運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-03-29 第19回国会 参議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十九日(月曜日)    午後一時五十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            上原 正吉君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            青木 一男君            小野 義夫君            楠見 義男君            三橋八次郎君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   政府委員    法務政務次官  三浦寅之助君    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省民事局長 村上 朝一君    法務省保護局長 斎藤 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局総務課長)  磯崎 良誉君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件裁判所職員定員法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○民事訴訟用印紙法等の一部を改正す  る法律案内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今より本日の委員会を開会いたします。  先ず裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本法律案につきましては、一方行政機関職員定員法の一部を改正する法律案が現に衆議院において審議いたされておる模様でありまするが、この法律は二十九年四月一日から施行することに相成つておる点、及び附則四項におきまして行政機関職員定員法の一部を改正する法律案附則の若干の規定を準用することに相成つておりますが、本院におきまして本法律案行政機関職員定員法の一部を改正する法律に先んじて議決をいたしますことについて、政府側において支障の点等あるようにお考えになりますか、その点についてお伺いいたします。
  3. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 法案内容といたしましては、行政機関職員定員法改正と必ずしも同時に出なければならない、それと関連させなければいけないということは言えないかと思いますが、この附則の第四項で行政機関職員定員法改正法案規定を準用いたしておりますので、若し向うのほうで修正というふうなことがありますれば、直接こちらに響いて来る可能性があるわけです。それから法律の番号なんかも今空白になつておりますので、こちらが先に公布するということになると、非常に変な感じになると思いますので、やはり向うのほうと睨み合せて、その点の見込みがついたときにこちらでも議決して頂いたほうが適当でないかと思います。
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  5. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。  御質疑おありのかたは御質疑を願います。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 本案の提案理由説明書によつても書かれておるわけでありますが、私お尋ねしたいことは一般行政官庁整理をやる、その釣合い上裁判所職員関係もやらなければならん、こういうことでこれは出て来ておるようにも実際は感ずるのですが、その間の事情は如何でしようか。
  7. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 立案の経過といたしましては、おつしやるように行政機関のほうで政府の方針として定員整理をするということになつたについて、裁判所のほうも同様に考慮したということから、裁判所職員定員の減少のことが始まつたのでありますが、もとよりただおつき合で何でもかんでも理由なくやるということは、これは意味がない。裁判所職員といたしましても、地方行政事務整理簡素化能率化等によつてこの程度整理余地があるということで、改正案を立案いたしたのであります。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 私がお聞きしたかつた点は、一般行政事務と少し違つたやはり性格もありますので、他方が縮減するからこちらも縮減する、おつき合、こういうことは筋としてはやはり通らないと思います。そういう立場から聞いたのですが、そこでもう少しお聞きしたいのですが、昨年の十月二十二日の参議院の内閣委員会行政整理関係の小委員会のときの発言のはずですが、その小委員会塚田行政管理庁長官一般行政整理はやる、併し天引整理はやらないのだ、現在要らないようになつておる法令改廃とか、或いは不適当と思われる機構整備、そういうようなことをやつて、或いは又それをやることが実際に時間的に間に合わない場合でも、そのようなことを念頭に置いて断行する、こういうふうに言われておる。それは当然のことだと思うのですが、それに準じてともかく裁判所職員関係も手を着けられたというのであれば、こちらのほうにおいても当然そういうことが基本的に立案されなければいかんと思うのですね。その間の事情一つお聞きしたい。裁判所職員に関してどのような機構の上の関係整備をするとか或いは法令改廃等を予想しておるのか、こういう点を御説明願いたい。
