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1954-10-09 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月九日(土曜日)    午前十一時五十九分開会   ―――――――――――――   委員の異動 十月九日委員寺本広作君及び山縣勝見 君辞任につき、その補欠として紅露み つ君及び白井勇君を議長において指名 した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            剱木 亨弘君            竹下 豐次君            荒木正三郎君    委員            郡  祐一君            白井  勇君            中川 幸平君            井野 碩哉君            加賀山之雄君            安部キミ子君            矢嶋 三義君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    調達庁次長   山内 隆一君    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    文部省初等中等   教育局地方課長  斎藤  正君    文部省初等中等    教育局中等教育    課長      杉江  清君    文部省調査局長 小林 行雄君    文部省管理局長 近藤 直人君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件教育文化及び学術に関する調査の  件  (大阪市立大学校舎接収問題に関す  る件)  (相模湖における学生遭難事件に関  する件)  (対外文化交流及び留学生交換に関  する件)  (朝鮮人学校に関する件)  (文教施設風水害状況並びに復旧  対策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本委員会開会いたします。先ず第一に大阪市立大学校舎接収解除に関する件を議題といたします。昨日は調達庁次長から御説明を承わつたのでありますが、それに対して御質疑をお願いいたします。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 市立大学の問題について質問する前に、これは文部委員長要望しておきたいと思うのですが、今度の文部委員会の議事の中には今陳情のありました朝鮮人学校の問題について今日までの経過について文部当局から一応の説明を聞くと、こういうことになつてつたと思います。従つて今日この点については一応の御説明を願いたい。このことを文部省のほうに一つ連絡して頂きたいと思います。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) かしこまりました。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは大阪市立大学の問題について次長に若干質問を申上げたいと思います。この市立大学の問題については先般来当委員会においても幾多の質疑をいたしております。従つて大体の経緯というものは我々も承知しておるわけです。又昨日は次長から最近の経過について御説明があつたわけです。従つて詳細な質問をいたそう、そういう考えはございません。ただ今日私といたしましては一番要な問題は市立大学接収解除はいつ行われるかという見通しを付けることが非常に重要な問題があると考えているのです。このことは次長はよくお開きになつて御承知であると思うのですが、これは私一人の考えでなしに当文部委員会としても市立大学接収がいつ解除されるか、その時期が明確になるようにしたい、こういう意向であるわけなんです。ところが昨日の説明ではその問題についてお触れになつておらないわけなんです。これは調達庁長官並びに文部大臣に面接質問したいというふうに考えておつたのですが、今日御出席になりませんので、この問題について私は次長からこの見通しについて今一応御説明を願いたいと思います。この前の調達庁長官の御説明では、来年の六月頃になれば大体接収解除をされるのではないかと、こういうお話があつたわけです。されるのではないかと思うと、こういう答弁では私は満足できない。そういうことでは学校当局もこれは満足できない、そういう事情にありますので、この問題についてやはり私ははつきりとした見通しをここで説明をして頂きたいと思うのです。  それから第二番目の問題は、今日の問題としてできるだけ現状を可能な限り改善する、こういう問題です。これは昨日御説明がありまして、学校当局要望の一部が容れられた、こういう御説明でした。併し残余の要望の容れられていない問題はどうなるのかという問題が残つております。併しこれはどうしても一番重要な問題はやはりいつ明くのか、こういう問題です。この問題について何か新らしい展開がなされておるかどうかですね、お伺いしたいと思う。
  6. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 昨日私この根本的の全部の解除について殆んど触れておりませんのは、あの当時長官が当委員会でお答えになり、委員長からもスミス少将にお会いになつたお話もありまして、その後あの問題はこれ以上進展しておるとは私聞いておりませんので、経過報告として進展していないものを申上げることもどうか、又私からすでに長官がここでお話になつたものを補足する必要もない、却つて私が申上げることはまずいのじやないか、こんなふうに考えて、そこでもつと技術的な事務的な細かな問題でありますけれども、あの当時と比べますと、かなり進展した事項もありまして、先方から回答もあつた次第であつたので、その内容を申上げたわけであります。今重ねてのお尋ねでありますが、全体の解除ということにつきましては、その後大阪からももつと早くやつてもらいたいということの陳情もありまして、調達庁としては成るべく十日でも十五日でも早くなるようにしたいというので折衝は続けておりますが、あの当時以上のまだ進展はいたしておりません。誠に遺憾でありますが、根本問題についてはそう申上げる以外に私としてはないと考えております。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次長返還の時期の問題についてこれ以上質問をするということも私も非常に有益であるというふうには思いにくいので、甚だ言葉遣いはよくないかも知れませんが、そういうふうに感じます。ただそれでは現状を幾分でも改善する、こういう問題も私は大事な問題だと思います。そういうことについていろいろお骨折を頂いておるということについては私は感謝しております。ただ運動場の問題ですね、これが全然進捗しないということは、私は非常に遺憾に感じておるわけなんです。説明によると、あそこは兵隊の訓練場として使つておるということで返すことができない、こういうことのような御返答であつたようであります。私も実際にあの運動場を見ましたが、併しかなり広い土地があります、運動場の横にも。従つて何とかそこに工夫をすれば相当部分運動場はこれは返し得るというふうにちよつと見ても判断できるわけなんです。それから訓練に使用しておるという話でありますが、私ども大学生から聞くと大体やつぱし軍人の競技や遊戯に使われておる、野球とかいろいろなことに使われておる。学生は全然使えない、こういうことで学生は非常にこの問題について不満を持つております。従つてこの点はあの運動場の横に運動場に匹敵するような広場があります。そういう点を考えれば、従来の市立大学運動場くらいは返せるのじやないか、こういうふうに思うのですがね、こういう点、どうですか。
  8. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 運動場の点につきましては私どももその利用方法が必ずしも絶対必要であると思われるような利用方法じやないというふうに考えまして、強くこれが解除の要求をいたしたわけでありますが、この九月分二十二日付の回答によりますと、今は解除できんというような表現をいたしておりますので、先法としてもいずれは解除について考慮するという気持は多分にあると見て差支えないと思いますが、ただ時期がいつかということになりますと、これ又明確ではないのでありまして、私どもとしてもできるだけ早く解除になるようになお今後折衝を続けたいと、かように考えております。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあいろいろ従来から質疑をいたしておりますので、私はこれ以上質疑をしようとは思いませんが、ただお願いしたいのは、アメリカ側から回答は文書であつたようなお話で、ございましたが、一応私どもとしても、その回答書を配付してもらいたい、皆さんにでなくても。私は頂きたい。  これは差支えないと思いますが……。
  10. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 私も回答書は今も詳細に申し上げておるわけですから、その本物を、コピーをとつて差上げることは差支えないと思いますけれども、これは私直接折衝に当つておりませんし、施設特別委員会委員になつておりませんので、あとでよく聞きまして、御希望としてできるだけ差支えない限りは御配付できるよに交渉したいと思います。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そう大事がつて頂くようなものじやないと思いますが、写しで結構なのですから、一つ……
  12. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 大体同感でありますが、今私ここで差しげますということを申上げるのは、ちよつと如何かと存じますが、あとで交渉しまして御期待に副うように努力いたします。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではこの問融ほ、私は調達庁次長にお尋ねすることはこれでやめます。ただ根本問題については、やはり文部大臣相当な責任のあるかたでありますから、私は文部大臣出席されたらこの問題について質疑をすることにして、一応質問を終ります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今の問題は荒木君が尽されましたから質問いたしませんが、これに関する資料委員長を通じて要求しましたのに未だ出ていない。六日の委員会で、現在日本の文教施設で軍に収用されているものでどんなものがあるか、そしてその返還期はいつを一体目標にしているか、その交渉状況はどうかという最新の資料を提出するようにと言いました。ところが出席された文部省の方は、私が七日の午前中までに要請したのに対して首を縦に振られたわけですが、それも出ておられない。それから又先程速記をつけないで申しましたが、あの施設の問題にいても、例えば不正移譲が十六万二千坪あると言われたが、はつきりしないから、五カ年計画をもつておられると言うから、大体これから年次別に、一体この危険校舎幾らずつ殖えて行くのか、各年次には、予想学童の人員は幾らで、従つて不正移譲年次別幾らと予想されるのか、人口増は、統計からどういうふうに出るのか、そういう数字が出て初めて五カ年計画、三カ年計画が立つはずなのです。当然私は、そういう資料は即刻でもできるはずだと思いますが、六日に要望したのが本日まで出て来ない、これについては非常に私は遺憾に思います。そのほうは明日でなければできないというからいたしかたありません。明日頂きましよう。併し只今接収施設に関するところの資料は七日に御提出下さるはずだつたのですが、どうなつたのか、委員長からお答え願いたいと思います。
  15. 堀末治

    委員長堀末治君) 山内次長からちよつとお答えいたします。
  16. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 接収の件数が非常に多いのでありまして、全部大体各接収地毎に御了解願えるようなふうにしてまとめるには、かなりの日数を要しまして、すぐできるかどうかちよ一つと申上げかねますが。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文教施設だけですよ。文教施設だけとこの間限定して申上げておいたはずですが。
  18. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 承知いたしました。文教施設だけならば……。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 六日の日に承知したはずなんですが、どうしたのですか。
  20. 堀末治

    委員長堀末治君) それは文部省の  ほうで……。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたのところで出されますね。
  22. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 資料は今作つております。月曜日までに出したいと思います。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 六日の日に頼んだのじやないか。
  24. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 大体できておりますけれども、前の印刷しましたものも訂正しておりますので、大体できておりますけれども、月曜日にまとめまして御提出申上げたいと思います。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 多く言いませんが、休会中なんですからね、休会中の委員会というのは、何日間あるかということは初めから公報ではつきりしているのですよ。それを閉会中と開会中と混同して、閉会中の委員会終つたあと資料を出す、これは一体どれだけ有効か、委員長どういうふうにお考えになつていらつしやるか、私は委員長を通じて要請したいのでありますので、よろしくお願いしたいと思います。
  26. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 今の文教施設だけについてならば早くできると思いますから、できるだけ速かに提出するようにいたします。
  27. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本問題に対する質疑はこれでひと先ず打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」「文部大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣がお見えになるまでに、お許しを得れば、私は先ほど委員長に申上げましたように、昨日の相模湖の問題に関連して、修学旅行一般について斎藤課長に伺いたいと思いますが……
  29. 堀末治

    委員長堀末治君) 今聞きますというと、斎藤課長担当でないそうです。中等教育課長杉江清君から……
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 よろしいかどうか、お諮り下さい。   ―――――――――――――
  31. 堀末治

    委員長堀末治君) 今矢嶋君から、このたびの相模湖の学童遭難について、文部当局から説明を求めたいというのは如何でございますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 堀末治

    委員長堀末治君) それではどうぞ。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの際、昨日の相模湖の麻布学園生徒遭難事件並びにこれに関連いたしまして、丁度修学旅行シーズンに入つておりますので、文部省に若干お伺いしたいと思います。  申すまでもなく先般洞爺丸事件が起つて、そうして数日前に九州の佐賀県で又数十人の犠牲者を出したところの交通事故があつて、昨日又あの悲報を聞いて、実は驚き入つている次第でございます。これらの事件が突発するたびに、憲法に謳われている人命の尊重というものについて、民主国家になつたとはいいながら、日本人には、その認識が不十分ではないかということを世界から批判されているようで、誠に私ども自責の念に堪えない気持でいるわけであります。そこで私伺いたいのは、旅行シーズンを前にして、文部省は如何なる指導と助言を地方教育委員会或いは都道府県知事に与えておられるか、その点を伺いたいと思います。
  34. 杉江清

    説明員杉江清君) 修学旅行につきまして、その旅行中にいろいろ事故が起きたり、又生徒行動に面白くない事件があつたりいたしましたことも過去にありますので、特に昨年におきまして、修学旅行全体のあり方について十分な注意を喚起するために、初中局長の通牒を教育委員会及び知事及び国立学校宛に出しております。それによりまして、事故の防止と、それから計画の適正とか、それから健康の問題とか、生徒行動の問題とか、教員指導監督及び教員自身行動等の問題について注意を喚起しております。で、その後におきましても、修学旅行は飽くまでも教育一環である、そういう立場において周到な計画を立て、又適切な指導をいたすようにということは、例えば指導課長会議、又は生徒指導担当官会議、又は文部省主催のいわゆるリーク・シヨップ等におきましてこの問題を取上げていろいろ研究協議しておりますし、又指導もいたしておるつもりであります。そういうつもりでございます。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は一般的な御説明を承わつただけでは満足できないので、もう少し突つ込んで伺いますが、九州からもよく東京まで修学旅行においでになるのです。で、この大部分学校は昔の修学旅行とは違つて修学旅行先の地理或いは歴史、こういう立場からのいろいろなプリントまでして、学校内における教育一環としての成果を挙げるように周密な計画を立てて、そうして引率先生がたは全く不眠不休という立場で努力されている姿を私はよく見ております。併し万が一ちよつとした油断の場合に不祥事が起るわけですが、こういうものは一つといえども起らしてはならんと思う。私が今日特にこれを伺うわけは、そうして非常に私残念に思うわけは、これと全く同じケースが二年前熊本の八代海岸であつたのです。そのスケジュールに入つていない点ですね、それから泳げない子供相当にいたことですね、それから船長が自分の船の定員をよく知らないで、定員以上に乗せた点ですね、こういう状況が、もうそつくり同じなんですよ。そうして熊木の場合には犠牲者は三十人超えたと記憶しておりますが、そこで私はその一般論でなくて、人間というものはややもすれば喉もと過ぎれば熱さを忘れるわけでありまして、そういうときに過ちが起つて来るわけですが、所管のあなたのところとしては、全国のこういうケースですね、こういうものを集めてそれを小冊子にしておいて、そうして各県教育委員会、或いは学校に配付しておけば、まあ学校長さんが旅行に出る場合、そういうケース集ですね、そういうものをちよつと先生がたに見て頂けばこんなものは簡単に防げることだと思うのですね。そういう点でこれは稀有の状況下に起つたものならばまあいたし方たかつたな、気の毒だなということで諦めもつきますけれども、これは極めてありがちな平凡なケースなんですね、こういうことは十分防げることだと思うのですね、それだけに私非常に残念でもあるし、この亡くなつた人には本当に限りなく同情をするし、又父兄のかたがたの立場に立つたら、本当に想像できないほどお気の毒に思うわけなんです。そういう事件が起つた場合に一々文部省報告があるわけですが、そういう、こういう場合。こういう場合。こういう場合にその間隙を狙われてこういう事件が起つたというような、その集めたものですね、そういうものを流したことございませんか。ただ報告を受けたのをなんですか、こういう事件があつたといつて、ただそれを書類を積み重ねておくだけですか。その取扱い方一つ伺いたいと思います。
  36. 杉江清

