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1954-03-26 第19回国会 参議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十六日(金曜日)    午前十一時二分開会   ―――――――――――――   委員の異動 三月二十四日委員酒井利雄辞任につ き、その補欠として、横山フク君を議 長において指名した。 三月二十五日委員白井勇君、村上義一 君及び湯山勇辞任につき、その補欠 として、瀧井治三郎君、加藤正人君及 び永岡光治君を議長において指名し た。 本日委員永岡光治君及び小林政夫君辞 任につき、その補欠として、湯山勇君 及び新谷寅三郎君を議長において指名 した。   ――――――――――――― 出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            小野 義夫君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            泉山 三六君            大谷 贇雄君            鹿島守之助君            小林 英三君            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            西岡 ハル君            宮本 邦彦君            横山 フク君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            加藤 正人君            岸  良一君            新谷寅三郎君            田村 文吉君            高木 正夫君            中山 福藏君            岡田 宗司君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            藤原 道子君            三橋八次郎君            湯山  勇君            相馬 助治君            戸叶  武君            苫米地義三君            千田  正君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    文 部 大 臣 大達 茂雄君    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治庁財政部長 後藤  博君    法務省刑事局長 井本 台吉君    外務大臣官房会    計課長     中村  茂君    大蔵政務次官  植木庚子郎君    大蔵大臣官房長 石田  正君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    文部政務次官  福井  勇君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    運輸省自動車局    長       中村  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件分科会主査報告昭和二十八年度一般会計予算補正  (第3号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和二十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  昨日の、委員長理事打合会の結果に基きまして、本日は先ず各分科会主査より審査経過について報告を聞いた後、昭和三十八年度一般会計予算補正(第3号)について短時間質疑を行い、直ちに討論採決に入ることに決定いたしました。午後は補助金等予算執行適正化に関する法律案要綱について政府より説明を求め質疑を行う予定であります。なお昭和二十九年度予算については、明二十七日及び二十九日の両日総打質疑を行うことに決定いたしました。なお、大蔵大臣只今衆議院大蔵委員会出席中であります。それで補正予算質疑に入るに先立つて委員会出席することになつておりますから、主査報告の間は政務次官において代理をしてもらいますから、さよう御了承願います。  それではこれより各主査より順次御報告を願います。第一分科主査森君。
  3. 森八三一

    ○森八三一君 第一分科会におきまする審査経過並びに結果を御報告申上げます。  本分科会に付託せられましたのは、会計松査院法務省、外務省、保安庁運輸省並び大蔵省所管昭和二十九年度一般会計歳入歳出予算特別会計歳入歳出予算及び政府機関収入支出予算でありますが、本分科会といたしましては、先ず政府委員からそれぞれ所管予算内容説明を聞き、それより関係大臣出席を求めて質疑に入りました。三月二十五日には特に参考人として日本開発銀行総裁小林中氏、同行審査部長竹俣高敏氏、日本銀行理事舟山正吉氏、保安庁第二幕僚副長長沢浩氏の出席を求め質疑を行いました。  以下質疑応答の主なるものについて御報告申上げるのでございまするが、先ず造船問題につきましては、会計検査院に対し、計画造船に関し造船業者よりのリベート船便低下を来たし、国に対し損害をかけることにはならんか、会計検査院造船利子補給につき、検察庁とは別個に船会社市中銀行検査を行うべきではないか、日本開発銀行検査の結果はどうであつたか等の質疑がございました。これに対し佐藤会計検査院長より、リベートについては法律上、事実上複雑な問題があるが、会計検査院は第九次前期計画造船の分について検査をすることとなつたが、今後利子補給契約が結ばれたら、第六次造船まで遡る方針である、開発銀行検査した結果十二件ばかり不当貸付と思われるものについて銀行側に注意したとの答弁がありました。法務省に対しましては、造船のリべートが大規模に派手にやられたのはむしろ第六次、第七次計画造船であり、当時は銀行造船と言われたほどで、リベートは相当市中銀行に廻されたと見るべきである、又造船汚職摘発が第十次造船を遅延せしめるので、早く何とかしてほしいという造船方面要望によつてブレーキがかかる虞れはないかとの質疑がありましたが、法務大臣より、検察当局摘発は第六次造船にも及んでおる、市中銀行が若し共犯関係にあることが明らかになれば摘発をする、汚職摘発によつて第十次造船の遅れるような事態は重大問題であるが、検察当局としてはこれを考慮して摘発を緩めるがごときことは考えない旨の答弁がありました。又、今後計画造船運輸省開発銀行としてどうして進めて行くかの質疑に対し、石井運輸大臣は、船舶はまだ不足であり、船は造らねばならんと考え明年度二十万トンの計画を立てているが、造船汚職問題が起つて以来、市中銀行船会社方面は傭略しておる、計画造船を続行するとしても、その前提として海運界整理統合が必要であると思うが、これを円滑に実行するためには統合後の運営を保証するような何らかの手を政府として打たねばならんので研究をしているとの答弁がありました。又、小林開銀総裁からは、運輸省造船四ヵ年計画が今日の経済情勢にマッチしているかどうか再検討すべきである、海運界合理化は必要で、開銀債権確保の上からも避けられない、政府の従来の海逮政策膏薬張りで遺憾であるとの答弁がありました。又、造船業界の破滅を防止し、且つ安い船価の船を造るために政府がみずからストック・ボートを建造し、これを海運業者に貸下げるという方法をとるべきだと思うがどう思うかとの質問には、市中資金が出なければ全部財政資金で賄うことも考えねばならず、船会社のすつきりした統合ができない場合、最後方法として十分研究してみると、運輸省開銀より答弁がありました。  又、保安庁予算に関しましては、三十年度増勢目標は、過日委員会木村長官より伺つたが、これを予算化すればおよそ幾らぐらいになるか、保安庁長官国防費目度として国民所得或いは予産総額幾らまでというような考えがあるか、二十九年度増勢なつたものの平年度化と三十年度増勢を予想すれば、結局三十年度防衛費は一千億円以上に達すると考えてよいかとの質問に対しまして、木村長官は、防衛費は無制限に増加できるとは考えないが、国民所得予算総額幾らが妥当かときめることも不可能であり、三十年度増勢目標も一応の試案の租度で、予算幾らになるとは言えないと答弁されました。併しその後平年度化した場合の経費の予想につき検討されて、結局三十年度保安庁予算が一千億円以上になるであろうと保安庁長官も承認されました。更に、二十八年度国庫債務負担行為で承認された百二十四億円の契約進捗の状況、遅延の事由、警備計画に及ぼす影響等に関する質疑がありましたが、警備船発注については年度内に契約できる見込のないこと、発注が遅延した理由設計に万全を期し、漸く最近に至り設計が完了した次第であり、その間に発注につき政党方面からの圧迫というごとき事態は全くない。完成の多少遅延することは新規の計画である以上止むを得ないと思う等の答弁がありました。  なお、以上のほか法務、大蔵両省関係では、保全経済会その他の利殖機関に対する政府措置の怠慢であつたことに対する責任問題、最近各種の類似保険業務をなすものが多いことに対する取締りの要望ガソリン税引上理由日本航空輸送会社航空機購入に関する問題、日本銀行経理内容印刷局職員給与等に関する重要なる質疑とこれに対する各関係当局者からの答弁があつたのでありまするが、詳細は速記録によつて御承知頂きたいと存じます。これを以て簡単でありまするが、第一分科会報告を終ることにいたします。
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 第二分科会主査三橋君。
  5. 三橋八次郎

    ○三橋八次郎君 第二分科会に付託されました案件は、昭和二十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び同政府関係機関予算北海道開発庁経済審議庁農林省通商産業省及び建設省所管に属するものであります。  さて、本案の審査に当りましては、本月二十四日主査、副主査互選の後直ちに各省庁より提案理由説明を聴取し、質疑に入つたのでありますが、二十四、二十五両日に亘る審議における主なる事項の若干を申上げますれば、以下の通りであります。  先ず経済審議庁及び通商産業省所管につきましては、国土総合開発上の問題として、降雨量調査とも関連して降雪量寒冷度等について総合的に研究する必要がある。これに対する方策があるかとの質疑に対し、水の調査からやりたいと考え国土総合開発の名でやつている同じやり方で雪もやりたいと考えているが、まだ着手されていないとの答弁があり、水の副査は各省個々に分れてやつているが、調査はできたか、又、水の調査に関連して水利権の問題を取上げてやつているかとの質疑に対しては、水の調査国土総合開発審議会水部会を設けて昨年春から始め、机上、実績両調査とも一応やり、すでに蝋山委員長から答申も出て検討している点から、よいものができると期待している。又、水の量、質等調査水利権というような研究とは区別してやるべきものと考えており、現在は河川法の分野で扱うことになつているとの答弁があり、更に経済審議庁のあり方について、今日の中ぶらりんの形で行けば内閣調査局に成り下つてしまうではないか、各省のセクショナリズムを調整する権威ある機関に確立する意思はないかとの質疑に対し、愛知経済審議庁長官より、経済審議庁政党が保守、革新のいずれであつても、我が国経済自立を推進せしめて行く上に大切な機関考えている。経済自立達成困難の際、頭脳の仕事が多く要請されておるのであるから、権限というものはなくても、今後一省だけでこなし得ないものが出た場合は、経済審議庁がやり得るよう組織法改正機会もあると考える御答弁がありました。  次に、通商産業省所管について申上げます。外貨予算政府で決定したようであるが、その概数はどうか。又外貨保有最低限度額幾らに見ているか、輸入も余り増せない、さりとて為替レート変更もしないとすれば、こ重価格制度は避けがたいと思われるが政府の態度はどうか等の質疑に対して、通通商産業大臣より、今日の閣僚審議会外貨総額二十一億四千五百万ドル、上期十億五千万ドルと決定した。又外貨保有限度の問題はいろいろ説もあるが、政策面からできるなら六億ドル前後、五億数千万ドルが最も妥当な限界と考える。レートも何とかして実勢レート、百六十円に回復するよう努力する。そこで二重価格制の問題が出て来るわけであるが、現状においてはIMSから苦情を言われない、即ち三百六十円と乖離しない条件で便法として考えねばならん。やりたくないことではあるが、限られた部面においては止むを、得ないとの答弁があり、又原料輸入先の調整、中共貿易対策加工貿易に対する金融措置等について政府の所見を質したのに対しては、通産大臣より、原料輸入の選定に特に注意を払い、地域別に均衡を保つていきたい。加工貿易中小企業取引金融対策も余り十分とは言えんが、二十八年度より若干多くなつている。中共貿易に対してはMSA協定に伴い制限あるも、西欧並みということになるから塩等はもつと輸入を図りたい。中共向け輸出も最近相当進んでおり、今後も期待できる見込であるとの答弁がありました。  次に、農林省関係について申上げます。一兆円予算によつて農林省関係ダム建設が中途で延ばされ、灌漑用水がストツブされ、ここ二、三年間は所期の目的たる食糧増産はできない。来年度水路を付ければ水が来るところまでできているのに、予算を切られたため完成できないものもある。こうした場所には補正でやるわけに行かんかとの質疑に対して、保利農林大臣より、食糧増産対策上すでに手を付けて事業を大規模にやつているものに主力を置いて完成を早めて行く。大事な所はできるだけ早くするため、昨年より予算も多く付けてある。苦しい予算ではあるが、具体的には個々のその場で按配して食糧増産に悪い影響が及ばないよう配慮する。ダムができても水が来ないような場合は、事情に即してできるだけ予算の範囲内でやつて行き補正はなさないとの答弁があり、又外貨予算削減に伴い、輸入食糧計画変更を来たすことはないか、若し減つたら配米食率統一考えはないか等の質疑に対し、農林大臣より、米に関しては百十四万トン輸入計画変更はない。二十九年度配給量支障はないが、三十年度については食糧対策審議会作つて折角検討中で、新年度に入ると何とも断言はできない。又消費県と生産県との米食率統一はしなければならんと考える。又改良普及事業費補助率を三分の一から三分の一に減じ、その差額相当額交付税交付金の中に入れて実際上減らないようにしてあるとのことであるが、地方によつて窮窟な財源の関係から果してその通り出すかどうか不安な感を免れない、それより国としてあらかじめそういうことのないよう必ず出させることに通牒でも出す必要があると思うが、どうかとの質問に対しては、改良普及事業か後退することのないよう、お説のごとく、唯今各地方長官に対し厳重な通牒を出す準備中である旨農林政務次官から答弁がありました。  最後に、北海道開発庁及び建設省開発について申上げます。北海道食糧増産関係において改良開墾といずれに重点を置いてやつているか、改良より開墾に力を注いだほうがよいと思うがどうかとの質疑に対し、日本にある未開墾地百五十五万町歩北海道で七十五万町歩を占めており、そのうち泥炭地二十万町歩もある、この泥炭地開発食糧増産上大切なので、それぞれ外国専門家を招聘して泥炭地開発の助言をしてもらうことになつているとの答弁があり、又北海道開発問題に付帯して、交通機関整備の問題が重要である。大量輸送物資には鉄道建設に待たねばならん、予算関係もあるだろうが、もつと積極的にこの方面に意を用いる必要はないかとの質疑に対し、大野国務大臣から、誠に同感で、道路のみに依存することなく、港湾、鉄道等に頼らねばならんと考え運輸省へはたくさんの要望路線を出したが、緊縮予算に会つて思うようにならなかつたことは残念で、今後も予算獲得に努力するとの答弁がありました。  建設省関係過年度災害のほうはどうなつているかとの質疑に対し、二十四年度以降二十七年度までの災害は、二十八年度末の事業枠で七百十一億円、補助枠で五百十八億円となつている、これを二割減に査定して四百億程度に圧縮し得るものとみている、これを二十九年度に約九十億円計上して残額三百十億円となり、これが三十年度以降になる、昭和三十八年度発生分は国費千十一億円、そのうち百三十五億円は同年度支出済、二十九年度は三百七億円計上してあるから、合計して二十九年度末に三四%約三分の一以上片付くはずであるが、これだけでは府県要望の線に不足するので、大蔵省とも融資等につき個々のものについて協議しているとの答弁がありました。  以上、当分科会における審査の概要を申し上げましたが、詳細は速記録につき御承知下さるようお願いいたします。  右御報告申上げます。
  6. 青木一男

  7. 相馬助治

    相馬助治君 第三分科会におきまする審査経過並びに結果を御報告いたします。本分科会に付託せられました案件は、昭和二十九年度予算皇室費国会裁判所内閣総理府保安庁北海道開発庁経済審議庁を除く)文部省厚生省郵政省及び労働省所管予算であります。本分科会は三月二十四日、二十五日の両日亘つて審査を行い、分科会にふさわしく細目に亘り各委員政府当局との間に熱心な質疑応答が行われました。以下簡単に本分科会審査に当り問題となりました主な点を申上げます。  先ず皇室費につきましては、先般の二重橋事件等に鑑み、皇室国民との接触を多からしめるための措置、即ち行幸啓の数或いは皇居を開放する等の措置予算上考慮されているかどうか。又正倉院御物或いは桂離宮等の文化財について、どのようにして保存上遺憾なからしめつつ、而も成るべく広く一般国民に鑑賞の機会を与えるか等の問題について質疑がなされ、今後十分に指摘された点を考慮して行きたい旨の答弁がありました。  裁判所所管につきましては、二十九年度予算には庁舎の新営その他施設費として二億三千万円が計上されているが、裁判所の建物は少し立派過ぎるのではないかとの質疑に対しまして、裁判所側から、過去においてそのような批判もあるので、裁判所庁舎としての必要もあるが、極力自粛して、二十九年度新営庁舎規模はできるだけ圧縮しているとの答弁がありました。  総理府所管につきましては、国立世論調査所をなぜ廃止するかとの質疑に対しましては、国として世論調査の必要を認めていることは勿論で、世論調査企面部門だけを残し、実施は外部に姿託することになり、今回の予算においてもいささかの支障もない旨の答弁がありました。  文部省所管につきましては、国立大学は多過ぎる嫌いがあると思うが、濫設を防止し、更に進んでこれを整理する考えはないか。学区制は根本的に再検討すべきではないか。育英資金貸付金額は、今日の経済情勢から見て果して、妥当と思うかどうか。学校給食法はいつ提案するか。その予算措置はどうなるかとの質疑に対しまして、現在の国立大学が多過ぎるとは考えていないが、その内容はまだ充実していないので、各大学がそれぞれの特色を出すような方向沿つて内容の充実に努力したい。学区制を廃止する考えは目下のところない。育英資金は勿論不十分であるが、財政上の関係もあり、一挙には行かないので、年ごとに或いは単価を引上げ、或いは数を殖やす等で、十四、五億円から漸く四十億円近くになつた。学校給食法は今国会提出するが、その法案の内容は、二十九年度予算限度以上には出ないとの答弁がありました。  厚生省所管に関しましては、保育所予算は二十九年度著しく削減されており、又二十八年度についても実際は予算不足するのではないか。最近の結核実態調査の結果、結核患者が意外に多いことが明らかとなつたのであるが、この際結核対策を根本的に建直す必要があるのではないか。食生活改善について、厚生、農林両省関係はどうか。我が国の人口問題は極めて重大であるが、受胎調節実地指導員の資格を持つている助産婦保健婦避妊薬を取扱せないのは不合理ではないかとの質疑に対しまして、二十八年度保育所経費不足予備費から五億円支出したので無理なく賄うことができる。二十九年度予算不足するかどうかについてはもつと検討を要するので今直ちに結論は出ない。結核実態調査の結果が判明すると、結核対策を相当根本的に検討し直す必要があると思う。食生活改善については、農林省生産即ち量の面、厚生省国民生活即ち質の面から両者緊密な連絡をとつて分担しており、縄張り争いや重複などはない。助産婦等に医薬品を販売させるには現行法改正を要するが、避妊薬の取次ぎをすることは差支えない。必要によつて地方に対し指示なり指導なりを行いたい旨の答弁がありました。  郵政省所管につきましては、郵政事業局舎建設費は二十五億円計上されているが、一万四千の局舎を有する郵政省としては少きに失すると思うが、局舎整備についてどのような方針を持つているか。簡易保険最高限度額を十五万円に引上げたのに伴い数十億円の簡保資金が増加するわけであるが、この種の資金の一部を局舎整備に振向ける等の工夫はないか。簡保資金地方還元は適切に行われているかとの質疑に対しまして、現在の制度では簡保資金を直接に局舎整備のため利用することはできないが、間接的な方法として現に資金運用部資金から五億円を借入れることとなつているので、この種の起債の枠を拡大すること等で今後とも局舎整備に努力したい。簡保資金運用地方公共団体への貸付に限定されているが、府県よりも町村への貸付、特に学校病院関係への貸付重点をおいて、できるだけ加入者階層へ近いところへの還元を図つているとの答弁がありました。  最後労働省所管につきましては、過般三公社五現業の俸給表の切替えが行われた結果、一般公務員に比し、昇級原資等の点で相当不利であることが明らかとなつたが、これに対し労働大臣はどのように考えるか。又二十九年度緊縮予算に関連して政府の基本的な労働対策はどうかとの質疑に対しまして、仲裁裁定実施の結果、一般公務員との間に若干の差が生ずるのは現在の公労法の建前上止むを得ない。労働問題に対する政府基本方針としては、これを労使間だけの問題とせず、広く我が国経済自立の観点に立つて労使協力して労働生産性を高め、名目賃金を上げる代りに実質賃金の向上を図つて行くような方向に進めたい旨の答弁がありました。  その他各省所管につきまして、広汎多岐に亙る質疑応答が行われたのでありますが、その詳細につきましては速記録によつて御承知を願いたいと存じます。  かくて質疑を終り、予算委員会委員長理事の打合会の決定に従い討論採決はこれを行わないこととし、以上を以て第三分科会審議を終了いたしました。  以上御報告申上げます。
  8. 青木一男

