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1954-02-23 第19回国会 参議院 文部委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十三日(火曜日)    午前十一時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            相馬 助治君    委員            木村 守江君            田中 啓一君            中川 幸平君            吉田 萬次君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            永井純一郎君            長谷部ひろ君   政府委員    文部政務次官  福井  勇君    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    文部省管理局長 近藤 直人君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部大臣官房総    務課長     福田  繁君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育文化及び学術に関する調査の  件  (今期国会提出予定法律案に関する  件)  (昭和二十九年度文部省関係予算に  関する件) ○学校給食法案永井純一郎君外六十  七名発議) ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは只今から文部委員会を開会いたします。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をつけて。  それでは予定法案説明を求めます。
  4. 福田繁

    説明員福田繁君) 本国会文部省として提出予定しております法律案内容につきまして簡単に御説明申上げます。  お手許に差上げてあります資料を御覧頂きますと、十四件掲げてございます。先ず第一番目の学校教育法の一部を改正する法律案、これは盲学校聾学校小学部が丁度今年で義務制になります。小学部が全部義務制になりまして、二十九年度から中学部義務制か進行するわけでございます。現在の学校教育法規定内容からいたしまして、義務制が逐年に進行するような形になつておりませんので、これを一年ずつ逐年に進行させるような規定改正いたしたい、こういう趣旨内容でございます。  それからもう一つは、大学医学部及び歯学部修業年限に関しまして従来の年限とは変りありませんのですが、その内容につきましていわゆる四年の専門課程と、それから二年の進学課程というものを、俗に進学課程と申しておりますが、二年の進学課程というものをはつきり明記いたしまして、そして医学部歯学部を置いていない大学にもそういつた進学課程を置きまして、そしてそういつた大学からも医学部歯学部専門課程に入り得るような途を講じたい、こういうことを明瞭にする意味改正でございまして、これはすでに当院のほうに予備審査をお願い申上げておる次第であります。  それから二番目の国立学校設置法の一部を改正する法律案でございますが、これは二十九年度予算に対応いたしまして学部の分離、それから短期大学の新設、それから定員行政整理関係整理、或いは学年進行によりますところの増加というようなことをこの内容といたしておるもので、ございまして、これにつきましてもすでに一番目と同じように予備審査をお願いいたしておるものでございます。  それから三番目の公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案でございますが、これは従来中学校におきましては御承知のように基準坪数を〇・七坪で押えておりましたのでありますが、これを二十九年度から生徒一人当り一・〇八坪に引上げるということに予算措置がきまつたのでございます。従いましてそれに関する改正をいたしたい、こういう趣旨で、これもすでに予備審査をお願い申上げております。  それから四番目の教育公務員特例法の一部を改正する法律案でございますが、これは従来公立学校教育公務員につきましては地公法の三十六条の規定によりまして政治的行為制限規定されておりますが、これを今回教育中立性を維持するという観点から国外公務員でありまするところの教育公務員と同様な制限にいたしたい、さような趣旨内容でございます。これはすでに御承知のように衆議院にすでに提出されております。  それから五番目の義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案でございますが、それもすでに四番目と同様に衆議院にすでに提案されておりまして、内容といたしましては何人も学校教育法第一条の学校教員職員を主たる構成員とする団体等を通じまして義務教育学校教職員に対しまして教育基本法第八条二項によつて禁止されておりますところの政治教育を行うことを教唆し、或いは扇動するよろな行為を規制しようという趣旨のものでございます。これがいわゆる政治的中立確保に関する法律案でございます。これは衆議院提案されておりますので不日御審議をお願いできると考えております。  それから六番目の教育委員会委員の任期の特例等に関する法律案、これは二十九年度予算におきまして、のちほど予算説明の際にも申上げるかと思いますが、教育委員会委員選挙は従来二年ごと半数改選制度でございましたが、これを今度改めまして四年ごとの一斉選挙に変えたい、こういう趣旨法律案でございます。ただこの際お断り申上げておきたいと思いますのは、これはこういう形で文部省から提案される予定でございましたが、関係省と話合いの結果自治庁から公職選挙法の一部改正として提案されるというように大体きまつておりますので、そういつた点を御了承願いたいと思います。  それから七番目でございますが、学校給食法案、これはかねてからいろいろ御関心の深い法案だと思いますが、文部省といたしましては二十九年度予算に相当な、原額の半額で支給するというような点につきましても昨年よりやや上廻わつた経費を農林省に計上してございましたので、そういつた点を加味いたしまして学校給食についてこの学校給食のありかた、或いは学校給食補助に関する規定を織込んだ学校給食法案というものを提案いたしたい。こういうことで目下これを鋭意進めておるわけでございます。  