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1954-05-17 第19回国会 参議院 農林委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十七日(月曜日)    午後一時四十分開会   —————————————   委員の異動 本日委員北村一男君及び小林孝平君辞 任につき、その補欠として、雨森常夫 君及び清澤俊英君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            小林 孝平君            鈴木  一君   政府委員    農林政務次官  平野 三郎君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農地局長 平川  守君    農林省畜産局長 大坪 藤市君    通商産業省企業    局長      記内 角一君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会運営に関する件 ○臨時硫安需給安定法案内閣提出、  衆議院送付) ○酪農振興法案内閣送付)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を開会いたします。  先刻の理事の打合会におきまして今後の日程を御相談いたしまして、お手許に配付したような日程審議をやつて行きたいと存じます。  なお、会期も切迫しておりますので、大体の方針といたしましては、臨時硫安需給安定法案酪農振興法案農林漁業組合連合会整備促進法改正案及び日本中央競馬会法案は、勿論今後の審議の如何にもよりまするが、今週中に目鼻を付けて参りたい、こういうふうに決定をいたしたわけであります。爾余の法案につきましては、今後の審議の状況に応じまして重ねて御相談をいたしたいというふうに大体決定いたしましたので、御了承を願いたいと存じます。  本日は、先ず臨時硫安需給安定法案を議題にいたしまして、本法案審議関連して、かねて日本開発銀行に対して要求されております硫安コストに関する資料の件を問題に供します。かねてから日本開発銀行に要求されておりました資料は、日本開発銀行におきまして、大蔵当局通産当局了承を得られて、通産省経由で本日ここに原本として資料提出があつたわけであります。なお、本日は参考人として日本開発銀行理事中村建城君及び竹俣審査部長出席を得ております。  ちよつと速記を止めて。    午後一時四十三分速記中止    ——————————    午後二時二十一分速記開始
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。  それでは開発銀行から提出されました原本は、これを複製いたしまして、成るべく早くお手許に配付いたします。なお、六社以外の三社の分については開発銀行には資料がないそうでありまして、通産当局にその資料があるそうでありまして、それを提出願うことに了解を付けたわけであります。従いまして、本法案審議は本日は資料か配付されるまでは停止をいたします。   —————————————
  4. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、酪農振興法案につきまして御審議を願いたいと存じます。畜産局長は間もなく見えるはずでありますが、農林経済局長が見えておられますから、農林経済局関係に御質問がございますか。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 経済局長に、私は協同組合あり方についてお考え一つ率直に披瀝願いたいのですが、と申しますのは、最近の協同組合実態というものは、非常に協同組合運営商業資本化しておると私は断定せざるを得ないと思う。勿論全部とは申しませんけれども、そこで協同組合の本来の使命に照らして、当然農林省としても今後の協同組合あり方につきましては、いろいろのお考えをお持ちだろうと思うのです。取分け畜産関係協同組合につきましては、私が今申上げたような感が深いのです。特に酪農関係協同組合というものは、この頃たくさんありますが、そのうちの大多数の酪農組合というものは、加工業者下請機関のような形になつて運営されておる。これを何とか改善しない限り、今回ここに提案されました酪農振興法というようなものを我々論議いたしましても、これは全く意味がないと、かように思うのですが、一つの例を申すならば、成る会社のバツクの下にできた酪農組合、これは或る会社資本によつて牛買付資金を融資しておる、或る会社資本によつて餌買付をやつておる。その他万般すべて会社本位協同組合運営されておる。こういう実態を御覧になつて経済局長協同組合指導監督立場においてどういうふうにお考えになつておるか、これを一つ私は率直に御意見を伺いたいと思います。
  6. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 酪農協同組合中心としての御所見に関連いたしまして、私ども指導方針と申しまするか、考え方についてのお尋ねでございます。私どもといたしましては、酪農、特に酪農協同組合についてどういう方針をとるかということにつきましては、むしろ比較的従たる立場と申ますか、畜産局を主とし、私ども協同組合全体の立場からいろいろ御意見を申上げるということにこれまでなつてつたのでございますが、そういう意味におきましても、これから申上げることが必ずしも酪農協同組合だけに限りませんけれども、そういうことを中心として私どもが二、三考えておることを申上げたいと思います。御指摘のように、酪農協同組合その他、こういう特殊の協同組合について二、三私どもが現在の制度なり、或いは指導について若干欠陥があるのではないかということを実は考えております。それにつきまして、具体的にどうするかということにつきましてはいろいろ考えておりまするが、まだ実施の段階には至つておりません。細かくなりますが、それを御参考のために申上げます。  一つは、特殊の協同組合酪農等につきましては、これは区域から申しますると、大体郡単位が多いようでありますが、出資、非出資の区別からいうと出資のほうが多いようであります。それから事業の種類から申しますると、販売事業、それから生産事業、こういうことになつております。ところが養蚕などになりますると、そういう関係大分違つておりまして、養蚕関係ならば、むしろ区域も非常に小さい。それから非出資が多い、又事業のほうも生産関係のほうが主となつておる、こういうように非常に違つております。共通的な欠陥として何があるかと申しますと、総合単協との関係が必ずしもうまく行つていないのです。それは現在の法制の上でも工合が悪いのでありまして、例えば部落で畜産なり、或いは養蚕協同組合ができましても、村の総合単協に正式に加入するという途は実は現在ございません。そういう点はやはり改善をする必要があるのではないかというふうに思つております。それから又部落なり、或いは郡なりの信用事業を行わない事業、即ち酪農協同組合等につきましては、役所が有権的に検査をするという根拠がございません。ただ悪いことをやつておる、法律違反をやつておるといつたようなことがない限りは検査ができない実は現在の法制になつております。検査に行くというと、何か悪いことをやつておるという嫌疑が一応あるのだということでないと検査ができないようなことになつておりまして、こういうのは現在の協同組合制度からいつて工合の悪い欠点ではないかというふうに思つております。  それから今特に御指摘の点でございますが、酪農協同組合といつたような、特殊の農産物原料農産物を作り、それを販売し、又その生産事業をやるといつたような協同組合につきましては、往々にしてそういうものを購買する資本関係酪農或いは製糸、こういつたような資本関係関連をどういうふうに合理的に妥当に持つて行くかということが非常にむずかしい問題であります。この点につきましても、実際制度の上からも、それから指導上からも検討しなければならんと思いますが、農業協同組合制度におきましては、特に制度開始以来の指導方針として、非農民的な利益に左右されないということを一つの実はその原則としておつたのであります。そういうことは、例えば役員選任資格につきまして、組合員である農民以外の役員選任を非常に制限しているという点に現われておりまするが、そういう組合員になる資格でありまするとか、或いは役員の被選挙権のほかに、只今指摘のように、そういう商業資本或いは加工資本から助成金をもらうとか、或いは特別の援助をもらうということは、先ほど申しましたような協同組合原則から言うと如何かというふうに実は思われます。ただそれを現在の制度の上で不当である、又違法であるというふうに積極的に展開するまでに実は至つておりません。それからもう一つは、そういう資本或いは加工業関連を持つのはこれは当然のことでございまして、原料販売或いは生産指導ということについて当然そういう関連はございますが、その間を一方に従属するといつたようなことでなくて、相対立して対等な資格において交渉をして行く、こういう関係に実は持つて行かなければならんと思うのでありますが、酪農などにつきましても、実はそういう点の配慮が必要であろうと思います。今回の法案にも多少そういうことに関連した措置がとられておるようでありまするが、この点については、もつと私どもとしてもこの原料農産物販売その他に関連いたしまして、その取引業者関係が対等な協約の関係で進み得るような措置制度としても足りないのではないかと思いまするし、又役所指導といたしましても、そういう点についての関心がなかつたというわけではございませんが、そういう関心に基いた特段の指導が実はなかつたように思いまするので、そういう点について相当考慮しなければならんのではないかというふうに存じております。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 経済局長から率直に現在の協同組合運営実態というものについては、制度的にも十分改良すべき点があることをお認めになつたような御答弁でありますが、私は先ほど申上げましたような、協同組合、特に酪農関係組合の現在の運営実態を見ておりまして、この問題を解決せずして酪農振興なんというものはあり得ないと思うのです。この酪農振興法案提出に当りまして、農林省内におきましては、経済局畜産局はよく会議されたのですか、特に今の酪農協同組合問題等につきましては十分会議されたのですか、どうですか、それを私は伺いたいと思います。
  8. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今お尋ね酪農協同組合等指導等につきましては、絶えず畜産局と連絡をいたしております。
  9. 河野謙三