    委員長青木一男君) 以上を以て各分科会主査報告を終了いたしました。   ―――――――――――――
  9. 青木一男

    委員長青木一男君) これより昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)について保留されておる質疑を行います。
  10. 小林武治

    小林武治君 私はこの際本予算成立後の執行につきまして政府の見解を伺つておきたいのであります。即ち本予算案は畢竟いたしますに、昭和二十八年度における義務教育費国庫負担金不足分を追加補正したものであるから、この二十七億八千万円の予算執行に当りましては、すでに国庫負担金概算交付を受けたる府県のうち、著しくその不足を訴えつつある事実にも鑑みまして、本予算の支給の対策を東京、大阪、神奈川等の三都府県に限定しないで、既定予算と合せて一本としてこれを府県間に公正に配分交付すべきものと思うのでありますが、このことにつきまして文部大臣の考え方を伺つておきたいのであります。
  11. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 只今まで調査いたしましたところでは、大体十億円程度赤字が各関係府県において生ずるのではないか、こういうふうに考えられます。このたびの補正予算に要求されました二十七億数千万円の予算は、これは富裕県に対する分として計上されておるのでありますが、併し成立をいたしますれば、これは予算としては一本になるのでありますから、現在調整のために残されております七億円と、これを合せまして一本として実際に即して不公平のないように配分をいたしたい、かように考えております。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 前回質問をいたしましたのに対して、文部大臣のほうで御答弁を頂けなくてそのまま保留になつておるのを御答弁頂く前に、今の小林委員質問に対する答弁の中で、十億の赤字が大体見込まれていると、なお現在七億ばかりの操作用の金が残つているというお話でございましたが、この七億はすでに予算化されているものが残つているのであるから、十億という赤字はそれ以外に十億あるのが、現在見込まれている十億の中の七億は現在手持で埋め合せがつくとこういう意味なのか、その点をはつきり一つさして頂きたい。
  13. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 現在留め置になつております七億円は、赤字のできます府県がそれぞれ非常にでこぼこができる、非常にたくさん赤字になる県と比較的に少くて済む県と生ずることが予想されまするので、その間不公平のないようにという意味で留め置になつておるのであります。従つて、これは十億円とは別のものであります。先ほど申上げましたように、このたびの補正予算が成立いたしますれば、この七億円とそれから二十八億円というものはこれを一緒にいたしまして、そうして富裕県以外の県をも含めて実情に即して不公平のないように配分をいたしたいと、かように考えております。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 御確認願いたいのですが、それでは各府県について言う場合には、現在文部省で出さなければならないで留めておる七億と、当然赤字として見られる十億、合計十七億の不足があると、こういうことになるわけでございますか。
  15. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 留め置きになつておりますから、これは当然に配分をいたします。その配分をいたしましてもなお十億程度の赤字が生ずるのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 ですから、なお文部省が今後支払わなければならない金額の総計は十七億あると、こういうことになるわけでございますね。……それでそのことを御確認願つたので、次に前回質問いたしておりました定員数の違いについて資料をお願いたいと思います。
  17. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 二十八年度予算上の定員でございますが、これは一般県と政令県と御承知のようにございますけれども、問題は一般県でございますから、一般県のほうについて申上げますと、三十九万七千人と相成つております。これにはこの前もお話のございました教育委員会事務局勤務の教員の二千五百人という数字を含んでおりません。それで十二月に各県から報告を受けました人員は三十八万四千人と相成つておりますが、これは二千五百人を含んでおる数でございます。まあかような数に相成つておりまするが、この三十八万四千人の十二月の実人員でございますけれども、これは四月から十二月までその採用時期は区々になつておりますので、全体を含んでの数字でございますので、所要の給与額から見ると一年分を必要としない数も含んでおる、かように考えております。又この三十八万四千人の中には更に国庫負担の対象になりません非常勤講師等も含んでおるのではないかと、かように考えまして、只今十分調査をいたしておるところでございます。大体計数について御説明申上げました。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 この義務教育国庫負担金の支払はどういうふうにやつておられますか、年何回。
  19. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) その前に、ちよつと私計数を聞違えましたので訂正いたします。予算の定員は三十七万九千人でございます。ちよつと数字を取り違えました。  交付の方法でございますが、これは二十八年度につきましては、各月ごと、或いは二月まとめたこともございますが、さような方法概算交付をいたして参りました。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 それでは各月の各府県の定員実人員、給与額というのは文部省でわかつているのですね。
  21. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 当初一番初めは、三十八年の一月の数とその次は六月の数と、それから更に九月の数と、そういうものを基準にいたしまして交付をいたしておるわけであります。
  22. 湯山勇

    湯山勇君 今の資料について更にお尋ねいたします。大体教員身分で教育委員会に勤務しておる者、最大限に見て二千五百、これを仮に差引くといたしましても五千からの違いがありますね。どうしてこんなにたくさんの違いを見なければならないのですか。
  23. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今の計数、五千までは違わないのでございます。二千幾らでございましようか。先ほど申しましたように、四月からの出入りと申しますか採用の時期が区々になつておりますから、十二月まで採用された総数がさような数字になつておりまして、実数でございますから、従いまして、予算上の所要額というものはこの実数の所要額までは要らんだろうとかように考えております。
  24. 湯山勇

    湯山勇君 それでは更にその点についてお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど大体十億の赤亭が出るという計算をしておられますが、これは各府県別に検討して、今のでこぼこがあるというお話でございましたから、各府県別に検討してそれを集計して出したものか、いいかげんに漠然とそうだろうと言われたのか、どちらですか。
  25. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) この十億という数は固まつた数字では勿論ございませんが、只今府県別に十分調査をいたしている次第でございます。まだその計数は固まつておりません。
  26. 湯山勇

    湯山勇君 計数がわからないのにどうしてこういうことがわかるのですか。つまり各県別の計数がわからないで、それで大体十億になるというのはどういうところから計算されたのか、その基礎をはつきりしてもらいたい。
  27. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは大体見込でございますが、なぜ見込がつかんかということを申上げますと、例えば退職金等につきましては、三月の支出が普通よりもふえて参りますので、さような点がまだはつきりいたしませんので、はつきりした数は申上げかねるわけでございます。
  28. 湯山勇

    湯山勇君 どうもおつしやることが非常に無責任なように感じてならないのですが、各府県別の大体見込ができれば、文部省へ七億というような手持を置く必要はないと思うのです。七億といえば大体全体の一・五%くらいに当る額になります。更に現在各府県が出しているのは、本年度の末ですから、現在文部省が交付しておる金よりも十七億余計に出しておるのです。おわかりになりませんか、そうでしよう。十七億という各府県文部省は赤字を背負わしておる。何らかの形で府県においてそれだけ埋めさしておる、こうなりますね。大臣如何ですか、大臣はおわかりになつたように見受けますが。
  29. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 先ほど申上げましたように、これは当然七億というものも配分するはずのものであります。ただ赤字になるといたしましても、これは各府県において赤字になる程度が違うわけです。どの程度の赤字が出るかということは、結局支出額でありますから月末にならなければ、その数字を抑えなければ確定はいたさんわけであります。そこで赤字の程度が違いますから成るべくそれを公平に赤字の少い所へは、或いは七億円の場合においては交付をしないで少し待つてもらう、赤字の甚だしい所には改めて配分をする。こういうことで同じ赤字になりましてもそこをならしたい、こういうつもりで七億とめているのでありまして、これは当然三月分の支払の支出というものが確定すればそれによつて配分をするのであります。
  30. 湯山勇

    湯山勇君 私がお聞きしているのはそういうことではなくて、結局府県は三月の給料を払つておりますから文部省に残しておる七億ももらわなければならないのだし、又赤字を見込まれておる十億ももらわなければならない、その部分も出しておるのでありますから。十七億という負担を府県にかけておるということになる、こういうことをお認めになるかならないか、こういうことです。
  31. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは決算補助であります。各月々配分するものは要するに概算払いでありますから支出が確定してから清算が行われるわけであります。その場合に只今の見込としては十億程度の赤字になるのじやないか、こういうふうに考えております。
  32. 湯山勇

    湯山勇君 ですから十七億になりますね。
  33. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 現在は十七億程度の不足を生ずるかも知れない、これは概算払いでありますから性質上支出が確定した上で過不足が清算される、こういう筋合いのものだと思います。
  34. 湯山勇

    湯山勇君 それで今度すこし実質的なことをお伺いしたいと思います。こういうふうな十七億という金額は大体全体の経費の三%くらいに当ります。つまり文部省は三%の迷惑をかけている。これは言い方はいろいろできますけれども、三%の首切りをしているというように考えてもいいわけだし、或いは七億の手持を残しておることだけから言えば一%余りの首切りをやつている、実際それだけ払つておらないのですから、年間の数字で。こういうことになるのです。大蔵省はあれだけ一兆を超える予算でそして而もそれを種々雑多な費目にわけてその予備費は現在残つておるのは僅か三千万に過ぎない。大蔵省は三千万残して予備費をきれいに処理している。ところが文部省はあれだけはつきりきまつた四十府県に対して、而も毎月々々こういうものを払うのもきまつている、それの操作が三月末になつて七億もの調整費を残さなければできないというのはどういうわけですか。
  35. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは詳しく申上げますと三月末に異動がありますから相当退職する人ができると思われる。その場合に退職金を支払います。これは臨時的に支出がふくれるわけであります。そういう場合を考えまして七億のうちの四億円程度はそういうことを予想してとどめてあるのだ、これは結局支出に対する負担でありますから国において最後的には半額を負担しなければならん。これはもう明瞭なことであります。ただ二十八年度予算において予算を超えた支出をすることは補正が成立しない限りできないわけでありますので、結局予算の上でいやしくも赤字といいますか、支出額に対して必ず半額負担するということはこれは予備費の補助とか何とかいう形でなければできないので、予算としては計上せられた予算限度以上を支給するということはできない。結局あとから決算を待つてその不足分を補充する、こういう形にならざるを得ないのであります。
  36. 湯山勇

    湯山勇君 そういう半面だけおつしやつて大局のことをすこしもおつしやらないのですが、全体を見ても十億赤字だということは大体きまつておるのです。とにかく赤字だということはきまつている。そういう中で年度末に足りないからどうとかいつて七億も残す必要がどこにあるか。どうせ最終的には足りないのがわかつていて来年度になつてどうとか何とかの方法で埋めるということをおつしやつているのだから、この窮屈の中で七十億もの金を文部省で残さなければならない理由はないはずです。どういうわけでそれを残されるか。
  37. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 先ほど申上げましたように、これは予算を七億支出をしないで後年度へ繰越すという筋合は一つもないわけであります。決算を持たなければどの程度にそれぞれの府県において赤字が出るかということはわかりませんから、それで一定の止め置をしておきまして、そうして赤字が出た場合にも成るべく不公平のないように実際に即して、これを追加して配付する、こういう考慮から七億円残したのでありまして、決算を見なければわらん、これは当然のことであります。文部省としては余りひどい赤字が出る府県がありましては見込で概算払いをいたしますから、その結果赤字の程度がひどいということになれば、その府県に対して非常に気の毒でありますから、それで調整の意味の止め置でありますから、決してこれはわざわざことさら後年度に残して使わないでおくというわけではありませんから、その点御了承願います。
  38. 湯山勇

    湯山勇君 政令県ならば問題がありますけれども、政令県でない県は全部実支出額の半額を持つわけです。そうすると文部省に何人事務官がおられるか存じませんけれども、あれだけの人をかかえて毎月々々その集計を今月はこうだ、来月はこうだというものをとつて行けば、おとりになつているかどうか知りませんけれども、少くとも四半期ごとに処理しなければならない、そうやつて行けばこんなに七億もの調整額は要らないのです。こんな額を残さなくても十二月なり一月なりの実績を見てこの点はこうだからこうなる、政令県ならば別です。政令県以外だからできるはずです。それをやらないで残しておるから地方はこのために今どうなつておるか御存じですか、地方は今どうなつておるか申上げたい。大臣も公報等で定員を減らさないでもらいたいという陳情請願のたくさんあるのを御存じですか。ああいうことはなぜ起つたかと申しますと、文部省は実支出額の半分を出すと言いながら未だ曾つてきちつと半額くれたことはない。いつも文部省はああ言つておるけれども半額くれない、手にとるまでは府県知事は安心できない。そして今まで出したものを埋めてくれるかくれないか待とう、そこで本当に埋めてくれるならば五月の補正のときにこれは定員をふやすから、とにかく二月県会、三月県会では一応削つておく、文部省から出してもらつた実績に応じて削つておくというので削られましたので、文部大臣御承知の通りに女教員の首切りとか、高額者の整理とか或いは何百名という大きな首切りが県によつては起つておるのです。簡単なことですから、私は昨日もそういうことを聞いてみますと、現在文部省に集つておる資料でどんなに下手をしても三日間あれば必ずどの府県は今どれだけ足りない、今どれだけ渡さなくちやならないということはできるそうです。文部省でそれくらいできる、一日でも現在の資料をフルに動かせばできるわけです。電話もありますし、各原は出納長がちやんとその月々の支出をしておりますし、その合計はすぐわかるんだから、少くとも一カ月遅れればできるはずなんです。そうすると二月までのものはちやんとできて、三月は概算で払つて、併しなおこれじや足りないと思うからあとはこうすると、こういう親切な通知を文部省各県へしましたか。
  39. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 大臣からお答えいたしましたように七億の金はこれは決して年度を繰越して使うというものではございませんので、(「そんなこと言つていない」と呼ぶ者あり)今度二十七億と一緒に(「そんなこともわかつてる」と呼ぶ者あり)今年中に支払うのでございます。それから七億の内訳につきましても、大臣から答弁がありましたように、その四億というものは年度末の退職資金のための留め置でございます。この一月以降の分につきましては四月から十二月の平均の三カ月分だけを、これは実績の三カ月分だけを一応交付しておりまして、特に年度末に退職がふえるわけでございますから、そのために四億の金を留保はいたしておるわけでございまして、これにつきまして各県の報告等をとりましてこれに対しまして今交付額を計算しておる、かような状態でございます。それで実際のことを申上げまして、各県につきましてもいろいろこれだけの予定の退職をするということで前に御報告がありましたものを又変更して参るというようなことがございまして、まだそれが確定していないような状況でございます。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことは開いておるのじやないのです。そういう親切な通知をしたかどうか。現実に教育の場がこういうふうに乱れておるのに対してどういう措置をとつたか、知らないわけじやないんですから。
  41. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) この実際支出額の二分の一負担という制度は御承知の通り二十八年度から初めて施行されたのでありまして、昨年度まではいわゆる定員定額の基準に従つて予算が配付されたわけであります。従つて定員定額基準で配付される場合にはこれは打切であります。つまり予算で配分された以上のものは実際と仮に合つても合わなくても打切として交付されるわけであります。実際支出額の場合にはこれは当然に本当の支出額の半分は負担するこういう建前であります。その点が地方においてとかく思い違いをされておつて、概算払で渡した金額がもう打切でそれ以上は交付を受けないんだ、こういうふうな誤解をしておる向が大分あるやに思います。これは従来の定員定額の頭が残つてつて、今年度から初めてこれは実際支出ということになつたものですから、その点が誤解があるやに思われる点があります。これらにつきましてはいつもそういうことのないということはつねづね機会のあるたびに言つておるのでありますが、今年に入りましてからも多少そういう懸念もありますが、いわゆる教員の整理は年度末、学年の末に新学年の初めを期しまして異動期ではありますけれどもさようなことが行われておる。この点につきましては誤解のないように通達を出してあるのであります。これはこの前申上げたかと思いますが、来年度予算等につきましてもその辺は非常に誤解があるものですから、自治庁と共同に通達を出して、その点は十分了解するようにしてあるはずであります。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 その点についてはまだ問題がありますけれども、局長に一つお尋ねします。あなたは四月から十一月までの実績の平均の三カ月分を出したとおつしやいましたが、一体一月からベース・アツプがあつたということを御存じないのですか。
  43. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 勿論見込んでそれを出しておるわけであります。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 どう言われたのですか。
  45. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) どういうことでしたか。
  46. 湯山勇

    湯山勇君 あなたはさつき四月から十二日までの各府県の実績の交付金の平均額の三カ月分を出したと、こうおつしやつた。
  47. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) お答えいたします。言葉が足りなかつたかも知れませんが、ベース・アップは見込んで出しておるわけであります。
  48. 湯山勇

    湯山勇君 局長のところへは各府県の教育長なり教育委員なり或いはその他の教育関係者が今年度は足りないから出してくれということを言つて参りませんでしたか。そういうことをお聞きになつたことありませんか。
  49. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) それは先ほどから申上げますように、報告書が参りましてこれにつきまして教育長等からも説明を聴取いたしております。それにつきましていろいろこつちも疑問があつたりいたしますので照覆をいたしまして唯今精査をいたしておるということを先ほどから申上げげておるわけであります。
  50. 湯山勇

    湯山勇君 私は時間をなるべく無駄に使わないようにしたいと思うのですが、非常に文部省のこの経理の仕方に問題があります。七億の手持を残すということは、仮に一%とみましても百校の中の一校は全然一年間給料をもらつてないわけです。一年間百分の一校については何ら措置なされていないということになるわけです。おわかりになりますか。そうでしよう。文部大臣。
  51. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これはあくまでも申上げますように概算払でありますから、それぞれの府県においては実際の給与に必要なるものは支出するのであります。そうしてその支出が確定した場合にその半額を負担するというのが建前である。ただそれでは実際の金繰の上でいわゆる立替払の形になりますから、経理に困難があるから概算で渡しておくと、こういうことでありますから、この渡されたものを基準にして支出が行われる、こういう筋合のものではないのであります。
  52. 湯山勇

    湯山勇君 わかり切つたことです、そういうことは。私が申しておるのはそういうことを申しておるのじやない。末端の学校で百校のうちの一校は給与を払つてないということを言つておるのじやありません。もらつておることは確かです。ただ問題はこの金を経理しておる県について言えばそういう理屈になるのじやないか、こう言つておるんです。これはお認めになりましよう。
  53. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 概算払でありますから、実際の支出と照し合して過不足を生ずるのはこれは当然であります。これが不足であるということは概算払である限り避け得ないものであると、かように私は考えております。
  54. 湯山勇

    湯山勇君 そういうことはわかつておりますけれども、七億という金額は、よろしうございますか七億という金額は全体の予算から見て百分の一強に当る、これは間違いありませんね。百分の一強に当るものが現在三月末において払われていない、これもよろしうございましよう。そうするとそれは百分の一のものが払われていないので県はそれだけ迷惑を受けている、こういうことになるのだ。
  55. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 七億円の留め置は先ほど申上げましたように後年度に繰越すものではありません。三月分として追加交付をするために留め置いてあるのであります。
  56. 湯山勇

