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1954-11-12 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十二日(金曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            横川 信夫君            岸  良一君            溝口 三郎君            飯島連次郎君            河合 義一君            松永 義雄君            石川 清一君            松浦 定義君            鈴木 強平君   国務大臣    国 務 大 臣 加藤鐐五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林政務次官  羽田武嗣郎君    食糧庁長官   前谷 重夫君    食糧庁総務部検    査課長     松岡寅治郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (米穀検査に関する件)  (昭和二十九年産米価格に関する  件)  (昭和三十年米穀年度米麦需給に関  する件)  (昭和二十九年災害(冷害を含む)  に関する件)   —————————————
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今から委員会開会いたします。  最初に、米穀検査の件を議題にいたします。本件前回委員会において問題とする予定でありましたが、時間の都合によつて今回まで留保せられたものであります。本件につきましては、かねて江田委員から、国内産米穀が絶対に不足している現実に即応して、米穀検査商品価値の向上よりは、むしろ量産を主眼としてそのやり方を改むべきではないかという趣旨の、又佐藤委員からは、米俵重量不足に伴い内容たる米の量目の増加が余儀なくされている現状において、これを是正すべきであるとの趣旨の御質問があり、すでに委員会において一、二回問題になり、前々回の委員会において保利農林大臣から、速かに事務当局をして検討せしめたい旨の言明がありましたので、本日はこれら検討の結果及びこれに基く農林省における方針に関する報告を求め、併せて本件に開進して前回委員会決定に基いて、去る十月二十二日、本年産米規格に関し六等級設定について農林大臣申入がなされておりますので、この申入に対する農林当局方針についてもこの際報告を求め、続いて本件取扱方について御協議を願うことにいたしたいと存じます。  なお、念のため右の申入を申し上げますれば、    昭和二十九年産米規格に関する申入  本年産米規格についてこれが品質の実態にかんがみ、”六等級”を設け、これを政府において買上げることとすること。  なお、右に関する政府方針及び措置出来るだけ速かに、遅くも来十一月十日から開会予定の当委員会報告せられたい。  右当委員会の総意を以て申入れする。   昭和二十九年十月二十二日         参議院農林委員会    農林大臣保利茂殿  というのであります。この際当局の御説明を求めたいと存じます。説明の前に、前回発言江田委員佐藤委員、この際更に御発言がございますれば御発言を頂きたいと思いますが、別段御発言もなければ当局説明をお願いいたします。
  3. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 参議院農林委員会の二十九年産米規格に対するお申入でございますが、これにつきましては、御承知のように従来米の等級といたしまして、五等以上につきまして政府買入をいたし、等外につきましては、一般の供出割当とは別個の取扱いをいたしておつたわけでございます。昨年度災害状況に鑑みまして等外につきまして土下を設けまして、そうして上につきましては義務供出の中には算入いたしませんが、超過供出の分には算入いたしまして超過供出奨励金も支払う、こういう取扱いをいたしたわけでございます。等外の下につきましては、これは例外的に生産者が売渡しの相手方を定めましてそれに対しまして政府買上げて、その定めました相手方に売却する、県内において……。そういう例外的措置をとり得るような措置をとつて参つたわけでございます。本年は御承知のように、大体全国的には昨年度作柄とは異りまして、やや平年作に近い状態を呈しておるわけでございます。地域的にはなお不作地域もあるわけでございまして、昨年度例外といたしまして等外上の取扱いをきめました。その考え方を本年度におきましても踏襲いたしまして、本年度におきましては、等外上につきまして昨年度と同様に超過供出分につきましてこれを算入し、奨励金を支払う、こういう考え方でやつて参りたい、かように考えておる次第でございます。なお等外下につきましては、従前と同様に、県内におきまして生産者相手方との契約ができました場合に、これを認めて政府がそれに対して売却をする、こういう方式をとつて参りたい、かように考えております。
  4. 江田三郎

    江田三郎君 検査の問題については、本年の規格についての二十二日付の申入の問題と、もう一つは、本年特にということでなしに、もつと等級の整備或いは産地銘柄取扱い、こういう問題があるわけで、その問題につきましては、今まで食糧庁長官がおられない委員会でいろいろ問題にして来たわけですが、従つて今まで企画課長なり、検査課長等と話したことと重復する点がありますが、長官が久し振りに見えましたので、一つ改めて申上げます。  先ず第一は、今年の等外の上の問題ですが、去年と同じような扱いをされるということです。そこでその去年の扱いについて私ども多少納得ができなかつたことは、等外の上を超過供出対象にはする、そうしてその際には奨励金を出しておられる、恐らく奨励金を出すという制度をとられた以上は、これを食糧庁としてはじやま物扱いにするというのでなしに、やはり不作の年に少しでもたくさんのものが配給ルートに乗ることをお考えになつてやられたものと思うわけです。ところがたまたま去年は予想に反して等外上として買上げたものは三万何千石しかなかつたということで、それが家庭配給へ廻る分は非常に少くて終つたわけですけれども、当初の食糧庁考えられておつた予想では、もつとたくです。去年の案外少かつたのはなぜかということになるわけで、これはまあ統計調査のほうなり、検査のほうで御承知のように、去年は被害を受けた籾の稔実予想よりも非常によかつた、そこでまあ結果からみると政治的供出というような言葉も使われましたが、それも初めからそういうことを意識してやつたのでなしに、みんなが予想している以上に稔実がよかつたということからああいう結果が生れているわけです。ところが今年の場合には、これは去年とは逆に、予想に反して被害を受けたところの籾の稔実が非常に悪い、これはもう統計調査のほうでもはつきりそういう答えが私は出ていると思うのです。そこでまあ私全国のことはわかりませんが、瀬戸内あたりの稲を見るというと、これは全く稔実不足を来たしておるわけで、農民自身が非常にびつくりしておるような状態なんです。殆んど予想よりも二俵程度のものが違つて来ておる。というのは、もう唐箕にかけたときに飛んでしまう籾が非常に多い。それから飛ばなくて残つたものをやつてみても細い籾ばかりがとれる。そうして調製の歩留りあたりが、平年よりは一割もそれ以上も悪いというようなことになつておるわけで、恐らくこれはだんだんと実態がわかつて来ましようが、私どもが先だつて現地を廻つて見るというと、供出の問題なんというものは皆まじめに考えていない。とてもこれじや供出の問題なんというものは考えられんということで、供出完遂ということは夢だという気分になつて、何か投げやりのようになつておるのですが、そういう実態からいうと、どうしてもこの被害農家を救済するという立場からしましても、それから少しでもたくさんのものをルートに乗せて外貨を節約したり、或いは黄変米の心配をなくして行かなければならんという点から考えても、何とか等外の上を折角お作りなつたのなら、これを義務供出対象にするということにやつて頂く以外に、なかなか問題をスムースに運ぶことができないのじやないかと思うのです。すでに去年の、私先ほど申しましたように、等外の上を設定されたときには、あれは県内操作なら配給へ廻してもいいくらいのお考えでやつておられたと思うのですから、今年もやはりそういう気持で、更にその気持を一歩拡大されて等外の上というものを義務供出対象に持つて行くということを是非やつて頂きたいと思つて、その点をどうお考えになつておるかとお聞きしたいわけです。それで一体そういう措置がいかんということなら、それならば検査標準品を作る場合に、特殊な考慮をなさるかどうかということ、標準品設定される場合には、これはまあ万代不易の一つ標準があるということでなしに、先だつて中西企画課長の御答弁を聞きましても、その年にできた米というものから、その実態に即した標準品を作るというようなお答えがあつたわけですから、それならそれで、今年できておる米について例年と同じような等級比率が出るような標準品を作つてもらうということなら、これでも問題は解消するわけです。そのどちらの方法をおとりになるのか、或いは両方を並用されるのか、両方ともおやりにならんのか、その点についてお尋ねします。
  5. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) いろいろお話がございましたが、お話のように、昨年度におきましては、できるだけ政府配給上の面におきまして、県内におきまする配給といたしまして、等外上を配給することも止むを得ないという考え方を以ちまして、等外上の設定をいたしたわけでございます。お話のように、昨年度においては約十万俵の買入がありまして、これはそういう方面に使用いたしたわけでございますが、予想よりも少なかつたことは、江田委員お話のように、当初の予定よりもその後の稔実状況が良化いたしましたという点だあろうかと思います。本年度状態におきましては、まだ検査状況はわかりませんが、現在のところは平年に近い状態を、地域的には違うと思いますが、全国的には平年に近い状態を示しておると思つております。ただお話のように、等外の上の取扱いにつきましては、やはり我々といたしましては、昨年度例外措置と同じような形で以て進んで参りたい。ただ検査標準品取扱いにつきましては、実は本年の作柄からいたしますると、本年度標準品を以てやるべきでございまするが、昨年度が非常に作柄が悪かつたという状態で、一応中央といたしましては、昨年の規格から申しましてやや下げたものを以ちまして一応標準品といたしまして、これを地方に送付いたしまして、地方におきましてそれぞれ標準品査定会を開きまして、只今お話がございましたように、地方実情に応じた査定会をいたし、これにつきましては、各方面生産消費方面のかたも御参加願いまして、そして県の標準品を作つて参つておるわけでございまして、この点につきましては、十分地方実情を我々としては汲み取つて、各方面意見を承わりましてそして標準品を作つて参るという方針で以て現在進めつつあるわけでございまして、大体御承知のように、関東、東北は勿論、近畿もほぼ現在進行中でございますし、関西方面においては現在進行中であるというふうに考えておりますので、標準品につきましては、その地域におきまする実態は十分これを考えて参りたい。勿論検査でございますので、純正にやるべきは当然でございまするが、その地方の米を買う一つ標準品でございますので、それにつきましては、地方生産者消費者方々も御参加願つて、そして査定会を催しておるということが実情でございますので、これにつきましては、実情に即応した査定標準品を作つて参りたいと、かように考えております。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 標準品について、地方実態に即してということですが、そこでそれなら私ちよつと検査課長にお尋ねしますが、検査課長標準品をきめるのに、指導に現地にもう出向いて行かれたと思うのです。そこで例えば岡山とか、愛媛とかという瀬戸内のものについては、あなた方のきめられた標準品で行きますと、大体において去年と水分が何とか、学問的なことは私はどうでもよろしいが、去年と同じ程度等級比率が出るという立場で、この標準品をお選びになつておりますか、どうですか。
  7. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 中国四国検査標準品は、この二十四日に岡山で各県の県庁及び農業会議議員、農協の幹部も皆集まりまして、きめて頂いたのですが、その際現物を、特に中国四国、九州は問題が多くていろいろ決定は困難と思いましたので、私出て参りましていろいろ皆様の御意見を伺いましたのですが、その際現物を見ましたところが、現物は特に江田先生御存じ岡山県の南部はああいうように風害、潮害或いは最近の「うんか」というものでいろいろの被害を受けまして、いろいろな米の出来も実に異常の出来でありまして、特に青米死米、米は全体として非常に瘠せて、溝も非常に深いというわけで、この点は岡山広島あたりの米は皆そうでありますが、それで農業会議議員方々からもいろいろお話を伺いまして、そしてその米を精白した場合に等級歩留りに大して変化しない、大して影響しないというものにつきましては、これは全部整粒と見まして、そして全部検査を済ましたのですが、これは農業会議の皆さんも御納得されてきめられたのですが、お話の全国的に見ますれば、等級歩合岡山県においては特にそういうふうに南部は悪いから等級比率は下ると思いますけれども、全国的に見れば昨年度よりは少しは、昨年と同じ程度標準であれば昨年度よりは等級比率はよくなりはしないかと、こう考えておりますが。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 私は全国的なことはお尋ねしているのではないので、作況指数が一〇〇を上廻つたような地帯もあるし、現に義務供出完遂したものもあるわけで、そういうような所では従つて等級比率もよくなつて行くだろうということは予想されるわけです。ところがその瀬戸内の問題については、これは私が言うだけでなしに、先だつて委員長重政委員が廻つて来られました。その報告を聞きましても、例えば籾摺りの歩合が五五%ぐらいのものが四二%程度しかないというものも出ておるわけでありまして、瀬戸内全体は統計事務所数字あたりもずつと変つて来るということを私は確信しておるわけです。そこで或る程度去年より悪くなるという、或る程度という問題ですがね、大体あなた方のほうでは等外の上というものは余り出ないで、五等くらいまでにとどまつて義務供出というものは五等くらいで納め得ると、そういう見込みを立ててやつておられるのですか、どうでしようか。若し五等まででは義務供出の線までに足らん、検査されたものがその地帯においては等外の上というものが三割も四割も出て来るんだということになると、これはどうしたつて義務供出完遂ということも不可能になつて来るのでして、そういう点は或る程度というのはどういう程度ですか。等外の上というものが或る程度出ても殆んど八割或いはそれ以上九割までは五等で納まると、こういうお見込みですか、どうですか。
  9. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) そのお話瀬戸内の特に災害の激しい所、児島湾近所とか……。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 村で言うのでなくて、瀬戸内というのは、例えば岡山県なら県の中部から南と言えば、供出においては八割以上出しておるということです。全県下の八割を供出しているということです。
  11. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) 五等以上で供出完遂できるかどうかというお話は、これはまだ見込みは立ちませんのですが、個々の農家におきましては、或いはこれはもう実際御存じのように、田圃一枚々々作柄が非常に違つておりまして、特に今年のああいうような被害予想から行きまして、作の出来の遅い早い、台風の来た関係、或いはそれに「うんか」のついた関係、或いは潮害その他の関係で、田圃一枚々々私見て参りましたが、違つておりますので、被害の激しい農家では五等まででは供出完遂できないところもあると思いますが、これは尤もその各町村割当で、そのときは町村割当は又町村が考慮されると思いますけれども、五等米で供出完遂するというのは困難な場所もあるのじやないかと思いますが、そこは供出割当関係がありますものですから、そこは町村長におきまして、いろいろできるだけ公正に割当てられるとは思いますけれども、なかなか困難な場所もあるのじやないかと思います。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 もつと私端的にお尋ねしますが、大体検査標準品お作りになつても、やはり肉眼検査というものが主になるわけですから、その点は、そう言つちや悪いですが、現地々々で或る程度弾力性がいやでも応でもこれは必然的に伴うわけなんです。それで今、あなた方が裡準品を作られたのは、等外の上というものが何割くらい出るという見込み標準品お作りになつておられますか。
  13. 松岡寅治郎

