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1954-09-16 第19回国会 参議院 法務委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十六日(木曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高橋進太郎君    理事            小野 義夫君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            青木 一男君           池田宇右衞門君            長島 銀藏君            梶原 茂嘉君            岡田 宗司君            小林 亦治君            棚橋 小虎君   国務大臣    法 務 大 臣 小原  直君   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (被疑事件処理に関する件)   —————————————
  2. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) これより委員会開会いたします。  検察並びに裁判運営等に関する調査のうち、被疑事件処理に関する件を議題にいたします。なお、先ほどの理事会申合せによりまして、まず法務大臣に対する質問順序につきましては、緑風会社会党左派社会党右派、その他とこういう順序で質疑に入りたいと存じます。なお、緑風会の持ち時間二十分、社会党左派六十分、社会党右派三十分、その他三十分ということを一応の目安にいたしまして、質問の都合によりまして、委員長におきまして適当裁量することを御了承いただきたいと存じます。  なお、本件審議に入る前に一言委員長から申上げたいと存じます。本件に関する法務委員会開会につきましては、造船疑獄事件打切り声明の直後二、三の委員各位より開会の要望もあつたのであります。また、吉田総裁発言の血後も特に一松、亀田委員等よりも開会の御要以がございました。しかるに本件は当時衆議院法務委員会においても問題になつておりましたので、二院制度の建前上、これら衆議院の各委員会運営審議状況等ともにらみ合せて開会することが適当であるとの観点から、本日開会審議の運びに相なつたものであります。従つて委員会といたしましては、本問題はどこまでも参議院観点よりこれを究明し、造船疑獄等打切り声明並び吉田総裁発言等検察行政運営について国民疑惑と誤解とを招来した点を、審議の過程を通じて解明いたしたいと存じます。それによりまして、当委員会日ごろの念願とする検察行政権威保持検察権に対する国民信頼確保を、党派を越えてはかりたいと念願するものであります。その間本問題を党利党略の具に供する意図もなく、全く法務委員会独自の目的追求にほかなりません。よつて法務当局も本委員会審議目的十分了とせられまして、十分意を尽し進んで国民の前に本件の実態を解明して、当委員会と共に検察行政権威保持の実を挙げられんことを期待するものであります。なお、委員各位におきましても、十分質問の主点、用語等に御留意せられると共に、その質問の途中、語気激越にわたつた場合があつたといたしましても、これは当法務委員会の守らんとする検察行政権威擁護熱意の然らしむるところとせられまして、答井に当つて十分意を尽されんことを望みまして審議に入るものであります。
  3. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私は今回の一連疑獄事件、特に造船疑獄の問題に関連いたしまして質問をせんとするものでありますが、ただいま委員長発言のありました通りに、私の質問趣旨検察行政権威を保持するという趣旨に出るものであります。あらかじめこのことを申上げておきたいと思います。  今回の一連の汚職問題は、種々の問題を現在残しておるのであります。また、多くの問題を将来に残しておると思うのであります。私はそれらの問題の中で特に検察行政における責任所在検察行政あり方の上においての責任あり方という点について質問をせんとするのであります。検察行政は、もちろん裁判司法権とは異なりまして、一般行政に属するものであることは言うまでもないところであります。しかしながら、司法権関連のある特殊の性格を持つておりまするために、ともいたしますると行政上の責任所在あり方がきわめて不明確になる場合があるように思われるのであります。特に今回の検察庁法第十四条の発動等関連いたしまして、特にその感を深くするのであります。検察行政一般行政に属するのでありまするから、検察行政責任所在は、これは法務大臣にあることは明らかであると思います。そしてその責任を遂行する上において検察庁法第十四条を行使するということ、これまた当然の事理と思うのであります。しかしながら検察げ庁法十四条を行使する根拠は、あくまで検察行政重点がおかれ、検察行政範囲内でなければならぬと思うのであります。もしその範囲を逸脱する、あるいは検察行政範囲外事柄重点がおかれて十四条が運用せられるとすれば、それは法務大臣としての責任を乱るものであつて検察行政責任あり方に不明瞭な事態を招来することとなると思うのであります。私は検察庁法十四条の発動による指揮権行使については、おのずから検察行政上の規範、基準があるであろうと思うのであります。それについて法務大臣に伺いたい。先般犬養法相によつて発動されました指揮権行使は、果して検察行政責任という観点から見て妥当であつたかどうかという点であります。この点につきましては、現在までのところこれを究明し、鮮明せしむべき十分の機会がなかつたと思うのであります。当時の理由として示されたところは、重要法案審議と、それと法律的性格にかんがみて指揮権発動した、こういう趣旨になつておるのであります。問題はこの「法律的性格にかんがみて」と示されておるこの法律的性格というものは、いかなるものであるかということをはつきりする必要があると思うのであります。もし、それがなければ単に重要法案審議状況にかんがみ云々ということでは、これは明かに法務大臣としての責任範囲外にあることと思うのであります。もし法律的性格にかんがみという法律的性格妥当性があれば、あの指揮権発動に私は法務大臣としての一つ妥当性が見出し得るかと思うのであります。その点についての内容的の御説明をお願いしたいと思う。それに関連いたしましては、総理大臣総理大臣としての見解を、これは御承知のように示されております。法律的の理由として、新らしい憲法の下においてはみだりに人を逮捕すべきものではない、佐藤幹事長は逃げもかくれもしない証拠隠滅のおそれもない、他の方法によつて捜査を実行することが可能である、従つて逮捕することには政府としては納得できないという趣旨のことを繰返し言つておられるのであります。その理由は、その限りにおいては或る程度の妥当性があると思うのであります。しかしながら、犬養法相理由とされておりまする法律的性格という言葉の表現とは、多少私は違うであろうと思うのであります。さらに、検事総長はその談話において、贈収賄のごとき性質の案件においては、関係者を同時に逮捕し、そうして捜査をしなければ効果が上げ得ないということを言つておられる。これはその事件法律的性格を示されておることと思うのであります。そういたしますると、発表された指揮権発動根拠になつておる法律的性格と、検事総長の言つておられる法律的性格とはまさしく対蹠的のものであり、むしろ反対的のもののようにも思われるのであります。その間われわれはきわめて不明瞭な点を感ずるのであります。加藤前法相はこの問題に関連しては、常に大所高所より見て、そうしてこの措置を是認すると言つておられるのであります。大所高所意味しておりまする点を了解することは十分には私にはいかないのであります。おそらくは、法務大臣立場を離れて考えれば、是認されるということをむしろ意味しておるのではなかろうか、かようにも想像されるのでありまして、きわめて空漠たる見解をもつて終始されたのであります。私はこの問題は、検察行政上非常に重要なことであつて法務大臣責任としてそういうことを明確にすることが今後に残されるいろいろの問題を検討して行く上において肝要であろうと思うのであります。こういう趣旨から小原法務大臣があの検察庁法十四条による指揮権発動が正当なのか妥当なのか、或いは違法なのか、不当なのか、参議院におきましてはあれは不法であるという決議をしておるのであります。法務大臣としての見解をはつきりするということは、私は検察行政権威を保持する上において、最も必要ではないかと、かように思うのであります。その点を伺いたいと思います。
  4. 小原直

