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1954-10-08 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月八日(金曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            剱木 亨弘君            竹下 豐次君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            木村 守江君            郡  祐一君            中川 幸平君            吉田 萬次君            安部キミ子君            矢嶋 三義君            寺本 広作君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    調達庁次長   山内 隆一君    法務省人権擁護    局長      戸田 正直君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    厚生省医務局国    立療養所課長補    佐       曾根 正陽君   —————————————   本日の会議に付した事件教育、文化及び学術に関する調査の  件  (癩未感染児童入学問題に関する  件)  (大阪市立大学校舎の接収問題に関  する件)  (昭和三十年度文部省関係予算並び  に文教政策に関する件) ○理事補欠選任の件 ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこれから委員会を開会いたします。癩非感染児童入学問題に関する件を問題に供します。つきましては議事に入ります前に、私から昨日の公述人五人に対して、皆様がたのお許しを得て懇談いたしました結果を御報告申上げます。あれから一席設けましていろいろお話をいたしました。幸いに皆さんよく私の話をお聞き下さいまして、おしまいには釈然となつてこういう覚書作つて和気藹々のうちに非常に感謝して別れたような次第であります。覚書は「本件については種々懇談の結果、問題の性質上、先ず現地において自主的にそり解決を図るため、一同協力することに意見の一致をみた」こういうすこぶる簡単な覚書ですが書きまして、一同握手して、非常に御親切にいい取計らいしてくれたと、こういうことで別れた次第でございます。どうぞそんなことで、なお私といたしましては若しもどうしてもあなたがたのほうで妥協案かつかないということになつたら、できるだけ私のほうでその調整に加勢をいたしましよう、なお又折角皆様がたの話によつて妥協案ができて、解決案ができてもP・T・A会員の、いわゆる父兄の諸君がなかなかあなたがたの手で納得させにくいというような場合には、私ども議員のほうで、できるだけ皆さんの御助勢を借りて納得に一つ運んでいつて協力をいたしますということをお約束をして、心持よく皆さんとお別れした次第であります。どうかそんなことで暫く向うさんの推移をみて頂きたいと、かように存じます。それでは今の議題について御質疑をお願い申上げます。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問始める前にちよつと速記をとめて委員長に二、三お伺いいたします。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて。    〔速記中止
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて下さい。質疑に入つて頂きます。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ず人権擁護局長に一、二簡単に伺います。この問題が基本的な人権関係するものであり、熊本のあなたがた出先機関である地方法務局がこれを取上げて努力されたことは多といたします。当然であります。この問題について私は曾つて内閣委員会において二度ほど戸田局長にお伺いし、その善処かたを要望しておいたわけでありますが、ただ私はここでお伺いいたしたい点は私は仔細に調査してみますると、まだ私地方法務局長には会つたことはないのですが、少しあの両陣営の非常に対立しておる激しい状況下に、究極の目的を遂行するという立場からは、やや政治的な考慮というものが欠けていたのではないか、こういう私は、感じを打ちます。それで具体的に伺いますが、あなたも大体お聞きになつておると思いますが、両陣営が対立して、熊本医大先生診察では信用できん、京都大学か東京大学の先生診察でなければ信用できい、こういう問題になつたわけです。それで熊本医大学長としては我々はベストメンバー診断しても、とや角言われるのは好ましくないから、だからでき得べくんばよその大学で診察てもらつたほうがいいというくらい謙虚に考えておられたが、是非ともやつて欲しいというので、医大学長としては皮膚科長小児科長眼科科長などを以つて構成してやつた、そうして紛糾紛糾を重ねた結果、同盟休校もとけて、そうして診断の結果が発表され、市の教育委員は三名の停学と一名の暫くの要観察という結論を出して開校の通告を出して五月八日入学式を開た、そのあと法務局長名声明を発て、声明に癩の権威者である恵楓園園長宮崎先生の専門的な、差し支えないのだという診断を信用する以外に方法はない、暗に熊本診療団診断を否定するような声明文によつて、それから市の教育委員会が打出した結果にこれは人権侵犯で不都合だという声明をあの段階に出すことは、いよいよ私は対立を激しくして、円満妥結にむしろ差障りがあるのではないか、こういう点に熊本地方法務局のとられた態度は余りに杓子定規で、現実を無視した点があるのではないか、そういうように私は調査の結果判断したのですが、これは戸田局長としてはどういうふうに承知しているのか。又究極的な円満ないい解決に導くために人権擁護局立場から熊本地方法務をどういうように指導されようとしているのか、その所見を承つておきたいと思います。
  7. 戸田正直

    説明員戸田正直君) この前、昨年の十二月の二日でありましたか、丁度世界人権宣言の始まります直前に国立療養所恵楓園宮崎園長から教育公務員による差別待遇事件として申告されて参つたのであります。そこで熊本地方法務局におきましては、この申告に基きまして、非常に慎重に調査をいたしまして、当初の熊本地方法務局方針といたしましては、これを成るべく外部に発表しない、非常にこの問題が社会的反響及び事件解決後における児童立場等も考慮しなければならん、こういうようなことから、新聞発表等輿論に訴える方法は厳に避けて感情を刺激しないようにして行かなければならんというような方針を先ず立てたのであります。ところが丁度今申上げたように世界人権宣言丁度記念週間の行事中で、担当官が不在がちでありましたというような折にこれが新聞に取材されてしまいまして、これが新聞に発表されたというようなことで、非常に大きな輿論の問題になつた。問題が非常に大きく波及するようになつたのであります。そこで法務局としては最初から成るべくこれを感情によつて刺激するような方法を避けなければならんというような態度を持つてつたのでございますが、非常にこの問題が熊本における非常に大きな問題になつてしまつたというようなことで、これらの報告が私のほうに参りまして、それで人権擁護局としてはこの問題を取扱う前に、先ずこの問題が非常に専門的な医学の問題でありまするので、一体癩感染の危険というものがあるかどうかということが先ず一番大きな問題じやないか。  それから次にこの保育所児童たち分教場において教育しているか、これが果して教育の差別的な取扱いであるかどうか、これらの二点について十分な検討をしなければならんというような立場をとつたのであります。そこで中央といたしましては、その後中央法務川のいろいろ調査等によつて教育委員会に対して勧告の必要があるのじやなかろうかというような結論に達したのでございますが、人権擁護局としては、この問題は非常に社会的反響の非常に多い、理論だけでは割切れない問題を非常に腹蔵いたしておりますので、先ず現地において円満に解決するような方法をとつてもらいたいということを指示いたしたのであります。そこで中央法務局といたしましては現地においてできるだけ円満な解決をしなければならんということに実は全力を挙げたのであります。で、只今矢嶋先生からお話ございましたように、法務局がこういうような声明といいますか、等をするということは、実は余り今までに例のないことなのでありまして、いろいろの声明を余り出すということは、処理上適切であるとは実は考えなかつたのでございますが、現地において解決するように、それからこの問題が先ず啓蒙が最も必要じやなかろうか。この癩に対する恐怖感といいますか、嫌悪感というものを成るべくこれを薄くしなければならない。しないとこの問題はなかなか理屈では割切つても、実際上解決しなくちやいけないというようなことで、啓蒙活動にも力を入れるようにという指示をいたしていましたような関係上、この啓蒙活動一つ方法としてこの声明が出されたのじやなかろうかというふうに私のほうは了解いたしておるのでありますが、そのようないきさつがありまして、中央法務局としてはこの声明をするようになつたと思うのであります。  そこでその前に熊本県の地方法務局としては、この癩感染の危険があるかどうかというようなことについて、勿論恵楓園長宮崎園長は、この癩に関しては非常な権威者であることも承わつております。併し恵楓園長が一応当事者のような立場に立つておりますので、これを他の権威者診断をやはり仰ぐ必要、があるのじやないかというようなことで、九州大学の医学部長戸田博士医学部教授樋口健太郎博士、この両氏に法務局から癩感染の危険があるかどうかというような回答を求めたのであります。その回答によりますると、戸田博士樋口博士ともにこの龍田寮保育所に収容されている児童たち癩感染の危険はない、一般学校に通学させるのは差支えないものと考えるというような回答を得まして、我々の立場としてはこの医学の問題に対しては専門外でございますので、こうした権威者意見というものを尊重しなければならん。権威者意見信頼しなければならんという立場に立ちまして、科学的にこれが癩感染の危険でないというようなことになりますならば、これは差別的な、いわゆる分教場における複式教育、一人の先生によつて一年から六年までを教育するということが、果して妥当な教育であるかどうかというふうなことを考えまして、癩感染の危険が先ずないという権威者意見信頼いたしまして、一般学校に通学させるべきであるという考えを持ち、同時にこれは人権擁護局だけで果して解決される問題であるかどうかということについても慎重に考慮いたしました。文部省厚生省関係いたしておりまする各省とも連絡いたしましてお力を願つて、そしてできるだけ権威のある我々の意見をまとめたい、かように考えまして、最初打合せ事項というものが昨日来いろいろ出ておりますが、ああいう結果になつたのでありまして、そこで理論上は只今申上げたように、はつきりいたしておりますが、現地実情が非常に複雑になつておりまして、これをどういうふうに解決すべきかということについてちよつ苦慮いたしまして、中央からどうも単なる一片の勧告等によつてこれが処理されるものとは、私もそこまでの実は信頼を持つておらなかつた。そこで成るべく現地において円満解決努力をするようにという指示をいたしたのでありまして、そうしたことからもとに戻りますが、啓蒙活動等一つのあれとして法務局声明というものが出されることになつたのでございます。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの只今の発言は私は誠に立派だと思います。その通りです。私伺つているのはちよつと違うのですよ。これはあなたが申されたように、昨日もここで質疑が行われてはつきりしたのですが、今、龍田寮にいる子供は他人に感染させる虞れはない、それから感染の慮れがあるような症状になれば直ちに診断ができる。従つて入学させて差支えない。又龍田寮の分校で六十数才の人か一人で一年から六年まで教育しているのは、これは教育が不十分なことは、これは言うまでもないことである。又こういう取扱い方が瀬予防法の三条に抵触するということも極めて明確です。あなたの申された通りなんですね。で、それから地方法務局か出した声明はそんなにたくさん出しておりません。濫発しておりません、ただ賛成反対、特に賛成のほうかともかく角明文発表の一点張りで行つたようです。濫発しておりません。ただ私伺つているのはあれほど紛糾して漸く妥協点が出て、そして熊本医大一つ診断を仰いだ、その診断の結果によつて問題を解決しようというところまで漕ぎつけて、そして熊本医大診断について又賛成派ではとやかく言つておりますが、とにかく学界一斉えばベストメンバーだというのですが、診療班を構成して、三人は健康だから入れてよろしい、一人は今症状はないがちよつと観察の要がある。こういう診察を下した、それに基いて市の教育委員会賛成反対派からいろいろ異論があつたけれども、とにかくこれを信用して、三人を直ちに入学させよう、一名は暫く入学を保留しよう、こういう決定線を出していよいよ乗出して、そのあとでその熊本医大診断というものはこれは納得しかねる、やはり癩の権威者であるところの恵楓園園長宮崎先生の言われる、全面的にこれは入学させて差支えないというそれを信頼をする以外にないということを根拠に市教委の打出した最後の線を否定する、而もそれは人権侵犯になるという立場から、声明というのは実際問題として私は果して妥当であつたかどうかという点ですね、この点を私は伺つているわけです。それについてあなたの所見と今後の指導方針ですね、ということはタベ委員長のお骨折りで毎進みましたが、私はいろいろな今までの調査の結果から言えば、一挙になかなかこれは解決しないし、暫くは時間を要して糸を引くだろうと思つているんです。そういうときに大事な人権擁護という立場から、熊本地方法務局の果す役割も勿論大きいと思うんですよ。従つて法務局長さんの言動、それからあなたの御指導というものは、この問題の究極的な円満解決に至大な関係があると、こう私は考えまするので、その立場から、追及とか河とかという立場でなくて、解決するという立場からあなたにお伺いしているんです。
  9. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 多少繰返すようでありますが、この問題は十数年に亘つて解決せられなかつた問題であります。果してこの問題をどこへ持出して解決してもらつたらいいかということすらわからなかつたのでありますが、この問題が人権擁護の問題として解決してもらえるんだというようなところに恵楓園長が気がついたとみえまして、法務局のほうに、長い間の懸案の問題でありますので、そこで最後の拠りどころとして地方法務局に、非常に強い熱意と申しますか、どうしてもここで解決してもらわなければならんという強い、非常に何と申しますか、これはあなたのところでしてもらわなければどうにもならん問題なんだということで、非常に強く法務局に押されたと思うのであります。地方法務局もこの熱心に押されまして、かなり何といいますか、押されて熱心になり過ぎたというような気も実は私もいたしているのであります。そこで先ほど申上げたように、中央としては成るべく、余りその渦中に入り込んでしまうと冷静な解決ができないというので、私のはうの勧告は一瞬時期を見合せなければならんということで、私としては勧告を見合せておつたということは先ほど申上げた通りでありますが、そこで成るべく現地において解決するようにと、それから啓蒙活動に力を入れるようにというようなことを指示しておりましたところに、現地の空気というもの我々がわからない以上に非常に激しいものがあるというようなことで、只今矢嶋先生のおつしやるように、四名新らしく新人学生から入れることになつた、これは私はこれを聞きまして、いろいろ異論はありましたでしようが、私は一応成功であつた思つて喜んでおつた。この前内閣委員会の御質問に対しまして私は一応これは成功したという考え以つて実は喜んで御報告申上げたと思つております。私の考えとして四名を入れるということは、これはすでに全面的解決に近ずいたんだと、もうすでにこれが四名入れるということによつて、その後の児童たちも嬉々として何ら私たち心配したような村八分等の問題もなく進んでおるということをあとで聞きまして、これが非常にうまく行つた思つてつたのですが、この四名のうち一名が要観察、これも診断によつては極めてあいまいであるというようなことで、医学上いろいろ議論があるようでございますが、その点のあれは私ども十分わかりませんが、あれが政治的にいろいろごたごたがりましたので、まあやむを得ず四名のうち三名を先ず入れるというふうな非常に妥協的なものであつたというふうに私は聞いているのでありますが、そこであの紛争を解決させるためにやむを得ず一名が犠牲になつたというようなきらいもあるようにも聞いております。そこで漸く三名が入つたのでありますが、癩患者児童親たちにしてみますと、どうして俺たち子供も入れてもらえないのか、同じ三名が入つてあとの者を入れないという理由がないじやないかということで、かなり激しい動きもあつたように聞いております。そこで法務局には、これをしばしばどうして法務局あとの問題に対して処置をしないのかということをかなり毎日のように迫られているということも聞いているのであります。そこで法務局としては、事態やむを得ず、これがいつまで経つても到底解決の見込がない。聞くところによると、いわゆる黒髪会というものが新しく結成されて、この会の目的というものが被癩児童である保育所児童たち黒髪本校に入れないようにしようじやないかということがどうも本当の目的らしいというようなことも出て参りまして、この問題が又再燃されて来たのであります。そこで法務局としては何らかの処置をせざるを得ない立場に追い込まれまして、そうしてこういう声明が出されたと思うのであります。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの考え方は非常に結構ですが、私の聞いているのにピントがちよつとはずれるんです。黒髪会のことはあとで詳しく聞きますが、黒髪会の点の、前の解決した途端の瞬間における点がやや渦中に巻き込まれたきらいがありますので、今後成るたけ渦中に巻き込まれないで、人権擁護立場から地方法務局長のほうで努力してもらいたい、こう思つたから伺つたんです。戸田局長に対する質問はこれで終ります。
  11. 戸田正直

    説明員戸田正直君) 今申し上げておつたんですが、この点は熊本は地方的に非常に問題が多かつたために非常に押されたという感じを私も実は持つております。併しこの時期が適当であつたかどうか、これは私はあとから新聞に発表されたということをあとで聞いておりますが、その時期に適当であつたかどうかということも、実は私自身としては多少疑いを持つております。円満に解決しようと思つてつているが、こういうことが果して円満な解決になるかどうかということについても実は私も疑いを持つておりますので、この問題を慎重に円満に解決するように今後努力をいたしたいと、かように考えます。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は三省申合せ事項、これについて少しお尋ねをしたいのでありますが、厚生省見解は、あの保育園においては適切な健康管理が行われている、従つてこの保育園児童一般小学校に入れても、癩の伝染する慮れはない、こういうふうにはつきり認めておるわけであります。ところが昨日P・T・Aの会長なり反対派の人人は、十分な健康管理が行われているとは思わない。従つて癩の伝染する心配がある、そういうことで反対しているんだ、こういうふうに私は受取つたんです。そこであの厚生省の、十分な健康管理が行われているので心配がないということは、これは私は少くとも黒髪小学校父兄には十分理解されておらない、こういうふうにとつたわけであります。それから又十分な健康管理が行われているかどうかということについても、恵楓園長と、それから反対派の人々との間には、非常に見解の相違があつた。こういうことがこの問題を複雑にしている私は根本の問題であると思うんです。そういう意味において、厚生省としては龍田寮に対する健康管理の問題についてどういう見解をとつておられるのか、明らかにされたいと思うんです。
  13. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 今御質問のあれは、保育児童健康管理が十分に行われておるかどうかという点だと思うんですけれども厚生省といたしましては、保育園児童に対する健康管理は、所長会議及び医務局長会議で、毎年厳重に行うようにという指示は例年出しております。で、原則といたしまして、身体検査規定に基き、且つ、それ以上の癩についての検診も併せて行うようにという指示をいたしておりますので、遺憾の点はないものと信じております。龍田寮についても同様だと思つております。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は指示を出しておるとか方針がこうだとかいうことで十分な健康管理が行われておるというふうに答弁せられることは少し無責任だと思うのです。そういう実情について十分調査せられておるかどうか、そういう点も併せて御答弁願わないと、単に指示をしておるから心配ないんだという答弁では不十分であると思います。
  15. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 実際の龍田寮身体検査状況に関しましては、私ども課長である斎藤国立療養所課長現地に参りまして、つぶさに視察をしております。十分行われているという確信を持つてお帰りになつたものと信じております。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではやはり私はこの問題は龍田寮に関する限定された問題でないと思うのです。この問題の解決がうまく行かないということになると、これはかたり広汎な影響を及ぼすのじやないかということを心配しているわけなんです。そういう意味で、龍田寮の問題が双方理解の上に解決されることを衷心から希望しているわけなんですが、そういう点についてこの地域住民に対して相当な啓蒙をする必要があるんじやないかということを昨日は相当強く私は感じました。そういう点についてはどういう措置をして来られたのか、お伺いしたいと思います。
  17. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 啓蒙の問題に関しましては、遺憾の点がなかつたかという点にははつきりした調査その他をしていないのでよくわかりませんが衛生部当局を通じまして癩に対する啓蒙は行われているものと思つております。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は三省申合せ事項、これは龍田寮の問題を解決するのに一つの有力な示唆を与える、こういう意味で取りきめがあつたのではないか、こういうふうに感じているのです。この点は質問をいたしておりませんので、若し私のそういう受取り方が間灘つておれば指摘して頂きたいのでありますが、私はあの三省申合せによつて龍田寮の問題があの申合せの線に沿うように解決されることを希望してああいう取りきめをなさつておるのではないか、こういうふうに思うのです。で、要は龍田寮の問題を解決したい、こういう趣旨に出たものではないかと思うのです。そういたしますと、あれは単にああいう申合せをした、それからああいう申合せ事項を通知したというだけではこの問題がそう簡単に解決するとは思われない。現にいろいろの紛糾を起している事実を見てもこれは明白であると思うのです。そういう意味から、あそこまでの申合せをせられた以上は、更にこれが地域住民にも、或いは国民全般にもこれがもつと理解されるように、私は、三省においてもそれぞれの立場において努力さるベきではないか、こういうふうに考えるわけなんです。これはひとり厚生省だけを私は言うのではないのですが、このことは文部省に対しても或いは法務省に対しても要望したい点です。そういう点について文部省なり法務省としてはどういう努力をせられたか、そういう点を伺いたいと思います。
  19. 戸田正直

