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1954-02-25 第19回国会 参議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十五日(木曜日)    午後一時二十九分開会   —————————————   委員の異動 二月十九日委員田畑金光君辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            小野 義夫君    委員            中山 福藏君            三橋八次郎君            赤松 常子君            棚橋 小虎君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   政府委員    法務政務次官  三浦寅之助君    法務大臣官房経    理部長     竹内 寿平君    法務省矯正局長 中尾 文策君    法務省保護局長 斎藤 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    法務大臣官房主    計課長     羽山 忠弘君    公安調査庁総務    部長      関   之君   —————————————   本日の会議に付した事件参考人の出頭に関する件 ○外国人登録法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○刑法の一部を改正する法律案内閣  送付) ○執行猶予者保護観察法案内閣送  付) ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (昭和二十九年度法務省関係予算に  関する件)   —————————————
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今から委員会を開きます。  本日は先ず参考人よりの意見聴取に関してお諮りいたします。前回委員会におきましてちよつとお諮りいたしましたが、只今審査を行なつております交通事件即決裁判手続法案につきまして関係官庁業者等参考人として当委員会出席を求め意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  なお、参考人の数、人選、意見を聴取する日時等委員各位の御希望を参酌いたすことといたして、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう取計らいます。   —————————————
  5. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 引続き、外国人登録法の一部を改正する法律案、本院先議提案理由説明を聴取いたします。
  6. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 只今議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  現行の外国人登録法第十四条によりますと、外国人登録証明書交付引替交付若しくは再交付を申請するとき、又は有効期間が満了した証明書の切替を申請するときは、それぞれ必要書類指紋を押なつしなければならない旨規定されております。この規定は、要するに外国人日本における適法な居住及び身分関係を証する唯一且つ最も基本的な文書である登録証明書が、従来偽造変造され或いはそのまま他の外国人に売買される事例がしばしば発生いたしましたので、これを防止するための効果的な方法として、指紋押なつ制度を設けることを意図しているのであります。  併しながら、登録の申請に当りまして一般外国人に強制的に指紋を押なつさせるということは、わが国の制度としても初めての試みであるため相当の準備を要し、かたがた一般外国人に対してもその制度趣旨を周知徹底させる必要がありましたので、当初登録法附則において、これに関する規定施行につき一年という猶予期間が置かれた次第であります。  ところが、その後、この指紋制度に関する一部外国人の誤解が払拭されず、その施行を強行いたしますときは、当時好転を期待されていた日韓両国国交調整等に無用な障害を与える虞もあると判断いたしまして、第十五国会外国人登録法第十四条の規定施行する猶予期間を更に一年延期する内容改正案を提案いたしましたが、たまたま右改正案上提中のの衆議院が解散されたため、取りあえず参議院の緊急集会に上程いたしましてその御裁決を頂き、昭和二十八年三月二十六日法律第二十四号期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律を以て、右期間昭和二十八年六月一日まで延期したのであります。次いで、新らしく召集されました第十六国会の御審議を経て、昭和二十八年五月三十日に当初の予定通り登録法第十四条の規定施行する猶予期間を二年とする内容法律第四十二号が公布施行されましたので、登録法第十四条の規定は、法施行の日から二年以内において政令で定める日から施行されるということになつた次第であります。  従いまして、登録法第十四条の規定は、本年四月二十七日以前に政令をもつて施行期日を定めなければならないわけでありますが、新規事業として指紋押なつ制度実施するためには、相当多額な財政支出を要しますところ、国家財政の現状に鑑み更に一年間これを延期することが適当であると考えられますので、この猶予期間を、この法律施行の日から三年以内と改める必要があり、この法律案を提案いたしました次第であります。何とぞ慎重御審議のほどを願います。   —————————————
  7. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に、刑法の一部を改正する法律案予備審査)、執行猶予者保護観察法案予備審査)両案を一括して議題に供します。先ず提案理由説明を求めます。
  8. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 只今上程に相成りました刑法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  この法律案は、刑法のうち刑の執行猶予に関する第二十五条ノ二の規定を改正し、初度目の執行猶予者をも保護観察に付し得ることにして、刑政目的を達成し犯罪対策に寄与することを根幹とするものでありますが、なお、これに附加して、日本航空機国外航空を開始したことに伴い、国外にある日本航空機内の犯罪についても処罰することができるようにする規定をも含めてございます。  執行猶予者のうち、少年に対しましては、早くから、これを保護観察に付する制度が行われていましたが、成人の執行猶予者に対しましては、昨年初めて、その一部につき保護観察に付することができるようになつたのであります。即ち、昨年の第十六国会は、執行猶予範囲を拡張するとともに、軽微な犯罪情状特に憫諒すべき場合は、再度の執行猶予を許してこれを保護観察に付し、初度目の執行猶予者に対しては、必要に応じて保護観察に付することができるようにする趣旨政府提出法律案審議されたのでありますが、諸種の理由の下に、初度目の執行猶予者保護観察に付する点を削除し、且つ、この点については予算その他の措置を講じ適切な法案準備し、速かに、国会に提出すべきであるとの附帯決議がなされ、再度の執行猶予者のみを保護観察に付する法律が成立したのであります。  