    説明員杉江清君) そのようなものをまとめて流したことはございませんが、そのような事例を先ほど申上げましたような研究集会、又は指導課長会議、その他担当官会議ではそういう事例を取上げて、それに対する対策を協議して参つたことは事実でございます。ただそういうものを、まとめて出すということも今後私は必要だと考えております。で、今回の事件の起る起らないにかかわらず、実は私ども修学旅行あり方について、文部省としての指導をより一層十分にして行かなければならないと考えまして、修学旅行の手引きというものを編纂計画しております。そうしてそのための資料等も集めつつあります。又具体的にそれらの編纂の準備をしておるわけでございます。これにはそういつたいわゆる手例集、それも事故のみによらず、修学旅行教育一環という立場において各教課との関連をどうするか、又修学旅行全体の計画をどのようにしたらいいか、それから又修学旅行が一定時期に集中するのを避けるためにはどういうふうな具体的計画を持つことが適切か、そういうふうな各種の問題に対して具体的な指導をするような方向で今資料を集め、研究も進めておるところでございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この二、三年来修学旅行の問題が非常に多く教育面で取上げられて、文部省初め努力していることを私は知つております。それは多といたしますが、併しこういう事件一つでも起るということは、これは私は誠に結果として遺憾なことだと思うのですね。それは学校当事者、直接引率者は勿論のこと、やはりこれに関係するところの皆さんがたとしては、やはり力の足りない点は私は反省して、更に努力しなければならんと思うのですが、今度の事件を、担当のあなたとしては、どういうふうに見ておられますか、御所見を伺います。
  38. 杉江清

    説明員杉江清君) 誠に残念なことであり、又お気の毒に堪えないことだと考えております。この事件の原因が何にあるにいたしましても、これは文部省として、この修学旅行あり方について十分な指導を今後徹底して行わなければならない、こう痛感しておるわけでございます。その具体的な措置としては、なお今後こういつたことについての、改めて注意を喚起するかどうかについて十分考慮いたしますと同時に、私早速早急にやらなければならんと考えていることの一つは、先ほど申上げましたような、そういつた具体的な事例を挙げ、具体的な問題を取上げて、これを流す、又これについて研究して頂く、この計画は今回の事件に鑑みて早急に進めて行きたいと考えております。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 繰返して申しておきますが、具体例というものですね、先例というものが最も尊い教えになるのですよ。而も、その例というか、ケースというのはそらたくさんはないのです。いろいろ事故が起つた場合をみますと、殊に修学旅行のような場合には、もう非常になんですよ、十も挙げれば尽きるほどですね。そうたくさんあるものじやない。それさえ徹底すれば、こういうものは未然に防げると思いますから、特に要望しておきます。  それからもう一つ申上げたいことは、修学旅行に関して旅行斡旋業者ですね、これに対してのいろいろの監督とか指導についても、文部省なり又は都道府県教育委員会が近年熱心に配慮している点を私は認めます。併し私はまあ第三者的な立場から見て十分だとは考えません。飽くまでもこいつは商売人ですからね。それから又これらの人と連絡をとつてこれに従事するところの旅館業のかたでも、やはり商売人です。だからよく旅館でもいろいろな事故が起るわけでありますが、このたびの事件についても夕べのラジオを聞きますと、船長定員は三十数名だと言つておる。その直後に船主は定員は十九人だと、こう言つておる。それから伝え聞くところによると、十九人の定員の能力しかない船にたくさん乗せるように施設をして定員三十五人とかにしてあつた。これを認めておつた地方監督当局も、これは私は相当の問題だと思うのです。その船にもつて来て七十八人乗せた。これはやはり営業主義から行つておるのです。従つてこういう旅行斡旋業者、これらに従事する人の監督指導というものは私は非常に重大なことだと考えるのです。これに現在どういう対策を持つておられるか。又過去において最近どういう努力をされたかという点と、ちよつと角度は違いますが、私は是非とも文部省のあなたに伺いたい点は、非常に私は意外に思つたことは、夕ベのNHKの特集番組を聞いたのです。そのときにこういうことを言つておりました。被害者の一人の御父兄のかたが、うちの子供は今度の修学旅行には行きたくない行きたくないと言つてつたが、今まで学校欠席したことはない、修学旅行に行かなければ欠席となるから、だから旅行には行きたくないが欠席になるから行くというので、不承々々と旅行に行つた。そうしてこういう被害に会つてかわいそうでしようがないと、こういうことを父兄のかたが申されておりました。その直後に放送で聞いたのですが、アナウンサーが校長さんに、修学旅行に行かないと欠席になるそうですが、そうですが、こう言つたところが、校長さんが大きな声で何か先生を呼んで何々君、修学旅行に行かなければ欠席になるのか、といつた声が入つて来た。これは私は聞いたときに何とも言えない気持になつたのですが、一体学生修学旅行に行かなければ欠席に扱うと、こういう扱い方はどうなのか、そういう点はどういう指導をなされているのか、私は非常に重大なことだと考えますので、文部省担当官のあなたに伺つておきたい。それ次第によつては更に質問いたします。
  40. 杉江清

    説明員杉江清君) 第一の旅行斡旋業者に対する指導の点でございますが、これは確かに修学旅行の問題としてはこの点に相当の問題があることは御指摘の通りであります。ただこの斡旋業者に対する指導とか監督というものは、これは直接文部省担当するところではないと思います。併しこの点につきまして問題があると思いまして、私ども運輸省当局とも話し又実はこういうような点に対して特に何とか改善したいと考えており、又修学旅行全体のあり方についてわれわれこれを改善したいと考えておる団体としまして御存じかと思いますが、修学旅行協会というのがございます。これは運輸省の外郭団体のような形で運営されておりますけれども、特に修学旅行あり方に対するいろいろなことを考えて、その改善を考えておりますが、そこでは特に斡旋業者に対しての指導ということを考えておるわけなんです。その修学旅行協会と私どもはしよつちゆう連絡協議を持ちまして実は打合せをしておるのであります。今後ともそういつた機関を通じましてこの方面の指導と申しますか、このむしろ斡旋業者そのものに対する指導よりも、斡旋業者をどういうふうに学校側で利用するかというような点についての指導を、これは私のほうでなし得る問題ですから、そうした指導を強化して行きたいと考えております。  それから修学旅行へ行きたくない生徒欠席にするということ、これは私は一般的には適当でないと考えます。ただ併し修学旅行はこれはやはり私どもは飽くまでも教育一環だと考えておるわけであります。従つてそれが経費もそんなにかからない、又そこで重要な教育の場面としてそれをやるのだということの事情があり、それが無理のない計画であるという場合には、これを全員が行くということを建前にする。特別な例外はこれはあるでしようけれども、併し理由なくして、適当な理由なくしてこれを欠席するということは認めないという場合はあり得ると思います。併し一般的には行きたくない生徒、それも理由はやはり十分吟味する必要はありますけれども、合理的な理由ある限りそれを欠席とするということは適当でないと、こう考えます。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その第二点に対する答弁ですね、それに対して更に伺いますが、あなたは一般と特別の場合に分けて答弁されたわけですが、子供修学旅行に行かないという場合はまだ経済的理由が相当あると思う。それから健康の理由があると思う。それからもう一つはそこには曾つて自分が行つたことがある、友達と行つたとか、或いはお父さんお母さんと一遍行つたごとがあるから、もう余り気が進まない、行きたくないという場合がある。この最後のような場合は、あなたはどうお考えになりますか。
  42. 杉江清

    説明員杉江清君) 最後の場合につきましては私はデリケートなところがあると思います。ただ父兄と、ほかの条件は一応別といたしまして、その件だけならば、父兄と行つたときに果して本当に教育一環としてのそういつた旅行が行われたかどうかについてやはり問題があろうかと思います。だから学校が飽くまでもそれを教育一環としてこれを取上げるという場合には、父兄と一緒に行つたからといつて、直ちにそれを行かなくてよろしいという結論にならないかと私は考えます。ただその辺の判定はデリケートな問題があるかと思いますけれども、一応私はそのように考上えております。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その見解を承わつておきましよう。だとすれば修学旅行即ち校舎外におけるところの修学旅行を通じての教育をそれほどに評価するとすれば、これは旅行計画者であり又引率者である学校当局並びに関係する人の責任というものは極めて重大だということになりますね。如何ですか。
  44. 杉江清

    説明員杉江清君) 私はさように考えます。
  45. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も一言お尋ねしておきますが、相模湖の遭難事件矢嶋さんもお話になつたようにこれは非常に痛ましい事件、これは而も東京都附近で起つておる。文部省はどなたか派遣されて現地調査をされたかどうか、伺います。
  46. 杉江清

    説明員杉江清君) 只今のところ現地調査はいたしておりませんが、今日午前中に直ちに私どものほうの担当官とそれから他の振興課のほうの担当官と両名を学校に派遣いたしまして、種々の状況調査しておるところでございます。
  47. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は先ほどこの問題について文部省がいろいろ修学旅行の問題について考慮し工夫しておるというお話があつた、当然のことだと思うのですが、ああいう痛ましい問題が起つておるというのに現地調査をしておらないということはどういうことですか。
  48. 杉江清

    説明員杉江清君) 実は昨日遅く聞いたばかりですので、その現地調査をする必要があるかどうかは、先ず学校へ行きまして引率された先生がたも帰られたかたもあるわけでありますから、事情をよくお伺いして、その上で現地調査が必要であればそういう措置をとりたい、かように考えております。
  49. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 あなた何を言うのですか、このようなことは現地調査が必要であるかどうかという問題じやないのですよ。当然調査しなければならん問題です。一般人が遭難しておる問題でも重大です。特に学校生徒児童ですよ。一般人でないわけですよ。そういう子供が多数犠牲になつておる。こういう事件文部省の膝下で起つておる。自動車を走らせば一時間もあれば行ける、そういうところで起つておる問題、而も学校生徒遭難しておる。こういう問題は必要があるかないかじやない、必要があるということは言うまでもないことだと私は考える。併し新聞やラジオの報道によると、ああいう相模湖で普通の場合ならば絶対ああいう事件は起きないはずだ、非常な無理があるのです。そういう実情は私はすぐにでも現地調査しなければならん、こういうふうに思うのです。学校側を一遍調べる、そういう感覚では私は勤まらんと思う。これについてどう考えておるのですか。
  50. 杉江清

    説明員杉江清君) 取りあえず事情がよくわかりませんので学校側から事情を聞くと、こういう措置をとつたのであります。今この問題につきましては、一応十分御趣旨を酌んで上司とも相談したいと思います。
  51. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私は学校側にもいろいろ問題があるのじやないかと思う。又船主側もいろいろこの事件を起した原因があると思う。そういうものは双方徹底的に調査して、二度とこういう問題が起らないように私は具体的に措置すべきであると思う。ああいうところで多数の生徒遭難して死んでしまう、これは非常に重大な問題だと私は思う。これはそういう必要があるとかないとかいう以上に私は文部省が十分な対策を講ずべきである、こういうふうに思いますので、これは御注意申上げておきます。
  52. 安部キミ子

