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1954-11-06 第19回国会 参議院 法務委員会 閉会後第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年十一月六日(土曜日) 午前十時五十一分開会 ――
―――――――――――
出席者
は左の
通り
。
委員長
高橋進太郎
君
理事
小野
義夫
君
宮城タマヨ
君
亀田
得治
君
委員
青木
一男
君 剱木
亨弘
君 岡田
宗司
君 一松 定吉君
羽仁
五郎
君
国務大臣
法 務 大 臣
小原
直君
事務局側
常任委員会専門
員
西村
高兄君
常任委員会専門
員 堀 真道君
説明員
法務省民事局長
村上 朝一君 ――
―――――――――――
本日の会議に付した
事件
○
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する件 (
人権擁護
に関する件) (
民法改正
に関する件) ○小
委員
の
補欠選任
の件 ――
―――――――――――
高橋進太郎
1
○
委員長
(
高橋進太郎
君) ただいまより
委員会
を開きます。 まず
人権擁護
に関する件について、その
申入書
についてお諮りいたします。先般来当
委員会
におきましては、
人権擁護
に関する件につきまして、
鳥取
市
秘聴器事件等各種
の一連の
事件
について
調査
を行な
つて
参りましたが、これらの
調査
も一応終りましたので、本日
委員長
及び
理事打
合今会におきまして、その後の処理の問題につき協議いたしましたところ、この際お
手許
に配付いたしました案のような
申入書
を
委員会
において決定いたし、
所管大臣
である
法務大臣あて申入れ
を行うことが望ましいと存じますが、本
申入書
を一応
専門員
より朗読をさせます。
西村高兄
2
○
専門員
(
西村高兄
君) 朗読いたします。
小原法務大臣宛申入書
参議院法務委員会
基本的人権
の
尊重
は、
国政
の
運用
に当
つて
最も肝要なことであ
つて参議院法務委員会
としては常に之が
注視
を怠らない所であるが、最近
犯罪
の
捜査
に当
つて
は
人権侵害
の声が少くないので当
委員会
は、特に最近起
つた
具体的事例
について
関係人
より
実情
を聴取する等
調査
の結果次の
意見
に達した。 即ち
犯罪
の
捜査
に当
つて
はいやしくもその
権限
を濫用して
日本国憲法
の保障する
個人
の
権利
及び自由を侵すことなきよう厳に
戒むべ
きであるから、
捜査権発動
の
限界点
及び
犯罪捜査
の
手段
特に
秘聴器
の
使用
については、その
使用
することの
適否
及びその
使用
についての
責務
並びに
方法
に関して
特段
の
留意
と慎重なる
工夫
をこらし以て
人権尊重
に万全を尽されたい。 右
要望
する。 以上であります。
小野義夫
3
○
小野義夫
君 この
最初
の「
犯罪
の
捜査
に当
つて
は」の「は」は、要らないと思います。
高橋進太郎
4
○
委員長
(
高橋進太郎
君) そのようにしてよろしうございましようか。……それではただいま朗読いたしました
申入書
を
法務大臣
が
出席
せられました際に一応
申入れ
をし、その
所見
を伺いたいと思います。当
委員会
としてはこれで決定してよろしうございますか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
高橋進太郎
5
○
委員長
(
高橋進太郎
君) それでは
異議
ないと認めてこの
申入暫
は決定いたします。
ちよ
つと
速記
をやめて下さい。 〔
速記中止
〕
高橋進太郎
6
○
委員長
(
高橋進太郎
君)
速記
を始めて下さい。
委員長
から
小原法務大臣
に申し上げたいと思います。実は数日来当
法務委員会
といたしましては、
人権擁護
の
立場
から諸問題の
調査
に当
つたの
ですが、その
調査
の結果、ただいま申し上げるような一応われわれの結論に達しましたので、
一言
申し上げたいと思います。なお、本文は書面をも
つて
お
手許
に差上げますが、一応私から朗読いたします。
基本的人権
の
尊重
は、
国政
の
運用
に当
つて
最も肝要なことであ
つて参議院法務委員会
としては常に之が
注視
を怠らない所であるが、最近
犯罪
の
捜査
に当
つて人権侵害
の声が少くないので当
委員会
は、特にに最近起
つた
具体的事例
について
関係人
より
実情
を聴取する等
調査
の結果次の
意見
に達した。 即ち
犯罪
の
捜査
に当
つて
はいやしくもその
権限
を濫用して
日本国憲法
の保障する
個人
の
権利
及び自由を侵すことなきよう厳に
戒むべ
きであるから、
捜査権発動
の
限界点
及び
犯罪按査
の
手段
特に
秘聴器
の
使用
についてはその
使用
することの
適否
及びその
使用
についての
責務
並びに
方法
に関して
特段
の
留意
と慎重なる
工夫
をこらし以て
人権尊重
に万全を尽されたい。 右
要望
する。
本件
に関する
法務大臣
の一応の御
所見
を伺
つて
おきたいと思います。
小原直
7
○
国務大臣
(
小原直
君) ただいま
委員長
より、共本
的人権
の
尊重
に関して、
捜査
に
人権
の
侵害
のないように
注意
せよ。なお特に
秘聴器
の
使用
については、その
責務
並びに
方法
に関して
特段
の
留意
と慎重なる
工夫
をこらして、
人権尊重
に万全を尽されたい、という御
要望
があ
つたの
であります。
法務大臣
といたしましては、
犯罪
の
捜査
について
人権
の
侵害等
のないように、常に
注意
をいたしておるところであります。ただいま
お話
になりました
警察
が
秘聴器
を
使用
することについては、先般
来社会会
においても若干の問題を惹起し、ことに
国会
においては
衆参両院
において、
秘聴器
の
使用
について大へん御論議のあ
つた
ことを承わ
つて
おります。この
秘聴器
の
使用
につきましては、
斎藤警察庁長官
から詳細に、事実及び
意見
を述べられてお
つた
はずであります。今回それらを御考慮の結果、ただいま
委員長
の申されたような
要望
が当
参議院
の
法務委員会
からいたされたものと思うのであります。
法務大臣
としては、
警察
において
秘聴器
を
使用
して
捜査
を便宜にしようということの計画及び実施については、常に
警察側
において
注意
をしておることと思うのであります。この上とも
法務大臣
としても、
司法警察
