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1954-05-14 第19回国会 参議院 農林委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十四日(金曜日)    午後二時十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君    委員            北村 一男君            川口爲之助君            関根 久藏君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            松浦 定義君   政府委員    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長報告 ○小委員長報告農林政策に関する調査の件  (農業災害補償制度に関する件)  (農地問題に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開きます。  昨日決議になりました凍霜害被害状況現地調査につきましては、第一班埼玉、群馬県、日時十五、十六両日間、派遣議員河合義一さん、上林忠次さん、松永義雄さん三名。第二班、栃木県同じく十五、十六両日、関根さんと鈴木一さんということで派遣承認を要求しておきましたから、御了承願いたいと思います。まだ議運のほうが決定しておらんそうでありますが、今督促しておりますので、本日決定されるように更に要求をしておきます。よろしくお願いをいたします。   —————————————
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農業災害補償制度改正に関する件につきまして、松浦委員長から御報告を願うことにいたします。
  4. 松浦定義

    松浦定義君 農業災害補償制度改正に関する審査の御報告を申上げたいと思います。  かねて当小委員会に委託せられておりました農業災害補償制度改正に関しまして、これが調査経過について、去る三月三十日中間報告をいたしておきましたが、その後引続き慎重調査を重ね、去る五月十二日の小委員会におきまして漸く結論を得るに至りましたので、ここにその結果を御報告申上げます。  すでに御委託の趣旨によつても窺われまするように、現行農業災害補償制度については、これが実施以来今日までの実績に鑑みまするときに、この際改正を要すると認められる幾多の問題があるのでありまするが、なかんずく次に申上げまする事項制度改正根本をなすものと認められ、これが実現を期することが取りも直さず制度根本的改正に副うゆえんであると考えられるところであります。従つて当小委員会に委託されました現行農業災害補償制度抜本的改正に関しましては、小委員会において全会一致を以て、差当り速かに次に申述べまするように措置すべきものであるという結論に達した次第であります。なお、本結論に至るまでの経過につきましては、すでに行いました中間報告並びに先にお配りいたしました資料、八、農業災害補償制度改正に関する件及び資料十四、農業災害補償制度改正について検討すべき事項と、これにかかる各委員意見等資料によつて御了承頂きたいと存じます。  そこで次に結論を申上げます一、制度の仕組は、 一定区域現行市町村区域)の共済都道府県区域保険、及び国の再保険とする。  然し共済段階区域は必ずしも現行市町村区域に促われることなく、実情に即応して、市町村合併後の市町村程度或は郡の程度区域等に拡大する。 二、制度対象事業、目的及び事故は、なお暫く現行による。   ただし”任意共済”の共済保険)の健全性を確立する。 三、共済保険)掛金を能う限り軽減  し、共済内容を出来るだけ拡充することとなし、しかも、国の財政負担については、国の財政状況見合つて之が合理化に努める。   これがため、引受単位について、現在試験中の”農家単位共済”の成績の確認を俟つて、之が改正に関し更め検討する。 四、制度に対する加入は各農家強制加入建前とする。   然し”一定基準”による特定の者(例えば一定期間無事故であつた者或は事故の尠なかつた者農家経営規模の零細な者、第二種的兼業の高度な者、制度対象業務の小規模な者等)は、除外する。”一定基準”については、政府において、速かに資料を整備して慎重検討の上決定することとする。 五、損害評価は被保険者共済組合員)から独立した、第三者が主体となつて行うことを建前として措置し、これがため農林省統計調査機構を活用する。   農林省統計調査機構市町村区域損害評価に利用することを目途として之が整備に努める。   農林省統計調査機構は、国の再保険前提として之を利用し、個々農家損害評価は、之と切り離して、末端機関における自主的な措置によることとする。   以上の措置を法制的に制度化する。   なお、損害評価の適正を期するため損害評価を単に立毛の調査のみに止めず損害の最終的な状況を明かにすることができるように、例えば”損害調査団”のような施設の設置について考慮を払い、又損害評価に対する異議の申立に関する措置を整備強化する。   損害評価に連関して現行の”基準反収”を再検討して之を合理化する。 六、制度実施(現業)機関について、再保険段険中央機関として特別の機関を設ける。   地方機関都道府県区域保険段階のもの及び末端区域共済段階のものとし、之等は民間機関とする。   しかしその公共性を強化確立する。 七、政府をして、速かに以上の方針に基いて、制度根本的改正に関する具体的内容審議決定せしめることとする。   なお、右審議経過及び結果について随時農林委員会報告せしめることとする。   又、右審議に当つては別添経過的参考資料を充分参考せしめることとする。  以上であります。右の調査の結果について、幸い当委員会の御了承が得られまするならば、対衆議院及び対政府と今後の措置につきましては委員長におかれまして然るべきお取計らいを願いたいと存じます。この際、長期間に亘つて熱心に御調査を煩わし、御協力を頂きました小委員各位並びに委員長その他特に本制度に熱心な御討議或いは御意見等を賜わりました委員外委員の方々につきましての御好意に対し深甚の敬意と感謝を捧げまして御報告を終ります。
  5. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今の御報告につきまして、御質疑なり或いは御意見等がありますならば御発言をお願いいたします。  ちよつと私オヴザーバーとして出ておりまして質問するのは却つてどうかと思いまするが、大体もう賛成でありますが、府県で全然財政負担をしておらないという県がある。これが或いは損害評価についても府県が余り関心を持たないということにもなるのでありますし、それから国家財政からしても現行以上に財政負担をすることはむずかしいという状況にあります。それから今日本会議に提案される災害復旧の助成についても、一応府県災害復旧責任者にするというようなことからしますと、今直ちにはどうかと思いますが、或る程度府県にも農業共済の若干の負担をすることが私はいいのではないかということで、実は私見も小委員長のところに申上げておつたわけでありますが、その点がどういうような考えでありまするか、その点が第一点。それからこの報告書を拝見して、統計調査機構は大体国の再保険前提としてこれを活用して、個々損害評価はこれと切離して自主的措置による、こういうことでありますので、個個の損害評価についても統計調査機構の何と言いますか、指導とか、そういう或る程度全然無関係だということになりますと、多少どうかというような感じがいたすわけであります。こういう趣旨を或いは含んでおれば結構と思いますが、以上の二点につきまして何か御審議経過はありませんか。
  6. 松浦定義