    河野謙三君  この法案提出に当つては今私が申上げたような点にも触れて論議されたのですか、それを伺つているのです。
  10. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 勿論そういう点に触れまして論議をいたしております。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、問題はいろいろありますけれども、私は一つの例を申しますと、今度何かこの法案によると紛争の調停委員のようなものが出ますね、それは大体どういうところから出て来るのですか、いずれ酪農組合というようなものがあれば、これらの代表者というものが当然そういう調停委員というものに私は考えられると思うのですが、そういうことになりはしませんか、畜産局長から御答弁願います。
  12. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 各自の利益代表するものは別といたしまして、いわゆる学識経験者と申しますか、中立委員等につきましては、酪農学識経験の深い、而も公正な立場をとり得る中立委員を任命いたしたいというふうに考えておりまして、どういう方面から出すかという具体的の問題につきましては、現在はわかつていないのであります。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 その生産者代表であろうが、学識経験者であろうが、結局今ここで誰を出すかということは勿論わかつていないでしようけれども、大よそそれらを選考される範囲というものはきまつているでしよう。学識経験者又は生産者ということになれば、いずれ酪農組合代表者というようなものがその範囲に入るのじやないのですか、入らないのですか。そういうものは如何なる場合にも酪農組合代表者というものは入る余地はありませんか、その委員の中に……。
  14. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 当事者代表といたしましては、当事者の推薦いたすものから知事がこれを決定することに相成つておるのであります。で、第三者の中立委員につきましては、先ほども申上げましたように、酪農学識経験の深い中立立場をとり得る人を任命するようになつております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君  当事者と言いますか、一方の生産者当事者代表というと、酪農組合組合長ということになるのですか、そうじやないのですか。
  16. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 大体そういうことになる場合が多かろうと思いますが、必ずしも限定はいたさない。つまり当事者申請をいたしますから、申請をする対象といたしましては、酪農組合組合長関係当事者になる場合が多かろうと思います。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 そうしますと、ここで問題があるのですよ。酪農組合代表者というものは大体そういうことが考えられる。その酪農組合実態は何か、畜産局長経済局長も御承知のように、必ずしも生産者代表じやないのです。酪農組合自体が大資本の一から十まで厄介になつておるところの酪農組合なんです。こういうものが生産者代表として出て、本当に生産者代表として発言ができるわけがないのです。そこでこういう法案を作る前に、現在の酪農組合実態に徴して、大資本と紐の付いたような酪農組合というものは、先ず生産をさして、正真正銘の有畜農家の作つたところの酪農組合というものにしなければ、これは結果においてそういう調停委員作つて森永明治ボスになるだけなんです。選ばれる前から森永明治のどうにもならない紐付きなんですよ。そういうものを生産者代表として、酪農組合代表として出してもおよそ意味がない、むしろそういう調停委員を作ることによつて却つてその人たちが選んだ調停委員から生産農民というものは非常な圧迫を受けることになるのですよ。そこで私は協同組合の特に酪農組合あり方については、現状というものをもつと仔細に検討して、協同組合検討というものを酪農組合検討というものから出発しなければならん、こう思うのです。私は今から断言します。この法律によつて委員ができたならば、この委員は極く僅か二、三の日本代表する加工業者の全くこれは手代、番頭に堕する虞れが、虞れじやなくて堕することは必至であると私は申上げる。過去においても畜産界においてもそういう例があるのです。過去の経験に徴して現状に徴して、そういうものを先ず私は解決してかからなければいかんと、こう思うのです。そこで私は特に非常に至難な問題であるけれども、この際協同組合について再検討をして、畜産組合について再検討して、そうして過去において犯した過ちを再び繰返さないように、畜産ボス温床を作らないように、これは畜産ボス温床になりますよ。この法案を出してもらいたいといつて騒いだのは誰だということは、およそ匂いはわかるでしよう。この法案を是非通してもらいたいということは、我々そんなふうに曲解したくないけれども、大体この法案を支持する熱心な人は誰でしよう、背後に誰があるでしよう。私はそういう点を十分検討してもらいたい、こう思うのです。そういう心配はございませんか。あなたはそういうことは絶対ありませんと……、私は絶対にあると保証する、あなたは絶対ないと保証しますか。
  18. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 只今の御意見のような点につきましては、私どもといたしましても、酪農将来の発展のために、できるだけそういうようなことのないように努力いたしたいと、かように考えます。
  19. 森田豊壽

    森田豊壽君 この酪農振興法につきまして、只今河野委員からいろいろと御意見、御質問があつたのであります。私は現在の畜連或い酪農関係の諸団体というものは、これは下部組織を持つておらない幽霊のようなもので、足が地についておらないと、極端に言えばそう言わなければならんと思う。成るほどその内容は畜産農家有畜農家単位であることは言うまでもないのでありまするが、それが協同組合と申しましようか、組合組織としましては郡地区と申しましようか、郡段階組織は曲りなりにもできておるのでありまするが、下部市町村単位におきましては、郡単位に対しまする有畜農家が郡へ加入しているという段階であるのでございます。今畜産の地方的の勢力は郡段階にあるのであり、県段階にあるのではないのであります。郡が非常に力を入れておりますることは、或る一面において畜産が今日まで振興いたしましたることは、先ほどお話がありましたように、牛乳を買う、即ち森永明治のような一例を示せば、そういうものの工場のあるところの郡が非常な発達をして来たという過去の歴史を見まするというと、先ほど河野委員の言われるように、そういつた業者のためにでき上つたと、これも場合によりましては、農民のために業者が協力して下さることも結構なんでありまするが、その点がしまいには業者の壷に入つたような状態に押付けられる状態でありますること、この問題を根本的に解決するにあらざれば、これは酪農振興法を作りましても、先ほど河野委員の言われるような点なしとは言えないのでありまして、同感に思うのでありまするが、この点につままして、先ず第一番に、有畜農家畜産農家に対しまして、村は村といたしまして協同組合に加入し、協同組合農業経営の上におきまして、今日我が国におきましては、食糧増産の一環としまして、どうしてもこれが必要であると、食生活の上において必要であるということから行きまして、農業協同組合自体酪農に大いに考えをおかなければならん事態であり、而もその農家に対しまする資金の融資その他の問題は、挙げてその村の農業協同組合畜産農家と連携をとりましてやるべきものでありまして、それから上の段階は村の農業協同組合郡地区郡単位のものに入る。而して郡単位のものは県単位のものは県単位のものに入る。そうして下から築き上げて行かなければならないと思うのでありまして、とかく畜産行政の一元化ができないことは、現在郡単位のものによりましてゆがめられたことになつておる状態だと思うのであります。この点につきまして、畜産局長は非常なお詳しいはずでありまするので、この点に対しまして、今申上げましたように、組織を作ることが第一番に必要じやないかと思われますので、この点に対するお考え方一つ聞かして頂きたい。
  20. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 協同組合と申しするか、農民組織の問題、これと畜産との関係につきましては、畜産振興のためには、その基盤といたしまして強固な協同組合がその基盤をなしているということは絶対に必要だと思うのであります。特に酪農につきましては、常時農民生産いたしました生乳を販売いたしまするので、その取引中心といたしまして、只今お話通り乳牛導入或いは飼料の買取りの問題、各般の問題につきまして協同組合中心となりまして、活溌なる活動を開始し得る状態になるのであるということは絶対に必要だと思うのであります。その点につきまして、なお我が国酪農関係組合は不十分と思われますので、今後できるだけ畜産局といたしましては、真に農家に結び付きました酪農関係組合につきましては、できるだけ一つ強固な組合の設立を指導して参りたいと、かように考えておるのであります。
  21. 森田豊壽

