運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-02-19 第19回国会 参議院 文部委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十九日(金曜日)    午前十時四十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            荒木正三郎君    委員            木村 守江君            谷口弥三郎君            田中 啓一君            中川 幸平君            吉田 萬次君            加賀山之雄君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            永井純一郎君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部警備部長   山口 喜雄君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省初等中等   教育局地方課長  斎藤  正君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教員思想調査に関する件)   ―――――――――――――
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは文部委員会を開会いたします。御質疑のあるかたは御発言願います。
  3. 高田なほ子

    高田なほ子君 緒方局長お尋ねいたします。緒方局長文部大臣相談をしてこういう通牒出したのだという新聞報道がありまして、その御相談なつお話模様等大臣を通してわかつておりますけれども、いつ頃どういうような手続でこれをお出しになりましたか。あなたのお立場から一応伺いたいと思います。
  4. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 文部省初中局考えられておりまする事務の分掌の問題といたしまして、地方教育委員会に関しまする事項については初中局所管事項となつております。初中局事務といたしまして起案をいたしまして、初中局長の決裁で十二月二十三日付で地方教育庁出しております。大臣に御相談いたしましたということは、この問題につきましては前の衆議院の文部委員会つたかと思いますが、大臣自身も話されたこともありましたし、近頃新聞いろいろの事例が出るが、それについて地方状況調査しているということを前に話してもおりましたし、申してもおりました。その書類を出すにつきまして特別に大臣に御相談したわけじやございません。大臣の指揮を受けまして出した次第でございます。
  5. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと、やはりこれは調査をする必要があるという大臣のお考えと、それに対応して初等中等局長としての必要であるという見解からこういう通牒を出された、こういうふうに御答弁になつておる。これで又これも大変新聞報道を元にしてあなたもおつしやるし、私も新聞報道を元にして言うわけですが、これは教育中立性が侵害されていると見られる事件が発生したことからやつたと、こういうふうに、これは何新聞でしようね。朝日ですか何かに出ておるんですが、中立性が侵害されていると見られる事件というのは、その事件の主なものをここで二、三挙げて欲しいと思う。
  6. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは昨日も大臣から答弁がありました通りに、或いは京都の旭ケ丘中学でございますか、これは地方新聞に主として出ております。その種の記事が出ましたので、それに基きまして、そういう事例がたくさんあるとすれば多少調査する必要があるという、ことで出したわけであります。
  7. 高田なほ子

    高田なほ子君 旭ケ丘の問題は、昨晩もラジオで対象になつ子供を中心としてやつてつたようであります。あれを聞きますと大したことじやないらしいんで、結局新聞記事が大したことにしたように思うのですが、そこで伺いたいことは、新聞記事が出たからこういう調査をやつたと言つておられますが、事教育政治的中立性に関する実にこの問題は重大な問題だと思う。むしろそういう新聞が出たときに文部省旭ケ丘中学調査に行かれといろいろ資料をお集めなつたのですか、お伺いいたします。
  8. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 旭ケ丘中学に対しまして直接行つて集めたわけじやございません。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 それではそういう旭ケ丘中学に類似するよう教育政治的中立性が侵害されたというよう事件がそのほかにもあつたと思うが、旭ケ丘中学とは言いませんが、直接文部省が自発的にこれを非常に重大だと考え調査をされた事実があるかどうかをおつしやつて頂きたい。
  10. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) そのほか、その後にも、書面を出しました後でも新聞にちょいちょい出ておるのでありますが、伊勢崎高等学校ストライキの問題がございます。それから或いは滋賀県の「冬の友」でございますか、問題も出ておりました。併し文部省からそれらのほうへ直接に行つて、その新聞に出ておりますところに直接に行つた事実はございません。ただそのほか愛知県或いはこの前この文部委員会に問題になりました山口県の問題でございます。それから岐阜県等に出張いたしまして調べたことはございます。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 群馬の伊勢崎中学の問題が出ましたが、新聞はあれは大分派手に報道いたしましたが、県教育委員会はあの中学校新聞報道するがごとき赤の教育を行なつている事実はないと、明確なこれは結論を出している。そこでそれほど文部省当局教育中立性なんかに心配をされて、執心をされて、全国的に今問題を起すという、こういうようなことがあるならば、文部省自身が足を運んで行かなくとも、その当該学校に対して何らかの調査文書であつてもいいのですが、されたような事実はないですか、どうですか。
  12. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 高崎の問題につきましては、文書で以てこちらから回答を求めたことはございません。ただ教育委員会といたしましては、これはまだ結論的なものではございませんが、ストライキ経過等につきまして報告した書類が参つております。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁によつてお察しするところによると、口では大変心配そうに、而もこういう重要指令を出す段階まで発展しておりながら、なお且つそういう実際の問題について真剣に取つ組まないで、全国的にこういつたよう指令をぱあく出しまくるといつたようなことは、私は文部省の怠慢からする下部に対する甚だしい迷惑だと思う。これは私の見解になりますからここで申上げませんけれども、そういう馬鹿な怠慢なやり方は私はないじやないかと思う。  第二に御質問いたします。最近校長が小学校子供の銀行の金を横領したとか、いろいろなそういうやはり不祥事件が起つておる。こういう問題に対して文部当局はそれほど教育に熱心にいろいろなこんな問題をおやりになるくらいなら、もつと子供に直接影響のあるようなそういうようなことについて何かアドヴアィスされたような事実があるか。そういう事実についてどうしようというお考えを持つておるのか、そういうようなことも伺つておきたい。
  14. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 勿論教育上の一般的な問題につきまして関心を強く持つておる次第でございますが、これは特に新聞記事等に基きまして地方通牒を流す等のことはしておりません。併し生徒校外指導生活指導等の問題につきましては、常に関心を持つて指導しておる次第でございます。
  15. 高田なほ子

    高田なほ子君 校外指導とか、生活指導とか、そういうことだけ十分すればいいという問題ではないと思う。教育の正しいあり方というのはいろいろな面があるのだから、なかんずくその何だか訳のわからんようなことを、言つておるよう新聞記事が出たら、やはりそれに対する一応の真相をお調べになるというくらいのことは私はあつてもいいのじやないかと思う。  第三番目にお尋ねいたします。これは政治的中立性を調べておるようですが、そうだとしたならば、昨日も私は大臣に御質問したから、あなたもそこで聞いておつておかつたと思うのですが、各地に天呈を神格化して、それで……大した学校でありますよ。読んでみますと、秋田市の某中学校です。これは名前は言いませんが、八紘一宇精神についての研究会を行なつておる。この八紘一宇精神について一つ教育方針を立てて、そういう印刷物を作つて天皇を「至尊」とか、「聖天子」とかいう言葉で「我等日本人聖天子を信奉し」とか「天壌無窮の神勅たる「みずほの国は王たるべき地なり」こそが皇道民族精神であろう」などと記されている。」。全くこれこそ教育基本法と百八十度も違うようなことをやつておる。こういうことについてはいろいろのデータを、多分御熱心でいますから、文部省は非常に中立性に御熱心だから、こういうようなものもたくさんお集めになつておるのじやないかと思いますが、この辺のことについて一つはつきりと御答弁頂きたい。
  16. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 天皇の問題につきましては、私昨日の文部大臣の御答弁の御趣旨と同じよう考えております。ただその調査をいたしましたのは、政治的中立性の問題でございまして、天皇の問題に関連いたしましても、政治的中立性を超えるよう事態のものも勿論ありますから、その調査などを含んでおる次第でありまして、今の天皇の問題につきまして今お話ような点を調査した事実はございません。その問題の中に含めて、政治的中立性を阻害するよう事態につきましてはその中に含んでおると考えております。(「天皇の問題じやない。入紘一宇の問題じやないか。」と呼ぶ者あり)
  17. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は天県のことは言つておるのではない。天皇のことは憲法にはつきり天皇地位は記されておるのですから、それはあなたは百も承知のことた。こういうような逆コース行つておるよう学校は、あなたは、文部省初等中等教育局長という答弁の責任にある人はどういうふうに考えて、何かこういうことについてあなた自体としてお考えはないのかということを私は聞いておる。なかんずくこれは八紘一宇精神ということについて直接あなたはどういうことを考えておりますか、今こういうことを言つておることに対して。
  18. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私只今お答えいたしましたのは、そういう意味でございまして、天皇地位に関するだけの問題でもございませんので、それで特定政党の問題について政治的中立性を阻害するような問題につきましては……   (「政党の問題とは違うじやないか、八紘一宇のことを言つておるのだ」と呼ぶ者あり)
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 私は政党の問題なんか言つているのじやありません。あなたは指令出して何を言つているのか。特定立場に偏した内容を有する云々と、こういうのがあるのですよ。特定立場ですからね、今政党のことを言つているのじやない。特定立場ということは昨日大臣がおつしやつたのですがね。教育基本法というものをやつぱり尺度とされているのだということを昨日はやつぱり答弁されておる。そうすると八紘一宇精神というものは教育基本法を、尺度としたときにこれはどういろふうに具体的になるのか、こういうことを質問しているのです。
  20. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 八紘一宇精神と申しましても戦争中唱えられましたよもな超国家的な意味でありましたならば、そういう内容を待つておりますならば、これは特定政治的立場に立つたものであると思います。併しそ内容につきまして検討してみませんと、具体的にははつきりいたさないと思います。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変にしつこいようですが、今の世の中で八紘一宇精神というのはどういうことになりますか。あなたの個人的な見解で結構です。戦時中の八紘一宇精神というのをそれでは伺わない。今の新憲法に照らし、教育基本法に照らしたところの八紘一宇精神というのは、例えばどういうことになつて来るか。個人的な見解一つ…。私は教えて頂きたい、わからないから。
  22. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私もそこに書かれております八紘一宇内容について、わかりませんので、只今申上げましたようなことを申上げるわけでありますが、併し今その字義から考えまして、戦時中に唱えられました八紘一宇精神ということでありますならば、これは現在の民主主義立場から考えまして、それは好ましくないと考えております。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういうふにあなた自体もやつぱり解釈がつかない、私ども解釈がつかない。そういう問題が、やはりこの教育政治的中立或いは特定立場に偏しないというようなこの面から見て、いろいろと疑義が起つている。こういうような今も私が指摘しましたようなことについても、今後文部当局はこれについて関心を持つているくの資料をお集めになつてようと、こういうような気持はありますか、ありませんか、お昇ねいたします。
  24. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 昨日大臣からも継々御答弁いたしましたように、その通牒と申しますのは、教育基本法人条二項に記されておりますような、教育地方学校教育内容に実際にあるかないかというようなことを調査いたすことを目的といたしておりますので、その調査につきましては今後も力を入れてやつて行きたいと思います。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 続いてその次のお尋ねをいたします。この文部省指令を各都道府県教育委員会にお出しになられまして、お出しなつたそのときお考えなつたことは、当然各地方にこれが流れて行つて、どういうコース通つて、どういう形で資料集められるのか、こういうような点についても十分に御研究なつたと思うのですが、その調査の集まつて来るコースについてどういうふうにお考えになつておられましたか、お尋ねをいたします。
  26. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは調査如何よう地方教育委員会が実施するかということにつきましては、その教育委員会が適当と考え方法によつてやられることと考えるのでありますが、併しそこにも、通牒の中にも書いてございますように、新聞等報道される事例についてということでございますから、県の教育委員会が平素これは管内の教育状況については十分注意しているはずでありまして、さほど手数をかけないで川答は来るものだと考えております。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと私の質問とはずれてお答えになつていますが、論そう手数をかけないで大至急よこせという、中身が大至急調査してよこてくれという、こういうよう依頼の手紙ですから、そう時間がかかることはないと思いますが、そうすると、具体的に言うと、これは都道府県教育委員会、或いは教育長、そこに行きますね。そうしますと、そこから直接これを調べるということになりますと、学校長が調べるということになりますか、どういうことになりますか。
  28. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは私只今申しましたように、その教育委員会におきまして適当と思う方法で調べると思います。或いは下部機関にそれを調べさぜる必要がない場合もあると思いますし、或いは又出張所等がありますから、そのあたりで詳細調べるという方法もあるわけであります。その辺のところは各県の教育委員会判断においてやられる事務の取扱いになりますから、各教育委員会が自主的にそのことを取扱われることができますので、適当の方法考えてやられると思います。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 この調査方法が適当を欠いたような場合には、これは教員のその人間個人の去就の問題にまで発展する危険性を私は持つておると思う。この先生児童の頭にとんでもないことを印しようとしている先生だということになれば、これは教育者としての赤信号をつけられて、非常にこれは大変なことに発展する問題だと私は思います。そこで今局長答弁ような、適当と考えられる方法でこれは調査されるだろうと思う、こう答えておられますが、若し仮に適当でないと考えられる方法集められた資料に対して文部省はどういうようなこれに対して見方をされるのか、この点を承わつておきたいと思うのです。
  30. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私今適当な方法と申しましたのは、それを調べるのに適当な方法、その資料を得るのに適当と思う相当な方法教育委員会はやられるだろうということを申したわけであります。それから事実教育基本法八条二項に違反するような事実が果してありましたならば、それは当然教員の一身上に及ぼすようなこともこれは出て来ると思います。併しその問題が果してそういう問題であるかどうかの判定は、これは教育委員会がやられると思います。直接文部省といたしましては教員一個の問題につきまして審査する権限はないと思います。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると教育中立性を侵しているか侵していないかという判定は、結果から言うと教育委員会がすると、こういうことになりますね。そうですか。
  32. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 身分上の問題についてのお話でございましたので、それは教育委員会権限だということを申上げたのであります。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 身分上の問題ではなくて、緒方さん、よく聞いて下さい。身分上の問題ではないのです。私は今訓育の問題を言つているのですが、この調査が適当であるかどうかということは、延いては教員身分にもかなり影響を持つて来るけれども、これはその調査が適当でない方法調査されたことに対して文部省はどういう考えを持たれるかというのです。私の質問が悪いのかも知れませんが、例えば具体的に言いましよう。例えば私が教員で何にも、別に無心に子供に教えていたとするのです。これは中立を侵したとも何とも思わないで、例えばもつと具体的に言えば、私のクラスに頭に瘡ができてくちやくちやになつて、もう出て来られない子供がいたと、だけれども、何とかこの子供学校出してやりたいと思つて一生懸命瘡を治療してやつたのです。その治療した瘡が直ると又やがて瘡が出て来る、それでその原因をよく調べてみたら、これはビタミンが足りないとか脂肪が足りないとか、そういう栄養失調が原因つたというわけです。若し私が教師つたとしたならば、この子供はこの癖が何とかして直らないか、どうにかして学校出してやりたい、どうしてもこれは完全な学童給食を本当にこれはもう子供のために実施しなければならないと心から思つて子供の前でそれを言つたとするのです教師として。ところがこの場合に、あの先生学童給食を実施しないからこんなことになるんだというよう判断を若し当局者がされて、これに該当するものとして出された場合にはその調査は正しいか正しくないかというのです。どうなんですか。
  34. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今お出しなつ事例はこれは明らかに教育者中立性の侵害になる事実とは思いません。ただその判断教育委員会がして、そうして文部省に対して報告されると思います。それに対しまして私どももそれ以上の判断は私どものほうではできないかようなことになると思います。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 茨城県下ではこういう調査をする場合に極秘にやるということが条件ですね。もう一つ調査をしたその最後に出張所長私見をも添えて調査資料として出すことになつている、出張所長のこの資料に対する私見を添えて提出する、こうなつている、そうすると出張所長が或る特定立場に立つ考えを持つているとするならば、その特定立場からの私見を添えたものが調査資料として出されて来ると、そういうこともあり得ると思う。この調査は一体正しいか正しくないかということは判断の問題になつて来ると思いますが、あなたの個人見解をおつしやつて頂きたい。
  36. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その茨城県の調査方法につきましては、私その方法が適当であるかどうかということにつきましてはよく事情を開かなければわからんと思いますが、それはお話よう出張所長出張所長個人判断に基く意見を附けて出した場合に、それは当然教育委員会のほうで更にその問題につきましては検討されまして、その結果が文部省のほうに報舌されるのだと考えます。その場合に、教育委員会といたしましてはその教育委員会法趣旨に基きまして、民主的に地方の民意を直接反映するよう方法で、つまり公選の方法で選挙されました委員判断によつてそれが文部省のほろに送られて来るということになりますと、私どもはそれを相当尊重して考えなければならんと思います。併し只今ずうつとお話ように、出張所長個人意見委員会判断を左右する、かようには私は考えておりません。委員会において十分又更に検討されるものと考えております。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでわかりました。そういたしますと、こういう場合にはどうですか。それが教育委員会を通らないで教育庁、今度は教育庁です。教育庁がそれを事務上の手続きとして教育委員会一つ飛んで教育庁自体がこれを処理した場合に、そのことはどういうことになつて参りますか。
  38. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 教育庁立場教育委員会事務を総括的に取扱う立場にございますことは御承知通りでございます。そこで教育庁の取扱いました事務につきましては、つまり教育庁を通じて報告されます資料は私どもとしては一応教育委員会を通じて来たものと、かよう判断するほかないと思います。まあ併し事実そうでなかつた場合、どういう場合がそうかわかりませんが、若しそういう場合があるとするならば、そういう場合につきましてはやはり教育委員会会議にかけて判断するのが穏当であると存じます。
  39. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、もう一点お尊ねいたします。私非常に疑問なので、直接草案されたあなたに委員として尋ねたいのですが、ここにこういうのがあるのです。調査の第一項は、「特定立場に偏した内容を有する教材資料を使用している事例、」第二項の問題なんです。「又は特定政党政治的主張を移して児童生徒の脳裡に印しようとしている事例、」印しようとしている事例、しるそうとしている事例、しるした事例でなく、しるそうしている事例、こういう仮定に基く調査はどういうふうにして調査されるのですか、お出しなつた御当局見解を一度質しておきたい。
  40. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) これは昨日大臣からも申上げましたよう法律文句ではございませんから、そう一々練つたわけではございません。ただ併し一党一派に偏した教育というものはこれは客観的に割合に掴みやすいと思います。ただ印しようとしているというお話でございますが、仮にそういう教育基本法八条二項違反の教育が行われておりましても、それがすでに印しているか印していないか、或いはこれから印しようとしているのか、その辺のところは、はつきりわからないと思います。その辺の…今申しましたよう法律文句ように正確に検討したものでございませんので、若干そういう異議があるかも知れませんけれども、結局は教育基本法八条二項に違反するよう教育が行われた場合にはという、かよう趣旨であります。
  41. 高田なほ子