そのため政府は、右の国会審議状況に鑑み、更に、種々検討を加えた結果、執行猶予者保護観察は、その成績により、実施の必要がないと認められるに至つたときは、仮出獄の例にならい、行政官庁処分をもつて仮に解除することができるようにすると共に、仮解除期間中の行為については、再度の執行猶予を除外する規定、及び遵守事項違反理由として執行猶予を取り消す規定を適用しないことにし、且つ、遵守事項違反理由として執行猶予を取り消す場合は、情状重しと認められるときに限ることにする等の規定を附加することにして、初度目の執行猶予者をも保護観察に付することができるような改正法案を立案すると共に、別に、執行猶予者保護観察規定する独立単行法として執行猶予者保護観察法案をも同時に御審議を頂くよう準備をいたし、予算については、昭和二十九年度予算案において、所要限度において増額を考慮して、この法律案を提出いたした次第であります。  又、先にも一言いたしましたように、日本航空機国外航空を開始することに相成りましたので、国外にある日本航空機内の犯罪についての対策が必要と考え、前記のごとく刑法の一部を改正する機会に、国内にある日本船舶内の犯罪と同様に処罰できるよう刑法第一条第二項の規定をも改正しようとするものであります。  なお、附則においては、この法律施行する日を規定するほか、この法律施行前に犯された罪については、この法律施行による不利益を帰せしめないようにする経過規定を設け、且つ、国外にある日本航空機内の犯罪についての裁判管轄を明らかにするため、刑事訴訟法第二条を改正する規定を設けているのであります。  以上申述べましたように、犯罪をした者の改善更生のため、できる限り刑の執行を避けてこれを保護観察に付し、その成績に応じて刑の執行を考慮することがもつとも必要であると考慮して、この法律案を提出いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切望する次第であります。  次に、只今上程に相成りました執行猶予者保護観察法案につきまして、その提案理由を御説明申上げます。  この法律案は、その第一条が明記するように、「刑法第二十五条ノ二第一項の規定により保護観察に付された者がその期間中遵守しなければならない事項を定めるとともに、保護観察方法及びその運用の基準等を定めることによつて保護観察の適正な実施を図り、もつて保護観察に付された者のすみやかな更生に資することを目的とする」ものでありまして、別に提出する刑法の一部を改正する法律案と関連し一体をなすものであります。  保護観察規定する法律といたしましては、すでに犯罪者予防更生法施行されており、現在執行猶予と共に保護観察に付する旨の裁判を受けている者は、同法により保護観察を受けているのでありますが、執行猶予者に対し保護観察を付することを創始した第十六国会においてこの旨を規定する政府提出刑法等の一部を改正する法律案審議した際に、犯罪者予防更生法には、執行猶予者保護観察については、適当でないものがあるから、適切な法案準備し、速やかに国会に提案すべきであるとの附帯決議をせられたのであります。  そのため政府は、右の国会審議状況に鑑み、更に、種々検討を加えた結果、別に提出する刑法の一部を改正する法律案を立案すると共に、執行猶予者取扱は、犯罪者予防更生法による少年或いは仮出獄者等取扱とは区別する必要があると認め、独立単行法として、この法律案を提出いたした次第であります。  この法律案におきましては、先ず、第三条に保護観察保護観察所をして司らしめるものとし、第五条に保護観察の中核をなす遵守事項規定し、「保護観察に付された者は、すみやかに、一定住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にこれを届け出る」ほか、保護観察に付されている期間中、善行を保持し、住居を移転し又は一箇月以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長に届け出ることとし、第二条において、保護観察は、本人に本来自助の責任があることを認めてこれを補導援護すると共に、右の遵守事項を遵守するように指導監督することによつて行うものとし、その実施に当つては、画一的に行うことを避け、本人の年齢、経歴、職業、心身の状況、家庭、交友その他の環境等を充分に考慮して、その者に最もふさわしい方法をとらなければならない。とし、第四条において、裁判確定前であつても、本人から申出があつたときは、確定後における保護観察の開始を円滑ならしめるため、環境の状態の調整を図ることができることとし、執行猶予者保護観察に適切な規定を設けたのであります。  このほか、刑法の一部を改正する法律案の成立を前提として、保護観察の仮解除並びに仮解除取消を、地方更生保護委員会をして司らしめることとし、且つ、仮解除取消をする処分についての不服申立を、中央更生保護審査会に審査せしめることを規定し、更に、遵守事項違反理由とする執行猶予取消につき必要な呼出、引致、留置及び検察官への申出等の手続規定し、これらの機関のその他の権限については、犯罪者予防更生法に準じて行使できるようにしたのであります。  なお、附則においては、この法律施行する日を規定するほか、この法律施行前に犯罪者予防更生法に基きなされた手続及び処分をこの法律施行後も有効ならしめる経過規定を設け、又、犯罪者予防更生法更生緊急保護法及び刑事補償法の一部を、本法の制定により必要な限度において改正する規定を設けております。  以上申し述べましたように刑の執行猶者に対する保護観察の実効を収め、刑政目的を達成し犯罪対策に寄与するため、この法律案を提出いたした次第であります。何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切望する次第であります。
  9. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 以上三法案について御質疑を願うわけでありますが、只今提案理由説明を聴取いたしたのでありまするから、この三法案の御質疑は次回以降にお願いすることといたし、先般昭和二十九年度法務省関係予算につきまして竹内経理部長より説明を聴取いたしましたが、更に主管局長からその内容を聴取する必要がありまするので、本日それぞれ主管局長出席を求めております。高橋公安調査庁次長中尾矯正局長斎藤保護局長鈴木入国管理局長その他関係官出席いたしておりまするので、前回質疑のおありの方は順次御発言を願います。政府側から何か特にそれぞれ主管の局についての御説明の点がありますれば御発言を願いたいと思います。別に、ございませんか………。
  10. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと私お尋ねしたいことがあるのですが、昭和二十九年度裁判所所管予算説明といううちの高等裁判所に関する問題について一つだけお尋ねしたいと思うのですが……。
  11. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと中山委員に申上げますが、裁判所は、本日特に御要求がありませんので裁判所は来ておりませんが、若し御必要があれば次回に呼ぶことにいたします。
  12. 中山福藏