    森田豊壽君 私の質問もちよつと明瞭でなかつたかも知れませんが、私は今日我が国農業政策の重要なる部分といたしまして、有畜農家特別措置法というようなものができておりまするし、従つて酪農振興法が今や出されんとしておるときであつて酪農全盛時代我が国に来たと言わなければならんと思うのでありまして、その際に既設農業協同組合というものを、これを既設農業協同組合のためにするという考えでなく、これを善用をいたしまして、これを下部組織としてしつかり持つという組織体にこれをしなければならんと思うのでありまして、ただ畜産が奨励されるから、そのことによつてその村なら村、その郡なら郡の畜連を強化されればいいというような考えでなく、一番町村単位農業協同組合にこの畜産に対する理念を大いに植付けると同時に、畜産農家に対しまして、これを指導せしむるようにこれに指針を与えて行くということが経済的にも最も必要なことだと考えるわけでありますが、その点は何だかちよつとはつきりしないようでありまするが、はつきり一つつて頂きまして、畜産局経済局のほうとお話合を願いまして、そういうことを指示して各府県へやりましたならば、各府県は正常なる県段階畜連ができて来ると思うのでありますが、この点は如何でございましようか、それを一つ考え方を説明して頂きたい。
  22. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 酪農に関しまして、或いは乳牛導入資金の問題にいたしましても、或いはサイロ、廐舎その他の建設資金の問題にいたしましても、いろいろな畜産振興に関しまして末端の組合につきまして、これは各般状態から見まして総合農業原則といたしまして、それを中心にして運営して参つたほうが理想的じやないかと思うのであります。單位組合から上級段階になりますと、これはいろいろな形態が現在あるようでありまして、これらの問題につきましては、今後地方々々によりましていろいろ事情もあるかと思いますが、私どもといたしましては、原則的な考え方といたしましては、できるだけ総合農業中心として考えて参りたい、かように考えております。
  23. 北勝太郎

    北勝太郎君 一言だけ……。酪農協同組合農業協同組合関係単位協同組合関係でありますが、これは私は理想としては単位農業協同組合に全部の酪農家が入つて、そうしてその組織の下に置くのがいいと、こう考えておるのでありますが、ただ酪農はまだ発達の途中にありますので、我々の方面においても全組合員の一割に達しない、その農業協同組合のほうは、そうしますと、総会においても実はこの協同組合組合員意見が通らない。又役員の選出においても実は酪農家のほうからは一人も出せない。こういうようなことがあるのでありまして、そこで組合員の数がせめて半数ぐらい牛を飼つておる場合にはいいけれども、そうでない場合には、これは止むを得ず郡単位酪農協同組合で行かなければならん、こういうことにはなつておるのであります。そこでこれは理想からちよつといろいろの上において遠去かつておりますけれども、如何せん、そういうような藉すに少しの時間を与えてやらなければ、正常な単位農業協同組合員になつてつて行くことができない事情がある。こういうことを一つ承知を願つておきたい、こう思うのであります。これは併し場所によつて違いますが、私どものおる方面においてはそういう関係がある。例えばちよつと話は横になりますが、この森永とか、明治とかいうのが盛んに工場作つて牛乳争奪戦をしておる。協同組合式雪印などは動きが付かんようになりかかつておる。そこで実は雪印などは協同組合式会社なんでして、妙なんでありますが、そんな関係中央金庫の金をどつさり借りて来ておる、そういう点で協同組合式であるにもかかわらず動きが付かんようになると、中央金庫としても困る問題だと思うのでありますが、そこでこの間北海道の信連の会長が来まして、実は中金で叱られて来た、なぜお前たち指導力が足らんのか、こう言つて、若し協同組合のほうを忘れて、そうして営利会社のほうへ乳をやるという農家があるならば、それに対しては資金の融通もするな、或いは保証もするなというようないろいろなことを言われたけれども、なかなかそうは行きません。なぜそう行かんかと言うと、信連においてもその地方の組合員の一割ぐらいしか中に入つておらんのだから、若しそんなことの通りつた日には実際自分らはボイコツトを食つてしまう、こういう関係があると言つて苦しい状況を話しておつた。それはとにかくとして、とにかく早くこの法案は通してもらいたい、そうして小さいところへ営利会社がどんどん来て、工場を建てて、両方とも立ち行かんような行き方はさせないように、この法律によつて早くそれを防いでもらいたい、こういうことを言つて来たのです。北海道の私どもの地方では新らしく或る営利会社工場が来て、その地方の乳を七割まで占めてしまう、今又成る地方では更にもう一つ工場を建てかかつておる、そういうふうなことになつてはその地方では大変な問題が起るので、一つ法律を早く通してもらいたい。法律が早く通れば、この工場の位置或いは牛乳取引等について、道庁或いは農林省がその位置の許可その他の問題について骨を折つてくれるだろうから、何はともあれ一つ通してもらいたい、こう言つて来たのでありますが、今言うように酪農協同組合でなしに、単位農業協同組合で牛を飼うものが少いということが、こういう問題の元になつておるのであります。地方によつて違うと思いますが、私のほうではそういう状況にあるということを申上げまして、その当局からこういう問題に対してはどういう工合にされるのかということを、いわゆる郡単位協同組合も認めて行くのか、或いは単位農業協同組合などでも一つ認めて行かなければいかんというような問題にされることが根本方針であるか、それを一つ承わつて見たい。
  24. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) これは畜産或いは酪農ばかりに限らないと思うのであります。或いは果実の問題にいたしましても、野菜の問題にいたしましても、組合と当該農業との関係におきましては、いろいろな場合にそういう問題が起きて来るかと思うのでありまするが、酪農におきましても、只今お話のように、北海道のように日本で最も発達いたしておりまする地方においてさえ現在まだ一割見当のところが相当ある、こういうようなお話であるのでありまして、従いまして、私ども理想と申しますか、そういう点につきましては、只今意見通り、総合農協を中心として考えたいと思うものでありまするが、これは飽くまで理想であるのでありまして、只今お話通り、非常に組合員がその総数に比べまして酪農家が少いような場合には、只今のように郡を一円とする組合もそういうようなことが地方によつて是非必要ではないか、かように考えるのであります。全国の大体の状態を眺めてみます場合に、非常に乳牛の飼育が少い地方におきましては単位農協が中心としてやつており、中間的な過程におきましては、大体において独自な酪農協同組合ができており、非常に発展いたしまして酪農中心となしているような地帯においては、総合農協が扱つているような発展段階を示しておるのであります。これは只今お話のような事情もそれに反映しているのではなかろうか、かように存ずるのであります。従いまして、私どもといたしましては、理想理想といたしまして、現段階におきましては、只今のように地方の実情に即しまして総合農協を中心として行くのも、又只今お話のように酪農協同組合中心として行くのも、これは発展段階においては止むを得ないのじやないか、これを一律にどうこうするというような考え方は全然持つていないわけであります。但し理想といたしましては、総合農協を中心として動き得るようた態勢に全国的になつて参りたいという私ども理想は持つております。
  25. 森田豊壽

