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1954-05-21 第19回国会 参議院 本会議 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十一日(金曜日)    午後二時三十二分開議     —————————————  議事日程 第四十九号   昭和二十九年五月二十一日    午前十時開議  第一 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報)  第二 遺産相続及び贈与に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)  第三 外務省関係法律整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提出)(委員長報告)  第六 日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 へき地教育振興法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 文化財保護法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 香川県直島町の地域給に関する請願委員長報告)  第一一 香川県多度津町の地域給に関する請願委員長報告)  第一二 鹿児島県志布志町の地域給に関する請願委員長報告)  第一三 鹿児島県末吉町の地域給に関する請願委員長報告)  第一四 茨城県高萩町の地域給に関する請願委員長報告)  第一五 香川県香西町の地域給に関する請願委員長報告)  第一六 岩手県前沢町の地域給に関する請願(二件)(委員長報告)  第一七 愛知県豊明村の地域給に関する請願委員長報告)  第一八 島根県掛合町の地域給に関する請願委員長報告)  第一九 大阪府河内長野市の地域給に関する請願委員長報告)  第二〇 静岡県鷹岡町地域給に関する請願委員長報告)  第二一 愛知県常滑市の地域給に関する請願委員長報告)  第二二 福島県日和田町の地域給に関する請願委員長報告)  第二三 福島県好間村の地域給に関する請願委員長報告)  第二四 岐阜県陶町の地域給に関する請願委員長報告)  第二五 茨城県相馬町の地域給に関する請願委員長報告)  第二六 高知吾桑村の地域給に関する請願委員長報告)  第二七 鹿児島県上屋久村の地域給に関する請願委員長報告)  第二八 群馬県太田市の地域給に関する請願委員長報告)  第二九 国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律中一部改正に関する請願(二件)(委員長報告)  第三〇 太平洋水域における原爆実験阻止等に関する請願(三件)(委員長報告)  第三一 太平洋水域原爆実験による損害補償等請願委員長報告)  第三二 ソ連中共地域抑留同胞救出等に関する請願委員長報告)  第三三 海外抑留胞引揚促進に関する請願(五件)(委員長報告)  第三四 駐留軍独身兵舎建設反対に関する請願(二件)(委員長報告)  第三五 米軍人による事故防止等に関する請願委員長報告)  第三六 北海道大津村に駐留軍演習場設定反対請願(二件)(委員長報告)  第三七 大阪市立大学杉本校舎返還に関する請願委員長報告)  第三八 京都府若狭湾の軍事基地化反対等に関する請願委員長報告)  第三九 鹿児島県鹿屋市に米軍演習場設定反対請願委員長報告)  第四〇 国連軍協定締結に伴う救済措置請願委員長報告)  第四一 日中貿易協定承認に関する請願委員長報告)  第四二 海外移民送出に関する請願委員長報告)  第四三 社会保障最低基準条約批准に関する請願委員長報告)  第四四 消費者米価すえ置に関する請願(四件)(委員長報告)  第四五 消費者米価すえ置等に関する請願(二件)(委員長報告)  第四六 生産者米価引上げ等に関する請願委員長報告)  第四七 生産者米価引上に関する請願委員長報告)  第四八 群馬藤原ダム建設に伴う国有林払下げ請願委員長報告)  第四九 食掛自給促進法制定に関する請願(二件)(委員長報告)  第五〇 配給米増配に関する請願委員長報告)  第五一 宮崎県営蓑原地区畑地かんがい事業費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第五二 岩手山ろく水田開発事業促進に関する請願委員長報告)  第五三 岩手県小友村地先公有水面干拓工事施行に関する請願委員長報告)  第五四 農業共済制度確立に関する請願委員長報告)  第五五 北海道上川地方治山事業促進に関する請願委員長報告)  第五六 北海道檜山地方治山事業施行に関する請願委員長報告)  第五七 北海道日高地方治山事業促進に関する請願委員長報告)  第五八 北海道宗谷地方治山事業施行に関する請願委員長報告)  第五九 岩手県九戸高原開拓道路開設に関する請願委員長報告)  第六〇 積雪寒冷単作地帯農業振興に関する請願委員長報告)  第六一 未墾地買収反対に関する請願委員長報告)  第六二 岡山児島湾干拓工事促進に関する請願委員長報告)  第六三 京都府綴喜郡西部地区土地改良事業施行に関する請願委員長報告)  第六四 災害農家救済に関する請願委員長報告)  第六五 消費者米価等引上げ反対等に関する請願委員長報告)  第六六 消費者米価等引上げ反対に関する請願委員長報告)  第六七 積雪寒冷単作地帯振興事業予算増額に関する請願(二件)(委員長報告)  第六八 栃木県那須山ろく集約酪農地域選定に関する請願委員長報告)  第六九 林道開設費国庫補助に関する請願委員長報告)  第七〇 林道開設事業施行に関する請願委員長報告)  第七一 新潟県安野川農業水利事業に関する請願(二件)(委員長報告)  第七二 岡山県秋芳川沿岸地盤沈下地帯対策事業施行に関する請願委員長報告)  第七三 保温折衷苗代温床紙全額補助等に関する請願委員長報告)  第七四 耕地災害復旧事業費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第七五 北海道頓別、仁達内両原野開発促進に関する請願委員長報告)  第七六 農林予算削減反対に関する請願委員長報告)  第七七 農業改良普及員増員等に関する請願(五件)(委員長報告)  第七八 農産物価格安定法予算に関する請願委員長報告)  第七九 農作物病害虫防除助成費増額に関する請願委員長報告)  第八〇 急傾斜地帯農業振興臨時措置法予算に関する請願(二件)(委員長報告)  第八一 昭和二十八年産米減収加算額追加払に関する請願委員長報告)  第八二 土地改良事業予算削減反対に関する請願委員長報告)  第八三 新潟小栗田原地域かんがい用水路開さく予備調査実施に関する請願委員長報告)  第八四 岩手和賀西部用水改良事業促進に関する請願委員長報告)  