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1954-08-19 第19回国会 参議院 文部委員会学校給食法案に関する小委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月十九日(木曜日)    午前九時二十八分開会   ――――――――――――― 昭和二十九年七月十五日文部委員長に おいて本委員を左の通り指名した。            吉田 萬次君            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            高田なほ子君            相馬 助治君            有馬 英二君            須藤 五郎君            三好 英之君   ―――――――――――――   委員の異動 八月三日委員有馬英二君辞任した。 八月九日文部委員長において有馬英二 君を委員に指名した。 八月十八日委員加賀山之雄君辞任につ き、その補欠として竹下豐次君文部 委員長において指名した。   委員長の選任 八月十八日委員長互選の結果左の通り 決定した。    委員長     剱木 亨弘君   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    委員            吉田 萬次君            竹下 豐次君            高田なほ子君            相馬 助治君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君       説明員    文部省管理局長 近藤 直人君    文部省管理局学    校給食課長   岩倉 武嗣君    食糧庁総務部長 新沢  寧君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○学校給食法案永井純一郎君外六十  七名発議)   ―――――――――――――
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは学校給食法案に関する小委員会只今から開会いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。   [速記中止
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは速記を始めて……。  先ず学校給食法案につきましてこの法案に対する一般的な意見文部当局から聴取したいと思います。異議ございませんか……。御異議なければ近藤君。
  4. 近藤直人

    説明員近藤直人君) それでは只今継続審議になつておりまする学校給食法案に対しまして文部省考えておりまする意見につきまして概略説明申上げます。  先ず第一にこの法律案では小学校中学校並びに夜間課程を置く高等学校その他盲学校ろう学校及び養護学校におきまして学校給食実施することを義務づけているわけであります。このうちこの小学校盲学校ろう学校及び養護学校小学部に関してのみ現在のところ学校給食予算措置が講じられておりまするので、この点につきましては私ども考えておりまする学校給食対象といたしましてはこれは適当と考えるのでございますが、ただその中学校夜間高等学校に対しまする学校給食につきましは、只今のところは国の給食費補助予算づけがございませんので、従いましてこの法律案にありまするように、直ちに中学校及び夜間高等学校に対して学校給食実施するということは適当な措置ではないではないかというのが一つ意見であります。  それからもう一つは根本的に私ども考えておりますのは、学校給食というものはこれは児童生徒心身の健全なる発達に資するものであるという意味から、殊に小学校中学校児童生徒対象とすることが望ましいという見解を持つております。不幸にして今回政府のほうで政府案といたしましてきめられました学校給食法小学校児童のみを対象としておりまするが、理想といたしましては小、中学校児童生徒対象とすることが最も望ましいので口あります。私どもさように考えておりますが、予算その他の関係によりまして只今小学校児童のみを対象にしておりますが、この小中学校児童生徒と、高等学校生徒ですか、とは、これは多少違うのではないかという考えを持つております。と申しますのは小、中学校のこれは義務制でありますが、小、中学校児童生徒に対しまする学校給食というものは、これはちようど心身発育盛りにあるものでありますので、このときに教育的な学校給食を行なつて、先ずしつけをするということと同時に、まあ栄養を補給するという意味があるのではないか、これに反しまして夜間高等学校生徒に対しましては教育的という意味よりも、むしろ栄養を補給する、まあ栄養のある食事を、夕食に与えるというような意味が濃く現われるのでありまして、この学校給食という我々が今観念しておりまする意味合いから多少すれるのではないかという見解を持つております。従つて夜間高等学校生徒学校給食をするということは決して私どもは否定するわけではありませんが、事柄といたしまして変つたものではないかという見解を持つておりますので、これは私ども意見でありますが、そういうふうに考えております。  それから第二にこの法律案によりますると学校給食実施に必要な小麦粉及びミルクを国が都道府県に譲与する、原則といたしまして無償給食をさせるということでありますが、只今この法律の趣旨に則りましてどのくらいの経費がかかりまするか試算をしてみましたところ、学校給食用物資といたしまして小麦粉につきましては二百九億八千五百九十一万三千円、これは小学校中学校定時制高等学校全部対象といたしました。それからミルクにつきましては四十六億千二百十八万の経費がかかるわけであります。まあ相当な金額がかかりますので、この点一つ問題がございまするが、更にこの法律案によりますると、いわゆる給食費の払えない児童生徒に対する給食費補助という規定がございまして、いわゆる準養護児童生徒に対する給食費補助規定がございますが、仮に八〇%国が補助するといたしますると、その方面に要する経費は二〇%は都道府県負担と仮に考えまして、八〇%でどのくらいになるかと申しますと十二億千六百四十五万四千円という数字になります。それから更にこの法律によりますると学校給食調理従事員人件費補助するという規定がございます。この学校給食調理従事員人件費の二分の一を国が補助するといたしまするとこの金額が五十八億九千七百三十九万六千円。それから更にこれは学校給食施設設備補助でありますが、これは只今承知通り昭和二十九年度におきましては五千万円の予算が認められまして只今施設設備補助をいたしておりまするが、この法律案によりましてもその補助規定がございますが、仮にそれを大きく考えますが、つまり只今政府で認められておりまする五千万円というようなことでなしに、相当ゆとりを見て考えまして二分の一を補助するといたしますると四十八億五千五百八十九万四千円という金額が出て参ります。以上合計いたしますると三百七十五億六千七百八十四万七千円。仮に給食施設設備補助金を、これは現在認められておりますのでこれを除外いたしまして計算いたしますと三百二十七億一千百九十五万三千円という数字になります。つまりこの三百二十七億一千百九十五万三千円と申しますのは学校給食用物資小麦粉ミルク全額負担に要する経資、それから準要保護児童生徒に対する給食費補助金学校給食調理従事員人件費補助金、これを合せましたものでございます。  以上申上げましたように相当莫大な経費がかかりますので、只今一兆の財政の枠におきましてはなかなか学校給食のためにこれだけの経費を割くことは困難ではないかというふうに考えられるのでございます。まあ財政的の見地からこれはなかなか実現至難ではないかというふうに考えるのでございます。  それから第三番目に、先ほど申上げました学校給食調理に従事する栄養士及びその職員調理職員を置くということでございますが、只今即刻栄養士を全部の学校に必ず設けるということは、これは数の上から、需要供給の上から申しましても困難であり、又この栄養士資格につきまして、これはいろいろ学校教育法の上から申しまして面倒な問題がございます。殊に栄養士の免状の問題がございますので、これらの点につきましてはその他の養護教育とかその他の関係ともいろいろ関連がありますので、その点につきましても相当慎重に考慮する必要があるのではないかという見解でございます。併しながら理想といたしまして栄養士を各学校に置くことはこれは誠に好ましいことであります。私どももそれを願つておるものでありますが、ただそういう問題がありますことを申し上げるのでございます。  それから最後に学校給食費の納付困難な者に対する補助金、先ほども申上げました準要保護児童保護者に対する補助の問題でございますが、これは数年来の懸案でありまして、私どもも絶えずこの問題につきましては頭を悩ましておるのでございますが、只今学校給食経費の払えぬ者に対しましてはその保護者に対しまして厚生省所轄でございますが生活保護法がございまして、これによりましてその中の教育扶助というものがございまして、その中から学校給食費負担しております。従つて真に生活困難な家庭児童に対しましてはこれは生活保護法の適用ある場合におきましてはそれによつて救済されるというのが現状であります。  次に生活保護法の適用まで至らない、つまり生活保護対象にならない家庭、世帯でありまして、併しながらその貧しいために給食費が払えぬ。給食費先生から持つていらつしやいと言われた日になつてその児童を休ませるというような家庭があるわけでありますが、どこの学校におきましてもこれは若干あるわけであります。そういつた困難な保護者に対して国が給食費補助をするということは、これは好ましいことではございますが、実際問題といたしまして然らばどこにその線を引くかという技術的な問題が一つ横たわつております。  生活保護対象を受ける資格判定はこれは方面委員、その他福祉事務所の係員のいろいろな努力によりまして、各家庭を訪問して一定の基準で線を引いてやつつておる実情でございまして、或る程度これは線が引けるわけでありますが、そうでない給食費が払えない家庭判定でありますが、これは先生考えできめることも一つ方法ではありましようが、なかなかその線の引き方が私は困難ではないかという技術的な面から一つ障害にぶつかつておるのでございます。  それからもう一つ、こういつた給食費だけ困難なものを救済するという準要保護児童補助金というものは果して公平なものであるかどうか、その他いろいろな面で今日生活困難な父兄があるわけであります。又それらの児童生徒はそれぞれ困難をしておるわけであります。ただ給食費ばかりではなしに、いろいろな教育用品につきましても困難をしておるというような場合に、給食費だけ国が面倒をみるということはどうであろうかという意見もありますので、これも一つ障害であります。更に又これらが仮によいとして、その費用負担でありますが、これは相当の金額でありますので、それもなかなか財政上今日困難ではなかろうかというような見解からこの準要保護児童に対する国の補助というものに対して一つの問題を持つておるわけであります。  以上申上げました四点が大体この学校給食法案に対する私ども見解でありまして、そういう御意見はすでに私は申上げたかと思つておりますが、全体の方向といたしまして決して反対するものではございませんが、内容につきまして検討いたしますると、以上申上げましたよらな点が問題がございまして今直ちにこれを実施するということは困難ではないかとういような見解を持つております。只今ども学校給食現状概略申上げますと、御承知と思いますが、昭和二十六年の六月でございますか、司令部援助によりまするガリオア資金援助が打切られましたために、一時給食を停止するという問題が起つたのでございますが、幸いにして皆さまお力によりまして昭和二十六年庭中は無償で遂行するという政府の方針が決定いたしまして、たしかあのときに文部省予算といたしまして三十億の予算を計上いたしまして、それで二十六年度は無償でともかく学校給食を遂行したのでございます。そこで昭和二十七年度以降どうするかという問題になつたのでございますが、これも皆さまのいろいろなお力によりまして、特に政府のほうで心配されまして継続はする、継続はするけれども無償というわけにはいかん、国家財政見地からなかなか無償でやるということは困難であるので、給食費原則としてこれは父兄負担するという原則の下に国がこれに援助するということで、小麦につきましては二分の一援助する脱脂ミルクにつきましてはその利子補給金融機関利子相当分だけは国が面倒をみるということで、二十七年からスタートしたのでありますが、その形は今日までもずつと続いておるわけであります。幸いにして父兄の御理解によりまして、今日ともかく学校給食は漸次発展して参つております。只今のところは全国児童の約半数以上、六百五十万程度児童がこの給食の恩恵に浴しておるわけであります。相当私は効果が上つておると思うのでありまするが、ただ私ども絶えず考えておりますのは、この学校給食普及が、普及の振興の度合いというものは、そろそろ私は頭打ちなつて来ているのじやないかという懸念を持つておるものでございます。今日までは非常に順風に帆を上げて発展して参つたのでございますが、どうも昨今は、大体学校給食ピークに来たのじやないか、普及度合いピークに来ているのじやないかという懸念を実は持つております。と申しますのは、大体只今学校給食は、都市中心でございます。これは勿論司令部援助によつて学校給食が行われました昭和二十一年、二十二年当時におきましては、やはり都市中心にしてやりました関係上、どうしても都市が優先的にこれは考えられまして、その都市のかたがたの経済的な能力という面も恐らく原因して来たと思いますが、都市中心普及をみまして、只今では、例えば愛知県におきましては、八〇%以上も普及しておるというような状況でありまするが、結局残されておる点はどうかと申しますと、やはり町村部山間部農山、漁村というような町村部が残つておるような実情でございます。今日食生活の改善がやかましく叫ばれて、学童給食がその一翼を担うものである今日におきまして、是非とも農山方面に、これは学童給食普及させなければならんという私ども考えを持つておりますが、今後私どもの極めて困難なこれは課題でありますが、是非とも農山村に対して学校給食普及するように、今後とも工夫をいたし、努力を続けたいと、かように考えております。そこで然らばどういうことをして農山村に普及させるかということでありまするが、これはなかなか困難であります。  先ず第一に、やはり農村部都市部附近との経済的な父兄負担力の問題があろうと思います。私これは山形県の山奥へ参つたのでございまするが、そのときの学校給食費用として月五十円徴収しておつたのでありますが、それすら父兄負担に堪えないというので、今度やめるのだという話を実は聞かされまして、黯然としたのであります。これに反しまして、例えば東京の永田町小学校におきましては、四百円の給食費を皆さん納めておるというような状況であります。まあこの点は大いに私も考えさせられるのでありますが、然らばどうして農山村に普及させるかという点につきましては、どうしてもこれは国が或る程度援助の力を強く延ばさなければならんというような考えを持つております。具体的に申しますと、例えば都会地につきましては二分の一の補助をしております小麦につきましては、それを農村につきましては三分の二の補助をするとか、或いは四分の三補助するというようなことが一つの私は方法じやなかろうか、こう内心は思いますが、さてこれを具体的にやる場合には、いろいろな面倒な点がありますので、実は悩んでおるような状況でございます。ともかくこの学童給食只今約六百五十万に達したことは、これはまあやさしい面だけに学校給食普及したということではなかろうかと自分では反省しておりますが、これからもつと困難な農山村に対して、もつと積極的にこれは普及宣伝をしなきやいかんというふうに只今考えております。まあ、それにつきましては只今私申上げましたような考えを持つておりますが、なお皆様の御意見を伺いまして、努力を続けたいと考えております。  なお学校給食問題点は、或いは現状につきまして、更に詳細につきまして、ここに岩倉課長が見えておりますので、お話をしてもらいたいと思つております。私は大体以上申上げたようなところでございます。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それじや只今近藤局長説明なり、意見に対しまして、御質疑のあるかたは、順次御発言を願います。
  6. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は文部委員に新らしく入りましたので、こういう問題については予備知識が殆んどありませんので、今の御説明も実は細かく聞き取れなかつたようなことで、誠に遺憾に存ずる次第でございます。現在の予算はごの問題に関して文部省に幾らあるのでございますか。
  7. 近藤直人

