体向う企業指定して来るやに聞いておるのです。それは私はそういう一説に聞いておるのですから、それは折衝して見なければわからんが、そうなつた場合にどうなるか。それから只今小林さんの御質問によつて明らかになりましたが、政府監督する、併しながら自主性において開銀にやらせるというのでしよう。これまでの金利なんか見ますと、金利についても開銀が自主的に勝手にきめられるというようなことになつているのです。本当はそれがその結果損した場合にはやはりその財政上の影響があるわけです。予算影響があるんですよ。ですから今までの私は監督では不十分で、金利なんかについてはやはりこれはあらかじめきめて、国会の承認を得るようにしなければ本当の監督にならんと思うのですよ。この点について、二点ですね。開銀に対する監督の問題、それと自主性の問題、それと今の個々企業についての指示の問題、この点明らかにして頂きたいと思います。
  12. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) どうも昨日も私ちよつと申しましたように、まだこちらのほうの側でも実はそれをどこへどうとか、その最終的な、一応のいろいろ希望は出ておりまするが、まだ相談がまとまつておりません。従いまして先方との、或いは双方の合意ということになつておりますが、合意向うと打合せるというところまで参つておりませんが、併し今お話の点で、それじや打合せた場合に、向うが具体的に何会社幾らだという、こういつたようなことが起らんかということでございまするが、これは私どもはそこまで細かい向うはことを言うのではないというふうに今まで承知しております。つまりこの金の貸出しについて、贈与は受けまするけれども、併しやはり特別会計危険負担でもあり、開発銀行貸出危険負担でもございまするので、これについては私は先方が一々具体的に何会社へどうということはないと今までは承知しております。けれども只今申上げました通り、若しそういうことがあれば、向うとしては私は行過ぎておると思います。こういつたものの性質からいたしまして、それだからそういうことについては私は度が過ぎておると思う。又今後の交渉で、まあそういうことが起つて来ますれば、私どもはそれはあなた方が少し過ぎておるじやないかということを言いたいと思つております。それから今の開発銀行金利の問題であり日ますが、予算としては先ほど申したように、一応そういうふうに考えておりますが、併しこれもよく関係各省相談しまして、それで金利をきめる、金利をきめることについては、これはまあ御承知のように、事業別によつて開発銀行が今までは協議の上で、例えば鉄鋼のやつはどうする、或いは石炭はどうする、電源はどうするというような工合になつておりますので、そういうことで、つまりこれが一本きちつと軍需産業のみと私は限らない、関連産業或いはその基礎産業といつたものも考えておりますので、従つて予算としてその協議を願う、御審議を願うときは、今の五分五厘という建前で一応御審議を願つておいて、あとは仮にその貸出その他について不都合な、さようなことがないように私ども期しておりますが、さようなことがあれば国会でも又御非難を受けることになりましようし、どうせ予算、これは特別会計ですから、年々御審議願うわけでありますから、この点はやはり自主的にやらせてよいのではないか。これは木村さん御承知のように、前の復興金融金庫金利政府がことごとくやらせた結果、これではいけない、ああいうことが起きるということで開発銀行ができて、開発銀行がその運営を自主的に、これは主としてと申さなければなりませんが、主としてしておる実情でございますので、どうもやはり開発銀行ができた当時の何から見て、私はそのほうが穏当であろうと考えております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連質問ですから簡単にして、あとで又自分の時間のときに詳細に承わりたいと思います。今の金利の問題は、造船利子引下の場合なんかに非常に問題になりまして、開発銀行で一応金利を引下げましたけれども予算裏付がないために非常な欠損になるので、これを途中でやめているわけです。そうして猶予分としてこれから予算措置しなければどんどんそれは溜ることになつております。ですから、そういうような開銀経理に重大なる支障を来たし、あと国会予算としてこの裏付をしなければならないような、そういう金利のきめ方を開銀に勝手にやらせていいか、そうして大蔵省監督と言いますけれども、一応大蔵省のほうでこの程度の、これは予算関係がありますから、開銀金利を下げたときに、それを補償してやるかどうかということはきめないで、勝手に下げた場合にはあとで非常に問題が起るのです。ですからやはりそういう点については、監督言つたつて大蔵省が大体この開銀造船融資については三分五厘にせよ、そのときには残りの一分五厘について補償する、こういうことについて指示をしなければ、勝手に開銀国会において造船利子補給法律通つてそれは三分五厘にせよという法律である、それに従つて開銀が勝手にやつた場合は、予算裏付がなかつたらどうしますか、今回のようなことが生ずるわけです。ですから、そういう金利について開銀の勝手にするといつても、あとでそれが予算上に影響が来るわけでありますから、これについてはやはり大蔵省がその指示を与えたことによつて開銀が下げるということにしなければ私は筋が通らないと思う。今度の造船利子補給は、御承知のように非常に矛盾があつて、今後あの猶予分というのは一体どう解決するのか、これは又予算で、補正でこれを面倒をみるのかどうか、こういうことも大きな問題になつておるわけです。そういう点を私は伺つておるわけなんです。
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) ちよつと私の説明が悪かつたかも知れません。その五分五厘というのは特別会計開銀に貸す金利なんです。だからこれは予算のほうとしては今後御審議を願うわけでありますからいいのでございます。それでは開銀幾らで貸すかという問題が案はまだ残された問題でありまして、自主的にと言つておるのはその点でございまして、或いは六分五厘にするか、七分五厘にするか、これは一応こちらのほうで関係者協議いたしまして、大体ほかの金利等を見て、一応のことは向うに話しましようが、併しいずれにしても、これが予算影響するようなことはないと、そういつたことは決して、いわゆるコマーシャルベースでやると言つておるのですから私は起らんと思つております。ただ造船の場合には、あれは御承知のように三分五厘というものについて、元一分五厘あつたのを今度出さんということにしたものですから、開銀が一分五厘持つようになつて来ておるから、これを猶予しておるわけですね。だから言換えると、あなたはよくおわかりなんだが、それは開銀の国のほうに対する納付金影響して来るわけです。その問題がありますが、これは船会社のことですから、猶予しておつて適当な時期に取立てることもできましようし、又できんかも知れません。これはもう少し先の問題でいいのではないかと実は考えております。債権を放棄しているのですと、はつきりとその問題を打出さなければなりませんが、皆会社は存続して営業を続けておりますし、而もそれは手形として出ておるのですから、これはもう少し先の先へ行つての問題でいいのではないかと思つております。
  15. 小林武治

    小林武治君 只今開銀貸出利子でありますが、これは自主的にやらせるというのでは私は不適当であると、従つて或る程度政府においてこれらもきめて指定をされて然るべきものだと思うのでありますが、そういうことはなさらんわけでありますか。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 自主的にと申しますが、開銀で、例えば鉄鋼石炭に対してはどうするとか、或いは化学肥料に対してはどうするとか、合成繊維に対してはどうするとかいうときには一応役所のほうに相談に参ります、従来からの例で参りまして……。そういうふうでございますか、ら、こちらのほうから幾らにせよということを命令するというはつきりした根拠があるかどうか知りませんが、これははつきりわかりませんが、相談ずくでは、これは小林さんのおつしやるような金利を定め得ると、かように考えております。
  17. 小林武治

    小林武治君 これはもともと援助資金でありまするから、政府がこれによつて儲ける必要は無論ない。従つてこれをできるだけ安く貸出すということは当然であるし、又この貸出対象がどちらかと言えば安全な事業ということも必ずしも言いにくいと思いますから、従つて先ほどお話がありましたように、例えば損失等もこれはないとは限らない。これらの場合についても何か政府が考えているかということを伺つておきたい。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実はこの会計では、只今予算関係では損失等をおもんぱかつておりませんけれども、それは小林さんお話のように、長い間には必ずしも完全に利息が入つて来ない場合が起らんとも限らん、場合によつて損失が起つて来ることがあるとも思つておりますが、これは昨日もお話申上げましたように、私どもはこの出す仕事が、将来特需その他がなくなつても、日本の国の中でそれだけの需要があるという以上の設備はさせないつもりでおるということは、先ほども木村さんの分でしたか、そういうことを方針として申上げましたが、それは各省ではそのことについては打合済みなんでございます。そういうふうにも考えておりますので、実は只今のところは損失を予期しての措置はとつておりませんが、或いは先に参りましたら、そういうことについても、先々のことまで考慮しておくということが妥当であろうかとも考えます。
  19. 小林武治

    小林武治君 次に農林大臣に伺つておきたいのでありますが、このいわゆる五千万ドルによりまして日本に来る食糧数量というもの、又価格というものについての一応の一つ説明を願いだいと思います。
  20. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今予定を私どもいたしておりますのは、小麦の五十万トンと大麦の十万トンを予定いたしておりますが、価格につきましてはCCCの払下価格によることになつておりますから、CIF価格で七十七、八ドルくらいになるのではないかと、これは大ざつぱなところでございますが、その程度ではないかと思います。
  21. 小林武治

    小林武治君 只今お話によりますと、この援助というものは少くとも又来年継続されると、恐らく又小麦の問題も同様なことがありはせんかと、こういうふうに思うのでありますが、その点は如何でございますか。
  22. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この協定によりまする分は今回限りのものでございますけれども、御承知のように、アメリカでは余剰農産物処理を大体同様のことでやりたいという方針はあるようでございますけれども、まだどういう具体的な方針でやるかということは、アメリカ内で立法手続も済んでいないということでございますから、期待はできますけれども、確実にはまだ申上げられないところではないかと私は考えております。
  23. 小林武治

    小林武治君 今のお話だと、数量におきましても六十万トン、これらは又来年度も或る程度政府期待されておると、こういうことでありまして、この数量がこれだけ多量に入るということは、日本農業生産にも相当な影響を及ぼす、又価格についても同様な問題があるのでありますが、これらについて農林省は何か対策を考えておられるか、要するに主食生産に対する影響というものについての考え方一つつておきたいと思う。
  24. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今年度需給計画から割出しまして、小麦輸入品は大体百九十六万トンを予定いたしておるわけでございますが、この百九十六万トンの計画の中において五十万トンを取扱う、こういう計画を立てておるわけであります。量的から申しますれば、一つの、農村関係者として心配することは、国内の食糧増産という最大課題をおろそかにして、アメリカ余り小麦に頼つて行くというような傾向に陥ることはないかということが非常な関心を持たれておりまするけれども、これは私どもも絶対に避けなければならんと、併し何さま当面大量の食糧を海外に依存しなければならないこの現状からいたしますれば、こういう処置によつてドル負担なしに入つて来るということは、これはまあ国民経済から言つても大きな利点であろう。従つて先農村関係者に御理解を願いたいことは、量的に内地農業を圧迫するものでなく、又価格におきましても、つまりアメリカの余りものがどんどん入つて来るから内地価格を圧迫することになるのじやないかということに対しましては、これは現行内地価格内地価格輸入食糧輸入食糧として截然たる措置をとつておりますから、両面から量的にも又価格の面からも内地農業に非常な不利益を来たすというようなことは絶対にない、又あらしめてはならない、今後といえどもこの考えは貫いて行かなければならん、こういうふうに考えておるわけであります。
  25. 小林武治

    小林武治君 今年は非常な凶作のあとであつたし、従いまして今の大臣の言われるようなことも尤もだと思うのでありますが、来年以降につきまして必ずしも同様の議論をしていいというわけには参らんというふうに思うのでありまして、私どもが心配するのは、主として来年度以降の問題についての考え方を伺つておるのであります。
  26. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは別の機会でも非常な御論議を頂いた点でございますが、私どもとしましては、仮にアメリカ余剰小麦だからと言つて、又どういう安い値段だからと言つて需給計画上必要のないというものは今日の日本財政事情から言つても、これはぎりぎりのところまでは入れないようにして行かなければならんという基本的な要請がございますから、従つて年度以降につきましては、大体の趨勢からいたしますと、日本食糧問題を改善して参るという大きな方針からいたしますれば、どうしても麦の消費をより多く持つて行かなければならん。それには麦の量の供給と価格をできるだけ安いところで安定して行くという基本的な措置がこれは必要であることは申すまでもないわけでございます。後年度以降につきましてはさような点を十分検討を加えなければ、それではこれによつて今の余剰農産物処理の枠内にどれだけを期待するということは今日は私はよう申上げ得られない、こういうふうに申しておるわけであります。
  27. 小林武治

    小林武治君 私もこれが円資金で払えるということに誘惑されて、そうして日本食糧政策というものに差支えの来ないようにということを特に希望いたしておきます。  次に、ついでに伺つておきまするが、農林大臣食糧管理制度を根本的に変えたいと非常に御熱心に言われておるのでありまするが、又時期もおいおい迫つておる、従つてこれらの進行状況はどういうふうになつておるかということを伺つておきたいのであります。
  28. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お答えいたしますが、この食糧関係は、これはまあ生産消費関係のない人は国民の中に一人もいないという非常な広汎重大な問題でございます。併しながら現行食糧管理制度が戦争中及び戦後の国家異常の際のかなり、何と申しますか、緊張しておつたときの中で運営をせられて来まして、それがまあ国情もかなり変化を来たしておる。従つて管理制度が実際管理の目的を十分達成していないということはこれはもう認めざるを得ない。供出の面におきましても、価格の面におきましても、何とか生産消費両面のいま少しく御協力を得やすい制度に改善して行く必要を痛感いたしておるわけでございまして、昨年の暮以来、内閣食糧対策協議会を設けて頂いて今日まで熱心に御審議を願つております。大体まあ総論的ないろいろ論議から、この面は今細目的な審議に移ろうとしておる段階でございます。併し食糧対策協議会進行如何にかかわりませず、どうしても六、七月までには政府として一応各方面の御意見を十分伺つてきめなければならない性質のものでございまするから、そういう方針只今検討をいたしております。併しながら食糧対策協議会におきましては、極めて熱心にこれらの問題を御審議願つておりまするから、私といたしましては、この御審議の結果に大きく期待をかけて今日御勉強を願つておるようなことでございまして、段階といたしましてはそういう段階におるわけであります。
  29. 小林武治

