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1954-04-06 第19回国会 参議院 法務・外務連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月六日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  委員氏名   法務委員    委員長     郡  祐一君    理事      上原 正吉君    理事      宮城タマヨ君    理事      亀田 得治君            青木 一男君            小野 義夫君            加藤 武徳君            楠見 義男君            中山 福藏君            三橋八次郎君            小林 亦治君            棚橋 小虎君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            木村篤太郎君   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事      團  伊能君    理事      佐多 忠隆君    理事      曾祢  益君            鹿島守之助君            草葉 隆圓君            古池 信三君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            加藤シヅエ君            鶴見 祐輔君   —————————————  出席者は左の通り。   法務委員    委員長     郡  祐一君    理事            上原 正吉君            宮城タマヨ君            亀田 得治君    委員            小野 義夫君            中山 福藏君            三橋八次郎君            一松 定吉君            羽仁 五郎君   外務委員    委員長     佐藤 尚武君    理事            團  伊能君            佐多 忠隆君            曾祢  益君    委員            鹿島守之助君            西郷吉之助君            杉原 荒太君            梶原 茂嘉君            高良 とみ君            中田 吉雄君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    保安庁次長   増原 恵吉君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁保安局長 山田  誠君    法務省刑事局長 井本 台吉君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君    常任委員会専門    員       神田襄太郎君   説明員    法務省刑事局公    安課長     桃沢 全司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日米相互防衛援助協定等に伴う秘密  保護法案内閣送付)   —————————————    〔法務委員長郡祐一委員長席 に着く〕
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今から法務外務連合委員会を開会いたします。  前例によりまして法務委員長の私が委員長の職務をとらせて頂きます。  日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を議題といたします。本案につきましては、すでに本会議におきまして政府より説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入りたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 この法律案はいわゆるMSA協定案というものに基く法律案だというふうに承知をしているのですが、そのMSAについて外務委員会ではすでに審議をしておられるのでしようか、如何でしようか。それとの関係においてこの法律案審議というものを進めるのが順序じやないかと思いますが、その点を伺つておきたいと思います。
  4. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 外務委員会におきましては、MSA関係につきまして公聴会を二日開いただけで、まだ委員会としての審議には入つておりません。いつ入るかということもまだきめかねておるので、本日あたりきめる段取りになるかと思うのでありますが、現在のところまだきまつておりません。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 MSA協定については御承知のようにいろいろな問題があり、殊になかんずくそれが憲法との関係において許すべからざる考え方に基いておるのではないかというような議論が有識者の間にも強力にありますので、そのMSA外務委員会における審議の進行というものの如何によつて、我々がそれに基くいわゆる秘密保護法案というものの審議を進めるべきであつて、まだMSA協定についての外務委員会審議が開始せられていないのに、それに基く本法案審議を開始されるということは、いささか時期が早過ぎるのではないかという感じがするのですが、委員長のお考えは如何でしようか。
  6. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 羽仁委員に申上げます。法務委員会としては法務委員会の内部で一応お話合いをいたしましたように、法務委員会におきまして民事訴訟法審議をいたし、その後に秘密保護法案に入りたいと思つております。ただ、外務委員会のほうから連合審査の御要求があり、外務委員会の御要望としては成るべく早く連合審査をいたしたいという御希望でございましたから、一応本日連合委員会を開きまして、そうして法務委員会としては秘密保護法案審議いたします際に、MSA協定それ自身についての質疑等法務委員会内で外務当局から当然聞かなければならんと思います。外務委員会とのタイミングの問題もあると存じます。さような意味合いで取りあえず本日連合委員会外務委員会の御要求従つて一応開きましたので、一応本日はさよう御了承願いたいと存じます。  直ちに質疑に入りますことに御異議ないと認めますから、本日は連合委員会でございますので、主として外務委員の方からの御発言を願いたいと存じます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 羽生三七

    羽生三七君 主として外務委員会会関係のあると思われる二、三の点についてお伺いをいたします。  政府から提出した参考資料に提示されておる世界各国のこの秘密保持に関する諸法律は、それらの国が前々から独自に持つていた法律が多いかと思われますが、併し中には、相当MSA協定の締結に伴つて制定されたものがあるとも思われるのでありますが、世界各国MSA協定伴つて新たに秘密保持に関する立法をしておるのか、既存のもので間に合せておるのか、その辺を一つお示し願いたいと思います。
  8. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今の御質疑に対しましては、私のほうで大体調べたところによりますると、既存秘密保持に関する法律を以ちまして大体やつておるようであります。
  9. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると既存のもので大体やつておるというと、このMSA協定附属書(B)のところにあります「アメリカ合衆国において定められている秘密保証等級同等のものを確保するものとし、」とありますが、この場合には各国のその秘密保護に関する法律同等のものであるから、新らしい立法を必要としないということでありますかその辺はどうでありますか。
  10. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さよう御解釈願つてよかろうかと考えております。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 それでこの附属書Bにある「アメリカ合衆国において定められている秘密保護等級同等のもの」ということは具体的にはどういうことでありますか。
  12. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) アメリカ秘密としておるものはそれぞれの各国において、秘密の取扱いをしておるものとおよそ同じクラスに属するものというふうに考えております。
  13. 羽生三七

    羽生三七君 最近のアメリカの動きを見ておりますというと、非常に民主主義の危機が感ぜられるような事態が頻々として起つております。マッカーシズムあたりもその一つの例だと思いますが、そういうことから西欧諸国からアメリカ民主主義に対してはかなり厳しい批判があるようでありますが、仮にアメリカで合理的な範囲と思われるものを逸脱するような法の改正があつた場合に、それは直ちに自動的に日本にも相関関係を持つて来るのでありますか。例えば日本でこの法律が仮に制定されたという場合に、アメリカが新らしい法改正をやつた場合に、それが直ちに日本に同様の影響をもたらす、そういうことはないのでありますか。
  14. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この法律によつて規定されておりまするのは、要するにアメリカから日本供与を受ける装備品等についてであります。そこでアメリカから供与をされる装備品にしてアメリカにおいて秘密の漏洩を防ぎたいというものについては、日本においても秘密保持しようという建前をとつてつておるわけであります。すでにアメリカにおいて公開したるものについては、この法案はその適用はないわけであります。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 この政府提案理由説明によりますると、在日米軍秘密を保羅するためのいわゆる刑事特別法、これは多分日米行政協定の第十一条、刑事裁判権を指すものと思いますが、この刑事特別法だけでは秘密を十分に保護しがたいから、今度のような立法を必要とするというようなことが提案理由に書かれておるのでありますが、それでは現に日米行政協定による刑事裁判権範囲内では、秘密保持はできなかつたというような具体的事例があつたなら、それをお知らせ願いたいと思います。
  16. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り刑事特別法は、アメリカ駐留軍が持つている装備秘密であります。本法案において秘密保持しようというのは、アメリカから日本供与を受けまする装備品秘密であります。建前違つて参つております。そこで今御質問の、刑事特別法によつて適用を受けたような事例があるかどうかということでありまするが、さような事例はまだ発生しておりません。十分に秘密保持されております。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 たとえ建前が、この日本保安隊アメリカ駐留軍との関係で違うと言いましても、今長官お話では、現に秘密保持されて、具体的な問題が何も起つていないというのに、どうして提案理由では、秘密保持しがたいから、新らしくこういう法律が必要だということを訓つておるのでありますか。
  18. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。それはアメリカ駐留軍がみずから保持しておる装備品秘密であります刑事特別法は……。今度の法案の目指すところは、アメリカから供与を受けて日本でこれを使い、又は保持する秘密を守つて行こうということであります。そこで対象は非常に違つて参ります。かような点において、この法案日本で使うアメリカ秘密に属する装備品対象としてこれの秘密を守つて行こうというのであります。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 それではそこはわかりましたが、保安隊のほうで、これは恐らくアメリカ駐留軍保安隊装備にそう大差はないと思うのですが、保安隊自身には今まで何かお差支えのようなことがたくさんありましたか。
  20. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) アメリカから今まで貸与を受けておる日本装備品は、秘密に属することはなかつたのであります。従つてさような手当をする必要がなかつた、こういうことであります。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 どうも私どもが見まして、兵器発達がかくも進んだ今日の状況において、今保安隊に与えられておる程度装備、仮にMSA協定伴つて新らしいいろいろな兵器が若干アメリカから援助されましても、そのことの秘密で十年以下の懲役とかどうとかいうような恐ろしい罰則がきめられるほどの秘密保持に価するほどの日本装備とは考えないのでありますが、この辺はどうでありますか。
  22. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今後もらい受けます装備品がどの程度であるかということは、まだはつきり申上げる段階に至つておりません。併し御承知通り兵器発達というものは近来著しいものがありまして、恐らく今後アメリカから供与をされる装備品のうちでも進歩したものがあろうと考えております。従いましてこれを外部に漏れるようなことを防ぐ必要が生じてくるものと考えております。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 先日の本会議でもどなたか御質問がありましたが、例えばこういう法律の制定の結果、国会の論議が例えばこの予算を初め各種の具体的内容について検討するような場合に、何かこの法樺のあることから実質的にその究明が制約されるようなことは起りはしませんか。
  24. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先ずなかろうかと考えております。勿論この機密に属するものでも、我々といたしましては審議の過程において成る程度のことは勿論御了解を得るために申上げることになろうと考えております。併しそれはどこまでも機密機密であるからということを申上げまするから、比[さんの院内活動において決して私は支障を来たすものではないと考えております。
  25. 曾禰益

    曾祢益君 私は極く二、三点だけ伺いたいと思うのですが、先ず第一にこの法律によつて保護すべき秘密範囲に関することですが、この法律のこの題目によると、「日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護」こう書いてあつて第一条の定義の際にこの法律において日米相互防衛援助協定等とは、いわゆるMSAの本協定それから日本アメリカとの船舶貸借協定をいうと非常にはつきりとまあ限定されておるようですが、而して政府説明によれば、このアメリカ合衆国との船舶貸借協定というものは、まあ今後あるかも知れないというような不特定協定ではなくて、すでに国会承認されたあの協定だけを示しておる、こういうふうにかいてあるわけで、非常に限定されておるようなんですが、併しそういたしまする、例えば今後現に政府が考えておられるように、アメリカからMSA協定による武器援助ではなくて駆逐艦等を借りるというような案があるわけです。それがどういう恰好をとるか我々まだ示されておりません。仮にそういつたような協定ができた場合に、この法律はカバーできないわけですれ、この書き方で——。そうするとこの法律を又改正して、今後借りるであろうところの駆逐艦等に関する同種の防衛秘密を守るためには、この法律ではカバーできないから改正する、こういうことであるかどうか、先ずその点を伺いたいと思います。
  26. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今の御質問は誠に剴切な御質問と考えております。そこで申すまでもなくMSA援助協定以外に船舶の借受けは我々は得たいと考えております。そこでもうすでに議会承認を得ておりまする従来の船舶貸借協定に基いた船については、この法律適用を受けることは自然であります。そこで今後今申し上げまするMSA協定以外に船舶の貸借した場合には、改めてこの第一条に福加して御承認を得たいと、こう考えております。
  27. 曾禰益