    高田なほ子君 法律でないからどういう文句使つてもいい、これはちよつと私の言い過ぎかも知れませんけれども法律でないのだからと、どういう幅のある言葉使つてもいい、これは私は考え違いじやないかと思う、少くともこれはですよ。教育政治的中立性に対する正式なこれは調査依頼文書でありますが故に、敢えて拡大解釈をするならば、幾らでも拡大解釈できると思うのですよ。聞いていらつしやるのですか。拡大解釈幾らでもできるのです。「印しようとしている事例」、というのだつたら、印しようとしているじやないか、印しようとしているじやないかといつては、誰でも彼でも皆これは容疑者になるのです。そうじやないですか。こういう幾らでも拡大解釈のできるよう言葉を用いたところの、こういう調査依頼文は私は正しくないのじやないかと思う。少くとも真剣に文部省がこの問題について取り組もうと思う場合には、「印しようとしている事例」、というような、幾らでも、どういうふうにでも解釈のできるような、而も政治生活教育というものは密接不可分の関連を持つているのです。そうでしよう。それは政治教育政治生活が密接に繋つているものを「印しようとしている事例」、というよう言葉で頼まれたということについて適当であると考えておられますか、どうですか。
  42. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 「印しようとしている」という字句の問題でございますが、決してこれは粗略に扱つたという意味じやございません。面し正確に言えば、印した事例又はこれから印しようとしている事例、こう書くのが正確だと思います。併し常識的に考えまして、「印しようとしている事例、」ということを書きますと、大体常識的にはわかると思います。今申しましたように、或いは印した事例もあるかも知れませんし、これから印しようとする事例もあるかも知れません。併し私が申上げましたのは、印したか、印しないかという趣じやないのであります。教育基本法八条二項に違反したよう教育が行われておるかどうかという点が主眼でございますので、その結果、印しようとするということになると思いますので、今申しましたよう意味で「印しようとしている事例、」と、こういう文句を使つたわけでございます。
  43. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣が見えられましたから、簡単にあと二、三点で終りますが、そうすると、印した事例言つたほうが正しいようにあなたも言つておられるが、「印しようとしている事例、」なんということは、やつぱりうまくないということを心の中であなたが考えていても、もう出したのだからと、面子にやつぱり捉われてそんなことを言つていらつしやるけれども、完全ではないというふうにやつぱり考えになつておられるようです。そこでお尋ねをいたしますが、「児童生徒の脳裏に印しようとしている事例、」このことは明らかに教育活動のそれを指すのじやないかと思うのです。その事例を掴むためには教育活動そのものに突つ込んで行かなければ、これがとれないと思うのです。どうですか。これは教育活動の内容をこの文句出しているのじやないのですか。
  44. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その通りであります。
  45. 高田なほ子

    高田なほ子君 その通り教育活動ということになると、これは教師密接不可分の関連を持つている教師考え方そのものが中心になつて来ると思うのです。この関連をどうお考えになられますか。
  46. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 教育は勿論教師児童との関係において成り立つのでありますから、教師が指導して行くことが教育であります。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと質問にずれております。教育活動ですね、教育活動そのものは教育の効果、教育の効果の対象になるものは教師でしよう。その教師人間個人教師でなくて、教師の思想そのものが教育の効果並びに教育活動の内容になつて来るのじやないかという直間なんです。どうですか。相談しないで答えなさいよ。(「詰つたか。」と呼ぶ者あり)あなた個人見解を聞いているのに、なぜそんな……(「相談しなきや言えないか」と呼ぶ者あり)
  48. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 質問の要旨を…(「しやべつているからわからないのじやないか。」「暫時休憩だな、むづかしくなつて。」と呼ぶ者あり)失礼いたしました。ちよつと質問の要旨を取り違えましたので、只今お答え申上げます。勿論これは只今申しましたように、教育というのは、教師児童を指導して参るのでありまするが、併しそ教師児童教育して参りますにつきましての基本的な鶴絆といたしまして、教育基本法が定められておりますて、その教育基本法八条二項には、「特定政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育」をしてはならないということが規定されております。そこで教師個人の思想が加何ようであるといたしましても、この学校教育活動は教育基本法八条二項のこの原則に基いて教育が行われなければならんと考えております。その違反事実につきましての調査でございますから、教師個人の思想を問題にしたわけじやございません。この点は、はつきり申上げておきます。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変にずれている答弁であります。私はそういうことを聞いているのじやないのです。いいですか。もら一遍言います。教育活動ですよ。教育活動から問題が出たのですが、教育活動そのものはこれは一つ教育効果というものからこの事例というものが出て来るのじやないかというのです。教育活動そこに現われている教育効果、教育効果そのものは、この児童の願に印しようとしている事例だろうというのです。そうですね。そうすると教育効果というものをここに持ち出して来た場合に、その対象になつて大きく浮かび上つて来るものは教師考えそのものじやないかと思うのです。その考え教育基本法に反するか反さないかということはこれは別問題です。併し大きく取出されるのは教師個人考え方、言葉を換えて言えば思想、そういうものと不可分の関連を持つて来るのじやないかと詳つているのです。この点どうですか。
  50. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは教育の面におきまして教師個人考え方が現われる場合もあると思います。それは関連することはあります。併しながら私どもの申しております趣旨はそうでないのでありまして、教育基本法八条二項の趣旨は私が申上げました通りであります。
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 それだから教育基本法という尺度を以て来て、これに反するか反していないかということを調べる。これは調べることを依頼しておるのですから、それを調べる場合には教師の思想、考え方、それを調べなければこういう事例は出て来ないのじやないかと言つておるんですよ。それと切離しては出て来ないじやないですか。
  52. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) それは違うと思います。
  53. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうして違うのです。何が違うのですか。
  54. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 教育自体として教育の行われておる方法、或いはその自体として教育を調べる、教育の行われる方法やその内容を調べておるわけでございまして、教師自身の思想を調べておるのではございません。   〔「おかしいな」「そんな馬鹿なことがあるか」「緒方さんもそんなにまで言われることはないと思うな」   と呼ぶ者あり〕
  55. 高田なほ子

