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政府委員(
斎藤信一郎君) それでは今回の
郵便車の襲撃
事件のあらましを御報告申上げます。
襲われました車は、日本
郵便逓送株式会社横浜支店所属の
郵便運送用の赤自動車でございます。これに乗務しておりましたのが、運転手、並びに助手、それに丁度磯子の局員が一名たまさか便乗いたしておりました。
事件の起きました日が三月一日の午後九時過ぎでございまして、この運送の便名が、神奈川—横須賀間東廻上五号便という
郵便でございます。金沢分室発が二十時五十一分が定時でありまして、ほぼその時刻に神奈川局に向けて出発いたした便でありまして、その概略を申上げますと、磯子局に向いまして、午後九時少し前に谷津坂というところがございます。少しこう上りに差しかかりました、その手前の消防署の先の当りで、そのとき尾行しておりましたと思われる乗用車に乗つた三人組の強盗にストップを命ぜられました。猟銃を突きつけられて、赤自動車の運転手以下三名とも犯人たちの乗
つて来た乗用車の後部の荷物入れに押し込められたのであります。然る後犯人たちは乗用車並びに赤自動車をいずれも運転いたしまして、今まで来ました道をバツクして途中で右に取りまして、朝比奈峠のトンネルの戸塚よりの出口附近で停車いたしました。約三十分の間に赤自動車の中に搭載中の大郵袋を西洋カミソリで以て切り割きまして、在中の
郵便物を抜き取りまして、運転手と三省を今度は逆に赤自動車の荷物を積む
部分に閉ぢ込めて、施錠をかけまして犯人たちは抜き取つた
郵便物を乗用車に移して、戸塚方面に逃走したというのが、
事件の概略でございます。
なお、これが捜査につきましては、横浜地検が中心となりまして、なお
郵政省からも、東京郵政監察局の第一部長以下十四名、並びに横浜郵政監察官
事務所の主任監察官以下八名、合計二十二名の監察職員を動員いたしまして、ほぼ
業務上の専門的立場から、主として部局
関係を洗うということで協同捜査に努めております。新聞等に捜査の途中の段階のいろいろの記事が載
つておるようでありまするが、今まで出ました報告の限りでは、今以て犯人を確定し、逮捕するところまで参
つておりません。
それからなお、被害
状況でございますが、当時その車に搭載しておりました
郵便物は、大郵体が丁度六十個でございまして、その中には赤郵体が全部で三十二個入
つておりました。ところが実際に被害を受けました
郵便物は、その大郵体六十個のうち、切り開かれました大郵体が全部で三十五個、約半数でございます。その三十五個の内訳は、通常
郵便物を締切りました郵体が十六個、それから小包
郵便物を締切りました郵体が十九個、合せて三十五個、なお通常締切り郵体の十六個の内訳ですが、有証、無証とこう分かれておりますが、有証と申しますのは、つまり赤郵体等を納入してありまして、その送り状が入
つている行嚢を有証と申しております。有証が七個、無記が八個、つまり入
つていないものまであけておるということになるわけであります。合計三十五個の郵体をカミソリを以て切り割いて中味を出したわけであります。
それで実際に盗難にかかりました
郵便物は
現金書留が合せて三十通、これの被害
金額が二十三万三千八百九十二円でございます。そのほかの普通の書留が三通ございまして、これの包有品につきましては、なお目下調査中でございまして、はつきりいたしておりません。なお、そのほかの普通通常
郵便物、及び小包
郵便物には被害はない模様であります。大体以上であります。