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1954-11-18 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十八日(木曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            荒木正三郎君    委員            大谷 瑩潤君            木村 守江君            剱木 亨弘君            郡  祐一君            中川 幸平君            加賀山之雄君            安部キミ子君            矢嶋 三義君            紅露 みつ君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会專門    員       竹内 敏夫君    常任委員会專門    員       工樂 英司君   説明員    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   参考人    福島県知事   大竹 作摩君   福島総務部長 八島喜右衞門君    島根県副知事  本山 修策君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件(地方教育財政に関する件)  (大学制度並びに高等学校教科課程  に関する件)  (文部省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこれから文部委員会を開催いたします。  先ず参考人の件についてお諮りをいたしますが、昨日決定いたしました福島県の副知事が御都合によつて欠席いたしましたが、福島県の知事大竹作摩君から意見を聞くことにいたしたいと存じますが、御意見ございませんか、    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀末治

    委員長堀末治君) それではさよう決定いたします。  先ず地方教育財政に関する件を議題といたします。本日は参考人として只今決定いたしました福島県知事大竹作摩君と昨日決定いたしました島根県副知事本山修策君が出席されておるわけであります。先ず参考人のかたから地方教育財政、特に教育職員定期昇給等給与実情をお聞きいたしたいと存じます。それでは福島県の状況について大竹君から御説明をお願いいたします。
  4. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 私は福島県知事大竹作摩であります、極く最近母を亡くしまして十三日に葬儀を了えましたような次第で、まだ喪中にありまするので、参考人として喚問を受けまして副知事が代つて出頭するよう手続をいたしておりましたところ、急に副知事が出られない事情にありまするので、それでは参議院に対して相済まないと存じまして出て参つたような次第でございます。  一応概要を私から申上げまして、総務部長が参つておりまするので、詳細の点は総務部長より御説明を申上げたいと思います。私から本県教育財政についての概要を申上げたいと思います。  先ず第一は教育費本県財政上如何なる地位を占めているかということであります。昭和二十五年度決算額は六十三偽円であります。このうち教育費は二十億円、約三三%を占めていたのでございます。これが昭和二十六年度においては三四%、昭和二十七年度においては三五%、昭和二十八年度においては三二%、昭和二十九年度は現計予算において三四%ということで、五十六億で、本県財政上重要な地位を占めておるような次第であります。  第二は教員数の問題でございますが、この前提となりますものは中小学校学級編成でございます。  小学校昭和二十七年度において四一・二人、全円平均は四三・一人。二十八年度は三九・七人、全国平均は四二・九人となつております。学級編成規模が縮小されましたが、財政上の影響から二十九年度においては四〇・三人で、全国平均が四三・五人で、編成規模が若干拡げられたのであります。  中学校につきましては、二十七年度、四二・四人、全国平均は四四・七人、二十八年度においては四二・七人、全国平均は四四・九人。二十九年度、四四人、全国平均四六・一人となつておりまして、年々学級編成規模が大きくなつて来ており、全国平均もこの傾向を示しております。  本県の場合は、北海道を除きまして全国第二位の広大な面積を有しておりまして、山間僻地が多いために、学級編成は勢い小さな規模とならざるを得ない状況にあるのであります。一方教員数は、一学級当り教員数小学校においては二十七年度一・二七人で、全国平均一・二五人を上廻つていたのでありますが、二十八年度は一・二四人、全国平均同様であります。二十九年度も一・二二人で、全国平均と同様であります。  中学校につきましては、昭和二十七年度一・五九人、全国平均一・六二人、二十八年度一・五九人、全国平均一・六〇人、二十九年度一・五二人、全国平均一・五七人と、いずれも全国平均を下廻る状況にあるのであります。  以上のように面積僻地関係から学級編成規模が小さく、従つて教員数全国平均よりは、多少は多くなつているものと考えられます。小学校から中学校に対する進学率は殆んど一〇〇%近くでありまして、完全に近く義務教育か行われているものと思われますしなお高等学校に対する進学率はその施設の拡充と相まつて、昭和二十七年度三八%が二十八年度においては三九%、二十九年度五〇%を示して、教育の機会は均等化されて参つておるような状況でございます。  次に教員給与について申上げます。本県においてはまだ四月一日の昇給を行なつていないのでありますが、小学校教員給料単価は一万四千九百八十四円で、神方財政計画単価に比して三百一円低く、中学校教員においては一万六千十八円で、二百九十八円高く、高等学校教員においては一万九千十円で三百九十二円高くなつておる状況でございます。小学校教員給与単価が低いのは助教諭のものが中学校よりも多くいる結果であると思うのであります。中学校高等学校地方財政計画単価から見れば若干上廻つておりますが、実給与全国平均比較すると、若干低いのではないかと考えられるのであります。  次に第四点としては、地方交付税算定におけるところの教育費基準財政需要額との関係でございますが、昭和二十七年度においては約七億円、二十八年度義務教育国庫負担制度実施の年においては約四億円、本年度におきましては約七億円が基準財政需要額超過しておる次第であります。このうち義務教育費において超過している額は二十七年度四億五千万円、二十八年度が一億四千万円、本年度は三億二千万円が超過なつておる状況でございます。教育費中、人件費がどの程度なつておるかと申しますと、二十七年度は八九%。二十八年度は八八%。二十九年度は八九%と、殆んど大部分人件費でありまして、基準財政需要額超過原因教員給与費がその主なる内容をなすものであり、学級編成規模の小さいということがその原因であると思われるのであります。  以上が教育財政状況でございますが、ここで昇給昇格の問題について申上げたいと思います。本県は一月一日昇給財政関係から六月に実施いたしまして、四月一円以降は処理方策を割るために延び延びになつておりましたが、過般県で設置いたしております財政審議会を招集いたしまして、現行規定通り実施方針決定いたしたのであります。人件費総額は現予算中三九%を占め、年々財政の重荷となつて来ておりまするので、予算編成上は人件費をどうするかが先ず考慮されねばならない問題となつて参つたのであります。  一方歳入のほうにおきましては、制度改正後、農業県の通例でしようが、その伸張度が誠に低く、県税は約十七億円で、総予算の一割足らずであります。而も前年度に比して微々たる増加でありまして、国庫に依存する度が非常に高いのであります。ところが普通交付金は前年度よりも減少し、県税は伸びず、警察制度は引受けるという、財源措置は不足ということで赤字処理に腐心いたしておるような次第でございます。  以上概要を御説明申上げたのでありますが、数字点等につきましては総務部長が参つておりますので、御質疑等に対して総務部長から詳細に申上げたいと思います。
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に島根県の状況につきまして本山君から御説明を願います。
  6. 本山修策

    参考人本山修策君) 只今御紹介を頂きました島根県の副知事をいたしております本山修策でございます。島根県におきまする教育財政の問題並びに教職員かたがた給与の問題につきまて現況を御説明を申上げたいと存じますが、教育財政の問題並びに教職員かたがた給与の問題は、県財政全般の問題並びに県財政によつて賄つております人件費全般の問題と関連いたしますので、そのほうに触れながら状況を御説明を申上げたいと存じます。  先ず最初高根県におきまする教育現状につきまして、極く簡単に御承知おきを頂きますことが、御理解を頂きますことに便宜かと存じますので、極く大ざつぱに現況を申上げるのでございますが、現況を申上げますと同時に、島根県におきまする学校教育特色と申しますか、学校編成特色につきまして併せて御説明を申上げたいと存じます。  島根県におきまする小学校現況は、学童が十二万六千二百八十三人でございまして、学校数が、本校が三百六十九校、分校が九十二校になつております。それから教職員の数が定員におきまして四千二十五人、それから中学校児童数が五万八千二百八十三人でございまして、本校が二百に分校が十五、教員数が二千三百二十六人ということに相成つております。それから高等学校が、生徒数が二万九十九人で学校数が全日制が二十五校、定時制本校のほうが併設校といたしまして九校、分校が十六校、教員数が千二十四人という状況に相成つております。大体現況はさような状況でございまして、島根県の地理的な条件、人口密度の問題から特色が現われておるのでございまして、島根県の人口密度は大体百三十八人でございまして、全国平均二百五十人に比べますと非常に密度が低いのでございます。従いまして学校規模から申しますと、学校編成が非常に小さいのでございます。例えば一学校当り学級数が、私ども財政の面から、政府交付税裏付に、対象に考えております学級編成比較をしながら御説明を申します。一学校当り学級数昭和二十九年度年度におきまする状況は、政府の見ております学級数小学校では十二、島根県におきましては七・一二になつております。それから中学校交付税対象になりますのが七学級でございますが、高根県は六・五七学級なつております。それから一教員一人当り生徒数が、小学校では交付税対象になりますのが三三・七五でございますが、島根県は三一・三七、中学校交付税対象になりますのが二七、島根県は二五・〇六ということに相成つております。それから一学級当り生徒数が、交付税対象になりますのが四五、島根県は三八・四。中学校交付税対象になりますのが四五、島根県は四〇・八七、それから一学校当り生徒数でございますが、小学校交付税対象になりますのが五百四十、島根県は二百七十四。中学校交付税対象になりますのが四百五、島根県が二百六十八というような状況でございまして、只今状況でおわかり頂きますように、小規模学校が非常に多いのでございます。而も学級編成から申しましても、一学級当り生徒数が非常に少いのでございまして、ということは同時に教員の数が全国平均に比べまして非常に多くならざるを得ないという現状に相成るわけでございます。更に特色といたしましては、島根県の教員構成でございますが、島根県におきまする教員構成助教諭が非常に少いのでございまして、小学校におきまする教諭助教諭構成状況は、パーセンテージにいたしまして小学校教諭が九一%、助教諭が九%、中学校教諭九六・八%、助教諭が三・二%ということに相成つておるのでございまして、教員構成は非常にいいほうの部類に入つておるのでございます。従いまして給与の面から考えますと、給与額膨脹をするという一つの原因に相成つておるわけでございます。  次に教育費県財政全体におきましてどういう比率を占めているかということも触れておきたいのでございますが、二十九年度におきまする島根県におきまする財政規模は大体現計予算におきまして七十九億でございます。七十九億でございますが、その中には通常の財政規模として考えます場合には不適当なと申しますか、事業を町村から委託を受けておりますとか或いは電源開発に伴いまする保証工事委託を受けて事業をいたします経費を計上します関係上、二億数千万のさような経費がございますので、それらを差引きますと、大体島根県の現計におきまする財政規模は七十六億五千五百万程度が現計予算におきまする財政規模であるということに相成るのでござまいす。そのうち教育費につきまして二十九年度におきまする只今申上げました七十九億を対象にいたしました場合が二十三億に相成つておりますので、パーセンテージにいたしますと大体三〇%、七十六億五千万の、只今申上げました財政規模から申上げますと三二・三%に相成るかと考えております。従いまして教育費の全財政規模におきまする比重は非常に大きいのでございます。而もその教育費内容につきましては、その大部分給与費に該当いたしておるのでありまして、七十六億の規模に対しまして三十一億が給与費になるわけでございます。その中で教職員関係給与費は大体二十一億ということに相成つておるのでございます。従いまして全体の規模に対しまするパーセンテージは、大体二七%五三程度に相成るのでございますが、更にこの見方を変えまして、いわゆる純県費という見地から考えまして、この教育費がどういう比重を持つているかと申しますと、私どもの県の、本年度におきまする純県費は、大体三十一億が現在赤字を込めましての財政規模に相成つておりますので、その三十一億の規模から考えます場合におきましては、大体人件費総額といたしまして、教育職員の比布が六七・八%に相成ることになるわけでございます。従いまして、その他の人件費を加えますと、非常な比重人件費が持つているということがおわかり頂けることと存じます。  それから次に、只今申上げました七十六億に対しまする財政規模に対しまして、現在の財源措置から、言い換えますならば財源裏付け見地から考えました場合に、県財政の全体がどういうなふうになつているかということを一応触れておくことが必要であろうかと存じますので、お話を申上げたいのでございますが、県財政全般は現在決定をいたしまして交付税並びに入場譲与税或いは県税は、これらを総合いたしまして、総合計で約二十五億の二十四億九千九百八十一万という数字になりますが、この二十五億に相当するものが現在の確定財源ということに相成るのでございます。従いまして先ほど申上げました本年度県費として必要といたします三十一億と比較いたします場合には、約五億六千万程度赤字を背負い込んでおるということになるのでございます。更に前年度の実質的な赤字が四千万ばかりございますので、合計をいたしますと現計におきまして約六億の確定財源裏付けにいたしまして予算編成しておるというふうな状況でございます。更に三十一億に対しまする純県費が、どういうふうに県財政において教育予算その他の関係から使用されておるかということを触れておきたいのでございますが、三十億のうちで人件費に該当いたします、言い直しますと、人件費の基本給、手当、共済組合交付金或いは恩給費退職給与金その他を合計いたしますと、大体所要額が二十一億七千六百十八万になりまして、純県費の中の七二%を占めるのでございます。それに更に交際費と申しますか、県債の償環の経費、その他生活保護費結核予防に必要といたします経費、或いは身体障害その他につきましてのいわゆる法律上の義務費を計上しなければならんのでございますが、これらを合計いたしますと二十六億四千三百四十一万八千円ということになりまして、大体二十一億の純県費に対しまして八六・八%というウエイトを義務費が占めておるということになるのでございます。従いまして一般事業に充て得る純県費は僅かに四億二千万ということになりまして、パーセンテージで申上げますと一三・二%ということに相成るわけでございます。先ほど申上げましたように、この純県費の三十一億のうちで約六億の赤字を抱えておるわけでございますので、確定財源といたしましては、約二十五億が現在確定をいたしておりますので、先ほど申上げました義務費に必要といたします二十六億四千万を賄います上におきましても、なお且つ確定財源では足りない、義務費を賄うのにも赤字を背負い込まなければならんというのが、現在の島根県におきまする財政現状でございます。そこで教育予算並びに一般人件費予算計上当りましての当初の方針を申上げたいのでございますが、以上のような状況に相成りますことにつきましては、年度中途におきまして、のちに触れますが、多少情勢の変更がございましたので、赤字が殖えておるのでございますが、二十九年度予算編成当りまして、政府の示しました算定方式によりまする交付税その他の確定財源に該当いたします経費を計算をいたしまして歳出と睨み合せます場合に、二十八年度規模比較をいたしましてもなお且つ約三億七千万程度赤字が当時予想をせられましたので、私どもといたしましては二十八年度規模を維持することが精々であるという基本的な方針をとらざるを得ない状態に相成りまして、教育費に関しましてもそうでございますが、一般人件費につきましては、過般べースアップがあつたのでございますが、それを除きまして、二十八年度の二十八年末における現員現給を基礎にいたしまして、教育職員につきましては、いわゆる三本建の編成をし、更にそれにべースアップをいたしまして、二十九年度給与に関しまする財政規模といたしたのでございます。併しながらさような方式をとり、更に需用費旅費等につきましては、前年度の二割減の節減方式をとりまして、更に事業費につきましては、先ほど申しましたような状況でございますので、六割の規模圧縮をいたしまして、二十九年度予算編成いたしたのでございますが、さような方針編成をいたしましても、なお且つ三億七千万の赤字を計上せざるを得ないような状況に相成つたのでございます。  そこで昇給財源の問題でございますが、前年度給与予算編成におきましては、二十八年度財政規模をそのまま二十九年度規模にいたしましたので、私どもはできるだけ昇給財源につきましても、持出しを少くするという見地から、当時島根県におきまする教員構成から見まして、又教員給与の現給の実態から勘案いたしますと、全国平均よりも相当給与が高くなつておりましたので、このままに放置する場合におきましては、更に二十九度に人件費膨脹を見なければなりませんような実情にありましたので、年度末に一億二千万のいわゆる勧告退職によりまする退職給与金を出すことに方針をきめまして、一億二千万の予算を以ちまして大幅の新陳代謝教育委員会のほうにお願いを申上げまして、実行することにいたしまして、その結果平均単価を切り下げることに努力をいたしまして、教育委員会の協力を得まして、結果といたしましては一億二千万の退職金を支出いたしましたが、約六千五百万の単価差が二十九年度に出て来るというふうな結果に相成りまして、その面におきましては、非常な成果を得たのでございます。そこで六千五百万の単価差が出ましたので、私ども教職員の数から、又教職員の現給から見まして、政府財政計画上予定いたしておりますいわゆる二・五%相当額昇給財源というものは、私どもの県に直しますと、大体三千五百万程度がそのパーセンテージに該当する金額でございますが、その見当の金額新陳代謝をいたすことによりまして単価差によつて出て参ります金を、その財源裏付にするということにいたしまして、特にその単価差によつて出て参ります予算を削減することをやめまして、その代り三千五百万程度昇給財渡を追加計上することを、これもそれと見返りに計上いたしませんで、先ほど申上げましたような編成をいたしたのでございます。結果的に申上げますと、六千五百万の単価差が出ましたので、二・五%相当額昇給財源が出たわけでございますが、さような状況に相なつておるのでございます。  なお昇給実行状況でございますが、島根県におきましては、制度的に先ず申上げておきたいのでございますが、昨年度末に県条例を制定いたしまして、文部省から示されました条例案に則りまして、教育委員会地教委の協議の結果でき上りました案に基きまして、条例に基く給与体系が確立いたしましたので、その条例に基きまして現在昇給実行いたしておるのでございますが、四月の昇恰につきましてはすでに実行済みでございますが、七月の昇給につきましても既定予算只今申上げますような状況で、現在三千五、六百万程度の金は現状で生み出せるという見通しがつきましたので、七月昇給につきましても県職或いは警察職員等との関連等も考え合せまして、いずれも公平な予算の範囲内におきまして七月昇給実行することに教育委員会話合いがつきまして、只今その準備中でございます。なお昇給財源金額は、只今申上げますように教職員財源は三千五、六百万程度でございますが、この中には昇給のほかに多少教諭から教諭資格ができましたかたとか、或いは教諭から校長になられたかたとかいうふうなかたがたのいわゆる昇格資格、任用による昇格はその金で実行できるような状況に相成つておりますので、この点も七月昇給と同時に実行されることに話合いがついておるのでございます。なお三千六百万によります昇給実行程度は、大体完全昇給を標準にして申上げますと、その八〇%程度実行できるということになりますので、県職警察その他各職場毎に大体八〇%前後で七月昇給を実施するということにいたしまして、目下準備中でございます。  それから年間昇給に対しまする知事としての考え方を一言申上げておきたいのでございますが、最初に申上げましたように、只今計上いたしております。二十九年度予算は、非常な前年度規模圧縮を加えた予算でございますが、編成当時三億七千万の赤字を抱込み、更に皆様御承知であろうと存じますが、交付税の配付に当りまして、当初政府の示しました算定方式によります場合と、今回の普通交付税決定額によります金額とに非常な食い違いがございしまして、島根県におきましては調整率を掛けました関係上、約八千万の減額になつたのでございます。更に課税の、県税過大見積りが約六千万程度ございまして、一億四、五千万の更に赤字を背負い込まなければならないというような事情変更年度中途に起きて参つたのでございます。更に七月には警察府県警察編成替えをするというふうなことで、更に警察関係で七千万円の赤字を背負い込むというふうなことになりまして、先ほど申上げましたような六億の赤字を現在背負い込んでいるのでございますが、この六億の赤字の克服の問題につきましては、私どもできるだけ県自体といたしまして、更に節減をやり得る限度につきましては、積極的に節減を企図いたしまして、私ども現在は当初予算において節減を見込みました上に、更に一億五千万の節減計画を立てまして、只今六億の赤字を四億数千万に圧縮をいたすべく努力を重ねているのでございまして、その結果といたしましては、旅費需用費は更に二割減の節減をする、更に義務費につきましても、実行上の適正化をいたしまして、先ほど申上げますように、義務費を賄うことすら現在の確定財源ではできませんので、教職員につきましては、人件費節減ということはなかなか困難でありますので、一般職員につきまして一・五%の更に人件費節減年間を通じて努力をするということにし、又警察に対しましても同じような程度の協力を頂く。更に旅費の支給につきましては、現在国家で国家公務員についてとられております割増制度を半減いたしまして、更に旅費支給額の一割天引というふうな、非常に無理な節減方式をとりまして、現在ある一億五、六千万の節減計画を立てまして、四億数千万の赤字圧縮努力を重ねているという現況にありますので、昇給の問題につきましては、当初予算編成当時におきましては、既定予算の中で何とか年間昇給を八割限度をやつて行きたいというふうに考えておつたのでございますが、その後の事情変更による赤字によりまして、現在やつと七月の昇給につきまして教育委員会とも話がつきまして、既定予算の中でやり得るという見通しをつけて、現在準備をいたしているというふうな状況でございますので、私ども知事会を通じまして、政府に強く要求をいたしております未措置財源予算措置につきまして大きな期待を寄せているのでございまして、これらが好転いたします場合には更に今後の昇給も可能であろうかというふうに考えておりますのが現在の心境でございます。  以上簡単でございますが……。
  7. 堀末治

