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1954-09-20 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十日(月曜日)    午前十一時十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            剱木 亨弘君            竹下 豐次君            荒木正三郎君            相馬 助治君     委員            郡  祐一君            田中 啓一君            谷口弥三郎君            中川 幸平君            吉田 萬次君            安部キミ子君            高田なほ子君            有馬 英二君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    厚生省社会局長 安田  巌君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する一般調  の件査  (昭和三十年度文部省関係予算並び  に文教政策に関する件)  (北九州炭鉱地帯における欠食児音  問題に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) これから文部委員会を開会いたします。  本日は昭和三十年度文部省関係予算管並びに文教政策に関する件を、議題といたします。先ず明年度予算要求額について文部当局から説明を聞いた後御樽疑を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほどお話聞きましたように、学校給食問題についての報告ですね、これだけは受けておきたいと思います。
  4. 相馬助治

    相馬助治君 いや、こつちを先にやりましよう、大きな問題から……。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは一つ議題に供しましたから……。報告のほうは劔木君が来たら適当にやります。  文部当局から御説明を願います。
  6. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 昭和三十年度概算要求額につきましては今計数を整理中でございますが、主な事項を申上げますと、義務教育費国庫負担の問題でございます。これにつきましては、本年度七百億でございましたが、来年度児童生徒の七十七万人の増加を見込んでおりますので、その関係相当数の教員の増加が見込まれておりますので、その額が相当多額になつているのであります。  それから、そのほか特殊教育振興僻地教育振興学校給食助成等につきましては相当大幅な増額要求をいたしております。  なお産業教育理科教育振興学校図書館振興等につきましても、それぞれ増額要求をいたしております。  特に文教施設関係につきましては、只今申しました来年度小学校が、五十万、中学校が二十五万の増員等を加えまして約七十七万人の児童生徒増加になりますので、この関係で六三の整備費と、更に老朽校舎改築等をへめまして、今年度に比べまして相当大幅な増額要求になつております。  その他科学研究費在外研究員の、派遣等につきましても現状では非常に金額が少な過ぎますので、できるだけこの点につきましても重点を置いているのであります。特に勤労青少年教育振興につきましては、定時制、及び通信教育整備といたしました、これも相当大幅な増額要求をいたしたいと思つております。それからなお青年学級振興につきましても同様でございます。  それから日本育英会拡充につきましても、現在の育英会状態では、まだ困つている学生にして、特に優秀な者が十分救われておりませんので、単価等につきまして増額要求をいたしているのであります。  それから私学の助成教育委員会運営指導社会教育助成等につきましても、前年に比べまして相当大巾な増額要求をいたしております。特に社会教育助成の中では、フランス美術館設置等も考慮されております。  それからその他国立学校運営費つきましては、特に研究費等が少いでございますので、物件費増額につきまして特に考慮いたしまして、研究に支障のないように、これも本年度に比べまして相当大きな増額になつております。  大体以上で昭和三十年度要求の大筋を申上げました次第でございます。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はやはり文部大臣から来年度教育政策ですね、大まかなものでいいと思いますが、そういうものを先ず説明して、頂いて、そしてこれが予算化にどういうふうに努力されるかという点を聞きたいと思います。今の説明ですとね、どうもよくわからないのですよ。(「聞いても聞かなくても同じだ」と呼ぶ者あり)だからそういう点を私十分御説明願いたいと思うのですがね。
  8. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 文教政策という点につきましては、特に根本的な、いわゆる新らしい政策というようなものは、実は考えておりません。まあ申上げるまでもないことでありませんが、文教基本的な考え方というものは、やはりそう新しく変るべき筋合のものではないと思いますが、従来の方針を徹底させ、又拡充をする。勿論いろいろの面におきまして改訂を加えるとか、或いはよりよくするため改善を知るということは考えられるのでありますが、大ざつぱに申上げて、従来申上げておりますような政策基本線というものに急速な変更があるべきものでもなし、又私といたしましては、やはり従来申上げております点に重点を置き、それを根本として、一歩でも二歩でも、予算の上その他の点においてこれを前進をさせたい、かように考えております。従つてその点におきましては、今までしばしばお話お申上げましたように、教育内容の刷新、改善、これは勿論この教育の中味の問題であり、教育それ自身の問題でありますから、これは不断に努力をいたしまして、少しづつでもよりよき方向に進めて参らなきやならん。勿論これは非常に重大なことでありますから、簡単にこれをしよつちゆう取換えるというような考え方は持つておりません。それぞれ専門人々の衆知によりまして、それらの審議会審議に待ちまして、教育内容というものをいいものにして行く。これは根本的にさような考えを今日なお堅持しておるわけであります。  それから次には教育施設拡充でありますが、内容改善と相待つて教育施設充実させるということも、それも車の両輪のごときものでありましよう。従つて六三制度整備充実、早れから毀損の校舎老朽校合であるとか、或いは戦災で潰れた校舎であるのか、そういうものの復旧、それから六三校舎としてのこれは充実を図つて行きたい。これは勿論非常に金のかかることでありますから、従つて予算の面におきましては、こういう点が一番大きく予算の面に現われて来るのであります。  それから時代の、今日の時勢の要求するところから考えましても、科学教育であるとか或いは産業教育であるとか、日本の当面する経済的な危機を打開するための教育の面において、これと相呼応して行くことは是非必要である。これも今更申上げるまでもないことでありまして、世間でもその必要を痛切に要求されておるのであります。従つて産業教育振興科学技術振興こういう点につきましては、これも従来と変つたことではありません。これを予算の上におきましても、少しでも、又一日も早くこれを充実して参りたいと考えております。  それから次が青少年教育、これは学校教育の面におきましてもそれから社会教育の面におきましても、青少年が健全な状態にあるということは、民族国家の将来の運命を決する基本であります。従つて例えば学校教育において定時制教育の問題につきましても、或いは一般高等学校以上の教育の問題につきましても、こういう点につきまして十分配慮をいたしたいと思いますと同時に、特に社会教育の面におきまして、青少年対象とする大体社会教育というものは、一般社会を構成する人を対象とするものでありますけれども、何といつても従来この重点青少年にあつたと考えます。この点についていろいろなすべきことが多い。併し又一面から言うと、非常に効果の上り難いむずかしいことであります。青少年対策というものを簡単に行い得るならば、いわゆる国民対策というものも簡単に行い得るわけでありますから、これは誠に廻りくどいようでありましても、一歩々々この点については、いろいろ関係者の経験と知能をしぼつて適当な方法を進めて参りたい。青年学級振興もその一つであり、通信教育振興もそれであり、それから青少年不良化防止というような問題も極めて重大な問題でありまして、これはひとり文部省だけのむろん問題ではありません。最近特にヒロポンとかいうようなことがやかましいのでありますが、こういうことも日本の現在の状態において、青少年対策としては誠に重要な問題と私は思います。こういう点につきましても関係方面とできるだけ緊密周到な連絡をいたしまして、たとい金額は少くても、気持の上に大きい重点を置いて参りたい、かように考えているわけであります。  その他今まで申上げておりましたこととあまり違わないのでありまして、それでさような観点からこれは問題の重大性とそれに伴うところの国の経費というものは必ずしも比例するものでないことは勿論であります。経費として非常にたくさんかからなくても、問題は非常に重大な問題もあります。従つて予算の上に現われた金額の多寡によつて、直ちにそのウエイトをきめるというわけには参りません。これは勿論でありますが、只今申上げましたような基本的な考え方のもとに、当面いろいろな問題についての予算要求をして参りたい。併し御承知通り、二十九年度予算に引続きまして三十年度予算におきましても、依然として緊縮な方針は堅持せられることと思います。むしろより以上これを徹底しなければならんという状態であるかも知れません。従つてどもが希望するような予算が獲得できるかどうか、これはむろん見通しはないのでありまして、ただ私どもの、こうしたいということを、最小限度にでもこういうふうにしたいということを大蔵省に申入れまして、そうしてできるだけ財政当局理解と協力を得て、少しでも、私ども考えている文教施策根本考え方に、一歩でも二歩でも副うて行けるような予算が作れれば、もう結構である、こういうふうに考えております。むろん大蔵省に対しましては一定の数字を以て要求をしております。今日その具体的な折衝段階に入つている。この数字は細かいところでは取まとめ中でありますが、大体の数字はありますけれども、まあ打開けて申しますというと、政府部内における折衝段階であり、これはいろいろ……極く率直に言うと、限られた予算の取り合いということに或る意味ではなるのでありますから、そういう点もありまして、実は私どものほうからあまりその数字を申上げると、これはいろいろ又折衝の上に工合の悪い点も起りますので、できるだけ差控えたいと思いますが、大体の考え方はさような考え方でございまして、そうして具体的に現われた予算増額計上のものにつきましては、只今会計課長から申上げましたような点で、現在の状態において許す限度において、できるだけ満足のできるような予算を作りたい。こういうふうに考えております。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 学校給食の問題については全然触れておられないのですが、この問題についてはどうお考えですか。
  10. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 学校給食は、今会計課長から申上げたうちにもちよつとその問題を申上げたと思いますが、これもこういう時節でもあり、又一般的な要望、殊に国会方面における要望も強いことでありますから、できるだけ拡充をして参りたい。要点は私どもの来年の予算要求しております新らしい考え方、これは必ずしも新らしいのではないけれども、今まで給食の面において取上げられなかつた点で、できるだけといいますか、是非一つ新らしく認めてもらいたいと思う点は、いわゆる生活保護対象とは基強関係でならない。併し実質においては、給食費負担するということが、その家庭にとつて負担が困難でできない。従つて給食費用も持つて来られない。そういう何といいますか、ボーダーラインにある要保護家庭に準ずるような家庭の子供に対して、無償給食ができる、或るいは給食費補助するといいますか、そういうことを実現をしたい、こういう考え方でおります。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の御説明についていろいろ質問はございますけれども最初御説明に漏れていると思われるような点について、私はなおお尋ねしたいと思います。  文部大臣地方へ出られて、新聞等記事を見ると、いつの機会でも地教委問題を御発言なさつている。今全然御説明がなかつたのですが、こういう問題も私は重要な問題だと思います。そういう意味で、どういう見解を持つておられるのか、やはりこの際明らかにしておいて頂きたいと思います。
  12. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この地方教育委員の問題というのは、御承知のように相当世間ではやかましく取上げられております。その関係もありまして、地方におりましても或いは東京におりましても、殊に地方に出ますと記者会見で、地方新聞記者諸君が見ていろいろな質問をされる。そのときには必ずこの問題を取上げて質問があるのであります。私のほうは、実はあまりこの問題についてはそう触れたくはないのですけれども質問があれば自然それに対して返事をするというようなことでありまして、まあ新聞を見ているというと非常に同じようなことをしよつちゆう言い立てているような感じでありますが、あまりこれを私どものほうから進んでやりたくない、それというのは、御承知のように地教委廃止についての強い主張をしておる人々がありますが、そういう人々に対して、殊更これを刺激するというようなことになつてはおもしろくないと思うから余り言いたくないけれども、併しまあ記者会見で、質問されるもんですから返事をすると、それがそういうことになると、こういうことです。それで地方教育委員会の問題について、然らばどういうふうに考えておるか、先ほど申上げなかつたのでありますが、先ほど申上げませんのは、やはり地方教育委員会について、従来の考えかたというものは、私は只今のところでは、なにも変更をしておらん、新らしくこれをどうこうしようという考えかたには今持つておらないのであります。ただ御承知通り教育委員会、狩に地方教育委員会につきましては、これは廃止したほうがいいという議論が相当にあります。そうして実際からみましても、一般地方行政との間に、運営の上にいろいろ摩擦が起つているということも考えられていると思うのです。私は地方教育委員会というものが、まだ出発して間もないときであり、殊に教育基本的な重要な機構でありますから、これは立派なものにしたいという考えは、今でも前と同じくらいでありますが、それには、やはり教育行政というものが、やはり地方行政一環として行われる問題でありますから、一般地方行政教育行政との間に、摩擦があつてはこれは工合が悪い、できうるだけ一般地方行政との間に相互の理解があり、そうして一般地方行政一環としてバランスのとれた方向で進められなければならない、こういう意味で、今日教育委員会制度の中にその摩擦を引起こしたり、いろいろな関係を引起すようなことが機構の上にそういう点があれば、事務的にできるだけこれは検討を加えて、少しでも円滑に事が進んで行くようにしたい、こういう考えを実は持つております。殊に最近は地方財政の累年の赤字といいますか、窮乏の状態がこのままで放置できない状態になつております。そういう関係もありますので、できるだけその間に調整を図つて行くことが、事務的にできるだけそれをやつて行きたいということで、折角検討しておりますが、まだ結論には達しておりませんが、さような意味教育委員会制度というものに対する私の考えで、極めて事務的な改正をすべきものがあれば、その見地から改正するということで、教育委員会制度そのものにつきましては、根本的に考えかたは変えておりません。ですから大きい基本的な考えかたとしては、従来通りというふうに御了解願いたい。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから最近、幼児教育の問題が、小学校へ入るまでの幼児幼児教育の問題が相当関心を寄せられておる傾向にあると思うのです。この幼稚園教育の問題についてなにか所見があれば、大体伺つておきたいと思います。
  14. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 幼稚園のことにつきましては、これはいろいろ関係方面からの要望もあります。これを法制の上で、もつとはつきりしたらどうかという点、いわゆる保育所というものの間の何といいますか、はつきりした限界を設け、その発達を図るようにしてもらいたいというような要望があるように思います。私どもとしてもこれはできるだけそういうふうにいたしたいと思いますが、実際問題となると、これは私は実情は詳しく知りませんが、厚生省保育所の問題とはそう簡単に割切つて何するということが実情上そうも行かない点があるようであります。でありますから、これはできるだけ幼稚園教育にもその観点からのものにして行きたいということは考えておりますが、その点まだ検討中でありまして、具体的にどうこうという結論には達しておりません。それで今度の予算にはやはりそういう基本的な問題とは無関係に、幼稚園設備費と、それから施設、建物についての補助の新らしい予算を計上して、それが大蔵省理解があれば一歩でもそのほうに進みたい、こういうように思つております。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はその他にも重要な問題と思われる幾つかの問題があるわけです。こういうふうに羅列的に先に聞いてしまうということはどうかと思いますが、これを深く堀下げて聞く必要があるので、一応私の説明のなかつた問題についての質問は終りたいと思います。一つ一つの問題について、もう少し深くお互いに聞くようにしたらどうかと思います。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 予算に関連して御説明があつたので、その点を一点文部大臣に念を押しておきたいと思います。新聞をみますと一時中止になつていた小学校入学児童に対する教科書無償配付予算はどうやら今年は復活できそうだ、こういうようなことが伝えられております。そこでお尋ねしたいのは、文部省の対大蔵省との予算折衝、政治的な折衝及び作業、こういうのはどの辺まで現在進んでおり、そうして又文部省側として予算を強力に要求する効果的な期間はいつ頃までに終るか、そのお見通しですが……。
  17. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは大体の何と言いますか、いつまでにどうということは一応規則にあつたと思いますが、実情はやはり最後のぎりぎりまで行かないときまりません、実際は。殊に二十九年度予算のような非常に圧縮した一兆円という枠で抑えているというようなこともありましたから、これは多少特別でありましたけれども、これは本当の印刷が間に合うか間に合わないかというすれすれまで実はきまらないというのが実情であります。まだ一応これから大蔵省説明するという段階であります。今のところでは。それで大蔵省から内示がありますけれども、これでおさまるということは考えられないので、それから復活要求ということで、問題によつても違いますけれども、結局来年になつて三十年度予算国会に提出してぎりぎりまではなかなかきまらないと思います。それから今の教科書の問題でありますが、これは御指摘の通りに私どもとしては、五億何千万円ですか、要求するつもりでその手続をとつております。大蔵省に提出しております。おりますが、これは昨年補助金制度ということで、法律ができ、一時法律の施行を停止せられた。あれが当分のうち停止する、こういう原案であつたのが、国会で二十九年度年度停止する、こういうふうに一応修正をされました。従つて三十年度においてはあの法律は復活して効力を発揮する。こういう建前になつております。でありますから、私どもとしては当然これを要求するわけでありますが、併し去年のような強力な補助金についての整理と言いますか、一時的にそれを支払うということは猶予するというような政策が再びとられるということであれば、これも今後の折衝によることでありますが、どうなりますか、先行きの見通しはいいとも悪いともまだ申上げる段階ではございません。
  18. 相馬助治

