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1954-11-22 第19回国会 参議院 法務委員会 閉会後第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年十一月二十二日(月曜 日) 午後二時十一分開会
—————————————
委員
の異動 十一月八日
委員岡田宗司
君
辞任
につ き、その
補欠
として三橋八次郎君を議 長において指名した。 十一月十日
委員剱木亨弘
君
辞任
につ き、その
補欠
として
井上知治
君を議長 において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
高橋進太郎
君 理事
小野
義夫
君
亀田
得治
君
委員
青木 一男君
梶原
茂嘉君
中山
福藏
君
棚橋
小虎君 一松 定吉君
羽仁
五郎
君
事務局側
常任委員会専門
員
西村
高兄君
常任委員会専門
員 堀
眞道
君
—————————————
本日の
会議
に付した
事件
○
派遣議員
の
報告
○
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
の件 (
昭和
三十年度
裁判所関係予算
に関 する件)
—————————————
高橋進太郎
1
○
委員長
(
高橋進太郎
君)
法務委員会
を開会いたします。 これより
派遣議員
の
報告
の件を議題といたします。
亀田得治
2
○
亀田得治
君 去る十月の上旬に、
名古屋並び
に
福井
の
方面
に
検察
並びに
裁判
の
運営
に関する
調査
に出かけましたその結果の
報告
を簡単にいたしたいと思います。 今回の
議員派遣
の目的は、本
委員会
の
継続調査事項
で、あん「
検察
及び
裁判
の
迎運営
に関する
調査
」の一環としての
裁判所制度
に関し、
裁判所
の
機構
、
審級制度
及び
裁判官
の
任用制度
などの
基本調査
として、
地方
における
下級裁判所
及び
検察庁
の
意見
を
聴取
し、
検察
及び
裁判
などの
実情
を
視察
、
調査
し、も
つて
将来の
法案審議
に資するとともに、先に設けられました
裁判所
の
制度
に関する小
委員
の
基本調査
に資する点にあります。 すなわち本
委員会
は
東北
、
中部
及び
九州
の三班に分れ、
共通
の
調査項目
を携えて
昭和
二十九年十月上旬六日または七日間にわたり
出張調査
を遂げたのでありますが、本日私は
中部班
を代表し、まず
中部班
が分担した各
班共通
の
調査
を
報告
し、次いでわが班がそれら
共通調査
のかたわら、特に
調査
し得たところをもあわせて
報告
いたします。 まず各
班共通
の
調査項目
といたしましては、各
調査
の
対象
たる
官庁
及び
地元弁護士会
につき、
別紙裁判制度
に関する
調査事項
についての
意見
を
聴取
することを主眼とし、これに加えて第一
高等裁判所
につき、 (一)
管内裁判事務処理
の
概況
(ニ)
裁判官会議運営
の
実情
(三)
簡易裁判所判事
(なかんずく
特任判事
)の
配置状況
高等裁判所支部
につき (一)
裁判事務処理
の
状況
(ニ)
支部設置
の
利害得失
第二
地方裁判所
につき」 (一)
裁判事務処理
の
概況
(ニ)
裁判官会議運営
の
実情
(三)
判事補
の
執務状況
(
特例判事補
、
簡裁判事兼任
及び
家裁配置
を含む) (四)第十九国会における
裁判所法
及び
民事訴訟法
の一部
改正
(なかんずく
簡裁
の
事物管轄拡張
)の
影響
第三
家庭裁判所
につき (一)
裁判事務処理
の
概況
(ニ)専任の所長を置き又は置かざること及び
地裁
と
庁舎
を別にし又は別にせざることの
利害得失
(三)
調査官
を一本化した結果 第四
高等検察庁
につき (一)
管内検察事務処理
の
概況
(ニ)
警察制度改正
の
検察事務
への
影響
高等検察庁支部
につき (一)
検察事務処理
の
状況
(ニ)
支部設置
の
利害得失
第五
地方検察庁
につき (一)
検察事務処理
の
状況
(ニ)
警察制度改正
の
検察事務
への
影響
(三)