    説明員松岡寅治郎君) その割合はどうもはつきりした……。今年のような作柄ですと、これは刈つてみて悪い、籾を摺つてみて又悪いという事態、そういう状況じやないかと思います。昨年度は割に秋の天候がずつとよかつたもので、それで割合災害を受けた籾がよく回復いたしましたのですが、今年は十月の中旬にぽかつと来まして、それの充実がとめられて、被害を受けたものが回復する期間がなかつたというような状態で、検査の面から見ますと、割合にこれは鎌入不足という状況が出るのじやないかということを非常に心配しておりますが、(佐藤清一郎君「その通りですよ」と述ぶ)それで等外上は、最初は我々の腹ずもりでは五%程度ではないかと思つておりましたが、天候が非常に凹凸が激しいものですから、最後の鎌入するという点で非常に心配しております。それで等外上が非常に殖えて来るのじやないかと思います。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 だから今の検査課長の言われることでも、大体等外の上なんというものは一つの特例的なものなんです。まあ五%程度のものだろうということであれば……、又そういう気持で作つておられると思うのです。そういうことであれば、これは義務供出のほうは等外の上は抜きにして、あとルートに乗せるものを少しでも多くするために、又被害農家を救済するために特別に超過供出のほうだけ買上げて行こうということは、これは食糧庁方針としては私は御尤もだと思うのです。ところが実際に、これは佐藤さんも今おつしやるように、本当に鎌入不足になつて事態というものは一日一日悪くなると思うのです。そこでそういう形で、それが悪くならなければ結構ですが、私はそういうことを憂慮しているわけでして、そういう形で等外上というものは、当初の予想より、五%ではなくて、一〇%でもなくて、更に二〇%も出るというような事態なつたときには、当然何かそれに即応した措置を講ぜられなければならんと思いますが、そういう状態なつたときは、これを地域によつて義務供出対象にする、但しそれは県内で食べてもらうと、こういうように弾力性を持つた方針食糧庁としてはおとりになりますか。
  15. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 只今検査のほうの実情検査課長から申上げましたが、我々といたしましては、一応全体的に収穫を想定いたしまして、それに基く供出可能量を想定いたしまして、その供出可能量の全量を、確保数量も入れました全体の割当にはいたしておりませんで、その間には現実状態を考慮いたしまして、そうして供出数量というものをきめて参つておるわけであります。ただ九月十五日におきまする状態といたしますると、その当時の農林省調査と十月十五日におきまする予想収穫との間には、県によりまして多少の動きがございます。併しその県におきましても、それによる全体の供出可能量がそのまま超過供出も含めました確保数量になるという割合にはなつておらんことは、江田さんも御承知通りでありますが、併しこれはやはり府県間の均衡の問題もございます。我々といたしましては、検査の問題は、やはり只今申上げましたように、各府県実情に即してこれを作るということにいたしますことは、これは原則でございますが、これは技術的に一つの限界があると思います。従いまして、そういう場合に処する方法として等外の上をどう取扱うかということの問題にもなりまするが、我々といたしましては、やはり規格の問題としては、これは一つの従来からの、又将来に対する長い取扱いといたしまして、これをいじることは如何かと、むしろそういう場合には、生産実態に応じまして実収高を十分調査した結果といたしまして、そうして供出数量が適正であつたかどうかということを、これをその実収高の結果によりまして、改めて見直すということが考え方としては適当ではなかろうかというふうに現在は考えておる次第でございます。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 だからそれは私の聞いたことの等分にはならんわけです。成るほど標準というものをかれこれ動かすのはいかんということになれば、それならば予想に反して等外の上というものが非常に多くなつて来る、五%という予想が一五%も二〇%も出るという場合には、供出量補正ということを勿論伴うと思います。併し補正はして行かなければなりませんけれども、問題は私は補正じやないと思うのですな。やはり農家に対して多少でも売る米を作つてやるということが一番肝心な問題なので、それを義務供出を果さなければ、そういう等外の上は買つてもらえんということになると、これは実際問題としてこれだけのものはどうにも処置のつかんものが出て来るわけですよ。奨励金のつかんものになつてしまうわけです。だからこれはやはり、そういう特に予想に反して等外の上が多かつたところでは、現地消費をするということを県のほうでも十分納得し、その気構えができたところについては、実情に応じてこの義務供出対象にするという方針をおとりにたるかどうかということなんです。
  17. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) その問題は、或いは見解の違いになるかと思いますが、私といたしましては、やはりその場合におきまして、現実義務供出が、そういう従来の取扱い、つまり等外上を超過供出として取扱うという場合において、義務供出が完納できるかどうか、これはその供出割当が適正であつたかどうかということに関連すると思いますので、実収高を見てその点は考えて参らなければならないわけであります。その結果として、等外上を超過供出において買上げるということによつて農家のかたにもそれを処分する途が開けるのではなかろうかと、かように考えるわけでございますが、ただこれは現実の問題といたしましては、まだ現在の状態におきましては、その状態は現われておりません。今までの検査状態においては、恐らく江田さんのお話も今後の問題として、どういうふうに等外上が多くなつて来るか、或いは等級比率がどういうふうになつて来るかということが、現実の問題として今後の問題になるのだろうと思いますが、私としては、現在はそういうことで実収高を見まして、そういう場合におきましては適正な割合に持つて参るということが必要じやなかろうかと、かように考えておる次第でございますが、なおその後の情勢を見まして、更に又現在の考え方を再検討するということにはやぶさかではないつもりでございます。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 その一番あとのことをよく覚えておいて頂けばいいので、前段のほうはお役所らしい答弁ですから私も余り本気に聞いておりませんが、今すぐにその問題を私が何ぼ声を大にして言うたつて、まだ食糧事務所のほうでもはつきり実態がつかめないということになるから、すぐ食糧庁長官のほうで明確な御答弁は頂けんと思うのですが、私は大体こういう問題を言うのは誠にいやですよ、農林委員会地方的な問題をかれこれ言うのは誠にいやですけれども、併し実際に見てこれはひどい、今年の米は大変なことだということをびつくりしただけに言いたくないことも言わなきやならんのでして、この点は私が言うことが誇張であるかどうかは今後の検査の推移で現われて来ますから、その際は一つ弾力性を持つて考え願いたいと思います。更に検査標準の問題についても、私どもかねがね問題にしたことは、同じように食糧庁のほうは、買上価格は一本でも、卸しの払下価格は地域によつてつておるということは、軟質米、硬質米の違いで違つておるわけですが、そこでこういうような年に依然としてそういう払下価格の違うような標準の選び方というものは少し考慮してもらわなければならんのじやないか、現実に曾つて銘柄のよかつた所はあなた方のほうで高い価格で払下げておられるのだから、それを安い価格で払下げておられる所と、食糧庁としては全体のバランスをとつてつておられるので、食糧庁全体が農民をだましておるということにはならんと思いますけれども、併し一本の値段で買上を受けて払下は高くされておる地帯では、これは何かペテンにかかつたような気がするわけです。そういうことを、いつでも硬質米地帯ではそういうことになるということでなしに、その年々の作況によつてけやはりそれを是正するような標準の選び方をしてもらうということは、これは私は標準の選び方を崩すということじやない、そうでなしに本当に公平な標準の選び方だと思うのでして、まあその点は是非考慮されて、あえて標準を崩すということでなしに、多少の弾力性を以てやれると思うのです。その点をお考えになるかどうかということと、それから更に将来の問題として、私はまあ資料の要求をするのを忘れておつたので、これはあとからでももらいたいと思うのですが、最近の検査等級比率を過去四、五カ年でよろしいから見せて頂きたいと思うのです。一体一等とか、二等とかいうのは何の意味があるかということをときどき不審に思うのでして、まあ特殊た酒米等についてはそういうものがありましても、私どものほうでは一等とか、二等とかいうのは見たことがないのです。そんなようなものを一体なぜ作つておかなければならんのか、もつと等級というものは簡素に整理すべきじやないか、実態に即するような整理をすべきじやないか、而もその整理の在方というものはただ米の商品価値を高めるという方向よりも、少むしろ今の日本の食糧事情としては少しでもたくさんのものをルートへ乗せるという角度から等級の整理をせられるべきじやないか、同時にこの銘柄設定の方向へ行かれるかどちらになるか知りませんが、とにもかくにも払下価格が地域によつて違うというような、こんな不合理というものはこの等級整理に基いて是正さるべきではないかと思うのであります。その点はどういう工合にお考えになつておられますか。
  19. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 只今の資料は我々今日は持つておりませんが、手許にございますから差上げたいと思います。  等級整理の問題につきましては、これはいろいろ実は正直に申しまして我々のほうの部内にもございます。つまり一つ規格を理想と申しますか、戦前の状態というものを頭におきまして、そうして等級を作りまして、これに合うように産米改良にいたしましても、あらゆる政策を進めて参るということも一つ考え方かと思います。そういう考え方で以て我々実はやつて参つたわけでございます。この等級間の問題は同時に等級間の格差の問題と関連いたすわけでございます。現在の状態でございますと、過去から申上げましても二等と三等、三等と四等との等級というふうなものは相当現在の規格から申しましても開くべきでございますし、まあ大体三等と四等の場合は二等と三等との間の倍以上の格差があつて然るべきかと思われるわけでございます。現在はこれが同じ取扱い、同じ金額の絶対額をおいておる、これは従来からいたしまして、格差間の下等級の格差を非常に下げるということは農家に対して急激な変動を与える、こういう意味におきまして、その関係を格差の整理と価格の決定の場合におきまして、いろいろな面から考慮いたしておりまする関係上、規格通りの格差が現われていないという点があるわけでございます。この価格の問題を離れまして、従来は三等平均で格差を開いておりますが、価格の問題を離れまして現在の等級は御指摘のように一等当りは殆んどないのじやないか、二等が本年度におきましても、四、五%のもの、昨年度におきましてもそれくらいと思うのでございますが、そういう等級しかないという場合におきまして、こういう等級の五段階というものを整理することがいいかどうか、同時に又一方において銘柄設定の問題があるわけでございます。御承知のように銘柄設定の場合におきましては、過去における銘柄の場合におきましてはいろいろ単なる物理的な品質のほかに嗜好上の問題がございますし、又極端に申しますると、過去におきまする移出検査の度合と申しますか、というふうなことが非常に銘柄等にも影砕いたしておるわけでございまして、今直ちに過去の銘柄を以てこれを設定するということは困難じやないかと思いますが、等級整理というものと銘柄設定というものとは成る程度お話のように関連いたしておると思います。等級整理をする場合におきましては銘柄設定と、こういうふうな形にもなろうかと思います。そういう点はこれは非常に銘柄設定ということになりますと、隣県との関係、いろいろなデーター調査をいたしませんと、これは軽々にはできませんので、実は本年度この問題について五、六県から御要望がございましたが、それを以て直ちに銘柄設定に進むだけの我々も勇気がなかつたわけでございまして、等級整理と銘柄設定については今後の情勢として如何にすべきかということは、実は我々のほうでも検討いたしておるわけでございますが、結論には達していないわけでございまして、まあ現在私の考えといたしましては、やはり等級は或る程度現状でやるべきではなかろうかという気持もいたしております。ただいろいろ事務所のほうの意見を聞いて参りますると、もう少し下げてもいい、下げると申しますか、もう少し数を減してもいいじやなかろうかという意見もあるようでありまして、実は我々内部におきましても、いろいろ議論を戦わしておる状態にあるということを御了承願いたいと思います。なお、価格の問題はお話のように払下価格につきまして県別に差を付けております。これは御承知のように、公団から一般の民営米屋に移ります場合におきまして、末端価格が一本でございまするので、政府といたしましては或る一定の場所におきまして払下をいたしますので、地域的に遠いところもあれば、非常に有利なところもあるという問題、或いは歩留りの問題も一つの原因でございますが、いろいろな要素が末端価格を統一する、一本にする、その場合におきましての中間の流通経費を政府が一定の割合で制限いたしております関係上、単なる歩留り関係のみならず、地域の広狭、運送関係、それから只今お話になりました歩留りの関係、各種の要素をいろいろ検討いたしまして、そうして過去の実績に基きまして、その県におきまする払下価格を変えておるわけでございまして、これは単に歩留りの上下ということのみを以て決定いたしておるわけではないのであります。地域によりますると、相当卸しの輸送距離等に違いがございますし、而も製品価格は、最終価格は一本でございますので、そういう点とか、各種の点も考慮いたしましてきめたものを現在踏襲しておるわけでございます。御指摘のように、銘柄設定の場合におきましては、当然それにからんだ払下価格というものが問題になつて来ると思います。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 今の長官お話は、私は少しインチキがあると思うのですよ、そんな払下価格の違いというものは歩留りだけじやないのだ、輸送賃や何やかやが総合されてと言われますけれども、それは輸送賃も極めて僅かなパーセンテージではあるけれども、参照はされておるかも知れませんけれども、併しそれでは最終までの説明はつかんと思うのでして、その点は何といつても今の払下価格の違いというものは、歩留りが一番大きなウェイトということは、突込んで話をして行けば私はそういう結論になると思うのです。どうも少しその点は、問題を正しく取組んで解決することを避けられておるように私は思いますが、あなたのほうはあなたのほうで又説明があるかも知れません。とにもかくにも同じ値段で買上げたものを、地域によつてつた値段で払下げられているというのは、生産者としては全くこれは腑に落ちない制度でして、そういうものをどうするかということについては、これに是非ともお考え願いたいと思うのです。それから今の長官の話によると、やはり現在の等級を維持するほうがいいのではないかというほうに大体重点を置かれて御説明がありましたが、併し払下のときに上と下二本くらいでやつておるのに、片方においては何等級も、ありもしない等級までたくさんつけるというのは、これは生産消費との機構というものは全くちぐはぐになつているということなんですから、とにかく実態から考えますというと、私どもはどうしても等級というものは、もつと簡素にして、払下のときの扱いとほぼ均衡のとれたものでなければならん、同時にこの地域によるところのでこぼこというものを、これもやつぱり合理的に解決されなければ、生産者としては誠に奇異な感じを受けて、何かこういう制度を通じて、知らぬ間に農民が搾取をされているのではないかという印象を強く受けるわけです。その点は今すぐにどうこうということではございませんが、将来の問題として、もつと真剣に御検討を願いたいと思います。
  21. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 先ほど検査課長から、本年の米の収穫はだんだん減つて行くだろう、いわゆる鎌入り不足するだろうというような発言がありましたが、私も全く同感で、実際百姓に聞き、或いは自分みずからやつておりますからよくわかるわけでありますが、見かけはかなりのとれそうな様相をしておつたんでありますが、鎌を入れたところが不足した、それを脱穀してみたところが、更に調製したところがとれなかつた、これは各方面の百姓に、あらゆる機会に私は皆に、今年はどうだ、米のとれ高はどうだということを聞いてみると、去年よりは幾らかいいが、まあ大変な収穫がなかつた、先ずニ割五分くらいの減収だ、こういうようなことを列車の中でも随分、闇米を背負つて歩いている人たちからも聞いてみますと、やはりそういうようなことを言つております。十月十五日の、これは農林省の統計の作況指数は全国平均九五%になつておりますが、私がこれらの現況から見て、全国的に襲われましたあの何回もの台風のために、恐らく同じような現象を来たしたものと想像するのですが、第一に雨を伴わない風だから、それほど風水害として作況には関係はなかつたかのように思われるのですが、実際はあの茎葉が風のためにもまれて、そして養分を、十分茎葉の機能を発揮することができないで、実のほうに送ることができなかつた従つて今年は玄米が非常に痩せ細つておる、従つて今度の、一升の粒数が六万五千粒くらいのやつが、七万粒くらい入れなければ一升の粒数にならないというようなところから、俵数が、石数が上らないという結果になつたと想像しておるわけですが、そういうことになりますと、先に各都道府県に米の供出割当をしておいて、実際に米がとれなかつた場合において、どういうふうな割当を訂正する考えがあるのかないのか、又これに対する処置として、どういうふうな食糧庁長官としてはお考えになつておりますか、一応お聞きしたいと思います。
  22. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 九月十五日現在の状態、それを更に第十四号、第十五号の状態も加味いたしまして、割当考えたわけでありますが、十月十五日現在におきましては、お話のように九五%、こういうことになつておりますが、これはほぼ我々といたしましても速報によりまして多少府県には異動はございますが、九月十五日に、十四号、十五号の台風を加算いたしまして割当考えたわけであります。これは佐藤委員も御承知のように、建前からいたしますと、生産者から保有量を引きまして、これが供出可能量となりまして、この供出可能量を従来は義務割当をいたしておつたのでございますが、二十七年以降、諸般の情勢の変化によりまして、現実に米がどの程度に集め得るか、又県当局といたしましても、現実割当がどの程度できるか、こういう実態をも加味しなければなりませんので、そういう状態をも加味いたしまして、我々といたしましては、いろいろ御非難が、各方面から割当が少いという意味においての御非難が相当あるわけでございますが、我々といたしましては、各府県現実状態をも考えまして割当をいたしたつもりでございます。従いまして、この作柄状態につきましては、そこに割当と、そして作況と或いは作況からいたします供出可能量との間に幅があるということは御了解願えると思います。ただ実収高におきまして相当の変動が起りまする場合におきましては、勿論その点につきましては他府県との関係等も考慮して再検討するということにやぶさかでないということは我々も考えておるわけでございますが、現在といたしましてはこれで以て進んで参りたい、更に実収高を見て著しい変動が、ざいました場合には十分誠意を以て考えて参りたい、かように考えております。
  23. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 実収高に応じておやりになるということにつきましては、まあ我々も是非そうお願いしたいと考えておりますが、先ほど江田委員からも格差の問題につきましていろいろ意見がありましたが、我々農民の立場から眺めて見た場合に、等級の問題はやはり十分検討を加えて改正してもらいたい、というのは、元来が農民の利益を擁護する意味においての等級でない、結局一般の配給を取扱つている人たちのための等級であるかのような観が非常に深い。然らばどういうところがということになりますと、かなりひがみのような言葉になりますから、理論的にこうだということも言いかねるのでありますが、等級決定に際しましても、これはもう検査官のいわゆる肉眼鑑定である。従つてできる限り二等と三等の差の場合には三等に下げてしまう。三等と四等の場合には、これは三等でもいいというようなものも四等に下げてしまう。場合によれば、これはもう随分実例があるのですが、この米はいま少し調製すれば上に上げてやるからやり直してくれ、こういうようなことを検査官が言う。そこで仕方がないから、荷馬車に積み込んだ二十俵もの俵を家へ持つてつて、その間置いて、又引つ張つてつて調製しましたと言うと、ああそうかとわけで今度は元の三等にしてくれる。こういうような実例はもう枚挙にいとまがないほどある。これは何を意味するかというと、結局は検査官の枝術の問題というよりは、実際において肉眼鑑定であるから、その差というものは極めてわからない。わからないものはできる限り下の等級に下げることというのがこれが検査官の心理状態だと思う。そこで然らば米の今度は配給状態はどうかというと、私はこれもお聞きしたいのですが、一体白米にする場合の減耗はどのくらいに等級によつて違うのか、十分な内容を検討を加えておられるかどうか知りませんが、そういうようなものがありましたらお聞きしたいと思うのです。三等米はどんなくらいな歩留りがあるか、或いは二等米はどのくらいの歩留りがあるか、こういうようなものが十分に検査されて内容がはつきりしておるかどうか。それを農林省としては一概に歩留りは九四%にとどめるとか、どうとかいうような通牒で操作をされておる。ところが実際は歩留りの問題は配給業者がどういう方法でやつておるかというと、これは九四%に搗き上げるというやつは九五%くらいに搗き上げる、そうしておしろいをつけて、それで四斗の米は四斗だけ出して行くというのがあの人たちの技術なんだ。だから相当に闇米も配給業者から流れ出るということも実際の状態であると私は思います。これはもうすぐ調べればわかる。そういうようなことを一方においてはしておるわけです。検査に当りましても等級をつける上においても実際の運営の上においても十分この等級の問題は一つ考えてほしい。で、配給の場合には一等と二等にしか分けない。私は五等米も二等米も同じだというようなことにもなると思うのです。いずれにいたしましても、是非私は農民的な立場から、要するに食糧が不足しておる現状においては、米の検査というものも、又集荷方法ということも食糧増産というものと結びつけて、そうして十分に考えてもらいたいと思うのです。
  24. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 只今の点でございますが、御承知のように農家に対する関係におきましては、規格の問題とその規格に基く格差の問題がどういうふうになるかということが一番影響があろうかと思うわけでありまして、この格差の問題をどうきめるか、価格のきめ方の問題でございます、これが非常に影響するわけでございまして、只今も申上げましたように、もう少し格差を開くべきじやないか、そうすれば規格通りに米の等級割合も現在とは変つて参るということも考えられるわけでございますが、やはりこの問題につきましては、早急に農家の経済に非常な急激な変動を与えるということも如何かと考えまして、規格通りに格差することは現実の問題としては困難であるので、これを締めておるわけでございますが、規格全体の問題、等級全体の問題には、先ほども江田委員から、これが検討についての御意見もございましたので、我々としましても十分検討いたしたいと思います。ただ規格の問題と歩留りの問題とはこれは別個の問題でございまして、歩留りの場合におきましては、別に規格の問題と離れまして考えておるわけでございますが、この歩留りが只今お話のございましたように、末端におきまして混淆があるというふうな点につきましては、我々としても十分注意をし取締りをいたしたいと、かように考えます。
  25. 松浦定義

