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1954-05-11 第19回国会 参議院 農林委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十一日(火曜日)    午後二時十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            戸叶  武君    委員            北村 一男君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            河合 義一君            江田 三郎君            小林 孝平君            松浦 定義君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農地局建    設部災害復旧課    長       大塚 常治君    通商産業省企業   局産業資金課長  川出 千速君   参考人    日本開発銀行審    査部長     竹俣 高敏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○臨時硫安需給安定法案内閣提出、  衆議院送付)(第十八回国会継続) ○農林省関係法令の整理に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○農林水産業施設災害復旧事業費国庫  補助の暫定措置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を開会いたします。  最初に、臨時硫安需給安定法案を議題といたします。本法案に関連して五月七日の農林委員会の決議に基きます硫安コストの件について、参考人として重ねて日本開発銀行当局の御意見を伺うことにいたします。本日の問題の中心は、前回に引続きまして日本開発銀行において融資に当つて資料として入手され、或いは調査せられた各社、各工場別硫安コスト並びにこれらコストに関する日本開発銀行見解及び硫安コスト硫安価格との逆鞘関係並びにこれに関連して各メーカーの経理及び配当に関する日本開発銀行見解についてであります。先ず、日本開発銀行当局の御説明を煩わしたいと存じます。本日は参考人として開発銀行から審査部長竹俣高敏君の御出席を得ております。同君におかれましては、再三御多用中のところを御出席を頂きまして厚く御札を申上げます。それでは開発銀行当局から御説明を伺いたいと思います。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 開発銀行意見を聞くのも結構ですが、我々の手許資料を頂いて、その資料説明に附加えての意見ならよろしうございますけれども、そうでない意見なら私は聞く必要はないと思います。
  4. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 先般この委員会からいろいろ御要望がございましたので、早速帰りまして銀行首脳部等とも諮りましたことは当然でございますが、更に監督官庁としての大蔵省或いは通産省とも御連絡をいたしました。そのときに出て参りました意見といたしまして、そういうことであるならば、一つ政府においてその資料を頂かろうではないかということになりましたので、それでは開発銀行が直接に業者の出しましたものを提出いたしますこと自身実は銀行がつろうございますので、全部その資料政府にお預けいたしましたので、政府からそれをお聞取り頂ければ非常に幸いだと思います。なお、勿論私どものほうで、それに関連して私どもの査定と申しますか、およそこのくらいの意見を持つておる、こういうことがございますので、それは補足的に申上げて結構と思います。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 そうするとあれですか、開発銀行のあなたの手許にある資料通産省に渡して、通産省の手を通じてその資料を我々の手許に出すと、こういうのですか。ところが現在ここに来ておりませんけれども、どういうわけでしよう。私は重ねて申しますが、私たち要求している資料は、どこまでも資料であつて、その資料はあなたたち作つた資料ではないんです。私が申上げているのは、メーカーから開発銀行に出ているだろう、その出ているものを私ども手許にくれと、こういうことを言つておる。一つの例を言うならば、東北肥料から出された私はパンフレツトを持つておる。昨年の三月に、表題だけ私は読みます。「企業合理化計画説明資料東北肥料」というのが出ております。このくらいのものが出ております。それから新日本窒素から昨年の二月に高度合成肥料硫燐安製造計画説明書というのが出ております。一つの例でありますが、こういうものが各会社からあなたり手許に行つているはずです。それをここでもらいたいと、こういうことですから、その我々の希望を満たすようにして下さい。それともないとおつしやるのですか。これは原本じやありませんよ。私が今申上げたのは、表題は白い表紙で、中がわら半紙で、そうして謄写版で刷つたものがあります。そういうものをくれと、こう言つている。ないですか、それは……。
  6. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 実は或る程度前のことでございますので、個々の会社でどういう方法であつたかはちよつと私今失念いたしましたけれども、印刷物でくれたところもございまするが、なかなか肯んじないで、下さらなかつたところにつきましては、現場に参りまして、大体原材料費が一体幾らぐらいでしようか、実は大体このくらいだ、ちよつと見せて下さいと言つて覗き込んで数字を書きとつて来たものもございます。従いまして、全部が完全な形ではございませんけれども、一応その資料ができておるわけであります。それを通産省にお渡し申上げております。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 完全とか、不完全とか、そういうことはいいですよ。不完全であつてもいい。ただあなたの手許に行つたものを出してもらいたい。今私が申上げたのは、確かにあなたのところに行つているはずです。そういうものを私のほうの手許に出してくれというのがかねてからの要求なんです。どうしてそれが出せないか。だから若しあなたが出せなければ通産省でもいいですよ。なぜそういうものが出せないか、そういうものに基いて我々は検討したいのです。これは出せませんか、通産省に渡しましたか、それは……。
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これはお手許資料はお配りいたしましたが、これは通産省経由で出されたと、こういうふうに我々は見てよろしうございますか。
