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1954-04-22 第19回国会 参議院 本会議 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十二日(木曜日)    午後一時四十八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十七号   昭和二十九年四月二十二日    午前十時開議  第一 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  第二 町村合併促進法の一部を改正する法律案内村清次君外十四名発議)(委員長報告)  第三 自治庁関係法令の整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 狂犬病予防法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 消費生活協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 らい予防法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 船舶職員法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 磐田、天竜川両駅間に停車場設置請願委員長報告)  第一二 定点観測業務続行に関する請願(二件)(委員長報告)  第一三 瀬戸、西大寺両駅間に新駅設置請願委員長報告)  第一四 宇都宮駅南方石井街道東北本線ガード改築に関する請願委員長報告)  第一五 モーターボート競走国庫納付金に関する請願委員長報告)  第一六 定点観測業務継続に関する請願委員長報告)  第一七 青函航路貨物運賃是正に関する請願委員長報告)  第一八 篠山口、古市両駅間にジーゼルカー乗降場設置請願委員長報告)  第一九 東北本線鉄道複線化促進に関する請願委員長報告)  第二〇 石見江津駅舎増改築に関する請願委員長報告)  第二一 高知、佐川両駅間にガソリンカー運転開始請願委員長報告)  第二二 白石、北白川両駅間に新駅設置請願委員長報告)  第二三 久大、甘木両線にジーゼルカー運転開始請願委員長報告)  第二四 枕崎線知覧町内の停車場に関する請願委員長報告)  第二五 義務教育生徒通学乗車船賃割引に関する請願委員長報告)  第二六 傷い軍人に国鉄無賃乗車証交付復活請願(六件)(委員長報告)  第二七 遠江二俣西鹿島両駅間に白糸駅設置陳情委員長報告)  第二八 北陸線増強に関する陳情委員長報告)  第二九 定点観測業務継続に関する陳情委員長報告)  第三〇 定点観測業務続行に関する陳情委員長報告)  第三一 遠江二俣西鹿島両駅間に乗降場設置陳情委員長報告)  第三二 東郷、赤間両駅間に新駅設置陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 私はこの際、法務大臣検察行政指揮権並びに犬養国務大臣より国警担当を解いたことに関する緊急質問動議を提出いたします。
  5. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 只今亀田君の動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 亀田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。亀田得治君。    〔亀田得治登壇拍手
  8. 亀田得治

    亀田得治君 私は日本社会党を代表して法務大臣検察行政指揮権並びに犬養国務大臣より国警担当を解いたことに関しまして、若干の質問吉田総理に対していたしたいと存じます。  汚職の問題の処理如何に重大であるかは、今更改めて論ずるまでもございません。今やそれは、内外注視の的となつておるのであります。検察側の追及も漸く最後段階に達し、国民はこぞつて、この際問題の根源を明るみに出し、その責任の所在を明らかにしてもらいたいと望んでおるのであります。このときにあたり、去る四月十九日、突如として犬養法務大臣国警担当が解かれるという事態が生じたのでありますが、これは国民に対し、いろいろな疑惑を起したのでありますが、更にそれに引続きまして、昨二十一日、政府からの検察当局に対する重大なる干渉という事態が新たに附加わつて来たのでございます。私は、これらの点に関し、以下五つの点について吉田総理の所見を伺いたいと思うのであります。  その第一点は、法務大臣から国警担当を解いた理由であります。国警担当が解かれた直後の福永官房長官談話或いは二十日の衆議院内閣委員会における緒方総理答弁などを要約いたしますると、法務大臣が、法務省仕事で非常にいそがしい。これが、国警担当を解いた理由のようであります。そこで私は、社会党の決議に基きまして二十日の日に質問の通告をした際には、その理由と言われている法務省如何なる仕事がいそがしいのか。これを具体的にこの議場説明して頂くつもりでありましたが、その後の情勢の発展を見ますると、今やその説明は必要がないほどに、国警担当を解いた理由が明らかになつて来ておるのであります。(拍手)即ち犬養法務大臣は、政府検察の間に狭まれて進退に窮し、去る四月十七日、緒方総理に辞意をすら漏らしたようであります。然るに翌々日の十九日、吉田総理緒方総理犬養法務大臣と三者会談が持たれたとき、法務大臣がここでやめるくらいなら、一つ佐藤池田両氏逮捕請求を延期するために最後努力をしたらどうか。こういうことにきまつたのが事の真相なんです。即ち法務大臣国警担当から解いた、法務省仕事がいそがしい。これは単なる表向きの言訳で、実際は犬養法務大臣を、汚職の引延ばしと、もみ消しの専任大臣にしたのが今回の措置であります。(拍手)これはもう総理の弁解を待つまでもなく、その後の事実関係によつて明白でありまするが、併し、これは極めて重大な措置でありまするから、改めてあなたの御答弁をここでお伺いしたい。  質問の第二点は、何故に国警担当小坂労働大臣兼任させたかという点であります。警察法の改悪が行われるならば、その最大被害者となるのは、労働大衆でございます。労働大臣は、不幸にして警察の不当な圧迫というようなことがあつた場合には、これに対し労働大衆をできるだけ守る。そういう立場にあるのでございます。従つて理論的にも実際的にも、この二つ地位兼任ということは甚だ不適当なのでございます。この点については、例えば過去におきましても、加藤労働大臣が今申上げたような立場から、治安関係兼任することを拒んだ例もあるのでございます。たとえ犬養法務大臣兼任を解かれたといたしましても、もつとほかの国務大臣担当させるべきではないかと私ども考えるのであります。この点については、吉田総理緒方総理との意見が、相当食い違いでがきたやに私どもは聞くのでございまするが、如何なる考えを持つて、事もあろうに労働大臣に対して、たとえ一時的にせよ、国警担当ということをあなたは命ぜられたか。この点についての明確なお答えをお願いする次第でございます。  質問の第三点は、吉田総理は、すでに犬養法務大臣に命令をして、検察庁法第十四条によりまして、佐藤自由党幹事長に対する逮捕請求を抑えたのでありますが、これは日本政治に対して大きな汚点を残している。これについて如何ようにお考えになつているかを承わりたい。私は先日、吉田総理欠席の本会議においても申上げたのでございますが、国会の会期中に議員許諾なくして逮捕されないようにしたこの制度は、これは決して議員破廉恥罪を保護するためのものではありません。それは時の権力者による議員に対する不当な圧力、即ちクーデターに対して議員を守り、その良心的な政治活動を保護する。こういうところに歴史的な意味があることは申すまでもございません。然るに国民怨嗟の的となつている汚職問題、これに関連して、この特権を濫用し、その逮捕請求に掣肘を加えるがごときは検察行政に対する不当な圧迫であつて、我々の断じて許すことのできない暴挙であると申さなければならない。(拍手)こういうむちやな総理大臣措置に対しまして、二つ反応がすでに起きております。その第一は、去る二十一日の午後一時、佐藤検事総長は、談話を発表いたしましたが、その中で、今回の措置によつて、今後捜査を続ける上において相当困難を来たすであろう。こういうことが言われている。更に今回の指揮権発動については誠に遺憾に思うという意味のことが、明確に述べられているのでございます。この事件は、世間が注目している問題でありますから、検察当局が余ほどのことがなければ、このような談話を発表することは、私どもはないと考えます。私は、この検事総長談話なるものは、吉田内閣に対する検察陣からするところの不信任意思表示であると考えるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)あなたはどうおとりになりますか。いろいろな犯罪者を取締る。これが検察当局任務である。そういう任務を持つている検察当局から、一種の不信任にも値するような談話を突き付けられて、総理大臣は一体如何よう考えられるかをお伺いをしたい。第二の反応は、国民輿論の上に澎湃として起つているのでございます。極く少数の法律専門家の間では、法務大臣指揮は、法律上可能である。こういうようなことを申されているかたもありますが、併しそのようなかたでも、今回の措置が妥当であつたとは誰一人申しておらないのであります。いわんや一般の国民大衆は、政府というものは一体何とむちやなことをやるものであろうかと、あきれ返つておるのが今日の世論の状態でれります。(拍手吉田総理は、この国民の声に対してどのようにお考えになつておるか、どういう心境でおられますか、お聞きをしたい。(「責任をとれ」と呼ぶ者あり)  質問の第四点、従つて、私はこのような事態になつて参りますれば、すでに政府責任をとる時期が来ておると考えますが、あなたは如何にお考えになり手か。総理は従来しばしば、事件の全貌が明らかになつたときには背任はとります。こういう意味のことを副総理も繰返して言つておる。ところが、すでに現在問題になつておる佐藤池田両氏の問題、これは過去において重要な閣僚のポストにも坐り、現在でも幹事長政調会長、こういう地位にある。この二人のかたが現在は吉田内閣に席を置いておらないからと言つて逃れるような詭弁は許すことができない。政党における幹事長政調会長地位、これが普通の閣僚よりも重い地位である。如何に重要な地位であるかということはあなたみずから御存じの筈だ。若し単なる形式論を以て詭弁的に責任を逃れようとするならば、これは政党政治をあなた自身がみずから否定することになるのでございます。(拍手)私は、これが自由党内閣であろうと、或いは他党の内閣であろうと、このような態度を若し時の責任者がとられたとするならば、それが今後日本政治に及ぼす影響というものは極めて大きいものがあるということを考えるのでございます。あなたは、或いはまだ責任をとる時期ではない。こういうふうに重ねて後ほどおつしやるかも知れない。それならば、一体あなたが責任をとると言うのはどういう場合なんだ。吉田総理は、おのれ自身に問題が直接に降りかかつて来なければとらないとおつしやるのかどうか。明確にこの点の所信を伺いたいのでございます。伝え聞くところによりますと、政府は、佐藤幹事長逮捕という事実さえなければ、責任はとらなくともよい。こういうふうにお考えになつておるようでもございます。恐らくそのために、しやにむに今度の検察権に対する干渉なつたものであろうと思いますが、併しあなたにお聞きしたいことは、逮捕の事実がここに現れるか現れないかというその前に、逮捕すべき根拠理由、これがあるかないかということが大事なんだ。検察当局は、すでにこれは犯罪容疑者であるということで以て成規の手続をとろうとした。単に逮捕の事実がここにあるかないか、これは形式の問題であります。国民常識というものは、実質的にそのような断定を下されるところまで来ておるならば、この際、責任をとるのが当然であると考えておりますが、あなたは一体どういうお考えでございましようか。(「政治責任をとれ」「国民を何と考える」と呼ぶ者あり)  質問の第五点は、私は率直にお聞きしたいのでありますが、あなたが今日とつておられる頑冥な態度、これは何か外からの圧力でもあるのではないかという点でございます。吉田内閣退陣を求める声は、殆んどこれは一致した国民輿論、従来あなたを支持されていた新聞でも、この問題に関しましては、支持しておらない。良心的な人であるならば、自由党の内部においてすらこの際は、やはり潔く退陣すべきである。こういう意見を持つておられるかたがたくさんある。(拍手)私はこういうような事態になりましても、なお且つあなたが踏みとどまるその理由がさつぱりわからない。反対に、吉田総理は二十日の閣議におきまして、MSA協定及びそれに関連する重要法案審議促進、こういうことを各閣僚に求めたようでございまするが、これは全くあきれたことです。そういう重要な問題があればあるほど、きれいな人がこれを処理すべきなんだ。あなたが退陣をされても、あとは幾らでもやつて行ける。腐れ切つた吉田総理が、この重要な問題点について、最後の土壇場において、おれでなければならないというような考えを持つておられることは、およそ国民常識とは反しておる。それでもあなたは頑張つておられるが、私どもは、そういう頑冥な態度から感ぜられることは、何か外国の圧力が、あなたをそうさせておるのではないかと感じますが、この点、如何あなたがたはお答えになりますか。  時間がありませんので、簡単にあと一点お尋ねいたします。犬養法務大臣は、すでに責任を感じて辞表を出された。私は、犬養をしてああさせたのは、あなたなんだ。責任一つだと思う。犬養だけをあなたは見殺しにするのか。この点をどうお考えになつておるか承わりたい。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  9. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  国警担当大臣を替えたのは、警察法を重要なる法案として、現在国会審議を要望いたしておるのでありますが、法務大臣が、従来時間の都合上時間の余裕がないために、審議が遅れておるという実際から考えてみまして、殊に時間のある専任大臣を任命いたしたのであります。即ち小坂労働大臣が、時間の余裕のあるというところから、又、小坂君の人格識見から考えてみまして、警察法担当に適任なりと考えて、これを政府は任命いたしたのであります。(拍手)  又、逮捕請求を抑える理由如何。これは逮捕のために捜査を中止せよというのではないのであります。捜査捜査逮捕逮捕、別に考えるべきものであり、殊に今日の刑事政策の観念から申して、(「嘘つくな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)聞け……これは、成るべく基本人権を尊重いたして、そうして審議を進めるのが、今日の刑事政策であります。逮捕せずとも審理はなし得ると私としては考えるのであります。逮捕をなして、そうして審理をするということは、これは昔の警察国家時代のやり方であつて政府としては賛成せざるところであります。又検事総長意見は私は見ませんでしたが、検事総長意見意見として相当の理由があるものでありますが、政府理由とするところは、今申した通りであります。  又、政府責任をとるべき時期ではないか。私はそうは考えないのであります。この内外の重要な時期において、政府進退を軽々しくいたすべきものではないと確信いたすものであります。又、重要法案その他が山積いたしておりますから、この重要法案法律として通過することに、政府は最も専念いたして、この措置とつたのであります。外部の圧迫等は断じてないのであります。  犬養君の進退については、犬養君の考えを先ず聞かなければわからんのでありますが、辞表は、都合によりということでありますから、如何なる都合であるかということを尋ねた後にこの問題は決定いたします。(拍手)    〔亀田得治発言の許可を求む〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 亀田得治君。    〔亀田得治登壇拍手
  11. 亀田得治

    亀田得治君 只今吉田総理から答弁がありましたが、ああいう形式的な答弁を以てしては、国民は少しも納得できません。例えば検察側に対する圧力を加えた、決して捜査は中止させておらない。こうおつしやる。併し佐藤検事総長は、事実上これは最後段階に来て、捜査上大きな支障が生ずる。こうはつきり言つておる。これは一体、中止と言つても、引延しと言つて言葉あやに過ぎない。どういうふうにあなたは本当にお考えになつておりますか。言葉あやとか形式の問題じやない。それからあなたは、国が非常に重要な時期だから、かるがるしくは行動ができない。こうおつしやる。併しあなたは、少し取り違えておられませんか。国というものは永遠のものだ。あなたは国の利益吉田並び吉田側近利益というものをはき違えておる。(拍手)そういうところからそういう御答弁が生れて来る。これほど重大なことをやつておりながら、なお且つ恬として恥じないというのは、そういう根本的に間違つた考えを持つておられるからだ。  私は最後に一点、お伺いといいますか、申上げたいのでありますが、去る四月七日に、私は、犬養法務大臣に対して、この場所で質問をいたしました。そのとき法務大臣は、汚職問題は一刻も早く徹底的に調査したいと、こういうことを言われた。法務大臣は、当時はなお冷静であつた。ところが十九日以後の法務大臣というものは、全く別な人格になつてまつた。私は法務大臣が、十九日以後の行動に対して世論圧迫と自責の念に駆られて辞表を出されたことに対しては、或る意味では敬意を表するのでございますが、ただ一つ大事なことは、この法務大臣をして、かくのごとき行動をやらしたところのあなたの心情というものは、憎みても余りあるものがある。(拍手)あなたはこれによつて、一人の政治家というものを台なしにし、殺してしまつた。あなた自身は、これに対して如何なる良心的な反省をしておられるかということを最後に聞きたいのです。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手〕    〔「民主政治を殺すものだよ」「恥を知れ、恥を」「教えてもらえ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然
  12. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  先ほどの私の説明によつて、私の考えていることはおわかりになつたと考えますが、なお重ねて申しますが、捜査を中止せよというのではなく、捜査捜査として飽くまでも続行するがいいと申すのであります。併しながら、逮捕せずともいいというのが政府考えであります。検事総長のお考えはお考えとして、政府考え方は只今はつきり申した通りであります。  又、犬養君については只今申した通り犬養君の辞表は、都合によりということであるから、よく、都合なるものが何であるかということを確かめた後にお答えいたします。(拍手)      ——————————
  13. 天田勝正