    中山福藏君 次回に一つお願いいたします。
  13. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 法務省所管予算についてこの前私から二、三の点を質問いたしましたが、それらの中で資料を要求したのがありますが、その中で先ず第一に伺つておきたいと思いますのは、大きい問題では公安調査庁予算の内訳についてでありますが、若し今日それについて御説明が、お答えが頂けるならば頂きたいと思います。
  14. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 承知いたしました。  ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  15. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。
  16. 関之

    説明員(関之君) 御指名によりまして公安調査庁予算につきまして御説明申上げます。本年度予算案の総トータルは七億二千六百九十三万八千円ということに相成つているのであります。この額が総トータルで、それがどういうようなふうに小分けに分れているかということになりますると、主なものの大体のことといたしましては、職員関係のものが基本給としまして三億七千五百万円、これに職員の諸手当として二千五百万円、特別手当が六千二百万円、超過勤務手当が六百万円、待命職員の給与が百万円、こういうようなものがこれに人件費関係としてあるわけであります。これらの総計が約四千五百万円ということに相成るわけでありまして、その残りのものが調査をいたしますときの例えば旅費であるとか或いは調査費であるとかというようなものに相成るわけであります。  そこでその主なるものといたしましては団体等調査旅費が五千三百万円、そうして日常の仕事をいたします庁費が四千二百万円、そうして調査官調査活動をいたしますその調査活動費が一億四千七百万円ということに相成るのであります。その他は研修生の旅費であるとか極く細かいものでありまして、今申上げたようなものが多いのであります。  それで総体としましてこの人件費関係予算が約六割五分から七割近くまで占めておりまして、あとの調査費とか庁費というものがその余の部分を占めております。大体こういう構成になつております。そして昨年は報償費という名目にしておつたのでありまするが、今年度調査官の使う調査活動費公安調査官調査活動費とこういう名前に改めまして費目に織込んであるわけでございます。大体の大筋のところはさような点でありまして、御質問がありますならばお細かい点についてお答えしたいと思います。
  17. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今おつしやつた数字の読み方に少しお読み違いがあつたのじやないかと思いますが、この職員についての総計が四千五百万円とおつしやいましたが、それは四億五千万の間違いじやないでしようか。
  18. 関之

    説明員(関之君) 若しそういうふうに申し上げましたならばそれは間違いで、約四億五千万円になつておるわけであります。
  19. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その中でもう少し詳しく説明して頂きたいのは、調査官調査活動について一億四千万円お使いになる予定だ。これは何人の調査官がどういうことにお使いになるのか、そして昨年度まではこれを報償費というふうにおつしやつていたというのは、昨年度報償費がやはり一億四千七百万円程度あつたものなんでしようか。その点をもう少しわかるように御説明願えれば有難いと思います。
  20. 関之

    説明員(関之君) お答えいたします。昨年度報償費という名目の金が今年は公安調査官調査活動費と、かように改まつておるわけであります。そこで昨年度確定予算トータルは一億二千四百九十五万ということに相成つておるのであります。それが今年度は一億四千七百万円に相成つておるのでありまして、その間その差額だけ本年度において増額に相成つておるわけであります。
  21. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 何人くらいでどういう仕事にお使いになるか。
  22. 関之

    説明員(関之君) 現在におきまする公安調査庁の総職員が一千七百二名ということに相成つておるのであります。その中の一千三百名ほどが公安調査官という発令をいたしておりまして、これが破防法に基く調査活動に従事しているのであります。これらを本庁及び各地方庁一定の規則によりまして定員として配置いたしそしてそれぞれが調査活動に従事する、この者が調査する費用がこの費用であるわけであります。
  23. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 もう少し詳しく伺いたいのですが、その調査官一人当りに今の調査活動費というものが割当てられているのですか、それとも問題別にその調査活動費というものが使われるのですか。
  24. 関之

    説明員(関之君) この報償費取扱い方、その支出の仕方、一線における調査官がどういうふうにしてこれを支出し使うか。この問題につきましては公安調査庁におきましていろいろ従来から最もこの点は重大な問題であるといろふうに考えまして、特審局時代の各種の経験も取入れ、そして最も公正フェアーに、而も有効適切に使うという観点から、次のような措置をとつているわけであります。それは先ず本庁におきまして大体の調査の各支局からの報告その他を徴しますると、大体例えば十人局、二十人局、三十人局というふうに私ども地方局の組織が区分けになつております。そこでそれらの各局に要する一カ月の所要経費が大体わかるわけであります。それでそれらのものを各局別に一応公平に考えまして、そして大体地方局の毎月の所要経費を算出いたしたわけであります。そして又本庁においてもどういう場合にどういう金が要るかというようなことが毎月の例として考えられるわけであります。それらの基礎に立ちまして、そしてこれは毎月現金といたしまして先ずお金を日本銀行から私どもの役所に交付を受けるわけであります。そして預かりました……、従来から申しますと、約月額一千万円ほどの金を今申上げたようなふうに予算的の一応のプランを立てておきまして、そうしてその予算プランによりまして本庁幾ら地方局幾ら、こういうふうに分けるわけでありすす。  それで大体といたしましてはその金額の中に件質上二つの種類が一応考えられるわけであります。それで調査はこれは継続的な仕事でありまして、特定目的に向つて調査を進める、これは前月も今月も殆んど変りなく要るという経常費的な部分があるわけであります。そこで本庁におきましてはその経営費的なものと、そうして各地方庁が臨時的に特定調査が非常な急速に進んだとか、或いは或る特定事件が一回限り起つた、こういうような場合にはどうしてもその臨時的なものを考えてこれに充てなければならないのであります。そこで本庁におきましてはそれらをかれ合いさして臨時的なものをそこに留保して、そうしてそういう所要に応ずる。ですから大体そういうような考え方て各部局に予算的な彰慮を以て支払い、そうして交付し、そうして本庁にも今言つたような臨時的のものを留保してそうして必要な所要に応じている、大体そういう仕組になつておるわけであります。その具体的な今度それぞれの支出の問題でありまするが、この調査活動費取扱規程というものを長官訓令として出しまして、その線にのつてそれぞれ現金を扱う者、或いは支出の相談をする者、或いは支出の伝票を暫く者といろ分担をきめまして、これを、聞違いなく公正而も有効適切に使い得るような体制をとつてこれを取扱つている次第であります。
  25. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 関さんは破壊活動防止法がまだ法案であつた時代に、この委員会でこの公安調査庁予算となるべきその当時の何と言いましたかね、あれは特審局か、その予算についてどういうことが問題になつたかということは当時よく御承知のはずですね。ですから、今のようなことを伺つておるのでないということは十分御承知だと思うのです。そこで併し又それを繰返すのも大変ですから、一番簡単な方法でお願いできるのは、昨年度のこの公安調査庁費用、その中でも今の調査活動費、昨年度報償費と言つております。この報償費はどのようにお使いなつたかというまあ国民に説明できる程度の詳しい御報告が書面で頂けるんでしようか。若し頂ければそれを拝見したほうが早いかと思いますが。問題は要するに私もざつくばらんに申上げますが、いわゆる機密費的に使われているのかいないのかということですがね。ですからそれがかなり詳しくこういう問題について幾ら使つたこういう調査について幾ら使つたということがわかるような報告が頂けるものかどうかということなんです。それがどうでしようか。これもその報告できるとおつしやつて頂戴した報告が、余り形式的の報告じや意味をなさないんですが、法案審議された当時にどういうことが問題になつたかということを思い起されて、そうして又今私が問題にしている問題がどういう問題だということを御了解になると思うのですが、それに大体の了解をなさしめ得るような報告が頂けるでしようかどうでしようか。それを伺います。
  26. 関之