    高田なほ子君 やはり児童の頭に印しようとしている事例、即ち教育の効果についてのこれは査定なんです。その教育の効果が教育基本法に反しているか反していないかということを調べるのですから、教育の効果そのものを調べる場合に教師自体の持つている考え方というものを調べなければこれは調べることはできないんですよ。そうでしよう。そうだとしたらこれは思想調査に入るんじやないか、そういうむずかしいことなんですよ。
  56. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 私が申上げますのは、そこに具体的に現われた教育活動を申しておるのでありまして、教師の頭の中にある思想のことを申しておるのではございません。その点は、はつきり申上げます。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 教育活動というものは、教師というものとは全然離れてここに出て来るんですか、そうですか、教育活動ということはどういうことなんです、私はそれを伺いたいんです。
  58. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私から申上げますが、高田さんはこういう考え方でいらつしやるのじやないか。つまり教育というものはその担当する教員の思想に従つて教育をされるのであるからして、その教員の教室における教育活動というものを見れば逆にその人間の思想、その先生の思想を調べることと同じことになるのではないか、こういうことを言つておられるように聞き取れるのでありますが、私ども考えておりますのは、学校先生で右翼の思想を持つておる先生もある、左翼的な思想を持つておる先生もありましよう。併し学校先生教育の場において自分の持つておる思想だけを基礎にして教育をする、これは公務として教育が行われている限り、その人間の考え方だけで教育をするということはこれは許されない性質のものである。要するにそのために教育基本法、まあ政治教育については教育基本法にその枠というものがきまつておる。だから本人が仮に非常に偏した思想の持主であつてもそれはかまわない。先生自身がそういう思想を持つているか持つていないかは問題ではない。それをただ教育の場に移して教育基本法の八条の枠を外れた教育をするということは認められておらんことである。だからその教育基本法の枠を外れている教育が行われているかおらんかということの調査依頼したのであつて先生自身の思想を調べるということにはならんと思うのであります。先生の思想が、非常に偏つた思想を持つた先生が、その自分の思想の赴くままに勝手に教育基本法の枠を外れた教育をしていいということはないのでありますから、若しそういうことがあればそれは基本法に違反することであつて、その事実を調べておるのです。
  59. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変大臣のお考えはよくわかりました。私も全く大臣のお考えと同じであります。教師が教科書を国の、国定の本を以て、使うということは、はつきりしているということは、これはやはり教育基本法精神を重んずるからである。教員が勝手に自分の考え方で教育をするということはあり得ない。そういうことはあつてはならない、あつてはなりません。即ち教師考え方というものを勝手に注入してはならないので、ここにそういう問題が出て来るのは、児童生徒の脳裡に印しようとしておる事例が出て来るというのは、それを守らないからです。教員が勝手にその自分の考えを言うからです。そうするとその考えというものはやはりそこに出て来るのではないかというのです。教員考え方はその考え方を調べなければこういうことは出て来ないというのですよ。そうすると、やはり思想調査ではないかと、こういうのですよ。ますくはつきりして来たのです。
  60. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 成るほどその教育内容を調べることによつて、自然その先年の持つている思想というものを推測し得る場合もありましよう。それは反射的にそういうことはありますが、併しこの通牒の目的は、個々の先生思想調査をするなんという考えから出発したものではない。これは飽くまでも基本法の枠を外れた教育が行われておるかどうか、これは当然調べなければならんことなんです。これは学校教育における基本的な問題でありますから、これがどういうふうに教育が行われておるかおらんかということに対して無関心ではあり得ない。要するに教育内容についての調査でありまして、その結果その先生が非常に偏つた思想を持つておるかどうかということは、これはおのずから別個の問題であつて、仮にそれがわかつたからといつても、反射的にそれが推測し得る状態になつたからといつて、この拙された通牒教員の思想の調査をする通牒である、こういうことにはならんと思う。
  61. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変にあれですね、基本法の枠を外れた教育をしてはならないということは百も承知だが、そういう事実があるから調査する、こういうものを出したと思うのですね。教育基本法の枠を外れた教育が行われていると見られるからこういう調査をしたと、そうすると、基本法の枠を外したということは教師自体教育活動が不適当であつたから、即ち教育活動の主体である、対象である教師考え方それ自体が間違つているからこういう問題が起るので、この間違つている事例をこれを探究して参りますと、結果としては教員考え方、思想というものがここに大きく浮び土つて来るので、ここには思想調査ということはないが、この事例を探究した場合には、結論として教員の思想ということがここに浮び出て来るのではないかと、こういうのですよ。
  62. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 学校先生がどういう政治的な思想を持ち、どういう政治的な主義を持つてつても、それをいいとか悪いとかいうのではありません。これは思想の自由ですからそれは当然なんです。ただ教育の場において自分の考え方に基いて基本法八「条にきめた枠を踏み外した教育をするということがいけない。従つて先生の思想がいいとか悪いということを言つてはおりません。ただ一体に教育活動の問題としてそういう事例がありやなきやということを調べてもらつておる、こういうことです。
  63. 高田なほ子

    高田なほ子君 大変よくおかりました。いいとか悪いとかいうことを調べるのではない。全くその通りでいいと思う。併しいいとか悪いとかいう判断は、その事実に基いた判断でありますが故に、その事実を個々に調査からいたしますから、その事実調査の上に教員の思想がそのままそつくり出て来るので、それをいいとか、悪いとかいうことを私は言つているのではない、そういうものを浮び出して来るそのことを私は申上げている。そうですね、浮び出て来ますね、教員考え方は。
  64. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それは自然わかる場合もありましよう。わからん場合もある。
  65. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかる場合もある、わからん場合もある。
  66. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) けれども、それを目的にしたものでないということは明瞭である。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 よくわかりました。思想(「議事進行」その他発言する者多し)
  68. 川村松助

    委員長川村松助君) 勝手な発言を禁じます。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 思想調査をするということは、たとえ警官であつても何であつても、これはできないということは、わかつているのであるから、又大臣がここで口をすべらせて思想調査云々ということは、これは殺されても言わないと思う、憲法をお護りになつている立場から。併し結果としてはやはり思想がここに浮び出て来るということは今大臣もここに明瞭に御発言になつたのでありますから、私はそれでいいのです。それがいいとか悪いとかいうことを言つているのではない、そういう問題が教員の思想そのものがこの調査の上に浮び出て来る場合もあると、又出て来ない場合もある、ここで以てはつきりとわかりましたから私はこれで質問を打切ります。どうも失礼しました。
  70. 永井純一郎

    永井純一郎君 文部大臣質問します。  今、先ほど来高田君との間にいろいろ質疑が取交わされて、又今、文部大臣が途中で来られて、あなたが答えられたところでも大体よくわかつておりますが、特にこの文部省出し通牒の、印しようとしている事例などという言葉は、これは今高田さんが専門的に質疑応答を重ねて行つてわかつたように、実質は思想調査にならざるを得ない。そういうものが事例として、事例そのものとして出て来るということを文部大臣のお答えからもこれは認めたということになると私は考える。併し私はそのことはあとに廻して、もうちよつとほかの角度から文部大臣にこの前からのあなたの答弁を聞いておつて、納得の行かない点を質問して行きたいと思うのですが。それは文部省は何か必要があつたら何でも調査だとか、報告だとかいうようなことができるような錯覚を首脳部が持つているのじやないか。これは御承知通り、この文章は法律ように練つていないのだ、だからそんな字句についていろいろな質疑をされても困るところもあるというような話がいつとう初めにありましたが、私はそれは杜撰極まることだと思うのです、そういうことは。字句の使い方如何、或いは通牒出し方如何が果して文部省権限に認められておるかどうかということを一番先に考えなければならんことなんです。ところが古い感覚のままの法律考え方をしておりますると、今の役員がややともするとそれを間違つてしまうということを私は非常に心配している。そういう意味から私はこの法規を順を追つて見て行きますると、明らかに疑義が湧いて来るのです。それは文部大臣はこの教育基本法の八条の二項、これに関する調査ということをはつきり言われております。そこで文部省が自分に与えられた権限というものはこの設置法に明らかに第五条で規定してある。で、あなたは本会議でも第五条によつてこの調査は、通牒出したということを言われた。ところが五条は一番初めに書いておりまする通りこの自分の権限がここに掲げてあるが、その権限を行使するのにも法律によらなければならないということを言うておるわけです。それはあなたもそう言われた。で、この三十二号まであつて、三十二の事項に限つておるのです権限を。これは文部大臣が一番先に注意されなければならないことは、この三十二の事項は例示的なものではなくして、明らかにこれは制限的な規定なんです。これ以上のことはできないという制限規定であることはあなたも御承知通りです。而もその第二項で、設置法の五条の二項はこれ以外のことはもう絶対にできないのだが、特に念のために監督するようなことは、取締のようなことは一切やれないのだぞということをわざわざ念のために謳つておると思うのですね。そうすると、そういう建前をとるのは、これは民主憲法の下における法律体系としては当然のことなんです。役所の権限をできるだけ縮小するというのが建前なんです。各省そういうふうになつておるのです。教育と警察については特にそうなんです。そういう、民主的な法体系というものの仕組はそうなつておるのです。その中だけでしか文部大臣は動けないようにしてあるのです、わざわざ。それを教員政治活動に関心を持つから当然調査はするのだというようなことを本会議言つたりしておられます。そういうことはできない、どんなに関心を持つても、やろうと思つてやれることは、与えられた権限、その権限に基かざる限りはできないのだぞというのが民主主義の各法律の大綱なんです。このことに勿論異論はないと思う。そこでこの教育委員会法のほうを見ますと、これは明らかにあなたが言われておる、五十五条で県の委員会地方委員会文部大臣都道府県委員会に年報その他必要な報告書を提出させることはできると、こう書いてある。而もこれだけはあなたはいつも説明するけれども、その第二項では又念のために更に監督だとか何とかいうことは一切できないのだということを又再びここで念を押しておるのです、五十五条の。そこであなたは教育委員会法の五十五条のこれによつて通牒出した、而も基本法の八条の二に関することをこれによつて出したと言われるが、どうして出されますか、法的な根拠を示されたい。
  71. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この通牒はただそういう事例があればその関係資料添付の上、できるだけ具体的に報答を願います。こういうのでありまして、報告を求めたのであつて、これは行政上及び運営上の監督ではありません。
  72. 永井純一郎

    永井純一郎君 私は監督だと言つておるのじやない。報告を求めること、そのこと自体が……。大体文部省はサービス省としての性格を持つておるのですよ設置法で。勧告、助言、援助、それらのことが主体になつておるのは設置法の五条を見ると明らかなんです。それは教育の振興でありますとか、教職員の待遇だとかいうことを中心にしてのサービスをする省です。連締、勧告、助言の省なんです。それ以外のものではないのです。そこでこれにきめられておる権限以外のことをやたらに報告といえども求められない。これは只今の法律では、例えば役所がいろいろな報告を会社その他の法人、特殊法人にするのでも法律にちやんとこの事項についての報告、この事項についての調査ということが掲げられなければやつちやいかんことになつておる。これは全部通則なんです。で、ただこれを監督だと私は言つておるのじやない。報告を求めること自体ができない。サービスをする省なんだからそのサービスをすることについてさえ法律によらなければならんと書いてあるのです。ですから、あなたはただやたらに五十五条、これに引つかけて言われるけれども、昔の警察の法律ように何でもかんでも引つかければできるということをできないようにきめておるのが今の民主憲法下における法律なんです。私は監督だと言つておるのではない。五十五条でなぜこの通牒を出せるかと、こういう意味のことをお伺いしたい。
  73. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 文部省設置法においては、文部省の所管の権限というものを列記してあります。そうして一応これが列記してありますが、法律に従つてこれをしなければならんと、そこで法律に従つてする。この報告の場合にどうなるかというと、教育委員会に対して報告を求めることができるということが法律に規定してあるのであります。若しこの文部省設置法五条だけでいいなら、教育委員会のほうに改めてそういう規定を設ける必要がないのでありまして、これを包拒的に文部省というものはこういうことをするのだと一応きめて、そうしてその権限の行使に当つてはやはり個々の場合に法律の基礎が必要であると、こういうことを規定したのであつて教育委員会法の五十五条というものが正にそれに該当するものと私は解釈しておる。これはしきりと五十五条の二項或いは設置法の五条の三十二号ですか、これを引いて、あたかもこれが監督であるかの、ことくに言われますけれども、これは報告を求めるということが監督でないということは極めて明瞭であつて、これは法律上の常識であります。どういう意味でこれが出せないとお考えになるのか、その辺が私にはよくわからんが、今サービス省だと言われた。文部省がサービス省であるとすればその部面は確かにあります。従つて地方において老朽の学校がどのくらいあるとか、まだ二部教授をしておる学校がどのくらいあるかとかいうことは、一々これは報告を求めなければならないのであります。報告を求めなければ今あなたの言われたようなサービス省としての役目も勤まらないのであります。そこで法律で二部教育についての、教室の数についての報告をとつてもよろしい。或いは又児童生徒の数についての報告をとつてもよろしい。そういうことを一々書いておるわけではないのです。
  74. 永井純一郎

    永井純一郎君 書いてあるんです、そのことは。
  75. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) どこに書いてあるんですか。
  76. 永井純一郎

