運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-29 第19回国会 参議院 文部委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十九日(土曜日)    午前十一時五分開会   —————————————   委員異動 五月二十七日委員松本昇辞任につ き、その補欠として瀧井治三郎君を議 長において指名した。 五月二十八日委員瀧井治三郎君及び田 中啓一君辞任につき、その補欠として 松本昇君及び長谷山行毅君を議長にお いて指名した。 本日委員松本昇辞任につき、その補 欠として榊原亨君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            榊原  亨君            中川 幸平君            吉田 萬次君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            松原 一彦君            長谷部ひろ君   委員外議員            竹中 勝男君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案荒木正三郎君外十九名発  議) ○学校給食法案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 只今より文部委員会開会いたします。速記をとめて。    午前十一時六分速記中止    ——————————    午前十一時二十四分速記開始
  3. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記を始めて、只今荒木正三郎君ほか十九名発議教育公務員特例法の一部を改正する法律案が当文部委員会に付託になりました。つきましては本法律案議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  荒木正三郎君から提案理由説明を求めます。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今議題となりました教育公務員特例法の一部を改正する法律案提案理由説明申上げます。  本改正法案教育公務員職務特殊性に基いて、大学以外の公立学校校長及び教員について、同一都道府県内におけるその異動を円滑にするため、条件付き任用特例を設ける必要があると思いまして、これを提出いたしました。  なお附則の施行期日は可及的早急の必要がありますので、公布の日から施行することとし、又現在条件付き任用中の者に対する措置をも定めております。何とぞ慎重御審議の上、速かに御賛同下さいますよう、お願いいたします。
  6. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  7. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 只今発議者を代表して荒木委員から提案趣旨説明になりました教育公務員特例法の一部を改正する法律案は、先に、即ち二月十六日に衆議院より予備審議のために送付されておりまする衆議院議員前田榮之助君ほか提案教育公務員特例法の一部を改正する法律案と同趣旨のものであり、第十三条の二の規定は表現の文字がいささか異なる点があるのみで、その目途としている点並びに改正を必要としている内容全く同一のものであるように見受けられます。そこでこの法律案はその予備審査段階で未だ質疑等はなされていないのでありまするけれども、時間の都合上且つ又この法律が当然文部当局より提案されて両院の審査に任せられ、現在の教育公務員特例法の大きな穴となつておりまする、そして又教員のために非常に不利益になつておりまするこれらの点を改正しなければならなかつた筋のものであると、かように考えます。従いまして本委員会においては全会派の賛同を得て提案された法律でありまするから、特別の質疑のない限りはこれは質疑を省略しても差支えないものと、かように考えます。私自身政府に向つて質問がありません。従いまして若し御賛同を頂けるとするならば、一般質疑並びに逐条審議を省略されることの動議を提出いたします。
  9. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 只今相馬君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。それでは質疑は終了したものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 教育公務員特例法の一部を改正する法律案について、日本社会党第四控室を代表して賛成の意を表するものでございます。  教育の向上のためには六・三制完備以来、幾多の欠陥がございますが、その欠陥を改めるということについてはあらゆる面において細心の注意が払われなければならないわけでございます。ところが地方公務員法第二十二条の条文の規定によりますると、教員転任或いは補充、そういう問題について非常な困難を伴う条件があつたことを、今日まで甚だ遺憾に思つてつた次第でございます。即ち同一都道府県内の公立学校長又は教員任用される場合に、その任用について不当な条件が付けられ、ここに人事交流の円滑を期し得なかつたという点をこの法律によつて改めることができるということは誠に毒ばしい次第でございます。この意味を以て教育を振興させ、更に人事交流に遺憾なきを期しまするこの法律を心から賛成をいたしまして、今後残されました国立学校教員人事交流についても同様の趣旨が近い将来において実現されることを心から期待いたしまして賛成意見を表するものであります。
  12. 相馬助治

    相馬助治君 只今議題となつておりまする教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対しまして、社会党第二控室を代表して賛成意思を表明いたします。  この改正案は当然なされなくてはならなかつたものでありまして、今日問題になつておることがむしろ遅きに矢すると思うのであります。即ち地方公務員法二十二条一項の規定というものは、職員の採用又は昇任についてすべて条件付のものとし、その職員がその職において六カ月を勤務し、その職務を良好な成績で遂行したときにのみ正式に任用になるものであるということを規定したものでありまして、この法律は現在の地方教育委員会任命権が持たせられたところの地方公務員である教職員任用について、この法制定当時はかかる事態を予想しなかつたと思うのであります。然るところ我々の意思に反して地方教育委員会が設けられ、教職員任命権者としてこれが相成りました結果、地方公務員法二十二条の規定がそのまま適用されることとなつて、甲村より乙村に転任を命ぜられたる教員は過去の職歴、経験年数の一切を考慮されず甲村を退職し、乙村に新規任用となり、新規任用なつた日から向う六カ月間はあらゆる意味において、法が規定するところの教員に対する保障、法に規定する保障が排除されていたのでありまして、これはまさに現在の教員に対する任命権の所在というものの、現実を無視した教員の立場からするならば、恐るべき教員に対する侮辱的な差別待遇ということに相成つていたと思うのであります。従いまして地方公務員法が制定された当時の精神においてもかかる事態を予想していなかつたのでありまして、これは全く当時の国会が錯誤に陥つて、かかる法律を布いたのではなくて、その後における政府当局の一貫しなかつた文部行政の結果がかかる事態を引起したことに思いをいたすべきであろうと思うのであります。当然文部当局よりこれを救うところの法改正意思が表明され、本院に審議が委ねられるものと期待していたのでありまするが、さようなことのなかつたことをこの際私は非常に遺憾とするものであります。衆議院において前田榮之勘君ほか百三十二名によつて同一案件改正案提案され、本院は予備審査段階であります。併しながら会期その他を睨み合せ、私どもは是非とも本法案を成立せしめたいという意味合いから、この際荒木君によつて趣旨説明されました只今法改正に対して全面的に賛成し、一日も速かにこの改正法案を成立せしめて、教育に尽瘁する地方公務員たる学校教職員の身分安定のために資したいと、かように存じます。  以上の理由を以て私は本法案に対し賛成意思を表明し、速かなる通過を期待するものであります。
  13. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ほかに御発言はございませんか。ほかに御意見もないようでございますから討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。教育公務員特例法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  15. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 全会一致でございます。よつて教育公務員特例法の一部を改正する法律案全会一致を以て原案通り可決されました。  なお本会議における委員長口頭報告内容等については例によりまして委員長に御一任願います。それから議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますので、本案賛成されたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     加賀山 之雄  荒木 正三郎     相馬 助治   中川 幸平     吉田 萬次   高橋 道男     安部 キミ子  高田 なほ子     松原 一彦
  16. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 暫く休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩    ——————————    午後一時四十一分開会
  17. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 午前に引続き文部委員会を再開いたします。  学校給食法案(閣法第一四〇号)を議題といたします。本件について厚生委員委員外議員発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  18. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 異議ないと認めます。  只今近藤管理局長が出席しておりますから、質疑のある方は御発言をお願いします。
  19. 松原一彦

    松原一彦君 私はこの委員会に出席して日が浅いので、給食に関する現状をよく承知しないものであります。この法案審議の先ず前提として、今日本で行われておりまする給食の実施の情勢を大要説明を頂きとうございます。
  20. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) それでは只今学校給食がどういう状況の下に行われておりまするか、その大要を申上げたいと思います。  学校給食が戦後進駐軍の好意によりまして給食用物資の配付を受けまして再開いたしましてから約八年ほどになつておりますが、その間漸次全国の学校に滲透いたしまして、只今では約小学校児童の半数、これは本年の二月の数字によりますると約六百三十九万、全児童が約千百万といたしましてその六百三十九万の小学校児竜学校給食を受けておる状況でございます。一口に学校給食と申しましてもいろいろな形がございます。通常我々が考えておりまする完全給食と申しますのは、パンとそれから脱脂粉乳それから副食、この三つが揃いまして行われる給食完全給食と申しまして、これが最も理想的なものでございます。理想的と申しますのは、カロリ—から申しまして一回六百カロリ—、それから蛋白が二十五グラム、その他脂肪その他ございますが、大体それを標準にいたしましてこの完全給食を普及させるということに今まで尽して参つたのでございます。而もその一回の給食の際にはパンが約百グラム、脱脂ミルクが二十二グラムという標準を以て実施しております。そこでこの六百三十九万のうち完全給食を実施しておりますのは、これも二十九年二月の統計でございますが、四百五十五万九千でございます。それからミルクだけの給食をしておりますのが百八十三万七千という統計になつております。これを昨年の十一月現在に比較いたしますと、児童総数が五百六十五万六千、その内訳を申しますと完全給食が四百二十二万七千、ミルク給食が百四十二万八千、総数にいたしましても相当増加の傾向を示しております。私ども理想といたしまして是非これを全児童にまで普及いたしたいということを念願といたしまして極力推進をいたしております。今後とも一層この学校給食の発展のために微力を尽したいと考えております。概略でございますが、只今の実情をお話申上げました次第であります。
  21. 松原一彦

    松原一彦君 関連して。只今局長から理想としては全児童に及ぼしたいということであり、一方議員提出法案を見ましても、これには義務教育に関する中学校生徒にまで及ぼしたいということが表明せられております。日本食生活のうちで粉食を奨励するという点からいいましても、米の輸入に代えて小麦粉の輸入のほうが楽でもありますので、非常に結構だと思うのでありますが、何と申しましても一方には財政という難関があり、財政を無視したる文化的要求というものは我々は観念的につい走り過ぎます。要求はいたしますけれども財政の裏付けのないのでは意味をなしませんので、慎重に運ばねばならんと思いますものの、当局が今理想として全児童、おそらく小学校だろうと思うのですが、にまで及ぼしたいというその方針を実現するとして、どのくらいな予算を見たらよろしいのか、御計画があつたらばお聞かせを願いたい。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 ちよつと答弁の前に。只今問題になつております松原委員質問等も極めて基本的なことを含んでおると思う。私どももこの給食法について質問があるんですが、ここに文部大臣が出席していないのはどういうわけですか。そのことを明らかにされて一つ松原委員のあれに……。
  23. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 今すぐ見えますから。
  24. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) お答えいたします。小学校児童千百万と申しますが、約千百万の児童と、それに合せまして中学校生徒、これは約五百四十万であります。この小中学校児童生徒に対して全部学校給食を実施すると仮定いたしますると、小麦を仮に全額負担をいたす場合とそれから二分の一補助をするという場合と分けて申上げますると、小麦と乾燥ミルク両方併せまして、全額負担する場合には二百七十八億、それを二分の一補助の場合には、その半分でありますから百三十九億という一応数字が出ておるわけであります。
  25. 松原一彦

    松原一彦君 かような数字に対して、今年の予算に盛られております農林省食管会計その他文部省が今持つておいでになる施設補助費等をいま一度明確にお示しを願いとうございます。
  26. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 二十九年度給食関係予算といたしまして農林省のほうに計上されてわりまする分は、これは小麦の二分の一補助額でございます。いわゆる食糧管理特別会計に繰入れといたしまして十七億百万、それから食生活改善利子補給金、これは脱脂ミルクに対する買入れの利子補給金でございまするが、これが約五千八百万、それが農林省所管計上の分でございます。このほかに文部省所管計上の分といたしまして、学校給食施設設備補助といたしまして五千万円、そのほか財団法人日本学校給食会事業委託費といたしまして四百万円、その他本省の事務費が若干ございますが、大体以上でございます。
  27. 松原一彦

    松原一彦君 この財団法人日本学校給食会の四百万円はどういうふうに使われておるのでしようか。
  28. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これは財団法人日本学校給食会文部省から事業委託を受けまして仕事をする場合の費用でございます。主に人件費と若干の事務費でございます。
  29. 松原一彦

