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1954-05-20 第19回国会 参議院 農林委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十日(木曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            鈴木  一君            鈴木 強平君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    通商産業省軽工    業局化学肥料部    長       柿手 操六君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○請願及び陳情の取扱に関する件 ○臨時硫安需給安定法案内閣提出、  衆議院送付)(第十八回国会継続)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から委員会開会いたします。最初請願及び陳情書の審査を行います。  それでは速記を止めて下さい。    午前十時四十七分速記中止    ——————————    午後零時四十一分速記開始
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは速記を始めて下さい。暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    ——————————    午後二時三十三分開会
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を再開いたします。  臨時硫安需給安定法案を議題にいたしまして、最初に昨日御要求のありました資料のうち、通商産業省の分は提出がございましたので、これにつきまして御審議を願いたいと存じます。  先ず、通産省当局からこの資料について説明を願いたいと存じます。なお通産省当局から秘密会要求がありますので、秘密会にいたしたいと思いますが、御異議ありませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議がないと認めます。これより秘密会に入ります。国会議員政府関係者事務担当者及び農林委員の秘書以外の方は御退場を願います。    午後二時三十五分秘密会に移る
  6. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは通産省当局から説明を願います。
  7. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 只今手許配付をいたしました資料につきまして御説明を申上げたいと存じます。  これは昨日の委員会におきまして、各社提出いたしました資料の写しをお出しいたしたのでありますが、その中に添付してあります工場原価資料から、現在の硫安原価推定計算すればどういうふうになるかということについて計算をして出せという御要求がございましたので、実はあれから帰りましてお手許配付をいたしましたような推算をいたしたのでございます。各社提出いたしております資料計算をいろいろ調べてみますと、その計算方法がいろいろまちまちであります。御覧のようにフオームも違つておりますし、とりました時期も大分違つております。これは一社々々はこれから御説明いたしますが、違つておりまして、それからあの資料だけではどういう基礎でやつたかということについて内容の不明なところもございまして、従いまして、あれを元にして現在はどういうふうになるだろうかということを推算いたしますのに相当困難をいたした点もございます。従いまして、説明をいたしましておわかりにくい点があるかということを恐れておるのでございまするが、ともかく昨夜遅くまで、会期も切迫いたしておることでございまするので、みんなを動員いたしまして、各種の資料なり、知識を集めてできるだけ正確を期したつもりでございます。併し前申上げます通り、どこまでも私ども推算が入りまして、相当勘で計算した部分もございまするので、その点はあらかじめ御了承を頂きたいと存じます。  一番初めにあります東北肥料から御説明をいたします。これは細かく御説明いたしますと、きりがないのでありますが、結論的に申しますと、この会社の出しております肥料原価は、これは昭和二十七年四月から昭和二十八年三月まで、いわゆる昭和二十七年の上、下の実績とつております。そうしてその生産ベースもそのときの生産数量単価もそのときの製品の単価ということになつておりまして、それは平均いたしまして一「かます」にして————ということになつておるのでありますが、私どもがそれを現在現状のあの会社生産状況年間に引延ばしまして、先ず七万六千トン程度は、これはガス法のほうの設備増強等もございまするので、できるというふうに踏みまして、石炭コークスその他の値下りなり、或いは労賃が一部上つておるものは労賃値上りを含み、操業度上昇による固定費低下等を考えまして、ここにありますように一「かます」—————程度になるのではないだろうかというふうに推算をいたしております。それの個々につきまして、一、二申上げますというと、コークスでございますが、これも特別公定価格があるわけでなし、はつきりしないのでありますが、この二十七年上下平均では九千九百三円となつておりますが、北海道物及び東京両方の先ず平均は九千百円くらいではないだろうかというふうに私どもはみまして、更に生産増強設備改良等により、原単位等につきましても或る程度の向上があるものとみまして、コスト低下を見込んでおります。それからパイライトにつきましても、その当時のパイライトから三千七百六十円というものは三千四百円程度には下つておるだろうというふうな見通しを付けまして、これにも約一〇%の値下りを見込んでおります。隣の工場からできた硫酸購入につきましても、五%程度値下りしておるものだというふうな推定を下しております。更にボイラーの燃料用石炭でありますが、これにつきましても二割程度昭和二十七年の上下でありますから、それに比べれば値下りはしたのだろうというふうな推定をいたしておるのであります。それからそのほかにつきましては、幾分上つたものがあるのでありますが、それは給料が上つておるのでありますが、これは私どものころで大体知り得ておりますあの当時以後に上りました基準賃金値上り率というものが二八%程度なつておりますが、そういうものと、操業度上昇による労賃低下両方を勘案いたしまして、ここにあります通りに——ばかりトン当り上がるという、こういう計算をいたしておるのであります。それからその他経費につきましては、これは操業度上昇による低下があります。それから減価償却の問題でありますが、これは私どもとしては最近再評価相当いたすことになつておりますので、これからの将来を考えますと、操業度上昇による低下もありますが、再評価による償却増加というものも考えなければならんのでありますが、これは実は短期間ではつきりしたデーターをつかむことができませんので、そういうものは一応織込まずに、ここにあります資料を元にしまして、操業度上昇による分だけコスト低下というものを見込んでおるのであります。それから金利につきましても、操業度上昇による金利というものを計算をいたしております。ただ生産増加による流動資本金利というものも一部殖えるということを考えまして幾分プラスいたしまして、プラス、マイナスで大体金利は千五百円が千三百二十四円、約二百円の低下を見込んでおるのであります。一般管理費につきましては、これはいわゆる本社費相当することでございますが、操業度上昇による比率だけ下るというふうにみまして合計————————でありまして、「かます」に直して—————、この会社資料は、そういう二十七年上下平均いたしておるという材料ではつきりいたしておりますので、比較的計算が容易でありました。私どもといたしましても、ややこういうところではないだろうかということにつきまして、割合に計算したあと、こんなふうなものかなあというふうに考えるのであります。  次は日本水素でありますが、これは実績を出しておるのでありませんで、二十七年の末から二十八年の初め頃の物価なり、或いは賃金なりというものをベースにしまして、そうして二十八年度の操業度を予想しまして作りました予想原価であります。そういうことでありまするので、私どもは今度ここで現状ではどうなるであろうかという推算をいたしますのに、生産量を十万五千トンというふうにもうすでに挙げて想定原価を出しておるのでありまして、私どもが現在推算いたしまする場合においても、十万五千トンというもの以上にはちよつと望めないのじやないかというふうに考えられるのでありまして、私どもが現在推算いたしましたこの計算におきましても、生産量は十万五千トンであります。そうして結論を申しますと、会社とつております、今申上げましたような計算方法計算いたしましたものが、一「かます」————というものに対しまして、私ども————くらいというふうに、そのベースを今日に置き換えればそうなるのではないかというふうに定をいたしたのであります。この中で生産ベース、いわゆる操業度というものは、会社計算いたしておりますものと同じでありますので、あと物価変動或いは労賃状況等がどういうふうに移動するだろうかということにつきまして計算する程度にとどめたのでありますが、先ず原料コークスでございまするが、原料コークスにつきましては、これはその当時は九千三百五十円というふうに見込んでございますが、現状ではこれは東京からも近いという事情がありまして、秋田よりは安いというふうに見ました。大体八千八百円程度で六%程度値下りになるだろうというふうに見ておるのであります。その次の粉コークスというのは、これはコストとしてこれだけかかるというのじやなくて、この中から粉のコークスは四千円で売れますから、それを差引くという計算項目であります。これはコークスが下れば粉コークスも下るというわけであります。それらについてのはつきりした何はありませんから、当時四千円で粉コークスが売れておつたものであれば、やはり現在でも四千円で売れるだろうという想定をいたすほかにないのであります。そういうような想定をいたしております。それからその次に大きな項目燃料費、これは常磐炭鉱に近い所でありますので炭価も安いのでありますが、安い炭が、三千八百円程度のものは更に三千四十円、これは非常に悪い劣勢の炭でありますが、二割ぐらいは下つているだろう。従つて悪い炭を燃料にして自家発電をいたしておりますが、それも同様に値が下るだろうというような計算を出しております。労賃というところの人件費という項目でありますが、これは大体細かい基準はわかりませんが、大体基準賃金アツプはその後二回いたしておりますが、一五%ぐらいアツプだというふうに私ども承知いたしておりますので、一五%アツププラス項目なつております。それから減価償却でございますが、これもさつき申上げましたように、再評価相当に大きくいたしておりますが、この額が実ははつきりいたしておりません。でありますので考慮に入れません。併しリンデという装置を約一億五千万円で作つたのでありますが、それの償却分は当時は設備がなかつたので、それらの分の償却の増をトン当り約百十円でありますが、それを加算してあります。その他には特に生産ベースに異動はございませんので、一応そのままにいたしたのであります。従いまして、—————という資料について現状では————ぐらいになつているのだろうと、こういうふうな推算をいたしたわけであります。  次は、新日本窒素でございますが、この資料項目が非常に他のものと違つておりまして、私どもも非常に捕捉に困難をいたしたのでありまして、この説明も非常にしにくくありまして、お聞取りずらいと思うのですが、これは原料というのを電気、ここは電解法でありますから、石炭コークスは使わないのでありますが、電気だけであります。