    永井純一郎君 文部大臣は非常に混乱をしておる、あなたの頭は。私の言うことをよく聞いて下さい。こんな重要なことを非常に警察的な感覚で出せると考えてぱつと出しておる。それは非常に間違いだと私法言つておる。五十五条は「年報その他必要な報告書を提出させることができる。」とこうなつておるんですよ。そして又二項では監督に亘ってはならないということで念を押しておるのです。設置法のと同じ文句使つて。  私は報告を出させることが監督だとか指揮だとかということを言つておるのではない。それは設置法の五条は明らかに文部省が学術振興その他の勧告、肋言、援助をするサービス省、だということを書いてある。そうして而もそれらのサービス的な事項に亘つて報告をさせたりいろいろするにしても、それは法律に従つてやらなければそのことすらできないということを五条は調つておる。ところが文部省は、局長大臣が言われるところの五十五条というものは、この設置法五条が制限的な規定で、決して例示的なものではないということを、先ほどあなたは私の言つたことでよくおわかりになつたと思いますが、従つて五十五条も年報とか今あなたの言つたよう児童生徒の数が殖えたとか、腐朽校舎とかどうとかというような定例の報告、そうしてこれに類似したものに制限をしておる。そこで若しその他必要があつてその権限を行使をしようとするときには、やはり法律によらなければならないから、五十五条ではなくして教育基本法に基く特別の法律が作られて、そうして政治的中立性を失うような単項について調査がしたければその調査ができるという別途の特別の法律がなければこの調査はできない、ということを私は言いたいからそういう質問をしておる。そうでなければ絶対できないのですこれは。五十五条ではできないのです。年報その他に類することではないのです。全然性格が違う報告ですよ。サービス的な単項でさえ法律に従わなければ報告を求めることができないことにしてあるのです。ましてや政治活動に関するような重要なことは教育基本法に基く法律が別個にできて、この法律でこういう場合には調査を求めることができるということを書くか、或いは五十五条の他に積極的な法文を明足しなければできません。これは当然の法律上の理論です。それをあなたは混乱して警察的な感覚だつたから、こうして出すことは文部省だから当然できるのだ、監督官庁だという頭が離れないから私はそういうことになつたと思うのですね。(「そうだ、そうだ、そうなんですよ」と呼ぶ者あり)これは一つよう考えてもらわなければいけない。
  77. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) お答えします。私はこの通牒は何も警察的な感覚で出したとかいろいろ立入つたことを言われますが、どういうわけでこれは警察的な感覚で出したと言うか私は了解できません。(「説明します」と呼ぶ者あり)発言中です。これは飽くまでも報告を求めるのでありまして、監督するとか何とかいう条文を引き合いに出されるべき筋合ではない。監督でなければこの二項にあるということをおつしやる必要はない、これこそ考え方が混乱するもとになる。こう私は思うのです。報告というのは、報告の内容はこういうことは報告を求めていいし、こういうことは報告を求めることはできない。それが一々書き分けてあるわけはないのです。(「書き分けてあるのです全部」と呼ぶ者あり)
  78. 川村松助

    委員長川村松助君) 発言中ですからちよつと…。
  79. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それは大きな間違いです。五条の列挙してあるうちにも、例えば十二のところを見ると、「教育、学術及び文化の振興に関し、調査し、」とありますのは、こういうことが五条の権限になつております。教育について調査するという権限があるのです。その権限のために報告を求める。教育調査をする。これはもう当然のことだと私は思う。(「当然、当り前だよ。」と呼ぶ者あり)何故に、その報告というものは千差万別です。学校の状態を報告を受けるということはこれはもう非常な広汎なものであつて、これを一々法律に書いてなければいけないか。例えばこの間も並言うたけれども、修学旅行で非常に問題が起る。そうすると、お宅の学校ではどういうふうにして子供を修学旅行に出し売るかとか、いろいろなことの報告というものはこれは数限りがないのです。これは一口に言つて教育に関する調査です。それをこの場合に限つて何分か特別に根拠を法律に規定してなければ報告を求められないというのは私にはわからない。この報告の内容というのは非常に広汎であり千差万別であつて、そうしてそれが教育に関する限り、つまり思想に関して、つまり教育に直接関係のないことを調べる場合は悪いけれども教育に関する限りその報告を求めることは悪いというのはどこから出るのですか。
  80. 永井純一郎

    永井純一郎君 それが大達さんの警察的感覚だということを申上げているゆえんだ。民主憲法下における法律の体系はあなたが一通りずつとお調べになればわかる通り、あなたが留守中にできたからお考えが私は大分違つていると思う。(「そうだ、そういうところがあるよ」と呼ぶ者あり)設置法をよく御覧になればわかる通り、設置法は大体サービス的なことばかり書いてあるでしよう。そのことについて必要な報告を求めることさえやつぱり法律に従わなければいけないと書いてある。そして而もこれは制限的な規定なんです。三十二号でこれはあなたも法律をよく御承知だから直ぐわかる。そこで制限的な権限が三十二にわけられておつて、そしてそのうちの年報その他のものの報告は従つてこの設置法に基いて委員会法の五十五条でできるのです、これはね。ところがこれもやはり従つて五十五条に基くところの報告を提出させる権限というものも制限的なんです、設置法が制限的なんですから。年報と言えばこれは、もう常識から言つても条理から言つても慣例から言つても大体きまつているのです。類するものなんです。ところがあなたは教育基本法八条二項によつてこの通牒に関する通牒として出したと言われるが、若しそういう報告を求めることでは文部省権限に私は基本的にあり得ないはずだと思う。若しそれをしたければですよ、したければ設置法に書いてあるようにできる。そういう報告を求めることができるという積極的な規定がなければできないということは当り前なことなんですよ、これは。私はそれを申上げておる。報告ですよ。監督を言つているのではない。その報告を求めること自体法律に明定されておらなければできない。年報だのこれに類するものではないでしよう、それは明らかに。だからそれはですね、理論の混乱が文部大臣に私はあると思う。私はそういうことを筋を立てて申上げておる。ですから悪いことは悪い、間違、つておることは間違つておるでいいのですこれは。
  81. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) どうもあなたのほうに私は少し混乱があるのではないかと思う。(「強弁をしないで理論的にね」と呼ぶ者あり)年報がこれに類するなんて書いてない。年報その他必要な報告だ。ですから年報は通例に一カ年のものをまとめて取るのが年報である。月報の場合もありましよう併しその他必要な報告書という報告を取ることができる。この場合にあなたはこれが必要でないとお考えになるのでナか。教育に基いた調査をする任務を持つておる文部省が、この調査を出すことは必要な報告を取つたのではないのだ。不必要なことなのだ。従つてこの教育委員会法の第五十五条に該当しないと、こうおつしやるのですか。
  82. 永井純一郎

    永井純一郎君 私が言うのは、よく聞いてもらわなければならない。必要がたとえあつても、昔と違つて、必要がどんなにあろうと、どんなに関心を持とうと、各省は与えられた権限外のことをしていかんことになつているのが今の建前なんです。ですから、あなたがどんな必要な報告を求めようとしても、それが明らかに権限の中にない以上は制限されているのです。ですから、これができないということは、従つて教育基本法の八条の二項に基くところのあなたは通牒だというから、それだつたらそれに基くだけの法律が他に明定されたものがなければあなたにない権限なんです。年報その他ではないですよこれは。年報その他ということも五十五条も厳格に制限的にこれは解釈しなければならないことなんです。文部省だとか文部大臣にできるだげそういう権限を与えないというのが民主的な法律の体系なのですから、それが間違つているのです。ですからこれは、結論としてはこれは無権限に基く報告の提出なんですこれは。無権限なんですよ。(「何を言つているのだかわからん」と呼ぶ者あり)だまれ木村君。紳士的にやり給え。
  83. 川村松助

    委員長川村松助君) 私語を禁じます。
  84. 永井純一郎

    永井純一郎君 それからそのことが一つと、これはお互いに本当に民主主義者なんですから、法規の中でのみ、民主主義のルールの中でのみお互いに論議のやりとりもやり、活動をしなければならんと私は思うのですよ。お互いにでたらめにやつてはいかんと思うから、こう申上げる。もう一つはですよ。例えばあなたがこの通牒が私はそういうふうに無権限に基くものであつて少し杜撰だ。よく法規が、みずからの」権限がどういうものであるかを知らないで出された。仮にこれを出したとしましても、先ほどからちよつと高田さんの質問が中途半端になつたと思つて聞いておつたのだが、教育委員会権限がきめてありますが、教育委員会法権限の中にも、これはあなたのほうは都道府県委員会を、都道府県委員会を今度は市町村に求めることは年報その他についてはできるのですね。報告を求めることはできる。ところが地方教育委員会はこれをどうして調べるのですか。この調査について学校の校長を指揮するということは法律に明文がないし、できませんよ。それは何もないのです教育委員会の中には。そうすると、どうしますか。末端の調査は一体教育委員会は勝手に自分で推定したものがあなたのところへ集まつて来る。そうするとその教育委員会は、昨日来た何とかいう全国協議会のようなああいう考えを持つた人が、自分で推定をして集まつた杜撰な信用するに足りないものが集まつて来る。末端は一体どういつたことをして調べるのです。具体的に大臣はどうしようと思われるか、できないじやありませんか、第一法律にないから。
  85. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 初めのほうのお尋ねでありますが、永井さんはこの通牒が必要な報告であるということをお認めになる、お認めになつておれは問題はない。五十五条は「必要な報告書を提出させることができる。」これくらいのはつきりした法律的根拠はないと思います。で、これをここで無視して必要な報告であるということを承認しながら、なお無権限だと言われるに至つてはどういうことか私にはわからん。私の頭が民主的な法律の頭がないのかどうか知らんけれども、ただお前のいないときにできた法印だからわからんだろう。わからんところもありますが、併し具体的に言つてもらわんと、ただお前のいないときに法律ができたのを前にわかるはずがない、私の言うことは皆法律的には間違いであると、こういうことを言われることは失礼な、無体な言い懸りだと思います。  それから教育委員会というものが一体どうして調べるか、こういうことを言われますが、この教育委員会というものは、学校教育についてはこれが責任者であつて、運営の責任者でありますから、その責任を果すために、必要な調査をすることは当然であります。教育委員会法の第四十九条ですか、ここに教育委員会権限、「権限を行使するために、左に掲げる事務を行う。」そのうちにもはつきりと、例えば三のところに「教科内容及びその取扱に関すること。」ということが書いてある。で、教育委員会はいわゆる学校教育の技術的運営という見地から直接の選挙によつて、国民の直接の代表として教育の連帯に当る。それがつまり民主的教育と、私はさように解しておる。で、その折角できて来た教育委員会が全然学校教育については、これを調べる権限は持たないのだ、こういうふうにおつしやつて来ると、何のために適用を受けるのか、何のために……、これを伺いたい、質問意味がわからんからな、返答する必要上、いま耐質問意味をはつきりさして頂きたい。(笑声)
  86. 永井純一郎

    永井純一郎君 場所を替わらなければいかんようなことになりましたが、実際替りたいくらいなんです、私は。
  87. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) いや質問のね……。
  88. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで私は実際はあなたと場所を怒りたいくらいなんです。  それはですよ。第一番のお尋ねの、私のほうが答弁することになつちまつたのだが、お尋ねの第一点の必要なる報告と、つまり年報ですよ、年報その他設置法が制限されておるのです。この権限の中でしか動けないのですよ。あなたは必要なことなら何でもする。必要があれば制限しようというのが民主的な法律の建前であるということを私は申上げた。その基本が教育と警察だつた。これは御承知通りつた。あなたが立法としてそれをそうでなくしようという考え方はわかります。併し現行法の下では私は今そういうことはできない、改正されたら別です。その中心が教育と警察について徹底的に、今そのことが徹底的に行われておる。そこで制限的なんだから五十五条も当然それを受けて制限的なものであつて、提出させる権限というものは制限的なんである。年報というものはお分りの通り、あなたも知つておる通り年報というものは先ほど大臣が言われた通りしか報告しておりません。「その他必要な」ということは、これに類ずる必要なことということは、これはいつも法律解釈するときも邪魔じやありませんので、そういうことを私は申上げておるから、やはり大臣の言われることが私は強弁だと思います。どうしてもそういうような、それをやはり敷衍して行きますと、この教育委員会が主として単なる事務を扱うように、やはり権限の中に書いてあるのです。そうして教育委員会事務としてこれく、これくと書いてある。それで教育基本法に基いて特別な教員政治活動をどうこうしようという場合には特別の立法がなければできないということは、これはもう精神から言うても設置法、教育基本法委員会法を関連して読んでみれば明らかなんですよ。ですからこれをやらない限りは、私はこの杜撰な教育委員会法のどれかに引掛げてやればいいということにはならない、特にできないということを私は言うた。これについては、はつきりした法禅的な基礎を開きたいと思う。こうだからくということを示されない限りは、それは私ども納得するわけには行きません。   (「委員長議事進行」と呼ぶ者あり)
  89. 川村松助

    委員長川村松助君) 発言いいですか。
  90. 永井純一郎

    永井純一郎君 今発言中です。発言中に議事進行とは何だ、君は議事を進行ずる目的でいるのか、邪魔しているのか。まだ終らない。途中ですよ。
  91. 川村松助

    委員長川村松助君) 今発言中だからちよつと待つて
  92. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうして今答弁を求めているところです。(「今大臣質問が終つたところじやないか」と呼ぶ者あり、笑声)自分が何も知らないで、調べて来たか、失敬な、君に何がわかるか。答弁を求めているところじやないか。
  93. 木村守江

    ○木村守江君 只今までの大臣並びに永井君の質疑応答を聞いておりますと、どうも答弁だか、議論だかわからないような状態になつておりまして、まあ同じことをお互いに議論し合つでいるというのが実際の状態じやないかと思います。こういう点を考えてみますと、永井君の質問も大体において焦点を衝いておるというよう考えられますので、如何ですか、この辺で質問を打切りまして、散会されては如何ですか、提案いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  94. 高田なほ子

