○片柳眞吉君
只今議題となりました
保安林整備臨時措置法案と
国有林野法等の一部を改正する
法律案につきまして、農林
委員会における
審議の
経過並びに結果について御
報告をいたします。
先ず
保安林整備臨時措置法案について申上げます。
本
法案は、去る三月二十二日
内閣より提出され、四月十七日
衆議院において修正議決の上、即日、本院に送付されたものであります。昨年度発生いたしました西
日本及び南近畿等における大風水害を初め、近時頻発する異常災害に対処して治山治水対策協議会が
内閣に設置され、保安林の整備拡充を図ることに決定しましたので、その具体的
措置の一環として本
法案が提出せられるに至つたのでありまして、公布の日から十年間の時限法であり、
法案の
内容は三つの部分から成
つています。
その一つは、国土保全の観点から、重要な河川の流域ごとに保安林の配備について再検討を施し、拡充すべきものは拡充し、保安林内の施業についても整備を行う等の目的を以て、保安林整備計画を作成することであります。その計画は、森林法に基く森林基本計画に優先するものとし、本計画を決定した上は、これに基いて森林基本計画を修正するものと定めたものであります。
その二は、国土保全上その土地を国が所有し、国みずから治山事業を実行したほうがよろしいと思う森林等を国が買上げ又は他の国有林と交換することができることを定めた点であります。国が民有林を買上げる方法は、協議によることを原則としてありますが、森林所有者が、その所有森林に対して保安の目的を達するために定められた国の指令に従わないときは、やむを得ず強制買上げをもなし得る規定をしたのであります。勿論このときの買上価格は時価によるものであります。
その三は、保安林を国が買上げ又は交換によ
つて取得することを円滑に実施するために、租税特別
措置法及び地方税法の一部を改正し、森林等の所有権の異動に伴う諸税の免除を規定したものであります。即ち国と交換によ
つて取得する森林を登記する場合の登録税、又は譲渡による所得税、再評価税等について、若干の特例を定めたものでありまして、
政府原案によれば、買上げの場合の特典は、強制買上げの場合のみでありましたものを、
政府の買上げに協力した任意買上げにも及ぼす
ように、
衆議院で修正された次第であります。
委員会におきましては、
政府並びに
関係者より、保安林整備の計画、買上げ見込の数量、非経済林たる保安林の買上げと国有林野特別会計の独立採算性との矛盾の調整等、諸般の事項につき、質疑が行われました。又
衆議院において
政府原案を修正されましたので、修正案
提案者の代表として、福田、川俣両
参議院議員より説明を聴取し、質疑を重ねましたが、これが詳細については、会議録に譲ることを御
了承願いたいのであります。
かくて質疑を終り討論に入りましたところ、北
委員より、本
法律案附則第四項の不動産取得税の免除に関する規定は、不動産取得税を規定せんとする地方税法の一部を改正する
法律案が、目下本院地方行政
委員会において
審議中であ
つて、未定の事柄であるから、この際、本
法律案からはこの規定を削除し、地方税法の一部を改正する
法律案において規定する
よう措置したいとの
趣旨を以て、附則第四項を削る修正
動議が提出され、他に
発言もなく、採決に入りましたところ、
衆議院送付案に北
委員の
提案にかかる修正を加えて、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしたのであります。
次に、
国有林野法等の一部を改正する
法律案について申上げます。
本
法案は、四月十三日
内閣より
衆議院に提出され、四月十七日可決され、即日、本院に送付されたものであります。
本
法律案の
内容は、国有林野法と国有林野整備臨時
措置法、この二つの
法律につきましてそれぞれその一部を改正せんとするものでありまして、国有林野法の改正については、国有林野を無償又は低廉な価格で貸付又は使用させることのできる範囲を拡張したことでありまして国有財産法の特例を定めたものであります。即ち、林道、農道、水道施設、用排水路、水害又は火害の予防施設、船揚場、水産物干場、又は漁具干場等、農林漁業に関する公益、公共的施設を、公共団体又は公益法人に貸付又は使用させるものは、無料又は低額で、放牧地、採草地、溜池、用排水路の敷地、林道、農道の敷地等、農林漁業用の共同利用施設の敷地を、地元民等に貸付又は使用させるときは、時価より低い価額でできるものとしたのであります。又地元の農林漁業用として貸付又は使用中のもの及び共用林として国有林を使用しているものが——異常且つ広範囲な風水害、冷害等の被害を受けて料金納入が困難に
なつたときは、その料金の減額又は免除ができるものと定めたことが、その大要であります。又国有林野整備臨時
措置法につきましては、同法が本年六月二十三日で失効することにな
つておりまするが、昨年の災害等で事務も若干遅れておりますので、これらの状況を勘案し、明年三月三十一日まで、その期限を
延長し
ようとするものであります。
委員会におきましては、
政府並びに
関係者より
提案理由を聞いた上、質疑に入り、期限
延長が僅か九カ月余でありまするが、これでよろしいかどうか、売払後の林野の経営の適否等、各般の
手続につき、慎重
審議が行われましたが、その詳細は、会議録に譲ることを御
了承願いたいのであります。
かくて質疑を終り、討論に入りましたが、河野
委員から、国有林野の処分の適正を期するため、次の附帯
決議、即ち
地方公共団体が売払いを受けた林野は、その地上立木による一時の利益を図る
ような目的に利用されることなく、地方公共団体の永久の利益となる
よう適正な経営がなされるべきで、これがため
政府は、地方公共団体の財政事情その他林野の経営能力を十分勘案して適正な売払いがなされる
よう今後厳に留意のこと。
という附帯
決議を行いたい旨の
動議が提出せられ、全会一致を以て、
衆議院送付案に対して、河野
委員提出の附帯
決議を附して可決すべきものと決定されたのであります。
右、御
報告申上げます。(
拍手)