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1954-11-22 第19回国会 参議院 法務委員会 閉会後第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十二日(月曜 日)    午後二時十一分開会   —————————————   委員の異動 十一月八日委員岡田宗司辞任につ き、その補欠として三橋八次郎君を議 長において指名した。 十一月十日委員剱木亨弘辞任につ き、その補欠として井上知治君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            小野 義夫君            亀田 得治君    委員            青木 一男君            梶原 茂嘉君            中山 福藏君            棚橋 小虎君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   —————————————   本日の会議に付した事件派遣議員報告検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (昭和三十年度裁判所関係予算に関  する件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 法務委員会を開会いたします。  これより派遣議員報告の件を議題といたします。
  3. 亀田得治

    亀田得治君 去る十月の上旬に、名古屋並び福井方面検察並びに裁判運営に関する調査に出かけましたその結果の報告を簡単にいたしたいと思います。  今回の議員派遣の目的は、本委員会継続調査事項で、あん「検察及び裁判迎運営に関する調査」の一環としての裁判所制度に関し、裁判所機構審級制度及び裁判官任用制度などの基本調査として、地方における下級裁判所及び検察庁意見聴取し、検察及び裁判などの実情視察調査し、もつて将来の法案審議に資するとともに、先に設けられました裁判所制度に関する小委員基本調査に資する点にあります。  すなわち本委員会東北中部及び九州の三班に分れ、共通調査項目を携えて昭和二十九年十月上旬六日または七日間にわたり出張調査を遂げたのでありますが、本日私は中部班を代表し、まず中部班が分担した各班共通調査報告し、次いでわが班がそれら共通調査のかたわら、特に調査し得たところをもあわせて報告いたします。  まず各班共通調査項目といたしましては、各調査対象たる官庁及び地元弁護士会につき、別紙裁判制度に関する調査事項についての意見聴取することを主眼とし、これに加えて第一高等裁判所につき、  (一)管内裁判事務処理概況  (ニ)裁判官会議運営実情  (三)簡易裁判所判事(なかんずく特任判事)の配置状況   高等裁判所支部につき  (一)裁判事務処理状況  (ニ)支部設置利害得失   第二地方裁判所につき」  (一)裁判事務処理概況  (ニ)裁判官会議運営実情  (三)判事補執務状況特例判事補簡裁判事兼任及び家裁配置を含む)  (四)第十九国会における裁判所法及び民事訴訟法の一部改正(なかんずく簡裁事物管轄拡張)の影響   第三家庭裁判所につき  (一)裁判事務処理概況  (ニ)専任の所長を置き又は置かざること及び地裁庁舎を別にし又は別にせざることの利害得失  (三)調査官を一本化した結果   第四高等検察庁につき  (一)管内検察事務処理概況  (ニ)警察制度改正検察事務への影響   高等検察庁支部につき  (一)検察事務処理状況  (ニ)支部設置利害得失   第五地方検察庁につき  (一)検察事務処理状況  (ニ)警察制度改正検察事務への影響  (三)検察審査会の議決に対する検事正処置実情  を掲げたのでありますが、調査対象たる官庁及びその方法は各班派遣地事情に応じて適宜に出ばれたのであります。  すなわち私ども中部班としましては、私及び羽仁委員の両名にて堀専門員を帯同して、まず名古屋市において名古屋高等裁判所、同検察庁名古屋地方裁判所、同検察庁及び名古屋家庭裁判所を、次いで福井市において福井地方裁判所、同検察庁及び福井家庭裁判所視察調査し、各地において地元弁護士会の協力のもとに裁判所制度に関する調査事項について在野法曹意見聴取したのであります。なお、北陸において高等裁判所支部所在地の金沢市を避けて福井市を選んだ理由は、福井地方裁判所の新庁舎が、いわゆるモデル地裁庁舎として注目されているので、これが視察を行なつたのであります。