    説明員(関之君) 文書によつてその内容についてのことが提出できるかどうかというお尋ねでありますが、どうも私どもは今の調査上の問題と関連いたして考えまして、文書にいたして提出いたしますと、どうも形式的なものになるかというふうに思うわけでございます。そこでむしろこの席上でできるだけ御納得の行くような御説明を申上げたほうがよろしくはないかというふうに思うのでございますが、如何でございましようか。
  27. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 併し他の方の御質問なり御問題もあるだろうし、私だけであるとすれば、願えればその文書で昨年度の細目を拝見するほうが早いんじやないかと思いますが、どうでしようか。
  28. 関之

    説明員(関之君) そういたしますと、これは形式的とお叱りを受けることになるかも知れませんですが、一応上司と相談いたしまして御返事できる範囲のものは御返事いたそうと思います。それで内容について若し不足でありますならば、補足的にお話申上げるということにいたしたいと思います。
  29. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 あらかじめ形式的でいいかというのでは困るのですけれども、なるべく形式的でなく願いたいと思います。それで、その際に重ねて伺つておきたいことが三つばかりあるのです。第一は、昨年度まで報償費ということに呼んでおられたのを、今年調査活動費と呼ぶことにされたその名称が変更された理由ですね。それからその次に第二は、公安調査官破壊活動防止法によつて合法的になし得る調査おTは如何なる調査であるのかということ。それから第三には、そのいずれ文書でお示しを願うというときに上司に御相談になつてということなんですけれども、上司とじやなくて、これは法律と御相談になつて、この調査費というものについては勿論誤つて解釈されていることはないと思うのですけれども、その一点に亙つて文書報告せられる理由があると思うのです。それを妨げる理由はないと思うのです。その点についてどういうふうにお考えになつていますか。その三点伺いたい。
  30. 関之

    説明員(関之君) 報償費公安調査官調査活動費と名前を変えたのは、こういうような事情から変えたのであります。これは報償費という項目はすべての殆んどの役所に報償費という一項があるわけでございます。私のほうの役所のみならずあるわけであります。それは何といいますか、役所の本来の仕事がありましてその仕事のために多額の本筋的な予算がそこに使用される、その使用の何といいますかそばに小さく報償費とかいうふうなものがありまして、そうしていろいろと潤滑油的にそういう正規な本筋の予算で使えないものをそこでは賄つているというような、大体報償費という言葉自体が全体の予算予算編成上に使われる言葉自体としてどうもさようなふうに考えられるのであります。そこで報償費という言葉の意味は大蔵省の係官のほうの御説明でもお聞き頂ければ詳細にわかるかと思うのでありますが、大体編成の費目の地位とかいろいろなものから見ましてそういうふうに思われるのであります。ところが私のほうが従来報償費として頂いていた一億二千万余の金は、これは私のほうから申しますと私のほうの調査活動そのものの金なんでありまして、決して木筋から離れた、木筋の或る多額の予算そうしてその脇にちよつとあつて潤滑油的に或る作用をするというのでないのでありまして、飽くまでも私のほうの役所が破防法に基いて調査官調査活動をするその本筋の金になるわけであります。そこでどうも語の与うる感じから見まして、報償費というのは、どうも私どもの本年度までの報償費の実体を表わしていない、名が体を表わしていない。どうもこれはそういうような感じがいたしたのであります。そうして又その語の持ついろいろな響きが調査官自体の気持の上においてもピンと来ないものもあるし、又各関係の方面におきましてもどうも語の与える感じが体を表わしていない。こういうふうに思いまして、そうして私どもの率直な今のような意見を財政当局に申上げまして、そうして向うともお話合いの上で、これはその体を現わす本当の名は公安調査官調査の活動費であるから、その通りの名前にいたしたほうがよかろうということになりまして、費目も九ということにいたしまして、公安調査官調査活動費ということにいたしたわけであります。  次に、これは順序から申しますと最後の、文書によつて報償費の内訳についての明細書を出すようにというお尋ねのこの点でありますが、これは前に私がお話したときに、或いは説明が不足しておつたのでありますが、先ずこの点は一つ前以て御了承頂きたいと思うのであります。それは私のほうは調査をして破壊的団体の疑いのあるものは委員会に規制の請求をするということであります。その規制を請求するまでは、これらの調査活動はすべて秘密を要すべきものである。この団体或いはこれに関係する人の名誉の問題とか、いろいろ問題がありまして、これは原則として刑事訴訟法における捜査と同じように、一応秘密のものである。そうして規制をして初めてそれが公式にされまして、そこに至る段階になりまするならば、すべてのものを一切の御事情をお話することができるわけでありますが、その段階に至るまでは私ども調査活動というものは原則として秘密にして、公けにすべきものでない、こういうことが法律上当然要請されることかと思うのであります。そこでその制限の範囲内において、文書の場合で申上げるより方法はないと私は思うのであります。そこでその点はそういう事情であることは御了承の上文書を御覧頂きたいと思うのであります。次の調査官調査範囲、これはここで一言に申上げますると、これは極めて無責任なお答えになるわけでありますが、要するに破防法の二十七条でございますか、「公安調査官は、この法律によろ規制に関し、第三条に規定する基準の範囲内において、必要な調査をすることができる。」、こういうふうにこれが根拠に相成るわけでありまして、そうしてこれは羽仁先生なども立法の審議に直接参画いたされたのでありまするから、十分御了承かと思うのでありますが、調査強制権はない、すべて任意の方法によつてこの必要な調査をする。そして問題は何と申しましても「規制に関し、第三条に規定する基準の範囲内」による……、そしてこの規制に関するということが、私どものほうの規制に関しなければ調査はできない、規制に関することでなければならない。規制ということは申すまでもなく破壊的な団体がそこにあるかないか、その破壊的団体が破壊活動をしたのか否か、更に破壊的団体がなした破壊活動に継続又は反復して破壊活動をする虞れがあるかどうか、この三点になります。この三点に関して調査をする。そこでまあ羽仁先生の御質問された点は、恐らくいろいろもら少し細かい具体的な問題かと思うのでありますが、まあ要するにそういう観点から、その三点に関して調査官調査をする、こういうことならばこの破防法に基く調査である。まあこれは大変大まかなお答えで恐縮でありまするが、考えておる次第であります。
  31. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今御説明を伺つたその第一の点、名称の変更の点ですが、その名称の変更というのは、要するに率直におつしやると、いわゆる報償費というふうに普通に言われているものに比べては額が多いということなんでしようね。その木筋に附随して来る報償費というものとは意味が違う。これは本筋に関係しておるのだ。というのは、他の省などで普通に言われている報償費は極めて額が少ない、本筋に附随するものですから……。ところがこれは額が非常に多い。そこでどうしてこんなに本筋に附随する報賞費であるならばこんなに額が多いかという誤解を招くから、そこで報償費というのはやめられたということじやないかと思います。さつきの御説明の御趣旨内容的にはそうだと思います。
  32. 関之