  9. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 今度の整理の内訳はお配りいたしました資料の二に出ておりますが、一番主なるものは検察審査会の百二十二名、それから地方裁判所雇員給仕等が百四十七名で、あとはいずれも雇員給仕等全国を通じまして二十数名、乃至五十六名和度に過ぎない、いずれも数としては総数に比べて非常に少いわけです。事務能率化簡素化ということは賄い得るというふうに考えておるのであります。ただ、今裁判所のほうでは訟廷課というふうな部局がありますが、こういうふうなものの改廃等について考慮をいたしておるのでありますが、検審審査会のことについてもこれは検察審査会法改廃等について検討いたしております。併しながらこれはいずれも必然的にこの整理がどうしても必要だということはないのでありまして、この程度整理事務能率化ということで賄い得るというように考えておるのであります。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 地裁の場合においては雇員とか給仕等のもの、こういうふうな内容のようですから、或いはそういう簡素化というふうなことで処理ができるかも知れないと思うのですが、検察審査会のほうは必ずしもそうじやないようです。そうしますと、今もお話がありましたように検察審査会そのものを一体どのようにするのか。本格的には勿論この整理に関連して機構に手をつけるということも必要じやないかもわからんが、とにかくこれだけの人数を減すわけですから、相当大きなこれはこの部門にとつては影響がある問題だと思う。で、これはどういうふうに審査会そのもの方向付けて行こうとされておるのか、そういう点のおおよそのところを一つ御発表願いたいと思うのです。
  11. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 検察審査会につきましては、勿論その制度目的等は非常に重要な、好ましい民主的な方向制度でありますので、これを維持して行くということには変りはないのであります。ただ現在、今全国で二百二カ所でありますかの審査会が置かれておるのでありまして、場所によりましては御承知のように、年に一回もその会が開かれないという所があるわけであります。又あつても極く一回か二回しか開かれなかつたというふうな審査会も相当あるわけでありまして、こういうふうな点ではなお整理余地があるのではなかろうかというふうにも見えますので、その点について検討中であります。  それからなおこの審査会委員審査員の人選の点についても、これは前からいろいろ問題もありますので、知何にすればより適当な機能、より能率的な機能が発揮できる体というふうな点について検討中であります。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 何か今申されたような立場で、審査会法改正というふうな点はお考えになつておるのでしようか。
  13. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 今申上げましたような点について、裁判所法務省間で検討中であります。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 それはどういうような点が問題の中心でございましようか。
  15. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 従前、もう少し検察審査会委員審査員の能力といいますか素養といいますか、そういうものを高めるような方向について検討したほうがいいじやないかというふうな意見が、当委員会あたりでも相当強くおありのようであつた考えております。そういうふうな事柄中心にいたしまして、検察審査会制度より能率的にする方向について検討中であります。と同時に余りに分散しておつて、そうして仕事がなくて、ただ機構を維持して行くというふうなことでは、国家的にも不経済ではないかというふうな観点もありまして、そういうふうな点についても検討中であります。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 私がこの審査会に関して考えておる点は、これは非常にいい制度なんですが、いい制度であるし、又こういう制度が活動すべき問題も相当あると思うのです。ただ何といいますか、あるのですが、実際問題としてはなかなか活用されておらない点があるので、私その点が一番実は問題じやないかと思つております。もつと心やすく活動できるように、折角作つた制度ですから、心やすく利用できるように一般にもつと知らせて行くとか、こういう制度があるとか、そういうことがよくなされれば、あそこに持つて行くと非常に助かるということで、非常に発展して行くと思うのです。そういうことがない状態で、どうも暇だからこれを三十人を削る、事務官級の人を削るわけですから、実際の仕事中心にある人を削るわけですね。そうすると私一層ちぢかんで行くのではないか、こういう気がするのです。勿論その場合においても、今まで二百何カ所にずつと人を配置しておつた、どうも分散的だからここは思い切つてやめる。その代りこの場所は思い切つて、適当なところだからうんと殖やす、そういう積極的な立場でこの処理ができるようなものが背後にあつて、そしてなお且つそれでも三十人はまあいろんな財政上のことも考慮してやめようということなれば、幾らか納得行くのですが、恐らくそういう案もできておらない、おらないままでともかく三十くらい減して行くのであれば、これでは審査会そのものが作られた立法趣旨に私反すると思うのです。こういうことは……この点の説明を、もう少し納得の行くような御説明を欲しいと思います。
