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1954-03-06 第19回国会 参議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月六日(土曜日)    午前十一時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            小野 義夫君            小林 武治君            森 八三一君            中田 吉雄君            松澤 兼人君            堀木 鎌三君            木村禧八郎君            三浦 義男君    委員            石坂 豊一君            泉山 三六君            鹿島守之助君            高橋  衛君            高野 一夫君            中川 幸平君            宮本 邦彦君            横山 フク君            吉田 萬次君            井野 碩哉君            岸  良一君            新谷寅三郎君            田村 文吉君            高木 正夫君            中山 福藏君            村上 義一君            岡田 宗司君            小林 孝平君            佐多 忠隆君            千葉  信君            藤原 道子君            三橋八次郎君            湯山  勇君            相馬 助治君            曾祢  益君            松永 義雄君            戸叶  武君            鶴見 祐輔君            武藤 常介君            千田  正君   国務大臣    内閣総理大臣  吉田  茂君    法 務 大 臣 犬養  健君    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原九郎君    厚 生 大 臣 草葉 隆圓君    農 林 大 臣 保利  茂君    通商産業大臣  愛知 揆一君    運 輸 大 臣 石井光次郎君    郵 政 大 臣 塚田十一郎君    労 働 大 臣 小坂善太郎君    国 務 大 臣 緒方 竹虎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法務省刑事局長 井本 臺吉君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    運輸省海運局長 岡田 修一君   事務局側    常任委員会専門    員       野津高次郎君    常任委員会専門    員       長谷川喜作君    常任委員会専門    員       正木 千冬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十九年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和二十九年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 議事進行について。できるだけ慎重に審議はいたさなくてはなりませんが、議事進行についてはできるだけ協力いたしたいと思うわけであります。そこで昨日大蔵大臣修正案を御説明になりました際には、政治上の責任を負うというはつきりしたお言葉があつたのですが、その後修正過程にいろいろな問題があつた際には、それについて責任をおとりになるか、又その政治上の責任をとられるとは一体どういう内容意味するものであるかということを申上げましたところが、修正案に対しては不正等があつてもそういうことには責任はない、予算執行上についてだけ責任を負うというような、我々としては甚だ理解に苦しむ点ですが、併しそれらの問題は別にいたしましても、大蔵大臣にお尋ねいたして議事に入りたいと思いますが、修正の結果についてそういう報告を受けられたと思うのですが、その修正過程においてどういういきさつでああいうふうになつたといういきさつも、いずれ御報告があつて了承されて、政府がその案を受取られたと思うのですが、その経緯を先ずはつきりしてもらいたい。  それから執行について責任を負うということですから、五千万増額修正されたことについてのはつきりしたその内訳等について、どういう内容責任執行上とられるのであるかというようなことは、これから私が質問いたします前提になりますので、そういう点を一々割当てられた時間で承わつては時間がありませんので、議事進行過程でそういうことをはつきりして頂いて、その前提に立つて質問いたしたいと思いますので、這般の消息についてお答え頂きたいと思います。
  4. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 経過については、私どもはこの修正案そのもの内容について御説明申上げておるのであるから、これでことは足りる。すべての提案の、どういう経過を経てどういう提案をしているかということは、従来どの法案でも御説明申上げておりませんので、つまり政府修正された修正案そのものについてこれを承認いたした次第でありまするから、その修正案内容について御説明申上げておるので、例えばどの一つ提案をすることについてもいろいろな経緯を経ておりますが、その経緯について申上げるということは私は必要のないことと実は考えておるのでございます。私も正直に申しますれば、なかなか予算のことだから新聞以上に余りよく承知しておりません。  その次の五千万円の問題でありますが、これは率を変えていないことは昨日も申上げた通り補助率は変えておりません。又人も原則として殖やさない、こういうことも申しておるのでありますから、そういう方針の下にこれを執行して参る、こういう考え方でございます。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでははつきりしないのでありまして、これは昨日御説明頂きました全修正案内容に関するのですが、只今のような人も殖やさない、補助率も変更しないというようなことで、一体どういうふうなそれが内訳になつて……、蚕業技術員を殖やすのなら何人殖やして、それに対する補助単価幾らか、そうして各府県に対してそれがどういうふうに配分されるか、而もこの予算修正にからんだ、あとでも名前を挙げて指摘しますが、群馬とか長野とかいうようなこの修正に対する中心勢力であつたような所にこの予算配分が多く行くようなことはないかどうかというような、具体的な予算執行に対して責任を負うと害われるのなら、少くともそういう執行上のことについて、過程については私はあとで言いますが、その執行について責任を負われるからには、各府県に対して幾ら行く、その補助単価幾らである、更に又巻間いろいろ伝えられるところによると、桑苗補助についても問題があるというようなことで、この予算内容についてなかなか大蔵大臣が御説明されるに困難ではないかと思うような事情が伏在している。我々はそういうあやふやな予算内容についてこれから本格的に四つに組んで質問するということは困難なわけです。その具体的な五千万の内容についてはつきりして頂きたいと思うわけであります。
  6. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 仰せのごとく、蚕糸業振興費がもと三億七千五百二十一万二千円であつたのに、五千万殖えて、修正予算では四億二千五百二十一万二千円となるわけであります。この五千万の殖えた内容については、方針が今申上げた通り率は殖やさない、それから人は原則として殖やさない。こういうことはきめてございますが、あと実行するこの金額を実はきめましたので、このあと実行の問題につきましては、農林省とも特に打合せの上実行予算を編成するわけでありまするので、それによつて審議を願うほかはないと思います。
  7. 青木一男

    委員長青木一男君) 議事進行発言は簡単に願います。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 簡単といつたつて予算前提が崩れちやつて執行上の責任がどうして負えるでございましよう。この内容がきまつていないことは私知つております。本朝来、大臣の腹心である主計局長さんや農林省会計課長さんや、修正された三派の代表等から、これが農林省にどういうふうに配分されるかというようなことが、私の質問に備えていろいろ懇談されたやの消息もすでに入つておる。ところができていない。こんなことで予算執行責任がどうして負えるでありましよう。今度提案された修正案の全体が恐らくそういうものであると思うわけであります。国民としてはそういうことがはつきりして……、特にこの予算修正に関しては長野群馬、而も衆議院予算委員長栄職には長野から出られた倉石さんがおる。参議院の予算委員長である青木さんも長野であるというようないろいろな問題が、あとから申述べますがあるわけです。そういう具体的なことについてはつきりしないのに、それで予算審議に時間がないから入れというようなことでは納得できないのであります。具体的な過程については大蔵大臣とされてはなかなか立入られることは困難であろうと思うが、執行について責任を負われるからにはどういうふうな配分になつてつて補助単価幾らで、桑苗補助を誰にどういうふうにするかというようなことをきめて頂かんと、御質問申上げることは困難なわけであります。この点一つはつきりしてもらいたい。
  9. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 農林省所管費用でありまするから、農林省におきましていずれきちんとした配分案等について相談いたしましてその適正なる執行を期する、こういう次第であります。
  10. 青木一男

    委員長青木一男君) 議事進行過程においてはこの程度でとどめておきたいと思います。本論に人つて頂きたいと思います。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 併しそういうことで……、それではお伺いいたしますが、予算審議に入る前提で壁に突き当つているわけですから、所管保利農林大臣に、どういうふうに配分されるようにきまつておりますか、恐らくそういう配分のきまらない、これから何とか相談してきめるというようなことで我々として予算審議に入ることができるでしようか。これは原子炉の問題その他殆んど全部の問題がそうなんです。修正案がそうなんです。そういうことと我々はいい加減なとり組みをしては大変なんです。大体最近の修正というものは殆んどよくない。だから我々としてははつきりしてけじめをつけて質問に入りたいと思いますので、急ぎますのではつきりしてもらいたい。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 衆議院蚕糸業振興のために五千万円の増額修正を受けておりますが、その使途につきましては、執行に当りましては大蔵省とよく相談をいたしまして蚕糸振興の目的に副うようにいたしたい、又お話のように地域的に差別扱いをして何か裏の取引があるようなことは断じていたしません。
  13. 湯山勇

    湯山勇君 委員長関連して。
  14. 青木一男

    委員長青木一男君) 極く簡単に願います。
  15. 湯山勇

    湯山勇君 只今お話ではまだそれをどう使うかということがはつきりしていないということでございますが、それだと昨日お話ありましたように、説明に当つて責任を以てやるという……、死なない限りは、人間のことだからどういうことがあるか知れないけれども、ともかくも全部説明すると言われた大蔵大臣言葉と違うのではないか。同時に原子炉と言われている科学技術振興費につきましても、これは一体何に使うのか、どういう規模原子炉を作ろうとしておるのか、こういうことも一応明らかにして頂きたいのです。
  16. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 只今質問でありますが、これは私どもは先ほど申した通り所管農林大臣とよく打合せをいたしまして、この金の適正なる使用を期する、こういうことなんでございます。  原子炉につきましても科学技術振興その他について適正なる……、これはまだ実はその問題については科学技術振興費用として出すことになつて、この実施問題についてはあと実行予算を編成することを向うに対しましても育つておるのであります。それで同意しておる次第であります。
  17. 青木一男

    委員長青木一男君) 関連質問は……。
  18. 湯山勇

    湯山勇君 原子炉を作るのですか作らないのですか。
  19. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) それは所管省とよく相談いたしますが、そういうことの執行については所管省とよく打合せの上、最も国費の適切な使用を期する、こういうことなのでございます。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 原子炉を……。
  21. 青木一男