    曾祢益君 そうすると大体今後の起り得べき状態を考えると、今そういうことを考慮をして法律を作らないで、なぜ特定船舶協定だけに限つた法案議会に提出されたのどうか。これは私は誤解を避けるために申上げておきます、そういうものをどんどん拡げて行くというのがいいという意味でなくて、政府解釈及び大体常識的に考えて、そういつたような苟くも外国から供与されるような武器について、MSA協定のほうだけ、或いは今までできている協定に基く貸与品、或いはもらう武器機密だけを守るということでなくて、必ずそういうことはあろうと思うから伺つたのですが、そういたしますると、なぜそういうことが予想されるにかかわらず特定されたのか、修正可能性を考えつつわざわざこの法律案からそういうことを排除した態度をとつたのか、どうもその理由がよくわからん。
  28. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通りまだMSA援助協定以外においてどれだけの船舶貸与を受けるかということは未確定であります。従いましてそういう協定ができまして、はつきりしたときに、その協定の御承認と同時に、この第一条の改正を願うことが最も妥当と、こう考えておる次第であります。なお附加えて申上げまするが、MSA援助協定以外に船舶の借受けは今考えております、現在……。併しそれはたびたびあるわけじやなかろうかと考えておる次第でありまして、確定したときに、その協定と同時に法案の一条の改正を願えることが我々は妥当であると、こう考えております。
  29. 曾禰益

    曾祢益君 その点に開通して或いは外務大臣から伺つたほうがいいかと思うのですが、そういう場合には、特別のやつぱり駆逐艦等貸与に関する協定が必要であつて、而もその協定は勿論憲法上の条約として国会承認を経るものだと思いますが、それはその協定の中にやはりMSA協定と同様に何らか機密保持に関する条項が出て来る、そうでなければ何も条約に基く義務としての立法措置は要らないわけだと思うのですが、どういう形になるのか。全然特別な新たな協定ができるのか、或いは船舶協定修正というようなことになるのか、それからその内容において、それによつて貸与される武器船舶等秘密保持に関する日本側義務がその協定の中に盛られるというような形になるのか、その点はどうです。
  30. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これもまだ実は的確なことは勿論申上げられないので、私がここで言つても違うようになるかも知れません、交渉してみないとわかりませんから……。併し今の予想では、今までの船舶貸与協定とは別個の新らしい別の協定になろうかと考えておりますし、その中には秘密保護条項も結局含めることになろうかと思つております。
  31. 曾禰益

    曾祢益君 それに関連して原子力兵器のようなものはこれはこの間の本会議における答弁等においても貸与供与等を受けるつもりは毛頭ないということをはつきり言つておられましたし、又アメリカの現在の法律は非常に厳格であつて、いわゆる与国側にもその一部でもそういつたような原子兵器等秘密をわかつていいというふうになつておりません。が併しそういうものを同盟国等にわかつていいほうに進めようという意向で動いておることも新聞等に伝つておるわけです。そこでそういう原子兵器等については若し日本側にこれを供与するというような場合には、只今お話によるとこの法律は全然そういうものを含んでおらないから全然別のものである、この法律によつて仮にそういう貸与というものがあつてもこの法作によつて原子力兵器秘密等を縛るわけに行かない、かように考えてよろしいかどうか。
  32. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 法律案から見ますれば当然そういう結論になると思います。ついでに附加えて言いますれば、今保安庁長官のお答えされたように今後結ぶべき何らかの協定もこれに含まれると書いたほうがいいという考え方もあろうかと思いますけれども、こういう問題は成るべく限定したほうがいいので、無やみに包括的な委任事項みたいなことに入れてしまつて、あとでどんどん協定ができる、それによつてどんどん秘密条項が殖えて行くというような形よりも、成るべく限定する意味で今はこうやつておく。そうして又新らしい協定ができれば、それの承認を得た際にはやはりこれに附加えて国会承認を得て法律案として出すというほうが、こういう問題はとかく誤解もないだろうし、又限定するという意味から言つても適切じやないかというのがこの趣旨であります。
  33. 曾禰益

    曾祢益君 そういう考え方は私もそのほうに賛成ですが、協定等は第一条で限定しておるけれども、第一条の第二項の武器というものは、こういう場合には武器そのものは非常に広い観念ですが、第一条及び法律の精神から言つて、この武器の中には、だから原子兵器なんか含んでおらない、こう解釈していいわけですか。
  34. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはつまりこの言葉だけから言えばそれは何が含むかということははつきりわからんでしようけれども、第一条の第一項のつまりMSA協定船舶貸与協定である、こういうところから見てそういうものは入つていないということははつきりするだろうと思います。
  35. 曾禰益

    曾祢益君 そこでこの法律の問題じやないけれども、刑事特別法の関連から、仮に原子兵甜等駐留軍が持つてつたというような場合には、やはりその原子兵器に関する機密漏泄等については刑事特別法で縛れるんですか、現在は………。
  36. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 駐留軍が持つておる兵器秘密を守つて行こうとするものであるならば、刑事特別法に入ろうと思います。
  37. 曾禰益

    曾祢益君 駐留軍が持つておる兵器ならば入るということは今御説明があつたのですが、例えば例のビキニ問題等原子灰を盗んだとか、或いは船舶の一部を盗んで行つて原子灰をどこかで、アメリカ防衛秘密になるかならないかわからないけれども、まあ向うは防衛秘密だという見方から、そういう秘密をあばくような行動をやつた場合には、これは一体刑事特別法対象になるんですかならないんですか。
  38. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) ビキニの灰それ自体はアメリカ防衛秘密であるかもわかりません。併しこれがアメリカ駐留軍が持つておる武器その他のものから生じたものでありませんから、仮にそれが秘密が漏洩したといたしましても、刑事特別法対象とはならんものと考えております。
  39. 曾禰益

    曾祢益君 もう一つの点を伺いたいのですが、これは同僚羽生委員からも問題を提起されたところですが、いわゆるMSA協定附属書Bに基いて「アメリカ合衆国において定められている秘密保護等級と何等のものを確保する」と、これに基いてこの法律ができたわけなんですが、これと勿論協定の本文からですが、そこでアメリカ秘密保護等級同等のものというのは、つまり秘密そのもの分類クラシフイケーシヨンですね、いわゆる最高秘密だとか、それよりも程度が低いとか、秘密そのもの分類意味するかとも思うし、ただそういうことだけでなくて、更に同等のものを確保するという意味は、罰則にも触れて罰則同等なものにする、こういうような条約上の義務があるのかないのか。ただ秘密そのものクラシフイケーシヨンだけでなくて、罰則もこれに対応するものを要するのが確保するという意味であるのかどうか。これは主として協定の問題だと思いまするから、先ず外務大臣の御所見を伺いたい。
  40. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは合衆国でクラシフアイしておりまする機密というのは、つまり或る機密はまあこれは極くたとえですが、局長以下には知らせないとか、或る機密課長以下には知らせないとか、そういうようないろいろな機密によつて知らせる範囲がきまつております。それと全然同様ということにはこちらの組織が違いますからできますまいが、ほぼ同様の趣旨でこちらでもその程度範囲にしか知らせないという趣旨であつて、刑罰の点までは及んでおりません。
  41. 曾禰益

    曾祢益君 そうするとそれはつまり秘密を何といいますか、お役人さん等が知る範囲分類だけなのか、過去において我々がにがい経験があつたように、これは国家総動員機密だとか、秘密の中にそのほかに極秘だとかそこまで行かない秘密だとかいうような分類従つてそれに応じた罰則を変えて行くというような義務条約上はないのですか。
  42. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) つまり機密であるということは誰にも知らせないという意味じやなくして、機密であるからして一定範囲にしか知らせないということになります。そこでアメリカ側でやつておるような一定範囲と同様の範囲にしか日本側でも知らせないという約束をして、アメリカの守つておる程度機密を国内でも守ろうということであります。その約束をしておるので、それを実行すれば足りるのであつて、それに対してそれを犯した者がどれだけの罪を負うかということは、アメリカ日本じや事情も違いましようから、そこで日本においては日本の独自の考え方罰則は作りますけれども、趣旨は要するにアメリカで行なつておる範囲程度機密保持日本でもやろう、こういうことに尽きます。
  43. 曾禰益

    曾祢益君 それは特に罰則の問題について日本側がどの程度自主性があるかということは非常に重要点だと思うから伺つているんですが、極端な例を言えば、まあこれはこの法律案では先ほどの質疑応答で明らかになつたように、原子兵器秘密というようなものはカバーしておらないということは明らかになりましたが、併しそういつたようなトツプ・シークレツトというようなものに対しては、非常に厳直な死刑をもやらせるというようなアメリカの態度のように思うし、最近の新聞報道道等によつてアメリカのアトーニー・ゼネラルのブラウネルの言つておることにスパイ行為は平時でも死刑を以てやつて行くべきだという意見もある。この点も羽生委員が指摘された一つアメリカの危険な私たちは信号じやないかと思うのでありますが、そういうような要請と傾向がある際に、外務大臣の言われたことは、私は結構だと思うけれども、果してその言明通りに受取つていいかどうか。本当にだんだんに今後兵器そのものが、保安庁長官も言われたように、今までは極くつまらなかつた、フリゲート艦の一部にある秘密兵器くらいのものが、だんだんにこれから、やれ誘導爆弾が来るとかなんとか、いろいろトツプ・シークレットに属するようなものが来るということ、いい悪いは別としてそういう傾向である場合に、果して罰則等についても、附属書Bのようなアメリカ同等ということが、いや罰則のほうは日本自主性で行くのだ、これではつきり頑張り通せるかどうか、この点を両大臣からもう一遍明確に伺いたいと思います。
  44. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 罰則の点につきましては、どこまでも日本自主性を保つべきことは当然であります。又アメリカ罰則の点に触れて、日本に特別に要請するというようなことは断じてないと考えております。
  45. 曾禰益

