運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-27 第19回国会 参議院 農林委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十七日(木曜日)    午後二時三十一分開会   —————————————   委員の異動 本日委員山下義信君辞任につき、その 補欠として戸叶武君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            清澤 俊英君            戸叶  武君            松永 義雄君            松浦 定義君            鈴木  一君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君    通商産業大臣  愛知 揆一君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済    局肥料課長   林田悠紀夫君    通商産業省軽工    業局化学肥料部    長       柿手 操六君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○臨時硫安需給安定法案内閣提出、  衆議院送付)(第十八回国会継続) ○農林政策に関する調査の件  (硫安工業合理化及び硫安輸出調整  臨時措置に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会を開会いたします。  本日は臨時硫安需給安定法案を議題といたします。前回に引続きまして御質疑を願いたいと思います。なお、右法案に関連いたしまして、硫案工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置に関する件についても併せて御質疑を願いたいと存じます。  本日は農林大臣出席をされておりまするし、間もなく通産大臣出席予定であります。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 この合理化の問題は通産大臣が来られんと、農林大臣に御質問しても無理かと思いまするから、それはあと廻しにしまして、この安定法修正の第九条の欠損補填の問題ですが、これについて「毎肥料年度末において政令で定める事由により欠損を生じたとき」、こうありますがその政令の案というものはどういうことになつておりますかをお伺いしたいわけです。そこでこの問題は保管団体農林省との間では話が付くとしましても、結局「毎会年度予算範囲内」でということになると、大蔵省としてはなかなか金を出したがらないということになるわけで、よほどはつきりしておきませんというとトラブルの種になると思いますので、この点政令で定める事由による欠損ということは一体どういうことを意味しているのか、具体的にお答え願いたいと思います。
  4. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 欠損を生じました場合の補填事由は、結局保管団体の責に帰しがたい不可抗力事由と認められる、その不可抗力による事由、甚だ抽象的かも知れませんけれども、それで大体の具体的な場合に対処し得ると考えております。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 私専門家でないからよくわかりませんが、例えば保管中に俵が腐つたというようなことは、これは保管団体責任とも言えるし、責任でないとも言えるし、これ何か非常にデリケートな問題になると思うのです。而もそういうケースが相当出て来るのじやないかということでちよつと心配になるのですが、その点具体的にどうお考えになりますか。
  6. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今大臣からお話しいたしましたのは、いわば抽象的な原則をお答えしたと思うのでありまするが、具体的な問題といたしましては、保管中に俵が傷んだ、或いは荷傷みがした、或いは保管によつて当然に金利、倉敷がかかる、こういう問題がございます。そういうものは当然これは保管団体損失に帰すべきものではございませんので、価格で補い得られない部分は政府がそのための補償をする、こういうことに解釈するのであります。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 これは事務当局からでよろしいが、そういう保管団体の責に帰することができないということについては、保管に当つてあらかじめ保管団体はつきりと文書等によつて明確にされるのですか、どうですか。
  8. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 保管団体にするかどうかということは、一つ保管団体の意思にかかることでもございますので、強制的と申しまするか、役所の一方的な都合で以て保管団体にさせるというわけには参りませんので、当然お話のようにあらかじめ保管に伴う御質問のような事故につきまして、具体的に取りきめを行なつた上で措置をするということになると思います。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 少くとも事前にそういう取りきめが行われて、それに基くところのいわゆる政令で定める事由による欠損の場合には、これは政府としては全額補填をされるのかどうか、言うまでもなく、これは農林大臣の定めるところによつて、その指不在つてやるわけですからして、私ども常識考え全額政府欠損補填すべきものと思いまして、ここに書いてあるところの「毎会年度予算範囲内」というのは、ただ立法技術上そういう言葉を使つているだけだと考えておりますが、それでよろしうございますか。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) それはその通りでございます。私どももそう考えております。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 それから第十条のこれは修正箇所でありますが、政府もこの修正案に同意のようでありますからお尋ねしますが、「融資のあつ旋その他適切な措置を講ずる」ということでありますが、これについてはすでにこの法案通りまするというと、早速この保管が問題になるわけですが、その資金用意というものはすでにあるわけですか、大蔵省ともちやんと打合せができたものがございますか、どうか。
  12. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この問題につきましては、政府原案といたしましては、資金斡旋ということはお尋ねのようになかつたのでございまするけれども、当然これは政府原案ができましても、そういう措置が実際問題として必要でございまするので、全購連、中金その他私どもと話合いまして、事実上そういう措置ができるようにいたしておつたのでございまするので、法律がこういうふうに修正になりましても、その通り行くと思います。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 およそ所要額をどのくらいに見積られまして、そうしてその中で融資すべきものをどの程度に見ておられるか、そうしてその資金斡旋をするとすれば、どこの資金を出そうという計画になつておられますか、こういう点を具体的にお答え願いたい。
  14. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 保管数量にもよることでございまするが、法案趣旨といたしまして一割ということになつておりまするので、百七十万トンでございますければ、十七万トン、トン当り二万円と、こう荒つぽく言いまして三十四億程度になります。資金といたしましては、農林中央金庫から融資をするということにいたしたいというつもりでおります。もとより中央金庫資金繰り季節によりまして違つて参りまするけれども只今のときから申しますると、法案が成立して秋にだんだん入つて来ます。そうしますと、中金の資繰りも十分になつて参りますので、秋肥最盛期、更に春肥最盛期を迎えるに必要な法定の保管数量のための資金の融通ということについては支障なく行えるのではないか、尤もこれは季節によりまして必ずしも十分でないときもございます。そういう場合は中金の固有の資金のほかに政府でやはり特別の援助と申しますか、そういう措置が必要になるときもあろうかと存じます。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 これは十月とか、十一月とか、そういうときの中金資金については或いは手当が付くかもわかりませんが、併し最近の情勢として農林中金資金が相当枯渇しているはずでありまして、すでに農林中金として日銀に対して申入をしている、こういうこともあるわけであります。それから系統外融資の問題も問題になつておりますけれども、これにしたところで、なかなかそう当局考えているように、系統外へ流れているものが本流に帰つて来るということは困難じやないかと思うのです。だからしてこの保管というものが一時で終るのでなしに、相当長期に亘るということになると、その間に中金資金だけではどうにもならんという問題が必ず出て来ると思うのであります。それについてもあらかじめ用意がなければならんと思うのですが、そう言うときにいろいろ斡旋をするといつたところで、私ども考えましてどこから金が出るのか、なかなか三十四億というようなものをほかの機関でカバーすると言つても困難じやないかと思うのですが、政府として中金資金が枯渇した場合に、これをどこかほかでという場合には具体的に何を考えておられますか。又そういうことにつきまして大蔵省との話合というものは、了解というものはできているのかどうかということ……。
  16. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 保管数量保管期間がどうなるかということはなかなか予定がむずかしいと思います。ただ幸いにしてと申しまするか、中金金繰り状況保管数量の時期とは丁度大体うまく行くのではないかと思うのであります。と申しまするのは、中金資金金繰りが悪いような時分には、むしろ保管数量を放出しなければならん春肥最盛期にだんだん向う、それから中金資金繰りがだんだんよくなる時分は又保管数量を買入れる、こういつたようなことになるのが普通の状況ではないかというふうに思われるのであります。尤もこの保管数量を一年中十七万トンのべつまくなしに持つておるということを考えますると、季節によりまして資金繰りの上の支障があるということは生じ得ないとは限りませんけれども、そういう場合には勿論中金担保力がございまするので、中金日銀等から融資をする、こういつた措置をとれると思いますが、大体そういうことでなくて行けるのではないかというふうに考えます。勿論そういう場合にはそういう措置を当然必要とします。この法案の立案当初からそういう問題も予想されまするので、大蔵省方面ともそういうふうな協議を実はいたしておるのであります。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 少し局長の見方は私は甘いのじやないかと思うのでして、やはりデフレ現象が農村へ入つて来るところの今後の見通し等から考えまして、そう中金というものが資金の余力が余り楽観ができないのではないかと思う。それともう一つは、今のように中金資金の余裕のあるときと、この金が要るときとは季節的にうまく行くというのですけれども、やはりこれが実際始めて見るというと、硫安生産能力とか、いろいろなものから勘案しまして、古い硫安を放出すると同時にに新らしいものを入れるというような、更新々々で大体この在庫量というものが或る程度コンスタントになるのではないかということを私ども考えるのですが、それはいずれにいたしましても、私ども考え方ですけれども、ともかくもいずれにしろ、そういうようなことで農林中金資金では賄い得なくなつたときについては、適当な措置とつてこの問題について混乱の起らんようなことを責任を以てやつて行けるかどうかということを、これは大臣にお答え願いたい。
  18. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはいろいろ中金資金繰り等からいたしまして相当努力を要すると考えております。併しこの法案を運用して参りますためには非常ないろいろ困難はあるかも知れませんけれども、これはとにかく最善を尽して処置して行かなければならん、そういうふうにいたします。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 もう一つ重ねて聞きますけれども、この保管資金の中で保管団体自己資金はどのくらい期待されておるわけですか。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 保管団体自己資金には余り期待はいたしておりません。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 極めて抽変的な総論的なことをお尋ねしたい。主として通産大臣にお答えをお願いすることであろうと思うのですが、都合によつて農林省のほうにも御答弁願つても結構だと思います。それは自由主義独禁法貿易との関係から来るこの法案との関係といつたようなことをお尋ねいたしたいと思います。第三条に硫安工業合理化を促進するため、生産設備及び技術近代化等を勧告することができる、こういう記載があるのですが、ところが一方には日本硫安輸出株式会社というものを作つて、そうして第六条に硫安輸出ということが規定してあるのであります。先ず最初にお尋ねしたいのは、硫安輸出株式会社は一手で硫安輸出を行う、それから輸出値段のごときは硫安輸出株式会社が無論会社としては値段をきめることができるのでしようが、その値段で以て輸出すると、こういう意味でしようか。
  22. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 硫安輸出は、この制度ができますと日本硫安輸出株式会社が質入れた輸出用硫安でなければ輸出はできない、従いまして、今後はこの法案ができますと、輸出はこの会社か、又はこの会社から譲受けた硫安でないと輸出はできないというふうにいたしておるのでございます。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 それだから独禁法との関係規定してあると思うのですが、一体そういうことは第六条に規定してある硫安会社目的と第三条の技術近代化といつたような規定趣旨に反するのではないでしようか。
  24. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 第三条の関係硫安コストをできるだけ速かに引下げるために必要な、ここに書いてありますような措置を講ずるのでありまして、輸出をこの会社によつて一手にやりますこととこれは矛盾はないように思うのでありまして、輸出を一手にやりますことは、これはこの法律の施行を考えております五カ年の間に臨時的にこういう輸出を一手にやる機関を作りまして、できるだけ輸出を有利にやつて行くという点もありますが、要するに当分の間合理化を完成いたしますまで、或る期間生産費より安い価格で、即ち国内公定価格よりも安い価格でいわゆる出血輸出をやつて行かなければならんということを想定いたしておるのでありますが、その間国内販売のものと輸出のほうのものとの経理はつきり区分をして行くという目的を以て、こういうような制度作つておるものであります。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 只今説明だけで以てこの法案説明が満たされたというふうに考えないので、もつと大きな目的がこの法案にあるのではないか、即ち貿易上の国際収支及び硫安コスト引下げる、ただ出血だからその清算をするためだということだけでなしに、この法案国際収支をもつとよくする、損をなくして硫安輸出することができる、もつと安い値段で以て外国と競争しても損は生じない、そういう意味じやないですか、輸出会社を作るということは……。
  26. 柿手操六

    説明員柿手操六君) お話通り、こういう制度臨時に五カ年間施行したいという趣旨お話通りでございまして、現在の日本硫安工業現状におきましては、国際競争に負けるという実情でございますので、急速に日本硫安工業合理化いたしまして、国際競争に堪えて行く措置を講じますと共に、その目的が達成されます期間臨時的にこういうような輸出のための会社を作りまして、輸出をできるだけ有利にいたしますと共に、輸出に関する経理国内販売のものと区分をいたしまして、出血輸出経理国内販売に転嫁しないように、その点を明確にするという目的を持つておるのであります。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 僕の質問が悪いのかよくおわかりになつていないと思うのですが、カルテルとか、輸出会社を作るするかどうか、コスト引下に適合するかどうかということを聞いておるので、丁度通産大臣が見えましたから、通産大臣お尋ねしたいのでありますが、硫安工業合理化に関する法律第五条に輸出会社を作る、できるだけ硫安会社出血輸出を避けたい、それを各硫安会社輸出会社を通して、例えば経費の点を省くとか、いろいろなそういつたような面の合理化を行なつて輸出する、そしてそういう団体的の行動をするということが第三条に規定してある硫安工業合理化矛盾しやしないか、矛盾はしないか、その点極めて総論的なことです。独禁法貿易と個人の企業との関係お尋ねしておるのですが、私の申上げた趣旨はおわかりになりますか。要するに自由主義カルテル組織というものはどういう日本現状の下において影響を及ぼして来るかという点をお尋ねしたいのであります。
  28. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 御質問の中途でございましたから、或いは私が十分理解せずにお答えするといけないのでありますが、只今お尋ねは、硫安等につきまして輸出について輸出会社を作る、そうして合理化をするということについて、自由主義経済独禁法関係或いは他産業についての関連においてどういうふうに考えるか、こういう御趣旨だろうと思うのでありますが、これは前にも申上げましたように、硫安というような特殊なものにつきまして、農家経済にとつては誠に重大なものでありますが、同時に硫安としては輸出産業といたしましても一〇〇%外貨の取得ができるようなものであり、且つ輸出市場も非常に広く持つておる、こういうふうな特殊な性格を持つておりますから、一面において農家経済に対して負担をかけないように、又同時に輸出についてできるだけの合理化措置を促進いたしまして、価格引下に努力するわけでありますが、その間において合理化が十分に効果を挙げますまでの期間において生ずるところの損失等については、メーカーなしくずし負担をするように、政府補償というふうなものの対象にはしないでやつて行かなければならないというようなことを考え併せまして、この機構が最も適するものと考えたわけでございますから、他の輸出物資等につきまして同様なことを考えるということは現在考えておりません。又自由主義経済下におきましても、こういうふうな日本経済国内的にも非常に重大なものであり、又輸出産業といたしましても特殊なものであつて、且つ当面のところできるだけ合理化をして行かなければならないというようなものでございますから、これらの特定のものに限りましては、かような方法をとるということが最も適切な措置であるというふうに考えておるわけでございます。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 どうも私の質問が徹底しない、説明が悪いからだと思いますが、例を一つ挙げて見たいと思います。恐らく通産大臣はよく御承知のことだと思いますが、最近ドイツ鉄鋼カルテルエルハルト経済相が長い間自由主義を主張して、そうしてドイツの復興を図つた一つの重大なイデオロギーです。そのエルハルト経済自由主義に対して、鉄鋼輸出をめぐつて西ドイツでも鉄鋼カルテルを作らなければならない強い主張が出て来て、それが延いては英国にも響いて、英国が、カルテルを組織されたのでは英国鉄鋼に大きな響きが来るというので、西ドイツは無論のこと、よその国の英国にも非常に影響を与えておるということは、恐らくこれは通産省方々はよく御承知だろうと思います。これは何でもなしに自由主義独禁法というものができて、そうしてそれを見送つておる形があるのでありますが、もうすでに独禁法の改正、改悪なんというものが行われておる。このことは自由党の石橋湛山君がこれを強く主張しておることは、これは私が説明するまでもない。日本がもうどうやらこうやら一本立になつたというならともかく、まだ日本日本産業を進展して行く上にもつとみんなを勉強させなければならないとういときに、西ドイツみたいに、すでに国際収支商業貿易において黒字があつて、そうしてマルクの国際性が今日主張されて、そのときになつてもなお且つ鋼鉄のカルテル化に対して異論がある。こうした四ドイツに比較して現在の日本が僕は産業がどうなつているかさつぱりわけがわからない。こういうときにもうこの独禁法の精神を殺して行くような、こういう法案が出て来るということは、本当に産業に対する、まあ僕がそう言つたんでは妙ですけれども通産省方々は理解がないんじやないかというふうに考える。真剣味がない。日本経済独立性自主性ということに対して真剣な考えを持つておらないということが考えられるのですが、その点を実は質問しておるのですが、通産大臣の何と言いますか、産業改策というか、極めし総論的なことですが、その一つ考え方をお伺いしたいというのが私の趣旨です。
  30. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 総論的な問題というお話でございますが、同時にこの法律案についての私ども考え方を御説明いたさなければならないと思うのでありまして、先ほどから申しておりまするように、政府といたしましては、経済の自由を原則として企業の自主的な意欲をできるだけ伸ばして参りたい、経済の循環というようなものに生気を吹き込むことが経済向上発展のために最も適当な方法であろうと、私どもはこういうふうに考えておるのであります。併しながら、特定目的のために特定物資生産或いは輸出等につきましては或る程度調整措置をとることが必要なのでありまして、特に硫安につきましては、先ほど来強調いたしまするように、その農家経済に占める重要性ということに鑑みまして、或る程度調整措置をとることはどうしても必要である、止むを得ないものであるというふうに考えまするので、その目的に応ずると同時に、一方において海外市場に対して輸出を伸ばして参る。そのためには、先般も申しましたが、常識的に申しましても、おおよそのところからいつて西欧諸国等に比して硫安の原価が割高にあることは明らかでありまするから、それらの関係から輸出機構を確立して一手で輸出をするというような会社を作りまして、有利な市場へ有利な価格輸出できるようにしたい。而もそれによつて合理化が推進するまでの間こうむるであろう損失については、なしくずしにその会社を通じてメーカー損失負担するということが最も時宜に適するものと考えておるわけであります。で、私は只今西独の例をお挙げになりましたが、西独のいろいろやつておりますることには非常に日本として模範にすべきことが多い。この点についてはかねがねいろいろの点で研究いたしておりますが、同時に日本実情に副い、又日本の特殊な特定産業については、日本として最も実情に副うような特殊の工夫を講ずるということが望ましいことではなかろうかと思うのでありまして、そういう点から申しまして、今回御審議願つておりまするこの法案というものは、一つ日本実情に副うた特色のある行き方をとるものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 まあ鉄鋼でも硫安でも重大な点については大した差異がない。もとより硫安について御心配なさることは非常に結構なことだと思うのですが、ここに勧告だとか、通産大臣ができる、こういう規定になつているのですが、民間の資本家に言わせると、政府はいろいろなことを口出しして来て困る、こういうことをしばしば不在言つている。で、そのことがいい悪いは別にして、この規定政府が口出ししてもいいということになつておる。或る意味において政府保護政策です。大体これと似たような法案があちこちに出て来ているのですが、日本経済の行き方というものは、もうそういうふうに転換しつつあるというのですか。保護政策というか、政府がこう口出しして行くという方向に向いつあると、こういうのですか。
  32. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 実はこの点については一律に申上げにくいのでありまして、私は今回のこの考え方というものは、いわゆる特殊会社というようなものを作つて、例えば政府が出資をするとか、或いは損失が起つた場合に補償するとか、そういうようないわゆる保護政策というものまではこの問題について考えていないわけでございます。例えば電力について優先的な考慮を払うとか、或いは企業合理化促進法等規定従つて合理化機械等について税法上の或る程度の考慮を払うとかいうようなことは、こういう産業について当然考えらるべきことであるとは思いまするけれども、従来考えて来たような特殊会社というような制度において、或いは法律の下において財政的な負担を直接に起すようなことは考えていないわけでございます。併しながら、一つ輸出会社を作り、一手に買取輸出をするというようなことにおいては、政府が、只今御指摘のありましたように、干渉をすると言えば、干渉をすることになるわけであります。又一方において硫安会社コストにつきましては、先般来たびたびお叱りを受けておりますが、こういうような一連の法律ができれば政府の権限によつてコストの調査もできる。そういう意味合におきましては、政府の意図が他の産業に比べてずつと強く入ることになるわけであります。これは硫安というようなものについて、現下の状態においてそういう措置をとるということが最も適切であると考えましたから、かような考え方をいたしたわけでございまして、他の産業等についてもそれぞれの、特殊な要素がございまする場合には、それ相当の実情に即した考慮をいたさなければならないと考えるわけであります。
  33. 松永義雄

