運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-02-18 第19回国会 参議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十八日(木曜日)    午前十一時一分開会   ―――――――――――――   委員の異動 二月十二日委員宇垣一成君辞任につ き、その補欠として楠見義男君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            小野 義夫君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            青木 一男君            楠見 義男君            三橋八次郎君            棚橋 小虎君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   政府委員    法務政務次官  三浦寅之助君    法務大臣官房経    理部長     竹内 寿平君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    法務大臣官房主    計課長     羽山 忠弘君    法務省刑事局参    事官      下牧  武君    法務省矯正局総    務課長     高橋  孝君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件連合委員会開会の件 ○交通事件即決裁判手続法案内閣提  出) ○検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (法務省昭和二十九年度予算に関  する件)   ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今から委員会を開きます。  先ず連合委員会開会についてお諮りいたします。警察法案及び警察法施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の二件が昨日地方行政委員会に付託になりました。両法案につきましては当委員会といたしましても、密接な関係があると存じますので、両案について地方行政委員会連合委只会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めてさように決定いたします。   ―――――――――――――
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に当委員会に付託されております交通事件即決裁判手続法案につきまして、地方行政委員会連合を希望いたしておる模様でありますので、成規申入れはまだございませんが、地方行政委員会において連合委員会開会することを決定いたしました場合は、これと連合委員会を開催いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 郡祐一

    委員長郡祐一君) なおこれについてちよつと附言いたしますが、只今まだ正式の、只今申しました通り、正式の申入れはございませんし、交通事件即決裁判手続法案内容を十分検討されてそのような申入れがあつたものとも存ぜられないのであります。或いは違警罪即決例の復活のような考えでそのような申入れをされているのではないかというような節もあります。従いまして申入れのありました際に、再度皆様にお諮りをいたしますか。或いは委員長同士で適宜決定をいたしますか、お任かせを……、場合によりましては両委員長において適宜一、二回連合委員会を開くことを承諾する等、便宜な処置をお任かせ願えましようか。それともこれは正式に参りましてからお諮りいたしましようか。……それではこの問題につきましては成規申入れを受けました際に、改めて皆様にお諮りをいたしまして決定することにいたします。さよう御了解を願います。  先ず交通事件即決裁判手続法案、本院先議について提案理由説明を聴取いたします。
  6. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 只今議題に上りました交通事件即決裁判手続法案について御説明申上げます。  一、先ず、立案趣旨について申上げます。  我が国における交通小故は、年々驚くべき増加傾向を示し、昭和二十八年中におきましては、約八万件の交通事故が発生し、この事故によつて死亡して者は約六千人、負傷した者は約六万人の多きに上り、この傾向は不自然な死傷を遂げた者の全体の約半数に当るという、誠に憂慮すべき状態にあるのであります。  このような厖大な交通事故を防止するためには、道路、施設の整備拡充ということも勿論大切でありますが、何と申しましても、交通関係者のすべてが交通秩序をよく守るということが、絶対不可欠の要件であると存ぜられるのでありまして、これがため政府は、鋭意交通事件取締に努力しておる次第であります。  ところが、自動車その他の高速度交通機関の激増による交通量飛躍的増加は、同時に交通違反事件の驚異的な増加をもたらし、その処理に当る警察検察庁及び裁判所におきましては、文字通り応接に暇がないという状況を号しておるのであります。試みに最近の統計によりますと、警察において取り扱う交通に関する刑事事件は、全刑事事件の約三〇%、検察庁で取り扱う交通に関する刑事事件は、全刑事事件の約三二%、また裁判所で取り扱う交通に関する刑事事件は、全刑事事件の約六〇%を占め、事件の数から申しますと極めて大きな割合自を示しているのであります。  ところが、これらの交通に関する刑事事件処理は、被疑者が呼出に応じないために、その取調に困難を来し、また、その処罰はその大部分が刑事訴訟法略式手続によつていたため、これに伴う煩瑣な書類作成を要するとともに、略式命令送達に非常な手数を要し、さらに被告人所在が転々するため、確定した裁判執行の面においても非常な困難を来たす等、その処理に思わざる日時と費用とを要し、事務の渋滞に悩みつつあるのであります。統計の示すところによりますと、ここの種事件の発生から裁判執行までに要する日子は、全国平均四カ月弱となつておるのでありますが、この交通に関する刑事事件は、他の一般刑事事件と比べて一層迅速に処理を致すのでなければ、その取締目的を達し得ない特殊の性格を持つものでありますから、只今申し上げましたような事態をそのまま放置することは、到底許されないところであると存ぜられるのであります。  そこで、この際、只今指摘致しました三つ難点、即ち違反者がなかなか出願の求めに応じないこと。書類作成及び送達に非常な手数を要すること並びに裁判執行に非常に手間取ることの諸点を克服すると共に、捜査から裁判執行に至るまでの一連の手続において、その処理段階が異るごとに関係者にその都度出頭を求め、事件処理のための煩わしさを強いるという弊害をも取り除こうという趣旨から、この種市件に関する即決裁判手続を行うため、ここに本法案の御審議をお願いするごとと致した次第であります。  二、次に、この法案内容について申上げます。  (1) 第一は、この法案性格についてであります。本法案交通に関する刑事事件即決裁判手続、いわば交通に関する刑事事件について、口頭による留式命令手続ともいうべきものを規定したものでありまして、その限りにおいて、これは、刑事訴訟法特別法となるわけであります。即ち、基本法たる刑事訴訟法規定は、この法律に特別の規定がない限り、この即決裁判手続についても、常にその適用があるわけであります。  (2) 次は、即決裁判性格についてであります。即決裁判は、公判前の手続でありまして、略式手続と同様の性格を帯びております。即ち、略式手続と異るところは、裁判官が直接被告人を目の曲において事実関係十分確め代りに、書類作成は極度にこれを荊易化するという仕組に致したほかは、基本的な考え方略式手続と全く同じでありまして、被告人異議があればこの手続を進めることができないこと、即決裁判確定前は何時でも正式裁判を求めて三審制度による訴訟利益を享受することができること、また裁判所は何時でもこれを刑事訴訟の定める通常手続に引き直すことができること等いずれも略式手続に準じて被告人の保護を図つておるのであります。  (3) 次は、この手続内容についてであります。この法律は、建前としては、刑平訴訟法のそれと同様に、口頭主義公開主義をとつておりますが、それは決して公判手続を簡易化するという考え方に立つものではなく、あくまで公判前の手続と致しまして、次のように措置しているのであります。即ち、いわゆる起訴状一本主義をはずし、伝聞法則適用を緩和し、また簡易適切な裁判手続確保するため、職権主義を大巾に加味し、期日における検察官及び弁護人出席を自由とし、記録作成を極度に簡易化する反面、被告人利益を守るためには十分の考慮を払い、適切妥当な裁判確保に努めているのであります。  (4) 最後に、捜査裁判執行段階における竹色についてであります。前にも申し上げましたように、交通に関する刑事事件処理に思わざる日子を要している主な原因は、違反者出頭確保する手段が欠けていることと、確定した裁判執行が容易でない点にありますので、先ず裁判執行につきましては、刑事訴訟法で認められている仮納付制度を、その条件を緩和することによつて、一層容易に利用することができるようにすると共に、込反音の出頭確保するために、道路交通取締法に新たに一カ条を加えることによりまして、警察及び極察庁の取調べを同一場所同一日時に行えるようにし、更に特別の事情がない限り裁判をもこれと同一日時場所で行うようにし、これまで三回乃至四回の出頭を要した手続を一回の出頭によつて終ることができるように措固したのであります。これによりまして、手続迅速化もさることながら、関係者の煩わしさも大いに省かれることと信ずるのであります。  何とぞ速やかに御客儀の上、御可決あらんことをお願いいたします。
  7. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本法案につきまして逐条の調川を求めます。下牧刑事局参事官
  8. 下牧武

