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1954-10-18 第19回国会 参議院 法務委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十八日(月曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            小野 義夫君            亀田 得治君    委員           池田宇右衞門君            剱木 亨弘君            永岡 光治君            棚橋 小虎君            羽仁 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    警察庁刑事部長 中川 董治君    法務省刑事局長 井本 台吉君    運輸政務次官  岡田 信次君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (朝霞キヤンプ事件に対する裁判管  轄権に関する件)  (洞爺丸内郷丸事件刑事責任に  関する件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより法務委員会を開会いたします。  検察及び裁判運営等に関する調査中、朝霞キヤンプ事件に対する裁判管轄権に関する件を議題にいたします。まず刑事局長より本件に関する大体の経過の御説明を願います。
  3. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 私から概括的な御説明を申し上げます。全駐労の朝霞支部関係の四十八時間ストをめぐりまして朝霞キャンプMP組合員との間に発生いたしました乱闘事件につきましては、ただいま浦和地方検察庁において鋭意捜査中でございます。事件は全駐労の朝霞支部におきまして、十月十一日午前六時から四十八時間ストに突入したのでありますが、これより先、同月十日午前十一時半頃から朝霞所在キヤンプ・ドレイクノース・キヤンプ正門その他にスト不参加組合員及び非組合員らに対する説得隊を配置していたようでありますが、軍用バスによる右組合員らの入門阻止をめぐりまして、右の正門に警備のために派遣されておりました同キヤンプMPとの間に午後四時過ぎごろ及び同五時二十分ごろ、同七時二十分ごろ及び八時五十分ごろの四回にわたつて事件が発生したのでございます。事件と申しますか、右事件というのは乱闘でございます。この乱闘事件に際しまして組合員側に少くとも二名くらいの負傷者が発生したことが認められるので、この点を傷害事件として捜査を進めておりますが、多数の者の乱闘中に惹起されたものであるために、加害者を確定することに相当困難をきわめております。事件が果して日米いずれの裁判権に属するか、今後の捜査を待たなければ明らかではないのでありますが、問題が裁判権のありなしというきわめて重要な事柄に関連いたしますので、捜査に当りましては、もちろん万遺憾なきを期しておる次第でございます。    〔委員長退席理事小野義夫君着席〕  なお、この際一言申し上げますが、わが国に駐留いたしまする米国軍隊構成員刑事裁判権につきましては、御承知の通り日米安全保障条約に基く行政協定第十七条に詳細規定せられておりますが、これによりますと、合衆国軍隊構成員わが国及び合衆国双方法令違反に係る罪を犯したというふうに、わが国当局合衆国軍当局とがともに裁判権を有する場合の裁判権行使に対しまして、合衆国軍隊構成員公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪に対しましては、合衆国軍当局裁判権行使する第一次の権利を有することが定められております。ただ、この公務執行中というのは、単に公務に従事しておる時間、すなわち勤務時間中というような意味ではなく、公務執行過程においてという意味であると一般に解されております。またこの場合における公務と申しますのは、法令規則又は上官命令または軍慣習によつて要求され、または権限づけられておるすべての任務もしくは役務を指すものと解されております。たとえば歩哨に立つておる合衆国軍隊構成員挙動不審者を発見して誰何したところが逃げ出したので、規則従つて威嚇のために銃を継射したところ、かえつてその者に傷を負わしたというような場合、あるいはMP自動車で巡羅中、あるいは軍人が隊伍を組んで軍隊として行動中などに、それぞれあやまつて人を轢殺したというような場合が問題になるわけでございます。また上官から公務として甲の地域から乙の地域に行くように命令を受けて自動車運転中に、あやまつて人を傷つけたというような場合も、ここにいう公務と解釈して差支えないと存じます。また軍の慣習によつて権限づけられる公務としては、たとえば合衆国軍隊の将校の下士官、兵の非行を取締る権限などが挙げられております。これに反しまして、勤務時間中といえども、自宅で食事をとるために帰宅の途中に自動車運転を誤まつて過して人を傷つけたような場合、あるいはMPが巡羅中に酒場で酒を飲んで日本人に暴行したというような場合には、公務に無関係個人的行為でありますから、公務執行中に当らないというように解釈いたしております。  以上簡単でございますが、概略的な御説明を申し上げた次第でございます。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまの御報告に対して、まずこの事実関係の点幾らかお尋ねした後に法律的な点について御質問してみたいと存じます。まず事実関係ですが、当日の乱闘現場における双方人数ですね、こういう点、もしおわかりでしたら概略でいいですがお答え願いたい。それから労働組合側のほうでは、おそらくそういうことはないと思いますが、何か武器に類似するようなものは持つていたかどうか。それから第三には、これもないと思うのですが、MPの側では何か軽微な傷でもあつたのかどうか。そういう三点について、もしわかつておりましたらお答え願います。
  5. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 人数はそのときどきでいろいろ違つておりますし、具体的事件の発生のときの人数は、ちよつとただいまのところはつきりいたしません。私どもに来ております報告によりますると、組合側説得隊といいますか、ピケ隊の数は十名あまりから七、八十名前後までの数ということこなつております。MPのほうの数も大体三十名から五十名くらいというような数になつておるようであります。それから第二点の武器組合員が持つていたかどうかという点につきましては、ただいまのところではさような武器を持つてつた者があつたというような報告には接しておりません。なお第三点の、この乱闘に際してMP傷害を受けたかどうかという点につきましても、傷害を受けたという報告には接しておりません。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまの三点のお答えによりまして、大体当日の現場における対立の状況がまあ想像できると思うのです。つまり労働組合のほうの諸君は、普通のストライキのときに行う説得行為、これを何らそういう武器等を持たないでやつている。それに対してMPのほうがおそらく襲いかかつて来たと、こういうような感じがするのです。突発的に起きた、門の前で労働組合諸君ピケを張つておるから目障りになるということで突発的に起きたのであれば、こんな三十名ないし五十名というようなMPがそろうはずがない。おそらくこれは、一つあいつらをやつつけてやれというようなことで、突入して来たものと私はこの三点から実は判断するのです。そういつたような点、どつちに一体積極的な攻撃面ですね、そういうものがあつたのか、それは大体常識でわかるわけですが、これは後ほどの裁判管轄権の問題にもやはりそういう事実関係が、私影響すると思いますのでお聞きするわけですが、その点はどういうふうにいろいろな点から総合的に判断されておりますか。
  7. 井本台吉

    説明員井本台吉君) ただいままでに我々のところにわかつておりまする状況は、少くもピケ説得隊員が平和的な説得と思われる程度行動に出ておる間におきましては、MPのほうで何ら実力行使をした形跡は認められないのでございます。ただ、この報告によりますると、説得隊員のほうがたとえば実力をもつて軍用車の進行を停止せしめたというような挙に出ますると、向う実力行使しておるというような形跡が認められるのであります。また軍用車が参りました際に、実力行使したというのは、赤旗を前に突き出して車を停止さしたというような点がありますると、向うが直ちに実力行使するというような形になつているので、この状況についてなおどの程度実力行使をしたか、われわれの概念にいう平和的な説得程度であつたのかどうかというような点につきまして、なお詳細に検討しておる次第でございます。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 事件が起きたその日の夜でしたか、軍側並び労働組合諸君が会つた際に、軍側のほうで自分たちの行き過ぎであつたことを認めてあやまつた、そういう事実は聞いておられますか。
  9. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 私どもはそういうような事実は聞いていないのでありまして、むしろアメリカ側からは、現在われわれが一応合法ではないかという。ピケ平和的説得程度にまで、アメリカ慣行に照してどうも納得が行きかねるというような申し出をしておるように聞いております。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 まあそのことは新聞記事にも実は載つておりますが、そういうことはあとから軍側自分たち立場をよくするために、何か労働組合のほうが非常な行過ぎがあるかのごとき印象を与えるといいますか、そういう立場で出て来ている問題じやないかと思うのです。で、それじや軍側からの意見に対して、日本側のほうはどういう一体見解を持つておられるわけですか。
  11. 井本台吉

    説明員井本台吉君) これは全駐労のストが始まる前から、アメリカ側におきましては従来の日本側スト取締が少し手ぬるいというような感じを持つていたようでありまして、何らかの形においてこれを取締つてもらいたいという非公式の申し出があつたやうに聞いております。しかしながらわれわれといたしましては、アメリカ日本とはおのずから国情も違いまするし、組合の発達の模様も大分違つておりますし、というようなことで、アメリカと同じような観点でこの取締をするというようなことはとうていできがたいので、さような国情の相違について、よりより打合せをしておつた状況でございます。特別にこの件についてアメリカのほうで急遽態度を改めたというようには感じておりません。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 従来ストに関するアメリカ側の非常にわれわれと違つた考え方ですね、こういうことがあることはわれわれも知つておるわけです。しかしそのことはアメリカ側自身が知つておるはずなんですね。日本労働組合諸君説得行為、これは絶えず裁判所でも問題になる。で、具体的なケースについては判決自身がなかなかいろんなまちまちな形で出て来る非常にむずかしい問題ですね。ある意味ではそういう点では一つ慣行といいますか、裁判上から見ても一つ見解というものが今形成されつつある過程だと思うのですね。そういうことは従来何回もアメリカ側としてもストライキをやられておるわけですから、十分知つているはずなんです。だからそういう問題について別個な方法で話合いをまとめて行くということはいいんですが、そういう疑いのある行為をやつておるからといつて、必ずしもどつちかいいか悪いかということはこれはわからんわけなんですね。そういう問題がある事柄について、相手方に負傷を負わすようなやり方で襲いかかる、これは私ははなはだ遺憾だと思うのですが、で、最後の法律的な処置はともかくとして、そういう意味合で私はともかくそれは遺憾であつたというふうに、事件が起きたとつさにはそういう意思表示が一旦あつたのではないか、私はそう思つておるのですが、私はまたそれが当然だと思うのですが、で、日本側当局としてはそういう点についてはいろんなこまかい事情を調べた後ということではなくて、事件の全体の輪郭というものはわかつておるわけですから、少くともこういう状態で負傷させるような乱暴をやつちや困ると、これくらいの私は抗議はしてもらつてしかるべきものだと思うのですが、それはいかがでございますか。関係労働組合からは官庁方面にはそういう要請も出ておるはずなんですが。
  13. 井本台吉