    説明員戸田正直君) この三省打合せ事項は、これは龍田寮の問題に関してこの被癩児童たち一般学校に入れさせるようにという、只今先生の仰せの通りであります。そういう目的でこの三省の打合せをいたしたのであります。これはどこまでも打合せ事項でありまして、これを広く一般に発表しようという気は当時各省とも持つておりませんでした。御承知のようにこの当時まだ同盟休校に入るというようなことすら実はそこまで予想はいたしておりませんでした。ただP・T・Aの一部の者たちによつていろいろ反対をされておるので、教育委員会がなかなか動けないというようなことを聞きましたので、この三省の打合せによつて教育委員会のほうにこうした三省の打合せをしておるので、一つ然るべく善処してもらいたい、こういうことが当時の目的でありまして、そうして人権擁護局としては地方法務局三省打合せ事項を送りまして、これを市の教育委員会に交渉して、この線に沿つて一般学校入学できるように一つ善処して頂きたい、かように地方法務局から教育委員会に申入れをいたしたのであります。この当時といたしましては、一般にこれを発表し、又P・T・Aの全会員にこれを啓蒙しようというようなことは、当時の気持としては実は持つておらなかつたのであります。
  20. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 厚生省におきまして、三省集まりまして、先はど御質問のありました申合せと申しますか、会議をいたしましてそういう結論を得たわけであります。これは私どもといたしましても、いわゆる被癩児童が全く健康な児童であれば、而も十分に健康管理が行われておるということであれば、これを一般児童と区別して教育をするということは、これは教育基本法の精神から申しましても妥当なことでない、これは成るべく一般の学校に通学させる、こういう原則的な考え方を以ちまして、そのことにつきまして三省の打合せをいたしたのであります。ただ併しその後のいろいろ事情をよく調査してみますと、昨日参考人から縷々話がありましたように、非常に事柄は複雑でございまして、単に理窟で割切れる問題ではないというふうに私ども考えるに至つたわけでございます。勿論厚生省といたしましては十分な管理をさせておることと存じますけれども、それに対しまする一部P・T・Aの側から、感情的にこれに対するいろいろな考え方がある、そういうことに基きまして賛成反対と分れて争つた、こういう事情でございますので、事柄がこういうむずかしい医学上の問題そのほかの感情的なものに絡みまして、厚生省といたしまして一方的に具体的にどうすべしということを教育委員会に申すことは如何かということで、私どもといたしましては教育委員会に対しましては、直接に勧告等はいたしておりません。勿論最初申しましたように、原則的にはあの会議をいたしましたときの申合せ通りに実現させたいと考えております。併しながらこれを実現する方法なり、又それに至りまする手順なりにつきましては、これはやはり地元におきまして十分に実情に即した処置がとられなければいけないじやないか。教育上の観点から申してみまして、差別的に扱われることは、これは勿論困りますけれども、併し又一面いろいろそれに派生いたしまして事態が起きまして教育が渋滞する等のことになりますると、私はその面から申しましても教育上遺憾のことでございまして、その点を如何にしてその理想を実現するかということにつきましては、地元の教育委員会におきまして十分実情に即したように取計らつてもらうということを私は考えておる次第であります。特に賛成派の側の人たちは、まあ文部省から教育委員会に対しましていわゆる強力な勧告を出してくれということをしばしば要請もございます。併し私どもといたしましては只今申しましたような観点から、今日まで教育委員会と事実上いろいろな事情を話合いましたり、或いは教育委員会の人たちといろいろな話をしておりますが、形の上でそういう勧告というようなことはいたしておりません。私ども今後ともこれらに重大な関心を持ちまして、一日も早く解決いたしまするように協力いたしたいと思います。基本的な考え方といたしましては、やはりさつき申しましたように、直接の、制度上の直接の背任者であります市の教育委員会と話合いまして、妥当な実情に即した解決を図らんことを考えておる次第でございます。
  21. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私もこの問題が地元において自主的な理解の上に立つて解決されるということは非常に好ましいことであると思います。又、先ほど委員長の報告がありましたように、そういう方向に努力するというような申合せもあつて、私は非常に結構なことだと思つております。この点については委員長の御努力に対しても深い敬意を表するわけであります。併しこの問題をただ地元に任しておくということだけでは私はよくないと思います。政府としても或いは中央官庁としてもこの問題については努力すべき点が残されているんじやないか、こういうふうに思うのです。それは先ほどちよつと質問をしましたが、やはり龍田寮内における健康管理について、地元の住民に対する十分な信頼を与えるようなやはり私は措置が必要であると思います。そういう意味において、今後とも、龍田寮だけではございませんが、こういつた種類の保育園については十分な健康管理が行われるように特に御指導さるべきではないか、こういうふうに思います。それからもう一つは、私も医学上の知識がありませんのでよくわからない一人なんですが、癩の感染について、もう少し的確な、何といいますか、一般心配されているような心配はないのだということを、いわゆる癩患者子供であつても、発病しておらない子供は全然感染する虞れはないのだ、こういう確信を私は国民に与える必要があると思う。これは啓蒙だと思いますが、そういう点について、昨日の反対者はかなり反対の最も重要な私は要素になつているのじやないかと思う。又一般国民にとつてもこのことについては比較的知識がないのじやないか、そういう意味において、ああいう癩の感染について日本の医学陣と申しますか、医学立場から見た定説、そういうものを国民に周知徹底させる、こういう努力が必要ではないかと思うのです。そういうことが相待つて行われて行かなければ、なかなかこういつた種類の問題は解決がむずかしいのじやないか、そういう意味において、地元において自主的に解決を図つてもらう、こういうことは必要なことですけれども、更に中央官庁としても、今私が申上げたような点について、更に一段の努力をなすべき点が残つているのじやないか、こういうふうに思いますので、これはそういう要望をこの際申上げて、私はこの質問を一応打切ります。
  22. 安部キミ子

    安部キミ子君 私は厚生省の方にお尋ねするのですが、昨日の賛成者、反対者の両者の意見を聞きまして一番難点は、私は厚生省健康管理にあつたように思います。このことが厚生省がはつきり只今荒木委員がおつしやいましたように、国民にも地域社会の人たちにも納得行かないところに問題がますます紛糾しておるようです。例えば昨日の陳情の中で癩患者父兄保育園にやつて来て、そうしてお母ちやんと言つて、その癩の父兄にすがりついて別れを措しむというそれは、人間的な親子の感情とすれば私はそうしたことも否定できないとは思いますけれども、併しこの三省の打合せ決定事項で解決して行こうとすれば、健康診断をするのだと、その結果を見て、いいというので確信が得られていると私はこういうふうに解釈いたします。ところが一般のそういう実情をつぶさに監視しておる人たち反対者は少くとも監視していると私は思うのです。そうしますと、その菌がどこにあるか知れません。又その癩患者が開放性かどうかわかりませんけれども、どこかに菌がついているだろうと、たとえその非癩児童には症状が現われなくとも、どこかにそうした菌がついていて、そういう菌のついた体で学校へ来るのだ、だから手を握るな、触わるなということになると、こういうふうに反対者の方がおつしやられると、賛成者の人も又一般常識とすればそれはそうだと、それはおかしいじやないかと、患者としての現象だけを見てこれは間違いないのだ、安心だというふうにこう判断なさること、そのことだけではやはり十分ではないのだ、我々は納得行かないのだと、こういうふうに私は反対者の方はおつしやられると思うのです。私こういうふうに出られたら、一応理論的にはそれは反対者の人のほうが筋が通らないし、医学的にも根拠のないことだと一蹴しようと思いましても、やはりそこには厚生省の落度があるのじやないか、こういうふうに考えます。従いまして、今度のこの問題も先ほど荒木委員がおつしやいましたように、厚生省に主な責任が私は重点的にかぶさつているのだろうと、私にこういうふうに考えますので、それらの管理を十分にして頂くということを強く私は要請します。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はもう少し聞かして頂きたいと思います。  私はこの問題がこうなつてつた原因はたくさんあるでしようが、そのうちで二、三要約しますと、私はこう見ているのです。参考に申上げておきますが、一つには清正公さま以来の癩に対する異常的な伝統的な恐怖心、これが未だに強く支配している。科学の力が不十分である。それにもつて来て龍田寮が従来非常にこの容態の悪い癩患者を収容してあつた。これが精神的に非常に影響している。こういうところに精神的に啓蒙の必要さが出て来るわけですが、もう一つは、これは文部省にも関係して参りますが、当面の責任者である市の教育委員会のこれに対する見解と、この中の教育委員会に助言と勧告指導立場にある県教育委員会見解が、昨日の参考人の意見にもあるように、必ずしも一致していない。そして文部省も又直接は命令権はないわけですが、これは昨日もおわかりになつたと思いますが、一カ月間に亘つて学校の教育管理というものは教師の手から離れて、府県の手に管理されている旭丘中学校の事件と違わない教育実情を露呈して、これに対して文部省は殆んど協力的な態度は何も示さずに黙過している。これがやはり私は一つの大きな要素になつているんじやないかと思う。  それから、もう一つこれは質問ではないのですが、もう一つは癩研究の大家である宮崎理論これが熊本医学界、熊本医大医学部内で必ずしも全面的に容れられていないという噂が反対論者の間にもつぱらであり、私がそれとなく調査した結果からも、ややそれを、そういう事態にあるということを信ぜざるを得ない結果が出ております。これは反対論者に一つの大きな拠りどころを与える原因となつております。  まあいろいろありましようが、この三つが大きな私は原因になつているのじやしないかと思う。従つてこれらを一つ一つ克明に解決してあげなければうまく円満に解決できない。従つて私は相当の時間を要する問題ではないか、こう見ているわけであります。  それで伺いますが、先ず文部省に伺いたいと思いますが、市の教育委員会が一応決定線を出して遂にこれは変更せざるを得ない立場に追い込まれたわけであります。私は市の教育委員会はあらゆる研究をし、又実情も十分見究めた上で、公選の委員でありますから責任を持つて決定したのだ、それには私は市民が協力しなければならない、協力できなければリコールすればいいので、又市の教育委員は辞職してもいいと思う。ところが市の教育委員会はこれは絶対引つ込めざるを得なくなつた、それからいよいよ紛糾して来たわけでありますが、このときにおける県教育委員会指導助言、それから一カ月間に亘る空白期間があつたにもかかわらず文部省は市の教育委員会に対しても何らの指導助言をしなかつた。ただあつたのは、さつき荒木委員から出された三者の公けにするのではなくて内輪の話だけ、これだけ、而も私が重ねて申上げたい点は、あなた自身熊本に警戒においでになつた。あなたは熊本の御出身であるということをよく知つていらつしやるはずである。それだけに又扱いにくいかも知れない。文部大臣もわざわざ熊本においでになつてそれは少くとも新聞記者を断り、又新聞紙上見るところによると、みんな逃げておられる。これでは私は文部省はこういう問題の解決には責任があるところの態度をとつているとは私は了承しかねるのです。如何お考えでありますか。なおさつきこの解決には直接の責任ではないけれども文部省の所管のことではあるし十分協力するということを発言されておられましたが、どういう協力の方法をお考えになつていらつしやいますか、やや具体的に伺いたい。
  24. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 私基本的にはこの取扱いの問題は飽くまで市の教育委員会の責任において解決されると思います。  これはいろいろ申上げるまでもなく教育委員会の制度といたしまして地方の公正な民意を反映し、地方の実情に即した教育行政を推進するために教育委員会としていたしております。これに対しまして文部省或いは県の教育委員会指導助言することはできますが、これを指図することはできません。従いまして私ども最初から考えておりますことは、先ほども申上げましたように問題が非常に複雑でございますし、徒らにこれを脇から結論的に具体的な指導助言をするということは却つて問題を紛糾させるのではないか、解決は飽くまで父兄の理解と納得の上に行われませんと、単に一応その形の上で解決しましてもあとに禍根を残すということになると却つて教育上面白くないのではないか、かような基本的には考えを持つております。やはり飽くまで市の教育委員会において解決することが原則であろうと考えております。  そこで一カ月に亘る空白期間でございますが、ストライキは御承知のように四月の八日から一十一日までございましたが、そしてそのあと教育委員会といたしまして休校の措置をとつて、そしてその間に問題を解決いたすよう努力したわけであります。そこでお話通りこれはストライキという問題は、これはまあ非常に遺憾な事態でございまして、特にその間におきましていわゆる反対派父兄が校長室等を占拠しておりまして、これは非常に遺憾なことであります。ただ併しこれはその間も学校としては学校の管理はそのように形の上では占拠されましたけれども、やはり学校としては授業を続けているわけであります。この点は教師たちも、これは昨日矢嶋さん御自身もお話ございましたように、この両方に巻き込まれないで厳とした態度をとつて進んで参りました。この点私はこの事態は旭丘とは違うわけであります。そこで先ほど申上げましたような観点からしまして、又その当時私どものほうに十分な報告等がなかつたわけです。これは又教育委員会としてもそういうふうな事態に当面いたしておりまして、その余裕もなかつたかも知れませんが、ございませんでした。この問題が中央で、私どもわかりましたのはむしろ法務省のほうの人権の問題から出て参りまして、そこでまあああいうふうな会議等もいたしたような次第でございます。そういうような経緯からいたしましてストライキの期間、私どもこれに対しましてどういうふうな処置をとるべきかということを、具体的にどうすべきかということについて、これにつきまして非常に関心を持つておりましたけれども指導助言をするというところまで至らなかつたのは事実でございます。そのうちに休校の措置をとりましてそして市の教育委員会が極力解決の方向に向つた、こういうことでございます。  それから県の教育委員会と市の教育委員会の問題でございますけれども、これは私どもといたしましてやはり現地の事情を詳かに、非常に複雑でございますが、詳かにすることはなかなかできません。従いまして県からも報告を聞き或いは市からも報告を聞きましたけれども、これも只今申しましたように具体的な指導ということは私どもいたしておりません。県と市との間の見解の食い違いという点につきましても私ども具体的には、大体は同じような方向ではなかつたかと考えておりましたが、十分承知いたしておりません。  それから現地に八月末に私ども参りましてこれはほかの教育委員会の大会があちらにもあつたのでございますが、そのときもこれは両方の人たちにはお目にかかりましていろいろとお話を承わりました。併しながら先ほどから申しますように非常にむずかしい問題でございまして、文部省としまして、まあ抽象的なことはこれは勿論言えません。具体的にいろいろと言うことは却つて事態を紛糾することでその点は昨日も参考人のお話もございましたように、文大臣からもこれは現地で十分お話合いの上に両方の協力によつて解決するようにということを申上げるに留まりました。今後といたしましても私ども事は非常にむずかしい問題でございますが、お話もございましたように解決には相当日時を要するのではないかと考えております。急いではなかなか解決はむずかしいのではないか、併しながら今後も解決の過程につきましては再びああいうストライキ等の不詳事態を起すようなことのないように十分に両方とも打合せをやつて行きたい、かように考えておるのでおりますが、具体的にどういうふうに協力するかということにつきましては私ども考えはございません。いろいろと市の教育委員会と県の教育委員会と今後更に話合いをいたしまして実情に即した解決の方向に若し文部省として力をいたす必要があり、又その見通しがありましたらば、十分にこれに協力したいと思います。なお又中央におきましては、関係各省十分に一つ連絡を今後もとりまして、事態の推移を見まもり、更に解決の方向に持つて行きたいと思います。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 地元の父兄に了解できる方法解決しなければならんということは申すまでもありません、よくわかります。で、市の教育委員会と県の教育委員会で十分の共同態勢、更に文部省の助言とか指導とか或いは勧告とかいうものが適切に行われない、それを通り越して、この国会の委員会で云云するということは、なかなかそれ以上に私はむずかしいと思うのですよ。だからあなたがたとしてはこの教育行政の一部です。これがあなたがたのところでおさまらないで、ここに来たということについては、やはり一種の力の足らなさと、申訳ないという気持は、私は出て来なければならん、こういうふうに私は思います。で、今までのこの問題に対する皆さんがた努力というものは、皆無とは言いませんが、私は不十分であつたと思います。で、これから一層、今まで具体的なことは承われなかつたのでありますが、努力して頂きたいということは、昨日もちよつと申しましたが、桜山中学校というのがあそこにありますが、九人行つているのです。今まで何ともなかつたのですね。ところが私は今度調査したことは、極めてこつそり誰にも気づかれないように、一人でこつそり調査したのですけれども、桜山中学校で来年度プールを作る、ところがプールを作るということがきまつてつたが、プールを作ると九人が来ている、それらと一諸に泳ぐのは嫌だというので、変な問題が起つて来たのですよ。こんな問題が起つて来ると、どこまで波及して行くということになるかわからん。この問題はできるだけ早く納得させて解決しなければならないわけですから、私は今までの文部省の怠慢については不満の点を表します。今後努力されるということでありますから、早急に努力して頂きたい、それだけ要望しておきます。  次に厚生省の方にお伺いしますが……。
  26. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの問題の経過を聞いてみて、人権擁護局厚生省文部省とで打合せて、いろいろな御措置をなさつたことについては非常な御苦労だつたと思いますが、私は問題が提起された場合に、人権擁護局としては、ああいう手をあの程度に打つ以外に手はないと思うのです。それから厚生省も非常に広汎な問題として、今後この種の問題が起きることが予想して、予防管理というものを徹底的にやるというふうに、今後の教訓的な材料として取上げて、対策を立てる以外に、これ又手がないと思うのです。ですから私はこれを解決する主役は文部省だ思うのです。これは教育問題なのです。勿論レプラに関したことだから厚生省の問題であると言えば言えるけれども、ここに現象面として現われているのは、休校してまで世間を騒がせている教育問題なのです。緒方局長としてもこの公的な委員会においては、今中したように、地方の実情によつて地域社会の住民の協力と妥当した意思によつて解決されなければならない。仮すに時間を以てしなければならない、全くその通りです。その通りですけれども、我々が考えてみても、昨日文部委員長の御斡旋、御努力によつて、地方においてまとまるように努力するということの申合せができたが、しかく簡単に解決するとは私どもは思わない。又もここに跳ね返つて来るかも知れない。その時に我々が行つて、ばくち打ちの手打ち式みたいなことが二度も三度もできない。具体的に納得する方法考えてやらなければならないということになると、やはり我々がこれを解決するためには一つ文部省に本気になつて腰を上げてもらつて文部省解決案を作らせて、これ最終的には抑えるというふうに当委員会委員考えざるを得なくなる。従いまして関係官庁に連絡するというけれども、責任を擁護局と厚生省文部省と三人で、同じお神輿をかついでいるみたいに、三分の一でかついているのだと思つたら大違いです。人権擁護局というのは、問題が出たから事態に対して処置しなければならないから、いろいろ言うているだけの話なのだから、当面の責任は文部省にあるということを一つ明確に考えられて、具体的な案を、あなたひとりでここでああこう言うわけにも行かないでしようから、一つ大臣ともよく連絡して、具体的に考えて欲しいと思うのです。という理由は矢嶋君の適切な質問に対するあなたの答えは、不幸にして私を満足せしめていない。こういうことを今申上げて、今後の努力を私は文部省に対して特にお願いしておきます。
  27. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 この問題は非常にむずかしい問題であつて解決を急いでもできませんが、それでは解決ができるのかというと、将来に対しても解決はむずかしいと思う。癩というものに対してどうしたらいいかという昨日の問題は、どうしたら処置ができるかというようなことを考えましても、これは私はよほどむずかしいことで、解決を望むことはあり得ないと思うのです。今日ああいうふうにはつきりした、癩患者として取扱われておるものは、これは処置するということもできると思いますけれども、全国におけるところの一般の癩の分布といいますか、癩病患者というものがどれくらいあるかということを想像すると、驚くべきものがあると思う。いわゆる警察でもどうしようもない山窩というものはやはり相当今回に瀰漫しております。それから又この癩というものが非常に昔から嫌われておつた関係上、癩の患者が出るとその患者が行方不明になる。今日恐らく戸籍を調べられたならば、全国各地において幾十万という行方不明者があると思う。百歳以上になつて、もうやむを得ず戸籍から抹消するというようなものも相当あつて、これに関しての死亡者というものは相当ある。従つて遍路に出たり、或いはその他の方法によつて訣別して家を出る人間というものが、私はたくさんあると思うのであります。かようなものがはつきりと現われていないからといつて、社会に害毒を流しておるものに対する処置というものも十分に講ぜられておらない。これはやはり法律上においても或成る程度まで、それは人権擁護ということもあるかも知れませんが、適切な方法を以て、かようなものをかり立てる必要があると思いまするし、近来更に朝鮮癩が入つて来ておつて、これに対する施設も予防も何ら施されておらないという状態であります。従つて昨日恵楓園園長さんが言つたように、私はあの子供達を学校に通わせて何ら差支えないと思います。併しながら非常にかような問題が世間からいろいろと取沙汰せられておりまするによつて厚生省においては勿論この分布状態とか或いはどんな趨勢においてこの病菌が蔓延しておるか調査せられておるか知りませんけれども、併し文部省としましても、昨日の陳情にあつて私は反対する諸君にも多少の同情をしなければならないと思うのです、実際問題として今日社会的に癩が非常に忌み嫌つておるという点から、自分の子供に対してあれだけの考えを待つということは、私は当り前だと思うのですが、従つてこの出題の解決につきましては相当に費用がかかつても理想的の、分校というものがありまするから、黒髪小学校の分校というようなことによつて相当な施設とこれに対する教養が十分できるようにしてやつて、この問題を解決するよりほかに仕方がないと私は思つております。いずれにしましても、今日この問題が俎上に上つて、そうして今日ここでいろいろ、各方面から検討せられておりまするが、これが済むと台風一過と同じことで、忘れてしまうものであると私は思う。併しながらこれは永遠にと言うほど私はあとに尾を曳いて、紐がついて、そうして苦しむ時代がたびたびあるだろう、従つてこの問題についての解決というものは、厚生省厚生省立場において十分な検討を願い、それから文部省としてもこれに対して相当の費用を出して立派な地役によつて彼らが安んじて教養のできるよう、又ほかの子供と一緒でなければなくとも、むしろそのほうが幸福だというような施設を施して、そうして解決するようにして頂きたいと私は思います。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に厚生省に……。
  29. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつとお待ち下さい。
  30. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 只今意見を承わりましたが、分校でございますが、これを整備する問題でございます。これにつきましては昨日も参考人のほうからお話が出ておりまして、今矢嶋さんからもお話が出ております。市で予算を組みまして、建物はすでにもう相当整備した建物ができておりますが、ただこれに対して教材、教具を整備し、又、今先生一人でございますが、これを一人に殖やすという計画も今あるやに聞いております。併しそれが実現いたしますと、いわゆる昨日の賛成派は、分教場はいけないと、本校に収容いたすべきだと、こういう人たらの側からいいますと、これも昨日参考人からいろいろお話が出ましたけれども、まあいつまでもそれで落着かされてしまう。本校で一諸に勉強するような機会は、今後永久になくなつてしまう。こういう考え方から、今はそれに対して反対をされておるのであります。市の教育委員会といたしましても、今後どれほど力を入れて整備していいか、そこのところはまだ問題が懸案として残つております。そういう実情にありますことを当面申上げまして、御参考までに申上げます。
  31. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は厚生省に一、二伺つておきたいと思います。只今分教場の問題、それについては意見がありますが、意見を申上げません。これについて伺いたい点がありますけれども時間の関係上申しません。厚生に伺いたい点は、全国に癩療養所が十一カ所にある。そのうちに感染児童を収容しておる所が八カ所にある。こういうことを聞いておるのですが、この数字はどうかということと、いや、それならばこの感染児童を収容しておるというのは、恵楓園の場合を考えますると、児童は、恵楓園地域の中に小学校分教場があつて教育しているのです。ああいうものがですね、全国の癩療養所の九十カ所のうち八カ所ある。この数字はどうかということと、それから龍田寮と類似の施設、これが全国に十一の癩療養所に幾つあるのか、龍田寮のような性格の収容所が幾つあるか、それを伺いたい。
  32. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 十一カ所とおつしやいますのは恐らく国立癩療養所のことと了解しております。因立癩療養所の中に児童が全部入つております。感染しておる子供は各部屋に十一カ所ともおります。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 全部学校におりますか。
  34. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 学校は……。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ないですよ、それはいいです、あるかないかは。
  36. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 全部ございます、学校は。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 感染児童の……。
  38. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) いわゆる癩の親族の子供の、健康児のいわゆる保育児童は、現在八カ所ございます。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、国立療養所は十一カ所ある。感染した児輩の教育機関は十一カ所全部ある。ところが非感染児童は八カ所ということになるわけですね。あとの三カ所の癩療養所の、それらの患者父兄関係あるところの子供は、どういう所に収容しておるのですか。
  40. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 八カ所と申しますわけはなぜかといいますと、東京の国立療養所邑久光明園は長島にございますので、長島に二つの療養所がございます。一カ所にまとめて長鳥愛生園に入つておるがために、一つはございません。それから奄美大島はございません。奄美大島はまだ日本に復帰になつたはかりで作つておりません。それから東京の多摩全生園の関係児童は、草津の栗生飛泉園の療養所に入れております。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで了解します。そこで伺いたい点は、その八カ所の収容所ですね、そこの学齢児童の就学状況はどういうふうになつておりますか。
  42. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 保育所児童の就学状況は現在……、北から順番に申上げますですか。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の聞いたポイントは、どういうところで教育を受けているか。それから又、機関がなくて教育を受けていない子供があれば、その概要、それを伺つております。
  44. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 原則的に一般児童と共通な場所に現在は通つております。ただ場所的な関係で、栗生楽泉園、それから松丘保養園におる低学年の児童だけは分教場に通つて、高学年になつた場合は本校のほうに通うという例がございます。それで龍田寮の場合は、ただ一つでございます。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 龍田寮の場合はただ一つだということがわかつたのでありますが、他の収容所の子供が、一般の学校に通学するに当つて、本日の状態になるまでには、別にトラブルもなく、本日の事態が当初から行われておつたのでありますか、それとも本日の状態になるまでにはいろいろの段階を経てきているのか、その概要を承りたい。
  46. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) その前に松丘は分校になつております。で、大体支障なく行くという状況は、やつぱり少なくて、逐次本校に一緒に通つて来ておるというのが実情じやないかと思います。過去においては何らかのトラブルが一、二あると言うことは、この施設にもあるように聞いております。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は常識的に考えておそらくそうだろうと思うのです。その経験を熊本県との龍田寮の場合、如何にして解決していくかというような方法は、見通しは立ちませんか。
  48. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 菊池恵楓園の場合は、やはり他の療養所と同じように、長年かかつてこの交渉は続けてけていたと言うことは、昨日の参考人からのお話でもおわかりかと思います。で、先生もご存じのように、熊本は非常に因習的な長い癩の濃厚の地帯でございました関係上、癩に関する嫌悪感というものは、やはり他の地域よりもよりひどかつたために、同じような方法を行つて来たにも関わらず、できなかつたというのが実情じやないかと思つております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはそのくらいにして、次に伺いますが、昨日もちよつと伺いましたが、対立点は、やはりこの反対派のほうは、龍田寮は要観察児童を入れておる性格のものである。こういう立場に立つておるわけですが、その証拠には近年五人の患者が出た。これは最初はその恵楓会で認めなかつたとか、後で認めたとか、何とかいつておりますが、そういうことに我々こだわる必要はないと思いますが、これは、私の記憶に残つておるのです。一方賛成派のほうは、これは一般保育所と何ら変らない。この性格について非常な距りがあるわけなんですが、厚生省ではどういう観点に立つておられますか。
  50. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 癩療養所の保育所はらい予防法の二十二条の規定によつて設けてございます。併し歴史的な経過を考えて見ますれば、昨日宮崎参考人からのお話にもありましたように、癩患者を急速に収容するために、たまたま連れてきた子供を置くところがないので、最初は看護婦宿舎、看護婦さんが預かつていたりなんかしたものが母体になりましてできたものでございます。最初は癩予防協会が建物を作り、その保育所の運営をいたしておりましたけれども、終戦後経済的な状態から国に移管となり、国で運営するようになつたのであります。我々としては、これは一般のいわゆる児童福祉法による児童施設へ入れるのを建前にいたしております。けれどもなにぶん癩療養所に参ります児童、つれて来る児童は乳児、幼児、その他学齢児、それから精神薄弱児、不良児、病弱児等各種の児童がございます。これを入れる場所も、児童福祉法によりますと、乳児院とか虚弱児施設とか数種の施設に入れなければならないわけなんですけれども中央児童相談所その他とも相談して、それぞれに分配、分配という言葉は悪いかも知れませんけれども、入れる措置をとらなければ……まあとるわけでございますけれども、施設も定員その他の関係で急には入れられないという場合にやむなくこの法二十二条による施設に入れて、児童の面倒を見ているというのが実情でございます。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたの御見解のように、これは一般児童福祉の立場から行くところの保育所であると、こういう見解にたてば、この龍田寮の八つの施設というものにあくまでもこれは癩予防法の二十二条によるところの応急の施設であるわけですね。従つて、私は乳幼児は乳幼児、それから精神薄弱児は薄弱児、それから通学適齢児はそれというようにですね、それぞれの一般施設の中に収容すれば、そしてその費用は国から出す、委託してやれば、これは非常にいい方法ではないかと考える。私は龍田寮にも参りましたが、あすこにも乳幼児から高等学校の生徒まで、それから精神薄弱で教育されない子供も一人おりました。従つて、私はそう考えるのですが、厚生省としては、龍田寮のようなのは二十二条に基く応急の施設であつて、行く行くは私が申上げた方法にするのが至当であり、そういうふうにしたいという方針で進んでおるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  52. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 矢嶋委員のお説の通り成るべく児童福祉施設に入れるのがその児童のためであり、又児童の幸福であると考え、我々もそういうふうに努力をいたしております。なにぶんにも児童施設の数が少なくて、定員その他の関係、又国籍の関係、地方との関係その他のにおいて、なかなか急速に子供を、まあ親を収容した場合、その子供をそれぞれの養護施設に入れると言うことが困難でございまして、ある程度保育所に溜まつて来るというような状態になりますけれども、各児童施設との連絡は常に取つていただくように各都道府県とも連絡してやつております。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その言葉は私は聞こえないです。これはあなた、癩の問題というものは国家的な重大な問題であり、又人道につながる問題です。これをやる方針がたてば、予算面から技術的な問題から言つて困難だというようなことは私耳に入りませんよ。その重要性を考え、そして子供さんの父兄、すなわち収容患者が了解する、それで結構ですと言うことになれば、これはあなた技術的に考えようが、予算的に考えようが、この問題の重要性から考えれば解決は朝飯前ですよ。その問題が解決できないと言うほどのそんなに複雑なことじやありませんよ。そういうことは私耳に入りませんよ。それは通り一遍のおざなり答弁に過ぎないですよ。信念のほどを私は疑いますが、本気でやる気があるのかどうか伺います。
  54. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 本気でやる気でやつております。これについては児童局その他とも連絡して非常に努力をしておるのであります。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 厚生省としてはその方針で積極的に推進する決意である、こういうように了解してよろしうございますね。
  56. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) はい。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一、二点。昨日健康管理のことがいろいろありましたが、私はああいう意見もあり、こういう意見もあると、こういうように私は聞きました。先ほど健康管理の問題がずいぶん出ましたが、この点は私も重ねてお願いいたしておきたいと思います。ただ文部省にもさつき私言いましたが、厚生省も信念を持つて恵楓園指導するし、それから地元当局をも指導する立場に立つてもらいたいと思うのです。厚生大臣がおいでになつておるが、閉会後逃げてるじやないですか、殆んど逃げておる。そうしてそのときに一応九州を廻つた後で、高田次長とゆつくり解決策を相談してほしい。なるほど高田次長はおいでになつた。厚生大臣は八月二日に来られて、高田次長は八月七日に来られた。ところがどういうふうに解決し、どういうふうに指示なさつたのか、私は念のために伺いたい。
  58. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) 私まだよく了解しておりませんが、実は課長は伺つているのではないかと思つております。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは課長補佐ですね。あれほどの問題があなたの耳に入つていないと言うことでは高田次長もたいしたことをやつて来ていない。だからたまりかねて相互でいつまでも泥試合をして、そうして閉会中にもかかわらず、立法府にこれを持ち込んでくるのです。これは文部省といい、厚生省といい、私は本気になつて解決していたただきたいと思う。そういうふうに課長と高田次長に伝えて置いて下さい。高田次長も熊本出身でしたね。
  60. 曾根正陽