    国務大臣小原直君) 梶原さんのお尋ねにお答え申上げます。まず第一に、検察庁監督責任がどこにあるか、監督行政法務大臣責任を負つておるのではないかと、こういうお尋ねであります。これは仰せられる通り検察行政も又一つ行政ではありますが、この行政の全面の問題については当然法務大臣責任を負つております。従いまして検察行政につきましても法務大臣が全的に責任を持つものと考えております。これに関連してお尋ねになりました先ほど来の造船疑獄の問題に関連いたしまして佐藤栄作氏に対する逮捕稟請の問題について、ときの法務大臣犬養大臣が、これに対して検察庁法第十四条の但書を発動して事件性格にかんがみ、且つ重要法案審議情勢にかんがみて、しばらく逮捕要請を延期するようにという指図を検察庁に出された、検事総長に出されたのであります。この検事総長に対するときの犬養法務大臣指揮権検察庁法第十四条のただし書きによるのでありまして、この検察庁法十四条は、検察庁法が初めてできましたとき、従来司法監督機関でありました司法大臣裁判所及び検事局に対して全体的に監督権を持つと共に、検察事務についての指揮についても無制限にこれをなすことができる規定があつたのでありますが、それではいろいろ弊害があるということで、検察庁法制定の当時、結局法務大臣検察庁に対して監督権を持つことは当然であるが、個々の捜査に関しては検事総長を通してのみこれをなすことができるということにして、捜査指揮権を統一したのであります。それゆえにこの検察庁法第十四条及びそれのただし書きは、法務大臣検察行政監督及び検察行政指揮に当つて根拠になる法条でありまして、先般行われました、ただいま申したところの佐藤栄作氏に対する逮捕稟請の延期を指図したいわゆる検察庁法十四条の指揮権発動はこの法条によつてつたのであります。それでありますから、この行為は勿論法律規定従つてなした法務大臣行為でありまして、適法であることは勿論、妥当であるかどうかということについての問題は、当時法務大臣事件性格にかんがみ、且つ国会における重要法案審議状況にかんがみて、しばらく逮捕稟請を延ばすようにと、こういうことでありまして、「この事件性格にかんがみ」ということは私は当時存じませんでした。今度就任して調査いたしました結果、「この事件性格にかんがみ」ということは、佐藤栄作氏の収賄容疑一つは、自由党に対する献金であつたのであります。それを佐藤栄作氏が受取つた、こういうことになるのでありまして、佐藤栄作氏は自由党に対するいわゆる贈賄者の金を自分が間におつて受取つて、これが自由党のものになつた。こういうことでありまして、いわゆる第三者贈収賄、こういうことになるのでありまするから、これが果して法律上犯罪になるものかどうかということに犬養大臣が疑問を持たれて、「事件性格にかんがみ」という文句が出たものと思うのであります。それからまた、国会における重要法案審議にかんがみて、逮捕稟請を延ばしてくれろということになつておりますが、ただいまお尋ねになりましたように、政治上の理由を考えて指揮をするということは、それは政治的の行為であつて法律的にいうと不当ではないか、あるいは下法ではないかというようなお尋ねに承わつたのであります。しかし、検察上におきましては事件の取扱において、ある事件起訴するとか不起訴にするとかいう場合には、諸般状況を考慮いたして、その状況に応じて、あるいはこれを起訴し、あるいはこれを不起訴にする場合があるのであります。これは刑事訴訟法規定いたしております犯状、犯人の性格改俊状況その他諸般状況にかんがみて、起訴を必要としない場合においては起訴しないでよろしいという規定があるのでありまするから、これがやはりこの場合にも勿論働くのでありまして、諸般状況にかんがみて、事件に対する指揮をなしてよろしいのでありまするから、この場合に犬養法務大臣が、国会における重要法案審議状況にかんがみ、しばらく逮捕稟請を延期せよという指令を出されたことは、すなわちこの刑事訴訟法の、諸般状況にかんがみて不起訴にしてよろしいということと同じことで、当然やつてよろしい、またやらなければならんことでありまするから、それをあえてこの理由にしたということは、決して不当でもなければ不法でもない、こういうふうに私は考えております。  それから佐藤検事総長が或いは談話のうち、もしくは先般の決算委員会における証人としての証言の中に、贈収賄贈賄者側逮捕勾留すると共に、収賄者側逮捕勾留するにあらざれば、あの場合に確実な証拠を得られない、従つて今度の佐藤栄作氏に対する事件についても、やはり収賄者側逮捕勾留して調べておるが、その際には、どうしても佐藤栄作氏に対しても逮捕勾留をして取調べをすることが必要であると思つたので、あの逮捕稟請をしたのである、こういうことを言つておられるのであります。そこで只今お尋ねになりました、この贈収賄法律的性格にかんがみという、その法律的性格ということは、どういう関係であるかというお尋ねでありますが、この贈収賄について、被疑者逮捕勾留せんければならんという必要は、これは検察捜査方法において必要であるのでありまして、法律逮捕を許しておるのでありまするから、その逮捕を許された場合に限つて逮捕していいのであります。それと犬養法務大臣が、事件性格にかんがみと言われた、この事件性格にかんがみということとは、何らの連絡関連がないということが言われました。
  5. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 大臣の御答弁は一応坦坦として了解できるのであります。当然のことを当然にお話になつておるもののように受取られるのであります。私の聞きたいのは、法務大臣として、検察行政責任を担当しておるその責任立場からいつて、それを果す上で、検察庁法第十四条を行使する、その基礎はあくまで重点検察行政自体になければならん、その範囲重点が置かれなければいけない。それが法務大臣としての私は責任であろうと、かように思うのであります。重要法案審議、これも大事であります。別の観念から言えば大事であります。しかし、そのために十四条を発動するということが当然法務大臣責任に属するのかということであります。お話のように、単に法律の形式的な解釈だけで済ますべきものじやない。政治の点も考慮されましよう、あるいは刑事政策の点も十分勘案されましよう、それは私は当然のことだと思います。しかし、それはあくまで検察行政といいますか、検察権行使という、その大体に重点がなければ、私はその行使不法であり、場合によつては違法である、妥当ではないという心配が当然あろうと思うのであります。大臣の御説明によれば、法務大臣としては検察庁法第十四条の発動はどういう理由であろうが常に適法だ、極端になりますけれども、そういうふうに受取れ得るのであります。私はそういうことがあつてはならないのじやないか、かように思うのであります。  それから法律的性格の問題でありますが、犬養法務大臣説明されておる理由とせられておりまする法律的性格というものと、検事総長の談にあります性格とは、これはやはり私は同じケースを別の面から見ておるのである、関連のない問題ではないと思うのである。これは不可分のことだと思う。それを法務大臣別個観点から、犬養法務相別個観点からある性格を出された、検事総長別個観点からまた出された、関連のある事柄なんであります。そこにあの検察庁法発動検察行政観点から見て妥当であつたかなかつたたかということを、私は判断する一つの問題があると思うのであります。その点を伺つたのであります。願わくばもう一度一つ答弁をお願いしたいと思います。
  6. 小原直

    国務大臣小原直君) 犬養法務大臣があの指揮権発動した理由として述べられた「事件性格にかんがみ」ということは、先に申上げた通りであります。あれは第三者贈収賄であるがゆえに考えなければならんという意味を含んで、あの文句が出たものと私は了解しております。と申しまするのは、第三者贈収賄刑法の正面の規定にはないのであります。ただ、これが第三者贈収賄が成立するかどうかということは、法律学者の間にはいろいろ論議があります。しかし判例はきまつておりません。判例はないのであります。ただ、地方の小さい裁判所において一、二の例としてこれを罰したこともあるように聞いておりますけれども、それではこの事件を扱うのに、ああいう問題を取り上げて逮捕状を出し、起訴に進めるということになることはどうであろうかと犬養法務大臣は考えられたものとみて、あの「事件性格にかんがみ」という文句を使われた、こういうことに私は了解いたしております。しこうして佐藤検事総長贈収賄罪関連しておつて贈賄者逮捕勾留すると共に、収賄者をも逮捕勾留しなければ、適格な証拠が得られんということを言われたことと、それは贈収賄罪という特別の性格についてそういうことがあるということ言つておられるのでありまして、この指揮権発動がその問題と特別の関係がある、こういうふうに言われる意味においてああいう言葉を述べられたものとは私は理解しておらんのであります。この第三贈収賄については、先ほど私が申した言葉に多少間違いがあります。刑法の百九十七条の二に規定があるが、これがつまり今までに用いられた例がないとこういうことを申上げたのでありますが、これはそこがちよつと落ちておりますから改めてつけ加えます。なお、こういうことが仮にあつて犬養法務大臣指揮権発動したということが妥当であるかどうかというお話でありますが、妥当性については、これはいろいろ議論があると思うのです。その人の考え方いかんによつて違うのでありまして、やはり当時においては犬養法務大臣はこれを出すことは妥当であると思われて出されたものと、こう私は理解をしております。
  7. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 当時、犬養法相が妥当なものとして出されたものと言われるのでありますが、おそらくさようでありましよう。私の聞かんとするのは、この問題は現在においても存在しておる重要な検察行政上の或いは検察権行使の上においても問題だと思うんです。小原法務大臣も、法律観点少くとも検察行政観点から見てあの措置は適当である、妥当であつた、こういうふうに考えておられるのかどうか。犬養法相がやられたのは妥当と考えてやられたのであろうということを聞いておるのではないのであります。小原さんとして、法曹界の元老、政党を離れた公正なる立場のかたの検察行政観点から見て、あれは適法にして而も正当な行使である、かように考えておられるかどうか、この点を最後に伺いたい。
  8. 小原直