検察審査会
の議決に対する
検事正
の
処置
の
実情
を掲げたのでありますが、
調査
の
対象
たる
官庁
及びその
方法
は各
班派遣地
の
事情
に応じて適宜に出ばれたのであります。 すなわち私
ども中部班
としましては、私及び
羽仁委員
の両名にて
堀専門員
を帯同して、まず
名古屋
市において
名古屋高等裁判所
、同
検察庁
、
名古屋地方裁判所
、同
検察庁
及び
名古屋家庭裁判所
を、次いで
福井
市において
福井地方裁判所
、同
検察庁
及び
福井家庭裁判所
を
視察
調査
し、
各地
において
地元弁護士会
の協力のもとに
裁判所制度
に関する
調査事項
について
在野法曹
の
意見
を
聴取
したのであります。なお、
北陸
において
高等裁判所支部所在地
の金沢市を避けて
福井
市を選んだ理由は、
福井地方裁判所
の新
庁舎
が、いわゆる
モデル地裁庁舎
として注目されているので、これが
視察
を行な
つたの
であります。
従つて高裁支部
及び
高検支部
についての
調査
はわが班において除かれた結果とな
つて
おります。
調査
の結果については、詳細は
報告書
に譲ることとし、なかんずく
裁判所制度
に関する
調査事項
につきましては、細目にわた
つて
アンケート式
に
意見
が述べられたのでありまして、これは小
委員
の
調査資料
として
整理分類
の上、将来行わるべき
調査
の結果とも相ま
つて
集約せられるのを適当と
考え
られるので、一々ここに掲げることを避けることといたしまして、その他の
事項
中重要なるものをここに挙げますと次のごとくであります。
名古屋
においては、
高裁
としては
北陸地方
の
地理的条件
がよくないので、
判事
の
欠員補充
に困難を伴いつつも、他
管内
との
人事交流
は
相当
円滑に行われている模様であることがうかがわれたほか、
長官
より
裁判官
の報酬に関して
研究費
及び
職務加俸
についての考慮と
裁判官
の
住宅割当
についての懇請があり、
在野法曹
よりは
法曹一元化
の根幹としての
弁護士研修制度
の創設などの
要望
があり、なおまた、
庁舎
などの施設について
高裁
及び
地裁
の
庁舎
が旧様式で不便きわまるものであ
つて
、
根本的改築
の要あること、
家裁
が木造の仮
庁舎
で、
少年関係
と
家事関係
とが別棟で雑然として
処置
なき
状態
であることが看取されたのであります。 次に
福井
においては、
地裁
としては同
管内
は本庁のほか四つの
支部
があ
つて
、
単独簡裁
が全くないという特色のあるのと、
交通
の便がよい
関係
もあ
つて
、
裁判官会議
が毎月一回招集されて、きわめて有意義に運用されていることがうかがわれ、
検察庁
にては
警察制度改正
の
検察事務
への
影響
として、
検事正
の所見によると、新しい
警察
の
中央集権化
の
傾向
に伴い、
選挙干渉
などの弊害の復活のおそれなしとせず、厳格に警戒すべきであり、
制度
の変更の際、
警察
の
捜査力
が低下したことは事実であ
つて
、その結果として、最近の統計には
公判起訴率
の低下と
略式請求
と
起訴猶予
の
増加
が現れて来たというのが注目せられました。
裁判所
の
庁舎
は、新
憲法下最高裁
が新
裁判制度
のシンボルとして心血を注いだ
モデル庁舎
と称せられるだけあ
つて
、その
構造
はきわめて近代的であ
つて
、採光、通風、体裁など、まず申し分ないできばえであります。地下の
被告人
の
居房
の食事の
差入口
を旧式と同じく地面に近く置いたことや、
建築
全体の外装の仕上が
予算不足
のため粗雑であ
つて
、外見上民衆に与える感じがあまりに冷たくて、旧式の刑務所のような外観を呈していることなどの
欠陥
を除けば完璧と言えましよう。しかも総工費五億円ぐらいとのことでありまして、
全国
の
標準地裁庁舎
としては決してりつぱ過ぎるとは思われません。設計、
備品等
にも無駄ありとは見受けられません。
裁判
の
民生化
のため、この程度の
地裁庁舎
の
各地
に実現されることが望ましいと判断されました。 以上をも
つて
私の
報告
を終ります。
高橋進太郎
3
○
委員長
(
高橋進太郎
君) 次に
東北
につきまして、
