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1954-03-19 第19回国会 参議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十九日(金曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員の異動 三月十八日委員戸叶武君及び松永義雄 君辞任につき、その補欠として松浦清 一君及び加藤シヅエ君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            小野 義夫君            高橋進太郎君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            伊能 芳雄君            小林 英三君            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            高野 一夫君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            横山 フク君            岸  良一君            小林 政夫君            田村 文吉君            高木 正夫君            中山 福藏君            村上 義一君            岡田 宗司君            亀田 得治君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            湯山  勇君            相馬 助治君            曾祢  益君            松浦 清一君            武藤 常介君            千田  正君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君    農 林 大 臣 保利  茂君    通商産業大臣  愛知 揆一君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    国 務 大 臣 安藤 正純君   政府委員    外務省経済局長    心得      小田部謙一君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省管財局長 窪谷 直光君    農林大臣官房長 渡部 伍良君    水産庁長官   清井  正君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    運輸省航空局長 荒木茂久二君    海上保安庁長官 山口  傳君    海上保安庁次長 島居辰次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。
  3. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 緊縮予算の問題に対しては各委員のほうからいろいろな角度から質問をされたのでありますが、私も一、二お伺いしたいと思います。  この緊縮に対しては一般有識者間では絶対必要であり、むしろ遅きに失したくらいの感じを持つて非常に協力的に考えておるのでありますが、併し大衆緊縮政策耐乏政策生活に影響するところが非常に多いので、内心歓迎しない人が相当多いけれども食糧原料を海外から輸入しなければならん我が国としては、輸出を増進して国際収支の均衡を図ることが国民生活の維持の前提であるのでありますから、万難を排して既定方針を進めて行くよりほかないと思うのでございます。併しこの緊縮財政伴つて金融政策だけで現在の状態はやろうとされておるようなふうに考えるのでありますが、これで果して政府が予期しておられるような物価引下げができるか。現在はよほど物価が下落の状態にありますけれども、併しこれはなかなか現在相当混乱と言うたら語弊がありますけれども、動揺いたしておるような状態にあるのであります。仮に又物価引下ができても、経審長官の言われるような六%程度ぐらいな引下げで果して輸出が増進できるだろうかということを心配されるのであります。そこで私はどうしても財政政策金融政策だけでは所期の目的を達することができんのじやないか。どうしてもこの際に物の政策と申しますか、まあ総合政策と申しますか、とにかくもう一歩進めてそうして物というものに対するいわゆる政策が行われて行くのでなければ、私はなかなかこれはむずかしいんじやないか。そういうふうに考えるのでありますが、大蔵大臣なり経審長官はどのようにそれに対してお考えになつておられるか承わりたい。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 白波瀬さんが言われる物に対する政策を必要としはしないか、これは実は物価引下が単に財政緊縮金融引締強化だけではこれは十分ではございません。勿論これは主なるものになると思います。主になるとは思いますが、それで十分だとは思いませんが、まあ私といたしましては、外貨予算の面を通じて物の需給関係に幾らか役立つようにしよう。それからこの生産コストを下げるためのいわゆる産業合理化その他のことを進めて参る。更にこれを近代化する等のために機械その他の必要があれば、昨年度相当思いきつて入れましたが、本年度も引続きこういうものを入れて参ろう。それから又それに伴い企業合理化に伴う金融措置というものについては、これは十分考えておりますし、例えばこれが船舶会社であるとか或いは貿易商社のごときものについては、もう少しやはりそれぞれの会社内容強化が必要であるという点から、合併と申しまするかそういうものについて日銀その他でもあつせんの労をとつている。又例えば税の面でも今度はあとから都合によつたら表で差上げてもいいと思いますが、輸出に対しては製造業者のほうも或いはその取扱商社のほうも相当減免されることになつております。そういうような諸施策が相待つて行くのであるから、大体私ども物価引下目的を達すると思いますが、併しいわば丁度物に対する半面が金の面になるものですから、金の面から見て今いろいろやつております物に対するやり方になると、勢いこれは統制ということに実はなつて参るので、この統制ということは成るべくそういうほうへ持つて行かずに行きたいというのが、自由党の従来の考え方でございまして、今それで進んでおるのでございますが、併し物ですからそれだけで効果のない場合には、或る物によつて統制をしなければなるまい。これは白波瀬さんの御関係の分ですけれども、例えば蚕糸などの分についてももう一つ何と言いますか、輸出の増進の面から免れば、これは私は丁度昨年アメリカでも見て来たのでございますが、もう少し上手にやれば現在の五割ぐらいはあの糸価で売ることがそうむずかしくないのだ、ただ国内が高いためにいろいろ変動があつたり、或いは又どうかすると或る言い分もありますが、例えば生糸ブラジルから入る砂糖と結びつけるということは、半面から言うと生糸輸出になりますが、と同時にやはり一種の価格の切り下げと見ていいのでありまして、そういうやり方はどうもよろしくないのではないか。一町的にはちよつと効果がありますけれども、どうもよろしくないのではないか。従つてそういう面について特に輸出貿易、直接の関係の面で統制という言葉が適当かどうかわかりませんが、或る程度の計画の下にどういう組織がいいか、これは一つ農林当局とも研究しようと思いますが、何らか措置をとることが、輸出貿易の促進にもなるので、こういう面は金融の面のみでは補いがつかないと思つております。考えてはおりますがまだ結論に達しておりません。従つて今会期中にこういう案を出すというところにはなつておりませんが、かねてから会社案が出てみたり特別会計案が出てみたり、いろいろ出ておりますのも、そういういわば物に対する面の統制考え方を幾らか織込んだものと、こういうふうに考えておるのでございます。これは何かの措置を取らなければならんと私は考えております。まだ実は結論に達しておりませんが、これらについても又よい考えがあれば承りたいと存じております。
  5. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今の御意見は御尤だと思うのでありまして、私は一兆円予算が先頭になつてそれから更に金融引締めが現在その効果を現わしておるわけでございますが、その上にと申しますか、今度は外貨予算の問題が当面しているわけであります。昨日も申上げましたように、この外貨割当につきましては、現在細かく各物資に亘つて検討いたしておりますが、大体の傾向はこういうふうな状態にあると思います。二十八年度の十月から十三月頃にかけまして各物資とも相当輸入が激増しておりますから、この期間等と比べてみますと例えば綿花にしても原料等にしましても、或る程度削減になることは当然であると思うのでありますが、併しそれらにつきましても、二十七年度当時に比べてみれば、或る程度むしろ増加になる程度のものが一応外貨予算として細まれるのではないかと思います。即ち二十八年度の後期に比べれば全体として相当きつい削減になるが、三十七年度に比べれば先ずそれを成る程度まだ上廻る程度になるであろうかと、こういうような見通しを持つております。併しそれにいたしましても、相当最近の輸入の情勢に比べて輸入削減されるということになれば、勢いそこには思惑もすでに起つておりますし今後も起るかも知れませんし、或いは物資需給関係についての不安ということが起りますれば、これは警戒を要するような事態になると思うのでありまして、現在のところは輸入外貨割当について、各物資別相当見通しを付けると前後いたしまして、これの裏打ちとして国内においてどういう借覧をとるのが適当であるかということを合せて考えようといたしているわけでございます。で、私は全部の主要物資等について画一的なやり方をするということは不適当でもあると思いますし、現在大体の物資需給関係見通しから言えばそこまでは必要はないと思うのであります。ただ併し例えば砂糖でありまするとか、或いは油でありまするとか、こういうものについては各業界協力、或いは消費者側協力ということが当然必要となると思うのでありますが、戦時中のようないわゆる切符制ですぐ我々が思い起すようなああいう経験は再び繰返したくない。国民的な協力によつて合理的な統制という言葉を使いますと、又そこに誤解が起るのでありますが、何かそれに代るような、つまり切符制度までは行かないのだけれども、それと同じような効果を挙げ得るような適当な方法業界その他の協力によりまして実施して参りたいと存じまして、いろいろと現在方法検討中でございます。これは先ほど申しましたように、外貨予算についての成案が大体得られましたときに、合せてこれらの措置についての成案をとることにいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  6. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、大体のお考えはまあ今までから承つておるし、本日の御答弁でも承わつたのですけれども、併し現在の金融引締状態は、もう限界に来ているとお考えになりませんかどうか承わりたいのですが、実は最近相当まあ動揺している。これは一つの反響であるから効果があるとも言えるのでしようが、併し又中小企業の問題がすぐにしわ寄せになるということであるけれども中小企業も戦後に起つた中小企業というものには本当の思い付きでやつたもの、又メーカーでありながらただ単なる商業利潤を追うてやつているもの、そういうようなものもありますから、一概に今度の施策によつてそれらがその影響をこうむつているのだということは言えない。どうせいわゆる正常なメーカーとなつて来るのにはそういう段階を経ることだと思いますけれども、併しながら現在の一般財界状況相当大きな動揺をしている。これに対して大臣は余りにも金融独走的な考え方であつて、もう限界に来ているのじやないかというような感じがいたすのでありますが、その点に対してどのようにお考えになつておりますか承わりたい。
  7. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはまあ白波瀬さんよく御承知のように、金融でやるのには或る程度限界があると思います。併し現在がその限界かどうかと言いますると、私はまだ実はそうは思つておりません。と申しますのは昨年の丁度暮からこの春にかけても、又二月の月末を見ましても、大体いつもいわゆるオーバーローンが膨脹しているのでありまして、そういつたことは実はやはり企業が或る程度健全性を欠いておる部分が少くないのじやないか、こう見られるのであります。それと私は特に昨今、これは昨年以来破綻を暴露している事業会社ですが、極く一両日、名前は挙げませんが、或る軍需会社でそういう多少不渡等の問題を出していると見られる会社どもありますが、少しやり方に無理なところがあるのではないか。それでまあ私どもが見ている以前の健全な会社の経営の仕方と異なつて、特に最近これはまあいろいろな点で見受けるのでありますが、或いは今の会社にそういうことがあるということを毛頭申すのではありませんが、帳簿外の借入金がありましたり、又非常に法外に高率の金を借りておりましたり、お互いに手形の書き合いをしている。いわば純粋の意味の根からのみ出ているものでなくておるものが相当あるのです。それがいつもちよつと、例えば不渡手形などを出した場合にはその会社の整理に立入つて洗つてみますると、思いもよらんような大きな負債が出て来るというようなものもある。この頃も日本銀行のほうにおきましては、勿論健全なものに対してはこれは財界刺揺を与えないように、これを或る程度金融上の保護を加えることでやつておるのでありますが、そこはどうもまだ、特に戦後のいろいろな会社にそういう点非常に不十分な点があるようなんであります。私どもの過日来申している健全なる金融を必要とする健全な会社には決して金融を拒むというようなことをしないということは、これはもう政府方針もそうでありまするし、日銀も固くその方針をとつております。或いは又進んで協同をするその他のことをやつて助け得るものなら或る程度助けようとする措置さえとつているのでありますが、併しどうも戦後、この頃破綻をしている幾つかの会社を見ますると、今申上げたような以前にはちよつと考えも及ばなかつたような内容を暴露しているというような事実もございます。  併しまあ金融ではおのずからそこに限界があることは全く白波瀬さんと御同感であります。御同感でありますが、私はまだ昨年の十二月以来オーバーローンその他の増嵩の趨勢を見ますると、まだこれは限界に来ていると言うのは早いのじやないか、かように実は考えておるのであります。  なお全体として見まして中小商工業者その他にしわ寄せせんように努力することは勿論でありますが、余り今ここで金融を正常な金融に対しての努力をすること、これは勿論でありまするけれども、まだもう少し、少くとも思惑的なものや或いは滞貨金融のごときものはやりたくない、かように考えている次第でございます。
  8. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 いずれにしましても今度の政府の立てられている方針を実行するのには、国民協力国民心がまえというものが最も必要じやないかと実は思うのであります。  そこで私どもの遺憾に思うことは、最近において電力料値上げであるとかその他の値上げ、とにかくもう値上げということはもう自立経済見通しが立つまではとにかくストツプである、こういう考え方をされないと、私は国民協力とか或いは心がまえとかいうものに非常に支障が来るというか、いわゆる疑惑を持つということはもう争えない事実であつて有識者だけが非常な協力をしましてもやはり大衆協力心がまえができないといかんと思います。  それで私はどうしても希望することは、ともかくも自立経済見通しがつくまでは一切の値上げ問題はストツプである、こういう方針を立てられて、そうしてそこに前途に希望を与えるということが先ず必要じやないか、こういうふうに思うが、その点に対して通産大臣はいかようにお考えになりますか。
  9. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 誠に御尤もと考えます。そこで私のほうの所管の問題といたしましては、只今御指摘の中で電力料金の問題が最大の問題でございまして、これは電力開発緊急性ということから申しまして電力会社が国策に副うて電力開発に非常な努力をしている。その関係資本費増嵩してこのままではやり切れないというので値上げ案を申請しておりますることは御承知通りでございまして、これにつきまして只今各地聴聞会を行なつております。それから一方政府側といたしましては、例えば資本費増嵩をできるだけ抑えるために、税制の面において、或いは開発銀行金利面等におきまして、できるだけ効率的に、或いは金利政策協力をするような態勢を逐次固めているわけでございますが、尚時に会社の経理の内容や、或いはその他の見通しなどを織込みまして、只今お述べになりましたような環境にあるものでありますから、この際として私どもといたしましては、成るべくこの値上げということは少くとも差当りのところにおいては政府としては抑制して参りたい、その代りいろいろの助成措置は講じなければならないと考えておりますが、そういう態度でこの問題の収拾を私としてはいたしたいと考えているわけでございます。
  10. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 農林大臣が非常にお急ぎのようでありますから順序を飛ばしまして農林大臣にお伺いいたしますが、続いて時間の関係上お尋ねいたしますが、過日の本会議農林大臣飯島議員質問に対して生糸輸出振興策は今国会に提案すると言明されたのでありますが、やはりそういうふうにお考えになつておるかということが一つと、それからいま一つは、順序が非常に変なんでありますけれども輸出を非常に増進するということもこれは外貨獲得の一方法ですし、又輸入を或る程度減すということも、これは又検討してできるだけ減すということが必要である。その観点から考えまして不急物資輸入の問題に対しては、過日質問がありましたから省きまして、私の思うのはとかく問題のある外米でありますがこれは相当多くの外貨が出ている。而も最近はまあ農林省では非常に注意して外米を入れておられるようであるけれども、併しそれが一旦配給される部面を調べてみると、相当大量配給辞退している。過日のここでの公聴会勝田女史も半分は配給辞退している。こういうふうに言われておつたのですが、これは地方によつて非常に差があることだと思いますけれども併し大量に辞退しておることだけは事実であります。又私どもの知つている範囲では犬を飼つているものは必ず外米は犬のえさにやつている。こういう状態考えますと食糧政策に対してもう少し根本的に御検討になつて、そして外米というもの、つまり米輸入というものは極力減されることが適当ではないか、又そうすることによつていわゆる食生活の改善もできようし、又今年の三十八年度のような下作であつても、最近は米の闇値は一時的に上つたけれども、そうめちやくちやな上り方をしていない、そういう点から考えて来ると外米輸入というものに対して相当研究する余地があるのではないかと思いますが、その点をお伺いしたい。先の問題とこれとお伺いいたします。
  11. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御質問生糸の昨年の繭の減産と、又一面国内消費旺盛化と相待ちまして、非常にこの暴騰と申しますか高値を来し、これは余議ない経済現象でございますけれども、その結果外貨獲得の有力な物資であります生糸がこの面における貢献が非常に少くなつた。これはむろん不作減収という脇町的な現象が大きな要因でありますから、これだけに騒ぎ廻るということも如何かとは存じますけれども蚕糸業我が国における地位というものは、やはり輸出産業として発展をして行くというところに非常に高い使命が持たされているということから考えますると、そういう物資を、減収に起因するとは申しましても、輸出振興上現状のままにおいていいかどうか、昨年の最近の輸出状況を見ましても、輸出するものは殆んどまあブラジル経由三角貿易というような極めて好ましくない形で、六万俵ばかりが出ていると思うわけであります。これをなんとかアメリカ向け直輸出ができて、そうして外貨獲得の上に大きい貢献を本来持つ使命が達成できるようにという考えで、いろいろ各方面の御意見伺つて只今立案をいたしておりますが、なかなかこの繭の生産から輸出に至るまでの各段階における意見の調整ということは実際困難な面が非常に多いので、米だに成案を得るに至つておりませんけれども、できるだけ一つ速かに成案を得まして、是非御審議を願える段階に持つて行きたい、こういうふうにまあ考えているわけでございます。  それからこの外米の問題は私も内心は全くその点を非常に愛想いたしております。昨年の減収必至と見込まれるに至りました節に非常に私自身としてどうするか、思い切つて配給量を落して、麦その他の代替食糧を以て全体の食糧を確保するという手段をとるべきか、或いはとにかく最低量と一応見られます十五日の米の配給品質如何にかかわらず確保することがいいかどうか、こういうことにつきましてはしきりに内部的に苦慮いたしたわけでございますけれども消費者に対する著しい変動を強制するということは如何であろう。少くともこの外米品質から来る消費者の嗜好上の好悪についてはいろいろ御意見があるとは存じますけれども、先ず消費者生活を守るという上から行きまして、非常に大きいこの経済上の犠牲ではありますけれども、先ず最低配給を確保しておもむろに真剣に今後の食糧対策検討して出直すということがこの場合妥当ではないかという結論に基きまして、今日とつているような処置をいたしているわけであります。  さて、外米消費者から迎えられまする状態は、これはもう白波瀬さんのお話のように相当配給地域によりまして非常に違うわけであります。例えば生産地帯に近い、端的に申しますれば闇米等が入手しやすい地帯にはこの外米配給辞退がかなり多い。お話のように半分もというようなことはございませんけれども、多いところは四割ぐらいになつているところがあるようであります。で、昨年の配給辞退が十一、二万トンぐらいになつておるのじやないか。この点は只今食糧対策を真剣に検討いたしておりますから極めて貴重な資料となるわけでございますし、念を入れて調査をいたしているわけでございます。  ここで私どもとして一番心配いたしますのは、まあ今は東京も山手、下町ということはそう消費上の変りは余りないようでございますけれども、いわゆる大衆層辞退をする人は比較的少い。でお話のように人間が食べなくてほかのものに食べさしている。これはやはり要らんといえばほかの方途によつて食べ物を賄う、いわばどちらかといえば生活上多少ゆとりのある階級といつて差支えないと思います。そこで、食糧の問題はやはり勤労大衆それ自体の基本的な問題でございますし、従つてそこに重点をおいて考えて行かないと、ゆとりのある生活階級のところを対象としてものを考えるということは非常に危険なことになるのじやないか、その点で苦慮いたしておりますが、そこで外米については只今食糧対策協議会でいろいろ御検討願つているわけでございます。私もいろいろ検討いたしておりますが、外米でも他の食べ物よりも結構であると言つて歓迎しないまでもとにかく満足をして配給を受けて頂く人が非常に多いのです。それからもう外米ならばお話のように犬猫にでも食べさしたい、こういうこの両面の現象がありますことはもう御指摘の通りでございますから、一つ考えとしてはいろいろ扱い方にあろうと思いますけれども、ともあれこの二十八、二十九米穀年度は現在までとつて来ております方向を以てやつて行きますけれども、これらの貴重な資料の上に立ちまして、三十米穀年度からは外米問題につきましても配給関係その他について相当重要な考慮をしなければならんということで研究をこれは真剣にいたしたいということでやつているわけであります。
  12. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつと申上げます。農林大臣、本会議の要求がありましたから、本会議の梶原委員の質疑がすんだら又お戻り下さるように……。
  13. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 一品だけ農林大臣に聞いておいてもらいたい。よくわかつておりますから、今一口だけ。  大蔵大臣農林大臣相当よくおわかりのようでありますけれども、この蚕糸業というものは実際今日の状態は重大段階に立つている。それは何かというと輸出産業として今後行くか、或いは国内産業に転換されるかという、そういう段階にもう今日実際立つている。だからもうそうまあまあというような段階じやないのです。そこで私はよく認識して頂きたいと思うことは、若しこれが国内産業となるんならもうそう増産の必要はない。国内では生糸は高くても安くても二十万俵前後は消費するんです。まあ非常に不景気であり、景気がよいといつてみたところで三十万俵というものは年間を通じたら大体使う。これは価格の問題でも何でもない。ところがそれ以上ということは大体において安くても必要がないという段階であるから、私は国内産業となるんなら蚕糸業というものはもう大体そう大事の産業じやなくなる。そこで今日のようないわゆる国際収支関係から考えると、こういう輸出適品のものは相当考えになつているようでありますけれども、私の言葉を以てすればどういう方法を以てしてもこういう輸出適品は出すべきじやないか。そうしていわゆる国家のために蚕糸業というものを重要な産業として行くべきじやないか、こういうふうに考えておる。そこでそれならどうしたら出るかとこういうことになりますが、それからもう輸出生糸を優遇するという措置で今日までは出るんだという考えを持つて誰しも来たんです。けれども今日の段階ではもう輸出優遇ということでは輸出は決してふえない。ただ残された問題は私は一つであると思う。それはどうかというと結局内需を数量的に抑えて輸出を優先するという措置を講じる以外には輸出の増進は図れない、こういうふうに私は考えている。で、そこは人によつて非常に考え方が違うんでありますけれども、どうしても私はこの際にせつかくの蚕糸業輸出産業として進めて行くということのできるように、これは是非一つ考え願いたい。それは統制とか或いは何とかいうことにかかわらん問題じやないかと私は考えている。これは聞いておいて頂いたらよいことかも知れませんが、現在考慮中だということですから……。
  14. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私どもといたしましてもお話のように、この蚕糸業の今日の当面しておりまするところは、輸出産業として持つて行くべきか、国内産業と見直すべきかという非常に重要な段階にあるということにつきましては全く同感でございます。是非我が国のこの貿易状況からいたしましても、蚕糸業を重要なる輸出産業として守り立てて行かなければならない。又これは国情からいたしましても当然とらなければならん措置だと思うわけです。で、関係の各方面の御協力を得て輸出産業の重要なるものであるという自覚の下に、是非目的を達成するようにいたしたいと思うわけであります。お話の点は、しやかに説法でもう私からかれこれ申上げるまでもなく、十分その点につきましても立案上の貴重な意見として研究をいたすつもりであります。できるだけ早く一つ案をまとめてお目にかけたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
  15. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それでは私は、食糧の問題もいろいろ聞きたいことがありますけれどもお急ぎのようでございますからこの程度にいたしておきます。  外務政務次官見えておられますか、見えてないのですか。
  16. 青木一男