    説明員曾根正陽君) そうです。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ああいうふうに熊本出身の人は大挙して国民の税金を使つておいでになつた、勿論ほかの要件もあつておいでになつたのですけれども、全国的にこの重大な問題に非常におえらいかたが数人もおいでになつて何らこれに対して努力していない、これは非常に残念なことだと思います。そういうふうに私はお伝え願いたい。これで私は終りますが、私の情勢判断が間違つておるかも知れませんが、まあ矢嶋調査した結果、矢嶋の判断でこういう発言があつたということを責任者であるあなたがたに念のために参考に申上げて置きます。信用をするかしないかは別問題であります。あなたがたに申上げて置きたい点は、厚生省出先機関ですね。これは立場はよくわかりますし、法律とか、力だけで一挙に解決しようという行き方に余り頼り過ぎるような指導をあなたがたがなさるというと、問題はなかなか解決しにくくなる。それから人権擁護局出先機関にさつき申し上げたのですが、できるだけその渦中に捲き込まれないように、冷静に第三者的な立場から適宜的確なことを……総じてこういうまあ理論だけで割切れない、感情の問題になつて来ればそれは声明文という印刷を何回出して幾ら配つて解決できるものではない。そういうここで解決できれば問題はやさしいものです。矢嶋はそういう所見を持つている。それと、この現地では一年から六年まで今一挙に入れるべきだ、入れてあげて欲しいという熾烈なる要望と、それからもう一つは、まあ不満足ながら三人だけ一年一生に入れたのだから、この子供も可愛がつて、そうしてこれで実績を作つて、次第に解決して行けばいいじやないか、こういうような考え方の人と、それから又一部にはかなり多一数ですけれども、折角黒髪会に三人入つて勉強しているのに、黒髪会というようなのができて、一つよそに行つて頂こう、今黒髪に入つている一年の三人に出て頂こう、こういう考えの下に動いている人もある。大別してこの三通りです。それが而も対立状況にあるということですね。  最後に初中教育局長に申上げておきたい点は、あなたのところの大臣はいつも教育委員会を育成強化すると言われておるのでございますが、市の教育委員会は何といつても責任者である。これが妥当な線を出すということと、これをやはり市民に支持させる、バツクアップしてやるということがこの問題解決一つの拠りどころだろうと思うのです。そういう立場から、この適切なる指導と御鞭擁が大事だと思う。国権の最高機関である国会の一つ結論、その力、権力を以てそうして問題を解決しようという考え方よりは私はやはりこの直接繋がつた教育委員会なり、或いは文教の最高府である文部省の口頭でも何でもいい、取計らいによつて解決されるということが、私は、これは民主的な行き方で、又あとにも残らないで円満に最終的解決に辿りつく方途である、私自身はそういうふうに考えております。参考に申上げて皆さんがた一つ御善処を申上げておきます。
  62. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私はこの問題のこの際の取扱いについての、三省態度につきまして簡単に私の希望を申上げておきたい。幸い昨晩委員長関係代表者たちとお会いになつてお話合いの結果、自治的に一つ解決することに減点を以て努力するということが約束されたわけであります。本気になつてこの際は熊本にお帰りになつてそのほうに努力をされることだろうと私は信じます。それから今日まで相当に長い期間両方で争つておられたようでありますが、その間には相当に強い感情も加わつてつたこともあるんじやないかという点も想像されます。ところが相当に長くかかつてもなかなか解決しないという今日におきましては、両方ともそういう感情的な問題はすつかりこの際清算して、本当に両方で話をして行こう、そのほうがいいんだという気持に両方おなりになつている時期が到来しているのじやないか、かように私は思つておりますので、昨晩の委員長とのお話合いは非常に効果的であつたというように思つて私は委員長に感謝しておるわけであります。私の感じ言いますと、これで成功するのじやないかというような、余り楽観し過ぎるかも知れませんけれども、まあそういう気持もしないでもないのであります。で、こういう際に三省があわてなさるようなことはないと思いますけれども、余り急ぎ過ぎて、この際又かれこれ言われて行くということは、又示唆の方法なり或いは勧告というようなことで飛び入つて行かれるということはいろいろな誤解を起して、片一方に悪い感情を与えて、折角自治的にやろうとしてお帰りになつたのを邪魔してしまうというような結果が起つちや大変なことだ、かように私は考えるのであります。非常にいいお考えが三者御協議の結果出て、いよいよ成功するのだという見通しでも出ますれば、明日といわず今日でも勧告なり示唆をすることを希望するのでありますが、なかなか容易なことではないのではないか、だからむしろ私は今日出発してお帰りになつたかどうか知りませんけれども、そのほうの結果を暫くはちつとよく静観されまして、そうして本当に慎重な態度をとつて頂くことがいいのではないか。但し私は多少楽観した見方をしておりますが、そうでない見方もあるわけであります。むずかしい問題であるだけに、それで若し地元でお話合いができなかつたような場合も予想して、万一の場合を心配されて、三省以つてその後の対策を著々御研究になつておるということはこれは必要なことであろうと思います。重ねて申上げますが、この際あわてて急ぎ過ぎないように一つして頂きたい、かように私は考えておりますので私の希望だけを申上げておきます。
  63. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質問ございませんか。それでは私から最後に一言皆さんにお願いをいたして置きます。この問題については昨日から随分論義されましたし、なお又昨日は皆様の総意で私不肖ながらああいう斡旋役をとつたのであります。幸い皆さんからお話のあつた通り、大分解決の曙光が見えて来たことは事実でございます。併しなかなか竹下先生のように楽観していいかどうかということも私自身非常に懸念いたしております。殊に万一の場合は私のほうから乗り込んでも加勢をしようということで自分のほうから進んで下駄を預かつた、かようなことでございます。幸い本日は先ほど来各委員から非常に熱心になお又むしろ御親切に且つ建設的な御意見が多分に出たのであります。恐らく三省の今日お見えの政府委員の諸君も各委員の気持のあるところは十分御了解になつたことと思います。今更私も今までのとつた措置に対してああこう批判は申しませんが、要するにほんの一都市に起つた問題が国会で取上げられた、昨日も相馬君からもお話のありました通り、恐らく文部委員会ばかりでなく、国会始まつての珍らしいケースだつたと私も思うのであります。そのようなことで切に円満な解決を希望してやまないものでありますが、今各委員から非常ないい御意見がたくさんございましたから、どうかそのおつもりで、あわててもいかんし、余り放つてもいかんし、どうかその辺を緩急よろしきを得て特に御親切な慈悲深い目でこれを見てやつて、その間できれば今竹下先生からの御希望の通り、早急に皆様がたで万一の場合はこれは最善な要するに解決策だということをきめて置いて頂きますれば、もつれた場合私どもが出かけますについても、なお又あなたがたさんがおやりになるについても結構だ、万一もつれてあわてて相談したのではとてもこれは問題にならない。これはどうかそういうおつもりで十分に一つ早急に御研究下さいまして、当面の問題の解決策をまずやつて頂き、同時に又各委員からの希望のありました通り、将来の対策について十分御検討下さることを切にお願いいたしておきます。それでは、午仙町中はこれをもつて休憩いたします。午後二時から御出席をお願いいたします。    午後一時五十一分休憩    —————・—————    午後二時二十三分開会
  64. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは午前中に引続いて委員会を開催いたします。  先ずお諮り申上げたいのは理事の補欠選挙の件でございますが、理事の劔木君の委員辞任に伴うて補欠選挙行わなければならないことになつておりますから、互選の方法は成規の手続を省略いたしまして私から指名さして頂きたいと存じますが、如何でございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議ないと認めます。それでは委員長からどうぞ又劔木さんにやつて頂くことをお願いいたします。   —————————————
  66. 堀末治