    ○松浦定義君 今年の割当で、いよいよ最後になつてどうしても完了できないというところについては、実収高によつて或る程度補正は止むを得ん、これはまあ当然だと思うのですが、それでは今農家が本当に年内に或る程度つたものを全部売るだけのものは売りたいというような方法から考えると、なかなか適正な処置ということには考えられないので、とにかく今若し都道府県が完了した、責任量を果したとしても、市町村なり或いは個人では一〇〇%の完了ができないものが相当あるわけなんです。これは従来でもそういうものがありまして、そういうものはその府県の責任或いは町村の責任において、特に他の者がその責任量を背負つて、そうして責任を果したという例はあるわけです。特に最近のように、やはり自家保有まで出してでも責任を果したいというような意欲に燃えておる農民の多いところでは、当然そういう結果が現われて参りますので、そういう場合におきまして、個人として完了できないものはやはり今度折角六等というものを設定して上なり下なり買上げるということにしても、これは義務供出の中に入らない。従つて義務供出の中に入らないばかりでなく、他のものに代つてもらつたというようなものは、個人の成績から言つては、これは超過供出対象には全然ならないわけなんです。そういうことになつては非常に農家としても折角の制度が何のためにできたかということになりますと、いい米をとつた人のためにできたのであつて実際困つた農家には当てはまらないことになるんだが、そういう場合には速かにその補正をして、直ちにそれらのものも超過供出対象になるというふうにやるのか、或いはそれができないとすれば、特別その市町村なりが果した場合においては、特にそういうものについては超過供出方法によつて買上げる、この二つのうちのいずれかをとらなければ、この制度というものが全く私は無意味なものであるというばかりでなく、今の配給量では、特に消費者としても納得をしていないので、少しでも多く消費地のほうに完全にこれが配給できるということになれば、或いはそうした規模に入るものは全量速かに買上げるというふうにしてもらわなければいかんと思うのですが、この二点について、いずれかを急速にとるということはできないものかどうか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  26. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 松浦さんの御意見は個人の問題をどう取扱うかと、これは我々としても勿論各府県間の割当てにつきましては、できる限りこれの適正化を図つておりますが、同様に府県におきましても、やはりできるだけその土地の作況に応じた割当をして頂くようにお願いをいたしております。ただ、まあ具体的に末端に完全に一人々々にこういう形が行われ得るかというと、これは事実問題として非常にむずかしいという点があろうかと思うのでありますが、我々といたしましては、府県対象といたしまして考えて参らざるを得ないし、又個々の個人一人一人の割当につきましては、できるだけ公正を図るように府県にお願いをいたしておるわけでございます。この個人をつかまえて、これが完了しない場合におきまして、この等外上或いは減額というふうな形は、現在においてはなかなかむずかしいんじやないか、全体として実収高を見まして、そうして著しい変動がありました場合におきましては、県全体として適正を期して行きたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 松浦定義

    ○松浦定義君 そうしますと、個人の場合のそうした点については、その都道府県で以て考慮してもよろしいと、或いは考慮すべきものであるというふうにお考えになつているわけですね。
  28. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 割当の場合におきまして、府県実態に則しまして、なお各町村状態をお考えになつておりますし、又郡別の割当から市町村割当、市町村割当から個人に行をます場合におきましても、そういう状態を十分考えておられることと思うのであります。ただ形式論から申しますと、全体の義務割当量が変更しない場合におきましては、或るところを下げ、或るところは更に多くすると、そうして全体的な生産から割当てられました数量が変動のない場合におきましては、これは府県において割当の変更をなし得るということは途としてあるわけでございます。ただ現実の問題として、これはどの程度に実行可能かどうかということは問題があるわけでございますが、途といたしましては、府県において総体の割当量が変更しない場合においては、それを更に府県内で変更し得るということにはなつておるわけでございますが、これはむしろそういう事後の補正よりも、事前におきまして、できる限りそういうことのないように一つ十分な注意をいたしてやつてもらいたい、ただ遺憾ながら従来におきましても、特殊の事例といたしまして、府県間におきまして供出が個人として完了しない場合もあるわけでございますが、これはその府県におきましてもいろいろ特殊の事例等もありまして、必ずしも作柄云々の問題のみに限られんようでございます。ほかの事情もいろいろある場合もございます。まあ要は割当の場合におきまして、府県によつて異なりまするが、今年の割当はそれほど義務供出量につきまして、これが可能量ぎりぎり一杯ということはないわけでございます。そこに幅があるわけでございますので、でき得る限り適正に注意をいたしてやつて頂くようにいたしたい、又そういうふうにお願いをいたしておる次第であります。
  29. 松浦定義

    ○松浦定義君 それはやはり中央でやられる場合には、そう末端のことまでお考えになることはちよつと無理かと思うのでありますが、やはりこれは供出ということは末端の農家、個々の農家から積み上げて来ておるのであつて、一農家でも矛盾が起るということになると、全体に大きな影響を及ぼすということは当然なんで、やはりそういう考え方だけでは、やはり一農家対象であるというふうにお考え願わんと、ただ全体的に府県のほうが相手だ、あとはそれによつて府県知事がやる、町村長がやるにしましても、やはりここで受けた指令というものは飽くまで末端に行つてしまう。それから特に中央におきましては、まあ作況調査に基いて根拠によつてこれを御決定になつているんですが、この作況調査にしましても、やはり末端の部落まで、或いは町村まで適正な調査をされているということは、現在の機構上から言つてできていないわけであります。そこに大きな矛盾があるというようなことで、この指数についてもいろいろ意見があるが、昨日も統計調査のほうのあれで映画を見せてもらつた。非常に科学的にやつておられるようなことを私どもは見て、成るほどと一応肯くのでありますけれども、これは飽くまで特定の地域というような形にしか私は該当するものでないというように考えております。若しああいうやり方で、中央で集計したものは、例えば本年は九五であつて、これに基いてこれだけのものを割当てた。併しそのものが各府県段階で直ちにその府県で使われる、或いは町村で使われているならいいが、恐らく町村段階或いは部落段階にあの数字で以てもう必らずよろしいというふうには、町村長なり、或いは府県知事なりも私は納得できないものがあるのではないかと思います。従つて若しそうだとするならば、ああいう調査もやはり上で作られる場合におきましても、私どもは見る場合に、末端のあの山奥まで調査をされているから、これは適正なものだと考えるような気持はいたしますけれども、そうだとするならば、その数字が末端の部落において農家の納得する数字でなければならんと思いますが、そういうところは全然もう納得するとか、しないということはおかまいなしに、中央でおきめになるということでありますから、やはり私は今のような形で中央で一本でおやりになつては、末端農家はどうしても納得できないものがあつて、今のような個人が一〇〇%完了できないというようなものができて来るというようなことになりますから、そういうものを中心として一つ考えになつてもらいたいということを私どもは要求しているわけですが、いろいろ機構上から言つて、それはすぐできないということならば、これは今後の問題としても、まあそういう点については、確かに私は一農家として見ますると、折角この制度ができましても、やはり一〇〇%完了のできるような地帯の屑米というようなものが買上の対象になつてしまうということで、それしかとれない、それが大多数であるというような農家にはこれはもう全然適用しない、例えば府県別に申しますならば、北海道のように六〇パーセントだと、而もこの実態は五〇パーセントもあるであろうというような実態のところへ同じような制度を持つて行かれたのでは、屑米を買つてもらうような対象農家は北海道には出て来ないということになる、これは恐らく一〇〇%完了のような数字の出ているようなところの屑米はどんどん超過供出の中へ入つてつてしまう。そういうようは私は矛盾があると思うので申上げているのでありますから、大きく言えば府県別というものにも矛盾がある、もつと突き詰めて言えば、個人別に対してそういうものがあるということに対して、とれたものは政府の責任において買上げるというようなことができまして、この等外の上下も速かにこれが全量買上の対象になるようなことになるならば、私は今のような、先ほどちよつと触れられましたように、現在の闇というようなものも、殊更今のような問題にならなくても、もう全部ルートに乗るのじやないか、こういうふうに私は思うので、こういう点は一つ速かに何とかもう少し末端の実情等を考えて処置してもらいたい、こういうふうに考えておるわけなのであります。
  30. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今議題になつておりまする検査の件につきましては、まだ御質疑があるかと思いますが、時間の関係もありますのでこの程度にいたしまして、最後に只今の御質疑を通じまして、各員から強く要望せられておりまするように、又長官から理論的にはお話がありまして、必ずしもそのことが理解できないわけではありませんが、実際問題といたしましては、本年の作況の実態に鑑みまして、他日現在の検査規格の上において義務供出対象となる数量が非常に困難である場合には補正が行われるという途は開かれており、そういう措置は当然講ぜられることになるとは思いまするが、折角設定せられました六等級と申しますか、現在の等外米のうちの上位のものを買上げるという措置がとられたのでありますので、これが特殊の地域につきましては、義務供出対象になつて供出完了が円滑に進みまするように配慮せられますることも極めて大切な問題であり食糧事情の実態に即応する措置というようにも考えられますので、特段の配慮をされまして、そういうようなことについても措置のできるように配慮をせられたいと考えるのであります。更に、基本的な問題として前々から問題になつておりましたように、銘柄検査の問題をめぐりましたり、供出米が配給せられる場合の白米の等級というような問題等に関連いたしまして、それは勿論国の困難な食糧事情に対応するという基本観念に出発をしておるわけではありますが、現在の検査規格を再検討して整理を単純化する。同時に現在の規格につきましては、すくい上げの正面からの対象にはなつておりませんようなものをもすくい上げて行くというような措置は、外貨事情等との関係から考えて考究せられる十分な価値のある問題ではないかということでございまするので、そういうような基本的な検査基準の問題についても将来の問題として御研究願い、速かに各委員から御質問のございました、又御希望のございましたようなことが実現されまするように御研究を頂きたいという希望を申し添えておきます。  この程度にいたしまして次の問題に移りたいと思います。すでに時間は十二時を経過いたしておりまするが、食糧庁長官は今朝お帰りになつてお疲れでもありますので、引続いてお願いいたしまして、長官関係の事件だけは継続をお願いしたほうが双方のために都合がいいと思いますので、もう少し継続したいと思います。   —————————————
  31. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和二十九年産米価格の件を議題にいたします。  本件前回の会員会において問題とする予定でありましたが、時間の都合によりまして今回まで留保せられたものであります。本年産米政府買入価格は、種々重要な問題を残しながら、漸やく去る九月二十日の閣議で決定され、続いて去る十月十五日告示されるに至つたのでありますが、本年産米価格につきましては、当委員会におきましても、かねて重大な関心を払つてしばしばこれを問題といたし、特に過般の委員会において、即ち九月二十二日、政府に対し、昭和二十九年産米価格生産費を基準として再生産を可能ならしめるものとせられたいと申入を行い、又決定米価をめぐつて本年基本米価に繰入れた昨年の供出完遂奨励金に該当する八百円の免税等、いろいろな問題が起つておるのであります。時期は遅れましたが、本日は本年産米価格決定までの経過及びこれら米価をめぐる諸般の問題について農林当局から説明を聞き、続いて本問題の取扱い方について協議を煩わしたいと存じます。最初長官から御報告、御説明をお願いいたしたいと思います。
  32. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 本年度の価格につきましては、内容につきましては後刻御報告を申上げますが、経過といたしましては、九月十六日に米価審議会の懇談会をいたしまして、二十四日、二十五日に米価審議会に正式に御諮問いたしまして、九月の三十日に閣議決定をいたしまして、十月十五日告示をいたしたわけであります。この価格といたしましては九千百二十円と相成つております。この九千百二十円の内容を申上げますると、パリテイ指数は八月パリティをとりまして、一二〇・〇四というふうに相成つております。で、このパリテイ指数を、基準価格でございまする二十五年、二十六年の平均価格の六千五百四十九円にパリテイ価格の上昇率を掛けますると、パリテイ価格といたしましては七千五百七十一円に相成るわけでございます。それに、昨年度来とつて参つておりまする資材の投下が、基準年次に対しまして増加いたしました場合には、その割合を以て経営部門におきまするパリテイ指数を修正する。又都市と農村との生活水準の上昇率の差が基準年次に対して異なつておりまする場合におきましては、パリティの家計部門に対するものにつきまして、これを修正するといういわゆる特別の修正計数を以ちまして算出いたしますると、その金額が五百四十五円に相成りまして、基本価格といたしましては八千百十六円と相成るわけでございます。これに対しまして、当初政府決定におきましては、各価格の簡素化と申しますか、奨励金の整理と、こういう趣旨から以ちまして、昨年度基本価格とほぼ同様に取扱われました供出完遂奨励金の八百円をこれに加算をいたしまして米価審議会に御提出いたしたわけでございますが、米価審議会の御審議の模様もございましたので、これを一千円といたしまして基本価格に加えまして、そうして九千百十六円、これを丸めまして九千百二十円、かように相成つたわけでございます。従いまして、超過供出奨励金につきましては、これは征来ともに、一昨年、昨年同様に超過供出の価格といたしましては一万四百円を支払う。従いまして、奨励金といたしましては九千百二十円と一万四百円との差額千二百八十円を奨励金として支払う。従いまして、超過供出に対しまする価格は一昨年以来変動がない、かようにいたしたわけでございます。なお、申落しましたが、早場奨励金につきましては、九月二十日までを二千円、九月三十日までを千二百円、十月十五日までを六百円、十一月一日までを三百円、十一月三十日までを二百円と予定いたしたわけでございますが、この第四期の十一月三十日を十二月十日に改訂告示をいたしました次第でございます。  なお、現在までの供出状況を申上げますと、十一月一日までにおきましては八百九十万石でございまして、これは当初早場奨励金予定いたしましたものよりは少くなつております。ただ特期が増加いたしておりまするので、早場奨励金として予定いたしましたものは、現在の状態におきますると幾分超過気味ではなかろうか、ほぼ同様の程度になつておるのではなかろうかというふうに考えております。
  33. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の御説明に関連して一点一つ伺いたいのですが、御説明にもありましたように、昨年の米価につきましては、いわゆる完遂奨励金という形で八百円が支給せられたのでありますが、今年はそれが基本米価に一応織り込まれ、その結果として、昨年まではこれが特別の立法によつて免税の恩典を受けておりましたが、基本米価に加わるという関係から得の対象になる。所得の対象になりますると、現在の所得税の計算基準は御承知のように累進課税の制度がとられておりまするので、県によりましては、正確なことではございませんが、先日もこの席で陳情がありました例等に徴しますると、課税農家対象が一躍三〇%或いは四〇%近くも殖えるのではないかというような心配をされておる模様であります。私どもはそういうような詳しい計算はまだいたしておりませんので、明確なことを申上げるわけにも参りませんが、特殊な県等によりますると、課税と非課税の境目にあつた連中が課税対象に浮び上つて来るということのために非常な心配をしておる。そのことは結局、昭和二十九年産米の価格は形の上で上つたようではありまするが、農家の所得の計算になりますると、自家保有のものまでもそういう所得計算が行われて課税対象になるということで、非常に米価がパリティ指数の上昇とは逆に下つてしまうということを憂えておるようでございますが、この価格決定になるにつきまして、そういうような点に配慮がなされておるのかどうか、配慮がなされておるとすればその実情一つお伺いしたい。
  34. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) この所得税の税法上の問題は、御承知のように奨励金につきましては免税の措置をとつて参つたわけでございますし、現在の法律上の建前からいたしますると、二十八年産米について各種奨励金が免除になつておるわけでございまして、まだ二十九年産米につきましては免税の措置はとられておらないのでございますが、我々といたしましては、奨励金につきましては、来たるべき通常国会におきまして御審議願うようにいたしたいものというふうに考えておるわけでございます。ただ、今委員長から御指摘のございました八百円の問題につきましては、実は八百円を千円にするという場合におきましてもそういう問題があつたわけでございまして、そういう点をも考慮された結果であるわけでございますが、具体的にこれが全般的な農家の所得、それから農家の税にどういう影響があるかという問題でございますが、御承知のように、本年の四月から農業所得につきましては基礎控除及び扶養控除につきましては相当税法上、これは米価とは関係はございませんけれども、農林省といたしましては農家所得の面或いは農家課税の而からいたしまして、大蔵省に対して交渉をいたしておつたわけでございますが、これが実現いたしまして相当大幅に基礎控除、扶養控除の控除が実現をいたしたわけでございますので、この点につきましては、昨年度とは変りまして、本年度におきましては農家の税負担につきましては相当の軽減になろうかと、かように考えておるわけでございます。全国的な経済調査によります平均的の数字から見ますと、相当の減税になり、この八百円が加わることによりまする税の負担を十分吸収し得る、かように考えておるわけでございますが、ただ地域的に或いは個々的に他の作物との関係等、いろいろの他の事情がございますので、地域的にこれを検討いたしたわけではないわけでございますが、全体的に考えますると、そういう事情に相成つておるわけでございまして、これによりまして農家負担が増加するということのないようにできる限りの配慮をいたしたつもりでございます。
  35. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本年四月以降、基礎控除なり扶養控除が行われたということは、これは米価のそういう昭和二十八年産米についてとられた各種の奨励金の免税措置ということとは関係なしに、現在も一般的な社会情勢からかくすべきことであるということで、そういう結論が与えられたことは私どもも承知いたしておりますが、この八百円というものが、申上げましたように供出米だけの八百円ということでなくして、基本米価にそれが算入せられるということは、農家の自家保有のものまでも所得の計算上、国税庁のほうで計算するということになりまするので、具体的に私の記憶を辿つて、或いは数字が間違うかも知れませんが申上げますと、昨年の例によりますると、十七万円見当までの標準農家は所得の対象にならなかつた。今年四月からは控除が殖えましたので、十九万円ぐらいまでのところは所得の対象になるということになるらしいと思います。ところがこの米価措置によつて八百円というものが基本米価に加えられましたので、反当二石五斗あるといたしますると、七、八反歩作つておりますと、その十九万円という免税点を上廻つてしまうということのために、課税対象農家として三〇%も四〇%も殖えてしまうという結論が出て来る。そうなりますと、いろいろお話の面では配慮をされておると申しましても、結論としては非常に課税対象の影響が強い、米価措置をめぐつてこれは非常な問題を将来に巻き起して来るというように思われますので、これは勿論まだ昭和二十九年産米については、超過供出奨励金につきましても、早期供出奨励金につきましても、免税措置を講ずるとか、講ぜんとかということは今決定した問題ではございませんから、今ここでそれが決定されたものという前提に立つて議論することは如何かとは思いまするが、今までの経過に徴しますれば、恐らく当然そういう措置は講ぜられるであろう。といたしますると、そこに非常な問題が起きるということが考えられますが、この米価決定に際しまして、財務当局との間に、そういう問題をめぐつて何か具体的に話合がございましたのか、財政当局のほうでは基本米価に加えましても、今、長官お話のように、結論的には農家の負担増嵩ということはないのだ、それは四月以降講ぜられた別の観点から行われた基礎控除なり、扶養控除というものの減額を含めるとそうなるということでは、これはおかしいので、それは別の立場から行われた措置でございまするから、それを離れてもなお且つそういうことはしないということでありますれば、今後確定申告に際しましては、そういう趣旨でいろいろ又折衝が行われると思いますが、そういうような何か決定上の事務折衝において具体的な話がございましたか、ございませんのか、その辺をもう少し明確に伺いたいと思います。
  36. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) この完遂奨励金を基本価格に繰入れました場合におきまして、農家の税負担がどれだけ殖えるか、実はいろいろ事務的には計算いたしました。併しこれは一つの仮定なり前提の下に立つた考え方でございまして、やはり我々が計算いたしまする場合におきましては、農家経済調査なり、何なりを中心とした非常に抽象的な形におきまする計算でございますので、これを以て妥当であるということになるとは考えておりませんが、そのときにおきましては、そう大きな数字が出て参らなかつたわけでございます。それと、只今これは別な問題ではございまするが、全体的には相当の減税にもなつておるというふうな面からいたしまして、又税の建前からいたしまして、基本価格についての免税ということにつきましては非常にむずかしい問題であろうし、又議論としても非常に困難な問題であつたのでありますが、ただ八百円から千円に上げまする場合においては、そういう税負担の問題もいろいろ議題にいたしまして話合をいたしたというのが、まあ実際の実情でございます。
  37. 江田三郎