    小林武治君 これは対策審議会で検討されておるのは結構でありまするが、これらの論議を聞いておりましてもなかなか帰一しない。それぞれの立場ばかり主張されておるのが多い、こういうふうに私どもは見ておるのでありまして、やはり政府が本腰を入れてこれに取組まなければなるまい、殊にもう新麦の時期も迫つており、これらを又そのときになつてあわてて妙な継ぎはぎの弥縫的なことをおやりになるということでなく、多少の余裕を以て根本的の態度を一つ政府としてきめるべきだ、こういうふうに思うのでありますから、その点特に要望をしておきます。  なお、終りに、この予算には面接関係ありませんが、大蔵大臣に伺つておきたいのでありまするが、過般政府提出のいわゆる平衡交付金法改正法律案のうちの、政府交付税衆議院において三十年度二〇%というものを二五%に修正されておるのでありまするが、この修正につきまして、政府がこれに同意をされておるかどうかということを聞いておきたいと思います。
  30. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この衆議院におきまする交付税の率の引上につきましては、これは小林さんもよく御承知のごとくに、実は交付税二〇を二五に上げますると、約六千数百億でございまするので、三百以上に上る国の財政負担を増加することになるのであります。かような修正は誠に国家財政にとつて重大なる問題でございまするので、政府といたしましてはこれは同意いたしておりません。但し地方財政状況については、又入場税等につきまして衆敵院におきまする修正の結果、その若干の減収等も考えられますのでこの点につきましては、それが現実の問題となりました節には、これに対する適当なる又対策を講じたい、かように考えておりまするが、この交付税というようなもののいわば国の税体系の根幹について、而もかような大幅の、私どもが率直に申しますれば、未だ曾つて三百億以上にも上るような増加の修正をされるということは実はこの議会でもないことと考えております。政府といたしましては、これは御同意いたしかねる次第でございまして、飽くまで私どもは原案を支持するものでございます。ただ地方財政状況については、これ又来年度そのことにつきまして適当なる措置を講じたいと存じております。
  31. 小林武治

    小林武治君 私は個人的には大蔵大臣の御意見も御尤もなことだ、かように考えるのでありまして三十年度予算に、政府全体の国家財政影響のあることを、ああいう修正をするということは必ずしも好ましいこととは思わないのであります。併しいずれにましても、只今お話もありましたが、衆議院修正その他の税率の引下、これらによりまして、地方財政があの交付税の率をきめられたのちにおいて相当の欠陥を生ずるということは、当然予想できるのでありまして、一応の計算によりましても、今年度において約二十億、来年度におきましては入場税を除いても百億近くの減収になるということになりまして、これは当然予期せざる財政上の欠陥であるということが思われるのであります。政府としましては、無論これは国人会の修正だということを言われるかも知れませんが、その他結果はやはり政府においてこれを見るのが当然である、こういうふうに考えるのでありまして、これらの収入の欠陥というものをこのままにしておくということは私どもとしては無責任である、こういうふうに思うのでありますし、政府としても当然考えるべきであると思うのであります。従いまして昭和三十年度につきましても、これらの大なる財政上の欠陥を補うための何らかの措置が必要ではないかと思うのであります。従いまして私どもは、或いは政府等が来年度煙草消費税の率の引上等によりまして、これらの欠陥を補正するというふうな考えがあつて然るべきだと思うのでありますが、これらの点についての大蔵大臣の御意見を伺つておきたいと思います。
  32. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 小林君のお話のごとく、昭和三十年度以降についても、今の地方の減収が見込まれます場合には何らかの措置を講ずることはこれは当然と考えております。従いまして、さような場合に今お挙げになりました煙草消費税の率の引上等も一つの方法かと存じまするが、これはいま少しく先に参りまして、そういう地方財政についての国の財政との全般の調和をよく考えました上で、但し地方財政負担にならないということについて適当なる措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。従つて只今のところ三十年度の問題につきましては、一応今お話になりました煙草消費税の税率引上等についても考えておるわけであります。
  33. 小林武治

    小林武治君 実は地方税法の国会通過というものは非常に遅延いたしておりまして、地方当局におきましては非常な困窮を来たしておるということは御承知通りでありまして、私どもとしましても、何とか早くこれの始末を付けたい、かように考えておるのでありまするが、この明白なるいわゆる収入欠陥というものにつきましての或る程度一つの補償を私どもは必要とするのではないか、こういうふうに思うのであります。特に私は世間の声を聞きますれば、大蔵省は非常に横暴である、この大蔵省の横暴が地方財政を非常に圧迫しておる、こういうことが言われておるのでありまして、この真否は私は保証いたしませんが、そういうようなことが言われておる。従つてただこのままおいては又来年どうされるかわからない、こういうふうな心配が地方にも或いは又国会の中にもあるということを一つ大蔵大臣にしつかりと申上げておきたいと思います。従つて私はこれらの問題につきましては、この僅かな期間の間においても、或る程度政府が見通しを一つ関係者の間で付けて頂きたい、こういうふうに存ずるのであります。その点は如何でございましようか。
  34. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 大蔵省といたしましては、私ども公平に最善を尽しておると存じておりますが、さような、横暴というようなことを聞きますることは、これは私どものほうとしても大いに戒めなければならん点かと存じます。今お話の点につきましては、私どものほうでもできるだけ検討してみますが、只今のところ私は二十九年度の実際の模様を見て参りまして、そうして例えば小林さんもお聞きになつたでしようが、入場税等の減収はどうするか、私どもも推定している分もございますが、中には減収にならんとかいつて細かい数字をお示しになつているかたが衆議院にあるという問題もございまして今のところまあ私ども三十年度の分については、これはお話になりました交付税の率を動かさずに、事実不足するもののあるときは、煙草の消費税等の率を上げるということでこれを考えたい、こう思つてつたのでありますが、二十九年度の分について今早急に考えろというお話でございますが、これは一度更に私の内論とも実は相談いたしてみます。
  35. 小林武治

    小林武治君 今二十九年度は恐らく無理ではないかと、こういうふうに考えておりますから、これを今日どうしるということを申上げるのではありません。併し三十年度以降につきまして、確実に地方に欠陥が掛るということについては、大蔵大臣も十分考えて、又その補償についても何とか考える、こういうことでありますから、これらの御言明を信頼いたしまして、私は一応今日の質問を終ります。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……。予算通つてしまつてから歳入欠陥が相当数字的に生じて来る、只今小林さんのお言葉の中にもあつたのですが、入場税の引下によつて約九億くらいですか、それから繊維消費税もまだわからんですが、新聞などでは、これが流れることは確実であつて又八十五億歳入欠陥が出る。それから三派修正によつて関銀融資の額が十五億ですか、削られていますね、そういう点は相当あるわけです。そこでそういう点については政府はどういうふうにこれから先処理されて行くのか、この点伺いたい。
  37. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 例えば入場税の問題でありますが、これは勿論はつきりどれだけ減収になるとかいうことの見通しは付いておりません。ただ大蔵省の従来のやり方だとこういうことになる、自治庁のやり方だとこういうことになるということの数字を御参考にお手許に出したのでありますが、例えば入場税の減収についてだけ申せば、十九億二千万円、丁度一般会計に入れるということになつておりまするけれども、そのほうが一般会計に入つて来ない場合に全体の数字はどうか、こういう問題はもう少し先に行つて考えればよい実は問題でありまして、それで地方財政影響するなら、一応これに入れる分はあと廻しにする、こういうことを実は考えておる次第であります。なお、そのほかに今お話しになつた繊維税は、私どもは贅沢なものに対して物品税等の釣合いでこれはやつてもらわなければならない、これは飽くまで私ども通す所存であります。まだ日にちも大分あることでございますから、通すつもりでありますが、減収が来る分もございましようが、増収のある分もこれは出て来ましよう。従いまして、それらをずつと考えました上で処理をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 開銀のほうはどうなのですか、資金計画は……。
  39. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 十五億をどうするかという資金計画は、例えば十五億のうちの何億をどの部門に持つて行くか、こういうことについてまだ関係者の間のまとまりが悪くて、これも率直に申上げるのですが、まだ決定しておりません。併し大体大部分がどうもこの場合ですから、造船のほうに向けられるということは避けがたいようでありますが、併し造船のみではございません、ほかのほうにも勿論少々ずつ負担してもらうことになりまして、そういうことについて今成るべく円滑にまとめたいということで相談し合つておるところであります。
  40. 江田三郎

    ○江田三郎君 この援助の資金というものは工業力強化に使われるということですが、これはMSAの五百五十条の性格からして、一つ向う法律の性格からして、援助の行先きというものが限定されるのか、或いは両方の交渉によつてこういうことになるのか、その点まずどうなんでしよう。
  41. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは丁度お手許へ差上げてありまするいわゆる経済措置に関する協定がございます。その協定に基きまして、その文言をそのまま実はとつたのが特別会計の文言でございます。つまり「日本国の工業の、援助のため、及び日本国の経済力の増強に資する他の目的のため、」云々とありますが、その文言をそのままとりました次第です。ただここでは非常に広く実はなつております。広くなつておりまするが、現実の問題で考えますると、「相互間で合意する条件に従つて、」ということがございまするので、相互間で合意する条件のものはどうかと言いますれば、これはやはり防衛産業或いはそれの関連産業基礎産業等と、こういうことに現実の問題はなつて参ると思います。ただ先ほどもちよつと申しました通り、まだ向うと実は打合わしておりませんので、こちらのほうで一応いろいろ各関係省が相談し合つておるところでございます。
  42. 江田三郎

    ○江田三郎君 経済力の強化ということは、そのままとればまあ広い意味にとれるわけです。従つて今度のこの分はこの分として、将来例の大統領の年頭教書から見て過剰農産物の処理が来年度も起きて来る。その際やはり今度の協定と同じような協定が結ばれるんじやないかということを考えられるわけですが、そういうように来年度以降に同じような問題が出ても、やはり言葉の上では経済力の強化という言葉があつても、その内容は両方の話合では防衛産業の強化ということだけに向けられる、それ以上には大して期待できない、こういうように考えておられますか、それはどうでしよう。
  43. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは私どもは実は広い意味に、今本年だけについて申しますると、何しろ金額はおよそ三十六億に限られておるものですから、先ほども話がありましたように、三十六億円だけでは防衛産業自体でもまだ民間資金等と合せなければ足らんということが言われておるくらいでございまして、従つてほかへ行くほどの金額はないと思いまするが、又ほかに行くということでは、或いは向う合意が得られないのではないかと思われますが、併し来年度になりますると、私どもとしては、日本が国の中で将来利用するというもの以外、つまり過剰生産に陥るだろうというようなことについては一切最初から計画的にやらない考えでおりまするので、従つて一番これは心から希望しておるのは、私どもむしろ基礎産業の方面にもう少し使つてもらうということが、日本のあらゆる工業力の増進にもなりまするので、来年度、来年度と言いましても、もうじき年度が七月来るのでありますから、来年度の分についてやはり今年と同じような協定がなされる場合には、これはなされると私は確信しておりまするし、現に相談もしておるのでございまするが、そういうことでございますれば、この金はほかの少し広い意味に使い得ると、又使わしてもらいたいと実は考えておるのでございます。
  44. 江田三郎

    ○江田三郎君 来年度の分についてすでに交渉が始まつておるということですが、まあそれについてその一内容がどうであるかということは我々よくわかりませんが、先だつて新聞へ出たところでは、来年度の二億ドルの内容が小麦、五十万トン乃至七十万トン、大麦十五万トンとか、バターとか、大豆とか、綿花とか、そういうものが出ておりましたが、そういうところまでも話が進んでおるわけですか。
  45. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そこまで私はまだ詳しく承知いたしておりません。或いは外務省のほうでお話になつておるかどうかも存じませんが、ただ私どもは来年度といつてももう七月のことで、向うの大統領教書なんかにも出ております。通り余剰農産物の問題もございますので、来年も同じような話をしておるということだけを承知しておりまするが、まだあとの内容については詳しく十分承知いたしません。
  46. 江田三郎

    ○江田三郎君 まあ一般経済力の増強ということになると、これは非常に言葉が広いのですが、私ども先ほどの質問にも出ておりましたが、こういう形で農産物が入つて来る、そうして来年以降においても又CCCの過剰農産物が入つて来るというときに、一番打撃を受けるのは農業じやないかということなんです。先ほど農林大臣は、日本需給計画で必要以上のものは入れないんだということを言つておられましたが、併し今年はまあ去年の凶作がありましたからして、小麦五十万トン、大麦の十万トンというものが日本の受給計画上必要であるということは言えます。併し来年同じように凶作であるかということは、これは想像できない。恐らく凶作じやないでしよう。或いは凶作であるかも知れませんけれども、併し来年の作柄は先ず普通作として考えて行かなきやならんのであつて、この普通作として考えた場合には、仮に一億ドルの過剰農産物が入つて来て、小麦が五十ないし七十万トン、その他が十五万トンとか、十万トンということになれば、これはもうはつきり需給計画上から見ても過剰になるにきまつておるわけです。農林大臣需給計画上必要なもの以外入れんと言つたつて、過剰になるのはさまつておるわけです。食生活の改善をすると言つたつてそう簡単に一年や二年で米と麦との振替えが五十万トンも何十万トンも付くということはあり得ない。そうすると、一体どうしようとするのか、我々には見当が付かんわけです。それは一体農林大臣どう考えますか。
  47. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 後年度以降につきましては、先ほども小林委員にお答えいたしましたように、需給計画をどう立てて行くか、まああらかじめ需給計画を立てます場合に、米にしましても、麦にしましても、大体平年作を見て立てるのは、これは当然のことでございますが、併しながら一面食生活の改善、食糧自給態勢の確立ということを調つて、これが国民的かけ声にまでなつております。その中味は何かと言えば、結局麦を余計使うようにしようということに私は帰すると思います。そこで然らばその麦を余計使うようにしようと言つてみたところで、只今お話のように、そう右から左に国の財政事情なら財政事情の要請通りに、もう手のひらを返すような工合にはいがんだろう、その幅をどういうふうに推算をして行くかというところに私は極めて慎重な検討を要する、こういうふうに申しておるわけでございまして、趨勢からいたしますればどうしても食生活の中における麦の占める地位というものは、逐年大きくなつて行くという趨勢は何人もこれは肯定できるところでございます。従つてその幅を後年度どういうふうに見て行くか、これは先日もお答えいたしましたように、極めて私は慎重な検討を要するというように考えております。
  48. 江田三郎