    相馬助治君 私は最後に文相が答えられていることを聞きたかつたのです。御承知のように無償配給のことは我々としては結構なことと思つております。昨年例の補助金整理に関する法律案が出て、あの中には切り飛ばしてもやむを得ないであろうという法律もあつたし、これを切ることはむちやだという法律もあつたわけですよ。種類の違う法律一つ法律で息の根をとめたというところに立法的に非常に問題があつたわけです。従つて教科書の問題は全員がこういう法律を執行停止するような形のものはいけないということでありましたから、恐らくそれは復活するでしようけれども政府としては当分としてここ二、三年いわゆる吉田内閣基本財政によるデフレ政策振興の形から補助金制度を打切つておこうという意図が非常に強かつたと思うのであります。国会の意思としてやつぱり一年にあれを臨時的に食いとめた。併し吉田内閣意図が変らなかつたら形を変えて今年又現われて来るということも予想されると思うのです。そこで文部大臣国会に、参議院文部委員会数字を挙げて説明することは予算折衝段階においては好ましくないということも予想されるから多く申上げたくないと、こういうお話です。それは批判いたしません。そういうこともあろうと思うのです。ところが一方ではまるきり五億三千万のあの予算を、大蔵当局と話がついたような新聞記事が出ていることは実に私は妙ちきりんだと思う。できる話もできなくなるのじやないかと思いますが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  19. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) あれは新聞文部省が発表したのではないので、ああいう記事が出て私もこれはどうかと実は思つたのです。別に発表したわけではないのです。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 私はそれなら聞きますが、最近文部省記事がある一つ新聞に特だねみたいな形で出る傾向があるのですね、通産省の記事だとか大蔵省記事だとか、農林省の記事というのは。取上げるときはどの新聞も取上げる。ところが文部省記事は時に朝日とか時に読売とかといつて、すつぽりと意表外の大きな記事が出る。そこで大臣の出席しない委員会で聞いて見ると、これは発表したのじやない。それじや新聞に出ているのが全部でたら目かというと、いや、ああいうことはやつております。こういうことなんで、これは実にどういう表現をしたらいいのか、統制が悪いというか何と言おうか、新聞で発表することはいけないというのじやないのですが、この予算の問題を、国会でもうまく説明できないというものが、新聞でああいう形で取上げるということは如何かと、こう思うものですから、あなたの見解を質したのです。あえて文句を言うわけじやない。とにかくうまくないと私は思うのです。
  21. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 御尤もであります。まあ一斉に出てないということは、つまり発表していないということなんでありまして、統制がとれないということは少し関係のほうで喋り過ぎるというか或いは近頃非常に新聞記者諸君も有能の人が揃つておりますから、なかなかうまくたねがとられてしまうということもありましようが、できるだけそういうことのないようにしたいと思つております。
  22. 相馬助治

    相馬助治君 新聞に発表するな、なんてとつたら逆なんでして、私はもつとやつぱり天下の公器である新聞にはもつと有効に、而も民主主義の原則に照らして皆なわかるようにあいまいでないたねをちやんと流して、文部省は資料をやつぱり発表したほうがいいということをむしろ積極的に含んでいる。ただ予算なんという問題については、ああいうことはまずいのじやないか。こういうことなんです。誤解がないように……。
  23. 吉田萬次