    江田三郎君 この米価に伴いまして減収加算の問題ですが、これは今のところの作況指数ではその問題はありませんが、将来実収が下つた場合には減収加算を適用するということは、昨日第一部長はそういう御答弁でございましたが、食糧庁長官としてもその点については、第一部長と同じようにお考えでございますか。
  38. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) これはざつくばらんに申上げますと、我々といたしましては、昨年と同様に、その事態が起つた場合においては当然そうあるべきものだということで考えておりますが、米価決定の際に際しましては、作況の状態等からいたしまして、財政当局との間においてこの問題を俎上にいたしまして議論をいたしたというわけではないわけでございます。ただ本年度も昨年度と同様に義務供出制度を続けておりまするし、価格決定方式も同様な方式をとつておるわけでございます。我々食糧庁当局といたしましては、これらにつきましては、実収高を見て検討すべきものだというふうに考えております。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 もう一つ、これは直接米価の問題でございませんが、ついでにお尋ねしておきたいのですが、例の災害農家に対する米麦の払下の問題なんです。これについては、たしか農林省考え方というものは、この前出たときには生産者価格での払下という方針がたしかあつたように思つたのですが、間違つたかも知れませんが……。ところが大蔵省のほうでは、昨日山本政務次官の答弁におきますと、今のところ大蔵省で考えているのは、延納措置は講ずるけれども安値の払下ということは行わない、こういう答弁でございまして、なお大蔵省としては一応大蔵省の現在の段階における考え方であつて、今後政府部内での折衝はいろいろ話合を進めて行くので最終的なものではないということでございましたが、この点は農林省としてはどうお考えになりますか、食糧庁として大蔵省のほうと積極的に生産者価格払下については、去年と同じような措置をとられるということを今後折衝をお続けになりますか、どうですか。
  40. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 昨年度災害の場合におきましては、当初我々は延納措置によりまする実需者価格を以て延納措置を講ずることが、現在の行政上許された形であるということで折衝をいたしたわけでございます。その後一般的に災害に関しまする特別立法がございまして、その一環といたしまして、大体生産者価格を目安にして払下価格をきめるようにと、こういう特別立法がございましたので、その立法措置に従いましてこれを実施いたしたわけでございますが、現在におきましては、我々は延納を中心といたしまして、実需者に対する売渡し、つまり大体政府からつまり卸に売ります平均価格を以ちまして、これを延納の措置によつてつて参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  41. 江田三郎

    江田三郎君 まあ昨年の特別立法にしろ何にしろ、生産者価格ということでやつたわけなんでして、去年と今年とを比べると、国全体としては災害程度は軽いということはございますが、併し災害を受けた個々の農家にとつては、去年も今年もないので、実際に災害を受けて見れば苦しいに違いないのです。そこで私は政治というものは、大体この年々によつて余り変化があるというのは国民として迷惑な話であつて、本来災害について、そのときそのとき特別立法をやるというのはおかしな制度だと思うのです。こういう災害があつたら、こういう工合になるのだということにほぼきまつておらなければならんのでありまして、勿論そういうきまつたものでは実情に適しないから特別立法というものが行われたわけですが、特別立法というものが一旦出て来ると、まあこの災害復旧の補助金のことなんかは別にしまして、営農資金であるとか、それから飯米の問題であるとかというものは、去年も今年も違つた制度というのでなしに、同じような制度を続けて行かれんというと、国民としても迷惑千万だと思うので、そこでともかく昨年そういう生産者価格ということがきまつたのですから、農家としても当然そうされるものという期待を持つているわけなんですが、食糧庁として、更にそういうことへ持つて行かれるために大蔵省と積極的な折衝をなさる御意思はございませんか。
  42. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 昨年度につきましては、御承知のように地域的にも災害地域指定その他の災害立法の一環としてやつたわけでございまするが、気持といたしましては、そういう気持も十分わかるわけでございまするが、現在におきましては、まあ実需者渡しの価格と、それから生産者価格とが勿論開きはございまするが、昨年度のような開きはないわけでございます。非常にその幅が縮まつた、むしろこの点につきましては、実は大蔵省と延納措置を早急に相談いたしまして、早く実施するということが我々としての責務ではなかろうかという意味におきまして、現在大蔵省と交渉いたしまして、延納措置をとるということで、すでに通知を発する段階に至つておるわけでございまして、今後災害立法全体として、どういう取扱いをするかということの問題として、勿論検討はいたさなければならないと思いますが、現在といたしましては、できるだけ早く措置をとることが必要であるという考え方からいたしまして、延納措置を先ずとり、実需者価格を以てそれで実施するということで、実施の段階に入るという措置をいたしておる次第でございます。ただ昨年度と違いました点は、繰返して申上げますが、非常に生産者価格と実需者価格との間の幅が縮まつて参つたという点は頭に入れて頂きたいと思います。
  43. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつとその具体的な数字をお知らせ願いたい。生産者価格と実需者価格との違い、具体的にどう違いますか。
  44. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 生産者価格は、只今申上げましたように九千百二十円でございますが、実需者価格は、これは全国を加重平均した価格のほうでございますが、計算いたしましてあと一つ御連絡申上げます。
  45. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあその数字を聞いてみんと、どのくらい開いているのかわからんのですが、併しまあ私どもとしては、繰り返しますけれども、災害復旧の補助金とか、何とかということは別にしても、こういう被害を受けた農家個人々々に関係のあるような問題については、去年やられた措置は当然今年もやられるのが至当だと考えておりますので、なお御再考を願いたい。
  46. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 完遂奨励金の昨年の八百円を、今年は基本米価に千円として算入したということについての理論的な根拠はどういうことになるのでしようか。これによつて昨年の取扱いと今年と、農家に及ぼす……、まあ千円上げてもらつたがために非常な損害をこうむる農家も出て来るわけです。昨年は免税農家であつたものが、今年はもう課税される、税金を払うということは、まあ国民の義務として当然であり、且つ又所得の生ずるところ税金を払わなければならんということは当然のことではありますが、現在のような米の管理制度におきまして、政府が如何にして米を集めるかということに非常な苦心をしておることは我々十分察知しておるわけでございます。そうするとすれば、私は実際に農家として義務を果す、国民として自分でとつた米を全部供出するというような正直な者に対しては、私は完遂奨励金というものは、千円や二千円じやなく、もつと大幅にして十分にこれらの人たちに報い得るような処置をとり、それでこそ米の供出、集荷というものが私はできるのじやないかと思う。それを今度は、基本米価の中にこれを入れてしまつて農家の実益というものを相当に少くしてしまう。而も米の集荷の上において及ぼす影響というものはかなり大きな影響と来たして行く、こういうことは現在の管理制度というものから見て甚だまずいではないかと考えるわけです。従つてこれを基本米価の中に入れてしまうから所得税の対象になるわけですが、これを基本米価の中に入れなかつたならば、かようなこともなかつたと私は思う。どういう意味において基本米価の中に完遂援助金を入れたか、その根拠につきまして一つお答え願いたいと思います。
  47. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 価格の体系の問題でございますが、価格の考え方といたしましてはいろいろあろうと思います。極端に申しますると、一本米価という要求もございまするし、又集荷上の問題からいたしまして、早場奨励金は必要であるけれども、その他のものは基本米価に一本化することがいいという御意見もありまするし、いろいろ価格の体系といたしましてはあろうと思います。ただやはり農家のほうといたしましては、奨励金はその都度別個に払われるわけでございまして、やはり米を売つた場合に代金が幾らになるかということが、年間を計算いたしまして初めてわかるというような形はやはり思わしくないので、だんだんにこれを簡素化して参る、明確化して参るということが必要であろうというふうに考えたわけでございまして、ただ集荷上いろいろな関係もございまするし、又漸進的にこれをやるほうがよかろうというふうな考え方を以ちまして、先ず基本米価的な性格を持つておりまする完遂奨励金を基本米価に入れたわけでございまして、考え方におきましては米価の簡素化ということは一般的に各方面から御意見もございまするので、そういう線に沿つて、又我々もそれが妥当であると考えまして、そういう措置をとつたわけでございます。
  48. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御質疑ございませんければ、只今問題になつておりまする米価の問題はこの程度にいたしたいと思いますが、この点につきましても、特に長官に希望として善処をお願いしたい点は、やはり完遂奨励金の問題をめぐりまして、これが農家にどういうような実際上の影響を及ぼすかということについての更に詳細な御検討を頂きまして、恐らく他の奨励金につきましては何らかの対策が講ぜられることになるであろうと想像いたしますので、そういう場合に十分供米農家諸君の納得が得られまするような措置が講ぜられまするようなことの御研究をお願いしたい。更に今後の作況によりまして凶作加算金の問題が起るかとも思いますが、そういう場合には十分趣旨が具体化せられまするように配慮を希望いたしておきます。   —————————————
  49. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和三十年米穀年度米麦需給の件を議題にいたします。  すでに今月から新らしい米穀年度に入りまして、政府においても新らしい米穀年度における米穀及び麦類を中心とする主食需給計画が作成されたはずでありまして、なお新らしい需給計画をめぐつて、今年産米供出割当量の減少に伴つて米穀配給量の変更等が云々され、消費者の危惧を招いておるようでありますから、本日は農林当局から、昭和三十米穀年度の米麦等主食の需給計画及びこれら需給計画をめぐる諸般の問題について説明を聞き、続いて協議を願うことにいたしたいと存じます。つきましては、長官から御説明をお願いいたします。
  50. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 三十米穀年度につきましては、目下各種の点から検討をいたしておる次第でございますが、お手許に二十九米穀年度の実績につきましてお配りをいたしておるわけでございます。二十九米穀年度につきましては、内地米の集荷は二千五十六万四千石でございまして、二十九年産米の集荷は百二十万トンをいたしましたが、これは期末に相当数量集荷いたしますので、配給といたしましては時間的に間に合いませんので十六万二千トンを予定いたしたわけでございますが、これはほぼ計画通りに早食いをいたし得たわけでございます。従いまして、内地米といたしましては三百六万トンの供給と相成つておるわけでございます。輸入につきましては、準内地米が四十四万トン、普通外米が百二十一万七千トンということになりまして、持越しと合せまして、全体の供給が六百二十七万三千トンと相成つております。配給につきましては、当初生産県が従来の食率によりまして二十日或いは十七日、十五日というふうに配給をいたしておりましたが、六月から生産県を内地米十五日といたしまして、他は外米を以て賄う。消費県につきましては、年間平均いたしますると、七日の内地米の配給に対し、準内地米を加え、そうして外米を加えて十五日の配給を実施いたして参つたわけでございます。その場合におきまして、御承知のように、今夏黄変米の問題がございまして、現在外米といたしまして約十万トンの在庫をいたしておるわけでございます。このほかに使える米としての在庫は別途にあるわけでございますが、黄変米の在庫は約十万トンと相成つておるわけでございます。これの下におきまして、本年度におきましては、現役までの集荷量は先ほど申上げましたように八百九十万石でございますが、供出割当数量及び確保数量といたしますると、それを加えますると約二千二百五十万石と相成りまするので、年間計画は目下各府県の詳細な……、農家配給等の問題がございまするので、その点を検討いたしておりまするが、取りあえず十一月分といたしましては、内地米は消費県八日という昨年より一日増加いたしておりまするが、消費県八日を標準といたしまして実施いたして参つております。二千二百五十万石に相成りますると、年間平均いたしまして、生産県十五日、消費県八日というものが賄い得る。ただ現在の供出量は作遅れの関係等もございまして、早場米で予定いたした数量よりも減少の状態を示しておりますので、第四期の天候回復と相待ちまして、これが予定に行くことを希望をいたしておる次第であります。  それから外米の問題でございますが、外米の問題につきましては、下期の十月から三月の外貨予算といたしまして四十五万トンを予定いたしておりまするが、御承知のように、対ビルマ等に対しましては、目下買付或いは病変菌の防止その他いろいろな調査のために厚生省、学者等を中心といたしまして調査団を派遣いたしております。これが帰つて参りまするのが十二月の中旬以降に相成ろうかと思いまするが、その調査の結果を待ちたいと考えておりまするし、又現実に対ビルマの出廻りは二月以降に相成るかと思いまするので、南方米の買付につきましては、そういう考え方調査の結果を待つて具体的な買付計画を実施いたしたいと、かように考えておる次第でございます。従いまして、現在外米につきましては、在庫とこの期に入荷いたしまするものとを合せて、消費実態等をも勘案してできる限り昨年度のベースを維持する目標を持つて配給をいたしておる次第でございます。四十五万トンの地域別の問題につきましては、まだそういう事情もございますので決定いたしておらない状態でございます。
  51. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今議題にいたしました米麦需給の件につきましては、三十年度の構想が大体内定したものという前提に立つて御審議を願う予定でございましたが、お聞きの通り只今検討中であるというわけでありまして、取りあえず十一月は暫定的な措置が講ぜられておるという状況でありますので、早急に三十米穀年度の計画も立とうと思いますので、そういうような計画が定まつて参りました上で更に御審議を願うということにいたしたいと思いますが、そういう扱いでよろしうございましようか。
  52. 江田三郎