    曾祢益君 そうすると、くどいようですけれども、附属書Bというものは、非常にこれは行政上、先ほど外務大臣が言われたこれは局長までしか知らせない、これは課長級までしか知らせないという程度のことが対応しておれはいいので、いわゆる確保というやつは全然罰則とは関係がないのだ、その程度意味しかないかように解釈して間違いありませんか。
  46. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) つまり、例えばアメリカ法律だと、ツリーズンというようなものがあつて、叛逆罰といいますか、そういうものにも引つかかつて来るわけであります。日本側ではそういう種類のものは今ありませんから、従つて罪の軽重ということと罰則の軽重ということは、おのずから違うということはこれは止むを得ないことであります。そこで要するに、機密をどれだけにしか出さないということが、アメリカ側でも日本を信用すれば、機密保持ということは、実はそれが主眼であつて罰則が主眼ではないわけであります。日本の役人が無茶苦茶でもつて、勝手に内容を漏らすというような心配があれば別ですけれども、そうでなければ、例えばアメリカでも局長級までしか見せないものをこれを日本課長級まで見せるということは適当でない。とにかく局長級に限るということになれば、それで日本としては協定上十分なるアメリカと協力した秘密保持をやつておるということになる。その結果間違つた場合には罰を受ける。その罰も社会的の非常に指弾を受けるとか、いろいろなことが国によつて違いますからしてこの程度の罰で十分であろうと考えているわけで、今後又重大な秘密が出て来る場合に、日本の国内で違うような罰則が必要な場合が将来生ずるかも知れませんが、今考え得る何年か先までのところを見ますれば、この種の、この程度の罰で十分アメリカ側の予期するような機密保持はできると思つております。従つてこれ以上のことをする必要は差当りないであろうし、勿論アメリカ側からそういうような罰則の点までいろいろな注文が話合いのうちにあつたことは全然ありません。この点は、だから日本側で独自にきめて差支えないし、又当然そうなることと思います。
  47. 羽生三七

    羽生三七君 ちよつとそれに関連して一点だけ、そこで今曾祢さんの御質問政府側のお答えで大体わかつたのですが、MSA協定を締結した諸外国、この諸外国が既存法律では不適当とされて、協定締結の結果改訂を余儀なくされたような事例があるでありましようか。これは大臣でなく……。
  48. 下田武三

    政府委員(下田武三君) そういう事例は外務省の調べました範囲では全然ございません。それぞれの国がすでに秘密保護法を持つておりますので、それの適用によつてMSAの援助を受けるようになりましても十分の保護が行われておるようであります。
  49. 團伊能

    ○團伊能君 この秘密保護法を読みまして、非常に概括的なことでございますが、私が受けました印象は非常に重大な点がある。この承大な点は、むしろ秘密の保護によつて来る処罰よりも、処罰される人を保護するというふうな観念に立つての考えでございます。これはどういうことかというと、今日の状態におきまして、MSAからこの秘密の度がいろいろありましようが、いろいろの武器貸与を受け、当然これを保管又は修理をするという仕事を行います実際の状態としたらどういうことになりますか。実は先ほど曾祢君から原子兵器とか、或いは誘導弾のお話がありましたが、そういう非常な高級な秘密性の強いものは、これはこの保護法の処置がとられると思いますが、これらの武器の中には非常なそういう特殊な武器でないもの、それほど特殊なものでなくとも、アメリカから貸与される場合に、いろいろな秘密としてこれが渡されて参りますものの保管修理等に関して、日本の今日の工業状態を考えますと、従来の軍工廠というような特別に管理されたものはありませんで、これがいわゆる一般の企業者による工場その他の技術によつてこれが修理され、保管され、手入れをされるということになると考えます。例えばフリゲート艦を借入れましたときには、これを借入れる前に、横浜ドックその他の民間造船会社に渡してこの修理をいたしておりますが、こういう状態で、この秘密の中でも大して重要でありませんものかも知れませんが、広く民間の工業家に渡されてこれを修理するという場合に、この兵器に関しては非常に多くの人が触れることになり、又修理には分解図その他の明細図、製図も必要でなければできませんから、そういうものが非常に広く国民の間に拡げられる。そのときにその秘密保穫が徹底しない場合、或いは秘密思わないいろいろな場面に触れ合つてこの秘密が漏れる、或いは知らされる。又漏らす意思でなくてこれについて話合つて行くというようなのが、図らずもこの法律に触れまして非常な重刑を受けるというような場合が相当あるかと思いますので、この修理その他をこの法律によつてMSAによつて受け入れられた武器の修理、保管その他について受入れる態勢につきまして何かの御用意があるかどうか、その点を保安庁長官に御説明頂きたいと思います。
  50. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) アメリカからMSA協定によつて貸与を受けるもののうちで、特にアメリカにおいて秘密にしておるものでございますから、我々といたしましてはこれは高度の秘密性を持つておるものと考えております。もうすでにアメリカにおいて秘密でないものはこの法案適用を受けるわけじやありません。従いまして日本において秘密保持するという装備品を、日本の工場において修理なんかする場合は勿論あるのであります。そういう場合おきましても、もとよりこれは高度の秘密性を有するものであるからということの認識を、十分にそれぞれ修理を委任された工場には通知する、これによりまして如何ようなものであるかということはわかるはずであります。従いまして普通の取扱いといたしましては、さようなものを漏らすというようなことは常識ではあり得ないかと、非常な悪意を持たなければ、すでに高度の秘密を保たなくちやならんということを知らされておつて漏らすものはないはずであります。殊にこの法案においてはつきりしておる点は、第三条によつて特に「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、又は不当な方法で、」こういう限定をしております。従いまして今お話のようにさようなものを故意にあらずして何かの拍子に知つて、そうしてこれを他人に漏らすというような場合は、この法案適用を受けないわけであります。ここにこの法案において厳格にいろいろの点から制約をしておるわけでありまするから、普通の業務に従事しておるものはさような間違いを起すということはあり得ないと考えております。
  51. 團伊能

    ○團伊能君 只今保安庁長官から非常にこのような秘密保護について自信のあるお話を承わりました。まあそれは私もそう思いますけれども、このアメリカの軍機の秘密に関するもの或いは品目、数量等に関することにつきましては、必ずしもそれが特別なる武器というものでないものにも相当な範囲この秘密に関することはあると考えます。又今日刑事特別法に関することでございましようが、現に米軍のオーデイナンス・セクシヨンあたりでいろいろ武器が運ばれたりしている数量その他につきましても、これは大した問題は起つておりませんけれども、相当広い範囲日本人も、この秘密を漏らすことがいいとか悪いとかという判断を与えられないで、これを取扱つているような場合があつて、その点から非常に知らざるが故の危険もなきにあらずと考えます。実は私は伺いたいところは、今日これらの修理をするのは然るべき工場に渡すから、その中に特に悪意がある者がなければ、この秘密は保たれるとお考えでございますが、今日の日本の工業状態から申しますと、大体大工場におきましても五割なり六割或いは三割、四割というものは下請工場に出しているのでありまして、事実完全に工場内でこれらの製作その他のことができている所は非常に僅かでありまして工場の工業力は非常に弱いものでありまして、大部分は下請でできている。非常に簡単なものでありましても、部分品の破損等を補給するのに、例えば鋳物工場のごときは全部下請工場でありますが、そういう所で品物が作られるという場合におきまして、こういう秘密がまあ悪意はないにしても漏れるというような場合もあるかと思います。こういう修理その他に連関する非常に多くの日本人の数というものを考えますと、その間にこれを知らざるが故に、或いは悪意でない場合にもそういうことが起り得ると思いますので、念のため伺つたのでありますが、これらの秘密のものも、修理するという工場に対しては特別な管理その他をお考えでございましようか、それをお伺いしたいと思います。
  52. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりこの高度の秘密装備品等について工場に修理を委託する場合においては、今申しげましたようにそれは特に秘密の物件であるということを十分に了知せしむる方法をとることはもとよりであります。場合によりましては、特に保安庁、防衛庁といたしましては監督或いは管理その他の適当な手段をとりたいとこう考えております。
  53. 團伊能