    松永義雄君 この第六条の第二項を見ると、「通商産業大臣の承認を受けた買入計画に従つて行うものとする。」こういう規定があるのです。承認がなけりや買入計画が成り立たないということ。硫安輸出会社の買入計画が通産大臣の承認を得なければならんということが、もうすでに政府の規制的方針が入つている、政治的の方針が介入している。ですから政府、自由党さんの嫌うような統制という言葉を使うと、いや、統制と規制と違うとか、買入計画の計画というのは計画経済の計画の意味とは違うと、こうおつしやりたいでしよう。併し実質は通商産業大臣一つの流通過程において介入して行くということがここに規定してある。明らかに規制なんですが、政府はもうそういうような自由主義を制限して行く方針に向おうとしておるのですか。
  34. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この点は、只今も申上げましたように、私は自由経済において企業意欲というものが旺盛に振起されることが最も望ましい、これが原則であるということは我々の考え方でございますが、併し先ほど来申しておりますように、持定の物資について持定の条件下において最も適当と思われることを措置いたしたいということは、同時に考えなければならんことでございまして、いささかお尋ね趣旨と違うかも知れませんが、例えばこの国会に通産省として別に御審議を願つておりまする法案の中にも、或る製造事業に許可制度をとる、届出だけではなくして許可制度をとるというふうな修正をお願いしておるものもございます。これなども見方によれば、国家意思というものを或る特定の製造事業に対して、はつきり明白に打出して行きたいというのでございますから、そういう一つ一つ政府考え方なり、或いは法律案の作成に当りましては、これはお前たちの自由主義経済と違うではないかと仰せられます場合に、その限りにおいてはその通りでございます。私は何も脚放しの、あらゆる産業について放任の自由主義をやろうということは考えておらないのでございます。
  35. 松永義雄

    松永義雄君 この統制とか、自由主義とか言つたつて、こんなものは程度の問題で、どの程度において個人の自由が許されているか、どの程度政府が入つているかという程度において規制しており、或いは自由であるということがきまる。絶対的な自由もなければ、絶対的な統制もないことは、これは言うまでもない。ただ最近の傾向が、独禁法の改正を行なつたり、公益会社を作つたり、或いは只今お話なつたように、許可とか、認可とかいう言葉が入つて来る。だんだん自由主義を後退させて行く方向に向いつあるが、そういう方向に向つている事実をあなたは認めざるを得ないと思うのですが、認めるか。そういう方向にあなたは向けつつあるのです。日本産業政策をそういうふうに向けつつあるということを聞いているのです。そういう必要性をあなたが感じておるかどうかということを聞いておきたい。簡単に一つ……。
  36. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私はあなたのおつしやつたような意味において、それにイエスということはできないと思います。私は経済というものも、他の現象と同じように日に日に新たになるのでありますから、その日に日に新たになる情勢の下において、最も適切と思われるような方策をとるということにおいて融通性のあるものである。又政策には融通性がなければならない、そういうふうに私は考えておるわけあります。
  37. 松永義雄

    松永義雄君 まあ余り突つ込んで議論するのもどうかと思いますが、そうすると、通産大臣経済事情に従つて法律の体裁が変る、こういうように結論を出して、非常に意地の悪い結論になるが、転じて、一つほかの例を引いてお伺いしたい。この間は通産大臣大蔵省にもおられた。大蔵省のことはよく御承知のことと思いますが、新聞に出ていることだから、どの程度の真偽かはわからんが、保険会社の配当を一割五分にとどめて保険会社の配当を制限する。大蔵省の方針はそういう方針なんだという新聞の記事の記載があつたのです。その点は閣議でも話が出たと思いますが、その真偽を一つ話して頂きたい。
  38. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私保険会社の配当を一割五分にきめることに大蔵省が決定したかどうかということはまだ承知いたしておりません。閣議で話題になつておることはございません。
  39. 松永義雄

    松永義雄君 私の申上げたいことは、もう少し企業家、資本家という言葉は少し悪いかも知れませんが、企業家はもう少し熱心にならなければならん、商売に熱心でなければならないということを申上げたいだけのことで、そのためにのみ質問しておるだけのことです。他の委員からも御質問があつて、事業会社の配当はどうか、こういうことを聞かれておる。生産費も一体どのくらいかかるか。たくさん資料を求められておる。これは要するに硫安価格の上に響いてくるものが、硫安会社がその経営が適切かどうかということの御質問であり、そのための資料を求められているのではないか。硫安会社がふまじめだ、外国に負ける。そこで輸出会社作つて独禁法改正に触れないようにしてやるのだ。それでは本当の産業の建直しができない。農民も助からない。それではふしだらな硫安会社の、製造会社の跡始末でもしていればいい。その方面の救済だけが主になることであつて、実際農民の切望しておる硫安にいい響きは来ない。而も生産費を下げて外国の競争に勝てるような、そういう建前になつておらない。企業家それ自体がもう少しまじめにやらなければ、経理の上にまじめにやらなければならない。だからこんなに高い硫安を売つて、それで配当しているのは何事だという議論が当然出て来る。その配当が高いとか、安いとかいうことではなくて、ふまじめだ。こういうような保護政策をやつて一割五分を保証しなければならんということでは、それではいつまで経つて日本産業はよその国と競争して行けるか。通産省の、通産大臣というか、一体通産省日本産業政策をどう考えるかということを伺つている。たまたま硫安に関する法案が出て、その条項を見て行くと、この法文の体裁が最近の通産省考え方が出て来ているように感じられる。それでいいのか。それはおれの責任じやない、政府責任じやない、企業家の責任を追及されているので、おれのほうの責任ではない。こうおつしやるかも知れませんが、とにかく企業家のふまじめであることは、もうこの法文を見てよくわかる。それじやそのふまじめなところに政府保護政策をとつて、それでうまく行くか、外国と太刀打ちできるかということです。
  40. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほどもちよつと申しましたが、この法案について、例えば利子補給とか、或いは配当の保証をするとかと、そういう考え方はないのであります。その点は一つよく御了解頂きたいと思います。それから特にこの合理化等について、当座起るであろうところの損失等についてはメーカー負担をさせるのでありますから、現在硫安会社その他が、経営者がまじめであるか、ふまじめであるか、私はまじめにやつておると思いますけれども、これには見方によつていろいろの批評もあり得るでございましよう。併し私はこの法律案によつて企業者をふまじめにさせるとか、企業努力をしなくても国家が保証するとか、保護するとかというようなことをするためにこの法律案考えたものでは毛頭ございません。
  41. 松永義雄

    松永義雄君 どうも私の言うことが徹底しないようですが、保護政策と言つたつて、金を出しておるから保護政策だと言つておるわけではないので、企業家はもう少しまじめになつて、たまたまできた独禁法という法律を、それをもう方向転換さして、そうして自分の立場を守ろうといつたような考え方が不当である。何も西ドイツを例に挙げて、西ドイツ日本と同じだというのではないのですけれども、とにかく先ず十分に復興した西ドイツですら、今漸く鉄鋼カルテルをやつておる。尤もこれは貿易面から来ておることです。これは通産省のかたは新聞をお読みになればよくおわかりの通りに、もうでかでかと日本の新聞にも出ておる。英国の新聞にも、心配になつて英国鉄鋼業に大きな響きを持つて来ると心配しておる。カルテルをやるということは一つ産業保護です。何もそれは否定しないのです。併し日本の段階がそこまで来ておるか、もう少し国民が奮発しなければならんときじやないか、そういうことを説いて行くべきときではないか、企業家がまだ十分にそれを理解しない。ただ口では政府の干渉が嫌だとか何とか言つておりながら、そうして政府のほうに頼つて来るような態度をとる。それをいいことにして、政府がそれを保護的なこういう法案を出して来るということは、結局企業家を救うことになるのかどうかよくわからないと思います。腕比べを本当にやらして初めて一本立ちになるし、そうして世界に濶歩できる、こう思うのですが、ただそこで総論的だということで聞いたのは、通産省産業政策というものは、そういう保護政策に入つて行く段階である、それを聞いているわけなんです。まあ先ほど来御答弁が極めてあいまいで、その点について確固たる信念がないようですから、まあ大体この程度質疑を終つておきたいと思います。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 通産大臣にお聞きしますが、この合理化のほうの臨時措置法によつて与えられるところの合理化資金、この年次計画、それからそこから出て来るこの効果というものがどういうようになつておりますか。あなた方のほうから我々のほうに資料が出ておりますけれども、これはまあこの通りには現在行われていないと思うのでして、今度この法案が成立した暁にどういう合理化資金の計画になりますか。
  43. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この硫安工業合理化でございますが、昭和二十八年度以降におきまして、約二百三十億円の資金の投入ということに考えております。この金額のうちの過半は勿論それぞれの会社の自己調達によるものであるべきであると思います。で、この計画によりまして、大体五年後にはトン当り約七ドルのコスト切下を図る、それから他の要素につきましては、それぞれ申すまでもございませんが、未確定であつた、見通しの困難であるものも相当ございますけれども、電源開発が進捗いたしますれば、それによつて電力が増配されて操業度が向上するということが予想されます。又石炭鉱業の現状もなかなか困難でございますが、この合理化に伴いまして炭代が下りますれば、炭価の値下りによるコスト引下ということも期待できるわけであります。これらによりましてトン当り約九ドル、合計して、合理化資金の投入による七ドルと、只今申しましたような要素から約九ドル、合計トン当り約十六ドルのコスト低下を期待するという計画を持つておるわけでございます。で、そうなりました場合におきましては、国内の農民に対しましては、現在よりもトン当り約十六ドル安の硫安を供給し得ることになる。それから東南アジアを中心といたしまして、現状の約二倍程度の百万トン程度輸出ができる、この程度輸出は確保し得るだろう、こういうふうな効果を期待いたしておるわけでございます。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 二百三十億円の合理化資金の中で、自己資金によるものと、それから政府のほうで融資されるものとの割合がどういう工合になつておりますか。なお二百三十億円の計画というものは二十八年度以降のことになるのか、その点はどうです。
  45. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 二百三十億の資金投下に対しましては、開銀融資として六十億から乃至八十億程度考えております。その他は自己調達と、それから社債、増資或いは一般の市中の融資というように考えております。なお二十八年度を含む計画であります。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 開銀の六十億乃至八十億というものは二十八年及び二十九年に幾ら出たのか、並びにその他の自己資金等と合せまして、二十八年度以降、おおむねこの五カ年計画がその通りに行つておるのかどうか、その後の実績がどうなつているかということと、将来の見通しはどうなるかということです。
  47. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 二十八年度におきましては、七億一千万円程度、二十九年度においては目下各産業別に検討いたしておりまして見通しが立つておりません。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、合計六十億乃至八十億の金をこの五年間に出すとして、二十八年度だけが僅か七億で、二十九年度はまだきまらんということになると、この計画というものはペーパー・プランに過ぎないということになるのですか、それともこれはちやんと実行できるということになるのですか、どちらですか。
  49. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論今後の金融情勢と申しますものが計画的にはつきりと見通しが付きませんので、只今のような一応の考えを申上げたのでありますが、勿論これは具体的に年度ごとに、その年度におきまする一般金融情勢並びに一般財政投融資状況からきめて参るのであります。勿論開銀融資等によりまして、調達困難なものにつきましては、長期信用銀行或いはその他の準財政投融資というものにつきまして考慮を加えて参る。同時に資産再評価の法律通りますると、これらの資産再評価によります資本金組入れというものも考慮できますので、これらを合せ含めてこの計画を完全に遂行して参りたいと、こういう工合に考えております。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 どうも合点が行かんのでして、一つ具体的に、将来うまいことを言われたつてなかなかそう簡単には行かんと思うのでして、愛知さんは通産大臣であると同時に経審長官として、日本経済の将来の見通しを持つておられると思いますけれども、なかなか愛知さんだつてそう楽観的なことは言えなかろうと思います。具体的に聞きますが、二十八年度二百三十億の中で、初年度である二十八年度は開銀の七億はわかりましたが、その他自己資金による調達は幾らになつておるのか、大体二百三十億の年次計画というものはどうなつておるのか。それと合せて、今二十八年度の実績を示して頂きたいと思います。
  51. 河野謙三

    ○河野謙三君 議事進行。この間輸出会社法案については、通産委員会に連合審査を申込んで、そうして十分質疑を尽さして頂くということになつておりましたが、今いろいろ伺つておりますと、大体輸出会社法案についての質疑が始まつておりますが、私は寡聞にして連合審査はやらないことになつたと聞いておりませんが、これは固執はいたしませんよ、連合審査はやめることになつたのですか、どうですか。
  52. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これは前回はつきり申上げた点ですが、通産委員会から正式に断わられて来ておりますので、先ほど冒頭に申上げたように、関連して合理化法案の御質疑を願いたい、こういうわけです。
  53. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、本日はその方面の質疑も十分していいわけですな。
  54. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) さようでございます。
  55. 河野謙三

    ○河野謙三君 それの場合の全部のスタツフは揃つておりますか、例えば私は通商局等も、これは大臣が来ておられますから、大臣が大体心得ておられるからいいと思いますが、場合によつては通商局にもいろいろ質問があるのですが、そういうことがあればあらかじめ一つ私は申上げておきます。
  56. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 江田委員の御質問にお答えいたしますが、二十八年度におきましては総額は二十七億でございます。門銀から七億ございますので、その他二十億につきましては、社債、投資その他の自己調達で目度が立つております。
  57. 江田三郎

    江田三郎君 だから二十八年度はよろしいが、二十九、三十という五カ年の二百三十億の計画はどうなつているのか。
  58. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 年度別につきましては、金融の趨勢の問題もあり、個々の会社の計画の問題もございまして、詳しい正確な年度別計画は立つておりません。五カ年後の最終見通しと同時に、二十八年度の計画について今申上げたような点が申上げられるということでございます。
  59. 江田三郎

    江田三郎君 これは非常に頼りないことになつてしまうじやないのですか、こういう五カ年計画が行われて値段が下るのだからということで、我々は片方の需給安定法のほうを一生懸命審議しているが、こちらの肝心の合理化のほうへ行つて聞いてみるというと、二百三十億の計画で五カ年で平均すると一年に四十六億円、それが二十八年の初年度においては僅かに二十七億円の実績、そうして二十九年以降はまだ何のことやらわからん、特に二十九年の開発銀行の分についてもまだアルフアーである、これでトン当りさつきの愛知さんのように十六ドル下げるのだと言つたところで、雲をつかむような話ですが、もつと答えはできないのですか、何もないのですか。
  60. 鈴木一

    ○鈴木一君 関連して……。この前の懇談会の席上で、柿手さんに合理化メーカー別の大体のプランを示してもらいたい、勿論これは資金計画も伴うわけでありますが、それは出しますというふうなお話でありましたけれども、そういう資料は用意されておるのかどうか、今の江田さんの質問に関連してお伺いしたいと思います。
  61. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これはこの前二月十五日に通産省農林省と両方で硫安関係法案関係参考資料というのを出しましたのに大体の概要が出ておりますので、それによつて御覧を願いたいのでありますが、今の資金につきましても、二十八年度の予定、二十九年度の予定、それからあと三十年度以降の予定というふうに一応推定をいたしたのでありますが、この計画を立てましたのちにおいて、二十九年度におきましても幾分の差異が起つて参ります。計画についても変動がありますので、この通りには行かないだろうと思いますが、大体の概要はこれで御覧を頂きたいと思います。
  62. 鈴木一