    江田三郎君 それはその取扱いでよろしいですが、ただちよつとお聞きしておキたいのは、労務加配の問題についてはどういう工合にやつておられるのですか。
  53. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 労務加配の問題につきましては、従来米麦合せた加配量をきめまして、その中から米食率が幾ら、それからそのうち内地米を幾らと、こういうふうに細かくいたしておりましたのを、従来とは変えまして、内地米で従来配給いたしておりましたものを以て加配量とするというふうに簡素化いたしたい、実質は変らないわけでございます。ただ炭鉱につきましては、いろいろ従来から我々も意見がございまするし、又炭鉱側の御意見もございますので、今石炭局を中心にいろいろ話合をいたしておる。他の方面におきましては実質的に変りはない。形といたしまして、例えば三百グラムの加配量が、その場合におきまして、内地米が六割だつた場合には六割の加配量というふうに、内地米の加配量を以て表示すると、こういう措置をとりたいと、かように考えております。
  54. 江田三郎

    江田三郎君 それから一般配給の年齢別のあれは変えるのですか。
  55. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) 年別齢の問題につきましては、我々やはり簡素化の而からして変えたいと思つておりました。ただその後いろいろ検討いたしますると、これを一体化いたしますると、地域的にもいろいろ全国平均通りに人口構成が成つておらないものでありますから、非常に不均衡の生ずる点もございますし、又現在の配給量の点から考えまして、これは一体化することは理想ではございまするが、差当りは現状を続けて参りたいということで考えておる次第でございます。
  56. 江田三郎

    江田三郎君 外米の輸入の問題は、現地へも出かけられていろいろ進められておるので、従つて今後黄変米というような問題は防止できると思うのですが、今のところ輸入価格の見通しはどういうことなんですか、大分米の需給関係も世界的に変つて来ておるようなんですが、大体今の見通しではどうですか。
  57. 前谷重夫

    説明員前谷重夫君) お話のように、輸入価格はだんだん今年の一月から低下を始めまして、低下の傾向を辿つております。例えば最近きまりました台湾米がたしか百七十五ドルというふうに考えております。これは準内地米でございます。従いまして、普通の南方米でございますると、百五十ドル見当ということになつております。ただ今般タイとの折衝におきましても、従来我々といたしましては二五ブロークンのものまで買つてつたのでありますが、これを一〇%ブロークンのものに上げたいというふうな形で、品質向上を是非外米の場合におきましては強力にやつて参りたいということで交渉いたしております。従いまして、価格の面につきましては一〇%以上の、以上と申しますか、以下と申しますかのブロークンでございますので、従来とは多少違つておりますが、傾向的にそういう形になつておりまして、まだ価格の点については、数量も同様でございますが、交渉段階に入つてないわけでございます。
  58. 森八三一

    委員長(森八三一君) 午前中の委員会はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。午後は二時から再開いたします。    午後一時二分休憩    —————・—————    午後二時二十二分開会
  59. 森八三一

    委員長(森八三一君) 休憩前に引続きまして委員会を再開いたします。  最初に、昭和二十九年災害(冷害を含む)の件を議題にいたします。本件につきましては、昨日の委員会において、問題として羽田農林政務次官及び山木大蔵政務次官からそれぞれ農林省考え方及び大蔵省の考え方について説明を聞いたのでありますが、各省、特に大蔵省の考え方は去る十月二十二日当委員会から政府に対して申入れましたところ、なお実施官庁である農林省考え方とは大変相違しておりまして甚だ遺憾に存じておるところであります。尤も政府としての方針は、十五号台風等災害連絡本部長たる加藤国務大臣の災害地よりの帰京を待つて各省の意見を調整して決定せられることでありますので、今日は事前において当面の責任者でありまする加藤国務大臣に対して直接当委員会の意のあるところを申上げ、併せて加藤国務大臣の御意見をも伺い、その善処を求めるため重ねて本問題を議題といたした次第であります。なお山本大蔵政務次官の説明を要約いたしますれば、一兆円予算の建前から、災害対策としては施す術がないということに尽きるようでありますが、かように無為無策でありますれば、特に大蔵省の設置を必要としないのでありまして、国が大蔵省を設置して財政を司らしめておるゆえんのものは、財政の健全を維持しながら、而もかかる災害対策に遺憾なく対処せしめんがためと思います。かような点についても特に加藤国務大臣の善処を希望いたしたいのであります。この機会に災害地をお廻り頂きました御感想をお話伺いますと同時に、只今申述べましたような点につきまして御所見を伺いたいと存じまする次第であります。
  60. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今回の十五号台風等災害連絡本部長に私が指名されまして、いろいろ皆さんに御厄介になることがあろうかと思います。只今委員長より、いろいろ農林及び大蔵両省の意見が相当食い違つておるというお話を承わりましたのでありますが、これに対しまして、私は本部におきましてできるだけ調整をとつてどこかに帰一いたしたいと、こう思つておる次第であります。先般各方面より、私に災害実情を本部長たる者は親しく視察すべし、聞くと見るとは違うからという御要求がございましたので、先ず北海道へ参りました。それから引続きまして九州、中国方面を視察して参りました。北海道を視察いたしましたあと、極く大まかな私の考え方を北海道庁において、特殊の事情が北海道はあるものですから、その大体の大綱を示して参りました。これは本部会と申しまするか、本部の委員会において了承を得たことであります。九州及び中国辺のものは内地一体のものでございまするが故に、これはまだ報告もいたしておりませんが、北海道だけの報告は一応まとまりましたから、それをこの場合申上げてみたいと、こう思います。  丁度それは去月二十二日から二十七日までの六日間に亙つて災害連絡本部長として北海道の各地の冷害と台風災害状況を視察いたしまして、陳情を聞くと共に私はお見舞を申上げ、対策について政府の意のあるところを説明し、復旧再建を激励して参つた次第であります。見て参りましたのは、石狩、後志、空知、上川、留萌、網走、渡島、胆振、八つの支庁であります。被害状況と陳情事項の詳細は申上げることを略させて頂きますが、特に感じたことのみ申上げたいと存じます。  先ず第一は、昨年の冷害不作に次ぐ今年の冷害、台風による凶作で、地理的に程度の差はありますが、空地、留萌、上川、網走支庁管内は特に冷害の被害が甚大でありまして、局部的には稲作等の収穫は皆無という所があり、予想以上の被害に驚いた次第であります。第二に、大火のために一夜にして三千戸の住宅を焼失いたしました岩内町の復旧は、勿論容易な事業ではありませんが、区画整理事業の進捗と並んで被災者の自力による住宅建設も着々進んでおり、自力復興の意気の盛んなるに意を強くした次第でありました。小学校の教室に応急収容されておる千余の世帯、その他住宅のない被害者の住宅問題解決と、漁業、水産加工業の再建による生活安定が最も緊要な課題であると思います。住宅としては、すでに完成した災害救助法による応急仮設住宅の九百戸、本年度分として道が実施する公営住宅の二百戸、岩内町が建設する町営住宅、被災者の自力建設の住宅、これは現在約三百戸、火災保険金を充用して被災害者が建設する住宅、更に又住宅金融公庫による融資住宅等、各種の住宅建設によつて当面の緊急課題は大体解決できると思われるし、又解決せなければならんと思います。なお岩内町に限りませんが、漁船、漁具に被害を受けた漁業の復旧再建のため、早急に復旧資金の融資について特別の措置をとる必要があると思います。第三に、道、支庁、市町村関係者の要望、陳情のうち最も強い主なるものを申上げますと、被災者に現金収入の途を与えるために、いわゆる救農土木事業を実施してもらいたい。営農資金、着漁資金の融通に特別措置を講じてもらいたい。災害対策費の緊急需要と税収減による資金の逼迫を救済するために財政経理資金の繋ぎ融資をしてもらいたい。これは取りあえず交付税、交付金見返りの繋ぎ融資としてその当時道に二億、市町村に一億、すでに出しておりますが、更に追加融資を要望しておるわけであります。そのほかに台風に伴う住宅復旧対策、開拓入植施設の復旧対策、国有林風倒木の払下げ、その他いろいろありましたが、これは省略いたします。  そこで、私は日程を終えましたる夕刻、道庁におきまして、巧遅よりも拙速の意味で対策の大綱を次のごとく本部長の意向として発表いたしました。それを一応申上げて見たいと思います。この対策の大綱を申上げましたあとに、いろいろ又支出いたしたるものもありまするが、一応北海道において申述べたことを御参考までに申述べて見たいと思います。第一は、冷害等の被害農家に現金収入の途を得させる必要があるので、救農土木事業を実施する、その金額についてはできるだけ努力する。それから次に、これとは別に国有林の風倒木の処理作業を実施することとし、差当り経費としては少くとも数億円を予定いたしておる。次に、農業再生産確保のために、いわゆる営農資金については取りあえず農林中央金庫、信用農協連合会の融資を促進して参りたい、その資金枠については検討中である。これについては利子補給、損失補償等の必要な立法措置を講ずることとしたい。次に、被害農家に対しては、以上のほか農業災害補償法による保険金の本払又は概算払を早急に実施する。次に、政府の手持主要食糧の払下を行い、代金延納の措置を講ずる。災害に伴う異常発生の病虫害の防除対策のため予備費支出等の措置を早急に講ずる。それから岩内町の大火や台風による倒壊等で住宅を失つた罹災者のためにいわゆる公営住宅を建設する必要がある。そこで本年度は約一千戸を早急に建設することとして国庫補助約二億円を出すが、積雪期を控えて工事を急ぐ必要があるので、この補助金を見返りとして取りあえず資金一億円を支出した。罹災者の住宅建設については、住宅金融公庫から資金貸付できるよう公庫の資金措置を講ずるように努力したい。次に、災害救助法の発動のあつた町村については、罹災者の住宅建設用材として国有林風倒木を関係の市町村長にできるだけ有利な条件で一括売払うものとし、これに必要な立法措置を講ずるよう努力する。次に、開拓、魚田開発を含むわけでございますが、入植施設の復旧については至急対策を講ずる。つまり節約解除又は予備費支出による方法でございます。次に、公共土木施設の災害復旧については、北海道に対しては予備費からすでに三億三千八百万円支出しており、又三千万円の繋ぎ融資を出しておるが、更に各省の査定が済み次第予備費を支出する。次に、農林業施設の被害については、農林漁業金融公庫の融資によるものとし、資金枠及び立法については今後所要の措置を講ずるよう努力したい。それから次に、漁船漁具等の被害については、五月における北海道の水声被害に対する特別立法に準じた立派措置をとることを予定して、農林漁業金融公庫、農林中央金庫、信用農協連合会等の融資措置を講じたい。漁船損害補償法による保険金については速かに本払又は概算払を促進する。それから次に、第十次造船については北海道は選に漏れたが、来年初め連絡船の新造もあるので、それを差向けるよう努力する。それまでの問修繕を向けて幾分でも北海道を明るくしたい。右様を述べた次第でございます。  又本月一日より九州、中国方面も視察して参りました。これは只今いろいろ陳情その他を整理中でございまして、適当な機会にこれらについても申述べたいと思います。  ただ、災害地におきまして自力復興の意気が盛んなるを見て喜ばしく存じました。私も自力復興の熱意のあるところに政府の援助をいたしたいと思います。又政府としては、そういう熱意のあるところに財政の許す限り復旧に援助の手を差しのべたいと思つておる次第でございます。今後なお幾多の問題があると思いますが、皆様の御協力をお願いいたしたいと存じます。  以上極く大まかでございましたが、経過を報告いたした次第でございます。  ただ、その後に又北海道で発表いたしましたあとに追加されて枠を殖やしましたし、又予備費及び繋ぎ資金も出してあるものがございまして、これも一括して御報告申上げましようか。
  61. 森八三一

