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1954-03-25 第19回国会 参議院 文部委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十五日(木曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            雨森 常夫君            木村 守江君            田中 啓一君            中川 幸平君            横川 信夫君            吉田 萬次君            杉山 昌作君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            永井純一郎君            長谷部ひろ君            須藤 五郎君   政府委員    文部大臣官房会    計課長     内藤譽三郎君    文部省大学学術    局長      稲田 清助君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国立学校設置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○教育、文化及び学術に関する調査の  件(東京都世田谷区の学校建築問題  に関する件)   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。  国立学校設置法の一部を改正する法律案について只今総括質問をやつておりまするので、御質疑のあるかたは御発言願います。
  3. 永井純一郎

    永井純一郎君 それ前に、ちよつと私がこの前委員長に要求を申上げましたテープ・レコードや何かのことですね、あれはその後どうなつているかちよつとお話し願いたい。
  4. 川村松助

    委員長川村松助君) あれは高田先生のほうから向うのほうの様子を自分のほうでも調査してみたいということで……。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 速記はいらないでしよう。
  6. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記ちよつと待つて下さい。    〔速記中止
  7. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記再開して下さい。
  8. 高田なほ子

    高田なほ子君 この前荒木委員から詳細の質問がありましたが、その質問のうちで若干私も疑問に思う点をお伺いしておきたいと思うのです。三年計画で二千二百六十六名の定員が減少されるように資料を添えて出しておられるわけでありますが、この資料内容を見ますと、教授とか助教授とか、それから或いはその他の職員というように率を細かくきめてあるようです。現業職員その他の職員というのが非常に率が多く減らされるようになつておるわけですが、これは昭和二十九年度四〇%分の内容でございましようか、どうでございましようか。
  9. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) お言葉通りでございまして、二十九年四〇%の内訳といたしまして、ゼロ、二%、四%、八%ございまするし、引続きまする年次の三十年、三十一年度の三〇%のうちが又同様な内訳になつております。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 この数字はどういうところから割出された数字になつておりましようか。
  11. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) その点は政府部内で行政整理方針立てまする場合に、まあ大よそ全体の数を七万人或いは六万人というようなふうに押えまして、それを各機関別定員パーセンテージをかけました。それがまあ大体その最高率パーセンテージになつていたかと考えるのであります。大体その一割或いは乃至二割というような程度が押えられて参つたと思つております。ただ学校定員におきましては、機関が細別しておりますような点、或いは国立大学が今日形成途上にあるというふうな点を特に考慮せられまして、まあ総数のこの前申上げましたように三・六七二%というふうに押えられて、而も又現在の職員構成状況を見まして、それぞれ〇、二、四、八%というふうに方針が決定せられたような次第でございます。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 国全体としてやはりこの定員の問題は考えられている問題であろうと思いますが、現在の職員構成から見まして、文部省側としては、これが妥当な線であるというふうにお認めになつておられるのか、或いは文部省側としてはかなり不合理な面もあるから将来この数字には考慮をしなければならない、こういうようなお考えを持つておられるのか、その辺の消息がこの法律には私は非常にやはり大きな影響を持つ鍵のように思われるのです。それでざつくばらんにこの数字について御意見を伺いたいと思う。
  13. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 国立大学定員につきましては、かねがね御心配頂いておりまするように、まあ決して現在十分ではないのでございます。大学形成途上にあるわけでございますので、年々いろいろな部面においてまあ増員をお願いいたしております。その点は明年度予算におきましても別に五百名程度増員予算計上せられておるわけでございますが、今回行政整理、まあ政府全体の財政の問題或いは行政整理というまあ大方針を洩れなく各機関に適用するという方針が立ちましたことから出発いたしまして、まあ国立学校につきましては、今日及び今後の運営支障のない程度において結論を得て頂きたいという点で、行政管理庁と折衝いたした次第でございます。その結果まあこういう程度に至りました次第で、とにかく全体の財政行政という面からの整理は、私どもといたしましても、国立学校について容認せざるを得ないと考えた次第でございます。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 五百名の増員考えながら、一方ではこういうふうな数字を出して削減されるということになりますと、どうも私納得に苦しむわけなんです。五百名の増員というものは、そうすると教授陣とか或いは教授外教官というところに増員をされるのか、この五百名の割振りというものはどういう形にこの中に増員されて行くのですか、その点をお伺いしたいと思います。
  15. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 五百六十九人の増員でございますが、余り細かく申上げると時間がかかりますので、一応大別してお答え申上げたいと存じております。  第一は大学院学年進行に伴います部分でございます。これが大よそ七十八人、第二が大学学部学科学年進行に伴いますもの、これが二百六十九人、次が短期大学学年進行に伴いますもの六十三人、附属学校学年進行に伴いますもの六十七人、それから愛媛県立松山農科大学を合併いたします分が五十六人、学部学科充実いたしまする分が十六人、研究所等に関しまするものが二十人、総計五百六十九人の増となつております。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 本年度分の五百名の増員は、大体大学院進行或いは学部学科進行伴なつて殖やして行くようでありますが、来年度再来年度においてはやはり五百名程度増員考えながら、一方においては三〇%の削減というふうなお考えをお立てになつておるのか。来年度分増員とそれから削減関係を示してもらいたいと思います。
  17. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今申上げました五百六十九人が明年度増員でございまして、明年度減員が五百三人でございますから、差引いたしまして減員が三百三十四人ということになつております。
  18. 高田なほ子

    高田なほ子君 三十年度三十一年度はそうするとこれはどういうふうになりますか。
  19. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 三十年度三十一年度の増員につきましては、これはまだ予算が何とも私ども見当つかないのでございます。ただ学年進行等につきましては、これは当然予算でお認め頂けることだと考えております。従来の年々の増員等の趨勢から見ますと、やはり今ままで、ここ三、四年間年々五百名程度増員して参つておりますから、その程度は三十年三十一年においても増員するであろうと思うのでございますが、それ以外各種の新規事業等もございまして、恐らく相当それに増員が加わることだろうとは想像いたします。
  20. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでお伺いしたいことは、毎年国立学校行政整理の問題が随分私ども委員会では問題になつて参りましたが、そのたびに文部省としては整理される対象の人員を失業をさせることなく、他の職場に転入させるというようなことについて斡旋の労をとつて来られたと思います。又その実績は私どもも認めておるわけでございます。そこで早速に二十九年度の整理された人員並びに現業職員が四%その他の職員が八%、こういうようなかたがたの行先というものは、すでにもう文部省内でもくろみをお立てになつておるのじやないかと思いますが、その点どういうふうになつておりましようか。
  21. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 現在国立学校教官欠員が大体千七百人乃至千八百人の間存在しておると思つております。このパーセンテージを以て各大学に割振つて考えまする場合に、欠員等との睨み合いにおきましては恐らく教官においては超過することなくしてすむのじやないか。事務職員においては学校にもよりますけれども、多少超過する部面もあるように考えておりまするけれども、まだ各大学における年々これは自然退職等がございますけれども明年度の新陳代謝の状況を的確につかんでおりません。何人くらいの各学校別超過人員になるかということの実際はちよつとつかみにくいのでございますけれども、まあ大よそ全体の欠員、全体の減員分、これは数的には非常に欠員のほうが多いわけでございます。
  22. 高田なほ子

