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説明員(正井保之君)
只今委員長からお話がございましたが、提案理由につきましては七日の
委員会で政務次官より御
説明がございました。私ども災害復旧の仕事を
担当いたしておりまするものといたしましては、いろいろ災害復旧の進捗の問題、結局予算の問題が
一つ、いろいろと問題に上
つておりますが、同時に現行の災害復旧制度につきましては、必ずしも実情に合わない点があるのじやないかということで、いろいろと国会におきまして、或いは会計検査院乃至は行政管理庁、こういう
方面におきましても御
指摘があるわけであります。私どもいろいろ検討いたしました結果、先日の提案理由の
説明の際に申上げましたようなわけで、ほかにも検討を要する点はございまするけれども、差当り現在災害復旧に要する事業費に対する補助、これが国が直接災害復旧事業をいたすものに対してなされております点を、間接に
府県を通して、
府県の予算を通して事業を
実施するものに流す、こういう形に改めたわけでありまして、改正
法律案はすべてこれに関連いたした改正にな
つております。
一つはそのような改正、これに関連しまして、或いは補助金の返還、或いは事業を
実施するものに対する国の指導監督、こうい
つた関連した条文についての改正案でございまして、要するに現在の直接補助を間接補助に切替えたに伴う条文の整理、こういうふうに申してもいいかと存じます。「第一条中「災害復旧事業を行う者に対し、その」を削る。」ということがございますが、現行法の第一条の「(目的)」でございますが、ここで「災害復旧事業を行う者に対し、その災害復旧事業に要する費用につき国が補助を行い、」と、直接補助の規定が設けられているわけでございますが、この点を、必らずしも直接に補助するものでない間接補助の途を開くという
意味で、この部分を削り取
つたわけでございます。
あとで三条にも関連した字句の改正がございますが、そういう
意味合の改正でございます。
「第二条第三項中「陸域内にある施設」を「陸域内にあり、水産業協同組合の維持管理に属する施設」に改める。」、第二点の改正でございますが、その点は現行法で第二条に定義がいろいろ謳われています。この定義の中で、第三項で、漁港の施設について規定がございますが、この規定の仕方が現在は「陸域内にある施設」ということにな
つておりますが、現行法のお手許に差上げてございますが、第三条第一項で、補助の対象と補助率についての規定がございます。そこでこの
法律によ
つて補助の対象とするのは、「(漁港施設については、水産業協同組合の維持管理に属するものに限る。)」という規定があるのでございますが、他の林業用施設或いは農地についての定義と同じように、二条のほうへ条文整理という
意味で持
つて参りまして、「陸域内にある施設」というのに修飾を加えまして本法で対象とするのは「水産業協同組合の維持管理に属する施設」というふうな規定にいたしたのであります。市町村等が管理いたしておりますものは、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によ
つて復旧が進められる、こういう建前にな
つておりまして条文整理に類する規定でございます。
その次に、「第三条第一項を次のように改める。」ということで、現在の第三条第一項を改正いたしておりますが、先ほど申上げました第一条の中でも、第一条の一部を間接補助のために改正いたしましたが、それを具体的にここに規定いたしたわけでございます。で、現在の規定は「国は、農地等の災害復旧事業について、当該事業を施行する者に対し、予算の範囲内で、その事業費の一部を補助することができる。」、こういう規定にな
つておりますものを、予算の範囲内で都道
府県を介して経費を補助します。すべて都道
府県に国は経費を補助します。それで「左に掲げる経費」ということで、
一つは改正
法律の第一号にございますが、
府県がみずから行う災害復旧事業費の一部、これについては間接、直接という問題はございません。むしろ
府県の災害復旧事業に対しては直接国が補助するのでございます。第二号で「都道
府県以外の者の行う災害復旧事業につき、都道
府県が、次項各号の区分に従い、」云々とございますが、この点は条分がいろいろ複雑な表現にな
つておりますが、要するに現行の補助率で、
従つて県が事業を行う者に対して補助するに要する経費、これの全部を補助します。で、例えて申しますと、現在の三条第二項にございますが、農地の場合でございますと、事業費の十分の五、農業用施設の場合ですと、十分の六・五、その区分に
従つてそれぞれその
府県が補助する場合に、その補助に要する経費の全部を国が出します。こういうことで、結局復旧事業を行う市町村ですとか、或いは土地改良区、こうい
つた事業
実施者は、従来と変らない補助をもらうのだということが書いてある。それに対して補助する
府県の経費は国が補助します。
従つてこの点で間接補助の規定がここで明確にされているわけであります。若しも県が独自の
考えで、三条の第二項の十分の五或いは十分の六・五という補助率を超えて補助した場合には、その部分は国はみない。国で補助しますのは第三条の第二項の現行の補助率、この範囲内で県が必要とする経費を出します。こういう規定にな
つております。それから続いて
あと「第三条第二項中「前項」の下に「第一号」を加え、同条第三項中「第一項」の下に「第一号」を加える。」というふうにございますが、これは条文整理と申しましようか、従来は第三条第一項というものは、中に号を設けて区別する必要がなくて、全部事業そのものに対して国が補助する、こういうことにな
つておりましたのを、
只今御
説明申上げましたように、第三条第一項に一号と二号とを設けまして、
府県みずから行う場合と、
府県以外のものが行う場合というふうに分けたものですから、
意味合は変りませんが、条文の整理を要する、こういう
趣旨のものでございます。そうして御