の
立場
から、御
要望
のあ
つた
ことを諒といたしまして、将来十分
注意
して
人権
の
侵害等
のないように行いたいという
考え
を持
つて
おります。 なおまた、
国家公安委員長
としての
意見
として申し上げるのも同じことなのでありますが、御
承知
のように、
国家公安委員会
は
委員会
の
団体
が
警察
を管理しておるのでありまして、
委員長
といたしましては
委員会
を掌理するということにな
つて
おりまするが、私
個人
が
警察
に対して
特段
の命令、
指示
をする
権限
を持
つて
おらんのでありますから、このただいまの御
要望
に関しては、
委員会
に諮りまして、多分私が
法務大臣
として申し上げたような
趣旨
で、将来
人権
の
侵害等
のないように
警察
に
注意
を与えるということになろうと思
つて
おります。これはいずれ相談をせんければわからんことでありますが、大体そういう方向に行きたいと思います。ここにあらかじめそのことを申し上げておきます。
亀田得治
8
○
亀田得治
君
ちよ
つと関連して一点だけ、
法務大臣
にお聞きしておきたいのですが、先だ
つて
警察庁長官
に
質疑
をしたときには、特殊な
犯罪
に対してこれを用いたのだ、そのほかのたとえば
選挙違反
、そうい
つた
ようなものに対しては用いませんと、そういうことを言明する
機会
をたまたま
質疑
の
機会
に与えられたことを、非常に
自分
としては幸いであると思うというような
答弁
を、
はつ
きりしておりました。で、特殊な
犯罪
に対してだけ特殊な
方法
を用いるということは、また
一つ
の問題でありますが、その点は今差しおきまして、少くともそのほかの
犯罪
に対してはこういうことは使わないと
はつ
きり言われたのですが、この点
法務大臣
あるいは
国家公安委員長
としての
考え方
ですね、一応承わ
つて
おきたいと思うのです。
小原直
9
○
国務大臣
(
小原直
君) ただいま
お尋ね
のことにつきましては、
斎藤警察庁長官
から詳細に申し上げてお
つた
はずであります。私自身としては
警察
が
秘聴器
を用いてお
つた
という事実は今まで知らなか
つたの
でありまして、ただ
鳥取
の
事件
について初めてさようなことがあ
つた
ことを気付いたわけであります。でかような特別のものを用いて
犯罪
の
捜査
をやるということは、これはやはりよほど特別の場合でなければならんと思うのであります。たとえば
国家
の存立を危くするような
破壊活動
をやる
団体
あるいは
個人等
の
容疑
事実について調べるときには格別でありますが、
一般犯罪専
にかようなことを用いる必要は今日までの経験から見ても全然ないと思いますし、また今後もさようなことはやらないで済むものと思
つて
おります。まあ
言葉
をかえて言えば、他の特別の
犯罪
以外のものについて用いることはないということを申し上げてよかろうと思います。 ――
―――――――――――
高橋進太郎
10
○
委員長
(
高橋進太郎
君) これより
検察
及び
裁判
の
運営等
に関する
調査
中
民法改正
に関する件を
議題
といたします。
法務大臣
より
本件
に関する一応の御
説明
を願います。
小原直
11
○
国務大臣
(
小原直
君)
民法
の
改正
は戦争後、新
憲法
の発布に伴うて必要な点について
憲法
に合せるべく、若干の
改正
が行われお
つたの
でありますが、本年の七月六日に私が
法務大臣
として
法制審議会
に対して
民法
に
改正
を加える必要があるかないか、あると十ればその
要綱
を示されたいということで、
民法改正
に関する
諮問
をしたのであります。これはただいま申し上げた
昭和
二十二年における
民法
の
改正
が新
憲法
の要請に
従つて
、差し当りこれに適合しない
部分
の
規定
を改めるという点に
主眼
を置いて
改正
をしたのであります。
憲法
の
規定
と
面接関係
のない事項につきましては、旧法の
規定
をそのまま踏襲され、ことに
民法
中
親族
、
相続
の両篇を除くその他の
部分
につきましては、ほとんど手を触れてなか
つたの
であります。従いましてこのたびの
法制審議会
に対する
民法改正
についての
諮問
の
趣旨
は、
民法法典全般
にわた
つて
根本
的に再検討を加え、
改正
を必要とする点がありますれば、その
改正要綱
を
答申
されたいというのでございまして、
政府
といたしましては、
民法
の
改正
に関して一定の
方針
を立て、この
方針
に沿う
答申
を期待しておるわけではないのであります。従いまして
政府
が旧
民法
の
家族制度
の
復活
を意図しているというような事実は毛頭ないのであります。むしろ私といたしましては、
家庭生活
の現実から離れておる旧
民法
の家、
戸主権
、
家督相続
などの
制度
を今さら
復活
するというようなことは、
民法改正
の
方法
としては好ましいことではないと
考え
ております。 〔
委員長退席
、
理事小野義夫
君
着席
〕 すなわち以上がこのたび
民法改正
を計画しております大体の
方針
であります。
羽仁五郎
12
○
羽仁五郎
君 先ほどの
議題
に庭
つて
発言することを許されたいと思います。恐縮でありますが……。
先ほど秘聴器
に関する
亀田委員
からの
質問
に対して
法相
から
お答え
があ
つたの
でありますが、その点について
亀田委員
から特殊な
犯罪
について
秘聴器
を使うということについての
議論
には今入らないで、
選挙
などに関して
使用
されることがないという
警察庁長官
の
見解
に対して
法相
あるいは
国家公安委員長
の御
見解
を示されたいという御
質問
であ
つたの
で、私も実はそういうふうに拝聴しておきたいと
思つたの
であります。先般来いろいろな
機会
に
政府
が言明されます御
意見
とも関連しますので、この際
一言
御
見解
を示されたいというふうに思うのでありますが、これは
破壊活動防止法案
が
国会
に提出されまして、本院あるいは本
委員会
において審議せられました当作にも、いろいろな
議論
を尽したのでありまして、また
政府
もそれに対してやはり慎重な
答弁
をせられたのでありますが、特殊な
犯罪
の特殊な場合であれば、どういう
方法
を
使つて
もよいというようなお
考え
が
政府
にあるとは信じたくないのであります。これは
一言
にして申せば、
古来法
の
尊厳
を保
つた
めの格言として、
最悪
の場合に法を守らなければ、法というものは守れるものではないという
言葉
がございます。
従つて
これは
最悪