    委員長青木一男君) 昨日の理事会相談いたしたのでありますが、議事進行発言は無制限に許すということは議事進行を妨げますから、委員長考えによつて適当なところまでは認めるのは当然と思いますけれども、(「答弁による」「政府が妨害しているじやないか」「議事進行について」」議事進行について、康子炉を作るか作らないか」と呼ぶ者あり)その問題は決してとめる意味ではありません。それは予算審議過程において明らかにすることだと思います。(「そうではない、議事進行の問題です」と呼ぶ者あり)私は議事進行発言はこの程度でとどめて頂いて、中田君の質疑に入つて頂きたいと思います。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 予算内容が明らかでないものをどうして審議できますか。
  23. 青木一男

    委員長青木一男君) 予算内容は朗らかにして頂く機会があります。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 内容が明らかになつて初めて予算というものは審議できる。漠然としたものを途中で明らかにするなんてそんなべらぼうな審議はない。委員長議事進行について。
  25. 青木一男

    委員長青木一男君) 議事進行発言はこの程度にとどめて頂きたいと思います。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 議事進行について。(「昨日警告されたばかりじやないですか、委員長議事運営に関して疑念あり」と呼ぶ者あり)議事進行に関して……。
  27. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは岡田君に簡単に許します。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今大蔵大臣説明を聞いておりますとこれでは予算審議には入れない、私はこう思うのであります。なぜならば、とにかくあの修正案過程は御存じはないかも知れませんけれども、あの修正案科学技術振興費については、原子炉の設置ということは修正案提出されました人々の間においては理解がついておるはずです。而もこれは自由党承認をされてそうなつておる。これは小笠原大蔵大臣の属しておる党であります。その党も承認されて原子炉の設立ということを承認されたのでございますから、この原子炉を作るか作らないかというようなことはきまつておるはずだと私は思う。大蔵大臣もそれは御承知にたつておるはずだと思う。そこで私ども原子炉を作るについてはどういう規模なのか、恐らく予算の範囲内においてやられることについては、大体の見通しがなければ予算案をここへお出しになつて審議することはできないのじやないかと思うのですが、その点について只今大蔵大臣の御発言を聞いておりますと、これから相談をしてと、これでは一体修正案を出された方々も、その一切をあなた方のほうではつきり呑み込んでない、或いはそれを無視されるかも知れない結果も出て来るやにも患われるのであります。恐らくそういう点から考えましてこの点について少くとも大要なりと明らかにされなければ、この項目についての予算審議ということはできないのじやないか。この点はやはり大蔵省としては前の蚕糸業振興の問題と同様に、大体のものを明らかにして少くともその執行の資に当られるならば、その大要を明らかにして予算委員会提出されて、その上で審議を進められるのが妥当だと思いますが、その点大蔵大臣は如何に者えられるか、もう一度お伺いしたい。
  29. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お答えいたします。これは工業技術院に対しまして原子炉築造のための基礎研究及び調査費ということになつておるのでありまして、私どもが承知しておるところによると原子炉築造に必要な基礎的な研究及び調査使用して、その結果を得たる上、この原子炉についての作るか作らんか、どのようにやるかということについて実行予算を更に考える、こういうことになつておるのであります。
  30. 戸叶武

    戸叶武君 議事進行
  31. 青木一男

    委員長青木一男君) 戸叶君、簡単に。
  32. 戸叶武

    戸叶武君 今回も又この修正案提出されたのでありますが、前回のような非常の緊急事態の場合における修正予算ということは考えられるのでありますが、政局の安定ということだけを目指して二三の政党によつて取引されて修正予算案が作成されるというようなことが慣例になりますと、予算案発案権提出権を絶対的な意味において持つておるところの政府のあり方というものに極めて疑念が出て参るのであります。この前のときにもこの問題で三日間に亘つて私たちが論争いたしましたのは、責任内閣制基礎というものはこの予算案政府が持つておるところの発案権提出権というものに密接な関連があるのです。而もその予算案内容というものも一方において執行機関たる政府がその執行に必要なる予算をそこに取上げて編成すべきであつて、それが修正予算案というふうな形において現われるいつもの現象というものは、極めてその点があいまいであります。今日の農林関係の諸経費の増額においてみましても、事業費増額されたのか補助峯が引上げられたのか、そういうことすらも明確化されておらないというような状態であります。こういう形において政治的な考慮からなされるが故に、この前のような造船疑獄が発生したのであります。予算案修正過程説明しろというのは、こういう形において作られるところの異常の形式というものは、その背後に暗影を持つているからでありまして、日本のような責任内閣制を我々が確立する上においてもう少し真面目に大蔵大臣から説明を願いたいと思うのです。今お話を聞いておると質問に対して大蔵大臣答弁というものはお座なりで、一つ大蔵大臣としての真面目さを持つていないと思います。もつとこの修正予算案に対して我々の前に大蔵大臣としての責任においてそれを説明するならば、もつと丁寧に説明して下さい。
  33. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 原子炉問題につきましては只今答弁申上げました通り原子炉築造のための基礎研究及び調査費に充てるものでございまして、金は工業技術院に出す次第であります。
  34. 湯山勇

    湯山勇君 資料の要求について。一応今の御答弁は御答弁として承つておきますが、この予算の中にはウラニウムの研究費とか、国会図書館原子炉図書資料費とか別に組まれております。従つてこの原子炉の建設のための研究調査費明細書を早急に御提出願いたいとお願いします。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 議事進行について。私も今日は十分もう自分としては準備をして来ておりますし、今日質問をやつて明日の日曜日を解放されたいと思います。併しこういうふうに私がこの生糸の原糸課税蚕糸業振興費等をめぐつて本格的に取組みたいと思う問題について事態はつきりしていないのに、それは殆んど今度の修正で全部の項に当るわけであります、そういうことをいい加減にして予算審議に入りますと、もう予算の採決が済んでもなおこれがはつきりしないということになりますので、私は明日の日曜日にゆつくり準備されてここにはつきりそういのう内訳計算の根拠を示されて、然るちに私が総理に対して総括質問をすることが、事態はつきり究明し議事進行を促進するものと思いますので、私は是非そういうふうにして頂きたいと思うわけであります。はつきりしないのにそういうことをかれこれ想像して質問をしてみても話にならないわけである。私はその意味において明一日をおいて修正案に対する計算基礎を全項目について提案されたのちにおいて質問いたしたいと思いますので、さよう議事を取計らつて頂きたいと思うわけであります。
  36. 青木一男

    委員長青木一男君) 中田君の言われる意味は順位を譲るという意味でありますか。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 はつきりしないから譲れない……。(「誰がやるにしてもはつきりしないから」と呼ぶ者あり)
  38. 千田正

    千田正君 議事進行について。どうも初めから、理事会においては運営がスムースに行くためにというので取計らつたようでありますが、このようでは十分な運営ができないと私は思う。でありますから一旦休憩に入りましつて、そうして真剣にこの修正予算案にいて詳細に説明されて初めて質問を開始するかどうかをきめて頂きたい。こういうことで時間を費やすということでは、私は委員長難事打合会は一体どういうことを相談されたかわからないので、その点をはつきりして頂きたいと思います。
  39. 青木一男

    委員長青木一男君) 申上げます。委員長理事打合会におきましては、昨日の総括質問に先立ちまして、議事進行において若干三点において明らかにするために時間をきめて各派の人から質問することをきめました。それが終了いたしましたならば総括質問する、こういうような順序もきめてあるのでございます。昨日は中田委員質問の番であつたのです。併し中田委員から昨日の発言通り希望がありまして、特に今日に中田君の質問を延ばしたのでございます。これは中田君の希望によつたのでございます。(「総理が来ないの、だからしようがない」と呼ぶ者あり)従つて本日は中田君の総括質問委員長としては希望する次第でございます。
  40. 中田吉雄

    中田吉雄君 議事進行について。この予算修正案というものがもつと具体的になつて大蔵大臣から御説明があるということで、我々としては一切の責任を負つてこのできたものについては説明をしたり責任を負うて執行するということが前提である。そういう前提は崩れて、これは如何に政府与党自由党さんのほうにおかれても、また何に使うか海のものとも山のものともわからない、ただ最善を尽してこれをうまく使うというようなことで審議に入れと言われることも無理だと思うわけであります。私はそういう点ははつきりして……まだはつきりできていない、どういうふうに配分するのか、蚕糸業振興費というものはどういうふうに配分するのだかわからない。技術院補助になるのか、蚕糸業の総合的な補助支出に使うのだか、使途はつきりいたしていないわけであります。そういうことでどうしてこれが我々質問に入れるのですか。そういうことが明らかになつ前提で、そこで私がこういう修正がなされた背後に遡つていろいろ御質問しようと思う。そういことが明らかにならんでどうして今日できますか。
  41. 青木一男

    委員長青木一男君) 中田君に申上げます。中田君の質問されるような点は勿論質問内容において明らかにすることはごできるのでざいます。そうして総括質問に入る前に修正関連して政府に質すべきことは、委員長理事打合会においてきめたのでございます。私は議事進行についてはこの委員長理事打合会申合せに慕いて円滑に議事進行をしたいという考えでございます。そのときもすでに予定しておつた議事進行質問は終了しておるのでございますから、これは申合せによつて総括質問に入りまして、今の御疑問の点は予算審議内容として今後お尋ねされたほうがいいと思うのであります。私はその議事進行希望します。中田君の総括質問を求めます。
  42. 松澤兼人

