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1954-03-05 第19回国会 参議院 法務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月五日(金曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            小野 義夫君    委員            加藤 武徳君            楠見 義男君            中山 福藏君            三橋八次郎君            赤松 常子君            一松 定吉君   政府委員    法務政務次官  三浦寅之助君    法務省入国管理    局長      鈴木  一君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    国家地方警察本    部警備部警ら交    通課長     後藤田正晴君    法務省刑事局参    事官      下牧  武君   —————————————   本日の会議に付した事件理事の辞任の件 ○刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒  処分に関する法律案内閣送付) ○交通事件即決裁判手続法案内閣提  出) ○外国人登録法の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今より委員会を始めます。  先ず理事小野義夫君より書面を以て理事を辞任いたしたい旨の申出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めます。  なお、理事補欠互選は都合によりまして次回に譲ることにいたします。
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今から刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に関する法律案予備審査)を議題に供します。三浦政務次官から提案理由説明を聴取いたします。
  5. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 只今議題にのぼりました刑事訴訟法第百九十四条に基く懲戒処分に関する法律案提案理由を御説明申し上げます。  犯罪捜査を担当する各種機関、殊に警察官検察官権限をどう調整するかという問題は、世界各国の為政者が古くからその解決に苦慮している問題であり、現在もなお真剣に検討を続けている問題であります。昨秋ローマに開かれました国際刑法会議におきましても、公判前の手続における被疑者被管人保護の見地から、警察官検察官との関係をどうすべきかについて、熱心に討議せられたのであります。  而して、この点に関する我が現行刑事訴訟法建前は、御承知の通り司法警察関係の諸機関検察官とは犯罪捜査に関しては互に協力すべきものとしつつ、検察官の任務及び地位、即ち公訴官であると共に、裁判官に準ずる身分保障を有するという検察官の特殊の立場を考え、検察官司法警察職員捜査に対する一定の指示指揮権限を与え、その裏付として、司法警察職員が正当な理由がなく検察官指示又は指揮に従わない場合には、一般瞥察職員については公安委員会が、その他の司法警察職員についてはそれぞれの懲戒罷免権者が別に法律の定めるところにより検察庁の長の訴追に基いて懲戒父罷免すべきものとし、もつて公訴の遂行と人権の保障に遺憾のないよう配慮しているのであります。  ところが、公安委員会その他の機関懲戒又は罷免処分をいたします場合の手続等に関し刑事訴訟法が予定しているところの別の法律が今日まで制定がされておりませんため、重要な法の不備になつているのであります。併しながら、司法警察職員検察官との関係について現行刑事訴訟法のとつている建前は、只今国会の御審議を煩わしております警察制度の改正の如何にかかわらず、なおこれを維持すべきものと考えますので、懲戒罷免に関する規定も当然これを整備すべきものと考え、ここに警察法案と切り離して、本法律案の御審議を煩わすこととなつたのであります。  本法律案の内容は、僅か二カ条であります。第一条は、訴追の形式及び相手方につき、刑事訴訟法第百九十四条第一項を補足する規定であり、第二条においては、右の請求を受けた公安委員会その他の者が刑事訴訟法第百九十四条第二項に基いて行う懲戒罷免処分の種類、手続効果等当該司法警察職員に対する通常懲戒処分の例によらしめることといたしているのであります。  元来、犯罪捜査は、各捜査機関の協力によつて初めてその効果を挙げることができるのであります。従つて検察官司法警察職員懲戒罷免請求をするについても、極めて慎重でなければならないのは、言うまでもありません。併しながら、それだからといつて司法警察職員検察官の正当な指示指揮に従わなくてもよいということにはならないのは勿論、万が一検察官の正当な指示又は指揮理由なく従わない司法警察職員があつた場合には、その者に対し懲戒を行い得るという法律上の建前を明かにしておくことによつて、全体としての協力を全うするように配慮することが適当であると考えられます。以上の次第でありますので、実際問題としてこの法律の適用を見るのは、よほどの事情がある場合に限るということになると思うのであります。  何とぞ、慎重御審議を賜りたいのであります。
  6. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本法律案につきましては次回以降に御質疑を願うことにいたします。
  7. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、前回以来引続き質疑を行なつておりまする交通事件即決裁判手続法案につきまして、各委員から御質疑を願います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  8. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。
  9. 一松定吉