    高田なほ子君 今委員長から私は発言の許可を得ました。(「賛成があるじやないか」と呼ぶ者あり)
  95. 川村松助

    委員長川村松助君) ちよつと速記をとめて。    [速記中止〕
  96. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をつけて下さい。今文部大臣から発言を求められております。先ほどの永井君の質問に関する答弁でございます。
  97. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それではお答えいたします。  これは永井さんは今のお尋ねの……、その前に、討論に亘るということで甚だ恐縮いたしましたが、私のさつきの発言の意味は、永井さんの質問がどうも私の腑に落ちない点がありますから、私は再三お答えした点を又蒸返してされるので、その質問意味がどこに中心をおいて言われるのか、はつきりわからなかつたから、それで答弁を正確にする必要上お尋ねをしておるわけなんです。討論のように見えましたとあれば、これは非常に恐縮いたします。事実はそういう意味であります。それではやはり年報ということにえらいこだわつて、年報、これに類するということを今もおつしやつたのでありまするが、法律を御覧になればこれに類するということは書いてない、又年報というものも必ずしもこれは報告を受取りたい内容文部省のほうでその年報の定例報告に内容をきめるので、年報だからこういう内容、こういうものが客観的にきまつているわけじやないのです。要するに問題は、規定はこれは読めばその通りであつて、必要な報告書を提出させることができると、その必要な報告書といううちに年報その他と、こういうことを念のために附加えてある。年報というものは定例的に、常時教育委員会としてもやはり年報作成という特殊の事務が要りまずから、その年報のような報告でも取れると、こういう意味と私は解釈しておる。これは明らかに必要な報告を提出させることができる、その必要な報告書とは何かと言えば、それは年報その他であると、こういうよう解釈をしておるのでありまして、この年報という字に拘泥して読む必要もなく、又年報というものは通常一般的な事務よう内容を持つ、これも当然でありますが、従つてそういう種類のものでなければ報告書を取つてはならないのだというふうには私どもとしては考えておりません。  それからこの四十九条の教育委員会事務でありますが、「左に掲げる事務を行う。」、そのうちに「教科内容及びその取扱に関すること。」というのがあるのでありますが、これは教育委員会事務としては重大な事務であります。その事務を行うために必要な調査をするということは当然随伴することであると思います。而も更にその先をお読み下されば十八号のところに「教育調査及び統計に関すること。」ということもはつきり書いてあるのでありまして、法律がこういう事務を行うと、これは権限でありますけれども、これは権限であると同時に教育委員会の義務であります。この義務だげを長々と列挙して命じておいて、そうしてそれを実行するためその事務を行うために何も手も足も出んようになつておる、こう解するということは、これは何と言いますか、私ども考え方としてはこれは法律は無意味になるのでありますから、当然この事務を行うために必要な調査その他のことは権限としてできるものである、かように私ども解釈をしております。従つてこの教育委員会が又学校に対して何かする、そういうことは到底認められない、こういうふうなことでありましたが、この学校というものはそう教育委員会を離れて独自、独立の地位を持つておるものとは私は思いません。  それから文部省がサービス省である、これは成るほど一口に言つてそういうことは言えますが、少くともこれは普通の場合の大ざつぱな言い方であつて法律的な言い方でないことは言うまでもない。法律には明らかに、いわゆるサービス省であるという意味は指揮監督をすることもできないということをはつきり規定しておるのであります。これはあなたのおつしやる民主的な運営ということに該当するものと私は思うのであります。そうして同時に又文部省のなすべき権限、任務というものも規定してある。この任務をいわゆる民主的である。或いはサービス的であるという、いわば俗な観念を持つて、その法律にはつきりきめてあることを縮小して解釈しなければならんということはないのです。法律できめてあることはその通りはつきりきまつておるのですから、それを文部省は、ここれをわざわざ縮小して当然の任務を放棄するということは、これはこの法律趣旨に反するものと私は思うのです。サービスであるとか、民主的であるということは、要するに指揮監督権を持たぬ、こういうところにあるのです。それが更に拡張せられて、法律にはつきり列挙してあることまでそれを制限して解釈しなければならん、こういうことには私はならんと思います。
  98. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは私は少し一つ一つお聞きしたい。この設置法第五条は、制限的規定であるということはお認めになりますね。単なる例示的な規定ではなくして、これは制限的な規矩であるということはお認めになりますね。
  99. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) そうです。
  100. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうしたらこの中の制限的な規定の大部分はやはりサービス的な事項がずつと書並べてありますね。そのサービス的な事項についてでさえそれが自分の権限なんだが、その権限の行使についてさえ法規に従つてなされなければならないということを講つてある一番初めに。そうなんですね。それをお認めになりますね。
  101. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) そうです。
  102. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうですね。そうすると更に進んで行きますと、サービス的な、自分にあるところの権限でサービス的なことについてさえその権限を行使するときには法規に従つてやらなければならないどいうふうにさえ強く制限をしておるというのに、そういう建前から受けて委員会法の五十五条を見ますと、年報その他必要な報告書というのは、年報、これはもう常識的に、或いは慣例的にわかつておるのですね。年報というものはどういう内容を持つておるか。年報その他必要な報告書というのは、設置法に掲げてある以外に亘るというようなことはとれないはずですよ。それをお認めになりますね。
  103. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) その通りです。
  104. 永井純一郎

    永井純一郎君 それはどこにありますか。そんな政治活動云々ということは、教育基本法以外にはないでしよう
  105. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 設置法第五条の十二号は、教育、学術及び文化の振興に関し、調査し、及び企画すること。
  106. 永井純一郎

    永井純一郎君 これは教育の振興、学術、宗教等の振興に関するということはそういう意味ではない。まあこれは事務的な常識的なことなんです。設置法の五条の精神がそうじやありませんか。大体サービス的なものなんですね。ですからこれに何もかも引くるめることはできないのです。というのは、当然制限的な規定なんですから、成るべく権限を与えまいという規定なんです。そこであなたが言われるように、教育基本法八条の二項に、よる調査だということを文部大臣が言われるのは私はわかると思うのです。それは基本法八条二項によるのだと。そこでそれだつたら八条二項に亘るものであれば、別に八条二項に関する法律があつて、そうして政治活動云々でこういう報告をすることができるという法律を作らなければできないのじやないかということを言つておるのです。
  107. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) むろん八条二項というものは教育の原則を書いてあるのでありまして、これがあるからそれが文部省に直接何も権限を与えるものではありません。法律教育はかくあらざるべからず、こういう原則を掲げたものであつて、これによつて何も役所の権限が増減されるわけではない。私ども報告を求めたのは設置法によつて報告を求めたのです。その報告の内容について、一々何かの特定法律というものがなければ、その内容というものは、その法律のあるだけに限る、こういうものではないと思う。八条二項は教育というもののかくあるべきだということを書いたので、この八条の二項が教育の報告についての、或いは調査報告を求めることについての基準にはならないのです、これは教育一般について、教育でないことはいけませんよ、必要な報告ですから、教育でないことまで調べる、先ほど仰せられたよう思想調査、こういうことを調べる権限はありません。併しそれが教育に関する限り必要な報告を求めるということは、これは何度繰返しても同じことなんですが、そこは法律上の解釈の圏外のものになると申上げるよりほかはない。
  108. 永井純一郎

    永井純一郎君 それではもう一つ教育基本法のそれでは一番おしまいをお読みになると私の言うことがはつきりわかる。十一条はわざわざ設けて、この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には適当な法令を作れと書いてあるじやないですか。私は最後にそれを言おうと思つたのです。なぜこれを読まないのですか。あるじやありませんか、はつきり。特別のことに関する限り特別の法律作つて、それでなければ一切のことができないということを言つておるじやありませんか。それ以外のことはできないということで法律文部大臣は制限を受けているのですよ。最後に私は一言おうと思つたのですが、いつまで経つても。そちらでお気付きになると思うから私が言わないのだけれども、どんなに言われても、設置法、基本法、委員会法を見て行つたらあなたの議論は成立たないのです法律論とします。
  109. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この基本法のしまいにある十一条補則ですね、これは何も関係がない。これは基本法においては教育の基本を示してあるのですから。そうしてこれは一般の原則的なものを書いてありますから、そこでこの基本法に示すところの原則を実現するために、実施するためにこの法律に掲げる諸条項准実施するために必要な、適当な法令が制定されなければならない。こういうことが書いてある。この文部省設置法も、又これにいわゆる必要な法律という意味であり、教育委員会法も必要な法令ということであつて、報告を求めるとか求めんとかいうこととは何も関係がない。
  110. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこが文部大臣考え違いをされている。報告を求める場合にも基本法に基いろいろな法律考えられ、又現に出ておりますね。そのうち例えば第八条二項というものについて調査がしたければ、原則的には文部大臣はできないのです。そこが違いです。原則的にはできないが、許されて権限を与えられた事項だけができる。制限的だということをあなたは等初め認めているじやありませんか。そこで報告を求めるというよう権限も、十一条によつてやはりそういう特別の明らかに定められた法律がなければできないというのです。そうしてそれが五十五条の年報その他に入るという解釈は、設置法そのものが制限的だということを認めておる以上は、そんな拡大解釈は許されないことですよ。
  111. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この基本法は私の見解によれば、教育基本法はその名前の示す通りにこれは手続とか或いは事務的な権限とか、そういうことを規定したものではありません。我が国の教育の基本になる諸原則を規定したものです。そうしてそのうちに例えば第十条教育行政、これは教育行政という点に一番権限とか何とかいうことは関連するわけです。「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。」教育行政はこの自覚の下に教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備、確立を目標として行われねばならない。これが教育行政の基本的原則であると思う。そうして最後の十一条において、この法律に掲げる諸条項、つまり教育行政に関する条項も含めて、その実施のために必要のある場合には適当の法律、命令を作らなければならない、こういうことが書いてある。この補則十一条の言う適当な法令といううちに教育委員会法文部省設置法もみな含まれておるわけです。ただ。そのうちに報告をとる権限が与えられておるというのです。だから、この最後の条文は、これはむしろ根拠になるといえば根拠になる、これがあるから報告をとれないという議論は、どうしてもできないという解釈です。
  112. 永井純一郎

    永井純一郎君 ですから、その場合とれるのは年報です、その他なんです。
  113. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) だから年報その他必要な報告でしよう
  114. 永井純一郎

    永井純一郎君 それを年報その他必要なものでやつている、年報程度のものです、事務的なことは。
  115. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) いや、程度のことは書いてない、それは、そこへ持つて来るから、いけない。
  116. 永井純一郎