    吉田萬次君 今教科書の問題が出ましたについて、関連して希望を述べておきたいと思うのですが、教科書の問題というものについて、実に慎重に検討するといろいろな問題が伏在している。而も我々としては了解に苦しみ又その真実を疑うようなことをたくさん聞いております。この問題は大臣承知ないと思いますけれども、十分に掘下げて一つ適当な措置を講じて頂きたい。  それから研究費は余り少いということについて、非常にこれは問題を起しているものと我々も頗る遺憾に思う点がありますによつて、この問題も一つ研究を願います。そして研究費というものは、予算が削られるときに、一番初め爼上に上る費用だと思います関係上、特に御留意の上、それが他に転用せられんことと、それからもう一つは適当なものに対しては適当以上に一つ補助化して頂きたいということを希望を述べておきます。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 大体予算の御説明がありましたが、若干その中で基本的な問題としてお尋ねしておくことが四点ありますが、その四点について概略お答え願いたいと思います。  第一番は給与の問題です。内藤課長の御説明によりますと、七十七万の児童増に対する定員の増加がこの給与の総額の増額の中に見込れているという御説明があつた、それはそれとして結構でありますが、併し給与の問題は教員の数の増加と同時に今日大きく問題になつている給与の不合理をどういうふうに是正するか。この問題については極めて大きな問題になつている。来年度予算を組むに当りまして、七十七万の児童増に対する給与の増額、そのほかに考えられる不合理の是正という問題をどういうふうに予算の中に組込まれているのか。その点についての基本的なお考えについて述べて頂きたい。
  25. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 御承知通り義務教育費国庫負担法は富裕県を除いては、実績の二分の一、実支出願の二分の一でございますので、実支出額の推定をいたしまして、前年度を基礎に昇給率を見込んで計策をしておりました、只今おつしやつた積極的に不合理の是正という措置は考えておりませんです。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 但し前年度におけるこの定期的な昇級昇格の問題が今日なお残されているわけでありますから、当然新年一度における予算計画の中には前年慶における定期昇給昇格の問題を是正、するための予算というものが組まれなければならないので、その点について私は尋ねている。どうなんですか。
  27. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この法律の建前から申しますと、御承知通り、実支出額の二分の一でございますから、実支出額をとりまして、それに年間の昇給率を見るわけです。お話の点はたしか前年度昇給ストップになつたところを、昇給を上げたことにして計算しろと、こういう意味でございますか。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは技術的にはそういう形になつて要求されることがあるかも知れない。併し基本的にはこうした不合理について文部省としては予算の面でどういう解決策をとつていますのか。解決しないでそのまま行こうとするのか、解決しようとするのかということを伺つている。技術面を聞いておるのじやないのです。
  29. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 文部省といたしましては、当然に昇給すべき額を見込んで予算に計上しております。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今高田委員の御質問に関連して尋ねておきたいのは、七十七万人生徒が殖える、それに対して予算定員ですね。教員の予算定員、どれくらい増員するという考えですか。
  31. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) これはまだ計数が最終的なものが固まつておりませんけれども、一応私ども考えといたしましては、実際殖える学級数を基礎にいたしまして、その学級数に小学校は六分の七、中学校は六分の九と、こういう方式で増員計画を立てております。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どれくらいの数字になりますか、大体概算は。
  33. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 概算は一万五千乃至二万の範囲だと思うのですが、と申しますのは、今実際に計算をし直しておるのですが、生徒が殖えただけ必ずしも学級数は殖えない。ですから、三人五人殖えたからといつて一学級殖えることになりませんので、そこで計算の今……。計算をしておりますので、正確な数字はちよつとその数が出ないとはつきりいたしませんです。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから今昇給率を見込んでおるというのですが、大体何%ぐらいの昇給率でございますか。
  35. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 年間五%でございますから、それの一年間に五%上るとしまして、財源といたしましてはその半分をみております。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 細かいことは又あとで伺うつもりであつたのですが、ちよつと細かいのが出ましたからついでに聞いておきたいと思うのですが、奄美大島の教職員の給与が、あの恩給ですね。奄美大島に勤めておつた教員の恩給、この問題がかなり大きく問題に、差が出て来ておりますから、他の教員よりは中が切れるために差がでさて来ておりますね。こういう問題については何か具体的にやはり給与の問題としてお考えになつておりますでしようか。
  37. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 予算的に申しますと、奄美大島は鹿児島県の一部でございますから、現在のところは奄美大島の臨時措置費の中から義務教育国庫負担金に相当するものを支出いたしております。恩給は義務教育国庫負担対象になつておりませんので、これは府県の府県財政の中で賄う建前になります。その今お話のギヤップの点についてはまだ具体的に私予算上の問題にはなつていないと思います。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではその次に大きな問題で伺つておきたいのですが。施設の問題でありますが、この施設費の増額ということについては、今大まかなお話があつたと思う。これにもやはり私はいろいろ方針があると思う。その方針は今の御説明中にもあつたように七十七万人の自然増に対する施設増の問題と、それから基準坪数を十九国会で法改正をして引上げました。この引上げた基準坪数に達するための予算措置、こういうふうに二つに分かれると思う。文部省としてはその二つのうちどちらに比重を置こうとするのか、この点についてはつきりとした考え方を尋ねてみたい。
  39. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この前法改正がございましたが、小学校、中学校一・〇八、一・〇八を現行の予算ですと十年間に基準坪数まで引上げる、こういう考え方なのです。ところが只今申しましたように、ここ年々児童の自然増加がおびただしいので、それを五年乃至三年に縮めたい、こういう考え方であります。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 私はそういう事務的な御答弁では納得できない。なぜなら、施設費にしても、前々年度は六十億、前年度はそれを削減して三十一億にしている。そうですね。而も現実には〇・七坪という最低基準坪数に到達しないものが相当今日残つているわけです。それにもかかわらず予算の面においては五十一億に削減をしておるし、老朽校舎の問題を考えてみても当初十二億あつたものを国会がやつぱり大騒ぎして二十三億にして、その次に今度は前年度は十四億に削減している。こういうふうに五年計画だ、十年計画だとおつしやつても、基本的な方針がはつきりしておらないから予算が殖えたり減つたりしているような状態で、甚だ心許ないと思う。現実問題としては〇・七坪の基準坪数に達しないものを早急にこれを仕上げると同時に、同時に七十七万の児童の自然増に対しては、当然これは施設計画の中に大幅にこれを盛込まなければならないものだと私は考えている。従つて只今の御答弁では私にはどうしても満足が行かないので、もう少しこういつたような関連について詳しい御答弁を願いたいと思う。同時に大臣からも児童の自然増に対する施設増加重点的に考えられるのか、〇・七坪の基準数に達していないものを、これを早急に達するようにして行くのか、その中に老朽校舎の前年度の減額問題をどういう措置によつて取扱つて行こうとするのか、極めて重要な問題でありますから、これは大臣にも併せて御答弁を願いたいと思う。
  41. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お話の点につきまして、昭和二十九年度予算が総体といたしましては二十八年度の六十億の額と大体同じでございます。ですから国会修正等もございまして増額なつたわけですが、一番問題になるのはやはり生徒、児童の増でございます。ですからこの増をどういうふうに織込むかという問題になりますと、なるべく早く一・〇八、勿論〇・七に達していない所は早急にそれはしなければならんのですが、同時に一・〇八までを基準坪数として早く完成する、こういうことでございますから、結局予算折衝の過程におきまして重点をそこに置かれると思う。で、只今のところ十年計画ということではこの児童、生徒の増加に対応できませんので、これを五年、この老朽校舎、六三と、もう一つありますのが都会地の不正常授業の解消、これを三年計画にいたしまして、そうしてできるだけこれを早く解消するという考え方になれば、生徒の自然増に対応するものも或る程度吸収される、こういう考え方を持つております。
  42. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 大体会計課長から申上げました通りでありますが、文部省としましてはやはりこの老朽校舎の改築の問題にいたしましても、戦災校舎の復旧の問題にいたしましても、やはり一定の年次計画をきめまして、そうして大蔵省折衝をしておるのでありまして、その態度はこの三十年度予算折衝につきましても、やはり同様にとつてつております。只今申上げましたように学校の設置基準坪数というものは引上げましたのでありますから、そうしてそれを実際の児童数の激増という状態から併せ鑑みまして、これをできるだけ早く仕上げたい、こういうことで大蔵省と折御して参りたいと思つておるのであります。  ただ現実の問題といたしましては、やはり結局は予算金額の問題になるものですから、やはり或る程度の査定を受け或いは減額をされる、そこでこちらの考えておる年次計画というものも又何といいますか、その点でやり変えなければならん、こういうことが繰返されておるというのが現状であります。できるだけ文部省といたしましては、はつきりした年次計画の下にこれを進めて参りたい、こういうことは是非貫いて参りたい、かように考えております。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 年次計画とおつしやることは結構でありますが、現実問題としては今年子供が殖えるということは、文部省でも特に、もう年次計画の中で私は知つておられると思う。然るにもかかわらず施設費を前々年度の六十億から五十億に減らしたり、老朽校舎の二十二億を十四億に減らしたり、そんなことでその年次計画ということは私は言えないと思う。誠に年次計画というものは杜撰なもので、今回も施設費の増額ということに御説明がありましてもなかなか私どもの納得の行くことができませんが、重ねてお尋ねをいたしますが、七十七万の自然増に対する施設というものを年次計画でやつて行きますが、その間の措置というものについては具体的にどういう借書をとつて行こうとするのか、重ねて大臣にお尋ねしたいと思うのですが。
  44. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは御承知通り教育に要する経費負担区分と申しますか、いうものは、以前から大体きまつておるのでありまして、教員の給与等につきましては国と県とが半々持でこれを負担する、そして教育に必要なる学校の施設、そういうものはそれぞれの地元の地方団体において負担をする、こういうのが建前であります。従つて小学校等において児童数が自然に増加をする、それに対応する学校施設をするというようなことは原則としてはこれは地元の団体の負担、こういうことに一応なつておるのでありまして、ただ地方の団体の財政の実情から見ましてそれがなかなか負担に堪えない点があります。併し建前はそうでありますから、そこでその建前に対していろいろ例えば老朽校舎のようなものについてはこれは戦時中の木材統制関係で十分な修理ができなかつたからこういう危険な状態になつたのである、或いは軍事工場としてこれが一時転用された結果非常に痛んだ、国の責任があるのではないか、だから老朽校舎の復旧についてはその点から鑑みて本来の地方団体の負担に属すべきものであるけれども特に国が補助金を出す、或いは六三校舎のうちで中学校の建築はこれは国の政策として急に義務教育年限を延長したのであるから、これは国の政策から基いて急激に学校施設費の増加という問題が起つたのだからこれも一つ国で半分見てくれ、三分の一見たらいいじやないか、それから戦災のようなものはこれは国が戦争をしてそのとばつちりを受けて迷惑したのだからこれについても国が或る程度見たらいいじやないか、こういうようなそれぞれ国が一面の負担をすべきものだという理屈がついて、そしてそれぞれの国の施設費に対する補助というものが今日行われておるわけであります。  でありますから、そういう特殊な事由を離れて学校施設に対する負担というものは、これは地元のそれぞれの地方団体がする、学校の先生の給与その他の負担はこれは県がやるというけれども、国と県とが半々持でやつて行くのだと、こういう一応の負担区分というものは昔からきまつておる。でありますから今日小学校の児童が急激に増加したと、それがために学校施設のために一遍に急に金が余計要るということがあつても本来の筋からいえばこれは地方公共団体において負担をしなければならんというのが建前であります。昨年、十度今年の初めでありましたか、今までにない一挙に小学校において五十万人の児童、中学校において五十万人合せて百万人の急激な増加があつた、それがために非常に困つた、その場合においても御承知のように補助の問題は起らなかつたのであります。ただ地方において非常に困るからそれで国で何とか窮状を打開する意味でこの前ここでも問題になりまして、御承知でありますが十五億でありますか、起債の枠を大蔵省、自治庁にお願いをいたしまして、そして一時の急場を凌いだということになつております。でありますから今後も今年の児童数の増加につきましても私どものほうではやはり何とか起債の枠をもらつて、そしてこの焦眉の急に応ずるということは、これは学校施設全体の上から地方団体に協力するという意味でこれはできるだけやつて参りたいと思つて研究をしておるわけであります。併しこの学校生徒の児童数が増したからといつてこれが直ぐ国の負担になるということは、建前がそうなつておらないのでありますから御了承を頂きたいと思います。ただ実際上問題になるのは、六三制の実施に伴つて中学校の施設については国が補助する、こういう建前になつてつて、その場合にこの補助の基準がこの前に改められまして一・〇八坪ということになつた、でありますからして政府といたしましてはできるだけこの一・〇八坪というものを急速に実現をいたしたい、先ほども申上げましたように十年計画というのをできるならば三年計画、五年計画ということに急速にこれを充実することによつて一面公共団体において児童数の激増に伴うやりくりというものに、やりくりに便利にして行くと大体こういう考え方でやつておるのであります。それを御了承を頂きたいと思います。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 続いて施設問題についてお尋ねをしたいのですが、御承知のように々毎年のように台風云々で荒らされる、学校施設のこれに対する修繕を受けたりその他これに対する対応対策にかなり国費としては大幅な金が出ておるわけでございます。今後の学校建築については当然こういつたような風に堪えるような建築構造が年次計画の中に当然織り込まれて然るべきだと私は思う。併しそれは当然単価の増額等によつて相当これは苦慮せられる問題だと思いますけれども、今にして改めることでなければやはりこの悔いは永くに私は日本に住む限りにおいて残ると思う、従つて今度の年次計画における学校建築についての何らかの新らしい構想をお持ちであれば大臣にこの際お示しを願いたい。
  46. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 御尤もなお話でありまして、又最近におきましてはこの国土の荒廃した関係で少し余分な雨が降ると非常に災害が多いのであります。そういうことにも関連をいたしまして何とか永久建築構造にしたいと、まあ具体的に言うと鉄筋コンクリートの学校にしたいという声が非常に強いのであります。私どもは全くその通りであると思つております。ただ問題は、まあ経費の金がそれに非常に余計にかかるという問題でありますので一挙に全部鉄筋、これから建てる学校はみんな鉄筋にするということもなかなか参り難いので、又地方におきましもこれは無論全額国が補助するわけではありませんから、全体の建築費というものが嵩まればそれを仮に国で半分とか三分の一とか補助いたしますと、残るところはやはり地方それぞれの団体が負担するのでありますので、学校建築がコンクリート建にすることがいいことはこれは問題ないのです。問題ないけれども、実際の経費関係、又地方団体の財政の関係から一挙に全部を、今後建てるものは皆鉄筋コンクリートというふうなところまではなかなか困難というのが実際であります。文部省としましては、でありますからこれを一遍に皆鉄筋コンクリート建といつてみたところで、地方団体がこれについて行けるとは限らないのであります。それで、できるだけコンクリートで作る割合といいますか、枠を年々増加して参りまして、それで一般的にもコンクリートでやつたほうが成るほど実際には経済的だということが一面啓蒙されるわけでありますから、そういうことで逐次にコンクリート造の範囲を拡げて参りたい。三十年度もそれを増して、二割程度のコンクリート造にしたい。こういうことで、これは少し手ぬるいかも知れませんが、一歩一歩ということで考えております。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 他のかたの御質問もあるようですから、残つた二点について簡単に要約してお答えを願いたいと思います。地教委の育成問題については先般荒木委員からも御質問がありました。大達文部大臣と内藤課長との御答弁の中には内容的に若干の食い違いがあるように受取られる。つまり内藤課長の御説明では、地教委を育成するために予算的な措置が大巾に講ぜられておるというように私は伺つたわけであります。文相のほうは、これは今までの通りであると、こういうように聞いておる。前年度地方財政計画の中に二十八億でしたか、こういつた数字が組まれておるが、本年度地方財政計画の中に前年度二十八億よりも更に増額をして行くようなふうにも受取れたのですが、この点明らかにしてもらいたい。
  48. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) ちよつと申上げかたが悪かつたかも知れません。地教委の制度そのものについての考え方は従来と変るところはありません、こういうことを申上げたのであります。そこで地方教育委員会には、御承知のように中心になつて働くのが教育長でありますが、教育長に対する十分な予算措置が講ぜられていない。そこで是非とも教育長に対する予算措置を充実させるということが地方教育委員会というものが制度の趣旨に副うて活動ができる基本一つでありますから、そうしてこれが是非とも予算措置を講じたい。これは実は本年度二十九年度予算の編成に当りましても最後まで強く大蔵省要望したのであります。併し緊縮関係でこれは遺憾ながら予算の面に計上することはできませんでした。来年度予算につきましても同様な見地からこの専任教育長を設置するに必要なる予算措置というものをやはり大蔵省にお願いをしたい、こう思つております。これは幾らの金額になりますか、相当金額に上りますが、その点を会計課長は申上げたと思うのです。私が申上げたのは、従来と変らんという意味は、予算金額が変らないという意味ではなしに、教育委員会という制度そのものに対する考え方が従来と変らない、こういうことを申上げた。変らないからして去年要求したと同じように今年も要求する、こういうことに御承知願いたい。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 更に今度青年対策の問題でありますが、大分大臣は青年対策に御熱心であるようです。過般の新聞を見ますと、十五日の繰下げ閣議で、何という名前でしたか、なかなか覚えられないむずかしい名前で、反民主主義活動対策協議会、これは新聞によると、大達文相が非常に要求されておつた。木村防衛長官と大達さんの名前が、件にこの二人が挙つて、ひどく御熱心であるようです。今大臣の御説明の中に、金がかからないで青少年をよくする方法としていろいろお話があつたようですが、この反民主主義活動対策協議会の中で、大臣としては青少年の精神作興ですか、昔のですね、昔のような精神作興という面について強く考えられ、何かこの中で構想をお持ちになつておりませんか。そこらを明らかにしてもらいたいと思います。
  50. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 過日の閣議決定で設置することになりましたその対策は、名前はなかなか長いですが、この対策協議会というものは、別に私が言い出したわけでも何でもない。新聞にどういうふうに書いてありましたか私は知りませんが、別に私が言い出して、要望してできたというものではありません。それから又その委員のうちに私が、その当時原案として、加えられておりました。これは協議会というものに一応聞いていろいろ話合つてて見ないというと、これがどういうふうに運営せられるものか、私としてはあらかじめ結論を持つわけには行かんのであります。それから青少年の問題は直接これとは何も関係ないのでありまして、私は日本青少年を、或る方向に向ける、右へ向ける、左へ向けるという考え方は持つておりません。ただ、例えば社会教育としていろいろな各種の教養を増し、或いは図書館を置くとか、会見館の活動を盛んにするとかいうようなことによつてそれらの人人の教養と知見を高める機会、その手段を供給するということは これは勿論しなければならん。併し青少年に思想的に右に向けとか、左に向けとかいうような指図をする気は一つもありません。ただ現在の青少年実情から見て、やはり考え方の如何は問題でなく、要するに青少年として健全なあり方にしたい、こういうことは考えております。併し私の考え青少年を指図するという気はありません。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 それはおつしやる通りだと思います。そういうことを考えられてもこつちは困る。こつちが困るのではなくて国民が困るけれども、この反民主主義活動対策協議会というのは相当国民が注視している問題です。この中に日本文教政策の最高責任者である大達さんが委員として入られておるからには、やはり日本文教政策の面にもこうした反民主主義活動対策協議会の性格がどこかに潜んでおるのではないかという一縷の危惧を持つのが当然だと思うのです。そうすると、これは日本文教政策というものとは何ら無関係なものである。若し仮にこういう反民主主義的なものができても日本文教政策とは何も関係がないものだ、こういうふうに受取つてよろしいですか。
  52. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 反民主主義活動というものと日本文教というものが全然関係ないということであれば、文部大臣がその委員のうちに加わるということはない。反民主主義活動、具体的にどういう行為が反民主主義活動であるかということは、これは別といたしまして、観念的に民主主義というものを基本として新らしく立国の基礎をそこに置いておるという態勢を今日の新日本がとつておる限り、反民主主義活動というものが若し行われておるとすれば、それに対する対策が考究せられることは当然であります。その反民主主義活動が社会生活のどの面において行われておるか、これはいろいろ関係方面の話を聞かなければわかりません。或いは文教の方面においてもそういうことが行われておるということがあるかも知れません。これは反民主主義活動というものはどこの分野には全然関係がない、どこの分野にのみ関係しておる、そういう性質のものではないと思います。従つて民主主義活動というものは文教には何も関係がない、或いは文教関係があるんだとか、そういう必然的の関係はない。併し反民主主義活動というものが若しあるとすれば、それに対する対策が考究せられるということは私は極めて当り前のことである、かように了解しております。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 この問題につきましては、あと時間を改めまして、掘下げてお尋ねいたします。これで終ります。
  54. 安部キミ子