    松澤兼人君 議事進行について。
  43. 青木一男

    委員長青木一男君) 私は中田君の発言を求めているのです。(「答弁していないじやないが」「これからゆつくり相談するなんて」「議事進行」と呼ぶ者あり)
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 議事進行について。
  45. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君。
  46. 松澤兼人

    松澤兼人君 私に発言させないでどうして木村君に許すのですか。僕はさつきから発言を求めている。中田君に発言を許しているから許さないと言つて、どうして木村君に許すのですか。
  47. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつと待つて下さい。中田君、ちよつと質問されるかどうか、その点をはつきりして下さい。
  48. 中田吉雄

    中田吉雄君 前提条件が整つたらやります。
  49. 松澤兼人

    松澤兼人君 昨日修正案ができました経緯や或いはその内容について、私は理事会の御承認を得て質問したのでありますが、我々の了解するところでは、昨日の大蔵大臣への質問によつて先ほど来問題になつておりました、新らしく修正案によつて変更されました費目についてはその使途まではつきりわかつているという了解で私は簡単に質問を終つたわけであります。本日中田君の質問なり或いは又はその他の人々の質問によりまして、この点が明らかにされていないのであります。従つて委員長としましては早急にその内容について具体的なものをこの委員会に出させるお考えがありますかどうですか。
  50. 青木一男

    委員長青木一男君) 私は総括質問を終つた後一般質疑の前に今のような点を明らかにしたいと、こういうふう一にこの脚理事会でも申上げたんです。
  51. 松澤兼人

    松澤兼人君 私は予算の作り方というものについてはよく知らないのです。併しそれは青木委員長はよく御存じでしよう。下からだんだんと積み上げて行つて左足の予算というものができるのじやないかと思うのです。併し修正の場合はそれを逆にやりまして、大きなものをぽんと赴いてそれからその使途については漸次下のほうに下りて行くという方法がとられるのであります。こういうことであれば途中で修正者の意向や或いは又は政府考えの食い違いによりましてその使途が明瞭でなかつたり、或いは又は最初の修正の意図から変更されるということも考えられる。従つてその使途の明細というものは予算審議に際しましてはその前提として必要である。こう考えるのでありまして、委員長としましてはこの中田君の質問に入る前にそういうものを至急政府に向つて提出することを要求されることは当然であろう、こう考えるのであります。(拍手、「そうだ」と呼ぶ者あり)委員長答弁して下さい。
  52. 青木一男

    委員長青木一男君) 私は資料を要求されることは難儀ございません。(「資料じやない」と呼ぶ者あり)説明その他の審議のことにつきましては、私は理事会申合せもそうできておりませんし私もそう考えておらないのでありますから、今のところそういう考えはございません。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういう間にどんどん時間がたつので、議事進行させるためにはやはり問題を早く処理する必要があると思うのです。今の中田君が言われたことは、修正予算の悪例なんです、今まで。この前だつてこの問題が起つたんです。政府修正予算を作る過程については責任を持てないと言われますけれども審議過程においてスキヤンダルの問題がはつきりして来たとき、政府はそれについてやはり責任を感ずるならこれを承認できないはずです。先日の船舶の利子の問題でも審議過程においてはつきりしているのです。今度の蚕糸の問題でも、今、中田さんが……審議過程においてスキヤンダルがあるやに問題がなつている。これがはつきりしていても政府責任をとらないのですか。そういうことが問題になるから修正案の取扱についてはこれは悪例です、今までの。これは単なる一つの問題ではなく、従つて修正案の取扱についてどういうふうにこれをはつきりさせてから審議に入るかどうかということを先ほど十田さんからも提案がありましたが、やはりこの際理事会を開いて、早くこれを処理する、そのほうが議事進行に私はいいと思う。これは悪例を又繰返しているのでありますから、そういうことがいつも修正案のたびに起つて来たんではいけませんから、理事会でその取扱について至急これを相談すると、そういうほうが議事が早く進むのではないかと思うのです。
  54. 青木一男

    委員長青木一男君) 私は委員長理事の打合会の申合せが、唯一の議事進行を円滑ならしむる機関でございますから、その申合せを尊重したいのです。それがもう翌日になつてすぐ変るというのでは委員長非常に困るのでございます。それで中田君は若し質問なさらないのならば順番をあとへ、(「とんでもない」と呼ぶ者あり)併し私はそういうふうに順番を譲られたものと了解します、発言されなければ。(「議事進行について」「議事進行々々々々」と呼ぶ者あり)それで私は次位者の質問希望します。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 今の委員長言葉が了解できないので質問いたします。
  56. 青木一男

    委員長青木一男君) 岡田君の意味はどういう意味ですか。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今委員長は、昨日の理事会の決定に基いてやる、これは結構でございます。併しながら本日この予算委員会におきまして中田君から議事進行についての御発言があり、これにつきまして大蔵大臣から説明があつたんでございますがそれが極めてあいまいであつて、そうして予算審議に欠くべからざる執行責任を負うはずの政府が当然示さなければならんものが示されておらん。これは今日起つた事態です。従いまして今日この委員会に起つた事態に基いて松澤君なり或いは木村君から更に改めて理事会を開け、こういうことなんです。それを今日起りました事態に目をつむられて、昨日の理事会できまつたことだけで進めようというところに私は委員長の進め方に無理がある、従いまして今日起つた事態についてもう一度改めてよく理事会において取扱方を相談してもらいたい。この今日起つたことについての取扱方についての委員長の御見解を承わりたい。
  58. 青木一男

    委員長青木一男君) 私が申上げた意味は、衆議院修正内容等の審議を私は阻止しようという考えではないのです。昨日の理事会申合せでは、その点につきましてはいずれ機会があるから、この総括質問に入るに先立つて修正について質すべき点は三点とこうきめて時間も打合して、それが済んだならば円滑に総括質問に入ろうという申合せをしたのでございますから、私はそのことを申上げておるのでございます。
  59. 湯山勇

    湯山勇君 委員長はこういう事態になることを予防するために最初に政府に対して確認をされたと思うのですが、その確認に対して大蔵大臣政治上の責任を持つ、施行の責に任ずる、なし得る限りの説明をする、こう答弁をしております。私は前回の例もありますので、なし得る限りの説明とはどういうことを言うのかということを質したのに対して、大蔵大臣が全部する、ただ人間のことだからというようなことで、全部するということをおつしやつた。そこでこのことは委員長も御確認になつておると思うのです。ところがこれに対する説明は今朝来見られます通りに、委員長に対して大蔵大臣が約束したように進まれていないのです。つまり政府委員長に確約したことを守つていない。こういうように前提が崩れましたので、むしろ私どもが文句を言うのでなくて委員長政府に対して、政府は最初の約束と違うじやないかと言つて頂きたい。こういう事態が起つているのですからもう一度そのことについて御相談をし直して頂く、こういうことを申上げておるわけでございます。委員長は最初委員長が確認した通り政府が進んでおる、あの約束を守つておると御判断になつて進めようとしておられるかどうか、ここが根抵だと思うのです。
  60. 青木一男

    委員長青木一男君) 湯山君に申上げます。修正内容を明らかにすることはこれは必要だと私は思うのです。但し議事進行の形において総括質問の前に質問する内容程度については委員長理事打合会において申合せたのです。それでありますから私はその通り議事を進めたいということを強く申上げるのです。
  61. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 議事進行について。理事会申合せ従つて強行をしようというふうにお話のようでございますが、私たちが先ほど来聞いておりますところでは、理事諸君がいろいろ発言されて、いろいろ問題を提起しておるのでありますから、その申合せがあつたにしても何ら徹底してないし確立してない。而もいろいろな事情が変つたのであります。そう無理におやりにならんで、而も理事諸君はよりより話合をしておられるようでありますから、時あたかも十二時半です、昼食の時間にもなりますから簡単にここで一応休憩して、そうして理事会を開いて簡単にきまる問題と思いますから改めてきめて、円滑に進めたいということを申上げます。丁度時間も時間ですし。
  62. 青木一男

    委員長青木一男君) 暫時休憩いたします。午後は一町半より開きます。    午後零時二十二分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  63. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引続き会議を開きます。中田君。
  64. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこの際、総理大臣に対しまする総括質問に入るに先立ちまして、古木委員長に御要望なり期待なりを申上げることをお許し慣きたいと思うわけであります。  午前中に私が蚕糸振興費を初めといたしまして、このたび三派で修正されましたところの修正個所について詳細なる御説明予算審議前提条件として要請いたしましたのは、次のような理由に基くものでございます。  この修正予算案につきましては衆議院におきまして殆んど審査がされた形跡がございません。従つて第二院である我が参議院におきまして慎重審議をいたしますことは、二院制度の建前からいたしましても又全国民の強く要望するところであろうと思うわけであります。然るにこの修正案がまとまりましたのは三月二日と承わつております。それから数日たつて参議院に送付されて総括質問に入つていますのに、なお修正個所について具体的な説明ができないということは誠に遺憾に思うわけであります。特に大蔵大臣におかれましては、修正部分に対しては政府責任を以てその施行の責に任ずるという御発言もありましたが、それらの御発言から去ること甚だ遠いものがあるわけであります。それどころではございません。今日昨日の新聞で承わりますると、原子炉建設補助金二億三千五百万の予算案に対しましては、すでに参議院に送付されている予算案であるにもかかわりませず、この修正を強く申入れまして中曽根康弘君のところに日本学術会議の議長等がお伺いいたしまして、原子炉は日本では建設できないのだから他に転用するようにというような懇請がなされているわけであります。かかることは全く我が参議院を軽視するものであり、そうしてこの予算に対する修正というものがただ政局安定の共に供されたということは我々の極めて遺憾とするところであります。我々といたしましては、予算案に対しては極めて厳粛な態度をもちまして財政法その他に準拠してそうして予算原則に反しないことが必要であろうと思うわけであります。そのような点から私は厳しい態度を以てこの説明がなされない限り審議に入るべきでないとこのような立場をとつて予算委員会理事会にお諮りしたわけであります。併しながら私といたしましても予算審議を遷延することが目的ではございませんので理事各位の要請を容れまして、百歩を譲りまして、そこで総理に対しまする総括質問が終りまして、そして一般質問に入ります十日までに委員長におかれましては修正個所に対する具体的な詳細なる説明政府当局に出して頂くように要請いたして頂きたいと思うわけであります。そのような要請と希望青木委員長に申上げまして委員長の御善処を強く要請するものであります。
  65. 青木一男

