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1954-04-01 第19回国会 参議院 文部委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月一日(木曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————   委員の異動 三月二十七日委員三好英之君、中川幸 平君及び松原一彦辞任につき、その 補欠として野本品吉君、西川甚五郎君 及び石川清一君を議長において指名し た。 三月二十九日委員西川甚五郎辞任に つき、その補欠として中川幸平君を議 長において指名した。 三月三十一日委員杉山昌作君及び安部 キミ子君辞任につき、その補欠として 河野謙三君及び岡三郎君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            雨森 常夫君            田中 啓一君            中川 幸平君            横川 信夫君            吉田 萬次君            河野 謙三君            高橋 道男君            岡  三郎君            高田なほ子君            永井純一郎君            石川 清一君            長谷部ひろ君            野本 品吉君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工樂 英司君   —————————————   本日の会議に付した事件義務教育学校における教育政治  的中立確保に関する法律案内閣  提出衆議院送付) ○教育公務員特例法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○盲学校ろう学校及び養護学校の生  徒、児童等に対する修学の奨励に関  する法律案要綱に関する件   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案と、教育公務員特例法の一部を改正する法律案、この両案は二月二十五日予備付託されまして、提案理由説明は三月十一日に聞いております。三月二十六日に本付託となりました。衆議院においては一部修正されております。質疑は本日が初めてであります。ついては一般質問に入りまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 相馬助治

    相馬助治君 今委員長から一般質問に入る旨の宣告があつたわけで、勿論一般質問の枠内において二、三この際文部大臣に質しておきたいことがあります。本院に廻付されておるのは一部修正された法律案でありまするが、その法律案の逐条乃至は内容についてここで審査の対象にする前に、私は大臣に伺いたいと思いますことは、あのような三つの法律は前提があつて政府において立案し、これを両院に提案されたのだと思うのでありまして提案された当時の条件と、提案された当時における理由とにおいて自然的に変更があつたもの、乃至はそれ自体には変更がないとしても、政府当局見解がその後において変動があつたものというようなものが仮にあるとするならば、私は念のためにあらかじめ文部大臣より承わつておくほうが審議を円滑に進める上に便宜であろうと思うので、あえて御質問を申上げます。
  4. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) お尋ねでありますが、これは前々から申上げておりますように、いわゆる教育中立性確保する見地から二法案提出したのありまして、その点は趣旨におまましても理由におきましても、別段変つたところはありません。
  5. 相馬助治

    相馬助治君 文部大臣のおつしやつたことについてはよくわかりました。即ち、二法案を出した当時の心境においては勿論変つていないし、又この二法案提出した根拠をなした理由においても変動がないという見解の下に、いわば衆議院に出されたときと同じ立場に立つて本院に対して審査を求められておる、かような建前で我々も審議に進めてよろしいものであると、こういうふうに了解いたしますが、私の了解に誤つておりませんですか。
  6. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) その通りでございます。
  7. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで更に関連して文部大臣にお伺いしたいのであります。衆議院の、ほうで、こういうふうに修正議決されて参議院のほうに送り込まれた、そこでお伺いしたいのは、これから我々がこれを審議するに当りまして、修正した部分も含めて全部文部大臣責任を持つて参議院審議に応じて行かれるのか、或いは修正部分については修正者が来まして文部大臣と一緒になつて参議院審議に応じて行かれるのか、この点を伺つておきたいと思います。
  8. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この修正衆議院の議決によつて修正になつたのでありますから、その点はその修正趣旨等において政府のはうで積極的にそれを引受けるということはまあ大筋の上から言つてどうかと思いますけれども政府といたしましては、この修正に対しては実質的に異議はない、修正に対しては別に異議を差し狭んでいない、これで差支えない考えておりますので、その意味におきまして修正部分につきましても政府意見についてお尋ね等がありますれば私がお答えを申上げます。
  9. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこでこの委員会ほうで、議会のほうとしましては修正部分について、文部大臣了解をまあした併しみずからが提案したものとは違う、併し内容、その本質等について修正されたものと政府原案とが果して質的にも同じものであるかということは、これは審議をずつとやつて見なければ私どもわらない、いろいろなおかしな点が出て来るかも知れない、そこ修正された部分についても文部大臣か了承をしているんだから答えて行きたい、まあこれは答えられてもいいと思います。併し政府が提案した原案については文部大臣は、文部省責任があると思うが、私は法律的にはよくわかりませんが、あなたに責任はないのだと思います。これは修正部分は。そこで修正をした、俗にいう三派協定をやつた人の中から、これは責任者が私は常にここにあるべきものだ、そうしてその両者を私どもが相手にして審議をして行くうちには原案とどういうところが違つて、どういうこれが生れた場合には結果が出て来るとか、いろいろ出て来る、そこで文部大臣がこの修正議決されたことで大きな責任を負うということは私はできないことだと思います。その点はあなたがよく了解をされておつて、今後委員長もその修正した人を常にここに呼んでおいて、頂きたい、こう私は思うのですが、如何でありますか文部大臣。それから委員長から皆さんに諮つてもらわなければならないと思います。
  10. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ほど申上げましたように、今お話通りこの修正衆議院において議決されたのでありますから、政府提案と考えるべきものであるが、政府責任を持つという筋道は少なくとも法律的には言えないだろう、こう私も思います。そこで先ほど私の申上げましたのは、修正内容について政府としても別に異存のないものであるという政府態度を申上げ、それからなお勿論さようなわけでありますからして、修正趣旨の弁明に政府が当るべき筋合ではない、併し政府はこれで差支えないと考えておりますから、修正部分関係して政府意見をお聞きになるような場合にはお答えを申上げる、そういうふうな意味で申上げたのであります。その点御了承願います。
  11. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  12. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて。只今永井君から要求がありましたように、本法案修正案につきましてその責任者説明のために必要に応じて出席を求めるということに決定して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの前の委員会文部省に対して資料要求をまあいたしておきました。今日その一つが出されておりますが、他の資料についてはなお送付されておらないのですが、これはどういうことになつていますか。私はかなり前にこの要求をしておいたのですが、この法案審議に当つてもなお資料提出されないのはどういうわけか、御説明を願いたいと思います。
  15. 須藤五郎