    松浦定義君 今片柳委員長からもお話がありました点につきましては、随時片柳委員長私見として毎回委員会に出て御発表になつており、或いは又特に各委員からの意見を取りまとめました場合においても同様の御趣旨が出ておりましたので、それらを総合いたしまして、只今申上げましたような形で一応取りまとめましたが、昨日の小委員会での御意見を申上げますと、なおまだ十分ではなく、各御意見をそこに現わすまでには行つておらないが、少くとも衆議院のほうで結論を出してしまいましたので、衆議院のほうで結論を出しておるのに対して、参議院としても一応の結論を出さないことになりますと、政府も非常に取りまとめに困るであろう、でありますから、一応委員会報告をして、そのまま先ほど申上げましたように、委員長衆議院のほうと十分連絡をとる。更に政府といたしまして、只今委員長お話にあつたような問題が、ほかの委員からもそういう問題についての御意見等もありましたので、結論的に持つて行くまでには、衆議院結論と、参議院の、まだ未決定でありますけれども、大よそ予定される結論とは、問題によりましては相当の幅がある。そういう意味で一切を含めまして、今御報告申上げましたように一任する、こういうことでありますので、そういう点から只今片柳委員長の御意見等は今後の衆議院との調整を図りつつ、更に政府にその実現性のある点について強く参議院側の意向として、その都度又委員長を通じて申入をして頂きたい、こういう幅のある了解を得ての上で只今報告なつたわけでありますが、なお今の細かい点等につきましては、安楽城さんのほうからその都度の御意見等についての御報告をして頂けるならば幸いと思つておりますから、安楽域さんのほうでそういう点について報告されるような点があつた報告して頂けたらと思います。なければ、それで御了承願えたら……。
  7. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 統計論査のやつは、この文書はこれを切り離すと全く無関係だということになる。これは全くここのところが余りに統計論査機構の強化と、むしろできるだけ関連というような、連絡をしながらやらんと、上のほうと下のほうと全くこれを切り離すというと遮断というようなふうにもとれるのですが、この辺は……。
  8. 松浦定義