小野委員
御
報告
願います。
小野義夫
4
○
小野義夫
君 私
たち高橋
、
小野
、
梶原
の
法務委員
三名に
東北班
とな
つて
、
西村専門員
、
植木参事
を帯同いたしまして、十月九日から、十二日までの間において、仙台市と
秋田
市とで
調査
を行いましたが、その
内容
につきましては別に
報告書
を提出しておきましたからそれを御覧願うことといたしまして、その大略をこれから申し述べることにいたします。
調査項目
は別に
中部班
で
説明
がございましたから、省略しまして、
管内裁判
及び
検察事務
の
内容
を主として広い
範囲
に及んでおりますが、これらは詳細な
数字
にわた
つて
書類
に
添付
しておきました。特に
項目
の末項に載せました
事項
で、第一
裁判所
の
機構
中
最高裁判所
の
機構
及び
権限
、第二
審級制度
に関するもののうち、特に
民刑
の控訴及び
上告審
の
構造
、第三、
裁判官
の
任用制度
に関するもののうちその
待遇
の問題については、両地とも
相当
に
活撥
な論議が展開されました。
最高裁判所
の
増員
に対しては、
弁護士会側
の
意見
を除き必ずしも
積極的賛成論
は出ておりませんが、判例の
統一
について国政の運用上特に急速に
解決
を要する場合、
最高裁判所
の
機構
上の
欠陥
からこれに即応できないとするなれば、これは叡智を尽して
具体的解決
に努力することが急務であるごとには
異論
がありません。
審級制度
の問題としても、
上告審
の
構造
の点も、すでに世間に発表されているような幾つかの
意見
が
各地
でも述べられたことでありました。またこれに直接関連を持たないことかもしれませんが、第一
審充実
の
具体的方法
に
十分熱意
を現わすべきである旨、
節易裁判所
は過般の
訴訟物価額
の引上げによ
つて
いよいよその
簡易的性格
から脱却しつつあり、これらは
裁判官
の
任用
、
待遇
の問題とともに、今後の切実な
研究
が
要望
されたことでありました。さらに、特に
東北地方
の特徴として
地域給
の不利、官舎の
不足
、
子弟教育
の
負担
過剰の問題が右の諸
項目
の
解決
に直接関連する問題として切り離し得ないものであることが強調せられております。
秋田
市では、
高等裁判所支部
、
従つて高等検察庁支部廃止
の憶測がかえ
つて
動機とな
つて
、
地方事情
が切実に
聴取
できましたことに有益であつたと思われます。 両地での
意見
は先に述べました
通り
、
報告書
の
相当
に詳細に記しておきましたからそれで御覧を願うこととし、他の二班の
報告書
とともに
資料
として今後十分に活用せられることをお願いしてこの
報告
といたします。
高橋進太郎
5
○
委員長
(
高橋進太郎
君) 最後に
九州
につきまして
棚橋委員
から御
報告
を願います。
棚橋小虎
6
○
棚橋
小虎君 第三班は宮城、
棚橋
両
委員
で編成し、十月三日以降七日間にわたり、
三原調査員
を帯同し、
福岡
、
宮崎
両県に出張し、
同様調査
を行いました。
福岡
におきましては、まず
福岡面等裁判所
におきまして
調査懇談会
を開き、
高裁
、
地裁
、
家裁
、
高検
、地検、
弁護士会等
より
説明
や
意見
を聞き、また
質疑応答
を重ねた次第であります。そのほか
高等裁判所
、
検察庁
、
地方裁判所
、
家庭裁判所
、
筑紫少女苑
を
視察
いたしました。これら
説明
及び
質疑応答
あるいは
視察
についての詳細は
報告書
に譲りまして、ここでは
所定調査
の中主な
事項
について申し述べます。
福岡高裁管内
の総
事件数
は、
説明
によりますと、
添附書類
にありますように、
民事事件
は漸増し、
刑事事件
は漸減の
傾向
にあります。
簡易裁判所
の
事物管轄
の
拡張
により、
簡裁
の
事件
は
相当
増川し
地裁
の
事件
は反比例的に
減つて参
つて
いるのは当然でありますが、これが
高裁
についての
影響
はまだ見ることができません、
改正法
の施行が本年六月一日なので、六月から八月までの
状況
を見ますと、
相当
激しい
影響
が見られるとのことでありますが、
数字はま
とま
つて
おりませんので、