    国務大臣小原直君) 私個人みたような意味においての所見を述べろという仰せでありますが、私は法務大臣としては、あの指揮権発動によつて生じたすべての事態についての責任はこの内閣の一員として当然負うのであります。ただそのとき私は現職におらなかつたものでありまするから、諸般情勢が私の頭によく映りません。従つて妥当かどうかという問題になりますると、私はそれを判断する資料を持たないのであります。従いまして犬養法務大臣があれをやられた、指揮権発動されたということは勿論適法であることはこれは私は信じて疑いませんが、妥当かどうかということになりますると、そのときの情勢をよく知らないと、はつきり申上げかねるのであります。
  9. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 妥当かどうかの判断は法務大臣としてはでき得ない、こういう御答弁であります。私は非常に残念であります。と申しますのは、この問題について法務大臣が三人お替りになつておる。どの法務大臣もはつきりしたこれは妥当である、これは正当である、これは正しいのだ、検察行政責任大臣として正しいのだという趣旨見解の披瀝がないのであります。これは将来に私重要な問題として禍根を残すのは非常に遺憾に思うのであります。参議院はこれに対して不当である、不法であるという決議をいたしておるのであります。一般においてもいろいろ批判があるのであります。この問題についてそういう状況の中で責任大臣がこれは前のことだから、正当とも、妥当とも、あるいは不当とも言い得ない、違法ではないことには間違いはないという御答弁は、甚だ残念でありますが、時間の関係もありますので、打切りたいと思います。  それからまだいいですか……。検事総長の談に関連をするのであります。私は検察陣は誠意と熱意と全力を傾けられまして、今回の処置に当られたことについては疑問を持たないのであります。しかしながら、汚職事件とかというふうなものは、それ自体きわめて大きな問題でありまするが、同時にそういう事件の取扱い方というものも、私は同じく重要性があると思うのであります。その取扱い方いかん上つては、場合によつては今回より以上の影響を及ぼすものとも思うのであります。現にそれは今回の一連動きを見ましても、そういう感じが深くするのであります。御承知のように、今回の打切り関連いたしましていろいろの疑惑があります。一つは、検察陣営政治力に屈服をして政治力の前にはきわめて微力であるということを示したという意味で憤りを感ずる者もあれば、不満を感ずる者もあるようであります。それらがひいては、検察に対する一つの大きな不信感情になりつつあると思うのであります。いま一つは、これとは逆でありまして、今回の検察全体の動きは前後、過去において例を見なかつたような大がかりな動きであります。それにもかかわらず、結果においてきわめてみじめな結果になつた。検察庁法十四条の発動があるかないかはこれは別として、国会開会中であり果して逮捕し得るかどうか、これは国全体のきめるところでありまするから、おそらくは検事総長はじめ検察陣営としては逮捕国会開会中はでき得ない結果になるということも、これは当然そろばん勘定の中にはなければならないと思うのであります。そういうことも一応あり得るとして、その上で慎重な万全の措置が講ぜられておつたことと一般は期待しておつたのであります。ところが結果においてそういうことなしに終つたのであります。これは見方によれば、一つの新らしい形の検察フアツシヨといいますか、そういうものではなかろうか。見かけは非常に大がかりだつたけれども、その内容において、内実において極めて脆弱であるという意味で、検察に対する失望、忿懣の感情国民の中には相当あると思うのであります。それもひいては検察に対する一つ不信感情を醸成しつつあることは、これは疑いをいれないのであります。参議院決議におきまして、御承知のように検察庁法十四条の発動関連して政府善後措置を講ずべしということを結論として出しておるのであります。この善後措置をとれということは、単にあのとき当座の措置としてつじつまを合せるとかいう意味合いでは決してないと思うのであります。善後措置というものは、将来に亘つてあり得ることだと思う。検察に対するこういう不信の声が高まりつつある。これに対しても適切なる善後措置を講ずることが、やはり私はあの決議の持つておる意図一つであろう、かように思うのであります。これらの点についての大臣の御見解をお伺いしたい。
  10. 小原直

    国務大臣小原直君) 造船疑獄に対する検察当局処置について何か遺憾の点があるようにおつしやいましたが、その点に対して検察当局がもつと万全の策を立ててやつてつたならば、こういう結果に終らないですんだのではなかろうかという御疑念のように思います。御もつとものお疑いであると思うのでありますが、これは本年の七月三十日検事総長談をもつて発表いたしましたいわゆる造船疑獄一連疑獄事件についての発端から経過、及びその結末についての決定が談話の形式で発表されておるのでありまして、その中にこの事件の経過が書いてあります。それに書いてあることは事実であるのでありますが、本件の端緒は、日本特殊産業株式会社社長、猪股功に対する告訴が昨年の暮に出ております。その告訴に基いて猪股功を調べた結果、商法違反、詐欺被疑事件等が、だんだん調査の進むに従つて明らかとなりまして、その結果、山下汽船、日本海運株式会社等から多額の手形を振出した行為について不正の要因が発見され、ことに本年の一月七日になりますと両会社に対して押収、捜索等を行い、その幹部を検挙取り調べましたところが、その結果同人らが昭和二十八年の四月施行の総選挙を中心として多数の議員候補者のために金員を交付している事実と共に、運輸省の官房長壺井玄剛に対し、いわゆる計画造船の船主選考をめぐつて贈賄している事実等が発見し、こう書いてあります。この事実が発見したので、これはそのままにおいてはこれに関連した他の被疑者関係者証拠隠滅をし、逃走のおそれがありますから、急速に事件の取調べを進めなければならないことになつて、ここに手をつけて本件が調べられることに至つたのであります。仰せられるように国会開会中にかような事件に手をつけるのが一体間違つているじやないかという見方は勿論あるでありましようが、それは普通のときでありましたならば、それらのことをよく勘案いたしまして検察当局は手をつける時期を考えるのであります。これはそんな大きな事案が伏在しておつて一度に飛び立つであろうということを考えておらなかつたものでありますから、やむを得ず手をつけて調べて、その結果手をゆるめるひまもなく捜査を進めるということになつたの本件捜査の実情であります。それゆえにその結果として仰せられるように、或いは指揮権発動というようなことがあり、その他いろいろの支障を途中に生じたというようなことにはなりましたけれども、しかし検察当局はあの指揮権発動によつて佐藤栄作氏に対する逮捕はできませんでしたけれども、逮捕を除いた以外のあらゆる手段をもつて捜査を続行いたしました。調べた結果が結局被疑事実を認むる証拠が足りないので、収賄の点は起訴ができず、受取つた金について政治資金規正法違反の罪が明らかになりましたから、その点について起訴をした、こういうことになつたのであります。なお、その佐藤氏以外の事実につきましても、これ又検察当局においてはあらゆる手段を以て鋭意捜査を続行いたしました。結局取調の結果が本年七月三十日発表したような結末に達するようになつたのであります。この間、検察当局は全力をあげて許されたる範囲においてのすべての力を用いたのでありまするから、検察当局としては勿論万全の策を講じて捜査を遂行したということになるのでありまして、これについて検察側に手落ちがあつた、策の立て方が足りなかつたということを責めるのは、むしろ酷であろうと私は存じております。
  11. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私の質問趣旨は、検察当局に万全のかまえがなかつたとか、その間手落ちがあつたとかということを、この質問において明らかにして責めるという趣旨ではないのであります。ただ、現実の問題として、今回の事件を通じて検察に対する不信感情が高まりつつある、これは理屈を離れて事実であると私は思うのであります。一つ政治力に屈服しているじやないかという一つの見方、一つは、問題の何といいますか、とらまえ方その他において、甚だ何と申しますか、薄弱である、脆弱である、しかも形は非常に大げさである。そこで一つ検察ファッショといいますか、そういうふうな批判的な見方が現在あつて、それがひいては検察権威と信頼を傷つけつつある。この両方が合して現在検察に対する信頼感は失われつつある、権威がそこなわれつつある。これは私は一つの現実の事実のように思われるのであります。こういうことに対する何らかの処置が真剣に考えられないというと、今後検察行政上の権威を保つといつても、はなはだおぼつかないのであります。こういう趣旨であつたのであります。時間の関係もありますので、再度答えを求める気持はありません。これで一応終ります。
  12. 小原直

    国務大臣小原直君) 私のさきの答弁お尋ね趣旨をそれておるということを承わりました。要するにあの指揮権発動以後における検察処置が、あるいは政治検察が屈服した、あるいは時期を誤つた捜査をやつたがために、捜査の成績がよく上らなくつて、それがために検察不信国民に招いておる、そういうことがあつてはならないから、それをすみやかに回復するほうがいいではないかという御親切の御注意に承りました。誠にけつこうに存じます。仰せのように、ああいう事態において検察指揮権発動の際に、あえてこれに拮抗していわゆる秩序を乱すような行為をやらないで、正当な方法で自分に与えられた権能を守つて隠忍自重、自分の最善を尽して捜査を完了したということは、これは私は実に見上げた行動であると思つておるのであります。これがために国民の中には検察は弱いではないか、政治に屈服したではないか、あるいはあの際にもつと反撥して、自分たちは身分の保障があるのであるから、堂々と争えばよかつたではないかというような意見も聞いております。これも一面の理はありますが、しかし申すまでもなく、検察というものは犯罪の検挙を法律によつてつておるのであります。みずから秩序を守つて法を正すのでありまするから、この検事がこの際において憤激をして、指揮権発動が不当であるからといつて、あるいは何かモッブみたいような行動を起すとか、上官に反抗するとかいうようなことがあつては、これこそかえつて検事みずから秩序破り、法律をそこのうものでありまするから、そういうことをやつてはならんのであります。この際に検察陣が全体一身となつて隠忍自重してああいう態度をとつたことは、私は検察としては誠に見上げたことで、当然やるべきことをやつたんであるとこう考えております。ただ、これに対して国民が今仰せられたように、いかにも検察がふがいがない、頼りないという感の起きたことも事実と思いますが、これは確かに国民の誤解でありますから、この誤解を正して行かなければならんということで、私どもは今専心その誤解を解くことに努めておるのであります。要するに検事はどこまでも正しいことをやるんだということを国民に示すことによつて国民がやがて検察の本領を了解してくれれば、今まで自分たちが不都合だ、不信だと思つたことは間違いであつたということに了解が得られるようになつて行くことを私は熱心に希望しておるのであります。その面については今折角努力をいたしておるのであります。やがて検察の本領が国民にも理解されて、おつしやつたような不信が回復される時期も遠からないことを期待いたしておるわけであります。これをもつてお答えといたします。
  13. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ただいま法務大臣国民検察庁のまあ弱腰といいますか、とにかくああいうふうな事件がしり切れとんぼになつたことに対しましてまあいろいろ考えておりますが、そのことについて国民が誤解がある、こういうふうに言われる。それで誤解を解くということがあなたの任務にもなるわけであります。検察庁側の任務にもなるわけだと思うのですが、過日、衆議院決算委員会におきまして吉田首相の喚問の問題が起つております。又証人として呼ばれました何ですね、佐藤検事総長、馬場検事正のこの証言の内容に関して、あれはまあ職務上の秘密で逃げてしまつたので、八カ条ほどの問題についてあなたにその許可を求めておる問題がある。あなたはまだその問題について許可を下しておらん。これは誤解を少くして国民に、まああなたの、所期されておるところの国民の誤解を解くということでなくして、誤解をますます深めるばかるじやないかと思うのです。大体あなたが法務大臣になられ、このときの噂もいろいろ伝えられております。犬養法務大臣指揮権発動されて、そうしてあくる日おやめになつた。そうすると何にもわからない加藤鐐五郎氏がまあ首相から任命されて法務大臣なつた。この人ではどうも務まらんというので、あなたが今度はひつ張り出されて法務大臣になられた。まあそのことについてもいろいろ国民の間では誤解しておる。で、もし、あなたがこの誤解を解こうというなら、一つ堂々とこの許可を与えられるなりなんなりされる、がよろしいし、なお進んで誤解を解くような発表もやられたらよかろうと思うのです。これは法務大臣の名前で出されてもいい。そういう態度をとらなければ、検察当局が正しい態度をとつて来たのかどうかということは依然として疑問に残る。この点についてあなたは、どういう処置をとられようとするか。この誤解を解く方法についてお伺いしたいし、また、今ここで誤解を解くのか国会委員会を通じてできるというならば、ここで一つ堂々と誤解を解くための所信なりなんなりを述べていただきたいと思います。
  14. 小原直