    ○團伊能君 なお、更に一点伺いたいことは、私は保宏庁長官と、まあこれは私の考えは間違つていると思いますが、ちよつと考えが違つて、実際問題は存じませんから、保安庁長官のおつしやるようにこの秘密が非常に高度の秘密に考えたという場合に、考えでございますが、現にアメリカ秘密としているうちに、先ほどお話しになりましたようないろんなグレイドがありまして、そのグレイドの中、又品物につきましても非常にトツプ・シークレツトからただ軽い意味秘密もあるかと思います。こういう広い卸囲に秘密の部分が拡がつている場合を申上げたのでありますが、その中で例えば日本は戦争をする武器を持つておりませんし、余り製造してもおりません。日本においては決して秘密でないものがある。なぜかと言えば軍事的に使つていないからであります。例えば航空機のエンジンというようなものは、日本では民間飛行ぐらいなものでありまして、どんなものを使つてもこれは軍事に関係ありませんので、秘密ということはいわゆるパテントの問題以外にありませんが、併しこれが、同じものがMSAで請けた品物は秘密の札がかかつているという場合もあるかも知れませんので、そういう点でこの秘密の非常にデリケートな点がありやしないかと思いますので念のため伺つたような次第でありますが、これが行われるにつきまして相当広く、これは単にこれらの工場の経営者のみならず、相当これに連関する労務者関係までこれが徹底してなければならないと思いますが、その辺、これらは勿論一般的なことじやなし、これらの保管、修理に当る特別な工場でございましようが、周知方法をよほどよく徹底さして頂く。又今日の工業状態が下請的なものが多い関係から、その点も私はここでよく申し上げておきたいと思います。
  54. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今御懸念の点は御尤もであろうと考えております。それは我々といたしましては、一般の国民、なかんずくこれらの修理等にあずかる人たちに対して、迷惑をかけるようなことはあつては相成らん、この高度の秘密を保つことについて一般に周知させる手段をもとよりとらなきやならんと考えております。と同時に、今お話しの、アメリカ秘密としておるものであつても、もうすでに日本において秘密でないものがあるかもわかりません。そのような場合においては、もとよりこの法案適用を受けることがないわけであります。日本においてすでに秘密でなくなつておるものは、アメリカ秘密として取扱つて、我々にその保持を仮に要請して参つたといたしましても、この法案適用を受けることはないとこう考えております。
  55. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この法律によつて軍機保護法に類するものができて来たんじやないかという感じを持つんです。というのは我が国は憲法で軍備をすることを禁ぜられている、従つて現在では諸外国にはあるところの軍機保護法なり、国防保宏法というようなものを国内に持つてない。ところが今度の相互防衛援助協定を結んだために軍備を持つことになり、それに関連をして軍機保護法に類するものとしてこの秘密保護法案ができて来たというふうにしか考えられないんですが、その点は長官はどういうふうに考えておられますか。
  56. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いわゆる旧来の軍機保護法とは全然その趣きを異にしておるのであります。これは佐多君も御承知通り、旧軍機保護法におきましては軍事上の秘密、それを一般に網羅しておるわけであります。このたびの法案におきましては、極めて限定的にアメリカ政府から供与を受けまする装備品について構造又は性能製作又は保管、修理に関する技術そういうようなものに限定しておるわけでありますから、その性質並びに内容範囲は、全然趣きを異にしておるものと考えておる次第であります。
  57. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、軍機保護法との根本的な本質的な相違は、軍機一般でなくて、アメリカから供与される武器秘密に限定をしているから、本質的に違うんだというふうなお答えだつたと思うんですが、それならば、一体それに限定をすることは日本憲法がある限り、従つて再軍備をしない限りは、その限定はずつと続くんで、今後日本独自の防衛上の秘密の問題、特に自衛隊の出動秘密の問題等々については絶対にお考えにならないというふうに了承していいのかどうか。
  58. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 将来に亙りましていわゆる日本が外部から武力攻撃を受けた場合においての防衛出動したような場合、その場合にその部隊の行動編成その他は恐らく秘密にしなくちやならんかと考えております。従いまして只今の段階においては法案として考えておりませんが、将来においては日本の防衛を全うする上においてさような点を考えざるを得ないかと私は考えております。
  59. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現在の段階では考えてないのだけれども、将来にはそれを考える。従つてそういうふうに拡大立法して行かなければならないかも知れない。或いはむしろそれが必然だというふうにどうも長官は考えておられるのじやないか。そうなればさつきから言つたように、軍機保護法との本質的な相違はなくなるので、やはり秘密保護法は軍機保護法なりという結論になると思うのですが、その点はどうですか。
  60. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はこう考えておるのであります。将来防衛出動をするような場合口おいて、その出動した部隊の行動或いは編成、目的その他について秘密にすべき事項が生じて来る、私はこう考えております。これを、秘密にせずに万一相手国に漏れたようなことになりますると、日本の防衛体制というものは崩れて来るのであります。従いまして将来においては必要止むを得ざる程度においての或る種のものは考えざるを得ないのじやないかと私はこう考えておるのであります。併しそれはいつさようなことになるかと申すことは、今的確に私の口から発表することはできません。これは恐らくいずれの当局者がなろうと、さようなことに相成るのじやないかと私はこう想像いたしております。
  61. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうなると非常におかしいのですが、先に軍機保護法乃至は国防保安法とは本質的にどう異なるのだ、これとは違うのだとおつしやるから、それじや本質的にどういうことになるのだということをお尋ねすれば、その質問としてはこれは非常に秘密を最小限度に限定をするものである、而もアメリカから供与を受ける武器に関する秘密だけに限定をしておるのだから、軍機保護法なり、国防保安法とは本質的に違うのだというふうにおつしやる。それなら一応それでいいのです。ところがそれならば国内の独自の秘密なり特自衛隊の防衛出動秘密なるものはお考えにならないはずだがどうかと聞くと、いやそれは考えることがあり得るのだ、考えなければならんのだというふうに言われる。それならば最初に言われた軍機保護法なり或いは国防保安法と本質的に違うのだという本質の相違を主張された議論は成り立たなくなるので、秘密保護法はそれ自体が本質的には軍機保護法と国防保安法と何ら異ならないのだという結論にしかならないと思う。
  62. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。只今審議を願つておりますこの法案というのは、旧来の軍機保護法とは全然その内容目的を異にしておるものです。これははつきり申上げるのであります。私の今申上げましたのは、将来においてさようなことを考えざるを得ないかも知れん。これは将来に亙ることでありまして、これは私の私見として申上げるのであります。今そういうものを作つて審議を願おうという段階にはなつていないのであります。
  63. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それならば、将来においてそういうふうに拡大立法をされて、軍機保護法なり或いは国防保安法と本質的に違わないものになれば、それは再軍備に附帯する法律であるから、そういうものは憲法違反になるだろうし、従つてそれをやろうと思うならば、憲法改正をしなければそれはできないのだというようにお考えになるかどうか。
  64. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそう考えておりません。憲法改正した暁においてどうかというよりか、むしろこの自衛隊といたしましても、外部からの面接武力攻撃があつた場合において出動する場合があります。さような場合において、その出動の事情或いは出動部隊の行動その他についてこれを秘密にしなければならんことになつて参るのじやないかと私はこう考えております。併しこれは将来のことであります。今の段階においてはさような法案を作ろうということは考えていないのであります。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点了承しかねるのですが、議論になりますから……。それでは外務大臣その他のお話によると、この協定によつて日本が国内法を作らされたことになつておると思うのです。而もその国内法はさつきから問題になつておるように、従来は日本は再軍備をしてないのだから、本質的にはあり得ないと思つていた種類の法律を作らされている、性質として全く新らしい法律を作らされている結果になつていると思うのですが、そういう法律を作らなければならなくなつたということは、厳密に言つてやつぱり協定上の義務であると考えなければならないのかどうか。
  66. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 法律を作らなければならんという義務協定上は負つておりません。両方の国が合意して、秘密保持の措置を講ずるのが協定趣旨であります。併し日本には適当な法律がないから、その協定趣旨を貫くためにはこういう法律が必要であるという結論になつたわけであります。
  67. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だからその合意する措置をとればいいというふうに、成るほど協定にはなつておりますけれども、その協定を結ぶときにははつきり……。併し合意するための措置をやるためには、日本には幸か不平か軍機保護法に類するものがないのだから、当然に立法上の措置を伴うということもはつきりわかつていたはずだと思います。従つて実質的には国内立法義務協定上負わされているということになると思うのですが、その点はどうですか。
  68. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 協定上は負つておりません。
  69. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 いや、それは言葉の上でただ措置をとるというふうにごまかしておられるだけで、実際上は新法を作らなければそれはできないという結果になつているでしよう、その点はどうなんですか。
  70. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 協定上の義務じやありません。
  71. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それじや相互防衛援助協定の第三条に、両政府の間で合意する秘密保持の措置をとるものとするというようになつておりますが、この協定に基いて秘密保持の措置というのは、新たにできた秘密保護法でその秘密保護法に関する限りは、アメリカ側といろいろ話をされて、両政府の間に完全に合意が成り立つたというふうに考えていいのですか。
  72. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) この内容について別にアメリカ側と話合つたわけじやありません。
  73. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それなら両政府の間で成り立つた合意はどういう範囲における合意なのですか。
  74. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは附属書に出ておりますように、附属書のB、こういうことが先ず第一に合意に到達したことであります。それからこれに基いて我々のほうで適当と思われる法律を作ることが必要だと考えてこの法案を出したわけですが、その法案を出すときにおいては、例えばこの中の一条の第三項と言いますか、これこれのものについて適当な措置が必要であるという内容等についてはアメリカ側と話合つて、何も非常に広汎である必要もないので、これだけのもので十分だという点もやはりアメリカ側と合志に到達した結果であります。
  75. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、やつぱり秘密保証法を作ること、更にはその内容についてアメリカ側と相談をされ、合意が成り立つているというふうに解釈していいのですか。
  76. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 法律を作るかどうかは、これは日本の自由でありまして、協定上の義務でないことはさつき申上げた通りであります。中身にについてはどこまで秘密保持の必要があるかという点については、アメリカ側の意向も十分に確かめてこの程度で十分であるということは、アメリカ側と合意に到達したわけであります。
  77. 羽生三七

    羽生三七君 関連して……、そうするとあれですか、万事合意のようですが、このMSA協定を締結する場合に、この秘密保護法の立法を仮に日本が自主的にやらなくとも、MSA協定そのものには差支えなかつたわけですか。
  78. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 実質的にこういうものがなければ、アメリカ側秘密保持をやつているそれと同等のものを、日本でも確保することはできなかろうと思います。
  79. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それならばさつきから問題にしているよううに、ただ言葉の上で秘密保持の適当な措置をするというだけで、立法自体を制約されている結果になつている。実質上は……。
  80. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そうじやありません。アメリカ側日本に信頼して、アメリカ同等秘密保持日本政府がとるということで満足しておるわけであります。その同等秘密保持をするためには、こういう法律が必要であるというのが日本側の見解であります。
  81. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうもそこのところははつきりのみ込めませんが、では次に移ります。MSA協定の第三条の第二項に公衆に周知せしめるために適当な措置をとるということが規定をされておりますが、これは一体具体的にどういうことをやることなんですか。
  82. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これはいろいろな方法があろうと思います。この趣旨一つMSA協定というようなものが特殊の秘密武器等は別としまして、国民にできるだけ知らせて、国民の同感を得て、防衛力の増強を図ることが当然であるという趣旨が主でありますが、先ほど團君の言われたような点もあるわけであつて、つまり秘密保持要求する場合にはどれが秘密であり、どれが秘密でないということもはつきりしなければならん。そういう意味では広報活動ということは必要であると考えております。
  83. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは具体的に周知計画というのはどういうものを考えておりますか。
  84. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) まだ具体的にどういうものというふうには結論は出てきておりませんが、例えばこれに関する説明のパンフレットを出すとか、或いは一般の人に今でも自衛隊でやつておられるようですが、参観に来ることを歓迎するとか、或いはその他いろいろのMSA協定暴く防衛力の増強については写真をとることもありましようし、映画もとることもありましよう。いろいろな方法はあろうかと思います。
  85. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 第三条では秘密の物件、役報又は情報について云々ということが言われておりますが、今現に日本貸与されているといいますか、その秘密の物件というものはどういうものがあるのですか。更にその役務或いは特報で秘密に亙るものが現在もすでにあるのかどうか、その点はどうなんですか。
  86. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現在アメリカから貸与を受けております保安隊で使つておる装備費の中ではこれに該当するものはありません。ただフリゲートの中の一部ですね、或いはレーダー、通信装備、その他二、三の点について高度の秘密性を有するものがあるのであります。そのほかにはありません。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと関連して……日米相互防衛援助協定等に基くアメリカ合衆国から供与される情報は、装備品に関するイからハまでに限定されているようですが、MSA援助協定に先立つてアメリカの出先当局から保安庁や外務省の局長方を呼んで、ソビエトは極東の概略態勢をこういうふうにしているから、日本はこういうふうにというような、いろいろな極東戦略に関しての教示があつてそういうことに基いてまあこういうものもでき上つたと思うのですが、そういうものはこれには入らんと見ていいわけなんですか。
  88. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お説の通りです。ソビエトに関する情報とかいうようなものは絶対にこの情報の中には入りません。
  89. 中田吉雄

    中田吉雄君 ソビエトがそういうふうな態勢を整えているから、アメリカがこういう武器貸与して、そういう自衛力を漸増して、それに対処するのだという意味でああいう会合が開かれていると思うのです。ところがそれを外務委員会で我々が、我が国の外交政策上そういうものを理解することが必要だから、公表を要求してもしないということは、一体それは何に基いてしないのですか。
  90. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) どういうことを御要求になつたのですか。
  91. 中田吉雄

    中田吉雄君 増原君が出席した際に要求したのですが、どうも長官の了解かないためですか、口を緘して語らないというわけなんです。
  92. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それはアメリカからいろいろな、ソビエトに関する情報をここで話せというお話ですか。
  93. 中田吉雄

