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1954-06-01 第19回国会 参議院 農林委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月一日(火曜日)    午前十一時二十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            野溝  勝君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   衆議院議員            金子與重郎君            小枝 一雄君            足立 篤郎君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林政務次官  平野 三郎君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省蚕糸局長 寺内 祥一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済    局農政課長   大沢  融君    農林省農林経済    局農業協同組合    部長      谷垣 專一君    農林省農林経済    局農業協同組合    部農業協同組合    課勤務     中沢 三郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農林漁業組合連合会整備促進法の一  部を改正する法律案衆議院提出) ○農業委員会法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○農業協同組合法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○農林政策に関する調査の件  (玉糸の価格安定に関する件) ○政府に対する申入れの件   ―――――――――――――
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは農林委員会開会いたします。  先ず、農林漁業協同組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案を本日は議題といたします。昨日に続きまして御質疑を願います。なお、昨日要求しました資料が一部配付されておるのでありますが、政府から説明を要すれば説明を願いたいと思います。
  3. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 昨晩江田委員からのお話によりまして、いろいろ検討いたしましたのでございますが、二つの方法がありまして、一つは、ここにお配りしました資産評価法によりまする評価基準によつた場合にどうか。もう一つは、勧銀市街地建物、いわゆる土地それから建物評価についての指数がございまするが、それによつて評価した場合はどうかという二通り評価によつてみたのであります。ここへお配りしたのは、資産評価法によりまする評価基準によつてみたのであります。昭和二十七年三月末と二十八年末を比べて見たのでありますが、そうしますると、ここに書いてございまするように、土地につきましては、昭和二十七年の三月三十一日現在の取得価額に対する昭和二十八年の十二月三十一日現在における評価額算定倍率は一であるから、両時点における評価額の相違はないということになる、これは土地でございます。建物につきましては、資産評価法の別表第一により、且つ建物を一応木造建物とし、この木造建物耐用年数法人税法上における耐用年数に準じて取扱う場合には、昭和二十七年三月三十一日現在における取得価額に対する昭和二十八年十二月三十一日現在における評価額倍率は〇・九二であるから、昭和二十七年三月三十一日現在の評価額、即ち同時点における取得価額により百分の八だけ減少することとなる、これは不動産でございます。有価証券については別の紙にちよつと書いてございますが、大部分は社債でございまして、株式は僅かでございます。社債一般利廻りの点から見ました評価はあつても、価格の変化に乏しいといつたようなこと、或いは旧勘定社債の多くは、その利廻りが非情に低率であること、従いまして、その評価によりましても簿価を超えるということが少い、却つて処分損が多く出るのじやないか、こういうふうに考えられるのであります。株式につきましては、東北興業山陽化学日発関東高圧等の休業又は清算中の会社のものでありまして、市場性がないとか、或いは額面割れをいたしておるのでございまして、むしろ処分損が見込まれる、従いまして、有価証券につきましても、その後の値上りを見込むということができないではないか、こういうのであります。  もう一つの点は、勧銀建物乃至不動産評価調査による指数によりまして計算いたしておるのでありますが、建物、それから不動産と分けまして計算をしなければなりません関係上、印刷、計算が遅れておつてまだ届かないのでございまするが、概略申上げますると、昭和二十七年の三月末と二十八年の九月末とを比べますると、土地については約二倍になつております。それから建物につきましては約一・四倍になつております。この指数土地建物にそれぞれ掛けまして評価をいたすことができるのでありまして、それを只今準備して持つて参るはずになつております。資産の再評価法によりまする分と勧銀調査によります分とでは大分開きがございます。一応御参考に両方によつた資料を御提出したのであります。
  4. 江田三郎

    江田三郎君 これは別な資料は出しますか。
  5. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) もう役所を出ておる時分だと思います。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 それじやその点についてはもう一つ別資料が来たときに質問しますが、これは申すまでもなく、もうよく足立さんから聞かされまして、純粋の議員立法であるということでございますが、平野政務次官議員立法をなさつた自由党関係者でもございますので、その内容については党としても関与なさつておると思いますので、政務次官にいささかお尋ねをいたしますが、この十七条の、金融機関再建整備法による残額処分の中の「第三十七条の二第一項第一号及び第二号のイ並びに第三十七条の三第二項から第五項までの規定は、これを適用しない。この場合における同法第三十七条の二の規定による利益金処分は、同条第一項第一号及び第二号のイの規定により国及び地方公共団体に納付すべき額に相当する額を控除してなお残額がある場合に限り、これを行うことができる。」、この点ですね、これは金融機関再建整備法によつて一般的に規定してあるものに一つ特例を設けることになるのですが、さような問題、さような農業協同組合農林漁業協同組合連合会にだけこういう特例をするということが、その他の金融機関再建整備法によつて関係のある向きと摩擦が起きるとか、何とか、さようなことはございませんか。そういう点について大蔵大臣自由党の人でございますし、政調会長はこういう点についてはあなたのほうで特に深い関心を持つておるようですが、こういう点については万事差支えない、こういう見解なんですか。
  7. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 実はこの法案は全くの議員提出のものでありまするが、事前に政府のほうに詳細の連絡は実はなかつたのでございまするが、併しいよいよ提案の間際になりまして、勿論自由党を含めての各派共同提案でございますので、実は協議もいたしたわけでございます。今お話農林漁業組合のみにかような立法をいたしまするということについては、均衡上問題があるということで、政府部内におきましても、特に大蔵省方面におきましては相当に実は異論がありましたわけであります。併しながら、これは農林漁業特殊性に鑑み、又国会の御意向でございまするので、その趣旨を諒といたしまして、政府としてはその方向に努力する、こういうことにいたしたわけでございます。従いまして、只今のところ具体的にどうということまで至つておりませんが、国会の御決定の趣旨に基きまして、政府といたしましては最善を尽すように努力をするように考えておるわけでございます。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 これは問題はあつたけれども大蔵省のほうでもこれは了解した、こういうことですね。いろいろ意見はあつたが、この点については大蔵省のほうも農林漁業協同組合の特殊な性格に鑑み了解しておる、こうなんですね。
  9. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) さようでございます。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 こういう特例が一旦できると、成るほど農林漁業協同組合特殊性に鑑みて了解したというけれども、又他の金融機関についても、おのおのの特殊性に鑑みて了解をして、次次にこういうような特例が拡がつて来るということはございませんか。これはまあ農林政務次官に聞くのはちよつと無理なんで、本来から言えば大蔵省に出て来てもらつて大蔵省意見を聞きたいと思うのですが。
  11. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) お話の点は、大蔵省としては異論を持つておるのでありまして、従つて政府といたしましては、只今の御質問に対しまして、各部門に亘りまして、いずれもこういう特例の途を開くということを政府として積極的に考えるということは目下のところございません。
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  13. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  14. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 只今平野政務次官に対する江田委員の御質問につきましては、提案者としてその間の事情を一言御説明申上げて御了解を願つておきたいと思います。この問題につきましては、他の同様な立場にある金融機関特例を設けることを要請いたし、同じような特例が相続いて起るのではないかという御疑問でございますが、これは実は私ども議員提案として出します前に、政府与党という立場もございますので、大蔵当局農林当局とも打合せをいたし、この間に一番問題になります点につきましては、相当議論が闘わされたのでございますが、私ども考え方といたしましては、本来農業協同組合がかような大きな負担を背負つて今日再建整備に四苦八苦しているという状態は、一日も早くこれを除かなければならない、更に飜つてこれを閉鎖されました当時の事情を考えてみますと、これは他の金融機関と同一の扱いで、資金調整法によつて規制を受ける性質のものではなかつたのではないかという主張を私どもは持つておりまして、これはまあ容れられまして、この際農協再建整備促進するという意味合からいたしまして、これは本当の特殊な措置として大蔵当局も了承をするということになつたのでございます。但し資金調整法に基く他の金融機関取扱方と著しくそこに差別ができましては、これは均衡を失することになりますので、その間の取扱いにつきましては相当慎重に検討いたしまして、この法案ができ上つていることを申上げたいと思います。どうかこの点を御了承願いたいと思います。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 一応農林政務次官政府を代表して来ておられるんですから、今、足立さんのほうから説明がありましたが、政府としてはこの特例を他に拡大する意図はない、こういうことをはつきり言明できますか。
  16. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 私も政府を代表いたしまして責任を持つてお答え申上げまするが、これは今提案者足立議員から御説明申上げましたような経緯でございまして、かような特例を全般に拡大するというようなことは適当でないと考えておりまするので、御意見のように進む考えでございます。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 第十九条の二によつて、納付した金額に相当する額を予算の定めるところによつて再建整備促進のための経費に充当することになつておりますが、この法案が成立した暁に、これを執行する政府としては、これを具体的に如何なる使い方をされようと考えておられますか、その点をお答え願います。
  18. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 実はその点につきましては、本法提案者のかたの御意向に基きまして、将来慎重に考慮の上善処いたしたいと思つておりまするが、只今のところ具体的にどうこうということはここで申上げかねるのでございますが、私の見解といたしましては、再建途上にありまする農協の、特に不振な組合再建とか、或いは一般再建に必要な教育、宣伝、啓蒙というような方面にも使うようにいたしたい、かように考えておるのでございます。
  19. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    午前十一時四十九分速記中止    ―――――・―――――    午後零時五分速記開始
  20. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  21. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) それでは原稿によりまして中沢事務官から御説明申上げます。
  22. 中沢三郎

    説明員中沢三郎君) 資産評価昭和二十八年十二月末日に行なつた場合に、昨日お手許に差上げました資料とどういう差があるかということを御説明申上げます。不動産土地建物に分離いたしますと、土地が三千三百三十九万七千円、それから建物が一億九千六百八十三万六千円でございます。その土地につきまして、昨日資料におきまして処分を見込んでおりましたものの帳簿価額が五百七十万四千円、それを二十七年の三月末日で整理いたすものとして見込んだ価格が六百五十三万九千円でございます。土地につきましては、勧銀市街地価格推移指数、二十七年三月末日と二十八年の九月末日でございます。これは二十八年の十二月末の指数がありませんので、最も近い二十八年九月末日指数を使いますと、約その間二倍になつているのでございます。それで昨日の資料におきまして処分を見込んでいたものの価額の六百五十三万九千円がその倍になるわけでございまして、その差額の六百五十三万九千円というようなものが、土地につきましては、新たに増加して出るわけでございます。それから建物につきましては、一億九千六百八十二万円のうち、処分見込みましたものが千三百二十八万七千円でありまして、その二十七年三月三十一日現在における整理見込額が千四百九十三万五千円でございます。これをやはり勧銀調査建築費指数を使いまして差額を見て参りますと、昭和二十七年三月末に対しまして、昭和二十八年九月末におきましては、約一・四倍になつているのでございます。一・四倍になつておりますので、二十七年三月三十一日現在におきまして見込みました千四百九十三万五千円の〇・四倍、即ち五百九十七万四千円が増加される見込みになるわけでございます。
  23. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の説明で二十七年の三月末のときの帳簿価額と同額ですな。そこをちよつとやつて下さい。どのくらい違つているか。五百五十何万か、それが六百幾らというのですから、約二割下つていませんね。
  24. 中沢三郎

    説明員中沢三郎君) 約九百九十五万四千円になります。プラスになるわけでございます。
  25. 清澤俊英

    清澤俊英君 帳簿価額から二十七年の基準価格を出すとき……。
  26. 中沢三郎

    説明員中沢三郎君) 帳簿価額との比較ではございませんでして、昭和二十七年三月三十一日に一応評価を見込んだ価額に対しまして、九百九十五万四千円の増額になるのでございます。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 あんた、ここでさつき読み上げましたときに、二十七年のときの評価額を出すときは帳簿価額はこれこれのものがこれこれになつたと、こう言われたでしよう。そのときの帳簿価額と二十七年のときの価額の差を……、それは二割ぐらいしか差がないでしよう。
  28. 中沢三郎

    説明員中沢三郎君) 二十七年三月末におきまして処分見込みのものの整理見込額簿価との差額は、建物につきましては八十三万五千円、それから土地につきましては百六十四万八千円です。
  29. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは、只今口頭説明資料は後ほど書類としてお配りいたすことにいたしまして、大体質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  31. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明かにしてお述べを願います。
  32. 関根久藏

    関根久藏君 私は只今議題になつておりまする農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を附して賛成いたしたいと思います。この附帯決議の案文を朗読いたします。    農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一 政府は、本法の施行に当つて調整勘定閉鎖認可申請等の諸手続を極力簡素にし、認可等事務をできるだけ迅速に処理し且つ国庫納付金分割納付等の便法を設ける等本法が所期する成果の達成に対して遺憾なく措置すること。  二 政府において、本法第十九条第一項の規定による納付金に伴う予算編成するに当つては、再建整備又は整備促進するため既に実施せられている助成事項以外の事項の実施を対象となし、従来における促進のための経費の肩替り或は行政庁事務人件費等に充てるがようなことを絶対に避けること。  三 政府再建整備又は整備促進にあたつて農業協同組合及び同連合会が、組合員利益をまもるために、厳正なる処理を行うよう指導すること。  以上であります。
  33. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。  それでは採決に入ります。農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  35. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中にございました関根提出附帯決議案について採決いたします。関根提出通り附帯決議を附することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  36. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて関根提出通り附帯決議を附することに決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容等、事後の手続については慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。次に、本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    野溝  勝   江田 三郎    松浦 定義   清澤 俊英    北 勝太郎   上林 忠次    横川 信夫   雨森 常夫    戸叶  武   宮本 邦彦    森田 豊壽   川口爲之助    佐藤清一郎   重政 庸徳
  38. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これにて休憩いたします。    午後零時十九分休憩    ―――――・―――――    午後二時一分開会
  39. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を再開いたします。  午後は農業協同組合法の一部を改正する法律案及び農業委員会法の一部を改正する法律案議題にいたします。昨日質疑に入りましたので、引続いて両法案につきまして、先ずできるだけ最初には総括的な御質問を願いたいと存じます。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  40. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  41. 森田豊壽

    森田豊壽君 二、三総括的に提案者並び農林省の御見解を聞かして頂きたいと思います。  先ず第一に、二回に亘りまして提出されましたる農業団体編成と銘を打ちましたる農協法の一部改正農業委員会法の一部改正とのこの二つの問題を、今国会におきまして衆議院のほうから議員提案としまして出されましたるその理由は、理由書に書いてあるようでありまするが、あれまでいろいろ論議されまして、両方とも、衆参両議院共にこれを打切つたような、審議未了の恰好になつたにもかかわらず、ここで以て再び出されなければならなくなつて来た理由が、この理由書では余り明瞭でないように思うのでありまするが、この点を一つ伺つてみたいと思います。
  42. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の御質問通り、この両法案が二度に亘りまして陽の目を見ずに今日まで参つたのでありますが、今回この二つ法案を突如として提出いたしました。而も議員提出の形で提出しておりますその理由は、その内容をあけすけに皆様方に申上げまして御了解を願いたいと思うのでありますが、実は第一回と第二回と政府提出において、只今お話のように、農業団体編成というような言葉を誰が使つたか知らんけれども、とにかくそういう言葉の下に提案されましたときに、私提案者の個人の考え方もそれには加わつてつたのでありまするが、この法案二つ並べて農業団体編成だという考え方は非常に間違つておる、農業団体編成にはならないと、結局行詰つた今の協同組合指導連合会乃至は全国中央会というものと、又経営的に相当行詰つて次の進路を求めなければならない羽目に入つておるところの農業委員会というものの、何か活路を求めるための一つの下工作ではないかという意見を強く持ちまして、そういうようなことのために農業団体編成だという美名の下にこれだけのことをやつて意味がないということが第一点。それから率直に申しますと、農業委員会というものが、当初の原案におきましては、書記二名のうち一名を技術員にして、そうして技術指導体系を持つということが一つ、それからもう一つ農業委員会において、農業委員会系統機関のような形において農業会議乃至は農業会議所を持つと、この二つの問題は絶対私ども了解できない。なぜならば、今農業技術指導というものの体系を今の農村でどういう体系に持つてよいかということに対して、まだはつきり自分たちは結論付けておらない。なぜならば、今の改良普及員制度というものに対しても、これを一応本筋としてはやつておるが、これに対しても相当の改善の余地もあるのではないか。又、農業協同組合にも技術員がおる、養蚕組合にもおる、畜産組合にもおるというような形で、非常に技術体系というものがまちまちになつてつて、少い農林予算をばらばらに使つておるために、本当に効率が上らないというような形にあるのが農業技術体系だと、それらのものを整理しないうちに農業委員会が又技術員体系を持つということになれば、これはいよいよ支離滅裂になつてしまうから、その点が賛成できない。それからもう一つは、農業団体というものが多過ぎる。多過ぎる中に又農業委員会という委員会を基礎にした系統機関というものを作るということは、又新らしい線を殖やすということは納得できない。これらが農業委員会に対して了解しかねる点です。それからもう一つは、協同組合については、どうしても現行の協同組合法というものは占領中に作られたものであつて、日本の農村の特殊な立場にある農業経営に対しては不適当な点が非常に多い。だから協同組合法については抜本的な改正をする時期が来ているのではないか。この二つの問題が両方にありまして、そうしてこの程度のもので農業団体編成だなんということは言い得ないというようなことが主たる理由で廃案になつた、そういう結果だと私どもは今考えておるのでありますが、そこでそれらをどうして今度議員提出で出したかと申しますと、実は農業委員会法の修正の提案者であります小枝さんのほうからお話がありまして、農業委員会については、技術員の問題は一応昨年の問題があるからとろう。それから系統機関の問題は農業委員会系統機関という形でなくて、農業委員会も勿論入るが、それ以外の協同組合なり或いはもつと拡げて、それが県なり国の段階に行くならば、法人でない例えば農民組合農民同盟というような、そういう常識的に見てそれが農村建設のための全体機関だというふうにみなされるものは、団体まで入れて一つ農業会議の形にしたらどうか、それならば現在もあることだから、新らしい団体を作ることにはならない。そういうような昨年、一昨年の問題点なつた問題を一つ解決いたしまして、そうして農業委員会がすでに任期延長もこういうふうに幾度もやつておりますので、もう或る程度で解決しなければならないので、その点と睨み合わせて、この際その線で収めたらどうかということの、農業委員会に対して自由、改進両党で納得の付いた線が初めて出たわけであります。もう一つは、協同組合の問題につきましては、協同組合法に対する抜本的な改正をいたしたい、こういうことを考えておりましたけれども、それには相当の時間と研究を要します点がありますので、差当り今農業協同組合が一番困つておるところの経理指導機関というものが貧弱であるために、日を過すごとにいろいろ経理上の面白くない問題が出て参る。これを一日も何とか解決を早めなくちやいかんという切実な問題や、或いはその他農業協同組合の行う事業上の問題について、監督規定その他を必要とする問題が出ましたので、差当り二、三の点を加えて協同組合法の一部改正をしよう、こういう結論が出たのであります。そうして、従つて只今質問にありました農業団体編成とか何とかいう、そういうような大がかりな気持で提案しておるのではありませんので、農業委員会については前に問題になつてつた二点を片附けて一つ提案したい。協同組合に対しては差当り必要な条項を入れて行こう。それで抜本的な改正については、又衆参両院のその方面の熱心な方々の衆智を集めて、そうして政府が中心になつて本当に農業団体編成に対しては別な考え方をする機会を持たなければならんだろう、こういうのが率直に申上げた私ども考え方であります。
  43. 森田豊壽

    森田豊壽君 今度議員提案になりましたのは農業団体編成というものではない、これは両法案にあります通り、一部改正をして、今までの悪いところはよくして行くというような意味の御答弁と解釈いたしますが、そうでございますか。
  44. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) そうであります。
  45. 森田豊壽

    森田豊壽君 衆議院農林委員会は立派な方々がおいでであることは言うまでもないのであります。講和条約発効後におきまするいろいろの世の中の状態というものは、占領下におきまする幾多の法律に対しまして、これを研究し、又是正すべきは是正しなければならんという状態になつておりますることは御承知の通りなわけであります。而も憲法改正を初め、或いは教育委員制度、或いは警察制度の改正その他幾多の問題があるわけであります。殊に農村問題につきましては、終戦後続出いたしましたあの多くの団体が、団体編成ということを問題にしなければならん状態になつて来ましたことは、国会でそういう言葉を使つたというよりも、むしろ全部の農村におきまするそういう空気が醸成されまして、そこから出たのが農林省のあの二つ法案つたと私は記憶しておるのであります。この法案が出たことは、団体編成でないじやないかということが国会意見であつたことは御承知の通りであります。併しながら、世論は団体編成をいたすべきだという主張であつたことも、これは争われざる事実であると私は考えておるのであります。これを根幹といたしまして、この団体編成という、農民のためにする団体を作り上げなければならんということの考え方が、今講和条約発効後におきまする我が国の農村のあり方といたしまして、一番重要な問題だと私は考えておるのであります。従いまして、今提案されておるのは二つ法案に違いありませんが、衆議院提案者各位は、衆議院におきましてそういうふうな考え方をしておりましたかどうか、又そういうことについてどういう考えを持つてつたでしようか、その詳細を承わりたいのであります。なお、ちよつと私の感じを先に申上げますると、この問題は何となく団体編成をどこかへ持つてつてしまうような状態にいたしまして、寝ている子を起したような工合にいたしまして、元の廃案にしようとして衆参両議院が考えましたものに幾分お化粧をいたしまして、ここに出して来た法案のごとく考えられ、而してこの法案を出すことによつて、これが通りますれば、団体編成はこれで終止符を告げるというような情勢にも考えられる点があるのでありますが、その点は如何でございましようか。
  46. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今質問がありましたように、この前の国会においても、その前二回とも法案が流れたときの衆議院におきましても、参議院の皆様方におきましても、感じは全くお説の通りでありまして、私どもはあの二つ法案を出して、これが日本の農業団体の再編成だというようなことを打出して来ていること自体に不満を大きく持つたわけであります。従つてそれらも、私どもがあの法案というものをどうしても通過させられなかつたという理由なのでありますが、そこで今度の差当りの問題を解決するために二つ法案が出ておりますが、これは先ほども申上げたように、これで団体の再編成というものをごまかそうというような気持もないし、又これで事足りるということを全然考えておりませんので、これは内容の話になつて甚だ非公式な問題でありまするけれども、実は去年の十二月から、農村団体として経済の問題を先ず掌どる中枢になつておる協同組合法につきまして、相当抜本的な、今の法律から離れ、又過去の産業組合時代からの点も考究いたしまして、そうして基本的な法律改正をいたそうというようなことも衆議院農林委員会の中で寄り寄りありまして、その素案も実はできて、もう四回ほど私的な有志会合でありましたけれども、そういう会合も持ち、非公式ながら農林省の人たちにも事務的なお手伝いを願いましてやつたのでありますが、途中においてそこの結論まで、若しそれが結論に近いものが出ますならば、参議院の皆様方に議案として出す前に、非公式な研究会のような形で御相談申上げて何とかいたしたい、そうしてそういう一つの骨を作つて農業団体全体を睨み合せて行きたいというような希望を以て実は出かけたのでありますが、いろいろの事情からその問題に到達しない間に、この国会中、只今提案いたしました二つ法案の範囲のことをこの際やつておくほうがいいだろう、而もこの二つ法案をこういうふうな一部改正をやつたことは、将来の農業団体編成を真にやろうとするときに邪魔になるというようなものは取除いて行かなくちやいけない。言換えれば、先ほど申しましたように、技術体系の問題を新らしく一本打立てるとか、或いは一つ系統機関をもう一つ設けるというようなことは、この際どうしてもやつてはいけない。なぜならば、そういうことをやりますと、次の農業団体編成のときに一つの邪魔になる、こういうことからそういうものを避けまして、真の農業団体編成に禍いをなさないというようなことにも相当考慮をおきまして、今度の二つ法律改正にもできるだけ考えを及ぼしたつもりでおるわけであります。
  47. 森田豊壽

    森田豊壽君 農業団体編成の問題は、勿論我が国農業政策の根本的な、いわゆる抜本塞源的な施策を講じなければならん時期に際会しておるのでありまするが、いずれにしましても、農業団体編成であろうと、或いは農業委員会或いは農協にいたしましても、これは全農村相当の批評と批判があることであるのでありまして、こういう問題につきましては、それぞれ専門的な経験者にお集まりを願つて、その種の意見を徴するとか、或いは政治的に言うならば、公聴会くらいのものは開いて、この重要な問題に対しましては地方の情勢も聞き、又大衆の意見も聞いてみるということも必要ではなかつたかと私は思うのであります。従いまして、今何が重要かという問題につきましては、議員諸君もそれはよくお知りでありましようけれども、こういう問題に対しては相当接触があつたのではなかろうかというふうに私は考えまするが、そういうことをしたことはないのでありましようか。
  48. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この問題につきましては、いろいろ提案するまでの間に時間的に手間取りましたので、提案いたしましてからあとの審議期間が比較的短かかつたのでありまするけれども、一応この問題については公聴会を開きまして、学者や或いはその他の実際家の意見を聞く必要があるというようなことで、実は審議の時間が非常に少なかつたのでありますが、衆議院におきましては、一日農政方面の学者、それから実際のそれに携わつている方々をお願いしまして、成規の公聴会の手続を経ている時間的余裕がありませんので、参考人として意見を承わつたのであります。
  49. 森田豊壽

    森田豊壽君 その内容、どんな人をよんで御意見をお聞きになつたのですか。
  50. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 衆議院でお呼びになりました参考人のかたは、京都大学の教授の大隅先生、それから協同組合関係の評論家と申しますか、辻誠さん、それから中央農業会議の中村事務局長、このたしかお三方だつたと思います。
  51. 森田豊壽

    森田豊壽君 来た方々を余りいいとか悪いとか申上げたくないのでありますが……、丁度農林省が答弁に立上られましたから、今度はたくさんありますが、一応この辺で打切つて、次のかたに答えて頂こうと思います。農林省のかたにお伺いします。農林省は、現在中央の農業関係団体が非常に多いことは御承知の通りであります。私も十分勘定してみませんが、八つがしらくらいじやなくて、二十二がしらというか、非常にたくさんあるように思えますが、こういう団体をこのまま置こうとお考えになつておられますか。こういう団体はできる限り整備統合ということは悪いかも知れませんが、一応今の事態に即するようにやろうというお考えがあるかどうか。この点を、ほかのものに触れるとうるさいから、農業委員会農協法改正にしても、昔からやつて来たようであつて、葬むられても結構だつたというような顔をしているように考えられるのでありまして、その点はどうなんですか、農林省のほうとしましても、はつきりお考えがあるでしようから承わりたいと思います。
  52. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) お話のように、農業一体といたしまして全国的な機関相当多数ございます。これを整理統合するというような考え方は現在私どもといたしましてはございません。
  53. 森田豊壽

    森田豊壽君 あなた方の力で整理するということは……ここに次官がおいでになりますが、どうも私は次官に聞くのは何だか聞きずらくて、実は局長のほうに伺つておるのですが、(笑声)あなたは自分がやるということは、これはできないことはよくわかりますが、たくさんあつて相当整理をしても差支えないのじやないか、その機能を失わせるのじやなくて、まとめたほうがいいのじやないかという考え方に対しましては、一度も考えたこともなければ何もないというのですか。整理ができるか、できないかやつてみようという考えでいるのか、そういう考え方は如何でしようか。
  54. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 現在できております団体、これは一概に全部同じように考えるわけにも参りませんけれども、仕事の分野乃至職能の違いといつたようなものからそれぞれ分立いたしておりまして、これを単純に整理統合をするというわけには参らないし、又そうすることは却つて弊害があるのじやないか、農業団体のいろいろの利害得失ということをお互いに調整しながら、それぞれの分野の活動を促進して行くというためには、やはり相当程度団体というものは分立していたほうが、むしろ全国的に見た場合にはいいのじやないかというのが実は私ども考え方であります。ただ今回のこの提案になつておりまする法案に関連して申上げますと、ここにいろいろ職能的に分立いたしまして、農業全体或いは農民全体の利益を考えて行く、個々の分野だけでなく、全体について考えて行くということがだんだんと薄くなつて来ている、こういうことでございまするので、或いは協同組合の中央会でございますとか、或いは中央農業会議とか、こういつたものは一種の統合的な意味もございますが、又新らしい分野を開くという意味において適当な考え方ではないかというふうに思うわけであります。
  55. 森田豊壽

    森田豊壽君 最後に今度は次官に一つ質問申上げたいと思います。今まで私が見ておりますると、農林省並びに農業団体は、とかく団体が多くあつたほうが農林省としてもよかつたり、団体のほうでも幾つかにしてもらつたほうが都合がよかつたり、そういうふうになること、或いはそれによりまして補助金や何かをたくさんもらうことが、農民が利益を享受するごとく考えている場合が多いように思われるのでありまするが、これは私は決して団体の数の多きを以て尊しとするものでもなければ、いいものとも考えておりません。又これに対して、そういうものを多くこしらえることによりまして多くの費用が、国として使われましたそのものが必ず農民のほうまでそれが及ぶものとは考えておりません。中途におけるところの経費に終えてしまうものと私は考えておるのでありまして、この点に対しまして、乏しい我が国財政といたしましては、乏しき財政よりこれを農民に対してできるだけ助成、育成しなければならん事態におきまして、これを整備統合するというような考え方、又金の流し方によりましても、よほど考えないというと農業政策が下部まで徹底しないということになることを憂慮するものでありまするが、この点に対しまして農林次官はどういうふうにお考えになつておるか、一つ聞かして頂きたい。
  56. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 何もかもおわかりであらせられる森田委員に私からお答え申上げるということも甚だ忸怩たるものがございまするが、現在日本の農業団体の分布状況と申しまするか、設立の状態は決して満足の行くものではないということに対しましては、森田委員の御指摘の通り全く同感でございます。従いまして、これらを再編成と申しまするか、一つの改革を行うべきであるということにつきましては、その通りに考えておるわけでございます。併しながら、政府の基本原則と申しまするか、私どもの気持を申上げまするならば、こうした問題は政府が一方的に一つ考え方を定めまして、そしてこれを農民に押付けるというようなことは適当でないのであつて、むしろ末端の農村自体から、かくあるべきであるという声が盛上つて来まして、それに基いて自然にこれが適当な状態に発展して行くということが望ましいということが、これが私どもの真の気持であるわけでございます。併しながら、実際におきまして、ただこれを徒らに傍観しておりましても、なかなかそういうわけにも参らないということで、漸次これがやはり一つの方向に行くべきであるということから、実は只今御審議頂いておりまするが、この両法案政府がそういう原則を持つておるのでありまするけれども、一応当時の農業団体方面意見の最大公約数と申しまするか、そういうものを考えまして、先般来しばしば御審議を国会においてお願いいたしたわけでございまするが、結局これが審議未了ということになつて今日まで及んだわけで、今回議員の方々がこの法案を御提出になつて御審議頂いておるわけでございます。実はこの前政府から出しました法案が審議されました当時、実は私も衆議院農林委員会におりまして、殊に政府与党の農政の責任者をやつておりましたので、ここにおいでになりまする金子委員その他の方々と幾多の折衝をいたしたわけでございます。委員会におきましては正式の審議ということは余り実はなかつたのでありまするが、内面と申しては何でありまするが、各政党問におきましては、実に慎重の上にも慎重、幾多の折衝を続けたわけでございまして、併しながら、遂に最後にこれが妥結を見なかつたのでございます。併しながら、一応或るところまでは相当つて、もう一歩というところで成立をするという段階まで行つたこともあつたわけでございますが、今回御提出になりましたこの法案を拝見いたしますると、相当浮び上つておるというふうにも考えられるのでございます。従いまして、これは只今の御質問に対するお答えになるかどうかわかりませんが、政府といたしましては、これを以て農業団体の再編成であるというような大きなことを申上げることは勿論できませんし、この点は金子提案者から只今お話がありました通りに存じておるわけでございまして、ただ現段階といたしましては、この農業委員会につきましても、すでに御承知の通り、食糧調整委員会、農業改良委員会並びに農地委員会というものを政府は先般これを一本にまとめて行つたわけでございますが、漸次こういう方向に進めて行くという意味におきましては、この法案の成立を大いに期待をいたしておるという次第でございます。
  57. 森田豊壽