    ○鈴木一君 それ以上は出せないのですね、この前の資料以外には最近のこの新らしい事態に即応した計画というものは出せないわけですね。
  63. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 大体二月十五日の資料で……。
  64. 鈴木一

    ○鈴木一君 それでは不満足だから要求したのですけれども、それが出せなければいいですよ。
  65. 江田三郎

    江田三郎君 今の柿手さんの言われる資料で行きますと、二十八年度は三十一億になつているわけです。三十一億が二十七億になつたというのは、これはまだ多少うなずけますけれども、二十九年度においては六十六億ということになつているのですが、六十六億のうちで開銀の融資をどのくらい予定されておるのか、これは愛知さん、あなたは経審長官だからはつきりしておると思うのでして、一体この六十六億の内訳はどうなつておるのですか、二十九年度というのは今年ですよ、来年のことではないのですよ。
  66. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 二十九年度の開銀の融資の計画については、それぞれの部門におきましての計画というものは勿論あるわけでございますが、御承知のように、全体が非常に圧縮されて来ておりまするので、それと他の、例えばこれは率直に申しますが、過剰農産物の受入代金の剰余分の融資というような問題もございますので、その最終的な一年度を通ずる各産業別の配当というものについては、今ちよつと時間をかけなければ最終的な決定ということはできない状況にございます。それから実はこの硫安会社等につきましては、これも御承知かと思いますが、二十八年度の開銀の融資につきましても、その或る一部等につきましては、相当年度終りになつてから確定しておるものもございますので、これは単なる私としての胸算用でございますが、開発銀行関係では二十億円というところでございますが、大体最大限度十四、五億円というところで考えて、そしてこれを市中銀行その他との配分を考えて五年間の二百三十億の計画というものの一環を確立して参りたいと、こういうふうに考えておるのでございますが、くどいようでございますが、最終的に二十九年度に幾ら幾らと申上げるまでのところにはまだ行つておりません。
  67. 江田三郎

    江田三郎君 どうもそうなると、これは余り大きな期待をしてもあかんぞということになつて法案審議ができないようなことになるのですが、十四億くらいになるかも知らんということになると、差引すると自己資金、まあ自己資金の中にはいろいろの内容がありますが、それを五十億からということになるのですが、とてもそんなものを我々常識で調達できるように思われんのですが、それでも二十九年の六十六億或いはこれに近い調達ができるのですか。先ほどの局長の話では、資産再評価の何とかまで勘定に挙げられておりましたけれども、一体資産再評価の益金などというものを、こういう資金の二百三十億の中に計上するということは、私どうも合点が行かないのですが、それはどういう根拠でそんなことが言えるのですか。
  68. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは全然根拠がないとかいうような、何を根拠にしていいかわからんというような御発言もございましたが、全体としていわゆる緊縮予算、緊縮財政で行こうとしまする場合に非常な苦心がいるわけでございまして、抽象論としては非常な差があるように考えられるかも知れませんが、具体的に掘り下げてみますると、私は開銀のほうでもできるだけのものを、乏しい中でも配当をすることを考える、又会社側といたしましても、自己資金の調達についてはちよつと考えますると、非常に大きな計画のように見えまするが、この点は先ほども話がございましたように、会社側としても非常な努力を傾けてもらわなければならないわけでございまして、必ずしも借入金だけでなく、増資もございましよう、そのほかのいろいろの方法を併せ用いまして、全体としての計画を推進して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  69. 江田三郎

    江田三郎君 これはもう少し、愛知さんそう言われますけれども、そう簡単に我々は合点できないのですが、この計画通りに行かんのだというなら行かないでいいのです。それなら今の見通しで行つたら、この二百三十億の計画というものは最終年度まで行くのに何年かかるか、五カ年と言うているけれども、緊縮財政その他で五カ年で行けないというのであれば、七カ年に延びる、十カ年に延びるというならそれでもいい。もつと根拠のあるものでないと、今の説明を聞いても我々としては到底五カ年でこれができるということには合点が行かない。その点二十九年度は行かなくても、三十年度以降急に日本経済情勢が好転して、夢のようなことが起きて五カ年でできるという見通しであるか、こう書いてあるけれども、これは五カ年で行かない、十カ年かかるということなんですか、どつちなんですか。
  70. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほども申上げましたように、この二百三十億円というものは、過半という表現はいたしたはずでありますが、自己調達による資金の投入という計画をしておるのであります。それからこの金融関係のほうから来るところの合理化の結果ということについて、大体トン当り七ドルのコスト低下の計画をいたして参りたいと言つておるのであります。そのほかに先ほど申しましたように、操業度の向上によるコスト引下もございますし、それから石炭鉱業の合理化による炭価の引下等々によるコスト引下もございますし、金融関係以外の面からいたしますコストの切下によつてトン当り約九ドル、合計して十六ドルのコストの切下を期待して、これから鋭意推進して参りたい、こういうことを申上げたのであります。先ほども説明いたしましたときに申上げましたように、これらの一つ一つについて相当困難なことも考えられるけれども、それを何とか切開いてこの目標に向つて邁進いたしたいと、こういう計画で現在おるわけでございます。
  71. 戸叶武

    戸叶武君 その合理化には資金関係との密接な結び付きがあるので、それで質問がそういうところに行つておるのだと思いますが、こういうような資金計画で以てそれだけのコスト引下ができるでしようか。
  72. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは五カ年間におきまして、関係各社について二百三十億円の資金、それも現状の計画におきましては、最初の年度よりは或る程度中間からそのあとにかけての比重が多くならざるを得ないと思いますから、二百三十億の資金の投入ということができれば七ドル程度コストの切下げはできるということを計画に入れておるわけでございます。それから先ほど来申しておりますように、例えばこの電源開発にいたしましても、それは五カ年計画というものがびた一文間違わずに行けるかどうかということについては、これははつきりとその通り間違いないと今申しましたところで、それが増減することは結果において止むを得ないと思いますが、只今考えておるような電源開発の計画を推進して参りますならば、例えば電解法において七五%程度の操業度が上昇することにそのほうからなります。その関係から申しまして、例えば円にいたしましてトン当り千八百五十円程度は操業度の向上によつて引下がる計画に相成ります。それから石炭鉱業の合理化によりましてコスト引下ということが期待できます。そういつたことから計算いたして見まして、例えばトン当り千六百六十五円程度引下はできるものと考えます。それから同時に、何と申しましても全体を制約するものは生産量と、これが捌ける見込みでありますが、五年後の硫安生産量の見込みが約二百六、七十万トンと見ますれば、現在が二百二十二万トンでありますので、それが四十万乃至五十万トンの生産が殖えて、そうしてこれが海外にも相当捌けるわけでございます。その見込を確実と見て、そうして又全体のトン当り合理化のほうに振替つて計算をいたして見ておるわけでございます。でありますから、いろいろの条件がございますが、それらの条件が完全に満たされ、且つ総合された効果を挙げました場合に、かような結果になる、又何とかしてそういう方針でその線に乗るようにあらゆる努力を続けて参りたい、こういうふうに思つておるわけでございます。
  73. 戸叶武

    戸叶武君 先ほどの愛知さんの答弁の中に、資金計画で、過剰農産物の受入れに関して開発銀行のほうの金がそちらのほうに廻つておるというお話でしたが、それはどのくらいになつておりますか。
  74. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この点は私は率直にひそかに頭にありますことを申上げたのでありまして、直接に今考えられておりまする三十億円の中からこの硫安関係に出るという意味ではございませんで、例えば防衛関係産業等について、本来ならば市中銀行に負担がかかるであろうところのものが若干そのほうで調達されるということになれば、全体の資金計画の中から、こういつた硫安その他に対しましても、或る程度今予想するよりも先行き金額が多くなるのではなかろうかというようなことを、ひそかに私の頭にありますようなことを申上げたわけでございます。
  75. 松永義雄

    松永義雄君 只今江田さんの御質問に対して御答弁があつたのですが、自己資金調達によるというお話でありましたが、このことは何も私が申上げるまでもなく、誰でもが知つておることであります。政府の財政緊縮によつて二十九年度の頭金増加率が前年度通りに行かないということはよく御承知だろうと思うのです。市中銀行の金繰りも窮屈になり、従つて増資、社債一切が募集困難になる、こう言つておるのですが、その点はどうなんですか。結局思うようには資金が集まらないという点を否定されるのですか。いや、それは自己資金で、自己資金という言葉が当るかどうかわかりませんが、とにかく自己資金で株を募集したり、或いは市中銀行から金を借りて来たりすることによつて経営確保が乱れると、こういうことなんですか。
  76. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは先ほどから申しております通りに、現在の情勢においては借入金を多く計画するということもなかなか困難でございます。それから自己調達というのは、例えば増資をして、そうしてこれを何も金融機関だけに持つてもらうわけではございませんから、一般公募とすることも可能でございますし、証券市場に対する努力をするということも又努力の目標の一つでございますから、これも又安易に幾らでもできるということは毛頭考えておるのではないのでありますから、あらゆる努力で、とにかくこういつたような合理化資金を稼ぐということに努力をいたしたいと、こういうことを申上げたいのでありまして、自己資金ならば何ぼでもできるというような安易な考えを持つておるわけではございません。
  77. 江田三郎

    江田三郎君 愛知さんは質問に対して、先ほどから何遍も申しておると言うてうるさそうに言われておりますが、何遍言われてもはつきりせんことははつきりせんのです。これは大神伴睦さんがそう言われるならばそれでいいのです。大野伴睦さんに北海道の開発計画について聞いたときの答弁ならそれでいいのですが、あなたは一番数字のことに明るい経審長官で、一番こういう計画についてよく知つておられるかただから、人に聞かれてそううるさそうに何遍も言うておると言われて、はつきりできないということでは困る。あなたがさつき言いましたが、これは五カ年計画になつておるが、この五カ年計画になつているけれども、これは五カ年計画ではできないのだ、七カ年かかるか、十カ年かかるか、これは研究を要するのだ、そういうようなことになるのかどうかということ、いろいろ操業度向上というのも大きな要素に挙げられておるけれども、一番肝心なのは合理化ですよ。合理化ができなくてコストは下らん。それで輸出が振興するとは思えない。どんな輸出会社作つてもうまく行かんでしよう。操業度というのはそう上りはしない。合理化のほうが崩れて来れば、操業度のほうも崩れて来るし、いろいろな点で崩れて来るのですから、この操業度の向上について、大野伴睦流でなしに、愛知揆一流に一つ答えて頂きたいのです。
  78. 上林忠次

    ○上林忠次君 ちよつと……、これは勿論問うまでもないと思いますが、実はこの五カ年間に設備の改善だけでぐんと低下が認められる。ちよつと大きいような気がしますので聞くのですが、勿論これは資本、利子、償却は見ているのでしような。
  79. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 同じように見ております。
  80. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は決して、うるさそうにというのなら、私の顔付きが悪いのでありまして、どうも御勘弁願いたいのであります。私は非常に率直に申上げているつもりなんでありまして、その五カ年後の姿はこうやりたい、それを計画として申上げておるのでありますが、併し一つ一つについて検討をすれば、あなたの御指摘になりますように、不安定或いは未確定の要素はたくさんあるのであります。その間を縫うて、何とかしてこれでやつて行きたいということを申上げておりまするのと、それから現在与えられておる条件だけではむずかしいことであつても、今後の努力如何或いは情勢の転換等によりましては、今はむずかしそうに見えておりましても、今後の一、二年の間には、これが可能になるような要素も相当考えられるのじやなかろうか。とにかく私どもとしては、この計画に向いまして邁進して行きたいということを申上げておきます。
  81. 江田三郎

    江田三郎君 何かその奇跡を頼むようなことを言われるから困るのでして、それは一体何ですか、そのさつきMSAの三十六億円の金の問題が出ましたが、この問題については、これはまあ三十六億円の内容が、流安へ行くということは、一つも今まで言われたことはないのだから、直接行くことじやないと思いますが、或いは今度吉田さんがアメリカへ行つて、世界銀行からでも借りて来るというのですか。何とかもう少し、何かあるぞあるぞということを言わんで、あるぞじやなくて、あるかも知らんということを言わんで、もつとはつきりできませんか。世界銀行からでも入れるのですか、外資でも入れるのですか、どうなんですか。
  82. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 外資について、只今のところこの硫安について、積極的、確定的な考え方なり、或いはそういう話合というものはございません。
  83. 江田三郎

    江田三郎君 とにかくそういう答えになりますと、私どもこの五カ年計画というものは、少くとも今聞かして頂くだけでは、これは五カ年計画となつているけれども、五カ年ではできないのだ、奇蹟というものはめつたに来るものではありませんから、奇蹟は飽くまで奇蹟ですから、五カ年計画だけれども、これはこの通りには行かんのだ、こういうこととして受取る以外にないのですけれども、それは私の受取り方が間違つているのですか、或いはほかの委員の諸君がどう受取られるかも知りませんが、少くも私どもあなたの答弁から受取る限りは、この二百三十億円で、五カ年後に十六ドル下げるというのは、一応努力目標ではあるけれども、併し現実の今の情勢から言うと、これはなかなか困難である、七年かかるか、十年かかるかわからない状態である、こういう受取り方を私はします。それは間違いですか、私の受取り方が……。
  84. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは江田さんのおつしやることは、私から言うと非常に誇張して言われているように思うのであります。私といたしましては、先ほどから率直に申上げておりますように、不確定の条項もございます。或いはその通り行かないこともあろうかも知れません。そうすればその限りにおいて計画が調整されるということは、それは将来のことでございますから、予想し得ないことではないのでありますけれども、私といたしましては、現在できるだけの努力を今後傾けることによつて、この目標に向つて邁進をしたいということを申上げておるのでございます。
  85. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつて農林大臣お尋ねしますが、今の通産大臣の答えでは、どうしても私は愛知さんが何ぼ言われても納得行かんのですが、農林大臣としては、今愛知さんが言われた範囲においても、この五カ年後に十六ドル下るのだというようなことをお考えになつて、この需給調整法案の審議を我々に求めておられるのか、或いは需給調整法案の審議に当つては十六ドル下るということは、これは困難なことで、そうは行きませんということを考えた上で審議を求められておるのか、どつちなんですか。
  86. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この法案を御審議願いました、立案いたしましたところは、終戦後流安工業が殆んど壊滅をした昭和二十一年、二十三年当時の掛声として努力をいたしましたのは、何とか百万トンの硫安を作らなければならんということで、朝野を挙げて非常な努力が払われたことを回想いたしますと、今日二百二、三十万トンの状態まで生産が伸びて来たということは大変なことではございますが、従つて量的には国内の需要を充たして余りあるという状態に達しておりますが、丁度昨年の今頃、最もやかましうございましたのは、成るほど量はたくさんある、量はもう不足はない、併し国内価格が高くて、そうして国内需要の余り分を外国に、日本の農民に売るよりも安く売つて、即ち日本人の農民の負担において硫安輸出されておるということは、農村、農民の立場からして認めることはできないということが、この立案をいたしました元々であることは御承知通りであります。そこで私どもとしましては、それじや成るほど硫安国内で要るだけ作つて、百六十万トンなら百六十万トン、百七十万トンなら百七十万トンを作つて、それだけで硫安工業を持とうとすれば、勢い相当コストは高くなるのではないか、そこでできるだけの、幸いに極東各国に、日本に近いところに硫安市場を持つておるのだから、而も外国原料を仰がないで外貨獲得の有力な武器として輸出上に貢献できる産業であるから、数量もどんどん殖やして行かなければならん、併し今日の状況は外国との、極東市場においてすらドイツ等の製品に価格上競争にならんというようなことで、勢い安い価格輸出をしなければならん、安い価格輸出をすれば、内地の農村、農民にそれだけかかつて転嫁せられて来るという、この矛盾を解決しつつ硫安工業の発展を図つて行くためには、一面農家経済にとつて、何と申しましても肥料の需要というものは重大な関係を持ちますから、できるだけ価格を安くしてもらわなければならん、少くとも内地の農民の気持から言いますれば、少くとも価格は世界的レベルにおいて内地の農民に供給されるような形に速かに持つて行く必要がある。それにはこの出血輸出と表現せられるその分を決して内地農民に転嫁しないのだ、経理上、実質上内地農民に転嫁するものではないという形をここに一つとる必要がある。これが輸出会社という構想になつたことは御承知通りでございます。そこでこのコスト引下げて行くためには、今の施設の合理化も第一に取上げられなければならん、或いは石炭、電力の豊富なる、低廉なる供給という面からも考えられなければならん。そういうことで両々相待つてこの肥料の調整、硫安の調整を図つて行こうというのがこの大体の大筋でございます。これは今頃そんなことを申上げればどうかと思いますけれども、改めて私は申すべきじやないかと思う。そういう上から申しまして、今日の財政金融の現状からいたしまして、御懸念のように果して五カ年間に二百三十億の合理化資金の調達が可能なりや否やということは、これは何人も懸念するところでございますけれども、とにかく政府を挙げまして、この内地農家の要請に応え、又肥料工業のあり方からいたしまして、政府といたしまして、通産大臣が言われますように困難は予想せられますけれども、そういう趣旨のものであるから、この趣旨達成には全力を尽してこの法案目的を達したい、こういうことで私は通産大臣と全く同様な考えを持つております。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 この五カ年計画の今後の見通しについて今確たる御答弁がなかつたのですが、そこで私はこの五カ年の意味を伺いたいのですが、我々はこの五カ年というのはこういうように受取つているのです。五カ年の間にこれだけの融資をすれば、これだけ合理化になつて、五カ年後には日本硫安が国際価格の水準まで行く、であるから農民各位よ、それまで待て、又生産者の希望もあつて生産者もこれだけの融資をしてくれれば、五カ年間には国際価格まで我々は必らず引下げて見せます、こういうことで、現に我々の手許に来ているこの二法案というものは、そういう意味合で五カ年を目途として五カ年の臨時立法になつておると、こう思うのです。而もそれであるにかかわらず、二十八年度、二十九年度においては年次計画が非常に狂つておる。あと次の三年につきましても確たる見通しがないということであるならば、今からこの臨時立法についての五カ年の期限が一体いいか悪いかという議論も出て来ると思う。同時にそうならそうで、メーカーのほうに対しても、又農民に対しても、これはこの際この審議の過程において大体予想し得ることを予想して、そうしてはつきりすべきじやないか、こう思うのです。私は通産大臣がいろいろ御苦労なさつておられることはわかります。この年次計画が狂つていることをどうこう言うのではない、これは殆んど不可抗力的な問題でありますから、この責任をどうこう言うのではありませんけれども、この五ケ年の当初の計画が果してこのまま見通し通り行くか、行かないかということにつきましては、十分これは双方腹を打割つて率直に検討して、若しそれが事志と違つて、五カ年計画は少し今日になつてみれば無理であるということであるならば、臨時立法の五カ年という期限についても私は検討しなければならんと思う。この五カ年というのは、臨時立法でこの五カ年という期限を付けたのは一体どういうところから引つ張つて来られたのか、私の承知している範囲では、合理化五カ年計画に調子を合せて五カ年ということにしたのかと思うのでありますが、そうではございませんか、その因果関係はございませんか。
  88. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 御指摘のように臨時法にいたしました理由は、合理化の計画というものを五カ年という目標にいたしまして、その範囲で限定法として五カ年の臨時立法ということにいたしたのでございます。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうであるとすれば、これは愛知通産大臣並びに農林大臣が今如何に努力されましても、今の経済状態からいつてすべて五カ年という計画通りに私は行かないと思う。そうであるならば農林大臣は農民に対して五カ年という約束をしたけれども、これは七カ年間待て、もう七カ年待つていれば、その間に国際水準まで日本硫安も下がるから、それまでは国際価格よりも少し高いけれどもお前たちは我慢しろということを私ははつきり言うべきだと思うのです。それを期待し得ない、これは五カ年後には、この法案の期限の切れる頃には日本硫安も国際価格の水準まで行くのだ、そのときは外国から肥料を買つて日本国内の肥料を買つても同じになるのだ、こういうことをこの法律を通じて農民に約束しているわけなんです。でありますから、私は何もこれにとらわれることなく、この段階に来て五カ年でいけなければ七カ年でも八カ年でもいいと思うのですが、そういう点は如何でございましよう。
  90. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 実は観点をこういうふうに変えて御覧頂くことも一つじやないかと思うのでございますが、私はこの際はどうしてもこの五カ年ということで遂行いたしたい、これは非常に強く考えておるのでございます。同時に昭和二十九年度或いは三十年度も入つてるかも知れませんが、これはいわゆるデフレ的な財政金融政策をやつて、引締めをここで新たに決意しなければならない国際経済の中におきましても、これが非常に大事な転機であると考えるのでありますが、私どものこのいわゆる財政金融の引締、超引締とまで言われるようなこの政策というものは、できるだけ早くここ一、二年で所期の目的を達成して、そうして経済力の充実に向いたい、こういうふうに考えておるのでございまして、例えば先ほどお話が出ましたが、自己資本の調達或いは資本の蓄積の状況がデフレ政策のために多少最近鈍化しておる、そのためにますます自己資金の調達などがむずかしくなるのじやないかということも御指摘になりましたが、それも勿論そうでございます。併しとにかくこの五年という計画から申しまして、何とかしてこれは三十年度から三十二年度までもあるわけでございますから、その間において、只今所期しておりますような充実された経済基盤の上に立つて、これらの必要な資本というものを造成することは、私は現在の努力の対象として当然考えていいことであり、又ここに相当の期待を持つて然るべきじやないかと思うのであります。
  91. 江田三郎

