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政府委員(
三浦寅之助君)
民事訴訟用印紙法等の一部を
改正する
法律案について、提案の
理由を
説明いたします。
民事訴訟用印紙法は、
昭和二十三年七月に
改正が行われたまま爾来五年半の間重要な
改正を経ることなく今日に及んでおります。御
承知の
通り、その間の物価の上昇はなお著しいものがありまして、これを東京小売物価指数によ
つて見ますに、本年一月の指数は
昭和二十三年の
改正案を立案いたしました当時と比較しまして約三倍、同じく卸売物価指数によりますと約四倍とな
つております。これに前回の
改正が当時の物価
事情の下におきましても極めて控え目であ
つたこと等の
関係も加わりまして、現行の印紙額の算定基準は現下の物価
事情に照して
余りに小刻みに過ぎる嫌いがあり、又印紙の額も
余りに低廉であ
つて、現下の物価
事情に適しないものがあります。この
法律案は、以上のような見地から、現在の経済
事情の実際に即するように現行の印紙額の算定基準及び印紙の額に適当な
改正を加えることを目的とするものであります。
以下民事訴訟用印紙法の
改正の要点を申上げますと、第一は、訴状に貼用すべき印紙の額は訴額に応じて定めることとな
つておるのでありますが、現在その基準となるべき訴額が
余りに少額を以て区分されており、これがため現下の経済
事情に副わない憾みがありますので、訴額五百円まで、二千円まで、五千円までという三段階を廃し、訴額一万円までの訴訟につきましては印紙の額は一律に百円とし、又訴額が一万円を超えるものにつきましても、現行法が超過額千円ごとに一定額を加算することとしているのを改め、一万円ごとに一定額を加算することとしたことであります。
第二は、非財産権上の請求にかかる訴状に貼用すべき印紙の額につきまして、物価の上昇率等を考慮して、現行法が訴額を三万一千円とみなして定めることとしておりますのを、訴額を五万円とみなして定めることに改めたことであります。
第三は、現行法は期日指定等の申立、その他申出、申請につきまして、訴額又は請求額五千円を限界として貼用印紙額に差等を設けておりますが、先に提案いたしました
裁判所法の一部
改正案の
趣旨を考慮に入れてこの限界額を二十万円に引上げることとし、又印紙の額につきましても、物価の上昇率、右の限界額の大巾引上げ及び十円未満の端数の
整理等を考慮して三倍から六倍
程度に増額することとしたことであります。
なお、この
法律案におきましては、民事訴訟用印紙法の
改正に伴いまして、これと同様の
趣旨の下に商事非訟
事件印紙法及び民事調停法につきましても所要の
改正を加えることといたしました。
以上がこの
法律案を提出いたしました
理由であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申上げます。