    委員長堀末治君) それからもう一つ、これは理事会できめたことでありますが、幸い皆様おいでのことでありますからお諮りいたしますが、実はこの間の理事会で明日参議院全体の職員が運動会をする、こういうことになつてつたの委員会を月曜に開こう、こういうことになつておりました。ところが天候がこんなことですから明日はどうもちよつ晴天になりそうな見込みがないというところから運動会を延ばしたそうであります。従つて先のとりきめ通り月曜の委員会を取消して明日に繰上げたいと存じますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  67. 堀末治

    委員長堀末治君) じやそういうことにいたします。明日の十時からでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。なお明日朝ちよつと理事会を開かして頂き、あとのことを相談いたしたい、かように存じます。  なお申上げますが、調達庁の長官は合百は残念ながらいわゆる駐留軍の労務問題の会議で午前、午後米軍司令部に行つておるそうであります。その問題で甚だ恐縮だが、今日は出られないので次長が代つて出るからそういうことで御承知願いたい。こういうことであります。   —————————————
  68. 堀末治

    ○、委員長堀末治君) それでは大阪市立大学校舎の接収解除に関する件を議題といたします。次長から一つ経過を御報告願います。
  69. 山内隆一

    説明員(山内隆一君) 長が今日労務問題の折衝のために出席いたしかねますので、私からその後の経過を申上げたいと思います。根本の接収解除問題は先般本委員会における長官の説明等で御承知願いたいと存じますが、その後の少し技術的な問題としてこの委員会でいろいろの暫定措置として今交渉中であるということを申上げたことがあります。その問題は、第一は道路の開放と門の位置を直してくれということ。それから、二番目には、現在の開放地の中にずつと突出しておるような軍の接収地がまだ残つておる、これを全部解除してもらいたいということ。それから三番目には、公会堂のうしろといいますか、柵がありまして、その柵を接収地の中に入れてもらいたい、こういうこと。それからグラウンドの隣接地に遊休地がありますのを、これを返してもらいたい。この四つの問題を具体的な要求書として提出して、折衝を続けて来たわけでございますが、それに対して九月二十二日付第三十九回委員会で、施設特別委員会でそれに対する正式の回答がございました。それについて簡単に御報告申上げたいと思います。  そのうちで、一番先申しました道路の解放と門の位置、これはこちらが要求したのとちよつと位置が違いますけれども、殆んどこれは五十歩百歩でありまして、支障がありませんわけですが、それについてはそういう、多少位置を変えて承認するということでございます。従つてこの道路は、現在の門の入口から、ずつと通路を通り抜けて、一番突当りのところに門をつけて、それで長い間、これは共同使用というような形になるわけでございます。  それから次に開放地のずつと突出しているものをどうするかということは、これは今の回答としては全部了承したとは言つておりませんが、この中の建物によつては、なくしても、もう必要がないと見られるものがあるけれども、他のまだ幾つかの建物は利用上必要であるということで、一応現地軍としては困るという返事が来たのでありますが、中央部のほうではこれは非常に重大な問題であるし、非常に学校の必要からいつても、これは是非解除したい、こういうことを中央部で、更に又地方の、現地軍の意見に対して、まあ、意見が出まして、それに基いて検討の結果、或る一つの施設は、これはまあなくてもいいが、他のほうは必要だから、これを現在接収していも中に移してもらいたいという問題があるのですが、建物の性質上、これはそのまま移転ということが困難でありますが、代替施設の形で作つてもらいたい、こういうことになつております。従つて今度は代替施設ということになりますれば、日本側として果してできるかどうかということになりまして、目下検討しておりますが、見通しとしてはできるものと考えております。  それから三番目の公会堂の裏の柵を、もう少しうしろのほうに下げて、の接収地の中に入れてもらおうということにつきましては、その柵の、軍の接収地のほうの側に通路があつて、そこを軍の車両が相当通らなければならんので、その柵を接収地に移すと、少し狭くなつて、通行に不便であるから、これはちよつと困難であるという回答になつております。  それから四番目のグラウンドの隣接地の遊休地の解除問題につきましては、今のところできない、こういうような回答になつております。  以上最近の回答について簡単に御報告申上げましたが、こういうふうなことになると思います。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の報告に対して質疑はお互いにあると思うのですが、今日は予定のように、文部大臣に対する質疑ですね、これを今からすぐに行うようにしてもらいたい。かように思います。従つて今の報告に対する質疑は明日改めて……。
  71. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこの問題は質疑あと廻しにいたします。   —————————————
  72. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に昭和三十年度文部関係予算並びに文教政策に関する件を議題にいたします。ご質問を願います。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は文部委員会で文部大臣にお目にかかるのはこれが初めてでございます。文部大臣としてのあなたに、文教に関する一、二の問題を伺いたいと思いますから、誠意があり責任ある答弁を要請いたします。  先ず伺いたいことは、先般の文部委員会で、一応問題になつて質疑が行われたようでありますが、私が若干質疑をする関係上、念のために繰返して伺いますが、それは九月十五日閣議決定されました反民主主義活動対策協議会なるものは、総理府設置法に基くものではなくて、便宜的に内閣に設けたものだ、こういうふうに了承しておるのでありますが、さようか、更にその目的を改めて一応承わりたいと思います。
  74. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 反民主主義活動対策協議会でありますが、これは今矢嶋さんのお話になりましたように、別に法律に基いてというものではないように私承知しております。要するに閣議の相談で、何と申しますか、何人かの閣僚の閣僚懇談会と言つてもおかしいですが、それに関係がある閣僚の協議或いは連絡会というようなものであると思います。その目的は名前にあります通りな趣旨であると私は了解しております。実はこの協議会につきましては、閣議でそういうものを置こうということになりましたけれども、また今日まで一回も会議を開いておりません。従つて実は私どもとしましても、その名前に現われておる以上には、実は十分打合せも協議もしておりませんので、いずれこれは協議会の開催があろうと思いますが、ただ私ども承知しておるのは、その名前に現われておる程度のものであります。そういうふうに御了承願います。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 閣議で決定されておれば、あなたは閣僚でございますから、決定される場合には、提案者から相当提案理由もありましようし、又皆さん方からも質疑をされて、そして閣議決定されたものだと思います。従つて只今の大臣の答弁は若干私は無責任な答弁だと、こう思うわけですが、従つて更に若干伺いますが、この所管の、衆議院の内閣委員会で緒方副総理は、国際勢力並びに極右勢力の国内への運動が看過できないものがあると、従つてそれらに対処するために各関係官庁間の連絡その他を図るために設けたのである、こういうことを説明されたのでありますが、あなたもそういうふうに閣議で決定された場合に了承されておるかどうか、念のため伺いたい。
  76. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) その通りであります。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 しますと、次の質問をいたさざるを得ないのでありますが、それは緒方副総理は衆議院の内閣委員会では、これは曾つての治安閣僚懇談会のようなものだと、こういうことも又答弁されております。私は治安閣僚懇談会のような性格のものであつたならば、文部大臣なるが故にというわけであなたかそのメンバーに入る必要があるだろうかという疑問を打つたわけです。そうしましたところが、丁度この前の二十日の当文部委員会でこの質問があつて、あなたはこういう答弁をされておるわけです。民主主義に反するような活動が文教面で行われた場合、所管大臣たる文部大臣がその対策に当るためのもので、これは当然のことと考えると、こういうように答弁されておるのでありますが、そういう御所見でございましようか。
  78. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これはまあ私は緒方さんがどういうふうに御答弁になつたか知りませんが、只今御紹介になりました副総理の答弁は、どういう場合にそういうお話をなさつたか、つぶさにはわかりませんが、併し反民主主義活動ということは、無論治安に関係する場合もありましようし、それから治安に直接関係がなくても反民主主義的な活動というものはあり得ると私は考えます。この対策協議会は必ずしも治安に関係するものばかりとは私は了解しておらないのでありまして、反民主主義的な活動が行われる場合に、それに対する対策をそれぞれの面において考えると、こういうふうに私は了解をしております。これは名前からいつても、そう了解せざるを得ないものであると思います。そうして反民主主義的活動というものは、これはどういう面においてのみ行われるというものではないと思います。治案を乱すような形で行われる場合もありましようし、いろいろな面において民主主義に反するような活動が行われるということは考えられるのでありまして、従つて文部大臣がこの対策協議会のメンバーに加えられたということは、やはり文教方面においてもそういう活動があるとすれば、それに対する対策を講ずるためのものであると、かように了解しております。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まああなたの釈明をそういうふうに了解したとして、それを前提として更に伺いますが、二十日の文部委員会におけるあなたの答弁を私今申上げたのですが、これによりますと、文部大臣は現在の我が国の教育界に反民主主義活動が行われていると、又将来においてもその起る可能性があるという前提の下に、そういう腹があつての答弁になつているわけでありますが、文部大臣は現在の我が国の教育界に反民主主義活動対策協議会を設けて対策を講じなければならないような反民主主義活動が現在あるとお考えになつていらつしやるか、又将来起る可能性があると、そういうふうにお考えになつておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  80. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは一概には申上げられんことと思いますが、将来そういう活動が行われないということは、これは断言ができないと思います。行われなければ大変結構なことでありますが、行われることがあり得ないということも言えないだろうと思います。そうして、現在そういうことが現実にあると思うかどうか、こういうことにつきましては、これは無論一般的には申上げられません。併し、例えば旭丘の事件、こういうものは私は明らかに反民主的な活動がこの教育の場において行われたと、かように考えております。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 旭丘中学校の問題については、曾つても論じたことですし、瞬間も長くなりますから、ここで論じませんが、私は今大臣の答弁から、はつきり掴めたことは、現在の我が国の教育界にもやはりこういう対策協議会を設けて取締らなければならん動きがあると、将来も、将来のことはわからないけれども、その可能性があるという立場からこの反民主主義活動対策協議会を設け、その方面の教育関係の取締りのために文部大臣がその席に連つたと、こういうふうに文部大臣の説明がとれるわけですが、そこで私は重ねて次の質問を発します。  この反民主主義活動対策協議会については、内閣委員会で審議されているようですが、やはり輿論の示すように、思想言論の統制、抑圧、又政府に都合の悪い運動なり或いは意見、こういうものを一方的に抑える、即ちそれこそ民主主義を破る形になるわけですが、その虞れが多分にあるということを衆議院の内閣委員会でも確認して、先般政府に警告決議をやつておるわけです。又日本の輿論の面にもそういうものが出て来ておるわけです。それを先ず申上げて伺うのですが、そのときに文部大臣が日本の教育界なり或いは日本の六十万の教職員を如何なる眼を以て眺めておるかという、あなたのこれに対する認識の如何によつては、この日本の教育界並びに教育に及ぼす影響というものは極めて大きいと思うのでありますが、今の日本の教育界並びに日本の先生がたというものを文教の府の最高責任者であられる文部大臣としてはどういうふうに見ておられますか、先ずそれを伺つてから次の質問をいたします。
  82. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは私は言うまでもないことと思うのでありますが、殊に戦後の日本というものは、憲法に明らかになつておるように、民主主義を基本とした立派な国を作ると、こういうことになつておる。従つて、この基本として採用せられておる民主主義というものに反するような活動が行われるという場合には、これに対して適当な措置を講じ対策を考えるということは、これはもう極めて当然のことだと思うのでありますからして、この協議会というものができたからといつて、すぐこれは思想を取締り、或いは言論を抑圧する、甚だしきに至つては政府に都合の悪いことを抑える機構であるということは、これはこういうものを作つてこれを濫用しこれを利用して自分に都合のよいことを恐らくするのであろうとこういう推測の下に立つた意見であろうと思う。だから、現にこの協議会によつて何か対策が構ぜられると、それが外へ出た場合に、それは甚だ不都合であるという御批判は、これは当然であろうと思う。併し、民主主義に対するような活動に対してその対策を講ずるということ自体が私は何ら非難さるべき筋合のものではないと思う。これは当然濫用されるにきまつておるという前提でお話しになるなら別です。近頃は例えば教育法案についても、当時これは濫用されるという前提でお話になるから、どうも話が始終行き違いになるように私は思うのです。でありますから、私は今申上げるように、この対策協議会というものができて、それで政府は何かこれた利用して、自分に都合のよいことをやるのだというふうには少くとも私は考えておりません。その点は御了承頂きたいと思います。  それから日本の教職員に対してどういうふうに思うか、こういうお尋ねでありますが、これは五十万人の教職員の個々の人に対してそれがどうであるとかこうであるとかいうことは、無論そういうことは言えるものでもありませんし、実際これはわからんことであります。御承知のように教職員組合というものがありますから、これが若し日本の五十万教職員の行動を代表するものである、こういうことであれば、おのずから話は違います。私は今日の日教組の、これは併し私ども詳しいことを存じませんし、日教組においてもいろいろ反省といいますか、考え方も変つておる点があるかも知れません。でありますからこれも明瞭なことは申上げられませんが、これは私は先に教育法案の審議の場合にもしばしば申上げた通りに、これが必ずしも私どもから見て非常に結構な行き方をしておるとは思いません。併し、だからといつて五十万の教職員をどういうふうに見ているかということは、これはおのずから別問題であります。これは個々の人の問題でありますからして、そういうことで御了承頂きたいと思います。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 民主主義に反する活動を取締るということは、これは当然で、あなたが申すまでもない、これは明々白々のことだと思う。私どもも政府なり又行田総理個人としても、とられておるところの政治的言動というものは民主主義に反するものがあつて、何かこれはしなければと思つているくらいでして、この民主主義に反する活動を取締るのは当然だと思うのです。ただそれが民主主義に反するかどうかという認識の問題が私は重大になつて来ると思うのです。それだけ申上げて伺いますが、文部大臣がこの対策協議会に入つたことは日教組対策をやるために、その目的と使命を以て文部大臣はこれに入つた、こういうふうに私は経緯から判断せざるを得ないのでありますがさようですか。
  84. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私はそういうふうには思つておりません。思つておりませんが、これはありていに申上げますと、内閣側のほうから提案があつて、閣議で説明をされたのであります。その場合に法務大臣以下文部大臣その他数名の閣僚が委員として予定されたわけであります。それは文部大臣がその案のうちに入つておる、これは私が入れてもらつたわけじやありませんが、そういう案として提案されたわけであります。それが日教組の関係でそこに入つておるのか、どういう関係で入つておるのか、その辺はわかりませんし、別に私は質問する必要もないから質問いたしませんでした。ただ反民主主義活動というものは治安の面において影響を与えるような形において行われる場合もありましようし、又必ずしもそうでないいろいろの面において行われ得るのでありまして、どういう場合にのみ民主主義的な活動が行われるか、こう限定される筋合いのものではありませんから、従つて私としてはこの委員を私は関係がないからお断りするという立場ではありません。教育面においてそういうことがあれば、勿論文部大臣としては、さような協議会があろうとなかろうと、当然それに対しては関心を持ち、対策を考えなければならん立場であります。従つてそういう意味で私はその委員として選ばれたことに何も異議はなかつたのです。決して日教組に対してということではありません。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の発言には私は食い違いがあると思う。だから私は更に追及いたします。ということはこの反民主主義活動対策協議会は極左並びに極右勢力を取締るために云々ということをあなたもお認めになつておる。ところがあなたは先般熊本においでになつて、日教組は極左政党だということを公衆の前で断言されたではございませんか。これは日教組は極左政党であるということは、どこからそういう定義を下されたのか、それと日教組を極左政党と言われたあなたであれば、極左勢力を取締る反民主主義活動対策協議会というのは、文部大臣としてはこの前の答弁からいつても、これは対日教組のために入つたのだということが立証されて参るではございませんか。如何ですか、答弁を願いたい。
  86. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 過日熊本で話しましたことについて新聞に報道されておりました。矢嶋委員は恐らくその新聞の報道によつてお話になつておると思います。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうじやない、私は確証を持つております。
  88. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は無論別に隠す必要も何もないと思う。私が熊本で言つたのは、日教組は勿論政党ではありませんから、その意味において日教組を極左政党であるとは申しませんでした。ただ日教組が事実上に政治的な活動をし、そうしてその実態においては殆んど極左政党と選ぶところない政治集団とみていいということは確かに申しました。併しこれは必ずしも熊本で初めて育つたわけではありません。これは先頃の国会におきましても、しばしばその意味のことを当委員会その他において私は申して参つておるのであります。その点はやはり日教組がその後に非常な転向といいますか、方向転換をしておれば、これは別でありますが、少くとも在来の日教組の態度というものについては、私は今日やはり同様に考えておるのであります。ただこの反民主主義活動対策協議会、これは極左政党、極右とか極左とかそういう政党なり或いはそういう団体なりそのものを取締るという意味では私はないと思う。例えば共産党にしたところで、これは合法政党であります。それを取締るといつたつて、団体としてこれを取締るということは、これは現在の法制の許すところでもなければ、又できることでもない、その名前に書いてありますように、この場合に対策を講ずる対象となるものは活動であります。団体とかそういう勢力とか、そういうものを直ちに対象として取締るような対策を講ずるものではないと私は思つております。個々の活動として反民主主義的な活動が行われるような場合に、その活動そのものを対象として対策を講ずる、こういう趣旨のものであると私は了解しております。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは只今熊本の講演について述べられましたが、日教組は極左政党であるとは絶対言わなかつたと、それから日教組の活動は極左政党と異なるところはない、極左政党と同じ日教組は活動をしておるとこういうことを述べた、こういうふうに私は今了承したのですがそうですが。
  90. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは速記録を見て頂ければわかるのですが、日教組は政党ではありませんから、日教組がそのまま極左政党であるなんということはこれは理窟に合わんことで、そういうことは申しません。ただ日教組はその実質においては極左政党と殆んど選ぶところのない団体である、こいうことは言いました。日教組の活動ということは言いません。あとで言つたのは反民主主義活動について取締るということを申しました。日教組の活動が直ちに反民主主義活動である、そういう大ざつぱなことを言うたわけではありません。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは話を少し次に発展させて……。それでは第一問として発しますが、あなたは、自分は熊本の講演では日教組は極左政党であるとは言わなかつたということを、文章で書けますね。ということは、私は熊本新聞記者諸君からじきじきに聞き、熊本教育会の管理者側、それから千六百名の聴衆の相当数からも聞き、又新聞紙上にも極左政党という言葉を使われたということは、はつきり皆さん言われている。一国の文部大臣ともあろう人が極左政党と、日教組を言うことは何たることだろうか、大臣、近頃少し対日教組工作にどうかなつているのじやないかという風評もつぱらなのです。笑い事じやない。従つてあなたは日教組は極左政党だということは絶対言わなかつたということを書面ではつきりできるかどうか、これが一点と。それから第二点は、日教組の活動は極左政党の動きと何ら変るところはない、こういうことを述べられたのは、如何なる根拠に基いてそういうことを言われているのか、その答弁を一つ
  92. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 今も申上げたように、私は日教組の活動が極左活動だと言つたのじやない。併しこれは言葉の問題ですから似たようなものです。そこでただ正確を期するために申上げたので、決して私は逃げ口上を言つたわけでもなんでもない。日教組は極左政党とその実質において殆んど選ぶところのない団体であると言つたのであつて、活動のことを言つたのじやない。併しこれは同じようなことだから、そうおとりになつてもかまいませんけれども、正確になることを申上げておるのであります。  極左政党といつても極左政党と殆んど選ぶところのないものであると言つても大体意味は同じであるかも知れません。併し私はそういうふうには言わなかつたということを申上げます。  そこで新聞の人が聞いたとか、聴衆の間にそういうふうに受取つた人があつたかも知れません、大体似たような意味でありますから。ですけれども、これを一番よく知つているのは私です。私が言つたのですから、聴衆よりはこれは間違いありません、決して若し書面に書いて出せと言われるならば、どういうことになるか知らんが、それは書いてあげてもよろしうございます。よろしうございますが、そういう意味で、これは決してそれを言うては都合が悪いからというのでなしに、ただ正確なことを申上げただけでありますから、その点は一つそういう意味でお聞き願いたい。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたはみずから認められた通り同じことですよ、それは。
  94. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 似たものですよ。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国民、聴衆者に与える印象というものは同じことなのです。  それで私の第二問は、日本の先生がたが極左団体とその性格は変らないということはどこからそういうあなたは結論を出されたのか。ということは、我々が日本の文教の最高責任者とはどういうかたであろうかと大きな期待を持つてつた文部大臣が、はるばる熊本に来て講演された内容は、日本の教職員に対する憎しみと侮蔑に満ちた、日本の教職員に対する不信に満ち満ちた内容のものばかりであつて、この苦境に立つた日本の文教政策の大綱等には殆んど触れられなかつた。私どもは微力ながら一生懸命やつているつもりだが、文部大臣は私どもをああいう眼で見ているのでしようかと、愕然としているのですよ。これは熊本の教職員だけでなくして、あなたの話を聞いた大衆が町の大衆か何かなら余り問題はないのですが、九州全体の教育の責任の場にある全九州の教育長並びに教育委員会の責任者が聞いているわけなのです。而もあなたは偏向教育が県教組の指令で行われているということを言われており、日教組並びに県教組の指導によつて偏向教育が行われていると言われておる。何の理由があつて九州県下の教育長にそういう話をする必要があるのか。この前の十九国会で偏向教育の事例が問題になつたことがあつて、二十四出されました、あなたは。当時の文部委員の諸君からいろいろとあらゆる角度から審議された。併し全部はつきりこれは偏向教育だというような断定は、当委員会も遂に出し得なかつた。あの例の中には、九州は一つもなかつたじやないですか。ところがその九州の教育長並びに教育委員会を向うにして、偏向教育が日教組並びに県教組の指導の下に行われた。そうして而も先まがたに対して憎しみを持つて話された、不信の目を持つて話された。この文部大臣の態度については、あなたはどういうお気持でおられるのか。あなたの見解は、日教組は極左団体と何ら変るところはない。こういうふうに考えておるからというので、所かまわず一部やや偏向教育をやつた人があるからといつて、日本全国を廻つて、そういう話をされる所存であるのか。先ず日教組が極左団体と変るところはなとい断定された根拠と、以下私が申述べた点について文部大臣の御所見を承わりたい。
  96. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は、矢嶋さんは私の演説を聞いておられないのだから……、私は別に……。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 速記録を読みました。
  98. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 速記をとつてなかつたようだが。
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教育委員会はとつてある。
  100. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) まあそれはいい。速記はとつて一向かまわないのですが、私は別に憎しみを持つて言うとか、そういう感情を交えて熊本あたりまで行つて、そういう感情的な演説をした覚えはありません。私は先ほど成立した教育二法律というものの趣旨について今日なお十分了解していない点があるように私は考えておりますので、大体その趣旨を解明するということを主に話をしたのであります。いわんや全国五十万の個々の教員諸君に対して、それが極左的の活動をしておるとか、そういうことは毛頭言つたことはありません。若し速記録にそういうことが書いてあるならお示し願いたい。そんなことは言つた覚えはありません。私は日教組という団体と、そうした個々の五十万の先生と混同する法がない。団体と個々の先生は違うのだ。でありますからして、私は五十万の教職員諸君がこれは非常に極左的な活動をしたとか偏向教育をやつてつたとか、そういうことを言つたことはありません。これはもう一遍速記録をよく読んで頂きたい。  それからこの熊本行つたからといつて熊本県の教職員組合がやつたという意味ではありません。これも速記録をよく御覧になれば決して熊本の人のことを言つた覚えはありませんから、これもよく御覧頂けば御了承頂けることと思います。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 誰がやつたというのですか。
  102. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) やつたとかやらんとか……。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 偏向教育をやつたというが、誰が偏向教育をやり、誰が極左であるというので話されたのか。
  104. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) いや、日教組が極左政党と……。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長、その前に、あなたの言葉の前に文部大臣は団体と個人とは違うと言いますけれども先生が、先生個々人が集つて団体が作られているんでしよう。民主的に考えた場合、やはりその自分で作られておる団体は良心的に責任を分担しなければなりませんし、相関関係にあるわけでしよう。あなたは日教組が極左政党である。極左団体と何ら異らない。これは偏向教育をやつたと更にあなたがこういうことを言つておるでしよう。彼らは道徳教育を否定する。これは暴力革命をやるに当つても道徳教育は邪魔になる、だからそういう道徳教育には反対しているのだ、こういう話をされれば、団体の構成員である先生の問題に繋がるじやないですか。それだけ申上げてあなたの答弁を求めます。
  106. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 勿論先生関係はあります。併し私は団体と個人とは違うと思う、法人格を持つ持たんという問題は別としまして、団体と個人は違うと思う。あなたが一緒だとおつしやるのはそれはあなたの見解です。私は日教組即五十万の教員だとは思つておりません。  それから今のどういうわけで、それならばこれを極左政党と殆んど変らないというならその根拠を示せ、こういう趣旨の御質問であります。これも前国会にしばしばこの問題は起つたのであります。私はこれは私の信ずるところでありますから、これはあなたと或いは見解を異にするかも知れませんが、併し私の見るところを申上げると、先ず第一に日教組というものは本来が教員のいわゆる勤務条件の向上を目的としておる団体である、こういうふうに私了解はしておる、その本質は。従つてこれは政治団体とは思つておりません。併し日教組の現に今までなした来たそのあとを見ると、これは政治的な活動を非常にして来た。政治的偏向が極めて強いということは、これは私はそうであると思つております。これは私だけじやない、世間でもそういう意味のことは大体認めておると私は思つておる。現に日教組の昨年等における経過報告というものを見ましても、例えば選挙闘争なら選挙闘争、国会闘争なら国会闘争、こういうところに非常に大きなページを割き、スペースを割いて、そうして逐一日教組の活動を報告しておるのであります。これは矢嶋さんは私よりずつとよく御承知の通りであります。これが政治活動でなくて何ですか、選挙闘争なら選挙闘争という題目で日教組の団体としての運動の経過を報告しておる、その中に、例えば選挙闘争であるとか国会闘争であるとか、こういうことを非常なスペースを割いて書いておる。私はこれは法律上の意味において政治的団体とは言えないかも知れんが、併し明らかに政治的活動をしておる団体である。
  107. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 合法的にやつておる。
  108. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 合法とか非合法といつておるのじやありません。誰も日教組が非合法だとは言つていやしません。だから……。
  109. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 極左というのはどこから出て来るのですか。
  110. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) だからだんだん説明します。だからこれは一種の政治的団体と実質的において異なるところなしと、こういうふうに私は考えておる。そこで日教組の掲げる綱領、主張、そういうものを見て見るというと、平和四原則ですか、或いは三反であるとか、それから吉田内閣打倒、反動内閣打倒、人民という字は書いてあつたかどうか覚えておりませんが、これは資料を免ればわかります。政権の樹立、これは我が国における左翼政党の掲げておる政綱と一つも違わんと私は思うのです。違いますか。
  111. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 極左政党といえばあなたは何を言つておるのですか。どれを指して言つておるのですか。極左団体といつたら何を指しますか。
  112. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それだから私は極左政党ということは左翼的な政治団体のうちでも左におる政党、こういうふうに私は考えております。けれども具体的の共産党だとか社会党左派とか、そういうことでなくして、ひつくるめて左翼の中の強い左翼である、こういうふうに思つております。
  113. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう不明確な認識で一般の人に話をすることは、とりようによつては非常にたちか悪いし、影響性は大きいのです。あなたが今若干問題を挙げましたが、それをここで論ずると時間がかかるから論じませんが、今まで合法であつた日教組は或る主張を掲げてその主張が或いは社会党と主張の上からいつて何らそれは差はないで、あなたが、如何にもあなたの使われた言葉というものはこれは共産党と違わんのだと、こういうふうにひびいておるわけです、影響が。あなたはそういうふうに言うつもりであつたのか、そうでなかつたのか、それを伺いましよう。
  114. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は不明確な言葉を使うから、つまり極左政党という書案が不明確だから共産党とか左派社会党とか、はつきりしたことを言わなければ誤解が起つて問題が起る、私は別に不明確な言葉とは思いません。例えば保守党なら保主党、保主的政党、これが不明確な言葉でありましようか。これを自由党といい、改進党といい、日自党といわなければ不明確で世間が誤解して、そうして弊害が起るということは私はないと思います。保守的政党という言葉で表わす範囲のものを指しておる、極左政党という言葉で表わす範囲のものを指しておるのであります。それを共産党と無理に言わないからいけないということは私はおかしいと思います。それでなお申上げますが、私はそうであるから日教組が非合法であるとか、その意味において不都合なものであるとかいうことを言つた覚えはありません。私がそのときに申したことを申上げます。速記録を読んだとおつしやるからこれはすでに御承知のことと思うけれども、私はこういう意味を言つたのです。日本の教育が自由党であろうと改進党であろうと保守党であろうと、如何なる政党の手によつてもこれを壟断せられる筋合のものではない。かくのごときは絶対に許さるべきことではない、いわんや日教組、これはその実質においては殆んど極左政党と選ぶところがないのであります。これによつて壟断されていいものか悪いものか、こういうことを言つたのであります。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は話を聞いた人の立場に立つてその影響性という立場から伺つておるわけなんです。従つてその立場から答えて頂けばいいのですが、あなたは日教組は共産党と異なるところはない、そういうことを話すつもりでああいう御発言をされたのかどうか、その点です。
  116. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは前に申上げた通りです。私は何も共産党とか何かとかということじやありません。左翼のうち強い左翼、こういう意味であります。これは先ほど申上げた通りに、又私の使つた言葉はそういう意味にとれると私は思います。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 矢嶋さんの了解を得て文部大臣の今言つておる日教組は極政党と何ら選ぶところがない、何ら変るところがない。こういう文部大臣の見解は私ども容易に了承できない、而も文部大臣は自己の見解としてだけでなしに、これを世間に、公けに発表しておるというに至つては、これは私はどうしても当委員会において明確にする必要があるというふうに考えますので、矢嶋君の発言に関連をしてなお若干の質問をいたします。  今極左政党とはどういう政党を指すのであるか、こういうことについて矢嶋委員から質問がありました。それについて極左という懸念に入る政党を含めておるのだ、こういうことでありますが、現実に文部大臣は日本にもいろいろの政党がありますが、そのうちのどれどれを極左政党と考えておるか、先ずそれをお伺いしたい。私は極左政党がいいとか悪いとか、そういうことを尋ねているのではない、文部大臣はいわゆる極左政党という概念のなかに日本の現実の政党のなかでどれどれを含めて考えておるかという点をお尋ねいたします。
  118. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私が極左政党というのは先ほで申上げたように左翼的な主張を掲げておる政党というものであります。そのうちでも強いそういう主張を持つておる政党、これは必ずしも現実の政党という意味ではありません。現実にこれは将来又どういう分派が起つて政党ができるかも知れない。保守党という場合でも同様であります。必ずしも現実の政党というものしかないというものではないのです。極右といつたところで極右の政党がどういうものがあるか私は知りません、よく。併しそれは御念としてはそれは言えると思うのです。そういう意味でありますから……(「そういう詭弁を弄さず」と呼ぶ者あり)これを詭弁とお考えになればそれまでです。
  119. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど文部大臣は、保守政党という懸念の中には自由党もあり、改進党もあり、日本自由党がある。保守政党といえば一々そういう政党の名前を挙げなくても明白である。私は成るほどそうだと思うのです。今日保守政党といえばそういう政党を指す。又将来もつとほかに政党ができるかも知れない。併し現実には保守政党という以上はこれらの政党を指しておるということは誰もが認める点です。そこで左翼政党といえばかなり私はこの中に入る政党はあると思う。その中でも極左政党ということになると、どういう政党を指すのか、これは観念論じやないのです、日本には左翼政党がたくさんあるのですから。その中でも極左政党というのはどういう政党を指すと文部大臣は考えておるか。それは政党の名前が言えない、将来殖えて来たら殖えて来たでいいのです。幾らでも殖えるでしよう。又将来もつと減つて来るかも知れない、そんなことはどうでもよろしい、現在の政党で、どういう政党を指すと考えておるか、この点を尋ねておるのです。
  120. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して……。私もこの一点についての答弁によつては大いに聞いてみなくちやならないと思つている点なんで、政党というのは具体的にあるものなんです。共産主義だとか社会主義でなくて明白な具象的な事実を伴つた概念なんです。そこで荒木さんの質問にすぱつと答えて下さればよろしいが、すぱつと答えられない場合には、現在の国会に議席を持つておる、即ち共産党、労働者農主党、社会党左派、社会党右派、この四つの中で…(笑声)笑いごとじやない。大体私は私自身が所属する右派社会党を文部大臣はここでいう極左政党とお考えであるかどうかということは、我が党としても問題であると共に、日教組自身としてもこのことは明確かに知りたいと思つているんです。従いましてこの四つはそれぞれ区分けしますと、あなたの言う極左政党というのは四つ全部であるか、それとも左の三つであるか、或いは二つであるか、或いは一つであるか。一ずつと左から並べて共産党、労働者農民党、社会党左派、社会党右派、この四つだけでもいいから区分けして欲しいと思います。
  121. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は甚だ申訳ないことでありますが、一々今いわゆる社会党各派或いは労農党、共産党、そういうそれぞれの現存する政党についてこれた詳しくその主張、主義そういうものを詳しく調べてこれは極左である、これは極左でない、そういう診断を下す材料は持つておりません。ただ日教組は、私が先ほど言つたように、極左ということは左翼の中でも強い左翼、こう考えるのが私は常識だと思います。そこで日教組の考えるところの主義、政綱といいますか、そうしてその実性から見るというと、極政党と選ぶところがない。こういうふうにして、若し日教組が政党として、仮に法律上の政党としてある場合は、これは極左政党である、こういう意味であります。そういうふうに御了承願いたい。何も日教組が現実の、今の諸政党と一緒になつてどうとかいうのじやない。今の場合そういう意味取れるのが私は当り前だと思う。
  122. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部大臣は、これは文部大臣、笑い事ではないと思うのです。日教組は極左政党と何ら変らない、極左という言葉だけではなしに、極左政党という以上は、私は具体的に政党はあつて指摘されなければならん。それを、現実の政党とは何も関係がないのだ、そういう観念と、一方に日教組というのは現実に存在している団体です。これと結び付けておる。これでは極左政党というのはどういうことかわからない。わからないような内容を持つている言葉を使つて日教組と結び付けておるということは、これは了解できない。従つてこれは、大臣はここでこの説明を拒否するつもりだろうと思うのですが、これは正直に言うべきですよ。文部大臣が、日教組は極左政党と変らんと言つているのだから、極左政党といえばどういう政党を現実に指すのか、それは当然言うべきです。言わなければ、具体的には何もそういう政党と関係がないというならば、こういう言葉を使うべきではない。そういう意味において、これはこの委員会において文部大臣の極左政党の内容を、どういう政党がこれに入るか、先ずこれを明らかにしてもらいたい。
  123. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これをして私は逃げを張つているというわけではない。私は現在の日教組は共産党の支店であり、左派の支店であり、労農党の支店とは思つておりません。これは前に申したと思いますが、日教組というものはその実態において、その動き方においては政治団体とも言うべき団体である、こういうふうに私は思つている。これは先ほども申上げましたが、そうしてただ政治団体というだけではなしに、その実体は殖んど政党と同じものだということも、これもしばしば前に叩上げておるのであります。何となれば、日教訓は選挙のたびごとに何人かのいわゆる推薦でありますか、公認でありますか、という候補者を出してそうしてこれに対して選挙資金の援助もして、現に日政連議員団という特殊のものを組織して、そうして国会に議員を送つておる。これは間違いのない事実だと私は思います。(「当り前だ」と呼ぶ者あり)だからそれは当り前ではないと言わない。悪いと言つていない。だからその実質においては日教組自身が政党と選ぶところがない、こういうことは前にも申上げておるのであります。(「ちよつと待つた」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)答弁中ですよ。
  124. 堀末治