    湯山勇君 それが非常に大き過ぎるので、その額が非常に大き過ぎるので、私は実情を申上げますから、よく聞いて頂きたい。文部省は大体においてこういう金の経理の仕方がなつてない。こういう出し方をするものですから、それで結局各府県の教育委員長や或いは教育委員や教育長は文部省へ頭を下げて、(「おみやげを持つて」と呼ぶ者あり)まあうしろのほうからありましたけれども、一々頼みに来なければ出してくれない若しそういうことがないとおつしやるなら私もつと聞きます。あなたは大学の実験費はどんな経理をしておられますか御存じですか。この間もちよつと聞きましたけれども大臣にお尋ねします。大臣は大学の教授等に対していろいろ実験費が出ておりますけれども、その実験費の額は私、大臣覚えていられないならお教えします。講座研究費として教授一人に対しては十四万、これは文科系統です。それから実験の科目では四十一万、こういうふうに出されております。それから教官の個々についても又研究費で実験のほうで申しますと二十万出されます。で合計しますと、仮に理科の教授であれば文部省の計算算定の基礎によれば、よろしうございますか、一人当り三十万八千と四十一万六千、ですから七十万からのお金が出ているのです。その七十万の中でその教授が本当に実験に使える金がどれぐらいあると、大臣、これはもう概算で、半分であるとか、三分の二であるとかこれだけは責任を持つて、本人が使つておるのだろうという責任を持てる額を大臣言つて下さい。何分の一、何分何厘、細かい十分の八とか七というのではありません。先ず三分の一、三分の二或いは四分の三、三分の二、これくらいの一つ段階で大臣どう思つておるか言うて下さい。
  57. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は細かいことは存じませんが、いわゆる講座研究費というもののうちには、これは従来からのしきたりと言いますか、教授の研究上使われる経費もあるし、それから研究の際に必要な例えば水道、ガス、電気、そういうものの経費も含まれておるやに私は聞いております。そういうわけでありますからして、ひつくるめてはこれは研究経費と私は考えます。そのうちでどれだけが教授自身に渡され得る研究費であるか、これは或いは講座によつても違うかと思います。例えば物理とか理科とか、そういう方面の実験研究費であれば、自然にいろいろ設備の方面経費が余計かかるわけでありまして、これは一概に申せないと思いますが、無論これは性質上研究費の全額は教授に研究費として渡されるものではありませんから、何分の一とか何とかいうことは私はそこまでよくわかつておりません。おりませんが、経費としてはそういうふうに使われておる、かように考えております。
  58. 青木一男

    委員長青木一男君) 湯山君にちよつと申上げますが、理事会で短時間の申合せでございますから、その趣旨で簡潔に一つ。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 どうも答弁がああいう答弁ですからついこういうことになるのです。大臣今おつしやいましたように、大体引かれることは私も決して認めないのではありません。どれぐらい引かれるとお思いになるか、三分の一ぐらい引かれるだろうとか、半分ぐらい引かれるだろうとか、大体常識で。
  60. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは只今申しましたように、各講座によつて違いがあると思います。その点は今事務当局を呼びにやりましたから、はつきり政府委員から御答弁申上げます。
  61. 湯山勇

    湯山勇君 お聞きする必要はありません。事務当局から聞く必要はありませんが、大臣がどういう認識を持つておられるかを聞きたい。実際に東京大学のこれは公的な機関から出た資料ですから大臣よくお聞き願いたい。この中で本当に実験に使われる、つまり教室に行く費用は東京大学においても二五%です。四分の三がどこかで消えておる。大臣意外にお思いになりませんか。意外にお思いになるかならないか。
  62. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 実際の研究費、二五%ですか、しか使われていない……。
  63. 湯山勇

    湯山勇君 水道や熱にそんなに要りますか。
  64. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 私は研究費でありますから、全額そのほうに使用をされるものだと、こう思います。ただ大学においては長い間のしきたりと申しますか、ということで或いは全額使われておらんということがあるかも知れませんが、二五%しかないということは私は実際知りませんから、このことは事務当局から私は聞きます。文部大臣としては事務当局の手を経ないことは責任を持ち得ませんから、事務当局に聞きます。
  65. 湯山勇

    湯山勇君 事務当局から聞いたことなら責任を持つという、文部大臣この前言つたこととは又逆なことを言つておる。新しい憲法のことを聞いたら、事務当局から聞いたのでどうもいい加減であるとお認めになつたのです。今度は事務当局から聞かなければ信頼しない、何ですか。(「当り前だ」と呼ぶ者あり)当り前じやない。事務当局に聞いたのだからわからんとこの前言つたのですね。(「もう少し常識的な質問しろ」「あれとこれは問題は別だ」と呼ぶ者あり)そういう工合ですから(「あきれるよ」と呼ぶ者あり)あきれるのはこつちだ。(「そうだ」「議員のほうが確かなんだ」と呼ぶ者あり)どうです、大臣、如何ですか。これはもつと言いましよう。文部省予算保安庁予算と同じように項の単位が何百億なんです。そうでしよう。だからその間でどんなふうにでもなされておる、殊に大学なんかそうです。学長さんは文部省に年に何回来ますか。学長はきめられた予算では足りませんので、旅費を集めてやつて来て文部省に行つて頭を下げて、いろいろその間話はありますけれども略しますが、ともかくもそうしなければもらえない。上のすること下これに従うで、実験費はずつと末端まで行くまでにこう取られている。これが現在の文部省の経理の仕方なんです。義務教育国庫負担金にいたしましても、留め置をして各府県から陳情を受けて、或る県に、この間来たので聞きますと、どうしても一千万円ぐらいほしいから今文部省に行くのだ、こう言つている。こうやつてつて、そうすると政府は胸を張つてそれはこうこうするのだというような話だ。これじや結局国家統制なんだ。官僚的です。非常に悪い、いわばリベートの先取りのようなこともありますよ。これで大臣、あなたはよくそういう事情はおわかりにならないから、徹底的にこの点究明しなければ、これはせつかくできた義務教育費半額負担が泣きます。教育は現に混乱しているのです。一体東京、神奈川、政令県だけはきちつと単価を出して、他の府県に対してほつておいて、まだおまけに七億残してあと十億足らないのはあと何とかしよう、こんなことで本当に教育ができますか。私は聞きたいことはたくさんありますけれども、あの危険校舎の費用だつてどうですか。予算が三派修正できまつて府県から修正が来ておりますが、一ぺんに出しましたか、何段階に分けましたか。一回出して文句を言つて来て又修正を出して又出される。少くとも三段階に分けている。その間に陳情運動がどれだけ行われたか、これが実態なんです。私は文教の府がこういうことでは困る。今度の予算つて非常にでたらめだ。大学の先生が足りないのにその職員を削つて、給与費を削つている。こんな文部省が教育の責任を負えますか、その責任は誰が負うか。文部省の諸君は一体何をしているのか。私の怒りじやありませんよ、これは。全国二千万の生徒児童父兄、このことを聞いたら皆怒りますよ。それをただ事務的に、来年度に繰越すのじやありませんとか何だとか彼だとか言つて、そうして大蔵大臣説明されたように、政令県だからというので東京、神奈川、大阪だけは十三月から三月までこれだけ要るというのをはつきり出して、何億何千何百万円までかつきりと出しておいて、そうしてその予算承認を経ておきながら、他の四十府県のほうは十七億足りないのを十七億負担さしてそれをほつている。こんな筋の通らない話がありますか、一体。政令とか政令じやありません、事務処理の問題なんです。私は悪いことをしたとか何とか言うのを責めるのならそれは別ですが、これだけの事務が文部省であれだけ人がおつてできないのですか。
  66. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 予算の経理の場合に一定の留め置を残しておく。これは何も文部省だけではありません。どこでもそうしなければならない。年度間における実情に応じて予算を使用する、こういう見地から立てば留め置を残しておくことは普通であります。各省もやつております。今日始まつたことではありません。昔からやつております。例えば平衡交付金の場合におきましても、そういう場合を考慮しておるからこれは特別平衡交付という形において留め置をしておるのであります。これは制度化している、留め置をしておることは非常に経理の乱脈だというふうにおつしやることは甚だ私は不服であります。文部省だけがそういう特殊なやり方、留め置をしておいてそうして地方の人の陳情を得たなければ出さない、こういうふうにおつしやることは私はどうかと思う。これは留め置をすることは、予算年度の初め成立します、その成立した予算を全額まあ配付するとか全額使用をきめるということは、年度間における実情に即応するゆえんでありません。でありますからして留め置をしておいてその間の実情に合うように調整をして行く、これはすべての場合において行い得る経理のやり方で文部省に限つたことではありません。  それからなお申上げますが、この渡し切りの場合も、例えばいま政令県を特に有利に扱つたようなことをおつしやいましたがそうじやない。政令というものは勿論特定の富裕県に対して実際支出額による負担は或る程度打切るという制度であります。打切る場合でありますからして、それに交付すべき金額は大体きまるのです、初めからところが打切らないで支出したままそれに対して半分負担するという場合にはこれは初めから正確にわかりようがない、支出してしまわなければ正確な数字は出て来ないのであります。それは打切る場合とは違うのです。打切る場合には初めからそこまでしかやらんというのはこれははつきり出ます。併し打切らないで消費しただけは半分負担するという場合には初めからこれはわかる気ずかいはない、わからないから概算払をするのです。そうしてその場合に留め置をして実情に合うようにそこを調節して行こうと、こういうのでありますから、この経理の仕方が非常に文部省独特な悪いやり方であるというふうにおつしやるのはちよつと……。
  67. 湯山勇

    湯山勇君 大臣はそういう弁解をなさいますけれども、留め置があるということぐらい私もよく知つております。その度が過ぎるのです。これは義務教育費だけではありませんけれども度が過ぎます。政令県はきちつとしておるとおつしやいましたけれどもこれも理屈なんです。そうじやありません、東京だつてだんだん転入、転出が多くてその基礎だつてつている、細かい動きですけれども。はつきりとはいかない。こういうことを一般的にそういうふうにおつしやいますが、これは決してそうじやない。それは局長も新米の、失礼ですが新らしい局長だし、大臣もこういうことはよくおわかりにならない。よくお調べ下さい。私の言つたことが間違いだつたら私が責任を持ちますから。この大学の今の問題にしてもそれから危険校舎の問題にしても、それから現在この義務教育国庫負担金が七億留め置かれておることによつて府県に起つておる実情についても、責任を持ちますならお調べ下さい、十分に。これは決してゆるがせにすべき問題ではなくして文部責任者の私は重大な問題だと思います。これはお調べになつて一つ早速事態を明らかにしてもらうと同時に、この七億の留め置は各府県へどう配分するかを早くやらなければ、学校の教員というのは五月になつてふやしてもらつたのはだめなんです。もう学級編成は四月にできるのですから、府県にそういう実情が起つておることをお認めになれば、県知事諸君が実際、物をもらわなければそれはできないから五月の補正のときに補正予算としてふやしてやろうと約束しておりますけれども、それでは済まないのですから、現在手持がこれだけあるがこれは大体こういうふうに配分する、残りはこういうふうにすると、早く各府県にお出しになり、少くともここ二、三日に府県に届くように出して頂きたい。よろしうございますか、確認願えますか。願えれば私はこれで質問を終ります。
  68. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 七億の問題でございますが、これは繰返し申上げますように、そのうちの四億はこれは特別に年度末にふえます退職金の操作のための経費でございます。これは一つ御了解頂きたいと思います。あとの三億は一月以降の給与費が確定いたしません部分がたくさんございます。これは十分今調べておりますので年度末までに七億は払わなければならん金でございますし、払いたい金でございます。  それから先ほどお話のございました政令府県につきましては、五月一日の定員で抑えるのでございますからこれは確定いたします。
  69. 湯山勇

    湯山勇君 四億を退職金のために残さなければならんというのも問題ですよ。どうせ十億の赤字が出ておるのですから、退職金はすぐ払つておりません。私は退職金は半年以上たつてもらつております。だから年度内の経理であればいいのです。十億の赤字は二十八年度に埋めてもらえばいいのです。四億を残す必要がないのです。そういうことがちつともわかつていない。
  70. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは五月の清算を待つて支払う、こういうのではありません。これは二十八年度予算ですから年度末までに支出すべきものであります。決してこれを翌年度に繰越すという意味は毛頭ありません。ただ四億は退職金として年度末等は異動が多いものですから、だから退職金はふえるであろう、こういう配慮から退職金の引当として四億を見ておる。これを早く配れといわれてもどの県ではどれだけの退職者が出て、従つて退職金が幾らかということは県によつてまちまちでありますから、だから不公平のないように全体を見た上で出した末まで置くという意味ではありません。三月末まで、正確には二十八年度内に支出する金であります。つまりこれは後まで残しておくという意味じやありませんからその点を御了承願います。
  71. 湯山勇

    湯山勇君 どうもおつしやることが違うのです。七億は現在残つておる、これを義務教育国庫負担のほうに出す。いずれ十億円の赤字は大蔵大臣がおつしやつたようにどこからか融資して各府県に配つてもらわなければならんのですから、今当面困つておる定員を確保するということの措置をして、三月の退職者の分はあとの融資の中から出してもらつても結局操作は同じことでありますから、七億のうち四億を退職金に使うために留め置かないで、それを国庫負担のほうに出してもらいたい、そういう措置をなさらないから今日こういうような混乱が起つているのです。私はこういうことを言つておるのです。答弁はよろしうございます。  大蔵大臣只今のような状態なのです。文部省にはまだまだ予算を組んで頂かなければなりませんけれども、先ほども申上げましたように研究費等は僅か二五%しか実際に行つてないで、七五%は途中でずるずる抜けております。これは責任ある資料ですから大蔵大臣に差上げてもいいです。こういう状態ですから、十分一つ予算を組むときには、今回の予算にしたつて三つの府県はちやんと額が出ておるのに、他の府県はわからない。こういうことだから混乱が起きておるのです。文部省予算については随分足りませんからこれはふやして頂かなりませんけれども、きめるときにはこういう点を十分御検討になつて頂きたい。文部省は極めてルーズですよ。これだけ申上げておきます。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もうこれから採決しなければならんので、その前に先ほど小林委員及び今湯山さんから質問されて、大臣が来られたので、わからない点がありますからこれを簡単でよろしうございますから明らかにしてもらいたい、それは小林委員が文部大臣に質問したときに、この問題は給与費国庫負担金に一本入れて、そうして不公平のないように配分する、こういう御答弁があつたのです。法案を補正を出された提案理由と違うのです。それで我々賛否の態度を違うかにするのに困りますから。この提案理由にははつきりと所要額二十七億八千万円、東京都十五億六千五百万円、大阪は十億、三千九百万円、神奈川県は一億七千六百万円の補正追加することにしたのだとなつております。そこでその点は提案理由小林委員質問に対する大臣の御答弁と違うのです。その趣旨は私は結構なんですけれども、それならば提案理由を書直さなければならない、若しか文部大臣の言われるようだつたらその点非常に食い違つておりますから、その点はつきりさせて頂きたい。
  73. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) これは木村委員御承知のように、二十八年度国庫負担金の見積計上の場合に富裕県に対する十二月分以降の見積としてもうすでにこれは落ちております。でありますからこういう特例法というものを引込めるということになれは、当然この見積としての十二月以降分は入れておかなければつじつまが合わないのであります。そういう意味で今度の補正の計上ということになりました。併しこれは別わくではないのでありますから、成立すれば一本の国庫負担ということになる。これは当初の見積において当然見積るべきものが見積つてないのでありますから、それで十二月以降分を改めて計上した、併しこれは富裕県にだけやるという別わくじやありませんから、成立すれば全体の国庫負担金という総額のうちに溶け込んで行く(「そういうところに問題が起るのですよ」と呼ぶ者あり)と私はそう解釈するよりほかはないと思います。ただその場合に赤字が出るからそれについての処置ということはおのずから別問題であります。そもそもの当初の計上から、その見積が漏れておるからその意味での補正をお願いをしておる、こういうふうに御了承をお願いいたします。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは私は率直に申上げれば、緑風会と文部当局の開取引です。これは緑風会は、小林さんは、これに対しては反対で、あつたわけです。それで従つて一応併し予算は通すということになりましたが、じや通すが併しその結果については窮乏県に配分する、そういう私は妥協においてその態度を変えられたのだと思う。今までの文部大臣の御答弁とその提案の趣旨とは違うのです。それは理屈から言えば一本になるということになるでしよう。併し我々に提案理由として出されたところによれば、はつきりとどこの県が幾ら幾らというのであつて、それはもう間違いないことなんです、この事実は。形はその中に入るかも知れませんが、その配分ははつきりしているわけです。ところがさつきのお話ではそうではないのです。今の御答弁と違うのです。さつきは小林さんの質問の趣旨は、あれははつきり速記にとつてございますから、これは窮乏県のほうにも配分するのだ、そういう含みを以て自分は了承したいがどうかという質問に対していわゆるそういうふうにするようなお答えがあつた。そうしますと、私は従来の小林さんの態度を知つております。小林さんはこれに反対であつたわけです。ところがこれに賛成するについての条件を付けた。そこで話合になつてそういう含みを持たすような答弁を得て、そうしてこれを承認しよう、こういうことでは非常に不明朗であります。このことについては実に賛成、反対の間において複雑な動きがあつたことはわかりますが、我々に提案された提案理由と今の御答弁では大きな食い違いがあるのです。これは重大な問題ですよ。私は緑風会と文部当局の闇取引であると思う。この点は大蔵大臣提案理由の趣旨をはつきり一応ここで確認しておきたいと思うのです。ここに提案された通りだと思うのですが、そうでございましよう。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 実は私のほうとしては一応の積算に基いたもので富裕県の分を出しますると、ああいうふうになるので、出した次第でございますが、但し新しいその後の状況が変つたこと等に基きまして、多少の増減の出て来るものに対して使うことは、これは余る面と足らん面とが出て参ると思いますが、結局は実額に対する半額ということになるので大きな違いはないと思いますが、余る分があればこれは新しい事態に即して処理されるもの、こういうように考えております。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 時間がございませんから簡単にいたします。もうこれから賛否をきめなければならぬ。ところが提案理由と文部大臣の御説明とが食い違つているのではきめようがないのです。今大蔵大臣の御説明では又違つて来ています。非常に含みのあるような御説明です。併し提案理由にははつきりしているのですから、ですから私は、提案理由大蔵大臣はその通りである、我々に出されたものがこの通りであると御確認願えればいい。ところがそういう御答弁をなさつておらない、そこを私がおかしいと言うのです。この通りであるということになればそれでわかつて来る。そうでないと文部大臣の御答弁とこれは食い違つて来るわけです。
  77. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほどの大蔵大臣の御答弁を多少補足して申上げたいと存じます。第三次補出を出すに際しまして一応予定いたしました内訳は提案理由に書いてある通りであります。然るにその後における年度末までのいろいろな事情の判明に従いまして、今新しい資料に基いてこの予算を一層公平に実施する、これは予算執行者としての文部大臣の当然の責務であると存ずるわけでございまして、その新しい合理的な資料に基いて配分されました結果が、当初提案に際しまして申しました内訳と若干食い違うことが仮にあつたといたしましても、それは予算そのものの目的とは何らはずれるものではないと存する次第でございます。積算の根拠、予算提出いたしましたときの内訳といたしましては今の御説明で申上げた通りでありますが、その後における年度末まで、推移によつて若干の必要が起こつて参りますれば、それは文部大臣の責任で予算執行されるべき筋合のものと考えます。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 提案理由説明のときになぜそういうことを説明されないのです。そうしてその前提の下に我々に審議させておいて今になつてそんなことを言う。それは我々を侮辱するものじやありませんか。提案理由説明のときの積算の基礎に基いて提案した、併しその後生じた、その後と言つて幾日だつておりますか。そんなばかな私は説明の仕方はないと思う。
  79. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 予算を提案いたしましたときと、執行いたしまするときとの間には大なり小なり時間のズレがあるわけでありまして、これはあらゆる予算につきまして同じような問題が程度の差はございましてもあるわけであります。今度の問題につきましては私たちはそんなに不足があるというふうには承知いたしておりません。大きな過不足なしに済ませるのじやないか。そうします富裕都府県のほうにあの程度の金額が行くことになるのじやないかと思いますが、これは文部当局における精査の結果、若干食い違つて来るというようなことは、時間的なズレがある以上やむを得ないと考える次第でございます。その点先ほど申上げた次第であります。
  80. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつと申上げます。実は昨日委員長理事打合会におきましては極く短時間の質疑をやるという申合せでありました。但し委員長の責任において実は申合せた瞬間の倍以上かけておりますから私は質疑は……、(「それは事態が違いますよ」「新しい事態じやないか」「そんなことはだめだよ」「食い違いがあります」と呼ぶ者あり)私は委員長理事打合会の趣旨によつて議事を進行します。(「そんなことはないよ」「そんなばかなことはないよ」と呼ぶ者あり)委員長はさように認めません。   昭和三十八年度一般会計予算補正第三号についての質疑委員長理事会打合会の趣旨に基いてこの程度で終了したものと認めますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕    (「そんなば鹿なことはないですよ」「僕の質疑は打切つていないですよ」「新しい事態が発生しているじやないですか」「新事態が発生しているじやないか」「そんなばかなことはありませんよ」「これは闇取引ですよ」「そんなことはいけませんよ」「そんな新らしい事態が発生しているのに」「今説明して明瞭じやないか」「食い違いがある」「予算と実際とに食い違いが起ることはやむを得ないじやないですか」と呼ぶ者あり)
  81. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  82. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記をとつて。先ほど委員長補正予算に対する貫疑の終了の旨を宣言いたしましたが、これに対しては先ほど来問題になつている点につきまして、政府が統一した答弁を改めてして頂くことにいたしたいと思います。これに対しては質疑をすることなく、討論採決に入ることにいたします。さよう取計らうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。じやさよういたします。  暫時休融いたしまして午後一時半より再開いたします。    午後零時四十八分休憩    ―――――・―――――    午後三時六分開会
  84. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。  午前中の問題につきまして、大蔵大臣より政府を代表して答弁がございます。
  85. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 文部省とも打合せの上政府を代表して御答弁いたします。  第三次補正による二十七億八千万円の追加の積算の根拠は、提案理由に述べたところと少しも変りはございません。この分を合せまして、二十八年度の義務教育費の国庫負担金の総額は六百三億円となりまするが、全体としてこれで足りるか不足を生ずるかは、目下文部当局で調査中でありまして、まだ判明いたしません。万一若干不足を生じた場合のことでありまするが、年度内に支出いたしまするものは、御承知のごとく概算払であつて、都道府県の決算の確定に伴いまして、国庫負担金不足額が確定いたしますれば、昭和三十年度において予算措置を取ることにいたします。なお先ほど申上げた調査の結果が判明し、若し富裕都府県以外の府県において金繰りが窮迫するようなものがある場合において、全体の概算払の配分を一瞬公平にする見地から、富裕都府県に対する概算払は、積算の根拠になつた金額と多少異なつた金額となるようなことが起りましても、それは予算執行の責に当る文部大臣の権限に委ねられた問題であると考えます。
  86. 青木一男