    江田三郎君 くどいようですけれども、何遍聞いてもよくわからんのでして、それでそういうようなことがうまくいかんということになると、例えば輸出会社にしてもこれは動きの付かないような欠損を出して行くのじやないか、そういう面も出て来るのじやないかと思うのです。私はこの前にも愛知さんにお尋ねしましたが、どうしたところで愛知さんが五カ年で十六ドル下げなければならんと、こう考えられるのは、これは愛知さんのお考えだけでなしに、我々もそれを念願するし、同時に肥料会社としても将来の自分たちのことを考えたら、ここでどうしても資金の開銀から廻つて来ない分は自己調達によつてでも合理化をやつて行かなければ、日本硫安工業というものは本当の健全な姿にはならんわけです。そういう硫安会社が一方においては平均二割の配当をしておる。で、勿論配当が高いことが自己農林資金を調達するのに便利であるというような逃口上があるかも知れませんが、併しそんなものはただその日稼ぎのその場その場で勝負するところの証券会社流の言うことであつて、本当の企業では、健全経営から言うと、やはり今はどうであろうと、将来潰れるような企業では仕方がないわけです。だから通産省のほうではこうやつて特別の資金斡旋も無理しながらもこうやつてつて行きながら、少くともそういうような我々から見て過配と思われるような配当等については或る程度抑制をしてでも、この自己資金の蓄積のほうにもつと本気になれんか、こういうような御用意でもありますか。
  92. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この硫安会社につきましては、他の大部分の産業と同じように、いわゆる私企業として経営をやつて参ります株式会社でございますから、只今御指摘のございましたように、自己貸金の調達というような面から言えば配当というようなものも相当大きな要素として考えられなければならないと思います。併し同時にこれは他の例を挙げるのも如何かと思いますが、例えば私立の鉄道会社、いわゆる私鉄でありますとか、或いは電力会社でありますとか、これらのものも株式会社としてやつているのではございまするが、それぞれについて配当等については公共的な立場から必ずしも法規上これに制限を加えるというようなことはやつておりませんけれども、実際上の話合なり、指導なりにおきまして、そのときそれの一般金利の状況ども十分勘考いたしまして、それぞれ所管のものが適当な指導をやつておるわけでございます。従いまして、今回この御審議を願つております法律案が成立いたしますれば、例えば生産原価についても十分な資料を整えまするし、それに基きまして十分の資料を以て話合もできるのでありますから、只今御指摘にありましたような点は、政府側におきましても十分に考えて参らなければならないことであり、同時に会社側或いは株主側においても同様の配慮というものが必要であろう、こういうふうに考えております。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 ついでに今の問題でもう一つお尋ねしたいのですが、硫安コスト引下に非常に将来重大な関係を持つのは、合理化の半面に電気料金の問題だと思いますが、これは単に硫安工業に限りませんが、電気料金はこの春、電気会社から値上の要求がありましたが、通産大臣の御努力によつて一応値上は延期にはなりましたが、将来の電気料金の値上の問題についてのお見通しを一つ伺いたいと思います。
  94. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 電気料金の問題につきましては、只今お話がございました通り、本年の一月に九電力会社から電気料金の値上の申請が出まして、その後政府におきましても非常な慎重な態度で各方面から検討を続けて参つております。去る三月末には公聴会等の意見をも十分に徴しまして、なおそのほかにいろいろと措置し、或いは考究しなければならん要素があるように考えましたので、それら諸般の要素についてそれぞれ助成の措置を談ずる、或いは将来の対策を講ずるというようなことでだんだんと検討を進めて参つておりますが、今日まだその結論を最終的に申上げる段階になつておりませんので、やはり三月末同様に申請案はまだ預り放しになつておるような状況でございます。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、通産大臣は、一応電気料金はいつかの機会には多少の値上を認めてやらなければならん。今併しその時期についてはまだ検討中である、こういう御答弁に受取つていいですか。
  96. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 現在のところ率直に申しまして、上げるべきか、或いは上げずにやるということをきめるべきか、或いは仮に上げるとして、その時期をどの程度の時期にし、どの程度のものにするかということを一切含めまして、今のところまだ結論が出ていないわけでございます。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは影響するところが非常に大きいので、大臣もこの言明はなかなか慎重であることは尤もでありまして、あえて私はこの言明を求めようとしませんが、それでは硫安工業だけに関しまして伺いますが、仮に将来電気料金の価上をすることがあつても、硫安工業への電気料金は特別に扱つて、これは措置措置をとる、こういうことは私は言えるのじやないかと思うのですが、それは如何でございますか。
  98. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 実は私といたしまして、まだ当局としての結論を得るに至つておりませんので、只今の話は、仮に上げる場合にはというような前提が付いておりまするので、私といたしまして、その前提の下にちよつとお答えがしにくいのでございますが、御趣旨のほどは十分私わかるのでありまして、慎重に検討いたしたいと思います。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそういうようなことを伺うのは、その硫安工業合理化五カ年計画の中には、将来電気料金が上るであろうという要素がちつとも入つておりませんね。入つておりますか。
  100. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 二三%程度の値上りを一応考慮いたしまして、操業度の上昇によるコスト低下を差引きしている、こういうことでございます。
  101. 河野謙三

    ○河野謙三君 その二三%値上りということを予定しておるのは、これは大体について、二十九年ですか、三十年ですか、三十一年ですか、三十二年ですか。
  102. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論電力料金の値上は先ずどの程度の幅であるかというものは、これは我々として予測できませんので、一応五カ年間に二三%程度上るものというような想定をいたしておるわけであります。
  103. 河野謙三

    ○河野謙三君 併し五カ年計画の中に、年次計画で本年度は幾ら金融して幾ら合理化をして来年は幾ら幾ら、こういうことがあるのでしよう。そうじやないですか。
  104. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 御指摘のように、このように年度別計画を具体的な数字で編成することが必要でありますことは御指摘の通りでありまするが、金融の問題もあり、又電力料金の値上の時期等について、これも一応仮定して処理するということも如何かと思いまして、五カ年間の見通し、近い限りにおいての年度については、二十八年度、二十九年度について今言つたような資料の程度考えております。
  105. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあちよつとわからない点がありますが、通産大臣、五カ年計画の中には電気料金は二三%までは一応上ることを認めて計画しておるのですか。そうすると、通産大臣が将来日本の電気料金の値上を認めるという時期が来ても、仮にそれが全般的には三〇%であり、五〇%であつても、硫安工業においてはどこまでも限度はこの合理化の内容になつておる二六%以内で通産大臣はこれを抑えて行く、こういうことは通産大臣責任でしよう。その点は責任を持つて頂けますか。
  106. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その五カ年計画の中に、基礎といたしましたものがさようになつておるという限りにおきましては御指摘の通りでございます。ただこの点はもう一つ附言さして頂きたいのでありますが、電気料金の問題につきましては、電源開発の計画と照応いたしまして、一般論として資本費が増嵩する場合に、一定の仮定の下においては一・二、三倍でございましたか、この五カ年計画の基礎になつておりまする程度のものは上げざるを得まいというのが、経済理論としても一つの研究の結果といたしまして、約半年乃至十カ月くらい前に一応その道の権威者の間でできていました結論でございます。で、一応それを大事をとりましてこのコスト計算の中の基礎に入れたのでございますから、私といたしましては、それ以上になるというようなことは考えたくないと思います。
  107. 上林忠次

    ○上林忠次君 ちよつと関連して……。前に電気料金の値上の問題があつたときに、肥料に対する電力はどうなるのかという質問をしたことがありましたが、中村さんだつたと思いますが、肥料に対しては余つたときの電力を有効に使つてもらう、そいつを単価を安く提供する、而も工場が運転しにくいような供給の仕方でなしに、円滑に運転できるような供給の仕方で何とかこの電力は肥料の製造については上げないつもりだということを聞いたつもりでいますが、そんなことありませんでしたか。
  108. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 私自身が電力料金につきまして委員会等でそういう説明をいたしたことはございませんが、まあ私の想像で、御指摘のような点に触れて一応申上げますと、電力の量の問題或いは質の問題その他につきましては、これは非常に大口の需要の多いものでございますので、従来特約料金制度というものをやつておりますが、その線に沿うての考え方を或いは他のかたが御説明いたしたかと思います。
  109. 上林忠次

    ○上林忠次君 そのときの話では、先ほど申しましたようなことで、現在でも国際価格に比べて相当高い肥料に対して特に電力が大きなコストの元をなしているというので、これについては上げるようなことがないようにするつもりだということを聞いておりますので、この点も御承知置きを願いたい。
  110. 松永義雄

    松永義雄君 関連。先ほど自己資金お話が出ておつたのですが、この中で配当率の点も出ておりました。この硫安会社の配当率を見ると、二割五分というのが三つばかりあつて、最低が一割ですけれども、一割五分、一割八分・相当高率なこれは配当と見なきやならん、常識上高率配当、で、こういう高率な配当は増資するときに都合がいいからと、こう言うのですが、併し少しまじめに考えたら、増資のために高率配当をしたらいいなんということでなく、その会社を堅実にして将来株主に対して心配させないようにすべきだ。一体どの辺の標準が今の産業政策として会社の配当率として相当であるか、それを一つお伺いしたい。
  111. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは一般的な問題といたしましても、御承知のように終戦後累次の経済の変動の関係で、日本会社の組織というものが、資本金が不当に低いというのが過去における事例であつたのであります。不当にということは言過ぎかも知れませんが、現実の問題として資本金の額が正常な場合と比較いたしまして過小であつた。そういうところから非常な高率の配当ということが世の中の常識になつたような傾向もございまして、そういうような関係から、一概にどの産業についてはどれだけの配当が適正かということは、これは一口にはきめにくいと思うのであります。そこで私ども考え方は、資本構成を合理的にしなければならない、そのために再評価の強制的な措置ということも併せ考えまして、資本金の額というものを適正に増大してもらう、そして会社経理の内容というものが合理的に、経営者には勿論でありますが、従業員にも或いは株主にもはつきりした姿がつかんで頂けるということになれば、おのずからそこに配当の率等については適正な姿が現われて来る、これを期待しておるわけでございます。それから第二に、先ほどもちよつと触れましたが、私ども自由主義の建前から申しまして、いわゆる公共的な企業についても普通の株式会社の姿のものが相当多いのでありますが、それらの会社の営みまする公共的な事業その他の性格に鑑みまして、今後におきましては適正以上の配当というようなことが経営者の自省により、或いはその他の反省によつて余り高くないようになることを期待いたしております。それから第三には、先ほど触れましたように、生産費、コスト等について統制によつていろいろ調べることができるということになる。この肥料工業のごときものにつきましては、その調査等を通じまして、話合なり指導なりによりまして適正と思われるところにとどめることにやつて参りたい。これは一概且つ一律に何会社は何割以上はいけないというようなことは私は言いにくいものだと思います。
  112. 松永義雄

    松永義雄君 愛知さんは、その兄貴分だか、親分だか、池田大蔵大臣以来繰返し述べられていることと同じような考え方で、株式の金額が少いのでインフレになつているから、その割合で余計配当してやる、こういうのですが、それはあなたの考え方は株主に対する利益のための観点から配当率というものを考えておられる。併しこの硫安会社は、もう先ほど来くどくお話なつたように、政府資金を開発銀行を通じて融資をする、而もそれは極めて安い金利、そういつた政府、即ち国民が硫安は大事であるといつて、そして注ぎ込んでおるにかかわらず、株主だけが世間に外れてそういう高率な配当を受けるということはそれは成立たないじやないか、少しは国民の立場をお考えになる必要があるんじやないか、で、池田さんは尤もな理窟を言つて、そう言えばそうだなと言つて大蔵委員の一部を引下がらしめておつたのです。併し事今日に至れば相当増資もしておるのです。そこへ持つて来て再評価をしなければならん。如何に今まで企業会社が不当なことをあえてしたかということが、今度再評価法ではつきり裏書きされているのです。不健全な経営をやつておる。その点のもう議論はやめますが、更に最近大蔵省で問題になつている交際費の問題です。漸く交際費には税金をとる、こういうことになつて来た。細かいことは申上げることはないと思うのですが、このことはうるさく大蔵委員会で我々は交際費を問題にした。最近になつてそれがリベートとか、いろいろなことに関係して来たものだから、あわてて交際費に一部税金をかけるという建前をとつて来た。ところが今ここに通産省から出されて来た交際費の額をちよつと読んでみますと、東北肥料の二十八年度の上期の交際費だけで四千万円、下期が四千九百万円、約一億円です。二十八年度の財政投融資産業合理化のためには七億円だ、こう言つているのです。一会社で一億円なんていう交際費を使う。如何に大蔵省資本家の出先だといつても、見るに見かねて、そうして交際費には税金をかけなければならんという考えに落ちて来た。我々がそれに輪をかけてうるさくはつたりをかけるのは当然なことだ。而も二十八年度の交際費を見ると一億円ですよ、一つ会社を見ても……。その裏に隠されている貸借対照表や、或いはこれは経理士に見させりやすぐわかる。無駄な経費がどれくらいあるかわかりやしない。それだから先ほど来僕はえらく総論的なことを言つたのですが、日本産業の建直しのために企業家はまじめを欠いている。このお考え一つ……。
  113. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今交際費の問題が出ましたが、これは松永委員よく御承知と思いまするが、第十四国会か、第十五国会のときに、政府といたしましては、交際費等についてこれを預金と見ないという趣旨の税制改正案を提案いたしまして、審議が未了になつたことがあるくらいでございまして、政府といたしましては、その当時からこの問題について、税法上の取扱いについては只今御指摘のような議論も十分尊重いたしまして、常に関心を持ち続けて参つたわけでございます。今後におきましては、幸いに多年の懸案でありました法律案の一部がたしか成立したはずでございますから、それに則りまして、政府としての措置がとれることになるわけでございます。それから只今特定会社について特定の数字をお挙げになりましたが、私はそのことはちよつと率直に申しまして知りませんでしたから、調べました上で御納得の行くように御説明をいたしたいと思います。
  114. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今松永委員の御指摘になりました交際費の問題でございますが、東北肥料というのは日東化学の間違いと思います。なお、そういうものについて、これは多いのでありますが、他の事業を兼営しておりまして、肥料関係は約三分の一以下であります。
  115. 松永義雄