    説明員下牧武君) それでは私から逐条の御説明をいたします。  お手許に交通事件即決裁判手続法案逐条説明書というものをお配りいたしておきました。これに従つて簡単に申上げたいと存じます。  この法律立案趣旨は、只今提案理由説明で申上げました通りでございますが、全体の骨子を御理解頂くために一応現在の手続を申上げてみたいと存じます。  御存じのこととは存じますが、大体この交通事件と申しますのは事件の質といたしましては非常に簡易な事件であります。ただ数が非常に多いわけでございます。それで現在は殆んどこれが略式手続によつて処理されておるのでございます。まあその手続の概略を申上げますと、最初違反を発見いたします。スピード違反とか、或いは信号無税とか、そういう違反を発見いたしますと、巡査がその車なら車をとめまして、大体この交通事件の主体が自動車による違反というのが一番大きいものでございまして、又それによる損害も非常に被害が大きいという点から、この高速度交通機関取締というものに甫点を置いておるわけでございます。その結果やはり交通事件の重点というのは、自動車とか、そういう高速度交通機関というものに対象が置かれることになります。そういうわけで違反自動東をとめまして、そこでいつ幾日警察に出るようにというのでこれは紙切れ一枚のようなものを巡査が渡しまして、それでそのまま一応帰しておきます。そうするとその指定された日時違反者が出て参るわけでございますが、統計によりますと第一回に出て来るのが約五〇%程度しか出て参りません。その後二回、三回と呼出しを重ねまして、その間に相当日時を要するわけでございます。それからその呼出しをしておいて、巡査は署に帰りましてから今度現認報告書というのを作成いたします。これは違反の大要を、どういうところで違反したかというのを現認した事実をそのまま書きまして、そして場合によりましてはそこへ現場の地図のようなものを書きます。例えば駐車違反につきましては、ここが駐軍の禁止区域になつておる。そうしてここに車がとまつておつた。そして駐軍禁止区域標はこことここに立つておるということを、まあ一種の実況見聞書のようなものでございます。それを加えまして、そして上司に報告するわけでございます。それで違反者が出て参ますと、今度はその上司たる巡査市長とか、或いは警部補なんかがその理認報告書に基いてその違反者犯罪事実の有無を尋ねるわけであります。それで事実が確定されますと、そこで軽微なものは悦論処分にいたします。まあそのままにしておく。そして重要なものはこれは検察庁に送る、いわゆる事件送致をいたすわけであります。それで検察庁がその送致を受けた事件につきまして今度又呼出しをかけて参ります。大体その第一回の呼出しで出て参りますものが六割余り、まあ七割足らずというところが出て参りまして、あとのものはやはり二回、三回と呼出しをかけなければいけないというような状況にございます。  それで検察庁へ出て参りますと、極察庁のほうではその警察の料の送致記録に基きまして、又本人事情を聞いて、そして違反有無を検断するわけでございます。その中で嫌疑なしで事件を不起訴にいたすのもございますし、又たとえ違反は成立いたしましても情状が軽いというのでいわゆる起訴猶予処分にいたします。それからその他のものはこれは起訴いたします。それで起訴起訴をそこで決定するわけでございますが、大体今までの統計で見ますると六割乃至七割程度起訴されておる。大体その見当になつております。  そこでその起訴いたします場合は、これは略式手続というのによりまして、略式手続にいたしますのには、やはり本人同意書なんかを、その略式式手続によることについて異議がない旨の同意書などを取らなければならない。そういう書類を整えて今度略式命令請求書というものを文書に書きまして、それには犯罪事実、それから適用法令というものを計いて、そして裁判所起訴するわけでございます。裁判所のほうでは一件記録をずつと見まして、そしてこれは純然たる書面審理でございます。これは本人はもうずつと顔を見せずに、裁判官がその一件書類を見てその上で今度は略式命令を出す。その略式命令を出すにつきましては、やはりまあ起訴状と同様なことを繰返して、同じような判決書相当する略式命令を書くわけです。そこにも再数の作成の上に非常な手数がかかるんで、むしろ略式命令の出るのが非常に遅れる原因はそういう書類作成する面に、非常に手間取るという点に原因があるわけでございます。まあそういうわけで略式命令を出しまして、そしてこれを被告人送達いたします。  その被告人送達いたしますそのときになりますと、相当犯罪其実のときから日時が経過いたしておりますので、まあ所在がわからなかつたりなんかして、まあなかなかその送達に手間取るというような実情がございます。ともかくそれで送達いたして、それで送達があつてまあ十四日の期間正式裁判請求期間というものをそのまま過ごしますとそれが確定するわけでございまして、確定いたしますと記録検察庁に戻つて参りまして、それでその確定裁判に基いて罰金について執行をいたすわけでございます。それにはやはり納付命令というようなものを出す。場合によつて呼出して督促するというような面においてこの執行面において相当日時が、手数がかかるというような状況で、概略申上げますと、そういう経過で事件処理されておるわけでございます。  その結果、まあ提案理由でも申上げましたように大体の平均が百九日、一件を片付けるのに全国平均で百九日を要しておる。まあそういうようなことではとてもこの交通事件というものは賄い切れないのではないかということで、何とかしてこれを迅速に而も被告人の権利を侵さない方法において早くやる方法考えられないだろうとかいうことがそもそもこの法案を作ります根本の動機でございます。  そこで私ども検討いたしました結果、まあ三つの大きな難点があることがあるのではないかという点に着眼いたしたわけでございます。その第一点はこの捜査の面におきましても、或いは執行段階その面におきましても本人がなかなか出て来ないので、何とかして出頭確保する方法を講じられないだろうか、それで捜査の面なんかにおきまして出頭確保するためには、大体交通事件なんというものは現行犯でございますから、現行犯逮捕をやればいいのでございますが、そういう軽微な事件についてすぐ現行犯逮捕をやるという強制力を用いるということは、やはり考えものでございます。そこで穏当な形において何か本人出頭確保をできる方法はないかということで、その方法はこの法案の附則にございますように、道路交通取締法に一カ条加えまして、免許証を一時預つておいて、その代り保管証を出しておいて、保管証を持つておれば運転免許証と同じで運転には差支えない。併し一週間なら一週間を限りまして指定の日時に出て来れば保管証を返して、そうして調べを終えるというようなことにして、特に強制力を用いるようなことをせずして、出頭確保する方法を講じたらどうだろうかというのが第一点であります。  それから第二点といたしましては、先ほども申上げましたように、いろいろな書類が作られて、而もその告知は非常に重複されたような書類が作られておりますので、その辺の無駄を省いて、而も手数を省くのに対してどうしたらよかろうか。書類を極力簡易化いたしますということになりますと、この事件の今度処理の面において被告人に不測の不利益をこうむらせるということになつては困りますので、そこで現在略式命令被告人の顔も見ずにやつておるというのを、一応裁判官面前に呼び出して、そこで弁解を聞いて、どうだろうかと、判事裁判官が不審と思われる点は本人に質すというようなことをいたしまして、その事件判断にはこれは特に差支えないようにする代りに、書類というものは極力簡易化して、殆んど裁判書規定内容記録する程度のものにとどめて、ぐつとその間の無駄を省いてみたらどうかというのが第二点であります。  それから第三点といたしましては、執行面における非常な無駄と申しますか、煩瑣な手続が行われる。これもその本人が出て、出頭確保して、今度は検察官警察官と同じ場所において、同じ日に調べて、そうして庁舎関係とかいろいろ問題がありますが、でき得べくんば裁判所と同じ庁合におつて、そうして庁舎流れ作業によつて一遍本人が出て、ずつと裁判所まで行けるということになれば、その場合に或る程度の現金を打つておる、本人裁判異議がないということになりますれば、それでその言い渡された罰金も仮に納めるというような制度にすれば、執行の面も一度にできるのじやなかろうかというので、そこで仮納付制度というものを、現在訴訟法にございます仮納付要件を緩和して、本人異議がなければ大体相当と認めるときは裁判所上司判断によつて納付裁判を命ずることができる。その仮納付裁判はすぐに執行ができるというような建て方にいたしたわけであります。それでありますから、飽くまで私どもの考えは、これは公判手続を簡易化するという考えじやなくして、現在書面審理で行われておるところの略式命令手続、これに口頭主義を入れまして、判事が今まではめくら滅法に出しておつたのを、直接本人に当つてその上で出すという代りに、書類でただ今までやつてつたの口頭でやつて納めて行くという形にいたしました。こういうのが大体この法案骨子でございまして、その前提の下に一つお読みになつて頂きたいと思います。  早速逐条説明のほうに入りますが、第一条、これは法律趣旨目的を掲げたもので只今申上げたような事情からこの法案ができたということを書いてございます。  それから第二条でございまするが、これは交通に関する刑事事件、言い換えれば、この法律適用する刑事事件の種類と範囲をここにおいて限定したわけでございます。一は道路交通取締法違反の罪、それから二は、道路交通取締法施行令というのがございます。これの違反の非、それからもう一つは、道路を通行する諸車若しくは軌道車の構造及び装置の調整又は警告書交付等に関する命令というのが総理府と迎輸劣共同省令で出ておるのでありますが、これの第七条に掲げる罪という二つの点に限つたわけでございます。そのほかに通路車両法とか、いろいろ交通事件範囲に属する事項がございますけれども、これは非常に極く僅かでございます。特にこの主たる内応をなす三つだけについて限定してこの法律適用してみたい、こういう考えでございます。  それから第三条は、これは即決裁判のやり方の大本を、これを略式命令と同じような書き方で、条文刑事訴訟法の四百六十一条の第一項、略式命令そのままの文句を借りて参りまして、そうしてただ略式命令でやるというやつを即決裁判ということでやるという点を雇えただけで、あとはその通り略式命令通り規定内容を借りて来て規定したわけでございます。この罰金範囲最高限、その他全部同じでございます。  それから第二項は、これは現在の略式命令も、被疑舌異議のある場合にはできないのでございますが、これも同じような考え方で、本人異議のある場合はこういう簡単な手続きはできない。略式命令異議があれば略式ができませんから、これは通常公判手続にのせる、こういう考え方でできておるわけでございます。  それから第四条も、これは略式命令条文を殆んどそのまま借りて参りまして、第一項はこれは検察官が市求してやる。これは四百六十二条第一項、これと同じ用語例にならつたわけでございます。  