    森田豊壽君 私も与党ですから、ちよつと攻撃ができないのでありまするが、私の考え方を率直に申上げるというと、今までの農業団体編成と言つて称えておりました両法案は、一応両院の間におきまして、これは審議としては終止符を打つたわけでございますが、又出て来たということは、これは農業委員会農業協同組合というものが、農業協同組合は前からあつた農業委員会というものが新らしくできた、それができたがために、両方の勢力争いが相当強くなつて参りまして、幾多の団体があつて、集約するとこの二つ改正すれば差当りいいようなお話のようでありまするが、これは両方が非常に競争し合いまして、そこでおれのほうはこういうふうにしてもらいたい、おれのほうは中央から助成をしてもらいたいというような関係で以て、両方から頼まれまして、議員の諸君が、衆議院のほうにおきましては、それが非常に強く働かれておりまして、運動によつてでつち上つたものがこの法案ではないかということを私は非常に心配するものであります。この法案がいやしくも議員立法として、真に議員諸公がいろいろと研究されまして作つた経過がありのままだとするならば、私もこの問題につきましては十分検討をしなければならんし、又これに対しても相当の敬意を表さなければならんと思うのでありますが、この点に対しまして、どうも事欠くように考えるのでありまして、この点に対しまする考え方を、速記録に残ることですから率直には言えないかも知れませんが、ほのめかすくらいに、一つ差障りない程度にやつて頂きたいと思います。
  58. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の御質問でございまするが、過去二回に亘つて政府提出の場合に一応廃案になつたものが、今回に限つて自由党、改進党の共同提案のような形によつて議員立法として提出された。それは農業団体関係の陳情というか、要請というか、それに或る程度まで押されてそうせざるを得なくなつたのじやないかという、内容について率直に話をしろというふうなお話だと承わつたのでありますが、その点につきましては、御承知のように、この前廃案になりましたときも、非常に団体からの強い要請は今度から見ると遥かに強かつたのであります。併しながら、最前申上げたように、農業委員会政府から出した原案にいたしましても、或いは協同組合の問題にいたしましても、そこに納得の行かない点がありますので、とうとう衆議院におきましても法案の結論を見なかつたのでありますが、今度の場合におきましては、ここに小枝委員提出者としておられますが、農業団体自体からの、少くとも私ども自由党さんから呼びかけられまして、改進党として研究いたしました当時においては、農業団体からの要請というものは殆んどなかつたという程度であります。前二回の団体の運動から見れば、今度は殆んど運動のような形は見せなかつたのみならず、ここに小枝委員もおりますが、私が小枝提出者に向いまして、今度のが相当政府の前に出した原案と違うものがある、それに対して団体がこうせい、ああせいというようなことを言うならば、この法律は出せない、ですからそういうことをやらないということの約束ならば提案いたしましようということを、実は小枝委員もお断わりしまして、小枝委員両方の責任者を呼びまして、そうしてこの法案に対して内容をこうせい、ああせいというふうな、前におけるところの陳情のようなことはやらんという約束ができたから、こういうことまで実は内容を申上げますとあつたのでありまして、その点は相当厳然というと言い過ぎかも知れませんが、そういうような気持でかかつたわけであります。
  59. 森田豊壽

    森田豊壽君 先ほど説明を聞いておりますというと、農業技術員の問題は今度はどうこうということは言わないというけれども、私は農業技術員の問題は極めて重要な問題だと考えておるわけでありまして、それを中ぶらりんにしておいて、金を出して食糧増産を図り、いろいろなことをやろう、或いは供出事務とか、いろいろな問題をやつて行こうという、おのおのの団体の使命を果して行こうという上におきましては、今日農業技術というものは非常に重要なものであるわけであります。これを通り抜けて、どつちにもいいように仲直りさせるように両方出してやつて、そして気持よくさせようというような考え方ではないかということを質問したゆえんもそこにあるわけでありまして、一体そこに例えば農民の一番必要とする農業技術というものはどこにおくかわからない、こんなものはおいてもおかなくてもどつちでもいいというような考え方のようでもあり、法文を読んでおりますと、書記一名を置くようなことが書いてあつて、書記が職員になつたり、職員が書記になつたりして、どういうことかさつぱりわからない、あとでこういう細かいことは聞きますが、そういうふうな状態にありますときに、農業技術員というものは一体どこに持つて行くのか、又どういうふうにするつもりかということが明瞭でない、この点如何ですか。
  60. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) 只今森田さんからお尋ねの点は御尤もな点でありまして、これは先ほど金子さんから冒頭にも総体的な問題でお答えがありましたものでございますが、その内容を打割つて申上げますというと、農業委員会の問題といい、農業協同組合の問題といい、かなり焦眉の急に迫られた問題もありますし、そういう点から考えて、どうも政府原案が第二回国会において廃案になつたということで、このまま放つておくことも、これはどうも甚だ不親切でもあるし、又困るというふうに考えまして、その点は結局技術員の問題にもあつたということを考えますし、殊に只今造詣の深い森田委員からお尋ねのように非常に重大な問題でありますので、系統的にも農業協同組合にも技術員があり、又畜産組合養蚕組合その他農業改良普及員もありというふうなことで、この技術員の問題を或いは統一し、或いは合理化いたしまして、本当にこの農業生産の上に、又農業指導の土に役立たせるようにするには、これは根本的な対策が必要である、そういう意味において今直ちに結論を得ることは到底むずかしい問題でもありますし、一つ何らかの対策は根本的に立てるということにいたしまして、この際はこの技術の問題は中途半端なところへ触れないということでありまするけれども、この問題については、いずれ適当な方法と適当な機関によつて一つ皆さんと御相談の上で十分な対策を立てるべきだと、こういう考えでおりまして、提案者といたしましては、この技術の問題をそのまま放つておく、そういう意味ではないのであります。相当むずかしい問題だと考えますし、これについては非常にこれは意見も多岐多様に分れることだと思いますから、十分これは近き将来において検討したい、結論を得るようにいたしたい、かように考えております。
  61. 森田豊壽

    森田豊壽君 技術員の問題は非常に大事をとられたようでありますが、技術員の問題は喧嘩の種であつたことは私が言うまでもないのであります。その技術員という問題を仲直りさせるためにというか、仲直りさせるといつてはおかしいのでありますが、そういう意味におきまして技術員の問題に触れないで、それは追つて根本的に考えてやるというような御答弁のように承わつたのですが、それは農協によらず、農業委員会によらず、技術員というものの一元化という問題は、まだ総体の総合的な団体編成は十分ゆつくり考えると仮にいたしましても、あとに廻すにいたしましても、これが最も重要なことではないかと思うのです。ほかに置きようがないと私は思うのです。これに対する御見解はどうでしようか。
  62. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) 誠に御尤もな御質問でございますが、我々といたしましては、先ほどなり、なお提案理由説明のときにも金子さんなり、又私からも申上げましたように、いろいろ焦眉の急に迫られた農業協同組合の問題にいたしましても、或いは共済の問題があり、いろいろな問題があるわけであります。農業委員会の問題にいたしましても、県の農業委員会というものが今日ではどうも十分に機能を発揮することができないというような問題があるのでございまして、甚だ簡単な理由かと考えまするけれども、なかなか容易ならん問題があるのでございます。殊に又最近において多少農業委員会の仕事の一部におきましても、米の供出等におきまして緩和されたかの感はあるのでありまするけれども、やはりその仕事も重要な一環として、なお将来或る程度の期間はこれはやらなければならん、殊に又農地の問題でありますが、最近におきまして、御承知のように農地が非常に年々減つております。農林統計によりますというと、一年に三万五千町歩、殆んど長崎県一県に等しい農地が一年においてなくなる、そういう点におきましても、これは農業委員会で一応審議し、或いは県の団体においては諮問機関としての役目を今後果して行かなければならんという考えを持つておるのでありまして、又自作農が漸次小作農に転落をして、これを防ぐというようなことにおきましても、今までの農業委員会のようなやり方ではいかんのでございまして、一つ最も衆知を集めて、あらゆる農業団体或いは農業会の農民代表等の意見を網羅して、一つ強力に且つ最も有効な方法を以てやる。そういう点において農業委員会等の組織も急速に一つ改正すると申しますか、やりまして、一つ対策を講ずる必要に迫られておるのではあるまいか、こういうような考えで農業技術の問題も、お説のごとく実に日本の農業生産力の増強なり、農村の発展のために必要なる問題ではございますが、重要なる問題だけに、一つこれを或いは農業委員会におくか、或いは町村におくか、これを国が一つ指導権を持つかというような点については、よほど重大な問題と考えまするので、この問題についてはもつと十分にこれは検討をいたしまして結論を得る必要があるのではなかろうかというような考えを持つたのでございます。先般公聴会におきましても、公聴会と申しますか、参考人を呼んだのでありますが、お三人の方々もそれぞれ御意見はあるようでございましたし、その点についてもいろいろ参考人からも意見を述べられましたが、我々が専門的な参考人の意見を考えましても、なかなかむずかしい問題だと考えたのであります。そういうことでありまして、一つ農業技術の問題は急速に解決しなければならない問題とは考えますが、私ども提案者としては、この法案を一部改正いたしまするには到底間に合わないものである、かように考えたようなわけでございます。
  63. 森田豊壽

    森田豊壽君 いろいろ質問しておりまするうちに私のほうからも大いに言いたいことがあるのでありまするが、ほかのかたの意見を十分聞いて頂くことが必要だと思いますから、あとにいたしますが、農業技術員の問題につきましては、一つ明朗な、今のお話では私にはわかりませんから、もう一度又あとで質問します。
  64. 関根久藏

    関根久藏君 只今技術員の問題ですが、提案者のほうのお話は今承わつたのでありますが、一つこの際政府見解を御表明願いたい。
  65. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは非常にむずかしい問題でありますが、政府といたしましては、基本的に申上げますならば、現在の農業改良普及制度というものを堅持して参りたいと、かように存じております。この現行法の農業改良普及制度というものを中核といたしまして、これを以て農村技術指導体系を進めて参りたいということが、これが原則でございます。従いまして、農協の生産指導事業或いは又農業委員会の技術指導ということを制度化して行くということにつきましては、必らずしも明確な見解を持つておらんわけでありますが、ただ横の密接な連絡をとりまして、そうしてこれが現状に即して行われて行くということは、この際望ましいはずであるというふうに考えておるのであります。
  66. 重政庸徳

    重政庸徳君 関連して……。私は農業協同組合関係は全く不承知であるのでありますが、若し間違いましたら一つ御訂正願いたいと思います。この中央会並びに農業会の業務及び事業等を見てみますと、これは大体政府で、いろいろ書連ねてありますが、従来政府がやつておることで、これは政府農林省がやつてもいいことじやないか、かように考えるわけですが、どうですか。
  67. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の御質疑は、新らしくここに生まれようとしておる中央会の業務というものは、大体において政府自体が行政的な一つ指導奨励の立場でやつていい仕事じやないか、又やるべき仕事ではないか、こういうふうな御質疑だと了承いたすものでありますが、事業項目としては、全部とは申しませんが、その大体はその通りだと思います。大体政府がやつて行く、そこでちよつと附加えさして頂きたいと思いますが、それなのに、例えばこの一、二にありますような、協同組合の組織、事業、経営の指導或いは組合の監査、組合に関する教育というような、その辺までになりますと、全く行政機関がもつと力を入れなくちやならん問題だと思いますが、ただここで、なぜこれをやりますかと申しますのは、一つの経営なり、監査を指導いたします場合でも、曽つての経験に見ますように、役人自体がこれに当り、而もそれに全部をお任せいたしまするというと、どうしても役人の人たちがやるところの経営なり、監査指導というものは非常に杓子定規になりますし、監査のような場合でも、ややもすると摘発監査的な空気が非常に強くなりまして、そうして角を矯めて牛を殺すような傾向になるのであります。そこで、その組合自体が組織いたしますところの中央会において、そうして一部お説の通り政府自体がやつても或いは地方自治体自体がやつてもよろしいような仕事を、その方針と方向を併せて、そうして曽つて自治監査機関というのがございましたが、そのような形のものにすれば、事業を経営する悩みと苦労をよく知つておる人たちの意見において経営の監査をしないと、非常にそこに高圧的なものが出て、或いはただ表面を糊塗するだけにその組合の経理が方向付けられるということになりますと、却つて悪い結果になるということで、この民間の形においてこういう仕事をやることが適当であろうと、こういうことになつたわけであります。
  68. 重政庸徳

    重政庸徳君 組合自体が自主的にやるということは、理論としてわかるのでありますが、又自主的にやれば自主的にやる上においてその弊害を相当生じて来るだろう。役人がこれをやつて行くということになると、今申上げましたような高圧的になる、いろいろな意味でそういう弊害も又幾分あると思うのであります。併し単にその意味で、この二つを中央会として設立を新たにするということは、まだ私は納得ができないのであります。ただ一つここに書いてある「行政庁に建議する」ということがあるので、これはまあ役人じやできん問題だろうと思いますが、結局主要な部分はここにあるのじやないかと思うのです。実際問題として農政活動はできるのですか、中央会というものは……。
  69. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 提案者の意図といたしましては、中央会の農政活動というものは、当然協同組合一つの行き方も、一つの農政の一環でありますからして、全部できないということは申しませんが、できるだけそういう方向に行かないで、そうして地道な一つ組合自体の経営なり、監査なり、教育という方向に専念したい、それは比較していうならば、少くとも今の各県なり、中央にありますところの指導連合会というものが、こういうふうな組合経営自体の本質的なものから離れて、農政活動なりその他のいわば散漫な方向に進んで行つたために、今ややもすると非常な非難が多くて、その負担金も納らんで、今日のような状態に入つておる点に鑑みまして、中央会のそういう方向よりも、むしろここの事業で書いてはありますが、一、二、三というような条項にその主力を置きたい、こういう意図を持つておるわけであります。
  70. 重政庸徳

    重政庸徳君 今のお話を承わりますと、農政活動はできることに了解するのですか、勿論これを防ぐことは私は妥当でもないし、できもしまいと思う。勢いこれが主要な目的になるのじやないか。そうすると、農業会も勿論農政活動をやるということになると、これはやはり両方併せた一つの組織でいいのじやないかというように考えられるのでありますが、これはどうしても二つにせねばならんという、はつきりした何か一つ納得する理由があれば御披瀝して頂きたい。
  71. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) これは提案者としては、この点ははつきり割切つているつもりでございます。というのは、今度の中央会は、主として曽つての監査連合会の仕事を主体にしてやる。それに以前の中央会の形をとつておるというのでありまして、農政活動や何かはできんということではありませんけれども、そういうことは、ただこの事業の範囲にとどめることにいたしまして、そうして一番重要な問題は組合自体の組織、事業の経営或いは監査、或いは例えば協同組合学校の設立による職員の教育、啓蒙というような事業自体の進展を中心にやつて行く。従つて先ほど御意見にありましたように、それらの指導、監査というのは行政庁自体がやつて、又やるべき仕事でもあるし、又やるという見解もとれますので、その面については政府はその団体に対して助成をすべきである、こういう見解をとつたわけでございます。
  72. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私は議事の成るべく速かな進行を望みますが故に、二、三のことだけをこの際質問したいと思います。先ほど農業団体編成という問題につきまして委員諸君からの御質問があり、又金子議員からの御答弁があつて、私ははつきりしたのでありますが、併し世間ではまだその農業団体編成という気持が残つていますね、これは今出されておる両方関係のある人たちの縄張り争い、こういう工合に受取られておると思うのでありますが、先ほど両者相争わずということを提案者のほうに両方から説明をされたということを聞くのでありますが、恐らくこれはこの経済団体である農協或いは農協系統のものは、実は農政問題、広汎な農政問題に対しましては直接みずからが当らないで、そうして他の農民団体をしてそういう仕事に当らすということは、これは恐らく長年産業組合時代からやりまして、始終そういうことを痛感しておるのであります。まあ私は中央で余りやりませんが、或いは北海道において、或いは町村においてもその通りである。町村には町村の農政活動があり、道には道の農政活動があり、県には県の農政活動があり、中央には勿論中央の農政活動があるわけですが、これは経済団体みずからがやると非常に害がある。むしろそこで農業関係の他の団体をして自分の意見をこれに反映させるようにする、これが一番賢明な方法だと思いまして、いわゆる政治と経済が分れなければならん、こういう丁度労働組合が政治運動に入るのは大変よさそうであつて、これは又その反動が非常に来ておると思うのであります。経済団体においてもそういうことができて来ると困る、こう思つておるのでありまして、これは截然区別が付いておる。そこでこれは縄張り争いなんかするべきものでないということが関係者にわかつて、そこで相争わずということをあなた方のほうに約束されたものではないかと思うが、あなた方はどういうふうにお考えになつておりますか。
  73. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の北委員お話は全く同感でありまして、私どももそういうような考え方で経済団体はやるべきだ、経済団体であるが故に政治活動をしてはいけないという理窟は成り立たない、併しながら、経済団体自体が先頭に立つて政策に対する、或いはそれらの政治活動をいたしますと、それによつて来るプラスよりも逆なマイナスのほうが余計出て来る。ですから、これはいけないとか、いいとかいう問題ではなくて、やはり政治活動のような、或いは政策問題に対してはほかの団体の一部分としてやることはいいが、やはり経済団体自体が先頭に立つてそういう方向をとるべきでないという考え方が基礎で私どもも考えておりますので、只今の答弁にも一、二、三の事業のようなことを主体にして行きたいのだということを申上げたのであります。
  74. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私は昔から農業者は政治に対しては両面の使い分けをせよ、或いは協同組合が直接政治に関係しないで、別の団体でやらせよという主張をずつと貫いて来たものでありますが、その問題は別といたしまして、次に政府当局にお伺いしてみたいと思うのでありますが、食糧制度については食糧対策協議会等で検討がなされておるようでありますが、この食糧問題に対しまして、食糧対策に対しまして、農業委員会制度というものをどういう工合にお使いになるつもりであるか、政府一つ伺つておきたいと思います。
  75. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 食糧管理制度につきましては、政府といたしましては、この際これを改正いたしたいという考えの下に、只今お話のように食糧対策協議会というものを設けまして、只今検討を進めておる次第でございます。実はまだこれは検討の段階にございまして、まだ結論に達しておらんわけでございまして、いずれ政府といたしまして成案を得ますならば、国会の御審議を煩わす、こういうつもりでおりまするけれども只今のところまだ結論が出ていないわけでございます。従いまして、この農業委員会との関連につきましては、政府として結論が出ましてからその関連を調整をいたしたい、かように思つておるわけであります。
  76. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 市町村の農業委員会につきましては、私も今まで関係をしたのでありますが、この供出制度に対しましては相当の働きをしておるし、又害になつているとは思いませんけれども、県の農業委員会ということになると、これはとかくの批評があるのです。そこでこの県の農業委員会というものが、この法案が若し通らないで、このまま選挙がされて行くということになると、これは今までとかくの不評のあつた農業委員会というものが相変らず今まで以上に働くのではなかろうか。殊に明年度は地方議会の議員の選挙がある。そこで県の農業委員になろうという人たちは、多くはそこで選挙を争うために、前哨戦として今年からそれに出る。従つて地方に来て演説会等を開いて、自分が出れば供出は少く割当するのだとか何とかいうことを盛んに言うのです。これは実に私は困つたものだと思うのです。そこでこの県の農業委員会がそのまま残つたときには、今度の政府調査会等できまつた問題に対しましても、それがそのまま残るか残らんかということについて随分検討されなければならん問題だ。併しながら、法律できまつたものだから、如何に審議会でそういう審議があつたにしましても、これは二カ年だけでは、もう動きの付かんものであるという工合になるのでありますが、こういう点につきましては、どういう工合にお考えになつておりますか、伺つておきたい。
  77. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 誠にお話通り、同感に存ずるわけでございます。(「同感というのは、どこが同感なのかわからない」と呼ぶ者あり)従いまして、先ほど申上げましたように、只今食糧管理制度の書き方を検討いたしておるわけでございまして、この結論を待つて慎重に考慮するということが順序であろうと思うのでございますが、ただ現在におきましては、只今改正いたすといたしまするならば、提出されておりまするこの法案のような仕組みになるであろう、かように考えておるわけでございます。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 今の政務次官の答弁の同感というのは、どの程度、どこが同感なのか、もつとはつきりして下さい。町村農業委員はいいのだ、併しそういう人は、互選をした県の農業委員が非常に悪いのだ、そういうところに同感なのか、どこに同感なのか、今言われたことに全部同感なのか、そこのところをはつきり御答弁願いたい。
  79. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今県の農業委員のほうが工合が悪いと申上げましたのは、実は県の農業委員は有権者である農民全体が選挙するのです。従つてそういうような演説会等が起るのでありますが、今度の制度のようになつて、町村の代表者がたつた一人で代表をして選挙するようになりますと、委員の性格が全く変つて来る。これは今までは長年の間、私のほうの北海道の連合会というものは農業委員会連合会という名前であるのですが、それを主宰して来ましたけれども、そこに出て来る委員は、丁度今の代表者がやるのと同じような各町村から一人の人が出て、そうしてその人の選挙によつてやります。選挙でなくて、その会議できまつた人を選挙して出すという制度になつておりますために、県委員とは全く性質が違うのです。そこでそういうような場合と県委員の場合とは非常な違いが出て来るのでありまして、この食糧の供出を円滑にさせようという上にはどうも、私は県委員に叱られるかも知れんが、これは今まで弊害があり過ぎたこういう工合に考えます。又経費がばかにかかり過ぎる、こういうような見地から考えまして、これはどうも捨てて置くことはできないという感じが強いのであります。そこで先ほどもそういうことをお伺いしたような次第であります。    〔江田三郎君「私の質問に答弁しなさい」と述ぶ〕
  80. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 只今委員から重ねてお話がございましたが、只今お話の御趣旨に同感だということでございます。
  81. 江田三郎

    江田三郎君 それは県の農業委員会のやつていることは怪しからん、これに同感だと、そういうことですね、そうでしよう。
  82. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 怪しからんといつても、そういうようなことでなく、一つの制度といたしまして、今までの制度の中には完璧でないという点も多々あるわけでありまして、そういう意味に考えておるわけであります。即ち改正ということになります以上は、従来の制度にも改正すべき点があつたわけでございまして、これを極端に言えば怪しからんということにもなりますけれども、そう極端な意味ではなくして改正すべき点がある、こういう意味に解しておるわけであります。
  83. 江田三郎

    江田三郎君 これははつきりしていると思うのです。県の農業委員会は金がかかり過ぎる、県の農業委員会がここにあると供出制度を阻害する、それで怪しからん、あなたの発言の内容はこうなんでしよう、それに対して同感というのはそうでしよう、これはあとあとの審議に必要だから聞いているのですよ。
  84. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 怪しからんとか何とかいう意味じやなく、すべて改正案が出まする以上は、改正すべき必要があるわけでございまするから、そういうふうに同感であると申上げたわけでございます。
  85. 江田三郎

    江田三郎君 政府改正案を出したわけではないでしよう、政府が今のような欠陥を認めているならば、なぜ今国会にそういう改正案を出さなかつたのですか、欠陥を認めておきながら政府改正案を出さんということは、政府が欠陥をいつまでも頬かむりで行く、欠陥があつてもかまわん、こういうことは、前の法律政府が作つてそれで欠陥が出ている、それを認めている。併しながら、改正案は出さん、誠に怠慢じやありませんか、どう思いますか。
  86. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) その点は誠にお叱りを受けるかと思うのでございますが、政府といたしましては改正すべき必要を感じまして、すでに三国会に亘つて改正案を提出して御審議を頂いたわけでございますが……。
  87. 江田三郎

    江田三郎君 今国会に出さないじやありませんか。
  88. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) いずれも審議未了になりましたので、これはよほど根本的に出直さなければならんということで、鋭意検討を進めておりますときに、議員の方々が御提出なつたわけでございまして、そういう経緯でございまするから、この点一つ御了承願いたいと思います。
  89. 江田三郎