従つて高裁支部及び高検支部についての調査はわが班において除かれた結果となつております。  調査の結果については、詳細は報告書に譲ることとし、なかんずく裁判所制度に関する調査事項につきましては、細目にわたつてアンケート式意見が述べられたのでありまして、これは小委員調査資料として整理分類の上、将来行わるべき調査の結果とも相まつて集約せられるのを適当と考えられるので、一々ここに掲げることを避けることといたしまして、その他の事項中重要なるものをここに挙げますと次のごとくであります。  名古屋においては、高裁としては北陸地方地理的条件がよくないので、判事欠員補充に困難を伴いつつも、他管内との人事交流相当円滑に行われている模様であることがうかがわれたほか、長官より裁判官の報酬に関して研究費及び職務加俸についての考慮と裁判官住宅割当についての懇請があり、在野法曹よりは法曹一元化の根幹としての弁護士研修制度の創設などの要望があり、なおまた、庁舎などの施設について高裁及び地裁庁舎が旧様式で不便きわまるものであつて根本的改築の要あること、家裁が木造の仮庁舎で、少年関係家事関係とが別棟で雑然として処置なき状態であることが看取されたのであります。  次に福井においては、地裁としては同管内は本庁のほか四つの支部があつて単独簡裁が全くないという特色のあるのと、交通の便がよい関係もあつて裁判官会議が毎月一回招集されて、きわめて有意義に運用されていることがうかがわれ、検察庁にては警察制度改正検察事務への影響として、検事正の所見によると、新しい警察中央集権化傾向に伴い、選挙干渉などの弊害の復活のおそれなしとせず、厳格に警戒すべきであり、制度の変更の際、警察捜査力が低下したことは事実であつて、その結果として、最近の統計には公判起訴率の低下と略式請求起訴猶予増加が現れて来たというのが注目せられました。裁判所庁舎は、新憲法下最高裁が新裁判制度のシンボルとして心血を注いだモデル庁舎と称せられるだけあつて、その構造はきわめて近代的であつて、採光、通風、体裁など、まず申し分ないできばえであります。地下の被告人居房の食事の差入口を旧式と同じく地面に近く置いたことや、建築全体の外装の仕上が予算不足のため粗雑であつて、外見上民衆に与える感じがあまりに冷たくて、旧式の刑務所のような外観を呈していることなどの欠陥を除けば完璧と言えましよう。しかも総工費五億円ぐらいとのことでありまして、全国標準地裁庁舎としては決してりつぱ過ぎるとは思われません。設計、備品等にも無駄ありとは見受けられません。裁判民生化のため、この程度の地裁庁舎各地に実現されることが望ましいと判断されました。  以上をもつて私の報告を終ります。
  4. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 次に東北につきまして、小野委員報告願います。
  5. 小野義夫

    小野義夫君 私たち高橋小野梶原法務委員三名に東北班となつて西村専門員植木参事を帯同いたしまして、十月九日から、十二日までの間において、仙台市と秋田市とで調査を行いましたが、その内容につきましては別に報告書を提出しておきましたからそれを御覧願うことといたしまして、その大略をこれから申し述べることにいたします。  調査項目は別に中部班説明がございましたから、省略しまして、管内裁判及び検察事務内容を主として広い範囲に及んでおりますが、これらは詳細な数字にわたつて書類添付しておきました。特に項目の末項に載せました事項で、第一裁判所機構最高裁判所機構及び権限、第二審級制度に関するもののうち、特に民刑の控訴及び上告審構造、第三、裁判官任用制度に関するもののうちその待遇の問題については、両地とも相当活撥な論議が展開されました。最高裁判所増員に対しては、弁護士会側意見を除き必ずしも積極的賛成論は出ておりませんが、判例の統一について国政の運用上特に急速に解決を要する場合、最高裁判所機構上の欠陥からこれに即応できないとするなれば、これは叡智を尽して具体的解決に努力することが急務であるごとには異論がありません。審級制度の問題としても、上告審構造の点も、すでに世間に発表されているような幾つかの意見各地でも述べられたことでありました。またこれに直接関連を持たないことかもしれませんが、第一審充実具体的方法十分熱意を現わすべきである旨、節易裁判所は過般の訴訟物価額の引上げによつていよいよその簡易的性格から脱却しつつあり、これらは裁判官任用待遇の問題とともに、今後の切実な研究要望されたことでありました。さらに、特に東北地方の特徴として地域給の不利、官舎の不足子弟教育負担過剰の問題が右の諸項目解決に直接関連する問題として切り離し得ないものであることが強調せられております。秋田市では、高等裁判所支部従つて高等検察庁支部廃止の憶測がかえつて動機となつて地方事情が切実に聴取できましたことに有益であつたと思われます。  両地での意見は先に述べました通り報告書相当に詳細に記しておきましたからそれで御覧を願うこととし、他の二班の報告書とともに資料として今後十分に活用せられることをお願いしてこの報告といたします。