    高田なほ子君 今伺いますと、全体の欠員が非常に多いからそんなに心配はないだろう、こういうようなお答えであつたと思います。それはそれといたしますが、国立新制大学には別にきまつた講座というものがないように承わつておりますので、非常に国立新制大学内容というものは適当に運営されておらないように聞いておるわけです。そこで全体の欠員が多い。その欠員とそれから今度の増員というものとを見合わせた場合に、そう支障なく行くんじやないかというような御答弁でありましたが、新制大学内容はこういう整理の仕方、増員の仕方で以て果して満足に行くかどうかということが私は問題に残つて来るのじやないかと思います。新制大学の問題についてこの際どうぞ十分に私どもにわかるようにお聞かせを願いたいと思います。
  23. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) まあ只今お話非常に広汎な点でございまして、どの部面からお答え申上げてよろしいかよくわからないのでありますけれども新制大学現状がこれは決して私ども満足すべき状況ではないと考えております。これはまあすべてのものがそうであろうと思いますけれども、特に学術或いは教育というような日進月歩のものを考えまする場合に非常に理想が高うございますので、それから比べれば不満も大きいのでございます。殊に新制大学の機構になりましてからまだ年次が余り経過しておりません。まあ年々御配慮によりまして充実しかかつておりまして、三、四年前百四十億が殆んど倍額の三百三億に明年度は計上せられておるように年々は充実して参つておりますけれども、まだ充実過程にありますことは只今指摘通りでございます。  それから定員等につきましては、私ども定員と同時にその内容実質充実という点に各大学が御努力になつている点を認めるわけでありまして、相当新制大学としてふさわしい型に教授内容がだんだん充実して参りつつあるような次第だと考えております。なおこの定員につきましては、要するに第一段は教授転換と申しまするか、旧制専門学校高等学校等先生のかたをそのまま只今大学教員に引受けた部面が非常に多いのであります。これはまあ当然そうしなければならん次第でやつて来ておりますが、新らしい新制大学教育課程に応じまして新らしい教員組織を組合せました場合には、そう大した定員増員なしに教員組織充実が来たされるということは御想像頂けることだと思つております。それがまあ第一の問題であります。第二に、それでもなお足りない部面定員につきましては、定員の増加を考慮する、こういう順序考えておるような次第であります。我々といたしましても、又各大学といたしましても新制大学教育目標に則りまして教育課程立て教育課程から如何なる講座或いは教室組織が必要だということをまあ鋭意大学と共に我々研究中でございます。それによりまして理想的の定員の型を成るべく早く作りたいと考えております。ただ大学人事の問題でございますので、そう教授転換ということが速かに行われない、転換の行われない間に徒らにただ定員を殖やすということも現在の行財政状況から見て無理であろうと考えておりますので、この両面は見合いながら大学充実に努めたいと考えております。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 新制大学が非常に冷遇されて不完全であるということは今やもう一般の定評になつておるようです。この新制大学が出発するときにこの定員をただ単に机上プランで百名人間を増して出発したということがそもそも間違いの元になつておるのじやないかと思うが、その後新制大学は別に講座制度というものもなく、現在の人員を適当にやり繰りしながら今日まで進んで来たところにやはり不評判の原因があるのじやないかと思う。そこでこういうような新制大学の状態をそのままにしておいて今回この国立学校設置法法律このまま通つて行つた場合に、中央の大きな力のある大学、その大学に又重点的に定員が殖やされたり、そして地方新制大学は目にも入れてもらえないというようなことで放置されることになつてしまつたならば、これはもう私は日本の学問の悲劇ではないかと思いますが、そういつた杞憂が起るようなことはすでにこの参考書類を頂いて成るほどと思つたのですが、これをちよつと申上げますと、これは第六国会の際に国立学校設置法案国会通りますときに、この問題がやはり非常に問題になつておるし、なかんづく堀越委員からは将来予算的措置を十分考慮してもらいたいとか、省令を濫用してはならないとか、政令省令が余りに多過ぎる。そのために大学本来の使命を果し得ないようなことになつてはならないとかというようなことが、第六国会のときにもすでにやかましく論議され、河野委員岩間委員も同様にこの政令省令によつて簡単に物卒がきまつてしまうようなことがあつては禍根を残すのではないか、というようなことが、かなり指摘されておるような記録が残つておるわけであります。そこで荒木委員も大変この辺を詳しく御質問なつたわけですけれども大学以外の国立大学定員政令できめて行く、又そういうようなことによつて私が今指摘したような不均衡が起るということを非常に心配をして質問を続けて来たわけでございますが、文部省側としてそういう心配はもう一切杞憂であるというような確信を以て御答弁できるでしようか、お伺いしたいと思う。
  25. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今の御心配の点は先般も承わつたのでありますけれども、その予算が組まれ又予算に即応いたしまして法律或いは政令整理せられるという順序、段階をお考え頂きますれば、そうした点の御心配は恐らくなくなるのではないかというふうに考えるのでございます。と申しますのは、国家の各機関がそうでありますように、国立学校予算については講座組織或いは教室組織学部学科制度というようなものが予算に組まれますときには、すでにその予算内容についてそれぞれの大学定員が何名殖えたか、何名減じたかということは予算をきめるときに決定いたすわけであつて、それは同時に各大学の当事者が御存じのわけであります。それを法律に或いは政令に移すだけでありまして、若し法令に移しまする場合、予算にない定員を或る大学に付けたといたしましても、それはいわゆる空定員になつて使うわけには行きませんし、又予算にあります定員を減らして法令で定めるといたしましても、それはその大学に徒らに使わない定員が残るだけで、ほかに持つて行つても使うわけには行かないということは予算の性質上、御了解頂けると思います。要するに予算を組みますときに各大学が事情を知つてつて、それが後に法律となつて現われるわけであります。それらの点につきましては従来とも教授が何名、助教授が何名ということで、大学としては非常に大切なのは総定員内訳であろうと思いまするが、それらは省令で分けておつたのであります。にもかかわらずその間少しも問題のないのは、予算とそれを合せざるを得ないということが自然の理由だと考えておるわけであります。又国会では予算で詳細御審議を願いますし、行政機関職員定員法の改正をいたします場合に職種別の増減の内容というものはすべて御審議を頂いておるようなわけでございます。その間私どもが勝手にいたすというようなことは仮にやろうといたしましても、その方法を見出すのに苦しむわけでございます。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは私不思議に感ずるのです。予算がきまつてから予算伴つてその人員が各大学のほうに割振られて行くというのはどうも私は逆じやないかと思う。これは昨日も或る大学の人が来て言つておられたのですが、文部省のほうからかどこか知りませんが、とにかく上のほうから今年は何名、何名というふうに人員をちやんと言つて来るというわけです。だから大学の実際の運営と、向うから言つて来られるということが齟齬されてしまうような結果になるのじやないか、だから本来から言えば、やはりもともといわゆる国立学校設置法を作られた元は、この法律に基いて大学運営教育の面が確立するためにこの法律が出て、この法律に基いて予算が組まれる、こういうのが私は普通の姿じやないかと思う。それをやはり何と申しますか、予算配分の手続上から、今日まで省令というものでやつて来られたように伺つておりますが、やはりそれは逆じやないかと思いますが、どうなんですか。
  27. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 従来この定員法と申しますか、昔の官制官制が先なのか予算が先なのか、という点の問題にもあるわけでありますが、今日はいずれも国会で御審議願うわけになつておりますけれども、先ほど私の申しましたのは、実際の事務処理の時間的の順序を申上げたわけでありまして、全然その予算内容もないのに各学校定員人員というものを私ども作るわけには行きません。どうしても法律案として提出いたします場合、或いは政令案として立案いたします場合は、その資料予算に見合わなければ実行不可能な法令ができるわけであります。時日の問題といたしましても予算が一月頃閣議決定に相成る、それを基本といたしまして予算に即応いたします定員関係法律政府整理をする、こういう二つの順序になつて参りますことを先ほど御説明申上げました。丁度予算におきましても、例えば先般問題になりましたように、国立文教施設費のようなものは、いわゆる掴み予算で総額が決定されまして、実施に当りまして各学校状況を見てこれはいわゆる配分いたします。ただこういう職員構成の点は、特別会計の昔からいわゆる積上げ予算でありまして、大学自身が要求いたしますものを文部省が中心で大学と一緒に大蔵省に説明をし、第一次第二次の査定を受けて、窮極どこで了承しようかということは大学相談をいたしまして最後の手を打つわけであります。それをまとめまして閣議決定をする。閣議決定をいたします場合には、恐らく大学では協議会なり教授会にはお話があろうと思います。只今指摘の事実はよくわかりませんけれども大学において教授を何人今度殖やす、それは内容がございますから、それは何学部、何学科増員であるということはおのずから明らかであると思いますが、多少事務職員あたりでありますれば大学自身人事でありますから、教授会あたりでどの教室に付けるかというようなことは私どもがいろいろ申上げることではないと思います。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 それは実際と予算と見合わなければならないということは我々も承知しておるわけなんです。そのために旧制大学では講座制というものが法律はつきりきまつて、それによつて予算が組まれて来たと思うのです。ところが新制大学の場合には、この講座制というものが旧大学のように厳密には行われないで、非常に不完全な講座と言えば講座でしようが、その形のままでやられておるところにこの新制大学が非常に不評判であり、地方大学というものが問題にされない、そのために中央にこの学生が殺到して入学地獄というものがますます最近は盛んになつておる。このために青年が自殺して来る問題が非常に新聞に多く出ておるのです。こういうふうに大きな社会問題になつておるときに、ただ単にこの国立学歴定員政令できめて予算配分に便ならしめるというのではなくて、やはり明確に新制大学講座なら講座が、定員なら定員というものをはつきりと法律できめて、中央地方大学に不均等な姿を来さないということが私は根本問題だと思うのです。私はこれは決して横車ではなくして、当然予算と見合わなければならない問題であるが、余り中央試験地獄がひど過ぎて、余りにもこういう問題に対して愛情がなさ過ぎる、こういうときに、ただ単に定員をこの一片の政令で決めて、定員整理机上プランのごとくに数字を以て割当てて行くというようなやり方は甚しく不当であつて、飽くまでもやはりこういつた青年の将来を守り抜くためには、国法によつて私はやつて行かなければならない大きな人道問題ではないかということを考えているのです。私の意見にあなたはどういうふうな御見解をお持ちでしよう。
  29. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 講座或いは教室制度から出発して只今お話を伺つたわけでありますが、講座及び教室制度考えまする場合は、教授が何人、助教授が何人、助手が何人、講師が何人という問題だつたと思つております。その点につきましては、国立学校設置法制定以来、これは省令区分けをいたしております。省令区分けをいたしまして、問題になつたの予算に即応する問題でございます。恐らくお話予算立てるときに十分検討すべしということに帰着するだろうと思つております。その点は誠に御尤もでございます。私どもといたしましても、新制大学の新らしいカリキュラムに即応いたしまして、教室制度、或いは講座といつてもいいですが、どう構成せらるべきかということは、講座研究会というものを組織いたしまして、各学科学部別に先年以来教授かたがた研究中でございます。いろいろそれについて研究の結果あるのでございますけれども、これは少し申しにくいことでありますけれども、今各大学現状から見ますると、旧制専門学校高等学校先生をそのまま大学に移したかたが非常に多いのでございます。従つて例えばカリキュラムにおいて必要とする哲学教員が一人のところ、哲学教員が四人も定員を食つておられる。こういう状況人事の問題上から当分やむを得ない問題です。従つてすつきりした講座教室制度というものは、机の上ではしていますけれども、それを現に大学に適用いたしまして、予算化いたします場合には、それじやこの部面をどうするかという問題が常に出て来ますので、私どもはこれは努力はいたしておりますけれども、多少時をかして頂いて、その講座或いは教室制度というものを、新制大学の基準をきめて参りたいと考えております。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうするとお考えは一応私はわかりますが、これは実施されるのは一体いつ頃になりますか。
  31. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 大学人事でございますので、これは大学自身のお考えに待たざるを得ない。私のほうで明年限つて哲学先生人員を変えたりしろということは憚られることであります。ただ大学自身が新らしいカリキュラム定員というものについて問題を抱いておられますから、始終私どもと御相談願つております。いつからということは私ども人事の問題でちよつと言いにくい問題だと思います。
  32. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は人事の問題じやない。地方新制大学の私の悪い言葉で言うとぼろくそですよ。このぼろくその現状というものは文部省知つていられるのです。知つていてもあなたはなかなかそのことははつきり言つて下さらない。そういうことを放置して置けばますます試験地獄はひどくなつて行つて、それで地方の子供が東京に来て試験は受からない、一年も二年も浪人して、それで不良になつてしまつて、それで精神分裂を起して自殺して行く。現にこういう問題が起つているのに、なぜもつと積極的に、こういつた定員といつたようなものを政令でやつて予算配分の分取りをわざわざやらせるようなことをやらすのか、やはり定員というものだけはしつかりとこの法律できめて、地方の弱小な新制大学もこの法律の下に適正な運営ができるようにしなければならないじやないかと私は申上げている、そうでしよう。それについてあなたはどうお考えになつていますか。
  33. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 若しお答え申上げるところが重複いたしますれば、大変恐れ入つたところなのでございますけれども只今申上げました通り法律できめたものを政令できめて分取りになるということは私不可能だと思つております。文部省の側といたしましても、さつき申上げましたように、予算にもない空定員を殖やしたり、予算があるのに定員を減少いたしましても、実際はどうにもならない。同時に分取ろうという大学におきましても、予算が確定いたしました以後におきまして、文部省に御要求がありましても省令の規定をどう変えようもないわけでありまして、その点につきましては私は問題ないと思います。法律にするか、政令にするか、省令にするのかこれは問題でなくて、予算を組みますときに十分新制大学状況を考慮しろと、こういうお話だろうと受取るわけでございまして、この点につきましてはかねがね御注意もございますし、私どももその通り考えておりまして、年々予算の点に些少ながら先ほど御披露いたしましたような各部学科の整備、些少の人数でございますけれども年々その専門学科教員を一人二人というふうに殖やしたとしておるような次第で、決してその点も等閑にいたしておるようなわけでないことを御了承願いたいと思います。
  34. 永井純一郎

    永井純一郎君 どうも局長の今までの御説明をお伺いしていまして、よくわからないのですけれども定員を、空の定員定員法で持つてつても仕方がないと言われますけれども定員法で、法律で、仮りに理想的に新制大学なんかに十分に行くように法律を作つて行けば、そうすればあなたのほうも予算を取るときにその法律に基いて予算が取れて行くわけですから、予算がないから定員法が幾らあつても空になるということはないと思うのです。少くとも比較的には法律にちやんと定員があつたほど逆に予算は取りいいということになるのじやないですかね。どうもそこが逆じやないかという感じを……。
  35. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) どうもちよつとお言葉を取違えているかも知れませんが、当該年度の予算と当該年度の定員の関係は先ほど私が申上げましたように、あつてない場合におきましては、これは実際に役立たない。仮りにその予算が次の年度にその法律が据置かれました場合に、どうしてもその法律を変えないということならば、これは予算は引ずられると思います。併し御承知のように、若しそれを申しますれば予算上の増員という点もこれは又そこまで法律の、定員法予算に先行するなら増員すら引ずられるのではないか。御承知のように官制定員というものは、予算に即応して書く以外にないのじやないかというふうに私どもは事務的に考えるわけでございます。
  36. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで、もう一つお伺いしたいのは、逆にそれが政令に移りました場合は、一方的に、これは予算の折衝をいろいろするときに、大蔵省がどんどん削つて行く。法律によらない場合は、政令はあなたのほうで適当にあとで整理すればいいんだから、予算できまつて行くとどんどん文教関係費が圧迫を受けて来るということは、これは政令に譲つた場合と法律である場合はかなり力がどうしても違うと思うのです。そういう意味からいつてもどつちがいいか。予算の関係はあります。あると思いますが、どちらのほうがより強いかといえば法律にしておいたほうが文部省としては予算も取りいいし、少くとも次の年にはそれでどんどん強い要求をできる。法律の改正というものはなかなか文部委員会でもそう簡単にこれは通さないということになりますから、政令がいいか法律がいいかということになれば、比較するということになれば、私はどうしても法律できちつときめておいたほうがいいと、この理窟はどうしても通ると思うのですが、どうでしよう。
  37. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) これは対大蔵省の関係となりますれば、予算の総定員が増減せられるかどうかということで先ず抑えられると思います。これはまあ行政機関職員定員法定員があるわけであります。やはり従来これは私ども事務をとつておりますると、こういう官制的な規定はどういたしましても予算と即応しない場合には実益がないというような、これはとられているかも知れませんけれども、私どもとしてはそういう感じを持つわけで、若しこれが法律的に固着するということになりますと、年々こうして五百人ずつ増員傾向にあります国立大学としては、むしろ大蔵省に対してこれは法律的にきまつているからきまつた通り次の年度に考えろということが強く響きます。むしろ増員を抑制されることを恐れるのであります。私ども、恐らく大蔵省もそうだろうと思います。こういう官制的な定員というものは予算引移しというふうに私どもは常に考えているような次第でございます。
  38. 永井純一郎