第八五 農業施設復旧工事費国庫補助早期交付等に関する請願委員長報告)  第八六 農地局災害復旧事業関係職員定員増員に関する請願委員長報告)  第八七 地方農地事務局事業所職員定員増員等に関する請願(三件)(委員長報告)  第八八 中小企業菓子製造業者危機打開に関する請願委員長報告)  第八九 農業改良普及事業費国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第九〇 木炭公営検査強化立法措置に関する請願(十一件)(委員長報告)  第九一 岩手大津保所在津谷川国有林払下げに関する請願上(委員長報告)  第九二 購繭資金に関する請願五件)(委員長報告)  第九三 秋田県八郎潟干拓事業促進に関する請願委員長報告)  第九四 新潟県下越十箇町村の集約酪農団地指定等に関する請願委員長報告)  第九五 国有林野払下げ等に関する請願委員長報告)  第九六 国有林払下げに関する請願(二件)(委員長報告)  第九七 保温折哀苗代温床紙購入費国庫補助に関する請願委員長報告)  第九八 国有林野払下げに関する請願委員長報告)  第九九 玉糸を繭糸価格安定法中に包含するの請願(十五件)(委員長報告)  第一〇〇 農業災害復旧事業に関する請願委員長報告)  第一〇一 中央競馬の益金の一部を共同募金会交付するの請願委員長報告)  第一〇二 長崎県の畑地畑地農業改良促進法畑地地域に指定するの請願委員長報告)  第一〇三 国有林生産材払下げに関する請願場委員長報告)  第一〇四 高知県大崎村農道開設工事促進に関する請願委員長報告)  第一〇五 未墾地買収価格算定基準引上げ等に関する請願委員長報告)  第一〇六 桑園の凍霜害対策に関する請願(三件)(委員長報告)  第一〇七 佐賀県北多久町の地域給に関する陳情委員長報告)  第一〇八 鹿児島県三笠町の地域給に関する陳情委員長報告)  第一〇九 太平洋水域における原爆等実験阻止に関する陳情委員長報告)  第一一〇 太平洋水域における原爆実験阻止等に関する陳情(四件)(委員長報告)  第一一一 原爆実験に伴う被害対策陳情(二件)(委員長報告)  第一一二 原爆実験阻止等に関する陳情委員長報告)  第一一三 ソ連中共地域抑留同胞完全救出等に関する陳情委員長報告)  第一一四 海外抑留同胞引揚等に関する陳情委員長報告)  第一一五 ソ連中共地域抑留同胞救出に関する陳情委員長報告)  第一一六 海外抑留同胞救出等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一一七 中国紅十字代表李徳女史来日要請に関する陳情委員長報告)  第一一八 東京都用賀旧陸軍衛生材料しよう跡接収反対に関する陳情委員長報告)  第一一九 北海道大津村に駐留軍演習場設定反対陳情(二件)(委員長報告)  第一二〇 広島県海田市町地区米軍弾薬陸揚場設置反対陳情委員長報告)  第一二一 山口県岩国市沖合姫小島周辺国連軍演習中止等に関する陳情委員長報告)  第一二二 国連軍協定に関する陳情委員長報告)  第一二三 日中貿易協定承認に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一二四 海外移民送出に関する陳情委員長報告)  第一二五 領土返還促進等に関する陳情委員長報告)  第一二六 パン食推進に関する陳情委員長報告)  第一二七 食糧自給促進法制定に関する陳情委員長報告)  第一二八 農業災害補償法改正に関する陳情委員長報告)  第一二九 消費者米価引上げ反対等に関する陳情(二件)(委員長報告)  第二三〇 農林農地関係予算削減反対に関する陳情委員長報告)  第一三一 農林予算確保に関する陳情委員長報告)  第二三二 食糧増産対策費増額等に関する陳情委員長報告)  第二三三 昭和二十八年産米減収加算額追加払に関する陳情委員長報告)  第一三四 農業改良普及員増員等に関する陳情委員長報告)  第一三五 農業災害復旧促進に関する陳情委員長報告)  第一三六 耕地災害復旧事業費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第一三七 農業改良普及事業費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第一三八 北海道開発事業費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第一三九 米価凶作加算金予算化等に関する陳情委員長報告)  第一四〇 農業改良普及事業費国庫補助増額に関する陳情委員長報告)  第一四一 購繭資金に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一四二 木炭公営検査強化立法措置に関する陳情(四件)(委員長報告)  第一四三 食糧自給確保に関する陳情委員長報告)  第一四四 北海道開拓新規事業等実施に関する陳情委員長報告)  第一四五 繭検定制度改善に関する陳情委員長報告)  第一四六 蚕糸業振興に関する陳情委員長報告)  第一四七 鹿児島市に動物検疫所出張所設置陳情委員長報告)  第一四八 桑園の凍霜害対策に関する陳情(二件)(委員長報告)  第一四九 日本中央競馬会法案に関する陳情委員長報告)  第一五〇 桑園等の凍霜害対策に関する陳情委員長報告)   —————————————
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ─────・─────
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  この際、会期延長の件についてお諮りいたします。  議長は、衆議院議長と協議の結果、国会の会期を本月三十一日まで九日間延長することに協定いたしました。議長協定いたしました通り決定することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて会期は、本月三十一日まで九日間延長することに決しました。      ─────・─────
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件  日程第二、遺産相続及び贈与に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)  日程第三、外務省関係法律整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)  以上、三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員会理事国伊能君。    〔團伊能登壇拍手
  7. 伊能芳雄