    松浦定義君 これはまあ字句のほうではそういうふうに出てはおりますけれども、まだ調整がとれていないので、止むを得ずこういう事態になつておるのでありまして、この点は非常に問題になりまして、二回くらい統計調査部長も御苦労になりまして検討したわけですが、いろいろただ機構だけそういうことにしましても、予算の関係等でできない点がありますから、そういう点は一つ今後十分統計調査機構のほうからも見、更に又本法の改正趣意等から考えまして、善処するようにというような意見もありましたから、字句のほうでは非常にまだ徹底的なようなことにもなつたり、或いは又不十分な点があると思いますけれども、今委員長お話にありましたような点について、非常に割切つてしまうということができ得ないということは事実でありますから、こういう点も委員長みずからそういう点を十分現われるようにお取計らい願つても、決して私どものほうの委員会としては何らこれにこだわつておるというのではありませんから、そういうことで御了承願いたいと思います。
  9. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はこの第四項のことについてちよつと承わりたいのですが、特定の者は除外する一定基準というのは、まだ実は伺つていないのでわかりませんけれども、農業共済のこの程度から除外するという意味か、強制加入の義務を除外するという意味か、そこのところをちよつと承わりたいのですが、第四項、「制度に対する加入は各農家強制加入建割とする。」、だから建前とするということになつておりますから、特定の者は任意加入というような意味か、或いは全然除外してしまうのかということをちよつと承わつておきたいと思います。
  10. 松浦定義

    松浦定義君 これは従来、現状のようでありますと、どうも農家自身からこういうものはなくてもいいんではないか、併し災害のあつたときには困ると、併しこれがあることは非常に食糧増産上適切な措置であるので、当然必要であるけれども、農家の今の気持に任しておけば、むしろ加入したいというような人がなくなつてしまう。であるから飽くまでこれは強制加入というものを建前にしなければならん。従つて一定基準というものは、宮本委員の御質問は、加入脱退は自由だというようなことでなしに、当然この枠内に入らないものは加入しなくてもいいというような、そういう意味でこれがあるわけでありますから、飽くまで今までのように、特に小さい問題等はありましたが、共済圏といつたようなものを作つておるというような委員の中に意見がありまして、そういうようなものを対象にして、而もそれが強制加入だからというのでは全体の上においても非常に意味がなくなつてしまうというような意見もありまして、そこでこういうようなものは大体除外してかかつてもいいんでないか、併し強制加入ということは建前でないので、現状でも、はやもう農家個々に聞いたら、恐らくこれは誰でも入りたくないというような次第でありますので、まあ抜本的な改正というものも必要であつたというようなことの意見も相当強かつたのでありますから、こういうふうに結論的には現わしておるということを御了承願いたいと思います。
  11. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 その今のお話はよくわかるのですが、一定基準のものは除外するということは、この農業共済制度の恩恵を受けられないという意味か、強制加入という枠からは除外することか。だから任意加入という制度がこのほかに新らしく生かされるのかどうかということだけ、ちよつとその点なんですがね。だから一定基準というものがまだわからないから何とも申上げられないのですけれども、一定期間無事故であつたものというようなものは、これはこの共済制度の枠の中に入れないのだという意味が含まれているかどうかということを承わりたいのです。
  12. 松浦定義

