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1954-03-30 第19回国会 参議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月三十日(火曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            上原 正吉君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            加藤 武徳君            楠見 義男君            中山 福藏君            棚橋 小虎君            一松 定吉君   国務大臣    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    保安政務次官  前田 正男君    保安庁保安局長 山田  誠君    法務政務次官  三浦寅之助君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省保護局長 齋藤 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局総務課長)  磯崎 良譽君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日米相互防衛援助協定等に伴う秘密  保護法案内閣送付) ○刑法の一部を改正する法律案(閣法  第五一号)(衆議院送付) ○執行猶予保護観察法案内閣提出、  衆議院送付) ○下級裁判所設立及び管轄区域に関  する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今より委員開会いたします。  先ず日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案予備審査)について提案理由説明を聴取いたします。木村保安庁長官
  3. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今回提出いたしました日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案につきまして、提案理由並びにその内容概略を御説明申上げます。  御承知のごとく、日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定は、本年三月八日調印を完了いたしまして、目下、国会の審議をお願いいたしている次第でありますが、同協定の第三条第一項及び附属書規定に基き、アメリカ合衆国政府から供与される秘密装備品又は情報等について、その秘密の漏せつ又は漏せつの危険を防止するため必要な措置を講する必要かあり、且つ又、過般締結いたしました日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定第七条により、アメリカ合衆国から貸与される船舶についても、同様、その秘密保護する必要がありますので、これを併せて規定し、この法律案提出することといたしたものであります。  申すまでもなく、アメリカ合衆国は、他の指外国との間におきましても右両協定とおおむね同様な性格、内容を有する協定締結しているわけでありまして、これら諸外国においても又、これらの協定に掲げられている秘密保護のための所要の措置を講ずる必要があるわけでありますが、諸外国におきましては、それぞれ、この種の秘密保護に関する既存の取締法令によつて十分にこれを賄うことができますので、これらの協定締結に当り、新たに立法措置を講する必要はないのでありますが、わが国の場合においては、在日米軍の機密を保護するためのいわゆる刑事特別法のほかに、この種の秘密保護するための一般的な取締法令は存在しないのでありますから、現状におきましては、これらの協定に基いて供与される秘密装備品又は情報等について、その秘密を十分に保、することはできない状況にあります。  このため、政府といたしましては、この際、その秘密保護するために若干の規定を、設ける必要かありますので、この法律案提出いたした次第であります。  しかしながら、この種の法律に、国民権利に重大な影響及ぼす慮れかあることに鑑み、以下において申し述べますように、必要最小限度事項規定するにとどめた次第であります。  次に、この法律案内容概略について申し述べます。  この法律案は、六カ条と附則一項からなつておりまして、第一条は、この法律において使用する言葉の定義を定めたものであります。時に、この法律において保護する秘密については、前に申し述べました両協定によつて供与された装備伯父情報等のうち特定事項に限り、而も公になつていないものと規定して、その範囲をできる限り明確ならしめるよう考慮いたしました。  第二条は、更に、国民秘密事項を具体的に認識し得るよう、又併せて秘密の漏せつを防止するため、政令で定めるところにより、標記その他の措置を講することといたしました。  次に、第三条から第一五条までは罰則でありまして、秘密探知又は収集する罪、秘密を漏らす罪、業務上の秘密を漏らす罪、過失により業務上の秘密を漏らす罪等規定したものであります。又、これらの規定について定められている法定刑につきましては、前に申し述べました刑事特別法等を参酌し、妥当を期したものであります。  第六条は、自首減免についての規定であります。  以上、この法律仏果につきまして概略説明申上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 山田誠