それから第二項も、前条の第二項によりまして即決裁判手続というものは、本人異議のある場合はできない。その裏付けといたしまして、検察官即決裁判請求をするについては、それはあらかじめ本人即決裁判というものはどういうものであるかを説明して、そうしてこのほかに刑事訴訟法の定める手続、言い換えればこれは普通の公判手続でもよろしいし、それから略式手続でもいい。そういうもので裁判を受けることもできるぞということを告げて、本人を納得さした上で、異議がないかどうかを確かめる、こういう措置を講ずるということにいたしたわけでございます。略式命令ではこの場合に本人同意書を取るということになつておりまするが、今度の場合は本人が必ず裁判官面前に出て参りまするから、たとえ同意書のようなものを取つて本人異議のないことを明らかにしておきませんでも、裁判官面前に出て本人がこの手続じや困りますと言えばそれでいいことでございまして、特に同意書を取るという点は、これは略式手続とは変えて、そういう措置はとらないということにいたしたわけでございます。  それから第五条は、これはいわゆる起訴状一本主義を排斥した規定でございます。現在の略式命令の場合においても、略式命令請求がありまするというと、検察官はやはりその請求と同時に必要な書類を、証拠物を、費料裁判所に差出さなければならないことになつております。これは刑事訴訟規則の二百八十九条に規定がございます。それと同じ考え方でいわゆる起訴状一本主義刑事訴訟法の二百五十六条第六項の規定を排除する意味におきまして、この刑事訴訟規則と同じ文句でその条文をこちらへ借りて来たわけでございます。勿論これは即決裁判請求と同時に出さなければならない、こう書いてございますが、あとからいわゆる追送の形で出すということを規定する趣旨ではございません。ただ、そういうことにいたしますと、流れ作業をやるということになりますれば、あとから追送するということも、実際上は行われないのではないかと存じます。  それから第六条は、これは即決裁判が、これでやつては工合が悪いという場合に、これを通常裁判に引価す場合の規定でございます。  第一項は略式命令と同じ刑事訴訟法の四百六十三条第一項、これと同じ規定にございます。「裁判所は、即決裁判請求があつた場合において、その事件即決裁判をすることができないものであり、」このできないものということは、例えばこの交通事件に関する刑事事件というものが第二条で限定してございます。それ以外の事件について若しこの手続請求をしたというような場合には、これは法律的に到底できない、そういう場合を指すわけでございます。それから「又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、」相当でない事件というのは、その内容が非常に複雑であつて、証拠調べを十分しなければならないとか、或いは途中で被告人異議が起きて来たというような場合は、勿論これはできないことになるかと思いますが、そういう複雑な事件の場合で、どうもこの手続でやつては工合が悪いという場合には、裁判所が自己の裁量によつて通常裁判に引直すことができる。そういう場合は「刑事訴訟法の定める通常規定に従い、審判しなければならない。」こういうわけでございます。これはその即決裁判手続をいわゆる正式裁判通常公判手続に引直すということをここで認めておりますが、簡易公判手続をすぐ略式手続に引直すということは許されない、そういう考え方でございます。略式即決裁判との間の融通はつかない。でございますから、正式裁判に引直した場合は、初めから今度は公判廷で、公判討求があつた場合と同じように取扱うということになるわけでございます。二項は、「裁判所は前項の規定により通常規定に従い審判するときは、直ちに、検察官にその旨を通知しなければならない。」これは現在の略式手続もございます規定で、刑事訴訟法四百六十三条第三項、これと同じ考えで行つております。  それから第三項も、刑事訴訟法の第二百七十一条、この適用は、いわゆる起訴状送達に関する規定でございますが、この点は略式手続と全く同様でございます。ただ、略式手続の場合には、この二百七十二条の規定適用があるということは、はつきり書いてございませんが、この場合には、二百七十二条と申しますのは、弁護人の選任の告知の規定、これも疑問がございますので、弁護人選任の告知もこの際改めてする必要があるぞということを明示したわけでございます。但し、通常謄本送達の期間の起算日、これは、その通達があつた日から二箇月とするというので、これは略式命令手続と同じような考え方で、その通り考えてやつております。  それから第七条は、「即決裁判請求があつたときは、裁判所は、前条節一項の場合を除き、即日期日を開いて審判するものとする。」これがいわゆるまあ流れ作業を予想した規定でございます。建て前として、即決裁判請求があれば、もうその口に法廷を開いて、期日を開いて審議しなければならん、審判、裁判の宣告までしなければいかん。ただ、これは「審判するものとする。」とありまして、しなければならないとはつきりいたしませんでしたのは、必ずしも、その口に何かの工合で翌日に廻すというようなことも場合によつて考えられますので、それをとめるというのも非常に窮屈になりまするから、原則としてその日にやるのだぞという気持で、「審判するものとする。」といたしました。でございますから、翌日に廻すというようなことも法律の上から言えば決して違法にはならないということになります。  それから第八条でございますが、「即決裁判期日における取調及び裁判の宣告は、公開の法廷で行う。」それでこの処理の便宜から考えまするというと、必ずしもこれは公開の法廷でやらなくてもいいという考え方も立つたので、いろいろ我々にも議論いたしましたが、結局余り手続というものを簡易化いたしまして、又どこでも裁判できるという形にいたしますると、やはり裁判の威信というものにも関係して参ります。そこで最後の担保として、少くともこの取調べというものは法廷で行う。而もそれは公開の法廷で行う。ガラス張りの中でやるという建前は崩したくないという意味で、これを公開の法廷ということにいたしました。この法廷というのはこれは大体裁判所の構内にございますが、そして特別に裁判所以外の場所にそれを開く場合は、これは最高裁判所の指定を受けなければいけないわけでございます。ところが最高裁判所としてもめつたやたらに指定はいたしません。我々もその指定をルーズにするという考え方は持つておりません。ただほんの特別の事情によつてどうしても裁判所でやるということが無理だという状況でも起きますれば、或いは警察庁舎という場合を指定することもあろうかと存じますが、そういう場合の指定があれば、それは法廷ということになりまして、やる場所は単に場所的な感覚じやなくて、法廷という場所でやるということをはつきりさしたわけであります。それでこの法廷につきましては、この流れ作業をすることを考えますというと、裁判所庁舎が余裕がありまして、そして一室を明けてそうして法廷のすぐ近所に警察官及び検察官が取調べをするような部屋を設けまして、そうしてそこからすぐ法廷に廻られるということにいたしますれば、これは一番理想的に行くわけでございますけれども、現在の実情におきまして全部の裁判所にすぐそれができるかと申しますと、これは予算その他の制約がございましてちよつと困難かと存じます。その点から行けば、そうむずかしいことを言わずに警察へでも持つてつて一緒にやつたらいいじやないかということも考えられますけれども、先ほど申上げたように裁判の権威その他を考えまして、この点だけは譲らなかつたということでございます。  それから法廷は裁判官及び書記官が列席して開くということにいたしまして、検察官は立会つても立会わなくてもよろしい、これは自由であるということにいたしました。  それから第九条で、併し被告人出頭しなければ期日を開くことができない、といたしまして、必ず裁判官面前本人が来て裁判官が事実を調べるという、この点は担保しております。  「被告人が法人であるときは、代理人を出頭させる」これは刑事訴訟法の二百三十三条にある規定でございます。これをそのをまま借りて来たわけであります。  勿論呼出しを受けた場合に、日分一人じや心許ないから弁護人と一結に行こうということはこれは当然でございまして、第三項において「弁護人は、期日に出頭することができる。」弁護権のほうも担保しておるわけでございます。  それから第十条でございますが、期日における取調べ、これは普通の公判手続におきますと非常に厳格な方式が定められておりまして、証拠調べの方式にしても非常に厳格に法律上縛られておるわけであります。ただ、この種事件の性質から申しまして事件内容が非常に、スピード違反、何キロで走つておつたとか、赤信号が出ておつたところを突つ切つたとか、或いは車をとめていかん場所に車をとどめて賢いたとかいう非常に簡単な事件でございますから、それほど細かいむずかしい方式に従わなくてもこれをできるだけ裁判所のやりよいような方法でその本人にその事実を確かめることができるようにしよう、こういう趣旨からその取調べの方法というものを非常に簡易化いたしました。  第一項は、先ず期日において裁判長は被告人に対して被告事件の要旨及び自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。従つて検察官起訴状を朗読するというような冒頭の手続も必要じやございません。裁判官からこういうことで実は起訴されておる、こういうことであるがどうであるか。それから供述する場合でも、公判手続におきましてはいわゆる黙秘権ということで非常に丁寧に黙祕権があることを告げておりますが、この場合には、捜査機関が供述拒否権を告げるという程度に緩和いたしまして、そうして、その程度のことを告げるということでとどめたわけでございます。それから被告人に対して弁解をする機会を与える、それからその場合に若し必要と認めれば、在廷証人でもおれば、その在廷の参考人を調べるとか或いは出されたそのほかの証拠書類或いは証拠物がございますれば、それをその場で調べることもできる。そうしてその場合に検察官弁護人出席しておれば、これは当然意見を述べる、ことができるこれは当然のことでございます。厳格に検察官がいわゆる訴訟法に求められておる論告をするとか、そういう格式張つたことはいたしませんで、言い換えますれば被告人を目の前においてそうして、本当のくだけた気持で裁判官被告人に聞いて、そうしてその事実を何する。そうしてむずかしい格式張つたことをせずにこの取調べをするというのが、この規定趣旨でございます。これはまあ裁判のあり方といたしまして民衆との親しみというものを増す上においても、相当意義のあることじやないかと考えるわけでございます。こういうやり方も事件によつてはむしろそれのほうがいいというふうに考えられるわけでございます。  それから第十一条、これは証拠でございますが、この証拠もまあ只今申上げたような事情でございまして、事件も簡単でございますし、そしてこれという証拠調べをしなきやならんようなむずかしい場合は、到底この即決裁判手続に副わず、これは通常公判、続で行うべきものでございますが、ここでは証拠能力の制限もこれを非常に緩和いたしまして、裁判所として大体検察官が出した書類それから期日において取調をした書類そういうものを見まして、証拠物を見まして、そしてそれと本人の弁解とを合せて聞いて心証を得れば、それで裁判ができる。