    江田三郎君 了承しないですよ。
  90. 松浦定義

    松浦定義君 本法案の審議に当りまして、いろいろ十分お互いの考えていることを先ず抜きにして、政府提案者はどう考えているかということを先ず先にこれは研究しなければならん、こう私は考えておるわけであります。頭から自分は賛成だ、反対だというならば、恐らくそれは提案者なり、それを支持する政府なりの言うことであつて、我々諮問をされている委員というものは、口の先ではそういうことは言えないので、結果はいよいよ最終段階に行つてそのときに初めて自分の意思表示をすべきである、であるから、私どもはこの法案に対して全く白紙で臨む、全く大きな問題であるから、そういうふうに考えている、併し只今の北委員の発言等は、これは法案内容ではなくして、単なる自分が見た感情的な考えから一応述べられた意見だと私は見ておる。私はそんなにこの法案の骨子になるべき問題だと思わんのです。併しこれはもう私は政府側として、今の江田君の質問等に対して全く同感だというようなことでありますならば、やはりこれは町村段階における問題よりも、むしろ府県段階における問題だというふうな結論を出してしまう、私はむしろ府県段階や中央段階よりも、やはり町村段階が一番大事だと思つているのです。そういう意味から質問しようとかかつているのですが、そういう前提でありますと、こういう法案がどういう形で出たかということを先ほど御指摘になつたように、あらゆる段階が上のほうで妥協したのじやないかというそしりすらも免れ得ない、而も北委員のお説で行きますと、中央段階のものはいかない、それで来年の四月には選挙をやつて、この際すつきりすべきであると、その気持はわかるのですが、それを政府が全く同感であるというようなことを、重ねてそういうことをされるということは、私は余りにも府県段階の委員諸君がこれを聞かれたら、これは本当に政府が我々をどういうふうに信頼しておるかということについて、恐らく末端よりも最も私は一番重大なのは府県段階だと思うのです。末端におきましては、それぞれの関係からむしろ農民本位の考え方をして来ますけれども、中央段階におきましては、全く私は公平な立場に立つてつておると思う。それが地方段階のほうがむしろその逆だというような考えに立つて同感だということでは、恐らく私は政府が原案として出し得なかつた理由もそこにあるのじやないか、併しながら、そういうことは私は繰返しませんけれども、そういう形でこれからの質問に対してお答えを願いますならば、恐らく私は正常な審議ができない、かような意味におきまして、非常に遺憾だということだけを申上げまして、私は総括的な質問は自分の時間が来たときにすることにいたします。
  91. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 農民の利益代表機関、意思機関として実は本当の理想は農民の金で下から積上げてやるべきものと考える。併し遺憾なことには今まで市町村も道府県段階におきましても行政機関の一部となつて、今の供出その他の問題或いは土地の問題等も皆審議に当つておるのでありますが、併しこれは行政機関の一部であることは私どもも不満です。農民みずからの金で是非やることですが、これを農民がみずからの手でやりますと、たださえ零細な日本の農家としましては、到底そんな経費は寄つて来ないのですし、私は過去においては農会時代から随分やりました。農会長も三十何年やり、郡農会長もやつて来ましたけれども、大きな負担になりますと、どうしても農民が負担をしない。理想は大変いいけれども、そうはできないので、遺憾ながら実は農会時代におきましても政府の補助ばかり頼つてつた。農民は一側か五分申訳だけ出して、そしてほかはあとの補助金で活動して来たという状況にあるのでありますが、今度いろいろな機関ができましても、その負担の問題につきましては政府はどうされるのであるか、例えば町村は今まで通りでありましようけれども、或いは道府県段階において、或いは中央の段階において、その経費はどういう工合にされるのであるか、折角こういうような案を出されたのでありますけれども政府から一つも金が出ない、自分らで全部賄わなければならんということになりましたなら、これはちよつと賛成しかねるのでありまして、そういう点につきまして政府の方針があるなら承わりたい。
  92. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 実はこの法案の中に農業協同組合中央会につきましても、又農業会議所につきましても、両法案とも予算の定むるところによつて政府が補助することができるという規定があるわけでございます。併しながら、本案といたしましては、実は政府から出したわけではございませんので、本年度の予算には実は補助金は計上いたしていないわけでございます。併し昨年度政府法案を出しましたときには同様な内容でございましたので、当然この農業協同組合中央会並びに当時は農業委員会議所というふうに政府は出しておりましたが、この両法案につきまして予算を組んでおりましたが、併し法案が不成立に終りましたので、結局昨年度組みましたところのこれらの農業団体に対しまする予算は不用額となつて使用しなかつたわけでございます。そういうような経緯がございますので、幸いにして本法案がここに成立を見るということになりまするならば、昨年度政府がすでに予定しておつた予算もあつたわけでございますので、当然適当な方法によりまして、できれば本年度からでもこの法案に基きますところの補助金の支出をいたしまする用意と決意を持つておるわけでございます。併しながら、お話のように政府が余り補助の丸がかえ式ということになりますならば、農業団体の自主性を破壊することになりますので、飽くまでも原則は農業団体自体、農民の負担においてやつて頂きたい、只今の北委員お話通りでございまして、ただ或る程度の国の誘い水というものが必要であるならば、又その程度のものでありますならば、決して農業団体の自主性を破壊するということは毫末もないと考えておりますので、適当なるところの補助を行うところの決意を持つておる次第でございます。
  93. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 市町村の農業委員会に対しましては、これは市町村が相当大きな額を今まで出して来ました。その元はどうかというと、平衡交付金等が来まして、村の財政を見て平衡交付金というものをくれるのですから、そこで結局は政府が皆出したような形になつておる。そういうようになつておりまして、又道府県段階におきましても同様に北海道庁は相当金を出しておるのであります。これ又やはり何か道府県に対して平衡交付金的の金の出し方があつたろう、こう考えるのでありますが、中央における団体、やはり私どもが実は中央で日本農業委員会協議会というものを作つておりました頃、これは全部自分らが持出さなければならん。そこで去年までの予算を使うと言われますが、中央におけるそんな予算一つもないのじやないか、その中央における分も農民に何も迷惑がかからずに金が出るというような方法を講ぜられるお考えがありますかどうか、一つ伺つておきたいと思います。
  94. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 今年度の予算の支出をどうするかというお尋ねかと存じますが、実はこれは先ほども申上げましたように、政府としては法案を出しておりませんので、現在予算に全然組んでおらんわけでございます。従つて補正予算を以て組むということを今ここで申上げることも実はできないようなわけでございまするので、この点はいずれにいたしましても必ず政府としては用意と決意を持つておるということは申上げることはできまするが、どういう方法かということは、一つこれは適当なる方法を政府が善処いたしまするので御了解頂きたいと思うのでございます。ただ補正予算でやらないといたしますれば、結局予備金を流用する以外にはないことになるわけでございまするが、予備金は災害等の場合においてのみこれを支出することが原則でございまして、予備金から出すということもここで言明はいたしかねるのでございますが、併しながら、こういう重要な法案国会で成立するということになりまするならば、予備金から支出するということも例外的には可能であるというふうに考えておるのでございまして、いずれにいたしましても何らか適当な方法を以ちまして、すでに昨年度政府としては用意をいたしておつた予算でございますので、善処いたしたいと考えておるわけでございます。
  95. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 まだ条文その他について質問したいことが大分ありますけれども、暫らく留保します。
  96. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は今回出されました農業委員会法の一部を改正する法律案農業協同組合法の一部を改正する法律案を発案されました方々の並々ならん御苦心のほどは満腔の敬意を表する次第であります。その発案されました本当の目的が那辺にあるかということを私は先ず第一に質問したいのであります。それはどうしてこういうことを申上げるかというと、農民の立場といたしまして、でき得る限り農民が十分働くことのできるような時間と負担の軽減を図つてもらいたい。少し農村でリーダー的の立場にある人は、いろいろな会合に出されて実際に自分が働こうとしてもなかなか働き得ない。今日の農家は全く家族労働であります。そしてその主人が一家の中心をなして働いておるのでありますが、ところが相当の能力のある者は農協と言わず、共済の事業、農業委員会の問題と言わず、或いは字の問題、冠婚葬祭に至るまであらゆる場面に引出されて働くことができない。こういうことでは本当の農村の振興にならない、食糧増産にならない、どうかしてでき得る限りこういつたあらゆる会合というものが簡素化されて整理されて行く、そして又経費の負担の軽減を図つてつてもらいたいというのが農民の切なる念願なのであります。然るに今回出されましたこの二法案はどちらかというと、これはいろいろの立場もございましようが、無理に私は相剋摩擦を作るような、出されました皆さんはでき得る限り妥協して出されたと思うのでありますが、実際にはいろいろな面において相剋摩擦を来たすような場面が相当に伏在しておると思うのであります。例えば中央会の問題にいたしましても、これは政治活動はしておらんようでありますが、なかなか以てさようなわけには参りません。又農業会議所の問題につきましても、これは地方庁といたしましては重大なる影響があるようにも考えられるのであります。例えば知事は都道府県会議員の非常なる制約を受けて、自分が行わんとするいろいろな予算案や議案の提出に当りましても相当苦労をいたしまして、議員と連絡をとり、そして提案して無事にこれが通過を図つておるような現況であります。一方においては農業会議所というようなものができました暁には、恐らくこの農業会議所意見というものも十分に聞いて勘案しなければならんことになるわけであります。従つてこの板挾みになりまして地方行政官としてはなかなか両方にうまく色目を使つてやるということは容易なことではあるまいと存ずるわけであります。又一方においては、中央会があつて、或いは連合会というものがあつていろんなことを持込んで来るというようなことにもなるわけでありまするから、なかなか地方におきましては、いろいろ御苦心になりまして相剋摩擦をされないようにされて来たようでございまするが、内面的には相当の摩擦を伏在しておると見るわけであります。殊にこの農業協同組合法の一部を改正する法律案の第十条一項の第八号の場合には、先の旧法によりましては、農業の災害による共済ということが特定的になつてつたものでありまするのに、今回ば単に共済ということにしたわけであります。この共済事業というものが現在発案をせられました皆さんにも十分私は認識せられておることと思いますが、これは農業災害補償法による共済事業もかなり各地におきまして相剋摩擦をしておるというような現状であります。私は農民の立場におきまして、かようなことのないように、農民団体としてお互いに相争うことのないようにすべきであるということを念願いたしまして、今日までいろいろな機会に私はお願いをして来ておるのでありまするのに、ここにはこれが伏在しておるような事情もあるわけであります。そういうような観点からいたしまして、この二法案を作られましたその基本的な考え方、要するに真に農民の立場からお考えになつたか、これはいわゆる中央における政治的勢力の均衡を図るためのかような法案が出て来たのかということを先ず第一に私は御質問いたしたいと思うのであります。
  97. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この法案提案する根拠の考え方として、中央団体の勢力均衡というふうなものの妥協ということが主眼点であつたか、それとも農民自体の立場というものを中心に考えたか、こういうふうにお尋ねだつたと存じますが、その点は曽つて政府農業団体編成というようなことがいつか呼び声になりまして、そうして二法案が出ました当時、そういうような形が相当強く現われておつたことも私どもも十分承知しておりますので、そういう観点からこの二法案が出されてはならない、ということは、当時私ども考えておつたことであります。併し今度これが議員として私どもがこれを提出する段階になりましたことは、農業委員会におきましても、あの姿を又本年度の夏改正して行くのにはいろいろ問題が多過ぎる。この際何か解決しなくちやならん問題があるということと、最前申上げましたから余り繰返しては申上げませんが、協同組合関係におきましても、全国的に各連合会ごとに一番問題を起しておるのは経理上から起るいろいろの諸問題が起つておりますので、これに対する監査機関或いは指導機関というものを一日も早く強化しなければならんことが一つと、それから事業上いろいろ不備な点の差当りの問題を、二、三提案理由説明にありますようなものを差加えまして改正することが今の立場として必要だ、こういうような素朴な気持で実は提案しておるわけでございます。それから農業団体一つの農民の上に立つていながら、お互いにセクシヨンで相争うことのいけないことは御説の通りでありますが、殊に今御指摘になりました農業協同組合のこの共済ということについてお触れになつたようでありますが、これにつきましても別に農業協同組合の共済というものに対して、これは非常に重要な仕事であり、而も曽つて法律の中ですでに全国的に相当の事業分量で出発しておりますので、出発しておるとするならば、共済のあり方をどうするかということは別問題として、現実の問題として監督規定もなくて放任することは困ると、そういうことからこれに対して監督規定を作つて、そして明らかにしなきやいかんのだ、これもまあ至急何とか片を付けなければいかん、根本改正まで待つのでなしに、その前に解決しようという事柄の一つなのであります。そういうわけでありまして、結論といたしまして私どもがこれを出します動機というものは、農業団体自体の均衡だとか、或いは勢力というようなことから出発したのではないのであるということだけは申上げておきます。
  98. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私は金子さんから私の質問に対してのお答えは、まあ大よそその辺であろうというぐらいには考えておつたわけでありまして、殊に私は自由党といたしまして、党のほうからもいろいろ私にもこの問題についてはできる限りまあ自分の意思を引つ込ませろ、こういう強い(「確証を得たのちにやらなければ」と呼ぶ者あり)私も気持はいつもあるのでありまして、私はあえて反対せんがために質問するわけではありません。又私は常に声が大きいので人に間違われるので、あの野郎怒つておるんだろうというようなことをときどき言われますが、(笑声)声が大きいのは親譲りでありますから、声が大きいのはこの点は一つ御了承願いたいと思います。先ほど次官は下から盛り上つた民意を尊ぶということでございました。これは至極御尤もでありまして、当然そうなくてはならないと思うのでありますが、下からの……、私は村の協同組合長もやつております。又最近の総会におきましても、名ばかりの組合長で申訳ないからやめようとしましたが、遂に私又組合長に推されてしまつたのでありますが、従つて県の組合会議等におきまして、皆さんの意向を聞きますると、どうかして県の連合会を少くとも二つぐらいにしてもらいたい、そうでないと単協の負担が重荷になつて困る、それから全国の連合会は販連だ、購連だ、信連だ、指導連だというようなものを、これも二つぐらいにまとめて欲しい、そうして信連も販連も購連もマージンをもつと安くして欲しいというのが切なるこれは下からの農民の声なのであります。それ故に私らは県の組合会議におきまして、これは連合会の総会等の前には必ず組合会議が開かれますが、そういつた場合においては、できるだけこの趣旨に則りまして進んでいるわけでありますが、これを只今金子さんの意見によりますと、中央のいわゆる妥協ではないのだというような話も承わつております。又政務次官お話によりますと、下からの盛り上つた意向というものは尊ぶのだ、こういうような意向でありまするのにかかわらず、かような農業協同組合の中央会というものを作つた、或いはほかに、別にですよ、共済事業はほかの事業を行うことができないということになりまするから、県には今の指導連合会の代りに地方会ができ、更に共済事業を行うところの連合会というものができます。従つて四つの連合会ができるということになるわけであります。中火におきましては、これに並んで五つの連合会の全連ができると私は考えるのでありますが、こういうことでは私は負担の軽減にならない、又農民の切なる声とは反対の方向に行つているということを私は痛切に感じとられるわけでありますが、これにつきまして、金子さんはおりませんが、そうすると小枝さん、それから農林政務次官から一つお答えを願いたいと思います。
  99. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 金子さんは今注射をしておりますから、暫らくお待ち下さい、間もなく見えると思います。
  100. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) 佐藤委員からの御質問でございますが、成るべくこのいろいろの団体をできることならこれを少くいたしまして、農民の要求に応ずるということは我々も同感であるのでございます。ただこの農業協同組合の一部改正によりまして、指導連を中央会にするということで、別にこれで団体が多くなるという意味ではないのでございます。それから共済の協同組合もすでにできておるのでございます。そのためにこの団体が殖えるということにはならないのでございますが、ただ中央会というものは今までの指導連とは大分性格が変つて参りまして、あらゆる農業協同組合がこれに参画し、且つ発言の機会も強く指導連の場合よりも与えられる場合があるのでありまして、従いまして、この金子議員からも最初お答えを申しておりましたように、この経理の問題、或いは監督の問題、指導の問題等におきまして、相当現在よりもよくなるのではなかろうかと、提案者としてはかように考えておるわけであります。
  101. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 農業団体の県段階、中央段階の数が多いがために、単協の負担が更に増加して、農民として非常に迷惑であるという佐藤委員の御意見につきましては、全く同感に感ずる次第でございます。併しながら、これはいろいろそれぞれ沿革があり、経緯があつてのことでございますので、この間の最も合理的な調整を図つて参りたいと考えておるわけでございますが、只今小枝提案者からもお話がございましたように、今回のこの中央会を設立いたしますることは、指導連がこれに代つて行くということでありまして、又これに対しまして政府相当の助成をいたすという決心を持つておるわけでございまするから、農民の負担の増加ということには決してならないと考えておるわけでございまして、この点佐藤委員も決して反対のための質疑ではないというお話もございましたわけでありますが、御了承頂きたいと存ずるのでございます。なお、重ねてお尋ねのございました共済の問題でございまするが、特に共済組合の任意共済事業と農協の共済事業という関係でございまするが、これは非常な根本的な大問題でございまして、衆議院におきましても、共済に関する小委員会を設けられまして、この国会において実に二十数回に亘つて委員会をお開きになりまして、実はその結論が出まして政府のほうに答申を頂いておるのでございます。参議院におかせられましても、やはり同様小委員会をお作り頂いて慎重御審議を頂いておるわけでございまして、政府といたしましては、この国会の御意見というものに基いて慎重に考慮いたしたいと考えておるわけでございます。実は衆議院の共済に関する小委員会からの御答申によりまするならば、はつきりした法案をすぐに作るというような結論になつておらんわけでございまして、速かに政府として更に審議会を設けて検討を続けようと、こういうことでございます。従いまして、只今政府といたしましては、衆議院七名、参議院五名の委員をお願いをいたしまして、更にそのほか一般の学識経験者等を合せまして、農林省に共済に関しまするところの審議会を設けまして、本国会が終了と同時に発足するということで今準備を進めておるような次第でございまして、この審議会の結論によりまして根本的に考慮いたしたいと思つております。本法案におきまするところの農協の共済事業に関しまする改正規定について御意見がございましたが、これは農協の行いまする共済事業について差当つて必要な監督規定を設けるというようなことでございまするから、この点も併せて御了承頂きたいと思うのでございます。
  102. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それでは、金子さんがおいでになつてから私は質問を続行したいと思います。
  103. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 政務次官、今の共済の審議会ができると、農協の任意共済も当然含めて審議をされるということですか。
  104. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 無論そうでございます。
  105. 重政庸徳

    重政庸徳君 従来役員は選挙によつてつてつたのでありまするが、それが選任制になると、今、江田さんがこの点について大分腹を立てて大きな声を出されておつたようでありますが、私もこれは農協の本旨に悖つた変更であろうと思うのです。そうすると、私は素人なものだから、よほどそこに重大な従来欠陥があつてつて来るのであろうと、一般の思想から行くと逆行になると思うので、重大な根拠があるのだろうと思いますが、この点一つ提案者のほうから御説明をしてもらいたい。
  106. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 協同組合の役員の選挙を選任に直されまする点は、提案者の特段の御意向によるものでございまするので、金子議員から御説明したほうがよろしいと思います。
  107. 清澤俊英

    清澤俊英君 議事進行について……。小枝さんと政府委員だけで続けるのはいいですけれども、大事な提案者が欠けているのですから、一つ休憩してもらいたい。
  108. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) 金子さんがおられますと、これは非常に都合がよろしいのでありますが、もうすぐ見えるかと思いますが、折角重政委員からの御質問でありますので、私の了承しておる範囲のことをお答えして責を塞ぎたいと思います。農協の役員を選挙で今まで全部やることになつておりましたのですが、どうも選挙はこれは最後の手段として皆了得する問題ではありまするが、農業協同組合の場合は経済を預かる団体でございまして、殊に町村段階においては選挙で票さえたくさんとつて出たら、それだけでいいということにも参らん場合もあります。それから全国のいろいろな協同組合の実情も考えて見ましたときに、どうもこの役員の問題をめぐつていろいろな対立がありましたり、いろいろな問題が起る。そこで選挙が原則ではございまするが、併し皆得心ずくで一つこれは選任で行こうではないかというときには、それも一つのよい方法ではあるまいか、止むを得んときにどうも話合ではうまく行かない、どうせこれは選挙をやるべきものだというときには、無論これは選挙でよいばかりでなく、選挙が建前ではありますけれども、場合によつては選任の方法でも行けると、そういうことで、選任の方法も併せてやるようにいたしたのであります。
  109. 重政庸徳

    重政庸徳君 従来選挙一つでやつた場合に、相当弊害が多く生じて来たと、こういうことですか。
  110. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) そういう場合も相当例があります。
  111. 重政庸徳

    重政庸徳君 そうすると、一律に選挙で行くと弊害を生ずる場合がある、そういう事例が非常に多いと、それを防止するために円満に行くところは話合で行くと、こういうことでございますか。
  112. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) さようでございます。
  113. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは金子議員が見えましたから、今の選任の点は重ねて金子議員からも御説明願いたいと思います。
  114. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) どうも失礼いたしました。ちよつと医務局へ行つて参りました。選挙の規定の最後に、「選任することができる。」という規定が入つたのでありますが、これは勿論、選挙の方式をやめて選任に変えるというのではありませんので、今まで通り規定と、もう一つその組合の定款に定めた場合には選任の方式でもよろしいということを附加えたのでありますが、その理由といたしましては、現実に現段階の選挙によるという法律の下におきますところの全国の役員の選挙の状態を見まするというと、例えば全国機関におきまして、全販、全購というようなその他の協同組合、それから各県におきますところの連合会の姿、それからもう一歩行きまして町村段階におきますところの協同組合の理事、監事の選挙の状態を見て行きますというと、その大部分というものは一応選考委員によつて選任されまして、その選任されたものを選挙の形式だけをとつておるというのが実質的には大部分であります。従つて選任によります場合の欠陥と或いは選挙という場合の特徴と欠陥とおのおのあるにもせよ、現実の状態がそうなつておりますので、そういうものをやつても違反ではない、間違つておらない、幅を広くすることが実際の現実には副い得る、こういうふうな考え方からそれを入れたわけであります。
  115. 重政庸徳

    重政庸徳君 そうすると、今、小枝さんから承わつたこととはちよつと変つて、弊害が非常に顕著だから、そこでそういうところはそういう選任制を設けたという意味でなしに、現在選任制と変らないように円満に行つておるけれども、選挙にしなければいかんから選挙の方式をとつておる、その煩雑を除去するために今度は附加えた、こういうことですか。
  116. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) そうです。それでどちらをとつてもいいのです。
  117. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ほど私が質問いたしました農民の立場としてできる限り連合会の数を少くして、単協の負担の軽減を図つてもらいたい、又年々農会におきましては、できる限りマージンを少くしてやつてほしいというような単協の叫びであります。それに対しましての今回の法律改正によりますと、農業協同組合連合会が、先ほどは小枝さんの説明によりますと、殖えないというようなお話でありますが、この法律からすると、当然これは中央会というものがいわゆる現在の現行の指導連合会に該当する性格を持つておるものと私は考えられます。それからもう一つは、共済事業を行うところの協同組合連合会が当然これは各県にできるものと考えるものでありまするから、そこで連合会は更に今度は四つもでき、それから更に又中央にもそういうものが殖えるという結果に私はなると思うのでありますが、これについてどういうようなお考えを持つておられますか。
  118. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今御指摘になりました中央会が発足した場合に、法律的にはつきりしていないけれども、現実的には指導連合会が県の中央会になる、それから全国連の指導会が全中会になる、こういうふうな形になりまして殖えないというお話があつたのだろうと思いますが、共済なら共済というものに対しても、この事業の特殊性に鑑みまして、これは単一連合会でなければいけない、こういう危険性がありますから、そういう見解をとつたのでありますが、併しそれは殖えないと小枝委員から申上げたのは、現にその連合会はあるのでございまして、今あるものですから……。
  119. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それは法律的にできておりませんから、各県どこでもできておるというわけではありません。できておる県もあるし、できておらん県もあるわけです。
  120. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) それは法律的にありましても、各県が必ずやるというのではありませんで、各県が事業を始めれば連合会はできますし、始めなければやはりできないのでありまして、今の段階と同じになるわけであります。
  121. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それはちよつと……、(「それはおかしい」「佐藤さんの権威ある話を聞こうじやないか」と呼ぶ者あり)法律が強化されますと当然これはできて来ることは必然であります。従つて私が最も心配いたしますのはこの点であります。これができてお互いに農民の団体が農業災害補償法によるところの共済団体と、この農協法による共済団体とがお互いに相争うというような悲しむべき結果を来たすことは、私は農民として断じて承認できないのであります。従つてこれは起案者はどういうお考えであつたかわかりませんが、推測するのには、さつきちよつと私が申上げました団体の中に、中央におけるいわゆる妥協というような結果から来たようにも私は想像しておるのですが、それは別といたしまして、政府自体が私はこういう法律をどうして承認するかということについて甚だ不満を持つておる一人であります。そこで私はずつと先に藤田巌という人が農政局長であつた頃やつたことがありましたが、当時この協同組合法の一部に、第十条の八号に農業災害による共済を行うことができるような条項を置いたについて、将来問題になるが、そういうときにどうするかということを質問をしたのであります。ところがあの人は、農民で喧嘩ができましたら私が仲裁いたしますというので、それで私が烈火のごとく憤つて、あなたはいつまでも経済局長をやつておる身分でもあるまいというので私がどなつたところが、私に発言を許さない、とうとうこの問題はうやむやのうちに葬つて今日に及んでおるわけであります。私はあえて農業災害補償法による共済組合を支持するというばかりではございませんが、少くとも農業団体として、農民の立場からかような相剋摩擦を来たすようなことは為政家としてもすべき、でないと痛切に感じておる一人であります。どうかこれについての政務次官なり、私は農林大臣に質問したいと思いますが、先ず政務次官なり、それから経済局長が担任でございますから、どういう御意見でありますか、お聞きしたいと思います。(「体験から割出して来ているのだから」と呼ぶ者あり)
  122. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 農林大臣に出席を今要求いたしておりますが、ちよつとおりませんので、夕刻には出席ができると思います。
  123. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 農林大臣の答弁については保留しておきますから……。
  124. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) この共済の問題につきましては、先ほども申上げましたように、政府といたしましては、ただひたすら国会の今御審議の最中でございますので、その結論を以て善処いたしたいということで、(「佐藤さんごまかされるな、大事なところだ」と呼ぶ者あり)先ほど申上げましたように、この国会終了と同時に衆参の議員のかたの御参加を願いました審議会において、先般衆議院農林委員会から政府に御要請になりました点に則りまして、(「審議する前に結論が出るのはおかしい」と呼ぶ者あり)佐藤委員の御意見を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと思つております。
  125. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 一応はその話は足立議員からもお聞きしておるのでありますが、私は審議会というものが、これはやはり結論を得ることはできまいと思うのです。なぜならばというのに、審議会に来るほどの人はそれぞれの紐付の人たちが集まるわけでありますから、ここで一線を画するというような断固たる方針は到底できまいと想像するわけであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)誠にこの点は禍根をますます拡大強化して将来に残すという憾みが多分にあるわけでありまして、残念ながら私はこの点につきましては、どうも心から了承するというわけには参らんのでございます。(「最後がちよつとおかしいね、農民代表なら農民代表らしいことを言わなくちやおかしい、自由党に枠をはめられたら駄目だよ」と呼ぶ者あり)
  126. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと、これは私も関連して伺つておきたいのですが、この農協の共済というのは、共済事業の兼営の禁止という法案ですが、共済ということになると損害保険的なものもありましようし、生命保険的なものも入つて来るというようなふうにも見えるのですが、そういう損害保険的なものは勿論、生命保険事業的なものもこれは入つて来るのですかね。
  127. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) これは共済というものの解釈をどこに持つかという問題につきまして将来やかましい問題もあるかと思いますが、一応現在やつておりますものを共済の範囲に含めてこの法案を考えておるわけであります。それからもう一つは、県単営でなくちやいけないということは、その連合会が単営でなくちやならんということだけを指摘しておるわけであります。
  128. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、生命保険事業のようなものも多少やつているんですか。
  129. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) やつています。(「佐藤さんの生命だよ」と呼ぶ者あり)
  130. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、そこまで厳密にやつて来ると、生命保険的な共済面と損害保険的な共済面とを一緒にするということは、理論的にはおかしいという議論も出て来ると思うのですが、そこはどんなふうな……。
  131. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この共済の限界をどうとるかということにつきましては、今後いろいろ例えば保険業法の中に入るべき問題か、又はその外へ出るか、別建の法規によるべきかというふうなことの論議につきましては相当大きな問題でありますので、それ前に先ず現在やつておるのをただ手放しの形でやつていてはいけないから、その危険を防ぐという第一歩をここのところで修正したわけであります。
  132. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 政府委員からの御答弁は只今のような状態で甚だ了承しかねるようなことでございまするが、金子議員のお考えは、やはり農村代表のかたでございまするから、どういうお考えを持つてこれについて善処されるか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  133. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 共済の規定協同組合法の中へ入れたことが団体間の摩擦を大きくするだけであつて、非常に不満であるというふうな御意思であつたのですが、団体間の相剋を強くするということにつきましては、一応そういう問題が、例えばこういう問題が起りますと、農業共済のほうからそれは困るというような意思表示があつたかのような話も聞いておりますだけに、現にそれが現われておるわけでありますが、併し農業共済と申しましても、或いは協同組合における共済といたしましても、分れておつて、はつきり申上げますと、団体間の縄張り的な感覚というか、或いはいろいろ意見の相違というものが出て参りますのは、農村に直接接しているところの基礎組合にはそういう摩擦はありませんので、基礎組合両方とも協同組合自体がやつておるのでありまして、そ少上にあるところの連合会になりまするというと、その組織が違うことによつて摩擦が出て来る、こういうことなんだと思います。(「それは違う」と呼ぶ者あり)それは末端組合に対しても意見はありましようが、併しながら、末端組合は同じ人がやつておるのでありまして、それは今の共済事業というものは、相当今まで産業組合時代からいろいろな曲折を経てやつて参りましたけれども、ここでどう行くかというこの線でなければならないという結論は、提案者としては出ておらないわけであります。従つて例えば任意共済も今はやつておる。それから協同組合もすでに相当量の事業分量で進んでしまつておる。従つてこれを協同組合のものを放任して行くことがいけないから、この際監督規定を設けようというのでありまして、それをどちらへ寄せるということが農村的に最もいい結果が来るかということは、提案者といたしましては今後の考え方に待つと、こういう気持でおるわけであります。
  134. 森田豊壽

    森田豊壽君 関連して。この問題は細部に亘りまして逐条的に聞いてみようと思つてつたところですが、これは非常に重要な問題だと私は思うのであります。先ほど来団体編成という大きな問題をのけておるような説明がありましたが、こういう問題が非常に引つかかると思うのでありまして、私は保険事業が今これで行きますというと、農協のほうの共済保険の問題は相当大きくなつて来たけれども、監督者と申しましようか、保険のほうの大蔵省方面では、このままおけばこれはやめたほうがいいという考え方になりそうに聞いておるのでありまして、私はこの農業共済のほうでやつております分と、農協のほうでやつております分は、もうこの際におきまして一つにすることを考えるべきではなかろうかという、こういう一点も、この際において農協農協で以てまとめちやつて、どしどしやつて行くのだというような考え方が、同じ農民が対象としての保険へ入る場合におきまして、上か二つになつておることは保険事業としては危険であります。従いまして、私は安心して我らの保険だということで入つて来るような組織体こそ協同組合の保険でなければならんし、共済のほうの保険でなければならんと思う。いわゆる営利を目的とするだけの保険事業であれば別でありましようけれども、この団体の持つものである以上は、その点をはつきりこの際に一元的にすべきではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。先ほど委員長質問されましたが、佐藤委員からしばしば質問しておりまするゆえんも、そこにあるかと思うので、この点に対して団体編成の建前でこれを論じておるのではないとおつしやるけれども、そういう問題が根本的な問題になるではなかろうか。ただ上塗りをしたようなことであつてはならんので、根本的な問題を一つ一つ解決することが今後の農村政策のあり方ではないかという問題に対して、私はそういうふうに考えておるのでありまするが、その点は如何でございましようか、提案者の御答弁を願います。
  135. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 提案者といたしましては、共済という字句が、先ほど申上げたような現段階でやつております保険の性格を持ちました事業にまで、今現実には拡まつておるわけでありますが、そこでこの問題をそれならばこの際どちらによるべきかというようなことを恐らくきめようとかかつても、相当時間的にも私はそう簡単に解決付かないというような考え方を持つのと同時に、今協同組合方面における共済がどんどん伸びております関係上、どうしてもこれは最小限度の監督規定というものはおくべきだ、こういう差当りの問題で飽くまで考えておりますので、この点につきましても、農業団体編成というふうな大きな立場からは、やはり次の段階に待たなくちやならんという考えが提案者にあるわけであります。
  136. 森田豊壽

    森田豊壽君 ばかにそこのところうまく答弁されましたが、今の段階ではこの法案を出すには監督はしつかりやつて、そうして今大分伸びておるのをよくして行くのだ、こういうお考えのようですが、伸び過ぎましてやり直しのできないこともありますし、この点はよく御承知のことと思うのでありまして、過ぎたることのまずい場合もあるのでありまして、今にしてこの問題は相当考えなけりやいかんじやないか、こう思うわけですが、まあ併し皆さんがいろいろと御質問なさるでありましようから、中途で入つて余り長くやることはいけませんから、このくらいにとどめておきます。又あとで……。
  137. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今の御答弁を聞いておりますると、今までの実績があるから、これを法文化していわゆる営利事業を行なつてもいいんだ、こういうようなお話でありますが、この農業協同組合法の目的は、農業の生産力を増進し、農民の経済的地位、社会的地位の向上発展を図ると第一条に明記してある。そうすると、これは農民の目的というものはそういつたようなお互いの保険を行なつて、そうして一般の保険契約法に基くような経営をして儲けておるというのとは私は事は違うと思う。ところがこの法律内容を見ますると、かなり保険法と違つた、そうして又保険法には準備金と掛金率というものもそれぞれ規定があるのでありますが、そういつたような規定もないわけであります。そうすると、儲けつ放しであるということも言い得るばかりでなく、且つ又内容を法文上から見ましても、会長のいわゆる保険契約も何らこれを是正するような監督規定もないというようなことにもなるわけでありますから、事実内容というものは生命保険、火災保険と何ら異ならない。そうして儲けつ放しである。そうして儲けられるから協同組合において行うのであるというようなことは、私はこれは法律の目的から見てやるべきではない、こう考えるのでありますが、発案者のお考えは如何でしようか。
  138. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 協同組合の目的が農民の生産力を増進して経済の安定を図る、窮極の目的といたしましては農村経済の発展を図ることが目的でありますが、併しそれに対してやはり協同組合のやります仕事は、勿論農村の生産技術というものを推進して行くことも必要でありますが、現段階の資本主義社会におきましては、やはり農村の経済というものが資本主義経済から未組織の、経済的な一つの組織体を持つておらない、それがまあ非常に貧弱だという立場から、経済の上にもいつも搾取される立場をとつて参りまして、又保険或いは貯蓄というような面の金融面から見ましても、貧弱な農村というものが、やはり農村から集めた金が中央に集まつて、そうして大資本に投ぜられるというようないわゆる資本の集中化ということに対しても、やはり協同組合相当力を入れなくちやならんことであることを私どもはまあ考えまして、そういう点から行きまして、農業協同組合自体が資金の自主的強化を図つて行くということは私は必要だと信じておるのであります。併しながら、只今の御質問の中にあります協同組合の行う共済という事業が、手放しで儲けずく本位でやり得るというようには考えておりませんので、ただ共済としてそういうことをやり得るというようなことだけが元の協同組合法に入つております関係上、すでに県が相当の事業分量を持つておりますので、只今佐藤委員の御指摘のように、その掛金率であるとか、その準備金をどうせなければいかんということをきめないと、これは非常に危険を冒す、それではいけないから、そういうものも認可制度として、これを取締らなければいけないということを今度の改正で入れたわけなんでございます。
  139. 関根久藏