    ○江田三郎君 食生活の改善と言うたところで、そんなことは大きな飛躍は望まれんということは誰だつて常識的に考えられるところなんです。そこで来年度以降においても、今度の協定の中にも書いておりまするように、アメリカその他の友好国の通常の取引を排除しないということになれば、小麦協定で入るものが約百万トン、アルゼンチンの分もあります、そのほかにね。そういうものが出て来て、そうして平年作として考えて行く、そうして本年度の輸入が時間的にはずれて来る、そういうことを考えると、どう考えたところで、どんなに農林大臣が食生活の飛躍的な転換を図られたところで、五十万トンとか、七十万トンとかいうようなものは入りようがないと思います。これを需給計画の中に入れるといつたところで、はつきりもう過剰手持をする以外に需給計画の組みようがないと思うのですが、今具体的に聞きますが、只今申しましたような国際小麦協定なり、或いはアルゼンチン等を考え、日本の平年作ということを考えて、幾らぐらい需給計画の中へ繰込めると考えておるのですか。
  49. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いずれも後年度、仮定の上に立つての推算でございますから、机上推算は如何ようにもできましようけれども、私は大体まあ昨年及び今年の百九十六、七万トンというところが、又昨年の不作の結果もたらされた輸入量になつておりますが、そうそれとかけ離れたものではなくていいのじやないか、これは併し検討しなければ責任を持つて申上げられません。今ここでそれでは三十年度はどれだけ入れるかということを数字を以てお答えせよと言われましても、これは少し無理なように思います。
  50. 江田三郎

    ○江田三郎君 なかなかその答えは私はできなかろうと思うのです。本年度と同じ程度の百九十六、七万トンというものを入れれば、どうしたところでこれは過剰手持になるのはさまつておるわけでして、具体的に若し答えて頂ければ一番いいのですけれども、その答えは求めるのが無理かも知れませんけれども、どんなにしたところで、私どもの計算で行くというと過剰手持になるにきまつていると思うのです。而もそういうことが日本農業にどう影響を与えるかということを考えなければならんと思うのです。すでに今年の小麦の作付反別が三二五%程度減少しておる、一体この減少を何が原因で減少したというように政府のほうでは見ておられますか。
  51. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは大体麦の作付は小麦で減つて大麦、裸で殖えて、ほぼまあとんとんれになつておる。昨年の災害に鑑みましてれ国会におかれても、政府といたしましても、麦の増産ということにかなり大きい掛声もかけてその増産普及をいたしましたけれども、やはり農家は農家として、例えば小麦が減つて大麦になつているというようなことは農家個々のやはり栽培事情と申しますか、大麦や裸なら余計とれるけれども小麦はとれかたが少いというような事情から、これは一概に申上げられん。やはり農家の個々の事情からこういうふうな結果になつていると私は思います。
  52. 江田三郎

    ○江田三郎君 一体そう簡単な問題ではないので、やはり私はMSAの小麦なり、大麦なりが大量に入つて来るということが非常に大きな要素になつておると思う。大臣は首を傾けますけれども、農村へ行つて聞いて御覧なさい。農民が一体小麦の五十万トンとか、大麦の十万トン入るとかいうことをどういうように受取つているか聞いて御覧なさい。そうするとはつきりわかるのです。あなた方がデスク・プランで向うのほうから書いたものを読むのでなしに、農村の中に入つて農民の声士聞いたら、これが一体どんなに影響を受けているか、而も片方ではあなた方は食糧増産の農林省の関係を見るというと、食糧増産予算というものは、減らされておる。あなたは今度の五二万ドルでもこういう影響が現われましたが、来年度平年作仮定し、而もなお百九十六万トン程度のものを入れるということになれば、これはもう明らかに過剰手持になるし、農民に与える影響は一層深刻なことになつて、結局日本農業食糧増産ということを捨てて、結果から見れば、客観的に見れば、もうアメリカの過剰農産物処理を引受ける国にならざるを得ないと思います。そこで私はもう一つ関連して農林大臣に聞きますが、一体今年の麦の相場というものを、どうきめようとされようとするのですか。もうすぐに新麦が出て参ります。予算を見ますというと、昨年と同じ数字が出ておりますが、併しこれは一体どういう建前で昨年と同じ数字を、出しておられるのか、パリティを、どう見て、特別加算をどう見て、どういう建前で昨年と同じ数字が予算単価として出ておるのか、それを承わりたい。
  53. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は只今江田さんのお話のMSAにいたしましても、或いは余剰農産物処理に基く扱いにいたしましても、アメリカ小麦その他の農産物が余つておる、その余つておるものをどういう形かで日本が買付ける、そのために食糧増産の手が緩められるのではないか、こういう若し誤解があるといたしますと、私はこれはもう是非その誤解は一掃しなければならん(「正解でしよう」と呼ぶ者あり)ということを強く感じておるものでございます。アメリカの過剰農産物は、これは余計なことでございますけれども、将来長くこういう状態が続くと誰が一体保証するか、何と申しましても、とにかく日本の経済の足固めにして行く一つの要締は、やはり食糧の受給体制をどう整えていくかというところにあるということは、これはもう今年の予算が少なかつたからと言われても、非難を受ければ、これは二言もお返しできませんけれども、(「だから正解でしよう、誤解じやない」と呼ぶ者あり)ただ今年の麦の値段は、これはまあ食糧管理法に基きましてきめて行かなければなりませんから、食糧管理法に基きまするようにパリティ価格を下らざる価格、それに生産事情その他の経済事情をどう織込んできめて行くか、これはもう少くも六月中にはきめなければならん。併しながら、その生産事情にいたしましても、大体例年五月末の作況を元として考えて考慮して行くわけでございますから、これはどうしても管理法の規定に従つて政府としてはきめざるを得ない。又きめると申上げるほかないと思います。
  54. 江田三郎

    ○江田三郎君 そういたしますと、具体的に聞きますが、今の予算単価の千九百七十二円というものは昨年通り価格ですが、これは今後、今おつしやいましたようなパリティ指数が変つて来れば、当然予算に計上されておる単価とは違つたものになる、こういうことですか。
  55. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 予算を編成いたしまするときには、生産事情その他の経済事情というものを、或いはパリティ指数をきめるときにどうなるかということは見通しは付きませんわけですから、一応予算予算として計上いたしておりますが、併しながら、現実にはやはりそのパリテイ指数に基いて、それを基準としてきめて参りますから、それは予算にそうなつておるから、それは一つ一つ全然動かないという性質のものでないことは、これはもう御承知通りでございます。
  56. 江田三郎

    ○江田三郎君 そこで今度のパリテイの今の推定指数によりますというと、一一〇・四になつているわけです。昨年のパリテイが一一四点の幾らになつているわけです。で、一〇・四で行きますというと、パリテイ計算だけで二千六十九円になるわけですから、少くとも二千六十九円を下らないということだけは今のお答えからして当然結論が出ると思うのです。なお経済事情なり、生産事情なりを斟酌して行くということですが、そういう魁酌というものは、本年度その斟酌ということはプラスとしてつまり特別加算として当然何かのものが加わるというように考えて間違いないと思うのですが、それで間違いないでしようね。一二〇・四のパリテイ指数の二千六十九円に、経済事情或いは生産事情からして何らかのアルフアが、特別加算としてプラスされるのだ、これでいいんでしようね。
  57. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 法律解釈上の問題もあるようですから、若し何でございましたら食糧庁長官から補足させますけれども、私はあの食管法のあの条項の規定はパリティ価格を下らない。併し生産事情、経済事情を考慮すると、斟酌をすると、画配をしてもパリテイ価格を下つてはならない、こういうふうにきめてある。つまり経済事情には、上げなければならん、加算しなければならんという場合もあるでしようし、或いはむしろそのマイナスを考える場合もあろうかと思いますけれども、プラス、マイナス、いずれにいたしましても、パリティ価格を下つてはならないというのが法律の規定になつておるのではないかと、私はこういうふうに考えております。
  58. 江田三郎

    ○江田三郎君 これは事務の領域でなしに、もう大臣が答えられる領域と思いますから、大臣がやつぱりはつきり答えて下さい。生産事情なり、経済事情なりを斟酌して、今の解釈はそれでいいと思うのです。併しその斟酌される経済事情等に値段を下げなければならんようなマイナスの要素が本年度果してあるのかどうかというと、私はそういうこの経済事情なり、生産事情の中にはマイナスして考えなければならん要素はないと思うのですけれども、あればプラスの要素があるだけであつて結局パリテイ指数で出て来るものにプラス・アルフアだと、それ以外のことはないと思います。それから先何がどうなつてどうだという細かいことはよろしい。よろしいが、大綱としてはそうだと思いますが、どうでしよう。
  59. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私の少し主観的な考え方になるかも知れませんけれども、これが日本食糧事情に即して米麦の問題をどう扱うかということを考えまする場合に、やはり同時に又農家経済のよつて行くところを考えまする場合に、農家経済のやはり中心は米にある。そうして麦は成るべく安いところに置き、そうして麦食奨励と申しますか、食生活の改善と言いますか、麦を余り高くするということは、日本食糧事情を根本的に解決して行く途ではなかろうというふうに考えておるわけでございますが、これは私の全く主観的な意見でございます。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して……。
  61. 青木一男

    委員長青木一男君) 簡単にどうぞ。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 農林大臣は、今江田さんの非常に根本を衝いた痛い質問に対して逃げられたのですが、経済審議庁で国際収支を回復するための総合計画というものがあるのですが、作業してある。この作業には当然農林省もこれに参面しているはずです。その作業によれば、これは今後下半期において外貨を削り、そうして金融も締め、そうしてデフレ政策をやつて行くところの物価政策の一環として、明らかに小麦価格は、今、江田さんが言われた千九百七十二円より本年下げる、そういう方針が打出されているのです。ですからこれは当然農林省も、これは経済審議庁の総合的な作業でありますから参加しているはずであります。そうして国際収支のバランスを合せるために低物価政策をやらなければならない。そのてことしてアメリカから過剰農産物を入れて、そうして小麦価格を下げて行く、こういうことになつているのです。はつきりと千九百七十二円より下げるという方針になつてつて只今江田さんの御説明によると、パリティが一一〇・四になれば二千六十九円になる。こういうことになれば、これより下げるという基本方針になつているのであつて、今の農林大臣お話を伺うと、食管法によれば二千六十九円を下廻つてはならないことになる、そこに非常な矛盾があるわけです。これはあとできつと大きな問題になつて来ると思います。この点総合計画としてそうなつているのに、何かそこでお逃げになつているように思うのです。
  63. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 木村さんの言われました経済審議庁の総合計画の作業に農林省が参画している、これは参業をしていないようです。(「していなければならない」「していないのですか」と呼ぶ者あり)していないのです。併し食管法を無視して下げると言つて見たところで、法律がちやんとそこにありまして、法律の改正は別に出しているわけじやございませんから、これは先ほど江田さんにお答えいたした通りに私はお答えを繰返していいのじやないかと思います。
  64. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は経済事情なり、生産事情というものはプラス・アルフアという要素が出てもマイナスは出ないということを申しましたが、今の大臣のお答えで行きますと、将来食生活というものを粉食に切替えるのだ。そこで成るべく麦は安くして置きたいのだ、こういうことを言われます。併しこれはそういう答弁は私答弁にならんと思うので、的が外れていると思います。少くとも日本が自立しなければならん。日本の自立のために何が必要か。いろいろ必要なものもあるが食糧は何よりも必要だ。その食糧の足りないのを現にこうやつてたくさんのものを輸入しなければならないのだということになれば、これはもつと、ただパリテイで引合う以上に、パリテイの数手だけでなしに、もつと増産意欲を補い立たすことが一番必要になつて来るわけだ。大きいところは逆になつて食糧増産予算は削られており、作付反別は激つている、だんだんと悪く悪くなつているのですが、そういうところに出て来るこの経済事情なり、生産事情というものはプラス・アルフアであつて、マイナスの要素はないと思います。プラスじやありません。マイナスを付けなければならんとは思いません。
  65. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 生産増強という面からいたしますれば江田さんの御意見の通りだと思います。併し又同時に、多少政治的な発言になるかも存じませんけれども、IWAにいたしましても、今回のMSAの買入値段にいたしましても、今日の国内価格からすれば約トン当り十ドルぐらいの開きが出ている。それでも併し食糧増産、麦の増産を図つて行くにはもつと国内の麦を上げなければいかんじやないかという御意見は一面極めて傾聴に値いいたしますが、同時に又消費者のほうからいたしますれば、そんなに安いものも入つて来るにかかわらず、どうしてこうまで高いものを食わなければならんのかという、一面に又強い意見もあるわけでございますから、ここは私は非常にまあ日本食糧問題、これはやがては米にも関連して参ると思いますけれども、非常に取扱上慎重を期して行かなければならん、従いまして今日の食管法の建前では、とにかくまあその再生産を保証する基準となつて参りますパリティ価格を下げることはない。併しそれにプラス・アルフアが付くかどうかということは、そのときの決定時における生産事情、経済事情を検討した上でなければ何とも申上げかねる。
  66. 江田三郎

    ○江田三郎君 どうも大臣の答えを聞いて、何遍聞いてもプラスの要素しか出て来ない。あなたは今国際価格のことを言われる。併し国際価格のことを言われるならば、米についてもおつしやつて、米についてはどうですか、逆のことが行われているのです。麦についてだけ国際価格のほうが下廻つたということを言わんで、米については国際価格のほうが高いのだということを一遍考えて御覧なさい。そういう答弁というものは答弁にならんと思う。どう考えて見ましても、このパリテイの二一〇・四で計算するだけでなしに、そこには何らかのプラス・アルフアが付かなければならない。それ以上あなたの答を聞いてもますますその要素が強くなつて来るとしか私には思えないのですが、それ以上言つて見たところで仕方がございませんから、大蔵大臣には、そういうふうな際にはパリテイ指数に基いて一二〇・四がなお変るかも知れませんけれども、とにかくそれで行くと二千六十九円になる。そこに更にプラス・アルフアというものが付くことを我々は期待しますけれども、そういうようなときに予算の単価が幾らであろうと、これを改訂されるということは異議はございませんか。
  67. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) そのときによく農林省と打合せいたしまして検討をいたします。
  68. 江田三郎