    説明員近藤直人君) お答えいたします。只今この予算は、文部省に計上されました予算農林省に計上されました予算と、二つに分れております。文部省に計上されております予算は、この学校給食施設設備補助金ですね。これが五千万円、只今計上されております。それから学校給食給食課事務費でございますね、これが約八十万程度でございます。事務費が、これが文部省に計上された予算の全部でございます。  それからもう一つ申落しましたが、この学校給食ミルクの配給の仕事をしておりまする財団法人学校給食会というのがございまして、これに対する政府委託費といたしまして四百万計上してございます。これが学校給食会に行くわけでありますが、で、文部省に計走れました予算は以上でございます。  それから農林省に計上されております予算は、学校給食用物資でありまする小麦半額補助予算が、これが十七億七千万円くらいだと思います。それからこの脱脂ミルクの、ミルク脱脂粉乳利子補給金が約六千万でございます。
  8. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますというと、この今の議員提案審議されているものがそのままに承認されるとしますならば、通過するとすれば、現在の予算に比べて、文部省農林省と合せた総額というものがどのくらいの割合で増加するという見込になるのですか。細かい数字でなくても、大きい見当で結構でございます。
  9. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 今のお話を申上げますと、只今農林省で計上されておりますこの十七億と申上げましたが、これは二分の一補助金でございますが、それをこちらの法律案によりますると、全額補助でございますね。二分の一ではございません。まあ全額でございますから、それは先ほど申上げました小麦というものは二百九億ですからね。今私どもは二分一の補助で十七億です。で、対象が私どものほうはこれは小学校児童だけを対象にしておりますが、こちらの案では、小学校中学校、それから定時制夜間高等学校、これも全部対象に入るので、従つて先ほど申上げました二百九億と、全額補助でございますから、そういう金額になります。
  10. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと、先ほどの御説明を承わりますというと、この案についての考え方としてはもとより異議はないのだけれども予算関係、その他の面において相当困難な箇所があるというふうに承わつたのでありますが、今度来年度の予算の編成の時期も迫つているわけでありますが、何か具体的にお考えになつておることがあるでしようか。農林省のほうは農林省のほうから承わります。文部省だけのことで結構です。
  11. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 来年の予算関係するわけでありますが、この前も申上げましたように、今月中にきめまして来月早々大蔵省のほうへ提出するわけでありますので、只今予算審議をしております。学校給食に関する予算といたしまして私ども事務的に考えております点は、やはり従来の線を踏襲いたしましてただ六百五十万というものを七百万に見るか、七百五十万に見るか、つまり生徒児童の数を殖やすという観点から予算を計算するという今考え方をとつております。従いまして殊更目新らしい新規なものは何も要求しないつもりでありますが、ただ問題は中学校生徒をどうするか、理想といたしましてはやはり義務制児童生徒に対しまして学校給食実施するということは非常に好ましいと私は考えておりますが、予算の都合でこれは児童だけになつたわけであります、政府法律案については。そこで来年仮に中学校生徒に及ぼすという考え方をとりますれば法律の改正をしなければなりません。同時にその中学校生徒を見込んだ予算の増額を要求しなければならん。その点が一つの問題になります。これはまだ大臣の御意見を伺つておりませんので、まだ文部省はこうだということは申上げられませんが、只今のところは果して中学校を入れて行くべきか或いはそうでなしに先ず小学校児童対象にして児童が約手百万ありまするから、先ず児童のほうに全部学校給食普及させて然る後に中学校に及ぼしたらいいか、一つの問題があるわけであります。その問題につきまして大臣の御意見伺つた上できめたいと只今考えております。
  12. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますると、文部省只今のところでは今後大臣の御意見どもどう出るか知れませんけれども事務当局のお考えとしては現行法通りにしてそれの実行の完全を期するように行きたい、給食を完全にするように進めたい、こういうふうなお考えだと承わつておいてよいわけでございますか。
  13. 近藤直人