    中田吉雄君 いや、そういうことが外務省の、ここにおいでになつている局長もたしか出ておられた、下田さんも出ておつたと思うのですがね。そしてアメリカがソビエトの極東戦略の配置状況を話して、そういうような状態であるから、日本はどういう防衛態勢を整えなければいけないということをいろいろ話しておる。新聞で、憶測ですけれども、推察するのですが、そういことに基いてこういうMSAによる援助協定がなされ、自衛力を漸増して行くわけなんです。だからそういう問題を正しく理解するためには、我々としてはそういうことを知ることが必要で、そういうことを増原君に要求したのですが、言わない。そこでまあここでは武器装備等に関すると書いて限定されたようですが、併し装備品が持つて来られた背景というものは、そういう広範な関連において、やはりそれに対処するための装備品、それにだんだん含まれて来るようなことになつて、今は極めてしぼり上げられておるが、だんだんそういうものにも拡大されるように、この面も先に曾祢さんが言われたように、第一条には相互防衛援助協定船舶貸借協定にしぼつてある。ところがこれも又拡大立法をして行く。それからこの防衛秘密のほうも、だんだんとそういうことも含ませて行くということになると、非常に問題になつて、全体としては軍機保護法のようなものに拡大して行くのじやないかということが心配されるのですが、それはまあ別にしまして、一体それはどういう意味において発表されないのか、アメリカからそういう命令があつて発表しないのか。
  94. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先ず第一の点について、誤解があるといけませんからお答えさして頂きたいと思います。この法案第一条の二号、この情報というのは、いわゆる「装備品等に関する前号イからハ、即ち「構造又は性能、製作、保管又は修理に関する技術」「使用の方法」この三つに関する事項についての情報でありまして、その他の情報は包含されておりません。極めて厳密にしぼつてあるわけであります。
  95. 中田吉雄

    中田吉雄君 併しそういう性能というものは、相手があつて発揮すべき性能であるのですから、やがてそういうことにも行きはしないか、こういうことを心配するわけなんです。
  96. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは御心配は要らんと考えております。ここに明白に限定して規定してあるわけであります。これは拡張解釈をする余地は毛頭もないと私は考えております。
  97. 中田吉雄

    中田吉雄君 それでは増原君が発表しなかつたのですが、今度外務委員会でお呼びしますから一つ発表してもらたい。
  98. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは私は事の性質が違うと思つております。この情報のうちに、今中田委員の申されます情報は入つておりません。併し増原君がどういう、ソビエトに関するいろいろな軍事情勢、或いは軍の配置をアメリカ当局から聞いたか、私は内容はわかりませんが、若しも聞いたとしてそれを公表を躊躇するということは、これは私は信義上当然であると思います。増原君がどういう意図を以てここに公表することを避けたか存じませんが、立場を異にして私が若しもアメリカからかような情報をお前に知らせる、これは秘密だぞと言われた場合において、私はそれは守るのが信義であろうと考えております。併し万一これが日本の国民にとつて重大なるものであつて、一般、殊に国会職員の諸君に知つてもらわなければならんということであれば、これ又アメリカ当局の了解を得た上において発表すべきであろうとこう考えております。
  99. 中田吉雄

    中田吉雄君 我々がMSAを受けて、本格的な自衛力を漸増する際には、やはり仮想敵国とは言いませんが、日本をとり巻く国際環境から考えて対処するわけですから、どうしてもそういうことは必要なんです。一つアメリカ側に了解を得て、我々を納得させるようにお願いしておきます。
  100. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 じや、他方の政府供与する秘密物件、これは長官が言われたことで大体わかりますが、役務又は情報について、現在そういう秘密を守らなければならないようなものが貸与されておるようなものがあるのか、その辺はどうですか。特にこの場合役務というのはどういうことを意味するのか。更に秘密保護法では役務なるものがないように思うのですが、その辺の事情はどういうことですか。
  101. 山田誠

    政府委員(山田誠君) この法案におきましては、役務という言葉は載つておりませんけれども、その役務は大体予想されますのは、訓練のことを主として指すものと考えております。訓練はその内容をいろいろ分析してみますると、要するに装備品等の「使用の方法」を教わつたり、或いは「製作、保管又は修理に関する技術」を教わつたり、或いはその装備品の「構造又は性能」を教えられることになると思いますので、広く教育と、訓練というような、概括的な言葉を掲げますと、必要以上にそれが一般の国民の目にとまり、又それが言論の自由その他いろいろと問題を生ずる虞れがございますので、できるだけこれを内容的にしぼりまして、結局この第一条第三項のイからハまで、大体その内容がカバーできる、賄うことができるという見解からいたしまして、特に役務という言葉はこの条文に載せないことにいたしました。  なお、現在におきまして保安隊なり警備隊なりが持つておる秘密の役務、情報があるか、この御質問に対するお答えでございまするが、装備品と切離された秘密の情報というものは現在ないように考えております。又役務についても同様でございます。
  102. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現在はないことはわかつたのですが、今後はそういうものが出て来る可能性があるのか。出て来るとすればどういうものが予想されるのか、その辺はどうなんですか。
  103. 山田誠

    政府委員(山田誠君) 将来は、策三項の第二号にありまするような直接装備品日本側供与されないでも、それに関係のある情報を日本側供与される、例えば防衛生産などにおきまして青写真を向うからもらつて、それによつて秘密武器を作るというようなことが予想されると思います。
  104. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それは飽くまでも秘密の物件「直接関連するところのサービス或いは情報であつて、それから離れたところの役務なり情報等々についての秘密は少くとも秘密保護法案には考えていないというふうに了解していいですか。
  105. 山田誠