の場合であるから、
幾分法
の
尊厳
あるいは
人権
の
尊重
という
見地
からはいかがかとも思うが、しかし
最悪
の場合であるから許されたいというようの御
議論
は、私は納得いたしかねるのであります。不幸にして
政府
あるいは
政府関係
の方々の本
委員会
における御
説明
には、そういうふうな御
説明
が
ちよ
い
ちよ
いございます。一々それを私としてはとがめるつもりはないのでありますが、幸い今日は
人権尊重
の点において
最高
の
責任
を有せられる
法相
が御
出席
でございますから、その点について高い
レベル
の識見を示されたいと思うのであります。特殊な
犯罪
の特殊な場合について、たとえば
秘聴器
が
使用
せられるというふうなことを、高い
レベル
でお認めにな
つて
いるかの印象を与えられますと、やはり二つの問題がそこに生じて来ると思うのであります。その
一つ
は、特殊な
犯罪
の特殊な場合に、いわゆる
合法
でない、公然でない
活動
が起る場合には、
政府
あるいは
警察
というものがやはり公然でない
秘密
の
活動
をするのか。そうすればそこにどうしても
秘密警察
というものが起
つて
来る。いわんや
警察法
の
改正
によ
つて
国家
警察
的な性格が強くな
つて
来られた今日としては、いよいよ
国家秘密警察
、いわゆるゲシュタポというようなものの
復活
を
国民
が不宏に感じます
理由
も全くゆえなしとしない。第二の弊害は、これがそれと関連いたしまして、
一般
の
国民
にその特殊な
犯罪
のまた特殊な場合の非公然のあるいは非
合法
の
活動
というものは、
一般国民
にどの程度までそれが及んでおるかということがわかりませんから、
従つて
あるいは家を貸す場合、あるいは部屋を貸す場合という場合にも、ことによるとそういう
関係
があるのではないか、あるいは電話をかける場合も、あるいは
選挙
の場合も、どこにどういうふうにしてそれが入
つて
いるかわからないということから、特殊の
関係
だけでなく
一般
に不安を与えることになると思います。第二のやはり重大な問題となりますものは、この特殊な
犯罪
の特殊な場合というふうなものが、やはり
社会生活
あるいは
合法
的な
団体
、あるいは
合法
的な
言論
の
活動
と関連している場合が多いのです。これは
破壊活動防止法
の場合にも、
破壊
的な
団体
が
合法
的な
労働組合
なりあるいは
政党
なり、その内部でいわゆるフラクというのでしようか、そういうような
活動
をしておる場合のその
破壊
的な
団体
の
活動
を
捜査
し、あるいはそれを追及して行くという手がつい伸びまして、その
合法
的な
労働組合
の組織に触れ、あるいは
合法
的な
政党
あるいは
合法
的な
言論
の
活動
に触れるということがございますと、これは
団結
の自由、あるいは
言論
の自由、あるいは
団体活動
の活発な効果というものを
破壊
することにな
つて
しまう、これは絶対に許されないことであるということは、私の
質疑
にまた各
委員
の
質疑
に対して、当時
政府
の
はつ
きり言明されたころでありまして、非
合法
なものを追及して
行つて
、そうして
合法
的な
活動
に触れるというようなことは絶対に避けなければならん。その場合に生じて来る
団結
の自由の
侵害
、あるいは
言論
の自由の
侵害
については、
最高
の
レベル
において
破壊活動防止法
の適用の場合には
公安調査庁長官
がその
責任
をとられなければならんほどの
重大責任
があるという
お答え
があ
つたの
であります。その二点についてでございます。 すなわち特殊な
犯罪
、特殊な場合であれば、
手段
を選ばず
捜査
を行うというようなお
考え
は全くないと、
政府
においておありにならないと
確信
をいたしますが、その点についていかがでございましようか。それから第二に、その特殊な
犯罪
の特殊な場合であ
つて
も、それが
合法
的なものと密接な
関係
をしておることを十分考慮されなければならないのであ
つて
、いやしくもその
団結
の自由、あるいは
言論
の自由その他
憲法
で保障されておる自由に、そういう場合であるから、つい触れたというようなことがあれば、これはやはり高い
責任
の問題が生ずることと存ずるのでございますが、
政府
としての御
意見
はいかがでございましようか、お示しを願いたいと思うのであります。
小原直
13
○
国務大臣
(
小原直
君)
警察
が
犯罪
を
捜査
いたしまする場合においては、その
手段
はすべて
合法
でなければならんことはもちろんだと思います。従いまして非
合法
の
活動
に対して、
警察
が
犯罪容疑
の
捜査
をいたしまする場合においても、
警察
の
手段
としては、どこまでも
合法
的で
人権
に
侵害
を与えるということがあ
つて
はならんということは、私は
確信
いたしております。ただいま
お尋ね
になりました非
合法
の面に対する
捜査
をやる場合には、自然それが
合法
のたとえば
団結
の自由であるとか、
国民
の
生活
の自由であるとかいうことに触れる場合のあることはもちろんでありますが、そういう場合におきましても、不法の
手段
をも
つて
それらの自由を害するようなことがあ
つて
はならん、これまたもちろんであると思います。それに私はここで断言いたしますることは、
警察
の
捜査
に当
つて
は、いやしくも
合法
の
手段
をも
つて
すべてやらなければならんのであ
つて
、いやしくも
人権
の
侵害
をやるような
手段
を用い、不法な
手段
を使うというようなことはや
つて
はならんと、こういうことの
確信
をいたしております。
羽仁五郎
14
○
羽仁五郎
君 それでは
議題
にな
つて
おります
民法
の
改正
の問題について、まず
最初
に全体的な
見地
において
政府
の
所見
を伺いたいと思います。ただいま御
説明
下さいましたように、この
民法
の
改正
の問題として
政府
がお
考え
にな
つて
おるのは、決して
一言
で言えば
世間
で伝えるがごとく、また不安を生じておるがごとく、いわゆる逆コース的な意図を持たれるものではないということを御
説明
下す
つたの
でございます。それにもかかわりませず、
世間
において、
政府
が現在お
考え
にな
つて
おられます
民法改正
について、そういう度重ねての
政府
の言明にもかかわらず、これがやはり逆コースである、なかんずく
家族制度
の
復活
である、あるいは
男女同権
の
破壊
である、あるいは
個人
の
尊厳
の
尊重
ということを
破壊
しようとせられるものであるという不安がなかなか強いことは