でありますけれども、例えばアンモニア硫酸とかというふうに電気ガス作つて、そうしてそれをいろいろな機械を通して労賃をかけ、アンモニアを作るという、アンモニアを製造するところを一つの原料にしてここに出しておる。ただパイライトと言うのじやなしに、アンモニアを貯蔵して硫酸を作る、その硫酸幾らというふうに項目で出ておりますので非常にわかりにくいのでありますが、一応いろいろこれを分析いたしまして、相当推定が入りますけれども、私どものほうでわかる範囲で推定をいたしたのであります。これはこの会社が出しております資料前提と言いますか、その内容はこれは昭和二十七年の四月乃至九月でありますから、昭和二十七年の上期の営業期物価水準基準にしまして、そうして生産量はここは自家発電購入電力は必要ないのでありますが、製造量はずつと前からコンスタントでありますが、その製造量、できますアンモニアを全部硫安にして年間約七万トンということをべースにした操業度計算をいたしているのであります。この年間七万トンというのは、これはできるアンモニアを全部硫安にした場合の操業度でありまして、実際に硝酸その他のほうに使つておりますので、実際に硫安生産しておりますのは六万二、三千トン程度でありますが、それをベースにいたしているのであります。今度私どもがここに推算してお目にかけておりますものも、生産量はやはりこのベースより増減なしというふうに考えて、そういう想定の下に計算をいたしているのであります。従いまして、生産量余り増減がありませんし、それから電気自分のところで自家発でやつているのでありますから、而も水力でありますから電気コスト余りかからない、石炭コークスは使わないという関係がありますから、現在出ております資料現状とを比較いたします場合においても、余り大きな差はないのが当然だと思うのでありますが、それでも二、三の項目につきまして費目の金額の変動推算いたしております。わかりにくいのでありますが、硫安一トン作るのにアンモニアが二百五十六キログラム要つて、その単価————————になるだろう。従いまして、硫安トン当りアンモニア経費—————になるだろうと言つておりますが、これは硫安では—————アンモニアでありましたが、——————というふうにこれは上つているのであります。これはなぜかと申しますと、ここで上つている費目はこの中に含まれている労賃相当部分を占めておりまして、—————の中に————幾らというふうなものが労賃でありまして、この二十七年の四月—九月の労賃ースから行きまして、現在は約七%の増嵩なつておりますので、その増嵩分硫安トン当りにいたしまして—————ばかり上るということになるのであります。パイライトのほうは、硫酸のほうはその中の硫酸製造のほうの労賃も上りますけれどもパイライト値下り推定分相当ありますので、結局硫酸の四千六百七十三円は四千五百二円というふうに計算が出たのであります。それからその給料、工賃、これらはアンモニア硫酸を作る給料、工費はそちらに入つているのでありますが、今度はアンモニア硫酸原料にして硫安を作るときの給料質金というふうな計算をいたしているのでありまして、これは非常に他のほうと比べて少いのでありますが、それも一応計算上七%というふうに考えまして幾分増加を見込んだのであります。それから減価償却等につきましても、これは先ほど御説明いたしました通り、これはそのままにいたしました。それから蒸気部費というのは、これは石炭値下りを見込みまして五分少しでありますが、幾分低下計算いたしたのであります。次に、運賃でありますが、運賃というのは工場から各消費地までの運賃————とありますが、私どもがいろいろな材料等から見まして、これはちよつと高過ぎるのじやないか、———ぐらいが適当じやないかというふうに考えまして、———推定をいたしたのであります。金利等もそのまま、管理費関係が、やはりこの中に給料相当する部分を五三%程度含んでおりますので、これの七%程度増嵩は見なければならんというふうに想定いたしまして計算をいたしましたものがこの結果でありまして、—————という数字が出ておるのであります。  それから次は、二枚目の紙の宇部興産でございますが、これの計算基礎もいろいろ調べて見ますと、これらは今ありました三社よりずつとあとに出されたものでありまして、この計算基礎は、去年の八月頃の物価水準すべてをベースにしまして、そうして生産量を大体二十八年度の会社の予算の二十六万六千というものを基準にいたしまして、そうして推算されたという説明がございますので、私どもはそれに対しまして、現状はどういうふうになるであろうかということを前提計算をいたしたものであります。先ず操業度でございますが、総量の二十六万六千トンというのは、これは私どもも、現状においてもこれくらいであろうというふうに考えるのであります。従いまして、操業度による費目コスト変動は一応見込んでおりません。現在においても二十六万六千トンという、このままの操業度というものが先ず妥当であろうというふうに見たのであります。あとはここは非常に石炭生産地でありまして、石炭を非常に余計掘つておりますので、石炭或いはコークス単価変動というものが相当大きく響くというふうに考えましたのでありますが、ただここは御承知のように石炭を一部買つておりますけれども、大部分自分石炭の採掘をいたしておるのでありまして、石炭部から肥料部のほうに買う値段でありまして、小売の価格についてはつきりはわかりにくいのでありますが、私どもはいろいろな業者なり、或いは社員等説明等を総合いたしまして、あそこの炭は非常に悪いのでありますが、悪くても原料に使うガス用炭というのは、先ず五千五百円というふうに会社のほうから出しておる資料なつておりますが、これは私どもは大体一〇%程度値下り計算いたしておるものと見て五千円に見たのであります。次に、コークスでありますが、このコークスは先ほど来説明いたしておりますコークスに比べて非常に高い、一万三百円でありますけれども、これはこのコークスは比較的品質がいいコークスで、単価一般より高いのは当り前だと思いますが、それにしても現在では先ず九千円程度じやないかというふうに私どもこれは推定いたしたのであります。蒸気用炭はこれは悪い、半分泥だという炭でありますが、これは二千四百円と計上いたしておるのでありますが、まあ二割近い四百円くらいは安くして来ておるのじやないかという想定でありまして、二千円というふうにいたしたのであります。パイライトにつきましては、これはいわゆる棚原の鉱石でありまして、ほかより一般値下り率が少いと思いますが、これも五%程度値下りがあるものだろうというふうに想定をいたしましたのであります。次に、あと操業度を大体同様に見ましたので余り変えないで、そのまま踏襲いたしたのでありますが、労賃のほうは、これも私ども想定では、二十八年八月以後において六%ばかりの賃金増高をいたしておるようでありますから、これはこの程度増嵩を見込んだのであります。償却もこれも相当の再評価をいたしたのでありまして、これにつきましても或る程度計算をしなければならないと思いますけれども、不明な点ありますので、操業度が変らないから、そのままというふうにいたしまして、結局において一「かます」—————という会社側推定に対しまして、私どもが今までに申上げましたような相当の達観的な推算はございますが、現状では—————程度ではないかという数字が出て参つたのであります。  次は、東海硫安でございますが、これも電解法硫安だけでありまして、而もここは御承知のように、元の四日市海軍燃料廠日本肥料という国策会社政府から借り受けまして、硫安工場を、終戦後に硫安処分対策として作りましたものが独立して東海硫安という会社なつておるというような実情でありまして、硫安製造設備も持つておらない工場であります。従いまして、御覧通り費目で、硫酸というのは全部買う硫酸だけであります。自分の所で製造した硫酸評価ではないのであります。更にこの会社はその設備を借りておるのでありまして、自分の資産でないのであります。この中に御覧頂けばわかりますが、賃借料というのが相当大きな費目で計上されておりますが、そういうような特殊の会社であります。そうしてキヤパシテイが非常に小さくて、そして比較的原料も多く要する工場であります。今までの会社よりちよつと特殊な性格を持つておるのでありまして、そういう意味合においてこの計算をいたしたのでありますが、この会社から出しております資料は、昭和二十八年七月当時の物価水準その他を基準といたしまして、そうして生産量を、アンモニア硫安に換算して三万四千七百トンという推算をいたしておるのでありますが、このうち、それでは硫安にする以外はどうしているかと言いますと、大体液体アンモニアで、ガラス会社ソーダ会社等販売相当量いたしておるのでありまして、私どもが殆んど推算する場合におきましても、現在のあの工場設備或いはその地方の電力事情から申上げまして、先ずアンモニア硫安換算三万五千トンという程度以上は望めないのじやないかと思います。従いまして、会社が出して来ております操業ースというものは、現状において計算する場合においても、これをとるべきであろうというふうに考えましたのであります。従いまして、日本窒素の場合と同様、操業度も変らないし、それから電解法であります関係上、今度電力は、ここは買電電気を買つておるのでありますから、電気料金の改訂があれば大きく響くのでありますが、電力料金現状でありますと、余り、今出しております計算ベースにして原料生産するというときには、大した移動のものはないのじやないかというふな見込みを持つておるのでありますが、ただ労賃につきまして、個々会社計算しておますベースの、二十八年七月より現状は一一%程度基準質金増嵩はありますが、但し又一面、この会社は非常に設備が小さいのでありまして、硫安をこの程度作り硫安をこの程度つたのではなかなか経営が困難でありますので、いろいろあるものを作るとか、或いは副産物の水素窒素を得るとかいうような部門を作りまして、その面に、全体の人は来ておりませんけれども硫安部門の人数というものを減らしました。従いまして、ベースアツプの一一%はありましたけれども、そういう人員を他の部門に振替えるということをやりまして、ここにある通り四千三百四十六円が四千二百七十七円程度には下るだろうという計算が一応できましたので、そういうふうな趨勢をいたしております。次に、先ほど御説明いたしました賃借料でありますが、あの設備を国から借りている、その賃借料が二十八年度から八百万円増額されましたので、その八百万円の増嵩分換算硫安の三万五千トンで割つた分は、これは賃借料増嵩になるだろうというふうに見て、七百八円が九百三十七円になつたというふうに計算をいたしたのであります。それから控除項目という欄がございますがこれは会社計算では————でありますが、私どもが最近の推定をしますと、これはまあ少し当時より、さつきもちよつと言及いたしましたが、副生する酸素の販売量相当附近の需要が増加することによりまして増加いたして来ております。又その単価も市価が上つておるようであります。そういうもの、或いは今まで処理をいたしておりませんでした酸素以外の水素窒素というものも、販売を或る程度始めておるようでありますから、これらの推定をいたしまして、副産物収入の額を殖やしたのであります。かようにいたしまして、僅かでありますが、—————というのが、こういう総計でプラス、マイナスいたしますと、—————というふうな計算が出て参るのであります。  冒頭にも申上げました通り各社いろいろ基礎のデーターのとり方或いは計算の仕方等にまちまちの点がありまして、私どもも非常に現状はどうなるかということを把握するのに難渋をいたしたのでありますが、まあ関係のもの皆集めまして、まあこの辺だろうというところも相当あるのであるが、併しながら、感じとしてはこんなところじやないだろうかというふうなことで、一応取急ぎまして御報告したような次第でございます。
  8. 河野謙三