    須藤五郎君 併せて私も三月十三日に同じく資料要求してあります。再軍備フアッシヨ教育に関する資料要求してありますが、まだ提出されておりません。御提出を願います。
  16. 川村松助

    委員長川村松助君) 須藤君からの要求通り政府のほうに要求しております。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は資料を未だに御提出にならないのはどういうわけかということを質問しております。従つてこれは私の……。
  18. 川村松助

    委員長川村松助君) 荒木君に対する答弁は今政府のほうからやるわけです。
  19. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 資料の御要求がありましたのは、先に提出いたしました偏向事例についての出所という点が一点。それからもう一つは、フアッシヨン教育についてでございますか、この点であります。これは口頭で申上げます。  出所は、折角御要求でありますが、これは私のほうで提出をいたしかねますから、さよう御了承願います。  それからフアッシヨ教育事例につきましては、今日まで私の手許にはそういう事例資料がありません。該当の事例がありません。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは提出できないというお話ですが、それだけでは了解しかねると思います。従つてどういう理由でその出所等については提出できないかということについて御説明を願いたいと思います。
  21. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは先に申上げたかと思いますが、実は私どものほうでは中立性確保に関する、確保されていないという事例についての的確な調査方法が実はないわけであります。先に各教育委員会に対してその事例報告を求めたということは御承知の通りであります。これすらもこれを学校教員に対する思想調査であるとか何とかいうような、これは文部省設置法教育委員会法によつて当然文部省として報告を求めることができるのであります。これに対してすらもいろいろ思想調査であるとか、まあ何とかいうようなことでありまして、又その関係でここに報告を差上げてありますように、殆んど大多数の県がそういう事例がないとか或いは又報告を全然しないとか、こういう実情であります。従つて先提出した資料というものは、いわば文部省としては積極的に調査をしたというよりも、いろいろな関係文部省に自然に集つた資料であります。出所として一々この資料がどういう出所あり、どういう調査をするかということは、私どもからは申上げかねるのでありますが、大体において新聞等偏向教育として報道せられたものが相当にあります。そうしてそれは少くとも表向きになつて教育委員会学校との関係、或いはPTAと学校当局との間或いは児童、生徒と学校との間、そういうふうに表向いて紛争をし、或いは又それに関連をして教職員の何といいますか、これは罷免とか、或いは懲戒をするとか、そういう事態が起つて来ると、そういう極めて表向きになつている事例もあります。それから新聞等に出てそれに基いて文部省から係官派遣をして、いろいろ調査をするというか、関係者に聞き質してまとめたものもあります。  それから学校関係者教員の人々が自分学校ではこういうことが行われている、誠に残念に思うけれども、併し自分がこういうことを文部省に行つて出たということであるというと教員組合のほうから非常に圧迫を受ける、非常に苦しい立場になるので、その辺は表沙汰にして頂きたくない、こういうことで直接学校先生あたりから訴えて来られた事例もあります。そういうふうで文部省がこういう調査方法をとつてこういうやり方で調査をしたというものではありません。又それを一々申上げるということは、でありますから迷惑のかかる人もあろうかと思います。まあいろいろな関係で、この出所を申上げることは、私どもとしては甚だ御希望に添いかねる点は遺憾でありますけれども、控えさせて頂きたい、かように考えます。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 偏向教育事例というものは、偏向教育が行われているかどうかということは、私は極めて重要な問題であると思います。又この法案にも重大な関係があるものと考えているわけであります。従つて偏向教育の有無ということは、これは十分な調査に基いて文部省責任を以てその事例を明らかにする責任があると思います。まあそういう私は考え方を持つているわけでございます。然るに文部大臣は、この提出した偏向教育事例については主として新聞記事によつたと、こういう御説明があつたんです。これは私としては誠に意外に感じているわけであります。私は去る一月二十八日この法案が本会議に上程されましてそうして文部大臣提案理由説明がございました際に大臣質問をいたしたのでありますが、その際に偏向教育事例はどうなつているかという意味質問をいたしましたのに対し、偏向教育事例は非常にたくさんあると、こういう御説明であつたわけなんです。そういたしますと、文部大臣の言う偏向教育の事実があるということは、主として新聞記事報道によるもので、ある、こういうことに相成ると思うのです。文部大臣の言われる偏向教育事例というのは、そういうふうに新聞記事によつて判断しておくられるのかどうかお伺いしたいと思います。
  23. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ほどお答え申上げたように、新聞に出た事例等について現地に係官派遣をして関係者からいろいろ聞いたものであります。新聞記事をそのままここに偏向事例として提出したわけではありません。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、私は具体的にお尋ねをいたしますが、ここには二十四の事例についてどれどれが文部省係官派遣して調査したか、これをお答え願いたい。
  25. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 先ほど申上げたように、出所については申上げられません。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は出所のことについては、なおお尋ねをいたしますが、今私がお尋ねしておるのは、新聞記事に出てそうして係官派遣して調査したのである、こういうことでありましたので、この事例のうちのどれどれが係官派遣して調査したのか、これは出所とは別に関係ございません。そのことについて 一々について御説明を頂きたいと思います。