法相
も御
承知
の
通り
であります。しかも
婦人団体
を中心にして
団体
的にその不安が表明せられ、そうしてそれぞれの
言論
あるいは行動をも
つて
これは発表せられております。これは単なる誤解に基くものでございましようか、あるいは現在の
政府
の他の施策、
施政方針
というようなものと
関係
もあるいはあることでございましようか。いずれにせよ、
政府
がせつかくただいま御
説明
下さいましたような純真なお気持で
民法
の 〔
理事小野義夫
君
退席
、
委員長着席
〕
民主主義
的な
合理化
を図らんとせられておりますにかかわらず、世論の少からざる
部分
において、そうした疑惑と不安と不信というものがあ
つて
これを遂行せられることははなはだ困難ではないかというように心配をいたすのでございますが、この点についてまず
法相
の御
見解
を示されたいと願うのでございます。
小原直
15
○
国務大臣
(
小原直
君)
羽仁委員
の御
質問
に
お答え
いたしますが、先ほど来
民法改正
の
方針
について申し上げた
通り
、
政府
といたしましては今度の
民法改正
は、今まで
改正
しなか
つた
部分
について
改正
の必要があるかどうかということを
法制審議会
に
諮問
をいたしております。この
諮問
についての
答申
が出ました上で、主務得たる
法務省
としては
民法改正
に関する
意見
をきめるという段取りになるのであります。で、今の段階におきましては、
法務省
としては
家族制度
の
復活
であるとか、ただいま
お話
にありましたあるいは家であるとか、
戸主権
であるとか、あるいは親権であるとかいうようなものについて特別な
考え
を持
つて
、これを
復活
しようなどということは毛頭思
つて
おらない。
答申
を見た上で、
白紙
の状態において、
改正
の点をどういうところに置くかということを定めるのでありまして、
世の中
の
新聞等
に、あるいは
家族制度
の
復活
であるとか、あるいは親子の
関係
について特別の
規定
を設けるのであるとかいうような
議論
もありますけれども、
法務省
は何らそれに関して今まで
意見
を発表したことはないのであります。ただ
世の中
の一部にはそういう
考え
があ
つて
、それが
新聞
に出るものと私どもは了解いたしております。
青木一男
16
○
青木一男
君
ちよ
つと一、二点伺
つて
おきたいのですが、
民法改正
の
方針
について
法務省
としても
白紙
で
答申
を待つということでございますが、それはまあけつこうでございますが、ただいまの
お話
の中で
改正
の
範囲
でございますが、
全般
にわたるような問題であるか、あるいはまた場合によ
つて
は、この間
改正
しない
部分
についての
改正
であるかのごとくにも
ちよ
つと聞いてお
つたの
でありますが、おそらく
全般
であろうと私は想像しておるのでありますが、それで先般の
昭和
二十二年ですか、
民法改正
の経過についてですが、今
法務大臣
の
お話
のごとく
憲法改正
に
伴つて
それに歩調を合わせる意味においての
改正
をされたと、こういうことであります。そこで当時の
憲法改正
が
マッカーサー司令部
の
指示
に基いてそのきめられた枠の
範囲
で
改正
をしたものであるということは、今日では公知の事実で疑う者はないのでございます。
占領軍
の
政策
というものは、
日本
の
利益
を図るよりも、
占領国
の
利益
を図ることを
主眼
としてや
つて
おることはこれは当然であります。
米国政府
の
マッカーサー
に対する指令の中にも、そのことが
はつ
きり書いてあるのでありますが、
憲法改正
も
占領
当時の重要なる項目であることは事実であり、もちろんその線に沿
つて
おることは明らかであります。それで一口に申しますれば、
占領政策
の
根本
は、
国家
としての
日本
の
弱体化
にあ
つた
ということも、これも今日ではほとんど定説でございます。
占領国
、
占領軍
としては私はむしろ当然の
方針
であろうと思うのでございますが、
ドイツ
におきましても、西独の
占領当局
は、
日本
に対すると同じような
永久憲法
の
制定
を
自分たち
の
方針
のもとに
制定
することを命じたのでございます。ところが
ドイツ
十一
連邦
の
総理大臣
が集合して、
憲法
というものは、今のように
自分たちドイツ国民
が
主権
を持
つて
おらない、
占領軍当局
が
主権
を持
つて
おるので、
主権
を持
つて
いない
ドイツ国民
が、また
意思発表
の自由もない現状のもとにおいて
永久憲法
を作るなどということは想像もできない。こういう
理由
で
永久憲法
の
制定
に反対したのでありますけれども、当時
ドイツ
の
政党
も学者も輿論も、この十一
連邦
の
総理大臣
の
意見
を支持して頑強に抵抗したために、ついに
ドイツ
では
永久憲法
を
制定
せずに、今日ボンの
憲法
として伝えられておるものは、これは
占領下
の
基本法
に過ぎないのでございまして、この
憲法
には、この
基本法
は
ドイツ国民
が自由を回復して
独立
を復し、
自分
の手で
憲法
を
制定
した日において、その効力を失うということが明らかにされております。私は
憲法
の本質上当然のことであると思うのであります。またいやしくも
民主主義
の建前からい
つて
も、
民主主義
というものはその
民族
、
国民
の手によ
つて国民
の
意思
に基いて
国民
のためにするのが
民主主義
でございますから、
憲法制定
というような将来の重大なる問題が、
民主主義
の原則によ
つて
行われるべきことは当然でございます。しかるに
日本
では、事態が全く
ドイツ
と
変つて
あのような
憲法
ができ、
国会
において審議された場合にも、その重要な
永久憲法
の
制定
に反対された説を多く間かなか
つた
ことは、われわれ非常に遺憾とするところでございます。しかもこの
改正手続たる
や、ほとんど
改正
を不可能にするような
規定
までも置いているのでございまして、私はここに
独立
の自由を回復した今日、あらためて
国家統治
の
根本
について
考え
てみたいと思
つて
おるのでございます。これは
民族
として当然の要求であると思うのでございます。 これは、
憲法
の
考え方
についてでございますが、今
お話
の
民法
の
改正
についても、
憲法
に合せるための限度の
改正
をされたということでありますが、それが主として
親族法
、
相続法
でございます。まあ
民法
は
私法
の
基本法
としてどこの国でもこれの
改正
