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1954-11-02 第19回国会 参議院 法務委員会 閉会後第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            小野 義夫君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員           池田宇右衞門君            梶原 茂嘉君            岡田 宗司君            棚橋 小虎君            羽仁 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       掘  真道君    参考人    鳥取公安委員    会委員長    秋久  勲君    鳥取警察本部    長       神田  亘君    北海道警察札幌    方面本部警備課    長       岸本 虎二君   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (鳥取秘聴器事件に関する件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより法務委員会開会します。  検察及び裁判運営等に関する調査中、鳥取秘聴器事件に関する件を本日は議題といたします。本日は、鳥取県の公安委員長ほか関係の方が参考人として見えられております。  私から開会に当りまして一言申し上げておきますが、本件に関する事件は、相当世の視聴を引いておりますので、各参考人とも十分本件に関する真相及び中核に触れられるような有効な御陳述を願いたいと存じます。まず鳥取県の公安委員会委員長から本件概要につきまして何か御陳述を願いたいと存じます。
  3. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 私は鳥取県の公安委員長秋久でございます。  私、昭和二十三年三月の警察法の改正によりますところの公安委員制度が始まつて以来本日まで、鳥取公安委員といたして務めておるものでございます。申すまでもなく公安委員会警察運営いたしますところの基本的な考え方は、人間の尊厳と自由の理想を保障する民主的理念に立脚して、国民の警察である民主管理と、警察の権力や独善化を防止する民主的な保障が必要であると思うのであります。なお、帰納的には個人の自由と権利を保障し、公共の安全と秩序を維持する警察本来の責務を能率的に、あるいは経済的に遂行せしめんといたすものでございます。従いまして警察運営政治的中立性を保ちつつ、不偏不党、公平中立性を旨とすべき警察の本質を守らしむべく、警察運営の基本的な理念をもつて警察運営いたしておるものでございます。  たまたま本年の九月に鳥取県で秘聴器の問題が発生いたしまして、これにつきまして大体の御説明を申し上げますと、九月の十五日に事件が発生いたしまして十六日に神田鳥取警察本部長より事情を聴取いたしたのでございます。設置の要領につきましては、詳細はよく知らないのでございますが、設置したことが捜査上必要なことで、やむを得ずに正当なる設置をしたというふうに存じておるものでございまして、取付に至る捜査目的は、鳥取県の公安委員会は十分承知いたしておつたのでございます。  その目的につきましては、昨年暮ごろより県下ではなく、全国的な事件手配を受けまして、国の治安に関係するもので、しかもそれが鳥取県に容疑者が立ち回りに関係のあるこの事件は、さらに組織的な一連の関係のあるものである人が行なつた特殊な犯罪であるというふうにお聞きいたしておるのであります。委員会としては重要視いたしまして、神田本部長に対し捜査強化方をこの春ごろ命じたこともあるのでございます。この問題の捜査経過は随時委員会の際に、捜査状況を聞いていましたが、有力な手がかりがないと、こういう報告を受けておつたのでございまするが、たまたま五月か六月頃に至りまして、組織関係市要な人物が出入りしているところを見つけたという報告を受けまして、近いうちに何らかの手がかりを得られるだろうという朗報も受けたのでございます。かような設置経過承知いたしておりまして、秘聴器設置については聞いていませんでしたが、その捜査経過から推しまして、やむを得ず最後手段として設置いたしまして、事件解明に当つたのだという報告を受けたのでございます。しかもそれは慎重に第三者に迷惑をかけないように深い心づかいをしていたことの経過を聞きましたので、私ども公安委員会警察のやりました行為については、間違いはないものと存じておる次第でございます。  さらに九月の十五日より二十日に至ります……、二十日に公安委員会声明をいたしましたので、その間の事情も申し述べたいと思います。九月の十五日に事件が発生いたしまして十六日に公安委員会を開催いたしまして、先ほど申しましたように神田本部長より秘聴器取付の問題の経過をお聞きいたしたのでありまするが、警察側といたしましては、十五日に共産党並びに日農部落解放県連等団体より抗議を受けたのでございます。十五日の夜の経過では協力者田中中村両氏ともはつきりとは全容を話していないので、警察が進んではつきりとかくかくでありますというお話をすることは、捜査上に影響のあることはもちろん、協力していただいた田中中村両氏にも御迷惑になることでございまして、警察といたしましては知らんと拒否いたしておつたのでございまするが、十六日の新聞を読みますと詳細を載せましてしかも山根警部補がやつたとほとんど断定いたしておるのでございます。さらに、十六日の朝は共産党並びに先ほど申しました民主団体配つたビラには、協力者山根警部補であるといういきさつ等も詳しく報道いたしておるのでございまして警察としては捜査上の不便はあつても、公表しなければならないのではないかという神田本部長意見もありますし、鳥取公安委員会といたしましても、警察民主化意味からも、あるいは県民の管理しておる警察県民の疑惑を受けるようなことがあつてはならないと、内容県民に公表すべきだという委員会意見が一致したのでございます。ところが十七、十八日はたまたま中国公安委員会連絡会議鳥取で開催いたすことに相成つておりますので、両日はこの問題につきまして検討する余裕がなかつた。さらに警察が行なつた捜査が真に正当性をもつておるかどうか、さらに民主団体側抗議に対して慎重に検討する必要がある、そういう意味をもちましてしばらくの猶予を必要といたしたのでございます。つきましては民主団体抗議の際、二十日に警察は御口答を申し上げようということでお別れいたしまして二十日に公安委員会声明として発表いたし、さらに民主団体抗議に対するお答えといたした次第でございます。声明内容は、本委員会に御報告を申し上げておりますので、見ていただいておることと思いますが、大体の公安委員会のとりました経過はさような次第でございます。
  4. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは次に、鳥取警察本部長神田亘君。なお、神田さんに申し上げますが、あなたのお手許から本委員会に資料として送付しておりますから、この部分と重複しないように、簡潔に本事件核心に触れた御陳述を願いたいと思います。
  5. 神田亘

    参考人神田亘君) 過日鳥取市内警察秘聴器を使用いたしましたことで、問題になつておりますので、その概要を申し上げたいと思うのであります。  すなわち、鳥取警察本部におきましては、昨年末に全国手配がありました某事件、この事件鳥取県の関係のある被疑者も含んでおるのでありますが、その捜査を続行しておつたわけであります。もちろん本事件は高度の重要性を持つておる、またもう一つには、容疑者組織の中にかくまれるおそれがある、こういうような一点から、私どもといたしましても、この特性から考えまして、昨年の暮、それから本年の春、二回にわたりまして捜査関係者を集めましていろいろ捜査会合をやつたわけであります。その私が指示いたしました事項を御参考に申し上げますと、いわゆる法の範囲内で強力な捜査態勢を布いてもらいたい。で、その方法といたしましては聞込み、内偵、あるいは職務質問の励行、それから事件被疑者と同志的なつながりを持つております紬織につきましては、容疑者があるいはかくまれておるのではないかどうか、またそれらの点から何らかの端緒が得られるのではないか、そういう点の解明十分一つつてもらいたい、こういうことを指示したわけであります。  まあさような捜査指示なり、あるいは捜査方法をとつて、いろいろ探究して参りましたところ、かねてから本県におきますところの非合法共産党幹部の方と思わるる方が、会議用として使用しております鳥取市今町の田中さん方に、田中さんの同意を得まして、本年の八月十三日に秘聴器を取りつけたわけであります。壁越しにコードを引きまして、隣家の中村さんの一室を借受け、ここで会合状況をおおむね一週間に一回程度聴取しておつたわけであります。ところが、本年の九月十五日ごろでありますか、田中さんの奥さんの球恵さんが、日ごろ同家に出入りしておりますところの共産党因幡地区委員会上山恵美子さんに、この秘聴器のあることを話されたわけであります。そういう結果、上山さんは党機関に連絡し、党機関は、日農あるいは部落解放、あるいはまた労協の民主団体に呼びかけて、抗議をするようになつたわけであります。  何ゆえ秘聴器を使用したかと申し上げますと、最近の犯罪の態様は、きわめて智能的であり、また計画的であり、しかも組織化、巧妙化いたしまして、非常に犯罪捜査に困難を来たしておる状況であります。今回の場合も、先ほど申し上げました通り、某事件容疑者の一人がやはり山陰方面の党の組織内にかくまれておる、そういうような有力な聞込みがありましたために、これが解明のため、警察といたしましてはいろいろな手を尽したわけでありますが、昨年末手配になりましてから半年以上も経過して、何ら手がかりを得ない。そういうような関係で、この捜査事犯重要性から考えまして、唯一の手段としてこの秘聴器を初めて本件では使つたわけであります。秘聴器を使いました事件内容につきましては、目下捜査段階中にありますので、開示することができ得ないのを残念に思つておるわけであります。もとより秘聴器は常時使用するものでなく、最後捜査手段として使つたものでありまして、今回の場合も、あんまさんの田中さんあるいはお隣りの中村さんの承諾を得まして、そうしてできるだけ迷惑をかけないように慎重な取扱いをいたしまして、一週間に一回程度使用することとしたのであります。われわれのほうでは、秘聴器を使いました都度、その秘聴器を持つて帰りまして、他人の私生活を盗聴する、そういうようなことは全くやつておりません。ただこの秘聴器テープレコーダー式のものではなく、耳で開く程度のものでありまして必要時最小限度にとどめておるような状況であります。  以上が本問題の大体のいきさつでございますが、誠に本問題につきまして本院をわずらわし、御検討を願うことになりましたことを非常に恐縮に存じておる次第であります。
  6. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは次に、前鳥取警察本部警備課長岸本虎二君。
  7. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 岸本であります。秘聴器設置いたしました理由並びにその経過について簡単に御報告をさせていただきます。  秘聴器設置いたしました理由につきましては、ただいま公安委員長さん並びに本部長さんから御報告がございましたように、去年の暮、さらに本年にかけまして、ある重要事件手配を受けまして、それの捜査をやれという命令本部長からいただいたわけであります。それで私といたしましては、この捜査方法につきまして、第一に考えましたのは、その者が鳥取県に土地柄的な関係を持つておるということがありましたので、その面について聞込みでありますとか、あるいは張込みでありますとか、いろいろな捜査の手だてを講じたのでございます。現在もそれを続けておるのでございますけれども、それによつてよい手口を見つけ出すということには、いまだ至つておらないわけでございまして、それから一方この被疑者と申しますのは、共産党非合法組織にたずさわつておられた方でございますのであります。従つてその捜査方法に至りましても、前申しましたような一般的な捜査方法とあわせまして、同士的なつながりを持つておる組織の中を縫つておるだろうということも、これまた容易に想像されたのであります。そういうような意味合からそのほうにも目を向けたのでございます。  そのうちに、そういつたようなところでいろいろやつておりましたところ、当の秘聴器設置させていただきました田中さんのところに同志的な組織の人がひそかに会合を持つておることを探り当てたようなわけでございまして、それで最初には外から様子を見ましたり、また聞込みというようなこともやつてみたのでございますが、集る人の中には、言葉なまりなどから考えまして、鳥取の方でないというような人もいることがわかつたようなわけでございまして、そのような鳥取の方もおりますし、またほかのなまりの方の集りをひそかに持つておる。これが週に一、二回くらい持たれているというようなことを聞込みましたようなわけであります。それの動きを見るということと、話合というような事柄を聞きますと、何らか本件に関する捜査端緒が得られはしないだろうかということを、課のうちでいろいろ意見をまとめたわけでございまして、その結果今回の問題になりました秘聴器設置するというような事態に相成つたわけであります。もとよりただいま本部長から御報告がございましたように、その秘聴器取付につきましては、田中さん、また中村さんというような方々の承諾を受けておることはもちろんでございます。迷惑をかけんように、また慎重にというようなこと、会合のとき以外には取付けを外すというようなことのこまかい注意を払つて設置をいたしたような次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上が私ども秘聴器設置いたしました理由、並びに経過でございます。
  8. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより質疑に入りますが、その前に山根警部補が、本件担当責任者である山根警部補が本日出席せられなかつたので、それにつきまして神田本部長から一応の釈明がございましたが、この際なぜ山根警部補が最も本事件核心を握られる人だと思うのですが、御出席なかつたことはきわめて遺憾にたえないのですが、その点についての本部長からの釈明をお願いします。
  9. 神田亘