    説明員近藤直人君) そうでございます。
  14. 吉田萬次

    吉田萬次君 只今当局概略の御説明を承わりましたが、文部省考えておられるのと又県の考え方、又その末梢におけるところの市町村における考え方と非常にそこに差がありまして、切実な末梢における叫びというものは県へも届いておらんし、恐らく文部省のほうへも通じておらないと思います。従つて愛知県が全国で一審発達した県であり、成るほどパーセンテージから申しましても、すべての点において優秀であるということは私も存じております。殊に私の出生地でありまする関係上、この問題について極めて注意深く検討もいたしました。併し愛知県の現在の状況、又私の住んでおる一宮市の現状というものを見ると、只今仰せなつたような実現ということは私は不可能じやないか、机上の空論に等しいじやないか、それよりも先ず内容を充実して行く必要があると思うのであります。たとえてここにその愛知県の状況を見ますると、学校給食現状というものは、愛知県の学校給食は戦後食糧の不足の事情によりましてアメリカ政府の厚意によつて多大の無償物資援助を受けて小学校児童にこれを実施して来たのであります。その間昭和二十五年七月八大都市完全給食、いわゆるパンですが、の実施を行い、翌年二月市制地域、続いて二十七年一月から県下一円に実施して来たのであります。  然るに昭和二十六年六月にガリオア資金が打切りになりましたのに伴つて、同年中は政府予算により更に同様の負担軽減措置が講ぜられ継続実施して来たのでありまするが、二十七年の四月以降パン用小麦原麦代全額国庫補助から二分の一補助なつたために、パン代父兄負担というものは二円六十五銭から四円八十三銭に増加し、更に同年十月以降給食用脱脂粉乳全額国庫負担から父兄負担に切換えられて、その結果父兄負担は一ポンド四円九十五銭から急騰して七十四円九十五銭に増大したために、一時ミルク需要数量が減じましたが、日毎に需要数量は増加して来ているのでありまして特に昨年の十三号台風後の完全給食移行は四十八校、三万七百四十二人の多くに及んでいるのであります。今なお完全給食実施しておらない二百五十有余校、約十万人の児童完全給食移行奨励のために目下努力しておるような次第であります。  それから学校給食実施状況でありまするが、小学校につきましては県下児童給食を受けているのでありますが、中学校につきましては、公、私立を合せて二十三万九百五十四人の生徒数がありまするが、教育委員会に届出て小学校と同様の給食実施しているのは十一校、九千百人であります。なお台風十三号によつて災害を受けた中学校八十一校、一万五千三百人に対しては目下ユニセフからの寄贈によるミルク給食実施しております。  それから定時制夜間高等学校定時制のこの高等学校については公、私立合せて五十五校、一万四千六百十三人のうち、現在学校が自主的に給食を行なつているのは数校でありまして、定時制生徒並びに関係者は給食を強く要望しているけれども、まだ実施せられておりません。  それから在籍の人員を調査してみますると、小学校児童数は四十八万八千三百九十五人、中学校生徒数二十三万九百五十四人、公立のほうが三百十八佼でありまして二十二万一千五直九十四人、私立のほうが三十五校で九千三百六十人、計三百五十三校、二十三万九百五十四人となつております。  定時制高等学校生徒数は一万四千六百十三人というようであります。  又給食費用につきましては、現在小麦政府半額補助のためにパン一食五円二十五銭かかり、ミルクは一回二円十銭であります。従つて完全給食におけるところの給食費父兄負担というものは次の通りであります。  昭和二十七年の三月以前はパンが二円六十五銭、ミルクが二十二銭、副食物が五円、計七円八十七銭であります。それが昭和二十七年四月以降になりますると、パンが四円八十三銭、ミルクが二十二銭、副食物五円、合計十円五銭、昭和二十七年十月以降になりまするとパンが四円九十五銭、ミルクが三円八十五銭、副食物が六円、計十四円八十銭、昭和二十八年四月以降になりまするとパンが四円九十五銭、ミルクが二円八十五銭、副食物が七円、計十四円八十銭、昭和二十九年五月十六日以降パンが五円二十五銭、ミルクが二円十銭、副食物が七円五十銭、計十四円八十五銭。なお右は名古屋市を標準とした価格であり、他の郡市部におきましては若干それを下廻るものと考えられます。  それから第五に学校給食厨夫の設置状況であります。名古屋市が三百四十二人、百九佼、その他の都市が二百五十九人、百五十五校、郡部が四百三人、四百六十九校、計一千四人、七百三十三校ということになつております。厨夫の設置状況は以上の大部分が市制の地域でありますが、逐次郡部にも設置せられつつあるような状態であります。  第六は、学校給食調理施設の調べであります。名古屋市は専用調理室が九十九校、兼用調理室が十校、その他の都市では専用が八十六校で兼用が六十九校、郡部のほうは専用が百三十校、兼用が三百三十九校、計専用が三百十五校、兼用が四百十八校ということになつております。調理室の専用室は以上のように四二%でありますが、実際の完全な調理施設は若干下廻るものと思われるのであります。  第七は学校給食の効果でありますが、学校教育計画の一環といたしまして、特に家庭及び地域社会におけるところの食生活改善を行い、国家経済の立場から給食奨励をしなければならんと思うのであります。  第二、にその他栄養改善による健康の保持増進と疾病の予防、それから栄養の知識を与える、食事訓練の実施、手の清潔、食器類の清潔、咀嚼の習慣、食事の作法、それから偏食の矯正、調理場の清潔整頓、民主主義思想の普及、郷上食の合理化、円満なる社交生活の指導、欠席者を少くするというようなことは考えられており、又効果があると考えます。  第八に学校給食の隘路でありますが、学校給食普及充実を図る目的の下に今回学校給食法が制定せられましたが、併しながら今後の学校給食普及の上に幾多の問題が残されておりますが、学校給食運営の上に特に大なる支障をもたらすものはいわゆる準援護児童の問題であります。生活保護法の該当者が愛知県では児童数が一万一千七百七十八人、それからその他から全額補助を受けておる者が七百三十九人、そうして補助費がこれは月額八万三千三百四十八円、単価が百十二円、それから一部の補助を受けておる者が一万一千七十一人、補助費が百十九万四千七百五十四円、一人の単価が百七円、全額を必要とする準援護者が九千四百九十七人、一部必要とする準援護者が六千五百三十人、右に示すように補助を必要とする者が小学校児童の五・六%あるのです。一部学校においてはこれら支払いの困窮者の分を共同負担において決済している向きもあるような現状であります。  そこでこれを基本にいたしまして考えてみますと、ミルクの代とそれから原麦の代金を国庫で負担してもらわなくちやいけない、これはおよそ百億円くらいのものだと想像するのであります。それから副食費は受益者の負担とし、それからミルク、原麦の加工料及び運賃はこれも受益者の負担でいいと思うのであります。それから給食用の罐詰の配給はこれは山間部において是非行なつて頂きたいということ、それから砂糖の輸入税を免税にしてもらわんと非常に困るというようなこと等でありまして、愛知県の現在の運営というものはどうしておるかといいますと、愛知県がこの給食のために二千万円の無利子の金を出して、そうして加工賃であるとか小麦の購入費、加工賃の千二、三百万円、小麦の購入費千七、八百万円というようなものに対する貸付金をし、更に又特別な金を貸しておるような現状であります。而もこれがパンや何かの製造につきましては、農協などで直営でやつておるところは非常に成績を挙げておりますけれども、併しながら一般としてはまだ十分と言えんので、ほかに冨山、松山、というような所、特に富山、松山は非常にパンがまずくて点数を付けると五十点くらいしかないということであります。それから名古屋の筒井小学校は直営のパンを作つておりますが、これだと殆んど理想に近いものができるということであります。中学校に及ぼすということは先ず小学校の充実を図つてからでなければできんのでありまして、更に末端における現在の一ノ宮の状況考えますと給食の推進協議会というものを作つておりまして市会議員一名、保健所一名、学校代表一名、給食掛当教員が一名、業者の代表二名というようなことで集つていろいろ検討し、予算もこれによつて査定せられておるのであります。そこで従来は給食というものは女のやる仕事で男というものが余り関与しないようなことから非常に男子の職員がやるということに対して相当の趣味を持つた人でなければやる人が少い、そこで現在愛知県では名古屋大学で栄養士を作つておりますが、学芸大学の栄養士というものを作ることをしてもらいたいというような相当強い希望があります。それから末端へ参りますと末端の現状というものは今現在パン粉が、百グラムから百四十グラム、それからミルクが二十グラム、これを一合の水に溶かして加熱しております。副食物も勿論加熱しておりまして、一食分が十二円五十銭かかつておりまして、それで漸く所定の栄養量を保持しておるという状況であります。これを月二十回やつておりますが、生徒一人に対して二百五十円ずつ負担さしております。三十円くらいこれでは足らんような状況であります。原料代としましてもパンが五円二十五銭、ミルクが四円、副食が三円二十五銭はかかつて、十二円五十銭はかかるのであります。そこで一宮市におきましては三百円とらんとこれが完全にできないのでありまして、二百五十円で二十回はやれないのであります。これは要するに休みとか、いろいろなもの、夏休みであるとか、或いは休日であるとかいうようなものを見越してそうして辛うじてやつておるのでありまして、光熱費その他全部市で負担してやつて漸くこれでやれるかやれんかということであります。市のほうからも厨夫の料金であるとか光熱費、水道料金、消耗費というようなものを全部補助しておつて辛うじてやつておるのであります。名古屋市では三百円取つておるのでありますが、併しながら足らんで、PTAからいろいろ寄附さしてやつておるような状況であります。かような状態でありまして、生徒は二百五十円ずつ出しておりますが、準家庭児童は二百五十円出せませんで、大体一万人に百七十人という状態で児童の支出が百円、市の補助百五十円というような状態でやつておりますけれども極めて困難でありまして、十分な給食というものに対しては手がなかなか及ばないような状態であります。従つて田舎のほうへ行きますと、この負担に対する不平が相当強く出ておりますによつてこの点は極めて留意して、そこで考慮してもらわないといけないと思うのであります。  愛知県の現状及び末端の一宮の状況はこのようでありますけれども、今日の状況は頭打ちというお言葉がありましたが、その通りであつて、これに対する関心の強い人は非常に要望し、半面において非常にこれに対する反対の声も出ておる、これは施設及び運営のよろしきを得なければ給食というものは極めて困難なものである。そうしてこの問題を軽卒に取扱われ、或いは法令によつてこれを施行するというようなことを考えるならば、その将来というものを考えて頂かんとむずかしい問題だと思うのであります。ちよつと愛知県の状況を御報告しまして御参考に供し、そうしてどうかというと文部省としても相当肚を据えてやつて頂かないといかんと私は思います。
  15. 須藤五郎

    須藤五郎君 今文部省説明を聞いておつて非常な失望を感じたのですがね、大体この給食という問題はですね、大きな一つの事業だと思うのですよ。それに、もう頭から予算がどうのこうのというので頭打ちしておつたのでは、これはとても解決する問題じやないと思うのですがね、文部省は果して本当にこの給食問題を解決しようという熱意を持つているのか、どうなんですか。
  16. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 給食の目的はすでに御承知通りでありまして、まあできるだけこれを普及したいというのが私どもの念願で、それにはどうしたらいいかということに一番苦慮しております。先ほど申上げましたように今まで行なつて来ました給食は、水が低きに流れるごとく割合にやさしい面を通つて来た。従つてその普及の度合も年々こう上向いて来ました。これがもうそろそろ昨今は止まつているので、はないかという気がするのですがね、なぜかと申しますと、これは普及する所はほぼ普及しておるというのが私は現状じやないかと思うのです。これは先ほど吉田委員からもお話がございましたが、愛知県は非常に普及度はよく、九九%、これは全国一でございます。その愛知県ですらやはり農村の一部にはまだ行かない点がある。全国的に見ますと、農山村漁村ですね、これはまだ顧みられない。で、この隘路は何かと申しますと結局その負担の問題だろうと思うのです。それはまあ負担の問題ばかりじやないのですが、そのほか結局リーダーですね、指導者ですね、よき指導者があつてこのかたが学校給食はこういうもんだということを啓蒙宣伝して学校給食をするように努力をするという、そのリーダーがやはり都会よりも農村のはうがむしろ足らんのじやないかという考え方ですね、私どもこれから学校給食普及さすのには、もつと私どものほうの宣伝が足らん、普及努力しなければいかん。それにはやつぱり将来農村のほうにもつとやらなければいかんという考え方をしております。それにやつばり裏打ちするものは結局その負担の問題だと思う。ですから先ほど申上げましたように、若しこういうことができますれば、農村層に対しては国費の補助を二分の一から三分の二に引上げる、或いは四分の三に引上げるという問題があろうと思うのです。ところがそうなりますと実は考えたこともありますが、どこでいわゆる都会と農村と一線を画するか、なかなか面倒な問題があると思うのです。その点は実は研究中なんです。私ども大いに普及するという気持がありますことを申上げておきます。
  17. 須藤五郎

    須藤五郎君 文部省の話を聞いていると、技術面の話になるのですがね、技術面でいろいろ困難な問題があると思うのですが、それをやつて行くのはやつぱり熱意だと思うのですよ。この給食というのは、最初給食問題が起きたのは食糧が足りないために、終戦後の食糧の不足から、給食問題が起つたのだろうと思うのですよ。だからその食糧の不足という点においては今日一応解決ついたような形だと思うのです。併し本当の給食の理念というものは、食糧の不足じやないだろうと思うんですね。そうなんでしよう。だからそうすればね、より以上の熱意と信念を持つてこれに当らなかつたら、この給食問題は僕は解決して行かないと思うんですよ。その信念がどうも文部当局には私は足らない感じがして仕方がないですね。これは余ほどの大きな熱意を持つて貫かなかつたらこの給食問題、特に農村給食問題というものは私は解決しない問題だと思うんです。農村の食生活の改善などということは、あの封建主義的な農村において米の飯を食わなかつたら食糧じやないと思つておるところヘパン食を奨めて行くということは、これはなかなか大きな問題だと思うんですよ。だからそれをただ安易な考え方だけじやとても解決できる問題じやないし、余ほど大きな熱意を持つてかからなければならない。その熱意が私は文部当局に欠けていると思うんですよ。それが欠けておつては三百六十億の予算を国庫から引出すということもなかなか困難だろう。だからすぐ予算で頭打ちで、とてもこれはできませんということで、あなた方が第一いいことであるけれども予算で頭打ちですということになつちやつたんですが、これは予算を三百六十億ひねり出すことはあなた方の熱意によつては不可能じやないと思うんですよ。私たちが言うと我田引水だといつて笑うかも知れませんが、軍事費の問題など世界情勢が平和の方向に向つて戦争の危機なんというものは殆んどないんですよ、私が旅行して見ましても。来年はジェット機をどうのこうのというようなこんな馬鹿げたことを今政府部内で考えておる人たちがある。その考え方に対してあなたたちは政府部内において闘うんだという態勢ができていないと思うんですよ、文部当局に。どうなんですか。あなたたち学校給食を、このすばらしい学校給食を、完全に行うためにジエツト機を造ろうという勢力と闘うという決意がないですか。やはりジエツト機を造つたほうがいいと思つておるんですか。笑いごとじやないですよ。そこからですよ、ものを解決して行かなくちやならない。これはどうなんですか。
  18. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 大変どうも御鞭撻を受けまして恐縮ですが、まあ決して学校給食を大いに普及させるという意欲に欠けておるつもりはないのであります。私ども非常に努力しておるつもりでありますが、なおまあ御指示もありますので、できるだけ……。
  19. 須藤五郎

    須藤五郎君 そんなおざなりの答弁では満足しないね。とにかく日本の小学校児童の体質の変化、日本の食生活の改善なんということは、これは大きな問題です。ジェット機を造るというそんななま易しい問題じやないですよ。その学校給食の受取方が、私たちのほうが真剣にもつと大きく考えているんじやないかと思うんですよ、文部当局はほんの技術的な面だけ考えておるが、もつとこれを大きな政治的な問題として考えてもらいたいんですよ、文部当局に。そうしたならば必ずジェット機を造る前に学校給食をやれという理論が、文部当局から生まれて来なければ嘘だと思うんですよ。それが一つも生まれて来ない。すぐ三百六十億で頭打だと答弁してもらつたんではどうも不満でたまらないですね。
  20. 近藤直人