    一松定吉君 赤信号とか青信号というのは場所によつて時間が逢いますか。
  10. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) これは信号というものの趣旨が、この前私ちよつとお話いたしましたように、交通の安全、それから能率、こういうことを考えておりますので、スムースに通すということが目的になつておりますので、それで当該交叉点における交通の流れの量によつて、これによつて時間が違う。これをきめるのは、警察署長警視庁でございますときめる、こういうことになつております。併しこれは単独式の場合はそうなんであつて信号機単独式という場合にそういうやり方をやつておる、併しその場合でも通常現在一サイクルと言うと青、燈燈、赤これが一周りが一サイクルになつておりますので、大体五十から八十秒くらいまでの間で、大体都内はきまつておるのではないかと思いますが、今一つやり方は、系統式というのがあります。系統式という場合には、これは或る地点においては、自動車が通過のときは青であつた、その次の地点行つて当該地域スピード制限が仮に三十二キロであるとすれば、三十二キロのスピードで車が走つて行けば青である。ずつと青で行けるというやり方、このやり方もあるわけであります。このときにはA点B点C点D点の相互の距離が違うにかかわらず、三十二キロで走れば必ず青になるわけでありますから、その一方向と交叉しておるこの道路の側の信号が、これが調節せられておるわけでありますから、この部分の通行が或る程度犠牲になるというやり方になるわけであります。従つて系統式というのは非常にいいようであつて、やはりなんとしてもそれに伴う弊害が避けられない、こういう面がありますけれども、この二つのやり方がある、地域によつて従つて違うわけです。
  11. 一松定吉

    一松定吉君 警察官が立つて手をひろげたり、曲げたりしておる。あの時間は制限がないわけですか。
  12. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) これは交通をできるだけスムースに流すということでございまして、これも特別に幾らでなければならんという規定はございません。ただ現実に警視庁管内実情を見ますと、機械信号の場合よりは、人の場合のほうが長くなるように思います。
  13. 一松定吉

    一松定吉君 さつきお尋ねのことに関連してですが、スピードを出し過ぎたとか或いは停止信号の出ているのに停止線通り過ぎるというようなことか何か知らんが、そこを取締つておる交通巡査につかまえられて、そうして非常に長時間訊問せらるる、それがために中に乗つておるお客さんは、時間を非常に急ぐ。例えば汽車に乗る場合に、汽車に乗遅れては大変だという場合に、やはり途中でとめられて調べを受けるというようなことにときどき出会う。私は幸いに汽車に乗遅れたことはないが、そういうようなことがあつて、随分困つたことがあるのだが、ああいうときには例えば姓名住所でも聞いて、そうして用が済んだらは警察に来いというような簡便な方法をとるように、訓示でもして頂いて、余り車に乗つておる乗客に迷惑のかからんようなこういう方法をとることがいいと思うが、そういう点はどうなつておりますか。
  14. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) 只今お話は御意見通りなんでございます。そういうことがあるもんですから、本来現行犯処理でやるべきものを、全然現行犯処理でやらずに、出頭命令書という簡単なものに書きまして、本人にいつ頃がいいかということを聞いて、いつ頃が一番便利だということになれば、いつ出て来いということで処理させる。これか指導やり方になつておりますが、ただまあそこで多少お話のように、下手な巡査の、やり方がまずいということは、これは実際問題として私は絶無であるというようなことはないので、そういう例がやはり相当あるのではないかと思いますが、やり方としましては現場でそういうようなことは一々細かな処理はしない。一応いつどこそこへ来てくれというそういうやり方になつております。ただこれは前国会でしたか、問題になりまして、地方行政のほうでもお叱りを受けたわけでありますが、免状を取上げることはけしからんと言われますが、そういう場合によく運転手は私はちよつと駅へ行つてすぐ帰つて来るから、これを預けると言つて運転免許証巡査に渡したりなにかして、それじやそうするかというようなことをやつておることもございます。そういう場合にはすぐ帰つて来て取調を受けておることもございますが、やり方としましてはそういうことも通常はないことなんで、普通は呼出状というものだけを出して指定する、こういうことになつております。
  15. 一松定吉