    参考人神田亘君) 実は山根警部捕の出席問題でございますが、ちようど鳥取県の米子附近でこれを一帯としまして、さらに京阪神方面つながりを持つておりますところの相当大規模な覚せい剤事犯を目下私のほうで捜査を続行しておるような状況であります。山根警部補米子のほうに派遣いたしまして、捜査担当者として現在これをやらしておるような状況で、本日当人を上京せしめますことは捜査に重大な支障を来たす、そういうようなわけで出席ができなかつたことを御了承願いたいと思うのでございます。大体現在の当面の仕事といたしましては、御承知のごとく世人の関心覚せい剤取締に非常に関心を持つておられますので、私のほうの警察といたしましても、この覚せい剤取締については非常な力を入れていたような状況でありまして、御承知かどうか知りませんが、米子附近駐留軍の美保という航空基地がございまして、これを一帯といたしまして相当大がかりな覚せい剤密売事犯が前々から行われておつたわけであります。特にルートといたしましては、京阪方面から入つて来る、そういうような情報を先般つかみまして、これが検挙に乗出したような状況でございます。なお、秘聴器の使用問題につきましては、もちろん山根警部補設置したと思うのでありますが、面接責任者でありますところのの、いわゆる設置を命じましたところの岸本課長出席いたしておりますので、御了承願いたいと思うのであります。
  10. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではこれより質疑に入ります。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまの神田君のお話でございますが、どうも私は納得できません。一体法務委員会はいつ参考人の出頭を命ずる書類をそれぞれの人に通達いたしましたか。
  12. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 岡田委員、ただいまのやつは委員長から今書類を調べましてお答えいたします。ですから次の御質問を。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは次に、神田君はそれをいつ受取つたのですか。こちらから出ろという呼出しをいつお受取りになりましたか。
  14. 神田亘

    参考人神田亘君) 私自身の場合ですか。私自身の場合ちよつと忘れましたが、山根君の場合は……。
  15. 岡田宗司

    岡田宗司君 山根君の場合を聞いておるのじやありません。あなたの場合……。
  16. 神田亘

    参考人神田亘君) 私の場合、ちよつと忘れました。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 それでは秋久君、岸本君はいつお受取りになりましたか。
  18. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) ただいまのお尋ねにお答えを申し上げます。私がいただきましたのは勤め先の札幌でございまして、先月の二十三日であつたかと思います。以上でございます。
  19. 秋久勲

    参考人秋久勲君) こちらから投函されましたのが二十九年十月の十九日であります。そして自分のところの松崎局受取りましたのが十月の二十日でございます。二十日の午後六時でございますから、二十一日に受取つております。
  20. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと神田君のところに送達されたのも、私は何じ鳥取市だからその時分だと思いますが、そうでしような。
  21. 神田亘

    参考人神田亘君) 今思い出しまして、多分その前後だと思います。
  22. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうしますと、この通知を受取りましてから今日まで十日以上も日がたつているのです。それでそれまでにいつ山根君が出られないということの断り状をこちらでお受取りになりましたか
  23. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 委員長からお答えしますが、ただいまの本部長の、電報は当法務委員会としては十一月の一日の朝に受取つております。
  24. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこでお伺いしたいのですがね、すでに十日以上の間があります。それでその間に少くともあなた方が出て来られるならばこの問題の中心になる山根君も出て来なきあならんわけです。急に断つているのですね、一日に……。もちろん山根君の出席問題についてはあなたが御存じないことはないことはない、相談を受けたろうと思う。そして十一月一日前にお断りになつているのはどういうわけですか。
  25. 神田亘

    参考人神田亘君) いずれ事務局のほうからお話があるだろうと思いますが、山根警部補に参りましたのは、電報で参りまして山根君に行きましたのが十月の二十七日の晩であつたろうと思います。それはどうしたいきさつであるかと言いますと、あて先鳥取市の、ちよつと名前を忘れましたが、警察官舎山本秀男という宛先で来たわけです。ところが山根君は山根秀男でありまして、そのあて先の間違いでその書類がこちらの事務局に返つたという話を聞いております。それで遅ればせながら電報で二十七日に山根君のほうに、これも今度は今回の場合には自宅ではなしに、本部警備裸山根秀男として配達があつたような次第であります。
  26. 岡田宗司

    岡田宗司君 この間違いの点ですね。山根秀男というふうにこちらの委員会であて名を間違えて出したのですけれども、この人の命令について、たとえば神田君なり、岸本君なりのほうに出す場合に、同時に山根君も呼んであるのだというようなことがわかるような方法をとつてありましたか。
  27. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 委員長からお答えしますが、今事務当局から聞きますと、やはり事務当局の手落ちで山根とあるのを調書の際に山本と書さ誤つている。そのために今のような遅配が行われたようです。なお今の岡田委員の御質問のように、ほかの方にこういうふうに山根警部補を呼んでいるというような示達はせずに、それぞれ個人に通達しております。それで今のような間違いで電報の送達が遅れた、こういうことであります。
  28. 岡田宗司

    岡田宗司君 とにかくしかし二十七日に電報が着いて、それで御相談を受けたわけですね。それであなたは出ないでもよろしい、こういう御判定で出ないでもいいように指示をしたわけですか。
  29. 神田亘

    参考人神田亘君) 二十七日の、私も時間を忘れましたが、電報が参りまして私が相談を受けたのは多分二十八日だろうと思います。私も先ほど申し上げました事犯関係もいろいろ今後相当進捗するというような見込みでありますので、この際山根警部補が一巡査であれば私のほうも出してもよかつたのでありますが、当面の責任者でありますので、今後事件の進捗に相当障害を示すのじやなかろうか、そういう心配をいたしましたのと、それから先ほども申し上げました通り当面の直接の責任者岸本課長が来ておりますので、実はその点で御了承願いたいと思います。
  30. 岡田宗司

    岡田宗司君 その前半のほうはともかくとして、後半のほうの、当面の責任者岸本虎二君が来ておるから、それで御了承願いたいでは私どもは了承できない。これは少くとも一巡査の問題ではない。これをやつた人は警部補なんです。つまり警察においては相当の地位を占めている人、しかもこの人が行つて、そして据え付けをやり、それから聞いた場合もこの人がやつているか、あるいはまたこの人の直接の部下がやつておるか、とにかく岸本君でなくて、直接の監督者、これをあなたのほうでもつて岸本君を出せばよろしいという判断をしたということは僕らは納得できない。それはどういうわけですか。むしろあれじやないですか、あなた方の考えでは山根君は出したくない、出すのは都合が悪い、こういうことから御判断になつたのじやありませんか。
  31. 神田亘

    参考人神田亘君) さようなことは毛頭考えておりませんので、山根警部補岸本課長の直接命令を受けてこれは設置したものでありまして、その点御了承願いたいと思います。
  32. 岡田宗司

    岡田宗司君 面接命令を受けた者を出せないということになると、これは非常に困つた問題だと思います。私のほうとしてはこれはやはりわからなければなんですね、秘聴程度や何かわかりません。それで私としてはやはりこの中心入物を呼ぶのが当然だと思うのです。今のようなことですね、それを出さないということは、私はこれはどうも神田君にしろ、あるいは岸本君はもう現に鳥取の人じやないのですから別問題として、どうも委員会をなめておるように私には感じられる、受け取れるのです。それであなたの今の言われることによりますと、それは出しちや都合が悪いから出さないのだ、そういう考えは毛頭ない。そうするといつ出せますか。あなたいつ、こちらからもう一遍要求した場合にそれを出すことをお許しになりますか。
  33. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほどの覚せい剤事件終了ができました場合には出せるという見込みがあります。
  34. 岡田宗司

    岡田宗司君 覚せい剤の問題の終了というのはですね。それは今捜査して検挙なり何かやつた、それが挙つたというときですか。それともいつなんですか。
  35. 神田亘

    参考人神田亘君) 挙りましても、いろいろ関係者の取調べあるいはまたそういう事件検察庁に送ります。そういうような関係で若干遅れるのじやなかろうかと、さように考えております。
  36. 岡田宗司

    岡田宗司君 今まあその捜査のためによそへ出ておるというのなら別ですけれども、たとえばこれで覚せい剤関係の犯人が捕つたという場合には、あと何ですね、彼の下にある者でもやれるわけなんです。また警察組織というものはそうなくつちやならんわけです。それでもこつちへ出さないというようなことになつて参りますと、これはいよいよわれわれをなめてかかつておるとしか思えないのです。私は警察組織は、たとえばただいま山根という人が病気であれば、誰か代りにちやんとやれるようにできておるだろうと思うのです。また本部長つてそういうシステムを使つておるわけです。絶対に出せないなんということはないと思います。一体法務委員会をどう思つていらつしやるのですか。
  37. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつと関連して……。ただいまの神田君のその答弁ですね。はなはだ私腑に落ちないのです。それで重ねて岡田委員からお尋ねになつておるのだが、あなたが先ほどおつしやつたようなことだと、犯人がいつ出て来るかわからない覚せい剤の……。それが挙つても、なおあと検察庁に送る等のために時間がかかる、こういうことをおつしやるのですが、私も在野法曹としていろいろな事件には、あなたとはまた違つた面からタッチしておることですが、そういうことは通りませんよ。そんな言い分は……。それはすべて警察機構にしろ、検事にしろ、たつた一日か二日重要な国政調査の立場から必要だから実情を聞かしてもらいたい。こういつて来ておるのに、どんな捜査か私は知りませんが、ちよつと一日か二日行つて来るからこの点はこうこうこういうふうにやつておいてくれ、こう言つて来れないことはこれは私絶対ないと思います。ちよつと先ほどの手紙はこちらのほうが名前を間違えた結果、二十七日に電報で打つたというから二十七日と、まあこの二日の間は日があまりにも短いということは常識的に考えられますが、そのあなたのほうでたくさんの部下がおられるわけですから、相当な日数があれば、そんな捜査なんか終らんだつて、一日や二日手を抜けない、そんな言い分は絶対成り立ちませんよ。岡田委員がせつかくその点究明されておるわけですから、私からこれは特に言う必要はないわけなんですが、あまりにもそれは非常識だと私は感じましたので、私からも付け加えて、もつと納得の行く説明をしていただかんと、そんなことで済ましておつたら、それはいつまでたつても出て来んということと大して変りませんよ。はつきり一つ答えて下さい。
  38. 神田亘

    参考人神田亘君) 覚せい剤事犯はまあほとんど中心に近い点を出しておりまして、今の状況では大阪あるいは神戸に伸びる一つの進展段階にあるような状況であります。そういうような関係で、今手を抜くといいますことは、せつかくの宝を逃がしてしまう、そういうようなおそれがありますので、ここしばらくは一つ御勘弁を願いたいと思います。
  39. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 神田さんにちよつと伺いたいのですが、先ほど鳥取県の公安委員長からの最初の、冒頭の御説明には、鳥取県の公安委員会におかれては人間の尊厳、そういうものを最高の原則として、そしてこの警察がいやしくも独善的な行動に出ないということを常に念頭に置いておられるという御説明があつたのですが、あなたに今のお答えについて伺つておきたいのですが、警察が何らかの疑惑を受けて、そしてこれが国会の問題となつている。そういう状況において犯罪捜査の完全な任務の遂行ができるとお考えですか。
  40. 神田亘

    参考人神田亘君) 私のほうは先ほど委員長からお話のありました通り、やはり理念といたしましては、民主警察理念を尊重いたしまして警察の責務を遂行しておるような状況でございます。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 公安委員長にお伺いしたい。あなたはこの山根出席出席の問題について、神田本部長のほうから相談を受けましたか。
  42. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 山根警部補出席のことにつきましては、当時の委員会で実は僕に証人として出るように参議院から通知があつたのだが、あなたに来たかといつて神田本部長に電話しましたときは、まだ来ていないというお電話でありましてこの手紙は私のほうが早く受け取つたようでございました。さらに岸本課長には来たか、田舞には来たかと、こういうふうにお尋ねしましたときは、岸本には多分来ているだろうが、山根には来なかつたと、こういう工合にお聞きしましたので、大体責任も警察の幹部がとるのだから、山根警部補はじやあ必要ないのだな、こういうふうに私は了承いたしておるのでございます。こちらに参りましてから、山根警部補は非常に今本部長からお話がありましたような状況で、手が抜けないのだということをお聞きしたような次第でございます。御承知通り公安委員会は常勤でございませんので、面接自分のほうから出ませんので、その間の連絡はございません。
  43. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 岡田委員ちよつと委員長から申し上げますが、実は山根警部補出席しないことについて理事会でも実は相談したのです。しかし一応理事会としましては今日出席の方々から話を聞いて、その結果この問題はさらに山根警部補出席を求めるかどうかをきめよう、こうなつておりますから、もし何でしたらこの問題はあとにして、一つ問題の中心参考人から聴収して質疑を進めていただきたいと思います。
  44. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはごもつともな御意見で私も大体それでいいと思いますが、ただ一つその点について念を押しておきたいと思います。これは神田君にお伺いするのですが、二十七日に山根電報受取つてそのことをあなたに御相談になつたのですね。そうしますとそれについて今のお話ですと、公安委員長には何にもお話しておらん、こういうことなんですな。そうするとあなた一人でもつて山根を出さない、こういうことをおきめになつた、こういうことですな。
  45. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほど委員長から申されました通り公安委員会は週に一回開いております。それで私の所存でこれを決行したわけです。
  46. 岡田宗司