報告書
につけることができませんでした。
事件数
のことを申しますと、当然
裁判官
の
事務負担量
が問題となるわけでありまして、その詳細は
報告書
に明らかにしてありますが、他の
高裁管内
のそれと同様、かなり
過重
の
負担
とな
つて
おるようであります。この点定員の
増加
が根本的な
解決策
でありますが、当面
住宅難
が問題の
解決
を困難にしておるようであります。
裁判官
は
一般公務員宿舎
を使用することができませんので、独自の
宿舎
を必要としますが、その割当てが非常に少く、現在
高裁
では二十人に対して七戸、
地裁
は六戸を有するに過ぎず、小倉、久留米、
柳川等
より通
つて
おる人もあるくらいで、
宿舎
の問題が現実に転勤を困難にし、
負担
の
調整
ができないので
負担過重
の大きい原因とな
つて
おるようであります。
裁判官会議
は、
福岡高等裁判官会議規則
と同
高裁
常置委員会
規則なるものによ
つて
運常されております。最近では大体
裁判官会議
は隔月に開くのを原則としますが、あるいは省略することもあり、一カ月に二回開くこともあります。
権限
のうち緊急を要する
事項
や、
相当
重要な部分を
常置委員会
に委譲しておりますことは他の
各地
に
共通
であります。なおその
内容
は、もちろん
おのおの別
でありまして、その詳細は
専門員室作成
の
資料
に明らかにされております。
裁判官会議
の機能としては、
管内
の
専務統一
、
裁判官
の融和、
研究等
の面においては大へん有意義であるとの
意見
であります。
裁判官会議
のあり方ということについてはいろいろ問題があり、一般的に
権限
が広い
範囲
、かつ瑣末なことにまで及ぶという
非難
がありまして、当地の各
方面
でも同じ
意見
であり、特に
人事
につきましては全く不適当な
制度
のように思われるとの
意見
でありますが、とい
つて
この
制度
はないよりあるほうがよく、
権限
を縮小して存続させるのが一等よいという見解であります。
簡易裁判所
の
判事
については、その
能力等
について一般的にさまざまの批判の声を聞きますが、
九州
では
特任判事
は皆まじめで、特に
書記官出身者
は評判がよいとのことであり、最近その
選考
が非常に厳格とな
つたの
にかかわらず、
九州
は成績がよく、昨年度は十人中四人の
合格者
を出したほどであるということで、
関係者一同大分鼻
を高くしておられた様子でした。ただ
選考
は非常にむずかしいので、比較的ひまなところにいる若い人の合格する率が高く、
事務局長
なぞはかえ
つて
合格しにくい
状態
にあります。
簡裁判事
としては
相当
の年輩で人間的にもできている人が要請されるわけですが、
実情
はこれに沿わないうらみがあるのではないかと思います。
検察庁
で取扱う
事件
は
添付書類
に現われております
通り
、依然として漸増の
傾向
にありますが、そのうちで
凶暴犯
か
増加
し、
財産犯
が減少しております。それはそれといたしまして、
覚せい剤犯
がふえておりますことは注目を要することと思います。二十九年上半期を見ますと、
受理件数
は約十三万七千人でありまして、副
検事等
を含めまして
縦事
一人の
負担
は年間約一千件とな
つて
おりまして、
かなり賞担過重
とな
つて
おります。この
負担量
は
全国
的なもので、他と比べて特に
過重
とは申せないと思いますが、この
高検管内
では
未済
を極力減少することに努めておりますこととあわせ
考え
ますと、
単位期間
における繁閑の度合、
経費等
の点からも興味ある結論が出るのではないかと推測されます。
受理
の約十三万七千のうち未
処理
は一万弱となり、
未済
の
期間
も非常に短縮されております。
管轄
の問題でありますが、
萱岐
、対馬は
長崎
の
管轄
に属しております。ところが
交通
は直接には
福岡
と結びついておりますため、
長崎
への
交通
は非常に不便だそうでありまして、当局では
福岡
に変更されるよう法律の
改正
を望んでおります。
少年事件
は九十程度ありまして、
うち起訴
が二百四、五十件で、そのほとんどが逆送であります。 その他
検察関係
につきましては、
検察審査制度運営