    安部キミ子君 ちよつと大臣に…。先ほどから縷々来年度予算に関する方針が述べられまして了承した点もありますし、又もつと掘下げてお尋ねしたいと思いますが、今までの説明の中では、高等学校又は国立大学、更に私立学校、これは私立の大学も含めてでございますが、これらに対する方針というものが述べられておりません。予算に対する来年度方針ですね、そういうものを一括して簡単に説明して頂きたい。
  55. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは勿論、これらの私学につきましても、それから大学につきましても、高等学校につきましても、その教育振興充実を図るという点は他の場合と同様であります。従来の文教基本線として定められたることは、これを少しでも徹底充実して行くと、こういう方針に変りはありません。殊に先ほどはただ重点的に科学技術振興とか或いは青少年の問題というふうに申上げたのでありますが、これは皆それぞれの教育の面に、例えば大学教育におきましても、文部省科学技術振興ということを考える場合、それに対して手を打つ場合も、まあ大部分は大学というものを通しての問題であります。従つてこれらの点に、まあ私学につきましても同様でありますが、特に私学、特に高等学校ということで、この各種の学校のうちから採上げてですね、この点だけ、この学校だけをという考えでなしに、事項別に科学技術振興とか、或いは一般教育内容改善であるとかということで、これはすべての学校に通じて、それぞれの学校の持つ教育上の、まあ地位と申しますか、そういうものに応じて、それぞれの機能を拡充して参りたい、かように考えております。
  56. 安部キミ子

    安部キミ子君 それでは時間がありませんので、又この次に質問いたします。
  57. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこれにて暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  58. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは午前に続いて文部委員会を開催いたします。  先般当委員会の御決議によりまして私ども三名給食問題で文部大臣にお会いいだしたのでございまするが、その申入れをいたしました経過の御報告劔木先生にお願いいたします。
  59. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 先般文部委員会におきまして学校給食に関する小委員会の小委員長を私仰せつかつておりまして、その小委員長報告について、当文部委員会において、その趣旨においては全員一致これは賛成であるという御決定を得まして、その結果、これは予算的措置をどうするかという問題について、委員長その他に御一任になつたわけでございまして、その御決定に基いて、私どもはこれができるだけ予算化について努力をする予定で以て、先ず文部大臣に、委員長ほか三名がお伺いしまして、その趣旨を説明したのでございますが、その経過を簡単に御説明申上げます。  委員長から大体文部大臣に対しましてこの小委員会報告書の趣旨につきまして御説明がございました。なお私ども委員長として多少の説明をいたしたのでございますが、その主な点は、小委員会におきまする決定について我々が趣旨を採択いたしました際に、緑風会及び自由党といたしましては、その予算的措置については、これは態度を保留しておるのでございまして、小委員会が採択したのは、その趣旨は賛成すると、但し予算的措置如何によつては、その法案につきましては賛否の態度を保留しておつたのでございます。従いまして、その予算的措置をできるだけ文部、それから農林、厚生三大臣に強くお願いをして頂こうとうので、先ず文部大臣にお伺いしたということを申上げたわけでございます。ところが文部大臣からのお話によりますと、小麦粉及びミルクを、全小学校児童に無償でこれを与えるということについては反対であるという御趣旨の御回答がございました。勿論予算的措置によりまする問題について、予算ができないからという意味合いではないということを加賀山委員からも説明いたしたのでございますが、その無償でということは反対であるという御趣旨の御回答がございましたので、それ以上お話を申上げることも如何かと存じまして、一応それで打切つたのでございますが、先ず文部大臣との間に意見の相違が委員会とございます場合におきましては、これは当然といたしまして、そのどういう理由でありますかを確めるのには、委員会の質疑応答の形でこれを明らかにするよりほかにないという、我々委員長初め皆の意見になりまして、その先ず第一の問題でありまする、文部大臣に対する関係がそうでございましたので、他の大臣に対して、今後お訪ねして、我々の小委員会の案を御説明するということは一応取りやめまして、今日に至つたのでございまして、その点皆さん御了承を願いたいと思います。いわゆる我々といたしましては、この点は文部委員会において成規の質疑応答でいろいろ明らかにするよりほかないという判定になつたのでございます。その点重ねて御了承お願いいたします。
  60. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは午前に引続いて、文部大臣に対する質疑の続行をいたします。御質疑のあるおかたはどうぞ。荒木正三郎君 只今劔木委員から、先般の文部大臣との話合いについて御報告を聞いたのでありますが、私実は意外に感じておることがあります。そこで一応質問する前に文部大臣に……、私午前中にも少し質問をしたのですけれども学校給食という問題の重要性について、文部大臣はどういう所見を持つておられるか、お聞きしたいと思います。
  61. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 学校給食につきましては、御承知通り先般の旧会にも政府提案として給食法案というものを提出しておる。そして成立をしております。それから此の給食についての午前中の会議でも、来年度における予算措置についての大体の私ども考えを申上げてあります。勿論学校給食一つ教育の方法として、又特に現下の諸事情から考えて重要な問題である、こういうことを私ども考えていることは、これは申上げるまでもないことであります。先に成立しました学校給食法案におきましても、その趣旨のことがはつきり書いてあると思います。でありますから、学校給食については私どもが極めて重要視しているということについては、御了承を頂けることと思います。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それだけですか。前の十九国会政府から提案になつ学校給食法案、この学校給食法、この法案の提出に当つて、たしか文部大臣は、小麦粉の半額を国庫で負担する、こういうことは非常に不十分である、で、将来機会があれば、これを拡充して行つて、そうして児童の負担の軽減を図つて行く、或いは父兄の負担の軽減を図つて行きたい、こういう趣旨のお話があつたと私記憶しております。従つて文部大臣としても、学校給食についてはできるだけ国庫負担額を増加して、そうしてこの学校給食が更に広く行われる、こういうことはこの前の学校給食法案の提出のときにたしかお話になつていると思います。従つて文部大臣としては、その方針で今日もおられるのじやないかというふうに私ども考えております。従つてこの当文部委員会で採択をいたしました内容についても、これが実現について積極的な私は協力があるものと、こういうふうに考えておつたのであります。今のお話を聞きますと、学校給食は重要な問題であるということだけはお話になつておりますが、これを如何にして更に拡大して行くか、これを如何にして父兄の負担を軽減して行くかというふうな問題については、前の国会のときと心境に変化が来ているのかどうか。私只今説明だけではよくわかりませんので、その点を一つお話願いたいと思います。
  63. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 荒木委員のお尋ねは、つまり学校給食無償にする、小麦のみならずミルクにつきましても無償給食こするということについて先頃代表のかたがたにお目にかかつたときの私の話に関連してのお話だと思うんです。私は学校給食というものが一つ教育の面から見て重大である、大切なことであると考えております。一応これは私どもの立場から申すと、教育という見地からこの問題を考える。無論それに附随をいたしましては国民の主食の改善とかいうようなことも考えられます。併し政府としては、まあともかくとして、文部省の立場ではこれを一応の教育的な児地から考えております。こういうふうに私ども態度をとつておるのであります。そこで無償給食ということでありますが、無償給食にすることが果して教育的見地から最も望ましいことであるかどうかという点については私は考究の余地があろうと思います。言葉を換えていえば、富裕な家庭の子弟にも貧困な家庭の子弟にも、とにかく学校給食ということでこれを一律に無償の給付をするということが教育上適当であるかどうかということについては私はそう簡単に結論が出ないと思うのであります。従つてこの前見えたときの、只今劔木君から御報告がありましたが、学校給食についての国としての考え方というものは先頃の国会においていわゆる学校給食法案というものが成立したばかりであります。従つて議会の水思は先般決定したばかりであつて、これをすぐ無償という線に持つて行くことについては俄かにそれで意義はないという結論にはならないというふうなことを、私ども考えはそうだということ言うておつたつもりです。  もう一つは、只今劔木君の御報告と私の当時受けた印象とに違つておる点があるのでありますが、三百数十億の予算措置が必要となつておる、こういうことであります。いま今日の国家財政の上から三百五十億という数字予算措置を必要とするそういう案を今持出して、これは率直にいつて直ちにこれが実現を期するということはできません、私は不可能と考えております。であるからして、仮に無償給食ということが至当の措置であるといたしましても、この三百五十億という数字を目標としたものを今直ちに実現するかのごとき何といいますか、感じを関係方面に与えるということは私はよくないという考え方を持つているのであります。従つて一面においては、国会において学校給食法案というものが成立したばかりでありまして、私どもとしてはこの成立した法律の趣旨に副うてこれを充実拡充して行くということが先ず先決の我々の任務であります。これを今直ちに無償給食とし、そうして非常な数百億の巨額な予算措置を前提とする案に直ちに誠に結構で賛成だというふうには言えない、こういう意味のことを申上げたのであります。それを御了承頂きたいと思います。
  64. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題についてはいろいろ尋ねしなければならんと思うのですが、今文部大臣のおつしやつた説明の中に私は矛盾している面があるように思います。それは完全給食といいますか、無償給食といいますか、そういうことはよくないのだというふうな見解を持つておられるのであります。そうして富裕な家庭の子供と、それから貧困な家庭の子供と同じように無償にする。こういう考え方に反対だという今御説明であつたわけであります。これは政府が提案なされた学校給食法の考え方からいつても、文部大臣のお考えは私は出て来ないと思います。それは現在でも、政府が提案なされたそうして成立した学校給食法でも、あの学校給食を受けている子供はそれは富裕な家庭の子供もあるし、貧困な家庭の子供もあります。併し同様に一律に給食費をとられているわけです。これは平等にとられております。それから小麦粉の負担にいたしましてもこれは同様に国家が負担しておるわけなんです。そういたしますと、今の学校給食法でも負担という点からいうとこれは富裕とか貧困とかいう差別は全然ないわけなんです。又そうあるべきが当然だと思います。この精神を拡げて行けば小麦粉の半額だけでなしに、或いはミルクの面においても国家が補償する。こういうことは何らあの法律の精神からいつても矛盾しない当然の考え方だと私は思います。ところが文部大臣は今後富によつて同じ無償給食をするということは不賛成だと言われるのは私は考え方が矛盾していると思います。そういう点どうなんですか。
  65. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) これは私の申上げようが或いは誤解を招いたかも知れません。学校給食というものは貧困な家庭の子弟を救済する、まあ経済的な援助をする、こういう意味ではないのであります。ただ学校で、今までもあることでありますが、弁当を子供が食べる場合に、金持の家の子供はおかずもいいおかずを持つて来る。それから貧困な家庭の子供は誠に貧しい弁当を持つて来る。若しくは弁当を持つて来ない。こういうことは子供同志として誠にかわいそうなことでもありますし、そうして子供のときから純真な子供に、何といいますか、ひがみを与えるというか、朗らかさを失わせるというようなことも考えられる。であるからして学校の先生も一緒になつて同じものを食べて、一団となつて同じものを食べて明るく食事をするということは、私はこれはまあ学校統合の教育的価値という点からいろいろ御議論がありましようが、私は学校給食に対して教育的の見地から期待する一つの点であろうと思うのです。でありますから、その考え方で進めて行くというと、学校給食費を負担することができる家庭の子供はこれは嬉々として給食の際に明るい顔で出て来る。併し家庭が貧しくて給食費を家から持つて来ることのできない子供、こういう子供は自然にひがみを感ずるというか、まあ場合によれば多少ひねくれるというか、純真な子供にそういう面からの影響は与えたくない。であるから負担のできない家庭の子供も負担のできる家庭の子供も同じようにそういう点に煩わされることなしに、みんな明るく一緒に食事をするということにしたほうが私はよろしいのじやないか、こう実は思つておるのであります。  そこで全額無償にするかどうかということは暫らく別論として、その点からいつて給食の際に引け目を感ずるような子供を作りたくない。そうなるというと、結局貧困の家庭、仮に生活保護を受けている家庭で、給食費というものがそのほうから出されるということであれば、先ほど午前中も申上げましたように、要保護家庭ということには基準の関係でならんけれども、併しやはり実際においては負担を、まあ要保護家庭に準ずるような家庭の子供、こういうところまで無償といいますか、給食費というものを別に国が支弁をして、そうして皆明るい気持ちで一緒に食事をする、こういうふうにいたしたい、こういう気持ちで実は先ほどのことを申上げたのであります。特に貧困の家庭に対する援助とか救済とか補助とかいう意味ではありません。教育的の見地から見てそういうふうにしたほうがいい、こういうふうに私は実は考えておるのであります。その点から言うと、成るほど全部を無償にするということは、そういう点も併せて解決するでありましよう。併しこれは結局意見の相違ということに私はなると思うのでありますが、この場合に全額無償でなければならん、若しくは必ず有償でなければならん、そういう客観的な原則的な理窟は私はないと思います。現状から見てどつちがいいということになると、これはそれぞれ一長一短のものだと私は思います。でありますから、これは結局意見の分れるところであると思う。で、私は絶対に反対とかなんとか、強い意味で申上げたつもりではないのです。ただ現在の状態においては、これは実行のできないことでありますから、それで私はこれについてはすぐ賛意は表しにくい。先ほど申上げましたように、これは莫大な予算措置を伴うものである。でありますから、これをこういう方針だということを外へ言つてみたところで、これは実行はできません。少くとも私は三年や五年でできる問題ではないと思う。三百五十億とか、これに子供の数もどんどん殖えるのですから、そうして同時に小学校のみならず中学、更に進んでは高等学校までも給食の範囲を充実せよ、こういう、私もそれは賛成でありますが、併しいつできるかわからんようなことを発表し、そういうふうにすることが私は或る意味においては関係方面に誤解を生ぜしめるもとであると思つております。いわんや全額無償にしなければならんという鉄則的な理窟は私はないと思う。やはり教育の立場からすることでありまするから、まあこれは人によつて考えが違うでありましよう。考えによつては子供にただ物をもらう、こういう考え方を少しでも滲み込ませるということも、これは一つのやはり問題として考えるべきじやないか。従つて、この問題について直ちに、折角お申合せがありましても、私は直ちに賛意を表し難い、こういうことを申上げたのであります。これは私の併し意見であります。私の意見を皆さんがたに動かすべからざる理窟として押付ける気持ちはありません。ただ私の意見はそうである、こういうことを御了承願いたい。
  66. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 文部大臣と今から話合いをいたしましたことで私議論をしようとは思つておりませんが、二、三の点についてちよつと違うところがございますから、申上げたいと思います。  これは私どもが小委員会で作りました案は三百五十億とか七十億とかいう案ではございません。これだけは、はつきりしておきます。この三百五十億とか七十億というのは、このあれは永井さんの提案しました議員立法の案をそのままで全面的に実施する場合にどのくらいかかるかということを文部当局が計算した数字でございます。私どもがこの小委員会で議決しましたのは、小学校だけを第一目標にしておるのでございまして、小学校対象としてやる場合は約三百億という数字であつたように記憶いたしております。而もこれについて文部大臣は三年か四年か五年といいますけれども、私どもは長期における計画を立ててやるということで、差当りすぐ二百億が要るというようなことを申上げた覚えは絶対ございません。これはその点は一つ誤解があるかと思いますので、今の点は申上げておきます。  それからなお、その際に私はいろいろ話をいたしましたことを報告から、簡単にするために省いたのでございますけれども、今文部大臣のおつしやいました議論のことも私ども一応議論したのでございます。若し全部の学童に対して無償で小麦粉なり、ミルクだけをやると、これは学校給食費というのは全額国庫負担ではございません。その一部の小麦粉を無償でやるということは観念的にもいけない、教育上もいけないというのであれば、現在国民の一部分の、いわゆる五百何万人足らずの学童に対して、その而も小麦粉を半額負担で貧富の差なくしてこれをやつておる学校給食文部大臣の観念からいえば否定さるべきものじやないか。私は若しその貧富とか、そういうことで教育的な学校給食が今考えられるという、これは貧富の問題から来るものは社会保障の観念であつて、私は学校給食のまともな観念から来るものではないと考えるのでございます。学校給食教育的にいいという観点に立つならば、その父兄の負担を軽減して、そうしてその給食を全面的にすることができるようにするのが国の方策であつて、そこまでする必要がないかどうかということが私は学校給食に対する必要性の感度の問題だと私は思つておるのであります。ということは二点でございます。  それから第三点は、私はそのときに我々文部委員会として全員一致を以てこれをやつたので、その趣旨としては適当であると我々も考え、皆異論なくこれにしたのであるが、これに対して文部大臣が自分の立場で反対されるということは、これは当然なことだ、私どももそう思います。ただ併し、この小麦粉について全額国庫補助を講ずるということは、これは先に法律が通つたときに一応を国会の意思は決定したということは文部大臣のおつしやる通りでございますが、同時にその際におきまして、委員会の満場一致を以て附帯決議をいたし、これは委員長報告によつて、その附帯決議の報告を含めた意味において、私はその参議院の本会議において満場一致この学校給食案というものは通過したのでございます。従いまして、この附帯決議にあるものは、やはり政府に対して相当な私は拘束力を持つものだ、少くとも政府はそれだけのことは努力するだけの義務をもつて、私見を差挾まず、これをとやかく論ずべき問題じやないと私は考えます。而も附帯決議の第三項に、小麦粉について全額国庫補助の措置を講ずることということを、はつきり明文を以て書いております。従いまして、私どもはこの国会の附帯決議に賛成し、これに又国会全体としてきまつたことに対して、ただ今日それは単に、我々も又及ばずながら教育上の見地ということは、これは皆さん文部委員会の人が一人も教育上の見地を考えないで学校給食考えている人は私はないと思います。それは単に自分の……、これは全額国用負担をすべき国会の決議に附帯決議があつたが、今日の状況でそこまでとても及ばないのだ、こういう御説明ならば我々も納得いたします。その国家財政の都合から、努力したが駄目だつた、これなら私もわかりますけれども、この国会が決議した全額国庫負担するということ自体が国会が間違つているのだ、そういうことは教育上の見地からいけないのだという見解は、私ども議員の一人として承服できない問題だと私は思います。そういう意味合いにおきまして、私どもはこの問題については、文部大臣と、とにかく学校給食というものが、私どもは、これは国家財政の都合で早急にできないということは、重々知つております。従つて財政的な立場から申しまする我々の態度は、保留しているはずです。これははつきり申上げておきます。併しながら趣旨においては、私は是非実現させたいが故に、あえて私どもは、与党の人間でありながら、これは申上げておるわけであります。特に小委員会におきまして、各省の事務当局を呼んで参りました場合において、農林省も厚生省も、これは決して、この趣旨に対して反対の意見は申しておりません。而も文部省におきましては、学校給食は、全面的に実施するために、今危機に陥つておる。それはなにか、それは農村において学校給食ができないということです。我々は今若し全面的に学校給食を拡大して行くためには、現在の状況で、半額国庫負担の小麦粉で、ミルクは全額父兄が持つという状態におきましては、とうてい農村にまで拡大することが望めない、望んでも僅かなものであるという状況に陥つておるので、これは全面的にやるのにはどうするかということが少なくとも学校給食の一部小麦を全額国庫負担し、ミルクを全額負担をするということがいいんじやないか。これが又教育上の見地からだけ私ども考えるべきもんじやないと考えます。これは別とは言いながら同時に日本の児童なり、国民の健康をどうして行くか、この白米食によつて我々が日に蝕まれていく、国民の健康をどうするかという問題と、よほど大きな問題であるその米の問題、いわゆる米食の問題、米の主食をどうするか、この解決に農村において、麦を食つて行くということが、どんなに日本食糧の問題に解決になるか。これだけのものは全然別個のものだと言いながら、学校給食をやるということによつて政府が解決に近ずいていくとすれば、これは我々は全面的にやつて然るべきじやないかという、固い信念をもつて、二百億という金が現実の問題として、私どもはこれが若し財政に盛られないと申しますけれども、年々再々米の増産についてその当時の説明を聞きますと、二千数百億、これがいわゆる食糧増産に支払われる、米の輸入について数百億の金が出されて行く、これを小麦に替えることによつてどのくらい国費の節約になるか、それらのものは農林省に向つて、私ども一つ計算をして欲しいということで私ども要望しております。そういう意味合いにおいて、単なるこれは現実の問題として学校給食考えておるのではございません。将来の日本人の体位の向上を根本的にこれは考えておるのでございまして、これはそういう意味合いにおきまして、もつと文部大臣におかれましても、誠意をもつて、今までの考えは、或る一定の私は角度があろうかと思います。併しこのことについては、文部大臣一つ、お考え直しを頂いて、なんとか、文部大臣の御意思を変え得るとは思いませんが、併し本当にこの問題は真剣に取組むべき問題だという観点に立つて一ついろいろここで御論議をお願いしたいと思います。その点だけ……。
  67. 吉田萬次