    岡田宗司君 まああなた一人の所存か、それとも東京の警察庁のほうとの相談か私知りませんけれども、とにかくお出しにならない責任をあなたがとられるわけですね。
  47. 神田亘

    参考人神田亘君) さようでございます。
  48. 岡田宗司

    岡田宗司君 はあ、よくわかりました。この点はあとで……。
  49. 亀田得治

    亀田得治君 事件の問題の内容に関して重慶なだけを一つつかまえて一応お尋ねをしたいと思います。まず第一に、これは公安委員長並びに本部長から傍頭にお答え願いたいのは、九月十五日と十六日に警察責任者の方が民主団体の代表者とお会いになつて、その際にこの盗聴器は警察のものではないということを言つております。それからさらにそれに付け加えていろいろなことが言われておるわけです。もしそういうことがあるとしたら、よく調査してみるという程度のことじやなしに、それは絶対に悪いから憲法違反になるおそれがあるとか、そういうことがはつきりした場合には責任をとられるとか、非常に具体的に警察は全然関係ないし、そんなことがあるとしたら、それはもうとても悪いことだと具体的に言つておるんです。そのことは相当長くなりますから、その内容については触れませんが、なぜそういうことを一体言われたかということなんです。皆さんが十五日、十六日に民主団体の方からこの問題を持ち出されたときには、皆さん自身は知つておるわけですから、あれは警察のものだということを、だから知つておる人がお答えをなさる場合には、もう少し良識があつていいのじやないかと思うのです。もしそういうことがあつた一つそれはちよつとおかしいのですから、誰がやつたか適当に調査してみましようとか、そういうことで終つておるんならいいんだがそうじやないんです。これは皆さん自身がしやべつたんですから、はつきり覚えておるでしよう。なぜそういう言い方をして否定をしたのか、この点の気持を先ず先ほどちよつと触れられたようですが、もう少し具体的に考え方を聞きたいと思います。公安委員長並びに神田本部長に……。
  50. 神田亘

    参考人神田亘君) 初め十五日の日に民主団体の方が抗議に来られたわけでありますが、私が秘聴器のあること、あるいは使用したことを知らない、存ぜぬとさように申し上げたというお話でありますが、私、この事件を指揮いたします際に、もちろんその以前から警察には秘聴器のあるということは外郭的には知つてつたわけでありますが、具体的に今回の場合にこれを設置したということは私自身知らなかつたわけであります。ただ場合によりましては、先ほど申しましたような犯罪態様でありますので、使用することがあり得ると、そういうような考えしか持つておらなかつたために、抗議に来られました際に、さようなことを申し上げた次第であります。
  51. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 先ほど本部長から話しましたように、十五日に突然抗議団体が来られた。この状況公安委員会は全然知らなかつたのであります。十六日は定例委員会ちようどなつておりましたので出まして、まだ神田本部長なり、警察の人と会うまでに、すでに、私が公安委員会委員室に入つて見ますと、民主団体抗議団体公安委員会にたくさん入つしおられましたので、いきなりそこでお会いしたのであります。従いまして神田本部長からも何ら報告は聞いていないときにお会いしたのでありまするが、そのときに警察がやつたんなら責任を負わせるとか、処罰するとか、こういうふうに報道されておるようでありますけれども、これは警察がそういうことをして法的に本当に処罰せなきやいかんような場合は、公安委員会としても当然処罰せなきやいけない、こういう意味でありまして、秘聴器を使つてつたんなら、警察が使つてつたんなら処罰する、こういう意味ではないのでございまして、出ますまでに、その新聞を見て出たのでありまするが、先ほど申し上げましたように、事犯内容といい、相当真剣に警備活動をやつておるということが私には頭に入つていましたから、あるいは警察がやつたんだろうという推定もついておりますので、警察がやつたんなら処罰するという意味のことは当然出ないというふうに考えております。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつと公安委員長の説明わかりにくいのですが、警察がやつたんなら処罰すると言つたのではないと、警察がそれを使つたとして、それが悪いということになれば、処罰するというような意味だというふうに言い方を少し違えておるわけですが、どう違うのですか、そこは。
  53. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 警察秘聴器を使つておれば処分するというのでなしに、警察秘聴器を使つて、これがいわゆる法に照らして警察の行なつた行為は人権侵害あり、憲法違反であるということがはつきりされた場合には当然処罰すべきだという意味であります。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 その点、そうすると公安委員長の見解自身が少し問題になるわけですが、それは後ほどにしましよう。そこで、このただいまのお話ですと、十六日に民主団体から抗議を受けて、で十六日に引き続いて抗議を受けておるんですね。その十六日に抗議を受けたときにも、公安委員長並びに本部長は、これらの秘聴器警察のものであるかどうかということをよく知らなかつたような今言い方をされるのですが、念を押しておきますが、それは間違いありませんか。
  55. 神田亘

    参考人神田亘君) その当時はまだ警察設置したということは私知らなかつた
  56. 亀田得治

    亀田得治君 公安委員長はどうですか、十六日ですよ。
  57. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 十六日に二回会いまして、最初の場合はそういつた責任問題のことが出まして、それから猶予いただいて公安委員会を開いて、神田本部長からも意見を聞いたのでございまするが、最初に申しましたように……。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 十六日最初に会つたときには、これは警察秘聴器であるということを知つてつたか、知らなかつたか、こつちの問に対して等えるようにして下さい。
  59. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 十六日の民主団体と会つた場合には、警察がしたということはまだはつきりしていなかつたのでございます。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 それでは岸本警備課長にちよつと聞きますが、あなたは十五日の会合の際には、課長として出ておられましたか。
  61. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 十五日に会合の際には、本部長さんが本部室で最初に会つたわけでございます。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 会合の前に……。
  63. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 私が会う前に本部長さんが抗議団の方と会つたわけでございます。それから本部長さん何か用事ができまして、それで秘書の方のほうから、あなたのほうで一ついろいろ話を聞いてくれないかということでございまして、引き続き私のほうへ見えた次第でございます。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 十五日に岸本課長本部長とは別に民主団体の人にお会いになつたという意味ですね。そういたしますと、どういう問題であるかということは課長としては十五日にわかつたわけでしよう。じやそれは当然私どもの常識からすれば、本部長に連絡をとり、実はこういう問題だということを話すべき問題じやありませんか。ただいまの公安委員長並びに本部長お話ですと、岸本課長から何かそういうことが翌日になつても伝つておらんようですね、問題の真相というものは……、そういうことはあり得ますかね。あなたは実際に話をしませんでしたか、十六の朝になつても話をしておらないのですか、本部長並びに公安委員長に対して……。答えてみて下さい。
  65. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 岸本でございます。ただいまのお尋ねでございますが、私は当日拳銃査閲が郊外でございましたわけで……。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 何ですか。
  67. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 拳銃の査閲訓練がありました。ピストルですね、それでそちらのほうに行つておりましたところが、十二時ちよつと過ぎでございましたか、本部のほうから呼びに参りまして、実は民主団体の方がいろいろ抗議に見えているのだと、それは何だということで、盗聴器を備えつけたというような話がある。何はともあれすぐ帰つて下さいということでありましてそれで私は中途で帰つたわけでございます。そうして帰つてみたときには本部長さんの部屋の前のほうですね。そちらのほうにたくさんの方が見えておりまして、私はそこの中に入つて話を申し上げようと思いましたが、たくさんの人が来ておりましたので、これは会わないほうがよかろうというような気持で、それで中だけちよつとのぞきましたが、私の部屋のほうに引返したようなわけでありまして、本部長さんにそのことを申し上げておりません。  それから十六日に報告しなかつたかというお尋ねでございますね。この問題はちよつと委員長さんと本部長さんがあるいは誤解されていやせんかと思うのでありまして、十六日のときには委員長さんがたしか抗議をされる方にわれわれよりか先に会われたと思います。それでそのときには私は委員長さんにも何も申し上げておりません。委員長さんが会うまでは私は会つておりません。委員長さんが抗議団の方と会うまでは私は会つていませんから、それで会われてから途中ではなかつたかと思うのでありますが、岸本ちよつと来てくれんかというお話でありまして、それで委員室に行きまして、本部長さんもそのときおられまして、実は君真相はどうなんだ、いろいろ新聞にも出ているので、今抗議団から話があるのでちよつと待つてほしいということを言つておる。このことちよつと間違いましたらお許しをいただきたいと思うのでありますが、これは抗議団の人ともう一度会うつもりでちよつと延ばしてあつたと思います。そのときに私はこうこうこういうわけなんで、私のほうの施設なんだということを申し上げておるつもりでございますので、そこのところ委員長さんと本部長さんは昼過ぎお聞きになつたと思います。その節に、もう公表するようにすべきではないだろうか、はつきりとやるべきだということをさつき冒頭に委員長さんが申しましたようにああいつたような態度を委員長さんが話されたのを私は聞いておるわけでありまして、私といたしましては十五日にさつそくいろいろ御報告申し上げておらなかつたという点が、こんな御迷惑をかけて相すまんと思いますが、私の記憶いたしておる経過は、ただいま申し上げました通りであります。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつと先ほどの公安委員長のあれと違うようですから、公安委員長のほうでその点もう一度釈明していただきたい。
  69. 秋久勲

    参考人秋久勲君) これは最初のときにお話しましたように十五日に事件が発生いたしまして本部長は知らない、こういうふうにつつぱねておつた、十六日にその真相を神田本部長よりとり付けの経過を聞いた、こういうふうに最初に申し上げておるのでありまして、それで知らないというふうに民主団体に言つたのは、協力していただいた相手方に御迷惑をかけてはいかんから、向うから、はつきりするまではこちらから固く秘密にしてくれと約束をしながら、こちらのほうからやりましたと言うことは工合が悪いから、それでやはり秘密にしておつた、こういうふうなわけでございまして、それについては、十分この問題を検討すべきだが、もうすでに新聞も、山根警部補がやつたのだとほとんど断定的に報道しておりますので、これ以上警察捜査の秘密を守つてもしようがないのじやないか、はつきり県民に申し上げたほうがいいのじやないか。こういうふうに十六日に話をされているようでございまして、二十日に公表すべきだというようなことは、本部長なり公安委員会は決定していなかつたのでございますけれども民主団体から抗議を受けている問に、結局二十日にはつきりしようじやないか、こういうふうに別れたのでございましてその後民主団体と別れてから、本当に真相を聞いたような次第でございます。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、十六日に民主団体と会つているときに、大体のことはわかつたわけですね。ほかのことはあまり言わぬようにして下さい。時間がありませんから……。
  71. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 大体のことはわかりました。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 大体のことがわかつたのに、なぜ十五日と同じような否定的な回答を、民主団体に対してなしたのですか。その気持を聞きたいと、こう言つているのです。さつきから申し上げているのは…。
  73. 秋久勲

    参考人秋久勲君) これははつきり申し上げますと、こちらのほうから積極的に警察がやつたのだということは、なるべく捜査の秘密を守るために、または相手の方に迷惑のかかるおそれを心配して、はつきりと警察がやつたということを言うことは躊躇しておつたのが真相でございまして、それでそのときもはつきりしない。従つて二十日にはつきりしようというふうに別れたのでございます。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 盛んに捜査の秘密ということを理由として言われるのですが、一体盗聴器は警察のものであるということを公表したからといつて、どんな捜査の秘密に影響してくるのですか。ああいうことが新聞で問題になつておれば、もしあなた方が目標にしておられる被疑者の方がどこかにおれば、これはもう新聞だけで、ちやんともう警戒されるわけですよ。その盗聴器が警察のものであるかないか、そんなことは何も捜査上影響してくる問題じやないと思うのですよ。そこを盛んに言われるのですが、これはどういう意味ですか。
  75. 神田亘

    参考人神田亘君) これをその際に発表いたしますことは、警察といたしまして先ほども申し上げましたように、非常に高度な重要な犯罪でありますので、警察側捜査技術の手段を察知される、そういうような心配で躊躇したのであります。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 これは議論になりますからもう申しませんが、はなはだ捜査に関して専門的に携わつておられる人としては、大へん納得がいかないと思うのですね、そういう言い方は……。それは相手も、そのくらいのことは皆注費しておられると思うのです。誰だつて……、われわれしろうとから考えつて、そういうことは少しも捜査関係のないことだと思つている。問題が起きてしまつている以上は……。それは一つその程度にして、そこで本部長名で出された文書ですね。これの最後のほうを見ますと、こういう事件が起きて「一時的にもせよ民衆の警察に対する誤解を招き、」こういうことを書いてあるのですがね、誤解を招きというのは、一体どういう意味ですか。本部長からお答え願いたい。
  77. 神田亘

