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1954-03-17 第19回国会 参議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十七日(水曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            小野 義夫君            高橋進太郎君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            泉山 三六君            鹿島守之助君            佐藤清一郎君            白波瀬米吉君            高橋  衛君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            岸  良一君            田村 文吉君            中山 福藏君            亀田 得治君            佐多 忠隆君            藤原 道子君            湯山  勇君            相馬 助治君            曾祢  益君            松永 義雄君            戸叶  武君            苫米地義三君            千田  正君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    通商産業大臣  愛知 揆一君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    保安庁次長   増原 恵吉君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 石原 周夫君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    文部政務次官  福井  勇君    文部省管理局長 近藤 直人君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。
  3. 藤原道子

    藤原道子君 昨日私の緊急質問に対しましてビキニ島の問題は非常に重大である、目下調査中であるがという御答弁でありましたが、是非劈頭にこの調査の結果を伺いたいと思います。非常に重大な人道上の問題であるこの点につきまして委員長より然るべく至急その報告を求めるように一つお願いいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 承知しました。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 関連して、只今松澤委員から質問されるわけですが、それが済んだ頃には一つ本日是非その問題に対して政府責任ある答弁を要求したいと思うわけであります。是非この点は私委員長にその問題について理事会を開いて頂くように唐突ですがお願いしているわけでして、是非さよう取計らいのほどを併せて希望しておきます。
  6. 青木一男

    委員長青木一男君) 政府に対して成るべく速かに報告のあるよう委員長から請求いたします。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 いつ頃なんでしよう。
  8. 青木一男

    委員長青木一男君) それは私お引受けいたしかねます。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 速かに一つお願いいたします。
  10. 青木一男

    委員長青木一男君) 承知しました。
  11. 松澤兼人

    松澤兼人君 私も第五福龍丸緊急性に鑑みましてその点を第一にお尋ねしようと、こう考えておりまして、併しまだ政府のほうから副総理或いは官房長官その他見えておりませんから、この点は保留いたしましてもよろしうございます。併し適当な時期に、私なり或いは私のほうの委員の中にも、緊急に質問したいという人がございますので、そこで適当のときに一つ集中的にこの問題を取扱うように、少くとも時間をお与え頂ければ非常に結構だと思います。この点如何でしようか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  12. 青木一男

    委員長青木一男君) そういう特殊な扱い方をすることは委員長ちよつと独断できめかねますが、成るべく速かに政府報告を求めることには委員長協力いたします。
  13. 松澤兼人

    松澤兼人君 若し委員長お一人でそれが決定できなければ、理事会を開いて頂きまして、(「異議なし」と呼ぶ者あり)一時間なり或いは三時間なり、この問題について集中的に質疑をするというお取計らいをお願いいたしたいと思います。(「異議なしだ」と呼ぶ者あり)
  14. 青木一男

    委員長青木一男君) その点は委員長、考慮いたします。
  15. 松澤兼人

    松澤兼人君 大蔵大臣にお伺いいたしたいと思いますが、政府予算及び金融引締め、その他の施策によつて果して物価政府の予期せられるような状態に、即ち五%から一〇%まで引下げられるかどうかという問題は、単にこれは予算委員会の問題だけでなく、日本財政経済建直しという点から非常に大きな問題であろう、こう考えるのです。そこでしばしば委員各位によりまして、この見通しについては自信のある答弁がなされたのでありますが、併し果して物価政府の考えるほど下るかどうかという問題につきましては、いろいろとこれに反対するところの傾向なり或いは勢力なりというものもあるわけでありまして、結局引下げようとする力と、それからそれを食いとめ、若しくは先高思惑というような勢力というものが勝つか負けるかということが、この二十九年度予算に課せられた最も大きな問題であろう。こう考えるのでありまするが、果して大蔵大臣はこの予算及び金融の引締め、その他各種の政府施策によつて予期しておられる通り物価引下げが行われるかどうか、この点につきまして、一応御所見を承わりたいと思います。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) この国内の有効需要その他の問題につきましては、経審長官が昨日答弁いたしましたので、これは数字的なことは、経審長官のほうから御答弁申上げるようにいたしますが、御承知のごとく私ども考え方としては、物価というものは普通の場合でございますれば、勿論需要供給に支配されることは、これは当然であります。従いまして例えば本年の生産量が昨年に比して輸入その他の関係から、大体鉱工業生産一五二ぐらいに見られておるのでありまするから、従つて数量としては何ら増加いたさない、むしろ若干減る、まあ横這いの傾向にあるような数字であります。併し一方から見まして、需要のほうはと申しますれば、これは差向き減らんように見えるのでありまするけれども、併しこういう、日本緊縮予算を立て、又金融についての引締めの強化をやりまするときには、需要供給以上にこれを支配するものがあります。それは何かと言うと、いわゆる人気というものと、先行きに対する見通しの点なのであります。従いまして単に需給数字のみからではなくて、政府がとつておる諸施策に対する一つ人気というものと、いわゆるそれに対する見通しというものから、物価というものが需給以上に、下るものもある、場合によつては上る、今度の場合は下るのでありますが、これは大体御判断の行くことと私は考えておるのであります。その点から私どもが見まして、大体今の諸施策をやつて参れば、五分乃至一割の引下げというものはできるのであるし、又それが仮に、その引下げの時期について申しますれば、大体下半期以降にこれが現われて来る、こういうふうに考えておるのであります。御承知のように現在のところでは、これはまだ二十八年の、過去の蓄積等を使つておる予算が現われており、又過去の蓄積に限らず、この間の減税国債等を使つておる、そういうもの等の予算が実行されておるのでありますけれども、これはもうそこで、時期的に多少の、二十九年度予算なら金融引締政策効果が現われるのに、多少の時間的ズレを生じておりますが、下期になればその効果を生ずることは、私は疑いを入れない。こういうふうに考えておるのでありまして、その点からいろいろの点を考えて、例えば輸入物資等についても、外貨割当等を配慮しておる次第であります。併し細かい数字的に、これは私が申す通り、今日の場合には単に需給数字的に現わして、物価が五分下る、或いは一割下るということを数学的に出すことは、今日の情勢では適当ではないのではないか、又私は出し得ないと思いますが、併し経済審議庁で一応調べたことでありますから、そのほうは経済審議庁のほうからお答弁申上げてもよかろうと存じます。
  17. 松澤兼人

    松澤兼人君 経済審議庁のほうの総合見通しは、大体都市勤労者消費水準は、賃金が三%増、消費者物価が三%六下落、それから雇傭が一%減、人口が一・三%増、これに旧軍人恩給の増額である、或いは勤労所得税減税、それから貯蓄成果の増大ということを考えて、大体計算されたものというふうに考えるのであります。これはいずれあとから経審長官にお伺いしてもよろしいと思うわけでありますが、成るほど計算はこういうふうにできております。併しつい先頃まで、いわゆる膨脹予算と申しますか、或いはデフレ予算の結果、国民消費水準、或いは生活水準というものが、これまでの政府の放漫な財政政策惰性によつて、これを直ちに緊縮耐乏というところに切替えることはできない、この惰性と、更に先ほど申しました、思惑的な傾向相当に強い、証券界におきましても、一応の不況ということは必至である、こう考えておりながら、何かの機会があれば反撥して、先高を買つて行こうとする空気もないではないと思うのであります。この一般的な人気政府施策に対抗するところの勢力というものは、決してこれは軽視できないと考えるのであります。これは外貨割当の削減と関連いたしまして、物価引下げない要因として相当に強く働くのではないかとこう考えるのであります。で一挙にしてこれを切替えることは不可能であるということは勿論よくわかりますし、徐々にこれを切下げて行こうとしても、やはりこういう反対的な勢力のために政府の期待するところの結果が出て来ないのじやないかということを考えるわけであります。で大蔵大臣は今人気ということを言われました。これを下げて行く人気と上げて行こうとするところの人気がどのような兼合いのものであるかというところに、問題がかかつて来るのじやないか、こう考えるのであります。いわゆる下げまいとする勢力、これを分析するとどういうことになりますか、大蔵大臣が考えておいでになることを一つここで挙げて頂きたいと思います。
  18. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 最初に松澤さんに私の考えを申上げておきますと、実は統制経済下でございますと、これは数字的にどちらかといえばはつきり出せるのでありますが、こういう自由経済下におきましては、実は一番大きく働くのが人気なのでありまして、これは松澤さんも御承知のごとく、例えば今食糧統制しておりまするから、そういうことはございませんが、統制のない時分の食糧等について御覧になれば、ちよつと米が二、三百万石余計とれるかとれんかで、或いは五割も七割も差が生ずる、こういうことがございまして、そこで私ども金融の引締めと、それから国の予算が少くとも引揚超過になつて撒布超過にならない、こういう状態が、これはよほど大きく働いて行くものである。それと私は繰返しよく申しまする通り、一体思惑的な金融或いは滞貨金融等はいたさないという考え方日本銀行と相談しておるのでありまして、日本銀行もそれを望んでおるので、最近むしろ金融引締強化が世間からいうと度を過ぎておるごとくに言われて、そういう御質問がここで田村議員等からあつた次第なのでありまして、それで私どもがこの一連の政策を今続けて参りますれば、これは私は今お話になつている上げようとする政策はどこから来るかといえば、これは当業者がカルテルを作るとか、生産者カルテルを作るとかいうような問題がございましよう。現にそういうような動きもありますが、併しそれ以外には大きな原因は私ども見当らんと思うのです。例えば一番昨今問題になつている砂糖のごときものでありますが、砂糖のごときものについていいましても、今のままで行きます。と、これは逆の人気一つ出ておるようでございますけれども、併し一昨年の輸入額、年度でいうと二十七年の輸入額に比べれば、あれは七十万トンそこそこでありますので、それで十分これは足りておつた、それが百十万トン入つてつてなお高くなつておりますが、この間実は政府が食管で手持にしておつた分が三万トンある、その分を売るということにしたら一時的に非常に下つたことは御承知通りであります。それはきめ手というものはございません。これは私ははつきり申上げておきますが、それじや物価を五分下げる、一割下げるというきめ手を私どもは持つてはおりませんけれども、この政策を根強く力強く推進して行くということと、この政策が緩和されることがない、又後退することはない、こういうことがはつきりして参れば、その点でやり得る、こういうふうに私自身は信じておるのです。
  19. 松澤兼人

    松澤兼人君 議事進行外務大臣が見えておりますが、どういたしますか。
  20. 青木一男

    委員長青木一男君) 外務大臣は特に先ほどの緊急質問に関連して出席をなさつたのですが、本会議及び委員会にすぐ行かれなくちやならないそうでございますから、この際極く時間を切詰めて外務大臣から報告を願いたいと思います。
  21. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは陣頭に申上げました第五福龍丸の問題につきまして昨日藤原君から質問があり、又私どもも本日は本会議緊急質問をしたいと考えておりましたが、予算委員会としましてもこの問題については重大な関心を持たなければならない、こう考えますので、外務大臣にその後調査の結果を概括的に御報告願いまして、それについて二、三質問いたしたいと思います。
  22. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ビキニと申しますとその横の、前から原爆試験をやりましたエニウエトク環礁とくつついておるわけでありますが、このエニウエトク環礁につきましては一昨年、一九五二年九月十八日付米国務省日本大使館宛口上書で以て、アメリカ太平洋信託統治協定の条項に基いてエニウエトク環礁とその周囲海域危険区域指定している。ところが日本漁船が一隻この事情を知らずにこの区域に立入つたから知らせるという報道がありました。そこで直ちに文書を以て運輸省、海上保安庁、水産庁に対して、日本船舶エニウエトク附近危険区域に関して周知徹底方通告いたしたのであります。それから今回のビキニの問題につきましては、前のような正式ルートを通じては通告を受けておりませんけれども海上保安庁は昨年五月二十三日付米国海軍省水路部告示に基きまして、同年の十月十日付海上保安丘航路告示第八百三十一項によりまして、ビキニ環礁を含む北緯十度十五分に北緯十二度四十五分、東経百六十度三十五分に東経群六十六度十六分で囲まれている地域については危険区域であるということを指定しております。そこで今度の漁船被害を受けました地域が、果してその区域の中であるか外であるか、船員等の言うところによりますると、二、三十マイル向うに何か原爆らしきものが見えたということを育つているものもありますし、いやこれは二百マイルくらい遠いのだというようなことを言つているものもあるように、これは新聞だけでありますが報道されておりまして、正確な地点がまだはつきりいたしておりません。只今専門家をして正確な地点を、一体危険区域の中であるか外であるかという点をはつきりさせるべく依頼して調査をいたしております。その調査の結果に基きまして、適当な措置を講じたい、こう考えております。
  23. 松澤兼人