    松原一彦君 曾つて文部省調味料その他についても相当大幅に援助せられた歴史があるのですが、今調味料とかその他の現物の斡旋等をやつておいでになりますかどうですか承わりたい。
  30. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 曾つて給食の際の副食に用いまするいろいろな物資、まあ調味料その他につきまして斡旋をいたしたことはございまするが、最近におきましてはそれらのことは大体給食基準がきまつて参りましたので、そういうその他の物資につきましては扱う要がなくなつたので、最近はやりません。但し農林省水産罐詰などにつきましては、これは今日も斡旋の労をとつております。
  31. 松原一彦

    松原一彦君 文部省が昨年水害或いは冷害等地方施設補助五千万円を出されたということは、非常に適切なことだと思うのですが、これが今年増加しておられるのはやはり五千万円であり、将来大きく全国的に普及するものとすれば、この方面の補助の用意がなくてはならんと思いますが、将来の計画としてどのくらいな……明年にでもなおどのくらいな増額の御計画があるか、何か年次計画でもありますならば大要をお示し頂きたい。
  32. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 学校給食施設設備国庫補助でございますが、本年は五千万でございます。将来これを拡充いたしまする場合におきましては、小学校を一万三千五百三十六校、中学校を一万七百六十八校といたしまして、それに調理室基準といたしまして十八坪の基準を考えまして、その他設備をつけまして所要の計算をいたしますると、一校当り約六十万になりますが、これの学校倍数でありますが、その二分の一補助をいたしますると約七十二億の経費が要るということになります。
  33. 相馬助治

    相馬助治君 私はこの際文部大臣に二、三の点を伺つておきたいのですが、大臣も御承知のように、天野さんが文部大臣当時、非常な意気込みを以て学校給食のことをやられまして、各学校にその設備を奨励されたのです。後にこの学校給食に関する費用予算折衝過程に殆んどゼロになつたことがありまして、その場合に農林省予算として食糧管理特別会計の中に費用が復活して、今のような形の給食が現に吉田内閣の下において行われているわけです。そこでこの今度政府が出された法律案というものが、これらの点を抜本的に整理し並びに国が学校給食のために支出することを義務付けるならば、非常に画期的な法律案になるとして私ども文部当局から、さような法律が出ることを期待したわけです。併し私どもも国の財政現状を知らないものでないので、一方的に文部省だけが勝手な理想案を立案して国会審議を委ねないことはよく了解しております。ただ問題は、この法律によると第五条の規定で、国及び地方公共団体学校給食のために努力しなければならないという一種の倫理規定が入つておりますが、国自身財政支出義務付けられるような条項がまあないわけなのです。そこで尋ねておきたいのですが、この法律を立案の過程において、農林省とどのような相談をされて来ておるか。具体的に申しますれば、行く行くは学校給食に関する費用は全部文部省所管の費目内において予算を以てやつて行こうとする一つの意図的なものを持つておるか。それとも予算支出は現在のように一方においては農林省所管で以て費用を見て、そうして運営費その他奨励費めいたものは文部省でやつて行くという建前をとつて行くか。この法律は今私があとに説明したような建前をとつているのですが、将来の問題として、これらについて農林省とどのような話がなされているかどうか、このことを先ず第一点に伺つておきたい。
  34. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 只今相馬君のお話になりましたような、従来の経過を辿つて今日の予算の形から申しますと、むしろ主食についての食糧改善というような形から来ておると思うのです。でありますから、農林省食管特別会計の中で殆んど事実上の経費はそこで出されるということは、つまり主食改善という見地に立つておる、予算の形から言うとそういうものであろうと思いますが、ただ一時学校給食問題というものが、政府考え方もあつたと思うのですが、一時ちよつと下火といいますか、勢いがなくなつてつて、近頃になつて又これが非常に一般世間でもやかましい、是非これをやつたほうがいいというふうに大体世論といいますか、一般考え方がきまつて参りました。特に昨年の大水害冷害等を契機としてこれが又強く要望せられることになつたのでありますから、私どもとしてはできるだけこの学校給食の拡充を図つて参りたい。府県の負担を少くする点においても、それから又それを普及する点においても、できるだけやつて参りたいというように考えておるわけでありますけれども、実際の面におきましては、これは予算を伴う関係がありますのと、昨年の秋以後、水害冷害関係して実は一般給食を要する学校が非常に児童数も殖えて参りました。それまではむしろ逆に幾らか減つておるような形であつたと記憶しております。丁度学校給食を進めて行く点から言えば、丁度いい機会にもなつておるのでありますから、是非そうしたいということで仕事も進めておるのでありますが、従つて又この法律案もそういう意味で提出したわけでありますが、御指摘の通りにきつぱりしたものではありません。これは予算関係、国のほうの経費支出というものがはつきり義務として政府のほうで認めるという段階に行つておらんのですから、自然まあ幾らか生温いような法律であることは御覧の通りであります。本年度予算に当りましても、私どもとしては農林省に対しては強く食管会計においてこの経費をみてもらうように要望いたしました。大蔵省のほうにおいてもその点異存はなかつたと思います。まあ併し農林省としましても主食改善という見地から、これをできるだけ増すということは無論希望しておられるのでありますけれども、御承知のように農林省農林省で、今年は緊縮予算で、農林省とすれば非常に危殆に瀕する実際は予算を編成されたわけであります。これはよその省のことですけれども農林省は御承知のように極めて補助金が多いのです。そういうものが当初殆んど非常な大削減を加えられたような関係もありまして、農林省としては勿論給食については熱心に考えてはおられますけれども、併し二十九年度予算関係においては、農林省の在来計上してあつた補助金というものが非常な初めに大削減をこうむつた、まあこれは率直に申しますと、農林省としてはそのほうに非常に力を入れておる、まあ余裕がなかつた関係もありまして、私どもが希望するような点までは農林省食管会計経費の見積りはできませんでした。これは率直にそうなんであります。併し無論その趣旨には……これは二億でしたか、これは実際言うと一昨年ですか、予算のほうは相当見ておつて、実際はその給食の実が伴わないために予算が相当大幅に残つたというような事実がありまして、必らずしも声が上つているほど実際給食というものがそれについて行く点が少いようにも思われます。それはいろいろ原因もあろうかと思うのですが、設備費についても、これはやはり或る程度負担がかかることですから、むしろ普及する点から言うと、設備費補助することがやはり一つのポイントであろうかと考えます。こういう見地から昨年の冷害、災害の当時から設備費補助というものを始めました。そうして本年度予算にはそれを計上する。できるならば、まあ食糧のことでありますから、政府考え方としましては、非常に何といいますか、無償で給食をするというようなことまではなかなか実際行かんし、それからそれについては相当費用もかかりますから、とにかく普及をすることが先決であるということで、まあ設備費補助を出すということで、今年の予算では甚だ不十分でありますけれども、そういう程度にとどまつたわけであります。農林省は勿論この問題については熱心でありますが、今申上げたようなことで、まあ私どもの希望から言えば相当に距離のある、二億程度計上でありますが、こういうことであります。
  35. 相馬助治

    相馬助治君 先ほど来申す通り、私は給食のための予算が足らんということを指摘し、これを論じたいという意思は持つておりますが、それは暫らくおいておるのであつて、現に議題となつておるこの法律そのものについて、私はやはり文部当局の見解を質したいというので、先ほどの質問をしたわけです。いろいろ丁寧なお答えがあつたのでありますが、この法律大達さんの下において出されたものであるというところに私は意義を感じておる。というのは従来の文部大臣は不幸にして閣内において発言権が少くていわゆる件食大臣が多かつた。ところが現吉田内閣における大達さんは、お世辞でなくて、非常に強力なる発言権を特たれる大臣であると私ども承知しておる。そこでこの法律が国の財政支出義務付けを或る点において明確ならしめるならば、私どもは双手を挙げて賛成しなければならんと、かように考えていたのです。ところが出たものを見ますと、国の財政支出をどこでも義務付けていない。倫理規定のような形で表現されておりますが、この法律が仮にここで成立したとして、来年の予算を猛得する面に行くと、この法律が目途とする大部分のお金というものは農林大臣が閣議において頑張つてとるお金である。文部大臣が頑張つて取る部面というものは非常に少い。そうして農林大臣がそのときの財政規模からしてこの食糧管理特別会計というものを削つてつた場合においては、それを防ぐ担保としてこの法律は何ら口をきかない。而も、食糧管理特別会計というものが国の財政計画の上から言うと、将来長きに亘つて必ずあるという費目でないことは大達さん自身が御承知だと思う。そこで私はこの法律を通すについて、国の財政支出というものに関して大蔵省並びに農林省文部大臣との間にお話があつたということを期待して質問したのですが、それについてのお答えで御努力なさつたことはよくわかりましたが、さればといつてそのことは、立法者の善意の意思はわかるけれども法律ができてしまつてからその法律が国の財政支出義務付けていないという意味で非常に残念なので、これらの点についての御見解を重ねてやはり承わつておきたいというのが第一点。  それから第二点は、今日地方財政は非常に脆弱で各地に問題を起しております。ところが、この法律地方財政負担だけは明確に義務付けている。政府提案法律としては誠に珍らしい。手前が出すほうはぼやからかしておつて、それから地方公共団体が出すほうはぴしやりと義務付けておくという、誠に何と言いますか、小利口と言うか、悪質と言おうか、まあ何と言おうか、ちよつと表現に苦しむのですけれども、見方によつては、悪意の輪をなす者に言わしめれば非常に突つ込まれる面を持つておる。そこで、政令で定めたもののうちのこの必要な施設、それから設備に要する経費、運営、こういうものはこの学校の設置者の負担であるという六条の規定を置くに当つて地方自治庁とどれだけの御相談をされたか、これを承わつておきたいのです。御承知だと思うのですが、全国知事会議がこういう決議をしております。即ち、国会地方財政の現実を顧慮せず、地方財政支出義務付けるような法律を作つてもらつては困る、こういうことを第一点に言つておる。不幸にしてそういう法律ができたときにも、事と次第によつては出すことはできないと、こう言つておる。ところが、この学校給食に関する限りは地方公共団体が苦しくなるというとこれはそつぽを向かれる危険性が非常に多いので、今全国でこの問題に関心を持つておる団体と言わず、個人と言わず、お母様がた、お父様がたは非常に文部省が出しているこの法律に期待しておるのでありまして、さような経緯に鑑みて政府部内の意思というものを明確にされたいと同時に、地方公共団体に対してどのような話をされておるか。又仮に本法が成立したならば、文部大臣としては給食設備その他について十分考慮して欲しいというような、何といいますか、懇請状というか、指令書というか、そういうものを地方公共団体に対して出されることを考慮されておるかどうか。ともかく学校給食の問題は挙げて経費の問題ですから、それらのことについて一つこの際明確にお示し願いたいと思います。
  36. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この学校給食に関する国の負担というものがこの法律においては的確に具体的に義務付けられていないという点は御指摘の通りでありますけれども、事情は先ほど申上げましたようなことでありまして、今後この点は十分努力をいたしまして学校給食の普及充実ということに努めて参りたい、かように思つております。  それから地方公共団体負担でございますが、これは無論何といいますか、或る特定の負担地方に強制して出させるという、つまり学校給食そのものが学校における法律上の義務として課せられていないのでありますが、学校給食をするかしないかはそのそれぞれの事情に基いて決定されることである。で、学校給食をするとなつた場合に施設設備に関する経費、こういうもれはこれは小学校でやることでありますから、やはり小学校設備の或いは施設の一環としてその小学校の設置者において負担する、こういうことは一応順当なる考えであろう。でありまするからして、それは学校給食をするかしないかはこれはまあ学校管理者といいますか、それぞれ関係者において決定することでありますけれども、それで、するごときまれば、やはり炊事の部屋を作るとか或いは炊爨の設備をするとか、こういうことはやはり学校施設そのものの一部と考えるというのが適当であるから、従つてそれは学校の設置者の……という点が一番合理的といいますか、常識的なものである。こういうふうに考えてこれは立案されたものであります。その場合にそれに対して国で補助をする、こういう考え方でありまして、従つて特にこれを地方のほうに了解を求めるとか交渉したということはないのであります。勿論自治庁等においては、これは政府提案でありますからして、その点は了承しておられることはこれは申上げるまでもないのでありますが、特に地方庁に、地方の団体その他に聞いてこの点に対して協議をしたとか、事前に話合いをしたということはないのでありますが、大体小学校の設置者が負担する。実際の補助で、実質の負担は別にして、負担するということが一番当を得た措置であろう、こういうふうに考える。
  37. 相馬助治