    一松定吉君 今度の交通違反で、一時、免許証を預つて何日までに来い、そうして喚び出して、そこに来て調べを受けて、それと同時に免許証を返す、それまではその免許証と引替に何か仮免許証みたいなものをちよつと渡しておいて、本当の免許証が手に入るまで運転できるようにするという制度は、彼らをして、出頭を逃れるようなことをできないようにするために非常にいい措置だと思うが、今あなたのお話のようなことをやはり全警察官によく命じて、交通、旅客に支障を来たさないようなふうによほど注意しておくことが必要だ。そういうような場合には、今言うすぐ即決で云々ということとは違うから、そういう点を緩和されれば、私どもこの法案は非常によくできておると思いますから、そういう点を一つ十分に御注意あらんことをお願いしておきます。ほかにこれという別に質問もございません。
  16. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は二つ伺いたいのですが、一つは、国警警察関係一つ法務省関係にお伺いしたいのですが、先ず警察関係にお伺いしたいのは、この間の地方行政との連合委員会参考人から意見を徴したのですが、私はほかに用事がありまして最後まで、おれなかつたので、或いはそういう質問が出たかもわかりません、若し重複しておりましたら簡単にお答え頂けば結構だと思います。それは三人の参考人意見陳述の中で、最後運転手立場からの陳述をせられた。その中で即決に、或いは又こういうような処分を公正に、又迅速に簡易にやることには必ずしも反対ではないけれども、併し今までと同じ態度で物陰にかくれておつて、如何にも罪人を探すというような態度でやる、その態度が変らない限りは、むしろ簡半にやられることのほうが危険だというようなふうの意見があつたと思いますが、そういうものに関連してむしろ啓蒙といいますか、教育といいますか、そういう面を一般運転手の方面にする必要かあるのではないかということを強調されておりましたが、同時に取締りのほうに対する教育といいますか、ざつくばらんに言えば、取扱いについては私もときどきぶつかりますが、如何にも急いでおる身になつて入れば、急ぐのだけれども反撥をせざるを得ないような、そういう取調の事例にもよくぶつかるのですが、急ぐから何でもかんでもおじぎをするというような場合と、急いでいても余りひどいというので反撥したくなる場合とある。それでそういう取締の任に当る上のほうの立場におられる方々が、どういうような具体的に丁寧に取扱わせるとか何とかいうような、そういうことについての今までの教育方針といいますか、やり方、或いは今後のやり方、そういうものについて何かあればお話をして頂きたいと思います。
  17. 後藤田正晴

    説明員後藤田正晴君) 警察が非常によくなつたとか、或いはどうもこの頃の警察はよくないというような一般の批判を受けるのが一番多いのは、交通警察官パトロール外勤警察官、この二者であります。従いましてこの交通警察官外勤警察官、つまり一番民衆に直接に接触する部面で働いておる警察官でございますが、これらに対しては私どもとしては絶えず取締る場合の態度と申しますか、これを特にやかましく注意を実はしておるのでございますが、これが先般も羽仁先生からお話のごさいましたように、どうも最近行き過ぎておる面があるというようなことも、これ又そういう点に私ども指導が多少足りんのではないかということを実は痛感をしておるのでありますが、こういう取締りの場合の態度が私は一番丁寧にやらねばならん、そういうことを必ず指導したい、こういうふうに思つておりますが、それといま一点、交通警察官につきしましては、専務警察官、これは割に技術的な知識を持つておるのでありますが、交通取締り専務のほかに、外勤者もやるわけであります。そのときにこの外勤というものは、言わば八百屋的な勤務をやつておるものでございますので、どうも交通取締りに必要な法規、技術の知識が足りない。従つて専門運転手立場に立つて言えば、一向に差支えないはずであると思つてつたにかかわらず、警察官取調を受けるというようなことも、これ又私は絶無ではない、こう思うのでありますが、従つてどもとしては態度を親切にするということと同時に、特に外勤警察官については、交通取締りに必要な専門的な知識を絶えず一つ勉強をするようにということを注意をいたして、努力はいたしておりますが、まま御指摘をせられた非難を受けるようなことも、実は絶態対とはこれは言いかねるのでございまして、そういう点については、私は将来とも従来の方針を更に強化して、警察官指導に当りたい、かように考えております。
  18. 楠見義男