    伊能君 只今議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための条約、並びに遺産相続及び贈与に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための条約批准について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議経過と結果を御報告いたします。  政府説明によりますと、日米友好通商航海条約中に二重課税回避するための原則規定しておりますが、これを実施するためには、租税体系を異にする両国間において詳細な租税協定を締結する必要がありますので、かねてより米国政府と交渉を行なつて参りましたところ、本年四月上旬に至り、本件両条約案の作成が完了し、同月十六日ワシントンにおいて、これが署名を行なつた次第であります。  これらの条約は、効力を生じますと、両国間における二重課税及び脱税の問題は、有効適切に処理されることになる旨の説明でありました。  質疑の内容は、殆んど技術的なものでありましたので、委細は速記録により御承知頂きたいと存じます。  委員会は、五月十九日、採決を行いましたところ、両件共承認すべきものと、全会一致を以て決定いたしました次第であります。  右、御報告いたします。  次に、只今議題となりました外務省関係法律整理に関する法律案につきまして、外務委員会における審議経過と結果を御報告いたします。  政府説明によりますと、政府は、既存法令のうち整理を要するものは、この際速かに整理をする方針をとつておりますが、外務省関係法令につきましては、清国及び朝鮮国在留帝国臣民取締法及び居留民団法の二つの法律は、我が国清国及び朝鮮国との間のいわゆる不平等条約に基く我が国の特権を前提としていたものでありまして、これら不平等条約は、すでに一切無効となつておりますため、右二法律は、死文化しておりますので、この際、廃止の措置を講じようとする次第であります。  委員会におきましては、別段の質疑もなく、五月十九日、討論を経て採決と行いましたところ、本案は、政府原条の通り全会一致を以て、可決すべきものと決定いたしました。右、御報告いたします。(拍手
  8. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三件の採決をいたします。  先ず、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件  遺産相続及び贈与に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との同の条約批准について承認を求めるの件  以上、両件全部を問題に供します。委員長報告通り両件を承認することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両件は、全会一致を以て承認することに決しました。      ─────・─────
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、外務省関係法律整理に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。      ─────・─────
  12. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四、地方財政法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。地方行政委員会理事石村幸作君。(「政府委員は誰もおらんよ」と呼ぶ者あり)    〔石村幸作登壇拍手
  13. 石村幸作

    石村幸作君 只今議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は、政府が今回企図いたしております地方税財政制度改正に伴いまして、地方財政運営に関しましても、これに即応して所要改正を行いますと共に、別途政府提出いたしました補助金等臨時特例に関する法律案等制定に伴いまして所要改正をしようとするものであります。即ち地方財政運営自律性を高めるため、地方団体自体において年度間に亘る財源の調整を行うことに関する規定を設けると共に、国と地方団体相互間における経費負担関係所要改正を加え、又地方債流通性確保に便ならしめるため、地方債に関する商法の準用の規定を整備するなどの改正をしよりとするものであります。なお、本法案については、補助金等臨時特例に関する法律案に対する衆議院修正に関連いたしまして、母子相談員及び母子手帳に要する経費規定は当分の間適用しないとありますのを、昭和二十九年度に限り適用しないことに改め、又施行期日を公布の日からとする等の修正衆議院において行われております。  本法案は、三月二十日に本委員会に付託せられ、同二十二日、塚田国務大臣から提案理由説明聽取、四月十六日、加藤衆議院議員から衆議院修正説明聽取、五月十九日、質疑を終了いたしました。  その間における質疑の主なるものは、地方財政窮乏現状から見て、一般歳入基準財政需要額を著しく超え、その超過額の一部を翌年度以降のため積立てるようなことが果して可能であるか、その必要はむしろ交付税交付を受けない富裕団体について必要かあるのではないか。母子相談員母子手帳等について政府原案の、当分の同国の経費負担しないとある、その当分の間」の意味及びこれを二十九年反限りとした衆議院修正理由、これに対する政府方針補助金等臨時特例に関する法律案に対する本院の再修正との関係等についてでありました。  五月十九日、質疑を終了いたしまするや、直ちに討論に入り、石村委員は自由党を代表して、「本法案は、政府今次の地方税財政制度の改革に即応する改正であり、又補助金等臨時特例に関する法律案等制定に関連する必要な改正であるので賛成であるが、補助金等臨時特例に関する法律案の本院修正に伴い、右特例法施行前に母子相談員及び母子手帳に要する経費について国が負担すべきこととなつ経費については国がこれを負担することにするための修正が必要であり、又、国家地方警察を警察庁と改める規定は、これを政府が別途提出警察法施行に伴う関係法令の整備に関する法律案に譲ることが適当である」との理由を挙げて、これらについての修正案の発議がありました。  次いで採決に入り、石村委員修正案は、多数を以て可決、右修正部分を除く衆議院送付案は、多数を以て可決せられました。かくて本法案は、本委員会において多数を以て、修正可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申上げます。
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第五、公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六、日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案  日程第七、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。    〔大矢半次郎登壇拍手