    永井純一郎君 それは局長もよく御承知の通り只今すでに補助金等整理の問題で特別委員会を作つてつていますが、国会は。これはなかなか予算通りにあれが合してあるわけですけれども、あのまま通しちやいけないという国会の今の考えが随分あるのです。これは与野党を問わずの話です、率直に申上げて。農林省は農林省の農業助長の立場から、或いは文教関係の議員のかたはそういういろいろな立場から或いは非常に慎重に審議しておるんです。ですからなかなか法律である場合はあなたのほうの立場も非常にいいはずだし、又簡単に政令と比較した場合は予算を、法律定員があればなかなか簡単に削つて行くということはどうしてもできないのですよ。現にそうです。今すでに補助金等整理特別委員会ではそれをやつていますが、ですからこれはあれじやないんでしようかね、政令に譲らずにおくということのほうが文部省の、まああなたのほうの事務当局としての御意見で結構なんですが、いいんじやないでしようかね。
  39. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 政令に譲るかどうかという点は、先般申上げましたように、技術的の手詰りを感じたわけでございます。一方行政機関職員定員法というほうが優先いたします規定になつておりますので、それの暫定定員、本定員の関係と合せることが三年先まで予見することに非常に苦痛を感じておるような次第であります。  それから只今お話もよく御同情のあるお話で有難く承わるのでございますが、昭和二十六年の場合もそうでございますし、明年の場合もそうでございますが、減らす場合は行政管理庁において、例の行政機関職員定員法の改正という点で行政整理国会で御審議願い、それに適当に定員も合せて来る、そのうちに織込まれる、そういうことでございまして、むしろ増減という点をこの法律で抑えた場合に果して有利かどうかと申しますると、現在の国立学校設置法の附則第九項という法律がございまして、「第九条の規定は、別に政府職員定員に関して定める法律の適用に影響を及ぼすものではない。」こうあります。行政機関職員定員法のほうで行政整理できめてしまつた場合にこちらの法律を存置いたしましてもこれはどうにもならない、こういう点もざいますので、私どもといたしましては必ずしも各大学別の定員をここに確保いたしますことが非常な保証になるとは考えないのでざいます。
  40. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 私高田さんの質問に対する関連質問なんですが、高田さんは国立学校は非常にぼろいと言われる、そのざまは一般常識的にはそう考えられておりますが、これは今直ぐお調べになつていなければあとでも結構でございますが、各国立学校の本年度の入学志願者ですね、どういう状況になつておりますか。その一々の学校についてでなくて結構でございますが、大体どういうふうになつておりますか、若しわかりましたら……。
  41. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今の点は先般来調査いたしておりますので、ここに資料を持つておりませんが、直ぐとり寄せましてお答えいたしたいと思います。
  42. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 他の委員からすでに御質問があつたかもわかりませんが、こういう法案が通つたあとで定員法が、各学校別定員というものが外されてしまえば文部省の意向で自由にいじれる結果、いわゆる帝国大学主義になる傾向が生じて、中心的な学校充実されるけれども、ほかの新制大学はないがしろにされるというような結果が起つて来るであろうという心配が、我々はそれは先ほども高田さんがおつしやつたと思いますが、それを防止する何かあるのでしようか、そういうことは絶対ならんという懸念はないんですか。
  43. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 学校の機構が継続的に継続しております以上、各大学としては現在の定員というものを十分御存じであります。現在の定員に対していろいろ新規事業を企画されまして、新規事業が大蔵省で認められるか認められないかということは、私どもが知ると同時に、学校が御存じのはずです。その点は各大学間におきましても公知の事実でございます。にもかかわりませず、文部省大学の最も大切とする人事、人の定員につきまして、その後において文部省の恣意において勝手なことをいたしましたとすれば、これは大学としておさまつておらなれいことと思います。今日の各大学文部省に対しまする発言力というものはお話のように弱いものでもなく、又我々が大学に対して公明な態度を持しておりますことにつきましては、恐らく各大学としてもそう疑いのないことと思います。
  44. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在はあなたの言うように、大学の発言力は強いものかわかりませんが、強い大学の発言力を弱めて中央集権的にしようというのがあなたたちの考えであるということが私言えると思う。それがためにこういう法案も立案されて来るではないか。若しもこういうことになればあなた、稲田さん個人はそういう考えを持つていなくても、この法律が通つてしまえば、そういうこともしようと思えばなし得ることだと思う。中央集権的な方向に持つて行こうと思えばなし得ることであつて、そのときにあとでいろいろ論議しても文部省の権限でやるんだからお前たち黙つておれということがやはり言い得る結果が来ると思うんです。こういうことは、その点はどうですか。
  45. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) その点繰返しになつて恐縮でございますが、予算を各大学が十分御存じで、自分のところは教授何人、助教授何人、助手何人、殖えたか減つたか、はつきり大学で御存じの場合、それを法律か或いは政令に移すだけでありまして、仮りに予算のない定員はを政令で殖やしたといたしましても、それは実際使えないんであります。又予算にあります定員政令で減らしたといたしましても、それはただそこに使用残として相当予算外が残るだけであつて全く無駄でございます。そうしたできもしないこと、又全く無駄なことを、私どもが如何に中央集権でいたそうと考えましても、決してこれは何にも興味のない又実益のないことでございまして、やるはずはないと考えます。
  46. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは今日この法律でちやんときめられているから、そういうことが言えると思うんです。その法律を外されてしまつたら、もう大学当局としては文部省と闘う武器を取られてしまうことになる、そうすれば一方的に文部省の意思が強く働くということは、これは当然ではないか、そのときに如何に大学教授たちががんばつてみたところで、そんなものは法律にないじやないか、だから文部省の言う通りつてもいいんだということを押しつけられる結果が必ず来るというふうに私は考えるのですよ。これが取越し苦労でなければいいんですが、併しこれまでのやり方を見ても恐らくそうならざるを得ないと私は考える。そうして今日大学当局の教授助教授あらゆる人たちの心配もその点にある。心配を取除く保障というのがどういうふうになされているか、法的に何も保障がないということを私たちは心配いたしますが、どうですか。
  47. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) その点につきましては予算が強いか、法律が強いかという問題、私は両方同じ強さを持つていると思います。十分国会で御審議を願い、又各大学がお互いに法的に知り合つております予算、これは非常に強い保障じやないかと思います。と同時に従来といたしましてもこの国立学校設置法にいてあります定員といたしましては、こう申しては語弊がありますけれども、如何にも中段階のものであります。学校別の総定員しか書いていない、各大学では教授が何人、雇が何人、これが一番大事な問題だと思います。ところがその内訳は従来といえども省令に任されておるのであります。任されておつて問題がないのは、それは予算として法的に保障せられておるから問題はないのだと思います。その点は大事なことを政令に譲つておるのでありますけれども、各大学として或いはもつと切実に大学組織なり職員組織なりがどうだということがもつと切実に大事なことではないかと思う。その点については従来ある政令で何も問題を起していないという点をお認め頂きたい。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちよつと話が少しずれるかもしれませんが、私は最近こういうことを聞いたわけです。今度文部省のほうから京都大学と東京大学に対して航空工学科を置けということが文部省から言い渡された。ところが東京大学は今度航空工学科を赴くことに決定した、ところが京都大学のほうは京都大学に戦時中あつた航空工学部、今は応用物理学科に変つておるので、そこへそれをやめて航空工学科を置くようにという強い要望があつたところが、京大の希望としては、航空工学科を置くよりも電子工学科を置きたいという希望が非常に強かつた。若手の教授連の反対にあつて京大のほうは航空工学科を置かないで電子工学科を置く。東大だけに航空工学科を置かれる、こういうふうな結果になつたということを聞いておるのですが、事実ですか。
  49. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) お話のごとく、文部省から慫慂いたしまして或いは促して阿学科予算要求ということになつた事実はないんであります。いずれも東京大学、京都大学それぞれで学部教授会或いは評議会その他で立案ぜられまして、文部省を通じ予算要求があつたわけであります。東京大学のほうは相当高順位な予算要求でありましたので、この学科大学の御意向を尊重いたしまして成立しました。京都大学におきましては、航空工学科も最後まで相当御熱心に御希望があつたんでありますけれども、より電気通信に関します学科のほうを重要視されました関係上、第一順位のほうが通つて、本年度は京都大学としてはお気の毒ながら航空工学科の創設に至らなかつたというのが私どもの承知しておる事実でございます。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではどういう希望が出ることがいいか悪いかは別としまして、名古屋大学とか大阪大学などにそういう希望が出た場合は、やはり東京大学に許すごとく、京都大学に認めるごとく、文部省は大阪大学や名古屋大学にもそれを認めるんですか、どうですか。
  51. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 問題はその大学自体においてどの程度のプライオリティを感じておるかということを最も尊重いたします。或いはそういうことがほかのことと一緒に要求があるかも知れませんけれども、かなり高順位であつた場合にはこれはできにくいんじやないか、又そのできます条件がいろいろあるのであります。京都大学或いは東京大学につきましては前に転換講座がございまして、それを又元へ戻すという点で大変できやすい恰好になつておりますので、我々としてもこれは扱いいいんでございますけれども、御指摘の各大学については私ども検討いたしておりませんけれども、全く平地に、新たに築くという場合におきましては、相当実現に困難を感ずるだろうと思います。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういういろいろな問題が起つて来るときに、今度の定員法との関連はどういうことになるのですか。
  53. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 私ども学年進行或いは新らしい学部学課の創設というような新らしい面につきましては増員をお願いいたしております。その関係上、五百六十九名という増員を要求いたしたわけでございますが、一面先般の行政財政整理というような要請からいたしまして、政府関係の各国家機関で一律に或る定率をかけての整理、これも又一つの大きな方針でございまするので、私どもといたしましても大学について考慮せざるを得なかつたわけでございます。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この東京大学、京都大学に航空工学科を置くという方針は、文部省方針であつたのですか、両大学方針であつたのですか。若しも向大学方針であつたとするならば、京大に航空工学科が樹かれなかつた原因がおかしくなると思うのですが、どういうことになるのですか。
  55. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 前に申上げましたように、文部省から発議いたしたことはないのでありまして、両大学から要求がありまして私どもも尤もと考えまして実現に力を尽しましたところ、京都大学におきましては、これは電子工学科のほうを優先順位として考えられたわけであります。大体その一大学で二学科創設してはいけないというようなことは勿論ございませんけれども、今日の予算のまあいろいろ審査の状況から見まして、二つ相成らん、電子工学科のほうも相当今年としては重い予算でございますが、二学科を京都に認めることが困難であつたというのが原因でございます。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私の聞いておるところによりますと、少し話が違うのですが、文部省は京大に航空工学科を置くことを非常に強く要望しておる。ところが京都大学はそれを希望せず、電子工学科を置くことを希望したので折衝の結果、そういうふうに決定したということを聞いておるのですが、私のこれは誤りですか。
  57. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 前申上げました通りでございます。ただよくあります事例は、或る学科を主張せられますかたが非常に熱心に文部省に言つて来られる場合があります。そうすると文部省はその点に非常にその大学が御熱心なようにとる場合があります。ところがそうでない学科を次に又かついで来られる。そのときにあなたのほうは航空工学科のほうが御熱心だけれども、電子工学科のほうが御熱心でございますかというと或いは文部省側から誰か聞いたのじやないか、そういう際に只今お話のような誤解を生ずることも想像できます。
  58. 永井純一郎

    永井純一郎君 もう一つ局長に伺いたいのですが、先ほどこの定員法よりも行政機関関係の整理関係法のほうが優先するということになつておるから同じことだと、法律にしたつてどつちにしたつてというような御趣旨でしたが、これはあれですか、ほかの省でも行政機関整理関係の法律のほうが優先するのだからというので省令に譲つた政令に譲つた定員の関係をというような何か形がありますか。
  59. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) これもこの前どなたかにお答えしたと思いますけれども、これは非常に特異な例でございまして、昭和二十四年に国立学校設置法ができまして、当時には各省設置法、行政機関職員定員法もなかつたのでございます。それを幾年に至りまして各省を通じて各省設置法ができ、同時に定員は行政機関職員定員法に集大成したわけです。そのときの政府方針を体しまして私はGHQに折衝いたしまして、こういうふうに定員を一つに集めた以上国立学校設置法定員は抜きたいと、そのときに申したのでございます。ところが当時のGHQのイールズ氏がどうしてもお聞きにならないでそのまま残つて来た、残りにつきましては集大成いたしました法律とこの再建いたしました法律との関係をつけなければなりません。その意味におきましてこの国立学校設置法の附則を当時挿入いたしまして、行政機関職員定員法のほうが優先するのだという趣旨の規定にいたしたわけであります。従いまして、御質問のように各省においてはこういう関係がございませんので、行政機関職員定員法一本でやつておられることだと考えます。
  60. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 ちよつと一点だけ承わつておきたいのですが、これはまだ審議に入つておりませんが、別の学校教育法の一部を改正する法律案で医学部及び歯学部、これは修業年限が六年以上というので変つて来ているようでございますが、まだ方針が決定していないかも知れませんが、国立大学におきましては医学部及び歯学部につきましては、どういう将来組織をされるか、例えば総合大学の中においてはどういう形をとるか、或いは又文科大学、医科歯科大学の中においてはどういう形をとるか、方針が若し決定していないでもお考えがあれば伺いたい。
  61. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) この点は昭和三十年四月施行という予定にいたしておりますが、三十年度の予算を決定いたしまする場合までに具体的にきめたいつもりで、今各大学の御意向を伺つておる状態でございます。ただ只今お話がありましたように、大よその見込みはどうかという点でございますが、東京医科歯科大学を除きますれば、恐らくすべての大学にそれぞれこれは六年学部として進学課程を持たれることだと思つております。ただ東京医科歯科大学は御承知のように特殊の状況でございますが、これはそのまま従来通り広く入学者を募集するか、或いは千葉大学あたりと特殊の関係を結ぶか、この点がまだ全然未定でございます。
  62. 木村守江