    ○江田三郎君 食管法に基いてパリテイ指数を下らざる価格というところに改訂をするということは別に異存はないわけですね。これは農林省との協議はないのですが、はつきり答弁して頂きたいと思う。
  69. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 法に基いて定められたものは法に従います。
  70. 江田三郎

    ○江田三郎君 この農村問題についてなお聞きたいのですが、時間がございませんから、私その程度にしますが、先ほどのこの大蔵大臣の答弁を聞いておりますというと、これは枠をきめてあとは関銭が自主的に貸付をするのだと、こういうことですか。その際に言われました監督というものは、どの程度のことを監督するのですか。というのは、私ども先だつてから硫安の生産費についていろいろ調べているのですが、これは政府が、通産省のほうが農林委員会で、秘密委員会で発表された数字は、これは秘密委員会だからわかりませんけれども、併し新聞に出ておるところによると、生産原価は八百二十円、それは適正な利潤、現在の硫安会社が一割五分から二割五分の配当をして、仮に二割として社内留保して一「かます」五十円程度になる。そうすると、八百二十円プラス五十円で八百七十円になる。ところが現在の安定帯価格の平均が八百四十円程度、更にそれを下廻つて八百三十円程度で取引が行われているということになれば、これははつきり硫安会社というものは、いずれも国内の市場においてすら大変な赤字を出してやつておるということになるわけです。若しこの数字が正しいとすれば、更に海外への輸出については大変な出血をしておるということになると、この硫安会社の二割とか、二割五分とか、一割五分という配当は完全なたこ配ということになるわけです。政府から出された八百二十円という新聞へ出ておる数字を前提としての話ですよ。そうすると、そういうようなたこ配が行われておる会社開銀の金を融資をされる、或いは農林中金の金を融資しておる、そういうときに一体監督というのはどの程度監督するのですか。私は硫安会社の例がありますから、ここにいう監督というのはどの程度かということをお聞きしたい。
  71. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 硫安会社の私は生産コスト及び内容については承知しておりませんが、併し恐らくはその平均数字が出ておるのではないかと思うのであります。まあこれはあなたも御承知のように、いろいろ役所へ出す数字というものは、その通り必ずしも肯定できんものがたくさんあります。これは私どもいつも見ますと、大抵赤字になるような計算を出しますが、事実において黒字となつておる、そういうものが実際は相当あるのでありまして、このことはそういうことを実際問題はどれだけ立入つて調べられたか、その一点はわかりません。但し銀行当局者はいつも自己の利害がそこに結ばれておりまするから、その会社の内容について頗る敏感なんです。これは鋭敏なものです。これは一つの金融業者の特質であります。従いまして危険を冒してまで貸出をしておることは、私は自主的にやる場合には、そのときのそろばんはそうであつても十分なる担保をとるか、債権の確保について、万遺憾なきを期した上でなければ、これは自主的にはやらんものであると私は思つております。なお大蔵省としては開発銀行監督いたしまするが、開発銀行がその貸出についてこれは報告を求めることがございまして、いろいろ妙な貸出があれば勿論これについては監督をいたします。さようなことはないようにいたしまするけれども開発銀行が自主的にやつて何ら差支えないということを、よそから見ておるときには、これは私どものほうでは特別な干渉関与等はいたしません。その点自主的にやらしております。
  72. 江田三郎

    ○江田三郎君 これは大蔵大臣は誤解しておられるのです。八百二十円という数字は生産会社が出した数字じやないのです。通産省が調べました通産省の見解なんです。そこで通産省の見解が正しいとすれば、これは日本の硫安会社というものは大変な不健全企業であり、たこ配当をやつておるということがはつきりしておるわけです。ところが今大蔵大臣の言われるように、銀行というものは健全なんだ、そういうものには金は貸していないということになると、通産省の出した数字がでたらめということになると思うのです。それはどうお考えになりますか、どちらがでたらめですか。
  73. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私は通産省の数字がどういうものに基づいて出されておるものであるか。これは秘密会での秘密な数字であつて、内容を公開されたものでありませんから、果してその数字が通産省の数字であるのかどうか、これに対して何人も責任を持つて答弁しかねると思います。
  74. 江田三郎

    ○江田三郎君 秘密会だということで開き直つて来るというとこもらも困りますが、とにかくそういうようなことから考えましても、私ども一体大枠だけはきめて、あと政府開銀監督だけするということに対しては非常な不安を持つ、不知を持たざるを得ないわけなんです。更にその大枠というものはまだきまらんということでありましたが、新聞等に出ておるところによりますというと、このジェット機の製作が八億とか、或いはジェット機のオーバー・ホールが幾らであるとか、何とかという数字が出ておりましたが、そういうことは最終的な決定はないとしても、大体どこがどうということになつておるわけですか。多少輪郭を示してもらわんというと、その内容もわからんで、この予算審議をしておつてもそれは大蔵大臣無理だと思う。大見当はどうですか。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 実はまだ私は内容について見ておりません。率直に申上げて、ただ各省の事務当局の間でいろいろな申出を開いて、まだ下相談をしておるということだけのようであります。各省とも、通産大臣はここにおられませんが、主として通産省の関係と思うが、通産省は何は何ということは恐らくきまつておらんと思います。ただ事務的にいろいろ話し合つておるようでありますけれども、まだ正確などこがどうという申出を私は聞いておりません。
  76. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は通産大臣を要求しておるのですが、どうなりましたか。
  77. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 通産委員会でしよう。
  78. 江田三郎

    ○江田三郎君 それじやここから先は通産大臣が来られんと困りますので、私の持時間にして保留しておきます。
  79. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。午後は一時半より再開いたします。    午後零時二十分休憩    —————・—————    午後三時十分開会
  80. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会を開きます。
  81. 相馬助治

    ○相馬助治君 緒方副総理に対して、基本的な幾つかの問題について質問があるのでありまするが、それを暫らく御出席があるまでお待ちすることにして、逐次各大臣に対して質疑をいたして参りたいと存じます。  先ず私は大蔵大臣に対して、只今問題となつておりまする補正予算に連関して具体的なことについて承わりたいと思うのでございます。三十六億の金につきましては、その使い方、運用、これらについて十分なる構想がなされていると思うのでありまするが、あの補正予算の提案趣旨の説明については、それらのことが具体的に明快になつていなかつたように存ずるのでありますが、この際この三十六億の使途、運用方法、これらについて計画がありましたなら明快にして頂きたいと思うのであります。
  82. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この三十六億と申しまするのは、経済的措置に関する日本アメリカとの関係の協定に基きまして日本に贈与される一千万ドルの代り金であります。それでこれは御承知通り小麦の五千万ドル、つまり百八十億円のうち、百四十四億円というものは日本銀行のアメリカの勘定にそのまま残るのでありますが、三十六億円が日本の、向うとの協定に基きまするというと「円価額を積み立てる特別の勘定を設けるものとする。」とありまするので、それに基きまして、今度特別会計に入れる次第でございます。これが入りますると、政府のほうは先ほども申しました通りに、特別会計から開発銀行へは五分五厘の利息を負担させてこれを開発銀行に貸します。開発銀行はこれを自主的に日本アメリカ側のほうで、双方で合意したものに対しましてこれを貸す、いわゆる自主的に商業的な採算の上でこれを貸出すのであります。対象となりまするものは、この協約の文言には、広く日本国の工業の援助のためとか、日本国の経済力の増強に資する目的のためにと書いてございますが、現実の問題といたしましては、いわゆる防衛産業、その関連産業並びにその基礎産業というようなものを投資の対象といたしております。貸出金利その他は一応相談いたしますることになつておりまするが、貸出し会柱は自主的に向うが判断をして貸出すことになつております。但し貸出しますときに、日本の将来の産業の点も考えまして、一時的にその需要があるけれども、将来需要がなくなるだろうといつたようなものについての金の貸出方は一切やらせない、こういう建前にいたしております。  それから又これを単なるまあ設備が、たとえて申しますると、設備拡大によつてよく二重投資になる、民間その他のものを合せまして二重投資になるといつたようなものはこれを避けたい、こういうような工合に考えておるのでありまして、従つて防衛産業との関連産業並びにその基礎産業等につきまして枠をはつきりと日米相互間できめましてそれでその枠に基いて開発銀行貸出をすることになる、こういうことになつておるのでございます。
  83. 相馬助治

    ○相馬助治君 御説明によつて、この資金供給は開発銀行を通じて融資する方法をとるということが明快になつておるのでありますが、この資金が開発銀行を通じて貸出されるということからいたしまして、且つ又この三十六億が一応もらつた金だ、かような一つの気やすい考え方があつたりしましてこれらの性質に鑑みるというと、汚職の発生或いは非常に効果の薄い助成、結果的に見てですね、さようなことが予想されると思うのです。そこでその機関においては特別に監査機構のようなものを設けて、この資金の効率的な使い方、又不正防止、これらを図る御計画があるかどうか。あるとするならば、その大体について承わつておきたいと思います。
  84. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今のところは、この不正防止等に対する監査機関を特に設けようという考え方にはなつておりません。が、私どもはこの三十六億円については、先ほど申しました通りきちつと双方で協議を遂げた枠の中で、而も開発銀行から申しますると、自分の銀行の金の貸出に対する危険を負つてのものでございまするので、従つて商業的採算に基いて貸出すのでございまするから、そういう不正なこととか、或いは今御懸念になつたような、汚職というような問題は決して起らんと考えておるのでございまするし、又私ども大蔵省といたしましても、多少ともそういうような懸念がありまする場合には、或いは報告を徴するとか、実地を調べるとかいつて、それぞれ監査の方法もございまするし、更に一歩進んでは業務命令等を出し得ることに相成つておりまするし、開発銀行に対しては大蔵省の中にも担当官がおつて、それぞれ絶えず業務の状況を監査しておる次第でございまするので、私どもはこれが今御懸念のような点には使われないと思いまするが、併し御心配がそういうことについてあれば、先ほども木村さんでしたか、そういうような話についてのこともありましたので、或いは別に今そういう大蔵省監督以外にも更に何かこれを考えてもいいとは思つております。只今のところは実はそういうことを考えてはおりませんが、いろいろ御覧の次第があれば、これは万過ちなきを期する意味で、そういつた何かことを一つ考えてもよろしいと思つてはおります。
  85. 青木一男

    委員長青木一男君) 相馬君、副総理が見えました。
  86. 相馬助治

    ○相馬助治君 この一点だけ聞きまして、副総理にお伺いします。お話でございまするが、汚職の発生、或いは助成金としての効率という点についての心配は大してない、いわば積極的な手当は必要ないというような意味のことではありまするけれども、やはりいろいろな前例等に徴しまして、これは一つ最後に大蔵大臣が触れられましたように、是非一つ適当な考慮を関係機関において煩わして頂きたいと思うのであります。関連して一点だけ伺つて次に行きたいのでありまするが、今仮に日本防衛産業が必要であるとする立場をとるといたしまして私自身はこれについて議論があるのですけれども、そういう立場に立つといたしまして、従来のような受注品目でなくて重兵器であるとか、航空機であるとか、艦艇であるとか、こういうふうなものがどのような形において将来助成されて、これらの工業を進ませようと政府自身は意図しておるのか。具体的に申しまするならば、現在の日本の工業の基礎的な研究というものは、その研究部門の機構において或いは試験設備において皆無の状態でありまして金属類の質がひどく世界に比べて落ちているというようなことが言われておりますのでありまするが、やがて平和的な工業に転換され得ることも予想して、資本今を極めて効果的に使用するとするならば、これらの点について慎重な綿密な調査の上に立つて計画件を以て助成される会社或いは職種というものが考えられなくてはならない、開発銀行だけの営業的な立場からこれが定められるのではなくてこういうものにこそ国家の意思というものが入つて行くべきではないだろうか、これは通産大臣の答弁される部門に属するとは思いまするけれども、併しこの予算を提案した当の責任者としての大蔵大臣としては、これらの点に関しましてはどのようにお考えであるか、この点を簡単でこれは結構ですから伺つておきたいと思います。
  87. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは仰せの通り、或いは通産大臣なり経済審議庁の立場でお答え申上げるほうがよいかと存じまするが、併し私どもといたしましては、御承知のごとくに、例えば防衛産業に向せるにいたしましても、日本にもいわゆる保安隊等がありますから、これらの武器、その使つております武器その他は勿論全部向うからもらつておる、或いは借受けておるものでありまするが、今後はさようには参りかねることと思われるのでありまして、例えば現在のものを作るといたしましても、保安隊その他に要するものが相当あろうと見受られるのであります。更に又これはひとり……。いわゆる武器といううちには広い意味での火薬、考えれば火薬その他のものも含まれると考えられます。それから又艦船については、これは相馬さん御承知のように、これは日本で往年造つた時分もあつて造船穀備は十分ございまするけれども、併し飛行機その他は全部、あの平和条約に基いて航空事業というものは全部日本でなくなつてつた。その関係もありまして、それらのものについてもやはり相当な国内にも需要が起つて来ることと考えられますので、実はもう少し先へ行きましての考え方とすると、いろいろあろうと思いますが、本年度の分はこれは三十六億円だけの分でございますの外れ三十六億円だけのものといたしますると、そういろいろなものにこれを割くというわけにも参りかねますので、そこで先ほどから繰返してお答えいたしました通り、まあ防衛瀧業、関連廃業及び基礎産業等へ適当にこれを配分いたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  88. 相馬助治

    ○相馬助治君 緒方副総理に二、三点お尋ねしたいと思うのでありますが、先般犬養法務大臣は、検察庁法第十四条によりまして、法務大臣は検事総長を指揮し得るという規定に立つて指揮権を発動し、今日それが大きな問題となつておりますことでありまするが、この指揮権を発動いたします場合に、新聞の報ずるところによりますと、最終的にはあなたと十分協議の上、もつと別の言葉を使えば、あなたの積極的な意思によつてこれが発動されたやに伝えられておりまするが、この犬養法相の指揮権発動に伴うあなたのお立場をこの際お聞きすることができたら聞かしておいて頂きたいと思います。
  89. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えしまことでありまして、私が法務大臣を、どういう言葉でありましたか、法務大臣を懲悪してさせたというような事実はございません。法務大臣からその途中において報告を受けたことはございます。
  90. 相馬助治