  27. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 一々についての調査報告といたしましてはお答えをいたしません。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私は重ねて文部大臣答弁を要請するのですが、偏向教育事例があるかないかということは、これは極めて重要な問題です。又こういう事例として挙げられた学校にとつても、これは極めて重要な影響を持つものであります。従つて国会が我々の審議資料として出された事例は、少くとも私は文部大臣責任において提出されなければならんということは、それらのことに関しては、明らかにするだけの十分な調査が行われなければならんと思うのです。そういうことを答えることができないということであると、この事例は、これは信用するに足りない、こういう私は結論にになると思うのです。そういう意味で私は重ねて大臣に要請したいと思いますが、文部省自身調査した事例はどれどれか、重ねて私は強く要請します。
  29. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文部省といたしましては、これらの事例については大体その事実はあるものと考えて、そして提出をしたのでございます。その信憑性については、これはそれぞれの判断に待つのはかありません。これを絶対に間違いないのであるから、誰もこれを信用しなければならん、こういうことを主張しておるつもりはありません。偏向事例につきましては、文部省としてかような資料が入つておる、その一つとしても文部省が勝手に捏造したり、でつち上げたものはありません。これははつきり申上げます。そこで文部省としては文部省判断においてはこういう事例真実と認めておるのです。併しこれは裁判所でありませんから、又文部省調査といたしましても、そう具体的にこれを事実であるかないかということを一々立証するだけの用意はありませんし、又その必要はないと考えております。私どもとしてはこれを事案であろうと考えて資料提出したのであります。これを見る人によつて間違いである、事実無根であると判断されることは、それは資料を見られたかたの判断に待つべきものと、かように考えております。この信憑性を誰にも強いるつもりはありません。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの文部省提出しておる資料について、その信憑性というものについてれ我々が判断する以前の問題として私は今質問をしておるわけなんです。こういう重要な問題をどういう慎重な態度調査されたかということを先ずお尋ねしているわけです。そういう意味において先ほど文部省自身において調査したのだ、こういう御説明がありましたので、その調査された事例はどれどれかと、こう言つておるわけです。だから信憑性問題の以前の問題です。これについてもお答え願えませんか。
  31. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この一々についての調査方法については、先ほど申上げましたようにお答えしかねます。その意味においてこの資料を御覧願います。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は調査方法についてのお尋ねをいたしたいのですが、その方法というのじやなしに、この事例については文部省自身調査した。こうおつしやつておるのですから、全部ですか、それとも或いはどれどれですかということを……。
  33. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) そのことについてお答えできない。
  34. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。荒木委員質問に対して当然文部大臣からは答弁があるものと期待いたしましたが、ないようですから、それに関連して私は今一点そのことだけ伺いたい。私が予算委員会総括質問のときに文部大臣にこの出所お尋ねいたしました。おおむね先ほど述られたようなことを述られた。その第二段に私はさようなる不確実なる出どころによると推定される資料は未だ例を見ない。この議会にこんな杜撰な資料提出されたこの例を見ないと思う。誤りある場合には積極的に文部大臣は、我々の意思如何にかかわらず訂正するのかと、こういう質問に対しまして文部大臣は、誤りつた場合には訂正したいと思います。かようにおつしやつた。それから一月経つておる。そうすると荒木委員質問に対しては、そういう事実を掴んだ場合に、係官をして調査せしめた。それじやそれはどうしたんだと言つたらわからない。そのことは暫らく措くとして私の質問が展開されたのちに、誤りあれば直すと積極的に発言をした文部大臣は、その誤りある箇所を質すためにどこへ係官をして派出せしめましたか。
  35. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は、当時私があいまいであるということを私が確認した場合には訂正するにやぶさかでない。かように申上げたつもりであります。客観的にこれは誤りであるかないかということは、これは簡単に捕捉はできませんと私は思います。僅かな事件について裁判所真案を問われるにも非常な手数のかかることであります。過去の問題について、だから私がですよ、私がこれは成るほど間違つてつたと、文部省としてこれは間違いであるということが確認した場合には訂正するにやぶさかでない。こう言つたのであります。決してこれは更に調査をすると言つてもこれは有効な調査方法はなかなかない。例えば教育委員会の人のところに行つてつて聞く、そういうことはありません。私どもそれだけでないと、こういうふうなことに直ちに結論に達し得ない。又そういうことがあつたかと、或る先生はこう言う。こう言つても、だからこういうふうな結論にも簡単に達すべきものじやない。かように考えておるのでありまして、なかなかいわば有効な、真実を究めるための有効な方法というものはなかなかない。できれば真実確めてみたいとは、かようにい考えております。
  36. 相馬助治