こういう仕組にいたしたわけでございます。  そこでここに「被告人の憲法上の権利を便さない限り」というふうにしぼりをかけましたが、これは甚だ漠然とした表現でございますが、大体強制とか拷問による自白とか、或いは非常に長く抑留される。そういうことはございませんでしようけれども、そういう場合の自白、或いは伝聞証拠につきまして反対尋問の機会を与えないことは、反対尋問をさしてくれと本人が旨つているにかかわらず、その機会を与えないということは、やはりこれは憲法上の権利を侵すことになりまするから、反対尋問の機会を与えないような参考人調書といつたようなものもこれはやはり証拠にとれない。でございますから大体本人異議があるような書頻というものは、伝聞書類というものは、これは証拠にとれないだろう。そういう必要に落ちついて行くだろうという意味で、ここに「憲法上の権利を侵さない限り」とこういたしたのであります。甚だ漠然としているようでございますが、大体刑事訴訟法の現行法のあの証拠能力の線でこれがとまるのじやなかろうかというわけでございます。ただこう書きましても、飽くまでこの手続はアレイメント、いわゆるアレイメントを採用したのじやございません。被告の自白一本で以て有罪の認定をしてよろしいという建前はとつておりませんので、必ず何らかの補強証拠を必要といたします。その補強証拠となるものは、大体の場合は、先ほど最初に申上げました違反を発見した警察官の現認報告書これは必ずつく迎用であろうと思うのであります。少くともそういうものとそれから本人の自白と合せてそうして有罪を認定するということになるわけでございます。  それから第十二条、これは裁判の宣告でございまして、これも略式命令と同じような書き方にいたしました。これは刑事訴訟法の四百六十四条の用語例にならつたわけでございます。それでこの中で普通の通常公判手続の場合の判決の言渡しと差ができますところは、いわゆる証拠説明を必要としない「罪となるべき事実」を認定するに至つたその理由ですね。証拠説明をしなくてもよろしいということになるわけであります。略式命令と全く同一でございます。  それから第二項はこれはいわゆる裁判書きといつたようなものを作成するか或いはカード式のようなものにいたしまして、そしてその裁判官が言い渡した判決の結果というものをカード式のものに記入する。必ずしも裁判書きというような格式張つたものを作らなくても、とにかく判決の結果だけをはつきりさしておく必要がある。そのはつきりさせ方は恐らくこれは裁判所のルールで何かできると思いますけれどもその辺も非常に簡易化いたしまして、そしてどういう裁判があつたかということだけはつきりさしておく。例えばそのほかの参考人を調べるにいたしましても、そういう場合の調書は一切作らない。そうして今度正式裁判のそれに若し請求があつて通常手続に引直されたような場合は、これは検察官が又改めて証拠を出さなければいけないということで、言い換えれば公判前に一応ふるいにかけるといつたような形の考え方で、この程度にとどめたわけでございます。と申しますのは、統計によりまするというと、現在の略式命令を受けた者が不服の申立てをする事件、それから略式請求した事件で、裁判所略式相当と思つて、それを正式裁判に引直す事件、言い換えれば略式裁判から正式裁判に引直される事件の率は〇・〇一%、言い換えれば千人に一人、不服ある者は千人に一人というような非常に少い数でございまして、大体は現在のやり方で納まつておるわけでございます。そういうわけでございますから、紬かいことは言わずとも、まあ大体の分はその分で確定するのなら、何もその間のむずかしい証拠を作つたり書類を作つたりしないでも、判決の結果さえはつきりして、そうして本人の言い分を聞いて判決を言い渡せばそれで済むんじやないかというので、この程度にとどめたわけであります。  第十三条は、正式裁判請求、これは略式手続の四百六十五条第一項、第二項、これをそのまま借りまして、この規定の第一項から第三項にいたしました。考え方略式手続と同じ考えでございます。第四項もこの正式裁判の取上げとかそれから正式裁判請求権者、それから正式裁判の取下げ権者、正式裁判請求権、こういつたものにつきまして刑事訴訟法規定を、略式手続規定を、借りて来るのが便利でございますから、第四項においてそれをこちらへ準用いたしまして、借りて来た、こういうわけでございます。  それから第十四条は、これも一項、二項とも略式手続と同じ規定で現在の訴訟法の四百六十九条、四百七十条、この二つを一項に二項にそのまま同じ文句で入れたわけでございます。当然のことと存じます。  それから十五条、これが最初に申上げました仮納付、現在刑事訴訟法の三百四十八条、これによつて行われております仮納付要件というものを緩和いたしまして、現在は「判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又は執行ずるのに著しい困難を生ずる虞があると認めるとき」というときに限つて納付裁判を言渡すことができることになつておりますが、その要件を緩和いたしまして、裁判所相当と認めるとき、言い換えれば本人がちやんと金を持つてつて、そうして裁判に不服ありませんといつたような状況が窺われる場合にやる、それは裁判所の認定に委すというわけであります。「附随の処分として、」と書きましたのは、現行法の[刑の言渡と同時に、」ということを言い現すために「附随の処分として」という文句を出したというわけでございます。  第三項は、現行法の仮納付について、簡易即決裁判正式裁判に直された場合、そのときに、前に仮納付があつた、仮納付と今度の正式裁判との金額をどう調整するかという問題、第二審で確定した場合にどういうように調整するか、その執行はどういうふうにするかという面の規定で、現行法の規定をそのままこちらへ援用して来たというだけのことであります。  第十六条は、これは裁判官の除斥で、現在刑事訴訟法の第二十条の第七号によりまして略式命令をした裁判官は、その事件について除斥されることになつております、それと同じことでございます。即決裁判の場合にも同様のことをいたしたわけでございます。  それから十七条ですが、こういうふうにして即決裁判手続を定めましたが、これはいずれも刑事訴訟法の特例とするという考え方でできておりますので、そのほかにまあ管轄の問題とかそのほかいろいろ一般的な総則的な規定、こういうものは全部刑事訴訟法をかぶるという建前を明かにしたわけであります。ただ、「その性質に反しない限り、」ということで、どういうものが性質に反するかと申しますと、先ほど申しました検察官の冒頭陳述とか、それから証拠調べの順序方法なんかを非常に厳格に規定しております。それから起訴状に予備的又は択一的に訴因を記載するなんということは、これは到底この手続きに副わない、この程度のものじやなかろうかと考えております。  それから附則でございますが、これは施行日を「公布の日から起算して六箇月」といたしましたが、これはこれに応ずる裁判所の規則も作らなければなりませんし、又人員の配置、それから流れ作業をするために庁舎関係、そういうものにいろいろ準備を必要といたしますので、その間の準備期間を置くという意味で多少の余裕を持たせたわけでございます。  それから第二項の道路交通取締法の改正は、最初に申上げました通り本人の不出頭による時間の徒過という点が非常に癌をなしておりますので、この点を何とか改めたいということで、特に現行犯逮捕とかいう荒い手続をとる代りに、一応免許証を出さして、それで保管証を渡して、その保管証を持つておれば、その運転免許証を携帯しなければいかんという規定も、或いは警察官から提示を求められれば免許証を見せなければならんという規定関係はなくなる。これは免許証と見てやるのでございますから、その保管証を持つたままでそれで運転はできる、そういう仕組みにいたします。そうして只今のところは一週間ぐらいの期間を限つておりますが、その保管証の有効期間内の三日目か四日目に呼び出して、来れば保管証と引き換えに免許証を返してやるということで出頭確保する。その点は又問題がある点だと思いますけれども、この手続をいたしませんというと、どうしても呼び出しそのもののために無用の手数と費用がかかりますので、而もこういう種類の事件は、事件といたしましてはこれは早く処理いたしませんと、いわゆる行政目的取締りの効果が現われないという性質のものでございますから、できるだけ本人の迷惑にならないようにしてその出頭確保する方法を講じたいというのがこの附則の第二項の考うえ方でございます。  簡単でございますがこれを以ちまして……。
  9. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それでは只今交通事件即決裁判手続法案及び前回に説明を聴取いたしました訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案についての質疑は次回にこれを行うことといたしまして、本年度法務省関係予算についての説明を聴取しようかと思いますが、御異議ございませんか。
  10. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 資料についてちよつとお願いがあるのですが……。今の交通事件即決裁判手続法案についてですが、これについて前からたびたび質問してもどうもはつきりしないので、そういう資料を用意して頂ければありがたいと思います。第一は、今警察で依然として点数主義というのをやつているのかどうなんだか。それについてまあ普通やつてないというふうな御答弁が多かつたのですが、併し実際においてはどうもやつているようなんです。それを別にやつているからどうだこうだというのでなくて、我々がよくその点が、質問の趣旨はよくわかると思いますが、我々の人権を守るために疑惑とする点に納得が行くような資料を見せて頂ければありがたいと思います。それから第二は、この微罪の程度なんですが、今のお話を伺つていても、随分又我々日常に経験するのでも、国際的な例では、その場で注意を与えるにとどめらるべきものが問題にされているのが、日本では特に甚だしいと思うのですが、その現場で解決できる程度のものと、それからこういうふうに事件というふうに取上げられるものとのその限界をどういうところに実際おいておられるのか。それも単に理論上の法務当局としての意見というふうでなく、実際の実例を統計的に若しお示しが願えれば大変ありがたいと思います。それから第三の点は、さつきの略式から正式に移す場合が〇・〇一%であるということは、先ほどの御解釈は一種の御解釈で、別の解釈も成り立つかと思う。つまり略式から正式に移すということが、一般民衆の場合によく理解されないために、何だかわからないけれどもその不服を唱えないという場合があつては困るのじやないか、そういう点に関する資料がもう少し、どういう略式を受けるか、それとも正式にするか、或いは略式に対する不服というものが実際上においてどういうふうに扱われておるかという点の資料を示して頂ければ有難いと思います。
  11. 一松定吉