    委員長(森八三一君) どうぞ。
  62. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今日現在でございます。今日現在に災害関係の予備費の支出状況を申上げます。  これは数字で恐縮でございますが、第一、公共事業、そのうちの一、農林省の公共事業費として五千二百万円、二、建設省の公共土木費として四億六百万円、三、建設省の公営住宅費として一億二千九百万円、これは五号台風分が二千四百万円、北海道が一億五百万円となつております。それから四が建設省都市復興として一千九百万円、これは岩内でございまして、公共事業に予備費として出しましたのが六億六百万円になつております。非公共事業費として文部省学校施設、内容は略しまして、非公共事業費として一億八千一百万円でありまして、今日まで予備費の支出をいたしましたのは七億八千七百万円でございます。  それから災害関係の繋ぎ融資の状況でございまするが、これは公共事業に対しまして十四億二千万円、それから非公共事業費、財政資金でございますが、それが五億六千万円であります。繋ぎ資金として今日までに支出いたしておりますが、十九億八千万円に達しております。それから只今北海道のときに申しましたうちに具体化したものを申しますれば、各公庫よりの特別融資でございまして、中小企業金融公庫、国民金融公庫、これなんかは枠の設定でございます。これがおのおの三億円ずつでございます。それから農林漁業金融公庫、住宅金融公庫などでありまして、公庫の特別融資として計十一億五千万円になつておるわけでございます。これだけ只今のところは支出或いは融資の枠を設定いたした次第でございます。
  63. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今災害地実地調査の御報告と併せまして、本部長として現地ですでに指示せられました方針の大綱及びその後にとられました具体的な処置に関連いたしまして、昨日農林、大蔵両政務次官の御出席頂きまして詳細両省の考え方を伺い、各委員からもいろいろの観点に立つての御質問がありました。その御質問等から気付きました一、二についてお伺いいたしたいと思いますが、只今の加藤国務大臣、非常に温かい気持で北海道の実情から、特に救農土木事業を急速実施をして現金収入の途を与え、それぞれの生活を保持育成して行くという御方針をお示しになつたわけでありますが、昨日の大蔵当局お話では、このことは北海道だけに行うのであつて、五号台風から十五号台風まで同様の災害をこうむつておる本州、四国、九州方面の各都府県については考慮されておらないというようなお話でありましたのでありますが、勿論全県的な行政区域を限つて考えますると、北海道の災害が非常に激甚であつたことについては何らの疑義を持つものではございませんが、加藤大臣も親しく現地を御視察願つて実情を御調査つた通り、本州、九州、四国方面におきましても収穫皆無というような非常に悲惨な事態が発生をしておる事実は至るところに存在をいたしておるのであります。そういうような地点につきましては、ひとしく救農土木事業がこの際急速に実施せられるということが必要であり、政治も又そういうことでなければならんというように感ずるわけでありますが、こういうことに関しまして、先ず予算的な具体的な内容は別にいたしまして、方針としてどういうようにお感じになつておりまするか、御所見を先ずお伺いしたいと思います。
  64. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今報告申上げましたように、北海道は特殊な関係もございまするし、冷害、風水害、あらゆる災害が加わりまして、とにかくその日の現金がないということでございますが故に、救農土木事業を、速やかに税金を与えるために只今風倒木の処置をいたしたのでありますが、これは北海道に限るというわけには私は参らんと、こう思つておる次第でございまして、今まで農林省、大蔵省がどういう話合がありましたか。只今委員長お話を承わりまして、北海道だけに限定するということに大蔵省の主張があるように思いますけれども、私といたしましては北海道同様にというわけには参りませんけれども、やはり災害のひどいところにおきましては、成る程度重点的に救農土木事業は内地においてもせなければならんと、かように思つておる次第でございます。
  65. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の担当大臣のお話を聞きまして、そうあるべきだと感じますので、そういう方向に向つて今後問題の処理を進められますように特にこの点はお願いいたしたいと思います。  第二点は、これも北海道の特殊事情に鑑みて非常に強くそういう点をお感じになつたことであり、対策がとられましたことは非常に我々も意を強くするのでありますが、同様な地点は本州、四国、九州方面においても幾多存在をいたしておるのであります。現にこの委員会の決議によりまして、岡山県、愛媛県等の開拓地を私も視察をして参つたのでありますが、十五号台風等の台風に災厄されまして開拓農民諸君の住宅が相当強く損傷を受けておる。特に大蔵省のお話では、全壊をしたそれらの人々に対しては救済の手を伸べて行きたいと考えておるが、全壊に非ざるものについては、開拓農民諸君等に対する住宅の問題をも考慮することが困難であるというようなお話を承わつたのであります。これは勿論再三申上げますように財務当局考えでありまして、政府方針でないということは十分了承いたしておりますが、開拓農民諸君も御承知のように災害補償法の適用を受けることはなく、国の要請に基く食糧供出の義務は負つておるというような現状にあるわけでありますので、全壊をしたという諸君だけが国の救済の恩典に浴し、八分壊或いは半壊というような諸君はその恩典から除外されるというのであつては、これ又非常に不公平のそしりを受けるのではないかというようにも考えられます。勿論どの程度まですくい上げて行くかということについては研究すベき問題を残しておろうとは思いますが、開拓農民諸君の非常に悲惨な生活内容なり、或いは開拓農民諸君の今日までの食糧生産に関する努力なりというものを考えまする場合に、全壊だけに限るということはこれ又当を失するというようにも思うのでありますが、北海道について強くお考えになり、開拓農民諸君については特別な措置を講ずるという大臣のお気持が、広く全土に亙る開拓農民諸君のこの住宅問題等について申上げまするように、国の要請に基く義務は負つておるけれども、他の農民諸君が与えられておるような法律に基く庇護を受けることまで行かないという立場に置かれておるというような諸君に対して、少くとも住宅の問題等は、半壊なりその程度以上の損害を受けたものはそれ相応の処置をすべてとつてやるということが一つの誠意であるように考えるのでありますが、こういう点につきましての御所見を一つ向いたいと思います。
  66. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 北海道におきましても、全壊のものにつきましては只今のような措置をとりましたが、半壊その他のものにつきましては、まだはつきりしたことは決定いたしておりませんが、開拓者に対しまして只今の御意見は御尤もでございますので、これは篤と考慮をして行きたいと思います。
  67. 森八三一

    委員長(森八三一君) 重ねて申上げますが、大臣よく御承知と思いますが、農民諸君の不時の災厄に対処するために補償制度というものが法律化されておるのであります。ところが開拓農民諸君はその特殊性からでありまするが、農業災害補償法の適用を受けることができないと、これは法律上の一つの欠陥であつたかと思います。我々も今後十分研究いたしまして、そういうような諸君を災害補償法の対象にすくい上げるというようなことについて善処しなければならんと思つておりまするし、農業災害補償法については抜本的に今農林省内部でも審議会を作つて審議中でありますので、根本的にはそういうような措置を経て何らかの対策が講ぜられて行くということになると思いますが、当面の問題としてはそういうような一般の農民諸君には法律による災害補償の途が開かれておりまするが、開拓農民諸君は特殊性からいたしましてその恩典の仲間入りをすることができないという立場に置かれておる。併し、といつて供出に関する義務だけは負わされておるということでありますので、北海道と言わず、本州、四国、九州と言わず、特にそういうような非常に気の毒な、又見方によつては偏頗な扱いを受けておるという開拓農民諸君に対して、少くともこの際、その住宅が相当ひどくやられておるというものについては格別に一つ御考慮を頂きまして、更にいわゆる実行性の熱意に燃えて食糧増産に挺身して頂けるような状態に置いて頂くということについて、強く一つ考えを頂きますることを要望申上げたいと思います。  その次に、昨年は北九州の災害から出発して、愛知県を中心とする十三号台風まで数次に亙る災害があり、救農臨時国会というようなことで、十月下旬から臨時国会が開かれまして、各般の特別措置が講ぜられたのであります。その対策の一つとして、本当に収穫が皆無で、前年までは生産米麦を自家保有という形で確保して、最低の主食だけは賄いのついておつた農家の諸君が、収穫皆無のために配給を受けなければならんという事態に転落をした。そういう農家の諸君に対しましては、政府手持の食糧を原価で払下するという特別措置が講ぜられたのであります。本年も同様の立場に置かれておる農民の諸君が至る所に発生をいたしました。これは誠に残念なことであり、遺憾に思うのでございますが、そういう事態現実の問題としてすでに発生をしている。これに対して放置するわけに行きませんので、取りあえず大蔵当局におきましても払下をいたしまして、その代金の或る期間延納ということは認めようという措置をとられつつあるのでありますが、公共事業とか、何とかと違いまして、これは個人々々に繋がつて行く問題でございますので、そんな飯米もなくなつたというような本当に悲惨な農家の諸君が、去年は政府の買上と申しますか、いわゆる原価で払下が行われたのに、今年は一般消費者と同じような配給価格でなければならんという、そこに差別が付きますというと、これは非常におもわしくないいろいろな問題を捲き起して来る危険がないとは申されません。折角代金の延納は認めるというところまで踏切つておられるとすれば、昨年と同様のいわゆる原価配給ができる、これは金額としてはそう大きい問題ではございません。予算的にはそう目につく金額でもございません。むしろ小さな金額であつて、被災者の受ける精神的な感じというものは非常に大きなものがあると思いますので、これは是非とも一つ昨年同様の取扱いに踏切つて頂く、延納を認める、その延納の元金のほうはこれは一つ大した金額でもございませんので、政府の買上原価で始末をしてやるというところまでやつて頂きたいという強い希望を持つのでありますが、現地をお廻りになりまして、本当にとれると思つてつたのに、一瞬にしてとれなくなつてしまつて、その日からの飯米もないという農家にも接せられたと思いますが、お気持と申しますか、所見を一つお伺いしたいと思います。
  68. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 被害農家に対する米麦の問題でございますが、これは私もまだ詳細に当つておりませんが、安く払下げて、代金の無利子、それから延納ということ、只今お話のようにいたしたいと思いますが、安くということは卸売ぐらいではどうかと、こう思つている次第でございますが、細かい問題につきましては今後折衝をいたして御趣旨にできるだけ副うようにいたしたいと思つております。
  69. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今お話で一応十分了承いたしまして感謝をいたしますが、申上げますように、とにかくこれは個人々々に繋がつて行く問題で、金額の小さなことで昨年と非常に違つた措置が講ぜられると思想的にまずいので、そういうような金額の問題ではなくて、これは国民の考えにも非常な大きな問題を持つ危険のある問題でございますので、去年と同じような措置がとられますように格別な措置を願いたいと思います。なお営農資金の問題とか、いろいろございますが、各委員の御質問も、ございましようから、今までの質疑につきまして感じました大きなことを特に私から希望的に申上げまして善処をお願いいたしておきます。
  70. 重政庸徳

    重政庸徳君 御質問申上げますが、救農土木の件でございますが、昨日大蔵省の当委員会申入に対して回答が参つたのでありますが、救農土木事業は北海道に施行する、ほかの地方には施行しないというような回等が来ているのでありますが、対策本部長として、本年の瀬戸内海沿岸の災害に照して、それでいいというようなお考えでありますか、お考えを承わりたいと思います。
  71. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今委員長の御質問にお答えいたしました通り、私は救農土木事業は北海道のみに限定することなく、内地においてもそれに匹敵するところにおきましては、全面的に救農本木事業というものを講ずべきものであると、かように思つておるのでございますが、今なお細かい折衝はいたしておりませんが、そういうふうに努力するつもりでございます。
  72. 重政庸徳

    重政庸徳君 御答弁を得まして非常に満足いたすと共に、非常にいい政治であると私は確信いたすのでありますが、大体大蔵省では、実情はさておいて金のほうからきめて、そうしてあとでどの地方だけで限定すればこれで問に合うというような思想からして、そういう回答が来ておるのであろうと思う。瀬戸内海の沿岸もこれはよく厳密に調査して、そうして本当に困つておる地区に適用して頂ければいいのでありまして、例えて言えば、面積は非常に小さいですけれども、六十町歩ぐらいな、或いは四十町歩というようなところが全滅いたしておるのでありまして、而も六十町歩にいたしましても、耕作面積が二戸に対する耕作面績が非常に小さい。だからせいぜい六反歩ぐらいでしよう。そういうことになると、六十町歩でも百名の専業農家が途方にくれるということがある、而もこの際政府が今年度災害において救農土木を施行するという打出しがあるのですから、私はそれがないのに瀬戸内海のみの災害に救農土木を施行せよということは言いません。だけれども今年度災害については、救農土木を施行するという大きな線が出て来ておるのでありますが、そういうところを見逃すということになると、極めて悪い政治になると私は考えておるのであります。幸い大臣は適切なお考えを持たれておるので、どうか一つこの点をよく大蔵省のほうに御命じになりまして、農民の、罹災民の納得の行く線を一つ出して頂きたいと思います。なお次に除塩の問題でありますが、或いは大臣はまだそこまでよく御研究になつておられんかもわかりませんが、この問題についても聞くところによると、大蔵省に昨年度二十九年度災害に除塩作業という事業に対して助成をいたしたのであります。その結果、大蔵省が近畿地方、和歌山地方を視察をして、そうしてその結果として今年度災害には除塩作業を認めないというようなことを承わつておるのであります。これは全く無謀というか、素人というか、非常な問題になるのでありまして、昨年度はたまたま近畿地方は御承知通り災害後に例年にない豪雨が連続をいたしたのであります。ところが瀬戸内海の沿岸はこれは日本でも一番雨量の少いところであります。日本で一番雨量の少い地方であります。塩田が発達しておる状況を見られても私は素人でもその状況はわかる、雨量が少いということは……。そういうところに災害をこうむつておるのでありますから、昨年のたまたま豪雨が連続した近畿地方状況を視察して、除塩作業というものが必要でないというような誤まつた考えを持つてもらうと非常に困る。この点はよく御研究になつて、これも除地作業の必要でない所へ施行する必要はない、私はこれを漁戸内海地方に施行してもそんなにたくさんの量が出て来るとは思いません。だけれどもそれをやらなければ方法がない地方があるのでありますから、一つこの点はよくお考えになつて頂きたいと思うのであります。大臣も先般広島においでになつていろいろ御視察になり、地方の陳情をお聞きたなつたと私は考えておるのであります。どういうお考えをお持ちか、一つ承わりたい。
  73. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今御質問の点でございますが、私も先日瀬戸内海を見て参りまして、除塩の問題につきましてはいろいろ陳情も受けました次第でございます。これらは全然私はそういうことは素人でございまして、この問題につきましてもよくまだ帰る早々でございまして、よく大蔵省とも農林省のほうの側の意見も聞きまして一つ考えてみたいと思います。殊に瀬戸内海は只今御指摘のごとく、塩田の場所でございまして、雨量が少いということも只今お話を承わりまして常識的にもよくわかることであります。検討をいたす次第でございます。
  74. 松永義雄

    ○松永義雄君 今、大臣から極めて御親切な言葉があつて了承いたしておるのですが、災害程度の御判断力ということになるかもわかりませんが、当委員会から派遣されまして視察して参りました静岡県地方におきましても、今度の被害に加えて昨年も又災害を受けておる、重ね重ねの被害というところにぶつかつて参りました。一般の被害農民と同じように飯米の要請はもとより、一銭でも何とか金銭収入は得られないか、救農土木事業については切なる要求を承わつて来ておるのでありますが、いろいろ被害程度についても御判断はあろうかと思います。今年も去年も、もうこれでよくまあ来年も百姓をやつて行くという気持がよく残つているなと言つて町村長が涙を以て語つたような状態です。そういう点を十分御研究下さいまして対策をお願いいたします。
  75. 江田三郎