    説明員(関之君) 額が多いからというのでなくて、私どもの今申します千三百人の調査官法律で以てすべてのものを調査しなければならない、その調査をするのに使う金がこの金でございますから、そこで金の本質が通常に言われるところの報償費とは違う。その役所自体のその仕事上の本質の金である。そこでこれはほかの予算上の用語としての費目の報償費とは違う。こういうような意味合で名前を変えたのが趣旨とするところであります。
  33. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それではその点については公安調査庁の長官なり何なり、その法の運営についての十分の責任を持つておる方から伺つておいたほうがいいかと思いますが、要するに密告ということを認めておられるのかどうか。そうして実際上においてその密告に対する、密告を奨励するような、そういう費目の金を使つておられるかどうかという点を中心にこれを説明して頂いたほうがいいのじやないかと思うのです。  それから第二の点は、あの法案審議の過程において十分明らかであつたことだと思うのですが、あなた御自身の御説明の中にもあつたが、破壊活動防止法というものを作らなければならんというのは、あなたがしはしば言われた言葉である、放つて置けば取返しのつかない破壊活動が起るという場合を法は対象にしておるのでしよう。ところで放つて置けば取返しのつかないような破壊活動が起るという場合の調査だけが法で認める調査であろうと私は思うのです。そうでなく、いわゆる見込調査ふうなことは、私はその法の本旨とは離れておるものであると思うのです。そこで第二の、さつき私の質問順序ではそれが第二の点になるのです。そういう点のことが明らかになるような細目を文書で示して頂けば有難いと思うのです。  それから最後に、この前やはり公安調査庁予算に関連して、先日衆議院のいずれかの委員会でしたか、公安調支庁の長官が御報告をなさつたようですが、その御報告がどういう内容のものであるか、新聞で報ぜられたところであると、特定の政党に関する御報告が主であつたように思うのですが、その特定の政党というものを、この法律によつて規制するという意思はないということは、たびたび法案審議の過程において当時の当局からお答えがあつたのですが、その後事情は変つて特定の政党が本法の対象となつておるということがあるのです。それも今申上げたように、いわゆる教唆、扇動、まあ扇動のほうは当時議会のほうの修正によつたけれども、併しそういう今までの刑法の安定したる概念を乗り超えてまでこの破壊活動防止法というものが概念を設定しておる理由は、あなたがしばしば言われたように、放つて置げば取返しのつかないことが起つて来るということが、眼前の危険ということがあるのですか、そういう意味合いにおいての破壊活動だというように考えるのか、或いはそういう見込みをつけるということはできることなのかどうなのか。そういう点について、調査庁の長官から御説明頂くとか、法相から御説明頂くとか、どうでしようか、これはなかなか重大な問題であるのですが、関さんはどういうふうにお考えになつておられるでしようか。
  34. 関之