    ○木村守江君 只今剱木委員からの質問の関連ですが、先般学校教育法の一部を改正する法律案の提案理由のときにも特別の必要のある場合には専門課程を置くことができるというようなことを言つておられますが、特別の必要のある場合というのはどういう場合ですか。
  63. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) これは今までよく御要望のありますのは、歯学の大学でございまして、歯学の大学は御承知のように、従来予科を持つてつたわけであります。ところが新らしい制度高等学校から直ちに志願者を募集し得ないということになりますると、どうも償秀な又必要な募集定員を確保することができない、何か措置を講じてもらいたいというお話がございました。その点からいたしますと、旧制の予科を暫定的に三年間を限つて存置することを認めておりまするけれども、これは新らしい教育制度から見まして非常におかしなことで、早く何かけりをつけたい、こういう点から見まして一つの具体的な要望もございます。又従来総合大学等におきましても、この進学課程を特定いたしませんと、農学部に入りましたものが途中から医学部を志願いたしましたり、医学部の生物系の学生が途中からなくなりましたり、他の学部がこれによつて随分迷惑を受けます。又同時に医学の専門課程の立場から見ましても、やはり学力の充実というような点から見ますれば、進学課程というものと直結いたしまして、十分前後連絡のある教育をやつたほうがいいというような意見もありまして、そういうような次第で六年の学部を設けることにいたしたような次第であります。
  64. 木村守江

    ○木村守江君 これでお伺いしますが、この学校教育法の一部を改正する法律案を提案しまして、医学部並びに歯学部の課程を六年間にしたというような理由、これをもつとはつきり……
  65. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) その三つ方法を設けた理由でございますか。
  66. 木村守江

    ○木村守江君 この医学部並びに歯学部の課程を六年にした理由ですね。
  67. 川村松助

    委員長川村松助君) 国立学校設置法の一部改正を先にやつて下さい。
  68. 高田なほ子

    高田なほ子君 私これで、もうちよつと伺いたいことがございますから……。  それではもう一つ伺いたいことは第五条に関連することですが、教育施設、それから研究施設を置くということは、国立学校の設置には非常にこれは重要な問題なわけですが、今度これを省令で定めれば自由に国立大学学部に置くことができるようになるわけですが、どうしてこれを省令というふうに直さなければならなかつたのでしようか。その理由解釈に苦しむわけなんです。それで多分これは荒木さんの先般の御質問でお答えがあつたように、技術上の面でというふうにだけお答えになつておるようですが、技術上の面というその面が私にわからないので重ねて今質問しておきます。
  69. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) これもやはり全く技術上の問題でございまして、先般来政府部内におきまして占領当時司令部の各セクシヨンごとにいろいろ考え方が速いました。そのために法律の体裁も随分違います。或いは重複いたしましたり或いは矛盾するところもある、それが行政上時として錯雑する原因になるというようなことから、全体的に法令を自主的な立場から整備しようという話があるわけでございます。この部分につきましては学部研究施設と申しますと演習林とか或いは農場とか牧場とか、そういう物的施設或いは事業費を主とする施設でございます。こういうものは国家の各行政機関で随分持つておりますけれども、すべてそういうものは法律に出ていないのでございまして、これもやはりCIEのイールスさんの一つの要求で法律に出しまして、或る機会にはほかと体裁を合わしたい、こう考えた次第でございます。それだけでございます。
  70. 高田なほ子

    高田なほ子君 あなたの仰せのように演習林とか試験場というような教育施設を一々法律で以て定めるということについては若干煩瑣な面があるということは私は認めるわけです。けれども研究施設と教育施設というのは字も違うが本質的に非常に私違つているのじやないかと思うのです。例えば研究施設のほうに伴うのがやはり定員といつたようなものが伴つて来るのじやないかと思う。そういうものが演習林とか或いは試験場と同じような比重で以て省令できめられるということについては若干私は疑問があるわけなんです。占領中に云々のお話がありましたけれども、宇宙線観測所とかなんとか、それから基礎物理学研究所といつたようなものは、はつきり本法に基いて定めているゆえんのものは、やはり研究施設そのものの比重というものを国が認め、その学問の重要性を国が認めてその施設の運営を遺憾なからしむるために私は本法に今まで盛られていたと思う。それを何でこれを省令にしなければならないかということについて教育施設とは別個に私には納得が行かない。
  71. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今指摘の宇宙線観測所或いは基礎物理学研究所或いはその他にもたくさんの、五十幾つの附置研究所、それらすべて法律で規定いたします。従いまして後年若し例の原子核研究所等を創設いたします場合にはこれは法律に載るのでございます。第五条の学部附置の研究施設と申しますのは農場、演習林、牧場等が研究施設でございます。ここで申します教育施設というのは看護婦、助産婦或いは診療エックス線技師の養成施設というような性質のものがここに盛られるわけでございます。これは主として物的設備と事業費を中心にするもので、若しこれが非常に発達いたしまして一つの附置研究程度になりますれば勿論これは法律で規定をお願いする性質のものでございます。
  72. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると原子核研究所は又これに類するものがたくさん各大学に附秘されて来ると思うが、それは研究所としての体裁を整えたときに初めてこれは法律に載つて来るわけですか。
  73. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今先生が前に御指摘になりました宇宙線観測所を規定いたしておりまするあの条文に総合利用の研究施設として掲載せられるのであろうと思うわけでございます。
  74. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、本法にはつきりと規定されるためには何らかの基準があるわけだと思う。今原子核研究所がありましても、それは本法に研究所として載つておらない。それは基準を備えておらないからだと思う。そうしますと各大学に附置される研究所そのものがはつきりと本法に規定されるための基準というものはどういうものがあるのですか。
  75. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 恐らく法律制定の際にはこれは申し上げたと思いますけれども、やはり附置研究所或いは総合利用の研究所として法律に掲載せられておりまする研究所は部門組織以上の研究所でございます。研究所については講座に相当いたしますのを御承知のように部門と申します。即ち教授一、助教授一、実験の場合には助手二、臨床の場合には助手三、これを以て一部門を形成いたします。少くともこれだけ以上持ちますものはこれは法律に掲載し得る研究所という基準になつております。
  76. 高田なほ子

    高田なほ子君 それならばこの前に御質問申上げたときに原子核研究所の将来の定員といつたようなものについてはどういうふうにお考えになつているのか。而も原子核研究所の運営その施設の完備については七億余円の国費が計画されておるにかかわらず、この定員などの問題については全然答えて頂けなかつた、非常にその点に私は疑問を持つて、こういう質問を今出しておるわけなんです。
  77. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 原子核研究は九億余りの総計を以ちまして当初から三年計画を以て予算要求をいたしたわけでございます。最初の年度といたしまして三億余りを要求いたしましたところ、非常に大きな設備でありまするマグネットの装置等が認められないで、設備興三千万円、建物約九億という程度しか認められませんでした。従いまして当初から最初の年次におきましては専任定員を糧かなかつたわけでございます。企画といたしましては具体的には人でありますけれども、阪大の例のこの方面の専門家であります文化勲賞を得られております菊池教授を東大の兼務にいたしまして、主として根本的の企画に当つて頂きまするとともに、文部省におります原子核研究所創設に関しまする小委員会、これは朝永博士その他入つておりますけれども、これによつて企画を進めて参りまして或る程度建物設備ができましてから人をだんだん入れて行きたい、三年を以て完成したい、そういう計画でございます。
  78. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると、いずれの場合にも完成してからこの法律が出てきまるのですか。
  79. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 研究所の創設はいろいろな過程をとります。例えば学部講座から出発する場合があります。東北大学の熊谷博士が、結核を研究しておられる熊谷博士を中心といたしまして抗酸菌病研究所というのがあそこにできておる、又研究施設から発展いたしましてだんだん充実して参る場合があります。例えば京都にできております湯川記念館というものを中心にいたしまして研究所ができる。もともと大体学部の人というものがあつて、それが中心となりまして人も認め設備も認めて研究所ができる、こういう例が普通であります。例えば大原農学研究所のように外部のものを合併するという行き方もございます。
  80. 高田なほ子

    高田なほ子君 今までは法律にきめられていろいろな研究所というものが置かれて来たわけですが、今度は政令で、省令ですか、いろいろなものが置けることになるわけですね。その場合に例えば技術研究所というものが保安庁法で今度できますね、そうするとその技術研究所とそれから今度大学に附置された研究所と、そういうものは私は将来一緒になつていろいろの科学技術の研究に当るようになつて来るのじやないかと思うのです。そういつたようなことを文部省は一応頭の中に構想として描いておられるのではないでしようか。
  81. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 文部省は御承知のように大学附置の研究所を持つておりますが、これはすべて基礎的な自然科学或いは人文科学のみでございます。応用的な面は通産省、労働省或いは運輸省或いは保安庁等はお持ちになると思いますが、おのずから基礎或いは応用というような点で領域が違うだろうと思います。勿論その研究者が研究において協力することはございましようけれども研究所それ自身の職能としての法的な連関というものは今まで他省の応用研究所とは、ないわけでございます。
  82. 高田なほ子

    高田なほ子君 他省との共同研究をするといつたような場合には、やはりこのように省令で定めておいたほうが運営のためには都合がいいようなことはあり得ますね、どうでしようか。
  83. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) どういう場合か具体的に承わらないとよくわからないのでございますけれども、例えば学部にあります教室と、それから他省の応用研究所と関連があれば協力研究はいたすだろうと思います。或いは附置研究所の或る部門と関連があればいたすだろうと思います。それは別に法的にこれを省令できめたから、或いは政令できめたから、或いはできる或いはできないという性質のものではなくて、お互いに学者が学問研究として意見を交換するというような学問研究の働きとして行う場合につきましては、いささかも相違はない問題じやないかと思います。
  84. 高田なほ子

    高田なほ子君 今度の保安庁法によりますと技術研究所というものが設けられるわけです。その技術研究所にはやはり日本の科学というものが相当に動員されなければ技術研究というものはできないと思うのです。それは国防技術であれば基礎科学であれ、とにかく日本の科学者、日本の学問が総動員されなければその使命を果すことはできないと私は思います。この場合に大学に附属される研究所とそれから保安庁の設置法によるところの技術研究所というものが将来とも一緒になつて国防科学なら国防科学の基礎的なものを研究して行く、こういうような方向には行き得るでしよう、全然無関係なんですか。
  85. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 例えば今立案いたしておりまするこの航空技術審議会につきましても、これは大学を除くと、はつきり書いてございます。ですから一応文言或いは観念といたしまして応用も或いは基礎も共通というふうに考えられます場合におきましても、自然受持つている部分が応用と基礎と非常に距離があるわけでございまするから、保安庁で考えます直ちに応用的な研究機関の活動というものが、直接的には文部省の持つておりまする基礎的なものと、その結び付き得る問題ではないと思います。ただ結び付く場合におきましては恐らくそれは予算化するとか、或いはまあその予算に基いて法律或いは政令できめるということになりましようけれども、それは具体的にどういう予算を組まれるかというような点から見て私どもとしては判断するほかはないのじやないかと思います。
  86. 安部キミ子

    安部キミ子君 関連して。近いうちに衆議院で航空学校設置法に関する件というのが通過する話を聞きましたが、これはどういう関係になるのですか。
  87. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) あれはたしか運輸省設置法におきまして航空技術者の計画養成という目的を以て航空大学校というものを作る計画があるのでございます。提案になつておると思います。これは私どもの扱つておりまする学校教育法一条の学校のようなものでなくて、二年くらいで航空の技術者を計画養成する、そういう特殊の目的を以て特殊な人を集める施設でございます。而も大学校という名称で保安大学校或いは警察大学校といつたような、いわゆる特殊養成の面は一般教育以外に扱つておる例がございますが、その例に属するものと心得ております。
  88. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと名は学校という名がつきますね、それにもかかわらず文部省とは全然関係がないということになりますのですか。
  89. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 大学であれば関係があるのでございますけれども、従来大学校と申しますものは昔の海軍大学校以来警察大学校、保安大学校、海上保安大学校、自治大学校、それぞれ或る身分を取得するか或いは特別の技能の計画養成の施設であつて、目的が一般的に機会均等で集めて機会均等に就職せしめるのと多少扱いを異にしておりますので、これは他省所管になつております。これが若し大学であり学校教育法第一条の適用を受けるようになりますればこれはこちらでございますが、名前は似ておりますけれども全く性質が違いますものですから、他省所管であります。
  90. 高田なほ子