    松澤兼人君 そこまでのお話ならばこれはもう今までわかつているところでありますが、私どもの知りたいことは、その後の情勢がどうであるかという問題なのであります。只今お話によりますと、二十七年九月十八日に米国政府から通告があつたという話でありますが、これは総括的なものであつて、一定の危険区域というものを設定してその中に立入ることは慎んでもらいたいというか、或いは入つてはならないと申しますか、そういう形で来ているものと了解できるのでありますが、具体的に実験をする場合に、特に何日どこで実験をするとか、或いは又は特にそのために警戒を要するという具体的な通告はなかつたものでありますか、ただ総括的な危険区域設定ということだけで、具体的な現実的な通告はなかつたものでありますか、この点……。
  24. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは危険区域設定を以て足りると考えられておつたのであります。この危険区域設定は、国連憲章に基きまして可能なことでありまして、そしてその危険区域指定というのは別段幾日から幾日までというようなことはなくて、ずつとそれを廃止するまで継続するわけであります。従いまして特定の措置は要らないのであるが、ただその区域が果して危険防止に正当なる範囲であるかどうかと、つまり外におつてもそういう被害をこうむることがありとすれば、これは危険区域設定間違つてつたか、或いは如何なるところに責任があるかという問題が出て来るわけであります。それと今度は船が一体本当にどこの地点におつたか、この二点を調査して糺明する必要があると、こう考えます。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 その危険区域指定は、これは普通公海上でしたら非常に問題があると思うのですが、戦略的な信託統治としてのそれに基くわけですか、その関係ちよつと……。
  26. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは国連信託統治に関する規定がありますが、その規定に基いてしていると考えております。つまりアメリカ太平洋信託統治協定と申しますのが国連との間にあるのでありますが、その十三条に基いて規定しておるものと考えております。
  27. 松澤兼人

    松澤兼人君 その危険区域の中か外かということは、これは決定的なきめ手になるわけだと思いますが、併し二十七年の九月十八日に通告のあつたその当時と、或いは原爆と申しますか、或いは水爆と申しますか、いろいろ実験方法も違つて来ると考えるのでありますが、従つてその危険区域以外にありましてもその影響を受けるということは、これは当然予期しなければならないと思うのであります。従つて問題は単なる危険区域の外にあつてもその影響を受けたということが重大な問題だと思うのであります。従つて危険区域の外で平和的な漁業をしていたと、その船が水爆か、或いは原爆かその他の実験のために大きな損害を受けたということは、これは国際法上の損害賠償の対象になりますか、どうですか、この点如何ですか。
  28. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ちよつと私の申したことが或いははつきりしていなかつたかと思いまするので、もう一遍繰返しますが、昭和二十七年に通告を受けましたのは、これはエニウエトクのほうです。今度の問題になつておるビキニのほうは、昨年、昭和二十八年に通告を受けた、別の問題であります。又危険区域設定も違うのであります。  そこで今お話の点でありますが、若しそういう危険区域設定して、その外にあつて何かの被害をこうむつたとすれば、これは正確に申しまして賠償というのか、補償というのか、これは別問題としまして何らかの措置を講ずべきことになろうかと考えております。
  29. 藤原道子

    藤原道子君 関連質問……私は外務大臣に申上げたいのですが、これは大きな人道上の問題だと思うのです。どうもアメリカ立場でなくて日本国民立場、延いては世界人類上の問題としてお答えを願いたい。今度のビキニ島の問題はアメリカ自身においても予期以上の爆破力であつたというようなことが発表されておる。ですからそれに参加した二十八名の人がすでに負傷しておる。それから試験施設が破壊され、現地人が二百数十名やはり被害をこうむつておるということがすでに発表されておるのでございますから、危険区域の中に入つたとか外にあつたとか、私は恐らく外にあつて被害を受けたということが確かに認定されると思うのです。ですからこういう問題は強い立場を以て、アメリカに対しましては大きな人道上の問題から、日本国民は初めて原爆被害を受けて、終戦以来今日なおその被害が跡を絶たないのでございます。再びこういう悲劇が起るというようなことは、試験によつて世界人類の生命にかかわるというようなことが行われることに対して、日本国外務大臣として、強くアメリカに対して、そうしたことに対する抗議を申入れるだけの決意を持つて事に処して頂きたい、私はそう思うのであります。ただ二十二名の漁師だけの問題ではなく、結局魚においてすらもう放射能が現われておる。昨日のごときは食膳に上つた魚に対してまで注意が与えられて、回収するというような、国を挙げての大騒ぎで国民は戦々競々としているのです。これはひとり日本だけの問題であるかどうかわからないと思うのです。そういう点で外務大臣の強い決意を私はお願いしたいのでございますが、外務大臣の御所信を伺いたい。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 結局魚も海にいたものでなくして、漁獲したものが船の中にあつて、それがたまたま灰か何か落ちて来て、それで放射能が出て来たという問題でありますから、要するにこれが危険区域の中にあつたか外にあつたか、こういう問題になるのであつて、それをはつきりきめないうちに強い態度とか弱い態度とかいうことはちよつと無理だろうと思います。今調査中であります。(「どこの大臣だかわからない」と呼ぶ者あり)
  31. 相馬助治

    相馬助治君 如何なる地点漁船がいたかということが問題で、先ほど同僚議員質問があつた答弁の中に、専門家をして調査せしめておる、こういう簡単なお答えですが、その専門家を煩わしての調査というのは、漁夫から聞き込み程度のことによつて調査しようとするのか、或いは又アメリカ側にも信頼のおける十分な資料、即ち危険区域設定した以外にも風の都合その他の状況によつて被害が及ぶか及ばないかというようなことは、アメリカ側においてもはつきりしていると思うので、それらのことも含めて恐らく船のいた地点の研究を科学的になさるのだと思うのですが、それはどのような方法で厳重にされようとするのか、この際具体的なことを承わつておきたいと思うのです。この調査に断乎たる態度と熱意を見せないならばその先の外務省の態度は推して知るべしなのであつて、どうか専門家を煩わして調査をした上でというその調査についてもう少し詳しく責任のある立場からお答え置き願いたいと思います。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私も専門家でありませんからわかりませんが、普通私ども想像しておるところでは、こういう大洋にかなり遠くまで出掛ける船は、ログブツクといいますか航海日誌相当程度はつきり残しておるはずだと思います。それによつて何時には東経何度、北緯何度の所におる、その次にはどこにおるという航海日誌があるはずであります。それから又、それを測定する器具類も整備しておるはずと考えております。それを専門家が見て、そのときの風とか潮流を見ますれば、その測定した所をずつとこう通つたはずであるということは判定できるはずだと考えておりまして、その点は専門家によく調査してもらわなければわからないかと思います。これを私は専門家調査とこう言うのであります。  それからアメリカ側につきましては、昨日アメリカ大使館に対して、今おつしやつたような風の模様とかその他天候その他において如何なる予想せざるところまでそういうものが行く可能性があつたかどうか、この点は照会いたしております。
  33. 松澤兼人

    松澤兼人君 今調査の問題があつたのでありますが、専門家という言葉が我々にもよくわからないのであります。そこで外務大臣にお尋ねしたいことは、広島にありますABCCというような機関に依頼いたしまして、この漁船の乗組員の被害調査というようなことをやることができないものであろうかどうかということ、或いはABCCが好意を以てやつてくれるならば、被害の状況というものは非常によくわかるのじやないかと思いますが、この点は如何でしよう。
  34. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この点は私もまだ研究しておりませんが、只今これは日本のお医者さん等が調べておるようでありますから、その結果を見たいと思いますが、私の申しておるのは、要するに船の位置がどこにあるか、これに対してはつきりした認定をする必要がある。これは専門家の科学的な調査によつて調べなければならない、こう思うのであります。(「議事進行について」「重大な問題ですからちよつと」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  35. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 議事進行について提案をいたします。今のお答えだと、何か被害船がどこにいたかの地点がわからない、特に禁止区域内であつたか外であつたかがわからないというようなお答えでありますけれども航海日誌その他によれば、禁止区域外にあつたことはもう明瞭なんです。ただ、外として八十マイル北東にあつたのか、九十マイル北東にあつたのか。百マイル北東にあつたのか、その距離の数字の問題だけだと思う。従つてそういうことは航海日誌でもうすでにはつきりわかつておるのだし、海上保安庁或いは水産庁は禁止区域外であつたということを明言をいたしております。従つてそういう点はもうはつきりしておると思いますが、ここに改めて至急にそれらの関係官庁を呼んで頂いてそつちをはつきりすると同時に、今の外務省の処置を更に糺明をいたしたいと思いますので、至急にそういうふうにお取計らいを願いたい。
  36. 千田正

    ○千田正君 外務大臣ちよつとお伺いしますが、先般十日の私の質問に対しまして南太平洋におけるところの日本漁船アメリカ側において拿捕されたという問題に対して、外務大臣お答えは、再三注意したにもかかわらず入つて来たからつかまえた、こういうお答えであつたのでありますが、当然危険地域であるとするならばアメリカ側も警戒しておらなければならないはずである。殊にそのような重大な原子爆弾の試験というようなものが行われるとするならば、当然アメリカ側では十分なる注意をしておらなければならないはずなのにこのような被害を受けたとすれば、これはアメリカ側にも落度があると私は認定しますが、外務大臣のお考えは如何ですか。その点においてアメリカ側にも厳重に申込んでおくだけの用意がなければならないと私は考えますので、外務大臣お答えを願いたいと思います。(「さつきの議事進行についての発言について適当にお計らい願いたいと思います」と呼ぶ者あり)
  37. 青木一男

    委員長青木一男君) 佐多君の御発言については委員長は考えております。(「考えておるじやない」と呼ぶ者あり)
  38. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この前千田君がお話になりました抑留の船の地点はこの危険区域でなくてほかの地域でございます。それからこの危険区域につきましてはやはり問題は中か外かということにあろうかと思います。
  39. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の議事進行は動議として提出しておきます。お諮りを願います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  40. 青木一男

    委員長青木一男君) 外務大臣が本会議出席されますから……。(「重要なことですから、もう少し聞かして下さい」「暫時休憩しよう」「議事進行」「大臣が逃げちやう」と呼ぶ者あり)只今の佐多君の問題は委員長独断ではきめかねますから理事会において相談するつもりでございます。
  41. 湯山勇

    ○湯山勇君 今外務大臣に非常に緊急に聞かなければならないことがあつたのです。それを是非聞きたいと思つておるのですが、委員長はああいうふうにされたのですが、この際内容をちよつと申上げておきたいと思うのです。というのは、今度漁師たちが受けたあの灰というのは一体これは珊瑚礁のカルシユウムなのか、或いはコバルトのようなものなのか、そういうことがはつきりしていない。そういうことがはつきりしないということが治療上非常に困難を極めていて、一週間もかからなければわからないと学者は言つておるのです。この爆弾の性質がどういうものかというのがわかり、そういう粉がどういうものかということがわかれば非常に治療上役に立つわけなので、人道上の立場からも外務大臣としてこのことをアメリカに聞き合せる意思がないかどうかということだけでもせめて聞いて、そのことについての善処を頂きたいと思つていたのですが、委員長は私があれだけ要求しておつたのに蹴られたわけですが、このことについては外務大臣に、向うが終つたらすぐこちらに呼んで頂いて、今の点について聞くような機会を与えて頂きたいと思います。
  42. 青木一男

    委員長青木一男君) 承知しました。(「本会議がありますから、休憩して……」「理事会もやつてもらうことにしてどうですか」「理事会で検討して下さいよ。こういう重大問題はいい加減なことをしないで……。」と呼ぶ者あり)本会議のあることは昨日からわかつてつたのですが、丁度出席大臣の都合がありますから、松澤君の質問を終了して、それからやりたいと思います。
  43. 松澤兼人

    松澤兼人君 大蔵大臣との間の質疑を継続いたします。先ほど御所信を承わつたのでありますが、私は非常に悲観的な見方をして相済まないのであります。まあ二十九年度予算が一兆円の枠をやや超えているのじやないかという疑点はあるわけでありまして、それとこの前に大蔵大臣にお伺いいたしました三十年度予算関係において本年保安隊員を二万名増加するということが相当大きな比重になつて三十年度の予算にかかつているのじやないかということを考えます。そうしますと、二十九年度予算は形の上において一兆円に収まつても、三十年におきましては予算の規模が増大するだろう。結局一兆円予算或いは緊縮予算というものは二十九年度だけじやないか、三十年になるとその枠が又非常に大きくなるその危険性と申しますか、可能性があるということがやはり人気の上にも相当大きな影響を与えるのではないか、こう考えます。それから又外貨不足の問題に関連して、外貨の割当を削減すれば自然的にそのはね返りが国内需要の面においても出て来るであろうし、又思惑の点においても出て来るであろうということが考えられます。すでにそういつた思惑はやや最近におきましては平静の状態に立返つているようでありますけれども、併し芯と申しますか或いは根にはやはりそういつた外貨割当の削減による思惑的な買気というものは相当強い、この点も考えて見なければならないし、又不況による倒産、破産というものに対しましても社会保障的な意味の施策というものが当然出て来なければならない、こういう一連のことを考えて見ますと、政府が言つておられることが果してその通りになるかどうかということが非常に疑問になるわけであります。私は悲観的な考え方をしておりまして、政府が言うようには私は下らないのじやないか、特に三十年度予算を控えて考えて見るとどうも下らないのじやないか、こういうことを考えるのですが、それでもなお引下げの御自信がおありになるかどうかという点であります。
  44. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 過日三十年度予算についてお尋ねでございましたから、実は三十年度予算はまだ全然、今二十九年度予算をやつたばかりで組んでおりませんが、大体から見て同じような規模のものであるまいかと申したのでありますが、ただ私は一貫して申しておることは、この二十九年度予算編成と同じ方針を三十年度も貫くということであります。なお足りなければ三十一年度まで及ぼしたい、こういうふうに考えておる次第でありまして、従つて若しも松澤さんお考えになるように、物価の下落を見ないとすると、これは国際収支の均衡を得られませんから、それならばもう少しドラスチツクな方法を三十年度の予算ではとらなければならない。かように考えておる次第でありまして、ただ私どもとしてはできるだけ影響を少くして、そうして所期の目的を達したい、こういうふうに考えておるので、まあ二十九年度予算を繰返して、二十七年度のところへ物価を持つて行きたいと考えておりますが、それでも国際水準からなお高いのでありますから、その行き方が足らんことは私ども考えております。従つて三十年度も引続いてやるのでありまして、従つて若し三十年度の状況が一兆円予算でも多過ぎる、こういうことに結論が参りまするならば、或いは更にこの予算を圧縮して更に緊縮予算を編成するということが起つて参ろうと存じます。つまり目的とするところが国際物価水準に物価を近ずけて、そうして国際収支の均衡を得る、これがすべての眼目になつておりまするから、その線に沿つて三十年度もやるのでありまして、大体私の考え方は二十九年度と同じくらいのものでそういうふうに行けると見て一応の御答弁を申上げたのでありますが、さように考えておる次第であります。  更に外貨の削減についてのお話は、これは大体そのようにも考えられますが、一方この外貨はすでに過日も申した通りに、もう思惑的な分子が相当強く今年の一、二月に現われて参つたのであります。昨年の二十八年六カ月間に行われたものが、二十九年一カ月に行われるというような状況でございまして、もうむしろ出尽しておる状況ではないか。そこで私ども輸入的なものについての各種の制限、制限と言つては言い適ぎですが、資金方面からそういう制限的な輸入対策を講じたことは御承知通りであります。又そういつたことで私はむしろ一貫した私どもの方針でやれば、必ず目的を達する。むしろどちらかと言えば、今度受けるのは少しデフレ的な傾向からそれが強く現われて来て、これを少し緩和してくれという問題がむしろ今後起つて来るのじやないか。併しそのときに私どもはやはり心を冷たくして、冷厳にこれに処して行く必要がむしろ強く感ぜられる、私は実はさように考えておるような次第であります。
  45. 松澤兼人