  6. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 最後に九州につきまして棚橋委員から御報告を願います。
  7. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 第三班は宮城、棚橋委員で編成し、十月三日以降七日間にわたり、三原調査員を帯同し、福岡宮崎両県に出張し、同様調査を行いました。  福岡におきましては、まず福岡面等裁判所におきまして調査懇談会を開き、高裁地裁家裁高検、地検、弁護士会等より説明意見を聞き、また質疑応答を重ねた次第であります。そのほか高等裁判所検察庁地方裁判所家庭裁判所筑紫少女苑視察いたしました。これら説明及び質疑応答あるいは視察についての詳細は報告書に譲りまして、ここでは所定調査の中主な事項について申し述べます。  福岡高裁管内の総事件数は、説明によりますと、添附書類にありますように、民事事件は漸増し、刑事事件は漸減の傾向にあります。簡易裁判所事物管轄拡張により、簡裁事件相当増川し地裁事件は反比例的に減つて参つているのは当然でありますが、これが高裁についての影響はまだ見ることができません、改正法の施行が本年六月一日なので、六月から八月までの状況を見ますと、相当激しい影響が見られるとのことでありますが、数字はまとまつておりませんので、報告書につけることができませんでした。事件数のことを申しますと、当然裁判官事務負担量が問題となるわけでありまして、その詳細は報告書に明らかにしてありますが、他の高裁管内のそれと同様、かなり過重負担となつておるようであります。この点定員の増加が根本的な解決策でありますが、当面住宅難が問題の解決を困難にしておるようであります。裁判官一般公務員宿舎を使用することができませんので、独自の宿舎を必要としますが、その割当てが非常に少く、現在高裁では二十人に対して七戸、地裁は六戸を有するに過ぎず、小倉、久留米、柳川等より通つておる人もあるくらいで、宿舎の問題が現実に転勤を困難にし、負担調整ができないので負担過重の大きい原因となつておるようであります。  裁判官会議は、福岡高等裁判官会議規則と同高裁常置委員会規則なるものによつて運常されております。最近では大体裁判官会議は隔月に開くのを原則としますが、あるいは省略することもあり、一カ月に二回開くこともあります。権限のうち緊急を要する事項や、相当重要な部分を常置委員会に委譲しておりますことは他の各地共通であります。なおその内容は、もちろんおのおの別でありまして、その詳細は専門員室作成資料に明らかにされております。  裁判官会議の機能としては、管内専務統一裁判官の融和、研究等の面においては大へん有意義であるとの意見であります。  裁判官会議のあり方ということについてはいろいろ問題があり、一般的に権限が広い範囲、かつ瑣末なことにまで及ぶという非難がありまして、当地の各方面でも同じ意見であり、特に人事につきましては全く不適当な制度のように思われるとの意見でありますが、といつてこの制度はないよりあるほうがよく、権限を縮小して存続させるのが一等よいという見解であります。  簡易裁判所判事については、その能力等について一般的にさまざまの批判の声を聞きますが、九州では特任判事は皆まじめで、特に書記官出身者は評判がよいとのことであり、最近その選考が非常に厳格となつたのにかかわらず、九州は成績がよく、昨年度は十人中四人の合格者を出したほどであるということで、関係者一同大分鼻を高くしておられた様子でした。ただ選考は非常にむずかしいので、比較的ひまなところにいる若い人の合格する率が高く、事務局長なぞはかえつて合格しにくい状態にあります。簡裁判事としては相当の年輩で人間的にもできている人が要請されるわけですが、実情はこれに沿わないうらみがあるのではないかと思います。  検察庁で取扱う事件添付書類に現われております通り、依然として漸増の傾向にありますが、そのうちで凶暴犯増加し、財産犯が減少しております。