    ○楠見義男君 今お話がありましたように、一番非難の対象になるのは、おつしやるように交通警察パトロールだと思います。殊に交通警察については、お述べになつたような点がないように今後とも一つ御尽力願いたいと思います。  それから法務省に伺いたいのは、私よく検討しておりませんが、道路交通取締法によると懲役に該当する罪条もあるわけですね。この提案理由事情からしまして、大部分交通違反事項というものは、大部分即決で行くのではないかと思いますが、本来懲役に該当するようなものもこれで行くと、すべて罰金又は科料ということになつてしまうようなふうに思われるのですが、法益保護という立場からも、その関係はどういうことになりましようか。
  19. 下牧武

    説明員(下牧武君) 懲役刑に該当するような、例えば非常に悪質な無謀操縦であつて、而も人の身体にまでは傷害を与えない、物を壊したとか、或いは電柱をぶつ壊したとか、それについて告訴もないというような場合には、これは自助車事故だけで、その無謀操縦だけで判断することになります。そういう特に悪質な場合には、体刑をやる場合もあるかと思います。そういう場合は、これは普通の公判に廻しまして、それで検察官判断によつて五万円以下の罰金又は科料に付すべきものと認める場合にのみこの手続にのせる、それからその事犯を裁判官判断いたしまして、どうも罰金五万円じや軽いもつと重くしなければならんという場合には、この手続ではやれない、それは正式の通常方法裁判所のほうでやる、こういうことになります。
  20. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 私から一、二点お伺いいたしますが、本件を実施されるのに受入態勢が完全にできておりますか。その点は裁判所関係ですが、丁載した資料によると、東京都内起訴件数が一日に四百五十件ぐらいになつておるように考えられるのですが、それをこの法律の意図している、理想としておられるように、即日に即決してしまわれるとしますと、専任簡易裁判所の判事というものは何人ぐらいを予想しておられるか。或いは一人に一日何件ぐらいを処理させ得るというような御判断で出発しておられるのでありましようか、その点を伺います。
  21. 下牧武