    委員長青木一男君) これを以て質疑を終了し討論に入ります。討論の通告があります。順次発言を許します。湯山君。
  87. 湯山勇

    湯山勇君 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和二十八年度一般会計予算補正第三号に対して、反対をいたします。  補正予算は、本来補正でありますから、それによつて予算全体がより適正にならなければならないものでありますが、本補正は、当然法的にも措置しなければならないものがあるにもかかわらず、それが措置されておらず、又予算全体のバランスをも却つて乱しているのでありまして、これでは全く補正の意味をなさないと思うのであります。特に今回追加されました義務教育費国庫負担金二十七億八千万円は、政府の不見識と政府部内の不統一の結果提出されたものでございまして、政府が、平衡交付金というものが一体どういう性質のものか。そしてその平衡交付金が法定経費とどういう関係にあるか、こういうことを全く無視したものである。即ち平衡交付金が法定経費に優先するというような、そういう本末顛倒した誤りを犯したためにこういう補正を組まなければならなくなつたものだと、こう判断するものでございます。而もこういうふうにして出したこの経費を打切るということは、これはいろいろ問題がありますが、ともかくも大蔵大臣国会に一度ならず二度までこれの打切りを拠案されました。そうなれば当然これは補正しなければならないことがわかつているにもかかわらず、大蔵大臣は前回は、今後補正は出さないということを断言されたのでございます。このことはただ単に大蔵大臣が出さないということを言われたということだけにとどまらないで、大蔵大臣補正をしないと言つて補正をするのだというようなことになりますから、大臣個人の問題ではなくて、大蔵当局、更に国家財政に対する国民の信頼を著しく低下させるものである、こう考えなければなりません。こういう状態であれば、たとえ政府が耐乏生活というようなことをおつしやいましても、国民政府の言うことを信頼しない。補正をやらないと言つてもやはり補正を出すのだ、こういうことになつてしまいます。現に中小企業、特に織物関係の中小企業の人は、大体まあ政府の言うことの反対をやつておれば、先ずどうにかやつて行けるということを言つておるくらいでございます。これらの点は十分御反省願いたいと思います。  更に問題になりますことは、今回の二十七億八千万は大蔵大臣説明においては、明らかに三都府県に対して十二月から、三月までの分と言つておられたのでありますけれども、本日になつて、政令県でない所へも余りがあれば出してもよいというような御答弁がございました。文部省答弁では、政令県は正確に五月の実績によつて計算しているのだから間違いはない、こういうことを申しておるのでございますから、余りがあれば他へ廻すというようなことは不可能である、若し他にこれを廻せば当然東京、大阪、神奈川の県は不足を来たして来ると思います。更にもつと重要なことは、国会へこれが提案されたことを知り、又これが通過したときには、この三県はこれだけもらえると、こう信じておるはずでございます。ところが実際は、只今のような含みのある御答弁をなさつておりましたが、そういうことによつて国会で決議された通りの金額が瑛京、大阪、神奈川の諸県はもらえない。こういうことは全く不明朗きわまるものであつて、私はそういういきさつだけでも、本予算に対しては反対をしなければならないと思うのでございます。殊にこれが大蔵大臣の提案以後におきまして、ただ予算を通すためだけの取引にされたというような噂がありますけれども、若しぞのようなことがあるとするならば、これは予算委員会を侮辱するものであると言わなければならない。非常な私は憤りを感ずるものでございます。政令にきめられてない他の四十一府県においては赤字十億を抱えておりますし、更に文部省止め置きの七億と合せて合計十七億の未収金を抱えております。而も今日窮迫した地方財政の実情におきましては、このしわ寄せが教員の定員減、或いは助教員の整理、更には昇給、昇格のストップ、そういうことになつておりまして、各府県の教育界は今や重大な危機に立つておるのでございます。文部大臣はこれに対して実支出の半分を出すと、常常答弁では申しておりますけれども、併し今日までの政府のやり方、只今この補正の三都府県分に対する審議においても、計上されたものがそのままもらえない。こういうことがある実情から考えましても、或いは過去においてしばしば政府は出すと言つておきながら出さない。そういう実例から考えましても、もはや都道府県の知事は、大臣の言うことをそのまま受取れないほど政府に対しては不信の念を持つております。だから現に手にもらうまでは、やらうという言葉だけでは仕事ができない、こういう状態でありますので、このようなことが起つているのでございますが、この四十府県に対する措置が全然なされていない。すでに十億の赤字があるということが見込まれているにもかかわらずこの措置がなされていないということは、これは全く政府の怠慢である、こう言うほかはないのでございます。  次に、私は現在の政府国民生活を甚だしく軽視しているということがこの補正予算に現われているということを申上げたいのでございます。本年度におきまして生活保護費は、現在約四十七億の赤字が確実であるとされております。そこで政府もこのことをお認めになつて、予備金から十二億をお出しになりました。併しなお不足があるので、当初政府は、二十九年度予算において前年度不足分として二十億を計上されたのでございますけれども、更にそれで足りないことはよくおわかりになつている。そこで簡単に三派修正で五億というものを増加したのでございます。併しながらこれだけ殖やしましても、なお且つ現在の赤字を解消することは不可能である。更に又この二十五億の予算措置の仕方にいたしましても、現在すでにこれだけの赤字があるということが明らかにされて、更に補正予算が今回提出されるということも確実である以上は、当然これは補正予算に計上されるべき性格のものであつて、これを二十九年度予算に組んで二十八年度不足分とするがごときは、違法ではないにしても予算を組む建前から言えば常軌を逸したやり方であると言わなければならない次第でございます。次に、児童保護費につきましては、現在九億五千万の不足があるということが確実でございますが、これもお認めになつて、一応五億を予備金から措置されておりますけれども、残つた四億五千万については何ら考慮がされておりません。当然これも補正予算が出される以上、本補正に計上しなければならないものであるにもかかわらず、そのまま放任されている。この生活保護法の保護費の問題と児童保護費の二つのことは、政府か如何に民生を無視しているかを端的に現わしたものとして私ども絶対承服できないところでございます。  次に、この本補正予算法律違反を犯している。これは本補正予算だけではなくて、本年度予算全般を通じて言えることだと思うのでございますが、それは食品衛生法第二十六条による経費でございます。この経費は当然国がその二分の一を持たなければならないことになつておりまして、今回のようなビキニの問題があるなしにかかわらず、国民の食生活、国民衛生を守つて行くという立場から計上しなければならないのでございますが、この費目が二十八年度の本予算は勿論、三回の補正のどれにもその項目さへも見当らない。これは極めて重大であると言わなければならないと思います。御答弁によれば、平衡交付金に入つているというようなことでございますけれども、併しこれ又地方財政法十九条にある国が負担しなければならない項目の中には入つていないのでございます。従つていずれにいたしましても、このことは違法の措置であるし、更にもう少しこれを何と申しますか、大きく申しますならば、内閣法律を誠実に執行し、国務を総理するという、あの憲法七十三条にさえも違反していると、こういうふうにも考えられるのでございまして、これらの点全く国民生活を無視している。こういう点において承服しがたいものでございます。  次に、これらの財源措置の問題でございますが、これらの財源を、例えば国立学校の定員等から出しております。こういうことは全く実情を無視したやり方でございまして、国立学校は定員が不定で実際に困つておる。その困つておるところから更に減額をして、而も随分余つて当然繰越金にしなければならないものを、更に法律を出して繰越をさせようというような、あの保安庁費或いは保安隊の費用、防衛金、こういうものは僅か申訳に手をつけてはおりますけれども、そのまま放置されている。バターか大砲か、バターも大砲もと吉田総理はおつしやいましたけれども、併し現実は先ほど来申上げますように、全く大砲がバターを食つてしまつている。これがこの補正予算にも十分現れておると思うのでございます。  それらの点を総合いたしまして、私は本補正予算に反対をいたす次第でございます。
  88. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は自由党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする昭和二十八年度一般会計予算補正第三号に対し、賛成の意を表するものであります。  本件は、義務教育費国庫負担法の規定に基くものであつて法律の要請による当然の予算措置であり、止むを得ざるものと存じます。本予算計上に当つては、その財源として、飽くまでもインフレ抑制のため財政規模の膨脹を極力避けることとし、既定経費の不用見込額を以て賄うことといたしました政府の苦心の跡はこれを諒といたしまするが、ただ本予算そのものはいわゆる富裕府県等の、財政的に相当余裕ある府県に交付するものであつて、これは各府県財政の均衡按配上は、現行義務教育費国庫負担法の盲点とも言うべきものであり、現下我が国財政の実情と各府県財政事情よりいたしますれば、前国会において提出審議未了となりました義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律のごとき法案により調整し、以て財政的ロスを極力避くべきものでございまして、この点の政府の努力が十分でなかつたことは、現下政治情勢上止むを得ざるものとは言え、遺憾の点なしとは言い得ないと思います。  私はこの点についての注意を喚起いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
  89. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今提案になつております昭和二十八年度一般会計予算補正第三号につきまして、反対の意見を申述べたいと存じます。  この第三次補正予算は、東京、大阪、神奈川等のいわゆる富裕三都府県に対する義務教育費国庫負担二十七億八千万円を支出するために、各省予算を削つてできているものでありますが、これは政府が先に二回に亘つて提案をして参りました義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案が、憲法第二十六条の義務教育無償の原則と教育の機会均等の原則を無視した悪法であるという強い世論の反撃に会つて流産をいたしました結果、補正予算を組まざるを得ない結果になつたのであります。補正予算を組まない、こう言つていた政府の言葉が、結局において組まざるを得なくなつた、こういう結果になつておるのでありまして、我々が当時大蔵大臣にいろいろとご質問申し上げたことが、結局において極く僅かの期間において裏切られたという、この予算を編成する前提の点におきまして、第一に反対をしなければならないのであります。勿論我々といたしましては、義務教育費国庫負担というこの原則は勿論我々の立場でございまするので、この点に反対をしているのではございません。ただ併し先ほども湯山君からも申されましたように、この二十七億八千万円というものを補正に組んだといたしましても、義務教育費国庫負担金不足が十七億もあるというこの事実に対しましては、何ら政府は手を打つていないのであります。これを地方におつかぶせようとしており、又現実に赤字になつておるにかかわらず、これを早急に補正に組むということをしないで糊塗しているという政府のやり方に対しましては、これ又反対をしなければならないのでありましては二十八年度の第三次補正という形をとつておりますけれども、併し暦年から考えてみると、これは当然二十九年度補正と言つても実質においては変りはないような恰好になつているのであります。二十九年度予算に対しましても、大蔵大臣補正は組まない、こう言つているのでありますが、小麦買入の問題について、第一次の補正は出ております。これは勿論一般予算の金額を変更するものではございませんけれども、併し補正の形はとつている。この二十八年度補正も、形の上におきましては二十八年度でありますけれども、実際に支出せられるものは当然二十九年度に入つてからでありますから、実際上においては、これは二十九年度補正といつても実質的には言えると考えるのであります。そういう点におきましても、政府の信念が必ずしも一貫していないという点において、私たちは反対の立場をとらなければならないのであります。なお政府がとつております教育に対する考え方につきましても、私どもはしばしば申上げておりますように、非常に反動的な、或いは非民主的な政策をとつている。而もこの教育に対しましても、その都度的な政策がとられている。つまりこの予算に現われておりますように富裕都府県に対しては補正をしない、こう言つておきながら補正をしている。或いは又教育委員会の問題にいたしたしても、町村の末端まで教育委員会は作つたけれども、実質的においては教育長と助役とが兼務しているという、誠に不可思議千万なる教育委員会というものを作つている。こういうことにつきましても、教育を自由党という一党のために利用するという形をとつている姿が見えるのであります。どこまでも我々は教育というものは国民のものであり、又国民全体のものでなければならない、こういう趣旨から現在政府のとつております教育に対する考え方についても、反対をしなければならないのであります。  我々は先に衆議院におきまして、この二十八年度第三次補正に対しましては、社会保障費の関係の費用の不足分及び二十八年度産米について米価審議会が答申いたしました米価減収加算額を追加払をしなければならない、そのための経費並びに国家公務員の年度末手当を要求する、こういう立場において予算の組替を提案いたしたのであります。簡単に私たちの立場を申上げまして、政府提案の第三次補正に対する一つの反対の根拠を申上げたいと存ずるのであります。私どもは左右両社会党でいろいろと審議いたしました結果、すでに衆議院に提案いたしましたこの組替要求の案を作つたのでありますが、それによりまして、第三次補正予算規模を、政府案よりも百五十七億増額いたしまして百八十五億とする。で、政府案の義務教育費国庫負担金の追加額の上に、先ほど申上げました十七億六千五百万円、この赤字を増額する必要がある。第三には社会保障関係不足分の支出及び、二十八年度産米の米価減収加算に要する支出並びに国家公務員等に対する年度末手当の支出をしなければならない、こういう点。第四には、右の追加支出に要する経費は、社会保障関係費や或いはこれに関連する人件費の不用見込額の支出によらないで、保安庁経費並びに防衛支出金の不用見込額の支出によつて充当すべきである。かように我々は主張しておるのであります。  かかる見地から申しましても、この二十八年度第十三次補正というものが、誠に民生安定の上から申しましても、或いは又一方国立学校等の関係から見ましても、必要なる経費を削減して、不必要なる経費を削減しないという立場から予算が編成されているのでありまして、この点につきましても、反対の理由が存在するのであります。  従いまして、こういう立場から私どもはこの第三次補正に対して、反対の意を表明いたしたいと、かように考えるのであります。
  90. 小林武治