それから八番目の盲学校及び聾学校児童生徒に対しましてこの関係予算といたしましては約四千八百万円計上することができましたので教科書を無償で給与し、或いは学校給食を行い得るように、そういつた点を規定いたしまして、その要する経費の二分の一を国庫補助にしよう、こういうような趣旨就学奨励に関する法律案というものを提案いたしたい、こういう考えでおるわけであります。  それから九番目の教育公務員特例法の一部を改正する法律案でございますが、これは現在地方先生がた採用の際にいわゆる条件付任用となりまして、これは地方公務員法規定にそうなつておるのでございますが、六カ月間の条件付任用という制度がございまして、或る村から或る村に転任した際に新規採用というような形をとられるのでございます。そういつた点を改めまして、その教員条件付任用を外して行きたいという趣旨のものでございまして、これを至急提案いたしたいということで準備を進めております。  それからその次には十番目の教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案でございますが、これにつきましてはかねてからこの免許制度簡素化というような点もいろいろ御論議がありましたように記憶いたしております。そういつた趣旨もございまして、この際免許状の種類を簡素化いたしますと同時に又校長、教育長指導主事等のこの免許状をはずしまして任用資格にするというような方向で以て現在研究いたしております。そういつた内容を含めました免許法改正を今国会提案いたしたいということで、目下準備を進めております。  それから十一番目の学徒援護会法案でございますが、これは現在御承知のように学徒援護会という財団法人がございまして、学生のアルバイトその他学徒援護を主たる仕事としてやつている団体がございます。その団体特殊法人にいたしましてその学徒援護事業に今後いよいよ力を入れて行かれるように、そういつた強化を図りたいという趣旨特殊法人を作る法案でございます。これも一応事務的には検討を終りまして、提案できるように準備を進めておる次第でございます。  それからその次の十二番目の文化功労者年金法の一部を改正する法律案でございますが、現在文化功労者年金法に基きまして年金を受けておるかたで、恩給を受けているというような場合におきまして恩給法規定でこの高額停止の事由として恩給外所得をもらつておる場合におきましては停止規定があるのでございます。そこでその恩給外所得とみなさない年金をもらつている者については、恩給外所得とみなさないようにはずして行こうということで、これは文化功労者年金を支給されておるもののためにこういう措置を講じたいと、こういう趣旨のものでございます。  それから十三番目の文化財保護法の一部を改正する法律案でございますが、これは現在の文化財保護法の全般につきまして規定整備を図りたい、こういうような趣旨のものでございます。従つてこの重要文化財或いは史跡名勝天然記念物埋蔵文化財、それから民族資料とか、そういつたものに関しまして、更にこの保護に関する規定につきまして全般的に整備をし、遺憾のないようにしたいという趣旨の下に現在検討を進めておりまして、これもできれば提案をいたしたいということで事務的には進めております。  最後文部省設置法の一部を改正する法律案でございますが、これは御承知のように政府といたしまして国家公務員定員制ということをやることにいたしましたので、文部省におきましても二十九年度それから三十年度二ヵ年に亙つて定員整理をいたさなければなりませんので、それに伴いまして若干の事務整理等を行いますために必要な改正をいたしたい、こういう趣旨のものでございますが、これはまだはつきり出すということを申上げる段階ではないのですが、一応予定としては掲げておる次第でございます。    〔委員長退席理事劔木亨弘着席〕  以上簡単でございますが、一から十四までの一応提出予定法律案として掲げておりますものを提案したいという趣旨で進めております。  なおこのほかにいろいろ御要望のございました僻地教育振興法につきましては、これを作成いたしますまでにまだいろいろ案がきまつておりませんので、省略いたしたものでございますが、これは両院で以て僻地教育振興ということにつきまして、御決議のありましたことも十分尊重いたしまして文部省としてはでき得れば僻地教育振興法のようなものを作りたいということで事務的にはこれを進めておる次第でございます。若しでき得ればそういつた方向でお願いを申上げたいと思つておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  5. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ちよつとお諮りしますが、只今提出予定法案説明がございましたが、これに対しても御質疑があるかと思いますけれども、一応文部省の二十九年度予算につきまして内藤会計課長から説明を聞きまして、そのあとで一括して御質疑を頂くようにしたら如何かと思いますが如何ですか。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それではお手許に配付いたしました文部省所管昭和二十九年度予定経費要求額重要事項別表がございますので、この表に従いまして御説明をさせて頂きます。  この文部省予算総額は、最後ページを見て頂きますと、文部省所管合計、四ページの終りでございますが、二十八年度が千六十一億九千五百万、それに対しまして、千百八十三億二千四百万となつておりまして、差引増額が百二十一億二千九百万、こういうことになつておるのであります。これを前年度の国の予算総額に対しまして比較をとりますと、前年度が約一〇%でございます。それが二十九年度は一二%に上つておるのであります。この中で非常に大きく殖えましたのは義務教育費国庫負担金の約百億の増額と、国立学校運営費の三十億の増額であります。で、この二つが大きいのでありまして、御承知通り一兆予算の枠内でいたしましたので、十分なことができなかつた点は遺憾に思いますが、以下これにつきまして詳細に御説明申し上げたいと思います。  第一に、義務教育国庫負担制度の実施は、前年度の五百九十四億、それが二十九年度は七百億になつております。このうち給与費が六百八十六億で、教材費が十四億、給与費は御承知通り小中学校盲学校聾学校等義務教育先生及び事務職員に対する本俸、その他の諸給与についての二分の一の負担であります。で、このたびは現行法通りいたしまして、前年度に基きまして特例法を出さない、こういうことで同時に地方財政の調整をいたしまして、実支出額の二分の一を負担すると、こういう基礎に基きまして積算されておるのであります。そこで人員のほうを申しますと、二十八年度の大体人員をとりまして、現員現給、昇給分を見込みまして、更に来年は小中併せまして約百万人の児童生徒増加がございますので、この百万人の増加に対応する教員といたしまして二万人を新たに見込んでおるのであります。