    委員長堀末治君) 御質疑をお願いいたします。
  8. 木村守江

    ○木村守江君 ちよつと福島県の知事に御質問申上げます。御多用中わざわざおいで下さいまして、福島県が教育に対する非常な関心を持つているという点からも、当委員会の権威の点からも感謝いたす次第であります。いろいろ福島県の財政につきましてお話を拝聴いたしまして、非常な困つた、窮迫した財政下にあるということはよく了承いたしまするが、さればとて県職員並びに教職員昇給昇格の問題におきまして、四月以来まだ未措置のままであるというような状態でありまするが、県といたしましては今後これらの昇給昇格をどういうようなふうにいたしまするお考えであるか、又知事としてはどういうような決心の下にこの問題を解決して行こうと思われまするか、見通し並びに御決意のほどを一言拝聴いたしたいと思います。
  9. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今のお質しでございますが、冒頭にもちよつと触れておきましたが、現在は四月以降まだ実施できないような現状でありますが、過般財政審議会の議を経まして、県財政は非常に容易でない実情でございますが、教員かたがたなり、職員のかたがた現状をよく考慮いたしました結果、只今完全に実施の肚をきめまして、教員組合、職員組合と団体交渉を今いたしておるような次第であります。給与昇給昇格については完全に実施する決心をもつて交渉いたしております。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 福島県の知事にお伺いしたいと思うんですが、いろいろ福島県の教育事情について御説明を頂いて有難うございました。その御説明の中に、四月以来の昇給昇格については完全に実施する、こういうお話がございました。それから只今木村君の御質問に対しては、関係の組合と今この実施について交渉をしている、こういうことでございましたが、完全に実施するということになれば、関係組合についても異存がないと思うんですが、何か問題点があるわけですか。
  11. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今の御質問にお答えいたしますが、只今申しましたように、教員組合、職員組合と団体交渉をいたしておりますということは、財政資金の問題、厚生資金の貸付金に対する措置の問題に対して交渉しておるわけであります。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 厚生資金或いは貸付金というのはどういう内容のものなんでしようか。
  13. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 厚生資金は一昨年職員組合、教員組合に対して貸付をいたしまして、厚生資金として貸付をなしたその貸付金を一つの財源とみて交渉しておるということであります。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、厚生資金として曾つて教職員或いは地方公務員である県職員のかたがたに貸付けてあつた金を財源として今度の昇給昇格を実施する、こういうことに相成るわけですか。
  15. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 厚生資金としての貸付金も財源の一部であります。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 非常に質問が細かくなりまして、或いは御迷惑かも知れませんが、実は私初めに申上げたかつたのですが、地方公務員、特に教職員昇給昇格の問題がかなり最近は重要な問題として我々も取上げておるところであります。と申しますのは、文部省の報告によりましても、本年の四月以降において、昇給或いは昇格を実施しておらない、或いは実施できない県が九月十日現在の調査によりましても相当数あるわけです。特にこういう傾向が今後なお増加するのじやないかというふうにも考えられますので、我々教育関係委員会としてはこの問題を重視いたして、その理由がどこにあるかということについても、できるだけ地方の責任者から説明をお聞きして、我々として対処すべき問題は対処しなければなりませんし、又地方においても考慮を願える点は考慮願わなければならん、こういう意味合いで非常に御多用の中を来て頂いたわけです。そういう意味で私は少し昇給昇格問題については細部に亘るかもしれませんけれども、お尋ねをしたいというふうに考えておるわけでございます。  そこで福島県の知事さんのお話では、昇給昇格については完全に実施することにしておる、私は非常にこれは知事さんの非常な御努力の結果であるというふうに感じまして、多大の敬意を表するわけでございますが、併しその昇給財源について、曾つて貸付けてあつた厚生資金を、全部ではないが、その一部として充当するということになると、かなりここに問題があるのじやないかと私は思うのです。そこで貸付けてあつた厚生資金の金額ですね、それとそれから今度昇給に必要な金額知事さんからでなくても結構ですが、その金額を一つお示しを願いたいと思います。
  17. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 厚生資金としての貸付金の総額は九千二百万円、完全実施いたしますための所要経費国庫の支出金を除いて約三千三百万円が県費負担、そんなようになるわけでございます。  それから現在のように昇給昇格を完全実施いたして参りますということになりますれば、現在の神方財政の計画よりいたしますれば、今五、六年過ぎましたら、地方団体というものは、職員並びに教職員なり警察官の俸給なり恩給の支払いしか何もできなくなるのじやないか、この際皆さんにこういう点も一つよくお考え願つて、地方団体というもの、つまり地方分権を確立して、その地方に適合したところの県民福祉のため、県政進展のためになさねばならんところの企業もございます。或いは道路だとか、或いは食糧増産だとか、そういう面がこのままで進むといたしますれば、何一つできないということになる。然らば現在の教職員の俸給は高いかということになれば、現在生活をして行く上に、これはやはり非常に大きな問題である。これはやはり根本的に、これは国会がおきめ頂かなければならんことでありまするから、地方財政ということに対しても、皆さんの格段の御配慮を願いたい。お願いします。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 地方財政の確立の問題につきましては、私は知事さんと全く意見は同じです。今日の赤字財政による駒方自治団体の困窮、こういう問題は、これはどうしても、非常に大きな問題でございまして、この対策は当然私は政府なり国会において、根本的に樹立する必要があるというふうに考えております。併し、今日はそれと非常に関連のある問題でありますけれども、今日は主として昇給昇格の問題について、私はなぜ実施できないかという、その実情を十分知りたい。それから、勿論根本には今先ほど申上げた点があるのでありますか、併しそういう中にあつても、なお且ついろいろの工夫努力することによつて、昇給昇格の問題が実施できる、或いは実施できないか、こういう問題についてお尋ねをしたいと思つておりますので、そういう問題にやはり限定せざるを得ないと私はまあ考えておるわけです。そこでこれは念のためにお尋ねしておきますが、先ほどのお話によりますと、地方公務員関係に対して大体貸付けてある金が九千万円、それから今度の昇給に必要な金は約三千三百万円というお話でありましたが、これはそうすると貸付けてある金で昇給を行なつてなお余りがあるというふうにとれるのですが……。
  19. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) それはそのほかに三千なんぼです。合計は一億七千なんぼです。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではその貸付けてあつた金ですね、これを返済させる、そしてそれを財源の一部に充てて昇給を実施する、こういうことですが、非常に話は細かくなりますが、一昨年に貸付けた、それ以後相当数やめている人もあると思うのです。特に福島県は昨年は一千百人余りの強制退職ですか、勧告退職ですか、そういうのを実施されておる。そういたしますと、私の聞いているところでは、大体一昨年の貸付けを受けたいわゆる人たちのうち、三千人ぐらいはすでに現職を離れている、こういう実情にあるということを聞いているのですがね。そういう人たちからも、やはり貸付けた金を取上げて、それを財源に充てるということになるのですか。その点はどういうふうになりますか。
  21. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 勿論一昨年以来退職されたかたもありますし、現在も本年の四月、仰せのような大巾な退職を願つたようなこともあります。併し今団体交渉ということを申上げましたその主たる問題は、その点であります。この際完全に実施することが教職員の将来のためにいいことである、それじやお互いにここで忍び合わなければならないということで、九千二百万円というものを完全返還する。団体においてその責任を持つということを条件として今交渉をしておる、従つて退職者の分も心配してもらうということにしておるわけであります。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はやはりそこに問題があるというふうに考えますので、退職をしたり、その間に死亡したり、そういう人たちも今申上げたように相当あるということは明らかであります。そういう人たちからいわゆる厚生資金の返済を求める、而もそれを組合側に責任を持たせてその返済を求めるということは非常に私は無理があるように思うのですがね、常識上考えましてですね。例えば返済は組合のほうでやつてもよろしいと、こういうことになつても、組合が退職した人からそういう金を徴収するということは事実上私は不可能だと思う。そうすれば貸付けを受けた額よりも更にその人たちの分まで現職の教員が負担をして返済しなければならんというふうな結果になる、これは私は不合理だと思う。そういう意味でこれは知事さんのほうとしては何とかやつぱし考慮をして頂くということができないですか。そういう特殊な退職者とか死亡者とかについて。
  23. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 誠に御尤もな仰せなんですが、先ほど申上げたように、県の財政は誠に容易でない際ではあるが、この際昇給昇格を完全に実施することが教職員の将来のために大切だ。それは今お話になつたようなことは私も承知をいたしております。そうだが、あえて御当局にも実施をして頂いて、そして完全実施をして行きたいということなんです。本県は先にも申上げましたように県財政も容易でない段階にありますので、県議会等の協力を得て、財政審議会というものを設けまして、県財政に対する全般事情をよく調査を願つて、その議を経てそういう案が生れたのであります。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私がここでお伺いしておるのは可能か不可能かという問題に私はなるのじやないかと思いますがね。それは貸付けてある金の返済を求めるということは、現職教員においては私は可能な面がある、若しそれを了解すれば可能である、併し退職教員に対してその返済はこれを組合の責任において果してもらうということは私は不可能じやないかと思うのですがね。そういう不可能なことを条件にして完全実施すると、そういうことが条件になつておるとすれば、これはなかなか完全実施というのはむずかしい問題じやないかと私は思いますがね。知事さんは退職をしたり或いは死亡したり、そういう人たちから返済させると、それを組合に責任を持たすと、こういうことが可能であるとお考えになつておりますか。
  25. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) それは勿論、御意見ですが、私も無理であるとは思います。思いますが、あえてその御無理を願うことにおいても、この際やはり今申上げたようなことを完全になすことが教職員の皆さんの将来のためだろうと、こういうことで協力をお願いいたしておるということで、今団体交渉をしておるわけです。現在はどうしてもそれを実行して頂きたい、こういう心境です。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題については、他の委員からも質問があるかも知れませんし、私からも余りくどくお尋ねするのはどうかと思いますので、次の問題に移ります。今後の見通しの問題ですね。福島県も相当の赤字財政であるということは御説明にもあつた通りですが、そこで一つの懸念されるかは、今後給与の遅払いとか、そういう問題が起らないかということです。これはそういう心配はないと了解して差支えございませんか。
  27. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) それは御心配頂かなくてもよろしいと思います。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは一つ昇級昇格の問題は、これは私は非常に重要な問題でもありしますので、最善の努力を払つて、そうして実施して頂きたい、こういうことを要望して一応質問を打切ります。
  29. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昨年の厚生資金の貸付のことですが、その当時の事情をちよつと話して頂きたい。
  30. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) これは越冬資金のときだと思います。組合の要求額とこちらの何とのあれが非常に大であるというので、年越しのことであると思います。
  31. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そのときどういう条件でお出しになつたか伺いたい。
  32. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは福島県の総務部長の八島善右衞門君から意見聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 堀末治

    委員長堀末治君) それではさように決定いたします。
  34. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 福島県の総務部長の八島でございます。  厚生資金の貸付の問題でございますが、この問題は当時国において措置されました残りのものを、それでは不足であるというので、当時の職員団体から、各県ともこれは同じ状況だと存じますが、要求されまして、そうしてプラス・アルフアというものを出したが、貸付の形で出したわけであります。その額が〇・二五になつておりますが、貸付方法といたしましては、半分は平均率で、それから俸給に応じた比率で貸出しておるのであります。
  35. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それに対して条件か何か付いていたのですか、こういう条件を付けてお貸しになつたのですか。
  36. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 貸付条件は別にございませんが、教職員のほうは個人々々に直接貸してございます。それから県の職員に対しては、県の共助会に貸付けました。県の共助会が本人から証書を取つて貸付けたという状況でございます。
  37. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう少し具体的に聞きたいのですが、その返還期間を切るとか、或いは利子を付けるとか、そういう何か条件を付けて、いわゆる義務を負わして、返還に対する義務が付いた状態で貸したのですか。
  38. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 今の貸付条件でありますが、貸付条件は年度内でございます。それから利子は無利子でございます。
  39. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 恐らくその金の貸付をされたときは、その金を貸すことかやはり必要だと、そうして教職員の生活が現に困つているということを確認の上で私はお貸しになつたものだろうと思います。それと同時に、先ほど知事の話を聞いているというと、小学校教員のベースは全国的に見て相当低いですね。そうすると、福島県の教員は非常に条件の悪い労働をやつておる。その非常な悪い条件の労働のために、年末に皆が困つて、そうして貸付金を要求した。だから知事は貸付なさるときは、教員が生活に困つておるからそれを援助するという気持で出されたのだろうと私は思うのですが、どうでしようか。
  40. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) それは勿論ですね。困つておるから貸付けたのです。
  41. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その後、県も財政上の非常に苦しい立場に知事自体も追い込まれて、そのために今のようなことをおつしやるのだろうと私も思うのですが、併し、今の昇給をさせるのに貸した金を返せと、それから死んだ人間や、やめた人間の借金を取つて来いと、そうしたら給料を上げようというのでは、そのときの気持と少し食い違いがあるのじやないですか。
  42. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) いや、それは先ほど申上げましたように、それは非常に無理がございます。無理は私もわかつておりますが、あえてその無理をなしてもこの際完全に実施することが教員なり職員のためになることであると、こう思うので、そうでないとなかなかできないと思うのです。
  43. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その昨年厚生資金を出されたときの気持と今の気持とは、非常に私は隔たりがあるように思うのですよ。昨年厚生資金を出したときは、皆が生活に困つているから出そう、無利子で出そうと、そういう気持で出した。ところが今はそうではないので、何でも貸したものは皆返せと、そうでなかつたらお前たちの言うことは聞かんと、ところが困つていることについては、昨年の厚生資金を貸したときと今日と同じ、或いはそれ以上に学校の先年たちは低賃金で困つて来ているわけなんですね。そういう状態にある。そのときに、やはり弱い者をいじめるようなことはなさらんほうがいいと思うのですね。やはりこれは、県民の生活を安定さすということは知事自体の政治責任です。そうして教職員の給料をちやんと上げて学校教育を円滑に行くようにするということはあなた自身の責任であつて、そんな弱い者から借金を取つて、死んだ人の借金まで揃えて持つて来い、そうしたらお前たちの給料を引上げようというのでは、これはちよつと政治責任者としておかしいじやないですか。
  44. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 私はそう考えました。非常に現在のままだと、富裕県は別でしようが、現在の地方財政から、教職員の俸給なり警察官の俸給を払つて県民福祉のために何一つ仕事もできないというのは、これは地方団体をあずかる知事の責任じやないと私は思います。やはりどうしてもお互いに忍び合つて行かなければならない。それには、県財政も苦しいが、県も金を出す、そうしてここに厚生資金の返還方法を考えて、完全に昇給昇格を実施することが今の職員に対しての私は大きな思いやりだと考えます。
  45. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこがちよつと考えの分れ道。
  46. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 分れ道かも知れませんな。
  47. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは国の県に対する交付金が足りないからそういうことになつて行く。それはあなたは県民をあずかるあんたとしては国に対して闘うべき筋合いです、国に対して闘かわないで、県民の犠牲によつてそれを糊塗して行こうというのは、やはり県知事として私は政治責任が薄いと思う。だからそれよりも国から費用を取るように県民を代表して闘かわれたらどうですか。そういうことで解決するように努力なすつたらどうでしようか。
  48. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 只今の御意見でございますが、各県とも非常に苦しい財政でありますので、全国知事会等を通して強い要請をいたしております。
  49. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は両参考人のかたに伺いたいのでありますが、今まあ地方財政がそれぞれ窮迫しているということはこれはもう周知の事実でありますが、併してこの窮迫した原因についてはそれぞれの都道府県でいろいろの形態があると思う。その形態に基いてあなたがた非常にこの解決に御苦心なさつている点、非常に多とするわけでありますが、まだ私伺いたい点は、今あなたがたから述べられた数々の事柄は一つのお宅の財政再建計画の一環であり、赤字解消策に対する一端だと、こういうふうに私はとるわけなんですが、皆さんがたのところでは自治庁当局に対して今述べられたことも含んだ赤字解消財政債権計画というものを出しておられるかおられないか、その点伺いたい。
  50. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 先にも申上げましたように極く少数の富裕県は別として各県共通の問題でありますので、この財政計画に対しては自治庁に出しております。
  51. 本山修策

    参考人本山修策君) 再建計画と申しますか全国的な問題とそれから県独自の状況から県の特色から見て、私どもの県から申しますと例えば人口密度から来る学校数が多くなりますので、それに伴う学級編成の問題に関連して先生の数が多くなるというふうな問題を取上げてみますと、必ずしも政府算定をしておる方式が適当でない面もありますので、そういうものについては個々的な意見を申上げて、補正力についての強い要望をいたしておりますが、全体の赤字解消策についても私どもは絶えず県の事情変更のありますたびに数字を直しまして政府に強く要請をいたしております、
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その報告提出は自治庁或いは大蔵省から要請があつてなされたものでありますか。私は要請があつて出したものと推察するのでありますが、如何でございますか。
  53. 本山修策

    参考人本山修策君) 他の県はどうかわかりませんが、私どもの県は極く最近警察制度に関する問題に関連しての政府の調査も受けておりますし、それから財政全般についての調査対象県に指定されまして調査を受けて、そのときにいろいろ赤字原因なりそれに対する意見なりを出したというふうな経過になつております、
  54. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 求められていません。
  55. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは私その角度から続いてお伺いいたしますが、自治庁当局では今の地方財政赤字というものを御承知通り認めております。まあ自治体側の出された数字とは違いますけれども、極く最近の数字では、少くとも四百六十二億というものが赤字だということを自治庁が認めているが、而もこの再建整備というものを自治庁当局では練つているわけです。伝えられるところによるというと、この四百六十二億のうちの三百億は予算化しようというので、自治庁当局は今強力に大蔵省と交渉しておる、こういう段階です。だとすれば、自治庁当局或いは大蔵当局が、皆さんがた知事が強要されて出されていないものだとすれば、今までの例年のならわしから行けば、政府でそういう再建整備の構想もあれば、資金繰りをして、そうしてこれを処理して行くというのがならわしであると思うのです。勿論この昇給昇格については、勿論それ以外のお宅は単独費をいろいろ持たれておるが、今問題になつている昇給昇格問題を出した場合、相当の金でありますが、総予算から行けばそう大したものではないから、例年の行き方から行くならば、当然今問題になつているものは処理されるものだと思いますが、どうして本年に限つてそういう処理がなされないのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  56. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 今の御質問ですが、どうして措置されないのかという問題につきましては、私どもといたしましては、十分全国知事会なり或いは又各省には要求は勿論、自治庁にも内情は説明してございますが、どうして措置されないかという問題になりますと、これは我々としては努力しておるのですが、問題はやはり大蔵省なり自治庁なりにおいて措置してもらうベき筋合いのものだと思います。
  57. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いやいや、私の伺つているポイントは例年でも地方公共団体はやはり赤字があつたわけです。実際実行予算をやつて行く場合、こういうちよつとした小さな壁にぶつかつた場合に、あとの収入財源というものを見越してやつておつたわけですね。殊に政府みずから皆さんがたの数字とは隔たりがあるけれども四百六十二億という数字を認めて、而も再建整備に乗り出し、而も具体的に三百億、あとの百六十二億は別に考えておるようですが、三百億の財源措置まで本格交渉に入つておられる段階であつたならば、例年のしきたり、常識から行くならば、こういうトラブルを起さないで知事さんはやつて行くのが私はならわしてあつたと思うのです。現にそういうふうにやつている他県の知事さんもおられるわけです。それをどういうわけでお宅のほうはやられなかつたのか、それとも私さつき申上げたように、大蔵当局から福島県と島根県は財政については、再建整備については不熱心だぞ、もう少ししつかりやらなければこちらのほうで今後見てやらんという強圧があつて、いたし方なくあなた方はこういうことをやつたというなら、若干私は理解もできるし了解するわけですが、そういうこともなく、どういうわけでこういう方途をとられたか、納得が行かんのでお伺いしているわけですが、本山さん如何ですか。
  58. 本山修策

    参考人本山修策君) 私のほうは再建計画を立てておりまする状況をさつきお話申上げたので御了承頂いたと思つておつたのですが、十分措置を構じておるわけであります。自治庁に対しまして調査対象に取上げられまして、措置は十分私のほうはいたしております。
  59. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点はどうも、私ども大きなことを言つて申訳ないが、私が知事だつたら例年の通りこの際給与の問題でも県の単独事業の問題でも、県民の幸福と県の発展のためにはともかくやるという肚を、乗るか反るかやると思うのですが、これは大変失礼なことなんですが、そこは一応蹴つて次を伺いますが、それは、伺いたい点は先ほど赤字説明がございましたが、この原因については私は月並みのもののように感じたのですが、御両県とも農業県だと言われていましたが、これは大部分の、日本の府県は農業県が多いですし、福島県のほうが地域が非常に広大であることもそれはわかります。あとこの原因については、私他県に比べて非常に特別この点は著しい傾向だというものは聞き取れなかつたと思うのですが、例えば交付金の見込違いとか、税収の過大評価とかいうものは各県に大体通じた事柄で、特別にこの原因というものはないように私は承わつたのです。ところが他県では、やつているところもあるのに、お宅でやれないというところに私は、もう少し説明を承りたい点があるのですが、この点と、それから文部省でよくこういうことを言うわけです。文部省義務教育半額国庫負担法によつて飽くまでも実績の二分の一を渡してある、従つて地方の財政にそれほど迷惑はかけないはずだ、飽くまでも実績の二分の一を出してあるから、こういうことを文部省の財務課としてはよく説明されるわけですが、これに対して一体この半額負担と、それから交付税から来る二面から一体昇給財源においてどのくらい金にした場合に足りない或いは単価の面において、どのくらい不足を来たすのか、その二点について伺いたいと思います。先ず島根県から伺いたいと思います。
  60. 本山修策

    参考人本山修策君) 先ほど御説明申上げました中で、月並みの原因だけのように聞き取れたという話でございますが、最初説明申上げました中で、島根県の立地条件から参りましても学校規模が小さいということ、それから学級編成も小さい、そうならざるを得んのだということでありますが、従つて全国平均から見ますと教職員の数も必然的に必要になつて来るわけでございますが、ところが最初比較を申上げましたように、一学校当り学級数或いは一教員当り児童数或いは一学校当り生徒数とかいうふうなものが、交付税の対峡になつておりますものよりに遥かに低いのです。従つて義務教育で申上げますと、半額は実支出の半額でございますから、これは問題ないわけでございますが、ただ交付税関係になりますと、必ずしもその残りの半分が今申上げたような全国平均に対するものよりも、特殊事情を持つておるものについては特別な補正措置が講じられない以上は、不足をして来るのがこれは制度的に当然であろうと思います。
  61. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは年間どのくらい組んでおりますか。
  62. 本山修策