    説明員(関之君) 羽仁委員の御希望は長官からの御答弁をお求めのようでございますから、この趣旨を長官にお伝えいたしまして、今日ちよつと用件があるかと思つておりますが、次の機会にでもお答えいたしたいと思います。  なお、それにこの席で只今羽仁委員からお尋ねのあつた三点につきまして、これは長官を補佐する私といたしまして、若干御説明いたしたいと思う点があるわけであります。先ず密告を認めるかどうかということ、調査上密告を認めるかどうかというお尋ねでありまするが、これは密告を奨励したり或いはどうかするという点は、あの法案審議のときに十分羽仁先生からも御注意を受け、又当時の木村大臣におかれましても、何もそういう密告を奨励するとか、或いはこれをするというようなことは考えていないし、又そういうことはやるべきでないというような御答弁を申上げたと思うのであります。そこで私どもといたしましても、あの法案審議におけるこの議場におきまするいろいろの御意見はすべて尊重いたしまして、この密告を奨励するとか、或いはこちらから進んで求めるというようなことは現に今日いたしておりません。すべて調査官の相手側の全くの御協力だけでありまして、一般に密告書を私のほうにくれとか、或いは大いに奨励して、それに対しては報償を払うというようなことは現在のところ私どもではいたしておりません。  第二の見込調査の問題でありまするが、この点につきましては、これは少しく御説明申上げましてみたいと思うのであります。そこでこの法律が、危険な事態が起る、国家が倒れるような危険な事態が起るから、そのようなものに関しての活動を破壊活動とし、それでこれを調査する、こういう建前になつておることは申すまてもないところなんであります。そこでこれはすでに申上げるまでもないことと思うのでありますが、これらの破壊活動として取上げたものの中に、文書によつて行う場合があるのであります。例えて申しますと、破壊活動防止法題四条第一項第一号の二に「刑法第八十一条」、これは内乱に関する罪の規定でありますが、そういうものに「規定する行為を実行させる目的をもつて、その実行の正当性又は必要性を主張した文書又は図画を印刷し、頒布し、又は公然掲示すること。」こういうことが、破壊活動として規定し、両院の御承認の下に御決議になつて法律になつて出ているわけであります。そこでこの条項に当る問題が、最も最初に出て来るケースかと思うのでありますが、この条文に当るこの内乱の条項に「規定する行為を実行させる目的をもつて、その実行の正当性又は必要性を主張した文書又は図画」、この件に関しましては、この法案審議のときに、各委員のお手許に差上げましたいろいろな参考文献があるわけでありますが、私どもの見るところでは、すでにその参考文献の中にこれに当るのではないかというて疑いを深めるに値いするところの文書があるわけです。そうしてこれは前にも御説明申上げました通りに、そうしますと、すでに当時これが相当広範囲に亙つてそのような文書が全国的に頒布された、こういうことが私ども法案を提出する一つの理由であつたわけであります。然らばすでにこの土から申しますと、この第四条第一項第一号二に該当する破壊活動はすでに行われている疑いがあるというふうに私は判断せざるを得ない実情にあるわけであります。そういたしますと、この法文の上から見まして、それは如何なる団体が行なつたのであるか、どこにある特定団体が、如何なる団体が行なつたのであるかということを先ず調査する必要がそこに生じて来るわけてあります。それでは然らばどういう団体が、それを行なつたか、そうして破壊活動をすでにこの団体がした、そうするとその団体がその活動を継続又は反復して、暴力を主とする破壊活動をなす虞れ、危険性、可能性があるかないかという問題に、次の調査が当然伸びて行くのであります。私どもといたしましては、そういうような、これは今日までの客観的な私どもの立場から見た一つの事態でありまして、そういう事態に即して調査をしておるわけでありまして、何ら全然疑いのないところに見込的にそれを被して行くということは全然いたしていないつもりであります。今日までの調査の進展の実情は大筋のところは実はそのような次第になつておるのでありますからして、この点御了承をお願いいたしたいと思つております。そうしてこの点は、長官にもいずれ申上げまして、別の機会に長官からお答えいたすことにいたしたいと思います。
  35. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の点で密告を奨励していないと言われるが、密告に対する報償をした、それでお金なり、金品というか、褒美をやつた、そのために昨年度において使つた金額はあるのでしようか、ないのでしようか。それはあとから文書で御説明願いたい。  それから第二の点ですが、当時の討論を繰返しませんけれども、あのとき出したものによつて、そういう危険があると疑うに足る資料としてお出しになつたのだというふうにはあの当時了解しませんでした。参考資料としてお出しになつたものの一つである。まあ現にそれはあれが疑うに足るものであるということであれば、あの当時は法律がなかつたのだから、放つてあつたのだから、放つて置けば取返しのつかないことが起つておるはずなのに、それは現に起つておりません。ああいうものは放つて脚いて、差支えないものであつたことが明らかになつておる。その意味からも我々が当面これがこういう法律というものを必要とする根拠というものにして利用ざれるのは不適当であろうということで、あの資料については従つて詳しく質問はしませんでした。しなかつた理由はあれえお認めたのではなくて問題にならないということで、あれについての質問をしなかつた。従つて今おつしやるような点も、これは勿論程度問題ですけれども、具体的な問題として調査活動費に金をお使いになるときに、その金の使い方で、いわゆる一般旧民の基本的人権が侵されるというように命を使うことを認めることは議会としてはできない。ですから具体的な問題としては、抽象的な卓論じやないので、具体的問題として昨年度の金の使い方においてそういうような非難を受けたことがないかどうかということですれ。その点下天上においては非難が当つておるか当つていないかということは、これはいろいろな判断によつて違うわけですけれども、併し若干非難を受けたことはあるのじやないかと思うのです。これは直接その公安調査庁のほうの調査活動費によつて、これを使つて起つた事件じやないかも知れないのですけれども、この国から国警長官なんかの御報告にも、いわゆるそういうような破壊活動関係みたいな調査活動、従つて個人の人権を侵しておるような尾行とかそういうことをやつているわけじやないが、一般的な調査をやつているということをおつしやつていますが、あれとこの公安調査庁とは関係があるものですかないものですか。あれは人権を侵しているか侵していないか、そこまでは私としても判定の基礎がありませんが、併し人権をいささか脅かしているという印象はある。従つて新聞などにもそれが報道されるのではないか。殊にそういうふうな一般的な調査がやはり何としても多少個人的の調査になつて来る、その個人的に調査されたと感ずる人があるようです。或いはそういう団体があるようです。或いはそういう会合があるようです。あれらとはこの調査費は関係があるのですか、ないのですか、それらの点ばどうでしよう。それでなおそういう原則的な点については適当の機会に長官なり法相なりから御説明を伺いたいと思います。
  36. 関之

