運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-02 第19回国会 参議院 文部委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二日(金曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            木村 守江君            田中 啓一君            中川 幸平君            横川 信夫君            河野 謙三君            高橋 道男君            岡  三郎君            高田なほ子君            永井純一郎君            石川 清一君            長谷部ひろ君            野本 品吉君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    大蔵政務次官  植木庚子郎君    文部政務次官  福井  勇君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    大蔵省主計局主    計官      谷川  宏君    調達庁不動産部    次長      大石 孝章君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○義務教育学校における教育政治  的中立確保に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (体育行政等に関する件)  (駐留軍による学校施設損害補償  に関する件)   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。  義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案、両案を一括議題に供します。
  3. 野本品吉

    野本品吉君 両案の内容に直接関係はないか知れませんですが、一、二の点について文部大臣の御意見を承わつておきたいと思います。  これは私が申上げるまでもなく、個人尊厳が重んぜられて、自主性創造性の豊かな人間の育成が教育目標であるということは基本法の示すところでありまして、疑いの余地はないと思います。で、この考え方教師そのものにも当てはめて考えなければならんことであります。教師が尊重され、個性の豊かな自主性創造性の豊かな教師であるようにということは同様に考えられなければならん。従つて日本の国の教育の振興というようなことは、日本の国の教育行政と言いますか、文教基本方針として物心両面から、明朗、闊達、創造性の豊かな教師であることができるように努めるということが私は根本の問題だと思う。で、萎縮した教員にのびのびした子供を育ててくれということは注文が無理なんです。そういうようなことについての大臣の御感想、御所見を承わりたい。
  4. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は只今野本さんがおつしやつたと同じように考えておるのでありまして、先生が極めて暢達したのびのびとした教育を行うことによつて子供創造性の豊かな良識のある人間として成長して行く、かように期待しておるわけであります。
  5. 野本品吉

    野本品吉君 もう一点ですが、これはこの法案一つ教育問題として考えて行きますときに、私は本委員会審議全体を一貫しまして次のようなことを心から念願しておるものです。それはこれも私が申上げるまでもなく、教育というものは信頼の上にのみ成り立つ。教師に対する子供信頼子供に対する教師信頼、それから文部省に対する教師信頼教師に対する文教の府である文部省信頼、それから父兄に対する教師信頼教師に対する父兄信頼、そういうようなあらゆる面における信頼ということが教育のよつて行われる基本的な条件である、かように考えます。そこで最近の状況を見ますというと、遺憾ながら私は文部省と現場の教育者との間における信頼が果して十分であるかどうか、それから教師に対する父兄信頼がどうであるか、それから又先生に対する子供信頼がどうであるか、こういうふうに考えますというと、私は教育のよつて立つ基本的条件である相互信頼感というものに或る程度のひびが入つておる、溝ができておる、かような状態では日本教育というものは絶対に振興することができないというふうに考えておる。そういう状況であるところへこの二法案提出されたのでありますが、二法案提出のいい悪いはこれは別の問題といたしまして、私はさつき申しましたお互いの相互信頼というものが二法案によつて裏切られるといつたようなことになつたらこれは大変遺憾なことだと思います。そこでこの法案審議に当りましては政府といたしましても我々といたしましても、現在及び将来の日本教育の上に好ましからざる影響を与えないようにという線の上に極めて細心に、慎重に審議を進めまして、教育そのもの尊厳、それから教師に対する信頼感というようなものに悪影響を及ぼすことのないようにということを私は教育を愛し教員を尊敬しますが故に特に強く考えているわけであります。これは別に質問ということでないかも知れませんが、これらのことにつきましても何か御所見がありましたらばお伺いいたしたい。
  6. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私も全く同感であります。殊に教師とその対象となりますところの児童といいますか、生徒との間の関係は全く相互信頼というものがなければ、これは全然実質的には成立たない、教育というものは成立たないと私は思うのです。生徒児童は、これは飽くまでも先生信頼して先生から教わる、先生から教えられる立場でありますから、従つてかような純粋ないわゆる無垢な信頼を寄せられている先生としては、その信頼に応えるために十分自分の良心において、自分責任において、自分良識に基いて立派な教育を授けなければならんことは、先生のこれは使命とするところであると思うのであります。それがなければ全く教育というものは成立たない、かように考えております。この教育法案というものがこの信頼というものを破壊するというふうには勿論私ども考えておりませんので、ただ先生が今日ややもすると自分主観だけによつて子供を育てる、良識のある立派な子供を育ててるということを考えるよりも、むしろ自分主観自分の主張ということを子供に注入するということに走り過ぎる。その結果は教育基本であるところの中立性を壊すというような虞れがあるということを非常に心配をしておるのであります。子供判断力がありませんから、それでもやはり先生に対しては無限信頼を寄せているごとと思います。併しそれであればこそなお更先生子供が立派な良識のある市民として育つて行くように慎重な配慮と責任を以て教育に当らなければならん。この法案は決して先生を萎縮させるつもりでもありませんし。又先生に不当な影響を与えて、その子供先生との間の信頼関係に水をさすというようなことではなしに、逆に子供無限信頼に応えて、先生のと言いますか、教育が正常の軌道に乗ることによつて、或いは又それを確保することによつて児童先生との間の信頼度高め教育を完成して参りたい、かように念願して提案した次第であります。
  7. 野本品吉

    野本品吉君 これは昨日大臣のお言葉の片鱗で大体わかつているような気もいたしますが、更に明確にしておきますことが今後この法案審議する上において必要だと思いますのでお伺いするわけです。それは昨日も問題になつております偏向された教育事例の問題でありますが、そういう事実が全国至るところにあるから、それを抑えるための法律であるかということど、もう一つは事実はそうはないにしても、今後放置しておくことが好ましくない状態になるであろうということを慮つて未然にこれを防止しようという考え方に立つての提案であるか。この三つの点を明瞭にして頂きたい。
  8. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この教育中立性ということがやかましく世間に取上げられて参りましたその契機となましたものは、御承知の通り昨年の夏休みの山口県における小学生日記、これが表面に出て参つたのであります。そうしてこれも当時当委員会においても私申述べたかと思うのでありますが、それもただ偶然に或る編集者自分考えでたまたまそういう小学生日記を編成したということであれば、これは要するに偶発的な問題としても考え得るのであります。然るにこれが山口教組の名において編纂をせられ、教組の名においてこれが各小学校に教材として採用するように勧奨され、そうしてそれに対しては更に日教組が大会においてこれを支持しておる。この点が極めて一例でありますけれども重大な点だということはしばしば申述べておつたのであります。そうしてその後この偏向教育に関する事例というものが私どもの手許にだんだんと襲まつて来た。併しこれは過日も申上げましたようにどの程度偏向教育が現在行われておるかということは、これは私どもも到底正確には把握できません。ただ今日日本学校教育に最も強い影響力を持ち、事実上の支配力を持つておる日教組というものの動向を見まするというと、私どもから見て極めて偏つた教育を、学校教育の場においてこれを推進すべきことを主張し、そうしてそれを決議をし、これを指示しておるのであります。でありますからして、事例はこれはどの程度事例があるかということは、私ども正確にはわかりません。併しながらこれらの事例日教の指令というものと何らかの関連なしとはこれは常識上考えられないのであります。従つてこの種の事例が或る程度に達したからこの法律考える、こういうものではないのであります。従つてこの法律によつて現に行われておる偏向教育はこれが矯正せらるべきであります。又今後起り得ることあるべき偏向教育は、私どもの希望としては、この法律成立によつて阻止せらるべきだ、かように考えておるのであります。必ずしもこれは今後の危険を予防するだけのことでもないのでありますし、又今日起つておる事態を抑えるということだけでもありませんので、要するにこの法律成立によつて今後の我が国学校教育が正常の軌道に復し、いわゆる偏つた教育というものが影を潜めるということを期待もし念願もいたしておるのであります。
  9. 野本品吉

    野本品吉君 大体わかつたような気がしますが、もう少しはつきりお聞きしておきたいので、もう一つだけお伺いしておきます。そうしますと、今のお話から見て、偏向教育というものが日本教育界全体に瀰漫しておるという認識の上に立つものであるかないかということを一つお伺いしておきたい。
  10. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 只今申上げますように、全体に瀰漫しておるということを断定する根拠はありません。ただ私は考えますのに、そこまで、もう教育がまあ私どもから言うと荒されてしまつては殆んど手の着けようがない、手遅れだと考えるのであります。これは極く例外的の事柄だからそれほど神経質にならんでもいいじやないかという議論をされる人もたくさんあります。併しこれがほかの品物や何かと違つて父兄から見る場合、これはかけ替えのない大事な子供であり、国から見てこれは次代を形成すべき場大事な人間でありますから、でありますから、それは大したことはないから放つておいてもいいじやないかということは、私どもとしてはまあ考えられない。一人でも、二人でも、いわゆる義務教育、憲法なり法律上に基礎を持ち、国の仕事としてやつておる義務教育の場において仮に二人でも三人でも子供が損われるということは、これは看過すべきものじやない。いわんや先ほど申しますように、今日はそういう偏向教育というものを目標として動いておる動きがあるのであります。これははつきりした事実である。そうしてみれば、必ずしも今日これを全国的に蔓延したということの如何を問わず、今日さようなことの起らないように措置しなければならん。これだけは、はつきりどもとしては言い得るのじやないか、で、さような意味でこの法律案を出す、こういうことであります。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 議事進行について。ちよつと議事進行について私申上げますが、今、野本委員の御質問に対しまして大臣から御答弁がありました。この御答弁の中に偏向教育目標として動いている動きが非常に濃厚である、こういう御発言がございました。これは誠に重大でございます。この重大なことに関しまして文部省は先般若干の偏向教育事例というものを出されて国会提出せられたわけでありますが、問題は、偏向教育目標として動いている、こういうことに対しまして、これは非常に法律の根本問題に触れる問題でありますから、私はその前に文部省資料として出されました偏向教育事例、これは昨日の委員会で非常にあいまいに葬られて理事会にかけられた問題でありますけれども大臣の御発言が非常に重大でございますから、一つこれは元に戻して、この事例の問題について、取扱つて頂きたい、こういうことを議事進行として申上げます。
  12. 田中啓一

    田中啓一君 議事進行について。私は高田委員の御発言議事進行とは何らの関係がないと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて私は野本委員の御質疑をお続けになるのが当然である。又それが終つてから一ついろいろの問題について高田議員発言なさることが私は本当だと思う。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 御賛成の声もありますけれども、私は私で又ちよつと納得がいかない。それはなぜかと申しますと、昨日荒木委員文部省国会資料として提出せられました偏向教育事例出場所について文部大臣お尋ねしたわけなんです。ところが大臣は、その出場所について言うことはできない、こういうふうに拒否せられた。ところがそのことと今日は言を異にせられまして、偏向教育目標として動いている動きが非常に濃厚である、こういうふうにはつきり偏向教育のすべての問題を容認せられ、又確認せられるような発言があつた。こうなつて参りますと、昨日大臣荒木さんの質問に対して拒否されたということについての理由が私納得ができなくなつて来た。それで議事進行発言したのです。
  14. 田中啓一

    田中啓一君 やはり議事進行について。やはり今の私は高田委員お話を聞いておつても、これ又何ら議事進行とは関係がない。それはもう要するに偏向教育事例について更に御質疑になりたい、こういうことを意味することなんであります。それはもう私大いおやりに下さつて結構だと思います。やはり私は野本委員質疑を続行することをお願いします。
  15. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 高田さんに申上げますが、私が偏向教育目標として動くと、こう申上げたのは、只今野本さんにお答えしたように、具体的に個々事例を申上げておつたのじやない。目標とする動きということは、偏向教育をすべきことを学校に指示し、そうさせようとする動きがある。具体的な事例言つたのじやない。そうさせようとする動き日教組動向において認められる、こういうことを申上げたのですから、そういう意味でお聞取りを願います。
  16. 野本品吉

    野本品吉君 結局私がはつきりお伺いしたいというものは、この法案教育偏向を防ぐための、つまり現われた事態に対する対症療法として考えることを主とするか、それとも将来そういうことは更に拡大したら困るから予防的な意味か、そのどちらに比重が大きく置かれているかということを伺いたい。
  17. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは現在行われておる教育に対しては、これを矯正しなければならんのでありますが、併し法律の目的とするところは、かかる偏向教育我が国教育の場において今後行われないようにしたい。いわゆる中立確保する、こういう趣旨に御了承を願いたいと思います。
  18. 野本品吉