    ○河野謙三君 いろいろ詳細に亙つて説明を頂きまして、御説明を頂いた個所につきましては、十分納得が行つたのですが、ただその結論として、今ここへ出ました最終の、「かます」当りの原価に、これは勿論適正利潤は入つておりませんね、この利潤を一「かます」四十円乃至五十円入れますと、現在の硫安販売価格に対して、むしろこのほうが高くなつておる、こういうような私は結果に落着くのではないかと思うのです。我々は法案の審議に当つて是非必要なことは、又知り得たいことは、これらの五社以外の、硫安会社全体の現在のコストが大体幾らくらいになつておるかということを大体押えたいのです。ところがこれではまだ全部がわかりませんから、現在の硫安平均コストというものは幾らになるか、ちよつと見当付かないのですが、そこで私は昨日、これ以外の有力な会社昭和電工であるとか、東洋高圧であるとか、日産化学であるとか、こういうものも今日ここへ頂きましたような計算をしてお出し願う、あとそのほか小さな会社がありますけれども、それらを除きましても、大体日本の硫安工業の現状というものは把握きるのではないか、こう思つておるのですが、そこで私は昨日資料要求したんですが、どうでしようか、開発銀行から資料を出してくれると思いますが、その資料を待つまでもなく、大体通産省のほうで、これ以外の有力な二、三の会社につきまして、こうい計算において何か御説明をここで頂けないですか、詳細に亙つてでなくていいです。
  9. 柿手操六