    委員長青木一男君) 只今中田委員の述べられました要望は、委員長理事打合会におきまして他の理事諸君も同感を表された点でございまして誠に御尤もだと思います。つきましては、政府においては総理に対する総括質問を終了して、一般質疑に入る前に十分資料を整備されまして遺憾なく説明のできるように準備されることを委員長として要求いたします。
  66. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 政府といたしましては十日までに御要望の書類を提出いたしたいと存じております。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは大蔵大臣の御発言を了といたしまして、私はこれより日本社会党を代表いたしまして、汚職と吉田内閣政治責任並びにこれが根本的対策を中心にいたしまして総理大臣にお伺いいたして行きたいと思うわけであります。なお私たちとしましては、予算審議を軌道に乗せるべきであろというようなことによつて、問題になつている疑獄から眼をそらすような態度はとるべきでない、予算審議とともに十分疑獄の本質を究明すべきであるというのが我が日本社会党の予算委員会に臨む態度であるわけであります。  そこで総理大臣にお伺いいたしますが、汚職の根本的な原因はどこにあるかと思われますか、この点お伺いいたしたいと思うわけであります。歴史に昭らしましても国家の興亡は外思によつてではなしに内患によつて滅びています。外患による場合でも外患の生ずるような内患をもつている場合が極めて多いわけであります。今回の造船、保全経済会、日殖事件は、古くはシーメンス事件、松島遊廓事件、私鉄疑獄等のどれよりも大規模で憲政史上未曾有の疑獄であるわけであります。総理におかれては憲法上の最高の栄誉ある地位として最も長かつた桂内閣よりかも長い総理大臣の地位につかれて、ただ心配されるのは国の将来だけであろうと思うわけであります。従つてこの汚職の根本的な原因については厳しい態度を以て対決されると思われますが、何よりも原因に遡ることが大切がと思いますが、どのような理由でこういうふうになつたとお思召しでございましようか。
  68. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。こういう事件が起りましたことは誠に不幸なことと私ども考え、又誠に遺憾なことだと思います。併しながら現在問題は司直の手に移つて、当局者はせつかく事態の真相を究明いたしております。事態の真相、事態の全貌がわかつた場合に政府としては厳然たる措置をとる考えでおります。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは私はこの問題に対しまして、あとでそういう御答弁に対しては御質問したいと思いますが、私は汚職、疑獄というものは吉田総理並びに岡崎外務大臣のとられておりますアメリカ一辺倒の外交政策から起きたものではないか、こういうふうに考えているわけであります。御承知のように造船疑獄は第十六国会に吉田総理の属されます自由党が二百二名の比較的多数の際に多数派工作として起きたものであります。なぜこういうふうに吉田内閣が博つての二百大十九名というような多数党から二百二名に少くなつたか。これはやはり誌和、安保両条約を受けられて、保安隊の名の下に再軍備をされるところの対米一辺倒の外交というものが国民の激しい批判を受けて選挙において二百六十九名から二百二名になつた。それにもかかわらず、なお政権を維持されようとするところからそこに莫大な選挙資金が要り、多数派工作として私は疑獄が起きたと思う。その全貌が明らかになつた際に断固たる処置をとられることとは別にいたしまして、私はこのような外交策こそ問題を起した本質ではないかと思いますが、この点について吉田総理はどうお考えでございましようか。
  70. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。我が党或いは現内閣の政策についての御批評は御自由でありますが、併しながら私の考えとしては岡崎外務大臣においても向米一辺倒などとは考えておらないのであります。但し批評は御自由であります。さて自由党に対する批判が起つて自由党の勢力が幾つかになつたと言われますが、自由党の候補者が得た投票数から言えば前回と少しも変つておらないので、従つて国民の信望なお我が党にありと言わざるを得ないと思いますが、これは手前味噌であるかも知れませんが……。(笑声)そこでお答えをいたしますが、我が党又現内閣としても向米一辺倒とは考えておらないのであります。今日の外交は世界を相手にいたさなければならないのであつて、向米一辺倒だけで参りますと、一辺倒という政策を苦し我が政府がとりますならば、これは影響するところ大であつて、全局から見て果して利益であるかどうかと考えてみますると、向米一辺倒のごとき政策はとるべからざるのみならず、現にとらないことを決心いたしておることを御承知を願いたいと思います。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは石井運輸大臣にお伺いいたしますが、向米一辺倒の政策がなぜ造船疑獄に展開したかという問題について、先ずその糸口として話を進めます順序としてお伺いいたしますが、船を造る費用を仮に一〇〇とする、そうすると建造費はその中の大体何%を占めると思われますか。
  72. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ちよつとお尋ねの意味がわかりませんですが、船を造りまするのに……。どういうのですか。(笑声)船会社の仕事の中のどれだけの部分が船の建造費かという意味でございますか。
  73. 中田吉雄

    中田吉雄君 船価のコスト分析、簡単に言いますと例えば一艘造るのに十四億要る。そうすればその中で原料代が幾ら占めているか。これはもう昨日もちやんと予告してあるところでありますが、造船疑獄の問題の本質に触れる点ですから、一つはつきりしておいてもらいたい。予告してある。
  74. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 船価の構成内容の大体を申上げまして、もう少し詳しければ責任者たる局長から申上げますが、大体七十総トンぐらいな船を基準にいたしますると、材料費が七二%、それから工費の間接費が一八・四%、一般管理費が四・四%、直接経費が五・二%というのが大体標準でございます。
  75. 中田吉雄

    中田吉雄君 そこで吉田総理に、こういうことはなんですが、船を一艘造ります造船の経費の七二%は材料費である。これは極めて造船疑獄がなぜ起きたかという問題を知るに重要な問題である。而もこの材料費の七二%のうち大部分というものは鋼材費、鉄とかそういうものなんです。而もそれを中共貿易をやらないアメリカ一辺倒の外交政策のために、鉄鉱石は例えば中国から買えば十ドルから十五ドルで買えるときに、私の手許に持つておるのでも二十六年の下期でも殆んど倍近くしている。こういう高い費用を使つているから原料代が、殆んど中国の倍の原料をアメリカから輸入している。そのために建造費の七二%を占めて、この船主協会からくれた資料によつても金利が五六%要つている。これは現象形態であつてなぜ金利がたくさん要るかということは原料代が高いからだ、鋼材が高いからだ、鉄材が高いからだ。なぜか、アメリカから買つておるからなんだ。だからアメリカ一辺倒の外交政策によつてこういう結果が起きて金利が要るのだから、造船業者としてはこの金利の利子補給を要求することも当然成り立つでしようが、吉田総理におかれてはこの点を改められん限りは造船会社が利子補給を要求する。中共貿易アジア貿易をやられませんために、七二%も占める材料費の中の大部分というものを中国から買わずにアメリカから買つているために金利が五六・六%占めて、こういう結果になつているわけであります。この点について私は吉田総理、岡崎外務大臣がこういう外交政策を改められん限り、日本のコスト引下げもできませんし、国際競争に耐えることもできませんし、又造船会社に対して五六%も占める金利補給という問題が起きざるを得ない背景があると思うのですが、この点についてどういうふうにお考えでありましようか。
  76. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをしますが、若し現内閣が向米一辺倒であるならばあなたは向中一辺倒のようなお話であります。併しいずれにしても原料は安いのがいいのであつて必ずしもアメリカから買わなければならんことはないのみならず、又中共からして買つてはいけないという政策をとつておるものではありません。これはその業者が自由に安い所からして買う自由を持つておるはずであり、政府としてもこれを妨げておるのではないのであります。故に鉄の値段が高いからといつて以て向米一辺倒なりと断言せられるのは少しく私においては腑に落ちないところであります。
  77. 中田吉雄