については非常に慎重な
手続
をと
つて
おりますが、ことに
親族法
、
相続法
のごときは、これは
万国不変
の法律というのはむしろ少くて、各国の
伝統慣習
というようなものに非常に支配される
部分
が多いわけでございますからして、
占領軍
がそれに手をつけて
改正
させるとすれば、最も不適当と思われるようなものも手をつけて
改正
させたことになるのであります。
従つて
私は今度の
民法改正
に当りましては、これは
憲法
の
改正
にも
関係
ございますけれども、
全般
にわた
つて
本当に
日本
人の
意思
によ
つて
、適当なるこの
私法
の
基本法
である
民法
を
制定
されることを希望として
法務当局
にそのことをお願いいたしておきます。 それで一点特に伺
つて
おきたいのでございますが、
相続法
が
家督相続
をやめて
均分相続
となりましたために、農地の細分ということについて非常に
世間
では心配しているのでございます。今日の現状におきましても
日本
は農耕地が少くて、しかも農民の数あるいは農家の数が多いのでございますからして、一戸当りの耕作反別というものは非常に少いのでございます。それがこれ以上細分されては、農家経済の経営をほとんど不可能にするということは、これもほとんど異説のないところでございます。それでこれ以上の農地の組分を防止するためには、やはり
相続法
に何か特例を設ける必要があるのじやないかということが多く伝えられているのでございます。私もその点今研究している一人でございますが、この
改正
に反対する人たちはほとんどこういうことを言うのでございます。それはこれ以上の農地の細分は
実情
に適しないし、いけないと思うが、今日
均分相続
であ
つて
も、
相続
権の放棄によ
つて
事実上細分を防いでいるのだからいいではないかということを言
つて
いるのでございます。ところが、私は弁護士の職務においてすでに数件この農地の
相続
の問題についての紛糾を頼まれて
関係
いたしているのでございまして、
法務当局
では近、ころ簡易
裁判
所その他の調停等におきまして、どの程度こういう農地の
相続
についての研究をなさ
つて
おられるのか。その点の様子を伺いたいのでして、それから法律上は
均分相続
であるけれども、
権利
の放棄によ
つて
事実上細分を防いでおるからいいというこのことは、一体どこまで期待性を持てるか。
国家
の
制度
としては均分でありながら、事実は
権利
を放棄することを期待してその細分を防げる一体見通しが
日本
の
国民
性から見て、また法の
運用
の今までの経験から見て、一体期待できるのかどうかということについて、
法務大臣
の見通しを伺
つて
おきたいと思います。
小原直
17
○
国務大臣
(
小原直
君)
お答え
いたします。今日の
民法
は、先ほど申しましたように、
占領
中における
憲法
の
改正
によりまして、
民法
中
改正
しなければならん点があ
つた
がために、その
憲法
に相合する
趣旨
の
改正
をしただけなんでありまして、今日
民法
の
改正
を計画いたしましたのは、その後における情勢に
従つて
なお
民法
中
改正
して行く点ありやいなや、ありとすればどういうふうの
要綱
で
改正
すべきかということを
法制審議会
に
諮問
をいたしておるのであります。もし、今後
憲法
がさらに
改正
せらるる
機会
がありといたしまするならば、そのときにおいてあるいは
憲法
の
規定
に基いてさらにまた
改正
せんければならん点が出るかどうかということは、今日からあらかじめ想定するわけには参りません。それはそのときに譲るほかないと思います。ただし、今回
法制審議会
に
諮問
いたしました
民法
の
改正
につきましても、事が
私法
の
根本
法でありまするがために、なかなか審議は手間取るであろうと思います。いつ、その
答申
が出るかということも、これまた今日においては予定ができないわけであります。
憲法
の
改正
がいつあるかもわからず、それを待
つて
民法
の
改正
を新
憲法
に合わすべく計画するということも待ちかねるのでありますから、取りあえずこの
諮問
をして、
改正
する点ありとすれば
改正
をしようという計画を立てたのであります。 次に
お尋ね
になりました
相続
に関して、今日均分、子供に対する被
相続
人の
相続
権を均分にすることに
なつ
たんでありますが、農地についてこれを同様に扱うということになるというと、農地が細分化せられて、
従つて
、
国民
の
生活
の資料である食糧の増産問題に影響を及ぼし、あるいはその他いろいろ悪影響を及ぼす点があり得るのであります。この点をどういうふうに改めるかということも、いずれ
法制審議会
から
答申
もあるでありましようが、このこまかいことについては事務当局から御
答弁
をいたすといたしまして、ただ、この細分を防ぐがために次男以下のものに
相続
権を放棄させることによ
つて
緩和されるのではないかという
議論
があるという
お話
であります。現に今日そういうことも行われておるようでありますが、しかし、これがなかなかその
通り
には参らんのでありまして、至るところこの農地に関しての
相続
についても争いがあるのであります。これをどういうふうにすべきかということがやはり問題になるのでありまして、これらの点を今申し上げたような、
法制審議会
でも論議されると思うのでありますが、それらに関するこまかい点は、事務当局から御
答弁
いたします。
村上朝一
18
○
説明員
(村上朝一君)
改正
民法
における
均分相続
の
制度
によりまして、農地の細分が行われるのではないかということで、それを防止するための農業資産
相続
特例法案と申しますものが第一
国会
と第五
国会
の二度
政府
から提案に
なつ
たことは御
承知
の
通り
でございますが、いずれも審議未了とな
つたの
でございます。第一
国会
に提案されました特例法案の大体の構想は、農地つきまして
相続
人の中の農業を継続してや
つて
行くと期待される
相続
人についての
相続
分を他の
相続
分より多くする。二分の一の特別
相続
分を認めるということが中心であ
つたの
であります。これが
憲法
の平等の精神に反するという
憲法
違反の非難もございまして、これは
衆参両院
とも解離未了にな
つたの
であります。次の第五
国会
に提案されました特例法案も
相続
分は
民法
の原則
通り
であります。その
相続
分に
従つて
相続
財産を分割いたします際に、農地については被
相続
人の推定た農業資産
相続
人が農地を取得し、他の
相続
人には農業資産
相続
人から長期にわた