    委員長青木一男君) 外務政務次官は直ぐ見えます。
  17. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 それでは管財局長見えていますか。
  18. 青木一男

    委員長青木一男君) 来ております。
  19. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 農林大臣にちよつと関連質問したいのですが。
  20. 青木一男

    委員長青木一男君) 今本会議に行かれるというのですから、もう打切られたのですから。
  21. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 一言でいいのです。
  22. 青木一男

    委員長青木一男君) 農林大臣いいですか。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ちよつとなら……。
  24. 青木一男

    委員長青木一男君) それではどうぞ。極く簡単に。
  25. 伊能芳雄

    ○伊能芳雄君 只今農林大臣から十五日の配給米は確保したいような、まあ本会議でもそういうようなお答えでありましたが、政府が耐乏生活を説く以上は食生活の上においても米の率を下げるといつても、これは終戦直後のあの時代とは違つて、麦で十分童を確保してそして耐乏生活の一環として米の率を下げるというくらいな御決意が望ましいと思うのでありますが、米の輸入が多ければ多いほど町が悪くなつて値段が高くなるということは、これは米のようなものにあつては当然なことなのであります。政府が耐之生活を説くこの意味において国民も十分納得してくれることと思うのでありますが、この点について更にもう一回御意見を伺いたいことと、もう一つ政府は百六十万トンというようなことをああいうふうに公表しなければならないものかどうか。若干量の或いはもつと幅のある五十万トンから三百万トンぐらいの間の輸入はするというような、まあ悪い言葉で言えばごまかしというかも知れませんがそういうような発表で、もつと簡単にできれば若干輸入するというようなことで発表されれば現地の思惑がよほど抑えられるのではないだろうか。こんなふうにも考えられるのであります。この点についても第二段として伺いたい。  もう一つは粉食、麦食を奨励しても一番今難点は何と申しましても配給米が一番安い、麦が案外高い。うどんにしましてもパンにしましても高いということは、粉食の転換に一番容易でない点だと思うのですが、最近は少しパンを値上げしたようなところも現にあるのであります。政府の低物価政策に逆行してパンを値上げするということは誠に残念なことでありますが、この麦をもつと安くするような方法、例えば米を少くするならば、米に出すところの補給金の分を麦に廻すというぐらいのはらで進められたならば、麦がもう少し安く供給できるのではないか。そうすれば米食率が下つて国民はそのほうに行く可能性が相当多い、こんなふうに考えておるわけです。  以上三点ほど簡単にお答え願いたいと思います。
  26. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これは配給量を最低と一応思われます十五日を維持いたしたい、それは決して安易な食生活消費者に保証するということには私はならないと思う。相当大きな外米輸入拡大をいたしましたけれども、内外米を合せましても、二十七年産米プラス外米の供給力と、二十八年産米プラス外米輸入供給力とでは約六、七百万石の米の供給力は減じているわけであります。従つて消費者におかれましては、これだけの或いは正規のルートを通じ、或いは闇を通じましても六、七百万石という米の供給は減つているわけでありますから、従つて今日の国民大衆生活を守つておられる台所の苦心というものは容易じやないと思う。決してこれ以上に然らば十五日を十日に落した場合に、麦食奨励のまだ普及が今日のような状態では非常にとまどいをさせる結果になるのではないか。よかれあしかれまあともかくも一五日までは一応、品質にはいろいろ御異論もあろうけれども保証して、そうしてこの間において相当の、数カ月の期間を置いて家庭においてもいろいろの工夫が行われる、それと相待つて生活合理化を推進して行くと、そうして妥当な対策を講じて行きたいくらいの時間はどうしても要るのではないかということが私の考えておつたところでございます。  そこで輸入数量を百五十万トンとか百六十万トンとかもうそのぎすぎすした数字を出しているわけでございますが、これはどうも然らば十五日配給するとすればどうしてその配給ができるか、これは国会が強い、どうもええころのことではお許しは頂けませんでしよう。行政当局としてはまあそこらのところを多少お話のようなことができますれば非常に都合のいいところもあろうと思いますけれども、併し同時にこれはやはり根拠ある数を資料によつて国民の多数の御納得と御理解を得るという上から行きますれば、それは長短いろいろありますけれども、私はこれもまあやむを得んのではないかと思つておるわけでございます。そういう事情からいたしまして麺類或いはその麦食の普及ということは今日はもう私は恐らくこの半年の間で大衆家庭に非常に滲透していると思う。そこでお話のように私どもといたしましては率直に申上げますれば、一時米に対する二重米価論がかまびすくありました頃、私としては米は当然或る姿においてやはりこれは価格が保たれるということが必要である。これは消費者もそれには御協力を頂きたい。併し同町に日本の食糧事情からいたしましてもどうしても麦に頼つて行かなければならん面が多くなつて来ておりますから、それになじみをもつて頂くためにはむしろやはりこの麦のほうにこそ二重価格的な考えを持つことが妥当ではないかというような考えでおりますけれども、これは財政事情等もありましてなかなか困難でございますが、今日は外国の小麦輸入がかなり円滑に行われておりますので、私どもとしてはこの麦食品の価格が安定するようにということで苦心をしておりますけれども、末端においてはそういうまだ現象も出る、いろいろの何もありますけれども、万全を尽してこの麦及び麦製品の価格安定には万全を尽して安定措置を講じて参るようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  27. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 管財局長にお尋ねをいたしますが、終戦と同時に曾て兵器生産の工場に転換されておつた民間の工場が、つまり賠償工場ですかに指定されまして、そしてそのうちに多数のいわゆる工作機械が入つておつた。それが二十七年の多分十月頃かと思いますが工場も返還された、そうしてその機械は二十七年の十月頃に五万数千台であつたはずであると思うのです。それが賠償が解除され大蔵省ではこれを処分することに御決定になつたと思う。そして第一に中小企業の整備強化のためにその機械が振向けられ、そうしてまあ悪い機械はそれで取換えてやるというような措置が講ぜられた。その残つたものは更に買却処分するようなふうな方針を立てられたはずだと思いますが、それから後二年ほどになるのですが、現在それはどのようなふうになつて、而も買却処分の残り台数はどれくらい残つておるのであるか承わりたいと思います。
  28. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 若干お尋ねの数字と少し範囲は広くなるかと思いますが、賠償機械の現状を御説明するために申上げたいと思いますが、御承知のように当時賠償に指定されました台数が三十六万台でございました。そのうち平和条約が発効前に屑化するために賠償指定を解除いたしましたのが約六万六千台であります。更に中間賠償でフィリピン、中国その他に持出しましたものが四万四千台ばかり、講和条約発効いたしました日に残存しておりました台数が約二十五万台ということに相成つております。そのうちで二十七年度中に処分をいたしましたのが約三万九千台というものであります。二十八年度くびになりますのが約三十二万数千台、その三十三万数千台の中でそれらがどういうふうになつているかと申しますと、駐留軍の用に供しておりますものが約一万六千台程度、それから貸付いたしておりますのが四万三千台程度、それから施設と一体に処理をすることを適当と認めまして売払う、その機械をしばらくにいたしまして一緒に処分することが適当だと思われる台数が約三万三千台、それから貸付、売払の申請中のものが一万九千台程度、それから更にすでにもう各省で現実には使つておりまして成規の手続で所管替えを要しますもの、これは主として文部省関係の学校が多いのでありますが、これが約一万台、それから先ほどお話の出ました中小企業に交換用の機械として留保いたしましたものが四万七千台ということに相成つております。この数字のはみ出したものがまだ処分の目当が付かなくて保管をいたしている台数になるのでございますが、それが約五万五千台程度に相成ります。そのうちで中小企業の交換の分四万七千台は交換のために留保をいたしました台数でございまして、現実にこれが交換に廻りますものは大体今の想定では一万二三千台程度に相成るのではないかというふうに考えられております。大体留保いたしましたものは約三分の一弱の程度でございますが、従いまして残りは一応交換が済みますと自由に処分し得るような状態になります。それで二十八年中に処分の見込のものが、これは機械の大小とり交ぜてではございますが約四万台乃至五万台程度のものが三十八年度中に処理されるのではなかろうかというふうに考えられております。従いまして今年度末に更にまだ使途の未定なものとして持越しますものがやはり五万台程度に相成ろうかというふうに存ずる次第であります。私どもといたしましてはできるだけ速かにこれが日本の経済の復興なり或いは中小企業の能率改善というふうなことに役立つことを念願いたしておりまして、できるだけそういう方向に活用をいたして行きたいという努力を続けているのであります。今後もその努力は継続いたして参りたいというふうに考えておる次第であります。
  29. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 えらい範囲の狭いことを聞いていかんかもしれませんが、岐阜県の問題をお聞きするのですが、それは二十三年にいわゆるつまり工場が解除されて返還されまして、そしてその中につまり工作機械が入れてある。それがまあ大蔵省のものだという。それが、現在になつてもまだその工場の三分の一くらい占められている。そうしてそれは紡績工場でありますが、どうも財務局の管理がきびしいのですね。工場は返つてしまつている、二十四年に。それにもかかわらず財務局のいわゆる管理がきびしいというかひどいというか、まあその間の詳しいことを申上げるのはなんですからあとで御覧願いますが、とにかく買却するのかどうされるのか、ちよつとその周囲のもの或いは県のものとしては了解に苦しんでいる。というのはその機械が現在千台残つております。そうしてどうもそれは岐阜県でその機械を使いたいということで県が一括して払下を要求した。ところが県は経済行為をするということはまずいというのでそれが県から更に商工会議所に委託というか一任をした。ところが商工会議所がそれを皆もらおうとしてもなかなかその財務局はそれをうんと言わない。いややるという原則はきまつている。ところが価格の点でどうしてもそれがなかなかいかないということで、まあその間のことが非常に何というかいろいろな考え方が起こつている。又工場のものはそれがために社宅は十八軒も使われている。それから自分のところの工場でありながら入ることを禁じられる場所があるということで非常に苦しんでいるのですが、こういうのはやはり大蔵省でいわゆる下値価格をきめられてそれに達しないとこれは処分しないという考え方ですかどうですか、この点伺いたい。
  30. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 機械は国有でありまして建物等はすでに本来の所有者のかたに賠償指定が解除になりまして返つているのでございますが、御迷惑をかけているのがまだ相当あるのでございまして、これは国有機械をほかに移す場所がございませんでやむを得ず御面倒をみて頂いているような恰好でございますが、岐阜県の関係につきましては今ちよつと詳細なことを承知いたしておりませんけれども、そういうことがあろうかというふうに想像されます。  それから商工会議所で一括して払下を受けるというようなことをお話でございますが、これは今の制度の上では商工会議所に一括して払下げるということはむずかしい。一般の入札でございますとか或いは又指名をいたしました入札ということで処分をいたすことに相成つております。なお価格はやはり今の制度におきましては政府のほうで払下げの最低価格をきめることに相成つております。これは予定価格と申しますかということでございまして、仮に入札をいたしましてもその入札の価格が予定価格を下廻るという場合にはその売払はできない建前に相成つております。入札の場合といえどもその予定価格を上廻つたという場合に初めて落札の決定をいたすことに相成ります。なお随意契約で売払いができます場合におきましても、この関係は同様でございます。政府のほうで予定価格をきめまして、それ以上の価格でお話合いのできたところの適正な価格で売払いをいたすということに相成つております。  なお価格の点につきまして、なかなかお話合がむずかしいということでございますようでございますが、その予定価格が或いは高過ぎるということかも知れませんと思いますが、併しながらこの予定価格につきましてはいろいろ考え方がございまして、高過ぎるという御批評も受けている面もございましようし、又どうも安いのじやないかという批評を受けている面もございまして、私どもとして中古の機械でございますのでその評価については非常に苦慮をいたしているのでありますが、大体今までとつております基準がまずまず従来のところでは適当な最低の価格ではなかろうかというふうに考えておりますので、お買受け願う価格はこの予定価格以上のところでないとお話合がむずかしいというような状況に相成つているような次第であります。
  31. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君  今一点お伺いします。大体国有財産の処分は競争入札にされるんだと思いますが、そのほかに財務局の管内で特に処分を委託されている指定業者がありますか。
  32. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは国有の機械につきましてはそういうふうに委託業者を使うということはございません。財務局直接の契約……。
  33. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 機械じやないものはどうですか。
  34. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 機械じやないものにつきましては、一つ委託売払いいたしておりますのは、例のあの財産税、相続税等で物納されました財産であります。これの土地建物につきましては委託売払をいたしているのでありますが、それ以外のものにつきましては委託売払の制度はとつておりません。
  35. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 外務次官来ておりませんか。
  36. 青木一男

    委員長青木一男君) 今呼びに行きましたが、保留されますか。
  37. 白波瀬米吉

    白波瀬米吉君 そうします。
  38. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつとお諮りいたしますが、今度岸委員の御順番でございますが、農林大臣のやはり出席が必要と思いますのでこの際便宜三浦委員のこの前保留された運輸大臣に対する質疑をいたしたいと思いますから、そのあとで岸委員の御質疑をお願いいたします。
  39. 三浦義男

    ○三浦義男君 運輸大臣おられますか。
  40. 青木一男

    委員長青木一男君) すぐ参られます。
  41. 三浦義男

    ○三浦義男君 私は運輸大臣に御質問申上げたいと思うのであります。それは日本航空の関係でございますが、日本航空株式会社は昨年の八月一日にスタートいたしましたいわゆる国策会社なんでありまして、この会社会社法を読んでみますと第八条には予算の範囲内で補助金を出すことができる。又第九条には債務の保証を政府がやることができるというふうに書いてありますので、まあこの経営かたが放漫になりますれば、私は又いろいろな問題がここで派生して来るんじやないかと思いますので、そういうことが心配になりましたので、実は発足早々ではございますが今後の運営につきましていろいろお伺いをしたいのでございます。  先ず第一にお聞き申上げたいことは、日本航空株式会社が英国のコメット飛行機をお買いになるということが新聞紙上に出ておつたのでございますが、この二機購入ということはもうすでに決定をして、アドバンス・ベイメントでもやつておられるのでありますか。又やつておられるとすれば、この価格は全体どのくらいの予定になつておりますか。先ずお伺いをしたいと思います。
  42. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。コメット第二型というのを一応約束してあるのでございまして、これによりまして二台分の前渡金四億円が支払われているわけであります。
  43. 三浦義男

    ○三浦義男君 価格はどのくらいでありますか。
  44. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 一台五億五千万円でございます。
  45. 三浦義男