    説明員近藤直人君) まあ幸いに農林省のかたもお見えになつていらつしやるようでずが、学校給食児童心身の健全な発達に資するという主たる目的以外に、昨今例の食生活の改善に寄与するという面が非常に強調されております。そういう面からいたしまして私ども大いに努力しておりますが、最近の例といたしまして、これは新聞にも出ておりましたが、岐阜県の或る村でありますが、その村が全部粉食に転向した、そうして村の婦人連中が全部パンを作つておるという写真が出ておりました一例がございましたが、これは農林省からお話がございましたと思いますが、農林省のほうでも例の食生活の改善ということを非常に強調されて、パン焼かまど、ああいつたものを農村に配給して奨励しておるというので、それと私ども学校給食と両方相待つて農村方面に将来浸透して、食生活の改善に大いに役立たせるというふうにまあ考えておりますので、そこでまあ今年二十九年度に施設、設備の補助金が五千万円、これはまあ取つたわけでありますが、これは主として農村のほうへ向けてスタートするということは、私は非常に意味のあることだ、こう考えております。今後ともそういう方向に向つて努力して行きたい、こう考えております。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して……。努力されておるという面は私もわかるし結構と思うのですが、初めにこの学童給食法案の目的は教育計画の一環としてというのがだんだんと変化して来て食生活の改善というところと結びつけての学童給食ということになつたわけです。そうすると努力するということになると、食生活の改善というものをどういうふうに文部省が、文部省官僚のセクシヨナリズムからどういうふうに解脱して行くかということが私問題点だと思う。多分そういう点についても総合的な努力をされておるであろうと思いますが、食生活改善の面に、即ち今の日本の四百万トンの米不足のこの食糧をどういうふうに改善して行くか、こういうことになつて来ると、当然文部省一つのセクシヨナリズムでは解決できない問題になつて来ておると思う。文部省だけ考えると、今言うように三百七十億の予算を出して来てもこれはだめだというふうに結論を出し易いと思う。私も成るほど文部予算の中から三百七十億ぽつと出せということになるとこれは困難たと思いますが、そうではなくしてやはり根本的な食生活の改善という問題と取組めば三百七十億なる数字というものは可成り容易に解消できるのではないかと私は考える。それでお伺いしますが、学校給食会というものが一つ組織されておるわけですが、あなたが会長だということを伺つて、これを酷評するということは、私もこの際控えたいと思いますが、学校給食会というものがどうも血の通つた活動がされておらないのではないかと思いますが、近い将来文部省としても食生活改善のために農林当局あたりの食生活改善課あたりと会議的な一つの研究機関を設けるというような積極的な意図というものはありませんか。
  22. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 高田先生お話は御尤もでありまして、最近食生活の改善ということが非常に叫ばれて学校給食もその線に沿つて非常に考えられて来ておるわけであります。只今予算お話も確かにその通りでありますので、只今まで例えば何も文部省なら文部省だけで立籠るということは毛頭ないのであります。農林省の食糧庁としよつちゆう連絡いたしまして、お互いに手を握り合つてつておるような次第でありまして、その点は決してお考えのようなことはございませんから御了承願いたいと思います。そこで今の財団法人学校給食会でございますが、仕事は何かと申しますと学校給食普及宣伝、それからいろいろ講習会、或いは政府の委託を受けて脱脂ミルクの買付け、配給、或いは水産罐詰の農林省の物資の斡旋、そういつたことをやるのが目的でありますので、只今私仮に会長になつておりますが、これは適当な時期にやめたいと思つております。その会のことをちよつと申上げておきますが、その会の理事さんは、これは府県の課長さんであります。例えば愛知県の保護課長、或いは福岡県の保健課長なり、そういつたブロックごとの県の担当課長さんが理事になつております。その上に理事長、会長があるわけであります。仕事は先ほど申上げましたような仕事をしておるわけであります。ただ脱脂ミルクだけの仕事をしておりますが、この仕事もなかなか大変な仕事でありまして、学校給食会の名においてアメリカと契約をいたしまして脱脂ミルクを買付け、それを各府県に配給するという仕事をしておりますが、なかなか大変な仕事であります。最近におきましては、ユニセフのミルク政府から委託を受けまして、ミルクの買付等一切の仕事をしおります。これもなかなかその間の金融の問題やら、なにやらございまして、面倒なことをやつております。又利子補給の問題につきましては、農林省としよつちゆう関係がございまして、食糧庁のお世話にもなつております。こういうような仕事で更に手を延ばして、学校給食パンの原料である小麦のほうまでとても手が届かないのであります。小麦の仕事につきましては、これは只今農林省の食糧事務所、県の食糧事務所から、直接県の教育長さんがこれを契約をして、買付をするというような方法をとつておりますので、この点につきまして、只今のやり方にりきまして、尚検討の余地はございますが、一応そういう形で今日まで行われておりまするので、学校給食会がこれに介入する余地は只今のところは、ございません。将来なんらかこれも学校給食会の仕事として、一元的にこれができれば好ましいことではないかと考えておりますが、只今のところは小麦につきましては県の食糧事務所と、教育委員会の教育長さんとの契約で取引をしておりますが、そういうようなわけでまあ活動していないとおつしやれればそれまででありますが、なかなか脱脂ミルクの仕事だけでも、非常に面倒な仕事をやつております。私といたしましては、今のところは手一ぱいの仕事で、僅かに十名余りのスタッフでありますので、せい一ぱいの仕事ではないかと思つております。それから農林省とは非常に緊密な連絡をとつておりますが、利子補給につきましては、農林省に非常にお世話になつております。その点申上げて御了解を得たいと思つております。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 食糧庁とよく相談をされていろいろ骨を折つてもらうというお話ですが、それは当り前のことであつて、食糧庁と相談をするということだけでは、とてもこの食生活の改善ということはできないと思いますね。量の問題ということになればそういうことは考えられるかも知れませんけれども、食糧庁を通して、食生活の改善ということは、私はやはり困難じやないかと思うので、厚生省あたりの食生活改善のほうのかたぞれと一つの会議制といいますか研究機関というものを持たなければ、食生活の改善という本腰を入れた文部省法律に副つた目的を果すことは私はできないと思う。もう一つ脱脂ミルクのことですけれども脱脂ミルク学童給食に使つている国は、世界でどの国が脱脂ミルクを使つておりますか。
  24. 近藤直人

    説明員近藤直人君) アメリカがそうであります。それからイギリス、西ドイツであります。この脱脂ミルクを使うということにつきましては、これはいろいろ御意見がございますが、何も向うから輸入したものを使わんでもいいじやないか、国内産のものでいいじやないか、外貨の節約にもなるしという御意見もありますが、私は決して脱脂ミルクでなければならんというわけではないのでありまして、ただ動物蛋白を持つものとして又値段が非常に低廉であるという意味から申しまして又量が豊富であるという点から申しまして輸入の脱脂ミルク以外に方法がない国内産はございますが、値段が高いし、量が非常に少い。只今のところはやむなく外貨の負担になりますけれども脱脂ミルクを入れざるを得ないという現状でありまして何も脱脂ミルクにとらわれているわけではございません。その点は御了解願います。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 脱脂ミルクの話が出ましたが、それはつまり食事の内容の問題になつて来ると思うのです。脱脂ミルクは戦後の動物性蛋白資源が不足のときに便宜的に脱脂ミルクというものが極めていい、こういうような結論から脱脂ミルクというのが大きく謳われて来たと思うのですが、最近になりますと、脱脂ミルクだけでは食生活改善とか学校給食内容というものを真剣に考えた場合に研究が足りないのではないかと思うのです。それで学童給食内容について就中脱脂ミルクを別な物資に替えて、蛋白脂肪資源をとるということについて、何か文部省は今一歩進んだ考えを持つていらつしやるのではないかと思う。若し持つていらつしやるとすれば、お話頂けたら大変仕合せだと思う。
  26. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) それでは私から、私もそのほうの専門ではございませんが、担当の課長として一言申上げてみたいと思います。学校給食内容のあり方等につきましては、学校給食審議会で栄養研究の専門家、実際そもを指導していらつしやるかたも加わつて、又その中には厚生省の栄養課長さん初め、農林省の食糧研究所のかたも入つておられるという状態であります。それで学校給食内容は御承知通りパンミルクとおかずと大分けをしまして、ここで申しとおります脱脂粉乳だけで動物蛋白をとろうとか、或いはカゼイン、カルシユームをとろうとかとうことは考えておりません。これが端的に安く又とりやすいということで使つております。従つて他のものと合せて、所定の基準量を満すという建前になつております。そこで国内産のものを成るべく活用して、外貨を、例え安いとはいいながら、外国のものを使わないで国内産のもので満すことができないかどうかということにつきましては、しよつちゆう話題になつておりますし、又若しこれに代えていい方法があるならば、現場においてはいつでも切換えてよろしいということになつております。今年も栄養改善の立場から、特に栄養関係の講習会を全国でやつておりまして、その指導者を呼んでおります。実は昨朝私は山形の会場から戻つて参つたのですが、この栄養改善の講習会におきましても、そういう点については、かなり積極的にとらわれないでやつて欲しいという意味合いで、話題を向けるように仕向けております。各講習もその線で、特にこういつた際でありますので、学校自体で考えて行こうじやありませんかということで、指導に臨んでおるのであります。ただ具体的に申しまして、脱脂粉乳が最近米国政府保有のものが非常に安く入つておるというようなこと等と考え合せますと、あれに匹敵かる更によい食品が経済的に得られるかどうかという問題は、どうも今のところむずかしいのじやないか、やはり脱脂ミルクを使うことが非常に有利ではないかと思うのでございます。御説の痛り、成るべく国内産の物資を活用するということにつきましては、全く同感でございますので、しよつちゆうその点については研究を続けて参つておりますということを申上げておきます。
  27. 吉田萬次