    説明員柿手操六君) このほかの会社資料につきましては、私ども手許資料を持つておらないのでございまして、これと同じような計算方法を出すことは困難なのでございますが、大体の見当としましては、この前の平均的な資料を、私ども推算でございますが、提出して御説明を申上げたのでありまして、先ず大体全体としてはどういう見当になつておるだろうかということを押えますのは、あの程度資料で不満足でございますが、お許しを得たいと思います。
  10. 河野謙三

    ○河野謙三君 柿手さんの言葉ですが、この間のあの資料は我々はどうしても納得できないのです。この間の資料基礎にいたしますと、この間江田さんと政府委員との間にいろいろ質疑応答があつたように、硫安工場が現在赤字で売つておるのだというどうしても結論になるわけです。我々はそういうことはどう考えても信じられないし、赤字でないということは間違いない。そこで我々は別途こういうものをお手数をかけて要求をいたしておるのですが、例えばこの宇部興産と東洋高圧なり、昭和電工のコストの比較を大体とつて、どつちが高いか安いかということはわかるのです。宇部興産に対して昭和電工はどういうあれになつておるか、宇部興産に対して東洋高圧はどういうあれになつておるか、細かい何百何十円何銭まではいいのですが、宇部興産対東洋高圧とか、昭和電工という一流の会社生産原価についての比較ということは大体おわかりだと思いますが、先ずそういうものがおわかりになつていなければ、この間の平均原価は出て来ないのですが、その点はどうですか。
  11. 柿手操六