    松永義雄君 一行読み違えたのです。結局まあ何も先ほどあんな大きな声で総論的なことを申上げることもないのでしようけれども、実際もう数字を見るというと、我々が経済をやつてみるのと比較して如何に無駄が多く、而も財政投融資の我々の血税を注いでいるのですよ、そうして今国際収支がやかましく、硫安が高いといつて農民が騒いでいるときなんです。どこまで一体保護を硫安会社に加えたらいいのかと、こつちは言いたくなる。これはまあ今輸出会社といつて硫安がえらく内地で高く、それを下げるために輸出会社を作る、一応尤もらしいが、これが安くなつたときに逆に硫安を高くとどめて賢くという一つ考え方にも悪用されないとも限らない。従来の戦前におけるすべてカルテル、トラストというものは消費者をいじめるための組織あつた、それだからこそ独禁法の改正は先行き我々は考えて反対している、すでに最近系列金融ということはあなたよく御承和の通りと思います。余り演説みたいになつて恐縮ですけれども、とにかくもう少し企業会社に対して勧告するなら勧告してもいいでしようけれども、もう少しまじめにやらなければ、経団連の親方が硫安会社に入つているということが新聞に出ているから、一つ十分御注意願いたいと思います。
  116. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今松永委員の御意見は、私も同感するところが非常に多いのでありまして、それらの点につきましては、それらのことも考えまして、是非こういう法律案につきまして、政府の立場も今よりもずつとすつきりするような形にして頂くという意味合におきまして、こういつた法律案の御審議をお願いしたいと考えるわけでございます。
  117. 河野謙三

    ○河野謙三君 先ほどの質問に続きますが、まあ電気料金の問題は一応計画の範囲内で責任を持つてやる、こういうことでありますが、その他石炭もあるし、いろいろありますが、私は過日来通産大臣のおいでにならんときにしばしば申上げているのですが、この合理化計画は外国のことは何も考えていないのですよ。要するに親父が年とることは考えずに、自分だけ年をとつて、それで親父の年にくつくと思つているのですよ、こつちが五年経てば向うも五年経つのですよ。而も終戦後の例えば一つの例が西ドイツ産業の復興の状況日本産業の復興の状況を比べますと、向うのほうの速度がよほどピツチが上つているわけです。そういう点から行きまして、よほどこの通りに行きましても、結果は必らずしも私は国際価格にマツチしないのですよ。それを去年と二年度において非常に齟齬を来たしておるということでありますから、私はほかならない本当に尊敬するところの通産大臣でありますから、必らず誠心誠意おやりになると思いますから、私はあえて申しますが、どうぞ一つ今から投げないで、今後あとの三年の間に急ピツチで一つ追いかけてもらいたい、こう思います。そこで更に私は江田さんの質問に関連してお尋ねしますが、輸出会社というものは必らずこれは赤字が出ますね。この赤字の処分について政府責任を持たんと、こういうことになつておりますけれども、これは一体その出た赤字は一体尻はどこへ行くのでしよう。これは私は一つはつきり伺いたいといます。
  118. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私はこの輸出会社にできまする赤字は、これを構成するメーカーになし崩しで背負わせる、それ以外のところへは持つて行かない、この処理は……。この点がこの法案一つの骨子になつているという考えでございますから、これはメーカーに完全に背負わせるということに行かなければならないと思います。
  119. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、この五年の間に赤字に赤字を積重ねますね。そうすると、五カ年経つたその後においてメーカーに背負わせるのですか、その五カ年の計画年次のうちにおいて毎年々々赤字をメーカーのほうに背負わせるのですか。これを一つ伺いたいと思います。
  120. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これからの努力の方向といたしましては、前々から御説明申上げておると思いますが、合理化の努力をできるだけするということ、それから輸出についてできるだけの努力をするということ、そういう努力をない合せまして、できるだけ早くその損失が処理されるようにいたしたい、こういうふうな考えを持つております。
  121. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、私の伺つているのは、その損失の処理の仕方を具体的にどういうふうにお考えになつているかということを伺つておるのです。
  122. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸出会社に五カ年間に赤字が出るかどうかという問題でございますが、建前といたしましては、先ほど来問題になつております合理化を推進して、できるだけ国際生産コストのベースに乗つて参る。それによりましてまあ当初予定される赤字を、この合理化によりまする努力によつてできるだけ解消して行くという建前をとつておるわけでございます。勿論この輸出価格輸出会社の成立によりまして、競争によつて安売りするというような傾向が除却いたされます輸出価格に対する有利なことも考えられます。それともう一つは、更にこれは輸出仕向地におきます問題と関連いたしますが、西欧の硫安を東電アジアに持つて参る場合に、日本から例えば近隣の国に輸出する場合に、船運賃において大体四、五ドル日本側は有利でございます。勿論船運賃は非常に安くなるという場合も考えられますが、普通に考えられます船運賃の状況から見ますと、朝鮮でありますとか、台湾でありますとか、或いはやや南に行きました地域において考えますと、大体四、五ドルの有利性はございます。そういつたような点を考えますと、大体国際並みの生産コストに持つて行けば、日本側の輸出価格というものは非常に有利になる、こういう工合に考えて、輸出会社の赤字処理ということを只今申上げました諸点で解決して参る。最悪の場合に生じます赤字については、只今大臣が申しましたように、メーカーの自主的処理に任すというような、企業合理化の審議会でも設置いたしまして、それで処理して参る。
  123. 河野謙三

    ○河野謙三君 私が伺つておるのは、そういうことを伺つておるのではないのです。失礼ですけれども、そういう的の外れた御答弁をなさることは議事の引延しで、政府が議事を引延しておる。我々はこの法案を早く上げたくて質問したくて急いでいるから、簡明率直にお答え願いたい。いずれにしても赤字の出る見込はいろいろ違うでしよう、あなたのほうはできるだけ赤字を少くすることに政府も大に努力するでありましよう。でありますけれども赤字の出ることは会社の性格上間違いありませんね、出た赤字をどういうふうに処理するかということを私は聞いているのです。メーカーに吸収させる、それならメーカーに吸収させるなら合理化の五カ年のこの範囲内においてやるのか、それともこの会社の期限が切れた五カ年後において、五カ年後から先の何カ年かにおいて処理されるのか、これを伺つているのですよ。
  124. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論建前といたしましては五カ年間にこれを処理するという建前でございます。輸出会社合理化輸出会社が当初に考えられました赤字というものにつきまして、生じました赤字をできるだけこの五カ年間における合理化によつて順次減らして参る、そういう一応建前でありまするが、それが困雄であるというような場合におきましては、勿論この株主でございますメーカーに自主的に処理せしめる、こういう建前でございます。
  125. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今のお答えは非常におかしいのですがね、五カ年の範囲内において出ました赤字をメーカーに処理させるということは、これはこの法の建前で国際価格国内価格を完全に遮断するという法の精神と全く違うのです。これはメーカーが五カ年の間に吸収するということは、これは取りも直さずその損金は日本の消費者である農民がその損金を負担すると、こういう結果になるのです。それはどのようにおつしやつたつてそうなんです。算術上そういう答えよりほかに出ないのです。そういうことで間違いありませんか。    〔江田三郎君「大臣からはつきり答えて下さい。それでは損失を農民にやはり負担さすことじやないか」と述ぶ〕
  126. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この輸出会社に生じるでありましようところの損失は棚上にいたしておきまして、その間勿論できるだけその損失の量というものを少くする努力はあらゆる面でやりますけれども、そうしてその後におきまして各メーカーの自主的な処理にやらせる、こういうのが肥料審議会の御答申がありました線でございまして、それを踏襲いたしておるつもりでございます。
  127. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、その棚上するということは、五カ年間は完全に棚上しておいて、六カ年後においてその棚上したものをメーカーに適当に処理させる、こういうことでございますか。
  128. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) そういうふうに考えております。
  129. 江田三郎

    江田三郎君 さつきの局長の答えと違うじやないですか。
  130. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 今私が申しましたところが一貫したこの法律案考え方でございます。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで私はもう一つこの赤字の問題で取越し苦労でありますけれども、特に私は通産大臣にお願いしておきますが、これは私はむしろ赤字を出すべきだと思うのです。それをこの五カ年の間において赤字を少くする努力をされることはこれは私非常にいかんと思うのです。それはなぜかというと、硫安輸出してバーターで砂糖を入れる、バナナを入れる、こういう貿易過程において、この赤字をできるだけ吸収させようということは、この硫安工業合理化の蔭に、例えば砂糖なら砂糖を不当に高いものを入れなければならん、バナナならバナナを不当なものを入れなければならん、こういう結果になつて、これは取りも直さずこの赤字を少くするという努力の蔭には国内の物価に影響がある、消費者価格に転嫁することになる、でありますから、これはどこまでもこの勘定から出て来る赤字というものはすつきりと私はして頂きたいと、こう思うのです。同時に私の希望からすれば、先ほど松永さんがいろいろ赤字についてメーカーに保護、援助することはいかんとおつしやいましたけれども、私はあなたのほうのお答えとは違うのですが、五カ年間に出来ました赤字は赤字、棚上したものは即私は国の負担でやるべきだと思う、これを六カ年以後はメーカーに吸収さすことは、どうしてもこれはやはり私は農家負担だと思うのです、何と申しましても……。だから私はすつきりと赤字は出して、出したものは、その終局において棚上した赤字というものは国の負担において、その後において国の支出において、国民全体の負担において、私はこれは処理すべきものであつて、農民だけにおいて私は処理すべきものではないと、こう考えますが、これについて大臣の御答弁を伺いたい。
  132. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほど申上げました通りでございまして、この赤字が出るということをすつきりした姿ではつきりさせておくということにつきましては、勿論そういうつもりでございます。それから五年先になりまして、この棚上された赤字というものを処置いたしまする場合は、これはメーカーの自主的な処理において処理をするという、この肥料対策委員会の答申にございました通り考え方を今私どもは持つておるわけでございます。
  133. 河野謙三

    ○河野謙三君 対策委員会はそういう答申をしたかも知れませんけれども、これは私一人が議会を代表するわけではありませんが、メーカー負担において処理するということは、結局日本の農民階層のみにおいてこれを負担するということに帰着するわけですね。そういうことは、対策審議会の結論がどうであろうと、我々はそれに反対です。これは国民全体の負担において処理すべきものであるから、それは言葉を換えて言えば政府負担において処理すべきものである、その間において、赤字は結論において政府負担するのであるから、これは輸出会社については厳重な監査、監督を要する、そこでこの法案修正にありますように、審議会は輸出会社の重要業務については特に監査、監督を必要とするという規定を入れましたのは、衆議院の修正も私の言いました気持がここに現われていると思いますが、審議会の答申は別として、大臣個人の意見を承わりたいと思つております。
  134. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は肥料対策委員会ということを申上げましたが、それはたまたま肥料対策委員会でもそういう答申をなさつておるのでありまして、それを立案をいたします政府側といたしましては、これを取上げたわけでございますから、先ほどの答弁以上には申上げられないと思うのでございます。
  135. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、私が今申上げた考え方は、全然大臣は価値がない意見だと、こういうことですか。
  136. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 御意見として承わつておきます。
  137. 上林忠次

    ○上林忠次君 そうすると、ダンピングは国家で補償してやるということで、世界競争場裡に出て行くということになると、ダンピングだと、それは国際通商の信義か何かで国際間の問題になると思うのですが、そんなことはないのですか。
  138. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私はその点は率直に言つて虞れがあると思います。それで私は先ほど来申しておりまするように、肥料対策委員会の答申の線と、それから私ども政府の立案者の線とが全くこの点においては一致しておる、こういうことを申上げたわけでございます。
  139. 松永義雄

    松永義雄君 簡単ですけれども、ここで輸出会社を作るのに誰が株主になるのですか。
  140. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 法律的に申しますと、この硫安工業合理化及び臨時輸出調整法の附則のほうに、通商産業大臣が指定するという条文がございまして、政府といたしましては、硫安メーカーを指定いたすわけであります。
  141. 松永義雄

    松永義雄君 特定多数の会社株主ですか、不特定多数ではないのですね、そうすると……。
  142. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論硫安関係の業者は十四社でございますので、十四社指定いたすつもりでございます。
  143. 鈴木一

    ○鈴木一君 輸出をすると赤字だ、出血だという前提に立つての議論だと思います。私もいろいろ私なりに検討した結果では、そうメーカーが言うほど大袈裟な赤字が出ていないというように私は考えているわけですが、大体赤字である、出血であるという前提でのお話なんですが、それでは生産費というものを通産省なり、農林省が相当正確に調査して、そういう赤字だとか、出血だとか言われるのか。若しそうであるならばその資料を隠さないでここに出してもらいたい。今まではそういうものはないのだというお話でありましたが、今のお話では調査した上で赤字だということを言われておる。それならば隠さないで資料を出してもらいたいと思います。
  144. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問でございますが、通産当局の事務の下において検討したものにつきましては、当委員会に秘密会の形式で御説明いたしました。この秘密会で御説明いたした以外にはございません。
  145. 河野謙三

    ○河野謙三君 通産大臣、私はしつこいようですけれども、先ほどの私がこれは国民全体の負担において処置すべき性質のものだと、こう申上げたのですが、今そうすることはダンピングになるという虞れが多分にあると、こう言われましたが、これはそういう見方もあるでしようけれども、まあ通産大臣も去年ずつと欧洲を廻られましたが、私は一年先だつたのだが、一年先だからあなたが行かれたときとは違つたかも知れませんが、これは欧洲の各国に、例えばドイツにしろ、フランスにしろ、硫安行政を調査して来ました。それによると完全に輸出については免税であるとか、又国内価格に転嫁するとか、いろいろな面でこれは処理されておるわけです。これは完全にダンピングだと思う。それを現にやつておるのです。私はそういうふうに調べて来ました。私は国内価格に転嫁するということはいかんと、欧洲でダンピングをやつておりますけれども、少くともこれは国民全体の負担において出て来た赤字というものは処理すべきだという私は強い主張を持つておるのでありますが、これはこれ以上は議論になりますから、又それこそ私が議事引延しというようなことになつてもいけません。これはよくお考え願うとして、又いずれお目にかかつて御意見を伺いたいと思います。次にたまたま松永さんから御質問がありましたこの発起人は、通産大臣は発起人を指定して会社の設立に関する事務を処理させると、この発起人が今伺いますと硫安十四社ということを考えておられるようですが、硫安十四社全部を仮にあなたが指定した場合、これもこういう赤字の出る会社でありますから、こういう会社の発起人は御免をこうむるということを言われたら一体どうなんでしよう。断わる理由はありますか。
  146. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 法律的には御質問通りであります。法律的には勿論指定いたしますが、拒否することはできます。義務を負わしておりません。
  147. 河野謙三

    ○河野謙三君 断わることができると、そこで私がもう一つ伺いたいのは、この発起人をどういう理由で硫安会社だけにこれを限定されたか。これはむしろ貿易会社的性格を持つておるものですね。この会社は……。でありますから、硫安会社だけに限定しないで、これにはむしろその道の専門家であるところの貿易会社を加えることが、むしろ私はこの性格と合うのじやないかと思いますが、この点はどういうわけで硫安メーカー会社に限定されたか、この理由を一つ伺いたい。
  148. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 理由につきましては、先ほども赤字輸出によりまする赤字処理につきましては、硫安製造メーカの自主的処理によらしむという肥料対策委員会の答申もあり、又その答申が適当であるというふうに政府において考えましたので、十四社以外の貿易業者等を加えることが不適当である、こういうふうな工合に考えております。
  149. 河野謙三

    ○河野謙三君 赤字が出るから硫安会社以外は迷惑であろうから指定しないのだと、これが理由ですね。赤字があつてもいいから、これは貿易会社一つ一口乗せてもらいたいというふうに希望がありましたらどうします。
  150. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) メーカーの自主的処理に任せるということが適当でありまするので、硫安会社を勿論指定いたすのでありますが、貿易商社にその赤字処理を負担せしめるということは、制度の運営としましては、むしろ貿易商社は輸出業者の下部機関と申しますか、商取引の実際を担当いたします面で協力いたさせまして、この輸出による赤字についてはメーカー自身が処理することが一番適当である、こう考えたわけであります。
  151. 河野謙三

    ○河野謙三君 でありますから、先ほど申上げますように、メーカーだけと限定したのは、赤字会社であるからそれは硫安メーカーだけにすると、こういうことに尽きますよ、今のあなたの御答弁は……。あなたのほうは非常に御親切に、通産省はなかなか貿易会社の育成は御熱心とあるから、そのかわいい貿易会社に赤字会社の発起人にすることはかわいそうだ、若し私が申上げるように貿易会社が、これは単に硫安輸出だけじやなしに、これには又向うから買つて来るものもあるのだし、この硫安貿易を通じていろいろ又特点もあるから、これに入りたい、こういうものがありましたらそれは拒みませんか。そういう意向さえも聞かないで、ただあんたのほうが迷惑であろうから、お前のほうはこれは入れないというのですか。これは私がしよつちゆう言うように悪女の深情けというものだ、どうするのです。
  152. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 同じ御答弁を申上げて恐縮なんでありますが、私のほうの建前といたしましては、硫安工業自体の国際的な意味におきまする不利な立場、これを解消する方法として合理化ということを促進いたす建前にいたしておりますので、硫安会社の自主的な処置という制度を設けることが本問題を最も適当に片付ける方法だと考えております。
  153. 松永義雄