    野本品吉君 私の質問は終ります。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 私はやつぱりこの文部省から出された資料取扱い、この問題について大臣お尋ねをしたいわけであります。私は国会提出される資料、これは文部省でもそうですし、或いは厚生省でも大蔵省でも結構ですが、国会に出されるその省からの資料というものは、国会審議権を尊重して、国会審議に遺憾なからしむるために出される資料だと心得ておるわけです。そこで文部省から出されまする一切の資料は、そういう国会審議権を尊重する、そして議員審議に遺憾なからしめ、万事疎漏なからしむるためにこれが提出せられるものと解釈するのでありますが、一般のこの資料問題に対する大臣の御見解を先ず承わつておきたいと思います。
  20. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 仰せの通りでございます。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 そこで昨日の問題に若干触れますが、これは私理事会に一応入つた問題でありますから、その問題には触れません。ただ手続上の問題ですが、荒木委員の御質問はやはり文部省から出されました資料を元にして、一応国会審議に基いてされた質問だろうと私は思う。ところが大臣荒木委員質問をこれは拒否せられた形になつた、この拒否せられたことについて理事会はその後の取扱いをまあ御協議になつたようでありますけれども大臣は少くとも私はこの資料に対する委員質問というものを拒否されるということについては、私は非常にこれは遺憾じやないか、こういうふうに考えるわけでございますが、どういうわけで、大臣審議権を無視せられて、議員資料による質疑を拒否せられましたのか、その理由を一応承わつておきたいと思います。
  22. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は決して審議権を無視するというような気持は毛頭ありません。提出いたしました資料につきましても一般的にどういうふうな径路によつてこの資料文部省として収集できたかということについては、一般的には申上げたのであります、ただ個々資料についての出所或いは又調査方法、そういうことに関連をしましては、遺憾ながらお答えを差控えたい、かように申上げたのでありまして、これは昨日も申上げたように、私どもとしてはこの出所或いは又その個々の場合についての調査方法等につきまして、申上げることのできない事情があります。これは迷惑のかかる人があります。併しそういう意味で、できるだけ差支えないことはお答えを申上げたいと思うのでありますが、その点は御了承頂きたい。そういう前提の下にこの資料をお扱いを願いたい。かような考えであります。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 資料そのもの文部省として調査をせられ、その調査に基いてこういう資料が出されるのでございます。然るに大臣はこの調査方法或いはその出所、そういうものについて言うことができないと、これでは私は余りに大まかな御答弁であると思うのです。私も個人の名誉を毀損するというようなことについては、これは言えないかも知れないと思うのですけれども、ここではつきりさしておきたいことは、審議する場合に、大臣として御答弁をすることのできない限界というもの、資料に対して御答弁することのできない限界というもの、その限界というのはどういうところに置かれておるのですか、伺いたい。
  24. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 別に一般的に答弁のできる限界とできない限界というものは私はないと思うのです。私どもとしては差支えない限りの御返事はいたしたいと思つております。ただそれぞれの問題によりましてお答えのできない場合もあり得ることを御了承頂きたいと思います。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 私はその御答弁誠場納得が実は行かなかつたわけです。そこでいろいろまあ調べてみましたけれども大臣国会審議に際して御答弁をなさるということは、当然私は大臣義務だと思うのです。大臣委員会に君臨する存在ではなくて、委員会審議の役に立つ私は番頭のお役目をしていられると思う。そのかたが理由もなくその委員質問に対してお答えにならない前例を作るということは、大変私は面白くない、こう考えましてこういうくどい質問をしているわけでありますが、側々の問題でなければわからないと、こういうふうにおつしやつておりますけれども個々の問題というこになりますと、例えばどういうことがこの出されました資料の中でお答えのできない点でございましようか。
  26. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ほど申上げますように個々事例についての出所調査方法、これは一つ答えることを勘弁をして頂きたい。これは決して私として委員会を無視するとか審議権をどうとかという気持はありません。私ども都合によること、この提出した資料について何でもお答えをしなければならんというものとは、私は必ずしもそう考えておらん。現に衆議院委員会におきましても国警の本部から委員会提出されました共産党内部における日教組動きについての資料、それについて更に詳しい内容それから具体的の人の名前とか、まあ各府県別共産党員の数、まあそれぞれのことを更に追加して資料の要求があつたのでありますが、国警本部では国警本部仕事都合お答えをしておりません。これはやはり役所としての都合ということがありますから、その点は決して委員会を無視するとか馬鹿にするとか、そんな気持は毛頭ないのでありまして、その辺はそういう意味で御了承を頂きたい。若しそれを不十分とお考えになつても、これは実はやむを得ない。そういう意味においてこの資料をお取扱いを頂きたい、こう思うのです。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は大臣のおつしやることはわかるわけでございます。併し全部わかつているわけじやない。これは何でも答えろというようなことはこれは言うべきことでもないし、又すべきことでもない。なかんずく個人の氏名に亘るような問題は、我々又これを聞くべきことでない。又大臣としてもお答えになれない。これはもう基本的人権を守るという、こういう建前から。私はそういうことを申上げているのじやないのでございます。ただ私は文部省として調査をなさつたこと、調査方法などがなぜこの委員会で以て言えないか、この文部省のいわゆる調査方法というものについては今日まででもかなり問題になつて来ておる点もあつたと思う。なぜその調査方法個人の名誉の基本的な人権影響するのか、文部省としてのこの重大な教育基本をなすところのこの調査方法についておつしやり得ないということについては、私納得ができないのでございますが、それはなぜでございましようか
  28. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは幾ら申上げてもきりのないことでございますが、納得が行かなければこれは実はやむを得ない。ただこの出所或いは調査方法についていろいろお尋ねがありますのは、この資料信憑性ということに関連するお尋ねであろうと思うのです。ただこの際特にはつきり申上げておきますことは、文部省資料を言えない、或いは出所を明らかにしないと言いましても、これはちやんと出所があるのでありまして、決して捏造したり勝手にでつち上げをしてここに資料として出した、こういうことはありませんから、その点ははつきり申上げておきます。これは責任を以て申上げます。
  29. 中川幸平

    中川幸平君 議事進行について。高田委員質疑の点は昨日理事会でお任せしたことと思いますから、委員長においてお取りなしを顔うことにして頂きたい。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は理事会でお任せしたこと以外のことを伺つておるわけです。(中川幸平君「以外のことじやない」と述ぶ)それでその次のことについてお伺いをいたします。  それでは文部省はこの委員会資料としてお出しになつたことは、これは全部まあ正しい、全く間違いのないこれは事例である、こういうような御答弁であつたように思いますが、その通りでございましようか。
  31. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 只今申上げたのは、これは文部省が勝手に捏造したりでつち上げて、法案審議の上に皆様のほうの心証をよくする意味ででつち上げて出した、こういうものではないということを申上げたのであります。ただ私どもとしてはこれらの事実は決して事実無根とか何とかいうものではないと、こう思つております。併し思つておりますが、併し客観的にこの一言一句までそうであつたかということはこれは実はわかりません。これは裁判所でも何してみなければわからんことでありまして、併し私どもとしてはこれがどうも事実無根のことらしい、ただそういう情報が入つたからとにかく出した、こういうものではありません。その点は申上げておきます。
  32. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部省国会へ出される資料でありますから、でつち上げとか全然これは嘘であるということを私は御質問申上げておるのではなくつて大臣責任を以てこれをお認めになつたものとして了解してよろしいか、こういう質問です。
  33. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私としてはかような事実があつたものとして提出したわけであります。
  34. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣としては事実であると責任を以てここに信憑性を確認せられたのでありますが、そういたしますと昨日ちよつと大臣の言の葉に洩れたことでございますが、こういつたような資料文部省のほうに自然に集まつて来たものもある。自然に集まつて来たということはどうも私常識でよくわからないのです。風に吹かれる噂のごとく集まつて来るのもこれは自然に集まつて来るのでしよう、いろいろあるのですが、この言葉をもう少し目八体的に大臣お話をして頂いたほうが都合がよろしいので、具体的に一つお話頂きたい。
  35. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは昨日申上げたのでありますが、自然に集まつたという、まあいわば殆んど皆自然に集まつたのであります。昨日資料として差上げました、教育委員会のほうに照会の通達も出して、それに対する回答は殆んど満足すべき回答はありません、ただ資料を送つて来たものはあります。その資料に、これは教育委員会から送つて来た資料であります。それからこれらの事例の中には、地方の教育委員会のかたがたが東京へ出て来られて、そうして話をされた、私ども直接聞いた場合もあります。それから又学校先生が出て来て話をせられた場合もあります。これが自然に集まつたといいますか、そういう種類のものが相当あります。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 教育委員が東京に来て話をした、或いは先生個人が来て話をした、これは自然に集まつたものだというお話ですが、そうすると、そういうふうにして自然に集まつたものに対しましても、大臣としては先ほど責任をお持ちになつているわけでございます。この点は確認して頂きたいと思いますが、よろしうございますか。
  37. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 来て話があつたからといつて、そのままそれを書き取つて資料としてここに提出したわけではありません。話を聞いて私どもの判断で事実そういうものがあつたと思われるものを資料として提出したわけであります。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 昨日大臣はどうもこういうものを調査するときに適当な方法が、調査方法がないということをちよつと言つておられました。私はやはりこれは大臣の本音だと思うのです。私ども考えて、なかなかそううまい調査方法はないのじやないかと思うのです。そこでその適当な調査方法がないのに大臣責任をお持ちになるということはちよつと矛盾するように思われますけれども、これは如何でございしようか。
  39. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 適当な調査方法がないというのは、現状において適当な調査方法が、有効な調査方法がないという、こういうことを申上げたつもりであります。(「国警を使つてつているじやないか」と呼ぶ者あり)これは文部省としてはこの学校の運営に当つている教育委員会に対して、教育の実情について調査報告を求める権限があるのであります。ただ事実は、調査報告を求めても現状では満足な回答をしない、更に困つたことは日教組の書類を見るというと、文部省から流した通牒はこれを握りつぶせということを指令している、日教組は。これは日教組の書類にちやんと書いてある。さような現実があるから有効な調査というものはなかなかできない、こういうことを申上げたのであります。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変文部大臣日教組のことを声を大きくしておつしやるようですけれども、適当な調査方法を阻害しているのは日教組だけでございますか。
  41. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) とにかく日教組というものは、今日絶大な影響力を持つていることは高田先生一番よく知つておられる。この日教組文部省法律によつて当然行使する権限についても、それを妨害するかのごとき指令を流している。これは私はこの点だけは、はつきり申上げます。これは日教組の書類に書いてある、日教組の書類に。
  42. 岡三郎

    ○岡三郎君 今のことに関連して。その指令が、今の文部大臣によると如何にも教育委員会日教組の指令が流れているという御答弁ですが、それはその通りですか、教育委員会に流れているのですか。
  43. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会に……、こいうことなんです。
  44. 岡三郎

    ○岡三郎君 都道府県の教育委員会に指令を流したということですか。
  45. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会に流しているとは言わない。(岡三郎君「それはおかしいじやないか」と述ぶ)こういうことを言つている。「中央本部は、各県で、その真相等これに対する日教組の見解を明白に把握させ、各職場への次官通牒の流布を阻止する方策を講じ、」云々。こういうことを日教組の方針としてやつている。これが教育委員会のほうへ出ているか、それはわかりません。わかりませんが、今日非常な力を持つていることは明白です。たつたこの間日教組が振替授業ということを指令した。これは法律上、言訳をしていますが、法網を潜るような言訳をしているけれども、とにかく全国的な学校の運営について(岡三郎君「そんなことを聞いているのじやない」と述ぶ)いや、日教組支配力を言つているので、これにはとにかく七割の先生を動かしておる。七割の先生を動かすためには教育委員会学校の運営に当つている機関はとにかくこれに動かされておる。これほど強い力を持つておるのです。日教組というものは。(「結構です」と呼ぶ者あり)ですから文部省がですよ。文部省が正当に基く権限の行使、これを邪魔するものがおる。而もその邪魔するものがなお強い支配力を持つておる。これを言うた。教育委員会に指令を流すとそんなことを言つたのではない。
  46. 岡三郎

    ○岡三郎君 大達さんの考え方は今の答弁でわかつたけれども、あんたの答弁されていることを聞くと、教育委員会日教組が指令を流したようなものの言い方なんです。これはあとで速記を見てみればわかる。つまり影響力があるとかないとかいうことは団体がやつていることなんです。そのことについていけねえかいいかということはそれぞれの機関があるのですよ。それに対してその教育委員会自主性を侵されているとか侵されないということになれば、あんたのほうで教育委員会のほうのそういつたものを改編についての案をお練りになればよろしい。で、日教組は当然自分の下部に、文部省のほうに逆に我々から言えば不都合である。余計な干渉をするということがあつた場合には、そういうような干渉に対してそういう干渉を排除するように自分の組織に流すことは当り前なことです。それをとがめることは誰にもできない。いいですか、それをですね、どうするかこうするかは都道府県の教育委員会というものがあるわけです。市町村にも教育委員会がある。その教育委員会が善所すべきことで、それが影響力がある、影響力がない、まぐろの放射能みたいな話をして、そしてそれによつて甚大な影響教育に及ぼされるなんということを育つたつて、そんなロジックの合わない説明で言つたつて、それは、だからそのことで、あとで堂々とやればよろしい。今育つたようなあいまい模糊なやり方、教育委員会日教組が指令を飛ばしたような印象を与える、やつぱり言葉というものは厳重にこれは留意してもらわなければいけない。注意してもらわなければいけない。私は一応、そういうように御警告を一応発しておきたいと思う。
  47. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 日教組がそういうことをするのは当然だというようなことをおつしやるが、文部省から職場へ次官通牒を出すのに、その流布を阻止するような対策を講ぜよというようなことは正当なことであるかないかということは、これは常識的にわかります。これはいけないことはきまつていると思う。日教組はそういうことを言うべき限りではない。
  48. 岡三郎

    ○岡三郎君 法的根拠を示してもらいましよう。法的根拠を示して、よい悪いを法的に明確にしてもらいましよう。今の点で大達さんの気持気持として、それはあんたの御自由だけれども、それがいいか悪いかという法的根拠を明確にしなさい。そうすれば日教組はそういうことについて私はやらんと思う。だからそういう点について、あんたは自分主観で文部次官通牒にこういうことをやるのはけしからんという。文部省がやつておることはもつとけしからんことがあるかも知れない。自分のことを棚に上げて人のことをけしからんと言つておるのだが、悪いなら、いかんならば法律的に詳細にここでお述べ下さい法律的にですよ。
  49. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文部省から出した通達をそれを阻止する、阻止するような方策を講ずると、これは国の行政、行政行動としてする仕事を邪魔せよという、これは一体いいことですか、悪いことですか、常識上これは悪いに決つているじやないですか。
  50. 岡三郎

    ○岡三郎君 常識的じやない、法的に。
  51. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 常識的に言つておる。
  52. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういうね、大達さんむちや言つちやいけませんよ、いいですか、これは文部省から出したことは全部正しいことで、日教組のやつたことはみんな悪いというあんたの思想からそういう判断が出て来ておると思う。文部省からいろいろ通牒やるということはお互いに権限というものをはつきりしておるわけです、いいですか、文部省から通牒を出すということについては、調査報告その他を求めるということは教育委員会法に明確に出ておる、そういう明確に出ておることについて、あんたがたのおやりになることはいい、日教組自分の組織の中にそういう行き過ぎた通牒を出して、文部省がやつておると、そう解釈したときには、その解釈に基いて、この行き過ぎ通牒に対してやはりこれは工合が悪いから阻止しなければならん、これは当り前の話なんです。大達さんの言われるように、そうなると、ただ単なる見解の相違では済まされぬ。いいですか、不当なる理由を出して、こういうことをやつておるから日教組にけしからんという、その根本的な根拠があいまい模糊として、あんたは常識的だと言われるけれども、そんな常識的なことは今の法令の中にないのだ、その点はつきりしてもらいたい。
  53. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 国の行政活動の実施を妨害する、これは批評するならいいですが、内容が不当であるとか何とかいうことを一般に批評もし、或いはそういう論文を出してもそれは差支えない、併しながら現業にそういう通牒を阻止するとか、握りつぶすとか、そういう政府の行政の実施を妨害するということはいけません。内容の問題じやない、内容に意見があるならそれは批評もいい、論評を加えたらいい、併し現実に行政活動を妨害するということはいいのですか、この人事院規則にも書いてある、国の施策の実施を妨害する目的をもつておるものと書いてある、これは明瞭に違法性のものである、これがいいというなら、行政の実施を妨害して差支えないというなら、国の行政をどうして確保されるか、内容を批判するのはいいですよ、行き過ぎがあると思つたら行き過ぎだと批判することはいい、併し現実の行政活動を妨害していいということはどういうわけですか。
  54. 岡三郎