    相馬助治君 荒木委員答弁に対しても、出所は述べることができないとおつしやる。そこで進んで今のような現実の問題を引出してお答え願つたところが、誤りがあれば正すと言つたことは一般的なことを言うたのであつて、本問題の直接の答えではない。第一それが誤りであるかないか、確めることが困難であるというに至つては、誤りがあれば正すということは積極的な意思であると、私が思つたことは、私が人が好すぎたのだということを今日考えるわけです。さようなる出所も言えない。而も又行政官庁としての文部省、日本の文教の最高の責任者である文部大臣手許から、立法府である国会に出した資料についてのその手続、作成に至つた手続根拠、これらも明確に、ここにされないということを、審議の劈頭から大臣が木で鼻をくくつたような返事をするに至つては、我々審議に応ずることはできない。この問題は飽くまで我々としてこれは聞かなければならない。従つて私はここでどうしても答えられないというならば、やむを得ないから委員長において適当に理事会を開くなり何なりして、飽くまでこの質問に対して責任ある答えがなされるように、又答弁できないというならば、答弁できない理由を明確にするように私は委員長要求します。
  37. 須藤五郎

    須藤五郎君 この文部省の、大達君の最初のこの法案を出した理由は、かくかくの偏向教育がなされておるから、この法案を立法する必要があるのだと、この立法の根拠は、この二十四の事例にあると思うのです。ところが、その事例は、文部省としては文部省判断によるので他に信憑性を強いるものでないと言つたり、或いはそれから新聞記事はみずから調査したことによるのだと言つておりながら、どの条項を文部省調査したかということに対する質問に対して、それが答えられない。丁度被告裁判所で調べられたような黙秘権を使つているような形になつていると思う。全く今日の様子を見ていると、大達文部大臣被告のような形になつておるが、併し裁判所はそれでいいか知らんが、この文部委員会はそんな形で、審議を進めて行こうという過程において、文部大学黙秘権を使うような形で果してこの審議ができるかどうか、僕は大きな疑問を持つ。今相馬君の発言に対して本当に賛成したい。それを明らかにしなければ審議はできない。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 少くとも国会提出される文部省資料は、文部省責任を持つた資料で、あると私たちは今まで確認しておつた。又その権威を私は傷つけたくないと思う。それは国会審議の尊重のために、私はこの文部省資料というものの信憑性を傷つけたくない。又今後も傷つけるということがあつてはならない。こういうことを思うわけです。ところがこういう私たち念願、又国会議員として当然の念願であることが、この席で以て確認されないような方向に行くことは極めて私は法律審議過程で重要な問題だと思うのです。特に私は荒木議員が前委員会において資料要求されたとき、私も二月の十八日に文部大臣の言として、教育偏向性については各地で新聞報道がされておる。そういう新聞報道を基にして、文部貧教育中立性に関する調査を出したと、こういう御答弁で、やはり新聞記事というものが、非常に大きなウエイトを占めておつたわけです。それで荒木委員資料提出要求と同時に、私は然らばどの新聞に何月何日に、どういう事例が一体載つてつたのか、せめて新聞事例だけでも、どういう新聞にあつたかという、その満開を全部ここで一つ資料として出してもらいたいというお願いを、実はしておつたわけなんです。ところが今の大臣の御発言によると、文部省調査をしたというような、どこを調査したか、それも言えない。而も私が要求した資料については、口を緘して語られない。どの新聞に何があつたかというくらいの資料は、この資料を出す以前に、もう出されていなければならないのに、まるで頬かぶりして、知らぬ存ぜぬの御態度をとつておられる。私どもはこの文部委員会においてこの法案が非常に重要であるから、資料のようなものもお互いに慎重に出し合い、慎重に検討しようということを、理事会でもこれを確認されているのでありますから、どうぞ本問題は、ここで理事会にお移し下すつて、慎重な審議に発展する方向を見出して頂きたいという私は相馬委員の御発言に対して、心から賛成をして、委員長に強く御要望申上げます。
  39. 中川幸平

    中川幸平君 相馬君から要求されたのは御尤もだと思います。文部省の出された資料には答弁をせん。それからあと詳しいことを説明をせんという、非常に文部当局は委員会で中立を欠いておられるというのも御尤もだと思うけれども、その資料にしましても、事と性質によつて文部大臣答弁は御尤もだと我々は感じるのです。やはりそういう無理なことを言われてもこれはどうかと思う。そういうようなことじや、これは文部大臣答弁を聞いて、御尤もな、この資料そのものに対してのなにの答弁は非常に御尤もだと我々は感じる、そんな無理なことは言わないで、別個に一つお尋ねになつたらどうかと思うのです。
  40. 川村松助

    委員長川村松助君) 大臣から発言求められておりますから。
  41. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) ちよつと申上げますが、この法律案、二法律の案を出したということは、現在学校教育において、偏向教育が行われれている、又それが今後も至るところにそういう偏向教育行われる慮れがある、かような見地から出したということは、前々から申上げているのであります。然らば具体的にどういう事例を認めているか、こういうお尋ねでありますから、現在文部省において集まつている資料のうちで、比較的に確実だと私どもで考えられるものを、御参考に出したのであります。この二十四の事例があつたから、この法律案を思いついたというのではないので、偏向教育の傾向があるという認識の上に立つて、この法律案提出したのである。これは私ども手許にはこれだけしか集まつておりません。併しこれは先ほど申上げますように、文部省として残る隈なく積極的に調査をした結果ではありません私どもはこれだけの事例にとどまつているとは、私のこれは判断でありますが、そうは思つておらんので、まだたくさんあるだろうと、こういうふうに私ども判断をしております。その判断の一番の根拠になるものは、日教組の指令のうちに、明らかにかような偏向教育をすべきことを、組合員たる学校教員に指令をしているのであります。その指示を始終しているのであります。これだけは、はつきり何どきでも、日教組自身の資料によつて、これは証明し得ます。これは資料がちやんとしておりますから、日教組自身の資料ですから、これは何どきでもできます。そこで私はです、私はこの二十四の事例があるから法律案を出したのだと、こういうふうにおつしやる、それはちよつと間違つていると思います。だから二十四の事例ということは、むしろ結果として、お求めに応じて目下集つておるものを差上げた、こういうことでありますから、偏向教育の少くとも虞れがあるということは、この二十四の事例の如何にかかわらず私どもはさような認識に立つておる。法律案提出したのはその趣旨において出したのでありますから、それは一つそこの辺は本末を間違えないように。
  42. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行。中川さんが文部大臣の言うておることが無理ないとおつしやつておるが、私は無理であると言つておらない。無理であるか、ないかも判断しなければならないし、問題は私が委員長に協力して申したことは、荒木委員要求に対して拒絶したわけです。荒木委員がそれに対しては答えをしておらんわけです。怪しからんとも言つていないし、拒絶されてもやむを得ないとも言つていないのですけれども審議の最初から委員要求に、にべもなく拒否した、こんなことでは私は不測の事態すら予測されるわけで、委員長においてはこの段階において、よしなに取扱うことがよろしいぞということを考えたが故に動議を出したので、その点は一つ誤解なく願いたい。私の動議は賛成者が二人あつたわけなんですが、委員長におい取扱つてもらいたい。
  43. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  44. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を復活して下さい。  心事お諮りいたします。相馬君から要求のありましたように、資料の問題につきまして理事会に移したいと思いますが、御異議ござませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。  暫く休憩して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議ないようでありますから休憩いたします。    午前十一時三十六分休憩    —————・—————    午後二時三十六分開会
  47. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を再開いたします。先刻当委員会におきまして偏向教育事例について文部大臣答弁に関連して委員長理事打合会を開いて協議いたしました結果、適当件数について証人の喚問を行うことに決定いたしました。その具体的な方法は次回の委員長理事打合会で決定しようじやないか、こういうことに結論いたしましたが、御異議ありませんですか。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 基本的な考え方については理事会の御決定を尊重するわけです。こだこの理事会お話合の中で適当な件数ということになつて参りますと、可なりその出られる理事のかたの考え方によつて、いろいろなふうに、私どもの余り希望しないような方向に行くかも知れない或いは希望するような方向に行くかも知れないと思うのです。それでお話合の中で適当な件数ということの条件として、何か基準といつたようなものが、選び出す基準といつたようなものがお話合の中に出ましたでしようか。お差支えなければお漏らし願いたい。
  49. 川村松助