    ○一松定吉君 私も一つ、結局交通事件交通取締に反する行動のあつたということでの即決裁判でありましようから、そういうような点に対する資料として、例のゴ一・ストップ、赤と青の出るあの時間は何を基準にしてあの時間をきめたのか、きめ方、きめる法令の根拠、それから交通遮断とか、交通禁止とかいう、あの場所をきめる、それは何を根拠にしてああいうことをきめるのか、その資料を頂戴したい。それがつまりこの交通事故違反原因になるのですから、それの一体根拠は何か。それから例のあの巡査が踏台に立つて手を右に振つたり、左に振つたりしている。あの巡査のやり方は一体何を根拠にしてああいうふうに時間を速くしたり、遅くしたりするのか。ああいうようなことにも根拠があるんでしようから、その根拠がこの交通違反の根拠になるんですから、その資料を一つお示し願いたい。
  12. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私も、法律問題じやございませんが、伺いたいことは、交通事件を度々重ねるような者がありますね。そういう人に対しましてのこの精神鑑定とか、或いは知能検査と申しますか、そういう何か仕組はございますんですか。
  13. 郡祐一

    委員長郡祐一君) お答えになりますか。資料としてお出しになりますか。……各委員の御要求の資料は可及的速かに整えて御提出願います。
  14. 下牧武

    説明員下牧武君) 今お尋ねの点、これは御要求の資料を全部まとめまして、一つそれでお答えいたしたいと思います。
  15. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私今申しましたのは、運転手に不適任なものがある……。
  16. 下牧武

    説明員下牧武君) 只今富城先生のお尋ねの点でございますが、検査の場合非常に肉体的、精神的その面から内方厳格な検査をいたします。ただ、違反者として挙げられた場合に、その違反者を知能検査とか、精神鑑定するようなことは恐らく殆んどあるまいと思つております。ただその適性の有無ということは、これは相当厳密に検分しているはずでございますが、我々直接タッチしておりませんから、警察当局ともよく連絡をいたしまして十分その点を調べることにいたします。
  17. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それは交通違反についてただ刑手問題だけでなくて、もつと親切に考えれば度々こんなことをするのは、どつか欠陥があるのじやないかということをどうしても法務省関係一つタッチして頂きたいというような気持もございますので、若し資料がございましたら後日にお願いいたします。
  18. 一松定吉

    ○一松定吉君 もう一つ、速度ですね。この場所は何キロとか、この場所は一時間に幾らの速度でなければならんとか、あれをきめる根拠、あれも一つ資料として出して頂きたい。勝手に警察がきめて、それをすぐ違反だというようなことはいかんと思う。法令の根拠によつて、この場所は幾らの速度でなければならんという、その根拠ですね。
  19. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 私から一言申上げます。資料が十分整いました上、且つこの問題については参考人等の意見の聴取もいたしてみたいと思います。従つて如何なる種類のものを、取締る側と、或いは実際運営に当ります双方の意見も聞く必要があるかと思いますが、そのような参考人の人選等について、適当なお考えがあれば、又次回以降においてお諮りをいたしますが、お考えおきを願いたいと存じます。   ―――――――――――――
  20. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それでは次に、昭和二十九年度法務省関係の予算につきまして、竹内経理部長から説明を求めます。
  21. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 法務省所管、昭和二十九年度歳出予算予定経費要求書の内容につきまして、その概略を御説明申上げます。  お手許に差上げましたガリ版刷の資料でありますが、即ち法務省所管昭和二十九年度一般会計歳出予算や定経費要求額の概要と題する資料でございます。これを御覧頂きたいと存じます。  その最初にも書いてございますように、当省所管明年度歳出予算の予定経費要求総額は、百九十九億一千四百五十六万七千円でございまして、これを昭和二十八年度の予算総額百八十四億四千三百八十一万工千円に比較いたしますると、十四億七千七十五万二千円の増加となつておるのでございます。併しながら同じ資料の四枚目をおめくり下さいまして、(3)の月別比較表と題する部分でございます。その第一行目に記載してあります通り、人件費関係の経費が、前年度予算に比較して十五億六千八百三十七万六千円増加しているのでございます。この点を考慮に入れますると、物件費又は事務費と申します費目でございますが、前年度に比較いたしまして、九千七百六十二万四千円の減少となつていると申上げることができるのであります。  第一に、先ず人件費の点から申上げます。法務省所管の定員は、本年度常勤労務者を除きまして、四万五千三百七十四人であるのでございますが、今般の行政整理によりまして、今後二年間に千九百六人が整理されることになつております。明年度はその初年度といたしまして、七百四十五人が整理されることといたしましてこの予算案が編成されているのでございます。併しながら御承知のように、本年一月から給与ベースの改訂が行われましたために、人件費全体といたしましては右にも申しました通り、約十五億円の増加なつたわけでございます。  第二に、事務費、物件費について申上げます。物件費は先ほども申しました通り、全体としては九千七百六十二万四千円の減少でございますが、予算案中、物件費を構成する各部分が、一様に少しずつ減少したというわけではないのでございまして、大いに減少した部分もありますし、又かなり増額された部分もあるのでございます。それらを差引いたしますと、右に申したように約九千万円の減少となるわけでございます。お手許の資料の四枚目、及び五枚目、即ち(3)の日別比較表の(2)以下によつて増減の主なるものを御説明申上げることにいたしたいと思います。  先ず(2)の旅費関係でございます。これは御覧の通り各日において増減がありまして、総額においては七百四十八万八千円の減少となつているのでございます。増減の内訳を申上げますと、減少の主なものは、その欄の第一行目の職員旅費の目における二千三百三十四万三千円の減と、その欄の一番下のその他の特別旅費の目における二千七百七十一万二千円の減、即ち合計いたしまして、五千百五万工千円の減でございますが、これは明年度の予算編成方針が職員旅費は、原則として本年度の額の一割を削減するということがございましたためによるものであります。これに対しまして、増額が認められました主なろものは、御覧の通り赴任旅費、訟務旅費、検察旅費及び登記、登録旅費の四つでございます。赴任旅費は本年度予算が全般的に少くなりましたために、人事異動に差支えがあつたという事実に鑑みまして、増額されたものでございます。その他の三つの目の旅費は、いずれも事件増加に基いて増額が認められたものでございます。  次に庁費関係について申上げます。これも御覧の通り各日において増減があります。結局総体においては三億八千六百八十七万八千円の増加となつております。その増減の内訳を申上げますと、先ず(7)の収容諸費が二千百十七万九千円の減少となつておりますが、これは明年度の刑務所の収容者の数が本年度の九万二千人に対しまして七千人減の八万五千人と査定された結果によるものでございます。  次に(11)のその他の庁費という行で千四百三十一万三千円の減少となつておりますが、これは後に申上げますが、営繕費の削減と同じ考え方に基きまして、検察庁の無電器材費、自動車購入費等が削減されたことによるものでございます。庁費の欄のその他の目は、いずれも御覧の通り増額となつております。それを上から順に御説明申上げますと、(1)の庁費の八千五百六十万四千円の増加これは本年度予算が成立するに当りまして国会修正によつて減額された、いわゆる頭割りの庁費が減額前の状態に復帰されたことによるものでございます。  次に(3)の通信専用料の三千百四十四万五千円の増加でございますが、これは値上りによるものであります。次にゆの各所修繕の四千八十九万七千円の増加、これは庁舎の坪数の増加によるものであります。次に(5)の庁舎借料の五百六十三万一千円の増加、これは賃料の値上りによるものでございます。次に、看守などの被服費の一千七百二十三万二千円の増加、これは(1)の庁費について申上げましたと同様に、本年度削減を受けたものが、削減前の状態に戻されたことによるものでございます。次に、(8)の収容者被服費の三千七十二万三千円の増加、これは現在刑務所等の収容者の被服の状況が極めて悪く、作業衣と居房衣、監房の中で着る着物でございますが、作業衣と居房衣との区別もなし得ない有様で、勢い作業能率にも影響しておるので、これらの状態を改善するために、増額が認められたものでございます。次に(9)の収容者食糧費の八千八百七十八万八千円の増額、これは主食の値上りによるものでございます。次に(10)の公安調査庁調査活動費の二千二百五万円の増額でございますが、これは(1)の庁費及び(6)の看守などの被服費について申上げたと同じ理由による増額でございます。  次に(4)の委託費関係について申上げます。いわゆる委託費はできる限り減額するという方針でございましたために、原則として一割乃至二割が削減されたのでございます。その結果といたしまして、御覧の通り(1)から(4)までは全部減額となつております。ただ、(5)の更生保護委託費、これは保護観察の対象者などを保護会等に委託する際の経費でございますが、これは事件数の増加に鑑みまして御覧の通り八百二十六万円の増額となつております。又(7)の地方公共団体委託費は四千二百九十六万一千円の増加でございますが、これは本年十月外国人登録の一齊切替が行われる予定でございまして、そのための経費であります。大部分が今年度限りの経費でございます。  次に、営繕施設費関係について申上げます。これは(5)のところでございます。これも御覧の通り五億五百二十九万九千円という大削減となつております。このほかにお手許の資料の最初の頁の下のほうでございますが、法務省関係の営繕経費は別に建設省所管としても計上されているのでございますが、ここにおいても本年度に比較いたしまして九千二百八十一万八千円の減額となつております。極くわかりやすく申しますると法務省関係の明年度の営繕予算は、建設省計画分を含めまして本年度の十億二千三百八十七万七千円に対しまして、四億三千九百八十六万円でございます。約五億八千万円の削減を受けた次第でございます。これは官庁営繕費を極力切りつめようとする予算編成方針によるものでございます。  次に、その他前に戻りますが、(6)より(13)に亘る各目の増減は、特に御説明を要するほどのものではないかと存じますので、省略いたします。  最後に、(14)の賠償金及び実費弁償金関係について申上げます。この経費の中には人権擁護委員の実費弁償金と保護司に対する実費弁償金が含まれているのでございます。これが御覧の通り七千六百九十二万一千円増額となつておりますが、その最も大きな原因は保護司の実費弁償金現行一人一年平均約千六百円が、その約二倍に近い三千円に引き上げられたことによるものでございます。  以上の増減が結局差引いたしますると、一枚目に書いてありますように約十四億円の増加となるわけでございます。以上を以ちまして一応御説明を終ることにいたします。
  22. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今説明に対しては御質疑のおありのかたから御発言を願います。
  23. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今最麦に言われた弁償金のことでございますが、保護司の実費弁償金は倍になりましたが、これは委託先その他のものに対しても弁償されるのでございますか。これは内容はどうなんでございますか。
  24. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 只今御質問になりました委託のほうの経費は、その上のほうの更生保護委託費という目がございますが、このほうに含んでございます。
  25. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この中に弁償金が入つておりますのでございますか。問題は今までは弁償金は出していなかつたのです。それが非常に問題になつたのでございます。例えば委託先が保護団体でない場合があるのでございましよう。そのときにそこで物を取つたというときに弁償されないので大変困つておつた問題があつたのでございますがね、そういう点についての措置はどうなつたのでございますか。
  26. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) そういう点につきましては、まだ予算的な措置が十分できておらないのでございます。これは甚だ遺憾に存ずるのでございますが、御承知のように従来保護の予算は非常に貧弱でございまして、いつも各方面に御迷惑をおかけしておつたわけでございますが、今般明年度予算を作りますに当りまして、大蔵省当局が格別の査定をしてくれまして、やつとこの程度の弁償金七千六百万円の増額を認められたという程度でございます。
  27. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その保護司だけでも実費弁償をされますことは大変有難いことでございますけれども、私の知り得ております範囲では、その委託先で最も被害を与えましたのは八万円くらい、二、三千から八万円くらいの間で、非常にそのかたにも御迷惑をかけますけれども、殊に少年なんかを預らないという問題が起りますから、これはどうしても一つ弁償して頂くような方向に持つてつて頂きたいと思つております。  それから今一つ、この第三のところでございますね、収容者の被服費でございますが、その収容者の被服費は大人と、それから少年法による少年収容所の被服費の内容がわかつておりましようか
  28. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) わかつておりますが……。
  29. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 どのくらいなんでございますか。少年に対しましての被服費の増額はどのくらいございますか。
  30. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 今回増額になりましたのは、少年院関係は余り増額になつておらないのでございまして、総額におきまして二百万円の増額でございます。これを補足的に申上げますと、刑務所の収容者被服費がこれも大蔵省当局の格別の御心配によりまして認めて頂いたのでございますが、直接の動機となりましたのは、例えば只今御承知のように只見川等に構外作業が行われておりまして、多くの囚人が働いておるのでございますが、部屋に帰つて着ます被服、即ちこれを居房衣と申しておりますが、居房衣と、それから現場に出て働きます被服、即ちこれを作業衣と申しておりますが、その作業衣と居房衣が従来区別がない。つまり一枚しか支給されていないのでございまして、従いまして只見川の雪などにびつしより濡れまして、そのまま房に帰つて寝るというふうなことがあるのでございます。これを毎年その補充に努めて来たのでございますが、なかなかいろいろの関係で思うようにならなかつたのでございます。これが今後二年計画で完全に居房衣と作業衣を別別にするという予算が認められまして、その第一年分が入つたと、こういうことになつております。
  31. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 わかりました。刑務所の収容者に対しては勿論そのことが必要なことは十分存じておりますが、少年院のほうがたつた二百万円ぐらいの手当でございますと、これは又大人の収容者以上に困つておりますように思うのでございますが、極く最近に私が参りました所は、去年の秋でございますけれども、北海少年院に参りましたら、子供たちが二、三十人裸で部屋の片隅のほうにうずくまつているのです。この子供はどうしたのですかと伺いましたら、今日は着物の洗濯をしておりますから皆裸でおりますと申しました。これは殊に子供の矯正保護、教育の面ではやつぱり着る物もない、裸にしておくというようなことはこれは問題だと思いますので、そのときに私大蔵省のほうにもよくお頼みしたのでございますけれども、これはたつた二百万円の増額だということになつたら、ちよつと……、非常に不足しておりますが、何とかできないものでございますか。
  32. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 御指摘の点我我も毎日痛感いたしておるのでございまして、今後できるだけ一つ努力して参りたいと思います。(「大蔵大臣に一ぺん裸になつてもらいたい。」と呼ぶ者あり)
  33. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 このことは私は委員会で数回申して要求しているのでございますけれども、それからもう一つ、被服の問題が出ましたから、女の子なんかに、あんなに、ぼろもぼろでございますけれども、色の同じ、一律なはげちよろけな青い着物を差せないで、もつと同じ費用で作りしますなら、少しきれいなか、かあいらしい着物を着せたらどんなものでございましようかといつても申しているのでございますが……。
  34. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) こちらに矯正局の高橋総務課長がおられますから、高橋総務課長のほうから……。
  35. 高橋孝