    松浦定義君 これはここにも書いてありますように、例えば一定期間無事故であつたものというものは、やはりこれはこれから行きますれば、強制加入というものを任意というわけには行かないもので、任意であるならばこういうものは出て来ないわけですから、併しこの制度をだんだんと固めて行きまして、本当に農業者というものだけでもこれに、この制第を作つて行くというような形に行く段階でありますので、この内容におきましても、今これを読んで頂けばわかりますように、宮本委員の今御心配がないようにしてしまうということには今のところではならないわけなんです。
  13. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 と申しますと、特に除外を希望しないものは強制加入はできるということになつて強制加入の枠の中へ入つて共済組合に入れるということなんですな。ということは、私の申上げておることは、一定期間無事故であつたもの或いは事故の少かつたものということは農業共済というようなものは、農業災害そのものが長年に亘らなければならないものじやないかと思うのです、こういうような基準をきめることは……。ところがまだこの農業共済制度というものは、作つてそれほど日本の国では長い期間経過していないものだから、ここに十年間くらい無事故であつたとしても、必ずしもこれは安全じやないのじやないかということを考えられるのです。だからそういうものが強制加入ということを建前としておるために、無事故であつたからといつて、この共済組合加入できないという制度をここで作つてしまうことは必ずしも必要じやないんじやないかということなんです。
  14. 松浦定義

    松浦定義君 だから先ほど私が申上げておりますように、例えば無事戻しをするというようなことの意見等が出ておつたことに該当すると思うのですが、そういうことにして、これは強制加入の結果無事故であつたものとしてはどうするかということでありますから、これはやはり加入させないとか、させるとかいうことではなしに、当然これは一本の形でこの制度というものを進めて行きたいという考えでありますから、大体いろいろ細かい点について、私でなくても小委員のかたが多数おられますから、それらの点について十分御説明願えればおわかりと思いますが、意見といたしましては、大体こういうような現わし方意見調整はされたのでありますが、特に又おわかりにならない点は河野委員なり、ほかにおられますから、一つ十分御検討を煩わしたらいいんじやないかと思つております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 私の名前が出ましたので申上げます。それは脱退の自由を或る条件整つた場合には与えてもいいじやないかと、こういうことなんです。それはその脱退の自由の条件は、三年間も無事故であつた場合ということになるか、五年ということになるか、七年ということになるかそれらのことについてはもう少しいろいろあなたがおつしやるように、現行制度運用過程において、もう少し数字的に過去の実績等も整理してもらつて、そうして三年間無事故であつたとか、五年間無事故であつたとか、七年でなきやいかんということは、脱退の理由を与える場合の条件というものはもう少し検討すべき余地があろう。併しまあ一般の現在の農民の声から言つて、今のように何でもかんでも強制で縛られるということではなしに行きたいということも、これは確かに農民の声ですから、だからどこまでも脱退の自由を一つ条件に当てはまつた場合には認めよう。併しその条件が当てはまつたからといつて脱退したくない人はしなくていいのですよ、それは……。そう私は承知しております。
  16. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 私も今河野委員と同じように了解しているのです。一応網をかぶせて、強制加入で……、併しここに書いてあるのは、無理に脱退したいというのはいい。これに該当するのは脱退をしてもよろしい。初めから除外するわけじやないのですよ。
  17. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 従つてこれは今私の申しましたように、強制加入ということを建前とするだけで以て任意加入というものを残してあるということなんですな。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 そうです。
  19. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 わかりました。それならいいです。
  20. 森田豊壽

    森田豊壽君 これは抜本的ということを建前として審議して頂かなければならん。それならば強制加入ということがこれが建前である。特別の事情なき限りは脱退を許さんということでなければ、これは農業共済という総体共済事業としては根本的じやないわけです。抜本的じやないわけです、と私は思うわけなんです。それに対する考え方は、任意加入と同様に、裏を引つくり返せば任意加入だということになつてしまう。今の御説明だと、私に言わせれば私はそう思う。これは任意ということが自由であつて認めるというけれども、認める範囲は自由のほうへ重きを置くわけなんです。だからこれは要するに共済のほうで以つて、これは脱退されても止むを得ないような事情があつて、この場合においてのみ共済のほうが悪くて農民のほうの言い分のほうがいいわけなんだ、例えばこれを公正なるところで批判すれば、そういうことになる場合においてのみ脱退ができるということでなければ、根本というものはこれはちつとも筋が通つていないわけなんだ。両方どつちでもいいということだつたら、初めからそれは文章の上や解釈で行くことになつてしまうと私は思う。その点はどうなんですか。そこをはつきりしてもらわないとどつちでもいいということであれば、これはどつちでもいいという解釈にするようにしてもらいたい。
  21. 松浦定義