    国務大臣小原直君) お尋ねにお答えいたします。先般衆議院決算委員会において佐藤検事総長を証人として尋問し、なお東京地方検察庁の馬場検事正を証人として尋問して、それぞれ証言をいたしております。その際の証言を拒否した事項について証言を承認せよという要求書が決算委員会から法務大臣たる私に参つておることは仰せの通りであります。今この承認をすべきやいなやについての回答をすることについて折角研究をいたしておるのであります。日ならずして回答を差し上げることができると思つております。  そのほか犬養法務大臣がやめられた後のいきさつ等についているく仰せられました。私はそれに対して国民がどういうふうに誤解をしておるかわからないのでありますが、ただ、検察行政に対して国民が誤解を抱いておるということは、これは確かにあると思つておるのでありまして、その誤解を解くべく私どもは今いろいろの方法を考えてやつておるのでありますが、それは何をおいても、検察行政の正しく行われておるということを国民に理解させるように努めることが第一でありまして、それは日夕やつておる事件の取扱その他によつて検察というものが正しいものであるということを自然に国民が理解することがまず筋一に望ましいことであります。で、仰せられたお尋ね趣旨は、この疑獄事件の内容をすつかり明らかにすれば、国民が誤解を解くであろうというおぼしめしのようであります。これは先般来私は衆議院法務委員会においてこの種の問題についてたくさんの御質問を受けて答弁をいたしております。その中に、今日の段階においては、残念ながらその点についてすべてこれを明らかにするということはできません。できる限りのことは今日公けにして差支えないものがあるから、それはいたしますが、その他のものはできません。こういうことを申上げておるのでありまして、今度衆議院決算委員会から私に佐藤検事総長及び馬場検事正の証言に対して承認を求めておる。その回答は要するに、これらの問題を解決することをこの際においてやらなければならんのであります。折角検討をいたしておるのでありますから、これをごらん下されば、それらの点について御理解をいただくことが相当あるであろうと考えております。
  15. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今誤解を解くという点について、法務大臣のお答えは、検察当局がとにかく黙つてこつこつと仕事をしておればいいのだ。そうすればそれによつて自然に解けるのだ、こういう意味の御答弁なんだ。検察当局があのような疑獄事件に大きくメスを入れて、その結果泰山鳴動鼠一匹になつちやつた。しかも、泰山鳴動鼠一匹になるのは、鼠の逃げ出す穴を政府指揮権発動によつて開けた。たから鼠が一匹しかつかまらなかつたわけだ。そしてあと誤解を解くには、今度検察庁が黙つて仕事さえしていれば、ひとりでに解ける、そういうものを逃がしておいて、小物だけつかまえて、パンパンだけ挙げて、それだけ罰して、それで誤解が解けると思いますか。逆に誤解は増すばかりです。法務大臣として誤解を解くためにどうするかということを、私はお伺いしているので、検察庁が黙つて仕事していれば、誤解は解けのだというような答えは、これは法務大臣のなすべき答えじやないと思う。私は重ねて法務大臣として誤解を解くために、いかなる方法をとるかということをお伺いしたい。そして法務大臣としてあの一件について聞かれたことは、相当お答えになつておるのであります。そうしてこういう点とこういう点が罪にならないのだ、こういう点はこうだということをあなたが明らかにすれば、それでもつて幾らか誤解を解ける途もできるだろうと思う。そいつのほうは黙つておいて、そして検察庁は黙つて仕事していれば、誤解は解けるのだ、これじや済まんはずだと思うのですが、もう一遍そこのところをしつかりお答え願いたい。
  16. 小原直

    国務大臣小原直君) 先ほと検察に対する、不信がどうすれば解けるかというお話でございますから、検察に対しては、検察官としてこういうふうにやらせるようになつておるのだということを申上げたのです。法務大臣としてどういう手段をとるか、これは今申上げた検察官に対する私の監督範囲において、今申上げたようなことをやらせるということが一つ、それから今厚らおつしやるのは、この事件に関する捜査の内容をはつきりすることが一番国民の誤解を解くゆえんだと仰せられた。これは確かにその通り理由があると思います。ただ、今日の段階においては、これを今直ちに発表するというわけに参らない関係にありまするから、それはできない。しかし、やがて公判が開ければ、この公判においては、この関係の相当部分が皆証拠に出で参りますから、公判を待てば、はつきりする時期になりますから、そのときは検察当局としても法務当局としても、発表する部分が多々あるのでおります。そのときまで待つていただかなければならん、こういうことになるのでありますから、これは今早急にやれとおつしやつても、私としては今はできかねる。
  17. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあそのときには、内閣は潰れてしまつて、あなたはもう法務大臣おやめになるかもしれませんから、あなたの責任はそのときになくなるので、今そう言つていれば、あなたはもう何もしないでいいということになる。しかし現在あなたは、今法務大臣としておられる、誤解を解くための努力をしなければならない。そこで先ほど決算委員会から出ました、あれに対するお答えも、一つやはりこの誤解を解く途のごくわずかな部分ではある、けれども、一つ方法じやないか。今聞いていますというと、折角勉強中だ、けつこうでございます。しかしこれは、やはり私は、長ければ長いほど、誤解が増して行くのだ。はつきりと早くしていただきたいと思います。それについて、一体いつごろされるのか、お伺いしたい。これは私はもうなんですね、法務省には優秀な方が揃つておるのだし、特に法務大臣はそのほうの非常な権威者でありますから、あんなものに対する答えを出すのに、ひまがかかるはずはないと思うのです。それをひまがかかることは、まさしく誤解をよけい加えるだけなんですから、いつごろあの答えが出せるものか、それをここではつきり一つしていただきたいと思います。
  18. 小原直

    国務大臣小原直君) 証言に対する承認をいつ出すか、はつきり申せというお話であります。昨日決算委員会からも、いつ回答ができるかという書面をいただいて、本日付で回答をいたしております。それにも折角研究中であるか、今その日を、きめて申上げるわけに参りませんという答えを出しております。本日の午後にも、決算委員会から、私にそれについてお尋ねがあるべく、呼び出されております。その際にも、この点については、お答えをいたしまするが、今のところ、何日にこの返答が出せるかということを、ここでは明言いたしかねます。しかしできるだけ早く出します。
  19. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 できるだけ早くと言つたつて、これは今月一ぱいというのもあるし、今週中というものもあるし、或いは二十日までというのもあるのですが、大体どこら辺ですか、どのくらい……、法務大臣としてお答えできないはずはないと思います。
  20. 小原直