    中田吉雄君 一つ私がこういう問題を申上げたのはこれで論争しようとは思いませんが、ここに実は問題の本質がある。貿易とイデオロギーは別にすべきである。私は必ずしも向中一辺倒ではございませんのでその点は御理解を得たいと思いますが、そういうところに問題の本質があるわけであります。先ず総理大臣にいろいろお伺いいたしますが、その前に緒方副総理にお尋ねいたしておきたいと思います。これから汚職の問題に入るわけですが、原子炉の建造補助費の二億三千五百万円というものは中曽根君が強く主張してそのために組んだということになつていますが、そう理解してよろしうございますか。
  78. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) どういう個人が強く主張したか私は存じておりません。
  79. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは非常に問題でありまして、はつきり正確を以て鳴る朝日新聞その他にたくさん中曽根君が強く主張して成つたということになつているわけであります。予算審議に必要になりますから大蔵大臣に、やはりこれも重要な問題ですから、一つどういういきさつですか。誰が主張してこういうふうになつたか。一つはつきりしてもらいたい。
  80. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 私もその主張者は存じません。存じませんが、只今お話した原子炉の製造のためのと、こういうふうに私は聞いているのです。康子炉製造の直接の費用とは聞いておりません。それで予算に組みまするときも原子炉製造のための研究及び調査費、こういうことに相成つておるのでございます。
  81. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはいろいろ私も衆議院の我が党の人に調べてもらいましたら、やはり中曽根さんが主張していることは明らかであります。そこで緒方副総理にお伺いいたしますが、二月二十三日の夕方衆議院事務局に中曽根君の発言に関して、石井、大野両大臣が百万くらいもらわれたというので懲罰動議を提出されている、その懲罰動議はどうなつているか。懲罰動議を提出されたような人の発案によつて、その問題を明らかにせずに、この康子炉建造補助費を組んだということは、中曽根君の言つておることが真相であつて、この要求を聞かんと中曽根君が内閣の中枢に触れるような問題に迫つて来てはいけないという口止め料とは思いませんが、そういうために私は組んだと了解したいのですが、如何ですか。
  82. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) 私にはそういうふうに持つてつて疑われる理由がわかりませんが、今の石井、大野両大臣に対する中曽根発言についての自由党としての懲罰動議は議長の手許まで差出しております。多分議院運営委員会の都合で滞つておるかと考えます。
  83. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点はまあ副総理はそういうふうに言われますが、自由党で党議に来いて懲罰動議が出ている人の強く要求された原子炉建造補助費を組まれたということについては、巷間にいろいろ自由党のために取らない説があるわけです。私は本来なら石井大臣はそういう問題が解決しない限りは、そういう人の要求を聞くべきでないという要請を党内でされて然るべきだと思うが、石井大臣の御所見を承わりたい。
  84. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私の問題に対しましての懲罰動議、それに対する私の心持等はたびたび至るところで申上げておりまするから、国会がこの問題に対して善処してくれることを私は期持しておるのでございますが、中曽根君がどういうことで原子炉の問題を出したのか、それがどうして通つたのか私は一向存じません。
  85. 中田吉雄

    中田吉雄君 併しそういうことをされておくから疑惑が消えないので、まあ時間がありませんのでそれでは吉田総理大臣に……。
  86. 青木一男

    委員長青木一男君) ちよつと中田君に。衆議院の本会議の都合で緒方副総理に十分間出席を求められておりますからよろしうございますか。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 はあ。  この今の日本の議会政治におきまして小党分立に際してどういうふうに処して行くかということは非常に大切な問題だと思いますが、吉田総理はどういうふうにお考えでございますか。それは保守と革新の二大政党の対立になることが好ましい議会政治のあり方ですが、なかなか現段階ではそういうことは期待できませんので、小党分立でもなお腐敗と汚職とをなしに議会政治を能率的にやるということは非常に大切であると思うのですが、特に政府与党とされては他党との協調ということは非常に必要になつて来るが、協調には限度がある。若し限界が来たならば下野するというような決心なしにはこの小党分立に処することはできないと思いますが、これに対してどういうふうにお考えでございます。
  88. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) ちよつと伺いますが、どういう……決心がなければということでありましたが、これに処する何という決心がなければということですか。
  89. 中田吉雄

    中田吉雄君 余り党の性格を全然放棄されても政局につきさえすれば、予算でもずるずる譲歩されるというようなことでいろいろ困るではないかということはなんです。
  90. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) それは少し伐が党に対して侮辱といいますか言葉が過ぎるように思いますが、我が党といたしましては自己の主張を放棄してまでということまで考えておりません。然らばこの際に処してどうするか。結局我が党の政策なり現内閣の政策について国民がどう理解するか、どう批判するかということであろうと思います。たとえ党派は小党分裂いたしておつても若し政府の政策にして国民の共鳴を得るならば、これは自然その剛に政局の安定ができると考えます。が、政局の安定を得るために無理なことをいたしたり自己の党の主張を捨ててもということは断じて考えておりませんから、その点は御了承願います。
  91. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点でやはり私は昨年の造船疑獄の起きました、第十六国会については、やはり問題があるのではないかと思うわけであります。この造船疑獄の起きましたのは、小党分立の際に比較的多数である政府与党が国会を乗り切る苦肉の策としてああいう問題が起きてこうなつている。而もこの造船の利子補給は、最初に飯野海運の俣野氏と吉田総理の党の政調会長の池田氏と幹事長の佐藤さんの三人が話をして十三億ということに利子補給をきめておいて、そうして財界から改進党に強力に働きかけて、自分のほうで案を立てておいてあたかも改進党さんのほうがそれに乗つかつたような形で大きな修正をして、十三億から百六十七億に修正することによつて、更に鳩山自由党の船に関係のある平塚氏などに話して、これはあたかも改進党がキヤスチング・ヴオートを握るごとくしておりますが、実際は十三億組んだときにすでに改進党に業界から働きかけさして、こういうふうにするという巧妙な知能犯的なこの結果造船疑獄が起きたわけでありまして、この点では私も保守党の総理とされてま吉田総理を高く買いますが極めて重大な責任があると思うわけであります。私は小党分立に処する限界を少し越えてまで譲歩されたところに問題があるではないかと思いますが、今後ますます小党分立が予想されますので、重ねて第十大国会をかえりみて総理のもう一度の発言を承わりたい。
  92. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 以上について私よりもあなたのほうがよほどおくわしいようでありますから、それに対して私はかれこれ反証を提出するような材料を持つておりませんからお答えをいたしませんが、併しこれはやがて問題の全貌がわかつた場合に政府としては適当な処置をとります。併しここにおいて申述べておきたいことは、更に前言を繰返すことでありますが、お話のような限界を超えてまで政局維持をするというような考えは断じていたさないつもりであります。
  93. 中田吉雄

    中田吉雄君 この点ではやはり私は小党分立とアメリカの両党政治に対してどういうふうに対処されるかということで重ねて質問いたしたい。やはり私は昨年の第十六国会において二百二名の際に吉田内閣におかれては二つの大きな誤りをされた。その一つは内政においては造船の問題で大きく譲つても国民の批判の的になつている造船の疑獄が起きた。もう一つは日本に再軍備させたいというアメリカの要求から比較的多数である自由党と改進党に着目いたしまして、日本に駐在するウエアリング参事官等が日経連に働きかけ、日経連が改進党に働きかけるなどして、吉田総理が持つておられます憲法は改正しない、自衛軍は創設しないという見解を、保安隊を軍隊と言つてもいいというふうに大きく前進して、アメリカがこの両党をうまくあやつることによつてアメリカの要求する再軍備を前進させている。この過ちも私は犯しておられると思うわけでありますが、この点はよほど気を付ける必要があると思いますが。比較的多数の際におけるアメリカの自由改進両党の働きかけに対してやはりこの際にも譲ることのできない一線、吉田総理がかねて御主張になつた一線に対して強く限界を持たれることが必要だと思いますが、小党分立とアメリカの両党政治に対してどう御対処になりますか。
  94. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。再軍備の問題についてアメリカ側としては再軍備を両党に働きかけて云々ということでありますが、これは事実ないことであります。自由党と申すよりは政府としては、アメリカが駐留軍を漸減したいという要望に対して漸増をする、漸増ということはかねて日米安全保障条約にも明記してある通りその減増の線に従つて予算案その他を組んでおります。再軍備は断じていたさないつもりであります。従つて憲法は改正いたさない、この線は堅持いたしております。
  95. 中田吉雄

    中田吉雄君 その線で、昨年アメリカに留学しておられました中曽根康弘氏が、我々の党の立場を支持する外国の人、アメリカにおる人から直接聞いた話では、やはりアメリカの軍部その他に強く日本軍備の要求を出している。そしてその前提として撤兵とか戦犯人の釈放とかいろいろな要求を出しながら再軍備をする。そして万国議員会議に行かれました芦田さんがその仕上げをされて、そして吉田総理の代理である池田さんが行つて交渉する際にも非常に困難に直面されて、池田君、君は経済力が許さないと言つてなかなか再軍備を渋つているが、内閣総理大臣をやつておつた芦田元総理はやれると言つているではないかというふうに、両党をあやつることによつて非常に折衝が困難であつたことは明らかであります。そのようなことはやはりなかなか口外されることは困難だと思いますが、やはり不安定政権の下においてはこのアメリカの両党に対する働きかけを十分見抜いて対処されることは、重ねて必要ではないかと思いますので、恐縮ですがもう一遍その点を伺いたいと思います。
  96. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お話は大変面白く伺いましたが、併しながら私の承知いたさざるところであります。政府の防衛計画等は米国政府の主張に関係なく独自の見解からして立案いたしたものであります。
  97. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは話を戻しまして、吉田総理は去る二月二十六日衆議院予算委員会におきまして、我が党の友党たる社会党右派の河野密氏の質問に対しまして、河野圧が閣僚であつた者、或いは閣僚たる者に汚職に関係する者があるのではないかという質問に対して、私は閣僚のうちにはそういう人はないと断言いたします、又確信いたします、こういうふうに申されておるわけであります。私としても総理大臣が閣僚或いは元閣僚にそういう者がないということを確信されたり、期待されることはまだしもといたしまして、三権分立の立場をとる現在において如何なる意味で絶対ないということを断言されているのであるか、絶対ないという断言は如何なる根拠に基いてなされているか。私は期待や願望でありましたならできると思いますが、断言ということはなかなかできないが、その断言された理由をお伺いいたします。
  98. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私といたしましてはその人物に対して信頼いたせばこそ閣僚にしたのであります。その人物の不正を立証するような反対の確証があるなら別でありますけれども、確証のない限りはその人に対して絶対の信頼をおかざるを得ないのであります。
  99. 中田吉雄