    高田なほ子君 さつきの続きですが、一つ残つておりますけれども、国防科学ですね、国防に関する科学技術の研究、これに関して大学はタッチしないということが明確になつておるのですか。
  91. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) タッチしないということは何も法制化されておりませんけれども、まだタッチするという話を受けてないのであります。大体扱つておりますのが基礎科学でございますから、それは或いはあらゆる面と関係があるかとも思つておりますけれども、おのずから機関の発動といたしましては基礎科学の分野に限局されておりますから従来その点特殊の問題が予算化せられ或いは法律化せられません場合におきましては、直ちに関係がつかない問題だと思います。
  92. 高田なほ子

    高田なほ子君 予算化された場合にはこれはタッチするということになるのじやないかと思うのです。保安庁法が通過すれば明らかに科学技術調査所ですか、そういつたようなものが法律で認められ、その法律に基いて予算が組まれて参りますと、当然やはり大学の科学陣営というものはこれにタッチするように私はなつて来ると思うのです。あなたは予算と言われますけれどもはつきりこれは予算の面が見通しがついておるのじやないかと思うのです。これに対して大学は国防科学に関してはノー・タッチに行かれるのがどうか、ということを、もう一度承わつておきたい。
  93. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 申上げるまでもなく大学は学問研究の自由というものを特色としての機関に私ども考えております。又従来大学自身がそういう気持で運営せられております。大学において如何なる研究を取上げるか、どういう方角に研究を進展させるかというような点につい大は、大学における研究者それ自身が長年の歴史上決定いたしております。従いまして只今のような問題もこれは文部省からやられるとか、国からこれを委託するとかというような仮りに話がありましても、それを受けるか受けないかというのは当該大学研究者がそれを題目として取上げるか取上げないかという自由は確保されておることだと思うのであります。
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 仄聞するところによると、この科学技術の内容について国防科学に関する研究とか、航空に関する研究とか、原子力に関する研究とかというようなものが今大きく浮び上つてつて大学研究の中に相当の幅を占めておるやに承わつたのです。こういう問題についてはあなたのほうには何ら御相談もなければ、全然そのことはもう知らないと、ノー・タッチだという御態度でおられるのですか。又そういつたようなお話合いがすでにされておるのですか、伺いたい。
  95. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 中央行政官庁の間におきましは、何らまだ話がないわけであります。で、なお従来他省の応用研究所が仮りに大学研究者に対して何か連絡を求めるというような場合におきましても、これは直接研究者に連絡があるのが例でございまして、大学において研究の自由を確保されております研究者の自分の気持でその委託を受けるというようなことになるのじやないか、若し国の要請上国立大学教授お話のような研究と関連を持たせるという必要がございますれば、それこそ特殊な法律でその機能を裏付けるとか、或いは予算の御審議においてそれをはつきり、国会の御審議を得てやると、義務付けるというような場合におきましては何らかそうした措置が必要なんじやないかと思います。
  96. 田中啓一

    ○田中啓一君 これはもつと早く伺うべきことであつたかと思うのでありますが、行政機関職員定員法の第二条で、各行政機関職員定員は、左の表に掲げる通りとする。」とありまして、その中に文部省、そうしてその次に本省、そうして人員が六万三千三百三人、うち六万千七百三人は国立学校職員とすると、こうあります。そこで、この国家行政組織法並びに行政機関職員定員法は、恐らくこれはまあ表裏一体をなしておる法律であろうと思うのでありますが、そうしますると、大学に対して国家行政組織法というものはやはりこの規定するところが適用されると、そう考えてよろしいものでありますか。お考えを一つ承わりたい。
  97. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今のお言葉通り、国家行政組織法は教育研究機関全部にかぶつて参ると思います。国家行政組織法のうちに、教育研究機関に関して特別に規定する点については別に法律で定めるという条項もあるようでございます。要するに国立学校設置法文部省設置法もすべて国家行政組織法を母法といたしまする特別法と私ども考えております。
  98. 田中啓一

    ○田中啓一君 そこでもう一つお伺いしたいのは、他の省なり或いはほかの行政機関で、この国立学校設置法のように、ああ細かく定員を規定しておるものは一つもないように、実は私誠にどうも研究不十分でありますのですが、誠に研究不十分だということをお断りしてお尋ねするわけでありますが、その辺は一体どういうふうになつておりましようか。
  99. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 只今お尋ねの点でございますが、私どもも各省設置法その他を調べましたところ、こうした定員を規定いたしております法律は別にないように考えております。
  100. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 国立学校予算の流用の問題について一昨日もお尋ねしたわけなんですが、今決算委員会で二十七年度の決算を審議されているわけなんですが、その中に大学院の特別研究生ですね、あれに充当されている予算が、その予算の二五%まで他に流用されているという事実があるわけなんですがね。これは文部省がそういうふうにやつているのですか。或いは大学側で勝手にそういうことをやつているのですか。
  101. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 詳細にその表を見てからでないと誤まりがあることを恐れますけれども、私の承知しておりますのは、あの特別研究生と申しますのは旧制度の特別研究生の最高学年に上つている場合でございまして、これは既定計画から見まして実員が非常に少いのでございます。そういう点において予算残を他に流用いたしたのだろうと思います。いわゆる特別研究生と申しておりますのは、これは育英会の費用を以て充てます特別研究生であつて、現在各旧制大学或いは新制大学で勉強しておられる特研生のほうは只今指摘予算区分以外にあるわけでありますから、旧制にしてすでに定員に残があつたという面であろうと思います。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私の尋ねているのは、そういうことを文部省がやつたのかどうかということ、それは事務職員の超過勤務に流用されている、あの決算報告書を見ると。そういうことは僕はよくないことだと思う。そういうことを文部省が認めてやつたのかどうかということです。
  103. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 二十七年度の決算の中に流用があるというお話でありますが、その点ちよつと時間を与えて頂いてよく調査した上でお答え申上げたいと思います。
  104. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは決算報告のほうで数字が出ているわけなんです。あの二十七年度の決算報告によると、大学院特別研究生の給与予算は四千五百万円ある。そのうち超勤に流用したのは一千百二十五万円、これだけが流用している。こういうことは文部省が認めてやつたのかどうかと言つているのです。この数字文部省でわかりませんか。
  105. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 決算報告に出ておりますればその通りでございます。ただ不用額がございますので、私どもとしては毎年の例といたしまして、不用額を必要な方面に大蔵省と協議いたしまして流用の措置をとるのであります。
  106. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それではお伺いしているのは、文部省が認めてやつたということなんですか。
  107. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) その通りでございます。
  108. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これで他の予算との関係があるのですが、大学予算の流用の問題ですね。私が最も重要視しているのは教官の給与ですね、給与が他に相当流用されているのじやないかというふうに考えられます。で、これは一昨日質問の際に、局長教官の給与については流用していないと、こういうことであつたわけであります。併しどうもあの決算書を見ると相当額流用されているとしか思えないのですね。流用されてないとするならば私は数字を挙げて説明してもらいたい。あの決算書を見ると非常に額が少い。併し大体の間も局長から報告のあつたところでは、大学教官定員ですね、不足は毎年一千名を超えていると思います。そうすると相当の経費になると思うのです。それを還元しているという局長の説明であつたのですね。併し決算書を見るとそういうふうな数字が出ておらないのでございますね。これは再説明を僕は求めたい。局長がこの間答弁したのだから。
  109. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 俸給費の残は不用に落していると、この前お答えいたしました、同じように今日も考えております。
  110. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは僕は数字を挙げて説明をしてもらわないと昭和二十七年度において何人の定員不足があつたか、これによつて予算はどれだけ留保されているのかということが説明されないと次第報告書の数字と合つて来ない。
  111. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 二十七年度の決算につきましてはよく調査した上で後刻答弁さして頂きたいと思います。
  112. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それは決算は二十七年度の分ですが、二十八年度についても僕はかなりこの予算が他の方面に流用されているのじやないかというふうな疑問があるわけなんです。こういう疑問を解明するだけの資料を添えて説明してもらわなければ、そういうことをしていないと言つてもわからないんですよ。特にこの間も申上げましたようにいわゆる研究旅費ですね、研究旅費は相当額この事務職員の出張旅費に使われている、これは事実否定することはできないと思うのですよ、私はそう思つている、これについても合せて説明を願います。
  113. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 二十八年度の職員費につきましてはお話のように確かに不用額が出ておるのでございます。これは約二千人近くの欠員がございますので、その不用額の流用の問題が今問題になつておると思いますが、職員費等から物品費への流用につきましては流用禁止項目で大蔵省は扱つておりますし、閣議決定の線もございますので、原則としては流用しないという建前でございます。ただ必要な場合には若干の流用は認めてもらつておるのですが、今のお話教官研究旅費と職員旅費とこれにつきましては一応区別はしております。ただこの教官の名前の付く分は原則として教育研究旅費のほうから出しております。事務職員のほうは職員旅費のほうから出るのが建前なのであります。事務職員教官研究旅費を食つているということは私はないと思うのでございます。
  114. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは私はそういう予算の明細をやはり知らしてもらわなければ十分了解できないと思うのです。教官の出張旅費が事務職員の出張旅費によつて食われていないという御説明ですね、それならばその明細を知らしてもらわなければならん。我々は相当部分そういう部面に流用されているというように聞いておる。それから今のお話では教官の給与は他に流用されておらないという説明ですが、その通りですか。
  115. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 只今申しましたように大蔵省が流用禁止項目にしておりまして、残があればこれを不用額に落す、同時に二十八年度につきましては閣議決定の線もございまして、流用については厳に慎しむということがきまつておりますので、流用についてはこれを認めることは大蔵省としては非常に渋つております。ただこれは例外原則でございますので、やむを得ないものについてはその不用額から流用することもあり得るわけでございます。
  116. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 局長はそういうことはないということを一昨日言つておられますが。
  117. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 私はさつきの閣議決定を頭におきましてこれは流用禁止項目だということで流用はございませんと申上げました。私決算を見ておりませんから現在において多少例外として扱つているかどうかというまでは気付きませんでした。建前として俸給の残は残として残すという建前はずつと政府部内にございますから、それを申上げたつもりであります。
  118. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは非常に私は今の答弁でも不明確であると思いますが、私は建前を聞いているのじやなしに、そういう事実があるんじやないか、こういうふうにお尋ねをしているわけなんです。私どもはかなりの額が流用されている、こういうふうに思つておるわけなんです。で、これは私はあとでもいいですから、どの程度流用されているのか、これは知らしてもらいたい、こういうふうに思います。
  119. 高田なほ子

    高田なほ子君 あれですか、これは今の荒木先生の御質問は二十九年度の会計検査院から文部省の批難事項として上つていることなんですか今の御質問は。違いますか。
  120. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 批難事項に上つている事項ではないと思います。
  121. 高田なほ子

    高田なほ子君 上つておらない……
  122. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 流用を協議した場合は別に問題はございませんです。
  123. 高橋道男

    ○高橋道男君 さつきこの講座研究会を持つておるというお話でございましたが、それからそれと別に研究施設など法律に挙げるときには部門として、それぞれの教授一名、助教授一名その他というような、そういう基準に従つてそういうものができるときにその法律を挙げるのだというような御説明があつたと思いますが、講座研究会のほうにおいてもそういう基準を求めるための検討を重ねておられると思うのですが、それは相当年限もかけておられると思うので、それと別の問題としてそれをすぐに発表する教授の余剰が出ると或いは同時に又欠けておるところも相当あるというようなことで手控えておられるように聞いたのでありますけれども、そういうふうに了解してよろしうございますか。
  124. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 御承知のように新らしい大学が非常に選択科目制度になつておりまして、一般教養も人文、社会、自然で各科目何単位、まあかなり自由にとるわけでございます。又専門課程に入りましても主専攻、副専攻、関連科目という点が非常にまあ自由にとるわけでございます。然らばそれの需要に応じまして講義の繁閑に応じましてどういう講座、或いは教室を準備するかということを見出すのが只今講座研究会でございます。ところがこれは実際の状況から帰納いたしまして、一つの基準を得たいという念願でございますが、昨年、丁度学年進行が終りまして一回の卒業生を出しただけでありますので、最初の年におきましては、まだいろいろ学生にも選択のまずさがあります。或いは学校の指導にも行き届かないところがあります。これは多年何年かそうした実情を繰返しつつ、その結果を見ませんと的確な基準が得にくいのでございます。私どもは早く基準を得たいのでございますけれども、事の性質がそういう次第でございますので、まあその間状況を見たいと思います。これはかたがた只今指摘がありましたように、現在の又教官組織によつて学生の自由選択が又制限される、制約せられるという実情もございますから、一面におきましては教官が自然に転換するというようなこととも睨み合いながら今の実情を検討して、それから帰納して基準を立てるので、相当年月がかかる仕事であります。まあ成るべく早くいたしまして、成るべく早くそれを公表して、それを予算の基準といたしたい、こういう考えは持つておるのでございます。
  125. 高橋道男