    吉田萬次君 私も給食問題に対する小委員の一人として、相当意見を述べたつもりでありまするし、只今劔木さんの御意見によつて我々の意見も大体代表せられたと思います。これが先ほどの大臣のお言葉は、御意見として拝聴すべきものであつて、私は貧富の差によつて、そうして給食云々というふうなことは、考えかたにおのおのの差違があると思います。先だつても私が申上げましたように、京都の或る学校においては、これは荒木さんの話ですが、学校で折角給食の設備の完備ができたのに、段々それが希望者がなくなつてつてしまつたというようなことが、その起因するところは貧困な家庭の児童というものが、給食費の割当、いわゆる月にどれだけという金が支払えないことによつてそれが起つていたというふうなことも聞きましたが、これはその通りであつて、貧困な家庭が毎日々々日掛で出して行くのなら給食の費用も支弁することもできましようけれども、一カ月として計算するということになると、大てい学校の児童というものは、一人行くということは少ないので、学校へ行きかける子供があるときは、二、三人くらい続いて、大てい行くべき性質のものだと思う。従つて費用というものを換算すれば、二百五十円として三人で七百五十円、一挙に、一時にこれを出そうとすると、そこにどうしても出し得ないという家庭があつて、だんだんそれがさびれて来るようになると私は考えるのであります。かような点から考えまして、その方面に対する考慮をするという必要は、当然行なわれなければならんと思いますが、これは私は全面的に全部に支給せられ、貧困のもの、或いは不幸のものというふうな階級的な考えでなしに、全面的に行われるということは、私は当然なことだと思う。それは丁度税の問題からいいましても、平衡交付税、平衡交付金といいますか、かようなものにいたしましても、私らの郷里の附近というものは、富裕なところでありまする関係上、一厘も国からもらつておりません。国家からもらつておりません。全部どうかというと、出すだけ出して受けないところが多いのであります。町によりましては四億円からの納税をしておるというようなところがあります。かようなところのいわゆる人々の言う総合的な考えかたというものは、出すものはどんどん出しておいて、恩恵を受けるというところが極めて少ない。要するに我々が粒粒辛苦して税を納め、そうして仕事をし、他のいわゆる寒冷地帯におけるところの人が、一年完全に働かないところを春夏秋冬本当に夜を日についで働いておるという、その納品が税金となつて現われて来るものだと、かような貴い税金を納めているということから考えるならば、国家の税金として支弁せられるところの給食費というものは、これは公平に配給せられて至当なものであるというふうなことを言つておられると同じように、これは成るほど相当な費用がかかるということも肯定しますけれども、今日デフレーシヨン政策によつて国家が予算に組むことができない一時的な現象である、暫らく辛抱せよという仰せならば肯定いたしますけれども、かような点から考えまして、この問題を検討した場合において、私は全学童に同じように学校給食、これが行われるということは、政治的な実情を勘案いたしましてもこれは当然のことだと思います。御説としては拝聴いたしますけれども給食問題を俎上に上せ、我々が小委員といたしましていろいろ検討した結果という点から考えましたときにおいては、私はミルク或いは小麦くらいの負担というものは当然私はやつて頂かなければならん問題であり、これは将来の国家に対するところの裨益というものはどんなものであるか、おつしやつたようにいわゆる汚職が給食によつて消えるというか、私は当然のことだと思う、かような点から考えまして、この問題については十分な御考慮をして頂いて、そうしてその実現に対して深い関心と努力を払つて頂きたいということを私は希望いたします。
  68. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) いろいろ御意見がございましたが、私はあらゆるいろいろな条件を含めて今この問題を処理するといつたところで予算関係もあるし、急速に実現できないという実情であります。それらのいろいろな点を考えて、今こういうことに結論を出すことに、そうすぐ賛成であるということは申上げられない、こういう意味で申上げたのでありますが、その点だけを御覧になつて、私はやはり相当いろいろな意味で私は考究する余地がある、こう思つております。それは財源の関係、又今すぐ実現のできないことを切り出すのがいいか悪いかということもあり、御意見はとくと拝聴いたしまして、私どもとしてもできるだけそれを尊重して給食の面にこれを実現して参りたいと思います。私が申上げた意味はそういう意味でありますから、その点を一つ御了承を頂きます。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどからの大達さんの話を聞いておると、財政面が困難だということを、それからその無償でやること自体に問題があるという意見だと思う。それでさつきの言葉尻を取上げるわけじやないが、とにかく金持の子に無償でやる、ただで物をもらうということになるというと教育上由々しい問題だという御意見ですが、それは僕らなんかは給食をやることが正しいので、物をもらう観念を養成するというばか気たことは、そんな飛躍的なことは考えない、そんなことを意見するなら閣議で造船汚職に対してそういうことを追究すべきだ、給食問題と、ただで物をもらうということを結びつけている、僕はあなたの頭を疑う。そういうものの考え方をわかるように説明して下さい。
  70. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) それは私の意見ですから、それに対する御批判は勝手であります。そういう考えをもつことが悪いと言われても、それは返事のしようがない。私は須藤君がそう言われても、造船汚職と何も関係はないのであります。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣としてそんなばかなことを言つてはいけない。あなたの理念に問題があるので、その理念から質さなければ問題は解決しない、そんな理念を持つておる人に大臣になつていてもらつては困ります。完全給食無償でやることが、悪影響があるということ、私はそのこと自体を問題にしている。ただ予算の面で困難だというなら我々も承服することができるが、承服できないというのは今の理念である。私はもう少しあなたの理念そのものを具体的に聞きたいのだ。
  72. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私の考えは、問題として提出しているのであつて、あなたの承服を求めておるのではありません。あなたが承服されるか、承服されないかは勝手であります。ただあなたの意見がそうであるから、私の意見を変えろと言われてもしようがありません。(「大臣を迭えるよりほかしようがない」と呼ぶ者あり)
  73. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 無償給食の問題ですね。これは教育上好ましくないという大臣見解のようにとれるのですが、これはどうも我々としても納得できにくい。無償給食というものは予算その他の問題で実現上非常に困難がある。こういうのじやなしに、教育上どうもそういう考え方は私は賛成できないのだ、こういうことになると問題は非常に何といいますか、そのままにしておけないと思う。少くとも我々文部委員会一同は無償給食ということは望ましい形なんだ、教育上の見地から見ても望ましい形なんだという考え基本的に持つております。ただ我々がこれを実現するには漸進的でなければ困難だと、こういうふうに見ておる。ところが文部大臣のほうは無償給食ということは教育工合が悪いのだ、仮にそういう予算が出るとしてもそういうことは好ましくない、こういうことであれば非常な食い違いがある。これはやは相当突込んでこの考えの相違というものを明らかにする必要がある。それは文部大臣は自由党出身の文部大臣ですが、自由党のかた無償給食ということが原則として教育上悪いのだという考えを持つておられるかたは一人もないと思う。少くとも今日まで私ども聞いた意見で、文部大臣のような考えを聞いたことは一つもないのですよ。ただ吉田総理が金持の子にも貧乏人の子にも同じ物を食わすことは何事だということを立腹されたことを、これは嘘か本当か知りませんが伝わつておる。それくらいのことで、どうも大臣考え方はちよつと表現に何か十分でない点があるのか、その点をはつきり育つてもらいたいと思います。
  74. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 表現に不十分の点があるかと思うのですが、私は須藤君の言われるように、これは教育上甚だ悪いというような気持で申上げたのではありません。須藤君が非常に強めに言われるけれども、それはそういう意味で申上げたのではありません。ただそういう点について一応研究すべきで、相当考慮を要する点があると思う。だから今これにすぐ飛びついて賛成をするということはできないと思いますから控えたい、こういう意味で申上げたつもりであります。決してそれが甚だ不都合であるとか何とかいう、そういう飛躍的な話をしたつもりはありません。これはまあ私どもとしても、突然のことでありますから、当時そういうふうに申したつもりでありまして、これは先ほどから申しましたように、今すぐ実現し得る問題ではないのだ、私どもとしてはとくと研究をいたしたい、こう考えております。決してあなたがたの意見を排撃するとか、そういうようなのはいけないというような気持は毛頭ないのですから、それは御了承願いたい。
  75. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は学校給食の問題は、文部大臣も非常に重要だということはお考えになつていると思います。特に学校給食を全面的に実施する、而も主食は国が補償する、こういうようなことになれば、相当な私は予算がかかると思います。従つてこれを実施するということは、そう簡単でないということもわかるわけです。ただ併し私は文部大臣文教政策もちよいちよい承わるのですが、学童の体位向上、延いては日本人の体位の向上或いは健康の増進、こういう問題について、あまり文部大臣から文教政策としてお話を聞いたことがあまりないのです。併し日本人として日本人の体位をどうして改善するかという問題は、これは非常に私は重要な問題だと考えているのです。日本人の体位が世界の諸民族に比べて私は優秀であるとはどうしても思えない。別に専門的な知識があつて言うのではありませんが、むしろ下位にあるのではないか、こういうふうに考えているわけです。而も日本人の体位の改善ということは、五年、十年にできる問題じやない、そういう意味からいつても、学校教育において、学童の体位の向上、改善を図るという問題は私は国策上の重要な問題だと思う。文教政策上の極めて重大なる問題だというふうに前から考えているわけです。そういう考えからすれば、今日学童の体位向上を図るという面から相当予算をかけても国としては惜しい問題ではないと思う、というような意見を持つているわけなんです。そういう意味からいつて仮に二百億要るか、三百億要るか私はわからないのですが、こういう問題についてこの実現のために大きな決意を持つて頂く、こういうことは文部大臣として私はそういう考え方を持つてもらうことに私は非常な期待を持つていたわけです。ところが今日お話を聞いてみると、どうもそういう気持が窺われないような感じがするわけです。この点文部大臣はどういうふうに聞いておるのですか、この学校給食はそのほかいろいろの問題も検討されているようですけれども、体位の問題から考えて、この重要性の問題、これをどうして学校給食の面から改憲を図つて行くか、その重要性の問題についてどういうようにお考えになつていますか。
  76. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 学校の児童の体位の改善向上、それが学校給食というものの、つまり偏食を是正するとか、合理的な栄養を与えるとか、そういう意味学校給食というものが、それに関連するという点については全く同感であります。私も全くお説と同様に考えておるのであります。決してこの問題に私は冷淡であるとか、ただその場合に給食無償でするか、有償でするか、有償でする場合にどの程度にその父兄の負担を軽減することができるか、こういう問題はこれは私はその問題とおのずから別個とは言わんが、だから無償にするのだ、こういう論理は私は飛躍がそこにあると思います。私はこの無償給食についてはなお研究の余地がある。まあそれは必らずしも教育的な見地だけではありません。財源の点から又それを国の政策といいますか、公約と言いますか、国民に対するその時期について適当であるかどうか、あらゆる点から見て検討を要するという意味を含めておるのでありまして、それを申上げたからといつて私が学校の子供の体位の改善、向上に冷淡であるとか、或いは栄養の合理化ということに無関心であるとか、そういう気持は全然ないのであります。荒木委員のおつしやる通り私も同感でありますから、さよう一つ御了承頂きたいと思います。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 やはり私はこの問題を振興させるかさせないかということは、繰返すようですけれども、やつぱり大臣の政治というものに対する私は考え方の問題だと思うのです。先ず第一に私が伺いたいことは、小委員会の、学童給食委員会結論というのは当文部委員から付託されて出した結論で、而もその結論はただ飛躍的な国会へ出したものではなくて、学校給食法が通過するときに本会議で我々の附帯条件として本会議で採択されたものです。この採択は平らたく言えば国民の総意と見て正しいと思う。文部大臣は明らかに国民の総意に基いて文部行政の責任をとつているかたでありますから、立法府の重要な決議、これに対して特段に違う御意見をもつて臨まれるということは、私は国民の意思に対して甚だ忠実でないという結論が出ると思う。大達文相はヒットラーや東条のように自分の考え方を遂行しようということになつて来れば日本の民主政治というものは根本から崩れて来ると思う。従つて私がお尋ねしたいことは本会議の附帯決議、これに基くところの小委員会結論を推進されようとするのかされないとするのか、私はこの民生政治の根本的なあなたの立場というものについてここで明確にしてもらいたいのです。
  78. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は国会の決議については勿論これを尊重してその御趣旨に副うようにこれを実現したい、こう考えております。ただ具体の問題につきましては法律と附帯決議というものはおのずからそこに違いがあると思います。でありますからこれは結局私がこの附帯決議がそのままとして、それでそれに反することを勝手に別のこととする、これは私は許されないことであると思います。でありますからして、附帯決議があればできるだけその附帯決議の御趣旨に副うように案を立てて国会に御審議をお願いするのであります。その上で国会でそれをおきめになる、こういう筋合いのものであろうと思います。現実の問題としては法律として成立したもののそれを忠実に実現するということが第一であると思います。今後の立案する場合にはやはり附帯決議の御趣旨の線をできるだけ実現するように私どもは案を立てたいと思います。その場合にそれであつたけれども、全部国会の今後の法案にしても、これから提出しようとする法律案にしても、その附帯決議によつて全然拘束されるものである、こういうふうには私は考えておりません。これにはその案ついて改めて法律なり予算なり、そういうことで国会においておきめになる筋合いのものだ、こういうふうに考えております。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 法律と附帯決議との関連については大臣から御説明がなくても私は了承しているわけでございます。併し法律を通過させる場合に、この法律に国是として望ましい、こうあつて欲しいといういわゆる希望的な条件を附帯決議とするものであるが故に、行政府としては当然その附帯決議についてはこの精神を尊重し、而もその附帯決議の実現について極力努力するということが建前であろうと思うのであります。その具体的な方法としては今大臣がおつしやつたように又次の立法ということについても或いは法律の修正ということについてもあるかも知れない、併し基本的には国民の総意であるところの希望条件を行政府は満さなければならない私は義務を持つていると思うのであります。この義務をあなたは拘束と言われるかどうか知りませんが、それは明らかに政治の在り方として私はむしろ行政府はこの附帯決議実現のためにこの義務を持つているという考えを私は持つている、そこでそういう考え方から私ども委員会としては劔木委員長のおつしやつた結論を出したわけですが、どうしても質さなければならないのは、この小麦或いはミルクの全額国庫負担によつて子供がただで国からものをもらうという考え方が滲透することを恐れるという、この大尉の考え方について、これはどうしても私はあなたのその発言は附帯決議の線からも根本の精神からも、これは取消して頂かなければならないと思うのであります。大臣大臣の御意見でそれはあつてもいいのですが、併しそれは決して国民の総意に忠実なことではないと思います。如何ですか、お取消し頂けますか。
  80. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は取消す理由はないと思います。
  81. 高田なほ子