    説明員(高橋孝君) 只今御質問の点も、私のほうで、前々から宮城先生からも御指摘を受けて研究しておりましたが、各施設に白生地を送りまして、そして適当な色合いで、女の被服にふさわしいような被服を着せるということで、大体成案もできておりますので、そういうふうに近いうちになつて行くようになつております。
  36. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 白生地でということになりますと、非常に手数がかかりますが、今笠松では洋服の生地を織つておりますでしよ。笠松の刑務所で、女囚……。
  37. 高橋孝

    説明員(高橋孝君) 笠松よりも、刑務所、少年鑑別所、そういう私のほうの関係施設の収容者に着せる分につきまして、加古川の刑務所のほうで大体総合的な計画に基いてやつております。
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それは、そこでは自生地だけ織つておりますか。
  39. 高橋孝

    説明員(高橋孝君) 白生地だけではございませんで、各刑務所分に充当する分につきましては、そのまま使えるような色合いで、大体仕立てもそこでやりまして、そして各施設に送るというふうなやり方をとつておりますけれども、女の収容者につきましては、まだどういう色合いが最もふさわしい色合いなのかまだその点まではつきりした意見というものも考え出されておりませんし、各施設の長のほうでも十分研究しまして、それぞれのものをまあ考えて着せて行つたらどうかというふうなことで暫定的には考えております。
  40. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 色を考えるとおつしやると、やつぱり一律な色という、青とか、赤になつたというお考えなのでございますか。縞のもの、若い者には赤いものを着せ、ちよつと年をとつた者には青いものを着せるといつたような、そういうもう少し世間的な着物をあの中で取り入れて着せようというお考えではないのでございますか。その点が昔流の刑務所の着物といつたものか、或いは子供たちに対しては、特に女の子供に対してはやつぱり世の中的に考えてやろうというお考えなんでございましようか。その点どうですか。
  41. 高橋孝