    松澤兼人君 大蔵大臣の信念の点はよくわかるのでありますが、併し年間を通じまして五%或いは一〇%物価引下げましても、国際物価に比べて見まするならば、恐らくは二〇%或いは三〇%くらいはまだ高い。そこで三十年の予算が二十九年度の予算と同じような規模であり、政策も同じであるというのならば、或いは引続いて三十年に多少の物価は下るかも知れないと思いますが、私はそれは非常に困難であろう、こう思います。たとえまあ一〇%予定通り引下げましても、併しまだ国際物価に比べて高い、相当ドラスチツクな政策をとらなければならなくなるであろう。そこで問題は、この問題については私の意見は保留いたしますけれども、いわゆるレートの切下げ改訂の問題がやはり経済界の一部では考えられているようであります。これは大蔵大臣としてはしばしば改訂をしないというふうに言つておられると思いますが、併しこの点について、大蔵大臣は経済界の要望がどんなに強くてもレートを改訂しないという御所見でありますか、その点を。
  46. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これは松澤さんもレートの問題を軽々にすべからざることについては全く御同感であろうと存じます。それでレートの問題を私が考えるときはそれをやりさえすれば、もうこれで日本の財界の見通しがつくということがはつきりしたときにおいては、そのときには考えるべきであろうと思いますが、今日の日本の段階では今松澤さんがおつしやるように、まだあなた自身も私どものことを御信用下さつていない。三十年になつてもまだ信用下さらんかもわからんというようなときに、これはレートの切下げは、これこそ百害あつて一利なきことは私ども御説明せんでもおわかりと思いますので、私は現在の日本の段階におきましては、一切レートの問題は考えておりません。又これを変更する意思を持つておりません。
  47. 松澤兼人

    松澤兼人君 通産大臣にお伺いいたしますが、先日外貨予算編成の大綱だけお話になつたのでありますが、物資別の予算を現在編成中であるというお話でございました。その後作業がどの程度に進んでおりますか、この点についてお伺いいたしたい。
  48. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) いわゆる外貨予算の編成の問題は例年そうでありますように、三月一ぱいに四月以降の大体の見通しをつけるということで、現在鋭意作業を続けておるような状態でございます。
  49. 松澤兼人

    松澤兼人君 個々の問題についてお伺いいたしたいのでありまするが、例えば石油につきましてはまあ世間で言われておるところによりますと、二十九年度においては一億七千万ドル程度必要である、或いはスクラツプについては百二十万トン必要であるというようなことを言われておるのであります。こういう必要重要物資についてやはり削減なさるのか、或いは又は二十八年度程度か或いは増加するというお考えがあるか、この点伺いたいと思います。
  50. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 大体の考え方を申上げますると、この前当委員会でも申上げたと思いますが、我々の見通しておりまする日本経済の規模を達成すると申しますか、生産を維持し且つ輸出の努力を続けるために必要な原材料の輸入を確保する、それから国民生活に絶対必要なもの、これを確保するということを主軸にして編成いたしたいと考えておるのであります。それをもう少し掘下げて考えて参りますと、大体輸入が激増いたしましたのは、昭和二十八年においても特に十月以降のように思われるのであります。それで十月以降の状態から見ますれば、私どもが現在作業しておりまする積上げ作業の結果は、恐らく成る物資につきましては相当減ることになると思いますが、それにいたしましても二十七年度或いは二十八年度の当初に比べれば、只今御指摘になりましたような物資につきましては若干は殖えるということになると思うのであります。これは原材料等について特にそういう状況になると思いますし、又石油類等につきましても、二十七年度に比べれば二十九年度の計画は或る程度上廻つた計画になるであろう、こういうふうに考えております。
  51. 松澤兼人

    松澤兼人君 経審長官は以前不用不急の輸入はできるだけ抑制しなければならない、こうおつしやつているのでありますが、併しパーセンテージから言えば、不用不急物資というものは大したことはないと思うのであります。そこで不用不急物資というものはどの程度つて、どの程度に抑えるという問題について承わりたいと思います。
  52. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申しましたように、まだ具体的の数字につきまして的確に申上げるまで計画ができておりませんが、全体から見ればその額というものはそう大きなものではございません。それから特に御承知のように日英協定その他通商協定によりまして、こちらの輸出を伸ばすための誘い水として或ろ程度、例えばウイスキーでありますとか、そのほかの不用不急物資も多少ではございますが、入れなければならんものもございますから、全体として見ました場合にいわゆる不用不急品というものの削減し得る額というものはしかく大きなものにはならないと思います。そこに問題の根源性があるわけでございます。
  53. 松澤兼人

    松澤兼人君 時間が余り残つていませんから、もう一つ大蔵大臣にお伺いいたしたいと思いますが、MSAに伴う余剰農産物の買入の問題でありますが、日本の円に換算いたしまして一千万ドル分、三十六億円というものを日本工業の援助のためにこれを使用することができるということになつておりますが、これは日本銀行に特別勘定として積立てて、これを政府に使わせるという形になつているのでありますが、実際に日本工業の援助に使用するためには、特別会計を政府予算の中に作る必要があるのじやないか、こう考えるのでありますが、実際上この三十六億円を日本工業の援助のため使用する方式というものはどういうものでありますか。
  54. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これにつきましては、第一に経済援助特別会計というのを作りまして、これは従つて御審議をお願いすることにいたしております。それから第二に、この金はどこから出すのかと申しますと、日本開発銀行を経て出そうと考えております。第三に、融資の対象としては、それじやどういうものを置いておるかと言いますると、これは工業云々と書いてございますけれども、MSA援助の一環でございまするから、自然防衛生産を中心として考えられておるのでありまして、防御生産に出されるのでありますが、併し防衛産業といいましても、その広い意味から申しますと、いろいろ関連産業とか基礎産業などがございまするので、目下この点につきましてそういう点も考えたければ行くまい。こういう点から関係庁で打合せをいたしておる次第で、まだこの三十六億円は何にどう使うかということは決定いたしておりません。但し特別会計は御審議をお願いすることにいたしておりますから、御了承願います。
  55. 松澤兼人

    松澤兼人君 そういたしますと、予算の変更はない。ただ特別会計だけを設置する、こういうことになりますか。
  56. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) その通りでございます。
  57. 松澤兼人

    松澤兼人君 これに関連いたしまして百四十四億の米国が日本におきまして買付に使用する分として協定の中で書かれているのでありますが、そこで問題は従来からドル建で日本において買付けていた域外買付の分が、この百四十四億円によつて影響されることはないか、その保障が果して得られるのかどうかこの問題について……。
  58. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはつまり五千万ドルと言われたうちの四千万ドルに相当する分でありまして、これは日本銀行の中にアメリカ政府の特別勘定で積み立てることに相成つております。この金がまあいわゆる域外買付に使われるわけでございまするが、従つて日本の国内での器材及び役務の調進に使用されるのでありまして、この分はむしろ日本から申しますれば、ドル建の買付に追加される、それだけ殖える。こういうふうになるのでありまして、本来のドルによる買付には何ら影響するところはない、かように見込んでおるのでございます。
  59. 松澤兼人

    松澤兼人君 それからもう一つ、軍事顧問団のいわゆるアメリカの行政費の日本政府の負担分でありまするが、協定によりますと三億五千七百三十万ということになつております。これは明らかに日本政府の負担であろうと思いますが、どういう形式でこれを支出せられるか。
  60. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) これはちよつと一部に誤解もあるようですが、少しく詳しく申上げておきます。これは所要経費のうち基礎的なもの、即ち給料、手当及び衣服等につきましては、これはアメリカ側で負担するのでありますが、住宅維持手当、日本人の労務者給与、それから旅費、事務費それからこれがため特に行く外国向けの旅費、自動車、燃料、それから運搬費というものを日本側で負担する、こういうことになつておるのでありますが、それじやどういうふうに払うかと言いますと、大体四半期ごとに分割いたしまして、これを軍事顧問団に交付することに相成つております。それで金額は今お示しの通りでございますが、実際の交付額は協定発効の日が遅れますれば遅れるだけ自然少くなる、こういうわけでございまして、これに応じて必要な減額を行うことにいたします。なおこの経費はどこから出すかということでございましたが、これは防衛支出金から支出する、こういうことにいたしております。
  61. 松澤兼人

    松澤兼人君 その使途の中に公用の外国出張というようなものがあるわけでありますが、これはどういう内容のものか、その点をもう一つ……。又、この三億五千万円のほかに政府が金銭以外のものを負担するということが附属書Gの中に書いてございます。この金銭以外の負担というものはどの程度の規模のものであり或いは金額にしてどのくらいのものになる予定でございますか。
  62. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 外国の旅費といいまするものはワシントンとの連絡実費相当額だけを支給すること、こういう顧問団とワシントンとの連絡実費相当額でございます。それから現物で提供するものがございます。それは事務所の関係の分で言いますると、中央本部二千二十四坪といつたようなものとそれから地上のもので約六百坪、こういうようなものは日本の国有財産でありまして、これを回収しました上で向うへ提供してやる、こんなことに相成つております。
  63. 松澤兼人

    松澤兼人君 この金銭以外のものの金額と申しますか、概算してどのくらいになるのですか。
  64. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) まあこれはむしろ消極的負担とも言うべきものですが、それが大体千四百六十九万四千円ぐらいにつまり借料としてなるかと思います。それから中央本部を回収する、今ちよつと申上げた回収する費用が三千四百六十万円ばかりございます。それから電話の交換設備をしてやるそれが千二百万円ばかり、合計いたしまして六千二百二十九万四千円、こういうふうに一応推定されます。
  65. 松澤兼人

    松澤兼人君 こういう費用の、結局予算を何ら修生も或いは訂正もしないで賄い得られるものということになるのですか。
  66. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今大臣から借料のお話がございましたが、これは現在駐留軍が使つております施設を今度は顧問団が使うということでありまして、予算的な措置は必要でございません。ただ中央本部と申しますか、元の憲兵司令部を現在使つております、それを顧問団が使うはずでございますか、若干改修を必要とする部面がございますので、その分は安全保障諸費から支弁をいたしたい。従いまして新たなる予算措置は必要でないわけでございます。
  67. 松澤兼人

    松澤兼人君 この顧問団は実質はアメリカ軍から派遣して顧問の仕事をするわけでありますが、併し形の上では大使館に命令権、支配権があるということになつているわけでありますが、これまで軍が使つていたものを形の上でアメリカ合衆国大使館の指揮命令を受けるということになつておるわけでありますが、そういうことでも予算の編成替え等は必要ございませんか。
  68. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 今般締結いたしました協定に従いまして、国有財産を提供するわけでございますので、前に駐留軍が使つてつたと否とを問わず、国有財産の提供それ自身はこれは予算関係がないわけでございます。国有財産を提供するという消極的な負担の面だけでございますから、積極的に予算の面では影響がないわけでございます。
  69. 青木一男