    松浦定義君 これはまあ私の考え方は今森田先生の御意見のような気持をしておるわけです。実はまあここにも書いてある通りに、建前強制加入だと、併しまあ先ほど申上げましたように、いろいろこれから段階があつて、このたとえの例の中にありまするようにして、これを本当に抜本的改正をしたというふうに早く持つて行きたいというのが狙いであつて任意加入も認めるということではつきりしてしまいますと、今のように初めから任意加入、併しその任意加入の枠はこうだというふうにあれば、これはありますから、小規模なる者とか、第二種的兼業の高度な者は任意加入だけれども、ほかの者は任意加入はできないのだというふうにこの上からはなるのですが、ただこういうことを考えないで、任意加入というものはまだ生きているのだというふうにしてしまつて、こう受ける印象は、非常にそこのところにまだいろいろ御検討余地もあるんじやないかというふうに私は考えるのですが、このことはまだ私のほうは先ほど申上げましたように、小委員会としても必ずしもこれが本当に完全無欠なものということになりますと、まだ相当に時間を頂かなければならないわけなんです。そこで一応中間的に御報告申上げました回数も二、三回に亘りましたし、衆議院のほうもすでにまあ本委員会でも決定して政府のほうへ一応の事務的の段階に入るように出て来ております。併しそれは初めのように衆議院参議院が或る程度調整図つた上において、政府が作業にかかるというのが最初の話ですから、一方的に進められても困りますしするので一応御報告申上げたのでありますから、これからの調整は本委員会のほうでこれを骨子として、小委員会としてこの程度のものしか出なかつたということを骨子として、本委員会で更に又慎重審議を願いまして、そして衆議院のほうのものも或いは政府のほうの意見も聞いて、まあ本参議院委員会としては最善の処置をとつて頂ければいいんじやないか、こういうふうに思つておりますので、このことについて余り小委員会対本委員会という形でお進め願うことは、却つて審議を促進させないんじやないかと思いますので、一つ広い意味で御検討願うようにお願いをしておきたいと思います。
  22. 森田豊壽

    森田豊壽君 私は小委員長初め小委員のかたを責める考えは毛頭ないわけです。小委員会としての考え方は、参議院の小委員である以上は、小委員会意見というものはどこにあるのかということをはつきり聞いておいて、ここで又衆議院の案と参議院の案とに対する考え方をきめて行きたいという意味で質問しているわけなんで、その筋合がはつきりしないというと、どつちでもいいんだという考え方なんじや、ちよつとまあはつきりしないわけなんだ。どうも委員長だけはそういうような気持のようなことを言うけれども、小委員会としては、そこが一番まとまるところの主なところなんだ。そいつはつきりしていてくれないと、我々はどつちに解釈していいんだか、聞く人によつちや、おれはこういうふうに聞いた、今の報告はこういうふうに聞いた、おれのほうじやこういうふうに聞いたというわけじや、これも困るわけなんだ。そこのところをはつきりしてもらいたいというのが、この文章だけでは、余り僕はどこまでも強制加入にして国にやつてもらいたい、早く言えば共済保険というものに対しては国が相当責任を持つてつてもらいたいということが建前で行くべきだという考え方なんだ。だからこれは強制加入にしておけば非常に工合がよく行くのじやないかと思うわけなんだ、将来の運用が……。そいつ任意加入だというと力が入らないわけなんだ。そこのところをはつきりして下さいよ、小委員会総体が……。決して責めるわけじやなくて、はつきりして頂きたい。そいつを聞きたいわけなんだ。
  23. 関根久藏