この見込方は、大体増加学級というものを各学校別に調べまして、その殖える学級に対しまして、小学校は六分の七、中学校は六分の九、六学級に対しまして七人、中学校は六学級に対しまして九人、こういう算定をいたしまして、実績主義で組んだのが六百八十六億、こういう数字であります。それから教材費負担金が十九億から十四億に減りましたので、五億の減額でございますが、これは、この教材費の中で一番大きい地位を占めておりますのは理科設備と、図書館図書でございます。    〔理事劔木亨弘退席委員長着席〕 そこで先般の国会で、理科教育振興法及び学校図書館振興法が成立いたしましたので、この中から理科に相当する部分と、学校図書館図書及び設備に充当するものを差引きましたのであります。で、理科のほうで約四億、学校図書館で約三億、計七億程度のものが増加されております。ですから、この分が五億減額されたわけであります。  次の文教施設整備でございますが、これは前年総額で九十四億、これが八十二億となつておりまして、十二億七千二百万という大巾な削減が行われておりますが、そのうち特に問題の点は、この災害関係の分は、一番しまいの(4)に、公立文教施設災害復旧費補助というのがございますが、これは前年の十三億が十億に減つております。これは災害年度区分によるものでありまして、十三号にいたしましても、西日本にいたしましても、大体六割四割で出しましたので、二十九年度減額なつているのであります。そこで主として大きな削減は、この公立文教整備であります。で、一般公共事業費については二割削減するというのが一応政府方針であつたわけでありますが、国立文教施設につきましては、非常に今整備が遅れておりますし、戦災復旧も遅々としておりますので、前年同額を認めてもらつたのであります。それから公立文教のうち主として大きく減りましたのは、老朽校舎関係であります。老朽校舎が前年二十二億でありましたのが、二十九年度は十四億に減つたのであります。で、勿論政府の当初の案は十二億であつたのですが、国会修正で十億増加なつて二十二億、それがまあ十四億となつたのですが、その算定基礎は、一応本年度二十二億の補助金と七十五億の起債で、約百億の金で老朽校舎の改築が相当できたと、こういう前提の下に今後三カ年間で整備する、こういう方針を立てまして、十四億という数字なつたわけであります。そこでその代り六三制の校舎義務教育年限延長のほうにつきましては、前年度十億であつたものを十四億に殖やしまして、一人当り〇・七坪を一・〇八に引上げた。これは昭和二十九年の五月一日を基準にいたしまして、そこまでの生徒数をとりまして、一・〇八まで引上げた。それに要する経費として十四億を上げたわけですが、それは大体十カ年計画で、この一・〇八まで全部引上げる、こういう考え方であります。  次の国立及び公立災害につきましては、只今申しましたように、年度区分による分でありまして、合せて約三億三千万程度減額なつたものであります。  それから次の育英事業等拡充でございますが、これは前年三十四億七千九百万円が、二十九年度は三十九億一千八百万円、四億三千八百万円の増加なつております。そのうち育英事業のほうが四億三千五百万という増加で、学徒援護会のほうが三百万、こういうふうになつております。そのうち育英事業につきましては、特に大学院が発足いたしましたので、従来大学院につきましては、月額四千円で見ておりましてた奬学金を六千円に引上げた。更に特に優秀で将来学術研究後継者になるようならば従来の特研生に相当するものがございますので、この分につきましては、月額一万円の制度を新たに作つたのであります。それと学生生徒増加分がございますので、大学学生につきましては二〇%、高等学校生徒は三%となつておりますので、その分が伸びておりますので、その増加分を見込んで四億三千五百万、こういう数字になつたのであります。  それから次の援護会につきましては、前年三千四百万が、三千七百万となつておりますが、三百万の増加はこの前年度の三千四百万の中に、三百万円は大阪の学徒援護会設立補助ということになつておりましたので、この中から三百万円が不要になるわけであります。それを併せますと六百万円の増額、うち二百万円が給与ベースの改訂、残り四百万円が京都の学生会館設立に対する補助金であります。  次の産業教育振興でございますが、これはほぼ前年同額というところに漕ぎつけたのであります。で、最近まあ高等学校設備のほうは非常に御心配頂きまして大体徐々に整備されて来ましたので、高等学校設備につきましては一定基準に達するものを残り三カ年間で充実すると、こういう方針の下に五億を、約二億の減額になつたのは相当基準に達したと、こういう意味でございます。それからまあその代りに特に新らしく施設費補助金を出すことにしたのであります。建物が非常に古くなつたり、或いは狭かつたりしますので約二億三千万円の建物補助金を出したのであります。これは不均等是正計画の十カ年計画高等学校産業教育学校施設整備をしよう、こういうことで二億三千万円はこれは新規に計上されているのであります。その他は大体ほぼ前年と同額でございます。特に高等学校指定校が落ちたことは非常に残念でありますが、あとは大体前年同額、それからそのうち産業教育教科書発行助成、この補助金一般補助金整理という点から落ちたのでありますが、将来発行部数の少い産業教育教科書については国定にしたほうがいいかどうか、こういう問題も絡んでおりますので、特に少額補助金整理するということでこの補助金は落ちたのですが、産業教育教科書行政上支障のないように十分検討いたしたいと考えております。  それから五番目の理科教育につきましては先般通りました理科教育振興法に基きまして、十カ年で小、中、高等学校理科教育設備を充実する、こういう前提の下に四億が計上されております。主としてこれは理科教材、教具の類でありますが、一定基準を設けまして、その基準のうち現有設備を差引いた残額を十カ年で整備する、こういう趣旨でございます。  それから学校図書館も同様な考え方でこれは五カ年で整備する。基本図書をきめまして小、中、高等学校で、小学校例えば三百、中学校五百とか、高等学校七百とか、基本図書の数をきめまして、それに現在持つている現有図書数を差引きました不足額五カ年で整備する。この理科教育も、学校図書館もともに二分の一の補助であります。  次の勤労青少年教育振興でございますが、七番目であります。これはこのうち定時制設備費補助一つ、それから通信教育運営費補助二つでございます。それから青年学級運営費補助定時制及び通信教育のほうは定時制高等学校及び通信教育振興法に基くものでありまして、これも一定基準を設けまして十カ年で整備するという規定の下に通信教育と併せて一億と、定時制設備費補助として九千百八十万円、通信教育が約一千万、併せまして一億であります。