    委員長青木一男君) この際、木村保安庁長官に対する質疑の保留になつている分の質疑をいたしたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  70. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 先ず第一にお聞きしたいことは、従来保安庁長官がこの今度保安隊、警備隊を自衛隊とお改めになつたことについてどの程度のお考えを持つておられるかという点をお聞きしたいのであります。と申しますのは、自衛隊法の第三条において「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と書いてあるのですが、従来保安庁長官と申しますか、主として自由党内閣の性格としては、警察の補完的役割をやる。併し外敵の侵入があつたときには、国民の他の人々と同じように本能的な自衛又は緊急避難の意味において直接侵略にも対応する、こういうふうな表現を用いて来られましたのですが、これに対しまして、どういうふうなお考えを持つておられるのか、今後の自衛隊そのものの精神、目的等について従来と変つたとするならば、それに対してどういう御処置をおとりになるかという点を先ずお聞きいたしたいと思います。
  71. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。従来の保安隊は、今申されました通り保安庁法第四条に明白に規定して、我が国の平和と秩序を維持することを主たる任務とするとしてあるのであります。ところが今度の防衛庁法並びに自衛隊法において一歩進んで、いわゆる外部からの武力攻撃に対してもこれを対処するということに、併せて従来のように国内における平和と秩序を維持する、これを任務とすることにしたわけであります。この点において性格が変れば変ると言つてもよかろうと考えております。これはひつくるめて言えばいわゆる我が国の独立と平和を維持するということ、大きな網が被さつておるのであります。申上げるまでもなく一国独立国家たる以上は、外部からの不当な侵略に対して、又内部における公共の秩序を乱すような行動に対して、これは当然国家として防衛すべきことは当然であろうと考えております。その趣旨において今度の防衛庁法並びに自衛隊法ができたわけであります。
  72. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は木村保安庁長官に申上げたいのは、この期に及んでまだ一歩を進めてというようなことを、おつしやらずに、本質的に差ができて参つている。それをはつきりさせなければ、あなたはともかくもこれだけの予算を計上されて、予算をお使いになつて、直接防衛に当るということが主たる任務になりましたときに、従来の使命としてでなくて、国民の一般が持つていると同じような自衛意識といいますか、緊急避難的なものから変つたということは率直に本質が違つたことはお認めにたつていいのじやないか、こういうふうに考えますが如何でございますか。
  73. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申上げました通り、この自衛隊は即ち我が国の独立と平和を維持する、これは外部からの侵略に対して国家を防衛し、併せて国内における秩序を維持し、即ち警察力を以てしては到底対処のできないような事態が発生した場合に、これにも対処して両々相待つて日本の防衛に当る、これが自衛隊の性格であります。
  74. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 時間がありませんからスピード・アツプしますが、まだそういうことを言つておられるのはおかしいので、併せてではなくて、必要に応じて、だから目的は並行しておるのじやないのです。と同時に従来の軍隊といえども、これは必要に応じて公共の秩序の維持に当つていることは、軍隊の目的を何ら阻害するものではない。従来軍隊といえども必ずそうなつておる。だからそういう点については、もう率直に私はお認めにならなければ、自衛隊の隊員自身が、一体自分たちの目標というものの任務の変つたことについてしつかりした考えが出て参らないと思う。そういうふうな状態でいつまでも、少しずつもやもやさをとつて行くという考えでないはずです。従来の保安庁法の四条、三条と異なつております点ははつきりしておる。而も新らしい法律を以て、そして従来の保安庁法は全く防衛庁という法律によつて新らしい服務規律内容に人つて参る、そういう点について、そういうふうな点からお考えになつても違つた御説明が出て来るはずだと思いますが、如何ですか。
  75. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申述べた通りでありまして、要は、日本の安全と独立を保持するという大きな網がかかつておる。今隊員のことを申されましたが、隊員はこの精神を自覚すれば立派にやつて行けると思います。いわゆる我らの手によつて日本の安全と独立を守つて行くのだ、こういう意味であります。この大きな網がかぶさつておる、そこにどうぞ御留意をお願いいたしたい、こう思います。
  76. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どこの国だつて平和と独立を守るという文句があるのは当り前なんで、直接の任務は、これは直接侵略、間接侵略という問題が直接の任務であることは明らかであります。そういうふうな、どういう場合にだつて平和と独立を守ることを真義としない軍隊はございません。任務は何であるか。これは直接侵略及び間接侵略に対して防御することを主たる任務とする、これが任務なのであります。そういう法律論は予算委員会としては適当でないと思いますので、殊に時間が制限されておりますから、これは常任委員会のほうに譲りまして、保安庁長官は三軍を均衡を得た三軍にしたいという考え方なんですが、それとこの二十九年度の予算に現われました陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊との関係においては、どうお考えになりますか。
  77. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。三軍均衡を得た兵力、これは理想であります。併しながら現段階においてはさようなことは到底日本の国力では参ることはできません。従いまして只今のところでは、二十九年度の予算に盛つて御審議を願つておる程度のことが一番妥当であろう、こう考えておる次第であります。
  78. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 長官が三軍均衡を理想とするが、少くとも二十九年度の予算では均衡を得てないということをお認めになつておるようでありますが、然らばその三軍均衡の方針は、どの程度の実力の充実を以てお考えになるか、望事のバランスというものは国土防衛上どうお考えになるか、その点を明らかにして頂きたい。
  79. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。この兵力量については、最終の目的はどこかというお尋ねのように私は理解するのであります。それはなかなか私は今研究の段階にあつて、容易に結論は出ません。御承知通り只今日本の国力その他の点から総合いたしまして、完全に自分の手によつてこれを防衛するだけの措置はできないのであります。従つて止むを得ずアメリカ駐留軍との間にいわゆる日米安全保障条約に基いて、主として外部からの侵略はアメリカの駐留軍の手によつて措置をするという建前をとつておるのであります。併し、申すまでもなくいつまでも他国の手によつて日本の防衛に当らしめるということは、国民感情から申して、その他の点から申しても妥当でない。それで日本でできる限り国力を回復して、自分の手によつて国土を守るということにいたしたい。その一つの流れとしていわゆる漸増方式をとつて、二十九年度先ず第一にどれくらいやるかということで御審議を願つておる次第であります、
  80. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 その間の経緯、事情はもうたびたび他の所で聞いておるのですが、いやしくも直接侵略及び間接侵略に対して国を防衛するという観点からならば、何もどこの国でも世界中今一国の防衛を一国で賄つておる所はどこもないのであります。だからやはり集団的な安全保障或いは相互援助条約式な安全保障の形においてどこの国もやつておる。だからあなたが国防の任に当られる以上は、自分の所の力はこれだけだ、併し今度MSAを結んでアメリカとの相互防衛協定に入つた以上は、アメリカの実力はこれだから、それを総合したもので一応三軍方式を立てる、爾後実力の、国力の許す限りこれを補完して行つて、そうして漸増計画というものはそこに立つて参る、こう私は考えますが、その点についての御見解と具体策、余り長いことは、長期計画もお立てにならんこともわかりますし、或いは新らしい兵器の変遷に伴つての変化もあることも了承しますが、少くとも二十九年度の予算においては三十年度に尾を引く経費があるわけですが、それは予算外国庫負担の契約の形があるのみならず、これから受ける兵器、艦船等からも尾を引いて出て来るわけです。その点は明らかにされる責任がある。少くとも三十年度については一応明らかにされる責任があると私は考えますが、如何でございましよう。
  81. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 勿論今のお話通りであります。二十九年度ばかりでなく、その後の年次においてどうであるかということは考えられるべきであろうと考えております。併し長期のいわゆる漸増計画というものも確定的のものは出ておりません。我々は目下研究中であります。併し少くとも三十年度には一体どれくらいの目標で研究をしておるか、これだけは我々も立てておるのであります。それで三十年度においては、これは日本の財政力も睨み合せなければならないが、取りあえずのところで地上は約二万、海上は約八千六百、航空では六千というような程度を考えて今研究中であります。
  82. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 それは二十九年度陸上二万、海上八千六百、それから航空制服職員六千二百といつたようなものは大体これは二十九年度で、三十年度になつていない。三十年度に尾を引いたものを明らかにして頂きたい。
  83. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申上げたのは、三十年度の計画を我々考えております。陸上二方、海上八千六百、航空六千、これは三十年度に一応我々は考えておる次第であります。今のところどうなるか確定的にはわかりません。
  84. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 大体そうなつて参りますと、ほぼ、無論私は日本の経済がこういうふうな非常に何と申しますか、自立経済達成が困難な状態になつて参りましたときに、非常に困難な状況が加つて参る、無論MSA協定による諸般の情勢による睨み合いも入つて参るというようなことでありますが、国防計画としては、双方併せて一体的なものがあるべきであると思いますが、それではお開きいたしますが、具体的にここに実は保安庁から出ました二十九年度予算による装備、施設、船舶、航空機等の内訳内容がございます。これは無論保安庁から御提出になりましたものであります。これは実は予算上組まれている経費たけでございます。殊に我が国の防衛を考えるに当つて、初度費はアメリカに依存しておるということは明らかでありますが、この初度費がどうなつておるか。それによつて再びそれを更新して参らなければならない。一方において、保安庁長官は兵器は非常に進歩の顕著なることを言つておられる以上、兵器の更新……初度費をもらいましても、更新については相当の経費を考えなければならない。それから二十九年度から三十年度に尾を引いている、大体二方、八千六百、六千と明かにされました以上は、大体規模も明らかになると思う。そういうような初度費的な経費、更新に伴う経費等を入れまして、三十年度の一応の試案を次長からで結構ですから、詳しく御説明願いたい。
  85. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたしますが、これは私の一つの目標であります。これに基いて今研究さしておるのであります。結論はまだ出ておりません。これはいろいろの点から総合して検討しなければならない。ただ単なる目標であるということを御了承願います。
  86. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 来年度の輪廊がどうなるかというお話につきましては、長官からお答えがございましたので、それに尽きておると思います。平年度の維持費がどうなるかという点につきましては、実は別のかたから御要求がございまして、二、三日中に、今回貸与を受けまする兵器、艦船の関係、そういうようなものにつきましての維持費の関係を差上げてありますので、そのほうで詳細御覧願いたいと思うのでありますが、極く大ざつぱなことを陸と海について申上げますれば、二万人の増員を二十九年度にいたしますと十三万入ということになります。一人当りの維持費につきましては、ベース・アップの関係その他ございまして、大体今のところ三十二万円見当かと思います。そうしますとこれは四百二十億弱の金になると思いますが、そのほかに御承知のように平服の職員は一万五百八十人おりますので、かれこれ合せまして陸上の関係におきましては、この二十九年度におきまして、若し増員を実行いたしました場合の平年維持費は大体四百四十億見当に相成ると思います。海の関係でございますが、海の関係につきましては、今度新たに貸与を受けますもの、或いは新規にできますならば、こういうものができ上りましたその暁におきまするこの運営の維持費は、大体今のところいろいろの平均を作つて見まして、トン当り十万円見当になるのであります。でき上りました暁のトン数は大体九万トンでありますので、九十億程度のものを今度造船予定しております。或いは貸与を予定いたしておりますそれらのものができました暁におきまする航空のほうの関係は、練習計画とかそういつたものが出ておりますので、ちよつと陸と海のように私大体の見当はここで申上げかれるのでありますので、なお維持費の詳細の資料を差上げますから、それ御覧願いたいと思います。
  87. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 時間がございませんようですから、今おつしやつた維持費の点、それから保安庁の定員を平年化した場合の大体経費の上から見たスケール及び内容的な説明を、主なるものについて附加えて提出願いたい。それから今保安庁長官が申されました三十年度に更に二万人と、八千六百人と、六千人を増加いたします場合の平年度としての経費及びその内容を、主なるものについて、三十年度は木村保安庁長官の一試案に過ぎないという了解で結構ですから、お出しを願いたい。  最後に、ちよつとただ事務的なものをお聞きいたしますが、今度頂戴いたしました内訳によりますと、人間の面において、一般職員が八千七百人も増加しておる。僅か、何と申しますか、三万人足らずの増員のうちに、と申しますより、主として陸上が多いようでありますが、ともかくも八千七百人の制服職員以外の職員の増加ということは説明に書いてありますが、もう少し詳しく、なぜ八千七百人の事務職員がおるか、それに伴つての来年度、三十年度との関連はどうかということを一つ……。
  88. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 申上げます。お説の通り一見如何にも多いように考えられますが、これはいわゆる部隊いろいろ運転手とか、或いは炊事場その他従来働いておる人はいわゆる制服としての立場で、これは今後はそういうものは制服以外の者、私服をつけた職員にしようということで、二十九年度はそういうふうにしたわけであります。従いまして三十年度においてはその数はそう殖えないと我々は考えております。
  89. 青木一男

    委員長青木一男君) 中山君。
  90. 中山福藏

    ○中山福藏君 私はよろしうございます。
  91. 藤原道子

    藤原道子君 私は保安庁長官にお伺いしたいのでございますが、過日保安庁長官は、MSA援助に伴つて、米国から軍事顧問団が来る。併しこれは自衛隊の指導に当るのではないかというような質問に対して、指導には当らない、兵器の操作等の訓練に当るのであつて、隊員そのものの訓練に当るのではない、又当らせもしないということを言明されたように私は聞いておるのでございますが、果して事実であるかどうか。現在においてすら保安隊において指導を受けておりますことは、これは社会周知の問題になつております。果して軍事顧問団が来たときに、この訓練に当らせないと言われますけれども、この点についての御説明を伺いたい。
  92. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 軍事顧問団の性格は前に申しました、これはいわゆる将来の自衛隊に対しての指揮監督等の任には断じて当らせません。現在のところにおきましても当らせていないのです。それは御承知通りやむを得ないことです。例えば飛行機なんか新しい飛行機を持つて来ますと、操縦なんか習わなくてはならない、又新しい兵器が入つたときにその扱いなんか従来のとよほど違つておりますので、それに対する指導は受けます。併し部隊へ入り込んでこれらの指揮をさせるとか何とかいうことは絶対にありません。さよう御了承願います。
  93. 藤原道子