    委員長川村松助君) そうしたことを具体化するために、慎重を期する意味において重ねて協議することにいたしました。
  50. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、この前提条件として、文部大臣は適当な検査方法といつたようなものもないと、こういつたようなお話もあつたわけですから、理事会お話合の過程では、この適当な調査方法ということを十分に考慮した上で、この件数とか或いは選び出す基準といつたようなものが今後検討されなければならないと私は思うわけでございます。いずれそういう具体的な問題についてはこの次開かれる理事会で決定されることになるわけでございますね。
  51. 川村松助

    委員長川村松助君) そうです。
  52. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。
  53. 岡三郎

    岡三郎君 偏向教育事例或いは先ほど文部大臣が言つた日教組の問題についていろいろと資料があると思いますが、先の点について理事会で一応討議いたした、多くの事例について審議するということになれば、相当時間も要するわけです。そういう観点から言うとこの議案を引延ばして行くのではないかというふうな考え方を持たれるかたもあると思うので、そういう点については、我々としても、徒らに時をかせぐということのみが中心問題ではない。特に政府当局が提案している二法案というものは、やはり今後の教育の大道を決定し、而もそれが具体的に職場の教員に直接影響を与えるこれは法律でありますので、今言つたように、限定された事案についてここでやるということになれば、まあ当該の指定された教職員なり或いは地方教育委員会関係事例というものについても、非常に対象となつたものから見れば、いずれも兄たりがたく弟たりがたし、それぞれ重要度においては、議員のほうではいろいろ考えられても、当該者は同じ比重を持つて考えていると思うんです。そういう点で委員会においては全部の事案について、或る程度浅くともやつて、それに対する明確なる判定を権威あるこの文部委員会において突きとめて行くということが、まあ将来偏向教育というものを是正し或いは仮にあつたとしたら、それを絶滅をして行くことについては、我々野党においても異議がない。そういう点で非常にこの問題を軽く取扱うのではなくて、一つ重視してやつて参りたい。それから日教組関係の点についても、我々かつて責任者立場にあつたわけであります。そういう点については、四囲の仔細というものを私は明確にしていつてもらうことが日本の将来にとつて重要な問題であると考えているわけであります。私自体今後いろいろ問題については質問し、或いはその中で触れて行きたいと思つておりますが、結局組合運動の是正その他について、我々は真剣に過去において、言葉を強く言えば闘つて来たわけなんです。組合運動の再編成というものまでなし上げて来た我々から言えば、そういつた個々の具体的な問題というものは、ただ一つの問題ではなくして、全体に繋がるという観点から、一つ理事会のほうにおいても、又委員長のほうにおいても、偏頗のないように、一つできるだけ広汎に、できるならば二十四件を浅かろうとも一つ取上げて質して見たいというふうな考えを持つてもらいたい。これは時間に制限されて、どうもそういうことができんというふうに頭から言われないで、我々としてもこの法案が多数委員の名によつて通すべきであるというふうになるならば多数意見に従うことは当然なので、我々も徒らにさような駆引に事寄せて当りたく私はないと思う。特に参議院の使命から考えて、衆議院とは雇つた形においてやらなければならん、特に修正が通つた以後において新聞紙上その他においては、あの修正案原案よりもなお悪くなつたというふうに言われているだけに非常な問題を呼んでいると思う。そういう点でその基礎になつている事例には一つでき得る限り広汎具体的に一つ取扱つて頂きたい。これは私はお願いしたいと思う。
  54. 川村松助