    永井純一郎君 いや、あなたの権限そのものが制限的だから、受ける五十五条も、委員会法も制限的なものであることは当然ですし、何でもかんでもできるということを制限をしようということが設置法なんです。あなたの権限はそれ以外にないのだということに、わざわざしてあるんですから、それで特にこういつたよう政治活動云々について、文部省が立ち入つて調査をしたり、しようとするならば、特別にそのことについての明らかな規定がなければこれはできないのは当然です。五十五条というような昔の警察関係法規のように引つかけてやるというわけに私は行かんのじやないか、制限されている。どこまでも厳格に解釈して、年報その他なんです、必要な報告は。こう解釈を私はしなければならない。そういう意味から言えば、明らかにこれは間違つた権限に基くものであるから、法規に基かざるものであると、私は言わざるを得ないと思うのです。非常に不用意にこのことを私はされたのじやないか。で、明らかな法律的な解釈を以て力されなければ、私ども質問を中止するわけには行かんのですが、今すぐに、いろいろさつきから相談をされておりますけれども、その都度その都度思い付きの答弁幾らされても困るので、もう少しまとまつたことを答弁されませんと、困ると思います。
  117. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 私のほうの答弁は、速記録をあとで御覧下さればわかりますが、終始一貴しておるつもりです。あなたのほうで、お言葉を年報ということに非常にこだわつておる。先ほどの、この通牒教育上必要なる報告ということをお認めになつた。(永井純一郎君「いや、認めるということじやないのです」と述ぶ)お認めになつたのですよ、それは速記録を御覧になればわかる。お認めになつておる。それを年報という字にこだわつて、年報に類似するとか、そういうものにお認めになるということは、法律の正当な解釈ではない。法律を読めばはつきりしている。必要なる報告を提出きせることはできしない、こういうことを言つているのです。それは制限的にとおつしやつていますが、成るほどすべての教育法規というものが、文部省権限というものを、昔のようなものと比べれば、遥かに制限しておることは、これは当然であります。当然であるけれども、できた法律はできた法律で、その意味で、できておるのです。できたものまで制限的で、成文にあることまでもそういうものはいけないことだと、そういうふうに言われることは制限的な態度ということと、現実の法律解釈ということと混同しておられるのじやないかと私は思う。これは何度申上げても同じことでありますが、私のほうの答弁は終始一貫しているつもりであります。
  118. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の永井さんの質問に関連して大臣お尋ねするのですが、大臣は、前にこの通牒について談話を発表しておられますが、その中に、これは教育委員会が報告しようと思えば報告してもいいし、報告する必要はないと拒否しようと思えば拒否してもいいと、こういう談話を発表しておることを私は聞いておるのですが、その点如何でしようか。
  119. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは私は特に談話を発表したということはありません。ただこの間或る新聞初中局長の談として、報告するかしないか、しなければこれはやむを得ないのだという意味の談話があつたことは、私も新聞で見ております。これは御承知通り教育委員会を指揮したり監督することもできませんし、それにその意思を拘束する立場文部省はとれないのです。それでこの教育委員会法五十五条も、文部大臣は「必要な報告書を提出させることができる。」と、こういうことを今永井さんのお話ように、教育委員会そのものの本質からみて、「させることができる。」ということを、逆に教育委員会は報告書を提出しなければならない、こういうふうに読んで読めないことはないのですけれども、私どもは先ほど永井さんの言われたよう立場から、逆にこれが文部大臣ができるということを書いてある、できるということを書いてあるので、教育委員会が、それがあればどうしても提出しなければならん義務があるのだとまでは解釈をしておらんのであります。これは教育委員会というものの性質から見て、そういうものを、だから教育委員会が報告書を出さなければ、これはやむを得ない、こういう意味です。
  120. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで、永井さんから先ほどこの通牒について、文部省権限があるかどうかということについて、詳しい御質疑があつたわけですが、そういたしますと、一つ疑念が起つて来るわけです。文部大臣は先ほどからこれは文部省権限に基いて報告を求めた、だから法律の基礎の上に立つて報告を求めたのだ、こういう御説明でありました。若し法的な権限に基いて、報告を求めているということになれば、私は教育委員会は拘束されて、これを拒否することができない、こういうことになるのじやないかというふうに考えるのです。ところが只今文部大臣は、いや、教育委員会はこの報告は拒否してもいいのだということになると、これはどつちか。正当なる権限がないのに、報告を求めているということになるのじやないかと思うのですがね、その点の御説明を伺いたいと思います。
  121. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは今お答えをしたのがつまりそれなんですが、文部大臣は報告を求めるという、そういう権限がある。その権限文部大臣にある場合に、求められた相手が必ず提出をしなければならん義務があるかどうか、ここに問題があるわけです。報告を求める権限がなければ、てんで文部大臣がそういう通牒を出すことができないわけです。ところがこれを報告を求めることができるとあるから、その通牒を出すことは私は差支えない、当然なことだと、ただ教育委員会の性質上、一応文部大臣の拘束に服しないと解することが至当でありますから、これは私は法律は片方は提出を求めることができると、こうあれば、逆に今度は報告する側から言えば、報告する義務があろうと解釈される場合は、相当あろうと思います。あろうと思うけれども、それは教育委員会というものの特質から見て、いわゆる民主的な運営という見地から、報告を拒んでも、これを拘束する力はない。法律にはこれを拘束してまでこの報告を求める権限は与えられておらん、こういうふうに、永井さんのいわゆる狭義に解釈をしているわけです。従つてこつちから求める何も、それは勧告、助言の場合でも同じであります。勧告をすることは文部大臣権限であります。教育の運営について助言をすることも権限だ、併しながらこの勧告、助言といろものを、受入れるか受入れんかということは、これはその委員会の意思によつてきまることであります。これを拘束する力はない、そこが指揮、監督と助言、勧告のまあ区別の存するところであろうと思う。この場合でも、報告を求めるということはこれはできます。片方はその権限があつても、片方は報告をしない、その意思によつて報告をしないという場合は、これはやむを得ないと私は解釈している、こういうことを申上げた。
  122. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういたしますと、なんですか、私はその説明では十分納得できないのですが、年報のようなものでも、これは報告を求めるものの範囲に入つていますが、これでも教育委員会がそういう必要がないということであれば報告しなくてもいいということになるのですか。
  123. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 同様に解釈しております。
  124. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうですか。これは私どもの常識ではなかなか理解し議し難のですがね。そういう権限があればやはり当然そこに報告を提出させるだけの権限が附随して来るんじやないかというふうに考えるのですがね。
  125. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それはこの書き方はほかの場合にそういうふうに解釈する場合が非常に多いと思います。相手が報告しなくても差支えないということなら、この権限文部大臣が持つているということは、まあ場合によると無意味になりますから、こういうふうな、そういう今荒木さんの言われたよう解釈する場合が相当あろうと思いますが、今中したようにこれは教育委員会という、つまり国民の直接の選挙によつてこの面に当つている、その立場から見て、これを文部省が拘束するという立場は一般的にないと、こういうふうに私は考えておりますので、それはどうも教育委員会が報告しなければ、これはやむを得ない。恐らく勧告、助言の場合でも同じです。勧告、助言をしても知らん顔されればそれつきり、そういうことです。
  126. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで私はやはり永井さんのお翼ねになつた点に帰つて来ると思うのです。私は年報のようなものはこれは当然報告しなきやならん義務が教育委員会にあると思うのですよ。けれどもここに示されたよう教育内容に亘るようなものは私は文部大臣権限がないんじやないかと、こういう解釈をしているわけなんです。これは文部省通牒は単なる調査じやないと思います。教育内容に亘る私は調査だと思いますがね、そういうものは。私は文部大臣にそういう権限がないと、こういうふうに解釈しているのですが、これはまあ永井君の質疑で水掛論のような形になつているのですがね、私はこれは明らかに教育内容だと思うのです。そういうものの調査とは違うと思うのですよ。その点ですね。
  127. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 荒木さんのこれは年報の場合は義務があると、そうでない場合は義務がない。
  128. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうでないというのじやなしに、誤解していますから……。教育内容を私は言つている。
  129. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 年報の場合はこれはこの規定によつて提出する義務がある。それからその他の教育内容に関する場合には義務はないんだと、こういうことは、そう二様の解釈については、少くともこの法文からは私は出て来ないと思うのですがね。
  130. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこで教育内容についてはその権限の中に含まれていないと私は解釈するのですよ。調査するその対象として文部省設置法第五条には教育内容についての調査はその内容に含まれていない、こういう解釈をしているわけなんです。
  131. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それはこの年報その他必要なる報告というものを提出させることができるという解釈の上で荒木さんが年報は義務があるが、その教育内容に関するものは義務がないはずだ。だから遡つて報告を提出させることもできないはずだ、こう逆に解釈するという、まあこれは御意見ですから、御意見は御意見として承おりますが、私ども法律解釈はそうは考えておりません。
  132. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 誤解があつたらいけませんから附加えますが、その他必要な報告を求めると、これは私はいろいろあると思うのですが、その他年報存じやなしにいろいろ必要ものを求める、これは私は文部省権限として立派にあると思うのです。併しその必要の中に教育内容調査は含まれていないと、こういうように私は考えています。こういうふうに思います。
  133. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) この法律には教育内容に関するものを除くという明文はないのでありまするから、私どもは特に教育内容に関するものはこの文に含まれておらんという法律に基いての解釈をとる余地はないと考えます。
  134. 永井純一郎

    永井純一郎君 今の点ですが、それで又根本の問題に遡りますが、教育内容に関することは文部大臣権限にないのですから、当然年報その他必要なという必要の範囲というものはおのずから限定されておるのだ、限定的だと私は申上げている。範囲がないから、それが字句にないからできるのだというのは逆なんで、やりたければ……、法に明定されておらなければできないと限定されておるのですね。そうであれば文部大晦がやはり私は間違つておられると思いますね。
  135. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 教育内容について教科については文部大晦に権限がないということを言われますが、私どもはそういうふろに思つていない。教科書の検定も、これは文部大臣がすることになつております。これは教育内容のうちの最も重要な事柄であります。又いわゆる学習指導要領と言いますか、文部省の中に教育課程審議会というものがあつて、そうして学習指導要領を出しておるということは、文部大臣権限になつておる。教育内容については一切文部大臣権限を持たんのだ、従つてそれに対する必要な報告をとる余地はないのだ、こういうふうな御解釈には私どもは同意しません。
  136. 永井純一郎

    永井純一郎君 文部大臣はそれが間違つておると私が申上げるのは、教科書の検定ということはありますが、併しそれらについて調査でしたか、勧告だか何かができるのであつて、それについて何でもかんでもあなたのほうでできるということは規定してないのです、制限してある、そういうことについてもすべて。それは大きな間違いですよ。教育内容については原則としてない。併しあるのはこれくこれこれで、これに対する援助だとか、サービスだとか、勧告だとか、その環境が教育上よくなるようなふうにいろいろせよ、それだけができるのだというふうに書いてあるのですから、全体について教育内審についてあるわけじやないのですよ。非常に混乱されておると思いますね。
  137. 川村松助

    委員長川村松助君) 須藤君前から発言を要求しておられたのですが…、若しもそれでは、あとでよければ荒木君どうぞ。
  138. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題に関連してですが、文部省教育内容について全然権限がないとは考えません。それは今おつしやつたように、例の教科書の検定権を持つておるわけです。これは教科書というのは教育内容です。併し文部省が検定した教科書を、これを、どの教科書を使うかということはこれは教員に任されている問題だと私は思うのです。それは教育内容になりますが、それについてどういう教科書を使つているかという調査をする必要は全然文部省にはないと私は思うのです。そういう意味における教育内容調査というものは今おつしやつた文部省設置法第五条には含まれていない、こういうふうに思うのです。権限がないとは申しておらないのです。
  139. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) それはどういう教科書を使つているかというよう調査に入りません、それは。
  140. 高田なほ子

    高田なほ子君 権限の問題です。
  141. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) いや、権限としては文部大臣の検定した、検定に合格した教科書でなければそれぞれの学校等において採択することはできない。これは教育委員会ですが、採択の如何ということはできる、だから搾は文部省の検定によつてきまります。この学校はこの教科書を使えということは勿論文部省ではしません。しませんけれども、その意味において教育内容というものは非常な基本的なところでは文部大臣というものは関係をして、おると思つております。この場合は教科書についてどういう教科書を使つているかということを調べる意味はこの通牒にはないのです。
  142. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私はこの内容を今言つているのじやないのですが、文部省には教育内容について権限がないとは言つていないのです。そういうことを言つていないのです。文部大臣が今権限があるとおつしやつた、その通りあります。ありますけれども例をこの教科書にとつただげの問題であつて、その第五条に言いろいろの調査報告の中には教育内容についての調査報告を求める権限は法的にはないと、こういうふうに私は考えている。
  143. 永井純一郎

    永井純一郎君 検定することがあるわけですよ。
  144. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは「教育、学術及び文化の振興に関し、調査し、及び企画すること。」と、こうあるのですから、特にあなたのように制限する場合には、少くとも何らかの制限をして読まざるべからざる法的根拠が要ると思うのです。
  145. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 関連して。教育内容ということは非常に私漠然とした言葉であると思うのですよ。それは明らかにしてもらわなければならんのですが、これと関連して教育委員会法に教科内容という言葉使つてあるわけなんです。教科内容及びその取扱に関することが教育委員会権限になつているわけなんです。この教科内容というのはどの範囲を指すのか、これは相当重要な問題になつて来ると思うのですが、これはどういうふうに解釈しておられますか。例えばいろいろ教材として使う資料ですね。そういうものも含めているのかですね。どの程度のものを指しているのですか。
  146. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 今お話ような、どういう教材を便うかとか、そのほかの教科の内容の決定については教育委員会権限にあると私ども承知しております。
  147. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いや、その教科内容というものの持つている意義ですね、その範囲。
  148. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その地方教育委員会の管轄下にある学校における教科内容をきめることの権限教育委員会にある。
  149. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 よく聞いて頂きたいのですが、第三項に「教科内容及びその取扱に関すること。」は、これは教育委員会権限としてあると、もうはつきり書いてあるのですから、ありますといつておるのです、教育委員会に。そこで教科内容というのはどの範囲を指すのかということを尋ねておるわけです。そこで教育をして行くためには教科書も要りますね。そのほかのいろいろなものも要ります。学習帳にしたつて、地図にしたつているく実験刑具にしたつて要るわけです。そういうとこまでを教科内容として指しておるのか、こういうことを尋ねているわけです。権限を聞いているわけではないのです。これは、はつきりしていますよ。
  150. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) その学校できめまする教育課程の全般に亘つて権限があると、かよう解釈しております。
  151. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は具体的にといつているのですから。
  152. 緒方信一

    政府委員緒方信一君) 具体的に申しますと、今お話ような、如何なる教材を使うかとか、学習指導方法についての問題につきましても、権限については教育委員会にある、ただ実際の場合には、学校における教員のいろんな意見を尊重してきめられることと思いますけれども、それの決定は教育課程に含まれまする問題の全般につきまして教育委員会権限にあると、かよう考えております。
  153. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると学校で使う教具、教材一切は教育委員会判断に待たなければならんと、こういうことになるわけですか、白墨一本に至るまで。
  154. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 「教科内容及びその取扱に関すること。」これの最終的な責任が教育委賛会にあることを規定しております。そしてそのために、例えばお話の教材につきましては、学校教育法において、学校が適切と認めるものを使用すること、こういうことが規定されております。併しながらそのことは、例えば教材その他のものについて、教育委員会が最終的な責任を負わないということではございません。学校が適切と認めるものを使用することができるのでございますから、通常の場合には学校がこれを採用するわけであります。
  155. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は先ほど荒木さんの関連質問で発言を譲つたわけですが、荒木さんに今後ずつと続げて頂いても差支えないのですが、その前に委員長に伺つておきたいことは、私は国警長官に今日質問したいので、国警長官においで願つたのですが、荒木さんの質問が今後相当続いても、なお国警長官続いてここにおるということならば、荒木さんに質問を続けてもらつて差支えないと思うわけでずが、そういうことを確めておいて頂きたい。
  156. 川村松助