    説明員(関之君) 第一の点からお答えいたしますが、密告の問題でありまするが、これは密告という旨葉の示すようなそういう方法によることを奨励したり或いはそういうことを広く一般に依頼するというようなことは全然いたしておりません。それでこれに対して金を出したかその点を文書でというお話でありまするが、これは今申上げたようにそういう点は私どもとしてはいたしておりませんから、ちよつと文書でも御報告申上げかねるわけであります。どらかその点を一つ御了承お願いいたしたいと思うわけであります。そういたしまして、これは私は新聞だげしか拝見いたさなかつたのでありまするが、何か教員だかの思想調査の問題でありまするが、これは私のほうはここの国会審議におきましても、結局法案にはいろいろの問題は存在いたしますが、要するにこれを運用する公安調査官個人の考え方、この人権に対する理解、この問題をどう考えておるか、そうして適正にやるかという問題に帰着すると、こういうふうに結論がなつたと拝聴いたしていたのであります。その実現といたしまして公安調査庁研修所というものを早速開所いたしまして、そうして全庁員をできるだけ早くそこに集めまして、この問題について国会審議において各位が御発表になられた意見をそのままその研修の上に打込むということに、これは私がその係となりまして、この場の実感をそのままその研修所に打込むということにいたして、職員に対して特に基本的人権、刑法が認める人権と調査との懸隔はどうするか、こうするかという問題について私みずから或いは又問題を研究しまして各課長などにこういう問題はどうなつている、ここまではいい、ここからはいけないというはつきりとけじめを付けまして、そうして調査に従事しているわけであります。そこで私はこの調官が各方面からいろいろ非難を受けるというようなことも今日まで一、二回ありましたが、それは金を使う等の問題ではなくて、ほかの問題で非難を受けましたが、こういうような侵すべからざる個人の人権を勝手気ままに侵すというような問題につきましては、私は勿論私の研修所の責任もあるのでございましていつも注意しておりまするが、今まで聞いたことはないのでありまするが、若し羽仁委員におかれましてそういうような問題がありますならば、無論この場で聞きまして私の反省の資にいたしたいと思つているわけであります。
  37. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 第一の問題は、これは密告を奨励するために金を出したことはない、それははつきり伺つております。何かを密告した人に対して礼をしたことがあるかどうか、これもないのですか。
  38. 関之

    説明員(関之君) 密告という問題は私のほうでも情報活動費としては殆んど出ておりません。だからお金は差上げたことがないというふうに申上げてよろしいかと思うのであります。
  39. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それは大変有難いですから、そんなにほじくるように伺う意味じやないですから、あの当時の法案審議のときによく御承知のようにそつちの方向へ向いますと大変なことになるから、そつちの方向に向つていないということが私どもに納得できるようにその細目の御説明文書で頂ければそれで有難いと思います。  それから調査官の活動についてですが、あのときも結局調査官調査活動というものを誤る、その責任は窮極的には長官が負われなければならんという重大なことになる。そこで調査官が自分の思いつきなどで調査をやられるということはないわけですね。従つて恐らくは現在の段階において最も必要なことは、今御説明なつ調査官自身のこの法に関する研究というか御勉強といいますか、その研修ということが重点を置かるべきだと思います。その費用は今おつしやる調査活動費の中に入つておるのですか。それともさつきの研修費という費目だげおつしやいましたが、その研修費にはどれだけのお金をお使いになつておりますか。  それからこの非難を受けたことは余りないような話だつたのですが、我々の聞くところでは、どうも講演会たどに講演を聞きたいという意図ではない意図を持つて出席される方があるらしく、それが警察官であるのか調査官であるのかよくわからない。どうも調査官がそういうふうなところへお出でになつている、これも善意で御勉強になるためにそういうところにお出にたるのは御自由なんですけれども、そうではない印象を与えておるようですね。つまり限られたコムユニズムの研究会のようなところで様子を御承知になろうとしている。これは法案審議において繰返し私からも質問をし、お答えを頂いたのですが、いわゆるフラク活動があるんじやないかということで調査をされる。フラク活動の調査ということは非常にデリケートで、そのフラク活動が行われているんじやないかということで合法的な会合なり合法的な団体なりに不安を与えるということは絶対に避けなければならない。これを実際やる場合には随分困難がある。併しその困難のことは私から十分に質問して、それは十分に了解している。そこでそのフラクというものも破壊活動のフラクですね、或る政党のフラクというんではない、その破壊活動のフラクがそういうふうな合法的な団体を動かして破壊活動をさせようとしているじやないか、だから政党のフラク活動と違うのですけれども、その破壊活動と違う活動が合法的な団体で行われているんじやないかということで調査するときに、その合法的な団体の集会の自由或いは団結の自由というものをいやしくも脅かさないという答弁がたびたびあつたのですが、最近の国警長官の議会における御答弁を伺つていると、フラク活動みたいな調査のために一般的な調査を集会なり団体なりについてやつている場合は合法的であるかのごとき答弁をされている場合があるのですが、これは直接には公安調査庁との直接の関係……関係というのはないでしよう。併し公安調査官の活動がそういうような印象を警察のほうにも与えるということはあるんじやないかと思うので、その点は十分にやはり注意して頂く必要があろうと思うが如何ですか。
  40. 関之

    説明員(関之君) 研修関係の費用でありまするが、これは研修生の旅費として四百万円認められておるわけであります。そしてそのほかに研修を行うに当りましての庁費関係のものが百万円近くあるかと思うのでありますが、なおこの百万円は大体の見当だけでございますから、その点御了承を願いたいと思います。そして研修の点でありますが、これは実は全官庁の中で公安調査庁ほどよく研修をやつているととろはないというふうな人事院からおほめの言葉を私ども頂いておるわけでありまして、この点もそういう審議の結果を行なつておるのでありまして、私ども責任を果しているという意味でお聞きとりを願いたいと思うのであります。調査官のこれは結局調査の問題及び審議のときにフラク活動の点が問題になつたこともよく私ども承知しておりまして、そういう誤りのないように努力いたしておる点であるのであります。只今のお話の点はすべて誠に御尤もな点でありまして、いやしくも私どもの活動によつて何ら破壊的な活動とか或いはそういう疑いのない団体が沫惑をこうむらないように細かい点にまで気を配りまして実際やつておるわけでありまして、従つて調査官として聞くべき講演会までも聞けないというような身狭なことがあるという訴えがときどきありまして、まあ余り梨下に冠を正さずというような気持で一つやつてくれという意味で現実に指導を与えている次第であります。
  41. 赤松常子