    ○高橋道男君 こういうものができておれば定員の費用を落すということがありましても全然問題はないと思うのでありますけれども、そういうものがないために局長が言われることをそのままに受入れてこれを信頼するということができにくいような感じを持たれておると思うのですが、そういう準備、これは教育のことですから拙速というわけにはいかんかも知れませんけれども、今の話では相当年月をかけなくちやいかんと言われるところはわかりますけれども、例えば今年中に基準を得るというようなところまで進んで行くということは申されませんですか。
  126. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) まあこれは程度の問題でございまして、非常に大まかな教員組織の基準は、大体この大半ができますときに、大学設置審議会で詳細な審査をいたしまして、その審査をいたしますには審査の基準、これは内規的なものでございますが、それぞれの学科について教授が何人なければいかん、或いは選択科目として何人くらい講師を用意しなければならんというような点がございまして、大まかな基準があることはあるわけでございます。又只今研究に従いまして、それぞれの大学といたしましては、それぞれの教員組織の目標というものをだんだん整備しつつある。これは、ひとつきりというわけには行きませんけれどもお話のように一年を経過すれば又一年だけのめどは立ち得ることだと思つております。
  127. 高橋道男

    ○高橋道男君 今のお話に出ました大学設置審議会ですね。これはまあ設置、或いは学部の増設というような場合に関係が最も深いわけでございますけれども、併し一応学年進行までも考慮に入れて検討をしておられる様子でありますので、大学設置審議会においても、この定員に関する監査というか、一応目を光らしていなければならんというようなふうに私は思うのですが、その点は如何ですか。
  128. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 大よそすべての大学が設置の際にいろいろ条件を背負つております。殊に教員組織におきましては、充実しなければならん、およそ或る目標まで急速に達成しなければならんというような条件がございまして、まあその条件に従いまして、年々御審議を頂くような五百人程度国立大学増員を今日までいたして参つたわけでございます。その条件を充足いたしますまでは、しよつちゆう教授組織大学設置審議会において審査いたします。或る教授を採用いたします場合に、それがどのくらいプラスになるか、或いはプラスにならないかということを見る意味におきまして、一一書類審査をいたすわけでございます。で、完成いたしますれば、そうした審査はなくなるわけでございます。かたがた、こういうことでございますから、各大学におきましても、その大学定員が現在どれだけ保有せられておるか、又将来どれだけ保有しなければならないか、これは大枠のところでございますが、専門教育或いは一般教育の各系列において大よそどのくらいずつ充実しなければならんかということは、当該大学も存じておりますし、又文部省知つておるわけでございまして、これらに基いて、又現実に積上げて参つた予算の実績がありまするし、来年の増減という点も大学知つておりますからそういう点について、先ほど来お答え申上げたように、大学文部省も非常に細微な基準は持つておりませんけれども、大よそあるべき定員の形というものはお互いに知り合つておるような次第でございます。
  129. 高橋道男

    ○高橋道男君 そういう設置審議会においての検討をすることを考えるならば、学年進行も含めて検討することを考えるならば、この法律から定員表が落とされるというような場合であつても、その大学設置審議会においてこの定員の動き方についても見るべき私は勿論任務があるようにさえ思うのですが、その点はどうなんでしようか。
  130. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 大学設置審議会は、先ほど申上げましたように、一人の増員につきましても、その教授の資格を見ながら、教授力が充実したかどうかを常に審査せられております。その上におきましては、勿論現在の定員、今までの状況ということは、大学設置審議会が知つておられるわけでありまして、文部省も知り、大学設置審議会も知り、又当該大学も知る、この定員問題につきましてはこの三者が常にその状況知つておるような状況でございます。
  131. 高橋道男

    ○高橋道男君 尤もその大学設置審議会は私立の学校も含んでおる様子でありますから、国立学校についてどの程度にやらなくちやならんかということについては或いは問題があるかも知れませんけれども、そういうような仕組になつておるのであるならば、この法律から定員の表を落す場合に、私は設置審議会に恒例としてそれを諮ると、或いは了承を得るというような方法がとられることは、決して不自然ではないと思うのですが、如何でしようか。
  132. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 事実問題として、大学設置審議会に諮る、或いは又大学設置審議会の意見を聞くということは、私は勿論結構なことだと思つております。ただそれが非常に強い権限になつて出て参ります場合には、これは又政府国会に対する責任とか、或いは大学の自治といつたような問題に厳しく触れて参ると、これは問題かと思つておりますが、そういう点で大学設置審議会は教員組織について非常な関心を持ち審査する立場にございますから、これと事実問題として政令なりいろいろな問題を相談するということは、適当な問題だと思つております。ただそれが大学設置審議会の権限であり、その権限が政府を拘束し或いは国会で議決ぜられました予算にも影響を及ぼすというような程度になりますると、或いはこれは問題があるかとも心配せられる次第でございます。
  133. 高橋道男

    ○高橋道男君 その設置審議会において、とにかく学年進行を含んでの学科内容なり定員を検討しておるわけでございますから、それに基いて認可をしておるのでありますから、その基準の範囲内においては、私はむしろ監督し、又関知をして行くのが建前のように思うのですがね。それで大学の自治に触れるとか、或いは文部省の権限を侵すとかいうようなことはないように思うのですが、そうじやないのでしようか。
  134. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 毎々申上げておりまするように、この予算それ自身は、大学が要求いたしましたものを文部省が仲介いたしまして大学と一緒に大蔵省と折衝してきめると、つまり予算がきまりますまでは終始大学の意思できまつて来たわけでございます。大学に発し大学に終つてこの予算がきまる。そのきまつたものを法律案或いは政令案文部省がそのまま移す、これならば大学は文句はないと思います。併し、大学の意思できまつて参りました、意思というか、大学がずつと承知いたしてきまつて参りました予算政令或いは法律に移しますときに、第三者である私立大学ない或いはその他の学識経験者が入りました設置審議会というものが中に介在いたしまして非常に強く働くというような点になりますると、或いは大学側においてその自治を侵すというような異論が出ないではないと心配いたしますけれども、先ほど来申上げておるように、大学の創立についはいろいろ条件もあり、大学設置審議会が教員組織を見ておりますから、実際問題としまして文部省がこの諮問機関意見を聞くという程度でありますれば、それはそれ自身として結構だと思つております。
  135. 高橋道男

    ○高橋道男君 この間参考人の意見を聞いたときに、木下参考人に私が質問いたしましたときに、この定員表が法律から落される場合、大学設置審議会において諮問を受けるというようなことについての考えはないかと申したことについては、今そこまでは考えていないというようなお答えがございますしたが、只今局長お話によりますと、文部省としてはそういう意向を持つてもよろしいというようなふうにとつてよろしうございますか。
  136. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) この点につきましては国立大学側の意向を聞きませんと、又思わざる障碍が出て来ることを虞れるのでございますけれども、私どもの立場から言えば、どなたの御意見を聞くということも、これはまあ広く聞くことは結構でございますが、大学設置審議会のような学識経験者の集まつておるかたがたの意向を聞くことは我々としては結構でございます。ただ非常に国立大学がそれを希望されるかどうかということは、先ほど来申上げているように国立大学予算それ自身をそのまま機械的に移すその場合に、第三者が介入して来るということをむしろ国立大学としてはお厭いになりはしないかという一点の懸念が残つておるわけでございます。
  137. 高橋道男

    ○高橋道男君 大学設置審議会とは別に国立大学協会というものがあることを聞くのでありますが、これは国立大学が全部加盟しておるものであるかどうか。又こういう問題につきましてはどの程度に関与するような見解を持つておるのかどうか。その点念のために……。
  138. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 国立大学協会は国立大学が全部加盟しておられます。それから又国立大学協会は常にあらゆる国立大学の希望をまとめられまして、予算の際その他におきまして総合的全般に共通な問題について文部省に御要望もあり又御注意もございます。又文部省といたしましても、国立大学に関しまする諸般の行政につきましては国立大学の御意見をあらかじめ伺つたり或いは事後に報告したり非常に密接にいろいろ御意見を伺うことにいたしております。従いまして只今のような問題は、これは国立大学協会と御相談するというか御意見を聞くということであれば、国立大学のほうは別に自分たちの自治に反するというような御懸念はなかろうと思います。
  139. 高橋道男

    ○高橋道男君 今度のこの定員法を下すという問題については、あらかじめその国立大学協会にはお聞きにはならなかつたのでしようか。
  140. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) これはかなり時間が差迫つていたしたことでありますので、決定の前には御意向を伺いませんでしたが、決定の後におきまして役員会のお集まりに御説明申上げまして御了承を得た問題でございます。
  141. 高橋道男

    ○高橋道男君 問題を少し移したいと思いますが、大学院がまだできていないところが相当あると思いますが、今年度はこの表には、まだ法律が出ておりませんけれども、増設のお考えはないのでありますか。
  142. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 昨年御審議頂きまして十二の大学院を設置いたしまして、学年進行が出発したばかりでございますので、その学年進行充実に二十九年度は努力することがいいと考えまして、それ以外に手を拡げなかつたのであります。ただ明後年度三十年度に至りますると、御承知のように新制医科大学が卒業生を出す時期になつて参ります。十九の学部がございますが、これに対して大学院を設置する段階が三十年には参ると思つております。従いましてそれ以外の大学大学院を置くということは、この医学部、歯学部について考慮いたしましたあとになるのが順序じやないかと考えております。
  143. 高橋道男

    ○高橋道男君 私はこの法律から研究施設なり教育施設を外すということになつておるので、大学院までも外されるのじやないかというようなふうに実は受取つたのですけれども、そうじやないのですね。
  144. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 大学院も附置研究所も或いは総合利用の研究所もこれはこのまま法律施設に置くわけでございます。
  145. 高橋道男

    ○高橋道男君 もう一つお尋ねいたしたいのは、去年の法律で東京と大阪の合同研究施設が、名前をはつきり覚えておりませんがそういうふうなものができたことを記憶しておりまするが、この間のうち三崎の臨海研究所に行つて実際を、まあ尤もプライベートに見たのでありますが、あれは東大の附設でありますけれども、東大以外の大学教授なり学生なり相当たくさんのものが集つて研究に従事しておるというか、研究に来ておる実際を見たのでありますけれども、こういうものは早速にでも取上げてそういうものを合同研究の施設にするほうがいいように思つたのでありますが、そういうお考えはございませんか。
  146. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 臨海実験所も只今指摘のような共同的な色彩を持つておりますので、私どもといたしましては成るべく早く共同利用の研究施設にいたしたいのでありますが、共同利用の研究施設にいたしますには、相当部門を完備いたさなければなりません。臨海実験所につきましては昨年も或いは又本年も御審議頂きましたように、この日本の周囲の海の状況を考慮いたしまして、まだあちらこちら増設の途次でございます。日本海面には佐渡に置きましたし、或いは又高知に置きましたし、熊本に或いは瀬戸内海に本年置くというふうに各種の海洋の状況を見て一応これを行き渡らせまして、その次にそれぞれの施設を充実して参りたい、これを部門を置く程度充実いたしますれば綜合利用の研究所にいたしたいと思います。法律ではまだ総合利用の研究所になつておりませんけれども、実際問題といたしましては始終臨海実験所長会議というような連絡を以ちまして、お互いの協力は進めつつあるわけでございます。
  147. 高橋道男

    ○高橋道男君 もう一点お伺いしたいと思うのですが、大学の一般課程と、それから専門課程とございます。それに教授が配当されておる。その教授が一般課程の講座を持つておるものは専門課程は持たない。或いは両方とも持つておるというような、大学によつて勿論違うようでありますけれども、その教授の資格などについては何かはつきりとした制度上の規定があるのでしようか。
  148. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) この点につきましては、別に制度上何も資格の基準はないのでございます。ただ大学設置審議会でその教授を審査いたします場合に、教授歴、或いは業績等を見ますけれども、その場合に一般教育担当向きであるとか、或いは非常に特殊な専門教育担当向きであるかというような点は、一応それを判断の基準にはいたしますけれども、何ら御指摘のような資格の基準別というようなものは制度上ございません。
  149. 高橋道男