    関根久藏君 小委員会のこの意見は、今お話森田さんの任意加入とか、強制加入とか、そうでなくて、強制加入ということなんだ、これは……。
  24. 森田豊壽

    森田豊壽君 強制加入に間違いないね。
  25. 関根久藏

    関根久藏君 ない。こういう資格条件を整えるものは除外すると、こういうことで、飽くまでこれは強制加入、だから任意加入じやない。
  26. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ですから、こういうことじやないですか。私も先ほど申上げましたように、原則としては強制加入で、一定基準に該当するものは除外される。併し除外されても又あとでどうしても入りたいというものは当然それは入れるにやぶさかでない、こういうことでいいのじやないのですか。
  27. 関根久藏

    関根久藏君 それが問題だと思う。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 森田さん、この小委員会結論というのは、これは結論になつていないんですよ、実際の話が……。あなたの言うように小委員の中にも絶対に強制加入で行つて、そうして国で全部共済の始末はすべきだ、こういう主張の小委員もおられたし、私個人とすれば、もう保険建前というのは出発点から強制ということが矛盾だ、これは任意で行くべきだ、こういう主張もあるわけなんだ。そこでいろいろ意見がありましたが、どうしても一致点をみないのは、保険を始めて日時も浅いのだし、これをどちらがいいのかということを検討するにも少し材料が少な過ぎるから、どうしても意見の一致しないものは、もう少し時日をかして検討してもらおうじやないか、こういうことなんです。ただ併し今までのように何でもかんでも強制だということで、僅かに割戻しくらいのことでごまかしていては駄目だ。だから三年とか、五年とか、先ほど申上げたように何にも被害がなかつた、組合単位に考えて被害がなかつたとか、又個人単位に考えておれのところじや麦については何も被害がなかつたというようなものがありましたら、或る日時を切つて、それを五年なら五年無事故つた場合には六年目から加入脱退の自由を与えようじやないか、こういう点はまあ大体一致したのです。ところが御参考に申上げるけれども、農家単位にするか、一筆単位にするかということは一致しないのです。私はどこまでも農家単位でなければいかん。農家の補償の限度を上げて賦課金はもつと減らして、そうして一方国庫の負担はこれ以上殖やさないんだというような三つの要求を充たすためには、どうしたつて私は今の一筆単位じやいかんと思うのですよ。そういう点についていろいろ意見があるわけだ。こういう意見の一致しない点はしないままで、一応意見意見として、これをこのまま衆議院のほうの案、参議院の案と、これらをまとめて政府の当局にやつて、専門家の政府当局で更にもう一遍作業してもらおうじやないか、こういうことが大体私はあれだと思う。結論的にはこれはまあ一つ結論じやあるけれども、具体的のこれはこう行く、ああ行くという結論になつていないのですよ、すべてが……。もつと日時をかせばまとまるかというと、日時をかしてもなかなか根本的に絶対に違つたやつはまとまらないのだな。まとまるためには半年も一年もかかる。それでもまだ我々の企図しておる抜本的改正というようなことに入りにくいから、それでここらで小委員の案をこの程度まとめたところで本委員会報告して、政府のほうにあと作業は任せようじやないか、こうなんだ。
  29. 森田豊壽