    藤原道子君 私は過日隊員の母親たちに合つたのでございますが、つくづく嘆いておりました言葉の中に、非常にまじめな子供であつた、併し保安隊を志願してから人間が変つてしまつた。たまに家へ帰つたときに子供の言う言葉には、アメリカ式の兵器でアメリカ式の訓練で、而も指導はアメリカ人にやられているんだ、而も我々は隊で訓練されていることと、それから大臣その他が議会で答弁しておることには非常な食い違いがある、一体自分たちの目的は何だろうかというときに忸怩たるものがある、家では税金のために親たちは苦しんでおるけれども、併し自分たちの隊におけるあり方等からみると、非常な矛盾を感ずる、三軍方式だとか、或いは兵力というようなことが出ていても、なおこれは戦力ではない、一体自分たちは何のために訓練されているのだと思うと非常に内心忸怩たるものがある、希望のない生活であるというところから崩れて行くのだというようなことを帰つて話しておると、可哀そうでならない、こういうことを言つておるんです。一人や二人ではないのです。従いまして、隊員には、戦力でない保安隊、やがて自衛隊になるのでございますが、それをどういうふうに指導しておいでになるかということを私は伺いたい。アメリカに訓練されていないと言われておるけれども、現実には訓練されておると思うのでございますが、それをお伺いしたい。
  94. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) はつきり申上げます。アメリカの指揮監督は全然受けておりません。若しも具体的な事実、さような事実があつたらどうぞ私にお知らせを願いたい。十分に私は取調べます。万ないと私は確信しております。  そこで、今お話の結局隊員の指導精神という問題であります。これは私は常に申しておりまするように、我が国の安全と独立を守る任に当るんだ、これであります。これが大きな目標であります。そこでアメリカのためにやるわけでもないし、ほかの国のためにやるわけでもない。我々いわゆる三千年来祖先から引継いだこの日本を如何にして安全に守り抜くか、そうして平和な日本を作り上げるか、これであります。一たび外国から不当な侵略を受けましたときどうなるか、それを我々心配するのであります。我々は平和を愛する、どこまでも平和を愛する。これは人間としての三千年来の悲願である。求めて来たらざることを我々は嘆くのであります。併し少くとも外部からの侵略によつて日本の平和を乱されてはならん、それに対する手当をしなければならん、それを若い青年が保安隊に入られてこの重き任につかれております。この青年に対しての指導は私は非常にむずかしいと思う。又青年も大体において日本の平和と独立を守り抜こうという考え方が入つて来てくれて、大いに訓練にいそしんでくれておると私は考えておる次第であります。今後も日本の国を自分らの手で守り、而も自分らはこの重き任務につくんだという気持で働いてもらうことを私は希望する次第であります。
  95. 藤原道子

    藤原道子君 保安隊長官はそういうふうに言われるのでございますが、どうも納得行かないのです。曾つて日本の安全を守るためには満洲国が生命線だというふうなことで出かけた例があるのです。攻撃こそ最大の防衛なりという言葉もあるはずなんです。従いまして戦力ではない……日本を守るんだというようなことを言われるけれども、最近になれば海外出兵も考えられるというようなことになると、一体どうなるんだろうという考え方が浮んで来るのは私は当り前だと思うのです。それからこの間も大臣は……、大臣は本当に日本を守ろうという気持でいられると思うのです。けれども社会の人はどうもこれに対して疑問を持つておるんです。これは事実なんです。従いまして、過日来のあなたの御答弁の中に、一国だけでは戦力にはならないのだ、今日日本の自衛隊だけでは日本を守れない、だからアメリカと一緒になれば戦力になるかもわからないけれども日本だけでは戦力にはならないというようなことを言われておるんです。ということになると、今日ビキニ島のような大きな問題が起きておるように、兵器というものは大きな進歩をしておるんです。こういう場合に、そんならどこまで行つた日本のいわゆる自衛隊は戦力になるのでしようか。このままで押し通していて、憲法に抵触しない、違憲でないと言つてだんだん厖大して行く。隊員には入るときには日本の国土を守るためだというようなことで入れておいでになるというところに矛盾はないのでしようか。これで国民は納得してあなたの仰せについて行くだろうとお考えでございましようか。もつと親が安心するようなことも含めて一つ答弁願いたい。
  96. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。  先ず最初の海外出兵の話が出ましたから、それに対してお答えいたしたいと考えます。いわゆるこの自衛隊というのは先ほどから申上げました通り、どこまでも外部からの不当な攻撃に対して対処すること、そこではつきり今度の自衛隊法に規定してあるのであります。昔のようないわゆる自衛の名を借りて外部に向けて進出する、こういうようなことを再び繰返すことがあつてはいかんということで、はつきりこの点は今度の自衛隊法に規定しております。と申すのは、いわゆるやむを得ず外部からの侵略があつて部隊を出動させるためでもこれは勝手にさせない、先ず国会の承認を経なければならない。それで国会の承認を経るいとまがない場合においても、事後において直ちに国会の又事後承認を得るという建前をとつておる。勝手にはできない建前で、十分国会さえしつかりしておれば決して昔のような愚を再び繰返すようなことは絶対にないはずであります。この点はどうぞ御心配を解消して頂きたい、こう考えております。  次に戦力問題でありますが、どこまで行けば戦力であるか、これは確かにむずかしい問題であります。今まで戦力の定義をしたものはありません。そこで我々はいつも申上げます通り、いわゆる客観説をとりまして、これは自衛のためといわず、何のためといわず、目的、任務の如何にかかわらず戦力に至るようなものは日本の憲法で禁止しておるんだ、この建前をとつております。その戦力の問題につきましては、その当時の日本の置かれたる地位、客観情勢、そういうものからしていわゆる外部に対して不当な攻撃的脅威を与えるような大きな戦力、部隊、組織、そういうものは持たないという規定がありまするから、憲法を改正せざる以上はさような大きな組織編成の部隊を持たんということになつておるのであります。
  97. 藤原道子

    藤原道子君 幾ら大臣が抗弁されましても、なかなか納得できません。だからごまかさないでもつと率直に国民に訴えて、それであなたの希望されるような軍隊を堂々と作るなら作るという方針で、国民にこういうわけだからこうだということをはつきり問うてから、私はやつて欲しいのですけれども、とにかくそれで国民が、どちらを支持するかということでなければ絶対に国民は納得しないと思うのです。ごまかしの方針でおやりになるから結局隊員が士気を失つているのです。あなたはしつかりしておると言うけれども、そういう例はたくさんある。この際時間がございませんのでこういう問題を繰返しておる余裕がないのでございますが、まあ国会に問うてから、国会の承認を得てからやるんだから、国会さえしつかりしていればいい、但し緊急の場合にはと言う。その但し緊急の場合ばかりが使われることに我々危険を感じるのです。この点については時間の関係で私はこの点強く警告を発しておくだけです。  そこで最近保安隊の娯楽であるとか慰安であるとか、或いは教養機関というようなものはどういうふうに行われておりますか。それをお伺いしたい。
  98. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 保安隊の中におきましては、娯楽機関と申しましては特別なものはないのでございますが、ただ中に売店等がございまして、売店等で隊員は相当の娯楽を得ておるように思つております。  医療につきましては、病院の施設を順次考え、実現して行くことにいたしております。そのほか共済組合のほうでいろいろな厚生関係の事業をやろうというような計画を立てております。
  99. 藤原道子

    藤原道子君 この娯楽に対して何ら考慮が払われていないというようなことは遺憾でございます。あの青年があれだけの者が集つて適当な娯楽施設がない。売店なんというのは娯楽施設じやないですよ。(笑声)そこで最近保安隊の周辺におきまして、非常に戦前よりもはなやかないわゆる歓楽街ができております。これに対して大臣はどうお考えになつておるか、この売春等の施設を大臣は認めておいでになるかということを伺いたい。(「それを活用している」と呼ぶ者あり)
  100. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今の娯楽の点のお話が出ましたから申上げたいと思います。今人事局長の言われたのは、娯楽設備として特に或いは演芸場を設けるとか、或いは撮影場を設けるとかいうような設備をなすということ(笑声)映画場です。そういうことを言われたのであつて、隊員は或いは隊務を離れた場合に野球をやつたり、これはもう備付けております。或いはフットボールをやつたり、(「パチンコをやつたり」と呼ぶ者あり、笑声)いろいろな青年として一応のつまり遊戯機関は備付けておるわけであります。これによつて嬉々として今やつております。私も実は最近に隊に参つたのでありますが、ラクビーなんか盛んにやつております。非常に喜んでやつております。そこで映画あたりも今申上げましたように映画の特別の設備はありませんが、大きな食堂なんかで時々新らしい映画を見せて隊員は喜んでおります。特にこの際私は申上げたいのは、隊員は実に立派なんであります。夜空へ行きたい、これであります。北海道に私去年行つたのでありますが、旭川部隊あたりではこの希望者が約六百人、旭川市長の坂東幸太郎さんなんか非常に感激しまして、それではその近接地に特定の新制高等学校を建てようかといつて私に申されたくらいで、この六百人くらいはその附近の新制高等学校の夜学に入つているわけです。向学心に非常に燃えております。こういう者を如何にして指導するか、又藤原さんの仰せのように私は大いに力を注がなくちやならんと考えております。まあこういう点について予算が十分潤沢であれば何してやりたい、こう考えております。(「潤沢でしよう、保安庁の予算は」と呼ぶ者あり)この点については今お話もありましたから、十分に青年のエネルギーのはけ口をその方面に求めさしてやりたい、こう考えております。  それから部隊の附近における何ですか、(「赤線区域」と呼ぶ者あり)そういうもの、私は大体全国の部隊廻つて来ておるのです。まあ見方がよほど違うでしよう。私はさしたることはないと思つております。だんだん内部のほうのそういり方面のことを聞いてみますが、赤線にして売春婦相手にやるというのはたまにはありましようが、あつても極めて少数で御心配になるようなことは私はないと考えております。併しそれらの点につきましては、教養を高める方面に向いて意を注ぎまして、そのような間違いのないように私はいたしたい、かわいい青年を預つておるのでありますから、我々に責任があります。間違いのないように今後努めて行きたい、こう考えております。
  101. 藤原道子

    藤原道子君 隊員が向学心に燃えている、六百人から高等学校へ行つているということを自慢されますが、それは当り前だと思う。この頃紡績工場の寄宿舎あらでもたくさん夜間高等学校ヘ行つているんです。六百人じや少いくらいです、こういう点から参りまして、今大臣は赤線区域がそれほど甚だしいとは思わない、微々たるものだというようなことを言われましたが、あなたは全部お廻りになつたと言われておる。それならば一つの例といたしまして、伊丹の基地へ参ります所には伊丹新地として今までなかつたのが忽然として新地ができているんです。板橋にもある、ほうぼうにある。それでも大臣から見れば大したことはないと言うのですか。どの程度になつたら大したことになるか。(笑声)大変な問題です。私は大切な青年がやつぱりアメリカの駐留軍にまねてパンパンと一緒に腕を組んで街をこれ見よがしに歩いているのにたびたびぶつかつております。それでも隊員の士気旺盛なり、そういう方向へ堕落している者はないと大臣は言われるのか。この赤線区域に対してあなたはどういう処置をとられるつもりか、どう考えておいでになるか。(「麻痺している」と呼ぶ者あり)
  102. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。私はその赤線区域ですか、それは保安隊のためにできたものじやないと考えております。(「そうじやない」と呼ぶ者あり)私はそう考えております。いわゆる街にもいろいろなそういうことの方面に興味を感ずる人間が、若い者がたくさんあります。これはどれだけ区別できるか。私の知つている範囲においてはさような間違いをしておる者は仮にありましても、さほどのものじやないと私は確信しております。まあ十分今後調べて、その数を又お知らせする機会があればお知らせしたい。さほどないと、私はかように考えております。
  103. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 関連……。保安庁長官がここで弁解らしく御答弁なさるのはともかくとして、一人の隊員でも趣旨目的に反した行動があれば保安庁長官としては反省さるべきものだ。三度省みてやられるべきものである。私は大したことはないなんておつしやつていて、千億に近い国費を費やして何の目的であるか。それは私ども保安隊を増強する漸増計画をしなくちやならんという立場に立つている者も、反対される立場に立つておられる人も、ともかくもこの予算を審議しておる以上はこれはお考えになるべきだ。私は実は最近非常に心配しておる。過般或る民間の相当著明な人々が保安隊に参りまして見学したあと座談会を開いた。そうして直接外国が攻めて来たときに、あなたがたは身を挺して戦いになりますかと言つたところが、いや私どもは戦う気はありません、こういうことを公然と言つておる。そうして吉田総理が戦力のない軍隊だと言つているんですから、私たちは戦力は使いたくありませんと、こう言つているんです。もやもやしたあなたがたが、先ほど藤原さんのおつしやつたように、どつちにしてもはつきりした態度国民の批判を受けられるべきだ。これはそういう段階に来ておる。殊にMSAをお結びになる段階においては私はそういう段階に来ていると思う。こういうことは冗談事でないと思う。そういう点についてまあ何と申しますか、私は一番政治が方向を正しく、自分の思つたことを、国民是非はつきりするように勇敢に打出される、勇敢に真実を話られるということをこれは私は特に強く希望したい。新法を作つて、新らしい宣誓をして、そうして新らしい服務に入るということが今度の建前であります。それははつきりしておる。あなたがごまかされようとごまかされまいと、法律の建前はそうなつております。私は防衛折衝に当つて、この法律を作るのにいろいろなことを申上げることは審議の原則に反すると思つて申上げておりません。併しともかくも大したことがないとか、それは誰かの伝聞だろうとかお考えにならないで、よろしく保安庁長官としては反省をなさるべきである。一つの事件といえども反省をなさるべきである。いわんや世の中において一つの明らかなる汚職事件も出て来ておるときなんです。あなたがそういうふうな態度ではとても我々は千億に近い予算を承認することはできません。それだけを私ははつきり申上げておく。
  104. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 一言堀木君に申上げておきます。私は何もことさらに弁解するわけじやありません。併し隊員が十一万余或いは警備隊員、一万余、総数十三万、これは皆神様じやありません。よく御承知を願いたい。神様じやありません。その中に赤線区域に行く者もありましよう。併し私の言うのは大多数はさようなものじやない。これであります。たまに行く者があつても私は正しい方向に向うように努力をいたしたいのであります。併しそれがあつたからといつて、直ちにこれを保安隊員をどうのこうのということは行過ぎじやないかと思います。神様じやないということをよく御了承頂きたい。  それから何か会合の席に保安隊員がどうのこうのと言われる。これは私は青年の心理が一つあると思います。私ども子供を育てております。若い頃はレジスタンスというものがありまして、親がうまいかと言えば、いやまずいと言う。我々も若い時代に記憶がある。本心がそうじやなくても逆に言うことがある。これは青年の何であります。こういうことを、私はやはり青年の心理というものをよく御研究願いたいと思います。我々もその青年の指導について渾身の力を振つてやるつもりでおります。
  105. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は保安隊の人間は神様だとは思つておりません。木村保安守長官を神様だなどと感ずるようなことは一つもありません。(「霊友会で神様だ。」と呼ぶ者あり)あなたはもつと反省なさるべきである。神様じやないからそういうことはあるだろうということは反省心が足りません。これは明らかです。殊にあなたは統率の責任を持つておられる。だから長官として一人の間違いも正したいという心持が前提にならなければいけない。だからそういうふうな事柄が一番大切だ。政治の方向が皆間違つておる。吉田総理は汚職の問題で後に手が廻らなければ政治のことは考えない。私どもは道義が先だと考える。皆すべてが物事が正しくない。あなたはもつと正しさに勇敢になられて弁解に勇敢になられる必要は私はないと思う。誰も木村保安庁長官以下保安隊員が神様だと思つておりません、そんなことは余計なことです。青年がどういうレジスタンスの思想があるかあなたから講釈を聞かなくてもわかつている。そんなことをおつしやるよりもつと反省心をここでお打明けになるのが当り前です。
  106. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は先の藤原さんの御質問に対して答弁しております。我々はそれを正しい方向に持つて行きたい。是非とも我々はその方面に対して青年を誤らないようにして指導して行きたい。これが反省心である。又我々はそうなくてはならんことは当然であります、是非ともこのかわいい青年を預つているのでありまするから、できる限りにおいて娯楽面においてもこれをいい方面に持つて行きたい、これについて我々はできるだけの手だてを加える、これは藤原さんに対して私は答弁しておるのであります。いわゆるこれは私は反省しておると考えております。
  107. 青木一男