    説明員柿手操六君) この前平均原価のときに御説明いたしましたように、あれは私ども各社コストを調べまして、それを平均したものではないのでありまして、実は各社コストの調査をいたしておりませんけれども、あのときに御説明申上げましたように、現在の石炭なり、コークスなり、電力なり、或いは労賃平均的な基準なり、生産ベース二百三十万トンなりというようなものを基準にしまして総平均的な原価を一本で出したのであます。各社ごとに推算をいたしまして出たものを加重平均したというものではないのであります。今、河野委員のお話の各社のものは実は持つておらないのでございまして、全体的な平均的なものは————というところを押えておるのであります。それに対して、今の私どもがこの間御説明いたしましたように、利潤を四、五十円繰入れれば—————ということになつて、現在の市価では非常に利潤が少いではないかということでありますが、私どももあの計算が、ほかに調査いたしておりませんから、ああいう試算をすればあの程度の数中が出るということでありまして、そのデーターが一%も二%も、何%も誤差はないという、そう厳格な意味の自信のあるものではないのでありまして、大体私どもがああいう推定計算をして見れば—————というような生産原価が出るという程度の自信しかないのであります。各社別に計算をして、そうして平均を出しておるのではないのであります。その点は御了承願いたいと思います。
  12. 河野謙三