    参考人神田亘君) 結びのところにございます「結果的に一時的にもせよ民衆の警察に対する誤解を招き」、このことについてお尋ねがあつたようでありますが、この「誤解」は結局警察がやつたかやらんかどちらかわからん、そういうような誤解だろうと……誤解を招きましたために、かようなことを結びに書いたわけであります。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 公安委員長に、ただいまの本部長のああいうお答えですね。考え方を聞きたいのですが、私の感じでは何か民衆が警察を誤解した、そんなものじやなかろうと思うのです、この問題は。これは警察がつけながら警察のものじやないと言うて、そうして十六日にはうすうす公安委員長本部長もわかつておりながら、なおそれを否定されて、二十日に実はあれは警察のものだつたと言うた。これに対する民衆の考え方が実は非常な問題なんです。だから民衆の誤解じやないんでしてね。民衆が非常な不信を持つているんじやないですか、こういう事件が起きますと、誰でもね。手段方法といえどもこれは行き過ぎた使い方をしたり間違いは誰でもある。あつた場合に、何だ警察の人までがうそをつくものか、こういう印象を与えるということは、これは大へんなことだと思うんですよ。そういう捜査手段を使う、使わないということの限界の問題は別としてね、ともかくそういう問題が起きたときに、たとえ三、四日間にしろうそをついたという問題ですね。私は民衆が何も誤解しているんじやなしに、これはもつと強い言葉でこれは表現さるべき結論じやないかと思うんです。公安委員長がまあ特にそういう国民の立場から、やはり警察というものが民主化の線を保持できるように、こういう点で絶えず考えておられる。冒頭にも言われたこの点を公安委員長として一つ率直な見解、心境を一つ承わりたいと思うのです。どうでしようか。
  79. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 亀川委員からお説のようにこの問題はやはり結果的に見ますと、最初に警察のものであつたというふうにはつきり申して、そして事件の真相もはつきり申し上げると、非常に事件がすつきりしたものになるという結論に私なつておると思うのでありますし、事実またそれが非常にはつきりしまして一番いいことだとこう思うのでございまするが、ことのいきさつ上、やはり人に見られないように、わからないように秘聴器を取りつけたのでありまして、それがたまたまやはり突然に発覚した。こういうふうに参りますと、一応本部長は知らない。こういうふうに突つ張ねておりますし、せめて十六日の公安委員会のときに、はつきりこれは警察でやつたんなら、もうとにかく警察がやつたもんだということだけでも、はつきりこれはすればよかつたのでありまして、本当はやはり公安委員会本部長もやはり最後はこれはもう大体新聞もわかつておるし、申し上げたほうがいいんじやないか。公安委員会はこういうことをかくしておることは非常によろしくない、これは早く県民に真相を公表すべきである、こういうふうに結論は出たのでございますけれども、その当時の率直な状態が、やはり民主団体のほうも相当昂奮した折衝でありますし、警察側のほうも非常に慎重な態度でおりますし、たまたま当日が中国関係公安委員が続々来るというような状況にありましたので、最初申し上げましたように、やはり民主団体が憲法違反であり、人権侵害であり、捜査権というものは一体憲法に優先するのかというような内容抗議されますし、警察はあくまでもこれは正当な行使である、こういうふうに申されてみますと、簡単にただ警察秘聴器を使つたんだというような程度では、とうてい県民も納得しないだろう。こう考えますと、多少の猶予をいただいて結論を出して、それを一つ公表したほうが手落ちがないんじやないか、こういうふうに率直に考えまして、二十日と……二十日が今から考えましても非常に長かつたちようどその間に会議がございましたので、二日間というものを全く会議のほうに消費したので、結果としてはよろしくなかつた従つて県民警察は、亀田委員がおつしやるように、うそを言うんじやないか、こういう誤解を非常に招く。ところが公安委員会も、結論としてはやはり警察のやつたのは、正当な職務執行であるというふうに断定を下しましたので、県民に一応……正当な行為をあやまる必要はないじやないか、こういうふうにおつしやるかもしれませんが、そういつた事案に不安を県民に与えたということは、誠に相済まんので、一つ陳謝の意を表したほうがいいんじやないかというので、公安委員会の結論も陳述の意を表しておるのであります、声明内容のですね。それがまあ私の考えた真相でございます。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 また他の委員からもこの点については御質問があると思いますので、私はこの程度にこの問題はしておきますが、次にこの盗聴器を備えつけるについて、部屋をちやんと借りて合法的にその点は処置しているんだ、こういうふうに言われておるわけですが、特に中村さんの部屋ですね。この点について実は二、三聞きたいんですが、これは本来ならば山根警部補がここに来ておれば一番いいんですが、これが来ておりませんので、岸本課長のほうが適当じやないかと思うんですが、中村警察のほうにこの部屋を貸す際に使用の目的というものは告げられておらないようですが、その点あなたわかつておりますか。田中のほうはわかつておるようですがね。
  81. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 岸本であります。お答えいたします。ただいまのお尋ねの件でありますが、山根君から私が聞きましたのは、どうも秘聴器を取りつけて調査をやらしていただくということを言うことは、これはまずいと思う。それでほかのヒロポンか何かの名前でお願いをしたと、こういうことを私は聞きました。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 それは田中中村の場合は事情が少し違うのじやないですか。どういうふうにあなたは聞いています。
  83. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。お答えの前に恐縮でございますが、今の亀田委員からおつしやつた事情が違うという点……。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 借り方の事情目的をどのように話をしたかということについての事情が違うのじやないかということなんです。
  85. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) わかりました。それは田中さんのほうの借り方について、これは私の聞いておるところでは、ある調査を必要とすると、それで部屋を貸してもらいたいと、こういうようなことも一つやらしていただきたいということを頼んだと、こういうことでございます。それから一方中村さんのほうですね。それはさつき私が申し上げましたように、ほかの名前で借つたように私は聞いております。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 ほかの名前といいますと、もう少し具体的に言つて下さい。
  87. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) さつき申し上げましたように、ヒロぽンか、覚せい剤、そういつたようなことについての視察の要があるというようなことで借りたように聞いております。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 そのことは初めからそういうふうには聞いておらんのじやないですか。この本部長が九月二十九日付で出されておる書類を見ますと、田中中村両氏承諾、括弧して、田中の場合は秘聴器の使用について、それから中村の場合には部屋を借りるについて分けて書いてあるのです。で私が十月の八日でしたか、現場に調査行つて、直接聞いたときにも、この点は事情が違つていた、両方とも……。ところがただいま聞くと、両方とも何かヒロポンの調査のためとかいうことが言われているようなんですが、間違いありませんか。私が十月八日現場で中村君から事情を聞いたときにも、目的などは一切言われておらないと確認して来たのです、私……。ところが昨日ですね、中村君からその点聞くと、何か少し目的が言われたように答えるのです、ここで……。だからそれは間違いでしよう、私昨日聞いたのです。だからあいまいな返事をしておりましたのですが、しかし私にはそういう目的がなかつたと……。鳥取で言うたことは中村氏も昨日は認めておる、私に言うたこと自身は……。それでただ私、自分が聞いた聞かんだけじやなしに、警察から出ておるこの書類自身が、中村については、そういう秘聴器とかそういう目的等については話がなかつたようにここに区別して買いてあるのです。だから私は自分が現場でお聞きしたのが、やはり真相だと思つておる。私は実は本部長なり公安委員長にも調査に行つた際に自分の意見も言つたはずです。その点について目的も知らさないで使うようなことはまずいと、率直に私の意見を言うたはずです。そういうことの関係からその点を少しあいまいにされるというようなことでは、非常に私困ると思うのですね。そういうふうにあいまいにされても、私のほうじやいろいろ調書もとつてあるから、もつとまた明確にする途はあるわけですけれども、その手間がかかる、そういうことはお互いに……。あんたのほうのちやんとこう書いたもの自身にこう書いてあるのですからね。どうなんですか、それは。私これは非常に重要な一つのポイントだと思いますので、念を押すのですが…。
  89. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 岸本でございます。ただいまのお尋ねにお答えいたします。先ほど私が申し上げたことの言葉があるいは足りなかつたり、まずかつたりして、お聞き違いなさつたのじやないかというように、失礼ですが、そう思いますが、田中さんの借り方の場合ですね。私が聞いておるのでは、ある調査の必要があるので貸してもらいたい……。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 まあ田中のほうはよろしいわ。中村のほう……。
  91. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) それから中村さんのほうは、これは秘聴器の取りつけをするから、それのために部屋を貸していただきたいということは言つておらないように私は聞いています。覚せい剤でございますか、ヒロポンか何か、観察したりなんかしなければならんからというように言つたように私は聞いております。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 まあ幾らか明確になりましたが、そこで本部長委員長の見解を承わりたいのですが、普通部屋を借りたり家を借りたりする場合に、貸主はまああの人がお借りになれば、普通はそこに住んでおる、こういうふうに解釈して貸すわけですね。ところが普通でない条件がそこに付いておる場合には、これは言うのが本当なんですね。そういう重大な条件がついていて、それをかくしておつて契約をするという場合には、これは裁判上の問題になつた場合には、契約を破棄されても、これは文句言えませんわね。で、皆さんは借りたこと自身は合法的、合法的と、貸借の承諾という点を指しておそらく言われるのでしようが、私は重大な一つの要件がかくされておる場合には、必ずしも形だけで合法的とは言えんのじやないですかと、しかも法律に暗いしろうと同士がおやりになるような場合なら別ですが、法律によつて仕事をされる官公吏の方がおやりになる場合、私はそれは非常に大きなそこに契約上の過失があると、実はこう考えているのです。で、どういうふうにこの点責任者としてお考えでしようか。これは実はここなんですよ。岸本課長も聞いた話でしよう。だから山根に本当は実はその点を確めたいところなんです。その点がつまり山根が欠席しておるために出て来ないのは非常に遺憾なのですが、まあそのことを前提としての話ですが、見解を承わりたいと思います。
  93. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほども何回も申し上げます通り本件捜査は非常に重要な捜査でありますので、借ります際に、事件の名前を言うわけにはいかないのは、これは常識だろうと思うわけであります。そういう点から田中さんのほうは調査目的のため、あるいはまた中村さんのほうはヒロポンの取締りのためと、こういうことでお話をしたわけであります。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 委員長、どういうお考えです。ただいまの本部長考えでは少しもの足らん。再質問しますが……。
  95. 秋久勲

    参考人秋久勲君) この秘聴器の取りつけのほうの技術的なことにつきましては、公案委員会はあまり深く突込んではおりませんが、先般中村さんの家に行きまして、家も見せていただきましたのでありまするが、円山さんの家に、壁境でございますから、田中さんの家はやはり秘聴器をつけるという目的で借りたが、中村の家を借りないと、その秘聴器が役に立たない。ところが中村さんの家はちようどその当時は荷物を置いて、ほとんど寝泊まりしていないような状態にあつたので、貸してくれとおつしやるので、特に警察の方だし、荷物もあるし、心配ないと思つてお貸ししたのだというので、案外そう技術を要せずに借りられたように私は解釈しておるのでございます。従いまして法的な根拠とか、あるいは借りる目的を了解を得ましたとかいうより、案外簡単に借りたんじやないか、こういうふうに私は了解いたしております。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 簡単にそこをやりますが、時間がかかつたとか、かからんとか、そういうことを私言つているんじやないのです。昨日たとえば中村君はもし秘聴器がつけられるということがわかつておれば、貸したか貸さんか断言できない、こう言つているんです。わからん、どうなつた……、そうしたら半分くらいはそこで偽つたことになるでしよう、中村君の気持というものを……。それから私が現場で実際中村君に聞いた際は、こんなことが初めからわかつていたら、とても貸しませんよ……。ほかのものはこれはもう百パーセント否定していること、そういうことがわかつている、あの貸借の問題については……。だからどうも言い方が変つて来ているところを見ると、その後先ほど、昨日岡田委員が心配されたような幾らか何があつたんじやないかと思いますが、そういうわけなんですよ。それを聞いている。そんな一体借り方をして差支えないか。何か捜査目的さえあれば、少々の迷惑をかけたり、だましてもいい、こういう一体お考えでしようか。端的に結論を本部長から聞きましようか。
  97. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほど申し上げましたように、中村さんのほうはヒロポンの捜査のためにお借りしたいということでお借りしたわけでありまして、向うのほうも一応そのことで御了解を得ておるわけであります。それで私のほうではもうごく心安く貸していただいたというような軽い気持であつたわけであります。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 本部長はともかくこちらの質問の本当に知りたい点についてお答えになかなかならんわけですが、それじやあなたのおつしやるようにヒロポンのためでもよろしい。そのことだけは認めるわけですね。それじやこの事件というものは一体ヒロポンの捜査のためにやつておるのですか、そうじやないでしよう。だからそのことだけから言つたつて警察はうそをついて家を借りたことになるんじやないでしようか。これは警察の皆さんが今おつしやるその言葉を認めての話です。それはどうお考えなんですか。そんな程度のうそはいい、こういうお考えですか。
  99. 神田亘