    赤松常子君 一、二ちよつとお伺いいたしますが、昨年来大変問題になつております保護司の方の手当はどこに入つておりますのですか。どのくらい増額なさつたのでございましようか。伺いたいと存じます。
  42. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) お答え申上げます。  先日お配りいたしました予算の表の五枚目でございますが、一番下に賠償金及び実費弁償金というのがございます。ここにこれが三千六百九十二万一千円増額になつております。これは保護司の実費弁償金、只今手当とおつしやつたかと思うのでございますが、予算の科目の上では実費弁償金となつております。これが今まで逆算いたしました平均単価が千六百三十五円でございます。これは御承知のように年間非常に少いのでございますが、それが今度三千十九円、約倍に引上げられましたが、そのために三千六百九十二万一千円増額なつたのであります。
  43. 赤松常子

    赤松常子君 今実費弁償とおつしやつておりますが、昨年来ここでいろいろ話題になりましたときには、一年手当金としてという説明であつて五百円くらいのことをおつしやつておりましたのですが、いつ実費弁償になつたのでしようか。
  44. 斎藤三郎

    政府委員斎藤三郎君) 昨年までは保護司活動の予算といたしましては、謝金とそ、れから補導諸費、こういう二つの項目でやつておりました。この謝金というのは長年こういう名前で予算を取つておりましたので、そういう形でずつと続けて参つたのでございまするが、実際の保護司の根拠法規でございます保護司法によりますると、保護司には給与を支給しない、名誉職である。社会奉仕である。そして保護活動に要した実費の全部又は一部を国が弁慣する、こういう規定になつておつたのでございまして、ただ私ども予算の技術と申しますか、大蔵省から金をもらうのに従来からあつた項目ですと割合い簡単にもらえますので、そういう沿革的なことから謝金の名前でもらつておつたのが一人五百円でございましたのが節約になり十まして四百五十円程度なつたのであります。本年度予算の折衝に当りましてはどうも大蔵省も、ここでいろいろとご意見を伺いまして、この保護司関係について非常な考慮を払つてくれまして謝金というのはおかしいじやないか、法律上謝金ということはどうも理窟に合わない。又私どもも実際謝金の名前でもらつておりますために、税務署から二割税金を取られるところが多うございまして、最後にそれならその費用も実費弁償の中に入れよう、法律規定通りに入れよう、そういうことで今度の予算がそういう形をとつたのでございます。
  45. 赤松常子

    赤松常子君 この三千幾ら増額なつたことはややいいと思いますけれども、これは実際の場合と比較いたしましてまだまだこれだけでは本当に足りないと思うのでございまして、大変不満足なのでございますが、実費弁償ということになつたのですか。
  46. 斎藤三郎

    政府委員斎藤三郎君) いろいろ御鞭撻を頂きましてできる限りのことはいたしましたが、必ずしも御期待に副い得なかつたということは誠に申訳ないと存じております。いろいろの制約下で一応昨年度に比べましては保護司活動に要する費用は一億一千万円程度でありましたのが、一価六千万円程度に上りまして、これは実費弁償という形で何んでも保護司活動に要するものならどういうふうに使つてもよろしいということで、非常に予算使い方としては合理的に実際に合うようにできるのではないかということで、先ずよかつたと思つております。  それから従来は保護司の定員に対して幾らという形をとつておりましたのですが、本年度予算で初めて事件数を基礎にして、それに幾らというふうにやつてくれましたので、将来執行猶予者保護観察という制度が拡大ざれるということになると、それに応じてその必要な予算を頂戴できるのではないか、こういう点も非常に今度は幸いだと存じておる点でございます。決して本年度予算は十分であるとは存じておりませんから、今後とも十分努力いたしたいと、かように考えております。
  47. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  48. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて下さい。
  49. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この前、少年院に収容されておる少年諸君の被服費として一年に二千円という御説明がありまして、これはどうも何と考えてみても考えられないので、恐らく二千人ぐらい収容されておるのではないかと思いますが、それに二千円というと、一人一円ということで余り非常識ではないだろうかと思うので、もう一遍お答え頂いたほうがいいのではないかと思います。宮城委員がこの前おつしやつたように洗濯すればその間裸でいなければならんのに、一年に一人当り一円の被服費というのは人権を無視するも甚しいと思うので、あのままの御説明を伺つておくわけには行かないと思うのですが、どうですか。
  50. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 一人当り少年院は四千百五円という予算になつております。それで御承知のように少年院は急速にたくさんできましたので、又出発当時は被服事情も悪くて、なかなか追いつきません。殊に少年は非常に消耗が甚しいという事情もございまして、なかなか思うように参りませんでしたが、だんだんよくなりまして、今年度から来年度にかけましては恐らく一通りのことはできるのではないかと思います。二千円と思しますのは、増額なつたのが二千円ということです。
  51. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうすると総額で幾らになるのですか。
  52. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) 四千九百二十六万七千円という予算になつております。
  53. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうすると少年院の総予算十一億三千万円程度の中でその被服費は四千……。
  54. 中尾文策

    政府委員中尾文策君) さようでございます。全国で総額が約十一億三千万円で、ございまして、その中の四千九百三十万円弱は被服費ということになつております。
  55. 郡祐一

    委員長郡祐一君) よろしゆうございますね。それでは開会の初めにちよつとお諮りいたしましたが、そのときお見えにならなかつた方もあるから申上げておきますが、交通事件即決裁判手続法案について参考人意見を聴取いたしたいと思います。それで人選、日時等委員長にお任せ願いまして、この関係で参考人を選ぶといたしまして、裁判官、検察官、弁護士、交通警察官、自動車運転業者、実際の運転手というようなものがございますが、官側のは大体政府説明でわかると思いますから、交通関係の警察官と自動車の運転業者、それから実際の運転手、これらの者を参考人として呼ぶことにいたしたいと思います。  それでは本日は交通事件即決裁判手続法案について資料の説明を求め、質疑の御続行を願うことにいたしておりましたが、本日はこれを次回に延ばしまして、次回に継続することにいたしたいと思います。  次回は来週の火曜日、三月二日の午前十時から開会する予定にいたしたいと思います。本日はこれを以て散会いたします。    午後二時五十二分散会