    吉田萬次君 只今高田さんから脱脂ミルクについての御質問がありましたが、これは高田さんのおつしやる通りだと思う。脱脂ミルクというのは、いわゆる脂肪を取つた滓ですね。それで蛋白質というものは成るほど含まれておるけれども、脂肪とかカゼインというものは取られている。あながち動物性の蛋白質のみを以て人間は生活しなければならんというものでもないによつて、この点は十分に考究すべき問題だと思いますのと、それからもう一つ栄養価値のあるいわゆる粉乳です。粉乳というものは、そこで脂肪、カゼインというような重要なものが含まれている。栄養価値がそこに差があるというような点から考えまして、現在全国で菓子に使うところの、いわゆるミルクというものを半減するならば、これに対応して、そういう脱脂乳の輸入というものを防ぐことができるものとすると、国家としても重要な問題であつて、かような点を強硬に押して、そうして菓子というような、いわゆる贅沢品でないとしても、嗜好品にいたしましても、一応この点を考慮したならば、私は児童栄養上からいつても、いわゆる輸入の制限というふうなことから考えましても重要な問題である。ただ決意いかんによつてこの問題が遂行されるということを考えたならば、児童の幸福と国家の財政に寄与するという点を考えて、この点を十分考慮しなければならん、その点どうですか。
  28. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) お話通り国内産を成るべく使うようにしなくちやいかんということは十分考えておりまして、昨年の統計によりますと、約五十万人の児童が現地で生牛乳、又脱脂乳成いは脱脂粉乳を使つております。国内産のものを使つております。そこで最近は非常に安く輸入ができるということから、むしろ国内産のほうを使うことが経済的に給食費の増嵩を来たすという関係から多少減つております。そこで甚だ矛盾を感ずるのですが、結局国内産の活用という、特にミルクにつきまして考えます場合に、我々としましても、原則はどこまでも国内産を使うということにして、ただ過渡的にやむを得ず嗜好を増すという点から外国産を使つて行くという建前をとつておるのでありますから、次第に切換えて参るためには、やはり国内産に対して相当国の強い助成がないと切換えができて行かないんじやないか、そういうような面につをまして、今御意見がございましたが、まだ十分にお話の点まで検討しておりませんのでおお答えできませんが、日本の酪農振興の法律通りまして、段々生産も殖えて参つておりますので、これと併せまして牛乳なり、乳製品に対する強力な助成が、国内産に対する助成が行なわれることが非常に必要な問題になつて来ると考え関係省とそういう話はしております。
  29. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を止めて。   [速記中止
  30. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を起して。今日は農林省から前谷食糧庁長官に来て頂く予定でございましたが午前中どうしても手が離せませんので、総務部長の新沢君が来ております。新沢君から説明を聞きたいと思います。それで学校給食法案が今継続審議中でございますが、この内容を一応御覧になつたと思いますが、それに対しまして農林省御当局として率直に一つどう考えられますか、大体の御意見を承わりたいと思います。
  31. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 食糧庁としましての考え方を申上げたいと思います。私どもの基本的な考え方といたしましては、日本人の食生活がお米にばかり偏つているということでは将来食糧の自給という面につきましても、或いは国民の体位という点におきましても欠けるところがあるのじやないかということで食生活の改善という面で粉食が国民の間に早く、広く普及されるということが非常に望ましいと考えているわけでございます。その一つの有力な方途についてこの学校給食の問題が非常に意義があると、こういうに考えているわけであります。基本的な考え方といたしましては、従いまして学校給食がどんどん拡充されて行くということは望ましいと存じているわけでございますが、ただ具体的の点になりますと、やはり文部省の方から御説明があつたかと思いますが、或いは農林省、食糧庁として申上げることではないのかとも思いますが、いろいろ財政的な問題或いは学校自身の施設能力というような点からなかなか一足飛びに理想の点まで行きかねる事情がなお現在の我が国にあるのではないかということを感じているわけでございます。今継続審議中のブランを拝見いたしまして、一つは非常に対象学校範囲を広くお考えになつておりまして、又その対象学校が義務的と申しますか、義務的に学校給食をやらなければならないというふうになつているように拝見しておりますが、それに関連いたしまして学校給食のほうの取る形と申しますか、取る形といたしましてパン食ということが限定的に定められているようでございますが、これらの点におきましても現在の製粉能力という、パンの原料であります粉を作ります能力は我が国といたしましては十分にあるわけでございますが、パンの製造能力につきましては全国的にいつて大都会はともかくといたしまして、全国的にいつて必らずしも普及されてはいないのじやないか。なお今後パンの施設が拡充されて行かなければならない状態にまだあるのじやなかろうかと思うわけでございます。従いまして一方において広い範囲内の学校について給食義務があり、そして又給食の場合がパンであるということを限定されますと、現実とその点若干食違いが生じて来るのではないかという感じをいたすわけでございます。現在実際に学校給食が行われておりますのは確かにパンという形で行われておるわけでございますが、今後もやはり食生活の改善という面から申しますれば、やはり粉食といたしまして最もいいパン食という形態が望ましいし、指導の方向としてはそうあるべきと思いますが、急速にそこまで行くだけの環境ができているかどうかということはちよつとまだ不足な面が残つているのではないかという感じがいたすわけでございます。それから今まで小麦粉の半額国庫補助というのが今度は全額を国で負担するようなことになつておりますが、これは食糧庁の立場としましては学校給食普及して行くということで食糧庁の立場からこの点は意見を申上げるべきではないだろうと思いますが、この点大蔵省なり、或いは何なりとの関係でいささか難点がこの点で生じて来るのではないかという感じを抱いたわけであります。これは農林省としては反対とか何とかいうのではなしに、実際上の問題としてそういう感じを抱いておるわけでございます。大体私どもの食糧庁の立場としてこの案を拝見いたしましての感想といたしましては以上申上げた点に尽きると思います。食糧庁としては環境なり国の財政状態が許すならば、できるだけ学校給食が伸びて行く、拡充されて行くということを基本的には希望するものでございます。なお現実の問題としては今申上げた点が考慮すべき問題として存在しているのじやないかということを感じておる次第でございます。以上簡単でございますが……。
  32. 高田なほ子

    高田なほ子君 お尋ねしますが、製粉能力は大体完璧だ、こういうお話ですが、それは米食をした場合に不足が大体四百万トンくらい不足だと言われておりますが、その四百万トンの不足の米食を補うに足るだけの製粉能力を指しているわけですか。
  33. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 今申上げましたのは大体現在何と申しますか、月々実際に製粉されておりますのは二十五万トンぐらいが製粉されておりますが、能力としましては四十五万トンくらいあるわけでございます。だからまだあと能力としては二十万トン分ぐらい残つております。年にいたしますれば二百万トンくらいの製粉能力は残つている、こういうことになります。
  34. 高田なほ子

    高田なほ子君 その製粉されたものの大体でいいのですが、その製粉された粉そのものはうどんに幾らとか、菓子に幾らとかいうふうに大体分けられると思いますが、その比率はどういうふうになつておりますか。
  35. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) ちよつと今資料を持合せておりませんので、あとで調べましてお答え申上げます。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは製パン能力のことについて今お話があつたわけですが、非常にこれは能力がないというわけで厚生省としても将来はパン食というものを主にして考えて行きたいというお話だつたと思いますが、そうすると製パン能力というものに対して食糧庁としては何か計画的なものを持たなければならないはずだと思いますが、製パン能力を需要供給のバランスを取るための計画というものは具体的に今どんな方法が示されておりますか。
  37. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) これはなんと申しますか、必ずしも第二次製品のところまで政府が直接管理しているとか、統制しているという状態ではございませんので、政府が積極的に設備拡充計画を立てるといつても、ちよつとそこまでは政府が干渉するわけには行かないと思つているのであります。ただ実際の傾向といたしまして、昨年以来特に顕著に粉食化の傾向が見えております。それに伴つて現在各地でも続続新らしい方式による工場の設置計画ができているわけでございます。現在のパン工場は非常に古い形式で能率も上りませんし、品質も必らずしも画一的ないい品質のものができるような状態のものとも限つておらないわけでございます。できるだけ私どもといたしましてはパン食を普及いたしますためにはいいパンが安くできるような施設ができることが望ましい、こう考えているわけでございます。ただ問題といたしまして製パン事業というものは今のところ大体中、小企業が行なつているわけでございます。非常にいい設備を入れますためにこの中、小企業が圧迫されてしまうということでもいけませんので、原則といたしましては私どもとしては新らしい設備、いい性能を持つた機械が入ることが望ましい、こう存じておりますが、その場合においても先ず中、小企業者が一つ団結をして頂いて、そういうふうな能力を伸ばすと同時に性能のいい機械を入れて伸ばして頂くように、こういうことで指導の域を出ないのでございますが、そういう方向で指導いたしております。現在そういう計画もぼつぼつ現れている、こういう状態でございます。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の街に販売されているパン状況をいつか食糧庁でお調べになつたんですか、厚生省でお調べになつたのですか、どちらかわかりま目せんが、合格というような域に達しているというのは非常に少ない、殆んど六割ぐらいはもう不良である、それ以上不良だというようなことをまあ聞いているわけです。それで只今お話を聞くと製パン能力はない、而も市販売のパンというものは六割以上も不良だということになつて来ると、これは中、小企業を圧迫するとか、それから政府が干渉するという問題ではなくて、食糧庁自体に製パンに対する今後の研究機関というものは是非必要だと思います。ジェット機を造るために国防省なり統合幕僚会議がどんどんできるのに、国民の食生活改善のために現実にこういう問題が食糧庁として指摘されているのに、これに対する研究機関というものがあるかないか、私わかりませんが、どうも今の御答弁では余り私どもとしては希望が持てないのですが、今ないにしても将来製パン事業というものに対して食糧庁として相当手を打たなければならないということは御答弁の中にも窺えるわけですが、何かそんなようなことについて具体的な計画とか何とかいうようなのは今のところないわけですか。
  39. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 製パン事業の、製パン技術の向上につきましては、確かに御指摘の通り非常に力を注がなければならないと思いますが、率直に申上げて現在のところ政府機関として製パン技術の講習をやりますとか、或いは研究を行いますとかいう、そういう機関としては現在まだできておらないわけでございますが、機関は持ちませんけれども、製パン技術者の技術の向上のための講習会を開く、或いは主要なところに指導者を派遣して製パン技術者の技術の向上を図るという計画は、三十年度予算でも現在要求しようということで今準備をしておるわけでございます。施設を持つというところまでは行きませんが、そういつた技術向上のための何らかの施設は急速に講じて行かなければならないということで、今予算の要求に組んでおります。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから食生活の改善に非常に大きな問題になつているのは、よく見逃される問題ですが、日本の菓子の問題ですね。砂糖或いは足りない米、足りない足りないと言つておりながらその米自体がお菓子のほうにかなり廻つてつて、而もその総額が概算しても約二千五百億くらいの価格に上るのだということをいつか説明を聞いたことを私記憶しています。そうすると、食生活改善の問題と日本の菓子という問題は切つても切り離されない深い関係を持ち、而もその菓子そのものについての再検討というものが私必要になつて来ると思うのですが、御承知のように、私も非常に見聞が少いのでこういうことを申上げて当るか当らないかわかりませんが、あんこの入つてお腹のふくらむような餅菓子をまるで軒並みに売つているというのは日本だけじやないか、外国に行けば殆んどキャンデーとかチヨコレートといつたようなもので、いわゆるお腹のふくらまない、而も好みに合うといつたようなお菓子ではないか、日本では食糧が足りない足りないというのに大福餅やらどら焼やらカステラやら、何だかわからないとにかく主食をつぶして菓子にしているというものが非常に多いし、そのことによつてむしろ私たちのふだんの食生活というものがそれから圧迫をされているように思うし、又それによつて冗費が出て来るし、それによつて衛生方面にも及ぼして来る影響が多いと思いますが、食糧庁として今日の日本の菓子の問題について何かお考えになつていることがあれば、この際忌憚のない御意見を聞きたいと思います。
  41. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) お菓子の問題でございますが、御指摘のような点があろうかと思います。ただお叱りをこうむるかと存じますが、現在食糧庁といたしましては、菓子の問題に対して直接菓子をどういう形のものを作らせて行くかというところまで実はまだ指導の手が伸びておらないわけでございます。これはまあ何と申しますか、今後教育界のかたがた或いは栄養方面のかたがたの御協力を願つてつて行かなければならない問題だと存じますが、率直に申上げまして今日のところまだ菓子まで手が及んでないというのが現状でございます。将来の問題として御指摘のような点を念頭において考えなければならんと思つております。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 それからもう一点、お菓子に使われる米ですね、そういつたようなものは大体どのくらい使われておるのか、お砂糖というものはどのくらい使われているのか、その金額にして二千五百億というから、これは実に厖大な金額になるわけですが、私ども不敏でまだそれに要する原料がどういうふうに使われておるかということについてはデータを実は持つておらないわけです。若し今日お持合せでなく、食糧庁のほうとしてお調べがつくようであればそういうデータが欲しい。これが一つです。これは注文。  それから最後にお尋ねしたいことは、食糧庁のほうとしてもこれは是非考えを願わなければならないことです。それは定時制高等学校の食生活の問題です。今も文部省のほうに定時制高校の給食の問題について忌憚のない意見伺つたところが、これは教育の面とは切離して、食生活の面として考えるから、給食対象にはどうこうというお話があつた。これは文部省としての非常な認識不足、大変な認識不足、御承知のように昼間働いて、夜、学校へ行く学生ですから、この学生が正しい食生活をしない場合には教育効果なんというものは上るものではないし、その不正な食生活をすることによつて育ち盛りの青年の身体を損うという問題は、正に人道上の問題にまで来ておるわけです。全国的に定時制学校の校長さんが集まられて、是非定時制高校の夜間給食というものは非常に強い希望があるから、何とか一つ給食対象にしてもらいたいという陳情が実にたくさん来るわけなんです。いずれにしても人間の食べる量というものは、学校で食べるにしても、それから外で食べるにしても、量というものはそう変る問題ではない。定時制高校の夕食の給食というものは、操作如何によつては、定時に彼らが正しい食生活をするということが私は可能であろうと思う。で、変な時間に変な食堂に行つて食べますと、やつぱりよからぬ環境の中で食生活をするということは、青年にとつては決して幸福なことじやないと思う。ですから食糧庁としても、夜間勉強しているという、これは特殊な、実に真摯な、今の頽廃的な社会相の中にあつては、特筆大書すべき階層ですよ、日本の将来のために。その階層のために食糧庁としては、たとえ文部省が教育的な問題じやないと言つたにしても、今社会の輿論として給食さしてもらいたいという大きな支持のある問題なんですから、これは当然食糧庁としても是非私は考えてもらいたい問題だと思うのです。そこで今あなたに御意見といつても、どういう御意見があるかわかりませんが、どういう夜間勉強しておる学生たちが生活をしているかということについての認識を食糧庁のあなたから私は承わつておきたい。
  43. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) お問いでございますが、ちよつとお答えしにくいのでございますが、確かに食生活の改善という面から行きまして、育ち盛りの青少年の人にできるだけ正常な、最も体の発育に適当な形においての食生活が行われるようにするということは、確かに必要なことだと存じます。夜間学校に行つておられるかたが、とかく不規則な食生活に流れやすいということは、数字を以て掴んでおるわけではございませんが、現在のそういうかたがたを身辺に見るにつけまして、大体のそのかたがたの食事のとり方については推察がつくわけでございますが、こういうかたがたに対して最もいい状態においての食事がとれるようにするということは、確かに望ましいことだと存じます。ただ具体的な給食の技術上の問題等に関しましては、実施面を担当せられます文部省ともよく御相談してやらなければならない問題だと、かように考えます。今後文部省のほうとも十分連絡をとりまして研究を進めて参りたいと思つております。
  44. 高田なほ子