    参考人神田亘君) 私のほうでは捜査上の段階でありますので、本件捜査内容について遺憾ながら差し控えたいと思いますので、その点御了承願いたいと思います。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 それでは捜査内容の問題、それからこれが正当な職務行為であつたかどうか、そういう点については午後、私さらに質問もいたします。宮城委員が何かお急ぎになるようですから、私一応ここで中止して……。
  101. 小野義夫

    ○小野義夫君 審議のほうをちよつと筆記をやめていただいて御相談をしていただきたいと思います。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 宮城さんのほうを済ましてから……お急ぎだそうです。
  103. 小野義夫

    ○小野義夫君 議事進行について発言いたしますから……、ちよつと先にやらしていただきます。筆記があつてもよろしい。大体いろいろ事実の参考人諸君であつて、事実の点を明らかにするために同僚議員各位がいろいろやられることはけつこうであるが、大体に昨日来の経過から見まして、われわわはその秘聴器を取りつけた事実というものは、どなたもこれを否定するものはないのである。事実はすこぶる僕は明白になつておると思うのです。そこであまり究明するごとくいろいろこれを根掘り葉掘りやつて、いたずらに僕は時間をこの問題にたくさん費すことについては、いわゆる法務委員の立場からも、議事進行の上からも、もつと簡明直截に一つ議事の進行を委員長において図られんことを希望いたします。
  104. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) いかがでしようか。それは今宮城委員質問を了したあと今の運営については理事会を開きまして懇談することにして、一応宮城委員から質問があるそうですから、それを先にしてそのあと懇談に移りたいと思いますが…。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではそのようにいたします。
  106. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は神田参考人ちよつと伺いたい。昨年来手配していらつしやるというその犯罪の、皆さんの言葉を借りれば、高度な重要な犯罪だということをおつしやつていらつしやるのでございますが、そういう高度な重要な犯罪捜査が、いかに困難か御苦労さまだと思つておりますが、それでございましたら、どうも私腑に落ちないことがございます。それはこの委員長あての報告書を見ますと、ここのところにこういうことが……この秘聴器を使つたということがいかにも正々堂々でないというように私は感じるのでございます。しかも前述のように一週間に一回程度使用することとして秘聴器のこと……、従つてその秘聴器はそのつど持帰つていたものであります。そういう高度な重要な犯罪捜査について、もしも必要なものなら、どうしてこういう卑屈な考え方をなさるだろうかということが私腑に落ちないのであります。むしろ正々堂々とそれは捜査のある段階においては、こういうものを使つたということは発表できないにしましても、しかしこういうふうにしてわかつたのですから、それはどうしても必要なことだと正々堂々となぜこの捜査陣のかたがおつしやらないのだろうか、その点について一つ
  107. 神田亘

    参考人神田亘君) 宮城委員さんからお尋ねのありました点でございますが、一週間に一回ということは、非合法組織会合が大体一週間に一回行われております。そういう関係で私のほうはそれにあわせて一週間に一回、若干言葉の書き方が足らなかつたのじやないかと思います。それから秘聴器といいましても本来の言葉は集音器と申しまして、秘聴器それからコード、それからマイクロホン、それだけで一応集音器という言葉が使われておりますが、秘聴器中村さんの家に置いておきますと、あるいは私どもが帰りましたあとに、中村さんのほうでその秘聴器を使つて田中さんの家の内情を聞かれるのじやなかろうか、(笑声)そういうふうな心配で持ち帰つたわけであります。
  108. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 いま一つ伺いたいことがございます。昨年来の捜査していらつしやいます事件は、今発表していただきたいとはもちろん思つておりません。思つておりませんけれども、それほど高度な重要なということをおつしやつていらつしやるこの事件の見通しの点について伺いたい。どうも今度のこの秘聴器を備えつけるなんということは、やはり憲法問題あるいは人権問題に関連することでございまして、なかなか容易ならざる問題だと私は思つております。そこでそれをもあえてしなければならないはどの重要な問題だと、今はおつしやつていらつしやいますけれども、それで私どもは了解したいと思つておりますが、最後になりまして、それこそ泰山鳴動して鼠一匹も出なかつたというようなことが往々にしてございますので、私その点を非常に心配しておりますが、この事件の見通しはいかがでしようか。
  109. 神田亘

    参考人神田亘君) 本事件は先ほども申し上げましたように、非常に重要なものでありますが、大体から行きますと、非合法組織にかくまわれておるというような関係で、われわれ捜査に非常な難渋を来たしておるわけであります。御承知のごとく、日共の追放八幹部の捜査におきましても、なかなか成果が挙らなかつたのもかような非合法組織の、いわゆる固い同志的な結合の関係によるものでありまして、本件の場合も同じような形態をたどつておる。そういうことで今の段階では相当な努力をいたしておりますが、いつ事件が解決するかというような見通しはちよつと申し上げにくかろうと思います。
  110. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ちよつと今の、いつ解決するかという時期の問題を伺つているのじやございません。それは長くかかるかもしれませんけれども、長くやつてみた結果、何でもなかつたというようなことがございますと、ますますこれは捨て置きがたい問題だと思うのでございます。そこでやつてみなければもちろんおわかりにならないでしようけれども、大体の見通しは鼠一匹も出ないというようなことはございませんわけなんですね。
  111. 神田亘

    参考人神田亘君) これは私のほうの、本件だけの事件ではありませんで、全国的な関係のある事件であります。そういうことから考えまして、宮城委員から御心配いただきました泰山鳴動鼠一匹、そういうような御心配の向きは御必要ではないと、私、者えておるわけでございます。
  112. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それでございましたら、この秘聴器を使つたということについて、私は、どうしてまあ少しおわびをするというような形をおとりになるか、私は誠に了解に苦しむのでございます。これはもう必要なものであつたら、最後の結果を見たら、やはりこの人権蹂躪ではなかつたということを、捜査陣が堂々と言われるというほどの重大問題であつたら、私はまた私ども考えも違うと思います。
  113. 神田亘

    参考人神田亘君) ただいまのお話でございますが、私のほうで秘聴器犯罪捜査に使います場合は、その高度な科学面から、非常に警察活動に有効な場合が多いわけでございます。しかしながらこれを使いますことは、それと同時に他人に迷惑を及ぼすというような点もございますので、われわれのほうといたしましては、これはまあ最後手段として、今まで考えておつたわけであります。それで相当前から秘聴器がございましたが、今回初めて、本件では最後の真に止むを得ない手段として、この秘聴器を使つたわけでございます。
  114. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではいかがでしようか。午前中はこの程度にいたして、午後一時半から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  115. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは法務委員会を午前に引き続き再開いたします。
  116. 亀田得治

    亀田得治君 本件のこの捜査方法に関する合法性云々の問題、まあそういう点についてはこれは全国的な大きな問題だと思いますので、これは一つ四日の警察庁長官に主としてそういう点についての質疑をしたいと、こう考えますので、あと私のほうでは参考人の方々に、国警長官にはお聞きできない具体的な問題について少し確めておきたい。こういう角度から若干引き続いて御質問いたしたいと思います。  その第一は、この事件は昨年国警のほうから手配を受けた事件だということなんですが、これは抽象的にもどこいう罪名に関することだ、そういつたようなことはここで言えない性質のものでしようか、どうでしようか。
  117. 神田亘

    参考人神田亘君) 本件につきましては、ただいまのところ捜査の段階にございますので、亀田委責さんからお話のありました抽象的にも触れるということは若干困ると思います。
  118. 亀田得治

    亀田得治君 抽象的にも触れることがお困りのようですが、事件一つですか。その点はどうですか。
  119. 神田亘

    参考人神田亘君) 事件一つでございます。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 それではまあその点一つしかないということですから、四日の日にまた国警長官にお尋ねすることにして、次にこれは岸本課長のほうが適当じやないかと思いますが、盗聴器を使用すれば問題になつている事件手がかりがつかめる、こう考えたのか。あるいはそこまではどうもはつきりしないがやつてみよう、こういう状況であつたのか。この点一つ直接あなたが部下に指揮されたようですから、お聞きしたいと思います。
  121. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 岸本でございますが、ただいまの御質問お答えいたします。前に申上げましたようにこの事件関係がありますのが、鳥取県に被疑者が立回るというような公算があるものとしまして、少しの手がかりがございますので、そういう関係から私は手がかりが得られるだろうという気待は持つておりました。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 得られるだろうといこ気持は持つていたようですが、大体いろいろな状況から判断してここへこう付けておけば、十中八、九これがとれる状況だ、そういう強い状況であつたかどうか。手がかりがつかめる、十中八、九……。
  123. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えをいたします。今の御質問の点については確かに立回るであろうか、ないかということがはつきりしませんので、まあ私はさつき申し上げましたような気持は持つておりますが、お尋ねに対して、そうでありますとこう確信できるというところには、私としては申し上げかねるわけであります。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 まあその点はその程度に聞いておきましよう。そこで次に予期の収獲は、これはまあ想像ですがなかつたわけですね。……そうですか、あなたが予期したような収獲はなかつたわけですね。
  125. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。お尋ねの通りでございまして、まあ御承知のように一カ月ばかりああいつたような状況になりましたし、また予期したことが果されたかどうかという点、これもどうもお答えしにくいのでございますけれども、予期した通りであるならば、それは検挙手がかりが結果的にできたのではなかろうかということになりますが、どうも十分な手がかりを得ておりますとも言いにくいのでございます。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 あなたの部下の山根警部補ですね。それはテープ・レコーダーなんかには取らない機械だといいますから、筆記でもして課長のほうに報告されるようになつていたわけでしようか。
  127. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 岸本でございます。お答えいたします。今おつしやつた通りでございます。
  128. 亀田得治

    亀田得治君 そうするとそういう報告書は筆記になつて出ておるわけですね。その筆記はありますね。
  129. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 筆記は私のところに持つております。
  130. 亀田得治

    亀田得治君 その筆記ですね。捜査に関連することだけを書いてあるものですか、あるいは捜査関係のないことでも、まあ個人的にはいろいろな話もありますが、そういうことまで書かれておるものですか、どつちでしよう。
  131. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) ただいまのお尋ねにお答えいたしますが、もちろん前に申し上げましたように、捜査関係においていたしたわけでございますので、余事なことは大体聞いてもおらんようでございますし、取つておりません。
  132. 亀田得治

    亀田得治君 捜査以外のことは聞いておらないというのはどういう意味でしようか。山根自身は聞いておるかもしれんでしよう、その点。必ず聞いておらないということは、おらないようですがと今あなたおつしやつたがその点どうなんです。
  133. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。私は書面で出したのを見ましたり、口頭で言つたのを聞きましたのでございますが、その点は捜査のことでも聞いておりますので余事のことは聞いていませんから、聞いていないとお答えしたのであります。
  134. 亀田得治

    亀田得治君 あなたが山根警部補から聞いておらないと、そういう意味ならわかります。山根から聞いておらないと……。しかし山根自身は聞いておるかおらんかはわからんわけですね、あなたは。
  135. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。その点は今お尋ねの通りでございます。別なことは聞いておりませんので、何とも申し上げようがございません。
  136. 亀田得治

    亀田得治君 それでは次に移りますが、そこであなたはこの盗聴器は今問題になつておるのは、これはいつから警察のほうにおありになるのでしようか。いつごろから……。
  137. 神田亘

    参考人神田亘君) 私は昨年の九月に鳥取県へ赴任したのでありますが、それ以前からあるように聞いております。
  138. 亀田得治

    亀田得治君 それはもちろん当然なことですが、県の財産目録にはちやんと載つておるわけでしようね、その点どうですか。
  139. 神田亘

    参考人神田亘君) 県の備品として載つております。
  140. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、県の備品として何個載つておるわけでしようか。
  141. 神田亘

    参考人神田亘君) 一個でございます。
  142. 亀田得治

    亀田得治君 国警との関係を少しお聞きしたいのですが、この警察の装備に関しては、これは国警自身が全国的な問題について統制するといいますか、それに関する権限があるわけなんですが、こういう盗聴器を備えつけるようにといつたようなことは、何か国警自身からそういう勧告なり指示なり、そういつたようなものでもこれはあつて置いておられるものでしようか。
  143. 神田亘