    関根久藏君 只今問題になつております共済の問題ですが、金子さんの御答弁によりますと、この共済は現在協同組合がやつておる共済を認めるのか、こういうことですが、そういうお考えなんですか、この共済というのは今やつておる、今農協でやつておる共済を意味するのか。
  140. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) それに対する一つの監督規定を……。
  141. 関根久藏

    関根久藏君 それだけを意味するのだというふうにお考えになつておりますか。
  142. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 今やつておる仕事というと、今やつておる仕事に限るということはない、農業協同組合が県単位を中核としてやつておる事業を指しておるのです。
  143. 関根久藏

    関根久藏君 そうなると思うのですけれども、共済施設そのものを、それだけを意味するのですか。
  144. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 協同組合法の中でやつておる共済を意味するわけでございます。
  145. 関根久藏

    関根久藏君 そういうふうに解釈してよろしうございますか。
  146. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 協同組合法によつておるところの共済事業を指しておるわけです。
  147. 関根久藏

    関根久藏君 そうしますというと、今度はこの法律が成立した場合に承認を与える問題についての農林省のお考えをお聞きしたい。
  148. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは先ほども申上げましたように、この法案を拝見いたしますると、この中におきまする提案者の御意図は、只今金子議員からもお話のございましたように、現在農協がやつておりまする共済事業について差当つて必要な規定を設けておるということで、別に他意はないというふうに考えるわけでございますが、ただ先ほど申上げましたように、この共済全体の問題、今大きく国会において問題になつておるわけでございますけれども衆議院におきましては、社会党の足鹿議員を委員長といたしまする小委員会において、非常な長い間の御審議を願つてその一応の答申が政府のほうに参つておりますから、従つてこの国会終了と同時に、国会議員十二名を含む審議会を発足いたしまして、その結論を待つて将来の根本問題を検討いたす、こういうことでございますから、御了承願いたいと思います。
  149. 関根久藏

    関根久藏君 金子さんにお伺いしたいのですが、この案を提出する際に、農業災害補償制度の今の政務次官お話なつたあの問題に関連して、ああいう方面と何か御協議になつたことがあるのですか。
  150. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) ありません。
  151. 森田豊壽

    森田豊壽君 ちよつと伺いますが、農業共済の、あなたのほうの……あなたと言つては失礼だけれども関係のかたの……。
  152. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 提案者の一人として、只今の問題について私の所信をお答えいたしたいと思いますが、只今佐藤委員並びに関根委員からの御疑問は御尤もであると思います。なぜかなれば、申上げるまでもなく、衆参両院におきまして小委員会を設けて熱心に御審議頂きました。小委員会におきましてもやはり共済事業の分野のあり方というものが一つの大きな焦点になつて論議が闘わされたことは申上げるまでもない、御承知の通りでございます。そこで今までこれほど明確な監督規定のなかつた農協法に、殊更に今問題のあります際、こういう規定を挿入するということは、何らかの少くともそこに含みがあるのじやないか、意図するところがあるのじやないかというふうに御疑問をお持ちになること、誠に御尤もであると思います。併し翻つて考えてみますと、農業協同組合は共済事業を行うことができるという規定はございますが、この行う共済事業につきまして何らの規定がない。そこで結果としては大蔵省が所管をする保険業法の取扱を受けるわけでございまして、これは農民の相互扶助の団体であるところの農業協同組合として、共済事業を行う場合に一々業者の扱いを受ける、業者並みの監督を受ける。而もそれは農林省の監督ではなくて大蔵省の監督を受けるという建前に現在なつておるわけでございます。それから現在農業協同組合が行なつております共済事業を全面的に否定するならば別でございますが、この分野のきめ方は将来に譲るとしても、現在ともかく行なつておる農業協同組合の共済事業というものを一応是認するとするならば、これはやはり共同組織で、農民の団体として扱つている共済事業でございますから、一般の保険業法によるところの営利保険業者とは、これは別に扱わなければならんということは私ども常識じやないかと思うのでありまして、従来不完備でありましたこの規定を一応ここに整備をして、農業協同組合が行う共済事業につきましても、大蔵省の保険業法としての監督を排除し、ここに明文を設けて農林省の監督の下に協同組合運動の一環として行う共済事業について明文を設けるということは、誠に妥当な処置であろうかと私は考えます。そこで最初に申上げた共済事業の分野のあり方の問題につきましては、衆参両院で結論が出たとはいうものの、明確な一致した結論がまだ出ておりません。そこで今、政務次官がおつしやつたように、農林省におきまして審議会を設け、今後の対策について抜本的に研究をする段階になつておりますので、この結果今問題になつております建物共済のごときも、どういう扱いをしたらいいのかという線が出て来ると思うのでありまして、この結果はいずれも共済事業に関する立法の問題で又御審議頂くことになるのじやないかと思うのであります。かような考え方で一応割切つて行けば私としては別に差支えはない。今なかつた法文をここに農協法に急に設けるから非常な疑いを受けるわけでございますが、今までなかつたことがむしろおかしいのであつて、これが設けられても決してそれによつて今までの競争と言いますか、争いを激化するということではなくて、私どもとしてはむしろこの無用な農業団体間における争いをなくして行けるのじやないかというふうに考えますので、審議会を通じて明確な線が打出されることを希望したいと思つておる次第でございます。
  153. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 無用な争いを農業団体間になくして行きたいという考えは私も同感であります。併しながら、衆議院農林委員会が農業災害補償法の抜本的改正についての小委員会におきましてまとめられた案によりますと、農業災害補償法で任意共済として行なつております家屋共済というようなものは逐次整理をして、そうして協同組合が行うべきであるということを謳つておるのであります。そういうような考えから今日この法律案が出て来たんではないかという私は考えを持つて見ておるわけであります。殊に農業協同組合法の第一条には、先ほど申上げましたようなはつきりした農業の増進、農民の経済的、社会的地位の向上発展を図ることを目的とするとはつきり書いてある、そういうような又農業災害補償法には別に目的が書いてある、おのおのの明文にしてあるにもかかわらず、僅かに一業の事業が行えるからと言うて、かような法律を更に尾に尾を付けて、そうして保険契約法とかなりの隔たりのある、これとは違反になるのじやないかと思われるような法律案までも作つて来ておるというところに、私は疑念がありましたから質問しておるわけでありまして、殊に足立さんの考えとして、あの小委員会にも足立さんは出ておられるわけでありますから、どういうお考えでいわゆる農民の相互の、相競合しないようにしたいというお考えでありますか、一応はつきりした線をお答えを願いたいと思います。
  154. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 只今私がお答えした通りに考えておりますが、少し私の答弁が前後した点もありましておわかりにくい点もあつたかと思いますから、要点だけ繰返して申上げますが、私は農業協同組合が共済事業を行うこともあり得ると思つております。これを全部否定してしまうならば別問題でございますが、例えば共済組合として表面上できない生命共済或いは労働保険に類するような共済事業を仮にやるとすれば、これはちつとも競合しないと思います。又建物にいたしましても農業協同組合がみずから持つております建物を、協同組合連合会或いは全国の組織で相互保険的に共済事業をやるとするならば、これは別に共済組合が行う共済事業と競合せずにやるようにはつきり方針をきめることもできると思つております。但し私の信念は、農家の建物につきましては、現在北海道あたりでは共済農業組合連合会というものでやつておりますが、これは共済組合連合会長と同一人が兼務でやつて非常に円満に行つておるようでございますが、私の考えでは、北九州や北海道の分の共済会の例を見ましても、共済組合連合会の赤字が非常に累増いたしまして、農家の建物共済につきましては非常な犠牲を払つておるということを考えて、これは将来どうしても国家の再保険による、国家補償による共済事業にまで発展せしめなければ到底安い掛金で、而も火災及び風水害のごとき広汎なる災害に対してこれを補償して行くということができないのじやないか、そういたしますと、やはり農家の建物についてはどこまでも共済組合がこれを取扱い、他の事業と同様に国家補償の線まで確立して行くべきであると考えておりますので、将来ともこの線ははつきりいたし、又農業協同組合自身が持つ建物については、農協が自主的な組織で、例えば町村会が自主的にやつておりますようにやるというならば、これは別に禁止する筋合のものではありませんので、そういう行き方もあろうかと思います。こういう線はいずれ農林省でできる審議会において十分討議研究の結果、この分野が明確になつて来ると思うのであります。その場合に農業協同組合は共済事業を一切やつていけないのだというようなことは、これはないと思いますので、やはりこの共済の規定に関しては一応ここに補足をし、大蔵省から直接監督を受けてやかましく保険業法の適用を受けることがないように一応対処することは、私は農業協同組合のあり方としても望ましいことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  155. 森田豊壽

    森田豊壽君 これも一つはつきりしておきたいと思いますが、大分足立先生も分野を明らかにすれば相剋摩擦はないと、いずれ審議会でやるというお話でありますが、これは農林次官に一つお尋ねしておきます、一つにしたほうがいいというお考えがあるんじやないか、その点を先に伺いまして、意見を申します。
  156. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) この点につきましては、先ほど申上げましたように、審議会も国会終了早々発足いたしたいと思つておりますので、その結論によつて考えたいと思つておるわけでございます。
  157. 森田豊壽

    森田豊壽君 それでは足立さんにちよつと……。足立さんは一つにするということは賛成はできなかつたが、何か二つにして分野を明らかにすればというお話のように聞いたんですが、その点は如何ですか。
  158. 足立篤郎

    衆議院議員足立篤郎君) 私は実は災害補償制度ができまして以来、県の責任者として特に森田委員の御指導を受けまして今日までやらして頂いておりますが、私の個人の考えをはつきり申上げまするならば、これはやはり餅は餅屋で、共済組合連合会が全面的に取扱うことが最も便利であり、最も料金も安く、農家の便益になると私は信じております。併し私が先ほど申上げましたことは、農業協同組合が自主的な活動で、農協というものの活動を自分たちの手で相互保険的にやるのだということは、これはいかんのだということは言えないので、みずからおやりになることについては、これは当然じやないかということも言えますので、そういう線が出ればこの規定を設けることは非常に意義があるということを申上げたのです。なお仮に建物共済は全面的に共済組合がやるのだということにきまつても、他の面でまだ保険業法を混淆するような共済事業を農業協同組合がやるということは当然考えられますので、その面を補う意味においても私はこの規定改正は是非御考慮頂きたいと、かように考えております。
  159. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今足立さんからかなりはつきりした線のお答えを受けたのでありますが、これは小枝さんにしても、金子さんにしても、そういつたようなお考えであるのでありますか。これは将来に非常に大きな、この案に私が態度を決定する上におきまして非常に重要なところでございますので、一応お聞かせを願いたいと思います。
  160. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この問題につきましては、将来の分野は例えば只今足立議員の申上げた通り、早々に解決付くものではない、でありますからして、仮に建物共済のようなものが全部仮に農業災害補償法でやるということになりましても、まだ生命共済のようなものが残つておるので、それを放任して置くわけにはいかんということになると、この程度の規定はどうしても入れて監督しないと、農民に迷惑をかけては困ると、こういう考えでおるわけであります。
  161. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 次はこの中央会の問題についてちよつと質問したいと思うのですが、中央会は同一区域内に置いていいことになつております。農業協同組合法の精神は脱退も加入も自由であるというところに、この法律の精神があるわけであります。然るにかかわらず、この法律で以て同一区域内には中央会長は一つしか作つてはならないと頭から指定しているということは、民主政治の根本に触れるものであると私は思うのであります。この点について金子議員の御意見を伺いたいと思います。
  162. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今農業協同組合が加入脱退自由の原則であり、又設立も自由だと、こういうふうな御見解でありますが、このことにつきまして、この点はそれならばなぜ割切らんというような御指摘を受けることを覚悟の上で私は率直に申上げますが、この今度の中央会というものに対して率直な考え方から申しますと、私は協同組合に対して、協同組合法の外に、協同組合の中の改正でなしに、むしろ外の改正として、農林漁業程度を引つくるめた中央会的なこの性格のものを作ることが、一番今の農山漁村の協同組合の発展の上に役立つのではないかということを、私個人としては考えておつたわけであります。併しながら、それに行きますのには非常に問題が大きくなりますので、たまたま前国会、前々国会政府提案いたしました中央会方式を協同組合の中へ持つて参りまして、そこでその今の御指摘のような矛盾が出て来ておるわけであります。でありまするからして、中央会というものの性格が協同組合法の中にありまするけれども一つの事業目標が、先ほど申上げたような一、二、三というようなことに重点を置きます関係上、どうしてもこれは行政の一つの補助機関的な性格の仕事もするという立場から、ここに今の協同組合の加入脱退の自由、設立解散の自由の原則から曲げて、一つの統制ある機関としたことが出て来たわけであります。
  163. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 甚だ私は納得し兼ねる問題でございまするが、法の精神には、飽くまでも農業協同組合法というものの精神から見ても当然そうしなくてはならないと考えております。然るに又この脱退につきましては、現行法の第二十一条と二十二条を準用するとしてあります。気に入らないときには脱退できる、こういうような規定もあるわけであります。これがそもそも甚だ法の精神と矛盾撞着している点であると考えるのでありまして、先ほど私が申しましたように、殊更に中央会というものを作らなくとも私は随分農業団体の監査員の指導なり、或いはその他の方法は現在の連合会、いわゆる経済連合会、信用組合会等のおのおのの分野においてそれぞれ私は指導ができると考えるのであります。それにもかかわらず、強いて中央会というようなものを作ることは、むしろ私は農民の立場から見て、是非こういうものはやめて、若し先ほど申上げました保険事業を行う連合会ができるならば、連合会とも併せて一部事業が行えるような方策をとつてもいいんではないか、それをここにわざわざ中央会というようなものを作つて、そうしてやかましく農政問題についていろいろな意見を取上げて、行政上にもかなり私は無駄が、矛盾した点が出て来やせんかと心配するのであります。殊に負担はどういうふうにするか、単位農協経費は当然負担せねばならないと考えますが、政府において中央会には十分なる職員を置いて、対単位農業協同組合指導ができるほどの経費を賄う精神が、意思があるのでありますかどうか、一つ政務次官からお答え願います。
  164. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) その点は先ほど北委員の御質問がありましてお答え申上げましたように、この法案におきましては、政府が補助することができることになつておるわけであります。本年度は政府として出した法案でございませんので予算に組んでおりませんが、政府といたしましては単協の負担が増加するということのないように相当の補助をいたす、こういう用意と決意とを持つておるわけであります。
  165. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 そうすると、中央会に対しては相当経費を負担して、職員の増員等も単協の負担にしなくても十分賄えるわけですか。
  166. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは先ほど申上げたように、余り政府が丸抱え式にやるということになりますれば、全く政府の御用機関のようになるので、飽くまで農民自体の団体という精神を殺さない範囲におきまして、只今御心配の点につきましては、そういうことのないように十分注意し、指導いたして参りたいと、かように思つておるのであります。どうぞ御安心を頂きたいと思います。
  167. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 政府から相当の金が出るということはわかつておりますが、丸抱えにならないということがはつきりしておりますから、結局、究極はこれは中央会ができたのだから、とてもこれだけの人員でこれだけの仕事をするのだから到底足りないから、各組合は単協においては負担をしてくれ、結局において総会において承認を求めさせられれば、勢い中央会等に出て来るような人は、口の達者な、相当農村の人材としては稀な人たちが出て来るわけですから、結局乗せられて負担をするような結果になることは火を見るよりも明らかであります。これは私はいろいろ質問したいこともやまやまございますけれども、法文上からいろいろ質問したいこともありますが、ほかの委員のかたも質問がありますから、私は関連質問はあるかも知れませんが、この程度でとどめたいと思います。ただ問題は、この法律が通つた場合において、単協の負担は決して軽くはならないということだけを私は確信しておりますので、どうかできる限り早いうちにいろいろなこの法律政府において整理をされて、よりよいところの農業協同組合法なり、或いは農業委員会法なりを作つて頂きたいことを切に要望いたしまして、私は質問を終ります。
  168. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 只今の御心配の点は十分政府として了承いたしておりますが、幸いに本法案が成立いたしました暁におきましては、決して単協の負担が増加することのないように極力努力をいたし、御趣旨に副いたいと考えておるわけでございます。
  169. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は今佐藤さんの質問に関連して、まだ県段階の中央会、それから全国中央会事務局や、そういうものの予算だとかいうものの内容はできていないのでしような。
  170. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 実はこれは昨年度政府提出しましたときには、予算もはつきり組んでおりましたので、そういうまあ計画は事務的には完備しておつたわけでございますが、今回は議員提案でございますので、只今のところ政府としては予算上の用意というものはございませんのですが、併しながら、本法律案が成立いたしますならば、すでに昨年度十分まあ経験済と申しまするか、一応すべて事務的にこの負担はあるわけでございますから、それに則りまして善処することができると存じております。
  171. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今の佐藤委員の関連質問でございますけれども、この農協法の一部の改正法律案説明を見れば、これは私は総合指導組織の確立というこの問題でございまして、従来各府県の指導連あたりを見ておりますと、指導連活動の活溌なところは、大低指導連が赤字で以て困つておる。これは当然のことじやなかつたかと私ども従来考えておつたのです。これは農業生産の基礎的な技術面或いはそういつたものの担当というものは、元来これは国がやるべきものだと私はそういうふうに考えております。そういうものの総合的な指導組織の確立ということと、それから全国的な組織活動に必要な統一性と機動性、こういうことがまあ中心になつているのじやないかと思うのです。従つてどもは従来その国がやるべきことだ、これを今度中央会に組織的に統合してやらせるのだ、そういう意味合で以てここに国がこの経費の一部を補助金で以て出す、こういうことを謳つておられる以上、提案者としては当然単協あたりの負担が重くなるということを考えてはおいでにならないのじやないか。私は当然安くなるということを考えておられるのじやないかと私は思つておりますが、そういう御意図でこれが提案されておることは間違いないと私は思うのですが、その点と、それから政府側においてそれを約束できるということを一つ御答弁頂きたいと思うのです。できるか、できないかということ、政府側においては……。
  172. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今宮本委員の、提案者として今度のこの団体の中央会の経費負担が單位組合としてどうなるかという見通しでありますが、御指摘のように、総合指導であるとか、或いは経営指導というようなものがそこに直接現金を生み出して参りません関係上、仮にやりましても、それだけのなかなか現実に現金として出て参りません関係上、経営が今の指導連が非常に困難である、而も赤字が出ておるということから、これを中央会にやりまして、今の行政の一つの方式としてやるべき仕事を民間の団体でやるということになれば、当然国家がこれを助成というか、むしろ国家の責任においてやるべきことを民間でやつたほうが、いろいろのさつき申上げたような事情から結果がよりいいという考え方から、中央会のあり方をとつたのでありまするから、この方式によつて少くとも経理とか、総合指導の問題は、これは国費を相当量に補助することが決して卑屈でも何でもない、こういう考え方と、従つてそうなりました暁には、單位組合が中央会に負担する金は県段階の指導連に負担させるよりも、もつと安くなるという考え方がなければならないという考え方でおります。
  173. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 御指摘の通り、現在の指導連が非常に弱体と申しますが、これはやはり経費負担の困難性に基因するものであれば、そういう点を打開したい、こういうことがこの法案の御提出の御意図ではないかと政府としては考えておるわけでありまして、従いまして、政府といたしましては責任を以て明確にお答えを申上げまするが、只今の点については、単協の負担が増加するということのないように十分の助成措置をいたすということを確約申上げる次第であります。
  174. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はもう一つ、先ほど佐藤先生が御質問なつたと思うのですけれども、まあ私は簡単な言葉で言えば、全国的にこういつた一つの統制ある団体ということになつて、それが指導力を持つということになりますというと、日本のように北から南に長い国がいろいろ指導連その他で以て農業は、経営にしろ、技術にしろ、非常にバライエテイに富んでおる農民なら、そういうものを画一的にするというと、ややもすると技術的に片寄りはせんかという心配が私は多分に考えられるのです。その点は十分指導的な考慮を払つて、まあ内部的に操作ができるということをお考えでございますか。
  175. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今御指摘の問題は同感でありまして、従つてこの組織が考えられた当時は、曽つての経理監査、経営指導というだけの仕事をやりましたあの中央会、支会というような構想を持つたのであります。それよりももう少し幅の広い事業目標を中央会というものが持つたという関係になりますると、今度は各県ごとに自主的に働く余地がなくなつていけないというので、法的な名前といたしましても、組織としても、少し矛盾した感じがするのでありますけれども、この際各県も中央会にされ、その連合会が全中である。以前の経理、経営で行くならば、これは統一してよろしいのですから、全国中央会、支会、部会という形で行つたのでありますが、この場合は事業目標がそれよりも少し窓口が広くなりました関係上、画一的なあれを防ぐために各県の中央会の独自性というものをこの前の制度から見ると強くしたわけであります。
  176. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほどからいろいろ御質問のあつた中で、与党である自由党の方々の中から、これは中央で妥協して作つたんじやないか、こういうことを言われておるのです。同時におのおのそういう質問をなさるお方が各県の協同組合の最高の責任者でございますから、私どもの所へ参られるそういう各県の最高の責任者などの陳情を聞いてみましても、そういう点が大分出て来る。してみますと、これは下から燃え上つたものでないことはどうも確かだと思う。それが中央でまあ一応こういう法案がまとめられて出たとしますれば、中央で何かやつたんじやないか、こういうことが私は考えられるのです。次に、こうしてこの法案が出て参りますといろいろのデマが飛んでいる。或いは或る団体が一番面倒くさいような代議士を招待してみたり、又農業委員のほうでは町村農業委員から相当の金を集めて運動しているというような話も聞く。これは実際かどうか知りません、話だから……。そしておのおのの団体がおのおの異なつた陳情をしておるということを見ますと、これはどうも下から燃え上り、実際農業協同組合自身が必要と認めてでき上つたものじやないと考えられる、何かの欠陥を認めて、もうこうでもしてみたらどうかというようなことが中心でできたのじやないか、仮にそういうものが政府発案として出ましたら、そのしたものが二期に亘つて廃案になつた、それで廃案になつた以上はいろいろやつてみましたけれども意見がまとまらん、こういうふうにお話なんです。先ずお伺いしたいのは、いろいろやつてみたが意見がまとまらんというのは、いろいろという御意見はどういうことと、どういうことなんだと、それから先ずお伺いしたいのです。中央で妥協して作つたんじやないと言われるならば、中央と地方との関係を明確に一つして頂きたい。
  177. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この議案が過去三回に亘つて政府案として提案したものを、どういう理由で今度議員提出として出されたか……。
  178. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ意見があると言われましたので、そのいろいろの意見というものは何と何かというのです。
  179. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 意見というものは当時細かい点はいろいろありましたが、その主なる問題を取上げて見ますと、私はその当時のことを率直に申上げますと、当時は衆議院におきましては、参議院の事情は私は存じておりませんけれども衆議院といたしましては、自由党は与党でありますからして、当然政府案を支持して、それが通過をするように呼掛けられたわけであります。当時私野党の立場と申しますか、むしろ改進党の立場と申しますか、一番問題になつた点は、農業委員会のほうの点におきましては、農業改良普及員制度を枢軸としてやつておる。併しそれに対して協同組合もやつておれば、養蚕組合のようなもの、或いはその他の組合ごとに技術形態を持つておる。これをどれを基本線にして各町村の末端と結付ければ一番効率的かということは将来の大きな問題で、従つてここで農業技術負として町村の農業委員会の書記を数カ月ほどの講習をして、これを技術員としてやりましても、若しこれを次に変革しようとしたときに、全国相当量の今度は技術員組織というか、職場の保持ということが大きな問題として打出されて、簡単に整理統合のようなことができかねる。従つてこの際農業委員会が技術指導機関としての性格を持つことは、将来本当の農業団体編成をいたそうとするときに禍いをなすから、それはいかんということが一点であります。それからもう一つには、今農業団体皆様方の御指摘のように、私どももそう思つておりますが、どれが余分ということははつきり言えませんが、とにかく多過ぎる、その多い中に農業委員会という町村の委員会がある。今度県の段階になりますというと、農業委員会会議、国の場合におきますと農業委員会会議所と、こういうふうに農業委員会というものを系統機関としての農業組織に積上げることは、もう一つ農業系統機関を作ることになると、これは私どもは将来真の農業団体整備のときに禍いをなすのじやないか、これが一番大きな二つの点であります。それから協同組合の問題につきましては、当時といたしまして、率直に私は申上げますが、中央会の性格を協同組合の中へ持つて行くべきか、外へ持つて行くべきかということについて、中へ持つて行かれることに対しては相当の無理があるということを実は考えておつたわけであります。これは私は面子だとか、何とかいうことにとらわれないで、率直に私の気持を申上げますから、さようお聞取り願いたいのであります。主な問題はそれらの問題であります。そういうことから結論が出なかつたのであります。それで今度の小枝議員のほうから私のほうへ交渉がありましたが、昨年度、一昨年度問題になりましたそれらの点を一応解決して行くのにどうしたらいいかということにつきましては、農業委員会会議というものを、農業委員会会議でなく農業団体自体の一つの合同会議のようなことは各県においてもやつておるし、又全国段階においても今農業会議所というような姿を持つておるのだからして、それらの各種の農業団体というものを総合して意見の統一を図つて行くということは、これは無駄なことではないから、そういう点から承認いたしましよう。それから技術員の問題につきましては、日本の農業技術員の体系をどうするかということの結論を得るまでは、暫らく農業問題はまだ新らしい線を出すというようなことはやらないということ、それからもう一つは、協同組合の面につきましては、中央会の姿に対してその後一月からいろいろ研究いたしましたけれども、なかなかそれに対するはつきりした結論が出て来ないのと同時に、最近の組合の状態を見ますと、連合会におきましても、單位組合におきましても、経営の面におきましても、矢継早にいろいろな問題が起つておる。そういうことを考えましたときに、法的にいろいろな御批判を受けるかも知れないけれども、一応政府案を基礎にして考えるより仕方がないと、こういう結論に達したわけでございます。
  180. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、やつぱり中央で妥協をしてお作りになつたのは間違いないと、こういう結論が出ております。自己の信念を曲げてまでも、あなたにすれば……。中央農業会自身を外に置くか内に置くか、これは重要な問題だつたと思う。それを自分は外に置くべきものであつたと思つたが、今度はうち方に入れた、技術のほうは結論がどうきまつたかわからないが、政府案に従つたと、こう言うのです。それから今のお話を聞いていれば、どうもごたごたしておつたから、政府案を中心にして意見が分裂したから一つまとめて行つた、中央でまとめたのに違いないのでありまして、結局それに対しては地方の末端組織は全く預かり知らなかつたことであれば、こういう結論を出しても無理はない。我々が今こうやつて審議しておるとき、実際各団体の動きを見ておりますと、支離滅裂で全く縄張り争い以外に何もない、こういうことを私どもは痛感しておる。それはこれでいいとします。第二番目に一つお伺いしておきたいことは、先ほど森田さんの御質問で、今この二法案が出ましたことについて、世間では農業団体の再編成であるが、再編成にしては余り遅過ぎるではないか、一口に言えばこういう御質問であつたかと思うのであります。ところが金子さんからの御答弁をお聞きしておりますと、いや、そうではない、我々は再編成なんということは世間が言うておるのだ、だから世間の言うておることであつて、我々は今当面の穴だけ埋める法案を出したので、再編成はこれからなんだ、たが併し近い機会において審議会を設けて何らかの形で一つすつきりしたものを出すと言つておる。然るに現在の協同組合のあり方、農業団体のあり方については悪いことはたくさんある、これは皆御承認なんです。そうして見ますと、全然関係がないと、こう言われるが、中央指導機関を作ろうと思われるからには、少くとも今将来においてそれは直すと言われるが、現在持つておる現在の状態における悪いところと、この中央会とが如何なる関係を持つかということと、一番中心にしてお伺いしたいことは、その農業団体の持つ悪いこととはどことどことを考えておられるのか、これは重大なことなんです。考えの持ちようによりましたら重大な問題でありますから、この点だけは最も具体的に最も明確に一つ指導願いたい。御答弁なんということは申上げません。私はあなた方のような長い間農村問題に御苦労なさいました大先輩に対して御答弁なんということは言わない。御指導願いたい。
  181. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 大変どうも恐縮なお話でありますが、実は私が申上げたのは、今の農業団体にこういう欠点があるというふうに、これとこれがいけないということを申上げたのではなく、何とか改善しなければならないのじやないか。勿論それはいろいろ協同組合の場合におきましても、農業委員会の場合に、或いは共済組合の場合に、そういうふうないろいろの農業団体その他細かく取上げますと、私ども去年調べましたところ二百以上農業関係に対するいろいろの団体がある、そういうものの系列をどういうふうに持つて行くべきであるとか、それから今の農業技術問題を取上げましても、改良普及員制度があるけれども、その改良普及員制度を駐地区制をとつた所もあれば、或いは町村の区域ごとに担当している所もある。あれだけの予算を使つてつても、農民の立場からすると一向に期待に副わないというような非難もたくさんあります。それから協同組合に置くほうがいいと言う人もあれば、或いは各団体ごとに専門専門で置くほうがいいと言う人もあり、そういうふうな重要な問題がそこに横たわつておる。それから協同組合の場合でも設立の自由という原則を打ち立てて見たが、さあそういうふうになつたら各種の連合会が事業別に濫立いたしまして、そうして繩張りを争つておるというような状態を見るときに、これを各事業別の連合会或いは事業別の協同組合というものを何か法律的に整理したほうがいいか悪いかという、こういう問題がある、これはいけないとはつきり申上げたのではなくして、こういうふうな重要な課題が余りにもたくさん横たわつておると、こういうことを申上げたのでありまして、これが悪いのだと、こういう意味ではないのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもちよつとおかしな話になつて参りました。私の問いましたのは、今の農業団体のあり方について整理の問題もありましようし、指導の問題もありましようし、性格の問題もありましようし、いろいろなものを中心にして十分作り直さなければならん。こういう空気が充満しておる。その充満したことを一つ言葉で言い現わすと、農業協同組合を作つて見たが、昔のものと変りないじやないか、これは看板の塗り替えであつて、決して新らしく生れ出た農業協同組合じやないじやないか、看板の塗り替えに終つたじやないか、本質的に何か改良しなければならんというのが農民の声だと思う。そういうことを中心にして考えて、そういう中央指導機関というものをお作りになつておるのかどうか、ただ、今言つた団体を整理したらどうだとか、或いは技術員をどこに持つてつたらどうとか、設立の自由がいいとか、悪いというようなことは、これは枝葉末節の私は問題じやないかと思う。少くとも民主主義に副つた日本の農村を建てて行くためには、日本の農業自体を如何なる体系で如何にして指導して持つて行くか、これが重要な問題じやないかと、こう思われます。そういう重要な点を抜きにして、実際問題としまして指導機関を国が丸抱えで作る。これでは目的のないものを作ることになるのじやないかと思う。農林政府次官は丸抱えで出すのだと言われるが、何かこれ以外にはつきりしたものがありますか、どうですか、お伺いしたい。
  183. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 丸抱えで出すということは少しも申上げておりません。丸抱えにならんようにということを申上げておるのです。誤解のないようにお願いいたします。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 丸抱えでなく自主的に持つて行くというが、そういうことをしばしば農民に持つて行くというと、これだけ反対者がある。反対というより、むしろわからんで困つておる人が多い。又ここに運動に来る人は一部の人です。大体がその県、地方の幹部なんです。全体の農民がこの上それこそ負担がかけられるということになりましたら、佐藤君が言う通りになる。迷惑千万だというのです。迷惑千万のものを頭から押し付けて行くのはどういうわけですか。ということと、少くとも中央指導に対する理念には昔の中央農業会下の指導理念というようなことを言われておる。これは昔はよくあつたと思うのです。昔々というが……、農業会の前を遡つて見まするならば二本あつたと思うのです。帝国農会を中心とした指導の線が一本入つてつた、それから民主的な組織によるところの産業組合法によりました信用販売、購買利用組合を中心にして若干事業の成績を上げるために、みずから作つた中央会というものがあつた。そういうようなものがいずれも昔の組織と言われるが、大体そのどちらをお取上げになつてお考えになつたのか、今ここで出されようとするのは、そういう線におけるどこを中心にして言われるのか、その点をはつきり一つお聞かせ願いたい。
  185. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の私の答弁で曽つての組織の中ということを申上げましたのは、産業組合がありました当時に、産業組合の経営、経理、監査をやりましたあの中央会のことを指して申上げたのでございます。
  186. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただそれだけの気持で設けられているならばまだいいと思います。それに帝国農会の精神も負わせようとする、丸抱えにしないのだ、下から盛り上つた組織でそれを作るならば、一度お作りになつて下から本当にそれをやらなければいかんということを教育して作つて、それに補助金を出してくれるのが当り前の話なんで、聞きますれば、この法案が流れれば我々は作るのだ、その準備がちやんと付いていると言われるならば、私はそれを待つている。本当に何がいいのだということがはつきりして、みずから作つてつたものに国が惜しみなく金を出してもらいたいということはやまやまです。それがどこにどういう欠陥があり、どこにどういう何があるか、世間一般において農業協同組合の看板がかかつているが、戦時時代の農業会と何ら変りがないじやないかと言つている。看板の塗替えはしましたが、中は一つじやないかと言つている。そこで何を指導しようとしているのか、何をなさろうとするのか、政府から八千万の金をもらつて帝国農会を又持つて行こうとするのか、日本の農業会、日本農民の性格を守ろうとする、生産の向上をさせようとする組織をあなた方自身の考えで持つて行く意思がないのかどうか、それを中心でやつているのじやないのか、これはやつて見たところが金がないから政府が出してくれというならば、政府が出さんと言つたら、それこそ毎日デモをかけてでも出すように私は応援をしたいと思います。これは何のために一体どこへ出すのかわけがわからん、その点をはつきり聞かしてもらいたい。
  187. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 中央会のあり方につきましては、農会的な性格は全然持つておりません。それは事業目標にありますように、主として最前申上げました通り協同組合、産業組合当時における経理、監査の機関として中央会、支会という制度があつた。ああいうような形に、現段階の全国の末端の町村組合乃至は各連合会が、経理上の問題からいろいろの協同組合の蹉跌を来たしておる多くの事例を見たときに、そういうふうな今の指導連を中央会に変えまして、そうしてそういうふうな事業は当然直接利益が上つて参りませんから、経営が困難になる。それからして一面から見るならば、それらの仕事は行政機関としても、或いは政府としても農村の健全化を図るため協同組合の育成のためすべき仕事であるからして、それを卑屈な意味でなしに、政府から助成を出さして、そうして組合の経営の問題を中心にやつて行く、これが中央会の意向とするところでありまして、農会的な性格をこの中で打出そうという考え方は持つておりません。
  188. 清澤俊英