    小林武治君 私は本予算案にこの際止むなく賛成するものであります。  と申しますのは、本予算案は、その提出のいきさつに顧みまして、私は政府の態度を遺憾とするものであります。即ち、義務教育費半額国庫負担法の実施に当りましては、あらかじめ府県町の財政の均衡を保つの趣旨から、政府はよろしく地方税制の改正をすべきであつたのでありまするが、政府としましては荏苒これを見送り、これがために富裕都府県に対する国庫負担金支給が著しく不合理となりたるため、止むなく政府は前二回に亘りこれが支給打切りのための特例法を国会提出したのでありまするが、主として与党内における反対のために、審議未了となつたのでありまして、これは議院内閣の建前からいたしまして、極めて不可解なことと思うのでありまして、政府の政治的無力と無定見とを端的に露呈したものと思うのであります。而もこれが不成立につきましては、関係府県の醜き運動の結果とも噂され、不明朗なるあと味を残しておるのでありますが、いやしくも政府が一旦これを不用と認めたるものを、政府の怠慢と無力とによりまして、これが計上の止むなきに至らしめたることは誠に遺憾とするものであります。政府の左顧右眄と弱腰とは、単にこの一事にとどまておらないのであります。施設の随所にこれを散見するのでありまするが、かくては私は政治に国民の信を繋ぐゆえんでなく、この際政府の毅然たる態度を私は望んでやまないのであります。  かくて本予算は、政府の不用意のために、富裕府県と貧弱府県との財政の不均衡をますます大ならしむるものであり、而も今日すでに国庫負担金の概算の交付を受けたる県の中には、その交付額の不足のために教員の給料支払にも支障を来たしつつあるやに聞いておるのであります。これは当然本予算に同特に計上すべきであるのに、政府は不親切にもこれを怠つておるのであり、而もこれが補填につきましては、昭和三十年度において初めてこれを措置するとのことであるのでありまするが、これは地方の実情を無視したものでありまして、窮乏県におきましては、かかる遅滞は到底これが許されないのであります。従いまして我々としては、これを増額修正すべきものと思うのでありますが、今に至つてその余裕もないのであります。従いまして、政府はよろしく融資その他の方法によりまして、能う限り速かにこれら窮乏府県に対する財源補填の途を講ずることを特に要望しておくものであります。  なお昭和二十九年度におきましても、入場税の国税移管程度の措置を以てしましては、地方財政の調整はなお不十分であると思うのでありまするから、更に政府におきましては積極的にこれが均衡是正の方途を講ずるよう政府にこの際要求しておくものであります。而して本予算案につきましては、とにかく義務教育費国庫負担金の追加補正としまして、広く府県不足に対処し、一般府県間に公正にこれを分配交付せらるべきことの了解の下に、私は止むなくこの予算に賛成するものであります。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は二十八年度補正第三号に対しまして、三つの理由から反対するものであります。  第一の理由は、この補正予算案を提出する過程及び提案理由について多大の疑義を持つものでありまして、非常に不明朗であると思われるからであります。この補正予算案を提出するに当りましては、第二次補正をいたす際に、大蔵大臣ははつきりこの第三次補正は出さないと言われたわけであります。ところがその言明を裏切つて補正を出して来られました。その理由を質したところ、大蔵大臣は不明を謝すより仕方がない、こういう答弁なんであります。又緒方副総理は、実は絶対多数を得ていないので、特例措置審議未了に終つて流れてしまつたから、法律に基いて補正を出さざるをえなかつた、いたし方なかつた、こう言われておる。ところが只今討論に立たれました小林氏の言によれば、政府の与党です、政府の与党の反対によつて、これが審議未了に終つたわけである。従つて絶対多数を得ていないからこれが審議未了に終つたのではないことは明らかです。政府の与党の反対によつて、これは流れたということが小林氏によつて明らかにされたのです。賛成された小林氏によつて明らかにれさた。こういう点などは実に不明朗です。これは先ほど湯山氏も言われたように、私事ではないのでありまして、大蔵大臣が絶対に第三次補正を出さないと言われて補正を出され、又質問した私も個人として質問しているのではないのでありまして、国会において発言する機会のない多くの国民の声を代表して大蔵大臣質問している。大蔵大臣政府を代表して答えられている。その言明が裏切られるということは、これは重大な責任であります。で、こういう無責任な態度で予算を出されるということに対しては、私はどうしても承服できない。  それからこの提案理由につきましては、重ねて大蔵大臣から先ほど又御説明がありましたが、この積算の基礎については、提案当時と依然として変りはないというお話でありますが、そうしますし非常に矛盾が又生じて来るのであります。積算をしたときには、他府県において十億の赤字がないという前提においてこれは積算されているのであります。従つてこの予算案はこの二十七億八千万円、三府県にこれを分担金として出すという予算は、その他府県に十億の赤字がないという前提で出されているのでありますから、若しこれが成立した後において、他府県にこれを配賦するとしたならば、この提案理由と反して来るのであります。ところが先ほど文部大臣も言われましたが、これは分担金一本にこれを入れて、そうして不足府県にこれを配分する含み、あるというそういうお考え大蔵大臣も先ほどこの積算をした後において事情が変化して来ている。事情が変化して来ていることは、地方に赤字が出て来ているということであります。その新らしい事態、この予算提出された後に生じた新らしい事態、即ち他府県に十億の赤字が生じている事態に即応するようにこれが運営される、これが使われるということを前提としているのです。そうしますとこの提案の理由と、大蔵大臣或いは文部大臣の言われたことと矛盾しているのです。従つてその善悪は別としまして、他府県に十億の赤字が出て来た新らしい事態に即応するという補正案ならば、そういう形で我々に出すべきです。ところがこの補正地方に十億の赤字がないという前提で出されているのですから、その点に非常な矛盾があるわけです。このような矛盾した補正案を我々に審議させて、そうしてあいまいなうちにこれを通すということは断じてこれは許さるべきことではございません。赤字補填に、赤字を補正するについては、はつきりとした別の予算措置を講じてやるべきだ。そういうごまかしをするべきではないのです。こういうごまかしの補正に対して、我々が承認を与えるとしたならば、これは我方の責任としてこれは重大な過誤を犯すことになるのでありまして、この趣旨の善悪はとにかく、この補正案の出し方自体において、これはやはり財政法に違反します。こればかりでなく、二十九年度予算でもあらゆる点で財政法の精神を破つているのですが、これは非常な悪例です。こういうものを我々は認めることはできません。はつきりと赤字補填に対しては、その補正措置を別途講ずる、そういうことをしなければ筋が立たない。これが私の反対理由の第一であります。  第二の反対理由は、我々は義務教育費の国庫負担の原則には反対ではないのでありますが、併しそれについては、我々は全額国庫負担を主張しておるのであります。従いまして半額国庫負担では我々は足りない。併しながら半額負担につきましても、先ほど松澤委員も言われましたように、赤字十七億も見込まれておるのですから、これに対しての十分の説明もできておらない。そうして前に申述べましたように、ごまかし的なこういうような補正措置を行なつておる。そういう点について我々は承服できないわけでありす。即ちこの義務教育国庫負担の原則については、異論がございませんが、それが半額負担であり而も半額についてさえも十分な予算措置が行われておらない、こういう点で我々は承服できないわけです。又この補正予算説明をするについては、どうせ補正をするならば、最も緊要なるものについてまだ補正措置をしなければならんものがたくさんあるわけです。社会保障費の増額につきましては、先はど湯山委員も述べられましたが、特にこれまで政府が一番重要な政策として主張して来たのは住宅政策です。前に向井大蔵大臣は、これまでは衣と食はどうやら足りるようになつたから、今後住宅こそはもう重点的にこれを拡充して、そうして住宅不安をなくす、こういう政策を最も垂要な政策として主張して来たのです。ところが住宅の現状は著しく不足になつて来ておりますることは言うまでもない。二十九年度予算においては、むしろ二十八年度の住宅計画より減るのであります。従つて補正措置を講ずるならば、この住宅についてこそもう優先的にやらなければならない。住宅に何らその措置がなされておらない。こういう点について我々は、どうせ補正を出すならば、前に大蔵大臣補正を出さないと言いながら、その言明を裏切るならば、裏切り甲斐のあるような補正を出す、そうすれば我々は大蔵大臣については、その点については非常に攻撃しにくくなるのです。成るほど言明を裏切つたけれども、こういういい補正をされたというならば、我々甘んじて大蔵大臣に頭を下げて敬意を表するわけです。それがなされておらん。  それから第三の反対理由は、この財源措置であります。この財源措置については、もう他の委員も触れましたから簡単に要約して申述べますが、国立学校運営費、それから特殊医薬品買上諸費、こういうものを削つてこの財源措置をやつておるわけです。これは結局この防衛費、非生産的な防衛費に手をつけないから、どうしてもこういう民生費を犠牲にするという形がとられるわけであつて、これは民生費と防衛費の食い合い、こういう形がはつきりと出ておるわけです。二十九年度においては、一兆予算を組んでインフレを抑止すると言いながら、又二十八年度のインフレ要因を排除するという措置も財源的に考慮されておらない。非生産的な支出を削つて生産的支出のほうに振向けるという努力が何らなされておらないわけです。そういう財源措置からも我々はこの補正に承服できないわけです。  以上の三つの理由によつて、私は二十八年度第三次補正予算案に反対するものであります。
  92. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は、只今議題になつております昭和二十八年度一般会計補正第三号に対しまして、改進党を代表いたしまして賛成の点を表します。  その理由といたしまするところは、本予算案は、政府提出の義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律が不幸にして不成立に終りましたために、昭和二十八年十二月から本年三月までの間におきまして、いわゆる富裕県、東京、大阪、神奈川の三都府県におけるところの教職員の給与の不足額を補わんとするものに過ぎないものであります。今日においては、もうあと本年度三、四日しか余すところないときに当りまして、これは補正のほかない事態に立至りているものと認めるのであります。又財源といたしましては、既定歳出予算のうちから不用見込額を充当いたしまして、二十八年度歳出の規模一兆二百七十二億円を何ら変更していないのであります。ただこの問題を処理するに当りまして、先ほどから各党の代表者から、富裕都府県以外の義務教育費国庫負担の不足額十億円程度につきまして、種々議論が重ねられておるのであります。この問題につきましては、根本的には一体特例法を出すべきであつたのじやなかろうか。当予算委員会の喜委員としては、当然二十八年度予算のときに、この特例法が出ることを予想しておつたということが言い得ます。同時に、実際におきましては、義務教育の費用の問題は、地方財政全般に亘つて検討すべき時期に達しておるのでありまして、これらについてが根本的な問題であると思いますが、実施大蔵大臣と文部大臣との御説明にやや開きが見えますが、法律があります以上、その法律によつて施行します上においては、実際の実施上の差は私はそんなに大きく生ずるものでないというふうに考えるのであります。従つて政府は速かに抜本的に地方財政制度について、各府県の実情に応じた税制計画その他が確立されることを希望するものであります。ただ私、この予算案を拝見いたしまして一番残念に考えますことは、昨年の下期から日本の経済は誠に憂うべき状態になつてつておつたのであります。従いましてインフレを助長し、消費購買力を喚起するような一切の政策は、実は二十八年度予算実施の上においてすでに考えるべきものであつたということが考えられるのであります。若しも政府が二十九年度予算に対しましてとる方針、即ちインフレを抑制して通貨価値を維持し、そうして国際収支の均衡を図ろうという決心がありまするならば、二十九年度予算から考えるべきでなくて、二十八年度実施の面からすでに考えるべきものであつたと考えられるのであります。そういたしますれば、よほど今日の経済に対して無用の摩擦を起すものでないということを痛感せざるを得ないのであります。  防衛費について申上げますと、防衛費については、実に私は事実を曲げて表現されていると思うのであります。防衛関係の費用は、二十七年度が千八百億計上されておりまして、三十八年度はこれより少いのであります。二十九年度予算におきましても、二十八年度予算よりも百七十億殖えておりますが、二十七年度に比べればなお少いのであります。ただ防衛費を減らすことより能のないへならばともかく、我我としては、もつと全般を通じてこれを調整すべきものである、こういうふうに考えるのであります。殊に防衛費の殖えましてからは、昨年の補正第二号によりまして、公務員のただ名目賃金を上げることのみに問題を考え政府及びその他の政党というものは、今度のインフレに対して責任を私は負うべきである、こういうふうに考えておるのであります。(「改進党が責任を負え」と呼ぶ者あり)若し実行上、こういう用意がなしに二十九年度予算に入りましたことは甚だ遺憾でありまして、只今問題になつております教職員の給与の問題にいたしましても、若しも政府が二十九年度予算を組みますところの心構えが二十八年度予算実施の上においてもつと現われておりましたら、簡単に解決するものである、こう考えるのであります。政府は今後予算実施に当つては、変転たる経済情勢に常にタイミングを忘れることなく、即応の態勢をおとりになることを切に希望いたします。(「改進党のために」と呼ぶ者あり)
  93. 青木一男

    委員長青木一男君) これを以て討論を終局し直ちに採決に入ります。  昭和二十八年度一般会会計予算補正第三号について採決いたします。本案に賛成のかたの起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  94. 青木一男

    委員長青木一男君) 起立多数であります。よつて本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告内容は、先例により委員長に御一任願います。次に、賛成のかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     高橋 進太郎  小林 武治     森 八三一   堀木 鎌三     三浦 義男   石坂 豊一     泉山 三六   大谷 贇雄     小野 義夫  鹿島 守之助     小林 英三  佐藤 清一郎     白波獺 米吉  高橋 衛     中川 幸平  瀧井 治三郎     宮本 邦彦  横山 フク     吉田 萬次  井野 碩哉     岸 良一  新谷 寅三郎     田村 文吉  高木 正夫     中山 複藏  加藤 正人     西岡 ハル   ―――――――――――――
  95. 青木一男

    委員長青木一男君) なお引続き大蔵大臣より、補助金等予算執行適正化に関する法律案の要綱について説明を求めますから、そのまま暫らくお待ちを願います。……速記をとめて。    〔速記中止〕
  96. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記を始めて下さい。  それではこれより大蔵大臣説明を求めようと思いますが、大蔵大臣のどを痛めておりますから、皆さん御便利のために主計局長が代つて説明を願いたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 青木一男

    委員長青木一男君) 森永主計局長
  98. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 政府は近日中に補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案を国会提出する予定でありますが、ここにその要綱につきまして簡単に御説明申上げます。  補助金、負担金等の国の財政に占める比重の大なることに鑑み、これらの支出の適正化を図ることは、現下国家財政運営上の重大な課題であることは言うまでもないのでありますが、最近における補助金等の不当申請又は補助金等の不正使用等の状況は、誠に遺憾に堪えないところであり、先になされました本委員会の御決議の趣旨を体し、政府は、これに対処するための法的措置といたしまして補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案を提出することといたしたのであります。  この法律案の目的と致しまするところは、補助金、負担金、利子補給金等につきましての交付の申請、決定等、補助金等に係る予算執行に関する基本的事項を規定することによりまして、補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止等、補助金等に係る予算執行適正化を図ることにあるのであります。その具体的内容といたしましては、先ず、補助金等に係る予算執行の前段階たる補助金等の交付の申請手続及び交付の手続を慎重に致しまするため必要な規定を設け、且つ、法律及び予算の定める補助金等の目的を実現するための補助条件を明らかにすると共に、補助金等の交付の決定があつた場合には、補助事業等の遂行上の義務を明確にし、補助事業等が完了いたしました場合には、補助金等交付の目的が果されたかどうかを調査をなす等、規定の整備を図ることといたしたいと考えます。  次に、補助金等の交付の決定を受けた者が、その義務に違反し又は補助金等を他の目的に使用したというような場合におきましては、補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができることとし、すでに交付された補助金等の返還を命ずることとし、返還すべき補助金等に対しましては、相当の加算金を附する等の措廣を講じますると共に、不当な補助金等の交付の申請をした場合又は交付を受けた補助金等を不当に使用いたしました場合等には、相当の罰則規定を設け、以て、補助金等の不正使用の絶無を期したい所存であります。  なお、本法案におきましては、補助事業等により取得した主要な財産につきましては、原則として目的外の使用や処分を禁止し、補助金等予算執行の適正を期するため必要がある場合の報告の徴収、立入検査等に関する規定を設けると共に、他面補助金等の申請者の利益をも保護する見地から、補助金等の交付の決定の取消、補助金等の返還命令等の不利益処分に関しましては、不服の申立ができることといたし、申立人に意見を述べる機会を与える等の措置を講じたいと考えておる次第であります。  以上を以ちまして、要綱に対する概略の説明を終ります。
  99. 青木一男

    委員長青木一男君) これより質疑を行いたいと思いますが、申すまでもなく本件についての空疑に限定する次第でございます。なお多数の質疑希望者があるかも知れませんから、一回の御質疑の時間はおよそ、(「駄目ですよそんなこと」と呼ぶ者あり)二十分に限つて、あと他の質疑者のあとで更に時間があれば継続することを認めますから、そういうふうに取計りたいと思います。(「そんなことをどの理事会できめたのか」と呼ぶ者あり)きめませんが、委員長は、そうでないと一人がいつまでもやるというと、ほかの人の質疑の希望を妨げますから、そういうふうに計りたい。その代り更に質疑者のあとで又やることを認めまして、さように取計りたいと思います。
  100. 森八三一

    ○森八三一君 十七国会におきまして、この委員会の総意を以て、予算の不正不当支出防止に関する決議がなされたのであります。その決議の趣旨を体しまして、政府当局は、大蔵大臣が代表的な地位におきまして、その決議の趣旨を体して、善処を約され、その善処の形が只今御説明のございました補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案要綱として説明されたのでありますが、私どもが十七国会におきまして、予算の不正不当支出防止に関する決議をいたしました趣旨と、今ここに御説明を頂きました補助金等に関する云々、このこととは趣旨において非常な隔りがあるのであります。勿論決議いたしましたことに反するのではございませんが、ここに説明されておりますものは、我々の考えておることの極く一部が現われたに過ぎない。而も御説明を頂きました要綱にいりますと、その具体的な内容としては、補助条件を明らかにするとか、遂行上の義務を明確にするとか、果してそれが目的の通りに使われたかどうかを調査をするなどを規定する、こういうようなことは、今まで補助をいたしますときには、いずれも行われておつたことで、ここに改めて法律として出しませんでも、すでにやつておつたことであります。最後のところに持つてつて、相当の罰則規定を設けてとこう肯われておりまするが、今までやつておつたことではありまするが、その最後の締括りの段階に行つて龍頭蛇尾になり、遂に不正不当に使われるということがなかつたわけではございませんので、そこを締められているかと申しますと、要綱の御説明では、相当の罰則と言つておられますが、配付されている法律案を見ますと、大した、相当のものでも何でもない。結局ここへ出ましたものは、これを以てしては、到底我々が希望するような国民の血税は不正に、不当に使用されるということを防止して行くということには余り大きな役割を果し得ないのではないかというように考えられるのであります。それに関連いたしまして、二、三の点を御質問を申上げたいと思いますが、この程度のものであつたといたしますなれば、すでに決議をいたしましてから四カ月、五カ月の歳日を経過いたしておるのでありまするが、この百四、五十日の間一体何をお考えになつておつたかということを疑いたくもなるのであります。そこで相当の罰則を設けという意味と、この法律案に示されておる罰則の運用というものと一体どういうようにお考えになつておるのか、その辺を具体的に御説明して頂きたい。
  101. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 罰則の規定が一番この要綱の中でむずかしい点でございまして、実は本日午後まで法務省の刑事局と折角打合せをいたしておる最中でございます。この点がはつきり決定いたしませんために、この要綱のような極めて漠然たる規定になつたわけでありますが、罰則の対象になります事柄は三通りございまして、一つは、不正の手段によつて補助金等を申請し、又それを受領したもの、それからもう一つは、受領した補助金を不正不当に使用したもの、この二つのケースがあるわけでございますが、それに対する罰則をどの程度にするか。それから只今申上げましたような場合には、刑法の詐欺罪乃至は公文書偽造罪に該当する場合も数少くはないのでございますが、この補助金の適正化法律に基く罰則と、刑法の各本条の罰則と関係をどういうふうに考えるかというような問題、それからこの対象になりますのに、個人もございますが、法人も相当ございます。その場合に法人に対して併罰主義で行くかどうか、そういつたような問題がございまして、それらの問題につきまして、目下、今日中に法務省刑事局と結論を出すべく折角努力をいたしておる最中でございまして、そのために規定が非常に不明確な、抽象的な表現に要綱ができましたことは非常に遺憾に存じます。大体問題点といたしましては以上のような問題がございますので、それらにつきまして本日までに結論を出すつもりでおります。
  102. 森八三一

    ○森八三一君 そこでそういうような、まあ補助金、負担金という我々の考えておることの一部でありまするが、一部に局限をして考えてみましても、説明に述べられておりまするように不正な申請をしたとか、或いは交付を受けました補助金が目的外に使用されるというようなことが、一体どういうわけで発生するのか、どういうことによつてそういうような結果が生れて来るのかというその根源を衝かなければ、そういうような不正不当ということを矯めて行くことにはならんと思うのです。そういうような根源を一体政府はどうお考えになつておるのか。嘘を育つて補助金を申請して血税をごまかすとか、申請をするときには正しい申請をしたが、もらつてしまつてからそいつは別のほうに使つてしまつて、やはり国民に迷惑をかけたというような結果を生ぜしめたとかいうようなことは、一体どういうところに根源があつて生れて来るとお考えになつておるのか。そのことをはつきりしませんと、この目的を達するような規定、法律というものは生れて来ないと思うのでございますが、一体どうお考えになるのか。
  103. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 御尤もな御意見と拝聴いたしましたのでございますが、要するに補助制度そのものの運用に無理がないか、そこまで遡らなければならんわけでございます。不正不当な使用が一番多いのは、災害補助等が一番多いのでございますが、結局件数が余りに厖大で、実地調査なり、申請書の審査なり、私どもの手が廻りかねている、何万件、十何万件というような補助の対象があるわけでございまして、それらにつきまして実地調査をすることがなかなか困難でございます。書面審査も結局いい加減なものになつてしまう、それがやはり一番率直に申上げて原因じやないかと存ずるのでございます。そこで、私どもは別途、この法律とは別に補助の制度の実態につきましていろいろ考えておりますのは、補助の対象になる金額の最低限を、現在は十万円とか十五万円とか、或いは特殊な災害に関しましては三万円というような非常に小さな金額でございますが、その対象になる金額を思い切つて上げる、そうして補助をする代りに政府の眼が一つ一つの場所に届くようにする、勿論その金額以下のものをなおざりに附するわけではないのでございまして、一定の金額以下のものは、地方団体に財源を与えて、地方団体がこれを担当するというような、財源措置等の問題は勿論あると思いますが、そういうようなことによりまして、できるだけ実地調査を届くようにする、そういうようなことを考えなくちやならんのじやないか。そのほか現行の補助制度そのものにつきまして、いろいろ改正すべき点が多々あるのでございますが、何分にもこれは恒久的な制度に亘る根本的な改正でもございますので、そういう実態の改変につきましては、関係各省ともなお十分なる検討、打合せを必要とする次第でありまして、今国会にはちよつと間に合わなかつたわけでございますが、近い将来に必ずそういつた補助制度の実態につきまして、制度の根本的な改善を実施するようにもつて参りたい、さように考えております。
  104. 森八三一