    相馬助治君 あと一点、文部大臣に対する質問は終りましたが、私は一点だけ関連して局長に聞いて置きたいのですが、管理局長にお尋ねいたしますが、法律通りますと、どういう面がどれだけよくなるのですか。これはどうもどういう効果をこの法律はもたらすのか、さつぱり掴めないのですが、これは政治的に聞いしているのじやなくて、立案の当の責任者としての管理局長から率直な御答弁を願います。
  38. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 学校給食がまあ今日まで普及されて参りまして、その際の皆様の、殊にPTAの方面の御要望等もございまして、是非学校給食のまあ基礎を強固にしてもらいたい、基礎を確立してもらいたいという要望がございまするし、又私どもといたしましては学校給食を普及させる面から言いまして、立法の基礎がありますれば、まあ非常に強い推進力になるわけであります。この際是非皆様の要望に応え、且つ又、私ども仕事を進める上におきましても立法することが至当と考えまして立案いたしたのであります。それでこの法律の条文にもございますように、国が、学校給食設備をする場合に、補助することができるという補助規定をはつきりいたしました。まあ物資の面におきましても国は小麦等について低廉な価格で出すという規定を設けております。この点が今まではただ予算上の推置でやつておりますが、今後は法律によつて立法の基礎の下にそういう予算の措置ができるわけであります。  又特にこの法律で考えなければなりませんのは第二条の学校給食の目標でございます。こは私どもが絶えずその必要性を要望した点でありまして、「小学校における教育の目的を実現するために、左の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。」という点は第二条ではつきりしておりまして、今後この目標に従いまして私ども仕事を進め、学校給食の普及充実を図るということができるのであります。いろいろな面におきましてこの法律を立案するということは極めて必要である。かように考えております。
  39. 相馬助治

    相馬助治君 大体おつしやることはわかつたのですが、ここにも給食の問題について全く私利私慾を離れて全国的に非常にまじめな運動を展開されている団体の代表のかたも見えております。私は議員としてこれらのかたに絶えず敬意を表して来たのですが、今日これらのかたがこういうことをおつしやつているのです。非常に不満な面もあるけれども、こういう法律ができることによつて毎年この給食予算が取れるか取れないかではらはらして来たものが、今度はそういうことだけはなくなると思うので、その点だけは我々は有難いと、こういうことをおつしやつておる。私はこの法律をすなおに読んでみますと、そういう熱心なかたの期待に応え得るかどうか、国の支出というものを義務付けていないので応え得るかどうか、この点非常に心配になつたものですから、今逆にこの法律ができたらどういう点がどれだけよくなるのかという質問を局長にしたわけなんです。一つこのことについてはどなたかから又問題にされるかも知れませんが、私は質問をこれだけにしておきますが、こういう要望と期待の下にこの法律が出されて審議されているということを文部大臣一つ是非御留意給わりたい。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 相馬さんのさつきの御発言に私やはり関連して一応確かめておきたいわけです。これは給食を推進するために運動していられるかたが非常にこの法律に、今の相馬委員の御発言のように期待するところ甚だ大なるものがある。けれども実際問題においては学校給食の開設に必要な施設、又はこれに要する経費の一部を補助することができる、それはもう予算の範囲内でという前提と、それからもう一つ非常に問題になるのは学校給食小麦等の代金について特別低廉な価格を定めることができる、低廉な価格を定めることができるという予算の裏付として今度食糧管理特別会計へ繰入金が十七億百万という数字を今出されているわけです。そこで一応事務的なことを御質問して伺いたいのですが、十七億百万というこの食糧管理特別会計への繰入の予算の対象となつている児童数は何人になつておるのか、一応これを先ず伺つてみたい。
  41. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 予算の積賛の基礎になつておりまする児童数でございますが、これは四百二十二万、それからそのほかに保育所がございますが、保育所が四十三万、但しこれは一週間に五日給食をするということで計算してありますが、実際は三日もございますし、四日もございますので実際の児童数が相当伸びるわけでございます。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 十七億百万の予算の裏付けになつているものが四百二十二万の小学校児童、それから四十三万の保育所の幼児、こういう内訳になつております。勿論小学校児童の中に保育所の子供が四十三万入つているが、幼稚園の子供はここに入つているかいないかは又あとで伺いますが、こういうところとは別にしてこの小麦の国際価格いうものは常時いろいろな点について変動があるわけです。その国際価格の変動に伴つて参りましてここに計上された予算というものも又常時ふくらましたり何かしなければならないという当然操作が必要になつて来ると思うのです。この場合に対象になつている四百二十二万という児童の数を減らそうとするのか、それとも予算に若干の伸縮性を持たせて、現在対象になつている小学校児童四百二十二万というこの数を絶対数としてこれを減らさないで行くのか、これは非常に重大問題だと思いますので、その辺の操作を承わつておきたいと思います。
  43. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 実際に予算に積算いたしました想定の児童数以上に給食が伸びました場合に勿論これは予算の修正と申しますか、所要の必要額を更に追加するつもりでございます。毎年大体七月にはもう一応見込の推算をやり直しいたしまして予算の金額を明確にするわけであります。若し殖えました場合に予算はこれしかないからおしまいだというようなことはいたさないつもりでございます。
  44. 高田なほ子

    高田なほ子君 私の聞き方は逆なんです。今四百二十二万という小学校の数を対象にしているわけですね、ところが国際的な小麦の変動があつた場合にこの十七億という予算では四百二十二万の児童に対する小麦を賄うことができないような変動があるかも知れない、その場合の予算というものをどういうふうに操作して行くのかということを聞いているわけです。
  45. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) そういう場合になりましたら勿論農林省と相談いたしまして予算を増します。
  46. 高田なほ子

    高田なほ子君 その場合には農林省と相談をして予算をふくらまして行くと、こういうお話ですが、それは可能なことですか。
  47. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 必ずできるということは申上げられませんが、そういうふうに努力をいたして参りたいと思います。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 努力をしても可能でないという場合にはその対象になつておる積算の基礎である四百二十二万七千名の児童の絶対数を減らして行くということも又可能じやないですか。操作をすればこれはこの給食というものは目的に書いてあることが若干運営の面においてその目的を達することができないという結果が生じやしないかという私は心配を持つておる。これはもともと学童給食予算というものを食糧管理特別会計に求めるというところにこの安定性がないことは今日まで指摘して来たところでございまするので、私は今ここで強くこの対象にした児童数を減らすようなことがあつてはならないので、こういう質問をしておるわけです。そこで四十三万の保育所の幼児の分もこの十七億百万の中に入つているわけですか。
  49. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) そうでございます。
  50. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうするとこの法律従つて十七億百万という予算が組まれておるわけですね。この法律従つて今提出されました法律の中で、どこに保育所というような内容的な言葉が含まれておりますか。
  51. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 保育所のことにつきましては、この法律には規定してございません。これは従来から厚生省との話合いで私どもで便宜一括して予算の措置を講じておるのでございます。この法律によつて新たに保育所の分が入つたというわけではございません。又三十九年度予算はこの法律前に成立しておるのでありまして、この法律によつて予算がきまつておるという筋合いのものではございません。
  52. 高田なほ子

    高田なほ子君 保育所の幼児に対して安い価額で以て小麦を売却するということは、これは非常に結構なことでございます。何もこれに対して私は反対をする必要は勿論ないわけです。こういうふうに文部予算の中に保育所の予算もここに含まつておるのに、こういうことであれば当然幼稚園の幼児に対しても同様の措置が、私は文部予算として考えるならば学統給食という目的を持つた法律の下に組まれた予算の中にこれが入つておるとすれば、同時に私は文部省としては幼稚園の幼児に対する給食補助ということも私は考えられてよかつたのではないかと思いますが、この点については何か立案過程でお話合いというものがなかつたものかどうか。
  53. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この厚生省所管の保育所の幼児に対する給食は、これは社会保障と申しますか、福祉、救済というような意味合いからこれは含まつておると考えられます。私ども学校給食一般はこれは国民の食生活改善意味もございますし、又教育意味もございまして、この点につきましては多少大いに目的が違うわけでございます。従つて義務制の小学校児童を対象にしておるわけでございます。その際に幼稚園を入れるか入れないかという問題もございます。先ほど申上げました理由によりまして教育という面から考えまして小学校児童というふうにいたしたのであります。
  54. 高田なほ子

    高田なほ子君 ついででありますが、この保育所に対する国の補助がこれは厚生関係のほうに入つておるのだと思うが、この文部予算と言いますか、こういうものに割込んで入つて来るという予算の組方というものは正しいものなのでしようか、どうなんでしようか。
  55. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) これはパンの原料である小麦と、給食用のミルクとの関係もございますので、これは物資関係でございますので農林省所管計上されております。文部省予算には入つておりません。
  56. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部省予算に入つていない、農林省予算だからと、こういうふうに言われているが、併しこの法律学校給食という法律で、この法律の目的に副うためにこういう予算が組まれたのであつて、理窟から言えば私は大したことではないけれども、筋が通るような通らないようなあやふやな面も感じられないではない、これは私の感想になるかも知れません。  それから第二点にお伺いいたしたいことは、これは小学校の分だけでありますが、中学校の問題については今後どういうふうに解決をしようとしておられますか、その点を伺つておきたいと思います。
  57. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 只今学校給食予算小学校児童でございますので、従いましてこの法律におきましては、小学校児童学校給食を実施するという規定を設けたのでございます。併しながら学校給食の効果という見地から考えますと、やはり成長発育の時期にあります小中学校児童生徒に対してこれを実施するということが適当でございます。又多くの学者の説もございますので、これは理想といたしましては中学校生徒まで及ぼすものであろうかと思つておりますが、只今のところは先ほど申上げましたように、予算小学校児童ということになつておりますので、従いまして本法律案小学校児童規定した次第でございます。
  58. 高田なほ子