    中田吉雄君 確信でありましたならばとにかく、総理が信頼されて御任命になつたんですが、これはないということを断言することは神ならぬ身として、又立法、司法、行政の三権分立の立場からしてもなかなか困難であると思う。そこで大変聞きにくいことですが、こういうことが言われているわけであります。吉田総理がないという断言をされたのは、吉田総理が東京地方検察庁の田中萬一次席検事を大磯にお呼びになつて、そこで得られた確信ではないか、断言ではないか、こういうことがかなり流布されているわけであります。そういうことがあつたでしよう。
  100. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御指摘の、田中ですか。
  101. 中田吉雄

    中田吉雄君 田中萬一。
  102. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) そういう人は存じません。又従つて大磯に呼んだこともございません。
  103. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点は大変私もこういうことは潔癖な総理大臣にお伺いしたくないんですが、そういうことが強く流布されている。そうしてアメリカから帰つて来ましたアリソン大使、それらの意向で閣僚に及ぼさないようにというような考えを持つてお会いになつたのではないか。そうして又吉田総理は目黒の公邸でも元高等検察庁の次席検事をしていました木内曾盆氏を招致していろいろ話を聞いておられる、こういうことも伝えられているわけであります。これはやはり吉田総理が断言される、確信を持たれる背景にあるものではないか。最近検察当局の鉾先がにぶつたということに対して国民は大きな疑惑を持つている。その際でありますから恐縮ですが重ねて、目黒の公邸で木内氏にお会いになつた、こういうことも言われておるんですが、如何ですか。
  104. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) どうも私は中田検事の取調べを受けておるようでありますが、断言いたしますがアリソン大使に対しては帰国後まだ一度も会つておりません。  それから木内という人は曾つて……。
  105. 中田吉雄

    中田吉雄君 高等検察庁の次席検事です。
  106. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 今ですか。
  107. 中田吉雄

    中田吉雄君 今は弁護士です。
  108. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) そうですが、その人には最近会つたことはありません。
  109. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今私は吉田総理政治的な或いは道義的な責任と刑法上の刑罰による責任との関連についてお伺いいたしたい。  先にも吉田総理は申されましたが、いやしくも問題は司直の手に或いは検察庁の手にかかつておると、私は事態の全貌或いはその真相が明らかになつた場合は政府は善処することについては断固たる態度を持つておると、こういうふうに言われておるわけでありますが、そういうお立場というものは刑法上の犯罪になりさえせねば、実際献金その他で金をもらつたりしておる者が吉田内閣並びに党の中枢部の人にあつて政治責任はとらないと、こういう意味に解していいのですか。政治責任と道義的な責任と刑法上の問題から起る責任との関連についてお伺いいたしたいと思うわけであります。
  110. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。政治上の責任、若しくは刑法上の責任、道徳上の責任、これは相互いに関連いたしておるものでありまして、免れて罪がないからといつて横を向いておる考えはありませんが、併しながら抽象論では御免をこうむります。いわゆるこういうことがあつた、ああいうことがあつた、個々の犯罪に対して道徳上の責任、若しくは政治上の責任如何ということならお答えをいたしますけれども、こういう場合にどうするかという抽象論ではお答えはできかねます。
  111. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこの際戦後多雑な時局を六年の長きに亘つて担当された総理とされては、やはりこの問題に対してきびしい態度をとられることが晩節を全うされるものではないかと思うわけであります。若し刑法上の犯罪さえ触れねばいいというようなことでありましたならば、吉田総理内閣をお預かりになる前の芦田さんが内閣を辞職されたのは昭和二十三年十月七日であります、そのときに芦田さんは二百万の献金を友けておられますが、これは職務に関するものではない、そして今二審ですか、三審ですかでなお裁判中です。こういうように長い間待たねば、刑法上の犯罪に触れねばそれで頬かむりをするというようなことであつては、それは信頼を基とする議会政治は遂に大衆の支持を失うと思いますが、重ねてこの点についてお伺いしてみたいと思うのであります。
  112. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 御趣旨はわかりませんが、いずれにいたしましても晩節は全うすることに決意いたしますからどうぞ悪しからず。(笑声)
  113. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこの予算委員会でも論語を引用いたしまして政治には信頼が根本である。兵器や食糧以上に民に信頼がなかつたらば政治は遂に地を払うという門弟との何をお話したことがありますが、右派社会党におきましては平野氏の問題についてきびしい態度を党はとつております。これでこそ大衆は信頼すると思いますが、西郷委員長は九十三名ある参議院の国会対策委員長である。その人が明らかに問題を起している。更に自由党の副幹事長である有田二郎氏が逮捕されている。更に吉田総理が信頼されてアメリカに個人的な特使とされた池田政調会長が先般喚ばれている。更に本日の新聞を見ますると届出はしてあると言いながら問題を起しました保全経済会から、幹事長をやつていました増田氏民或いは政調会長をしておりました水田氏、こういうような人が金を保全経済会か二もらつている。こうようなことに対してです、一党の総裁としてきびしい態度をとられずして、どうして大衆の才持が得られますでございましよう。私はやはり断固たる処置をとられることが、世間周知の事実であると思いますし必要と思いますが如何でございます。
  114. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 先ほど申上げました通り全貌が明らかになつた場合に政府としては断然たる処置をとりますから、その点はお疑いのないように希望いたします。
  115. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと議事進行ですが、犬養大臣はどうされたんでしようか。
  116. 青木一男

    委員長青木一男君) 犬養大臣衆議院に緊急質問に出ておられるはずですがすぐ出席を求めましよう。
  117. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと困るんですよ〇これは私の責任ではないのですよ。ちよつと暫時休憩して下さい。
  118. 青木一男

    委員長青木一男君) では速記をとめてそのまま……    〔速記中止〕
  119. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記を始めて。
  120. 中田吉雄

    中田吉雄君 岡崎外務大臣にお伺いいたしますが、この日本におきます三つの汚職事件に関する海外の反響について、どういう反響が特にイギリス、アメリカ等でありますかお伺いしたいと思います。
  121. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 外務省で取調べましたところによりますと、只今わかつておりますのは十九日にUP、三十二日ワシントン・スター、二十四日ワシントン・ロイター、二十六日ロンドンUP、又今月になりましてワシントンUP、二日でございます。等が主なるものでございます。その一々を申上げてもよろしいのでございますが、要約して申上げますると大体において日米消息筋官辺筋ともに、この汚職問題によつて吉田首相乃至吉田内閣の安定性に影響を受けることはないと確信をしておる模様であります。吉田首相は訪米計画を進めている事実は同首相乃至同首相に近い筋が汚職事件に全然関係なく、従つて政府への実質的影響がないことを裏書きしておるものであるということを伝えております。又本事件をめぐつているいろ政治的な動きはあつても現内閣の存続は聞違いなく、これはMSA協定を間近に控え、又国際情勢が自由諸国等の間の一層の緊密な協力を必要とする時期であるだけによろこぶべきことであるといたしております。英国では汚職事件をめぐる日本の政治的困難な事態は、吉田首相が日本において民主的自由主義的な政治のあり方を継続せんとする努力に対する危険信号として幾分の懸念を抱いておる模様でありますが、これは吉田内閣に対する非難の裏にひそむ政治的狙いが新らしい日本にとつて危険なものであると見ているためで、いわゆる汚職事件そのものには殆んど注意を払うものはないと伝えられております。一般にこの汚職事件が狂信的な右翼若しくは共産党に乗ぜられる危険を生ぜしめる懸念があると警戒的でありますが、戦後日本の最も有能な指導者である吉田首相のひきいる内閣が、汚職事件で非難は受けることはあつても倒れることはないと楽観しておる。これが只今入りました英米等の反響の大部分でございます。
  122. 中田吉雄