    ○森八三一君 私は、今主計局長の御説明にあつたような、御答弁のような点について、十分研究もし究めて行かなければならんことに異議を持つものではございません。当然そのような方向に向わなければならんと思いますが、案じますのに、補助金の交付先が、各種の様々な団体が多いのでありますが、そういうような団体の運営の責任の衝に当る、平たい言葉で申しますれば、理事とか会長とかいうような役員の中に、その補助に関係しておつたような立場におつた官吏の諸君が天降りに就職をしているというようなところに私は一つ問題があるのじやないか。それはその次にそういう補助を交付するような地位に立つ人は、曾つてそういう団体に成り下つたというか、転職した人の部下であつたような人が多いというところに非常に問題があるのじやないか、そういう点を始末して行くようなことを考えませんと、ただここでこういうような要綱をきめてやりますことは、うつかりするというと、まじめな補助の対象となるべき人々に対して、徒らに手続上の煩雑を要請するという結果になるだけで、本当の抜け穴はちつとも押えられないという結果が生まれて来る危険があるのじやないか。その点をもう少し一つ考えて頂きませんというと、こういう目的を十分には達せられないと思うのであります。同時に、そういうことが、先日も予算委員会で永井委員から御質問があつたのでありますが、それが又いろいろな各種関係の選挙等にも繋がつて来るということが、現実の問題としてあるように思われるのであります。そういうところまで問題を発展せしめて行きませんというと、本当の我々の考えている趣旨には副いかねると思います。同時に不当の例としましては、会計検査院報告している年次別の報告書を見ましても、明瞭に出ているのでありまして、私も決算委員で携わつたことはございますが、たしか昭和二十五年度の少し古いものではありまするが、決算の批難事項を見ますると、当時の進駐軍から工事に必要なセメントの中に入れる防湿剤を注文された。その防湿剤はもともと粉の薬剤である。それを使うときには勿論水に溶いて使うのでありますが、それを大阪で一遍に水に溶いた、それでドラム罐に入れたものを買つた。聞いてみると、その薬はドラム罐一本の中に僅か三%含有されているだけで、あとの九七%は水である。その水を買つてそれを仙台へ送り、北海道にも送る。一体なぜその粉を買つて粉を送らなかつたのかというと、向うの注文が、水に溶いたものを買えという名称の指定がありましたので、それを買いました、それではそのときに粉を買つて水に溶いて使つたら如何ですかという質問をしましたかというと、そういう質問はしなかつた。それが大阪で購入せられて二万何千本ですか、それを一本か二本使つただけであとは二ケ年も倉庫に入つておつた。その間は完全な保管料を払つて、たしか三千数百万円の保管料を払つた。最後へ行つて、ドラム罐が腐つてしまつたからその払下処分をした。その処分が一ドラム罐が五円余りで、安いではないかと言うと、それは薬剤が入つておつたのであるから、海岸へ持つてつて水をあけて初めて空ドラム罐になるので、その運搬賃がかかるのだ、そういうことであります。というがごときは、まさに一つの予算の不当な支出ではないかと思う。そういう場合に、その結果を見ると、そういうことに、関係した役人の諸君は爾今注意しなさいという一片の注意で済んでしまつている。そういうところにも予算の不当支出というものがあるのではないか。もう少し、補助をもらうほうを縛ることも非常に大切でありますが、補助を出す側、或いは金を使う政府自身の内部において反省をなさる、若し非違の行為があつた場合には、これを厳重に締つて行くという途をお考えにならないと、ここに出ておる補助金のことだけでは、厖大な予算の不当支出ということにはちつとも役に立たない。刑事事件を起すような場合には、勿論摘発されて処断を受けておりますが、刑事事件までは行かないそういうような不当と思われる事項については、殆んど、今まで何らの措置も講ぜられておらんというところに、我々は非常に多くの欠陥を認めるのでありますが、こういう問題は一体どうお考えなつたのか。
  105. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 政府自体の歳出に関係して、予算執行の不正等がございましたような場合には、会計法等の関係もございますが、数年前に予算執行職員の責任に関する件という法律が制定されておりまして、その法律に従いまして、相当その責任者の責任を追及し得ることになつております。法制的には以上のようになつておりますので、今回の措置は、政府の部外者、つまり補助金等を受ける者の責任を明瞭にする、法律的に、法的構成にとどめた次第でございます。
  106. 森八三一