    清澤俊英君 口ではどうにでも話されます。現在農業協同組合内にできました指導連というものがいいところのない存在であつて、これが会費が不納になつて消滅している県が二十三あると聞いている。それ自身が農民にはいいところのないものとして否認せられたという事実は、本当に農民に役に立つようなことを指導しなかつたから金が出なくなつたのではないか。金が出なくなつたからやめるのじやなく、農民のためになる指導をやらないで、選挙運動に事借りて飲み歩くというようなことばかりやつてつたから、あんなものは要らないとして金が出なくなつたのではないか、逆じやないか。それを直さんで、金が出なくなつたから中央から金をもらつて来る、中央で何を誰がするのです。自分の中からその欠陥を直して行つて金がないというなら話はわかるけれども、それを直さんで金がないから中央からもらつてするのだ、それじや中央の誰からしてもらうのだ。少くとも農林省あたりで相当の経験を積まれて退職せられたような方々に入つてもらつて、それから指導してもらうということなら、農会的な性格におのずから行くのじやないか。而も中央の経費は殆んど国家が出してもらうということになれば、丸抱えはしないと言つているが、大体元の原案ではそうであつた。さつきから予算の問題は何遍も出て来ている。農会的な性格にならんで何になるのだ。私は根本の考え方が重大問題だと思う。本当に指導連がいいようなものになれば……、いい仕事をしておつたら決して農民は金を出さんとは言いません、初めは出したのです。出さないように皆がしてしまつた。それに金がないから何もできません、これは本末顛倒の考え方であろうと思う。その点を一つ……。
  189. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今前段のお話の、現行の各県の指導連なり或いは全国指導連が非常に農政活動であるとか、その他間口が広い活動をしておつて、直接單位組合なり、或いは加入されておるところの連合会等の指導の仕事が万全を期されるところが非常に不十分であつた。そういうことから会費不納になり、而も経営が行詰つた。そういうような御意見に対して、それが全部ではございませんけれども、全国的にそういう傾向があつたことは今日私どももよく納得ができるのであります。そういうことでありますので、この際性格を変えて、そうして最前申上げたような、今の指導連よりもむしろ事業間口というものを少し狭くして、そうして重点をこの中央会の法律にあります一、二、三の項目に重点を置いて、そうして先ず以ていろいろな仕事は必要であろうけれども、経済団体として最も大切なことは、経営と経理との明朗化、明確化、この線を一つ強力に持つて行くならば、この相互指導機関としての、今指導連を中央会の性格に変えて行くことのほうがより近道じやないか、今の指導連をそこへ持つて行こうとしても、なかなかできないのじやなかろうか、こういうことを考えまして、もう一つ理由といたしましては、そこに加入、脱退というものの自由がない、それが矛盾だという御指摘が先ほどありましたが、それにつきましては、そのために一つの制度的なものに近くなつて参らないと、国家に対して当然金を要求するというのには、やはり小さなものだけが作つたのだということでないほうが理窟が通るという点も考えておる。
  190. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題に関連して、政府がこの法案を出されたときの腹がまえは何であつたか、見かねて出されたのかどうか、はつきりして下さいよ。
  191. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは指導連が農民のために役に立たない存在であるから衰退をしつつある、こういうお話のようでございますが、政府といたしましては、お話通り現在も指導連が非常に弱体化しておることは事実でございます。これは私どもが見るところでは日本の農民の宿命と申しまするか、直接利益のある団体に対してはその負担金を持つことについて協力いたしまするけれども、間接の場合においては、どうしても負担金がなかなか集めにくい、こういう傾向があると思うのでございます。これは日本の農業自体の要するに本質的な弱体性に基因をしておるのでありまして、従つてそこに私はやはり日本の農業というものは国が保護助長政策をとるということが絶対に必要であるというふうに思うのであります。購連でありますとか、或いは販連というような、経済団体の行う農業協同組合すらも再建整備を必要とするというふうに弱体化しておるのでありまするから、いわんや指導連というような間接的な農民の利益を守る仕事をする団体につきましては一層弱体化するということは、これは止むを得ないところでありまして、従つて先ほども金子提案者からお話になりますように、卑屈にならない意味において、政府がこうした間接に農民の利益を守る団体に対して或る程度の助成措置を行なつて、そうしてこれの活発化を図つて行くということは、それこそ真に農民の最も利益を守るための適切な措置である、こういうふうに政府としても考えておる次第であります。
  192. 江田三郎

    江田三郎君 今の清澤委員の言われていることは根幹に触れた重要なことなんです。清澤委員は御承知のように十日ほど前に血を吐かれて暫らく休んでおつた、それがこの問題があるからというので無理をして出て来てあんな大きな声をせられるのも、清潔さんの過去四十数年、何遍も監獄の中に入つて農民のために尽して来た、この清潔さんとして黙つておれんから言うておるのだろうと思います。これは私ども軽々しく聞いていないのです。併し清澤さん余り元気を出され過ぎると、ちよつとこつちも又倒れられては困りますから、時間も夕食時間が来ましたから、適当に委員長のほうで休憩願いたいと思います。
  193. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 如何でしようか、休憩しましようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  194. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは暫時休憩をいたしまして、七時から再開いたします。    午後五時二十五分休憩    ―――――・―――――    午後七時三十一分開会
  195. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 休憩前に引続いて会議を開きます。  清潔委員から玉糸の件について蚕糸政策の一つとして質疑があるそうでございますから、便宜上これを先に取上げたいと思います。
  196. 清澤俊英

    清澤俊英君 先般の委員会で、玉糸が輸出の対象として生産の約九〇%以上を輸出に振向けられた、日本の国の産業のうちで全生産の九〇%を輸出に向けるというような産業は数ないことだと考えるのであります。而もその生産品は作るべくして作られない。まあ大体元来ならば屑繭として取扱われるべきものが、非常な業者の努力と研鑚によつてこれが非常な高額な輸出対象糸として今取上げられておる状態であることは、私が申上げるまでもないのでありまして、この際この輸出王系もやはり輸出生糸と同様に一つ価格安定の枠の中へ入れて、そうして急激な暴落等に対しまする、或いは暴騰に対しまする一つの緩和帯を作つてもらいたいと、こういうのでいろいろ先般の委員会でそれぞれの討論をいたしました結果、局長政務次官も、必ずこれは政令で変えることができるのであるから、輸出対象として一つ政令の枠の中へ入れると、こういう御言明があつたが未だそれが行われておらない。聞きまするならば、最近糸価安定の協議会が定まりまして、生糸の価格は最高最低ともきまつておる。この中へ入つておりませんことを見ますと、玉糸の価格が出ておりませんことを見ますと、まだ入つておらんのだと思う。従いまして、政府は我々に対しまするところの公約の言明を、これを果されるおつもりなのか、どうしてもそれができない事情に置かれておるのか、一つお聞きしたいと思います。
  197. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 只今のお説の通り、玉糸は最近輸出が、殊に戦後非常にアメリカで買われるようになりまして、二十六年におきましては一万六千俵、二十七年度におきましては七千九百俵、今年に入りましてからはちよつと減つてはおりますけれども、我我といたしましては、これが輸出の有望な物資であるということで、この間の生糸に対するリンク制のときにも、玉糸と生糸と同様にリンク制の上に乗せたわけであります。従いましてこの価格の安定を図りますためには、輸出に向きます二二五中の玉糸につきましては、繭糸価格安定法の適用をする必要ありといたしまして、その方面の努力をいたしておるのでありまするけれども、ただ御承知の通り只今糸価安定特別会計におきまする資金は三十億でございますので、先ず第一にこの資金を殖やさなければならないというような点がございますので、財政当局と交渉いたしておるのでございますけれども、これが只今の緊縮財政の関係でまだうまく折衝が付いておりませんので、この間の繭糸価格安定審議会におきましても、まだ玉糸を買入の対象にするというような諮問をする段階にまで立至つておらないのでありますが、御承知の通り、これは輸出産業でございますので、今後もなお折衝の努力をいたしまして、御趣旨に副うようにいたしたいと思つておりますが、まだ財政当局との交渉の余地が残つておりますので、もう暫らくお待ちを願いたいと、こう考えております。
  198. 清澤俊英

    清澤俊英君 もう金がないと言えばそれつ切りの話です。外貨の獲得という上から行きますれば、大蔵当局は一番先に双手を挙げてこれに賛成しなければならん問題だと思う。元来捨て糸として真綿か何か作つておりましたが、玉糸が輸出の対象となつて、而もその九割五分が輸出の対象になつて外貨に全部買われるのだから、これは大変な問題だと思う。そういうものを維持しないで外貨が足らんというようなことで、だんだん輸入を減らして国内の物価を上げて行くような妙なことをやつてつてはこれは問題にならん。結局は私は農林当局の押されるのは意思が弱いからじやないかと、こう思います。いろいろ議論にもなりますから、従つてここには関根君であるとか、或いは鈴木君のような、相当その道の経験者もおられますから、ちよつと委員長速記を止めて少し懇談して、そうして私どもの申入もしてみたいと思いますから、ちよつと速記を止めて頂きたい。
  199. 鈴木強平

    鈴木強平君 只今蚕糸局長から御答弁がございましたけれども、五月の初旬におきましては、日本蚕糸協会の関係者の会合がございました。蚕糸協会の会長の吉田晴二氏よりは、玉糸を宏定法に基き買上の対象にすべしと、かような発言が勿論ございましたし、国会にも本人の名前で請願が出ております。と同時に、日本生糸協会副会長高田利也氏からは、王系は輸出の対象として最低価格を保証せられるべきが当然であるというような発言がされております。又、勿論全国の養蚕連の会長の北原金平氏からもさような発言が出ております。従いまして、業界からはどこからも反対が出ておりません。それが本年の見通しにおきましては、生糸は最低価格十九万円を割るようなことはないというように業界は一般的に観測をしております。繭糸価格安定法が二十六年に制定されましたが、二十七年も二十八年も、勿論二十六年もそうでございましたが、最低価格を割らなかつた。さような観点から言つて、これをこの際玉糸を買入の対象としても、これは決して無理はないし、将来そういう意味におきまして特別会計の破綻を来たすようなことは全然ないと思う。今回経済審議庁の発表しました二十九年度上期の輸出計画を見ましても、御存じの通り、生糸におきましては前年より二千俵殖やしまして三万五千俵を予定しております。綿織物が五億四千万ヤード二割二分を去年よりも余分に見ております。絹織物も本年は一千万ヤードといたしまして、去年よりも百万ヤード殖えておるのです。その中で生糸の二千俵余分の輸出というものは、これは玉糸にあることは明らかに経済審議庁が発表しております。さような関係からも、この際繭糸価安定法の建前から言つても、生糸の輸出増進と蚕糸業界の安定のために価格の異常の変動を防止することは当然だろうと思うのです。この機会において農林省においても十分誠意を以て一日も早くかような措置が講ぜられるように希望します。
  200. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) それでは速記ちよつと止めて下さい。    〔速記中止
  201. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 速記を始めて下さい。
  202. 清澤俊英

    清澤俊英君 いろいろ蚕糸局長も農林次官も我々に言明せられた責任があるので、その達成のためには努力をしておられることだと思いますが、なお当委員会の名を以て正式な成文として申入をしたいと思いますから、是非近い機会において、大蔵当局もこの輸出の重大なることはよく御承知のことでありまするから、必ず放置せられることはないと思います。一つ御努力をお願いしたいと思います。  それでは申入の案文を読みます。   玉糸の価格安定に関する申入我が国の貿易の現状は楽観を許さぬものがあり、この難局を打開し、輸出を伸暢するため万全の施策を断行すべきである。戦前輸出の第一位を占めていた生糸に対し、これが輸出を促進するため、昭和二十六年十二月、繭糸価格安定法を制定し、国の資金三十億円を以て生糸価格の安定を図つたことは適宜の処置であつたが、同法には玉糸に関する規定が明記されていないのは遺憾である。現在玉糸はその生産量の九割が輸出に充てられ、生糸輸出数量の三割を占めている現状であつて、これが価格の安定を図り、輸出の増進に努めることは現下の急務である。よつて、速急、玉糸に対しても繭糸価格安定法を適用して、これが最高最低価格を制定し、政府の買上対象とする措置を実施せられたい、  右当委員会の総意を以て申入する。   昭和二十九年六月一日         参議院農林委員会    農林大臣保利  茂殿    大蔵大臣小笠原三九郎殿
  203. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 只今清潔委員から御提案がありました政府に対する玉糸の価格安定に関する申入の動議を議題といたします。御賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  204. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 満場一致を以て可決されました。
  205. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) 只今のお申入の趣旨を尊重いたしまして、大蔵当局とできるだけ早く話を付けますように最善の努力をいたします。
  206. 清澤俊英

    清澤俊英君 先般も委員会の総意であり、これは公約ですと言つてつておりますが、大蔵省が聞かない、こういうようなことで非常に御迷惑のようでありましたが、困つておられるようでありますが、若し御交渉の結果長くかかるようでありましたならば、大蔵省意向等を一つお伝えして頂きたいと思う。我々も大蔵省関係当局から来て頂いて、一つ大蔵当局へ反省を促したいと思いますので、そのつもりで一つつて頂きたい。
  207. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと関連して……。この生糸と例のリンク輸出ですね、あれはその後一体どういうことになつたのか、この前は多少失敗に近いようなことがありましたが、あれは局長が病気のときにきまつたので私は知らなかたということでしたが、今度のやつは病気回復後のやつですから、一体どうなつておるのですか。それから例の絹織物のやつですね、それについて一つ……。
  208. 寺内祥一

    政府委員(寺内祥一君) リンク制の問題につきましては、二月の十一日に実施いたしまして以来、フロア・プライスを割つてまで安売りする傾向がありましたので、一時停止いたしまして、リンク率を半減いたしますると同時に、輸出組合におきまして積立をいたしまして、フロア・プライス四ドル五十セント、邦価にいたしますと二十一万円を厳守するという約束の下に実施いたしまして、四月から六月までの間に引続き六千俵、合計一万八千俵までは出すということにいたしまして、その後いたしましたところ、五月の二十一日で予定の数量に達しましたので只今それを打切りました。但しこれは契約が成立しただけでありますから、現物の輸出船積は六月までかかると思いますけれども、もうすでに予定の数量に達しましたので、リンク制はもう打切りといたしております。今後はこれを継続いたさない方針でございます。それから次に、可燃性織物のことにつきましては、アメリカにおきましてスカーフを衣料でないと認めるということと、それから可燃性であるという検査の方法を少し緩和いたしますような修正法律案提出されまして、これは上院はすでに通過いたしまして只今下院で審議中でございますが、その後の情報を聞いてみますると、下院におきましてはまだ多少これに対して反対の意見を持つておる者があるそうでありますけれども、アメリカ政府におきましても、これをできるだけ通過させるような努力をいたしておるというふうでありますから、まだはつきりはわかりませんけれども、多分下院も通過するであろうという情報が業界に入つておりますので、大体この問題は解決し得ると思つております。
  209. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  210. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 速記を始めて下さい。  先ほどの申入は委員長に御一任願います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  211. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後七時四十八分休憩    ―――――・―――――    午後八時二十八分開会
  212. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を再開をいたします。  休憩前に引続きまして質疑を続行いたします。
  213. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほどお願いしておきました続きでございますが、世間一般で言う改革意見というのは、農業会の看板の塗替えでは駄目だと言われている。その意味合を大体あなた方はどういうふうにおとりになつているのですか。今の協同組合が農業会の看板の塗替えで、内容や運営は農業会と同じようなことをやつていては駄目じやないか、こう言うのです。協同組合と言つてつているが、農業会の仕事と同じことをやつておる、同じことではどうもならんのじやないか。これが改革意見の農業会再建という、農業団体再建のやはり基本的な大衆の声じやないか、この点をどうお考えになつておるか。
  214. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 今の協同組合が農業会の単なる焼直しではいけない、こういう声もお話通り聞いておりますが、ただその考え方といたしましては、この協同組合法というものと、御承知のように農業会というものは法律上の性格には非常な変化があつたわけでありますけれども、実際上はあの組織を或る程度まで政府の強制のような形で引継がしたというような惰性がまだ相当あるんじやないか、こういうふうに私ども考えておりますし、そういう場合に殊更に困るのは、この経営の問題が一応余計に大きな問題になるのではないか、そして今の協同組合の農業会から引継がれた以降の状態を見まするというと、成るほど農業会当時の赤字をそのまま協同組合が引受けたというような点もございますし、又その後における国家の統制機関のような形でやつて参りましたものが、自由経済になりましたその過渡期における経済的な事情の変化というものも、現在の協同組合の経営上にいろいろの結果を及ぼす原因になつたかも知れないけれども、併し又一面から言うならば、その後の協同組合が経営不振に陥つたり、或いは各県ごとにその單位組合の預貯金の不払いまで入つてしまうような状態に相当数ある。そういう問題も出ておるのでありますが、それに対しては結局経営の指導というか、経営能力が十分でない人たちに、あれだけ複雑な仕事を課しておることに問題がありますので、その点をやはり今の指導連のような形で広い指導項目を掲げていたのではいけないから、そこで中央会といういろいろな御議論もありましようが、そうした制度化したような、最前のお話にも申上げました通り、曽つての監査連合会と曽つての中央会ですね、それと同じような主として経営監査指導ということに力を入れ得るような中央会を作ろうというところにこの協同組合中央会の考え方を持つたわけでございます。
  215. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か討論みたいになつてかなわないが、私の聞いているのはですね、大衆は今できている農業協同組合なんと言つているけれども、自主的な自治体的な農業協同組合でなくして、これはいつまで行つてもどうも昔の農業会と同じじやないか、これはただ名前を変えただけで大したことは違わないのじやないか、こういう声が一般なんです。ということは、具体的に申上げますなれば、今晩農林大臣が来ておられるならばよくお伺いしようと思つてつたが、先般ここで酪農振興法案審議の過程において、農協をして集約酪農地区を作り、その事業を、加工事業等ですな、の整理をさして、生産面に努力させたらいいじやないかと、こういう声があつたのです。ところが今の農協では絶対駄目なんだ。それは無理だと、こう言われる。そう言われて見ますと、私らもこれは無理でない。第一お前の言うのは間違いだといいかねる面が非常にある。そこで現在の農民は何を考えているか、こう申しますと、自分の作つたものを自分で処理して自分で何とかして中間マージンを排除して、何とかしてこれを幾らか価格の高いものに売つて行きたい、こういう組織に農業協同組合等が自分の生産を持つてつてくれたらいいじやないか、それが駄目なんだ。根本的において駄目なんだ。駄目の根底はどこにあるということがまあ問題になる。その根底はあなたの害われるところによれば、協同組合がいろいろな経理上でまずいと、こういうようなことを言われておるけれども、農民はそう考えておらない。今の協同組合の人たちは、幹部は昔通りの農業会のような考え方で、我々の生産品というものにそう多くの自分らが思つているような熱意を持つてつておらないのだと、これなんです。そが根底にならなければならんと思う。それがそういう理念が中心になつて改革案が出来上るとするならば、基本的に言つて、どうもあれが悪い、これが悪いというものがおのずから解決されて行くんじやないかと思うのです。あなたのおつしやるように、団体が数が多いとか、或いは技術員をどうするとか、或いは農業技術の問題、もう一つは何でしたか、三つばかりのことを言われておるが、それがどうだとかいうことは大して農民には問題になつていないのであつて、これをですね、まあ私はつたない自分の考えから申してみまするならば、戦前の農業会というものは、御承知の通り農会と信用販売購買利用組合、その他の農業団体政府の戦時体制の要請によつて無理に集められて、そして国家機関として農生産を推進した。これが実態だと思うのです。それでもその戦時中に入つて来た戦時体制としての農業会、前はまだ帝国農会として技術指導をして政府の線が一本強く入つて来て、そうして強力に農業技術の改良等は行われておつたと思う。それから一方信用販売購買利用組合ですね、これは御承知の通り初めできましたときは農協が中心でなかつた、産業組合法でできておるのでありますから……。産業組合のできたのは、明治初年において品川弥二郎が作つた時から、農村における中小企業の発達を中心にしてでき上つたことは申すまでもないのであります。従つてこれは生産者を中心にして信用販売購買利用組合が多く働いておらない。これを端的に申しますれば地主的の組合であつた。従つて生産とこの加工等の問題がマツチしておらない、だから農民とは常に離反しておつた。農民はこれらのものができて、そうしてそこに繭を集められ、或いは特産品を集められることによつて一つの脅威を感じておつた、そういう因果関係もあるのであります。多くの場合は、この利用することに……多くの工場が如何にして信用組合の工場を利用するか、こういう点に中心が置かれておつた地主的の経営なんです。搾取的の経営なんです。それが伝統としてずつと残つて来た、そうしてそういう農民意識のないものが、そういうものが全部やめになつて、そうして農業会という変質的な一つの戦時体制ができ上つた。それでずつと十年ばかりやつて来ました。それがあと引続いてずつと来ておる。これでは農民は納得しないと思う。農民の納得する本当の協同組合を作るなら、これだけの集約農業ができるといつたような場合、その農民の作りましたる乳が市場独占をして、明治だとか、森永、これらを制圧して、そうして全国的にばらばらに作りますものが、全国的な統一した製品になつて、これらに対抗できるような強力な組織を持つて来るということを明示して、その指導を若し今日の指導連がやつておりまするならば、誰も今日の指導連などは、政治運動だけしておつて、あんな酒ばかり飲んでおるものは必要がないんだといつた工合で消滅をして行く理由はないのであります。そういうことを無視して、ただ中央指導機関を作つて指導するのだ。而もそれは大部分の指導費を政府から金をもらうことだけを考えている。今日の協同組合が二十二年にできましたときは、組合参加を自由とし、自主的に協同組合を作らして、これを育成して、自分の作つたものを少くとも加工等をやつてそこまで進んで行く、農民の自主的な組織を作らせる。これが私は根本であつたと思う。従つて今まで入つたような地主的の要素であるとか、或いは商人的の要素とか、これらのものを全然一切剥奪して、真の農民だけでやつて行く、こういう私は法案でなかつたかと思います。その根本の精神が今ここへ出ておりまする中央農業会に見まするならば、大分崩されている。そこで私はあなた方がいろいろ非難がある。ここは悪いのだという、悪いことはわかつているのだと言われるが、その悪いところというのは何だと、こうやつて聞きますれば、先ほどのような御答弁になつて参りまするので、誠に心もとないのですが、私の説に対してどうお考えになつていますか。
  216. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 今度の協同組合法改正で、協同組合一般の原則の上には根本的な変化はないのでありまして、ただ協同組合法の中に中央会という制度を入れた。その中央会制度に限つて、今の加入の脱退の全部でなくて、一部の県段階の中央会に入つた場合には、全国中央会にも当然加入するという、このことはあとで申上げたいと思いますが、そういうことが入つておるのでありまして、今お話のありましたような、農業会から現行の協同組合法に移りました当時の、いわゆる現行の協同組合法というものそのものには、殆んどここに最初に提案理由に申上げました数点のほかは、全部今まで通りの形になつておりますので、その点を別に触れていないのでございますが、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  217. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと議事の進行……。これは総体の質問を今やつているのです。これは成るほど議員提出ですけれども政府としてもこれは重大な関係がある。そういうときにただ政府委員として経済局長一人というようなことは、どうも政府は一体何を考えているか。さつき呼びに行つたようですが、向う腹が立つて参りましたが、これはどうされるのですか。
  218. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 農林大臣は今出席を要求しておりますが、ちよつと今連絡が付かないようです。政務次官はどうですか、すぐ見えますか……。
  219. 江田三郎

    江田三郎君 それだけ政府がこの点に対して冷淡なんです。(「これではなかなか進まんです」と呼ぶ者あり)
  220. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  221. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
  222. 松浦定義