    政府委員山田誠君) すでに国務大臣から御説明申しあげましたごとく、今回日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定締結に伴い、アメリカ合衆国政府から供与される秘密装備品等又は情報についてその秘密の漏せつ又は漏せつの危険を防止するために若干の規定を設ける必要がありますので、この法律案提出いたした次第であります。  併しながら、この種の法律は、国民権利に重大な影響を及ぼす虞れがありますのでこれによつて保護される利益と、これによつて制約を受ける国民立場とを調節勘案して妥当を期する必要があると考え、以下において申し述べますように、必要最小限度事項規定するにとどめました。又立案に際しましては、先に制定せられました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法第六条乃至第八条の規定を参酌し、これと彼此均衡を失しないように考慮を払うと共に、特に左の諸点に留意いたしております。即ち、第一の点は、保護対象となるべき防衛秘密意義法律上明記し、その範囲、内客をできるかぎり明確ならしめるように努めたことであります。ただ、何が防衛秘密であるかについては、秘密保護法規本質上或る程度まで包括的な定めとならざるを得ないので防衛秘密要件を特に「公になつていないもの」に限るものとすることにより、一旦公になつたものは、その公になつた事由や公にした人の如何を問わず、秘密範囲から除外することといたしたのであります。  第二の点は、その取締範囲を必要な最小限度にとどめると共に、本法に規定する罪の構成要件の定め方については、厳に失しないよう合理的な配慮を用いることにいたしたことであります。  第三の点、その決定刑について重きに失しないよう妥当を期すことと、いたしたことであります、その行為が如何なる目的や態様のものであつても、刑の最高限は十年の懲役にとどめ、且つ、その最低限についての規定に設けておりません。  次に、この法律作業内容を、順次御説明いたします。  第一条は、この法律においで使われる用語の意義を定めたものであります。  「日米相互協力防衛援助協定等」というのは、去る三月八日調印されました日本国アメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定昭和二十七年十二月二十七日条約第二十号の日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定二つを言うのであります。  次に、「装備品等」というのは、船舶、航空機、火砲等の武器、弾薬、通信器材光学器材等装備品及びそれらの部品、構成材料など通常防衛上の用途に供される物件をいうのであります。  次に、「防衛秘密」の定義でありますが、防衛秘密であるためには、次の三つの要件が必要であります。  第一に、日米相互防衛援助協定等に基いてアメリカ合衆国政府から供与される装備品等、若しくは装備品等に関する情報に関する事項であること、又は当該事項を表示する文書図画若しくは物件であることが必要であります。  第二に、更に、供与される備品等に関する事項であつても、第一条第三項第一号のイからニまでに掲げる範囲事項、即ち、構造若しくは性態製作保管若しくは修理に関する技術使用方法又は品目及び数量の四項目のいずれかに該当するものでなければならないのであります。  又、供与される情報についても、その情報は、装備品に関して、その構造若しくは性能、製作保管若しくは修理に関する技術又は使用方法の三項自のいずれかに該当するものでなければならないのであります。  第三に、これらの事項防衛秘密であるためには、それか公になつていないものであることが必要であります。一旦公にされた事項は、ここにいう防衛秘密とはならないのであります。  第二条は、国民か予期せずして罪に囲われることかたいように措置するため、又併せて、防衛秘密の漏せつ又は漏せつの危険を防止するために、政令で定めるところにより、保安庁長官、又は各省、庁の長といつたような防衛秘密を取り扱う行政機関の長か防衛秘密に属する文書図画、又は物件について防衛秘密である旨の標記を施し、或いは、これを取り扱う業者その他業務関係のある者に、当該事項防衛秘密である旨を通知すること等の措置を講ずるべきことを規定したものであります。  第三条から第五条までに、罰則でありまして、秘密探知又は収集する罪、秘密を漏らす罪、業務上の秘密を漏らす罪、過失により業務上の秘密を漏らす罪等規定したものであります。  先ず、第三条第一項第一号の防衛秘密探知収集する罪でありますが、その構成要件は、防衛秘密我が国の安全を害すべき用途に供する目的を以て又は不当な方法探知し、父は収集することであります。探知自他である我が国の安全を害すべき用途に供する目的について御説明いたします。  我が国にとつては、この秘密上としている事項我が国の安全を害する意図を有する者に知られることは、その安全にとつて危険なことと言われければなりません。そこで「我国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて」とは、かかる者がみずから探知収集する場合は勿論、その者に対し、秘密を漏らす意図を以てする場合をも含むものであります。  次に、「不当な方法で」とは、法令に違反するような方法ですることは勿論、社会通念に照らし妥当とは認められないような方法ですることをも含むのであります。  第二号は、防衛秘密を漏らす罪でありまして、その構成要件は、防衛秘密で通常不当な方法によらなければ探知し、又に収集することができないようなものを他人に漏らすことであります。  この「通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないような防衛秘密」とは、通常一般人には容易に知り得ない秘密であり、不当な方法を用いなくても知り得る事項は、勿論この漏せつ罪対象とはなりません。又漏せつ罪の成立には、その秘密が通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなものであることの認識が必要でありますから、その認識がなければ、同じく処罰されることはないわけであります。  第三号は、業務上の秘密せつ罪でありまして、その構成要件は、業務により知得し、又は領有した防衛秘密他人に漏らすことであります。「業務による」とは、単に公務に基因する場合のみを指すものではなく、政府機関の委託を受けて装備品等の制作、修理等を行う民間産業従業者業務上知得領有する場合も、当然これに含まれるわけであります。  次に、「業務により知得し」とは、業務には基因して当然知つているという意味であり、又「業務により領有し」とは、業務に基因して手に入れている状態をいうのであります。これらは、いずれも防衛秘密に属する事項を取扱うことを主務としていることを必要といたしません。併し、業務に基因することを必要といたすのであつて、偶然人手又は拾得したような場合は含まれておりません。  最後に、業務により知得し領有した事項又は文書、図面若しくは物件である限り、それは業務を離れた後であつても、業務により知得し、又は領有したことになります。  第三条第二項は、等一項各号の罪の未遂罪処罰規定であります。  第四条は、過失による業務上の秘密せつ罪でありまして、その構成要件は、業務により知得し、又は領有した防衛秘密過失により他人に漏らすことであります。この場合の過失とは、行為者かその業務を行う上に通常払うべき注意を怠つた場合をいうのであります。  第五条は、防衛秘密探知収集の罪及び防衛秘密を漏らす罪の陰謀教唆及びせん動の各行為を処罰する規定であります。  このような規定を設けた理由といたしましては、秘密保護本質は、あくまで秘密が外部に漏れることを未然に防止いたすことにありますので、探知収集又は漏せつの各行為の着手前の段階における行為でありましても、探知収集又は漏せつをもたらす危険の少からず認められるような行為は、これを処罰いたすこととして、秘密せつ防止に万全の方法を講じようとするものであります。但し、この場合、その法定刑は、本犯の刑の半分である五年以下の懲役として均衡を失しないように取り計らつております。  第六条は、第三条第一項第一号の罪又は第三条第一項に掲げる罪の未遂罪若しくは陰謀の罪について、自首した者に対し刑を軽減し又は免除する規定であり、秘密の漏せつをできる限り防止いたすための規定であります。  附則は、この法律施行期日を定めたものであります。  以上、この法律案につきまして概略説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議のほどを御願いいたす次第であります。   —————————————
  5. 郡祐一

    委員長郡祐一君) なお、本法案につきましては、外務委員会より連合委員会を開かれたい旨の申入れがございましたが、連合委員会を開くことに御異議か、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  7. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。  本法案につきましては本日は説明の聴取にとどめ、日をあらためて本法案についての各委員の御質疑を願いたいと思います。   —————————————
  8. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、本日は本審査になつておりまする刑法の一部を改正する法律案執行猶予者保護観察法案下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に則する法律案、なお、このほかに本審査になつておりますのは昨日も御審査を願いました裁判所職員定員法等の一部改正がございますが、これは前回申上げましたような理由で他の法律との関連を見まして進めたいと思います。  それで先ず刑法の一部を改正する法律案、これと関連を有しまする執行猶予者保護観察法案、この両法案についての御質疑を願いたいと思います。速記をやめて。    〔速記中止
  9. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。  それでは只今刑法の一部を改正する法律案執行猶予者保護観察法案とを議題に供しましたが、更に、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を院正する法律案議題に供します。
  10. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと一つお尋ねしておきたいんですが、この管内各町村から簡易裁判所に至る交通状況調というのが名瀬簡易裁判所のところにございますね、一番しまいから二つ目ですが、これについてちよつとお尋ねしておくんですが、ここには交通機関というのは自動車、機帆船というような、いろいろな機関があるわけですが、これは暴風雨なんかでこういうのが杜絶した場合には、裁判所のほうから一応先手を打つて、今日はこうこういうわけだから期日を変更するというようなことをするということになるのですか、そこにどういうふうになりますか。ああいう離れの小さい島の集合体ですから、よほど海底電信網とか或いは無線電話とかいろいろな設備があるはずだと思うのですが、そこはどうなつておりますか。
  11. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 仰せのように離島裁判所所在地との間の交通が非常に不便でございまして、機帆船ちよつと暴風雨、少し風雨が高くなりますと通わないわけであります。通信機関といたしましては、島内には大島と徳之島でございましたか、その二つの鳥の中では電話があるようでありますが、島と島との間では今は有線電話はなくて無線電話ですかがあるだけのように聞いております。で、そういうふうな場合には無線電信を利用しまして、できるだけの連絡をとるというふうなことをやつております。
  12. 中山福藏