    説明員(下牧武君) お尋ねの点は、私どももこの法律を運用いたす場合の一番難点かと存じております。ただ、裁判所の統計によりますと、現在東京だけを限つて申上げますと、全部で十五簡易裁判所がございます。そのうち事件数から申しまして、東京それから新宿、台東、墨田、大森、渋谷、この六裁判所事件が非常に多くて、あとの裁判所はもう現在の実情でも賄つて行けるという数字が出ております。この六裁判所について見ますと、現在交通犯罪裁判官の数が三十一名でございまして、そうしてその交通事件を担当しているのが、約その六分の一で担当いたしております。五名くらいが交通事件を一人で専任でやつておるわけじやございませんが、平均いたしまして何名になるかというと、六分の一、五名くらいが専従して行くという形で、事件処理が図られて行く。それで大体一日平均数字によりますと七十八件処理していることになります。これは一人か七十八件でございますから、五名で約三百九十件というのを処理いたしているわけであります。それで今度の裁判理想から申しますと、裁判所計算で行きますと一人一件に十分かかるといたしますと四十件ということで、五人で二百件しか処理ができないということで、そこに裁判官不足という問題が起きて来るわけであります。ただまあこの理想的な姿を申しますと、只今申上げましたような計算になるのでございますが、一方検察官のほうの実績から判断いたしますと、今の裁判官の数は一人三百に六時間半働いた、ぶつ通しで働くということで六時間半という計算只今のような計算が出ております。検祭官のほうの数字は七時間半働いたという数字で、概略の数字でございますが、不馴れのときは一日六十件、それから普通の状態になりますと百件くらい処理できる。それから老練になつて参りますと百二十件くらいの処理能力になるという実績が出ておるわけであります。そこでまあ初めのうちこの手続をすぐ実施いたしますと、裁判官がすぐ被告人に当つて事件処理して行くというのは、やはり最初のうちは、馴れるまでは或る程度スピードが上らずにやはり四十件くらいの、一人十分というような計算で、四十件くらいのものじやないかと思いますが、検察官処理能力から考えてみますというと、とにかく検察官処理いたします場合は、事実関係を確かめるほかに手続説明をいたします。それから略式簡易公判手続説明だけじやなくて、略式手続もあれば公判手続もある。そのうちどれを選んでもいい、而もその即決裁判手続に乗せるについて、異議がないかどうかということを確かめる、それから検察官自体として起訴状を作成するということをいたしております。それでこの事実を確かめた上で起訴をいたすのでございますし、相当この実例でも申上げましたように、起訴、不起訴を決定する上において或る程度の弁解を聞き、又突込んで事情を尋ねておるわけでございます。そういうわけでございまして、そういうふうに検察官が篩いにかけたものを持つて行くので、今度裁判官のところへ持つて行きました場合には、そういう手続の細かい説明も要りません。まあ実際問題として被告人異議があるかどうかは、これはまあ確かめましようけれども、簡単に確かめればいいことで済みまして、それから起訴状を述べるような手続もないということにいたしますれば、而も争いのない事件だけを検察官裁判官に送るということになりますれば、順次処理能力が上つて来るんじやなかろうか、そういたしますと一日一人四十件、最初のうちは四十件という計算裁判官不足ということが出ますけれども、それが八十件ということになりますと、倍といたしますと四百件という数字が出て参ります。そうなれば現在処理いたします三百九十件平均というものがカバーできて来る。それでその意味で或る程度これが軌道に乗つて参りますれば、実際問題として賄えるのじやないかというふうに考えております。  それから然らばその賄えない間をどうするかという問題がございます。この問題はやはり検祭官のほうで調節をいたさなければなるまいかと存じます。でございますから裁判官処理し得る以上の事件をこの手続で送り込みましても、到底裁ききれませんから、そこは裁判官の馴れる度合と処理能力とを睨み合わせて、送る事件検察官のほうで調節して行くということにして、とにかく最初のうちはもう争いのない事件だけを、而も簡単なやつだけを送るというふうにして、だんだん裁判官が馴れるに従つてこの手続に定める通常方法に乗せて行くというふうにしたらば、調節がとれるのじやないか。その意味で又検察官のほうにも通牒を流しまして、そういう運用をするように持つて行きたい、かように考えております。  ただ、まあ私ども理想といたしましては、そういうことを考えずに、裁判官が、やはり余裕を以てこの手続に乗せるようにということで、裁判官の増員及びそれに伴う法廷の増設ということもこれは望ましいことでございますから、又裁判所のほうでも或る程度予算的な措置の、予算の面においてそういう面を考慮することになるだろうと存じます。それに応じて検察官のほうで送り込む件数というものを処理して行きたい、かように考えておるわけであります。
  22. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 今お話の間に法廷の問題が出ましたが、これは確かに専用の法廷が必要になつて来ると思いますが、現にどのような計画を持つておられましようか。幾つくらいの法廷をどこに新設するつもりか。又それが予算との関係でできるかという大体のお見込みでもありましようか。
  23. 下牧武