    高田なほ子君 予算関係小学校にしたと言うが、併し文部省小学校だけで満足しておるというのではなくて、近い将来において中学校も実施したい、実施し得ると、こういうようなお考えに立つておられますか、特に中学校の問題について大臣にお伺いしたい。
  59. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは御指摘の通り小学校だけということになつておりますが、まあ従来とも小学校を一応対象として学校給食というものが行われております。そこで中学校にこれを拡げて行くということは勿論給食法趣旨から見ましても結構なことでありますので、そうしたいと思うのでありますが、やはりこれは予算との睨み合せの問題になりますので、現在のところでは一応小学校を対象にするということにやむを得ずそうならざるを得ないのであります。それから先ほどから農林省予算計上してあることについて問題がありますが、これは見ようによつて学校給食という法律ができればこれに必要とする消極的な経費といいますか、つまり小麦を半額負担で供給する、これから来る国庫の損失というものは、そういうものを一括して文部省予算計上するということは、これは法律建前から言つてもはつきりするわけであります。ただ一応御了解頂いておきたいことは、これは従来の沿革は別といたしまして、食管特別会計においてこれが計上されてあるということは、或る程度融通が利くことがある、文部省予算でありますと、計上せられた予算の限度以上にはこれは行かないと言う、これは当然そういうことが起ります。それから食管特別会計であれば払い下げの値段を安くするということでありますから、食管特別会計において赤字が出る、赤字が出るとその赤字の補填として十七億でありますか十八億でありますか、一応それを見積つておるのでありますから、食管特別会計において他に利益があるとか、赤字の出方が少いということであれば、或いは余計赤字が出てもその関係は何といいますか、学校給食で私どもが希望するように非常に給食が普及した結果、今あらかじめ見積つておる児童数を超えて給食を行うというような場合でもそこは融通がつく関係はある、つまり赤字が出る、そうして赤字ということは他の黒字というものと睨み合せての結果が出るわけでありますから、そこは便利な点もあります。文部省予算に三億入れておくとそれつきりで、予備費を取るか、補正予算でなければそれ以外のものは出せないというようなところから、そういう点は何といいますか、俗な言葉で言うと重宝な面があるということは一応お考え下さつていいのじやないか、征来は一応幾ら幾らと、こういうふうに見積りをして赤字の補填というものを考えて参つてつたようであります。実際の運営の結果から言うと、これまでそれをオ—バ—するということはなかつたのであります。むしろそこまで達しないという状態であつて、オ—バ—するということは、今まではなかつた。でありまするからして、この十七億の予算というものが十分まあ使いこなせると私は思つておりますが、併し、さればといつてこれで実際の問題としては、非常に足りない結果が生ずるということにならんのじやないかと思うのです。私どもの希望としては、それがいろいろな原因で給食が思うように普及しない。その一つとして、やはり設備費負担ということもありますから、そういうことを補助して、設備を進めて行くということになれば、自然給食も普及をする、普及をすれば今のきつちりした勘定でなくとも、これは赤字補填でありますから、例えば先ほど、高田さんからのお話のように、小麦の払下げ価格というものが上れば、その半額負担ということになると、丁度今の計画通りつた場合には十七億じや足りないと、こういう問題が起ります。足りない、高くなつたものの半分を措置するわけですから、それから仮に安くなれば、もつと余計やれる、こういう問題が起りますが、その点は恐らくこれは今までの経験からいいますと、残念ながら非常に普及は、それほど考えるほど普及しておらんというのが実情であります。でありますから、一応小学校における普及というものを目標として努力をして参りたい、中学校というものは、これはできれば非常に結構でありますが、まだ小学校だけでも十分な充足した状態でないのですから、一応法律としては小学校だけを対象とする。こういうことであります。
  60. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記とめて    〔速記中止
  61. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記をつけて。
  62. 高田なほ子

    高田なほ子君 今大臣からいろいろ伺つたのですが、学童給食促進協議会のかたがたはこの法律が出たことについて大変な希望を持つておられるのです。内幕を知つている私はむしろお気の毒やらいじらしいやら、何とも申上げようがない気持です。ただここで是非考慮して頂きたいことは、これは希望意見になると思うのですが、この法律の目的は食糧改善食生活改善というところにかなり比重がかかつている。学校教育ということよりはむしろそういうほうにウエイトが重いように思う。そうだとしますと、現在の定時制高校の給食問題はかなり今大きな問題として、運動しているかたがたの中には、そういう定時制高校の給食を是非実現してもらいたいという御希望が非常に強いわけです。私も定時制高校の生徒の実際を考えたときに、小学校の学童給食も必要だが、今成長時にあるあの青年になりかけの子供たちがどうぞよい環境の中で食事ができ、本当に心身ともに健康であるためには、何をさておいても先ず定時制高校のこの給食というものが、飛躍しているかも知れませんが、実施させて上げなければならない。政府は道義の高揚ということを公約している限りにおいては、定時制高校の食生活というものはこれは早急に解決してやらなければならない問題である、こういうふうに考えるわけです。この給食法案から見ると、私のこういう切なる願いというものは甚だ観念的であるように思うのです。併し私はそのことは決して観念的ではなくて、実際に実施しなければならないものだというふうに強く考えておるので、ほかから要望があろうがなかろうが、これはもう当初から我々それを考えて、議員提出法案の中にはこの項目もかなり大きく謳つてあるつもりです。大臣としては青年期にある定時制高校の不定時に食事をとらなければならない勤労学徒のための食生活改善というものに対して、何らかの方法で手を延べてやるという御熱意やら、御意思やらというものをお持ちになつておるかどうか。非常に弾力性のある、食管特別会計の運営についても幅のあるという建前から、この希望はただ単なる観念的な希望ではなくて、私は誠意があれば実現できるのではないかという気持さえ持つておりますが、大臣の御所見をここでお伺いしておきたいと思う。
  63. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 勿論定時制の学生諸君にも行き渡るということはこれは非常に望ましいことであるし、それから現状でも定時制高校のどこかでは、特に自発的に給食といいますか、学校で共同食事をしておる、これは大して多くはないけれども文部省の調べによりますと、そういうところがあるようであります。それは逆に言うと、やはりそういう学校において痛切に要望せられておるということにもなろうかと思います。ただ何といいますか、この法律なり今までの予算の建て方が、小学校を一応対象とする、これすらも実際は十分普及していないという実情であります。それは拡がるほどいいのですけれども、そこまでは手が届きかねるといいますか、中学校、高等学校等もこの対象には一応外れておることでありますから、将来は別ですけれども、この定時制だけを取上げて今これを先に小学校と同じように給食制度を作るということはやはり相当研究を要する問題ではないかと思います。
  64. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点伺つておきます。この法律によりますと、対象になる学校は「小学校、盲学校、ろう学校又は養護学校」として養護学校は入つております。一昨昨日盲ろう学校及び養護学校についての奨学金を補助する法律が満場一致で通過いたしましたが、その節質疑過程の中で養護学校という名前がここに一応対象として入つているけれども、養護学校は必ずしも義務設置でなく、政令がまだできていないから、奨学校についても養護学校というのは名前はあるけれども、実際はそれは何ももらえない、何も援護の手が延びないということがはつきりしたわけです。そこでこの法律の中にも又養護学校というふうに書いてありますが、養護学校はこの経費の一部補助或いは学校給食補助というものが受入れられる実質的の対象になつているのですか、なつておらないのですか。
  65. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 学校制度として中学校小学校、それから養護学校ということになつておりますけれども、そういう意味におきまして養護学校を加えました。養護学校の奨学資金につきましては勿論学校給食を実施するということがあると思います。
  66. 高田なほ子

    高田なほ子君 養護学校は対象になつておりますか。
  67. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) はあ、おります。
  68. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは学校教育法の二十二条の末尾のほうにありますが、一応義務にはなつているけれども、それを履行する場合には政令で定めるということになつていると思う。その政令がまだ文部省としてはできておらないから、養護学校は奨学金補助の対象にならないという御答弁があつた。だから当然これもそれと同じように、名前はあるけれども実際は何ももらえないということになるのじやないかと思うのですが、これは別ですか。
  69. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 政令はまだ出ておりませんが、就学奨励とは違いますので、学校給食というものは法律によりまして、又法律によらなくても小学校にはこれを実施するということは、現在食管特別会計の政令がございますから、それに規定してございますので、実際はやつております。
  70. 高田なほ子

    高田なほ子君 奨学校は別だといつても、国の補助について規定した法律でしよう。そうしたら奨学校も奨学に関する国の補助なんですから、同じような性格のものが法律で対象になつたりならなかつたりというのは、これはおかしいじやないですか。どうも私は納得がいかないのです。
  71. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 先ほど申しました「食生活改善の用途に供するため売り渡す麦及び麦製品に関する政令」というのがございまして、この政令の中に「学校給食を実施する小学校(盲学校、ろう学校及び養護学校の小学部を含む。)」ということを規定しております。そうして現実にやつております。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。それでは食管のほうはそれでよろしいといたしまして、「学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助する」、これに対してはどうですか。食管特別会計とは性格が違うのですね、これはどうですか。
  73. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 養護学校の小学部に対する施設設備でございますね、これは当然中に入ります。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 入りますか。
  75. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) はあ。
  76. 高田なほ子

    高田なほ子君 それじや別に問題はないです。
  77. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) 私文部委員会委員ではないのですけれども厚生委員のほうから今日はこちらに出るようにということで御承諾を得ておるわけでありますが、途中でぬけたり遅くなつたりして大変恐縮ですけれども、管理局長にちよつと御説明願いたいのですが、保育所の三十四万の児童に対する給食はどういうふうに……、この法律の文面にないものですから簡単に御説明願いたいと思います。
  78. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この厚生省所管の保育所の幼児に対する給食用の物資につきましては、文部省におきまして厚生省とお話合いの上、便宜一括して今日までお世話申上げて来たわけであります。この法律施行後も従来と同様にやはりお世話申上げるつもりでございます。
  79. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) そうすると小学校などと同じ取扱いを受けるわけですか。
  80. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この取扱いと申しますと、ただ私どもでは給食用のミルクのお世話をいたしておるだけでございます。それでミルクの量その他につきましては、これは勿論小学校児童と幼児とは発育が違いますので、その分量その他につきましては異なつておりますが、これは厚生省の御計算によりまして、私どもへ出て参ります数字を基礎にいたしまして、斡旋の手配をしておるわけでございます。
  81. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) 小麦粉のほうは全然ないわけでございますか。
  82. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 小麦粉のほうはこれは現在もそうでありますが、食糧管理法の規定並びにそれによる政令でございますか、これによりまして保育所も二分の一の補助を受けております。将来ともそれで参るつもりであります。
  83. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) それは食管のほうから出ておる小麦というのは、文部省のほうを通さずに直接厚生省に行つておるわけですか。
  84. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 直接でございます。
  85. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) それは従前通り変わらないわけですね。
  86. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) はあ。
  87. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) そうしますとこの条項で行きますと、どの点が新らしく保育所に予定した条項なんですか。
  88. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) この法律には保育所関係は全然外してございますから、法律には関係ございませんで、ただ先ほど申上げましたように従来通りお世話を申上げるということでございます。この法律には直接関係ございません。
  89. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) 実質的にも別に変わりがないわけでございますか。
  90. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 変わりがないわけでございます。
  91. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) そういうことなんですか。有難うございました。
  92. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつともう一点、一つ抜かしましたから文部大臣にお尋ねをいたしますが、僻地における学校給食という問題は、へき地教育振興法が審議されましたときにも非常に大きな問題になつたわけですが、幸いにして今回本法律案が成立するような段階に入つておりますが、ここに掲げられております学校給食設備費補助学校給食事業委託費、こういうふうに掲げてある中の設備費補助は僻地のほうに重点をおいておやりになるおつもりか、どういうようなふうになつておりますか。この設備費補助内容というものを詳しくお話下さると同時に、大臣からは僻地における学童給食を如何にして実施するかということについて、御見解を承わつておきたいと思います。
  93. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 施設設備補助でございますが、法律では一般的に給食を実施する場合の学校施設設備補助するという規定だけでございますので、地域的に僻地とか、そういつた差別はございませんから、一応私どもは全国一律に適正に配分する方針を考えております。  それからその施設設備内容でございますが、これは給食施設と申しましてもいろいろございす。一応考えられますのは、先ず一番大きなものはやはり調理室でございますが、調理室、それからこれに付帯する給食の材料倉庫、或いは調理の準備室、それから着物を着換える更衣室、或いはパン置場、或いは材料受入場というようなものを一応給食施設と考えております。それからその他設備といたしましては、これは食器類或いは鍋釜、調理台、流しとか或いは野菜裁断機、食器洗滌消毒器とか、そういつたものが一応設備と考えております。或いは粉乳の攪拌機とか、そういつたものでございます。給食設備は大体そういつたものを考えておりますが、その補助金の額でございますが、これは大体一校当り二十万円程度を予想しております。その二分の一を補助するという見当をつけておりますが、これはなお私どもで更に検討いたしたいと思います。大体一応の方針はそういうことであります。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 一校二十万円といいますと、これは全体で五百万ですか、五千万ですか。
  95. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 五千万円です。
  96. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると一校二十万といたしますと、大体何校分になりますか、計算すればわけないのですが。
  97. 近藤直人