    松永義雄君 先ほどちよつとお尋ねしたのですが、御答弁に不足なんです。発起人だけは指定すると、こうこうことになつておりますが、発起人は株主になることはこれは当然ですが、ほかの人は株主にはさせないというのは、ほかには株主がないと、こういう意味ですか。
  154. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 本法を作ります目的は、今まで申しましたような点にございまするので、募集設立の形をとりませんで、発起人の設立と申しますか、募集設立の様式をとりません。
  155. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、メーカーをして株主にするのでありますが、メーカーにそんな金の余裕があるのですか、株主になつて出資するだけの……。
  156. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) それは勿論個々の企業の信用と申しますか、そういう点におきます資金醵出をお願いする意味でありまして、十四社の指定を受けました発起人において十分に協議して、御質問のような点がございまするが、資金の調達と申しますか、会社設立に必要な資本金の調達が可能だという工合に考えております。
  157. 松永義雄

    松永義雄君 第四条ですね。「政府は、必要があると認めるときは、硫安の生産業者に対し、硫安工業合理化を促進するため必要な資金について、融通のあつ旋その他適切な措置を講ずるものとする。」、こういう規定があるのですが、すでにもう開発銀行なら開発銀行を通じて合理化資金を出させているのですが、そういう意味で改めてここにこういう規定を設けたと、こうですか、この規定は……。
  158. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 硫安工業合理化ということが、勿論他の産業と比較いたしまして、二重価格制度を早急に解決するということが必要でございまするので、特に資金斡旋等につきまして、政府のこれに対する処置を明らかにする意味合でこの規定を設けたのでございます。勿論斡旋の内容につきましては、開銀融資というようなことが主たるものでございます。勿論その他に長期信用銀行等の融資につきましても、先ほど申しましたように、斡旋の必要があるかと思います。
  159. 松永義雄

    松永義雄君 私の解釈が少し横に曲つているかも知れませんが、この第四条は第五条と関連があるのじやないですか。輸出会社資金と、まあ悪く考えると、トンネル式に出資される、そんなことはないのですか。
  160. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 四条は、これは個々の生産業者に対して、硫安工業合理化促進を目的とする規定でございまして、御指摘のようなトンネル融資という意味のものではございません。
  161. 松永義雄

    松永義雄君 これには政府出資だとか、政府機関の出資とかということは全然ないのですね。
  162. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸出会社につきましては、先ほど大臣からも御答弁ございましたが、政府出資等、これに代るような考えは持つておりません。
  163. 江田三郎

    江田三郎君 その輸出会社の問題について、発起人なり、それから株主の問題が出て来るのは、私はこの輸出会社が何をするかという点がまだよくわからないから出て来ると思うのでして、ここではつきりお答え願いたいと思うのは、輸出会社というのは一体何をするのか、これは輸出会社であつて輸出だけをやるのか、その輸出と見返りにバナナなり、砂糖なりの輸入もやるのか、その点についてはどうなのか。
  164. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) この輸出会社は、輸出いたします硫安の買取り、輸出ということに重点がございまして、この輸出会社設立後におきましては、勿論附帯業務として一応考えられますが、このバーター等の方法によりまして、過去において行いましたような、砂糖の輸入或いはその他の赤字を補填するというような意味合においての、只今御指摘の輸入業務というものをいたさない建前にいたしております。と申しますのは、そういつた制度を設けまして、これによるバーター制度等を適用いたしますことが却つて合理化を遅れさせる、合理化の意欲を減退させるということも考えられますので、御指摘のようなことはいたさないのであります。
  165. 江田三郎

    江田三郎君 これは直接そういうバーター業務をやらんというだけでなしに、間接的にも輸出に対して何かの権限を与えて、その権限をどこかへ持つて行けば、その先で砂糖なり、バナナでも輸入する、そういうようなこともございませんか。この点は一つ大臣からはつきり答えて頂きたい。
  166. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほどお答えいたしました通り、赤字は赤字としてすつきりした形にして、棚上をするというのがこの考え方であり。それが合理化の意欲を増進させることになりますから、只今局長から御答弁申上げました通りでございまして、江田さんの御質疑に対しましても同様のお答えになるわけでございます。
  167. 戸叶武

    戸叶武君 その政府考え方としては、硫安生産者に対して硫安工業合理化を促進するために、政府資金融資というような処置を講ずる一方、輸出において赤字になるであろうところのものを、メーカーによつてそれを負担させるという方式で、この輸出会社作つて行くようでありますが、この第一点は、今の御答弁で甚だ明確化しない点が一つあるのですが、それは輸入業務をこの会社では全然やらないかという点が一つ。もう一つは、この輸出によつて赤字が累積されたものを、一面においては政府資金融資やその他の措置で以て、産業合理化の名によつて相当有利な地位に立つから、それでカバーして行こうという形が会社にあるかも知れませんが、そういう点があいまいになつて、赤字は赤字として、儲けのほうは甚だ不明朗に配当は高くする、それから交際費は濫費されるという形でやられておつて、終いに五カ年間に累積された赤字をメーカーが処理しなければならんという段階に来て、交際費を活用し、変な政治力なんかに又悪用する、造船利子補給のような手を打たれる危険性が、日本の政治には往々にしてあるのだが、そういう手が打たれる危険性はないですか。
  168. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 細かい点につきましては政府委員からお答えいたしますが、輸出会社は先ほど局長も申しましたように、輸出会社自体としては、何ら政府から出資をするとか、何とかいうことはございませんで、硫安会社それぞれのメーカーに対して、いろいろ資金斡旋等に政府が努めて行くわけでありますから、そこでできましたものを、輸出用の硫安として転出会社が買取りまして、これを一手に輸出しようというわけでありまして、ことに普通の考え方で行きますならば、当分の間或る程度の赤字が出るだろう、それは輸出会社の構成員であるところの各メーカー負担する、こういうような構成に相成るわけでございます。従つて私は、只今の御懸念のようなことはないはずでございます。
  169. 戸叶武

    戸叶武君 こういうふうに、先ほど松永委員お尋ねした点ですが、このナシヨナル・ガバーメントを通じて、一つのコントロールの方式というものが、特に国家資金を通じてのコントロールの段階に入つて自由主義的な資本主義段階の独占資本なり、金融資本がコントロールする、その方式により非常にポリテイカルにコントロールする段階に入つて日本の政界というものの腐敗が非常に目立つて来て、而も今のような状態を醸して来ているのですが、一種の統制経済なんです。そういう段階で造船疑獄の問題、それから貿易面における、原糖を入れた砂糖の問題、ことごとく我々の取扱う、この肥料の問題でもそうですが、不明朗な、正確な意味における生産コストを出さないで、出血輸出だのと言つたり、利益がないと言つたり、交際費を濫費してみたり、全く今の混乱期における経済というものがすつきりしないところを利用して、その盲点を衝いていろんなゆがんだ動きというものが出て来るのですが、このこと自体というものは、今の日本貿易振興のためにやらなければならない制度と思いますが、今多くの委員のいろんな点を衝いておる点は、とにかくこの立法に当つている人々というものが、生産会社なら生産会社という点をぎりぎりまで突込んで、合理化に対するところのとことんの線を出させないで、出血輸出などと言つて、そしてそれを何とかして損が行かないようにして行くような傾向が強いので、当然私五カ年後のことを連想するのですが、五年後においては、きつと私は造船疑獄で見られたような、一瞬の間に十倍もの利子補給を釣り上げるというような悪企みがされないということは保証できないのですけれども、そういうことはないだろうということを今言明させても仕方がありませんが、この会社を作るからには、通産大臣なり農林大臣なり、しつかり間違いのないように、あとで損失を国家になすりつけたり、或いは庶民にその犠牲を要求したりしないように十分の注意が払われるかどうか、そういうところを確信を以て通産大臣からも、農林大臣からも語つてもらいたいと思います。
  170. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私は只今の御懸念のことがないように、十二分の注意を払いまして運営に当つて参りたいと思います。
  171. 鈴木一

    ○鈴木一君 宮本委員からも議事に大いに協力するようにと言われておりますので、決して議事引延しをするというようなことはありませんが、ちよつと先ほどの出血の問題について愛知さんにお伺いしたいと思いますが、現在  三百二十万トンの硫安生産されているわけです。それで国内の消費が百七十万トン、そうすると、輸出が五十万トンというわけであります。そうすると、これは生産量の二割三分くらいになりますか、これを或る程度国内価格よりも安く出したからといつて、一般の商売の常識からすれば、自分の作つているもの、或いは仕入れたものについて二割くらい安く売つたからといつて、そう赤字だ赤字だといつて大騒ぎしなければならんようなことは私はないような気がするわけです。ただ昭和二十七年の非常に国際価格が安くて、輸出出血が多いというふうに言われた頃なら、こういつたような立法措置も或る程度考えられて然るべきだと思いますが、最近はかなり国際価格国内価格というものの差が接近しておるわけですね、ですからいろいろ一萬田さんを中心とした肥料対策委員会ですか、ああいうふうな大きなものが動いたその跡始末として、こういう法案を作り上げなければならなくなつたと思うのです。その後又時間の経過につれて、前の情勢とはかなり変つていますので、今ここへ来ればとにかく私らも、はつきりと政府のほうから答弁がなかつたわけでありますけれども、かなりというか、国際価格から見れどドイツあたりに比べてもかなり割高だと思います。ですから硫安工業合理化するというような法案一本でいいのであつて、その合理化の計画についてははつきり、先ほどの江田委員から言われたような年次計画も立て、資金も優先的に斡旋してやるというようにすればいいのであつて、自由党の政策である自由統済というようなものに、如何に強弁してみても反するような統制、而も面倒臭い肥料審議会のようなものを作つて、ここで多くの人たちが三日も四日も徹夜して大騒ぎしなくても、合理化法案一本で、メーカー国際競争の嵐の中にさらされて、お互いに鎬を削つて行くというような時間をここに或る程度置いたほうが却つていいのじやないかと思うのです。今ここでこういう統制をやつても、なかなか問題が多くて、この運用についても恐らく農林省方々通産省方々も自信がないだろうと私は思うのです。勿論おありになれば結構ですけれども……。ですから私は考え方としては、二割くらいのものを或る程度安く売つたとしても流動費は十分償われて行くような計算もできますので、そう慌ててこういう法案を、今までの経過からして、通そう通そうと無理しないでもいいのじやないかという気がする、そういう点に対する御感想はどうでしようか。
  172. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今鈴木委員お尋ねは、主として硫安工業合理化、それから輸出調整臨時措置法についての御意見だと思うのでありますが、これは今日の委員会におきましても、私参りましてから最初に、又繰返して申上げましたように、硫安というものが輸出産業といたしましても非常な特色のあるもので、先ほど申上げましたように一〇〇%これは外貨が収得できるということ、それから市場が非常に広いということ、そういう意味合におきまして、この輸出ということにできるだけの努力をいたしたいという考え方一つなのであります。ところが普通の考え方で、若しこういう法律がなくて、その考え方に徹し過ぎますると、勢い大事な日本国内農家経済に非常な影響のあることになつて来る。そこでこれを遮断いたしまして、日本農家経済にもいいように、又輸出も同時に伸びるように、そうして只今御指摘がございましたように情勢が常に変りますから、時によつて硫安の国際価格日本硫安輸出価格とが幅の狭いこともございましようが、又幅の広くなることもあり得るわけでございます。そういう点を考えまして、制度としてこういう輸出会社を確立させて頂きますれば、私から申しますれば、各方面が安心してやつて行けるのではなかろうか、こういうふうに考えましたので、私はあえてお言葉を返すようでありますが、冒頭にも申上げましたように、自由経済の中における一つ実情に応じた調整措置といたしまして、是非この案を成立させて頂きたい、こういうふうに考えておるわけなのであります。
  173. 鈴木一

    ○鈴木一君 今大臣の言われました目的を達成するためには、要するに合理化ができればいいのだろうと思うのです。ですから私は今この段階になつて言うのもおかしいのですが、合理化法案合理化が必ず実行できるような裏付けをすれば、それでいいのじやないかという感じがするわけであります。どうも一生懸命になつて法律を審議するわけでありますけれども、その法案が有名無実というか、いろいろな時期とか、そうういことにこだわつて多くの時間を費すわけでありますが、その法案そのものが実際に国民経済上大した効果のないような法案が多いのじやないかという気がするわけであります。例えば食糧管理法案なんかも、確かに農家には米が保有米以外にはないということになつているわけでありますけれども、実際はたくさんある。我我はそういう法律を無視して毎日飯を食つている。恐らく外米の好きな農林大臣もそれ以外のところで、どこかへ飯を食いに行かれたときなんか、必ずこれは食糧管理法の違反をやつておるだろうと思うのです。私は無駄な法律にこだわつて、過去のいきさつにこだわつて一生懸命審議をするのは無駄じやないか、ここまで来れば、合理化法案一本で行くのでいいのじやないかという感じがするから、あえて申上げるわけです。答弁は要りません。
  174. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では私から……。大体この法案についての質問は尽きておりますが、過般衆議院の修正案の提案者にもお聞きしたのでありますが、丁度両大臣が御出席でありますので、改めてお聞きしたいと思うのであります。それは需給計画の策定は通産大臣農林大臣が策定するわけでありますが、これが硫安だけでありますれば、国内消費量プラス需給調整の保留数量、これをプラスすることは何ら問題はないと思うのでありますが、衆議院の修正で加里とか、燐酸が入つて来ますると、この加里、燐酸についても国内消費見込数量プラス保留数量大体一割ということになつて来ますが、こういうことで計画が策定されることになるのでありますが、これが策定されると当然に、外貨の面も責任ある両大臣が保留数量をプラスして、需給計画を策定するわけでありますから、これにマツチした外貨の割当がないと、この計画というものはペーパー・プランになつてしまつて意義がないと思うのであります。衆議院の修正案を出されたときの説明では、大体それは外貨の割当は当然ここに随伴するものと思う、こういう御答弁があつたわけですが、これは極めて重大な事項と思いますので、需給計画を策定される通産、農林両大臣の御答弁を願いたい、かように存じます。
  175. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今委員長お尋ね通りでございます。
  176. 河野謙三

    ○河野謙三君 どうも関連が大分長くなるのですが、私次に伺いたいのは、この輸出会社法の十三条に、硫安の製造業者は通産大臣の承認を得て輸出について輸出会社と契約することができるとなつておりますが、これは具体的にどういうふうに進めるのですか。例えば輸出計画が十万トンなら十万トンございますね、その十万トンを硫安業者の自主的な方法によつて十万トンを十四社に按分することになるのでしようが、この運び方は非常に重大な問題でありますから、これについてお尋ねしたいのです。
  177. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 十三条に規定してございますことは、勿論政府の需給計画は、この需給計画の基幹をなします輸出計画に基いて輸出会社と個々のメーカーとが自主的に話合つてきめるわけでございます。
  178. 河野謙三

    ○河野謙三君 個々のメーカーと自主的にきめる、そうすると、メーカーは押付けられることはありませんね。
  179. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 法律的にメーカーにこの輸出会社に供給する数量につきまして強制される危険と申しますか、そういうものは法律的にはございません。
  180. 河野謙三

    ○河野謙三君 メーカーは押付けられることはないと、ところが通産、農林、特に農林省の立場から見れば、国内に十万トンの余力があるという場合に、十万トンは地区的な消費よりも、生産がオーバーしておる関西の地区から大体出したいというのが、これが国内優先ということから考えてその原則は成立つわけですね。でありますから、メーカーの自由に任せるといつても、勿論これは国内の肥料行政をやつておる特に農林省の立場から言えば、同じ数字ならどこの地区から出してもらいたい、どこの工場からどのくらい出してもらいたいということがある、その調整はどうしてできるのですか。
  181. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論そういつた地域的な問題がございます。私の申しましたのは、法律的にはその義務がないというような意味において申上げたのでありますが、勿論メーカー十四社の間におきまして、その法文の規定によりまして独占禁止法による禁止は解けますので、その間の調整は個個のメーカー輸出会社との話合におきまして、農林関係とのそういつた事情に即応するように相談してきめる、こういうことが実際にあるわけであります。又そういう方内に我々としても指導して参りたいと思つております。
  182. 河野謙三

    ○河野謙三君 それではいかんでしよう。メーカーが自主的にやるということになると、国内消費の優先という精神が少しも出て来ないでしよう。メーカーが自主的にきめるのは結構でありますが、メーカーがきめる前までに地区的な国内消費の面からいつて、東北のほうから出されては困る、関東から出されては困る、この際は北海道から出してくれというようないろいろな条件があるわけです。そういう調整はどこでやるのですかということです。
  183. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) この点につきましては、法律的な意味においての権利義務の関係説明したのでありますが、実際問題といたしまして、通産省といたしましても、勿論農林省側の意向を体しまして、この両者の協定をいたすわけであります。勿論この協定につきましては、通産大臣の承認が要りますから、それによつて処理して参りたいということになるのであります。
  184. 河野謙三