    参考人神田亘君) 私がおります以前からありましたもので、県が自主的に買いましたのか、あるいはまた本庁のほうから配付をいただいたものか、その点ちよつと御答弁ができませんのでございます。
  144. 亀田得治

    亀田得治君 岸本さんは本部長よりも古いようですが、その点御存じないでしようか。
  145. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。ただいまのお尋ねでありますが、私も二十七年の初めに参りましたのですが、それ以前からあつたようでございまして、どこからもらつたか、または私のところで買つたか、それは究めておりません。
  146. 亀田得治

    亀田得治君 これはどこの製品だといつたようなことは、お調べになつてみたようなことございませんでしようか、本部長
  147. 神田亘

    参考人神田亘君) 私はあるということを知つておりましたが、実際に見たのはこの間抗議を受けて初めて見たような状況でありますので、どこの製品であるか、今まで調べたことございません。
  148. 亀田得治

    亀田得治君 では次に岸木課長に聞きますが、こういう次聴器の使用については何かこの使用規程ですね、口頭ではいろいろ注意もされておるかもしれませんが、何か書いたような内規のようなものはございますでしようか。
  149. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。さようなものは私は見たことはございません。ありません。
  150. 亀田得治

    亀田得治君 本件の盗聴器を山根が備えつけるときには、あなたがそういう状況なら備え付けよということを指示したわけですか。
  151. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お等えいたします。その通りでございます。
  152. 亀田得治

    亀田得治君 で、そのことを指示するときに、神田本部長にこういう状況ですから備えつけますよという連絡はしたでしようか、しなかつたでしようか。
  153. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。その点私から連絡をいたしてございません。
  154. 亀田得治

    亀田得治君 それから山根が現場で家を借りたりした諸般の行動ですね、そういうこまかい点についてはあなたは知つておるのか、知らんのか、そういう点は全然山根にまかしていたのかどうか、その点どうでしようか。
  155. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お等えいたします。個々の交渉その他については、山根君が当つたわけでございますが、大体前に、または事後といつたようなことで報告をもらつておりますから、その点はあるいは小さい問題で食い違いがございましても、大体は私がつかんでおります。
  156. 亀田得治

    亀田得治君 大体お聞きする予定のことは終りましたが、最後にあなたが午前中の報告の中で、共産党非合法組織云々ということが二回か三回か本部長または委員長から言葉が出ておるんですね。これはどういう意味なんでしようか。共産党組織といえども現在ではもちろんこれは合法政党なんです。でああいう言葉が単純に二回三回と、こういう公式の場所で出ると、少し腑に落ちない気がするんですが、そこをどういう考え方を持つておられるでしようか。委員長でも本部長でもよろしいです。
  157. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほど来二、三回申し上げたように記憶しておりますが、大体私のほうでは当然共産党は合法活動である、さように承知いたしております。しかしながら私が扱いました非合法云々ということは、非公然と同意義でありまして、共産党のほうでも大体慣用語として使われておるように考えております。厳密に申しますと、地下活動という意味でございます。
  158. 亀田得治

    亀田得治君 そういうのを非合法組織とか何とかいう表現はちよつとまずいと私思うのですが、これは社会党にしろ自由党にしろ、みんなほかの党なり一般の人に知らさないで、この部分は一つ活動しよう、そのことはみんな団体である以上あるわけなんですね。だからこれはむしろ団結の自由として団結権の範囲内の行動なんです。だからそれは共産党の場合だけ何かそういう地下活動というのは、まだ言葉としては一つの形容詞のような感じで必ずしも悪いとも言えないかもしれんけれども、形容詞の意味で……。しかし非合法といつた場合には、これはともかく法律上許されない団体という感じを与えますから、それは一つ注意してもらいたいと思います。  それからもう一つは、あなたのお出しになつた報告書を見ても、東京高等裁判所の決定、このことが非常に理論的な根拠として使われておるんです。しかしこれはいつも私ども問題になるわけなんですが、これもよく検討してもらいたい。これは公安委員長のほうにおいても、東京高裁の決定というのは、結局その行為が刑法百九十三条の職権濫用罪になるかどうか、そういうことに対する判断であつて、それがたまたま百九十三条の法律の要件を充たさないが故に、職権濫用罪にならないということになつたからといつて、それじやその盗聴器というものがそれによつて合法化されるのだと、逆にそういうことにはこれはなつて来ないわけなんですから、あの決定自身をよく検討してもらいたい。これは決定自身の中にもそういう意味のことは含まれておるわけなんです。だからこういう問題が起きたから、何か一つ都合のいい裁判所の決定等がないかと思つて、大いにお調べになる。何かあればそれに頼ると、そういうお気持は十分わかりますけれども、やはり事柄はそういう決定がどつかの裁判所にあつたかないかといつたようなこまかい問題じやないんで、基本的にはやはりこういう捜査方法というものが、基本的人権というものと衝突しないで一体使い得るかどうかという非常に重要な問題に直面しておるわけなんです。個人の秘密は聞かないで捜査に必要なことだけを聞くと言つたつて、そんなにうまいわけにいかんわけでしよう。聞いておれば当然個人の内緒の話、夫婦間の話、友人間の話、そういうものも当然これは入つて来るわけですよ、聞くなと言つたつて……。だからそういう問題であるわけですから、これは一つ十分この問題が起きたのを機会に鳥取県の警察としても検討してもらいたいことを一つ希望を申し上げて、これはまあ御答弁は要りませんが、私の質問はこの程度で一応終ります。
  159. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最初に公安委員長秋久参考人にお伺いいたしたいのでありますが、先ほど御説明下さいました中に、この今回のようなマイク使用に関連して児民に不安を与えたということは、民主警察の建前から好ましいことでなかつた、けれどもそのマイク使用については適法であつて、それは正しいというふうにお認めになつた。けれども結論としては、正しい使用ではあつたけれどもそうした不安を与えたということについては遺憾に感ずるというような御説明がございましたが、その点について重ねてお伺いするのは少し失礼でありますけれども、もう少し御説明を願いたいのですが、ただいま他の参考人の御説明をもお聞きになりまして、その上でお考えになりまして、現在このマイクの使用というものが妥当であつたというようにお考えになつておいででしようか、いかがでございましようか。
  160. 秋久勲

    参考人秋久勲君) お答えします。マイクの使用につきましては、先ほど来相当質問を受けてはつきりいたしたと思うんでございまするが、主権は国民に存して、その有する基本的人権は大いに尊重されますが、同時にこれが行使については国民は公共の福祉を維持するに必要な限度にとどめなければならないという観点から見ますと、今回の場合は司法警察職員が、しかも具体的な犯罪事実に対する捜査手段として容疑者を探知するために使つた。なお、マイクを取りつけたのは田中さんのうちで、同人の承諾を得ておる、捜査目的を達するに必要な範囲を越えない程度秘聴器を使つたものである。こういうふうに公安委員会は見ましたので、正当な警察の職務の執行であるというふうに結論づけたのでありますけれども、最初秘聴器警察が使わなかつた、後になつてから使つたと、そこに県民の誤解を受けてはいかん、あるいは受けたかもしれない。従いまして、公安委員会声明いたしまして以後は正当なる警察の職務執行であるが、国家的な事犯関係のあるような高度の場合でなくては使用すべきでない、こういうふうに考えております。
  161. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ただいま御説明下さいましたようなその公共の福祉というものから治安の維持と、あるいは犯罪捜査という面から適当に使用される場合もあり得ることを御説明いただいたのですが、本日あるいは昨日私どもが伺いましたところでは、第一に犯罪の容疑の対象としてそこにマイクを仕かけるということの根拠が果して十分だというように御覧になつておいででしようか、いかがでしようか。私どもの伺つたところでは、結果から見ましても、先ほど宮城委員のお言葉では、まあ大した結果も出ないということを、直接の責任者も否定されていないようですし、それから周囲の状況から考えましても、そこに疑うに足る十分の証拠があるというだけのお考えというものが、あるいは警備課長なり本部長たりの間で、そういう重大事件があるというふうに、二面ではおつしやるのですが、他面においてはそういう重大事件であるから貴重なる基本的人権というものの制限ということが行われる、それに足るだけの確証が、証拠があるかどうかという点についても、一向御連絡なり御相談というものもなかつたようにも伺うのです。それから第二には、その家をお借りになる場合、またマイクを設置なさる場合、第三者に対して強制的なあるいは迷惑がかかるようなことが全くないという御努力はなすつたようですが、しかし事実上においては、あるいは借りる目的については、その御本人が承知しておられなかつた、あるいは結果においては、その関係された方がその後非常な迷惑を受けられて、生活困難ということにも立ち至り、それに対して公安委員会のほうでも同情の意を表されておるようであります。それから第三には、そこに捜査の対象となるような確実な事実というものがあまり出て来ないで、それで個人の秘密、人間の尊厳というものはかなり侵害されたのではないかとも想像される事実もあるのですが、当時公安委員会として声明をなさいました当時のお気持は、今の御説明でよくわかつたのですが、現在、ただいま申し上げましたような、第一にはその基本的な人権の制限をせざるを得ないような確実な疑うに足る十分の証拠があるということであつたかどうか。それから第二には、それを強制的又は迷惑がかかるようなやり方でなくやられたかどうか。第三には重大な事実というものにおいて得たところと、それから人間の尊厳、個人の秘密というものにおいて失つたところとどつちが大きいかというふうな点について、私ども判断をします上に、参考人の御意見を重ねて伺えればはなはだ幸いです。
  162. 秋久勲

    参考人秋久勲君) お答えします。最初に申し上げましたように昨年の暮に手配を受けまして、手配以後の警察の行なつておる捜査状況につきましては、状況の進展の度合を公安委員会神田本部長から報告していただきましてこの春に至りまして、非常に重大な犯罪であるから、警備陣容を強化してぜひその成果を挙げるようにということを、委員会の場合に鳥取公安委員会神田本部長命令いたした事実もございます。マイクを取りつけた一カ月間と申しましても、それを使用した回数はごく少い。従いまして、これが本当に検挙されておれば文句はないのでございますが、その検挙に至らないというところに、結果的に論ずれば、検挙のできないものは使わないほうがよかつたという見方もございましようが、委員会は最初からの捜査状況を知つておりますので、警察のこういつたとるべき手段は、最悪の場合には止むを得まいという気持には現在も、声明当時、過去におきましても、変つておりません。
  163. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 もちろん最初に御説明下さいましたように、新しい民主警察考えなきやならないことは、第一には主権在民の国民の信頼ということ、で、その意味において今回の事件が遺憾と考えられるというほうのお考えも伺つたわけですが、それもその通りでございますね。
  164. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 主権在民、警察民主化のあり方という点におきましては、全く御異議がございません。
  165. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 次に、神田参考人質問を許されたいのでありますが、警察法、あるいはその後改正された警察法、それらを通じて民主警察のあり方として公安委員会はその警察の重大な使命を絶えず念頭に置かれ、しかも警察当局に対して十分の信頼をもつてその任務遂行を期待しておられることは、ただいま公安委員長からの御説明でも明らかでありますが、そこであなたに伺つておきたいのは、いろいろ詳くし繰り返したり、またはこまかい点にわたつてもう申し上げませんが、結論的に、今回の設置せられました理由、あるいはその設置の手続、それにはそれぞれ御主張のような点もあつたのですが、しかしそれだけの十分の根拠があつたかどうか。あるいはそれに伴うて強制的な点、あるいは迷惑をこうむつたというふうな点というものと勘案されまして、これは常に双方勘案して見なければならんことで、非常な重大な事件で、しかも確証があつたという場合には、基本的人権の制限ということも本当にやむを得ないという場合もあり得るということをよく私も了承しております。今回の件についてそれらの点をいろいろ質疑応答の結果をも御参考になりまして、結論的に今回のマイクの使用というものは妥当であつたというふうにお考えになるかどうか。
  166. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほど委員長から相当詳細に御説明申し上げましたが、私も警察の行いました今回の行為は正当である、さように確信を持つております。
  167. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それでは神田参考人に個々の点について伺いますが、第一にこのマイクというものを本人に知らせず、またそれを設置する場所の方にも、場合によつてはその目的はつきり申し上げないで、それで使用されるということは、基本的人権と重大な関係があるということをお認めになりますか、なりませんか。
  168. 神田亘