    安部キミ子君 今遭難事件についての質問がありましたが、私はこれに関連して通学の学生生徒、児童というものが全国到る所で非常な無理な現状で通学しておると思います。私の田舎におきましても小さい子供がバスで通つておりますが、あれでは怪我をするのじやないかと思われるようなのが通つております。それから中学生や高等学校生徒でも学校の行き帰りに非常に通学の訓練がよくできていなくて、鈴なりのようた恰好で通学しております。これらのことも、もう少し学校当局として事故が起つて騒いだのではしようがございませんので、それらの通学の実態というものをよく調査下さいまして、事故の起らないように前以て注意を与えてもらいたい。殊に東京なんかで、これは学校区が違う所に小さい児童が遠い所までランドセルを背負つて省線なんかに乗つておりますが、私びつくするのですが、ちよちよこ走つて省線に乗つております。下手をすればあんなところからこぼれてしまうのじやないかと私年寄りですから気に病むのですが、これらの学校区の問題なんかを根本的によく検討されまして、通学の事故の起らないように善処してもらいたい。これは私の要望です。
  53. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  54. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて下さい。   これで暫時休憩いたします。午後は二時十分前に開会いたします。    午後零時四十八分休憩    ―――――・―――――    午後二時十六分開会
  55. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは午前に引続いて委員会開会いたします。大阪市立大学校舎接収解除に関する件を議題に供します。御質疑を願います。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大阪市立大学接収解除の問題については、先般来当委員会におきましても、関係官庁からいろいろ経過について説明を受けているわけです。又その間、調達庁を初め関係各庁においてもこの問題については、いろいろ御努力を頂いております。その点は私もよく了承しておるわけでございますが、大臣も御承知の通り来年の六月頃には多分接収解除になるだろう、こういう調達庁長官の答弁があつたわけであります。併しはつきりと来年の六月には解除になると、こういう答弁はないわけであります。それでいろいろ私も考えまして、事務的な折衝においては恐らく限界に来ているのではないか、こういうふうに考えるわけです。そこで我々としてはどうしても接収解除の期日を明確に示してもらいたい。こういう考えを持つているわけです。このことは先般文部委員の視察報告においても、その時期を明確にする必要がある、而も一日も早く接収解除になるようにしなければならん、こういろ報告があつたわけです。然るにいろいろの努力が行われたにもかかわらず、なおその時期が明確になつておらない、こういう現状であります。そこでこの問題は事務的に折衝するということでは、これ以上進展することは相当困難であるというふうに考えられます。そこで特に私が大臣にこの問題について質問をするということは、これは私だけの考えでなしに当委員会としても、これはこの段階においては文部大臣が積極的な努力を払われるということが、この問題解決の極めて重要な要件になつて来ている、こういうふうに考えます。こういうことになつております。そこでこの問題は調達庁関係の問題でもあり、或いは外務省にも関係している問題であるかと思いますが、併し学校教育の問題ですから、やはり最終的には文部大臣に御努力を願わなければならないのじやないか、こういうふうに考え質問をしているわけです。そういう意味で我々としては来年の六月頃には接収解除になる、こういうはつきりした目安があればこの問題の処理は比較的容易であると思うのです。特に劔木委員がこの間の報告においても申された通りに、学生諸君に対しては、諸君は静かに勉強しておいてもらいたい、これはきつと諸君の要望に副うように文部委員会としても最善の努力をする、こういう約束をしてお帰りになつた、我々もそういう約束をして帰つたのであります。そういう意味におきましても私は学校当局なり学生諸君が納得して接収解除を待つというためには、どうしても接収解除の時期を明確にする必要があるというふうに考えているわけなんです。そういう意味で今後この問題については私は文部大臣として御努力をお願いしたい、こういうふうに考えているわけであります。そこで大臣としてはどういう所見を持つておられるか、お伺いしたい、かように考えます。
  57. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 大阪市立大学接収解除の問題につきましては、当委員会におかれましても非常に御心配を頂きまして、又いろいろ関係方面との話合いもして頂き、その経過につきましてはすでに調達庁その他のほうから申上げてよく御存じの通りであります。来年の半頃には接収解除の見込みが立つたということだけでもこの委員会においてこの問題をお取上げになつた、そのいろいろ御心配を頂いた結果であろうと思います。御要望のありました点はとくと了承いたしまして、私としても一日も早くこの問題を解決する、又接収解除の時期がはつきりするように努力いたしたいと、かように考えております。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先日の委員会において文部大臣出席を求めましてこの問題について文部大臣に対しても善処を要望したわけです。併し外務大臣は私の受けた感じですが、冷淡なように感じたんです。言葉遣いは適切ではないかも知れませんが、特にこの関係については外務大臣は直接責任の大臣ではないかのような御答弁があつたわけです。そういろ事情でありますので、私はこの問題については外務大臣と特に御協議を願つて、そうして相当強い働きかけをアメリカ側にして頂かなければなかなか期待をすることがむずかしいというふうに考えておるわけであります。そういう点で、これは外務大臣等関係の大臣と協議をして頂いて、そうしてアメリカに対して正式と申しますと変なことになりますが、政治的な解決を図つて頂きたい、こういうふうに考えておるわけなんです。そういう点について、もう少し具体的な大臣の構想を伺うことができないか、こういうふうに考えます。
  59. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これはまあ何と申しますか、相手のあることでありますから、政府部内でいつという、はつきりしたことをきめるということもできないわけであります。これは当委員会において問題になりました当時において、丁度外務大臣が出席されるその直前であつたと思いますが、丁度この委員会でお取り上げになつております際に、実は私からも外務大臣には特に何とか目鼻のつくように尽力してもらいたいということは当時申しておるのであります。やはり外国を相手のことでありますから、私のほうで直接そこへ出かけて行つてというわけには参らんと思います。やはり外務省を通じますか、或いは直接その関係において調達庁、それから日米合同委員会ですか、そういう方面に働きかける、それにはやはり外務省あたりで相当強腰というか、本腰といいますか、ということで御尽力頂くというやり方よりほかにはないのであります。従来とてもそのつもりでいろいろお願いはしておるわけであります。今後も御要望に副うようにできるだけ努力いたしたいということは変りません。これは市立大学学生の代表の人もこの間見えまして、実情を非常に訴えた陳情もありましたし、私としてもこの問題を一日も早く解決したいという気持は十分にあるのでありますが、今のような、ただ政府だけできめてきまる問題でもないわけでありますから、その辺はよく事情はおおかりになつておることと思います。そういう意味で一つどもとしてもできるだけ努力をしたい、こう思つておるわけであります。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで来年の六月頃には多分接収解除になるだろう、こういう調達庁長官説明と申しますか、言明と申しますか、これに対しましては私は恐らく学校当局なり市当局、或いは学生の諸君にいたしましても、かなり大きな期待を持つておると思います。そこで私はここでお尋ねしたいのは、若し六月に解除にならない、こういう場合があれば、これは私は期待をしておるだけにその失望も非常に大きいものになると思います。そういう意味でこの際私はやはり日本政府の責任という立場において、来年の六月に解除にならなければ日本政府の責任において代替施設をこしらえてでも解決するのだ、こういう御意思があれば非常に私はいいのじやないかと思います。そういう点を政府の意思として一つ発表して頂くことはできないでしようか、こういうことについてお尋ねをしたい。そうしなければこの市立大学のいろいろな問題は今後私はいろいろ好ましくない問題も起つて来るのじやないか、いわゆるよく言われます日米関係においても決していい影響は起つて来ない。むしろ悪い影響が起つて来るのじやないかというふうにも考えられる点もあります。そういうことは別といたしましてもやはり教育施設が早急に返還される、返還されなければならん、こういうことは文部大臣も日本政府も同意見だと思います。そういう意味で政府の言明として六月に返らないという場合には代替施設をこしらえてでもこの問題の解決を図る、こういう強い御意思の御発表を期待するわけなんです。こういう点について大臣の所見を伺いたい。
  61. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) ちよつと速記をとめて下さい。
  62. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  63. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて下さい。
  64. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは、まあ御趣旨はよくわかつておるのでありますが、代替施設を作るということになると、これは経費の関係もあることでありますから、その関係の調達庁なり或いは場合によつては大蔵省といいますか、そういう方面との話合いをしなければ、ここで代替施設を作つて問題を解決するということをはつきり申上げることは私としてはできないと思いますが、とにかくただ来年の半頃には解決するであろうということは、直接その衝に当つておられる調達庁のほうでもそういう意向を持つておられるようであります。これはまあ調達庁としてもアメリカ側はつきり六月には戻すということを言わない限り、必ず六月には取消しになるんだということは言えない立場であろうと思います。ただ実際の問題として六月には大体戻すようにするということはアメリカ側でもそういう考えでいるのでありますから、まあ私どもとしてはできるだけこれは六月に返してもらうということで努力をしたいと思つております。その場合に、戻さん場合の代替施設の問題になりますと、今ここでそういうことを請合つて、そういう方法をとるということは申上げられないと思いますが、事情は御了承頂きたいと思います。
  65. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは、あの接収解除の問題は相手側のあることであるから政府の考え通りにも行きかねる点がある、こういう点は私もわかります。そこで、私が今質問したように行きかねる場合、やはりあのまま放置して置くということは我々としては忍びないものがあると思います。そういう場合には、やはりアメリカさんの入る所をこしらえてやつてでも学校へ返るように、使えるようにしてやりりたい、こういう気持を持つておるわけなんです。今すぐ、金のかかる問題でもあるので返事できない、こういうことでありますが、これは実は私は文部委員長を通じて相当前からこういうことについては文部大臣考えて頂きたいということは、そうはつきり具体的には申しておりませんが、当委員会の大体の意思として私は伝わつてつたんじやないかと思う。まあ併しそれははつきり具体的には申しておりませんでしたので、それでは私はやはりこの問題をできるだけ平穏に、できるだけ摩擦なしに解決して行きたい、解決して行かなければならん、そういう立場からやはりそういう場合のことも予想して、一応文部大臣としても関係大臣と御協議を頂いて、適当な時期に御返事を頂きたいと思います。それはまあ臨時国会のときでもよろしい、できればそしの前でもいいですが、できるだけ早いほうがいいのですが、若し来年の六月になつて接収解除にならない場合は政府としてはどうするんだ、こうするんだ、こういう方針を明らかにして頂きたいと思います。それがやはり平穏にこの問題を解決する私は筋道になるんじやないかと思いますので、そういう点について今日は大臣に要請すると共に、要請しつ放しじやなしに一つ大臣の答弁をもらいたいと、こう思います。
  66. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) その点は関係庁方面ととくと一つ相談をして、相談がまとまればやる、こういうふうに思います。   ―――――――――――――
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長に通告してありました質問の第二に進む前に、午前中転覆の問題について質問した点について、一つ簡単に、いま少し明確にしておきたい点を重ねてお伺いいたします。  杉江課長に伺いますが、午前中に特に要望しておきました調査に職員を派遣する件は、すでに決定実行されましたかどうか、その結果を伺いたいと思います。
  68. 杉江清

    説明員杉江清君) 帰りまして、早速都の視学課と連絡をとりまして、今課長がおりませんので、下の者と話しまして、向うとしてもまだしておらない、その点を、至急相談して又御連絡する、こういうふうな回答をして来ました。私のほうとしましては、前に申上げましたように、学校へ係官を派遣して事情を聞いております。併し今のところ、まだ混雑しているところにすぐ行つても、いろいろ調査すべき事項についての十分な調査をする見通しも立ちませんので、なお都の視学課と連絡をし、又学校とも連絡してそのことをきめたい、こういうふうに考えております。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事件の起つた直後のことで、いろいろな参考資料もつかめるわけですから、今連絡をとりつつある都と更に連絡をとつて、できるだけ早く処置されるように重ねて要望します。  それから明確にしておきたい点は、修学旅行の参加と不参加と、学校の出欠関係ですがね、あなたは午前に私の質問に対してこういう意味の答弁をされたわけです。即ち、病気とか、或いは経済的理由の下に修学旅行に参加しない、そういう特別な理由のある場合には、これは出席と扱つてよい。併し曾つて自分だけその地に旅行したことがあるとか、或いは両親と一遍旅行したことがあるから気が進まないというような恰好で参加しないのは、これはやはり欠席扱いするのは妥当だ、こういう意味の答弁をされたわけですが、そういう立場において文部省都道府県教育委員会指導されておられるのか、念のため伺います。
  70. 杉江清

    説明員杉江清君) 午前中のをやや繰返しますけれども、通常の場合は、参加しないのは多く経済的理由、又は身体事情、又は特に家庭の事情等によつてこれは参加しない場合が多い。その場合は、多くの場合は学校で自学自習乃至適当な勉学の措置を講じてこれを出席と見なしております。だから私が申上げましたのは、そういうふうな場合を除いて、特に妥当な理由のない場合に、生徒が単に好きだとか嫌いだとかいうようなことで参加しないという場合には欠席の取扱いをする場合もあり得る、こういうことを申上げた趣旨でございます。と申しますのは、修学旅行は飽くまでも教育一環としてこれを実施することが建前であり、殊に例えば相模湖のような場合、実際どうか知りませんが、発電所の見学をするとか、ダムについての実地見学をして、社会科乃至理科のほうの学習をそこでするというような意図も十分考えられるわけであります。そういつた場合に、単に好きだとか嫌いだとか、又は前にちよつとあの辺を通つたことがあるからというような事情でこれに参加しないという場合には、これは学校のほうで欠席とみなす、欠席の措置をする、こういう場合も考えられるというふうな趣旨でございます。こういうような場合も、私どもは今までもそういうふうに考えておりましたし、又今後ともそういうふうな建前で行きたいと考えております。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私、具体的に三つの例を挙げて、第三の場合は特に念を押してお伺いしたいのですが、そのときのあなたの答弁と今のとは、相当とは言わなくともかなりずれて来たと思うのですが、そういう不明確な態度で私は文部省がいるということは遺憾に思います。重ねてお伺いしますが、先ほど私申上げばしたように、この現に被害を受けた一人の学生が、どうも行きたくない、けれども欠席になるからといつていやいやながら参加したということを父兄言つているわけですね。それを私今伺つているわけですが、それに対して学校側はは、これを欠席扱いに扱つているわけですね。そういうことをあなたは午前中の答弁では、修学旅行教育の面からの評価、教育的価値ある計画としてそういうふうにするのが妥当だという見解に立つていると答弁されたように私は了承しているのですが、そうなんですね。
  72. 杉江清

    説明員杉江清君) 私の申上げたのは、今回の事件についての場合を申上げているわけではないのであります。その辺の詳しい事情はまだ十分わかりませんので、私としては、今申上げたような趣旨におきまして絶対に欠席の取扱い方をしてはいけないという、性質のものじやなくして、そういう、場合もあり得るということを申上げたわけなんです。だから今の場合において、その行きたくなかつたということの理由が果してどこにあつたかということによつて、今の欠席の取扱い方をするか、したことが適当であるかどうかの判定がさるべきだと思います。だから今回の場合がそれに該当するかどうかは、やはりもつと詳しく実際の状況調査してからでないと私は言えないと思いますが、繰返しますけれども、午前中申上げました趣旨は、修学旅行の本旨から考えてそういうふうな場合があるということを申上げたつもりでございます。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は修学旅行教育的価値を認めます。大いにありますが、あなたの午前中の答弁からは、相当生徒にとつては義務的な強制的な感じを受けたわけです、私は。現在の我が国の社会情勢なり交通機関の状況その他から、教育的価値はあるけれども、午前中私が印象を受けたほどそういう修学旅行教育的にいい環境で十分な管理がなされているかということには若干の疑問がありますので私は重ねて伺つたわけですが、そうするとあなたは文部省としての見解は、修学旅行教育的価値といものは確かにある、その通り従つて不参加の場合に欠席の取扱いをなすのが妥当な場合もある。この程度の文部省は態度である、こういうわけですね。
  74. 杉江清

    説明員杉江清君) 御趣旨の通りであります。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一遍伺つておきますが、そういう修学旅行に参加、或いは不参加の生徒欠席にするとか或いは出席にするとかいうことを最終的に決定するのは学校当局でそれぞれ自主的にきめるのか、或いはそれを所管しているところの教育委員会或いは都道府県知事、こういうところできめるのか、実際の建前、実情はどういうふうになつておるのか。
  76. 杉江清