それはそれといたしまして、覚せい剤犯がふえておりますことは注目を要することと思います。二十九年上半期を見ますと、受理件数は約十三万七千人でありまして、副検事等を含めまして縦事一人の負担は年間約一千件となつておりまして、かなり賞担過重となつております。この負担量全国的なもので、他と比べて特に過重とは申せないと思いますが、この高検管内では未済を極力減少することに努めておりますこととあわせ考えますと、単位期間における繁閑の度合、経費等の点からも興味ある結論が出るのではないかと推測されます。受理の約十三万七千のうち未処理は一万弱となり、未済期間も非常に短縮されております。  管轄の問題でありますが、萱岐、対馬は長崎管轄に属しております。ところが交通は直接には福岡と結びついておりますため、長崎への交通は非常に不便だそうでありまして、当局では福岡に変更されるよう法律の改正を望んでおります。  少年事件は九十程度ありまして、うち起訴が二百四、五十件で、そのほとんどが逆送であります。  その他検察関係につきましては、検察審査制度運営状況が取り上げられましたが、詳細の資料添付してありますので、それに譲りたいと思います。  裁判所制度に関しましては、裁判所検察庁ともにそれぞれ意見がありますが、いずれも添付書類にありますゆえ、特に弁護士会より熱心な発言がありましたので、ここではそれを申し述べます。福岡弁護士会としても細部については異論もありますが、大体において日本弁護士連合会と同意見だとのことでありますが、その大要は次の通りであります。すなわち審理を促進するために上告制限の方向に持つて行く点は極力反対したいところであり、裁判官増員で行くべきである。違憲事件と通常第二審事件審理のためには各別の機関を設けたほうがよい。簡易裁判所は名称が悪いので、昔のように区裁判所とし、数及び設置場所調整を図る必要がある。特任判事についてに九州地方では非難されるようなことはないが、根本的には全部正規の判事をもつてすべきである。地裁審理はできるだけ会議を多くされたい。単独制より三人のほうが弁護士として信頼感が持てる。簡裁事物管轄については、当弁護士会は二十万円を主張したが、現状でもけつこうである。なお裁判官任用については、建前として裁判官は必ず弁護士より任用することとし、従つて全部が一応弁護士の業務をやることを主張している。この考えに即して任用委員会を設けることを希望するというのであります。  宮崎におきましては、高裁支部地裁家裁等視察し、高裁支部におきまして福岡同様裁判所制度に関する調査懇談会を開き、各裁判所、各検察庁弁護士会よりそれぞれ説明及び意見を聞き、その間質疑応答を重ねました。その詳細は報告書に譲ることといたしまして、ここでは主な事項について概略を申し上げる次第でございますが、大体福岡におけると同様でありますので、高裁支部設置の件について御報告いたします。  御承知のように高裁高検支部を当宮崎に設置するに当りましては、鹿児島との間に競争の形となつたことでありますが、自来鹿児島はその地にこれを設置するよう要望し、その陳情、請願も数回にわたつて出されております。かような勢勢に対し宮崎といたしましては、これを退け、現状を維持せんとする空気がきわめて強く、今般の調査に際しましても、この件についての要望意見が強く、かつ熱心に述べられました。それによりますと、支部宮崎に置くべしとの根拠は、第一に宮崎九州の中で最も交通の不便なところであり。福岡で一日仕事をすれば往復に足かけ三日を必要とするので、福岡に控訴することはよほどの金持でなければできないこととなり、裁判に金がかかるという非難をますます増大することとなる。第二に、鹿児島支部を置いた場合に、その管轄に入るであろうところの延岡佐伯等鹿児島に行くにはきわめて不便であつて宮崎のほうが遥かに便利である。第三に宮崎県はきわめて強力な電源地帯を持つており、この開発が完成して暁には、産業上大いに発展することが期待できるわけであつて、この点よりしても鹿児島よりはるかに適格であるというような諸点であります。その他数多くの角度より希望意見が述べられましたが、その詳細は添付の文献に譲りたいと思います。  以上をもちまして第三班の出張報告を終ります。
  8. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ただいまの各班の御報告に対しまして、この際御質疑のある方はお願いたします。