    説明員(高橋孝君) その点もまだかく私のほうの意見もまだはつきりいたしておりませんが、つい最近行われました各施設の長の、そういう女の施設の長の方々の御意見も聞いた上で一応検討してみましたけれども、どの程度に色合いのみならず縞柄なりの問題、そういうことも一応議論としてはいろいろ出ておりますけれども、縞柄の問題を、踏切つて一律に一定のものを制定し、やつて行つたほうがいいものか、縞柄の問題でもまだはつきりした線が出ておりませんが、取りあえず色合いの問題をということで、これについてもいろいろまだまとまつた意見が出ておらないような状況でございますけれども、各施設の御意見をよく聞いた上で大体進む予定でおります。
  42. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私よりも高橋さんあたり詳しいと思いますけれども、仙台の青葉少年院という女子少年院が最近できまして、私丁度できましたときと、それから一年級の昨年と行つて見ましたのですが、もうそれは一年間に隔世の感があるほど子供たちがよくなつている。そうして院長が教育家出でございますから、少上すべての面に違つておりますけれども、着物をきれいなといいますか、娘らしい着物を着せたことと、それから履物を非常に注意してみた、赤い鼻緒の下駄なんか履かしておりましたのですが、そういうことが子供の落ちつく一つの因になつているというように自分は考えているという説明をなさつたんです。私こういうことはどうぞ参考に一つして頂きたいと思います。何とか大人も必要でございますが、子供の面で特に予算面で措賢して頂きたいと願つておきます。
  43. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 さつきの御説明法務省の所管の予算について、その一般財政的な事情というようなことから考えられている点があると御説明があつたのですが、その点について第一に伺いたいのは、この法務省の所管しておられる予算の関係では、やはり侵すべからざる人の人権に関する点が随分あると思うのですが、そういう点で他の一般的な予算節約と、或いは耐乏というような原則と若干そういう点で特別の考慮を払つておられるのか、全然おられないのか、その点伺つておきたい。
  44. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 人権というような特別な考慮と申しますか、法務省の費目の大部分を占めるものの中に、術語でございますが補充費という経費がございます。これは例えば刑務所の囚人或いは検察費というふうに、事件の囚人が一人入りますと、一人の食事代がいる。二人入ればそれが二倍になる。その数或いは事務の量によつて増減をいたします経費がございます。その面につきましては、これは普通から申しましても当然でございますが、それを一般の経費並みに一律に削減するというようなことは不可能でございますので、そういう点でかなり削減を免れているのみならず、かなり増額が認められている面がございます。
  45. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その点については今の御説明で大体了承するのですが、なお一層その人権尊重を法務省が特に重要な使命とされている点から予算の面でその点を重視されたいと思うのですが、それで伺つておきたいことが二、三あるのですが、二枚目にあります刑務所に関する、刑務所或いはそれに類似する収容所ですが、我々があちこちの刑務所乃至それに類似するような施設を見せて頂いたときに、今日のレベルにおける人権の保障という点からは問題なく非難さるべき施設が多々ございますが、その中でなかんずく、よく御承知のように各地にある明治も明治の、まあ明治の終りくらいならばまだいいんだけれども、明治の中頃くらいに建てた建物で、全く人権に対する観念が基本的に今日と違つている建物が多々ありますが、それがすべて本年度の予算において解決されるということも、それは言つても御無理のことでしようけれども、そういうものがどの程度まで、つまり解決されるでしようか。まあそういう施設が大体何年以後建築のもののみが使用されて、今どんなふうになつていますか。それを伺つておきたい。
  46. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 古い刑務所の施設は、御指摘の通りまだたくさんあるのでございます。これが本所のみならず支所、御承知の刑務支所というところまで入れますと非常な数に上りますので、その正確な点はあとに表にでもしてお手許にお届けしたいと思います。
  47. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは大変有難いのですが、やはり一挙に全部最近の新らしい建築にされるということを要求するところじやないのですが、何年計画で、何年くらい経てば、ああいう全く非難に価するものがなくなるのか、今年度においてはどことどこと、まあ一つでも二つでもいいですがね。そういうものが新らしいものに替えられるというところをお示し願いたい。それが全然ないんじや甚だ困るんじやないかと思います。
  48. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) 来年度の予算におきまして新営費というのは殆んど削減になりましたのでございますが、継続費として入つております刑務所関係の曲用を申上げますと、長野の須坂刑務支所これは二十四年から継続してやつております。それから大分の刑務所、それから徳島の刑務所、こういうのが継続事業としてやることに入つております。それからそのほか刑務所関係では整備費といたしまして四千万円、これは大体十四庁を予定いたしております。これが入つております。それからボイラー整備費、これが一千万円、それから汚物の浄化槽、これが一千万円、こういうのが予定されておりまして、こういうので内容を充実して行くということにいたしております。  それからなお只今の問題に関連いたしまして、先に当委員会で報告を求められ、私どものほうから報告いたした拘押所関係の整備でございますが、これはすでに整備を一応終りましたものが三つばかりございます。松江刑務所と広島刑務所、それから新潟刑務所関係の拘置所でございますが、これが整備を終りまして、更に豊多摩、金沢、山口、長崎、大分、山形、こういうところは近く計画を作りつつありますので、近く着手いたします。なおそのほかにまだ改善すべき刑務所として御報告申上げておる分がございますが、これは現地のほうに今計画をさせておりまして、今まだこちらへ服告が参つておりませんので着手に至つておりません。この方面には特に力を尽しているつもりでございます。
  49. 郡祐一

    委員長郡祐一君) その点でちよつと私も関連して資料についてお願いしておきますが、当委員会にも請願、陳恒等で刑務所或いはその拘置所、それから特に忙しい検察庁の調べ室等について能率の点からも又人権の点からも請願、陳情等を受けておるのでありますが、今のお話のようなふうですと、相当遅延をいたすというようなことが考えられますので、年次計画はでき得る限り詳細に一つ資料として当委員会にお示し願いたいと思います。
  50. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その御努力の点は非常に感謝いたしますが、なお十分おわかりのことと思いますけれども、人権が蹂躙されているところには刑政と言うのですか、その意味が発揮できないということは、目的を果すことができない。つまりそれは刑務所でなくして別のものですから、そういうものはやはり一刻も早く一掃されることは、これは法務省自体のやはり責任だと思う。それで刑政、刑務行政といいますか、その改善をするという目的が果されないことをやつているということは重大な責任ですから、人権が明らかに蹂躙されているというようなものは、やはり一定の何年かの間にすべてこれを改善するという御努力は必ずやつておいて下さるのだろうと思います。それでその精神が又各刑務所なり或いは拘置所なりそれらのそういう人々を入れて置く場所の所長なりにも徹底する、本省でもつてそういうふうに努力しておられる、従つて我々も金のかからない程度でやれることはやる、食い物を地べたに置くというようなことはよすというような点にまでどうか御努力を願いたい。これは国の財政の事情が今日どうあるかということとは無関係で、それだけのことは是非やらなきやならないということなんで、その点強くお願いしておきたい。  その次に伺いたいのは、公安調査庁の予算ですが、この公安調査庁の予算は総額なかなか大きい。これは何%になつておりますか、七億ばかりのものですけれども、これについてもつと詳しい御説明を頂くことができないでしようか、この内訳について。  なおこの点について先日新聞で見ますと衆議院において公安調査庁長官が何かの委員会で報告をしておられるのですが、そのときの報告は、破壊活動防止法の如何なる条項によつてああいう報告をなさつているのか、世間に疑惑を与えている点がありますが、公安調査庁が破壊活動防止法の際に我々はこの委員会においても繰返して政府の意見を質した出合に、いわゆる破壊団体というものに特定のものを考えてはいないということはしばしば当時の最高責任者が答えられておることであります。又それに直接担当されたかたも、答られたのですけれども、先日の公安調査庁長官の衆議院における御説明というものを新聞でこれは拝見したのですが、何か破壊活動をなしつつある団体というものに特定の方向を予想しておられるような印象を世間に与えるのではないか。これは私は法相からも実ははつきり伺つておきたいと思うのですが、これもやはり法務省として公安調査庁が特定の団体を目指して、そこにおいて破壊活動が行われているんじやないかというような予断を以て調査をやられるということがあつてはこれは甚だ困ることである。それと関連してこの公安調査庁の予算を詳しくもう少し知らして頂きたい。と言いますのは、この公安調査丘の予算がかなり大きい。七億という大きなものです。その中でなかんずく世間の疑惑の種となつているのは、いわゆる昔の厭な言葉でいう機密費的なものなんです。これは議会が非常な重夫な責任を負うて、我々はぼんやりしてこんなところに昔の内務省の持つていたような機密費という、政治的に用いられるような金が生じて来ては国民に対して申訳が立たない。そういう意味から御説明をお願いするので、他意はないのであります。それらの二つの点について、第一には、政治的な意味における秘密の、国民の税金を秘密にそういうふうに勝手に使うということはこれは許されないことだろうし、それから第二には、いわゆる術語で言うと何か知りませんが、見込調査みたいなもので調査費を使うということも許されない。明らかにそこに破壊活動というものが完全に尽り、或いは起りそうであるということのかなりはつきりした心配がある。厳密に言えば明らかに破壊活動がそこに認められる場合に限るのだろうと思いますが、どうもそうでないようなことがいろいろな機会に新聞に出たり或いは聞かされたりしますし、甚しきに至つちや人を買収するためにその金を使つているというようなことがあつち大変です。そういう意味でもう少し詳しく御説明を頂きたいと思います。それでこれとあとのほうに出て来る謝礼とか、報償費というものとは直接関係があるのですか、どうでしようか。今の点先ずお願いしておきます。
  51. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 只今の問題についてはいずれ公安庁長官か何なりからよくお聞き願えるんじやないかと思います。
  52. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それでよろしうございますか。
  53. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 次の問題をお願いしておきます。次の問題は四枚目の図書費なんです。これは増減なしということになつておりますが、併し物価の値上りや何かから比べれば減なんですか、その実質上における減額をせられた理由を伺いたい、こういうふうに思います。私はこの間裁判所の場合にも申上げましたのですが、法務省の所管しておられるところの仕事とか或いは裁判所の仕事というものは、言うまでもなく実際の力で暴力といううか、権力というか、そういうものから次第に理性的なものへ移つて来るということよりほかに望みはないのだ、又それよりほかに任務がない。ところが最近はとかく警察力というものに頼つてそれで実際の理性というものの力によるという確信が薄れておるんじやないか。その意味からも図書費についても恐らくこれは一律にお考えになつているんじやないか。減らしていないからと言うが、実質的にはこれは減している。減しているとすれば、法務省は理性によらないで腕力によるのだというお考えだということになると、これは大問題です。法務省は廃止しちやつてもいいくらいです。恐らく法務省というものが存立する限りはいわゆるやはり理性なり、教養なりによつて人が改善されるという或いは犯罪が防止されるという識見が現われていなければならない、それがこの図書費に現われていないようですが、どうですか。
  54. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 御指摘の点はおつしやる通りでございます。法務省所管の各庁の数を申上げますと、検察庁関係が大体六百カ所ございます。それから登記所関係いわゆる法務局登記所というものが二千ございます。それから刑務所、少年院、鑑別所というような矯正施設、これが大体支所まで人れましてやはり五、六百ございます。そういう出先をたくさん抱えておりますので、この二千五百万円の図書費では非常に窮屈なんでございますが、我我の要求といたしましてはかなりの金額を計上いたしたわけでございます。予算の編成方針が、先般申上げました補充費というような、止むを得ざるもの以外は原則として前年度の通りの額を持そて行くというようなことでございましたので、こういう結果になつたわけでございます。
  55. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それはあとから法相からでも御答弁を頂きますが、財政節約ということとそれから刑政といいますか、法務省所管の責任というものとはおのずから同日に論ぜられない点があると思う。で財政は節約するがよい。併し法務省所管の仕事というものができなくなつてしまうということでは重大問題です。今お話のように実際本を配られる場所は三十カ所あると思う。その費用は二千五百万円しかない。そうすると一カ所に大体一万円しかない。一カ所一万円で以てそれがつまりさつき言つた教養なり或いは理性なりによつて犯罪を防止する或いは人が改善されるということの意味を果さないということは明瞭だと思う。だから法務省が、法務省の予算を編成するときに大蔵省を納得させるだけの確信とそれからその責任とを感じておられないのじやないか。それが私は非常に重大な問題だと思う。今非常に遺憾の意を表されたのですが、遺憾ではどうも済まないように思う。  最後に伺つておきたいのは、さつき申上げた8の謝金関係と11の報償費ですね。これについて御説明を願いたい。
  56. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) ここにあります諸謝金と言いますのは、例えば刑務所の中で映画をやりましたり或いは講演を頼みましたりする場合に差上げる謝礼金であります。これは九千万円と申しますと、総額では非常に多いようでありますが、只今申上げましたように箇所が非常に多く、又これが一年中に使われますので、実際講演或いは演芸等に差上げる額は非常に少いのでございます。  その下の報償費でございますが、これは例を申上げますと、入国管理同等で、不法に入国して参りました朝鮮人等を密告して来る者があるのでありますが、そういう人たちの密告がありまして、逮捕いたしまして、現実に退去強制命令書が発付になりまして、朝鮮に強制送還になるといつた場合に、密告者に対して若干の金を褒美の意味で出しておるというような、これは出入国管理令に基く報償でございますが、そういう経費でございます。
  57. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 出入国管理法の審議のときにその点申上げたと思うのですが、法務省は密告ということを認めておられるのですか。又これを奨励するつもりがあるのですか。
  58. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) ちよつと原局の局長をいずれ又……。私どものほうは会計だけの仕事でございますので……。
  59. 楠見義男

