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国務大臣(草葉
隆圓君) 今回の被害に対しまして、実は乗組員が受けました傷害と、食料の問題につきまして、特にいろいろな処置をいたしました点を申上げて御了解を頂きたいと思います。
食料に対しまして、殊に同地域から参りました漁船の水揚げされた漁獲の食料に供せられることの不安が
国民一般に強く及んで来たようでございまするから、これに対する対策を早速と
つたのであります。第一は検知班を六班作りまして、今後これらの南方地域かり上
つて参ります漁船を五つの港を指定して、そこへ集中的に参るようにいたしました。これらの五つの港に検知班をそれぞれ一班ずつ派遣をいたしまして、放射能の検査をいたし、放射能を持
つておりまする魚はこれを市販に出さない処置をとる、こういう
方法。もう
一つは調査研究班を一班作りまして、そして科学的な調査に当らせる、この二つの
方法をとりまして、直ちに焼津、三崎、塩釜、銚子、並びに東京の築地等それぞれ班を派遣いたしまして、現在実施いたしておるのであります。
只今まで私
どものほうへ入りました報告によりますると、実は第五福龍丸から水揚げされました漁獲は二千二百九十トンで、そのうちの大部分がすでにそれぞれ
関係府県、十三府県に出てお
つたのでありまするから、これを途中から電話、電報その他の
方法で市販に出すことを差しとめましたのであります。極く一部市販に出たのであります。その中で石川県の一部に少少、これは極く少量でありましたが、かじきが二匹、金沢のほうへ参つた、小松のほうへかじきが二匹、これだけに放射能が検出されたのでありまするので、これらに対しましては近くの医科大学におきまして、それぞれ食べました人たちに対する医学的な処置をして、下剤をかけるとか何とかいう
方法をいたしました。その他の方面におきましてはまだ報告はありませんが、余りたくさんは市販に出ずに、そのまま市場その他で押えることができたようでございます。そこでその後第五福龍丸以外に、現在入りました船が、築地のほうへ日光丸と第八正天丸と孝栄丸と三艘入りました。おのおの一万八千貫
程度の、一万貫乃至二万貫
程度の漁穫を持
つて参
つたのでありますが、日光丸のもので船橋に若干の放射能の反応がありました以外には、魚には全然反響は出なんだのであります。検出されておりませんから、これは安心していいと思います。又三崎港に八艘入りました。この八艘は多くまぐろを積載して参
つたのでありますが、これらの魚には全然検出はなしに、その他船或いは衣類等に少々検出が、反応が現われたという
状態でございます。
そこで今度は第五福龍丸に乗組みました二十三名の人たちの症状並びにこれに対する対策でございますが、これらの二十三名のうちで二人は少し症状が重いと申しますか、現われておりまする
状態がひどいようでございまするので、東大のほうへ参りました。都築博士その他で治療に当
つておるのであります。その他は現地の焼津におきまして、焼津の病院で現在その後の
状態を
検討し、治療に当
つておる。併しこの二十一名は大した症状は現在のところは現われておらないようであります。東大に参りました人たちは、昨日と本日とでは少し白血球の数が本日は減
つて参つたようでございますが、併しこれが今後どういうふうに影響して参りまするかは、今後の問題であろうと思います。大体今日いろいろ
関係者が集りまして、これらの医療対策その他の対策を
検討いたしておるのでございますが、一応は二カ月
程度において一応の
検討ができるだろうという目途を以て、今日は報告を受けておるのであります。
そこでこれらに対しまする医療或いはその家族に対しまする処置でございますが、第五福龍丸は全部船員保険の加入者でございます。従いまして、取りあえずは船員保険法によりましてそれぞれの処置ができるのでございますが、今回は乗組の二十三名全員船員保険に加入をいたしておりまするから、医療の給付をこれによ
つていたしたいと思います。これによりますると、御
承知のように三年間は医療費の全額を支給することができる。従いまして、この病気がかような病気でありますけれ
ども、これに対する十分な処置は船員保険法における医療によ
つていたし得ると存じます。なお家族に対しましては、四カ月間は報酬の一〇〇%、十割、それを越しますると、その後二年八カ月間は六割支給をいたすことに相成
つておりまするから、当然これによ
つて家族はその手当を受け得ると存じます。
只今申しましたように、一応はニカ月
程度の経過によ
つて処置ができるというのが今日都築博士の私に対する報告でございましたが、今後の推移を見まして、これに対する処置はと
つて参りたい。但し、十分な
方法をと
つて、できるならば、希望が出ておりましたので、焼津におりまする乗組員の人たちも東大等にまとめて、一緒に医学的、物理的、科学的あらゆる方面からの検診をしながら治療に当るほうが十分ではないかという御
意見等もありましたので、これらの点も十分
検討して参りたいと思
つております。