    松浦定義君 大変何だか話が元へ戻るようで恐縮ですが、この問題は先ほどからいろいろ御質問があつたように、少くとも日本の農業政策の方向を基礎付けるものだ、私どもはこういうふうに考えておるのです。と申上げまするのは、終戦後におきまするいろいろの占領政策の行き過ぎを是正するというのが今国会の主たる目的であるということから、いろいろMSAを中心とした重要法案が出ておる。従つて農業政策にも当然こういうものが私は出て来るものだと考えておつたんですが、農業政策をもう少し早くから根本的に変えようというので、十六国会からすでに政府提案しようとしてお考えになつてつたのが、それを引込めて議員提出なつた、このことは恐らくこの法案が成立いたしますれば、政府は当然責任があるべきだと思うのですが、今日まで政府提案議員提案というものの考え方は、御説明から行きますと全然変りはないと思いまするが、ときたま事例があつたということから考えて参りますと、予算を伴うものについては云々ということが、今日まで総理大臣初めその他関係大臣からたびたび御説明があつたことを聞きましたときに、少くともこの問題につきますると予算の点については、先ほどから政務次官はすでに予算は計上しておつたものが、政府提案にならなかつたので、これが成立した暁においては何らかの形でこの予算は計上する、これはまあいろいろの意味から追求して行きますと非常にお答えにくいと思いまするので、私はとにかくどんな形でも出すのが、この農業政策遂行上必要な処置だと思つてこの点は申上げませんが、少くとも前回政府提案として出されましたような額では、少くとも日本農業の今後の方針を基礎付けるということについては、私は余りにも不足な額だと思うのであります。従つて現在の日本のこの経済的な力から行きますならば、決して私は予算だけがこの問題を左右するのではなく、予算と同じような形でこうした問題を遂行して行くだけの一つ熱意と努力がなければいかん、従つて政府が例えば熱意や努力がありましても、これらに関係するところの関係団体、恐らく相当広範囲な関係団体になると思いまするが、その団体の責任者或いは又それらに関係いたしまする多くの指導者、或いは又職責の方々に至るまで、或いは相当犠牲はありますけれども、その犠牲を飽くまで克服いたしまして、日本の農業政策に協力して頂かなければいけない、こういうことから私は非常に重大だと思いまするので、むしろ私はこの問題は、提案者の御意見は先ほどからもお話がありましたように、最も我々の信頼するその道の権威者が各党から出られました提案でありますので、提案者意見を聞くということは、むしろ私どもみずからが、どちらかと言えば非常に赤面しなければならないという立場もありますと同時に、そういう点については又いずれ後刻承わりますが、先ず私は政府は今申上げましたような立場に立つて議員提出に変つたということについてはお話がありましたのでよろしいが、政府提案であると考える立場において、私が今申上げました点について一つ確たる方針をお尋ねしたいと思います。
  223. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) この只今御審議を頂いております両法案につきましては、当然政府の責任において法案を本国会にも提出をいたすべきであると思うのでございます。併しながら、すでにたびたびの国会におきまして審議未了なつたということは、これは非常な政府としては大きな打撃を受けたわけでございまして、若し政府がこのたび提出をいたしますといたしましても、続く国会審議未了なつたということでありますれば、顔を洗つて出直せということを国会からはつきり宣告されたということになるわけでございますので、実は農業委員会につきましては、たびたびすでに二回に亘りまして選挙を延期するという法案を出しまして、延ばして参つておるわけでございます。併しこれはもう再び目前に現行法によりまするところの農業委員会の選挙を行わなければならん、こういうことにも相成りまする上から申しましても、どうしてもこの国会政府として何らか一応の目度を付けるという必要があると思つて、実は鋭意努力をいたしておつたわけでございますが、何分にもかような状況では、とにかく根本的に考えを改めなければならないんだということで、実はなかなか政府として提出をいたすという実は踏切りが付かなかつたような次第でございます。併し実際にはこの法案はいろいろあらゆる角度から議論をいたしまするならば、如何なる議論も発展するわけでございまするが、今日の最大公約数というものをとらえまするならば、先ず政府の先般出しましたようなところに落着くんじやないかというようなことを私ども考えるわけでございますが、これも当時私は自由党の農林部長といたしまして、幾たびも各党派閥におきまして折衝いたしたわけでございまするが、ほぼもう妥結の瞬間まで行つたというようなことも実はあるのであります。併し今回御提案になりましたこの両法案を拝見いたしまするに、ほぼあの妥結の瞬間まで行つたというようもなものがまあ出て参つておるように思うわけでございまして、従いまして、先ずこれが今日の段階といたしましては、まあ一応のところじやないか、かように考えるわけでございまして、只今松浦委員の御指摘の点は、この両法案が成立すれば政府として予算的にどういう責任を持つか、こういうことだと思うわけでございまするが、これにつきましては、先ほどからたびたびお答えを申上げましたわけでございまするが、すでに政府提出いたしました当時におきましては、これに関連いたします予算を計上しておつたわけでございます。そういう準備が一応あつたわけでございまするから、それに準じましてこの法案成立の暁におきましては、できる限りの財政の裏付につきましては善処いたしたい、かように考えておるわけでございまして、どうかこの点一つ政府の意のあるところを何とぞ御了承を願いたいと存ずる次第でございます。
  224. 松浦定義

    松浦定義君 只今承わりますと、政府提案と大体同じような形で議員提出として出されたので、非常にまあ満足だというようなお話でありますが、今お聞きいたしますと、二回も選挙を延ばしたので、これ以上延ばせないといつたような御答弁があつたんですが、若し議員提出を議員のほうで出さなかつたときは、恐らくこういう場合には出すことになりますし、又出させたんだと思いますが、若し出さなかつた場合には、やはり政府がその当時考えておつたか、或いは又出さないで選挙は行うというようなふうに考えておつたか、本当の考え方はどちらでしたか、その点を承わります。
  225. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 政府といたしましては、今国会中に是非とも再び政府として提案をいたしたいということで努力をいたしておつた次第でございます。併しながら、政府考え方がまとまるまでに至らないうちに議員の方々から御提出なつたわけでございまして、非常に政府といたしましてはその点大いに期待するものがあるわけでございます。今お話の選挙のことにつきましては、若し政府といたしまして提案をするという運びに至らないという場合におきましては、遺憾ながら止むを得ず現行法によつて選挙はやらざるを得ないというふうに考えておつた次第でございます。
  226. 松浦定義

    松浦定義君 政府が出そうとして努力しておつたが、その瞬間に議員のほうから出されたということだつた、こういうお話ですか、聞くところによりますと、自由党のほうからこの発案があつた、そういうことをまあ提案者から私は直接聞いたわけじやないんですが、そういうような意向を私は聞いているわけですが、自由党は与党だと思いまするので、恐らく政府が出したと同じことで、議員というような考え方で今申されましても、やはりこれは今の提案者全体を指しての議員ではなくて、その最も私は一番最初のお考えを聞きたいのですから、そういうふうに申上げるのですが、やはり自由党の与党から出されたということに承知してよろしいのですか。
  227. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) 松浦委員の御質問にお答えいたしますが、只今お尋ねの与党からこの問題を出したかどうかという根本の問題について話せということでございますが、この問題は全く私どもが金子さんと最初話合いましたときには、政府のほうから何らのお話もなかつたのでございます。ただたまたま自由党の政調会におきまして、農業委員の選挙も迫つておるし、政府が前には提案したのであるが審議未了になつてそのままになつておりますので、何とかこのまま放つておくということは、農業委員会といたしましても農業協同組合といたしましてもこれは困るように考えられるので、何とか一歩進んで最善の方法が、根本的なこの農業団体の再編成という方向に行かないまでも、少しでも一歩前進した、最善の方法がとれないならば次善の方法をとつて一つ農業団体のために、又農村のためになるような方法を講ずべきじやなかろうかというふうな話も出まして、そのときに私どもは、これはどうしても自由党だけじやなしに、各党と一つお話し合つて、できることならばこれを成立させたい、こういう考えで、併し金子委員からも先ほどからお話になりましたように、これを根本的な問題にするということだけでは到底この際話は成立しないというようなことで、一つ次善の方法でも、少しでもよくなる、何とかこの局面を打開するような方法を講ずるという建前から、私どものほうで相談をいたしましたので、その当時のところをざつくばらんに申上げますと、どうも政府も果して出すやら出さんやらわからん、どうも政府もこの二回の失敗によつて熱意がいささか冷却したのじやなかろうか、進んで一つ議員としてこれをやるべきじやなかろうかということでやりましたようなわけでございます。
  228. 松浦定義

    松浦定義君 私はなぜこういうことを聞いておるかと言いますと、聞くところによりますると、今度これを出さないと選挙をしなければならん。選挙をするには金がかかる。先ほど北委員お話になりましたような点とは別に、そういうような詳しいことでなしに、金がかかるからというようなことも実はあるわけなんです。そういうことで私は先ほど申上げましたように、金がかかるから選挙をやらないためにこういうことをするとかということでなしに、本当に私は重要な問題としてお考えになつたかどうかということをお聞きしたいから申上げておるので、そこでまあ大体それでよろしいと思いますか、そうしますと、今、小枝議員のお話から受けた印象は、政調会としてこの話が出て来た。政府はもう二度の失敗で、これはどうも出し得ないというふうなお話でありますが、私はそこでせようとせまいと、この重要な農業政策を政府が出さんのですから、今、議員が吊して来たから、それをそのまま呑むということなら失敗するということではないと思うのです。そういうような意思の弱い農業政策の出し方ではいけないし、現在やつている農業政策そのものが、それでは全部失敗したというように私どもが考えていいかどうかということを聞かなければならん立場になるのです。ところがそれを農林大臣に聞きますと、自由党の農業政策は、現政府の農業政策は非常に行詰つておると言えば、そうでもないというふうに答弁されるのですから、私は今のお話のように、こういうような重要問題を出す、二回出してそれが失敗だから、今度は政調会がそれに肩代りしてやつた、こういうようなことは私は非常に弱い、農業政策に対する本当の熱意のある政府のやり方だと了承はできないわけですから、こういうことはこれ以上申上げませんが、そういう意味では非常に私は、今回この種の重要な問題であるならば、やはり各党の意見を聞いてでき上つたものを、面子にかけるとか何とかいうのでなしに、どうせ責任を持たねばならんのだから政府提案で出してもらいたい。我々参議院としては、やはり同じこうした問題と取組むならば、政府提案として出してもらうように……、なぜ私はそういうことを申上げるかというと、お互いに議員提出というものは、衆議院と参議院の間で各党各派においていろいろ繋りが出て来る。ここにその問題が私たち参議院をして非常に苦しめているものがあるのでありますから、こういうような農業政策というものは、日本の農業というものは全く超党派的に行かなければならんというので、参議院の農林委員会においては、与党の諸君もいつでもこれを満場一致の線できめている。こういうような大きな問題を政党的な繋りで、そういうものを審議をする際に非常に苦しい立場に我々を追込むということは遺憾であるので、併し政府に熱意がなかつたものを議員提出で出してくれたということは私は非常に感謝をしなければならんと思いますが、そういう点は一つ政府は十分この責任を負つて、今後皆さんの質疑に対しましても誠意ある答弁をし、更にこの問題が政府或いは提案者の望まれる方向に早く結論を得るようにやつて頂きたい。このことを一応そういう意味から一つ申上げておきます。そこで私は政府といたしましては、これらの二法案については、いずれもどちらをどうというふりなお考えはないと思いますが、我々が審議をする場合におきましては、やはり農業委員会というものは、政府が終戦後におきまして、いろいろ供出制度或いは農地改革といつたような形から、政府が末端に対する指導を直接やれないから、委員会制度を以てこの政府の末端機関として代行するといつたような意味合で作られたものであります。併しその半面の農業協同組合というものは、先ほど清潔委員も御指摘になりましたように、終戦直後における農業会が協同組合に変つた、この協同組合は設立当時から考えてみましても、非常に全国的に苦労して農民が作つて、いる。十五名の発起人が中心になつて末端部落まで話を進めて、そうしてその中からでき上つた協同組合でありますから、全くこれは自主的にできた協同組合である。併し自主的にできたけれども政府のその後におきまするこれに対する補助と言いますか、それらの一切の政府のとるべき責任が、余りにも当時の考え方から離れて参りましたので、現在各単協或いは又各都道府県の連合会におきましては非常な赤字赤字で苦んでいる。そのことによつて再建整備とかいうような、農民から見れば一応飛びつきたいような法律でありますけれども、それはむしろ農民が搾取された形になつている。再建整備というものの裏には、やはり農民が搾取されているというような考え方も私はあり得ると思うので、そういう形に追込んでしまつた、この農業協同組合というものと農業委員会というものが同じ農村の中にあつて対立している。言うならば、私は或る種の対立をしているというような形が見受けられると思うのであります。これらを調整するのが即ち政府の最初から考えておつた農業団体の再編成である、私はこういうふうに思うのです。ところが今回の提案者の御意見を聞きますと、全くこれは再編成というものではなくして、それぞれの単独委員会の一部改正である。それは私は全くその通りだと思うのであります。従つてこの農業協同組合法の一部改正農業委員会の一部改正とは、あたかも車の両輪のような印象を受けさせて、これが審議を図つているわけですが、私はこれはむしろ二つに分けて審議すべきである。無論内容が別でありますから二つに分けて審議はいたしますが、どこに重点を置くかということになりますれば、農民を中心にして考えましたならば、終戦の当時から考えました農業協同組合というものは、全くみずからが作れという形において作つた農業協同組合であるという形から、政府といたしましても、どちらが本当に自主的な、農民の希望する組合であるかということになれば、恐らく私は農業協同組合というものを中心として日本の農業のあり方を推進すべきである。併し限られた力において農業協同組合というものはやれないから、この別の補助機関としてやはり農業委員会というものを作つて、供出の促進もいたし、或いは農地改革といつたような誠に無血革命的な仕事をさせるということまではよかつたんですが、ところが今日になりまするというと、この政府機関というふうなもののほうが重点のごとくに考えるかのような私は印象を受けるようなことが考えられるのです。私は決して農業協同組合の陣営でもなければ、農業委員会の陣営でもないのですから、全く一個の農民の立場から考えて参りますると、今申しましたような形から行けば、いずれをとることが日本の農業の発展であるか、或いは又末端農民の心からなる協力を得られる団体であるかということを考えて参りますと、今行われておるこの両法案に対して、考え方が全く団体編成的なものであるということの印象の中から、先ほど各委員からのお話もありましたように、種々それらの関係者の中に、成るほど好ましくないような動きがしておる。私はそういうことについては決して私は顧みようとはいたしません。それらの形の中に我々が動くということは、みずから選ばれた議員の立場というものを放棄するということでありますので、どのようなことがありましても、そうしたことにはこだわらずに、今私が申上げるのは、ただ私どもの審議するのは、そうした団体意見でなくして、提案者なり、政府見解に立つて私は堂々とこのことの見解を明らかにして、そうしてこれを右にするか、左にするかということを明白にすればいいと思う。そういう立場で私はこの種の法案は十分検討すべきである、こういうように考えるのですが、只今私が申しましたようなことが間違つておるかどうか、或いは、間違つていないとするならば、やはり私が今申上げましたこの両法案に対して、政府のどういうふうに違うか、両法案はどういうふうに違うのだか、或いはやつぱりこの両法案に対しては政府としては今後どういうふうに行きたい、或いはこの改正をめぐつても、不満足ではあるけれども、今後どういうふうにするといつたような、根本的な一つお考えについて方針を明らかにして頂きたいと思います。
  229. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 農業団体の将来のあり方と申しまするが、そういう点に関しまする御意見でございまして、非常にむずかしい問題であり、一言では実はお答えいたしかねるのでございますが、政府といたしましては、只今提案されておりまする両法案につきまして、いずれが主であり、いずれが従であるかというようなことは実は明言いたしかねるのでございます。只今松浦委員お話通りに、政府といたしましても考えておるのでございまして、農業協同組合は飽くまでも農民が自主的に作り上げました団体でございまして、これは併しながら、経済行為をもつばら主として行うところの農民団体でございまして、これはもう飽くまでも育成強化して行かなければならないと考えるものでございます。又農業委員会につきましては、これも松浦委員只今御指摘になりました通り、終戦後におきまするところの農地改革という大きな日本の農村の革命的な事業を行いました農地委員会、又戦後におきまするところの食糧供給を担当して頂きました食糧調整委員会、又は農業改良委員会、こういう三つの委員会を一本にまとめた重大な使命を持つておりまするものが、この農業委員会でございまして、今日の段階におきましては、この農業委員会の存在理由というものも極めて大きなものでございまして、かような観点から申しまして、政府といたしましては、この二つ団体が健全と申しまするか、最も実情に即しまして合理的に発展することを期待をいたしておる次第でございます。
  230. 松浦定義

    松浦定義君 大体私の意見を御了承願いましたので非常にその点は満足でありますが、率直に一つお伺いいたしますが、政府は、只今どちらが主か従かどうとも言えないというお話でありまするが、それでは政府はこの両法案を完全なものだとお考えになつておるか、或いは不完全なものであるとお考えになつておるか、この点を一つお伺いをいたします。
  231. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) これは私の私見になつて恐縮でありまするけれども、この世の中に完全というのはあり得ないと思つております。すでに社会は弁証法的に絶えず流動しておるのであります。従いまして、勿論完全とは思つておりませんが、現段階におきましては最大公約数的において完全でありまするけれども、更に将来もつと完全なものになして行くように努力しなければならないと考えておる次第であります。
  232. 松浦定義

    松浦定義君 私はそれで結構だと思うのです。今不完全なものだというようなことでは私は非常に困ると思うのだが、今日の段階では完全だ、併し今後の情勢によつては或いは不完全になるかも知れないから、そのときには完全にする努力を払う、これならば大体いいが、とにかく私が聞きますと、どうも十分ではないけれども、通してくれんかというようないろいろな事情があるようでありますから伺つておるわけです。十分でないものを通さなくても、その不十分なところを言つてもらえば参議院がそれを直そうじやないか、そうして十分にしようじやないかということで、この点をお伺いいたしましたが、今日の段階において十分だということであるならば、いろいろ今後の御答弁についてはやはり十分だとした立場に立つて御答弁があると思いますので、その点はそれで結構だと思います。そこで私はその法案は、恐らく各関係団体におきましてもいろいろ内容については御意見があつたと思いますが、併しながら、一つの法を作る場合には、今のお話のように完全無欠ということはでき得ませんので、余りにもこの農業政策の指導というものは非常に広範囲に亘るという意味合から、或る程度各関係団体におきましては止むを得ずこれに対して話合ができたのではないか。従つてこの通過を希望をしておられると思うのでありますが、これが若し希望されるように通過をしたというような場合には、関係団体間における、私が申上げまするのは、これはもういろいろの立場から関係があると思います。先ほど佐藤委員等の御意見も、私は全くそれらの点については非常にいい御意見だと思いまするが、そういうようなあらゆる関係団体間において農民を指導する上におきまして、いささかもこういう点については不安の念がないかどうか、こういう点を一つお伺いをいたしておきます。
  233. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) どうも非常にむずかしい問題でございまして、お答えがしにくいのでございまするが、この法案が成立いたしましても、農業団体指導育成につきましてはあらゆる努力を傾けまして、全智全能を尽してこの農業団体の正しい方向への育成強化に努力をいたしたいと考えております次第であります。
  234. 松浦定義

    松浦定義君 非常に大変な御熱意で、全智全能、恐らく粉骨砕骨が次に付くかと思うのでありますが、それは大いに私も期待をいたしております。従つて私は次には、先ほど申上げましたように、終戦後におきまして、国の要請に従つてみずから作つた協同組合というものが今日非常な不振をいたしておる。この原因はどこにあつたかと申しますと、恐らく私は設立当時におきまする農村の経済力の集中排除と、こういつたような向うさんから押付けられたために、非常に団結しておりました農民の経済力組織を、いわば縦割りの組織に変えてしまつた、そうして今日或る所におきましては七つも八つもの連合会がある、役員だけでも百何十人もおるというようなところから、私は何も役員が多いからこれが駄目だというのではなしに、そういうような枠にはまつてしまえば、やはり縄張争い的なものになつてしまう。併し指導者から受ける農民としてみれば、同じ一本であるにもかかわらず、そうした機構を複雑にしたことによつていわゆる連合会或いは単協における赤字が非常に出て、そして農民を救うべき組織か農民を却つて私は不幸にするような結果になつてしまつておる。いわば終戦後におきまして非常に農地改革で一応の並行線を辿つた農民間における立場か、その後数年を経ずいたしまして非常な貧富の差が付いた、而して俗に言う富農層というものが協同組合を利用しないで、一般市中銀行、信用金庫を利用する、困つた者だけが協同組合を利用するということは、私が申上げるまでもないのでありますが、そういうふうな形をどういうふうにして今後政府が是正をいたしまして、今考えておられますようなこの農村の政策を遂行されようといたしまするのか、こういう点について各連合会が非常に悩んでおる、こういうような点について何とか早くこの連合会の統合と言いますか、そういうようなことについて考えておられる点がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  235. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 終戦後におきまして、日本の政治勢力の分割と申しまするか、これは我が国が全体主義の傾向のために大きなまあ過誤を犯したということに対する批判が起りまして、いわゆる民主政治によりますところの一つの大きな過程として、日本の農村団体におきましても、この線からお話のようなことが起つたと思うわけでございます。これは一面から考えまするならば、非常にまあ不経済であり、又幾多の無駄が多いというような点がありますけれども、これは又民主政治のよいところでありまして、私は真の日本のデモクラシーが確立をして行く一つの試練である、この試練に耐えることによつて初めて本当に日本の憲法の精神によりますところのこの民主政治というものが確立するのではないか、かようにまあ考えるのでございます。従いまして、そういう点におきましてはいろいろな問題があろうかと存ずるのでございますけれども、併しながら、こういう民主的な農業協同組合というもののあり方を通じまして、これの完成に持つて行くというふうな努力をしなければならないというふうに政府は考えておる次第でございまして、松浦委員の御指摘の点につきましては全くお話通りでございまするが、併しながら、そのお話の中を通じまして、やはりこの方向を通じ、試練を経つ完成に向つて努力しなければならん、かように考えておる次第であります。
  236. 松浦定義

    松浦定義君 この点について提案者のほうでは何かお考えになつておるようなことがありましたら、この際一つお聞かせ願いたいと思います。
  237. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 農業会がこの戦争遂行のためにと申しましようか、一つの全体主義の立場に立つて制度としていわゆる国家機関下の性格を多分に持ちまして、その自主性というものを全く失なつたと言つても過言でなかつたかと思うのでありますが、それから今度は終戦後に至りまして、経済力集中排除等を通じまして現行の協同組合法になつたのでありますが、その間において非常に反射的と申しましようか、必要以上に連合会等の分立が行われたと、こういうふうな感じを私ども農村立場から考えておるわけであります。そこでその連合会等が、全国的に見ましてあまりに分化された欠陥として非常な非能率と経営不振に追込まれて、最近ここ一、二年の状態を見まするというと、又これが合体して行くというような方向にだんだん入つておるように思つております。そこででき得るならば、これは余り制度の強化というふうな形によつて、以前のような農業会のような自主性を失つたものにしたくない、併しながら、指導の方向としては、今のような濫立というか、非常に細分化された事業別の連合会等をそのまま置きますと、農村全体としての協同組合の非能率を矯正することができないということを考えておりまして、指導の方向といたしましては、その業態別の連合会の事業を極端な支障を来たさないような方法と、その範囲に限つては成るべく整理統合するように指導方向を持つて行くべきだ、こういうふうに考えております。
  238. 松浦定義

    松浦定義君 そこで私はちよつと条文の中へ入りたいと思うのですが、先ほど佐藤委員からも御意見が出ておりましたが、今度の中央会のあり方なんですが、今お伺いいたしますると、やはりできるだけ早くそうしたたくさんの経費を必要とするならば、連合会についてはできるだけ早く統合しなければならないと、併し私はその統合するということは、決してその各連合会のそれぞれの立場では私はなかなかできないと思う。やはり個々の農民の中から声が出て来て、こういうふうにしてもらいたい、ああいうふうにしてもらいたいという意見が出て来なければならないと思うのですが、この声、意見を出すのはやはり各連合会がそれぞれ農民の希望するような運動がなされなければならない、或いは又そうしたところから農民が幸福になるような、或いは又地位の向上になるような形が現われて来なければならないのですが、そのことを指導するために恐らく私はこの中央会というものが大きな役割を果すのではないか、こういうふうに思うわけです。そこでこの中央会が広範囲にそういう指導をする場合には、恐らく各連合会とも相当この中央会に対しては熱心なやはり協力を惜しんではならない、従つて今の例えば指導連というものが何故こういうような結果を、今私が申上げましたような面があるにかかわらず、各関係連合会が赤字を出してしまつた、或いは単協においてもそういうような形をとつて来たかと言いますと、この指導連の果しまする力というものが、余りにも全体の連合会の中に立つては非常に薄弱であつた、というのは、御承知の通り指導連というものは何も経済行為を行いませんので、それらの活動をするに必要な負担金というものを全部個々の農家からこれを徴収しなければならない、ところが他の経済行為を行うところの連合会は、もう黙つてつてもいろいろの面からそれらの経費が当然捻出されて来る、従つて私はやはりそれらの関係連合会から、当然責任を以てこの指導連に対してそれらの経費を負担するのでありますならば、決して今の指導連が果してこの中央会というようなものに変えなければ全体の農業協同組合を中心としたものの推進にならないといつたような批判も、そう簡単には私は現われて来なかつたと思うのですが、いずれにいたしましても、そういう意味合からこの中央会というものができるということになりますと、私は先ほど佐藤委員が聞かれました一地区に対して一個とする、ここに私は問題が起つて来ると思うのであります。現在我が国におきましては、いろいろな地方財政の逼迫から町村合併というものを大いに、三カ年で以て促進しようとしておる。従つて私はこの町村合併をすることによりまして、只今では十カ町村も一緒になつて一つの市を作るといつたようなことをやつておるわけでありますが、それで市を作るということにつきましては、その市制上から行きまするいろいろな利点はありましようとも、それらの合併される多くの町村におきまするこの協同組合というものが、どういう形でその中に今後農業というものを中心にして立つて行くかということが非常に、政府の考え等も相当研究はされておりましようけれども、単なる農民の立場からいたしますると、市にはなるけれども、この農業というものは都市中心としての農業政策、併し相当離れた町村におきましては、それに合致しないというようなことから、上層部におきましては、或いはその町村合併を希望しておりますけれども、末端の個々の農民の考え方というものはなかなかそういうわけには参らんと思うのです。そういうような場合におきまする、都市になつた場合、現在の多くの町村における協同組合というものが果してうまく行くかどうか、そういう指導をば中央会においてやる場合、府県段階或いは中央段階においては、今からどういうお考えを持つておられますか、これを一つ提案者のほうからお尋ねいたしたいと思います。
  239. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今松浦委員からの御質問の中の最近における町村合併と申しますか、むしろ現実には大都市併呑というような形で非常に猛烈に推進しております。この関係農業団体との今後のあり方ということにつきまして非常に重要な御指摘と思うのでございますが、これは今後の問題であります。これに直接の関係はありませんけれども質問でありますのでお答えいたしますが、実はこの問題は農林省初め農林行政をやるものとして、昨年度のあの促進法のときに、私ども衆議院農林委員会も、非常にほかに問題があつたためにうかつに過ぎた嫌いがありはしないか。そして今日、甚だしい所になりますと、山の中腹まで市だというようなことになりますと、果して今後の農林行政というものは一体どうなるかということを非常に心配しておりまして、そういつた場合、今の協同組合が、大体において市町村の区域と同じうしておりまして、特別に地域共同体のような形をとつておるのでありますけれども、それが今度市の形になつて参りまするというと、当然これは農政上の地区というものは、やはりその適正規模の上に立つているような何らか別の方法を立てないと、今の市町村の促進法は、決してあんな大都市併呑ということは、法文の上ではありませんけれども、最近の情勢を見ますと、そういう方向に進んでおるのは御主張の通りでありますので、非常にこの点は私ども憂慮しておるわけであります。で、従つて今後の問題としまして、協同組合の規模や或いは農業委員会の地域、或いはその他の農政上の地域というものを、果して今までの団体において、市町村と同じ地域を一つのグループとしてやつて来たのでありますが、今後それが乱れて参りますことに対しては非常に関心を持つておるわけであります。そこで中央会を一地区と申しますか、この点はその各県の中央会が一地区に一つということなんでありまして、各県ごとに一つずつ中央会は置かれる。で、県に二つ、三つの中央会を置くということになりますと、国家から助成を受ける中央会、全国中央会、それと密接な関係を持つ一つの例で申上げますと、例えば国の中央会の助成職員が各県の中央会に駐在するというようなこともあり得るかも知れません。それらのことを考えたときに各県一つがいいと考えます。それから又その県の中央会というものがある。申上げるように、今御指摘になりましたように、この町村合併等によつて、その農政上の地域を一体どうやつたらいいかというようなことに対しても、今の知事さんや何かの意見によつて、ああした厖大な都市、而も農村都市みたいなものをぼんぼんと作つて行かれる、そういうふうなことで知事さんや何かに任しておかれない。やはり中央会のようなその道の団体というものが、それに対しても意見を建議しなければならんことは当然だと、こう考えているのであります。
  240. 松浦定義

    松浦定義君 今の町村合併の場合は、やはりまだ何と言つても規模が小さいですから、或る程度私はこういうことは可能だと思うのですが、若し今後町村合併がうんと促進されまして、一つの県に市が相当多くなつてしまう。町村の数は非常に少なくなつたというような場合には、県の行う行政というものは非常に限られてしまう。従つてその場合には、日本の現状から行きますると、恐らく次の段階では私は県の合併或いは統合というものも当然必要になつて来るのじやないか。従つて最終目的は道州制というようなものが実現して来るのじやないか、そういう場合におきまして、今お話のように、一県一つというような場合になりまして、若し県の統合をやつた場合、三つ四つの県が統合した場合、それじやそれを引上げてしまうということになると、なかなか容易じやないと思うのであります。そういうことを考えますと、私は非常に我田引水的なことをお話しするようで甚だ恐縮でありますけれども、現在の北海道の立場を考えて参りますと、恐らく根室の別海というようなところは、神奈川県一県よりも広いといつたようなことを言つておりますので、恐らく現在の北海道でも今やはり府県と同じように一つのあれにしかならない。従つてあの広汎な北海道の指導一つところでやるというようなことでありましては、若しそれが可能だとするならば、私は東京に一つ置いておいて、やはり全国を九つぐらいに分けてやつてしまつても一向差支えない、同じ農民が受ける指導であるならば……。それなら国の経費もかからんし、私は大賛成だと思うけれども、そのことはなかなかできない。恐らく北海道に対しましても、恐らく十幾つかの支庁というものがありまして、それものを持つているわけなんです。そういうものがただ恐らくこれは北海道も府県並に一つだということになりますと、北海道の中央会だけは全く中央から一本の指令或いはそういうようなことをやられましても、非常な努力を払いながら、農民の指導というものは十分果されないのでありますから、どうしてもこれは変えることはできないのだとするならば、恐らく現在各支庁の持つているようなものを、何とか中央会支部といつたような形のものも認められるかどうか。従つてそういうものは、ただ名前だけ認めるのは自由だということでなしに、只今お話のありましたような、何らかの形において、中央会と同じような形で国の助成或いはその他の指導も万全を期するような措置が、この際考えられるのかどうかということを、一点だけ特にお伺いしたいと思います。
  241. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今の御質疑非常に御尤もだと思つております。そこで提案者といたしまして、これは一つの私案、今私が予想しておりますできた姿に対する私案でございますが、参考のために申上げてみたいと思います。それは各県、例えば北海道の場合においては、道において一つの中央会ができる。併しながら、その県の中央会の一人が仮に県庁の所在地か何かに駐在いたしまして、仮に数十人の駐在員を置いてみたところで適切な指導は私はできないと思う。そこで実際にやる場合には、この内地におきますならば各郡ごとに一つの支会なり、部会なりというふうなものを置く、そうして北海道の場合にはやはり支庁に、今に相当する大きなものがありますのですが、そこにやはり支部を置きまして、そうして大体において一つのこれは構想でありますが、必ずその支会自体の職員がその出先の郡部会のような形というか、支会のような形のところへ、この中央会の職員自体がそこへ駐在して行く、それでそれに足らない補助員的な人員は、政府の補助でなしに各単協が金を出し合つて補助員を置く、そして少くとも一つの単協に対して最小限度一週間に一回乃至二回ぐらいの経営なり、経理の連絡指導ができ得るようにしなければ、これだけの仕事を達成することは不可能だと思つております。私どもはこの法案が若し通りました後に、実際にそういう形になるかというと、そんなような構想で今考えておるわけであります。
  242. 松浦定義