つて
その
相続
分に当るものを償還して行くというような構想であ
つたの
であります。これは衆議院のほうを通過いたしまして、
参議院
で審議未了にな
つたの
でありますが、これにつきましても、ただいま
青木
委員
の仰せになりましたような実際放棄によ
つて
相続
財産の細分が、農地の細分が防止されているから必要がないという学者の反対論のほかに、学者の間では、かような
制度
ができて、一子
相続
を法律が認めるような感じ今の農村に与えることは、ただでさえ封建性の強く残
つて
いる農村におきまして、新しい
憲法
及び
民法
の精神としております民主化を妨げるおそれがあるということが学者の反対の
理由
の
一つ
であ
つたの
であります。さようなことでこれも審議未了に
なつ
れそのままにな
つて
来ているのでありますが、
昭和
二十六年に
私法
学会におきまして農家
相続
の実態を
調査
したことがございます。それによりますと、農家で法律上の放棄の
手続
をいたしましたものが約一七%、それから一部はほかの子供たちにも農地を分けてや
つた
という例が約二〇%、それから共同で
相続
したことに法律上はな
つて
いるけれども、事実上長男なりその他一人の子供がそれを承継して耕作を続けているという例が、これが大
部分
でありまして約六一%という数字にな
つて
おります。農地の細分は心配されたほど激しくはないというふうに言われておるのでありますけれども、私どももこの
相続
の放棄と、やむを得ず
相続
を放棄することによ
つて
農地の細分が防がれているという状態がこれでいいとは
考え
ないのであります。
法制審議会
などにおいて
相続法
の
規定
を審議されます際にこの点を十分検討願いたいものと
考え
ておる次第であります。
裁判
所等に現われております農地
相続
を中心とする紛争の
実情
につきましては、ただいま資料を持合わせておりませんので、
調査
いたしました上で
お答え
申上げます。
青木一男
19
○
青木一男
君 これは直接
民法
の
改正
には
関係
ないのでございますが、むしろ刑法に
関係
することでありますが、先ほど申した
通り
、
日本
の
占領政策
の基本は、
日本
の弱化にあ
つたの
でございますが、その大きな
方法
としては、
個人
主義、いわゆる極端なる
個人
主義を強調して、その半面
国家
の権力を極度に弱める、こういうことがあらゆる
制度
の改革の指導
方針
にな
つて
おるようでございます。それで
個人
主義によ
つて
日本
の社会改革を実行したのでございますが、そこに私どもは非常な行過ぎがあるのじやないかということをおそれておるものでございます。もちろん
占領軍
の実行した改革の中にもいいこともございます。従来の
日本
の行過ぎた、たとえば
家族制度
の封建性を面すという点については、われわれも共鳴を感ずる点ももちろんあるのでございます。しかし、行過ぎがあるのじやないかということを同時に私どもは心配しておるのでございます。
憲法
には夫婦の協力
関係
について協力の義務を
規定
しておるのでございますが、しかるに親子の
関係
というようなものについてはこれを
規定
いたしておりません。そうして学校の教育等を見ましても、ややもすれば子供の自由ということを非常に強調するあまり、親に対する敬愛の念というようなことを少しも教えておりません。かえ
つて
そういうことを言うのが非常な旧思想、逆行であるがごとくと
つて
いる人も多いのでございます。それからその思想の流れかどうか知りませんが、刑法においても、尊族親に対する殺人行為等の特別
規定
について反対の
意見
が法曹界あるいは
裁判
所等にもあるやに聞いておるのでありますが、これのごときはむしろ私は人倫の
根本
問題であ
つて
、そこまで
個人
主義が行くということが、健全なる社会権成の上に一体是認さるべきかどうか。これは道徳と申しますか、大きな社会の秩序安全を保持するための基本となるのでございまして、こういうことがぐらつくのでは本当の安定した
国家
は成立しないのじやないか。しかしどの程度元の思想がいいのか、新らしく改められた思想がいいのかということは、まあ程度の問題として
議論
はありましようけれども、今の極端な
個人
主義、親の
立場
というものを全然無規したような、そういうような思想というものは、どこの国にもないのでございます。アメリカはまあこの自由、あるいは
個人
の
尊重
、
人権尊重
というようなことではもう一番先へ進んだ国で、北米合衆国の
独立
はそういうところから来ておるのであります。しかし、米大陸というものは新しい国だけに、そういう従来の伝統というようなものを無視して、徹底的に自由ということが主張され、実行されておる国であります。しかるに、数年前に北米、中米、南米の各国、二十何カ国が葉ま
つて
、米大陸の
人権
宣言が発表されております。これはまあ米大陸の一種の基本的な
憲法
、精神でございまして、この米大陸の
人権
宣言を読んでみましても、親と子の
関係
について、親が子供を扶養し教育する義務があるし、子供は親を尊敬し扶養する義務があると、こういうことを明らかに一カ条謳
つて
おるのでございます。あの自由主義の米大陸においても、すでに親子の
関係
というものはそのくらいいわゆる
人権尊重
の
立場
から重視されておるのでございます。しかるに、むしろ東洋道徳の流れを汲む
日本
において、そういう親の
立場
を全然無視したような一体
考え方
が
国家
の秩序維持の上に認められるかどうか、学校の教育等においてもそういうことが一体放任されるべきかどうかということについて、私は深き疑問を持つのでありまして、この点について
法務大臣
の御
所見
を伺いたい。
小原直
20
○
国務大臣
(
小原直
君)
青木
委員
の
お尋ね
でございますが、新しい
民法
になりましてから、
親族
の
規定
がだいぶん改ま
つたの
でありまして、ただいま御指摘になりましたように、親子、夫婦間等の
関係
が
一般
的にいわゆる自由になり、
個人
主義にな
つて
来たということは、争われない事実であります。
占領
中において
占領軍
の
日本
に対する
方針
が、御指摘のように、
日本
の当時の力をなるべく弱めて
占領
に都合のよいようにしようという思惑から、さような
方法
が講ぜられてお
つた
ことは、顕普な事実であります。今日はすでに
占領
を脱して
独立
したのでありまするから、それらの点については、改むべきものは改めて、
日本
の自主
独立
の
関係
を持
つて
行かなけれ場ばならんことはもちろんであります。従いまして、外国で
個人