    説明員(下牧武君) すぐ法廷の新設をいたすというのは、これは予算面の手当がいたしてございませんので、早急には間に合いかねるかと存じます。ただ先ほど申上げました裁判所計算による処理能力及びそれに伴う、事件数に伴う法廷理想的な姿を申上げますと、全国で三十、そのうち東京が二十二というのを希望いたしております。それで東京のほかに必要とされておりますところは大阪、それから京都、福岡、横浜、こういうところには或る程度増設する必要があるだろうというようなふうに聞いております。
  24. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  25. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて  次に外国人登録法の一部を改正する法律案を問題に供します。入国管理局長から、前回法案についての説明は聴取いたしましたが、これについて補足的な必要とする理由説明をして頂きたいと存じます。
  26. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 提案理由前回政務次官からお述べ頂きました通りでございますが、これの一番の問題は、なぜ今回更に延ばしたか。然らばもう一回来年になつたら又延ばすのじやないかという点でございます。要するに今回延ばしました理由は、一兆緊縮予算ということで新規事業はやらないということのために、この外国人登録法によりまして新らしく指紋をとるという制度を開始するこの費用が法務省といたしましては約二億円程度要求いたしたのでございますが、閣議におきまして新規事業はやらないという方針の下に今回引き下らざるを行なかつたというのが理由でございます。従いましてそれでは又三十年度においても同じようなことが起きて、指紋制度は又見送りになるというような危険性があるや否やということの問題があるわけでございますが、その点に関しましては少しく御説明申上げたいと存じますが、結論的にはこの指紋制度を開始いたしますることは、是非三十年度からはやりたい。二十九年度は予算関係でできない。これが我々の結論でございますが、その理由といたしますところは、丁度二十九年度、つまり今年の十月二十八日に外国人登録の一齊切替えという時期に当つておるわけでございます。登録法によりまして現在渡してあります外国人登録証明書というものが二年間有効でございますので、二年目、二年目に一齊切替えが出て来るわけであります。一齊切替えの年に指紋制度をやるということが一番事務的には能率が上りまして効果があるのでございますが、そのためには費用が余計かかる。つまり一齊に指紋を取るという関係で、又指紋制度というものを我が国で初めてやるという関係で、最初設備の費用が要る。或いはこれを実施いたします各市町村の窓口吏員たちによく呑み込ませ、教育をしというような点で、初年度におきましては相当な経費が要るわけであります。従いまして二十九年度において指紋制度を実施するということになりますれば、約二億の予算を要するということになるのでございますが、三十年度において開始をいたします際には、一齊切替えにぶつからないのでございます。従いまして新らしく日本に入つて参りまして外国人登録を行う者、或いは一旦日本に入つてすでに登録をいたした者が、外国人登録証明書を紛失しまして、再び交付を申請する。いわゆる再交付というような際に、そのときに併せて指紋制度をやつて参りますから、その人数はそう大した数ではないのであります。従いまして三十年度に指紋制度を開始するということにいたしますれば、予算に関しましては二億というような金は要らないのでありまして、その何分の一かでよろしいのでございまして、かたがた我々のほうから申しましても、各窓口の吏員の指紋制度教育というようなことが徐々にできて参りますので、むしろ事務的には三十年度から実施するということのほうが結果的には望ましいのでございます。従いましてこの延期は、登録制度を実施いたしますための延期は今回限りということで御了承を願いたいと存じします。  それからもう一つの問題は、指紋制度というものが我が国に新らしい制度でございますが、一体外国人を扱いますのに、世界各国でこういう制度を実施しておるところがどこどこあるかということでございます。これはアメリカ、カナダという国におきましては立派な指紋制度をやつておりまして、日本はむしろこのアメリカの制度を真似て指紋制度をやる。これが一番外国人を扱いますのに、各自が携帯しております外国人登録証明書と本人というものとがはつきり同一であるという証明をさせる手段でございますので、これ以外の適当な方法はないという結論になりまして、我が国におきましても外国人登録法を制定いたします際にわざわざこの規定を入れたのでございます。ただ、日本で初めての制度であり、又この適用を受けます九〇%は朝鮮出身者であるというようなことから、元来こういう方面において指紋ということは、すぐに犯罪人扱いにするというような疑いを持たれる虞れもございますので、そういう啓蒙というような点も併せまして実は一年延期をしたのでありますが、更にこれが一年延期になり、そうして今回三度目の延期になるわけでございます。前回の延期の際の理由は、日韓会談がまさに開催されんとしておりまして、その矢先に指紋制度を取るということが、まだ啓蒙宣伝が足りない際にやるのは、日韓会談に必ずしも好影響を与えないという憂えから延ばしたのでございますが、ただ、今申上げたいと思つておりますことは、この指紋の取り方でございます。指紋を取りますのに、普通犯罪者等につきまして現にやつております制度は、十本の指につきまして指紋を取るのでございますが、この外国人登録証明書、或いは外国人登録に関しまする限りは十本の指紋を取る必要はないのでございまして、ただ登録証明書を本人が持つておるその同一性を証明するという意味におきましては、各自の携帯しております証明言に、一本の指の指紋を押してもらえばよろしいのでありまして、そういう点を啓蒙いたしますれば犯罪人扱いにされるというような心配は彼らに与えないで済むのでございますし、外国人登録の面から申しますれば、それで十分であるという結論になるのでございます。この二十九年度、法務省として予算を要求いたしましたその一億の予算は、実は一指指紋、一本の指の指紋を考えておつたのでございます。従つて三十年度においてもこの一指指紋をやるという趣旨で今考えておるわけでございます。ヨーロッパ方面におきましては外国人登録におきまして指紋制度はとつておらないようでございますので、東洋のみならずヨーロッパ諮国においても、多少十本の指紋を取りますということになると問題が煙り得ると思いますが、一指指紋につきましては、外国人全般について納得を求めますことは容易なことであると存じております。
  27. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御質疑ございましようか
  28. 楠見義男