    委員長堀末治君) 答弁中ですから……。(「これは答弁と関連がある」「答弁しなさい」と呼ぶ者あり)
  125. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それだから日教組というものは、現在のその性質からいえば、法律的に政党ということはできますまい。併しその実質においては政党と殆んど違わない実体を持つている、こういう私は考え方を持つておるのです。その場合において、日教組は仮に政党であるとして如何なる地位を占めるかというと、極左の地位を占める、こういう意味であります。私は現在の日教組は、現在の社会党とか、或いは共産党とか、労農党の紐付だとは言つていない。従つて日教組については、私は言つた場合に、それがどこの部分に入るかということは、これは質問するほうが無理である。私はそれで了解がおできになると思うので、私の言つた意味はそういう意味です。
  126. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの文部大臣の説明を聞いて、大達文部大臣かかような認識を持つておられるのかということを今更のように非常に私は残念に思います。今日民主主義の国家において如何なる団体でもこれは国会闘争はいたします。又選挙闘争はいたします。選挙をやるということは民主主義国家において許される最も重要なる基本的人権ですよ。これを放棄しろというのはこれは大達さんだけですよ。或いは大達さんの所属している自由党だけだ。この考え自身が私から言えば間違つておると思うんですよ。今日アメリカにおいてもイギリスにおいても、教員組合においても労働団体においても、国会闘争に非常な努力を傾注しておる。単にそういう団体だけでなしに、前国会において御承知になつたように、いろいろの法案については、反対の人たちはその法案が成立しないように国会に働きかけておる、或いは賛成の者はその法案が成立するように働きかけておる。これは国民として誰もが持つておる私は権利だと思う。こういう活動があつてこそ日本の議会政治というのは成り立つて行くと思う。ところが、国会闘争をしておる、これは政党だ、これはなんたる認識ですか。私は日本の国民はすべてが国会に対して関心を持ち、そうしてそれぞれの立場においてその意思が反映されるように国会に働きかけるということは私は当然のことだと思う。こういう国会闘争をするからそれは政党の活動だ、こういう認識を持つということは誠に私は残念なことであると思う。更に選挙闘争をしておる、これは日教組だけではありません。日本の労働団体で選挙に全然無関心なところはない。労働団体だけではありません。農民団体にしても一般市民の人たちにしても選挙には重大な関心を持つている。それぞれの立場でそれぞれ支持する政党の勝利を得るために選挙闘争をしているわけです。これみな政党になりますか。私は国会に対する働きかけ或いは選挙に選挙活動を闘いとる、こういう活動をしたからといつてこれが政党であるというふうな判断は少くとも民主主義国家においては考え得られない。これは当然の常識ですよ。そういうことをしておるからこれは政党と何ら変らないんだ、こういう認識は是正されなければならんと思うのです。そこでお尋ねをいたします。国会に対してそれぞれの立場において自己の意思が反映するように努力する、或いは選挙において選挙活動をする、こういうことが政党ということになるならば、日本国民全部が政党を作つておる、或いは政党員であるこういうことにもなつて来る。こういうべら棒なことはないと思う。あなたは国会に対していろいろな働きかけをする、この場合に団体を組んで働きかけをする、これを政党であると考えておられるんですかどうか。
  127. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 何か荒木君は政党というと如何にも悪いことのように思つておられるんじやないかと……
  128. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういういい加減なことを、そんなこと言つていないんだから。
  129. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私はそういうことを日教組にやめてもらいたいとか、そういうことを育つてはいないのであります。日教組というものの実体がこういうふうに考えられると、こう言つておる。なんにも放免というものが悪いものであるとか、いわゆる極左政党にしてもそれが許すべからざるものであるなんということは言つたこともなければ、そういうことを考えてもいないのであります。ただ日教組の実体を免れば極左政党と同じ実体を持つておると、こういうことを育つておる。私はそれは先ほど申上げたように、どういうわけだとおつしやれば、これはただ選挙運動するとか何とかいうことじやありません。或いは国会に対して陳情をするとか何とかいうことでもありません。その実質においては、その主義主張というものが特殊の問題について国会で陳情したり或いは議員を通じて主張を通そうとするということじやありません。日教組の掲げるところの主義政綱、政綱と言つちや悪いかもしれませんが、綱領といいますか、そういうものから私は育つておるのです。そうして議員を公認をして、公認をしてですよ、そうしてこれはただの選挙運動とか何とかいうものじやありません。そうしてあれは政党の定義というものは私ちよつと忘れましたが、政権を……
  130. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政策を推進する。
  131. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 政策を推進するというなら、政党はそうですが。私は政策を推進するということには、はまつておると思うのです。日教組は平和四原則であるとか、或いは反動内閣打倒であるとか、民主政権樹立であるとか、そういう明瞭な基本的な政治的主張を持つておる。そうしてそれを推進するために選挙のあるときは候補者を公認をして、そうしてそれに対して政治資金を援助して、そうしてその出て来た人は日政連議員団というものを組織しておられる。これは政党と、政党とは言いません、政党とは言わんけれども、政党とあまり違わんものであるということは私は言い得ると思うのであります。併しそれが悪いと言つておるのじやない。日教組はけしからんとは思いません。これは先ほど申し上げたように、自由党であろうと改進党であろうと、政党の手に日本の教育を襲断することがよくないと言つておる。そうして日教組は今申上げるように突貫においては殆んど政党と選ぶところはない。だから日教組が日本の教育を若し襲断しようとするならばいかと、こういうことを育つておる。教育を襲断させることがいけないと言つておるのであつて、日教組が政党的な実体を持つておること自体を私はなんにも非難はしておりません。現実に悪しと言つておるわけでもない。
  132. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あのねえ文部大臣、荒木委員が言われていることは、世界の労組でも日本の労組でも皆選挙運動やつているんです。日教組は今までやつたのは、よしあしは別として、合法的にやつたことは事実である。私も日政連の議員の一人です。そのよしあしはちよつと預けましよう。で、問題を私さつき質問しおつたのにしぼつてつて、いわゆる極左政党と極左勢力ですね。我々は国民大衆に話をする場合に、こういう言葉を使えば相手はどういうふうにとるであろうか、又こういう言葉をしたならば相手にはどういう影響性を持つであろうかということは、これは話をする人はいつも腹に持つて話すことであつて、相手になつておるのが子供か大人か、或いは教育のある者か教育のない者か、何もわからないで、どこでやつても同じ話をするということはないわけです。だから私は大臣にここで伺いたいことは、あなたが熊本で話をされた対象である千五、六百名の方、ああいう方々は極左政党或いは極左勢力と言つた場合に、それをどういうふうにとるとあなたはお考えになられますか。
  133. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) ちよつと質問意味がわかりかねるのですが、極左政党と仮に言つた場合には、極左政党と言つたと、こうとるでしよう。
  134. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは笠間のポイントを外してほかのところを非常に今まで答弁のときしやべつていますがね、物事は現実と離れては人間は考えないものです。日本の保守政党としては、かくかくのものである、これは言いうふうにびしやつとはいつておるわけですね。そうするとここに極左政党という音波がはいつて来る、或いは活字が現われて来るといつた場合に、国是は日本の現実の政党と結び合せてどういうふうにとるであろう、こういうふうにあなたは考えますか。何とも考えないなんていうそんな馬鹿なことはない。それを考えないで話ができますか。
  135. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 強い左翼政党と考えるでありましよう。その通りだと思う。私は無理に具体のものに政党を結び付けて考えることはないだろうと思います。
  136. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の話のところかはつきりしないと前に出れないと思うのです。それで荒木さんがお話ししたことから文部大臣は政党論のほうまで入つで行つてしまつたようですが、非常に話は私は具体的だと思うのです。具体的にあるのは共産党、労働者農民党、左派社会党、右派社会党。それで共産党は、社会主義社会建設のためにはあえて暴力革命をも辞さないということが、まあ社会通念上、はつきりしている。労働者農民党というのは、労働者農民という階級を中心として、これらの利益を護るための政策を打ち出すことによつて社会主義社会を建設する、もう明らかに階級政党一本で行くんだという考え方、それから右派社会党と左派社会党とでは、はつきり、やはり区別があります。我々のほうは、講和条約については既成の事実としてこれを我々は承認した。ただ、安保条約については我々はこれをとらなかつたわけなんです。左派社会党はその両者を排撃したわけです。こういうふうに具体的に、もうはつきりしておる。そこで文部大臣が極左政党だと、こう言うた場合には、一体どういうことをこの概念としているかということはおのずからあると思うのです。そうしてその政党らしいと、こう言つた。まあ政党のことをよく知らんと、言うけれどもそれは詭弁であつて、政党と殆んど同じいのだ、政党と殆んど同じ主義綱領を掲げているじやないかと言うからには、どの程度の認識を持つているか私は知れんけれども、政党のことを知つているのだと……、日本のこの景色はアメリカのロスアンゼルスの景色に似ていると言つたら、どの程度にロスアンゼルスの景色を知つているかということは問題があるけれども、その姿を何らかの杉で知つておるということになりますと、そういうふうな形で極左政党と言うからには、どういうものを概念として持つているかという以外に、事実としてどういう政党がこれに該当すると私見であるけれども思うということが私は先行していなくちやならないと、こう思うのです。そこで影響の点から考てみても、極左政党と言つただけの話で悪いと言わない、こういうけれども、極左政党であると日本の文教の府の最高の責任者の文部大臣が言えば、ああそれは悪いんだと、こういうふうに聞く人が聞くことはこれはもう当然だと思います。そこで文相が首を曲げることがおかしいと言うのです。日教組は枢左政党であると、こうきめつけることは、極左政党であらせたくないという文部大臣の気持がそこに滲み出ていると思うのです。私は日教組の今までやつたことが全部いいとは言つておりません。間違いがあるかも知れません。育つたことも妥当でないことがあつたかも知れません。そういうこは暫くおくとして、今確実に歩みを歩まんとしておるところの日教組を文部大臣が、風呂屋の、三助のおつちやんが言つたのじやなくて文部大臣が極左政党であるときめつけたというこは、これは非常に大きな意味を持つておると思うのです。従つて私は極左政党は何ですかということは飽くまで附かなくちやならない。答えられないと言うならば、具体的に答えられないと言うならば、熊本における発言は自分は間違つていないとは言つたが、影響の面から考えて見てこれは好ましくなかつたということにでもなるならば話は別ですが、あれ何が悪いのだ、おれは考えたことを言つたのだ、こうだけでは我々はこれは困る。引込んでいるわけには行かないので、これはどうしてもおつしやつて頂きたい。それで教えて頂いてもいい。どうかこの点だけは一つはつきりと極左政党という思想概念、それは具体的な政党がどの範に属するものを指すか。文部大臣個人の私見でもよろしいから明快にして頂きたい。この答えによつては私はあと質問をするのだし、その答えによつてはもうあとは何にも聞く必要がない。
  137. 安部キミ子