主義、自由主義が非常に盛んであるが、ごとく、
日本
も大体そうな
つて
参
つて
おりますが、これは別段悪いことではないのでありまするけれども、それに伴うてあるいは親子の
関係
、夫婦の
関係
がややもすると、あまりによけいに行き過ぎて、その間で面白くない
日本
の古来の醇風美俗にも反するようなことも行われておるのでありまするから、これらはやはりだんだんもう少し変えて行かなければならん点もあろうと思います。ただし、それを法規に特に
規定
してということはどういうものでありましようか。やはりかようなことは
一般
の社会の観念、
国民
思想の善導によ
つて
だんだんそれを改めて行くということがよいのではなかろうかと
考え
ております。法規の点に
つて
は、なおこまかいことは事務当局から御
答弁
させますが、たとえば親子の
関係
においても、未成年の子供は親の親権に服さなければなんということもありますし、また血族間においては、いに相助け合わなければならんという
規定
も設けておりますから、これらを善導して行けば、ただいま御指摘になりましたような悪い風潮をなくしてだんだんとよくして行けるのではないか。子供が親を
尊重
し、夫婦間においても互いに相助けて夫婦間の
生活
を安定し愉快にして行くというようなことはできなければならんし、またそうすべきものであろうと思います。こまかい
規定
については、なお事務当局から御
説明
申し上げます。
村上朝一
21
○
説明員
(村上朝一君) ただいま大臣から御
説明
がありましたように、ただいまの
改正
民法
におきましては、末成年の子に対しては父母が親権を行うことにな
つて
おります。従いまして、監護、教育をするわけであります。一方扶養の面につきましても、直系血族は互いに扶養の義務ガあるということで、扶養の
規定
も旧法
通り
その点は残
つて
おります。また、これは学者の間ではいろいろ
議論
があるのでありますが、直系血族及び同居の
親族
は互いに助け合わなければならないというむしろ道義的な
規定
さえも入
つて
おるような状況なのであります。決して
改正
民法
は、親子間の倫理観念たり、あるいは道義を崩壊させる方向に
改正
されたわけではないのであります。ただ、敗戦後の混乱の際でありますので、いろいろ行過ぎがあ
つた
ことは御指摘の
通り
であろうと思いますけれども、ただいま大臣も言われましたように、道徳教育その他の面で取り上げる問題であろうと
考え
ておるのであります。
亀田得治
22
○
亀田得治
君 二、三点お伺いしますが、
法制審議会
に大臣から
諮問
されておる
範囲
ですね。先ほど
お答え
にな
つて
おるのですが、
ちよ
つと不明確な点もありますので重ねて確めておきたいと思うのですが、
親族法
、
相続法
の
関係
は新
憲法
に合せて
改正
をしたのだ、
従つて
それ以外の
部分
について
諮問
をしているのだと、こういうふうにも私は聞いたのですが、
青木
委員
のほうはそういうふうには少し受け取られなか
つた
ようにもおつしや
つたの
ですが、その点もう少し私明確にしてほしいと思います。
小原直
23
○
国務大臣
(
小原直
君) 先ほど申し上げましたように、
法制審議会
に対しての
諮問
は、
諮問
第十号といたしまして、
民法
に
改正
を加える必要があるとすればその
要綱
を示されたい、こういうことで
諮問
をいたしております。その
説明
の中には、ただいま申し上げたように、
憲法
の
改正
に伴うて差当り
改正
しなければならない
部分
は
改正
したのであるが、その他の
民法
の
規定
中で現在
改正
の必要があるかないか、あるとすればどういう条項をどういうふうに改むべきかという
諮問
をしたわけなのであります。これは
説明
に書いてあります。
亀田得治
24
○
亀田得治
君 ただいまの御
説明
で了解いたします。 この席で
お尋ね
するのが適当かどうかわかりませんが、
法務大臣
はいわゆる
憲法
の
改正
、こういう問題についていろいろな
議論
が起きておりますが、どういうふうにお
考え
にな
つて
おられるでしようか、もし御
意見
を発表できましたら伺いたいと思います。と言いますのは、
親族法
、
相続法
の
改正
、ひいては
家族制度
の問題、これは当然
憲法
の問題に関連して出て来ておる問題でありますので、この点に関するやはり
法務大臣
の
考え方
が非常に重大だと私どもは
考え
ますので、
お答え
できましたらお願いしたいと思います。
小原直
25
○
国務大臣
(
小原直
君)
憲法改正
についての私の
意見
はどうかという
お尋ね
であります。現行の
憲法
が
占領
後において作られ、しかもその作られたいきさつが、必ずしも今日
国民
が満足した状態において作られたとは思えないのでありまするから、いずれは
改正
の議が起
つて
来ると思います。ただ
政府
といたしまして今日
憲法
を
改正
すべきかいなかということについては、
考え
がまとま
つて
おらんのであります。
法務大臣
の私としても
政府
の一員としてこの
政府
のきまらないことをここで申し上げるわけには参りませんから、
改正
すべきであるか、あるいは
改正
すべからざるものであるとかいう
意見
は申し上げかねます。ただし、今申し上げましたように現行
憲法
が作られて来た当時の状態から見ると、やがてはこれは
改正
される機運があるのではないかということは私
個人
としては
考え
ております。
亀田得治
26
○
亀田得治
君 やがては
改正
されることがあるのではないかということを
個人
的に言われたわけですが、その根拠をもう少し、
個人
的でけつこうですが……。
小原直
27
○
国務大臣
(
小原直
君) それは私
個人
として
考え
るのでありますが、作られたときの状態から見るということ、
日本
国民
としてこの
憲法
に将来も満足して行けるということは私
考え
ておりません。いずれ
国民
全体が
改正
すべきものという気分になれば、必ず
改正
の時期が来る。こういうふうに
考え
ておりますが、その時期がいつであるかということは今申し上げかねます。
亀田得治
28
○
亀田得治
君 こういう問題を中途半端で
ちよ
つと打切ることもできないので、もうしばらく大臣に伺いたいのですが、
国民
全体が
改正
するような気持になればという条件をつけられたのですが、そういう時期は私絶対にないと思います。
法務大臣
が言われたのは多数のものがという意味であろうと思うのですが、しかし現在の状態を見てもこれはどつちが多数かわからない、
政党
の議席の
関係
は、もちろん政正すべしという方のほうが多数なようですが、