    中山福藏君 それについての予算措置は講じてあるのですか。例えば予備金とか何とか、そういう点についての……。私去年実は風水害を福岡県に見に参りましたとき、有線電話があるところは全然駄目なんです。無線電話の装置せられておる部分に限つて非常に救済事業がうまく行つているのですね。やはりこの山間僻地とか或いはこういうふうな小さい島の集合体を一括して管区にしているような官庁では、どうしても設備が、無線電話設備というものは必要欠くべからざるものだという感じを受けて来たのですが、これには相当の経費がかかるらしいのです。そういうふうなものを、やはりこれは恐らく私は今度の予算の中ではこういう小さい細かい点までは触れていないと思つているのですが、これは、裁判所としてはこの点は一応あらかじめお考えになつておかないというと、非常にこれは不合理なことが生ずるのじやないかと思うのです。例えば原告だけは裁判所所在地に住んでおつて相手方鹿児島に住んでおりますときは、これをうまく利用して、いわゆる欠席判決というようなことに相手方が悪意というか故意というか、そういうことが生ずるのじやないかと実は気にかかつているのですがね、これはこういうときには無線電話は恐らくないのじやないですか、こういう場所には………、どうですか。はつきり調べてもらえんのでございますか。
  13. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 実は私昨年現地に参りまして、その当時聞いたところでは、まあ徳之島にも参りましたので、電信も利用いたしましたので、そういう経験からも知つているわけでございますが、各離島間には無線電信の便があるようであります。ただ、これは郵政省関係ですか、恐らく今まで占領中は軍のほうでやつてつたというふうに聞いております。それを今度受継いでおるように聞いております。ただそれだけでは非常に不便でございますので、例えば検察庁関係或いは警察関係専用のものを持つとか、或いは裁判について専用のものを持つというふうな必要もあろうと思いますので、そういうふうな点の措置は、これは大蔵省あたりとも折衝しておるわけであります。
  14. 中山福藏

    中山福藏君  こういう点は、いわゆる裁判事務でありますから、すべてに亘つて的確性がなければいかんと思うのです。今のように交渉中とか、今準備中とかでは、この裁判所問題に関する限りは許されんことだ思うのですね。それで今日御即答ができなければ次回までに、或いは相当の時期までにこの基地の通信機関が、「有線のあるのはどことどこの間にあるのだ、無線電話はどことどこにあるのだ、それからその期日指定に関する方法はこうだという明確な一つ基本を打出して御答弁願いたい。ほかのことなら私やかましく言いませんけれども、裁判所関係の問題ですから、やはりここではつきりした御明答を当局者から頂いておくほうがいいのじやないか。併しどうせ記録はあつちの裁判所なんかも見るだろうと思いますから、如何でございましようか。一つそれをあと一週間くらいの間に何とかして頂けますか。或いはこの法案委員会で通るまでに御明示願えますかね。
  15. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) できるだけのことを準備いたしてお目にかけたいと思いますが、期日呼出等関係は、これは御承知のように非常に厳密なる方式を要しますから、便宜の方法として事実上連絡をするについて、無或いは有線電信を利用するというようなことは今でもやつてつたかと思いますが、明日の正式の呼出しについてまでこれを利用しておつたかどうか、或いは将来利用するかどうかということは、これはなお検討を要するものというふうに考えるのであります。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 これは鹿児島地方裁判所所長からは、こういう点について何かあなたのほうと打合せございましたか。
  17. 磯崎良譽

    説明員磯崎良譽君) 只今中山委員から通則の御指示かございましたが、私たちもうつかりしておりまして気が付かなかつたのでございますが、現地裁判所にその点詳細に調査してもらうように申しますから、現地裁判所のほうでどの程度無線電信等設備を適当とするか、それをどの程度に利用するかというようなことを詳細に研究してもらつて、それの方針に基きまして大蔵省予算の折衝をいたしたいと思つております。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 これは本来から言えばその点を明確にしなければ、実際この法律は通しては無茶なんですね、本当から言えば……。そういうこの法律を通す前には必ずそれを完備して、そうしてこの法律を通さなければいかんと私は思つています。そうしなければ完全に人権の保護というものは実はできないのじやないかと思つて鹿児島地方裁判所なんかでは自分の管轄下ですから、所長みずから重要な点については最高裁判所に御相談になつて然るべきだと予感してお尋ねしたのですが、そういう点でできていないということになれば、これは臨時に何とか取急いでその点を明らかに報告できるような立場をおとりにならんと、これは乱暴な私はこの法律案提出ではないかと実は考えるのですがね。いつ頃までにそれができ上るということはどうですか。その点だけでもお伺いできませんかね。
  19. 磯崎良譽

    説明員磯崎良譽君) 従前も各離島にそれぞれ地簡裁判所がございまして、占領治下裁判いたしたのでございますが、そういう、場合に実際どういうふうに実施して参つたかということの実地業務について調べたいと思います。それから裁判所専用無線電信を持たなくても、一般の郵政省電信を利用してそういつたようなことができないかどうかというような点も調査いたしてみます。
  20. 中山福藏

    中山福藏君 まあ併しここでそういうことを追いつめてかれこれお尋ねしても仕方がございませんから、できるだけ手落ちのないようにお願いしたいのです。
  21. 磯崎良譽