    天田勝正君 私はこの際、法相逮捕要求拒否に関する緊急質問動議を提出いたします。
  14. 大和与一

    大和与一君 私は、只今天田君の動議に賛成をいたします。
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 天田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。天田勝正君。    〔天田勝正登壇拍手
  17. 天田勝正

    天田勝正君 私は、日本社会党第二控室を代表いたしまして、政府の今回とられた異例の議員逮捕請求拒否措置について、若干の質疑を試みたいと思うのであります。  佐藤自由党幹事長逮捕要求にからまるこの奇怪なる措置は、三つの段階を経て発展いたしておるのであります。即ち第一には、只今同僚亀田君が指摘されましたように、法相国警担当を解任して法務専任といたしましたことは、法務専任検察圧迫専任疑惑国民に与えたことであります。第二に、法務大臣による検察指揮権の濫用によつて検察当局一致意思である佐藤幹事長逮捕請求が拒否され、法の前には何人といえども平等なるべき民主主義の原則が覆えされ、国民をして、権力の座にある者は如何なる不正をも行い得るという、極めて暗い印象を与へ、国民倫理観に甚大なる悪影響を及ぼしたのであります。(拍手)第三には、遂にこれが法務大臣辞職という事態に発展したのでありますが、検察行政はもとより法務大臣の所管であります。従つてこの事態処理の矢面に法相が立たされる結果になつたのでありまするが、元来、内閣連帯責任でありまする行政責任を、一個の法務大臣を窮地に陥れて、国民に見離された吉田内閣の命をば、一日延しに延しておるという印象国民に与えておるのであります。  今日汚職事件の進展を見まするに、日と共に、いよいよ深く、ますます広く拡がりまして、極まるところ測り知れざる様相を呈しておるのであります。検察当局から議員逮捕許諾請求が発せられたものは、すでに六名に及んでおります。誠に戦前戦後を通じて、最大の不祥事と言わなければなりません。(拍手)今や逮捕要求の第六号として、自由党幹事長佐藤榮作君にこれが発せられんといたしまするや、(「側近第一号だ」と呼ぶ者あり)政府は、この破邪顕正の剣を奪い取つて事件を闇に葬むり去らんとするところの奇怪なる行動に出たのであります。国民憤激は、今や怒濤のごとく湧き起りつつあります。政治に対する国民不信念慈は、勢いの赴くところ、フアツシヨの抬頭を招来して、漸く緒についた我が国の民主政治をば崩壊せしむるの不幸な事態に立至らないと誰が保証するでありましよう。政府並びに与党の諸君はよくお聞き願いたい。去る四月十六日、五名の暴漢が本院に潜入いたしまして、国会中央塔を一時占拠して、「汚職政界よ恥を知れ」というビラを撒いたことは御存じでございましよう。国民政治に対する不信憤激が、かかる事態を誘発せしめたのでありまして、この際、政府国会は、こぞつてみずからを匡し、政界の浄化を行いまして、国民信託に報ゆるの覚悟を新たにいたさなければならんときであります。  そこで政府にお伺いいたしますが、私はあいまいな答弁による再質問の煩を避けますために、先ずお断り申上げておきまするが、今回犬養法務大臣辞職される。けれども、この辞職と否とを問わず、在任中における法務大臣の言動は、一切吉田内閣閣僚として行われたのでありますから、又国会の指名は、総理大臣一名に与えたのでありまするから、その責任は、当然に吉田総理に帰すべきものである。こういうことをば、先ず御承知の上、御答弁を願いたいと思うのであります。  質問の第一点、犬養法務大臣は、佐藤幹事長逮捕要求拒否措置をとりましたが、この措置の事前に、政府並びに与党幹部によつてこれが決定されておるのであります。すでにこのことは、昨日の各新聞紙に報ぜられておりますけれども、この全文を読む煩は省きますが、吉田総理は、二十一日朝、緒方総理佐藤幹事長松野参議院議員会長福永官房長官らをば、芝白金の公邸に招いて協議した結果、法相検事総長に対する指揮権発動の方針をきめ、今国会中には、佐藤池田両氏逮捕というような事態が起らんよう、あらゆる努力をすると申合せた。こう伝えられておるのであります。これは一体事実でございましようか。恐らく今日までの吉田内閣とつ態度からいたしますならば、必ず事実と思うのでございまするが、然らば、如何なる根拠責任において、かかる決定をなされたのでありまするか。この際事態を明らかにして頂きたいと思うのであります。  質問の第二点、吉田総理は、この幹部会同において、二十二日即ち本日であります。自由党総務会に出席して、時局担当の決意を持つところの政府の下に、党は動揺せず一本となつてこれを支持するよう要請することにきまつたと伝えられております。又二十日の閣議におきましても、この際、内閣は総辞職しないと言明されたというのであります。かようなことは誠に思い上つた言動でありまするけれども、これが一体事実であるのかどうか、この吉田総理言葉は、誠に吉田内閣の重大危機と国家の重大危機とをは混同したのでありまして(「その通りその通り」と呼ぶ者あり)汚職に関する逮捕請求が、自由党の中心部に及びまして、屋台骨を揺がそうと、自由党が消えてなくなろうと、それは一切吉田内閣自由党責任であつて自由党内閣が消えれば、国家の存続が危いというような思い上つた考え方こそ、我が国の民主政治を危くするものであると存ずるのでありますが、かかるひとりよがりの態度を以て一切の責任を回避する所存であるかどうかを承りたいのであります。  質問の第三点、検察庁法第十四条の解釈でありまするが、これは先にも亀田君が言われましたように、日本著名の法学者は、成るほど法律的には可能であつても、今回の措置検察権の独立性を失わしめ、政治的に歪められる結果になると指摘いたしているのであります。元来検察権は、行政権の一部でございましよう。併しながらその内容を見まするならば、司法権の一部とも解せられるのであります。法務大臣指揮権は例外的に認めるという趣旨から、この十四条の但書に書いてあるのであります。その本文においては、検察権を行政事務から独立せしめようとの精神が貫かれているのであります。従つて検察指揮権の発動は、国民生活に重大な影響を与える行過ぎや、外国との友好上、好ましからざる結果を招く危険のある場合だけ発動すべきものであつて、この凶器を用いて、内閣自由党幹部の身辺を守らんとするに至つては、心外至極と言わざるを得ないのであります。本朝の新聞は、汚職件の捜査が停頓すると伝えられているのでありますが、この際、その態度と方針を明確にされたいのであります。又これが池田政調会長、星島二郎君等の大物に逮捕請求が参つた場合、これと同様な措置をとる考えであるかどうか。  質問の四点、緒方総理は、一昨日の新聞におきまして、幹事長逮捕請求は、閣僚逮捕請求と同様に考えると語つているのであります。私はこのことは誠に当然であると思うので、民主主義政治は、申すまでもなく、政党による責任内閣制であります。我が国の政党において、幹事長政調会長は、その二本の柱であります。殊に与党の幹事長政調会長は、政府提案の重要な案件を事前に決定する権能を持つているのでありますから、単なる大臣、それ以上の権能を持ち、義務を負わなければならないと思うのであります。自由党におけるこの重要な役目である佐藤池田両氏は、現閣僚以上の実力を有しておりますることは、世人のひとしく認めるところであります。この与党の最高幹部の不正行為、即ちこれが逮捕要求という形になつた場合には、各閣僚と同様に重く見るというあなたの考え方は、誠に正しいのであります。そこで幹事長閣僚と同様に考えるとは、その措置責任も同様政府責任と見るということになると思うのでありまするが、副総理如何なる責任考えておられまするか、明確に御答弁願いたいと思います。    〔議長退席、副議長着席〕  質問の第五点、今回法相指揮権の発動によつて佐藤幹事長逮捕は一時停止されましたけれども、停止されましても検察庁が逮捕請求を決定したことは事実であります。形式上の逮捕と否とを問わず、被疑内容は逮捕すべき十分の理由ありと解すべきでありますが、かかる被疑者が与党の幹事長として重要な国策の決定権を握ることに対する政治責任如何考えておられるか。明確に御答弁願いたいと思うのであります。(拍手)  最後に、昨日の朝日新聞に掲載された「大衆はこう政治家に訴える」というアンケートは、政府御存じでございましよう。このアンケートによれば、このままでよろしいと言う者は一人もないのであります。すでに国民は、吉田内閣に信を置いておりません。権力を濫用して、自党の利益と政権を守るために、罪悪を取締る立場にある大臣がこれを庇うというならば、一体、正しい生活に生きようとする国民は、何を頼つて生きて行けばいいのでありましよう。地位を利用して賄賂を取り、社会を腐敗の泥沼に突き落しておる吉田内閣の重要人物が、権力によつてその罪を逃がれ、半面、今日一日を生きるために、たつた一升の闇米のために冷圄の身となつておる庶民の姿と比べる場合、いずこに正義ありやと叫けばざるを得ないのであります。まさに吉田内閣こそ、正直者が馬鹿を見るという言葉を立証し、悪の芽を助長して世の乱れる源を作つておるものと言わなければなりません。私はおよそ人の先頭に立とうとする者は、みずから他よりも苛酷に扱つてこそ、大衆の信用を得る途であると思うのであります。従来政府は、この事件が司直の手によつて事態が明確になつてから善処すると言つて来たのでありますが、一体疑獄の性質上、これが明らかになるには数年間かかるのであります。それは結局におきましては、政治責任をとらないという結果になるのでありますが、現在の汚職の状況を見ても、この重大なる事態に立至つた場合、この際こそ内閣は総辞職を断行して、罪を国民に謝すべきだと思うのでありますが、政府の所信を明らかにして頂きたいのであります。如何吉田内閣が小手先の延命策を弄したとて、大衆の審判は峻厳であります。
  18. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 時間が来ております。
  19. 天田勝正

    天田勝正君(続) 大衆の意思と時代の流れに逆う者の末路は哀れであります。今日一日の延命策は、墓穴をそれだけ深く掘る結果に陥るでありましよう。やがて自由党は消え去るのみであるということを警告いたしまして、私の質問といたします。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  20. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをします。  検察庁に対する指揮権は政府にあることは、これは明文にも明らかなるものであります。かかる理由、相当の理由があるからこそ、明文に明らかになつておるのであつて、その指揮権を使つたと、利用したと、或いは指揮権を行使したというようなことが何で悪いかというようなことは、私にはわからないのであります。  しばしば申す通り逮捕捜査とは別である。逮捕しなくても捜査はできるのである。捜査をやめろとは言つておらないのであります。逮捕をしなければ捜査ができないということはないと私は考える。のみならずこの国会の会期も、すでに二十日の後には、この会期も尽きるのであります。故にこの期にこれを逮捕することによつて重要法案の通過を妨げること自身がよくないと私は考えるのであります。  又、幹事長政調会長は、あたかも汚職の、有罪であるかのごとく言われるが、これはいわゆる事件自体の全貌がわかつて、明らかにこれが有罪であると決定すればともかくでありますけれども、ただ議会において、こういうことがある、ああいうことがあるということだけでは、その罪は決定はしないのであります。その罪が決定して、明らかになつてこそ、初めて政府進退をし、又幹事長或いは政調会長責任も問われるのはいいが、未だ何ら、ただ逮捕がせられた、逮捕の要求があつたと、或いは要求せんとするということだけで、直ちにその責任若しくはその罪状を決定するに至つては、議会において個人の名誉を毀損するものであつて、これこそ基本的人権を尊重せざるものであると言わざるを得ないのであります。  私は、政府に対する国民の信頼は未だ去らずと考えますから、進退はいたしません。(拍手)    〔「それこそ日本国会を軽視するものだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  21. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御静粛に願います。    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  22. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 幹事長政党における位置は、極めて重大である。これは閣僚以上に重いということを言うた事実はあります。従つて幹事長が今回の汚職関係しておると、それ自体が明らかになつたときには、慎重に考えます。(拍手)      ——————————
  23. 平林太一

    ○平林太一君 検察庁法第十四条指揮権発動に関する緊急質問動議を提出いたします。
  24. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 只今の平林太一君の動議に賛成いたします。
  25. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 只今の平林君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし「賛成」と呼ぶ者あり、拍手
  26. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。平林太一君。    〔平林太一君登壇拍手
  27. 平林太一

    ○平林太一君 無所属クラブを代表して質疑をいたすものであります。(「しつかりやれ」と呼ぶ者あり)  このたび検察庁法第十四条指揮権の発動をあえて吉田首相がいたしましたことは、我が国憲政史上、未曾有の国家的一大不祥事であります。静かに惟んみますれば、この行為は、吉田君はもはやこの正規の常識というものを失われたのである。(拍手)その乱行、その乱心極まれりというべきであります。先ず以て吉田君は、この議場において、正気であるか乱心しておるかということを表明せられたい。(拍手)  検察庁法第十四条の法律の精神は、法務大臣のその部下たる検察官が、いやしくもその担当する事件の取調べに当り、不当、不正、不公平がなきよう指揮監督の権限を与えたのがこの第十四条でありますことは、法文昭々として極めて明らかであります。(拍手)にもかかわらず、却つてこのたびのこの発動をあえていたしたということは、部下検察官のこの公正なる決定、結論である。具体的に申せば佐藤榮作君逮捕許諾に関する手続を、即ち党利党略を以て阻止し、それを運用いたしたということであります。(拍手)この事実は、その渕源するところ、自由党総裁たる吉田君みずからが、自由党を初めとする我が国の保守政党の獅子身中の虫であるということであります。(拍手)かくのごとき行為が平然として行われることによつて、保守政党に対する信頼、期待というものは地を払うに至るということは、常識上極めて判断し得るところの事実であります。  吉田君は自己一身の保身を第一とせられるが、君が今日まで保守政党政党総裁として、総理大臣の栄職にとどまるを得たるこの五年有半の、この間のその裏付けとなり、うしろ楯となつておつた保守党を愛し、保守党の育成を望むことを第一とするか、一つこの場合、明確に御答弁を願いたい。さもありなんと思うことは、吉田君は、曾つて社会党を育成したいということを言われた。そこでですね、そこで今回の指揮権発動というものによつて、保守党を壊滅せしめて、吉田君は社会党を育成するために、かような行為をいたしたのであります。(拍手)こういうことをこれは断定せざるを得ない。いわゆるこの政治家というものに二言があつてはならない。社会党を育成すると言われたことは、今日といえどもお変りになつておらないと思う。併し社会党を育成するために、この際、あえて保守党を潰すのだ、潰すための手段として指揮権発動をした、こういうのでありますれば、これ又そのことを承わる必要があるのでありますが、この点一つ承わりたい。  只今も、この天田君の質疑に対しまして、重要法案審議議決を求めること極めて急である。故にこの指揮権発動をいたしたいという吉田君の御答弁であつた。然らばこの重要法案審議協賛をいたすことが、国会の権限である議決をですね、慫慂せらるるということは、我が国会の自由意思である。(「その通りである」と呼ぶ者あり、拍手)然るにこれをなさんがために、この行為をいたしたということでは、公私極めて混肴をいたしておる。そこでこの重要法案と今日常識上判断のでき得るものは、防衛二法案警察法案、MSA協定、秘密保護法、教育二法案である。吉田君の傘下にあるこれら関係の所管大臣、又この意思を以て、この指揮権発動に賛意を表されておることは明らかである。然らばこの際伺いたいと思いますことは、防衛二法案に対する保安庁長官木村君に対してでありまするが、今回のこの指揮権発動に対しまして木村保安庁長官が、その蔭の立役者であつたという説が一部に伝わつております。これは総理に、そういう悪智慧を付けたんだ、併しつけなければよい。つけたのか、つけないのか、木村君から承わりたい。そこでこの今申上げる通り重要法案というものに対しまして、この際一括して、我々は慎重に考え直さなければならない。なぜかと申しますことは、かくのごとき暴挙、かくのごとき暴力に等しき指揮権発動というものをいたしてまでも、重要法案の議決を求めなければならないということになりますと、この重要法案というものが表に現われたる法文以外に、蔭に隠されたる秘密が潜在するのではないか。国家のため、誠に危険極まりなきことであります。それ故に今日は、改めて木村君にこの所管の防衛法案に対し、又警察法案に対しましては担当大臣たる国務大臣小坂君より、この警察法案に対して、さような事実はないということを詳細に承わりたい。同時に教育二法案に対しましては、大連文部大臣。大達君は、実にこの人を人と思わない驕慢粗暴の言動を以て、今日まで教育関係のこの委員会に臨んでおる。これは大達君という人となりが、戦争以来のことを見ればよくわかる。(拍手)非常に陰険なる政治家である。故に大達君に答弁を承わりたいと思います。  再質問を残しまして、一応質疑とすることにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  28. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  検察庁に対してなした指揮権が、暴力なりと言われますが、これは法律において明らかに規定しておるところであつて法律的暴力というものが若しあれば、そうであるかも知れないが、政府は、法に従つて指揮権を発動いたしたのであります。その政治責任は無論政府にありますが、政府只今申す通り、虚心、法によつてこれは発動いたしたのであります。又、この指揮権発動は、党利、党略でも何でもなく、しばしば申す通り重要法案の通過を政府としては切に希望いたして、又その必要を感ずるから、国家の利益の上からこれを、その通過を切望いたしますから、その措置とつたのであります。ただ徒らに、事を好むがために、この指揮権を発動いたしたのではありません。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎君登壇拍手
  29. 木村篤太郎