    ○河野謙三君 非常にあなたは法律軽視のような御答弁でありますが、法律にそういうことを或る程度はつきりしなければならないと思う。農林省は一体その場合どうされますか。農林省はおのずと、輸出の数量の枠については通産大臣農林大臣ときめますけれども国内消費の面から言つて農林省がおのずと、どこの工場からどういうふうに出してもらいたいという農林省には希望があるわけでしよう。これは一体どういう形で農林省はやられるわけですか。
  185. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どうも河野さんは玄人ですから、ちよつと懸念されておるかも知れませんけれども、これは硫安に関しましては政府としまして、農林省とか、通産省とかでなしに、内需優先ということを大原則にいたしておりますから、従つて内需に不都合を来たすようなことはしないということは、この法案に盛込んでおる精神はそこにあるわけであります。従いまして、お話が大分むずかしくなりますけれども輸出会社の買取る価格とは、要するに公定価格になるわけでありますから、そうむずかしい問題は起らんではないかと思いますけれども、併し農林省としましては、どつちにしても内需に不都合を来たすようなことには応じ切れないことは申すまでもないことであります。
  186. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは次に玄人つぽい話をしますが、今までこういう問題が常に繰返されているのですよ。五万トンなら五万トンの輸出の枠をきめますと、硫安組合ではこの五万トンを北海道から九州までの業者に、お前のところは幾ら幾ら、こうやつている。一方内地の配給需要を見ると、年々歳々関西が非常に生産が多いから、関西から関東に硫安の遠距離輸送をやつていますから、常に輸出能力というものは地域的に見て関西が大体総体的にはあるわけです。地域的に見ると関東に輸出力がない。そういうことと、メーカーが自主的にやる場合の輸出の各社別の割当というものは常に相反するわけです。でありますから輸出の枠を、これは認めることはいいのですよ、それを各社にどういうふうに割当てるかということについては、農林大臣からはつきりとそれについてのここで一札取ると申しますか、はつきりとしておかんと、これは混乱する問題です。中村さんはメーカーで自主的にやればいいと言つているが、自主的にするのは困る。自主的にも限度がある。その調整は一体どういうふうにされるか。
  187. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 大体この輸出会社は、硫安組合も同じかも知れませんけれども、構成分子はメーカーになるわけであります。どうも私どもとしては、どうしても強く内需の保証はしなければなりませんし、不都合を来たさないように、そのために十一条の規定の適用が考えられるわけでございますから、これは心配するようなことはないと思います。
  188. 河野謙三

    ○河野謙三君 今までいろいろあつた
  189. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 十分注意をいたします。
  190. 上林忠次

    ○上林忠次君 今の河野さんのほうの質問に関連した質問をしますが、先ず値段の問題ですが、例えば全部で二百二十万トン製造する。言換えますと、輸出も入れて二百二十万トン、それから百七十万トンの国内消費に対して一割くらい見込んでおりますので百九十万トンになりますが、百九十万トンを国内で消費するとして、国内消費の硫安価格はどうなるのかというと、コストの安いときからずつと計算して行つて、百九十万トンまでの会社値段を基準として平均する、これが国内の消費の硫安値段、それ以上のものを輸出しようとすると、これからあぶれたということで、これは高いやつばかりで、コストの高いものばかり残るのではないか。これが輸出に向けるとなりますと、それから製品もどこの工場のが出るということになつて来るのじやないか。それは会社間から来る特別なプール計算をするならば別ですが、そういう工合になつて輸出値段というものは相当高い値段が出るのじやないか、私はそういうような建前で輸出をしてもらうのは結構だ、内地の価格輸出のために上ることはないのだということを考えておるのですが、この点ちよつとはつきりしてもらわないと困るのですがね。
  191. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) これはお話のように、国内価格を百八十なら百八十ということを取りまして、生産費が安い工場から作り上げてやるのでありますから、いわば全体の平均よりはおのずから安いところできまつて来る、量的に申しますれば……。従つて残りのものが、観念的に申しますれば高いものが輸出されるということになりますけれども、これは併し輸出されるものが一番劣悪な工場のものが輸出されるとは限らないのでございまして、安い工場からも輸出され、高い工場からも輸出される。勿論その輸出会社如何にかかわりませず、高い工場につきましては、これは優秀なる工場よりも利潤が少いとか、或いは場合によつては赤字が出るということにも当然なり得るのでございます。これがためには合理化が必要なんでございまするが、これが合理化がそこまで追い付かなければ、会社は非常に苦境に追い込まれるものも出て来るということは、これは当然あり得ると思います。
  192. 上林忠次

    ○上林忠次君 その点は、結局輸出する分も造成しないと操業が少くてコストが高くなるんだ、それがためには輸出の分もどんどん作ろうということで、結果は内地の硫安値段が安くなるんじやないかということで、我々は有雄い輸出だと思つておりますが、併し出るのは先ほど言われるような高い輸出になるのだ。造成のためにコストは安くなるでしよう。而も内地消費は下から積上げたところの平均で先ずとつてしまう。上だけい高ところはさあ輸出してくれということで来ております。今のお話で行きますと、やはり安いところの品物も輸出されるということになると、結局その安い分は内地で使いたいのがとられてしまう。
  193. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 価段できまるのです。
  194. 上林忠次

    ○上林忠次君 現物はどつちへ行つてもプラスでいいけれども、(「算術とは違う」と呼ぶ者あり)今の価格の決定はそういう工合にしてやつたのだということを聞いておりますが、現物は違います。現物は一番近い所、余つたやつを特殊な地域から持つて来るのが一番いいから、その地域から持つて来る。会社は工場の近くのものを持つて行くということになりますけれども値段の点で内地消費の分に輸出の分も食い込んで来る。それで赤が出るなら五年後になつて一般農民に負担させる、こういうことになると困るだろうと思います。そういうことになると思いますが、内地消費の分まで初めから食い込まれたら困るけれども、高い分を売つてもらいたいということで我々はこれはいい案だ、輸出もやつてもらいたいということで納得しているのですが。
  195. 保利茂

    国務大臣保利茂君) この法案予定いたしておりますのは、合理的な生産費の調査をして最高価格をきめる、そしてその結果、仮にその最高価格以下で輸出がせられても、それは内地の農家には転嫁しないんだ、従つて内地の農家の需要に応ずべき肥料価格というものは、こういう仕組みの上で合理町にできて来ておりますという納得を得るためのもので、そこでその最高価格よりも実際コストの高いものが工場によつてございましよう。劣悪工場、そういうところは私はかなり痛い目に会うと思う。そこに合理化の必要が又生じて、合理化が促進されて行くことになるわけでございましようから、そういうところで劣悪工場のコストをカバーするということであれば、これはもう問題は何もないわけでございますから、そういうものをとにかく合理化によつてできるだけコストを切下げて行くという努力を目標としてやつて行くので、その不合理はないのじやないかと思います。
  196. 上林忠次

    ○上林忠次君 努力目標としてはそれは結構ですが、結局安いところから我々はとつて行くということになりますと、数量は殖える、而もその殖えた数量の分でとつてしまうと値段が非常に上つて行く、悪い工場の分がうんと入つて来るというわけで、それじや困るじやないかということを言つたところが、輸出の分はそれは別だ、内地価格は内地消費の分を下からとつて行くのだ、その平均の分が内地の販売価格だ、輸出の分に関係はない、というのは、その価格関係がそうなつて来るから輸出には関係はないんだということで、そうすると、相当高いものを輸出しますから赤字が相当出て来る。平均で高いと現在でも十五ドルかそこらぐらいの差しかないんだ。併しそれで行くと相当赤が出るんじやないか。
  197. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その赤字は、国内できめます最高価格輸出価格との開きが輸出会社の赤字になる。先ほど鈴木さんのお話のように、今日はもう非常に接近して来ているじやないか、だからこんなことで大騒ぎする必要はないじやないかと言われる程度に来ておりますけれども、併し工場によりますと、御承知のようにかなり痛いのが出て来る。又たまらんから、又そういうのがいるために若し輸出会社が赤字を余計持つということになりますれば、それは一、二の劣悪工場のために多数のメーカーは迷惑する。そこにどうしても合理化は促進してもらわなきやならんということになつて促進して行くことになるのではないかと思います。
  198. 上林忠次

    ○上林忠次君 その高い価格の分はこれは内地に必要でない分で、そんなものは内地の計算には関係ないものだから、高い分だけは輸出される分だと我我は考えているのですが。
  199. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 値段と物とはやはり切り離して考えていいのじやないですか。国内価格はやはり下から積上げて行つた加重平均価格で売ればいい。価格と物とはこれは別に考えていいのじやないですか。
  200. 上林忠次

    ○上林忠次君 私としては考えられませんな。
  201. 河野謙三

    ○河野謙三君 通産大臣に伺いますが、先ほどの御答弁で、あなたが発起人を指名されましても、それは強制力は持たん、発起人は辞退することができる。今度は輸出の現実の問題で、Aの会社輸出の枠を、これは勿論強制することができませんね。でありますから、これは発起人にもなつていない、こういう輸出のほうも断わる、こういうことになりますと、現実に今度できます硫安輸出会社と全然無関係会社ができることも私は予想される。それはあなたのほうで強制しないと言つても、強制すれば別ですよ、強制すれば別ですけれども、発起人もよそう、こういう会社の発起人は御辞退申上げます、輸出にも従つて私は関係したくないと、こう言いますと、自然にその人は今度できます輸出会社の赤字の処理についても、発起人でもなければ、株主でもなければ、輸出もその会社を経由して何にもやつていないということになりますと、同じ硫安業者でありましても、全然輸出会社とは無関係ですね。私は若しあなたのほうでこの発起人を強制し、輸出を強制しない限りは、そういう無関係でありたいという業者は私はできると思うのですが、こういうものができた場合には一体どうなるのでしよう。
  202. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その点は観念的並びに法律的にはそういう事態が起ると思います。この法文ではそういう穴がございますから、御指摘のようなことが起り得ると思いますが、併し実際問題としては、強制では勿論ありませんけれども、事実上の話合或いはまあいわゆる行政指導と申しますか、率直に申しまして、そのことの起らざることを希望しておるわけであります。
  203. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあそれは暗に大臣から協力を求める限り、大臣から協力を求められれば嫌だとは言えないから、協力を求められたと同じでありますから、協力するということになると思います。私はさつき上林さんが言われましたが、今度協定価格がきまりました場合は、コストの高い分はこれは常に国内……、若しそれが本当にきまりました国内公定価格よりも、その会社コストのほうが本当に高いとすれば、国内の商売でも、赤字を出さなければならん。合理化の過程において輸出のほうでも赤字を出さなければならん。而もその輸出会社の赤字を、結局においてさつきあなたのお話のように、赤字の処理はメーカーがやらなけばならんのだということになると、それを背負わなければならん。こういうことになると、私は少くとも弱小のメーカーを育成する上におきましても、小さな而もコストの高い会社については、余りまあ強制は勿論されませんけれども、強く協力を求められないほうが私はいいのじやないか、こう私は思うのです。その辺の手加減は如何でございましようか。
  204. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その辺の手加減と言われましても、なかなか答弁申上げることは非常にむずかしいのでありますが、やはり先ほど申上げましたように、法律上はそういうことがあり得ましようけれども、これはまあ話合で、当局からの協力の要請に対しまして協力して頂くということで行くよりほかはなかろうと思います。
  205. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は何も大臣から今日こういう御当弁があつたから、ほうぼうの会社を廻つて、もう大臣は強制しないと言うから、お前なんかやらなくてもいいというような、そういういたずらはいたしません。(笑声)しませんけれども、さればと言つて余り強制は私はされちやいかんと思う。時間がありませんから、今日私は通産大臣質問だけ特に終らしたいと思いますが……。
  206. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 河野さん、通産大臣は明日はちよつと御都合が悪いそうでありますので、従つて質問は成るべく通産大臣の分に重点を置いてお願いします。
  207. 江田三郎

    江田三郎君 私も合理化の問題についてまだ一点残つているのです。
  208. 河野謙三

    ○河野謙三君 成るべくはしよつてやりますから一つ……。この国外に原料を依存しておるところの加里肥料、それから過燐酸原料であるところの燐鉱石、これにつきましては経審長官として非常にお骨折を願つて、外資の非常に苦しい中を特に緊急必要な物資であるということで、大体前年の実績程度のものを外貨の枠をおきめ下さつたようですが、併しこれとても最近の加里肥料の消費の実績、燐酸肥料の消費の実績等から行きますと、前年度程度にきめたからといつても、これでも万全でないような状態が起つて来ておるわけです。そこでこれは他の物資と違いますから、今後非常に消費が殖えて、従つて国内価格が高騰して、既定の外貨の割当では事足らんという場合には、これをこの燐鉱石並びに加里肥料の輸入の外貨につきましては考慮する余地を、通産大臣と申しますか、経審長官としてお持ちになりますかどうですか、これを伺つておきたい。
  209. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 本件につきましては、只今も御指摘がございましたように、本年の三月末に二十九年度の上期の外貨予算を編成いたします前に、あらかじめ当委員会からも委員長を通じまして御要請を頂いておりますので、その当時におきましても十分当委員会の御意見を尊重したつもりでございますが、なお下半期の問題はまだそのときにならないときまりませんわけでございますが、それらも勘考いたしまして十分御趣意に副うようにいたしたいと思います。
  210. 河野謙三

    ○河野謙三君 情勢の変化によつては必ずしも外貨の枠を殖やすことにやぶさかでない、こういう御答弁ですか。
  211. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは外貨全般の問題でございまするが、やはり上期におきまして全体の枠を拡げるということは、全物資についても非常に無理かと思いますけれども只今申しましたように、下期についてはまだきめてもおりませんし、又上期におきましても、私は全体論として申しておるのでありますが、例えば輸出が伸びるとか、特需が伸びるとかということで、去る三月に予想いたしましたよりも外貨のポジシヨンが多少でも好転するというようなことがあれば、これは赤字補填に充当するよりは所要物資の輸入に充当すべきものであるということは私の持論でもございますので、そういう際には増加するということを考えたいと思います。
  212. 河野謙三

    ○河野謙三君 私たちも非常に了解に苦しんでいるのですがね。農林省技術者のほうに言わすと、国内で加里肥料は大体五十万トンぐらいでいいだろう、その辺ぐらいのところで消費規制をさえもしなければならんくらいに言つておられるのですが、それが昨年は六十七、八万トン出た。ところが本年は今までのところですね、これを更に大幅に上廻つているような形勢で、現に加里肥料はあなたのほうなり、農林省がお考えになつているところの最末端の適正価格に対して五割乃至七割高い。こういうようなことに結局需給関係がもうすでに現在乱れているということなんです。そういうことでありますから、この外貨の割当につきましては、いろいろ困難な事情があるでありましようが、私は特段の一つ御配慮を頂きたい。なお、我々は殖やす一方ではいけませんから、そこで私が先ほど通商局の局長さんに一つ伺いたいと言つたのだが、それは大体大臣は御承知ないかも知れないが、外貨を殖やさないで物の量を殖やす面は、加里肥料についてはあるわけなんです。技術者なんどに聞くと、世界各国どこへ行きましても、日本のように贅沢な硫酸加里を使つている国はないと言うのです。これは戦前のドイツの硫酸加里の会社の宣伝が余りうまかつたために、農家はもうこの頃は理窟抜きにして硫酸加里でなければいかんというところまで行つている。現に農林省技術者に言わすと、煙草を初めとして硫酸加里でなければならんと思われるものは、どう計算しても、甘く見ても四万トン前後だと、こう言うのです。然るに硫酸加里の実績は二十万トン、これは取りも直さず、その差額の十六万トンというものは技術者の立場からの説明によると贅沢品なんであります。而もこの塩化加里と硫酸加里の価格差というものは、一方はこれは七十何ドルだと思います。片一方は百二十何ドルだと思います。そこに非常に莫大な開きがあるのでありますから、外貨が非常にあなたのお考えになつているほど窮屈ならば、この塩化加里で当然間に合うものは、この硫酸加里に置換えるということをやらなければならない。ところがこれをなぜやらんか、こういうことになりますと、これはむしろ農林省の意思によつて私は決定すべきものであると思うが、これをあなたのほうの通商局が殆んど独裁的にこれを決定している。こういうことについて一体どういうふうにお考えになつているかということを一つ伺いたい。
  213. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 詳細な点につきましては、別に御説明申上げたほうがよろしいかと思いますけれども、私は只今御指摘のような非常に詳細な御意見を伺いまして誠に有難く思うのでありますが、塩化加里で置換え得るようなものについて、従来通産省農林省の意図を無視して独善的なやり方をしておりましたとすれば、これは是正させなければならないと考えます。
  214. 河野謙三

    ○河野謙三君 どうも私は不徳のいたすところで余り信用がありませんから、(笑声)私が今申上げたことについて、通産大臣のあとにおられる経済局長なり、肥料課長に、私が今申上げたことが嘘である、或いはおおむね妥当であるか、これを大体お聞きいたしたい。
  215. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 加里の輸入につきましては、私どもどちらかと申しますと、殆んど一〇〇%近い需要の官庁になつておりますので、通商局の担当の局課長に我々の意見を相当聞いてもらつてつて頂いていると思うのであります。
  216. 河野謙三

    ○河野謙三君 経済面の、農林省の意見を尊重しているということになると、今現に入れているところの莫大な硫酸加里というものは、あなたのほうのお指図によつて入れているのですか、あなた方のほうがああいう莫大な硫酸加里を入れているのですか。あなたのほうの意見が尊重されているということになりますと、今の硫酸加里、塩化加里の輸入計画というものは、農林省の意見でやつているととつていいと思うが、そうですが。
  217. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ほど仰せられましたように、硫酸加里の需要量といたしましては、農林省技術者のほうではそういうふうな意見になつている次第でございます。併しながら、現在の情勢といたしましては、直ちに硫酸加里の数量を引下げるということもいろいろ問題がありまして、本年度は昨年度より引下げておりまするが、徐々に引下げて行きたい。こういうふうなやはり硫酸加里に対する農民の要求も相当ございまするので、余りこれを少くいたしますと、価格のほうで問題も生じて参りまするので、そういう点も十分考慮いたしまして、徐々にやつて行くというふうな考え方で割当をやつている次第であります。
  218. 河野謙三