    説明員杉江清君) 実情は学校当局できめておると思いますし、又多くの場合それで私は妥当だと考えます。勿論そのような取扱い方について今後委員会のほうで指導するということは勿論あり得ると思います。又今後この面について研究して必要があらば私どもも適当な措置をとりたいと考えております。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点は質問これで打切ります。  次に通告しておりました諸外国との文化交流の立場から当面是非伺つておきたい留学生の問題について絞つて伺いたいと思います。  先ず一般論として大臣に伺つおきたいことは、私先般短期間でありましたけれども、東南アジア諸国を一応視察して参りました。そして私は語学は非常に不十分なのでありますが、随分田舎のほうにも参りましたので、ブロークンで対日感情というものを探つて見ました。その結果、私がタツチした範囲内ではインドといい、ビルマといい或いはタイといい、香港といい、日本国内で伝えられているほど対日感情に楽観できないといと私はそういう結論を持つてつて来たわけです。そこで私はインドは別としましても、他の私が接触しました諸国のかたがたは我々と風貌の点においても碕んど似ておりますし近くはありますし、私はやはりアジアの日本の国に近いこういう国々のかたとの友好関係、そういう立場からの外交を積極的に今以上に推進することの必要さを痛感して帰つたものでございます。そこで一般論として大臣に伺いたい点は、これらの親善友好という立場から私は文化の持つ使命というものは非常に大きいと思うのです。で、文部大臣としてどういうふうにお考えになつておられるか。何らか今大達さんの文政面において一つの構想を持つておられるか。特に大臣は東南アジアには長らくおられたこともございますし、私は何らかの御構想を持つておられるのではないか、又必要ではないかと、こう考えますので、一般論としてその点大臣に伺いたいと思います。
  78. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 東南アジアとはこれは事実的にも特殊な親しみがあるのでありますから、やはりこれは親善友好の関係を進めて参るということは極めて必要である、これはもう申しげるまでもない。今矢嶋委員からお話になつていることと全く同感であります。その一つとして文化交流と申しますか、そういう点につきましても非常にこれは有力な双方の理解を進める見地から望ましいことであるということにも私全く同様に考えております。前々から文部省におきましてもさような見地から留学生の交換といいますか、というようなことをして参つておるのでありますが、これはまあ経費の関係等もありまして現状は極めて微々たるものであります。これは是非事情の許す限り、又経費の許す限りこれは進めて参りたいと考えておるのでありまして、来年度の予算におきましても、この種の経費を是非幾分でも増してもらいたい、こういうことで大蔵省にお願いをするつもりでおります。大体お話になつた趣旨については私は全く同感であります。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その留学生の問題について具体的に入る前に、私もう一つ一般的に伺いたいのですが、それは言葉の上で友好々々と言つても、あの大きな戦争というものを経過しているし、そう簡単に解決できる問題じやないということをはつきり掴みました。そうして在留の邦人、日本人並びにその国の人と話した結果、私が掴んだ点は、先ず文化人、文化の交流ですね、それから特に科学技術の協力という立場から日本の科学陣を寄越す。それから芸能人を送つて芸能を通じての親善友好ということが非常に効果的である。それからもう一つ、これは日本の大新聞の駐在のかたも確信をもつて我々に忠告をしでくれたことですが、進歩している日本の医学ですね、余り充実したスタツフでなくても、日本の医学の紹介かたがた巡回医療班、これは医科大学の大学院の生徒でもよろしいというのですね、そういうものを編成して廻すというようなことは、これは実質的に非常に効果のあることだと、こういうことを極めて自信たつぷりに私に話してくれました。私も全く同感だと考えて帰つたわけですが、丁度只今予算の編成期にあるわけでございますが、こういう文化の交流、殊に科学陣を寄越すとか、芸能人の派遣とか、芸術を通じてですね、特に最後になつて具体的に申上げますが医療班の派遣、こういう問題について予算の編成期でありますが、大臣として今後御検討を願いたい、そうして成るたけこれは一日も早く実現化するようにして頂きたい、こういう希望を持つているのでございますが、御検討して頂けますかどうでしようか、御見解を伺いたいと思います。
  80. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 只今お話になりましたと大体同じような考え方で、まあこちらから学び取るという関係もありますから在外研究員を派遣するとか、それから今申上げた海外の留学生、これはこちらからも出しますし、それから向うからも政府の費用をもつてこちらに留学生を招致する、これも本年度の予算においてもそれをやつておるのでありますが、僅かでありますけれども、やはり大体東南アジアに主力をおいて、三十人という少いものでありますが、そのうち二十一人は東南アジアから留学生を招致するということで現にこれはやつておるのであります。その他文化関係の人物の交換、それからこれは東南アジアという関係ではありませんが、実は在外公館にやはり文化関係一般、教育学術文化の方面を担当する係官というものをおいて、何といいますか、文化アタツシェとでもいいますか、そういうものでもこれはまあ在外公館のほらからもさようなことが非常にお互いの理解を深め、文化の交流の上に役立つであろうというような話も聞いておりますが、できればそういうこともいたしたい。ただ、今お話になりました医療班を作つて殊に東南アジアについてそういう班を廻すとか、それから芸能関係につきましては、これはまあ民間の企てとしていろいろ伺つておりますが、政府の仕事としてという、或いは補助金を出してというところまでは行つておりません。併しこういう点につきましても、医療班の問題もありますが、これは私どもで今計画しておるもののうちにはないのでありますが、これらの点につきましても今後十分研究してできるだけこの方向に一歩でも二歩でも進めて参りたい、こう考えております。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この次の質問はこれはいずれ外務大臣にしたいと思つているんですが、只今ちよつと出ましたが、いずれの在外公館に参りましても、外務省出身の方は勿論のことでありますが、農林省並びに通産省関係の方はそれぞれ一名ずつは必ず在外公館に館員として、そのときは便宜上席を外務省に移しますけれども、おられるわけですね。ところがもともと文部省に席を置いたという文化関係の人はどの在外公館にも一人もおられないということは、私は在外公館の館員の構成という立場から検討の余地がある、これはいずれ外務大臣に御所見を聞きたいと思つてつたわけですが、この点についても大臣はちよつと触れられましたが、お考えをおき願いたい、こういうふうに思います。  そこで時間がなくなると何んですから、次に具体的に留学生の問題を若干伺つておきますが、今日は時間がございませんから私は先ず資料をお願いいたしたいと思います。これは私は六日の委員会に事務局に通告したときには今私が期待するような資料を出して下さるものと思つてつたわけなんですが、出て来ていませんので、これは私の質問のしかたも悪かつたかと思いますので、次まで資料を頂きたいと思います。それは他国の奨学金によつて日本に留学している人は何人か、それからわが国の国費で招聘して日本に留学している人は何人か、それから他国の人で自費で日本に留学している人は何人か而もその国籍別ですね、それと、もう一つはわが国の国費で奨学金で他国へ留学している人は何人、次に他国の奨学金で招聘されて日本人が留学しているのは何人か、又日本人で自費で他国に留学をしている人は何人か、而もそれを留学先の国別にした表ですね、これをこの次までに資料として出して頂きたいと思います。  そうしてお尋ねいたしますが、実は私は重大と考えられる問題にぶつかつたのであります。それは、インドに行きましてもビルマに行きましても、指導者層の子弟という方は全部と言つていいくらいに英府或いは米田、カナダ、こういう所の学校で現在勉強されているのですね。現在の指導者層も又そういうところで勉強しているわけです。日本の大学を卒業したというかたは殆んどおられません。又その子弟で日本の大学に来ているという者は少いわけです。そうして、香港に行きましたら、こういうことを聞いたわけです。日本の大学から留学生を募集に参つたと、具体的に申上げて質問しますが、相模女子大学から募集に参つた。そこで、中国の人としては、日本はまあ進歩しているからそこで勉強したいというので四百人希望者があつた。それで、そのうちに約百人が募集に応じて日本に行つた。そうしたところが、まあこれは募集者側とそれに応じた人の取りように食い違いがあつたのかも知れませんが、非常に期待に反したと、裏切られた。で、早稲田或いは慶応のような学校かと思つたところが、とんでもない学校つた。この不信ですね。それと食及び住、これに非常に因る。それで、最近ではカナダ、オーストラリアのほうに替わろうとしている。こういうことを聞いたわけです。更に突つ込んで聞きましたところが、相模女子大学は募集はしたけれども行詰つてしまつて、そうして武蔵境にある日本経済短期大学にお願いをして百人近くを収容しておるというようなことを聞いたわけなんです。それで、これは一私立大学の扱つたことなんですけれども、全く国際的問題で、他国にとつては日本の国、日本の大学と、こう見ているわけなんですね。英米に行けば非常に紳士的で、日本よりは、まあ向うさんの言うのには、まあ各諸式は少くて済むと、こう言うのですね。ところが日本はこうこうこうだ、これは私極めて、他国の学生を留学生として自分の大学に入れる場合に、これは文部省は一切関与しないのかどうかですね。それらの権限関係と、現在その相模女子大学或いは日本経済短期大学に留学している状況ですね。これについて文部省が今まで知つておられることについて承わつておきたいと思います。
  82. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) この香港からの我が国への留学生につきまして、只今お話にもございましたように、昨年相模女子大学では留学生受入れということを計画されて実施、実施と申しますか、募集されたのでございますが、その後学校の中でいろいろと具体的に検討された結果、相模女子大学としては困難と申しますか、むしろこれは不可能だというように一応結論に達せられて中止されたというふうに承知いたしております。大体御承知かと思いますが、この外国留学生の受入れということにつきましては、現在それぞれの大学で御計画になつて実施されるという現在の建前になつておりまして、別に政府の特別な許可とか或いは認可とかいうものを得なければならんということには現在なつておりません。ただまあ私どものほうにお話がありますれば、外国人留学生の受入れということは国際的にも極めて大きな影響のあることでございますので、これは慎重にしてもらわなければならん。いい加減なことで事を開始してもらつては困るということはお話しておるのでありますが、相模については特別に御相談も実はなかつたようりに承わつております。で、相模女子大学におきましては募集に着手したけれどもこれはできないということで中止されたのでありますが、併しやはり国際的な影響ということを、考えて、只今お話にもございましたように日本経済短期大学のほうへ授業を引継いでやつてもらうということにいたしたのでございます。この日本経済短期大学は戦前にもこの種の外国人留学生を受入れた経験も実はある学校でございまして、最近にもそういつた仕事を再び始めたいというような意思もあつたようでございますので、相模女子大学のほうからの依頼によつて、この募集し且つ中止というふうになりましたその事態に、非常に日本としてこれは大きな問題になるというような国際的な点もいろいろと検討されまして、やはり日本経済短期大学のほうで引受けようということになつたというふうに聞いております。日本経済短期大学はこれは施設、設備の点から非常に立派な大学だというふうには必ずしも言えないかも知れませんけれども学校の当事者の情熱と申しまか、こういう仕事に対する理解とか或いは熱情というものは非常なものでございまして、学校全体を挙げてとにかくこの仕事を立派に完成させたいという気持でやつておられます。それからいろいろ従来必ずしも完全でなかつた学校施設、設備も相当に改善されておりますし、只今お話にもございましたが留学生の生活万般、殊に食事その他こういう点については非常に周到な注意を払つているというふうに私は聞いております。只今お話にもございましたが、最近学生の中に非常に不満があつて他の国に替わりたいというような、そういう事態があるのじやないかというお尋ねもありましたが、私どもいろいろ日本経済短期大学の当事者の話を聞いておりますと、そういうことはございませんので、これは事実その後留学生父兄がやはり子供状況を知りたいということで我が国に参りましたが、その連中も非常に安心して帰つている。それからこの夏休みにも留学生の一部のかたが香港に戻られましたが、その香港でいろいろ新聞に留学の感想等を話している記事が出ておりましたが、これも現在の日本経済短期大学における教育なり或いは生活に一応満足しているというふうに出ておりましたので、私どもとしては必ずしも完全ではないかも知れませんけれども、一応現在学生は満足しているのじやないかというふうに考えているわけであります。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあ私は現地で、期待と非常に反したと、で、カナダとかオーストラリアに替わろうという動きがあるということを聞いて来たので、これが正しいかどうかは預けて置きますが、そういう話を聞いて来ました。  私がここで問題として挙げたいのは、まあ私立学校の自立性を侵犯してはならないということは当然でございますが、我が国の私立大学が他国に出かけて行つて、そうして留学生を募集するという場合、その募集要綱ですね、それとそれに伴う学校の収容能力、それらがどうかという点。こういう点、文部省はちつとも目を通すことなくて、国際的なそういう留学生の交換が行われるということは、私これは私見でありますけれども、どうかと、こう思うのです。ということは、こういう一つケースがあつた場合、中国の人にこれは私立の大学でこうだということは通らないわけです。日本の国と、日本の大学と、日本人と、こう行くわけですから、国内の場合とちよつと違うのじやないかと思うのです。従つてこれは私個人としてはやはり国際信義の立場からも何か考えられて然るべきじやないかと思うのですが、大臣の御所見は如何ですか。
  84. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは私も実はこの問題は最近非常にそういうことがありまして、私の聞いておる事実を述べますと、香港では大学は一つしかないということです。それで到底子弟の教育を満足にそこで受けさせるわけには行かない。ところが香港におる中国人のうちには、これを中国本土に送つて教育を受けさせることは共産教育を受けるということになるのでそれは困るという人が相当におる。それらの人は或いは香港に大学を建てるとか、或いはまあ香港のイギリスの何といいますか国立大学が拡張されるということを期待し、それができなければ私立大学でも香港に建てるという希望も非常にある。これは私最近に聞きました話でこれは非常に確かな情報です。ところがなかなか大学をあそこへ増設するということがはかばかしく行かないことは、その事情も聞きましたけれども、別に申上げる必要はないと思いますが、行かないので、結局ロンドンに子供を留学させるということになればこういう時節であるから経費がかかつて困る、できることならば日本の大学で何とかして勉強させることにしたい。こういう希望が香港の中国人のうちに非常にある。そういう情勢にあるものですからそこへ目をつけたといいますか、今の留学生の募集とかというようなことが行われておるということが現状であろうと思います。その結果は相模の場合はよく私は存じません。これもはつきりしたことは知りませんが、これは少し無謀な募集計画であつて、持ち切れなくて経済短期大学ですか、というところで今やつておる、これも実は私はその話は前にちよつと聞いたのですが、今調査局長から申上げましたように、文部省としてはこれに今日の制度としては何も喙を入れるようなことになつておりません。私は気にはかかつてつたのですが、あの経済短期大学というものの責任者でありますか、関係者でありますか、太田耕造氏、元文都大臣をした太田君が関係しておられるのです。つい近頃太田君に会つてその話をよく聞いてみたのですが、太田君の話だと今調査局長からお話がありましたけれども、非常に経済短期大学ではうまく行つておる、学生も満足しておる、こういう話でありました。そのほかにやはり留学生を南方から招致して何したいという考え方を持つておる人が、これは現地の希望があるからであろうと思いますが、あるようであります。現に文部省にそのための法人の認可を申請しておるものもあります。これは今矢嶋さんのお話になりましたように、向うから見ると日本ということになるのですから、結局非常に期待に反したとか、まあ、率直に言うと一ぱい食わされたというような感じになると、これは非常によろしくないと思うのであります。さらばといつて文部省で責任を持つてそれをどこかのいい大学に収容するといつてみたところで、これを優先的に、国内の多数の学化が競争しているときに優先的に今それを収容するということは、これはなかなかできないことだろうと思います。若しこの留学生招致ということが一般の民間の仕事として、悪く言えば一種の思惑となり、その間にブローカーようのものが介在するということになると、これは相手が外国人でありますから、そう見ているわけにも行かないのじやないかという気持を実は私持つております。これは事態の模様によつては、何らかそれに適当な規制を加えるといいますか、余り乱暴なことになつて、外国人に、何といいますか、誤魔化されたというような感じを起きしたりするということは非常によろしくないからして、状況によつては何らかの措置を講ずる必要が今後できるかも知れません。併し今のところでは経済短期大学というものだけで、これはまあ比較的初めの出は悪かつたのですが、今日ではどうか、そうひどいことはなしに、まあ当事者に言わせると順調に行つているということでありますが、今後この問題は十分注意したいと思います。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の大臣り発言に関連して御参考に申上げておきますが、私あそこの銀行関係のかたですね、それから地域のかたといろいろ懇談会をして聞いたのですが、今のところ中共に行つて勉強する学生が最も多いのですね、台湾に行つて勉強する人はだんだん少くなる。それから直接父兄から聞いたのですが、面白い人がおりまして、男の子が四人おつたのを一人は中共、一人は台湾、一人は英国といろいろに勉強さして、帰つて来た子供の様子でいろいろ評価しているわけですね。面白い話をしておりましたが、そういうときに日本の大学に行つたのはこうだつたと開けば、丁度国際的な大学の評価をする場所みたいになつているわけですから、これはよほど注意しなければならないということも参考に申上げておきます。  もう一点は、ビルマに行つて文部次官に会つたときの話ですが、これは私急を要するといいますか、日本のために善処して頂きたいと思うのですが、こういうことを言つておりました。昨年日本から三名の留学生を招聘されたということを言つておりました。これは国会の調査立法考査局の私にくれた資料にも書いてあるのですが、ところが時期が非常に遅くて間に合わなくて送れなかつた。自分の国としては技術学生をできるだけ日本に送りたいのだ。来年も是非呼びかけて頂きたい。而もその呼びかけの時期は遅くとも一月下旬から二月初め頃までにして頂かなければ間に合わない、こういうことを要望されたわけですが、来年度ですね、そういう計画はあるのかどうか。これはまあ他国のことはいいですから、インド、ビルマ、タイ、香港、程度で来年度交換計画はどのくらいあるのか。それからそれについて事務的なことをなすのはいつ頃を目途にしているか、それらの点を伺いたいと思います。
  86. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 実は政府の奨学金を出して東南アジアから留学生を招聘するということは今年から始まつたわけでございます。ただやはりこれは初めて予算をとつたわけでありますが、国会の御承認が三月末ということで、実はそれ以前に内々には外務省在外公館を通じまして話をしておつたのでございますけれども、正規に予質がきまりましたのが三月末でございます。それから正式の手続をいたしましたので、今年は非常に遅れてしまつているわけでございます。併しまあ現血まで例えばフィリピンあたりからもすでに学生が到達いたしております。それ以外の国からもだんだん決定してこれも来るというようなことになつております。ただお話のビルマにつきましては、三人の留学生の選考を依頼したのでございますけれども、今お話のございましたように今年は困難だということで、これはまあよその国へ振り当てたいというような気持でおります。来年以降はできるだけ一つ早く一月頃、まあ政府としても予算が一応きまりましたならば、一応内選考というような手続を進めたいと、そういうふうに考えております。大体現在私どものほうで割当てておりますのは、インドに二人、タイに三人、それから。パキスタンに二人、フイリピンに三人、それからセイロン、ベトナム、カンボジヤ、インドネシヤ、香港というようなところをだんだん考えおります。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ビルマはどうなつておりますか。
  88. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) これはビルマは今年は断つて参りましたので、それを除外しております。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 来年度のことは……。
  90. 小林行雄