    説明員磯崎良譽君) 承知いたしました。
  22. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は刑法の一部を改正する法律案と、それから執行猶予者保護観察法案の両案につきまして区別することができない点が多いので、同時に質問いたしたいと思つております。質問いたします前に、先だつて保護局材料を要求いたしましたら、大変丁寧にめんどくさい材料をちやんと御提出下さいまして有難うございました。これによりましても保護観察の仕事はかなりの程度まで行き渡つておりまして、非常に成績が上つておるということの一端が窮われるので非常に嬉しく存じました。  それから両案につきましてちよつと伺いたいことの第一は、再度目の執行猶予にしましても、初度目の執行猶予にいたしましても、非常に大事なことは、遵守事項の問題でございますが、この遵守事項を見ますと、犯罪者予防更生法のほうに現われておりますように、この前はこの遵守事項の一は、正業に従事すること、三は、犯罪性のある者、又は素行不良の者と交際しないということが掲げられておりますのに、今度はそれが変りまして、「善行を保持すること。」、「住居を移転し、又は一箇月以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長に届け出ること。」、となつております。そこで私は、これだけでいいか悪いかということは別でございますが、この二つについて、今度の改正されますほうが、どういう点でいいかということを私は伺いたいのでございます。と申しますのは、正業に従事することなどということは非常に私大事なことでございますが、それが抜きになつて、善行を保持すること、この善行を保つということはどういうことでございましようかという点を御説明願いたいと思うのであります。
  23. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 御指摘の通りに遵守事項につきましては、現在の再度目の執行猶予に伴う保護観察と同じように、一般法律上定まつておる、決定の遵守事項だけにとどめております。それから遵守事項内容でございますが、これ又前節十六国会におきましていろいろと御議論がございましたので、それらの点をいろいろと考えまして、或る程度緩和をいたしました。善行を保持するということと、あとは保護観察と結びつきが切れないようにするという二点にとどめた次第でございます。正業に従事することもこれに勿論必要なよいことでございまするが、善行を保持するという中に、やはり正業につかないでぶらぶらしておるというようなことになりますると、善行を保持しないというようなことになるのではないか。それから善行を保持するというのが非常に高度の善行を保持しなければ取り消しになるかというような印象を受けるのでありまするが、この気持は、大体遵守事項というのが、本人が更生するための指導目標、本人の努力目標というような、実際上の狙いがございまするので、悪いことをしないことというふうなことでは指導目標になりませんので、善行を保持することというふうに表現いたしております。なお取消す事由としては、遵守事項に違反してその情状重きときということにいたして調整を図つておる次第でございます。さような意味で善行を保持するということにいたしておりますので、その内容はやはり一般の健全な社会人として当然守つて行くということを守るということであると、さように考えておる次第でございます。
  24. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この善行という言葉なんでございますけれども、よいことということは、これに人々によつて非常に標準が変つて来ると思います。で、保護司にも又非常な程度かございまして、非常に高度の方もあるし、それほどでもない方もあるし、又指導し更生させるという、つまり教育の面から考えましても狙われる程度が皆違つておると思います。又それで或る程度まではいいと思いますけれども、こういうむずかしい、広い巾を持たせなければならない仕事に、善行というような、非常にあいまいなといいますか、むずかしい言葉を使つて、これが一般のものでございましたら、それでもいいと思いますけれども、この善行をなさなかつたときには執行猶予の取消しをするという、これは又本人から申しますというと、大変いいこともあり、迷惑なこともあるというように私は考えるのです。ですから物指がむずかしい。むずかしい物指を以て如何に計ればいいかということが大変問題になりはしないか。むしろ私は正業に従事しているかいないかというようなことが、計る物指としたら明瞭なことでございまして、その正業に従事させるということが、私は保護観察をいたす上の一番又基本にもなり、そうして最後の狙いにもなるというふうに考えておりますので、これについては私前のほうがいいのではないかというふうに考えるのでございますが、如何でございますか。
  25. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 確かに御指摘の通りに、保護観察のやり方としては、正しい仕事につけるということは一番大事なことでございまして、正しい仕事に落ちついてやつておるということになれば、ほぼ更生の目的は達しておるということで、実際の面におきましては保護司は就職の斡旋等にも非常に努力をいたしております。資料に差上げておると存じまするが、二十八年度中に全国の保護司が就職させました件数が三万四千人の人を一回、二回就職させておりますので、三万七千件ほど就職させております。さような工合で、就職の斡旋に極力力をいたしております。ただ遵守事項として、それは掲げることも考えてみましたのですが、ただ就職ができない場合に、一体正業に従事してないということで取消事由になるということもあり得るのではないか、さような点から考えまして、善行を保持するということで一応非常に不当な場合には、それに違反するということになりはしないか、そう、いうような関係で正業に従事するを削りました。それから素行不良の者とつき合わないとか、犯罪性のある者とつき合わないという点は、仮出獄者、一遍收容施設に入つた人は、その中での友達なんかとつき合うということが再犯の原因になる場合が相当多うございますから、さような場合については必要と思いますけれども、一面において社会的に活動する、執行猶予対象になる人に、多くの場合三家の経済的な中心人物としていろいろな職業についているという場合が多いと思います。さような関係で素行不良の者と、犯罪性のある者とつき合わないということが窮屈になりはしないかというふうなことを考えまして、それも抜きました。善行を保持するということを一つの目標にいたしました。これでまあ行こう、こういうふうに考えたわけであります。
  26. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 御説明は一応は納得できますけれども、問題は非常にデリケートな問題でございますので、若し犯罪者予防更生法の「犯罪性のある者又は素行不良の者と交際しないこと。」というような言葉は、非常にあらわでございまして、私もこの通りの言葉がいいとは思つておりませんけれども、何かもう少しこういう内容のあるこの事柄自体は私とつても必要なことだと思います。何かこういう言葉を変えまして遵守事項の中にお入れ下さるというようなことをお考え下さる余地はないものでございますかね、この点私非常に大事だと思うんです。
  27. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 実際に保護観察をやる上におきましては、只今御指摘のようなことが非常に大事だとかように考えまして、遵守事項という一方において執行猶予の取消事由になるという意味合いにおいては、余り多方面に亘らないで、実際の指導につきましては今おつしやつたようなことを十分注意する。素行不良の者とつきあわないということを形式で抑えるか、それとも素行不良の者とつきあつて素行不良の行為に出たということになりますれば、善行を保持しないということで実害が生ずるということになれば、善行を保持する、ということで賄えるのではないか。実際の指導に当りましては、おつしやつたように、余りそういう者と交際するな、というようなことはいろいろ必要であろうと存じまして、今度の執行猶予者保護観察法案の第七条におきまして、目標をそういうような過去の失敗の経験等に徴して、本人がどうしてもこれはやめなきやいけない、守らなければいかんということを、保護観察する側においてよく選び出して、そうして本人にこれを十分納得さして、そうしてそれを守るように助けて行く。こういうようなやり方を今度の第七条の指導監督の実施においてやるようにいたしたらいいんではないか、かように考えて立案をいたした次第でございます。
  28. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この取消しの決定をきめますと物指として警戒を与える意味においての遵守事項でございますから、執行猶予者と同時に、その猶予者を保護観察する観察官なり保護司なりにも又その大きい物指になるものでございますから、そういう点を私は非常に懸念いたしておりますが、それについての質問はこれで打切ります。  それから今一年間の就職の斡旋が三万七千件とおつしやつたんですか、一年間でございますか、これは。
  29. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 二十八年度でございます。
  30. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 二十八年度……、非常にいい就職率だと思つておりますが、これにつきまして就職いたしました者の結果でございますね、しくじつて解職された君のことはわかつておりますか。
  31. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) それまではわかつておりませんが、相当失敗している者がたくさんあると存じます。なかなか実際の体験を聞きますと、何回も失敗して、そうして最後に漸く直つたというような事例なんか相当たくさんあつて、実際その観察をされる方が非常に苦心をなさつておる。それから失敗したばかりでなくて、就職を斡旋した保護司の方が中間において非常に迷惑をされるというような事例もございました。それも私どももいろいろと心配いたしております。
  32. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その点につきましては私委員会でたびたび問題にしたのでございますけれども、殊に雇われております間に雇主の金品を窃盗したというような者もたくさんそういう事件があると思つております。聞くところでは随分たくさんなかさばつた高もあるようでございますけれども、今度の予算面を見ますと、それの国家補償の何ものも用意してないように思いますが、その点如何でございましようか。
  33. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 保護司が就職に際して身元保証みたいなことをいたしまして、そうして訴えられたという例もございますし、私どもも是非何とかいたしたいと思つておりますが、理論士犯罪をしたからといつて、犯罪をしない人を職業安定所が斡旋する際でも、国が身元を保証していない。それにもかかわらずするということが理論として非常に成り立ちにくいということで、大蔵省にはお願いに一応しますけれども、ほかの方法で昨年は百万円ばかりの金を本当に僅かでございますが、一府県に二万円くらい、これは予算外の金でございますが、社会を明るくする運動とかいろいろなことで一般の浄財を集めまして、それを廻しまして、三十円被害を受けても千円でも持つてつて謝罪するというようなことで円満に済んでいるという例を聞いております。何かの方法でこの問題を解決いたしたいと存じますが、現状ではさような関係でございます。
  34. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 まあ施設団体と申しますか、この更生保護の面で先だつてもこの理事会がございましたときに、今度の六百万円募集されますあの金も、大変な高い高がこの方面に使われるように私受取つたのでございますが、今その資料を持つて参りませんでしたから、数字などはちよつと忘れましたが、そういう面からまあ補償のお手伝いをなさるということもいいことでございますけれども、実質はやはり私は国家補償によつて行かなくちや嘘だと思うのでありますが、その点について予算審議のときなんか問題ならないのでございますか。この大事なことが私は予算措置ができないというようなことは、この保護観察制度の確立の上に、非常に問題になるのじやないかというふうに考えております。