    国務大臣(木村篤太郎君) 防衛二法案の速かなる成立を期待し、熱望しておることは、いわゆる指揮権の問題と関係なく、我々の初めから言明しておる通りであります。速かにこの成立を期待いたしております。又指揮権のいわゆる発動については、私は総理に進言したような事実は毛頭ありません。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  30. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 警察法の改正につきましては、二月十七日、本院の本会議におきまして、政府より提案理由説明を申上げ、質疑にもお答えをいたした通りでありまして、他に何らの隠されたるものはございません。即ち、これが成立によりまして、警察の民主的な管理を堅持しつつ、政府の治安責任を明らかにし、警察の能率的な運営を図らんとするものでありまして、若し不幸にしてこれが不成立に終るようなことがありますならば、今後の警察行政の遂行と治安維持上議に憂慮すべきものがあると考え、是非この法案の成立を期したいものと考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣大達茂雄君登壇拍手
  31. 大達茂雄

    国務大臣(大達茂雄君) 教育二法案は、表に現われておる通りでありまして、別に何も隠しておる次第ではありません。(拍手)    〔平林太一君発言の許可を求む〕
  32. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 平林君。    〔平林太一君登壇拍手
  33. 平林太一

    ○平林太一君 只今首相吉田君は、この発動に対しては法文、法律に基いていたしたのである。かような答弁であります。併しこの答弁は、佐藤検事総長も、同様の法律に基いてこれが手続をいたしたということを明らかに申しておるのであります。でありますから、この問題に対しましては、もはや法律上の問題に対しましては、政府検察権の対立が、ここに明示された次第であります。従いましてこの内閣のかくのごとき問題は、良識と責任によつて、かような行為は行うべきものであります。又検察権におきましては、検察権の神聖、独立を堅持して行うべきものであり、それを佐藤検事総長は行なつたのである。この行為に対して、法務大臣犬養君がこの指揮権を発動いたしたということは、さすがにこれはこたえたから、辞めたのである。これが常軌の行動であるならば、吉田君が言われるように、法文によつたということでありますれば、法務大臣も職責上の職務を行なつたということで、あえて辞職する必要は認めない。故に今日におきましては、これに対する是非は、全国民注視して、この問題に注目をいたしておりますこの場合におきましては、我が国会が、この当否を批判し、是非を決定するものである。でありまするが故に、この今回の指揮権発動は、まさに吉田内閣がみずから法規無視、法律違反の行為を、自己政権保持のためにあえていたしたのであるということは極めて明らかであります。この場合に至りますると、もはや吉田君は、この際速かに職を辞せらるべきであります。若し辞せなければ、全国民輿論は結集して、一佐藤榮作のみではなく、池田勇人に及ぶであろう。或いは麻生太賀吉に及ぶであろう。(拍手)或いは憐れむべし、吉田茂君━━━━━━━最後のこの醜態を露呈しなければならないという事態に立至るということを、私はあえて国会の権威において、この際断固として申上げるのであります。この際吉田茂君は、みずからの名誉、廉恥というものを思わなければならない。総理大臣の職責、総理大臣地位というものは、いわゆる全国民に対して、名誉、廉恥というものを第一義にせなければならない。然るに同君のこの言動というものは、道義を無視し、名誉、廉恥というものを弊履のごとく捨てておるのである。だから暴力的な行為に等しい行為が続々と行われるのである。もはや今日においては、同君を首相の地位にとどまらしむることは、我が国家のため百害あつて一利なく、この事実を継続するならば、我が国が容易ならざる、みずから内から倒れるような事態に陥るということを憂えざるを得ません。吉田君はこの場合、この点について良心を披瀝し、神の前に誓い、神の前に懺悔するの至誠を以てこれに対する詳細なる答弁を、感情興奮に激することなく、心静かに御答弁せられるよう要望いたすのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  34. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えいたします。  政府が所信を持つて指揮権を発動いたしたことは、これまで縷々申した通りであります。その政治責任は、無論政府が負うところでありますが、その他の批評についてのお答えはいたしません。(拍手)      ——————————
  35. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 日程第一、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  本案について、国会法第五十六条の二の規定により内閣からその趣旨説明を求めます。岡崎外務大臣。    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  36. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 只今議題となりました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、国連軍の我が国における地位及び同軍隊に与えられるべき待遇を規定する協定を締結するため、一昨年七月、関係政府と交渉を開始いたしました。本交渉は、刑事裁判権及び若干の財政経済問題等について、双方の主張が対立したため一時停頓するのやむなきに至りましたが、幸い昨年八月、いわゆるNATO協定の効力発生に伴つて、日米行政協定の刑事裁判権条項がNATO方式に改訂されましたので、国連軍についても我がほうの主張の通り、NATOの方式による刑事裁判権条項を合意し、昨年十一月、取りあえずこれに関する議定書を締結いたしました。よつて残る財政経済問題について速かに妥結を図り、国連軍に関する諸懸案を解決することは、我が国の国連支持の建前からも緊要と認められましたので、極力折衝に努めました結果、国連軍側においても我がほうの立場を了解いたしまして、呉、広地区における相当数の施設の返還、労働調達における間接雇用方式の採用等を承認する等の譲歩を行う意向を示して参りました。これに応えて、我がほうも大局的見地から、米軍との均等待遇の方針を以て財政経済関係諸懸案の解決を図りました結果、交渉は円滑に進捗し、一年半余に亘る本協定交渉も妥結いたしましたので、去る二月十九日、我が国と統一司令部としての米国政府及び英連邦諸国並びにフイリピン共和国政府との間で、この協定に署名を行なつた次第であります。  右署名は受諾を条件としておりますので、速かにその受諾を行うことにより、この協定を締結することといたしたい所存であります。つきましては、その締結について国会の御承認を求める次第であります。  慎重に御審議の上、速かに御承認あらんことを希望いたします。(拍手
  37. 重宗雄三

    ○副議長(重宗雄三君) 只今趣旨説明に対し質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田進君。    〔藤田進君登壇拍手
  38. 藤田進