    高田なほ子君 食糧庁のかたに最後にお尋ねをしますが、食糧庁としては今日まで学童給食の問題について文部省とどういうような点を交渉をされて来たのか、そのことを私は伺いたいわけです。食糧庁が黄変米だとか、要らない麻袋を山ほど買つで、それで会計検査院から指摘されて評判が悪い、食糧庁は、その評判の悪い食糧庁というものは国民の食生活とやはり密着していないというところにあるんじやないかと思うのです。そういうような観点から今私は質問を発しているわけです。学童給食について文部当局と食糧庁は今日までどういつたような面でどういう折衝を続けて来たのか、承わる必要があると思う。
  45. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 先ず量の問題と質の問題になるかと存じますが、いずれの面にいたしましても、これは文部省といたしましても私どもといたしましても、できるだけ学校給食の面が拡まつて行くということが両者一致した見解でありますので、そういうような面につきまして文部省のかたぞれと協力いたしまして大蔵省方面予算の獲得という面について大いに努力をしているつもりでございます。  現実に現われた姿におきましては、まだ皆様がたの満足を得るところまで或いは行つていないかと思いますが、少くとも私どもといたしましては文部省のかたがたと一緒になりまして予算の獲得については努力をしたつもりでございます。  僅かでございますけれども年々少しずつ施設が拡充されて行く方向には向いていると考えておる次第であります。  なお質の問題でございますが、当初学校給食用のパンに向く粉につきましてはいろいろ品質上の不評もあつたわけでございますが、それも文部省の御意見を十分に参酌いたしまして、できるだけいい。パンのできるような粉、むしろ市販のパン用として向けられているものよりもパンに適した粉の割合が学校給食用に多く廻るような配慮もいたしておるようなわけでありまして、更に昨年以降は普通のパンに向いた粉ということだけではなくして栄養改善という面からこれを更によくしたものを供給するということで、質的な向上を図つて行くということで、文部省の御意見を十分とり入れまして、できる限りの努力をいたしておるつもりでございます。  なお今後も両者相協力いたしまして、なお一層量の面におきましても質の面におきましても改善拡充を図つて参りたいと思つております。
  46. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめて。   [速記中止
  47. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記始めて。
  48. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 先ほどの質問にお答えいたします。品質で申上げますとパンが三割、それから麺が生麺と乾麺を合せましてやはり三〇%くらい。それからお菓子が一割、それから粉のままで店頭に出ますが、てんぷら用とかその他家庭が粉のまま使う、それが約二割くらい、その他いろいろ細かいものがやはり一割くらいという大ざつぱでございますが、そういうような見当になります。
  49. 吉田萬次

    吉田萬次君 先ずパンでお尋ねいたしますが、パンのいい、悪い、又量の問題ですが、先ほどおつしやつた通りに、中、小企業を圧迫するがために最も有力な機械というものの輸入を拒んでおるというようなこともそれは存じております。併しながら同じ原麦を支給せられてそれによつて製品となるパンが、富山或いは松山においては点数をつけると五十点の価値しかならないということですが、それはどういうところにそういう優劣ができるのか、内地の小麦というものと輸入の小麦というもののその間におけるところの使用に対して、何らかの操作をしておるのか、どういうわけだとお考えになりますか。
  50. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) パンの品質の問題はほうぼうで批判を聞くわけでございますが、原料の問題につきましてもパンに適した原料とパンに適しない原料とがございますので、できるだけパンに適した原料をたくさん使つて焼いたほうがいい製品ができるわけでございますが、原料の供給の面につきましてはパンに適した品質の小麦が少いというわけではございませんので、原料の面からいいパンができないという事情はないと存じます。恐らくは大部分パンの品質が悪いということは、製パン技術上の問題が多いのではないかというふうに感ずるわけでございます。  もう一つは、製パン技術上の問題というよりもやはりパン業者が中、小企業で占められているということから、できるだけパンの焼き上りのコストを安くするというような気持から製パンの過程におきまして十分時間をかけて焼くとかいうような操作を行わない、燃料節約の面から非常に高い温度で早い時間に焼き上げてしまうということなどが関係しまして、現実に店頭に出ます製品があまり芳しくないものが相当数あるという結果になつているのではないかと考えております。
  51. 吉田萬次

    吉田萬次君 それは詭弁ではないですか。あなたのおつしやることは、パンの良否というものはあなたは先ほど操作において行われるべきものであつて原料において変りがないということをおつしやつた。その原料というもの、日本の小麦というものはパンに適せずと、湿度が非常に高いということ、それから雑菌が含まれているというようなことからパンというものに対して日本の小麦を使うということに対して非常によくないと言われておる。それであなたは原料は差支えないということを言われたが、そうではなくして私は原料が根本であると思う。従つて私は政府が与えるところのカナダの原麦というものをそのままもらつて、そして一応に原料が同じであるということにおいて優劣が甚だしいということにおいての質問を私はしておる。私は原料において、それだから若しそういうところでは原麦というものを本当に粉にしておるかどうか、内地の小麦というものを利用しておるじやないか、その間におけるところの操作というものにおいて非常な食違いができておるということにおいての質問を私はしておるのであつて、原料について差違がないとおつしやるのはそれは間違つておると私は思う。そこでそういうふうに原麦、支給せられたるところの一定置の原麦というものを使用しておらないと考えなければならないが、使用しておらないということになつたら、その原麦に対してどういうことをしておるかということを追及しなければならんということになりますが。
  52. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 先ほど私申上げた説明が不足だつたのかと思いますが、日本産の小麦と、それからカナダ産等の放出の小麦とを比較しますと、確かにお話ございましたようにパンとしての適格性からいえば遥かにカナダ等の放出の小麦のほうが勝つている、これはお言葉の通りでございます。ただ食糧庁が現在輸入いたしました小麦等を市場に供給いたしておるわけでございますが、一時パンに適する麦の供給量が少い時期が、ございましたが、今日はパン用に適するものにつきましては需要に十分見合うだけのものを供給しておるわけでございます。又学校給食用につきましては特に先ほど申上げた通りパンに適するものを政府は払い下げておるわけでございます。それで、でき上つた製品が果して政府が払い下げた原料をそのまま使わないで、ほかのパンに適さない製品を多く用いたために結果として悪いものができているのか、或いは技術の問題としてそういう悪いものができているのかということでございますが、私といたしましては恐らくは技術上の問題に基因する点が多いのじやないかということを考えているわけでございます。そういうことを先ほど申上げたつもりでございます。
  53. 吉田萬次