  35. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 先ほど申上げましたように国が補償するということになりますると、例えばつけ火をして何千万円の被害を受けても、全部国が補償しなければならんというようなことを考えますと、どうしても理論として割り切れないものがございます。さような関係で何とかいたしたいと存じておりますが、現状ではやはり他の方法でそういつた保護司の苦労を少くするというふうにいたすほかないのではないか。国家の予算をそれに充てるということは、現状においてはまだ私どもよく理論的に割り切れませんので、現状のようなままになつておりますが、何かの形でこれは解決いたさなければならん問題である、かように存じております。
  36. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その何かの形でございますが、若しお金がなかつたら何か政府のほうからでも、誠に相済まぬことで、国家の預つております子供が悪いことをしまして損害をかけましたがというような、本当に心のこもつた紙きれでも、仕方がなければ出すような方法とかいうことを一つお考え願いまして、何とかお金がなくてもできるようなことでも、まあ最小限して頂いたら、幾らか効果があるのじやないかというふうに考えております。  それからここに御提出下さいました再度の執行猶予に付された者についての保護観察事件受理状況という材料を見ますと、再度の執行猶予者が、一昨年のでございますね、二十八年の十二月に五十四人、一月百三十一人、二月は百五十三人、三ヵ月間で三百三十八人というものが再度の執行猶予に処されているのでございますね。これはこの統計が示している率で一年間参りましたとしたら、もつと殖えると思いますけれども、かなりの数が殖えますし、そこに以て来て初度百の執行猶予者を加えますというと、非常な数が予定されると思つておりますが、それに対しまして観察官や保護司の数も私は、問題になると思います。従つてそれについてのこの予算というものは非常に薄いものでございますが、この点は如何でございましようか。
  37. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 今回の改正法案提案につきましては、大体現在過去五年間でございますけれども、執行猶予で取消しになつた数、これが平均いたしまして八千幾ら、八千件くらいになつております。この程度裁判所がおつけになるだろうということを大体考えまして、更に過去の保護観察のこれは少年の場合でございますが、成績を考えまして略々同数ぐらいのものがやはり観察の結果成績不良、良好でないという数が出ておりますので、それらと併せまして一万五千件というふうに大体件数を推定いたしました。約二万五千件を基礎にいたしまして、予算大蔵省からもらつておりまして、そのほか毎国会当委員会においても非常な御鞭撻を頂いておりますので、大蔵省も非常に考慮を払つて頂きまして、資料として差上げてありまするように、二十八年度が保護司の実費弁償金が一億九百万でございましたが、二十九年度は一億五十八百万円というように約五千万円ほど増額されております。そのほか委託費、それからそういつた費用も殖えております、なお一億五千万円の中でございますが、この執行猶予に伴う保護観察の費用といたしましては、二十八年度八百万円でございましたが、二十九年度は二千九百万円ほどの予算大蔵省で認めておりますので、決して十分とは考えておりませんが、これで十分の熱意を持つて行けばやつて行けるんではないかと、かように存じております。なお、観察官の数でございまするが、これは実は昨年度初度目の執行猶予の原案で入れておりましたので、その際にやはり一万五千件ですか、というふうな数を推定いたしまして、それを観察官の平均負担能力百六十二件でごさいましたか、それで割りまして九十三人を増員してもらいまして、本年度は観察官の増員は行わない、諸謝金等を増加いたした   次第でございます。
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 一人の観察官の取扱人員が百六十二人でございますか。
  39. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) そうでございます。
  40. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これは負担が重くはございませんですか。大抵一人の観察官に保護司を大体何人くらい当てなんですか。
  41. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 現在常時毎日この観察いたしておりますところの保護観察人であります人が八万人くらいございまして、保護司の数が定員が五万二千五百でございますが、現実に法務大臣が委嘱いたしておりますのが四万四、五千人でございまして、二人弱というような数に相成つております。保護司のほうは、只今申上げたように百六十二人、非常に難事件に観察官も直接担当いたしておりますが、通常の事件は保護司に事件を担当して頂くというふうな形で現在いたしております。
  42. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そのむずかしい事件だけは観察官が直接おやりになるでしようが、平均百六十人くらいの方のいつも監督といいますか、指導といいますか、責任は持つていらつしやるという結果になるわけなんでございましようか、私は先ほど伺つたのは、それでは余りに観察官の荷が重くないか目は届いておりますかということを伺いたかつたのでございます。
  43. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 御指摘の通り、百六十二というふうな数は非常に負担が多過ぎると思いまして、是非できるだけ早い機会に段々とよくして行きたいと、かように考えておりますが、予算を伴うことでございますので、一挙には解決できないような現状でございます。ほかの国の例を見ましても百六十二というような数は非常に負担が多過ぎる、かように存じております。
  44. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 本年度の予算でございますが、保護司の手当はどのくらい殖えておりますか。
  45. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 従来保護司の手当といいますか、保護司さんに挙げております金は謝金という形で年に五百円、昨年は節約を食いまして四百五十円ほどになりましたが、年に五百円という数のほかに、昨年度は保護司の定員かける百二十円というような数でございまして、本年度はそれを全部改めまして、謝金というふうな形にいたしておりますると税金がかかるようなこともございまするし、保護司法の建前から言いまして、保護司は給与を支給しない、ただ実費を弁償するという形に相成つておりますので、謝金のほうを全部たくしまして、実費弁償金として保護司の活動に要する費用を全部そこに入れまして、それが昨年度にさようなものを合せまして一億九百万円であつたのが二十九年度は一億五千八百万円という金額に相成つている次第でございます。
  46. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今年増額になりもしたこの五千八百万円でございますね、本当に保護司活動に要しております費用が実費が弁償される予定なんでございますか。
  47. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 実費弁償する建前でございまするが、実際には保護司はもつと費用を要しておられると思います。併しいずれもその地方の裕福な信望のある方で、三百円、五百円金をやつたから裁判所に手続してその金をもらおうということはお考えになつておりませんので、結局一件について百二十円というような金を差上げて、併しそれも自分たちの研究会の費用やらいろいろなところへお使いになり、実際にこの金を自分のふところに入れるというような方は殆んどないんじやないか、かように存じております。
  48. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これは二、三百円や、たとえそれが千円にいたしましても弁償金を、そういうものを要らないという人も、ございましようが、又段々時代がせち辛くなつておりますから、私どもの耳に入りますところでも、やはり実費くらいは弁償すべきじやないかというような要求もあるように思つております。それでもまあ謝礼金は出さないでも、それはいろいろ勲章制度というようなこともこれから段々起きて来ると思いますけれども、どうしても最低の実費を弁償すべきだということと、それから初度目の執行猶予者の保護観察のために、今まだ余裕のございます一万人足らずの保護司のこういう拡充ということが近い将来に実施されるような予定はございませんですか。
  49. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 保護司の方方が非常に熱心におやりになつてつても、やはり実費はできるだけ弁償するのが建前である、さようにいたしたいと存じております。ただ実際問題においては地方においてはそんなことになつておるのではないかということを聞いていることを申上げた次第であります。それから保護司の欠員一万人弱ございますが、これにつきましては十分選考して、いい人を一つ委嘱できるように各地方に申しております。実際問題でなかなか適当な人がすぐにに見つからないというふうなところから、欠員があるので、中央の私どもとして欠員を作つておくという考えはございませんです。
  50. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その問題にそれだけにいたしまして初度百の執行猶予に対する制度が確立いたしましたら、今までのこの短期自由刑のまあ刑の決定というようなものはどういう取扱いになるんでしようか。これは裁判官の裁量でございましようけれどもね。短期自由刑、刑になりましたものが刑の言渡しを受けて、そうして実刑を科せられた者が仮出獄いたしますというような場合に、短期自由刑でございますと、もう殆んど保護観察の期間が短こうございましよう。そうすると保護観察目的を達することができない。そこで今度初度目の執行猶予に対する制度ができましたら、私はこの短期自由刑の言渡というものは殆んどなくなる結果になりはしないかと思いますが、その点を伺つておりますんです。
  51. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 誠に御指摘の通りでございまして、私もこの改正案によりましてできるだけ短期で刑務所へ入るような事案ならば保護観察に廻してもらう。保護観察の手によつて本人が更正できる、そうして仮出獄のほうも保護観察の期間が短いために目的を達成しないというようなことのないようなことにいたしたい、かような方針で今後進んで参りたい、かように存じております。現在保護観察の期間でございまするが、家庭裁判所の決定になつて保護観察になつておりますものの、昭和二十七年でございまするが、平均期間が一年六ヵ月、仮退院が一年三ヵ月、それから仮出獄が八ヵ月というような関係になつておりますので、又刑務所の収容者の状況も非常に短期の人が多うございまして、この制度がうまく発達して行くならば、さような短期自由刑の弊害を解消し得るのではないか、又そういうふうにすべきであるというふうに存じております。
  52. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 最後にもう一つつておきますけれども、今度の初度日の執行猶予に対する制度というものは、これは行刑保護法における私も格段のそれこそ段階で、これはよく宣伝しまして十分に一般の人に知らせて欲しいというように考えております。そのことはただ知らせるという意味でなくて、ただ知らせることでしたら私は余りこういうことを言いたくないと思いますけれども、職業補導の面なんか、それから一般の保護はこの際十分な宣伝をいたしましてこの事実を徹底するという意味はおいて、私何かこういう宣伝の方法でも考えられているかというように考えておりますが、その点は如何でございますか。
  53. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) やはりこの制度ができまして、この制度といいまするか、犯罪者予防更生法ができまして以来、犯罪者予防更正法が施行になりましたのは二十四年の七月一日でございまして、毎年四月一ぱい犯罪のない明るい社会を作るという標語の下に全国的に運動いたしておりまして、本年度もこの法案が通りまするならば、非常にまあ一大躍進の時期である、かように存じまして大分以前から準備をいたしておりまして、そういう際絶えずいろいろな機会をつかまえて、この制度を十分理解して頂きたい、かように存じております。
  54. 楠見義男