    ○相馬助治君 本会議等によつて吉田総理大臣は、これは何ら違法でない、かようなことをおつしやつておりますが、政治的には非常にこれは問題が存することは相共に認めるところでございますが、私はこの憲法の条項に照してみても、憲法の七十二条というものは、総理大臣というものが行政各部を指揮監督するように相成つておりますが、次の七十三条の一号によりますれば、「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」、かようなことになつております。即ち内閣総理大臣といえども、行政各部を恣意のままに指揮監督することは不可能であつて、次の七十三条の一号が規定するように、法律を誠実に執行するということが前提になつていると思うのであります。そこで検察庁法四条によりますれば、検事は法律の適正なる運用を裁判所に求めるのであつて、その前提として逮捕請求ということがなされておるのであります。従いまして検察庁は法律を誠実に執行しようとして一つの手縫をとる、それに対して内閣がその都合によつてこれを拒む、かようなことは憲法に対して完全に違反していると本員は考えるのでございまするが、内閣の責任を担当する副総理として、この点を法的に如何ようにお考えでございますか。
  91. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今お述べになりました指揮権の発動が違憲の疑いがあるということは、検察庁法第十四条による指揮権の発動が、これが違法であるかどうかということがもとになるんじやないかと思いまするがこの指揮権は、私の了承するところでは、始終行使されておる。ただ法務大臣と検察当局との間に意見が違う場合に発動されたことは異例なことであります。でありまするが、併し検察庁法第十四条に、個々の事件の捜査、又は何でありましたか、処分については、検事総長を指揮することができるということが明らかなわけでありますので、異例なことではありまするけれども、法務大臣が指揮権を行なつたことは別に違法ではない。ただ異例なことだけにその責任は大きいと考えます。その責任は全面的にとらなければならん、さように考えております。
  92. 相馬助治

    ○相馬助治君 異例のかかる措置をとつたことに対する政治的な責任は痛感しており且つとる用意があるという言葉は、私はあなたの誠実味が現われておることとして、私どもとしてもその言葉に敬意を表します。併し私はやはりこの問題をどこまでもお聞きして参らなければならないことは、従前も検察庁法第十四条が発動されたことがある、その場合には常に法律を誠実に守ろうという意味合いにおいては両者聞の意見は一致していたと、今般は明らかに法案の国会審議の促進のためにという純然たる国会内における政治上の理由を以て法相が指揮権を発動したというところに、法的な立場を離れた政治的な問題があると思うのであります。即ち法案の国会審議促進というようなことは、現在の吉田内閣においては言うところの権利がない、具体的に申しまするならば、今日重要法案が衆議院において、或いは参議院において非常に審議が渋滞していることは御承知通りでありまするが、その責任の大半は実に吉田内閣、而も吉田首相その人に負うべき点が多々あると私は了解しておるのでありまして、法案の国会審議促進のため云々ということは、国会自身の意思によつてこれを決定すべき性質のものであつて内閣それ自体がかかる理由を掲げて、法的に許されているからとして検察庁法十四条を発動するということは、誠にこれは悪例を残すものであると同時に、政治的良識の土からとつてならないところであろうと思うのでありまするが、この点に関して、政治的責任の上から副総理は如何にお考えでございますか。
  93. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 検察庁も行政府の一部でありまして、特異な性格を持つておりまするが、行政府の一部であることは間違いありません。その行政府におりまする、法務大臣が検事総一長を指揮することはこれは法で認められておる。検察庁におきまして犯罪の捜査或いは処分、こういうことにつきましては政治的考慮を加えていない。これは加えないのが当然であろうと考えますが、それに対して法務大臣が指揮をする場合は、政治的考慮を以て指揮をする。これは異例のことでありまするけれども、そういうことはなし得る。今回の場合におきましては、法務大臣政府の極めて重要であると信ずる法案、特にこの時期において是非とも通過させたいと思う法案、国際的或いは国家的に見て非常に重大であると政府が信じておりまするその法案を通過させるために、この措置をとることが必要であるという政治的考慮から。検事総長を指揮したのであります。何らその間に違法又は疑義はないと考えております。
  94. 相馬助治

    ○相馬助治君 それ以上のことを申上げると見解の相違になると思いまするので、今の答弁は私を満足せしむるものではありませんが、次に進みます。  衆議院において只今吉田内閣不信任案が提案されていると我々は聞いております。本院におきましては、その案文、内容それらについてははつきりまだしていないかも知れませんけれども、ともかく吉田内閣の今般の措置は甚だ遺憾である、叱りおくぞといういわば問責案になりますか、とにかくそういつた種類のものが多数を以て本院において成立する気運にあるように私どもは考えるのであります。これが否決された場合は暫らくおくとしてこれが若し本院において院議を以て決定した場合におきましては、吉田内閣は本院のこの意思に対してどのような処置をとられんとするものであるか、一つ承わつておきたいと思うのであります。
  95. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 参議院におきまして政府の政治的行動に対しまして御批判がある、或いは問責案というようなものが出る、その御議論に処しましては政府としましても謙虚な態度で傾聴するつもりであります。併し解散のない参議院におきまして衆議院の弾劾と同じような意味のことができるか、どうかということにつきましては、これは憲法上疑義のあることでありまして、その問責案と申しますか、決議案が通過した場合に対して、政府がそれによつて総辞職をするというようなことは考えておりません。
  96. 相馬助治

    ○相馬助治君 副総理は先廻りして答えられておられますが、私は問責案というものに対応するものが総辞職であると考えておりません。これは不信任案でございませんので、問責案というものは仮に決議されたとしても、それが内閣の進退にまで及ぶものであるというふうには一方的にきめてかかることは、これはかなり問題があると私自身思つているのであります。当然やめるべきであると、かように思つておりますけれども、やめなければならないというふうに規定されたものであるとけ私も思つていないのであります。併しこの問責案が、今度の法相の指揮権発動というものは拙いのだ、だから叱りおくぞというときには、本当にこの院議というものを尊重なさるならば、そのかくかくのことが拙いぞと言われた具体的なことに対して、内閣は何らかの手当をして参議院の院議を尊重すべきものが至当であろうと思います。で、今の問題は、一般的に申しておりまするが、具体的には今度の法相の指揮権発動はいけない、院議を以てこのことについては注意をし、今後かかることのないようにしておくぞと、かように相成つたときには、具体的にこの法相の指揮権発動をあなたはどのように取扱われんとするものであるか、この点を伺つておきたいと思うのでございます。
  97. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 参議院の今の問責案、何といいますか、その決議案は傾聴はいたしますが、傾聴した上で、どう尊重するかということは、それは傾聴した上での問題でございます。それからその場合に法務大臣措置をどうするかということは、どうもいたしません。
  98. 相馬助治

    ○相馬助治君 法務大臣と列んだ国務大臣としての緒方さんはさようでよろしいのでありまするが、あなたは、ここの予算委員会でも問題になつたように、副総理でありまして、本日は内閣の意思を代表しているものとして私はお尋ねをしておるということを遅れ馳せながら附加えて冠きます、法務大臣をどうもしないということでございますが、これは明らかに問責案決議が通つた場合には、一つの参議院の意思というものを一方的に蹂躪することになつて、国政運行上極めて面白からざるものが出て来ることをあえて私も警告せざるを得ないのであります。で、緒方さんは現在の吉田内閣の中において極めて数少い良識のある中の一人であると我々は聞かされて且つ今日も信じておるのであります。而も筋の通らないことに相成れば総辞職をしなければならない、こういうことをいつか記者会見か何かでおつしやつたようにも承知をしておるのでありますが、大体吉田内閣はこの辺で総解職をすべき客観的、主観的要件は具備したと思うのでございまするが、副総理はどのようにお考えでございましようか。
  99. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 客観的にはどうか存じませんが、主観的には具備しておりません。機は熟しておりません。私はいろいろな所でいろいろな発言をいたしまして、その関に内閣の進退を議論したことはあるかも知れませんが、公に内閣の進退について発言するものは総理大臣だけでございます。私はこの際にその問題には触れないほうがいいと考えます。
  100. 相馬助治

    ○相馬助治君 今般この補正予算で問題になつておりますのは、御承知のようにMSAの問題でありまするが、現在この参院において審議されているMSA協定につきましても、明らかに協定の全文を見ると、その第八条は憲法違反の疑いがあるとされております。で、このことは、第九条において、第九条の二項において「この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定にしたがつて実施するものとする。」という規定を引用して、これを担保としてこのMSA協定というものは何ら違憲でないという態度を現在吉田内閣け外務委員会等の審議の過程を通じて兼つしやつているようでありますが、私どもの解釈を以てすれば、これは憲法穐反の条約であり、従つて無効であると考えておるのでございまするが、緒方さんはこれをどのように解釈されておりますか。
  101. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 今お述べになりましたのは、MSA協定の第八条に関連する御質疑じやないかと思いまするが、今回のMMSAの取極によりまして、何ら軍事的義務を加えておるのではないのでありまして、その意味で憲法違反ではないと信じております。
  102. 相馬助治

    ○相馬助治君 それは少し事実に反した御答弁であろうと思うのであります、第八条は明らかに「安全保障条約に基いて負つている軍事的義務を履行することの決意を再確認する」とあります。で、決意ということは、これは行動を伴うことを一般的に意図していると思うのです。さようなことになつて参りまするというと、我々としては、この一点だけを推しても憲法違反の疑いがありと言わざるを得ません。而もこの第八条というのは、私ども素人には誠にこれは難解である。而も又国民大衆にとつては極めて理解しがたい幾つかの極めて重要な要素をこの一条の中にごたごたと盛り込んで、その正体を見失わせようとしている悪意あるものだという批評も論者によつては成立つ性格を持つた法文と、かように思つております。MSAの、一九五一年の相互安全保障法のアメリカの法によりますれば、はつきり大統領がMSA援助のできる場合は、アメリカの安全保障を強化するものであると認めた場合、そうして又且つ被援助国家が次のことに同意している場合のほか、軍事的努力を促進するためにいずれの国に対しても行われなければならない条項としていろいろなことが書いてありまするが、その中の一つに、自国の防御能力を増大するために必要な一切の合理的な措置をとること、かように善いてありますると同時に、進んでこの安全保障条約に書いている軍事的義務の一切を履行する決意に立つということが、その援助の前提であるということが明らかに示されております。さようばことから眺めて参りまするというと、この条文を如何ように判断するとしても、具体的にこの条項が国際紛争のさ中において発動される状態というものを考えてみまするというと、その現実は明らかに憲法違反の状態が予和されるのでありまするが、さようなる御懸念はないと吉田内閣は理解されておるわけですか。
  103. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 条文をそらんじておりませんが、安全保障条約による軍事的義務を履行する決意を確認するでありましたか、要するに決意というものは別に新たなものを加えたものじやないので、安全保障条約に基いて日本が負うている軍事的義務、軍事的義務としてはそれ以上少しも新ただものが加わつていない。MSAの援助を受ける結果として、法文をそらんじておりませんが、政治的或いは経済的或いは社会的に、圧迫を生じない範囲において防衛力を漸増するというか、そういう言葉ではなかつたかと思いますが、そういうことを約束しておるのでありまして、それは少しも憲法第九条の規定を侵しておるものではないと信じております。
  104. 相馬助治

    ○相馬助治君 あと一点だけ副総理にお尋ねして質問をやめますが、先般の日本学術会議の総会におきまして、原爆災害調査委員会というものの設置をきめ、放射能症の治療等についても種々考慮がめぐらされたようでありまするが、これは災害調査委員会等の設置にもかかわらず、患者の治療の点ではやや手ぬるい感じがするのであります。而も一部の報道によりますると、日本の原爆症に対する医学は世界一であるというように自負されておりますけれども、私が一点不思議に思うことは、たび重なる実験において、一体アメリカ人には一人の被災者も生じていないのでありましようか。一部の報道によると、マーシヤル群島でに災害をこうむつたアメリカ人があつたが、かなり早く治つたと、かような点が報告されておるのでありますが、これも詳細にして而も正確なる報道ではありません。後にこれは外務大臣にお尋ねしたいと思つて主るのでありますけれども、悪意を持つておるのではなくて、どうもこの問題に対しては、アメリカ当局によつて当然日本に報面しなければならない問題、内容、そういうものがひた隠しに隠されておる面があるのではないかいうことが今日日本国民の一部の患者となつておると思うのであります。人類の幸福のためにも、又本当に気の毒な目に会つておる今日の被災者の立場からいたしましても、事医学に関して国境を設けるがごときことは断じて許されないと私は考えます。で、アメリカ側がこの被災者の治療に対しまして、一体どのような具体的な方策を持つておるのか、これが極めて問題でございます。現在まで知られたところによるというと、日本の場合には広島、長崎における先例があるから、それで医学が進歩しておるのであるというふうに言われておりますが、全くあの原子爆弾の場合と今度の場合では傷その他において格段の相違があるというように私どもは聞かされておるのでありますが、政府としては、この際機密に属する軍事的な問題は暫らくおくとしても、患者の治療に関することについては、一切の情報を率直にアメリカ側に求め、そうして医学上の諸問題についての研究、成果というものを交換し、且つ世界に公開するためにアメリカ側に断固この点に関しては要求する必要が人道上からもあると、かように思いますが、吉田内閣の責任においてこの御意思をお持ちになるべきであると思うのでありますが、御見解を承わつておきたいと思います。
  105. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お話のように政府としましては日米の緊密な協力を希望し、又その方向で措置をして参つたつもりでありまするが、被災をしました患者の素朴な気持等の問題もありまして、アメリカから時を移さず、アイゼンバツドというようなアメリカでも有数な放射能被災者治療に関する権威者も参り、モートンというような医者も加わつて、治療に協力を申出ておつたのでありまするが、十分にそれを利用する機会がなかつたのは遺憾であります。政府としては、今お述べにたりましたのと全く同じような考えを持つておりますので、十分努力をして行きたいと考えております。
  106. 相馬助治