  17. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 裁判所のほうでは、どの部分をどういう個所整理するかというような点は、これは具体的に一々研究されたようであります。ただ単に漠然とこの程度だということでは必ずしもないようであります。実は政府の内部でもいろいろうんと縮減せよという意見も一部にはあつたのであります。やはりそういうことでもあるまいということで、いろいろ検討中でありますが、二百幾つの中で、或る程度の数は、これはむしろ縮減したほうがいいというふうな見方も相当無理なく考えられるのではないかというふうに考えております。  それから普及宣伝のことですが、これはこの前もここでお叱りを受けたのでありますが、費用の点なんかで十分でなかつた。勿論費用だけにその責を着せるわけに行きませんが、十分に行われたということは言い得ないかと思いますが、裁判所のほうでも今後なおその方面に力を入れてもらうようにということを考えております。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 これは次回でもよろしいのですが、昨年或いはここ二、三年のものでもいいですが、検察審査会取扱つた件数ですね、何かもらつておりますか。
  19. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 差上げておりませんがございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 それと今度のどの場所でどれだけを減らすということを裁判所検討しておるというのですから、その三十人を減らす場所ですね、それを一つ明らかにして欲しいと思います。それは案でいいのですから……。できますね。
  21. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 承知しました。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 それから今度の人員整理の中には、いつも私言うのですが人権擁護局も入つているわけですね、この数の中に……。
  23. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) いやあれは別です。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 それでは現在二百三カ所ありますね、その中で全然廃止してしまうのはどれくらいあるのですか。
  25. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) まだ具体的にこの個所を廃止するというところまでは決定いたしておりません。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 私は逆に、こういう検察審査会というのは減らすどころじやなしに、もつとやはり立法本来の趣旨から考えて欲しかつたと思つているのです。恐らく暇かも知れませんけれども、暇だということを四、五年の経験だけで結論付けてしまうことは実に心外なんです。ここの部内だけでこんなにたくさん人数を取つてしまう。そうしてほかの方面給仕雇員、こういう方だけに対象にしておる。ちよつと納得が行かないように思うのです。それでお聞きするのですが、そういう事務官とかいうような級の人を全然整理する余地はないのですか、それはどういうお考えですか。
  27. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 御承知のように、裁判所裁判官以外の職員といたしましては、裁判に直接関係いたします書記官とか書記官補或いは調査官というようなものがおりますが、これは非常に事件も輻湊しておりますので、こちらのほうへその整理を振り向けるということは無理であります。あと司法行政事務に携わつておる事務官系統に結局対象がかけられることになりますが、その中ではやはりすでに今までも整理もございまして、削減すべきところは削減されておりますが、現在の状態ではやはりこの検察審査会のほうが今申しました事件関係等から見まして、一番削減可能性があるというふうな考えに基くのであります。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 これは幾らか将来の問題にもなりますが、検察審査会以外の裁判事務関係司法行政事務関係ですね、そういう方面事務官級の人はこれを減らしたのでは絶対無理だ、私も相当事務量が多いと思つているのですが、その点ははつきりしておりますか。というのは将来こういう問題が出て来た場合に、ともかく法務当局としては、この検察審査会以外は絶対そんなことはできない、そういう確信を持つておられますか。