    委員長青木一男君) 簡単に、湯山君。
  108. 湯山勇

    ○湯山勇君 長官になおお尋ねします。一人一人の隊員の行動ということになつたので、長官も昂奮されたと思うのですが、私はもう少し別な角度から今のことをお尋ねしたいと思います。新らしい保安隊が設置されるということで、地元がいろいろ運動している実例があります。父移転ということについて移転に反対しているのと、移転に賛成しているのと、誘致に狂奔しているのとがあります。それらの理由は長官はどういうふうに御把握になつておるかは存じませんけれども、私が少くとも見た範囲においては全部地元の繁栄のために誘致したい、これがなくなれば地元がさびれる、こういうことなんです。而もその運動の要点は決して地元の発達ということを考えているのでなくて、いわゆる水商売、歓楽街こういうことが中心になつて誘致運動なり或いは移転反対運動なりが行われている。これは決して長官も御存じないことではないと思うのです。とすれば先ほどおつしやつたようにそういうふうな赤線があるというのは決して保安隊のせいじやなくて、簡単にそれはその土地に若いのもいるじやないかというようなことではなくて、いま少しこの問題については真剣にお考え頂かなければならないのじやないかということをいろいろな角度から申上げているので、そういう点からもう少し真剣に何と申しますか、本当に心配していることに答えられるような御答弁をお願いしたいとこう思うわけです。
  109. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。よくわかりました。御承知通り全国から保安隊部隊の誘致運動、反対運動があることは事実であります。相当誘致運動があります。その誘致運動の根源をなすのは何か。今申されましたようなことも私はないとは限らんと考えております、そこで今度そういうことが地方のそういう方面の繁栄を来たさせるようなことがあつてはなりませんと思います。正しい方向の繁栄……。一番私が今聞いておるのは、保安隊を持つて来るが、人頭税ですか土地に税金が入つて何をするということも一つの大きな理由だということを聞いております。かたがた今仰せにたつたこともたくさんあると思います。事は保安隊が土地の風紀を乱すというようなことがあつてはならんという御趣旨であるわけです。その点については万全の措置を我々は考えて行くつもりであります。
  110. 藤原道子

    藤原道子君 時間がありませんので極く簡単にお伺いしますが、今長官の御答弁の中に、保安隊のためにできたものではないというような言葉がありましたね。そこで、そうであるかどうかということは是非お願いいたします。今度伊丹へ行つて見て下さい。ずつと保安隊ができてから道路の両脇に明らかに伊丹新地というぼんぼりができてずつと並んでおります。そこのお客は誰かというようなことも是非調査になつて、大切な青年の堕落を防ぐように私は一致して頂きたいということを特にお願いしておきます。  そこで保安隊の健康の管理状況がどうなつておるか。それから前年度予算で決定されました病院建設費の十七億、これがその後どういうふうに施工され、工事がどの程度進捗されておるかということ。それから最近看護婦を一般から三百名ばかり募集されると聞いておりますが、病院を建てれば必ず看護婦が要ることはわかるので、是非とも保安隊が別個に看護婦の養成機関を設けるべきではないかと私はかように考えまするが。それについての御見解、それから隊員の疾病の状況、発病の状況等病気の種類を資料として御提出を願いたいということをお願いいた
  111. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今の御質問は誠に結構な御質問と……、私はその点を心配しております。そこで現在病院はどうなつておるかということでありますけれども、現在のところでは九州の針尾に百ベッドあります。それから福知山、これには二百ベツド設けております。そこで隊員の健康状態はどうかという御質問であります。御承知通り隊員を募集いたしまして入隊をいたしますると直ちに健康診断がありまして、時々免疫性の何をやつております。そこでまあ定期的に皆健康診断をやります。殊に胸廓なんか写真でもつてつて甚だしいのは月にどれくらい体重を増しておるか、胸囲を増しておるか、それまでやつております。できるだけの医療設備はやつておるつもりであります。そこで現在の健康状態はどうかとこれは大きな問題であります。それにつきましては昨年の六月の調査によりますると、大体病気になりまして入院し或いは一時帰郷するものは、陸上部隊では千人のうち一八・六人です。海のほうは一八・三です。これは普通の青年の健康状態と比較してどうかということの問題が起りまするが、決して悪いほうじやありません。さような次第で現在のところでは先ず健康状態もいいほうに向つている次第であります。そこで二十八年度の予算におきまして、更に我々は中央に一つ総合的の病院を建設いたしたいと考えております。それから札幌と福岡、それと今申します中央とこれに設けたいと思つております。中央では五百床、札幌では三百、福岡では二百ということになつております。大体これも順調に進んでおります。なお病院のない部隊におきましては一般の病院なんかへ委託いたしまして、そうして病気にかかつた人は隊のほうで負担してそこへ行つて入院させる。或いは時々健康診断してもらうということでやつております。先ず普通よりは健康状態はいいとお考えになつて下さつてよかろうかとこう考えます。
  112. 中田吉雄

    中田吉雄君 保安庁長官に……。
  113. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 抜けましたから……。看護婦の養成三百人募集することは事実であります。それでこれは主として病院勤務或いは衛生のほうをやらせようと思います。これの教育についても十分遺憾のないように、これはどうしても土地のほうの病院なんかの協力を得なければならんと思つておりまして、それらのほうの連絡もよく付けたいと、こう考えております。
  114. 藤原道子

    藤原道子君 別個の養成機関を作る考えはないのですか。
  115. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 作る考えでおります。機関といつても学校とか何とかいうことは考えておりません。
  116. 藤原道子

    藤原道子君 養成機関というのは学校を作るということなんです。
  117. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それなら考えておりません。
  118. 藤原道子

    藤原道子君 それを考えて頂かなければ困る。今でも実際に民間は看護婦が足りなくて困つている。それでいい給料でひつこ抜かれるので非常に一般が迷惑をしておりますから、保安隊独自の看護婦の養成所を作つてもらいたいと思います。
  119. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今学校を実は考えておりませんが、赤十字病院、ああいう方面に委託して研究さしたい、こう考えております。
  120. 中田吉雄