の
状況
が取り上げられましたが、詳細の
資料
が
添付
してありますので、それに譲りたいと思います。
裁判所制度
に関しましては、
裁判所
、
検察庁とも
にそれぞれ
意見
がありますが、いずれも
添付書類
にありますゆえ、特に
弁護士会
より熱心な発言がありましたので、ここではそれを申し述べます。
福岡弁護士会
としても細部については
異論
もありますが、大体において
日本弁護士連合会
と同
意見
だとのことでありますが、その大要は次の
通り
であります。すなわち
審理
を促進するために
上告制限
の方向に持
つて
行く点は極力反対したいところであり、
裁判官
の
増員
で行くべきである。
違憲事件
と通常第二
審事件
の
審理
のためには各別の機関を設けたほうがよい。
簡易裁判所
は名称が悪いので、昔のように
区裁判所
とし、数及び
設置場所
の
調整
を図る必要がある。
特任判事
についてに
九州地方
では
非難
されるようなことはないが、根本的には全部正規の
判事
をも
つて
すべきである。
地裁
の
審理
はできるだけ
会議
を多くされたい。
単独制
より三人のほうが
弁護士
として
信頼感
が持てる。
簡裁
の
事物管轄
については、当
弁護士会
は二十万円を主張したが、
現状
でもけつこうである。なお
裁判官
の
任用
については、建前として
裁判官
は必ず
弁護士
より
任用
することとし、
従つて
全部が一応
弁護士
の業務をやることを主張している。この
考え
に即して
任用委員会
を設けることを希望するというのであります。
宮崎
におきましては、
高裁支部
、
地裁
、
家裁等
を
視察
し、
高裁支部
におきまして
福岡同様裁判所制度
に関する
調査懇談会
を開き、各
裁判所
、各
検察庁
、
弁護士会
よりそれぞれ
説明
及び
意見
を聞き、その間
質疑応答
を重ねました。その詳細は
報告書
に譲ることといたしまして、ここでは主な
事項
について概略を申し上げる次第でございますが、大体
福岡
におけると同様でありますので、
高裁支部設置
の件について御
報告
いたします。 御承知のように
高裁
、
高検
の
支部
を当
宮崎
に設置するに当りましては、
鹿児島
との間に競争の形と
なつ
たことでありますが、自来
鹿児島
はその地にこれを設置するよう
要望
し、その陳情、請願も数回にわた
つて
出されております。かような
勢勢
に対し
宮崎
といたしましては、これを退け、
現状
を維持せんとする空気がきわめて強く、今般の
調査
に際しましても、この件についての
要望
や
意見
が強く、かつ熱心に述べられました。それによりますと、
支部
を
宮崎
に置くべしとの根拠は、第一に
宮崎
は
九州
の中で最も
交通
の不便なところであり。
福岡
で一日
仕事
をすれば往復に足かけ三日を必要とするので、
福岡
に控訴することはよほどの金持でなければできないこととなり、
裁判
に金がかかるという
非難
をますます増大することとなる。第二に、
鹿児島
に
支部
を置いた場合に、その
管轄
に入るであろうところの
延岡
、
佐伯等
は
鹿児島
に行くにはきわめて不便であ
つて
、
宮崎
のほうが遥かに便利である。第三に
宮崎
県はきわめて強力な
電源地帯
を持
つて
おり、この開発が完成して暁には、産業上大いに発展することが期待できるわけであ
つて
、この点よりしても
鹿児島
よりはるかに適格であるというような諸点であります。その他数多くの角度より
希望意見
が述べられましたが、その詳細は
添付
の文献に譲りたいと思います。 以上をもちまして第三班の
出張報告
を終ります。
高橋進太郎
7
○
委員長
(
高橋進太郎
君) ただいまの各班の御
報告
に対しまして、この際御
質疑
のある方はお願いたします。
中山福藏
8
○
中山福藏
君
ちよ
つと
棚橋
さんに伺いますが、その
宮崎
ですね、どうですか、
交通
、それからバスですね、そういうものは大体お調べあ
つたの
でございますか。
交通関係
ですね。
鹿児島
よりはあちらのはうがいいのですか。
棚橋小虎
9
○
棚橋
小虎君 やはり
宮崎管内
で北のほうの
延岡
、
佐伯
、二つの
裁判所
、このあたりは非常に遠いのです。