    委員長川村松助君) 長官は午後は地方行政に出なければならないので成るべく早く。
  157. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は先ほどから永井さんと大臣の質疑を聞いておりまして、どうも法理論から言うと永井さんのほうが正しいと思う。(笑声)  それからなぜ今度各歴代の文部大臣がずつとやつて来て、こういう問題が起らなかつたのに、今度起つたかというところにも、一つ大連文政の性格というものがやはりそこに問題になると思うのです。先ほどから必要ということが再三言われておりますが、その必要を拡大、拡張をすることが危険だというので、今度の民主的の法律ができているわけなんですが、それを単なる法案の説明の不備といいますか、足りない点を大連さん式に解釈して、そうして、これまでの文部大臣解釈しなかつたよう解釈をあなたがして、そうしてこういうよう拡大解釈をして、そうしてこういうことをやつて来るというところに私は大きな問題があるということを、大連さんも一つ考えてみる必要があるのではないかと思うのです。そこが私たちからやはり反撃を食ら最大の原因だろうと思う。そうして具体的に私は質問を…。一つだけ聞いておきたいことは、生徒の脳裡に印しようとしていることは、印した事例ならば結果から見て判断できるのですが、印しようとしておるようなことを、実際にこの通牒を受けた人が文部省に報告しようと思つた場合に、どういう方法を以てこの印しようとする事例を報告することができるか、具体的にどういう方法でやるか、あなた一つ述べてもらいたいと思うのです。六百、どういうよう方法でこれを調べられるんです。
  158. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは、教育委員会法第五十五条の解釈について、私は何も新らしい拡張解釈をしておるつもりはありません。従来の文部大臣と何か解釈でも変えたようなふうにおつしやいますが、これは今までこの委員会法において、五十五条が恐らく問題にならなかつたからだろうと思います。必要なる報告書というものを、その文字通りに私は読んでおるのであります。読んでおるので、これは拡張解釈でも何でもない。必要な報告である点は、すでに永井さんもお認めになつておるのです。ただそれに、而もなおその上に、何かの法律的基礎がなければできない、こういうことを言つておられる。こういう必要ないものまでも提出させることができ得るような拡張解釈をするのではありませんから、その点は誤解のないようにして頂きたい。  それからお尋ねのこの通牒内容で、「特定政党政治的主張を移して児童生徒の脳裏に印しようとしている事例、」これは印したという事例ならばわかるが、印しようとする帯例ならば、わからんじやないか。これは印した事例というものは、これは私どものほうから言うと、実はわからん。調べようがない。これは子供に一々聞いてみなければ、果してそれが児童の脳裏に刻印せられておるかどうかということは、これは子供を一人々々調べなければわからない。そうでなくして、教育内容として、それが果して児童の脳裏に印したか、印しないかは別として、そういう内容教育をする、つまり印しようとするよう教育をしておる、こういう事例があるかどうかということを調べて報告をしてもらつたのでありまして、あなたの今言われるのとは逆になるのです。印した事例なんというものは、これは非常に立入つた調査をしなければ、子供を一々調べてみなければ、印しておるか、印してないかということは、わからない。印しようとする事例ならばわかるはずであります。
  159. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いや、その教宣の言動に現われた、現われていることならば、誰か聞いておるならば、それで又わかるかもわからん。併し印しようとしている、要するに表わす前を調べるのに、どういうふうな方法で調べることができるかと、こう聞いているのです私は。この指令を受取つた人は、印しようとしている事例というのをどういうふうに解釈して、そして印しようとしているという事例を、どういうふうにして調査しているかということなんですよ。
  160. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) わかりました。ここに印しようとしている事例、こういうことは、教育内容そのものが子供にそういう影響を与えるよう事例、こういう意味でありまして、先生が授業を授ける前に、授業の始まらないうちに印しようとしたかどうか、その先生の気持を調べるという意味ではないのですよ。その教育内容そのものが、児童にそういう影響を与えるよう教育をしているかどうかとい、りことを調べるので、それはあなたのは先生の気持をという意味でしようが、私のは教育内容そのものが印しようとするよう教育内容、こういうことでありますから、それでおわかりになりましたと思います。
  161. 高田なほ子

    高田なほ子君 関連して。又さつきの質問を繰返したことになりましたね。結果として、やはり教員の思想が浮んで来るということは、さつきここに確認せられたことだと思うのですね結果として。結果論は、大臣、あなたも言つておられる。そうすると、文部省権限の中に、たとえ必要でありましようとも、教員の思想が浮んで来るというよう調査をせられる権限があるかないかというところに又逆戻りして来るのです。この点について、結果としてそういうことであつても、文部省調査権限があるかどうかということについて、こういうことを質しておきたいと思うのです。
  162. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 今お話を申上げましたように、先ず子供教育を授ける前に、先生がそういう印象を児童に移そうとしている…先生の気持を調べるというものではないのです。その気持の報告を求めておるのではない。若しそこに、先生の気持を報告してもらいたい、こういうことであれば、これは或いはいわゆる思想調査と言いますか、何かそれに類似したものになるのです。私どものほうではそうではないので、その教育そのものが、内容において児童生徒にそういう強い印象を与えるよう教育ということを指しているのであります。これはこの文句で十分そういうふうにとれるものと思います。私どもは先ほど申上げましたように、かくのごとき調査をする結果、非常に偏つた教育を非常に熱心にやつているというよう事例があつた場合には、遡つてその先生の思想というものが、それによつて反射的にわかるような場合もあるかも知れない。併しそ先生は本来そういう思想を持つておられるわけではないので、誰かから、こういうことを教えろという資料をもらつて、そろして教えられた通りに教えているかも知れない。だから、そういう思想のない先生がやつているかも知れない。私どもは、先生がどういう思想を持つているとか、どろいう考え方を持つているかという、先生自身の思想というものを調査する報告を頼んでいるわけではないので、ただ教育がそういう教育であつたか、従つてその先生がどういうことを考えようとも、それは考えられない。その先生のやつている教育そのものについての調査依頼したわけでありまして、決して思想調査ということにはならんと思います。これはしばしば申上げた通りであります。
  163. 川村松助

    委員長川村松助君) ちよつと速記をとめて下さい。    [速記中止〕
  164. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。
  165. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国警長官にお尋ねいたします。昨日の当委員会で、私は体を悪くして休んでおりましたので直接聞くことはできませんでしたが、今朝ほどから速記録を調べて見ますと、国警長官の命によつて、日教新内にあると長官が推察している共産党の組織、フラク活動を調べているというよう答弁がなされているのでありますが、この組織とか、フラク活動を調べる法的根拠はどこにあるのか、お聞きしたい。
  166. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私のほうにおきましては、そうした共産党のフラク活動というものについては無関心でおれない、治安上。従つて共産党の活動が教育労働者の中のほうにもどのように伸びているかということについても無関心でおれない、調査できる範囲において調査している、かように申上げました。で、これにつきまして、それはどこに法的根拠があるかというお尋ねでございますが、私は治安維持の責任を持つている警察といたしましては、どこかに禁止されていなければ、又禁止されていない手段、方法であるなら、治安維持上必要な調査は私はやつてよろしいのだ、かよう解釈いたしております。
  167. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではあなたは共産党のフラク活動を調べて、調べることは憲法にも違反しない、そういうふうに考えるのですか。そうしてなおフラク活動そのものが憲法に違反し、又非合法のものだ、そういうふうにあなたは考えているのですか。
  168. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は憲法には違反しないと考えております。  それからフラク活動で、治安維持の必要上調べなければならんというものがあれば、私は調べるべきむしろ責任があると、かよう考えております。
  169. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 すると、あなたは共産党のフラク活動は憲法に違反しないし、非合法ではないということは、これは確認していいわけですね。
  170. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) フラク活動は憲法では禁止をしていないはずだと私は思います。ただその活動が法律に触れる場合もありましよう。これは憲法で禁止していなくても、法律に触れれば、処罰の対象になるだろうと考えます。又直接今犯罪が成立しておるというわけでなくても、犯罪を犯す可能性が多分にあるという場合には、私ども調査の範囲内に置いておかなければならない、かよう考えます。
  171. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 共産党というものは、今合法政党ですね。その合法政党政治活動をするそのフラク活動が、なぜあなたたちの対象になるのですか、取締りの。
  172. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は合法的に存在しておるものでありましても、これは犯罪を犯す虞れが多分にあるという場合には、我々といたしましては、その状態を知つておくということが責任上必要だ、かよう考えております。
  173. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 合法的な共産党が犯罪の対象になるとあなたたちは判断しているのが、それがまあ第一私たちにとつては、非常なおかしなことで、あなたたち自身が合法政党である共産党に対して、そんな色目を以て、そうして合法的なフラク活動を何か犯罪の対象の、ことく考えて行動すること自体が、私たちは憲法に違反した人権の蹂躙であり、非合法的な活動だと、むしろ私はそういうふうに考えるのですが、どういう点があなたたちの対象になるのですか。
  174. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は共産党が、最終においては日本の革命は平和革命ではできないのだと、窮極においては議会制度では革命ができない、どうしてもこれは武力革命であるという、ことをおつしやつておられる。そうしてその方法といたしまして、或いは軍事組織であるとか、或いは軍事活動であるとかいうようなものについて、いろいろ、指示であるとかがなされておる。かような状態におきましては、我々は治安上どういう状態にあるかということは知つておる責任があろうと、こう思つております。
  175. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうふうな共産党の活動に対して、そういう断定を下すこと自体に問題があると思うのですが、革命の様式などというものは、これは一方的に決定できるものじやないのです。これは権力と権力との戦いですから、一方的に何ら形は作ることはできない。ですから、あなたがそういうふうな一方的な決定をすること自体に私は問題があると思う。私たちは何らそういう決定的な指示を受けていない。それをそういう一方的な見解の下に、それを口実にしてあらゆる問題に対してあなたたちが非合法的な、違憲的な行動をとるところに私は問題があると思うのですが、今度のこの日教組の問題にしても、日教組内に共産党のフラク活動があつて、そうしてそれがいわゆる今言つたようたそういう行動をやつているからというような前提の下に、そうしてそのようでもないものを対象として、それを口実にして思想調査をやろう、そういうところに今度の問題が大きく出て来ていると思うのですが、あなたたちはこの日教組内におけるフラク活動をどういうふうな方法で調べておるのですか。
  176. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) しばく只今須藤委員のおつしやるような抗議と言いますか、御意見を、共産党のかたからも承わつております。先日も、川上貫一議員が私のところにお見えになりまして、そういうようお話がございました。私はいつも申上げておりますが、若しそてれならば、共産党の秘密機関紙として出していると言われている各種の軍事活動に関する書類、或いは最終段階においては武力革命であるというようなことは、これは共産党としては考えていないのだ、若し党員がそういうふうな文章に惑わされているならば、大きな間違いだから、そんな秘密指令みたいなものはよすから、来たとするならば、それは我々の関知しないことで、そういうふうなものに惑わされるなということをはつきり声明をして下されば、国民も安心するであろうし、我々としても非常に安心であつて、かよう調査をする必要は何もない、若しそういうことならば、そういうふうにやつて頂きたいということをしばく私は申上げておる。川上議員は余りに心配し過ぎておると言われますが、これは併しそういうことをして頂かん以上は、心配せざるを得ないのじやないでしようか、治安機関としては、ということを私は申上げたのであります。それから、それじやそういつたフラク活動をどういうふうにして調査して行くか、これは共産党の例えば地下組織をどういうようにして調査をして行くかというお尋ねと同一だと私は思います。憲法や、法律に触れない範囲でいたしておりますと、かように申しげるしかないと思います。
  177. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたは、この間川上君との応待において、ではなぜフラク活動を名目にして個人を調べるのかという川上の質問に対して、若し個人を調べたことがあればそれは違憲であり、人権躁麟であるということた答弁しているのですよ、併しですよ、フラク活動を調べるのに、個人を調べないでどうして調べることができるかという質問なんです。
  178. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は川上委員に、個人を調べることは違憲であり、人権蹂躙であるとさように申上げてはおりません。個人、殊に教員の思想内容を調べるということは、これはよろしくないと思うと、こういうことは、又我々としても一々そんな思想内容教育内容は調べる必要はありません、かように申上げておる。
  179. 高橋道男