    安部キミ子君 その点に関連して。大臣は極左政党と何ら変らないと、こうおつしやつていることは、もう認めていらつしやいますね。ところが極左政党という言葉は、これは一つの物差なんですね。そうでしよう。この標本があつてこれと何ら変らない、こうおつしやつて、おられると思うのです。よろしうありますか。そういうふうに私考えておりますが、大臣はそういう御意思でありますね。
  138. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) そうです。
  139. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、その物差と何ら変りがないということをあなたは承認なさる。その物差は何でありますか。例えばですね、そこで左派社会党……。    〔矢嶋三義君発言の許可を求む〕
  140. 安部キミ子

    安部キミ子君 今発言中ですから……。
  141. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議場のことですから、ちよつと行つて下さい。
  142. 堀末治

    委員長堀末治君) 議場とは何ですか。
  143. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この委員会のことです。議事進行。
  144. 堀末治

    委員長堀末治君) 議事進行ですか。
  145. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題は重大だと思つて真剣にやつているのですよ。ところがここに来ておる者でしよつちゆう笑つておる人がある。何ごとですか。委員長整理してしてもらいたい。而も政府委員がこの席におつて徹頭徹尾委員の発言ごとに笑つておる。委員長整理してもらいたい。
  146. 堀末治

    委員長堀末治君) よく注意しましよう。
  147. 安部キミ子

    安部キミ子君 それで今申しましたように、大臣の頭の中には物差がある。その物差の中に、左派社会党は極左政党の中に入つているかどうか、この一言だけお答え頂きます。
  148. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は極左という字を仮に別にして、政党と選ぶところがないということは、初めに申上げました。その場合の政党ということは、現在の自由党、改進党、現存の政党と同じだ、こういう意味ではない。政党という概念から見てそれに当てはまる実体を持つておる、こういう意味で申上げた。極左政党の場合でも同様であります。でありますから、極左政党といつた場合に、現在のいわゆる左翼政党の幾つかのどのうちに入るかと言われても困る。私は極左政党という強い左翼的な政党、こういう概念に合わせて、だから仮に日教組が政党の届出をしておればこれは極左政党ということに私は考えておる。私は日教組自体についてその性格を或いは実体を確認しておるつもりである。どつかの政党と同じだということを言つておるのじやありません。
  149. 安部キミ子

    安部キミ子君 左派社会党のことを聞いておるのです。
  150. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) だから左派社会党と一緒だとは言つてはおりません。極左政党と認むべきものであると、こう言つておる。その場合に、ほかの共産党とか、左派社会党とか、右派社会党とか、労農党とか、そういうものと関係のないことであります。初めに政党と選ぶところがないといつた場合に、それじやその場合にお前は自由党のことだと思うか、改進党のことだと思うかと言われても困るというのと同じであります。
  151. 荒木正三郎