    ○森八三一君 そういうような内部的な規定なり法律がありましても、年々歳々会計検査院報告をいたしております批難事項を見ますると、そういうような規定なり法稚というものは全く死文化しておるというふうにしか我々は受取れないのです。それで我々の決議した決議の趣旨は達成されませんので、そういう点についてもう少し一つ真剣に考えて頂きたい。  それから補助金を今申上げまするように受ける団体なり個人の非違というものは、或いはこの法律、更に罰則を整備することによつてこれは相当矯められると思いますが、そういうような不正を起さしめるその根源が又役所の内部に存在しておるということを矯めて行くのには、この法律だけでは十分ではない。だからそういうことに処するためには、いやしくも補助に関係のある団体会社等にはそういう補助を交付する、査定をするというような立場に置かれておつた公務員の諸君が、或る一定年限は関係できないとかいつたところまでこれは行かんと、実際問題として私はうまく行かんと思う。更にそういう人々が選挙等に或る一定年間は関係はしないということにいたしませんと、実際の問題としては、予算の不正不当支出ということの非常に大きなものを断ち切つて行くというわけには参りかねると思うのでありまして、この法律案ではそういう点が殆ど抜けておるというところに私は非常な遺憾の意を表せざるを得ないのであります。そういう点をどういうふうにお考えになつているか。まあこれを今日ここですぐこれに対する回答を頂戴するということは、関係する他の法律もあるわけでございますので、そう簡単には行かないと思いますが、行かんからといつて、放つて置きますれば、これはいつまでも解決しない。先日大蔵大臣のお述べになりました昭和二十八年度災害をめぐつて約三〇%近くの不正があつたとおつしやいましたが、これはもう一歩掘下げて研究して行きますると、現われておる形はそういうことでありましても、そのもとが、やはり私は今申上げましたようなことに基因しておるものも相当あるだろう、こうも想像されるのでありますので、そういう点をもう少し整備して頂かんと、我々の決議した趣旨とは余りにも縁遠いものである。これでは私たち五カ月間お待ちしておつた、打ち甲斐がなかつたということを申上げざるを得ないのでありまして、時間が二十分以内ということでございますので、一応、まだまだこういうことを議論いたしますとたくさんございますが、実は出て来たものを見て私は非常に落胆をしたのであります。もう少し御研究して頂きたいということを申上げるのであります。    〔委員長退席、理事高橋進太郎君着席〕
  107. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 実は予算執行に当りまする者についでは、それぞれ法律があつてなにしておりまするので、補助を受ける者についても規定を急いだわけでございましたが、今丁度お話を伺つたおつても、なお過日中田さんからもそういうお話であるが、やはりそういうお話が出ておるので、私どもも各種の団体、補助を受ける団体、それに対する、それに就任する人の何といいますか、年限その他のものは、取極める必要があろうということを痛感しております。これはいろいろ関係いたしておりまするので、全般の問題として至急相談することにいたします。
  108. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私もこの問題に関しまして要綱を拝見いたしまして、森委員と同じような感を持つものであります。まあそれにしてもないよりは非常に私結構だと、併しこれだけではこの予算適正化ができませんので、広汎な関連において、それぞれの施策の一環として私はこの手を打たれて初めて効果を挙げるものではないかというような感じがいたすものであります。従つてこの案についても、私まあ手ぬるいわけですが、いろいろな点からここに至つた点を了とするものでありますが、関連する諸問題を指摘いたしまして、併せて御考慮願いたいというのが私の質問の中心であります。  このたびの国次予算は九千九百九十六億、特別会計は一兆六千九百四十四億、政府関係機関は八千七百五十四億、地方財政規模は九千六百五十三億、投融資二千八百億、まあ合計いたしますと厖大な額が国民経済の中で舞うわけでございます。そして今政界、官界、財界、国民と四つ巴になつて、疑獄、汚職と、大きくこの問題が取上げられているわけであります。併しいろいろ計算して見ますると、国民所得政府のお示しで五兆九千億、この二割が資本蓄積に廻るとすると、大体一兆二、三千億資本蓄積があるでしよう。ところが、私先般証券取引所等で数十社に亘りまして、ティピカルな会社の調査をいたしましたところが、交際費が我々の想像以上にあることを知りまして、大蔵省の主税局にお尋ねいたしましたならば、少くとも一千億もあると見てもいい、法人の交際費でございます。これ実体いろいろなモデル・ケースになるものを抽出されて、それからいろいろ売上高、その他あらゆる加工をされて一千億くらいあるだろう、こういうことです。又自治庁からお出しになつた資料によりまして、遊興飲食税から逆算した、そして又漏れたものも、そのエラーを含めまして修正して換算いたしますと、少くとも一千二、三百億の遊興がなされて、一日に少くとも二億五、六千万、二億五、六千万円の遊興が一日当りなされておるわけであります。私は日本の国民所得の少ないというよりも、そういうロスが極めて厖大である。このロスを何とか資本蓄積に廻して、そして産業の近代化、コストの引下げをやりませんと、来たるべき国際貿易競争に耐えることができないと、そういう見地からいたしまして、どうしてもこの問題に本格的に取組むべきだと、私は予算審議に優るとも劣らない重要性を持つものじやないかと、こういう観点から問題を取上げたいと思うわけであります。特に中国の或る人が、日本の現状を見まして、中国が本土を失つて、そして毛沢東に政権を委ねざるを得なかつたのは、政府官吏が腐敗したからである。日本の状態もそれによく似ておるということを、東京都の労働局監察室の主任監察官に言つておられるわけであります。我々としては、そういう点からして十分考えて頂かなければならないのではないか、こういう観点に立つて、この問題を取上げたいと思うわけであります。  そこでいろいろな角度から取上げられると思いますが、先ず自治庁の長官がおいでになりましたので、その問題を引出す糸口として、一体都道府県の知事と議長の交際費は一体どのくらい使われているか。そしてそういうものは妥当であるかどうか。そして又、知事と議長の交際費以外に、各部局に部課に組まれているいわゆる食糧費と称せられる交際費は一体どのくらいあるものであるかというようなことについて、お伺いをしたいと思うわけであります。
  109. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 詳細な調べをしてまとまつておりますものは、二十七年度の分しかございませんので、二十七年度の数字を基礎にして申上げたいと思うのでございますが、交際費として都道府県の部分が五億一千万円くらいというあれであります。そこで、その中で知事と議長の交際費というお尋ねでありますので、それを拾つて見ますと、二十七年度が、議会に属するものが一億一千三百万円、それから知事及び、その部局に属するものが三億二千百万円、合計四億三千四百万、これが今申上げました五億一千万円のうちから大体知事、議会に属するものとなるわけでございます。そこで今の二十八年度の推定でありますが、二十八年度予算の上ではこの四億三千四百万円に該当する数字は、三億三千五百万になつて、少い勘定になつておるのでありますが、併し二十七年度も当初予算からみると、最終の決算の見込の数字は、今申上げたように殖えているわけでありまして、恐らく二十八年度は二十七年度より下るということはないのじやないか、大体この程度若しくはこれよりも若干上廻るというくらいじやないかと考えているわけであります。それからしてその他の交際費という名前になつておらない、この食糧費という形になつているものは、これは知事とか議会とかいうように区分ができませんのでありますが、大体都道府県分として、三億八千五百万円ぐらいという大体の数字であります。
  110. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そこで、今長官が申されたように、先に申されましたのは二十七年度の決算の見込であります。大体当初予算に比べてどれくらい殖えるかということを調査してみますると、先ず四割ぐらい大体殖えているのです、当初予算に比べて従つて昭和二十八年度も、決算見込といたしましては、六億ぐらいになることが予定されるわけであります。私、この内容がいい悪いということは申しません。そこで我々として一つ考えなくてはなりません点は、これほどその交際費が必要だと、まあいわば私に言わせると、必要なる悪と申しますか、ノートウエンデイヒ・イユーベルである、必要な悪である、それが従つて公的にそういう交際費が要らないように、中央と地方との財政改革がなされなかつたという点が、私、第一点として非常にこれは問題があります。この額の中にも問題があります。とにかく一千万以上の交際費を持つている知事が十四県もあるわけであります。一千万以上の交際費を持つている知事が、名前は指しません、どこの県か言いませんが、一番多いのは三千二百九十万、その次が二千五百七十万、二千三百万、こういうふうにありまして、とにかく一千万以上の交際費を県知事が持つている所が十四県もあるわけであります。これは非常に問題ですが、併しこういうふうにならざるを得ないという点は、やはり地方の自主財源が確保されていない、そういう点に現在の多くの汚職の発生する非常に大きな原因があると思うわけであります。ところが今度なされました財政改革を見ますと、殆んどそういうふうな交際費を中央に持つて来て、一つの投下資本としまして、中央折衝をやつて、そうして地方財政を確保するという、そういう必要度が少しも低くなつていないわけである、ここに多くの私は問題があると思うわけである。例えば昭和二十八年度の当初予算を見まするというと、九千百四十九億のうちで、いわゆる地方税と称せられる自主財源は、三千六十七億で、三三・五%であります。今度の改革で幾らですか、九千六百五十三億のうちで三千四百七十四億でありまして、三六%になつて、ニコンマ幾ら殖えております。併しこれは警察が府県に移譲される等のことを考えますと、全然この地方財政の自主性が確保されていないという点で、やはりますますこの交際費の必要が高まつて来ると、私はやはり府県の県民所得のアンバランスがありますから、自主財源を府県に下し得る程度に限界があると思いますが、もつとそういうふうに地方に自主財源を与えて、そうしてみずから徴税して取立てて、取立てる苦労をして使うようにせんと、これが一種の知事の徴税費なんです、こういうことでは私はやはり交際費がますますたくさん要る。ますます多きを以て弁ずるというようなことになつて、交際費の必要、汚職をなくするということが機構的に制度的に改められていない点に問題があるんではないかと思うんですが、そういうことと交際費との関連をどうお考えでありますか。
  111. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは御指摘の意見に全く同感であります。勿論今度の改革では十分な措置はできておりませんと私も思いますけれども、併し今度の改革で重点を置きました、而も最も重点を置いた部分はやはり御指摘の点の改革ということに重点を置きましたのであつて、私の考え方としては、地方財政はできるならば一〇〇%全部独自の財源ということにしたいと考えて、改革に取りかかつたわけでありますが、併し実際にはそこまでは行かなかつた。今御指摘になりました数字は恐らく譲与税が入つておりませんので自主財源は三九%ぐらいになつておると思う。(「それは自主財源とはいえませんよ」と呼ぶ者あり)  それからしてなおもう一つ問題になりますのは、今までの平衡交付金、それからして今度の変りました交付税、これ自体でも扱い方によつては私は相当地方が中央に対して運動して余計もらうという考え方を抜くことができるはずなんでありまして、交付税に変える機会に交付税の自主性というものをよほど強くするという考え方にしたわけです。これが今度の率で以てはつきりきめてしまつておく、そうしてよくよくの事情がなければこの率は動かさない、従つて平衡交付金を総体的に殖やすために、又自分の県の分を殖やすために知事が東京へ出て来るという事態を抑えてしまう、それから更に配分の場合にもいつまでもきめずに放つて置くということ、それからきめる段階に自治庁の裁量の余地をたくさんに残しておくということがいけませんものですからして、成るべく配分の基準を法律にはつきりきめてしまつて、そうしてそのきめた基準に従つて早く額を決定してしまう、こういうようにいろいろ工夫をしていたしたわけであります。まあ独自の財源だけで行けませんのは、今の地方考えられまするいろいろな税源というものがどうしても偏在をいたしまするものでありまするからして、国民負担を最小限にくいとめながら成るべくすべての地方団体に或る程度の行政をさせようという場合にはどうしてもその間の調幣措置が必要であるということで或る程度は国がとつて分けるということにならざるを得ないわけであります。併しそれがやはり地方が国に依存する考え方、従つて交際費などの増加に原因しているということは確かにこれは争えないと思うので、そういうこともいろいろ考えて単に交際費の増額だけでなしに、そのほかいろいろ地方財政が大きくなる原因に、現在の地方制度、殊に府県という自治体のあり方に問題もあるのじやないかということを考えまするのが、今の公選制度というものに対して再検討を加えて見る必要がないかというような考え方も出て参つている理由であります。
  112. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういうことと関連して自主財源がないために中央にお願いに来るのですが、一体地方公共団体で組んでいる予算の中の旅費のうちで中央折衝に対して一体どれくらい旅費が使われていると思われますか。或る人は一日一万人ぐらいやはり上京しているのではないかということを言われているのですが、その点大体戦前におきましては各府県の東京事務所というものは余り、まあ北海道ぐらいはあつたかも知れませんが、なかつたのですが、戦後は殆んどの県がそういうものを持たざるを得ないということをどう理解されておりますか。殆んど東京事務所を県庁の一課ぐらいに当るものを持つているようですが、こういうことはどういうふうにお考えですか。
  113. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 旅費の調べは、これは費用弁償を含めて都道府県と市町村別の調べがあるわけでありますが、それによりますと都道府県分の旅費は百二十九億ということになつているわけであります。その中で知事、議長の分がどうなつているか、それから議長を含めて、東京へつまり陳情に出て来る分がどれだけになつているかということは調べ出す資料がございませんものですから……。市町村の分は七十二億、合計二百一億ということになつております。  そこで私も御指摘のように府県が東京に事務所を持つているということは、昔は確かになかつたのであり、今は殆んど東京に近接の数府県以外は皆持つているわけであります。どうしてこういうことが出て来るだろうかということをいろいろ考えたあげく、やはり府県の自治団体性というものが非常に強くなつて国と府県というものは別の人間だという感じがいたす、やはり別の人間なんだから地方の出先を中央に置かなければ万事連絡も不十分になるというようなことが非常に影響していると思うのであります。こういう面にも今の自治団体、府県の自治団体としてのあり方にやはり検討を加える面があるのじやないかと、まあ考えているわけであります。
  114. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 とにかく極く表面上に自治庁が計算された府県の送つて来る予算書で二百一億も使われているのです。これは更に府県が持つておりまする外郭団体の人が上京して来てこれに計上されないものその他を加えると私はやはり三百億を遥かに突破する額が九千六百五十幾億の割当でいろいろな地方の持つておる諸問題を解決してもらうために三百億も、それはもう軽く三百億は私は突破していると見ている。これはやはり大きな問題ですが、そこで塚田長官はこの行政機構簡素化や能率化の問題と取組まれたわけでありますが、私はやはり免許、認可、許可というようなものが非常に迅速にやられないようなことが一つ大きな、先にも指摘されたように、原因だと思うのですが、行政の簡素化といいますか、能率化、経費の節減というような意味で、そういうことは取上げられませんでしたが、こういうことは実は瑣末なようですが、予算書に出たのでも二百億の予算です。恐らくこれが手際よくやられますならば半減するくらいのことは簡単であります。行政の簡素化、能率化等でこの認可、許可、免許というようなことを考えまして、何とかもつと簡単にするような方法について工夫を凝らされませなんだか。これは実は私は一つの部局をどうするということ以上に汚職と腐敗をなくし、経費を節減するために非常に大切だと思うのでありますが、如何でありますか。
  115. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点も御指摘の考え方と全く同感でありまして、従つて機構改革にはその点に非常に重点を置いてあるのであります。どういう工合に考えたかと申しますると、もう許可認可をせんで済むものは成るべくこれはやめてしまつたらいいじやないか、これが法令整理という形で今取上げられている。それからどうしてもしなければならないものも囲の中央でやるということになると、地方から出て来ることが多くなるものでありますから、成るべく国も出先を持つているのであるから出先に任される程度のものは成るべく出先に任そうというように、権限の地方委譲ということを一つ各省にお願いをして協力を頂いているわけであります。なおどうしても中央でやらなければならないものは成るべく簡素に迅速にこれを取運ぶように各省に御協力をお願いいたしているわけであります。
  116. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 主計局長にお尋ねしますが、補助金の整理ということは我が党も反対なんです。ただ財源を与えずに切つてしまわれる方法については反対なんですが、私の党は国税を委譲してその代りにだんだん切つて行く。それをスライドさせるという切り方が違うのですが、そこでお尋ねいたしたい点は、補助金について計算して見ますると昭和二十七年度は八千五百二十七億の当初予算に対しまして二千八百四十六億で三割三分であつたわけです。二十八年度は九千六百五十四億で三千八百九十一億で四割、二十九年度は九千九百九十六億に対して二千九百十四億と、二九%になつて、昨年よりか当初予算で一一%の大幅な切られ方がしている。ところが昨日私が指摘しましたように、これはあとで塚田長官にもお尋ねしたいと思つているのですが、外郭団体の補助金に対してはこれを殖やしておられるという点に非常に問題があると思うわけです。これは非常に首尾一貫しないと思うのですが、如何な理由ですか。政府が出されました外郭団体が各省合計いたしまして四十あるわけであります。それに対して昭和二十八年度は五億一千五百七十五万円ですかの補助金が出されておつたのが、五億六千七百一万円となつて五千万程度、四千幾ら植えている。これは非常に首尾一貫していないと思うのですが、特にこの外郭団体の長や会長や副会長に誰がなつているかということを名簿に照合せて見ると前参議院議長であるとか、前何々大臣であるとかいうような人が会長になつたり、副会長になつているような外郭団体に対してメスを加えていない点が非常に問題である。大体私もたくさんの外郭団体の長をやつたことがありますが、そういう人を長にしていると他の弱いものに対して大銘を振われる主計局も、前議長が、前農林大臣がなつておられるのだからというような魔除けのようなものになる場合が非常に多いのです。この点は私は一般の補助金を打切り相当大幅なメスを加えられながら、こういう外郭団体の補助金を殖やされている点については首尾一貫しないのではないかと思うのですが、これについて如何ですか。
  117. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 外郭団体と申しましてもこのとり方が非常にむずかしいのでありまして、お手許にお配りいたしました資料は一応それらしきものを拾つて見たわけでございますが、その拾いました範囲では御指摘のように二十八年度五億一千五百万、二十九年度五億六千七百万と若干増加いたしております。併し増加いたしております中身を御覧頂きますと、例えば通商産業省所管で一億三千三百万円が一億九千六百万円と約六千三百万円増加いたしておりますが、それを更に通産省所管の外郭団体について御覧頂きますと、いずれも貿易振興のために必要なる団体に対する補助を増額いたしているわけであります。例えば最も増加いたしておりますのは日本貿易斡旋所協議会でございまして、これは海外におきまして輸出品の展示、紹介、宣伝、商取引の斡旋をいたします団体でございますが、その団体の、斡旋所の海外設置費及び運営費を補助いたしております。その補助金が三千五百万でございましたものが八千三百万円に増加いたしているわけでありまして、これは最も今日急務と考えられております輸出の振興という観点から緊要なる経費であると認めまして査定をいたしたわけであります。  国際見本市協議会、これも海外におきまして見本市を開催するための経費でございまして、三千八百万円を六千七百万円増加いたしておりますが、これ又輸出振興の観点から時宜に適した経費であると認めた次第でございます。  なお増加いたしております省の一つは文部省所管でございまして、一億五千三百万円が一億九千三百万円に増加いたしております。これは例えば日本育英会の経費が九千百万円が一億一千百万円に増加しておる、これは内容は御承知の通り優秀な学生で、経済的理由によつて就学困難なるものに対する学資の補助でございます。学生の対象となるべきもを増加いたしまして、二千万円増加いたした次第でございまして、これ又最も時宜に適した緊要なる経費であると考える次第であります。  以上一例を申上げたのでありますが、一々の事業内容検討いたしまして、現在最も必要なる方面に対してのみ増加いたしておるわけでございまして、その会長がどなたであるというようなことは我々の査定には全然関係をいたしておりません。専ら必要に応じて査定をいたしておることを御了承頂きたいと思います。
  118. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それは偶然の一致かも知れませんが、とにかく国家予算では九百億も補助金が切れて、それにもかかわらず殖えているのですが、    〔理事高橋進太郎君退席、委員長着席〕 その問題は別にいたしまして、塚田長官は行政機構の改革、簡素化、能率化等について外郭団体をなぜ取上げられなかつたか、私はこの外郭団体こそ大きな鉈を振つて、官界粛正のために、予算の節約のためにやるべきではないかというふうに考えているのですが、なぜこの問題を取上げられなかつたのでしようか。その数がわかつておりましたら知らして頂きたい。
  119. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 数は二十八年の八月調べで、一〇〇%正確なものとは申上げられませんけれども、百七十四団体あるわけであります。各省別で一番大きいのは農林省の四十八、運輸省の五十二、続いては厚生省の二十、建設省の十七、あとは十台の数字であります。私も非常に外郭団体に問題があるということで数字も調べて、実態も実は行政管理庁長官に就任直後調べ、そうして国会でいろいろ問題になりましたものにつきましては、行政管理庁の監察部として、取上げられる限度において十分調査をいたしまして結論を出し、是正をすべきは是正をしているわけでありますが、ただ外郭団体それ自体を減らして欲しいとか、こういう工合にして欲しいということは、行政管理庁の所管の外のことでありますので、これは如何ともいたし方ないわけであります。
  120. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 先ほど答弁中ちよつと間違えましたので訂正いたしておきたいと思いますが、日本育英会の九千百万円が一億一千百万円に増加いたしましたのは、これは先ほど就学資金であるようなことを申上げましたが、就学資金は別途予算を見ております。これは日本育英会の事務員のベース・アップに伴う事業費でございまして、これ又当然の増加であります。
  121. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 特に予算編成で今後気をつけて頂きたいのですが、百七十四と申されましたが、もつとたくさんあります。私殆んど調べているのですが、大きな組織を持つて疎漏の調査だと思うのですが、これが全部公共事業なり出ますと、その補助金を県庁に渡す際に必ず千分の六とか、まあ引きさくつて渡してしまうのです。そうしてそれが千分の六とりましたら千分の三ぐらいが中央の団体に来る。そうしてそれには代議士で知名な人を会長になられたり、或いは政府の高級官僚の人が退職した場合に入るようになつていて、これがもう厖大な公共事業費を食う大きな団体なんです。これが予算編成期になりますと、さあ大変だというので、中央に数十万の金を持つて、そうしてそれぞれの関係省に運動をするわけです。そしてそこで宴会をする。こういうことになり、それが選挙があります際には直ちにこれが例えば建設省の組織でありますなら、立候補する人の写真を作つて、すぐ数カ月前に全国的に配つて、過去数カ年間やつた土木工事の、全部のそういう工事のところに票を割当ててそういうことをやる大変な機関であります。私はやはり何と言つてもこの予算使用の適正化を期せられようとし、こういうロスを坊がれるためには外郭団体をもつと検討されて行くことが必要ではないかと思うわけであります。今問題を起している造船にいたしましても、日本船主協会は七千万の協会費を持つておる。造船工業会にいたしましても三千万ぐらいなものを持つておる。これは各社に対して利子を払うときにそれからリベートして出るものです。こういうことで、これになかなかメスが入れられないということは政界と特にこの予算編成の実権を持つ高級官僚諸君が深い繋がりを持つからであります。大蔵省にいたしましても大蔵財務協会ですか、これなんかはいろいろいい本を出して若干県庁を通じたり、税務署を通じて強制的に売られることもあるが、先ずいいほうであります。併しそういうものが全部あつて、この一兆近い国家予算に巣くつている大きな問題を持つものであります。これは是非政府とされてこの点について私は十分検討されてやはり何とかされんと、この外郭団体こそ官界と業界と、政府政党との間を繋ぐパイプのようなものになつているわけでありますが、一つ大蔵大臣並びに塚田長官に是非この外郭団体の性格と内容につき、更にとるべき策について検討してもらいたいと思うことと、更に一体出る補助金等をそういうことで天引してもらうことが合法的であるかどうか、殆んど天引してしまう。ですから工事が例えば砂防工事をやるとすればその中から引いてしまうのですから、結局砂防工事が粗雑になつて来る、こういうことになるわけであります。そういう点についてもお伺いしたい。
  122. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 只今仰せの点はたびたび私も耳にしますから十分取締ることにいたします。ただあとでおつしやいました何分天引する、これは目的外に使用することになりますから、今の要綱を出しました法律通りますれば、これに基いて処理することができます。従つてこういうことは是非やりたいと思つて考えております。
  123. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはまあ機構をどうするかということは何でありますが、今の外郭団体のそういうものにいたしましても、国からの補助が出ておりますのをその補助金の使途を監察するというのに関連しては監察できるのでありまして、昨年から今年にかけましては国鉄の外郭団体を大分監察をいたしまして、性質は多少違いますけれども、そういう面の不正不当は随分是正をいたしましたわけであります。
  124. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 一言大蔵省のことについて申上げたいと思います。財務協会は実は職員の厚生施設になつております。これは相当厳重に監督しております。これは出版物等はその一事業としてやつておる次第でございます。
  125. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いや結構な団体であります。こういう点はいろいろ問題で悪いような点ばかり指摘したのですが、併しこういうことが起らざるを得ないという一つ大蔵省のほうにお考え願いたいという点は、やはり過年度災害がたくさん放つてある。更に予算単価が適正でない。やはりインフレーシヨン、又はインフレーシヨンの時代ですから、当初査定された予算単価ではできない。そして一千数百億の過年度災害がある。地方公共団体の長や議会としては住民の負託を受けて何とかしなければならんというような切端結つた要請もあるわけですから、こういうもうを一つ何とかもう少し監査は厳重にして頂かなくてはならんが、過年度災害の一掃をやるということは私はやはり官界等を粛正、する大きな問題として是非取上げて頂かなくてはならん。  それから予算適正化の問題ですが、今単価が非常に適正に見積られないと言いますが、厳重な査定でありますから、検察庁も、いろいろ刑事上の問題を取上げられている検察庁が庁舎を建てられるときでも、ああいう単価ではできないのです。私も県会議長をやつておるときに、とてもこれではできないからというので補助をしたりいろいろやつたことがりますが、こういう過年度災害の一掃と単価の適正見積りと言いますか、こういうことをやつて頂くこともやはり是非必要ではないかと思うのですが、これは如何でしよう。
  126. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 二十八年度予算は当初過年度災害を相当多く見られましたものですから、たしか四百何億か見てあつたと思います。ところが二十八年災害がああいうふうに非常に大きかつたものですから、二十九年度予算では二十八年に遡つて百何十億にしかならないようになつたと思います。併し御趣旨はよくわかりますから、過年度災害のことについてできるだけ早く一掃することに努力したいと思います。ただ単価の問題は御承知のごとく今では物がずつと上つて来ておりますから、自然そういうこともあつたかと思います。今後は私どもの政策によつて下げるように向かつて行きますから、今後は少し実行したら楽になるように是非持つて参りたいと、かように考えております。
  127. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この予算節約と工事なんかのロスを少くするために、公共事業の起工式と竣工式を徹底的に簡素化するということを中央官庁として取上げられる用意はないか。これは私或る県で調べましたら、小さい県ですが、町村の保育所に至るまで県知事なり、県知事が出られなければ総務部長、副知事というものが行つて、労組で調査したところによると一千二百ぐらい一年間に県の首脳部が起工式と竣工式に行つて、そしてそこで宴会をやり、そうして有力者を又二次会に……。それはもう保育所を食い、土木事業者も上前をはねらざるを得ない。これは地方公共団体に対しては政府がとかく申すことはできないと思いますが、率先して国の事業に対して簡素化して行く。私の知つているのでも千人ぐらいな人を集めて盛大な起工式をやつて政府の人が祝辞を述べ、国会議員がやり、県知事がやり、県会議長がやり、地元の代表の議員がやるというようなことで、厖大なロスがあり、これが結局土建業者もたまらないから工事の手を抜く。これはもう率先してできるのですから、一つ是非起工式と竣工式の簡素化というような問題を速急に取上げて頂くことはできんものでしようか。
  128. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは全くおつしやることに私も同感です。これは是非私のほうでもときどきそういうものに臨んで、どうも少し賛沢だなと思うことをいつも感じております。率先一つ省のほうでもやることにいたします。中央でもやることに努め、又地方のほうでもこれを一つやつてもらうことに骨を折りたいと思います。全然私も同感でございます。
  129. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一つこの際何と言つて国会が率先垂範しなくてはならん問題ですが、一つの官吏のモラルと言いますか、一つの官吏道と言いますか、そういうものを確立するために、公共事業の補助金であるとか、起債であるとかというようなものの割当等に関しては、もう宴会に出ない、こういうことはできないものでしようか。これは結局又補助金を食い公共事業費を食うわけですから……。或る人は今こういうことを言つて揶揄しているわけであります。五つの五せる接待法、呑ませる、食わせる、威張らせる、握らせる、抱かせる、これがもう今補助金をとつたり起債の枠を拡大してもらつたり、電源開発の資金を割当ててもらつたりする五せる接待というようなことを言われているわけであります。私が建設省の或るところに行つて見ましたら、或る県の人が来て、日本橋の三越からリュックサックに千円ぐらいな品物でしようが背負つて来て、昼です、その或る課の女の人に渡して公然とこれは課長さん、これは庶務主任というふうに配つたりして公然としておるわけであります。これはもう農林省なんかに行つて見ると、課長さんのそばにはネクタイなりワイシャツなりもう昼中からたくさん積まれている。私はこれはなかなか平国会議員どころの騒ぎではない、なかなか実入りがいい、とは言いませんが、(笑声)そういうふうに莫大な国家資金なり地方財政のそういうものがロスになつているわけであります。ああいうところで金品の授受をやつたりすることは絶対禁止、国の補助金やそういう公債、そういうものに関しての宴会には出ない、こういう工合なことをやりませんと、私は官紀は粛正できない。併しそれにはやはり余り大蔵省のように給与費や超勤手当等を切られてはいけない。そういう面に対してはできるだけやつて、そういう必要のないようにしてこういうことのロスのないようにです、私はこういう道徳律を確立しなくては到底この日本の滔滔たる腐敗の趨勢は防ぐことはできないと思うわけであります。私はこれは自由党の前身ですが、是非耳に入れておきたいことは、私は大日本憲政史を読んで見ましたところが、明治の幾年ですか伊藤内閣のときです。取引所を設置するという問題、農商務大臣の後藤象次郎氏が取引所を設置して木挽町の瓢屋というのが今あるか知りませんが、この瓢屋に行つて暮夜ひそかに商人と会し、その請託を容れてそして取引所を作つた。そして金側の時計を一個もらつたわけであります。その金側の時計を一個もらつて、官紀を紊乱するというので国会で弾劾され、天皇に上奉文が出て遂に後藤象次郎は農商務大臣をやめて政治生活に致命的な影響を与えているわけであります。木挽町の瓢屋に暮夜ひそかにたつた一回行つて金側の時計を一個もらつて、そうして生涯の政治生命を葬つたということを思うと、私がこういうことを言うのも、今のような数十万円という金を赤坂で使つたりして、そうして刑事上の責任さえ問われねば、それで恬として恥じないというようなことでは、私は日本の将来は憂うべきものであり、そういう点で後藤象次郎がたつた金側の時計を一個もらい、商人と暮夜ひそかに会して瓢屋で夕食を一回食つたことによつて棒に振つているということを思うと、隆々として発展した明治の文運と今のような我が国の状況を考えますと、是非私は勇断を以てその点を一つ取上げて頂きたいと思うわけであります。これは吉田総理にも特に私は訓辞をしたい、こういうふうに考えているわけですが、一つ緒方副総理でもおられれば言いたいと思うんですが、宴会なんかには出ない、役所で金品の授受なんかは以てのほかだというようなことを、これはワイシヤツだとか、セーターとか、ウイスキーなんかを、役所で公然と贈られているわけであります。エチケットにしては少しひど過ぎると思うわけであります。ですから中国の人が、これは丁度蒋介石政権が毛沢東に席を譲らなくてはならなかつた中国の末期の状態と同じだと言つておるわけであります。是非私はそういう点について十分お考を頂きたいと思うわけであります。大変長くなりましたが、その点を一つ気にとめて頂きたいと思うわけであります。又そういう後藤象次郎氏のような進退を吉田自由党内閣にも要求しておくこともあながち無駄ではないと思うわけであります。刑事局長さん、おられますか……。一つお伺いしておきたいのは……。ちよつと関連してですから、もうこれでやめますから一つ御了承を……。造船疑獄に対して西郷古之助君の処分について、甚だ我々としては納得の行かないものがありますが、あれを担当された検事は誰ですか。
  130. 井本台吉