    ○河野謙三君 現在こういう開発銀行から各社原価計算が出ました中に、東洋高圧とか、昭和電工、日産化学がありますね、この与えられた資料を元にして計算すれば出て来るでしよう、これは……。失礼でありますが、私でも二、三日暇を頂ければこれはできますよ。とにかく原価計算資料はもらつておるのであるから、これを私ども資料を三日も四日もかけなくとも、資料は改めて各社要求しなくとも、あなたの手元で開発銀行から廻された資料で、今私どもの手元に頂いて説明をして頂いたようなものができるわけです。私はできないとは思わないのです。できるとするならば開発銀行からもらつてもいいが、あなたの手許でおついでにやつて頂けば、この五社にブラス昭和電工、たびたび申上げますけれども、東洋高圧、日産化学、更に小さい会社であれば宇部化学、こういうものが加われば、あと小さい会社が残りますけれども、大体日本の硫安工業の実勢というものは出て来るわけです。それで我々は初めて納得するわけです。これは柿手さん、新らしい資料要求じやなくて、手許にある資料によつてちよつと弾き出して頂きたいというのです。これはできませんか。若しどうしてもできませんければ、私は三日ほど暇をもらつて私自身で計算いたします。
  13. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは私技術者でありますから、少し固く考え過ぎるのかも知れませんが、これは絶対にできないとも申しかねるのでありますけれども、あの程度資料では、なかなか私どもがこの程度だろうといつてお目にかける計算ができるかどうか、これは非常に率直に申上げまして自信がないのであります。併し自信がなければない程度で、絶対に何も見当が付かないかと言えば、あの資料の範囲内でできないことはないのでありますが、重ねて申上げます通り、あの程度資料ではなかなか私どもの良心的に……。いずれにしても推算でありまするから不確実なものでありますけれども程度の問題でありますが、どうかと思つて躊躇しているのであります。
  14. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は決して意地悪く言うわけではありませんで、ここまで通産省、開発銀行、農林省が協議をして頂いて、私どももここまで熱心に原価計算について掘り下げて来て、もう一歩というところでうやむやに我々はこの肥料の法案を審議することは意味がないと思う。でありますから、こうして下さい、委員長、明日までに開発銀行から私の要求している資料が出してもらえるかどうか。それとも通産省が何か一つ特別のお骨折りをして計算して頂けるか。それができなければ、私はこの法案の審議を三日ほど休んで頂けば、私責任を以てやりますから、どつちか一つきめて頂きたいと思います。
  15. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    午後三時二十八分速記中止    ——————————    午後三時四十一分速記開始    〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕
  16. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) それでは柿手さんからお出し頂くことになりましたから、これで懇談を打切りまして速記を始めて頂きたいと思います。
  17. 江田三郎