    ○相馬助治君 この問題に対して、外務省の御意見は如何ですか。
  107. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 只今副総理から申されました通りでありまして、相互に協力しようということは、日本側もその建前で参りましたし、アメリカも三月十七日の最初の公文においても、治療に関しては十分協力いたしたいということを申出ておりましたし、過般アイゼンバツド、モートン両博士が出発いたします際にも、今後といえども協力する面があれば十分協力いたしたいということを声明書でも述べているほどでありますが、いろいろお医者さんの間における誤解など、又これまでの先方の取扱いました治療の方法などに対して、誤解と申しますか、疑いが生じたというような関係から、実は率直に申しまして、協力は十分に行つたとは申しがたいであろうと思います。先ほどアメリカから受けました電報によりますると、国務省のほうでも本日この問題について十分な協力ができなかつたのは遺憾であるという趣旨を発表いたしております。例えば、アメリカのお医者さんが見るのは三十分に限るというような条件も付せられていというと、なかなかそれだけでは本当の診察もできないというような関係もあり、又その患者を全部見せてもらえないというような点もあつたようでありまするが、併し日本といたしましても、例えば尿の検査については、日本でそういう装置がないような関係で、現在も向うへ送つておるようであります。で、今ちよつと言及されましたような秘密問題というようなことから離れまして、治療に関しては向うの研究の結果も十分日本側へ通報するという趣旨を申出ているくらいでありますから、今後双方の直接当つておる専門家の間でもつと詰合いが行われまして、円満な気持で協力ができるように外務省としても十分斡旋をいたしたいと考えております。
  108. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今の問題については、一つ吉田内閣挙げて誠意ある方策を今後とも続けられることを希望します。吉田内閣の存続する限り一つ頑張つ下さい。  次に、ついでに外務大臣に承わつておきたいのでありますが、今日フイリピンとの賠償問題は明大なる暗礁に乗り上げているようであります。新聞の報ずるところによりますと、これは日本の責任というよりも、先方の心変りでかようなことに相成つたかというような節も窺われるのでありまするけれども、ともかくこのフィリピンの賠償問題の解決は、今後日本の貿易の上に至大な関係を持つておるので、国民注視の問題であろうと思います。現在どのような立場にこの賠償交渉が行つておるか。これに対して将来どのような方策を以てこれを打開せんとするものであるか。現在の状況並びに将来の見通し、及びこれに対する対策について、この際政府の所見を承わつておきたいと思います。
  109. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 御指摘のように、只今フイリピンとの賠償交渉が行詰りの状態にあることは非常に遺憾であります。昨年岡崎大臣が南方へ参りまして、準備的な話合いをし、そして昨年の幕に至りまして、大野公使がフィリピンへ赴任して、爾来ずつと交渉を続けて参りましたところ、漸く本月の初めの頃に至りまして、双方の数字などについても大体話合いができましたので、去る十五日に大体双方で合意した点を公表したことは、もう新聞でも御承知通りであります。然るにその後フイリピン側においては、特に上院の議院の中で、日本がフィリピンにとつては十倍ドルの経済価値を生ずるだけの賠償をする、そうしてそれには日本としては四億ドルを下らざる程度の支出をして、それが十年、又場合によつては更に十年延ばすこともあるのであろうが、その期間内にこれを行うというのは、これはフイリピン側の従来の主張をさること非常に遠いのであつて、こういうことを基礎としては交渉は最終的な妥結に導くことはよろしくない、これは飽くまで拒否すべきであるという反対論が強く抬頭して来たようであります。そこで十七日にガルシア外務大臣がゼネバに参りまする日に第一回の会合が行われました。その次の二十一日を予定しておりました正式会談も当分これを延期しようということになりまして、フイリピン政府のほうは、目下上院のそうした反対の議員諸君といろいろ話合いをして、何とか妥結の途を開くため努力しておるようであります。先ほどのフイリピンからの電話によりましても、現在ではマラカニアン宮殿でマグサイサイ大統領が主宰しまして、こうした会合を開いておるようであります。が併し、心までのところにおいては、フイリピン側の意見としては、大野・ガルシア間に話合いのできた数字というものは、飽くまで交渉のスターチング・ポイント、出発点であつて、この実質を変更するということを必ずしも妨げるものではないという趣旨のことを数時間前別か公表いたしたようであります。日本側といたしましては、これまで予備交渉において安組したポイントというものは飽くまで交渉の基礎であつて、それに空いていろいろな条件等が今後決定せらるべきものであるという態度をとつておりまするので、この双方の主張というものは、今対立状態であります。が併し、ここまで参りましたことでありまするし、相馬君の御指摘の通り、日比の関係というものは非常に重大であります。貿易面から見ましても、一日も早くこの関係を正常なものにいたしたしたいのでありまするから、私どもとしては、何とか最後の線においてあらゆる努力をして、これまでのラインで話をまとめ上げたいと現にマニラ等と連絡いたしておるのであります。  ただ併し、新聞報道が正しいとするならば、今どうしても現実に十億ドルの支出が要るとか、或いは年限が五年というようなことになりますると、これは他の諸国にも影響するうことでありまするので、それを直ちに引受けるというような方向転換は非常にむつかしいだろうと思います。が併し、これは仮に万が一にも決裂するようなことがありましても、将来できるだけ悪い影響を残さないように、一応話を中止するにしても、十分な措置をいたしまして、将来悪い影響を残さないような方法を考えなければならないと思います。が、現在の段階におきましては、飽くまで今度の機会に妥結ができるように最善の努力をいたしたいと考えておりますが、見通しといたしましては、何とも現在では申上げることができないのを遺憾といたしております。
  110. 相馬助治

    ○相馬助治君 重要な問題について大蔵、通産、農林各大臣に種々伺いたい点があつたのでありますが、私は委員長の議事進行に協力する意味で、時間を正確に守る意味で、残つた時間が少いので、文部大臣に一点物をお尋ねして、全部の質問を修了したいと思いまするが、二十八会計年度末において、東京大学その他一部の大学、特に理工科系の学部に突如として降つて湧いたように、予算年度内に使用することを条件として、約二億円余り、今問題となつておる原子炉予算にも匹敵するよるような金額がばら撒かれたという事実と某方面から私は聞いたのでありまするが、事実でございまするか。
  111. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 大学院を設置しております大学におきまして、理工科、これは農科その他もありますが、設置しただけで、実は研究設備が非常に不足をしております。これは非常に従来遺憾に思つておりまして、二十九年度予算の編成の際にも、その点の設備の充実を大蔵省のほうにお願いをしておつたのでありますが、緊縮予算関係でこれは計上することができませんでした。ところが二十八年度年度末に当りまして、相当な金が実は大学運営費の中の人件費に欠員がありますために、剰余額の見込がありましたので、これを特に大蔵省のほうに御無理を願いまして、そうして大蔵大臣の承認を得てそのほうから流用をさせてもらいまして、大学院を設置しておる各大学について、二億円弱の金額を設備費として流用使用することを認めたのでございます。
  112. 相馬助治

    ○相馬助治君 従前国立大学の充実に対して文相が努力をしておることに対しては、私も文部委員の一人として敬意を払つておるものであります。而も頑迷な大蔵省財政当局の態度によつて、常に国立学校の設備費等が削られておるということも私どもも大体承知いたしておることであります。従つて今の御答弁によりますというと、一億円の金を確かにくれたということになりますると、それは文部大臣が個人で使つてしまつたのでも、大学が勝手につまらないものに費消したものでもないのでありますから、不正であるとは言わないが、ただ問題は、財政法上の不当な問題がここに生じて参ると思うのでありまして、而も文部省が今般の金の使い方を聞くところによると指示しまして、二十八年度中、即ち三月一ぱいに何でもかんでも使え、而も買う品目が指定されたのだと、かようなことを聞かされておるのでありますけれども、さようなことになるというと、これは非常に問題であると思うのであります。而も一部においては、この金は保安庁の技術研究所と大学との連関をつけるためにばら撒いた一つの撒き餌であるというようなことが伝えられておりますが、その二億円弱の金の中には、保安庁から廻された金額がございますか。又その二億円弱はどこから出た金でございますか。
  113. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは大蔵省が決して頑迷なのではなくて、先ほど申上げましたように、大蔵省に特別にお願いをして流用を認めてもらつたものであります。その金は先ほど申上げましたように、大学運営費において、二十八年度予算として計上して、人件費のほうで相当の剰余額を生ずる見込でありましたので、二十八年度予算の執行として、これを目の間の流用を、承認を頂いたのです。これは目の間の流用でありますから、勿論財政法等に抵触するところはない、かように思うております。  それからこの金は各大学に非常に設備が不十分でありますから、これは理科、工科だけではないのでありますが、金額の関係もありまして、理科、工科に限つて各大学で今一番必要とする研究設備、顕微鏡であるとか、いろいろなものがありますが、そういうものを申出させまして一大学約一千万円、十七の大学、大学院を設置した大学、これは各大学それぞれ今二番欲しがつているものを申出さして、そうしてその流用を認めたのであります。これはそれだけのことでありまして、何らの別な意図はありませんのみならず、保安庁のほうからこれが出ておることは、全然そういうことはないのでありまして、その点は先ほど申上げた通りです。
  114. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 保安庁のかたおられませんか。確かに保安庁のほうからもやはり出ておると思うのです。そうして今度の二十九年度予算にはその費目が非常に大きく、だんだん研究費に喘いでいる諸君が、その方面から学術統制がなされるのではないかということは、私増原君に聞いておるからはつきりしておるのです。その点……。
  115. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 保安庁費のほうで委託研究費という費品があるほうに私も承知しております。これは保安庁のほうで大学なり、或いはその他研究所、或いは民間の工場、これは私よく知りませんが、そういう所に研究を委託したときの経費であります。今申上げたのはこの経費とは関係ありません。これは絶対にいい加減なことを申上げておるのではなくて、先ほど申上げたように……。でありますから、二十八年度予算でありますから、それで年度内に使用しなければならない、こういうことで剰余額をそちらに廻してもらつたのであります。保安庁費とは全然何の関係もありません。
  116. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) お答えを申上げます。保安庁の技術研究所の関係におきまして、若干の調査委託費がございます。二十八年度におきましては、ちよつと正確に存じておりませんが、四、五千万円という金額でございます。それが二十九年度におきましては若干増加いたしております。この割当はどうするかということは、今まだ研究中でございますので、結論は得ておりません。それが大学関係に、どう廻つておるかという点でございますが、現在のところは大体保安庁の研究費の関係は規格の関係のことが多いのでありますから、大学にお願いをいたすというよりは、むしろ研究所といいますか、或いは民間のほうの機関、これのほうに廻りましてそれに今正確な数字を持つておりませんが、比較的少額なものだと思つております。
  117. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 希望を申上げておぎますが、もう少し研究費を充実して頂かないと、保安庁のほうは予算が取りやすく、更に大規模に出て来ているとすれば、学術研究費に喘いでいる諸君に心ならずも研究費欲しさにそういうふうにずつと行くのではないかということを、実は東大から、そのほうから非常にこれは憂慮すべき問題ではないかという申出があつて、やはり文部大臣のほうとされても、研究こそ価値を生む源泉ですし、是非その問題をして頂かないと、良心を曲げてでも研究費欲しさにそれと関連して学位論文を取れればいいのだというような工合になつてしまうことは、私は非常な問題じやないかと糾う。
  118. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この問題は大学の学生新聞ですか、何かに相当大きな記事になつてつておりますのを、実は質問があるというので先ほど読みました。それに今言うようなことが書いてある。これは何かの思い違いか乃至はデマであります。先ほど申上げましたような事情でありまして、全然さようなことはありません。ただ保安庁の委託研究というものは、これは保安庁のほうはどういう方面へ委託する御意向であるか私は存じませんが、仮に大学等の研究所を利用されるというような必要な場合が起るかも知れません、この辺は私は存じませんが、これをそのものに保安庁の経費からの委託は一切受けてはいけない、こういうふうにきめつけることは如何だろうかと思います。保安庁であろうとどこであろうと政府の委託を受けて、これは民間の工場でも同じでありますが、その研究が必要な研究であれば、保安庁の委託は一切受取らないという態度は、少くとも文部省としては、これは研究所以外のものであれば別でありますが、又無理に押付けていや応なしに大学に研究させるということは無論ございません。併し保安庁からそれを受けるのが悪いという考えは私は持つておりません。今申上げますように、まだ理科、工科においても勿論設備費が足りません。それから農科、そういう方、面の設備費は不十分てありますから、この点につきましては、十分努力して設備を充実させたい。実は非常にこれは大蔵省には御無理を願つて折角余つた金をと思つたものですから、非常にこれは特別に御無理を願つて流用をさせてもらつた、こういうことでありますから、決してあの大学新聞に書いてあるのは、これは何か思い違いか何かであります。
  119. 相馬助治

    ○相馬助治君 私自身もこういう不当支出ではないかということを暴露するということが目的じやありません。そして又大学新聞か何か知りませんが、こういうものだけをネタにしてどうこう言うておるのではないのであります。ただこの問題は一般には何ら問題になつておらないところでございまするけれども、要するに私がこの点を徹底的に質したいとするところは、国立学校の設備費その他についても、文化国家の名にふさわしく、将来大蔵省自身が十分考えてもらわなくちやならない、これが予算審議に連関して私が質問している意図なんです。そこで最後に大蔵大臣にお尋ねしますが、人件費が流用されたということが今’文部大臣お話で明らかとなりましたが、これが若しも他部局の別項にこういうことが流用されるとするならば、これは国会の議決なくしては財政法第三十三条の違反になつて大問題であろうと思いまするが、その点は今の文部大臣の答弁で以て了解されました。即も、法律的に言う財政法違反ではないということが一応わかつたのでありまするが、従前この人件費というものは、余つた場合においては不用額にするというのが財政法上の常識であろうと思います。にもかかわらず、今般特別なさような措置をとつたということ自体は、如何なる御趣旨に基くのか、その点を伺いたいと思うのであります。
  120. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 目だけの流用で何ら財政法上違反のことはない、こういうところから文部省のほうの御意向を容れましてとつた措置でございまするが、なお、詳細なことは事務当局からお答えいたします。
  121. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今問題になつております流用は、国立学校の項の中の目の間の問題でございまして、財政法によりますと、月間の流用は大蔵大臣の承認でできることになつておるわけでございます。その場合、人件費を人件費以外に流用するということは、まあできるだけやらないというような方針もございますわけでございますが、何分にも国立学校につきましては、特に新制大学院等の設備を緊急に充実する必要がございまするので、特別に本件につきましては流用を認めた次第でございます。流用の総額は一億三千万円ぐらいになつております。二億以上ということではございません。
  122. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうしますと今の大蔵大臣並びに主計局長の御説明は次のように了解してよろしいのですか。即ち、昭和二十八年度予算において国立学校に関する経費は少かつた、而も実態から推してみて、これは現実の問題としてもう少し出すべき性質のものである、かような極めて良識ある立場に立つて、いささか疑義の存するところもやりくつて大蔵省は支出をした、かように了解し、同時にこの精神は明年度においても続くものであると、かように承知して差支えないわけですね。
  123. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 本件につきましては、文部省からの御要請が現に切実なものであることを認めまして流用を承認したわけでございます。  なお、研究費に対する私どもの査定方針でございますが、これはできれば、できるだけ優先的に考える、例えば節約その他の問題が起つて参りました場合におきましては、研究費には最後に手をつける、できるだけほかのほうでかぶつて、研究費に手をつけるのは最後であるというようなふうにも考えておるわけでございまして、大蔵省におきましても、研究費は非常に重要視しておる、そういう、気持でおることをお答え申上げたいと思います。
  124. 相馬助治