    参考人本山修策君) それは学校全体として私どものほうで財政需要に対して不足をしておるのが二億一千万くらいであるわけです。
  63. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 やはり、昇給財源ですか、それから昇給財源については……。
  64. 本山修策

    参考人本山修策君) 昇給財源については先庶ど……。
  65. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 二・五%、かの下足ですね。
  66. 本山修策

    参考人本山修策君) 二・五%は私の県で申上げますと約三千五、六百万に該当するわけですが、その限度の経費は今回までの既定予算の中で生み出されておるということになる。それがたまたま七月昇給をやることが可能な金額なつておるわけです。
  67. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大竹さんお答え願います。
  68. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 私からお答え申上げます、  大体今の国庫負担金の残りといいますか、つまり県で負担する分の財政需要から見ておる算定方式から見ますと、福島県で計算いたしました原因につきましては今島根のほうからお話がございましたように大体そういつたような事情でございますが、うちのほうといたしましては昇給所要財源といつたようなものを別に計算してあるわけでございませんけれども、その総額で計算いたしますると、小中学の場合では、先ほど知事から申上げましたのは小中学、それから高等学校全体を含めて教育費の場合でございますが小中学校だけで見ましても二十七年度においては四億七千、大体四億八千万というのが県の負担になるわけでございますが、それから昭和二十八年度におきましては一億四千万程度でありまするが、昭和二十九年度の現計予算について見ます場合には、三億二千万というようなすでに財源不足を来たしておるわけでございます。そのうち計算上二・五%が昇給昇格所要額だというふうに計算されましても、私どものほうといたしまして全体的に通算して見て昇給昇格の所要財源というものは特別に計算されないというふうな意味でございます。
  69. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで具体的に伺いますが、先はどの福島県の問題、先ほど知事さんがずつと並べられました数字によつてこの昇給を完全にやるということは昭和二十九会計年度全体を意味してお6ものと私は了承したわけですが、まさか七月の昇給だけをそういうふうに完全実施して、あと十月以降は不明だと、こういう御答弁内容ではないでしようが、念のために伺います。
  70. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 年度内でしよう。
  71. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 繰返し伺いますが、それでは福島さんはし厚生資金の九千二百万円の回収ができたならば昭和二十九会計年度中は完全に昇給昇格を取りあえず行えると、そういう御答弁だつたのですね。そこで先ほどのこの九千二百万円について私も皆さん方の質疑を承わつておつて、やはり問題点があると痛感しましたのは、簡単に一言承わりますが、これはまあ組合と自主的に交渉なさつてきめられるのでございましようが、恐らく先ほど知事さんから説明があつたような形では私は若干交渉に紛糾を来たすのではないかと推測されるわけです。そこで若干私の私見が入りますが、それによつて知事さんの御所見を承わりたいのであります。その点は当時借用したかたで約三千近くの人が現職を離れておられるということですが、こういうかたの回収がむずかしいという立場から、当時借用した人で現在教職にあるかたからだけその貸付金を回収するというようなことでは、金額においてどのくらいの相違があるのか、そういうほうは御検討なさつておられないかどうか、その点を伺いたいと思います。穏当なところじやないかと思うのですがね。
  72. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 只今のお話でございますが、現在厚生資金を借りていた者だけから四月、七月、十月と、一月に昇給した分について借受けた金をそのまま現職者から取るということになりますると、その金が約五千八百万程度になるわけでありますので、九千二百万との差額が全部県が持つということになるわけであります。
  73. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ここで大竹知事さんの太つ腹を承りたいと思うのですが、この五千八百万円回収で収まれば非常に私は円満に落着くのじやないかと思つておるのですが、こういう方法では如何でございますか。
  74. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 御尤もなお話なんですが、この問題の完全実施ということの条件を一つの一番大きな問題は、現在では無理があつてもこれを強行して行く、実行してもらいたい、こういう私は……。
  75. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 まあここで余り御無理な質疑もできませんので、私はこの点ついてはお宅のほうでいろいろ数学的なことを検討されると思いますが、退職された、現職を離れている人を除いたようなところで問題を処理されれば非常に円満に行くのではないかと、又それは穏当ではないかという私は委員としての私見を持つておりますので、その点については知事さんのほうで格段の御高配を頂きますようにお願いしまして、島根県のほうに伺いたいと思うのですが、島根県の本山知事さんの先ほどの御説明では七月昇給についてはやり得る自信があり準備中だと、こういう御発言があつたと思います。この七月の昇給昇格は完全実施の準備をされておられると存じますが、その所要額は幾らでございますか。
  76. 本山修策

    参考人本山修策君) 完全実施というわけではございません。大体さつき御説明申上げましたように、既定予算の範囲内で処理をしたいということで考えておりまして、折衝を重ねておつたわけでございまして、大体予算額で申しますと八〇%内外じやないかと思つておりますが、その金額が七月末の所要額で大体三千五百何十万だつたと思いますが、その程度を七月で実行するということに話がつきまして、教育委員会のほうで目下準備中のはずでございます。
  77. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 第一は八〇%内外ということは被使用者である教組のほうと話合いのものなのか。  第一点は、お宅の財政計画で十月以降はどういう見通しを持つておられるのか、以上御説明頂きたいと思います。
  78. 本山修策

    参考人本山修策君) 第一の点は、御承知のように問題が教育委員会に関連する問題でございますので、私からは何ともお答え申上げかねますが、第二の点につきましては、先ほどこの点も触れたわけでございますが、知事といたしましては、もう昇給の問題につきましては、財源さえ許せば、もう何としてでもやらなければならん問題に考えておるわけでありますが、県財政全般から、今日只今県財政状況から考えますと、先ほどお話にもありましたように政府に対して三百億程度の追加を要求しておるような矢先でございますので、これらに私どもは大きな期待をかけておるわけでありまして、つい先般の知事会議でもその補正措置について強く要求いたしておるのでありまして、財源裏付けの好転に私ども大きな期待をして、好転いたしますれば、もうできるだけ一つやつて行きたい、こういうふうに考えます。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その教育委員会との問題ということは、完全一〇〇%実施じやなくて、八〇%でよろしいというのは教育委員会の見解でありますか。
  80. 本山修策

    参考人本山修策君) 教育委員会と折衡をいたしました結果が既定予算大体三千五、六百万の見当でやる、それは委員会のほうのお示しになつておる昇給方式によりまして、実施をいたします場合にはその程度の金が要るということで話合い知事との間についておる、こういうことであります。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私島根県のこの問題に対する基本的な態度について少し私見をちよつと交えて伺いたいと思うのですが、財政措置を中央に強く要求しておるということを申されますが、当然やらなければならんことは、給与の問題にしても県民の幸福のための単独事業ですね、これは知事さんの選挙運動を前提とした単独事業をやられては困りますが、本当に県民の幸福のために、産業振興のためにやらなければならん単独事業ですね、そういうものをやるだけやつて相当の実績を作つてから、それをバツクとしての政府への要求でなければ、今までの実績から見てこういう単独事業もやりたい、それから教職員或いは県庁職員の給与引上げをやりたい、だからこれだけの予算をというのは幾ら強く要求しても、私は不能じやないか、こういう私見を持つているわけですね。なぜ私こういうことを申上げるかというと、この地方財政の窮迫しているのを大きい立場から眺めますと、私はここで皆さんに申上げると釈迦に説法みたいになるかも知れませんが、やはり国の大きな政策、殊にデフレ政策というものが年々地方財政の窮迫して来たのにとどめを刺すような恰好になつて来て、そしてそのしわ寄せというものは地方当局にずつと寄つて行つていると思うのですね。而もその地方当局に寄つて行つたしわ寄せというものは教育費のほうに、それは教職員人件費が総予算に占めるウェイトが重いという関係もありましようが、教職員にしわ寄せして行つている。このことは私は重大なことで看過できないと思うのです。だからここで、もう余計申上げる必要もないのですが、まああなたがたがやられている事業場にしても或いは行政部門ししても、若干の縮小を図ろうと思えば方法が絶無ではないでしよう。併し教職員の場合は、その数を確保する意味においても教育の振興には、もう不可欠の問題なんですからね。絶対必要なんだから。にもかかわらず御両県とも千百人から四百人程度の大量強制勧告による退職をやつていますが、そして先生の年齢というものを下げている。これは非常に私は教育の振興のためには由由しい問題だと思うのです。そこで私は先ほどの島根県の本山知事さんの基本的な考え方を伺つているわけですが、高給者を整理して、その高給者というのは私は五十二、三歳だと思うのですが、御承知通り恩給が一〇〇%支給されるのは五十二、三歳です。教職員の五十二、三歳というのは而も供が大学に行つて一番金がかかる頃なんです。そういうところを整理して若い俸給の人と入れ替えて、そして糊塗して行くというような行き方でなくて、本当に必要な教員の数とその質を確保する。他県でもやつていることですからね。当面の七月それから十月以降の昇給昇格財政計画を立てて、そしてそれをやる。それをバツクとして政府にも、まあ先ほど申されました再建整備について熱意を示しているようですが、それに圧力を加えて行くという恰好にしなければ私は皆さんがたはぐんぐんと追い込められてしまつて、而も追い込まれたものは教育のほうにぐつとしわ寄せになつて行つて地方自治も混乱するでありましようが、重要な教育というものは非常に嘆かわしい状態になると思うのですが、如何ですか。この七月の昇給の取りあえずの実施と十月以降の私が先ほど申上げましたような立場からの具体的な財政計画をお立てになるお考えございませんか、御所見承わりたいと思います。
  82. 本山修策

    参考人本山修策君) ちよつと只今のお話の中で、強制退職を千名以上もやつているというお話でございますが、島根県ではそういうことはいたしておりません昨年度の末に。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 三百人はやつているでしよう。
  84. 本山修策

    参考人本山修策君) それは自然退職も含めまして三百十何名であつたと思います。
  85. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 単価を引下げたと先ほど説明がありましたでしよう。
  86. 本山修策

    参考人本山修策君) それは、三百十何名は新陳代謝があつたわけですが、強制退職はさしておりませんので、実情を申上げておきますが、それからいま一つ、財政全般の問題について、教育のほうにしわ寄せが来ているという話でございますが、これも先ほど説明を申上げましたのを繰返すことにもなりますが、当初予算はさておきまして、今回赤字を解消するために一億五千万の節減計画を立てたわけでございますが、その場合には例えば旅費、需要費、人件費等の問題につきましては、教育委員会のほうの関係につきましては、教職員学校関係については、現状から見まして除外せざるを得ないような状態になつておりますので、極く僅かな金額は、不用額になりますような金額節減対象にしておいておりますが、その他は学校関係ということで省いております。島根県の財政状況から見まして、教育関係だけでなしに、全体の義務費を賄いますのに二十六億四千万円要るわけですが、現在の確定しておる財源というのは二十四億九千万くらいでございますので、義務費すら現在の確定財源では賄えない。それではどうしたらいいかということになれば、当然私は解答は出て来ると思いますが、併しそれらの問頭は事業の問題を比較して申上げましても、二十八年度はいろいろ補助事業その他に加えて仕事をいたしておりましたのが五億三千万であつたのでありますが、大体それが現在では四億二千万程度まで抑えて、而もその四億二千万というのはまるまる赤字財源を考えておるというふうな状況でございますので、現状財政計画から申します場合には、一億五千万の節減計画というのは、もうぎりぎりの限度に私は来ておりはしないかというふうな感じがいたしますので、私どもは今後の知事会を通じてお願いを申上げております財源措置ということが、もう一にも二にも私どもは期待をし、又実現方についてお力添えを頂きたいというような気持を持つておるわけでございます。又獲得すべく努力を続けて参りたい、かように考えております。
  87. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一、二点伺います。その点本山知事さん、政府の地方財政再建に対する構想を、これは相当具体化しつつあるわけですから、その結果を待つまでもなくお宅のほうで自主的に十月以降昇給昇格もやる財政計画というものを立てるということはできないのでございますか。
  88. 本山修策

    参考人本山修策君) 現在の財政状況から眺めた場合には、先ほど申上げなすように繰返し申上げるわけでありますが、財源措置がありません以上は見通しが現状ではつかないと思います。ステップ・バイ・ステップで行く以外には、我々は財源を獲得しながら進んで行くという現状なつております。
  89. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あと一点で終ります。お二方に承わりたい点は、福島県は千百名を整理した。それから島根果は単価を引げて旧予算総額圧縮を図るために、約三百人ほど退職をしてもらつて、一億二千万円の勧告退職金を出した、こういう御説明があつたわけでありますが、これに要した退職金は条令に基くところの割増退職金を出されたかどうかということと、割増退職金を出した場合には、二分の一の源財は国庫負担で受取つたか受取らなかつたか、その点と、それからもう一点は、これは最後に私は大竹知事さんに伺いたいと思うのでありますが、それは先ほどからいろいろとお二方から事情を承わつたわけです。それで大体わかつたようなものでありますが、私はここに明確に重点的に知事さんから教えて頂きたいと思うのです。それは当面の地方財政財源についてはいろいろなことが議論され、いろいろな方法がありましよう。併し私はここで明確に教えて頂きたい点は、地方教育財政の確立と、その中には教職員の定期昇給昇格の完全実施ということを含むわけでありますが、そういうことを具現するために、それを重点において我々は国会或いは政府に最も強く要望する、最低限これだけは是非ともやつてもらわなければならんという点を、お教えを願いたいと思うのです。地方財政の問頭についてはこれは政府も考えなくちやならんでしようし、又今我々がここで議論しているように、地方自治体でみずから創意工夫して解決できる面もあると思う。そういう意味においておいで願つていろいろと承わり、私らも御質疑したり又要望申上げたりしているわけですけれども、まあそれはそれとして、私たち立法府にいるものとしても、ここぞというところをそれを折角おいで頂いた大竹知事さんから教えて頂きたいと思つてお尋ねするわけです。以上二点をお伺して終ります。
  90. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) 福島県の場合の勧告退職の特別手当の支給等に対しては、総務部長からお答えすることにいたします。ただ教育財政の確立に対して、という問題に対しての私の所見を申上げておきます。現在の地方財政というものは、地方分権の確立などということは全くこれは名ばかりでありまして、殆んどが中央に依存せんければならんような地方財政現状であります。これは甚だ遺憾千万であります。我々は地方財政の根本的な改革を期して行かねばならない、現在のようなすべてが中央に依存するというようなことでは地方分権の確立というものはあり得ない。これを我々は最も強く要請いたしますが、立法府の皆さんにもよく御認識を頂いて、この問題のために御配慮を願いたい。  それから教育財政一般県政との問題に対しましては、これは並行しなければならん問題だと思う。殊に義務教育費に対しては私は国家が当然なさねばならん、かように考えております。こういう点に対しましても、我々もあらゆる方面に強力に要請して参らねばならんのでありますが、皆様がたにも一段と御配慮を願い、完全な地方分権の確立を期して、教育財政一般県政と相並行して行かねばならない、かように考えております。
  91. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 今の昭和二十八年度末におきまする教職員の強制退職の問題でございますが、福島県におきましては強制退職の措置じやなく自然退職の形をとつたというふうに伺つております。従いまして福島県の条例でありまする第四条でございますが、増加退職金の問題については別に問題になつておりませんし、従いまして文部省からそれに対する負担ということも起つておらないのであります。
  92. 本山修策

    参考人本山修策君) 第一点の問題でございますが、勧告と申しますか、六割増しの、条例に基きまして六割増しの退職金を出しておるわけでございますが、それに対する国の半額国庫負担がどうなつておるかということでございますが、実は島根県におきましては昨年度末に遡つて十月の昇給をいたしましたりいろいろいたしておりました関係もありますので、第四四半期の半額国庫負担の経費につきましては概算払いを受けておりまして、精算ができておらなかつたわけでございます。征つてそれらの精算の結果が現在どういうふうに文部省から金が来ておるかどうかということについては、まだここで私ちよつと調べてみないとわかりませんのでお答えできませんが、そういう経過を辿つておりますので、年度当初にはまだ精算はできておりませんでごさいました。  それから第二点の教育予算に対しまする問題でございますが、先ほどお話にもありましたわけでありますが、私、義務教育につきましては全国的な問題でもあろうかと思いますが、半額国庫負担制度と交付税の制度自体が非常にまちまちになつておりまして、実支出の半額は岡庫が負担するが、残りの半額は交付税算定方式によつて各県がその裏付けを受けるということになつておりますので、或いは富裕県であれば別でございましようが、私どものような貧弱な県にとりましては先ほどお話を申上げましたように、財政需要額と比較をいたしますと約二億一千万の距りがあるということでありますので、その二億一千万が私どもの県の財政状況から見ますと交付税算定によります方式でございますが、県税総額の二割相当額というものが算定方式から除かれるわけでございますが、これは御承知通りでありまして、その金額は一億五、六千万にしかならんのであります。従つてその全額を教育費のその不足分に充当いたしましてもなお且つ足りないという現状でありまして、私どもは税の算定の結果出て参ります全額をそちらに注ぎ込み、なお足りん分を何とかして賄つて行きたいというのが現状でございますので、これらの点については制度自体を再検討願うことが必要ではなかろうかというふうに考えております。  それからいま一点、私ども県自体の問題でございますが、先ほど申しますように人口密度の低い県、又山岳の多い県等にとりましては非常に教育費が嵩むのでございまして、それらの点については交付税算定において、そういう密度補正をやることが必要じやなかろうか、これは私ども政府との間におきましても、先ず話合いを進める必要がございますので、自治庁等につきましては特に意見を申上げておるわけでございますが、それらの処理をせられることによりまして、完全とは行かないと思いますが、多少不足分が是正されるのではなかろうか、こういうように考えております、  なお教育の問題につきまして、県行政の立場から、知事といたしましては十分重点を教育に置いておりますことは、只今申上げますような財政措置から見ましてもおわかり頂けることと思いますので、これらの点につきましては、十分御期待に副うように更に私ども努力を重ねて行きたいと、かように考えております。
  93. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 総務部長さんにお聞き取り願いたいのですが、只今の答弁には重大な内容を含んでおつたと思うのですが、私要点を申上げますが、本年度各都道府県の給与費が不自由を来たした一つの大きな原因は、御承知のように行政機関職員定員法によつて、国家公務員の定員減をやりましたですね、そのときに都道府県の整理率を五・五%、以下各市町村の率をきめて、閣議決定において流したでしよう。その流した率によつて地方財政計画を立てる。流してやるわけなんです。だから給与費は、県庁職員を含めての給与費は窮屈になつておる、こういうようなところに原因がある。そこで退職金のほうに及びますよ。そのときに国家公務員を整理するに当つては、御承知のように特別待命と臨時待命、こういう恩典を与えたわけです。そうして、この財政計画圧縮のために整理されるところの地方公務員については、これに準じて取扱うということも自治庁の責任者の名で流れておるわけです、書類が。そこでお宅のように千百人のかたが強制退職になつたならば、これは当然臨時待命或いは特別待命、それがなくとも県条例できまるところの割増退職金は、当然出されなければならない。これが出されていないということを聞いて私はびつくりした。これは福島県の先生には気の毒ですよ。而も、こういう割増退職金を出さないでおいて、今度の昇給をするに当つては九千二百万の、曾つて越年資金として貸した金を、退職して、現職にない三千人の分までも現職の先生がたに責任をおつかふせて、そうして、それを回収することによつて昇給をやろうというのでは、これは福島県のおやじとしての知事さんとしては、少し私は涙がないんじやないかと思うのですよ、この割増退職金については十分検討をして頂きたいと思うのです。  それから島根県の副知事さんにお伺いいたしますが、申上げておきますが、あなたのところでは六割増しの退職金を出しておる。これは当然義務教員の半額国庫負担によつて、この割増退職金の半額は国庫で持つことになつておるのでありますから、半額国庫負担で、それが来たか来ないかわからんようなことでは困つたことですよ。それをもらつたら昇給財源の一部分にもなるわけですから、当然出すようにきまつているし、文部省もそれを言明しておるわけなんですから、早急に確めて、もらつていなかつたら一日でも早くもらつてですね、一日でも利子がつくわけなんですから、それで昇給財源に充ててもらいたいと思いますが、福島県としては、千百人のかたには是非共条例の割増退職金を出してもらいたい、そうしてその半額は半額国庫負担法に基いて文部省から出ることになつておりますから、それから受取つて頂きたいということを要望いたしておきますが、この点について、福島県の知事さんはどういう御所見でございましようか、これだけ承わつて私の質問は終ります。
  94. 八島喜右衞門

    参考人八島喜右衞門君) 私の言葉が少し足りなかつたようですが、私が申上げましたのは、私が知つている範囲を申上げたのでありまして、勿論これは御承知のように地方教育委員会ができましてからは、地方教育委員会が任命権者でございますので、向うからの、県教育委員会のまとめた資料によつて聞いたことを申上げただけであります。従いまして私どもといたしましては、強制退職のような措置はとらなかつたというふうな報告を受けておりますので、そういうように申上げたのでありまして、勿論強制退職というような形をとれば、これは当然割増退職金でございますか、それで支払わざるを得ないと思いますけれども、そういうような意味で申上げたのでありますから、御了承を願いたいと思います
  95. 安部キミ子

    安部キミ子君 時間が大分過ぎましたので簡単にお伺いしたいと思います。  両県のかたにお伺いしますが、県行政の機構についてですけれども、御県では文教委員会という委員会が県会のほうに持たれておりますでしようか。
  96. 大竹作摩