    政府委員近藤直人君) 一応二分の一補助でありますから大体五百校です。
  98. 高田なほ子

    高田なほ子君 小学校は三万数千校あるわけですが、そのうちの五百校に、一校当り二十万円ということになると、大変これは少いと思う。そういう御説明を聞くと材料倉庫とか、調理室とか、準備室とか、更衣室とか、大変立派なものができるように思いますけれども内容から考えると甚だお情けないのだが、一つ大臣に奮発して頂いて、もう少しこれが本当の目的を果せるような方向にして頂かなければならないのですが、これを強く要望いたしますが、大臣から一つ僻地の問題についてどういうふうにお考えになつているか、この場合ですから一応伺わして頂きたいと思います。
  99. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) それは先だつての僻地振興法案関係する決議案の附帯決議の中に、その点が謳われております。この法律案といたしましては、これを特に僻地についてどうということはありません。これは僻地という特殊の事情に鑑みて予算の運用の上に、若しくは別途にこれに特別な考え方をするということにしなければならんかと思いますが、これは実は私は僻地の実情というものが甚だ暗いのでありますが、これは地方々々によつてそれぞれ非常に事情が違うのじやないかと思います。さらばといつてこれを必ず給食するようにと義務付けるようなことは、その点からいつていろいろ検討しなければ、却つて僻地にいろいろ負担をかけるというような点も起るか、或いはそうでないようにするためには、義務付けると共に特種な援助といいますか、特別な補助の途を考えるとか、何かそういうことになるのじやないかと思つております。これは只今のところでは僻地に対する給食について特別な考え方をしておるということはありませんので、これは今後研究して参りたいと思つております。それぞれの事情で、僻地において随分生活の程度の低いようなところも、経済的条件が悪いのですから、ありはしないかと思いますが、その点から一律に義務として僻地のほうに学校給食をせよというところまではなかなか行けないのじやないかと思つておる現状でございます。僻地において自発的に学校給食をする場合には、勿論この法律によつて、或いは予算による措置をとることは、同じように均霑されるということは問題はない。その点は事情をとくと調べて実情に応ずるようにした措置を講じて参りたい、こう思います。
  100. 高田なほ子

    高田なほ子君 僻地の事情はいろいろそれはまちまちでありますから、一律にこれを義務付けるという、そういうことになつて参りますと、現在の状態では無理のあることは、私も決して無理がないというようなことを申上げる気持はございません。けれども私はその僻地の学童給食という問題は実にこれは大きな問題で、六・三制の暗い谷間又その中の一番暗い谷間の中の僻地のこの問題を解決するという熱意は、大達文相お一人ではなく、現吉田内閣の閣僚が本当にこの子供のことを考えたならば、僻地の学童の実際の食生活の問題というものについては、私は本当に皆が頭を突込んで、一晩大臣たちが意気投合されるならば、私は一晩でこんなものは解決つくと思うのです。いやみを言うわけではないですが、保守合同には憂身をやつす大臣諸公が、僻地の学童たちの食生活を御存じにならず、ここに大臣質問申しましても、私なんか泣きたくなつてしまう。こういうことは私は問題だろうと思うのです。ここで余り私いやみを申上げることは必要ございませんけれども、これは是非学童給食法が、こういうチンドン屋のような恰好で法律が出まして、言えば幾多の申上げようもありますが、どうぞ一つ僻地振興法が通つた際に、又学校給食法が通るこの際に、これを転機に真剣にお取上げ頂きたいということを私は本当に強く希望いたしまして質問を終ります。
  101. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) 文部大臣にこの際お尋ねしておきたいのですが、学童の給食の中で、国民栄養の点、国民食生活の点から言いますと、やはり学校に行くまでの子供、幼児というのですか、学童前期の子供の栄養がやはり非常に重大なウエイトを持つていると思うのです。むしろこの期間の栄養というものが将来を決定するというくらいの重要性を持つておると考えております。  最初にお尋ねしたいことは、私厚生関係のことをやつて来ておりますが、この保育所、幼稚園という所管が違うこと、名称が違うこと、そうして多少内容が違うことというものから、保育所側の不便が非常に多いのであります。あたかも幼稚園に行く子供は食生活がいいような階級の子供が行き、保育所に行く子供は食生活が落ちておるような印象を大体与えておるのですが、文部省の行政として、保育所と幼稚園を一体化して、とにかくプレ・スク—ル、学童になる前の零歳から六歳までの子供を一体的に教育し、保育するという、こういう制度をお考えになつておられることはありませんですか。先ず第一点はそういうところから……。
  102. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これはお話の通りに、実際の実情から言いますると、幼稚園と保育所というものは余り区別が実質的にはないように思うのでありますが、ただ考え方が違うものですから、これはまあ申上げるまでもないことでありますが、幼稚園のほうがとにかく教育という見地から義務教育へ通う前の子供にその予備的な教育、躾をする。それから保育所のほうはやはりいろいろ家庭的にも恵まれない子供たちに家庭の温かさというものを、同じような、それに代るような施設をしよう、こういう建前になつており、従つて片一方は文部省所管であり、片一方は厚生省所管、こういうふうになつておるものですから、そういう建前趣旨が異なつておるから、これは一緒にしてしまつてということは事実上相当困難だろうと思います。ただその点は、併し実際からいうと、幼稚園と保育所というものは大して区別がないのが実情であります。そこにいろいろ不権衡の問題とか、或いはいろいろな問題が起ると思いますが、これはできるだけ厚生省のほうとも連絡をとりまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。従来私どもそういう考え方教育して参つておるわけなんであります。それで給食の問題でも、先ほど御質問がありましたが、これは幼稚園のほうにはまだ給食の制度にしても又予算にしても手が及んでおりません。保育所のほうは給食のための麦の価格を安く提供する、ミルクの世話をするということが行われておる。これはやはり片一方では社会保障的な考えで、救済的な考えだから保育所を主とする。併し幼稚園のほうは小学校を対象にして、学校給食というものを中心にして、だんだん拡充して行こう、従つて幼稚園のほうには手が延びておらん、考え方の違いがそういう点にも現われておるのであります。これはまあ厚生省としてはやはり大切な子供についての行政であろうと思いますから、これは相互によく連絡をして、それは事実上同じようなものであつても、やはり考え方の違いがある。従つてやはり割合に食生活に恵まれないような子供さんは保育所に行く。その点はやはり厚生省でも十分お考えになつて、私どものほうでもできるだけお手伝いをして、一緒に行くようにして行きたい、こう思つておりますけれども、今保育所と幼稚園を一緒にしてしまつてということは、なかなか事実上そういうわけにいかないのではないかと思うのであります。
  103. 竹中勝男