    高田なほ子君 なぜ取消す御意見がないのですか。
  82. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私の発言が国会の意思に反したとは私は思つておりません。又私が私の気持にないこと申上げたわけではありません。先ほどから縷々申しております通りに、私は決してそれが直ちに教育上よろしくない、こういう断定をしているわけではありません。それらの点についてなお責任者としては十分考究しなければならんから、今御決議があつて、すぐその通り賛成ということは申上げられんという意味のことを言つている、今後考究したい、こういう意味でありまして、すぐそれを賛成するということはできない、こう言つただけであり永して、それをどういうわけでありますか、取消せということは、その内容が不都合である、こういうことであればこれは御意見として承わります。私はそういう意味で申上げたのでありますから、その意味である限り私は取消す理由はないと思います。
  83. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは大臣に落着いて聞いてもらいたいと思います。予算の上の都合で、財政措置の問題でこれは今直ちに実現されないということと、給食の全額負担というものは、子供にただでものをもらうといういやしい考え方を滲透される慮れがあるということとは問題は本質的に違うと思います。ただ私ども野党の側にある者として横車を押して今直ちにこれを全部一緒にやらなければけしからんと、こういう考え方を持つているわけでは決してないわけであります。ものには順序というものがあるわけですから、問題は無償で子供に学童給食をするということが、ただで子供に物をもらえるという観念を植えつける直れがあるというこの考え方は間違いだと私は言うのです。国民から税金を取上げてその村や町に橋をかけること、これは村や町の人が直接負担しないのですから、ただでかけるということになると思う、そうじやないのですか。道路を作ることだつてやはり私はそうではないかと思う。つまり税金が国民に還元される形の場合は、表現としてはただでやる場合が私は多いと思う。給食の場合だつても税金の中から給食費として出して来るわけでありますから、これは税金が子供の上に還元されたという形であつて、そのことによつてその子供がただで物をもらうという観念を滲透させるということにはならないと考えるわけです。大臣がただで物をその子供がもらうという考え方が悪いというようなお考えを若し持つているとするならば、今回の教料書の無償配付を中止したというのも大臣がそういう考え方から出発したのだというふうに言われてもこれは仕方がないように思えるから、そういう誤解をなくするためにも大臣は先ほどの御発言についてもう一度考慮して、むしろここで取消されたほうがいいのではないのですか、こういうふうに申上げているのです。おわかりですか。
  84. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 議論になると何ですから、私は先ほどから申上げていることを繰返すことより仕方がないのであります。私は決してそれが子供に教育上悪い影響を与える、こう断定をしたわけではありません。そういう点についても私は考究する必要があると、こういうふうに考えております。教科書の問題にしましても、成るほど給食ということを一つ教育手段として学校においてこれを取上げて、そして児童にこれを施す、こういう見地からいつて、それは公けの公共的な仕事で、あるから無償にするということも一つ考え方でありましよう。併し一般教育をする場合に、その教育のために必要な教科書、教材或いは筆墨、そういうものもあるのであります。その場合にその全部を国が無償でするというのがいいのか、或いはものによつて国が負担をすると、こういうことがいいのか、全然国がそういう点は負担をしないという建前がいいのか、これはそう私は簡単にきまるものではないと思う。十分研究する必要があると私は思うのであります。今のお話のように、これが学校給食というものは教育手段として適切なものである、であるから無償にすべきものである、こういう私は一足飛びの内容にはなかなかならんかと私は思うのであります。併しそれも御意見であり、御議論でありますから、十分研究をした上でしたいと、こういうことを言つておるのでありまして、それがいけないと今きめつけているわけではありませんから、これは同じことを申上げて相済まんけれども、さように一つ承知を願いたいと、こういうふうに思うのであります。
  85. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私先ほど体位向上の問題から学校給食の問題をまあ結びつけて質問したわけなんです。併し我々がそれは学校給食というものは非常に有益であるという趣旨を述べただけであつて、これを以て全額無償給食するということ、こういう理論づけをしているのではないのですから、その点は誤解ないように願います。特にさつき吉田さんからお話になつたのですが、現実の問題として学校給食というものが、その給食費負担というものが相当父兄に重荷になつているという現実の問題ですね、これはやはり軽減しなければ非常に教育上有意義な学校給食も非常に困難な壁にぶち当つている問題です、一つは。ですから給食費の軽減を図るということは学校給食を行う上において非常に重要な問題になつて来ていると思います。  もう一つは、学校給食がこれは都会に現在多く行われておる。農村地帯は非常に少いわけです。けれども農村地帯がそれじや学校給食が必要でないのかというと、いろいろの面から考えてやはり農村においても学校給食というものは非常に効果があり、必要な問題だと、こういう農村にも学校給食を普及させて行くという点を考えると、この小委員会の述べてある学校給食、これは全額無償ではないのです。これは経営関係から言つたら私は半額くらいになるのではないかと思う。小麦とミルクだけですから、それくらいの国家補償をする、こういうことは今の学校給食の問題を打開して、更にこの給食を拡めて行く、こういう観点から見れば今日これくらいの施策は実施しなければいけないのじやないか、こういう観点に立つておるのです。私も賛成しておるのはそういう意味なんです。ですからそういう考え方が悪いのだというふうに来られると、どうも我々納得できない、やはり予算上非常に困難があるというのなら、この問題をどう打開して行くかということになれば、一致点、一致した点に我々委員会としても文部大臣と一緒にこの困難性をどう打開して行つたらいいかという問題が研究できると思う。併し予算上の問題ではなしに、それまでの考え方に非常に、ギヤツプがあるようではこれは一歩も進まない。どうですか、文部大臣は現実の問題としてやはり学校給食費が相当な重い負担になつて行く現実を認めませんか。それからもう一つは、農村にもこの学校給食を拡げて行つたほうがいい、こういうお考えに賛成になりませんか。先ず予算上の困難な問題をおいてそういう考え方についてこれを伺つておきたい。
  86. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) 私は今荒木さんの言われることには同感であります。無論農村にもこれを普及することにいたしたいし、御承知のように今日小学校でもこれは強制して給食制度を施行しておりませんから、まあそれを希望する所はそれをやる、こういう建前でありますから、実情においてそうこの普及率というものは、この普及を非常に重要に考えておる点から言えば思わしくない実情であります。それは今仰せられたように給食費負担というものが父兄側にとつて相当の重荷になつておるということが一つのやはり理由、原因だろうと思います。でありますからして、そういう点についてはこの学校給食制度を普及するという見地からできるだけそういう障害を除きたい、こういうふうに私ども考えておつて、表向きこの特に負担の上に困難を感じる、児輩の父兄に対して負担を免除するような方法で、まあ漸進的でありますけれども、そういう方法で進みたい、こういうふうに考えております。それがつまり学校給食制度をできるだけ早く普及したいと、こういう考え方から、そして現在の国の財政上の実情からそういう方法をとつて参りたい、こう思つておるのでありますので、その点は今荒木さんの言われた気持と私どもの気持は全く一致しております。私は絶対にこれにとことん反対であるというふうに前提でお話になりますけれども、私どもとしては責任のある体でありますから、それに賛成すればとにかく成るべく早くこれを実現することに努めなければならないと、私は十分検討の余地があるから今すぐそれに賛成と、こういうことを言わないということを言つたのであります。絶対反対とか何とかいうことを申上げたつもりではありません。その点は先ほどからしばしば申上げたのでありますから、大した違いはないと私は思つております、お考えと。ただそれならば今無償給食ということにお前はその前言を取消して賛成せよと、これは私どもとしては十分考究すべき点を考究した上でないと、そういう取消しをしてそれに賛成するという簡単なことにはならんのでありますから、決して私は意地を張つているわけではないから、その点は一つ誤解のないようにして頂きたい。
  87. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 私ども学校給食を少くとも小学校に対して全面実施することが非常に今日必要であるという基本的な考え方は、これは殆んどみんな一致しておると思います。それで過去において文部大臣無償給食に反対であろうがなかろうが、そういうことは今問題でないので、私どもが言われるのは、小麦は無償、ミルクは無償というのは、荒木さんの言われる通り、これはできるだけ父兄の負担を軽減しなければならないという意味合いから、特に小麦なんかはその操作の上から言つて無償で輸入食糧として取扱つて行けば、操作の上からも非常に楽ではないかという意味も含まれてこれは文部省でも意見が出まして、同じ二分の一の小麦粉の補助だけでは農村にはなかなかいかん。だから農村等については三分の二とか四分の三とかいうような補助率を高めて行くということも研究してみたいと思つておる。併し都会には半額、農村には四分の三というような差別をするときに、どこで筋を引くとか、いろんなことが問題があると思いますけれども、その点いろいろ考究の余地があると思います。ただ今日安部先生が何かおつしやつたと思つたのですが、昨年の夏私どもは北海道へ行つて僻地に行つて学童に親しく接したときに、あの開拓地の学童の体位は極めて我々しろうとが見て実に悪いということを見ましたときに、自分の家に現にミルクがありながら一ぱいのミルクも飲めない、これは全部売るよりほかには生活できないという状況、これを我々見ましたときに、何としてもここまでこれをやるのには学校給食を何とか普及しなければいけないという堅い決意を私どもつて参りました。今日でもそういう意味合いにおきましても考究されなければなかなか御決意はついかんと思ますけれども、我々の希望といたしましては、ここで私は日本の将来のためにも、又教育上は勿論ですが、その他の面から言つてもこれはやつぱり考究すベき重要な問題ではないかと思うのでありまして、十分御考究を積極的になさいまして、どうかもう文部大臣が我々と同じ気持になつて頂かなければこれは実現は私は不可能だと思います。そういう意味合いにおいて私どもは失礼な言葉を言つておるのでありますけれども、ことの真意はそこにあるのでございますから、どうか一つ積極的に、これは勿論予算上の措置その他で非常な困難がございます。すぐこれが実現されるなんということは到底不可能だと思いますけれども、それがいいということに御考究の結果なるならば、それは一つ積極的に我々と一緒なお気持で一つございますから、御考究になる期間も勿論あると思いますが、結論としてはそういうふうにできるだけなるように私ども衷心からお願いをいたしたいと思います。
  88. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 この問題につきましては、大分議論を重ねたのでありますから、そうくどくどしく申上げる必要はないと思います。私初めに大臣の話を承りましたときに感じましたことは、三百数十億という金額について大臣はそれはとてもじやない、そういうふうに頭に入れられて、それを小分けして何年の間にどういうふうにというところまで余り深くお考えにならなかつたのじやなかろうかという感じもしたのです。それからもう一つは富裕な家庭の子弟に無償給食するという問題につきましても、大臣のお言葉を本当にもうきまつた大臣の意見であるか、或いはそういう意見が相当考えられるのだが、自分はまだきまつていないというようなつもりでおられたか、それもはつきりしなかつたのですけれども、まあ七、八分はやつぱり工合が悪いというお考えらしいなという感じを私は持つたのです。まあそのうち応答を聞いておりますと、大臣のほうでもはつきり反対だということを育つておられたのじやないということをあとで承わりましたが、特にこの問題についてはなお考慮するという言葉ではつきりしめくくりの答弁をしておられますので、今日はこの程度で質問も大体打切つて、又あとへ問題を残して行くということは、考慮するということを大臣が言われただけで、それを承わつて我々もそのままにしておくのは頼りないと思います。そこで適当な時期にそう長くならないうちに大臣のお考えもきまると思います。委員長のほうでよく連絡をおとり頂いて、はつきり文部省の態度を成るべく早い機会に聞いて頂きたい。そうして我々の態度もきめるということにしたらどうかと私は思うのでございますがね。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  89. 堀末治