    森田豊壽君 今北委員考え方につきまして、局長は止むを得ない段階においてはこれもいたしかたないというようなお話がありました。私はこれからの酪農振興しようというような場合、畜産を総合的に振興させようという際におきましては、単位農協、即ち市町村農協がやりたくて言うのでなくいたしまして、これを利用することが一番いいから、理想的だというのでなく、この指導方針を確立することが私は急務だと思うのであります。これは言うまでもなく、相手方たる酪農方面で行くならば、乳牛の問題をとるならば、牛乳を売る場合に共同販売する場合において、この法律にもありますように、団体契約によります長所を大いに生かして行かなければ取引の改善はできんと思うのでありまして、この点は森永明治ばかりとつていけませんが、森永明治に対しまして、牛乳を売る場合におきまして団体契約を真に農民代表といたしまして契約するものは、公正なる立場にあるところのやはり単位農協がこれに参画しまして、或いはそれの集まつたものが郡単位に、或いは県単位になりまして、この折衝をすべきであると思うのでありまして、この方針がばかに斬新的なように一部に考えられる、理想を言いますが……。併し実際できなければ、このままで行くのだということでは、地方の農村に対して無畜農家を解消しようという段階におきましては、どこまでもこれをやつて行かなければならんと私は思うのであります。併しこの問題につきまして、私は単位農協の仕事といたしまして、今酪農畜産も余り盛んでないところの単位農協には、農民が皆加入する場合には加入しやすいのであります。今までの既設組合員がとかく別になつてつて行きたいという気分が非常に多いのでありますが、これからも自然にそういう傾向になるのではなかろうか。静岡県で申上げるならば、私どもはその指導方針におきましてはやつておりますが、単位農協が総会の決議を以ちまして、今度は全国に跨がりまして、郡の地区連或いは県の地区連に対しまして、単位農協が畜産農家に対しまして加入してやる決議をしておるのでございます。そうして政府の酪農振興或いは有畜農家特別措置法というような問題、要するに畜産振興に対しまするあらゆるものを農民が協力してやるという態勢を整えなければ、これは口では言いましても、振興はなかなか或る程度まで行きましても徹底しないと思うのであります。この点だけを一つ畜産局長を初め農林省経済局長あたりが会議いたしまして、一つの毅然たる態度を持つてつて頂きたい。これに対しては業者単位農協に加入して、団体交渉等においてやかましい問題がありまするから、成るたけそういうことでなく、今までのようなやり方でやつてもらいたいという圧力がかかるのではなかろうかと思うのでありまするが、この際に毅然としてその態度を持つてつてもらいたい、こういうことが私の希望でありますが、希望だけでなく、私の答弁に対しては原則としてどこまでもやるようなことを言いましたが、今度は北さんの話を聞きますと、それも止むを得ないようなことを言つて、何だかどつちがどつちだかわからないように私には聞こえたのでありますが、その点をもう少しはつきりとこの際しておいて頂きたいと思います。
  26. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 只今の御意見でありまするが、酪農関係の問題につきまして、單位組合といたしましては、お説の通り、草資源の開発の問題にいたしましても、或いは乳牛導入資金等の問題にいたしましても、その他各般の経済的な施設をいたしまする場合に、どうしても力のある総合農協が中心になるということが、これが牛乳取引のみならず、酪農関係の団体としては最も理想的じやなかろうかと考えるのでございます。連合体につきましては、これはいろいろ御意見もあろうかと思うのでありまするが、現在の酪農が発展の中間的な段階にありまするので、理想といたしましては総合農協のほうがいいと思うのでありまするが、直ちにそういう理想的な形体を各地々々に一律に押付けるということは如何なものかと思うのでありまして、この点につきましては、併しながら理想理想でありまするので、一歩一歩そういうふうなほうに近付けるべく努力はいたしたいと思うのでありまするが、これは地方の実情というものを先ず尊重せねばならんというような段階にあるのじやなかろうかと、かように考えておるのでございます。
  27. 江田三郎

    ○江田三郎君 この法案の草地改良計画というものがありますが、これと、牧野法のほうには管理規程を作るということがあるが、一体この二つの間にはどういう関係があるのか伺いたい。
  28. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 牧野法は、いわゆる都道府県或いは市町村等の管理経営いたしまする牧野についての一般的な規定を制定いたしたのでございます。本法におきましては、集約酪農地区に指定されておりまするいわゆる草地について規定をいたしておるのでありまして、従つてその中には牧野法における牧野も当然に含むのでありますが、牧野法に含んでいないいわゆる私有地等もこの集約酪農地区における草地としての適用を受けると、かような恰好になるのであります。牧野法は、全国の牧野につきまして、公共団体の管理経営しておる牧野について規定しておるのであります。従つて私有地等につきましては牧野法は適用しないのでありますが、本法におきましては、指定いたしました地区につきましては、牧野法の牧野は勿論、私人その他会社等の所有いたしておりまする牧野或いは草地等につきましてもその中に入ると、かように考えております。
  29. 江田三郎

    ○江田三郎君 そういうことになるなら、結局この草地改良計画を立てた場合に、これが強力に実行できるということでなければ何の意味もない。ところがこの法案で行きますと、異議を申立てることができると、それに対して「重大な支障がないときは、」云々という規定がありますが、恐らくこういうことで、個人のいろいろな権益を持つておる人々から異議の申出があると、実際にはどこもかしこも重大な支障ということになると思う。それでは一体こんなことを書いてみても何になるかと思うのですが、これは一体どうしようというのですか。
  30. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 現在の畜産、特に蛋白質の豊富な草を必要といたしまする乳牛につきまして、草資源の問題が一番欠けておるのでございます。従いまして、酪農振興の前提要件をなすものは草資源の開発と考えられまするので、その集約酪農地域に指定いたしました地区につきましては、その地区の牧野その他草資源の土地の所有者の協力を得まして、計画的に草の改良をやつて参りたいと、かように存ずるのでございます。併しながら、所有権というものは一応これを否定するわけにも参りませんので、法律の手続といたしましては、そこに限界があると思うのでございまするが、これはできるだけ所有者の或いは権利者の協力の下に実行して参りたいと、かように考えておるのであります。
  31. 江田三郎

    ○江田三郎君 これは農地局長にも関係がありますから、一つ聞いておいて頂きたいと思うのですが、今あなた方のほうでいろいろお調べになつておると思うのですけれども、実際に農村に入つて見ると、草地というものの所有権がどうも一方的に片寄つておる。そうして零細農がたまたま乳牛なり或いは有畜農業をやろうと思つても、その草に困つておるというのが実情だと思うのです。こういうような草資源の改良ということを本気にやろうとするなら、異議の申立があり、そうして異議の申立があつた場合には、重大な支障がないときにはそれを行うというような生温いことでは、実際零細農に草地を与えることができないと思うのですがね。そういうことをもつと根本的に改めるというような考え方畜産局なり或いは農地局なりにあるのかどうか、ただ現状でよいとお考えになつておられるかどうか、その点どうでしようか。
  32. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 草資源の問題につきましては、これは只今意見通り、華地を持たない小農等につきまして、是非酪農振興上は適切な草資源を提供することが絶対必要ではないかと思うのでございます。併しながら、御承知のように牧野その他草地の権限の問題は、いろいろ各地々々におきまして慣行その他によりまして非常な複雑な形態をとつておるのでありまして、一律にその権限を無視するということは、勿論これはできないことだと思うのであります。特に集約酪農地域に指定された土地につきましては、適切なる指導或いは農民の協力、所有者の協力によりまして、できるだけ公平にその村を挙げての酪農振興というものに役立つような指導を行なつて参りたいと、かように考えておるのであります。
  33. 江田三郎