  29. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 現在の段階では検察審査会削減の分は負担の関係から言つてより適当であろうというふうに考えておるのであります。ほかの関係が、この事情が変りましたとすれば、これは将来は検察審査会を増強してほかの事務のほうをより手薄にするという余地が出て来るということも十分考えられますが、現在のところではこういうふうな割当を内部的に考えたという次第であります。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 どうも話を聞いておりますと、結局は一般裁判事務司法行政事務、これは相当事務量が多いし、手を付けたのでは、実際問題として明日の仕事に差支えて来る、こういうところから来ておると思う。だからそれならそれでその点を私ども一つはつきりやはり断言してもらいたいのです。というのは、はつきりしておきませんと、又来年になつて少し減らしてくれ、こういう又要求が出て来るかも知らん。それはそのときの話だと言われるかも知らんが、どうもそれでは納得が行かないのです。来年になつて縮減できるものであれば、現在だつて縮減できるはずなんです。そういう方面では……。だからできないなら絶対できない、事務量から言つて……。そういう点をはつきりしておきませんと、いろんな一般行政官庁の煽りを食つて、やはり同じような率で君のほうも考慮してもらいたい、こういうことではどうもいかんと思いますね。私どもは見通しとしては司法事務が決してそんなに少くなるとは思つていないのです。人間がだんだん殖えるのだし、これは幾らかは必ず殖えて行くものだと思つておるのです。来年又少くしてくれというと、逆になります。だから検察審査会の設立の趣旨もわかるが、とにかく一般裁判行政事務のほうは絶対手をつけない、だからそつちへ行つたのだ。そういうことを、そういう立場をとつておられるなら、もう少し明確にして欲しいと思う。
  31. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) これは或いは裁判所のほうから答えて頂くほうが適当かとも思いますが、御承知のように司法行政事務というものは現在非常に多忙ではありますが、例えばそのうちで一%なら一%削減余地がこれ以上絶対にないかと申しますと、やはり仕事を繰延べれば、そうやる余地はあり得る。仮に能率の強化の余地がないにしても、事実ただ仕事が余計かかる、時間が余計かかるというふうなことになると……、併しながら不可能じやないということは、屁理屈のようでありますがあり得るのでありまして、それでも止むを得ないということであれば、又削減ということもこれは絶対に不可能とは言い得ないかとも思うのです。併しながら現在の人員でなお削減余地がある、ここまでは十分あるのだ、何もそれほど機能をあれしないでやり得るのだということは勿論考えておらないのであります。若しそういう余地があれば、裁判事務のほうへでももつと振り向けるということができるわけですから、その程度考えを持つております。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 まあ最初より大分はつきりしましたが、いつも行政関係のいろいろな機構の問題が出ますと、司法関係も出て来るのです。これは事柄が、相当私はやはり仕事性質が違いますから、この点はやはりそういう行政機構改革一般的に取扱われる方面に対して、やはり絶えず啓蒙と忠告を与えて欲しいと思うのですね。これはもう誰でも常識的に言えることは、一般行政官吏であれば、まあ或る程度無理したり、或いは怠けると言つちや語弊がありますが、少し緩めたり、適当にこれはやれる性質を持つているのですね。併し司法事務というものはそんなわけに行かないですよ。余計なこともできない代りに、ちやんときまつていることは必ずやらなきやいけない。そういうものなんですから、私はそんなに必要のないものは平生からおろうとも考えられないし、従つて一般行政官庁の場合であれば、こんなことを言つちや悪いが、余り必要がなくても、そこに坐つておればやはり恰好がつくのですよ。お客さんが来ればその応対をしておれば、厳格に言つてそれが行政官として扱うべき仕事かどうかはつきりしません。ともかくそれで応対しておれば一つ仕事になる。だけれども司法関係仕事はそんなものじやないんですからね。だから私はこういうことは一つ十分認識させてもらいたい。で、正しい意味での行政機構改革ということを私ども勿論念願しておるわけなんですが、そういう意味で考慮願いたい。そういう立場から、この今度の検察審査会のところだけに手をつけられた、これにも相当実は不満を持つているのです。一応質疑はこの程度にしておきます。
  33. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 他に御質疑ございますか。