    国務大臣小原直君) こんな問題はわけなく返答ができるだろうとおつしやいますが、これはそう簡単に行く問題じやないのです。あなたからお考えになると、そうお考えになるかもしれませんけれども、われわれ非常に重要な問題に考えております。これが今度初めての例であります。これが先例になります。そしてこれのつながるところは証言を承認すればよろしいのです。拒否をすると、拒否した理由を疎明せんければならんのです。その疎明はやがて必要があつて、その疎明を受諾できないと思うときには、政府に対して声明を発表するように要求ができることになります。言いかえますると、この証言を承認するかいなかは、やがて政府の生命へにつながる重要な問題を持つております。そしてその声明は証言させることが国家の重大なる利害に悪影響ありという声明をせんければならんということに証言法が規定いたしております。そこまで考えますと、この問題はそんなにあなたがおつしやるように軽々に扱われる問題ではないのです。ことに佐藤検事総長に対する証言の承認を要求して参りましたのが、六日の証言に対して八日の午後私の手に入りました。それから馬場検事正の証言に対する承認の要求は、十一日の午前九時かに私の手に入りました。ところがこの承認を要求するところの事項は、要求書には僅かに各項目二行か三行か書いてないのです。しかし、その質疑応答は速記録によると、なかなか長いものであります。それを皆研究しなければわからんのです。ところが佐藤検事総長の分に対する速記録は、九日の夕方私の手に参りました。それから馬場検事正の分は十一日私の手に参りました。そこで初めて事務当局としては、この速記録によつて要求されておる事項は、佐藤検事総長の分は八項目、馬場検事正の分は九項目であります。証言を拒否しておるのは、おのおの十数項目、二十項目に近いのであります。これらをかれこれ対照研究いたしまして、証言を承認すべきかいなか、こういうことをきめなければならんのです。事務当局はなかなか多忙でありまして、これは申上げておかなければならんのは、私は十一日と十三日に衆議院法務委員会に朝から晩まで呼び出されております。刑事局長も勿論行つておらなければなりません。さらに参議院法務委員会には十四日と今日、一昨日やはり呼び出しを受けて出ております。今日もけさから出ております。かようなことで、落ちついて研究するひまがないのです。これが現実です。問題が大きいのに、かようにひまがない、これを、問題を受けてからわずか六日か、……今日で、八日に受けたのが十六日でありますから、八日かかつております。又検事正の分については、十一日に来たのでありますから、まだわずかに五日であります。この大問題を一週間やそこらで返答を出せとおつしやるのが、私はなかなか無理な御要求じやないか、本当に考えて一生懸命やつておるのです。不偏不党この問題に対しては、りつぱな回答を出したい、こういうことで折角研究中でありますから、さよう御承知を願います。
  21. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ大いに研究していただくことはけつこうなんでありますが、ただいまのお話を承わつておりますというと、証言を許可するほうは早くできるようだが、しかしこれが拒否するということになりますというと、内閣声明の問題と関連いたしまして、相当に初めてのことであるし研究しなければならん。どうもなかなか延びておるところを見ますというと、拒否の公算が強いのであります。その拒否するための理窟をめつけ出すのに、ずいぶん時間がかかつておるというふうに、これはひがみかもわかりませんけれども、とれるのです。とにかくこの問題につきましては、もし拒否されるということになりますというと、これは又誤解が増すだけであります。一体贈収賄の問題が、国家の重大事であつて、内閣声明を出して証言を拒否しなければならんほどの問題かどうか。これはまあその理由をお探しになるにはずいぶん御苦心が要することと思いますが、とにかく私といたしましては、こういう問題は、あなたが国民検察庁に対する誤解を解くほうがいい。法務大臣としてそういうお立場に立つと言われるならば、これはまた相当な程度まで、公判を害さない程度にまでやはり明らかにすべきじやないか、こう思うのですが、そういうような立場はとれないかどうか。国民をやはり公判の開かれるまで、つまりこれも大きい事件ですから、公判までにはずいぶん時間がかかるでありましようが、それまで待たしておくと、こういうおつもりかどうかお伺いしたいと思います。
  22. 小原直

    国務大臣小原直君) 折角承認すべきやいなやを検討中であります。中には承認していいものが若干出て来るかと思つております。また、できないものもあるかもしれんと思つております。それはいずれ結果がわかつてからはつきりするのでありますから、それまでお待ちを願います。それからなお、公判で明らかにするのは時期が長いとおつしやいますが、ただいま裁判所の側におきましては、この十月下旬からこの事件の公判を始めるように手はずを運んでおります。そう長い問題ではないと思つております。
  23. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 緑風会の時間はもうなくなりましたね。よろしゆうございましようか、小さいことを……。
  24. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) まあまあ……、どうぞ関連して……。
  25. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 小原大臣に一点だけお伺いしたいと存じます。今年の八月二十八日の検事長会同におきまして、法務大臣のごあいさつがございましたのでございますが、そのときのごあいさつの言葉を、新聞だけでなくて、これは法務省からいただいたので、確かだと思つておりますが、その中に、ちよつと途中からでございますが、「私が司法部を去つたのは昭和十一年三月でありまして、今頃再び現職に就任するなどとは夢にも思つていなかつたのでありますが、偶々例の指揮権発動関連して色々の問題が発生した為、吉田総理大臣より此の際私に事態の調整に当るようにとの依頼がありましたので、敢て老躯を提げて重任に膺つた訳であります。」という初めのころのごあいさつでございます。それからいろいろございまして、最後に、造船疑獄のことにつきましてのところで、「去る八月十日自由党支部長会議に於ける吉田自由党総裁の演説中法規を軽視したり、検察当局を誹謗したかの如き言葉があつたように伝えられましたが、同二十日吉田総理大臣より、右は用語不適当の為、誤解を生じたので、遺憾であつたが、自分としては法規を軽視したり、忠実に職務を遂行した検察の人達を非難するつもりは毫もなかつた旨の御挨拶がありましたから、此の機会に此の事を各位にお伝えします。」というお言葉をいただいておりますようであります。で、私はこれを新聞で見ましたときに、吉田総理がこういう用語不適当のためというようなことをおつしやつております。遺憾の意を表していらつしやいますけれども、その不適当ということは、大臣はよくどこがどういうふうに不適当だということを言つたかということの御検討はなさいましたことと思つておりますが、その総理の用語不適当ということは、どの点だつたのでございましようか。これは指揮権発動、それから検察当局に対します点だけでよろしゆうございますが、ちよつとお伺いいたします。
  26. 小原直

    国務大臣小原直君) ちよつとお尋ねいたしますけれども、指揮権発動に関しての問題は、総理大臣の用語不適当という中にはないのでございますが……。
  27. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そうだろうと思つております。
  28. 小原直

    国務大臣小原直君) お尋ねの御趣旨は、私が就任したのが指揮権発動に関していろいろな問題があつたから、私に出ろと言われたと、それはどういうことであつたかというお尋ねでありますか。
  29. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 もちろん、不適当な用語を使つたということは、その指揮権発動の内容についてではないと思つておりますけれども、大臣が就任なさいましたその一番大きいわけは、指揮権発動関連していろいろな問題が起つたために就任をしたということを初めにごあいさつにおつしやつていらつしやいますので、その責任上、それはやはり関連することでございまして、その点を伺いたかつたのでございます。
  30. 小原直

    国務大臣小原直君) お答え申上げます。私が八月二十八日全国の検事長会同において、あいさつした言葉の中に、私の就任した当時の事情を簡単に述べてあります。なるほどその中に、「偶々例の指揮権発動関連して色々の問題が発生した為、吉田総理大臣より此の際私に事態の調整に当るようにとの依頼がありましたので、」云々と、こういう言葉を申しております。これはその通りであります。ただし、この指揮権発動に関していろいろな問題が発生したということの中には、それこそいろいろな問題があつて、御承知のように、あの当時は世の中が騒然として騒がしくなりました。あるいは検察不信を申しましたり、或いは政府の強権発動の不当を鳴らしましたり、又政党と検察庁との関係についてもかれこれ言われたりいたしております。あるいは法務省と検事の間にいざこざがあるかのごとき評判も世の中に流れておりました。そういうようなことを一括して、とにかく問題があるから、この際私に出てそういう問題を調整してくれんかと、こういうお話があつたのでありまするから、それはその言葉の中に合せて皆含んでおるわけであります。それと、八月十日の自由党支部長会議において吉田総理大臣がなされた演説についての法務当局に対するあいさつの言葉があるのであります。これは、当時かような演説をなされたということが、当日の夕刊及び翌朝の朝刊に大へん大きく取り扱われておつたのであります。その新聞の記事はまちまちでありまして、どれが実際であるかはつきりいたしません。そこで何かこれに録音でもあるならばと思つて私のほうで調べましたところが、NHKで録音をとつておるということがわかりました。これを手に入れようと思いましたが、なかなかちよつと手に入らない。そのうちに、御承知のように週間朝日とそれから産業経済新聞にこの録音の翻訳が出ておりました。あとからレコードを借りて調べてみますと、全く同じもので、それが真相であつたのであります。この録音によつて当時の総理大臣の演説がわかつたのであります。それを見ると、当日の夕刊や翌朝の朝刊に書いてある新聞の記事とは相当隔りがある。問題は、結局まあ、党の幹事長が金を取るのはこれは止むを得ないのだ、政党政治には幹事長がやはり金を集めて、政党の賄いをせんければならんのであるという意味を述べて、つまりそれに対してあたかも佐藤幹事長逮捕牽制が出たかのごとく誤解されておるかのように見えたのでありますけれども、これは確かに間違いであります。それによると、まるで佐藤幹事長政治資金規正法違反の事件に対して逮捕牽制があるかのごとく言われておりますが、それは間違いであるということはよくわかります。それからなおそれに関連して逮捕しなければ真相を得られないというようなことでは、検事の能力を疑う、逮捕ということは容易のことではないので、人権の尊重の上から英国等においては云々という長い演説があります。その点に関して、検事の能力を疑うと、こういうことがまあ検察側を誹謗したととれるということにもなるのであります。そこで法務当局の私といたしましては、少くもこの法律を誤解されたり、また検察官に対しておもしろくない言葉を言われたことに対しては、やはり御本人の総理大臣の意思を確めたい、こういうことで、私は党の幹部、殊に池田幹事長に対して、この点をよく総理大臣に伺つて趣旨を明らかにしていただかなければならんと、こういう要求をしたのであります。それが池田幹事長から吉田総理大臣に伝わつたものとみえまして、八月の二十日号に池田幹事長が小金対策委員長を使いにして、このあいさつの文句を私に渡されたのであります。それがここに掲げられてある総理大臣のあいさつであります。で、これをときの検事長諸君に披露をいたしまして、検事総長等には、その数日前にすでにそのあいさつのことを話をいたしております。ここでいろいろ懇談いたしました結果、総理大臣の意は、なるほどああいうことであるならば、言葉は足りないで不都合であつたが、自分の考えは法律を無視したり、忠実に働いておる検察官を誹謗する意思はなかつたのである、こういうことを言われておるのだから、これはやはり了としたらいいじやないかということで、検事長全体はそれを了承するということになり、われわれもそれに同意をいたしたのであります。
  31. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その点で伺いたかつたのでございます。自由党総裁の演説の速記を見ますというと、今の点につきましては、「逮捕ということは基本人権の、もつとも尊重いたすべき基本人権であります。このためにイギリスにおいては革命まで生じたのであります。身体の自由の擁護のためにイギリスにおいて革命まで生じたのであります。基本人権の根拠はここにあるのであります。逮捕はいやしくもいたすべきものではないのにかかわらず、逮捕しなければならん証拠が集まらんということならば、私は当局の能力を疑わざるを得ないのであります。」云々とございます。これは大臣は、ごあいさつの中におつしやつております用語が不適当であるとか、或いは言い足りなかつたとかいうようなことは、ここの点ではどうなのでございましようか。
  32. 小原直

