○藤野繁雄君
只今議題となりました三
法律案について、大蔵
委員会における
審議の経過並びに結果を御
報告申上げます。
北海道における国有の
緊急開拓施設等の譲与に関する
法律案について申上げます。
本案は衆議院議員苫米地英俊君ほか四十二名提出にかかるものであります。開拓事業を緊急に実施するため、
北海道においては
昭和二十年度から同二十二年度までは直接国費を支出して学校、診療所、住宅、共同作業場及び共同倉庫等の施設を
建設し、関係市町村に管理させたのでありますが、当時は資材の枯渇、資金の欠乏、急激な物価変動等のため、到底国費だけでは
建設不可能であり、従
つて各市町村においても事実上相当多額の負担金を支出せざるを得なか
つたばかりでなく、その後も今日に至るまで、これが補修維持に多額の費用を投じて参
つておるのであります。而して
昭和二十二年度以降におきましては、国の施策変更により、
北海道におけるこの種開拓事業は、補助金制度に切替えられることになり、今日に及んでいるのでありまして、これらの経緯及び実情等に鑑みまして、
昭和二十三年度以前の
建設にかかる以上の施設等は、これを関係市町村に譲与することができることとしようというのであります。
本案の
審議の詳細は、速記録によ
つて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入り、平林委員より、「当局はこの
法律の適用に当
つては地方民の意のあるところを知悉して、十分その
要望に応えるようにせられたい」との希望を附して
賛成の意見が述べられ、採決の結果、
全会一致を以て、原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、出資の受入、
預り金及び
金利等の取締に関する
法律案について申上げます。
元来、出資金は複数人の共同事業の基金として醵出せられる金銭であ
つて、後日これに相当する金額が出資者の手許に復帰するかどうかは、その事業の成否如何にかかるものでありまして、あらかじめその返還を確約しがたいものであります。然るに最近におきましては、出資金として一般大衆から大量の金銭を受入れるにつき、一方において後日必ずその全額又はこれを超える金額を支払うべきことを表示し、又はその全額を払戻すかのごとき誤解を生ぜしめるような方法を用いており、他方において事業不成功の場合に、その全額の支払の不能を来たしている場合が少くいのであります。このような方法によりまして、不特定且つ多数の者から金銭の受入をすることは、出資者に不測の損失を招来せしめるのみならず、一般の経済秩序に混乱を生ぜしめる因になることは明らかであります。そこでこのような金銭の受入を禁止する方途も考えられるのでありますが、この際、出資金の性格を誤認せしめるような出資の受入を禁止し、一般大衆を惑わすような金銭の受入の方法を一掃いたそうとするものであります。
又、預金の受入等の受信業務につきましては、現在すでに各般の金融関係法規によりまして、行政庁の免許乃至認可を受けた金融機関以外の者がこの業務を営むことを禁止しているのでありますが、最近はこの面における脱法的な行為も、巧妙な手段がとられるようになりまして、取締に困難を加えて来ておるのが実情であります。従いましてこの際、預金の受入等の禁止の範囲について明確な規定を設ける等の
措置によりまして、取締に便ならしめ、以て金融秩序の維持を図ることといたそうとするものであります。
次に、金銭の
貸付等を業とする貸金業者につきましては、現在貸金業等の取締に関する
法律によりまして、貸金業を営むには、大蔵大臣への届出を要することとな
つており、このほか、貸金業者が
預り金をすることを禁止すると共に、更に金融機関の役
職員等のいわゆる浮貸し等を禁止し、又この
法律制定の当時、無尽業法に規定する無尽に類似する業務を行な
つていたいわゆる殖産会社の整理の
措置を規定しているのであります。然るところ、現在に至るまでのこの
法律の運用に鑑みますと、貸金業者の届出制は、現在においてはその必要を認めないのみならず、むしろ弊害を生じている状況でありますし、他面殖産会社の整理はすでに完了いたしておりますので、この際この
法律は、これを廃止いたそうとするものであります。なお、貸金業者の金利のみならず、一般に金銭貸付の利息等につきましては、その不当に高いものはこれを取締る必要があると考えられますので、今回罰則を以てその取締を行うことといたそうとするものであります。
次に
本案の主な内容について、その概要を申上げます。第一に、何人も不特定多数の者に対して、後日出資金の金額以上の金額を払戻すべき旨を示し、又はこのような払戻しがある旨の誤解を生じさせるような仕方を用いて出資の受入をしてはならないことといたしておるのであります。
第二に、他の
法律に特別の規定のあるものを除いて何人も業として
預り金をしてはならないこととし、
預り金の解釈規定を設けると共に、主として貸金を業とする者が社債の発行により不特定多数の者から貸付資金を受入れるときは、業として
預り金をするものとみなそうとするものであります。
第三に、貸金業等の取締に関する
法律は、これを廃止することとし、同法中の金融機関役
職員等に対する浮貸し等の禁止規定は存置することとし、おおむねこれと同様の規定を設けようとするものであります。
第四に、金銭の貸付を行う者が、その貸付利息について日歩三十銭の限度を超えてこれを契約し又は受領したときは、刑事罰を科すると共に、金銭の貸借の媒介を行う者は、その手数料について、媒介金額の五分の限度を超えてこれを契約し、又は受領してはならないこととしておるのであります。