    説明員(小林行雄君) 来年は、今年は三人依頼しましたが、来年も三人くらいは是非選考して送つてもらいたいという気持でおるのです。ただ予算関係が正式に、はつきりきまりませんと、人数の点はまだ申上げられないと思いますが、一応は大体前年度と同じ人数程度というふうに考えております。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで念のために申上げておきたい点は、ビルマの文部次官から日本の文部大臣に伝えて欲しいと実は私は頼まれて参つたものですから、今言つたように、昨年ビルマから断つて来たから昨年通りというので来年度ビルマを落すと、将来日本との関係がまずいと思うのです。というのは、昨年は他意があつてつたわけじやなくて、やりたいと思つて、希望者もたくさんあつたけれどもお話のあつた時期が非常に遅かつたので間に合わなかつたから云々といつたわけです。念のために申上げておきます。  最後に申上げておきたい点は、これらの諸国のいずれもできるだけ日本で勉強したいが、英語で勉強できるところはないかと盛んに聞かれるわけです。私も将来の日本の指導者、それからこれら東南アジア諸国の指導者が若い時代に日本で同じ部屋で勉強するということは、これは非常に私は将来の日本のためには勿論、お互いのためになることだと思うのです。従つて、食の問題も住の問題もあるわけですが、できるだけ援助する、便宜を与える、こういう考慮を私は払つていいんじやないか、払うのが妥当じやないか、而もそれは余りむずかしいことじやないと、こういうように私は考えるのですが、大臣の御所見如何でしようか。
  92. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) ビルマではお話通り非常に熱心なように私は思つておるのです。というのは、この間見えた賠償使節ですね、ウー・チヨウ・ニエン、あの人が特に文部省へ来まして、一時間ばかり話したのですが、そのときもしきりと今の留学生の話もしておりましたし、それから英語だと工合がいいが、どうも日本語でやるということになると、なかなかそこはむずかしいと思うというので、えらいその点を気ずかつておりました。まあ私は、ビルマにおいては日本語というものはむずかしいが、東京に来て一年もやれば大抵いいかげんには行くだろうというふうには言つておきましたが、併しなかなかその点は一つの難点だと思います。果して日本で英語で勉強するということができるものかできないものか、その辺実は私うといもので、大学の実情にもよることですから、その点よくわからないのですけれども、とにかく是非一つ日本の学校にビルマの子弟を送りたい、それと併せて日本とビルマとの間の国民感情と申しますか、そういう点にも資したい、日本の学問、殊に技術方面の点については日本を先生として、できるだけ指導をして行きたいと思つておる、こういう熱心な話がありました。向うでそう害うことでもありますし、これは事柄自体が非常に望ましいことでありますから、私はできるだけこれは、ひとりビルマだけの問題ではありませんが、感じで見ますと、ビルマは特別日本に対して非常にそういう強い感じを持つておるように私は見受けましたので、できるだけその点お互いに努力をして行きたい、できるだけ私も努力する、こういうので実は別れたのであります。折角そういうことでありまして、非常に向うでも希望しておりますから、何とかいい考をしたいと実は思つて役所のほうにもその辺の話をして、考えてえもらいたいということは言つておるのですが、今局長から申上げましたように、今年は初年度のことでもあるし、予算が確定しなければという関係がありまして、予算はどうせ年々のものであるけれども、やはり二十九年度においてそういう予算がとつてあれば大体三十年度では削り落すということは恐らくないだろうと思いますから、国会のほうも。大蔵省のほうの大体の査定でそれが予算に載るという見込みが立てば、できるだけ早くそれぞれの事情もあることと思いますから、向うに失望させるというようなことのないようにしたいと考えております。この点はそう考えております。その他の点につきましても、できるだけ留学生が来て、ほかの国からもこれから来るところもあるし、来ておるものもあるでしようが、その辺の模様も見まして、どうしても日本語じやさつぱりわからんということになつちや折角来てもだめですから、何とか考えなければならんと思いますが、それらの点は今後十分検討して適当にしたいと、こう思つております。   ―――――――――――――
  93. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは午前中陳情のありました朝鮮人学校経過報告一つお願いしたいと思います。
  94. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 都立の朝鮮人学校の今回の廃止に関する措置についての経過を東京都から聽取いたしました事項について申上げます。  東京都の朝鮮人学校は昭和二十四年に従来朝鮮人が経営しておりました学校を引続いて都立として経営しておるのでございます。この学校の数は、小学校について十、中高等学校について各一とございます。この都立の朝鮮人学校のほかに、大体その児童生徒と同数のものが一般の公立学校に分散して、日本の児童生徒に準じて就学しておるわけでございます。現在までいろいろ東京都の教育委員会としては、定員の厳守或いは教育内容、その他学校管理の問題につきまして種々指示しておりますが、それを守ることができなくて都立の学校としての管理の実が挙つておらなかつたわけでございます。丁度都の予算、二十九年度の予算が審議されます際に、都の議会といたしましても現在の都立の朝鮮人学校あり方についてその予算を認めるかどうかという点が問題になりまして、そこで都の教育委員会としては二十九年の三月に六項品の事項を指示いたしまして、これを厳守してもらいたい、これが厳守できないならば廃校するのもやむを得ない、こういうことを申入れたわけであります。その六項目と申しますのは、学校において特定のイデオロギー教育をなさない。それからいわゆる朝鮮語による民族科目はこれは課外として取扱う。それから定員は都の示した定員を守る。それから児童生徒の集団陳情をやめる。それから未発令の教員が教壇に立たないようにする。それから職員会議等の運営について職員以外のものはタツチしないようにする。こういつた趣旨のことを指示したわけであります。その後四月の十三日以降数回に亙つて視察をいたしましたが、その指示事項が現在に至るまで厳守されていない。こういう実情に立ちまして、東京都の教育委員会といたしましては、去る九月二十四日、本年度限りで都立の朝鮮人学校を廃止するという大体意思を決定いたしました。なお従来予算の審議を願つておる点もありますので、十月四日に議会の文教委員会に了解を求めまして大体の了承を得たので、十月五日これを朝鮮人の学校のPTAの連合会の責任者に通告いたした、こういうことになつております。なお従来文部省がとつて参りました在日朝鮮人の子弟の教育上の処分の問題でございますが、これは講和発効後第一回目の入学がありました際に、これは二十八年の二月十一日でございます、局長通達を全国の教育委員会に出しました。その基本となりますことは、講和発効によりまして朝鮮人はこれは外国人となりました。従いまして法令の適用という面から言いますれば、一般の外国人と同様に扱うべきである、従いまして義務教育を受ける権利或いは義務教育の無償の原則というものはこれは法律上は在日朝鮮人に対して適用されないものである。併しながら従来の朝鮮人と日本との関係から考えまして、朝鮮人の保護者からその子女を義務教育学校に就学させたいという旨の申出があつた場合においては、日本の法令を遵守するということを原則として、事情の許す限り入学を認める、こういう措置をとるように通知をいたしたわけであります。現在いろいろ問題になつております朝鮮人のみを集団する学校に在学いたしますものは、全国といたしまして分校等も含めまして一万五、六千人だろうと思います。今、学齢に相当する子弟というものがまあ十万前後だろうと思いますので、大部分の朝鮮の子弟というものは日本の児童生徒に準じてそれぞれの通学区に従つて普通の公立学校に就学しておるわけであります。  以上が経過でございます。
  95. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今説明によりますと、極く最近東京都において朝鮮人学校を廃止するという措置をとられた、こういうことでございます。このことにつきまして文部省は事前に何らかの協議なり相談を受けておられるかどうか、そういう点を初めに伺いたいと思います。
  96. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 東京都の教育委員会がこの措置について検討し始めましてから数次に亙つて連絡を受けております。そうして東京都の措置としてそうやることを文部省としては了承いたしました。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 学校を廃止するということは私は重要な問題だと思うのです。そこで先ず第一に頭に浮んで来る問題は今後どうするのか、こういう面については今説明がないようであつたわけであります。その点も併せて説明して頂きたい。
  98. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 先ほど申上げましたように文部省といたしましては在日朝鮮人のかたがた、が日本人の学校を利用されるという御希望がある場合にはできるだけ日本の子弟に準じて学校に入つて頂く、こういう方針をとつております。でありますから、これは前に大体昭和二十四年頃にとりました措置におきましてもやはりそれが原則でございます。ところが東京都におきましてはいろいろな事情があつたのでございましようが、全く全国でたつた一つケースとして都立の朝鮮人学校を設置経営したわけでございます。そうして問題になつておりますのは、その中で日本の小中学校として、そうして日本の小中学校として与えるべき教科内容でなくして朝鮮による教育というものを非常に多く含ませる、こういうことがあるわけでございます。でありますからそういうことは文部省としては学校教育法による学校である以上、学校教育法以下の語法規に従つた内容を与えなければならないのに、それに違反したような教育が行われるということは困るわけでございますので、その点については東京都の措置を了承したわけであります。ただ若しもいろいろ朝鮮人のかたがたの御要望のあります朝鮮人のいわゆる民族教育というものをやる、やらなければならん、こういたしますならば現在の学校教育法の建前からいたしまして、これは御自分の教育施設を持つてそうしてやつて頂かなければならないことであります。これはまあその他の在日の外国人が、日本の政府といたしましては各種学校を設置いたしまして、そうしてそれが母国の教育制度とどうリンクするかということで、子れぞれの国、それぞれの民族で解決なさつておることでございますから、日本の制度を利用する以上は、日本の学校の規定に従つて頂かなければならん、こういうふうに考えております。でありますから、飽くまでも朝鮮語の教育、朝鮮の民族教育をおやりになる、こういう建前をとりますならば、これは御自分で経営して頂く以外にはないではないか、かように考えております。
  99. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は朝鮮と日本との関係というものは日本とアメリカとか、日本と中国とか、日本とインドとか、そういう関係とは相当つた面があると思います。従つて同様に判断することは困難であると思いますが、この際参考のために諸外国において他国民に対する教育の問題ですね、どういう取扱いをしておるかという点ですね、そういう点を、まあ全部言つてもらう必要はありません、二、三参考になると思われるような点があればお話をして頂きたいと思うのです。というのはこれは相当私は重要な問題であり、むずかしい問題でもあると思つておるのです。そういう意味で何らかの参考になればと思うのですが、そういう意味でおわかりでしたら御説明を願いたいと思います。
  100. 斎藤正