    ○江田三郎君 農地局では何か考えておられますか。
  34. 平川守

    政府委員(平川守君) 一応農地の関係としましては、栽培される土地というものを対象において考えておりますので、これについては土地改良法等の運用によつて改良ができるわけであります。ここに狙つておりますうちのそういう部分はそのほうでも行けるわけでありますが、そのほかの一般の草地等につきましては、只今農地局としては具体的なそういう計画を持つておりません。これは主として畜産関係のほうにお任せをいたしておるわけであります。ただこの改良工事等について両者の間に緊密な連絡をとつて、草の資源の増産ということに努めて参りたいとは考えております。
  35. 江田三郎

    ○江田三郎君 この法案が一見非常に進歩的なようだが、同時に他の委員からも言われましたように、酪農資本の擁護なんじやないか、或いは一部のボスの下にいらわれてしまうのじやないか、そういうふうな意見が出ていますが、私はそういうことが言われる一番の欠陥は、草地の問題について本気に取組んでいないと思うのです。草地の問題についてもつと本格的に取組んでおれば、これはやつぱり政府のほうが本気に酪農ということを考えておるのだということはうなずけるのですが、どうもこれを見る限りにおいては草地の問題に対しては何か逃げている、牧野法というものができても過去の実績を見て行くと、例えば農林漁業資金の融資の額にしても二十六年で一億五千万、それが二十七年度になると一億二千万、二十八年度になると六千万というように、片つ方で畜産振興を叫びながら牧野の改良の融資は減つておる。或いは草の問題についても、ここに資料を出してもらいましたけれども、一体この程度の試験研究機関の所在地なり予算なりをみると、こういう全国非常に手薄なやり方で本気に取組んでおるのかどうかということを我々は疑問に思うわけです。一般的に草地の所有権なり、その他の権利について今解決が簡単にできないなら、せめて集約酪農地帯だけでももつと計画を立てたら、その計画が正しい計画であるならば強力に推進できるという程度のものでなければ、こんなものは一体何を狙つているのかわけがわからんと思うのです。そういうことを農地局のほうで、局長の解釈では、この計画を立てたときに個人が異議を申立てたら、現在の法律で何かそれを処理することができるのかできないのか、それからできないとすれば、いつまでたつたつて草の問題については、あれは畜産局の管轄だといつて逃げられる、畜産局はいつまでたつても慣行がありますし、何やらありますということで、この問題については手を触れようとしない、そういう点どうですか。
  36. 平川守

    政府委員(平川守君) 農地局のほうとしましては、やはり土地改良法の対象になつておるものというものを一応考えておるわけでありますから、この全体の計画としてはそれから外れる部分が多いわけであります。そういうものにつきましては、これは畜産局のほうが所管ということで、農地局のほうからは特別の関係はないわけであります。
  37. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 只今の御意見でありまするが、御承知通りに、草資源の問題について力が足りないということは、私どもも誠に遺憾に考えるのであります。只今の御例示の融資の問題でありまするが、これは融資は減つておりまするが、補助金のほうは実はずつと殖えておるわけであります。これにつきましては、特に現在まで草資源の開発の問題につきまして一番障害と申しますか、になつております点は、その村なり或いは部落なりが挙げて酪農をやるというような集約的な態勢になりませんと、実は草の開発の問題について実が入らないというような実情があるのでありまして、その点に鑑みまして、私どもといたしましては是非草資源に立地条件上恵まれておるところの土地をピツク・アツプいたしまして、特にそういうような地帯を集約酪農地域として指定いたしまして、そこを徹底的な開発を図つて参りたい、かような考えでおるのであります。
  38. 江田三郎

    ○江田三郎君 そうすると、少くともこの法案で出て来る草地改良計画については異議なんかは申出ないだろう、こういう予想をしておるわけですか。
  39. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 勿論異議の申出が全然ないというようなことは予想いたしてはおりません。勿論多い地方のことでありますから、場合によつてはそういうような異議が出て来るかと思うのでありますが、そういうような点につきましては、できるだけ所有者なり或いは権利を有しておるものの協力によりまして、その地方の草の開発に協力態勢ができますような指導をして参りたい、こういうふうに考えております。
  40. 江田三郎

    ○江田三郎君 私はどうもいろいろ言えばうまいこと答弁されますけれども、大体本当に草についてあなた方は本気じやないと思うのです。第一こういう草地の改良計画というものをなぜ都道府県知事や市町村が立てなければならんかということなんです。本当に酪農振興考えて行くなら、当然こういうことは下から盛上つた力で、或いは草地の利用組合というか何というか、そういうようなものができてがつちり行かなければならん。そういう下からの盛上りというようなものを期待しないで、依然として牧野法と同じように、都道府県或いは市町村とか、こういうものを実施の主体とするところにあなた方がやつている酪農振興計画というものが画龍点睛を欠いていると思うのです。何か本気に取組んでいないと思うのです。なぜ一体こんなものを都道府県や市町村がやらなければならんか。
  41. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) その点につきましては、勿論酪農民の盛上る力によつてつて参りたい、かように考えるわけであります。その点無視しておるような考え方は全然ないわけであります。上からの仕事では十分酪農が地に付かないという点は誠に御意見通りであろうと思うのであります。ただ地方によりましては、先ほども御意見がありましたように、乳牛を飼育しておりまする農家の割合が非常に少い地点もあるのであります。そういうような場合におきましては、府県なり市町村なりというものがそれに協力をして参るというような態勢が是非必要だと思うのでありまして、その前提といたしましての農民の盛上る勢力と申しますか、意気込みというものは、是非とも基礎的な要件をなして来ることにつきましては御意見通りであると思うのであります。
  42. 江田三郎

    ○江田三郎君 地方によつて、必ずしも全部の農民酪農をやるんじやない、それはその通りでしよう。併しながら、少くともこれは集約酪農地帯の草地の改良なんです。そういう特殊地帯についてすら、かような県なり市町村が計画を立てて、而も個人から異議が出て、異議を言われたらどうにも手の付けようがない、こんなことで一体何ができるか、こう言いたいので、もうほかの委員からも言われるように、日本酪農というものを本当に発展させようと思うなら、いつまでも購入飼料に頼つてつたのではいかんということははつきりしておるわけです。現在の乳価から行くと、どういう計算になるか知らんけれども、そういうようなもので行けないということははつきりしておるわけです。而も集約酪農と言いながら、そういうことについてさえもそれだけのことができないということを私は非常に遺憾に思うのです。成るほど全部のものが酪農をやるんじやない。併し草の改良をやれば酪農をやつてない人だつて利益を受けるにきまつておる。草の改良をやれば、仮に林業を専門にやつておる人でも、それによつて草地が集約できれば林業の余力というものは出て来る。乳牛を飼つていなくても草がよくなればいいですし、或いは家畜の草を使わん人でも、草の改良ができればそこから出て来る利益というものはたくさんあるわけです。あなた方の言う理由というのは私理由にならんと思う。旧来の慣行があると言つて、旧来の慣行にとらわれるようなことなら、恐らく今、森田さんから言われるような注文にも応えることができないであろうし、その要請に応えることもできないであろうし、何一つできはしないと思う。本当に酪農をやろうというならば、やるようにもつと真劍な心構えが欲しい。更に私聞きたいのは、草の改良について、ここに奨励する草の品種というものを、牧草というものを書いてありますが、こういうことについては林業試験場のほうとは緊密な連絡をとつてつておるのかどうか、その点はどうですか。
  43. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 草資源の開発の問題につきまして、草の品種その他につきましては、勿論林業試験場と緊密な連絡をとつておると申上げますよりも、更に実は逆に林業試験場のほうが今までは却つてその点につきましては詳しかつた。このくらいに林業試験場のほうでも草の問題につきましてはいろいろ重視されまして研究されておるのでありまして、私どものほうといたしましても、勿論林業試験場と密切な連絡の下に今後とも草資源の開発、特に品種の改良その他草資源の造成の問題につきまして検討をして参りたい、かように考えるわけであります。
  44. 江田三郎