    ○三浦義男君 このコメット機が英国で使い始められましたのが一九五三年の五月三日でございまして、今まで製造されております機の数が二十一機あると聞いております。この中で五機は非常な大きな事故を起しまして、そのうち最もひどい事故は一九五三年の五月の二日カルカッタで全員四十三名死亡した。又一九五四年の一月にはエルバ島の上空で空中分解をやつたというような大きな事故を起し全員死亡しているというようなわけで、この一月の二十三日以降の飛行は英国では禁止しているというような、どうも考えてみますと非常に危い飛行機のようなんであります。危いと申しましては語弊があるかも知れませんが、いずれにしましても操縦においても、又機能においても非常にむずかしいんだというようなことを言われております飛行機でありますが、そういう飛行機をこの日本の国土でお使いになり、又日本からスタートして諸外国に行きますときに危険なものと私は考えられるのでありますが、これはそういう問題については十分お考えの上で御注文もなすつたものとは思うのでありますが、その辺についての御懸念のほどは今は持つておられませんか。
  46. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) コメットが現在までに七回の事故を起しております。一々細かく申上げますと時間がかかりますから簡単に申上げますが、そのうち大破の事故が五件ございます、その他あとの二件は極めて簡単な事故でございます。五件のうち四件は死傷者を出しております。そのうち一一細かく申上げますとなんでございますが、二件は離陸時におきまして御存じのようにスピードが速いものですから機首を少し早目に上に上げましたために離陸時に失速をして事故を残している。それはパイロットのエラーと、こういうことになつております。それから一件は着陸飛行場を間違えまして二つある飛行場の小さいほうに着陸いたしまして急ブレーキをかけまして胴体を横倒しの恰好で持つて行つた。こういうことでございます。これもパイロットのミステイクでございます。それから昨年の五月皆さん御記憶に残つていると思いますがカルカッタでやりました事故は、あの辺であの時期でありますと三万六千フイートぐらいまで猛烈なる疾風の渦巻が上るのだそうでございます。その状況はわかつていたそうでございますが、軽率と申しますかそれに離陸いたしましてその中につつ込んで戦闘機でさえも堪えられないようなかストの中に入つてそこで分解した。こういうことになつております。最近の一月のエルバ沖の事故でございますが、これにつきましては御存じのように今調査をいたしております。併しエール・フランス、UAT、BOACで持つております飛行機を全部集めまして英国の航空省その他の調査した結果では構造上の欠陥はなかつた。こういうことが中間発表になつておりますし、その他気になる点は数十個所改正をいたしまして三、四日前でございましたかUATの飛行機がパリからヨハネスブルグに出発いたしております。なおこの事故につきましては、エルバ島沖に起きた飛行機を揚げて見ることが一番大切だということでレーダーを使つて目下一生懸命に探しているわけでございます。  でこの発注の状況を申しますと、一型が二十二機でございました。もう一型は製作をやめまして二型がパン・アメリカンその他各航空会社九社ばかりで三十七機注文しております。三型は五七、八年頃でなければできませんが十機注文されておりまして、驚くような次第でございまして、今申上げましたような点等から考えまして、危険なものであるとは考えていない次第でございます。
  47. 三浦義男

    ○三浦義男君 まあ危険なものじやないというようなお考えの下にもちろん御注文をなされたと思うのでありますが、更にもう一つ伺いたいのは、この使用いたしておりますジェット・エンジンでありますが、これは過般私通産大臣にもお伺いしましてジェット・エンジンの方針をどう立てるかということを実はお伺いしたのでありますが、まだ日本においてはこのジエツト・エンジンについてはつきりした方針が立つておりません。昨日だつたと思いますが衆議院の予算委員会でこのジエツト・エンジンの問題がちらりと出ておりました。それはMSA案に伴う経済措置協定による三十六億円贈与されるこのうちから、ジエツト・エンジン会社に十億の出資をするのだ、或いはジェット・エンジンのオーバーホールをするために十二、三億の出資をするのだとかというような問題がデイスカスされている程度でありまして、まだジエツト・エンジンに対して方針が立つておりませんのであります。でそういうようなときにこのコメットを買いまして本当に日本の飛行機としてこれが運営できるものだろうかどうかということにつきまして私は懸念を持つているのでありますが、このへんのお考えはいかがでありましようか。
  48. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) このジエット・エンジンについてもそうでございますが、現在日航で持つております飛行機は全部アメリカ製でございます。従つてそのエンジンの取替等も全部向うから買つて来なければならない。こういう状態でありまして遺憾なことだと思いますが、当分これは民間航空の商売をやる面におきましては継続するのだろうと思うわけであります。従つてピストン・エンジンとジエツト・エンジンとそういつた関係は変りはないと思うわけでございます。
  49. 三浦義男

    ○三浦義男君 今までお伺いいたしましたことは、私は、まだ日本ではコメットのようなこういう危険性を多分に持つているものは用いないほうがいいのじやないか。それよりも今使つておりますDC4或いはDC6というものをむしろこの金で多数買つて国内の航路の拡張にも又海外に行きます航空路の拡張にもお使いになつたらばどうかというようなことを考えているのでありますが、その辺のお考えはいかがでございますか。
  50. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのようにピストン・エンジンの飛行機はもう発展段階の限度に来ておりまして、これからはターボ・プロペラ、ターボ・ジェットになつて行き、イギリスではすでに御存じのようにターボ・ジエツトをやつております。ターボ・プロップも出ているわけでございます。各航空会社は常に新らしい機種を目がけてやつておりまして、今申しましたような注文をいたしているわけでございますので、少し野心的ではあるかと思いますけれども、遅れてスタートした日航が他の会社のやりますような方向でやるということは、これは少し野心的ではあるけれども、進取的であつていいのではなかろうかと考えております。ただいろいろの経済比較の面からして、今この際ジェットをとることがどうかという問題はあろうかと思いますが、そういう点は十分検討しているわけでございます。  なお、別にコメットの擁護をするわけじやございませんけれども、今山上げましたように、我々のほうの専門家の意見によりますと、コメットがさように危険なものではないということを言つておるわけでございます。なおストラトクルーザーにおきましても今度は全部コメットを一カ所に集めて検査しましたけれども、昨年二月だつたと思いますが、太平洋でストラトクルーザーが事故を起しました際に、BOACはストラトクルーザー全部をヒー・スローに繋いで点検をいたしたのでございまして、今度の事故だけではないわけでございます。
  51. 三浦義男

    ○三浦義男君 それではコメット談義はそれくらいにいたしまして、今アメリカ航空路に使つておりますDC6でありますが、これは聞くところによりますと一つの飛行機は貨物の輸送機の中古品を買つて改造した。従つてそれに要しますところの費用が五〇%乃至六〇%多く持つていかなければならない。こういうので非常に経済的にまずいのだということを聞くのでありますが、その辺についての御当局のお考えを聞きたいのと、又もう一つのDC6は、新しいのの貨物用を改造されたというのでありますが、その改造費がどのくらいかかつておりますか。わかつていらつしやるならば教えて頂きたいと思います。
  52. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今サンフランシスコと東京の間を飛んでおりますのは三機ございます。今お話の中の二機は新品で貨物機を改造したもの、一つは中古ということでございます。これは新しいのを皆頼みますると二年以上の時がかかるのであります。成るべく早い機会に一応国際線の中に頭を出しておく必要がある。そうしなければいつまでも出て行く機会を失い、そして今までやつている連中のほうが力強くこのお国の堀をこしらえてしまうというようなことで、急いでこの日航ができたわけでございます。それで只今のように現在できております、新品でありまするけれども貨物機を改造して使う、一つは古いのを買つたというわけであります。その改造に要しました費用は一機につき三十八万ドルということになつております。  それから部品のことでございまするが、これは五〇%というお話でございましたが、現在この三機を基準としてやつております。これで三機のフリートに対しまして一台につき約三〇%の補給を持つているわけでございます。これが三台が五台となり七台となりますると、もつと割合が減つて二五%ぐらいでもいいのじやないかということでありますが、只今のところでは三〇%であるわけでございます。
  53. 三浦義男

    ○三浦義男君 それから過般この日航機の米国航路に乗つてつて参りました者の話を聞きますと、サンフランシスコにおりますこの事務員その他を入れますと非常に多くの人数がここにたむろしている。大体五十人くらいいるのた。でその人件費が月二万ドル、そのほか宣伝或いはそのほかの経費といたしまして月二万ドルくらいの金を使つている。どうもほかの飛行機会社と比べてみて非常に人数においても又従つて経費においても多いようだ。これではスタートしたばかりの日航として非常に経費嵩になるのじやないだろうか。これじやペイはしないのじやなかろうかという話を聞いたのであります。又いろいろ日航の方々のお話を聞きますと、新聞紙上にも出ておりましたが、ここ一、二年の間はどうもペイはしないのだ、何十億までの赤はこれを認めるのだというようなことも出ているようでありますが、実際さようなふうな経営の状態が赤を続けているのでありましようかどうでございましようかということが一つと。この従事員の五十名というのが或いは見当が多少違つているかも知れませんが、この採用に当りまして日本人と申しますと二世でありますが、二世は余り使わないで米国人を主として使つているというので在留邦人の間にいろいろな不満な声がある。従つてどうも日航そのものに対する批判がかんばしくないのだというような話を聞いたのでありますが、そういう御消息を御当局は御存じでございますかどうですか、お聞きしたいと思います。
  54. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) サンフランシスコの事務所が一個所あるわけでございますが、これは只今五十人くらい使つているのじやないかというお話でございましたが、内外人合せまして現在三十四名でございます。そして人件費が一カ月に約一万八千ドル、それから経費、宣伝費等が一カ月一万三千ドルでございます。合計一カ月三万一千ドルというのが大体の計算でございます。それから従業員の定員数でありますとか系統につきましては、運輸省とか大蔵省の査定した上更に日銀の支店設置協議会というようなものの議も通しましてやつておりますので、現実のところは最小限度でやつているのじやないかとこう思える節があるのでございます。と申しますのは、日航と同じように週二回サンフランシスコとの間に定期航路を持つておりまするフイリピンのエア・ラインのサンフランシスコの事務所では営業関係だけで百四十名の人を使つているということでございますので、それから比べますると相当節約しているのじやないかとこういうふうに思います。それでそこでは二世の人たちを現在十二名使つております。又二世だけではちよつと工合が悪い、外人のお客を扱う関係にはどうも専門の外人を配置したほうがいいというようなことで現在は八名の外人が使われているという状態でございます。
  55. 三浦義男

    ○三浦義男君 どうぞこういう点につきましても十分合理的にこの金の使い方なんかについてはお考えを願いたいと思うのであります。  この日本航空株式会社法によりますると債務の保証ができると、こう書いてあるのでありまして、又そのときの附則に三十九億六千三百万程度の保証の限度があると、こういうふうに書いてあるのでありますが、二十八年度では大体どのくらいの保証をなしたのでございますか。
  56. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 法律には相当多額に書いてございますけれども、現在本年度中で大蔵省から保証を頂いたのは十七億何がしと記憶しております。
  57. 三浦義男

    ○三浦義男君 二十八年度で十億の政府出資があり、又会社の財産を査定いたしまして十億の査定があり二十億の会社ができた。それから今年は又政府の出資が十億あるのでありますが、二十九年度もやはり会社会社としまして自己資金を十億程度お集めになつて四十億の会社にされるおつもりなんでありますか。
  58. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度の予算編成に当りまして政府出資を二十八年度同様十億増して頂きましたのは、民間から同額の資金を集めて四十億に埋めて行きたいというつもりでございますが、これはだんだん時がたつて今日の情勢になりまして先を見ますると決して楽ではないであろうと思うのでございます。何とかいたしまして民間の資本をそれだけ集めるように努力いたしたいといつて会社もいろいろ手だてを講じております。
  59. 三浦義男

    ○三浦義男君 要するにこの日本航空株式会社というものは、まあ今年度におきましては二十億の政府出資になり、又八条によりますと補助金を出すことができるというふうにも書いてございますし、又第九条では債務の保証もやることができるのだというようなふうに書いてあります。こういう国策会社でありますので、この経営に当りましては十分御注意になつて、そうして問題の焦点とならないようなふうに十分なる御監督をお願い申上げたいのであります。  最後にお伺いしたいのは、この外国の航空会社はその国の人が主としてこれを利用するというような形勢になつているようであります。ところが過般日航がサンフランシスコ航路を開いてから、そう日本人のお客がないのだというようなことを非常に悲観的に報じているのでありますが、その後日本人の乗客がどういうふうなパーセンテージで上昇しておりますか。私は是非日本人はこの日航の飛行機に乗つてもらいたいと思いますが、そういう面につきましての宣伝なり或いは要請なりというものを行なつておりますかどうですか、これをお伺いしたいのであります。
  60. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 日航が日米間の航路を始めまして二月頃までの情勢を見ますると、アメリカからこちらに帰つて来る飛行機には割合に日本人も外国人もほかのパン・アメリカンなんかと同じような心持でどんどん利用しているようであります。こちらから行く場合にはどうも日本人が逆に利用率が少かつたのでございます。これはどういうことかと申しますと、今お話の間にありましたように宣伝が私は足らないとこう思うのでございます。日本の使つておりまするDC6は今こういうふうな国際路線に使つておりまするのでは一番安全な飛行機だと、こうも裏付けられているものでありまするし、飛行士は日航でアメリカ人の飛行士をまだ使つておりまするが、優秀な大洋航空になれた人たちの立派なものを使つておりまするのであります。それで殆んど間違いない状態で飛んでいる。私はこういうことを言つていいかどうか知りませんが、パン・アメリカンの飛行機よりも日航の飛行機のほうが安全度はいいんじやないかというふうにも思うのでございますが、どちらも安全には違いありませんけれども日本のほうをけなすところは一つもないのでございます。非常に利用率は少うございます。この間も私はその話をある会合の席でもちよつと皆さんにしたのでありますが、日本から行く人たちは成るべくまあ排他的なことはできないことでありまするが、少しでも同じような日本の飛行機が使われるような気持にならなくちやならないというつもりで、もう少しどんなに安全であり、どんなにちやんとやつているかということを、出かけて行くお客さんたちがおおよそわかるわけでありまするから、日航のひと一人々々についてよく実情を申上げて、成るべくお客様を多くするようにということでお話をいたしております。三月になりますと二月から見まするとだんだんふえて参りまして、今のところでは往復平均いたしまして大体十五、六人乗つているようであります。二十二、三人乗りますとプライマリー・コストは入るということになりますので、四月、五月これからだんそれシーズンがよくなりましているく申込もあるようであります。今のような努力もいたしまして早くペイするような状態に持つて行くということについて、皆さんのおつしやる通りのことが非常に私ども気になつてあちらこちらに話をいたしております。
  61. 三浦義男

    ○三浦義男君 こういうような実際立派な会社ができて、政府のお心がまえも大いに出資をしてやろうという会社なんでありますから、どうぞ経営その他につきましても十分お気を付けられて、そうして発展せられることを私は望むものであります。私の質問はこれで終ります。
  62. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたしまして午後一時より再開いたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後二時三十三分開会
  63. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。  只今よりビキニ島被害事件の政府の報告を求めます。外務大臣
  64. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) ビキニ島の問題につきましては、いろいろまだ研究をしなければならん、或いは調査をしなければならん問題もありまするが、差当り考えております点は、次のような点であります。  第一はこのアメリカが指定いたしました一定の区域がありますが、今度の日本漁船がこの区域の外にいたということを速かに確認する措置をとりまして、米国側とこの救済について交渉をいたそうと考えております。  それから次には将来ともこの方面の海におる漁獲物が放射能を受けることがあり得るかどうか、又ありとすればその範囲はどの程度であるか、更に一般の漁船等がどの範囲までは安全であり、どの範囲から入つたら危険であるか等について十分科学的な調査を行うべきであろうと考えておりますが、魚のごときにつきましては、これは相当の時日を要するものであろうと思つております。これにつきましてもアメリカ側と十分交渉をいたしまして、日本の水産業に対して最も影響の少い方法をとらなければならんと思つております。  それから差当りこの被害を受けました人たちに対する医療等の方法については、米国の駐留軍司令官からも、東京におりまする米国大使からも、この方面についてはできるだけの助力もいたしたいし又必要があれば米側の施設を利用してもらいたいということでありましたので、取りあえずその医療に対する助力を必要の範囲で求めることにいたしまして、先方の申出でを受諾いたしました。実際にどういう助力が必要であるかは、これは勿論専門医の間で話合わなければならん問題であります。それからこの船その他については放射能を、何と申しますか、普通デイコンタミネーシヨンと言つておりますが、放射能等を除去する必要があるのであります。これにつきましていろいろ私も素人でありますからはつきりしたことは申上げられませんが、先方アメリカ側にもこういう問題を研究しておる専門の科学者もおるとのことであります。但し完全に船が放射能等をとる措置を完全に尽すには、やはり今のところ日本の内部では、アメリカが横須賀に持つておる施設を利用するよりほかには効果的なものがないのではないかというふうに了解しておりますので、船をそちらのほうにまで持つて行くことができますれば、横須賀においてこのデイコンタミネーシヨンの方法相当完全にとり得るのじやないかと思つております。これはまだ船の実情等もわかりませんし、よく水産庁なり運輸省なりと協議しての上にいたしたいと考えております。なおアメリカとの関係につきましては、ワシントンにおりまする我がほうの大使にも訓令を出しまして、こちらの実情をその都度先方に知らせて国務省と密接なる連絡及び交渉をして今後の措置の誤りのないように注意をいたしております。先方、米国の国務省におきましても只今のところできるだけの措置を講じて、医療その他についても十分に助力をいたしたいし又被害を受けた漁船なり漁夫、漁獲物についても若し日本側に何ら過失がないということであるならば、相当アメリカとしても考慮すべきであるという考え方アメリカー般に強くなつておるように思つております。国内の処置につきましては主管大臣のほうからお答えをいたします。
  65. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつとお諮りいたします。昨日理事会で政府の報告ののち各会派から一人十分程度の御質疑をまとめて行うことになつておりますが、外務大臣が衆議院へ出席の都合がありますので、この際外務大臣に対する質疑を先にやりたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 青木一男