    ○岡三郎君 私はあなたによくお伺いしますが、文部省教育委員会にどういう行政指令、命令を出すことができるか、その範囲を言つて御覧なさい。これははつきりしてもらいたい。
  55. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文部省教育委員会に対して勧告、助言、指導、こういうことができる。
  56. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから文部省は直通に教育委員会によつて、こうせいああせいと言うあんたには権能がないのですよ。ああせいこうせいと言う権能が行政上ないことを、ああせいこうせいと言つておるわけです。だからこういうことは文部省が行き過ぎだという判定に基いてやることは、行政上の違法行為でも何でもない。そんなことを言つたら笑われますよ。行政上の何が文部省に権能があるのですか、何の権能があるのですか。
  57. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 答弁をいたします。先ほど言つたのは報告ですよ。報告については、報告に求める権限があるから、これは報告しなければならない義務学校にあります。それから勧告、助言、これは拘束力はありません。併し勧告、助言をすること自体が文部省法律による権限です。その勧告の実施、助言指導を実施するという、その文部省の行政行動を、その実施を妨害するということはいけません。これは極めて明瞭なことです。併しその内容において行き過ぎがあつたとか、いけないと思う点があつてそれを批判することは勝手です。それを若し現実に通達を阻止するとか握りつぶすということは、これは中身のいい悪いの問題とは違う。悪法ならば法律は破つていいと言うのと同じ議論です。
  58. 岡三郎

    ○岡三郎君 どうも論理が飛躍するので、もうちよつと論理的にすつきりつてもらいたいと思う。つまり行政的に命令とかその他文部省の権限というものがはつきりしておるわけです。都道府県の教育委員会に対してはですよ。いいですか、その中で日教組がそういう指令に基いて、日教の本部で出した、これは教育委員会に対して何の干渉をしておるということはないわけです。これは団体々々で、政府がやろうとしておるのに反対陳情なんか一ぱい来ておるじやないか、全部けしからんということはあんたの思想から言えば、何もやつちやいかん、政府のやつておることに全部反対の意思表示ができないというあんたの考え方なんです。だからいいですか、私の言つておるのは、だから文部省があんたの権能で教育委員会に対して報告を求めろ、これはあんたのほうの権利だからね。あんたの権能でどこまでもやられるじやないか、人が妨害しようがしまいが、文部省はですよ、教育委員会に対して資料を渡せと言うこと、あんたが権能に基いてやることに。それこそあんた、くじらに、はえがとまつたようなことでは、大達さんの強引さから言えば、日教組が何をやつてつても、文部省の権限で報告を求めている。何々教育委員会は、何用何日までに報告を出さないのはけしからん、あなたの権能でできる。妨害ということでなくして一つの運動なのです。それは電気料金を上げる、或いはその他の問題について、政府が地方税を、国庫に移管する、遊興飲食税を国庫に移籍すると、こういうような閣議できめる、文部省よりも主なんだ。内閣全体できめてやることに対して、こういうことに反対だと、国会議員にどんどん陳情に来ているわけです、反対を阻止するというのは……、反対なんです、反対を阻止するということなんです。そういうことまであなたはいけないと言つたら、それはあなた団体のすべての行動の規制になる。それについて弁駁して御覧なさい。そういうことはできるはずはない。
  59. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ほど言つたように、反対が悪いと言つているわけではない。(「論理が変つている」と呼ぶ者あり)    〔岡三郎君「反対ですよ阻止するのは」と述ぶ〕
  60. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 次官通牒の流布を拘束するのでしよう、流布を阻止するので、次官通牒の中を反対しているというのじやない。
  61. 岡三郎

    ○岡三郎君 それだつたらあなたは随分この問題のとり方がおかしいので、それは私は何も感情論で言つているわけではない。いいですか、流布も何も、あなたのほうは教育委員会に対して命令をするわけです。出しなさいと言うわけです。いいですか、何をしようといいわけで、いいですか、あなたのほうが、権能があれは、お出しなさいと言つて、出す権能があるんです。あるでしよう。とめようがとめまいが法律的にある。法律的に拘束できないということを言つた場合、地方の教育委員会がそれを判断して出すか出さないか、やめるかやめないかということは、地方教育委員会自主性においてやるわけなんです。いいですか、団体の行動とあなたは地方教育委員会なら地方教育委員会と混同して、絶大なる影響力日教組にあるという、そういう神がかり的なことを育つても、それはちつとも受取れないと思うのです。
  62. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ほど申上げました通り、報告を求めても、その通達は、今日においてはそれは調査方法もあるはずだけれども、有効な調査方法が期待せられない、こういうことを言つておる。それは先ほど答弁した通り(「主観だ」と呼ぶ者あり)主観ではない。事実上調査ができない。できないその一つの原因としては、日教組が邪魔をしておる、こう言つた
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 私はここで多くを言わないが、そんな文部大臣の筋の通らん話はない。口実はない。この点についてははつきりしているわけなんです。通牒を出したことについて事実であるかないかは、これは文書ではつきりしている。それの問題とは関連してないと言つているのです。私は法律的に言えば、文部省の権限、悪法とか憲法とかいうことでなくして、都道府県教育委員会の権能というものは、明確にあるのです。そうでしよう。そういつた場合、その調査資料を都道府県の教育委員会に出せと言つても、日教組の邪魔があるからうまいものが出て来ない。こう言われるのですが、いいですか、私はそういうことを言つているのでなくして、今大達さんの言つた根本は、反対してはいけない、阻止してはいけない、そういうことは今の社会においてはうんとある。妨害していることについては、いつぱいある。法律案を阻止することについては常時行われている。いいですか、それはそれぞれの国法に基いて、国権に基いて、国民の権利として、団体の権利として、団体の権利としてやつているわけです。それを逸脱したならば、国法に基いてこれを取締ることについては、我々は何ら異論はない。但し問題はですよ、それがいけないというならば、やはり冷静に法的根拠、実態がこうだとか、ああだとかいう論は又にいたしますが、そうじやなくて、やはり教育委員会法なり、文部省設置法なりの立場から、こういつた問題はこうだと言つてもらわんと、そのときの偶発的な心理状況によつて、これはけしからんとか、いいとかいうことは、これは私は困る。それだけ私は明確に、法的に質しておきたいから言つたのです。それだけなんです。だからそういう点についてはけしからんとか、そうでないとかいう、これは感情論の問題じやなくて、法律的にあつさり言つてもらいたい。
  64. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) いや、法的にと言われるけれども日教組法律違反をしていると言つてるのじやない。日教組が邪魔をしているからなかなか有効な報告ができない、こう言つているので、何か日教組法律案をどうしているとか言つているのじやない。ただ日教組が、あなたが言われるように、その内容を反対されることは差支えない、内容を阻止することは、これは許された言論によるとかいうことはあります。併し国の行政行動の実施を妨害するということは、これは私はいけないと思うのです。これはあなたが差支えないと思われればそれまでです。これは私どもの常識ではそういうことは差支えない。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは戦争前のあなたの常識です。
  66. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) いや、戦争があつてもなくてもそれは同じです、そういうことは。
  67. 岡三郎

    ○岡三郎君 それは絶対に違うと思う。文部大臣がそんなことを言い始めるならば、私はこれは保留する。これはそういうふうに言われるならば、私は保留しておく。何も、あなたの考え方ならば、法律に対する是正運動ということはできないということになる。(「それは全然違う」と呼ぶ者あり)違うと言つてもあとにする、今ここで言つてもしようがないから。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題に関連しまして、大臣お尋ねいたします。今大臣お話なつ文部省の流した文書について、日教組がこれを握りつぶすように指令を出している、こういうお話でございます。実はこのことを聞いたのは今初めてであります。従つてこれが事実かどうかということについては、私も後刻直接に調べたいと考えておりますが、ただ若干疑問に思う点は、文部省の通達というものは、私は教員組合の組織を通じては全然流れるものじやないと思います。これは教育委員会に宛てられたものであり、教育委員会に出された通達であると思うのですが、従つて教育委員会の系統を通じて流される性質のものだと思うのです。従つてこれが教員組合によつて、握りつぶされるということは、実際上考えられないのではないかというふうに考えるわけなんですね。どういうことで、これが阻止されたり、握りつぶされたりされるか、どうもよくわからないのです。そういう意味で御説明を求めたいと思います。
  69. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この点はですね、私どもから日教組のほうへ聞いてみたいと思うくらいでありまして、日教組はどういう方法で、その通達の流布を阻止する方策を講じているのか、これは私どもにはわかりません。無論教育委員会に対する通達でありまして、日教組はその間に介在すべき限りではありません。併しそれに対して、日教組がその通達の流布を阻止する万策を講じた、こういうことを言つている、どういう方法でやるのか、その点、私どもにはわかりません。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は組合が組合の考え基いて、その組合員にいろいろな指令をする場合があると思うのです。その指令はそれは組合の自主的な判断、自主的な考えに基いて出すことであつて、これは私は組合の自由な意思によつて決定されて何ら差支えがないと思います。それは併し組合内部の問題で私はあると思うのです。ところが文部大臣お話になつたのは。文部省の通達を組合が阻止するということはあり得ないことだ、そういうことは現実になそうとしてもなし得ないことだというふうに、まあ私は考えます。ということは、それは教員組合とは全く別個の教育委員会の組織を通じて流される問題ですから、そういう点で私の常識から判断すれば阻止するというふうなことは事実上あり得ないというふうに考えておるのですが、大臣はこの文部省の通達によつて十分な調査ができないのだとおつしやつております。私はそんなことはあり得ないと思いますが、大臣所見を聞きたいと思います。
  71. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 日教組が、その組合と組合員だけの間の動きではそれはあり得ないことでございます、教育委員会は別の機関ですから。併しそういう方策を講ずるということを言つておるのでありますから、日教組は何らかの方法によつて教育委員会のほうにその影響を及ぼして、そして教育委員会をしてそういう通達の流布を阻止する、やらせないようにする、こういうことをいつているものとしか私どもには考えられない。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほどから文部大臣は、日教組日本教育を支配するような力を持つてているとか、いろいろお話があり、ました。この問題については私には非常な疑義がありますので、これは後刻改めてこの問題についてはお尋ねをいたしますが、少くとも日本教職員組合が教育委員会に働きかけて、こういつた通達を阻止する力も持つておりませんし、又阻止するような考え方は私は持つていないと思うのだ。それは教育委員会を通じて流される通達そのものを、組合が直接圧力をかけてそれが流れないようにする、そういうことは私は事実上あり得ないというふうに思います。その通達の内容をもつと詳細に私は吟味したいと思つておりますが、これは組合員に対する組合の考え方を指示しているのであつて、そうして教育委員会にそういう働きかけをしているとは私は全然考えられないと思うのですが、考えてもそんなことは成り立たないというふうに思つているのですがね。今文部大臣教育委員会に働きかけてそれを阻止するように考えておるのじやないか、こういうふうな説明があつたのですが、そういうことは常識として考えられないというふうに思うのですが。
  73. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会に対する働きかけが常に法律に根拠のある働きかけということであれば、これはお話通り法律に根拠を持たない支配、影響というものが教育委員会に及ぶはずがありませんし、現実の問題としては、やはりそういう影響を受けるということはこれは考えられることであります。現に教育委員会法においても教育委員会教育に対する不当の支配を排除する、この不当の支配ということは勿論法律に根拠を持たない支配のことをいう、だから法律の根拠を持たない支配というものはあり得ないというのはこれは現実の問題としてはないのであつて、現に学校の授業、日曜日に出て月曜日に休むというようなことは、これは教育そのものの問題じやありません。これは学校の管理であり学校の運営の問題であります。従つて日教組はその組合員たる教職員に対してさような指令を出してみたところで、これはそれによつて日曜日を月曜日に取り替るということはできるはずはないのです。これは明らかに学校の管理、運営の問題であつて個々教員に対する限りではありません。然るに日教組の指令は、この学校管理運営の上において明らかに教育委員会に極めて重大なる支配力を及ぼして、そうして全国七割に及ぶ学校が振替作業というものをやつた。これはたつたこの間の事実であります。これがつまりティピカルな教育に対する不当の支配の場合であります。私はそう思つておるのでありまするからして、日教組が何と思つて見たところで教員委員会教育委員会で、これは日教組とは別物だ、それに対してどうしようもないはずだ、それはあなたはそういうふうにお考えになるかも知れないけれども、現実の問題は必ずしもそうではない、これはこの間の振替授業によつても明らかにわかつておる。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは今大臣は他の例を以て、実際上は教育委員会に働きかけ、それを阻止したのではないかと、こういうふうに説明されましたが、私は他の例を以てこれを律するということは了解できません。又今挙げられた例についても私には意見があります。文部大臣の今述べられた見解については意見がありますから、それは保留しておきますが、現実に教員組合が教育委員会に働きかけてその文書を阻止したということは私はあり得ないと思う。あり得るとするならば、やはりこれは事実を挙げてもらわなければならない。そういうことは考えられないことだというふうに思います。    〔「あり得ることだ」「うるさい」と呼ぶ者あり〕
  75. 川村松助

    委員長川村松助君) 静粛に願います。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なお先ほど大臣が挙げられた過般のこの振替授業の問題について、教員組合の指令によつてあの振替授業が行われたように簡単な観測をしておられるが、この問題は私はいつかの機会に、その実態に触れてみたいという考えを持つておりますから今日はこれを省きますが、ただあれを簡単に見るということは私は慎しむべきであると思います。あれについてはいろいろの問題がありますので、時間をかけてやりたいと思います。そういう意味で私は文部大臣教員組合が教育委員会に不当な圧迫を加えておる、こういう判断は了承できないのです。従つてそういうことがあれば事実を挙げて、単なる想像じやなしに、挙げてやはり説明して頂かなければ了解できません。
  77. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 不当の支配を及ぼしておる事例としては、一番大きな、而もはつきりした事例は、この間の振替授業に対する事例であります。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今質疑されておる問題は、文部省の流した通達が阻止されておるということを質疑いたしておるのです。そのことについて実例を挙げて頂きたい、こう言つているのですから、他の問題で例を挙げられても、それは何ら答弁にならない。
  79. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 不当の支配を及ぼしておる実例について言えと言われたから、さようにお答えしたのです。あなたは日教組教育委員会というものは別個の機関であつて、その間何も仕事の上の連絡はないはずだが、従つてそれに対して影響が与えられるはずはない、そういうことはあり得ないと思う、こういうふうにおつしやるけれども、そういうことであれば、あり得ないということであれば、この教育委員会のほうあたりの不当の支配なんということはあるはずはありません。不当の支配ということは普通にはないはずの支配が及ぶのが不当の交配であります。こういう現実に不当の支配があるということは委員会法においても認められておる、それを排除することが委員会のできた一つ基本的精神だ、こういうことが法律に書いてあります。不当の支配ということはあり得ないのだ、常に法律的な根拠を持たない支配ということはあり得ないのだということは私は実際の事実とは反しておると、私はかように考えおります。
  80. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その問題については、果して教育委員会に不当の支配があつたかどうかは私は留保しておるわけであります。今尋ねておる問題はこの文部省の流した通達について、教員組合が教育委員会に不当な圧迫を加えて、そうしてこれを阻止しているのじやないか、こういう文部大臣の説明であつたわけです。従つて私はそういうことはあり得ない性質のものじやないか、こういうように考えておる。ところが大臣は、あり得る、こういうことで他の例を持つて来ておられますが、他の例を持つて来ないで、この問題自身について私は事実を挙げてもらいたい、こう言つているわけです。
  81. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私が言つたのは、文部省の通達に対して、日教組がその通達の流れることを妨害しようとしておる、こう申上げておる。こういうことを日教組に従えば、これは非常に成功をしたと言つております。これは日教組の大会における経過報告の文書によつて明瞭であります。
  82. 岡三郎