    説明員井本台吉君) とにかく平和であるべきストライキ中に負傷者が出たということについては、私どもといたしましても決してこれは喜ぶべきこととは考えておりません。ただ、先ほど申し上げましたように、アメリカ側日本の法律に対する考え方がまあ十分でないというか、相当見解が違う点がありまして、それについてはいろんな機会に説得しておるのでありまするが、まあ最終的に納得はしていないのでございます。何か亀田さんのお話では、この点についてはアメリカのほうが一応は謝意を表したというようなことでございますけれども、私どもはさようなことは聞いておりませんし、今までの交渉の経過を見ますと、さようなことをするのはちよつと考えられないのでございます。  なお、このピケの限界という点につきましては、日本側だけにおきましても相当見解が違う方々もあるのでありまして、いずれにいたしましても抽象的に言えば、ピケ平和的説得手段というのが限度であつて実力行使は違法であると言わざるを得ないのでございます。ただ、この違法な実力行使をやつておるのに対しまして、日本側で言えば警察官警察官等職務執行法などによりましてこの違法行為を排除するという際に、これに対して強いて抵抗をいたしますれば、公務執行妨害罪の問題も起きまするし、積極的に警察官などが暴行を加えれば、これはもちろん傷害罪も起きますけれども職務執行過程において傷を負つた者があるというようなことが仮にありましても、それが直ちに犯罪として取り上げるというわけには参らんと私は考えるのでございます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 それじやまあ事実関係のことはその程度にして、もう少し取調の結果を待つことにしましよう。  裁判管轄の問題について次にお尋ねしたいのですが、先ほど刑事局長からこういう事件に関する一般的な管轄に関する法規の御説明もあつたわけですが、私はこれは明らかにまずアメリカ側が第一次的に裁判権を主張できる事案ではないと、こういうふうに考えるのですが、いわゆる公務執行中の犯罪先ほど局長説明からいつても断定していいと思うのですが、その点はどういうふうにお考えでしようか。
  15. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 私これが公務執行中の犯罪ではないというように今断定するだけのはつきりした資料を持つていないのでありまして、むしろ今まで報告を受けた程度では公務執行中の犯罪になるのではないかというぐらいな、これははつきりした結論でありませんけれども考えを持つております。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 その三十名ないし五十名のMPがどういう一体公務執行をしておつたのですか。そういうストライキがあるからといつてそのストライキを排除する、ピケを排除する、そういう特殊な任務をその日負わされていたわけですか。私はおそらくそうじやないだろうと思う。あいつらけしからんからということでMP自分の仲間を勝手に集めて来てそうしてやつつけた、そういうふうに思うのですが、その点はどういうふうな考えです。
  17. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 先ほども御報告申し上げました通り、平和的な説得限度では手を出すなというような命令を受けておつたような感じがするのでありまして、何か事故が起きた際には、実力行使というか平和的説得手段以上に、たとえば旗竿を立てて車をとめてしまう、あるいはほかの実力行使で車が動けないようにするというようなことがありますると、向うが直接行動に出たというような状況でありますして、初めからストは気にくわないから全部蹴ちらかしてしまえというようなことでやつたとはちよ考えられないのでございます。なお正確ではございませんので後にあるいは訂正しなければならんかもしれませんが、ピケ隊実力行使に出て車などをとめたというような場合には、これはアメリカ軍側といたしましても実力を発動してこれを排除しろというような上官命令が出ておるのではないかと思われる節もありまして、さような点について研究している次第でございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 そういうアメリカ側内部事情MP諸君がその日どういう命令を受けていてどういう任務についていたか、従つて任務外のことをやつたのかどうかといつたようなことは、これはこちらにはわからないわけですね、今の御答弁から想像すると……。それは一切アメリカ側からの報告を信用する以外に仕方がないということになるんでしようか。
  19. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 現状では、被害者に当る組合側方々取調べをいたしまして、それによつて先方状況をある程度固めた上で抗議的な申入をするというか、先方状況について報告を受けるというような段階になると私は考えるのでございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 その点は結局本件取調べのやはり鍵になつて来るんじやないかと思うんですが、やはり現われた現象から言いますと、これは普通にはMPがやるべき事柄ではないと、一応こう考えられるんですね、MPがそういうストライキ中の労働者に傷を負わしていいわけがないんですから……。だからそういう主観的な問題は別にして、現われた現象だけから言えば、明らかなやはり不法行為なんだから、そうなればその点だけから判断して、一応これを日本側の第一次裁判権にもつて来る、それを調べた上でいろいろ調べてみると、実はMP公務執行中の行為であることがわかつたということになれば、その過程において先方へ第一次裁判権譲つても私はいいと思うんです。ところが現在のようなやり方ですと、結局その公務中ということに関するアメリカ側見解だけによつて、調べの中心があメリカ側にもつて行かれる。従つてこちらには一番大事な点についての調査ができないわけですね。いろいろな被害についての結果の調査、あるいはこちら側のストライキ状況、そんなことだけしか調査できない。私はこれは取扱い方としても非常にちよつとおかしいんじやないかと思うんですね。例の裁判権が競合した場合にどういう取扱い方をするかというような場合に、そういう点までこまかくは規定されておらんようですが、私は少くともやはりどつちかわからんというようなこういう問題については、一応共同で両方の事情捜査するとかなんとかしなければ、事態真相があいまいにされてしまうと思つているんですが、そういう心配ないでしようかね。
  21. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 先ほど私がアメリカ側のほうでどういう態度であるかということを申し上げましたのは、十日の事件のあつた夜に朝霞の警察の中勲という署長がおるんですが、その署長に対しましてピーターソンというアメリカ側の少佐が、自分基地司令官から軍用自動車入門を阻止する者に対しましては、いかなる実力行使をもつてしてもこれを排除せよという命令を受けた。よつて自分現場MPを指揮して労働組合員軍用車に対する妨害排除を行なつたのであるというようなことを言明したそうでございます。もつとも決して向う側といたしましても、労働者負傷したことを喜んでいるわけではなくて、これについてはきわめて遺憾であるということは言うていたのでございます。ただ、アメリカ側がこのことにつきましては自分のほうに第一次裁判権があると主張いたしましても、それだけで済まそうというつもりは全然ございません。私どものでき得る限りの範囲で捜査するとともに、アメリカ側に対しましてもこの捜査に協力を要求し、また日米合同委員会司法分科会におきましても、従来の慣例に従つてかような問題についてどちらが裁判権を持つかということについて十分討議をして、できるだけわれわれの主張を通して行きたいと考えているのでございます。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、もう少し事態真相が明らかになつた上で日米合同委員会等を通じてこちらに裁判権があることを主張するつもりであると、こういうふうに聞いていいわけですか。
  23. 井本台吉