    委員外議員(竹中勝男君) よく私もその事情は大臣の言われるような意味があると、少くとも過去においてあつたわけですけれども、現在においては勤労階級というものの九割九分までが大体同じところに来ておるわけでして、教育を受ける幼稚園、それから保育を受ける保育所という差別を残す必要はない段階に来ておると考えます。それでこれがありますと、やはり虚栄から、うちの子供は保育所に入れるよりは幼稚園に入れたいというので、無理して幼稚園に入れるわけです。そうすると結局食事がやはりまずいものを、給食の必要があるものが実は幼稚園にたくさん行つて、逆にそうすると保育所というものが標準一つ低いといいますか、保育所に行つておる者は貧しい家の子供、幼稚園に行つておる子供はいい家の子供というふうな教育上の面白くない結果が今非常に現われて来ております。そのために保育所が発達しないし、又幼稚園も恐らくこれからは発達しないのじやないか。どうしても勤労階級というものは一つなんですから、それは三井の息子だとか、岩崎の子供だとか、娘さんというのは幼稚園に行つてもいいのですが、まあそれは極く少数ですから、一つこれはやはり文部省教育的な立場からも重要な教育的な問題として取上げて頂きたいと思うのですが、どうしてもこれはどちらかに、私はまあ文部省に移管してしまつてもいいし、厚生省に……学童前の子供の保育及び教育というものは内容は同じことをしておるのじやないかと思うのですが、保育所の保母さんの試験もむずかしいことになつております。私も試験委員をしておつたことがあります。資格の上からも設備の上からも、むしろ保育所のほうが非常にむずかしいのです、作る上に基準が非常にありまして。実際に必要な子供の十分の一も今入つていないのです。十分の一ぐらいです。それだけ高い標準を実は保育所は今要求されておる。そういう現実に面しておつて又国民の保健の上から言うても、栄養の上から言うても一番重要な時期ですから、教育の面から言つても一番重要な時期だと思うのです、六歳までは。これは何とか厚生省で一元化するとか或いは文部省で一元化するとか、給食のように今度こういう法律に保育所をとにかく内容的に入れておられることは我々としては有難いことなんです。ここまで来るならば一歩進めて保育所も法律の中に入れてしまつて幼稚園保育所というものを一体的にやはり給食する施設だ、児童施設だというふうにして頂きたいものだと思うのですが、まあそれが厚生委員として非常な希望、又教育の立場からもどうしても一体的に学童前期の子供というものは国が徹底的にこれは社会保障と同時に教育対象としてやる。もはや幼稚園、保育所の区別をして置く時代ではないと感ずるものですから、これは国民所得の分配の状態から見たつて一つです、勤労階級というものは。そういう点をやはり大臣の肚の中に入れておいて頂きたいという希望です。
  104. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 御尤も、誠に御尤もであります。十分研究して参りたいと思います。ただ申上げるように、これは事務的にはなかなか一緒にするといつても厄介な問題でありますので、これは私は全然同感です。おつしやつた通りに十分研究するつもりでおります。
  105. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も二、三お尋ねをしておきたいと思うのですが、初めに法律の目的の問題ですが、この法律の目的は実に大きな問題を含んでおると思うのです。その一つは、児童の心身の健全な発達に資する。それから国民の食生活改善に寄与する。これは日本の当面している私は最も重要な問題の一つではないかというふうに考えるわけです。この問題はどうしても我々が解決しなければならん大きな問題だと思う。こういう大きな目的を持つておるこの法律が、その裏付けになるのが予算的に見れば二十億足らずということになるわけですが、これは先ほど相馬委員からも質問があつたのですが、これでは大臣もおつしやつてつたように非常に立派な大きな目的は持つているけれども、その目的を実現するというのにはなかなかはまりにくいのじやないか。これにはまあいろいろな事情があるだろうと思うのですが、私はこの目的がいけないということを言つておるわけではない。やはりこれは非常に結構ですが、出発当初はこういうものであつても、今後にやはりこの目的に副うように一つ努力して行こう、順次予算も拡充しその実を挙げて行こう、こういう熱意を持つて大臣としてお出しになつているのかどうか、そういう点を伺つてみたいと思います。
  106. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この学校給食法の目的の一つとして、国民の主食の合理化といいますか、そして更には主食改善というか、米食に偏つている点を今後の国民生活において是正して行くということが一つの狙いになつているのであります。これは私の個人的な見解でありますが、急速に主食というものを或る程度変えて行くということはなかなか容易なことではないと思います。そこでやはりこれはいろいろな要素が伴いましようから、急速にこれを実現するということは今日日本の経済事情に照らして見れば非常に大切なことではあろうと思いますが、実効的に考えるとなかなか簡単なものじやない。そこで学校においても、やはりその見地から小さい時からそういうことに自然に躾けて行くということが、これは当然他の教育上の躾けとか或いは一緒に食事をして和やかな環境を作つて食事をするというような点は無論ありますけれども、その主食の点からいつて、まあこれも一つ教育……目的を持つたものでありますけれども教育であるので、ただ非常に急速の効果を挙げがたいものでありますから、私ども考えてみますると、これはできるだけ予算を取つて大規模に普及をして行くということは無論望ましいのでありますけれども、併しそれを普及したからといつて、三年、五年の間に主食改善ということが目に見えて国民生活の上に現われて来るということは、私はなかなか困難じやないかと実は思つております。これは食事の経済的な、といいますか、ハン食をし、まあバタ—をつけて食べるとかいうような経費とか家計上負担と、現在の国民の主食に対する経済上の負担の問題が恐らく一番大きな要素であろうと思います。でありますから、急速にはそこまでこの法律案が急速な効果を目途としておるとは私は実は考えてはおらない。ただ将来、国民の偏食から来るいろんな健康上の問題もあるでしよう。栄養上の問題もありましよう。或いは経済上の問題もありましよう。いろんな点から見て、これは大きな将来の一つ教育上の見地からも、そういう意味で取上げてやつて参りたい、こういうふうに考えておりますので、今後ますます学校給食というものは普及し拡充し大きな目的に向つて進まなきやならんと思うのでありますが、さればといつて、実際非常に予算をこれに計上して今急速に国費をこれに傾けてやつて行くということは事実上非常に無理じやないかと、実は率直にそういう感じを持つております。ただ事柄は極めて重大であり大切な事柄でありますから、そういう見地において一般の父兄がたなり先生がたなり或いは一般的な理解と共にこれを拡充をして行きたい。今回の法律案もその趣旨において私としては提案した次第であります。そういう方向に今後とも努力したい、こう思つております。
  107. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この児童の心身の健全な発達という問題ですね、これは私は非常に重要な問題だというふうに考えておるわけであります。特に日本人の体位を改善するという問題は、これは今後の日本の建設の上の基本的な課題ではないかというふうにまあ考えているわけなんです。而もこれは一朝一夕になし得る問題ではない。数十年、数百年かかる問題であるかも知れない。併し、国際的に見ても日本人の体位というものは決して……私は素人ですからよくわかりませんが、少くとも常識的に見て優れたものとは言えない、そういうふうな感じを強く持つております。従つて日体人の体位の改善という問題は、少くとも国策として方針を決定してそうしてそのことに努力するというほどの私は問題ではないかと思います。それを、体位の改善と関連してこの目的の第一条に児童の心身の健全な発達を図りたいと、こういうことなんですから、私はこの問題は、大臣が言われるようにそう金は出せないんだという考えではちよつと了解しがたいのです。こういう問題こそ相当な費用を出しても……勿論学校給食だけでこういう目的が達せられるとは思いません。が併し、非常な努力を要すると私は思うのです。そういう点では大臣はかなり消極的のようなお考えですが、これは一つ十分検討して頂きたいと思うのです。  それから国民の食生活改善という問題ですが、これは体位の改善と私は密接な関係があると思うのです。併し今学校給食をやつているのはまあ米が足らんから麦を食うと、そうして脱脂ミルクですか、これを飲ませた、これはこれだけで国民の食生活改善だというふうに私は考えていないのです。勿論常識的には日本は米産地帯です。米産地帯である日本であるけれども米が足らない。それを補うに麦を以てするということは、私はそれでいいと思うのですが、併し麦と脱脂ミルクを食べて、それで国民の食生活改善だというふうには到底考えられないのですがね。もつと食生活改善という問題は、この問題ももつと私は政府全般として食生活改善のその内容をですね、そういうものを一つ十分検討してその方針を立てる必要がある。そういうものと関連をしてやはり学校給食というものもおいおいそういう方向に努力する。非常に宏上りの一個のハンと脱脂ミルクでこれが食生活改善の充実だ、こう言つておるけれども、私はなかなか納得しにくい。そういう意味でこの問題はもつと私は検討してもらいたい。これは文部大臣にこういうことを要請するということは無理があるかも知れません。併しこれは二つとも日本の国策の根本に触れる問題じやないかというふうに思つておるのです。そういう点を明確にして、そうして学校給食というものをどういうふうに持つて行くかということを、もつと十分研究すべきだというふうに考えます、これはまあ若干意見ですけれども。ですからこれに関連してお尋ねするのですが、こういう目的を以てこの法律学校給食の普及充実を図る、こういつておるのですが、私は今日普及充実を妨げている一番の理由は、やはり給食費が払えないという点があるのじやないか。私の知つている学校で極く最近相当な金をかけて立派な給食設備をこしらえました。こしらえて二、三カ月立つて学校給食をやめてしまつた。そこで非常に不思議に思いましていろいろ事情を聞いてみますと、だんだん給食費を持つて来ない子供が殖えて来た、払えない子供が殖えて来た、その率が相当程度に高まつて来たのである。学校として給食することはどうも困難になつて来た、そういうことで父兄と相談の上やめることにした、こういうことを聞いたのですが、これは私は全国的な傾向ではないかと思うのです。成るほど一食分は私どもからみれば安いものです。二十円か三十円、二十円もしておらない、十四、五円じやないかと思いますが、そうするとこの一食分というのは成るほど安いと思いますが、これが一カ月分になると二百五十円になる。それに二、三人子供が行つておれば七、八百円になる、だからこの金はどの家庭でも負担するということになると相当困難であるということは十分わかります。この間文部委員会の視察で静岡県等の給食事情を調査した際に、どこの学校へ行つても大体四%か五%くらいは給食費が払えない、これは要保証児童と違います。要保護児童以外にそれくらいの生徒は払えない、こういう事情にあるということを聞きましたが、四%乃至五%というのは割合に率としては少いと思いますけれども、私はこれはよくよくの子供だと思うのです。学校給食をしてその金が持つて行けないということはよくよくだと思う。持つてつておる子供でも相当経済的に苦しい子供が相当ある、こういうふうに思われます。そういう点で学校給食というのが非常に要望されながら更にこれが発展して行かない、やつておるところも追々やめておる、こういう理由の私は一番大きな理由じやないかというふうに見ておるわけなんです。ですから、これに対してやはり対策というものがなければ、単に学校給食の普及充実を図る、こう言つてもこれは実際上むずかしいと思うのです。この問題はやはりつきつめて来ると、小麦の半額負担ということだけではやはり充実できないと思いますが、そういう点、御処見はどうですか。
  108. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私どもはやはりこの学校給食というものがいろいろその必要を叫ばれておるにもかかわらず、なかなか普及をしない、むしろ逆に減つておる、尤もまあ去年の秋の災害、冷害から又殖えると申しますか、給食児竜が多くなつて来ておりますけれども、少くともそれまではだんだん給食は減つておるという一番大きな原因が、やはり荒木君の御指摘が原因じやないかと、こう思つております。ただそういう見地から学校給食というものにいわゆる社会保障的な考え方を収入れて給食を普及するという点に実は相当難点があるわけであります。まあ政府部内におきましても、この給食費用というものについての予算というものがなかなかそう簡単に計上することができないという理由もそこにあるのじやないかと思います。これはまあいわゆる私ども現状はできることならば、まあ厚生省のほうにおいて生活保護をしておられる、そのように学校に通つておる子供がある場合には、それに対する教育費の扶助というものが行われて加算がしてあります。その中には給食費用もそれから一応計算上は見てある理窟になつておるわけです。でありますから、その方面の実情に合うように拡充して頂くということと、それからもう一つは、生活保護を受けない家庭でも、いわゆるすれすれのところであつてはこれは給食費の負担というものはそう簡単な問題じやない。だからそういう準ずるような状態にある児童については、これは生活保護を受けておらんのでありますから、従つて別途に何かできることならばその給食費の父兄負担というものを免除し若しくは軽減する方法を講じたい、こういうふうに考えております。ただ遺憾ながらなかなか実情は我々の希望に副うような状態になつていないということは、これが教育施設であるというのか或いは一種の社会保障的な問題であるというのか、そこのところにはつきりしない点があるのでありまするが、それから更にこれがただ主食改善というか米食偏重を是正するという経済的乃至は食糧政策的という点も出て来る。従つてこれが農林省食管会計で賄ういろいろこの学校給食というものの性格それからそれが国の施策として取上げられておるその考え方にまだはつきりしない点が実はあるわけです。今度のこの法律案によつてその点が或る程度明確になると思つておるのでありますが、いわば実行は別といたしまして、制度としてはまだ未熟なものと私は思つております。この法律の成立によりましてこれから給食制度というものの観念を明確にして、これを普及発達せしめて行く、こういうふうに考えております。現状は今申上げるようにあなたの御指摘の通り結局全体としての経済事情はよろしくない、これは国全体の現象でありますが、それがやはり給食のほうについても費用負担がありますから、思うように普及発達をしかねておるという実情であります。それらの実情につきましては、文部省としては文部省関係する限りにおいてはできるだけ努力をして行きたい、こう思つております。
  109. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記をとめて。    〔速記中止
  110. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記をつけて下さい。
  111. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 もう一つの問題は、学校給食を実施なさるに当つてこれをお世話をする機関の問題です。私がここで文部大臣の考えを聞いておきたいのは、私がこの間山口県へ参りましたそのときに、図らずも学校給食の問題で犠牲者が出ているのです。私は実例を挙げて甚だこれはどうかと思うのですが、あそこの保健体育課長ですか、名前は知りませんが百五十万円か二百万円使い込んだ。そういうことで司直の裁きを受けた。これはどの機関がやつても、そういう問題が起るでしよう。私は起ると思いますが、そのときに私がちよつと感じたことは、教育の、やはりこれは指導する立場にある、地位にあるかた、そういうかたが誤つてこういうことになるということは、教育上に及ぼす影響が私は非常に大きいのじやないかということをそのとき感じたのです。この問題は山口県だけでなしにいろいろ起つております。現にこの文部委員会でも、文部省に起つた問題については非常に論議されて、時の文部大臣は非常に苦慮された、これは文部省の、かなり責任ある課長等が引張られた、そこで私は現在詳しいことは知りませんが、このお世話をなさつておるのは、地方では教育委員会、中央では文部省ではないかと思つておるのですよ。これがいいのかどうかですね。学校給食が今後この規模が大きくなつて来るにつれて、やはり問題が起きるのじやないか。そういう点について、やはり私はこういうふうにしたらいいという考えがあるわけじやありません。併しこういう問題に直面すると、何とかやはり考える必要があるのじやないかというふうに強く感じているわけです。機会があればこの問題は文部大臣一つ所見を質したいということは前から思つてつたのです。丁度この法案が出ましたから、この機会にお尋ねしているわけですが、これは相当考える必要があるのじやないかというふうに思つておりますが、まあ大臣の所見を一つ伺いたい。私はこれで質問終ります。
  112. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お話の通り、やはりこういうことを取扱うというと、ややもするとそういう嫌な問題が起る余地があろうと思います。一体この学校給食ということがまだ私は制度としては殆んど体をなさんと言つちや語弊がありますけれども、あらゆる点で非常に不備なものである。成るほど占領後、こういうことが行われて来てはおりますけれども、制度として見るというと、極めて不十分、不備である。むしろこれからはつきりした形で出発すべきではないか、実はこういうふうに思つております。先ほど申上げましたように、学校給食というものは、一体どういうためのものであり、どういうものであるかすらも、必ずしも趣旨ははつきりしておらんのであります。さつき懇談で、松原委員からもおつしやいましたが、私は文部省としてはやはり教育のためという線は壊したくないという考えであります。これに教育という立場から考えられる意味での父兄の経費という点は、これは考慮を要すると思いますけれども、併しそれを更に飛び越えた社会保障というものがこの中に入つておる、或いは目前の食糧事情改善のための、主食をこれで切換えて行くという一種の食糧政策というものがこのうちに入るということであれは、私は学校教育制度としてはどんなものであるかと思つておる。先ほど荒木さんに御返事申上げた際も、学校給食制度によつて日本食糧事情を急速に変えてしまう、いわゆる食糧政策としてやるのだという考え方は、私は持ちたくない。やはり国民の栄養、或いは将来の主食改善、或いは主食の合理化という面から、やはり教育の一環として取上げて扱うべきものだ、従つてこれに非常な経費を今かけて、急速に、一挙にこれによつて食糧問題の解決を図らなければならんということは、私としては実は余ほど検討の余地があると思う。やはり教育としての学校給食という線を壊すということはいけない、実はかように考えております。給食制度といたしましては、今申上げるように、この法律によつて先ず大体、如何なるものであるかということは、はつきりしたと思うのです。そこでこれに伴つて、制度としてもこれを、逐次不備の点は整備して行かなければならん、その点から言つても、この法律案は、必ずしも完全なものでないことは、先ほど申上げた通りであります。今のような問題が起りますことも、やり方がやはり制度としてはつきりしない、そこは適宜に任されておる点があるというところに、やはりそういう問題が起る余地があると思います。実は文部省では世話をしておるのでありますが、これは団体でやつております。これはこういう品物を引取つて、それを各府県に廻すとかいうようなことは、文部省の役人の仕事としては非常に、何といいますか、不適当と申しますか、馴れんことと申しますか、団体を作つて、団体にその指導をさせるとか、この場合に、団体に対して国費を以て補助をする、これは実は今年の予算の際にはこの補助というものは削られてしまつた、私は僅かな経費でありますけれども、実は事務当局に頑強に督励をしてこれは復活してもらつたのです。復活してもらつた意味は、実情は私詳しくは存じませんが、こういう仕事は役所でやる仕事である、そしてただ役所でやることが仕事の性質上不適当だからして、これを団体にやらせる、つまり役所の仕事を団体に代行させる、従つてこれに要する事務費その他の経過というものは、官庁の事務費と同じ性質のものである、だからこれは当然国がそれを見なければならん、事務費を出すのと同じことだ、それを補助も何もしないで、団体にやらせるということは、結局地方から取扱いの経費を幾らか取立てる、頭をはねるということに結局ならざるを得ない、そこに私はいろんな問題が派生する虞れがありますから、これは飽くまでも役所の事務を代行する機関であり、必要な事務費というものは国が見るべきものであつて、手数料その他のものを取立てるとか、そういうことは結局、そうでなくても父兄は給食費の負担に困つておるのですから、仮に幾ら微細なものであつても、頭をはねるという考え方はよろしくないと思う、こういうことで実は頑強に補助費を復活してもらつたのです。私としてはさような意味で、できるだけこの点はきれいにして、そういうことの起る余地のないように、これは人間の扱うことでありますから、こういうやり方であれば全然問題は起らないということはありません、ありませんけれども、気持としてはそういうふうに、こういう問題からいろいろ変な問題が起らないように、これは公務員としても、殊に教育関係してそういう事態が起るということは、教育上から見ても非常によろしくない、そういう点から見ても今後十分政府として不備を整えつつ、そういう点について十分注意をいたしたい、こう考えます。
  113. 吉田萬次