    中田吉雄君 保安庁長官は、ビキニの原子兵器の爆発について、どういう教訓を汲みとつておられるかということについて、今日丁度午前中に問題がありましたので承りたいと思うわけであります。昭和二十年八月六日に広島、八月九日に長崎、そうして今回三回目の世界でただ一つ原爆被害国であるということについては申しませんが、このたびの被害の状況から察しますると、これを東京を中心にして言いますと、新聞に出ておるところによると、千葉、茨城、栃木、群馬、埼玉、山梨、神奈川全県下、それから静岡の一部、長野、そういう所が被害区域になつて、原子兵器の被害が如何に重大であるかということが、長官もたびたび申されますが、わかるわけであります。そこで長官は三軍の均衡方式とか自衛力の漸増というようなことを言われまして、二十九年度予算にもそういう方針で組まれておるのですが、特に昭和一十年の八月六日に広島に落ちたときに、私の調査では日本の陸軍の精鋭十万が広島にいた、長崎に落ちたときには三万の精鋭がそれぞれ一発の原子爆弾で吹き飛んでおる。こういうようなことでありますると、この原爆の威力からやはり国土の安全ということについて、私の党は認めておりませんが、認める立場からしても、今のような方式というものはB29に竹槍を以て対抗するようなものではないか、そういうことについてどういう教訓をこれから汲みとられるかという問題。それから日米安全保障条約等によつて、若しアメリカ日本に対して、ドイツ等には原子砲等をすでに十数砲も持ち込んだりしておりますが、そういう協定が日米安全保障条約に基いて持ち込んだりしますと、アメリカだけが原子兵器を持つておるのなら被害も少いと思いますが、ソ連も持つておるというようなことになると非常に重大だと思いますが、そういう要請があつた際には保安庁長官としてはどういうふうに問題を取扱われますか。特にイギリスにおきましてもこの問題が国会で大論争されまして、ロンドンの郊外のイースト・アンドグリヤだと思いますが、そこに原子兵器の基地を貸すという際においても、アメリカ単独では使わせない、イギリスの許可なしには絶対に先制攻撃等には使わせないというふうに、イギリスのような強国ですら、発言権の強いイギリスですら、アメリカのそういう危険に対してコントロールを加えたりしておる事情があるのですが、その二点について、このたびの原子兵器の非常な威力から自衛力漸増方式についてどういう教訓を汲みとられるか。  第二番目には日米安全保障条約等から日本に対してこういう兵器が持込まれますと、原爆の基地として却つて自国の安全のためにならないので、これに対しては断固拒否すべきであると思いますが、長官とされてはどういうふうにお考えでございますか。この点承わりたいと思います。
  121. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先ず第一に原爆であります。原爆の効力の偉大、この及ぼす悲惨、これは言語に絶する、かようなものが発見されたことが私は人間としての一つの悲しみであろうと考えております。併しこれを使用するか使用しないかは別であります。そこでこういう原子兵器があるときに漸増計画で自衛隊を持つということはおかしいじやないかという、結局そここ議論が落着くのじやないかと思いますが、私はおかしくないと思います。(笑声)いわゆる世の中に原子兵器が出現してから何年になるかわかりません。この効力の偉大さを我々はまのあたり見たわけであります。さればと言つてこれがためにいわゆる自衛隊は必要ないじやないかという御議論には私は賛成いたしかねるのであります。現在かような原子兵器の発達した時代において、どこの国も軍備縮小或いは軍備撤廃をする国はありません。(「アメリカがやつているのじやないか」と呼ぶものあり)むしろ増強の立場にあるのじやないか。アメリカの議論が出ましたが、アメリカはいわゆるニユー・ルック戦略と申しまして、かような大きな兵器を持つているからこそそういうことを言うのでありまして、我々といたしましては不時の外部からの侵略に対してはどこまでも日本の国力に相当する手当だけは必要であろうと思います。これは私は原子兵器ができたからといつてゆるがせにすべからざる問題である、かように考えております。それは又アメリカから何らそういう話はありません。恐らくアメリカは又日本に原子兵器を持つて来ようと考えておるかどうかもそれはわかりませんが、そのときに至りましては我々慎重に考慮したいと思つております。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は保留質問がございますので、先ほどの質問に関連しましてこの際保安庁長官にお伺いいたしたいと思います。  先ほど二十九年度の防衛費を平年度化したら幾らになるかについて御説明がありましたが、わかりやすく一つ伺いたいのです。二十九年度の保安庁費七百八十八億を平年度化したら幾らになるかということと、もう一つは先ほど三十年度の防衛規模について保安庁長官が御説明になりました陸軍更に二万、海軍八千、空軍六千、こういう規模にしたときに三十年度の防衛費は幾らになるか、その三十年度の防衛費を平年度化したら幾らになるか、この三つの点についてお伺いしたいと思うのであります。
  123. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) お尋ねの点は二つあるかと思うのであります。一つは先ほど木村長官のおつしやいました三十年度の見当と申しまするか、そういうような増勢をいたしました場合におきまする所要額、或いはそれの平年化ということ、もう一点はこの二十九年度に増勢の計画を立てておりまするので、それの平年化をいたしました場合におきまする金額等の点であると思います。前者のほうにつきましては、木村長官のお答えになつておられますように、一つの荒ら見当とでもいうことでございますので、その構成或いは編成というようなものにつきましてはまだ十分に熟したものを持つておりません。従いまして、この計算がどうなるかということにつきましては、今日ちよつと資料を持ち合せておりません。先ほど私がお答え申上げましたのは、後段のお尋ねに全部は合致しておりませんが一部は合致しております。それと本年度の七百八十八億円との関連についてのお尋ねであります。先ほど私は陸上の自衛隊は十三万人といたしまして、三十二万円程度の一人当りの維持費を乗じまして大体四百二十億という数字を申上げ、それに一万五百八十人ほどの平服職員がおりますので、合計いたしまして大体四百四十億円という数字を申上げました。これを七百八十八億の数と比較して申上げますれば、本年度におきまする陸上自衛隊の維持費は四百億であります。このうち特別退職手当というようなものがございますので、そういうような多少臨時的なフアクターを除いてみますと三百五十億程度になるかと思います。併しながら、この数字のうちにはなお含まれていないものでありまして、四百億との間に若干平年額で見なければなりませんものでありますから、三百五十億が直ちに四百四十億になるというふうにはお考えになれないと思いますが、大体今申上げました四百億の維持費が四百四十億になる、但しこの中には臨時的な退職手当二十四、五億が入つておると、こういうふうに考えております。  海のほうの数字を大体九十億と申上げたのでありますが、これは本年度におきまする海上自衛隊の維持費が二十九年度六十億、それに対しまする数字が大体九十億程度になるだろうということを申上げたのであります。  それから航空自衛隊のほうにつきましては、この計画というものは練習計画というようなものと睨み合せて計算をいたされまするので、陸や海にとつて申上げましたように、一人当りの維持費がどうである、或いは一トン当りで大体何万円程度の維持費を見ればいいというような、比較的簡単なコンスタントがございませんので、これは又別に差上げまする維持費のほうからいろいろ推算をいたさなければならんと思いますので、先ほどはそれらの数字を申上げませんで、後刻別に飛行機の維持費についての数字を差上げると申上げたのであります。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もつとわかり易く、只今お話ですと七十億ふえる。そうすると七十億加えると八百六十億になるのですが、八百六十億に更に海のほうを加えると幾らになるか。そうして、これには先ほど堀木氏も質問がありましたが、初度装備費が加わつていないのでございます。二十九年度の保安庁費の特徴は初度装備費がないということがこれは非常な特徴になつている。恐らく前年度繰越の二百五十億のうちからこれは国内での調達によつてもできるという含みかも知れませんが、それでも私は足りないと思います。それで初度装備費も入れてどうなるか。この予算審議に一番重要なことはこれが中心だと思うのであります。これがどういうふうにふえるかということが一番重要だと思いますので、一般にわかり易いように説明して頂きたい。  それから先ほど三十年度はわからんと言いましたが、今度の予算を、保安庁費を作るときに三十年度も一応頭において作つたということでありますから、三十年度も大体の規模は私は想定していないことはないと思います。これは私はおかしいと思う。それだからこれは概算でいい、概算でどのくらいの予算規模になるか、保安庁経費が。先ほどせつかく保安庁長官が陸軍二万、海軍八千、空軍六千と言うたのですから、その数字でよろしいのでありますからそれで試算してどうなるかということを概算でもいい、そうしなければこの予算審議に我々は困難を感ずる。三十年度で考える長期計画も本当に出さなければならない。ならないが、長期計画はわからんというと、せめてわからんと言つても我々には三十年度との関連において二十九年度も検討いたしますから、三十年度だけは大体保安庁費の規模を概算でいいのでありますから御説明して頂きたい。
  125. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 前段にお尋ねの七百八十八億に私が申上げました二十九年度予算のうちの維持費、それと今私が申上げました金額の差額の点であつて、どういうような輪郭になるかというお尋ねでありますが、その点はそうではございませんので、と申しまするのは七百八十八億の中には二万人の増員以下の増勢に対します初度費が入つております。それが後段のお尋ねと相関連いたすのでありますが、維持費について申上げますれば陸上自衛隊が四百億、海上自衛隊が六十億、航空自衛隊は全部出発というようなものでありますが、この二十九年度に定員が余りますので、それの維持費の分だけでありますと十八億でありますから合計いたしますとまあ四百八十億ほどがそういう意味におけるところの維持費に当る。これに対しまして航空自衛隊の十八億ほどを除きました、いわば四百六十億に対します今数字を申上げましたので、それは二十九年度に増勢を予定いたしておりますものがフルに動きました場合におきますところの維持費のことを申上げましたのであります。従いまして今私が申上げました数字が根元の数字になるのであります。暫らく航空の関係を除きますれば、陸は四百四十億見当、海が九十億見当という元の数字につきまして、これはいろいろのフアクターはしよつちゆう働きますが、これが三十年度におきまする大見当の数字になると思います。それに初度費のそれに対しまして、長官のお答えになりましたような増勢の一つの見当がございます。それに伴いますところの費用の計算があるわけでございます。併しながらこれは陸について申上げますると、大体従来からの見当もございまして、従来から大体一人当り七十万円という数字を申上げております。これは部隊編成、そういうようなことで違つて参りますが、この一人当り七十万という数字につきましては、そう大きな変革がないとお考えになつていいかと思います。ただ海と空につきましては、これは長官は大きい見当の数字を申されたのであります。それをどういうような具体的構成にいたすかということによりまして、これはいつかの機会に申上げたのでありますが、海の維持費について申してみましても、大体十万と申上げたのでありますが、これは船の大きさによつて相当違うわけであります。PFという千四百トンばかりの船であります。これの維持費は大体トン当り七万四、五千円、これに対してLSという小型の船でこれもトン当り十三、四万くらいになつております。従いまして、どういうような構成での増勢をいたすかという、これは海につきましては当然相当大きな開きをいたして参ります。空におきましては、これは練習計画、そういうようなものをどういう形においていたすかということにつきまして非常に違いまするので、ちよつと長官の申上げました数字から、これは大体こういう数字になるのじやないかということを荒ら見当を申上げることは、相当困難であるというふうに思います。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの海のほうを六十億と言いましたが、今度八十五億じやないのですか。
  127. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 今おつしやいました数字は増勢分に伴いまするところの保安庁費を含んでおります。海上自衛隊の保安庁の項の数字を今おつしやつたわけですがこれは八十五億でありまして、これが維持費は六十二億、増勢分が二十五億に、それの二十五億に対応いたしますところがどうなるかということが来年度の問題であるということを申上げたのであります。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは航空の問題は別にされましたが、保安庁費のほうでは四十五億、施設費のほうは七十一億ですね。これはやはり平年度化するとどのくらいに減りますか。
  129. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 航空自衛隊四十五億のうち先ほど申上げましたように、維持費プロパー十八億八千万、初度費が二十七億ほどあります。これはどうなるかというお尋ねでございますが、練習計画というものは或る段階に達しますと、この次にどう受けるという計画がございますので、或る段階でとりましてそのまま平年度化するということになりますと、ほかの陸や海と違いまして不自然なといいますか、そういうような数字は余り意味をなさないかと思われますので、ただ飛行機を維持するにどれだけ金が入るかという点につきましては、これは後刻資料を以て申上げたいと思います。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから施設費のほうも七十一億は……。
  131. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 施設費のほうは飛行学校或いは整備学校、航空廠以下の施設費でございますので、これは先ほど申上げました長官のおつしやる何千人増員というものに関しましてどういうような飛行隊の増設を行うか、そういうような問題と関連をいたしまするので、そういう前提に基いてでないと結論はいたしかねるということを申上げたのであります。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから先ほどのお話では、初度費というのは初度装備費は入つてないですか。
  133. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 初度費と申しましたのは当然装備費を含んでおりますが、ただ含んでないかとおつしやいますのは、アメリカから貸与を受けるところの兵器の関係かと思いますが、これは含んでおりません。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから兵器関係は今後自前でだんだん賄うのが出て来るのですから、平年度化した場合にやはり兵器関係も出て来るのじやないですか。
  135. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) これは後刻資料をもちまして差上げるものについて御覧願つたほうがよろしいと思いまするが、現在のところでは向うから例えばL型という軽飛行機をもらつております。これを動かします油はこちらで負担をいたします。併し修理をいたします部品のようなものは向う側から供給を受けておるわけです。それを木村委員のお尋ねのように負担を切換えるということがあるといたしまして、どういうような負担に切換えるかというようなことになりますと、今その前提におきまして計算が狂つて参ります。従つて従来アメリカ負担に委ねておりました分をどういうような或いは早さで或いはどういう切処え方で日本側に切換えるかということは、それは一つの今後の計算の前提でありますが、先ほど申上げました維持費の系統につきまして申上げました数字は、一応現行通りの負担区分で参つたらどうかということを申上げたのであります。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのことはアメリカのこの戦艦及び兵器貸与協定ができればはつきりするわけですね、それはまだできていないわけでしよう。それで結局それはアメリカの兵器導入の工合によつてきまつて来る、そういうことになるわけですか。
  137. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 今お尋ねの点は、中に貸与を受けましたものでどういうようなものにつきまして、例えば部品である、或いは取換えそのものであるというようなものを受けるかということは明らかになると思つておりますが、目下のところ大体アメリカ側との間におきまして実行いたしておりまする基準がありまするから、一応はその基準におきましてはじいているのであります。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今まで世上アメリカのMSA援助は一億二千万ドルとか一億五千万ドルとか言われましたが、今度の協定では大体金額にして幾らくらいでございますか。
  139. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) それはちよつと保安庁当局からお答えをいたすべき筋合でありますかどうか申上げるような数字を持つておりません。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どなたかこれは外務省かどこかわかりませんが。
  141. 青木一男

    委員長青木一男君) 資料として要求しておいて下さい。
  142. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) そのほうのことは私のほうからお等えをすべき限りでないかと思いまするが、先ほど申上げました、後刻差上げようということを申上げました資料には一応或る荒ら見当の評価でありまするが、その貸与物資がどういうような評価の見当になるかということにつきましての数字を処理いたします。従つてそれでまあこういう計算の基礎においてはこういう程度の金額になるだろうという点についての推測はつくかと思います。
  143. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 金額はもう大体わかつておりますね。
  144. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) それは金額はわかつておると申しまするか、私どもがどういうような物資の援助を予定しておるかということにつきまして申上げたのであります。その申上げておりまするところの物資につきまして、我我の現在ありまする資料に基きましての一つの推定金額を申上げたのです。
  145. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それを細かいことはあとでいいのですけれども、大体のことはここで御説明して頂きたい。
  146. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 大体の今申上げましたことは、いろいろ前提を抜いて申上げますると非常に誤解を生じますので、その意味でその数字を見てから申上げたいと思つておりまするが、その数字について御覧を願いたいと思つておりますが、例えば船は物が新らしい、古いという問題があります。従つてどの程度の新らしさのものであるかという計算の問題がございます。これはいろいろな評価のやり方がございまするので、どういうことに最終的に相成るかということにつきましては申上げることは困難であります。ただ新品で計算をいたしますれば、おおむねこのくらいの見当であろうかというようなものが出るわけであります。船につきましては相当まあ古いものが従来から参つておりまするので、そこらへんのところを七割見当とおさえて見まして、我々の一応期待しておりますところの総額が大体五百四、五十億円見当、その内訳は後ほど資料で差上げます。
  147. 青木一男