    説明員井本台吉君) こちらに裁判権を主張する根拠がもう少しはつきりいたしますれば、その確信に基いては十分主張して行きたいと考えます。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 それは一つぜひ大いにやつてもらわなきやなりませんが、そこで第二の問題としては、いろいろ検討してみたけれども、第一次裁判権がやはりアメリカ側にあると、こういう結論なつた場合でも、一つまあ本件の特殊な事情から見て第一次裁判権日本側譲つてもらいたい、このことを例の議定書の第三項のC、この条項によつて一つアメリカ側要求すべき私は事案じやないか、こう思うのです。この議定書にも、そういう要請があつたときには、それに応じなきやならないとは書いてないが、その要請好意的考慮を払わなければならない、こういう書き方でやはりここに打ち出されておるわけですね。私はたとえMPが百歩議つてそういう命令を受けていたとしても、おそらくその上官は傷まで負わしていい、ストライキについてそんなことは考えていない、また言うはずもないし、だから従つてそういう点から見ても、これはぜひ議定書三項Cに基く管轄権移送ですね、これを当然要求すべき問題だと思うのです。これは今の段階ではまだこの要求もお出しになつておらんわけでしようか。合同委員公等ではどういうふうになつておるのでしようか。
  25. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 冒頭申し上げました通り、まだわれわれの捜査が徹底しておりませんので、その捜査の結果を待ちませんと、まず第一にどちらに裁判権があるかもはつきりしておりませんし、また仮にアメリカ側裁判権があるといたしましても、それに対して裁判権の放棄を要求するのが適当であるかどうかというような点につきましては、まだとうていさような結論を出す段階にはなつていないのでございます。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 まだそういう段階じやないとおつしやるのですが、私は事件が起つて告訴状もこれは検察庁に出ておるはずですね。出てませんか。検察庁にも出ておるはずですし、こまかいどういう理由で起訴をするとかしないとか、こういうことになれば、非常に法律的な検討は要るわけですが、裁判管轄権移送なんというのはどちらがやるのが一体穏当かどうか、そういつたような常識的な立場からこれは判断していい問題だと思いますね。議定書自身の規定の仕方からいつても、お互いにそういう点は紳士的に考慮しよう、こういうような気持で書かれている。だから第一次裁判権の有無の決定は、これは相当事実関係を詳細につかみませんと、将来に関係しますから時間がかかると思うのですが、移送自身は一応予備的にこちらが主張してそれが認められれば一応こちらで調べて行けるわけですから、そうなれば第一次裁判権が法律的にどつちにあろうと、そのことはもう事実問題として片がつくわけなんですね。刑事局長お話ですと、第一次裁判権の問題をはつきりしてからその第二の問題に移るのだと、論理的にはそうかもしれんけれども、実際問題としてはむしろ逆であつてもいいのじやないですか、事柄の性質上……。それは今の段階でそういう要求はできませんか。
  27. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 先ほどお話告訴状はどうもわれわれのところには出たという報告がまだ参つておりません。それから第一次裁判権があるかないかのうちに、その裁判権はこちらによこせというようなことを従来主張した前例はないのでございます。本件は特別であるから特に考えろというお話でございますれば、私どもといたしましては諸般の事情をいま少しく検討いたしまして、そのほうが適当であるかどうかという結論を出したいと考えます。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつと関連してこの際お聞きしておきますが、管轄権の移譲ですね、現在までに何か要求された事案がありますか。
  29. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 実はアメリカ側のほうから一件要求があつて、これには好意的な考慮払つたという記憶が実はあるのですが、ただいま資料の持合せがございませんので、一件あつた記憶があるのですが、それに対しましていかようにしたか今ちよつとはつきり記憶がありませんので、これは取り調べまして後刻報告申し上げたいと存じます。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 今局長の話ですと、何かアメリカ側要求に対してこつちが応じた事案のようですが、それでもいいですから、委員会でなくてもいいですが、報告をしてもらいたいと思います。やはりおそらくアメリカ側でそれをやりたいという事情があることを日本側が認めたのだろうと思うのですが、もしそうなつたとすれば、それと同じようような事情がたまたまあるかもしれないということになれば、非常にわれわれが主張する一つの根拠としてはいいものが出るわけですから、それは一つ御検討願いたいと思います。  それから私は第一次裁判権先ほどから言いますように、これのいかんにかかわらず、これはぜひともこちらでやつてもらいたい。と言いますのは、本件については双方の法律的な見解が相当違うわけなのですね。基本的な問題について……。で双方の法律的見解が一致している問題については、どつちがやつたつて同じです。そういう場合は別ですが、そういう場合でない、本件のような場合には、非常に違つた結果が私は出ると思います。どちらでやるかで……あるいは全然問題にされないかもしれない。それではこれは私改訂された行政協定の趣旨からいつてもいかがかと思うのです。私どもは完全な独立国でないといつておりますが、しかし日本政府は独立したのだ、こう言つておる建前からいつても、こういう対立する二つの見解があるような場合には、やはり日本側の法律的な主張というものが重んぜられるような、そういうやはり所で裁判をしてもらいたいと思うのです。もちろん局長自身も言うように、日本側の法律家の間にも、こういうピケ等の問題についても意見の食い違いはございます。しかしこれは日本の内部における一つの論争であり、いろいろの意見ですから、それは裁判所によつてどういうふうに決定されようといた仕方がないと思います。ところがそれとは相当質的に違つた立場考え方を持つておるところにこういう事件を持つて来るということは、私はどうしても承服できない。こういうところでよく日本立場一つ主張しておきませんと、また後ほどどういうやはり困つた問題が起るかもしれぬと思うのです。これは労働組合の問題だからまあまあと、あるいは政府はお考えかもしれませんが、必ずしも労働組合との問題ばかりが起るわけではないのです。アメリカとの間に、政府自身が一番助けてやらなければならんと思つておられるような人たちの間にも起るかもしれない。そういう場合には、この事件でがんばつておきませんと、だめになりますから、そういう意味一つ私はここでぜひ日本側裁判ができるような結末になるように、法務省当局においても努力されるようお願いをしておきたいと思います。これで一応私の質問は終ります。
  31. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 関連しまして……。井本さんにこの際ただいまの質疑応答からしまして伺いたいのですが、占領が長きにわたるということは、両方に非常に弊害があるということは、マツカーサーがしばしば言つておられましたが、現在占領が長きにわたつていろいろ弊害があり、それがまだ残存している。それから現在は外国軍隊日本に駐在しているということに伴つて、いろいろな弊害が、心配すべきことがある。ただいまの亀田委員に対するお答えを伺つて、政府として非常に御努力になり、またいろいろ苦しい戦いをなすつているということについては、深く感謝いたしますが、そういうような弊害ですね、つまり過去において長い占領があり、また現在外国軍隊が駐在するということに伴う弊害を防ぐために、特に政府、なかんずく法務省がどういう努力をふだんなすつておられるのでしようか、それを伺つておきたいと思うのです。
  32. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 大変重大な問題でございまして、概括的には、確かに占領が長きにわたるとか、あるいは外国軍隊が駐留しておるということは、私個人といたしましても好ましい状況とは考えておりません。ただこの客観情勢上かような軍隊が駐留しておるということを前提といたしまして、この前提の範囲であたう限り当事者の間で意見の相違が調整されて、円満に諸般の事務が遂行されれば、それだけ弊害も少くなるという考えをもつて、私どもはこのアメリカ軍その他の方々と常時いろいろな機会に連絡いたしまして、われわれの考えておる考え方日本の国内でどういう態度アメリカ軍がやつてもらえば、国民もある程度満足してもらえるだろうかというような点につきましては、これを訴えまして、向うの理解を深めるように努力しておるのでございます。日米合同委員会ども頻繁にこの司法分科会を開きまして、問題のある点につきましては、その都度相当率直に考えておることを、議論を闘わせまして、ある程度その議論によつて円満な結論に達しておるという点も相当あるのでございます。    〔理事小野義夫君退席、理事亀田得治君着席〕 ことに公務執行中の犯罪行為はどうかという点につきましても、従来この分科会におきましてはかなり精密な議論も闘わせられまして、この関係者のアメリカ人もそう無茶な主張をするわけじやなくて、理論上筋が通ればもちろんこれに対しては承服するようでございますから、われわれの努力のいかんによりましては、好ましい状態ではないのでございますけれども、外国軍隊の駐留した現状のもとにおきましても、ある程度の弊害は避けて行かれるのではないかと考えるのでございます。大きな軍隊の撤収とかいうようなことにつきましては、とうていわれわれの今これについての発言の範囲ではありませんので、われわれの職責の範囲におきまして、できるだけ弊害を少くして行くということに努めておる次第でございます。
  33. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ただいまの亀田委員との質疑応答の中で、おのずから問題の重点が幾つか明らかになつたと思うのですが、それについて一々伺うというのもあれですけれども、私は一昨年から昨年にかけて、ヨーロツパを旅行して、ことに西欧、アメリカ軍の駐在している西欧諸国の実情というようなものを、多少機会があるたびに勉強してみたのですが、日本と大へん違うという事実、まあ極端な例を申し上げると、オペラなんかにアメリカの軍人が一人も来ていないような感じを抱くのです。それはアメリカの軍人が軍服を来てオペラに来るということはない。だから駐留軍がいかにその国の生活を主流にして、できるだけ武力というものが表面に現われないような注意をしておるかということの一番わかりやすい例だと思うのです。その反対の例もずいぶんありますが、しかしかなりそういう点で日本とはどうも違うのじやないか。日本では非常に武力を表面に出しているという点が私は弊害の一等大きいものではないかと思います。ちようどけさのある新聞ですが、アメリカにおける現在の軍部というものは、ちようどかつて日本における関東軍のようなものだということを書いておられますね。そして今吉田さんが行かれた場合にも、アメリカの軍がアメリカの国務省の中でそういう地位を占め、そして日本に向かつていろいろなこと言われるということに対して、日本の現在の政府はほとんどレジスタンスができないのじやないかということを心配して書いておられます。ああいうふうに輿論の中にもそういう憂慮が表現されているのですが、そういうふうなことになるかならないかという点、十分お考え下さつて、ただいま御説明下さつたようにいろいろな努力をしていただきたい。大体問題は三つくらいあると思うのですが、その第一は、占領状態においてあつたのは、戦争状態ですね。私数日前も練馬の自衛隊の脇を通つたのですが、練馬の自衛隊の警備状況というものは戦時状況ですね。かつて日本軍隊の兵営の警備状況というものよりも、どうも行き過ぎたものだと思うのです。現に鉄砲を射撃の姿勢で持つています。昔の兵隊は鉄砲を背負つておるか、あるいは立てていた。第一の命令は射撃状態に移れということなんですが、現在の姿を見れば、射撃の姿勢をとつておることは、第一の命令は撃てということになる。あれは占領時代には、戦時状態にあつたのだから、そういう姿勢をアメリカ軍がとつていたということはあるが、ところがその弊害がやはり今日に残つて、何だか平和の状態にあるのじやなくて、戦争の状態にあるということになつておる。先ほどの御説明の中に、朝霞の責任者の命令として、駐留軍のほうの命令として軍用自動車を阻止する者に対しては云々ということがありましたが、軍用自動車が動くという場合でも、戦時状態にあつて動くのと、平和の状態にあつて動くのと非常に違うのです。そういう場合に、どうか一つ戦時状態の残存ですね、というものはぜひ排除していただいて、その点に努力を一つ、特段の努力を払つていただきたいと思うのですが、いかがでしようか。
  34. 井本台吉

    説明員井本台吉君) お話の点は誠にごもつともで、どの程度努力が実を結ぶかわかりませんが、まあできるだけ努力してみたいと考えます。
  35. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 第二に伺つておきたいのは、やはり最もおそるべき弊害は、外国軍の駐留に伴つて日本国の法律、なかんずく日本国憲法に及ぼすおそるべき弊害だと思うのです。それについては格段の御努力を願つておることと思うのですが、いかがでしようか。
  36. 井本台吉

    説明員井本台吉君) どういう点を指摘されるか、ちよつと私によくわかりませんのですが、アメリカ軍をたたえ上げるわけではございませんけれども、戦時中における軍が、たとえば裁判権を全部軍側行使いたしまして、一般の民間人にすら軍の安寧秩序を守るためには裁判ができるというようなことで裁判権行使したというのと比較いたしますると、とにかく軍人でも日本側裁判権をまかせるというような点につきましては、まあある程度われわれの努力し得る余地が残つておるのではないかというような感じを持ちます。
  37. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の点は格段の努力はもちろんなさつておられることと確信するのですが、最後に伺つておきたいのは、これはまあ突飛な例を引いて誠に恐縮ですが、スタンダールの小説の一つの中に、労働者に向つて武力を使うということは、民主主義に反する常識の第一歩だということを書いております。これは別に法律にそういうことが書いてあるとか何とかいうのじやない、一種の常識というのですか、コモンセンス、スタンダールのような人がそういうことを小説の中に書いている。フランスなんかでは常識になつている。ヨーロツパでも大体常識になつている。不幸にして日本にはそういう伝統はない。それから先にも申し上げたように、アメリカにおける現在の軍の地位というものが異常な状態になつているということのために、今問題になつている朝霞キヤンプ事件の場合などもそういうことと関連して来ることがあると思うのですが、政府がそういう点について労働者に対し警察権あるいは武力を使うということについては、どういうふうなお考えを持つておられるか。
  38. 井本台吉

    説明員井本台吉君) これはもう御承知のことで、私から申し上げるまでもないのですが、ストライキその他につきましては、強権力はなるべく関与しないということがわれわれの建前でありまして、ただ、違法状態があまりに目にあまつて、これでは法律があつてもなくても同じだというようなことになりましてはこれは困りますので、警察力を使うということもこれはないとは言えませんが、原則といたしましてなるべくかような警察力などを使うということについては、これは避けて行かなければならんということについては私ども痛感しておる次第であります。
  39. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最後に伺つておきますがね。今申し上げましたような問題ですね、外国軍の駐留に伴つて生ずる事件従つて平和の現在において何か戦時中の状態の残存の影響というようなことを看取させる事件従つて労働者に対して武力を用いる、それから武装していない日本の民衆とそれから武装しているアメリカ軍隊、あるいは日本の自衛隊というふうなものとの間の事件というものは、いずれも憲法を守るという上に非常にデリケートな関係を持つている事件であるということをお認め下さることと存ずるのでありますが、それらの事件については特に格段にその事件の発生に対して、直ちに調査せられ、そうして妥当な行動をとられるという点で十分の努力をしておられると思うのですが、先ほどからのお答えでは、大体ほかの事件と同じ程度にお取扱いになつておられるのでしようか。それとも特にそれらの事件については敏感に、迅速に調査行動をせられるということを方針としてお取扱いになつておいでになるのでしようか、いかがでしようか、その点を伺つて私の質問を終ります。
  40. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 本件のような事件につきましては、最高検察庁から特に迅速に取り調べて結論を出し、そのつど報告を出せというような指示が来ております。
  41. 亀田得治

    理事亀田得治君) ほかに御質問ありませんか。……なければ午前中の委員会はこれで一応終了いたしまして午後は二時に開会いたします。    午前十一時五十四分休憩    —————・—————    午後二時四十七分開会
  42. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは午前に引き続き、法務委員会を開会いたします。洞爺丸及び内郷丸事件刑事責任に関する件を議題といたします。
  43. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 午前中にアメリカ軍側から第一次裁判権の放棄要請のあつた例を調べよという御要求がありましたので、調べましたその結果を申し上げます。  正式に第一次裁判権の放棄の要求のあつた事例は一件もございません。ただ一つ、非公式に裁判権の放棄要求があつた事件がございます。それは八王子管内で空軍の初年兵二名が本年一月三日夜に、いわゆる自動車強盗を働きまして、料金を四千円ほどの支払を肯んじなかつたほか、自動車自体を強取して運転手に傷を負わしたという事件につきまして軍側のほうから第一次裁判権を放棄してもらえないかという要請が非公式にありましたが、われわれのほうではこれに応ぜず、結局東京地方裁判所の八王子支部で裁判をやりまして、それぞれ懲役五年の判決があつて、被告から目下控訴中でございます。さような事例があつたのみで、結局公式の要求のあつた事件はまだございません。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 ただいまの御報告のあつたのは、これは自動車強盗であつて、非公式の要求だというのですが、こういうものについて管轄権の移譲をアメリカ側が、たとえ非公式であろうと要求するというのは、ちよつと理由がわからないのですが、何か表面に現われない特殊なもつと深い事情でもあるのでしようか。
  45. 井本台吉