  18. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 只今上程せられました三法律案につきまして、大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず、公認会計士法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、公認会計士試験の第三次試験及び特別公認会計士試験実施状況から考え、又公認会計士試験制度確立を図るために、この際公認会計士となるには、何人も第三次試験に合格しなければならないという原則確立する一方、特別公認会計士試験制度が本年七月三十一日で廃止されますので、暫定措置として、特別公認会計士試験受験資格者に対し、第三次試験を受けるため必要な専門的学識を有するかどうかを判定するための検定を行うこととし、これに合格した者は、三年間の実務補習等の期間の経過を要しないで直ちに第三次試験を受けることがでさることとしようとするものであります。  本案審議に当りまして熱心な質疑か行われましたが、その主なものについて申上げますと、「現在司直の手によつて幾多汚職事件摘発されているが、公認会計士会社財務監査を行なつても、事件摘発ができないようでは、公認会計士の行う監査というものは誠に頼りないものではないか」この質疑に対し、「今日の段階では、公認会計士は、会社の経理が会計原則に従つて行われているかどうかを監査し、これを指導するのを主眼とするもりであるから、将来監査の範囲が拡大され、簿外監査も行えるようにでもなればともかく、現状では事件摘発はなかなか困難である」との答弁があり、「公認会計士が、強制監査会社から報酬を受けて財務監査を行なつていては、厳正な立場で職責の遂行が困難と考えられるから、強制監査を受ける会社が、それぞれ費用を分担して一つの団体を作り、公認会計士はその団体から報酬を受けるというような方法を考えてはどうか」との質疑に対し、お話のようなことも研究し、更に又、公認会計士監査会社を割当てる、いわゆる官選の方法なども研究してみたか、このような厳重な制度をとることは時期尚早と考える」との答弁があり、又、「検定制度の得失はどういう点にあるか」との質疑に対し、「現在の特別公認会計士試験は、会計理論商事法規及び会計実務について行われておるのであるが、検定制度実施されると、会計学商法について検定が、又実務について第三次試験が行われることとなるので、いわば従来一回で行われた試験が二回に分けて行われることとなり、それだけ受験者負担は軽減されるわけであるが、半面、特別公認会計士試験では在職年数を斟酌する特典があるが、今後はこれがなくなるので、その点では受験者に不利益となる」との答弁がありました。その他詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、菊川委員より、「昭和三十二年七月三十一日までに商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者、及び計理上等で在職十四年以上になつた者に対し、検定を免除し、又、検定の合格者を定める場合に、検定科目の成績によるほか、必要に応じ在職年数を斟酌して定めることができること」とする修正案及び「第三次計験の試験問題は、試験の本旨を達成すれば足りるので、徒らに奇異に陥らざるよう配慮すると共に、公認会計士審査会が公認会計士のギルド化を図るとの非難を払拭するため、委員の人選についても、この際、検討し、改正法のの趣旨の達成に遺憾なきを期せられたい」との附帯決議案が提出せられました。次いで小林委員より、修正案修正部分を除く原案及び附帯決議案に賛成の意見が述べられ、採決の結果、菊川委員提出修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも全会一致を以て可決せられ、次いで附帯決議案も、全会一致を以て本委員会の決議とすることに決定いたした次第であります。  次に、日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案について申上げます。  本案は、日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴い、日本国にある国際連合軍隊、軍人、軍属又はその家族等について、所得税、内国消費税、関税等の課税に関する特例を設けるほか、国税の犯則取締並びにたばこ及び塩の専売に関して特例を設け、この協定の円滑なる運営を図ろうとするものであります。  次に、本案の内容について申上げます。  第一点は、国際連合軍隊、軍人、軍属若しくはこれらの者の家族、軍人用販売機関等又は同軍隊の公認調達機関に対する所得税法相続税法、通行税法、印紙税法、物品税法、揮発油税法、しやし繊維品の課税に関する法律又は入場税法の適用については、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律規定を準用して、これらの国税を課さないこととし又は免除することといたそうとするものであります。  第二点は、国際連合軍隊、軍人若しくはこれらの者の家族又は軍人用販売機関等の輸入にかかる物品又は国際連合軍隊により運航されている船舶若しくは航空機につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等の臨時特例に関する法律規定を準用して関税、トン税及び内国消費税を免除することといたそうとするものであります。  第三点は、国際連合軍隊が使用している施設内において、又はその軍人、軍属等の身体若しくは財産及び国際連合軍隊の財産について、国税犯則取締法等の規定によつて、臨検、捜索又は差押えを行う場合には、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う国税犯則取締法等の臨時特例に関する法律規定を準用して、国際連合軍隊の権限ある者の承認を受けるか又はその者に嘱託して行うことといたそうとするものであります。  第四点は、国際連合軍隊、軍人、軍属若しくはこれらの者の家族又は軍人用販売機関等による製造たばこ又は塩の輸入等につきましては、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴うたばこ専売法等の臨時特例に関する法律規定を準用して、その特例を設けようとするものであります。  委員会審議における質疑応答の詳細は速記録に譲ることを御了承願いたいと存じます。