宮崎
でも……。それを
鹿児島
へ持
つて
行かれますと、さらにまた四時間ぐらい時間が延長になりますので、非常に不便になると、こういうことを言
つて
おりましたですね。
中山福藏
10
○
中山福藏
君 あそこは
件数
はどうですか、どれくらい一カ年の
件数
がございますか。
審理
に回る
事件
の
件数
ですね。
棚橋小虎
11
○
棚橋
小虎君
事件数
ですか、それは別の
報告書
に出ておりますから詳細はそれで……。
亀田得治
12
○
亀田得治
君 質問ではありませんが、先ほどの
報告
に
ちよ
つと一点だけ付加えさしていただきたいと思うのですが、いいですか。
高橋進太郎
13
○
委員長
(
高橋進太郎
君) どうぞ。
亀田得治
14
○
亀田得治
君 それは私
ども
今度
裁判所
の
設備
として
名古屋
と
福井
を同時に見ることができたわけなんですが、
名古屋
のほうは、ことに
家裁等
が非常に
設備
が悪いのですね。
家裁
のための
敷地
を買い込んでおるけれ
ども
、それも非常に無理をして
敷地
を手に入れながらそのままにな
つて
おる。一方
福井
のほうに
庁舎
が非常に
りつぱなものができて
、その
りつぱな庁舎
の中の三階の一番明るいところを全部
家裁関係
に当てておるのですね。そういう
関係
で非常に
両者
を対照して見ることができましたので、いろいろな点で感ずる点があ
つたの
ですが、こまかいことは別な
報告書
にもあるのですが、
ちよ
つとまあ御
参考
までに申し上げておきますと、たとえば
調停
の
成立
の
状況
ですね、
福井
の
責任者
に聞きますと確かに以前よりも
調停
の、
成立状況
がいいようだ、こういうことを言
つて
おりました。私
ども
も
両方
の
部屋
の
状況
などを見ますと、これは
部屋
だけでそう
調停
がうまく行くとは限らんかもしれませんが、やはり
相当
影響
するのではないか、
部屋
がきつちりできておると、
従つて
当然そこに花でも置くとか、そうなれば今度は
調停
の途中でお茶を一ぱいでも持
つて
来るとかといつたようなことにどうしても自然な
つて
来る。そういうことが非常にやはり
影響
しておるのではないか、実際そういうふうに感じました。 それからもう
一つ
は、この
法廷
の
秩序維持
に関する問題ですね。そういうことに関する紛争というものが、
福井
の
地裁
では全然起
つて
おらないと言
つて
おりましたが、もちろんこれも
場所
だけのせいではないと思いますが、しかしああいう明るい
法廷
を
作つて
、そうして何といいますかれ、気分がなごやかにしかも静粛になれる。そういうふうな雰囲気を
作つて
おくことが非営に効果を挙げておるのではないか、そういうことをよく感じました。 それからもう
一つ
は
判事
の
部屋
ですが、これが一人一人ゆつくり
場所
を取
つて
あ
つて
、まあ
裁判所
で背から習慣にな
つて
おるように、家へ
書類
を持
つて
帰つて仕事
をするといつたような必要がないように、ちやんとできて以る。私はまあ今申し上げたようなことはこれはもう当然なことだと思うのですね、そういうふうにな
つて
おらない
裁判所
が
全国
でずいぶん多いのではないかと思いますし、
名古屋等
は、特に
名古屋
の
家庭裁判所
などはこの
福井
の
状態
と比較すると本当にいい対照だ、こう思いました。で、
名古屋
でたとえば
少年
のいろいろな
聴取
り、
調査官
が送られて来た
少年
から
事情
を聞いておるところも
ちよ
つと拝見さしてもらつものだが、同じ
部屋
んでたくさんの
少年
に対してたくさんの
調査官
が聞いておるわけですね、隣りの言
つて
おることが隣りに聞える。そういうことではやはり
事件
の性質上本当の
調査
にならないだろうと思うのです。そういう点なんか
福井
のほうでは本当に秘密によく聞いてやれるようにな
つて
おる。そういうことを特に
両者
を比較して感じたわけですが、御
参考
までに申し上げておきます。
中山福藏
15
○
中山福藏
君
検察庁
なんか新
庁舎
をどこでか御覧にな
つたの
ですか、
調査室
、
聴取室
なんかですね、
検察庁
の……。
亀田得治
16
○
亀田得治
君
検察庁
は