    松浦定義君 今提案者がそこまでお考えになつておるということは非常に私は感謝をいたしますが、恐らく現地にそれを適合しようと思いますと、やはり現地は現地並みに、いろいろ北海道あたりは水稲地帯もありますし、或いは畑作地帯、或いは畜産地帯といつたような形がありますので、いろいろ意見が出ると思いますから、こういう点についてはなお私も保留しておきますし、十分御研究願いたいと思いますが、政府といたしましては、今提案者がお考えになつておるような点をもつともつと明確にした場合におきまして、いろいろな施策について十分一つ協力と言いますか、その実施に対して万全を期せられるような御決意がありますかどうか、この際承わつておきます。
  243. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 町村合併促進法が国会において成立いたしましたので、政府といたしましては、国会の御意思に基きまして、極力町村合併の推進に努力いたしておるわけでございまするが、お話通り、町村合併が非常に進みまして、非常な大きな市ができるというような場合におきましては、この法案といささか矛盾するような場面も出て参るわけでございます。併しながら、町村合併が仮に進行いたしましても、まあ仮に協同組合で申しまするならば、やはり一市町村一組合ということが原則ではございますが、併しながら、その原則には必ずしもこの町村合併の場合にはとらわれることなしに、経営の適正規模という観点から指導をいたして参りたいと思つておりますし、又農業委員会につきましても、これは勿論農業委員会は町村の附属機関でございまするから、一市町村一委員会ということが原則ではございますけれども、又これによりまして従来非常な小規模の農業委員会があつた町村が、合併により一本になるということが望ましいという場合も勿論ございまするけれども、併しながら、先ほどのお話にもございましたように、非常に多くの町村が合併し、市ができたというような場合におきましては、政府といたしましては、この原則に縛られることなしに、数個の委員会ができるということを希望いたしておるわけでございます。この只今提案になつておりまする法案を拝見いたしましても、第三条の第三項、市町村は二以上の農業委員会を設置することについて申請のあつた場合において、その申請にかかる市町村が一定の条件を備えるときには、都道府県知事はこれを承認するものとすると、こういうことになつておるようでございまするので、政府の考えるところと全く同一のように思うわけでございます。又、只今お話のございました農業協同組合中央会が各都道府県に一つということに一応なつておりまするけれども提案者の金子議員からお話のございましたように、やはりこれは各郡市に亘りましてそれぞれ支部とか、或いは支会というようなものを設けまして、実情に即するようにやつて行くことが適切であると考えておりまするので、政府といたしましては、提案者の御意向に基きまして、極力その方向で善処努力をいたしたい考えを持つておる次第でございます。
  244. 松浦定義

    松浦定義君 それではもう一点だけちよつと関係のあることをお尋ねいたしたいと思うのですが、中央会の問題で、七十三条の四に、「中央会でない者は、農業協同組合中央会という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。」となつておりますが、これは勿論紛わしい名称を用いてはいけないと思うのですが、若し開拓農業協同組合等が別にやりたいといつた場合、やはりこれは一府県一カ所ということになりますと、これらは紛わしいか、紛わしくないかは知らないけれども、別にやることはできないのですか、これはどういうようなお考えを提案者としては持つておられますか。
  245. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 開拓連の問題は、開拓者自体の連合会としての特殊な事業も持つておりますので、これは勿論別個な立場で置くのでありますが、ただその開拓連が、ここにありますような組合自体の経営監査だとか、指導をやるということを、中央会において開拓連の單位組合もそれに入つたほうがよろしいという場合には、その單位組合が入りますと、その連合会と單位組合の意思によつてその中央会に入るわけでありまして、入る入らないはこれは自由であります。ですから開拓連は丁度各県の購販連のような立場に置かれるわけであります。
  246. 江田三郎

    江田三郎君 大体私どもは、この二つ法律改正案というものは日本の農業政策の根本に触れるものである。金子さんは、これは決して団体の再編成ではないと、こうおつしやいますけれども団体の再編成であろうと、なかろうと、従来私どもが考えておつた農業協同組合というものに対する理念、政府が今まで我々に説明して来たところの農業協同組合の理念、こういうものと、ここに出て来るところの改正案というものとは相当つておるのではないか。或いは農地法の問題にいたしましたところで、こういう扱いになつて来るというと、ここに従来の農業改革以来の基本理念というものは大きく違つて来るのではないか。そういうような疑問を持つものでして、私どもはこの二つ法律改正というものは、日本の農政の根本に触れる問題であると思う。終戦後の日本の新らしい農政というものは、申すまでもなく、一つは農地改革、一つ農業協同組合、その二つの根幹になるものが大きく性格が変るということになると、これは誰が考えましても農政の根本問題になるわけでありまして、従いまして、そういう農政の根本問題につきましては、勿論提案者である金子さんなり、小枝さんなりの御努力なり、或いは識見なり大いに聞かしてもらいたいと思いますけれども、これは何といたしましても、これを受けて立つところの政府の態度というものも非常に関係があるわけでありまして、私は従つてそういう根本問題をお聞きするためには、政府のほうの責任者である農林大臣の出席を求めたいと思うのであります。農林大臣の出席を求めてこの総括質問をするのが当然のことだと思うのでありまして、従つて私は本日はそういう総括質問はいたしませんが、ただその総括質問の前提として私お聞きしておきたいのは、先ほど来政務次官お話を聞きますというと、この二つ議員提出改正案というものは、大体政府考え方と似たようなものだと、こういうお話がございました。併し政府提案したこの二つ改正案というものは、言うまでもなく二回に亘りて廃案になつておる。そういたしますというと、二回に亘つて廃案になつたものと余り本質的に違いのないものを議員立法として今回出されたということになりますと、それならば一体今度の提案者というものは、今までなぜそういうものを提案されたのか。その間情勢が大きく変化したのだというお話があるかも知れませんけれども、私ども農業協同組合なり、この農業委員会なりに関する情勢というものは、もうきまり切つたことであつて、今更この短期間のうちに大きな情勢の変化があつたとは思わんのでありまして、そこで私はそういう点は提案者の金子さんあたりが大きく方向転換されたのか、或いは政府のほうが大きく方向転換されたのか、どちらかでなければ辻褄が合わないようにも思うのでありまして、その前提として一つ事務的なお尋ねをするのでありますが、それはこの前政府が出された農業協同組合法の一部を改正する法律案並びに農業委員会法の一部を改正する法律案と、今度のこの議員提出の一部改正とどういう点が違うのか、どれもこれも皆同じなのか、これは一つ事務当局のほうからお答え願いたいと思うのであります。これはここに両方ありますから、第何条というところで一つつて下さい。この質問は私としては当然聞いておかなければならんと思うのでありまして、それについては当然その前の改正法律案というものも資料として……、私は本来この二つはどこが違うかという対照表、これが当然出されているべきだと思うのですが。
  247. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) お配りしてあると思うのですが、お配りしてなかつたですか。それは現行法と、それから今度修正いたされました修正案と申しますか、今度御論議して頂いておりますものとの対照条文はお手許に行つておると思います。
  248. 江田三郎

    江田三郎君 それは来ております。私が言うのは、政府が出したところのこの前の一部改正と今度の議員立法の一部改正と一体どこが違うのか、その対照表というものが当然出されておらなければならない。何にいたしましてもこれは農政の根本問題です。
  249. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) お手許に差上げてありまする新旧対照条文の中に、横に棒を一本引いてあるのがございます。それから二重に棒を引いておるものがございます。それで上が旧法律、これは旧というわけではありません、現行法でございます。それから新法律の中で横棒を引いておりますものは、これは前の政府提案の場合におきましての改正案でございます。それから二重棒のところは今度の場合に御審議願つておりまする法案改正の部分でございます。なお途中でびらびら紙のようなものが添付してございますが、これは衆議院のほうから参議院のほうへ配付されました場合、衆議院のほうで一部修正がございます。それがこういうような形で応急になつております。なおこの一重だけの棒線を下欄で出しておりますものは、これは政府原案の当時にやりまして、今度の議員の提案で御審議願つておりまするものも、これと同様の条文になつておりまするが、一重になつてそのまま出ております。さように御了承願いたいと存じます。それから先ほどの政府提案とこのたびの改正点との相違点を申上げたいと思います。先ず第十条でございます。この対照表では七頁になつておりますが、次の八頁でございます。これは八号のところで「共済に関する施設」、こうなつております。これは政府提案の場合は現行法と同じ文句になつておりまして、上の欄に書いてございますが、「農業上の災害又はその他の災害の共済に関する施設」、こうなつております。従いまして、ここに「共済に関する施設」と書きまして、以下共済に関しまする規定政府原案の場合よりも種々これから以後の各条文において新らしく挿入いたされております。例えば監督規定或いは共済規定の承認等の条文が以下載ることになつております。これはこれまでございませんでした。それから第十号のびらびら紙のついているところでございますが、これは上の欄に書いてありました点がこのように直つておるわけでございます。政府提案の場合はやはり九号、十号直つたわけでございますが、十号にびらびら紙に書いてあります下に糊で貼付けたようになつておりまするが、要するにこの十号の書き方の中で、前の政府原案では教育という書き方が全部引つかかつて一番最後になつておりました。それがこの案では教育が上だけにかかつております。表現の問題であります。それから十条四項では、先ほどの共済の規定が新らしく入りましたのでそういうふうになつておりますから、これは省略さして頂きます。それから十一頁の第十条第七項、これは先ほどの共済卒業をいたしました連合会がこのほかの仕事をやつてはいかん、こういうことでございます。これも共済の関係であります。それから十五頁の第十条の二云々の条文でございますが、これも先ほどの共済関係によりましてかかつております。それから十六頁の第十二条第一項のところの問題でございますが、これは組合員になる資格を書きました問題でございますが、農業協同組合に入り得るというこの三号に書いておりまするものは政府原案にございまして、そのほかの二重に傍線をいたしておりますものは、これは今度の場合変つております。それからそのほか二十二頁になりますが、二十八条第一項の第十号「選挙又は選任」になつております。これは政府の場合には選任はございません。それから以下選任規定政府原案にはございませんでした。それから以下ずつと先ほどの問題が出たのは追加に伴いますものであります。それから三十二頁に入りますが、代議員の総代会を開くことが政府原案では現行法のままで、この点は変つてございません。今度の場合はこれか変つております。これは千人のが五百人、二百人のが百人というふうに半分ずつになつております。それから第六十条、三十六頁、この二号、三号が新らしく加わつております。それからあと第六十四条第五項、四十頁あたりの問題は先ほどの共済事業の問題があつた点でございます。それから以下皆大体先ほどの共済規程が入りましたための事務的な訂正になつております。極く少さいことかも知れませんが、政府の原案では中央会の会頭となつておりましたのが会長になつております。それから六十頁に入りまして九十四条の二等で、信連及び共済を行いまする組合の監督規定が強化されております。これは共済が加わりましたために変つたわけでございます。それから六十四頁九十五条の三、これが政府原案の場合と変つております。これはびらびらが入つおります。  以上申上げましたような点が協同組合法関係でございます。
  250. 野溝勝

    野溝勝君 監督規定は何頁ですか。
  251. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 監督規定は六十頁の九十四条の二が変つております。五十八頁の九十四条第一項等に共済規程が入つておりますが、それが共済が入りましたために皆それが入つております。それから六十四頁のあとで附加えましたびらびらの紙が入つておりますが、その点が政府原案にございません。
  252. 江田三郎

    江田三郎君 農業委員会関係は何にもないわけですか。
  253. 大沢融

    説明員(大沢融君) お配りしてあります昭和二十九年四月と書いてありますが、「農業委員会等に関する法律案新旧対照」というのがお配りしてございますが、これの上段のほうに今回の改正案が書いてありまして、下のほうが現行法でありますが、この上のほうを見て頂きまして政府提案と変つた点を申上げたいと思います。  最初は二頁の第二条、ここに政府の案では農業委員会に職員として技術員をおきまして、その技術員をして改良普及員或いは協同組合の仕事を援助させる、協力させるという規定が後に出て来ます二十条にありまして、その技術員に対して三分の二の補助をするという規定がここにありましたが、技術員関係がなくなりますので、その補助規定が落ちております。それからもう一つは第二項で「国は、毎年度予算の範囲内において、第四十条第二項の規定により都道府県農業会議が行う業務に要する経費」と、第一項第二号に書いてあります「四十条第一項に規定する事項であつて政令で定めるものに係る会議員及び職員に要する経費」を負担するというふうになつて、この場合はこの書き方が少し変つております。それから三頁の第三条でありますが、これは先ほどもお話が出ましたように、第三項におきまして、都道府県知事は市町村長が農業委員会一つの村に二以上置きたいという申請がありました場合に、四頁に書いてありますように、第一号、第二号というような条件があつたならば、知事は申請を原則として承認するのだという規定が新たに入つております。それから六頁に参りまして第六条でありますが、ここには先ほど申上げました技術員関係がなくなりましたので、技術員をして協同組合或いは改良普及員に協力させるという政府の原案にあつた規定がなくなつております。それからもう一つは、食糧供出割当の事務につきまして、農業委員会の仕事として明記しておりましたが、この関係は第二項の第三号に「前各号の外、法令によりその権限に属させた事項」ということで、食糧管理法或いはその政令で農業委員会の仕事にした場合には、こつちの仕事になるというような書き方になつております。それから第二十条でございますが、ここに「市町村農業委員会に書記を置く」という現行法の規定が、ここでは「農業委員会に職員を置く。」というふうになつておりますが、政府原案では書記と技術員を置くという書き方になつておりました。それから第四十条、都道府県農業会議の業務でございますが、ここでも市町村の農業委員会について申上げましたと同じように、食糧管理法関係の仕事が省かれております。明記してあつたのが第二項に書いてございますように、「農地法、その他の法令によりその所掌に属させた事項」というような書き方で、食糧管理法でこれの仕事にしたという場合には、こちら側の仕事になるというような書き方になつております。それから四十三頁で、これは会議員の関係ですが、その別の四十一頁の最後、第四十一条でございますが、「左に掲げる者は会議員とする」ということで、第一号にありますのが市町村の農業委員である人が郡単位ぐらいになつて選出した代表者、二号が中央会の代表者というようなことで、三号、四号、五号、六号と書いてございますが、第三項に参りまして「都道府県知事は、前項第一号の区域若しくは同項第四号から第六号までの会議員の定数を定め又はこれを変更するときは、同項第一号の会議員の定数と同項第二号から第六号までの会議員の定数の合計とがそれぞれ会議員の定数の二分の一をこえないようにしなければならない。」、つまり第一号に言う市町村の農業委員会から選ばれて出て来る人と、その他の県段階でいろいろ入る会議員との数がそれぞれ二分の一を超えないように、つまり同数でなければならないという規定が新たに加わつております。それから言い落しましたが、県段階の機関の名称を政府原案では農業委員会議と言いましたのを、今回は農業会議、それから全国段階での名称を全国農業委員会議所と申しましたのを全国農業会議所というふうに改めております。それは全部に出て来ます。次に、五十頁の第五十条でありますが、その第二項で「第四十条第一項に規定する事項であつて政令で定めるものは、第四十一条第二項第一号及び第六号の会議員のみの会議の議決を経なければならない。」、これはつまり従来の農業委員会がやつてつたような仕事については、先ほどお話しましたように、一号から六号までの会議員があるわけですが、そういう問題については一号と六号だけの会議員の会議でやつて行くのだという規定で、これも政府の案にはなかつた規定であります。次に五十三条、監督の規定ですが、政府の原案では報告を徴するということでありましたが、検査を行い、或いはその他監督上必要な命令ができるという規定政府原案とは別に新たに加つております。それから五十五頁から全国農業会議所規定でありますが、これはずつと同じでありまして、先へ参りまして六十二頁の六十七条を御覧頂きます。六十七条で農業会議所の役員の関係でありますが、第二項で、「理事の定数は、第六十条第一号の会員のうちから選任された理事の定数と」、これは府県の会議で言いましたのと同じように、会議員が一号から六号まであつたのを、一号とその他とを同数にするというような規定が同じように会議所のほうにも加わつておるわけです。それからもう一つ、六十二頁の六号と書いてあるところでありますが、会員に賦課する経費でありますが、全国会議所の会員に賦課する経費の額の最高限度、これを定款の中にきめて認可を得なければならないというのが新たに加わつております。今申上げましたのは六十六条の第一項の六号です。そこに全国農業会議所の定款に記載しなければならない事項が書いてあるわけです。その中に六号として賦課する額の最高限度ということが書いてありますが、これが政府原案になかつた点です。次に七十頁に参りまして第八十九条、ここでも県の会議について検査を行い、その他監督上必要な命令をすることができると、新たに同じようなものが加わつております。附則は技術員規定がなくなつたというような関係での多少の整理がございますが、殆んど重要な点についての変更はございません。
  254. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) ちよつと補足しておきますが、構成員の説明が落ちておるようでございます。構成員は以前法人といつてつてつたのですが、今度は法人でなく、どこまできめるかは別で大体常識的にきめるのですが、その県ならその県の農業の改良発達を図ることを目的にする団体ということです。これは大きな変りでございます。
  255. 江田三郎

    江田三郎君 政務次官のお答えでは、政府の前に出した改正案と今度の議員提出改正案とは本質的に違いがないということでしたが、そうは簡単に言えなかろうと思うのですが、それらの問題につきましては、政府原案とこの議員立法との改正点につきましては、それぞれ提案者のほうと政府のほうと話合われ、検討された上大した違いがないという結論に到達されたわけです。
  256. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 政府といたしましては、今回の議員立法につきましては、事前にそうも篤と協議したというようなことは勿論ございませんが、提案せられまして拝見いたしまして、これはいろいろ解釈によつては根本的に変つたという解釈もございましようし、又そうでない解釈もいろいろ見解によつてつてつたわけでございまするが、先ずこの程度の通りでありまするならば、政府としてはこの法案の成立を期待すると、こういう気持でおるわけでございます。
  257. 江田三郎

    江田三郎君 これは平野さん、さつきあなたが答えられた言葉質問しているのですが、事前に打合せたのじやないのだ、併しこの二つのものは本質的に見て大した違いがないのだと、こうおつしやいましたが、本質的に違いがないのだということでいいのでしよう。さつき言われたことと違うのじやないでしよう。今の答えがちよつと何か申されましたが、私どもは本質的のものがあると思つているのですよ。あなた方はこれは本質的に違うのじやないのだというなら、その協同組合なり農業委員会なりの本質とは何ぞやということについて、あなた方と我々と根本的な見解が違うという結論になるだけのことなのですよ。大したことじやないのですよ。
  258. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 先ほどお答え申上げました通りでございます。
  259. 江田三郎

    江田三郎君 そこでそこから先は大臣の出席を求めて総括質問をいたしたいと思います。
  260. 清澤俊英

    清澤俊英君 大臣が来なければ、これは休憩してもらいましようか。
  261. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 農林大臣の出席は督促はしておりますが、本日はこの段階では本日の出席はむずかしいかと思いますが、農林大臣が御出席なくても、発議者なり政務次官等に御質問があれば、なお今少しやつてもよろしうございますが、なければ、これはこの程度にするほかはないのですが、如何でございましようか。
  262. 清澤俊英

    清澤俊英君 ないのではないでしようけれども、順序上そういう経路を経なければ、いるかいないかわからないでしようか。
  263. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  264. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  265. 野溝勝

    野溝勝君 金子さん、これは非常に農業協同組合の民主化が叫ばれておる際でございます。特に今朝は農業協同組合再建整備促進法も論議されて、この点は強調されたわけなのです。そこでそういうより一層民主化を徹底しなければならん際に、農業委員会農業協同組合が中央機関を作つて、それで農村の民主化が徹底するのですか。さようなお考えの上でかかる案を提案されたのですか、この点一つお伺いしておきたいと思います。農村の民主化とは何ぞやという点ですよ。
  266. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) ちよつとお断わりしておきますが、私さつきから……。
  267. 野溝勝

    野溝勝君 いや、それを正直に言つて下さい。
  268. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 私は農村の民主化という言葉をまだ一遍も申上げていないのでありますが、従つて農村の民主化のためにどうこうということになりますと、ちよつとお答えしにくくなるのでありますが、今度の中央会をなぜ作らなければならないかということは、最前申上げたように、協同組合の経営の上に結果からみていろいろの支障があるが、その一つとして経営の指導の技術的な問題に非常に欠けた点がある。先ずそれを解決することが差当り重大な問題だという点から中央会方式を、曽つて政府が打ち出したものをこの際施行するほうが協同組合に健全な発達をさせるためによろしい、こういう考え方を以ちまして、この中央会方式につきましては、前の方式をやや準じたものを提案者として提案したわけであります。
  269. 野溝勝

    野溝勝君 そこで金子さんに私はお伺いするのですが、私は農村の民主化というのは農業協同組合を作るときの精神ですよ。ですから、この精神を無視したり、それが要らないということをあえて主張する必要がないと思うのです。そういうところから生れなければならんと私は思つておるのです。それでより一層今までの農業協同組合を強化し、有機的な動きをして行きたいという趣旨提案理由などにも書いてあるわけです。組織の点或いはその他の点、事業の点等々から……。そこで私は特に農業協同組合の制定当初の気持を更に徹底しなければならんと思うのです。その徹底したものを作り上げるのには、私といたしましては、この際二つ団体だけが集まつて、そこで農村の徹底せる共同化或いは民主化というものはできるものじやないと思つておるのです。現にあなたも御承知の通り、農民組織には勤労階級、特に耕作農民を中心にした農政活動には真剣に戦つておる農民組合というものもある。いわばこういう農業協同組合の徹底せる共同運動を有機的な機関を作り上げてやろうとするには、そういう方面意見などを参考に供されたのですか。
  270. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 農業協同組合の現段階の、いわゆる主として経済行為を持ち、そして農村経済の方面農村自体の自力を団結して行く、そういう形における協同組合の中に、現在の協同組合については、それ自体に今度の法律でえらい変化はありませんので、ただそこに監督権を強化しておることと、もう一つは中央会というものが、一つの今の協同組合の基本法よりも、その中の総合指導に当る中央会というものに限つて、今までの協同組合よりも制度化した点があるということはわかるのですが、協同組合全体に対してえらく逆行したというふうに提案者は考えておらんのであります。それから協同組合農業委員会農村が代表できるかというふうな御質疑でありますが、それはそういうふうに考えておりません。むしろ中央会というものは農村の代表機関というふうに考えておりませんで、協同組合自体の経営の指導というものに重点をおくというふうに考えております。それから農業委員会のほうが、むしろ以前の段階においては農業委員系統機関として、県農業委員会議、国の農業委員会議所というふうにありましたものを、新らしい農業委員会系統機関を作るということになつて、而もそれは全体の意思をなかなか表明しにくいから、県段階或いは国の段階においては、農業委員会から出た数人の代議員というのは地域的に出た代表者であり、そのほかに協同組合、中央会であるとか、その他の団体、殊に最後に附言しました農業指導をするなり、農業の利益を代表する一つ法人といつておりましたものを団体として、今御指摘のその種の団体も一緒に農業会議意見に加わつて行くというふうな形にいたしたのも、そういうことも私ども考えて、農業委員会の組織構成というものを変えたわけでございます。
  271. 野溝勝

    野溝勝君 それではそういうわけで協同組合に限つておるというお話でございますが、いわば協同組合に限つておるにいたしましても、すでに再建整備法を作り、更にその再建整備促進法を提案し、漸く本日論議決定をされたというような状態であつてみれば、むしろ私は農業協同組合自体の主体性の確立と言いましようか、その整備のほうが重点じやないでしようか。私は中央機関を作つたことによつて、その濫用が解決されるとは考えないのです。この点に対して一つお聞きしたいということ、これは小枝さんのほうからお伺いするのでございますが、小枝さんの提案されました農業委員会法の一部改正法律案理由を見ますると、あなたのほうは明確に規定してありますが、農業の立場を代表する一連の農民の代表機関整備確立、これはなかなか大きく打つてあるのでございますが、こうなるとちよつと行過ぎだと思つております。だからそういう点は、私は特にどういう意味でこういうことを考えておられるのか、殊に農民組合というような自主的な運動団体があることをどういうふうに見ておるか、その点も一つお聞きしたいのですが。
  272. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 協同組合がお説の通り再建整備を必要とするような段階になつておりまして、而も一方においては再建整備をしながら、なお続いてそれを要するような組合ができる傾向に入つておる。こういう際に中央機関を作ることよりも、組合自体の整備をやるべきじやないかというお話だと存じますが、全く同感でありまして、組合自体の整備を行うために中央機関というものを作る、そして中央機関が各県に又支部をおいて、何回も申上げましたが、経営を中心としての強力な指導、援助をしなければ組合自体の強化は図れないと、こういうふうに信じておるのであります。なお、申上げますが、今の協同組合、一町村の單位組合といたしましても、千個からの組合を持つておりますと、億に近い経済行為をやつておるのであります。而もその億に近い経済行為が、あらゆると申して差支えない程度に、いわゆる中央における何十億の資本を持つところの大会社よりも、もつとその仕事の分野が複雑しておりまして、そしてその複雑しておるということは、御覧の通り、末端の協同組合資産表を一つ御覧になつても、およそあのくらい勘定科目のある資産表というものはございません。それほど複雑な経理の業務をやるのに、きのうまで鍬を担いでおつた人たちが選挙によつて組合長さんになる場合が多いのであります。そういうことになりますと、結局協同組合の問題が、どこから一番大きく起つておるかというと、経理の不明朗から出ておる。今日再建整備を行なつておる組合が、又それを必要とする組合がたくさんありますけれども、その中でどこへ行つて見ましても、その最悪の場合、組合員の貴重な貯金の支払停止までいたしておるのでありますが、そういう段階へ行きましても、その損失が一体どこから出て来ているか。組合の役員の越権行為でやつているか、不可抗力の損失であるかということさえも明確でないものが非常に多いというようなことは、むしろ終戦後において協同組合が自主的なものだから、必要以上の監督或いは口出しをすべきでないというような傾向が非常に強く現われまして、そうしてそういうような経理指導、監督というものを非常におろそかにした結果ではないかというふうに私どもは考えておるわけであります。そこでそれらのものを解決するためには、曽つて協同組合監査連合会なり、或いは協同組合中央会というような経営そのものを指導する。言換えれば、中央会、今の指導連がややもすると外に力を向ける。エネルギーも相当消費しておる。又間口も非常に広過ぎる。これを経営なり、監査なりというふうな組合経営の実態の中へ主力を注いで、この際みつちり組合の強化に邁進すべきだという考え方が、中央会を作らなければならないというふうに考えるに至つたのであります。
  273. 野溝勝

    野溝勝君 非常に矛盾して来るのですが、金子さん、あなたも長年その仕事のエキスパートなら、我々も御承知の通り農業協同組合を作る当時からの関係者ですから、一万有余の農業協同組合があつて半身不随の状態になつておることはよくわかります。それを建直すのに、頭の機関を、中央の指導機関さえ作れば建直るという考え方が我々とあなたとは違うのです。そういうことで建直るものじやないのです。現にこの農業協同組合は、自主化を称えていますが、この法案によると、殆んど政府の援助を受けなければならないことになつておるじやありませんか。現在でも指導連なんというものは、あの団体、この団体から援助を受けておる。さような援助を受けて漸やくその指導連としての任務だか、仕事をやつておる。今後こういうような中央機関を作れば、それは一体どういうふうになつて来るのですか。
  274. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) それじや例を申上げます。私先ほど松浦君の具体的な一つ考え方を話せということで、一つ提案者としての、この法案が通つたのちにおける経営指導の実態がどうなるかということを、提案者として個人の考え方であるが、こういうふうに考えておりますということを申上げたのでありますが、それと同じように、若し国の段階で中央会ができ、県の段階で中央会ができて、この中央会は全国の市町村、末端の農事経営の協同組合が基礎でありますので、これの指導に当ると仮定いたしました場合には、先ず実際に仕事する県の段階で行くならば、県の段階に国の中央会で国家から助成を受けた助成職員というものを連絡指導のために駐在させる。そして県の職員は各県の連合会の負担金と、それから地方自治体の助成と国の助成というものを総合したその範囲の單位組合から経費を実質的に取らないで、大体において各郡市に一人乃至三人ぐらいの経営指導の職員をおける。そうした場合に私どもが少し古い話になりますけれども、産業組合時代にやりましたような郡ごとに、支会なり部会を置いて、その補助職員を駐在職員に付けますと、そうしますと、一人の職員が大体において三つ乃至五つぐらいの限度の組合を担当できると思うのであります。そうしますと、どこの組合に対しても一週間に一度その帳尻を見せてもらつて資産表と元帳の突き合せができているか、できていないか、或いは経理上間違いがないか、仕入れその他における帳簿の不正乃至は間違いはないかということの指導は手が届く、こういうふうな程度で今構想を考えておるわけです。
  275. 野溝勝

    野溝勝君 金子さん、私の言うのは、あなたが簡単に一つ割切つてもらいたいと思います。官製団体にして徹底的にその監査なり、指導をする、それによつて建直すという考えなのか、それならばそれではつきりわかるのです。さもなければ自主的な組織で行くのか。自主的組織じや不可能だ。どうしても官製団体にするより仕方がない。そのほうが立直るだろうというのならば、見解の相違で割り切れます。併しさもなければ自主的組織で行つて見たり、或いは従来の産業組合と言いますか、或いは農業会当時のような方向に持つて行きたいとかいうような気持もたまたま発表なり、批判がされるので、私はそういう質問をするのでございますが、あなたたちの見解はどうなのですか。
  276. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 私はその問題について、ただ単に官製であるとか、民主化というふうなことで実は割切つておりません。そうしてこの組合の育成につきましては、官自体或いは地方自治体の政治的な仕事として、もつと協同組合の育成なり、或いはこれらの指導というものに対してやらなくちやならん。併しながら、それを一切官に任せたとして、それだけの陣容を張つたと仮定しましても、そういうふうな結果でありますと、昼間申上げたように、官庁の監査というものは、とかく摘発監査のような形になる、そうして組合の発展を逆に阻害する場合もあるからして、そういう経験からして、それは民間で団体を作つて、併しながら、その仕事は官がやると同じような立場において助成を受けることは決して非民主的じやないと思う。
  277. 野溝勝