    江田三郎君 大きな問題は先ほど委員長のほうからお尋ねがあつて大臣のお答えがありましたが、なおそれに関連して若干お願いしておきたいのは、先ほど委員長のほうから言われました開拓地の住宅の問題ですね、これは大蔵省のほうでは全壊だけは補助する、あとは補助の対象にしないということをおつしやつた。昨日も山本政務次官はそうおつしやつておりながら、現在のように全壊は補助の対象になる、それから八割被害、七割被害というものは全然補助の対象にならんということは制度としては不合理であるということを自分ではつきり認められておるわけです。ところがどうも制度としては不合理だけれども、一兆円という枠があるからしてどうにも手が出せんのだ、こういう言われ方をされておるわけでして、この点は一つ制度として不合理だということがはつきりしておれば、開拓者の半壊住宅の補助といつたつて大したことにはならんのですから、而も大したことにはならんが、実際に開拓者のお粗末な住宅ということになると、半壊、六割も七割も壊れておると建直すと同じくらいは本当に経費がかかつて行くのですから、これについては今も特に考慮しようというお答えがございましたが、くれぐれも十分御考慮願いたいと思うのです。それから飯米の問題は卸売価格くらいでということでございましたが、併し農林供出をしていない農家ならともかく、万年苦しい中で政府に米を供出しているのですから、とれんときには自分たちが日頃供出している値段で政府のほうも融通してくれていいじやないかというのが、これはもう農民の率直な常識的なお願いであつて、卸売価格と生産者価格との違いが僅かなものですが、委員長もおつしやつておられたように受ける印象に雲泥の違いがございますから、この点についてはたた掛売価格ということでなしに、是非とも生産者価格でお願いしたいと思うのです。それから私北海道を視察して参りましたが、そのときにいろいろ見て参りまして、今、大臣のほうから北海道についての対策をお話下さいましたが、その中でいろいろ温かい御配慮を頂いておりますが、健苗育成の問題ですね。これについては今のお話の中に何もなかつたのですが、これは大蔵省あたりに言わせますというと、例えば温床苗代とか何とか、そういうことをやればそれだけ増産になるのだから農家が負担したらいいじやないか、こう簡単に言われますが、併しそんなに簡単にはなかなか行かん問題だと思うのです。特に今年の状況からしまして、大臣御視察になつてよくわかりますように、北見とか、十勝とかいうところはもう籾種がないわけです。そこでどうしてももう少し温かい地帯の上川あたりから持つて行かなければなりませんが、そうすると、仮に早稲の種を持つてつても、北見に行くと早稲にならないということで、いやでも応でも温床が必要になつて来るわけです。併しそういうような種子の絶対不足ということから温床が必要になるのですけれども、今までそう温床をやつていなかつた町村に、いいからやれつたつてそう簡単にやれるものじやないと思うのです。若し大蔵省のような考え方をしておれば、農民諸君はやつぱりイージー・ゴーイングに考えて、上川の種が入つて来ようと、どこの種が入つて来ようと、今までやつた耕作方法しかせんのじやないか。そうすると、来年は非常に気象条件がよければいいけれども、一説には大気が放射能の塵で汚れて、夏は寒く、冬は温いという条件が今年も続くのじやないかと言われておるわけで、これが杞憂に終ればいいのですけれども、なかなかそうでもなかろうと思うのでして、そうすると、来年はもつとひどい冷害を食わなければならんということになつて来ると思う。そこでどうしても今年は今までの将励金のテンポよりもずつと積極的にこの温床苗代の普及をして行かなければならんので、それにはやはり国がそれに対する保護、助成をして行くということは是非必要なことだと考えるわけでして、この点先ほどのお話の中にございませんでしたが、是非お考え願いたいと思うのですが、どうでございましようか。
  76. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私が北海道を去るときにああいう大綱を述べましたのは、北海道の特殊事情によりまして、先刻も申しましたように、じつくり巧みにするよりも拙速にすることが、まあ民心の安定と申しますと大袈裟でございますが、その気持であれだけを申したのでございまして、あれは大ざつぱな何でございました。今のように、私ども素人でわかりませんが、健苗とか、温床の問題のごときは当然入るべきものだと思いますが、これは忘れたわけではございませんけれども、ただ余りに項目が多うなりますから、ただ極く大まかなところを言うただけでございまして、これを決して軽視しておるわけ合いではございませんから、さよう御了承願います。
  77. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今、江田委員からのお話がありました水稲の健苗育成、特に保温折衷苗代に必要な紙の助成についてですね。私からもう一点補足をしたいと思うことは、これはもうここ数年来これを実施してかなり顕著な効果の上つておる事実があるということ。それからこれを行わなければ、今年のような災害が平年時においても繰返されるという、こういつた危険性を蔵しておる。それから更にこれはひとり北海道に限つた問題ではございませんので、東北その他の高冷地等においても、これはかなり要望の強い問題でありますので、これは是非一つ本年と同様な助成措置を講じて頂きたいと思うのです。なおこれには当委員会としても申入をした中にかなりはつきり記されておりますが、本年度中に助成をするという方針も明らかにして、そうしてその経費を来たるべき臨時国会等における予算に計上して頂かないと、これはもう時期的に間に合わないということになりますから、これを是非本年度の予算に間に合うように措置をして頂きたいということを特に附加えてお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つ私からお願いを申上げたいのは、特に開拓地の農家で家はもう壊れてなくなつてしまつた。それから食べるものもない。更には来年度の種がないという状態に置かれておる人たちに、昨日の大蔵当局説明によりますと、種及び家畜の餌等については、これは斡旋はするけれども、政府としては助成のことは考えろ余裕はないと、こういつたお答えでありましたが、少くともこういつた悲惨な開拓地の農家に関しては、せめて種くらいは助成をしてあげて、来年度の耕作に必要最小限の政府としての親心を示してあげることは私は是非とも必要だと考えます。特に馬鈴薯の種子その他必要最小限の種子等については、政府としてはそういう温情を是非この際示して頂くことが必要だと考えますが、この点も合せてお願いしておきたいと思います。
  78. 岸良一

    ○岸良一君 今、飯島委員お話なつ通りに、種子の確保、この問題については、実際にひどくやられておるところについては考えていたでしようが、まあ大臣は北海道をお廻りになつたのですが、北海道が冷害とそれから畑作早書、その上に又風が来て非常にいためつけられておる。恐らく収穫皆無になつたところでは、種子の確保を本年のうちに手当てをして来春に間に合わせるということには非常に困難を来たしておる。そのうちで北海道の特殊の事情は、北海道は非常に畜産が盛んでして、牧草類を栽培しておるところが多い。この牧草が今のような事情で種がとれないというようなまあ現状にある。それから又原野にある牧草は特に飼料の笹が全部枯れてしまつて、来春になつてどういうふうにやるかという冬越しのことも非常に心配されますが、来春の手当を早くやつておかなければならん。それと今の作物と同じように本年度中に種子の確保をしてやる、準備をして来春すぐ播くということをやらないと、これはもうすでに今までの現状では家畜を売払うというような人が相当多くなつて来ておりますから、そういう点も一つ御考慮を願いたい。農林省の計画には人つておりますが、十分一つ御研究願つて、先ほど飯島委員お話にありましたように、全国的な種子の確保ということを考慮を願うと同時に、北海道については特にその点をも併けて御配慮を願いたい。
  79. 石川清一

    ○石川清一君 私は加藤国務相が札幌で御発表になりました政府のお考えの順序と、今各委員から質問になりましたのに先ず関連して加藤国務相と農林次官にお尋ねしたいのでありますが、稚内の大火に対する処置は非常に適切に迅速に行われて非常に感謝をいたしておりますが、開拓農民の十年間の数は三万七千戸入植しておりまして、そのうち今日残つておるのが二万六千九百戸だと承わつております。今回の台風で開拓農家被害を受けました住宅は全壊が農林省調査で千三十三戸、半壊が八百戸、大破は一千九百十六戸でありまして、これは岩内の大火に匹敵するだけの数字である。若しこの開拓者の住宅が一カ所にありましてこれだけの被害を受けておつたとしたら、今、大臣や先日大蔵省の答弁したような形では捨てておかれないと私はこういうように思つております。従つて北海道の開拓を放棄するか、或いは開発庁をなくするなら別として、今日積極的に北海道の開拓を進めて七十万町歩の未墾地を急速に国のあらゆる生産の資源にしようとする限りにおいては、この開拓者の住宅、約一割強になりますが、この復旧を国の温かい手で迅速にせんけりやならんと存じておる。特に北海道の今年の冷害が農林省の統計を見ましても六五%だ。北海道だけは四〇%を割つておる。大蔵省の所得の申告を例年見ますというと六〇%は必要経費でありまして、あとの四〇%が農業所得である。ところが本年は六〇%しかない。これが農林統計だ。従つてこの六〇%だという収穫の数量は、これは質的に見ますと七割ぐらいしか経済価値がない。いわゆる商品価値がないという場合には四二%になり、仮に八〇%見ましても五割以下の収入になり、従つて生活費にまわる金が全然ない。飯米もないし肥料代も払えない。こういうような全般の中に置かれておる開拓者の実情というものは、それは岩内の大火以上である。昨年の冷害から見て大火以上である。こういうように考えます。特に大臣も御調査になつてわかりまするように、あの大雪山の山麓で千七百万石の原始林が倒れておる。そういうような状況の中で、こういう開拓者の住居も同じように到れておるのであります。いわゆる残つておる開拓者の住宅というのは、うまく沢であつて風の当らんところが残つたのだと私は思う。そういう関係で、そうした開拓者には一銭の現金収入もない、昨年もそうだ、冷害資金を借りたけれども払えない、而も今年も収入がない、然る上に十五号台風で住宅は倒れておる。これは特殊中の特殊でありまして、今まで曾つて日本の農民の中にこういうような悲惨な姿を現わしておるところは私はないと思う。それを今までの法律に基いて今の大蔵省の考え方ではこれは解決できない。これに対して先ず加藤国務相の、北海道をお廻りになつて、そうして受けた感じと、私の今申上げましたいろいろな数字をお考えになりまして、最後までこれを政治的に解決するという御意思を御決心があるかどうか承わりたい。と同時に、将来北海道の開拓を進めて行く上にどういう処置をとつたほうが有効かということを農林次官から承わりたいと思います。
  80. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今北海道の開拓者の悲惨なお話がありました。如何にも御尤もであります。そこで只今北海道の国有林が倒れたこともお話通りで、それと同様に開拓者の住宅も半壊若しくは全壊をいたしましたこともその通りでございます。そこで今回は私どもは大胆に従来の国有林の払下のやり方を立法措置を以て変えまして、その払下を災害救助法を受けたる市町村を相手にそれに極く安く払下をして、そしてそれも延納にしてあとは分割払をするように、もとより無利子で行きたい。そして開拓者及びその他の住宅の資材にしたいというようなことを考えて、只今申しましたうちにそれも発表したような次第であります。それで只今北海道におきまして、少し数字は違うかも知れませんが、大体七万円出すことにいたしております。二万円はすでに渡したことだと、こう思つております。あと二万円ぐらい渡す、つまり半分だけこれは出すことにしておる、こういう措置がとられてあることと、こう思つておりますが、それが徹底しておるかどうかわかりませんが、今度は十坪十四万円ぐらいと大体見積つたということでございます。それは材料が幾分あるから、火事で燃えたのと違うからあるということでございますが、細かいことになりますと、私数字は間違うかも知れませんが、大体そういう目度で国有林の払下をそういう方面に向けたいと思いまして、今度市町村長を相手に払下の措置をやりたい。只今の御趣意に十分副わないかも知れませんが、副うようなつもりで今発表いたした訳合で、これは実行するつもりでございます。
  81. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 先ほど加藤大臣からも御報告があつたことと存じますが、又只今もちよつとお話がございました通りに、早速北海道の御視察の帰り際に北海道庁に寄られて、対策を独断で勇敢に御発表を頂いて、道民の災害に対する御処置をなすつたことに対して私ども農林当局としても感謝をいたしておるのでありまして、只今お話のように、全壊のもの等に対してとにかく差当つての金を出すように処置を願つたのでございますが、昨日もこの席で申上げましたように、我々はやはり開払地農民の実情から申しまして、大蔵省の査定をいたしましたような、全壊だけを補助するというような行き方では、これはやつぱりどうしても実情に副わない、やはり半壊以上のものに対して適切な助成をいたして、住宅を早く作つて安定のできるようにして行くことが北海道のみならず、内地においても又同様でございますが、開拓者の定住性を増すゆえんでなかろうかというふうに考えておりまして、こういう点については、加藤大臣も本日特に実情を申上げまして、この席以外の各所で申上げまして、そうして何とかどうも農林省としては大蔵省の査定に服し得ないゆえんを縷々申上げて大臣の御義処を頂こう、そうして大蔵省との間に、更に我々の開拓者の希望を達せられるように、一つ善処を願おうということでお願いをしたような次第でございまして、最善を尽してそういう問題について努力をいたしたいと考えております。
  82. 石川清一

    ○石川清一君 私が特に前段で申上げましたように、十年間の定着率が七〇%しかない、昭和二十年度には三九%しか歩留りがなかつた、今日このままの状態で、今政府考えているような、まあ積極的に或る程度の施策をされておるようでありますが、これが影響しまして、折角残ろうとしておる意欲の人が五〇%にも下るような気配がありましたら、これは大変なのであります。いわゆる今まで随分苦力して、追われるごとくまあ一切を捨てて開拓に命を打込んで来た人を、この際十分生かさなければ短く開拓者が現われて来ないから、こういう点を特に心配するから申上げたのでありますが、次は開拓者を含めて現金収入を得さすための救農土木工事でありますが、これも昨日の大蔵省の考えを聞いておりますというと、農林政務次官のおつしやる通りこれはごまかしておる、これで農業の生産収入のなかつた人々に或る程度の現金収入を与えさすということは、これを作る大蔵省の役人自体もそう思つておらないと思います。従つてこれは現地実情に合うということ、最低の生活費だけは、これは与えるようにしなければならんと思うのでありますが、そのために農林省は一応遠慮したと言いながらも、総事業費は二十五億くらい北海道で組んでおるようでありますが、これはどこまでも現地実情に合うた賃金収入を得さしめて、どうやら冬の生活費くらいに充てるという最低のものであるかどうか、これをお伺いしまして、これを積極的に加藤国務相を通じて実現をさす熱意を持つておるかどうか、これを承わつておきたい。
  83. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 只今の御質問でございますが、農林省としては是非とも実現をしたい、こういう考えで大臣にもお願いをいたし、大蔵省にもよく公正な立場で、財政とそれから実情というものをうまく調整をして頂く、ただ財政だけのやり繰りでなく、すぐに実情に合う点を特に本部長にお願いをして実現をしたい、さように私は思つております。
  84. 森八三一

    委員長(森八三一君) 加藤国務大臣に、衆議院のほうでも前からお待ちになつておりますので、要点を一つお話願いたいと思います。
  85. 石川清一

    ○石川清一君 じやこの点をもう少し突込んでおきますが、いわゆる生活保護費を、二年もの間現金収入がない農家、これは本当に生活の落伍者に匹敵するようなものでありますが、これを生活保護費で賄おうとしても私は三、四十億は十分かかると思う。これを大蔵省の考えているような十六億で、大方機械その他資材も要するような事業をするとしましたら、全然生活費に廻らない、これは人道上の問題としてお考えを願いたい、こういうように思います。次は営農資金の問題でありますが、七、八十億もの金をかけまして肥料代或いは労賃、そうして一銭の収入もないというような数字が現われております、これは北見等の水田或いは畑作農家を大体集計しまして、飯米のある人は別として、これらの人は農手の支払、十二月二十日までに支払うことになつておりますが、この農手の支払をやはり個人責任でありますので、非常に心配をしております。農業協同組合も請求をせんというわけには行きませんので、その僅かの収入或いは僅かの持つておる不動産等をめぐつて、商人やその他の債権者と先を争うて回収をする、いわゆる強権と言いますか、いわゆる強奪をするような形で、僅かの食糧或いは不動産等を押えよう、こういう動きが非常に多く現われつつあります。従つてこれを昨年の例を見ますと、先の北海道は四十億であつたと思います。昨年は四十億でありましたが、昨年の米の例を見ますというと、七四%で百十八万石の米が出ておるのでありますが、本年は北海道庁の割当が二十八万石が大体妥当だというふうに新聞が報じております。その差が九十万石もあります。それに対してどのくらいの資金の枠を持つことが昨年並みの救済であるかということを、おぼろげながらもお考えになつておると思うのでありますが、これを承わりたいと思います。
  86. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 事務当局が参つておりませんから、申上げていい加減なことを言つても当委員会に対して失礼でございますから、事務当局が参りましてよく聞きまして御答弁いたしたいと思います。
  87. 石川清一