    ○荒木正三君 私は文部大臣にいろいろ質問をしたい、こう考えている趣旨をこの際申述べておいて、それから個々の問題に質問を進めるほうが文部大臣が答弁せられる場合もいいかと思いますので申上げますが、文部大臣が先般来地方に出張して、その地方々々において或いは教育委員会委員の集りにおいて或いは一般公衆の集りにおいて演説されておる内容を総合的に判断を下しますとき、そこに文部大臣の一貫した原図がある、私はそう判断するのです。それは文部大臣はこの地方出張を利用して日教組を誹謗する、こういう趣旨が一貫しておるという問題です。我々はこういう文部大臣の日教組を誹謗する、そういうことに、こういう趣旨で演説されておるということについて、私はこの際文部大臣の心境をどうしても質しておかなければならん、かような考えに基いて質問をしておるわけなんであります。例えば熊本県における文部大臣の演説の中には、こういう趣旨に出ておると判断せざるを得ないいろいろな内容があるわけなんです。私はその二、三を読んでみます。それは教育二法案について、あの法案の成立に反対した人たちを指して次のように、言つておられる。偏向教育をやりたい連中が教育二法が出てはやりにくくなるので反対したとしか考えられない。これは泥棒を取締まる法には泥棒は反対するのと同じ理屈である、これは誠に容易ならん言葉だと私は思つておる。それからこういうことも言つておられる。青少年の道義の低下の問題について、青少年の道義の低下については、その責は教師も相当負わなければならない。然るに逆に日本の道徳を破壊するような教育が行われておる。これは全く教育を冒涜する言葉だと思うのですよ、そういう言葉を吐いておられる。それから今問題になつている日教組は極左政党と何ら選ぶところがない、こういう言葉も言つておられる。それから更に静岡県の教育委員の集りにおいて、やはり日教組は道徳教育反対している、こういう趣旨のことを言つておられる。それから又日教組は平和闘争を推進しているが、これはソ連に与するための平和闘争である、こういう趣旨のことを言つておられる。で、これらを総合すると、これは私は日教組を誹謗する、こういう趣旨に出たものと解せざるを得ない。そういう意味において文部大臣がこういう意図を以て今後とも地方に出張するというようなことであれば、これは許しがたいことであるというふうに考えておる。或いは若し誹謗でないというならば、文部大臣の認識はこれは非常な狂いがある、こういうふうに考える。そういう意味で私どもは今回この問題を取上げておるのだ。で、順次私どもは取上げていきたい、一つ一つの問題について。そこで先ほど問題になつている日教組は極左政党と選ぶところがないと、こういう認識です。私はこれがいいとか悪いとか言つているのではない。事実を歪曲しておるではないかという観点に立つて質問をしているのですよ。事実を曲げておるのではないか。これは意識的か無意識的か私はよく知りません。併し私の判断では文部大臣は意識的に事実を歪曲している、こういうふうに感ずるのです。そういう意味でこの日教組は極左政党と何ら選ぶところがない、こういう意思表示に対して私どもは明らかにしなければならん。そこで先ほどは政党と何ら変るところがない、これは私は軽く見ることはできないと思います。更に極左政党と何ら変るところがないというに至つては、およそ事実を認識しないも甚しいと思う。平和四原則を掲げておる、これを以て直ちに極左政党である。日教組は平和四原則だけを掲げておる団体ではありません。これを以てて直ちに極左政党であるというならば、総評傘下の労働組合は、これは全部極左政党になるわけです。再軍備に反対すれば全部極左政党になるわけです。そういうことは、私は常識のあるものであればそういうことは考えられない。然るにただそれだけを以て極左政党である、こういう認識をするばかりでなしに、これを責任のある教育委員会の会合においてなすというに至つては、私は文部大臣はこれは日教組を誹謗する、或いは日教組と国民の間を離間する、或いは日教組の幹部と日教組の組合員の間を離間する、こういう目的を以て行われたものであると似います。そうでなければ私たち質問に明確に答えてもらいたい。これは極左政党とはどういう政党を指すのか、又それはどういう理由によるのか、そういうことを明瞭に答えてもらいたい。極左政党とは日本の現在のこの政党のうちどれどれをすのか。私は極左政党が悪いとか、いいとか、私はいいと考えている。これは認識はあるでしよう、いい悪いを言つておるのではない。文部大臣は、日本には右翼政党から左翼政党までずらつと並んでおる、非常に数もあります、どれを指しておるのか、それを明らかにしてもらいたいと思います。いい悪いを育つておるのではないのです。
  152. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は地方に参つて講演をする場合に、特に日教組をどうするとか、日教組の悪口を言う。そうして日教組と国民との間、或いは教育関係者との間を離間する目的を以て言つておるというようにお考えのようでございますが、これはそういう気持は毛頭ありません。私は何も日教組の悪口を言わなければならんという必要はないわけです。又そういう方法に上つて日教組と国民の間を離間する、そういう考えは毛頭ありません。先ほど申し上げたように、教育二法律について、その趣旨をよく聞きたいということは、常に地方から要望せられております。そうしてそれに対して私は自分で進んで出向いたわけではありませんが、併し是非出て来て話をしてくれというのは、大体その趣旨によつて教育二法の趣旨をよく解明して欲しい、こういうことで是非来てくれということで私は参つておる。従つて私の話の内容が主としてその点を中心とする、こういうことでありまして、その場合に日教組に言及する場合は多いのであります。多いけれども、これは何も日教組を誹謗するために言つておるのではない。日教組が教育二法律に対して正当な解釈ということについて、今日地方の教育関係の人々が誤解をし、若しくは十分その趣旨が、徹底していない、趣旨が徹底しておらんという点については、これは日教組が今まで教育法案の審議中にいろいろビラを配つたり、パンフレツトを配つたりして、そうして私どもから言うと全く理由のない、教育の法案の趣旨と関係のないような宣伝をしておる、これは今日なお地方にそれが深く根を張つてつて、そうして教育二法律に対する理由のない、何といいますか、或る意味では理由のない心配をしておる向きが非常に多い、だからその点を解明する必要があるのであります。これをはつきりさせなければ教育二法の趣旨が関係者に徹底をしないのであります。でありますから、そのことを言う場合にに言及するということはこれは必然に生ずることであります。日教組のほうから見れば誠に聞いて不愉快なことがあろうかと思います。これは併しやむを得ないのであります。そういう趣旨を私は説明しておる。(「事実を歪曲している」と呼ぶ者あり)歪曲すると言われるが、どういう点を、歪曲しておるか、その点を明らかにして項かたければ、返事のしようがありません。
  153. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 だから順次質問している。
  154. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) こじつけの理屈を言つて事実を歪曲して日教組を誹謗したことはありません。歪曲したと言われるのはどういうことかということを言わなければ、私はそういう嘘を言うた覚えはありません。
  155. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、誹謗している。或いは事実を歪曲していると、そういうことで質問しているのですよ。(「そうなんだ」と呼ぶ者あり)だから、日教組は極左政党と何ら選ぶところがない。これはあきらかに歪曲ですよ。誹謗ですよ。そこで、誹謗でないと言うならば我々の質問に答えなければならない。極左政党とはどういう政党を指すのか。
  156. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は日教組がその実態において殆んど政党と同じようなものである。それから進んで極左政党と選ぶところがないものであるということについては、先ほど矢嶋委員の御質問に対して返事をしたつもりであります。お聞取り頂いたことと思います。
  157. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは駄目じやないですか。先ほども申上げたように、これは日教組の問題については、先ほど国会闘争をする。これにかなりのスペースを割いてその報告をしておる。或いは選挙闘争を掲げておる。これにかなりの力を入れておる。それから平和四原則を掲げておる。これで政党と何ら変るところがない。これで極左政党と何ら変るところがないと、こういう説明であつたのです。これだけでは私は極左政党と何ら変るところがない、こういう判断はできないと思う。そこで、日教組が極左政党であるかどうかは別として、極左政党とはどういう政党を指すのかというころから質問している。その答弁を先ずしてもらいたいと思う。
  158. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これも先ほどからしばしばお尋ねのあつたところであります。私は強い左翼的態度を持つておる政党を極左政党と考えておる。そこで、日教組のその実態を見れば、これをその観念に、はまるところの政党であると思う。こういうことを、言つておるのであります。具体の共産党の支店であるとか、或いは左派社会党の支店であるとか、そういうことを言つておるのではありません。先ほども申上げたように、政党と選ぶところがないということを言つた場合に、これは自由党と繋がりがあるのだ。進改党と繋がりがあるのだということではない。政党という観念と実質においてはその観念に当てはまる団体であるということを言つている。極左政党という場合にも、極左政党という観念に当てはまるところの団体である、こういうふうに思うと、こう言つておるのであります。
  159. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は日教組が極左政党であるかどうかという今質問をしていないのです。政党と何ら選ぶところがないと大臣は、言つているのであるから、極左政党の概念に当てはまる政党の名前を挙げてもらいたい、こう言つているのです。これは日教組とは一応切離して、極左政党という観念、或いは概念に当ては出る政党として、現在日本にある政党のうちどれどれを考えておられるのか。それを二言つてもらいたいと私は言つているのです。日教組がそれの支店になつているとか、応援しているとか、そんなことを尋ねているのじやない。極左政党という概念に入る政党を文部大臣はどういう政党を考えているのか、こういうこと言つているのです。
  160. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これも先ほど相馬君にお答えしたように、私は現存の左翼政党というものについては詳細にこれを分析して研究しておりません。従つてどの政党が極左政党である、どの政党がそうでない政党であるかということをここで申上げるわけには参りません。又そういう知識もない。これは今の日教組云々の問題とはおのずから別個の問題であると思う。今日のそれぞれの政党だつてそれに対して極左政党であるとかそうでないとか、そういうことの批評を私がここでする必要はない。これは私が言つた日教組は極左政党とその実質において変わるところがない、こう言つたこととは関係ないことであります。
  161. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは私は少しおかしいと思うのです。それでは先ほど矢嶋委員質問に対して、日教組は、極左政党と変らんその理由を示せと言われたときに、挙げられたものはこれは平和四原則だけしかないと思う。そのほかには触れておられない。国会闘争をしているとか選挙闘争をしている、これは政党と選ぶところがない、こういう点を挙げられている。そうして、平和四原則を掲げている。だから極左政党と選ぶところがない。そうすると、大臣の考えは平和四原則を掲げている政党はすべて極左政党である、こういう判断かしておられる、こう解釈せざるを得ない。それで間違いありませんか。
  162. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは日教組は御承知の通り、もう政党でありませんから、そう、はつきりと日教組かその政治的意図をことごとく並べているものではない。私は平和四原則を掲げているということに、やはり少くとも強い左翼政党のとる一つ態度である。併しそれで、私はこれを極左政党と、こういうふうに育つているわけじやない。日教組に対する各段の資料を見るというと、そのほかにも例えば教組の根本主張として掲げている点についても、反動吉田内閣打倒、それから人民、人民と書いてあつたかどうか、民主政権の樹立、こういう項目があることは御承知のことでありましよう。一体反動ということはこれは汚職であるとか何とかというような、いわゆるその政党に対する或いは政府に対するこれは批判的なことでありまして、本質のものではありません。そこで今日のこの新憲法の下における内閣というものが、これが非民主的であるということは言えないはずなんだろうと思う。これはちやんと国会において国会の決議によつて政局を担当する内閣である。その成立は憲法の定むる民主的な方法によつてできた内閣であります。これを打倒して民主政権を作るのだということになるというと、現在憲法の考えているものではなしに、別の意味における民主政権というものを考えられなければ、考えられなければですよ、このスローガンだとか町だとかというものは意味をなさない、意味をなさないのです。ところが、そのほか幾らでもあります。若し何故にそういうふうに判定されるのかと言われれば、これは微細に亘つて申上げれば私は幾らでも資料はあると思います。併しそれによつてあなたがたが承服されるかどうかはこれは別問題であります。私はそれらの資料によつてこれは極左政党と大体見るべきものだと、こういうふうに判断しているだけであります。(「極左政党とは何だ、それを聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
  163. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 吉田内閣打倒ということは今日国民の大多数が考えているところである。それは一々私が調べたところではないけれども、国民の声として受取つてもいいくらいになつております。今日改進党まで吉田内閣打倒という看板を正式に掲げているじやないか。これを以て極左政政党の要件の一つに挙げて来る、日教組は反動吉田内閣打倒という看板を挙げているじやないか、こういうことを以て極左政党の一つの理由に挙げて来ている。こんなことは私は馬鹿らしい話だと思うのです。更にですよ、更に、民主政権樹立ということです。これは、これはですよ、民主主義を守つて行くような政権を樹立するということで、これは誰が考えてもそうですよ、それは選挙によつてやる、民主主義によつて法則に従つてやる、そういう意味です。我々が今日吉田内閣が民主主義を守つて行こうという政党であるかどうか、政府であるかどうか、これは我々の自由な判断です。又こういう判断はこれは教員組合であろうと或いはほかの団体であろうと、そういうことは自由にできるはずです。今の政府が民主主義を固く守つて行こうという政府であるかどうか、こういうことについては国民に自由な判断が任されておるのです。日教組が民主政権の樹立、これは民主主義を守ろうとする政府を作る、そういうことでありまして私は当然だと思う。それについて政府や文部大臣はとやかく言う必要はないと思う。それを左翼政党の理由に挙げて来ている、こういうことはこれは常識を以てしては納得できない、先ほど文部大臣が挙げて来た理由は何一つとして文部大臣が言うような裏付にはならない、裏付にならないようなことを考えて極左政党だと、これは日教組を誹謗するための私は悪宣伝だと取らざるを得ないのですよ。若し十分説明する余地があるなら幾らでもして下さい。幾らでも出してもらいたい。今出された民主政権の樹立ということがなぜ極左政党に通ずるか、吉田反動内閣打倒がなぜ極左政党に通ずるか、そういうことを解明してもらいたい。
  164. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は吉田政府を打倒するというスローガンが掲げられているからといつて、これで極左政党だなんということを言つたことは毛頭ないのです。ただその次の民主政権を樹立せよということが少々臭いと、こういう考えを持つておるのです。(「臭いというのはどういうことですか」と呼ぶ者あり)発言を途中でお遮りになると私は答弁できません。詳しく言えということですからこれから詳しく……。そのほかにこの日教組の一体物の考え方というものには私どもとしては誠に現在の法秩序から見て納得の行かない物の見方が非常に多いのであります。これは資料にありますから、例えば新らしく教師となつた人々にという、これは日教組が日教組みずからを紹介しておる正式な文書であります。新らしく教師になつた人々に組合に加入せよ、日教組はかくのごとき主張を持つかくのごとき団体であるということを説明しておる正式の文書であります。この中にどういうことが書いてあるか、「例えばあなたが今社会科の時間に何かの単元で今の社会は駄目だ、これをぶち壊してもつと民主的な生産と消費を合理化したそういう社会にしなければならんと教えて御覧なさい、そういうふうに教えるべきであるのに、あなたは学習指導要領違反となつて或いは職を追われるかも知れません。」成るほどこれは理詰で読めば差支えない問題であるかも知れません。併しその用語は甚だ妥当を欠いている、今の社会は駄目だ、これをぶち壊して、こういう言葉は暴力を連想させるものであると私は思うのです。そうしてそれをそういうふうに教えるのが当然で、あるということは、これは教育の政治的中立性を否定する文句であると私は思つております。  それから例えば教師の倫理綱領のうちにもあります。「いまもつとも大きな問題としなければならないのは、われわれの掲げている平和三原則である。全面講和、中立堅持、軍事基地提供反対という我々の主張はサンフランシスコの講和条約によつて今や完全に敗北しておる」それからとにかく日本のこれは右派社会党ではありますまいが、併し一般の左翼的なこれは必ずしも政党とは言いません。左翼的な立場をとつている人が力説したそれと歩調を同じくするものであると私は思う。  それかこういうことは幾らでもあるのでありますが、例えばこれは日教組の、私の記憶によると日教組の経過報告の中を見るというと、世界の教育者の会議ですか、そこに出席をした日教組関係の人の報告でありますが、これが日教組の経過報告の中に詳細に書いてあるから、これは日教組の活動の一部として考えられておるものと私は考えております。その中に日本における朝鮮人学校の朝鮮人教師は北鮮の民主戦線の確立と同時にその教育の方向を確認して、そして真の、朝鮮ですよ、愛国的な人を作るために努力をしておる。これに対する非常な迫害に対して非常な努力をしておる。これは朝鮮人のことであります。その次に良心的な日本人教師も又これと一緒になつて努力をしておる、こういうことを、これは世界の教育会議において日教組が報告をしておるのであります。これは日教組として報告したのではないかも知れません。日教組の中かから出た教職員のかたが報告したのであります。これは併し日教組が日教組自身の組合活動の一端としてこの経過報告の中に掲げておる。それからこれは私は記憶によつて申上げるので、ここに資料もありますが、例えばこういうことを言つておる。平和闘争、平和闘争こそは如何なるものにむ優先する日教組としての最高の目標でなければならん。我我はこれを推し進めることによつて日本における平和勢力の中核とならなければならん。平和、いわゆる平和教育というものも平和闘争の一貫として意義をなすのであつて従つてただ子供に説教し、教えるだけでは駄目である。これを児童の日常の行動の上に浸透をさして、更に進んで、児童を通じて父兄大衆にこれを徹底させなければならん。これは見る人によつてどこが左翼かというふうに考えられるかも知れません。私はこれは強いた翼的な傾向を持つておるものであると考えるのです。
  165. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣の説明を何つておりますと、私が当初伺つた質問に対する答弁にどうしてもならないのですよ。で、熊本における講演では極左政党云々の言葉で日教組その傘下の先生がたは共産党と何ら異なるところはないんだと、そういう印象を与えて、先生がたは迷惑しているわけですね。そこで大臣は極左政党というものは日本の現実の政立ではどういうものを指すかと、こういう点にしぼつて伺いますと、それに対するあなたの答弁はないわけなんです。そして今いろいろ言われましたが、例えば新組合員に対して云々という、その前後を読んでみなければわかりません。又基地反対云々からサンフランシスコ条約で敗北した云云と、こういうことで直ちに極左政党と私は断定することはできないと思う。而も、これから質問になりますが、大臣は非常に誤解といいますか、認識不十分のうちにみずから一つ結論を独断的に出して、而もそれを対外的に発言される。一つ例を挙げますと、只今民主政権の樹立云々、日教組の運動としてこれは今の吉田政権は憲法的に民主的に成立したものである、それを打倒して民主政権云々ということは、今の憲法でできた政権以外云々ということを言われておる。繰返して民主政権と言われしたが、あの日教組の運動方針にある民主政権ということは、今の憲法下において民主主義を守る民主的な政党を樹立しよう、こういうわけで飽くまでもこれは憲法の枠内である。で、今の吉田政権が又例えば具体的例を挙げるならば、例えば指揮権の発動とか、或いはその後における疑獄汚職の証人喚問の問題、そういう点にとられた態度は、これは民主主義でない。民主主義に反するものだ、こういうふうに彼らは認定しているわけです。それは彼らの自由だと思うのです。これが一つ。  それからもう一つ例を挙げますが、あなたは静岡で平和教育、平和闘争を非難してソ連を中心とする勢力を平和勢力と定義し、アメリカを中心とする勢力を戦争勢力と定義している、これによつて日教組はどんなものであるかわかる、こういうことを行われた。こういうあなたは定義をどこから下したか、これはそこに衆議院の坂田代議士がおられますが、坂田代議士とは私は何遍も論争をやつた。坂田代議士は何遍も証拠を持つている、証拠を打つているというわけです。こういうことから、恐らく坂田代議士からお聞きになつて言われたのだろうと思いますが、今の日教組の平和勢力のそういう定義はそういうふうになつていませんよ。若し最終的に打出したものがあるならば証拠をはつきり示して下さい。あと質問しようと思つたのですが、ソ連を平和努力と断定しアメリカを戦争勢力と定義しているというが、これは一昨年の宇治山田の大会において平和外力、戦争労力とは何ぞやということをずい分議論された結果、そうして日教組は大会の名において平和勢力とはかくかくだ、戦争勢力はかくかくだということを大会において、はつきり打出した。大体において日教組は運動方針においてこういう定義を絶対にしていない、責任をもつてこれは言う。それをあなたはこういうことを静岡の大会で述べられて、そうして誹謗している。これは二つの例でありますが、この点私は非常に不満を感ずるわけです。これに対する答弁と、それから私はあえて極左政党というのを聞かざるを得ない。それで、更に私は変つた角度から伺います。あなたは先ほど日教組は選挙闘争をやる、運動方針として選挙闘争をやる、そうして従来或る政党の、所属の議員を推薦し、これに政治献金までしてそうして国会に送り込んで、そうして政連議員団というのを作つて、云々ということわれました。日教組から推薦を受け、それに支持された議員というものはこれは日教組の運動方針賛成なのです。賛成しておるとすれば飽くまで日教組は極左政党と何ら異ならんということになれば、日教組の運動方針を支持してそれに共鳴し、そうして支持されて国会において日政連を結成している議員は極左政党所属の議員として極左勢力と、こういうことに当然なつて来ると思うのです。これはどういうふうにお考えになつていますか。
  166. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私が日教組はアメリカを中心とする勢力を戦争勢力であると規定し、ソ連を中心とする勢力を平和勢力と規定しておる、日教組が規定しておるということは私は申したことはありません。新聞にそう伝えられたかも知れません。それも速記たちよつと御覧頂ければよくわかることと思います。私はそれならば日教組はそうでないと言つておるとも私は知らないのである。併し世間にはそういう分け方をして更にインドあたりの第三勢力といいますか、そういう分け方をしている人はこれは私はあると思うのであります。日教組がその場合闘争を推し進めて、そうして日本における平和勢力の中核とならなければならん、(「当然だよ」と呼ぶ者あり)こういうことをつておる。そうすると平和勢力の中核というならば、それに相対した勢力というものを想定しなけれげそういうことは、そういう文句は出て来ないはずであります。それが戦争勢力であるのか、第三勢力であるのかは知らんけれども、平和勢力というものの中核とならなければならんというのは、その他の対立する勢力を前提とするものであると私は考える。そこで世間では今のような分け方をしておるとは、これは矢嶋さんも御承知であろうと思う、そういう規定をしておるということは。そうして日教組がそういう言葉を使つておる。そこに私はやはり日教組の左翼的な一つの現われを見ざるを得ないのであります。(「平和を言うのが左翼的か」と呼ぶ者あり)それを以て直ちに日教組を極左外力だとつているわけじやありません。先ほども申上げましたように、実はここに資料があります。この国会当時から大分時間がたちますから、中の詳しいことは忘れてしまつたけれども、一々言えというなら時間を項かなければ言えませんが、例えば大山郁夫君が和歌山県教組の大会に出席して、スターリン死すとも平和は死せずということを言つている。そうしてそれに対して拍手喝采をしているが、その感覚は私は左翼的だと思います。平和というものはスターリンがおつてもおらんでも関係はない。 この場合の平和というものは実は普通に考える、極く素直に考える平和とは意味が違うと思うのであります。それから今の吉田内閣打倒、民主政権樹立ということでありますが、それ先一ほど申上げたように、この辺も私は臭いと思う。先ほど臭いと申上げたが、吉田内閣が、これは民主的政権でないというなら別です。少くとも法律的には民主的手続をとつて、今日の国法に従つて、憲法に則つて政局を担当する内閣であり、その限りにおいてそれを反民主的内閣とは言えません。その内容は別ですよ、一々のことについてどうということじやありません。この場合に、吉田政権を打倒して民主的政権を樹立するという場合には、吉田政府は民主的政府じやないのだということを前提にしなければ(「反対するものは、じや何だ」と呼ぶ者あり)民主政権樹立ということはおかしいですよ。ところが御承知のように民主主義というのは、これも世間では二つあります。同じ言葉を使いながら内容の違つた、はつきり言えば世界観の違つた陣営で同じ民主主義という言葉を使つているわけです。で、これはいわゆる人民民主主義という言葉で区別しているようでありますが、平和ののとについてはく今言うようにどうもこの平和という内容が二通りある。そこで吉田政権を打倒して、そうして民主政権を樹立するという場合には、これは吉田政府は民主政府じやない、こういう前提に立たなければこれは語呂が合わんです。そうすればこのあとの民主政権の樹立というやつは、人民民主政権といえばぴたつとわかる。そこでどうもそうだとは彼らは言わんけれども、私は臭いと考える。そういういろいろなことを考えてみると、私は日教組というものの今日まで辿つて来た足取りといううものは、何といつても左翼的であり、而も強い左翼的なものである、こういうふうに私は判断いたします。  そこで最後に日政連議員団の問題でありますが、日政連の議員団に属せられる議員諸君が側々にどういう考え方をしておられるか、これは私にはわかりません。(「日教組の運動方針賛成なんだ」と呼ぶ者あり)私は日教組の運動方針賛成をして、その日教組の掲げている政策といいますか、政治目的を推進し、そうしてここに現われているような日教組の色彩ですね、いろいろの感じか出ていますが、先ほどちよつと一、二読みましたけれども、それと同じような色彩方向を持つておられれば、これは私はやはり左翼的だと、こう思います。
  167. 中川幸平

    ○中川幸平君 先ほどから各委員質疑を聞いておりますと、よくわかつていることを質問しておられるように思うのです。ただ皆さんの見方が、大臣が日教組を見られる見方に御不満を持つた点に対して質疑を繰返しておられるので、こんな質疑を如何に繰返しても私は無駄だと思うので、それで定足数も足らんようでありますし、休憩するか散会するかにして、これはこの扱いを理事会でお諮りを願いたいと思います。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行について。中川委員から折角御意見がありましたが、私は問題を提出して質問を始めて尻切れとんぼでは困るのですよ。ここで時間がなくなつたからそう長くはやりませんが、定足数云々といつたら今後文部委員会は二十国会でも二十一国会でも開けなくたると思うのです。だからそう長くやりませんが、大体今日のところを大方けりのつくところまで、もう少し開かしてもらわんと工合か悪いのです。それをお願いいたします。
  169. 堀末治

    委員長堀末治君) もう、三十分くらい、でどうでしようか。もう三十分くらい一つ……。
  170. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は、私はこの問題に関連して質問したいことが相当あるわけなんです。ですから今日は五時までなら五時までと、こういうふうに時間をお切りになることは差支えありません。併し残りの分は明日やる、こういうことでなければいかんと思います。
  171. 堀末治

    委員長堀末治君) それは結構でしよう。今日は五時までやりまして、大分遅くなるから明日は又時間を励行してやることにしてそういうことで……。
  172. 安部キミ子

    安部キミ子君 先ほど日教組と文部大臣の対立のようになつて甚だ私は遺憾に思います。私は御承知のように日教組からの推薦の議員でもありませんし、日教組の直接の議員でもありません。ただ私は教育を守るという点から、又平和を愛するという点から、又過去私が教員生活をしていて今までのような教育ではいけないという立場から私はいろいろの事例を挙げて文部大臣は臭い臭いと大変大事のようにおつしやいますけれども、それらのことは私は当然だと思います。私は直接日教組の組合員でもありませんでしたけれども、母親として女性として本当に日本の国の将来を考えるなら戦争勢力に荷担して戦争することを望むというふうな教育者は一人もいないだろう。母親としてもあなた自身だつて日本が戦争になるということを私は心から願つておいでになるとは思えません。だつて大達大臣だつてお子さんもあるし会つてどもが二十四の瞳という映画を見ましたときに、その日の朝の新聞を見ますと大達大臣はこの映画を見て泣かれていた。その真意のほどが如何にあるかしということを非常に皮肉つて書いていました。私は教育二法が通つたときに、若しあの二法が通う前にこの映画ができていて、そうして文部大臣がこの映画を見てくださつたなら、あのような無謀な二法案はお出しにならないだろう。なぜかといえば大達大臣は熊本県でも教育二法案の提出については学者、文化人、報道陣、教育家等から強い反対を受け、殆んど反対の声に埋められたと御自身がそのように日本の国民すべてが反対したということは認めておいでになると思う。そういうふうな国民が反対する二法案をなぜあなたがあなたの力であのように推進されたか。これが反民主主義活動でなくて何でしようか。私は文部大臣のなさつておられるこの教育行政なり惑はいろいろの発言を聞いておりまして、大変恐ろしい文部大臣だと私は率直に思います。戦争をけしかけるような教員が若し出て来たら一体どうなるのですか。平和を愛する教員ができてからこそ初めて日本の国があるのじやないですか。私は先ほどの文部大臣の発言を聞いていて本当に日本の不幸は私は文部大臣が考えを変えて下さらなければ救われないと、こういうふうに考えます。それで先ほどから問題になりました極左政党のこの発言も私は率直にいつて私は日教組の代議士じやありませんよ。ありませんけれども、本当に日本の国民の立場から私はこの発言を撤回してもらいたいと思います。若し今日それができなければ今晩一晩私は大臣によく考えてもらいたい。(「文部大臣が通したんじやない」と呼ぶ者あり)勿論それはそうでしよう、あなたみたいな人がおるから。併し今の国民の感情というものは、原爆というふうな恐ろしい科学兵器ができておる、そのような、きわどい段階に置かれていて、日本国一人々々が平和を守るという決心をしないて、どうして日本の幸福というものがあり得ますか。私どもは政党政派を抜きにして、この平和の問題については、先生も農民も労働者もルンペンも、そうして自由党の皆さんにも私は平和を守るという、この政治に向つてもらいたい、こういうふうに考えます。そこで私はこのことを大達大臣が先ほどいろいろ日教訓の例を出されました。私も聞いたこともあるし聞かんこともありますけれども、あの日教組の事例が何で悪いのですか。あの二十四の瞳のあの女性の六石先生が、あのような苦しい体験を経て、実物語つているじやありませんか、ああいう気持が日本人になかつたら、一体日本はどうなるんですか。私は大達大臣に、あの二十四の瞳の映画を見られた感想を聞きます。正直に話して下さい。
  173. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 安部先生の非常に熱情的な気持ちに敬意を表しますが、併し教育二法案を非常に悪法である、今頃になつてそういうことをおつしやるのは私に腑に落ちない、たしかに安部先生は……。
  174. 安部キミ子

    安部キミ子君 反対しましたよ。
  175. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 御賛成になつたんじやないですか。修正案……。
  176. 安部キミ子