    説明員井本台吉君) ちよつとはつきり今申しあげかねますけれども、たしかそのアメリカ軍側でも犯罪を犯しまして、日本側裁判権のある事件もあわせて裁判をしたいということで、かような事件裁判権を放棄してもらえないだろうかということを言つて参りましたので、まあそれはできないということを言いましたら、そのまま引込んだというような事情記憶しております。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 アメリカのほうにおいてでも何か犯罪があるんだということになると、そしてそれが本当だとすると、これはあまり質のよくない人ですわね。だからそういう人に対してはやはり犯罪を犯したその国の法律、日本の法律で一つやはり厳重に処罰して行く、これが本当だろうと思うのですよ。それをお断りになつたのは、誠に私もけつこうだと思うのですが、そういうものについて要求して来ることがちよつと納得が行かないわけですね、そういうものについて……。それで一体アメリカ側にそういう何か別個の犯罪があるからあわせて裁判をしたいからと、そういうお話つたというのですが、それは本当なんでしようかね。そういうアメリカ側だけのことはどうにでも言えるわけですからね。先ほどちようどキヤンプ事件公務中であつた、なかつたというのは、これはアメリカ側だけの言分、それとよく同じような感じがするのですが、それは実際に何かそういう関連事件というか、あつたのでしようか。
  47. 井本台吉

    説明員井本台吉君) どうも少し古くなつて私も記憶が薄らいでいるのですが、それに何か断つて向うで引込んでしまつたので、あまり記憶にとめていなかつたわけなんです。ただ、その向うのやはり軍の統制上何か裁判をさしてもらえんだろうかというような非公式な話はときどきあるやに聞いております。それはまあ厳重に行政協定もしくは今までの申合事項に従つて困るということで、こちらに裁判権のあるものはこちらでやるというようにまあやつておるのが実情でございます。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 まあちよつとこれはあまりこまかいことで、くどい質問をしてもどうかと思いますが、やはりそういう申し出があつたのであれば、その後の事情をやはり調べておいてもらいたいと思うのですね。本当にそういう関連のほかの事件があつたのなら、その強盗事件日本のほうで裁判したわけですから、その後において別個にその人についてアメリカ側裁判したかどうかね、そういうこともやはり調べておいてもらいたいと思うのですね。そういう点をやはり握つておくことが、こういう管轄権の問題についてやはりこつちの立場をだんだん悪化して行けると思いますから、これは要請しておきます。   —————————————
  49. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) じやよろしうございますか……。  それでは洞爺丸及び内郷丸事件刑事責任に関する件を議題にいたします。  私から本件に関しまして、まず刑事局長にお伺いいたしたいのでありますが、現在特に洞爺丸は御承知のようなまあ世界にも例のないような不祥事件であり、従つてその被害者等も広範囲にわたつておるのであり、かつまたその被害者なり、あるいはその御遺族から見まするならば、何かこう割り切れないようなこの事件につきましては、非常にこうもたもたしたものがあるのでありますが、どうしても従来こうした問題が、とかくその事件のあつた当時は非常に騒がれるのですが、それがほとぼりがさめますと非常にぼけて来ますのは、こうした事件が刑事的にも相当掘り下げて、そして糾明すべきは糾明するというような手続がとられなかつたことに原因するのじやないか、その間行政的な責任者なりあるいは担当者なりが変つたりなんかしますと、非常に事件がぼけるのでありますが、この問題に対する法務省の刑事責任としてのとつておる態度なり、あるいはそういうものについても一応御説明を願いたいと思います。
  50. 井本台吉

    説明員井本台吉君) この関係事件につきまして、われわれの現在までに到達した捜査の概括状況を一応申し上げてみたいと思います。特に新聞などによつても公表されておるところもあるのでございますがわれわれが調べました結論といたしまして、まず第一に、事故発生当時の概況を申し上げたいと存じます。  問題のこの青函連絡船洞爺丸船長は近藤平市、容積トン数は四千三百三十七トンでございますが、これが本年九月二十六日の午後二時四十八分、第四便として函館を出港の予定でありましたが、気象状況の悪化等の状況によつて、その後出港時間の延期をいたしまして、乗客一千三百十五名、一般旅客千百四十二名、外人旅客六十二名、職員百十一名、及び貨車八両、客車四両を積載したまま気象の回復を待つておりまして、その日の午後六時三十九分に出港したのでございます。当時すでに相当の南風があつてこの船が防波堤を過ぎる頃には、二十五メートル以上の風速となり、西防波堤赤灯台西方約一マイルの地点に投錨いたしましたが、そのころには風速三十五メートルに及び走錨が甚だしくなり風、波ともにますます激しくなつて、瞬間最大風速は五十九メートルに及んだ模様であります。このためこの船は船尾の貨車甲板開口蓋から海水が浸入して、応急措置も浸水を完全に防止し得ず、午後九時十分ごろに左舷エンジンが大震動とともに停止し、間もなく右舷も停止されるに至つたのであります。そうして午後十時二十五分ごろに至り、船は投錨個所から約二千四百メートル流されて七重浜海岸より約七百五十メートルの個所に座礁し、間もなく右舷も約四十度傾斜したまま波浪にまかせておるうちに、午後十時四十分ごろに停電すると間もなく貨車甲板上の積載貨車が転覆する大音響とともに横倒しとなり沈没するに至つたのであります。  函館地方検察庁におきましてはこの事件報告を受けますと、直ちに北海道の北海道敬警察函館方面隊及び函館海上保安部と協議いたしまして合同捜査本部を設置し、函館検事正以下検事五名、副検事一名、検察事務官七名のほかに、函館高等検察庁管内から検事六名、検察事務官五名の応援を求め、まず洞爺丸の遭難事故が最も重大性を持つものであるという点にかんがみまして、この原因探究を第一の目標とし、あわせて洞爺丸とともに当時遭難沈没した青函連絡船十勝丸、日高丸、第十一青函丸、北見丸の各沈没原因につきまして、船長らの業務上過失致死、過失艦船覆没などの罪の容疑のもとに捜査を進めることといたし、洞爺丸事件につきましては、捜査の重点をまず暴風警報下に出航した点に過失があるかどうか、またもし過失があるとすれば、この出航した点について船長のほかに共同過失責任を負うべき者があるかどうか、すなわち船長の出航を指示、指揮する権限のある者があるかどうかを取調べ、次に出航の際の船舶の荒天準備、天候が悪くなつた際のどういう準備をしておるか、出航後の操船、例えば積荷を投げるとか、投錨、顛覆浸水予防措置などについて過失があるかないかというような点についていろいろ捜査を進めたのでございます。現在まで洞爺丸遭難状況の検証を初め気象関係洞爺丸乗組員船員関係、一般旅客、遭難前に下船した下船者の関係、青函鉄道管理局関係者などについていろいろ取調べを進めておりますが、本件は非常に内容が複雑てあるのみならず、関係人が多数であり、また船舶航海の専門的な幾多の問題もありまして、鑑定を要する事項なども含んでいるので、目下海難審判所の調査ども参酌し、北海道警察函館方面本部、函館海上保安部などとさらに緊密な連絡のもとに、事件真相究明に努めておる次第でありますが、刑事責任の所在確定には、なお相当の日時を要するということになると考える次第であります。
  51. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それに関連して何か中川刑事部長から警察側としての……。
  52. 中川董治

    説明員(中川董治君) ただいま法務省の刑事局長から申し上げました通り洞爺丸事件が起りまして、警察側といたしましては、まず救助その他につきまして関係機関と協力いたしましていろいろと救助に努めたのでありますが、刑事責任の問題につきましては、ただいまお話がありましたように北海道警察の函館方面本部と海上保安庁の関係機関が検察庁とともに合同捜査本部を設けまして、ただいま局長お話された通り捜査に努力しております。取り調べる関係者も相当数に上つておりますので、責任の所在その他につきましては慎重にやつておりますが、だんだん慎重な捜査に基づいて、ただいま刑事局長のおつしやつた通り事案真相を明らかにしますように努力して参りたいとこう考えております。
  53. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではもう一点私から刑事局長にお聞きしようと思う。本件は非常な広範囲の被害者が出て遺族の数も多数なので、従つて国民ひとしくああいつたような気象条件の悪い状態においてどうして運航がせられたのか、そのせられたということについては船長だけの判断でなく、おそらく共同責任者、あるいは指示者というものもあつたのじやないかというような幾多の疑問を残しておるのであります。従つてこれの徹底的な糾明では、今のお話を聞いても、現地だけの捜査陣営では不十分ではなかろうかとも思われるのですが、一体それに対して法務省としてどういうような……最高検やなんかも応援隊を出しているのか、あるいはそういうことについての特別な捜査本部でも設けてやつておられるのか、その点はどうなつているか。
  54. 井本台吉

    説明員井本台吉君) この遭難事件は世界でもまれに見る大事件でありまして、私どもといたしましては一日も早くこの真相を究明したいという念に燃えていることは、先ほど申し上げた通りでございます。事件が発生後間もなく最高検察庁が主として事件関係の指揮を掌つておりますので、現地に電報を打ちまして厳重にかつすみやかに事件の責任者を明らかにするように指令しております。その事件の数日後に、実はわれわれの年一回の定期の会同でございますが、全国の次席検事支部長の会議がありまして、その際にも現地から事情を詳細聴取して、われわれの気付いた点その他を指示する予定で、直接函館の検察庁次席検事の上京かたを求めたのでございますが、現地といたしましては事件の究明について一刻も早く結論を得たいという熱心なあまりでございますが、函館検察庁の全検事並びに応援を求めておる検事などの調べの中心が次席検事であるということで、何とか上京をしばらく猶予してもらいたいということで、それほど熱心に調査を進めておるわけでございます。われわれといたしましてはこの函館地方給察庁の直接指揮の立場にあります札幌高等検察庁の次席検事が会同に出席いたしましたので、次席検事に対しましていろいろ現地の事情を聴取すると同時に、こちらからも意の存するところを伝えまして、先ほど申し上げましたように、一日も早く原因がはつきりするように努力するように厳重に申し伝えてある次第であります。
  55. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) もう一点お聞きします。法務省は今のお話聞きますと、現地の次席検事におまかせして何か捜査を進めておられるようなんですが、これはやはりなまなましいうちに現場の実情を本省自体あるいは最高検自体把握しなければならんと思うのですが、そういう関係では法務省なり最高検として現地にどういうふうな人を派遣し、現地のそういうなまなましい実情を把握せられたか、その点も……。
  56. 井本台吉