    ○相馬助治君 一国の文教政策の上からも、国立学校の充実の上からも、今の主計局長の説明を裏書して差支えないと、かように存ずるのですが、一言でよいから大蔵大臣の決意を一つ承わりたい。
  125. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まさに裏書をいたします。
  126. 湯山勇

    ○湯山勇君 大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。文部大臣にもちよつとあとでお聞きしたいんですが、今の目間の流用を認めたとおつしやいますが、その各自の予算額はどれだけになつておりますか。それから更に人件費は相当大学でも窮窟だと思いますし、以前に義務教育関係のほうへも大学の人件費は廻つたと思いますが、なぜそんなに大学は人件費が余るか、この点を三つ明らかにして頂きたいと思います。なお、それの御答弁によつてもう一点お聞きしたいことがありますから……。
  127. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 大学の人件費に、どうして余裕が生ずるのかというその点だけ申上げます。他は大蔵省から申上げます。大学は、御承知のように大学の先生は欠員はいつも相当にあります。と申しますのは、大学は一講座について教授一人とかいうようなスタンダードができておりますが、それによつて大体定員ができておりますが、併しこれは誰でもよろしいというふうに参らんことは当然であります。やはり学者として立派な人でなければその職に当られないのでありますから、或いは又助教授とか、研究しておられる人が更に研究を種まるるのを待つて教授にするとか、そういう事情が大学の場合には非常に多いのであります。でありますから定員は壊すわけに行かない。併しこれを常に満員に充実するということは実際においてはないのであります。そういう関係で、比較的大学の先生のほうには常に成る程度の欠員というものがあります。そういう関係で不足のほうではありませんけれども、大学の教授、研究所の先生方、そういうほうでは今までも成る程度相当多数の欠員があります。従つて予算の面でそれの費用は相当出て来る、こういう実情であります。
  128. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 国立学校の組織におきまして、国立学校の項で校費四千六百万円流用増をいたしたわけでございます。この使途は大学院等の設備を充実するために必要になる経費でございますが、流用によりまして減らしました費目は、例えば休職者の給与であるとか、備外人の給与であるとか、赴任旅費、そういつたようなものの不用に立至りました金額を廻しておるわけでございます。次の項は大学附置研究所の項でございますが、これも校費に二千六百万円廻しまして、これはやはり附置研究所の設備等の充実のための費用でございます。流用によりまして減らしました額は、職員基本給、赴任旅費等の不用部分を流用によつて減じたわけでございます。大学の附属病院、これは流用によりまして殖やしましたのは、医療機械器具整備費でございまして、その金額は四千九百五十万円、流用の財源は、職員基本給であるとか、赴任旅費であるとか、生徒手当であるとか、食糧費であるとか、そういつた費目から出したのであります。
  129. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部大臣は、大学には常に或る欠員があるのが普通だというような意味の御答弁がありましたけれども、これは非常に重大な問題ではないかと思います。むしろ教師になるのであれば、大学の先生になりたいという希望者は多いわけです。ただそういう人たちが実際には生活が楽でないために大学を去る、これは大臣もそういう例をたくさんお知りになつておると思うのですが、生活のために大学を去らなければならないという人がたくさんあります。それから人が足りないと申しますけれども、これも東京の或る大学の例ですが、研究費のうちから、女子の希望者が非常に多くて女子を履いておる例もあります。従つて研究費、人件費が余るというのは決して大学の正しい状態ではないということを大臣は十分お考え願いたいと思います。そうしてこういう人件費を余したのをほかへ廻わすということをやりますと、各大学は、これはこの前に大蔵大臣にもお願いしたのですが、大学の予算の執行状態については十分御留意願いたいと申しましたのは、やはりこういう問題があるからなんです。で、十分御注意願いますれば、決してこういうことの行われるということは、研究費の殖えることは望ましいことですけれども、こういう形においてされることは決していいことじやないと思いますので、十分御留意を願いたいと思うのです。なお、これに関して両大臣の御所見を伺いたいと思います。
  130. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 大学の先生の待遇の問題、これは御指摘になりますように、私どもとしても今後とも待遇の改善、向上につきましては努力をして、できることならば専門の先生方が、安んじて仕事ができますようにいたしたいと、こう存じております。ただ現実の問題として欠員があり、又従つて予算面も剰余が生ずる場合があるという実情は先ほど申上げました通りでありまするが、殊更に残りが出るようにしておるわけじやないのであります。無論申上げるまでもないのでありますが、大学の先生というものは、これは適格者というものはそうざらにあるものじやなし、又大学はその研究を指導する、又教授をする先生の素質と申しますか、学殖と申しますか、それによつて大学としての価償もきまるのでございます。誰でも、いわゆる俗にいうといい加減の人を教授にするということは大学自身の値打を下げることになりますので、やはり大学の先生には立派な学者を揃えたい、こういうふうに考えておりますので、これは各大学のほうでもそういう考えを持つておりますし、又文部省もさような希望を強く持つております。そういうわけで、申上げましたように、大学の教職員につきましては事実上欠員のある場合が多い、こういう実情がありますので、その結果さような剰余金と申しますか、これが出て来ておるわけでございます。
  131. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 文部大臣の答弁に尽きておるかと思いますが、大蔵省といたしては、十分それらの予算の適正なる配分と又適正なる使用とに注意をいたします。
  132. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連はこの程度にとどめて、あなたのときに又お願いいたします。
  133. 湯山勇

    ○湯山勇君 もうちよつとで済みますから。
  134. 青木一男

    委員長青木一男君) じや極く簡単にして下さい。
  135. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部大臣のおつしやいましたのは、教授の資格査定というのが厳粛なのは私も知つております。そういう意味じやなくて、大臣はそういう点では実情とお考えになつておることと違いますから、その点だけ指摘いたしまして別な機会にいたします。
  136. 青木一男

    委員長青木一男君) 江田君の先ほど通産大臣に対する質疑が保留になつておりますので、この際お述べを願います。
  137. 江田三郎

    ○江田三郎君 先ほど丁度お尋ねするのが通産大臣つたのですが、今度の援助費の使い方ですね。これはまだはつきりとはきまつてないということでしたが、ほぼ見当だけはついておると思うのでありまして、それをお答願いたいと思います。
  138. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この三十六億円の使途につきましては、先般来大蔵大臣からたびたび御説明申しておる通りに、政府部内におきましてもまだ確たる具体的な計画はできておりません。従いましてこれから申上げることも、政府全体のきまつた考え方と申上げるのはいささか言い過ぎかと思いますが、大体通産省の立場におきましてお答え申上げたいと思います。  先ず第一は、この三十六億円というものは申すまでもなくMSAの一環として考えられておるものでございますから、防衛産業の整備に必要な設備資金というものが自然その中で相当の部分を占めることになるのではなかろうかというふうに考えております。それでその際の考え方でありますが、御承知のようにいわ、ゆる城外発注の関係と、それから保安庁自体としての二十九年度の岡内において調達を要するところのものと、この二つのものが一方において考えられるわけでありまして、域外発注等の見込が確実なもの、或いは二十九年度の、予算の上において保安庁関係の発注が予想されるものと、この二つのものを想定いたしまして、それに対して設備としてどれだけのものが必要であるかということを考える必要があろうかと思います。それでさような関係におきましては、大きく分ければ武器、弾薬、艦船、飛行機といつたようなものが挙げられると思いますが、そのうちで例えば砲弾の関係或いは艦船の関係といつたようなものについては、現在予想されるような発注の一程度のものであれば、設備は十分にあるわけでありますから、大した金額はその一面では要らないと思います。で、航空機でありまするとか、或いは弾薬以外の武器関係といつたようなものに或る程度の設備資金が必要であろうかと思われますが、それらを中心にして一応計算をいたして入まして、そのうちで普通の市中金融に乗り得るようなものもありまするので、それらのものを差引いて、どの程度のものが必要であろうかということを勘定して参りますると、大体この三十六億円と称するような金額が一応出て参ります。で、私どもとしては大体それを中心にして考えて参りたいと思うのでありますが、今申しましたような関係でございますから、まだ的確に何産業にどのくらいというようなことは計算をしてはおりません。  なお御参考まででございますが、従来開発銀行からいわゆる防衛産業、或いは直接これに関連する産業への融資がどのくらいあつたかと申しますと、砲弾関係で五千万円、火薬関係で四億円というのが二十八年度中の開銀資金で融資されたものでございます。
  139. 江田三郎

    ○江田三郎君 大蔵大臣お話では、たしかこの投融資というものが採算のとれる企業というようなふうにおつしやつたと私思つておるんですが、どうなんでございますか。それから又そういうことだとすれば、今通産大臣が言われたような所への投融資というものは本当に採算のとれる見通しがあるのかどうか、この中で武器、飛行機というようなものが、今のお話から行くとクローズ・アップされて来るわけですが、飛行機というものなども、恐らくジエツト・エンジンとか、ジエツト・エンジンのオバーホールというようなものだろうと思いますが、そういう企業というものは、本当に今言われましたような域外買付、それから保安庁の需要ということだけで採算がとれるものですか。
  140. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この三十六億円につきましては、開発銀行を通して融資をするということを原因に考えておりますが、その場合におきましても、市中銀行の融資よりは条件等においてかなり楽な条件も予想されますから、これは今一口に果して採算がそれによつて可能かどうかということを、はつきり申上げるまでの自信はございませんけれども、大体従来の経験から申上げますると、やつて行けるのではなかろうかというふうに考えておりますが、その辺のところは、実はJPAからの発注価格の問題とも関連するのでございますので、更に十分に粉討する必要があると思います。
  141. 江田三郎

    ○江田三郎君 そのうちで、まあ新聞あたりで我々が見るというと、とにかく航空機関係というものが非常にウエイトを置かれているように思うのでございますが、一体将来日本の保宏隊のほうで計画されるところの航空機の重要というものはどの程度になつていますか。
  142. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、差当り現在私ども考えておる考えとしては、二十九年度に保安隊が発注し得る程度のもの、そういたしますると、これはもう練習用の極めて何と申しますか、程度の低いものでございます。それから従つてその程度のものでございますれば、普通のやり方、金融等によつてつて行くことができると思います。  それから第二に、ジエツト・エンジンを含む米軍関係のオーバーホールといつたようなものにつきましては、実は相当すでに過去においてもやつておりまするので、この関係においてもそう大した大問題はないと思います。一番の問題は、ジェット・エンジンの試作等について、将来これは必ずしも軍の軍用機ということではございませんが、航空機のこれからの進展に応じまして、ジェット機その他のほうにも手を仲はしたほうがよいのではないかということで、現在民間航空会社関係で、共同出資でジェット・エンジンの試作をやつておりますが、それらについてこの三十六億円をどういうふうに結びつけて考えるべきであるかということについては、いろいろと勢いたしておりますが、その点についてはまだ政府部内として一致した結論は出しておりません。
  143. 江田三郎

    ○江田三郎君 程度の低い飛行機のことはいいですが、ジェット・エンジンの試作というようなことになると、これはよほど大掛りな仕事になると思うのですが、それもただ域外買付だけでなしに、先はどのように日本の保安庁のほうの重要ということも含まれるということなんですが、一体、今のこれはあなたのほうに答えてもらえばいいと思うのですが、将来計画として、日本の保安庁のほうではどの程度のジェット・エンジンを装備したところの飛行機を使うことになるのですか。
  144. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ちよつと補足して只今の答弁を申上げますると、大体航空機自身としては保安庁の関係で、今保姿庁から答弁があると思いますが、いわゆる練習機五十機程度のものというものが、予想されております。それからオーバーホールの関係におきましては、大体従来のオーバーホールを始めましてから現在まで受注いたしておりまする額一は約一千万ドルでありまするから、一千万ドル程度のオーバーホールによる代金を受入れる程度のものは現在すでにできております。それから練習機五十機程度のところでありまするならば、そう大した設備資金なくしてやつて行ける、こういうふうな状況でございます。
  145. 江田三郎

    ○江田三郎君 そこでやはり重点はジエツト・エンジンの試作ということにあると思うのでして、保安庁のほうに先ほどお伺いしたことを伺いたいと思います。
  146. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) お答えを申上げます。従来保安庁長官から数回お答えをいたしておると思いまするが、将来どういうような計画でやつて参るかということにつきましては、十分研究中でありまするが、まだ申上げる段階に至つておりません。
  147. 江田三郎