政党
を離れてそれでは
憲法
そのものを取り上げて行く、再軍備の条項なり、あるいは
家族制度
等の問題に触れることになると、そういうことになると、これは本当のところわからないのが現状です。だから私はこういう現状では、前提と
なつ
たような条件が打かなか実現して来ないだろう、私はこう
考え
ておるのですが、ただ
根本
的に、先ほど
青木
委員
からもアメリカがこの
憲法
を作る際に
日本
の
弱体化
を図
つた
、こういうことが非常に強調されておる。おそらく
法務大臣
も
個人
的にはそのような
考え方
も幾らかお持ちにな
つて
おるのではないかと思うのですが、それはどうでしようか。
小原直
29
○
国務大臣
(
小原直
君) それがどこにとういう条項があるからさようであるという、一々こまかいことまでは申し上げかねるのでありますけれども、あの当時においてはとにかく
日本
の抵抗が激しか
つたの
を連合国が
日本
を破
つた
直後なんでありまするから、この直後において
占領
状態を満足に彼らの好むがごとくして行くためには、
日本
が強くな
つて
は困ることは当り前でありまするから、
日本
を弱める
方法
を講じてお
つた
ということは申すまでもないことであろうと思う。
従つて
憲法
の
制定
はやはりそういう
考え方
が取り入れられて作られてお
つた
、こういうことを私は
考え
ておるのであります。
亀田得治
30
○
亀田得治
君 だいぶん
はつ
きりいたしましたが、それは
弱体化
ではなしに、やはり
占領
当時言われたように
日本
の侵略性をなくする、こういうこだと私は
考え
ておるのです。侵略性がないということと国が強いか弱いかということとは別ですからね。明らかにこの
憲法
は
個人
主義の
立場
に立
つた
憲法
です。その点だけをとらえてこれもやはり
弱体化
の見本だ、こういう表現がされるのですが、そうじうなしにやはり本当に
個人
主義に徹底して、そうして自覚ある人格を皆が持
つて
おる、そうしてその人たちが全部集ま
つて
りつぱな社会を作
つて
行く、こういうことになれば、非常に強い社会ができるわけですがね。
ちよ
つとしたような扇動なんかではなかなか動揺しない。やはりそれが本当の強い私、国だと思うのですね。りつばな国だと思う。だからそういう意味であ
つて
私はそういう面では
占領政策
というものはやはり一面のいいものを
日本
の
民族
にやつぱり与えたものだと私は
確信
するんですがね。現に
日本
の
国会
でもこの
憲法
が出されたときには、五十三日もこれを審議しているわけでしよう。その当時の
国会
議員はほとんどこれに賛成したわけでしよう。今ごろにな
つて
自分
が賛成したものを、幾ら
占領下
であ
つた
といえ、これが
日本
の
弱体化
のためにやられたものだとか、いや
占領
当時であ
つた
から
手続
がまずいとか、こういう
根本
的な問題についてそういう態度に出られることは、まあ外交の宣伝的な人が言われるのは別として、
責任
ある地位の人はそういうことは相当慎重にお
考え
にな
つて
やられませんと、結局そういうことが
日本
の国全体の世界に対する信用ですね、そういうことにも響いて来るのじやないかと思う。そういう点は
法務大臣
どういうふうにお
考え
にな
つて
おられますか。
小原直
31
○
国務大臣
(
小原直
君) 私は先ほど申した
通り
であります。これ以上論議するのは、ただいたずらに
意見
を戦わすだけになる。結局
意見
の相違と言うほかはないと思います。
羽仁五郎
32
○
羽仁五郎
君
憲法
が
最高
の法規として
国務大臣
またわれわれ
国会
議員がこれを擁護する義務を負
つて
いること件改めて申すまでもないのであります。特に御覧になりますように、この現在の
憲法
が成立いたしました当時には、現在
政府
を担当しておられます
政党
その
責任
を負われ、その全
責任
を負われたのは現在の首相、同じ方であります。そしてまたその
憲法
に対しては天皇もこの
憲法
に対する誓約を述べておられます。
従つて
もしこの
憲法
が
国民
の
意思
に反し妥当でないようなものししてできたものだということが定説ということになりますと、当時の
総理大臣
、あるいは天皇御自身、あるいは当時の与党は節操を失い、
国民
を欺むき、そうして妥当ならざる
憲法
を受諾したという
責任
を負わなければならないような疑いも生じて参るのです。私はそういうことは断じてなか
つた
ものだと思います。
憲法
に書かれてある文字、文字でありますけれども、しかしそれが軽々しく翻えされるようであれば、
国民
は何事を書かれても、これを信じないようにな
つて
しまう。これくらいおそろしいことは私はないと思う。
合法
的に、そうして平和に、
民主主義
的に
国家
の充実進歩を図
つて
行きたいということはどなたもお
考え
のことであると思いますが、そうい
つた
いやしくも誤解を与えられますようなお
考え
は、
政府
において毛頭おありにならないことと存じます。先ほどからの御
意見
もさように伺いたいと存ずるのございますが、いかがでございますか。
小原直
33
○
国務大臣
(
小原直
君)
憲法
ができた当時の状態において、この
憲法
はできたのでありまして、その当時はももろんこれでりつばなものであるという
確信
のもとにできたものであることは間違いないと思います。ただ申し上げたように今日情勢がだいぶん
変つて
参りました。今後において
国民
がこれを
改正
すべきである、
政府
もまた
改正
すべきであるということを
考え
れば、そのときたは
改正
の議が出るだろう、こういうことを申し上げておるのでありまして、今日私は直ちに
改正
すべきであるというようなことを申し上げておるのではないのであります。
高橋進太郎
34
○
委員長
(
高橋進太郎
君) それではただいま
議題
となりました
民法
の
改正
に関する件は、この程度で打切りたいと思います。 ――
―――――――――――
高橋進太郎
35
○
委員長
(
高橋進太郎
君) なお、
裁判
制度
に関する小
委員会
の補欠
選挙
についてお諮りいたしたいと存じます。楠見君の小
委員
の資格が消滅いたしておりますので、この際この補欠として梶原茂嘉君を小
委員
に指名したいと存じますが御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
高橋進太郎
36
○
委員長
(
高橋進太郎
君)
異議
ないと認めまして、さよう決定いたします。 本日はこれをも
つて
委員会
を散会いたします。 午後零時六分散会