    参考人大竹作摩君) あります。
  97. 安部キミ子

    安部キミ子君 ありますか。島根県のほうは……。
  98. 本山修策

    参考人本山修策君) 島根県は総務委員会で処理をいたしております。
  99. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでは島根県のかたに申上げたいのですけれども、実は私は山口県でございますので或る程度島根県のことは存じ上げております。曾つては教育委員でもありましたので、御県の教育委員のかたでも面識のあるかたが多いのでございます。先日私は島根県へ参りましたときに、今年度は児童が一方殖えたにもかかわらず先生が一人も増員されていない、こういうことを教育次長さんから聞きまして、どうか文部省のほうへ言うて下さい、殊に私どもの県からは大達大臣を出しているのだから、大達大臣に是非このことを言つてくれという伝言を受けたわけなんです。そのことを申しましたら、大達大臣のおつしやいましたことは、そのこともいろいろよく存じてはおるけれども、私は立場が立場だけに、島根県のことだけについてはそういう要求はできない、私この答弁を聞きまして、成るほど大達さんにはいいところも少しはあるなと、まあその面では恥をさらすようですけれども、山口県で、佐藤さんが災害復旧で或る地方へ莫大な予算をとつたというので問題になつたこともあります。それらを思い合せまして、やはりそういうふうな公平な立場でお考えになることは、或る面ではいいことではあるけれども、併し当然今のような事情を聞きましたときには、島根県の教育行政についても、私はもう少し大達大臣も力を入れて当然の権利は主張されてもいいのじやないか、こういうふうに考えるのでございます。それと、先ほど尋ねました文教委員会というものがありますと、今のように財政権を持つていないところの教育委員会制度においてはやはり県会側のそうした力が事実必要なんです。それは私がよく存じております。そういう力を得ましてもおの通り福島県のように教育のほうで財政がどうにもならないということになつておるのです。島根県の委員さんは主として教職員の御支持を受けられた委員さんが多い、而も知事さんもそういうふうな民主団体から推されて出られたというふうなかたでありますので、一方的に自由党だとか与党だとかいう意味の私は知事さんではないと思うのです。そういう観点からいたしましても、この点を来年度でも改めて御検討なさつたら如何でしようか、そういうことをちよつとお尋ねしたいのです。
  100. 本山修策

    参考人本山修策君) 只今のお話の中で、二十九年度の増員につきまして一人も殖えていないということを次長が言つたということでございますが、それは聞違いでございますので申上げておきますが、教育委員会と折衝をいたしました結果は、児童増に伴いまして学級の再編成を行いました結果、六十五名を増員する必要があるという結論に達しまして、この数字で妥結をいたしたのでございますが、その中で、御承知の事務のほうに従事しておられます先生に教壇に帰つて頂くということになりましたので、これらが三十六名ほどございまして、差引二十九名の新増をいたしました。さような状況なつております。なおその他の御意見につきましては十分一つ……。
  101. 安部キミ子

    安部キミ子君 それではいろいろ質問したいこともありますが、今日は時間も掛りますから又にいたします。  福島県知事にちよつとお願いがあるのです。先ほどのお話を承わりますと、成るほど御苦労していらつしやることもよくわかりますが、この段階に来まして、僅かの金の差で団体交渉がもつれて、このもつれたことによつてあなたの親心が実現できない、延びるということになりますといけないと思いますので、この点んをもう一度考慮頂いて、只今地方自治庁でも考えておられる面もありますから、要望いたしておきます。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も福島県知事に一つ要望を申上げたい。それから島根県の副知事さんに若干の質問をいたします。知事さんの御説明の中にもありましたように、福島県の教職員給与水準というものは全国的な水準と比較いたしましても高くないわけです。むしろ低いわけです。そういう実情の中にあつて、今年の四月には相当多量の退職者を出しておる。これは恐らく殆んど高給者ではないかと思うのです。こういう現状でございますので、やはり昇給等の問題についても、先ほどお話になつたように完全実施をして、少しでも教職員給与水準を全国平均に近付ける、こういうお考えによるものだと思いまして、私は非常に結構なことであると思います。ただ併し、そのために貸付金を回収するという面において知事さんもお認めのように相当無理がある。この点はやはり私は何とか善処をして頂いて、その無理は、無理というよりも、私は不可能に近いのじやないかという面があると思うのです。そういう点は再考慮を願つて、昇給昇格が完全に実施され、これは私は福島教育界にそれが実現すれば非常な好影響をもたらすものだというふうに考えまして、なお一段の御検討、御高配を要請いたしておきたいと思います。  島根県の副知事さんには、時間が経つておるので甚だ恐縮なんですが、先ほどの御説明の中で私の承知しておるのと若干相違しておる面が三点ばかりございます。従つてそれを先ずお尋ねをいたします。それは副知事さんは島根県の教育員の給与水準は全国水準に比べて高い、こういう御説明がございました。もう一つは、四月昇給は実施済みである、こういうことでございました。この二点でございますが、私は島根県の給与水準は全国水準に比べて高くないというふうに考えておるのです。当文部委員会文部省から出されました昭和二十九年四月一日の現員現給調べの表によりますと、島根県の場合は小学校において一万五千八十四円になつております。ところが、全国水準は一万五千二百八十円ということになつております。若干低い、私は詳細の一覧表を持つておりますが、これで計算をいたしましても、島根県は給与水準は全国的に見て二十八番目ということになつております。これは中位以下であるということで、先ほどの御説明とこの点食い違つておるように思います。それから中学校においても同様であります。数字は申上げませんが同様である。従つて島根県においては決して給与水準はよくないというふうに、これだけを以て全部を決定することはできないと思いますが、併し一応給与水準の上から言えば高くないということは私は言い得ると思う。特に御県は三百人のうち二百人近くが勧告退職によつて高給者が退職せられております。この数字は退職以前の人たちをも含めた水準であると私は思う。従つて、現状は更に下つておる、こういうふうに見ておるわけです。そういたしますと、先ほどの説明と余ほど会い違つておるというふうに考えます。それから本年の四月の昇給はすでに実施済みである、こういう御説明でございましたが、ここに島根県の教育委員会から出している昭和二十九年度における本県職員の昇給昇格についての白書というのがあります。それによりますと、四月は実施しておらない。こういうふうにはつきり書いてある。それを副知事さんは実施済みであると言われておる。これは非常な違いである。だからこの点についてなお説明を私は求めたいと思うのです。  それから第三番目の問題は、やはりこの教育委員会の出しました白書によりますと、本年度において正規の昇給昇格を実施するのには七千四百万円ほど必要である。然るに既定予算では二千九百万円しかない。従つて既定予算内で実施するとすれば、四〇%程度しか実施できないというふうに数字が挙げられております。そうすると、先ほどの副知事さんの説明とは余ほど私は食い違つて来ると思うのです。そういう点相当違いますので、一つ御説明を願いたいと思います。
  103. 本山修策

    参考人本山修策君) 第一点について申上げますが、私が御説明申上げましたのは、昨年度におきまする単価が平均単価より、言い直しますと、新陳代謝をいたします前の平均単価が非常に割高であつたということを申上げたのでございまして、新陳代謝の結果は、只今お話にもありましたように非常に下つております。ただ単価が下つておりますということは、それだけ以て給与が低いという結論にはならんと思いますが、御承知のように、個人個人の給与の問題になりますので、私どもの考え方といたしましては、実際の平均単価は人数にも関係のあることでございますし、実際の個人の先生がたの給与につきましては、資格に応じ、又勤務年限に応じました給与がきめられておるのでございますので、我我は平均単価をできるだけ下げることによりまして或いは昇給なりその他の教育費の支出が円滑に行きますような努力を重ねておるわけでございまして、私が申上げましたのは昨年度の高い時期の新陳代謝を決意いたしました当時の単価を申上げたのでございます。それから四日昇給の問題は、只今白書をお取上げになつてお話になつておりましたが、それは二ヵ月ぐらい前のものじやないかと思いますが、四月昇給は私が承知いたしておりますのでは実施をしたように記憶いたしております。なおそれは予算の配賦もいたしたつもりでおりますので、時期につきましては更に調査をいたしたいと思います。白書の出ましたのは二、三ヶ月前の七月十月だつたと思います。それは知事教育委員会内の話は四月につきましてはずつと以前から話がついておりましたが、教育委員会内にきまして検討を重ねられます期間が延び延びになりまして少し遅れておつたようでございますが、四月については現在は実行済みのように記憶いたしておりますが、なお調査をいたしまして、若し間違つておりますれば訂正をさせて頂きたいと思います。
  104. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これでは教育白書は二十九年八月一日現在です。ですから八月において四月の昇給が実施されたかされないかは私は明白だと思います。この八月一日付の白書ですが、それは実施しておらない。それから私が文部省から実施状況についての調査を求めましたところ、昭和二十九年九月一日現在で四月昇給を実施しておらない県は青森、岩手、秋田、福島それから島根と、この五県になつております。そういう意味でで私の持つております資料はすべて四月昇給は実施しておらない、こういうことにまあ相成つておるわけであります。そこで、どうもその点はつきりしないので、もう一遍調査して……。
  105. 本山修策

    参考人本山修策君) 十月二十八日に実行をいたしております四月昇給につきましては。
  106. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私もう一遍確かめますが、島根県の現状はこういうふうになつておるというふうに私は聞いておるのです。即ち昭和二十八年の十月に昇給すべき人たち、これの昇給が三ヵ月ずれまして昭和二十九年の一月に行われておる。それから昭和二十九年の一月の昇給該当者が発令されておらないで、昭和二十九年十一月の昇給が十月の末になつてやつと四月一日付で発令になつておる、こういうように聞いておる。従つて十月末に昇給なつた人たちは発令は四月になつております。併しこれは昭和二十九年の一月の昇給該当者だ、従つて四月昇給は行われておらない、こういうことに相成ると思うのですが、この点は如何ですか。
  107. 本山修策

    参考人本山修策君) お答えを申上げますが、御承知のように昇給の問題を扱いますのは任命権者が扱うわけでございまして、私ども知事教育委員会と折衝を重ねますのは昇給予算についての折衝をいたしまして、予算裏付決定するわけでございまして、国家公務員についても同様でございますが、きまりました予算の範囲内におきまして、どういうふうにそれを実行するかという点につきましては本県の、私どもの県の条例から申しますと、県の教育委員会が指示をいたします基準に従つて行わなければならんという決定なつておりますので、予算の範囲内において昇給方式をどういうふうな方式で行うかという問題については、これは知事の権限の問題ではないのでございまして、教育委員会決定をされる問題でございますので、私はその点については何とも申上げることができないような状態になつております。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この四月昇給について、これが実施されたかされないかということについては今の御説明では私も十分理解することが困難でございます。  それから更に七月昇給の問題についてお尋ねをいたしますが、大体先ほどの説明では三千五、六百万円の既定予算がある。それで実施をすれば大体八〇%程度昇給が可能である。こういう御説明であつたように思うのです。併しこの八〇%内外の昇給ということは私は非常に問題があると思います。というのはこれは昭和二十九年度予算編成には私は関係をしておるわけなんですが、昭和二十九年度予算編成が相当無理があるということですな、御説明があつたように。全然昇給昇格のために必要な予算が計上されておらないですね。そういう点で予算編成上相当私は無理があつた思うのです。その無理な予算の範囲内で昇給を実施すると、こういうことは私は実際上不可能だと思うのです。それも三千六百万円という金を、高級者の強制退職による余剰金というもので大体賄われておるのじやないかと思われるのです。而も副知事さんの説明でも八〇%しか昇給できない、こういうことでは私は島根県の教育というものに相当悪い影響があるのじやないかと思うのです。特に教育委員会も先ほど率直に認めております、中国五県ではすでに四月、七月の定期昇給は全部実施しておる、本県だけが実施できないということになると、島根県は陥没地帯になつて、全く陥没混乱に陥るというような言葉も使つております。そういう意味で私は教育委員会としては県のそういう昇給に対する態度では、教育委員会としても教育上非常に困る、こういう結論を出しておるのを考えてもわかるように、私はこの際大した金額でないのですから、完全に実施するとしても、本年度において七千四百万あればいい、そのうち三千六百万はすでにあるのですから、あとは四千万円足らず、これをやはり私は補正なりなんかして予算化して実施されるように、私は副知事において御努力をして頂きたいと思います。特に先ほどお話にあつたように島根県の給与水準は相当私は悪いと思つています。特に説明のあつたように、島根県は助教が少い。殆んど資格者である。殆んど資格者で占められておつて給与水準が低いということになれば、これは私は教員構成の問題がありますけれども、相当考えて頂かなければならん問題じやないかと思うのです。そういう意味で、これは規定予算の範囲内で昇給をやるということでは、これは他県との関係から考えましても、又島根県の給与水準の上から考えても不十分であるというふうに考えるのですが、そこのところを大した金額要らないのですから、その点考慮願えないかどうか、お尋ねしたいと思うのですが……。
  109. 本山修策

    参考人本山修策君) 大した金額ではないというお話でございますが、先ほども繰返して申上げておりますように、県の現在の財政状況は一億六千万の節減をいたしましても、なお四億数千万の赤字を抱えておるのでございまして、それらが全部給与費にかぶさつて来るわけではございませんが、純県費の先ほど申上げましたような大きなウエイト七〇%も占めておるような人件費でございますので、その赤字はそれらにもふりかかつて来るわけでございまして、現在の県の財政の今日只今状況から考えます場合には、三千五百万は少額じやないかというお話でございますが、我々は一銭でも今節減しなければならんというふうな状況に追い込まれておるのでございまして、私どもは更に財源を獲得することに、この機会に当面の問題としては努力をしなければならんということに相成りますので、今それらの点について金額が少額であるからということで、私ども直ちに計上するということをお答え申上げるわけには参らんのでございまして、県財政全般について財政の好転に努力をすることだけは積極的にやつて参りたいと、かように考えております。
  110. 堀末治

    委員長堀末治君) どうでしよう荒木君、大分時間も経ちましたので……。それでは以上で質疑は終了することにいたします。  参考人かたがたに申上げますが、今日は誠にご多忙のところ御出席を頂きまして、長時間に亘つて御意見を拝聴させて頂き、誠に有難うございました。つきましては、本日の御意見、今後当委員会としてはいろいろ参考にいたして審議をいたしたいつもりであります。誠に本日は有難うございました。  暫時休憩いたしまして午後は二時から再開いたします。    午後一時六分休憩    —————・—————    午後二時三十一分開会
  111. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは、午前に引続いて委員会を開会いたします。  大学制度並びに高等学校教科課程に関する件を議題といたします。御質疑をお願いいたします。
  112. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は文部大臣の出席を要求してあつたわけですが、文部大臣どうしてお見えにならないのでしようか。この問題は局長にお伺いするよりは問題が少し大きいので、大臣に質疑いたしたいと思うのですが、どうして大臣は出席なさらないか、御説明頂きたいと思います。
  113. 堀末治