    説明員斎藤正君) 一般の外国人と全く同様に取扱うことが適当であるかどうかという点でございますが、文部省といたしましては一般の外国人と全く同様に取扱うということではなくて、御希望があればこれはできるだけ公立学校に入れるのだ、こういうことを特に朝鮮人の子弟について申しているわけでございます。  それから外国における他の民族に対してどういう教育が施されているか、こういう御質問でございますが、具体的な事例を私承知しておりません。併しながら本体考え方といたしまして、その国が他の民族の欲するものをその国の経費においてやらなければならん、こういうことはないだろうと思います。ただ自国民と同じように希望するものについては、それぞれの学校制度を利用させるということであります。その場合に積極的に、できるだけ入れる方針をとるかどうかということはそれぞれ国によつて違うと思いますけれども、特に他の国家の欲するものをその国家で殊に無償でやるというようなことは考え方としてはないのではないかと思います。
  101. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、アメリカ人の子弟が相当日本におられると思うのです。この場合は、アメリカ人の父兄、アメリカ人の負担によつて学校が経営されていると思います。そういう場合はアメリカ人の父兄の欲する教育というものが自由に校内で行われているのではないか。アメリカの本国の慣わしに従つて、そういう教育が行われているのではないかと思うのです。そういう場合は別に日本との間に、教育内合について或いは学校管理について問題は起らないのじやないか、そう思つておりますが、若し間違つておれば御訂正を願えば結構です。そこで朝鮮人のかたがたとしても、いろいろ教育内容についても又教育学校管理についても御意見、御要望があると思うのです。その場合に経済的な事情が許せば、恐らく私は朝鮮人のかたがたもアメリカ人と同じような方法をおとりになるのじやないか、父兄の負担で学校を経営する、こういう措置をおとりになるのじやないかと思うのです。ところが私はこの点に特殊事情がある、特殊事情があるということを無視することはできないのじやないか、こういうふうに考えるのです。従つてこの点について自分達の欲するような教育をしたければ、自分で学校を建てて自分で経営したらいいじやないかというのは、少し私は過去の歴史的な経過から見て、冷やかと言いますか冷淡と申しますか、そういう感じを受けるわけです。そこに何らか教育内容についてはやはり朝鮮人は外国人ですから、民族教育の問題についても私は理解できると思うのです。自国の地理を教える、自国の歴史を教える、自国の言葉を教える、これはどこの国民だつて民族だつて共通の要望だろうと思うのですね。それが日本人の普通の義務学校に一緒に学んでいるという場合は、それはでき難い。そこで私は教育内容は、やはりその民族の人たち、父兄の人たちの欲するような教育がなされて行くということは私は何ら差支えないことであるのみならず、そういうことは当然でなければならんと思うのです。ただこれが東京都の部費を以て運営されている学校でそういうことができるものかどうかということになると、いろいろ問題が起つてくると思う。だから私は東京都だけの問題としてこの問題を見ることはできないというふうに思つておるのです。どうしても日本全体といいますか、政府として考慮すべき点があるのではないか、こういう点からいわゆる経済的な問題ですね、そういう問題について朝鮮人の子弟が、父兄の欲するような教育をして行くのに、経済的な援助を与える。こういうことは考えられないことかどうか、こういう点について私は文部大臣に所見を伺いたいと思うのです。
  102. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは今地方課長から申上げました通り、日本の公立学校の義務教育学校に入学をしたいという希望の朝鮮人子弟に対しては、その希望の通りに計らう、こういうのが現在文部省考えている考え方であります。これは併しむろん現在の教育制度、或いは法律制度からしてそういう結論になつているわけじやない。制度としてはむろん義務教育学校でありますから、日本人の子弟を収容するということが建前であります。ただ朝鮮人の子弟がさような希望を持つ場合には、そういうふうに計らうが妥当であろう。こういう一つの方針といいますか、実際上の考え方であります。そうして、これは勿論文部省がそれをきめて、各地方にその通りにせよという命令をするわけには参りません。いわゆる助言、勧告と申しますか、こういうふうにしたほうがよろしかろう、こういう意味で昭和二十四年でありましたか通達を出して、現在大体さようなふうに全国ともそれを行なつている。こういうのが実情であります。  そこで東京都の問題でありますが、これは私は詳しいことは存じませんが、朝鮮人だけのために公立学校というものを作つて、そうしてやつているという例は、非常に少い事例だろうと思います。ただ東京都におきましてはそういうことが行われておる。これがはしなくも東京都会或いは東京都の教育委員会のほうで最近問題になりまして、そうしてこれはいろいろいきさつがあつたようでありますが、これは関係都議会、東京都教育委員会のほうでは非常に苦労をして、今日一定の結論を出して、そうしてこの問題を解決しようとしておられると思うのであります。文部省としましてはこれは先ほど荒木さんも言われましたように、実際なかなか重要な問題である。と同時になかなか困難で微妙な問題であります。私どもとしては、これはそれぞれの地方々々のこの種の問題は、実情というものが非常に違うのでありますから、一律一体にそういう場合、こうせよ、ああせよということを指図するということは、実はなかなか実情から見て困難な場合がありましよう。一般的な考え方というものは奨められるでありましようけれども、殊に東京都のような場合に現実の問題として東京都の委員会がこの問題の解決に取組んでおるのでありますから、文部省としてそれはこういうふうにしたほうがいい、ああいうふうにしたほうがいいというふうなことを具体的に助言をするということは、場合によつては一層これを混乱に導くという虞れもあり、その点において都の教育委員会が努力して解決しようとされておる、その或いは場合によると邪魔になるということも考えられると思いますから、文部省としてはこの具体的問題の処理についてこうしろ、ああしろということは実は余り言つておらんのであります。ただ東京都からの報告を受け、連絡は東京都のほうからありますから、それをまあ受けておるわけで、私どもとしてはできるだけ早い、そうしてできるだけ円滑にこの問題は解決をするようにということをまあ考えておるわけであります。ただ制度として考える場合に、公立学校、殊に特にこの義務教育学校において日本の学校教育法というものに従うということは、これはもう当然な前提でありまして、学校教育法を離れた学校を政府においてそれを公立学校として認めて、或いはそれに対して補助金の制度を認めるということは、これは従来の朝鮮人と日本との関係からいえば、これは尤もな点があると思いますけれども、これなかなか困難な問題であろうと思います。だから現に朝鮮人の大部分の子弟は現在の各地方の公立学校に、いわゆるその地区々々に従つて分散をしてそれぞれ収容し勉強しておられるのが、これが大部分の情勢であります。特に朝鮮人だけの学校を作つて、そうして学校教育法というものの規範を受けずに教育をするということに対して、これを補助するとか、或いは公立学校としてその経費をみるとかいうことは、少くとも現在の制度の上ではこれはできないということであります。これを実際の政策の上において、或いはそういう法律を作つてということになつても、これがなかなか考慮を要することであつて、それを今そうしなければならんというふうには、これは実際むずかしい問題であるが、なかなかそう行かないだろうと私は思います。ただ朝鮮の地理を教える、或いは朝鮮語を教えるということについて、朝鮮人子弟にそれを教えたいという念願、希望があるということ、これはよくわかります。併しそれは課外として行うことによつてできましようし、そうして地理とか何とかいうようなことは、これは必ずしも日本の学校教育法というものと矛盾抵触することなしにこれは行い得ることであると私は思つております。でありますからして、その限りにおいてはやはり朝鮮人に向くような教育をされても、必ずしも、私はこれは詳しいことはわかりませんが、教科内については学校教育法の規範を受けずにでなければそれはできない。これは例外として認めてもらわなければ困るという問題は私は起らんと思うのです。現在東京都において、現存する朝鮮人学校学校教育法というものに拘束を受けないこと、言わば放恣な状態において学校が運営されておる。これは東京都の教育委員会として責任者の判断にまつしかないのであります。若しそういうことであれば、これはどうも私は今それを日本の学校教育法というものを離れた学校を桁えて、それに対して公立学校として経営をする、乃至は補助金を出して、そういうものに特殊な制度を考えるということは、これは相当研究を要する問題で、そう簡単にそうすべしという結論は出せない、こういうふうに思うのです。現在のところでは、あの問題が一日も早く、できるだけ円滑に解決をする、まあ、こういうことを希望、念願しておる状態であります。
  103. 荒木正三郎