    ○岡三郎君 通達として、というのは、それは何の通達を……文部省が流したときの話ですか。
  83. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは山口県の教育日記について次官通達の場合であります。
  84. 岡三郎

    ○岡三郎君 すると全国的に流したのですか。
  85. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 全国的に流した。
  86. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはいつです。
  87. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 去年の八月か、九月頃です。
  88. 岡三郎

    ○岡三郎君 昨年の、で、それでそうするというと、まあこの問題については、私は先ほど保留した問題には触れませんが、この地方教育委員会が、日教組の圧力か何か知らんけれども、力でその七割振替授業をやつちやつたと、大達さんは地教委をやめる意思がないか。こんなだらしのない地教委を、どうですか。この点はあなた育成強化しても役に立たんと思われませんか、どうか。
  89. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 教育委員会を育成強化したその本来の趣旨であるように、教育から不当の支配を排除するようにいたしたい、従つてこれを育成強化したい、かように考えます。
  90. 岡三郎

    ○岡三郎君 だからそこに問題があるので、あなたは実に地方の教育委員を馬鹿にして、県の教育委員を馬鹿にしておられると思うのです。というのは、例えばここにおいでになる文部省のあなたがた三人がセレクシヨンをされて、まあ選ばれて教育委員なつたとする。どういう職業の人であろうと、なる権利がある。こういつた場合に教員組合というこの団体は、陳情、請願なり、話合に行くと、いいですか、その場合にですね、その人たちが成るほどと思えば、文部省考え方であろうと、いいですか、どなたの考え方であろうと、容れるべき常識を持つておられると私は思うわけなんです。いいですか。そういう人に対して圧力が来た。それは圧力というよりも、ものの理解をして、そういうふうにする場合も認めてやろうという判断の下にそれがなされたので、飽くまでも私は地教委なり、教育委員会の自主的な判断というものを信ずるわけなんですよ。いいですか。じやそういうふうな見地に立てば、どうも大達さんの言うふうな、あれは役に立たない、あの機関に言つたつて何も教育委員会はうまい方法をしないと、こういうことではなくて、もうちよつと考え方自体というものを、都道府県の教育委員会なら教育委員会というものに対して、都道府県教育を扱つているのだから、その地域の団体なり住民がいろいろと教育について陳情をする。それを聞いて行くのが名宰相であつて、名教育委員であつて、何でもかんでも頭からこうしろということばかり金科玉条に、文部省の意見ばかり守つている教育委員会なんてのは、今の教育委員会法としてはナンセンスなんです、実際は。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ナンセンスなんですよ。それであなたがたは内務省にいたからそういうことはわからないのだけれども、今の教育委員会法の趣旨から言えば、都道府県の教育委員会と地教委というものは、地域の住民の負託に応えて教育というものを行うから、地域のそういうふうな住民の声を聞き、団体の言つていることを十分聞いて、いけないことは法規に照らしていかんというふうに、やはり処理して来ていると思う。それはまだ未熟のところもそれはありますよ。だからそういう点はこれは日教組、或いはえらく日教組は力があると褒められているが、喜んでいいか、悲しんでいいか私はよくわからんけれども、併しその判断はそれは間違つている。教育委員会というものを無視する考え方なんです、あなたがたは。私は、だからそういう点でそういうふうに考え方だけは是正せられて、教育委員会というものが地方機関として存在しているのだから、こういうものに対しては一応やはり権威を認めて、文部省としてはその権能に従つてつてもらいたいと私は思う。それではむしろ存在を無視するようにして、未熟だから地方の教育委員会を育成強化する。文部大臣の言う通りにならない教育委員会というものは駄目なんだ、俺の言うことを聞くような教育委員会にしたい、それが教育中立性であるかのごとき印象を与えるような言辞は、これはちよつと待つてもらいたいと私は思う。    〔「そうだ。それは正論だ」と呼ぶ者あり〕
  91. 永井純一郎

    永井純一郎君 関連して。文部大臣に今の点をはつきりしておいて頂きたいと思う。それは今も話があつた通り、この文部省が出す通牒、通達というので、依然として昔の通牒だとか、通達という名前を使つておるけれども、これは大臣が言われた通り、単に勧告助言なんです。で、大体あなたのところは私サービス・ステーシヨンだといつも言うのですけれども文部省の権限というものは限られておつて、その範囲内だ。これをこの委員会というものは自主的に判断したらいいのです。あなたがたのほうの言う通牒とか通達とかいう、こんな尤もらしい文句では全然縛られないのですよ。あなたがたのほうが縛り得るものは特別に法律できめた事項でだけしか縛ることができない。それはたとえ報告にしてもそうだ。ですから、あなたが言われるように、通牒を出した。その通牒が、例えば行政行動の実施の妨害をしたと言われるけれども、行政行動の実施をあなたのほうがしようとするから、そのことが間違つているのです。こうしなさいという勧告、助言しかできないのですよ。だから法律的にはあなたがたがやろうとする文教上の行政行動を妨害し得るということが、すでにそういうことがあり得ないのですよ、これは考え方として、それをあなたは昔の考え方で間違つて。その点をはつきりしないで今までずつと論争されているから、これはそういう議論が出て来ると思う。そういうことはあり得ないのです。法律上あり得ないと私は思う。そこで例えば私が言うのは、日教組、私は日教組関係も何もないけれども一つ日教組が、例えばこの法律は悪いと言つて、一生懸命に妨害をしたつてもいいのです。或いは教育委員会に働きかけるのもこれは当然ですよ。それはPTAが働きかけ、日教組が働きかけ、これは当り前のことです。併し教育委員会は、みずから教育行政の機関ですから、それをいろいろ聞いて、みずからの判断によつてつたらいい。こういう筋道というものは、私は動かすことはできないと思うのです。文部大臣は、それもあなたが取り違えておられるから、今のような日教組が妨害をするとか、邪魔をするからこれはいけないとか、それはあなたが古い常識でただそう判断されたというふうにしか我々には受取れない。で、その筋道だけをここではつきりしておいて頂かないと私はいけないと、こう思います。はつきりして頂きたい。
  92. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は通達の内容が拘束力を持つとは言つておらんのです。その内容通りに地方教育委員会がしなければならん、これを主張しているわけではありません。これは勧告であり、助言でありますから、これは内容が拘束力を持つているとは言わない。ただ併しながら、その通達を流すことを邪魔をする。これがつまり国の行政活動というものを妨害するということになりはせんかと、決して私は内容が拘束力を持つているということを言つているのじやありませんよ。それは当然なんだ。ただ併しながら、さような通達を流すこと自身を妨害をするということとはこれは別問題です。    〔「妨害なんてできやしない」と呼ぶ者あり〕
  93. 田中啓一

    田中啓一君 関連質問只今日教組の下部に流された指令から、大変複雑多岐な質疑、論議が起きましたが、もともとこれは日教組の指令から起きたので、実は指令の文章というものを明確に聞かないと、実は論をしても仕方がない。で、どうやら初めは阻止をするということは文部省の通達が届かんようにするということのように私どもはとつてつた。ところがそのほうはいつか阻止の言葉を反対にすり替えてしまつた。反対は差支えないじやないかというふうなことで実は今論議が行われておる。これは私はその指令の文面の読み方だと思うのです。もう一遍一つ指令文書を読み上げて下さい。それを何と判断するか、それはいろいろ聞く人によつて判断する仕方が違う。もう一遍お読み上げを願いたい。
  94. 岡三郎

    ○岡三郎君 田中さんの言つているのは、取り違つて反対でも阻止でもなんでもいいのですよ。問題は、要するに文部省が都道府県の教育委員会に通達を出したのだろうと言つて、問題のきつかけは。その前は文部省の出した通達を日教組が妨害している。まるで話の結着は日教組が都道府県の教育委員会に指令を出しているような印象の発言があつたので、どうもそれはおかしいというところで話が始まつたわけなんです。それで、問題は、文部省がその権限に基いて都道府県に通達なりなんなりの通牒を出して、それで都道府県の教育委員会がそれを受けて行く。日教組日教組のほうでそういつた問題について反対なり阻止の決議をする。それが教育委員会という構成、機関の中で物事は交流するのであつて、飽くまでも文部省が権限に基いて、教育委員会に対して正当な権限に基いて調査報告を求めるなら求めてもいいわけです。そんなものを阻止しようとしたつて阻止できるはずはない。だから理窟にならんことを言つてそういう印象を与えている。そういう阻止運動があつたんではないか、わからないけれども自分はそういうふうに想像をする、通達を阻止する方式を日教組に聞きたいと大達さんが言われておるのだから、問題は結局なんのことはないですよ。県の教員組合は都道府県の教育委員会に行つて、そういう通牒が貴委員会に来たと思うけれども、やはりその点については疑義があるので慎重に考慮せられたい、そういうことを言うのは当り前の話なんです、見解が違うのですから。それを受けて、脅迫か何かして、お前それはやめるべきだ、そういうことを言つたんでは、教育委員つて人間ですから怒つてしまう。だから教育委員会は自主的に委員会を構成した委員長がやはりここで会議を開催して、そうして委員会の意思を決定するわけなんです。だからそれにどういうふうに働きかけて行つたか、そのことをどうだこうだということになれば、これは四十六都道府県さまそれなんです。やつていないかも知れない。どんな程度にやつたかわからない、どつちにしても。だからそういう点で、私たちの言つているのは、阻止とか反対とかの区別を言つているのではなくて、そういうことがあつたとしてもその程度で、そのほかにはないというのです。そのほかにあつたら聞かして下さい。
  95. 田中啓一

    田中啓一君 それはいろいろ御判断は御自由でありますが、私はもう一遍折角の事例でありますから、お読み上げ願つて、あと皆さんが御判断願いたい、こう私は思う。
  96. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは日教組がどういう指令を出したかは日教組自身でないと私どもにはわかりません。(笑声)ただ、日教組が第三十回の定期大会において、その期間内の日教組の行動についての報告をしております。経過報告です。
  97. 田中啓一

    田中啓一君 私はその経過報告を読んで頂きたい。前のは誤りでございましたから訂正をいたします。
  98. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 日教組の個個の場合の指令は、これはどうぞ日教組のほうへお聞きを願いたい。私ども資料としておるのは、経過報告によつて日教組動きを見る、こういうことであります。申上げる前に育つて置きますが、内容に対する反対ということと、そうして通牒の流布を阻止するということは、全く別個の問題であると私は思う。これは混同すべき問題ではないと思います。第三十回の中央委員会の経過報告であります。その報告書の三十三ページにこれは書いてある。これは長くなりますが、「第十回定期大会では平和と独立を護るために平和教育の具体的推進を決定したが、その後この決定に基き各県教組及び職場では地方の特色と行事を活かして、地方色豊かな平和教育カリキュラムを編成し、平和教育の実践要領を作つて、新聞や雑誌などの編集を通して、平和教育の推進を図つて来た。これに対して反動陣営は平和運動弾圧の一環として山口、青森などの小学生中学生日記を問題にし、赤い日記である、或いは特定の政党の、主張を支持する目的の教育だなどと意図的に騒ぎ立てた。」これは私はこの反対意見について彼これ言つているのではないですよ。それから(中略)「中央本部は各県にその真相と日教組の見解を正確に把握させ各職場への次官通牒の流布を阻止する方策を講じ、組合員に平和教育に対する自信と勇気を持たせる一方、山口教組への激励電報、文書を送り、斗争中の組合員を力強く支援し、更に地元教育委員会への抗議を行つた。その結果当初は高圧的に日記帳の回収を指示した当局の態度」、これは地元教育委員会だろうと思います。「態度も最後には歎願にまで変つて来たので、結局一冊の回収も行われず平和教育を遂行して行つた。」こういうのがあります。そこでこれは地元教育委員会への抗議という形で働きかけが行われたようであります。これを見ると、その結果は、当局の態度もしまいには歎願にまで変つて来た。なぜ一体教育委員会が歎願をしたか知りません。相当日教組は、私もしばしば会いますが、これは非常に集団的に坐り込みをしたり、大きな声を出したり、部屋の中に面会に来るのに旗を立てて来たり、相当なものです。(笑声)ですから、この抗議というものも相当なものだろうと思う。その結果は、最後に、教育委員会は初めは強かつたけれども、しまいには歎願に変つて来た。日教組の前に教育委員会は歎願をしたということであります。
  99. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は議事進行について申上げたい。それは偏向事例の問題から端を発した。教育事例から端を発して、大臣は適当な調査方法がないのだ、こう言われた。私はそれに対しまして、有効な調査方法がないと言われるけれども、この事例が出て来ておるがと、こう申上げた。ところが、その調査を阻害するものは日教組なんだ、つまり偏向教育事例調査を阻害するものは日教組なんだと、こう言われた。(「違う違う」と呼ぶ者あり)そうですよ。そうしましたら、そのときにあなたが御発言になつたのは、その調査に基いて日教組からかくかくの指令が出ておるのだ、こういう御発言があつた。そこで岡さんが、それは違うじやないかということから議論が発展した。ところが飛躍してしまつて、今読み上げられた。もう一遍通牒を読んでくれと、田中さんの御発言に対して、あなたは第十回の定期大会の、これは去年でしよう、定期大会の、いつだかわからない定期大会のことをずるずる読み上げて、しまいには山口日記のことを読み上げて、私の問題を発したその筋からずらして行かれた。これは甚だ私は遺憾だと思う。即ち、私がここで議事進行として申上げたいことは、教育中立性の維持が保持されておらないか、おるかということは本法案の最も重要な問題なんです。これは昨日確認された。そのことについて、この偏向教育事例があるかないかということから端を発して、その調査がどういうふうにあつたかということに行つたのでありますから、問題は、その調査というところに区切つて討論を進めてもらいたいし、又大臣はその調査を阻害したと言われる内容を持つ指令をここへ持つて来てあなたはお読みにならなければいけないと思う。間違つてあなたは受取り、間違つた答弁をなさつているのではないか。そこで大変時間も過ぎておりますから大臣もお疲れだと思いますが、あなたのほうもその指令をお読みになつたのですから、私の質問に対して責任のある指令をここでお読みになつたらよろしい。そんなものは私の当初の質問に対しては何ら責任のない御答弁だと思う。どうぞもとに戻してやつてもらいたい。
  100. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は文部省法律上は地方の教育委員会に対して報告を求める権限を持つている、従つてかような場合に調査方法法律上備わつている、併し現実の問題としては有効な調査というものはできない、こういう意味のことを申上げて、そうしてそれは日教組教育委員会に対して強い支配力を持つて邪魔をすると思う、邪魔をしている、こういうふうに申上げたのであります。御承知の通り、今日この法案に非常な反対をしているものは日教組であります。これは法律がまだできない、内容のきまらないうちから、その内容についていろいろな間違つたことを前提にして、盛んに反対運動をしております。そうしてこの調査についても、通牒文を見ればはつきりこれは教育の実情についての報告を求めただけであります。然るにこれに対して教職員に対する思想調査であるとか、あられもなく非難を加えた、(笑声)これもよく御存じの通りであると私は思う。そうして日教組只今のように文部省の通達に対しては流布することを阻害する、こういうふうに実際の力を持つている。とにかく終いには教育委員会が哀訴歎願するところまで行く、それだけの強い力を持つているのですから、であるからこの調査が有効に行えないということは、日教組がこれを邪魔をしているからだと思う、こういうことを申上げた。
  101. 高田なほ子