これは新規に計上されたものであります。  それから青年学級運営費のほうは前年七千百万ほど認められておつたのですが、本年度は六千六百万円に、約六百万程度減額なつておりますのは、補助率の変更に伴うものでありまして、補助金整理に非常な打撃を受けまして、漸くここまで持つて来たものでありまして、これは三分の一補助が四分の一補助なつたためであります。  それから次の学術振興でございますが、学術振興のうち一番大きな経費は、これは科学研究費の八億八千五百万が前年同額の八億八千五百万、これは政府提案では約七億でございましたが、国会修正で一億八千五百万の増額になつた分であります。特に科学振興の重要の折から、これは補助金でも減額を受けなかつたのであります。  それから学術情報事業拡充につきましては若干の増額をしております。民間学術団体補助、これは前年通りであります。  それからあとページにございますが、在外研究員派遣というのがございますが、これが六千万円認められております。これは優秀な大学先生方旅費であります。一般旅費は二割の削減を受けたのですが、特に学術振興という点から、大学先生方在外研究に要する旅費については削減を受けないで前年同額が計されたのであります。  それから九番目の私立学校助成でございますが、これは三つございまして、私立学校教職員共済組合事業、これは私立学校教職員共済組合法に伴いまして事業費補助金事務費の分であります。事業費については一割、十分の一の補助、それから事務費の全額、これを見込みまして二千八百万円が計上され、約千九百万円の増になつております。それから次が振興会出資金、これが前年十五億でありましたが、五億に削減されて、十億の減であります。これは非常に大きい削減でございましたが、前年大体十億の計画をいたしておりましたので、前年十五億になつて、政府提案は一応十億でありましたが、国会修正で五億増額された。そうしてこれが五億に今度減額されたわけでありまして、その積算の基礎は、大体今までの私学の復興の全体計画はそのままにいたしまして、これを七年間で完成するという考え方で五億になつておりますが、実はこのほかに三億の返還金が本年度見込んでありますので、八億ということになるわけであります。三億の返還金と、政府出資の五億、併せて八億が本年度運営資金になると思うのであります。  それから私立学校建物災害復旧費補助、これは先ほど御説明しましたように、西日本と十三号に伴う災害費補助であります。  それから十番目の地方教育委員会の育成でございますが、これも若干の増額程度にとどまつておりますが、地教委を廃止しろという地方制度調査会の意見もありまして増額が困難であつたわけであります。地教委関係で、この設置費が約二十八億これは確保いたしましたが、先ほど総務課長から御説明がありましたように、一方のほうは四年選挙費用が十五億かかりますが、このほうは半数交代をやめて同時選挙にする。こういう方針の下でこの選挙費は一応落したわけであります。  それから次の十一番目のユネスコ活動及び文化財保護事業、これにつきましては、ほぼ前年同額度なつておるわけであります。ユネスコのほうが百三十万の減額であります。  それから文化財のほうが約二千万減額なつておりますが、文化財のほうは中尊寺の分が済みましたので、実質的にはほぼ前年と同額であります。  それからその次の、その他重要事項のうち、一番目の義務教育教員の資質向上ですが、これは若干の減額に、或る程度減額なつておりますが、その減額の大きいものは、一番最初の教職員の研修等、それが前年一億が二百六十八万円と、約九千八百万円の減額なつております。この減額補助金整理という点からこれが落ちたのですが、実はこの教職員の、これは免許法に伴う認定講習の旅費補助の分であります。過去すでに五年ほど、四年乃至五年ほど実施して参つたのですが、この免許法改正を考慮しておりまして、この関係で、十五年間くらい勤めますと、大体この試験検定で免許状がもらえるようにする。つまり教職経験を非常に重視いたしまして、従来の認定講習が評判が思い点もございますので、成るべく履習単位を減らそう。そうして教員負担を軽減するということで、一応私どものほうは折衝したわけであります。そうしますと、大体三千万円になるわけでありまして、三千万円ですと、六十万の教員ですから、非常にまあ零細になりますので、まあ少額補助ということで、これもやむを得ず犠牲にしたわけであります。  それからあと教員検定試験、これは若干増額なつております。  それから現職教育講座開設、通信教育講座開設、共に減額されましたのは、先ほど申しましたように、認定講習の単位を三分の二ほど減らす、そうして履修単位を減らしますから、経験年数を重んじて履修単位を減らすということから来る当然の減額であります。  それから義務教育教科書の無償配付、これが全額削除されましたのは非常に私どもも遺憾に思つておりますが、これにつきましては、一方ではこの生活保護法教育扶助で或る程度見ております。で、そのほうは厚生省所管の経費に計上されておりますが、大体前年度の実績に比べまして一億三千万円程度のものが増額されております。で、困つておる子供に対しては、父兄、児童に対しては、生活保護法のほうで見る、こういう趣旨でこのほうは落ちたわけであります。あとで申上げますが、その代りというわけでもないのですが、まあ盲聾の児童には、全員について教科書を無償でやるということにいたしましたので、この教科書無償の線は、特殊教育の面においてまあ活かしたということであります。  それから三番目の教職員の保健管理、これは前年より六百五十万円ほど減額なつておりますが、主としてこれは保養所の創設費の補助金であります。これは設立個所が減つたわけであります。  それからその次の特殊教育振興、これは若干増額なつておりまして、前年度三千四百万が五千二百万円と、約千七百万円の増額であります。これは特に乏しい予算の中から、できるだけ特殊教育、或いは僻地教育に重点を置きましたのでありまして、教員の養成講習の経費が四十万円新規に認められた。それからこの特殊児童の実態が明らかでございませんので七十万円と、約四十三万円の増額をいたしまして、相当精密に実態調査をいたそう、こういう趣旨であります。  次の盲聾学校教員の養成、これはほぼ……、前年より若干減額されたのでありますが、盲聾児童就学奨励費の補助、これが約千八百万円増額されております。この就学奨励費によりまして、気の毒な児童……、大部分が盲聾の児童の父兄は貧困でございますので、これは教科書は全員に無償でやる。それから給食は大体六割程度に無償でやる。