○剱木
亨弘君 大臣がお見えにな
つて頂きまして、この際実は今までにいろいろ
いきさつなり各
委員からも承わりましたが、大臣特にお見えにな
つて頂きましたのは、私
どもの気持としてどうか一つこれを、まあ過去のどうこうということでなしに、呼来に亘りまして、速かにこの
接収解除の状態になるように御尽力頂きたいというつもりで、特に大臣にお願いして来て頂いたわけでございます。今
大阪商大の学長から、
大阪市立大学の学長から
陳情がございましたが、私
ども文部委員会といたしまして、先般
市立大学に参りまして、親しくその現場を見て参りました。実は見る前は、遠いものですから、幾らか感じてはいましたけれ
ども、切実に現場を見まして、これではという気にみんな行
つた者がな
つたのでございます。それで又
外務省なり特別
調達庁のほうでいろいろ今日まで
接収解除につきまして御尽力頂いております点も、重々私
どもも
承知いたしております。ただ併し問題は、
病院施設であ
つた場合に、これが速かに
施設がなくなれば、
返還されるであろうという期待感が相当強く、又その期待感において
学校当局もずつと信奉して来ておる。ところが今日それがこの
海兵隊に転用されて、その期待が裏切られて、而も
先ほどからも御
説明ありますように、来年の十月までは
使用する、併しその後についてはわからない、なお、これに対して、そう長いことはないから、できるだけ早く
返還するようにするからというようなことでございますけれ
ども、
病院について、
病院がなくなるという場合に、殆んどこれは期待感が
誤解であ
つたというような、今
関参事官からも
お話がございまして、相当客観的情勢としては、その
病院がなくなれば返るであろうという期待をするのに、四囲の状況からい
つて、私は無理がなか
つたと思うのであります。ただそのときに、
はつきりとした
返還をするという
約束がなか
つたというだけでございます。今日
海兵隊が
使つて、そう長くないからというので、十月までは
使用するが、その後は言明できないという状況では、すでに
病院の問題において、その期待が根本から裏切られ、十月以降において、
学校当局は返るであろうという期待を持つということは、今日においては私は無理だと
思つておるのでございます。今学長から、学生諸君が非常に自重されて、そして非常な慎重な
態度で運動しておるということを、私聞かされたのでございますが、私
どももこの学生の代表、教職員の代表のかたがたと親しく会
つて、その
お話を承わ
つたのでございます。
只今私も、学生諸君に、どうかこの問題につきましては、私
どもも及ばずながら努力をするから、学生は学生としての
態度として、慎重な
態度でお
つて欲しいということを学生諸君に
希望をいたしました。そして帰
つて参
つたのでございます。ただ今日におきましては、丁度休暇中でございまして、恐らくこの学生全体としては、まだみんながどうという状態にな
つていないけれ
ども、新らしい学期が始ま
つて、みんなが来た場合に、学生が果してその一部のかたがたが慎重な
態度でおるということは、とめられるかどうか、これは私
ども学生の気分、気持を
考えますとき、これはなかなかむずかしい問題ではないかと思うのであります。今学長からも
説明ございましたが、現地は金網で張られて、丁度
接収の中にぽつんと島のようにあ
つて、金網を通して、而も
自分らの学窓のグラウンドで、
向うの一部の兵隊たちがときどき演習をしますが、野球をや
つて楽しんでおる。
学校のほうは少しの運動場も、運動する所がないというような状況になりますと、これは金網一つで目に見られるのでございますから、あの中で
教育をされておるという学生の気分というものは、相当私
どもが
考えましても、これは学生が不満に思うのは無理はないという感じが、私
どもも感じて参
つたのでございます。それで、今占領されておるものをすぐ、即座に帰れ、これはいろいろ、
合同委員会におきましても、いろいろなお
話合いの
関係もあろうし、又非常に困難な問題であろうと思いますけれ
ども、又すぐ私
どもも、それが全面的にすぐ
返還になることはむずかしいと思います。併しここで何らか
返還に向
つて、
政府としての御努力によりまして、例えば少くとも何日までには
返還する、その一つの
はつきりした目当てを示してもらいますとか、或いは又地図で見るとわかりますが、
学校の校舎も、今
入口はグランドの横のほうから狭いところを通
つて入
つて、非常な横道から入
つておる、その前のほうの通路も今閉鎖されて、
向うだけが
使用しておる、そういうところでございますから、今
接収にな
つた校舎の直前に出島のように
接収地が入
つておりまして、そこにチヤベルを建てておるのでございます。少くとも
学校の中に入
つて、こぶのように人
つた面でも
解除して、
向うに持
つて行けば、いつでも建てられるような空地があるようですから、そうしますとか、或いは又校舎の裏のグランドくらいは
解除するとか、何かそうい
つたような面につきまして、少しでも
政府の好意というものを表わして項かないと、私は到底、学生についても、学長は勿論御立派なかたですから、学生の
教育上、学生運動についても十分責任を持
つていらつしやると思いますけれ
ども、なかなかむずかしい問題ではないか、御苦心がある問題ではないかと忠
つておるのでございます。それで特に、曾
つて文部委員会と水産
委員会で水産
大学の問題についていろいろ
政府にお願いして、大体片付くような方向に向
つて参りました。併し水産
大学の場合は、これはその
接収と申しますか、校舎を
使用しておるのは
日本政府内部の問題であ
つて、特に久里浜は元元軍の
施設でございます。
先ほどもいろいろ尽力して頂きまして、
教育施設としてはそれ一つにな
つて、そこまで尽力したんだという
お話がございましたが、私から申しますれば、一つにな
つた場合に、ただ一つしか残
つておらんのをなぜ
解除できないかということが非常に大きな問題で、どこにもまだたくさんあるというなら
学校も辛抱できるけれ
ども、
自分の
学校だけがどうして
接収をしたままでやらなければならんかということが、むしろ一つにな
つた故に、余計切実な
希望があると
考えるのでございます。そういう
意味合いにおきまして、今までも随分御努力して頂きましたし、又努力の仕方が悪か
つたとか何ということは私
どもちつとも
考えません、ただ十分のことをして頂きました。併し今日に至りましては、
病院が再び
海兵隊に転換され、而も
病院になる前は
海兵隊がお
つたのである、その
海兵隊と同様の部隊かどうか知りませんが、その
海兵隊が、
病院を作るためにどこかにお
つたものか、
病院をなくして又その
海兵隊が帰
つて来た、ここでなくてはおれないということは、
ちよつと想像ができないのです。この代替
施設ということに、あそこはグランドもあり、環境もよし、非常に適当であるということは、私
ども想像つきますけれ
ども、又この際
政府があれに代替
施設を建てて予算上大きな、国家予算を以て
作つて、そこに入れるということも国の財政として非常に困るだろうと
考えますけれ
ども、その犠牲にな
つておるものが
市立大学であり、同前に又
大阪市の義務
教育の諸
学校であるということを
考えますときに、私
どもは何とかしてこの際早急に
接収解除になりますようになお一段の御努力を頂きまして、できますならば夏休が終了するまでに何とか目鼻をつけて、その全部でなくても、一部でも、そういう将来への
希望ができますように、重ねて御尽力頂きますように、切にお願いいたしたいと思います。