    説明員井本台吉君) この事件の全般的な方向とかその価値評価などにつきましては、中央におきましていろいろ指示するところが有益に現地に受け入れられると考えるのでございますが、具体的なこまかい調べ等につきましては、これは捜査の性質からいいまして、直接事件を調べておりまする現地の検事正以下の検察官に大体に責任を持たせてやらしておるようなわけでございまして、その直接の上級指揮者は札幌高等検察庁の検事長以下の幹部職員でございます。われわれといたしましては捜査の本来の性質から直接この法務大臣には現地の検事を指揮するというようなことは、検察庁法からもこれは許されていないのでありまして、現地の検事正、もしくは検事長以下の手腕に期待しておるというのが実情でございます。
  57. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) いや、私のお聞きしたいのは、それは法的関係から法務省が直接指揮するとか、そういうことじやないのですが、少くとも最高検がこれだけの大きな事件につきましては、最高的な判断をする必要があるわけですから、そのなまなましい事件事情なり、そういうものをたとえば現地に行つて、検事総長が行けなければ次席が行くとか、そういうような工合にして、どうしてそういうことをせられなかつたかどうかという、こういうことです。
  58. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 電報でその都度概略の状況を言つて参りまするし、こちらからも電文はときどき連絡しております。また先ほど申し上げましたように、直接の事件の指揮者である札幌高等検察庁の次席が、会合を兼ねてでございますが、こちらへ参りまして、事情を詳細に報告いたしますので、現地の状況は一応手に取るごとくわかるわけであります。最高検事が現地に参りましても、直接自分が調べをするわけじやなくて、いかにこの事件が大所高所から早く迅速にしなきやならんかというような、全般的な指示を出すのが主たる任務でございますから、熱心にかつ忙がしく、関係者その他を調べておる現地の当局に対しまして、いろいろ調べ以外のことで手を煩わすにもいろいろまた考えなければらない点がございますので、さような状況で現地には最高検検事が出張してもらえなかつたというのが今までの実情でございます。
  59. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) どうも私はこういう事件を非常に調査して、あるいは一つ事件として考えるという考え方はあるのでしようけれども被害者なりあるいはその遺族の身になつて見ますと、やはりこうした問題を国家的な規模というか、あるいは全体的な規模で本当にああした問題について責任があつたのかどうか、責任があるとするならば、何か十分徹底してやつてもらいたいと思うのであります。遺族がああした事件によつて被害を受け、なまなましい変りはてた被害者の死体を遺族が見た場合において、必ずやこれは起る問題だと思うのです。多分菊池寛の小説か何かであつたと思うのですが、非常に寛大な裁判官が自分のところへ強盗に入られて、非常に苛酷な裁判官に変つたという話が出ているのですが、何かこうした異常な、しかも世界にかつて数を見ないというような、こういう事件については、もつと検察庁が一体となつて、もう少しあたたかみのある、十分被害者なり遺族の身になつてつていただくという気持ちが必要だと思うのですが、今のように、電話なり書面だけで聞くというやり方では、どうしても事件が客観化され、(「なまぬるいね」と呼ぶものあり)抽象化されて非常に不十分だと思うのです。私はこの点十分一つ法務省としても御留意を願いたいと思うのです。国民はその被害者の身になつてみますと、全く泣き切れない。要するに、今まで青函連絡船が出るということになれば、もう天気は大丈夫なのだ、こういう何と申しましようか、確信を何十年来あの地方の人たちは、そう思つているわけなのです。ああした事件というものが、今公社とはなつているけれども、国が運営している限りにおいては、絶対にそれはないという本当の安心感と確信感を持つて、これは自分の一身を托し、また托されていると思うのです。従つてああいう事件が起きたという事態に何か……しかもそれが普通の船舶会社じやない、国家機関がやつているというだけに、私は何か国家同士で、或いは政府機関同士で、うやむやにこれが糊塗されるのじやないかという懸念もあると思うのです。こういうときこそ、むしろ国家機関であればあるほど、徹底的にその関係者の責任を追究していただいて、そうして国民及び被害者及び遺族が納得するような、一つ十分御留意を願いたいものです。それには捜査機関も全員を挙げて一つ十分お願いしたいと思うのです。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 はなはだ私も刑事局長の答弁を伺つていて、物足りなく感じたわけですが、むしろこういう場合にこそ、例の指揮権を大いに法務大臣発動すべきじやないですか。国民が事態真相を早く知りたい、まあ例の相模湖のほうでは、相当事態が明確になつておるから、ちよつとしたことが、あの事件の相模湖の問題については、非常に受け取り方が違う、これは人間というものはどんな間違いがあつたつて、跡始末の仕方によつてうんと違うわけです。ところが洞爺丸のほうは、非常にそれと対照的に跡始末が進まない。従つて一体これは責任関係はどうなるかということの非難が非常に起きているわけですが、つまりそれを明らかにしてもらいたいという意味なんです、今後こういうことを防ぐために……。私はそういうときにこそこれは世間の空気を見て、もちろん個々の検事には指揮ができない。だから検事総長に対して少くともいついつかごろまでには捜査を早く進めて、そうして発表しろ。たとい結論まで行かなくても、中間発表せよ、何とかそういう積極的なやはり指示があつてしかるべきだと思うのですが、はなはだそういうことがなされておらないようですが、刑事局長はそういう問題について、法務大臣に対していろいろ進言する立場にあると思うのですが、なぜそういうふうな法務大臣に対して進言されないわけですか。
  61. 井本台吉

    説明員井本台吉君) もちろん私もこの事件は非常に大事な事件だと思つておりますので、何回も最高検察庁には足を運びまして、早く調べるようにという法務大臣の御趣旨は伝えてあります。従つて最高検察庁といたしましても、現地に電報でその趣旨を伝えているわけでありまして、放つておいたわけではございません。しかもこの事件が相当困難な事件でありまして、相模湖事件のような目撃者もたくさんいるし、事件として何というか、結果が割合に判明しやすい事件と違いまして、関係者が多数死んでいるというような事件でございますから、できるだけ努力してすみやかに結論を出すというようなことで、本来ならば当然中央の会合に出席しなければならんような次席検事まで、それを出張をとりやめさせまして、現地で鋭意調べをさしたというのが実情でありまして、決して私どもがこの事件を放たらかしにしたとか、或いは何もしないとかというのではなくて、日夜早く調べろ、責任のあるところを明らかにしろということについては、やきもきしているような気持でございます。しかもその気持は十分現地にもわかつてつて先ほど申し上げたような実情で、検事正以下不眠不休で取り調べに努力しているというのが実情でございます。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 ちよつと関連して……。これは先ほど刑事局長の答弁の中では、海難審判所ですか、そこの結論についても参考にしたいというようなお話でありましたが、これと別個に自主的にやる筋合のものですか。それともやはりそういうものをかなり重く見なければならん性質のものですか。私はよくわからないのですが、検察検察としての一つの方針によつて、それと別個の結論を出しても差支えない、こういう方針で進まれているのかどうなんですか。その辺のところの限界を一つ……。
  63. 井本台吉

    説明員井本台吉君) もちろん海難審判所は海難審判所として結論を出すのでありまして、検察庁検察庁として別個の結論を出すので、さような建前からこの事件の解明に努力しているというのが実情でございます。もちろんあとで何かお尋ねがあれば申し上げますが、明治二十六年以来海難審判先行の原則というのがありまして、普通の一般の場合には、海難審判のほうが技術的にわかりやすいからそのほうを先にやれというような通牒が出ております。これは原則としてということで、例外は幾らもあるのでありまして、本件のような重大事件につきましては、もちろんその一つの例外と思います。従つて海難審判の決定を待つて検察官がどうするというようなことではなくて、検察官は検察官として別個の立場でその真相究明に努力しているという実情でございます。
  64. 永岡光治

    ○永岡光治君 それで海難審判所というのは非常に長くかかるわけですかね、結論としては……。概して今までの例を見ますと、本件もそういう意味で非常に心配なのでお尋ねしたのですが、これは早急に国民の要望、とりわけこの責任の所在によつては、金銭では片づく問題ではありませんけれども被害者に対する見舞金等の問題についての影響もあろうかと考えますし、その意味で早急な結論が欲しいと思うのです。これは誰も一致した意見だと思うのですが、そういう意味で私は別個にやるだろうと思うのですが、そうすればもう大方の結論は出てもいい時期じやないかと思うのですが、何か特別に支障になつていると思われる事項が今お手許までに届いているのですか。どういう点が非常に問題になつているのか、その点を明確にして欲しいと思うのですがね。結論の出ない大きな原因ですね。
  65. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 船舶の沈没でございますから、常識的に考えられますのは、まず船長に責任があるのではないかということが考えられます。しかしながら青函連絡船におきましては、あそこの青函局長が、ダイヤについて指示をするというある程度の権限が規定されております。従つて青函局長がどの程度過失の責任を負うかという点について法規上及び事実上、どの程度過失責任というかこの覆没についての責任を負うべきかという点をいろいろな観点から捜査しているというのが大きな問題であると思います。それからなお、船長がどういう状況でこの嵐が激しくなるにかかわらず出港したかというような点で、いろいろ調べておるのであります。ただ、刑事事件といたしましては、もし船長だけの責任だということになれば、これは被疑者となるべき者が死んでいるので、事件としてはこれ以上取り上げようがございませんが、その船長に命令をしたということになりますれば、その船長の上級者の責任をどうするかというような点について、今申し上げましたようにいろいろ検討しておるということを申し上げるわけであります。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 法律的な問題を少し聞いておきますが、あの事件は不可抗力ではなかつた、やはり明らかに業務上の過失がある、この点ははつきりしているでしようね。誰の責任かという点は一応第二段として今聞きますが、その点はどうなんでしよう。
  67. 井本台吉

    説明員井本台吉君) その点もあわせて検討しておるわけでありまして、過失があつたということであれば、誰が過失の責任者であるかということがきまらなければ、その点がはつきりしないのじやないかと私は考えます。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 普通はその個人の関係が明確にならないと不可抗力であつたかどうかということがきまらないと思うのですが、しかしこの場合には不可抗力でなかつたことだけはきわめて明確な事案と思いますが、それはどうでしようかね。そういうことは断言できないでしようか。
  69. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 私は必ずしもそう簡単に結論を出すというのは早計じやないか、私の考えは、そう考えております。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 それから個人の責任で問題になるのはどの範囲ですか。だんだんしぼつてきているわけでしよう、検討した結果……。疑わしいのも入れて大体誰と誰と誰が問題になつているというふうなことくらいは明確になつているはずでしようが、その点どうでしようか。
  71. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 誰を被疑者に立てるかというところまでどうもはつきりきまつているわけではございませんが、どこに過失があるかという点につきましては、ずつとこの連絡船が沈没するに至るまでの何というか因果関係のある運航者、命令者あるいは気象を提供した者というような者について一々当つて行かなければ、正確な結論は出ないというのが実情でございます。従つて函館の地方検察庁といたしましては、いろいろな場合を想定して調べをしているというのが実情でありまして、今誰と誰を被疑者に立てて研究しているかということは、ちよつと御発表申し上げる段階ではないと申し上げたほうがいいと思います。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 相当これは事件が起きてから時間もたつているし、具体的に調査等もずいぶん進んでいると私ども想像しているわけなんです。ただいまのようなことでは少し心外なんですが、もう少し何ですね、起きている結果というものが非常に重大であり、それから刑事局長の答弁によると、なかなか慎重に検討されているようですが、私は事案全体としては不可抗力じやないと思う。そういう大きな立場に立てば、いろいろあなたのほうで迷つている点があるかもしれんが、もつと確信をもつて結論を出すように、整理すべきじやないかと思うのですが、そういう結果とか、大きな不可抗力でなかつたと思われるような点、そういう点を抜きにして個々の問題にあまりとらわれ過ぎちやうと、結局は私はうやむやになつてしまうのじやないかと思うのです。今の御答弁を聞きますと、なおさらそういう感じを受けるわけですが、そういうことになつては大へんだと思うのですが、私ども軽率なことを刑事問題としてやつてくれということを申し上げるわけじやないですけれども、もつと突つ込んで、出ている材料をどんどん整理して行くべき段階じやないですか。もうこれ以上やつていても、事実関係についての調査というものはあまり出て来ないでしよう。それをどう見るか、どうまとめるかということが残つている段階だと思うのですが、いかがでしよう。
  73. 井本台吉