そのほか通信費、通学費と言いますかね、帰省、面会旅費等は従前通りということで、これも大体六割程度を見込んでおります。この特にこういう気の毒な児童に対する就学奨励をできるだけ行なつてみたい、こういう趣旨でございます。それから盲聾学校設備費補助は、これはもう大体小学校も完成いたしましたので、一応落したわけであります。  それから次の僻地教育振興でございますが、いろいろ僻地教育振興につきましては、一般からの強い御要望もございますので、乏しい予算の中で余り増額はでなかつたのですが、若干の増額をしたのであります。そのうち僻地教員教員養成といたしまして約百万円の増額をいたしております。それからその他はこの教育内容につきまして、僻地学校向きの学習指導書、手引書等が、ございませんので、この教育資料を作つてやる。単級、或いは複式学級、或いは僻地に即応するような教育内容の指導でございます。それが六十三万円、これも新規に入つたわけでございます。  それから次の実験指定校。そういうふうに資料を作りまして、各僻地でいろいろと研究協議される、そのために指定校を作つたわけでございます。この指定校補助費が八十六万五千円、これも新らしく認められたわけであります。  それから次の僻地の小中学校教員宿舎の建築費補助、これはほぼ前年同額……、若干増額でありますが、殆んどまあ増額というほどのものではございませんのでございますが、これで百二十二戸の建物を来年度作るという計画でございます。  それから次の学校給食助成でございますが、これも約五千万円の増額を新たに認められたのでございます。そのうちの学校給食設備費補助として五千万、これは農林省の所管の食糧管理特別会計のほろに小麦の分として約十七億程度が見込まれておるのであります。更にミルクの利子補給と併せまして、大体十八億程度のものが農林省所管のほうに計上されております。それに対応する分といたしまして、学校の給食の設備が十分でないという点で、この建物及び設備の新設に要する補助金でございます。で、これによりまして、できるだけ現在学校給食を行なつていない学校に、学校給食を行うように助成するための経費でございます。  それから七番目の小中高等学校の教科内容の改善でございます。これは特に最近いろいろ教育内容の問題がやかましく言われておるから、終戦後特に学習指導要領とか、或いはその他の教育内容に相当な改訂を加えなければなりませんので、この経費が計上されたのであります。  それから八番目の諸外国との留学生及人物交換。この中で新らしく入つたのは、二番目の留日外国人の留学生招聘というので七百二十万円新らしく新規に計上されたのであります。これは月額二万円ですが、約三十人分を見込んでおるのであります。主として東南アジアの国際交流という観点から東南アジアの留学生を招聘するという考えからでございます。  それから在外研究については先ほど申上げた通りであります。  それから次は幼稚園教育振興、これは幼稚園の設備費補助、これも補助金整理で非常に苦しんだのですが、前年と同額に認められたのであります。幼稚園の関係ではこのほかに建物補助金が、施設補助公立文教の中に約五百万円認められております。  それから(11)が社会教育教育放送の振興で、教育放送を大いにこれから振興しようということで一千万円の増額が認められたのであります。  それから教育映画製作普及、これもまあ前年と同額が認められたのであります。  それから社会教育施設の設備整備、これは公民館、図書館、博物館に対する補助であります。これが八百万円の減額なつておりますのは、これも最後まで補助金整理の網にひつかかつて非常に苦しんだのでありますが、従来三分の一補助を四分の一補助に改めて存置さしたわけであります。そのために伴う減額であります。社会教育のほうはこれはこちらのほうで設備を見る。それから公立文教の中に社会教育建物、公民館、図書館、博物館の施設の補助が一千万円計上されております。これは前年同額が計上されております。  それから次の国際美術館の設置、これは五百万円増加が認められておりますが、これは新設しないで既存の建物を借りるか、或いは国のものであれば修繕が要りますが、まあ修繕するか、借りるかということで五百万円が計上されたわけであります。一応建物としては高率補助に上つておる。表慶館とか、或いはその他の建物がございますので、国のものとすればこれは修繕費に使われるわけであります。若し民間のものなら借入れになるわけであります。今後このフランス美術館につきましては、向うから貰わなければなりませんので、その交渉の経過において若し必要が生じますれば、予備金等で要求する考えでございます。それから十五番目のアジア大会の選手派遣、これも新規でございますが、アジア・オリンピツクに出場する分として一千万円の補助金が新たに認められたのであります。デヴイス・カツプの補助金は前年同額、百五十万円が認められております。以上が大体文部本省の関係であります。  13は、それを人件費と事業費に分けた分であります。  最後に十四番目の国立学校運営費として前年二百七十三億が三百三億、三十億の増加なつております。その区分は、国立学校と研究所、病院別になつておりまして、二十二億七千四百万円が国立学校、研究所が約三億、病院が四億、こういうに増額なつております。この中で特に申げてみたいと思いますのは、国立文教のほうに、前年同額が認められた中に、原子核研究所の建物経費として八千九百万円が国立文教施設の中に認められております。更に国立学校のほうでは、設備費として原子核で三千万円ほどの設備費が初年度分として認められております。それから天文台に七十四インチの望遠鏡を作る。これが約三億でございますが、初年度は千二百五十万円が認められて、これは継続事業として認められたのであります。その他水産大学に新らしい千トンの船を造る経費としてこれも約三億ほどでございます。そのうち初年度が一億二千万、これも継続事業として承認された。そのほかに、学部では大阪の学芸に夜間学部を作るとか、或いは神戸大学の文理学部の分離等がございますが、特に愛媛の県立の農学部を出立に移管した。農学部の移管が特に大きいものであります。それから学科では東大の航空学科、京都大学の電子光学科、北大の薬学科、九大の建築科というようなものが学科では認められております。短大では山形、埼玉、岡山、和歌山、徳島、この五つの大学に短期大学が認められ、更に愛知の名古屋の工業大学に機械科の設置をみたのであります。その他講座、特設教科等がございますが、そういうようなものがこの中に認められております。それから大体研究所、病院につきましても、或る程度新規は認められております。以上がこの三百三億の公立学校経費区分であります。  大体以上で文部省所管の二十九年度予算の重要事項を御説明申上げた次第であります。
  7. 川村松助