  34. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は前回の委員会に欠席いたしましたので、重複いたしますかも知れませんけれども、今の検察審査会のことについてちよつと伺いたいのでございますが、それは今問題になつておりますのは、事務当局人員整理の問題なんでございますが、私はかねがねこの検察審査会というものの運営について非常に根本的の不審を持つておりますので、むしろこれは裁判所関係に伺つたほうがいいかとも思つておりますが、一応この検察審査会のこういう制度が置かれまして、検事の不起訴処分に対しまする一応の国民の苦情の申立てができますということは、民主的に大変取扱いとしたらいいと思いますけれども、今日の実際の運営につきましてはそのことが目的通りにできておりますかおりませんかという、その点について非常に私疑問を持つておりますものでございます。ということは、まだアメリカさんのように一体裁判検察というものについての知識が一般国民にございませんので、一般国民から選び出されますその審査委員というものが、殊に六カ月でもつて変りますなんということは、まあ例えば八百屋のおかみさん、魚屋の御主人といつたような者がそこにひよつこり出て来ても、私こはれは検事処理が不当だ又適当だ又適当だというようなことが、事件取扱いなんということが、そう手つ取り早くできるものじやないと思うのです。その点について、その運営がどうなつておりますか、又そういう点の研究が続けられておるか否かということについて政府当局のお考えを願いたいのです。
  35. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 検察審査会運営の実情でございますが、仮に今受理件数について申上げますと、昭和二十四年二月に現実検察審査会が活動を開始したのでございますが、それから昭和二十四年は百八十五件、二十五年が五百三十二件、三十六年が千二百六十六件、二十七年が千七十一件、それから昭和二十八年の六月末までは四百六十三件ということになつておりまして、昭和二十六年まではずつと急速に増加いたしておりますが、二十七年以降はやや足踏みの状態になつておるのでございます。で、この審査会の任務は、不起訴処分当否察査のほかに、検察事務の改善に関する建議、勧告等もありますが、まあ主なるものは不起訴処分当否ということが言えるかと思いますが、そちらのほうの実績を見ますと、起訴相当の回答をしたものが今まで四百八十七件、その中で不起訴の維持されたものが二百二十六件、起訴されたものが百十二件、未決が百四十五件、その起訴された中で有罪が六十五件、無罪が二十三件、裁判所係属中のものが三十四件ということになつておりまして、受理件数総数から見ますと非常に僅かでございます。結局検察審査会によつて基礎処分が是正されたといいますか、そういうふうな結果になつたものは極く微量であるということになり、起訴された事件は不起訴事件のうちの約七千二百分の一というふうに非常に少いのでございます。で、そういうようなところから見ますと、余り検察審査会といものは要らないじやないかというふうな考え方もできるかと存じますが、今申しましたように、或いは又先ほども亀田委員からいろいろな、まあ必ずしもその制度は普及されていないということもあるかと思いますが、それから又こういう制度は実際に是正されるということよりも、そのことの存在しておるという、そういう制度が存在しておるということによる実益がこれも無視されるべきではないとこういうふうに思いますので、この制度自体としてはこれはやはり結構なものではないかというふうに考えております。ただ、今申しましたように事件としては少くとも現実には余りない、人員としては全国で千数百名がいるというようなことでありますので、この程度人員は現在のところ削減してもいいではないかというふうな考えを私どもつております。
  36. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今の政府の御説明によりますと、七千二百分の一ぐらいな起訴処分になつているということなんでございますが、その不当な、つまりそれだけのものは国民としまして結局はあれは検事正が責任を持つわけでございますね。その検事正不当処分をしたということが本当に極く僅かな数出ておりますけれども、その不当だということになつた場合には、例の検祭官適格審査委会のほうにお申入れになるわけなのでございますね、中央の……。その不当なものに対しての結果はどうなるのでございますか。
  37. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 検祭官適格審査委員会のほうとは直接関係が必ずしもないのでございます。検察審査会議決検事正に対する一つ勧告になります。これは検事正がこれを採用すると否とは自由なわけでございます。検事正がその意見が妥当であると思えば起訴をします。又起訴した者を不起訴にするというようなこともあるわけであります。
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それは併し私も検祭官適格審査委員会委員でございますけれども、これは書類のほうで報告になるわけじやないかと思うのであります。そうでなければ検察官が、そんなことはないと信じますけれども、たびたび起訴すべきものを不起訴処分にしたというようなことがたびたびございますことは、これは検察官のマイナスになることで、それこそは検祭官適格審査委員会審査にかけて、私は結局弾効裁判所において裁判官が弾効されると同じような意味のものだと心得ておるのでございますが、それは如何でございますか。
  39. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) お答えが不十分だつたかと思いますが、勿論個個の処分はどうということでなくて、結局において不起訴処分起訴すべき事件を不起訴にしておるというようなところで、検察官の資格自体適格という点において影響して来る場合には、これは当然検察官適格審査委員会の問題になりますので、その意味では十分関係があると思います。