    中田吉雄君 その問題で私はアメリカの官辺筋とそうでない筋とで三つの観察があると思うのであります。これは重要である。その点はあとで触れるとしてアリソン大使が二月十一日に羽田をたつてアメリカにお帰りになつたが、どういう用事でお帰りになつたか。外務大臣としては大体お知りだと思いますのでその点お伺いしたい。
  123. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) アリソン大使はアメリカ政府との打合せのために帰られたものと了解しておりまして、一国の大使が帰る場合に、日本に関係ある問題とない問題もありましようけれども、我々の承知しておる範囲は一般に日本の情勢を報告するということ、及びたまたまハル司令官が自分の専用機で帰るのでそれに便乗する機会があつたから行つて来る。こういうふうに言われておりますが、それ以上のことは承知しておりません。
  124. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはです、宮辺筋で出たのは只今外務大臣の言われたような通信が多いわけである。吉田内閣が長く続いたらいいであろうという、MSAなんかを受けてもらうためにそういう筋は期待等も含めてそういう観察を下しておるたくさんな報告を分析している。そうでないのはもう吉田内閣はスキヤンダル等で崩壊するのであろう、日本の円価の切下もあるのではないかというようなことがありますし、信頼できるロンドン・タイムス等でも必ずしもそういうことはないわけであります。この点は一つ自分のほうに都合のいいのだけ公表されては私たちとしては脇におちないのですが、そこで私は、アリソン大使がアメリカに帰られてから吉田総理がアメリカにおいでになるのに、正式な賓客としてプレア・ハウスでなくホワイトハウスに一晩二晩宿をしてもらうということは、汚職の問題が全国民の非難になつておる際に、そういうことをされることは重大なる内政干渉になると思いますが、これこそ国民の信頼を失いかけた吉田内閣に対するアメリカのてこ入れであるというふうに考えますが、吉田総理を招待するとかしないとかいうようないろいろなことが言われておりますし、又外務大臣は閣議においてもアリソン大使とお会いになつた結果を報告されておるが、そういうことについてどう考えておるか。
  125. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 友好国の総理大臣が他の友好国に訪問されるような機会がありといたしますれば、これは丁重に取扱われるのはいずれの国といえども同様であります。現にカナダの首相が今度おいでになりますれば国の賓客として日本としてもこれを迎えるということにいたしております。吉田総理大臣がアメリカに行かれるという場合がありますれば、アメリカ政府でこれに対して懇切なる待遇をされることは、日本の国際信用、国際的な地位から申しましても当然のことと考えております。これを若し吉田総理大臣が行かれるというのに、アメリカでそんなことは気にかけないというような態度でありますればそれこそ問題になりますが、丁重にお迎えするというのに何ら問題になることはない。これはアメリカ政府の好意として十分受入れべきことだと思います。
  126. 中田吉雄

    中田吉雄君 そのことについて実はそういうことが起きまして、AP・UPその他各社から重大な内政干渉であるという報告が二時間後にリシントンに行つて、そのためにそういうことはないのだというような取消があつたり、なかつたり、ワシントンの発表は非常に混乱していましたが、一体どうなつておるのですか。それはおいでになれば正式な客賓としてお迎えになることは私も異存はありません。そういうことがあつたのですか、なかつたのですか、そういうことはどうなつております。更にイギリスから松本大使がお帰りになつているくなことも出ておりますが、その剛のはつきりした消息を承わりたい。
  127. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私に関係することでありますから本人からお答いたします。私の米国訪問その他はまだ決定いたしておりませんから、いろいろな噂があつてもそれはお聞き流しを願いたいと思います。
  128. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと議事進行ですがね、外務大臣犬養大臣と二人おられんといけんことがあるのですが。
  129. 青木一男

    委員長青木一男君) じやこのまま暫く待つて下さい。速記をとめて。    〔速記中止〕
  130. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記をつけて。
  131. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは最初に岡崎大臣にお伺いしますが、私は、アリソン大使がお帰りになつた要務は二つある、MSAの最後の仕上げ、今問題になつているスキヤンダルについての報告、この二つだというふうに聞いているわけであります。十九日に、曾つて岡崎大臣のおられます外務省におつて今通信社に入つておるヘンスレーその人から、ワシントンのUP電報で送つて来たのを私は見ております。それによりますと、吉田内閣には閣僚並びに閣僚クラス数名の疑獄があると、併しそれにもかかわらず吉田内閣は何とか乗り切るであろうし、又アメリカは強くこれを期待する。こういう重要なことをアリソン大使が帰つてのヘンスレーが得た情報として送つているわけであります。私がお伺いしたいのは」般に捜査陣営の活動状況が、アリソン大使が二月二十三日にお帰りになつてから、それ以来捜査方針に大きな変化があつた、こういう疑惑が持たれているわけである。この点については外務大臣は二十五日にアリソン大使にお会いになつているが、この問題について何か話が出ましたか、その点お伺いしたい。
  132. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) アリソン大使はアメリカの大使といたしまして、日本に対する内政干渉のようないやしくも懸念のあるようなことは厳に慎んでおられました。アリソン大使のためにこれは明白にここで申しておきます。一国の大使に対する侮辱にもなりかねない問題でありますからはつきり明らかにいたしておきます。さような事実は全然ありません。
  133. 中田吉雄

    中田吉雄君 それではアリソン大使は再三な新聞記者団会見においてこの問題に対して重大な関心を持つているということを表明されているが、内政干渉はしないが重大な関心を持つているとは一体何であるかその点をお伺いしたい。
  134. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) アリソン大使が汚職問題について正大な関心を持つているというような新聞会見をしたことは全然ありません。
  135. 中田吉雄

    中田吉雄君 私たくさん持つていますよ。併し時間がありませんので、犬養大臣がおいでになりましたのでお伺いしますが、検察陣営で昭和電工の問題にからんで広範な検挙をやつたが、かなり無罪になつたりした人もあつて、そういう体験にからんでこのたびはあつものにこりてなますを吹くように慎重にしているのではないか。こういう噂もあるのですが、その間どういうふうに見ておられますか。
  136. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。検察庁におきましては過去の幾多大事件を扱いました体験によりまして、事慎重にステツプ・バイ・ステツプと検挙の問題をやつておるという方針はおつしやる通りでございますが、その間何かお言葉の裏に多少加減しておるのでないかというようなふうに、若し誤解があつたらお詫びを申上げます、聞こえましたがそういう点は全然ございせん。
  137. 中田吉雄

    中田吉雄君 元検事総長でありました福井盛太、元最高検の次席検事であつた木内曾盆、この二人が汚職グループの弁護士として、曾つてのふるさとでもありますし、なかなか弁護士のいろいろ限界を超えた活動があるんじいないか。こういうようなことが言われているのですが、疑惑を解かれるためにもその形跡の有無についてお伺いしたい。
  138. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。仰せのように福井盛太氏、木内曾釜元次席検事が事件関係の弁護人として立つておられるということは私も新聞で拝見いたしました。福井氏、木内氏の個人のことをここで批評することは差控えますが、原則論といたしまして、元検察庁におられた方がその元おられたという履歴を過度にひけらかす気合、却つて検察庁内には反抗的な空気が起るということを私は体験しております。このことを申上げたいと思ます。
  139. 中田吉雄

    中田吉雄君 この捜査はすでに終止符を打つたじやないかという疑問がかなりあるわけであります。それはMSA受入に関して政局の安定が必要である。その米国の意図というものが吉田内閣に強く伝達された、そしてその意を受けられて犬養大臣は佐藤検事総長と会見された、それ以来終止符を打つたじやないか。こういうことがいわれていますがそういうことはあつたでしようか、疑惑を解くためにもはつきりして、頂きたい。
  140. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。この点は只今外務大臣からも御答弁がありましたが、持に大切なことでございますからお答え申上げたいと存じます。米国は友好国でありますが飽くまでも外国でございまして、御承知のように私ども当局が昨年刑事裁判権の独立について苦心をいたした点は、中田さんの御質疑のような懸念のない国にいたしたいという真意にほかならないのでございます。従つて外国からいやしくも国内の犯罪容疑について干渉して参るがごときことは想像もつかないことでありまして、私ども仮の話でございますが万が一にもそういうことがありましたならば「刑事裁判権の独立を主張して参りました私としましては、そういうことは全然念頭におかない態度をとつて行きたいと思います。
  141. 中田吉雄

    中田吉雄君 三つのこの底知れぬ雄大な事件に取組んでおられる検察当局に対して敬意を表するものですが、併し先に言いましたような結果からいたしまして、又造船疑獄の中心であるところの、そしてこの留置が予定された飯野海運の俣野社長、更にこの中心である浦賀ドツクの多賀氏が不問に付されてしまつた。そして二十七日の夕刻には起訴予定の日立造船所の社長の松原氏、又、浦賀ドツクの取締役の小田氏も起訴不起訴の決定もせずに処分保留のために釈放されている。そして七十社に及ぶと称せられる造船リバ—トの問題も、もう調査に打切つてしまつたというようなことも伝えられているわけであります。そして又、若い実際にこれと取組んでおられる検察陣営が二つに割れてやはり問題が起きていると、こういうこともいわれているわけですが、そういうことがございますか。
  142. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。検察陣営が二つに割れているのではないかという御注意でございますが、積極的に検事総長より最近再度に亘つて報告がございましたが、検察庁が今日のごとく誠に気心が一致して団結して検挙に当つている事例は少いとの報告でございます。従つて検察庁が何か不正な検挙の仕方をしているというような御注意でございますけれども、そういうことは全然ございません。  又お話によりますと、これも私の思い過しであれば御了解を願いたいと思いますが、検察陣が検挙のやり方をゆるめるとか、変更したのは、何か政治的圧迫があるのではないかという御懸念だと思いますが、これは検察庁の第一線なり如何なる場所をも詳細に御調査下さいますと御了解ができると思いますが、そういうことは微塵も今日行われていないのでありまして又行わないのが私の方針でございます。
  143. 中田吉雄

    中田吉雄君 犬養大臣が党内で困難な立場におられることは、我々としても尊敬するわけですが、(笑声)併しいろいろ問題がありまして、一見有田氏の期限付の逮捕を国会の決議に、反してやるということによつて強いような態度を示しながら、造船、保全、日殖の三つの事件を交互に取扱うことによつて事件を冷却して、そうして我が党の成田知巳氏が言つたように、大物は忘れられた頃に無難になるという形に持つて行くのではないかという三つの事件を交互、やつてそうして冷却するのではないかと、こういうことが言われているわけです。この点について御所見を恐縮ですが承わりたい。
  144. 犬養健