    参考人神田亘君) 私のほうで田中さんのお部屋を借ります際には、先ほど岸本課長が申し上げました通り調査目的のため、それから中村さんの場合にはヒロポン取締のためと、さように申し上げたのでありますが、やはり実際犯罪の件名を言いますことは、今後の捜査上に重大な支障を来たす、そういうような意味合から考えまして、やむを得なかつた考えております。従いまして基本的人権の侵害の問題については、私の考えでは、毛頭侵しておらない、さような確信を持つております。
  169. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 いや、私が伺いたいと思いましたのは、一般的にマイクの使用ということをあなたはどういうふうにお考えになつているかということなんです。一般的にマイクを使用するということが、基本的人権の侵害の危険があるというようにお考えになつているかどう
  170. 神田亘

    参考人神田亘君) この秘聴器を使いますのは、本件の場合から考えましても一般的な犯罪に私ども毛頭使うという考えは持つておりません。先ほど来申し上げました通り、非常に高度な犯罪で、しかもいろいろ捜査手段を使いましても目的が達し得ないというような、真にやむを得ざる方法として採用した場合には、お話のありましたような人権侵害の問題は起らないと思うのであります。
  171. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 私の質問の趣旨はどうも御了解になれないのでしようか、それとも御了解になつてお答えにならないのか。個人の秘密を聞くということですね、あるいは個人の秘密に触れるということをあなた自身がお考えになつて愉快なことですかどうですか。
  172. 神田亘

    参考人神田亘君) この使用に当りましては、捜査の事項に限定するように、そういう指示をしておるわけであります。しかし実際問題としては亀田委員からお話がありましたように、若干ほかの事項が入つて来ると思います。しかしながら私らが今回使いました場合には、いわゆる会合場所でございまして、さような私的な関係はあまり入つておりません。
  173. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どうも私の質問の趣旨が徹底しないのですが、このマイクの使用について何ら文書の上でも、或いは御方針の上でも、本部長として責任を持たれておる方が、そのマイクを使用せられるときの指示ですね、注意、それをなしたことはないのですか。
  174. 神田亘

    参考人神田亘君) マイクの使用につきましては私午前中申し上げましたように、今回の場合には全然知らなかつたわけであります。従いましてそのような指示をしておりません。
  175. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この主権在民あるいは民主警察、あるいは基本的人権ということを言葉の上でお認めになることと、それから具体的事実の上でそれを尊重せられるということは私はおのずから違つて来ると思うのです。どうぞその点で私ども、私自身法務委員の一人として念願するところは、やはり国民の信頼を受けるような民主警察の確立ということにあるのです。そのために障害になつていることはお互いに反省し、除去し、そうしてそういうことを根絶して行くということにあると思うのです。そういう趣旨から伺つておりますのですからどうぞ一つそういう大局的な点に立つてお答えを願いたい。区々たる点を伺つているのじやないのです。公安委員長に対しても、またあなたに対しましても、やはり民主警察のしかも自治体警察として公安委員長は最高の責任を負われ、そうしてその実際の上においてはあなたがその高い責任を負われるのですから、あなたの御態度がどうであるかということによつて、末端において、あるいは現場において基本的人権が尊重されるかされないかという重大な事実が生じて来るのです。そこでお答えを願いたいのですが、秘聴器の使用について今後もあることですが、今回の使用は十分慎重であつたというようにお考えでしようかどうでしようか。
  176. 神田亘

    参考人神田亘君) 今回の使用は十分考慮されましてなされたものであると思います。
  177. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうするといわゆるマイクの使用について、本部長として何ら指示したこともなく、従つてあなたの指示を受けないで、その使用の原則についての指示なくして使用されているということについて、何も問題ないというお考えですね。
  178. 神田亘

    参考人神田亘君) この七月一日からいわゆる府県警察になりまして、特に県の警察官に申しておりますことは、いわゆる民主警察に徹せよ、先ほど委員さんからもお話がありました通り、国民から愛される、私も同様な考えで、県民から愛され信頼される警察になれ、そういうことを常日ごろやかましく言うております。従いましてこの一般的な指示する中に、やはりマイクを使います際にも、岸本課長なりあるいはその他の人においても、十分考えられてやられたと、さように考えております。
  179. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それでは伺いますが、現在の状況において、あなたはあなたの指揮せられる鳥取警察本部が、県民の信頼を得ているという確信をお持ちですか。
  180. 神田亘

    参考人神田亘君) 私自身考えを申して恐縮なんでございますが、いわゆる良識を持つておられますところの県民の方は、やはり県の現在の警察を十分信頼しておられると、さように私考えております。
  181. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それでは今度は次に岸本参考人に伺いたい。公安委員長あるいは警察本部長のお考えは今お聞きの通りですが、あなたは直接にマイク使用ということに当られた方として、できれば結論的に伺つておきたいのですが、今回の使用というものは妥当であるか。今後も今回使つたようにして使うお気持ですか。
  182. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答え申し上げます。私といたしましてはけさほどから申し上げますように、いろいろ配慮してやつたつもりでおりますので、妥当であつたろうと思います。
  183. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これは本部長のほうにもう一遍重ねて伺いたいのですが、高度の犯罪とか、重大な犯罪とかということをおつしやいますが、責任ある本部長として、いわゆる一般の方々をおどかすような態度はもちろんおとりにならない。そこで基本的人権に関係あるような措置がとられるような場合には、そこに相当の証拠がなければならん。で、今回の事件についてそこに盗聴器を据えつけるだけの根拠としては、いかなる根拠があつたというふうに判断されますか。
  184. 神田亘

    参考人神田亘君) 本年の初めごろから、あんまさんの田中さんの家にしばしば会合があつた。しかも本年六月、七月ごろになりましてから、先ほども若干触れたと思いますが、県の地下組織の首脳部と思われる人が出入りしておると、そういうような私のほうで内偵をいたしまして、先ほど岸本課長から申し上げました通り、やはりその手配を受けております被疑者はどうしても地下組織の中をくぐつて来るのではなかろうか、そうしますと、地下組織の重要メンバーがそこに出入りしておるところには、相当事件つながりなりあるいは端緒を得るというような見通しがかなり濃厚であつたように思いまして、さような措置をしたわけであります。
  185. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 御説明が大へん矛盾しているのじやないかと思うのですが、あなたはこの竹内アパートにマイクが設置せられているということについて、マイク設置の前に御相談をお受げになつたことがないというふうに初めに言つておられますね。それでただいまの御説明では、マイク設置に十分の理由ありと考えて、その設置を適法だと判断するという御説明なんですが……
  186. 神田亘

    参考人神田亘君) それは、先ほど申し上げましたことは事実間違いございません。今申し上げましたことは、その後岸本課長から聞きましてそれでさような判断を持つたわけでございます。
  187. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 この基本的人権に触れるような捜査方法ですね。それについては、一般的な指示は、先ほど御説明にもありましたように、常日ごろ基本的人権を尊重するようにという御指示があつたように伺うのですが、特に基本的人権を侵すような危険があるような捜査方法ですね、それの適用についてはあなたは今後も別に一々相談は受けないでもよいというお考えでしようか。
  188. 神田亘

    参考人神田亘君) 今回の場合は別といたしまして、やはり相当基本的人権に関係がありますので、私ども今後の考え方といたしましては十分監督して参りたいとさように考えております。
  189. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 警察が民主警察でなくなつていわゆる秘密警察というものになるということは、お互いにあくまでも避けなければならんことだろうと思う、そこでこういう、問題になつておりますような事件捜査の場合に、事件の対象となるものとそれからならないものとの限界がなかなか困難であることはお認めになりますね。具体的に申し上げれば、捜査されようとしておることとそれから個人の秘密などとを同じマイクで聞く場合に、個人の秘密になれば聞く方の耳が自然に聞えなくなるというわけには行きませんから、それも耳に入つて来ますね。で、これは個人の秘密になつたからすぐ聞くのをやめる、盗聴器をすぐ耳から離すというようにされているということもあるかもしれませんが、それもなかなか困難でしよう。それからまたその個人の秘密の中にその捜査の対象となるようなものが出て来るかもわからないというので、今のような複雑な、どういう事件か知りませんが、複雑な事件であるとすれば、その限界がなかなか困難であるということは問題としてお考えにもちろんなつてることだと思うのです。それにつきまして私どもは前に国会に破壊活動防止法案が審議せられました当時に、政府なりあるいはこういう問題についての責任者なりの意見を伺つたことがありますが、そのときの政府なり、そういう関係について相当尊重せらるべき意見を述べられる立場にある方々の御意見として次のような意見が大体確定的に述べられていたと思うんです。それについてあなたの御意見を伺いたいと思う。いわゆる非合法の……、合法でない関係の活動というものの捜査のために、合法の関係に立入ることは許されぬ。これは具体的の例を申し上げると組合の内部にフラクがある、そのフラクが非合法の関係にあるのじやないかという疑いがある。しかしながらその非合法の疑いのあるフラクをいじくるために、それを捜査の対象としていろいろいじくるために合法の組合活動を破壊するということは許されないという見解が当時政府なり、あるいは法刊局なりの見解としてもお答えになつていたんですが、あなたのお考えはどうなんですか。
  190. 神田亘

    参考人神田亘君) ちよつと質問関係が私了解できなかつたんですが……。
  191. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 じやもう一遍申し上げてもいいんですが、ここで問題になるのは、それは公安委員長もあなたを信頼され、あなたも十分責任の重大をお感じになつておつしやつておられる、捜査の必要があるというようにお考えになつている。その捜査の必要があるとお考えになる対象の捜査をやつているうちに、それとは関係のない……まあ一番端的な例ですと、個人の秘密に入つて行つてしまうということですね、そういうことが許されることでしようか、許されないことでしようか、あなたはどうお考えになつているか。
  192. 神田亘

    参考人神田亘君) 私のほうではこの活動をやつておりまして、そのような個人の秘密を積極的に聞くというような意思は毛頭持つておりません。
  193. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 羽仁委員ちよつと委員長から申し上げたいのですが、なるべく参考人ですから事実関係解明意見を求めていただきたいので、一般的な意見は国警長官なりに質していだきたい。
  194. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これは一つ一つの事実を伺うとあまり長くなるものだから、一般的な方針を、どうしていらつしやるか…
  195. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 従つて方針やなんかは明後日国警長官にもお聞きすることになつておりますから、一地方の本部長でありますから……。
  196. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 よく了承しました。それで私はなるべく……国警ということもありますけれども、現在の県警察というものはやはり地方自治体警察として成長して行かれることを期待するものですから、公安委員長なりあるいは本部長なりの御意見が、実際具体的の場合についてどういうふうになすつていらつしやるのかを伺つておきたいと思つてつているわけなんです。じや具体的の事実の上に今度限つてつて行きたいと思いますが、直接にお扱いになつた山根さんがおいでにならないために私どもの伺いたいと思うことでも山根さんでなければわからんことが随分ございます。これは質疑応答の際にも御推察下すつたことだと思うんですが、そこでこれは本部長として神田参考人のただいまのお考えでは、こういうようないろいろなこまかい事実について、たとえばその家を借りた、あるいはマイクを設置した、その場合にどういうふうに……、本当に強制的なことがなく、そうしてまた迷惑をかけないで借りられたものであろうかどうであろうかというようなことについても、やはり山根さんがお出にならないとよくわからない。それからまた捜査の限界にとどまられていて、個人の秘密などにわたられたことがなかつたかどうかという点についてもよくわかりませんし、それからまたマイクを使用する際に、その使用をする十分な理由があつたかどうかということも、細部の点は山根さんに伺わなければわからん点もあるわけです。そこで伺いたいのですが、問題は、要するに民主警察の確立、国民の信頼を受けるような警察の確立ということについて、国会がそういう使命を持つて調査を進めて行く上に、今回山根さんのお出にならなかつたことが、あなたのお考えじややはり山根さんに出ていただいたほうがいいのじやないか。それで先ほどの御説明では、今ヒロポンですか、覚せい剤ですか、そういうことの捜査をなすつている。しかし問題は、ヒロポンを捜査されるにせよ、何にせよ、県の警察県民の十分な信頼を受けておられないならば、なかなかそつちの捜査も、そつちの任務の遂行も困難ではないかと思う。そういう意味で、県民の疑惑を一掃されるということもなかなかこれは大切なことではないかと思うのです。近い将来に、この委員会で御本人にお出を願うというような場合に協力されるという御意思はおありでしようかどうでしようか。
  197. 神田亘