    ○江田三郎君 我々素人だからわかりませんので、一つ説明して頂きたいと思うのですが、例えばこの東北肥料の分ですね、これがここへ来ておる二十八年三月の分で行くと六万二千トンの場合に————というような計算なつている、それでもう一つの別表のほうで六万七千トンとした場合に————という計算になる、尤も————というのはこれは計算間違いで、————ですか、何ぼかになる、こういうことですが、それが先ほどの説明で行くというと、東北肥料の場合に七万六千トンになつて、それで————ということになると、この会社のほうが付けている表に照らして行くと、少しこれは————というものは高過ぎるのじやないか、その際この会社が付けている—————が出て来る表にしても、例えばコークス単価なり、或いは硫化鉱の単価石炭単価、そういうものは会社が見ておつた当時の単価より通産省のほうがやられたこの単価のほうが下つているのだからしてもつと—————よりもまだまだ下へ来なければならんのじやないか、そういうような疑問を持つわけです。勿論給料については違う部面がありますけれども、それにしてももつとこの数字よりも下つて来るのじやないか、その原単位のとり方が、どうも会社が出した二つの表とこの表を見比べてみるというと、素人には多少納得できない点があるわけですが、そういう点、どういう工合に見ておられるのか、一つ御説明願いたいと思います。
  18. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 誠に御尤もな質問でございまして、これはちよつと計算違いで—————というは……。
  19. 江田三郎

    ○江田三郎君 それは違います。
  20. 柿手操六

    説明員柿手操六君) それは違います。それにしても六万七千トンと七万何千トンと見ているのだから、単価相当あるのだからまちまちになつているのじやないかという御疑問は御尤もでありますが、実は生産量の総量以外に、ここは電解法硫安ガス法を併用いたしておるのであります。あの地方の電力事情その他から現状六万七千トンという、—————というのを作りましたのは、設備現状のままであつて電力その他が工場で最も理想とするようなふうに電力が供給された場合における想定コスト—————だという計算想定原価として出しておるのであります。それはなぜそういうことをしたかというと、これは現在の設備の合理化の工事をやれば幾らの効果があるかということを比較する場合におきましては、現在の設備が十分電力その他の事情で動いていない場合において、コストが高くなつておる分と設備をよくしましてコストが下る分との比較をしたのでは、その効果が過大に出ますから、設備的には、現在ある設備が最も理想的に動いた場合におけるコストというものと、そうしてそれに合理化を施した場合におけるコストというものとの比較をして、正味のメリツトというものを出すということが必要だということで、そういうふうな計算をやつておるのであります。————というのは、先ほども説明いたしましたように、昭和二十七年上下実績を出したのであります。私どもは六万二千トンから七万六千トンというふうに見ておりますけれども、この内容は、電解法電力事情その他現状では一万一千トン程度は無理だろう、従つて七万六千トンのトータルのうち六万五千トンはガス法で、電解法は一万一千トンというわけでありまして、この東北肥料において、現状というところで六万七千トンという理想的な操業を考えたときの電解法ガス法は、ガス法が五万四千トンで電解法が一万三千トンというふうに、比率が電解法に重点をおいているのであります。結局電解法のほうが非常にコストが安いのであります。    〔理事宮本邦彦君退席、委員長着席〕  ガス法のほうは高いのでありますから、その安いほうの方法の比率が—————ということで、東北肥料原料計算のほうは、今私どもが試算したよりも安くなつておるという関係にあるというふうに思うのであります。
  21. 江田三郎