    委員長堀末治君) 大臣は午後見える約束になつておつたのですが、文化関係の問題でまだちよつと手があかないそうでありまして、三時頃には見えるというて通知がございますが、その間になるべく局長で足りるような御質疑を重ねて頂いております間に参ろうと思いますから。
  114. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣に対する質疑を残して、先ず大学学術局長に伺いたいと思います。去る十一月十五日付で中央教育審議会から大学入学者選考及びこれに関連する事項について答弁が文部大臣になされておりますが、この答申について文部当局は検討されたかどうか、この点先ず……。
  115. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 只今御質疑がございました、中央教育審議会より去る十五日文部大臣に御答申がありました大学入学者選考に関する事項についての答申につきましては、御答申がありましてからも、とくと拝見いたしましたし、会議における御論議の途中におきましても、いろいろ審議の傾向等につきまして拝聴いたしておつたのでございます。
  116. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 然らば、事務当局においてはこの答申に対する見解を持つておられるはずでありますから、その見解を承わります。
  117. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 文部省といたしましては、まだ御答申を受けましてから一週日も経過いたしておりませんので、省としてこれに対しまする方針等を決定するに至つておる時期ではないのでございますけれども、まあこの御答申の内容を拝見いたしますると、前半は入学試験の手続の問題について御答申があり、それにつきましては、おおむね文部省が従来通牒において明らかにいたしておりました入学試験に対しまする各種方法についての方針を支持する御趣旨を基本といたしまして、それについてそれを充実せしめる意味において将来考究すべき諸点を挙げられておるのでありまするから、我我といたしましてはこの御支持に従つて今後この実現に努力いたしたいと思いまするし、又努力いたしますることについてそう従来と変つたことはないと考えております。  第二の点につきましては、この問題に関連いたしまして、大学をめぐる諸制度について改良改善をするようにという点でございます。四年制大学につきましては、従来の文部省のとつておりました方針をそのまま努力実現するようにという御趣旨であるように承わるのであります。即ち各大学の充実という点に力点をおかれております。更に又短期大学についてでありますが、短期大学について恒久的の教育機関としての制度を確立するようにという御趣旨でございます。これにつきましては、御承知のように短期大学の成り立ちが当時占領下にありまして、当時の文部省といたしましても四年制大学と異なる何らかの高等教育機関を設置したいと考えておりましたし、当時大学設置審議会からも当時の教育刷新審議会に対して同様の建議もあつたような次第であつたのでありますが、当時占領政策といたしましては、こうした新しい教育機関を開始することを認めないで、ただ当分の間手限が二年又は三年の大学を認めるが、それらの大学はまあ努力して四年制になるべきものであるというような趣旨をもつて学校教育法の改正を僅かに許されて今日に及んだ。その後におきましても、私立短期大学協会或いは公立短期大学協会から年々文部大臣に対して御要請がありまして、短期大学を四年制大学と異なる教育機関として恒久化を図るようにという御要望もあつたような次第でございます。文部省としてもこういう点について鋭意研究すべき時期が参つたと考えておりますときに、この中央教育審議会におきましても、短期大学の制度を恒久的な教育機関としろという点、及びその特色として専門的実際的な教育内容を盛り込むようにという御趣旨があるわけであります。この教育内容につきましては、短期大学開始以来、短期大学をめぐる実際社会の各方面の御要望もおおよそこういうような専門的実際的の教育をもつとはつきり意義づけた教育機関でありたいんだということにあるように伺つておりましたので、文部省としてもこの中央教育審議会が示された線に沿うて今後短期大学の問題を取り上げて参ることだろうと思つております。併し先ほど申し上げましたように、まだ御答申を受けて一週日も経過いたしておりませんので、これにつきまして省議決定或いはその他省としての方針決定するにはまだ至つてないのでございます。
  118. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この答申は、質的に考えた場合に重点は前者にあると考えられますか、後者にあると考えられますか。
  119. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) これはいずれにもあると思います。いずれも重要な問題を各項目に盛り込まれたものであつて、我々は各項目の一としてゆるがせにせず考究しなきやならない問題を御提示いただいたものと考えております。
  120. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はその見解を異にいたします。それは先ほどあなたの答弁にありましたように、その前半は大学の入学者選考に関することであつて、むずかしい問題を出しちやならんとか、指導要領に沿つた問題を出せとか、或いは進学指導をせいとか、これはあなたのほうですでにたびたび指示された内容とほとんど変らない事柄です。事めあたらしいことはございません。それほど質的に考えて重要な問題じやありません。併し表題には大学入学者選考及びこれに関連する事項とありますけれども、その関連するところの後者であるところのこの短期大学に対する答申内容というものは、これは短期大学だけ切り離して論じられる問題ではなくて、わが国の大学制度そのものの根本に触れている極めて質的に考えて私は重大なる内容を含んだものと、こういうふうに了承するのですが、重ねてあなたの御所見を承わりたいと思います。
  121. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 別に私は矢嶋委員と御見解を異にするとは考えてないのでございます。いずれも重要であり、真摯に研究しなければならない項目を提示されたという点については、どれも軽重はないと考えますけれども、前者はおよそ現在の制度を根本としておおむね考究し得ることであり、後者につきまして、その一部は明らかに制度を開くことであり、この新しさにおいて、その特異性を持つという点は確かにお話の通りでございます。
  122. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは今私この答申を中心に先ず質問を展開しておりますので、順序を追つてお伺いいたします。  先ず一応の結論めいたことを承わりますが、あなたの先ほどの発言から、文部省としては事前から承知しておつたと、大体においてこの内容については予期しておつたものが出たと、答申があつたというように私にはとれました。従つて文部省としては一体この答申をこれから検討されるのでありましようが、この実施の時期をいつ頃にしようと目途を立てておられますか。省議できまつておらなかつたら大学学術局長稻田個人としての意見を伺いたいと思います。
  123. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 予期しておつたものが出たと申上げたのではなく、出た結果を拝見いたしますれば、従来文部省が考えておつたことを根本としてお取り入れ頂いたと、こういうふうに申上げたのでございます。いずれにしましても、入学試験の問題は、今きまつたから来年の三月変えられるというような性質のものではなく、従来入学試験に関しまする協議会においてとつておりました方針といたしましては、一年前の少くも三月末日までに世間に明らかにしたい。それよりも望ましいことは、その前年の十一月、十二月に、まあ募集時期前に大体の方針を明らかにしておきたいという御希望が出ているのでございます。従いまして、明年三十年の四月の入学試験につきましては、本年の三月以前に変え得るならば変える方針を明らかにしておかなければならない。で今からいたしまして問に合いますことは、まあ非常に忙げば、来年の三月までに来々年の四月の入学試験の問題を明らかにしてもいいのでございますけれども、今申しましたように、それではまだ短いので、その前年の十一月といえばもう今すでに来々年の入学試験の方針が明らかになつておらなければならない事情もあろうと思います。これは高等学校においてそれに対応して諸般の用意をなさいますにつきましては、それくらいの期間が穏当だろうと考えている次第でございます。従いまして、今この御答申を頂いたわけでございますけれども、私どもとしては、これは明年の四月には間に合わんと思います。又明後年の四月に問に合せるにいたしましてもこれは相当無理があるだろうと思います。私どもといたしましては入学試験の問題につきましては、あまりその無理をいたしますことがむしろ改良改善を急くよりも一つの大きな問題を提示いたしますので、その点これから大いに研究いたしますけれども、明後年に間に合うかどうかという点につきましては、今からちよつと律することは困難だろうと思います。
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 制度の問題については、学制の問題については……。
  125. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 制度の問題につきましては、若しこれは省議決定いたし、政府部内における閣議決定方針をもつてしますれば、まあ普通大きな法律改正をいたしまする通常国会の会期中には国会の御審議が願えると思うのでございます。ただ学校教育につきましては、先般御審議頂きました医学教育の改正につきましても、公布いたしましてから一年の実施の猶予期間をおいております、免許法におきましても少くとも半年の猶予期間をおいております。従いまして、これも明年四月からこうした新しい学校を実現するということは恐らく困難ではないかと思つております。
  126. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私がそれを伺つたのは、こういう重大な問題はあらゆる階層の意見を聞いて慎重にやつて頂かなければならんという立場から伺つたわけで、その点を先ず要望いたしておきます。  そこで私は質問を続けますが、この行政機構が折々変ることによつて国民は随分迷惑するのですね。ところが、その行政機構とは本質的に変つたこの人間育成の学制制度ですね、これが折々変ると、特に我が国の大学は今後どうなつて行くだろうかということが明確でないという点については、誠にこれは私は重大な問題だと考えるのです。又この入学試験制度についても年年歳々変ると、全く年中行事みたいに論じられると、それによつて進歩することは結構でありますけれども、何さま朝令暮改式な最近の状況というものは、私はよほど反省しなくちやならん。従つてよりよきものを求めるために努力することは結構でございますが、従つて相当広い視野から今後朝令暮改式にならないように慎重に検討するという基本的態度が私は堅持されなくちやならん。こういうふうに考えるので、この点特に要望するわけです。  そこで、この答申案についてまあ前半入試の問題について若干伺つて、後半学制の点に質問を及ぼしたいと思いますが、これは大臣に伺うことかと思いますが、最近の中学校の実態は御承知と思います。進学日程というものをこしらえて、相当に試験準備というものをやつております。それから最近の高等学校はそれに輪をかけた状況である。戦前の我が国の教育界のことを想起して頂きたいと思います。それから戦後文部省は如何様に指導したかということも想起して頂きたいと思います。その上において現在のこの入学試験と各階級における学校教育の実態というものを如何様に考えられておられ、それの対策としてどういう構想を持つておられるか、こういう点について承わりたいと思います。
  127. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 所管が大学でございますから、大学の入学試験をめぐつての問題につきましてお答えいたしたいと思うのでございますが、この答申案の(1)のCにありますように、大学において出す問題は高等学校学習指導要領に基いて出題して、その範囲を逸脱するような高度の知識を要求することを避けるようにという点があるわけでございます。この点につきましては二十四年以来の過去の大学入学試験におきましても常に文部省も通知をいたしております。そこにこういう趣旨を明らかにいたしておりますし、年年入学試験に関しまする委員会を中心といたしまして、方々の大学でお出しになりました問題をあとから検討いたしまして、こういう出題方法は結構だ、こういう出題方法は危険があるというような点を、その検討の結果を印刷いたしまして大学及び高等学校に示す、こういうことによつて年々その問題の作成について改良改善を加える、いわゆるたたき落す入学試験ではなく、本来の意味において学力が反映し得るような入学試験であるようにという点は心がけて参つたのでございます。幸いこの御答申もその点に力点をおいておられますので、私どもとしては入学試験改善委員会その他各方面のお力をかりまして、ますますそういうような点について努力いたしたいと思います。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたは大学学術局長であるから、御自分の所管だけで答えるというのは尤もだと思いますけれども、こういう基本的な問題については次の次官になろうというあなたであつたら、答弁されて然るべきだと思います。それぐらい答弁しないようだつたら次官になれませんよ。(笑声)  そこで、私は具体的にあなたの御所管の点をお伺いいたしましよう。二十九年八月十九日付で、大学学術局長稲田清助、あなたのお名前で、「昭和三十年度大学等入学者選抜に際して使用される調査書の形式について」という通達が出されておりますね。これによると、入学試験官は進学児童の適正を期する、或いは選抜者側の便利というようかいろいろな角度から考えられているのかと思います。要するところ、要点はこの志願者に序列をつけようということですね。私はこの通達を見て、最近或いは全国高等学校長協会とか、高等学校教職員組合関係の方がいろいろと意思表示されているようですが、一体つけられるものか、つけられないものか、それから終戦後高等学校教育を指導されたあなたの曾つての方針からいつて、こういう通達を出すということは実に矛盾していると思のです。これをどういうお気持ちでどういう必要があつてこういう通達を出されたのか、それを承わると同時に、ここで多くを申上げませんが、今の高等学校の教科課程の編成、あの実情からこの通達は実施不能であるから撤回する意思はないかどうか、その点明確に承わりたいと思います。答弁次第によつては質問します。
  129. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) あえて序列をつけるという意味ではないのであります。およそ五段階に分けて、およそどの返に位置するかという漠然たる目安をつけて頂きたい、こういう意味合いでございます。ただ、それについてもいろいろ従来日教組、高教組その他から困るという御意思の表示を承わつております。大体今回の内申書の様式に、新たにその五段階記入を求めました次第は、先ほど来申上げておりまするように、高等学校側と大学側と同数お入りになつて、従来年々この入学試験の問題について御協議、御決定を願つております協議会において、内申書をもつと大学において尊重する、逆に申ぜば内申書をもつと見やすくする、利用しやすくする方法はなかろうか、こういう議が本年非常に取り上げられたわけでございます。と申しますのは、一方において進学適性検査はこれは自由にはなつたものの、大学の傾向といたしましては、殆んど進学適性検査をやる者がないめどがだんだん明らかになつて参りました。そういたしますと、学力検査に対しまする依存度が非常に強くなつて参りまして、従つて高等学校側においては、何とかしてその内申書のほうをもつと重要視してもらわないと、全く受験準備というような一点に話が片寄ることを恐れる、こういうような御趣旨で、その協議会においていろいろ研究せられた結果、ただ高等学校側でAばかりつけられても、Bばかりつけられても、その学生生徒が如何なる位置にあるかということを大学で判定しにくい、従つて判定しやすいためにはおよそのグルーピングでどのくらいに位置するかという目安を立てられないか、こういう話が出たのであります。それには高等学校側としては、その委員会においてもそれはつけようとすればつけられるのだが、実際生徒児童はお前はおよそどのくらいに位置するということを本人にも父兄にもよく言うことだし、そのままやればやれるのだ、そういうことをやつて、そのために内申書が重要視せられるという傾向が生ずることならば、それは是非やろうじやないか、まあこの機会としては全会一致したからこれをまあ出した次第でございます。ただそれに対しまして、只今矢嶋委員のお考えのように、高等学校は科目選択制度である。科目選択制度のものを横に並べて位置づけるということは、これはむずかしいのだ、これは理念に反するという反対が出て来ているのです。それも或いは高等学校教育の或いは本質論から言えばそうもあろうと思います。ただ入学試験の問題は、高等学校高等学校の立場だけでなく、又大学が大学の立場だけでなく、お互いがお互いの立場を考えて、ある程度できることは努力してやるということでないと、これは成り立たないと私どもも考えるのでございます。逆に申上げれば、現在の入学試験のやり方は、高等学校の要請で受験科目の選択制度ということを大学はとつておるのです。大学の側から申しますれば、その大学が科目を特定したい、工学部はこれこれの科目を受ける、理学部はこれこれ、ただそれは高等学校に対する教育に対して影響を及ぼすという点、それから高等学校が科目選択制度であるから、理科で受けても実業で受けても家庭で受けてもいいことにしております。現在の大学入者試験におきましては、理科で受けた者と数学で受けた者と家庭で受けた者と結果を平均して、それこそ序列を付けて入学試験をやつております。若し高等学校のほうが科目選択制度だからその間序列、段階、グルーピングが困難だという本質論で若しお話しになるならば、入学試験で今科目選択制度を高等学校が大学に要求して、それによつて大学が合否を決定しろという御要求それ自身と論理がどういうふうに矛盾して来るかという問題がそこにあるわけでございます。ともあれこれについては立場々々でいろいろな御論議があるわけでございます。いろいろ日教組、高教組から御反対がありましたが、私どもとしては、それ以後継続いたしまして三、四回もこの入学試験協議会において、この問題について更に再検討する余地はないか、或いは多少修正するなり、或いは取消しなり、いろいろ御研究を願いたいがということで研究を願つております。まだ結論が出ません。その委員会といたしましては、グルーピングは可能だと信ずる、こういうような御見解が支配的でございます。ただ高等学校の相当大部分が若し協力しないとなれば、そこに非常にまちまちな取扱いができることは、これは困るから、それらについてもう少し高等学校の理解を受けるような修正案があるかどうか検討しようというようなのが今の段階であるように承知しております。ともあれこの大学と高等学校の問題は、大学だけの教育理念で若し臨みますならば、科目選択制なんというものは成り立たん。大学が必要といたしまする学力の集積というものを見る必要があれば、科目特定主義が大学からは、当然大学教育理念からは要求さるべきものだと思う。或いは高等学校のほうから若し徹底的に問題を割切るならば、こうしたグルーピングは、それは不可だという論もできましようけれども、これはお互いの異質の教育がお互いに関連いたしまして、その間でおおよその学力を適正に判定したい、而も今度の問題が内申書重視という高等学校側の要求を中心にしての検討でございますから、まあ我我といたしましては、一応はその委員会の答申通り大学にお願いいたしまして、今申しましたように、その委員会においてもなお再度検討の余地あらば検討しようという状況でございます。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 文部省のということはあなたのということになりますが、お考えは一貫していると思うのです。ということは、あなたの希望されておる通りの教科課程の答申が十月十四日付けでなされたようでありますが、高等学校の教科課程がここに答申されたように、今の科目選択制からコース別にでもなればこういうグループに分けることも可能でしよう。それによつて大学は選考試験を実施するに当つてやりやすくなるでしよう。あなたは一貫した点をずつと考えられておる。その点においては筋は通つておる。併し現在の高等学校は発足以来あなた方は五段階に分けるような指導を何にもされていないわけです。その点はどこにも指導書には書いてないわけです。そうして幅広く科目選択で来たわけです。ここでこれを五段階に分けるといつても事実不能の問題です。あなたは経験ないと思いますが、私は曾つて旧制の中等学校に長いこと勤めておつたんです。丁度あなた方が出されたこの通りのことを私どもは戦時中やつたものですよ。これは在校生もあるし、卒業生もあるし、当時は百点満点で採点しておりましたが、この段階をきめるのは担任教官で激論をやつたものです。これは非常に抜群優秀な者と非常に劣等な者とははつきり区別しますよ。けれども、けじめというところに来てとてもそれはむずかしいのです。そうして大学当局は、当時の高等専門学校もそうでありますが、内申書を書く教官が徹夜して書きましても、そんなところは見やしないのですよ。序列を付ければここだけしか見やしないのです。あとのところは徹夜して書いても殆んどこれは無視されるのです。それが実態なんです。そうなるのですよ。従つて五段階にグループを分けるということは相当な合理的なものがあり、科学的な根拠があり、人を納得させるものでなければこれはなしてはならんことだと思うのです。今までの文部省高等学校の指導方針から行きましても、今の教科科目の撰択制から言つても、今突如としてコース別になつた、将来のことを頭に描いて、その考えの下に大学側の便宜だけを図つてこういうことを要求するということは、私は非常にこれは無理だと思うのですね。だから私は全国高等学校校長会のほうもこれは不可能だと、なし得ないということを意思表示されているのだと思うのです。従つてこれは局長さん、次の機会に私は譲るのが妥当だと思うのですね。一般に入学試験の問題といえばやはり採用する側が強くなるのですよ。まあ最近の大学教育の中で語学が不十分だと言つて指摘されておりますが、これは責任が高等学校にある高等学校中学校にあるというので、来年度高等学校入学試験が全国的に中学卒業者に英語を課しようとしております。この善し悪しはここで言いません。しかし採用する側の高等学校の発言が非常に強くなつて来るわけですね。そして殆んど英語を課するようになります。今度は大学とすれば、大学は高等学校のことは若干まあ考えましようけれども、自分たちが受け取つたその生徒に四ヵ年間一般教養に専門教養を十分教授するのに都合のいい学生を採ろうという立場から、いろいろの注文をして来るわけです。その注文が最も露骨に現われるのは入学試験のときに出て来るわけなんですね。そしてやはり選抜してもらうものは選抜するものに比べれば弱い立場に立つわけです。だからこの点は文部省としてはよほど私は慎重に大学学術局長は、初等中等教育局長を私呼んでいますが、この局長意見も十分聞いて出されなくちやならん。若し大学学術局長は緒方初中局長との十分連携の上に初中局長も納得して出したのだとすれば、初中局長はその不明を詫びなくちやならん。労働組合ではありませんよ。全国高等学校の校長さんがこぞつてこういうものはなし得ない、だから協力できない、拒否する、高等学校の校長会が揃つて意思表示しているのですからね。その不明を僕は初中局長は詑びなくちやならんと思う。だから今後こういう問題をいざこざをやるよりは、教科課程についての審議会からの答申もあつておりますが、いずれこれは検討され、或いは或る程度変更はあるかもしれません。その根本方針の下に指導書をこしらえて、そして要求さえあればいつでもそれに応ずるところの序列がきめられるような形になるまでは、私はこの実施を強要することは暫く見合せるのが適当ではないかと思うのですが、再検討されるお考えはありませんか、如何ですか。
  131. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) これは何も新しい高等学校の教科課程がどうなるだろうかということから検討されたことではないのでございます。先ほど申上げましたように、内申書を見やすくするにはこういう目安を付けることが可能か不可能かということを検討してみた結果、付けるという気持になつて付ければ付けられるのだ、委員会が全員一致いたしまして、それに基いて出したわけであります。さつき申上げましたように、若しも科目選択制については、おおよそ順序もグルーピングも付くべきではないという理念です。入学試験に関連して若し明かにいたしますならば、すぐそれと表裏いたしまして、然らばその科目選択制の今の学力試験はどうか、理論的にはそうなるものだと思います。入学試験についてこれは表裏した問題になりますから、いずれの理念をとるかという問題でございます、ですからさつき申しましたように、高等学校の側は大学側の便宜も考慮するし、大学側は高等学校教育の行き方というものを十分配慮して、まあ各自がおのおのの立場を考えて、できるだけ、そうした割切つた議論もありましようけれども、お互いに見合つて行かなければ入学試験というものは私はできないものだと思います。しかし、ともあれ、この点についてはいろいろ論議もあることでございますので、論議がありますから、さつき申しましたように四回継続的にこの試験委員会を開いております。まだ結論は出ませんけれども只今御教示のありましたように、当局は十分考慮しろというそのお教えの線に沿つて、私どもといたしましては今までもこれは検討しておりますし、今後もなお委員会を中心に研究いたしたいと思つております。
  132. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 稻田さん、伺いますがね、最近答申になりましたこの教科課程の答申案ですね。このように高等学校なつた場合と現在と、五段階のグルーピングをやる場合に、どちらがやりいいとお考えになりますか。
  133. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 理念を徹底いたしますれば、仮に必修がもつと多くなりましても、一科目たりとも選択があります以上は、徹底した理論から言つたら、できないという議論はできないだろうと思います。
  134. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 稻田さんらしいことを言う。あなた詭弁だ、それは……。これはあなた、この答申案のように、コース別にすれば何でしよう、選択というものは幅狭くなつてしまうのだから、これはあとで質問するんですけれども、田舎の高等学校なんか固定化してしまいますよ。もう選択なんか全然なくなつてしまいますよ。現実にはそうなつて来ると思うのです。それと今までの各学生個人々々が選修した科目の実情というものは格段の差があるわけですよ。だから私は、この教科課程の答申案がいい悪いと言つているのではないのですよ。こういうようにコース別になれば、文科、理科、家庭科、職業科、大きくこの四つに分けるようになれば、五段階に分けようが、四段階に分けようが、比較的容易になりますよ。しかしそれに比べて現状では私はとてもこれは不可能だと思うのですが、この答弁は求めません。矢嶋がこう言つたということを覚えて下さい。  もう一点は、試験委員会はできるできるといつているから、それは通牒も出してやるつもりだといいますけれども、試験委員というものの構成はどういうふうになつておりますか、
  135. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) はつきり今公的のお名前を申上げる材料を持つておりません。聞違うといけませんが、高等学校長と、それから大学の特に一般教育に御関係のある教授の方が同数、それから学識経験者数名入つて構成されております。
  136. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その高等学校の校長は何人入つておられて、そうしてそれらの校長さんは可能だという発言をされているのかどうか、その点伺つておきたい。
  137. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 五人定員おいでになると思います。全員が常に御出席席ではないと思いますが、別に多数決もとらず全会一致でいつも決定する例でございます。もとよりこの委員会が全会一致でこういう方法をおきめにたつたのでございますから、この方々としてはやればできるという御信念の下に御答申があつたことだと考えております。
  138. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 緒方局長に伺います。今私何を質問しているかということは、総務課長からお聞きになつたと思いますが、従つて直ちに伺いますが、この稻田局長名で出されました八月十九日付けの通達、これについてでありますが、高等学校側では校長さんが先頭に立つてそういうことは不能だ、やれないということを主張し、皆さん方にこの実施の猶予方を要望しておるわけでありますが、初中局長としては加何ようにお考えになられますか。
  139. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 大学局が主宰されまして、委員会で検討されまして、その答申に基きましてなされたわけであります。その委員会におきましては高等学校長のほうも意見を十分主張されておることでありますし、私ども文部省としての方針が出ておりますので、只今のところ私はその方針に基いてやれることと考えております。又高等学校の側も協力されるものと考えております。
  140. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたはこの答申が出る前に承知しておましたか、どうですか。
  141. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) その委員会には私ほかの用務で忙しくて出ることができませんでしたが、私のほうの関係の課長が出ておりましたので、内容については私承知しております。
  142. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは高等学校の協力が得られるつもりで出されたのでしようが、高等学校側としてはやれない、これは私は尤もだと思うのです。先ほど私が稻田局長に申上げたことを時間が惜しいから繰り返して申上げません。これは一切不能だと思います。私も曾つて中学校でこれは口角泡を飛ばしてやつたことがある。当時百点満点に採点して、それですよ。今の高等学校の科目制では今突如としてこれを五段階に分けて……、内申書はこれは青年の一身を左右する問題ですからね。それではとても用をなさんと思います。従つて高等学校側ではなし得たい、協力しないということを県の高等学校長会では決議しておるようでありますが、それでもやられますか、如何いたしますか。若し高等学校側がそれは不能である、やらないと言つた場合どうしますか。あなた方そういう指導書を一遍も出したことはないのですからね。
  143. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 私は只今申上げましたように、委員会で十分検討されましたので、高等学校長におきましても協力を求め得るものと考えておりますが、いろいろ御意見もあることと私も存じております。従いまして、大学局の委員会におきましてもいろいろ検討しておるように承知いたしております。
  144. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これは私の仮定の上で尋ねるのですが、あなた方今検討されて、どうしてもやられるということになつた場合、学校側のほうは一切やれない、そうしてやれない場合にはどうなりますか。何県かの高等学校が書いて出せないということになつたらどうなるのですか。
  145. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) どうなるという御質問でございますが、これは入学試験としての手続でございますから、それはやらないということになりますと、入学試験の問題として、受験いたしますについてそういう手続をとられないということになりますと、そこに或いは問題が起つて来るわけであります。