    国務大臣小原直君) そこを事をわけて言うと、まだ足りないのじやないかと思います。けれども、吉田総理大臣が自分の用語が足りないためにああいう誤解を起して遺憾であつたと言われた以上は、それでわれわれは了承していいのではないかと思います。
  33. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私どもは、あの総裁の演説を見ましたときに、本当にびつくりいたしたのでございますが、それはこの議席を持つておるからでなくて、国民全体が私は驚いたことでございましようと思いますが、ことに私あの検察当局、あれだけもうそれこそ命を捧げてやつて下すつた検察当局が私どのくらいびつくりなさつて、実に仕事のしがいもないという点について、そうして問題はこれから将来に残る問題もずいぶんあるものでございますから、大へん問題にされたことだろうと思つておりますが、そこで大臣は、その内容もるる検討なされないで、検事長会同にそれだけのことをおつしやつて、検事長は検事総長初めそうであつたかということで、問題なくて納得ができたのでございましようか、その点が伺いたい。
  34. 小原直

    国務大臣小原直君) あのときは、今の週刊朝日に出たもの、録音の翻訳文を勿論全体出しまして、そうして検討をいたした上、なるほどああいう言葉を使われたのは悪い、悪いけれども、自分が用語が不適当で誤解を起して迷惑をかけて済まなかつたということを言われた以上は、これはやはりそれでいいのじやないか、それで了承していいのじやないか、こういうことになつたのであります。
  35. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そういたしますと、今まで私どもは、もう最後に頼りとするところは検察庁であり、裁判所であるというように思つておりましたけれども、総理大臣が本当に寝言のような気違い沙汰のようなことを言われても、ああそうかということで屈服しなければならないということは、一体国民が何を頼ればいいかという最後の問題になりはしないかと思つておるのでございます。それでもはいはいと言つて引き下がらなければならない一体検察陣営であるとするならば、私ども誠に心細いと存じておりまして、そのときに一体何か問題はなかつたかということが、もう少し骨のある検察陣営であつたなら何かあるはずではないかというふうに考えておりまして伺つたわけなんでございます。私はもう時間がございませんから、これだけ伺つたのでございますが、犬養大臣、それからその次に加藤大臣になりましてから、まあいろいろな問題はございましたけれども、私ども小原大臣司法部を背負つて下さるという報を聞きましたときに、今度こそ本当に法務省関係も、それから検察行政につきましても、頼りになるな、今度は大丈夫だなという感じを持ちましたのでございますが、今日の私は御答弁に対しましては甚だ心細い感じを持つております。率直な気持を申上げます。
  36. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 法務大臣何か……。
  37. 小原直

    国務大臣小原直君) 別段お答えいたしません。
  38. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩    —————・—————    午後一時四十六分開会
  39. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 午前に引続きまして開会いたします。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 私は法務大臣に対して、指揮権発動の問題と、もう二つは、七月三十日の検事総長汚職事件に関する発表、この二つに関してお尋ねしたいのでありますが、時間の関係等も考慮いたしまして、検事総長発表の問題から一つお聞きをして行きたいと思います。これにつきましても、衆議院等でいろいろ質問も出ておるのでありますから、なるべく重複等を避けまして、具体的に一つ問題を拾い上げて行くようにしたい、こう考えております。  先ず最初、七月三十日に検事総長から今回の汚職事件捜査の全般的な経過並びに結果の発表がありましたが、この発表はおそらく法務大臣もタッチされておられると思いますが、発表前にこの発表に対して了解をお与えになつたものかどうか、この点からお尋ねいたします。
  41. 小原直

    国務大臣小原直君) お答えいたします。先ほども述べましたように、私は本年の六月十九日法務大臣に就任したのでありますが、その当時いわゆる造船疑獄関連事件が大体終了に近付いておるということは何となく承知いたしておつたのであります。ただ、就任する際に、実はこの一件の或る程度までのことを承知しないというと、就任すべきやいなやを決定するに困ると思つたのであります。けれどもどうも事前に、私が法務大臣になるように交渉を受けておるというようなことを外界に知られることも、政府側でお困りでありましようし、私も迷惑いたします。従つてそういうことを聞く機会がなかつたのであります。知らずに結局就任した。こういういきさつになつております。そこで就任するやいなや、まず第一にこの一連疑獄事件の発端からそれの経過及び今日ある状態を法務当局から聞き、なお検事総長からも事件の成り行きの概略を承知したのであります。そういう意味においてお話の、この七月三十日の発表に私は関係をするということになつておるわけであります。七月三十日の発表は検事総長事件の終結をしたてんまつを発表されたのでありまして、この事件の終局に至る経過については私は何ら関係をしておりません。申上げましたように、大体の成行き、今日の状態を聞きまして、ほぼ終結に近付いておるということでありまするから、それならばできるだけ早く事件を終結したほうがよかろう、こういうことはもちろん注意をいたしました。その結果として検察当局においては着々として終末に行くべく迎びを進めて、結局あの七月三十日に終結決定の談話が発表されたような経過になつておると思います。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 汚職捜査の具体的内容についてもちろんあとから就任したわけですから、お知りにならないでしようが、七月三十日の発表の中には、最後の処分をした理由を明確にしておる部分がございます。これはおそらく大臣が就任された後に、検察庁がそういう結論を出されたものだと私も考える。だからそういう点については大臣自身参画といつては少し言い過ぎかもしれませんが、タッチされておるのかどうか、もう一度お聞きします。
  43. 小原直

    国務大臣小原直君) 検察庁は東京の検事正が主としてこの事件指揮に当つて、その上は東京高等検察庁の検事長初め係検事、上は最高検察庁検事総長及び係検事それぞれ関係したと思つております。この終結に当りましては、主として第一線の検事及び今申上げましたような順序従つて検事総長が総指揮官となつて事件の結末を進めたのでありまして、私は直接この問題には関係をいたしておりません。経過はときに報告を聞きました。けれども一々これについてこまかいことを指図をするような、何といいましようか態勢と申しますか、状態にはなかつたんであります。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 少しはつきりしないわけですが、七月三十日にこういう声明を世間に発表される、こういうものを世間に出すからということは、事前に検事総長から法務大臣に御連絡があつたわけでしようね。
  45. 小原直

    国務大臣小原直君) それは直接は聞きませんが、事務当局を通じて大よそそういう概要が出るということは承知いたしておりました。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、検事総長発表の文章そのものは事前には承知しておらない、しかし内容については大よそそのようなものが出るということは、事務当局を通じて承知していた、こういうふうに聞いていいわけですね。
  47. 小原直

    国務大臣小原直君) さようであります。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 そういたしますと、私のほうで次にお聞きしたいことは、この中で特に選挙違反関係のところですね。これは問題を思い出してもらうためにちよつと申上げますと、例の海運会社がいわゆるリベートのうちから、昭和二十七年或いは二十八年の選挙の際に、国会議員の候補者二十数名に対して選挙運動の金として金を贈つた、こういう項目があります。この金を受取つた者が公職選挙法に基く手続をとらないでその金を使つたというところに、まあ犯罪になる点があるわけでございますが、これに対してはこの発表の中ではいろんな理由を挙げて不起訴にする、こういうふうになつております。で私の考えでは、こういう事件はやはり一応裁判所起訴すべきだ、そうしてこれを起訴後において裁判所が執行猶予にするなりどういう取扱いをするかということは、こはれ裁判所がみずからきめればいいのであつて、こういう事件を二十数名証拠が挙つておるのに全部不起訴にしてしまつた、これははなはだ不適当な処置じやないかと思つておる。で、法務大臣は、これは主として検事総長がやられることでしようが、事前にそういう処分をするということはお開きになつておるようでありまするが、この点について法務大臣としてはどのような考えをその当時お持ちになりましたか。これを適当と現在でもこの処分を考えておられるかどうか、そういう点伺いたいと思います。
  49. 小原直