    ○藤田進君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今提案せられました国連協定に関しまして関係大臣に質疑をいたすものであります。  先ず最初に、総理大臣に代りまして緒方総理から御答弁を頂きたいのでありますが、三点お伺いいたします。  その第一点は、本協定が殆んど呉市地区とその周辺に影響が限られておりますることと、更に本協定によりまして、かなりの影響と、我が国に対する極めて厖大なる負担も考えられますので、本協定審議が一体いつ頃になるのか、一応の予定をいたしたいと考えますので、かねて総理や或いは副総理は、平和はだんだん近づき、戦争は遠のいている。従つて朝鮮におきます動乱も平和になる、これが期待できるという言明が曾つてあつたのでございますが、このような情勢の分析から考えますると、もはや国連協定によつて新たに国連軍の駐留を長期に亘つて認めるかのごとき必要はもはやないのではないか、かようにも考えられるのであります。従いまして、この点に関して、国際情勢上如何なる平和への見通しをお持ちか、延いては本協定の動機となつておりまする朝鮮動乱の見通し等について、その終結するであろう時期、見通しについて明確なる御答弁を頂きたいと思うのであります。  第二の点は、本協定を見ますると、殆んど無期限の国連軍駐留とも解される状態でございます。従つて日本国といたしましては、極めて重大なる関心を持たざるを得ないのであつて只今仏領インドシナにおける動乱或いは又将来不特定なる地域に新らしく動乱が起つたような場合に、朝鮮動乱と同様、本協定を基礎として、日本が新たなる基地としての国連援助、こういうことが要求せられるやにも容易に想像し得るのであります。この点につきまして副総理の所見を承わりたいのであります。  第三点は、本協定の示します通り、国連軍が日本に駐留いたしますためには、講和条約の定めに基いて新たなる協定を必要といたしております。即ち対日平和条約の第六条(a)項は、すべての占領軍は、平和条約発効後九十日以内に日本から撤退しなければならない。但し新たなる協定が結ばれた場合には駐留を続けることができると、このようになつております。然るに今日ここに承認を求めて来られておりまする協定以外に、何らの協定も存在いたしておらないと考えるのであります。そう考えて参りますると、従来まで長期に亘る協定なき下の駐留は、国際法上の違法ではないかと考えますが、この点は如何でありましようか。又日米安全保障条約の署名の際の事情を勘安いたしますると、国連軍の駐留は吉田、アチソン交換公文にあつて、これが基礎だとも言われているやに聞くのであります。併し吉田、アチソン交換公文は、単に対日平和条約の第五条(a)項の(iii)の点を繰返したに過ぎないのであつて、当然別途に本案のごとく、内容は別といたしまして新らしい協定が必要であると解するのであります。この点は如何でありましようか、御質問を申上げます。  次に、外務大臣に対しまして八点質疑をいたします。  その第一の点は、国連協定締結に際しまして、現地におきます委員会が設置せられることになつております。その現地委員会の機能、権限等につきましては極めて本協定実施に関して大なる影響を持つものでありまして、この現地委員会に対して、その職務、権限、その範囲、運営の方法等について明確にして頂きたいのであります。国連軍の施設の利用状況や、或いはその他の事情を刻々本委員会が調査をいたしまして、日本側に返還せしめるべき事情が出て参りましたならば、これを要請せしめるごとき、実質的な権能を与える必要があるやにも考えるのでございまするが、この点現地当局等においても強く要請いたしているところであります。これら権能、運営について、その現地の要請等容れる用意があるや否や、この点お伺いいたします。  なお本協定は、二十数条余に亘るかなり厖大なものであり、且つ内容は、極めて負担の多きに失する状況でありまするがために、かなり細かい点もお伺いいたしたいのでありまするが、時間も定めがございまするので、爾余の点は委員会に移すといたしまして、大きな点のみをお伺いいたすことといたします。  従つて第二の点に移りまするが、国連軍のうち英連邦軍へ提供いたしまする施設については、原則として現状止むを得ず、拡大をしないという、こういうことは勿論でございまするが、将来に亘りましても、兵員、物資これらの減少に応じまして逐次縮小し得るようにこの措置を講ずべきであると考えるのでありまするが、この点のお考えと、更に現在接収いたしておりまする施設が必要以上に厖大であります。私は本協定に直接関係ある呉市についても調査を現地でいたしました。非常に接収が必要以上の厖大を極めております。新らしい戦争が起るやの印象さえ受けるのでございます。こういう厖大な接収により平和転換への工場建設や港湾の整備の用地、こういう点について、誠に遺憾な点であつて、殆んどさような平和建設への転換が余儀なくされております。これらの点につきまして岡崎外務大臣は強く要求返還をせられたと思うのではございまするが、その実効が上つておりません点を勘案いたしまして、ここにその返還についての見通しと今後の政府態度をお伺いいたします。  第三の点は、施設の集約的な使用とか或いはその他の事情に基きまして、国連軍の自主的な立場から、その施設を移転する場合があります。で、そういう場合に、その移転費用は、国連軍或いは少くとも現地市民等の一方的な負担になるべきではないと考えるのでございまするが、これらについて政府はこの負担の点をどのように考え協定せられたのであるかお伺いいたしたいと思います。第四点は、旧軍施設を転、活用して、産業都市、港湾都市の建設を進めている現地にとつては、施設の再接収、これは重大な支障を与えることになるのであります。過去、旧軍港施設を調査いたして見ますると、一旦接収解除、解放せられた施設等が、平和的な産業に転換せられ、相当な投資、設備をいたしました暁に、再び強権を以てこれが接収という事態が起つて、至大なる迷惑をこうむり、ひいては将来への平和転換というものが大きな支障を来たしておりまするが、このような再接収ということについて、政府はどのような態度と見通しでありまするか、お伺いをいたします。更に第五の点は、呉旧軍港の現状は、英連邦軍の軍港と言つても過言でないほど多く占用せられております。この状態でありまするがために、呉市の港湾機能は甚だしく阻害されるというふうに考えると同時に、今後当然これらの占用は、逐次早急にとかれ返還をしなければならないし、この要求は地元、現地市民の大きなる要求となつて現われつつあるのであります。この点について今後の返還を要求せられる意思があるかどうかお伺いいたします。若し事実問題として返還が容易でないという場合には、当然政府としてこれが代替の施設を考慮せられなければならないと思うのでありまするが、具体的なその対策を承りたいのであります。第六の点は、この協定締結前に公務の執行中にあらざる国連軍からの負傷、死亡或いはその他の財産上の損害が、非常に累積増大いたしているのが現状であります。これらの補償についても、十分公正なる解決がなされなければならないと考えるのでありまするが、具体的な政府としての解決の用意があるかどうか。ありといたしますならばその内容をお示し願いたいのであります。第七の点は、国連軍は、日本国における施設を使用することができる。こういう条文に相成つておりまするが、日米行政協定のごとく提供の義務というものがこれはないもののように考えるのでありまするが、この点は如何でございましようか。更に義務がないといたしました場合には、国連軍の施設使用に伴つてしばしば生じまする特別損失について、国連軍側が補償する責任ありとの見解をとつておられまするか。又その際、政府は立替払い等の措置をとられて、後日国連軍との間で決済せられるような意図を持つておられるか。この点について特にお答えを願いたいのでございます。第八の点は、駐留軍の行為によりまする農林、水産、これらの損失について、日米行政協定の場合を見ますると、これはその協定に対応して特別な立法がなされて、買収或いは補償などの関係で或る程度の保護をされているやに思うのであります。今回の国連軍協定の締結を見ますると、その点が不明確でございまして、この点、国民の当然の権利を保護されるためには、特別立法化を考えておられると思うのでございまするが、その点についてお伺いいたし、更にその点をお考えであるならば、その概要について承りたいのであります。  以上が、外務大臣に対しまして、その交渉場裡における状態と併せてお答えを願いたい点であります。  次に大蔵大臣に対しまして、四点お伺いいたします。この点は自治庁長官にお答えを願うべき筋のものであるやに考えるのでございまするが、併し現状は、むしろ大蔵大臣がネツクとなつているやに伝えられておりまするがために、一応大蔵大臣に四点お伺いいたします。若し自治庁長官においてお答えの必要があるとお考えになります場合にはお答えを願いたいと、併せてお願いをいたしておきます。  その第一点は、呉の市民は、旧軍事施設の活用によりまして、この施設の民間産業への切換え、いわば平和産業、港湾都市、こういうことを念願して参つておるのでありまするし、唯一の立地条件、基盤となつております。で、この点は、市民の生活の安定、或いは市税収入の増加、これらを念願して参りましたが、今回の国連協定は、この念願いたしました点に大きく反しまして、産業転換に支障を来たしますと共に、固定資産税、或いは電気ガス税など、地方税の適用を全面的に不可能ならしめて、一方的に国連軍の優位を協定いたしております。このようになつて参りますると、市の財政には甚大なる影響を与えるのでありまして、若し協定が現状において今日如何ともできないと仮にいたします場合でも、当然、政府はこれに対しまして、何らかの善処をされる必要がありはしないか、国家的な見地でこれらの事情を解決すべきではないかと考えるのでございまするが、この点についてその善処のほどをお伺いいたします。  第二の点は、呉市民は、国連軍駐留によりまして、必然的に年々相当多額なる行政負担を余儀なくされております。一例を挙げてみますると、かなり厖大な資料を持つておりまするが、集約的に考えて、少くとも四十億になんなんといたすと思うのであります。このような現実の出費に対しまして、政府如何なる措置をとられるのであろうか、この点をお伺いいたします。第三の点は、日米安全保障条約に基く米軍駐留地域は、防衛分担金の支払によつて何らかの補償を受けておりまするが、国連協定に基く国連軍駐留地域に対しましては、政府としてどのような措置をとられるか。第二の質問と併せてお答えを願いたいのであります。第四の点は、本案の第十九条に基いて、必要とする立法、予算等が速かに措置せられなければならないことに相成つております。で、この場合、特に予算上、具体的な措置をどのようにとろうとされているか、その時期的な面についても併せて承わりたいのであります。  次は通産大臣に対しまして、ただ一点だけお伺いをいたします。  今日の旧軍港市、大きくは四つありまするが、その中でも、本協定と密接な関係を持ちまする呉市の現状は、過去長い間、国家のために奉仕して参つております。これも戦争への強制という立場から、余儀なくかようなことに相成つて参りました。今日、終戦と共に、その施設、立地の従来の条件というか、このようなものが根底から崩れて参つたのであります。いわば時の政府の捨子のような状態にありまして、二十万市民のみならず、周辺多数の人々は、呉市の疲弊と共に、将来を極めて不安に感じている状態であります。この呉市について、すでに平和都市への転換のために特別立法がなされていることは御承知の通りであります。然るに今日この特別立法の趣旨は、実際には具現せられないで放置せられているのみか、次第に再び軍港市防衛帯などのために振替えられんとするような気配さえ見えるのであります。このことは当該現地並びに周辺の広く好まざるところでありまして、むしろこの際、通産大臣におかれては、国の通産行政の一環とせられまして、これら厖大な施設を、国家の立場から、総合的に平和への産業転換を図り、国の力によつて真に合理的に公正なこの施設への解決がなされなければならないと考えるのでございます。これらの点について何ら見るべきものがなく、ただ単に現地当局に一方的に任されているのみで、何ら実効が上つておりません。私は現地をつぶさに調査いたしましたが、あの厖大な施設が全く不経済なままに、ぽつぽつと利用というか、使用せられて、いわば利権が絡んだ形で諸所に僅かながらな民間工場ができている状態でありまして、さしもの立地条件を殊更に失効いたしつつあるという現状であります。こういう点から通産行政の一環としての通産大臣の所見を承わりたいのでございます。  私は、以上申上げた若干の意見にありまする通り、この際、今からでも、国家的な、総合的な立場から、平和転換への計画が進められなければならないと思うのでありまするが、この点をお伺いいたしたいのでございます。  最後労働大臣に対しまして四点お伺いをいたします。  第一の点は、国連協定に附随いたしまして、国連軍との間に労務基本契約を、暫定的ではなくして、これを締結する意思があるかどうか、この点でございます。で、若し締結されるとしますならば、その時期は速かなるを要すると考えますけれども、この時期については、いつ頃であるか。又、内容は日米基本契約以上に公正平等なものでなければならんと思うのでありまするが、この点について政府考えはどうであるか。又、若し締結しないという場合が生じました場合、日米基本契約に準じた取扱をすることになるとは思うのでありまするが、その場合にも、前述のごとき考慮が必要であると思うのであります。この点につきまして労働大臣のお考えを承わりたいと思います。  第二の点は、労務基本契約の締結交渉が現地で行われるのであるか、或いは東京において行われるのであるか、この点であります。若し現地で行われるというような場合は、政府の出先機関をより強化せられまして、国連軍労務本部長との間に、対等の見劣りのない形の交渉ができるよう、労務担当官の優秀な者を派遣する必要もあろうかと考えるのであります。この点に関する御意思をお伺いしたいのであります。更に又、労務諸条件の履行を確保いたしまして、労使双方の円満且つ平和的な関係を維持するために、練達なる労務担当官を現地に常駐せしむる必要があると思うのでありまするが、その点について政府はどのようにお考えですか、お伺いいたします。  第三の点は、米軍で行われましたように、予算上、或いは軍の作戦上、国連の一方的な都合によりまして、相当多量の解雇者を将来出すような場合が容易に予想し得るのでありまするが、このような場合、特殊な事情にありまするこの現地、呉市に対しまして、政府がその失業対策を考慮すべきであると思うのでありまするが、その考慮せられているであろう具体的な案をお示し願いたいのであります。最後に第四の点は、本協定案の第十六条に、(C)、そのうちの(ii)司であります。これによりますると、紛らわしいものが挿入されておりまして、特に括弧してサボタージュ、この(サボタージュ)は、国の安全に関する罪として含まれている。このようになつているのでありまするが、このことは当然、本案の第九条の4、又は同様に掲げておりまする第十四条の七にいうところの「労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」、こういう点と競合するやに一応考えられるのでございまするが、この点について特に明確にいたしたいのは、日本の法令、労働法、憲法、これらの法令で定めるところによるといたしますならば、罷業を以て対抗するなどの場合には、これはこの第十六条二の(C)(ii)等に謳いまするこれらサボタージュなどは適用せられないと解釈されるのでありまするが、この点について、労働大臣から明確にして頂きたいのでございます。  以上を以ちまして私の質問を終りまするが、まだ若干時間があるようでございまするから、御答弁如何によりましては、再質問いたしたいと思います。いずれにいたしましても、箇条的に簡単に申上げましたので、相当質疑の点は数多く亘つておりまするけれども、以上申上げた順次に御答弁を特に煩わしたいと考えます。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  39. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。  朝鮮動乱の終結する見通しでありますが、この見通しは頗る今のところ困難に感ぜられます。近く開かれまするジュネーヴ会議は、この朝鮮問題の政治的解決を目的の一つとしておりまするが、最近に受けまする、入手しまする情報によりますると、目的全般の達成、従つて朝鮮動乱の終結についても、一般にはどうかと申しますると、悲観的の観測が強いようであります。従いまして、今からこの終結の時期を予断することは困難であります。  次に第二の点でありまするが、現情勢の下では、仏印のような事態日本の近傍に起るようなことも考えられませんし、又たとえ他の遠隔の地点に起つたといたしましても、そのため朝鮮動乱の場合と同じような国連に対する協力方を求められるようなことも、近い将来においては考えられないと思つております。  次に、吉田・アチソン交換公文は、朝鮮における国連行動に従事する軍隊を日本国内及びその附近におきまして支持することを日本国が許し、且つそれを容易にすることを明確に約したものでありまして、これは現に我が国に国連軍が滞留し得る根拠をなすものであり、これに基いて滞留している国連軍につきまして、本国連軍協定は、その地位及びそれに与えらるべき待遇を規定したものであります。  以上、お答え申上げます。    〔国務大臣岡崎勝男君登壇
  40. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) お答えいたします。  現地委員会は、日本側からは広島県知事、呉市長、それから財務局、調達局、港湾局等の代表、国連軍側は、現地軍の代表を以て構成いたします。権限は、呉地区の施設に関する問題について、それぞれの中央機関に勧告をして行く、又中央からの諮問に応ずることになつております。今後その運用については、現地に於ける施設の調査等を含めて、できる限り委員会が実質的な交渉ができるようにいたしたいと考えております。  第二に、英連邦軍は現在の情勢に変更がない限りは、今後施設を拡大するようなことはないと予想しております。余剰施設の返還につきましては、今後とも交渉いたすつもりでおりますか、すでに十五施設の返還が正式に決定いたしております。施設を国連軍が勝手に移転するような場合には、勿論経費は国連軍の負担でありまして、如何なる場合にも、現地市民等の負担にはいたすことはありません。又再接収というようなことがあるかというお話でありますが、国連軍は先ほど申しました通り、今後拡大する見込はないのでありますから、再接収というようなことは予想いたしておりません。それから呉市が必要とするような施設につきましては、今後とも、できるだけ返還を行うようにいたしたいと思いまするが、差当りこれが困難なものにつきましては、できる限り他の方法を以て市に対して何らかの措置をいたしたい。こう考えております。  公務執行外の行為によりまして生ずる損害補償は、第十八条五項の規定によりまして、先方の見舞金によつて処理されることにいたしております。若し被害者が見舞金に満足しない場合には、日本の民事裁判権によつて解決することになるわけであります。個々の施設提供は、両国政府間の合意によるものでありまして、この点は、日米行政協定と同様であります。なお、国連軍の駐屯を国内に認める以上は、その使命の達成に必要な施設を或る程度提供するということも当然これに含まれるものと考えております。民有財産は、国連側が借料その他の経費を負担することになつております。従つて民有財産に生じた損害についても、契約の条件に従つて当然国連軍が負担すべきものであります。農林、漁業制限による損害がありました場合には、同機国連軍が負担すべきものとなつております。又これらに必要な立法措置につきましては、目下特別調達庁で以て準備いたしておりまして、今国会に提出いたしたい予定と聞いております。伴いまして、その内容も不日明確になることと考えております。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇
  41. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。  呉市が旧軍事施設の活用を考えておる。そうして平和産業に切替えようとしておるのが、どうもいろいろこれが返ることが遅いので、市民に、御迷惑になつておるというような事情でございまするが、実はできるだけ早く、又合理的に返してもらいたいということで、二十七年八月一日予備作業員を作りまして、爾来十数回に亘つて、で費るだけその使用しておる施設を、極力返してもらうように図つたりいろいろいたしておるのでありますが、なお十分なことが参らん点は甚だ遺憾に存じております。尤も重要施設のうち、近く返還されるものも相当あるようになつておるのでありますが、併し過半数の施設は、まだ合意に達しておりませんので、現在、先ほど外務大臣から答弁の現地委員会のほうにおきまして、土地、施設の返還について、具体的に話合つておる次第でございます。従いまして政府としては、旧軍事施設の利用から起つて来る問題でございますので、財政上の影響もあろうかと存じまするが、この点については、なお篤と研究をいたしておる次第でございます。  それから二番目にお尋ねになりました相当、国連軍が駐屯するために、呉市民が行政負担をしておるじやないかというお話、この点は、こちらのほうでも特殊事情をよく存じておりまするので、特別的な財政需要に対しましては、特別平衡交付金というものを差上げておる次第でございます。    〔副議長退席、議長着席〕  それからその次に、日米安全保障条約に基く米軍の駐留地域は、防衛分担金の支払で補償を受けられるが、国道軍の分は、ということでございましたが、これも民、公有施設を提供しまする場合には、その所有者に対しまして、借料その他の補償もあるわけでございまして、その経費は協定第十五条によりまして、すべて国連軍で負担することに相成つております。  なお、さつきちよつと予算のことを仰せでございましたが、実は、例えば国有財産を向うで無料で使用いたしましても、これは国が消極的に負担するだけでございまして、それから国連軍の職務上の行為による被害については、これは補償がありまするが、不法行為による分であります。不法行為の分は、金額はちよつと不法行為ですから見込が付きません。若し事故が起きれば、その都度平和回復善後処理費から出したいと考えておるのであります。それから提供した公有施設の借料や、復帰の補償費等についてどうかというお話でございましたが、これは二十九年度予算におきましては、一千二十五万八千円立替ができるような予算的措置がとつてございます。尤も立替を戻してもらう際には、取扱事務費五%を加算したものを支出した翌月末までに向うから戻してもらうことになつております。なお労務の関係のものにつきましては、これは調達庁の労務管理費の目の中の調達労務者労務管理事務地方公共団体委託費、これが実は二十九年度予算に九億二千三百九十一万四千円、これは米軍の労務者に対する分も含んでおるのでありまして、この中に四千万円だけが、この分として見込まれて予算措置がとつてあるのであります。なお最後にお尋ねがございました特別立法の問題は、只今外務大臣かち答弁通りでございます。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇拍手
  42. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 政府は、先ほど御指摘の通り、旧軍港都市を平和産業港湾都市に転換する目的のために制定されました旧軍港市転換法に基きまして、各種施設の平和的な活用を図つておるわけでございます。呉市におきましては、御承知の通り日亜製鋼、尼崎製鉄、淀川製鋼、それからアメリカ系の造船会社NBC、東洋パルプほか数会社をして所定の手続によりまして活用をせしめておるわけでございます。そこで今後におきましても、これらのすでに使用者が決定して活用せられておりまする分につきましては、国家的な立場から、一層円滑に活用ができ、事業の継続発展を図らせて行きたいというふうに考えておるわけでございます。それから未だ使用せられておらないものにつきましては、実はこれも御承知の通り、その殆んどが現在なお我がほうにおいて使用し得ざる状態にございますので、接収の解除等と相待ちまして、過剰投資、過剰設備の問題等も一面に勘考いたしながら、国家的な立場から活用する方針の下に、関係各方面と打合せをいたしておるような次第でございます。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  43. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答え申上げます。  第一点の英連邦軍との労務基本契約でございますが、これは一応暫定的な契約を締結いたしまして、目下アメリカ駐留軍との間に行われております新らしい労務基本契約の締結を待つて、速かに恒久的な契約を締結いたす考えであります。なお契約の内容につきましては、国連軍協定十四条に関する公式議事録にも明らかになつております通り、可能な最大限まで米駐留軍の場合と実質的に同等の待遇を与えるようになつておりますから、こういう線で取極めたいと思つております。  第二の点でありますが、労務基本契約を締結いたしまする場合の交渉を東京で行いまするか、現地で行いまするか、これは英連邦軍と話合いできめたいと考えておりますが、仮に現地になります場合におきましても、政府責任ある代表者を現地に派遣いたしたいと考えております。なお契約締結後の問題につきましては、御指摘の通り適当な措置をとる考えであります。  第三点でございますが、国連軍関係の労務者につきましては、大量解雇があるというようなことは、国連軍撤退の場合以外には考えられません。呉市につきましては、今大蔵、通産両大臣からもお答えいたしましたが、旧軍港としての特殊事情からいろいろ困難な問題がございますが、この旧軍港施設の活用拡充等によつて、産業の復興を図り、雇用量の増大を考えておる次第でございます。  第四の点でございますが、第十六条の規定は、やはり十六条の第四項にありまするごとく、日本国民である労務者には適用されるものではないのでありまして国連軍の軍人、軍属又はその家族に対する裁判権の規定でございます。第十六条の二項(ii)にサボタージユという言葉がございますが、これは破壊行為その他積極的な業務妨害行為を指すのでありまして、日本のいわゆる「サボ」を言うのではないのでありますが、それはともかくといたしまして、本条は、日本人労務者に何ら適用をしないものでございまするから、これによつて第九条、第十六条に規定をする日本人たる国連軍労務者の権利が制限される虞れはないと、こういうことでございます。  以上、お答えを申上げます。(拍手)     —————————————
  44. 河井彌八