    高田なほ子君 それはちよつと違うと思うのですよ、調査が非常にうまく行かない、それは日教組だとあなたはおつしやつた。それだから調査がうまく行かないということは、日教組が邪魔をすることだけですかと私が申上げた。そうしたらあなたはそうだ、それはこうくこういう指令があつて調査を邪魔しているのだ、これは速記録をあとで見ればわかると思う、そうおつしやつて、あなたはその指令をお読みになつた、ところが私は日教組とは近しいのですけれども、(笑声)そういう指令も何も拝見していないわけです。ですからあなたがお読みになつたから、大変早耳だと思つて非常に感心して聞いていた。そこから岡さんの論議が発展したのですから、さつき読んだ指令というのは、調査を阻害しなさいという指令じやないのじやないかと思うのですが。
  102. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) それはそうです。今読んだのは山口県の場合に、日記に関連して全国的に次官通達を出した。これに対する日教組の妨害の事実を申上げたのであります。今度の調査の依頼ですね、調査の依頼について具体的に日教組が邪魔をしたというはつきりした文書はありません。ありませんが私は日教組が邪魔をしたと思う。(「それは主観だね」、そんなべらぼうな大臣はないよ」と呼ぶ者あり)
  103. 高田なほ子

    高田なほ子君 思うなんということは大臣としての答弁じやないと思う。
  104. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 どうも大達さん、あんた年甲斐もなくすぐ答弁が喧嘩腰になるので、この問題は私たち参議院の委員としては申合せて冷静に綿密に審議を尽そうというのが私たちの本意なんだから、そういう立場であなたも答弁をして行つてもらいたいと思うのです。感情に捉われないでお互いに行きたいと思うのですね。先ほど高田委員質問に対して出所を明らかにせよということに対しまして、迷惑のかかる人があるからそれは発表できないというお言葉だつたわけですね。どういう迷惑がかかるのです、それを発表したら。
  105. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この問題は先ほどから申上げたように甚だ遺憾ながらお答えはできません。ただ私どものところへは、これはこういうことは、きりがありませんから出さんのでありますが、随分地方の教育委員会委員長の人でもPTAの会長の人でも、こういうわけでありますということは、この事例だけではございません。今度の法案についてもたくさん書類なんかも寄せておられます。けれども申し合せたように、名前を言うと非常に圧迫を受ける、日教組からですよ、圧迫を受けて非常に苦しい立場になりますからということは殆んど全部それについて書いてある。これだけじやありませんが、とにかく私はそういうことを言うのは失礼ですけれども出所とか調査方法とか頻りにお尋ねになるのは、要するにいい加減なものを出しているのじやないか、(「その通り」と呼ぶ者あり)こういうつもりで言つておられるのだと思う。私どものほうはしばしば申上げるように、決していい加減なでつち上げのものは出しておりません、そんな卑劣なことはいたさないので、どこかの組合みたいに全く虚構の事実を、ビラを撒いたりパンフレットを出したりするような卑劣なことはいたしません。(「それは目茶苦茶だぞ」と呼ぶ者あり)
  106. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 迷惑がかかるということ、出所を明らかにすればこれを文部省へ提供した人に日教組から圧力がかかるとか何とかというと、如何にも日教組が暴力団体であるかのごとく聞えるが、そんなことは以てのほかだ、日教組は平和と独立を護るために闘つている文化団体ですよ、それは出所を明らかにしたからといつて、その人に圧力をかけて脅迫するということは、そんなことはどうしても考えられない、むしろこういうことを一方的に発表された人がどれだけ迷惑を受けておりますか、あなたは、こういうことをあなたのほうへ提供した人に迷惑がかかるから発表できないといいながら、只今発表されたことによつて大きな迷惑を受けている人に、どうしてあなたは申訳ができるか、京都においてはすでにそういう事実が現われているのです。それに対して文部省責任をどうとるか聞きたいのです。
  107. 岡三郎

    ○岡三郎君 関連々々。
  108. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いや答弁させたほうがいいのだ。(笑声)
  109. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 出所等については繰返して申上げるようでありますが、これはお答えはできません。
  110. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その点はあなたは事実だというけれども、事実を裏付けるためにはこれを提供した人を喚んで調べなければならんところが提供した人をあなたは言おうとしない、それでは文部省が一方的にこういうでつち上げをやるか、或いはいやがつているところの国警を使つて調査をさせて、そうして国警をして調査させたということは言えないから、出所は明らかにされないといつているのか、無根の事実だと言われても仕方がないじやありませんか、私たちはこれを明らかにしたい、出所を明らかにしなかつたらこれを明らかにすることはできないじやありませんか、一方的に発表された人が非常な迷惑を受けている、それに対して文部省はどれだけの責任を持つのですか、どうですか。
  111. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) でつち上げのものでないということはしばしば申上げた通りなんであります。これが若しでつち上げだと断定されるなら、この公文書は偽造文書だ、こういう意味でありますか。
  112. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 我々はでつち上げであるか真実であるかということを調べなければならん、その調べる手段として出所はどこだということを突きつめなければ、私どもは調べることができないじやないですか。
  113. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私はこの資料を、あなた方のほうが事実として判断して頂きたい、こういうことを強制している意味一つもないのです。資料を出せ、文部省で持つている資料があるか、こういうことでありますから提出しただけでありまして、その判断は、委員各位のそれぞれの御判断によることであります。決してこれを一方的に強制している意味ではありません。ただ申上げるように、でつち上げをしたりなんかするということはありませんから、絶対的に。その点はでつち上げということになると明瞭な公文書偽造ですから、そういうことはない、わかりきつている。
  114. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちよつと私の質問しているのは、この文書によつて迷惑のかかつた人ですよ。事実がないということによつて迷惑を受けている人が出て来た場合、文部省責任をどうするかということを私は質問しているのです。文部省責任を私は聞いているのです。一方的な文書によつて迷惑がかかる人がたくさんある。
  115. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) そういう仮定の問題にはお答えできませんが、それは文部省が、これは前にも申上げたと思いましたが、私がこれは明らかに間違つてつた、間違つてつたということを確認すればそれは私は善処いたします。
  116. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちはたくさんのこれは間違つておるという陳情を受けているのです。そうしてこの文書によつて被害を受けている人からの陳情も受けているわけなんです。ね、だからそれを明らかにしたいのです。そうしてその被害を受けている人たちをきれいにしてあげなくちやいかん、私たちの立場から言うと。ただあなたの一人のものの考え方で飽くまでもこれを事実だ事実だと、事実でない証拠が出て来てもあなたは、いや事実だ事実だと言つて頬被りして済ませるものか。若し事実でないという証拠が出て来たらあなたはどう責任をとられるかということを質問しているのです。仮定の問題でも何でもありません。
  117. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 只今答弁した通りです。
  118. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この今問題になつているのは、この文部省提出資料信憑性ですね、私は非常に疑念を持つております。従つてその疑念を明らかにするためにこの資料についてできるだけの質疑をして、これを明らかにしたいと考えておるのです。これは私はこの法案審議する我々としては当然のことだと思うのです。で、文部大臣もこの資料についてはできる範囲内において明らかにするようにすべきが当然であります。(「当然」と呼ぶ者あり)これは文部省が出している資料なんだから、当然しなければならん。そこで私は機密を保持すべきような問題があれば、それはその問題は答えられないということであればわかります。併し昨日質疑をいたしましたように、この資料は新聞に記載されたものを主として取つて来たのだ、こういう説明であつた。そういうものだけでは信憑性が乏しいじやないかと言つたときに、文部大臣はその新聞記事に対して文部省の係官を派遣してそれを調査せしめたものである、こういう答弁があつたわけです。そこで、私はそれではどこどこの県へ行つて調査せられたか、それを明らかにしてもらいたいと言つたのです。これは機密保持でもないのですよ。個人に亘る問題でもない。どの県に行つて文部省調査をしたか、これくらいのことが明らかにできないということはないはずだと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)これすら個人の名誉に関するとか、日教組の圧迫もあるとか、そういうことで答弁ができないということは私は理解できない。(「その通り」と呼ぶ者あり)ですから、そういう答弁をしても差支えない問題は当然私は明らかにすべきだと思う。(「審議権の無視ですよ」と呼ぶ者あり)なぜですか、それは、私は理由を聞きたい。
  119. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) それは先ほども申上げたように、この事例の一々についての調査報告等については折角でありますが、答弁を控えます。
  120. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで私は資料は捏造だと、信憑性はないと、こういう捏造ではないかという疑いをさえ持つのです。文部省の係官が出張して調べた。どこの県に行つたかということさえ言えないとすれば、これは信憑性というものは疑わざるを得ない。これは野党議員だからそんなものはどうでもいいのだ、こういう態度では私はいけないと思う。私は文部大臣の反省を求めたい。(「そうだ」と呼ぶ者あり)
  121. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) しばしば申上げますように、決してこれをあなたがたの判断を強いる、こういう意味はないのであります。若し信憑性なしと御判断になればそれまでであります。
  122. 永井純一郎

    永井純一郎君 関連して、それは文部大臣はあなたの部下が調査に出張したのはどこかというようなことに答えないということは、これはできませんよ。(「それはできない」と呼ぶ者あり)それはできないですよ。(「国会法に基いてこれはできない」と呼ぶ者あり)若しあなたが答えないならば(「そんな秘密は許されません」と呼ぶ者あり)それはあなたはその職責におることはできませんよ。(「そんなことはできない、国会において」と呼ぶ者あり)どうしますか。(「許されません」と呼ぶ者あり)そのくらいのことは答えなければいけませんよ、審議権に対して、何ら理由がない。
  123. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 昨日来申上げておる通りであります。(「駄目だ」と呼ぶ者あり)
  124. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは大臣、それはいけませんよ。そういう……。(「それは無茶だよ、そんなべらぼうなことがあるものか」と呼ぶ者あり)そんな幾ら何と言つてもそれはやはりいけませんな、そのくらいのことは明らかにしてもらわなければ……。(「それは昔の大臣のやることだよ」と呼ぶ者あり)
  125. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣の今の発言というものは非常に重大だと思うのです。信憑性がないとお前が思うなら仕方がないじやないか、これは実に私は重大だと思うのです。なぜならば大臣もともとと御存知のように中立性を欠いた教育をするように教唆扇動する行為を処罰する、こういう重大な問題が絡んでいるわけでしよう。だからその教育偏向しているのか偏向していないのかという事例信憑性というものは、この法律のかかつて重要な分岐点にあるのですよ。でありますから、この偏向事例信憑性があるかないかは、お前の勝手だというのではなくて、大臣信憑性があるという確信をお持つになつているならば、当然国会大臣責任を以て言われるこの信憑性の有無についても、あるかないかという疑いを持つのではなくて、国会としてはこれを審議するということは当然だと思う。大臣はそれが当然であるとお考えにならないのでしようか、如何でしようか。
  126. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この法律案成立した場合に、これらのこういう事例があれば、これは成立以後でなければ問題になりません。遡るわけです。こういう事例教育の場合において行われた場合に、それが罰則に該当するものかどうかということは、これは文部大臣が認定する、きめるものでは無論ありません。これはそれぞれの事例について、その事実の有無、それが法律に該当するかしないかということはあげて裁判官が認定をする、こういう問題だろうと思います。
  127. 高田なほ子

    高田なほ子君 いや、ちよつと……。
  128. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) でありますから、この事例信憑性というものについて、今私が裁判官と同じような意味で、これを真実なりと言つているのじやない(「関連質問」と呼ぶ者あり)それはできないのであります、事実。でありますから、私はこういう事実があると思つて、こう思つて出したのであります。あなたがたに対して、どうしてもそう思いなさい、こういうことを強制する意味は毛頭ないのです。(「そういうことはわかつている」と呼ぶ者あり)そういう意味において信憑性なしとお考えになれば、それはやむを得ない、こう申上げているのであります。
  129. 高橋道男

    ○高橋道男君 議事進行について。本問題については昨日いろいろ議論がございますし、又本委員会としては、これに関する証人を呼ぶについての計画も進めておりますので、他に本日は午後の日程もございますので、この辺で午前の会議を休憩にして頂きたいという動議を提出いたします。(「賛成」「委員長」と呼ぶ者あり)
  130. 相馬助治