    国務大臣小原直君) ただいまお尋ねになりましたように、リベートの金の中から二十七年、二十八年の二度の選挙の際に、造船会社等の関係者から、候補者数十名に金を贈つた選挙違反事件があるではないか、その選挙違反事件は結局あの発表の中にある通り、不起訴すなわち起訴猶予になつておる。それはむしろ起訴して裁判所の判断を求めたほうがよいではないか、そういうお考えのもとに、その事件についてああいう処分をしたことについて私としてどういう態度をとつたかというお尋ねであります。当時この選挙違反事件についてさような処置をとるのであるということは、検事総長を通じて法務当局から私は聞いておりました。理由も大体あの発表の中に書いてあるような理由起訴猶予にするのであるということを法務当局から開きまして、もともとこの事件はなるほど候補者が金を受け取つたことは、いろいろ非難される点があると思うのでありますが、とにかく金を受け取つたのは選挙のために受け取り、そうしてこの違反はそれを選挙運動の担当者である出納責任者に対して報告をして、それの帳簿に記載せんければならんというのが、報告をせず帳簿に記載してなかつたという点が違反になるということで、選挙法違反になるわけなんでありまして、そのことを私も承知いたしまして、諸種の事情から考えて、そういう簡単のことであるというと、すでに選挙のときから二十七年の分についてはほとんど時効に近くなり、二十八年の分はまだいくらか期間はありまするけれども、なお時効期間に相当接近しておるのでありまするから、かような場合に諸種の事情を考えると、これを起訴するということは穏当でなかろう。従つて検察庁がこれを不起訴にするという判断は適当であると考えて、これに対して承認を与えたわけであります。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 ただいま法務大臣は不起訴にされたのが大体適当だと思つておると、その理由はあの声明書の中にもあるし、さらにただいま時効等の点についてお触れになつたんですが、私はこれは実は非常に疑問を持つておる点なんです。といいますのは、本件の犯罪は公職選挙法の百八十六条なんですね、百八十六条違反なんです。この百八十六条違反の時効というのは、公職選挙法二百五十三条によりますと、時効は二年なんです。これは刑事訴訟法の時効が三年になつておるのを、わずか一年だけこう短かくしてあるだけなんです。で、公職選挙法の中の犯罪行為について金銭以外のものは、時効をさらに一年とか、あるいは六カ月とか、非常に時効を短かくしてある。ところがこの金銭の支出関係のものだけは、短期時効を公職選挙法が認めながらも、これを一番重くしてあるのです。私はこの点を検事総長なり、法務大臣が十分検討されておらんのじやないかと思うのです。刑事訴訟法よりも時効が短かくなつておると言いますが、わずか三分の一しか短かくされておらんのですよ、支出関係のことは。私はこれは非常に意味があると思うのです。それから現在の公明選挙の基本をなすものは、やはり金だ。金の問題はやはり使途、収入、支出関係をお互いに明白にしようということから出て来ておる規定ですね。従つて短期時効の場合にでも、ほかの犯罪よりもこれは長くしてある。ところがこの今問題になつておる二十八年四月の選挙ですね。これはこの捜査を始めておるのが今年の一月からですから、まだ一年もたつておらないわけですよ、その当時においてすら。だから時効の半分もたつておらない、犯罪の捜査に着手しておるのは。私はそういう点からいつても、この声明書の中に、何か短期時効の制度等の趣旨も考えて、というようなことが書かれておりますると、法律関係のことをよく知らない人は、はあ何かそういう趣旨のものかなと、こういうふうに誤解されやすいと私考えるのですが、私どもは決してそういうふうな考えは持たない。ことに支出関係のものを二年にしてある。これは選挙の腐敗ということを根本的にこういうところから直して行こう、こういう立場一つと、もう一つ立法されたときに考えておることは、この支出関係のやつはなかなか選挙運動の現場なんかと違つて、あとから出て来る場合が相当あるわけなんです、書類なんかの関係で。不当な選挙運動をやつているというなら、すぐ現場でやれますが、あとからこれが発覚する場合が相当あるわけです。そういつたような場合のことも考えて、時効というものが二年にされておるわけです。しかるにその半分にも過ぎておらないようなものまで、短期時効制度の趣旨にかんがみると、それを不起訴にするのか正当であるかのようにここで書かれ、しかも法務大臣自身がそういう説明をされたのですが、私は納得いかない。納得行きますか、そういう点。もう少し納得行くような御説明を願いたいと思います。法律的に。
  51. 小原直

    国務大臣小原直君) この出納責任者に対して書面を出さなかつたという点が違反になるのでありますが、仰せの通り、それに対する違反罪は、刑罰はやはり禁錮三年以下又は五万円以下の罰金ということになつております。決して軽い刑ではありません。それと時効が長くなつておる理由は仰せの通りのこともあろうと思います。しかるに一方選挙違反の犯罪と時効を考えますと、もつとも最悪だと思われる買収行為、金品の贈与、暴力行為を用いて投票を左右するということは、刑が実際においては悪質であるから重く処分せらるべきであり、又法律もこれを重くせんければならんにもかかわらず、その時効はかえつて短かくして六ヶ月になつておるのであります。なぜ一体悪質の犯罪の時効を六ヶ月の短期にして、むしろそれよりは実質においては軽いと見られるただいまの問題になつておるような選挙違反事件の時効を二年にしたかということは、仰せのような点もあり、つまりあとから発覚するので相当時効を長くしておかないと、事件の調べができないということに重きが置かれたとも見られるのでありますけれども、かれこれ考えますると、どうも権衡を得ないように思われる。それといま一つは、本件の選挙法違反事件の発覚いたしましたのは、もともとリベート関係の金の行方を探しておる間に、たまたまこれらの金が疑問になつておる人々の間に入つて、そしてそれが選挙違反の今のような出納責任者が報告書を出さなかつたというだけのことで違反になるのであるということになりまするというと、全くこれは本筋と違つたものが出て来た。本筋と違つても出て来た以上は、当然罰すべきが本当ではないかということはもちろんいわれます。いわれますが、この起訴猶予になつたもののほか、現に嫌疑不十分として不起訴になり、その他問題にされないものも相当多数あるのであります。そういうようなものとの比較を考えますと、むしろ正直にこれを帳面につけませんでしたと言つたがために罰せられて、相当の理由説明した人たちはそのまま法律違反にならない、こういうようなことでそのままにおかれるということでも、誠に両者の間において権衡を失する、こういうようなことがあり、その他この種の事犯は誠に申上げかねるのでありまするけれども、選挙にはほとんど付きものになつておるのであります。ずいぶんたくさんの選挙違反を私ども取り扱つて弁護などをやつておりましたが、これは実に多いのであります。そういうことから見ましても、そういうようなことを一々取り上げて罰するということは、全体が罰せられるなら、もう議論ないのでありまするけれども、たくさん出ているものの、ただ十数人、二十人近くのものがたまたまつかまつて、これがために処罰されるということは、いかにも情において権衡を失する、こういうことも考えられるので、検察当局がそれらの点を考慮して本件起訴猶予にしたということは、必ずしも不当でないと思うのであります。私もそういうような理由からこれを不起訴にしたことについてこれに承認を与えたわけであります。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 これはもう甚だもつて私は法務大臣としては納得しかねる御答弁です。ただいまのお話を聞いておりますと、公職選挙法のこれらの規定というものはほとんど無用に帰する、これは公職選挙法を特に改正してこういうことにいろいろむずかしい問題があるが、努力しなければならないということでできてきておる規定なんですよ。それを今大臣が言われるような考え方でこれはやられるのでしたら、まず法律を改正しなければだめですよ、法律が現にあるのですから。いわんや何か買収犯の場合には、本件のような場合よりもかえつて短期時効が早く済む。これは釣合いがとれない、こうあなたはおつしやいますが、法律が現にそういうふうにできておるはずでしよう。それらの点を検討してこの支出関係のものはいろいろな事情があつて二年ということにしておる。こういう法律を一体無視するような答弁ですよ、ただいまのは。そうなりませんか。私は議論をすればいろいろ問題がある。買収犯が重くて、そうしてこういうものは軽い、こうあなたは言われますけれども、買収犯の根源というものはこういうところから来るわけでしよう。だから法律が買収といつたような悪質犯を仰えようとかかつておるのも、そのもとをきちつと帳簿なんかの届出で等もはつきりして行かれるようにすれば、だんだんそういうこともやまつて行くのだ、こういうことを考えられてこれはやられておる、先ほどの御答弁ですと、これは誰が聞いても不思議に思うでしようが、何かこう買収犯は悪いか、こんなやつはもういいのだこういうふうな感じです。まあその感じはお互いに、主観的な問題になるから別といたしまして、それでは大臣は将来こういうふうな事案がほかでも現われて来るかもしれない。そういう場合には同じような考えで処理されますか、あなたの在任中は。
  53. 小原直

    国務大臣小原直君) 申上げましたように、この事件造船疑獄一連事件をあげる際に、たまたま派生的に出た事件でありまして、この不起訴理由の中に検事総長が発表したうちにも、うたつてあります。そういうようなところから出たというのも一つの顧慮であります。しかし今仰せになりましたように、今後そういうものが出たならば、法務大臣としてどうするかとおつしやれば、今後はこういうようなものも一切選挙違反にならないようにみな気をつけろということで、一般に気をつけていただくように十分の警告を出しまして、そうしてその上でもなお違反者が出たなら、これはどうしても罰せんければならん。私はこういうものはどこまでも罰しないという趣旨じやないのです。そういうときにはやはり警告を与えておいて今後はどんどんそういうものも罰して行こう、こういう考えでございます。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 それは将来を一般の人に対して戒められるこれは私けつこうだと思う。思いますが、将来を戒めるのは、何も説教することじや私はなかろうと思う。具体的に挙つて来ておる事件に対して、検察当局が、どういう態度をとるか。事実なんですね、この一つによつて政治家はみんな注意すべきものは注意するでしよう。ところがその事実のほうは、こういうふうな大胆な不起訴処分をされる。しかし将来はとこう言われましても、これは何と言つても、社会で一番強いのは現実ですから、これは何らの注意にはなりません、そういうことでは。私は、だから将来を戒めるという気持があればこそ、この処分の仕方というものが実は非常な問題だと思う。この処分の中から感ぜられることは、将来もまあ大したことはないとこういうふうに感じますし、それから先ほど大臣答弁をお伺いしても、やはり何かそういうような気持があるように率直に言つて私感じておるのですが、どうでしよう。
  55. 小原直