    ○楠見義男君 執行猶予保護観察法について二点お伺いしたいんです。法案に入る前に現在の保護司ですね。保護司の方の職業別の数はどういうことになつておりましようか、それを先ずお伺いいたします。
  55. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) これは昨年十二月一日現在の数でございまするが、絶えず出入りがありますので、数は余り正確なあれはないと思いますが、それで四万一千人という数になつておりますが、その後又殖えておると思いますので、取りあえず二十八年度の十二月一日中央でわかつておりますことによつて申上げまするが、一番多いのは農林業でございます。二二%という数になつております。その次が宗教関係の方が二一%、第二位となつております、次は商業関係一一%、次がこれは学校の先生は入つておらんが地方公務員も含めまして公務員が一〇・四%、その他学校の先生、教員の方が四・五%、これは第五位はなつております。その他主婦、一家の主婦の方が三・四%、それから医療関係、お医者さん二・六%、工業、漁業、弁護士、そういうふうな順になつております。
  56. 楠見義男

    ○楠見義男君 今宮城さんから実費弁償の額の問題についてお尋ねがあつたのですが、あなたのほうで実際の方針が、保護司が使つている実費ですね。実費は一体どのくらい使つておるだろうかというような御調査でもされたことがありますか。あれはどのくらいの金額になつておりましようか。
  57. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 全国的にいたしたことはございません。ただ二、三年前に東京と浦和とか近いところでございましたが、いたしましたときでは三百円乃至二百円というような数字であつたように記憶いたしております。それは月でございます。
  58. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうすると大蔵省は御要求になる場合に、先ほども御説明のあつたように、本年というか、二十九年度は五千八百万円殖えたと、こう言うのだけれども、併し月に二、三百円而も二、三人まえということになれば、これは年にして大体四、五千円の出費ということになるわけですね。そうすると大蔵省予算を折衝している場合に、あなたのほうは基礎はどういうのを基礎にして一億五千八百万円という数字をはじかれておるのかですね、それはどういうふうになつているのでしようか。
  59. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 私どもも大蔵省予算折衝の関係等もございますので、保護司さんから毎月成績報告書を出して頂きますので、それにその月に行つた日を書く欄を設けて書いて頂きたいと思つておるのでございますけれども、実際上そういうことはなかなかお書きはなりませんので、的確な資料が得られないというような状況になつておりますが、大体の見当で毎年非常に足らないということで、だんだん殖えて来ておるというようなことで、計数的にこちらも的確な資料をつかみ得ないというような関係から、さような状況で現状は至つている次第であります。
  60. 楠見義男