    吉田萬次君 これはもう少し掘下げてみたいと思いますが、この問題はこの程度でやめまして、先ほどのミルクでありますが、ミルクというものが先ほど申上げましたように菓子に利用せられるというのを半分それを乳用のほうに用いたならば、それによつて大体の見通しがついて、粉ミルクのいわゆる脱脂乳の輸入を防ぐことができる。脱脂乳というものとそれから一般のミルクというものとの栄養価値というものは非常に差があるものであつて、私もお医者ですけれども、我々の立場から考えると、これは問題にならん。それをミルクというものを使うというふうなことができ得ないということに対して、れそれは勿論どうかというと一面においてこれを救おうとすれば、半面において菓子屋等の陳情で困られるかも知れないけれども、この点は大所高所というものから考えて少くとも是正して行くような努力だけはしてもらいたいと思います。まあこれは希望でございますが、もう一つ序でにお尋ねしたいと思いますのは、巷間或いは新聞にもあつたようにも考えますが、学生アルバイトに対して黄変米の試食をさせておる、黄変米というものの毒素に対する試験、生体実験というようなことをやつておるようなことを耳にしますが、かような問題は文教に携わるものとしては重大な問題だと思うのですが、かような問題は事実ありますか、どうですか。
  54. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 黄変米の何と申しますか、人体に支障がない限界をきめますものといたしましては、それは食糧庁は全然タッチしておりませんので、ただ厚生省が定める事項になつてつて従つてこの点に関しましてやるといたしましても厚生省でございますが、そういうことは聞いておらないのでございます。
  55. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちよつと私から一言。  実はこの学校給食法の小委員会といたしましては学校給食法案、これをまあ実施すべきかどうかということの我々の態度を究明することになつておりいますが、その根本的な問題は、この法案の根本的な問題は、やはり全学童に対していわゆる小麦粉と、ミルク全額国庫で負担して無償で学童にやる、これが現在日本として、理論的にも又実際上にも可能であるかどうかという点を我々は究明したいと思います。現在の段階において直ちにできないということは仮にあつても、それは近い将来において必ず実現すべきものであるかどうかということが、この我々の一つ委員会の目的だと思うのですが、あなたはそれは先ほどの一般説明としまして全額負担ということは財政的面から相当大蔵省方面において難点があるであろうと、これは私どもあなたの御意見を承わるまでもなく相当な、緊縮予算のときに相当な金額を国費を計上するということは非常に財政的に困難があるということは百も承知している、而もなお且つこれをどうしても何とか実現できないかという面をいろいろ究明しておるわけですが、学校給食全額、まあ一番ピークと申しますか、達しておるのは、農村にこの学校給食が行われ難いという一番大き一な問題だと思います。それを食生活改善の面からいつて農村の食生活改善ということはなおこれは非常に大きな問題で、その意味からいつて農村において麦食奨励ということは、これはやはり粉食奨励というか、非常に大き一な問題を持つておると思いますが、この意味から私は積極的にこの学校給食農村漁村にまで普及せしめるということは、一つの形態として是非必要だという一つの理由が出て来ると思います。併し私はあなたにお尋ねしたいと思うのは、その予算的な措置の上からいつても、これは現実に二百億なり三百億のような金が国費として出るとしても、他の方面においてそれだけの国家財政が節約にならんかどうかという問題であります。その点が私ども素人としての一つ意見を承わりたいと思いますのは、総合的な食糧政策の上からこれがどうなるのか、現在この米価の問題を決定するということは非常に農林省としては大きな問題だと思いますが、昨年からいろいろ問題になつたように、二重米価の問題とかいろいろあるし、又国内の米作の、食糧増産の面から相当これに対して予算をとつておるわけなんです。なお又米の輸入のために相当な外貨を使つておる。而も外米というものが今いろいろ問題になつておりますように、必ずしも立派な米ばかりじやないというような実情からいつて、日本の食生活からこれを粉食に切換えて行くということによつて米の輸入なり、米の増産なり、又米価の二重とかいうような関係からは国費のロス、これを小麦粉に切換えることによつて相当日本の財政から言えばプラスになるのじやないか、それが同時に食生活の改善にもなるし、同時に又日本の総合的食糧政策の面からいつてこれがプラスになるということになれば、現実に二百億要ろうが、三百億要ろうが、少くともより以上の利益があるかないかは計算しなければわからんと思いますが、相当の利益をもたらすとするばらば、私はむしろ積極的に、中心的に農村に粉食奨励という基本的な線は、製パンの問題にしたところで私は学童給食をやるということが一番重要なポイントじやないか、こういう総合的な見地から、ここで学童給食を全面実施ということに移すことが日本の食糧政策の上から育つてもいいんじやないかという私は一応の素人考えを持つておるのですが、こういつた意味において総合的食糧政策の見地から粉食に相当な部分を切換えて行く、それが財政的に積極的にそれを主張する理由にならんかどうかという点を一つ率直に御意見を承わりたいと思います。
  56. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 今のお話でございますが、一応抵抗なしに米食から粉食へ転換できるということを前提といたしまして、嗜好とか何とかいうことを全然度外視いたしまして、単に経済的な面から比較をいたしますと、お話のようなことを裏付ける数字が出て来ると思います。現在平年作といたしましても、今の配給制度を維持して行くためには外米を約百万トン入れなければならないということになつております。百万トンの外米全部を麦に置換えるといたしますと、一つは補給金の面、それからもう一つは実際に米と麦との代価の差がそこに出て来るわけでございますが、第一の補給金の点につきましては、これは実は年々米の国際価格も下つて参りまして、二十九年度の当初予算を組みますときには、二十九年中に米を入れますための補給金が約九十億くらい要るだろうという見込を立てておつたわけでございますが、その後価格が下りまして、恐らく現在では九十億がその半分くらいの補給金で間に合うのではないかという状態になつております。更に米の国際的な供給と需要のバランスがだんだん供給の面のほうが勝つて参りますような状態になつておりますので、これは一、二年いたしますと、恐らく米についての補給金は不要になる時期が早晩来るのではないかと思います。従いまして、計算上考えなくちやならないのは、外米を買う場合の値段と、それから麦を買う場合の値段でございますが、将来どういう価格のバランスになつて来るかわかりませんが、現在のところで参りますと、少くともトン当りにいたしまして、同じ米を玄米換算にいたしまして計算いたしましても、五十ドル内外麦のほうが安いという数字が出て来るのではないだろうかと思います。そういたしますると、麦の歩留と米の歩留を比較いたしましても、米として百万トンということは麦として恐らく百二十万トンになるのじやないかと思いますが、それだけトン当り五十ドルの差がそこへ出て来る計算になろうかと思います。経済的な面からいいますと、麦を輸入することによりまして、米に替えて麦を輸入することによりまして相当そこに国費の節約が行われるということになろうかと思います。
  57. 竹下豐次

    竹下豐次君 パンの製造が二十五万トンのうちの三割ということですね。これはパンの製造が年々増加して行くだろうと思つておりますが、数年前から年別の増進している率でも、あなたのほうでお調べのものがありましたらお示し願いたい。今ありませんでしたらあとで結構です。
  58. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) あとで申上げます。
  59. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 今日高田委員からも要求がありましたが、又今のこともあとでお調べになつてからお頼いします。
  60. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから先ほどの御説明パンの製造は大仕掛けに、そうして技術も向上させなければならん。機械も改善しなければならない、設備も改善しなければならない。併し大企業でやるということになると、中、小企業を圧迫する。その点も大いに考慮しなければならないので、そう無理もできない。でき得べくんばその、中、小企業の人たちが協力して、まとまつたものを作るようになることを希望する、こういうお話でありましたね。結構だと思つておりますが、それが中、小企業の人たちの間にそういうふうな運動でも今起つているのでありましようか。それとも又農林省のほうで何かの便宜でも与え、そういうことを勧奨して具体的に進められつつあるようなことでもありますか、その点をお伺いしたい。
  61. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) これは全国的ではございませんが、一、二の地方におきましては、中、小企業の製パン業者が一致いたしましてそういう設備改善をやつて行きたいという動きは現実に現れております。まだ、全国的に非常に普遍した形で現われておるとは申しかねますが、一部の地方においては現われておるわけでございます。できるだけそういう傾向を助長して行きたいというふうに考えております。
  62. 竹下豐次

    竹下豐次君 私など食糧のほうは素人ですけれども、将来はどうしても麦食が殖えて行かなければならん、殊にそれがパンなつたらなお結構だ、かように考えておるわけでありますが、よほど力をお入れになりませんというと、長い間の伝統も改められないのが普通でありますし、この問題は幸いそういう動きが中、小企業者の間にあるならば非常に結構だと思つておりますが、特に食糧庁のほうでは力を足して頂くことがこの際極めて必要ではないかと、かように私は考えております。
  63. 吉田萬次

    吉田萬次君 さつきの質問に対して、もう一度希望を述べておきます。ミルクお話ですが、輸入を防遏してもらいたいということを希望するのですが、昭和二十七年に必要量の二十グラム、児童一人の必要量二十グラムというものが二十五銭、それが翌年の二十八年には三円七十五銭になつたということから考えると、これはその間においての暴利をむさぼるものがあるか、或いはそういうように相場が急変して来たものだろうかということについて、私は一考を要すると思う。従つて、この問題は軽卒に考えるべき問題じやないと思いますが、輸入をせなければならないにいたしましても、これは非常に注意しなければならない。どうもその間の値上りが余り甚だし過ぎる。二十五銭が三円七士五銭、一年にそういうべら棒に上ることはないと思うのです。その点はよく注意して、そうして、児童に与えるものは私は輸入を拒むというものではありません。併しながら、今の外貨を節約して、これに代ることができたら結構であるし、どうしても輸入しなければならないものであつたならば、どうしてかような値上りになつたか、その間に不正がありやしないかということを、一つ考究してもらいたいということを希望しておきます。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 今の劒木さんの質問に関連して伺いたいのですが、劒木さんの質問は私は非常に重要だと思うのです。今の米百トンを買う値段でですね、麦が百二十トンぐらい買える。こういうことになれば、仮に現在、日本の米が四百万トン不足したものを、学童が家でもつてお米を食べないでパンを食べ、或いは中学生もパンを食べる。お昼に御飯を食べないでパンを食べる。定時高校生もパンを食べるということになると、外国から輸入される米とか、豆とか、そういつたようなものとのバーター制になるわけですね。給食小麦というものは、大きく考えてみると、それによつて浮く金で、今の文部省から証明された三百七十億の金が、給食だけ取上げることに必要だから、なかなか実施は困難だという説明があつたのですが、バーター制によると、三百億ぐらいの金は運転してくれば浮いて来るんじやないかと思うのです。そうすると、別に国から学童給食のためにといつて、特に三百七十億の金を取り出さなくとも、米、豆等のバーター制によつて浮く金で、給食というものは実施できるのじやないかと、全体としてこれを精密にそろばんを弾かなければわからない問題だと思うのですが、そういつた点については御検討になつたことはありましようか。
  65. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 確かに食生活の面、それからいろいろな経済的な面から、できるだけ米じやなくして麦を輸入して、どうせ輸入をしなければならないのだつたならば、麦を多く輸入をしなければならないという考えは、これは基本的には前からあるわけでございます。農林省としても持つておりますし、厚生省等栄養改善の面から強い御意見があるわけで、そういうような意味の計算はしばしばやつておるわけでございます。ただ現実の問題として、それが実行に移し得なかつたことは、やはりどうしてもまだ粉食というものに国民が十分慣れていないということで、実際に麦を輸入いたしましても、それを完全に食べてくれるかどうかという点について、なお不安と申しますか、懸念がございましたので、積極的にそこまで進んだ施策としては行なつておらなかつたわけでございます。ただ、ずつと終戦後の傾向を見て参りますと、配給をしておる時代から、二十六年から、麦につきましては、政府の直接統制が外されたわけでございますが、二十六、七年の二年を辿つてみますと、むしろ小麦粉の需要は減つたのでございます。政府が直接統制をして配給をいたして来た時代に比較いたしまして、自由になりました途端に小麦粉が減つてしまつたわけでございます。ということは、その当時私ども考えましたのは、やはりまだ粉食が嗜好上の面、それから単に主食だけの問題じやなしに、副食の問題と両方考えてみますと、経済的に、いろいろ米よりもパン食のほうが費用がかかるというような経済的な面が重なりまして、粉食がむしろ停滞を示したのだというような解釈をとつて参りました次第であります。ところが二十八年になりますと、御承知通り、非常な不作でありました。で、闇米が一時三百円まで上つたということが大きな理由になりまして二十七年から二十八年にかけましては、一躍粉の需要量が四割ぐらい殖えております。ということは、今までまあ経済的な理由、嗜好的な理由で粉食に移りがねた人々も、二上八年の実際の経済的な理由から、粉食に大きく転換したという傾向が見られるわけで、ございまして、その後、闇米の価格は大分下りましたのでございますが、小麦粉の需要が必ずしも減つていない、一応到達したピークの需要量を現在も維持しているということで、この傾向で行きますと、粉食というものに関して、もう少し自信を持つてもいいのじやないかというような感じはいたしているわけでございます。そういう意味合いにおきまして、今の委員長からお話のありましたような経済的な面からも検討を更にやりまして、できるだけ米を麦に転換させるということを考えて行かなければならないと思つております。二十九米穀年度の輸入計画の問題を、そろそろ考えなくちやならない段階に来ておりますので、そういうことも十分考慮に入れて行きたいと思つております。
  66. 高田なほ子