  40. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その問題はそれでよくわかりましたが、そこで、民意を反映いたしますその運営の仕方でございますけれども、先ほどもお話がございましたように、制度をどうしたら……とてもこれはいい制度なのでございますが、それにもかかわらず結果から申しますというと、あつてもなくてもいいというようなことになつておりますことは、初め私が質問いたしましたその点に立返りますけれども、結局この審査委員の質の問題になるのではないか。質の問題はその選び方の方法が問題になるのじやないかというように考えておりますが、その点についての政府の何か処置が講ぜられているのではないかというように思つておりますが、如何でございますか。
  41. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 先ほどお答え、ちよつと答え落しましたが、再びお尋ね頂いて恐縮ですが、仰せの通りでございまして、やはり検察審査委員の素質の問題が非常にこの制度を生かすかどうかということに重大な関係があろうと思います。その点についてはやはり現在の制度では不十分ではなかろうかというので、その改善についていろいろ具体的に案を作りまして、裁判所政府部内において目下検討中でございます。
  42. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は全国の様子はわかりませんけれども、東京管内などは気を付けて様子を見ております結果から申しますというと、今日とにかくがらがらとやられて選び出されるあのまあ一般の人たちが六カ月間どうなりこうなりまあものも言わないでついて行くという人が、あの状態を見ておりますというと、結局この問題はその人たちを引張つて行くところの事務当局の力による以外に、今の逆常の仕方は私はないのじやないか。この点から申しますとこの事務当局の人が私は重要な役割りを果しているのじやないかと、こういうように考えておりますが如何ですか、政府の御意見は……。
  43. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 現実状態から考えますと仰せの通りでありまして、事務当月のやり方によつて或る程度の影響を受け得る余地が相当あるというふうな状態のようにもまま聞くのであります。併しまあ、それも必要な適当な予備知識を与えるということの必要性から申しますと、非常に好ましいことであり、必要なことでありますが、若しそれによつて内応に亘つてまでも影響を受ける、而も不当に影響を受けるということでありますれば、これ又弊害があることでありますので、そういうふうなことのないように適宜法制上からも十分考えなければいけないのじやないかというふうに考えております。
  44. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 都会よりも問題は一層田舎にたくさんあると思うのであります。地方におきましては、まああつてもなくても同じようなもので、こういうところの人員整理いたしますのが、又欠員もあると思つておりますが、一番必要なことではございますが、併し今申しましたような関係から、私は事務当局の局員の素質をやはり向上して本当にこういうところに出ております者は公平無私な、そうして或る程度までやはり法律内容にも通じている人でなければならないと思いますのですけれども、これはまだ研修するというような制度はできておりませんように承知いたしております。ですけれども、民主的な裁判検察、その仕事につきましての私は大事な点だと考えておりますので、こういうところにも研修制度を設けて、そうして、予算も相当取つて頂くというようなことが一番民衆の助かることじやないかとかねがね希望をいたしておりますので、そのこともつけたしまして私の質問を終ります。
  45. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御質疑でございませんでしようか。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつとお尋ねいたしますが、検察審査会事務局の人の現在の定員数がでございますね、これは全部実在しているわけでございますか。
  47. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 若干の欠員はあるようでございます。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 現在五百七十ですね、定員が……。
  49. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 数が今手許でわかりませんけれども、若干の欠員はあります。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 若干というのは、細かいことは又あとから聞きますがね、どの程度ですか。二、三名か五、六名の程度ですか。
  51. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) 約五十名程度が欠員になつております。雇用人を入れますと千三百名余りになりますが、そのうちの五十人程度の欠員になります。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 何ですね、ここの五百七十人という第二条の定員ですね、第三十条の第一項のこれはこの中の定員です。そのうち欠けているやつです。