    説明員井本台吉君) どうもこれだけの事件を簡単に結論を出して、もし間違うと大へんなことになりますので、本来ならば目に見えるところに船が沈没しているのですから、引き上げてさらに厳重に原因を検討すればさらに正確なことがわかるということございますが、何か現地からの電報によりますと、天候の都合で船の引上げは相当先になるというような模様でございます。従つてそんな先に結論を出しても、あまり歓迎を受けないような状況になると思いますので、与えられた能力の範囲におきまして、できるだけ早く結論を出したいということで、先ほど亀田さんからお話のあつたようないろいろな場合を想定して、一つ一つどこに過失があつたかという点を検討しているのが実情でございます。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 一つこれはまた要請をしなければなりませんが、従来から法務省としても検事総長に意向は伝えてあるということのようですが、やはりもつと強く一つ検事総長に対する指揮をしてもらいたいと思いますね。これは今日のような質疑を外部の人が聞いておつたら、これは全く怒りますよ、これはこんな呑気なことでは……。で、やはりなんでしよう、これだけの事件を問題点がたくさんありますから、それを早急に結論を出すということになれば、最高検から特別使命を帯びた方が、いろいろな専門家ですね、気象の関係とか、そういう専門家を連れて行つて、そうして現場でてきぱきやつて行かなければ私は片づかんと思うのです。あちらで調べた結果をまたどこかの専門家に持つてつて聞いてみたり、これは皆時間がおくれる。しかもそれが適切じやない。やはり費用がかかつてもいいから、一つ特殊な使命を帯びた人がそういうスタツフもそろえて行かなければこれはだめだ。そうしてやはりやるべきじやないか、今からでもいいですがね。その機会を失してしまうと、これは本当に委員長が心配しているようなうやむやな結果になる。あのイギリスでしたか、例の世界一を誇つたなんとかいう飛行機の墜落事件があつたのですね。ああいうものがあると、もう実にあれをこまかに解体したりして徹底的に究明しているのですね。やはりそれだけのことをこれは国家として当然やる値打ちがあるわけですから、今からでもそのお気持になつてぜひやつてもらいたい。それはできますか、そういうふうにもう少し……。
  75. 井本台吉

    説明員井本台吉君) もちろんいろいろな立場からこの原因を徹底的に究明したいという念願には燃えているわけです。今お話の飛行機の墜落事故について、飛行機の解体までやつて原因を究明すれば、どこに欠陥があつたかということははつきりすると思います。本件につきましても、まあ本当はこの船を早く浮ばして、どういう点に欠陥があつたか、船の構造上の問題は言うに及ばず、あるいは操船の場合の責任、もちろんこれははつきりいたしますし、それのみならず、一番の問題は先ほど申し上げた出航するか、したほうがいいかどうかというところにも問題がありますので、さような点についてももちろんこれをできるだけ正確にこの結論を出したいという念願には燃えているのでございます。なお、お話の点もありましたので、まあもう一度報告、あるいはその他につきましてわれわれとして再検討を要する点があわば、新しくとるべき拭置を考えたい、こう考えております。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 これはまあこういう事件が起きたので、私もちよつと感ずる点があるのですが、例の業務上の過失致死罪ですね、三年以下の禁錮又は罰金ということになつているわけですが、まあだんだんいろいろな機械文明が発達すると、非常にたくさんの人命を預かる道具が出て来るわけですけれども、私はまあいつも人の処罰というのはなるべく軽いほうがいい、あまり法律でも重くないほうがいい、法律を重くすることだけで防げるわけじやないのですから、そういうことの考えなんですが、この過失致死罪については何か現状のままでいいというような考えですか、どうでしようか。
  77. 井本台吉

    説明員井本台吉君) これも亀田さん御承知の通り、刑事事件といたしまして過失事件というのは非常に捜査がむずかしい事件でございます。従つてこの過失事件につきましては、検事も相当努力してその結果の究明に努めておるのでございます。ただいまの業務上過失死傷罪、もしくは艦船覆没の過失罪もございますが、お話通り、まあ刑はそう大して重いものじやございませんが、重く罰するというよりも、もし過失があれば必ずこれは処分されるというようにやつて行かなければならないというように私たちは考えるので、ただいまのところこの法律をすぐ変えたほうがいいというような結論には考えておりません。
  78. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 今亀田委員から刑事局長要請がありましたが、私からも一つ要請を申し上げたいのです。結局今度のような未曾有の事件被害者が本当に浮かばれるという途は、こうした事件が再びないということで初めて浮かばれ、またその死がむだでなくなるわけです。そのためにはやはりこうした問題の刑事責任というものを深く掘り下げて、そうして責任のあるところをどこまでも究明するということも大きなこれは一つの課題であると思うのです。先ほど来から刑事局長お話を聞いてみても、どうも何か現地の検察庁に対してまかせて、あたかもこの事件一つの地方事件のごとく取扱つて処理せられるということについて、これは大きな不満を感ずるのであります。これだけの世界にも類のないという事件は、やはり最高検みずからが、そのなまなましいうちに行つて、そうしてこれを徹底的に究明するということが、日本においてこの種の事件を皆無にするだけでなく、私は世界的にも、あるいは人類全般のこれは災害防止の上からも必要なことと思うのでありまして、そういう点からいつて、今回の、法務省ですか、あるいは最高検ですか、どうも現地の電報なりあるいは電話なりあるいは報告なりだけを基礎にせられるというやり方には、非常に不満を持つものでありまして、この点は十分刑事局長から法務大臣にも話し、検事総長にも話してこの事件の処理がなされることをお願いいたします。
  79. 永岡光治

    ○永岡光治君 運輸省は……。
  80. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ええ、お見えになつておりますよ。政務次官がおみえになつております。
  81. 永岡光治

    ○永岡光治君 それじやこれと関連してお尋ねいたしたいと思うのですが、運輸当局はこの原因をどこにあると……。まあ、それは検察庁や海難審判所その他でいろいろ考えられておりましようが、おそらく運輸当局は運輸当局としての調査を進められ、運輸当局なりの見解を持つて私はしかるべきじやないか。その点はどういう結論を今日持つておりますか。
  82. 岡田信次

    説明員(岡田信次君) ただいま永岡さんのお尋ねでございまするが、運輸当局におきましてももつぱら真因をつかむべく鋭意捜査中と申し上げましては、ちよつと言葉が変でございますが、究明中でございますが、目下のところまだ最後の結論まで出ておりません。私ども今回の事件、誠に申しわけない事件でございまして、私どもといたしましては、まず第一にすみやかに善後措置を講ずる、それからさらにすみやかに真因をつかんで、将来の禍根のあとを断つということが最も重大であろうというふうに考えておりますので、できるだけ早い機会に海難審判所はもちろんのこと、それとは別に運輸当局と申しますか、国鉄当局として真因を究明中でございます。
  83. 永岡光治

    ○永岡光治君 同じ条件下にありまして、避難してたしか助かつたのは第十三青函丸ですか何ですか、助かつたのがありますね。たしか貨車を降して避難して……。だから私は同じ条件下にあるのですから、こんなことは不可折方じやない。一方は船長の判断によつて貨車を降して避難して助かつた。これは出航したためにとうとうこういう悲惨な姿になつたわけですから、これは私は不可抗力でないとこう見るのですが、この点運輸当局はどういうふうに考えておられるのですか。
  84. 岡田信次

    説明員(岡田信次君) 永岡さんの御見解もごもつともかとは思いまするが、不可抗力であるか不可抗力でないかというところを今捜査中でございまして、御承知のように五はいの船がとにかくあの湾の中で沈んだということから申しますと、船を操作する者の責任ではなく、不可打力であるとも考えられますし、またお話のように適切な処置と申しますか、それをとつた関係上難を免れたというものもございますので、なかなか複雑な様相で、ただいまちよつと結論まで申し上げられないことをお許し願いたいと思うのです。
  85. 永岡光治

    ○永岡光治君 私あの現地を調査して私もいろいろ聞いたのですが、降りるという人があるわけです。船を降ろしてくれというと、いやそれは降ろさない、降りたのは切符は無効になるぞ、こういうことをタラツプのところでおとしてとうとう降ろさなかつた。強いて降りた人は、荷物は置くけれども弁当をとにかく食わなければ困るから、せめて腹だけ作りたいから外へ出してくれということで出た人があつて、とうとう帰られたわけです。ですから私はそういう何人かの人が下船を希望しておつたにもかかわらず下船を許さなかつた。許しておれば、その人たちについては少くとも助かつたということは言えると思うのですが、そういう問題について運輸当局はそういう指示を与えておる。何か運輸規則にそういうことがあるのですか。
  86. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 運輸省の国有鉄道部長でございます。乗客が下船したいというのをとめたというようなことは新聞にございます。この点につきましては、現実の問題といたしましてそういう事実があつたかどうかという点につきましては、ただいまのところはつきりわかつたものはございません。当日の乗船客用のタラツプの状況でございますが、これについてははつきりわかつておりますので御報告申し上げますと、大体離岸一分前にタラツプを外すことになつております。これは機械的に船が出るようになつておるものでございます。電気的に出るようになつておるものでございます。当日の状況でございますが、一、二等旅客のタラツプは十五時、午後の三時に外しまして、その後六時、十八時に再びかけております。それから離岸直前にそれを外すと、この間三時間は一、二等のタラツプについてはかかつておらないということでございまして、離岸直前にこれをさらに外して出たわけでございます。三等旅客用のタラツプは、前部と後部と両方ございます。前部のものは午後二時三十分に一たん外しまして、その後午後の六時にかけましてやはり離岸直前にこれをまたはずす、後部のものでございますが、これは十五時二十分にかけまして、十八時五分にはずした、これは桟橋からの報告ではつきりいたしておるのでございます。現実に旅客が降ろしてくれと言われて、これをとめたかどうかという点につきましては、やはり調査してからでないと、ただいまのところでははつきりいたしておらないわけでございます。
  87. 永岡光治

    ○永岡光治君 それは事実としても承わつておるのですが、それば運輸当局でどういうように調査しておるのですか。それはもう明確にはわかつていると思うのですが、そうであつたかどうかということは、あと何を言つたつてわかるという筋合いのものではないと私は思う。
  88. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 二十七人の方は船から降りられたということにつきましては、はつきりわかつておるのでございます。それから客がどう言われた、こう言われたということにつきましては、現地でこれは調査しておるのでございますが、ただいまのところ私どもにわかつておらないということを申し上げたのであります。
  89. 永岡光治

    ○永岡光治君 これはとうとう降ろしてくれないので、うしろの荷物ですか、船の下のほうの荷物から岸壁のほうにはい上るように上つたということを聞いておるのですが、これは私は相当事実と見て差支えないと思うのですが、まあこれはいろいろな刑事事件との関係のある問題ですから慎重を期することはけつこうですから、相当の期間も経過しておるし、そこのところを明確にしてほしいと思うのですが、さらにこういうことも承わつておるのですが、ということは船長がやはりあまり出したくなかつたにもかかわらず、何かの官制その他によるところの職制ですか、そういうところからの無言の圧力によつてないしはあるいは強要されて出したのではないかというふしがやはり一応これは誰しも疑問を持つだろうと思う。それを裏書するかのごとく、北海道の鉄道の支配人ですかの方々一行が船に乗り込むやいなや、直ちにゆかたがけになつと麻雀を始めた。こういうところまで見かけた人があると聞いておるのですが、そのような事実はどうなんですか。
  90. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 当時洞爺丸に北海道の国有鉄道の総支配人の浅井氏それから札幌鉄道管理局の次長、それから旭川の管理局長、釧路の管理局長、この四人が乗つておりまして遭難をいたしましたのは事実でございますが、出港を強要したというようなことにつきましては、この四人の人について行つておりました者で生存いたしておるものがございますので、それから事情を聴取いたしたのでございますが、強要した事実等は全然ございません。それで船長がそれの圧力を受けたのじやないかというようなお話はいろいろこれまでも御質問が出ておるのでございますが、むしろ総支配人一行も札幌のほうから飛行機に変えようじやないかというような相談もいたしておつたような状況でございまして、圧力を加えたというような事実は、ただいままでのところわれわれといたしまして何らそれに相当下るものを調査の結果得ておりません次第であります。
  91. 亀田得治