承知のように、一号、二号と分れておりますが、災害復旧事業の件数は大体三万五千件から六万件、昨
年度のごときは十万件にも達するような
状況でございますが、殆んど全部が市町村或いは土地改良区その他の団体によ
つて行われているわけで、結局この三条一項二号の間接補助による部分が殆んどの件数を占めている、こういうことになるのです。
次に第四条、「(補助金の返還)」でございますが、これも従来から補助金の返還については規定がございまして、補助金の交付を受けて仕事をや
つたが、それに剰余が生じた、このときにはその剰余の額に対して補助率をかけた額に
相当するものを返しなさい、或いは従来の四条の二項にもございますが、補助金を受けながら、その補助の目的である復旧事業に補助金を使わない、或いは目的に反して使
つた、或いは適当でない、甚しく不適当であるときは、補助金の全部又は一部の返還を命ずる、こういう規定が従来もあ
つたわけでありますが、この点につきましても同様な規定の必要がございますので、設けたわけでございますが、ただ従来はすべて直接補助でございましたのが、今度は間接補助の分が非常に殖えるということで、新らしい第四条一項では、
府県がみずから仕事をする場合のことを規定しまして、第二項に、間接補助の場合に、やはり
府県が百の補助金をもらいながら、実際は支出した額が百に足らないというふうな場合、或いはすでに百を支出しても一部返還等があ
つて実際にはそれだけ使わなか
つた、こういうふうな場合にはその差額を返させる、こういう規定で、これも問掛補助の制度ができましたのと伴
つての改正でございます。それから第三項は、先ほど申上げました現行法の第二項に
相当するものでございまして、補助金をもら
つたが、その目的に
従つて使われない、或いは不当に使
つておる、こういう場合には
府県からその補助金の一部或いは全部を返還させる、こういう規定でございまして、
趣旨においては従来の規定と変らないのであります。従来の第三項に
相当する規定はございません。それは第三項では、前項の規定によ
つて補助金の返還が命ぜられた場合には遅滞なく国に返還しなければならない、こういう規定でございますが、これはまあ当然のことでございまして格別に調う必要もない、こういうことから新らしい第四条にはその規定は省いてございますが、
趣旨においては変りございません。
その次に、第六条の
関係でございますが、従来と見出しのところも違
つておりまして、現行では「(都道
府県知事の指導)」、こういうことにな
つております。提案理由等の
説明の際にもございましたのでありますが、都道
府県は、従来は
府県がみずから災害復旧を行う場合には、それは当事者でございますけれども、市町村その他の団体等が行う場合には、
府県の
立場というものは実は第三者的であ
つたわけであります。併しながら、実際にはいろいろと設計の指導なり、実地の監督指導、こうい
つたところの機能もや
つてもら
つておるわけでありますので、特に
府県にそうい
つた市町村等の行う災害地旧事業について、必要な
調査を行
なつたり、或いは報告を求めたり、必要な
指示をする権限を特に与えてお
つたわけでありますが、今度の制度になりますと、
府県はそうい
つた市町村等に対しては、一旦
府県の予算に組入れられた後、
府県として補助するわけでありますから、当事者になります。
従つてそうい
つた格別
法律の根拠がなくても、当然監督指導のできる
立場に立つということでその規定を削りまして、国が農林大臣として
府県に対して復旧事業或いは復旧事業の補助として
府県が支出する補助費、これらを適正に
実施させるために、国として
府県に対して検査を行ない、或いは報告を求め、事業の
実施について必要な
指示をするという規定を設けたのでございます。建前としては、
考え方は従来と変りませんが、間接補助の制度をとりましたのに伴いまして、規定の形式が一変したわけであります。
その次が附則の改正でございますが、従来の附則は五項までございますが、そのうち四項、五項を一項ずつ繰下げまして、新たに第四項を設けたわけであります。それは附則の第三項、お手許にございますが、「政令で指定する地域内において、昭和二十八年六月から七月までの間に生じた大水害又は同年八月から九月までの間に生じた風水害による農地等の災害復旧事業の事業費に対する補助の比率は、第三条第二項の規定にかかわらず、十分の九とする。」、こういう規定がございます。これは例の特別災害に対する高率補助の規定でございますが、このままにいたして置きますと、市町村或いは団体等の行う事業に対する高率適用が抜ける。と申しますのは、第三条第二項の規定は直接補助の規定でございます。そこで先ほど申上げました第三条第一項に一号、二号とありますが、その第一項第二号で、間接補助、
府県以外の市町村なり団体等が行う事業に対する補助率が謳われてありますので、それを引つ張
つて来るために附則に第四項を設けました。第四項の条文でございますが、「前条の災害復旧事業についての第三条第一項の規定の適用については、同項第二号中」、
従つて新らしい
法律の第三条第一項の二号の中で、「次項各号の区分に従い、それぞれ当該各号に定める比率」という補助率の規定がございますが、これは十分の九である、高率を間接補助についても適用するのである、こういう条文整理の規定でございます。これを入れませんと、高率適用が除外されるものでありますので、これを盛
つたのであります。
次は、改正
法律の附則でございますが、公布の日から新らしい制度に移行するということでございます。その次が、すでに支出した補助金については従前の規定によ
つて処理されるということが、補助金の返還等の問題にしましても、直接補助で行
つた市町村団体へのあれについての取扱いは従前の通りにやるということで、新らしい方式によ
つて支出されたものについてはこの
法律にありますが、従前のものについては、そうい
つた適用
関係については従前の例によ
つて処理せられるということであります。
以上改正
法律案の概要を御
説明申上げました。