    ○江田三郎君 どうも素人が聞くのですからよくわかりませんが、例えば硫化鉱の原単位当りは、東北肥料の二つの表で一トン二百と一トン百五十五とあるわけですが、こちらではやはり一トン二百の数字をとられておるわけはどういうわけですか。
  22. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは硫化鉱につきましては、品位が非常に何パーセントの硫黄を含んでおるものということによつて原単位も違つて参るのでありまして、私どもとして一トン二百という原単位を、これは多過ぎるという査定をするほどの、実はどの程度硫化鉱の品位が違つておるかということによつて違いますので、或いは一トン百五十でいいような場合もあるかとも思いますけれども、そこまでの根拠がないものでありますから、一応会社の言う通りつたのであります。
  23. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうしますと、電解法とか、ガス法とかの問題は、先ほどもお話がありましたが、例えば硫化鉱あたりについては会社のほうが六万七千トンの現状として一トン一五五と見ておるのは、少し会社数字が甘過ぎるから、やはり昔通り一トン二百を使つているのだろうと言うのは、二十八年三月に出した過去一カ年間実績当時と何ら変りがないであろうというように見られたのですか。
  24. 柿手操六

    説明員柿手操六君) これは率直に申上げまして、原単位というものは硫黄の含有量によつて相当変るのは当然でありますのでありまして、私どもとしては、単価値下りというものだけを計算に入れまして原単位はそのままで使つたというわけでありまして、これが一トン一五五では絶対にできないというほどの確信はないのであります。
  25. 江田三郎

    ○江田三郎君 だから、結論としては会社のほうでこの昭和二十七年度にやつてつたところと何ら違わない原単位のものを使つておる。会社が出しておる表では、この六万七千トンを作る場合には一トン一五五で済むというのにあなたのほうは七万六千トンにしても、昭和二十七年度の実績当時と同じ原単位を使つている、こういう見方をせられた、こういうことでしよう。
  26. 柿手操六

    説明員柿手操六君) そこまで詳しく私どもは実は調べなかつたのでありますが、その現状という欄に、硫酸関係で硫化鉱と硫酸作つておるものを買う。稀硫酸と亜硫酸ガスというのと購入硫酸というのが、四つがその硫安関係硫酸の資源でありますので、ここにありますと、六万二千トンの場合の購入硫酸、硫化鉱という二つ、これを総合して見た場合と、それから硫化鉱が少い代りには六万七千トンの場合は購入硫酸が殖えているというような関係がありまして、必ずしもそれは詳しく検討しなかつたのでありますが、どういうふうになりますか、六万七千トンの場合には硫化鉱の原単位がこれで下るという、実質的に下るのかどうか、購入硫酸が殖えるから下るというふうになるのではないかとも思うのでありますが、率直に申上げまして、そこまで細かく検討しなかつたのであります。単価値下りだけを考えて計算したのであります。
  27. 江田三郎

    ○江田三郎君 購入硫酸は二十七年度の実績にも入つておるし、六万七千トンの実績の場合にも購入硫酸数字は入つておるのです。ですからどうも今の説明では少し腑に落ちない点がありますが、私自身も専門家ではありませんから、それ以上詳しくは尋ねませんが、率直に言うと、ここから受ける印象は、六万二千トンが七万六千トンになつたにしては、而も石炭コークス、硫化鉱或いは購入硫酸等の単価が下つたにしては、—————というような数字は少しまだメーカーのほうに好意的と言うては失礼ですけれども、多少通産行政奨励の立場に立たれておるような印象を受けるということだけは申される。これは私の印象ですがね。(笑声)
  28. 柿手操六

    説明員柿手操六君) 非常に江田先生細かい御質問になつて、私の気が付かない点を御指摘ですが、今の点は秋田工場の隣りに東北亜鉛という会社があるのであります。そこにすぐ隣接しておるのでありますが、そこから廃ガスの亜硫酸ガスを買つて来る。三菱金属から出ますそのガスを将来はもらうというわけです。硫酸トン当りパイライトは少いということに今気が付きました。そこまで考えてこの計算がしてあるかどうか、その点江田先生の烱眼には敬服します。(笑声)
  29. 江田三郎

    ○江田三郎君 今東北肥料のことだけを言いましたが、その他の会社においても私自身も素人なりに疑問を持つておるわけでありますけれども、これはそれ以上余り細かくやつても仕方がありませんから、遺憾ながらそういう印象を受けたということだけ申上げておきます。
  30. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質問ございませんか……。それではこれで秘密会を閉じたいと思いますがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 秘密会はこれを以て閉じます。    午後三時五十七分秘密会終る
  32. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) なお只今秘密会速記録中特に秘密を要する個所は、国会法第六十三条により公表しないようにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。なお削除の個所等については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めてさようにいたします。  ちよつと速記を止めて下さい。    午後三時五十八分速記中止    ——————————    午後四時十三分速記開始
  35. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十四分散会