質疑を終り、討論に入りましたところ、菊川委員より、「日本国にとつて何ら益することのない国連軍の軍隊等に対して所得税法等の特例を設けて優遇策を図る必要は認められないこと、今日までかような特例の取扱が事実上行われて来たことは、政府みずから日本の自主権を放棄したこととなり、又今回初めて本法律制定することは、吉田内閣の手落ちと言わざるを得ない等の理由により強く反対する」との意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  最後に、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案について申上げます。  本案は、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約及び遺産相続及び贈与に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約実施するため、これらの条約規定されている事項のうち特に法律規定を要するものについて所要立法措置を講じようとするものであります。  以下、本案の内容について申上げますと、  第一点は、利子所得等に対する所得税の特例を定めようとするものでありまして、アメリカ合衆国の居住者又は法人が支払を受ける源泉利子又は工業所有権等の使用料に対する税率は、我が国に恒久的施設を有しない場合には、これを一五%といたそうとするものであります。なお、現在、租税特別措置法により特定の場合には一〇%又は五%の税率が課せられることとなつておりますので、この軽減税率はそのまま適用されることといたしております。  第二点は、相続税について未成年者控除の特例を定めようとするものでありまして、アメリカ合衆国の国籍を有し、又は同国に住所を有していた被相続人から、相続により財産を取得した相続人に対する相続税については、その相続人が我が国に住所を有しない場合においても、未成年者控除を適用することといたし、その控除の金額は、我が国に住所を有する場合に認められる控除額に、我が国における課税財産の、その者が相続により取得した総財産に対する割合を乗じて計算した金額によることといたそうとするものであります。  第三点は、アメリカ合衆国租税の徴収について必要な事項を定めようとするものでありまして、租税条約によつて認められる軽減等の特典がこれを受ける権利のない者によつて享有されないために、日米両国は相互に相手国の所得税等を徴収し得ることとなつておりますので、我が国における米国の租税の徴収は、アメリカ合衆国政府からの嘱託を受け、国税徴収の例によつて行うこととする等、所要規定を設けるほか、これらの租税条約実施に関して必要な手続その他の事項は、大蔵省令でこれを定めることといたそうとするものであります。  本案審議の詳細につきましては、速記録によつて御承知願います。  質疑を終り、討論に入りましたところ、小林委員より、「本案には賛成するが、戦前発行された免税約款付外貨債の利子については、国際信義の見地等から、この際所得税を課さない旨の法律上の規定を設けることが適当と思われるので、本法附則において、租税特別措置法の一部を改正する条項を設けるべきである」旨の修正意見が述べられ、採決の結果、小林委員提出修正案及び修正部分を除く原案は、それぞれ多数を以て可決せられ、本案修正議決すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告申上げます。(拍手
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。  先ず、公認会計士法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  20. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ─────・─────
  23. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案全部を問題に供します。委員長報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  24. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、委員会修正通り議決せられました。      ─────・─────
  25. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第八、へき地教育振興法案  日程第九、文化財保護法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。文部委員長川村松助君。    〔川村松助君登壇拍手
  27. 川村松助

    ○川村松助君 只今議題となりました二法案につきまして、文部委員会における審議経過と結果を御報告申上げます。  先ず、へき地教育振興法案につきまして申上げます。  本法案は、政府提出にかかるものでありますが、衆議院において修正議決となつたものであります。本法案は、憲法に規定されております教育の機会均等の趣旨に鑑みまして、今日、甚だしくその発展を阻害されております僻地における教育を振興せんとするものであります。ここに僻地と申しまするのは、山間地、離島その他これと似通つた条件を備えた地域であつて、交通困難で自然的、経済的、文化的諸条件に恵まれない所であります。この僻地におきましては、一般に小規模の学校が多く、教育の施設、設備は不十分であり、而も教職員を確保することも容易でなく、その上これらの悪条件に応ずるためには、学習指導方法についても、更に工夫と改善を考えなければならない点が多いのでありまして、誠に憂うべき状態にあるのであります。かかる実情に対しまして、本法案は、次のような対策を講じているのであります。  先ず市町村につきましては、市町村は、教育内容の充実、教員住宅の建設、学校教育及び社会教育の用に供するための教育施設の設置、健康管理の適正な実施、通学の便の提供等のため必要な措置を講ずることといたしております。次に、都道府県は、教育内容の充実のため必要な調査研究等を行い、必要に応じて教員養成施設を設け、教職員の定員の決定並びに特殊勤務手当について、特別の考慮を払い、又教職員の採用その他についても、必要な指導、助言、斡旋を行うことを規定しております。最後に、国の任務としましては、僻地における教育について、必要な調査研究を行い、地方公共団体が教員住宅を建築したとき、学校教育及び社会教育の用に供する教育施設を設けたとき、並びに教員養成施設を設置したとき、それらの経費の一部を補助することとしております。以上が、本法案の内容の主なる点でございます。  委員会審議におきましては、木村、松原、高田、荒木、野本、高橋、加賀山、須藤の各委員より、極めて活発な質問がございましたが、これらの質疑応答によつて明らかになりました主なる点について申上げます。  