    国務大臣犬養健君) これも実情を申上げて御了解を得たいと思います。御指摘になりました各事件はそれぞれ担当が違つておりまして、なかなか夜遅く明方に至るまでも検察事務に従事するというような過労な点はございますが、その一つの担当の者がぐるぐる三つを廻つてその間あとの三つがおろそかになるというような組織になつてはおりません。又手不足な点は横浜或いは京都、大阪から中堅の検事を動員いたしましてそれで足らざるところを補つている次第でございます。  有田議員の捜査について大変表向きは強いようだが、その後ゆるめているのではないかという御注意でありますが、この点は同僚議員に対しての批評は誠に申上げることはつらいのでありますが、捜査の手はゆるんでおりません。
  145. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは先ず最初に外務大臣にお伺いし、次に犬養大臣にもお伺いしたいと思うのですが、特にそういう浮説がありますので私は申上げなければならない。ソ連の中日代表部と申しますか、占領時代からおりましたところのテストボロフが失踪しました事件がございます。これについて外務大臣のほうではどういうふうになつているかおわかりですか、この点お伺いしたい。
  146. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) この事実は確かにあるようでありますので警察方面において捜査いたしていると了解しております。アメリカ側に逃げたのであろうという噂もありましてアメリカ側にも問合せておりますが、今のところその事実はないようであります。
  147. 中田吉雄

    中田吉雄君 この問題については私幸い外務委員会におりますからやりたいと思いますが、この点に関しまして実は我が党で今十五の汚職、疑獄を調べているのですが、不思議なことには殆んど池田さんに行つてしまうのです。これは砂糖の問題にいたしましても造船でも保全経済会でも繊維でも汚職のもとは、すべて権力を持つています池田さんに……。そこでこういうことがいわれている。この事件に私も想像も及ばなかつたのですが、犬養大臣が関係されているということを側近筋が触らすことによつて捜査陣営を抑えるのならこれで、というふうに犬養大臣を牽制する一つの問題に使つているということはかなりあちこちで言われているわけである。この点は一身上の弁明にもなりましようし、重大な問題です。又伝えられるところによるとこれは外務委員会でやりますが、これこそ内閣の死命に関する重大な問題であると言われている、そういうことについて一身上のはつきりした弁明を承わつておきたい。
  148. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答え申上げます。中田さんも言及されましたように誠に奇想天外なことでございますが、成るほど考えてみますると私のいま勤めております法務省には出入国管理の事務をいたします入国管理局がありまして、そこで何か私が特に情報を流して逃がしたのではないかというようなことになればなり得るのでございますが、全然出入国管理局はラストボロフという人の出国について扱つたことはございません。又表向き扱わないが裏で扱うというようなことも全然ございません。ついでながら一身上の弁明をしろとの御注意でございますから申上げますが、私はラストボロフという人を公私共に直接間接、又ラストボロフの友人も如何なるソ連人もつきあいがございません。間接にもございませんのでその点は御安心を願いたいと思います。又私がラストボロフと関係があるように言つて事件を抑えるのではないかというお話でございますが、ラストボロフと関係があるから捜査の手をゆるめろというような有機的関係はちよつと私、頭にも浮ばないのでこの点も一つ御了解を願いたいと思います。
  149. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこの国民的な不率である汚職の問題は、国会自体が自己責任においてやるべきだと思いますし、又検察庁に期待するところも極めて大きいわけであります。ところがいろいろ言われている。特に名前を上げて恐縮ですが御伝言願いたい。それは最高検察庁の次長検事である岸本義廣です。この方はなかなか政策的な取扱をする人であります。特に広島におられまして池田さんが中央に栄転させられる大きな役割を果された人、そうして私が参議院選挙のときにこの人のために惨澹たる被害を受けているのです。(笑声)それは私の県に他党の人が一千万以上も選挙資金を持つて来てその買収の限りを尽した人を取扱わずに、私が出版した新聞の、朝日毎日に出した小さい広告を調べて、そうして鳥取県から行きました検事、警察隊長等に中田を徹底的にやれという指令を出されたのは実に岸本氏なんです。私はだから実に記憶に新たなんです。この人がおつてこの人がやればいろいろな政治的なことでその若い諸君に圧力がこの方面から加わつてやはり困難になつてくるという話もあるのです。この点はそういうことはないと思いますが私は体験しているのです。僅か出版広告をしたようなことを県の検事の人も警察隊長もどうにも問題にならんと思うのですが、岸本さんが検事の会議でやかましく言われるのですからといつて随分ひどい目にあつているのです。更に右翼団体がこの捜査陣営に対して圧力を加えているという話がありますが、そういうことがありますか、その点はつきりして頂きたい。
  150. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えをいたします。岸本最高検次長検事に対する御批評でございますが、これは検察庁の事務を詳細に申上げると御了解を得ると思うのでありますが、かような天下の注目を浴びている大事件は、元来どんな小さい事件でもそうでございますが、一次長検事などの指図で捜査方針の変るものではございません。御承知のように東京検察庁でこれを扱つておりますが、それについての態度方針決定は最高検、東京高検連合で協議をいたしますので、一二の者の思想や方針や思惑で態勢が動かないようにできているのでございます。又それが私は正しいことと思つておりますので御懸念の点は万々ないことを申上げたいと思います。  右翼方面で検察庁への圧迫があるかということでございますが、私も右翼左翼などについての事件に対する態度を特に注目して詳細報告を求めておりますが、只今のところ全然そういうことはございません。
  151. 中田吉雄

    中田吉雄君 いろいろ言い過ぎもあつたかと思いますが、とにかく国会並びに検察陣営、国民の世論、この三つによつてこれを解決してそうして日本の国を健康体にしなくてはならん。検察陣営に対する期待が大きいためにそういうことを言つたので了解して頂きたいと思うわけであります。  そこで具体的ないろいろな問題について御質問したい点もありますが、最後に私は吉田総理にお伺いしたいのは、アメリカが強力に支持しているアジア諸国は殆んど汚職と腐散した政治によつて政権が国民の信頼を失つている。これについてどのようにお考えになりますか。ここに持つているのはアメリカ国務省から出ましたユナイテツド・ステーツ・リレーシヨン、ウイズ・チヤイナ、いわゆる中国白書というものであります。ここに持つていますのは、フイリピンの経済が、戦後アメリカが二十億ドルの対比援助をしたにもかかわらず、もう腐散し切つてしまつてどうにもならんというので、ベル調査団を派遣したそのベル・リポーツであります。この二つを読んでみますると私は全く他人事でない気がするわけであります。大蔵大臣にも御紹介しますがフイリピン経済はこうなつている。フイリピン戦後の国際収支の特長は輸出が非常に少い。米国の政府支出が非常に過大である。輸入が過大である。貿易外支出が非常に多い、どうにもならん、こういうところに援助したつてざるに水を入れるようなものである。全く我が国の現在と同じことなんです。対華白書におきましてもアチソンの国務省で広範な調査をされて、こういう結果になつて二十億ドルくらい双方が援助を受けながらついに共産主義の政権に席を譲らざるを得なかつた。更にフイリピンにおいても我が国の戦犯釈放に厚意を寄せて頂きましたキリノ政権も腐敗のためについにマグサイサイ大統領に席を譲らざるを得なかつた。こういう点で私は今にしてこの汚職にメスを徹底的に入れん限りは、第二の蒋介石政権とかフイリピンのようなことになるのではないかと思いますが、吉田総理はどのようにお考えでございますか。
  152. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。フイリピンその他における事例は承知いたしませんが、少くとも日本に関する限りは今のような事態は断じてないのみならず、させない考えでおります。又アメリカも日本に対する態度は非常に慎重であります。然らざるもとかく新聞等に反米感情などが報道せられるものでありますから、米国の軍官憲その他においても日本に対しては非常に慎重な態度をとつておる。私の体験するところによつて、よその国においてどういうことがあつたか知りませんが、日本に関する限りは御懸念のないように希望いたします。
  153. 中田吉雄

    中田吉雄君 この三つの汚職疑獄というものは、日本経済、政治、行政に巣食うところの汚職の氷山の一角ともいうべきものであると私は思うものである。これは丁度人間の体にたとえてみますと、一種の癌ができたようなものである。私はこの病源巣を今にして切開しません限りは転移する、あちこちに病源菌が移る、メタスターゼして遂に日本の国は収拾つかないようになる。だからこれに検察当局その他の圧力を加えるのだ。更に国会自身が自分のところの汚職を勇気を振つてこの問題を解決するというのでありましたら、癌を切開し或いは胃潰瘍を切開手術して治るでありましようが、これがいい加減なことでやられますならばあちこちに転移して遂に日本の国は収拾つかんようになる。例えば私が関係しています地方行政を見ましても、遊興飲食税から逆算しても一千数百億の遊興がなされている。法人の交際費は数百億あるわけで、こういうことがもう全部ここに来てどうにもならないというようなことになつて、この切開なしには外資導入或いはコスト引下も殆んど不可能だと思いますので、日本の国全体にできたこの汚職の潰瘍を勇気を振つて処断されることを私は強く期待するものであります。更に又そういうことなしにこの問題を不問にして、外国に汚職をひつさげておめおめと外遊されることについては私は強く反対して、最後にこの点について総理の御所見を承わりたいと思うわけであります。
  154. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 政府が如何にもこの問題を等閑に付するようにお考えのようでありますが、しばしば申した通り事態の全貌がわかつた場合に、政府としては適当な措置をなすことにおいて躊躇いたしません。
  155. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは御健闘を祈つてやみません。これで私の質問を終ります。
  156. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。次回は月曜日午前十時より開会いたします。    午後三時三十三分散会