    委員長川村松助君) 若し御質疑があつたならば御発言願います。
  8. 安部キミ子

    安部キミ子君 義務教育教科書の無償配付でございますが、この現行法規の中で、新たに入学する児童に対する教科書図書給与に関する法律の中でこれを無償配付するということが法律できまつておる。この法規をそのままにしてこちらでこれを抹殺されるということができますでございましようか。
  9. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それはお話のように、できないのでございまして、只今近く国会提案されると思いますが、各省の補助金整理に伴う法案が一本の法案で出ますが、その中に、只今申しますようなものが入つておりまして、その法案の中で、この無償については当分の間その施行を停止する、こういう恰好になつておりますが、別の形で法律案が出ることになつております。
  10. 川村松助

    委員長川村松助君) ほかに御質疑ございませんか。
  11. 相馬助治

    ○相馬助治君 今日は両課長から事務的な報告で、我々としてはこれをお聞きしただけで、法律案内容に連関しての質問は私は当然これは後日に譲らなくちやならないと、こう思つております。ただ併し、ここで私は一言念を入れて置きたいことは、予備審査に付託されておりますが、国立学校設置法の一部を改正する法律案を今福田課長説明なんかを聞きますと、昭和二十九年度予算に対応して改正したのだ、こういうふうなことを書いてある。これは私の言葉を以てすれば、しらばくれておると言わざるを得ない。何故かというと、これは衆議院のほうに提案された速記を読んでみますると、実にこれは抜本的な根本改正を企図しておる。御案内のように、国立学校設置法というものは、各大学定員を政令或いは省令等に委ねぬことを法律で規定している。ところがあの法律を見ますというと、そういう規定を全部政令に待とうとしている。それへもつて来てなお問題なのは附属の機関、例えば附属学校の設置或いは廃止、こういうものも従来全部法律を以て規定して来た。ところがこの法律を見ますというと、全部それも政令に委ねようとしている。これではいわゆるユニヴアシテイ式の大きな大学等については文部省人員の折衝等もできるであろうが、地方大学なんかはいよいよ以て有名無実にならざるを得ない。又大学校というものの原則的な問題に考究して法律を抜本的に直すというのなら私は問題は別だと思うけれども、こういうふうにして昭和二十九年度予算に対応して一部をちよつと改正するのだというような見せかけをして、それで内容的に重大なる改廃をやろうというようなことについては我々としては異見なきを得ないので、この前も委員会でも私ははつきりと、こういうものについては重大なる資料を私たちは必要とする、今こういう資料が欲しいからこれこれのものを出せということは言わないが、当然文部省が自発的にそれらについては、本法案に見合う資料を積極的に出すべきが筋であるということを言うておいたのですが、これについては改めてこの委員会で私は発言をして文部省に対してその態度が甚だ妥当を欠くということを指摘し、その資料を当然私は要求するのでなくて、出して来るべきであろうということを期待しているということを附加えておきます。
  12. 高橋道男

    ○高橋道男君 さつき安倍委員からお尋ねのあつた教科書の無償配布の問題ですね、あれは内藤課長の御説明では、あの法案の一時停止を別の法案によつて提案されるように今伺つたのでありますが、そうして一方生活保護法関係で貧困者に対する無償配付は考慮されていると言つておられますけれども、これは全く法律の精神、趣旨が違うと思うのですね。その論議は別としまして、若し別の法案提出されるはずの無償配付の一時停止ということが否決された場合にはどうなりますか。
  13. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 否決されますれば恐らく当然支出しなければなりません経費でございますので、予備費の中から出るか或いは二十九年度補正予算か、その辺はよくわかりませんが、当然支出しなければなりませんと私は考えております。そこで予備費に一応百三十億見てありますから、そういう必要な経費は予備費から出すようになるか、或いは補正予算のほうになりますか、そういうことになると思います。
  14. 高橋道男

    ○高橋道男君 技術的な点で伺うのですが、二十九年度予算はその点がゼロになつておりますね、そうすると否決されて予算に盛るべき場合には、新たに項目を起さなくちやならないというようなことになると思うのですが、その点はどうなんですか。
  15. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) あれは項の文部本省費だと思いますので、科目の設置でいいのじやないかと思います。ですから国会の御承認を経なくてもいいのじやないかと思いますが、その点は技術的な問題ですから、もう少し研究して又御説明いたします。
  16. 相馬助治

    ○相馬助治君 安部君、高橋君の質問に連関して議論はありますけれども、議論は暫く置くとして、こういうふうな予算措置をしたとするならば、当然今言つたように議論が生じて来るし、廃止しなければならない法律があるはずでしよう。するとこれは当然文部省としては、提出予定法律案の中に入つて来るのじやないのですか、そういう責任を持つているのじやないのですか。
  17. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは政府方針政府でどういうふうにきめるかという問題ですが、文部省としては、若しこれが単独に落ちますならば、お説のように文部省所管で提出しなければならんのです。ところが各省共通な補助金制度という二十九年度予算編成の方針がございまして、そのときの閣議提出資料によりますると、補助金整理に伴う法案は一括して出す、こういうことになつておりますので、勿論大蔵省が中心になりまして、関係各省と協議いたしまして提案することになつております。
  18. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は閣議了解事項は知つております。それは政府の都合を言うておるので、この法案を審議しなくちやならない当該文部委員会としては、どういう形で出て来ようが、最終的にはここで審議しなくちやならないと思う、その廃止ということについては。あれは従つて、今政府としてどういうふうな形で考えているのだということを、今私としては聞いているのです。
  19. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 只今のところ一本の法律にいたしまして、補助金整理に伴う法律といたしまして一本の法律とする。その中には文部省所管或いは厚生省所管、農林省所管、所管別に条文が分けてありまして、それぞれの所管で落ちる分は第何条、どういう法律案のどこを落すという、こういう一本の法律で、それを特別委員会にお掛けになるのか、或いは大蔵委員会にお掛けになるのか、どこへお掛けになるのか、その点は私存じませんが、一応政府としてはそういうまとまつた補助金整理に伴う法律案として、一本の形で提出する、こういうことだけはきまつているわけであります。
  20. 相馬助治

    ○相馬助治君 ちよつと速記をやめて下さい。
  21. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をとめて。    〔速記中止
  22. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて。
  23. 高橋道男