    政府委員(井本台吉君) お答えいたします。東京地方検察庁の河井信太郎検事でございます。
  131. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは日立から西郷さんが五百万もらつた、こういう経過がはつきりしているのに、どうしてこれが……、もらつたことは知つているが、そういうことに立会つたりしたり、いろいろわかつているが、使つたことは使つたが何に使つたかわからんというようなことで、これはもう処分保留のまま釈放、こういうことをされますならば、我々としては検察審査会に断乎たる処置をとらざるを得ないということを一つ伝えておいてもらいたい。これは我が党の一致した立場ですから一つ、余り多く言いませんが、甚だこれについては我々としては、五百万の金が動いて、そういう受渡しがはつきりしているのに、何に使つたか知らない、それで処分未決定のまま釈放されてうやむやになるというようなことで、甚だ遺憾でありますから、この点一つ十分伝えて頂きたい。どうも……。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単に二つばかりお伺いしたいんです。政府の補助金政策です。補助金政策は今どういう考え方でやつておられるか。この補助金政策には科学補助、産業補助、いろいろありますが、これまで補助金政策は打切る、補助金は打切るという政策をとつて来ておるはずです、ずつと……。それが最近私は、この補助金政策が又逆転しているんではないかというように思われるんですが、この補助金政策に対する根本の方針ですね、それを伺つておきたいんです。
  133. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 補助金を、この間実は整理しましたときに、一つの方針というか、それは申しませんが、大体今お話になりました通り、私どももいわゆる助成金的な補助金はしない、いわゆる竹馬の足はやらない、こういう考え方を持つておるのでありますが、或いはお話は、例えば船会社の問題でございますると、あのときの話としては金利だけは世界水準でなければ行くまいということで、金利の点だけであつたので通したのでありますが、そのほか、私どもが金利以外の問題について特に助成金を与えてその産業を助長する、こういう考え方はいたしておりません。むしろ産業の合理化その他の方面を促進する、或いは共同のことをやることを促進する、或いは機械その他優秀なものを入れて近代化することを促進する、こういうことに対する補助というものはございませんが、外貨の割当等についてはこれは比較的ゆるく取扱つておりまするけれども、その産業の助長のために特に補助金を与える、いわゆる竹馬の足をつぐというようなことをいたさない方針を、これは今でも堅持しております。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは大蔵大臣、そういうように御説明しなければならないお立場にあると思う。成るほどあのドツジ・ライン以後いわゆる価格補助を相当やつておつたのですがね。それで価格補助を打切つて、そうして価格はまあだんだん上げて来たわけですね。その後補助金政策をやらんという建前でありますから、はつきりした補助金としては与えられない。そこで今お話のような利子の補給という形で補助を与える。又外貨においてこれを考慮するとか、割当の、それからいわゆる二重価格制度ですね。これについて例えば生糸と砂糖の輸入リンクとか、とにかく非常な妙な形をとつているのですが、これはやはり一つの補助政策なんですが、それで私がこの補助政策がいろんな疑獄、汚職と関連して来る点について考慮してもらわなければならん点は昔のこの補助政策、はつきりした補助政策はそれに対してはつきりした政府の或いは監督とか、或いは又命令とか、そういうものがあつたはずです。例えば船会社に対する補助政策についても、これは大蔵大臣船会社に御関係ありましたからよく御承知ですが、郵船に補助すると航路補助をやります。航路補助をやりますと命令航路ですからはつきりとその義務があるわけですね。そういう国の要請する義務に対してそれで補助をやる。これは非常にはつきりしているわけです。それからその補助をやる以上は経理とか、統制とか、そういうものに服する。ところが利子補給という形でやれば、これは実質的な補助です、名前は利子補給ですけれども、ですからこの補助金等の今度は合理化に関するこれもその中に入つているわけです。利子補給を含めてあるわけです。これは一種の補助です。ところが利子補給という形をとると、昔のはつきりした補助と違つて、それに対する義務はないんです、はつきりした……。又統制とか、経理というものは現実に行われないのです。殊に造船の利子補給については本来ならばこういう補助を与えるならばですよ、はつきりとした政府造船計画、或いは海運政策というものを立てて、そうしてニューヨーク航路にはこれだけ配船する、ヨーロッパ航路にはこれだけ、或いは又インド洋航路にはこれだけ、こういう配船計画政府が立てて、そうしてニューヨーク航路には命令航路みたいにして、そうして補助を与える、こういうふうなことをして行けばいいですが、今度のこの開銀融資なり、或いは利子補給なりは、ただ資金の枠をきめて利子補給をする。併しどんな船を造つてもこれは競争なんです。勝手なんです。こういうことになつているから、普通のこのはつきりした補助金と違つて、国から補助を与えられるが、その補助の使い方は自由である。そこにいろいろなこの国が出した補助金が適正に使われない、又いろいろそこにスキャンダルが出て来る余地が生ずるのだと思うのです。これはまあ根本に遡ればはつきりした海運政策かないからです。いわゆる計画的な海運政策が、それがないからですよ。てすから本当は外国の船と競争するために補助を与えると言うのですけれども、競争ができないような会社にまで補助を与える、競争するのならば競争に堪えるような会社に補助を与えて、そうして航路命令なり、そういう義務を負わせるべきだと思う。それからこれは船会社だけじやありません。鉄鋼所についてもそうなんです。鉄鋼の金利をまけている、これも一種の補助金です。ところが御承知のように鉄鋼会社は補助金はもらいたいのです。運動しておつた。補助金はもらいたいがはつきりした補助をもらうとその統制を受けたり、或いは経理を監査されたり、そういう内容が洗われるからるので、従つてそういう統制を、或いは政府の干渉そういうものを受けないところの補助、こんないい補助はないのですよ。そういう形でやる、金利補給という形で補助をもらうような傾向が出て来ている。これは私は補助金の堕落だと思うのですよ。補助金そのものは変化して来ております。価格補助から産業育成補助に補助の性格は変つて来ておる。ですからそれはそれとして又考えなければなりませんが、それならばそれのように産業補助的な性格をはつきりさすべきです。利子補給という形で義務を負わないで、国の監督も十分受けないで、そうして補助だけもらう、こういう形は私は堕落だと思う。補給金の堕落ですよ、あれは。今度のこの補助金を政府が交付するに当つてこれを効率的に適正に使わせる、疑獄とか汚職が起らないように使わせる、こういう補給金の性格を明らかにしなけりやいけないと思うのですが、この点について大蔵大臣の御所見を伺いたい。
  135. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 補給金問題は一つ更に検討して見ますが、実は金利でやりまする場合にはどこの国も刺戟しないので……。ところがこれを直接の産業に対する補助とか、価格のことになりますとそこに各国を刺戟して、日本はこの産業にこういうことをさしておるじやないかというようなことから苦情が出て参つておるのであります。ただあなたのほうの国と同じような金利にしておるだけだと言うと、これは少しも問題がないが、それ以上の直接の策、方法をとりますると、今まで各種苦情が出て参つておる。それから今お話になりました、例えば生糸と砂糖のごとき問題も、これも一つの関連を持つてつておるときには、ある程度のところは問題がございません。だけども例えば、それが延いて生糸の価格を、そうして又輸出を有利にするといつたような作用をすること、更に言葉を換えて言うと、砂糖を入れるために日本の円をニューヨークで安売りしておる、こういうふうな働きをする場合には相当苦情が出ておるのでありまして、過日来もこの砂糖の問題もよほどその制限をいたしたのもそこから起つておるのであまりす。今ことごとく向うにわかるものですから。従つて私どもがこのどういう策がいいかについては考えてやる余地もあり、又考えなきやならんと思いますが、まあ金利で行く分にはどこの国もこれは止むを得んものだ、勿論御承知のごとく向うの金利が安いものですから当然そう考えてくれるのです。そういうことがあるのでこれは堕落というより、私は世界のよその国を刺戟せんように日本の重要産業を保護育成する立場から見ればこれが一番よいじやないかと思つておりますが、なお一つこの問題根本的に研究して見たいと思つております。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵大臣は私の質問をよく十分に御理解になつていないようですが、これは船に例えて見ますが、例えば具体的に言いますと、まあ新日本汽船なんかはどういう船を造つているか。そうして例えばこれはまあ高速船ともつかず、中速船ともつかず大体この十四ノットぐらいのものを造つておる。これがニユーヨークへ行くには余り適切でもない、と言つて又このインド、パキスタン・ラインでは少し贅沢である。非常に中途半端な、そういうような船を造つているのですよ。こういう船を造るのに補助金を与えておりますが、それは政府の海運政策に計画性がないからこういうことになつて来るのであつて、今の開発銀行資金の割当とか、或いは利子補給なんかは、その資金を割当てたり、或いは金利の補給にしてもどういう船を造るかということは、その船種は自由なんですよ。こういうことはもつとしつかり例えば船型、船の型、或いは航路別というものについて、どの航路には何ばいぐらい造る。どの航路には何隻ぐらい造る、こういうはつきりした計画がないから、そういう汚職なんか出て来るのです。こういう政府計画がきちんとしておれば、それにやつておる補助なり、或いはその開発銀行資金の割当なりが活きて来るのです。それを競争に堪えないような船にでも、何でもかんでも競争で割当得させると、そういうところに問題がある。で、今外国から睨まれると言いますが、例えばドイツなんか御覧になつても御承知の通りです。ドイツは三つの一地域一会社であつて徹底的な補助をやつているのです。こういう行き方でやらないと、もうドイツでは香港から最近日本まで来ると言つておりますよ。それほどこの海運国に日本にまでドイツは進出して来る。こういう状態なんです。ですから、先ほど森さんも言われましたが、この補助金の問題を考えるときには、この補助金に関連して不正腐敗が出て来る、又補助金が効率的に使われない根本の原因をこれは極めなければいけない、こういう御意見がありましたが、全くそうで、これを遡つて行くと小手先で、補助金を受取つた人は罰するとか、そんなことでは、それも決して無駄ではございませんが、これは政府の政策の根本にあるのです。いわゆる放任自由経済ではいけないということなんですよ。もつと総合計画性のある、殊に海運放策なんかはそれが根本なんです。今度の腐敗の出て来る根本はそこなんです。そこまで遡つて考えなければならないのです。例えば砂糖なんかでもそうです。百万トン以上ももらつたつて、砂糖を砂糖会社が全部精糖するのじやないのです。輸入しておきながら操短、制限をやつておるのです。生産制限をやつているのです。そんなことをやつて、そうして外貨を割当てて儲けさしている。そういうような、それが又外貨割当が一種の補助金的な作用をしているのです。  更に一番根本の問題は、今の円価の問題ですよ。二重価格、三百六十円ではもう到底やつて行けない段階に来ているのですよ、実際には。それを無理に、無理にですね、為替レート以外の方法でこれを調整しようとしているから、そこに無理が出て来て三重価格調整のためにいろいろなことを、政案をとらなければならん。最近の補助政策の多くはこの購売力平価と今の為替相場とのギヤツプですよ。この矛盾がここに来てそれを補助金施策といういろいろな補助政策で埋めようとしている。そこに非常な無理がある。生糸を輸出して砂糖の輸入権をもらうとか、船会社でも最近はそんなことを言い出して来ているのですね。そこに矛盾があるのです。どうもこのままで、物価を下げる下げると大蔵大臣つておりますけれども、単に物価の水準を下げるというだけでなくて、日本の物価には非常な矛盾があるのですよ。二重価格の問題です。これは何から来るかと言えば、円価が三百六十円はこれは無理なんです。国力に応じた円価じやないのです。そこをほかの国民に耐乏を要求させたり、いろいろな形でこれを無理に、又一兆円もそうです。このデフレ予算でこれを維持して行こうとするところに無理がある。やはり私はこの為替の問題を根本的にこれは再検討しなければならんものだ。これはデリケートではありますけれども、私は基本はそこにあると思う。そういう点について大蔵大臣はどうお考えになりますか。
  137. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 今船舶についてもお話がありまして、この点についてはお話の通りの点もありますが、同時に実は日本は外航船舶というものが足らなかつた。それだから、そこで規格をあれは示してある。御承知のごとく高速度の分、中速度の分、或いはトン数も七千五百トン、或いは一万トンとか、それぞれ示してありますが、その造ることについて造船所の自由にしてやる。この点はお話のごとき点もありましようが、あの当時あの船をやりました、三百万トン程度、月三十万トン造つたといつた当時は、まだ占領当時から始まつて来たことでして、当時においてニユーヨーク航路をどうするとか、何をどうするというような案は、実は運輸当局も立ちにくかつたのじやないか。ただ外航船舶は日本で不足しておるから、これを造る、こういうような建前でやられたので、過日来申す通り、例えば予算で何トンできるのだと言われると、高速船なら何トンできる、中速船と半々にすれば何トンできる、若し中速船だけなら何トンできるという答弁をしなければならなかつたのは、この点から来ておる。これは今後計画的にもう少し考え直すべきだ。これは全く私どももそう思います。ただ今までのいきさつはそうであることをここに述べるよりはかないと思うのであります。  なお、為替関係につきましては、これはまあ私はここで申上げることは、やはりイギリスが同じような位置に置かれた場合におきまして、彼らがその後引続きオーステリテイーの政策を初め、いろいろな政策を続けて参つた結果、今日のポンドの回復を見ることになつた。これも実勢においてはポンドが非常な回復をしております。こういうふうになつて来ているので、日本も我々の最大の努力を、国民の各位の御協力の下に続けて、日本も一年或いは二年のうちには是非そういうところへ持つて参りたい、又はつきりと目当かつく場合には、為替問題についても考える時期が来るであろう、こういうふうに考えております。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじやもう最後でありますから、私の意見を述べておきます。今イギリスの例をお取りになりました。イギリスは非常に財政困難になつたので、防衛計画三ヵ年十四億ポンドを、これをずらしたのです。防衛計画をずらした。そのためにイギリスは外交調整をやつて、ソ連との間に宥和政策をやつて行く。そうして世界の緊帳を緩和するという方法で、いわゆる防衛支出の負担を軽くした。輸出に重点を置いて行つた。今日本では逆なんです。防衛負担を殖やしつつある。今大蔵大臣が言われるように、この円価を維持しようとするならば、防衛費は殖やすべきじやない。逆に減らさなければならん。それほど日本の経済は深刻な事態になつているのですよ。三百六十円を維持できるかできないかが最後のけじめです。今二兆円予算はそのために組まれたのです。併しこれには大きな矛盾があります。私は軽々に予断したくないのですが、この一兆円予算が成功すれば三百六十円は維持できるでしよう。併しそのときに、成功したときに、併しこれは切下げるべきです。そうして安定して来る。ところがまごまごすると、イギリスがやつたように防衛費を減らさないで、逆に殖やして行くのですから、これは破綻してしまいますよ。仕方なく円価を切下げざるを得ない方向に行く危険があります。私はそれをそういうふうに見通しているのです。そのままではそういうふうにならんことを我々欲しているのですが、大蔵大臣は耐乏のみを言つているのです。それじや足りません。耐乏のみじや足りない。耐乏するなら防衛費に耐乏させなければならん。防衛費を削らなければならん。これがインフレの根本原因です。この点の認識がちつとも大蔵大臣になされておらない。インフレを防止する、防止すると言いながら、防衛費を殖やして、どうしてインフレを防止できますか。そのインフレを耐乏で調整しようとしているのですけれども、今の日本の底の浅い経済ではそれはできません。これは少くとも一年たてばその結果がわかると思います。そのときに改めて……。大蔵大臣は又どういう調子で大蔵大臣おやめになるかも知れませんが、そのときに又御質問することにしまして、私はこれで終ります。
  139. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 簡単に二、三お伺いします。予算委員会における審議の過程の中でいろいろ議論がありまして、政府要望いたしましたこの補助金等に係る予算執行適正化に関する法律案要綱というものをお出しになりましたことは誠に結構なことと思います。こういう方法によつてできるだけ補助金等のそういう使用について、良心的に且つ適正に行われることは誠に結構なことであります。ただ併し私ここで大蔵大臣にお伺いいたしたいことは、これは大蔵大臣には不適当な不適当かもわかりませんが、いわゆる国家公務員の予算支出に対する問題につきましては、いろいろある思うのですが、一つはこの現職の官吏が、国家の経費を使つて、立候補運動をやるという点であります。この点については、大蔵大臣も勿論うすうすは御承知のことであろうと、こう考えるのであります。現職のうちに大いに官庁の予算を使いまして、各地に出張し、そうしてその出張先において、事実上の選挙運動をやつている。或いは又自分の所管であるところの補助金なり、或いは又工事計画などについて、とくと地元の有士の人々と懇談をいたしまして、如何にも自分がこの仕事をやつてやるんだということで、恩を売つておきまして、近く二、三カ月なり或いは半年先に選挙が行われる場合に、今までの恩を返してもらうということで立候補をする。こういう人たちがちよつと参議院の名簿を調べて見ましても、相当多数あると思う。勿論これはどこでその事実をつかむかということは、非常にむずかしい問題であろうと思います。併しこの問題については、予算がこういうふうに窮屈になつたときでありますから、みすみす特定の国家公務員の選挙運動のために、国費が使われること、は、これは誠に重大なことであろうと思います。こういう点について大蔵大臣はどういうお考えを持つていらつしやるか、お伺いいたしたいと思います。
  140. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これはもう過去において私どもは相当耳にいたしておりますが、誠ににがにがしいことだと、私は正直に申して考えております。なお今の国家公務員のうちで、そういうような旅費その他、国家の費用を使つてつておる者があるといたしますれば、これは監督庁のほうで十分一つ善処することにいたしたいと思います。私も一つそういう話が出たということを、さつき丁度中田さんの話と共に、閣議の席上でもこういう話が出たが、互いにこういうことを実行しなければいかんじやないかということを一遍話して見たいと実は思つております。今日は副総理も見えませんから、私は特に先ほど中田さんが言われたときの話と、今のこの点は、至極私も御同感と存じておりますから、適当の機会に話して見たいと思つております。  ただ今回の補助金等の臨時特例の法案に、その点の立法から漏れておりますが、これはもう少し全般に亘つて、やはり或る程度の立法をすべきじやなかろうか、この点につきましても、一遍とくと相談をして見たいと思います。
  141. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 申上げますが、私の知つたので、もらい下げであやうく逮捕を逃がれましたが、昨年当選しています。或る経済関係のかたです。そこの部長が県から来た部長に資金を集めて補助金の割当をやつて、そうして選挙運動の金を渡しておるところをわかつて逮捕状が発せられたのです。それを衆議院の、或る刑事局出身の大物の人がもらい下げをして逃がれたようなことがあり、官庁で選挙資金を分けられておる。これだけの補助金をやるから、これだけの費用を確保せいということを、これはどこの省ということは、ここでは言えませんけれども、これははつきりしている。四国のほうから警察が逮捕状を要求して上京して来たんです。それをもらい下げをしている。そういうことが今松澤さんの言われたことに含まれている。
  142. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 この問題、誠に大蔵省当局としてはどこでつかむということはなかなかむずかしい問題で半年、或いは一年近くたつてからその人が立候補したというと、あのとき非常に頻繁に出張したのはそういうことであつたのかということがあとでわかります。併し現在誰ということを申上げることはできませんけれども、過般の選挙におきましても我々がすでに選挙以前において非常にそういうことが行われているということを耳にしておりました。案の定その人が立候補し、そうして又その人は当選している。同僚の議員でありますから私は名前を申上げませんけれども、参議院の要覧を見れば或いは農地局の局長である、或いは自動車局長であるとかいうような人たちが皆その手でやつている。これは確かにはたから考えて見れは明らかに選挙運動である。併しまあ経理の関係から言えば正当の出張ということになつていると思う。こういうことを放つたらかしにしておいて補助金だけ取締りましても、私はそれでは完璧を期することはできないと思います。勿論これは高級官吏の立候補禁止という、いわゆる公職選挙法の改正のことにも関係すると思いますけれども、併し窮屈である二十九年度予算、こういうものについて大蔵省といたしましてはこれが十分に予算経費の使用する場合においては注意を促して、いやしくもこういう方面に国費が不当に出資されることのないようにして頂かなければならないと思います。只今閣議においてもこの問題を取上げて、親しく総理或いは副総理その他の人にもお諮りになるということでありますからこれ以上申上げません。善処を要望して私は終ります。
  143. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日の通告はこれにて終了いたしましたからこれにて本日は散会いたします。明日午前十時より開会いたします。    午後四時四十八分散会