    ○相馬助治君 今、只今の高橋委員の動議に最終的に私は反対するものではございません。何しろ一時も近いのですから、これは生理的な要求からしても、人道上の問題からしても(笑声)これはこの辺で一応休憩に入ることは当然だと思います。併しその前にやはり岡議員からも発言々々とありますから、現在発言を強硬に主張する者があつたら一、二を許して、然る上で(「賛成」と呼ぶ者あり)円満に私は休憩に入らせて頂いたほうがお互いによろしいのじやないかと思います。付言して申しますが、私も一言質問があります。(笑声)
  131. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の動議に私も賛成なわけです。ただ問題は、昨日の理事会に付託して、委員長が昨日報告されたけれども、具体的には当委員会へ出された資料には、いろいろと大臣の御答弁は軽く見た重く昇りいろいろ御返答がある。それは当委員会に出された資料です。誰がどう言おうと、そういうことについて、二面において日教組の行き方が余りラジカルだというようなことも混えていろいろ言われておるけれども、もつと端的に言えば、先ほどどなたかおつしやつたように、こういうふうな事例に対象となつ人間或いは学校、大変なことですよ。これは大臣が戦争裁判を土人の首祭と言われたけれども大臣は今や教員に対してそれをやつているということも言えるのですよ。(「その通り。」「マッカーシズムだよ。」と呼ぶ者あり)罪もない者が仮にあつたとして、それをあなたがやつたとしたらこれは大変なことになる。私はそういう点でやはりこういう問題については、それは考え方の違いだと言つても事実は事実として、究明できる問題は限度があるとしても、報告はできると思う。それでそういう問題についてはいいけれども、一番問題になるのは大臣が言われたことについて、係官をやつたことについても言えんと、これは私はそれを突つ張られた場合においては事態は紛糾して、これははかのほうに波及すると思うわけです。もつと具体的に我々はこの問題について大臣、文部当局の意向を質問し、そうしてその上において昨日の理事会の決定をどの程度にするかという問題についての基準はなお私は分明できないと思う、神ならぬ身においては。そういう点について明確でない点も幾つかあるので、この点は是非委員長において次回にやらしてもらいたいと思う、今私はすぐできないから。やろうと思えばできないことはないのだけれども、今やつてはいかんと思うので遠慮したいと思う。但し問題は確かにこういうことは事実なんだ、でつち上げではないという限りにおいては、可能の範囲内において我々はこれらの事実をそうであるかないかということをやることは、この法律のやつぱり根本問題に触れて行く問題だと私は思うわけです。だかららそういう点において文部省のほうは誠意を以てどこのどういう事件に対して係官を何月に派した、その調査報告はこうであつたという程度のことは、私は秘密でないと思う。若しもそれを秘密と言うならば、私は国会法を楯に取つてやります、これは私たち権能があるのだから。文部大臣が幾ら拒否されても拒否されない方法を以ていたします。これは国警がいわゆる共産党の問題についてとやかく言う問題と、文部省調査した問題とは違うのです。これはもう大達さんがよくわかつていると私は思うわけです。国警がこの出所は言えんということと、文部省が係官をやつて公表された事実に対してこう調べたということが言えんということは、これはあなたが幾ら拒否されてもできんと思う。だから若しも拒否されるならば、こういうことは私はできないと思うので、この点に触れては文部省としても、やはりこういう問題が来ているので議事進行上十分誠意を以てお答えしてもらいたい。この資料については責任を以てやつてもらいたい。これができない場合においては、私は私の方法をとらざるを得ない。そういうことがないように、議事進行をしたいので、見非ともそういうふうに文部省でするように、まあ委員長においても御足労だけれども委員長のほうからもそういうふうに取計つてもらいたいと思う。それができないというと、ちよつと(「紛糾する。」「その通り。」と呼ぶ者あり)いろいろな資料を、例えば今度私のほうからいい加減な資料を配つて、勝手だと、そんなことはできないですよ。文部省のほうでもそんないい加減な資料じやないと言つているのだから、一つ国会法に基いて審議を促進する意味において文部省国警その他の事例と違うのだから、その点をはつきり分明せられて、御協議の上、議事進行のほうに協力してもらいたい。委員長においてこれを諮つてもらいたい。
  132. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの際委員長を通じて文部大臣一つ是非ともこの審議に協力して頂きたいという観点から以下三点を申上げておきたいと申うのです。  先ずこの偏向教育資料というものが出された経緯については、文部大臣が昨日おつしやつたことによつてわかりました。即ち衆議院において、偏向教育事例があるかという質問に答えて、それに見合うために本資料を出したということでありますが、我々は他院のことについては批判の限りではありません。本院においては明らかに委員会の手を経由して正式に我々文書函にこれが配付されておるのであります。従いまして、これは文部省が我々に好意をもつて資料を参考に出したというものでなくして、国会審議の過程を通じて正式に出された資料であるということを私は委員部その他を廻つて確認しております。従つてこの問題がどうしてもこの文部委員会において解明されないとするならば、次にとるべき我々には手段があるということを予告しなければならないのであります。併し問題は、昨日出所を示せという同僚荒木委員質問に対してどうしても出所を示すことができない。かように言明されたのでやむなくこの問題については理事会を開いて我々は別途の方法によつてできるだけの偏向教育事例についての信憑性審議をすることにいたしましたが、出所がどこであるかということは我々の手においては調べることは不可能でございます。即ちそれは文部大臣を証人に呼んでこれは聞く以外に手はないわけだからです。そういう意味において本日も又その出所が問題になつておるのでありますが、大体文部省がかような調査権のないということについては我々も認めております。これをどういうふうに判断するかは委員の自由であるということも、仰せまでもなくこれを如何ように判断するかは挙げて私達の自由でございます。併しながら文部大臣としては責任を持たなければならないことは明白である。第一は先ほど触れられましたように、国会に対して、特に本院に対して責任を持たなければならない。少くとも資料委員部を通じて正式に文書函に配付したという観点から、正式の資料としての如何ように判断するか、判断しないかということではなくて、この資料を出したという事実と、それから明らかにこのタイトルに謳つておりまするように、偏向教育事例としてある。小学校にはかかる事例がありますと報告しているんじやない。偏向教育事例があるといつておる。偏向教育というのは如何なる尺度で以てきめたかは我々は第二段の質問に移るのでありまするが、これは明らかに文部省の意図が混つておる。少くともタイトルにおいて混つておる。私はこれを静かに読んでみて、一、二疑わしきものがあるけれども、その他は率直に読んでみて、何が偏向しているのだかさつぱりわからない。それは文部大臣と私の尺度が違うんだからかも知れませんが、そういう意味国会に対してあなたは第一責任を持たなければならん。第三には、この非常にジャーナリストに対して興味を与える問題でもあり、この問題は挙げて社会に報道されておるという問題です。これは文部大臣として社会に対して責任を負わなければならない。  第三には、当該者に対してこれは不測の被害をこうむつておるものが推定される。或いはそれは本人がただ強弁するだけで文部大臣が言う通りかも知れない。真実の犯人が、単に俺は犯人でない。犯人でないと強弁しておるのかも知れない。併しそのことは明らかにされなくちやならない。而も我々は最初からでつち上げなどとは申していない。出所を示せといつて出所を示せないから、それではでつち上げじやないかということで、売られな言葉を買つて我々はでつち上げじやないかといつておるのでありまして、私はこの世の中には偏向教育事例があると思うのです。偏向教育が絶無などとは何人も言い得ないと思うのです。そういう意味で少くともあなたは社会に対して責任を負わなくちやならないし、当該者に対してもやつぱり文部大臣としての立場からの責任を負わなくちやならないと思うのです。法的な責任じやありません、私の言つているあとの二つの第一段の国会に対しては法的責任ですが、あとの二つは道義的責任であります。さようなる意味合において、どうしてもここで大臣が我々の納得するような答弁をなさらないならば、先ず質問自体が無理であるか無理でないかを先ず判定しなければならない。質問自体に無理がないという前提に立つて、而も文部大臣がその答弁を肯んじないとするならば、我々は国会法の規定するところによつて、かかるでたらめな資料を我々の文書函に配付したのは何事であるかというので議運においてこれを問題にしなくちやならない。さようなることは文部大臣としても好ましくないし、本文部委員会としても我々が答弁を要求して拒否され、やむなく議運に移したなどということは、本委員会の権威においても、而も明敏にして公正なる川村委員長の下において、我々はさようなることは願うところでない。どうか一つそれらの事情をよく考えられて、先ほど岡君も触れられたように、どうか文部大臣においては本案が一日も速かに結果を生むように審議に協力して頂きたい。
  133. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は二つの資料の要求をしたいと思います。先ほど文部大臣はこの資料偏向教育事例に対する、この問題は大臣責任を負つて、全くこれは真実のものだと言われました。併しこの結果を得る過程で明らかになつたことは、大部分新聞の事例によつたような御答弁がございました。それでこの前から私はどういう新聞で、どういう内容の記事であるか、その新聞の記事を集めて資料として出して下さい、こういうふうに要求をしているわけであります。これはまだ資料か私の手計に参りませんし、資料を下さらない理由についても御答弁がありませんから、重ねてこの新聞でよろしい、新聞の資料、これを集めて頂戴したい。  第二点は、昨日頂戴いたしました教育中立性が保持されていない。これらの報告について、こういうものを一つ資料として項戴いたしましたところが、これは事例についての調査の報告状況であります。私は報告状況より一歩進んで、報告のあつた都通府県の内訳の問題、なかんづく口答報告のあつた都道府県の数、二つ資料を送付して来た都道府県の数、二つこの内容の問題を、内容資料として頂戴いたしたい。なお未報告都道府県数、この未報告の都道府県の、できれば府県名、それらのものも資料として頂戴できますように、特に重大なる審議資料でありますから、委員長を通して卒直に頂戴できるようにお取計らい願いと
  134. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私も、一つ資料を要求したいと思うのですが、資料を要求すると同時に文部大臣にも注文しておきたいと思うことがあるのですが、たしか昭和二十三年頃でしたか、文部省で民主主義と非民主主義という単行本が出ておるのではないですか。
  135. 川村松助

    委員長川村松助君) 今度の問題に関係ありますか。
  136. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関係あります。どうも先ほどからの大臣答弁ぶりを聞いていると、どうも民主主義という線から多少逸脱の傾向があるので、次にここへ出席をなさるまでに、その本を一つ一度読んで来てもらいたいと思う。(笑声)同時に我々もそれを読んで、如何なるものが民主主義であり、如何なるものが非民主主義であるかということを知つて、そうして討議を進めたいと思いますので、その資料提出して頂きたい。
  137. 川村松助

    委員長川村松助君) 御発言もなければ、この程度で休憩に入ります。    午後零時五十四分休憩    —————・—————    午後二時四十一分開会
  138. 川村松助

    委員長川村松助君) 委員会を再開いたします。  御発言のかた、御発言願います。
  139. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は主として文部行政の中の体育行政について質疑を試みたいと思いますが、その前に文部大臣に明確に率直に御意見を伺いたいのですが、最近あなたの御心配のように、非常に思想傾向が面白くない。特に青少年の思想の動向について非常に御心配のようでありますが、私もその一人でありますが、根本的には政治の貧困の一語に尽きると思うのです。併し文部大臣として教育行政を担当しておられるあなたとして、先ず私はあなたの御見解を伺いたいのは、教育の目的を最も阻害しておる大きな問題は、私は賭博行為だと思う。競輪競馬、その他これに類似することは、而も天下公然と許可されておる。これに対しまして、文教責任の地位にあられるあなたはどういう御見解を持つておるか、これを先ず第一に率直に伺いたいと思います。
  140. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 戦後におきまして、賭博的な要素を含んでおる。パチンコ、競輪であるとか、そういう一連のことが非常に青少年の間に流行いたしておるようであります。私はこれは誠に好ましくないことであると存じます。できることならば、かようなことがあとを絶つようにありたいと、こういうふうに思つております。
  141. 河野謙三

    ○河野謙三君 現在の段階はそういう文部大臣が消極的な態度で私はおられない時じやないか、こう思うのですが、もつと積極的にこれに対してあなたからの政府部内における活動なり、又全国のあらゆる会合の機会を捉えて、あなたの賭博行為に対する意思表示があつて然るべきじやないか、こう私は思うのです。  時間の関係上私は先ず私としての意見を申上げますが、例えば競輪を施行しておるのは、地方財政は、特にこれなくして戦災都市は学校もできない、道路もできない。ところが学校というものはどこまでも私の見解では教育の手段であつて、目的そのものではありません。競輪をやることによつて学校を建てる。教育の手段を整える。これは確かにやつております。併し手段を整えておる間に教育本来の目的を破壊しておる、私はこう思うのです。(「その通り」と呼ぶ者あり)私はそういうふうに思いますが、教育の目的そのものに影響がございませんですか。
  142. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは御承知の通り戦後になつて急にこういうことがはやり出して、これはアメリカあたりではもとからやつてつたことでありますから、そういうことがアメリカ式にどんどん導入されたというふうにも見られますし、又戦後における国民の敗戦から来る一種の自暴自棄といいますか、混乱というか、そういう関係と結び付いて大変盛んになつた。又これは当時の社会においては一応従来の戦前のようなことでなしに、一応是認をせられて、そうしていろいろな財源に使つておる。これもいわば窮乏の結果であると思います。これが教育といいますが、社会教育の面において青少年に面白くない影響を与えるということは当然考えられることであります。殊に今日では日本の国民経済の立て直りというものが今日でき上つておらん。而も人口が非常に多い。若い人は殆んど前途に合理的な見通しといいますか、希望を持ち得ない状態であるから、私は、これは私見を申上げて恐縮でありますが、若い人が将来に希望を持ち得ない。従つて先のことを考えればどういうふうに自分の市民としての生活を全うし得るかという点の見通しがないためにくさくさして、自然その日その目に追われて、一種の刹那的な、気を紛らすことに追われている。これがやはりパチンコだとか競輪とかいうようなものが非常にはやつている一つの原因だろう、これは私はその意味においては無理はないと思います。又これは余りよいことではないけれども、青少年は非常なメランコリーに陥ることをこれで紛らわしておる面もあるのではないか、こう思います。私は一日も早く世の中が、社会の窮乏状態、又思想の混乱というものが軌道に乗つて来ることによつて、おのずからこういうことは国民が余り興味を持たない、世の中からだんだん捨て去られるというものであろうと思いますけれども、併しこれをただ教育という、社会教育でありましようが、表からこれを禁止するとか何とかということにつきましては、相当にこれは実情に対して検討しなければならんのではないか。こういうふうに考えております。
  143. 河野謙三

    ○河野謙三君 あなたは文部大臣に就任されてまだ日も浅いのですけれども、従来の文部省の競輪、競馬に対する態度というものは殆んど傍観的態度であつた。例えば一つの例を申上げるならば、私の土地に、学校のすぐ隣りに競輪場ができておる。昔お寺の前で牛云々という話があつたが、お寺の前に屠場ができたより、もつとひどいです。こういうことに対して文部省は従来何ら意見の発表もなかつた。そういうことがだんだん積り積つて私は今日来ておると思う。私の見解では競輪というようなもうは、これはヒロポン中毒や阿片中毒と同じだと思う。全く家庭を破壊しておる。ただその日にその日の、あなたも今お話がありましたが、刹那主義に生きておる。これに対して文教責任の地位にあるところの文部大臣か、私はもつと積極的でなければならない、私はこう思う。あなたのお話のように、成るほど今すぐこれをやめると地方財政その他に非常に大きな影響かあるので、これは第一、議会でも相当の反抗があるでしよう。それは私は認めますが、そこで若しこの毒物である、私は敢えて毒物と申します、毒物であるところの競輪その他の賭博行為を、やむにやまれず許可する以上は、この半面において毒消しをやらなければならん。青少年を別の方面に指導しなければならん。それが私はこれからお尋ねしたいところの体育行政だと思う。そういうふうに思いますが、一体その点は如何でございましようか。
  144. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは今日非常に多数に上つておる正規な学校で勉強することのできない青少年の数は非常に多数に上つております。これにとにかく健全な風潮が起るということは、これは国家としては非常にまあ極端に言えば一番大きな問題だと言つてもいいんじやないかと思います。申上げるように今日の青少年は見ようによつては自暴自棄であつて、刹那的なことで日を送つておるというように見て見えないことはないのでありますが、併し、そのうちにあつてもやはり一部には非常に勉学向上の気持に燃えて、働く中をいわゆる定時制の学校に行くとか、青年学級というものが御承知の通り去年の特別国会において成立をいたしました。極めて微々たる国費を以て青少年の自発的な、自然発生的に起つて来る勉学心の手伝いをしたいと、非常に一級当りの補助金としては極めて微々たるものでありますが、それでも昨年の特別国会において説明しておりましたときは、青年学級は全国で一万二千という数字を説明しておつたのでありますが、去年の秋頃になりますと、すでに二万という数字を以て説明することになつておる。それほど今日、一面に我が国の青少年が非常に勉学向上、何とかこの困難に打ち勝つて、一身を立派に立てて行きたいという機運に燃えておる面があることは、これは見逃がすべからざる事実である。できることならば、これらの点に極力助長、援助することによつて、延いては青少年全体に清新な、健全な気風の作興せられんことを希望しておるわけであります。この場合において、やはり今御指摘になりましたように、この体育といいますかスポーツといいますか、これをいわゆる国民体育の振興、これは青年がくだらんパチンコだとかそういうつまらんことをやめて、いわゆる明朗闊達な気風を刷新するゆえんでありますから、これは従来も文部省としてはこれに努力して来たわけでありますが、今後なおできるだけこの体育の振興ということには努力をして行きたい、かように考えております。
  145. 河野謙三