    高田なほ子君 それで又五号台風もやつて来ましたしね、この間も、文部大臣に北九州の炭鉱地帯の欠食児童が非常に殖えている、それに対して、何らかのこの際臨時的な学童給食措置をとつてもらいたいということで、いろいろこの席でお話したわけであります。その際善処しますというような御答弁があつたわけですが、今直ちにそういつたような災害に対する給食とか、或いはそういう北九州炭鉱地帯の欠食児童に対する給食といつたようなものは、食糧対策といつたようなものは、早急に間に合うような措置がとられているわけですか。
  67. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) これは食糧庁も勿論その一端の責任を負わなければならないのでございますが、直接的にはま社会福祉のほうから、いろいろな援護関係からの施策が先に出て来るのではないだろうか、食糧庁といたしましては、それを受けまして、出すとか何とかいう政策が伴なつて行くのではないかと思うわけであります。現在のところ、食糧庁がイニシアテイヴをとつて、そういう計画を立てて行くということは、実はまだやつておりません。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 さつき高田さんの質問があつて、私、余り質問することがなくなつたのですが、黄変米の話がありましたから、この際聞いておきたいのですが、黄変米が有毒であるかどうかということが非常に論議されております。厚生大臣も食つたか食わんか知らないが、新聞には試食したというようなことを言つておりますが、あれは栄養価値が普通の米と同じようにあるかどうかということが論議されておりませんが、どうなんですか、食糧庁の見解は。
  69. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 黄変米でございますが、ちよつと新聞等を見ますと、いろいろ問題が混同されているように思うのでございますが、いわゆる学者の先生方が研究しておられますのは、非常に純粋培養いたしました、非常に一見しても歴然とわかるような繁殖の濃厚なものを実験して、いろいろデータを出しているわけでございます。現実に問題になつておりますのは、もう眼に見えない、普通の米と同じような白いものでございます。それで現在のところはまだ研究が、いろいろな毒性につきましても、それから毒の性質と申しますか、毒物そのものの性質につきまして、まだ研究が十分行つておりませんので、この許容限界を、毒物の量で定めるというところまで行つておりませんので、いろいろ動物実験の結果、実際に黴のはえたものを正常な米と何%食わしたものによつて障害が起きるかという動物実験の結果出た数字を元といたしまして、現在のところは許容限界というものをきめておるわけでございます。非常に繁殖したものになりますと、黴が繁殖いたして米の中の養分を食つて生活をしておるわけでありますから、黴が非常に繁殖すれば米の栄養が、成分というものが破壊されて行くということは当然想像にかたくないのでございますが、現在問題になつているような程度のもの、而も許容限界のものにつきましては十分な研究はないので、想像で申上げて恐縮なんですが、非常に黴によつて米の成分が壊されるという状態までは行つていないんじやないかというふうに思うのでございます。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると有毒でないということが学問上、はつきり証明されれば食糧庁としては配給する意図を持つているのでしよう。その配給する場合、カロリーの点において違わないかということを私聞きたいわけです。我々は食糧の配給を受けている問題はこれは量もあるでしようが、やはりカロリーが主体だと思います。それでカロリーにおいて非常に減つているとするならば、たとえくれるとしても、もらつた場合、カロリーで減つているものを同じ代価を払つて買うとすれば、これは非常な問題だと思います。だからその場合は、量を殖やして配給するとか、何とかせざるを得ないんじやないかと私は思うので、それでカロリーの点を聞いているわけです。それはまだはつきり調査していないのですか。
  71. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 今申上げましたように、そこまで、はつきり研究いたしておりませんが……。    〔須藤五郎君「しなければいかん」と述ぶ〕 何と言いますか、黄変米という言葉から印象を受けますと、非常に米の中に有害菌が繁殖している状態がすぐ直観的に考えられるわけですが、現実の問題として配給しようが、配給しまいが、とにかくその米は顕微鏡で検査しなければはつきりできない程度でありますので、恐らくはカロリー計算でありましても数字の上は、はつきちその数値が現われておるほどカロリーが減つているということはちよつと想像しにくいんじやないかと思つております。今動物実験に供されているような、非常に繁殖した状態で行きますと、これは当然黴によつて大きな部分が消費されるものでありましようから、そういうものはカロリーが非常に減つていると思います。現実のものと実験のものとはちよつと差があると思います。
  72. 須藤五郎

    須藤五郎君 黄変米はいつもいまわしい問題がつきまとうので、昨年起つているような問題が起らざるよう、食糧庁としては十分注意する必要があると思います。下手をすると又起りますよ。そういうことのないように注意をしなさい。
  73. 竹下豐次

    竹下豐次君 何%以下だつたら毒にならないというのがあるわけですが、仮にそういうことにいたしまして配給される場合にどういうふうな方法で配給されるのですか。何%という米を混合するのはどこでやるのですか。
  74. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 現在厚生省から我々が連絡を受けておりますのは、悪い米と良い米を混ぜて何%以下にするという操作は避けて欲しいということを言われておるわけであります。現実に検査をしてやつた結果現われた数値が混入率何%以下のものに限つて配給品として処置して行こう……。
  75. 竹下豐次

    竹下豐次君 これは黄変米、これは白米であると別々に各家庭に廻す、こういうことになつておるのですか。
  76. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) これはまだ具体的なことは考えておりませんが、少くとも私ども考えといたしましては、これは学者の結論をもつと精密に検討して頂いて、結果を出して頂かなければならないと思いますが、許容限界以下ということは、これは無毒ということなんでありますから、全然同じ取扱いをしていいのじやないかと思つております。
  77. 竹下豐次

    竹下豐次君 私は実は新聞以外に知識はないのですが、やはり気になるのです。配給を今お尋ねしたように各家庭にこれは黄変米、これは白米、これは二%とかというようなことで何%でしたか、した場合に、各家庭で非常に注意になり、うまく混ぜれば割合にうまく行くかも知れないと思いますが、そこに不注意もあります。殊に見たところちつとも変らないというのが相当にあるということになると、うまく混つておるかどうかということは非常にわからない。そうすると固まつたやつを一緒に入れてしまつて、あとはすつかりいいというので家庭に配給しても、そういう危険が非常にある。殊に政府でやるとか、配給業者にそれをやらせるということになつたら、これはいいかどうか私らはわかりませんが、売りさえすればいいのですから。そういう意味において厚生大臣が試食しておられますが、これは注意深く……大臣を殺しては困るから、うまく配給してやつたんでしようが、併し多数の人にやる場合にはその攪拌、混ぜ方というものはとても理想的にはいかない。何%というようなことは勿論単君たちの言う机上の議論であつて、それを実際配給するときには固まつたのがぽつりぽつりといく。それにぶつかつた人は途方もないことになる。そういうことが想像にかたくないのですが、今までそういう研究はどういうことになつておりますか。そういう点は御研究になつておりますか。恐らく配給してもよいということを主張しておられる学者なり当局の人かあるとすれば、まあ私の今のお尋ねには、はつきりこれはもうすぐに答弁ができなくちやならないことだろうと思う。それも研究せずにおいて、どうしてやつたがよいか、わけもわからずに、何%なら毒にならないと言つても、これは何にもならない議論だと思うのです。その点はやはり食糧庁あたりではまだ御研究になつておりませんか。
  78. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 結局今の配給するかせんかという問題は、これは今学者間に議論が出ておりますけれども、私ども実行に移すまでには、もう一つ厚生省として学者のかたがたと御協議願つて特に、任意を加えなければ食べられないという状態では困りますので、誰も配給されたものを、特別家庭で操作をしないでもそのまま食べてもよいという状態でないと、配給の責任を持つものとしては、それは実行に移しかねるわけでありますので、そこにもう一度学者のかたがたと研究、検討を重ねて頂きたいと、こう考えておるわけであります。
  79. 竹下豐次

    竹下豐次君 勿論これは配給するということになれば各家庭に、はつきり分けて配給すると、欲しくないものは捨ててしまうということにもなりましようし、これは経済的に損ですけれども、それは併し体を損うよりはいいわけですから、そういう人が出て来るだろうと思う。これは比較的少量ですから入念にやりますが、大きなところで混ぜたら途方もないことになると思う。学理的な研究もとより必要でしようが、それも一緒に研究して頂きませんと、これは大変なことだろうと私は心配しますから……。
  80. 吉田萬次

    吉田萬次君 先ほどのお話でずが、たとえて申しますと、もとの敷島一本で鼠が一匹死ぬほどのニコチンを持つておる。それで敷島一本で鼠に与えたニコチンの毒は、たばこ二本を吸うとそれだけ人間に害を与えるかというと、それは極めて微量なもので、害になるというような程度のものではない。併しながら今のお話のように完全に化合してしまうなら別ですが、混合ということになるとそこに非常に差が出て来る。混合ということは極めて危険なことです。そうかといつて黄変米を白米と別に家庭に配給するということになると、恐らくこれは捨ててしまう。そうすると国家としても非常な損害になるというようなことから考えたら、できることなら黄変米ということを何か利用する方法はありませんか。
  81. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 先ほど申上げましたように一応相当大量なものからサンプルをとりまして、そのサンプルの出た数字が何%という数字で全体を推量して行くわけでありますが、黄変米だけを送り出すということは、これはできないであろうと思います。ですから、全体の数量のうちに黄変菌のついておるものは何%以上か以下かということで分けて行くよりほかないのじやないかと思います。
  82. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちよつと速記をとめて。   [速記中止
  83. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。
  84. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 配給に廻していいか悪いかという基準は、ここに何トンかの米があります。その米がそのうちに、総量のうちに黄変菌によつて犯されておる米が何%含まれているかということを見るわけでございます。その今の旧来の基準で行きますと全体のうちで一%以上黄変菌の附着したものがありますと、それは全体が配給不適ということになるわけでございます。一%以下でありますとそれは配給適として廻されるわけであります。ですから廻された米は、百分の一以下の黄変菌の附着したものが含まれている米は配給適として廻されているわけでございます。ですから、普通の家庭の摂取形態を見ますれば、内地米もありますし、ほかの外米もありますから、全体を見ますと実際上は更に薄くなるということになりましよう。
  85. 竹下豐次

    竹下豐次君 この中に入つておる米のうちの何パーセントというわけですね。
  86. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) ですからこれが一%以下の濃度のものだつたら配つてもいいということだつたら、この濃さのものが配られていいわけですから……。
  87. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうするとその次に起る疑問はこれに入つておるのは標準以上に入つておる、これだけは配給できない米だ、こういうことにしますと、今度はこつちに立派な米がたくさんある、こつちだけじや悪いけれども、これを配合して行くと何%以下になることがあり得るわけですね、その場合にはどうなりますか。
  88. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 一応確かにその通りでございます。濃いものと薄い無色のものも混ぜれば薄くなる、実際上そういうことによつて学理上で言えば食べて差支えない状態にすることはできるわけでございます。ただ食品衛生法を所轄しておる厚生省としては、そういう操作はやつては困る、こういうものはこういうものだけで、いけなかつたらそれは配給外に落してくれということであります。
  89. 竹下豐次

    竹下豐次君 それをやつたら一層危ない状態が殖えて行く可能性が多い、私の今仮定したようなことにして、ほかの米と配合するようにして行きましたら。
  90. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 危険の問題でございますが、一応基準というものは現在まで、新らしい基準もそうでありますが、それなら食べても人体に障害が起きない線、それに何%かの安全率をかけたものとして出た量……。
  91. 竹下豐次

    竹下豐次君 ですから先ほど私が言いましたように、混合がうまく行けばいいけれども、その危険があるということを私は前提にしてお尋ねしておるのですから、非常に危くなる、それはおやりにならないという予定ですね。
  92. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 今のところは厚生省のほうで差止められておりますからやるつもりはございません。
  93. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから何%以下であるということは検査しておやりになるのでしようが、どのくらいの率で黴菌は殖えて行くかということは学者のほうではおわかりだろうと思いますが、それは予定の安全圏内の期間内にうまく配給すればいいとしても、それが延びて行くという危険もあるだろうと思いますが、それはどうでしよう。
  94. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) これは今のところ学者間の研究の結果といたしましては、黴の繁殖はその付いております米の含有水分尾とその米の置かれておる温度、両方の関係があると言われておりますが、温度のほうは相当幅がございまして、繁殖に最適の濃度は二十五度近所ということであるようであります。温度のほうは狭い幅でなくて非常に広い幅であります。普通の内地の気温程度であるならば条件が満たされておるということであります。一方水分のほうは厳格な制約、条件がありまして、学者の説によりますと米の水分が一五%乃至一五%半以上ないと繁殖しない、それ以下の水分では発育は停止した状態にある、こういうことでございます。現在米の規格といたしましては水分一四%以下ということになつておりますので、現存買つて来た米、そうしてそれの貯蔵しておる米は非常に黴の成育に至らない状態にありますので、学者の意見によりますれば、今の米の状態では特に管理が不適当のために米に湿気を帯びたということのない限り発育はしない状態に置かれておる、こう言われております。
  95. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは本日の委員会はこれで一応散会いたします。    午後零時八分散会