    亀田得治君 ちよつと関連して、その飛行機に変えようじやないかというようなことを相談されること自身が、そんなにお急ぎならということを船長に対して感じさせられるわけじやないですかね。あなたのほうではそう簡単にそういう御相談があつたことを見逃しておるわけですか。重大なことですよ。それはどういう方がどういうようにおつしやつたのか、私調書を見ませんからわかりませんが、そういうことがあるのですか。飛行機に変えようじやないかということは急いでおるということでしよう。船長に対しては何らかのそこからつながりができるじやないですか。どなたがそういうことをおつしやつたのですか、降りた人は何という人ですか。
  92. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 詳しく今誰が言つたかという点につきましては調査すれば、わかると思いますが、生きておる者の話でございますからわかると思います。それでそれが船長に、船長はそこの場におるわけでも何でもございませんし、船長に伝わつたかどうか、船長がどう感じたかという点につきましては、私ちよつと何とも申し上げられません。
  93. 亀田得治

    亀田得治君 そういう鈍感な頭でこういう重大な事件をお調べ願つてつたのでは、それは大へんなことだと思うのです。誰だつてこういう問題の責任関係の場合には、そういうことはぴりつと来る問題です。そういうものを簡単に聞き流しておる。そのことを言うた人の名前も覚えておらん、少しこの点業務のほうではなかなか敏感な頭を持つておられるでしようが、もう少しそういう点を検討してもらいたいですね。折角まあ今日は刑事局長も来ておられて、皆さんの御意向も積極的だから、こういうふうにやろうというふうな趣旨のことをさつきおつしやつてつたわけですから。それから刑事局長ちよつとお尋ねしますが、これはただいまの点はこれは世間で非常に問題になつておる点ですね。たとえ事実そういう船長に対する一つの圧迫といいますか、鉄道の高級者の圧迫というか、そういうものがあつたとしても、私はそのことによつて刑法上船長なり或いは船長以外の、船を出す関係者の業務上の責任は軽減されるものじやないと思つておるのです。この際そういうものは、ただ判決をする際の一つの情状に過ぎないのであつて、船長としてはあくまでも客観的にこういう事態で出していいかどうか、こういう立場で冷静に判断して行くべきものだと私は思うのです。そういうもの一事が出たからといつて、たとえば船長あるいはその人的範囲はわからないと言うのですが、青函局長なりそういつた人たちの刑事上の質任に私は影響しないと思うのですが、これに対するあなたの見解はどうでしよう。
  94. 井本台吉

    説明員井本台吉君) もちろん船長は船を預つておる一番の責任者でありますから、仮にそういうことがあつたといたしましても、危険な荒天をおかしてまで船を出したという船長の責任は免かれないことは当然だと思います。また先ほど申し上げたように、これはまだ結論に達していないのですが、船長に対して絶対的な命令を出す権限者がおつて、その権限に基いて命令を出したということがもしあれば、当然責任を負わなければならないと私は考えます。
  95. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 最初に運輸省のほうに伺いたいのですが、この洞爺丸事件と相前後して運輸関係事件が起つておりますが、相模湖の場合も関係なしとしないのですが、もう一つ私が問題となると思うのは、事故を起した機関士の方、そういう方が一家心中をされたという事件が新聞に報道されておる。無事故で表彰された国鉄の方が事故を起したために相済まんということで子供と一緒に自殺されたという事件、これは非常に社会的には問題になり、新聞でも問題になつておることであります。この運輸関係でこういう問題が従来そう頻発ということはないのですが、なかなか根絶されるということは困難なことでありましようけれども、しかし相当問題になる事件が起つて来るわけですが、それらについて全般的に国鉄の経営なり、あるいはその運輸行政の方針の上で御反省になり、あるいは御研究になつておるということが次官のお考えとして最近ありませんか。
  96. 岡田信次

    説明員(岡田信次君) 大へんむずかしいお尋ねなんでございますが、大体あちこちに事故があることは誠に申しわけないのでありますが、その事故のうちに全くの不可抗力といいますか、天災といいますか、あるいは設備が十分でないというために起つたものもございましようし、またそれを取り扱う者の過失、不注意というものもございましようし、またさらに、大きなふうに考えますと、全体の経営の形態であるとか、あるいは組織であるとかいうところに多少の欠陥があるというふうにいろいろな事故の原因があると思います。国鉄が三、四年前に純然たる国営経営を離れまして一種特別な形態になつておるということにつきましても、いろいろと議論がございますが、ただいまの公共企業体合理化審議会といいますか、そこで国鉄の現在の経営形態がいいか悪いかということが専門家の間で検討中なんでありますが、近くその結論が出ますけれども、また別個の点からも、現在の国鉄の経営形態については見直したいというふうに考えております。設備その他の関係につきましては、まあ貧乏な日本でございますので十分とは言えませんが、できるだけそういう方面からの事故は絶滅したいと、かように考えております。
  97. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今回の洞爺丸事件の直後に運輸当局としてまた国鉄当局のほうで特に新しく方針を明らかにされたというようなことがあるでしようか、ないでしようか。特にはつきり伺つておきたいのは、人命を尊重するというような精神を、これは言わなくても十分わかつておることなのですが、しかしそういう点に欠ける点があつたのじやないかというようなこと、従つて特にこの際、人命尊重というふうなことについての方針を確立され、あるいはそれを支持されるというようなことがおありになつたでしようか。私は前に人事委員をしておりますときに、国鉄関係の多くの駅を歩きまして駅長にお会いした際に、そのことを伺つたのですが、どうも二つの方針が絶えずあるようです。端的に例を申し上げますと、新潟あたりの冬、凍つたりする場合の貨物取扱のときに、新潟の駅長は自分としては駅員が自分のからだのほうを大事にする方針を絶えずとつておる。凍つておるとき貨物を扱う場合には、貨物に損害があつて自分がけがしないようにということを言つておると申しておりました。けれどもどうかすると、やはり貨物のほうの損害を重く見る結果、駅員が負傷したりするというふうなことがある。この二つの問題がしじゆう問題になるというお話を伺つたことがあるのですが、人命尊重について今回の事件にかんがみ特に各段の御努力があつたでしようか伺つておきたいと思います。
  98. 岡田信次

    説明員(岡田信次君) 交通機関が安全にかつ確実に物や人を運ばなければならんということは申し上げるまでもないのでありまして、鉄道はもちろんその原則にのつとつてつておるわけでございます。今回の洞爺丸のことにつきましても、実はあれは遠洋に出る船じやないのでありまして、海岸のそばの沿岸を走る何と申しますか、船の船級から申しますると……。従つて救命具その他も比較的簡易のものでいいのでございますが、洞爺丸につきましては、外洋の航路と同様の救命艇あるいは救命具等もいろいろと備えておりました。これはふだん人命を尊重しておる一つのあれだろうということを御参考に申し上げる次第でございます。なお、今回の事件にかんがみまして直ちに運輸大臣から国鉄に対しまして、また国鉄だけではございませんで私鉄、バス、あらゆる交通機関に対しまして最近の事故の頻発にかんがみ特段の注意を喚起する通牒を出しておるのであります。
  99. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 刑事局長に二点伺つておきたいと思います。一つは、先ほど亀田委員に対するお答えの中に過失致死の捜査あるいは証拠というものはなかなか困難だというお言葉がありましたが、その困難の性質についてはどういうふうに刑事局長はお考えになつておいでになりますか。私はあなたは刑事関係の高い責任をとつておられて、そして刑事問題と政治問題との境のようなところに立つておられるというふうに了解して伺いたいのですが、従来の日本の、ことに公務員なり何なりの過失致死の問題についての解決、われわれ国民が見ておつて常に不審にたえないのは、多くの場合先ほどからも皆さんからもお話がございましたし、委員長もおつしやつたようにうやむやになつてしまうことが多いのです。私は事実の性質上この過失致死の、ことに公務員のそういう場合それについての捜査の困難あるいは証拠の困難ということには非常に深く考えるべき問題があるのじやないかと思うのです。それは端的なことは、やはり日本の場合とそれから世界の各国の場合とにおいて特に公務員の過失致死の問題の取扱いには、いろいろな違いが比較法的にもあるように思うのですが、日本の場合には特に私どもしろうとの考えでは下級の人の直接の過失ということを明らかにし、またその責任を明らかにしようという傾向が非常に強過ぎるのじやないか、それはかなり無理で、実際上においてそういう過失の責任というものを捜査し、立証するということに困難があるのじやないか。その過失なりあるいは責任なりのもつと大きな責任がもつと上のほうにあるのじやないかもしそうだとすると、まず第一に伺いたいのは、そういうような問題を刑事局長としてお考えになつてどういうふうに御判断になつておられるか、世界のいろいろな国のそういう問題の解決の方法について、もしそういう点についてお考えがあるとして、それで下のほうの責任だけでは捜査上、つまり過失致死の責任も明らかにされることが困難だということがあれば、やはりそれは刑事局長のような方が、その最高責任者なり政府なりに考えてもらわなければならないということをしていただけるものだというふうに考えるのですが、どうも日本では上のほうの人の責任が問題にならな過ぎる。もちろん上のほうの人の責任も問題になり過ぎるのじやないかという国際的な例もあります。これは俗説で事実そういうことがあるかどうかということは別問題ですけれども、例えばソビエト同盟などの場合には、鉄道で事故が起つた場合、その駅員とか駅長とかということの責任よりも、最高の責任者が厳重なる責任を負うというような方法がとられているというふうに伝えられていますが、そのいずれも一長一短がそれぞれあることなんでしようが、日本の場合には少し局部的な、そして下級の直接の責任のみを問題にし、そうするとなかなか責任が明確にされないということで常に終るのじやないかというように思いますが、その点についての刑事局長のお考えはどんなですか。
  100. 井本台吉