  9. 川出千速

    説明員川出千速君) お手許配付いたしました資料は、この前二十八年度に開発銀行から融資いたしました六社につきまして、コストの問題につきまして、この前もこの委員会で、通産省からも出せというようなお話がございまして、一応開発銀行とも相談いたしました結果、ここに差上げましたものは二十七年度の上下一年間を通じての企業側から出て来たコストをそのまま収録したものでございます。従つてここに書いてあります数字には何ら修正等は加えてないわけでございます。
  10. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そこで内容の点はこれから御質問がありますが、形式上の処理といたしまして、我々のほうとしては開発銀行資料要求をしておるわけですが、それはですから通産省を経て開発銀行から資料の提供があつた、こう見ていいかどうか。一応けりを付けておきませんといかんと思いますので、それをどう見たらよろしいですか。
  11. 川出千速

    説明員川出千速君) 通産省政府のほうと開発銀行と相談いたしまして、通産省を経由して出したほうが穏当だろうということで、我々通産省のほうから提供した、こういう経緯になつております。通産省から提出した、こういうことであります。
  12. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 重ねて……。そうすると、開発銀行通産省を経由して資料提出なつた、こう見てよろしうございますか。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 よく聞いて下さい。この間からあなたに申上げているのは、先ほどから申上げるように、メーカーから出たものを見せてくれと言つているんです。集計したものとか、それに意見を付けたものは要らんとは言わんけれども、私たち要求しているのは、たびたび申上げるように、メーカーから出ておるものを我々のほうへ、写しでもいいから見せてくれと言つているんです。こういうのを要求しているんではないんですよ。我々も少し肥料のことも勉強したから、メーカーから出ておるものをもらえばいいんです。あなた方が判断できるものは我々にも判断できるんです。だからメーカーから出たものをももらいたいというのです。あなたのほうからもらつたものよりもメーカーから出ておるもののほうがわかりいいんですよ。こうなつているんです、メーカーから出ているのは……。これもその一つです、東北肥料のやつは……。一から読んでみましようか、工事の目的、二が工事内容、三が工事の工程、四が工事所要資金調達予定及び支払予定、五が工事の効果、それからイロハと分けて生産能力比較表、実生産見込比較表硫安単位設備能力バランス表、それから損益比較表、それから六として借入金返済予定表、こういうようなものが事細かに明細に出ているんですよ。これを見れば我々素人でもわかるんです。あなたのほうのお手数をかけないんです。出ておるものを……通産省でも、開銀でもいいんですよ、私はそんなことは言わない。今更開銀責任とか、通産省責任とか言わない。我々は見たいものを誰の手でもいいから見せてもらいたいんです。そういうものを要求しているんですが、どうしてそういうものが出ないんです。私の要求はこの前から二度も三度も伝えてある。それは出しますと言つておられたじやないですか。なぜ出ないんです。私は遺憾ながらそれが出ない限り、我々はこれを審議する資料が不足ですから、審議できない。これははつきりしておいてもらいたい。
  14. 川出千速

    説明員川出千速君) この前の農林委員会に実はその御要求によりまして企業から取りました文書はいろいろまちまちでございますが、それを集約してお届けいたしましたのが、この前の農林委員会で差上げましたこの表でございます。それで御要求のあれにはかなつたんではないかというように存じております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 そうじやないんですよ。それはあなたのほうでいろいろ手を加えたものをもらいましたが、これも要らんとは言わんけれども、私が要求しておるのは、メーカーから通産省なり、開銀に出た書類の写しをもらいたいと言つているんですから、それを出したらいいじやないですか、あなたたちがそういうものを集計し、集めて作つたものがこれでしよう。その前のメーカーが出したものをそのままもらいたいというんですから、それがどうして出ないんですか。同時にこういう平均単価では困るんですよ、検討する場合に……。同時にこの前も申上げたように、幾ら幾ら安くなる、それなら現在は二万幾らである、それで二千何百円安くなつて今度は二万幾らになる、一万八千になるとか、こういう現在のコストを……合理化資金を出したことによつて二千何百円安くなつた、その結果が一万何千円になる、これがなくちや駄目なんですよ。もつはつきり言いましようか。肥料法案を仮に通しても……通産省なり開発銀行は、我我から見ると非常に一方的なメーカー擁護者なんです。そういうものは原価計算をして、通産省法的根拠に基いてやると言つても、通産省が出した原価計算というのは当てになりませんよ、又農林省法的根拠に基いて原価計算をやる。通産省原価計算農林省原価計算と二千円も三千円も違う。こういうことで肥料安定法が通過してもこの法の運用がうまく行きますか、行かないでしよう。でありますから、根本的に現在の価格を、通産省が知り得ているところを、正真正銘のところを我々がもらわなければ、法的根拠に基いて農林通産両省メーカーの工場なり、本社に乗込んで行つて帳面を引つ張り出して原価計算をやると言いましても、通産省には通産省の持つている勘定があり、農林省には農林省が持つている勘定がある。その勘定は非常な隔りがあつて、一方は極端なメーカー保護、一万は極端な消費者保護、こういうことでは法の運用は付きませんよ。だからこれが通過して、今度は原価計算をするときに、我々はそんなものは受取れない。だから法律を通過させる前に原価計算を究めておかなければ駄目なんです。そういう意味要求しているわけなんですから、同じことを何度も言わさないで下さい。もう会期も幾らもないから……。農林省通産省が、この政府提出した法律審議未了にさせようとするならばそれでもいいでしよう。あなたのような態度では立派に審議未了になるのですが、少くとも政府が提案している法律政府みずから率先して一日も成立の早からんことに努力しなければならん。然るに言わなくてもわかるようなことを何度も言わして、そうして求めている資料を出さないということはどういうわけです。通産省はこの法案が通らないほうがいいんですか、はつきり言つてもらいたいのです。課長には甚だ失礼ですけれども、大臣や局長を呼んでも出て来ないからあなたに聞かざるを得ない。一体法案は通過しなくてもいいと思つておられるのですか。又こういうことをやることは法案関係ないとおつしやるのですか。我々はこの法案の通過に当つて根本的に究めなければならんのは、現在の政府が知り得ている原価計算、これを調べなければ駄目だと思う。あなたの御見解はつきりとおつしやつて下さい。