    ○楠見義男君 簡単に二点だけ伺いたいのですが、一つは今の経理部長の御説明を伺つてつて、例えば明年度の刑務所の収容者数が本年度に比べて七千人減ずるということは、大蔵省の査定によつてそうなつて来る、こういうことなんですね。そういう今羽仁さんからもお話がありましたが、そういう刑政関係についてむやみやたらに査定をし、又その査定に応ずるというのはどういうことなんでしようか。
  60. 竹内寿平

    政府委員(竹内寿平君) お答えいたします。それは只今仰せの通り大蔵省で査定をされました結果、そういうふうに落ちついたのでございますけれども、大体毎年の統計がございまして、昭和二十四年頃を頂点といたしまして、収容者の数というものは漸減の形をとつております。で、その傾向を見ますると、まあ査定を受けましてもこの程度の予算を一応確保して置けば目的が果せるのじやないかということで、こちらも承知したわけであります。勿論これは先ほど申しました補充費系統のものでございますので、多くなつて来れば又お願いする形の性質のものでございます。
  61. 楠見義男

    ○楠見義男君 もう一つ、これは政務次官にお伺いしたいのですが、或いはこの委員会でもその後議題になつたかもわかりませんが、機構改革の問題です。機構改革の問題でいずれその案提出の際に改めて詳細をお伺いしたいと思うのですが、私がお伺いしたいのはただ一つ、人権擁護局の問題です。私はこの前法務大臣からお伺いしたところによると、法務省としては人権擁護局は是非存置したいということを強くこの委員会で御発言になつたことを記憶し、又その御発言によつて安心しておつたのですが、最近又この機構改革問題で、人権擁護局関係がなくなるというような、これは噂であれば結構なんでありますが、そういうようなことを聞いておりますが、法務省の行政機構改革の案というものはもうできたんですか。或いはまだ未定の状態なのか。その点が先ず第一点。  未定の場合にはやはりこの前の法務大臣の御言明の通りお変りはないのか。それが第二点。  第三点は、若し機構改革がすでに御決定になつておるとすれば、その機構改革の大体を、これは別の機会で、この次でも結構なんですがお伺いしたい。以上一つ御答弁頂きたいと思います。
  62. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) 行政機構の改革の問題は、政府の方針からもいたしましてそういう重要な問題は、私は私の意見がありますけれども、むしろ大臣に相談するか、大臣からでもお答え願つたほうがよいと思います。あとに譲つてもらいたいと思います。
  63. 楠見義男

    ○楠見義男君 ということは、行政機構改革はもうきまつた、法務省としてはおきまりといいますか、政府としてはもうきまつたんですか、きまらないのですか、ちよつと……。
  64. 三浦寅之助

    政府委員三浦寅之助君) はつきりきまらないのではないでしようか。ただそういうような政府の方針にあるというこの程度でなかろうかと思うのです。
  65. 楠見義男

    ○楠見義男君 それじや又別の機会に法務大臣に伺います。
  66. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ちよつとお願いしておきます。ここの二頁のところの少年鑑別所が今年は一千三百万円ですか殖えておりますね。この内容について少しこの次まで詳しく御説明願うように調べて頂きたいと思いますことは、少年法の運営について一番大事なのは鑑別所だと私は思つておりますが、この鑑別所がこの間も家庭裁判所のほうの予算の説明のとき申しましたけれども、少し看板に偽りがあるので非常に残念だと思います。それでその証拠に看板に偽りがございますから、今年裁判所のほうの査定を見ますと、家庭裁判所の整備に必要な経費ということで九百万余りが、これは少年審判所のほうに十カ所ばかり医療室を設ける費用だとおつしやる説明も伺いました。そうすると九百万ぐらいで、又家庭裁判所の中にもちよつと鑑別所に似たようなものを設けるということになりますと、これは大変どこもかも中途半端になりまして、国家経済から言つたら誠に妙なものになると思います。けれども看板に偽りがあつては役に立ちませんから、家庭裁判所としても、そうしなければならないというところに今日行つておると思います。これについては法務大臣や刑事局、それから矯正局長にちよつと伺いたいと思いましたが、皆さんお差支えで出られませんので、改めてこの機構改革の問題と一緒に伺つてみたいと思いますけれども、国家財政から申しましたら、これはもう少し大所高所から研究して頂かなければならん。こんなことをしていると法務省のほうからこれはだんだん裁判所のほうに移管せなければならなくなると思うのです。ですから折角取つて頂きました千三百万円というものの内容を私よく検討してみたいと思いますので、この次に詳しく御説明願います。
  67. 楠見義男

    ○楠見義男君 資料として今度の、今経理部長から御説明なつた行政整理の人を種類別にどういうところが、どういう種類の人がどういうふうに減るのだという、そういう種類別の資料をお出し頂きたいと思うのです。  それからこれは政務次官に特にお願いを申しておきたいのですが、先ほど私申上げた人権擁護局の問題は、まあ幸いまだ御決定になつておらないようですから、政務次官から強く法務大臣にもお伝え願いたいと思います。法務大臣には又改めてこの委員会で申上げたいと思います。私この前申上げたのは、前回の行政整理の際の例を詳しく申上げて、即ち私どもはこの人権擁護の問題は極めて大事な問題であつて、むしろ擁護局を拡充してもらわなければならんし、なかんずく人権擁護委員の拡充のごときはその最たるものである、そういうような観点から、政府の原案で人権擁護局を民事局に吸収しようという原案に対して、参議院の内閣委員会は、勿論当時の参議院の法務委員会の強い御要望もあり、又独自に内閣委員会としてもその人権擁護局の存置というよりもむしろ整備拡充の必要を認めて修正をした、今回の機構改革が伝えられる際においても、現在の参議院の内閣委員会は前回と同様にこれを是非存置すべきであるということを決議をされておつたような状態であります。その経緯を申上げて我々この法務委員としても、勿論前回以上にその必要を認めておる。従つて参議院に前回と同じような案が提案されるとすれば、これはもう当然修正になることであつて政府としても又国会としても当然それらのものを無用な手数はあらかじめ省いたほうがいいじやないかというような経緯も申上げて、法務大臣の意向を質したところ、先ほど申上げたように法務大臣は強い決意を以て存置をすることに政府部内においても最善、最大の努力を払うということを御言明になり、私どもはその言明によつて安心しておつた。ところが、これも先どほ申上げたように巷間伝わるところによると又前回と同じような経緯を辿りそうなので、これは誠に大きな由由しい問題だと考えると同時に又無駄な手数をかけられ、又我々にかけんとしておることはこれは是非やめてもらいたい。こういうことを衷心からそう感じますので、その点は特にあなたから法務大臣にもお伝えおき頂きたいということをお願いしておきます。
  68. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 法務省関係予算につきましては、経理部長から一応の説明を聴取いたしましたが、委員からお尋ねのありました公安調査庁、入国管理局、矯正局等につきましては、次回に引続き主管の局長から説明を聴取いたしたいと思いますから、お話のありました資料は用意して、主管の局長を出席させるよう、政務次官においてお取計らい願います。
  69. 羽山忠弘

    説明員(羽山忠弘君) 先ほど宮城先生の御質問に対しまして、間違いを申上げましたのでちよつとこの機会に訂正をさして頂きます。少年院の被服費二百万円増加と申しましたのは、これは私の数字の読み違えでございまして二千円の増加でございます。大体前年度が四千九百三十六万五千円でありまして、二十九年度四千九百二十六万七千円、これは計数の四捨五入か何かの関係でちよつと動いたのだと思うのですが、要するに前年度と全く同じということでございます。
  70. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それじや次回は交通事件即決裁判手続法の資料等の提出を求めることにいたします。次回は公報を以て御通知申上げます。  本日はこれを以て散会いたします。    午後一時四分散会