    ○楠見義男君 頂いた資料についてちよつとお伺いしたいのですが、昭和二十七年四月から二十八年三月までの外国人登録法(及び令)違反事件についての資料を頂いておりますが、この受理件数一万二千五百七十七について国籍別の大体の見当があればお伺いしたいのですが……。
  29. 鈴木一

    政府委員鈴木君) この大部分が朝鮮でございます。極く僅か中国関係がございますが、もう九〇%までは朝鮮であるというふうにお考え頂いて差支えございません。
  30. 楠見義男

    ○楠見義男君 もう一つの資料で、登録外国人の中で、朝鮮とそれから韓国に分けていますね、あれは朝鮮という場合にはどういうことなんでしようか。北鮮、南鮮と分けてのことなんですか。
  31. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 多分お配りしました最後の頁の備考欄に書いておいたと存じますが、この国籍ですね、韓国と朝鮮と二つございますが、備考欄におきましては韓国と朝鮮とは大韓民国と、朝鮮民主主義人民共和国との区別を現わすものではないということをここに書いておりますが、これは沿革がございまして、この二つの欄ができているのでございます。二十五年の切替のときであつたと思いますが、それまでは我が国におきましては半島出身者は全部朝鮮ということでやつておりましたが、たまたま大韓民国の代表部が我が国にできまして、折角韓国という国があるのに、どうして日本では朝鮮という名前を使うか。是非登録の際には韓国を使つて欲しいという強硬な申出があつたわけでございますが、当時連合国司令部のほうからも話がございまして、我が方は朝鮮で十分であると言つてつたのでありまするが、結局それほど熱心にいうことであれば、韓国と名乗りたい人は名乗つてもいいように扱いましようということで、話合ができたのでございます。従いましてそのときにはすでにもう登録が始まつてつたので、大部分がもう朝鮮として登録している。あとから韓国という名を申出て或いは直したものが若干あつたのでありまして、当時は五対一というような、朝鮮のほうが五で韓国か一という、或いはもつと比率が大きかつたと思いますが、その程度の差があつたのでございます。で、その沿革かございまして、朝鮮、韓国というのでずつと来ておるのでありますが、日本側におきましては、この二つの欄は一括して考えるべきものであるというふうに考えております。又扱いにおきましても大して違いはない、外国人としての扱いにつきましては、両者の区別なしに扱つております。
  32. 楠見義男

    ○楠見義男君 この今まで延期された理由として提案理由説明にもあり、又鈴木さんからも御説明がありましたが、大部分は朝鮮の人々であり、而も前回は日韓国交調整の議が起りかけた際で、非常に障害を与える慮れがある。そういうふうなことを述べられておるのですが、この誤解の問題は現在の日韓国交関係から見て、又それが、国交調整がうまくできても、両国親善関係とかいう名になつて根本の誤解が払拭されない限りは、大部分が韓国人或いは朝鮮人ということになつて来れば、なかなかこれはスムースに行かないんじやないかという心配があるわけでありますが、ところがこれは又お話にありましたように、来年は必ずやるということになれば、この一年間に相当の啓蒙手段を講じなければならんと思うのですが、今のお話のように十指指紋を一指指紋にするということだけでその誤解が解かれるのか。或いはそれ以外の啓蒙賞伝というものを、来年必ずやるとすれば、それまでの間にやらなければならんと思いますが、それはどういうふぅにお考えにAばつておりましようか。
  33. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) これは十指指紋じやないということを徹底いたしますことか一番安心を与えることである、要するに犯罪捜査にこれを使うのではないという原則を彼らに徹底せしめる。それが一番いい効果があると思います。なお我々のほうの市町村の扱いであるとかいうような点につきましては、丁度二十九年度におきまして一齊切替がございます。そちらのほうの打合せをいたすとかいうようなことがございまして、そういう機会に又この登録を受ける人たちも、やはりこの一齊切替についての啓蒙宣伝と申しますか、連絡と申しますか、趣旨徹底ということもいたすのでありまして、そういう際に合せて、来年、三十年度において一指指紋をやるということにつきましても、予備的な宣伝は或る程度進め得ると思いますので、御懸念のような点はそう大して起らないんじやないかというふうに考えております。
  34. 楠見義男