  16. 川出千速

    説明員川出千速君) 硫安関係法案につきましては、一日も早く国会を通過することを衷心より希望いたしております。それから資料の点でございますけれども、同じことを繰返して申訳ございませんが、この前お配りいたしました資料は、各企業からとりましたいろんな資料要点を全部網羅していると私は信じているわけでございます。そのものでございませんけれども、各企業から出て参ります資料と申しますのは、正式にとつたものではございませんし、たまたま会議等がありました場合に、そのときに黒板に貼付けて説明したり、或いはその席上配つたりした資料でございまして、なかなかそうたくさん集めることも困難でございますものですから、この前の、この集約しましたもので十分ではなかろうかと考えた次第でございます。御趣旨はよくわかります。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 十分じやないとはつきり言つているんでしよう。あなたはこれで十分だろうとおつしやるが、私は要点は全部盛つてあると言うけれども、この間の一つの例が、二千三百何円合理化することによつて安くなりますと言うけれども、現在のコストというものは出ていないじやないですか、合理化の結果二千何百円安くなつて、その結果一万何千円とか、二万円に安くなつたということが出ていないじやないですか。その急所は全部外してあるのじやないですか、作為的に……。そういうことは我々はわからないことはないんですよ。そういう急所を外して、そして大体要点は網羅したというけれども要点は網羅してないですよ。この資料に対して余りけちを付けるのは私は気の毒だから……、それよりもメーカーから出ているのをもらいたいというのです。改めて出してもらえませんか。
  18. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 河野委員に申上げますが、今日配付した資料を一応説明を聞かれたら如何でしようか。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 私は遺憾ながら同意できません、我々は十分検討するだけの資料があるのですから……。各メーカーからそれを今日渡して、それについての一応の説明をして、家へ帰つて十分検討してみる必要があると思う。ないなら別です。あるのですから、ないと言えないでしよう。私がさつき言つたのはデマですか。今二つの会社でも三十八年度の二月、三月に出ております。あなたが若しないなら私は持つて来てやる。
  20. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) お答え申上げまするが、頂いておると申されますが、頂いておらないところもございます。従つて横に流しまする場合に、結局こういう形になつてしまつたわけでございます。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 ですから私たちは頂いてないところを寄越せと言うわけに行かないでしよう。裸でけつをまくれというわけには行かない。できないことをあなたに注文しているのじやない。あるものをそのまま出せと、こう言つているのです。私はあると思つているのです。それは不完全なものもあるでしよう。あなたの気に入つたやつもあるでしよう。六社のほかに三社もあります。九社あります。それをそれぞれ出したらいいじやないかと、こう言うのです。九社なければ、河野は九社と言うけれども、わしのほうは九社ない、それはあなたの間違いだと言うなら間違いだと言うのもいいでしようが、とにかくあるものを出したらいいでしよう。それが一番いいじやありませんか。僕は何であなたたちがそんな答弁をする必要があるか。こういうものが手許に来ております。開発銀行立場で出せないから通産省で出す、それも了承しますよ。正真正銘のものをそのまま出せばいいじやありませんか。忙がしくて出せなければ配付からはずして委員長に一日お預けしますから、一日回覧して下さい、これでもいいじやありませんか。そんなら一番手数がかからない。配付をはずすのもできないというなら、誠に気の毒でありますけれども、一晩夜業をしてそれを写して我々のほうにもらえればいいんです。それがどうしてできないのですか。私たちそれができないという、できるものをできないというところに非常に大きな疑いを持つのです。
  22. 松浦定義

    松浦定義君 私ここ二、三日欠席しておりましたので、余り内容はわかりませんが、私はこれはもう筋を通してやればいいと思うのです。参議院農林委員会として筋を通せばいいんです。と申上げますと、恐らくこの問題は衆議院のほうでは大体もう妥協して、そうして今のような形でなしに結論が出て来る可能性が十分あるのです。従つて私はそういう意味において、参議院が、我々が審議未了にしたなんていうそんなばかなことはできないわけですから、慎重審議したいということでこれをやつているのです。今のお話ですと、どうしても早く通したいというお気持は御尤もだと思う、省としては、農林省としても通産省としてもそれぞれのお立場から……。そこで私はお尋ねしたいことは、あなた方は、省は何も自由党の省でもなければ、改進党の省でもなければ、社会党の省でもないのです。ときたま今自由党内閣のうちにこういう問題が出て来たから、こういうことが言えると思うのです。例えば改進党が若しとつてつた場合或いは社会党がとつてつた場合でも、これは出さなければならん問題ですから、私は与党諸君がこの問題について非常に苦慮されていることはわかるのです。けれどもども参議院という立場から慎重審議をしたいのですから、そこでこういう問題は根本的にやりたいと思つているのです。ところが自由党は恐らく私のところに今晩寄つてくれという、これは確かに参議院農林委員会において、何とか衆議院の線を呑んでくれと言うだろうと思つているのです。ほかの人が来ているかも知れんけれども、とにかくこんな印刷だから私一人じやありませんでしよう。そういう事態になつて来たときに、あなた方がそういうような回答をやつていることは飽くまで私ども慎重審議をすることができないで、結論的にはやはり審議未了にすることはできない。従つて農民も喜ばない、業者も喜ばないようなうやむやな中で通すと、そんなことでは参議院としての権威にかかわるじやありませんか。そこで与党諸君も、若しこれが野党と引つくり返つたら、この点については十分御検討になると思うのですから、今申上げましたごとく、ないものを出せという意味ではないのですから、お出しになつたらいいでしよう。併し衆議院の場合はこれほど追及しておりませんよ、通ればいいんですから……。併し参議院の場合は通そうと押切ろうということはできません。