    安部キミ子君 それは修正案はなんですが……。
  177. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 修正案というものは実質においては何も法の実体を変えてはいない。これは要するに、この違反に対する規制の方法を修正しただけであつて、内容的には何も原案と変つていないものです。それに賛成しておつて、それで非常に悪いということを言われるんですが、これは私が思い違いをしておつたということになりましよう。それからもう一つ申上げたいことは、決して私はあげ足を取上げはいたしません。けれども大事なことですから……。私は決して戦争したいとは夢にも考えたことはありません。ただ平和教育を、或いは平和闘争という、そういう運動をしておられるかたがたが、平和を愛する者は自分だけだ、その他の者は皆戦争が好きなんだというふうに考えられる。これは非常に私は心外であります。現在の日本人のうちに誰が戦争したいと言つた者がありますか、ただ如何に平和を維持するかということについてそれぞれの意見が分れるだけであります。それを自分らの、言う通り賛成しない者は、これはみんな戦争を……、それは丁度戦争勢力と平和勢力を割切つてする考え方であります。私は安部さんが若しそういうふうにお考えにしなるなら、この点はむしろ私のほうで訂正をして頂きたいと思います。で、私は私の信ずるところを申述べたのでありまして、それが一部のかたから見て面白くないという御批判があれば、これはその批判は甘受します。甘受しますけれども、それを取消したり撤回したり、そういうことをする意図はありません。それから先ほど申されたうちに、日本国民が全部反対したというようなことを、大臣みずかり認めておるじやないかと言われた。願わくば、もう少し速記録を先まで読んで頂きたい。私は、私の背後には多数の国民が熱心に賛成しておられるということを感じたからこそこの法案の成立に努力したのです。私一人しか賛成しない、一人よがりでこういう、最後まで頑張るなんということはできるものでもなし、そんなことをする気はない。国民みんなが反対のものなら私は何もそれを押切つて成立したいとは思わんということを、その席上で述べたはずであります。私自身が、国民全部が反対したことを、私が勝手に押しまくつたというふうに言われることは甚だ心外であります。あなたは速記録をお読みになるんなら先まで読んで頂きたい。
  178. 安部キミ子

    安部キミ子君 私は戦争勢力、平和勢力の問題につきましては、成るほどあなたがおつしやることにも一理あります。併しあなたが、それならですよ、日教組が平和勢力を教育に入れても、或いは平和を愛することを教育に入れても、それが極左だというふうに烙印を捺される理由はないじやありません。あなたも平和を愛し、それからその次の人も平和を愛する。それなら何もあのようにあなたが、平和を愛するものが、平和四原則をかけたものが極左勢力だと、こういう烙印を捺される理由はないじやありませんか。それにはあなたも喜んで賛成だと、こうおつしやつて頂くのが通念じやないのでしようか。
  179. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は安部さんが政治的な考えとしては、やはり左翼的な考え方を持つておられると思います。(「当り前だ」と呼ぶ者あり)その場合に、極左勢力と言われたことは如何にも面白くない、お前は悪いと言われたようにお考えになることは私は了解できない。私は極左的な考え方を悪いと言つた覚えはありません。ただ教育の場に、これはそれだからそれをよく御知になればわかります、速記録を、あるとすれば。一党一派の手に教育を中断ずることはよろしくない、こういうことを育つたんであつて、日教組、実際極左政党と実体を殆んど同じうしておるような、そう見られるような日教組がやるからいけないと言つたんじやない。一党一派の手に壟断してはならん。自由党であれ、社会党であれ、改進党てあれ、一党一派の手にこの日本の教育の場を独占することはいけないということを言つた。何も極左だからいけないとか何とか言つたんじやありません。
  180. 安部キミ子

    安部キミ子君 ところが、今の一党一派に壟断するという事実がどこにあるのですか。何もないじやありませんか。
  181. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それはなにを御覧になれば、速記録をお読みになつておるようですから、それに詳細説明してあります。
  182. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 明日又やられるそうですから、安部先住の今のお話は……。私はさつき何した関係上、最後に聞きたいと思うのです。それは大臣がお帰りになつたあとですね。熊本県議会が開かれたのです。その議会で或る議員が県の教育委員長に対して、大臣はかくかくの演説をされた。我々は非常に心配する、で熊本県の教育の実態なり教組の活動の実態というものにどういうものかということた質問した。私は誠に適切な質問だと思う。ということは、大臣のあの演説は、大臣がどういう演説をしようか自由でしようが、ともかく大臣の御演説は熊本の人々には日教組の誹謗に終始したという見方が非常に強いのですよ。新らしい文教政策というものは余り聞けなかつた。それに極左政党云々というのが出ましたので、先生自身非常に愕然とし、県民も非常に不安の念に駆られたことは事実です。従つてこの質問が出て来た。それに対して教育委員長は何と答弁したかというと、熊本県教組の運動は極めて穏健で正常である、従つて文部大臣のあの言葉は熊本教育界には全く当てはまらんことだ、こういう答弁をしました。それほどに、これは偏向教育の事例もなかつたこともないのですが、九州全体の教育界とは随分かけ離れたあなたは御演説をされたわけです。それはあなたはそう思わないかも知れませんが、極左政党一々ということは共参党と同じだ、そうして、教職員に与えたところの衝撃というものは非常に強いのですよ。教職員組合で二法案のときに文部大臣は他のいろいろ記事も出ているが、相当強情だとか倣慢だとか、それが大津大臣のいいところだとか、こう漫画まじりにいろいろ出て来た。それで先生がたも、大臣はまあそういうふうなのかと思つた。併し、いやしくも大臣なんだから我々をかわいがつてくれる芯のあるところもあるのだろうと、こういうふうに思つていた。ところが、これ、届いた人並びにあらゆる熊本県の新聞に出た記事からすると、大臣はこれほど、我々を信用してくれんのか、誹謗するのかと言つて、その憤激というものはそれは想像以上ですよ。これは私は大臣に伝えておかなけりやならんと思う。そういう形で、静岡にもおいでになつたようですが、山形にもおいでになつたようですが、全国のブロツク別の教育委員並びに教育長を集めて、大臣がそういう形で演説されて歩くということが私は日本の教育のためになるかどうかですね。どの省の大臣でも地方に出て行つて、時分の部下に対して、お前らは信用できん、けしからんというような演説をするという大臣はないわけですからね。建設大臣もお見えになつた、厚生大臣もお見えになつた、やあ御苦労、しつかりやつてくれ、これであるのに、それは日教組の行き過ぎがあつたかも知れないが、自分らの信頼するところの、頼りとするところの一番最高責任者が来て、そうして想像以上に激越な言葉で誹謗されたという場合に、果してこの教職員にどういう影響があるかということは私は一応考えて頂かなければならない。これに対する御所見と、これ落さないようにして下さいよ、簡単に聞いて行きますから。先ほどの御答弁から、昨日の朝日新聞に出ておりましたあなたの静岡における演説、即ち平和外力と戦争勢力をあなたが定義付けられたことは、そういうことは言つておらんと、こういうことでしたから、あれは朝日新聞の記事の秘伝だとこういうふうに慰められるか。  それから次、あなたは熊本の演説で偏向教育が県教組指導の下に行われておるということを申されておりますが、こういうことを申されたかどうか、申されないか。それ以上に九州地区で偏向教育は県教組の始動の下に行われているということをお認めになるかならないか。  それから次にハ、ハとしては、教育二法に反対する人は泥棒を取締るところの法律を作るのに泥棒が反対すると同様だ、とにかくこういう言葉で二法に対した人を評したわけですね。私は二法に反対いたしました。随分反対論者があつたわけですが、文部大臣の言葉としてこういう言葉が未だに穏当であるとお考えになつておるかどうか。  それからイロハニのニは、これは極左政党云々と述べられたことについて聴衆はいろいろなとり方をしております。大体共産党であると思つております、九州の聴衆は。で、あなたに極左政党とは如何なるものかと荒木委員からいろいろ具体的に聞かれたのですが、終に解明を得ることができませんでした。そうして日政連関係議員は、極左政党、極左勢力だと言わんばかりのお言葉でありましたが、通念において日本国民は極左政党という、こういう極左という言葉を使つた場合にどういうふうにとるかという立場から、あなたがあの教育者を相手に、日教組は極左政党と何ら変らないものであると、こういうふうに述べられたことは、この言葉は今でもあなたは穏当であつた、それともやや説明が不十分であつた、自分の考えておつたことと聴衆に与えたところの、聴衆のとり方との間にずれがあつた、こういうようにお考えになられるかどうか、以上承ります。
  183. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 静岡で、ソ連を中心とする勢力が平和勢力であり、アメリカを中心とする勢力が戦争勢力であるという意味の言葉が出た場合に、私は先ほど申上げたように、日教訓がそう規定しておるというふうな意味の言葉は使いませんでした。そういうことを世間で言いますから、そういう規定に従えばソ連を中心とする努力を平和勢力とし、アメリカ中心とする勢力を戦争勢力とする、そういう規定に従えば、日本における平和勢力の中核とならなければならん、こういう日教組のいわゆる最高方針というものの意味はおのずからわかる、こういう意味のことは言いました。確かに言いました。併し日教組がそういうふうに定義づけておるということは申しませんし、私自身がそういうふうに定義をつけておるということも無論なお更申しません。世間でそういうことを言いますから、そういうふうな規定に若し従うならば、日本における平和闘争を推し進めて、日本における平和勢力の中核とならなければならん、こういう意味もおのずから明瞭である、こういう、意味のことは言つたのであります。  それから次には九州地区において偏向教育があるのかないのか、これは私は私の知つておる資料に、持つておる資料におきましては、偏向教育かあるということを申上げることはできません。
  184. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ないのですね。
  185. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) ないということも申上げられません。それほど文部省は残念ながら各地区における学校教育実情というものに詳細な情報を持ちません。
  186. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それではなぜ県教組が指導してやつておるか。
  187. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それを今申上げます。私は従つて九州地区において偏向教育が行われておるという意味のことを言つた覚えはありません。それから従つて当然に九州地区の県教組がこれを教唆扇動しておるということは無論言うはずはありません。ただ日教組の従来の資料によつてみれば、県教組が偏向教育を教唆扇動しておるということは私はあり得るということは申しました。これは先ほども申上げたように、平和教育というものは要するに平和闘争の一環である、そうしてその意味においてこれを教育の場に、ただ教えるということだけでなしに、進んで児童の実践の日常の行動の上にこれを浸透させる、これは明らかに特定の教育教育の場に持ち込むということでありますから、私はその限りにおいてはこれはそれを若し指令として流せば、これは偏向教育を教唆扇動するものであると認めざるを得ないのでありますからして、そういう意味のことは言つたかと思います。これは一々私は記憶をしておりませんし、原稿を持つて演説したわけじやありませんから、正確なことはわかりませんか、そういう意味のことは恐らく言つただつうと思います。言つた意味はそういう意味であります。  それからその次には偏向教育、二法に反対するものは偏向教育教育扇動しようとするものがやつたのである。こういう意味のことを……。
  188. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それと泥棒です。
  189. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私はどういう言い方をしたかわかりませんが、私が言つた意味は、教育二法と言いますが、これは中立確保に関する法律というふうに特にはつきりさして言つたと思います。中立確保に関する法律は偏向教育を数行の場に持ち込んではならん、これを持ち込むように教唆扇動するものを、これは何人に限らずそういうものを、その教唆扇動を規制する法律である、従つてこれに反対する人は教唆扇動をしようと思う人が反対するんだろう。若し教唆扇動をするという気持がないならばここに反対する理由はないと私は思う、こういうことは確かに言いました。それはあたかも、これは少したとえが非常に悪いというか、強過ぎたかも知れませんが、これは私の言う意味をわかりやすく了解してもらうために言つたのです。泥棒をしようと思うものが泥棒を取締る法律に反対するように、泥棒をする気持のないものなら泥棒を取締る規則が、できたつて痛くも浮くもないはずだ、偏向教育も教唆扇動する気がなければこの中立確保に関する法律ができても痛くも痒くもないはずだ、こういうことを言いました。そのたとえとして甚だ反対をされた、反対というよりは、まあ日教組の意味です。これは日教組の意味ですよ。反対された人にしては非常に不愉快な言い方であつたかも知れません。この点は若しそれで御立腹ならば一つ私はあやまります。ただ私は併しそのたとえが間違つておるとは思いません、思いません。偏向教育を教唆扇動することは差支えないんだという考え方の人かある。先ほどの読み上げました、新しく教師となつたたちにという日教組みずからの組合を紹介する文章は、それは教育者としては当然である。併しそれをその通りつたら大変だ、こういう意味のことが書いてあります。これは偏向教育というものをまあ偏向教育と言つては悪いかも知れませんが、言葉が粗雑になるかも知れませんが、教育というものは政治的中立というものはないんだ、こういう考え方であります。これは国会の中においても須藤君なんかはしばしばその考え方を述べておられます。これは一つの見識であると私は思います。併し現行教育基本法というものにはそれが禁止されておるのであります。で、法律に禁止せられたそれを偏向教育をするのは差支えない、進んでそれを教育の場にやれと教唆扇動することは差支えないという考え方の人はこれは別であります。併しそれはいけないんだということを考えれば、そういうことをしてはならんという法律に反対する理由は私は全然ないと今でも思つております。従つてそれを丁度強いて日教組が反対するということは、日教組が今まで教唆扇動をやつたという事実が存在する限り引続きそれをやるという意図の下に法律が出ては困るから反対する、こういう意味で申上げ、そういう話をしたことは事実であります。(荒木正三郎君「そんな無茶なことがあるか、今日の文部大臣の発言は、僕は取消しを要求しますが」と述ぶ)極左政党という言葉を使つた、その私の、言つた意味は、言つ気持は先ほどしばしば申上げた通りであります。聞く人によつてこれを共産党というふうにとつた人があるかも知れません。私は何も共産党に限定した意味ではないのであります。共産党だけの問題なら共産党と言います。無論共産党は極左政党の最も典型的なものだと私は思つております。だから或いはそういうふうにとつた人があるかも知れませんが、私の真意はそういう何党、何党ということでなしにその傾向を、日教組の傾向を言つたつもりであります。
  190. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終ります。質問したいのですか、時間が来ましたから切りますが、大臣の先ほどの言葉はこれは重大だと思うのです。ということは私はまあ大臣と、ときどき争いますが、委員会で応答したのは初めてですが、私は実際大臣に政治家としても人間としても敬服しておる点もあるのです。又反対している点もあるのですが、併し只今の二法に反対した人は、教唆扇動する考えのあるものが反対したというこの言葉事大だ、私はこのたび二法については教育者でも文化人でも随分反対された人があるわけですが、そういう人はだだ教唆扇動、偏向教育を教唆扇動する意思のあるが故にした、教唆の場合についても又一般反対した文化人その他についてもそういう立場で、考えるのは間違つていないと思うと、公けの席上においてもこの委員会においても、この文部大臣の言葉から聞くということは、私は誠に寒々しい心外至りでございます。これを私は取消して頂きたいと思うのですが、如何でしようか。
  191. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は先ほど言つたような意味で申したのであります。その場合には日教組というものを大体ということで話したつもりであります。日教組については私は従事日教組は偏向教育の事実、日教組の教唆扇動によつて偏向教育は行われたのかどうか、その事はわかりません。これは実際について調てみなければわからんことであります。併しながら、日教組がその決議するところに従えば、偏向教育を教唆扇動したという事実は、これは私は確認せざるを得ないと私は思つております。そしてこれは当委員会におきましても、先ほどの国会中にも同様の質問があつたと私は思います。そのときにも私は同様なことを申したのであります。この中立性確保に関する法律案は日教組を目当てに、目標として出したのであろう、こういうことの質問がありました。その場合にも、実は私は今のような意味のことを申上げました。私は実際そう思つているのであります。これは日教組を目標とするのだろうと言われることは、日教組が偏向教育の教唆扇動をしておつたということの証拠だと思う。若し目標だと、目標だと言われるなら、なぜ目標と言われるか、日教組が教唆扇動しておるから、それだから日教組のほうばかりを目の敵にしてこさえたのだろうと言われたから、私はそういう意味で申上げたのであります。私は今でもそう思つておる。教唆扇動しても差支えないという人の議論はこれは別ですよ。けれどもいけないということを認めながら、而もこれに反対されるということは了解できない。どうしてもそういうふうにしか了解はできないのであります。
  192. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣、あなたはこういうことなんですか。今あなたが説明されたようにはこの聴衆はとつていないし、又そういうふうには報道はされておりません。ところが今のあなたの説明は次のように聞こえるのですか、この二法に反対した一般の人は偏向教育を教唆扇動しようと、偏向教育をやらせようという考え方のもとに二法に反対したのだとは自分は考えないと、併し日教組だけは教唆、いや偏向教育をやろうという意思があるからこの二法に反対したのだと、同じ反対者でも教組と一般とは切離してそこで言われていますが、これはたとえあなたが今分離したのを認めるにしても、日教組は偏向教育をやりたいために、やる意思があるために、この二法に反対したと、そういう立場において、あなたが日教組なり或いは日本の先生方に拳処されるということは、これは曲解も甚だしい、まあ大変なことだと思うのですが、そういうようなことを今言われたと、こういうように了承してよろしいのですか。
  193. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、取消しを私は要求します。
  194. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私は取消しはいたしません。私は今でもそう思つておるのでありますから、取消す理由はありません。
  195. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今、分離して考えておるというのですね。
  196. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 今、熊本でそういうふうに言い分けて私は話したといい記憶はありませんが、私の気持をそういう意味で言つたのだということを申上げたのであります。それは一口に言つて、私は反対する人は、そういうことは差支えないと思う人か、若しくはそれをやろうと思う人か、どつちかだろうと思う。例えばいわゆる学者のような人は、これは思想の圧迫であり言論の自由を抑圧するものだ、こういうようなことを言われましたが、併しこれはそういう教職員団体の組織なり活動を通じて、そうして学校の先生方にいわゆる偏向教育を教唆扇動をしてはならないという規則でありますから、それは成るほどそういう教唆扇動をする言論はこれによつて抑えられて然るべきである、それをなおやらなければ、言論の自由は確保されないということであれば、私はやはりそういうことをやるのが当り前である、若くはやるつもりかどつちかであつたと思わざるを得ない。
  197. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今の問題は私はこれは文部大臣は取消すべきだと思います。その熊本講演に表現されておるごとく、この二法に反対したものは偏向教育をやる意思がある、又たとえにいたしましても、ともかく一国の文部大臣が泥棒という言葉を使つて反対者を評したということは、これは私は直接音波で聞いた人並びに活字で見た人は、決してこの文部大臣の適切なる表現とはとつていないと私は思う。この文部大臣という栄職の立場から私は遺憾の意を表します。  それと私はあなたに特に要望したい点は、私は信じないが、世間ではそう言つておる、文部大臣は政党員から頼まれて、そしてここは日教組をちよつと抑えておかないと次の選挙に工合が悪いのだと、(笑声)笑いごとではない、人がそう言つておる、ポスト・ポストをねらつて、大臣は政党に頼まれて行つて講演をやる、従つて日教組などを抑えるとか、そういう立場で行くものであるから、文部大臣らしい文教講演にならないで、日教組の誹謗に終始するのだ、こういうことを私は信じられないが、そういうふうに言う人が随分ある。熊本でもそう思わない人もあるが、熊本で大臣のを聞いた人は、それでああいう演説をしたのだと、こういうふうに評している人が随分ある。これは評判が一国の文部大臣に若干でも立つということは、私は誠に遺憾であり、而もその全国の先生がたに文部大臣は相当いいように自分を信用してくれていないと誹謗も甚だしいという印象を与えるということは、私は今後の日本の教育の振興と文教行政という立場から非常に遺憾に思うのですが、大臣におかれては少し顧みて頂きたい。私はこういうふうな希望を持つておるわけですが、如何でしようか。
  198. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私も政党員でありますから、選挙運動をしないということは申上げません。併しながらこの頃あの講演に出ましたのは決してその熊本をこつちで選んで、そうしてそういう無味で出たと、こういう意味は絶対にありませんから、そこは一つ誤解のないようにして頂きたいと思います。無論これは九州地区の教育委員の大会を開くから、何とか都合して来てくれと、こういう要請があつて出たのでありまして、私がみんなそれをどこのブロツクはどこへ集まれ、それで自由党の選挙の応援に都合のいい所へ場所を選んでやつたということは全然あり得ないことだし、まあそれは或いは矢嶋さんから言えば御迷惑かも知れませんが、決してそういう意味ではございませんから、その辺は誤解のないようにお順いいたします。
  199. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時九分散会