    ○楠見義男君 今お話はなつた二、三年前の埼玉とか或いは東京とかそういうところの何と申しますか、サンプリング調査ですね、全国的から見ればサンプリング調査というものか、やはり有力な資料はなるのではないかと思うのです。私もはこれはひとり保護司は限りませんが、公の仕事は従事しておる人々は対する手当は勿論これは経済的の観点からのみではなしは、ほかにも非常に尊い気持で以て公の仕事に奉仕せられている方が多いと思うのですけれども、併し、そうかといつて、それは馴れて国家として当然なすべき仕事を怠つているというのか、これはまあひとり現在の内閣だけの問題じやなしに、今までの政府、歴代の政府のあり方だと思うのですが、従つてそういう人々のまあ行為は馴れて、政府がなすべき債務を怠つておるということに誠は遺憾だと思うのですか、そういう意味から申しても正確な数字を、これは全国的に困難であれば、先に申上げたようなサンプリング調査で以てそれを基礎はして大蔵省はお当り願うということが必要だと思うのですが、これはまあ将来は対する希望でもありますけれども、この点も宮城さんも毎国会やかましく言つておられる問題で、私どもも誠に同感なんですが、是非お願いしたいと思います。これは質問でなしにお願いなんですが。  それから法案に入つてお伺いしたいのですか、この第四条でもつて、環境の状態調整という規定がございますが、これは具体的に言いますとどういうことをやるのか、逐条説明を拝見しますと、住所もないとかそういつたような場合のことが予定されておるようですが、そういう場合には具体的にはこれはういう状態の調整をおやりはなるのか、これをお伺いしたいと思います。
  61. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 実際の事例を申上げてみたいと思います。これは仮出獄の場合でありますが、尊属殺人の未遂で入つている人の環境を調整してそうして仮出獄を許したという事件でございます。これは戦争中に、これは戦争中での事件のようでありますが、父親が非常な頑固な方で、それからのその兄嫁が意地が悪いというか食事のことで辛く当つたということで親を殺そうとした件で、中の成績がよくて、それで仮出獄してはどうだろうか、受入態勢ができているかということで、保護司が担当してそうしていろいろ当つた結果、その姉さんの旦那さんが田舎の私鉄の駅長をやつていて、そこで取りあえず引受けたいということで、親もだんだんわかつて来て、後添の方をもらわれて、その方か理解者で感情がやわらいで来て、とりあえずそれならば姉さんの所で世話をする。遠からず自分の所へ引取るというようなことが話ができまして、それで仮出獄を許した。こういうように引受態勢をつくるということを考えておる次第でございます。敷居が高くて帰れないという場合に、その敷居を取り払つて受入態勢をしてやるというようなことでございます。
  62. 楠見義男

