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政府委員(村上朝一君) 逐条につきましては、別に逐条
説明君をお手許にお配りしてございますのでその要点につきまして更に御
説明申上げたいと思います。
只今提案理由の中で申述べました
通りいわゆる国連軍
協定のうち民事に
関係のありますのは第十八条で、ございましてこの中に国連軍の構成員又は被用者が公務上の行為によ
つて第三者に損害を生ぜしめた鳩合、その他国連軍の責に帰すべき事項によ
つて第三者に損害を生ぜしめた場合には、
日本国が被害者に対する損害賠償の責に任じ、
日本国が賠償のために要しました費用は、一派遣国のみが
責任を負う場合には、
日本が二五%、当該派遣国が七五%の割合で分担し、又二以上の派遣国が共同
責任を負う場合には、各派造国は互いに平等の割合で負担し、
日本国は一派遣国の負担額の二分の一に相当する額を負担する。例えば二派遣国が共同
責任を責う場合には、
日本国の負担は二〇%、各派遣国の負担はおのおの四〇%ということになるわけでありますが、かように規定されております。
又公務に従事中他人に損害を加えました国連軍の要員は、その不法行為によろ損害賠償の請求につきましては、
日本川の裁判所の裁判権には服しないわけでありますが、その他の請求につきましては、
日本国の民事裁判権に服すること、又国連国が使用する施設内において私有の動産に対し強制執行をする場合には、
日本国裁判所の要請により派遣国の当局が目的物を差押え、これを
日本国の当局に引渡すこと、並びに派遣国の当局が第十八条の規定をじつ施するため必要な証人その他の証拠資料の提供について
日本国当局に協力することを定めておるのであります。
この二点は
国内法を要する事項でございますが、この二点に関しましては、国連軍
協定及び議定書の規定と日米行政
協定十八条とを比較いたしますと、国連軍
協定におきましては二以上の派遣国の軍隊又は駐留米軍と国連軍とが共同
責任を負う場合における費用の分担につきまして、特別の規定が設けられました以外は、その
内容は全く同一でございます。従いまして
国内法に関する限りは国連軍と駐留米軍とは全く同一の地位を持つものと言うことができるのであります。そこでこの
法律案におきましては、先に十三
国会で制定されました、日米行政
協定に伴う
民事特別法の適用の
範囲を拡張しまして、国連軍についてもこれを駐留米軍と同じく同じ
法律の適用があるとするのが最も合理的なわけであります。
それで第一条は、以上申上げましたような理由の下に、
民事特別法の適用に関する限り国連軍はこれを駐留米軍と同一に取扱い、又国連軍の構成員、軍属及びこれらの者の家族は日米行政
協定に基く駐留米軍の構成員、軍属及びこれらの者の家族と同一に取扱うということを定めたのであります。
又第二条は、日米行政
協定に基く米軍又は国連軍に起因する事故の被害者が国連軍のいずれかの派遣国自体である場合、又は合衆国自体である場合、例えて申しますと、加害者が米軍の軍人であ
つて、被害者が豪州軍の財産であるというような、或いはその逆のような場合、これは
日本国は賠償
責任を負わないとする
趣旨でありまして、これは日米行政
協定に基く
民事特別法におきましては、被害者が合衆国軍隊の構成員、軍属又はこれらの者の家族である場合には適用しないということにな
つておりますが、今度国連軍を米軍と同一に見ることになりますと、この規定がございませんと、米軍の不法行為については豪州も又被害者であるということで、豪州の国に対して損害賠償の責を負うというようなことになりますと不合理でございますので、日米行政
協定に基く
民事特別法第三条におきましてかような場合に
責任を負わないという規定を設けましたのと同様の
趣旨の下に、この第二条を設けたわけであります。
次に、附則の第二項でございますが、これは国連軍
協定並びに議定書におきましてその遡及適用に関する定めがされております。これに対応いたしまして遡及適用を受ける国に対する
関係におきまして、この
法律も又遡及して適用することを規定いたしますと同時に、損害賠償の請求期問が一年とされておりますので、その遡及適用の場合にも請求期間の起算日に関する規定を設けたわけでございます。
以上を以ちまして簡単でございますが、この
法律案の逐条
説明を終ります。