    荒木正三君 私がここで質問している理由も、できるだけ日本の側にも納得ができ、又朝鮮人のかたの納得もできる解決法、こういうものが欲しい、こういう念願から質問しているわけです。  それからこの問題は、文部大臣は東京都において折角解決に努力されておる。そこで円満に解決することを文部としても期待しているのだ、こういうお話であります。それは私は非常に結構なことだと思うのです。ただ言葉尻を捉えるわけじやないですが、ここで文部省がとやかく言うことは問題の解決の邪魔になる。まあ、非常に私には強く響いたのですがね、この言葉は。まあそういう場合もあるかも知れません。併し、私の言つているのは、この問題は政府としての考えるべき重要な問題である、こういうことを私は言つているわけなんです。東京都は現にいろいろの方法で解決をしよう、こうしておられることに横槍を入れようということで私は質問しているわけじやない。ただこの問題は東京都限りの問題ではないように私は思うのです。どうしても政府として、この朝鮮人教育に対する方針、これは先ほどちよつとお話がありましたけれども、更に私は検討する必要があるのじやないか、こういうふうに思うのです。  これは私ははつきりした日にちの記憶はないのですが、一カ月ほど前であつたと思うのですが、或る日本の新聞に北鮮の首相の意見といいますか、日本政府に対する攻撃といいますか、そういう記事が載つてつたのを私はひよつと見たことがあります。その中には、日本政府は朝鮮人の民族教育に対する非常な弾圧をしているというこ、に対する攻撃であつたと思います。これは私はやはり国際的にも非常に重要な複雑な問題を提起するのじやないかと思います。まあ、現在日本は北鮮と外交関係があるわけではないのですが、併し外交関係がないというだけで、私はそういう点を顧慮しなくてもいい、こういうことにはならないと思うのです。非常な不満を北鮮の首相が持つておるということは、あの抗議を見て私は直感しました。又現に今日も文部委員会として陳情を受けたわけですが、この朝鮮人学校の廃止ということについては非常な不満を持つておられる。これに非常な不満を持つておられるこの状態において、解決したとか、なかなか私は言い得ないのじやないかと思うのです。そういう意味で私は日本政府としても、政府の方針です、そういうものをもう少し検討する、考える必要があるのじやないか。特に朝鮮とは歴史的な特殊な関係があります。又、将来地理的に見ても最も親善関係を樹立して行かなければならない間柄にあるのじやないかと思います。特に朝鮮は相当期間日本に合併されて朝鮮人としては非常な不満が私は今日でも残つておると思うのです。そういう関係において将来の親善関係を樹立して行くと、特に子弟の教育問題をどうするかという問題は、私は政府としても本当に真剣に考える必要があるのじやないかと、こういうふうに考えているわけなんです。そういう私の考えを述べてこの問題の扱いについては、それは東京都の所管に属する問題は東京都でいろいろ御工夫をなさつて処理せられるということはそれでいいと思いますが、併しこれでなかなか私は事が解決するかどうか非常な疑問を持つております。特に本日来の陳情を聞いてもその点は明白であります。そういう点で政府としても、もう少し根本的な態度、先ほど御説明がありました根本的態度については、併しこれだけでは処理し得ないのではないかと、こういうふうに考えます。そういう点でこの際は十分政府としても検討をしてもらいたいと、こういうことを要請いたしまして、今日は大体四時までというお話もありましたし、一応私はこの問題の質問を終ります。
  104. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  105. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて下さい。
  106. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと荒木委員から尽されたようですが一、二点伺いたいと思うのですが、この都の教育委員会の指示が守られないということは、やはり一つの大きな理由のように私の耳には入つたのですが、指示が守られれば今まで認めて参りましたいわゆる朝鮮人学校というものは、昨年の決定通り継続をされると、こういうふうに了承してよろしいのですか。
  107. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは東京都の問題でありますから、その指示をしたのも東京都であります。そうして指示を守らないと認定したのも東京都であります。それでその結果東京都ではこれを廃止する、廃校にする、こういうことになつたのじやないかと思う。従つて今日の段階において指示が守られれば元の線に戻るものか戻らんものか、これは文部省としては与り知らん、又お答えのできないことだと思うのです。これは東京都によく連絡をして意向を確かめなければ何とも申上げられない。それから先ほど荒木委員お話がありましたが、まあ政府としての一応の考え方、政府といいますか、文部省としての考え方というものは二十四年の通牒によつて一応はつきりきまつておるのであります。ただ新らしい事態としてこの日本の学校教育法を離れた教育、民族教育といいますか何といいますか、そういうものをも公立学校或いは国立学校、そういう公費を以てする教育学府においてそういうものを認めるか認めないか、こういう新らしい問題だろうと思うのです。これは私はそういう今のところではそれを認めるということは容易でないと思います。これは先ほど諸外国の例ということもありまして、私もさような記憶は確かにあります。いずれの国においてもそれぞれのイギリス人ならイギリス人、これは日本でもそうであります。アメリカ人ならアメリカ人、そういう子弟のための学校、それがいわゆるアメリカはアメリカのような教育をする。イギリスはイギリスのような教育をする。又戦前日本で日本人が中国あたりに行つてつている日本人学校というものができた。そういうところはみんなそれぞれの私立のそれぞれの学校であります。そうしてやつておることでありますから、これを公費でそういう外国人のために、而も外国人の民族教育というその国の教育の基本と離れた教育をする学校を公費で経営をしておるという例は私は恐らく世界中一例もないと思うのです。今のところそういうことは聞かないのであります。そこでこれはそう簡単にこれを認めることはできない。私はこの北鮮の首相が抗議文を出されたということは承知いたしておりませんが、併し今お話のような趣旨であれば、日本政府が朝鮮人の民族教育を弾圧をしておる、若しそういうことが言われておるとすればこれは全くいわれのないことである、民族教育をしてはならんと言つておるのじやないので、公費を以てする学校においては困る、こういうことを言つておるのであります。若し朝鮮人が朝鮮人の私立学校を建てて、そうして朝鮮人の子弟のために民族教育をされるということであれば、これに対して何にもいけないとかいいとかということはないのであります。その点は現に或るアメリカ人の学校或いはイギリス人の学校というものと全く同じことでありまして、それを公費でやらないから弾圧をしておる、若しこういうことであれば、これは北鮮の総理大臣の誤解であると私は考えます。この問題は今のような工合でありますから、これは日本の教育制度の建前からいつても、それを公費を以てする学校で、而も日本の学校教育法というものと離れた学校をこしらえる、こういうことは今のところは私は考えられない問題であると思います。ただ朝鮮人として日本の公立学校に入つて勉強したい、課外なり或いは家庭なり或いは別の朝鮮人だけの私立学校或いは夜間学校で朝鮮語を勉強するとかということは何にも差支えないので、日本の公立学校に入るということはこれは先ほど申しましたように、政府の、文部省の方針として、それはできるだけ収容して、その希望に応ずるように、こういうことで言つておるのでありますから、これで政府の考え方というものは一応きまつておるのであります。私は公立学校で日本の学校教育法とその羈絆を受けない学校を作るということは今のところ考えられない問題であります。こう思つております。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一つ伺います。私は完全なる独立国の国民相互間における教育の問題についての只今文部大臣の申述べられました一般原則というものは私は肯定できます。それはよろしいと思うのです。併しこの朝鮮と日本の関係、朝鮮の子弟の問題となると、一体そこに特殊性があるところがやはり問題だと思う。従つてそういう角度から私は伺うのですが、先ほど陳情を受けて聞いたところによりますと、日本人学校に在学しておる朝鮮人が、あれは朝鮮人だというのでやはり子供が迫害を受ける、それから又課長説明の中にありました二十八年二月十二日の局長通達にある事情の許す限り入れるということ、この事情の許す限りというのは、日本の児童の自然増と相待つて非情に厳重に取扱われる、こういうような状況がある、これも私やはりそういう状況陳情されたように思うのじやないか。こういうふうに大体推測されるわけなんですね。それと又私は或る意味においては朝鮮の人の立場に立てば大きな犠牲を払らわれたと、こういう解釈をされておると思うのです。具体的に言えば、戦時中に朝鮮からずつと徴用されて日本のほうに連れて来られて、そして戦争が済んでその後の日本の経済界の激動の波の中に投入されて、そしてその経済的基盤を失つてしまつたと、朝鮮人会としても学校経営できないし、個人としてもまあその生活が非常に苦しい立場に追い込まれて、これはやはり戦争と無関係だとは言えないのでございますね。そういう意味で、先ほど私は承われば朝鮮の事態が平穏になつたならば帰りたいという方が大部分だと、こういうことをまあ承わつたわけです、代表の方からこの委員会で……。そうなりますと、この或る民族の人が民族教育をやりたいというのは、これはまあ当然ですし、今自分らの朝鮮人会で経営もできないと、経営が苦しくなつていると、今掃えるのもどうにもならん、暫くおつて帰えると、こういう状況下にあれば、さて朝鮮に帰つたが、朝鮮語もわからんというのでは母国に帰つて困るでしようし、こういう歴史的な経過から考えた場合に、私はこの日本の国内にある以上は学校教育法云々という問題に触れますが、そこまで行かなくてもともかく都の指示は守つて頂くと、そういうことを前提にしてやはり国で援助して、そして朝鮮人の方々が自分の子弟に希望するような教育が、ああいう方々が安心して母国に帰られることができるようになるまで当分の間その教育の機関を提供して上げていいんじやないか、それが適当じやないかと、こういうふうに私は考えるわけですが、冒頭に申しげましたように、完全に独立した国家間の教育関係というものは、今一般原則論として大臣が言われたことは私はいいと思うのです。併し先ほど一、二例を挙げて申上げたように、その物差に直ちに日本と朝鮮の関係、朝鮮の方々の子弟の教育問題を当てはめることはちよつと妥当じやないのじやないかと、こういうように私は考えるのですが、如何でしようか。
  109. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは私ざつと申上げたことで大体尽きると思います。これは従来日本と朝鮮との関係から見て、今お話になりましたような点は十分考慮すべき理由はあると私は思います。でありますから、事情の許す限り日本の公立学校に収容してということには考えておるわけでありまして、これはまあ法律上拘束力を持つて必ず収容すべしということはこれは文部省としても言えませんし、又制度の上でもそうなつておらんのでありますから、従つて通達の文章としては許す限りという、言葉を使う場合そういう言葉を使わざるを得ないのでありまして、実情はできる限り私は収容してやつておると思います。多数の朝鮮人にして、これは何十万になりますか、大体そういうことにして収容されておると、こう思うのでありますし、それから実務教育学校にとどまらず、上級学校におきましても、これはそれぞれの学校、大学なら大学においてもそれぞれ収容して参つておる、こういうふうに私は了解をしております。ただ問題が民族教育というものの特別なものを学校教育法の別に認めて、そうしてこれを公立学校としてやるかと、こういう点に問題があるのでありまして、民族教育をすることについて、別に朝鮮人が民族教育を受けるについてそれを抑えるとか、いけないとかいうことではない。ただこれは公費によることであり、いわゆる地方団体の経費でやることでありますから、そこを国の法律を作つて是非そういうふうに地方団体にそれを義務として金を出してそれをやるんだということを法律を作れば別でありますが、併し一般の地方団体にこれは国費で全部やると、特別の制度になれば別でありましようが、併し私は今日の実際からいつていわゆる民族教育をさせるために国費で特殊な学校を朝鮮人のために作る、これは到底行われんことだろうと思います。さればといつて、公費で地方団体にそれを必ずそういうものをこしらえろという制度もできない。制度としては学校教育法というものがあり、その規範の下に現在の朝鮮人学校もあるのでありまして、教育の制度の上ではやはり王子にあります朝鮮人学校といえどもその範囲を逸脱しては学校が運営できないはずになつておる。特に今回やかましく言い出したわけじやないのでありまして、本来はそういう制度になつておるのでありますから、これを地方団体の経費だけを以て、そういうことはやかましく言わずに学校教育法というものをはみ出した別のものをそれぞれの団体の公費を以て設置して経費を支弁せよという法律を出すということは、これは不可能に近いと思う。又筋は私は通らんと思う。でありますから、これは朝鮮人の方々が今日学校を独力で作つて、そして民族教育をするということには資力が乏しいということであれば、これはやはり一般の日本の公立学校に入つて、そしてその足りないところはやはりそれぞれの工夫において補充と言いますか、それを補うだけの教育を講ずることは、これはやはり自分たちのことでありますから、それはやはりそれぞれの工夫でやられるほか仕方がないと思います。日本政府としてなし得ることは、日本側の学校に希望があれば収容するということ以上に私はなかなかいかないだろうと思います。なるほどそれはいろいろ個々の事情を開けば、いろいろ気の毒なところもあり、又ある意味においては日本に責任があるということも考えられるかも知りませんが、併しどうも日本の教育制度そのものを何と言いますか、壊すというと語弊がありますが、その線を外したものを作るということは困難だと思います。日本の今日の公立学校というものは必ずしも日本民族だけに通用し、その他の民族に有害の教育を行なつておるとは思えない。これは一般教養として一般の人聞を作る教育をしておるのでありますから、それにプラスして朝鮮人として朝鮮語であるとか、朝鮮の地理を教えるというような付帯的の教育をするということであれば、それはやはり朝鮮人側のほうの何か工夫によつておやりになるということ以上になかなか行かんだろう、こういうことを申上げておきます。
  110. 堀末治

    委員長堀末治君) 大分時間も経つておりますので、矢嶋一つ簡単に願います。  それでは次の災害復旧対策に入ります。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に、国務大臣としてのあなたにお伺いしたいと思うのです。ここに文教関係の被害状況を示す資料が出ております。私が国務大臣としてのあなたにお伺いしたい点は、本年も相当にひどい災害があつて、而も本年の災害は殊に十二号台風等においては性格が曾つての災害と異る点があるようであります。ところがこの数次に亙る災害復旧について政府は補正予算は組まない、今の予備金で十分賄えるということを言つておりますし、更に昨年の災害に適用しました高率補助、こういうものもやらない、特例法も考慮しない、こういうことを言明されておるわけであります。そういうことになりますと、例えば北海道のように冷害にもやられた、災害にも数次に亙つて見舞われたという所は、高率補助が行かないということになりますと、昨年に比べて非常に復旧に困りましようし、又あなたの所管の文部関係におきましても、私立学校等の被害というものは全く救済の措置が講じられない。こういうことに相成るわけでありますが、閣議において大臣は災害対策に対してどういう態度で臨まれておられるのか。一部に伝えられるところは、今申上げましたような政府の方針で今次の災害復旧をやつて行くと、こういうふうにお考えになつておるかどうか、これが一点。それからもう一点として、国務大臣としてのあなたにお伺いしたいことは、今度伝えられるところによると、閣内に災害に対する対策委員会ができたやに承わり、その委員長に加藤国務相がなられた。そうしてこの主たる国務は北海道地域のその対策だけであつて従つて加藤国務相は近く北海道視察に参られる、こういうことをラジオを通じて承わつたわけであります。そうしますと、私一番印象に残つておるのは宮崎県なんですが、宮崎県のごときは累次の台風で壊滅的な打撃を受け、而も財政の貧弱なああいう県が、閣内に設けられた対策委員会の対象にならないということになれば、これは政治問題になりやしないかと思うのですが、この点ラジオで聞き損つたのかと思うが、併し私は二度も聞いたから間違いないと思うのですが、その経過なり結果を国務大臣としての大達さんに伺いたいと思います。
  112. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この公立学校施設被害調べでありますが、お手許に差上げてあるかと思います。これは現地から報告になりましたものをそのまま集計をいたしまして、ここに差上げたのでありまして、このほかに北海道の被害につきましては、やはりここに出ておりますけれども、或いはまだ正確な調査にはなつていないかと思います。従つて更にこれより上廻るということも考えられます。又同時にこれは全体としてそれぞれの府県からの取りあえずの報告の合計でありますから、逐次これを精密に見て参りますというと、相当全体としては下廻るという可能性もこれは今までのこういう場合の経験から見ても十分あり得ることであろうと思います。そこでこの北海道の被害については、これは学校と言わずまだ十分には正確にはわかつていないということが実情ではないかと思います。この前閣議でこれは名前はどういう名前になりますか、あれは仮称であつたと思いますが、ということで私たちは相談を受けたわけでありますが、これは北海道だけということには私案は思つてもいなかつたのですが、或いは私の思い違いであるかも知れませんが、やはり今回の災害、数次の台風についての対策を講ずる、こういうふうな意味じやなかつたかと私は思つております。無論主なものは北海道であることは間違いないと思います。そこでこれは実際被害調査というものが正確にわからなければ、一体補正予算を組む必要があるのかないのか、まだはつきりしないのが当然であると思います。ただ建設省あたりで九州あたりの地方を御覧になつて、思つたより被害が少いというようなことがあるやに聞いております。でありますから、その被害の如何によつては必ずしも補正予算を組まなくてもいいと、こういう意味であろうと私は了解しておりました。勿論被害状況が正確につかめない今日、補正予算を出すしか或いは出すには及ばんとかいうようなことは閣議決定を経てきまるのである。ただ見込みとしては割合に九州方面の被害が少いというようなことは、これは報告というほどのものではございませんが、そういうお話も伺つておりました。であるからこの分ならば予備費に何十億ですか、災害のための予備費というものがありますから、それで問に合うのじやないかという話はその関係のほうで言つておられましたが、これは正式な報告であるとは思つておりません。北海道あたりの被害は十分はつきりしておらんのでありますから、従つてそういうことの被害はわからんのではつきり言うことはできないと思います。そういうふうに御承知おき願いたいと思います。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一般的のことで文部大臣へ一言要望して、あと一、二点伺います。その要望というのは、私は九州出身で災害にはしちつちゆう見舞れておる経験があるのですが、ともかくも一刻も早くこの査定をして、命は少くても金を早く流すということが欠くべからざることである。ところが吉田総理が外遊されて、又政治的に新党問題等があつて、私に極めてこれは漫々的で全般的に怠慢だと思う。北海道のごときは雪が降つておる。そして文教施設に対する融資、補助金の行くのは、今の調子で行つたら恐らく年が明けなければ駄目だろうと思う。雪の降る中を寒さに凍えながらおります。私はこの教育がどうなるか非常に心配に思つております。従つて国務大臣としてのあなたに要望したい点は、加藤さんも職に就かれたのですから、あなたのほうからも特に激励して早急にやつて預きたいということと、それとあなたの所管関係の文部関係に対して査定を早急にやること、それと特に要望しておきたい点は、北海道とか宮崎みたいにひどくやられた所は、今一万円でも五万円でも早くもらつて、ガラスを入れたり、壁に土を当てようとか、壊れた机の何脚かこしらえよう、これなんですから早くつなぎ融資が行かなくちやならんわけですね。ところが例年、これは文部大臣として聞いておいてもらいたいのですが、学校はこれは放つておいても子供可愛さにP・T・Aがやるだろうからという、こういう先入感の下にやらないのですよ。そこで無理をしてP・T・Aでガラスを入れる施設をして、あと文部省のお役人さんが来て、まあ大したこともないという、建設大臣のやることもそれに似ているのです、大したことはない……。それでほかのほうに金が行くから、変つた形で、災害復旧というのは殆んどP・T・Aの負担でやられているという状況ですから、閣内において、私直接にも加藤さんにお願いいたしたいと思うのですが、殊に寒い北海道あたりにはつなぎ融資を必ず早く届けるように大臣に御善処を願いたいと思います。その点に対する大臣としての御答弁と、それから私立学校の振興というのは大臣も異常な関心を持たれ、大事なのですが、昨年のように私立学校が災害に痛めつけられたときに若干の救援を受けたわけですが、今年何ら法的な取扱い方をしないのならば、北海道或いは宮崎県等で痛めつけられた私立学校は経営難に喘いでいる上に、今度の災害復旧には何らの援助を受けないということになるわけですか、これを昨年のようにひどく痛めつけられた私立学校にはやはり昨年程度の復旧の援助の手を差延べるというようなお考え文部大臣としてのあなたにないかどうか、その点伺いたいと思います。
  114. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 御質問の災害校舎に対するつなぎ資金とか、そういう点につきましてはできるだけ御要望に副うようにしたい、こう思つております。それから私立学校の、これは実際の被害ということが明瞭になりませんと、まあ昨年は非常な大災害であつて、特別の措置が講ぜられたように私思つておりますが、それに準ずるようなことになりますか、或いはそこまで行かないか、その点はこれは学校だけの問題でもありませんので、私立学校は非常に経営難のものが多いのですから、自分としてはそれを希望しておるのですけれども、これはほかの振合いもありまして、一般が非常に高率補助……、この前の特別立法ですか、ああいうようなことになれば又そういうことになろうと思いますが、この点は今のところ私は無論そういうふうに希望もし、又そういうふうに努力をしたいと思つておりますけれども、そういうふうに行くか行かんかということはちよつと見通しというものはつきにくい。これは御承知だろうと思いますが、そういう気持でおります。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほど私申上げましたように、昨年実は広汎に亙つていないが、局地的には相当痛めつけられているわけですね、こういう人は非常に政治に対する不信の念を高めていますよ。早急に手が打たれない。そうして政界は挙げて新党にうつつをぬかしているということですね。今度漸くあなたのところへ委員会ができて、加藤さんがなられたが、加藤さんは万能大臣で、あらゆる場合に出て来られるので手腕を期待するわけなんですが、併しこれは笑い事でなくて一つ真剣に取組んで頂きたいということです。  それから、時間がないので数的なことでは承わりませんが、この資料を出した方はどういうわけで私立学校被害というものを資料として出されないのですか、こういうことは考え方が間違つていると思うのですが。
  116. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 私立学校はまだ被害報告が参りませんので、ここに出しませんでした。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 被害がなかつたのでしようか。
  118. 近藤直人