これまで問題になつた限り、国会法に基いて正式な要求をした。併しそのことは先立つて成る程度呑もうとした。ところがそのことが遂にどうしてもできないような結果になつてしまつて、又こういうことになつていることを考えましたときに、私どもはもう少し省は与党の省ではありませんから、それは政務次官だけは代りましようが、ただ次官というものは絶対我々の権威を以てしては代えられない。そういう重大な問題を中心として検討されている通産省というものは、与党であろうと野党であろうと、明日の日はわからない、どんな事態が起るか……。そういうことで参議院を無視するのじやありませんか。最近はどうも与党を挙げての参議院軽視、無視の全くこれはほんの一つの現われです。氷山の一角です。もつと大きなものが出ていることをあなた方は知つているでしよう、新聞もお読みになつているし、ラジオも聞いているのでしようから……。こんなものは単なるゼスチユアとしてとめておるわけではない。あなた方に入れ替り立ち替りして、そうしてこんなことを申上げようということは、河野さん自体としても心外だと思つている。こんなことを聞きたくない。又あなた方もこんなことは言いたくないでしよう。併しそれ以上言えないでしよう。言えなかつたら、法案を促進しようというのは何ですか。参議院全体或いは衆参両院全体があらゆる法案を促進しないのも吉田総理が出て来ないということを一つ前提にしている。我々農林委員会がこの法案と取組んで慎重審議しないのは、あなた方があるものを出さないと同じことじやありませんか。小さければ小さいだけに、そういうことをお考えになつたら、もう少し参議院というものをあなた方は尊重してもらいたい。従つてあなた方が衆議院でどうしても通らない場合には、私ども参議院全体を挙げて努力して通そうじやありませんか。あなた方の考えていることを無視されたような法案が、若し衆議院農林委員会において取上げなかつたという問題があつたら、参議院は一致結束して取上げようじやありませんか。今国会においても或いはあるかも知れません。併しこの問題は長い間続けて参りました問題ですから、私どもはそんなに継続審議継続審議をしたことはありません。今度継続審議をしたり、或いは与党自由党諸君が必ず中心になつてこれをやるというような機会があるかないか断言できません。社会情勢はそんなものではありません。それでもあなた方はいい。どの政党内閣をとつてもいい。あなた方は通せばいいのですから……。そういうことを考えますと、どうぞ一つあつさりあるものを出してもらう。衆議院に出さないものを参議院に出すということも、二院制度の建前上から当り前です。向うへ出さなくてもこつちに出すべきです。衆議院の行き過ぎを是正するためにできている参議院ですから、実際に要求しないものを出さなくてもいい。要求したものを、而も参議院を尊重する意味において、少くともあなた方の関係のある硫安需給安定法案というものは、今の衆議院では審議未了になるかも知れない。或いは名前を変えて肥料になつて来るかも知れないけれども、そんなことは私どもは知りません。そのときになつたら変えるであろうし、変えないでありましよう。そんなことは私どもに任してもらいたい。毫末もそういう点についてはお譲りすることはできないのですから……。とにかく筋を通して下さい。若し私の言うことが悪いというのだつた幾らでも御批判頂けば結構です。私どもは私どもとして、議員としての立場から、そういうようなことで通したということは、今日まで来た場合にはできません。若しできるとすれば、或いは汚職とか何とかいうものが必ず附きまとうものでなければ、そういうことはあり得ないということが原則になつているでしよう。やりたくてもそういうことはやれない。私はそういう意味で今晩ははつきり、衆議院のほうから私が元おりました改進党の委員長である井出君或いは与党である綱島君、それからもう一人の修正案代表者として金子與重郎氏、恐らく私は金子與重郎氏という人は、私は元おつた改進党で、褒めるわけじやありませんけれども政党というものが嫌だという人なんです。そうして農村問題にしつかり取組んで本当に熱意ある人でありますから、あなた方はよくそのことを聞くでありましようし、与党諸君としてもよく聞いておるのです。だからこういう形になつて来たと思うけれども、これは私は参加いたしません。その必要はありません。ほかの人が行つても私は行きません。あなた方がそういうものを出さんという限りは参加したつて意味なことですから、若し出すというような意向があるならば、私は堂々と招請を受取る。併し私は行きたくてしようがない。私は今晩行くつもりでおつたけれども、そういうあなた方の態度なら私は行きません。そのこと自体でも衆議院参議院が如何に食い違うかということがはつきりわかるでしよう。どうぞそういう意味でもう少し真剣に考えてもらいたいと思います。答弁は要りません。
  23. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  24. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  本日開発銀行から通産省経由提出されました資料では、各委員といたしましては審議上これでは満足が行かないという先の懇談会の結論でありましたので、こういうような資料を作りました裸の資料を至急一つ提出を願うことに重ねて開発銀行要求することにいたしまして、この件は本日はこの程度にして、次の問題に入りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めてさように決定をいたします。   —————————————
  26. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農林省関係法令の整理に関する法律案を議題にいたします。  本法律案は、昨日も御審議を願いましたが、なお御質疑があれば御発言を願いたいと存じます。  別段御発言もないようでありまするので、直ちに討論採決に入りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  農林省関係法令の整理に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  29. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等後の手続は、慣例によりまして御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に、本案を可とされましたかたは、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     江田 三郎  河野 謙三     河合 義一  北 勝太郎     松浦 定義  北村 一男     関根 久藏  横川 信夫     川口爲之助  重政 庸徳     宮本 邦彦  戸叶  武   —————————————