    委員長青木一男君) では佐多君。
  67. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 昨日、一昨日からの御報告を聞いておりましてはつきりしない点、第一にこの禁止区域の設定は太平洋信託統治協定の第十三条によるのだ、だからこの区域設定自体は問題がないんだというようなお話がありましたが、この点一体こういう広汎な三百マイルとか四百マイルとかいう、こういう広汎な区域に亙つて、而も領海でなくつて公海にこういう禁止区域を設定することが、一体あの協定で可能なのかどうかという問題が更にはつきりしませんので、その点を一つ明瞭にして頂きたい。それから期間も例えば最初通告されたのは二十六年だというお話のようでありますが、そういう数年に亘つて或いは少くとも一、二年前に一遍そういうものを設定しておけば、それがそのまま有効なんだというふうに考えなければならないのかどうか、その点を先ず大臣にお聞きしたい。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この点につきましては、お説のように疑問があるのでありまして、日本が南洋委任統治諸島を管理いたしておりましたときも、外国の船舶、外国の飛行機等の出入を止めておりました地域が果して南洋委任諸島とその領海であるか、或いは公海の部分を含んでおるか、これは御承知のように、エニウエトックからビキニ、マーシャルと続きますところはさん瑚礁がずつとかなりに続いて海底に入つておつたり、上に出ておつたりしておりまして、その点公海であると主張する意見も或いはそのさんごしようの取囲まれておる中は、沿岸といいますか、内海であると主張するような議論もあつたようでありまして、その点は国際慣習上からは実は多少疑問があるということでずつと来ております。但し今回アメリカが設定いたしましたのは、三つの種類がありまして、一つは信託統治協定に基いたいわゆる閉鎖地域でありまして、そうしてその外側に更に危険地域というものを設定しております。閉鎖地域は理論上から言いまして明らかに信託統治地域及びその領海に限られておりまして、それ以外の地域は危険地域として指定いたしたのであります。そこで閉鎖地域の中は協定に基きまして、これは出入はできないのは、これはやむを得んと思いますが、危険地域につきましては、危険であるということを警告いたしまして、それに対して入つちやいかんというところまでは言えないように法律的には思われるのであります。そこで一体そういう危険地域を勝手に設定していいかどうかということにつきましては、多少の問題はあろうかと思つております。但しその危険地域なるものが、先ほど申しましたように、一体大部分のさん瑚礁で囲まれておるものは、閉鎖地域のほうに入るのか危険地域のほうに入るのかという点につきましては疑問でありまして、要するにアメリカから言いますと、一定の地域を限りまして、その中で委任信託統治地域及びその領海は閉鎖地域である、それ以外においては危険地域である、こういうふうに言つておりますが、その閉鎖地域なるものは国際法上どこまで行くかということは、議論があつて、はつきりいたさない点があるのであります。そこでこれは公海の一部をそういうふうに危険地域として指定する例はないことはありませんが、又これに対して抗議をしておる国の例もあることもあるのでありまして、元来アメリカの信託統治なるものは、国連の利益のために信託統治をなすということになつておりまして、法律上は国連の利益のために、又こういう措置を講じて閉鎖地域なり危険地域なりを設定したと形式的には思われるのでありますから、そこで必ずしも日本側がこれに例力して、その危険地域に立入らないようにすべきではないという議論もどうかと思うのでありまして、或いは協力の趣旨で、法律上は入れるかも知れませんが危険地域であり、その危険を生じた理由は国連の利益に合するものであると考えれば、その危険地域に入らないような措置も講じて然るべきではないかと思うのでありますが、いずれにしましてもさような地域を設定しておりまして、多少これについて公海の自由ということと抵触いたすきらいのある点は事実であろうと思つております。
  69. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると非常に危険地域なるものが不明瞭で、一体そういうものができるのかどうかの疑問の点が多いと思うのですが、これを翻つて我が国の利害関係その他から考えれば、御承知通り、これはあとで農林大臣にお聞きしたいと思うのですが、この地域は日本の漁場にとつて非常に重要なかつお、まぐろ漁場として非常に重要な地域であり、利害関係が重大なものであるので、そういう観点からこういう危険地域をこんなに広汎に、聞くところによりますと、今後更に拡大をするというような意向も漏らされておりますので、こういう広汎に亘るこういう危険地域を、而も非常に長い期間に亘つて、一遍やれば、もうあとずつとそれでいいのだというような地域の設定の仕方は日本国としては非常に困るのであります。そういう立場から、もつとその点を法理的にも争うと同時に、そういう利害を強力に主張しなければならないと思うのですが、そういうことをなされたかどうか、そういうなされる用意があるのかどうか、その点について。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私としましては、この程度の地域の設定はアメリカの必要上、又それが延いては国連の信託統治上の必要からやむを得んことではないかと考えまして、今までは来ておつたのでありますが、今後水産庁等とよく協議をいたしまして、若し非常にこれが日本の水産に脅威を与えるようなものであるならば、更に十分な考慮を加えるべきであろうと考えております。
  71. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 更にその告示の方法でありますが、何か昨日、一昨日御報告になつたのでは、アメリカ海軍の航路告示に似たようなものを告示をされて、それでそれを守らなければならん、或いは前に二十七年の場合にはアメリカ政府から駐日大使館を通じての警告があつたと言われておりますが、今回の二十八年の十月十日の場合はそういう正式な機関を通じての警告はなかつたのじやないか、そこでそういう告示をした場合に、ただ一方的に告示をしさえすればそれが相手国にちやんと通達したものとして扱わなければならないのかどうか、アメリカとしてはむしろ国内の問題としては航路告示で済むであろうが、対外的には然るべき正式機関を通じてその通告をしなければならないはずのものじやないか、二十八年の十一月十日にやられたのではそういう手続がとられていたのかどうか、その点を明瞭にして頂きたい。
  72. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは特定の信託統治に関する閉鎖地域なり危険区域なりという点につきましては、アメリカ政府がこれを発表いたしましてこれで足りると考えております。又これは別問題でありますが、その他のいろいろの航路なり燈台その他いろいろなものがありましようが、これもアメリカで一定の手続を以て発表いたしますと、これは日本においてもそうであり、イギリス、フランスにおいてもそうでありましようが、これは各国おのおのそれを見て適当に国内で告示をやるのは通例になつておると思います。今回の地域につきましては昭和二十七年の初めにそういう発表がありまして、日本で手続をとつたのでありますが、その後それにもかかわらず日本の漁船が一隻その附近におつたという事実をアメリカ側が発見いたしまして、外交機関を通じて、どうもよく漁船には徹底しないようなきらいもあるから、更に徹底してもらいたいという要請がありまして、それによつて外務省から関係方面に連絡をいたしたのであります。これはただ日本の漁船がその附近におつたという事実によりまして特にアメリカ側から注意を喚起して来たのでありまして、その前にすでに日本としても一定の措置はとつております。それから昨年更にビキニ方面の地域につきましても同様の措置をとつておるのでありまして、必ずしも外交機関を通じてそういう地域の設定を通告されるものとは考えておりません。
  73. 松浦清一

    松浦清一君 関連して。
  74. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連ではなく、あなたの質問としてやつて下さい。
  75. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それならまだあります。
  76. 松浦清一

    松浦清一君 指定区域だけです。  只今の佐多委員との質疑応答を聞いておりますと、指定区域の合法性についての問題がいろいろ論議されおるのですが、私は今までの新聞報道等を見ておりますというと、太平洋信託統治協定第十三条に基いてアメリカが指定された禁止区域、こういう地点についての報道がまちまちでありますから、合法性に関する問題は別の議論といたしましても、その区域が今まで報道されたものが正確であるかどうかということを冒頭に確認をしておきたい。  第一回にアメリカが指定区域として告示されたものは北緯十一度十五分、東経百六十二度十五分、第二回目が北緯十一度三十六分、東経百六十五度二十二分、こういうことになつておるのですが、これは正しいのであるかどうかということを聞いておきたいのです。あとで外務大臣にいろいろ質問がございますから、その基礎的な問題として確認をしておきたいと思います。
  77. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 海上保安庁からお答えいたします。
  78. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) それでは私からお答えいたします。  第一回の昭和二十六年二月十日及び第二回の昭和二十七年十一月一日のは、北緯十度十五分から十二度四十五分であります。東経は百六十度三十五分から東経百六十三度五十五分であります。
  79. 松浦清一

    松浦清一君 第二回目はどうですか。
  80. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 第一回と第二回は先ほど外務大臣からお話がありましたように同じものであります。いわゆる第三回目は私のほうから発表しましたのは北緯十度十五分から十二度四十五分、東経は少し拡がりまして百六十度三十五分から百六十六度十六分であります。
  81. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 禁止区域の設定につきましては外務大臣はこの程度のものはやむを得ないというふうなお考えのようですが、今度の災害を契機にして更に今後漁業その他のことを考えると、その現地におつた漁船の問題のみならず、そこから魚をとつて来た等々のことで国内全般の食糧問題にも関連を広く持つている問題であると思います。この問題については後ほど農林大臣にもう少し詳しくお聞きしたいと思いますが、とにかくそういうふうな非常に危険性の大きなことが如実に示されたので、従来の考え方とはここで変えて、やはり禁止水域をああいう広汎に亘つて設定することに対しては、どうも日本としては困るのだということを強い立場をとつてこれをアメリカ側と、或いは国連において適当に折衝をするというお考えはないのかどうか、更にそれに関連して、もつと根本的に原子力の兵器の使用、製造を禁止する、同時に原子力の国際管理、更には平和的な利用というような問題がぼつぼつ国際的な会談、交渉に問題になつておるので、日本としては原子爆弾第一号、第三号の被災者であるのみならず、今度更に第三番目の水素爆弾の現実の被害まで受けておる。そういう直接に利害関係のある立場から、そういう国際的な方向をむしろ日本が主導権をとつて積極的に推進をして行くというようなふうに外交折衝その他をお進めになる意向はないのかどうか、私たちはそれがこの際緊急に絶対に必要であると思うのだが、外務大臣はその点をどういうふうにお考えになるか。
  82. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 只今お話でありますが、原則的に見て原子爆弾等非常な強い兵器を国際管理にするということについては私も心から賛成するのであります。ただ自由主義諸国の防衛力の強化という点から言いますと、共産国家側の原子力管理等が行われる前に自由主義諸国側だけが原子力の研究を怠つたりこれを放棄したりすることは、これは私は賛成できないのであります。やるならば両方をやる、その闇はやはり研究すべきものはするほかには、どうも相手かたもあるものであるからやむを得ないであろう、こう考えております。
  83. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 両方側……。
  84. 青木一男

    委員長青木一男君) 佐多君にちよつと申上げます。これは持時間外において委員長の計らいで認めた時間でありますから、他の大臣に対する質問も残つておるようでありますから、この程度にとどめておいて頂きたいと思います。極く簡単に……。
  85. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今外務大臣のおつしやつたことは勿論で、一方の側だけが手足を縛されるということは不合理でありますが、だからこそ私が今申上げたように、両方の話合い、会談によつてこの問題を国際的に解決をして行かなければならん。その国際的な解決の方向を、日本が、直接に被害を受けた、そして直接に利害関係を最も緊切に感じておる日本がそういう会談にイニシアティブをとつて更に推進をするというような努力なり心構えをお持ちにならないのかどうかという点。この点はこれは新聞ではつきりしませんが、昨日の新聞によりますというと、事務当局は土屋局長も或いは下田局長も共に同感の意を表して、そういうふうに進めるようにしたいという御返事があつたように聞いておるのですが、この点が明瞭でありませんし、特に大臣の責任のある態度、心構えをここでお聞きしておきたいという意味で質問をいたしておるのでありますから、そのつもりでお答えを願いたい。
  86. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私も機会あるごとにそういう方向に物事を進めて行きたいと考えております。
  87. 松浦清一

    松浦清一君 私は、外務大臣に時間の御都合があるようですから、外務大臣に対する質問を先にしてお尋ねしたいと思うのですが、先ほど外務大臣の御報告の中にもございましたように、この事件の真相の調査につきましては日米が共同でこれを調査する、それから又この問題の解決に対しましても日米が共同でその解決を図つて行くと、こういうふうに伝えられておるわけなのですが、今日、只今アメリカ側との折衝の過程において、共同で調査をしたり共同で解決をするというその方針がどの辺まで進んでいるかということを伺いたい。
  88. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは、例えば医療につきましては、原則としては日本側の医者が治療に当るべきは当然だと思いまするが、若しアメリカ側の研究が一部において日本側より進んでいるようなものがありますれば、アメリカ側の援助を受けて治療を完全にすることにはやぶさかではない、こういうつもりでおりまするが、実際上におきましては、これは専門家の両方の話合いによらなければいかんことでありまするから、如何なる程度にそれが具体的にできるか、それは私にはまだここでは申上げられません。  それから船その他漁獲物に対する、先ほど申しましたデイコンタミネーシヨンと申しますか、これにつきましては、これも専門家でありませんから確定的なことは申されませんが、横須賀には相当の設備があるそうでありまするから、若し日本側の関係方面で異存がなければ船なりその他のものを横須賀に持つてつて完全な放射能反能を除去するという方法をとる、つまりこれはアメリカの施設及びアメリカの或る程度の研究の成果を利用して行きたいと考えております。又これは先の問題でありまするが、一体こういう爆弾の実験をやる場合にどの程度にこれが拡がるものであるか、その範囲等につきまして、これは日本側の漁船が現存しておる地域ははつきりしておると思いまするから、これと爆発地域との間の距離から見て、将来どの程度までこれが影響が及ぶものであるかどうか、これも日本側の資料と先方のいろいろの資料を突き合せて結論を得べきものであろうかと考えております。魚等に対する、普通の生きておる魚に放射能がどの程度及ぶか、これもアメリカ側の調査は勿論必要でありまするが、日本側においても或る程度の資料は整え得るのじやないかと考えております。
  89. 松浦清一

    松浦清一君 私の今お伺いしたのは、その点もございますけれども、例えば医療を共同でやるとか或いは放射能の除去のためには両方が共同してやるとか、そういう問題も若干含まれておりまするけれども、お尋ねをした核心というものはその問題ではなくて、当然これは将来やはり補償を要求するというような問題も起つて来ることが予想されるわけですから、又当然させなければならんわけなんですが、起つた事件の真相、例えば第五福龍丸がその当時おつた地点に対する実態の調査とか、そういうものの調査を共同してやる。それから若し今まで政府が発表しておるように禁止区域の外におつたということが確認された場合の解決の方法等についても共同してやる、そういうような方針アメリカ側と話を進めておるのか、こういうことが重点なんです。
  90. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 地位の確認につきましてはこれは想像でありまするが、アメリカ側ではそういう漁船がいた事実を承知していなかつたようでありまするから、結局日本側のつまり漁船の持つておる資料が唯一の根拠になるかと思つております。従いまして日本で確認しましたものをこれを先方に認めさせるということになるのじやないかと思うのであります。  それから被害の補償等については、これはやはり日本側で算定いたしましたいろいろなものについてアメリカ側と交渉いたしまするが、共同で算定する必要はなくして日本側で算定いたせば足りるだろうと思つております。
  91. 松浦清一

    松浦清一君 十七日のワシントンからの日本人特派員からの通信等によりますと、アメリカの国務省筋のスポークスマンも、事件の解決は事件発生当時に第五福龍丸がどの地点にいたかが調査の重点になろう、こう言つておる。これは私はこの問題の、例えば共同調査をして、共同で解決すると、こういう段階になりましても、この問題の解決の最後の点は、第五福龍丸のその当時における地点というものが問題になると思うのです。そこで只今外務大臣がおつしやつたように、その当時その船がおつたという地点は、第五福龍丸の持つておる航海日誌だとか、或いはその当時の天測による位置だとかいうものが確かな証拠になると、こう思うのであります。それを最後まで突つ張つてもらうことを強く要請するのですが、今までのこの種の問題に対する外務大臣の態度と言いますか、積極性と言いますか、そういうものを見ておると、甚だ失礼ですけれども頼りないところが非常に多いのです。例えばマッカーサー・ラインが曾つて存在をいたしておりました当時に、東支那海で操業中の日本漁船がマッカーサー・ラインを越えたとか越えんとかいうようなことで、何百隻という船が中共に拿捕された。又非常にたくさんな船員が中共に抑留されておる。又問題になつておつた李承晩ラインの際にも、日本政府が承認をするとかせんとかいうようなこと或いは抗議書を送つて抗議をするとか何とか言つておる間に千二百隻の日本漁船が李承晩ラインの外に追放され、年間何十億の損害をこうむつておる。なおその上に船を取られてまだ今日に至るも五十何名という日本人が釜山の検察当局で調べられておる。そういうような問題が起つてからすでに二ケ年もたつておりまして、私はこの委員会でなしに、水産委員会等で外務大臣に対して韓国側に対する折衝、中共等に対する船の返還、抑留船員の送還、こういう問題についてたびたび口がすつぱくなるほど要求して来たのですが、未だにその問題の解決を見ていないわけなんです。この事件も今簡単に、アメリカとの正式折衝が始まつておりませんから、第五福龍丸だけがその当時おつた地点を知つておるのだと、こうはつきりおつしやつておるわけなんですが、最後までその点を強く主張して、そうして被害を受けた船或いは魚その他全般に亘る損害をこうむるというようなことのないように折衝のでき参る強い自信を持つておられるかどうか、ということをこの際に伺つておきたいと思います。
  92. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) いろいろお話を伺いましたが、私は日韓関係の長い将来を考えまして、できるだけ忍耐強く平和的に解決しようと努力しておるのであつて、ただ国内で強がりを言うだけでもいたし方がないと思つておるのであります。今度の問題につきまして、只今まだいろいろの調査なり報告なりが全部届いておりませんかも知れないので、はつきりしたことは申上げられませんけれども、今承知しておる範囲内では福龍丸の持つておる書類が唯一の位置を確認する材料ではないかと思うのでありますから、ほかに反駁書類がなければそれによつて判定するしよりいたし方がないのであります。これは当然のことだと考えております。
  93. 松浦清一

    松浦清一君 今の第五福龍丸がその当時所在した地点が、その船が持つておつた航海日誌とか、或いは天測とか、そういうものを土台にして考えるよりほかに別段の異議がなければ方法がないのだ、こうおつしやいます。それがアメリカ側に承認をされた場合には、一切、その船、船員、その他漁業損害、そういうものについての補償を要求される御意思があるかないか伺いたい。
  94. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) これは関係官庁で十分なる算定を行いまして、それに基いてアメリカ側と話合いをいたそうと考えております。
  95. 松浦清一

    松浦清一君 その補償を要求される場合に、只今若干触れましたけれども、単に第五福龍丸という船とその乗組員だけに限定しないで、被災をこうむつた魚、船舶等の損害の総額を補償として要求する御意思があるかどうか伺いたい。
  96. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) その算定は外務大臣がいたすのではなくして、関係各省で適当な方法をとります。
  97. 松浦清一

    松浦清一君 それは外務大臣だけでなしに、日本の政府として総額を要求される御意思があるかどうか、こういうことを伺つているので、外務大臣だけの御答弁ができなければ関係大臣から御答弁を頂きたい。部分的に要求されるのか、総額を要求されるのかどうかという問題です。
  98. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この漁船が今後使用に耐え得るか耐え得ないかということは、漁船の損害がどうであるかということになるわけですから、若し耐え得ないということになれば、これは当然お話の対象にしてもらわなければならん。また只今調査中でございますから、どの範囲が一体補償と申しますか、そういう要求をすべき結果が出て参りますか、これは余ほどしつかりした調査を持たないと、それには多少まだ未経験のことでございますから、相当専門的な調査を要するのではないかと、当然私どもはそういうものは話合いの対象にしてもらわなければならん、こう考えております。
  99. 青木一男