第五に、罰則につきましては、高金利の処罰のほか、出資金の受入の制限、
預り金の禁止、浮貸し等の禁止及び媒介手数料の制限の各規定に違反した者、及びこれらの各規定の脱法行為をした者に対し、刑事罰を科することとすると共に、所要の両罰規定を設け、又銀行法、貯蓄銀行法、信託業法及び無尽業法の無免許営業者に対する罰則を強化し、併せて両罰規定を設けるほか、これらの
法律中の他の罰則についても整備を図ろうとするものであります。
本案は、衆議院において修正議決せられたのでありますが、その修正点は次の諸点であります。
第一に、出資金の受入の制限に関する規定を簡略且つ明確にしたこと。
第二に、
政府原案において、貸金業等の取締に関する
法律を廃止することとな
つておりますが、貸金業に関する規定を加えたことであります。これによ
つて貸金業者は政令の定めるところにより、大蔵大臣に届出をしなければならないこととなり、又、大蔵大臣は必要があるときは貸金業者より
報告を徴し、又、調査を行うことができる旨の規定を加えたことであります。
第三に、大蔵大臣は政令の定めるところにより、貸金業に関する規定に基く権限の全部又は一部を都道府県知事に委任ずることができることとしようとするものであります。
第四に、その他罰則の規定及び条文の整理をいたしたことであります。
大蔵
委員会におきましては、従来より租税金融制度及び専売事業等に関する調査の案件の一つとして、類似金融機関の発生の経済的な要因、類似金融機関の実態及びその社会的経済的影響、更に
政府のかかる類似金融機関に対する
措置及びその責任等について調査研究をいたし、この種取締法規の必要を痛感して、
政府に対し、しばしばこれが要請をいたして参
つたのであります。
委員会における
審議の詳細につきましては、速記録によ
つて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、平林委員より、「一、本
法律案の対象となる庶民金融機関が昨秋より崩壊したのであるが、その原因はかかる庶民金融機関から莫大な政治資金が政党に流されていたためである。かかる零細形態から莫大な献金が出れば、
企業の経営は困難となることは自明の理である。この
法律を出さざるを得ざるに至らしめたのが吉田内閣であるので反対する。二、去る四月三日、本院の
決議がなされているのに、
政府は依然として何らの処置をと
つていない。国会の
審議権と本院の性格からして、
本案に反対する」との意見が述べられ、小林委員より、「この
法律案は、我々が
政府を督励して出させたのであり、衆議院修正等に多少の不備があるが
賛成する、又中小金融及び庶民金融等について別途配慮を加えられんことを希望する」旨の
賛成意見が述べられました。
討論を終り、採決の結果、多数を以て、
衆議院送付案の
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
証券取引法の一部を
改正する
法律案について申上げます。
先ず、
本案の提案の理由について申上げます。近年における一般大衆による証券投資の増加に顧み、投資者の保護を強化する必要があるのでありますが、最近一部の貸金業者、例えば株主相互金融会社等にその例が見られますように、株券等の募集、売出し等に際し、その株券等の額面価格が常に保証され、又は一定の配当等の支払が保証されるものと誤認させるような誇大な宣伝方法を用いて投資を勧誘し、これを信頼して投資に応ずる一般大衆に損害を与え、又は与える虞れがある勧誘行為が半ば公然と行われているのであります。投資者の保護のためには、これらの勧誘行為の規制を一層強化する必要があると認められるのであります。
次に
本案の主な点について申上げます。第一に、株券等について、その投資額相当額の金銭の回収が可能である旨の宣伝等をすることを禁止いたそうとするものであります。即ち株券、投資信託又は元本補償の契約の存するもの以外の貸付信託の受益証券等の募集、売出し等に際し、一般大衆に対し、これらの証券が一定の価格で買戻し等が行われる旨の表示をすることを禁止することといたそうとするものであります。
第二に、これらの証券について一定の額の配当等が受けられるものと誤解されるような宣伝等をすることを禁止することといたそうとするものであります。即ち株券、証券投資信託又は貸付信託の受益証券等の発行者、売出しをする者、これらの役員、使用人等が、これらの証券の募集、売出し等に際し一般大衆に対して、これらの証券につき、一定額の利益配当が確実に行われる旨の表示、その他一定の利益配当金等が受けられるものと信じさせる虞れのある表示をすることを禁止することといたしているのであります。なお、これらに違反した者は、六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処そうとするものであります。
本案は、
只今御
報告申上げました出資の受入、
預り金及び
金利等の取締に関する
法律案と関連する
法律案でありますので、
審議の詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論採決の結果、多数を以て、原案
通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御
報告申上げます。(
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