  31. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本法律案について御質疑のあるかたは御発言を願います。  それでは私から若干の質問をしたいと思うのですが、災害復旧の国庫補助を、従来直接補助を間接補助に改めるということが本改正案の骨子だと思うのですが、災害復旧事業の補助等についていろいろ問題もあるやに聞いておるわけでありますが、成る見方をすれば、そういうような批難事項を今まで農林省が直接受けておつたわけでありまするが、それを府県に転嫁するというような見方も若干これはあるのじやないかと思うのですが、これは会計検査院としても、こういうような間接補助をすることについて全面的に賛成であるかどうか、その点を一つ先ず承わつておきたいと思うわけであります。
  32. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 会計検査院におきましても、不正不当が災害事業において多少発生します原因の一つに、の責任が明確でないということを言つておるのでありますが、この法律は国の直接補助でありまするその実務の大半を、現在の情勢におきましては府県に委任している次第でございます。府県は委任されました枠内における責任があり、国は法律上の責任がある、そういう非常に複雑な形にありますので、これを間接補助にいたしまして、すんなりした府県の責任体制に持つて行くことは検査院においても賛成の意向のようであります。
  33. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからこれで行つて、都道府県は自己の財政負担というものはこれはない建前だと思うのですが、そうしますと、都道府県が単なるトンネル機関、経由機関だというような感じもあると思いますが、そこのところはどういうふうに将来考えておられますか。
  34. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) この法律ができましたのは、昨日も申しましたように、日本が占領治下にありまして司令部のほうの意向も入りました結果、こういうような趣旨の法律なつたのであります。その趣旨と申しますのは、補助金を出すものと受けるものは直結しておらなければならない、その間に第三者的なものがあつてはならないという考えのように聞いております。併しながら、私どもは当時の事務能力、つまりこれに携わつておりまする者の定員等から考えまして、毎年平均五万件以上に及んで発生いたします災害復旧事業を全部初めから終りまで、直接補助の実務を施行することができない事情を縷々説明いたしましたが、許されるところとなりませんので、この法律なつたわけでありますが、その際にもその大部分の実務は府県に委任することによつてこの法律が成立したのであります。従いまして、県はトンネル機関になるというようなことも考えられますが、現在におきましても、その実務の大部分は府県が実際行なつておりますので、実情に即したこの方法に従つたほうがよろしかろう、こう考えておる次第でございます。なお府県におきまして、一部負担をするというような思想もございまして、この案ができます前には、そうした原案も作成いたしまして、関係方面といろいろ折衝いたしましたのでございますが、相当これに対する異議もございますので、今回はこの点を削除いたしまして、本法案にいたした次第でございます。
  35. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) まあそうすると、具体的に従来と余り変りがないということのようでありますが、そうすると、この本省の事務費、人件費或いは都道府県の事務費とか、人件費というものも大体従来と変らない、こう見ているのですか、どつちか。例えば本省の費用が減つて都道府県が殖えるとかいうような、そういうような多少の変動が起るのですか、どうですか。
  36. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) それは実は昨日も宮本先生から御質疑がございましたのでございますが、表面的な形式的な量の面の仕事は間接補助にいたしましても、本庁と府県との仕事の分量の差は余り根本的には相違ございません。併しながら、今度間接補助になりまして、その施行による最終段階の責任までが知事の責任になりますことによりまして、質的に府県の仕事の分野が多少多くなるというようなことも考えられます。従いまして、これはまだ大蔵省とも打合せてはないのでございますが、現在府県にこの事業を委任いたしておりますための経費、これを地方事務費と称しておりますが、それが事業費の五・五%を事務費の限度といたしまして、それに一定の補助率をかけたものを都道府県に交付しておりますが、この五・五彩という事務費の量を多少上げなければならないような事態が生じて来るのじやないか、こう考えております。なお、そうして地方が殖えますれば、本省は減るかと申しますと、これは現在の発生件数と、現在本省並びに農地事務局が現在この仕事に携わつておる人員の関係からいつて、現在でも相当少いのでありまして、本省のほうの事務費、定員等はこれによつて減少いたさない、こう考えております。
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、府県のほうは多少殖える可能性があるが、中央は従来と全然変りがない。そうすると、間接補助にすると中央、地方とも、実はこれはまあえらい細かい議論ですが、むしろ経費は膨脹する、こういうような結論に聞こえますが、そういうことですか。
  38. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 書類を作成いたしますとか、何とかいう形の上の事務量は、今日委任されておりまする地方の態勢においても増減はないのでございます。併し何と言いますか、責任の程度が地方に多く転嫁されて来る。従いまして、一つの書類を作ります上においても慎重に作成し、設計書等も慎重に審査しなければならないというような質的な事務量が向上する、こう考えております。
  39. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これに関連した非常に重要な問題ですから……。この法案そのものは私は賛成なのですが、今の御答弁によると、事務量が殖えるということですが、ところが昨年のあの災害によつて非常な大きな経費を要する災害が生じたのであります。ところが従来の経過を見ると、過年度の災害が又非常に大きなものがある。二十九年度の予算の配分を、聞くところによれば、これはただ証拠を持つているのではないが、二十八年度の災害に対する割当と、過年度の災害に対する割当の分の率が相当違うというようなことを承わつているのでございますが、そういうような点は如何ですか。