    委員長青木一男君) 松浦君成るべく簡単に願います。
  100. 松浦清一

    松浦清一君 私は、何だか今の農林大臣の御答弁でも、第五福龍丸に限定したように聞き取られておるようですけれども、今度のアメリカの水爆実験による被災というものは、第五福龍丸の損害に限定しておらんと思うのです。その放射能の害をこうむるべき時間というものが何日、何時間くらいかかるか、これは調べなければわかりませんし、今どのくらいの損害を日本側がこうむつているかということについて調査が十分できているとも考えておらんのです。ただ問題は実際に損害をこうむつたと今まで考えられている第五福龍丸に限定されて補償の要求をされるというつもりなのか。このほかにも相当いろいろな点において損害をこうむつている船もあろうかと思うが、調査の結果そういうものを全体総合して日本側のこうむつた損害の全部を要求されることが当然だと思うが、第五福龍丸だけに限定される意思か、或いは日本のこうむつた損害の全部を要求する意思か、こういうことを伺つているのであります。
  101. 保利茂

    国務大臣保利茂君) あの禁止区域内で操業しておつたという漁船は只今のところではないようでございます。ただ禁止区域外に接近したところにどの程度いたかということは、あれがわかりましてから直ぐに無電でやつておりますけれども確かなことがわからない。そこで帰つて来る船を押えて一々調査をしているわけです。それは無論被害の程度によりますけれども只今までのところ帰つて来た船についてはいろいろそれは漁獲物に二十だ、三十四だ或いは帽子に二百幾らという反応が出ているというようなものがあるようでありますが、被害というような現象は起きていないようでございます。併しこれは今後まだ帰つて来る船がありますから、帰つて来た船については調べて見なければ……、第五福龍丸だけでそれの調査をして行くというような考えは毛頭ないのです。
  102. 青木一男

    委員長青木一男君) 外務大臣に対する以外の質疑はあとで又願います。
  103. 松浦清一

    松浦清一君 今の御答弁は外務大臣に求めているのでありますが、外務大臣じやなく農林大臣が御答弁されているのであります。  私の聞いているのは、損害は第五福龍丸に限定された損害ではないと想定されると、今どれくらい損害があるかということについての調査の現状を開いているのじやない。今、今日の状態において政府がそれほど調査が進んでいるとは思わない、又どのくらいの船がいたかということもわかつていない、又帰つて来た船の実情の調査というものもわかつていない。それをいろいろ調べた結果、第五福龍丸以外にも損害をこうむつたときに、その総額を補償として要求するかどうか、こういうことを伺つているのであります。
  104. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それは私は当然だと、私はそういうふうに考えております。(「外務大臣の答弁を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
  105. 松浦清一

    松浦清一君 私の時間はないのですか。
  106. 青木一男

    委員長青木一男君) 切れております。
  107. 曾禰益

    ○曾祢益君 只今政府の御答弁になつておりますことは、どうもただ穏便に或いは共同でやるとか、或いは援助を受入れるということが主になつているようでありますが、私たちは何も今度の事件をいわゆる反米運動に結付けようという考えはないのでありますから、かかる問題については責任の所在というものを明らかにするということが必要だろうと思います。その意味から申しまして、第一に閉鎖区域というものは、これは領土、領海に限ることはこれは明瞭でございまするが、更に危険区域というものまで、信託統治協定第十三条によつて日本は当然にこれに従つて行くというような考えでいる限りは、殊に原爆、水爆等の実験の結果ますますその脅威が拡大している現状に鑑みますると、その危険区型なるものはどんどん広くなつ来る。それに呼応いたしまして公海の自由がどんどん制限される結果になると思われますから、かような法的根拠に立つて危険区域というものを認めるというような態度であつてはならないのではないか、やはり信託統治及び国連憲章の遵守という見地から見ますならば、閉鎖区域というものに限定をして考える、勝手に公海上危険地域というものを一方的に設定するということは認めて行くべきでないと考えますが、この点について更にもう一遍はつきりしたお答えを頂きたい。  それから第二の点は責任の問題でありまするが、これは言うまでもなく、先ずこの危険区域というものを仮に認めたにいたしましても、その外にあつたか否かということは、これは責任の所在上非常に大きな問題だと思います。併し結局はこの危険区域の外にありました場合におきまして、アメリカ側にこれが故意でないにしても、過失の責任が出て来ることは明瞭であろうと思うのであります。そういたしますると、国際法上のこれは不法行為と私は認定すべきではないか、してみると政府はこの点について非常にはつきりしたことを言つておられませんけれども、やはり責任の所在が明らかになるに従いまして、はつきりとこの問題については陳謝、少くとも遺憾の意を表する、それから責任者の処罰、それから損害賠償、更に将来に対する保証、こういう通常の外交上の日本の請求権とこの事件解決に関する基本の方針がおのずとそこにきまつて来なければならん。何でもかんでも穏便に穏便にだけでは済まないと思うのであります。従つて只今は指定区域外にあるということを確認した、こういう段階であるようでありますが、それが確認された場合には責任の問題が明らかになつて来る。そうすると責任が明らかになつた以上はどうしても今申上げましたような陳謝乃至は遺憾の意を表し、責任者の処罰、賠償並びに将来の保証、この将来の保証については今後水爆実験等によつて我が船舶が、或いはそれの漁獲物等に放射能が及ぶようなことがないようにということと、更には佐多君も指摘されたように、日本の漁業の平常なる運営に支障がないというはつきりした保証をとりつけるべきではないか、かように考えるのでありますが、この基本方針に関しての政府の御所見を明らかにして頂きたい。
  108. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この危険区域の問題につきましては、アメリカ側で当時発表したものがありまして、それによりますと、この危険区域内にある人命及び財産に対する損傷の事故をなからしむるためあらゆる可能な予防手段がとらるべき旨及び危険区域内の行動によつて危険区域外にまで危難が及ぶ虞れがある場合にはその旨の警告が行わるべき旨を述べておるのであります。従つてこれはアメリカの信託統治協定の十三条に基く措置ではなくして、これは一般的な過去の国際慣例、国際法等に認められるいわゆる危険区域であると了解しております。そこでこういうふうに事前にはつきりいたしておりまするところから見まして、今度の危険区域の告示というものは、一般的な事前警告の性格を有するものじやないかと考えております。その点におきましては、第一次大戦中によく論議になりました開戦の際の危険区域のように、事前に宣言のみをすれば、その区域内に生ずる損害に対しては法律的責任を免かれるものであるという趣旨のものではないように考えております。従つてこういう警告を第一にいたしまして、次に実際上実験を行うような場合には、現地において十分の警告と予防措置を行うことを建前といたしておるのであります。  そこで国際法上から申しますれば、こういう点について抗議をして承服しない国もありましようし、この程度のことはいたしかたあるまいと言つて承服する国もあるわけでありますが、我我はこの程度のことは、現在の自由主義諸国の防衛力強化という点から見ても、やむを得んごとじやないかと考えておつたのであります。そこで更に調査してみなければわかりませんが、この十分な警告とか予防措置というものが、果して効果的に行われておるや否や、又日本の漁船は一体どこの地域にあるかというような点、それぞれ確認を要する点がありまするが、それがはつきりいたしましたならば、通例の国際法或いは国際慣習上認められておるというような措置は必要となるものと考えております。
  109. 千田正

    ○千田正君 議事進行について、先ほど委員長が昨日の理事会において決定したことを、今日外務大臣の出席が遅れたけれども、或る一定の時間だけ、つまり各党とも十分ずつ、こういうお話でやつているのですが、委員長はちつともそれを実行しておらないので私は遺憾に思つてつたのですが、そこで外務大臣は間もなく退場されると思いますから、今のお話しになられた点について一点私は伺つておきます。  只今曾祢議員の質問に対しましてお答えになつておりましたこの原子力に対する警戒措置でありますが、ストローズ米国原子力委員長は十六日にこの日本人の漁夫の被害に対して発表したところによると、このような警戒措置は原子実験計画のうちでも重要な部分を占めておる。併しながら調査しなければわからない。初めから実験する場合においてこの警戒措置というものは十分やらなくちやならない。これは原子力実験の立場において当然アメリカがやるべきであるということを発表しております。今以て一体区域がはつきりしない。若しもこの事前において十分なる警戒がなされておつたとするならば、当然日本の漁船なり、航行中の汽船なりがその警戒の警報に接しているわけであります。ところが今度の事件においては何ら接しておらない。こういうことになるというと、当然これはアメリカ側が警戒措置を怠つておつた。日本側の不注意であるかどうかということは今更論議する必要もないのでありまして、こういう面を今後云々されるならば、むしろ先ほど松浦議員より或いはほかの議員が要請しておつたように、これは共同調査をすべきものである。国連のいわゆる指導の下にやるというならば、国連の下でもよろしい。日本も当然これに参加して共同調査をすべきものと私は考えるのでありますが、現段階において共同調査はやられるかどうか、或いは将来かかる不幸な事態が再び発生しないためには、共同調査を当然日本側として申込むべきであると思いますが、外務大臣の御所信を承わつておきたいと思います。
  110. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私は船の地位につきまして日本側の資料で確認されたものをアメリカが承認すれば共同調査の必要はなくなる、こう考えております。
  111. 千田正

    ○千田正君 将来についてはどう考えますか。再びかような問題が起らないような方法として、日本側では将来のこうした不当な問題を事前に防ぐ方法として、日本側としては共同調査を申込む用意があるかどうか、その点を伺つておきたい。
  112. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 共同調査というのは将来のことについて何を今具体的に考えられておられるかわかりませんが、この問題はなおなおいろいろとまだ日本側としても調査すべき問題がたくさん残つております。それに基きまして必要があれば共同調査だろうが何だろうがやつて、日本の漁業の差障りのない、同時にアメリカのいろいろな防衛力増強にも邪魔にならないような適当な方法考えるのが当然であろうかと思つております。
  113. 千田正

    ○千田正君 そうすると共同調査よりも更に大事な点は、警戒措置の共同という問題については如何お考えになつておるか。
  114. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 何かアメリカと共同して警戒しなければならんかどうか、これは今後更に調べんとわかりませんが、要するに今後はこういう不幸なことがないような措置を当然とるべきだろうと思つておりますが、それについては政府内部においても十分今研究を続けております。
  115. 湯山勇

    ○湯山勇君 簡単ですから……。
  116. 青木一男

    委員長青木一男君) 千田君よろしゆうございますね。それでは簡単にですね。
  117. 湯山勇

    ○湯山勇君 簡単に四点お尋ねいたします。簡単ですから、表のように申上げます。  第一点、アメリカの原子委員会は一月の八日に禁止区域を発表したと申しておりますが、これはこちらが知らなかつたのかどうか、それが一点。  第二点、今後の問題については大臣アメリカに対して使用禁止の申入れをする意思はないというような意向の発表がありましたが、少くともこの段階においてそれならば演習の場所の変更なり、或いは今回の治療、その他必要な資料の要求をアメリカにする意思があるかどうか。  第三点、アメリカに禁止の申入れをすることができないとおつしやいましたが、そういう形でなくて、世界の原爆を持つておるすべての国、これから持とうとしておる国々に対して、つまり人道上世界の輿論に訴えて行く意思はあるかどうか、これの禁止を。  第四点、これは今の御説明でわかつたところですが、横須賀に放射能除去の相当大きな施設があるということをおつしやいましたが、これを聞きますと私どもは非常に不安に思うのであります。何のためにこのようなものがあるか、どういう了解の下にこういうものを置いたのか、そういう点について合同委員会その他でわかつておる範囲を御説明頂きたいと思います。
  118. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 只今の表は、第一点の点については一九四八年七月一日のように私の資料ではなつております。
  119. 湯山勇

    ○湯山勇君 本年一月八日となつておりますが、本年一月八日に……(「原子力委員会の発表」と呼ぶ者あり)
  120. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私の資料は一九四八年七月一日、只今読み上げましたのはそれであります。  それから原子力の国際管理とか禁止とかいうことについては、先ほどお答えした通りでありまして、一方だけを何とかするということは適当でないと考えます。世界全体に対しての措置であるならば賛成であります。アメリカ側としてはこの医療その他につきましても、日本の医者もすでに原子病等については研究いたしておりますが、アメリカの医者も研究いたしておる、それについての研究の材料が横須賀に一番整つておるということを聞いております。
  121. 青木一男

    委員長青木一男君) 外務大臣の質疑はこの程度で……。
  122. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 一つだけ。
  123. 青木一男

    委員長青木一男君) 簡単に。
  124. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いろいろお話を承わりまして、この問題はあらゆる角度から検討することができると思いますが、最も急を要する問題は二十三名の命を救う、被害を最小限度において予後を不良ならしめない、このことが先ず最もヒューマニズムの見地に立つても大切だと思うのであります。ところが私はたくさんの新聞を検討し、ラジオを聞き、この問題の調査に携わつておられるかたがたの意見を聞くと、灰の中の成分が何であるかということがわからないので、根本的な治療の対策が立たない。灰の元の物質がコバルトであるか、リチウムであるか、ウラニウムであるか、さん糊しようの炭酸カルシウムであるか、その本質がわからないから、根本的な治療対策が立たない。この方面の最大の権威である東大の名誉教授の都築博士も言つておられるわけですから、そこで我々としてはいろいろ検討をされたような問題はともかくとして、二十三名の命を助けるためにこの放射能の性格についてアメリカに先ずお尋ねいたしまして、そうして二十三名を救つて、その後にとらるべき策が多く今言われておると思うわけであります。私はアメリカのいろいろの責任者の意見を聞きまして、極めて遺憾に思う点は、例えばストローズ米国の原子力委員長の話を聞きましても、或いはダレス長官、或いはコールのような米国の上下両院の原子力委員長等は、漁夫たちが実験をスパイするために入つてつたのではないか、このことは今後調査しなければならん重要な問題であるというような点であつて、この二十三名の被害者に対して本当に助けてやろうという何があるかどうか、非常に問題じやないかと思うわけであります。特にこの点は広島にある米国の原爆障害調査団がその放射能の及ぼす影響についてだけ主として調査されて、モルモットのようなその治療対策については等閑に附されるという点は、広島に行けば異口同音に批判しておる点でありますが、そういう点が私はあるのではないかと思うわけですが、政府とされましてはいろいろ機密に属するので、この放射能の性格を尋ねることは、原爆がどういうものであるかということにも関連して機密に属すると思いますが、学界でもこれに含まれておる物質がどんなものであるか、これを調べねば対策が立たないと言つておるわけですが、何とかこの点を先ず早急に私は手を打つて、三十三名を救うことが大切だと思いますが、岡崎大臣或いは草葉大臣のほうでどういうこの点について、この物質についてどういうものであるかというような治療の根本に触れた折衝をしておるでしようか、この点をお伺いしておきたい。
  125. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この実験につきましては、共産側においては非常に注意を持つて世界中に手を廻して、何がこの実験の真相であるか、これが何の爆弾であるかということについては何らかの情報を得たいと努力しておるというように聞いております。そこでこれは将来においては私は非常に大きな人命にも影響を及ぼす問題だろうと思いまして、若しそれを知らなければ治療ができないというならこれは又格別でありますが、私としてはこういう機密をうかうかと漏らすべきではないと確信しております。他方アメリカ側の説明によりまするというと、これは万一戦争の場合に放射能の疾患にかかつたとき、相手方がどういう爆弾を用いたかがわからなければ治療ができないということでは、いざという場合に間に合わないので、そういう放射能の疾患があれば、その疾患に応じて如何なる治療をすべきかということについては相当の研究をいたしておるそうでありまして、それがつまりアメリカ側としてでき得る限り医療についても援助をいたしたいと言つて来ている理由だと聞いております。従いまして、日本の医学においてまだその点が十分でないかどうか、これは私は知りませんが、若しそういう点があるとすれば、アメリカ側の援助を求めてこの際は至急病人の治療に当るべきではないかと、こう思つております。
  126. 青木一男

    委員長青木一男君) この際他の国務大臣の説明……草葉厚生大臣
  127. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) お話の治療上から見ました処置でございますが、実は治療の現在の状態から申しますと、二名東大に入つており、あとは現地の病院で医学的な処置をいたしおります。その状態から考えますると、治療の方法として、かぶつて来た灰がどういうものであるかというのを分析をいたし、教日中にわかるのではないかという、都築博士から私に対する御報告でございます。従つて或いは元素のバリウムであるかストロンチウムであるか、いろいろのものによつて治療の処置が違つて来るもののようであります。只今外務大臣からお話がありましたように、アメリカ側の医療の協力という点も、そういう点で私どもも希望を持つておるのであります。東大その他の点におきましても、これらの点を検討いたしまして、或いは物理的に、科学的に、医学的にあらゆるものを総合した見地から現在の医療に当つておる次第であります。
  128. 青木一男

    委員長青木一男君) この程度で他の国務大臣の報告を求めて、その際又質疑を許します。
  129. 湯山勇

    ○湯山勇君 委員長、さつきの外務大臣の答弁について、ちよつとだけです。  外務大臣は先ほど横須賀の施設については口を濁しましたが、知つてつて言えないのか、知らないで言えないのか、その点だけ明瞭にして頂きたい。
  130. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 私は知つておる程度を申上げたのです。
  131. 松浦清一

    松浦清一君 一点だけ……先ほどからの質疑応答を聞いておりますというと、一番問題は、その原子爆弾の国際管理をやつてはどうかという、そういう質問に対して一つの国だけ相手にしてそういう話はできんとか、或いはそういうことはものにならん、こういうような答弁があつたのですが、併し今度の今の話を聞きまして、三月一日の水爆実験の効力といいますか、威力といいますか、それすらもまだ調査が済んでいない、被災者の治療に対する方法もまだ検討が済んでいない、こういう実情の下にあるにかかわらず、又最近にこの間の水爆実験よりももつと大きなものの実験をやろうということをアメリカが公表しておるわけなんです。いつやるか、本当にやるのかどうか知りませんが、そういう話が伝えられておるのでありますから、最も大きな被害をこうむつた日本の立場から、アメリカに対してこの次の実験をとりやめてもらいたい、こういうことを要請すべきであると、こう思いますが、そんなことはできるのができんのか、一つ外務大臣、お答え願いたい。
  132. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 日本側がそういうことを要請することは、勿論できますが、要請するつもりはございません。併し日本の漁船や漁夫が被害をこうむらないように十分なる予防措置、警戒措置等は講ずるつもりでおります。
  133. 青木一男