    ○楠見義男君 それからその次は第六条ですが、補導援護を行うについて、職業の補導とか或いは医療、宿所等の供与に関する援助とか、或いは二項で帰住旅費、衣類、食事等の給与とかその他の供与に関する援護が規定されているのですが、これらについての具体的は政府の施設、主として物の面から或いは予算の面からの受入態勢といいますか、準備態勢と申しますか、それらについてできしれば詳細にお伺いしたいと思います。これは、何か参考資料を頂いておりますか。
  63. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) その参考資料は……。
  64. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記を留めて下さい。    〔速記中止
  65. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記始めて下さい。
  66. 楠見義男

    ○楠見義男君 お示しなつ執行猶予者保護観察法案に関する予算の統計資料を拝見しますと、この六条関係については極めて簡単な資料で、これだけでは十分にこの六条の内容が窺えないのですが、例えはですね、六条の一項の職業の補導というようなことについては、この予算の面では、どこにそういうことが現われているのでしようか。
  67. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 職業の補導と言いましても、職を教えるというよりも、就職の斡旋ということに重点を置いておりまして、結局保護司の活動費の中に入ることにもなります。なおこの数は先ほど申上げましたように、二十八年度中に相当多数の人を就職さしているというようなことで、予算面としては保護司の実費弁償金ということになつているわけでございます。
  68. 楠見義男

    ○楠見義男君 この予算で参りますと、補導援護費で旅費、観察旅費とか、或いは機銃援助旅費というものが前年に比べて減つているわけですが、これは予定の対象人員が減るというような見通しの下にこういうふうに減つているのでしようか。
  69. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 減つておりますのに、旅費でございます。これは監察官の旅費でございます。なお昨年度、このうちに保護司の分が昨年度一緒に入つておりましたのを、先ほど申上げましたように、保護司の費用を全部実費弁償金のほうに今度引括めましたので、さような関係でこの帰住援護旅費の中の観察旅費等が若干減つておりまするが、その次の帰住援護旅費は殖えております。これは対象者に、直接国に帰る、田舎に帰るという際に、五割の割引券と一緒に本人に与える旅費でございます。これは殖えております。
  70. 楠見義男

    ○楠見義男君 この六条関係で、この法律が制定せられる前と、それからこの法律が制定されて執行される今後との比較において、予算的にはどういう項目が、全体としてはどれだけ殖えているのでしようか。
  71. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) 今度のこの制度を実施いたすという予定の下に殖やしましたのが、組織の保護観察所の項の補導援億費の項でございまするが、これが昨年度一億七千二百万円のか、二十九年度は二億三千四百万円と、差引六千二百万円の増ということになつております。そうしてその内容は、諸謝金というのかございますが、これは対象者が施設から出た、或いは執行猶予なつた、併し治療を要するような患者であるというような場合に医者にかかる、その医者に払う費用でございます。これが僅かでございますが増額されている。それからその次の補導援護旅費の中の、対象者に与えるところの費用が、これは平均一人三百七十円で、五千人……、五千百六十五人分取つてありまするが、これが殖えております。それからの次のこれは庁費、役所のいろいろ通信、その他の費用でございますが、その次の更生補導委託費、これが八百万円ほど殖えております。補導費というのは、これは補道に要する費用でございまするが、補導費、その次の食事費、これは本人が例えば国に帰るというような場合に、車中の食料とか、そういつたものと思います。その次の衣料費、これは本人に与える着物でございます。仮出獄者の場合などに、夏浴衣を着て入つて、冬出獄したというような場合には、途端に必要になつて参ります。これが七十四万円ほど増額になつております。その次が食事附宿泊費、これは保護団体に行き所のない人を収容する場合でございまして、一日九十円くらいの単価になつておりまするが、これが相当に今度は増額されております。その次が宿泊費、これも保護会に収容させる場合でありまするか、これは就職かできて、ただ家がないという場合に、保護会に宿泊だけを委託するという場合に、支払う予算でございます。次の保護司実費、弁償金は、保護司のいろいろな活動の費用でございまして、これが相当増額されておるような状況でございます。
  72. 楠見義男

    ○楠見義男君 この対象人員は今度の法律改正につて、従前に比べてやはり殖えるのじやないかというふうに思ううのですが、この予算の基礎になつている人数等は、この頂いた更生保護関係資料の最後に、更生保護会の委託保護実人員、及び件数調が載つておりますが、こういう実際の保護実人員よりも、予算のほうは殖えていましようか。それともこれよりも下目に予算が要求されているのでしようか。
  73. 齋藤三郎

    政府委員(齋藤三郎君) それは殖えておると思つております。なおこれの制度をやりますと、刑務所に入ります人の数が減りますから、今度は仮出獄で出るというような人の数がだんだん減つて来るのじやないかと考えておりまして、殖えるものと存じております。
  74. 楠見義男

    ○楠見義男君 ええ、わかりました。
  75. 郡祐一

    委員長郡祐一君) なお本付託になつておりまする刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に関する法律案、今までのお話の各法案についての御質疑結構でございますし、この刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に関する法律策について御質疑がございましたら、どうぞ御質疑を願いたいと思います。……この刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に関する法律は、このたび新らしく規定の整備を必要とする法律案提出され、その理由提案説明で伺つたのでありまするが、何か政府側から補足されることはございませんか。
  76. 下牧武

    説明員(下牧武君) 特に御質問がございますればお答えいたしますが、大体提案理由説明に尽きておると存じます。
  77. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  78. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。次回に明三十一日午前十時より開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会