  40. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 予算の項目上でははつきり分けておらないのでございますが、この予算を作成いたしました精神におきまして、二十八年度発生災害に対しては幾ら、二十七年度以前のいわゆる過年度災と申しておりますが、それに対して幾ら、そうした算出の基礎を以て二十九年度の災害予算が成立しております関係上、成るたけその意思を尊重いたしますと、二十七年発生災の多い県が二十九年度の事業量が非常に少くなつて参る、こういう結果になります。
  41. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 これは全く理論的に言つたら私は非常に不公平な取扱いと思うのであります。まあ、それはさておき、その結果どういう結果が現われて来るかと申しますと、過年度の災害の分量を非常にたくさん持つている県は、何県ということを言つてもいいのだが、昨年の、いわゆる今年の二十八年度の災害の割当の額と、二十九年度の今の方針による割当の額を比較すると、殆んど半分くらいな額になつて来るということを私は調査いたしているのでありますが、その結果、どういう結果が現われて来るかというと、過年度の災害復旧事業が遅れるのは、これは勿論、それからひいて県の職員、それに携わつている職員、いわゆる事務費の額が非常に少くなつて来る。そのために災害復旧に携わつている技術者諸君、優秀な技術者諸君を四割なり整理せねばならん状況に立至つている点が非常にたくさんある。この点については農林省はどういうお考えでありますか。
  42. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 先ほども申しましたように、現行法でも、これを委任いたします関係上、府県に地方事務費というものを配分しておりますが、それが二十八年度は、当初成立予算が百三十七億に対しまして地方事務費の補助金が九億八千二百万だつたのでございます。ところが今年は御承知のように百五十四億と絶対量は多くなつたんでございますが、地方事務費は九億五千百万円と約三千万以上も減つておるんであります。これはどういうことかと申しますと、地方事務費は事業費に対して五・五%ということが大蔵省の査定方針でありまして、その率に従いますと、二十九年度の予算は、二十八年度の特別立法によりまして高率補助の地区が相当入つて参りまして、九割が、これによりまして事業費は去年の成立予算より逆に減つてしまつたような現象になつております。従いまして去年と今年と仮に同程度の定員を府県が維持しようといたしますと、事務費の絶対額が減つておるにかかわらず、職員のベース・アツプがありましたり、旅費が多少汽車の二等の値上げによりまして嵩ばつておりますので、非常に苦しい結果になつております。従いまして、二重の地方事務費の減少というようなことが現われておりまして、これを或る特定の県等から考えますと、去年の二分の一或いはそれ以下にも落ちてしまつておる。その結果現在の定員を維持することができないという現象の県も生じて参つたのでありますが、そういう県につきましては一般の計算機で廻すような一律的な考えでなく、去年の実績をも考慮いたしまして、多少の増はいたしておりますが、何分にも過年度災に付きまして国家経費が少いものですから、各県の御要望を満せない状況でございます。
  43. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 今私が申上げましたように、過年度と二十八年度の復旧費の配分が極めて合理的でないということは言い得られる。その結果によつて今申上げたような、それに携わつておる職員を整理せねばならんということが生じて来る。これは総体的災害の復旧ということを考えるときには非常に重大な問題である。農林省はこれは特に私は考えねばならん問題と思うのであります。而もそういう県は仕事の分量がないんではない。二十八年度の割で二十九年度の復旧費を割当ててくれれば、その復旧職員は維持できる。そうでしよう。だから、これはただ幾分考慮するとか何とかいうことでなしに、特別な私はそこに措置を講じなければならんのではないかと思う。総体の災害復旧ということを考えて、仕事の分量がまだたくさんあるんだから、それを二十九年度に少しやつたために整理する。これは生きものだから、又今度は三十年度に余計やつて、それに間に合うように人を寄越すというようなことでは、とても優秀な技術者を集めることができないと私は思う。この点は特別な何かそれを救済する、そういう不合理のために生じて来る結果を救済するために特別に何とか方法を講ずるという意思があるのですか。又これはどうしても私はやらなければならんと思う。そこに持つて来て、この法案によつて又地方の事務員の負担が増すようになつて来ると、私はこの法案そのものは賛成だけれどもが、そういう意味においてこれは賛成することができんという結果になつて来るかもわからん。あなたの御等分によつて……どういうお考えですか。はつきり一つ御答弁をお願いしたいと思います。
  44. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 今年の事務費の不足しておりまする県は非常に広範囲に亙つているのでありまするが、一方災害復旧事業の特殊性といたしまして、年度の中途におきまして、毎年災害が新規発生いたしまして、これが当該年度に補正予算或いは追加予算の形で予算が殖えまして、それで或る程度の事務費の減をカバーしているというのが毎年の例でございます。それを近年の当初予算と追加になる予算の率は六、七割に及んでいるのが例でございまして、たまたま著しく事務費が減少いたしました県に、これは幸いにと申すとおかしいのでありますが、その地方の農家のお方にはお気の毒なんでありますが、或る程度の災害が発生いたしますと、そのことによつて事務費の相当部分はカバーできるようなことになるとも考えられますのですが、併しそうしたことは今後の問題で全く予想も付きませんので、現在私どものほうに費目の流用をしないと実情にそぐわないために保留してある額が多少ございますので、これは間接補助及びそうした両方の面から、一部事務費の補助金に流用を承認願いまして、府県に交付いたしたい。こう考えてはおりますが、これはまだ大蔵省のほうとは何ら折衝をいたす段階にはなつておりません。
  45. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 どうも課長の意思ばかりではちよつと困るのですが。
  46. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  47. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