先ず第一に、「本年度予算によりましては、本法案に盛られた内容を実施する上に極めて不十分ではないか」との疑念については、「本年度は先ず僻地教育振興の第一歩を踏み出すものである」旨の説明がありました。第二に、「離島振興法に定める規定が、本法案規定する事項の実施の妨げにならない」ということであります。第三に、「本法案は、地方の教育行政を市町村或いは都道府県に対しまして規定し、直接教育行政を担当する教育委員会に対して規定していないために、両者の職務権限に混乱を起すことはないか」との点についてでありますが、「これらの規定は立法技術の問題であつて、教育委員会の権限は、教育委員会法の定めるところであるから、その区別は自明のことである」との説明がありました。第四に、「本法案による国の補助は、地方に対する一部補助に過ぎないから、地方財政の貧弱、劣悪な所は、補助対象とならないのではないか」という点については、「そのような疲弊市町村に対しては、別途の施策が考えられなければならない」ことが明らかとなりました。その他の質疑応答の詳細は速記録に譲ることといたします。  質疑を終り、討論に入りましたところ、相馬委員より、後に述べますような附帯決議を附して本案賛成の意見が表明され、須藤委員よりは、本法案は羊頭狗肉的であつて、その精神が間違つているという趣旨の反対意見が述べられました。  討論を終り、採決に入りましたところ、委員会衆議院送付案を多数を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお相馬委員提出の附帯決議も多数を以てこれを可決いたしました。附帯決議の内容は次の通りでございます。   一、政府はへき地における教育の実情を精確に調査把握すると共に、中央教育審議会等の適切な機関に諮問し、へき地教育に対する総合的恒久的振興策を樹立すること。   二、政府はへき地学校に勤務する教員及び職員の特殊勤務手当の増額その他必要な優遇措置を可及的速かに実施し得るよう努力すること。   三、政府は教育効果の向上か図るために、へき地の小規模学校を本校に統合する際は、その本校施設について、これを国庫補助の対象とするを開くように措置すること。   四、政府は、市町村がへき地における学校健康管理の適正な実施のための巡回診療並びに学校給食等を行い、児童及び生徒の通学を容易にするため事業を行うときは、必要な国庫補助をなし得るよう努力すること。   五、政府はへき地における教育の特殊事情並びにへき地学校の所在する地方公共団体の財政事情に鑑み、集会室の建設のみならずへき地の事情に即応するように校舎、寄宿舎の施設、設備についても速かにその内容を整備するため特別な基準を設け、且つ国庫補助、起債等についても特別な措置を講ずること。   六、政府はへき地における学校が教育課程として実地見学を行う場合、児童、生徒の負担する費用についてその一部を国が負担し得るよう考慮すること。  以上を以て御報告といたします。  次に、文化財保護法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議経過並びにその結果を御報告いたします。  先ず政府の本法案提案の理由といたしますところは、昭和二十五年に文化財保護法制定せられまして以来すでに三年有半を閲しましたが、この間における法運用の経験に徴しまして、その規定の整備を必要とするいろいろの問題が出て参りましたので、ここに改正法律案提出したということであります。  而して本改正案の主要点について概略を申上げますと、およそ次の五点でございます。第一は、重要文化財について新たに管理団体制度を設けたことであります。この制度によりますると、文化財保護委員会は、地方公共団体その他の法人を管理団体に指定いたしまして、重要文化財の保存のため必要な管理、修理等を行わせることができまずから、重要文化財の所有者が判明しない場合、又は所有者による管理が著しく不適当である場合等には、その管理及び修理が或いは放置され、或いは極めて不完全にとどまることを防止できることとなります。第二は、無形文化財について新たに指定制度を設け、無形文化財のうち重要なものを指定して、その保護の万全を期することと共に、その他無形文化財に関する規定を整備したことであります。第三は、従来有形文化財の一つとして規定されておりました民俗資料は、国民生活の推移を理解するに欠くことのできない資料であり、有形文化財と価値の観点を異にするのみならず、常に無形のものを伴つている特色がありますので、これを別個の体系の下に保護する必要があるという見地から、新たに一章を設けて民俗資料の保護に関する適切な規定を整備したことであります。第四は、史跡名勝天然記念物等の保護と、所有権等の財産権及び一般公益との調整に関する規定を整備したことであります。史跡名勝天然記念物は、特に土地に関する権利等と関連する面が強いため、文化財保護委員会現状変更の処分等について不服のある者に異議申立の途を開き、その際公開による聽聞を行い、関係行政機関と協議し、又は意見を聞く等の措置により、所有権その他の財産権を尊重し、国土の開発その他の公益との調整を図る上に万全を期しております。最後に、以上のほか史跡名勝天然記念物に関し、他の法令にならつて、無断現状変更等をした者に対する原状回復命令の制度を設け、又罰則規定について他の法令との均衡を考慮して所要の整備を行なつております。  以上は、本改正案の内容の骨子でございますが、次に審議の過程において行われました質疑並びにこれに対する政府答弁につきまして、大要を簡単に申上げます。  先ず、「新たに設けられました重要文化財の管理制度につきまして、地方公共団体若しくは法人に、果して適当な者が得られるか」との質問に対しましては、「若し法人に適者が得られなければ地方公共団体であり、地方公共団体は殆んど文化財に関する専門職員を置いている」との答弁があり、「保護法である以上、国と地方との財政措置はどのようになつているか、国が管理する場合の費用についても考慮されてあるか」との質問に対しましては、「国家管理の必要あるものの存することも感じてはいるが、第一段階として管理能力のあるものに管理させる建前をとり、国の援助に要する経費については大蔵当局から支出するよう了解できている」旨の答弁がありました。次に、「民俗資料について民俗博物館のごときものを設けて、民俗資料を一堂に集め、保護と公開をする必要を認めてはいないか」との質問に対しましては、「政府もかねがねその必要性を認め、国立民俗資料博物館設立の準備費を予算に組みたいと思つたが、実現が困難であつた」との答弁がありました。次に、「文化財保護委員会の国際的地位如何」との質問に対しましては、「文化財を武力から保護する国際条約に加入の手続をとつている、又駐留軍についても、我が国の文化財を尊重するよう条約が結ばれんとしている、文化財は国際的に赤十字と同様に扱われんとしている」旨の答弁がありました。次に、「地方教育委員会においては、文化財の保護に関して相当に熱心であるにもかかわらず、全国的には未だ関心が低いと聞く、如何にしてこれに対処するか。