    議長河井彌八君) 山田節男君。    〔山田節男君登壇拍手
  45. 山田節男

    ○山田節男君 只今議題となりました国連軍との協定締結に関しまして、私は日本社会党第二控室を代表し、政府に若干の質問をいたしたいと存じます。  先ず第一に、本協定が締結されるに至りまするまで、その期間が全く異例の長期間を要しているということを指摘しなくてはなりません。講和条約発効と同時に、我が国は主権を回復いたしまして、独立国となつたのでありまするから、英連邦軍が国連軍の一部としてなお日本に駐屯を継続し得るためには、少くとも条約乃至協定に基く我がほうの合意承認がなくてはならんことは当然でございます。然るにこの当縦とらるべき措置が、条約発効後二十余カ月も在荷放置されたという理由は何であるか。この点が国民には明らかにされていないのであります。独立国分の領域内に他国の正式な軍隊が条約上の保障なくして随意に駐屯するということは、到底考えられないことであります。かような事実は、独立日本の尊厳を汚すものと言わざるを得ないのであります。占領軍政の余勢に脅えた吉田内閣の軟弱外交が、かようなふしだらなことにしたのではないか。かように考えるのであります。政府が国連軍との間に、かような無協定の駐屯を許したということを、一九五一年の九月八日、即ちサンフランシスコの講和条約が締結されましたと同日に取交わされました吉田総理大臣とアメリカ合衆国のアチソン国務長官との交換公文書に基いて、我が国は、国連が国連憲章に従つてとる行動に援助する義務を引受けている当然の結果であるというように弁解するかも知れません。併しこの義務を忠実に実行するためにも、独立国となつた以上は、逸早く我が国における国連軍の地位を明確化いたしまして、我が国の権益の不当なる使用を制限をするということは、これは国際法上論を待たないところでありまするが、この当然の措置が早急にとり得たかつた理由根拠を私は吉田総理に先ずお伺いしたいのでございます。  次は、岡崎外務大臣質問いたすのでありますが、この国連軍との協定の締結の折衝に際しまして、英連邦軍が使用する施設又は区域を有償にするか無償にするかということについて、外務省と大蔵省の見解の相違があつたということを聞いておるのであります。で、本協定の第五条におきまして、「国際連合の軍隊は、日本国における施設で、合同会議を通じて合意されるものを使用することができる。」こういうことを規定いたしておるのであります。なお又第十五条におきまして、日本は、この国連軍に対しましての施設、区域を、これを提供する、提供さるべきものと、かようなことになつておるのでありますが、併しながら、この協定の正文の上で見ますというと、何らこの無償にすべきというような根拠はないのであります。併しながら、この協定の正文におきまする、この協定から見ますというと、結局外務省の主張しました無償貸与論、無償で貸与するということになつておるのでありますが、これはどの根拠に基くものであるか。この点を明らかにいたしたいのであります。無償貸与いたしますれば、英連邦軍は遠慮して、その接収施設や区域を自発的に制約、減少するであろうというようなことを主張しておられたように聞くのでありますが、今日のこの現実の事態から見ますというと、岡崎外相の予想を全く裏切つておるように考えるのであります。かような外務省の国連軍に対しまする日本国有の施設或いは区域を無償で貸したということは、この協定の折衝の最中、昨年の末からでありまするが、例の日英貿易会談、例の日英一般支払協定というものが、これが折衝されておつたのでありますが、これを幾分でも自分のほうに、我がほうに有利に導かんがために、英連邦諸国へ、まあ何と申しますか、媚態を呈すると申しますか、駈引の意味でこの無償貸与をしたのだというのでありますが、これは事実であるかどうか。この際岡崎外相に明らかにして頂きたいと存じます。いずれにしましても、かような一種の追随主義の岡崎外交のこれは現われであるように感ずるのでございます。  去る二月十九日に本国連協定が調印されました当日、いわゆる共同発表なるものが発表されました。そうして、この接収施設、区域の解除の場所、並びにこれに対する将来の方針が明らかにされましたが、これによりますると、極めて利用価値の少い、まあ数から申しますると、約十カ所でありまするけれども、その一部又は全部を解除するということを申しておりますが、併しこの国連協定を適用することによつて至大な影響を受けます呉市にとつてみますというと、この呉市の肺臓とも称すべきアンザツク・パーク、即ち旧海軍練兵場の跡やら、或いはこの呉市が港湾都市としての浮沈を制するとも申すべき重要な施設でありまするところの繋船堀第一号埠頭、これはこの共同発表によりまするというと、共同使用するのである。これは従来の経験から行きまして、全く名義上だけであつて、事実は英連邦軍が専用にする。こういうような一つの美名の下に実際上はこれは返還しない。誠にアングロサクソン民族的なずるいやり方をここに現わしておるのでありますが、御承知のように、昭和二十五年六月に、只今藤田議員からも御発言になりましたように、旧軍港の平和産業港湾都市転換法が国会におきまして全会一致を以て通過いたしましたのも、これらの旧軍港都市を何とかしてこれを早く転換させて、旧来海軍のために育ち、海軍のために発展して参りましたこの都市を何とかしてやろう、これがためには、国のあらゆる機関が挙げてこれを協力してやらなくてはならん。こういうような法律の本旨でございまするが、然るに従来英連邦軍が全くこの不必要と思われるほど広大な施設、地域を依然として使用しておりまして、呉市並びにその周辺地区の産業的、経済的な発展を阻止しておることは明らかな事実でありまして、誠にこの特別立法の趣旨から申しましても遺憾な次第であります。かようなことは、何と申しましても、やはり吉田内閣の外交と申しまするか、対外的に極めて軟弱であるそのことが、呉市並びに呉市周辺の二十数万の市民が、これによつて犠牲に供せられておると、かように申しても私は過言でないと存じます。  英連邦はこの共同発表の中に、英連邦軍は朝鮮におけるその任務遂行上の軍事的要請と、広島県及び呉市の経済的及び社会的発展の双方を念頭に置いて、全施設について検討する、これがために現地に地方委員会を設けるということを言つておるのでありますが、只今の藤田議員質問に対する御答弁によりますると、かなり広汎な実質的な権限を持たして、そうしてこの施設の返還というようなものについて、或いは小坂労働大臣の言われるところによれば、労務の問題についても扱わせるということでありますが、従来この日米行政協定に基きまする合同委員今並びに作業班、サブコミツティの活動というものは、とかく何と申しまするか、間ぬるいのであります。現実の事態に即しない。この点は、先ほど外務大臣並びに小坂労働大臣から御答弁がありましたから、これに対して重ねて質問いたしませんが、とにかく日米行政協定における合同委員会或いは作業班の従来の能率というものは必ずしもよくなかつた。この点は一つ御改善を願いたいと存ずるのであります。  次に、これ又藤田議員が触れられましたが、この国連軍の駐屯によりまして、これら駐屯地域というものは非学に行政酌負担が殖える。例えば道路でありますとか、或いは橋梁、或いは警察費、或いは消防費、これらを入れますというと、多額の費用を要するのであります。日米行政協定におきましては、これを補償すべき法律二つも設けられてありまするが、これに対しまする只今の藤田議員に対する御答弁によりまして、政府は何かのこれに臨時的措置をとるような法律を設けるということでありまするが、これは単なる特別調達庁だけの関係するような問題ではないのでありまして、農林省或いは労働省、或いは通産省、こういうような部面に亘るものでありまするからして、将来制定さるべき特別立法というものは、かような意味において私は十分考慮されなくてはならんと存ずるのであります。  次に、大蔵大臣への質問でありまするが、この前にも申上げましたように、国連軍との協定を折衝する際において、大蔵省はこの英連邦国連軍の使用する施設、区域に対しては、これを有償でやるべきだということを、これを主張したということでありますが、この点は私は先ほども外務大臣質問に申上げましたように、この国連協定の少くとも第五条によりますれば、大蔵省の説が私は正当であると思うのであります。然るに遂に外務省の意見が通つたということは、私は如何なる事情があつたのか、本会議にこの際明らかにして頂きたいと思うのでございます。  なお併せて、只今英連邦軍が使用しておりまする国有財産の全部から仮に徴収せられるといたしましての使用料の総額は一体どのくらいあるのか、本議場において明らかにして頂きたいと存じます。  で、この国連軍との協定におきましても、日米行政協定におきまするがごとく、例えば本協定の第十三条第四項のA、B、これに軍人、軍属或いはその家族のこの私用物、自分らの私用に供するものでありますが、これに対しては輸入関税を免除するという規定があるのでございます。これは通産大臣はおられませんが、大蔵大臣御存じのことと存ずるから、質問申上げるのでありますが、従来これと同じ規定を持つておりまする日米行政協定、これが巧みにこの盲点を利用されまして、この条項によりまして外国人が日本の市場に、いわゆる一種の密輸入されたものが市場に氾濫し、又自動車のごときは、この条項を巧みに利用いたしまして、昨年のごときは、少くとも二千台この日本の市場に流れておるということを言われておるのでありますが、こういうようなこの国連軍協定におきまする第十三条の第四項のA、Bについては、日米行政協定によりまする苦い経験からいたしまして、少くとも大蔵大臣は、この対策を如何にするかということを考えらるべきであると思うのでありまするが、若しこれに対しまして大蔵大臣は、日米行政協定におけるこの盲点を衝かれておる点を御認識になつておるならば、少くとも抜本的対策があると思うのでありますが、これに対しまする御所見を伺いたいと存じます。  次に、自治庁の長官にお伺いいたしますが、先ほど藤田議員の御質問がありまして、大蔵大臣が一部御答弁なつたのでありまするが、この本協定の第十四条第三項、いわゆる地方税を免除する、電気税、ガス税を免除する、こういうようなことになりますというと、大蔵大臣の御説明によつて、一体この英連邦の使用しておる全国有財産の使用量の総額を、若しお調べになればわかると思いますが、若しこれが平和的、産業的に国連軍に占有されておりませんならば、これは事業をやつておりますれば、固定資産税として当然これは市にも収入があるわけであります。然るにこれらのものが全部免税されておる。地方税の免除ということは、この英連邦軍の所在しておりまする、駐在しておりまする所におきましては、先ほど申上げましたように特別の経費を要するのでありますけれども、こういう収入がないために、財政的には極度の窮乏を告げる、今日のこれは実情でございます。只今大蔵大臣から特別平衡交付金を多少按排してやつておる、又将来もやるのだと、こういうことを仰せられますけれども、かようなことでは、全くこの地方財政にとりましては九牛の一毛であります。地方自治体の健全な発達を期するためには、かような弥縫的なことでは、到底できるものではないのでありまして、何か特別の救済措置を必要と存じます。これを米軍が駐屯しておりまする地域におきましては、先ほど藤田議員の言われましたように、防衛分担金、或いは安全保障諸費というものがございますから、そういうものでうまく補償をなし、或いは代替施設の建設等が行われておるのでありまするが、英連邦駐留地域に対しましては、全くこの点には一方的な犠牲を強いるという、一つの片手落ちになつているのが現状でありまするが、こういうような不公平を是正するためには、何か特別の交付金を与える、これらの呉を含めましての他の三軍港にいたしましても、終戦前までは、いわゆる海軍助成金という事例から申せば、殊に終戦時におきましては三倍半に及ぶような助成金をもらつている。こういうようなこともあることから勘案しまして、何かこれに対しまする特別の財政的の補償をするということが必要であると思うのでありますが、塚田自治庁長官はどういうようなお考えであるか。この点をお伺いしたいと存じます。  最後に、労働大臣に対する御質問でございますが、先ほど藤田議員の御質問に対しまして、国連軍とのこの労務基本契約、これをアメリカの、米軍のほうの労務基本契約が調印され次第、国連軍においても労務基本契約を結ぶ所存であるということを申せれておりますが、御承知のようにこの米軍との労務基本契約というものは、すでに一年有半に亘つてのこれは懸案になつておる。アメリカ軍がこれを承認しないのである。今後これがいつ署名されて労務基本契約が成立するかということは、今のところ見通しがつかないのじやないかと思う。かような事態にありますところに、その時期を待つということでは、私はこの国連軍が、国連軍の協定によりまして労務の提供が間接雇用になるという、この間もない時期を控えまして、アメリカとの、米軍との労務基本契約ができる時期を見て、労務基本契約を国連軍と結ぶと言われますけれども、これは私は、現実並びに過去の経験からいたしまして、極めてこの点は私は不安に思うのでありまして、米軍との労務基本契約が成立しよう、しないにかかわらず、その基本項目というものはすでにきまつておるのであります。即刻私は労働大臣としましては、国連軍の当局に折衝されて然るべきものだと思うのでありますが、労働大臣如何にお考えになるか。なお、この国連軍協定の第十四条の第二項によりますというと、労務の調達の契約から生じます紛争、いわゆる労働争議、これは契約の当事者によつて解決されるものであるが、若しそれで解決さもない場合には、合同会議において付託することができると、それでも解決しない場合におきましては、両政府間においてこの解決を図るのだということを言われますけれども、今日まで米軍との労務者のこの労働紛議というものは、この点は筋道はできておりまするけれども、なかなか解決しない。これがために日本の労務者は非常に困窮いたしておるのでありますが、これに対しましては、もつと徹底した、もつと明らかな条項を私は持たれるべきだと思うのでありますが、この点に対しまする小坂労働大臣の御答弁をお願い申上げたいのであります。  以上でございます。(拍手)    〔[国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  46. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えいたします。  国連軍協定が、二十ヵ月にもなんなんとする非常に長い期間を要したが、その理由はどこにあるのかという御質疑でありましたが、一昨年の七月関系国政府と交渉を開始いたしましたところ、刑事裁判権及び若干の財政経済問題等について、双方の主張が対立いたしまして停頓のやむなきに至りまして、その間相当の時間を空費いたしたような次第であります。昨年の八月になり、NATO協定の効力発生及びこれに伴う日米行政協定の改訂に伴い、国連軍につきましても、昨年十月の議定書の締結により、刑事裁判権については解決をいたしましたので、引続いて財政経済問題について交渉をし、相互の互譲によつて、先般妥結を見るに至つたような次第であります。以上のようなわけで、相当の長期を要したのであります。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  47. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 施設の提供を無償でいたしますのは、これは国有財産に限りまして、民有の財産は、先方が借料とかその他の経費を負担することになつております。この国有財産をどういうふうに扱うかということが、やはりこの交渉の一つの重要問題でありまして、先ほど外交が軟弱でいかんというお叱りでありますが、ただ向うの言うことを聞いておるならば、今、副総理の答えられたように、二十カ月も長くかかるわけはないのでありまして、できるだけ日本側の利益を擁護するために、長い時間がかかつたようなわけでありますが、これは双方の満足する程度のところに落ち着いたわけであります。日英支払協定を有利にするために何かこういうことをいたしたのかと言われますが、そういうことは全然ございません。  それから、施設の日英共同使用等の場合に、イギリス側がこれを専ら使つてしまうというような御心配でありますが、これは、今後ともできるだけ気を付けますが、特にこういう問題につきましては、現地委員会の活動に待つところが多いと考えております。現地委員会の活動の範囲、権能等も、お話のようにできるだけやつてみた上で拡げて行きたい。こういうふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣小笠原三九郎君登壇
  48. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 最初に、大蔵大臣はこの問題について、国連軍の無償使用については当初反対しておつたのではないかというお話でございました。実は私どもは、在日米軍というものは、安全保障条約に基きまして日本の国の防衛のために我が国に駐留してくれておるものでありまするが、これに反して国連軍のほうは、いわば朝鮮事変解決のために日本に停留し、又は日本を通過するだけであつて、その間おのずから性質は違うのであるから、無償にすべき理由に甚だ乏しい。こう実は考えておるのであつて、当初反対したことは事実でございます。併しながら、その後、政府としての外交方針が、国連軍も均等待遇すべきであるということに一致いたしましたので、それで無償で使用させるということに同意をいたした次第でございます。  それから今のものの使用料をとるとすれば、年間どれくらい上げ得るかというお尋ねがございましたが、大体、英連邦軍に提供しておる施設の一時使用料をとるといたしますると、年間で約七億円くらいの収入を上げ得る見込でございます。  それから国連軍の協定で輸入税が免除されることになつておる。これはどうも、と言つて、自動車の例を挙げてお話がございました。実は、国連軍協定によりまする国際連合の軍隊の構成員又は軍属が、自己又はその家族の用に供するために自動車を輸入したときは免税とすることとし、必要の法律案を今国会に提出して御審議を願つておる次第でありまするが、これは北大西洋条約とほぼ同様の取扱でございまして、自己又はその家族の用に供するための自動車の輸入税を免税といたしまするのは、これは決して行政協定の例にならつた、いわば悪例、と言えば悪例でありますが、それにならつた次第ではございません。なお自動車の輸入の時期及び台数を制限することにつきましては、一般人にありましては、引越荷物として一家族一台、これを免税することといたしておりまするが、軍人等につきましては、その勤務の性質上、一般人と同様に輸入時期等を制限することは適当でないと考えられますので、これらについては制限を設けなかつた次第でございますが、免税輸入の自動車を転売いたしまする場合につきましては、関税法を今度改正いたしまして制限を設けることといたして、関税を取るように相成つております。なお念のため、二十八年中における免税自動車を転売した実例と徴収税額を御参考に申上げますると、台数が一万九千八百七十四台、徴収税額が二十七億一千四百五十二万六千円、これだけ徴収いたしておる次第でございます。    〔国務大臣塚田十一郎君登壇拍手
  49. 塚田十一郎