    吉田萬次君 私はこの問題の採決に当つて賛成をいたしますが、個人私としては、この問題に対しては非常に疑義を持ち、むしろ反対の立場に立ちたい、これが若し普及徹底しました場合において、果してミルクのほうは十分に補給ができるかどうか、それから又食生活改善ということを言つておられますけれども、粒食を食粉にするという、ただその一言であつて、実際食生活改善つたら、もう少し大所高所に立つて、そして大きくこれを広く考えなければならんと思います。私はその小麦のほうは、或いは粉乳、粉食というようなものを考えておられますけれども、併し私のほうでも米産地帯もありましてむしろ小麦を使つたらば非常に高くつくというような所もありまするし、又いも類その他を利用すれば季節的にでも食生活に対する私は方策を講じられると思う。私は六百カロリ—というものを基準にしたならば、六百カロリ—を出すような方策をして食生活改善を図るべき」ものであつて、ただ小麦に依存し或いは粉ミルクを使うなんというようなことは、これは実際将来日本食生活に対して本当に貢献するものかどうかということを私は疑います。又先ほど荒木さんがおつしやつただんだん給食児童が減つて行くと言われますが、これは尤もだと思う。これは私は社会保障制度として相当考究しなければならん重要な問題だと思う。それはなぜかといいますと、お互いに働いて生活をする者というものは貯蓄がありません。そのために一日暮らすには何とかして子供を食わして行くことはできますけれども、併しながら今日三人の子供があつて一千円なら一千円の金を一時に出すというような金は私はないと思う。従つてどうかというと、給食をしてもらうがために家庭が苦しくて、給食をせないほうがむしろどうかというと、何とか引ずつて家計を維持することができるという点から考えたならば、私は将来に対して、殊にデフレ—シヨン政策であるとか或いは緊縮政策であるというようなことが標傍せられて、そうして不景気が来るという目睫に迫つた国情に対しても、食生活の解決というようなものから考えましても、将来というものを考えまして、そうしてこの方策を立てるにつきましても、これは文部省が取扱うべきものか、農林省が取扱うべきものかということに対して、私はこれは研究せねばならんと思います。今日食生活改善に対して農家では竈一つ改善したならば莫大な燃料の節約ができるといつておる。それ一つすらようやれんような今日のような状態であります。でありますから、私は理想的に問題を取上げて、そうして単純な机上の空論によつて将来をトするというようなことは私は間違つておる、私はむしろ現在、あの戦後におけるところの日本の国情において、そうして学校給食というものは確かに私は必要であつて、欠食児童に対する方策として私はいいものであると思いまするけれども、今日の国情から考えましたならば、私はむしろ給食などというものは間違つておると思う。個人としては私は今日文部省の立場から考えるのと、農林省の立場から考えるのとおのずからそこに異なつたものがあり、文部省としての今日学校給食に対する考えというものは大いに考慮せなければならんと思います。私は時間もありませんからこの程度でやめておきますが、大いにこれは大臣の御考慮を煩わしたいと思います。
  114. 安部キミ子

    安部キミ子君 時間もございませんので、私総括的に自分の感想なり又大臣に要望したいと思います。  私が昨年こちらに参りまして一年以上になりまして、殊に大臣とはいろいろな点で接触いたしておりますので、今日大臣の文教政策が、日本教育なり日本の将来にどういうふうな影響を及ぼしたかということにつきましては、大臣にもいろいろな点で反省がおありになるんじやないかと思います。と申しますのは、先ほども問題になりましたように、およそ大臣がたくさん法案を出されましたけれども、ややもすればちつとも地についていない観念的な私は法案だと思うのです。高田先生のお話のお答えでは、僻地教育の実態も十分よく知らないというようなお言葉の端に聞えましたのですが、僻地教育というふうなこと、或いは離島教育というふうなこと、私隣りの県でございますけれども、あの大臣の郷里の沖ノ島にも参りましたが、島根県でさえ僻地もあれば離島の教育に関して多くの問題を持つております。又今日のこの食生活或いは給食の問題にいたしましても、大臣の足下にもそういう問題がたくさんころがつている生活の実態を、教育の実態を大臣はちつとも把握しておられないように私は感ずるのです。そこで大臣の文教政策が宙に浮いた空転したものである。だから国民が支持しないと私はこういうふうに結論したいのでございます。ですから私簡単に最後の希望として申したいのでありますが、昨年私ども北海道の、本当に僻地と申しましようか、人間の生活ではないような実体、子供の実体を見て参りました。これが日本の我々の同胞かと思つて私は幾たびか胸に熱い思いをしたものでございますが、このようなことでも一度大臣が御覧になつたら、何とか本当にそれらの子供を中心に、この給食法案が考えられ、へき地教育振興法が考えられ、離島教育振興法或いは教育全般の方策が立てて行かれるのではなかろうかと思う次第で、願わくは私は大臣にもつと生活そのものを或いは教育そのものを今後じつくり見て頂いて、その事実の上に立つての或いは人間の本能の上に立つて、人間の実体の上に立つて大達文政というものを打立ててもらいたいと、こういうふうに考えますので、恐らくこれが最後の委員会かと思いますので、併せて希望いたしておく次第であります。
  115. 相馬助治

    相馬助治君 質疑が尽きたら、質疑を打切られるように動議を出したいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  116. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 他に御質疑はございませんか。本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  118. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  119. 高橋道男

    高橋道男君 私は只今問題になつておる政府提出の学校給食法案賛成をいたすものであります。  この学校給食の件に関しましては、本院同僚議員からも同様の件名を持ち、而も内容的には遥かに厖大なものを持つた法案が提出されておるのでありまするが、その点に関してはなお論議を残しておる点がありますので、私は只今のこの法案に対しまして次のごとき付帯決議案を上程して、諸兄諸姉の御賛同を得たいと思うのであります。その決議案を朗読いたします。    学校給食法案に対する附帯決議案  本法律案は、学校給食に関する最低基準について規定したものに過ぎない。  本委員会は、学校給食教育上、並びに国民の食生活改善上重要な意義を有することに鑑みその対象、内容施設及び設備等の充実拡張のため、将来政府が、根本的綜合的計画を樹立し、特に次の諸点について速かにその実施に努力することを、強く要望する。  一、学校給食義務教育学校及び夜間の定時制高等学校児童生徒全体に対して行うこと。  二、学校給食費の負担に困難を感ずる保護者(準要保護者)に対して適当な援助の措置を講ずること。  三、小麦粉について全額国庫補助の措置を講ずること。  四、脱脂粉乳等についても国庫補助の措置をなすこと。  五、学校給食施設及び設備の必要経費について国庫補助の増額を計ること。  六、学校給食を担当する栄養管理職員及び必要な員数の調理に従事する職員の給与費についても国庫補助の途を開くこと。  以上でございますが、この法案の第一条の目的にも示されておることは、質疑段階においても論議されたるごとく、この学校給食の問題は教育上の見地から申しましても、又将来の我が国の食糧対策、生活改善の上から申しましても非常に重要な内容を持つものだと思うのであります。そういう点からいたしまして、少年時代からこういう粉食等の慣習をつけるということは、私どもの育つて来た経験から申しましても非常に重要なことと思うのでございます。その上から現在数百万人の児童が本法案の対象になり、或いはすでに対象になつてつたのでありますけれども、なおこの法案の対象になり得ない、実際上なり得ない児童が相当多いのでありますから、この法案の第四条或いは第五条に掲げられておる趣旨を十分に徹底して行われるようにこの際希望を付加えて私の賛成討論を終るものであります。
  120. 相馬助治