  9. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと棚橋さんに伺いますが、その宮崎ですね、どうですか、交通、それからバスですね、そういうものは大体お調べあつたのでございますか。交通関係ですね。鹿児島よりはあちらのはうがいいのですか。
  10. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 やはり宮崎管内で北のほうの延岡佐伯、二つの裁判所、このあたりは非常に遠いのです。宮崎でも……。それを鹿児島へ持つて行かれますと、さらにまた四時間ぐらい時間が延長になりますので、非常に不便になると、こういうことを言つておりましたですね。
  11. 中山福藏

    中山福藏君 あそこは件数はどうですか、どれくらい一カ年の件数がございますか。審理に回る事件件数ですね。
  12. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 事件数ですか、それは別の報告書に出ておりますから詳細はそれで……。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 質問ではありませんが、先ほどの報告ちよつと一点だけ付加えさしていただきたいと思うのですが、いいですか。
  14. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) どうぞ。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 それは私ども今度裁判所設備として名古屋福井を同時に見ることができたわけなんですが、名古屋のほうは、ことに家裁等が非常に設備が悪いのですね。家裁のための敷地を買い込んでおるけれども、それも非常に無理をして敷地を手に入れながらそのままになつておる。一方福井のほうに庁舎が非常にりつぱなものができて、そのりつぱな庁舎の中の三階の一番明るいところを全部家裁関係に当てておるのですね。そういう関係で非常に両者を対照して見ることができましたので、いろいろな点で感ずる点があつたのですが、こまかいことは別な報告書にもあるのですが、ちよつとまあ御参考までに申し上げておきますと、たとえば調停成立状況ですね、福井責任者に聞きますと確かに以前よりも調停の、成立状況がいいようだ、こういうことを言つておりました。私ども両方部屋状況などを見ますと、これは部屋だけでそう調停がうまく行くとは限らんかもしれませんが、やはり相当影響するのではないか、部屋がきつちりできておると、従つて当然そこに花でも置くとか、そうなれば今度は調停の途中でお茶を一ぱいでも持つて来るとかといつたようなことにどうしても自然なつて来る。そういうことが非常にやはり影響しておるのではないか、実際そういうふうに感じました。  それからもう一つは、この法廷秩序維持に関する問題ですね。そういうことに関する紛争というものが、福井地裁では全然起つておらないと言つておりましたが、もちろんこれも場所だけのせいではないと思いますが、しかしああいう明るい法廷作つて、そうして何といいますかれ、気分がなごやかにしかも静粛になれる。そういうふうな雰囲気を作つておくことが非営に効果を挙げておるのではないか、そういうことをよく感じました。  それからもう一つ判事部屋ですが、これが一人一人ゆつくり場所を取つてつて、まあ裁判所で背から習慣になつておるように、家へ書類を持つて帰つて仕事をするといつたような必要がないように、ちやんとできて以る。私はまあ今申し上げたようなことはこれはもう当然なことだと思うのですね、そういうふうになつておらない裁判所全国でずいぶん多いのではないかと思いますし、名古屋等は、特に名古屋家庭裁判所などはこの福井状態と比較すると本当にいい対照だ、こう思いました。で、名古屋でたとえば少年のいろいろな聴取り、調査官が送られて来た少年から事情を聞いておるところもちよつと拝見さしてもらつものだが、同じ部屋んでたくさんの少年に対してたくさんの調査官が聞いておるわけですね、隣りの言つておることが隣りに聞える。そういうことではやはり事件の性質上本当の調査にならないだろうと思うのです。そういう点なんか福井のほうでは本当に秘密によく聞いてやれるようになつておる。そういうことを特に両者を比較して感じたわけですが、御参考までに申し上げておきます。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 検察庁なんか新庁舎をどこでか御覧になつたのですか、調査室聴取室なんかですね、検察庁の……。