    ○江田三郎君 ちよつと……。草の問題は私一番最後に言うたから、その答えだけされたけれども、その前の、これは一つ平野さんにお聞きしますが、せめて集約酪農地帯だけでも計画を立てたら、それに異議を言われたら仕方がないということでなしに、もう一歩積極的な手というものは打てないものですか。私はやはり集約酪農地帯の草地くらいは、どこの農民が見学に行つても、成るほどこれなら大したものだ、おれのところもやりたいというような魅力を持つものでなければならんと思うのです。そういうところが異議の申出があつたら、それに対しては処置ないのだ、こんなことじや仕方がないと思うのですがね。そういうところへはもう牛を貸すのはやめたらどうですか、そのくらいの強力な指導はできないのですか、法律的に扱うことができないとするならば、そのくらいの行政措置はとる気はありませんか、どうですか。
  45. 平野三郎

    政府委員(平野三郎君) 草の問題につきましては、この法律が消極的であるという御批判は一応御尤もでございますが、その点は一つ是非御了解頂きたいと思いますることは、我々といたしましては、この草の問題については非常に熱意を持つているのでございまして、ただこの法律は一応法の建前におきまして、下のほうから計画を立てて、それによつて政府が施策を定める、こういうまあ形の上からはそういうふうになるわけでありまして、これによつて政府が草の問題について熱意がないということではない、それは別個の問題であります。草の問題は確かにこれは今日まで日本の農政の盲点と申しまするか、さすが江田先生だけに、実にいい御着眼を願つたことについては非常に敬意を表するわけでございますが、確かに政府は熱意を持たんとしておりますけれども、従来この問題についていささか迂闊であつたことは認めるものでございます。どうしてもこれはうまく技術的にこの草資源の問題を解決しなければ、農業のみならず、林業全般についても日本の基本的な農政の確立ができないわけでございますので、その点から今御指摘の林業関係におきましても、やはりまあ樹木の問題を解決するには潅木の問題を解決しなければならん、更に潅木の下に発生します草の問題を解決しなければならん。更に一歩進んで、苔の問題を解決するというところまで行く必要があるのでありまして、林業試験場では、多年このことに研究いたしておりますが、特に昨年林野庁の指導部長をアメリカにこの問題で派遣いたしまして、そうしてアメリカの各州の、ケンタツキーその他の草の種をまあ取寄せまして、今これを植付けて試験をいたしているくらいでございます。これは特に畜産業とも密接な関係がありますので、農林省内においても関係各局が連絡をとつて、今、草問題の技術的な検討を鋭意進めている次第でございます。これが近く大体の方向がわかりますならば、これに基いて草資源の問題を基本的に解決いたしたい、こういうことで進んでいるわけでございまして、それが大体わかつて参りますならば、更にこの法律の中に草に対するところの政府の行政施策を織込みたい、こういうことでいるわけでございますので、今回はまあ一応甚だ御不満でございますけれども、この程度のもので以て一応進めまして、そうして然る上におきまして、政府の意のあるところを十分反映するように施策をとりたい、こう思つているわけでございますから、是非御了承頂きたいと思います。
  46. 江田三郎

    ○江田三郎君 さすがは平野政務次官でございまして、苔の問題まで及んだということに対しましては敬意を表するのでございますが、そういうことを言われますが、今あなた言われた草の問題について、今の研究が進んで行くならば、基本的な対策を講じようと思う、その基本的な対策というのはどういうことを指されるのか、或いはこの草地について草地利用組合、土地の関係者の多くの人々はこの草地利用組合作つて、この根本的な草地の改良をしようというようなときには、永小作権であるとか、その他地上権等についても、何らか根本に触れた処置ができるようなことをお考えになつて言われたのかどうですか、その点はどうですか。
  47. 平野三郎

    政府委員(平野三郎君) これは具体的に申上げますならば、やはりもう少しこの草に関するところの技術的な研究が進んで、或る程度の結論に達しないと行政上の施策をすぐにどうするかということが言えないと思うのでございます。まあ畜産につきましても、集約酪農地区における特にジヤージー種を入れるという計画を特に昨年から進めて参つておるわけでございます。これもやはり草の利用ということに重点を置いているわけでございますし、又日本の林業につきましても、先ほど申上げますように、やはり林木の成長促進ということが今日非常に必要でありますが、これがためには、やはりその林木の下に発生する草をどうするかということが必要であります。こういう点においても研究を進めております。又砂防の造成というような、林地の崩壊防止というようなものも、今までのようなやり方でなくして、やはり草から始めて行くというようなことも必要であります。そういうことを研究した上におきまして、林業政策、又農業政策全般に亙つて一つ日本の農政の革命的な政策をやりたいと、こういうことでおるわけでありますけれども、そういう問題の一環として、この畜産業につきましても、こうした方向がはつきりいたして参りまするならば、この集約酪農地区における草地の利用等について適切な対策を立てたい、こういう意味でございます。
  48. 江田三郎

    ○江田三郎君 まあその革命的な対策でもいいですけれども、問題の根本をそらしていろいろ技術的な研究というほうへ逃げるような態度では、なかなか革命的な方策というものは出ない。ただ、今のあなたに草地の所有権その他根幹に触れた答えを求めようと思つたつてできないと思いますから、私はそれ以上しつこくは言いませんが、併しともかくも将来の日本農業というものを本気に考え日本の林業というものを本気に考え日本畜産というものを本気に考えるなら、こういう草に対する態度では問題は片付かないということなんですよ。あなたのその革命的というのは何を言うのか知らんけれども、そういう言葉を使われる限り、もつと根本に遡つた対策を立てなければ、今入れるジヤージーであろうが、ホルスタインか何か知りませんが、やがてそれらの諸君に手を挙げさせないように、その心配かないかどうかということを私は今警告しておきたい。草に対するこういうような生ぬるい態度で、果して集約酪農地帯に入れたジヤージーやホルスタインが将来すくすくと成長して経営が成り立つて行くのかどうか、非常に私は疑問に思う。或いはそういうよななものが途中で投げて、森永なり明治なり、そういう資本の手に何もかにも握られて来るようになるのが落ちじやないか。それをさせないというのなら、草の問題に対してもつと根本的なことを、少くとも集約酪農地帯だけででも考えなければ、どうもあなた方の言葉だけでは余り信用できないということだけ申しておきます。  それからもう一つは、奨励する草の問題ですが、まあいろいろ何とかグラスというものがたくさん書いてありますが、我々はどういうものが何とかグラスと言うのかよくわかりませんけれども、併し日本のこの広大な牧野に、こういうようなお上品な草だけで果して草地の改良ができるのか。試験地ならできるかも知らんけれども、現実の問題として、こんな草で日本の草地を改良するということができるとお考えになつているかどうかということなんです。もつと日本の野生の草の中に、アメリカまで行かなくても日本の野生の草の中に、手を加え或いは研究したらもつと利用価値の多いものができるのじやなかろうか。そういう点について畜産局の草に対する態度というものは、少し外国牧草というものにとらわれ過ぎているんじやなかろうか。そうしてそういうお上品なことが実際には何もできない。ただどこかの試験地に作つて、そして年々この種子は配るけれども、配つた種子というものがいつの間にか消えてなくなつてしまうようなことに終りはしないかということも私は警告しておきます。答えは要らないです。
  49. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私はこの酪農振興を図るという意味においてかような法律案を出されたことについては賛成するものでありますが、ただ問題は、現在の外国為替関係において日本酪農はどういう状態にあるか、又将来これが政府が酪農振興法というようなものを作り上げて、そして盛んに振興を図つて各地に集約酪農地帯ができて盛んに生乳が出た場合に、果してそれが農民利益になるかどうか、又国家として果してどういうことになるかということについて、もう少し政府として大きく考えておるのかどうか。その点について先ず第一にお聞きしたいと思いますのは、現在バターやチーズ或いはクリーム等を、このまま現在外国から輸入するというと、日本酪農は全部総倒れであるというまでに言われております。而も業者がおつて、そうしてその中間に搾取的ないわゆる資本主義的な方法で酪農地帯に臨んでおるという現状のときに、ただ生乳だけを作るための畜産振興であつては、将来被害をこうむるのは農民だけであるというような感じが私はしてならないのであります。そういう見地からして酪農の将来についての政府の所見を先ず第一に伺いたいと思います。
  50. 平野三郎