    ○高橋道男君 順序を考えない発言になるかも知れませんが、ちよつと急ぎますのでお聞きしたいと思います。  項目の12の(7)の教科内容の改善の問題にも関連がありますが、仮名文字の教え方について昨年、当時山本勇造委員から質問をされて、まあ山本先先ほど私は巧みな表現はできませんけれども、憲法その他法律など最近のもの、或いは新聞などでも、世上多くのものが平仮名で書かれておるということの理由で、小学校の一年生に先ず平仮名を教えることになつたことと思うと、ところが文字を教えるのに殊にあとで高学年において漢字を教えるというようなことになる場合には、平仮名を教えるよりも先ず片仮名を教えておかないと教育上非常に困るというような所論の上から、一年生に先ず片仮名を教えたらどうかということを当時あれは九年度の新学期からでもそういうような一年生に仮名文字を教えるというような方策でもはつきり立てられておるのかどうか、それをお伺いしておきたいと思います。
  24. 福田繁

    説明員福田繁君) 只今高橋先生の御質問でございますが、私の記憶では当時山本先生非常に御熱心に学校教育におきまして先ず片仮名を先に教えるべきじやないかというような御議論であつたと思います。それにつきましてはその後文部省におきましても、いろいろ研究いたしておりますけれども、結論といたしまして山本先生の御所論に従うような結論がまだ出ていないように思います。
  25. 高橋道男

    ○高橋道男君 当時の大臣の話では如何にも直ちに手をつけるというような、相当関心の深い態度であつたのですけれども、未だにその結論が出ていないということについては、相当事務当局に怠慢があるのではないかというような感じがするのですが、その点について。
  26. 福田繁

    説明員福田繁君) その点につきましては当時の岡野大臣が直ちにこれを実施するというように申上げたかどうか、その辺はよく存じませんが、研究いたしまして、できればそういう方向に行きたいというふうなお考えで述べられたのではないかと記憶いたしております。従いまして事務当局といたしましては、まあ各種の委員会もございますので、そうした点も十分研究いたしました上でやりたいと、こういうことで目下研究いたしております。
  27. 高橋道男

    ○高橋道男君 無論当時大臣からは直ちに実施するというような御答弁はなかつたのですけれども、首肯すべき意見であるから、まあ実施する方向に持つて行きたいというような意味に私は受取つておるのですが、成るべく早急に検討をして頂いて、これは法律案による必要もないことでありますから、行政措置でできることでありますから、私も山本先生の意見には賛成なんでありますけれども、そういう措置がとられることを希望して、本日はこの問題はこれで終ります。
  28. 相馬助治

    ○相馬助治君 私資料を要求しておきたいのです。この昭和二十九年度予定経費要求額重要事項別表について、今会計課長が百二十一億の増であるという説明をされております。これは予算数字の上ではこういうことが出て来ることはわかるのですけれども、御承知のように政府の意図に反して、いわゆる富裕府県に半額国庫負担法の定めによつてやる分を落そうと考えたことが落し得なかつた。それでその分をこの予算のところに計上しているから、帳面づらだけは金が殖えて来てしまつた。現実にはこの予算というものは全然増なんかないというふうに我々は認識しておるわけでありますが、このところを即ち一項の義務教育費国庫負担制度の実施の中の事務費負担金、それから教材費、みんなおのおの項を分けて富裕府県分ですね、政府が当初落そうと意図した分のものが幾らで、それ以外の当然政府が出そうと思つていた分が幾らで、それで合計が幾らなんだということを明細にした資料をこの次までにお示し下さい。
  29. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは非常にはつきりしておりますからここで申上げておきますが、資料の分はあとで差上げることにいたしまして、この富裕府県の分につきましては今考慮しておりますが、十二月以降の分が落ちているわけであります。ですから十二月と一月、二月、三月と、この四カ月と期末勤勉手当等に伴う分として二十七億八千万を要求しておりますので、これが近くきまると思いますから七百億から二十七億八千万お引きになれば増額経費が出るわけであります。
  30. 相馬助治

    ○相馬助治君 約二十八億のことは過年度予算、今は年度予算ですけれども、将来過年度予算になる分の約二十八億の増のことはわかつているのです。いわゆる政府がロスだといつている分でしよう。私が聞いているのはそうじやない。昭和二十九年度予算に当初政府予算予定したものは、そういう富裕府県にやらないと思つていたんでしよう。ところがあの法律が打切ることができなくなつてしまつて、自由党の総務会から押し切られちやつて、富裕府県にやらざるを得なくなつたのでしよう。その分ですよ。
  31. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは入つております。
  32. 相馬助治

    ○相馬助治君 いや、入つているその内訳を聞かしてくれというのです。
  33. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 前年度予算額の中に五百九十四億、その中の給与費が五百七十五億の中に富裕府県の分が幾ら入つているかということですか。
  34. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうです。算定基準を示してくれというわけです。
  35. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ですから、この考え方は前年度予算額の五百九十四億に二十八億足しますと、これで富裕府県にも全部やつたことになるのです。それと七百億との差引が正規の増になるのです。来年度の純増になります。
  36. 相馬助治