    ○高橋道男君 議事進行……。本日の委員会は文部通牒を中心としての質疑応答だと思いますから、只今の須藤委員の御発言は、共産党のことに関連しての御発言だと思いますので、若しそういうことであるならば、問題を返して、この問題に集約して、甚だ恐縮ですけれども、時間の関係もありますから、そういうようにして進行して頂きたいと思います。
  180. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 個人調査をするに当つて、共産党に名を借りてやるから、僕はそこを質問しておるわけで、共産党の問題として私は質問しているわけじやないのです。(「簡単々々」と呼ぶ者あり)
  181. 永井純一郎

    永井純一郎君 議事進行。今須藤さんが言われたように、折角の高橋さんの御意見であつたのですが、今須藤さんの質問の途中でありまして、行く行く結論は…、私はよくわかりませんが、結論は教員のやはり個人思想調査というようなところに行くための質問考えられまするし、これは重要だと思いますから、国警長官並びに文部大臣答弁は当然必要になつて来ると思いますが、ただ時間が非常に遅くなりましたので、全部今日できなければ、次回なり、なんなりにあとは譲つてやるというふうに、一応須藤さんに一通り済ましてもらつて、あとそういうふうにして頂いたらどうですか、お諮りを願いたい。もう少し続けてどうです。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  182. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 党の組織とか、フラクというものを調べるためには個人を調べなくて調べられる道理がないわけなんです。そこで共産党のフラク活動があるというようなことを口実にして教員を調べる場合は、教員の思想内容を調べなかつたら調べがつかないのです。それを個人的な思想の調査などはやらないといいながら、日教組内に共産党のフラク活動があるから調べるのだと、それじやどういうふうなことで、個人の思想内容を調べないで共産党のフラク活動が日教組内にあるということを、どういうふうな方法で調べるのかということを質問しておるわけなんです。
  183. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は恐らく須藤委員はよく御存じになつておられるだろうと思うのですが、非合法な組織、非合法な会合、或いは一般に公開されない組織というようなものをどうしてお前たちはキヤツチするのかという御質問と同じだろうと思います。その人がどんな思想を持つているか、どんなあれだということは調べませんでも、どういう内容の会合にどういう人が集まられるか、その内容がどういうものであつたかということはその人の個人の思想を調べてみなければわからないというものじやなかろうと私は思います。
  184. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじやそれは何ですか、日教組内にあなたはフラク活動があるということを調べる場合、どういうふうな、具体的に言つたらどういうふうにして調べているのですか。どういうふうな方法で、どこでそれを調益しておるのですか。
  185. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 例えば教員がグループ会議を開かれる、或いはそれは共産党の指導下において開かれる、どこで開かれ、どういう人がそこへ集まつておるかということは、これは或いは秘密文書によつて、又実際そこに集まられたかどかということを確認することによつてわかるわけであります。
  186. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと関連して。そこでお尋ねをしますが、今朝の社会タイムスに「記者にバケて山口で新手の教組調査」、つまり警官と思しき者が共同通信の記者であるとか、中国の記者であるとかとい。つて、組織の現状はどうか、誰が役員になるのかなどと質問をして不審に思つた教官が氏名を聞いたところが無言のまま立去つて行つている。而もこういうようなことはいろいろの新聞記者の名前を使つてやられていることであるというような重大な何が載つておりますが、斎藤国警長官は仮にこういうこと、新聞報道だけでわかりませんけれども、警官が詐称して組織の現状や何かを尋ねたような場合に、これは一つの私は人権蹂躙、又職務詐称、職権濫用というよう内容になつて来るように思うのですが、大変に大きく出ておりますから、これについて所見を伺つておきたい。又法的根拠と両方……。
  187. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は他の新聞でも読みました。それによりますると、そういうことがあつたか、それが誰であつたか調べてくれということを国警本部へ新聞社から要望があつたという記事を読みました。私は警察官がそんな馬鹿げた方法調査をしておろうとは思いません。これは恐らく何といいますか、警察官でない者が或いはやつたかも知れません。最近いろいろ何か学校の中に黙つて来て黙つて行つた者がある、それが警察官であるというよう報道されておる向きも多いのでありますが、何か警察官が思想調査をしておるのじやないか、或いは政府から教員中立性確保の法案が出されるというようなことに関係をして特にそんな事柄があるように私感じておる。これはむしろ私のほうでもはつきりいたしまして、一体誰がそんなことをやつたのかということを十分つきとめたいと思います。これは警察のためにも又教職員のためにも不幸なことだと思います。
  188. 高田なほ子

    高田なほ子君 念のためにお伺いいたしますが、これは仮に警官でない別な特定個人であるとした場合に、記者なら記者、新聞社なら新聞社という名前を使つてこういうことを調査したときには、この者はどういうような法の対象になつて来るか尋ねておきたいと思います。
  189. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) それは恐らく私は法の処罰の対象にはならんだろうと思います。他人の氏名を詐称したとか、何か権利に関する文書についてということでありますが、今刑法等にも開議すべき事項はないのであります。だからそういう場合には応答される人はよほどそこを確めて頂かないといけないのじやないかと思います。
  190. 安部キミ子

    安部キミ子君 先日静岡の教組の調査に参りましたときにも、警官が或る先生の友だちの名を籍りて呼出し調査をした。このことは本会議で湯山さんが質問なさいましたので、このことについても江口国警隊長が認めておられるのですが、そういうときには国警のほらでは、その担当の責任者の立場ではどういうふうな態度をとつて処理をしておられますですか。
  191. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) この点は私はさようでない、事実が間違つておると聞いておりますが、詳細は山口政府委員からお答えいたします。
  192. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 静岡県で起りましたその件は、その警察官と学校の先化が前から懇意な間柄の者であります。その警察官が学校先生にお会いするつもりでお電話をいたして、お会いしたいということを前以てお話してあつたのでありますが、その人に急に用事ができまして参られませんので、電話をその警察官が先生にかけまして、自分が行けないのでこういう者が行くからよろしくということをお話したわけであります。で、先生のほうで、それでは待つておりますということでお会いをしたのであります。従つて友、たちの名前を借りてと言いますのは、若干事実と相違をいたしているように私は考えております。
  193. 安部キミ子

    安部キミ子君 ちよつともう一度。その日に国警隊長とお会いしましたときに、最後の結論として、国警隊長は新聞紙上に出ましたように、遺憾であるという意味の声明書を出されました。そのときに隊長が指令をなさつたのかということを追及しました際に、そうじやないということをおつしやいましたが、併し自分はそういう指令出したことはないということになると部下の職員にも迷惑もかかるし、責任があるようにとられるので大変遺憾だ。その心中はお察ししたのでございますが、その日の全体の空気として私が直感しました中では、やはり一時にあのようなことが全国的に起つているということは、何かしらこの背後には中央からの秘密指令、或いは文部省の、かねて、私は文部大臣に申したのですが、文部省のほうでもそういうふうな傾向があつたのじやないか。何かそういう印象を強くいたしたのですが、その点は如何でしようか。両方の所管大臣に聞きたいと思います。
  194. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これはもうしばく申上げますように、全然文部省としては関係はありません。又文部省から警察のほろへそういう末端の警察官、国警本部の長官が関知しておられないということでありますから、私どものほうから国警本部へ相談したはずはないのであります。又いわんや末端の警察官に文部大臣がどういう指令を出そうにも出しようがないのであります。これはもうしばく申上げましたごとく文部省は何ら関係はございません。
  195. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 昨日も申しました通りに、文部省所管事項というものにつきましては警察は全然知つておりません。又出ましてからのちも、それについてそれじや警察がどうしようというようなことを考えてみたこともございません。全然関係がございません。又全国いろいろなことが起つているじやないかとおつしやいますけれども、私のほうといたしましてはむしろこういう際だからいつそうこういう事例がある、こういうことはいつそう慎しんでもらわなければ困る。普段ならばなんでもないと思われていること、昨日申しましたように、道端で会つてどこへいらつしやいましたか、今日はこういう大会へ行つてみました、どんな様子でしたか、それすらも取上げられる状況なんですから、普段なんでもないと思つていても取上げられる。特にこちらが調査するとかなんとかいうことでなくてもそういうようにとられる虞れがある、かような虞れがないようにしてもらいたいということを言ろておるくらいでありまして、そんな調査をするようにという指令は断じて出しておりません。
  196. 安部キミ子

    安部キミ子君 教育中立性ということを……又文部大臣大臣になられてからのこの教育行政一般に及ぼす空気というものが何かしら先ほどから問題になりましたように、教育に非常に暗い影を持つて来ている。昔の特高政治に似たような警察権が濫刑され、又教員思想調査という形に、思想の調査でないとおつしやいましても、どの新聞を見ても思想調査調査という名で書かれているように、国民全部がこれをはつきり思想調査と認めているのでございます。こういうふうな事実が起つたということにつきまして、それは何ら文部大臣の関係されたことではない、そういうことではないとおつしやいましても、事実としてこういうふうな結果になつているということについて大臣はその責任、こういう事態なつた責任を、お感じになられないでしようか。
  197. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これはもうしばく繰返して申上げますように、私どもは全然関知しておりません。私が大臣に就任したために教育の方面で非常に暗い影介さしておるというお言葉でありますが、私はそうは思つてはおらんのでありまして、むしろ今まで教育の面にさしておつた暗い影を取除きたい、こういう考え方を持つております。
  198. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 共産党のフラク活動を調査しておるが、併しそ個人の思想は調査しないというのが国警長官のこれまでのずつと答弁だと思うのですが、フラク活動に個人が参加しておる、ところがその個人の思想を調査せずしてその人が共産党のフラクであるかとか、なんとかいうようなことをそう簡単に断定することができるのですか、どうですか。
  199. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 簡単に断定することは極めて危険であります。非常に慎重にいたしております。それから例えば我々が御承知ように、教育労働者という、これは秘密機関誌でありますが、これはもう公開されていないものだと思います。これは私どもは、教育労働者に対して、共産党のグループ活動の活動方針が掲げられる秘密機関誌だと思つております。この教育労働者の秘密機関誌によりますると、共産党が共産主義教育をどういうようにして徹底さしているか、或いは日教組の内部内におけるグループ活動の拡大、その勢力の伸長、そうして共産党員に少しでも多くの教育者を引入れるといういろいろな方針が書いてあります。この方針に従つて所々で更にこれを徹底させるための会議が開かれておる。で、その会議にどういう人が集まり、そこに集まつて、そうして更に又そういつた活動を次々として行かれるということであれば、これはやはり私は日共の教組内におけるグループじやなかろうか、かようにして見ておるわけです。併しそういうグループ活動自身が今直ちに法律違反ではございません。従つてその人を引張る、逮捕する、そういうことは起りませんが、我我といたしましてはこの勢力がどのようになつて行くかということを絶えず治安面と睨合せて……。
  200. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そんなことを考える前に汚職のほうを修え給えよ。共産主義は、思想の自由で、ちやんと憲法で序られている思想であり、共産党も合法政党ですよ。その合法的な思想、合法的な政党政党の活動をやろうと、思想活動をやろうと、そんなことがあなたたちの対象になるはずがない。そんなことを対象にずることこそ憲法違反ではないか。それよりももつと汚職がどこでやられるか、それを注意するほうがいい。共産党をそんなに一生懸命注意しているから、そんなことが政治に現われている。今日の汚職はなんであるか。それこそ本当に今日の国民を誤らせているのではないか。そんなことをやることがあなたたちが憲法違反の行動をやつていることになるのではないか。而もそのグループ活動に出て来る人を、どういう人が出たということを調べることは、個人の思想を調べるということになるんじやないですか。個人の思想を対象ぜずにそういう調査ができますかどうですか。それは個人の思想の調査をする結果になるんじやないかということを一言つている。
  201. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は思想自身がどういう思想であるかどうかということを調査する必要はないと思います。(「やつているじやないか」と呼ぶ者あり)そういつた非合法活動が何か犯罪事件になるというような場合に、どんな勢力になるものであるかということを見ているだげでありますから、どういう思想を持つているかということの調査の必要はございません。
  202. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 共産党の集会をそれほど注意するならば、例の赤坂や待合でよく集会されておる、その集会をもつと気をつけなさい。そのほうが日本にとつてマイナスなんだから。個人憲法で保障されている思想の自由や言論の自由を取締つて注意する前に、待合の会合などを注意しなさいということを言つているんです。
  203. 木村守江

    ○木村守江君 大体一時半ですから、今日はこの辺で散会をお願いします。(「賛成「まだく」と呼ぶ者あり)
  204. 川村松助

    委員長川村松助君) どうしましようか。
  205. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まだ質問があるようですから、時間もかなり進んでいますから、この辺で懇誕をして、そして今後の取扱を一応協議したらどうですか。
  206. 川村松助

    委員長川村松助君) 今日これが済んでから理事会でやります。
  207. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はまだ国警長官に質疑をしなければならん問題がたくさんありますが、私の質問は本日は皆さんが迷惑するといけませんから次の機会に保留して置きますから。
  208. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  209. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて。本日はこの程度を以つて散会いたします。    午後一時三十二分散会