  48. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 先ほど、過去の災害の件数のお話があつたのですが、もう一度その数字を、大まかな数字でいいですから、過去二、三年遡つて一つ……。
  49. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 過去の二、三年のうちでは、二十七年が非常に少くなりまして、三万六千件、その他が六万件程度で、平均いたしまして……。
  50. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 その他とは……。
  51. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 五年、六年でございます。二十五年、二十六年が平均六万件でございまして……。
  52. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 平均でない数字を聞きたいのです、各年の……。
  53. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 二十七年が三万五千件、二十六年が五万一千件、二十六年が四万件。この三カ年は五万件と大体考えております。二十八年におきましては、これが十万円以上の親災害だけで約九万件になつております。十万以下三万の小災害は約四万件というように推定しておりますが、これはまだはつきりした件数はわかりません。
  54. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今年の当委員会における会計検査院の小峰局長お話では、昨年度の事業の会計検査の結果、一等不正不当事項の多かつたのは農林省関係の土地改良事業、わけても災害復旧事業の成績が悪かつたという当農林委員会においての御説明があつたのです。これは大きな問題であります。この問題についてはこれは国会も慎重に考えなければいかんし、農林省当局としても考えなければいかん問題だと思う。で、たまたま今日はこの災害復旧の責任を、出先の事務局でなく、地方庁である府県庁に全責任を小規模のものは持たせるという法律改正なんですが、これによつて不正不当の事項と言いますか、そういつた事項が少くなる。さつきの課長説明の質的変化という裏付と言いますか、それはそういうことを意味しておるかどうか。なおそのほかにこの不正不当不事項十分ということが最大の原因だ、設計、監督、指導というようなことの不十分な結果が不正不当事項の最大の原因であるということをここで説明されておるのです。私もその通りだと思う。これに対しては何か適当な措置をおとりになつておるかどうか。そういう推置が考えられるならば、ここで一つ腹案を承わりたいと思います。
  55. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 御指摘のように、不正不当事項の九十数%が災害事業であるということは誠に申訳ないと存じております。その原因は会計検査院では先ず第一に査定が悪いということを一つ言つておりまして、その以外のことには、只今御指摘のような、中間の指導検査及び竣工の検査、事業の進行中における適切な指導が行われておらないということが言つてございます。それで間接補助に切替えることによりまして、この中間進行中の仕事が県の責任になるわけでございますが、現在でもこの実務の大部分は県に委任されておりますのが実情でございます。併しこれが委任でなく県自体の本務になることによつて責任体制がはつきりするということで、責任的な分野が明確になるということで、会計検査院がこの間接補助の法律に賛同しておるのでございます。それから、なお不正不当の本当の原因と申しますのもちよつとおかしいのでございますが、それは飽くまでも表に現われた原因でありまして、私は更にその上に現在の農村に金がないこと、それから或いは改良事業等に比べまして、災害は仕越事業が多い。つまり来年の六月までに或る程度の仮復旧をいたしまして、一応の目的を達するようなところまで工事を確めて行かなければならない関係上、非常に仕越事業が多い。資金も又普通の改良事業のように予算の付いた範囲内だけをやつておればいいというのと違いますこと、それから又改良事業ならば長い間計画を立て、その受益者がお互いに相談をして、負担の程度等もよく計画と睨み合せて、それならば負担し得るとかというような点を考慮する時間的な余裕もあろうかと思うのでありますが、災害は何分にもそうした余裕もなく、突発的に起るために、或いは補助金の範囲内で仕事をやつてしまうというような面が多いのじやないかと思つております。併しながら、先ほども申しました通り、検査院が指摘されました査定が悪いとか、中間の指導検査事務が悪いというような点も、これは明らかに事実でありまして、その面がはつきりした責任体制の下に置かれるという点で現在よりもよくなるのだ、非常に漠然とした点ではございますが、そうした面から現在の間接工事に切替えたほうがいいと、こう考えております。
  56. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これはよくなるということは私ども想像できる。できるけれども、それは単に責任が重くなつたからできるというだけの対策で、そんなことではその不正不当事項というものは、そんなに改まつて改正できたというような結果にはならんのじやないかと思います。まあ今のところ大した対策もおありでないようだから、強いてこれは御答弁を求めませんけれども、私はこれは課長に言うのはちよつと酷かも知らんけれども、上司に御相談になつて至急やはり対策をお立てになることが大事だと思います。これはそれだけ申上げておきます。
  57. 北村一男

    ○北村一男君 この法律を見ると、これだけでは補助額は間接補助になつても直接でも違わんわけですが、これは過渡的な経過的な措置であつて、やがて土地改良の補助率が県営と国営とが違うように引下されるのを前提としてお考えになつておるのじやないか、どうか。これを都道府県及びその他の補助率が引下げられる前提になりはしないかということを一つお伺いしておきたい。
  58. 大塚常治

    説明員(大塚常治君) 先ほどもこれは委員長の御質問にもありましたが、都道府県が一部負担をするような思想もあつたではないかというようなことがございましたのですが、私どもは現行補助率を上げたいと、こう考えておつたのであります。ところがそれは自治庁の関係、大蔵省の関係等でなかなか賛同が得られなくて現在のままになつてしまつたのでありますが、私どもは現在より引下げるというような意思は毛頭ございません。なお、直接補助の県営以上の事業と間接補助の小規模の事業の間も補助率の面においては同じでございますが、私どもはむしろ県営以上の分は現行より引上ぐべきだと、こう考えております。その面大蔵省とも折衝いたしましたが、了解を得るに至らず現行通りになつた、こういう次第でございます。