  146. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そういう自体が十分予想される段階にあるわけですね。従つてそういう事態が起つたあとのことを考えると、いろいろな問題が起つて来ると思いますね。従つてさつきから私は稻田局長に要望しておるのですが、稻田局長は大学側のことをいろいろとお考えになつていらつしやるでしようし、あなたは所管局長でございますから、高等学校関係の校長協会、或いは高等学校の組合関係とか、そういう方面の意向を十分お聞きになつて、そうして今後トラブルが起らないように私は最大限の努力をなすべきじやないか。而もそれは時期的に言つて火のついた問題じやないかと、こういうふうに私は考えるのですが、あなたの御所見を承わつておきたいと思います。
  147. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) この問題につきましては、只今も申上げましたように委員会自体におきましても今検討中でございまして、私どもも十分関心を以てこれに対処しております。しかし結論につきましては、私ここで申上げかねますけれども、まあ高等学校でいろいろ意見もあるようでございますけれども、又いろいろ話合いを更に進めて行けば、或いは了解を得られる問題があるであろうと思います。しかし、なお検討中でございますので、その検討を進めたいと思います。
  148. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今中央教育審議会から出された答申案の前半の入試の問題に関連して伺つているわけです。入試の問題が出たことでありますから簡単にもう一つ伺つておきますが、それは先ほど私は中学校高等学校の受験準備学校化を一つの教育問題として所見を承わつたわけです。そのときに大学学術局長は、自分は大学のこと以外は答弁しないというので、私もあなたのおいでを待つたわけですが、従つてあなたに伺いますが、高等学校の学区制というものは年々歳々この入学試験問題と重大な関係がある問題だと私は思うのです。文部省としては学区制は育成して行くお考えですか、それとも別の考えを持つておられるか、どういう基本的な考えを持たれて都道府県教育委員会に助言と指導を与えておられるのか、明確にこの点お答えを願いたいと思います。
  149. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 学区制については、私どもこの制度の基本を動かす気持は今のところ持つておりません。従つて地方に対しましてもその意思を表明いたしております。
  150. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その答弁は諒といたします。で、これはこの程度にして、この答申の後半の学制の点について私は重点的に伺いたいと思うのです……。
  151. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その前にちよつと関連して聞いておきたいのですが、この中央教育審議会の答申のやはり入会試験の選抜のところですが、(1)のB項に、「大学入学者の選抜に当つては、学力検査の成績のみによることなく、高等学校における累加記録を尊重するとともに、本人の資質を考査し、その成績をも加味すること。というふうに書いてありますが、この「資質を考査し、」ということは具体的にはどういうことを意味するのですか。
  152. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) これが例の適性検査と心得ます。恐らく答申に註釈はありませんが、普通入学考査について考えますのに、ある教育を受けますのに必要な学力の蓄積と、ある教育を受けるに必要な資質の考査と、まあこの二つがあるために、その考査のために進学適正検査が行われておりましたから、この点については恐らく「資質を考査し、」は進学適性検査というようなものを考えろという御趣旨じやないかと思います。と申しますのは、そのあとのほうに出て参りまして、なおこの適性検査については放擲することなく十分今後改良改善を加えて、あるいは高等学校の在学のうちにやつたらどうかというようなことを言つておられますから、恐らくその意味であろうと私は解釈いたします。
  153. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この中には学生の高等学校在学中の思想傾向とか何とかいう、そういうものは加味していないのですか。
  154. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) これにはそこまでの註釈はございませんけれども、恐らく普通考えまする「資質の考査」はこれは適性検査の意味だと思います。
  155. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 稻田局長が通達で出された……私出された内容を見ていないのですが、その中にはそういう意味のことはないわけですね。
  156. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) これは現在の高等学校におきまする累加記録適用でございますから、恐らく累加記録適用以外のことは何らの記載を要求していないと思います。それ以外は先ほどのグルーピングだけでございます。
  157. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それではこの答申の後半の学制について重点的に若干伺いたいと思います。  先ず伺いたい点は、このたびの答申ですね。これは日本が独立後二十六年の十一月に政令諮問委員会が答申した内容とこの内容とをどのように文部省としてはとられておられるか。その点承わりたいと思います。
  158. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 現在の学校教育法のうちにただ一つの経過的措置、「当分の間、」として考えられておりますのが短期大学でございますから、政令改正諮問委員会におきましても当然その当分の間の不安定をとうするかということを考慮せられたのであり、又今度の中央教育審議会も当分の間の短期大学を先ず第一に取上げられたことについては共通点はあろうと思います。ただその改正の理念が、政令改正諮問委員会はどちらかと申しますると、行政、或いは研究、教育機関の簡素化というような点に非常に重点をおいておられる。従つて年限の短かい教育機関の充実という点を考えるというような点から入つて来られたのだろうと思います。ただ中央教育審議会はそうではなくて、当初から当時の我が国政府、或いは大学設置審議会等が企図して実現し得ざりしこの短期大学を短期大学本来の姿として活かしたいという点から入つて来られたと思います。多少表現が似、或いは帰結が似ておりましても、意図するところはその点異つておるものだと私どもは考えます。
  159. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 先ず根本的な重大な問題としては、大学院並びに四年制大学、そういうものとこの短期大学の問題とは分離して私は絶対に考えられないと思う。この短期大学だけ引離して学校教育法の改正をやつて恒久化するということは、私はこれは誠にお粗末極まるものだ、基本的にそういうことを考えるのですが、文部省はどう考えておられますか。
  160. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 只今申しましたように、短期大学だけが当分の間として現在位置ずけられておりまするから、日本が占領から回復されて自主的に立ちました場合に、先ず第一に短期大学の問題から片付けようとするのも私これは自然の考え方だと思うのでございます。勿論短期大学を考えます場合には、基盤になります高等学校教育がどうであるからこれを受ける短期大学の教育はどういう程度になるということも考えましようし、又短期大学というものの一つの特質を考えるといたしますれば、それ以外の大学の一般性格と如何なる異質のものであるか、又如何なる点が同質のものであるか、勿論関連して考えなければ短期大学の問題は解決し得ざるものだと思つております。と申しまして、然らばこの際なぜ四年制大学を根本的に考えないのか、或いはそういう御意見かと思いますけれど、これはまあ文部大臣も毎回申しておられまするように、六・三・三・四の現在の教育制度というものは、これはもうそう軽々に、又年々にそうぐらぐら変えるべき性質のものではない。差し当り大学制度の根本につきましても、私ども折角これは今充実課程でございますから、その理想に向つて充実するのが第一である。又そのうちにおいてそれぞれの特質を見出すというような点において努力する、というような点が喫緊の問題だと考えておりますことであつて、別に四年制大学について学校教育法を今日修正して頂こうというような計画は持たないわけであります。とは申しながら短期大学だけを取り出してみて、周囲を見渡さないという改正はできにくいと思います。
  161. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はあなたの今の答弁は了解できません。今学校教育法にある暫定的という活字を落すという、そんな簡単な問題ではないと思う。それを落して恒久的に短期大学をどうするということを考えるときは、必ずや四年制大学を質的に量的にどうするのか、大学院をどうするのかということを頭におかなくて私は短期大学の問題を、結論を出し得ることはないと思うのですね。従つてこの中央教育審議会が短期大学を出した以上は、大学生についても大学院についても結論は近い見解を持つているだろうし、又これを受け入れるところの文部省もそういうものを僕は持つておられるはずだと思うんですね。それらを一方を先にし、一方を後にするというのでなくて、これは時期的に若し短期大学を検討するなら、同時にやらなければできない問題だと思うのです。まあこれは意見になりますから、若干伺いましよう。で、先ず伺いたいのは、二十六年の十一月政令諮問委員会から出た一つの案によると、専修大学と普通大学とにわける、その専修大学は専門的職業教育と、それから教員養成を目的として、二年又は三年にすると、こうなつているわけですね。ところがこのたびのは修業年は二年又は三年、これは短期大学又は専科大学と呼ぶようにしたいという案を持つている。まあこういうように答申されておりますが、そこで、これはまあ具体的に伺いますが、この政令諮問委員会にあつた教員養成の専修大学ですね。これは将来どうするつもりですか。
  162. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 教員養成につきましては、中央教育審議会もすでに答申がございまして、四年を本体とする。しかし教員の需給状況を考慮して、当分の間二年鑑定も併置する、こういうことでございます。我々といたしましては、やはりその線に沿つてますます四年制教員養成制度の充実を企図いたしたいと思つております。
  163. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その当分という、暫定というのを落して、恒久とするという考えはあるのか、ないのか。
  164. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) それはまあ現仕の見通しといたしまして、なお僻地、或いは北海道その他教員が非常に不足でございますから……。
  165. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は恒久のことを言つている。この短期大学を恒久化する考えは……。
  166. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 教員養成じやないのですね。
  167. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや教員養成です。
  168. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 教員養成については、何ら条文に出ておりません。これについては別に条文をいじる必要はないと思います。
  169. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ということは教員養成は恒久的には四年制一本になると、こういうことをあなたは答弁されていると思うのですが、そうですか。
  170. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 現在の法制は、教育養成は四年制大学のあの大学の条規を適用いたしまして、いわゆる二年課程と申しますのは中途退学という取扱いになつております。
  171. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 短期大学が発足した当時を想起しますと、あながち御承知通り、戦前の教育は実業学校と然らざる学校との二本建で、いわゆる複線型となつて、一方は袋小路になる。これがいけないというので単線型にして、どの学校から行つても終点に行くように単線型にするというところが特徴であつたわけですね。ところが大学設置審議会ができて、基準等の問題がありまして、全部この四年制の大学にならないからというので、暫定的にという条件で短期大学が発生したわけです。その当時のこの公けの意見の発表というものは、いずれはこれは六・三・三・四の単線型のものになるので、いずれは短期大学というものはなくなるんだと、複線型にしないために、短期大定を卒えた人は四年制の大学に転編入学ができるように、法文上はトンネルをあけてあつた。ただそれが実施できなかつただけで、建前はそうなつていたわけです。ところが今度示された答申案の内容というものは、これは今私が申上げました単線型の理念というものは崩れることになると思うのですね複線型になつて来る。それはどういうのですか、大きな変革だと思うんです。
  172. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 先ほど申しましたように、当時の日本政府が意図いたしました点、それから大学設置審議会が建議いたしましたことは、大学については単線でなくて複線を要求したでしよう。ところがどうしても司令部で聞かない、なまけちやいけない、努力して四年制になるべきだ、又当分の間二年、三年を認めるということで、学校教育法を国会に持つて参りました。当時先生も御審議になつたと思います。国会においてこれをなぜ「当分の間」をとらないかという御論議も随分あつて、恐らく御討論の場合にはそういう御討論があつたことを私記憶するんです。それで今日に及んで来た。占領が終つたから、それじや日本政府が当時考えたものに変えるべき時期が来たんだというようなことで、私立短期大学協会と公立短期大学協会のそれぞれの御当事者から全部恒久化、又四年制大学と別個の施設としてという御要望もあり、或いは又いろいろ就職問題その他の問題に、産業界からも何らかの短期大学の特色を現わしてくれという意味もあるので、その当時文部省なり或いは又大学設置審議会が考えておりました複線型を採用する時期が来たというのが今日の考え方だと思います。併し複線必ずしも袋小路にはならないと思います。従いまして、答申につきましても、一番最終に「短期大学の卒業者に対し、相当の条件をもつて学部に転入する資格を認めること。」、この「相当の条件」と申しますのは、短期大学がどういう内容の単位制度をとるかわかりませんから、何単位とつておれば何学年はとれる、何単位とれれば入れる、そして入れるほうで相当の条件を付けるのは当然だと思いますが、しかしこの第六の考え方は袋小路でないようにするということを、特にこの短い御答申のうちに力点として言つておられることで、我々がこの短期大学の制度を考えます場合にも、なるべく袋小路にならんように考えることを要請せられたものだと思います。
  173. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それでは次に二点について伺つて一応質問を終ります。  先ず伺いたいのは、ここに短期大学を恒久化した場合に、この短期大学というトンネルを通して、そうして四年制の大学に進む人のほうが大学生の主要部分を占めるような形態にもつて行くことを考えられておられるかどうかどうです。
  174. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 私はこの短期大学については随分バラエテイがあるものだと思います。殊に女子も非常に多い。それからもう一つは四年制と併設する学校と併設せざる学校がある。今までの傾向をみましても、併設する女子の学校におきましては、非常に大量の方が四年制に編入されるんでございます。ところが今まであります併設してない短期大学、殊に実業関係の短期大学はそのまま外に出られるのが多い、この点は恐らく短期大学の基準ができましても、非常に適用の範囲の広いものができると思います。従いまして今どつちが多いかというお尋ねでございますが、これはその学校によると申上げるほかないんじやないかと思います。
  175. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私の伺つたこと通じなかつたかと思うんですが、平たく伺いますがね、短期大学を卒業して四年制の大学に進学して行くという学生さんですね、これが相当数に、まあいわば学生の過半数、大部分の学生を占めるような状態になるとお考えになりますかどうか。
  176. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) その点につきましては、現在の短期大学基準で一般教育を最大とりましても十八単位、普通四年制の単位は三十六単位でございますから、よほど何というか、入つてから一般教育をとらなきやなりませんので、今であつてもそんなに大学へ入る普通の道として短期大学を足がかりにする学生は少いんでございます。将来更に若しこの何というか専門面、或いは実際教育面を強化するとなれば、十八単位が十九単位、或いは十二単位になるか、その点についてこういう単位が現在以上多くなるとは想像できないので、今以上短期大学が四年制大学のいわゆる予科学校或いは前期大学になるようなことはないと想像いたしま
  177. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その答弁明快です。次に伺います。  それでは第二点として伺う点は、あなたのお考えがはつきりして来ると思うのです。これは専門学科と現いうのは専門学校になるわけですが、そうして袋少路にはならないというのは、昔の実業専門学校も当時の帝国大学に入る方法はあつたわけですね、併し殆んど入れなかつた、極く僅かしか入れなかつた。それと今後の短期大学卒業生が四年制大学に殆んど入れないだろうということは、現行はなんでしよう、入れるようになつておるけれども、あなたの所で出した通牒では、入学した大学の定めるところによつて入れるというふうになつておりますが、ところが入学した大学というのは極めて過酷な標準をきめてあるから、短期大学を卒業して殆んど四年生大学に進学できないような、実際上は袋小路になつておる。それは曾つての帝国大学と実業専門学校の場合と全く同じわけですよ、従つて今あなたが構想されておる、今後予想されるものは、完全な専門学校化、そういうように実質的になる。こういうふうに私は答弁から推察するのですが、その推察に対してはどういう御所見を持つておりますか、
  178. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 専門学校になるのですねと仰せられましたけれども、私は専門学校そのものになるとは思わないのです。やはり新教育の理念から申しまして、数養豊かないわゆる人間教育という部面は、新しい短期大学といえどもこれは捨てられるものじやないと思います。やはり人間が技術を使うという建前は捨てられないが、その点が従来の専門学校において殆んど一般教育的な面がなかつたのとは違うと思います。それから又恐らく短期大学は、これはこれから検討しなければわかりませんが、やはり単位制度をとるだろうと思います。そういうような点においてこの単位は大学間に換算し得るのが原則でございます。今各大学といえどもお互いに別の大学からこれは無条件な編入を許しません、或る大学は自分の所の単位に換算してこのくらいに見るとか、或る大学ではこのくらいに評価してそれを受入れるというように、大学が主体的に自主的に考えるのが私は大学の通例だと思います。それは短期大学に対する場合にも別にこれは違つたことはないと思います。それからもとの大学と専門学校関係は、これは申すまでもなく高等学校という予科が大学についております。その予科と相並んで全く別途の専門学校がございますから、専門学校から大学に入りますものは実に狭き門であつたと思います。今度の場合は、一般教育を受けられましたような場合に、別に短期大学で受けた一般教育であろうと、四年制大学で受けた一般教育であろうと、通算し得る数量は通算し得るものであろうという点につきましては、専門学校高等学校、大学の三者の関係とは相当違つたものが出て来ると思います。
  179. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 もう一つ伺います。どうもわからんところがあるのですけれども、簡単に伺いましよう。講座制をとるのかとらんのか。それと、もう一つ、これはわからないのですが、一体大学院ですね、大学院の数並びに収容人員というものはどうしようと考えておられるのか、それを聞いて、その答弁によつてもう一回質問します。
  180. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 講座制をとるかどうかというのは、短期大学についてでございますか。
  181. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そうです。
  182. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 講座を狭義に申しますれば、いわゆる旧制大学を転換いたしましたいわゆる大学院大学でとつておるだけであつて、それ以外の国立大学或いは私立大学では、いわゆる狭義の講座制はとつてないのでございます。いわゆる一・一・二とか一・一・三とか、そういうような組織の講座制をとつておりますのは、国立の大学院大学だけでございます。従いまして短期大学ではそうした狭い意味の講座制はとらないだろうと思います。ただいわゆる単位を与えまする教室単位というか、いわゆる教室制と申しますか、広い意味の講座制、今新制大学で講座制といつておりますのは、例えば数学講座といつておつても、数学の教授が一人いるとか助教授が一人いるとか、いわゆる数学教室がこの数学の単位をする教授力がそこにある、こういうような意味の単位制なり或いは広い意味の講座制なら、これは短期大学といえどもあり得るだろうと思います。  それから大学院の学生の数の基準でございますが、これは今大学院設置基準にありますように、教授一人が学生二人を持てる格好になつております。従いまして、或る研究科が何人の教授、助教授で成立つかというような点から換算いたしますると、現在の大学院の定員が出て参ります、国立大学十二大学について三千人の定員というものを、そうした次第で教授数から計算いたしました結果がそういう数でございます。国において何人の大学院学生を持つかと言えば、現在の計画といたしましては、現在のその数を当分の間維持するつもりでございます。ただ明年から医学部、それから歯学部が発足いたしますから、相当医学、歯学の大学院が新設になつて生徒が殖えると思いますが、その詳細な数はまだ私ここに手許に持つておりません。
  183. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その答弁に対して伺うわけですが、これはあまり時間がないから掘下げません。伺いたい点は、結局この答申の内容で、恒久制度として短期大学が発足したら、結局今七十二の国立大学の一部の格下げというものが起るであろうと、又そういうことを胸中深く秘めてやられているのじやないですか、その点、これは大臣じやないといけないと思うのですが、あなたの責任ある答弁を求めましよう。
  184. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) その点常に大臣から御方針として承わつておりますことは、現存の大学院大学は学術を中心としてその性格を育てている、その他の学部はそれぞれの学部の特色を発揮するように内容の充実と発展に努める、こういう御方針を承わつております。我々といたしましても、その方針努力いたしておる次第でございます。
  185. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 大臣が来ないですから、大臣の質問を残してこの一点で終りたいと思いますが、この答申から考えますと、学制は複線でも多数複線になると思うのですね。六・三・三・四・六・三・三・二・六・三・五・六・三・六、こういうような場合が考えられると思うのですが、そういうようになるであろう、又そうしたいというお考えで文部省はおられるのかどうか、その点を承わつて、あなたに対する質問を一応終ります、
  186. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) お話のような形態になると思います。現在といえども現実の問題として二百五十一の短期大学があり、入学定員二万五千の短期大学の学生があるわけです。現在といえども実際は六・三・三・二もあれば、三もあれば、四もあれば、又六年の医学、歯学部もあると、こういう格好でございます。
  187. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  188. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  189. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 稻田 局長、この前の国会か何かで京都大学のことで、私が特にあなたに京都大学に航空学科を設置するという問題で質問したのです。ところがそのときは、あなたそれを否定してはつきりした答弁をしなかつた。ところが最近この問題が又繰返して京都大学で出している「学園」という新聞に出ているわけなんですね、大学の財政の逼迫からどうも大学の自治そのものを文部省が侵すのではないかという心配がされるのです。今年京都大学に航空学科が設置されるというのですが、その航空学科々設置する代りに応用物理のほうをやめてしまおうと、こういう案が文部省のほうにあるということを聞くのですが、どうですか。
  190. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 明年度予算に京都大学において航空学科の設置に関しまする点を今大蔵省と折衝中でございます。それは事実でございますが、大体文部省関係における各大学の予算の成立ちについて申しますれば、それはすべて大学のほうから文部省に御要求があるのを、文部省がそのうち困難と思われるものを除いて大蔵省に要求いたすわけでありまして、大学の要求しないものを文部省が要求するとか、或いは大学の要求に対しまして大学と相談せずにこれを変更して大蔵省に要求するというようなことはないのでございます。元来航空学科は戦前、戦時中京都大学にあつたのでございます。戦後航空学に関しまする研究を司令部から禁止せられまして、一部の講座は廃止いたしました。一部の講座は、関連する流体力学とか、或いは応用数学、応用物理学或いは内燃機関というふうに転換いたしました。併し研究といたしましては、航空とすこぶる近似いたしました、近接した研究を継続いたして参つたのであります。ところで、今度京都で、工学部を中心として協議会の議を経て航空学科を復活する、これは復活でございまするから、前に転換いたしましたものの一部を再転換するということは考え方の自然でございます。そういう点で、前に航空学科から他の物理学科に転換いたしました講座を再び再転換して持つて来られたものと考えております。
  191. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは少し「学園」に書いてある記事と違うのですがね、あなたの答弁は……。これは四手井という字が書いてあるのですが、何と読むのですか、この教授の話では、「応物ではこんな話は一度も聞いたことがない、文部省でもしこれを押しつけてきたとするならば、教育界史上空前の出来事といわねばならない。第一私は航空の航の字も知らないぐらいだ。」と言つておる。それから小西教授も「応物を廃止して、航空学科を設置するなどということはなんにも聞いていない。」と言つているし、瀧川学長も組合との会見で、はつきり「航空工学科新設の予算申請は出したが、応物云々ということは自分も聞いていない。」ということを言つているわけです。併しその航空学科を設置するためには応用物理学科を廃止するという方針文部省は出しているという話を聞くのですが、それは事実ですか。
  192. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 航空学科の新設のために他の学科を廃止するという計画は、京都大学にも文部省にもないのでございます。先ほど申しましたように、或る転換講座を再転換するという計画はございます。
  193. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、航空学科を作るために応用物理学科を廃止するか廃止しないかということは、大学の自主性であるわけですね。
  194. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) すべて学科の新設、廃止は、大学から発議して持つて来られるわけです。まあ予算が成立しなければできませんけれども、出て参りますのは大学の意思でございます。併し具体的な問題といたしまして、航空学科につきましては私多分四つばかりの転換講座の再転換があると思いますけれども、或る学科を廃止するという計画は、これは全くございません。
  195. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは文部省は、航空学科を置く代りに応用物理学科を廃止しろ、予算がないから廃止しろというような指令は出していないし、又そういう条件で航空学科を設置することを押付けている事実もない、だから従つて航空学科を置くために予算上応用物理学科を廃止しなければならんような状態ならば、京大が自主的にそれじや航空学科を置かない、応用物理学科をこれまで通りにずつと続けるという決定をするならば、それでも文部省は横槍を入れない、そういうことが事実上言えるのですか。
  196. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 大体の筋はお話の通りでございますが、ただ御要求のあるものを今更いやだと言われるのは処置に困るので、まだ取りやめるという話を聞いていないのでございます。
  197. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 併し、京大の要求しているのは、応用物理学科もそのままにおいて、その上に航空学科を置きたいというのが京大の要求でしよう。
  198. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) ですから、応用物理学科の廃止でなくて、何か四つの講座の再転換の問題じやございませんでしようか。大体流体力学とか内燃機関というものが、戦後ほかの講座の形を借りて、まあ生き延びて参つたわけです。それが再び又航空学科として再転換すると、それに多少新らしい講座を加えるというのが、普通の行き方でございます。
  199. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は専門でないから詳しくわからないが、その配置転換をするものを応用物理学科から抜くと、応用物理学科というようなものは非常に空虚なものになつてしまう、廃止も同然になるということではないのですか。
  200. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) そこまでの話は聞いておりません。四つばかりの講座の再転換は聞いておりますけれども、そのために或る学科を廃止するという事実については、私ども只今存じておりません。
  201. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 くどいようですが、それではすべての配置転換の問題、あらゆる問題は全部大学の自主的な立場においてやられているので、文部省の押付けでは絶対ないということですね。
  202. 稻田清助