    委員長青木一男君) 成るべく簡略に願いいます。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にこの保安庁において二十八年度の国庫債務負担行為として百二十四億組んでおりまするが、これによつて全部じやありませんが、このうち五つの大型警備船を作る契約があつたのです。これはもう発注をしたのかどうか、その点今日現在においてそれの計画は一体どういうふうになつているのか、御説明を願いたい。
  149. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この一つの警備船についてはまだ契約をしておりません。御承知通り、この警備船は普通の船舶じやないということは御承知通りであります。終戦後初めて造る特殊船であります。而も大きな船でありまして千六百トンで約三十ノツトまで出る、これに備えつけるタービン或いはジーゼルなんかについても非常な周密な計画を要する。私は建前といたしましては初めて造る特殊船であるから立派な船を造りたい。万一故障のあるようなものを造つたら申訳ないから慎重にやれ、と言つてこれを徒らに高くつても困る、いわゆる適正価格で造らせなければいかんということで計画を立てているのであります。御承知通り昔はこういう船を造りますには造兵廠があつてそこでどんどん造る。それによつて各民間船会社に発注したような次第であります。今はさようなことはできません。設計をするについても実は保安庁内部においてさようなスタツフは持つていないのです。相当のエンジニヤーはおりますけれどもどうしても外部からの援助を得なければいけない、船舶設計協会の手を借りて共同してやるということでやつているのであります。御承知通り昨年の八月に予算通りましてその後鋭意やつている次第であります。漸くにしてまあ設計が発注し得るような程度まで行つているわけであります。これも最近のことであります。そこで年度末までに何とかしてこれを契約いたしたい、こう考えておるのであります。鋭意その方面でやつておりまするが、今申上げましたようにまだ発注はしておりません。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 年度末までに発注ができなかつたときに、この国庫債務負担行為というのはどういうことになりますか。
  151. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 御承知のように予算につきましては繰越という方法がございまするが、これは明許、あらかじめ国会で御承認を得て繰越をいたしますものと、財政法四十三条の事故繰越というのがありますが、予算外契約につきましては繰越ということはございません。これはまあ事柄の性質上当然であるものと申してよろしいのでありまして、その予算外契約を実行いたしまするものは翌年度において予算が当然出るわけでございます。従いましてその予算につきまして十分なる発注その他をやつて行く、こういうふうに思つております。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度二十九年度予算を組まれている保安庁費は、二十八年度国庫債務負担行為を今度は支払行為として計上されているわけです。それが前提になつているわけです。而して国庫債務負担行為というものがこれで今繰越ができないことになつて二十八年度に発注しないとなれば、それを前提として予算自体が実は問題になると思う。新規計上になると思う。全く新らしい計画になるのでございまして、それは二十八年度の国庫債務負担行為を前提とした予算の組方でないわけです。新たなる事態の発生によつて即ち発注できなかつたということになつて、これは非常に問題が起ると思う。予算編成上それはいけないのです。今度の百二十四億は国庫債務負担行為として当然二十九年度に編成されるという前提になつているのです。この点問題なんです。  それからもう一つ、保安長官に伺いたいのですが、この前質問したのでありますが、保安長官お見えにならなかつた。そのいわゆる設計とか契約が遅れている理由についていろいろ世上では取沙汰されているのです。非常に不明朗な問題が取沙汰されております。これは法務省でも取調べるということは犬養法務総裁も約束いたしましたが、それは受注についていわゆる競争があつてそうして或る一定の所になかなか発注できない。而もそれを政党関係で押えているというようなことが世上伝わつておるのです。実は設計については昨年末長官と増原次長と相談されて大体きまつたとか言われておつたのですが、依然として発註されないことについては単なる設計とかそういうものの遅延ではなくて、それも多少ありましようけれどもそれより競争会社があつてどちらに許していいだろうかわからない。而も献金があつた関係上他方に簡単に許せない。例えば二幕のほうは軍艦の経験のあるところに造らせたいが、他方においては経験のないものが政党に献金しまして自分のほうに註文を取ろうとしている。そこで例えば二幕のほうでは軍艦を造つた経験のあるところに発註させようとしても片方献金があつたのでそちらに簡単に発註させられない。そこでこの頃二幕ではいろいろ問題にしていわゆる政党にそういう正備計画、防衛計画を任せておつたのではできない、どうしても我々がそういう整備計画に参加して行かなければならん。そういうのでやはり今度の保安庁法の改正で軍人の制限を撤廃するに至つたその裏面にはそういうことも影響している。昔の言葉で言えば軍人の政治関与がだんだんこういう汚職というか疑獄というのですかそういうものと関連して発生しているのではないか、そういうことが言われては私は重大な問題だと思う、従つてこの点その経緯を木村保安庁長官から明らかにして頂きたい。  それから御承知のように新聞にもこれと関連した記事が出ておるわけです。保安庁長官は御承知と思う。我々同僚の中からその疑いを受けている。私は名前はここで申上げませんが、もう御承知だと思う。それが事実かどうか、これは検察庁のほうで明らかにすると思うが、そういう疑惑が起つておりますのでこの点明らかにされたいと思う。
  153. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。その点は世間の疑惑を解くためにも私は申上げたいと思います。そこで如何なる会社に発註すべきかということが根本問題ですが、先ず第一にこれを随意契約にすべきか、指名競争入札にすべきかということが問題になつているのであります。随意契約をすることの建前は一応私はよかろうかと思います。普通の船じやありませんから特定の資格のある又経験のある立派な会社があればそれに発註させることが至当であると考えます。然らばそれはどの線に持つて行くか、これは大きな問題であります。これはずば抜けた会社があればこれはもとよりそこに発註すべきが当然であろうと思います。而もそれは値段の関係もそこに出て来るので一応よかろう。そこでどういう会社を選ぶべきかという標準を立てなければならん。そこで今木村委員の仰せになりましたようにいわゆる軍艦を造つた経験のある会社に重きをおくべきか、又は現在たくさん船を造つている経験のある会社がいいか、それは一つの大きな問題である。軍艦の経験のある会社といえどももう戦後九年たつております。昔のままのものじやないのであります。その間は軍艦一隻も造つていないのでありますから、それで果していいのであるかどうであるか、軍艦を造つた経験のない会社といえども戦後熔接技術が非常に発達しておりますので、そういうたくさんの船を造つた経験のあるところがいいのであるか、これも一つの問題である。仮に軍艦を造つた経験のある会社といえども、その会社の中でどういう標準をとつて行くかということが非常に問題なのであります。それで一応の線は引けるがそれが絶対的のものでないのであります。これは十分の検討を要するわけであります。私のところには幸いにして船の会社から直接の申入がありません。これははつきり申上げます。どの会社からも私直接にはありません。私はこの船を造るに先ほど申上げましたように極めて慎重にしなければいけない。将来悪い船を造つたら申訳ないのであります。これが問題になるのだ。それだから慎重にやつてもらいたい。そこで標準をどこへおくかということで私は未だに迷つているわけです。これはむずかしい。併しこれはもう正しいと自分の思うところに行くより仕方がないと考えております。同じようなレベルの会社なんです。これは非常にむずかしい。今政党関係かということでしたが、私に対しては政党からは何もありません。はつきり申上げます。私にはありません。それで私は神かけてこの立派な船を安く造りたいということが一心であります。未だに何していないというのは私の決断が悪いと言えば悪い。私は甘んじてその非難を受けます。申訳けないのです。そこで慎重審議をやつてくれ、設計するのには慎重に設計してもらいたい。これで私は何しております。併し事急でありますから十分に慎重に且つ急速に私はやりたい、こう考えておる次第であります。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 幸い長官はそういうお立場におかれて船会社からいろいろ要請がない、非常に幸いであります。お立場上そうでなければならんわけでして、併し政党関係についてはいろいろ疑惑がありました。これは検察庁が明らかにすると思いますから、私はこれ以上質問いたしません。  ただ予算関係において只今長官が慎重にやられる結果本年度末までに契約できませんとこれは問題になる。予算を配賦することができなくなると思います。衆議院の予算分科会においては若し本年度の仮に三月途中で契約できたとして、そうして又契約が全部未済である場合には、未決の場合には予算配賦できないという答弁をされております。そうしますと全部これが契約できなければ全部予算が配賦できないということになるのですよ。それで契約できないのに予算を配賦することはできません。これはその契約は何かと言うと二十八年度の国庫債務負担行為に基いてなさるべきなんです。これは予算の編成上非常に重大な問題と思います。ですからこの点石原経理局長にもう一度お伺いしたい。
  155. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) その答えを申上げる前に、先ほど申上げました数字ちよつと訂正させて頂きます。先ほど援助を期待しておりまする金額大体五百五十億と申上げましたが、その際船の新品は七割と申上げましたが、六割の間違いでございます。ちよつとこの機会についででありますが訂正させて頂きます。  只今お尋ねの予算外契約が実行をせられなかつた場合におきまする予算上の問題であります。これは何と申しまするか予算の形式論のお尋ねかと思うのでありますが、予算の形式論の問題といたしましては、私先ほど申上げましたように予算外契約そのものにつきまして繰越がないということについては、これは予算の繰越明許がありまするように、使途につきまして本来その性格から申しまして予算外契約にも繰越があるべきであります。併しながらそういうことを考えておりませんのは、それは先ほど申上げましたように、予算外契約というものの翌年度におきまして新規予算があるわけであります。これは先ほど木村委員が支払行為ということをおつしやいました。新規の予算と申しますのはその支払の権限だけでございませんで、当然契約権限を含んでおります。従いまして従来から政府といたしましてそういう予算外契約の繰越ということはしませんで、当然その繰越に該当します場合には新年度の予算を以ちまして十分発註をいたす、契約をいたす権限がある。同時にこれを支払う権限があります。こういう問題だと思います。従いまして財政法上の取扱い或いは予算の取扱いとして八十九億というものが若し今年度使われないという事態になりまして、何か予算上由々しい問題が生ずるということは私はないと思つております。ただおつしやいます点は、契約ということを一応前提にいたして八十九億という二十九年度の予算があり、その実施の点かと思うのでありますが、その点につきましても、これは先ほど来申上げておりまするように特定の使途につきましては繰越明許というものがありまして、船の関係は繰越明許を従来からお認め願つております。その経費の性質上そういうような繰越というような事態が生じ得るのだということは、従来から認められておることでございますので、特に予算外契約した場合にのみそれが非常に重大な問題であるということには考えないでよろしいと思います。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単に御質問いたします。細かいことは分科会で質問いたすことにいたしまして、最後に時間がございませんからお伺いしたいことは、この保安庁費と関連して補正を組まなくてもよろしいかどうか。補正を組まなければならないようなことになりはしないかという第一は、北海道の千歳とかそれから仙台、岐阜、こういうところのアメリカ軍の施設をこれは返してもらえることになつてこの防衛費は組んであるはずだと思うのです。若しこれを返してもらえなかつたときに、ここにやはりどうしても補正予算の問題が起つて来るのじやないかということ、これが第一。それから第二は今度の保安庁法の改正によつて国防会議が設置せられますが、この予算が計上されておらない。その人員それからいわゆる参事官予算を組んでおらないと思います。従つてこの予算の補正が必要になるのじやないか。又国防会議を別に定めるということになつておりまして、これは今国会に出すのか或いはいつ出されるのか、この点もはつきり伺いたい。それからその予算措置について。これが第二であります。  それから第三は弾薬庫についてこの新設が日程に載つています。駐留米英連邦軍からの返還施設を弾薬庫に流用するはずであつたが、返還を拒否されたために新たに日本側で設備しなければならないので大分県或いは又神奈川県、福島県などで旧陸海軍弾薬庫のうち三、四カ所に約十二、三億円を出して約三万トンの弾薬備蓄設備を整えなければならないと言われております。この予算の補正が私は出て来るのじやないかと思うのです。これが三点です。  それから先ほど伺いましたアメリカからの装備の度合如何によつても又装備費について補正が必要になるのじやないか。この点につきまして補正の問題を伺つておきたいと思います。
  157. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) 便宜私からお答え申上げます。施設の点につきまして、北海道、仙台、岐阜三カ所におきまして相当規模の米側の施設の接収解除、これの利用ということを予定しております。従いましてこれが実行をみない場合、或いは実行が著しく遅延をいたします場合、そういう場合におきましては既定の計画を遂行いたしますのにいろいろな問題が出て参ります。この点を目下アメリカ側と折衝中でございまするので、大体そういうことにできはせんかというふうに考えておりますが、若し万一その一部におきまして準備した米軍施設が利用できないということに相成りました暁におきましては、これは現在おりまするところの兵舎或いは多少地域的に配分を考えまして、まあ一時的な収容の方法を考慮することができはせんか。従いましてこのために補正予算を組まねばいかんということには相成らんのじやないかと考えております。  それから参事官、国防会議というような関係であります。これは参事官のほうから申上げますと、八人以内という定員になつておりまして、これは局長を含んでおりますので差引参事官なるものの定員は二人であります。これは全体の定員の中のやりくりでございますので、内局の内部におきましても操作は可能である。それから国防会議でありまするが、これは内閣の所管に掲げらるべき筋かと思つております。国防会議自身のことであります。これは国防会議の事務費のお尋ねだと思いますが、金額的には比較的少額のものでございまするので、従来こういう例が少くないと思うのでありまするが、例えば国会で予算編成後に立法が行われまして、それにいろいろ審議会の類が作られましたことは相当たくさんあります。この程度の金額は当然実行上の措置といたしまして消化できるのではないかというふうに考えております。  次に弾薬庫のお話でございまするが、弾薬庫は只今お話の点につきましては実は二十八年度の施設費におきまして手当をいたしている。そのために今大分とかおつしやいましたような地域におきましてその手当をいたしておりまするので、この金で実行いたしまするわけであります。大体考えておりまするところの基本は木村委員のおつしやつた通りであります。装備のほうの関係で米軍側の供与が遅れまする場合はどうかという点につきましては、それが著しく遅れるというようなことに相成りますると訓練その他の実施の面におきまして若干の困難が生ずるかと思いまするが、それを日本側の負担に切替えまして補正予算を組むというような事態が起るとは考えておりません。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後にもう一点。
  159. 青木一男

    委員長青木一男君) その程度一つとどめて下さい。次の機会にどうぞ。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これが最後です。保安庁費の中で今度は陸がふえるのに保安庁経費が減つている、陸のほうが減つているのはどうしてもわからない。例えば陸上自衛隊二十八年度四百二億は保安庁の項です。それが四百億になつている。それから保安庁施設費の項が二十八年度九十四億が七十九億になつているのです。この点はどういうわけですか。陸の人員がふえるのに予算関係ではこれが減つているわけです。この問の事情をわかりやすく一つ説明して頂きたい。
  161. 石原周夫

    政府委員(石原周夫君) その点につきましては分科会のときに差上げます説明の中に書いてありますので、それを御覧願いたいと思いますが、大ざつぱに申しますれば一つは二十八年度の一年度限りの金がありますから、それから本年度におきましていわゆるストック・リプレースを使うということで八十九億ほど装備費を実行上従来の積立分を使うその二点でありますが、詳細は分科会のときに……。
  162. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十四分散会