    ○相馬助治君 トータルじやないのです私の言うのは。それを問題にするのじやなくて、こういう算定をした基礎というものは何県に何ぼ、何県に幾ら、何県に幾らというのを集計してトータルが出て来るのでしよう。
  37. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そうじやないのです。この基礎ですね、やはり人員を全部とりまして、各県の総人員予算基礎は出しておりますから、現員と現給を押えまして、ですから、更に又その奥へ遡ればお話のように各県別のがございますが、一応の予算基礎としては現員が五十何万なら五十何万、こういたしまして単価は平均単価何ぼ、こういうふうにいたしまして、それに昇給額を見込みまして、更に増員分につきましては先ほど申しましたように増加学級数というものを学校別に調べて、それに小学校で六分の七、中校で六分の九、こういうことであります。ですから総額としては前年度予算額の五百九十四億に二十八億を足しますと、それが本年度の一応の予算額になるわけです。それに翌年度七百ですからその差額が一応正規の増、こう見て頂いていいと思うのです。
  38. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を中止して下さい。    〔速記中止
  39. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をつけて下さい。  ほかに御質疑ございませんか。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 今これを出して頂きましたが、私どもも一応研究いたしまして後日又頂戴して質疑をすることにいたします。   —————————————
  41. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは一応お諮りいたします。本日の公報には掲載しておりませんが、委員会の開会前の理事会におきまして、永井君ほか六十七名の発議にかかわる学校給食法案提案理由の説明をお聞きすることにいたしましたが、理事会の決定通り只今から発議者の提案理由の説明を聞くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議なければ聞くことに決定いたします。
  43. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは只今から学校給食法案提出者を代表いたしまして、私から簡単に理由を御説明申上げたいと思います。本法案趣旨を御説明いたしますとともに、その内容の概略について申上げたいと思います。  わが国の学校給食の歴史を概観いたしますと、その起源は、約五十年以前に遡るものといわれておりますが、昭和に入りまして、児童の保健、学校衛生等の見地から漸次その重要性が認められ、実施校数も著しく増加の傾向を示すに至りました。そのため政府は、昭和年度から給食問題を正式に採り上げ、これに対し国庫から経費支出の途を講ずるに至つたのであります。昭和十六年度の総計によりますと、当時の給食実施校数、約一万、給食人員数は約八十万人に達しております。ところが同年、勃発しました戦争の激化に伴いまして、学校給食もまた実施は次第に困難を加え、遂に昭和二十年には殆んど休止、空白の形で終戦を迎えたわけであります。  戦後、昭和二十一年十二月から学校給食は再発足をいたすこととなり、主として援助物資を基礎といたしまして、急速に普及発達を見ることとなりましたが、このような援助物資或は援助資金の上に築かれた給食制度は、極めて不安定のものであつたことは当然であり、昭和二十六年六月、従来、給食に関する政府配給物資の財源でありましたガリオア資金の打切に直面するや、忽ち動揺し学校給食に対する国庫補助は、中止の危機に瀕したのであります。併しこれに対し世論は、猛烈に反対いたしましたため、結局二十七年四月以降は、給食用の原麦代については全額国庫負担から半額負担に減ぜられ、ミルクはすべて父兄の負担に切りかえられまして僅かに現在に及んでいる次第であります。  今日、学校給食教育面において、或いは国民の食生活の改善方策として、更にまた災害対策等の社会政策的の面におきましてもつ重要性につきましては今更申上げるまでもないところでありますが、その普及度は、小学校におきましては、全国約一千一百万人の児童中、五百七十万人に止まりますとともに、中学校においては殆んど実施されてはおりません。併し小学校において漸く育成されました学校給食が、中学校まで延長されることなく中断されますならば、その効果が殆んど無意味に帰しますことは明らかでありますとともに、栄養の補給に悩む夜間の定時制高校の生徒や、特殊の事情にあります盲ろう学校生徒児童等に対する給食の必要もまた早くから世論の強く主張するところであります。而も現在我が国の学校給食の普及度が誠に微々たるものであり、最近では更に減少の傾向さえありますのは、一に給食費、給食設備費等に対する父兄負担の過重に原因があるものと申さねばなりません。  凡そ以上のような学校給食の実情に鑑みまして、一日も早く給食制度を法的に確立いたし、もつて生徒児童等の心身の健全な発育に寄与いたしますとともに、国民の食生活の改善に資するため、今回本法案を発議いたした次第であります。  次ぎに本法案の骨子を申上げますと、まず本法案におきまして、学校給食と申しますのは、小学校中学校、夜間課程をおく高等学校盲学校、ろう学校及び養護学校生徒児童又は幼児及び職員に対して行う給食を指しております。また、このような学校給食につきましては、これを義務制といたしますと共に、その主食並びに副食、及びそれらのものの栄養成分につきましては、文部大臣が基準を定めることといたしました。  本法案は、このような学校給食制度を主として財政的に確立いたしますために、凡そ次のような法的措置を講じております。先ず第一に、政府は、学校給食の実施に必要な数量の小麦粉及び乾燥脱脂ミルクを都道府県に譲与いたし、都道府県は更にこれを学校の設置者に譲与いたすわけであります。このようにして譲与をうけた学校は、これらの物資を無償で学校給食の用に供さねばならぬことにいたしました。  第二に、給食の施設及び設備につきましては、学校の設置者は、政令の定める基準従つて、これを整備いたさねばなりませんが、国はその必要経費の二分の一以内を補助できることといたしました。  第三に、学校は給食を担当いたします、栄養士及び必要な員数の調理に従事する職員を置かなければなりませんが、その職員給与費につきましても、その二分の一以内の国庫補助の途を開きました。  第四に、給食費の父兄負担につきましては、給食の実施に要する経費で政令で定めるものにこれを限定いたしております。なお、政令の定めるところによりまして一定のものには給食費について扶助金を支給できることといたしました。  法条の主要内容は凡そ以上の通りでありますが、なお、附則におきまして、施行期日を昭和二十九年四月一日からといたしておりますため、予算措置関係上、及び学校給食の現情を考慮いたしまして、所要の経過措置を設けております。  以上がこの法案提案趣旨及び内容の概略でありますが、学校給食の誠に憂慮すべき現状に鑑みまして、慎重御審議の上、速かに議決下さいますよう切に御願い申上げます。   —————————————
  44. 川村松助

    委員長川村松助君) 次に議員派遣要求についての案をお諮りいたします。本日の理事会におきまして、派遣の目的は教員の思想調査問題等について緊急に各地の実情調査を行い、今後の審議に資する。派遣議員が第一班は自由党、緑風会、社会党第四控室から各一名、第二班が自由党一、社会党第二控室から一、無所属クラブから一、派遣期間が第一班は五日間、第二班が七日間、三月四日までに全班とも帰ることとし、各班ごとに出発期日を協議する。第一班は青森、茨城の両県、第二班は山口県、静岡県の両県、費用の概算七万四千円を見ております。右参議院規則第百八十条によつて要求する、こういうことを理事会において一応取上げております。改めて委員会にお諮りいたして決定いたしたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければ、さよう決定いたしました。  本日はこの程度で散会してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議なければ散会いたします。    午後一時十一分散会