  53. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) その中でも約二十人ということになつております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると十人実際上は整理されるということになりますね。
  55. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) そういうことになります。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 その二十人はどうしてこれは、補充してなかつたのですか。
  57. 位野木益雄

    政府委員位野木益雄君) ちよつと裁判所のほうから……。
  58. 磯崎良誉

    説明員(磯崎良誉君) それでは私からお答え申上げます。昨年の十二月頃内閣の官房長官の名前で裁判所宛に、政府のほうで予算縮減の建前から二十九年度で人員の縮減をしたい、するということに決定した。ついては最高裁判所でも裁判所職員について協力願いたいというふうな申出がありまして、裁判所の中でいろいろ検討いたしました結果、裁判職員については全然縮減はしない。で事務局の職員につきまして事務局の機構の合理化、各課の事務の分担の仕方の整理、各課の中の各係の事務の分担の仕方の整理というふうなことを検討し、なお先ほど来お話の検察審査会事務局の人員事務量との関係等を考慮すれば、若干の整理はできるであろう、政府の要望にも応えられるだろうということでいろいろ検討いたしたのでありますが、その結果が先ほど来位野木課長からお話になりますところの数字になつて出ておるわけでございます。検察審査会二十名の欠員がございますが、なぜあるかという点でございますが、この点は裁判所全体で前回も御説明申上げましたように四百人余りの欠員がございますが、これは行政整理の話が出まして、いずれは裁判所からは相当の整理をしなくちやなるまいというふうな見通しの下に、欠員の補充を一月以来とめてございます。そういつた関係で出て参りました数字でございまして常時二十名の欠員があるということではございません。
  59. 亀田得治

    亀田得治君 そうしたら幾らか整理されることを予定して欠員が生じたのをそのままに補充しないでおいた、こういうわけなんですね。
  60. 磯崎良誉

    説明員(磯崎良誉君) そうでございます。
  61. 亀田得治

    亀田得治君 それは私非常に怠慢だと思うんですね、そんなことはもう何でしよう、予想をするということはちよつとおかしいと思うのですよ。やはりそういう方針が政府できまつてそれが法律化して来て初めて考えるべきことなんで、それまでは法律に基いてきちつと人も揃え仕事もしつかりやらなきやいかんわけでしよう。これは建前として私そのいやしくも裁判所の特殊なこういう司法事務関係しておられる方面がそんなことを予想されるというようなことは以てのほかだと思う。これは最初にも言つたように行政官庁の場合なら幾らか政治的に物事の処理というものがやりくりできますが、そういうやつじやないんだから、だからそういうことが一つの前例になりますと、最初に私が申上げたような心配がやはり将来についても出て来るわけですね。だからそこでこれは何かそういう欠員ができておるのを補充しようなんというようなことは全然なかつたわけですか、或いはそういう要求を出したが蹴られたというふうなことになつているのですか。その間の事情をもう少し御説明願いたい。
  62. 磯崎良誉

    説明員(磯崎良誉君) 裁判所のほうで欠員の補充をとめました趣旨は、若しも欠員をどんどん埋めて参りますと、現実的にいわゆる首切り出血ということになりますことを恐れたのであります。御承知のように、特別待命制度というものがありまして、待命ということをいたしましたのも現実の出血ということがないようにスムースに、整理が行われるという趣旨であつたかと思いますが、こういつた趣旨現実の出血ということがございましたときの含みで、特別に一月以来欠員は補充しないということをしたのであります。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 これは次回に少し私も考えて来ますが、その点少し納得が行かないのですね。法律も何も改正されないうちから、自分のほうで人員整理を了承しておる。これじや改めてこの法律なんか出さん、これは実際は出さんでもそのままでもいいわけでしよう。法律はこのままにしておいても、そういう便宜なことがこの法律の執行面でやられるなら……。だからもう一つ言えば、こんな改正案なんか出さんでもあなたのほうでもう少し待つておれば、十人くらい欠員ができるでしよう。それはそのまま放つておいたらいいでしよう。私はむしろ検察審査会というものが制度的に見てこれは決して縮小したり廃止すべき性質のものではないのですね。検討すべき点はたくさんあるが併しそれは経験上もつとよくしようという意味でのこれは検討なのであつて、そういう段階だと私も思つておるのです。だから今おつしやつたようなそういう便宜な取扱いができるなら、私こんな法律改正は必要でないと思う。その点どういうふうにお考えになりますか。
  64. 磯崎良誉