    参考人神田亘君) お答えいたします。先ほど来申し上げましたが、現在ヒロポンの取締につきましては、先般申し上げましたように、中心人物に近い者を現在検挙しております。これが大体京阪神につながつておりますので、その方面の捜査を現在やらしているような状況であります。警察といたしましても、やはりこのヒロポンは青少年の心身を虫ばむというようなことで、非常に世人の関心を集めておりますので、力を入れているようなわけでございます。今回のヒロポンの取締も、やはり非常に県民から、警察はよくやつたというような声援も受けているような次第でございまして、大体事件の見通しがつけば、こちらのほうに私は出してもかまわないというような気持は持つております。
  198. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これは公安委員長に伺いたいと思うのですが、昨日関係の方々からいろいろ伺いましたところでは、今回のマイク設置に関して関係された方が非常な御迷惑を受けておられるような事実を伺つたのですが、そうしてことにあんま業をなすつている方の、あるいはそのかたの奥さん、あるいはその他の方々についても、そういうような事実を述べられたのでありますが、委員長のはうでは、そういうような事実をお認めになつているのでしようか、いかがでしようか。
  199. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 直接の被害者でありますところの田中さんと中村さんは、亀田委員調査にお出になりましたときに、民主団体の方と、そうして田中さんとお出になつたのでございまして、そのときに田中さんは非常に今回の問題で生活権がおびやかされておる、非常にお客が減つてつておる、何とかならんものだろうかというような御相談も受けますし、民主団体からも、そういう被害者が出たんだ、何とか一つこれを公安委員会はやらなければいかんじやないかと、ずいぶん御抗議を受けましたのでありますが、その後田中さんの家と山根さんの家に秘聴器を取りつけた状況なり、生活されておる状態がどうだろうかというのでお見舞かたがた参つたのでございますが、そのときはちようどお客さんも田中さんの家に見えておりました。現在ではお客が元通りになつていないということをお聞きいたしまして、本当にお困りになつておる、確かに被害をこうむられたことが事実であろうと私は考えたのであります。中村さんのほうはこれは会社にお勤めでありまして、別に俸給が減つたわけでもないし、待遇がどうこう悪くなつたわけではないので、経済的な被害はありません、精神的には非常に打撃を受けた、こういうことをおつしやつておりまして、現在のところでは公安委員会なり警察がそういつた犠牲者に対して具体的に一つの援助を申し上げるということに至りませんので、私は公安委員長といたしまして誠にお気の毒だという意味からあんまさんに五千円お見舞いとして私の金でお見舞いした。そうして中村さんのほうはそういつた経済的な被害はございませんから、どうぞ一つ御安心して下さいというようなことと、御本人からもそういう抗議も受けていませんので、「光」をおみやげに一箱出したという程度でざいまして、こういつた協力者が被害をこうむるということは、非常に警察の行動をなす上からおきましても、民主警察を育成して行く面からおきましてもあまり芳ばしくない、何とか生活に楽をさせるように御協力できることがあればしなければいかない、こういうふうに私は存じております。
  200. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 公安委員長の御説明で私も了承したのでありますが、昨日いろいろ伺いますと、どうも按摩さんの奥さんの方もここで落涙して現在の苦しい状態を訪えておられたりいたしました。それから他の方々もマイクをそこで使うんだということを、さつきもこれは他の委員からもお述べになりましたが、そういうことを承知しないで貸した。その意味でこれはそのマイクを使うということを言うことができないという理由もおありになつたのでしようが、しかしお貸しになるほうではそういうことを承知しないで貸したということで、自由な意思に基いてお貸しになつたのではなかつたというような事実も述べられておるのであります。それらの事実がどの程度のことであるかというようなことはまだ確定いたしませんにしましても、今御説明がありましたように、端的に申せば、その家にマイクがくつつけられておるような所に人が寄りつかないということは、これはわれわれの常識から言つても当然のことでありますし、よほどの必要があれば、そういうこともお認めになるかもしれませんが、しかしそのために人が寄りつかない、また暗い感じもする、またいろいろ生活面でも困難な状況に陥いられるというようなことがあることはお認めになり、従つて今回の場合についても十分の同情をお感じになり、また今後についてもそういうようなことが繰り返されないことを御希望になつている点を了承したのであります。私はなお、実は犯罪捜査ということに名をかりて、それでこの基本的人権が侵されるということは実におそろしいことで、そういう御意思は本部長としての神田さんなり、あるいは当時の警備課長としての岸本さんなりが全然お持ちにならないということは十分了解するのですが、その限界がはつきりしていませんと、善意にもかかわらずそういうおそるべき事態が発生し、そうして秘密警察というようなそしりを受けることにもなるのです。その点について、この事実に限つてつて行きたいのですが、共産党であれ何であれ、相手が非合法あるいは秘密の活動をして行くということにつれられて、警察がやはり非合法なり秘密なりの活動をなさるということになると、どうしても警察が秘密警察になるおそれがあると思う。で、今回の場合にも幾分そういうふうな事実があつたようですし、なかなかわかりにくいから、それで万やむを得ずマイクを使つたというようになつて来るわけです。そうするとマイクの使用についていろいろな人が不安を感ずる。いわゆる秘密警察的なおそれを抱くということなんですが、その事実は今のような事実ですけれども、これはよほどデリケートな関係ですが、先ほどのお答えでは、今回のように使つたことは決して違法だとは考えておらないということだつたのですが、本部長のお考えでは今後もやつぱり今回のような使用があなたの責任において行われるようなおつもりなんですか。
  201. 神田亘

    参考人神田亘君) 将来の問題は、また具体的な問題が発生しないとお答えができないと思います。
  202. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最後岸本さんに伺つておきますが、このマイクを使用するについての十分な理由があつたかどうかということは、直接には山根さんが判断なさつてあなたに御相談になつたわけなんでしようか。
  203. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。ただいまの御質問でございますが、決してそれは山根君が言つたからそれによつてそれだけに基いて私はこの問題を判断をいたしておりません。昨年の暮並びに今年の春以来山根君だけでございませんで、その他の者をしていろいろ各種の調査をして、これならという私は確信を持つていたしたつもりでおります。
  204. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうすると、この竹内アパートに捜査の対象となるような事実があると、それを疑うに足る十分な根拠があつたというお見込みつたのですね。
  205. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) そうです。
  206. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 しかしその後結果としては、マイクを使用されて捜査された結果としては、そういうことはなかつたというふうにさつきお答えになつたようですが、その点に一つ最後に伺つておきたいことがあるのですが、これはまあ常識的のことになつておそれ入るんですが、いわゆる主観的な疑いですね、主観的に疑えば、それはどんな疑いでも、どうもあそこはくさいというふうに思つて、主観的に見て行くと、いろいろ疑わしいことがある。しかし客観的にはそういう疑うに足る理由がそこにあるかどうかということは疑問だと思うのです。その点について今回のマイクの使用というものに決して主観的な疑いというものについて使用したのじやない、客観的な理由、証拠があつて使用したのたと言い切れないところがあるのじやないでしようか、率直におつしやつて下さい。
  207. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) お答えいたします。ただいま羽仁委員からおつしやつた問題でありますが、これはけさからたびたび申し上げておりますように、この問題が今御追及なさるように、人権の問題とも関連があるということについて御心配でありますが、これは私も百も承知していることであります。そこで客観的、具体的にいろいろに積み重ねた資料をもつてこれならという考えでやつたわけであります。
  208. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その基本的人権といつて、まあお言葉ですけれども、百も承知しているということはなかなか乱暴なお言葉で……。
  209. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) いやどうも失礼いたしました。お許しいただきます。
  210. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 われわれそういうことを伺つてさびしい気がするのです。私は国会議員として、国民の基本的人権を護るために、微力はなはだ国民に対して負託に沿い得ていないと思つているのですが、百も承知しておられるということは……。
  211. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) いやどうもそれは……
  212. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最後に、これは本部長に繰り返して伺うので、はなはだ失礼なんですが、この犯罪捜査ということの、一般的な犯罪捜査の必要があつて、一般的なということになつて来ますと、ずいぶん至るところにマイクが設置されなければならんということになるのじやないかと思う。で、それが具体的にこの場所にこの必要によつて設置するということになるについて、犯罪捜査の必要があるからというふうにお考えになつていることだと思うのですが、今回の場合ですね、その一般的な御説明のほうが多くて、この場所についてのそのマイク設置の御説明が、これは捜査中であるということもあるいは関係しましようが、この程度の御説明ではなかなかその不安が解消されるということはむずかしくはないかと思うのですが、あなたのお考えではどうでしよう、あなた御自身の、人の身にもなつてみて、この程度の疑いでマイクが設置せられるということになると、県民はやはり不安を感じやしないかと思うのですが、どうですか。
  213. 神田亘

    参考人神田亘君) 先ほど来から申し上げております通り、今回のマイクを設置いたしましたのは、本件警察ができましてから初めて設置したようなわけであります。それほど事件も重大でありますし、先ほど岸本課長が言いました通り、客観的な情勢もある、そういうことでやりましたので、あまり県民のほうでは、それがしよつ中使われるということで心配しておらないと思います。
  214. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 もう一点お聞きしておきたいと思います。これも山根さんがいないとわからないので、本当に困るのですが、昨日伺つたところでは、これは岸本さんに伺つておくべきなんでしようか……、この山根さんが中村さんのところへおいでになつて、この部屋を借り受ける交渉をなさつたときに、元警察の者だと、現在は警察関係はあるけれども、元警察の者だというふうにおつしやつたというふうに伺つたのですが、岸木さんはこれは直接の方でないので、あなたに伺うのは無理なのですが、何かその点についてお聞きになつていますか。
  215. 岸本虎二

    参考人岸本虎二君) 羽仁さんにお答えいたします。今の問題、私は元警察の者であつたというようなことは聞いておりません。やはり本人が、名前は向うにもわかるようなことで話をしたように聞いております。
  216. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) なお委員長から羽仁さんに申し上げますが、あなたのおつしやつたことは、あとで訂正しておられましてね、それは警察関係のある人だと、こういうふうに訂正しておりますから、速記録を御覧になれば……。
  217. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうですが、ああなるほど……。これは公安委員長最後に何つておきたいのですが、昨日いろいろ伺いました際に、この問題を心配されて、いろいろ尽力をなすつておられます日本農民組合鳥取県連合会の書記長の竹本さん、竹本さんのお話の中に、竹本さんのところに数通、一言で申せば脅迫状が参つておる。その中にはその共産党の地下幹部の捜査というようなことを妨害するということはけしからん、あるいは、日鳥警部補関係被疑者捜査を妨害するようなことはけしからんと、まあ腹を切つて死んでしまえというようなことが書いてあつたというのですが、その中に用いられている言葉から、まあ世間普通盗聴器というのを秘聴器というふうに書かれているというようなことがいろいろ述べられておる。ことによるとこれは警察関係のほうからそういうふうなものが来たのじやないかと思うがというような心配もなすつていたと思うのですが、この点については公安委員会ではそういう事実を御承知でございましようか。それをどんなふうにお考えになつておりますか。
  218. 秋久勲

    参考人秋久勲君) 岸本課長は北海道に転勤しますし、神田本部長本部長会議で東京に参つておりますときに竹本氏がやつて来まして、そういつた抗議を受けた。最後に帰るときであつたと思いますが、脅迫状を何通ももらつておるんだが、非常にこれは右翼かあるいは警察の者ではないかと思うと、けしからんというようなことを話しまして、直接捜査をしてくれというようなことは聞いてはいませんし、手紙も見せてはいただいておりませんが、こういつたこの秘聴器を使つて相当問題を起しておるやさきにこういつた脅迫状なんというようなことは、これは放つて置かれない問題だというふうに私は解しまして、本部長が帰りますと、すぐにこれは内容を新聞でも、その脅迫状の内容は新聞でも掲載いたしておりましたから、万一こういうことが本当にあつたら大へんだということを神田部長が帰ると私はすぐに話をしまして、何か一つ捜査を始める必要があるぞということを私は本部長には特にそういう工合に話しておる次第であります。……捜査のほうは何かありますか。
  219. 神田亘

    参考人神田亘君) 大体御承知だろうと思いますが、私のほうで現在捜査をやらせております。しかしこれは匿名の投書でございますし、なかなか投書の捜査というのはほかの場合でもそうでございますが、非常にむずかしいのでございます。で今困難を来しておりますが、何とかして解決したいという考えは持つております。
  220. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 公安委員長のこの問題についてのお考えはよくわかりましたが、でこういう基本的人権を守ろうと思う人に対して脅迫状が出るというようなことでは、実際憲法に対してもまあ相済まないことでありますし、その点について重大問題だ、大へんなことだということでしたが、その点については本部長として、神田本部長も同じ意見でございますね。
  221. 神田亘

    参考人神田亘君) はい。
  222. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではこれをもつて本日の法務委員会は閉じたいと思いますが、なお、閉ずるに当りまして委員長から一言参考人の方に申し上げたいと思いますが、大へんお忙がしい、かつまた、遠方のところをお出で下さいまして、しかも長時間にわたつていろいろ御陳述をいただきまして厚くお礼を申し上げます。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。    午後三時二十五分散会