    ○高橋道男君 大学院教授につきましても、昨年も一応問題に考えたのでありますが、只今のような大学設置審議会でこの教授大学院教授にも該当するというような判定をしておられるのかどうか、それも念のために伺います。
  150. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 大学院になりますと、学部教授とは大学設置審議会のこの審査におきましてはその基準が非常に違うわけでありまして、教授歴におきましても業績におきましても、これは学部教授以上に厳密な基準を以てその教授組織充実しているかどうかということは判断されております。
  151. 高橋道男

    ○高橋道男君 東大だけに教養学部という学部があることを聞くのですが、そこでは一般課程の科目を担当しておる教授大学院教授に当つておるということを聞くのですが、これは事実上そういう指導ができる資格を持つておるのかどうか、何かそういう言葉が当るかどうか知りませんが、程度の低い教官が、人がないためにそういうところに当つておる、当分されておるというようなことにも考えられるのですけれども、そういうようなことじやないでしようか。
  152. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 東京大学の教養学部は、御承知のように、他の総合大学における教養部と違いまして、これは四年の課程を持つておるわけでございます。他の総合大学の教養部はこの三十六爵位の一般教養と外国語だけを教えておる。この点におきまして、東京大学の教養学部は他の学部と同様な実力を持つ教官を以て組織せられておつて、教養学部でございますから、国際問題とか何とかというような、かなり広い領域の専門教育をやつておりまするけれども、高さ、深さにおきましては十分実力がありと判定せられるかたが教授としておりますために、大学院教授としての資格審査に合格せられた次第だと考えます。
  153. 高橋道男

    ○高橋道男君 その教養学部大学院教授などにも講座費とか或いは研究費とか、そういうものはほかの大学院教授と同様に支給せられておるのでございましようね。
  154. 稲田清助

    政府委員稲田清助君) 学部講座大学院に関連いたしますものにつきましては、研究費は講座研究費として考えております。これは大学によりまして、一つの学部でありましても、大学に関係しない部分と関係する部分と学科が分かれておりますれば、その間は扱いを異にいたしております。
  155. 川村松助

    委員長川村松助君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案に対しましての総括質問は、この程度で以て終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」」と呼ぶ者あり〕
  156. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  157. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。  それじや休憩いたします。    午後零時四十四分休憩    —————・—————    午後二時五十一分開会
  158. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは只今より再開いたします。
  159. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 午前中荒木委員の御質問にかかりますところの、昭和二十七年度決算報告書の国立学校の項におきまして、流用の御質問がございましたが、超過勤務手当につきまして一億六千六百万円の流用がございまして、その内訳として、給与費からの流用があつたかどうか。これはございました。  それから次に大学院特別研究生給与から一千一百万円の流用、これもお話通り流用いたしたのであります。これは昭和二十七年度に医学部を除きまして、他の学部につきましては、特研生の制度の最後の年に当りまして、丁度五年目に当つておりまして、これの欠員分がございましたので、この欠員分を流用いたしたのであります。  その次にお尋ねのございました、職員の旅費が不足しておつて教育研究旅費からの流用があつたかどうかというお尋ねでございまして、原則としては、これは課目は同じでございますが、一応流用禁止になつておりますので、原則としては認めておりませんが、二十七年度は御承知の通り特に流用いたしましたのは、この職員旅費の中に学生の実地指導の旅費と、それから就職斡旋等の厚生補導の旅費が入つておりました。学生の実習の、実地指導の旅費が非常に不足しておりましたし、特に二十七年度におきましは、就職問題がやかましい時期でございまして、厚生補導の旅費が非常に不足したのでございます。そこで一部教育研究旅費からの流用を認めたのでありまして、学校からの申請に基きまして、やむを得ずこれは認めたものでございます。ちよつと速記をとめて頂きたいのですが。
  160. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  161. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。  それでは次に世田ケ谷学校の御報告を伺います。
  162. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) それでは世田ケ谷都立学校建築工事につきまして御報告申上げます。  先ず第一に事件の経過でございますが、二十七年度の新築の明正小学校の塀が倒れましたので、PTAが建築工事に不審を抱きまして、区会議員を通じて工事の再検査を提案させたのでありましたが、これは否決されました。そこでPTAは署名運動を展開して事の実現を図りましたので、ますます事が大きくなりましたのです。そこで昨年の七月二十七日、区の監査委員は二十七年度工事につきまして東京都建築業審議会に鑑定を依頼しました。一方区民の監査請求がその後成立しまして、これは十月七日でございますが、区民の監査請求が成立しまして、区の監査委員は昨年の十月十四日、都の建築業審議会に二十六年度と二十七年度の建築の鑑定を依頼しました。  そこで建築業審議会は両年度に建築した学校から九校を抽出しまして十一月十日から十一月二十五日に亘りまして検査を行いまして、別表に述べますような結果を回答したのでございます。この監査結果は区の監査委員会から二十九年の二月中旬にこれは公表されました。  そこで公表になりました監定の結果でございますが、これは明正小学校初め九校でございます。その九校につきまして、一般の構造はどうであるか、階段工事はどうであるか、或いは小屋組みがどうであるか、それにつきまして優良可否とつけたわけでございます。又仕上げにつきましては屋根工事の仕上げがどうであるか、或いは天井工事の仕上げがどうであるかということを調査いたしまして、これも優良可否をつけました。その結果或いは良であるとか或いは可であるとかいうような結果が出たのでございます。  そこで区の監査委員会の監査公表の結果といたしましてこういうことを報告しております。これらの結果を招来した原因につきましては、各方面から探求する必要があり、今ここに即断を下し得ないところである。区議会並びに理事者に対しては抜本的対策を講ずるよう要望するが、特に下記事項については可及的速かに措置を講ぜられたい。イといたしまして、建築の不良部分に対する措置といたしまして、審議会監定成績可以下の建築に対しては早急に補修補強などの措置を講ずることは勿論であるが、二十六年度、二十七年度の建築の全面的調査を行い適当な措置を必要とする。  それから口といたしまして機構の改善、人事の刷新を挙げております。それからハといたしまして、契約事務の改善を挙げております。これが区の監査委員会監査の公表の概要でございます。  そこで区といたしましては、監査の結果が別表の通りでありますので、特に明正小学校と赤堤小学校ですか、この両校の不良箇所につきましては現在二区で補修実施中であります。又区は十名から成る特別委員会を構成して対策を決定する方針であります。  それから建築業者に対する処置といたしましては、出入り禁止或いは弁償などの措置を考慮しておるそうでございます。  それから東京都の措置といたしまして、今回事件の発生に鑑みて、特に二十三区の教育長に対し、戒告を発し、工事の指導を強化し、今後誤りの生じないよう措置したそうでございます。以上世田ケ谷の区立の学校建築工事の不正につきましてとられた措置につきまして概略を御報告申上げました。
  163. 相馬助治

    ○相馬助治君 相当の国費が出ている仕事が不正に行われているということは枚挙にいとまがないとまで言われておるのですが、持に学校についていろいろ噂をされていましたけれども、集団的に新聞等において表面化した問題としては今度の不正事件は大きな問題だと存じまして、新聞の報道だけでは信がおけないと思うので、私は同僚諸君の賛同を得て文部省に報告を願つたわけですが、只今の管理局長の報告によりますると、明らかに今までの契約事務がまずかつたり、機構人事がまずかつたり、且つ又不良箇所が現存するという報告だと思うのです。そこで文部省にお尋ねしたいのですが、この問題に対して文部省としては基本的な問題としてどのようにお考えになつておりますか。取りあえず東京都に対して何らかの手を打つというような用意がございますか、お伺いしておきます。
  164. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 公立文教施設の建築費に対しまして文部省から補助金を出しておりますことは御案内の通りでございます。従つてその補助金が正当なる目的に使われまして所期の実績を挙げるということは最も望ましいことでございますが、間々地方におきまして問題を起しておりますことは、これは事実でございます。現に会計検査院のほうからも指摘されておりますし、又行政管理庁のほうからも指摘されておりますので、その都度調査をいたしまして弁明を申上げておるような次第でございます。誠にかような事態が起りましたことは遺憾なことでございます。私どもといたしましては、予算配分の際におきまして、都道府県の教育委員会のほうに対しまして、絶えず御注意は申上げ、又文書等によりまして慎重を期するように御依頼申上げてございますが、何分殆んど全国の市町村に跨る工事でございますので、中にはどういたしましても問題が発生することがございませす。これは会計検奔院からお叱りを受けるまでもなく、私のほうといたしまして十分戒告をしておるのでございますが、今後ともかようなことのないように十分機会を見まして御注意を申上げるつもりでございます。又今回の世田ケ谷区立の学校建築工事につきましても、これは東京都に対しまして何らかの注意を促す必要があろうかと思つていますが、なおその点につきましては十分検討いたしました上で、更に状況を詳細に調査した上で、必要あれば注意の措置をとりたいと、かように考えております。
  165. 相馬助治

    ○相馬助治君 私どもがこの文部委員会でこの問題を問題に供して文部当局から説明を求めておりますのは、事態を調査しろという主目的ではなくて、こういうふうな不幸な問題に対して、今後再発しないように、当然文部省としてもその責任において何らかの処置に訴えられるであろうということを期待して私はその報告を求めたのですが、それが何らなされていないので只今質問したわけです。近藤局長の答弁によりますれば、十分今後注意したい、そうして具体的には何らかの注意をするか、何らかの処置をするかは未だ決定していない、こういう答弁ですが、私の聞いたことに間違いがなければ、この問題は一土建会社の不正というような問題でなくて、区議会の一部の者と管理者とがぐるになつて、そうして東京都の係官をも疑惑が持たれることがあるとすら噂されているような、非常に計画的な事件だと思うのです。従いましてこういう意味合いにおいては、私は当然、注意をするなんという生やさしいものでなくて、何らかの措置に出なかつたならば、これは今後こういう問題はいよいよ続発して行く危険すらあると思うので、私はこの処置が未だきまつていないという答弁に満足することができないのであつて局長としては私見だけでもよろしいが、どういうふうな具体的に措置して行こうとするか、重ねて伺つておきたいと思います。
  166. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) この世田ケ谷の学校の不正事件の例でございますが、これは東京都に起つた事件、又府県におきましても市町村の学校建築の際に、これは会計検査院から指摘されて承知したのでございますが、いろいろ問題がございます。現在会計検査院から指摘されまして、二十六年度、二十七年度の工事につきましては、目下決算委員会のほうで御説明申上げ、弁明申上げておるところでございます。そこでこの東京都の例も含めまして、かような不正工事が行われまするにつきましては、先ほど申上げました通り誠に遺憾でございます。これは私どもの本当に予期しない方向に補助金が不当に使用されておるということでもございますので、この点につきましては誠に申訳ないと思つています。
  167. 相馬助治

    ○相馬助治君 不当でなくて不正なんですよ、この事件は。
  168. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) はあ。そこで今後結局かようなことが起らんような措置につきまして、何らか手を打たなければならんということは、これは勿論でございますので、私どもといたしましては、なおよくこの事態を調べまして、文部省として、管理局としまして、できる範囲内におきまして必要な警告なり或いは注意を促す処置をとりたいと考えております。
  169. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 ちよつと関連して承わりたいと思います。公立文教の施設費の配分につきましては、一応都道府県が配分のまあ斡旋役と言いますか、一応取りまとめをやつて、市町村に参りますと、市町村がその管理の責任者になる。それで府県はただ配分するだけで実際上の監督権はないと思いますが、指導助言だけはあるかも知れませんが、実際の工事監督というようなものはないと思いますが、東京都におきましても区が責任者であつて、都はその監督権はあるのですか、ないのですか、どちらでしようか。
  170. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 御指摘のように、公立学校の例えば特に小中学校の建物につきましては、これは設置者の市町村の仕事でございます。建築につきましては特に教育委員会からそれを市町村の公共団体に委任しております。公共団体がその工事をするわけでございます。従つてこの例は、東京都におきましても区の教育委員会はその建築の実施につきましてはこれを区長に委任しております。従つて教育委員会の系統ではないわけでございますが、併し教育委員会において意見がある場合には地方公共団体の長はその教育委員会意見従つてやらなければならん。これが今の建前でございます。
  171. 相馬助治