    ○石川清一君 特にもう少し続けて御質問したいのでありますが、あと種苗のことにつきまして、これはやはり今年特別的な措置をとらなければならんと存じます。先ほど江田委員が申されましたように、いわゆる北限開拓地帯或いは稲作の北限性、北見、十勝に適する品種というものはほんの催かであります。明年の天候も余り芳ばしくないという気象情報であります。従つてこの僅かの金を有効に使うためには国が相当の種苗管理を行う、或いは補助金をして行う、そうして或る程度堅夫に平均に分配をするという措置を講じなければならんのに、昨日の大蔵省の御答弁では全然そういう誠意がないようであります。併し北海道の開拓を守り、北海道のこうした二年続く農家の生活の最低の線だけでも守つてやるためには、そういう形で政府が優秀な種苗の管理を行い、或いは補助して買取つて、それを公平に分配するという措置が適切に行われなければならんと思いますが、これに刈して農林省のお考えをお伺いいたしたい。それからもう一つ、余市の「りんご」地帯を御視察になつたと思いますが、昨日の大蔵省のお考えでは、これは純粋の資本主義的な経営で金があるのだから捨てておくのだというのでありますが、これらの人も今までは相当の国税を納め、相当の国定資産税を納めて町村に寄与しておりまして、国の有力な財源と言つてはおかしいのですが、そういうようなものでありまして、これらの地帯は非常に適しおるのであります。そのためにはやはりこういう、今まで曾つてないような果樹の災害に対しては種苗の助成を一応いたしまして、これらの地域の特殊性を守つて、それを健全化さしたい、安定化して行くということを本年とらなければならんと思いますが、これに対してどういうように両大臣と次官はお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。
  88. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今石川君の御質問御尤もでございますが、その他の方面における果実でございますが、如何にも惨状、御同情に堪えん次第であります。今これをどうするかと、まだそこまで行つておりませんのですが、それに同情を持つて一つ農林当局、大蔵当局ともいろいろ検討してみたいと思います。私といたしましては、連絡本部長といたしましては、この災害に対して全国的に均衡をとる、どうせ御満足に行かんことは申すまでもないのでありますが、少くとも均衡の態度に出て、その調整を図りたいと思つておりますから、御趣意は承わりましてよく検討いたして見ます。只今はそれだけしかお答えできませんのですから、悪しからず……。
  89. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと今のに関連して……。この果樹の問題について特別に補助とか、助成とかいうことをお願いしているわけですが、それはなかなかそうできんというようなお答えでございましたが、その点はお願いしておきますが、ただこの果樹の場合に営農資金の融資で仮りに行こうとする場合には、果樹は投下資本が大きいだけに、融資の額というものが普通農業と同じような額ではどうにも間に合わんという問題が起きるのじやないかと思うのです。そこでその果樹のような投下資本の大きい場合には、貸付限度というものを普通の農業とは別にお考え下さるかどうか、その点はどうでしよう。
  90. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私専門外でございまして、まだその枠をどうするかということははつきりいたしておりません。検討いたします。
  91. 江田三郎

    江田三郎君 これは一つ政務次官のほうも恐らくそういうお考えだろうと思いますけれども、そうでしようね。
  92. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 最初のほうの石川さんの御質問に対してお答えいたしますが、昨日も縷々申上げました通りに、種子の確保については、行政的にできるだけ地方官庁をして優秀なる種子を確保するように今内面指導をいたしておりますが、ただ去年の実績に鑑みまして、実際先端に行つたとき非常に僅かな金しか行かんということで、それがいい加減に使われたというようなことが大蔵省の非難の的になつておりますので、今年はこういう非難を避け、国家の恩恵というものが真に実情に適するようにするためには、やはり地方の第一線の自治団体の行政費に助成を、助成というか、行政費の世話を願つたことに対して、行政的な措置のために金をお分けをしたいということで、御承知のように僅かな金でございますが、一億二千九百万円の要求を大蔵省にしておるわけです。これに対しては昨日も大蔵省の大体の考え方をお示しになつたように、今の現段階ではそういうものも認めがたい、こういう情勢でございますので、これは大臣に、本部長にもお願いをいたしまして、何とかそういうふうにしないと、殊に北海道のような「あずき」とか、菜糖類というようなものが非常に最近値上つておりますから、不作ですから、だからそういうところへ種を確保するのには或る程度地方の市町村や何かにもやはり強権といつてはおかしいのでございますが、或る程度真剣にやつてもらうについては、やはり国家がその労に報いるというか、そういうものの労費とか、それくらいのことは或る程度面倒を見なければ、闇の高くなつたものを安いものとして買うということはなかなか困難だろうと思います。こう存じておりまして、種子を確保することは再生産の先ず第一の重要な問題でございますから、そういう意味においては何とか中間的な経費を大蔵省に認めてもらいたい、まあ加藤大臣にもお願いをいたして、そういう実情一つお汲取り頂いて、大蔵省のほうの考え方も修正をしてもらうというふうに努力したいと思います。こういうふうに考えておる次第でございます。それから今の江田さんのほうの「りんご」、「りんご」と言うか果樹の被害対する融資の問題でございますが、これは何と言いますか、樹勢を回復するという意味の点も、ございましようし又或いは全然新らしい木を植え直すというようなものもございましようし、一概に枠をきめてどうするということよりも、やはり実情に適したように地方の第一線の報告も聞いて、その上でそういうような実際に合うようにやつて行くと、ただ枠をきめて果樹が何十万円というふうになつたらば、それこそそういう果樹の問題でなく、ほかにそれが今の金融難のときでございますから、そういうものに流れるということになると、これは農林省といたしましても、大蔵省に対しまして今後信用を失うことにもなりますし、しますから、そういう点についてはやはり実情に応じて、実情に合うような方向で以て融資をするということに最善の努力をいたして行こう、こういうふうに考えております。
  93. 江田三郎

    江田三郎君 うまい答弁をされるので、つかみどころがないようになるのでありますが、たまたまここに融資の特別措置法の要綱というのがある、未定稿で……、これはあなたのほうでお作りなつたものだと思いますが、これで見ますと貸付限度が五万円ということになつて北海道にあつては、それで「(別に定める場合万円)」と空白になつておりますが、それで実情に適するということで意を尽しているとも見えるのでありますが、先ず実情に応ずるというのは極めてうまい逃げ口上ということも言えるわけで、何にしても果樹の場合、本当に収穫直前にあつて落してしまつて全く金になつていないので、だから来年の肥料資金からいつても、何からいつても、これは相当金が要るわけで、普通農業と桁が違いますから、その場合にはやはり別に定める場合というようなところにでも何かやつて頂かんと、ちよつと果樹経営というものを放棄しなければならないような形になると思います。一つ十分御考慮を願います。
  94. 松浦定義

    ○松浦定義君 大体まあ当農林委員会から政府に対する申入を十四項目に亙つて作目も農林、大蔵両当局の御意見を聞き、更に本日は加藤本部長の御意見も聞いたのでありますが、農林省と大蔵省との見解は大幅に違つておる、従つて本部長の今日の御意見はことごとくが一つ御調整を願わなければならん問題だと思うのです。そこで私は非常に心配する点が一つあることは、昨日も山本政務次官は一兆円予算というものを非常に強く言つておられてこの限度を超えるということが非常にまあ何と言うか、今の日本の国是のような形のようなふうに考えられてしまつて災害があろうと、どういうことがあろうとも、そういうことは一兆円予算の前に立つては何ら考慮ができないというような非常に強い御意見のようなんでありますが、従つて若し農林当局の言うような形で、又委員会の要望するような形でやるならば、ほかの省にも、つまり建設省からも各省からいろいろ問題が出て来て、これはどうにもならないのだ、金さえあれば何でもやるのだがというような御意見であつたのですが、本部長としての先ほどからの御意見を聞いておりますと、どうしても大蔵省の御意見を相当曲げてもらわなければならないということになると、或いはそういう点においては相当強い御決心を持つて頂かなければならないと、こう思いますが、飽くまで、私が申上げるまでもなく、この予算も無論これは大事でありますけれども、この災害というものに対してできた例の機関というものの主管大臣としては、やはりその一兆円予算というようなものとは相当かけ離れて、現在の災害を如何にして最小限度にこれを食い止め、更に又来年の生産にこれをよりよく発展せしむるかということについての御決意はあると思うのですが、そういう点について若し御見解がお聞きできるならば一つ聞かして頂きたい。その点は非常に私どもも心配しておるわけなんですが、従つて立法の措置を要するという問題については、ことごとく農林省と大蔵省とはその見解を異にしておる。ただ立法を要しない点についてならば、これは大体妥協はできるようですが、立法を必要とするというようなものについては、全然見解が違つておるということについてはやはり予算上の支障があるのではないか、こう思うので、そういう点について御決意を是非お伺いしておきたいと思うのであります。
  95. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今御質問のありましたように、昨日は大蔵省は一兆円予算の範囲において成るべく、まあくだけて申しますれば、財布の紐を締めて置く、一方各省におきましては、省の熱意の余りに相当要求されるのは当然なことであると思います。そこでどこで調整するかということでございまするが、私どもはできるならば、今の内閣が一兆円予算というものを堅持しておりますが故に、できるならばその範囲で行きたいと、こう思つておるわけであります。と申しますることは、災害があつたならば、そういう形式的の予算で災害は一体どうするかという御議論も御尤もなことだと思いまするが、今年の災害は私どもの今までの報告によりますると、非常に大きい災害ということは言えないと思います。災害被害の度合から申しましてその局部々々につきましては昨年より甚大な所もございまするけれども、全国的に見ますならば、災害は例年のことしと申しても、まあ例年あるぐらいのものと申してもよくはないかと、まだ正確な数字を、例年の比較を持つておりませんけれども、少くとも昨年などと比べますと、全体的に見れば被害は少いと見なければならんと思つております。そこで調整の問題でありまするが、私どもといたしましては、なお予備費も六十三億余円でありますか、ありますし、又各省の実行予算における節約いたしたものが約百九十六億か七億あることだと思つております。ですからそれを節約を解除いたしました全部を災害に使うわけには参りませんが、その範囲だけで有効適切に重点的にやつて行きたいと、こう思つておるわけでありまして、できる範囲において一兆円予算は現内閣としては維持して行きたいと、こう思つておるわけでございまするので、その中途におきまして、昨日どう大蔵省が申しましたかわかりませんが、随分強い意見を発表したかと、こう思いますが、私としては予算の範囲内においてできるだけ均衡をとつて、できるだけ重点的に措置いたすように調整を図りたいと、こう思つておる訳合でございます。極く大まかな気持を申上げました。
  96. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ自信さえあれば私どもは別に立法しなくても、処置さえ適切にできれば結構なんですが、まあ政府考え方としては、やはりその一兆円予算の範囲内でやりたい、只今大臣のお話も、二百五十億程度のものがあるから、そのうちで処理できるものなりという御決意のようでありますが、いずれにいたしましても、私どもの考えとしては、恐らく今大臣のお話のように、例年とまでは行かなくても、大体その程度災害だというふうなお考えということについては少し疑義があるわけです。それであるならば、特別に加藤国務大臣のお忙しいのを煩わして、連絡、去年はまあ対策本部でしたが、今年は連絡と言えば、多少その点についてもいろいろな意味はあるかも知れませんけれども、特別にそういうような政府の機構を置いてまでおやりになるということについては、やはり例年とは変るのだということでありますので、先ほどの御熱意を私も十分諒といたしまして、予算の範囲内でありましても、今の二百五十億程度のもので処置できる範囲内であるならば、これは御調査の結果結構と思いますが、そういうふうに強い大蔵省の意見というものが、或いは今後の農林行政に影響するようなことがあつてはと、こう考えまして、農林省の要求をいわば全面的に私どもは支持しなければ現在の災害対策はできないと思いますから、この点を是非強力に大所高所からお考え方を直して頂くように、今後ともお骨折りを願いたいことを附加えて申上げておきます。
  97. 加藤鐐五郎

    ○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今私が非常に少いようなことを申上げましたが、少いというような意味ではございませんので、さよう御承知を願いたい。今年の公共施設は少のうございましたが、冷害その他のことは相当被害がありますものですから、この連絡本部というものができましたが、非常にという意味ではない、こういう意味で申上げましたわけでございます。御了承を願います。
  98. 重政庸徳

    重政庸徳君 今、農林政務次官の出席が遅れたので、農林省の注意を喚起する上においてくどいようですが、もう一度救農土木事業と内海の災害地に対する除地作業について申上げておきますが、御承知通り、大蔵政務次官は昨日救農土木事業は北海道にのみ適用すると、こういうような回答を得ております。これについていろいろ本部長、大臣の御意向を質したのでありますが、大臣からは北海道のみに限定しないという御回答を得たのであります。農林省は精密なこれに対する調査ができておりますかどうか。それからなお沿岸地の、災害地の除塩作業でありますが、これは昔は海岸の堤防決壊による耕地の復旧に対しては除塩作業はしばしばやつてつたのであります。ところが昨年も御承知通り、和歌山、名古屋等の除塩作業を災害復旧の中に含めてやつたんです。ところが今年は大蔵省は何を血迷つたか、除塩作業は災害復旧の中に入れない、認めないというようなことを私は承知いたしておるのでありますが、これに対するいろいろな長いことは申上げませんが、少くとも大臣は内海の特殊事情はお認めになつて、これについては農林省意見も十分聞いて、大蔵省の意見も十分聞いて、そして善処するというお答えであつたのでありますが、農林省もこれについて精密な適切な調査ができておりますか、どうかという点をお尋ねいたします。
  99. 羽田武嗣郎

    説明員羽田武嗣郎君) 本日止むを得ざる所用のために本委員会に大臣が公務上参られませんでしたが、私も会議をいたしておりますために遅れまして、貴重なる御意見を承わる機会を失しましたが、改めて御注意を頂きまして誠に恐縮に存ずる次第であります。只今の内地の救農土木を実施すべき場所につきましては、精密に農林省としては積算の基礎を持つてつておることを改めて申上げます。なお除塩作業につきましても、大蔵省の考上えもございますが、農林省としては、正確な数字を以て、基礎を以て要求をいたしておるということをこの際明らかにいたしておきます。
  100. 森八三一

    委員長(森八三一君) まだ御質疑もあろうと思いますが、衆議院のほうから加藤国務大臣に再三催促がございますので、加藤国務大臣に対する質疑は終了したわけではありませんが、この程度にいたしておきまして、最後に加藤国務大臣に、もう附加えて申述べる必要はないと思いますが、希望を申上げておきたいと思います。  最初にも申上げましたように、昨日農林、大蔵両省のそれぞれの立場からの一応の意見を聞きましたが、各同僚の諸君からもお話がありましたように、かなり感覚は食い違つております。更に私どもとしましては、今回の災害対策として農林省が立てておられるものでありましても、これもまだ十分とは言えないと考えるのであります。それに上廻つて非常に窮屈なことを大蔵省ではお考えになつているというわけでありますので、この調整はかなり御苦労なことと私は考えるのであります。併し、と言つて、いわゆる一兆円の枠に余りこだわり過ぎてしまうというと、角を矯めて牛を殺すというような結果になつて、国全体の産業経済の伸長に非常に重大な結果が捲き起るという危険も考えられます。勿論一兆円予算ということをむやみに破つてインフレに捲き込んでいいわけではございませんので、その爪は十分堅持しなければなりませんが、そのことと災害対策ということとは必らずしも形の上で整える必要がないのでありましてやはり国全体の経済産業の伸長が基本的なものとして考えられて行かなければならんと思いますので、当委員会の総意を以て申入れてありまする申入の内容について、現地調査と照合せられまして、最善の対策が立てられて、開かれまする臨時国会には十分な施策が取進められ、関係農民諸君も安堵して将来の大生産にいそしみ得るようにお運びを頂きますことを、特にお願いを申上げておきます。  それでは只今議題になつておりまする昭和二十九年災害の件はこの程度にいたしたいと思います。  ちよつと速記を止めて下さい。    午後四時五分速記中止    —————・—————    午後四時二十四分速記開始
  101. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  只今懇談で御了解を頂きましたように、かねて懸案でありまする牛乳の処理基準改正の件に関しまして、農林、厚生両大臣の出席を求めて最後的な審議を願う予定でございましたが、厚生大臣の出席が困難でありますので、この取扱いは明日にいたすことにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十五分散会