    説明員井本台吉君) むずかしい問題でございますが、まず第一に刑事事件として過失事件を扱います場合に何か問題になるかといいますと、先ず第一に、正確に事実を確定しなければならんということでございます。これは事件の発生前後から結末に至るまでの事実を正確に確定する、そしてその確定した上でその当面の過失の責任を負うべき者が善良な管理者の注意の程度でいいのか、あるいはもう少し程度の高い者でいいのか、いろいろな場合がございますが、どの程度の注意義務を払わなければならんかという一つの価値判断をとなければならんという点がありまして、その価値判断の問題も相当これはむずかしい問題でございます。簡単な例を言いますると、踏切を走る電車が踏切ごとに踏切を通過する人間を考えて、なんどきでもとまらなければならん注意義務があるかどうか、踏切はこれは専用軌道であるから、人が来ても、人がいてもかまわずに一定速度で走つていいのかというそういう価値判断の問題は非常にむずかしい問題でありまして、これもそのときそのときで大分情勢が変化して参りまして、古い大正時代の判例などにおきましては、かなり鉄道の運転士にきつい注意義務も課せられておりましたが、これは漸次さようななんどきでもとまれるようにして走つてつたのでは、鉄道業務は勤まらん、むしろ障害を受けたものが専用軌道であるというような意味で、むしろ被害者が責任を負うべきものであるというような傾向が強まりつつあつたように考えるのでございます。ただ現実に、過失の責任を問われたものが一番下級の者で、その上に及ばんじやないかという点でございますが、事実問題といたしましてさような状況のもとに事件捜査をいたしますので、勢い現状にタツチした者が大体責任を負うというのが刑事事件の特質と考えるのでございますが、最近の判例などにおきましても過失の共同責任といいますか、さらに昭和二十八年の一月の最高裁判所の判例などでは、共同正犯というようなことすら認めております。過失に共同正犯があるかどうかという点については、これは学者の間では相当争いがあるようでございますけれども、現実には過失犯にも共同正犯があるというような判例が出ております。さような傾向で、ある程度直接の行為者以外にも相当責任を負うべき者があれば、これは追及して行かなければならぬというような傾向にはなつていると存じます。しかしながらお話のような鉄道の事故があれば、直ちに上級者が過失の責任を負わなければならぬというようなことには、日本の法制ではこの建前になつていないのでございまして、これは政治上さような部下の監督不行届であるというようなことで責任を負うというのであれば、これはまた別の考えでございます。少くとも刑事事件といたしましては、直ちに上級者が責任を負うというわけには参らんのでございまして、やはり実際の行為者と相当の関係があるという点において責任が追及されるべきであるというように私は考えております。ただ、過失事件の扱いでも、民事事件について考えてみますると、これまた非常に違うのでありまして、無過失責任まで認めなければならないというようないろいろな学説があつて関係がなくても損害を与えた側のほうが相当の財力なり金力もあれば、過失があつて障害を受けた者にも、ある程度の損害を払わなければならないというようなことにしなければ、社会の公平が保たれないのではなかろうかというような傾向は、民事方面では相当出るだろうと考えます。さような状況で民事関係のにうは、これは私のほうの直接の所管ではございませんからこの程度にいたしまして、刑事事件といたしましては、さような点が非常に捜査上困難であるということを先ほど亀田さんに申し上げたわけでございます。
  101. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) ちよつと亀田さん、岡田政務次官は用事があるのですが、政務次官には御質問ないでしようか。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 私はいいです。
  103. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 私ちよつと政務次官におそれ入りますが、先ほり羽仁さんもおつしやつたのですが、今回のような事件が起きると、国有鉄者の機構上の欠陥と申しますか、あるいにどう申しますか、要するに一方が何か責任の帰趨がはつきりしない公社関係であり、片方は運輸省だというような……、しかも公社関係が純然たる民間会社でもない、国家機関でもない、何かわけのわからないというような機構上の欠陥がこういうことをもたらしたということにはお考えにならないかどうか。先ほど何か審議会の結論を経て……、こういうことが言われておりますが、実は私自身が今度洞爺丸自分の親友が亡くなつて、私百身が死体に附添つてつて来たのですが、そういうときでも何か単に客車だけを提供して、どうもいろいろな点で非常に、まあ言葉をかえて言えば、何かあたたか味が少い。それから上野駅に来て見ても、たとえば遺族や何かに、遺骨を持つて来ても、なるほど駅員自体は案内してくれるが、しかし提供するならタクシーを提出するなり、何かもつとこういうときこそ総裁の車でも提供するなり何なりして、もつと全体としてあたたかさがあつてほしいのじやないかと、こういうふうに思つて、今まで気付かなかつたことをしみじみこういう事件が起つてみると気付くのですが、そういう点からあれすると、何か規律の点なりそういう責任が不明確な点なり、全体として機構上の欠陥がこういつたようなことも惹起する一つの原因になるのじやないかという気もするのですが、そういう点で今回の事件を契機にして、何か運輸省のほうで御反省というか再検討せられておるのか、そこを政務次官に質したいのです。
  104. 岡田信次

    説明員(岡田信次君) 今のお話は今回の事故とは別にいたしまして、何といたしましても日本の国有鉄道というのは、現在の日本におきましては最大の企業であると考えられますので、その経営形態が現在の経営形態でうまく行つている点もあろうと思います。しかしどうもはつきりしないというふうに考える点もあるのでございまして、そういう意味から先ほど申し上げました公共企業体合理化審議会でいろいろ検討中でございますが、それはそれといたしまして、ちよつとこういう席で私個人の見解を申し上げてどうかと思いますが、何かやはり再検討してもう少しすつきりした形にすべきじやなかろうかというふうに考えておりますので、今後合理化審議会の答申と相まつて直すべきものがあれば直して、国有鉄道法を直すなり何なりしたいと、かように考えております。
  105. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今委員長の言われたことを政務次官に重ねて私からもお伺いするのですが、人命尊重という感じはわれわれ国民は受けないのですが、僕なんか乗つておりましたが、これは私鉄なんですけれども、しかし国鉄でもそういうことがあるが、お客を乗せたまま操車をやることがあります。僕はガンとぶつかつて怪我をしたが、操車をする場合にはお客を降したらどうか、それはやはり民間ではそういうことはあまりないのですがね、お客を大切にするのですが、どうも国有……何というか、政府の場合にも、それから今度の国有鉄道になつてからでも、いかにも人命を尊重しておられるということを感じたことは遺憾ながらないですよ。それで先ほど特にこの空前絶後の世界的な大事件という際に、何かあまり大した指示もなされないような、人命尊重は当り前だというようなことを政務次官がおつしやつておることは、非常に悲しい気持がするのですが、指図を申し上げる筋合のものではございませんがうらみだけを申し上げておきますが……。(笑声)
  106. 岡田信次

    説明員(岡田信次君) ただいま羽仁委員お話でございますが、私が当然だと言つたのじやなく、当然の任務だから、従つてこれに関して重大な関心を、平素払つておるはずだと申し上げたのであります。特に先ほど申し上げたように、今回の事件にかんがみまして、人命の貴重な点を強調する警告を運輸大臣から出しておるわけでございます。
  107. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは政務次官けつこうでございます。
  108. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 刑事局長にお伺いした点なんですが、どうも国会があなたにそういうことを期待することは必ずしも許されないことでもないと思うのです。刑事問題として刑事上の責任というものを厳格に考える。それは私も亀田委員先ほどの御発言と全く同意見です、賛成です。同時にその刑事上解決のできない問題があるので、私もこれはむずかしいという程度で、あなたがお考えになつておることも考えたくないのです。絶えず何故にこういう公務員に関する過失致死事件捜査の困難な性質そのものについてのあなたの御見解を伺いたかつたのです。私はやはり性質上単なる今までの考え方では常に捜査は困難で、事件はうやむやになつてしまうということがありとすれば、やはりそれは刑事政策上にも非常に大きな問題ではないか。そういう点を刑事局長として十分お考えになつてそして大臣を補佐せられたり、政府を助けられたりということなんですね。最近破防法その他におきましてはずいぶん日本の法律もいわゆる団体上の責任ということが出て来ております。私は破壊活動防止法などにおけるそういう主義には全く絶対に反対です。むしろそういう考え方が他の方面において行われるべきだと考えます。政府は破壊活動防止法なんかにおいては、新しい外国においてはこういう立法があるということを説明されるけれども、今の公務員の過失致死の問題については、一向そういうことにはわれ関せずというのは、あまりに政治的に、悪い意味の政治的なあれがあるので、私はさつきの御答弁の過失致死の捜査などが非常に困難だという、その困難の件貫ですね、どうして困難なのかということについてまた機会をあらためてお教えを受けたい、またお考えを願いたいというふうに思つておるのです。  で、それから最後に一言だけですが、先ほど亀田委員から御要請があり、また委員長からも御要請があつたのですが、その要請の中にも具体的な問題としては、今度の空前絶後の大事件、世界的な大事件に対して、特別な捜査のための措置をおとりになつていないのは不思議です、実際……。それでそれを亀田委員からも御要望があつたのですが、実はそれをなさる、なさりたいとかいうお答えはなかつたのですが、どうなんでしよう。
  109. 井本台吉

    説明員井本台吉君) 特別な措置をとらないことはないので、先ほど申し上げたように現地の全検事を挙げまして、なお札幌高等検察庁から応援隊を出しまして、ほとんどほかの仕事を投げて検事正が主になつてつているわけです。最高検察庁にも実は話合いでございますけれども、次長検事にも最高検から誰か至急にやつたらどうかという話合いをしたことがあるのですが、とにかく検事正があれだけ今熱心にやつておるのです。丁度板倉重昌、それからあとから松平定信が行つて戦死をするという昔の例もありますけれども、現地の検事正が責任をもつて一生懸命にやつておるというのであれば、その努力に待とうじやないかというようなことで、現地では全力を挙げて、しかもそのうちの一人を年一回の重要な会同に出せと言つても出さないくらいに一生懸命にやつておるのですから、決して私がそれを放任しておるというのではないのでありまして、ただお話を承わつておりますと、なぜ中央部から人を出さないかというお叱りでございますけれども、私から申し上げますと、捜査技術的にはわれわれの考える範囲では、完璧というと語弊がありますけれども、相当十分な捜査陣容でやつておるというふうに考えておるのであります。
  110. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どうもお指図を申し上げるようなことは僭越だから言いたくないのですけれども、しかし亀田さんもさつきおつしやつているような趣旨で、国際的にもそれから日本としても空前絶後の大事件と今御説明なつたような事件が、一般的の事件のかなり大きな事件としてなら、それで私どもも了解ができるのですけれども、ああいうような大事件に対していろいろな方面の助力を求められて、そうして直接の刑事問題ということをあくまで中心にしてですけれども、しかしそればかりにどとまらず、ずいぶんいろいろなさつきの刑事政策上というか、刑事行政というか、そういう大きな観点からも考えなければならない点もあるのじやないか、そういう意味から何も現地において全力を挙げておられる検事、検察関係の方を信頼しないという意味じやなくして、さらに大きな見地からお考えにならなければならん点もあるのじやないか、そういう点から特別な捜査、研究、調査に当る、そういうものを政府としてお考えになつて、そうして空前絶後のああいう事件、また国際的な大事件に対して、それで先ほども出ましたイギリスの旅客機墜落について、一時その旅客機を全く使用しないというような英断にまで出て研究したということも、単に厳密な意味における刑事問題としてでなく、さらに大きな、世界に応えるというような意味の責任も日本国政府としてはあるのじやないか。そういう方向に向つて、一面においてはあなたが厳格な意味における刑事上の問題の責任をおとりになると同時に、それが政治上または国際上の御意見というものを政府に反映せられるということを期待して……、少しくどく申し上げて失礼ですが、いかがでしようか。
  111. 井本台吉

    説明員井本台吉君) とにかく刑事面から入りまして、できるだけ広い観点に立ちまして、どこにこういう事件を起す欠陥があつたのか、将来再びかような事故の起きないような方策を講ずることにつきましては、誠に仰せの通りでありまして、この上とも努力したいと考えます。
  112. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではこれで委員会を閉じたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「けつこうです」と呼ぶ者あり]
  113. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは本日はこれをもつて散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。    午後四時二十二分散会