文化財を国民教育に取り入れることを考えているか」との質問に対しましては、「我が国が世界に冠絶するものは文化財である。サンフランシスコにおける日本古美術展はこの自負心をますます大ならしめている。文化財保護行政に携わつている地方の者を中央に集めて、時々指導の講習を行なつている」との答弁がありました。次に、「重要文化財の海外流出の実情如何、又文化財関係の在外駐在員を外国に駐在せしめ、文化財を通しての国際理解に資する意図はないか」との質問に対しましては、「終戦の際、警察官の不注意により四十数点の国宝刀劔が流出したが、そのほかには殆んどない、殊に保護法制定後は全くないと言える。海外文化駐留員の制度については、外務省等とも協議研究し、その実現を期したい」との答弁がありました。又、「管理団体の管理の対象が多く寺院等である関係上、信仰の自由と相反する管理の懸念はないか」との質問に対しましては、「このことは、改正法案実施に当り最も重要な点であつて、宗教行事に対しては如何なるプラスもマイナスも厳に慎しむべきであるから、管理団体の権限範囲を委員会規則で十分に考慮し、宗教行事にはノータッチで行きたい」旨の答弁がありました。なお、民俗舞踊、民謡等の民俗文化の保護育成、文化財保護に関する広報活動、国宝等の買取措置、文化財の有料公開、観覧料の徴収、都道府県教育委員会への権限委任等について、各委員から活発な質疑が行われましたが、これらについての詳細は、会議録に譲ることといたします。  かくて質疑を終了いたしまして、討論に入りましたが、別に意見もございませんでしたので、直ちに採決をいたしましたところ、全会一致を以て、可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申上げます。(拍手
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。  先ず、へき地教育振興法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  29. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。      ─────・─────
  30. 河井彌八

    議長河井彌八君) 次に、文化財保護法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  31. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。      ─────・─────
  32. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第十より第二十九までの請願及び日程第百七及び第百八の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。人事委員長松浦清一君。    〔松浦清一君登壇
  34. 松浦清一

    ○松浦清一君 只今議題となりました請願二十二件及び陳情二件につきまして、人事委員会における審査の結果を御報告申上げます。  先ず、公務員の地域給に関する請願二十件、陳情二件でありますが、これらはそれぞれの地域より、現行支給割合を引上げ又は新たに指定されたいとの要望でありまして、その理由としては大体次のごとき事情によるものであります。  即ち、他の地域とのアンバランス是正の問題といたしまして、隣接している市町村とのバランスの関係、同一経済圏、或いは経済依存の構成による関係等より是正を要望するもの、観光地周辺都市として観光客の影響を物価面に及ぼしているとの実情によつて是正を要望しているもの、或いは又それぞれの市町村独自の特殊事情による生計費の上昇等のために是正を要望されているものであります。  この地域給制度につきましては、人事委員会におきまして、合理的解決を図るため、努力いたしている次第もあり、委員会においては、これらの願意はいずれもおおむね妥当なるものであり、政府をして十分に研究検討せしめ、今後の所要措置をできる限り速かに講ぜしめる必要があるものと決定をいたしました。  次に、寒冷地石炭手当に関する請願二件でありますが、この請願は、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律等について改正を改え、その必要量並びに支給率を増加すると共に、薪炭手当を制度化し、寒冷地在勤公務員の実態に即する措置を講ぜられたいと要望するものであります。  人事委員会といたしましては、これらの願意は、いずれもおおむね妥当なるものと認め、これら請願陳情を採択して議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  以上、御報告を申上げます。(拍手
  35. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付すること賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程の順序を変更して、日程第三十より第四十三までの請願及び日程第百九より第百二十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員会理事国伊能君。    〔團伊能登壇拍手
  39. 團伊能

    團伊能君 只今議題となりました請願二十二件及び陳情二十四件につきまして、外務委員会におきます審議の結果を御報告いたします。  先ず、太平洋水域における原爆実験阻止等に関する請願陳情は、合せて十二件ありまして、いずれもビキニ環礁におきます米国の原爆実験による、我がまぐろ漁船の被災に鑑みまして、原爆実験の阻止、損害の補償、国民不安の一掃等に関し適切な措置を講ぜられたいという趣旨のものであります。  次に、海外抑留胞引揚促進等に関する請願陳情は、おのおの六件でありまして、ソ連中共における残留同胞の引揚問題等に関しまして、今日なお幾多の問題が未解決のままに残つておりますのは誠に遺憾でありますが、抑留者、戦犯両問題の完全なる解決、必要な予算措置、徹底的調査、留守家族の援護、中国紅十字会代表の招請等の施策を実施せられたいとの趣旨であります。  次に、在日米軍及び国連軍関係につきましては、東京都代々木の米軍単独身兵舎建設の反対、東京都世田谷区用賀正陸軍律生材料跡の接收反対、北海道十勝郡大津村における米軍演習場の設置反対、京都府若狭湾の軍事基地化反対、広島県海田市町地区における米軍弾薬陸揚場の設置反対、鹿児島県鹿屋市における米軍演習場設置反対、大阪市立大学杉本町校舎の返還、東京都薬科大学女子学生に対する米軍人による事故の防止、山口県岩国市沖合姫小島周辺における国連軍の演習中止、国連軍協定に伴う施設の返還及び救済措置等に関する請願陳情十五件でありまして、これらは主として当該地域住民の生活を脅かし、漁業その他産業経済に甚大な影響を与え、又文教上、風紀上悪影響を及ぼすから、演習場の設置等に反対であり、又接収施設の返還、損害補償等措置を講ぜられたいとの趣旨でございます。