    野溝勝君 そこで一体あなたは、日本の経済並びに農民の置かれている経済的地位、現在の農業状態、これは特にあなたはおわかりのわけなのですよ。一体農林経済研究所の調査にもありますし、ほかのあなたのほうのいろいろな材料にもありますが、見て御覧なさいよ、日本の農民のおかれておる経済的地位を……。現にあなたがそんなことを言つてみても、農業協同組合自体が先ほど言つた通り再建整備を出し、又促進法も作り、更に私はそれだけではものたりない。又近い機会に何かできやせんかと思つておる。こういう状態のときに、現にあなたのほうでは指導連が実際ほかの団体に一切援助を受けておるじやありませんか。結局中央機関ができれば指導連が中心になるよりほかにないじやないですか。その場合にどこから一体あなたは地方に支部を設けるとか、或いはどうだとか、こうだとか言つていますが、そんな事務的なことだけで以て経済的な解決はできないですよ。そういうときには結局援助を受けるより仕方がないことになつて来るのじやないのですか。
  278. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) ですから私が最前申上げましたように、国家から助成をとるべきだという見解です。
  279. 野溝勝

    野溝勝君 だから国家から助成をとれば、勢い国家機関的に性格がなるのですよ。それでなければ出しませんよ。
  280. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) それは見解の相違ですから、これ以上はもう申上げません。
  281. 野溝勝

    野溝勝君 それでは今日はこの程度にしておきましよう。
  282. 小枝一雄

    衆議院議員小枝一雄君) ちよつと野溝委員にお答えをいたします。只今農業委員会法におきまして、農業の農民を代表するというようなことは少し大き過ぎやしないかということが一点と、それからなお農業組合等があるということを知つておるかというようなお尋ねであつたと思うのです。提案者といたしましては、御承知のように下部組織でありますところの農業委員会は、殆んどが全農民が農業委員を選挙するような状態になつております。それから又町村の段階におきましては、町村議会が推薦いたします学識経験者というものもありますので、相当広範囲にこれに網羅することができ、又農業に関係する団体農協等がこれに入ることになつております。なお県の段階におきましては、御承知のように各地域から選挙せられました委員のほかに、農協の代表その他農民の団体等も入ることになつております。学識経験者も入ることになつております。大体においてこれで全部の農民層のあらゆる各層を網羅し、且つその意思が反映するものではなかろうかと私どもは考えておるのであります。なお農民組合の問題でございますが、これは農民組合があるということも了承いたしておりまして、その農民組合が曽つて戦前から農村の民主化のために相当御努力を払われて来ておることとも我々承知いたしておるのであります。従いまして、これをどういう文句で表現するかということは、最切この問題を討議いたしました当時、金子さんからも先ほどお話がございましたが、金子さんともよく相談したのでありますが、農業の改良発達を目的とする団体ということになつておるならば、都道府県において知事がこれを制限する場合には、それが参加することにおいては何ら差支えもなく、その途が開けておるわけでございます。従いまして、提案者といたしまして大体に全部というわけには参らないかも知れませんけれども、農民を代表する機関であるということが言い得ると考えておるのであります。
  283. 野溝勝

    野溝勝君 これで私は明日に譲りますが、小枝さん、あなたの説明はあなたの枠だけの見解でそう言われておると思いますが、大体農業委員の元は農地委員と食糧調整委員土地改良委員、それらが集まつて農業委員会になつておる。ところがそのときに一番大きな役割を果したのは、一番先にやはり農地解放の農地委員でした。その次に食糧の供出問題から、それを農業委員というものは、食糧調整委員が大きな役割を果すようになつたのです。そういう歴史をこう見て行きますると、その元になつたのはやはり働く農民が中心になつて来たのです。働く農民の組織体としてはやはり農民組合なのです。その当時……。それがやはり中心になつておるのですから、そういうものを、そういう団体を一応こういう一つ機関を作るに当りましても、そこに一応相談なり、やはりそういう意見を徴することをしなければ、本当のものが生れるわけはない。農民が基本なのですから、そのときにあなたと金子さんが相談を二人でしたからいいという考え方は、これは少し時代的感覚がずれておるよ。今日はこの程度にしておきましよう。
  284. 鈴木強平

    鈴木強平君 議事進行で委員長にお願いしたいのですが、会期も迫つておりますし、相成るべくは他の地方行政におきましても、内閣委員会におきましても、まだやつております。大臣以外の質問があれば成るべく今夜約束の時間までやつて頂いて……。
  285. 江田三郎

    江田三郎君 大臣に根本問題について聞かなければ……。
  286. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 今、鈴木委員のようなお話は、先ほど私からお諮りしておりまして、大臣の御出席がなければ質問を進行できないかとも思うのでありますが、それ以外に大臣がお出でになれんでも御質問の御希望があれば、皆さんがそういうことであれば、まだ本会議もあるような段取になつておりますから、今少しく、本日は勉強いたしましたが、皆さんがそういう御希望が強ければ続行してもよいということをお諮りしておるのであります。如何でしようか。
  287. 江田三郎

    江田三郎君 鈴木さんがそう言われるなら私は十二時までやりますよ。
  288. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは他に今言つたような趣旨の御質問があれば、どうぞ御発言を頂きます。
  289. 鈴木強平

    鈴木強平君 大臣以外に質問がなければいいかね。
  290. 江田三郎

    江田三郎君 我々も大臣が来なければ質問できないと思うね。あなたはもう質問ないのですか。
  291. 鈴木強平

    鈴木強平君 今日は質問を遠慮します。質問しません。
  292. 江田三郎

    江田三郎君 遠慮することはない。
  293. 鈴木強平

    鈴木強平君 とにかく委員長を入れて話をしようじやないか。そんな大言壮語したつて始まらない。
  294. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  295. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では速記を始めて下さい。
  296. 河野謙三

    ○河野謙三君 私衆議院のほうの側に基本的な問題を金子さんと小枝さんに伺いたいのだが、私はしばしば農村の問題につきましては、基礎的な問題としてここにお出での経済局長とは語つたことはあるのですが、私はこう思うのです。農村の問題を考える場合に、団体を考える前に日本の農民の現在の知識程度と申しますか、地位と申しますか、これに平仄を合せないで、ただ徒らに協同組合精神を説いてみたり、農業委員会の理論を説いてみたりしても平仄が合わない。私は今の団体というものは、すべて団体のための団体になつておると思う。なぜかというと、日本の農民にはいわゆる正しい意味の自我というものがない。協同組合にしても、その他あらゆる団体というものの基礎は一人々々の農民に、極端に言えば三千八百万人の農民一人々々が正しい自我を持つて、その上に初めて協同組合理念も成立ち、団体の運営もできる。ところがその正しい意味の自我、又は利己心と申しますか、これがないところに如何なる名案を考えても、私は団体の運営はうまく行かないと思う。今度のあなたの再編成にしても、この基礎が成立たない、基礎となるべき農民の自我というものを持たない農民と、自我を持つたという前提に立つて団体考え方と平仄の合わないところに、どんなことをやつても駄目だと思う。でありますから、今後の日本の農村を考える場合に、特に団体を考える場合には、そこの点で平仄を合せなければいけないと思う。単なる形式的な団体というものを考えてみても意味ないと思うが、その点は一体どういうふうにお考えになつておりますか。金子さんから一つ……。
  297. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 今の農民の実態につきまして、本来ならば組合員個々の自覚によつて組合に入るか或いは人らんか、又組合自体或いはその他の団体を通して農民の団結なり、生活の向上を図るための組織を作ることが、本来理窟としてはありますけれども、実際はいつも政府が農業会と言えば農業会、その次に農業協同組合と言えば協同組合で、殆んど大部分の農民というものはその制度のままむしろ流されて行くような形で来ておることは、今、河野委員のおつしやることが現実だと私は考えております。そこで今度の提案になつております協同組合の場合も、結局本来ならば一つの中央会を作りまして、経営なり監査、いわゆる経営の総合指導をするなんということも、本当は組合員の自覚によつて組合員の中からそれに適当した人を選挙したならば、それでできる理窟になつております。それをとやかく指導などということをしなくてもできることが理窟でありますけれども、実際は放任して、ただ農民の自覚に待つというだけでは、これはやつて行かれませんので、従つて一面からは強圧的でないか、官製的でないかというようなそしりを受けつも、やはり現実というものをみつめて、それに即した方策をとることが却つて近道だと、こう考えておるわけであります。
  298. 河野謙三

    ○河野謙三君 私が今申上げたことは大体金子さんも同感のようでありますが、そうだとすれば、単に団体の形式を整えるということよりも、もう少しゆつくりと農民そのものの教育ということにすべての力を集中するということでなければ、私はいけないと思うのです。例えば今協同組合の購買事業にしても、販売事業にしても、これは農民が協同組合というものをよく理解して、組織的に動くことでなければ、ただ商人よりも麦は高く買つてやる、商人よりも餌を安く売つてやる、肥料を安く売つてやるということで協同組合というものが成立つわけはないのです。高い安いの問題ではなくて、すべて農民が協同組合精神に徹して、これをよく理解して、農民が組織的に動くのでなければ、真の健全な協同組合というものはできるはずはありません。現に農林省の統計調査にもあると思いますが、單位組合の実情は、これは経済事業というものは殆んどやつていません、極端に言えば全国の單位組合の大部分は信連の出張所としては資格があります。農民の金を集めることには成る程度の成績を挙げております。併し本当の農民のための経済行為的なものについては殆んど駄目じやないですか。こういうことは、結局私が申上げたように、今の日本の農民の程度から言つて協同組合に対する理解力のない農民からいつて、そこに非常に組織と農民というものが食い付いていないのです。こういう点におきましては、私はもう少しこの団体考え方にもつと高く農民の指導教育、この問題にもつと八〇%、九〇%の力を尽すべきだと思うのです。そういうところに重点をおいて一体の考え方をしなければ、私は今までのようなことで、ただそれを一部形式的に繕い事をしたというだけでは何にもならんと思うのです。徒らに先ほど申上げましたように一体のための団体を作り、その上にはボスの温床を作るのであつて、しまいには二年に一遍ずつ再建整備をやつて、今朝ほど私は冗談に言いましたが、再建整備はもうおしまいだと思いましたが、もうはまだなりということです。今年やつて又来年やります。もうもうと言つている間はまだまだという解釈でなければならんと思います。そういう点につきまして、根本的な問題でありまして、私は単に修正の一節にとらわれているのじやない。そういう点であなたたちと気持がぴつたり合えば、私はこれはこれでもいいと思う。ただあなたたちがこれによつて事足りると思つておられるなら私は反対です。併し根本的にはそこに深く入つて行かなければならないということであれば、私はこういう問題は過渡的に半年か、一年の問題だと解釈してあえて反対しません。しませんけれども、あなたのほうはこれで行けるのだ、こういうことを積み上げて行けばいいのだということであれば反対です。併し根本は別にあるのだということで御共鳴を願えるか、願えないかということを私は伺つておるのです。
  299. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) この問題につきましては、今朝ほど何回か申上げたのでありますが、この農業委員会法の一部改正或いは協同組合法の一部改正ということで、農業の組織指導なり或いはそういつたような団体問題が解決が付いたということは全く考えておりませんので、むしろこの二法案政府が二カ年に亘つて出しましたときに、政府自体がそうはつきり打ち出したのか、とにかくいつかの間にそういう言葉なつたか、これは別としまして、何か団体編成という大きな問題のような掛声で出たこと自体に、当時私は不満を持つておりまして、その後、今の農業委員会の実態と協同組合の実態を見たときに、差当り今必要な問題を解決しておくべきだろう、こういうことから本法案提案する運びになつたのでありまして、今後農民の基本的な教育の問題或いは技術方面の問題につきましても、すべてがどうしてもこの際日本農村特殊性というものに鑑みて、基本的なものの考え方を成るべく近い機会に結論を得なければならんということを私どもは真剣に考えておるわけです。
  300. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は夜中のことですから、少し柔らかく行きますが、三年このかた、私も金子さんほどは行きませんけれども、本当に極端に言えば、わらじばきで協同組合精神の鼓吹を自分としてはやつた。その場合にこの程度の話をしなければ農民にはわからない。神奈川県で私は標語を作つたのです。農業組合は本妻だ、商人は妾だと。要するに農業協同組合は君たちの財布の延長じやないか。商人は煎餅買つたり、いろいろしてくれるけれども、これはどこまでも妾で、財布は別じやないか。成るほど商人というものは要であるから、初めはおしろいつけて、香水つけてなかなか当りもいいし、ちよいと食いつきやすいというのだ。併し腹はお前たちに惚れているんじやない。本妻のほうはあかぎれきらして、松の木つかまえたような手をしておしろいもつけていなきや、汗くさい恰好をして、如何にも当りは悪いけれども、やはり本妻はどこまで行つても本妻だから、当りは悪いけれども、本当にお前のことを思つておるのが本妻だ。その本妻と妾の区別が協同組合と商人にはつきりあるのだ、こういう認識で行かなければならないということで、これは私の有名な言葉だ。神奈川県で三年間やつた。ところが初めはようくわかつて、もう妾のところは行きませんというのだ。ところが何と申しましても、一晩眠ればやつぱりおしろいの匂いがいいから、向うへ行つてしまう。そこで私はそういうことを三年間繰返して、その結論として、これは駄目だとあきらめた。これは要するに農民個個にもつと自我がなければならない。もう少し利己心がなければならない。この出発点を持たなければ、今の私の妾、本妻論でやつてもなかなか話は付かないと思つている。そういうことを私は三年の経験において、これは駄目だということになつたから、あきらめて、どうしたらいいかと考えているときに、あなたたちが、こういうちよつと甘ちよろいのを出されたので、私はこんなことで農業団体が再編成されて、農民がこれに食いついて来るということを考えたらとんでもない間違いだと思つたが、さすがに金子さんは私の先輩だ、よくわかつている。あなたは、政府じやありませんから、政府とは別の立場で、半年か一年の間に、これは何とか出直すというお気持があるということははつきりいたしましたから、これだけ聞けば私はいいのです。そうでなく、ただし上つつらで、こういうことで行こうじやないかということじや私はいけないと思つたのです。あとは何にも聞きません。ただ願わくは、今の国会及び参議院農林委員会の答弁の一つの方便であつては困る。特に農業団体については、衆議院に四百人おりましても、御両所が一番熱心なんだから、御両所さえ腹がすわつて、私に言われたことを一直線に進まれるなら私はこれで結構です。大変お邪魔いたしました。
  301. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 お疲れのところ何ですけれども、今の河野委員お話に関連して、私は一つお伺いして見たいと思うのです。今農民の自覚を促すということ、いわゆる組合精神を農民にしつかり植え付けるということの必要なことは河野さんの言われた通りであります。これは私は長年の間組合の経営をしまして、不度今、河野さんの言われるように、講演も自分は下手だから、上手な人に来てもらつて随分やつた。又文書も、新聞でも何でも、いろんなものを農民に読んでもらうようにしました。それと同時に、組合事業そのもの自身で農民に教え込んで行くことが必要だ。成るほど組合というものはこんなものだということになつて来なければならない。私は協同組合は大分古い組合ですから、剰余金など相当出て来ておる。現在でも非常に健全な組合です。そこで協同組合は、是非一つ協同組合利益が出たならば、これは利益は間違えて出るのだ、出そうと思つて出すのじやない。計算の違いから間違えて出る利益は、努めて一つ社会事業に持つて行こうじやないか。殊に農村においては、私どもの村では非常に結核の多いところで困るものですから、病院を作つて、現在でも病床は五十三あります。結核病棟も作つて、そうしてその組合の事業というものは、こういう工合に行くべきものだ。商人に儲けさしたのでは、これは自分らの懐ろに返つて来ないけれども組合利益が出た分はこういう工合にして、そのほかにもたくさんやつておりますけれども、こういう工合にして病気をしたときに大変都合よくなるのだ。社会全体の利益になる。又組合員だけでなく組合員以外にも病院を使うことができるようになつておりますから、そこで員外利用をさせる、こういう工合にして事業の上からも組合精神をよく理解してもらうように進めて来ておる。勿論先ほど言われるような講演も必要です。それから又文書も必要ですが、それと同時に、事業の上で教えて行かなければならない。私はこれを痛感しておるのです。戦争後今まで指導事業というのは殆んど仕事をしなかつた。仕事をしても本当の仕事らしい仕事ができなかつた。各協同組合で手が廻らなかつた。このために実は私の隣り村など二千万円からの大きな赤字を出しております。北海道ではそういうふうに随分赤字を出しております。例えば組合の監査等につきましても、よくこれを監査することを教えて、監査の要点はどこにあるかという工合にして、青年等に実際問題としてこれをよく教え込んで、たくさんの理事者、管理者ができるような方法等を講じております。言葉だけじやいかん、実際に組合というものはこんなものだ、又理事者もかくのごとく信用していいのだ、成るほど自分の利益のためにやつているのじやない、農村全体のために、又余裕があつたならば社会全体のために行くべきものだというのでやつて来ておりますが、私の村は幸いにして非常に成績がいい。ただ去年は少し利益が少く赤字が出かかつたのでありますが、それがためにどうも見込みのない組合だというようなことを言い出した者がおります。私は暫らく組合を遠去かつておりましたが、そこへ参りまして一カ月間常務理事を引受けたのであります。そして組合の仕事を全部やつた。まあ一つ私に任してくれというわけで、人件費を少くする方法を考え、人件費が非常に少くなりましたものですから、組合員もこれならば見込のある組合なつたということで、離れた組合員が又入つて来ました。そういう工合でありまして、どうしてもこれは組合の幹部の人たちが月給取根性でなしに、本当に農民のために働こうという幹部をたくさん作ること、それからさつき言つた通りに、農民に成るほどと信じてもらえる、業務の上からもですね、こういう工合に考えておるのでありまして、大変駄弁でありますけれども、御参考に若しなればと思いまして申上げたのであります。
  302. 金子與重郎

    衆議院議員金子與重郎君) 只今お話は長い問の経験の結果であるだけに全く適切なお考えだと存じておりますが、それだけに最前も申上げたように、実は現段階の協同組合が信用、購買、販売事業という、恐らく生活全体の仕事を持ち、而もその事業たるや、その事業を通して農業生産の共同化或いは経済の自主化というような大きな目標を持つております。而もその事業が非常に多岐に亘り、又性格の違う世の中の経済行為を全部包含しておるというような結果、月々の資産表等を見ましても、恐らくよほどの大会社でもあれだけの資産表の勘定科目を持たん、そういう複雑した経理をやつておるのであります。従つて相当大きな百姓だつたとか、或いは経理に少し程度の経験があるというのでは、なかなかあの経営をこなして行くということはなかなかできませんので、せめてそれらに対して指導するというか、むしろ調査会の末端が援助して行く、経理面の整理に対して……。そうして組合長さんや専務さんは村の方々の一線に立つて連絡、指導、啓蒙に真つしぐらに当られるようにするのには、その複雑な経理の面に対して一番経済団体である以上は経理が乱れては何にもなりませんので、その点を中央会においてより強力に持つて行きたいと、こういう考え方を持つておるわけでございます。
  303. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今農林次官に、江田君が大蔵当局に出席を求めて予算措置に対する意図を聞きたい、こういう発言をしましたところ、農林次官は非常に意気込んで立たれて、私は政府代表として何か責任を持つ、おれで済むのだというような御発言をなされた。私はそういうことを言い得る場合は大蔵当局と何か話合がちやんと付いて、そうしてこれなら大丈夫というときでなかつたら、めつたに私は言えない言葉だと思う。現にあなたと畜産局長とが、この委員会において現に近く玉糸に対する政令は改正して、そうして糸価安定法の中に入れてこれを行う。現に価格審議会は過ぎてしまつて、まだ入つておらない今日、わざわざこの忙しい中を蚕糸局長に来てもらつて、どうなつているんだと聞いたら、大蔵当局は甚だ邪魔をしておつて何とも仕方がありません、いろいろ努力しているが、こう答えておる。あなたが言明し、局長が言明しましても、同じ役所内の連絡がとれなければ、それくらいのものは仕方がなかろうと私は現に考えておる。考えて今日はここで全員の申入を行なつて、これで一つ是非やつてもらいたい、こう言つて今出て来たばかりなんです。あなたが只今江田君に対して、おれは政府委員だから、何か大蔵政府委員の出席は要らない、こうおつしやるからには、あなたと大蔵関係におきまして、政府部内において何か交渉があつて、これが通つたらこのものは出すということをお約束になつていたのかどうか、それがなかつたらそんなことは言えないわけじやないかと思うのです。はつきりした返事をして下さい。
  304. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 本法案に基きます予算措置につきましては、私は大蔵省を含めた政府を代表してはつきり責任を持つということを申上げておりまするのは、お話通り、この点につきましては政府部内において大蔵省と十分打合せ済みの上でございます。
  305. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、この法案政府とは関係ないんだ、こういうことを始終言われておりましたが、関係のないものがおかしい話になるじやないですか。それじやちやんと初めから関係があつて、一応の内容までの打合せがあつたものと我々は了承して差支えないと思いますが。
  306. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 本法案提出されまするまでは、政府とこの提案者と別段正式の関係というものはないわけでございまするが、すでに本法案国会提出をせられまして、相当に時日を経過いたしておるわけでございます。政府といたしましては、かかる法案提出せられました以上、成立するということを当然予想をして諸般の準備を進める必要があるわけでございまして、その間政府部内におきまして予算を伴うという法律でございますので、十分大蔵省と協議をいたしまして、只今申上げましたような責任のあるお答えを申上げることのできる段階に達しておるわけでございます。
  307. 江田三郎

    江田三郎君 私平野大蔵大臣代理にお尋ねしますが、私は人間というものはおのおの資格というものがあると思います。先ほど鈴木委員が議事の進行について言われたときに、私多少大きな声を出しましたが、併し議事の進行を求めるという人は、やはり委員会にもきちんきちんと出ておつて欲しいと思うのです。何だかたまたま現われて議事の進行を言われたかと思うと、すぐに消えてなくなる、自分に直接関係のある養蚕のときには来て言われるが、それが済むと又消えてなくなる、又ひよろりと来られて又議事の進行を言われる。そういうことでは私はその資格を本当に十分持つているのかどうか、人間というものは一つの発言をするのに、やはりそれだけの条件を持たなければならんことだろうと思うのでありまして、これは単に農林委員会の運営とか、国会議員がどうとかということでなしに、人間の生きて行く全体の立場として私は大事なことだと思います。まあそれは要らんことを申しましたが、お気に召さなかつたら取消しますけれども……。
  308. 鈴木強平

    鈴木強平君 私に関することですから、自己弁明をいたしたいと思います。従来会議は定足数を以て始まることになつております。同じ委員であつても国会議員には他に用もあるし、従つて欠席したからといつて一々個人の批判は甚だ迷惑である。併しながら、会議の進行に当つて委員長より批判があれば聞こうと思う。従つてこの問題は江田さんが鈴木に対する個人の批判のでありまして、これはそのままお返しをいたしたいと思います。
  309. 江田三郎

    江田三郎君 私委員長の御見解を問きたいと思う。
  310. 戸叶武

    戸叶武君 個人的な人の問題に関してはやつぱりこういう委員会では論争しないほうがいいと思う。国会議員中にはいろいろな立場立場がありますから、それは外でお二人でお話しするのは自由であつて委員会においてはもつと公の問題を中心として論議が交されるべきであつて、そういうことは委員長としても、どうこうということもできないでしようから、今後お互いに大いに反省して、それは江田君の気持も鈴木君の気持ちもわかりますけれども、もつと円満に議事を進めることが必要と思います。(「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり)
  311. 江田三郎

    江田三郎君 私は鈴木さんの問題を離れても、そういうような行き方を委員長は好ましい議事の運営の仕方とお考えになつているかどうかということをお聞きしたい。
  312. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 今の個人的な問題につきましては批判を差控えたいと思いますが、かような重要法案でもありまするし、会期も切迫しておりますので、勿論他にいろいろ他の委員会関係もありましようし、良識ある処置をとつておられるとは存じまするが、今言つたような、会期も切迫しておりまするし、重大な法案でありますので、できるだけ差繰つて御出席のほどを委員長としては希望しております。
  313. 江田三郎

    江田三郎君 私はこの際議事進行について申しますけれども、今まで当委員会がこの最終段階になつて、重要問題に入つて、今日明日の問題じやないのです。この数日会期がいつまで延びるということは、三日延びましたけれども、初めは延びんだろうということで日程を立てた。そのときに大体時間がどのくらいあるかということはわかつている。だから私どもは時間が来たからきちんとここへ来て、皆さんが来られんでもなるたけここへじつと坐つているのです。ところが実際どういう出席状況であつたか、特に与党としては会期末になるというと、これはもう野党の諸君が欠席しても、与党としては人数を揃えるくらいの努力があつてほしいと思うのですけれども、そういう努力が一体あつたのかどうか。今日までの当委員会のこの議事の進行について、あなた方は今更何かおつしやることございますか。
  314. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止
  315. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。
  316. 江田三郎

    江田三郎君 大蔵省の係官を呼んでほしいという私の要求は取消します。これは平野政務次官がこの問題に関する限りは政府全体を代表して答えるということですから、私は一つ今後とも平野政務次官に補正予算の問題なり、財政法の問題なり、お聞きしなければならん。だから大蔵省のかたの出席要求は私は取消します。
  317. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 議事進行についてちよつと一言申上げたい。どうも朝の始まる時間が遅いのですが、次回はこんなに会期が切迫しましたから、やはり定刻に寄れるような方法を一つお互いに申合せたいものだと思いますが、委員長から一つお諮りを願いたいと思います。
  318. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 委員長は先ず概して定刻にはここへ来ておりますが、この点は甚だ遺憾とするところでございます。(「了承」「賛成」と呼ぶ者あり)併しこの辺はもう大体そういう全体の情勢は各委員も御承知と思いまするから、特に申合せをいたしませんでも、もう御良識で御判断を願えるものと存じまして、重ねて時間の励行方を委員長からも各委員にお願いいたしたいと存じます。  如何でしようか、今日はこの辺で……。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  319. 松浦定義

    松浦定義君 明日の審議を促進するために、今いろいろ江田さんから予算の問題でお尋ねしたいというお話がありましたが、やつぼりどうも平野政務次官のほうが余り誠意を以て披瀝されたので、その点の食違いができたと思いますが、私どもはこれはやはり正常な意味において、大蔵省関係の責任ある人にやつぱり一応まあ駄目を押しておく必要があると思いますので、改めて私のほうから委員長に、どの人ということは私は出しませんから、適当に委員長からお計らいを願つて、明日は出席して頂くようにお願いしておきたいと思います。
  320. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私もそれが適当と思いますから、江田委員からお取消しがありましたが、松浦委員から御要求がありましたから、明日は大蔵省関係官を呼ぶことにいたしたいと思います。
  321. 戸叶武

    戸叶武君 それに関連して……。そのことは是非必要だと思うのです。いつも議員立法で来たときに、予算の裏付けがないということになり、政府はいつでも責任ある言動をやつておられながら、大蔵省でひねられている。でき上つた法案もあとで大蔵省に締め付けられて、そうして整理されて行くような状況です。我々の審議権というものが常にそういう点において侵されているのです。ただ今度の予算の裏付けの関係では、大蔵省関係了解を得たということになつているのでしようけれども、駄目押しや何かやはり必要でありますし、そういう点でやはり大蔵省を明日呼んでもらいたいと思います。農林大臣と大蔵省を呼ぶことによつて、この法案には我々は非常に不満もありますけれども、話はもつと具体的に突き進むことができるけれども、そうでないと、ただ非常にこの委員会が冗漫になつて締まらないと思うのです。これをお願いします。
  322. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 議事進行。委員長から、明日はもう会期も切迫していることであり、まあ今定刻出勤のお互いの了解もできたわけですから、折角のそういう態勢を崩さないように、政府委員のほうの出席並びに質問をされるかたの御要求等を満足させるように委員長のほうからお手配を願いたいと思います。
  323. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 了承しました。
  324. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 明日は農林大臣と大蔵省の主計局長或いは次長の出席を必ずいたすようにいたします。
  325. 河野謙三

    ○河野謙三君 定刻からやつて頂くことは結構ですが、朝から定足数とか何とかいうことについてはあらかじめ了解を願つておいて、各党各派それぞれ重要法案が、例えば防衛法案とか、警察法とか、現に我々緑風会のほうでも午前十時から警察法に対しての重要議員総会があるので、これは建前としては全員出席しなければならない。そういうことがありますから、そういう場合に定足数がなければ開けないというのは原則でありましようけれども、そういう場合にも臨機にこれは定足数をたとえ一人、二人欠けても……。
  326. 江田三郎

    江田三郎君 それはそうは行かない。
  327. 河野謙三

    ○河野謙三君 行けるか行けんかそれを相談してもらいたいと言うのです。行けないということは建前であります。そこらのところをきめておきませんと、現実にあしたあたりは私はなかなか、委員長だけ坐つておられましても、常に定足数を充たしてずつと行くということはなかなか困難だと思います。こういう点につきまして、私はもう少し突つ込んで話をしておかないと、あした定刻に始めて定足数でやるんだといつても、いたりいなかつたりすることになりますよ。そこらの点は江田さんのほうでいけないということになりますと、確かにそれはいけない。そこらのところを了解付くものならば付けて行かないと何にもならないですよ。
  328. 江田三郎

    江田三郎君 折角の河野さんの提案ですけれども、それは私はいけません。さつき私が言つたことは不穏当だというような考え方で来られるならば、私はこの問題についてはきつぱりと行かなければなりません。
  329. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  330. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは今のようですから特に御出席を願いたいと思います。特段の支障のない限り出席を御励行になつて頂きまして、十分な審議をして頂きたいと思いますので、御協力を願いたいと思います。
  331. 江田三郎

    江田三郎君 今の委員長言葉の中に決定的なことがあるかどうか私はわからないのですけれども、ともかく私は意見を留保しておきます。
  332. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後十一時四十四分散会