    委員長青木一男君) 他の国務大臣の報告がございますればこの際。
  134. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 今回の被害に対しまして、実は乗組員が受けました傷害と、食料の問題につきまして、特にいろいろな処置をいたしました点を申上げて御了解を頂きたいと思います。  食料に対しまして、殊に同地域から参りました漁船の水揚げされた漁獲の食料に供せられることの不安が国民一般に強く及んで来たようでございまするから、これに対する対策を早速とつたのであります。第一は検知班を六班作りまして、今後これらの南方地域かり上つて参ります漁船を五つの港を指定して、そこへ集中的に参るようにいたしました。これらの五つの港に検知班をそれぞれ一班ずつ派遣をいたしまして、放射能の検査をいたし、放射能を持つておりまする魚はこれを市販に出さない処置をとる、こういう方法。もう一つは調査研究班を一班作りまして、そして科学的な調査に当らせる、この二つの方法をとりまして、直ちに焼津、三崎、塩釜、銚子、並びに東京の築地等それぞれ班を派遣いたしまして、現在実施いたしておるのであります。只今まで私どものほうへ入りました報告によりますると、実は第五福龍丸から水揚げされました漁獲は二千二百九十トンで、そのうちの大部分がすでにそれぞれ関係府県、十三府県に出ておつたのでありまするから、これを途中から電話、電報その他の方法で市販に出すことを差しとめましたのであります。極く一部市販に出たのであります。その中で石川県の一部に少少、これは極く少量でありましたが、かじきが二匹、金沢のほうへ参つた、小松のほうへかじきが二匹、これだけに放射能が検出されたのでありまするので、これらに対しましては近くの医科大学におきまして、それぞれ食べました人たちに対する医学的な処置をして、下剤をかけるとか何とかいう方法をいたしました。その他の方面におきましてはまだ報告はありませんが、余りたくさんは市販に出ずに、そのまま市場その他で押えることができたようでございます。そこでその後第五福龍丸以外に、現在入りました船が、築地のほうへ日光丸と第八正天丸と孝栄丸と三艘入りました。おのおの一万八千貫程度の、一万貫乃至二万貫程度の漁穫を持つてつたのでありますが、日光丸のもので船橋に若干の放射能の反応がありました以外には、魚には全然反響は出なんだのであります。検出されておりませんから、これは安心していいと思います。又三崎港に八艘入りました。この八艘は多くまぐろを積載して参つたのでありますが、これらの魚には全然検出はなしに、その他船或いは衣類等に少々検出が、反応が現われたという状態でございます。  そこで今度は第五福龍丸に乗組みました二十三名の人たちの症状並びにこれに対する対策でございますが、これらの二十三名のうちで二人は少し症状が重いと申しますか、現われておりまする状態がひどいようでございまするので、東大のほうへ参りました。都築博士その他で治療に当つておるのであります。その他は現地の焼津におきまして、焼津の病院で現在その後の状態検討し、治療に当つておる。併しこの二十一名は大した症状は現在のところは現われておらないようであります。東大に参りました人たちは、昨日と本日とでは少し白血球の数が本日は減つて参つたようでございますが、併しこれが今後どういうふうに影響して参りまするかは、今後の問題であろうと思います。大体今日いろいろ関係者が集りまして、これらの医療対策その他の対策を検討いたしておるのでございますが、一応は二カ月程度において一応の検討ができるだろうという目途を以て、今日は報告を受けておるのであります。  そこでこれらに対しまする医療或いはその家族に対しまする処置でございますが、第五福龍丸は全部船員保険の加入者でございます。従いまして、取りあえずは船員保険法によりましてそれぞれの処置ができるのでございますが、今回は乗組の二十三名全員船員保険に加入をいたしておりまするから、医療の給付をこれによつていたしたいと思います。これによりますると、御承知のように三年間は医療費の全額を支給することができる。従いまして、この病気がかような病気でありますけれども、これに対する十分な処置は船員保険法における医療によつていたし得ると存じます。なお家族に対しましては、四カ月間は報酬の一〇〇%、十割、それを越しますると、その後二年八カ月間は六割支給をいたすことに相成つておりまするから、当然これによつて家族はその手当を受け得ると存じます。只今申しましたように、一応はニカ月程度の経過によつて処置ができるというのが今日都築博士の私に対する報告でございましたが、今後の推移を見まして、これに対する処置はとつて参りたい。但し、十分な方法をとつて、できるならば、希望が出ておりましたので、焼津におりまする乗組員の人たちも東大等にまとめて、一緒に医学的、物理的、科学的あらゆる方面からの検診をしながら治療に当るほうが十分ではないかという御意見等もありましたので、これらの点も十分検討して参りたいと思つております。
  135. 青木一男

    委員長青木一男君) その他に報告ございませんか。
  136. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 本船の遭難地点が昨日のお昼頃まではつきりいたさなかつたのでございまして、それは船長と漁撈長の言うところが少し違つておりまして、海図がありませんものですからはつきりいたしませんでしたが、本船のほうから海図等を取寄せまして、精密に海上保安庁で昨日検討いたしました結果、本船が閃光を認めました午前四時十二分頃の位置は、危険海面の東方十九マイルということで、これの票の方法等は、いろいろお尋ねがあつて申上げて、さつきも三回に亘つて告示をしたことを申上げましたのでありまするが、この告示をいたしておりまするのが、官報に転載いたしますと共に、水路図誌販売所から図誌購入先に無料で配付して一般の航海者に知らしめる、或いは漁業組合を通して皆が知る形になつておるのでございまするが、特別に今日はどうだというようなふうに非常に迫つた意味での告示方法をとつてないものでありまするから、自然これに対する注意が漁夫の人たちには不十分ではなかつたかということは考えられるのでございます。今後はまだいろいろこういう問題も起り得るでございましようからできますれば、こういうふうな実験のある成るべく近いときにおいて、一般に周知せしめるだけの期間を得て、私どものほうはラジオその他によつて、又出て行くときから特別な注意を払うというようにしたいのでありますが、それはそれといたしまして、もう少しこの告示を記載いたしておりまするもの等につきまして注意を一段と払つてもらうように、地方庁、地方団体等に協力いたしまして、やつて行きたいと思つております。
  137. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは質疑に入りますが、先ほど外務大臣に対する質疑で非常に予期以上の時間を費しておりますから、今度各派とも簡単に一つお願いしたいと思います。
  138. 千田正

    ○千田正君 厚生大臣にお伺いしますが、先ほどお話があつた船の積んで来ましたところの数量が二千三百九十トンという御報告でありましたが、間違いありませんか。
  139. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) トンと申しましたのは、貫の間違いです。二千二百九十貫です。
  140. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 第一点は、日本側の周知徹底の方法でありますが、日本側で官報に公示されたのは三回ですか。先ほどの御報告ではアメリカ側の告示の度数と日にちだつたようですが、そこをもう一遍正確に……。
  141. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 前後三回に亘つて周知の方法を日本がとつたのでありますが、第一回目は昭和二十六年二月十日エニウェトク環礁を中心に東西約二百浬、南北百五十浬、米告示の転載をいたしました。それから第二回目は、米国から外務省を通じて周知要請がありました。昭和二十七年十一月一日に第一回と同じものを再転戴いたしたのでございます。それから第三回目は昭和二十八年十月十日に、第一回、第三回の海域が東のほうに約百四十浬拡大されましたもので、米国水路部告示一九五三年二千七百十六項及び三千百六十八項の転載をいたしたのでございます。
  142. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そういう告示を農林省として、漁船その他に対して特別にそういう警告なり告示を更に周知徹底せしめる方法をとられたかということ、それは従来ともそういうことは何らほかの場合にもなされていなかつたのかどうか。
  143. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今運輸大臣から申されました第一回の米告示に対しては、水産庁としては特別の処置はとつておりません。第三回と言つて申されましたその時期には、外務省から水産庁に対してそういう特別の要請と申しますか、伝達が行われましたものでございますから、それによつて各県知事、漁業組合に対してそういう警告を発して、その禁止区域を注意するようにということをやつておるわけであります。それ以外には、只今運輸大臣が申されました告示以外に水産庁として特別の措置はとつていないのであります。
  144. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この問題は、成るほど海上保安庁その他ではそういう告示の仕方をされると思いますが、漁船その他についての周知徹底方を農林省として、水産庁としてもつと特別にお考えになる必要があるのじやないですか。殊に漁船その他非常にプリミテイブな操業方法その他である以上、特にその点は配慮してやる必要があるのじやないかと思いますが、今後そういうことについて特別の配慮をされるかどうか。  それからもう一つ、先程から問題になつておりますが、アメリカ側の告示は非常に早く、例えば今度の場合でも二十八年の十月十日に告示警告を発せられただけで、それ以来そのままになつている。ところが先ほど湯山君から御質問がありましたように、今年の一月ですか、そういう実験をやるはずだという原子力委員会の報告等々があるので、そういうものに基いて警告をその都度やらすようにアメリカ側に折衝をし、同時に向うから仮にそういう告示がないにしても、委員会その他の発表があつたら、それを直ちに日本国としては周知徹底せしめる特別な方法をおとりになる必要があるのじやないかと思いますが、その辺の用意はどういうふうにお考えですか。
  145. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 海上保安庁の水路部から告示が出ますれば、成るほど建前はそれでみんな知つていなければならん、知るのが当り前だという一応の申訳にはなると思いますけれども、実際問題としまして、ああいう荒い極めて忙しい仕事をする漁船の人たちが果してそれを、随分小さい数字も出ておるわけでございましようし、そういうもので周知徹底ができたということは、実際問題としては私は言えないのじやないか。そこで、先ほど運輸大臣からお話になりました海上保安庁で周知徹底の方途を講じて頂くことももとより結構でございますが、その際には水産庁や関係庁にこういうふうな注意すべきことがあるからということを内部的に連絡を密にすることによりまして、水産庁としては直接漁業者に徹底すべき必要があると認めたときは遅滞なくそれを周知徹底せしめる方途を講じなければならん、こういう考えを強くいたしておるわけでございます。
  146. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それからかつお、まぐろ漁業組合長の話によりますと、ここ数年間にあの海域で行方不明になつた漁船が数隻あるということを言つておりますが、この告示をされた昭和二十六年二月十日ですか、その頃以来そういう行方不明になつたものが正確にどれくらいあるのか、それからいつ頃そういう事件が起きたのか、その辺はどういうふうになつておりますか。
  147. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お答えいたします。太平洋地域と申しますか、マーシャル群島附近の海域で遭難いたしております漁船が昭和二十七年に二艘、二十八年に三艘でございますが、消息を断ちました日が昭和二十七年三月二十四日栄福丸が行方不明にはなつております。これはその後今日に至るまでこの船だけは末だに遭難をいたしたものであるかどうかということがわからないでおるわけでございます。あとの四隻につきましては、期日を申しますと、昭和二十七年の三月二十一日から六日の間に公洋丸という船が、行方不明になつておりますが、これは遭難をいたしているということが明らかになつておるようでございます。昭和二十八年におきましては期日がよくわかりませんけれども、みどり丸というのが行方不明になつておる。これは同年八月二日の第五号台風で遭難をいたしておるということが明らかになつておるのであります。それから昭和二十八年の七月三十一日に大黒丸、これは坐礁をして遭難をいたし、沈没をしております。同じく拓洋丸というのが四月十二日、これ又坐礁沈没をいたしておるわけでございます。以上二十七年、三十八年を通じまして五隻の遭難船を出しておりますが、この海域におきましては、完全な行方不明と断じられるのは昭和二十七年三月二十四日栄福丸一艘になつております。
  148. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから第五福龍丸の魚以外に魚の処置をされたのがあるということですが、それらの数量がどのくらいになつておるのか。同時にそういう魚の処置をされた場合に、それの損害の賠償というような問題は、政府としてはどういうふうに処置しようとしておられるのか。更に検知班が相当のいろいろな活動を積極的にしなければならない時特別な経費が相当入用になつて来るだろうと思うのです。これらの予算措置はどういうふうにお考えになつておるのか、厚生大臣に伺いたい。
  149. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 只今のところでは第五福龍丸の二千二百九十貫の大部分、二百四、五十貫残つてあとは大部分でございます。これの処置をいたしました以外には、先ほど申上げましたように、そ後船が入つて参りましたが、魚には放射能が検出されなかたのでありまするから、その処置はたしておりません。いわゆる禁止はたしておりません。でこれらの禁止いたした魚がいろいろなものを入れまして約二千貫余りでございますが、これはこの事件による被害と存じまするので、今後外務省等とよく話もして、先に申上げました方法の中に併せて加えるべきものだと考えております。
  150. 相馬助治

    ○相馬助治君 草葉大臣にお尋ねしたいのですが、今同僚佐多委員が聞かれたことの中にそれが出て来ておりますが、二千二百九十貫のうち大部分は処分した、これは時宜に適したことで結構なことだつたと思います。ところが取押えのきかなかつたものの中に反応のあつたものがほんの僅かであるがあつた、これははつきりしたので大変結構だと思いますが、それを取抑えがきかないで反応を調べられなかつたものと、それから反応を正確に調べるチヤンスを失つて食べられてしまつたもの、こういうものがあるわけです。そこでこの問題は心理的に与えた影響が非常に大きいので、最近ではどこから来たまぐろでも食べない、ひどいものになると干物まで魚と名の付くものは食べない、こうまで言われておるので、この際厚生省としては、どの地区においてこの取押えることのできなかつた魚が何貫目ほどあつたか、どこの地区においてこれが食べられたかというようなことを明確に示すことのほうが私は心理的な影響を考えるとよろしいことだと思うのですが、そういう調査があるかどうか、あるとするならばそれはどの部分、いずこの土地であつたか、一部新聞によると第五福龍丸が持つて来た魚が行つた府県名だけははつきりしておりますが、このことがより不安を大きくしておる。そういう具体的な調査があつたらこの際明確に示してもらいたい。なかつたらばそれを大至急調べていつ頃発表できるか、これを明確にしてもらいたい。
  151. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 御尤もでございます。実は少し細かくなると思つて申上げるのを差控えておつたわけでございます。
  152. 相馬助治

    ○相馬助治君 細かくやつて下さい。
  153. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) それでこの弔五福龍丸から荷上げいたしました魚を輸送しました先は、愛知県の豊橋にまかじきと申しますか、数量はちよつと不明でございますが、これは直ちに荷どめいたしました。従つて市販には出ておりません。愛知県の亀崎にばち、きはだ、ばちを七十七貫、きはだを十九貫七百、この荷をとめますことははつきりいたしませんので照会いたしております。愛知県の下之一色、それから愛知県の三河三谷に、それぞれ下之一色にくろかわまぐろ十四貫三品、三河三谷にはばち八十八貫五百、荷どめの点が市販に出ておるかどうか明瞭でありませんので、これは取調べております。三重県の富田にくろかわふぐろ十八貫八百、それから同じく関にまかじき八貫五百、それから津にきけだ九貫二百、これらははつきりいたしませんので取調べております。三重県の上野市にばち八貫七百小売されているらしい形勢がありますので、取調べております。三重県の四日市にまかじき三十六貫七百、くろかわまぐろ十二貫八百、これはおのおの荷をとめましたから心配はいらないと思います。それから松阪市にきはだ二十四貫、これはどうも小売されておるらしい状態でございますから調べております。石川県の金沢市にくろかわまぐろ二十七貫三百、直ちに荷どめができました。それから京都府の京都市にばち十一貫六百、これも荷をとめました。大阪府の大阪市ばち三十五貫八百匁、これが小売されておるらしいので調べております。なお二十八貫八百、同様これは直ちに荷をとめることができたのであります。なおくろかわまぐろ百九十二貫六百匁は大阪で直ちに荷をとめましたが、七十一貫目は不明でございます。兵庫県兵庫市がばち十七貫、これがはつきりいたしません。九貫七百匁だけは荷をとめることができました。岡山市がくろかわまぐろが五十七貫、一部荷をとめることができ、一部市販に出た形勢でございます。岐阜県の中津川市にばちが四十五貫三百、小売にされておる模様でございます。多治見がまぐろが七貫八百匁、長野県の飯田市がまかじきが十九貫、以上三カ所は小売されておるらしいのであります。新潟県の高田市にまかじき十二貫五百、くろかわまぐろ十六貫三百、これも直ちに荷をとめることができました。なお、しろかわまぐろ八十九貫、これも荷をとめることができました。福井県鯖江にくろかわまぐろ三十六貫八百、これも荷をとめることができました。福井市がくろかわまぐろ十六貫九百、これも荷をとめることができました。鹿児島に送りましたのは佃煮製品としていたしておりますが、送る途中車中で全部とめました。以上であります。
  154. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 詳しい御報告その他を聞きますと、この海域に禁止区域を設定するという問題は日本の漁業の点から、或いは食糧問題、更には保健の問題から、更に海上保安の見地から、いずれの見地から見ても非常に迷惑千万でありまして、危険極まる措置であるという感じを非常に強くいたすのですが、更に今後こうした地域が拡大をされ、或いはたびたびやられるというようなことでは、日本の国民として安全感を持つことができないという感じがいたすのであります。そこでこういう禁止区域を設定するということ自体について、而もこの場所に設定すること自体について困るという点を政府の態度として決定をするような御意向がないかどうか、その点を農林大臣、厚生大臣、運輸大臣おのおのの心構え、気持をお聞きしたい。
  155. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この問題は先ほど外務大臣との御応答で御了解を頂けるかと思いますが、私どもといたしましては、水産関係全体として今日水産政策の基本的な方向を沿岸から、沖合、沖合から遠洋という標語の下に、モットーの下に推進をして行こうといたしておりますものにとりまして、今回の事件は非常に重大な関心を寄せざるを得ない。従つてこの禁止区域の設定の当否は別といたしましても、設定をせられて今度の事件のような区域外でこういう被害が行われる、安心して操業ができないというようなことはこれはもう漁業関係者として堪えられるところではございません。併しながら私どもの持つておりまする技術陣容を以てしてそういうことが簡単に実際問題として調査ができるわけのものでもございません。そこで先ほど外務大臣もちよつと申しておりましたが、強くその点を少くとも禁止区域を設定をして、そういう危険な実験をするその国がやはりそういう点についての調査なり危険防止の措置を講じてくれる義務があるのだ、そういう意味で再びかような危険の事態が起らないようなことは是非やつて頂かなければいかんということを外務当局にも強く要請をいたしているのであります。このビキニの地点が非常にクローズ・アップされて、太平洋全体がそうではないかというような感じになりますけれども、まぐろ漁業の実態からいたしますと、まぐろ漁業の漁獲一〇%くらいがあの海域だ。それで量からすれば大した量ではございませんけれども、併しながら或いは李承晩ラインとか、或いは中共海域とかというところに非常な苦労をしております我が国水産界からいたしますれば、せめてこの太平洋くらいはのびのび操業をさせてもらうということでなければ、この漁業関係者の心理的影響というものは非常に大きい。そういう上からも重視せざるを得ないわけであります。そういう措置は是非やつて頂くように外務当局もその肚になつておりますので、やつてくれるものと私は信じておるわけであります。そういう点につきましては更に、先ほどの御質問もございましたが、一体事態の影響は只今判明している程度のものであるか、或いは更に帰つて来つつある、或いは今後帰つて来る漁船等につきましても、どの辺を通つた船がどのくらいの影響を受けておるか等を、もう少し事実の真剣な調査が必要ではないか、大体そういうふうに考えております。
  156. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 実は今回のこのような問題につきましては、誠に私ども国民の食料、殊に大事な海産物漁獲に対しまする、日本人としてはこれはなくてはならない食料であり、又今後の栄養の基になると存じます点から考えましても、このような問題は誠に遺憾に存じております。従つて魚に対する先ほどもありましたが、不安のために栄養を摂取する食料が随分不足するという状態になる。又人に与えました損害から考えましても、不測の損害とは言いながら誠に遺憾に堪えない。このようなことが起らないような処置が最も望ましいと考えております。
  157. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 運輸省の立場として考えまする問題の第一は、今度の試験でその地域外におつてもまだ危険であつたというようなことで、さつき外務大臣が公海とか領海の問題についていろいろこの問題の話も出ておりましたが、公海の自由が制限されるというような点に余り進むことになりますると、私どもとしては余り賛成できないという事態も起つて来るのではないかと思うのであります。差当りどもの仕事の上から考えますると、さつきもちよつと申上げましたが、あらかじめ試験をやることがただ禁止区域だというだけでなしに、私どものほうに知ることができ、そして現場においては十分な周知、警戒をやつて頂く、私どもも出て行くものにあらかじめ注意をすることができるというような状態に話を進めて頂きたい、その方向に大体話して進んで行きたいと、こういうふうに思つております。
  158. 青木一男