    ○江田三郎君 それがはつきりしないというと、この、援助資金の使い方というものが果して採算がとれるかどうかということも我々としてはわかりかねるわけですが、まあ時間ございませんから仕方がございませんが、最後に愛知さんにもう一つだけお聞きして置きたいのは、あなた池田さんと一緒に向うへ最初のお話に行かれたわけですが、そのときに、一般経済カの増強というような面からこの援助資金の使い方について、これがただ防衛関係のものだけでなしに、農業関係或いはその他の基礎産業、こういう方向へも使いたいというような日本側の差引は述べられたのかどうか。又それに対して向う側でどういうように答えられたのか。それから更に来年度、今度の一月の特別教書で一億ドルのCCCのあの過剰農産物処理の問題がありますが、そういうようなものが出て来たときには、それは防衛関係産業以外に只今申しますような基礎産業なり、或いは広い意味での経済力の増強という意味から農業への投資というようなことも期待していいかどうかということ、これはあなたが向うへ行かれてお話をされた立場から個人的な見解でも結構です。
  148. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 昨年の秋アメリカに参りましたときには、丁度時期的に申しますると日本の凶作ということがもうすでにわかつてつたときでありまして、たまたまこの余剰農産物の問題で、日本の凶作の打開の一助にしたいというお話が当時すでに正式機関相互間におきましても一つの問題として取上げられておつたわけであります。従つてこのこと自体についての交渉に私が当つたというわけではございませんが、側面的に見まして、できるならばこの贈与分ができるだけ多く、つまり十万ドルというものが、できるだけ千五百万ドルであり、或いは二千万ドルであつて欲しい。それからその額が多ければ、従つてその内容といたしまして、できるだけ経済力全般に受けられるようにということは、我々も希望し、又いろいろの機会においてそういう話をいたしたことも事実でございますが、結果は現在のようなものになつているわけでありますが、併しこれも大蔵大臣からたびたび御説明いたしましたごとく、協定の土において防衛産業ということに限定しているわけではございません。私ども期待しておつた気持は協定の上には出ていると思います。それで先ほどから申しておりますように、城外発注を現存のところでは多かれかしと思うのは、私ども基本的な考え方であります。それがスムーズに調達できるようにするために、日本国内の必要な設備資金にこれが充当できるということは、大きな目で見て日本経済自立に貢献し得るものであると、こういうふうに私は考えております。  それからその次に、本年初めからの大統領教書に示唆されている考え方の問題でありますが、これは私の私見といたしましては、必ずしも余剰農産物の額は多いばかりが能ではないと思うのでありまして、その条件や使い方について、いろいろと日本としての立場をはつきり打出す必要があると思いますが、これは相当贈与分が多く、而もその内容が今御指摘のように農業の開発でありますとか、或いは更に一般的な経済発展のために使い得るというようなことになれば、それは一つの望ましい行き方ではないか、こういうふうに考えておるわけでありまして、最近の諸外国とアメリカとの関係のいろいろの例などを見ましても、そのことは期待が必ずしもできないわけではなかろう、こういうふうに見ておるわけであります。
  149. 江田三郎

    ○江田三郎君 期待が今できるなら、なぜこのときにもう少し今度の一千万ドルについてできなかつたかということについて、どうもわからんのでして、今期待できるのなら、この一千万ドルにだつてもつとはつきりできたのじやないかと思うのです。そんなことはできないのじやないか。あなたのお話を聞いているというと、結局域外買付ということに重点が、おかれるのじやないか、域外買付ということは、結局日本の経済を自立さすのじやないと思う。自立じやなしに隷属じやないか。或はこういうようなジエツト・エンジンの試作あたりにこの金が多く使われるというようなことになるというと、そういうものを作つたがために、その産業からして、その産業構造自体からして日本がだんだんと軍事工業へ引ずり込まれるのじやないか、或いは戦争を望む国になつてしまうのじやないかというような点をどうも印象とみては受けますが、若し違つていればお答え願いたい。
  150. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 只今御指摘の中で域外調達の問題がありましたが、これは私の言い方が足りなかつたかも知れませんが、私の言う域外調達はドルが獲得される意味の域外調達であります。それを中心に考えて贈与になる分が円で使える場合には、その域外調達のドルの分が多くスムーズにこなせるだけの設備資金というような意味合いにおいてこれが使えればいいのだということを、五千万ドル及び一千万ドルについて申上げたつもりであります。それから将来の分については、これは私の一個の考え方でありますが、昨年の秋品以来の余剰農産物の交渉の場合の客観的な条件と、それから本年一月の大統領教書に現われておりまするアメリカの置かれておる立場といいますか、これには相当の私は変化もあると思うのでありまして、私どもは新らしいこの一月以降の情勢の下において考えれは今申しましたような期待ができるのではなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。
  151. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 関連して。今の通産大臣お話で、練習機五十機程度保安庁のほうで考えておるので、これに関連して今の資金の使用方法が考えられるのじやないかというようなお話つたように思うのですが、私たちが頂いておる資料によると練習機はT六Gが二十機、T二八が三十一機、T三三が十機、合せて六十一機が問題になつていて、而もこの六十一機はMSAに期待をするということに資料ではなつておるようですが、これ以外に今愛知さんの言われた五十機を国内で調達するというものがあるのかどうか、その辺のことはどうなつておるのですか。  それからそれに関連して従つてここで現有の航空機とそれからMSAに期待する航空機の機種、機数が出ておりますが、これ以外に内地の調達を今年度中に予想されておるものが、その他のものに亙つてどれくらいあるか、それも併せてお伺いしたい。
  152. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 保安庁の数字でございますので便宜私のほうからお答え申上げます。二十九年度予算の前提として見ておりまする調達機攻は、基本練習機がT三四三十機であります。そのほかに、お示しのようにアメリカからの供与を予定いたしましてT六G二十機、それ以外に二十八年度予算におきまして調達を予定されておりますのが六十六機ございます。それらを合引いたしますると百二十機程度の現有機攻でございます。これが今後どういうふうな練習計画に相成りますかは、これは長期の計画関連いたしますので、はつきり申上げられないのでありますが、この練習機にどの秘度の消耗率を見ますか、その消耗率の見方、そこら辺を大体腰溜めで御覧願いまして、経済審議庁で、先ほど申上げたような数字になつたというふうに考えております。
  153. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 この予算案に関連して御質問に入る前に、先ほど相馬君から日本とフイリピン賠償問題に対して経過並びに見通し等について御質問があつて、小瀧政務次官から経過的な御報告はあつたのでありますが、併し非常に我々としてはこの問題に関しては重大な関心を持たざるを得ないことは改めて申上げる必要もないと思いますが、ともかく両国間に、全権が参りまして、而もこういう食い違いが起つて来て、場合によれば決裂も予想される。小瀧政務次官の話では五分五分だというお話でありますが、我々としては先ほどから論議になつております三十六億の金、催か一千万ドルの金についても日本の国として重大なる関心を持つておるので、外務大臣としては多分我々の承知しておるとこるでは、二億数千万ドル程度でこの賠償問題を解決したいという考え方の下に交渉を進めて、双方の大体考え方として一億ドルまで上げ、その経済価値が十億ドルの価値を発揮する程度まで譲歩された問題だということを考えますと、日本の経済と関連いたしまして、無論本年度予算については、平和回復善後処理費が成る程度増額を見積つてはおりますが、重大な関心を持たざるを得ないと思いますので、両者の実質的な交渉の食い違いの諸点というものについて、更に外務大臣から御答弁を願いたいと思います。
  154. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 我々は勿論フィリピンの政府を相手にいたして話合いをいたしております。この結果はフィリピンの外務大臣日本の駐在公使との間に一応の話がまとまりまして、両者の共同のコミユニケを発表することになつております。従つて全権を派遣することにして、先方の承諾を得て村田主席全権以下を派遣したわけでありますが、先方では、今度は政府側は勿論今でも承知されるものだと思いますが、要するに国会にかけて国会の承認を得なければならない。ところが国会の上院は二十四名の定員でもうすぐわかるわけでありますが……、つまり政府が調印しても国会でこれを可決されなければ意味がないというので、ついでに国会との間の話をいたしておるようなわけであります。ところが国会側のほうでは、なかなか政府側の案では承諾できないというような意見の模様でありますので、非常にむずかしくなつて来ておる。要するに食い違いはフイリピン政府国会との間に存在しておる。
  155. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 その食い違いの主なる内容をお話、願いたいということを申上げたのでありますが、今外務大臣お話を聞くというと、向うのほうが国会も非常に尊重して、事前に国会と条約の案文について考えるようなところまで行つておるということは、日本政府の対国会に対する態度とよほど食い違うことを私は痛感せざるを得ない。かたがた今外務大臣の御等分自体も又非常にもうそういうふうな段階なつたときには、もう少しはつきり内容についてどういうところが食い違うのかということをおつしやつて頂くのが当然でなかろうか、こう考えますので再度御答弁を願います。
  156. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) つまり政府国会側との問に話合いがうまく行かないのであつて、これは我々としても間接に承知しておるだけで、ここでこうだと言つてはつきり申上げるだけの正確な材料を持つておりません。併しいろいろな情報から推測しますると、国会側は、これは非常にはつきり必ずしもしていないのですが、十億の支払ということと、五年の期間というふうに一応しておるように思うのでありますが、これは勿論動かないものであるかそうでないかははつきりいたしておりません。一応新聞等で伝えられておることも大体それに似たようなことでありますから、その辺じやないかと、こう思うだけであります。
  157. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 今主たる食い違いは期間の問題と千億ドルという問題との差であるというお話でありますが、その十億ドルについては、向う側の主張は役務賠償だけであつてはならないという点が新聞にも仕えられておるのであります。私は恐らく外務大臣は新聞だけでなしに毎日向うと御交渉があるだろうと思う。殊に新聞の報ずるところによれば、村田全権は場合によれば帰らなくちやならないから、若しも政府政府の間に約束が十分守られているならば、少くとも条約は調印されてあと向うの国の内部関係の問題になつて来ると思うのであります。併し、と同時に、村田全権は直接にも向うといろいろと話合いをしておられるというふうな状態でありますから、お見通しはどういうふうになつておるのですか。
  158. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) まだ現地からもはつきりした見通しは来ておりません。で、これは長い間のいろいろな話でありますから、私としては今のところはやはり半分々々ぐらいしか見通しはない。つまり五分、半分ぐらしいかできる見通しはないのじやないかと思つておりますが、併し最後の最後まで努力をさせるように全権にも言いたいと思つております。全権も勿論やつております。
  159. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 まあ交渉の段階段階であるから、相当端的にお話になりにくいのかとも考えますが、この条約に関して先ほど相馬委員との間にも疑問があつたのでありますが、私この点だけは、一点だけは外務大臣の御見解を承わつておかなければならないということを感じるのでありますが、第八条の、先ほど相馬君が引用いたしました「安全保障条約に基いて負つている軍事的義務を履行することの決意を再確認する」、こう書いてあるのであります。で、従来政府の安保条約の前文についての御解釈は、期待であつて義務でないのだという解釈を終始とつておられる。で、更にMSAに関して、安保条約において負うた義務以上のものは何ものも負わないのだというお考えを述べられておつたのでありますが、この案文を見ますと、安保条約を締結したそのときに、やはり軍事的業務を履行するという決意を持つてつたのであつて、こちらが単純に向う期待であつて、条約上の義務でないと考えておつたことは誤りであつたのだというふうに考えられるのでなかろうかと思うのが第一点であります。第二の問題は、特にこの八条でお聞きしておきたいと思いますことは、「自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的な推置を執り、」という点でありますが、これについて岡崎外務大臣は、前にこの二段の点につきましては、日本の防衛力を増強することが即も自由世界の防衛力を増強することになるのだ、だから日本の漸増方式そのものだけなんだ、以上に出ていないのだという、こういう御答弁に近い御答弁があつたと私記憶いたしておるのでありますが、それならば特にここに自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展、維持というふうに二つ並べて見てそうしてこの問題について特にここに提起する必要がない、岡崎外務大臣のようにお考えならば特にここに提起する必要がないのであつて、何らかの積極的な協力関係についての御相談なり意思表示があつたんだと、こう考えますが、会談の内容及びこの文句についてどう御解釈なさるかをお聞きしたいと思います。
  160. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 先ず全般的に申しますと、これは例の五百十一条の中に書いてある言葉でありますから、新らしい問題として出て来るよりも、この五百十一条の(a)は何である、(b)はどういう意味である、(e)は、どういう意味であるということを確かめて、日本として差支えなければこれを入れようこういうことで話をいたした。そこで先ず申上げたいのは、私が一番先にMSAで発言いたしましたのは昨年の六月二十六日でありましたか、日米の交換公文をやつたあとでありますが、そのときから一貫して説明しておりますのはを保条約以上の義務を一員うということはないのだということは言つておらないのであつて、安保条約以外の義務も負いまするけれども、あそこの第三項に書いてある軍事的義務というものは安保条約に言つておる義務以上のものは出ない。従つてこの協定を御覧になれば、第二条においては、アメリカに対して品物を供給する場合の約束もしておりますし、又要らなくなつた装備は返還するという約束もいたしておりまするし、又ここにある防衛力の増強と、いろいろの約束いたして義務は負つております。負つておりますが、いわゆる軍事的義務というのは、安保条約の義務以上を負うていない、こういうことを言つておる。従つて前文にある漸増を期待するというのは、あのときは期待であつて今度は防衛力を増強するというのは、安保条約の義務のところじやなく、その次のところに約束いたしておるのであります。従つてこれは新らしい約束でありますが、いわゆる軍事的義務として負つておるのじやなくて、その別の項に負つております。  それから自由世界、私は実はほかの日本の防衛力が増強することは自由世界の安定に寄与する、これは確かに言つたと思いますが、MSAの援助に当りまして、ほかのほうには全然援助しなくていいんだというふうには言つていないと思いまするが、これは記憶違いかも知れませんが、私の考えから言うと、そういうことを言うわけはないと思うのであります。要するに自由世界の防衛力の発展の維持にも寄与するということは、あの文句でありますから、これを確かめましたところが、これは何も人力を以てするとか或いは日本の設備を以てするという生の人力や設備を持つて行つて援助するというのではなくて、こういう人力や設備、資源の許す範囲内においてできるだけのことをするというので、例えば早く言えば、域外買付に応じて品物を供給する、こういうような趣旨のことと了解いたしておりまするので、この約束もいたして差支えない、こういう考えからこれを挿入したわけであります。
  161. 青木一男

    委員長青木一男君) 堀木君、御質問の途中でありますが、本会議出席のために休憩いたします。それでは休憩いたします。    午後四時休憩    —————・—————    午後五時十一分開会
  162. 青木一男

    委員長青木一男君) 委員会を開きます。  本日は都合によりこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後五時十二分散会