このほか日中貿易協定に関し、我が国産業経済発展のため同協定を速かに承認し、実施せられたいとの趣旨の請願陳情三件。移民政策に関しまして、近時南米移民の道が開かれましたが、移民政策を確立して、更に積極的に推進せられたいとの請願陳情二件。一九五二年の国際労働総会において採択せられた社会保障の最低基準に関する条約に関しまして、我が国は、これを批准する道義的責任があり、社会保障制度確立は、我が国当面の緊急問題であるから、速かに同条約批准措置を講ぜられたいとの趣旨の請願一件。千島、小笠原、琉球の即時返還は、わが国当然の主張であるから、これを要求せられたいとの陳情一件がございます。  以上各件は、五月二十日の委員会におきまして審査いたしました結果、いずれもその願意を理由あるものと認め、これを議院の会議に付し、且つ、内閣に送付すべきものと決定いたしました次第であります。  右、御報告いたします。(拍手
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を永めます。    〔賛成者起立
  41. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第四十四より第百六までの請願及び日程第百二十六より第百五十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。    〔片柳長吉君登壇拍手
  44. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 農林委員会に付託されました請願二百件、陳情六十七件につきまして、このほど審査を完了いたしましたので、その経過並びに結果の大要を報告いたします。  右の請願及び陳情の趣旨は、極めて多種多様でありますが、これを大別いたしますると、家畜保健衛生所法廃止反対、装蹄師免許制度廃止反対、公営競馬の民営移管反対等、畜産関係のものが最も多く、百十二件、農業施設復旧工事費の国庫補助の早期交付地方農地事務局事業所職員の増員等、農地関係のもの四十件、木炭公営検査強化立法措置、国有林払下等、林野関係のもの三十四件、玉糸を繭糸価格安定法中に包含する請願購繭資金桑園の凍霜害対策に関する請願等、蚕糸に関するもの三十件、消費者米価の引上反対、生産者米価の引上、配給米増配等、食糧に関するもの二十八件、その他農業改良普及事業費国庫補助増額等、農業改良事業関係のもの十二件、農業共済制度確立等、農林経済関係のもの八件、農林予算確保に関する陳情等、農林省関係予算に関するもの三件、合計二百六十七件であります。  委員会におきましては、これらの諸件につき、政府当局の意見をも徴し、慎重審議をいたしました結果、未だ結論に到達し得ないもの及び請願陳情の目的を達成して議院の会議に付するを要しないものを除いて只今議題となりました請願百八件、陳情三十一件は、全会一致、議院の会議に付し、採択の上、内閣に送付し、政府を促して速かにこれが実現を期すべきものと決定いたしました。  右、御報告申上げます。(拍手
  45. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  46. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  47. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、日本国有鉄道経営委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  四月二十一日、内閣総理大臣から、日本国有鉄道法第十二条第一項の規定により、阿部藤造君、工藤義男君、佐藤喜一郎君、佐々木義彦君を日本国有鉄道経営委員会委員に任命することについて本院の同意を得たいとの申出がございました。本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  49. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本件は、同意することに決しました。      —————・—————
  50. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際、日程に追加して、中央厚生保護審査会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  四月二十七日、内閣総理大臣から、犯罪者予防更生法第五条第一項の規定により、坂野千里君、金沢次郎君を中央更生保護審査会委員に任命することについて本院の同意を得たいとの申出がございました。本件に同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  52. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は、全会一致を以て、同意することに決しました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十七分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、会期延長の件  一、日程第一 所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件  一、日程第二 遺産相続及び贈与に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約批准について承認を求めるの件  一、日程第三 外務省関係法律整理に関する法律案  一、日程第四 地方財政法の一部を改正する法律案  一、日程第五 公認会計士法の一部を改正する法律案  一、日程第六 日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う所得税法等臨時特例に関する法律案  一、日程第七 日本国アメリカ合衆国との間の二重課税回避及び脱税防止のための条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案  一、日程第八 へき地教育振興法案  一、日程第九 文化財保護法の一部を改正する法律案  一、日程第十乃至第二十九の請願  一、日程第百七及び第百八の陳情  一、日程第三十乃至第四十三の請願  一、日程第百九乃至第百二十五の陳情  一、日程第四十四乃至第百六の請願  一、日程第百二十六乃至第百五十の陳情  一、日本国有鉄道経営委員会委員の任命に関する件  一、中央更生保護審査会委員の任命に関する件