    委員長青木一男君) 運輸大臣が衆議院から再々出席を要求されておりますが、海上保安庁長官がおりますから、運輸大臣に若し……。
  159. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 では希望だけ一つ述べておきます。今の三大臣の御答弁によりますると、先ほどの外務大臣感じ方、受取り方と違つて、やはり被害者の立場から、そうして日本国民の安全感を保証するという意味からかなり重大にお考えになつておると私たちも感じますし、その点で外務大臣の感覚とはかなり違つたものがあると思う。そこで私は最後に政府に希望を申しておきますが、その日本国民の被害者の立場から、特に心理的な影響その他の点を十分にお考えつて、先ほどいろいろあいまいに論ぜられていた禁止区域の設定自体についてそれの拡大のみならず、その設定自体について反対の意思を強く表明をし、更に進んでは原子力兵器の製造、使用の禁止、同時に原子力の平和的な利用、国際管理というような面まで積極的に早く問題が解決するように、日本政府として積極的にイニシャチブをとつてそういう問題の解決に進まれるように政府の意向をきめて頂きたい、これを切に希望いたしまして私の質問を終ります。
  160. 松浦清一

    松浦清一君 運輸大臣にちよつと……。
  161. 青木一男

    委員長青木一男君) ではお急ぎのようですから簡単にどうぞ。
  162. 松浦清一

    松浦清一君 先ほどの運輸大臣の御説明によりますと、事件発生時における第五福龍丸の位置が禁止線から十九マイル東のほうであつた、こういう説明であつたのです。その禁止線から十九マイル東のほうであつたという地点は、第五福龍丸が閃光を見た四時十二分現在の北緯十一度五十三分、それから東経百六十六度三十五分、その地点が、あとで問題になると思いますから確認をしておきたいのですが、第五福龍丸が被災した地点であつたと、こう了解していいですか。
  163. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 詳しくそれでは申上げます。三月一日午前三時四十二分そこらに行つたのでございますが、その位置は北緯十一度五十三分二分の一、東経百六十六度三十五分であります。本船が閃光を認めました午前四時十二分頃の位置は天測地点の東方約五百メートル、おおむね北緯十一度五十三分四分の一、東経百六十六度三十五分四分の一であるわけです。
  164. 松浦清一

    松浦清一君 御説明二つあるのですが、そのどの地点が被災地点と今までの日本政府側の見解でありますか。
  165. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 只今運輸大臣から申上げましたが、最初の地点は第五福龍丸が天測をいたした地点でありまして、その後天測後十分間東北に向つて七マイル程度のスピードで走りまして、そこで事後約二十分ばかり漂泊をしたようになつております。その剛の推定をこれは詳細に申上げますと、データがございますのでありますが、これによりまして、最後に閃光を認めた地点の位置を被災地点と考えております。
  166. 松浦清一

    松浦清一君 被災地点に関する見解はわかりましたが、この地点を被災地点と決定した、こういう方針のきめ方というものは、やはり船の航海日誌というものが基礎になつてきめられたと思うわけです。航海日誌というものは御承知のように法律によつて常に備え付けることが規定してあつて、毎日毎時その船の動静というものを記入しなければならんことになつておるわけです。これを故意に放棄したり或いは改竄したりするということはできないことになつておるわけなんですが、私聞きたいのは、昨日の関係閣僚の協議会、それから関係各省の連絡会議、これは大臣とそれから事務官のかたがたの別々のお集りらしいのですが、その際に二つとも第五福龍丸の位置等に関する事実調査を行うということがきめられておるわけです。今海上保安庁の長官が説明されたように、はつきりと被災地点というものは決定をしておるのに、なおそれを調査しなければならんという不正確な点はどういうところにあるのでしようか。それはさつき外務大臣聞いておつたのですが、将来の賠償等の問題が起つて来たときに、被災地点というものが非常に問題になろうかと思うのです。外務大臣も言つておつたように、日本側が只今までにここだと考えておる地点に対して、アメリカに異議がなければこれは問題ないと思う。若し異議が出て来れば、これは合同調査をする、或いは合同して解決するとかいう問題が起つて来ると思う。地点の認定ということには非常に問題があと残ると思うのです。日本が最初から自信を持つて、法律によつてきめられた航海日誌或いは天則等によつて確認をされた、今海上保安庁長官がおつしやつた地点を被災地点と、こういう態度をきめておるならば、なお改めて自信のないような調査をするんだというようなことを関係閣僚会議や各省連絡会議できめる必要はないと思うのです。どういうわけでございますか。
  167. 山口傳

    政府委員(山口傳君) お答えいたします。遭難地点の最終決定をみたのは、昨日私のほうで計算ができてきまつたので、その報告を本日午前中に外務省に送り込みましたので、恐らく遭難地点については、今日現在はもうきまつておりまするが、外務大臣はその資料をまだ御覧になつておらなかつたのかと思います。私の想像では、地点はかようにわかりましても、なおその他のいろいろな事情をお調べになることを含めておつしやつたのじやないかと想像いたします。それからこの遭難位置をきめますに当りまして、松浦さん専門でいらつしやるから少し詳しく申上げたいと思うのでありまするが、最初に私どもが新聞紙上で伝えました地点は、航海日誌の北緯と東経をとつたわけでありまするが、いろいろ供述によりますると、船長はその天測の位置を漁労長から聞いて書いたということがはつきりいたしましたので、漁労長の漁労日誌と、それから天測に使いました手帳を全部調べまして、それを基礎にして最終決定に持つて行つたわけでありまするが、この天測をやりました漁労長の今日までの日々の天測の材料を手帳によつて調べてみますと、非常に技術は優秀なのであります。その点は相当信頼していいと思うのであります。で、今回の分も、従いまして当日朝丁度天測には理想的な夜明前の三十分くらいの時期でございまして、海上も平穏、いろいろなそういう条件を調べまして、当該漁労長が使いました恒星或いは惑星等の三つの材料をもとにして、精密な海図によつてそのデータを使いまして出しましたら、最後に天測地点の位置が正確に出て、それからその船が先ほど申上げるように十分間東方に向つて動き、それから二十分漂泊しました。漂泊した関係であの附近の海流或いは当時の風向その他を全部推定いたしまして、殆んどこれは二分一マイルしか違わなかつたわけでありまするが、天測位置との差はそのくらいでございましたが、それを一応出しまして、最後の閃光を認めたときの北緯並びに東経をとつたわけであります。経過はさようでございます。
  168. 松浦清一

    松浦清一君 くどいようですが、それではその地点が日本側の確信のある被災地点という方針で将来臨むと、こういう態度であると確認してよろしうございますね。
  169. 山口傳

    政府委員(山口傳君) 本日そのデータによつて外務省のほうへ報告をいたしたわけであります。
  170. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは、この問題はこの程度で……。    〔千田正君発言の許可を求む〕
  171. 青木一男

    委員長青木一男君) 千田君まだありますか、この問題ですか。
  172. 千田正

    ○千田正君 農林大臣に……。
  173. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは岸委員質問農林大臣ありますから、その際に関連的にお尋ねを……。岸君。
  174. 千田正

    ○千田正君 議事進行について、私は外務大臣質問は済みましたけれども農林大臣にちよつとお答えを頂きたい点があるのですよ。
  175. 青木一男

    委員長青木一男君) さつきの問題ですか。やはり先ほどの問題についてですか。
  176. 千田正

    ○千田正君 ビキニの問題です。
  177. 青木一男

    委員長青木一男君) ああ、そうですか、それでは岸君ちよつとお待ち下さい。先ほどのそれじや継続で簡単に願います。
  178. 千田正

    ○千田正君 農林大臣にお伺いしたいのは、この太平洋関係のかつお、まぐろの生産は、二十七年度だけ見ましても金にして約三百二十億、かつお、まぐろ、さめ等でありまするが、更にそれを海外に輸出したところの額は、二十七年度全部で大体三千万ドル、日本の金にしまして約百八億という厖大なる輸出額になつております。ところが今度のようなこういう問題が起きたために、私は非常にこれは将来の輸出に対して影響を及ぼすだろうということを考えられると同時に、昨日入つて来たところの俊洋丸、あの船はビキニから約十マイル東を航行して来たのにもかかわらず、なおこの放射能の反能が見出された。こういうようなことになつて来るというと、日本の漁業というものに対しては非常な圧迫になつて来る。そこで先ほど私は外務大臣に対しましても、将来こうした不幸な事態が起きないように共同警戒をする必要があるじやないか、それを当然申込むべきでないかということを要求したのでありまするが、アメリカの外務大臣みたいな答弁して逃げてしまつた、私は遺憾に思うのであります。これは日本の漁業にとつては大きな問題である。百数億に及ぶところのこうした輸出に対してこれは影響を及ぼして来る。こういうような問題をどういうふうに解決するか。共同警戒ができなくても、すべてアメリカ側の告示があつた場合においては、農林省としましては、監視船なり或いは指導船なりを派遣して、こうした事態を防ぐ方法考えなければならないと思うが、どういうふうに考えられるか、この一点。もう一つは、先般東京中央市場に揚げられたこのまぐろは一応埋没棄却して未然に防いだけれども、これから及ほずところのいわゆる市場、業者、仲買人、更に小売人に至るまで、今日は手をあげてもう飯は食えないような状態になつておる。及ぼすところの影響は非常に大きいのであつて、これは農林行政の上から市場にまで及ぼして来ておる。末端の小売業者にまで及ぼして来ておる。こういう問題に対してどういうふうに今後計らつて行くか、この点、この二点だけをお伺いしたいと思います。
  179. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私どもとしましては、お話のようにまぐろの特に罐詰がアメリカ相当多額の輸出が行われておる。今年も相当の期待をいたしておるわけでございますから、併しながらこれによつて日本で鮮魚に対する不必要な不安感をあおり立てておるというのはこれはそれ自体はもう不必要どころじやない、大変なものでございますけれども、そうでない一般鮮魚までこの二、三日は心配だというような不安がある。これがアメリカのまぐろ輸入業者、或いは加工業者が同様の感じを持たれるということになれば、お話のように懸念すべきことになる虞れもあわるけでございますから、この点については、外務省にアメリカのほうで決してそういうものではないということをよく徹底して頂くようにいち速く私のほうからはお願いをいたしておるわけでございます。  なおこの第五福龍丸が漁獲して参りましたまぐろ、その他のものが市場に出廻り、各市場ともかなり混乱を起しております。これは当然皆良識ある人人でございますから、国民でございますから、事の実態が明らかになれば、これは元へ返るものと私は思うわけですが、そういう意味で昨日調査をいたすべきものは一応調査をいたしまして、厚生大臣農林大臣の共同談話を発表したような次第でございます。お話の、例えば三崎に帰港しました俊洋丸、魚自体には何の被害もないのに、あれが早く帰つて来て、そうして検査を受けた、それで非常に大きく伝えられておる。成るほど船体や器具の一部等にはかなりの反応もあつたようでございますが、魚自体には殆んどこれは見るべき反応はない。何も不安はない。今日まで、先ほど厚生大臣も申しておりましたように、第五福龍丸以外でまぐろ漁獲から帰つて来た船が十一艘ございますけれども、そのものについては、鮮魚については何にも今日は心配する反応は出ていないわけでございます。これが十分徹底するように努力をいたし、そして市場の回復が速かに行われることを期待いたしておるわけであります。
  180. 青木一男

    委員長青木一男君) 千田君、簡単に。
  181. 千田正

    ○千田正君 ちよつと今の共同警戒惜置、或いはそういう指導という面については、農林大臣はどう考えておられるか。その点は非常に私は重大だろうと思うのであります。であるし、こういう問題は将来このような事態が起きないように、一旦禁止区域が設定され、そこで又演習なり或いはそうした実験が行われるということが告示された場合においては、その漁船が操業する前にこれに対する指導というか、指導船をつけるとか、或いは警戒船をつけるとかいうような方途を今後講ずべきじやないだろうか。この点についてはどうするかということを一つお伺いいたしたいのでございます。
  182. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 恐縮でございます。答え落しました。先ほどもお答えいたしましたように、周知徹底方それ自体につきましも、先ほど申しましたような方途を講ずべき必要があると思つておるわけであります。無論危険な所に好んで立入る人はおりませんわけですから、看視、警戒の必要があるかどうかはこれはまあ研究の問題だと思いますけれども、要はそういうことができるだけ早くわかり、そしてそれが平たく漁業者に徹底するような措置はどうしても講じなければならん、こういうふうに考えております。
  183. 青木一男

    委員長青木一男君) どうも岸委員委員長の都合でたびたび変更して誠に恐縮でございました。
  184. 岸良一

    ○岸良一君 私は食糧問題を中心にして二、三御質問をいたし御意見を承わりたいと考えておるのであります。政府は本年度の食糧の確保を二本建で、一つは、国内の増産、一つは、輸入の確保ということで講ぜられておるのでありますが、今回の外貨予算の問題に伴いまして、先般新聞に、日本の輸入食糧の量は四百十四万トンから三百六十一万トンに減らすような報道が出ておつたのであります。これが事実であるかどうかということを伺いたいのであります。
  185. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話のような経過から行きますと、話もあるわけでございます。まだ最終的には決定いたしかねておりますけれども、そこまではどうも減らしかねるというように思つておる現状であります。
  186. 岸良一

    ○岸良一君 食糧の問題は防衛と匹敵するほどの重大な問題だと思つておるのであります。従いまして外貨を減らすということは、勿論日本の自立経済を実行する上において必要なことだと思いますが、食糧の問題については、一応計画を完全に実施し得るような体制をとつて頂くことが必要だと思う。こういうふうなことが伝わりますると、一面から言いますると、これはアメリカの小麦が将来たくさん入つて来るんだ、又アメリカのMSAの小麦のほかにアメリカと約束しておる小麦でもあるんじやないか、こういうようなことも考えられて来るのであります。で、私はそういうような点については、計画の基礎がしつかりしたものであるならば、その計画通りに実行をして行く、そうして先ほどお話のありました輸入する物資を大切に使うということについては、十分な監督と御指導を願うことが今非常に必要な問題であると、こう考えるのであります。その点について十分に御注意を頂きたいと、こう思うのであります。  なおこの際、二十九年度輸入の外国米麦のうちに、この計画の大麦百三万トン、小麦百九十六万トンにはMSAの小麦が五十万トン、大麦十万トンというものが入つておりますかどうかということをお伺いしたいと思います。
  187. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 或いは答えが違うかも知れませんけれども、このMSAの分は、昨年の凶作なかりせば、かようには要らないであろうというほど輸入を拡大しておるわけでございますから、その拡大した数量のうちに織込んでおるわけであります。
  188. 岸良一

    ○岸良一君 少しくお答えが私の問いを誤解されたかも知れませんが、今年の計画ですね、今年の輸入計画のうちにそれが見込まれておるかどうかということです。
  189. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 見込んでおるわけでございます。
  190. 岸良一

    ○岸良一君 見込んでおりますと、その先ほどの数が、或いは外貨関係がないということで減つて来るのじやないか、こういう気がするのですが、そういう点はどうなんですか。
  191. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それでは、前提が三百六十万トンというようなのでは、その中にははまつて来ないわけでございます。それではちよつと需給計画が立ちにくいのでございます。織込んだもので需給計画を立て、それが外貨予算の中に入り込んで行くというような立て方をいたしております。
  192. 岸良一

    ○岸良一君 それでは私は先ほど初めに御意見申上げましたように、今の食糧の事情からして私はその確保を図るように御努力を願いたい、こう思います。勿論これを使用する方法については、先ほど他の委員からお話がありましたように、厳密にやつて頂かないと……、私も同じような話を聞いております。どうぞ御注意を願いたいと思います。  なお輸入についてはそうでございますが、国内産のもの、これは増産をおやりになるということでありまするし、又国内産の買上げの数量から言いますれば、二千七百万石ということになつております。従つてこれを推定する収穫量から見ますると、恐らく六千四百万石ぐらいになると思う。これは今回の予算を見まして、或いは公共土木、土地改良事業等の災害等においては、大蔵省が考えられたよりも遥かに実際やつているほうが、率が少いというようなことを言つておられるのであります。その数量を農林省は耕地の拡張等において確保されるか、或いは反当収量等によつて確保されるか、この点について大臣の御意見を承わりたい。
  193. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 来年度の需給計画は、これは又どういう変化を来たしますか、一応まあやはり平年作を予想して需給計画を推算するということが妥当であろうということで、まあ基礎はそういうふうにいたしておるわけであります。食糧増産の問題につきましては、各方面にそれぞれまあ有力な御意見があるわけでございますが、何と申しましても、やはりこの限られた国土の中におきましては、私は一番大切なことは、既耕地の生産力を高めること、どうして高めて行くか、ここに私は農業技術陣の大きな使命が今後も非常に大きくなつて行くのじやないかということを考えるので、そういう考えの下にまあ当つておるわけでございますが、それにいたしましても、やはり生産力を高めて参りまする基本的な要件は、全国至る所、ここをもう少しどうにかならんかという土地改良の余地が余りに大きく残されておる。土地改良には全力を注ぐことが今日としてはやはり大事である。その土地改良を前提として生産力を高めて行くという農業技術がそこに浸透して行かなければならん。そういう上から行きますというと、これもその後の机上の計算でございますから、これだけの計画によつてどれだけの増産を期待するかというようなことは、厳密に計算いたしますれば、今年の土地改良なり、或いは食糧増産対策費、公共事業費で以て百十万行くらいが大体見込み得る、増産し得るのではないか、こういうふうに計算はいたしております。併し食糧増産の鍵は、やはり反収をどうして上げて行くかということが今後の大きな問題だと私は考えております。
  194. 岸良一