    説明員(稻田清助君) 大学に対しまして私のほうから押付けることはいたしません。
  203. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  204. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。大臣もお見えになりましたから、大臣に対する御質問をお願いいたします。なおあらかじめ御了解を願つておきますが、今日は予算の問題ですから、会計課長も一緒に来ることになつておりましたが、ところが折悪しく補正予算の折衝で大蔵省のほうに行つているそうであります、大体今時分までに話が済むだろうという予定で出掛けたそうでありますが、なかなか話が済まないので、会計課長は遺憾ながらちよつとその関係で出席が遅れると、こういうことでございまするから、そのつもりで一つ大臣に御質問をお願い申上げたいと思います。
  205. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は昨日質問の要点について申上げておいて、そうして今日は十分資料等を用点して答弁してもらいたい、こういうふうに申上げておきました。従つて、相当細部に亘ると思うのですが、併し大臣に対する質問について余り細部に亘るのもどうかと思います。従つて、細部に亘る問題は関係のほうから御答弁願えれば結構だ思うのですが、この質問要項の第一点として挙げておきましたのは、義務教育費国庫負担に関する問題です。大臣も御承知通り、今日も午前中福島県の知事、或いは島根県の副知事等にわざわざ来てもらつて、いろいろ実情についてお尋ねをしたわけなんですが、地方公務員、殊に教職員給与に関する問題です。最近の調査によりますと、昇給昇格等が完全に実施されていないというような県がかなり出て来ております。それから、この問題は政府の政策とも非常に関係があると思うのですが、今後においてもそういう懸念はなお殖えると思われる事情にあると私は考える。従つて、文部大臣としてはこういう問題についてどういう対策を考えておられるかという点についてお尋ねをするわけなんです。特に私はこの問題につきましては重要な点といたしましては、義務教育国庫負担法による政府の負担金、これは実支出額の二分の一ということになつておりますから問題はないと思うのです。併しもとの二分の一の財源の問題です。これについては地方財政計画に基いてそれぞれ措置されている問題でございますが、この地方財政計画に基いて措置された財源が低く見積られておる、実際の支出に比べて相当低く見積られておる、そういう点から半額は国庫負担から出るけれども、あとの半額は実際それに見合う金が計算されておらない、こういるところに非常に昇給昇格等が実施し得ない実態があるんじやないかと思うのですね。そういう点は私は改善しなければ今後もこういう問題は解消できないと、こういうふうに考えておるわけなんです。そういう意味で地方財政計画によるいわゆる財源義務教育国庫負担法による財源措置、これが並行しておらないという点です。こういう点に関係して将来文部大臣としてはどういうふうにして行つたらいいかということについて御所見を聞きたいと思うのです。
  206. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) お尋ねのでありますが、今お話のありました通り国庫負担法の関係につきましては二分の一、これは決算に基いて二分の一を負担する、こういうはつきりしたことであります。ただその年度々々にどれたけの予算を計上しておくかというこれはまだ無論決算については予算の始まらない前でありますから、その見積りについてはできるだけいわゆる実績というものと見合つて、そしてそれに更に加わるであろうと思われる経費を見て、そしてできるだけまあ正確な見積りに立つて予算を計上すると、無論それでも過不足は生ずることはこれはやむを得ない、当然のことであります。ありますが、とにかくまあ本年度予算七百億、概算七百億という数字を弾き出すには、やはり実情というものにできるだけ即して正確な見積りをやりたい、こういう考えで今やつておるわけです。この自治庁のほうの地方交付税ですか、その場合の財政計画に見られる所要の経費というものも大体二十九年度七百億というのですから、これは非常に大ざつぱなことでありますが、大体それと見合つた数字が自治庁のほうの財政計画によつても見込まれておると、こういうのが実際の実情であります。その点は従来でも定員定額ということで、かなりかけ離れたこともあつたようでありますが、これは本年度予算からはそこがまちまちにならないようにということで予算を組んであるはずであります。無論これはいわゆる富裕府県に対する関係もあつたりしますから、七百億という数字じやない、むしろそれを上廻つておると思いますから、財政計画としては大体それを睨んで、両者いわゆる並行して予算が計上してあるつもりであります。ただ御承知通り、仮にそれが非常に正確な見積りであり或いは又実際からいつて相当ゆとりのある見積りでおつたとしても、地方交付税の性質上それぞれの地方団体の全体としての財政状況というものにこれはどうしても影響されますから、そこで殊に今年のような地方財政が非常に困つたところへぶつかつて来たようなときにおきましては、勢い定期昇給というものも遅れることはあります。実は最近の調査によりますというと、私ども実は思つたよりはとにかくまあ遅れながらも定期昇給が行われておるようであります。この手許の資料によりますと、四月昇給分については、実施済みのものが四十、それから実施予定のものが二県、それから実施するかどうかもまだわからんというのが二県、それからまあ少し昇給を延ばそう、こういうのが二県、四十六県のうちで実施済みのものが四十県になつております。それから七月昇給の分については、四十六県のうち実施済みのものが三十八県、それから実施を予定しているものが五県、それから実施をまだするかしないか、はつきりせんできめかねているものが三県、こういうことにたりまして、年度当初非常に今年の地方財政が実際の経理の上で非常にむずかしいところにぶつかつておつて、昇給その他においてこれはまあひとり教員昇給だけではないと思いますが、非常に困難な情勢であつたのでありますが、まあその後だんだんとまあ遅れ馳せながら昇給をしておる、こういう実情でございます。そこで私どもとしては、勿論これ全部私どもが考えておるような方法で昇給される、定期昇給が行われるということは無論望ましいことでありますが、これはやはり地方それぞれの財政事情によることでありますから、どうしても或る程度そういうことができて来るだろう、そうしてそれじやどうすればこういうことがないのか、なくするかということになると、これはなかなかむずかしい問題であります。若し全国不公平のないように行き渡つて、不公平のないようにするということになれば、教職員の俸給の全額を国庫支弁にするか、或いは又地方の自治体財政というものの性格を変えるかしなければこれは徹底しないだろうと思います。でありますから、これは或る程度そういうことがあることは、地方団体がそれぞれの自治体としてその限りにおいて独立しておるということになれば、そうしてそれぞれの地方団体に、やはり個人で言えば貧富の差があると同じように富裕な旅もあれば非常に財政の貧弱な県もある、こういう実情である限りはなかなか抜本的に一体こういうことのなく、みんな足を揃えて行くということはなかなかむずかしい問題であるとこう思つております。
  207. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今大臣の口からお話になつ昇給昇格の実施状況については、私これは若干食い違いがあるのじやないかというふうに考えておるのですが、私ここにすぐに資料というわけにも参りませんが、これは若干食い違いがあるように思います。それはさておきまして、昇給昇格について各府県の財政事情があるから、全国一律には実施しがたい。或る程度の凹凸があるということはやむを得ない、こういうお話であります。私はそれもあると思います。従つてそういう面から来るでこぼこというものはなかなかこれを是正するということは困難であると思うのですが、私が今、尋ねておる問題は、各地方の財政状況によるでこぼこという問題でなしに、今日も知事から話を聞いておるのですが、二分の一は半額負担で来るから心配はないと、こういうのです。ところがもとの二分の一については、余り過小に見積られておる。従つて昇給昇格を実施しようとすれば、県独自の持出しをしなければならん。で、福島県においても、島根県においても、何億か持出しをしなきやならん、こういう話なのです。従つて今大臣は義務教育費国庫負担による二分の一と、それからあとの地方交付税の中に含まれている教育費用とは大体平均するように計算しているのだと、こういうお話ですが、実態は平均されていないということです。そこに問題があるのです。これが平均化されて来れば、これは私は相当救われると思うのです。私どもの見たところでは、やはり各県の知事は大体において教育費については非常に熱意を持つて、その計上に努力していると思うのです。ですから相当な困難があつても、若干の持出しがあつても、教育費には充当して行きたいという考え方を持つているところが多いと思うのです。ただ非常に困るのは、義務教育費国庫負担による二分の一以外の二分の一ですね、これの見方が非常にきついということです。この点大臣は大体平衡しているというのですが、私は平衡していないのじやないかと思いますがね。
  208. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 或いは私が違つておりますれば担当の局長から申上げますが、私は大体見合つていると思つております。ただ、それは総額について申上げるので、それを各府県に配付する場合には、これの基準というものは、実際それぞれの府県で皆違うものですから、事情が、例えば中小、殊に僻陬地の多いようなところは、実際は都会と比べて教員の数も児童数に比べて非常に余計要るというような事情もありまして、総額が大体それと見合つたもので出ておりましても、実際各府県にそれを配付する場合には、これは又なかなか実情というものにできるだけ即して行きたいということで自治庁のほうにもそれをお願いしておるのですが、なかなかこれは一律な基準では到底行かない。従来いわゆる理論学級とかいうようなことで、定員定額時代にも、児童五十人について云々というような極めて実際と離れた基準が作られておつたのですが、その点は今日はできるだけ実際に合うようにして行きたいということをやつております。ただ実際の問題としては、個々の府県がみんな事情が違うものですから、だから県によつては、今お話のような問題か起る場合があるのではないか、これはなかなか実際技術的に非常に困難でありますけれども、できるだけ、全然基準なしということもいけませんし、実情に即するように今後努めて参りたいとこう思つております。
  209. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) ちよつと補足して申上げますが、二十九年度の地方財政計画総額でございます。義務教育費国庫負担金の、これは六百九十億になつております。御承知のように国庫負担金のほうの予算は六百八十六億でございます。こういうふうに大体総額におきましては今大臣のお話のように合つております。特に計数のきめ方等につきましても、文部省の、文部省といいますか国庫負担金の予算の基準をとりましてこの財政計画ができております、ただ、これを地方に配分する場合には、基準財政需要の算定によつて参りますので、その点におきまして、只今大臣のおつしやつたようなことになつておる、こういうことであります。
  210. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうするとこれは各県が相当事情が違う、従つて一律の基準によつて配分して行くそこに過不足ができて来る、事実過不足ができて来る。こういう問題は私は十分わかります。そうすると何ですかね、非常にもらい過ぎているところと足らないところができて行く、こういう結果に私はなるのじやないかと思うのですがね。そこで昇給昇格等が余り実施されていないところは、教員給与水準も低いのです。これは全部調べてみてもそうなんです。勿論県の財政事情も悪いのです。そういうところはこれは非常に少く行つている。こういう結果に私なつていると思うのです。総額においては今お示しになつ数字と大体見合つているわけです。個々の場合になると島根県でもそうです。非常にたくさん持出さなければならん、純県費をたくさん持出さなければならん、これはやり切れん、この言い分は私はわかると思うのですよ。ところが総額においては大体見合つておるが、個々の県にとつては非常に持出しをしなければ、国庫負担の二の一と合わないと、こういうのですね、こういうのは何とか併し是正しなければ貧弱県はこれはたまらんと思うのですがね。
  211. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) ただ、その地方財政計画総額におきましては、只今申上げましたような国庫負担金と大体計数が見合つておりまするが、これを具体的に各県に配分いたしますのは、御承知のように今までは平衡交付金、今度は交付税なつて参ります。その場合の基準になりまするその基準財政需要額でありますが、これは御承知のような制度でございまして、或るその標準規模の団体を想定して、それによつて補正をして各県に割る、こういうことになつておりまするから、その間にやはり相当でこぼこが出て来ると思いまするし、それからなお基準財政需要額は、これはまあ教育費だけじやございません、全部について言われることでありますが、財政計画のこれは一〇〇%にはなつていないという実情であります。これはその地方財政の立て方全体の問題でございまして、主管としては自治庁の問題と思いますけれども義務教育費国庫負担金につきましては大体九九%、九七%、九八%、これくらいに該当しているのじやないか、こう思います。
  212. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 よう聞いておつて下さい。どうも理解できないところがある、この基準財政需要額を計算するときの自治庁の単価とあなた方が半額国庫負担で出す実績の単価ですね、これは食い違いがある。それであなた方のほうが高くて自治庁のほうが低いわけですね、ところがこの単価は低いが、例の小学校で一・五、中学校で一・八という数字を使つたから実人員よりはその人員が多いから、この低い単価に多い人員数を掛けて何とか賄つて行ける、こういう立場をとつておられるということは、単価は文部省のほうが高い、その代り一・八、一・五よりは実績員数が低いから、この二数の積をとると自治庁の低い単価に理論人員数を乗じた額と大体等しくなるということになつて、大体それで去年までは来たわけです。今年はこれは失礼だけれども、答弁を求めたいのは、大臣は重大なミステークをやつたと思うのです。今年は児童数が九十六万殖えた、それで自治庁は例の通りに一・五と一・八というのを小・中学校を通じて使つた場合に、その算定数字よりは、今年の人員算定方式によつて出した差というのは三万四百も少くなつていますね、ここへ資料が出ている。自治庁から出ているのは三万四百少くなつている、だから従来の自治庁の、あなた方の単価が低い。これに従来通り掛ければいいのだけれども、三万四百数字を少くして掛ける場合に、この単価を、文部省と同じように単価を上げて三万四百マイナスしたものを掛けたらいい。自治庁よりはこの単価を上げていなくて三万四百減らしてやつたから、だから地方財政計画では少くなつて来ているのです、基準財政需要が。それともう一つ、これは大臣には失礼だがミステークだと思うのだが、というのは、高等学校教員というのを二%他の官庁並みに減ずるということを閣議で決定したのを、大臣は同調して通牒を出しておられる。従つてそれに基いて地方財政計画を立てたということです。これは行政部門とか或いは産業部門あたりだつたら、施設の改善その他で人員を殖やすことができるけれども、今の高等学校実情から言えば、定員の二%減の地方財政計画を立てられたら地方はかなわない。この高等学校の二%減の閣議決定で地方財政計画を立てるということを許したという点と、それから児童の九十六万増に対して三万四百人の数字を少くすることを認め、而も自治庁の単価は実情に副つたまでで、従来低いくらいの単価でやつたこの二面と、それからもう一つは、各県は高等学校は乙号基準であつたけれども、それを乙号基準よりも一・五%下げたところで基準財政需要額をはじいている。この三つから高等学校と義務制の先生の給与費に非常に圧力を受けて来たわけです。これは私は実情だと思うのです。だからこの数を一・一五、一・八ほど要らないというならば、数を下げるならば、二分の一国庫文部省の実績の通り自治庁の単価を上げさせなければ、荒木君の指摘する通りにあと半分について困るわけなんですよ。これは黒板に算術の式を書けば明確なわけなんですが、その点、来年度又七十七万人殖えるものですから、問題はそのときの地方財政計画の立て方というものは更にこれにかぶさつて来るわけです。これはよほど大臣御善処願わなければならん。
  213. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私要点だけをお答えして、若し足らないところは補充してもらいますが、先ほどちよつと申上げたように、二十八年度予算までは、二十七年度ですか、はつきりと覚えませんが、とにかく前の予算はで、今のお詰の通り一・五、五十人に対して一・五、一・八とこういう基準で定員を見積つておつた。それはさつき申上げました理論学級としてそういうやり方にした。これはいわゆる定員定額、それだから結果からいうと、実際はそれほど教員の数においては充実しておりませんから、それだから自治庁が見ておる定員というのは、実際よりも多い。それから定額のほうが実際よりも相当下廻つておるから、合計すると丁度になるか若しくは全体としても下廻る、こういう定員定額というものが、実情に即しないものか今まで採用されておつた。それを先ほど申上げたように、二十九年度予算に当つては、できるだけその実績というものによつてこの数とそれから給与というものをきめて、そうしてそれはそうしないと国庫負担、つまり決算補助の分はそうしておかないと、架空な数で見積りを立てると、非常にあとで赤字が出たり、それからあと払いが遅くなつて非常に地方が迷惑をするというような問題が起りますから、できるだけ実績に合うようにしてはじき出したものが七百億という大体の数字なんです、これは教材費が入つておりますから六百八十何億という数字になりましよう。その数字と先ほど申しましたように見合つて財政計画を立てる。だから今のお話は一昨年、昨年度予算までの話で、今年は今の一・五、一・八という方式はやめたのです、その方式は……(矢嶋三義君「そのやめたときに単価を上げない」と述ぶ)勿論上げなかつた。それで今言うように六百九十億と六百八十七億とこういう数字なつて出て来ておるわけです。その点は幾らか従来のような定員定額から来る不合理というものは是正されて、できるだけ実際に近付くようにしたわけであります。そこでいわゆる三万何千人という数字ですが、これは従来のやり方から行くと三万何千人か、数からいつてそうなるのだということでああいうことになつておつたのですが、何というか、財政計画のもとのところのやり方を変えましたから、そこで今年の児童数の増加に伴つて約二万人ですね。二十八年度よりは余計に見て二万人増員するものとして予算を組んだわけです。ですからそれを実際増員が仮に五万人、どうしてもしなければならんと、こういう実情のところに二万人ぐらいしか増員を認めなければ、三万人穴があくということになりましよう。ところが実際地方の財政の状態もありまして、これは私が聞いたのは少し前ですが、今日資料としては古くなつておるかも知れませんが、この二万人というものに対して、地方で教員を増員した数字合計一万四、五千人、一万五千弱というふうに覚えておりますが、であるから今年の予算ではこの三万人ということは、今の一・五、一・八の方式をとればそういうことになるけれども、実際から言うと、国庫負担のほうの関係ではそう無理が入つていない。無論整理の必要もない。増員についても実際よりも多少上廻つておるというのが実情なんです。それともう一つは、要するに国庫負担金というものの予算に対する計上そのものが見積りなんですから、将来の見積りをここでするわけですから、それが実際にうまく合つているか合つていないかということは、これは決算期の結果と合わしてみなければわからない。昨年におきましては約十億足らずの赤字が出た。昨年度においてもこれはまああとから払うようなことになりましたけれども、そういうわけだから国庫負担金の見積りにしても、それはそれ自体が見積りですから、必ずしも実情とびちつと合つておるということにならない、そこで先ほど荒木委員のお話のように、県によつてこれじや窮屈だということが起るだろうと思います。今のようにそれぞれの地方の実情に応じて、人員のこともこれは事務的に非常に厄介と言つては悪いけれども、困難なことでありますか、二十九年度においてもそういう方式をとつておるのですから、それは実情はそれで理想的に行つておるとは言いませんけれども、今のような点は、いわゆる高等学校の問題は、これむ地方団体のことでありますから、これも強制するということはできませんが、併しこれは一般的な問題として、これはひとり教職員に限らず公務員全体に亘つての御承知の昨年の整理であります。これはまあ無論地方においても、整理によつて相当窮屈になつておることは当然なことであります。これはただ義務教育ということとは別ですから、当面義務教育費国庫負担乃至は平衡交付金財政計画ということには直接は触れていないが、やはり地方の財政の上からそれだけ窮屈になる。それを二%減らすことができなければ、それだけ財政的に重荷になつておるということは、これは止むを得ないわけでありまして、御承知のように国のあらゆる従来整理の対象なつていなかつた部分の公務員についても、昨年は率は違つておりますけれども、全部を対象としての人員整理というものは行われたのであります。それの一つとして、高等学校についても、これは併し政府で強制する途はないのですけれども、そういう方策がとられた。それから来るまあ多少、多少といいますか、それから来る窮屈というものはこれはどうも免れがたいであろうと思うのです。
  214. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 一つ今の資料を求めたい、簡単に……。それで六百九十億と六百八十六億の数字をそういうふうに説明されれば幾らやつても水掛論になる。だから私は資料を要求します。ということは、第一・四半期、第二・四半期と出ているでしようが、半額国庫負担のほうで出したのがかくかく、それからこれはやや問題があるかも知れませんが、出し得ると思う、出してもらいたい、自治庁から、というのは、特別交付金はこれはまあ将来の問題に残して、交付金で地方でしたその中で義務教育予算高等学校給与費ですね、これはかくかく入つているというのを県別に一つ自治庁から資料を取つて委員会に出してもらいたい、それを比べればはつきりわかることです。
  215. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 義務教育費国庫負担というのは私のほうでいつでもわかりますから出せますが、地方交付税のことはこれは自治庁に伝えます。はつきりここで約束することはできませんが伝えます。
  216. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いつも自治庁はそれで兆げるのですが、必ずやつて下さい。それから六百九十億と六百八十六億と数を出してく大臣のようなことを言われているが、みそもくそも一緒にしたようなことを言われてもわかりやしないですよ。その資料を是非取つて一つ説明してもらいたい、
  217. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部大臣は少し考え違いをしていられるのではないかと思われる点があるのです。それは地方財政計画による費用というものは総計六百九十億円見ておる、それから半額国庫負担法においては六百八十六億円ある、だからこれは非常に平衡がとれている、むしろ地方財政計画による費用のほうが若干多いと、こういう見方なのですが、ところが実際に各県に交付される金というものは、これはこの金がそのまま配分されるのじや私はないと思いますが、六百九十億がそのまま配分されれば、これは私は若干の相違はあつても大体うまく行くと思うのですよ。私は数字も持つています。昭和二十九年度の政令府県を除いて四十県の平均単価は一万五千二百八十円になつておりますしところが財政計画による費用単価は一万五千二百八十五円と、小学校において五円高いのです。これならばうまく行くはずなんです。ところが実際交付される金は、財政需要額はこれよりも若干低いという問題があるのじやないですか。その点をお伺いします。
  218. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 御承知通りこの地方財政計画というのは、地方財政に対しまする予算措置の基準になる基準財政計画でありますので、これは歳入、歳出見合つた数字なつております。義務教育費につきましては六百九十億の需要がある、歳出があるとこういう財政計画、これに対しまして国庫負担金は六百八十六億。それからいろいろこれは地方の税収等がありまして、それはまあ収入の部に立てられておるので、それから歳出のほうはこういう教育費教育費、そのほか行政費目、いろいろのものが計算されまして、そうして収入と支出と合つて、それによつて地方交付税の額が幾ら要る、地方財政のほうに赤字が出て、それが今まで平衡交付金、或いは今度は交付税によつて補つて行こう、こういう地方財政計画なのであります。そうしてこれを具体的に府県に配分します場合には、先ほど申上げましたように、地方各県の基準財政需要額とその財政収入額でありますから、これの差額が交付税として行く、こういうことになるわけであります。その予算の措置として、この地方財政計画によつて予算化されるという理窟に、立て方になつております。そこで先ほど申上げましたように、地方財政需要額の見方がこれの一〇〇%でなくて、若干そこに義務教育費額が九七%乃至九八%くらいにしてという事情を考えられますので、そこは若干お話のような点が出て来ると思います。そういう点がありますので、これだけの地方財政計画であるから、各県それで十分ということには参らんと思いますけれども、そこに若干の近いは生れて来るだろうと思います。これは今の地方財政の立て方がそうなつておりますので、そこにこの問題があるわけであります。