    国務大臣(塚田十一郎君) どのようにいたしましても地元の自治団体には御迷惑のかかつておるということは、御指摘の通りだと思うのであります。例えば使われておる固定資産が民間に払下げられるということであれば、固定資産税も取れる。又、ガス税、電気税も取れるということであれば、それだけ非常に地元は財政的に豊かになるわけでありますけれども、ただ、今の制度の下におきましては、できるだけの措置はいたしてあるわけでありまして、御指摘のように、駐留軍、国連軍がおりますために必要な、余計経費がかかるという部分は、先ほど大蔵大臣からもお答えを申上げたように、これは特別交付金で見てあります。それから、ガス税、電気税に関する部分は、むしろ今までの場合には、財政計画の上ではこれは収入があるという前提になつておりましたので、これも併せて特別交付金で見るということになつておつたわけでありまして、この分は呉市の場合には昨年一千万円だけ見たという実例があるわけであります。併し今度の場合には、はつきりと、これが税が取れないということになりましたので、この取れない部分は当然、平衡交付金、普通の平衡交付税を算出する基礎に加えられる。従つて、新らしく今度の協定できまりまして規定の上で取れない部分は、普通の交付税で見られる。それからその他の部分は、従来通り特別交付税で見られる。こういう関係になると思うわけであります。電気税だけで、今、呉市の場合を、試みに大体どのくらいになるかということを調べてみた数字があるのでありますが、電気税だけでございますと月に六百万円ぐらい、従つて税額で六十万円ぐらい、従つて年間七百二十万円ぐらいの電気税が取れるべきものが取れなくなるという関係であります。なお、こういう状態で非常に大きく今度の協定の結果、変化が出て参りますのは、呉、東京、これが一番大きなものと考えられます。それに次いで、防府、神戸というような所でありまして、そのほかは、そうたくさんもございませんし、金額にしましてもそう大したものではないと考えられますので、特別交付税の操作で十分最大限の措置はできる。こういうように考えております。    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  50. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えを申上げます。  米軍との労務基本契約がもたついておりますことは御指摘の通りでございますが、先方に対しましても、当方の意見を十分反映させまして、FECのほうでは十分承知しておるのでありますが、何分にも三軍並びにワシントン等を往復いたしますために、時間的には大分経過いたしております。併しこの点につきましては、ほどなく円満なる結論が出ると存じますが、私は何も、それができるまで協定を結ばんというわけではないのでありまして、一応暫定的な協定は結ぶ。併し現在交渉しておる点が明らかになりませんと、英連邦軍のほうにおいても、この新らしい労務基本契約の線について同意するかどうかという点についても、若干の問題もございまするので、先ず米軍との基本契約を締結して、そうして本格的な英連邦との労務基本契約というのをその後において締結したい。こういう趣旨でございます。何分にも御承知のように、国連軍協定の第十四条におきまする公式議事録にも明らかになつておりまする線がございますから、勿論その線にまで許容させることにいたしますことは、これは当然だと考えております。  更に御指摘の労働紛議の問題でございますが、合同委員会の下にレーバー・コミツテイにおきましても、労働紛議の解決を今までやつておりまするが、私どものほうも遠慮なく主張すべきものは主張しまして、或いは時間のかかつたものもございますが、日本の労働法規上からいたしまして、当然の要求は当然の要求としてこれを通しておるつもりでございます。今後につきましても、その線を貫きたいと考えております。
  51. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  52. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、町村合併促進法の一部を改正する法律案内村清次君外十四名発議)  日程第三、自治庁関係法令の整理に関する法律案  日程第四、昭和二十九年度分の町村民税の臨時特例に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長内村清次君。    〔内村清次登壇拍手
  54. 内村清次

    内村清次君 只今議題となりました町村合併促進法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議の経過並びに結果について申上げます。  昨年八月第十六国会におきまして、本委員会の全委員の共同提案による町村合併促進法が成立いたしまして以来、町村合併の機運は全国的に高揚し、同法が施行せられました十月一日から去る四月一日まで、僅か半年間において、合併件数三百四十、合併関係町村千三百以上に達する成績を上げておりますことは、誠に御同慶に堪えない次第であります。而して本委員会におきましては、同法の施行につきましては、常に多大の関心を寄せ、又必要な調査もいたして参つたのでありまして、その運用の実情に鑑みまして、昨年十二月の第十八回国会におきまして、その一部の改正を提案し、幸いに成立を見たのでありますが、更に町村合併の進展に伴い、種々考慮すベき問題が生じ、速かにその解決を図ることが、今後の町村合併の円滑な実施を期するために緊要と考えまして、その法制化につき鋭意研究を進めて参つたのでありますが、然るところ、ここに成案を得ましたので、本委員会の委員全員の共同発議によりまして、本法案が提出せられたのであります。  次に、本法案の内容について概要を御説明申上げます。  改正の第一は、土地改良法の改正によりまして、市町村も土地改良事業を実施し得ることになりましたので、新町村建設計画に定むべき事項の中に、土地改良に関する事項を挿入することといたしたのであります。  第二は、議会の議員についてと同様、教育委員会及び農業委員会の委員につきまして、その任期及び定数についての特例を設けることといたしたのであります。ただこの両委員会は執行機関でありますので、教育委員会の委員につきましては合併関係町村の数だけ、農業委員会の委員につきましては現行委員の定数の二倍の数だけを限度として、従前の委員の互選によつて、委員の身分を保持できることにいたしたのであります。  第三は、都道府県の境界に亘る市町村の境界変更に関する特例についてでありまして、町村の一部の区域の住民が、他の都道府県に属する町村に入りたいというときは、その相手方の町村に対し、都道府県知事が町村合併に関する意見を聞いた際に、こちら側からそこへ入りたいという意見が提出できることにいたしました。  第四に、現行規定では、市町村の境界変更に関し、住民投票ができるのは、知事の勧告があつた場合において、その勧告を受けた町村がこれに従わない旨の議決をしたときとなつているのでありますが、そのほか四カ月を経過いたしましても、何ら議決をしないときにも、投票の請求ができることにいたしました。  第五に、分村問題の絡んでいる町村合併を円滑に進め得るようにするため、町村合併後においても、知事が市町村の境界変更に関する勧告を行い得ることとし、その場合には、住民投票によつて市町村の境界変更が行われる途を開いたのであります。  第六は、一部事務組合及び事務の委託に関する特例でありまして、合併前に関係町村の間で、その事務の引継について協議がつかないときは、一応合併後も引続き組合関係又は事務委託関係が継続することといたしたのであります。  第七は、社団法人で国民健康保険事業を行なつているものがあるときは、合併後も引続き従前の区域で事業を行うことができるものとする等、町村合併に伴う国民健康保険事業の遂行を円滑に行い得るようにいたしました。  第八に、国鉄職員は市議会の議員になることができないことになつておりますが、現行規定の議員の任期に関する特例によつて、従前の町村議会の議員が、そのまま市議会の議員となる場合には、その任期中に限り、国鉄の職員をやめなくてもよいようにいたしたのであります。  第九は、従来市を設置する場合は別といたしまして、町村を市へ編入する場合には、議員の任期及び定数についての特例が認められていないのでありますが、現行の特例規定によつて編入を受ける市の議会の議員に、従前の町村の議会の議員なつたものであるとき、又はその市の議員の定数が増加されたものであるときは、均衡上議員の任期及び定数についての特例を認めることといたしたのであります。  第十は、促進法の適用又は準用を受けない市への編入や、市の設置の場合にも、その適用又は準用を受ける場合と同様、都道府県の議会の議員の選挙区を従前の通りとなし得る途を開いたのであります。  最後に、今回の各改正の趣旨は、すでに行われた町村合併についても適用することが適当と認められ、又町村合併の多くは三月末日又は四月一日現在で行われている事情もありますので、附則においてできるだけ遡及適用又は準用することとし、法律技術上遡及できないものについては、同趣旨の単独規定を設けることといたしました。  本委員会におきましては、去る十六日本法案が付託になりまするや、直ちに翌々十八日提案者の代表石村委員より、提案理由説明を聞き、同委員、塚田国務大臣及び政府委員に対し、市の人口要件、合併に伴う職員の身分、教育委員の選挙とその告示の関係、補助金交付の促進、本法の適用又は準用を受けない市の町村編入、又は本法の議員の任期及び定数についての特例を適用しなかつた合併市町村へのその後の町村編入の場合における議員の任期及び定数の関係等について質疑を行いました。又国有林野の払下状況、各省間の連絡、協力関係についての質疑に対しましては、町村合併推進本部の委員には、関係各省次官も委員となり、各省ともよく連絡し又協力をしている。国有林野の払下については、一般方針としては勿論協力することになつているが、なお具体的の問題があれば十分努力する旨の答弁がありました。  かくて質疑を打切り、討論を省略し、本法案は、全会一致を以て、原案通り可決いたしました。  続いて、小林委員より附帯決議案を提案いたされましたところ、これ又全会一致を以て、提案通り可決すべきものと決定いたしました。右、附帯決議は次の通りであります。    附帯決議   昨年十月一日町村合併促進法が施行せられて以来去る四月一日までに実に合併件数三百四十、合併関係町村一千三百以上に達する合併の実損を見たのである。政府がこれら新合併市町村の育成、なかんずくその新市町村の建設計画の実現のために優先的に援助すべきことは同法の精神とするところであり、これら合併町村に対する政府措置は、今後の町村合併の促進に至大の影響があるのみならず、実に地方自治の将来を決するものであることに深く思いを致し、政府各省はよろしく一体となり、各種補助金の交付、起債の許可、国有林野の払下げ等、新市町村の建設に対する援助を積極的に行い、以て町村合併の促進と地方自治の確立を期せられたい。   右要望する。  以上、御報告申上げます。  次に、自治庁関係法令の整理に関する法律案について、御報告申上げます。  本法案は、過去に制定された自治庁関係の法令中、すでに実効を喪失している、北海道三県協議費怠納者処分及同費に関し不服者出訴の件外三十六件を整理の意味で廃止の措置を講ぜんとするものでありまして、別に問題もありませんので、衆議院の通過を待つて、直ちに全会一致を以て、原案通り可決いたした次第であります。  次に、昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案は、只今当院において審議中の地方税法の一部を改正する法律案に関連するものであります。即ち現行地方税法によれば、市町村民税を特別徴収の方法によつて徴収しようとするときは、市町村長は四月三十日までに特別徴収税額の通知をいたしまして、右通知を受けた特別徴収義務者は、五月から翌年二月までに給与の支払をする際十分の一ずつを毎月徴収することになつているのでありますが、目下審議中の地方税法の一部を改正する法律案におきましては、特別徴収税額の通知を五月三十一日までとし、その特別徴収を六月から翌年三月までの間に行うことになつているのであります。従つて現行法によつて市町村がその手続を進めますと、右法律案が成立いたしました際不都合を生じますので、右法律案と同様に、特別徴収の通知の期限を五月三十一日までとし、六月から翌年三月までの間において特別徴収を行うように、右法律案が成立するまでの間の特別措置を講ぜんとするものであります。  本委員会におきましては、本措置はやむを得ないものであると共に、緊急を要する点に鑑み、これ又衆議院の通過を待つて、直ちに全会一致を以て、原案通り可決いたした次第であります。  以上、御報告申上げます。(拍手
  55. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  56. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて三案は、全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  57. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第五、狂犬病予防法の一部を改正する法律案  日程第六、消費生活協同組合法の一部を改正する法律案  日程第七、らい予防法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長上條愛一君。    〔上條愛一君登壇拍手
  59. 上條愛一