    委員長川村松助君) 理事のかたがたもお聞きになつておられることでありますから御意見は尊重されると思います。
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 それで私は更に強く希望したいことですがね。文部大臣は、先ほどこの資料は自然に集つた資料だという発言をされて、丸で何ですかね。風で木の葉が吹き飛んで来たのが、そういうふうな木の葉が自然に飛んで来て集つたような印象の発言をされたわけです。それで私は理事の決定というものを尊重し、その決定には従う用意は持つているわけですが、大臣が自然に集つたというようなことをおつしやつておりますが、理事会として適当な件数をきめて行くということに賛成はいたしましたものの、最終的な決定はやはり委員会に私はお諮り頂きたいと思うんです。これは荒木さんがおいでになるのにそれを無視して言うわけじやありませんけれども、そのこ場とは具体的な件数がきまりましたらば、これはもう一遍一つ委員会にお諮り頂きたい、こういうことを希望いたします。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 理事会は決定機関でありませんので、原案を作成して委員会に諮るのが私は当然だと思う。ですから御希望に副うように了承されて差支えないと思います。
  57. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今荒木先生の御発言のように理事会に決定権はありませんから、協議事項になつておりまして、それがきまると委員会のほうに御報告、了承を得るごとになつておりますので、高田さんの御期待通り行くと思います。  そこで先ほどお話しましたように、議員提出の案件の審議に入りたいと思います。どの件から入りましようか。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私が聞いているところでは、政府提案として唐ろう学校の問題について提案があるということを聞いておりますので、一応どういう構想でその法案を考えておられるのか、お聞きしたいと思うんです。それと関連して議員立法との問題を一つ協議して頂きたいというふうに考えているわけであります。
  59. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  60. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。緒方局長から説明を求めます。
  61. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 盲ろう学校への就学奨励に関しまする法律措置につきましてお尋ねでありますが、文部省といたしましても、このことの重要性に鑑みまして、法律案審議いたしまして、近いうちに国会に提案いたしたいと考えておる次第であります。その内容につきましては、大体二十九年度の予算の認められておりまする範囲で施策をいたしたいと考え、即ち教科書に対しましては、教科書購入費につきましては、全生徒児童に対しまして給与、それから給食費それから交通費、それから寄宿雑費がございますが、これにつきましては貧困の者に対しましてこれを給与する、かような内容につきまして、只今提案の準備をいたしております。御承知のように、二十九年度の予算といたしましては只今申上げました費目につきまして四千八百万程度の予算が計上されております。その範囲につきまして法案を整備いたしまして提案いたしたいと考えております。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると内容ですね。内容は教科用図書の購入費は全額ですか。それからどういうことですか、交通費は。
  63. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 教科用図書購入費でございますね。それから学校給食費、通学又は帰省に要する交通費及び付添人の付添に要する経費、それから学校附設の寄宿舎などに伴う経費、これらの経費を見ておるわけでございますが、これの国の補助といたしましては、都道府県の支弁いたします経費の二分の一ということを考えております。かような経費を国が都道府県に補助をいたしますことになりまして、就学の向上を図りたい、かような趣旨でございます。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今のお話ですと、大体私どもが議員立法している内容と殆んど変りないじやないかと思うのですが、緒方さん、議員立法になつている法案については御承知ですか。全然御承知ないんですか。
  65. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 存じております。若干政府提案のほうが、二十九年度の予算に計上されておりまする施策につきまして政府提案は考えておるのでありますが、政府提案のほうが若干範囲が狭いのではないかと思います。
  66. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは法案をよく見ないとわからないのですが、我々のほうは費目等については余り変りがないわけですね。併し必要な予算は四千八百万円ではとてもできないのですがね四千八百万円では。その四、五倍かかると思うのですがね。どういうところで違うのか、ちよつと表面だけを聞くと全く変りないように聞くのですがね。それではあなたにそれをお調べ願うことにいたしまして、府県の支弁する同等額ですか、府県の支弁する半額ですか、どちらですか。
  67. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 府県の支弁する額の二分の一を国庫が負担すると、かようなことになつております。
  68. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると府県がたくさん負担すれば国庫負担も補助も自然増額されて来る。こういうことになつて来るのですか。
  69. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 予算の範囲において二分の一と考えています。
  70. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると二十九年度の予算に組んだ線であなたのほうは出して来る、出さんでも同じことですな。今から出して来る盲ろう学校関係法律は予算の裏付けを折角したものをただ出して来るということでしよう。出さんでもいいでしよう。
  71. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 今後予算は二十九年度限りの予算でございますが、今後法律を制定いたしまして、盲ろう学校に対しまする就学の実行が非常に困難な事情がございます。今後法律を制定いたしまして、法律でその就学向上のために法律を作つて今後指導して行きたい、かような趣旨でございます。二十九年度だけの問題であれば、そういうお話もわかりますけれども、今後文部省としてこういう施策をとつて行きたい、さような見地から法律を出したいということです。
  72. 永井純一郎

    永井純一郎君 そういう意味であれば、国立学校でも何か政令、省令に譲るのもおかしくなつて来るけれども、国立学校設置法だつて、政令、省令に譲らないほうがいいということになつて来る、あなたの今のような議論だとね。そこで私はその議論は別として、この慮ろう学校法律も議員立法のほうがずつとあなたのほうよりもいいものが出ている。今議員立法で出している、これをよく考えて、それよりも下廻るような余りよくない案であればむしろ出さないで、この委員会でよく相談をして、それこそ超党派的に、これは非常に皆さんが賛成をしておられるのでありますから、これを進めて行くということのほうがいいわけですな、あなたのはうとしても。その点研究してみたらどうですかね。
  73. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 政府政府といたしまして例えば議員提案になつておりまする案でございますが、私のほうと違います点について先ほどお話がございました、例えば幼児等につきましては、政府指案では考えていないわけであります。特に、小中学の関係につきまして特に力を入れたい、かような点は少し考え方が違うわけでございます。いずれにいたしましても政府といたしまして二十九年度につきましては予算がきまつておりますし、それを根本にして実施をして行きたい、かように考えております。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 重ねてお尋ねをいたします。が、国が扶助する金額ですねこれは都道府県が負担をする金額の二分の一ということになるのですか。或いはこういう扶助額の二分の一を都道府県が負担して、二分の一を国が負担してやろう、こういうことなんですか。先ほどの答弁ではここがはつきりしないのですがね。どういうふうに政府案はなつておりますか。
  75. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 建前といたしましては先ほども申上げましたように、予算の範囲で都道府県の支弁する分に対して二分の一を負耕する、予算の範囲で負担するということでございます。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 その予算の範囲ということはよくわかつております。それで都道府県が負担する分というのは全額を指しておるのですね、私は実質的に今質問しているのですよ。例えば或る人の子供に一千円、いろいろの費用で一千円補助してやつた。そうするとそのうちの五百円は国が扶助してやるのですか、そういうことになるのですか。
  77. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 国といたしまして一応予算の執行の場合も同様でございますけれども、一定の基準をこつちから示しましてその二分の一ということでございます。予算の基準をこつちが示しますから、それにつきまして半額を負担いたします。
  78. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでわかりました。そうすると議員立法と相違する点は予算の範囲ということですね。結局基準の決定が違う、こういうことになるのじやないかと私思うのですがね。我々が提案している法案と、そういうことであれば私はこの法案を独立に審議しなくても差支えないと思うのですよ。非常に違えばそういうふうにはなかなか行かないと思うのですがね。
  79. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) ちよつとお答えいたしますが、先ほど私範囲の違う点を幼稚部だけのこと申しましたけれども、これは高等部も政府提案では私ども考えておりません。内容といたしましては小学部、中学部を考えております。議員提案になつております案では高等部と幼稚部がそれに加わつております。で、私どもは特に現在の状況から見まして、小学部、中学部を中心として進めて行く、かような考え方を一つ進めております。かような点が一つの違いでございます。それからここに掲げられておりまする費目の内容といたしましては、議員提案の第二項の「実施見学に要する費用」というものは私どもは考えておりません。それから又第一項の部分につきましても、その他の学用品及び案習材料の購入に要する費用」というものがございますが、教科書用図書だけについて政府としては考えております。それからもう一つ議員提案の開壇にございますが、「通学用品の購入に要する費用」というものも政府といたしましては考えておりません。先ほど政府提案内容として申述べました項目につきまして特に重点的に取上げて行きたい、かよう考えておる次第でございます。
  80. 岡三郎