    森田豊壽君 ちよつと伺つてみたいですがね。私は災害という共済の事業としては、地域的に毎年災害をこうむる場所と、全然いつもこうむらない場所とあると思う。或る所は入りたくないというところが相当ある。これは一県にもあると思う。全国的にはそういう所はあると思う。これを強制加入をさせるということは、国家がこれに対しては、災害のない所は非常に負担が重くなるような恰好になるわけで、そこに不平が相当あるわけなんだ、地方的には……。だからこの問題を解決するために、或る程度まで国がすべてやつてもらつて強制加入さすべきだということを言つておるわけなんだ、私の考え方は。いいですか。だから或る場所によつちや全然災害は何にもなくて、おらとこはいつでも出しつ放しで割が悪い。一村でもそういう所はあるはずなんだ。場合によつては……。災害の少い所、何にもないという所はなくても、いつも少い所、年に一遍の所と毎年ありそうな所とあるわけなんだ。それだから、こういう問題を抜本的に改正しようというならば、国がプール計算をして、国が或る程度まで負担をする、或る程度負担はして行かなきやならん、大部分負担すべきだという考え方なんだ。そこでその今の強制加入ということを強く取上げるか、取上げないかということになる。だからこれは任意にしておけば……、任意というと、これはここに書いてあるようなものの、相当理由を付けてやることが実際はできるわけです。だからここをはつきりする必要があるじやないかということを言つたわけです。その点は何ですか、そういう議論はなかつたのですか。
  30. 松浦定義

    松浦定義君 ちよつと速記止めて下さい。
  31. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それじやちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  32. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  農業災害補償制度改正につきましては、当委員会としては、右小委員長報告通り決定いたし、なお字句等の点は小委員長において更に御推敲願うことにいたしまして、報告通り決定して差支えございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それでは右報告通り決定をいたします。  なお、右の決定を早速衆議院農林委員長及び農林大臣に通知することにいたします。なお、その後のことにつきましては、必要に応じ順次協議を願うことにいたします。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  34. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。  それではその次に農地局長と農林経済局長が見えておりますので、江田委員から農地問題につきまして御質問があるそうですから……、なお、酪農振興法案に関連して河野委員から酪農関係の農協関係について御質疑を願います。
  35. 江田三郎

    ○江田三郎君 たまたま昨日の各夕刊に大きく出ている大島土地の問題なんですが、これはひとり大島土地の問題だけでなく、都市周辺の農地の宅地への転用ということについては、いろいろ我々も今日まで問題を聞かされているのです。併し具体的に大島土地というのが大きく取上げられましたから、この際一つ農地局長にお尋ねしますが、大島土地の問題については農地局のほうとして調査ができたか、できておれば、わかつておる範囲を先ず御説明願いたい。
  36. 平川守

    政府委員(平川守君) 実は大島土地という具体的の会社について調査はございません。従来農地の改廃につきましては、一応各県知事及び農地事務同等におきまして、農地法の規定に基く手続をとつておるものについての統計だけをとつておりましたわけであります。ただ最近都市の近郊等において成規の手続を経ずして農地の改廃が行われておるような傾向があるということが問題に取上げられまして、農地局としても主な都会地近郊についてのそういう土地を売買するような会社等が、察際上どういうことをやつておるだろうかということを調査を始めておるところであります。まだ東京の分についてその調査の結果が出ておりませんので、御報告申上げるような材料を持つておりません。いずれ遠からず或る程度の材料が出るかと思いますが、現在のところ大島土地及び東京近郊の電鉄会社その他のものについても土地調査をしておる段階であります。
  37. 江田三郎

    ○江田三郎君 大鳥土地の問題は新聞に出たのはたまたま昨日のことなんですけれども、併しあれを読んでみても、相当長い期間に亘つて成規の手続を経ないで転用を行なつているのではないかということが見受けられるわけです。又そういうことは大島土地だけでないにしても、今言われた電鉄会社の問題等について、あなた方のほうでも今までいろいろな噂は聞かれておると思いますが、これは今改めて調査をしなくても、そんなものが非合法をやつているかどうかぐらいは、今までもあなた方のほうでも問題に当然されておるはずだと思いますが、それはどうでしようか。
  38. 平川守

    政府委員(平川守君) まあだんだん問題になつて来ておるわけなんであります。ただ従来農地法違反の改廃の問題につきまして、検察庁等ともいろいろ打合せをいたしておるのでありますが、余り細かいケースですと、なかなか取上げてもくれない状態でありまして、最近都市近郊の土地会社の問題が比較的数量的にもどうも違反が多いのじやないかということで調査に取りかかつておるわけでございまして、やはり全部揃つておりませんが、一部の報告によりますと、どうも相当の数量の違反があるような状況であります。
  39. 江田三郎