    ○上條愛一君 只今上程せられました狂犬病予防法の一部を改正する法律案外二法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず狂犬病予防法の一部を改正する法律案について申上げます。  狂犬病予防法の施行以来、狂犬病の発生は逐次減少して参りましたが、なお根絶に至らず、年々相当数の発生を見る現状であります。本法律案は更に一層狂犬病予防措置の強化に努め、その根絶を図ろうとするものであります。  政府提案による主な改正点を申上げますれば、第一は、野犬化防止のため、狂犬病予防員が犬の所有者からその不用となつた犬の引取りを求められたときは、これを引取つて処分しなければならないようにしたのであります。第二は、狂犬病予防員が捕獲しようとして追跡中の犬が、土地、建物等に入つた場合、捕獲するためやむを得ないと認める場合は、必要な制限の下に予防員がその場所に立入ることができるようにしたのであります。第三は、都道府県知事が、緊急の必要があり、且つ抑留を行うことが著しく困難な事情があると認められるときは、他に被害を及ぼさないような必要な措置の下に、狂犬病予防員をして繋留されていない犬を薬殺させることができるようにしたのであります。衆議院におきましては、犬を捕獲するためやむを得ないと認めるときは土地、建物内に立入ることができるという規定を、都道府県知事が特に必要と認めて指定した期間及び区域に限りこれを適用することに修正されたのであります。  厚生委員会におきましては、政府原案並びに衆議院修正点について慎重審議を続け、殊に登録料の用途、登録犬と野犬の区別、野犬捕獲人の住居立入り、野犬の薬殺等に関する諸問題については熱心なる質疑が行われたのでありまするが、右のうち、特に野犬の薬殺については、野犬以外の犬、又は他の動物に累を及ぼす等の事件の発生もあり、なお動物愛護の見地から国際的の批判等も生れつつある実情に鑑み、「薬殺に当つては、その実施方法につき慎重なる配慮をする必要があり、又薬殺等の場合にできる限り苦痛を伴わぬように考慮が払わるべきであると思うが、この点に対する政府当局の所見はどうか」との質疑に対し、政府当局から、「薬殺に関しては本法第十八条において詳細なる規定が設けられているが、なおこれが実施に当つては一層慎重なる対策をなして、万全を期する覚悟である」との答弁がありました。  なお、問題となつております狂犬病予防ワクチンの効果については伝染病研究所附属病院長北本治氏を、動物愛護の立場よりは日本動物愛護協会理事長斎藤弘吉氏をそれぞれ参考人としてその意見を聴取して、本案審議の参考といたしました。その詳細につきましては、速記録を御覧願いたいと存じます。  かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、大谷委員より、本案に関する附帯決議を附すべき旨の動議が提出されました。その案は、次の通りであります。   繋留しない犬の薬殺については、狂犬病予防のため緊急止むを得ず、且つ他に代るべき捕獲方法のない場合に限り、これを実施するものとする。   而してこれが薬殺の実施については、場所及び日時を指定し、他に不測の災害を及ぼさざるよう周知徹底せしめると共に、犠牲動物の苦痛を軽減し、社会人心に与える影響を顧慮して慎重に措置すべきことを要望する。  以上が附帯決議案であります。  討論を終了し、採決に入りましたが、先ず衆議院送付案について、全会一致を以て可決すべきものと決定いたし、次いで大谷委員提出の附帯決議につきましても、又全会一致を以て決定いたしました。  次に、消費生活協同組合法の一部を改正する法律案について申上げます。  消費生活協同組合法が施行されまして以来、すでに五年を経過いたしておるのでありまするが、その間経済事情その他の社会情勢の変遷に伴いまして、組合の組織或いは運営について相的の変化が見られ、中には組合本来のあり方と相当かけ離れたものすら生じて参りましたので、かような事態を規正し、且つ健全な組合の発達を助長するため、この際、所要の改正を加えようとするものであります。  改正の要点は、第一に、組合が市中の中小商人等に組合の名義を貸すことを禁止したことであります。最近税の関係等より中小商人等が協同組合の名義を借り、組合もこれを容認するような傾向が諸方に出て来ているのでありますが、かようなことは協同組合本来のあり方にも反しまするし、諸種の問題を惹起いたしますので、この際、明文で禁止しようとするものであります。第二に、都道府県の区域を越える地域連合会は、傘下組合の指導連絡業務のみ認められておりまするが、同様な職域連合会は、一般組合事業を行うことも許されている点等から考えて、この際、これら地域連合会に対しても、会館、宿泊施設の経営等、一般組合事業の経営を認めようとするものであります。第三に、組合の業務運営を適切にするための技術的な修正でありまして、総会の議決事項に規約の設定、変更及び廃止を加え、財務を適正に処理するための必要な基準を定め、理事の欠けた場合の仮理事の選任等を認める筆の事項であります。第四に、組合が組合員の出資額に応じて剰余金を割戻す場合の制限が、従来は年五分を最高としてありましたが、出資の増強を図るためにこれを年一割まで引上げようとするものであります。第五に、組合の設立認可の際の審査基準として、従来の法令違反、設立手続違反の有無等に加えて、事業を行うに必要な経営的基礎の有無を新たに加え、又組合からの報告提出、行政監督等の規定についても実情に即した修正を加えようとするものであります。なお、従来の解散命令については、特に慎重を期する必要があるので、組合に対しあらかじめ弁明の機会を与うることを新たに規定いたしたのであります。  以上が本法案の提出理由並びに改正り要点でありますが、衆議院におきましては修正議決と相成つたのであります。衆議院における修正の要点を申上げますと、報告一検査及び措置命令に関する規定中、「組合の運営が著しく不当であると認めるとき」とあるのを「組合の会計経理が著しく適正でないと認めるとき」と修正いたしたのであります。  本委員会におきましては、先ず政府当局より、本法案の提案理由並びに法案の内容について、又衆議院側より衆議院における修正点につきまして、それぞれ詳細なる説明を聴取いたしました後、慎重審議をいたし、種々熱心なる質疑が行われたのでありまするが、そり詳細は、速記録によりまして御了承を願いたいと存じます。  かくて質疑を打切りまして討論に入りましたところ、湯山委員より、本法案に対する附帯決議案が提出されたのであります。その案文を申上げますと、  我が国消費生活協同組合の実態に鑑み、政府の融資額を増額すると共に、その指導監督に当つては慎重適正な配慮を以てこれに当り、特に名義貸による解散権の実施に関しては、真に止むを得ない場合にとどめ、その育成発展を図ることを要望する。  というのでありまして、大谷委員がこれに賛意を表されたのであります。  討論を終局いたしまして、採決いたしました結果、全会一致を以て、衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。次いで、附帯決議案について採決いたしましたところ、これ又全員一致を以ちまして、承認することに決定いたした次第であります。  最後に、らい予防法の一部を改正する法律案について申上げます。  先ず、本案の改正点を申上げます。第一は、国立療養所の入所患者の家族であつて、生計困難なものに対しては新たに都道府県知事が、らい予防法に基き所要の生活援護を行い得ることといたしたのであります。第二は、厚生省の所属機関として、らいの予防及び治療に関する調査研究を掌どる国立らい研究所を設けることといたしたことであります。その他所要の改正を行なつたことであります。  御承知の通りらい予防法の成立に当りましては、去る第十六国会におきまして、らい患者の要望運動等もあり、世間の注目を受けた問題でありました。参議院の厚生委員会におきましても、九項目に亘る附帯決議を附して、その趣旨の徹底を期したものであります。今回本改正案に関する厚生委員会の審議におきましては、前附帯決議の九項目について熱心なる質疑が重ねられ、厚生大臣の再確認を得た次第であります。その詳細は、速記録によつて御了承願いたいと存じます。  質疑を終了し、討論に入りましたところ、谷口委員は、本改正案に賛意を表せられ、九項目については、今回改正となつた以外の項目についてもその実現を促進し、国立らい研究所は、その性質上地方の療養所内に設置すべきことを要望せられました。廣瀬委員よりは、本案に賛意を表し、患者の治療については医、薬の両面から科学的に十分研究をなし、らいの速かなる根絶に寄与すること、患者及び家族に治癒の希望を与えるべく、厚生行政に十分の熱意を以て当ることの要望が強く行われ、又湯山委員は、討論された諸問題について、政府は真剣に考えることを事実を以て示すべきであると要望し、有馬委員よりは、国立らい研究所の設置に当つては、地方的でなく全国的便宜を考慮して将来の研究に支障なからしめるように要望されたのであります。  かくて討論を終了し、採決に入りましたところ、全会一致を以て、衆議院送付通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申上げます。(拍手
  60. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  61. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて三案は、全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  62. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第八、住宅金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。建設委員長深川タマヱ君。    〔深川タマヱ君登壇拍手
  63. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 只今議題となりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  先ず、本案の提案の理由及び要旨について申上げます。御承知の通り、住宅金融公庫は、昭和二十五年に発足いたしまして以来、国民大衆に、長期低利の建設資金を融通いたしまして、今日までに約十九万戸の住宅を供給いたしまして参りましたが、最近の建設費の高騰、特に地価の急激な値上りによる土地の取得難が、住宅建設の大きな隘路となつております現状から、これら当面の障害を除去いたし、公庫住宅の建設が円滑に行われるよう改正の措置を講じようといたすのが本提案の理由でございます。  改正の主要な点につきまして申上げますと、第一は、宅地の開発、造成事業に対して新たに融資の途を開いたことでございます。即ち地方公共団体その他の法人が、土地を開発して住宅を建てようとする人々に宅地を譲渡する事業を行う場合、それらの法人に対して公庫は、土地の取得、造成に要する標準費用の九割に相当する資金を年六分五厘、償還期間三年を限度といたして貸付けることができるようにいたしたのでございます。第二は、住宅の高層化を促進いたして、既存宅地の高度利用を図つたことでございます。即ち地上三階以上の耐火構造住宅につきましては、貸付金の償還期間が、現行法では三十五年でありますものを、五十年に延長いたし、又高層家屋内の住宅以外の店舗、事務所等につきましても、それらの部分が住宅に使用される床面積の三分の一以内の範囲でありますれば、この非住宅用の部分の主要構造部を建設するのに要する資金につきましても、全額融資することにいたしております。但しその部分の貸付金の償還期間は十年以内で、金利は年五分五厘でございます。更に又、法人等がその所有する土地に高層住宅を建設いたし、賃貸又は分譲事業を行う場合には、住宅の建設費と、通常必要とする土地の取得費用とを合算いたし、その八割五分に相当する金額を貸付けることができるようにいたしてあります。第三は、地方公共団体並びに会社その他の法人が、分譲住宅事業を行う場合、現行法では、直接に資金を融通する途がないのでございますが、このたび公庫資金融通の途を開いたのでございます。第四に、公庫は、特別に必要がある場合には、主務大臣の承認を得て公庫の附帯業務として、みずから宅地分譲を行い、又はみずから住宅を建設して譲渡することができるようにいたしてあります。第五は、地震、火災暴風雨等の災害のあつた場合、罹災者が災害発生の日から二年以内に公庫の融資を受けて住宅を建設するときには、貸付期間を三年以内延長いたし、且つ貸付の日から三年以内の据置期間を設けることができるようにいたしてあります。  本案は、去る三月八日に委員会に付託され、建設委員会におきましては十一回に亘つて委員会を開き、建設省当局に対して数多くの資料を中心といたして、詳細な質疑を行うと共に、参考人として住宅金融公庫並びに地方公共団体の関係責任者を招致いたし、意見を徴するなど、慎重審議をいたしたのでございます。殊に建設大臣並びに住宅局長が、長期に亘つて御病気で出席できませんでしたので、緒方総理の出席を求める等、万全の審議を尽したのでございます。次に、質疑の主なる点について申上げますと、先ず「宅地造成事業の具体的計画はどうか。」又「その融資対象に、地方公共団体及び公益法人のほかに、民間営利会社も含めているが如何なる意図によるものであるか」という点でございまして、これに対しましては、「本年度の事業計画といたしては、東京、大阪等、宅地難の激しい大都市中心に、約四億円で二十万坪の敷地を取得いたし、そのうち約十万坪を造成いたして分譲する計画であり、その譲渡価格の基準は、土地取得費が最高坪当り二千五百円、それに水道、ガス、道路等の施設造成費千五百円を加えて四千五百円の範囲内を予定している。又民間会社を加えたのは、たとえ営利を目的とした会社、法人であつても、例えば電鉄会社等が、沿線開発の観点から、その計画が営利を目的とせずに、宅地開発に協力するようなものであれば、これをも排除する理由はなく、且つ又その場合の譲渡価格は、この法律に基いて制限をしているので、営利を対象として事業を行うことは困難であると考える」という答弁でございました。又、「新らしく宅地が造成されると、その周辺の地価が上り、一部の地主や民間会社をして不当に利得させることになるが、これを抑制する方法として、道路法におけるごとき、受益者負担の方法をとる考えはないか」との問に対しましては、「実施して見て、弊害の発生が事実明らかな事態に至つたならば、そのとき抑制手段をとるようにしたい」とのことでございました。又「農耕地は年々二万七、八千町歩も潰されている。都市周辺の農地、山林が宅地に蚕食される傾向を助成するごとき都市開発の方法をやめて、既存宅地の利用、高層住宅化による宅地解決に重点をおくべきである。そのための共同住宅建設促進の方途、或いは死文となつている防火地区内借地権処理法の改正、活用を図る考えはないか」との質問に対しましては、「既存宅地の利用は勿論大切であつて、高層住宅の建設促進努力する考えであるが、地上権その他の権利関係が複雑であつて、現実の促進はなかなか困難であり、将来根本的に対策を考えたい。現状においては、増大する宅地の需要量に対処するために、新たに土地開発を計画的に行う必要がある」ということでございました。このほか宅地造成と都市計画との関係、耐火建築促進法、或いは不良住宅地区改良法との関連、分譲事業に対する監督、貸付金にかかる多層家屋内の非住宅部分に対する取扱等について、慎重な質疑が行われたのでございますが、詳細は、速記録によつて御承知願いたいと存じます。  かくて、一昨十九日質疑を打切り、討論に入りましたところ、田中委員上り、宅地造成事業の融資対象となる地方公共団体並びに会社その他の法人から、営利を目的とする会社を除くこと、及び附則の地方税の改正に関する不動産取得税の特例の条項を削除すること、並びに施行期日の変更を内容とする修正案が提出され、又、三浦委員からは、附則の地方税法の一部を改正する項目は、目下当院地方行政委員今で審議中の地方税法の一部を改正する法律案において、新たに不動産取得税が創設されることを前提として、その不動産取得税に関する特例を設けようとするものであるので、現在審議中の不動産取得税の創設自体が未定のうらに先行することは、議案の取扱上適当でないから削除すること、並びにこれに伴つて施行期日を変更することの修正案が提出されました。次いで、木村委員から、「本案は、住宅対策に対する二十九年度予算が縮小し、住宅対策が後退しているのを隠蔽する手段に過ぎないこと、民間営利会社をも融資対象としていることから反対する」との反対意見が述べられ、次いで赤木委員から、宅地造成は都市計画と不可分のものであるから、この点を十分考慮することの要望を付して、三浦委員修正案に賛成、田中委員修正案に反対」との意見が表明せられたのでございます。  討論を終えて、先ず田中委員並びに三浦委員発議の両修正案の共通部分を除く宅地造成にかかわる部分について採決をいたしましたところ、多数を以て否決、次いで、地方税法の改正にかかわる共通部分について採決いたしましたところ、多数を以て可決、更に修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、多数を以て可決せられたのでございます。  以上、御報告申上げます。(拍手
  64. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。田中一君。
  65. 田中一