    国務大臣小原直君) 私に考えがあるようだとおつしやるが、どういう考えがあると……。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 将来こういう事件が起きても、これと同じように適当に不起訴にする、こういう考えがおありになるんじやないですか。
  57. 小原直

    国務大臣小原直君) それは先申上げましたように、そういうものはあらかじめ警告を与えておいて、今後起きたならば、どしどし罰して行く、こういう方針であります。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 それからもう一点。これも不起訴処分にした理由一つになつておる、ただいま大臣の言われた、他の事件捜査関連して現われて来た事件だから、こう言われるのですが、これも法務大臣のほうがむしろ私は専門家で実情はよくお知りだと思う。如何に関連して現われて来た問題であつても、非常に重要な問題であるという場合には、どこだつて起訴して取り上げておるでしよう。ただ、関連して現われて来た事実そのものが社会的に見て大事なものであるかどうか、これの価値判断にやはりかかつて来るのです。ついでに来たからということが決して問題じやない。現われて来たものが重いか軽いかの問題なんです。そう思いませんか。
  59. 小原直

    国務大臣小原直君) 御説はごもつともであります。従来検察で扱つておりまする例としては、まあ私たちの時代は古くなりましたけれども、今日でもなおそれは堅持されておる方針であります。目標とした事件に主力を注ぐ、目標とした事件の検挙ができないで、たまたま何か派生的にある事件が出たとき、それが重要なものである場合には、これは勿論捨てておけないから検挙いたしますが、それがそれほど重要でなければ、派生した事件についてはむしろ勘弁してやるというのが、今日検察当局のとつている実際であります。それは申上げるまでもなく、大きな事件ならこれはもう言うを待たんのでありますけれども、それほどでないものについて申上げるのでありますが、それならばこの事件は大きいではないかと申されるでありましよう。それはただいま申上げたような事情で、特にそれを起訴猶予してやることが権衡を得ておる、こういう考え方で検察当局はやつたものと考えております。なお、こういう種類の事件起訴猶予に付した事例は、その前においても相当あるということをしばしば聞いております。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 これは国民が非常に実は注視をしておる金なんです、この金は。この金のもとはいわゆるリベートから来ているわけなんですね。リベート関係の悪質犯が挙がれば、当然これは起訴してもらいたい、これは国民の要望です。ところが、それがいろんな証拠関係贈収賄といつたような形にならなくとも、少くもこれは清浄な金じやないのですから、だからそれが公職選挙法違反であろうと何であろうと、何かに引つかかれば、やはりそれは追及してもらいたい。選挙運動資金だということで、何か自分の親戚からもらつた金、これを少しごまかして使つたとかそういうのと違うのですよ。この金はそこに問題があるわけなんです。そういう公職選挙法違反であるのに、法務大臣は、ついでに現われたということもありますが、軽く考えていいとお考えなんでしようか。私は非常に重大だと思つている。形は公職選挙法違反であるかもしれないが、もう実体は贈収賄とあまり変らんですよ。だが証拠関係贈収賄ということに持つて行けないというだけなんです。そういう点をなぜもつと重視されないのか。もとは国民の税金でしよう。これを軽いと言われますかしら。
  61. 小原直

    国務大臣小原直君) もともと国民の税金でありますから、かようの金を受取ることにおいては、法律上若しこれが違反になるものであつたならば、厳粛に処分を受けることはもちろんであります。仮にそれがなくとも、道徳的にはやはり責めを負うことは当然であろうと思います。しかし、仰せられましたようにこの金が今のようにリベートから出た国民の金であるからといつて、それは実質的に悪い金であれば、処分せんければなりません。ただ、出納責任者に明細書を出さなかつたという形式犯で、これを罰するということは、仰せられるようにこの金を受け取つたことがよくないから、それで罰するんだということには筋が違うと思います。
  62. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 速記をちよつととめて。    〔速記中止〕
  63. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) 速記を始めて。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 じや、ちよつとこの問題だけちよつとまとめておきますが、なお、不起訴にした理由の中には、この金の使途、使い途ですね。そういうことも考慮してというような意味のことが入つておる。そこでこれは法務大臣若しわかつておればお答え願いたいんですが、これは一体どういうふうに使われたかということなんですね。選挙運動の中のどういうふうに使われたか。これが正当な選挙運動関係に廻つている金だということならいいでしよう。ところかそうじやないほうにも廻つておる。しかもそれは時効で駄目だ、そつちのほうは。そういうことになりますと、これは不起訴処分にするという理由法律的には、あるいは刑事政策の上からいつたつて成り立たない。わかつておるかどうかそういう点を。
  65. 小原直

    国務大臣小原直君) こまかいことはわからんのでありまするが、その金を受け取つた人たちのうちで、それを家事の費用に使つたことを説明している人があります。それを指して挙げたのであります。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 それは成るほど選挙のときですから、一部はそれは家事の費用に使う場合もあるでしよう。ただ、そういう有利な点だけを拾い上げて、そうしてこの使途等ということを書いているのだとしたら、私はこの新聞の発表というものは一字一句これは再検討しなければならんと思う、そんな程度のことなら。そこで詳しくはいずれ検事総長にこれらの点をもつと内容的に私突つ込んで聞きたいと思うのですが、これは法務大臣に、一つもしできればお願いしたいことは、この新聞で発表された国会議員候補者二十数名、この氏名ですね。それからそれらの人に渡された金額、それからその年月日、それからどの人に誰が渡したか、寄付者ですね。それから今申し上げた受け取つた人の使途、こういつたようなものをこの委員会一つ提出してもらいたいと思うのです。これはなぜかと言いますと、この検事総長の処分が妥当であるかどうかということを私ども法務委員として検討する場合に、この内容的なものがわかつて来なければ、これが果して妥当かどうか、そういうことも判断できないわけです。そういう意味で今申し上げた点、これらの一つ御発表を願いたいと思つているのですがいかがでしよう。
  67. 小原直

    国務大臣小原直君) お尋ねになりますることは、文書で出せとおつしやるのでありますか、あるいは文書以外で発表しろとおつしやるのですか。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 口頭でも文書でもけつこうです。
  69. 小原直

    国務大臣小原直君) ただいまお尋ねになりました事項は、いずれも今日の程度においては発表いたしかねるのであります。それは今起訴されております事件検察の公訴遂行上、発表、公けにすることは検察権行使に支障がある、つまり公訴権行使に支障がある、こういうことになるので、今日の程度においては発表いたしかねます。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 詳細は休憩再開後にいたしますが、発表いたしかねるという理由は、公訴権の行使維持の必要上、それだけですか、議論をして行くために、そこを一つはつきりしておきたい、それだけですか、理由は。
  71. 小原直

    国務大臣小原直君) まだほかにもあります。それは今決算委員会から、先ほど申上げましたように佐藤検事総長及び馬場検事正の証言承認に関しての要求が出ております。この要求について篤と研究をいたして、いかなる証言を承認してよろしいかどうかということを研究中であります。これらの回答を決算委員会にいたすために折角検討中でありますから、今日の程度においてはそのことを申し上げかねるわけでございます。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 だからその決算委員会に対する回答も、結局は公訴権の維持、この観点だけから検討しておる、そういうふうに承わつていいわけですか。
  73. 小原直

    国務大臣小原直君) それはいかなる点から検討するかということを今研究いたしております。実際においてどういう点からこれを承認するかせんかということをきめようかということを検討中なんです。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 つまりそのいかなる点から承認するかしないか、それは先ほど大臣は公訴権の行使の必要上という立場からだとおつしやつたわけですね、だからそういう立場からだけ検討しておられるというふうに解釈していいかどうか。
  75. 小原直

    国務大臣小原直君) 先ほど申したように、そのほかにもあります。この点については衆議院法務委員会でも私同様の問題について長く答弁をいたしております。それはただ一点公訴権の遂行上必要があるということばかりでなく、その他にも理由を挙げております。裁判の公正を確保する意味においても必要であります。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 それだけですか。
  77. 小原直

    国務大臣小原直君) その二つの点が大きな点であります。そのほかなお人の名誉を保護するという点も考えなければなりませんが、これについてはいろいろ異論がありますから、これもなお今検討中であります。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 これは初めて私どもがぶつかつておる問題でありますので、やはりどういう権限を法務大臣行使される場合でも、根拠が非常に筋の通つたものでなければいけない、幸い今まだ発動前でありますから、我々もいろいろな見解を持つておるわけです。だからそういう意味で実はこの理由は何かということをお聞きしておるわけなんですから、これに対する私どもの考え方は、また一つ再開後に申上げて、大臣見解をさらに聞きたいと思います。
  79. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それでは暫時休憩いたします。    午後二時二十八分休憩    —————・—————    午後三時三十四分開会
  80. 高橋進太郎

    委員長高橋進太郎君) それではこれより休憩前に引続きまして再開いたします。  本日は議事の都合によりましてこれをもつて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後三時三十五分散会