    岡三郎君 今、の説明によつて違うと言えば違うけれども本筋道は何ら変つていない。ただ問題は予算が一応限定されているから、その範囲内で範囲を縮小して来たというだけのものになると思うのです。つまり盲ろう学校その他生徒児童に対する修学奨励に対して一応予算の枠の中においていわゆる議員提出法案を、違うと言えば違うけれども、実際は枠を狭めただけだというように解釈されるわけです。本質的に奨励方法違つているということでなくて、枠を縮めたというふうな点が予算の関係から出て来ているに過ぎないと思うのですがね、そういう点どうですか。
  81. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 予算の関係もございますが、勿論そういう点もあるかと思いますけれども只今申上げましたように、政府としましては、重点を置くところを小学部、中学部というところへ特に重点を置きたいというのが一つの狙いです。高等部、幼稚部まで手を拡げましてやることは、現段階としましては適当でないと考えます。小学部、中学部を特に力を入れて、そのほうを充実して行きたいと考えております。
  82. 岡三郎

    岡三郎君 結局文部省の考え方は、予算がそういうふうに限定されて来ているし、重点を小中学に置こう、結局考え方としては幼稚部、高等学校部に修学の奨励金というものを出すべきではないという考え方ではないのでしよう。その点は、考え方の筋としてはですね。
  83. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 御承知のように盲ろう学校の義務制につきましても、今年度から中学部に入るわけでざいますけれども、中学部全体がまだ義務制が布かれている現状じやありませんけれども、まあ施策の中心としましては義務制を中心にして持つて行く、こういうことでございまして、漸次義務制実施が逐年進行して参りますので、現在の段階におきましては、義務制を中心にして考えて行く、かような考え方をしております。
  84. 岡三郎

    岡三郎君 だから結局考え方の相違というものは本質的にはない、実際にはただ問題は予算の範囲内において、どうこれを重点的に振り分けて行くか、当面の問題としてこういうふうにして漸次この施策を拡大できたら拡大して行こうという意図が汲みとられると思うのです。そういう観点で今議員提案との観点をいろいろと質しているわけですが、こういう点について何か重複するようなきらいがあるので、その点一つ議員提案の法案として出されているのだから、提案者のほうと更に協議されてそうして、双方において十分了解の上に出されなくては審議上非常に重複するような関係に私はなると思う。そういう点について委員長においてその間をどうするかという取扱い方法を、委員長理事会にわいて協議されても結構だと思う。本質的な相違はないと私は思う。そういう点について一つ協議されたいと思います。
  85. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 ちよつと承りたいのですが、養護学校のほうは文部省原案でどうなつておりますか。
  86. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これも申し落しましたが、養護学校文部省提案には出ておりません、中に入つておりません。
  87. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 それからもう一つ伺いたいのは、さつき永井さんがお聞きしたのですが、文部省の現在出そうとしている法案提出しないとか、若し不成立に終つた場合には非常に困ることがございますか、実施上。
  88. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 先はども申上げましたように、政府としましては是非提案いたしました以上は、法律が成立を見まして修学の向上を見ますように考えておりますから。
  89. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 私聞いているのは、若し出した以上はと申しますが、出さなかつた場合には困るのですか、出さないで済むものですか、それとも出さなければならんものですか。
  90. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) これは文部省といたしまして現在御承知のように就学率が低いのでございますから、これを少しでも向上して行く努力を今後続けて行く、そのためにはどうしてもやはり政府といたしまして提案して、この成立を見て、法律従つて努力を続けて行きたい、かように考えております。
  91. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 予算の裏付けの法案で、予算の裏付けのあるだけだという意味を以ちまして将来それが少しでも支えになつて、だんだん盲ろう唖教育を奨励して行くという気持は一応わかるのですけれども、併し予算の上に載つているのは四千八百万円ということを聞いておりますが、その四千八百万円とれたので如何にも単独立法でそれだけのものがそれでできるというのには余りに少額であるように思いますし、それから盲ろう唖学校教育意味から行きまして予算の範囲内ですると余りに小さい範囲に限定されて、まあ考え方によつて法律でそれをきめてあれば政府はその範囲しかやらんのだというような、むしろ逆の響きも見える可能性もあると思うのです。私は今、岡さんからも話がありましたが、この法案政府提案として出すか出さぬかという問題につきましては、よほど御考慮になつて頂いたほうがいいんじやないか、例えば議員立法として出ておるものが予算の裏付けがないというので本国会において通過しなくても或る一定の理想というものに対してそれに近ずいた観念というものは、それは誰が、第三者が見てもこれは政府提案など、よりも議員立法のほうが理想に近いものだと私は思います。それは完全とは習えないかも知れませんけれども。だからそこで我々の立場は、文部委員会として審査する考え方は皆さんと相談しなければいけませんが、その最小限度のものを一応これを国会が通せばいいのか、或いは国会として本国会に必ず結論は出さなくても、或る理想的なものを我々は審議して行くのがいいのか、これはまあ我々の相談になりますけれども、併し文部省が提案される場合は、今、岡さんが言つたように十分その点も考えて頂かんと、我々与党の立場から言うと、政府が出せばそれを何でも通さなければならんような義務を持つて来ますので、だからその点は一つ政府においても御考慮を願いたいと思うのです。
  92. 川村松助