    ○河野謙三君 気持の上においては一致したのでありますが、私はなお釈迦に説法でありますけれども、念のために申上げまするが、今申上げた賭博行為というものは、これは賭博と暴力、賭博と犯罪というものは非常に一体なものである。いもを食わしておつて、ガスを出すなという注文ができないと同様に、賭博をやらしておつて暴力を否定し、犯罪を否定したりするわけに行きません。そこで私は、併しやむにやまれずこの賭博行為の経過措置として、今極めて短時日の間であるけれども認めざるを得ない、こういう実情であると思う。而もこれは極めて短時日である。その間において、スポーツと犯罪の関係につきましては、これはあなたの所管文部省の中でもいろいろ調査資料がありますが、私は一昨年欧州に行きましたときに、スイスにおきましていろいろ調査をして見ますと、さすがにあの国は非常に科学的ないろいろな統計を持つております。例えばスイスの国で調べましたアメリカの統計によりますと、シカゴのスポーツの施設を整備した結果、青少年の犯罪が実に五七%減少したという例がはつきりと出ております。又そのほかにアメリカの各州におけるところのこの種の事例が非常に多いのです。一々数字がありますけれども申上げませんが、とにかく一番犯罪の多いのは青少年である。日本におきましても、外国とは違いますけれども、青少年は比較的日本は犯罪は少ないほうでありますが、それでも、十四歳から十八歳までが一番犯罪が多い。而もこの犯罪の中の青少年の率というものは、二四%から二七%になるということは、これは警視庁で発表しております。この青少年の犯罪に向つて、スポーツというものはどのくらい効果があるかということは、これは敢えてスイスの事例を待つまでもなく、アメリカの事例を待つまでもなくはつきりしている。ところがこれに対しまして日本の現在の政府の、特に文部省の予算の内容をみますと、極めてこれは気持はよく一致したのでありますが、言うことはいいけれども、やることはともあれということになつておられる。これに対して私は不満があるわけなんです。これに対して私は敢えて申しますが、もう少し積極性が欲しいと、こう思うのですが、一つ御意見を更に伺いたい。
  146. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 誠にお言葉の通りであります。これは国民体育の問題につきましても、又一般青少年の指導といいますか、これを対象とする社会教育の施策の上においても、予算は御指摘の通り誠に不満足であります。これは今後鋭意充実することにいたしたいと、かように考えております。
  147. 河野謙三

    ○河野謙三君 この際大蔵政務次官がお見えになつておりますが、これは文部省だけの問題じやないのですが、大蔵当局にもよく聞いてもらいたいのですが、一体日本の予算の組み方をみますと、いわゆる警察費、保安隊費、こういうものに年々歳々経費が増して来る。予算が殖えている。逆に今私が指摘するような社会教育、スポーツ、こういうような問題に対しての予算というものはむしろ減つているという傾向にあるのですが、これは私は本末顛倒だと思うのですよ。むしろ根本的の対策というものは、私は今青少年の例を申しましたが、警察行政費を削る一つの手段として、もう少し文部省も社会教育、体育面の予算を、もつと私は積極的に殖やすべきだと思いますが、大蔵省はそういうようなことをお考えになりませんか。
  148. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 御趣旨の点誠に御尤もでございまして、大蔵省当局といたしましても、文部当局の御要求、御説明に応じまして、乏しい中からでもでき得る限りの増額計上を図つている次第でございます。二十九年度予算におきまして、文教振興の予算といたしましては、前年度十億一千五百万円の予算でございましたが、二十九年度におきましては十一億四千八百余万円、こういうことに相成つておりまして、僅かではございますけれども、極力こうした計上にも配意いたしていることを御了承を仰ぎたいと存じます。
  149. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあいろいろ対警察行政の費用との比率等で申上げる材料も持つておりますけれども、これは時間の関係上申上げませんが、そこで私は次に文部大臣に御参考までにもう一つ申上げておきます。  これもあなたのほうの調査ですが、文部省調査によると、運動を現にやつている人は、男の中では僅かに二三%、女が一三%、それ以外は運動をやつてない。ところがそれ以外のやつてない人で、やりたいと思つているけれどもできないという人が、男が三七%、女が実に四一%というあなたのほうの調査資料が私の手許に来ております。更に、じやこのやつてない人はどうしてかという、運動をしてない人の中でしない理由というのは、男で時間がないという人が三八%、それから用具とか施設とか指導者がない、こういうために運動ができないのだという人が四七・八%であります。これはもう文部大臣の下においての調査でありますから、御承知と思いますが、更に女の例になりますと、時間がないからできないという人が三七%、用具がないとか、施設がないとか、指導者がないからできないというのが三一・八%、女といえどもこのくらいある。こういうような統計からみて、施設とか用具とか指導者というものを得るならば、国民の中で更に健全なスポーツを明日からでもやりたいという人が三〇%乃至四〇%あるわけなんです。これは単にスポーツをやるというだけのことじやなくして、その結果が先ほど申上げましたように思想上の非常な好結果も来たし、犯罪の防止にもなるし、こういうような現実に国民の気持がここにあることがわかつていて、今のような私は大蔵省等が予算措置において消極的な態度というものは情ないと私は思うのです。これに対しまして文部大臣はもう百も御承知の上でありましようが、今後におきましても。そこで私は今日問題があるのですが、予算上は今出ておりませんけれども、この五月に万国のレスリング大会が東京都において行われる。今東京都では四億か五億の金をかけて室内施設の完成を急いでおります。これには二十数カ国から選手が二百何人参加する、こういうことになつておりますが、これに対して政府は何らの関心を持つていない、財政的な関心が織込まれていない、こういう現状でありますが、これに対して私はもう少し積極的であつて欲しいと、こう思うのですが、如何なる準備がおありでしよう。
  150. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この五月にレスリングの世界選手権大会が東京で行われる予定でありまして、これは将来招請されるかも知れないオリンピック大会というものの試金石にもなるわけでありますから、是非とも成功をしてもらいたいと、こういうふうに祈つてやまないわけであります。これにつきましては東京都のほうのいろいろ予算的な計画があるようでありますが、これは大蔵省その他関係の省ともよく話合いをしまして、できるだけ財政的な援助をしたい、こういうふうに思つております。
  151. 河野謙三

    ○河野謙三君 大蔵政務次官から、これらについて大蔵省の心構えを一つ伺いたいと思うのですが、今もう折角善処するとか、折角相談しますという段階じやありません。もう五月のことでありますから。同時に今文部大臣はさすがにそのほうに対して御心配のことでしよう、よく見通しをつけておられますが、今世界のオリンピックを日本に誘致しようということは国民運動となつてつているわけです。ところが五月の万国レスリング大会に若し日本がすべての点においてうまく行かなかつた場合には、これは永久に世界のオリンピック大会というものは日本に誘致できないと思うのでありますから、世界のオリンピック大会というものの誘致に対して政府が反対ならば別です。若し政府も東京都も、これは東京都がオリンピックを主催するのじやなくて、日本の国としてやるのだというだけの政府に期待がオリンピックに対してあるならば、この五月こそ真に大事なレスリング大会だ。これに対して大蔵省はどういうふうな予算的措置をとつて下さいますか。
  152. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。従来大蔵省財務当局の、こうした国際的な協議に対する補助といたしましては、或いは世界オリンピックでありますとか、或いはアジアのオリンピック競技大会といつたような国際的な、而も総合的な種目の競技の場合におおむね限つてつたようでございます。今回の只今質問にございますレスリングの世界選手権大会の問題につきましては、まだ文部当局から御相談を受けておりませんので、ここで直ちに結論を申上げるわけには参りませんが、従来の、今申上げましたような経過から考えまして結論を出しますというと、相当困難があると思います。併しながら我々当局といたしましても、でき得る限り文部当局の御希望を入れるのが至当じやないかというふうにも考えておりますので、十二分に研究をさして頂きたいと考えております。
  153. 河野謙三

    ○河野謙三君 従来この総合競技の場合には出したけれども、単一の競技についてはそういう例が余りないと、これは国外派遣のことです。今度は日本がつい先頃札幌で世界のスケート大会をやつた、ところがこれは参加人員も、参加国も非常に少かつた。併しそれに対してたしか六百万円かの補助金が出たはずであります。今度のやつは全く規模が違うのです。二十数カ国、二百数十名の選手が参加して、而も日本でオリンピック大会をやるいわゆる前哨戦として、これは国民挙げて、私は国の総力を挙げてこのレスリング大会に対しては万全を期せなきやならん。かような際にまだ文部省大蔵省に対して何らの話もしていないということは私は非常に不思議だと思うのですが、今していないと言つても仕方がない、私は暫く待ちますから、お二人でそこで御相談なすつて下さい。そうしてもう少し具体的に返事して頂きたい。
  154. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。只今まだ文部御当局から御相談を受けていないと申上げましたのは、正式に御相談を受けておらないということの意味で申上げたのでありまして、非公式には何とかならんものかというので内々いろいろな御相談を受けております。併しまだ正式には御相談を受けておりませんので、それで結論を直ちに申上げることができないと、こうお答えした次第でございます。
  155. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは文部大臣から、文部大臣はこの大会の意義の重要性は十分御認識があるようでございますが、大蔵省に対してどういうふうな交渉をされますか、あなたの大蔵省に対してのお心構えを一つ伺いたい、具体的に。
  156. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは率直に申上げますと、この二十九年度の予算を作るときに計上して置くのが一番よかつた。当時まだ東京都のほうでその点がはつきりしていなかつたのが実際でありまして、いよいよはつきりしたときは予算の間に合わなかつたわけであります。でありますから今日となりましては、これは金額は忘れましたけれども、千万円か千五百万円ぐらいじやないかと思うのですが、その東京都で予定しておられる補助金額というものは今日になりましては予算に計上が漏れておりますから、結局予備費で何とか大蔵省のほうにお願いをするというよりはほかには方法がないわけであります。今大蔵政務次官からもお話になりましたように従来の関係もありまして、果して東京都で考えておられる金額の補助ができるかどうか、その点は私もまだこれはこれから大蔵省にお願いをしなきやならんのでありますから、どうもそう簡単ではないと思つておりますが、とにかくできるだけ一つ大蔵省に奮起して頂きたいと、こういうふうに思つて、そのつもりで大蔵省にお願いをするつもりであります。
  157. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も東京都から幾ら要求が出ているか知りません。知りませんが、東京都の要求は尤もである、従つて東京都の要求そのままを文部大臣は、とにかく大蔵省一つ折衝してやる、そういうことであるのですね。私はどうも植木さん甚だ失礼ですけれども、あなたたち、まだスポーツの意義というものよくわかつていないと思うのです。先ほどいろいろ統計を申上げましたが、これは今国内的なことを申上げましたが、私は一昨年初めてヘルシンキに行つたのです。そうすると、先ず第一に驚いたことはフインランドに限つたことではありませんが、どこの国に行きましても日本人というものは相変らず非常に戦争の好きな国だ、物騒な国民だという認識が決して現在も払拭されておりません。これに対して一番平和を愛好する国民であるということを海外に宣伝徹底させるのはいろいろな方法あるでありましようけれども、私はスポーツが一番早いだろうと思う。現にアメリカと日本との関係におきましてスポーツの交流によつてその効果を非常に収めておる。フィリピンも同様であります。今度二十数ケ国が向うから来てくれる、今度は外貨じやない。日本の円で間に合うことなんです。何でこの際二千万円や、三千万円の金を措んで、これだけの大きな外交をやるのに大蔵省がそう行かないというので……、あなたはスポーツに理解があると言いましても、二千万円や三千万円の金で私は二日も三日も考えているなら、私はスポーツに理解があるとは思えないが、如何でございましようか。
  158. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) お答え申上げます。スポーツに理解がないと言つてお叱りをこうむりましたが、少くとも私もスポーツに対しては相当の理解を持つているつもり、でございまして、みずからも学生時代には少しはスポーツを嗜んだほうであります。併しスポーツに理解を持つているかいないかということは、いわゆる財政的援助を大蔵省がするか、しないかということのみで御判断を頂くというのは、私は遺憾に存じます。併しこれはまあ余談でございますが、大蔵当局といたしまして、従来の方針もございますし、だからその点十分研究してみたいとは考えております。まあ御承知のように、丁度今国会の会期中でございます。  一方で常任委員会の決算の委員会の方面におきましては、会期中に第二予備金式なものを出すことは不都合千万じやないかというので、非常なお叱りをこうむつております。まあそういうようなこともありますので、どういうふうに普処し得るかという点、今非常に悩んでおる次第でございます。
  159. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは政務次官、少し詭弁だと思うな。スポーツを理解しておると言う。スポーツを理解しておるということと、財政的の支出をするか、しないかということとは別だと思うが、私はこれはそうではないと思う。あなたが真に理解があつて、スポーツの重要性というものを認識をして、スポーツ外交の重要性を認識しておるならば、一方の警察費や、その他のものは削つても、もつと基本的なこの方面に金を、二億でも三億でも五億でも使わなきやいけないと思う。これがあなたの思想となつて財政面に現われて来なければ、私どもはあなたはスポーツに理解があるとは思わない。ただ大蔵省の政務次官であるとか、巾着の紐をきつくさえ締めればいいと、こういうことではないと私は思うのです。まあこれは責任の地位にあつて、ここで軽々に気持を割つても言えないところだとは思うのですけれども、私は十分あなたが一つ私の言うことを了解されて、善処しようということであるというふうに私は了解して、私はこの問題については一応あなたへの質疑を打切ろうと思いますが、それで、そこは君が勝手に了解するのであつて、俺はそこまで共鳴していない、こうおつしやるのでありますか。(笑声)
  160. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 先ほど私お答え申上げましたように、財政的援助を出したからオリンピック運動競技に理解があるかないかという、その御判断の点については、私は所見を異にします。併しながら私自身もこうした問題が、御趣旨のような意味もあつて、非常にいいということについては同感でございますから、極力再処いたしたいと存じます。
  161. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはね、少し無理ですよ。真剣な色恋だつて金がなければできませんよ。ねえ、そうでしよう。恋愛も金がなければできませんよ。ましてあなたが真にスポーツを理解し、このスポーツ外交を通じてですよ、日本の国民は平和を愛好するのだということを万国に大いにあまねく徹底させようというのには、絶対のチャンスではありませんか。そのチャンスが来て、これがあなた、金がなくてできますか。それもこれは単に一東京都の行事であつて政府として関係したことではない。こういうような御認識ですか。私は少くとも形式は東京都であつても、今度のレスリングの大会にしろ、又これから迎えんとする世界オリンピック大会にしろ、すべてこれは国の行事であり、国の仕事だと思うのです。お聞きになつているでしようが、私はフインランドに行きましたときに、驚いたのは、あれはフィンランドの国としてオリンピックをやつている。決してあれは一部市の仕事ではなくて、フィンランドの国を挙げて、軍隊まで出動して、あの小さい国で総力を挙げて各行政府が完全に一体となつて、あの世界オリンピック大会をやつている。これが東京に誘致された場合にも同様だと思う。でありますから、話はくどくなりますが、そう何も、私はこの文部委員会に初めて出たのですが、こんな問題に政党政派はないのであるから、あなたの言葉尻を捉えて野党がどうとかこうとかという問題ではないのですから、もつとざつくばらんに、気持がそこにあるのならば、もう少し具体的に何か御答弁願えませんか。
  162. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) 何回御質問を受けましても、私の立場といたしましては、文部当局のお申出を受けまして、十二分に善処して参りたいと、結論はここに尽きます。
  163. 河野謙三