    政府委員(山田誠君) さようでございます。
  106. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、それはさつきの外務大臣お話その他から考え、或いは長官お話から考えて、現在の段階は秘密保護法がこういう限定的なものだからないのだと、将来はこういうことにまで拡大立法も考えられるのだというふうに長官はお考えになつているのかどうか。
  107. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 将来のことは将来でありまするが、さようなことは考えられることは十分あり得ると私は思つております。いつの時代にそれが来るかはわかりません。
  108. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現在の段階、現在の瞬間においてはそれが必要でないと、併し何らか将来にはそれも考えなければならないというような、非常にそこはあいまいなんですが、現在の段階でこれにとどめられており、これで必要にして十分なんだというお考えならば、現在の情勢そのものを一応前提にする限りは、それが半永久的に続いて然るべきだと思うのですが、それにもかかわらずなおこれじや不十分ではないかというようなことを危惧しておられるのは、どういうところに理由があるのですか。
  109. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは将来に亙る周囲の情勢、それから判断して、さようなことを考える時期が来るのではないかと、来なければ誠に仕合せでありまするが、或いは来るのではないかと、私はそう考える次第であります。
  110. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、少くとも今の情勢のままだとすれば、そういうことは今でも必要はないのだと、これで十分なんだというふうにお考えになつておるわけですか。
  111. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現段階においては私はこれで賄い得ると考えております。
  112. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今の段階においてはというのは、客観的な情勢が今のようなことであるならば……
  113. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まさにその通りであります。
  114. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それからもう一つ、先ほどいろいろお話があつて船舶貸借協定がこれに含まれておるということですが、併し近い呼来には艦船貸与協定を結ぶとか結ばんとかいう話が出ておるようですが、この点はもう少しはつきり具体的にどうなつておるのか、話合いはどの段階に来ておるのか、これは外務大臣にお答え頂きたい。
  115. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) まだ具体的に申す程度に行つておりません。
  116. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはあなたは具体的程度に行つていないと言うのだけれども、お言葉じやどうも引下れないですから、それでは別なほうからお尋ねいたします。今度のMSA協定によつてアメリカから援助される船舶、航空機、武器、弾薬その他の装備品、そういうものは大体どういうものをお考えになつておるのか、具体的に一つお示しを願いたい。
  117. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り、今度主としてMSA援助においてもらおうとするものは、制服部隊が増強されるわけであります。物論これは法案が通過しなければさようなことは実施できないのでありますが、そのことを予想いたしまして、それらの部隊の編成等に勘案して、そうして装備品なんかをどの程度にもらい受けるか、又アメリカ秘密に関する兵器をもらうかというようなことについて、折角検討中でありましてまだ最後の決定的なところまでは参つていないのであります。我々といたしましては、目下十分にそれを検討中であるのであります。
  118. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その検討中であるということは、MSA援世の内容についてのこつちの期待量がまだきまつていないで検討中だというお話なのか、そうでなくてこつちの期待量、希望ははつきりきまつておるのだけれども、向うとの話合いがまだつかないのではつきりきまつていないのだと、向うとの交渉においてきまつていないのだというお答えなのか、どつちなんですか。
  119. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まだこちちらの編成も正確に決定しておるわけではありません。まあ法案が通過するものと我々は予想して、今しきりに検討中なのであります。それらの点を勘案いたしまして検討中であります。
  120. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 併し、予算の審議の場合には、所要の経費がちやんと出て、それの前程になる人員は幾ら幾らということもはつきり出ておるのだから、それに関連をする装備その他は、少くとも期待量としては、日本側の考えとしてはさまつておるはずじやないですか。それがきまらなければ予算の審議も何もできないはずじやないですか。予算の審議なり、それに関連をする所要の人員を具体的に明示して、非常にはつきり人数を明示しておられる限りは、それに関連をする装備その他ははつきりしているわけじやないですか。それを詳しく御提示を願いたい。
  121. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々といたしましては、申すまでもなく、今佐多委員のおつしやつたように、予算を組むときには、どれだけのものを殖やし、又どれだけの装備をするという期待は持つておるわけであります。併しその期待について如何に実現するかということはまだ未決定であると申したのであります。
  122. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だから、それは向うとの話合いによつてどれだけ実現するかは次の段階ですから、それは聞きません。併し、こつちで期待しておられる、こつちで予定しておられる装備内容その他はわかつておるはずですから、それを一つお聞かせ願いたい。
  123. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 予算委員会の際に申上げたように記憶をいたしておりまするが、二十九年度に米国から供与を期待するものは、陸におきましては、現在一方面と四管区を編成しておりまするが、法案が通過をいたしまするならば、制服二万名その他の増加に伴いまして一方面と六管区にいたしたい、二管区殖えるということにしたいと思うのであります。一管区の編成は現在一万五千名でありますものを約一万二千七百名程度にいたしてこれを六管区にする。従いまして陸の関係においては管区一管区分、特科の群と書いた特科群二、特車部隊一、施設部隊一、対空特科群一、こういうものの供与を期待をいたしております。内容は非常に細かくなりまして、これについて米国側と話合いをいたしております。  海のほうの関係では、二千四百二十五トンのこれは駆逐艦でありまするが二隻、千六百三十トン型の駆逐艦三隻、護衛駆逐艦千四百トン型のもの二隻、潜水艦千六百トン型のもの二隻、掃海船三百二十トン型のもの四隻、同じく小型掃海船三十トン型のもの一隻、輸送船千六百トン型のもの二隻、補給工作船七千トン刑のもの一隻、船は合計十七隻、二万七千何トンになるかと思います。  航空機関係は、練習機、輸送機、若干のジエツト機等を含めまして百四十三機、そういうふうのものを一応期待し、予算積算の基礎といたしております。
  124. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その陸上部隊の武器は二管区分その他で、大体この性質としては、今まで貸与されているものと同じものになるのか、性質的に違つたものが来るのか、従つて私がお聞きしたいのは、現在は保安隊には秘密武器はないというお話ですが、今度の今期待されているような武器が入つて来ると、陸上部隊の中にも秘密に付さなければならないような武器が入つて来るのかどうか、第一点、それを一つ伺いたい。
  125. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今度どういう秘密性を持つている武器が入るかということはまだ確定いたしておりませんが、そのうち陸上部隊において使用する装備品の中には恐らくあるものと我々は予想しております。
  126. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 あるのですね。
  127. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) あるものと予想しております。併しどういうものかということはまだわかりません。
  128. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると今お述べになつた陸上部隊用の武器はただ一管区分等々と数量的に殖えるだけではなくて、性質的に新らしいものが入つて来る、今まで持つていなかつたものが入つて来るというふうに予定しておられるのですか。
  129. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まだどういうものが入るということはわかつておりませんが、例えば機関銃にいたしましても、相当進歩しておるものがあるのじやないかと考えております。従つてアメリカにおいてさような秘密保持しなければならんというものを日本に渡すという場合においては、これは日本においてその秘密保持することになる、こう考えております。
  130. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると海上部隊についての期待量は大体今お話になつたのですが、そのうちには今お話通りに千五百トン以上に上るものがあるし、これはMSAの援助では来ないだろうと思いますから、これがおのずから艦船貸借協定対象になるのじやないかと思いますが、外務大臣は何ら具体的になつていないというお話でしたが、そういうところから今言つたような種類のものが艦船貸借協定として考えられているというふうに了解しておいていいのですか。
  131. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 今保安庁側で計画されておるので、これが外務省に移りますのは、このMSA関係法案なり、協定なり、或いはその他の法案が通過してから正式に話をするわけですから、外務省側としてはまだ具体的に何ら申上げるところまで来ておりません。
  132. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはここで発表される段階にまで話が固まつていないということなのか、今のお話ではまだ何ら話はしてないのだというようなふうにも聞こえるのですが、それはどつちなんですか。
  133. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 外務省として正式にはまだ取上げておりません。
  134. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 正式にというのは、非公式にはすでに交渉しておられるのですか。
  135. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは保安庁側で非公式に話合いをされておるかも知れませんが、外務省としてはまだやつておりません。
  136. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 保安庁ではどうなんです。
  137. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) ぼつぼつ話は進めております。(笑声)
  138. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはこの艦船貸借協定を新たに結ぶことを予定も何もしないで、話はすでにしておられるのですか。
  139. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これははつきりきまりませんと、協定は進行しないと考えております。まだ協定するところまでは行つておりません。今申しましたように内々でやつております。これが正式になれば、外務省として取上げることになると思います。
  140. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 だから協定を結ぶとか結ばんとかいうような基本的な方式をおきめにならんうちに話だけはかけておるわけだということなのか、方針だけはすでにそういう協定を結ぶのだということを政府としてはおきめになつているのか、ただ内容はつきりしないので、まだはつきり正式な交渉も進めないし、従つて国会にも諮られないというのか、どつちなんですか。
  141. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりこれが下相談をして向うの意向も確めなければ、協定をするとかしないとかという段階に行かないのであります。先ず以て事務当局のほうでいろいろ話を進め、それが最高部に廻つて、いよいよはつきりした段階にまで行つて、外務省でこれを交渉に移すというわけです。さような段階にはまだ行つていない、我々は内々に話をしておるのであります。
  142. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、その協定を結ぶとか結ばんとかいう基本的な方針自体も、まだおきめになつていないのですね。
  143. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとよりこれがきまつて協定を結びたいと考えてております。
  144. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 どうもよくわからない。そこで海上部隊の今お話になつてようなものを期待し、それが仮にMSA協定で援助として来、或いは艦船貸借協定で貸借されるということになると、これに関連して今問題になつている秘密なるものは非常に多くのものになる予定かどうか、その辺はどうでありますか。
  145. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 仮にアリカから我々の希望する艦艇を借受けるといたしましても、船それ自体が何も秘密に属するわけじやないのである。それに搭載されておりまする極く一少部分のものが秘密性を有するから、それを守つて行こうということになつておりまするから、大した数量ではなかろうと考えております。
  146. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると、又その海上部隊で期待されておられるそれらの艦船は、新らしい種類のものはどれなんですか。従つてその新らしい種類のものに関連して秘密兵器なり何なりが相当搭載されているというふうにお考えになつているのかどうか、その辺の事情はどうなんですか。
  147. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今借受けておりまするフリゲートにいたしましても、極く一小部分については非常に秘密を保たなければならん部分があるのであります。各艦船についても、仮に新造しなくても、古い船についても、これに搭載しておるものが或る部分については高度の秘密保持しなければならんものもあるのであります。それはどの部分について秘密であるかということについては、これは実際に借受けてみなければわかりません。
  148. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは今期待されておる艦艇で、現在はなくて性質的に新らしいものは、今おつしやつたうちのどれとどれなのか。従つてその中には秘密兵器があると考えられるのかどうか、今まであつたもので量的にただ殖えるだけならば、その中のフリゲートだけを考えれば、それが秘密が量的に殖えるということだけでいいと思うのです。そうではなくて今期待しておられる艦船は今までになかつたのだけれども、今度新らしく入つて来るのだという艦船等々がいろいろある思うのです。そのふりわけはどういうふうになつているのか。従つてそれに関連して秘密はどういうふうに増加して行くのか、その辺の見当はどう考えておられるか。
  149. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 各艦船に今申上げまするように秘密の部分があると考えております。無論雑船の小さいものについてはさようなものはないかも知れませんが、これとてもまだ厳格にわかつておりません。小さいものでもレーダーその他について非常に秘密性を有するものがないとは限りません。現実にそれをもらい受けて、立会つて見なければ、どういうものであるかということは厳格にはわからんわけであります。
  150. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そこでもつとそれを具体的にはつきり示して頂きたいのです。さつきから聞いているように、現在持つておる艦種と同じものが量的にどう殖えるか、それから現在持つていない艦種はどれどれで、どう殖えて行くかというそのふりわけを一つはつきりしてもらいたい。それからもう一度秘密問題をお伺いいたしたい。
  151. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 海にもらいますものについては現在もらつておりまするものは御承知のようにPF十八隻と上陸支援艇と言いますか、LSSL五十隻とだけであります。今度もらいたいと期待しておりますものは、先ほど項目的に申上げましたように、PF及びLSSLとは別のものでありますから、いわゆる艦種、船種としては別のものであります。そうしてその内容秘密に亙るかどうかは、只今長官から申し述べましたように、艦全体というようなものは恐らくないと思うのでありまして、レーダーその他も部分的なものが秘密性を持つということになろうかと想像しております。
  152. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると艦種から見ると、今までになかつたものが殆んど大部分であるし、それにどれだけ秘密部分があるかははつきりしませんが、今度の新らしい期待に関連して非常に秘密の部分というものは飛躍的にというか、増加するというふうに予想しておいていいのですか。大体どういう感じですか。
  153. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 飛躍的に増加するとは私は今考えておりません。船の隻数も限定されるわけであります。それに搭載される秘密部分というものも限定されますので、そう飛躍的に増加するとは考えておりません。
  154. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは更に具体的になつてから問題にいたします。次に、航空部隊の問題ですが、航空機は今持つておられるわけではないでしようが、今度今挙げられたような機種には相当たくさんあるというふうにお考えになつておるかどうか。
  155. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々今もらい受けることを予想しておりまする機種には高度の秘密性を有するものは少なかろうと考えております。極めて何と申しますか、練習機その他が多いのでありまするから、高度の秘密性を有するものというものはそうなかろうと予想しております。
  156. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その練習機でもジエツト練習機、そういうものにもないだろうというお見込みですか、どうですか。
  157. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそう考えております。
  158. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから対潜警戒機ですか、そういうものはどういうふうに考えておられますか。
  159. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 対潜航空機あたりについていわゆる通信機その他については秘密性を有するものはあろうと想像しております。併し数はきまつておりますから、そうたくさんのものではないと思います。
  160. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 輸送機は。
  161. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 輸送機なんかもレーダーその他によつてつて来るだろうと思いまするが、今のところでは何とも申上げることはできませんが、そう余り高度の秘密性を有するものはなかろうかと考えております。
  162. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それから誘導弾部隊を設置されるということを閣議でおきめになつたという話がありますが、この事情はどういうことですか。
  163. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 閣議ではまだきまつておりません。私の申すのは誘導部隊、そんな大それたところまでは行つていない現状であります。これは今後誘導機については十分に研究しなければならん、我々はその方面に力を注ぐべきだ、こういうことを言つておるわけであります。誘導部隊なんといつたようなことは想像もしておりません。
  164. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると誘導弾に関する研究はおやりになることになつておるのかどうか。
  165. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) やりたいと思つております。
  166. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それはどこでやるのですか。
  167. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 研究は保安庁の技術研究所でやらせたいと考えております。
  168. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは相当の経費を必要とすると思うのですが、その経費その他はどういうふうにお考えになつておりますか。
  169. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 予算の範囲内において賄つて行きたいと考えております。
  170. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 研究所予算ですか。
  171. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうです。
  172. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 具体的にはどのくらいお使いになるのですか。
  173. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その誘導弾兵器についてだけ使う予算は取つておりません。御承知通り技術研究所では二十九年度において五億ほどあるわけであります。それらの一部を割いて誘導のほうの研究に使いたいと、こう考えております。
  174. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると無線誘導兵器そのものもアメリカから援助してもらうというような考えは全然ないのですか。
  175. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今のところでは考えておりません。
  176. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると誘導弾の研究に関する諸事項はこの秘密保護法とは関係はないというふうに考えておいてよいのですか。
  177. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 仮にもらい受けますると、その装備について秘密を守らなければならんことが出て来ると考えております。無論秘密にされるべきものがあるべきはずであります。併しそれをもらい受けるということは、今のところでは考えておりません。くれれば誠に結構でありますが、アメリカがそこまで手を伸ばすかどうか我々予測することはできません。まだ交渉の段階にも入つておりません。
  178. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そうすると今のあなたのお話では、くれないからもらわないので、もらいたいことはもらいたいのだというお気持なんですか。
  179. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) くれればもらいたいと思つております。(笑声)
  180. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは非常に重要な問題だと思いますが、これは別の機会に問題にいたしたいと思いますが、今のところではもらえないのだが、従つて誘導弾の今研究するとおつしやつたそれは秘密保護法には何ら抵触はしない、そこの諸問題はそういうふうに了承していいですか。
  181. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今我々が考えておる点がどこまで進捗するかわかりませんが、アメリカから誘導兵器をもらい受けなくても、先刻申上げました通りその情報の一部として青写真というようなものをもらい受けますれば、それは秘密を保たなければならんと考えておりますが、今そこまで段階は進んでおりません。
  182. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 さつきのお話では、MSAによつて貸与される秘密兵器或いは秘密部分に関連をする青写真等々がこれの対象になるのだというお話であつた。ところが今お話を聞いておると、誘導弾兵器はもらわないのだ、こういうお話なんです。従つてMSA援助の中には入つて来ないのです。入つて来なければそれに直接関連をしないものなんである、仮に青写真そのものをもらつて来ても問題にならないはずじやないか。さつきからだからそこをやかましく言つておる。情報とかサービスというものは何なんであるかということを言つた場合には、それはもらつた兵器、その秘密部分に附帯をするだけのものが問題なんだと言つておられる。それでそれ以外の情報そのものとか、或いはサービスそのものとかというようなものは、何ら秘密保護法の対象にならないのだということをさつきはつきり言われた。
  183. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それですからアメリカから援助を受けますることを考えていなければ、さような青写真も来ることはないのです。我々としましては独自の研究を進めて只今保安庁の技術研究所において私は最近にさような研究の資料にいたしたいと考えております。
  184. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 日本独自の研究であれば秘密保護法に何ら関連がないことははつきりしておると思う。問題は誘導弾兵器、無線誘導兵器そのものはもらわないのだけれども、それの青写真は向うからもらつて来る。併しさつきのお話では向うの貸与を受ける、或いは援助され、武器に直接関連する情報だけなんだとおつしやるから、それならばただ青写真をもらつても、普通の情報と同じことだから秘密保護法の対象にならないのじやないか、そこはどういうふうにはつきりしておられるのか伺いたい。
  185. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) ちよつと御説明を補足いたしたいと思います。先ほど長官から申しましたように、この法律は一条の三項におきまして左に掲げる事項のもので、「公になつていない」というものの中には、構造又は性能、製作、保管又は修理に関する技術、使用の方法というイ、ロ、ハがありまして、次の二項に「日米相互防衛援助協定等に基き、アメリカ合衆国政府から供与される情報で、装備品等に関する前号イからハまでに掲げる事項に関するもの」というのがございます。この一号というほうは大体現物を、大砲なら大砲、誘導弾なら誘導弾を現物を持つて来た場合に、そのような構造又は性能、製作、保管又は修理に関する技術というようなものが内容になるわけであります。二号のほうは現物をもらいませんで、例えば誘導弾兵器についての完全なる青写真、それを製造するに必要な説明書というようなものをこの二号に挙げまする、これにあるような日米相互防衛援助協定についてきめることはあり得るわけであります。でありまするから、それが全体のものでなくても部分的な例えば誘導弾について、部分的なものについて日米相互防衛援助協定に基いて情報をくれる、青写真をくれるということはあり得るわけでありまして、そういうものについては、この法律適用される、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  186. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 関連して、只今外務委員の各位の質問に関連して伺つておきたいことは、去る三月二十六日参議院の本会議で本法律案について総括質問が行われた際に、私は去るワシントン二十三日発AP電報の伝えるところによると、アメリカの両院合同原子力委員会のコール委員長ビキニで災害を受けた日本漁民などがスパイであつたというふうに考えられるのじやないか、つまり漁業以外の目的で入つたのではないかということを言明されたという事実が報道されておりますが、これに対して日本の外務省は何らかの措置をおとりになつたかということを質問しましたが、当時日本の外務省からはお答えがなかつたのであります。この際そのお答えを頂きたいと思いますが、如何でしようか。
  187. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 外務省としてはスパイ等に何ら関係のない純然たる漁業に従事した船であるということを資料を添えてアメリカ側に申入れてあります。
  188. 杉原荒太