    委員長堀末治君) 如何ですか。    〔「結構です」と呼ぶ者あり〕
  90. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは今竹下さんからこの問題の取扱いについて御発言がございましたが、そのように取計つてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 安部キミ子

    安部キミ子君 今竹下先生の発言で一応いいと思いますけれども、ただこれをこのままにして大臣の意思のきまるまで待つということはどういう意味なんですか。
  92. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私はそれで申上げた。できるだけ早い機会において委員長から聞いてもらうということになれば、そう大臣はいつまでもいつまでも放つたらかしておくような態度をおとりにならないと、こういうふうに思いまして発言したわけであります。そういう意味であります。
  93. 安部キミ子

    安部キミ子君 私はいろいろお話を聞いてみまして、大臣のものの考え方根本に問題があると思います。表から見てものを判断なさるのと、裏から見てなさるのと、まるで反対の立場に立つておられると思う。そこで百八十度の転換をなさるということはこれは相当に間がかかるだろうと思います。併しそういうことは大臣一個人の問題でありまして、我々委員会ではそういう大臣の個人のものの考え方がきまるまでは待つてはおられないのです。十年度予算折衝もあろうし、又農林、厚生との折衝もありますから、ここでこの予算が固まるまでに大臣考え方を早く国民の意思に副うようにしてもらわなければならないので、この点を早急に大臣にも現実の問題として考慮頂きたいと思う。それでいつ頃までその話が御返事が頂けるか。ことの次第では文部委員会をもう一度早く開かなければならないということになるだろうと思いますが、如何でございましようか。
  94. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私は大臣のさつきのお言葉の中に、委員会の意見を尊重しておるという言葉もあつたと思つておりますので、そういい加減に長期にかまえられるようなことはないだろうと思う。私はそのくらいのことは大臣を信用したいと思います。信用したほうが却つて結果がいいと思います。
  95. 安部キミ子

    安部キミ子君 竹下先生の発言は我我委員会の総点だと思います。本当にそうした大臣のお考えがつくことを待つておりますし、期待をかけておりますので、私は善意に解釈いたしまして、私は了承いたします。
  96. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこの問題はこの辺で打切ります。   —————————————
  97. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に北九州炭坑地帯の欠食児童に関する件を議題といたします。厚生省から厚生大臣が今日はどうしてもいろんな関係で出られませんので、社会局長安田君が見えておりますので、どうぞ御質疑願います。
  98. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は大達文部大臣に御説明願う私は義務があると思う。前の委員会でこの問題に重要なる問題だから一遍閣議でも相談してみよう、こういうお話があつたのです。当然私は御返事があると思う。先ず大達文部大臣からお答え願います。
  99. 大達茂雄

    国務大臣大達茂雄君) この問題につきましては、確か今。荒木さんの言われたような経過になつておると思います。これはその当時も申上げたのでありますが、今まで文部省の何と言いますか、行き方から言いますと、この問題について特別な措置を講ずるということは、実はなかなか困難なのであります。でありますから、相当長期に亘つておりますので、北九州その他の炭鉱地帯の特殊な事態に鑑みて、特別な救済の措置をとるということになれば、これは別諭でありますが、従来の政府のこういう場合に処する処置としては、これに対する適当な救済の策というものが実はなかなか困難な次第でございます。これはその当時も申上げたと思います。ただ現実の事態からいうと、炭鉱地における欠食児童、或いは長期欠席の児童が非常に多い。これはその地帯における各家庭が一挙に窮乏に陥つたということの実情でありますので、現実においてそういう問題がありますから、仮にこれがほかの省の仕事であるといたしましても、文部省としてはやはり重大な関心を持つ。実はこの問題については非常に私どもは率直に言つて非常に切ない気持を持つておるわけであります。でありますから、この前申しましたように、厚生大臣にも閣議のときに御相談を申上げて何とかお力を借りて、多少でも問題を何とかなるようにということを申上げたのであります。その後、その後と言いますか、その直後でありますが、厚生大臣にもそれについて、まあ無論厚生省においてもこの問題は一般の問題、一般生活保護の問題として、殊にこのやはり学校児童の欠食長期欠席という問題については非常に関心を持つておられておつたのでありますが、申上げておる。その後これは近頃のことでありますが、厚生省からその炭鉱地帯に対して、通牒をお出しになつておられます。教育扶助について、特に現地の実情に副うて法を運用するようにというような特別な通知をされたように承わつております。これは厚生省の局長がお見えになつておりますから、これは詳細御説明があろうかと思います。それで極く最近の閣議におきましても、やはりこの炭鉱地帯の窮乏の状態について、何とか打開の策を講ずるための手がいろいろ論議されてる。これは極く最近の閣議であります。新聞にも一部出ておつたかと思います。その際にも私から長期欠席児童については何とかしなければ、到底このまま放置しておくべき事態でないということは、これは全体の閣僚のおいでになる席で申上げておいたのであります。まあ私の考えといたしましては、できるならばこれは後々の例になつては非常に困るかと思いますが、そういう自然災害ではないのでありますが、こういう特殊な事態については、臨時の措置として何かの方法がとられないものかというようなことも、これは別に案を具したわけではありませんが、そういうことでまあ関係の閣僚の注意を促しておつたのであります。それから文部省といたしましても、現地の実情というものをもう少し詳細にお伺いして、できるならば適当な案ができればという考えを持つておるわけであります。今調査課長が、これはいつから行きましたか、出かけて行つて、現地で調査をしておるはずであります。でなお次官会議等においてもこの問題を取上げてもらつて、何とかできることならば対策を講ずることにいたしたいと、こういう気持だけは持つておるのでありますが、残念ながらなかなかこれは実はむずかしい、事務的には極めて難点の多いむずかしい問題であります。本来の筋からいうと生活、要するに窮乏家庭の救済ということになりますから、これは生活保護法というものによつて、これに対処するのが何と言つても建前であります。併し賃金が遅払いになつてつても、その意味では、これは収入皆無というわけには行かない、やはり賃金を受取る権利があるというふうないろいろな事務的な問題もあつて生活保護者として決定することも、実際に事務的には、いろいろの問題が引つかかつてつて、それが実際の救済の上にやはり手遅れになるというようないろいろな困難な問題があるやに聞いております。なおこれについては、それぞれ厚生省等にもお願いをしまして、できるだけ方法を考えて参りたい、こういうように考えておるわけであります。ただ残念なことには給食とか、学校の児童だけに対しての特別な措置というものが今日まで講ぜられておりません。これは非常に私遺憾に思います。遺憾に思うので、非常に実は現地からしばしば陳情を受けまして、これは私たちとしては全く切ない気持であります。何とか関係各省に相談、協力頂きまして、この問題を何とかして参りたい、こういうのが現在の状態であります。それだけを御報告申上げておきます。
  100. 高田なほ子

    高田なほ子君 文部大臣からの北九州炭鉱地帯の欠食児童を中心としての御答弁がありましたので、具体的に切ない気持を持つていられる大臣の切なさが、現実的には何も手が伸びられない、これはもう救われないとこういう結論だと思います。誠に冷酷な解釈の仕方をしなければならないが、現実にはその通りだと思うので、まあ厚生省のほうでもただ問題に対しては、通牒をお出しになつたやに承わつておりますが、その通牒というのはどういう通牒で、どういう内容を持つたものか、私どもは何らこの通牒の内容も何も存じないわけでありますから、詳しく御説明を頂きたいと思うわけであります。
  101. 安田巌