  59. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  60. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。農地局長出席をされましたから、農地局長に対する御質疑を願います。
  61. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 農地局長が来られましたから御質問申上げますが、二十九年度の災害の復旧費用の割当、過年度の災害に対する分及び二十八年度に生じた災害に対する分、これはまあ全体の予算が少いのだから、私は二十八年度分が多いとか何とか、そういう問題で言うのではないのであります。これはけしからんとか、何とか言うのではないのだが、過年度の災害復旧に対する割当が二十八年度に割当てた額から比較すると非常にその率がひどい減少をしておる、それがために、その結果として過年度の災害部分を多く持つておる県は、その復旧に要する技術職員に最も影響のある事務費が、急激に県によれば二十八年度の割当より半額になるというような県が生じて来ておるのであります。それがためにまだ復旧せねばならん仕事は随分うんとあるのに、国の割当が急激に二十九年度は減つたために、職員を半数に整理しなければならんというような羽目に陥つておる県がたくさんある、これに対して農林省はどう考えているか。まあ特別にそういう結果が生じた県に対して、技術職員の維持のために何か特別に考えているかどうかということをお尋ねしておきたいと思います。
  62. 平川守

    政府委員(平川守君) 災害復旧に関する事務費というものが、事業費に対する一定の比率で配られるということになつておりますために、災害の分量によりまして特定の県に参ります事務費が非常に年によつて移動が起る。これが極端に本年は起つた県があることはお話の通りでございます。そこで、併しこれは人件費の問題でありますから、私どもといたしましては、全面的に前年通りを確保するというわけには参りませんけれども、事業費に対する一定の比率で機械的に算出するということでなしに、そこに相当事務費に対する、何と申しますか、総額がそう著しい変更が来ないように、急激に事業分量に応じて事務費が著しく減少したりすることを或る程度緩和したいということを考えております。それによりまして、勿論事業の急激に減りましたところは或る程度の減少は止むを得ないと思いますけれども、少くともそのために非常に大量の首切りをしなければならんというようなことが起らんような程度のことは考えたい、かように考えております。
  63. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 地方の職員を維持している事務費に対しては、勿論年々の復旧費を割当てて、その結果によつて生ずるのでありますから、多少のこの増減というものは、これは予想して職員を維持していると私は想像いたすのでございます。今もおつしやる通り、二十九年度は全く非常な急激な予想外な結果を生じているのであります。具体的に私は承わりたいので、気持は勿論今お答えになつた気持は当然であろうと思うのでありますが、そういう方法で、或いは事務費の率を変更するとか、何とかというくらいなこの操作で、いわゆる大なる蹉跌を来さん、結果において来たさしめないという御自信があるかどうか。或いは農林省はさように大なる蹉跌を来たさんという方針で行つておるから安心せい、こういうことを言つても差支えない程度において、御確信がおありになるかどうか。もう一度承わります。
  64. 平川守

    政府委員(平川守君) 実はまだ私たち具体的にきめておりませんで、各県と相談中であります。我々といたしましては、県によつていろいろと事情の違う点もありまするので、災害復旧の職員ということで、実はそのほかの方面の人を養つておるということも、実情としてある県があるようでございます。それらの一つ一つの県につきまして、具体的に御相談をしまして、実際問題として非常にひどい整理をしなきやならんというようなことのないように、具体的に県と打合せてきめておきたい、かように考えておりますから、そう御心配をかけるようなことなしに解決できるというふうに思つております。
  65. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 或る程度納得が行く答弁を得て安心いたしておるのでありますが、併しながら、今も宮本委員からも御質問があつたように、災害復旧及びこの農業土木開発に関しては非常に不正と言いますか、摘発事件が非常にたくさんある。これも究極するところは結局職員、それを監督する職員の不足によつて生じたということは、これは万人の見るところ一致していると、会計検査院の諸君も結論をそこに求めておる。こういう状態にあるのでありますから、これは軽々に考えると……、非常に重要な問題である。而も仕事はある。仕事は多く抱き込んで、そして国の割当が急激に減つたために、そういう結果を来たすということは極めて不合理であると考えまするけれども、どうか一つこの点は十分お考えになつて処理して頂きたいと思います。お答えは要りません。
  66. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質問ありませんか……。他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  69. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、爾後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  次に、本案を可とされましたかたは、順次御署名を願います。   多数意見者署名     江田 三郎  河野 謙三     河合 義一  上林 忠次     北 勝太郎  北村 一男     横川 信夫  佐藤清一郎     川口爲之助  戸叶  武   —————————————
  71. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次にお諮りをいたしますが、清澤委員農林委員を辞任せられました結果、農業災害補償制度に関する小委員が一名欠員になつておりますので、この際小委員の補欠互選を行いたいと存じます。その補欠互選は成規の手続を省略いたしまして委員長において指名いたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認め、これより指名をいたします。江田三郎君にお願いいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十七分散会