    ○楠見義男君 私は犯罪捜査における指紋に関する知識というものは余りないのですが、これは政務次官御存じかわかりませんが、一指指紋の場合には犯罪捜査には全く効果というものは大いものなんですか、どうなんでしようか
  35. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) この点は我々のほうでも十指にするか、一指にするかということで大分研究をいたしたのでありますが、その際に今の犯罪捜査の指紋制度というものが十指を基礎にして組立てられておる。併しシステムを別にすれば一指でもやり得るということは言われておるわけでございます。又現にそれの専門家、或いは権威者という人も法務省の、府中の刑務所に勤務しておられて一指ばかりを研究しておる人もあるのであります。これは制度化することは可能なのであります。ただ十指のほうが十本取つてありますから、すぐカード式に、或いは字引を引くようにすぐその人が出て来るということはあるのですが、一指のほうは要するに非常に分類が困難になります。それだけの問題でありますが、科学的にいつてやり得る制度ではあると思います。
  36. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと、犯罪人扱いにするとか、いろいろ現在の状態において心配しておる点は、その誤解は十指指紋を一指指紋にしてもなかなか払拭できないということから、単に今お話のように十指指紋を一指指紋にすることによつて、従来の韓国人、朝鮮人の誤解が解けるのじやないかということは、そう簡単に期待できず、もつとほかの啓蒙、例えば先ほどお話なつたように、アメリカ、カナダの一等国が現にこうやつておるのだというようなことをやるとか、いろいろの啓蒙方法を講じないと、単に十指を一指にしたということだけでは、根強く持つておる犯罪者扱いの懸念というものは払拭できないのじやないかというふうに思うのですが、その点はどうでしようか。
  37. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) まあその点は、勿論お話の点は十分やりたいと思いますが、東洋におきましても、従来拇印という制度があつたわけですから、東洋方面では要するに自分のはんこを捺す代りに拇印を捺す習慣がありますから、それと同じことであるということを言えば、ヨーロッパ人よりは却つてやりいいのではないかと思います。そういう意味では拇印については認識がある。現に連中も我々のほうに歎願書を出して来るときには拇印を捺して来るのですから、それだということでやれば、そう問題はないのじやないかと思います。
  38. 楠見義男

    ○楠見義男君 そうしますと一指指紋というのは拇印を捺すことなんですか。
  39. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) これは親指ですけれども、実際は取り方をもう少し何と言いますか、巾を広くとるのです。ただぽんと捺しただけでなく、取り方か多少技術的になるのであります。
  40. 楠見義男

    ○楠見義男君 それからも)一つ予算関係なんですが、これは予算立場から言いますと、どういう、費用に金がかかるの、ですか
  41. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 主として新らしい人々を集めて教育する、各市町村、日本全国で、三千何百町村に行くわけですから、その実際に指紋を取る吏員たちに教育をする、講習をするとかいうようなことが相当な費用になるのであります、それから指紋を取る器具ですね、これは簡単な器具ですが、やはり窓口に一つ一つ備えなければならない。それから用紙であるとか、登録のための新らしい原紙とかいうようなものを各市町村に配りまするし、こういう費用であります、
  42. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  43. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。  次回は来週火曜日九日午前十時から地方行政委員会との連合会を開き、その後引続き法務委員会を開会することにいたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後一時五十五分散会