    ○田中一君 大臣は留守ならいいですが、政務次官帰りましたか、政府委員おりませんか。
  66. 河井彌八

    議長河井彌八君) 出席を求めます。
  67. 田中一

    ○田中一君 来るまで待ちます。
  68. 河井彌八

    議長河井彌八君) 田中一君。    〔田中一君登壇拍手
  69. 田中一

    ○田中一君 私は日本社会党第二控室を代表して、只今議題となつております住宅金融公庫法の一部を改正する法律案に反対するものであります。以下反対の理由を申上げます。  先ず第一は、政府の住宅政策の欺瞞についてであります。一昨年政府は、住宅政策を重要国策の一つとして取り上げ、住宅建設二十カ年計画を策定し、その一環として第一期公営住宅三カ年十八万戸、住宅金融公庫による融資住宅同じく十八万戸の建設計画を立て、公営住宅三カ年計画は、公営住宅法に基いて国会の承認を求めたのでありました。然るにどうでありましよう。国会を尊重する建前から言えば、当然三カ年計画の最終年度たる二十九年度で完遂に必要な十万四千戸分の予算を計上すべきものであるのを半分の五万三千戸とし、超緊縮予算の名において五万一千戸分を棚上げしてしまつているのであります。更に、公庫の融資住宅につきましても、七万九千戸を要するところを僅かに四万戸でありまして、大きく計画を割つているのでございます。一体政府は、今日、本当に住宅に困つている大衆がどういうものであるかを知らないのではないか。東京の都営住宅には、一戸について千人もの申込者が殺到している事実を若し知つているならば、土地を取得し、なお且つ頭金に少くとも十数万円も要するような公庫住宅の建設のために宅地の造成費まで出すというがごとき、金持だけを喜ばすような政策をとれる筈がないのであります。そんなところに出せる予算があるならば、最も国民が欲し、国会に約束までした公営住宅の建設に予算を注ぎ込むべきものと考えます。同じく住宅に困つているといつても、多額の金策と負担ができるような者を対象として、住宅の建設が楽になるような見せかけを国民全般にまで与えようとするがごとき、この改正案の裏側にある意図に断然反対するものであります。  第二には、この改正案の主要な点である宅地造成の方法についてであります。第一点は、土地の値上りのために宅地が得られないから、都市の周辺地に宅地を開発して分譲しようという考え方であります。日本は今四つの島に八千万の国民を抱えて、農耕地は総面積の七分の一にも満たない僅か五百四十四万町歩しかなく、年々輸入食糧によつて辛うじて生きている始末であります。而も年々の耕地の潰廃は二万七、八千町歩にも及んでいるのであります。そこへもつて来て、国家の資金を投じてまで耕地を潰し、宅地を造成しようなどということがあり得るでありましようか。方法は他にあるのであります。国有地、公有地、占領軍時代に接収になつて、未だ解除になつておらないところの未利用の民間地、或いはゴルフ場等もたくさんあります。戦後物納不動産の宅地は、現在二百七十三万坪もあるのでございます。その多くは借地権があるからといつて、詳細な調査は行われていないのであります。国有地、公有地等についてもどれだけ未利用地があるか、資料を要求いたしましても、その資料さえ提出できない現状でございます。これでどうして土地がないと言えるのでありましよう。ゴルフ場は、都市周辺地に四百万坪以上もあります。国民に耐乏生活を説くならば、先ず資本家や、社用族や、高級官僚たちが汚職の温床にもなるようなこの広大なゴルフ場を開放して宅地化するような方策を講ずべきではないでしようか。  更に、私は土地は既成の市街地にたくさんあるということを申述べたい。大体日本の都市の家屋は木造で低く、平均二階にも及んでいないのであります。つまり空間が遊んでいるのであります。この改正案でも、高層住宅のための融資の条件をよくする方法がとられておりますが、この木造一、二階を五階、六階或いは十階と高層化することによつて、住宅の敷地難は解決されて行くはずであります。ところがその骨子となる共同建築を推進する方策が何ら考えられていないのであります。殊に既成宅地の利用増進で忘れてならないのは、不良住宅地区であります。人口二十万以上の都市の不良住宅地区の地域面積は百三十五万坪もあります。この置き忘れられた都会の谷間を改造することは、土地対策上ばかりでなく、都市計画、住宅政策上極めて大事なことであります。第二点は、この改正案の宅地造成事業の融資対象の範囲についてであります。地方公共団体や公益法人については異論はありませんが、民間の営利会社まで融資の対象にするということは断然承服できません。この民間会社については、私鉄等が宅地造成そのものによる利益を目的としないで土地開発に協力するような場合を考えていると政府は申しておりますが、一体営利を考えない民間会社というものがあるでありましようか。殊に私鉄会社は逆に土地を提供してでも、そこに道路ができ、水道、ガスが施設されれば、その周辺の土地が忽ち何倍にも何十倍にも値が上るのは当然であります。それを買占めることによつて莫大な利益を得ることができます。私はこのような一部の会社や地主を儲けさせるような法案には反対いたします。而も二十九年度は四億円で二十万坪の土地を取得したいということでありますが、その結果はどうなるでありましよう。地主や土地会社は、来年、来々年を見越して買占めをしたり、却つて全般的に土地価を値上りさせることは、住宅金融公庫の受付開始と共に地価の値上りを招いている現状から見ても明らかであります。  最後に、私は繰返し申しますが、民間営利会社に国家の資金を流して特定のものに利益を与え、今日政界経済界をゆすぶつている汚職の機会を又作るような、こういう改正案には絶対に反対するものであります。
  70. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は、終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます……    〔「定足数が足らない、採決できませんよ」「定足数が足らない」と呼ぶ者あり〕
  71. 河井彌八

    議長河井彌八君) 少しお待ち下さい。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  72. 河井彌八

    議長河井彌八君) もう一度繰返します。  これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  73. 河井彌八

    議長河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  74. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第九、船舶職員法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長前田穰君。    〔前田穰君登壇拍手
  75. 前田穰

    ○前田穰君 只今議題となりました船舶職員法等の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず、本法案の内容を申上げますと、現行船舶職員法は、昭和二十六年四月に大改正が加えられたのでありますが、その際、できる限り円滑に法の完全実施を図るために、本年八月三十一日まで船舶職員の資格について特例措置が講ぜられていたのでありますが、同法施行以来二年有余の間の船舶職員の充足状況を見ますと、約半数程度に過ぎないので、更に約一年半、この特例措置の適用を延長すると共に、海上運送法中の小型船舶操縦士に関する規定についても同様の措置を講じようとするものであります。  本法案の質疑に入りましたところ、本法案による特例措置の適用期間の延長により所要船舶職員を充足し得る見込ありや、或いは又現行法にも経過措置として猶予期間が認められていたにもかかわらず、法定資格の所要船舶職員を確保し得ず、更にこの特例措置の適用期間を延長しなければならないのは、現行法に無理があるからではないか等の質疑が行われたのでありますか、詳細は、速記録に譲ることにいたします。  討論に入りましたところ、岡田委員より、「現下船舶職員の充足状況に鑑み、本法案に賛成するが、次の決議を附せられるよう要望する」との意見か述べられました。次に、その決議案を申上げますと、   現下船舶職員の需給状況に鑑み、船舶職員法等に定める特例措置の適用期間を延期するは止むを得ないことと認められるが、政府は今後においてかかる特例措置を再び繰返す必要のないよう船舶職員の充足について万全の施策を講ずべきである。   よつて政府は、この特例措置の周知徹底を図ると共に、速かに船舶職員の講習、試験の実施方法等について適切なる方策を決定の上、これを実施すべきである。   右決議する。  というのであります。採決に入りましたところ、本法案は、原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定いたしました。  続いて附帯決議案につきまして採決いたしましたところ、これ又全会一致を以て可決されました。  以上、御報告申上げます。(拍手
  76. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  77. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  78. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十、農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長小酒井義男君。    〔小酒井義男君登壇拍手
  79. 小酒井義男

    ○小酒井義男君 農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果につきまして、御報告いたします。  先ず、この改正法律案の内容を御説明いたします。長野営林局は、林野庁の地方支分部局として長野県西筑摩郡福島町に所在し、長野県一円及び新潟、岐阜両県の一部を管轄し、国有林野三十五万八千ヘクタール及び公有林野、官行造林地二万八千ヘクタールを管理経営いたしておるのでありますが、これをこの改正法律案によりまして、本年度中に長野市に移転するというのがこの法案の趣旨であります。  政府が長野営林局の所在地を、このように変更することに決した事情を御説明いたしますと、長野営林局が、損所在地に設置されましたのは昭和二十二年の林政統一、国有林野事業特別会計の発足のときでありまして、政府は、当時の時間的の制約及び資材経費の不足等の事情によりまして、一先ず福島町の元帝室林野局支局の建物を使用する暫定措置を講じたことによるのでありまして、政府説明によりますと、現所在地から長野市に移転させることは、次に説明いたします理由から、ここ数年来の懸案であつたのであります。即ち国有林野事業の重要性の増大に伴い、営林局の対社会的接触面は急激に拡大されつつある現状でありまして、管下営林署の業務を統轄、監督する本来の使命と並行して他の行政庁、関係団体等との連絡折衝が重要な任務となつて来ておるのであります。然るに、現所在地は、木曾地方の旧御料林の中心地ではありますが、地方の行政及び経済の中枢からほど遠く、そのため長野営林局は対外交渉の面において、時間的にも経済的にも多大の犠牲を余儀なくされているのであります。加うるに福島町は山地狭隘の地勢にあつて、宅地の区域が乏しく、事業量の増加に適応した庁舎その他の施設の拡大の余地は全くなく、職員の勤務能率の上に著しい支障を来たしている実情であります。かような事情でありますから、政府はこの改正法律案によりまして、長野営林局を、県都として地方の行政及び経済の中心地であり、且つ広い敷地に恵まれている長野市に移し、現所在地における不便を解消し、今後国有林野事業の合理的経営と事務能率の一層の向上を図ることを期しておるのであります。  内閣委員会は、一昨日の委員会におきまして本法律案審議いたしたのでありますが、その審議によつて明らかにされた主な問題点をここに御報告いたします。  その第一点は、「営林局の位置、分布、管轄区域等については、単に長野営林局のみにとどまらず、他の局についても一般行政機構改革の一課題として検討さるべき問題であるのに、今回ひとり長野営林局のみについて、その所在地を変更するに至つた理由如何」という問題であります。この問題に対する政府当局の説明によりますと、政府当局は、「営林局の配置等については決して現状が適当であるとして満足しておるものではなく、その改正については従来検討し来たつたのであるが、これらの問題は地方の利害関係古あつて、今日未だ全般的に改正する即階に達していない。ただ長野営林局だけは、先に説明のあつたような事情、特に他の行政機関との事務連絡上の必要が最も局の移転を促すに至つた緊切な事情であつて、現在のごとく木曾福島に局を置くことは、局の事務運営上甚だ非能率であつて、今日はもはやこれを放置し得ない差迫つた段階に達しておるので、一般行政機構改革の時期を待ち得ず、ここに長野営林局の所在地を変更することといたさんとする次第である」とのことであります。その第二点は、「この改正法律の附則では、この法律の施行期日は、昭和三十年三月三十一日までの範囲内において政令で定めると規定されておるが、その移転時期如何」という問題であります。政府当局の説明によりますと、「長野市における敷地もすでに予定されてはおるが、年度内に庁舎の完成は困難であつて、当分仮庁舎を使用し、その移転は準備の整い次第、できるだけ速かに実現したい方針である」とのことであります。その第三点は、「長野営林局の所在地の変更について、地元福島町の態度如何」という問題であります。政府当局の説明によりますと、「この移転問題は、ここ数年来の懸案であつて、長野市に移転することは長野県全体としては大体賛成のようであるが、ただ地元では反対しておる。政府としては、福島町に林業試験場の分場を置き、営林局庁舎をこれに充てる方針であつて、今日では地元も納得しておる状況である」とのことであります。  以上、御報告いたしました諸点についての質疑を終りましたので、次いで討論に入りましたところ、竹下委員より、「現在の全国の営林局の分布及び管轄区域の状況は決して理想的のものとは言い得ない。この法律案では長野営林局の所在地の変更のみを取上げているが、政府は、林野の行政機構全般に通じて速かに理想的な形に改正するよう努力せられたい。次にこの改正によつて地元福島町においては、経済的にも精神的にも相当打撃を受け落胆することと思うが、政府は営林局移転に代る適当な施設を地元に設ける等の考慮をなされたい。この二点を政府に特に希望して原案に賛成する」旨、又、矢嶋委員より、「政府当局の説明によれば、政府は今日差迫つた事情のため、長野営林局の所在地を変更せんとする意図であるとのことであるが、その点は了承する。政府はこの改正を機とし、将来国有林野事業の合理的経営と事務能率の向上を図るため、一層の努力をなされんことを特に要望して原案に賛成する」旨の発言がありました。最後に本法律案について採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告申上げます。(拍手
  80. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  81. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は、全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  82. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第十一より第二十六までの請願及び日程第二十七より第三十二までの陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長前田穰君。    〔前田穰君登壇拍手
  84. 前田穰

    ○前田穰君 只今上程になりました日程第十一から第二十六までの請願及び日程第二十七から第三十二までの陳情につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  日程第十一、第十三、第十八、第二十二、第二十七、第三十一及び第三十二は、停車場の新設に関するもので、その要旨は、いずれも駅間の距離が遠く、通学、通勤者が増加し、又商工業が発達し、農林地下資源等出貨が多くなつた現在、不利不便が多いから、駅を設置して欲しいというのであります。日程第十四は、宇都宮駅南方の石井街道東北本線ガードが五十年前に架設されたままで、高さ幅ともに現在の発達した自動車の通行に支障を与えているから、速かに改善して欲しいというのであります。日程第二十は、現在の駅勢に鑑み、山陰線石見江津駅舎を速かに増改築して欲しいというのであります。日程第二十四は、今回建設される枕崎線知覧町内の停車場の位置を県道との交叉点に設けて欲しいというのであります。日程第二十一及び第二十三は、地方交通の利便を増進するため、土讃線高知、佐川両駅間にガソリンカーを、又久大線、甘木線にジーゼルカーの増発運転をして欲しいというのであります。日程第十九は、東北地方の産業、経済発展のため、速かに複線化して欲しいというのであり、又日程第二十八は、裏日本殊に福井を中心に産業、経済の発展のため、福井、敦賀間の複線化と電化に着工すると共に、列車回数の増加等サービスの向上をして欲しいというのであります。日程第十七は、現在北海道の産業、経済の進展に重大な制約を加えている青森、函館間の航路の営業キロを実キロにし、運賃の合理化を図つて欲しいというのであります。日程第二十五は、義務教育生徒に対し、現行の鉄道バス等の運賃負担が高い実情であるので、割引等適当の措置を講じ、運賃の低減を図り、義務教育無償の原則にも近づけたいというのであります。日程第二十六は、従前傷痍軍人に対して交付されておつた国有鉄道の無賃乗車証が、終戦後廃止されるが、恩給も法律改正により支給されるようになつたのであるから、無賃乗車証の交付も復活して欲しいというのであります。日程第十二、第十六及び第二十九、第三十は、いずれも定点観測業務を従来通り続行されたいというのであります。日程第十五は、モーターボート競走国庫納付金の軽減に関するものであります。  以上、請願二十二件、陳情六件は、委員会において慎重に審議しました結果、いずれも願意をおおむね妥当と認め、議院の会議に付するを要し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました。  以上、御報告申上げます。(拍手
  85. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  86. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  87. 河井彌八

    議長河井彌八君) 先ほどの平林君の発言中、不穏当な言辞がありまするならば、議長は速記録を調査した上に、適当な処置をとりたいと存じます。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会は、明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十七分散会      ─────・───── ○本日の会議に付した事件  一、法務大臣検察行政指揮権並び犬養国務大臣より国警担当を解いたことに関する緊急質問  一、法相逮捕要求拒否に関する緊急質問  一、検察庁法第十四条指揮権発動に関する緊急質問  一、日程第一 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明)  一、日程第二 町村合併促進法の一部を改正する法律案  一、日程第三 自治庁関係法令の整理に関する法律案  一、日程第四 昭和二十九年度分の市町村民税臨時特例に関する法律案  一、日程第五 狂犬病予防法の一部を改正する法律案  一、日程第六 消費生活協同組合件の一部を改正する法律案  一、日程第七 らい予防法の一部か改正する法律案  一、日程第八 住宅金融公庫法の一部を改正する法律案  一、日程第九 船舶職員法等の一部を改正する法律案  一、日程第十 農林省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十一乃至第二十六の請願  一、日程第二十七乃至第三十二の陳情