    説明員(安田巌君) 炭鉱の不況によりまして、給料の遅払い、或いは不払い等が続出いたしまして、その結果、生活困窮に陥つたその子女の義務教育について、いろいろ困難を来しておるものが少くないという、特に不就学児輩とか欠食児輩が増加しておる。文部省からたびたびお話がございまして、九月の十四日に社会局長名で都道府県知事に通牒を出したわけであります。それをちよつと読んでみますと、   生活保護法による教育扶助の適用について。   最近の炭鉱界の不況により中小炭鉱においては、給料の遅払い、不払い等が続出し、そのため生活困窮に陥り、子女の義務教育に困難を来たしているものが少くなく特に不就学児童、欠食児童等が漸次増加しているように見受けられるが、これらのものに対する保護の実施については、昭和二十四年二月二十五日社発第三百二十四号「生活保護法の適用に関する件」及び昭和二十五年六月二十九日社乙発第百十三号「生活保護法による教育扶助の適用について等の関係通知の示すところにより関係機関とも十分連絡を密にし、その取扱いに万遺憾のないよう格段の配意を煩わしたく念のため通知する。  ということを出したわけであります。
  102. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、その通牒というのは、生活保護法の適用について万遺漏のない取扱い方のまあ訓令ですか、注意を喚起したという制度にとどまつているように思われます。厚生省としては欠食児童並びにこの長期欠席児童、欠食児童というものに対して教育扶助の適用を指示しておるようでありますが、現在組まれている教育扶助を徹底して運営させることによつて、今日の北九州炭鉱地帯における窮状を打開することができるという見通しの下にこういう注意を出されたのでしようか、如何でしようか。
  103. 安田巌

    説明員(安田巌君) 御承知のように、生活保護法というのは国民の生活の最後の支えになつておるわけでございまして、その中に生活扶助でありますとか、或いは医療扶助でありますとか、教育扶助でありますとか、或いは生業扶助でありますとか、いろいろ扶助の種類があるわけでございます。そこでこの生活扶助を受けて同時に教育扶助を受ける者もございましようし、或いは又生活扶助はいいけれども教育扶助だけという人もあるわけでございます。それには国民の最低生活というものがどうという一応の基準がございまして、その基準と当該の世帯におけるところの収入というものが幾らあるかということを仔細に調査をいたすわけでございます。生活保護の建前といたしましては、どういう原因でそこに落ちて参りましても、国民に平等に法の適用をしなければならん建前でございます。これが炭鉱の休止によりまして起つたとか、或いは漁船拿捕のために起つたとか、冷害であるとか、地震であるとか、水害であるとかということのために取扱いを変えない、こういう原則があるわけでございます。そうしてその人の資産なり、能力なり、或いは国その他の救助というものをやつてみて、どうしてもいけない最後のものを生活保護法でやるということが現在の建前であります。現在の予算でそういうふうな通牒を出しましてやるならば、生活保護法の運用といたしましては、適正な運用ができるというふうに考えております。
  104. 高田なほ子

    高田なほ子君 今日の生活保護法の予算面には概略十五億くらいの、それ以上の赤字があるように聞いておりますが、二十八年度から九年度に移行するときの赤字は何億になつておりますか。
  105. 安田巌

    説明員(安田巌君) 二十八年度から二十九年度には赤字が大体二十五億ということでございまして、この二十五億は予算に赤字分として別に計上してあるわけでございます。ただこの赤字が出ますのは、教育扶助とか或いは生活扶助という点からでなくて、現在のところではやはり医療費が非常に増嵩しておる、医療扶助が主たる原因でございます。そこで教育扶助が主たる原因でございます。そこで教育扶助が十五億組んでございますが、これは先ほどもちよつと申しましたけれども、いろいろ扶助の種類がございまして、これは一応の予算の見つもりでございますから、各扶助の内訳を彼比流用することは自由でございます。従いまして、教育扶助が十五億計上してあるが、これでは足りないということがありましたならば、ほかを勿論使つてもいいのでございますし、第一年度の半ばにおきまして、別に予算にしるしがついているわけじやないのでありまして、ただ従来の経験によりまするというと、この程度の教育扶助費で私は十分間に合うんじやないか、こういうふうに考えております。
  106. 高田なほ子

    高田なほ子君 北九州の炭鉱地帯の児童の長期欠席或いは栄養不良等の問題について、厚生省としては実際に調査班を派遣して、現在組まれている予算内で何とか教育扶助或いは生活保護法で欠食児童を欠食にさせないだけの確信を持つておられるわけですか。
  107. 安田巌

    説明員(安田巌君) 教育扶助の額は全体の生活保護費の中で考えますと、非常に僅かなものでございますので、これが足りないとか、足りるとかいう問題はそう心配はしておりません。そうしてこの北九州もそうでありますけれども、保護の実施機関はこれは府県知事なんでございます。そして府県知事が多くの場合にはその末端に福祉事務所というものを持つておりますが、その長に実は委任いたしております。従つてどもがここで考える以上にいろいろ事件があり、問題がありますならば、その福祉事務所、そこにおります福祉事務所長はぴんと来るわけでありますが、そういうことから私はそうぼやぼやしているということはないだろうというふうな気持を持つておるわけであります。
  108. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変あなたは楽観をしていらつしやるようですが、これは北松、佐世保地区の実情ですが、学童が一万七千四百六名のうち、欠食している児童が千四百五十八名、間接的に影響を受けて欠食をしているものが千三十五名、計二千四百九十三名の児童が欠食をしているというデータが出ております。これは勿論生活保護法に該当している者もあるでしようし、していない者もあるだろうと思います。実情厚生省の事務当局がお考えになつているよりももつともつとひどいのではないかと私は思います。大変に楽観をしておられるようですが、これは草葉厚生大臣もあなたと同じように、事務官のかたがそういうお考えだから厚生大臣もかなり北九州の問題は大体解決するといつたようなお考えを、あなたに聞いても無理だと思いますが、持つておられて、あなたのほうは手をつかねていらつしやるわけですか。
  109. 安田巌

    説明員(安田巌君) そういうことは実は聞いておりません。
  110. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、北九州の炭鉱地帯の窮状という問題についてはお聞きになつていらつしやらないわけですか。
  111. 安田巌

    説明員(安田巌君) 厚生大臣がどういうような気持を持つておるかということまで、今御質問のありましたようなことを実は聞いていないということでございます。
  112. 高田なほ子

    高田なほ子君 北九州の炭鉱地帯における特別措置として今大臣が、こうして欲しい、ああして欲しいといういろいろな具体的なことを大達文相は述べられておるわけです。併し実際問題としてこれはやはり厚生省としてしなければならない分野がかなり多く含まれておると思うので、事務当局としては北九州炭鉱地帯におけるこれらの適切な措置について、それではどういうふうに具体的に考えておられるか、只今説明なつた以上に出ないのですか、どうですか。
  113. 安田巌

    説明員(安田巌君) お言葉を返すようでありますけれども生活保護法の適用を円滑にやるということ以外には、私どものほうからつまり生活保護法を基礎にした行政としてはそれ以外にはできないのでございます。従いまして一つ々々の世帯につきましてミーンズ・テストをやりまして、そうして、そこの家で幾らの生計費がかかるということを比較しまして、幾ら足りないという数字を出す以外には現在のところ方法がございません。従つてそういうふうに保護を受ける原因が炭鉱の不況であるということでありますならば、やはりそういうような計算をいたしまして、そうして一つ一つの世帯についてやるということなんでありまして、炭鉱が不況であるから遅配が起つた、そこで給食費の全部を生活保護法で出すとか、或いはこの際厚生省は便宜を図つてその辺をうまくやつたらどうかというようなことは、今のところはできないわけであります。
  114. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変事務的なお答えです。問題はですね。この北松、佐世保地区ではすでにこういつたような欠食児童が出ておるので、民間団体としても見るに忍びない。私は、日本赤十字社の長崎支部が中心になつてこれらの子供に救済の手を伸べておる、民間団体が……。そういう活動が民間団体として行われておるのに、厚生当局としてはそれ以上施す術がないからと、こういうのではどうも余りに頼りないと思う。併し大臣は今日御出席にならないので、これ以上のことを申上げても無駄だと思いますけれども、伺いますが、失業保険も八月にはもう打ち切りになつてしまう。これらに対して具体的に救済する手はありませんか。
  115. 安田巌

    説明員(安田巌君) 今までの例といたしましては、炭鉱を中心といたしまして失業保険をやつておるとか、或いは金券が出ておるというようなことはありますけれども、そういうようなものがありました場合には、先ほど申しました生活保護の適用の原則から行きますと、そういうものを収入と見てやはり差引くわけがございます。従いまして、今後失業保険が切れて来る。そのために収入が又減る、或いはそのほか貯蓄があれば先ずその貯蓄を使えというのが生活保護法の建前でございますけれども、そうして一つ一つの世帯につきまして、これは収入、これは或いはその人の資産、生活費と、こちらで計算をいたしました、これはもう男女性別、年令によりまして違うのでございますけれども、それに足りないという場合に一つ一つ出していく予算はございます。予算はございますけれども、その適用というのは今のような原則でやりますために、ただここで今後そういうものは全部生活保護で見るとか見ないとかいうことは申上げられん立場にあるということを御了承願いたいのであります。
  116. 高田なほ子

    高田なほ子君 あなたのお立場としてはそれ以上のことはおつしやれないと思いますので、私はこの問題については改めて草葉厚生大臣の御出席を求めて、もう少ししつかりとした御答弁をお聞きしなければならない段階になりましたから、これで質問をやめます。
  117. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教育扶助の問題で、これは欠食児童の多い北九州の炭鉱地帯ですね、この欠食児童を救済するという方途にこの教育扶助の費用を使うということはできませんか。
  118. 安田巌

    説明員(安田巌君) 先ほどから何度も申上げますように、一つ一つの世帯について調べまして、その世帯の収入が幾らある、或いは利用し得るところの資産が幾らあるということを調べまして、そうしてそこの家の生計費というものが幾らかかるということを計算して出すわけでございます。そうしてそれよりも若し収入のほうが足りなければその差額を出していく。従いましてその場合の教育費というものも結局基準がございますから、それがマイナスになつて、つまり足りないものであればそれを出す、こういう建前でございます。従つて原因が、まあ炭鉱の問題もそうでございましようし、或いは冷害もございましようし、或いは又中共や韓国に漁船が拿捕されたというようなこともございましよう。いろいろあると思いますが、やはり同じような取扱いをしていくというのが生活保護法の建前でございます。若しそれを一つ政策として何かやらなければならんということでございますならば、これは或いは中小企業に対する対策であるとか、或いは教育の対策であるとか、或いは漁業の対策であるとかいうほうでやらなければ、私のほうでそれをカバーすることはできない建前になつております。
  119. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは毎日調査するわけですか。それから給料の支払い等はどうなるか、そういう点一つ……。
  120. 安田巌

    説明員(安田巌君) やはりそういう点を一々詳細に調べまして、そうして実際にその利用し得るその人の資力なり収入がどれだけあるかということを調べて見て、毎月支給することになります。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に、大達文相もおられますから、ちよつとここで質しておきたいことがあるのです。御承知のように教科書無償法律がありましたのが、これが全部打切られてしまつたわけですが、この場合にその費用は何ですか、生活保護費のほうに廻るというようなことを私聞いておつたのです。教科書無償配付が打切られても、その費用は生活保護費のほうに廻るのだというように文部省予算委員会説明しているのを見ているのですが、その費用は廻つておるのですか。
  122. 安田巌

    説明員(安田巌君) 数学と国語だつたと思いますけれども、これが無償が打切りになりました場合には、一年生の教科書代は幾らというようにプラスしてございます。従いまして、どなたもそれが生活保護でもらえるというのじやなくて、生活保護教育扶助を受ける資格のあるかたにはそれだけのものがプラスになる、それだけの予算を見込んでございます。
  123. 高田なほ子

    高田なほ子君 予算を見込んだために生活保護法で五人家族では予算上どれだけ価格を上げたんですか、平均して……。
  124. 安田巌

    説明員(安田巌君) 五人家族の生活費は、まあ東京都におきましては大体八千二百三十円でございますけれども、そのほかに教育扶助があるわけでございまして、大体教育扶助の一割だけを見込んだのでございます。これは実際の価格を算定いたしまして、そうして一年生のそれを受けるものが幾らあるというウエイトを掛けていきまして、そうして予算の平均単価を出して、それに人数を掛けていく、こういう予算の組み方でございます。
  125. 高田なほ子

    高田なほ子君 前に大体五人家族平均八千円のが、二百三十円この生活保護費が上つているわけですね。上つておるわけでしよう。その中に学費の教科書無償費が含まれているというように私は聞いておるのですがね。
  126. 安田巌

    説明員(安田巌君) これは全然別でございまして、二百三十円上りましたのは、これはたしか米価改定のために上りましたのです。従いまして教科書のほうは別に教育扶助のほうとして組んでございます。
  127. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、この二百三十円というのは米価改定或いは医療単価の値上り、こういうことのためにこれは増額した……。
  128. 安田巌

    説明員(安田巌君) さようでございます。
  129. 高田なほ子

    高田なほ子君 その教科書のほうは教育扶助の中にぶち込まれているのだ、こういう御答弁ですね。それではそのぶち込まれた分だけは大体予算でどのくらい拡がつているのですか。
  130. 安田巌

    説明員(安田巌君) 一億五千万円でございます。
  131. 高田なほ子

    高田なほ子君 一億五千万円……。そうすると一人当りの教科書の打ち切られたことによつて父兄の負担する費用の額は大体百五十円負担増になると言われておりますが、この負担増というのはどこに費用が廻つてしまつたのですか。
  132. 安田巌

    説明員(安田巌君) ちよつと御質問意味がわかりませんが、一億五千万円を殖やしましたというのは、生活保護教育扶助を受けるであろうという人数を昨年の実績から推定をいたしておりますから、一年生の児童数全部ではございません。そこがちよつと誤解があるのじやないかと思いますが…。
  133. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。そうすると、文部省が言うように、教科書無償教育扶助のほうに廻したと言うけれども、実際においてはこれはそうではなくて、若干のものを教育扶助のほうに殖やして、あとはやはり実質的に打ち切つたと、こういうことになるわけですね。私の疑問はこれで解けました。これは教育費の総体の枠がやはり狭められたことになるわけだ。
  134. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会