    杉原荒太君 先ほどこの法律協定との関係について質疑応答があつたのですが、協定では秘密保持について措置をとる建前にはなつておるわけです。ただ、その措置の具体的方法としては、その秘密保持するための根拠法規がすでにあるならば、それに基いて行政措置でやればいい。事実上の措置をやつているわけだけれども、その根拠のない場合は、一応立法措置をとらなければならん、こういう筋合になつて来るわけだと思うのです。従つて先ほど外務大臣が、何か協定条約との直接の繋りというようなものを非常に言うのだが、あいまいに言われるのだが、私はそういう必要はないと思う。条約で、そういう国内的の措置、その措置の中では立法措置までも含めてそういうことをするというのは一つもおかしいことでも何でもない。今度の場合は、この法律を作ることによつてこの秘密保持に関する協定上のリクワイアメントに応えるのか。これは早晩審議の際にも必要なことだからお尋ねしたいのだけれども、私はそういうふうに解釈している。その点念のため外務大臣からもう一遍お答え願います。
  189. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) いや、つまり私の言うのは、相互防衛援助協定法律を作るという義務を負つているのじやないということだけなのであります。つまり、例えば或る国においては、仮に日本の場合にしても、終戦前であつたならば、勅令でできるような場合も或いはあるかも知れない。必ずしも法律でなければできないという理窟のものではないのでありまして、ただ日本の現在の場合は法律が必要であろうということであります。従つてこれは勿論この法律にも、はつきも日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護性と書いてあるので、何も隠し立てをしているわけではない。ないのでありますけれども、理窟から言えば相互援助協定法律を作るという義務を負つているわけじやない、こういうことであります。
  190. 杉原荒太

    杉原荒太君 木村長官一つお尋ねしたいのですが、この法律による防衛秘密なるものは、この法律に書いてあるように、その協定に基いてアメリカから供与されるものに限つて……。併し私は考えれば、防衛上の秘密には必ずしもアメリカからこの協定によつて供与されるものに限る性質のものじやなかろうかと思う。併しこの法律ではそういうふうに限定してあるが、従つてここに掲げた物件だとか、或いは情報でも、ここに書いてある以外のもの、例えば日本で作つたものだとか、或いは又すでに今までにこの協定によらないでアメリカから借りておるもの、そういうものは除外することになると思う、この法律で……。ところがこの法律による犯罪の構成要件の中には、アメリカから供与されたものでない、以外のものを収集しようという目的でやつたならば、これは犯罪にならない、この法律では……。そういうことになりますか。
  191. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論さように解釈します。
  192. 杉原荒太

    杉原荒太君 それからここは秘密が何であるかという今の要件の一として、「公になつていないもの」とあるのですが、これは公になつておるものと、公になつていないものとの区別の基準というものがどこにあるか。これは私は非常にむずかしく理解しにくいのですが、どういうところにあるのですか。
  193. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは社会通念できめるべきもんだろうと私は考えております。殊にここに公になつていないものという反面に、もうすでに公になつているものなら、これはこの法案対象にならんぞと、それを強調したわけでありまして、新聞、雑誌、ラジオ、その他如何なる方法たるとを問わず、一たび不特定多数の間に知れ亙つたようなものはこの法律範囲外だと、これを強調しておるわけであります。
  194. 杉原荒太

    杉原荒太君 この法律の等三条の第一項第二号と第三号を犯罪の対象を区別して書いておるのですが、この第二号というのは、これはどういう場合を主としていうのでしようか。第三号と区別してどういう場合を特に……。
  195. 増原恵吉

    政府委員(増原恵吉君) 第二号というのは、「防衛秘密で、通常不当な方法によらなければ探知し、又は収集することができないようなもの」という書き方でございます。これは、通常不当な方法によらなければ探知できないという認識が犯す者に要るわけでありまして、通常不当な法によらなければ探知、収集できないというものは、それを探知しました場合には、何というか不当な方法でない場合であつても、例えば業務上これを知つておりまするような者が、その者の不注意なりその者に犯意があつたりして、極めて高度な秘密のものを第三者に知得せしめたというような場合、それを知得せしめた者は法案によつてこれにかかりまするが、それを知つただけではその人は別に問題はないわけであります。不当な方法で探知、収集しなければ一号にかかりませんから、そういう一応の平穏な方法で知らした者に咎があるような場合には、知つただけでは一号にかかりません。併しそれを知つた人が、これが不当な方法によらなければ知り得ないものであるという認識を持つてこれを他に知らした場合には、第二号にかかる、こういう意味であります。そういうふうな場合でなくても拾得物として、電車の棚の上にそういうものが置いてあつたのを拾得して開けて見ると秘密のものが入つている。それによつていわゆる秘密を知つたというふうなものは不当な方法でありませんから一号にはかからない。併しその人がそれを見て、健全な常識を持つている者ならば判断できる、これは不当な方法によらなければできないような秘密であるということを認識して、これを他に漏らした場合には二号にかかる。三号は業務により知得したものといいますと、業務によつて知得しまするのは、大体当然な方法、平穏な方法で皆知得をするわけですが、これを他に漏らした場合にはすべて第三号によつて処断をされる、こういうものであります。
  196. 杉原荒太

    杉原荒太君 これは陰謀の段階でも発するようになつておるわけですが、予備はどうか。
  197. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 只今杉原委員の仰せられましたふうに、未遂、煽動、教唆、そういう陰謀のほかに予備罪を設ける必要があるという説も当然これは成り立ち得ると思うのであります。現に過去におきましては、国防保安法或いは軍機保護法におきまして予備罪を規定しております。併しながらこの予備と申しまするのは、相当広い範囲適用をみる性質のものでありますし、そういう点を考慮いたしまして、先に国会で御審議を受けて通過いたしましたいわゆる刑事特別法の規定におきましても、予備罪を削除いたしておるのであります。大体実務の上から申上げますると、陰謀を伴わない単独の予備というものは、先ほど申上げましたように相当広くなる危険性もあり、これは陰謀という段階に立つて初めて処罰するということで大体足りるのではないか、かように考えまして、刑事特別法の線に則りまして予備罪の規定を置かなかつたのでございます。
  198. 杉原荒太