    ○岸良一君 両者によつて生産を殖やして行くということは、これは当然考えらるべきことであり、又既耕地の反収を殖やすということも、農業の経営の、営農の方法によつて殖やし得ることは、農林省が関係をされておりますところの米作日本一の実際を見ましても、六石幾ら取れるという可能性があるのであります。でありまするから、この面を推進して行くということは、私は非常に大切であろうと思いまするが、これをやつて行くということが、日本のような過小の、アメリカの農家のように自分で工夫し、自分でこれを増加するということになかなか頭を使えない農家におきましては、やはり今お話のあるようにこれを指導する普及員、農事指導員といつたようなものの力を借らなければならんのじやないかと思うのであります。そういう点については、前の国会の時に、私本年度の増産について、大臣に農業普及員を督励してそうして万全を期せられたい、こういうお願いをしておつたのであります。ところが甚だ遺憾なことは、改良普及事業が、普及員の待遇その他の問題について、今回予算において、或いは三分の二の助成を二分の一にしたというようなことのために、農林省の予算が三億幾ら減じておる。これは見方によつては、或いは地方に平衡交付金でくれるのだから、こういうような話になると思いますが、現在の普及員の状況を見ますると、かなり優秀な高給者がおる。それがために中央政府で三分の二をくれておつても、実際は二分の一である。或いはもつと多くても、多少多いという程度である。従いまして地方庁の負担が、或いは町村の寄附といつたような恰好で辛うじてやつておるという現状であるのであります。それを現在のようなやり方にしますると、或いは地方によつては普及員を減ずる、減ずるということは、補充しない、或いは他の費用を抑えて、そうしてやつと人員を維持するとかいうようなことが起きて来るのですが、私はかかる不安の状態に置いておいて、そうして増産の指導をやらせるということは非常に遺憾に思うのであります。私は他の委員会にかかつておる法律等を、どれを見ましても、これは極めてつまらないことをやつたのじやないかという気がするのでありますが、この点について大臣のお考え方を承わりたいと思います。
  195. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農業改良普及員の持つておりまする任務からいたしますれば、お話通りでございますが、当面の財政の要請するところによつて、暫定的な措置としてお話のような結果になつておるわけでございます。同時に、併し私は多少或いは見解が違うかと存じまするけれども、農林省が隅々までに号令をかけて技術の向上を図つて行く、これは私は一面において大切だと思つております。併し同時に地方の産業、まあ地方の産業と申しますれば、一番大きなものはやはり農業でございます。農林牧畜業でございますが、私がこういうことを申上げてはどうかと思いますけれども、国のあり方からいたしまして、健全なる自治体の上に立つて民主国家を作つて行くという建前の下から考えまするというと、農林省の隅から隅までという考え方も一面尤もでありますが、同時に地方において地方産業開発或いは発展を地方庁自体、或いは自治体自体が非常に何と申しますか、自覚を新たにすると申しますか、その意気込みが又なしには到底できるものではなかろう。そこで、恐らくこれを放置いたしておきますならば、平衡交付金で計上はいたしておると言いましても、農業に熱の悔い地方は或いはそういう結果になるかも知れん。これは農林省としては十分監督をして参りたいと思いますが、そういうことのないようにいたしたいと思いますが、そうでなしに、やはりその県、その自治体を立てて行くために、どうしても農村の発展をやらなければいかん。農業の開発をやらなきやならんという熱意が持たれて、私はこの改良普及員の仕事と一体となつたときに普及事業の推進が図られて行くのじやないか。そういう意味において、これは本当に大いに考えてもらつてもいいのじやないかという感じも持つておりますけれども、併しこの措置は一応暫定の、財政事情から来た暫定措置として私も止むを得ないとして一応承認をいたしたわけであります。
  196. 岸良一

    ○岸良一君 只今お話のありましたこともわかります。わかりますが、今食糧の国家管理をやつておる、そうして国が責任を持つて国民を養うという重大な任務を持つておる時でありまするから、私は、改良事業は即ち増産であります。この事業の裏打ちをするもの、そういう意味におきまして恐らく法律を以て国家的の事業として取上げたのであると思います。その点をお考えを頂いて、速かにそういう事態を続けるならば、或いは将来において米はもう自由だと、県が努力して作ればいいのだということであれは、これはいいと思いますが、そうでないならば、今この際法律を作つてまでそれを外すという必要がどことにあるかということを感ずるのであります。その点十分お考えおきを願うと同時に、若しこれで片付いてしまうということであれば、遺憾のないように農林省において措置をして頂くことが必要だろう、こう考えております。それから私は、食糧の問題は単に主食だけの問題ではいかんということは、この前の時にも申上げた通りであります。ますます私はその感を深くしているわけであります。というのは、日本の人口は大体戦前から比べますと二割四、五分増加しておる。主食系統の食糧というのは二割までに行つておらないと思うのです。従つて、その欠陥というのは何によつてつておるかと言いますれば、只今まで非常に御論議のありましたところの水産物及び私のお伺いしようとする畜産物と、この二つが主力をなしておると思つております。で、このものを確保するということも、これ又非常に大切な問題であります。又国民の栄養の問題から言いましても、これが非常に大切な位置を占めて来ると私は考えております。この点は大臣のしばしばあらゆる機会におつしやつたことで、恐らく同感であられるだろうと思うのであります。それで、今回の予算を拝見しまして、私非常に心強く思つたことは、帝産におけるところの経費を非常に増額して、まあ殊に酪農については、集約酪農地帯とか非常に多額に金をつけられて、そうしてこれを奨励されようという御意見であるので、私非常に心強く思うのであります。この機会に私は今問題になつておりますところの酪農につきまして、大臣が日本の酪農についてどういうお考えを持ち、今度の予算でどういう御構想の下にこれを推進して行かれるか、そのお考えを承わりたい。
  197. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 酪農の振興の必要なことは、食糧事情からいたしましても、消費の面からいたしましても、どうしても米以外の麦等の主食に依存しなければならん面がまあ非常に重く今後かかつて行くわけでありますから、それにいたしましては、単なる麦食奨励と申しましたところで、ただ麦食えでは麦が食えるものではないわけですから、まあ麦を食べる基礎的な条件を整えるということが、申すまでもなく脂肪、蛋白の供給を豊富ならしめるということに帰するわけであります。これは今後農林省の仕事のうちでどうしても大きく力を入れて行かなければならん面であるという考えで、お話のように、他の面においては随分苦しい予算になつておりますけれども、酪農、畜産の面におきましては、ともかくもこれで以て決して満足ではございませんけれども緊縮予算の中においてはできるだけの措置をとつているわけであります。同時にこれは消費の面は、即ち食生活改善の基礎を作り上げるという意味において、酪農振興を図ると同時に、食糧生産力を高めるという上から行きましても、個々の農家に立入りましても、或いは農村に入りましても、この有畜農家の生産力というものは無畜農家のそれとは比較にならんということが証明しておりますように、どうしても日本の食糧の増産、生産力を高めて参ります上には、農村の本当に無畜農家の解消と申しますか、理想としては私は無畜農家の解消まで行かなければ、増産の本当の力は入つて来ないというふうに考えて、両面からこの問題を挑めて行かなければならんのじやないか、こういうふうに考えております。
  198. 岸良一

    ○岸良一君 只今お話で原則的にはわかるのでありますが、今度の予算において、予算を計上されたときに、どのくらい乳牛は殖やす、どのくらいな量を上げようという御決意があつたかというその点を承わりたいと思います。御参考までに申上げますと、私の調べたのによりますと、二十六年の畜産による生産物を米換算にいたして見ますると、カロリーで百三十四万石、蛋白で五百十四万石、二十八年はカロリーで二百三十八万石、蛋白で六百七十四万石、約この間にカロリーで百四万石、蛋白で百六十万石、年々に前者では五十二右万、後者では七十八万石殖えている。こういうことで今の現状でずつと推移いたして行きますと、千万石ぐらいの米の補給ということはやすやすとしてできる、こう感ずるのですが、これらはどういう規模でどういうふうな地点にやられるかという考え方をお聞きしたい。
  199. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 御承知のように乳牛の計画は、畜産振興十カ年計画で百万頭を目標にしてやつておりますが、これには乳製品の購買力、生活水準の向上が伴わなければなりませんので、一挙にそこまでに行くことはなかなか大変なことだと思います。最近の伸び方は、御承知のように一昨年から家畜導入資金に対する利子補給、損失補償制度或いは草資減の造成の対策、殊に新らしい飼料用草木の改良等と食生活の改善運動と伴いまして非常に伸びて来ているのであります。我々の推算によりますと、二十八年から二十九年に伸びるのには、大体二割程度の乳量の増加が期待できるのじやないか、こういうふうに考えております。
  200. 岸良一

    ○岸良一君 その予算の中にありまするところの集約酪農地帯の設定という事項がありますが、これはどういう所をお選びになつて、この計画を進めておられるかということについてお話願いたい。
  201. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 集約酪農地区を始めましてから、各地ともかなりこれをやりたいという要望が強いわけでございます。漸を逐うて拡大して参りたいと存じますけれども、来年度は四カ所を設定することになり、今年の三カ所分と合せて推進して参りたい。大体予定いたしておりますのは、北海道で一地区、それに青森と静岡、岡山、そういう四カ所を予定いたしておるわけであります。
  202. 岸良一

    ○岸良一君 私はその御説明でなくして、むしろ将来におけるところの計画を、どういうふうに発展さして行くかという計画を伺いたかつたのでありますが、時間も少うございまするから、この程度でとどめて、又分科会等の時にお伺いしたいと存じまするが、何分にも昨年この計画が発表されると、全国から私どもの所だけでも数十カ所の話が出て来ている。これをどういうふうに取扱つて行くかということは、これはこの勢いを逃さずに伸ばすことが必要であるし、又これらの地帯が乳の生産費のかからんようにこれをうまく取扱つて行くには、現在の酪農の問題、食糧の問題を解決するために非常に効果的である、こう考えておるのでありますが、折角予算を計上されたならば、それを将来にどういうふうに取扱つて行くかということを承わりたへつたのでありますが、この問題はこれを以てとどめます。  なお価格の問題、今日本の価格が非常に高いのでありまして、これでは国民に喜ばれる酪農にならんということをいつも私は言うておるのでありますが、これをどういうふうにして行くか。又現在の酪農に関係する問題をどういうふうにして行けばこの合理化ができるといつたような問題については、又別の機会に御意見を承りたい、思います。  それから次に承わりたいのは、最近の新聞紙の報道するところによりますと、米国の政府は手持の余剰農産物十億ドルを今年七月以降、三カ年に海外援助の形で処分しようとする計画が、る。これは朝日等にもたびたび出ておりましたが、それは予算教書における大統領の要請に基いて、今年の六月までに米国議会でこの処分に関する立法が行われようとしておるという話なのでありますが、これに対して先般来の新聞等に、吉田さんの命令でこれに対して東畑次官が案を出して、三カ年に小麦百二、三十万トン、それからバター六百万ポンド、飼料用の麦数十万トン、初年度において綿花が百三十万俵を受入れる態勢を作る案を出した、こういうことが出ておりますが、又本日の新聞を見ますると、米国余剰農産物受入れの一億三千万ドルについて各省連絡会議が開かれたという話であります。これらに対して、私は本日外務大臣からもその経過を拝聴したいと思つてつたのでありますが、おいでになりませんので……。農林大臣はこれについて御承知のことかと存じますが、御承知でありましたらお話を承わりたい。
  203. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 本年の初頭のアメリカ大統領の一般教書に述べられております余剰農産物の処置につきまして、現在お話のようにアメリカの国会で立法手続がまだ済んでいない。従つてそれがどういう手段によつて行われるかということがきまらないわけでございますから、最終的に日本がこれにどう要請をするかということは、まだ勿論きめる段階ではないわけでございますけれども、併しともかくもおびただしい食糧輸入しなければならない現状でございますから、食糧を中心としてこれが実現し得る場合にはどういう要請をいたすかということにつきまして、今関係各省の事務当局でも下相談をしておるわけでございます。これは下相談の範囲をまだ出ておりません。私もその程度承知いたしております。
  204. 岸良一

    ○岸良一君 大体そんな程度だと考えます。これは新聞等で承わりますると、今回のMSAの余剰農産物の協定でなくして、離れた別な形においての相当経済援助の意味を含んだものとして取極められるという話でありますが、若しそうであるとするならば、この物資をきめるについて、相当御研究願いたい、こう思うのであります。MSAについても私意見を持つておりますが、大麦、小麦につきまして、この程度なら、今の日本の農産物の生産の現状及び食糧の事情からこれは差したることはないと思つております。将来これがいろいろな物資に及んで来るということになりますと、物によつては、国内生産に非常に影響を及ぼすものがある。こういうような点を十分考慮して頂いて、そして逆にむしろ国内生産を殖やし、或いは国内産業を援助するような形においてなし得るようなものを入れるということに努力を願いたい。特に余つておるものを処分してやるので、実際から言うと、二割ぐらい金をただもらつて、もらつても更にいろいろの注文を付けられるといつた今のMSAの資金のような関係であるとすれば、私はこの際よく話合いをして、そして先ほど申上げました線に沿うての物資の供給を受ける相談を願う必要があるのじやないか。問題は又もとの問題に戻りますが、先ほどお話がありましたように、政府は酪農振興を図る、非常に骨を折つておられる。而も集約酪農地帯というのは主としてバターの生産をする。バターの生産をする地帯へもつてつていきなりバターを持つてつて野放図にこれが放流されたならば、必ずその影響は及んで来る、こういう点を考えますると、私どもは端的に言えば、むしろバターより乳牛をもらう方法があれば一番いいんじやないか、こういう感じがするのであります。そういう点はなかなか構想の上においてはむずかしいと思いますが、私どもの今日の考えでは、今日通産大臣がおられませんけれども、綿花のようなものは何も日本の農業に関係がないのですから、大いに安いのをMSAで取つて行くという面に持つて行くというようなことを考えて頂きたいと思いますが、この点大臣如何ですか。
  205. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御尤もな御意見で、十分私ども考慮いたして参るつもりでおりますが、同時に酪農振興の必要性が非常に私どもから言えば大急ぎでやらなければならん。併しこれは財政の都合もあるし、そういう又いきさつでございますから、そう右から左に一遍にどつと殖えるわけのものでもなし、そうかと申して食糧関係はどうかというと、これは非常にこの食生活の改善というものは大急ぎでやらざるを得ない。又政府がどういう措置をとろうとも、先ほどもどなたか申されましたように、米の供給力は減つておる。消費量は増大する。殊に昨年のごとき凶作においては著しく供給力が減る。食生活の改善とか何とかということでなしに、もうとにかく消費大衆はいやでも応でも米以外のものを食べなければならんわけで、それじやパンを食べるにしても、やはり天然バターでないまでも、少くとも人造バターぐらいは豊富に安く供給されるということが一方に来なければならん。そういう上から行きますれば、粉食普及という強いこの要請に応えるためには、我が国酪農は現状におきましては余りに貧弱だと申上げざるを得ないわけであります。それを一体穴をどうするか。それを極端に埋めようとしますれば、内地酪農を圧迫して、漸く芽立とうとしている酪農業の芽を摘んでしまうということになりますし、又全然これを入れないということになれば、消費大衆生活に非常に大きな影響を持つて参りますわけでございますから、昨年末からとつておりまするように、そこは内地酪農を圧迫しないように、而も余りバターなんかが価上りしないようにという両面からの要請に基いて対処をいたして来ておるわけでございまして、この考えは今後も持つて行くつもりでおるわけでございます。一つも入れぬということは決して申上げません。できるだけ入れたいのですけれども、同時に内地酪農を圧迫しない処置をとりつつやつて行かなければならない、こういうふうに考えております。
  206. 岸良一

    ○岸良一君 これは私の問い方が悪かつたのですが、入れるということを促進するようにと申上げたのではなくして、むしろ入れないという方針で内地の酪農に徹底的の努力をいたすことが必要じやないか、こう考えております。勿論今のバターを欲しがつているかたもたくさんありましよう。併し多くは相当の位置にある人が多い。してみると、私どもはこの一年耐乏をして頂ければ、恐らく私はこの暮頃からよほど楽になつて来るだろう。昨年の暮のときにおいても非常な非難がありましたが、私はクリスマスが済めば必ず出て来るぞと言つてつたのですが、全くクリスマスのためチェックされた。これはクリスマスの菓子を作るのでぜい沢な砂糖とバターを使つておるということで、これは余り私ども感心することではない。耐乏生活から言えば、むしろ有識者みずから耐之生活に応じて、そうして生産業の促進をして頂くということを希望する次第であります。どうぞお考えおき願いたいと思います。  どうも時間がありませんから、もう一つ意見を承わつておきたいのでありますが、この輸入がありますれば、量が多くなれば、或いは新聞に書かれておるようであれば、向うがどのみちはよこすかも知れないということになりますと、或いはその金というものは、相当莫大な金が日本に蓄積されるのじやないか。それを最近きまつたと称せられているように、そうして防衛産業を対象として運用するということであると、これは私は非常に面白くないことである、大衆の人に背負わせる、そうして又農民に背負わして、そうしてそういうことだけに持つて行くということは面白くないことである。むしろ食糧なり資源の開発といつたようなものによつて、日本の自立経済の基礎を固めるということこそ必要であろう。又そういう物資の中にはたくさん防衛の仕事に役立つものもあるのであります。そういう方面にも使用し得るような心構えで一つ折衝の方針を立て、よく農林大臣としても御努力あることが必要じやないかと思います。私は外務大臣にお伺いしようと思つたのですが、そういう点についての御意見を承わりたい。
  207. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その点は私も全然同感でございまして、その線で努力をいたしております。
  208. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。明日午前十時より開会いたします。    午後五時二十九分散会