    説明員近藤直人君) その点ははつきりいたしません。まだ一件も出て参りません。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 被害状況報告せよということは要求してありますか。
  120. 近藤直人

    説明員近藤直人君) 今回はさような通知を出しておりませんが、それはすでに各県のほうで十分承知しているはずであります。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は今後こういう災害があるたびに、所管のあなたとしては国立、公立、私立、これらのいわゆる教育関係の施設というものがいつも常に早くキヤツチできるように、そういう心掛けをしておつて頂きたい、こう思います。  最後に行掛り上承わつておきます。が、会計課長文部大臣に伺うのですが、このたびの委員会では今折衝段階にあるところの、編成段階にあるところの来年度予算のうちでも文教関係について少し突込んで審議しようという一つの目的で本委員会が開かれたわけです。ところがこれについては殆んど審議することができなかつたわけですね。それについては私どもも極めてラフなものでもいいから文部省議できまつた概算要求予算、それば要するに来年度の大達文政を現わすことになると思うのでありますが、そういうものが欲しいということを要望したのでございますけれども、大蔵省折衝その他で出せないということで資料として我々は入手することができませんでした。ところが私は一カ年文部委員をやめましたが、その以前文部委員をしているときには、そういう省議できまつた概算要求の内容というものをプリントで常に我々は教えて頂いておつたわけです。それに基いて私ども委員はそれぞれの立場において何らかの教育振興のため努力をしたわけですが、どういうわけで本年に限つてそういう資料を出して頂けないのか、新聞には二、三日前に一兆六千なにがしの概算要求があつた、而も各省別にその数字を並べて新聞に出ているわけです。その内容を私ども聞き得なかつたということは非常に遺憾でありますが、それはどういうわけで本年度からそれを私どもにお示し頂けないのか、その点と、それから文部大臣に極く簡単でいいですから、文部大臣が今の予算の折衝段階……、大蔵大臣が丁度お帰りになつたわけですが、いよいよこれから本格的になると思いますが、こういう段階でおいて大達文政を生かすため是非ともこの予算は確保いたしたい、あなたが重点的に考えられているものはどういうものかという骨子だげでも私は承わりたいと思います。それと関連して一つ承わつておきたい点は、先般文部省担当局で教育費の父兄負担を調査されました。これは私は非常に敬意を表します。新聞で拝見いたしましたが、これを見ましても、相当父兄負担というものは多くなつてつて、税でない別の形の教育関係の費用が概算二、三千億円父兄が負担しているという状況です。このときに自治庁は地方財政は窮迫した、この地方財政を建直すためには高等学校の授業料を上げようという態度を自治庁できめているわけですね。こういう地方財政の赤字対策一つとしてさなきだに教育費の父兄負担が増額して来ている今日、その地方財政の赤字を解決する  一つの方策として高等学校の授業料を上げるという方針ですね、これは一つの例でありますが、こういうものに文部大臣としてどういうふうに対処して行くか、その御見解を承わつておきます。恐れ入りますが、先ず会計課長から答弁を願います。
  122. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 本年度予算の概算事項について提出するようにというお話がありましたが、まだ大蔵省との交渉段階でもありますし、政府としての態度がきまつたわけでもございませんので差控えたわけでありまして、それぞれの事項について御質問がございますれば、御納得の行くようにできるだけ御説明申上げたいと、こういうことを申上げたいと思います。
  123. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 次の、これは文部省で大蔵省に要求しております文部省予算の総額はたしか千四百八十億、まあ千五百億足らずだと思います。これは非常に財政が緊縮の関係で圧縮されておるのでありますから、その点はやはりいわゆる財政面に協力するといいますか、これは又余り大きなことを言つたつて実際は通らんのでありますから、文部省としましてはできるだけ圧縮をして、その代り出した、要求したものは是非通したいと、こういう考えであります。それらのうちで大きいものといたしましては、勿論全体の児童数の増加に伴つて、これは自然に学校教員の数が殖えるというような点からいつて、自然にこれは算術的に増加するものが相当あります。それから新しい事業といたしましては、やはりこれは必ずしも……金額のかさばるものもあります。金額の大きさによつてその重要度をきめるというわけには参りませんけれども、私どもとしましては社会教育関係のもの、殊に科学振興に関係する経費、こういうものは特に重点を置いて是非予算の獲得を図りたい、こう思つておりましす。  それから教育委員会のための経費、これを拡充するための経費もこれは是非大蔵省に了解して頂きたいと、こう思つております。  その他個々について申上げますというと、いろいろあります。例えば折角法律ができておるのでありますから、僻地教育の振興についても本年度のような僅かな経費では到底法律の趣旨に副ろことができません。これについても是非予算の要求を貫徹したい。それから特殊教育につきましても、これはこの委員会におきましても附帯決議か何かありましたね。そういう点から見ましてもこれは是非予算の要求を通したい。それから学校給食の助成につきましても、これは非常に当委員会においても御心配になつておる点でありますが、少くとも要保護児童の給食費、これは是非大蔵省に何とか一つ認めてもらいたい、こういうふうに考えております。その他理科教育学校図書館、これも皆それぞれ法律ができておつて、この法律の趣旨が殆んど予算の面からいつて達成されていないというのが実情であります。それから公立文教施設の戎定、これも地方の要望が極めて熾烈であることは御承知の通りであります。  まあこれら私どもが大蔵省へ要求しております経費といたしましては、殆んどざつくばらんに言うと掛値のない、いずれも緊急止むを得ざるものとして是非これは全部認めてもらえるかどうか、予算の全体の総領というものが又一兆億とか何とかいうことで圧縮されるということになれば、なかなか困難であると思いますけれども、できるだけ努力をして予算の獲得を図りたい、こう思つております。
  124. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がなくなりましたので最後にいたします。承わりたい点はたくさんありますけれども、お約束もありますからこれで終りますが、先ず会計課長については先ほどお示しがございましたから、いずれ個人的に承わりたいと思います。ここで会計課長に対しては打切ります。  それから文部大臣に対しては、私はこの公けの席で是非とも一つ強く要望しておきたい点は、先ほどこの生徒の自然増ということが出ましたので、これについて特に私は要望しておきたいと思います。と申しますことは、昨年あなた方から出された資料によつて生徒児童は九十六万人殖えた。従つてそれに伴つて教職員の増員ということが考えられたわけですが、一兆円予算のために随分学級数の計算の仕方、それから教職員の算出方式を圧縮しまして、自治庁当局から当時の内閣委員会に提出された資料によると、三万四百人に縮めたという資料が内閣委員会へ出ざれたわけです。その当時内閣委員会で一度は大臣においで願いましたけれども、十分審議したいと思いましたが、十九国会は御承知の通り最後がああいうふうになりまして、遂に十分審議することができなくて、その点も私ども非常に残念に思つておりますが、伝えられるところによりますと、来年度は又七十七万人殖えるということでありますが、いずれ大蔵大臣も帰つて、やはり緊縮予算を唱えております。そういう場合に、結局この人件費方面が又圧縮されて来ると思うのです。これはまあ人件費方面に向けられて来るということは、中央地方を問わず一応来るということは考えられますが、教育の面における人件費の圧縮という場合は、他の面と違つてよほど考えなければならないと思う。よく人が引例して言われますが、例えば、産業界とかその他の方面においては施設を、設備をよくする、機械化するとかいうようなことによつて人を減らしても生産を上げ、能率を上げるという方法もありましよう。方法もありましようが、教育の面においてはやはり教育は人ですから、これは生徒が殖えたと、他の分野と同じ率で機械的に人件費を減らせということで教師を減らしたんでは、教師という人がいなくては教育ができないわけですから、そこのところは大きく差があるわけですから、これは閣内においても大臣は頑張つて頂かなければならんと思います。こういう縮減から一教室に六十何人入れるとかいうような点から教育が不徹底になつたり、或いは十分学校の管理或いは生徒の健康管理等が十分行かないために、この不幸な事態が起るということもよくあることなんですから、この先ほど、大臣が一番先に挙げられました生徒自然増に伴う云々の問題、この点については十分私は検討して頂きたい。十九国会で十分審議することはできませんでしたが、今年の三月文部省がとられた態度については、私は当時述べましたように非常に不満であつたわけです。この結果は必ずや私は教育の面に悪影響を及ぼして来るであろろ、すでに出ているであろう、こういうように私は考えておる次第であります。この点について大臣に特に強く要望しておきまして、今後の大臣の御活躍の経過を私は凝視いたします。そうして次の委員会において改めて経過並びに結果を大臣から承わりたい。これだけ申述べまして質問を打切ります。
  125. 堀末治

    委員長堀末治君) 最後に私から一つ大臣にお願いしておきますが、先ほど今度の風水害の問題については、矢嶋君から非常に丁寧に北海道の実情をおつしやつて頂いて有難く思いますが、昨日も北海道の被害の記録が来ております。而も北海道の教育施設だけで今度の災害は七億であるということで、非常な熱烈な陳情がございました。今日もできればここでそれを取上げてもう少し論議して欲しいということですが、それに及ぶまいと、それを帰したのです。五月の災害は載つておりませんが、これは夏に向つて行くことですから、北海道は何とか辛棒ができる。然るにこれから冬になりますと、もうすでに、今年は秋は長いであろうと今までの経験から想像しておりましたが、もうすでに雪が来ておるという状況、ずつと歩きましたが、私たち実は北海道としてはあんな災害は、私は生まれていい年になるのですが、初めてです。私の工場のある旭川のごときは、全然風なんかに対しては心配ない所ですが、それが私の工場の倉庫は大風でやられた。実に想像もできない。二棟ペちやんこになり、あと一つ横になり、あと三分の一が潰れた。あとはげたのが大したもので、丁度屋根を葺くのに五トントラックを持つてつて、まさ二はい手に入れて、あと二台入れて辛うじて屋根を葺いた。私の会社あたりもそんなふうで、どらにか間に合せることはできましたけれども、地方自治体の学校はなかなかできない。今雪が来るということになるとどうする、まさもないので急に間に合わない状況です。そういうような状況で、何とかして手当しなければならん、雪が来ると雪でやられる、寒さが来ると零下二十度、三十度という寒さになるのです。どうかそういう点考慮下さいまして、いわゆる、矢嶋さんからも強い要望もございましたつなぎ資金について、今日も私大蔵省へ単独で行つて頼んではおきましたが、なおあなたのほうで教育施設の問題について、強く要望して頂きたいということを切にお願いいたしまして、今日はこれで終りたいと思います。御苦労さんでした。    午後四時五十二分散会