    ○河野謙三君 善処するということは、この頃非常にはやるのですが、(笑声)文部大臣、じやこれは文部大臣から、大蔵省に折衝の相手となる文部大臣の決意のほどを伺いたい。教育法案に対する決意くらいのつもりで一つつて頂きたいと思う。(拍手)決意のほどを伺いたいと思います。
  164. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 只今申上げましたような趣旨で、極力大蔵大臣にお願いをしたいと思つております。
  165. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つ同様にやはりこのオリンピック誘致の前哨戦と言うと言葉は悪いかも知れませんけれども、一段階としてアジア大会があるのですが、これに対しましては、文部省並びに大蔵省はどういう、ふうな準備が現在までできましたか、これを伺いたいと思います。
  166. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) アジア大会につきましては、二十九年度の予算に一千万円経費を計上してありますが、これは河野さんから御覧になると、非常に少な過ぎるということになろうかと思いますが、又事実体育協会あたりで予定しております出場選手は、成る程度人数は減るような結果になりはしないかと思います。これはまあ緊縮予算ということで、実はそれ以上の計上が困難であつたわけであります。一千万円というのが二十九年度予算に計上せられております。
  167. 河野謙三

    ○河野謙三君 その一千万円というのは、最終的なものでございますか。なお更に、一千万円は一応きまつている、併しなお二百人からの選手を派潰するに当つて、これではもうどうにもならんことは当り前であります。そこでなお一千万円以外の問題についても文部省が折角大蔵省と交渉中である、こういうふうなことになつているのですか。
  168. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは予算が数字がきまつておりますから、一応この一千万円で支弁することにいたしたいと、こういうふうに考えております。
  169. 河野謙三

    ○河野謙三君 さつきから大蔵政務次官なり文部大臣、しきりに予算、予算と言いますけれども、今度の予算だつて、例えば今問題になつている入場税の国税移管ね、これもまだきまらん。繊維課税の問題も、何かどうやら予算の内容とは違う方向に行つている。それから、そのほかまだ細かい問題が、予算でもおよそ食い違つている問題がある。併しこれが通らなくても、一時の予算の収入面は非常に内輪に固く見てあるから、どうせ二百五十億や三百億の自然増収はあるだろうというようなことは、これは政府が常に非公式に言つておられることなのです。入場税のような百九十何億のものが、仮に穴があいても、これは自然増収で何とかやつて行けると、大蔵省は常々非公式に育つておりますよ。でありますから、これは予算、予算とおつしやるけれども、こんな僅かなオリンピツクの、いやアジア大会など、それからレスリング大会のこんな問題でこれはこの二千万円や三千万円の問題で予算、予算と一々引合に出されるのは私は受取れないのですが、大蔵政務次官、その点は如何ですか。ただ気持の問題でしよう。あなたたちはこれは出るのだという方針をきめれば金の問題はどうにでもなるのでしよう。ただそれが妥当であるかないかという問題でしよう。そうじやないでしようか。
  170. 植木庚子郎

    政府委員植木庚子郎君) アジア・オリンピック競技大会への出席の予算が一千万円計上してありまして、これで以て善処すべきものであると私は考えます。お話のように、これは単なる予算であつて、その必要があれば又どんどん金を出してでもいいのかというような御質問のように承わりますが、その点はやはり予算で以て、その最高限度を一千万円と、この問題につきましてきめてある以上は、この中で善処して行くのが当然の措置であろうと、かように考える次第でございます。  なお念のため申上げておきますが、只今入場税、或いはしやし税等の問題につきまして、大蔵省の当局が非公式には、それが入らなくても何とかやれるのだといふうに申したようにおつしやいましたけれども、私は現在の大蔵省の人達の中に、さようなことを申した人があるとは恐らく考えられんというふうに確信をいたしております。
  171. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はその点は品をよく、誰がどこでどう言つたということを言わないだけの話です。あなたが言えとおつしやるならば言えますよ。ただ私はあなたがそういうことを言わせようとは思わない。そういうことは常識ですね。そういう議会人と政府の間の常識です。そういうことは予算委員会と同じ問題でありますから、ここでは論議はいたしませんが、とにかく文部大臣にしろ、大蔵政務次官にしろ、言葉だけでなく、心から私が先ほど申上げましたような、スポーツ行政の重要性を心から本当に認識されたのなら、もつとこれを具体的に予算面に表わす方法というのは、私はなくちやいかんと思う。それを何も具体的に表わさないで、ただここで私に非常に御尤もだと、共鳴したと、こうおつしやいましても、それはあなたたちお二人の答弁は、私に対して慇懃無礼という答弁ですよ。言葉の上では極めて慇懃であるけれども、腹の中では極めて無礼だと思う。(笑声)真に心も言葉も本当に私に共鳴いたしましたか。それをもう一遍私は伺いたい。
  172. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) このレスリングの関係につきましては、これは予算に計上してありません問題でありますから、何とか予備費でできるだけの補助をできますように、これは本当に努力したいと思つております。それから今の極東アジア大会のことですが、アジア大会の経費、これは実は私どもとしてもこの計画されている規模から見て、非常に金が少いという点は承知をしておつたものでありまして、まあいろいろ大蔵省のほうにもお願いをしたのであります。ただ予算の金額というだけでなしに、これは御承知のように外貨の関係もありましたりしまして、非常にお願いをしたけれども、結局一千万円ということに落着きましたので、でありますから、これはその予算で最高限がきまつたのでありますから、よくよく特別な全然予想しなかつた事情が発生すればこれは別でありますけれども、そうでない限りは、今日これを一千万円を上廻る金額を支出するという考え方はまあできないであろうと思います。この点非常に金が少くて遺憾の点がありますけれども、これはまあ政府として、かようなことを申すのはどうかと思いますけれども、やはり国民全体、或いは民間の協力というような点も考えて、何とかこのアジア大会が成功して、日本派遣選手が立派な成績を収めて帰るようにしたい、その点は十分念願をしておりますが、予算関係では、今一千万用を上廻る支出をするというようなことは申上げられないと思います。
  173. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこれで質問を終ります。お二人の共鳴者を得ましたので、真の共鳴者を得ましたので、私はお二人の政治力からして、当然このくらいのものは片付くということで、本当の意味の善処を期待いたしまして私は質問を打切りますが、文部大臣に、特に勇気のある文部大臣にこの際期待しておきたいことは、先ほど来申上げておりますように、あなたが一方において如何に教育行政に熱心であつても、一方において賭博行為その他を放任しておいて、これは費の河原に石を積むようなものですよ。それは片一方で積む。片一方で壊している。片一方は壊すほうに、極めてあなたの勇気と努力というものが向けられていては、私は本当に日本の国は立直らんと思うのですよ。これは本当に私真剣に申上げる。特に青少年。青少年を対象に考えました場合、あなたにもつと、あなたの教育行政の幅が広くなくちやいかん。一方で石を積み上げる、片一方で壊すことから免れば、例え仔細なことであつても、あなたはこれを排撃して行かなくちやならんと思う。それが一番私の目に写るのは今の賭博行為でありますから、特に私はこの点はあなたの人柄に期待いたしまして、これに当つて私は一つ御活動願いたいということを申上げまして、私は質問を打切ります。   —————————————
  174. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 あとの予定もありますから、私は簡単にお尋ねをしたいと思いますが、今日お尋ねしたいと考えておる問題は、駐留軍による損害補償の問題でございます。中でも今日お尋ねしたいと考えておるのは、学校施設に対する補償の問題です。で、これは前の国会でこの法律ができたときに、学校施設について補償するかどうか、これを政令に入れるかどうかということが非常に問題になつたわけであります。で、当委員会としてもこれは是非その中に入れるべきであるというような意向に一致しておつたわけであります。又文部当局においても、これは非常な御尽力によつて、幸い補償の対象こして政令の中に入れることになりましたので、その後政令が公付せられたこ思つております。ところが実際問題としては、これらの補償については進捗していないという実情だと思うのです。ところが学校側にとつては一日も早く適当な補助を受けたい、そうして防音設備なり、或いは非常に危険な、飛行場に本当に近接しておつて危険なところにある学校においては移転をしたい、こういう切実な要望があるわけなんですが、これはどういう加減で遅延しているのか、私はこの際お尋ねをしておきたいと思います。
  175. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この問題は非常に昨年来御心配を頂きまして、御協力によりまして多少文字の上からむずかしい点もありましたけれども学校を政令のうちに加えることができましたので、只今ではその実際の調査をいたしております。防音設備等によつ何とか間に合つて行くものはともかくでありますが、学校によつてはやはり移転改築をしなければならんというものも、私どもはその必要があると考えております。これにつきましては今調査をしておりますので、できるだけ早くその運びにいたしたいと、かように考えております。あれはまあそういうふうに御承知願います。
  176. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで昨年度の予算の実施については、一応三月末というりが区切りになつておると思うのですか、その昨年度の予算の執行については、当然本年度も受継いで行われるというふうに考えられるのですが、そういうふうになつているのかどうかお伺いしたいと思います。
  177. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) お答え申上げます。  只今質問学校の騒音を防止する予算につきましては、大蔵省といたしまして、すでに二億五千万円ばかり調達庁のほうに予算の移し替の手続を終つております。予算の科目は防衛支出金でございまして、すでに調達庁におきまして補助金の契約を了したということでございますので、実際の支出は繰越の手続きによりまして、明年度に行うこともできることになつております。
  178. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで調達庁関係に伺いたいのですが、見えておりますか。
  179. 川村松助

    委員長川村松助君) 大石次長が見えております。
  180. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その補償の実施ですね、大体いつごろにできる目安ですか。
  181. 大石孝章

    説明員(大石孝章君) 調達庁のほうからお答え申上げます。その前に荒木委員の非常に御心配になつておる駐留軍基地周辺にある学校教育施設の阻害に対しまする調査の経過と、それから現在取上げておる問題について御説明いたしたいと思います。文部当局の御援助を得まして、現在いわゆる基地周辺における被害校というものはおおむね七十校あるということになつております。その中にはお話のように防音工事をせなければいかんというようなものと、移築を要するものと、おおむね二種類に分かれます。七十校のうち私ども調査並びに地元からの申請、そういうものは約一割の七校のものが現在までの調査の判定になつております。それから然らば昭和二十八年度中にどれだけ実際に移築したか。千葉県の九十九里浜のいわゆる片貝、豊海演習場の周辺におきますところの豊海中学校、小学校、それから白里の小学校、この三校につきまして合計七百四十万円ほどの補助金の交付を完了いたしました。目下手続中のものが、立川周辺の立川第一中学校が約三百五十万円、水戸周辺の磯崎小学校約三百十万円、これは手続中でございます。なお予算につきましては、大蔵省の谷川、主計官からお答え申上げましたように、大蔵省との間には私ども主務庁といたしまして、二億五千八百万円の防衛支出金の使用につきまして完全な意見の一致を見ております。従いまして、私どもの手続の進行に応じましてそれぞれ移し替えを完了いたしまして、実施いたすことになつております。なおこの予算そのものは繰越の明許を実施することになつておりますので、引続きまして二十九年度におきましても、残余の調査完了の学校につきまして逐次補償或いは補助金の交付ということを実施いたしたいと思つておる次第であります。
  182. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この損害補償に対する予算の問題ですが、二億五千万円というのは、これは二十八年度中に一応補償として支払う予定で考えられた予算だと思うのですがね。これは今後増額するという考えはないわけですか。
  183. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 只今まで調達庁の要求を見まして査定をいたしまして、移し替えをした金額が先ほど申しましたように、二億五千八百万円でございまして、それ以外の問題になつておるものがそのほかにございました場合に、私ども関係者の集まつておりまする協議会というのがございますが、そこで一応調査をし、或いは文部当局のほうで御調査を願つて、補償を出すべきであるというふうに決定いたしました場合には追加の移し替えの措置を講じたいと考えております。
  184. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで今実施した例について説明がございましたが、これは多分予算の金額から見て、防音装置の補助じやないかと思うのですが、移築についてはどういう査定になつておりますか。
  185. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 移築すべきかどうかという点につきましては相当むずかしい問題がございますのですが、それはその当該学校におきまして、その騒音がどの程度学校教育影響があるか、移築をどうしてもしなければいけないかどうか、これは専門的になりまするので相当慎重に今研究しているわけでございますが、只今ども承知しておりますところによりますると、移築を要するものといたしましては大体日本全国で四校ぐらいある。そのうち福岡県の月隈小学校につきましては、すでに移築を終りまして、その補償も予算の手続をすましてあります。残りの三校につきましては調達庁のほうから更に詳しい資料を頂きまして、できるだけ速かに措置をいたしたいと考えております。
  186. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 移築については七校ばかりある、こういうお話でしたが、査定では四校ということになつておるようですが、これはどういうわけですか。
  187. 谷川宏

    説明員(谷川宏君) 只今調達庁のほうから七校というお話でございましたが、私どもといたしましてはよく事情を聞きまして、残りの三校につきまして移築をすることが適当かどうか、更に十分調査をして行きたいと思つております。
  188. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は初に申上げましたように、今日はあとで学校給食の問題についてありますので、今日はこの程度でとどめておきますが、この補償についてはできるだけ一つ努力をして頂いて、早く完了をするように御配慮願いたいということを要望しまして質問を終りたいと思います。
  189. 川村松助

    委員長川村松助君) お諮りいたします。委員会はこの程度で閉会して給食問題に移りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければ委員会はこれを以て閉会いたします。    午後三時三十八分散会