    ○河野謙三君 技術者は私が言うようなことを言つておる、ところが諸種の事情はそうはいかん、肥料に関する限り技術者の意見というものを否定するどういう理由がありますか、諸種の理由というのはどういう理由ですか、農民には希望がある、農林省は施肥の指導をする官庁です。計画的な知識を持つておる農民に対して施肥の指導をする官庁です。改良普及員もおるじやないか、試験所もあるじやないか、而も一方において通産大臣が言われるごとく、外貨において苦しんでおるという場合に、この機会に外貨がたつぷりあるならばいい、ゴムを買うのもいい、自動車を買うのもいい、硫酸加里を買うのもいい、ところが非常に外貨の窮窟なときに何でそういうことを、諸種の事情とは一体何ですか、而も私はあえて言う、硫酸加里は殆んど化成原料じやないですか、肥料資本の中の化成原料に使われておるじやないですか、それが諸種の事情の大部分じやないですか、農家がこれを希望するというのはですよ、これはあなたのほうの責任において指導すればいい、私はその諸種の事情というのは納得が行かない、ほかにどういう事情がありますか。
  219. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 諸種の事情と申しますのは、そういう経済上の問題です。硫酸加里でなくては農産物の施肥の上で困るというのが御指摘のような内容でございます。煙草につきましては相当昔の試験の結果がございますし、それが基礎になつておるようでございますが、それを必ずしも全面的に信ずべきものかどうかということについては若干疑いがあるようであります。そういう要求がありますと、試験的に、技術的に申しまして、ほぼ河野委員のおつしやるようなことだと思うのです。従いまして、こういう外貨の窮窟なときにおきましては、施肥の指導によりまして漸次比較的割安な塩化加里にのみ向けて行くということは、これは私ども非常に必要なことと思いますので、そういうことで改良局とも話合をしておるのであります。(「異議あり」と呼ぶ者あり)又そういうことで指導をいたしております。只今もどなたからか御異論が出ておりまするように、煙草とか、果樹等のものにつきましても、やはり硫酸加里がなくては困る、こういつた考え方があるのでございます。又農民にもそういう考え方がございまして、急激にそれを変えるということはなかなかむずかしい問題でございます。もう一つ、それから化成肥料の問題がございます。これもその原料といたしまして、硫酸加里が頼まれるとそちらに引つぱられるということも確かにあると思われます。そういうような事情を以ちまして硫酸加里のほうがどちらかというと需要が多い、こういうことになつております。こういうのが先ほど申しましたいろいろな事情ということであります。
  220. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の農林省はただ流れに従つて無抵抗にふらふらしているということなんです。通産大臣、今お聞きのように、あなたの外貨に対する御苦心と、あなたの部下がやつておることとはおよそ違うのです。というのは、親の心子知らずというんだ、これは私先ほど申上げましたように、肥料なんて技術的な根拠を以てやらなければなりません。行政は全くあなたの通商局なんというのは、硫酸加里と塩化加里を握つたことがない、どつちが塩化加里で、どつちが硫酸加里かわからない、どつちが砂糖だか塩だかわからないような連中です。そういう連中が今度は業者から頼まれて硫酸加里が幾ら、塩化加里が幾ら、農林省の意見を大して反映していないですよ、これは通産省の中で通産大臣の御意見によつてこれはきめるんです。五ドルや十ドル違うのならいいけれども、三十ドルも四十ドルも違うような価格差があつて、而も技術者が、農林省技術者が塩化加里でいいというものが大部分なんです。これは日本のみならず、世界各国の硫酸加里の消費実績を見ればはつきりわかりますように、これは全くとんでもないことをやつておるわけです。これは通商局長は今日おいでになつているかどうかわかりませんけれども大臣、この点につきましては十分私は小言を言つてもらいたい。そうして品不足になつて、そうして農家が加里がないないと言つておる、今朝の日本経済を見て御覧なさい、或いは栃木県では塩化加里が千円、硫酸加里が千四百円と言つておるのです。農林省の計算によると、一体適正価格は幾らですか、硫酸加里は甘く見たつて九百五十円じやありませんか。そういう場合に私は先ず何でも統制して縛るということでなくて、その前に需給関係でできるだけ外貨を有効に使つて、加里肥料なり燐鉱石を入れて、そうして需給関係によつて自由な取引の下に私はすべてを安定させて行きたい、こういつたふうに考えますけれども、今のようなことをやつていては、現にそういう混乱が起つて来る。これに対して農林省は私はいかんと思う。農林省は大体経済局の言うことじやない、改良局が言うことです。肥料行政は改良局がフアスト・バツターでなくちやならん、今の行政は通産省がフアスト・バツターになつておる、改良局が技術的に先ず方針をきめて、それに従つて経済局が引継いだものを通産省に引継いで、そうして通産省が初めて肥料の生産行政なり輸入行政なりをする。ところがちつともそういうことになつていない。大臣は今私の申上げたことについて必ずしも初耳じやないと思いますが、この際肥料行政の現状について御意見を伺いたい。
  221. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今仰せになりましたように、この問題は初耳じやございません。併し同時に非常に技術的な、専門でもございませんので、只今いろいろお話もございましたが、これは即刻私のほうの部内のいろいろ扱い方等の真相を調べまして、十分農林省のほうとこの上とも緊密に連絡いたしまして、できるだけ需給の調節という点から、外貨の節約というほうにもつと切込んで行くように努力をいたしたいと思います。
  222. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはよく農林省のほうからも、通産大臣技術的立場で作りましたデーター等をとつて、これは大臣思い切つて、而も早くやつてもらいたい。そういうことによつて外貨が非常に大きく動く、そういうことによつて塩化加里を二割も三割も余計入れることによつて、同じ国内の加里肥料の価格の安定ができる、これは是非私は特にお願いいたします。それからこの間お尋ねいたしました燐鉱石の扱い方の問題ですが、これはこの間、その後御相談願つたはずですが、何かうまい案はあるでしようか、これを一つ伺いたい。
  223. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) この燐鉱石の問題につきましては、先般の当委員会におきましても非常に御熱心な御意見を拝聴いたしましたのでありまして、それに基いていろいろ研究いたしましたが、この点は率直に申上げまして、先般も申しましたように、原則的にはメーカーに割当をすることにさして頂きたい。この方針を以て原則とすることにさして頂きたい。なお全体としてこの外貨等について足らざるところがございますれば、先ほど申上げましたような方法によりまして、できるだけの措置をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  224. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、私のこの間お尋ねしたのは、この需給安定法によつて、衆議院の修正によると、取りあえずは硫安ということにきめてあるけれども、必要に応じていつでも政令によつて過燐酸も加里も追加することができるのだ、ところが過燐酸を追加するということになると、これは一割というとやはり十五、六万トンくらいになりますが、この十五、六万トンのものを硫安と同じように全国にばら撒いて、半年も一年も保管することは、これは品物の性質上できない、過燐酸そのもので保管するとすれば、これは三万トンや四万トンのものであつて限度があります。あとほかのものはどうしても保管に堪え得るところの燐鉱石で保管しなければならない、こういうことになるわけです。この法律によると、どうしてもそういう事態が起つて来る、その場合にこの燐鉱石で保管を私はさせるということに、法文を直さなければならんと思いますが、若しそれを通産大臣が別の角度から解決しようとすれば、この燐鉱石の輸入の場合の行政措置において、実需団体であるところの、今の場合で考えられるのは、全購連なら全購連にこの燐鉱石を或る程度保管させることによつて、行政措置によつて私は片付くんじやないか、この二つのうちどちらか一つを選ばなければ、この法案の衆議院修正の、この過燐酸を需給調整の枠の中にはめるという事態が起つた場合の目的を達することができないのですが、この二途いずれを選ぶかということを私は伺つておきたいのでございます。
  225. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私の申しますのは、主として直接通産省関係になります外貨割当の際の行政措置として、保管団体に対しまして、所要の燐鉱石の輸入に必要な外貨を割当てたならばどうかと、こういう御意見に対しまして、他のいろいろの例から申しましても、消費者に対して、その使用します商品の原料の輸入購入のために外貨を割当てるということは、従来原則としてやつてもおりませんしいたしまするので、保管団体に対しましては、何どきでも直ちに放出に間に合うように、半製品は絶えず何らかの形において保管させることの形にして頂いたほうが定石ではないか、こういうふうに考えるのでございますということをお答えいたしたわけでございます。
  226. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣のお考えは、結局この行政措置によつてそういう異例、大臣のお考えから行くと異例な措置はちよつととりにくいと、こう言われるが、然らばこの法案趣旨を生かすにおいては、私はこれはまあ私だけの考えで、決して大臣に押付けませんけれども、その法文の修正以外に私は趣旨を生かす途はないと思います。次に、ちよつと伺いたいのですが、農林大臣お尋ねしたほうがいいかどうかわかりませんが、肥料審議会の委員の数の問題ですがね、これによりますと、この生産者の代表即ち肥料会社の代表というものは三名以内になつておりますね、衆議院の案は……。ところがこれは硫安、将来においては加里も過燐酸も石灰窒素も追加することができるようになつておる。そうすると、私これは審議会の委員としては同じ肥料でありましても、硫安の代表、過燐酸の代表、加里の代表若しくは石灰窒素の代表というようなものを私は当然考えなければいかんと思うのです。そういたしますと、法案に幾ら重要肥料として内容付けられておるところの過燃酸なり、加里なり、石灰窒素なりというものを追加することができるようになつておるけれども、仮にこれらの全肥料を追加しました場合には、これらの各業者からの代表者というものは三人以内でも満たされないのですよ。これはどういうふうにお考えになつておりますか。これはまあ衆議院の修正ですが、政府も内々お話があつたことと思いますから、それは農林大臣なり、通産大臣からお答え頂きたい。
  227. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 委員の、肥料の生産者代表でございますが、これは初めから三人全部任命するかどうかという問題もございますが、これは若し三人を当初から任命するといたしますれば、この燐酸、それから石灰窒素、こういう業界のかたも硫安の業界と同様に選ばるべきではないかと、こういうふうに思つております。
  228. 河野謙三

    ○河野謙三君 では三人以内となつておりますね。それは取りあえず一名選ばれるか、二名選ばれるか知りませんけれども、とにかく仮に今予定されております重要肥料が全部政令によつて追加されますと、これは硫安と過燐酸と石灰窒素、それから加里肥料は、これは業者の代表になるのは輸入の業者が入るのですよ。四人あるでしよう。これはどうしても一人ずつにしても四人いなくてはいかんでしよう。それを初めから三人以内としてあるのは私は不合理じやないかと、こう思うのですが、その点はどういうふうに解釈なさつておるのですか。
  229. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 加里肥料のほうはこの生産業者の代表の中に入れませんで、これは金子委員が本席で御説明がございましたが、業者のほうは販売業者の中に入るというのであります。
  230. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、この三人というのは、石灰窒素、過燐酸、加里と各界代表一名、こういうことを意味しておるわけですね。
  231. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) この三人と申しまするのは、硫安、石灰窒素、過燐酸、こういうのであります。
  232. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、取りあえず今指定されておるのは硫安だけでありますから、取りあえずこの三名というのは、取りあえずは硫安業界の代表だけ出す、若し過燐酸や石灰窒素等が追加されました場合には、その三名のうちの二人が下つてもらつて、過燐酸の代表、石灰窒素の代表を追加する、こういうこと、ですか。
  233. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) これは最初から三人選んだらどうかというふうに考えております。
  234. 河野謙三

    ○河野謙三君 その三人というのは、過燐酸、硫安、石灰窒素の各業の代表一名、こういうこになるとお考えになつておりますか。
  235. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) そういうわけです。
  236. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、委員のほうは非常に先走つて政令に待たずして、もう過燐酸も石灰窒素も、もうやるのだという態勢を先に作つておるわけですね。そういうわけですか。
  237. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) これは勿論肥料、肥料によつて性質が違いまして、関係がないようでございまするけれども、この法案の運用全体がどうなるかということについては、最初硫安だけの場合におきましても、他の業界にも重大なる関係がございます。丁度肥料対策審議会と俗に称しましたあの審議会も、実は問題を取上げましたのは硫安だけでございましたが、硫安、燐酸加里、それから石灰窒素の業界のほうからも委員にお願いしたようなこともございまするので、大体ああいうことになりはしないかと存じます。
  238. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後にもう一点通産大臣に、この硫安工業は、日本の資源等と睨み合して、これは何と申しましても輸出工業として育成しなければならん。このことは決定しておる、ところが一方過燐酸につきましては少し事情が違うと思いますけれども、現に過燐酸の輸出はやつておりますが、過燐酸工業を輸出工業として今後どのようにお扱いになるか、この基本的な方針を伺いたいと思います。
  239. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 硫安につきましては、只今お話通り、私も全くこれは自信を持つてそういうことは確定的に言えると思います。併し過燐酸等につきましては、実は今後も篤と政府としては検討いたしたいと思つておりまするので、只今輸出等につきまして、絶対的にこれを推進するのが適当であろうかどうかという点をも併せて、今後の研究に待ちたいと思つております。
  240. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあそういう御研究中であれば、ちよつと私がお尋ねすることは無理かも知れませんが、現に過燐酸も硫安と同様に赤字輸出をしておるわけですね。業界が硫安の赤字輸出をしておる。そうしますと、過燐酸の輸出というものは、赤字輸出である限りにおきましては、これ又赤字を内地の農民に転嫁しておる事実については、このことの軽重の度合はありますけれども硫安と行き方は全く同じであります。その場合に、これでもう硫安、過燐酸工業は輸出工業としては不適当である、おやめになると、こういうことなら別でありますけれども、今後も国内に持つております過燐酸の過剰設備等から考えまして、これは何とか輸出工業としてやはり育成して行きたいということであるならば、これ又当分赤字は続くのでありますから、過燐酸の合理化、それに伴うところの、その間におけるところの赤字補填、こういうものを農民の負担においてやらないという、硫安と全く同じ考え方の上に立つての御処置が私は必要だと思いますが、その点は如何でございましようか。
  241. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 過燐酸も硫安と同じような意味においての輸出産業として推進しなければならないと仮定いたしまするならば、只今お話通りということになりますが、それらも併せまして、先ほど申しましたように十分検討いたしたいと存じます。
  242. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、この政令によつて過燐酸が追加されました場合には、やはりこの過燐酸の輸出につきましても、この輸出の分は今後できますところの硫安業者の取扱い品目に追加して、過燐酸の輸出については同じような処置をとるということは、あらかじめお考えになつておられますか。
  243. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) その点につきましても研究の対象でございまして、決心の付くまでに至つておりません。
  244. 江田三郎

    江田三郎君 合理化法案のほうの十三条の一項につきましては、十四条で独禁或いは公取のほうの規定を適用しないということになつておりますが、結局輸出会社ができると、実質的にはただ輸出のことだけでなしに、国内の問題についてもいろいろ話合が行われざるを得ない、何らかのやはり協定というようなものができざるを得ないと思うのですが、そういうことが公になるかならんかは別として、私どもそういうことが必至であると思いますが、さような虞れについては何らお考えなつたことはございませんか。
  245. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私はこの第十三条については、国内の問題が大いに取上げられるという虞れは先ずないのじやなかろうかと考えております。
  246. 江田三郎

    江田三郎君 ないと言えばそれまでですけれども、併し常識としてないわけに行かんだろうと思うのですが、そういうことについて、ただないと思うというだけでなしに、もう少し積極的なお考えはございませんか。
  247. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 今の江田さんのお尋ねは何でございましようか、公取委員会に違反する、独禁法に違反するとか、そういう虞れのあるような協定というような虞れ、こういう御趣旨でございましようか。そういうことは私は運用上におきましても、この法の狙つておるところではございませんから、そういう御懸念のないように当然運営すべきものと考えます。
  248. 江田三郎

    江田三郎君 表面上はそういうことはできないと思うのですけれども、秘密協定等によつて十分その可能性はあると私ども考えるわけですが、さようなことの起らざるよう厳重監督をされるとか、若しそういうことがあれば、直ちにそれぞれの処分をとるとか、もう少しそういう点についてはつきりと御答弁を頂きたい。
  249. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今申しました通りでございまするので、立案者の趣旨から申しましても、さような行過ぎになるようなことがあることは非常に困りまするので、なお、今御注意のありました点は、今後も公正取引委員会とも十分連繋をいたしまして、さような実質上違反するような秘密協定その他というような疑いを受けるような事態につきましては、断固たる措置をとるつもりでございます。
  250. 江田三郎

    江田三郎君 輸出会社というのは、要するに損をするのですから、そうして損はするけれども、片方において合理化資金斡旋等というプラスがある。そこで合理化資金をもらえるなら、輸出会社は損をしても仕方がないということになりますけれども、先ほどお聞きしていると、この合理化資金についてもなかなか計画通りに行かんということになると、そこにどうしても無理が起きて、輸出会社をめぐつて表面的にはとにかくとして、内面的にはいろいろな公取なり、独禁に反するような行動の起る条件は十分あると思う。これについては一つ厳重に御監督を願いたいと思います。それからもう一つは、さつき鈴木委員のほうから、最近の輸出価格の問題が出ましたが、通産省のほうでお調べになつているのは、最近の輸出価格というものがどうなつておりますか、ここに資料が一応出ておりますけれども、これは二月十五日に出された資料ですが、その後の情勢は相当変つていると思いますが、これは明日まででよろしいが、そういう最近の海外の市場関係につきまして資料を頂きたいと思います。
  251. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 資料は提出いたしますが、最近の輸出と言いましても、取引の量によりまして相当価格が違いますが、どちらかと申しますと、有利な価格になつております。
  252. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は明日までに、輸入されました硫酸加里なり塩化加里の消費者別の調査をお願いしたいと思います。特に私は硫酸加里が農家に直接に行つているものが幾ら、原料として製造会社に行つているものが幾ら、こういうような一つお調べを……、私はこれによつて別に議論するのじやありませんけれども、明日一つ参考に見たいのでありますから、これを一つ農林省なり、通産省なり、どつちでもよろしいから一つお願いします。
  253. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 農林省と十分連絡をして資料の調製をいたしたいと思います。
  254. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  255. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは明日本法律案について討論採決を行いたいと存じますので、御承知おき願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十七分散会