    ○相馬助治君 剱木委員質問は、私も質問を逐次展開して行く場合にやろうと思つたのですが、近藤局長にお尋ねしますが、この種の建築は公共団体である市町村がやるということはわかりております。ところが市町村長というのは公選されている。ところが区長というのは御承知のように、これは特別行政区と設定されて公選されていないのです。そのいない区長は、行政の体系から行くと、直接地域住民に責任を負うのではなくて、直接には都知事に責任を負う形になつている。市町村と全く別なんです。こういう場合における管理者としての区長を眺めて見たときに、一体都に責任があるのかないのか、普通の府県知事の責任とは全く違う形なので剱木委員がお聞きになつたと思うのです。明確にお答え願いたい。又よくわからなかつたら答弁上でお茶を濁すのではなくてお調べを願いたい。
  172. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 東京都の区の教育委員会はその建築の実施につきましては、これは区長に現在委任しております。それが現状でございます。
  173. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  174. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を復活。
  175. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 地方自治法二百八十一条でこういう規定がございます。「特別区は、左に掲げる公共事務及び行政事務で、国又は都に属しないものを、法律又はこれに基く政令の定めるところにより処理する。」とありまして、「小学校、中学校、幼稚園及び各種学校を設置し及び管理し並びにこれらに関する教育事務を管理し及び執行すること。」地方自治法にこういう規定があるわけであります。従つて特別区は法律又はこれに基く政令の定めるところにより処理するわけでありますので、学校建築につきましてはこの規定で執行されるわけであります。併しながらその場合に教育委員会法の関連にもなりまするが、然らば区の教育委員会は建築の実施をするかどうかという規定になりますと、それは区教育委員会は建築の実施はやりませんで、これは特別の区長さんに委任するという関係になつております。
  176. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  177. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記復活。
  178. 相馬助治

    ○相馬助治君 東京都のように特別行政区としての区を持つている場合の学校建築の管理者の責任の問題については地方自治庁その他に質したいことがありますので、その問題は暫くおいて、私が次にお尋ねしたいのは、世田ケ谷のこれらの事例を見ると、当時社会党及び共産党においては不正事実ありとして大衆に訴えてこの問題を公けの問題に供していたのです、私の調査によれば。ところがこれは一部政党のためにする策動であるとしてこれが不問に付され、正規にこの工事は適法になされたという判定が与えられ、契約書とか金銭の授受がすべて終つて後にこういう問題が起きて、そうして調査をしたところが不正があつた、こういうことになつているわけです。そうしますとここで問題になるのは、一体この工事は適法になされていると判定したものは誰だかということなんです。一そうしてその責任はどうなのか、こういうことです。それらの点について文部省は御調査になつておりますか。
  179. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) そういつた点につきましては、先ほど御報告申上げました程度しか只今のところは判明いたしておりませんので、只今のようなお話の点につきましては、なおよく調査いたしませんと、はつきりしたことは申上げられません。
  180. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこれについて一応調査を持つておりますが、間違うといけないので、文部省においてよく調査して下さい。  次の問題は、監査の結果三つの判定を下しているわけです。一つは特別委員会を作れ、これはまあ作れるからよろしいでしよう。  次の問題は土建業者に不正の金銭が支出されているから、これを取戻せとこういうことが書いてある。これは今までのこの種の監査では、私の知つている範囲ではなかなか珍らしい判定なのですが、一体こういうことが、先例等があつて、且つ可能であるというふうに管理局長はお考えですか。というのは、契約書に基いて土建業者は仕事をやり、そうして契約書に基いて監査を受けて校舎ができ上つている。そうして金銭の授受が全部終つたところが、一つ監査の結果金を返せと言われても、これが刑法上何か不正であるとでも断定されて、法の力を以て金を返させるのなら法があるかも知れないが、監査がそのような勧告をしただけで以て、土建業者から金を一旦支払つた金を奪い返すことができますか、お尋ねします。
  181. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 工事の場合の契約書によりまして規定がある場合には、今のお話のような措置もできるかと思うのでありますが、これは具体的にその契約書の内容を拝見いたしませんと、できるかできんかということはちよつと一概には申上げかねるのではないかと思います。
  182. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は今のことは非常に重大だと思うので、その契約書を一つお調べ願いたいと思うのです。と申しますのは、その契約書に一律、或いは二年間においては不正事実が発覚した場合には、当然それだけの費用は支払う、土建業者が支払うというような契約でもあれば、これま法律にかかわらず、その契約書の文面によつて可能だと思うのです。そういうことがないならば、どうもこれはうまく行かないと思うのです。そこで学校の契約等に対しては、当然文部省の管理局としては、念の行つた契約をするように指導をする必要があろうと思うのです、将来。そこでお尋ねするのですが、一つ契約書を調べて下さい。そうして又この契約についてまで立入つて指導していた事実があるかどうか、こういうことについてもちよつと触れて御答弁願います。
  183. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) お話のございました契約書の内容につきまして更に御調査いたすつもりでおります。それからこの契約書の字句につきまして指導したかどうかということでございますが、それにつきまして、今までさようなことをした記憶はございませんが、まあ今後問題といたしまして研究はしてみたいと思つております。
  184. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大体相馬君が聞きましたが、私一つ確認しておきたいことがあります。  この工事の不正事実は文部省として認定しているのか、認めているのかどうかという点、その点を一応聞いておきたいと思う。それからあの土建業者は、自分の手で再びその修理をしたい、その不正があるなどということは以てのほかだという意見を新聞紙上で述べているようですが、そういうことが果してなされるのか。又前に工事をやつたところの土建業者の手によつて再び修理をする、いわゆる修理をして、その損失ですね、今相馬さんの言われたような、それをカバーするというような意味だつたと思うのですが、そういうことが果して許されるのかどうかですね。再びその前の土建業者にそういうことが許されるのかどうかという点ですね、その点二点だけちよつと確認しておきたい。
  185. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 文部省はこの不正を認めているかどうかということでございますが、先ほど私が経過を御報告申上げたことでございまして、その御報告の趣旨から申しますると、大分工事に手抜きがあるような報告でございます、監査の結果は。そこで通常こういうようなことは恐らくあり得ないと思いますので、この点につきましては、これは監査結果を認めていいのではないかという気持を持つております。それからその修理の場合に、当該業者をそのまま使つてやらせるということでございますが、これは私の記憶に間違いなければ、まあ本人に手抜かりがあつたのだから、それを補えというような話合いができますれば、その業者にやらせるということも恐らくあり得るのではないか。例えば弁償という意味でございますが、お前の工事がこれだけ粗漏であつたから、お前はその分だけ手直ししろというような場合もこれはあり得ると思います。従つて必ずしもその当該業者にやらせることはいかんということじやないのじやないかと思いますが、その点につきましては、なおいろいろ具体的に調べて参りませんと、はつきりしたことはわかりませんが……。
  186. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一度お尋ねいたしますが、文部省はみずからの手でこの問題をまだ究明していない。従つて文部省の手で事実調査がしてないから、その不正があつたかどうかということはまだ確認できないというのですか。不正があつた、工事に手抜かりの点があつたということは確認しておるということなんですか、どうですか。
  187. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 先ほど御報告申上げました程度の報告を東京都のほうから入手しましたので、なお先ほど申上げましたように、只今のところはその程度でございますので、更にこれを、もう少し詳しく調べまして、文部省として、これが本当にこういう点が問題であるというところまで更に突き詰めたいと思つております。ただこの区の監査委員会の鑑定の結果がございますので、それを見まして御意見を申上げたのでございますが、更に本当にこれはいわゆる不正、まあ会計検査院に指摘されますいわゆる不正でありますか、どうですか。その点はなおよく文部省といたしましても追究してみたいと思つております。
  188. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この問題は先ほど相馬さん御発言あつたように、私らの党でも前々から警告を発しておつた問題なんですね、それがたまたまこういう状態で表面に現われて来たので、我々としては非常に関心を持つている点なんです。それで場合によつてはむしろ文部省の調査が遅々として進まないような状態で、変な方向にこれが行くならば、我々としてはやはり現地調査もし、それからその現地の人達の声も、直接やはりこの委員会として聞く必要が生じて来る。そういうふうに考えておりますので、一刻も早く文部省はつきりした見解をここで述べてもらいたい。そういうように考えます。
  189. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 承知いたしました。
  190. 田中啓一

    ○田中啓一君 これは何でございましよう。学校を作るに当つて、国が補助金を設立者たる地方公共団体に与えるという趣旨の金でございましよう、出ておるのは。それからお答え願います。
  191. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) その通りでございます。
  192. 田中啓一

    ○田中啓一君 そこで補助金をそういうふうに出す場合には、当該地方公共団体と国との間に私は条件と言いますか、契約と言いますか、そういつたものがあると思うのですが、この件についてもそういうものははつきりあるはずだと思いますが、如何でありましようか。
  193. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) これはいわゆる文教施設費といたしまして、国から出ます補助金の配分の基準の問題でございますが、これにつきましては、御指摘のように文部省と都道府県の教育委員会に対しまして、一定の基準を示しまして、その基準によりまして予算配分するわけであります。従つてその基準によつて教育委員会が更に管下の市町村に配分するということになるわけでありますので、その基準というものはございます。
  194. 田中啓一

    ○田中啓一君 私の申すのはそういうことじやないのです。基準というのは恐らく何でしよう、金額をきめるための数字的なものだと思うのですが、そうじやなくて、工事を満足にやらなければ補助金は、返せと、そういうような公法的というか公法的契約書のようなものがなくてはならんはずだと、それは土地改良であろうと災害復旧であろうと皆あるはずなんだ。ですから、これにも私は当然あるのだ。こう思つておりますが、その点は如何でしよう。
  195. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 勿論あのお話の点は、補助指令の問題になると思います。
  196. 田中啓一

    ○田中啓一君 そうそう。
  197. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) その点につきましては、勿論補助指令の際に、これは条件が付くわけでございます。これはその通りでございます。
  198. 田中啓一

    ○田中啓一君 その中に、申請の通りの工事でなくて、そのできたものに瑕疵のあるようなものを作つた場合は、補助金は返還を命ずることもあると、まあ文言はどうか知りませんけれども、そんなような趣旨の私は条項がなくてはなるまいと思いますが、それはありますか。
  199. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 国の負担金を交付するという仕事は、只今のところは都道府県の教育委員会に委任してございますので、従つてその間の補助指令その他は、その委任に基きまして、都道府県の教育委員会と、当該市町村の間に契約が結ばれるわけであります。従つてその中に必要な規定は、十分こういつた場合には返還を命ずる、不正不当に金を処理した場合には返還させるという規定は勿論ございます。
  200. 田中啓一

    ○田中啓一君 そういうわけでありまして、近時非常に補助事業の工事によくない工事が多いということは、実にやかましい問題になつておる際でもあり、まあここで問題になるくらいこの件はやかましい問題でありまして、これはそういうことであれば、都の教育委員会を督励をして、或いは督励でなかなか将があかなければ、みずから踏み込んで、私は文部省はおやりになつて、そうして補助指令の条項というものを実行して行くということは、やはり文部大臣の責任であろうとこう思いますので、これはしつかりおやりにならなければならんものだ、こう思いますが、如何でありますか。
  201. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連質問。私は田中委員意見と全く同意見なんで、それを私は局長に田中委員言葉に附言して私は強く申上げて、田中委員への答弁を願いたいと思うのです。というのは小学校の子供というのは、地震、暴風火災等の避難能力が低いために、官庁やその他の建築基準よりも遥にやかましい基準が文部省で作られているはずです。で、問題は、そういうふうに基準が作られている、その基準にその建物が合致しているかどうかということが一つ、それからその次には不正工事の二十六校が、殆んど設計仕様書違反を犯している。これがもうはつきりしているのです。あなたの手許にもその程度のことはわかつておいででしよう。するとそういう違反、そして又ここに問題になるのは、三千万からの金が修理費に必要だということなんです。そうしますと文部省のお膝元でこのような残念な問題が起きているときには、一つのケースとして、当然管理局は乗り出して、この実態を調査し、そうしてただ注意するというのじやなくて、現実に即して今後の強力な指導をしなかつたならば、私はかような不正工事は跡を断たないと思うのです。地震でもあつたらどうしますか。これは一年経たずして雨漏りの学校だなんてどうしますか。一つかかる状況考えて、田中委員質問に対して、厳粛な態度で一つ決意を述べて下さい。
  202. 近藤直人

    政府委員(近藤直人君) 田中委員並びに相馬委員からの只今お話、誠に御尤もな御意見でありますので、早急に事態を更に調査いたしまして、必要な措置をとるようにいたしたいと思います。問題はまだ私どものところに参つておりまする報告書では、先ほど概略申上げました程度でございますので、実は甚だ本日不十分な御説明に終りまして申訳ございませんが、お話もございまするので、更に詳細調査いたしました上で、必要な措置をとるようにいたしたいと思つております。
  203. 相馬助治

    ○相馬助治君 速記中止して……。
  204. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記中止。    午後三時三十八分速記中止    —————・—————    午後三時五十四分速記開始
  205. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をつけて下さい。  本日はこの程度で散会して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がないようでありますから、本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十五分散会