    委員長川村松助君) 劔木君の発言に対してお答えしますが、御期待に副うように検討を加えておきます。
  93. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 最初の私予算の話を申上げたのでございますが、尤も本年度の予算は四千八百万円でございます。併し法律内容として考えております点は、盲ろう唖学校につきまして小、中学校という義務制を中心にして考えておるのであります。それから費目としましても教科書の費用、給食費、交通費、寄宿雑費、これだけのものを考えているわけでございますが、就学奨励の目的のためにはこの辺に重点を置いて当面やつて行くことが必要であり、又それでいいのじやないかと、かように考えている次第であります。で、たまたま二十九年度の予算は先ほど申上げた通りでございます。今後予算の点につきましても法律の成立を見まして更に努力をして全うして行きたいと、かような気持でございますので、その点は御了承を頂きたいと思います。
  94. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、もう少しお尋ねいたしますが、文部省提案の内容を完全に実施するということになると予算はどれくらい必要になりますか。
  95. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 予算の内容を少し御説明申上げますと、先ほど申上げましたように教科書費につきましては児童、生徒の全員でございます、それから給食費、交通費、寄宿雑費につましては、その総数の六〇%というのを見ております。これは貧困率を見ているわけであります。家庭の貧困の度合からしまして六〇%を考えております。で、今後御承知のように義務制が逐年進行して参りますので、補助率がその義務制につきましては二分の一、非義務制につきましては三分の一というのを見られております。この予算につきましては従いましてその点が殖えて参ります今後。併し一応私どもは二十九年度の予算で、その経費の段階といたしましてはこれでやつて行けるのではないか、かように考えております。
  96. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほどこの対象になる児童、生徒については小学校、中学校であるとおつしやつていましたが、そうするとこれは義務制だけだと思うが非義務制というのもあるのですか。
  97. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 中学校関係が今年一年生、二十九年度に中学一年が義務制になつて参りまして二年、三年は逐年三十年、三十一年になつて参る、その関係を今申上げたのであります。
  98. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると教科書は全員で、全員にこれは無償で渡るようになりますね。  それから給食費と交通費は六〇%の子供については補助が渡ると、寄宿のほうは入つていないのか。
  99. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 同様六〇%入つております。
  100. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 六〇%、これだけの経費負担をして四十八百万円で済みますか。
  101. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) そういう計算になつております。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで私は今年のこれに対する予算折衝と、それから来年度の見通しですね、文部省の考え方ですね、そういう点を若干お聞きしたいと思うのですが、今年は初めこういう構想で大蔵省と折衝をされたのか、もう少し理想に近いような案で折衝をされたのか、予算折衝の経緯についてお伺いをしたいと思います。
  103. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 就学奨励の予算でございますが、昨年のはこれは三千万円でございますが、今年四千八百万円まで増額いたしたわけでございます。勿論予算折衝につきましてはいろいろございますが、例えば貧困率をもう少し高く見るとかいう折衝はいたしましたが、併し財政当局といろいろ折衝の末四千八百万円という数字を出したわけでございます。今後におきましは勿論私どもといたしましては極力増額したいとは考えております。
  104. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はやはりこういう漁業が法律になるということは、とにかく一歩前進だと思います。ですからこういう法案が出るごとについては別に反対意見は持つておらないのですが、ただその内容が、やはりこれでは不十分だと思うのですがね。そこでこれをもう少し内容を改善して、本年度は予算の範囲内でやるということにしても、来年度からは更に予算の増額ができるような法案にする方法はないものですかね、そういう点は。
  105. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 先ほども説明いたしましたように、費目といたしましては大体こういう点に重点をおきまして、その予算の今後の折衝におきまして、又例えば先ほど申上げましたように、貧困率の点を高く見るとか、或いは寄宿雑費等につきましても経費の内容を更に充実させるとか、そういう点につきましては、文部省としまして極力努力をいたしたいと考えます。併しながら、一応その費目といたしましてはこれでいいのじやないか、かように考えております。
  106. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はやはりこの擁護学校の問題ですね、この前東京都の青鳥中学校ですか、小学校ですか知りませんが、見学をいたしました。やはりどうしてもああいう種類の学校は、折角の立法に当つては包含さすべきである。今年予算がなければこれはやむを得ないとしても、法案内容からあれを削除してしまうといいますか、あれを包含しないということは少し片手落ちのように私は感じますが、そういう点はどうですかね。
  107. 緒方信一

    政府委員(緒方信一君) 養護学校につましてはいろいろ問題がございます。精神薄弱児或いは肢体不自由児の教育につきましては、私どもも今後予算措置等につきましても十分努力をしなければならんと考えております。ただ先ほど申上げましたように、政府提案で考えておりまする学校の盲ろう児の対象としましては義務制のものを考えております。養護学校は、実は義務制が進行しておらんのであります。さような観点からいたしまして、盲ろう児の義務制についての修学奨励費ということをこの法案としては考えておる次第でございます。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは僕はよくわからないのですが、了解しがたいのですがね。やはり義務制に該当するのじやないですか。そういう学校を義務制にしてはいないにしても、その学校に入つておる生徒は義務制の当然は義務がかかつておると思うのですがね。そういうものは普通の学校に収容できないので特別な学校に収容しておるわけなんです。従つてそこはどうしても義務制の範囲に入る生徒じやないですか。(「義務制ですよ」と呼ぶ者あり)
  109. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて下さい。    午後三時二十六分速記中止    —————・—————    午後三時五十一分速記開始
  110. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を付けて下さい。  ほかに御発言ありませんか。御発言なければ今日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 川村松助

    委員長川村松助君) ではこれを以て散会いたします。    午後三時五十二分散会