    説明員(磯崎良誉君) 定員を縮減いたしますことと現実におります人員、これは大体常時全員埋めようといたしましても、次々退職者が出まして行政機関の例から見ましても大体三%ぐらい常時欠員があることが普通のようでございます。これは新陳代謝で入れ替る者を補充いたします間に若干欠員が出ますから、そういつた関係で大体三%くらいの欠員があるというのが常態でございますが、そういつた欠員の数が若干そういう処置によつて殖えておるということがございまして、特別に法律改正というものと関係なく定員を操作するというふうなつもりではございません。無論この新らしい定員がきまりますれば、新らしい定員に移りますならば、裁判所といたしまして事務処理を円滑にいたして行くというふうな方針でございます。
  65. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、実際にこの改正案ができても首切られるのは十人ということにはならないわけですね。常時三%程度はもう欠員だということであれば、やはり現在よりも二十人程度は少くなるわけですね、普通の例から行きますと……。そういうふうに解釈しておいていいですか。
  66. 磯崎良誉

    説明員(磯崎良誉君) 検察審査会につきまして、三十人と二十人との差の十人につきましては、どういうふうになりますか、実際には裁判所の中での配置換えということが考えられますので、首切りと、その意に反してやめてもらうということにはならないだろうと思つております。
  67. 亀田得治

    亀田得治君 その意に反して云々の問題はありますが、ともかく検察審査会としての定員が減る。そうすると、実在員との関係を比べると差は十名ですね。それに対して三%程度いつも欠けておるのが実際だというから、やはり十人ぐらいそこに加わるわけですね。そうすると、やはり実際上二十人程度ですね、従来の経験から言つて……。そういうふうに解釈していいですか。
  68. 磯崎良誉

    説明員(磯崎良誉君) 大体そういうことになろうかと思います。
  69. 亀田得治

    亀田得治君 まあ今日はこの程度にしておきます。先ほどの表を一遍見せて下さい。それを見た上でもう少し質問してみたいと思います。
  70. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  71. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。  次に、民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案を議題に供します。先ず政府より提案理由説明を聴取いたします。
  72. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案について、提案の理由説明いたします。  民事訴訟用印紙法は、昭和二十三年七月に改正が行われたまま爾来五年半の間重要な改正を経ることなく今日に及んでおります。御承知通り、その間の物価の上昇はなお著しいものがありまして、これを東京小売物価指数によつて見ますに、本年一月の指数は昭和二十三年の改正案を立案いたしました当時と比較しまして約三倍、同じく卸売物価指数によりますと約四倍となつております。これに前回の改正が当時の物価事情の下におきましても極めて控え目であつたこと等の関係も加わりまして、現行の印紙額の算定基準は現下の物価事情に照して余りに小刻みに過ぎる嫌いがあり、又印紙の額も余りに低廉であつて、現下の物価事情に適しないものがあります。この法律案は、以上のような見地から、現在の経済事情の実際に即するように現行の印紙額の算定基準及び印紙の額に適当な改正を加えることを目的とするものであります。  以下民事訴訟用印紙法の改正の要点を申上げますと、第一は、訴状に貼用すべき印紙の額は訴額に応じて定めることとなつておるのでありますが、現在その基準となるべき訴額が余りに少額を以て区分されており、これがため現下の経済事情に副わない憾みがありますので、訴額五百円まで、二千円まで、五千円までという三段階を廃し、訴額一万円までの訴訟につきましては印紙の額は一律に百円とし、又訴額が一万円を超えるものにつきましても、現行法が超過額千円ごとに一定額を加算することとしているのを改め、一万円ごとに一定額を加算することとしたことであります。  第二は、非財産権上の請求にかかる訴状に貼用すべき印紙の額につきまして、物価の上昇率等を考慮して、現行法が訴額を三万一千円とみなして定めることとしておりますのを、訴額を五万円とみなして定めることに改めたことであります。  第三は、現行法は期日指定等の申立、その他申出、申請につきまして、訴額又は請求額五千円を限界として貼用印紙額に差等を設けておりますが、先に提案いたしました裁判所法の一部改正案趣旨を考慮に入れてこの限界額を二十万円に引上げることとし、又印紙の額につきましても、物価の上昇率、右の限界額の大巾引上げ及び十円未満の端数の整理等を考慮して三倍から六倍程度に増額することとしたことであります。  なお、この法律案におきましては、民事訴訟用印紙法の改正に伴いまして、これと同様の趣旨の下に商事非訟事件印紙法及び民事調停法につきましても所要の改正を加えることといたしました。  以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申上げます。
  73. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  74. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。  次回は明三十日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後三時十二分散会