  219. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ですから財政計画としては見てやる。併し実際交付する場の基準はその通りではないというところにやはり問題があると思うのです。文部大臣おつしやつたように去年、一昨年は立て方が、非常にさつきから矢嶋さんが指摘されたような、ああいう標準で作られておつたために非常に工合が悪かつた。今年からはその点は大臣がおつしやつたように改善された。改善されたけれどもなお若干そこに食い違いがある。これはどういう理由によつて起つて来るのか、私にもよくわからないのですが、これは政府が地方に交付する予算を立てるときに、若干下廻つた金額予算化しているとかいうところから来ているのじやないですか。
  220. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) これは先ほどから申上げますように、現在の地方財政に対しまして不足額を交付税で補つて行くという立て方になつておりますが、これは何も教育費だけではございません、ほかの行政費につきましても殆んどそうなつておりますが、基準財政需要額というものをきめまして、これは標準団体につきまして、あるべき金額というものを一応想定いたしまして、それを基準にして補正いたしまして、そうして出して行くということになつておりますから、これは全体の問題としては恐らく問題はあるかと思いますが、そこで特に義務教育費の点につきましては、先ほどから申上げますように、この実際の財政計画と狂いのないように、九七%程度まで出すような基準財政需要額として、そういうふうに立てるように自治庁のほうでも考えていたしておるような実情でございます。
  221. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題はなお私は検討される余地があると思うのです。そういう意味で、これは文部大臣におかれてもなお私は検討して、大体二分の一の負担額を実際に交付される金額と平衡を保つようなよい考えを生み出してもらいたいと思うのです。そういうことを要望しておきまして、義務教育費国庫負担法の問題について、細かい問題ですが、二、三お尋ねいたします。それは国庫負担の対象に、共済組合費及び恩給費、これを入れることができないかという問題です。これは、市町村立学校給与負担の中にはこれが入つていないわけです。けれども、実際はこれは義務教育費関係予算として地方団体では義務的支出の費用なんです。それであの法律を改正してこの二つの項目を入れる私は法改正ですね、これをしてもらいたいというふうな意見を持つているわけなんですが、こういう問題について御検討願えないかという問題と、それから政令百六号ですね、これは富裕府県に対する制限を設けたものですが、あの政令百六号の中の単価が一昨年のままが据置きになつているのじやないかと思うのですが、これは新しい給与水準に早急に改正されなければならん性質の問題だと思うのですが、この問題についての所見、それから今も大臣から説明がありましたが、昭和二十八年度において不足をいたしました九億円の問題ですね、これは今度の補正予算に組まれるのか、或いは予備費を以て充てられるのか、その点一つお伺いしておきたいと思います。私は義務教育費国庫負担関係については以上の質問で終ります、
  222. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 今の恩給、退職金の問題でありますが、これは成るほどお話のような理窟が立つと私は思います。これは、従来この問題は余り取上げられてはいなかつたように思うのです。これは検討してみたいと思います。ただこれも結局予算の問題とからみますから、理詰めだけではいかん点があるかと思います。恩給はほかの公務員と一般に一つの予算で一本になつておると思いますから、そういう関係でこれは全体と一緒になつておるから、これだけを切離すということがいいか悪いか議論の余地もありましよう、ありましようが、そういう理窟も立つと私は思います。ただ国庫の支出に相当影響する問題であろうと思いますから、検討はいたしてみたいと思います。  政令ですか、これは昨年、二十九年度におきましては、これは政令が出ました当時は、極めて少数のいわゆる冨裕県だけに実際は適用されるようなことになつておつたのであります。ところがその後入場税ですか、ああいうものが入つて来たり、私も詳しくは知りませんが、事情の変化によつて相当多くの府県がこの政令で規制されるという実情なつておるようであります。そこでその中にはいわゆる富裕県ということのできないような相当中小県、或いは財政的にはむしろ貧弱県というような県もこの政令に、枠にかかつて来るというものがあるやに考えられますので、これは政令を適当に改正したいと思つております。これも大蔵省との話合いを必要とするので実は大蔵省と只今折衝中であります。  それから最後に、二十八年度予算において精算の結果、予算では不足した、つまり十億円足らずという赤字でありますが、赤字の負担すべき関係のもの、これは大蔵省とずつと折衝を続けて参りまして、その結果、大体妥結いたしました。この金額については大体八偽円ちよつと上廻る程度で話がついた。それをどうして出すかということは、補正予算にそれを計上してもらうことにして、その手続を進めておる次第であります、
  223. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡単にこの項目で三点ほど聞きたいと思います。それは第一点は、具体的に退職金は二分の一負担に入つておるわけですが、最近勧奨による退職というのが各県出ておるわけですね、この場合に各県が条例に基いて割増し六割の退職金を出した場合に、これは当然二分の一国庫負担をなすべきである、事実なしておると思うのですが、その見解と、実際どのくらい今まで出しておられるか、この点。それとこの支出によつて本年度不足が来た場合には、只今ありました昨年の不足八億二千八百万と同様に、明三十会計年度において、二十九年度不足を大蔵省は予算措置をする、こういうことに相成るんだと思いますが、この点。  それから第二点は、文部省で二十八年四月から二十九年三月までの父兄の教育費負担を小中校別に調査をされておる。あれを一体文部大臣はどういうふうにお考えになつておられるか。これと関連いたしますが、自治庁では、今地方財政が出たから伺つておくのですが、高等学校の授業料を増せばいいじやないか、こういう自治庁では主張をしておるわけですね。又私は大学の授業料の値上げということも出て来るんじやないかと懸念いたしておるわけですが、それらの、その地方財政赤字克服に高等学校の授業料を上げるというような自治庁の主張に対して、文部大臣としては、閣内ではどういう態度をとられるつもりであるか。又国立大学の授業料の値上げ等も或いは起つて来るんじやないかと思いますが、どういうお考えを持つておるかということを、これに関連して伺つておきたいと思います。
  224. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この勧奨退職、従つて退職金が割増しされている場合の支出、これは当然負担法によつて二分の一を国庫で負担する、こういう性質のものだと思います。従つてこれはそのための赤字とか何とかいうことではないと思いますが、年度を経過して出て来た赤字につきましては、今年と同じ措置が当然構ぜられる、こう考えております。  それから今の父兄負担でありますが、これは今日PTA等において相当の負担がなされている。これは隠れもなき事実であるし、この点はできるだけ早く迷惑のかからないように勧奨を進めて参りたい、これはいつもそう思つておりますが、実情からいうとなかなかこれは容易な問題ではない。でありますから私どもとしては、早く公費によるべきものは当然公費で支出することにして父兄負担を軽くしたい。これは常にそういう考えであるわけであます。  自治庁あたりでどういう考えを持つておられますから、これらについて、別に閣議で話合つたこともありませんし、それからその辺はどうですか、自治庁として高等学校の授業料を上げさせるという正式な意見が出ておるかどうか、その辺も実は私……。
  225. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 出ていますよ。大臣はこれを潰されますかどうですか。
  226. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 併し、それは出す出さんといつても、まだ閣議の問題になつているわけではありませんから……。又これはどうですか、授業料というものを自治庁が地方庁に指図をして、そうして上げさせるということも私はできないのではないかとこう思います。ですからこの問題は、父兄負担というものが現実に非常に多いのですから、それだから、その上に授業料まで上げられては非常に父兄にも申訳ないし、これは私はそういうことのないことを希望いたします。  それから国立学校については、これは今考えておりません、授業料の値上げは。
  227. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは時間が大分遅くなりましたから、もう一つの問題、次の問題の質疑をして、私としては今日はこの委員会を終つたらどうかと思いますが、そういう意味でもう少し、大臣も見えるのが遅かつたのですから、大臣に辛抱してもらつて……。  それで第二番の問題は、特殊教育の振興についてという問題です。これにつきましては、前の国会で就学奨励法が成立をいたしまして、新しい私は発足をしておると思うのです。そこで第一点といたしましては、就学奨励法に基く予算化の問題は当然文部省において考えられておるところであると思うのですが、どういう内容を考えておられるか、大体の御説明を願いたいということと、第二点は、この就学奨励法が成立する際に、参議院としては附帯決議をしております。附帯決議は三点になつておるわけなんですが、その一つは、私が読み上げるまでもなく、特殊学校においては義務制だけでなしに、高等部及び幼稚部についても、義務学年に準じて就学奨励の措置を講じてもらいたいというのが第二点でございます。それから経費負担の問題ですが、この就学奨励法の中にきめてある以外に、通学用品の購入費だとか、或いは実験、実習の費用とか、或いは寄宿舎居住に伴う食費とか、そういうものもできるだけ予算化してもらいたいということ、それから第三番目といたしましては、この特殊教育の充実を図るために関係法令、そういうものについて改憲を、改正を行うように考えてもらいたいという三点であつたと思うのです。で、こういう附帯決議については、何らか具体化しようと考えておられるのかどうか、そういう点、私は二点にしぼつて問題をお尋ねしたいと思います。なお付随的に、本年度は就学奨励法に基き、予覚として四千円か何がしか計上されておつたと思うのです。これがまだ配分されていないというので地方では非常に困つています。この配分はいつになるのかということについてお尋ねいたします。
  228. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 特殊教育の振興の問題でありますが、これにつきましては、実は相当にこれを充実したいという考え方の下に、昨年の予算は、只今お話になりましたように五千万足らずでありますが、まあ相当大幅な増額をすることにいたしたい、こういうことで大蔵省のほうに要求をして折衝をしております。そこで、これがどの程度どもの希望が達せられるかわかりませんけれども、併し、とにかくこういう法律もでき、又附帯決議もあつことでありますから、できるだけこの趣旨に副うて参りたい、こう思つておるわけであります。  それで、今お話のありましたこの附帯決議の第一点、つまり幼稚園とか或いは高等部というようなものについての就学奨励をする、これにつきましては、これは一応義務教育ということで今のところなにしておりますが……これはちよつと今私感違いをしておりました。これも予算の要求をしておるそうであります。  それから第二点、第三点の附帯決議これにつきましても、その大部分、いわゆるこの趣旨に副うように私どもとしてはそれぞれ予算の計画を立てまして要求をしておるわけであります。その詳しい数字等につきましては、局長から申上げることにいたしたいと思います。まだありましたか……。
  229. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 本年度予算の配分ですね、まだできていないのですか。
  230. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これも局長から一つ……。
  231. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 本年度予算の配分は今御指摘のように、少し遅れておりますが、これは御承知のように、就学奨励法が今年成立いたしまして、その後新しい法律ができましたもので、政令を作り或いは省令を整理し、それらに多少時日を要しましたのと、それから更に予算も御承知のように増額いたしまして、地方とも十分の打合せを必要といたしまして、地方からその要求書を出させてそれをこつちで取りまとめて出す、こういう順序に事務的にはなると思いますが、地方でも初めてのことでございますし、いろいろと特に貧困度合の調整等も必要になつて来ておりますので、それらにつきまして照会等している間に少し時日がたちました。現在大蔵省に書類を廻して今協議中でございます。ですからそう遠からずこれは出し得ると思つております。法律ができました初年度のために若干事務的に遅れたという点はございます。
  232. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 本月中には出せますか。
  233. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 本月中には出せると思つております。
  234. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それからもう少し局長から内容についてお話にならないというと、大臣からは抽象的な御説明でしたから……。
  235. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 今大臣の御説明がありましたように、附帯決議の点につきましては、予算要求を只今大体いたしております。そこで被義務学年の分につきましては、中学の三年、それから幼稚部、高等部に対しまして、これは大体三分の一の補助ということで、義務学年は二分の一でございますが、三分の一の補助ということで予算を出しております。この金額ですが、それから、更に費目の点につきましても、附帯決議にありましたように、例えば学用品、通学用品、実験、学習、見学費、それから寄宿の食費、これも加えまして今要求中でございます。その総額におきましては一億五千三百万ほどになつております。義務制につきましては、これは二分の一、その他は三分の一の補助、こういうことで要求をいたしておる次第でございます。  それから、なお特殊学級の普及ということを考えまして、特に設備費の補助を考えまして、これをまあ私のほうの計画といたしましては、四年計画で、人口三万以上の都市に一学級以上、これは人口の逓増しますごとに学級数も殖やしますので、まあ四年間で大体三千学級ほど整備をしたいということで、まあ初年度は既設学級も相当ございますので、大体七百学級ほどの計画を立てまして、これに対しまする設備の補助を要求いたしております。  それからなお養護学校につきましても、これは各府県にというわけに参りませんので、ブロツク別に整備を若干図つて行きたいということで、その両方の総額が二千一百万ほど要求いたしております。  それからなお特殊学級につきましては、計画といたしましては、設備の補助と、それから一番特殊学級を伸ばして行くために隘路になりますのは教員の、定数であります。教員の定数をできれば国庫負担金のほうで別枠でとりたいということで要求いたしております。大体それだけです。
  236. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの際文部大臣に要望しておきたいと思うのですが、折角就学奨励法ができまして、特殊教育関係しておる人はこの法律に非常に期待しておるわけなんです。又特殊教育の従来の扱い方というものは、私は十分であつたとは思えない点もあると思うのです、これにはいろいろ事情があると思うのですが、特にこういう気の毒な人々に対する教育ですね、まあ就学奨励法もできた際でもございますので、特にこの予算化については、他にも重要な費目があると思いますが、この予算化については一段の御配慮を願いたいということを要望しまして、この問題に対する私の質問はこれで終ります。
  237. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私はこの点については質問いたしません。先ほどの点ですね、結びの意味で簡単に伺います。先はど実は大臣御出席の上で、先般の中央教育審議会の答申に基く大学制度等についてお伺いしたいと思つたのですが、大臣かお見えにならなかつたので、局長に若干伺つたわけですが、結びの意味で若干伺いますから、骨子だけ大臣の御所見を承わつて質問を終りたいと思います。  最初のは、さつきの答弁漏れでありますが、事務当局でよろしいのですが、それは勧奨退職によつての割増し退職金を出した県はどのくらいあるかということを伺つたのに対し答弁がありませんので、この点については事務当局からお願いいたします。あとでよろしいのです。  大臣に対する質問の第一点は、極く重点的に伺いますが、中央教育審議会から短大の件について答申があつたわけですが、大臣は一体この日本の大学制度を今後どう持つて行こうと大きいところを考えていらつしやるか。これが安定しないということは、日本の今の大学の研究機関もそうでありますが、青年諸君に非常に動揺を与えていると思うのです。国家の興隆と密接な関係があるのですから、はつきりとした不動の体制というものを打出さなくちやならんと思うのですが、そこまで行かなくても大臣の構想はどうなのか。それに関連するのでありますが、今度の答申にからんで具体的に伺いますが、今ある七十余の国立大学ですね、これを格下げにするということは絶対ないのか。それともそういうことも研究してみるというお考えで大臣はおられるのか。それと今度答申があつたわけですが、これを文部省では検討して、できるだけ早く実施いたしたいという気持でおられるのじやないかと思いますが、局長は慎重に検討すると言つておりますが、も少し時間をわけて、広く関係階層の意見を十分聞いて決して急がない、国家の基本的な問題ですから……、そういうお考えでおられるかどうか。これが一点。  それから第二点は、この大学の問題とも関連し、又予算とも関連するのでありますが、あなたも御承知と思いますが、大学の充実という点について、国立大学協会長矢内原さんから六月十五日に、それから同じく二十八年六月十三日、更には学術会議議長の亀山さんから、等々数度に亘つて日本の大学の充実に対しての要望が出ております。それは教官の優遇とか、研究室、研究費の問題とか、或いは学費の問題とか、いろいろ出ておりますが、大学制度と併せ、来年度予算編成に、更に大蔵省との折衝に当つて只今大臣はこういう権威ある要望というものを如何ように考え、どのようにこれを取入れようという基本的態度でおられるのか。これと関連するのでありますが、私は文部大臣に要望いたしたい点は、国立大学の予算というものは二十九年度で二百九十九億円でしよう。国立高等学校まで全部入れて二百九十九億円、三十年度はあなた方の概算要求で約三百六十億ですね。これを私は最近防衛庁で発表した年次計画のあの予算比較して見るとき、文化国家を目指している我が国の文部省としてはあの防衛庁の計画に匹敵するような私は信念に満ちた計画があつて然るべぎだと思う。仮に今ここに日本の自衛力の増強一年ずらして御覧なさい、二年だつたら勿論のことです。今の日本の施設備の極めて不十分な大学の充実という問題は一挙に解決できるではありませんか。自由党は是非とも再軍備したいと考えているのでありますが、それを一年ずらすだけで一拳に解決するのでありまよ。大学の内容如何ということは国力と非常に関係するわけでありますが、文部大臣としては、何かその構想と信念があつて然るべきじやないかと私は考えるが故に、この点伺いたい。以上大きく分けて大臣に二点でございますが、御答弁お願いいたしたい。
  238. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この大学制度について、中央教育審議会から答申のあるということは御承知通りでございます。勿論この大学の制度は、これは義務教育制度と相待つて非常に重大だと申しますか、教育の根本に関係する、又先ほどお話になりましたように、将来国家の中堅となる立派な人を養成するところでありますから、その意味において極めて重大である。今日の大学制度というものがそう不安定な状態であるとは、全部が全部不安定であるとは私は思わないのでありますが、併し又社会的にもこれに対して何らか検討を加えよという要望も相当あると思つております。私はまあ急がないでということでありますが、まあ急く急がんは別といたしまして、問題が重大でありますから、これを一挙に全体の大学制度というものを変えて行くということもなかなかこれは容易じやないと思います。併し実行し得るものについて、これがいいということの確信ができればそれは実行に移して参りたい。それならどういうふうにしたほうがいいかということは、これは大学制度そのものが非常に重大であるし、これは今直ちにどうしたほうがいい、こうしたほうがいいということを私は確信を持つて申上げる段階にはなつておりません。当面中央教育審議会において答申せられたその線については、具体的に精密な検討をいたしたいと、こう思つております。  それから大学の充実、これは今日、今御指摘になりましたように、大学当局からも常に要望のあることであります。これは勿論大学の制度を置く限り、又大学制度の持つ使命から考えましても、これを充実しなければならんということは当然なことであります。とにかくこれは相当金もかかることでありますから、なかなか一挙に充実するということも事実上非常に困難でありますが、できるだけ年々充実の方向に向つて努力をいたしたい、こう思つております。まあ防衛庁の予算を一年やめてしまえば、そうしてこれを全部大学のほうに廻せば、これはお話の通り非常に充実するだろうと思います。よく防衛庁の経費をやめて教育のほうに廻したほうがいいとか、社会保障のほうに廻したほうがいいとかいう議論はよくあります。併しそれはそういう意見はあるというふうに私どもに考えております。それは当然そうならなきやならんという、又なし得るものであるとも実は私は考えておらんのであります。よその経費が多過ぎるとか少な過ぎるとかいうことで余り気を散らさずに、私のほうは大学制度充実という建前で予算をできるだけ余計取るようにいたしたいと、こう思つております。
  239. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 勧奨退職の今御質問でございますが、勧奨退職の制度が適用されましたのは、二十八年度末の異動におきまして初めて適用があつたわけでございます。でありますので、国庫負担は二十九年度の負担になるわけでございます。でありますので、国庫負担金の支出としましてはまだ実はやつておりません。これは御承知のように二十九年度国庫負担金につきましても、概算交付を相当やつておりますけれども、これにつきましてはまだこれは概算交付であります。これは精算をしてみなければはつきりわかりませんが、まだ支出はしておりません。ただ私ども話を聞いております県は相当ございます。まあ十県くらいあります。これははつきりわかりませんけれども、十県くらいはあるだろうと思つております。これにつきましても、先ほど大臣の答弁もありました通り、それが勧奨退職であるかどうかということは、これは事実の問題でございますけれども退職金として支出されれば負担金でみて行くということが法律の建前でございます。
  240. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 遅くなりましたから余り追及しませんが、大臣答弁漏れがあります。その答弁漏れというのは、大学協会会長とか学術会議の議長のそれらの機関における全会一致の要望というようなものには、私は文部行政の立場においてはよほど私は尊重しなければならんと思うのです。それでこれを本年の予算編成に、更に大蔵省との予算折衝に当つて、大臣はどのくらいこれらの権威あるところの要望を実現さすべく努力されるか、それともまあ例によつて例のように要望書が出たような態度で臨まれるのか、私はこういう権威ある機関の正式要望というものに大臣如何ように応じようとされるかという大臣のお気持を伺つたわけですが、これに対して答弁ないようですが、重ねて伺います。
  241. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 決してそういう方面からの要望といいますか、意見といいますか、まあ中央教育審議会もそうでありますが、そういう意見に対して、これをどうでもいいというような気持は毛頭ありません。勿論十分にその趣旨を尊重して、そうしてこれに検討を加えて私どもとしてできるだけのことはしたい、こう思つております。ただそれが学術会議であるとか或いは大学教育の会合で決議されたとかいう……無論十分尊重してその内容は検討するのでありますが、ただ意見を出した先がそういう権威のあるところであるからというたけでは、私どもはその措置をすぐとるというわけには参りません。よく検討して、そうして今日の国家の財政その他の諸般の情勢とこれを勘案をして、そうして私どもがこれはいいと思うことについては、極力その実現に努力いたしたい。要望に応えたい。ただそこで言うて来たから、検討も加えず、周囲との関係も考えず、これを外に持つて行くということは考えておりません。
  242. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時十七分散会