    杉原荒太君 もう一つちよつと念のためにお伺いしておきたいのですが、最後のほうに、第五条のところに、第三項に、前項の規定は、この刑法の総則の教唆規定の適用を排除するものではない、こういう規定がしてありますれ。これはこの法文の書き方が、条約ではよくこういうふうな書き方をするのですが、国内法には不覚にして余り見ないのですが、これは特に書き方の問題というよりも、実体としてこれを特に設けた趣旨、その結果というものはどういうものか、そうして又設けない場合との相違というものはどうなんです。
  199. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 第五条の第三項の規定いたしますところは、結局教唆されたものがいわゆる本犯が教唆にかかる犯罪を実行した場合におきましては刑法総則の適用を受けまして、そのほうの罰として処分を受ける。即ち本犯と同様の処分を受ける、かようなことに相成るのであります。若しもこの第三項がございませんと、教唆犯が独立罪となつております関係上、刑法犯の規定を適用するのか、或いは独立罪の規定を遺出するのか明確でない点を生ずるかと思うのであります。さような意味合いにおきまして、先ほども申し上げました刑事特別法におきましても同様の川定を設けております。
  200. 曾禰益

    曾祢益君 もう一点だけ……、先ほど主として佐多委員の御質問に対しての保安庁官のお答えに関連するのですが、とにかくこの法律アメリカから供与される武器等の、及びそれに関する情報に関連した秘密保護ということに形の上では 定されておるわけです。従つて保安庁長官はいわゆる広汎な日本の国防の秘密保持というような法律はまあ考えておらないというお話で、ただ自分の私見だけれども、例えば自衛隊が防衛出動に行つたというような場合、これは完全な緊急事態です。そういう場合日の自衛隊の編成、組織或いは行動乃至は私は企図も入るんじやないかと思う。そういつたような本当の直接侵略を受けた場合のそういう自衛隊の行動等については、これは何か要るんじやないかというふうに言つておられましたが、問題はその中間が私は考えられると思うのです、これは……。まあ武器のほうだけから言つても、杉原委員も指摘されたように、実は日本側でも同様な国防上の秘密保持を要するような武器ができないとは限らない。併し武器のほうは離れても、一体国防会議がこれから持たれる。そうすると国防計画というようなものが、これは当然非常時を予想しての計画を立ててなかつたら、離職のそしりを免れない。でそういうものは全然秘密じやなくて、つまり非常事態を予想して、いやなことであるけれども計画を立てるだろうと思う、作業をするだろうと思う。それは秘密じやなくていよいよ発動のときになつてから秘密だということは、論理は合わんと思う。だからあなたのお考えの中には当然にそこを考えておられる。併し今のところはどうも薬が強過ぎるから、アメリカからの供与武器秘密保持だけに、いわゆる条約上の、直接の義務であるか何かについていろいろ御議論があつた。まあ大体義務の内合を構成するようなアメリカ供与武器秘密保持というところで先ず打出しておいて、そのコールのほうは非常事態のときは要るぞということを匂わして、中間事態はこれは何とも言つておられないけれども、これは情勢の進展に応じて、必ずや或る程度の国家の最高国防の秘密に関する事項は何かやはり法律が要るということに考えておられるのではないか。従つてその点は全然そういう必要ない、飽くまで防衛出動の際においてのみは或いはあるかも知れない、それ以外については絶対ないと断言されるかどうか、この点をはつきり伺つておきたいと思います。
  201. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いわゆる今申されました中間的なもの、国防計画その他、端的に申せば暗号とかいうようなものの秘密保持する必要が出て来ると考えておるかという御議論でありまするが、考えないことはありませんが、今さような法案を作らなくても、一種の行政処置を以てして、これは内部関係であります、内部のほうで秘密の漏れないように十分の警戒をし、慎重に取扱つて行けば、或る程度賄い得るものと考えております。今直ちにそれについて秘密保持法案を作るという考えは持つておりません。
  202. 曾禰益

    曾祢益君 そうするとやはりそのゴールの非常事態については、要るかも知れない、その中間事態については行政上の処置でやつて行く、そういう考えですか。
  203. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今のところはそうであります。
  204. 曾禰益

    曾祢益君 只今のところが怪しいのでね。
  205. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 そこをはつきりしておきたいのですがな。これはもう近い将来において又問題になると思います。先ほど私がいろいろ念を押したときには、客観的な情勢の変化がない限り、今の状態として要らないんだというお話つたわけです。従つて例えば防衛出動の問題にしても、防衛出動の必要が起るような客観的な情勢がだんだん近付いて来たというような変化がある場合には、それが必要であるというふうな長官の意向だと我々は了承したんですが、そういうふうに考えておいていいのかどうか。私は客観的な情勢の変化を待たなければいけないのかということをくどくお尋ねしたのはその点なんです。そうでなくつて客観的な情勢は今のような状態であろうとも、防衛出動に関する限りは何かやらなければならないのだけれども、今はさつきお話があつたように一遍に盛るのは薬が強過ぎるから、今は先ずこれを通しておいて、それから自分たちのほうに準備ができたら、次の段階にはその点は考慮しようというふうにお考えになつておるのか。私は前者であるとさつきは了解をして念を押しておいたのですが、もう一遍その点をはつきり。
  206. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 繰返して申します。今曾祢君のおつしやつたことの中間というものは、行政処置で賄つて行けるのじやないかと考えております。それじやいかんのじやないかという御議論が相当出て参りますると、これ又客観情勢が違つて来ることでありますが、そのときは私はどう処置して行くか、その当時の当局者がやることでありましよう。又、今佐多君の仰せになつた問題については、現在の段階においてはさようなことは考えておりません。私の私案として将来客観状勢が変つて来たときには、これはそういうようなことになるだろうと、こう申上げたのであります。
  207. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 現在の段階においてはということは、だからくどいようですが、客観的な情勢の変化がない限りというふうに了承して、自分たちの主体的ないろいろな条件から、今はそれを考えてないのだということでは絶対ないんだというふうに了承しておいていいですか。
  208. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は今考えておるのは、いわゆる客観情勢が変化して来ればそういうこともあり得ると、こう考えております。
  209. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちよつと資料の要求ですが、先ほど増原次長からお話の、こつちのMSA援助或いは艦船貸借協定内容に盛らるべき期待量、これを詳細に表にして、それから現在保有している装備がどうなつていて、それに対応して更に新らしく殖えるべきものがどうなつておるかということを表にして、詳しくはつきりわかるように御提出を願いたい。これはもう前から要求をしているんですけれども、そういう方式で出て参つておりませんので、繰返し要求をしておきます。丁度長官、次長がおられますから……。    〔高良とみ君発言の許可を求む〕
  210. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 高良委員にちよつと申上げますが、木村長官はこれから衆議院の内閣委員会会に参るそうであります。一方若し他に多く御発言がなければ、本連合委員会は大体以上を以て閉じたいと思いますので、又高良委員の御発言の模様で如何様にもいたしますが……。
  211. 高良とみ

    高良とみ君 極く少しであります。
  212. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それじやもう少し……。
  213. 高良とみ

    高良とみ君 梶原委員も今質問を数点持つて急用でちよつと出ました。これは次長の方でもいいだろうと思います。私のは長官に伺つておいたほうがいいと思うのです。お忙しいところ済みません。……それじや次長に伺います。大体この刑の構成ですが、第三条と四条と五条と六条との軽減の度がどういうことになつているのですか。片方は十年以下或いは五年乃至は二年、そうして第六条の軽減又は免除する。自首をした場合にはその秘密が重要な秘密が漏洩した上でも、それは免除するというようなことは、どうも非常に重いのから非常に軽くなるというところがちよつと疑問に思います。その点一つ説明頂きたい。
  214. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 只今の自首減免のところでございますが、秘密が漏泄いたしました場合には、自首減免の規定が適用のないように規定してございます。
  215. 高良とみ

    高良とみ君 それはどこの条項ですか。
  216. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 第六条の「第三条第一項第一号」、これは「わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、又は不当な方法で、防衛秘密を探知し、又は収集した者」とございます。これはまだ漏洩の段階に至らない探知、収集した者をこの第三条の第一項の第一号で規定しているのでございまして、これが若し自首して参りましたときには、この刑を減軽し、又は免除することができるというのが最初の規出でございます。次に、「若しくは第二項」、第三条の第二項、は、「前項の未遂罪は、罰する。」いわゆる未遂罪の規定でございまして、未遂という字からおわかり願えると思うのでありまするが、まだ探知、収集しなかつた者、二号、三号の関係を他人に漏らしてない者、これが第二項になるわけでございます。次に、第五条のうちでは第一項即ち「第三条第一項の罪の陰謀をした者」これだけが自首いたしましたときに減軽又は免除せられるのでありまして、そのほかの者は減軽、免除の規定の適用がないのでございます。
  217. 高良とみ

    高良とみ君 今読まれた第六条の「第三条第一項第一号若しくは第二項」というその第二項は、これを他人に漏らした者にかかるのではないのですか。
  218. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) お説の通り「漏らした者」でございますが、それが漏らされてしまうと既遂しなるのでございます。漏らさない前の着手だけの段階の者が未遂罪、まだ漏らさない者だけが自首によつて或いは減免される、こういう関係になるのでございます。
  219. 高良とみ

    高良とみ君 そうするとその未遂罪であるということの規定は第何項を組み合せるのですか。「第二項又は前条第一項の罪を犯した者」と書いてありますから、漏らした者がここにひつかからないのですか。
  220. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 漏らして既遂になつた者は自首減免の規定が適用にならないわけでございます。
  221. 高良とみ

    高良とみ君 一応了解いたしました。そういたしますと、第四条の「業務により知得し、又は領有した防衛秘密を他人に漏らした者」とこう書いてありますね。そうしますと業務によつて漏らした者のほうは刑が軽いと了承して間違いありませんか。
  222. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 第四条は過失罪を規定いたしておりますので、その点で第三条よりは非常に刑が軽くなつておるのでございます。業務によつて知得領有したものを過失でなくて故意に他人に漏らした者は第三条第一項第三号によつて同様十年以下の懲役に処せられる、かような関係になつております。
  223. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますとこの第三条の第三号は総括的なものであつて、多少それが、たとえ陰謀であつても教唆であつても煽動であつても或いは過失であつてもを含んでおるけれども、そのうちの特に「過失により」というだけを第四条でもつてつておると、こういうふうに考えてよろしいですか。
  224. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) 第三条の規定しておりまするのは、すべて故意犯でございます。過失罪は特に規定を設けませんと処罰されないわけでございます。一般人の過失罪も規定すればやはり処罰されるのでありまするが、この法案におきましては業務によつて知得し又は領有した、防衛秘密を、過失によつて漏消した者だけを処罰の対象にいたした次第でございます。
  225. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと第三条は、それは故意によりというふうなことは別にないわけですけれども、そういうふうに全部この第三条の一、二、三を了解する、そういうふうに考えればよろしいわけですか。何かそこに規定がありますか。
  226. 桃沢全司

    説明員桃沢全司君) さようでございます。
  227. 高良とみ

    高良とみ君 わかりました。
  228. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  229. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それでは速記を始めて。他に御発言はございませんか。……御質疑がなければ、本連合委、員会は以上を以て終了いたすことといたして御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  これにて散会いたします。    午後一時十六分散会