名古屋並び
に
福井
のほうも拝見さしてもらいましたが、
両方
とも
庁舎
としては戦後新しくできた
庁舎
です。まあ戦後間もなくできた
庁舎
だと思いますがね、ことに
福井
のほうは……。
中山福藏
17
○
中山福藏
君 私のお聞きしたいのは、将来やはり
テープ
・
レコーダー
なんか設置して、そうして
聴取
りを完全にしなければいかんというのか私の
考え
方です。たから新
庁舎
なんかにはそういう新しい
設備
が単に書記さんが筆で書き取るというようなことをせずに、よく
公判
に移りますと、それを否認することがあるから、私はやはり新しい
設備
としても
書記官
によ
つて
書取らせるよりはむしろ
テープ
・
レコーダー
で一一記録したほうが、録音したほうがよいという
考え
を持
つて
おるが、そういうところは一カ所もございませんでしたか。
亀田得治
18
○
亀田得治
君 そういう
設備
は一カ所もありません。
羽仁五郎
19
○
羽仁五郎
君 今の
亀田委員
の御
説明
に関連いたしまして
名古屋
の
高裁
の前に
家庭裁判所
を建てるために
敷地
を購入して、そこになかなか
建築
が始まらないというのは、はなはだ問題だと思うのですが、ずいぶん口抜きの所を無理をして認可を取
つて市民
の家を立ち退かして、しかもそれにはいろいろな各
方面
からの尽力があ
つて
、それで立ち退かしてその跡に長い間何にも建てないというのは、あすこの
長官
としては非常に立場が苦しくて、それを見るのもつらいようなお話だ
つたの
ですが、誠にそうだと思うのです。しかも立ち退きました方々から
考え
れば、ちつとも立ち退きたくなか
つたの
に、立ち退いたあとに何にも建
つて
おらないというのは、ああいう目抜きの所だけに目立ちます。今も
報告
がありましたが、私からもできるだけ早く円満な
解決
が期待されるように願いたい。
中山福藏
20
○
中山福藏
君 もう
一つ
伺いますが、
東北地方並
びに
北陸地方
というのに非常に天気が陰惨で憂欝で、雨天なんかには精神
状態
に非常な
影響
を及ぼすと私は思
つて
おるのです、環境から……。
審理
の仕上げの速度というのが非常に天気のいい所と違うと思いますね。速度はどうですかね、比較対照なんかは……。あんた本職が
弁護士
だからそういう点はどうでしたか、お
考え
に
なつ
たことありませんか、
亀田得治
21
○
亀田得治
君 そういう点は特に検討はしませんでした。
羽仁五郎
22
○
羽仁五郎
君 それから今も
亀田委員
からもお話かあつたが、
家庭裁判所
とか、
少年
審判所とかに特に関連するのですが、
検察庁
の場合今
中山
委員
のお話にも関連すると思いますが、科学的な
設備
が実に貧弱をきわめておる。ことに
福井
県なんかは今も伺うと
モデル庁舎
……
モデル庁舎
のあれは
家庭裁判所
というのか、そういう
関係
の医療室というのが、まあ普通のどこにでもあるような医療室ですね。だから子供とか家庭に関してはずいぶん精神病といいますか、精神分析
関係
の
設備
が当然あるはずなんで、あんな新しい建物を作
つたの
だから、大いに期待して拝見したのですが、はなはだ
通り
一遍のもので、建物がりつぱなのに比較してはなはだ残念でした。
高橋進太郎
23
○
委員長
(
高橋進太郎
君) それでは
報告
はこの程度にいたしまして、なお各班よりそれぞれの詳細な
報告書
が提出されておりますので、本
報告
につきましては
裁判所制度
に関する小
委員会
の
調査
上種々御活用願うことにいたします。
—————————————
高橋進太郎
24
○
委員長
(
高橋進太郎
君) 次に、
裁判所
所管
昭和
三十年度予算案を議題にいたします。 なお本件につきましては、議事の都合上懇談会に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
高橋進太郎
25
○
委員長
(
高橋進太郎
君) 御異議ないと認めます。 これより懇談会に入ります。 午後二時五十一分懇談会に移る —————・————— 午後四時十五分懇談会を終る
中山福藏
26
○
委員長
代理(
中山福藏
君) 本日はこの程度で散会いたします。 午後四時十六分散会