    ○江田三郎君 都市近郊の分だけでなしに、今から一カ月くらい前ですか、朝日新聞の三面で、準農村の零細な土地の取上問題なんかを問題にして、まあそれには東畑次官もあなたも談話を出したわけですが、比較的あなた方は問題を軽く見ておられる。ところがほかの評論家の人あたりでは非常に最近の農地関係の改廃が濫れて来ておるということを強く見ておるということを私読んだのですが、何か近頃農地関係の手続を成規にとるということが全般的に緩んで来ておるのじやないか、そういうことはございませんか。
  40. 平川守

    政府委員(平川守君) 手続そのものにつきましては、例えば改廃の手続等の状態を見ますと非常に件数等も多くなつて来ておりまして、実はもう朝日新聞等で取上げました際にも、その件数等が多くなつて来ておるじやないかということが、農地の改廃とか、或いは売買とかいうことが非常に多くなつて、それが自作農の転落ということを意味するのじやなかろうか、こういう意味であれは取上げられたようであります。私どもの手続の面から見ますというと、そういう状態でありますので、最近特に手続を怠る傾向が強いというふうには考えておらなかつたわけであります。そうして工場の場合とか、或いは接収地の場合なんかは勿論でありますし、工場の場合その他の学校或いは共同の病院とか、鉄道とかいうようなものにつきましては、比較的そういうものがなかつたように思つております。随分許可の申請が参りますが、農林省としてもかなりやかましく、必要ないものは削減をするといつたようなことでかなりやかましくやつております。そういう心配は実は余りしておらなかつたのでありますが、ただ最近の都市近郊の問題が非常に手続的に十分でないような気がいたします。それでそれを取上げて来たのです。地方のほうにおきましても、勿論成規の手続を経ないものというものを、それ自体を調べることが又なかなかの困難なことではありますので、決して漏れはないとは申しませんが、大きな工場とか、或いはその他の施設による改廃につきましては大体手続がとられている。大きいものとしてどうも漏れているのじやないかと思われましたのが、最近のいわゆる土地会社、郊外の住宅地用のものがあつたということで、それについては特に調査を始めたわけであります。
  41. 河野謙三

    河野謙三君 私はちよつと問題を出して調べてもらいたいのですが、それは今日お答えがなくてもいいから……。いろいろあるのでしようが、特にこういう問題があるのですが、一つ調査願いたいのです。地目転換、例えば私設鉄道が買つたとか、それから国有鉄道が農地を買つたとかという場合は、それらの会社なり、運輸省があとの登記の手続等の費用を持つてくれるということで、これは最終の事務まで完了するのですね。ところが河川改修であるとか、或いは道路であるとかという場合には、町村役場がその跡始末をするために、登記その他の費用の負担に堪えないということで、これが実際には道路になり、河川になつているけれども、実際の登記面から行けば依然として農地として、而もこれが十年も古きは二十年もそのままになつているということが、私の地元のほうへ行くと各町村漏れなく現実の問題なんです。これは恐らく全国的にそういうことだと思う。そういうことについてどの程度、そういうふうな実際の農在の面と登記の面との食違いというものがどのくらいあるかということを、これは全国的に私は莫大なる反別になると思う。で、若しあるとすれば、この問題については今後政府は何らかの措置をとらなければいかんと思う。と同時に、今日統計調査部の部長さんもおられますが、統計調査も作況の調査やいろいろおやりになる場合に、統計調査のほうではこれを一体登記面でやつておられるのか、それとも実際の作付面積でやつておられるのか、こういう実際の問題があると思います。これらの御調査の結果、同時に今後私が申上げたような問題があつた場合には、どういうような解決策を持つておられるか、これを一つ調査の結果御回答を頂きたいと、こう思います。
  42. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  43. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時十四分散会