    政府委員(平野三郎君) 誠に大所高所に立たれての御意見でありまして、政府といたしましても同感でございます。お話通り、この酪農振興法案は極めて法律そのものは事務的、機械的なもののようでございまするが、この法律の基礎に流れておりまする政府の所見は、日本の食糧問題を基本的に解決いたしたいという大方針に立つておるのでございまして、お話のように、外国の酪農を輸入いたしまするならば、日本のこうしたものを振興いたしましても日本の農業が壊滅することになるわけでありまするし、又今の日本の米麦一本槍の食糧政策では到底食糧の自給体制はできない、こういう点を勘案いたしまして、この際当面といたしましては、輸入を全面的に抑止するということは、これは国民生活上でき得ませんが、でき得る限り外国の輸入を抑制しつつ国内の自給に待つ、このためにはこうした方向で以つて日本酪農振興しなければならん、これで進むわけでございます。又酪農振興政策が進むに伴いまして、日本の食生活を根本的に改善をいたしまして、そうして以て日本国民の永遠の食糧問題を解決いたしたい、こういうことで考えておるような次第でございます。
  51. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 これを作りました法律の底に流れておる政府の考え方ということにつきましては、十分我々もわかるわけなんですが、現在でさえも為替関係から見て外国のものを輸入制限をしておいて初めて日本酪農がどうにかこうにか立つて行く、こういうような実情でありますから、若しも将来もつと安くするという見地から、生乳の生産費を低減して、そうして安く売るという段階になれば、それはいいかも知れませんが、この生乳というものが本当に安くなつた場合に果して経営が成り立つかどうか、私はそれを心配しておるわけでございます。而もこれに関連して、業者がおるわけでありますから、業者資本的な圧迫を加えて、自分の利益を擁護するに汲々として農家に圧迫を加えて来るというようなことは想像にかたくないところであります。これは生糸のような問題にいたしましても、生糸のような問題ならば、これを乾燥いたしまして置けば或る程度業者にも対抗できるわけでありますが、生乳のようなものは毎日大量にできるわけでありますから、農家の経済として安くても仕方がないから、泣寝入りながら業者に売らねばならんというようなことになるわけであります。従つて、これが食生活の改善、いわゆる米食による日本の食生活を逐次粉食に改めて行くというような大方針の下に、こういうものが選ばれて振興することにつきましては全面的賛成でありますが、とにかく取りも直さず業者というものがここにおつて、そうして生産されるものがいつまでも貯蔵することのできないものを生産している農家の悲しみとして、勢い資本家にしてやられる結果になりはせんかということを私は憂えるのであります。これについていろいろ斡旋の方法がとられておるようでありますが、併しこの斡旋なんというものは、先ほど河野委員が言つたように、ややもすれば業者に買収されて、向う側に廻りやすいものであつて、およそ我々農民の側から見た場合においては頼りにならないようなことになりはせんかという心配を持つておるわけであります。そこで究極においてこの法律の内容を眺める場合には、安い生産費でできる草或いは飼料等を如何にしてやつて行くか。それから又生産したところのものを如何にして業者と対抗して協同組合なり、生産者牛乳を処理して、そうして業者に対抗し得るような方策をとり得るか。そうして又もう一つは、乳牛を購入する資本がなかなか容易に手に入りませんから、これをどういうふうにするかというようなことがかかつてこの振興法にあることと私は思うのでありますが、次にお聞きいたしたいのは、乳牛購入についての資金の斡旋はどういう方法でおやりになりますか、これは畜産局長から一つお話頂きたいと思います。
  52. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 乳牛の購入資金の問題でありまするが、この問題につきましては、前国会におきまして御賛同を得まして有畜農家創設特別措置法という法律が制定されたのでありますが、これによりまして中金等の自己資金を政府といたしまして斡旋をいたしまして、それに対しまして県を通じまして五分の利子補給と三割の損失補償をいたしておるのであります。これは昭和二十七年度から有畜農家創設特別資金を計上いたしておるのでありまするが、昭和二十九年度におきましても、約十億の乳牛購入資金を中金を通じまして出して頂きたいと、かように考えているのでございます。大体頭数にいたしまして約二万頭見当の乳牛導入資金を出したい、かように考えているわけでございます。
  53. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 これは有畜農家振興法によつてのあれでありますから、家畜をすでに持つている者に対しては貸さないのじやないのですか、それはどうなんですか。
  54. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 勿論有畜農家創設で無畜農家解消ということでありますので、原則的には家畜を持つていない農家を対象にいたしたい。かように考えたわけであります。
  55. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 それでありますから、私は有畜農家振興ということと、この酪農振興とが関連は極めて深いことではあるが、乳牛を買おう、例えばうちには馬が一頭耕作用にあるのだ。併しながら、乳牛も一頭買いたいというようなものには全然当てはまらない。二万頭予定していると言つても、家畜を有しない農家を対象とするということになりますから、なかなか該当頭数が私は出て来ないのじやないかと思うのであります。こういう点も画龍点睛の意味において何らかの方法を私は講ずべきだと思うのであります。次に、草地の造成については、先ほどいろいろ江田委員から意見が出ましたから私は略しますが、牧草として、いわゆる野草改良運動というようなものが先頃各県を通じて行われたようでありますが、実際に種子を配給して、この野草の旺盛な成育状況下において、先ほど江田委員が言つたように、クローバーとか、或いはいろいろなグラスなんという外国製の品種を播いてみたところで、雑草に忽ちにしてやられておりますことは、目に私は見ているわけであります。これが実際に日本の野草を牧草に、堤防であろうが、或いは農地の土手であろうが、ことごとく栄養分の豊富な牧草に改良することができるならば、これは忽ちに酪農振興もできることと思うのですが、実際にはさようなわけには行かない。殊に種を折角金をかけて農家に配給して播かしても殆んど見るべきものがないというような現状であります。これがいわゆる机上の計画で、私は農業振興という面から見て誠に情ないことであると常々考えているのでありますが、この牧草を改良する方策として、もつと何とか琴線に触れた、そうした本当に実績の上る方法がないものかどうか、どういうふうに局長考えておられるか一つ意見を伺いたいと思います。
  56. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 酪農振興の前提といたしまして、牧草その他飼料資源の解決の問題がその前提をなしますことは、もう御承知通りであるのであります。で、現在まで農林省といたしましては、相当牧野の改良その他に努力いたしたつもりであるのでありますが、只今意見通り、大体なかなか成績が上がらないというお叱りはその通りかと思うのであります。御承知のように、同じ畜産農家にいたしましても、或いは馬を持つている、或いは和牛を持つている、或いは豚を持つているというような有畜農家の家畜の対象が異つておる場合が非常に多いのでありまして、その家畜の対象によりまして草資源に対しまする要求度と申しまするが、これが非常に違うわけであります。乳牛につきましては、一番毎日々々生乳を生産いたしまするので、その給源といたしましても、草というものが蛋白質に富んでおりまする牧草でなければ、これが意味をなさないのでありまするが、農家先ほども御意見にもありましたように、全く相当酪農振興いたしておりまする地帯におきましても、一割見当の場合が多いというような事情があるのでありまして、牧野の改良にいたしましても、その他畦畔堤塘等の草資源の改良をいたすにいたしましても、なかなかそういうような草に対しまする要求度と申しまするか、それに非常な度合があるのでありまして、従つて村を挙げての運動というふうになり得ない場合が多いのであります。これが一番牧野の改良にいたしましても、草資源のその他の土地の改良にいたしましても、実は地につかない根本の原因ではないかと思うのであります。従いまして、私どもといたしましては、いわゆる集約酪農地域というようなものを選定いたしまして、部落なり、村なりが挙げて乳牛を飼育する形態に持つて参りまして、部落内の、その地方のいわゆる総意といたしまして、金農民が卓に均一なる要求度を持つというような形にどうしても持つて参りたいと、かように考えておるのであります。そういう意味合におきまして、特に草地に、立地条件に恵まれておるような地帯を選定して集約酪農地域を設定して参りたい、かように考えておるのであります。
  57. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は細かいことを承わりたいのですが、酪農振興法案というこの名前なんですが、この法案を見て行きますというと、大体集約酪農地域というものが第一節にあり、第二節はこの地域の草地の利用であり、第三節がこの地域内の集乳及びこういうものの乳業者の規定が載つております。これは酪農振興法という名前をこれに食つけた理由はどういう理由か。酪農と言えば実に範囲の広い言葉であつて、内容は集約酪農地域だけの問題のように私法案では見ておるのですが、そうだと、頭に集約酪農振興法と付けるのが本当じやないか、そうでなければ畜産振興法だつて一向差支えないというような気もするんですが、これは何か特別な関係でこういう簡単な名前を食つけたのですか、これが第一点。それから第二点の問題は、これを拝見して参りますと、この第三節にすぐ集乳事業及び乳業というものだけが謳つてある。私は素人臭いことを申上げるようですが、ここ三、四年来、食生活の改善というような問題と同時に酪農振興させなければならない、農業経営有畜農家法案なんかもそういう意味合が多分に含まれておつたと私ども審議の過程で以て信じて参つたのであります。そういつた一般の農政に関連の深い酪農こそ、むしろ集乳業者或いは乳業というようなものの規定が必要になつて来るのじやないか、むしろこうやつて国が集約的に特殊な酪農地域のようなものを指定する場合には、業者というものよりももう一歩突進んだ、例えば酪農をやる人間も畜産業者も一体のような考え方こそ、私日本の農政のあり方というような気がしておるのです。で、従来は御存じのように、房総地域の酪農地域とか、或いは箱根地帯の酪農地域、こういうようなものが皆酪農資本家の育成によつて成長して来た、もうそういう時代からそろそろ脱却していいのじやないか、新らしい農政の一環としてこの協同組合なんかの運動と同時に、この酪農生産まで農民が繋がつていいような時代が、こういう集約酪農地域こそ、そういう芽がここで以て育つていい時代が来ておるのじやないかというふうに私考えるのですが、それを特にここにこの法案でちつとも触れておられんように思うのです。だけれども、これは法案の性質上、これはまあ今回はこれはこれだけに限つておるのだが、狙いとしてはそういうことを狙つておるのだという意図が今後の畜産行政の面でおありになるならばこれは別です。そういう意味合で以て私は何かこの法案に物足らないものを感じておる。この点についてどういうお考えでおいでになるか。それからもう一つ、私の根本的なこれは考え方なんですが、一つ日本の農政として組合運動というような形で以て相当農業協同組合なんかが自主的にこれが非常に発展して来ておると私は見ておるのです。ところがこの法案を見ますというと、これで以て集乳業者或いはそういうものに一つの権利を与える、それ以外のものはここで集乳業を許可しないというような実体的な内容がこの法案に含まれておるのですが、農民自身の自由発展的な方向がこれで以て統制されるのじやないか、非常に制約を受けるのじやないか、そういう方向は私日本農政の一つの行き方として、資本家による事業者によつてそういう制約を受けるというような法律あり方というものは、一体日本農政のあり方かどうかということ、そういう問題が第三点、その一、二、三点の考え方について承わつておきたいと思います。
  58. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 第一点の酪農振興法という名前の問題でありまするが、勿論酪農振興につきましては、本法による種畜ばかりではありませず、或いは種畜の改良増殖の問題でありますとか、或いは家畜の衛生施策の問題でありますとか、或いは人工受精その他各般の施策というものが一体をなしまして、酪農振興の万全を期し得るということはもう御承知通りであるのであります。ただ本法におきましては、そういう畜産全般の施策の点は別途にいたしまして、酪農振興に必要なる最も基礎的な事項の一部を実は規定いたしておるのでありまして、従つて規定いたしておりまする内容は全部が酪農振興関係いたしておりまするので、酪農振興関係法律といたしまして、こういう名前を付けたのであります。指定地域におきます酪農も特に製造段階に関する問題でありますが、私どもといたしましても、農民のいわゆる協同組織による製造というものが、できるだけそういうような状態が生まれることを希望し、農林金融公庫等の資金の問題の場合におきしましても、そういうような素地があり、そういうような希望のあるところにつきましては、どんどん貸出をいたすように慫慂いたしておるのであります。本法におきましては、一応酪農振興計画の問題につきましては、ここが非常にむずかしい問題であるのでありまするが、いわゆる酪農生産費と申しまするか、最終的には消費者の購入価格をできるだけ安くいたしまするためには集約的でなければならない。集約的に加工工程なんかを持つて参りますというと、そこにいわゆる反射的な結果といたしまして独占的な結果が生まれて来るのでありまして、独占とそれから価格の適正化、こういう点が非常にむずかしい問題じやないかと思うのであります。この点につきましては、牛乳に関します斡旋制度を設けておるのでありまするが、できるだけ農業団体の強力なる意見というものが強く反映されまするように今後とも努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
  59. 江田三郎