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 検察庁名古屋並び福井のほうも拝見さしてもらいましたが、両方とも庁舎としては戦後新しくできた庁舎です。まあ戦後間もなくできた庁舎だと思いますがね、ことに福井のほうは……。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 私のお聞きしたいのは、将来やはりテープレコーダーなんか設置して、そうして聴取りを完全にしなければいかんというのか私の考え方です。たから新庁舎なんかにはそういう新しい設備が単に書記さんが筆で書き取るというようなことをせずに、よく公判に移りますと、それを否認することがあるから、私はやはり新しい設備としても書記官によつて書取らせるよりはむしろテープレコーダーで一一記録したほうが、録音したほうがよいという考えを持つておるが、そういうところは一カ所もございませんでしたか。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 そういう設備は一カ所もありません。
  20. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の亀田委員の御説明に関連いたしまして名古屋高裁の前に家庭裁判所を建てるために敷地を購入して、そこになかなか建築が始まらないというのは、はなはだ問題だと思うのですが、ずいぶん口抜きの所を無理をして認可を取つて市民の家を立ち退かして、しかもそれにはいろいろな各方面からの尽力があつて、それで立ち退かしてその跡に長い間何にも建てないというのは、あすこの長官としては非常に立場が苦しくて、それを見るのもつらいようなお話だつたのですが、誠にそうだと思うのです。しかも立ち退きました方々から考えれば、ちつとも立ち退きたくなかつたのに、立ち退いたあとに何にも建つておらないというのは、ああいう目抜きの所だけに目立ちます。今も報告がありましたが、私からもできるだけ早く円満な解決が期待されるように願いたい。
  21. 中山福藏

    中山福藏君 もう一つ伺いますが、東北地方並びに北陸地方というのに非常に天気が陰惨で憂欝で、雨天なんかには精神状態に非常な影響を及ぼすと私は思つておるのです、環境から……。審理の仕上げの速度というのが非常に天気のいい所と違うと思いますね。速度はどうですかね、比較対照なんかは……。あんた本職が弁護士だからそういう点はどうでしたか、お考えなつたことありませんか、
  22. 亀田得治

    亀田得治君 そういう点は特に検討はしませんでした。
  23. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それから今も亀田委員からもお話かあつたが、家庭裁判所とか、少年審判所とかに特に関連するのですが、検察庁の場合今中山委員のお話にも関連すると思いますが、科学的な設備が実に貧弱をきわめておる。ことに福井県なんかは今も伺うとモデル庁舎……モデル庁舎のあれは家庭裁判所というのか、そういう関係の医療室というのが、まあ普通のどこにでもあるような医療室ですね。だから子供とか家庭に関してはずいぶん精神病といいますか、精神分析関係設備が当然あるはずなんで、あんな新しい建物を作つたのだから、大いに期待して拝見したのですが、はなはだ通り一遍のもので、建物がりつぱなのに比較してはなはだ残念でした。
  24. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは報告はこの程度にいたしまして、なお各班よりそれぞれの詳細な報告書が提出されておりますので、本報告につきましては裁判所制度に関する小委員会調査上種々御活用願うことにいたします。   —————————————
  25. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 次に、裁判所所管昭和三十年度予算案を議題にいたします。  なお本件につきましては、議事の都合上懇談会に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 御異議ないと認めます。  これより懇談会に入ります。    午後二時五十一分懇談会に移る    —————・—————    午後四時十五分懇談会を終る
  27. 中山福藏

    委員長代理(中山福藏君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後四時十六分散会