    相馬助治君 只今議題となつておりまする学校給食法案に対しまして、私は社会党第二控室を代表して、只今高橋委員提案の附帯決議案を附してこれに賛成の意を表するものでございます。  質疑段階荒木高田松原吉田委員等から指摘されたことは、かような法律案が出される前提として、文教政策並びに食糧政策という立場から根本的総合的な計画の上に立つて事が運ばれなければならないということが指摘されました。私は極めて当然而も妥当な見解であると考えます。さようにいたしますると、政府提案というものは率直に申しまして未熟にして而も不完全なものと断ぜざるを得ないことを本員としては遺憾とするものでございます。第一条に、「児童の心身の健全な発達に資し、かつ、国民の食生活改善に寄与するものである」と謳つてあるのでありまするが、本政府提案はこの目的を完遂し得るものでないことは、恐らく文部大臣自身の考えの中にもかような危惧があられると私は推定いたすのでございます。少くともこの目的を果すためには国の財政支出義務付けると同時に、本法が対象といたしまする児童生徒の分野についてもより深い考慮がなされ、給食基準についても科学的な研究の所産としての計画が立案され、食改善という面からはそれぞれ農林、厚生関係等におけるところの、より円滑なる総合的見地に立つた計画が樹立され、且つ学校における設置者の施設設備に対する義務付けを明確化すると共に、これが適切なる指導補助というものが財政的にも精神的にも確実に完成されなければならないということが望まれると思うのであります。政府提案はこれらについて一応触れておりますけれども、積極的に国の支出義務付けるものでなく、且つ又任意に学校給食をするものに対しては、かような意味の指導をするという程度の立場をとつておりますることは、現実上やむを得ないとしても少くとも本法が新たに制定されるとするならば、それらの点についてより一歩計画を推し進めた立案が欲しかつたと思うのでございます。本院は永井君ほか何名か提案議員提出学校給食法案を提出されております。私どもは実はこの法律案を中心として審議を進め、政府提案のものを参考に資したいと当初考えたのでございまするけれども、国が置かれておりまする財政規模その他を考えますると同時に、不満ではありまするけれども文部当局がこの学校給食に関して立法をしようとする意思そのものを高く評価し、今後の善処をひそかに期待いたしまして、政府提案を中心として今日まで審議を進めて参つたのでありまして、議員提案に盛られた内容について我々は立法の意思を捨てたものでは絶対にないのでございます。従いまして本法案は甚だ不満の点があるのでありますけれども高橋提案の附帯決議案はそれらのものを救うという意味合いにおいて私ども同感を禁じ得ないものであります。併しながら附帯決議案は飽くまで附帯決議案であつて法律的に行政府である政府を拘束するものでないことは勿論であり、私どもといたしましては、どの程度附帯決議案に期待を持つていいのであるかということを疑念なしといたしません。特に私は会期末の今日に当つて、この法案のこの討論段階で思いますることは、参議院の文部委員会としては幾つかの重要法案に対し附帯決議を付することに一点の妥協点を見出して法律案を成立せしめて参りました。これは党派を離れまして我々は参議院の権威に鑑みても、この附帯決議案の精神が政府によつて実現されることを飽くまで期待すると同時に別な言葉を以てするならば、厳重に監視しなければならない義務を負うものと期待するのであります。免許法において然り、僻地教育の問題において然り、只今問題になつておりまする学校給食法案について然りであります。私どもはかような意味合いにおきまして、是非共この附帯決議の精神を大達文相はしみじみと体得され、次の機会において、より完全なる学校給食の方途が立法の面においても実際の予算獲得の面においても講ぜられんことを全国民の名において、且つ又学校給食に関して真執なる運動を続けて来られた各団体の有識者の努力に対しまして、且つ又将来の日本を背負う子供たちのためにも要求してやまないものであります。以上希望条件を述べまして、附帯決議案を付して本案賛成するものであります。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は社会党第四控室を代表いたしまして、只今審議されておりまする学校給食法案に対しまして、高橋道男委員御提出の附帯決議を付しまして賛成の意を表するものでございます。  憲法第二十六条はすべて国民はその能力に応じて教育を受ける権利を有する、このような精神の下に教育の機会均等を規定しております。学童給食の精神は、明らかにこの憲法二十六条の精神を旨として教育の機会均等の実現の一環としてこれが行わなければならないことは大臣の御答弁の中にも明確に示されておる通りでございます。併しながらこの過程において、国民の食生活改善という問題も出て来るのでありますが、要は児童の心身の発達を教育的に守つて行く、ここに主眼が置かれなければならないのでございますが、ややともすれば今日までの学童給食の経過から考えまして、こうした精神が逐次後退していることを甚だしく遺憾に思うものでございます。併しながら今日国民各位は漸く教育に対する関心を深め、なかんづくその中で最も国民的関心を深めているものはこの学童給食問題でございます。国民の大多数は、無条件に学童給食賛成する数は、一部の統計によれば八四%という高率を示していることは、これは忘れることのできない私は数字であろうかと思うのでございます。今日の学童給食は、ただ単に一部の貧困児童を対象にしたり或いは特定の者を対象にしたりするのではなくて、日本の生産の基礎になるもの、その基礎こそがこの学童給食の中に織込れているという日本再生産の基礎をここに求めるという非常に大きな問題であればこそ、今日各員の中にはこの未熟なる政府提案法案に対して、真剣なる論議が交わされたということは論を待たないところであろうと思うのでございます。私はしみじみここに七年前のことを思い出すのでございますが、大達文部大臣はややともすれば教員組合に対して冷い批判をされて参りました。敗戦後のあの食糧事情の困難な中において学童が如何にみじめな状態において学習し、教師が如何に困難な食糧事情の中に児童を守つて来たか、当時私は教壇の一教師として教員組合を通して初めて日本に学童給食実施の呱々の声をあげた張本人の一人として、今日この法案に向いまして思い新たなるものがございます。ここにお見えの荒木委員も、当時教員組合の委員長をされておつたのでありますが、なかんづく二十五万の婦人教師は、本当に子供のためにすべてを忘れまして何とかして子供たちの心身を守り抜きたいと全国的な署名運動を起したことは、私は今でも胸の熱くなるような思いがしてなりません。マッカ—サ—のおられる所へ直接参上をし、バンカ—大佐に会いまして、我々は体当りを以てガリオア物資を獲得した。この歴史を我々は忘れてはならないと思う。併しそれからのち六年、七年たちましても、依然として学童給食は発展せず、その間国民の熱烈な運動に支えられて、漸く消さば消えなんとするような学童給食が今日まで続けられて来たことは、本当にこれは国民の熱意がここにあるのだということを文部当局は三省、四省して、この法律提案を機会にして心を締めて国の声に耳を傾けてもらいたいものだと私は思うのです。私は昨年ヨ—ロッパ並びに北ヨ—ロツパの各国の学童給食の実情を視察して参りました。或るところは無償であり、或るところは有償でありました。けれども学童給食の問題についてはいずれの国といいましてもすべて誠心誠意児童の心身の発達のために、その国の真の独立のために、深い愛情と誠意がここに注がれているということを私はこの眼を以て見てとつてつた。併し振返つて見るときに、今日の日本の学童給食の問題を単なる一枝葉末節の問題としてきり取上げられておらない。即ちこういう精神の持ち方によつて出て来ました本法案でありますから、科学的な基礎も持たなければ、現実問題を解決しようという熱意もなければ、ただ単に我々の参議院としての良識がここに心からなる附帯決議が出されたというのに過ぎないということは誠に私は申訳ない次第であると思うのでございます。今日国民の運動が盛んになるにつれて、本法案の提出を心から願う各位は今日も本委員会に参られまして、どうぞ一時間も早く上げてと仰せられておりますけれども、つらつら考えてみれば、誠にこの内容はプアなものである、チンドン屋の広告と余り違わないという私は悪態をつきましたけれども、我々学童給食運動の実施に当つて参りました者は、そういう誠に言いようもない憤りの気持を以てそういうことを言わざるを得なかつたのであります。附帯決議はややともすれば法案が通過するときお体裁的に作られる場合が多いのです。而もこの附帯決議が完全に実施されたという例を私は不幸にして知らないのです。どうぞ日本の二千万の児童のためにこの学童給食法案に附けられました附帯決議は国民の声としてこれが実際に実施されまするよう、特に私は僻地教育並びに定時制高校の恵まれない谷間にある児童をどうぞ念頭において、これが将来閣僚一致の盛り上つた気運の中に、子供のためによい解決が得られるということに一縷の期待を託しながら討論を終ります。
  122. 中川幸平

    中川幸平君 自由党を代表いたしまして本法案賛成の意を表します。なお高橋委員提案の附帯決議に賛成の意を表したいと存じます。先刻来質疑段階において各委員から指摘された通り、本法案内容に非常に不徹底な点のあることも存じまするが、国家財政現状からいたしまして、やむを得ん事柄と了承いたします。併しながら国家将来の食生活改善或いは幼児の体位の向上或いは父兄の手間というような点から考えましてどうしても完全給食を実施してもらいたいという意見の一人であるのであります。仮に小学校だけを完全給食いたして半額負担をいたしましても相当な金額になるのでありまするが、学校給食を対象として新たな財源を考えても決して国民の非難を受けることはないと存じます。これらの点を十分お考え下さつて先刻相馬委員も言われた、ごとく大達文相の政治力によつて何とかその点を実施して頂きたいという要望をいたしまして本法案賛成の意を表する次第であります。
  123. 松原一彦

    松原一彦君 私は参議院の改進党を代表して本案に対する賛成の意を表します。併せて附帯決議にも賛成いたしますが、私は将来の日本の学童が学校に行く時には弁当を持つて行かないですむ時代の来ることを熱望いたします。冬に温かい雑炊でも食べられ、温かいうどんが給せられ、それぞれその土地のものが豊かに貧富の区別なく一堂で以て子供の腹を満たすという時の来ることをば望んでやまないものであります。この理想は貧乏人は麦を食えというところからは生まれないのであります。さつき文相が無償ということについては疑義があるということのお話がありましたが、私はこれに賛成いたしません。やりますならば社会理想としても無償であつて欲しい、富貧の差別があつてはいけない。貧乏人にだけ恵んでやるという思想から、守校給食が行われてはならないと私は思うのであります。さような意味におきまして私はこのような問題は濫設してはいけない。よほどの計画性を持つて総合的に国策の一環としてやられるものであつて欲しいと思う。殊に日本は今貧乏であります。その貧乏の中から復興せなければならない大きな責任を持つておる次第であります。英国の国民があの戦後の食生活に耐乏をみずから励行して、そうして今日を築いて行つておる。  西ドイツの復興の状態から考えましても日本現状は衣食住共に余りにめちやくちやであります。少しもそこには全体的考慮が払われておらんと思う。一方には非常な華美な生活をする者がある裏には欠食児童がおびただしく現われており、一家心中が現われて誠に悲惨な現実であります。かようなことは我が民族の今後復興して行く姿とは思われないのであります。かような面から見ましても文部行政のあり方は私はよほど考えなければならんと思います。徒らに間口を拡げて世におもねるような看板だけであつてはならんと思う。  世に抗してつかむべきところをば重点的につかんで、それが年次計画的にじりじりと上つて行くものであつて欲しいと思いますので、私どもが私は教育者の出身でありますが、どうかして平和なる文化国家の基調をば教育に置きたいと思つて出て参つたものの一人であります。従つて本当に有効な適切な計画的な文教行政が行われますことを祈つてやみません。そのためには我我は文部大臣の後を押すことにやぶさかではないのでありますが、どうぞ御計画の上には冷静に長き将来のために現状を把握せられて、前進的な而も計画のある政策をお打ち立て下さるように希望してやみません。給食問題は実に重大でございますが、ここに現われておるものではこれは殆んど問題にならないのであります。けれども、大きな理想は急に実現しませんから、この緒の上に立つて徐々に充実の行われまするように期待いたしまして、私は一応本案賛成の意を表するものでございます。今後共にどうか大局から見たる計画を是非お立て頂いて、そうしてそれが財政の裏付けのできるようなものにして空疎なる名前だけの間口に終らないように切望いたすものでございます。
  124. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 他に御発言はございませんか。他に御発言もないようでございますから討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。学校給食法案全部を問題に供します。本案賛成のかたの御起立を願います。    〔賛成者起立
  126. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 全会一致でございます。よつて学校給食法案全会一致を以て原案通り可決されました。  次に討論中にありました高橋君提出の附帯決議を採決いたします。高橋君提出の通り附帯決議を附することに賛成のかたは御起立を願います。    〔賛成者起立
  127. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 全会一致でございます。よつて高橋君提出の通り附帯決議を附することに決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容等については例によりまして委員長に御一任願います。  それから議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますので、本案賛成されたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     荒木 正三郎  相馬 助治     中川 幸平   吉田 萬次     高橋 道男   安部 キミ子     高田 なほ子  松原 一彦     長谷部 ひろ
  128. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十七分散会