    ○江田三郎君 砂糖の問題について、ちよつと問題が違いますけれども、緊急対策を別にして、二十九年度の基本方針を出す、こういう約束になつておるのが、すでに二カ月経つておるわけで、もうそろそろ出て来てもいいと思うのですが、我々聞くところによりますと、四—九月割当を最近きめられる、そういうことをちよつと聞いておるのでして、而もこういう方向できめられるのだろうと我々に伝わるところによると、これは又とんでもない、又逸脱をされるような、折角今値段を抑えたものが、再びこれが崩れてしまうのじやないかというような非常に憂慮に堪えないような情報を聞かされるので、これについて今日、本会議がありますから、今日は仕方がありませんが、明日次官なり、食糧庁長官或いは通産省からその問題をはつきり聞かして頂きたい。
  60. 河野謙三

    河野謙三君 私は今日は時間がありませんから……、この間の宿題の目下の飼料の問題をどうされるか、畜産局長から今日もお答えがここにあるはずでありますけれども、時間がありませんから明日一つ具体的に返事をして頂きたい。それまでに私はちよつとあなたに申上げておきますが、一つの例として、豚を半年百姓が臭い思いをして苦労して育てて幾らに売れるか、その半年の間に今麦「ぬか」が七百円とする、豚一頭に餅代が幾らかかるか、百姓の総収入が幾らか、そうしてその間に幾ら一体百姓の手許に残るか、こういう計算をしてみれば、今の餌の問題は生やさしい問題ではない、こんな酪農振興法騒ぎではない、一番はつきりします。ここでその計算が困難ならば、統計調査のほうで豚の基本調査をやつております、聞けばすぐわかります。この間私が申上げましたように、あさつての話より今日の話を……、これは今餌の話を片附けなければ話にならないので、これを今日は時間がありませんから、明日必ず具体的に、今後は餌はこういう手を打つて、そうして「ふすま」はこうなる、麦「ぬか」はこうなる、だから養鶏家にしても、養豚家にしても、酪農家にしても、これは心配がない、御安心下さい、そうしてその翌日から餌が百円下るような名案を一つ示して下さい。
  61. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会